禁断の園、禁断の果実!!
禁断の園の片隅で、間もなく『神』が復活する。
赤くみずみずしく、艶やかで丸みを帯びたその姿はまさに禁断の果実
……!!!
――リンゴですか? いいえ、トマトです。
●
「えっと、UDCアースに行って邪神の復活を阻止してほしいんだ」
レコ・ジェヒ(ケットシーのビーストマスター・f00191)が集まった猟兵たちに話し始める。
「邪神の復活って普通大掛かりな儀式が必要なんだけど、今回の邪神はそういう大掛かりな儀式なしに復活しちゃうらしくて」
そこには当然何らかの要因がある。特別な祭具や呪具であったり、関係者の持つ特異な体質であったり血筋であったり……。
「残念ながら具体的な要因とか復活する場所はまだわかってないんだ。だからそのあたりもみんなに調査してもらう……んだけど」
集まった猟兵たちの姿を改めて確認し、レコは少しだけ困ったような顔をした。
「邪神復活に関係ありそうな場所というか、ヒントがありそうな場所がものすごく厳格な『女子校』で」
学生はもちろん教師、事務員も全て女性。出入りの業者すら女性限定という徹底っぷり。
「『たとえ家族であろうと赤子であろうと男子入るべからず』ってね」
レコが肩を竦める。
「女の人なら出入り自体はそんなに大変じゃないと思う。小中高一貫校でね、小学校低学年の子を家族が迎えに来たりすることも珍しくないみたいだから」
問題は男性である。
「どこの世界に行っても違和感を持たれないのが猟兵とはいえ、流石に性別までは誤魔化せないだろうしなぁ……女装、するとか?」
とりあえず見た目が女性に見えれば潜入は可能だろう。注意しないと言動でバレる可能性はあるが。
「後は……うん、みんなで考えて」
まさかの丸投げだった。
どこから手に入れたのやら件の女子校の見取り図を広げながらレコが続ける。
「敷地だけど、簡単に小中高それぞれの学舎と寄宿舎、で区分けできる」
件の女子校は小中高一貫校というだけあってやたらと広く、実家が遠方の学生向けに寄宿舎まで併設されているんだとか。
「とりあえず、この女子校に潜入して情報を得るのが第一の目標。情報が得られたら邪神復活の阻止に動いてもらう感じで」
ものすごく大雑把な感じで今回の目的をまとめると、レコは猟兵たちに向かってペコリと頭を下げる。
「邪神が完全復活すると困るし、よろしくね?」
乾ねこ
神は神でも『邪神』です。
禁断の果実とか言ってるけど『トマト』です。
とりあえず女子校に潜入して情報を収集してください。
女性でなければ参加できないなんてことはありません、女装してみるなりなんなり方法はあるはずです(無茶ぶり)。
情報が集まったら邪神復活阻止に向けて動いていただくことになります。
それでは皆様のご参加お待ちしております。
●以下、注意事項
ご友人等、同行者がいらっしゃる場合はその旨をプレイングにご記入ください。お相手のIDやグループ名等が書かれていると確実です。
また、プレイングの投稿時期が大きくズレますと同行の描写が叶わずプレイングをお返しする可能性があります。
完全なる「単独行動」をご希望の場合にもプレイング内にてその旨をご指定ください。
記入がない場合、単独参加でも他の参加者の方と行動を共にしていただくことがあります(特に探索、戦闘ではその傾向が強いです)。
第1章 冒険
『男子禁制』
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POW : 気合と根性で女子になりきる
SPD : メイクや衣装、装飾で誤魔化す
WIZ : 技能やユ-ベルコ-ドを活用する
👑11
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井艸・与
まさか女子高に潜入する機会があろうとはなあ
とはいえ、ばれると大ごとだからこっそりと行くか
【迷彩】を使って周囲の風景に溶け込んでこっそりと侵入するぜ
こっそり侵入してるからには、物音なんかにも気を付けねえとな
人の集まりそうな場所に移動して【情報収集】といこうか
休憩するような場所なんかだと、気がゆるんでぽろっと有益な情報をこぼしてくれたりしねえかな
【聞き耳】を立てて役に立ちそうな話に耳を傾けようか
もし男子だってばれた場合は、ちょっとやり方が荒いが【催眠術】で誤魔化してすぐにその場を去るぜ
●
人通りのまばらな通用門。警備員の女性がよそ見をした一瞬の隙を突き、敷地内へと潜り込む。
(「まさか女子校に潜入する機会があろうとはなあ」)
そこは文字通り女だけの秘密の園――男が侵入したとなれば大ごとになるのは間違いなし。
(「仕方ない、こっそりと行くか」)
井艸・与(人間のUDCエージェント・f03832)は人目を避けつつ慎重に移動する。
(「休憩するような場所なんかだと、気がゆるんでぽろっと有益な情報をこぼしてくれたりしねぇかな」)
考えながら移動する与の目に飛び込んできたのは、ちょっとおしゃれなカフェ……ではなく「学食」。休憩時間中なのか、女子学生たちが食事をしながらキャイキャイと世間話に花を咲かせている。
(「ちょうどいい、少し話を聞かせてもらおうか」)
並べられた観葉植物の影に隠れるようにして、女の子の会話に聞き耳を立てる与。周りに異性がいないと思い込んでいるせいか、健全な男子には聞かせられないような内容もチラホラと……。
(「いやそんなことまで話すのかよ!」)
おかげで声を出さずに突っ込んだり赤くなったりと、与の内心は忙しい。
「そういえばさー、あの子まだ休んでんの?」
「そーみたいだねー」
そこそこ刺激的な女子の会話に顔を伏せ、ため息一つ。気を取り直して顔を上げたその瞬間――たまたまこちらに歩いてきていた女子学生とばっちり目が合ってしまった。
「――あ」
驚き故か、大きく目を見開く女子学生。
(「ちょっと手荒いが仕方ねぇ!」)
与が動こうとした瞬間。
「イケメンだーーーー
!!!!」
女子学生が叫んだ。
「……は?」
想定外の反応に、与の口から思わず間の抜けた声が出る。次の瞬間、彼は一瞬でも自分の行動が遅れたことを後悔することになった。
「イケメン?! どこ?!!」
「え、イケメン?! どこどこどこ?」
「待って私も見るどこいるのー!」
『イケメン』の言葉に反応し、学食にいた女子学生たちが殺到したのである。
騒然となる学食内、こうなっては催眠で誤魔化すも何もあったものではない。
慌てて逃げ出す与、それを追いかける女子学生たち。
与はこの後、女子学生が諦めるまであちこち逃げ回ることとなる――。
――教訓。女子学生の集団は割と怖いもの知らずなので要注意。
苦戦
🔵🔴🔴
池葉・雉乃
UDCアース……地に足をつけて実質無料で空気が吸える場所シリーズですね
あまり慣れないので緊張します…
ああ…おじさんの匂いに汚染されてない空気おいしい…
組織の方から制服をお借りして学内を闊歩
先程学食で聞いたという欠席者の話、気になります
騒ぎが収まるのを見計らって、存在感が薄い生徒を装って聞き耳を立てましょう
何か聞かれたら「転校生なのに認知されてなかった…悲しい」的な感じで
重力が安定している前提で盛り付けるお皿、可愛いなー
集めた情報は、適度に纏めて暗号作成を活かして他の猟兵さんにパスしましょう
わたしは引き続きアース生活をエンジョイ…
じゃなくて、潜入を続けてもっと情報を得なければなりませんから、ええ
●
徹底した男子禁制の学校だけあって、右を見ても女の子、左を見ても女の子。すれ違うのも前を横切るのも後ろを歩くのも全員、女の子。
(「ああ……おじさんの匂いに汚染されていない空気おいしい……」)
そんなことを考えながら、池葉・雉乃(音楽の裏方さん・f05834)は大きく深呼吸した。
ここはUDCアース、本物の地面に足をつけ好き放題に空気が吸える世界……。
(「あまり慣れないので緊張します」)
何故なら雉乃はスペースノイド。遠い先祖は惑星に暮らしていたというが、それも記録に残らないほど昔のことだ。
彼女は頭を軽く振って、今回の事件に思考を戻す。
(「先ほど学食でチラッと聞いた『欠席者』の話が気になりますけれど」)
小耳に挟んだ直後にちょっとした「騒ぎ」が起こり、話をしていた学生もいなくなってしまったため詳細は不明のまま。
「なかなかうまくいきませんね」
小さく息を吐き、建物を出て中庭へ。日当たりが良いせいか、この季節にもかかわらず幾つかのグループがベンチや芝生でお弁当を広げていた。
(「重力が安定している前提で盛り付けるお皿、可愛いなー」)
木に寄り掛かり休憩する振りをしながら、雉乃はちらりと少女たちのお弁当を見る。お弁当箱しかり、水筒しかり……重力の有無を気にする必要がないからデザインもバリエーションも豊富だ。
「結局先輩が持ってたあの紙袋の中身なんだったの?」
「わかんない。教えてくれなかったし」
一人の少女の問いかけに、少女が答えている。
「なんだろうね、ものすごく大事そうにしてたじゃん? 超気になるー」
別の少女がそう言うと、問いかけに答えていた少女がむー、と僅かに頬を膨らませてみせた。
「あんまりよさそうなものじゃなさそうなんだけどなぁ……なんかこう、嫌な感じというか」
「やーだ、またそんなこと言ってー」
「中二病? ねぇ中二病ー?」
「やめてよそんなんじゃないってば」
素知らぬ振りで聞き耳を立てる雉乃の前、少女たちは話題をコロコロと変えていく。
(「……中身のわからない紙袋、ですか」)
『先輩』が持っていた嫌な感じがする『紙袋』――脳内のメモに書き留めて、雉乃はその場を後にする。
(「集めた情報は纏めて他の猟兵さんにパスしておきましょう」)
暗号化した情報を他の猟兵たちに託し、雉乃は再び潜入調査へと戻っていく。
引き続きアース生活をエンジョ……もとい、情報収集に努めるために。
成功
🔵🔵🔴
紅月・美亜
「JKか……」
一応、年齢的には私もJKの範疇だが。制服を着て歩いていれば少し色白、と言う程度だろうしな。さて、会話で情報収集でもいいが私が得意とするのはこういう手だ。
「Operation;UNCHAINED、発令」
大半の装備と一緒に飛行甲板は置いてきたが、別に無きゃ発艦できないと言う訳でもない。空中の仮想甲板から早期警戒機を飛ばして怪しげな相手をマークしよう。
しかし、誰をマークした物か……オカルト研とかはあるのだろうが。ベタだがあるのならその手の情報は集まるだろう。
「しかしJKか……」
ああ、何か疲れるな……JKのテンションは。
●
「JKか……」
取り留めのない会話に花を咲かせる少女たちに視線を送りながら紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)は呟く。
JK――女子高生。年齢的には美亜も同年代である。しかしながら――。
「JKか……」
再び呟き、美亜ははあ、とため息をついた。
アイドルにファッション、恋バナその他諸々。「箸が転がっても可笑しい年頃」とはよく言ったもので、ほんのちょっとしたことで笑い声が起き「キャー!」と嬌声が上がる。
(「ああ、何か疲れるな……」)
同年代と言ってもテンションが違いすぎる。彼女たちに話しかけて情報を収集するのはもちろんアリだろうが、あのテンションについていけるかと言われると少々心配になるのも事実。
ならば自分の得意な方法で、と美亜は「熱光学迷彩搭載早期警戒機」を呼び出した。
「Operation;UNCHAINED、発令」
問題は、誰を追跡させるか。
悩む美亜の目と鼻の先では、一人の学生が教師らしき女性に呼び止められていた。
(「オカルト研とかがあれば、その手の情報が集まりやすそうなんだが」)
踵を返そうとした美亜の耳に届いたのは、女性教師の声を落とした問いかけ。
「オガワさんは部活にも来てないのかしら」
「……はい……」
答える少女の声が、小さくなる。
「そう……ごめんなさい、不安にさせちゃったわね」
「いえいいんです。本当にどうしちゃったんだろう……あんなに熱心に取り組んでたのに」
「私も色々聞いてはいるんだけれど」
話す声が、遠ざかる。
ほんの少しだけ手を動かし、美亜は「熱光学迷彩搭載早期警戒機」に二人を追跡するよう指示を出した。
当初の予定とは違うがあの二人の会話に出てきた「オガワさん」、もしかしたら今回の事件に何か関係があるかもしれない。
(「他に本命が見つかるようなら、改めて召喚し直せばよい」)
軽く頷き、美亜は自身も情報を得るべく改めて歩き出した。
成功
🔵🔵🔴
コハル・ファインギフト
性別は問題ないけど
コハルは身長低いから心配にゃ…
駄目元で【変装】
制服等を得られるなら着用
【地形の利用】しつつ
【目立たない】よう【忍び足】で
こそこそ潜入+物陰に隠れつつ移動にゃ
声が聞こえるなら、移動を一旦中止
隠れたまま盗み聞きにゃ
じっとするのはつらいけど我慢にゃ…
コハルか他の猟兵さんが見つかりそうなら
にゃんこの鳴き真似するにゃ
追いかけられたら出来る限り逃げるにゃー!
茂み等の物陰に
見つからないように隠れた上で
『長毛黒猫にお願いにゃ』を使うにゃ
長毛黒猫に、何か知ってそうな子を指定して追跡してもらうにゃ
…情報ないなら【第六感】に頼って指定にゃー!
聡い子は黒猫に気付いてしまうかもにゃ
どうか慎重ににゃー!
百鬼・葛葉
ここはママとしてのコミュ力を発揮すべきときですねっ!
養護院の子供たちがお弁当をわすれた体でカバンに用意しつつ、高校はどの建物になりますか?
とか聞きつつ井戸端会議よろしく会話をはずませますっ
そんな会話の端々にちょこっとだけ催眠術を織り交ぜてお口をなめらかにしつつ情報収集
この辺りでさいきん、こっくりさん的なものが流行ってるって聞いたんですが…心当たりとかありますか?
うちの子、トマトが苦手みたいで…でもおいしく食べてもらうために、今日はチーズとくっつけて春巻きの皮で包んで揚げてみましたっ!
井戸端会議とくゆうの、二転三転する会話でコミュニティを広げつつ…ついでに周囲にも聞き耳を立てて情報を集めますっ!
●
「ここはママとしてのコミュ力を発揮すべき時ですねっ!」
ぐっと握りこぶしを作る百鬼・葛葉(百鬼野狐・f00152)。
「井戸端会議よろしく会話をはずませて情報を収集するのです!」
葛葉が抱えるカバンにはお弁当が一つ。これで子供の忘れ物を届けに来た振りを装うのだ。
「大丈夫かにゃー? コハル、身長低いから心配にゃ……」
張り切る葛葉に対し、コハル・ファインギフト(目指せ稀代のにゃーてぃすと・f00216)は少々不安そう。
「その世界の住人に違和感を持たれない」のが猟兵はとはいえ、この身長の低さが変わるわけではない。おそらくは可愛いものに目がないであろう女子高生にふわふわにゃんこのコハルが見つかった場合どうなるか。
「……コハルはこっそり隠れながら調査するにゃ」
「そうですか。お互い頑張りましょう」
にっこり笑って歩き出す葛葉に、コハルは心配そうな視線を送る。
「葛葉さんも『ママ』には見えないけど……大丈夫かにゃ?」
●
「すみません、高校はどの建物になりますか?」
葛葉は立ち話をしていた女子学生二人に近づき、声をかけた。
「高校? 高等部ならあの建物だけ……ど……?」
答える短髪の少女の顔が、葛葉の姿を視認した瞬間怪訝そうなものに変わった。
「なんでこんな小さな子がいるの?」
「初等科の子かな?」
そう、見た目だけで言えば葛葉は完全な幼女。
「どうしたのかな? 高校のお姉ちゃんたちに何か御用?」
短髪の少女は膝を折ってしゃがみ込み、葛葉に視線を合わせると改めて問いを発した。
「あの、忘れ物を届けに……」
「え、忘れ物届けに来たの? 偉いねー」
「なんていう子? 学年は? クラスは? お姉ちゃんたちが連れて行ってあげるよ!」
「いっ、いえあのですねっ」
女子学生パワーに押され、葛葉はなし崩し的にこの二人と一緒に高等部の建物に向かうことに。
(「私、子供ではないんですが」)
葛葉の内心など知る由もなく、二人は葛葉が『小学生』であると思い込んで話しかけてくる。しかしまあ、それも悪いことばかりではなかった。
「そういえば最近この辺りでこっくりさん的なものが流行ってるって聞いたんですが……」
葛葉がさり気なく尋ねれば、子供相手の気楽さからかすんなりと答えが返ってくるのだ。
「うちらの年代ではそういうのは流行ってないなぁ」
「え、初等科では流行ってるの?」
逆に問い返されて、葛葉はえへへ、と曖昧に笑って見せる。
「そういえばさ、忘れ物って何?」
「お弁当です。トマト苦手だから、頑張って食べてもらえるように工夫したんですよっ」
「あー私もトマト苦手」
「私は好きだけどなぁ……まあ、あの子には負けるけど」
人差し指を顎に当て何かを思い出すような素振りを見せる見た目年上の少女に、葛葉が更に問いを重ねる。
「え、そんなにトマトが好きな人いるんですか?」
「うん。その子トマト好きすぎて、自分の部屋でトマト栽培してたんだよー。凄いでしょ」
「それは凄いですね! で、どんな人なんです?」
「えっとねー」
交わす言葉の端々にほんの少しだけ催眠術を織り交ぜて、葛葉は二転三転する会話から情報を集めていく。
なおこの後、「『忘れ物の主』のところまで送る」という女子学生と「その必要はない」と断る葛葉の間で色々とあるのだが――それはまた別のお話。
●
コソコソ、コソコソ。本棚の陰に隠れたり、植木と植木の間に挟まってみたり。目立たぬよう、音をたてぬよう、慎重に移動するコハル。
「あ、センセー」
聞こえてきた声に、コハルは息を潜めて身を小さくする。
「これ、ハルカの分なんだけどどうすればいい?」
尋ねる学生に教師が答えている。
(「じっとするのはつらいけど我慢にゃ……」)
情報を得るために、何より見つからないために。懸命に耐えるコハルだったが、二人の話が長引くと耳がピクピク、尻尾もひくひく。
ピクッと揺れた尻尾が観葉植物の葉に当たり、カサリと小さな音を出す。
「「?」」
同時に止まる会話……コハルが隠れる棚へと二人の視線が注がれる。
「に、にゃーん……?」
恐る恐るな感じで猫の鳴き真似をするコハル。
「え、猫?」
教師と学生が顔を見合わせた。このまま「なーんだ、猫か」で終わるかと思いきや。
「なんで学校に猫がいるのー?!」
「大変! 捕まえてー!」
「うにゃあああ!!?」
「た、大変な目に遭ったにゃ……」
数十分後、中庭の木陰に捕獲者の追跡をなんとか振り切った息も絶え絶えなコハルの姿があった。
よくよく考えてみればここは(少々厳格すぎることを除けば)ごく普通の女子校、犬や猫が好きに歩き回れるような環境ではない。
そんな場所に見知らぬ猫が現れたとなれば、捕獲のために追い回されるのはある意味当然であり……そこまで考えて、コハルはぷるぷると頭を振った。
(「もう絶対見つからないようにするにゃ。大丈夫、まだ方法は残ってるにゃ!」)
木陰から顔を出し、周囲の様子を伺う。中庭には女子学生のグループと……三十代くらいの女性が一人。
コハルは少しだけ考えて、長毛の黒猫を呼び出した。
「ここはひとつ……『長毛黒猫にお願いにゃ』! 見つからないように追いかけて、手掛り見つけてほしいのにゃ……!」
追跡の対象として選んだのは、三十代くらいの女性。年齢から言って教師か事務員、もしかしたら学生が知らない情報を持っているかもしれない。
(「どうか慎重ににゃー!」)
心の中で声をかけ、コハルは長毛黒猫を送り出す。
さて、可愛らしい黒猫さんはどんな情報に行き当たるだろう――?
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
久遠・翔
…えっ?禁断の果実ってりんごじゃないっすか…?何故にトマト…赤いけどさ?
とりあえず入り口は『目立たない・地形の利用・逃げ足・迷彩・忍び足・ダッシュ』を使い、隙をついて侵入
そのまま敷地内を移動して、制服がないか探し見つけたら『変装・早着替え』で学生に成りすまします
その後は『コミュ力・情報収集・聞き耳』などを使い聞き込みをします…が
話し込んでいる内に勝手に『無自覚の魅了』が発動して話が終わった後に笑顔でありがとうございますと微笑みます
あ、あれ…?み、皆さんどうしたんっすか?(腕を掴まれ無人の教室へ連れていかれ)
わー!?ちょっとなんで服をむぐぅ!?(口塞がれ女の子達に色々されちゃいます)
音海・心結
女子校って女の子ばかりのところなのですよね?
みゆは女の子なので潜入も容易いと思うのですっ
校舎に侵入して、情報をゲットしてきますよーっ
みゆは【変装】して、女子中学生の制服を着るのですよ
テーマは転校してきた中学生なのです
ちょっとちっちゃいですけど、みゆも中学生に見えますよね?
侵入出来たら、みゆは音楽室に行って、【歌唱】と【誘惑】を使うのです
お歌を歌うのはちょっと恥ずかしいですが、頑張るのですっ!
みゆの声を聞いてやってきた生徒達から、【コミュ力】を使って話を聞く作戦なのですよ
少し聞きたいことがあるのですが、大丈夫でしょうかっ!
バレそうになったら【言いくるめ】を使ってうまく逃げたいのです
●
久遠・翔(性別迷子・f00042)は学生になりすまし、校舎内を歩き回る。
(「禁断の果実ってりんごじゃないっすか
……?」)
厳格な女子校とあって目につくのは女性ばかり――男にとっての『禁断の園』というのはあながち間違ってはいないかもしれないが、『禁断の果実』が何故トマトなのか。
(「……いや確かに赤いけどさ?」)
そんなことをつらつらと考えながら割と好き勝手に歩き回る翔。
(「にしてもなんすかね、たまに自分がヒソヒソされてるような
……?」)
情報収集も兼ねて少女たちの会話に聞き耳を立てているのだが、一部の少女たちの話題がどうもおかしい。
「ねえねえ、あなた転校生?」
声をかけてきたのは、五人ほどのグループの中の一人だった。
「え、えっと……まぁ……」
翔の曖昧な答えに、少女たちが歓声を上げる。
「ほらやっぱり!」
「どうりで見たことないハズだ……」
「こんな綺麗な子、知らないなんておかしいと思ったんだよねー!」
一斉にしゃべりだす少女たち。ヒソヒソの原因は翔の容姿にあったらしい。
(「ちょうどいい、ちょっと情報収集させてもらうっす」)
少女たちの『転校生』という思い込みを利用しこの学校に関する様々なことを聞き出した翔は、最後にニッコリ笑って頭を下げた。
「ありがとうございます……って、あれ? 皆さんどうしたんっすか?」
ポーっとした表情で翔を見つめる少女たち――その場に立ち尽くし、魅入られたように動かない。
焦る翔の肩を誰かがポン、と叩いた。振り返ってみれば、そこにはいかにも「体育教師」なジャージ姿の女性が。
「これは何があったのかな?」
言葉だけは丁寧に、女性は翔に問いかける。
――言えない。自覚なしに一般人にユーベルコード発動させてたなんて、言えない。そもそもこの人には何のことかわからないだろうし。
「ちょーっと向こうで話を聞かせてもらっていいかなー?」
むんずと襟首をつかまれ、問答無用で拉致られる。
――この後どうなったかは、翔のみぞ知る。
●
(「えへへ、ちょっとちっちゃいですけど、みゆも中学生に見えますよね?」)
難なく学舎へ潜入した音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)が探すのは、音楽室。
(「お歌を歌って来てくれた人に話を聞くのです!」)
張り切る心結だが、肝心の音楽室の場所がわからない。
(「それにしても本当に女の子ばかりなのですね」)
あっちを見てもこっちを見ても女の子。物珍しさからキョロキョロとあたりを見回していると、一人の少女が話しかけてきた。
「どうかしたの?」
それを皮切りに、数人の少女が集まってくる。
「みゆ、音楽室に行きたいのです。転校してきたばっかりで、わからなくって」
心結が困り顔で言えば、少女たちは二つ返事で案内を引き受けてくれた。
「音楽室で何をするの?」
「お歌を歌おうと思っているのです」
「もしかしてあれ? 声楽部とかに入るの?」
「そういえば声楽部にものすごく歌の上手い人がいてね……」
心結がニコニコ笑顔で聞き役に徹しているうちに、目的の音楽室へ。
「そうだ! よかったらみゆのお歌、聞いていってください」
心結の笑顔に釣られるように、こくこくと頷く少女たち。
(「ちょっと恥ずかしいですが、頑張るのですっ!」)
親切な少女たちを前に歌い始める心結。透き通った綺麗な歌声が、あたりに響く。
「――――♪」
歌声に惹かれて音楽室へ入ってきた学生が見たのは、ほんの少しだけ頬を染めながらも楽しそうに歌う心結と、それに見惚れる少女たちの姿。
歌う心結は同性から見てもそれは可愛く愛らしく、あとから来た学生もあっという間に魅了されてしまった。
「あのっ」
歌い終えた心結に声をかけられ正気を取り戻す学生たち。
「少し聞きたいことがあるのですが、大丈夫でしょうかっ!」
可愛いは、正義――心結にお願いされて、断る者はいなかった。
(「さあ頑張って情報をゲットしますよーっ!!」)
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 冒険
『片付けろ、汚部屋!』
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POW : まとめて燃えるゴミの日に出しちまおう!
SPD : ちゃんと分別しないと、業者が大変だろ?
WIZ : 待て、リサイクルショップに売り払おう。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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●
情報収集の結果、猟兵たちはとある一軒家へとたどり着いた。
そこは、両親が長期不在で実質一人暮らしをしている女学生の自宅。
「もうすぐ神様が復活する」
「禁断の果実さまが降臨する」
謎の『紙袋』を手にした彼女はそんな重度の中二病発言を繰り返し、ここ数日は学校にも登校していないのだという。
『紙袋』の中身こそが邪神復活の鍵であり、女学生のおかしな言動もその影響を受けてのことだと思われた。
その紙袋の中身を見つけ出し破壊すれば、女学生も正気に戻り邪神の完全復活も阻止できるはずだ。
問題は、件の一軒家が控えめに言って「汚部屋」と化していたことだった。
もともとそうだったのか邪神の影響を受けてそうなったのかはわからないが、あちこちに本や雑誌が積み上がり衣類も散乱、ファッショングッズから何からとにかく様々なものが散らかり放題。
そんな中から邪神復活の鍵となるアイテムを探し出し、破壊しなければならない。
手がかりとしては「A4の袋に入るくらい」の大きさであることと、女学生がよく骨董市や古本屋に出かけていたこと……なのだが、まずは部屋をある程度片付けるのが先かもしれない。
――なお、女学生は自室にて放心状態で発見され早々にUDC組織に保護されたため不在である。
コハル・ファインギフト
復活の鍵のアイテムを探して破壊…見てわかるものなのかにゃ?
「禁断の果実、って事は…植物に関係があるのかにゃ…」
とりあえず【世界知識】【第六感】にも頼って
【掃除】と片付けしつつ探すにゃー!
『猫の手も貸すにゃ』で猫の手召喚!
のびーる猫の手にハタキ持たせて高い所の埃はたいてもらうにゃ
低い所はコハルがはたくにゃ
お洋服は
ポケット等に植物の種等が入ってないかチェック
埃を払って畳んで
洋服用ボックスに入れるにゃ
本や雑誌は
神話・植物関連の項目がないか見るにゃ
関係ありそうなら
皆に本渡して報告にゃ
関係なさそうな本はジャンル別に積み分けた後
段ボールに収納にゃ
(必要な事とはいえ、勝手に売り飛ばすのは…ごめんにゃー…!)
久遠・翔
あー…怖かった…なんか先生も妖しい感じで見てましたし…邪神の影響なんっすかね?(自分の魅了とは全く気付いていない。そもそも自分が発動させた事すら知らない)
ともかく情報のあった一軒家に向かい…唖然とします
う、うわぁ…なんっすかこの家…外から見てもゴミが見えるじゃないっすか…だ、ダメだ。片づけないと気が済まないっす!
そう言って即座に行動開始
家の鍵は目立たないと地形の利用をして隠れながら鍵開けで開けます。そして掃除を持っているので即座にお片付けっす
窓を開け換気をして荷物をてきぱき仕分け、掃除用具で上から掃除し雑巾で水拭き乾拭き掃除機も使います
雑貨品は種類別に分けて段ボールに保管
嫁並みの仕事をします
池葉・雉乃
(軍手とマスクを着用して作業着で現れ)
ゴミの分別は市区町村によって微妙に違うのですよね…
でしたら、バトル・インテリジェンスでこの地区の分別基準をインストールしたAIに私を操らせて
ササっと片付けてしまいましょう
A4サイズ以下の古書的な何かは問題のアイテムかもしれませんので
これはこれでまた別枠を設けて分別しましょう
恒常的に重力があると何でも置きっぱなしにしてもデメリットが薄くて
こういう問題も発生してしまうのですね……
地球の闇を見てしまった気がします
汚部屋は戦場なのでゴミの分別に必要なのは戦闘力で間違いないと思います!(強引)
音海・心結
お掃除するのですかっ!
みゆも精一杯頑張っちゃいますよーっ!
ゴミは全て燃えるゴミにポイしちゃいましょう
だいじょうぶ
きっと燃えるはずなのです
紙袋の中身を【第六感】で探しつつ、ゴミを片付けるのですっ
他のメンバーと【コミュ力】を使って意思疎通をするのも忘れずに、ですよ?
【学習力】を駆使して、明らかに大事なものは捨てないようにしながら、
みゆの判断でポイしちゃいましょう♪
これは必要なのですか?じゃあこれは?
みゆからみたらガラクタでも大事なものもあるんですねぇ
お掃除って結構大変なのですよ
パパはいつもこんな大変なことをしてたなんて、
労わってあげないとなのです
アドリブ・絡みは歓迎するのです
●
「う、うわぁ……なんっすかこの家」
件の一軒家に足を踏み入れた久遠・翔(性別迷子・f00042)の第一声がこれだった。
外観は普通の家……塀に囲まれた家庭菜園付きの庭があるあたり、そこそこ大きな住宅と言っていいのではないだろうか。
しかし、玄関を開けてみればそこはゴミ屋敷。家の導線らしき部分の床はかろうじて見えているものの、廊下の両脇にまでモノが積みあがっている始末。
生ゴミとか、その手の物体が転がっていないのは救いと言えば救いだが……。
「だ、ダメだ。片づけないと気が済まないっす!」
翔は家に上がり込むなり片っ端から窓を開けていく。換気は大事。
「まずはゴ……じゃない、荷物を仕分けし……」
「ゴミは全て燃えるゴミにポイしちゃいましょう!」
片手を挙げた音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)が、元気よく言い放つ。
「えっ」
「だいじょうぶ、きっと燃えるはずなのです。みゆも精一杯頑張っちゃいますよーっ!」
大きなゴミ袋を片手に、心結は早速近場の荷物をポイポイと――。
「お待ちください」
バーン! と勢いよく扉を開け放ち、軍手にマスク、作業着着用の池葉・雉乃(音楽の裏方さん・f05834)が現れた。
「ゴミはきちんと分別しなければなりません」
「そうなんですか?」
「そうなんです」
心結の問いにややかぶせ気味にそう返し、雉乃は「AI搭載型戦術ドローン」を召喚する。
「AIにこの地区の分別基準をインストール致しました。ええ、どんなゴミでもお任せください」
ドローンに操られ、ものすごい勢いで積みあがったゴミ……もとい、荷物を分別していく雉乃。ドローンに操られることによって、戦闘力もパワーアップ。
「すごいっすね……」
「汚部屋は戦場なのでゴミの分別に必要なのは戦闘力で間違いないと思います!」
力説だった。
「そ、そうっすね」
思わず同意してしまう翔。だが、ゴミ分別の戦闘力とは一体……。
「むー、全部燃えるゴミじゃダメなのですね」
ゴミはちゃんと分別しなければならない――心結はしっかりと心に刻んだ。
●
荷物の仕分けを雉乃や心結に任せ、翔は本格的に掃除を開始した。
「掃除は上から下にが基本っすよ」
「わかってるにゃー」
翔に答えるのはコハル・ファインギフト(目指せ稀代のにゃーてぃすと・f00216)。召喚した『伸びる猫の手』にはたきを持たせ、天井や棚の上の埃をパタパタと叩いていく。
「低い所はコハルにお任せにゃ」
パタパタ、パタパタ。
「雑貨品は種類別に分けて段ボールに保管しておくっす」
言いながら翔は拭き掃除を開始。
「了解にゃー」
答えるコハルの目の前には衣類の山。脱ぎ捨てられたのか、あるいは干した後放置されてしまったのか。
(「そもそも復活の鍵って見てわかるものなのかにゃ?」)
そんなことを考えながらコハルは衣類のポケットをチェックし、終わったら丁寧に畳んで洋服用のボックスの中へ。
「禁断の果実、ってことは……植物に関係があるのかにゃ……?」
呟くコハルの脇では、心結が散乱した荷物の分別作業中。慣れない分別作業に度々首を傾げつつも、心結は割と簡単に様々なものを『ゴミ』として袋へ放り込んでいく。
(「大事じゃなさそうなものはみゆの判断でポイしちゃいましょう♪」)
アレもポイ、コレもポイ、こっちも――と、床に落ちていた写真を手にしたところで、コハルがストップをかけた。
「あ、それは捨てちゃダメにゃ」
「これですか?」
手にした写真をまじまじと眺める心結。写真は色褪せた上に何かを零した跡がある。あまり大事なものだとは思えないし、大切にされていたようにも思えない。
「大切だから色褪せたり汚れたりしても残しておいたのかもしれないにゃ。一応、捨てないで取っておくにゃ」
「そういうこともあるんですね」
コハルの言葉に納得すると、心結は写真を保管用の段ボールの中に入れた。
(「みゆからみたらガラクタでも大事なものもあるんですねぇ」)
仕分け作業を続けながら、心結はちらりと考える。
(「お掃除って結構大変なのですよ」)
いつもお掃除してくれるパパを、ちゃんと労わってあげないと。
部屋がある程度片付くと、翔は掃除機をかけ始めた。ちなみにゴミの分別から掃き掃除に拭き掃除と次々と作業をこなす翔の手際は、今すぐにでも専業主婦になれるレベルである。
「これは邪神に関係ありそうかにゃー?」
黒魔術に関する本やスピリチュアル系の雑誌を抱えたコハルが、分別作業に勤しむ雉乃に問いかけた。
「A4サイズ以下の古書の類はとりあえず別枠で分別しておきましょう」
雉乃の提案に頷いて、コハルは空っぽの段ボールの中に持ってきた本を入れる。
「骨董っぽいモノとか、怪しそうなのはとりあえず一個所にまとめておくことにするにゃ」
「そうですね。必ずしも本だとは限りませんし」
わかっているのは「A4サイズの袋に入る大きさ」だということだけ……本かもしれないし、絵かもしれない。あるいはもっと他の骨董的な何かか。
場合によっては「怪しいモノを全て破壊」ということも考えねばならないだろう。
それにしても、と雉乃は思う。
(「恒常的に重力があるとモノを置きっぱなしにしてもデメリットが薄くてこういう問題も発生してしまうのですね……」)
地球の闇を見てしまった、と震える彼女だった。
●
片づけ作業をしているうちに、床に散乱したり積みあがったりしている本はどれも心霊や交霊、黒魔術と言った中二病的な本ばかりであることがわかった。
対してファッション雑誌や普通の書籍は本棚やラックに綺麗に収まったまま――中二病発症がこの惨状の切欠になったのは間違いなさそうである。
更には、家のあちこちに魔法陣のような絵が描かれた紙が散らばっていた。くしゃくしゃに丸められたり破られたりしているものは、おそらく描き損ねたものなのだろう。
ならば、この家のどこかに綺麗な魔法陣が描かれた紙があるのではないだろうか?
この魔法陣を邪神復活のために描いていたのだとしたら、その鍵となるアイテムも同じ場所にあるかもしれない――。
成功
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久遠・翔
部屋で掃除して気づいた…この部屋がこうなら…?(台所に直行、この時点で魔法陣の事忘れている)
ぎゃー!?やっぱりぃ!?(片付いてない食器に汚れこびり付いた調理器具、散乱するごみを見て)
か・た・づ・け・っす!
換気してから水が出るかの確認
その後ごみを片づけつつ持ってきた重曹なんかの洗剤を用意
あと、お湯などを沸かし油汚れ用に使います
ごみで出た新聞紙なんかも利用し、部屋の隅から隅まで掃除して冷蔵庫の中を開け賞味期限切れなんかないかもチェック
布巾で冷蔵庫の中や家電の隅々、果ては換気扇まで外して掃除っす
使いやすいようにごみで出た段ボールなんかをUC使って収納に
あっ、なんか怪しいのあったら別途に置いておきます
●
半端な魔法陣が描かれた紙をひとまとめにし、久遠・翔(性別迷子・f00042)は片手で軽く額を拭った。
猟兵たちの働きで、汚部屋は着々と綺麗になっている。これならさほど時間もかからず掃除も終わるだろう。
(「あとはこの魔法陣の完成版を探して……」)
そこまで考えて、翔ははたととあることに思い至った。
(「ちょっと待つっす。普通の部屋でこうなら…」)
スッと踵を返し、屋内を歩き回る翔。その目当てはリビング……から続く、台所。
「ぎゃー!?」
無造作に積みあがった食器を見て悲鳴を上げる。
「か・た・づ・け・っす!」
換気扇を回し積まれた食器に手を伸ばそうとして、気付いた。
「あれ……? 思ったより汚れてない、っすね」
てっきり汚れたまま放置されているのかと思っていたのだが、少なくとも見た目は綺麗である。生ゴミ特有の匂いもしないあたり、そもそも台所を使っていたのだろうか?
(「うーん、よくわかんないっすね」)
悩みながらも蛇口を開け、放置されていた食器を洗い直す。冷蔵庫内の掃除ついでに保存されている食料品をチェックしてみるが、入っているのは飲み物や日持ちする調味料ばかり。
冷蔵庫にレンジ、シンクにコンロと台所の隅々まで掃除しながら翔は考える。
(「少なくとも最近は台所は使ってなかったんすかね」)
掃除を終えると、翔はスッキリした表情で台所を後にする。
翔が台所掃除に集中している間に、モノが散乱していた屋内は見違えるほどスッキリと片付いていた。
(「そういえばまだ魔法陣見つかってないっすね」)
すっかり頭から抜けていた邪神復活に関係あるらしきヒントを思い出し、翔は屋内を見回した。
目に見える範囲にそれらしきモノはない。
ここまで片付いて発見できないということは、どこかに隠されているのでは――?
少々広いといっても、ごく普通の住宅である。隠し部屋があるなどとは考えにくい。一般の住宅で何かを隠せるような場所は、限られるはずだ。
成功
🔵🔵🔴
キャスリーン・ジョイス
おーっほっほっほっ!
どれだけ汚いお部屋なのかワタクシ興味がありましてよ!
どれ、ワタクシにお見せあそばせ!
……あ、あら?もう片付いておりましたのね。
お、おーっほっほっほっ!流石は猟兵の皆ですわ!
それにしても狭い家ですわねぇ。一般家庭とはこのようなものなのかしら?
さて、探し物……そんなに大きくない家ですもの。隠せる場所は片っ端から開けて行きますわ!
クローゼット、押入れ、机の引き出し、ベッドの下、戸棚、物置……屋根裏部屋?
とにかく、いたるところ捜索しますわ!
遅れてきた分くらいは働きませんとね!
それでも見つからなければ【ガジェットショータイム】で一発逆転ですわ!
おいでませ、ガジェット!!
●
「おーっほっほっほっ!」
バーン! と勢いよく開く玄関扉。
「どれだけ汚いお部屋なのかワタクシ興味がありましてよ! ワタクシにお見せ……」
高笑いと共に現れたキャスリーン・ジョイス(はぐれお嬢様純情派・f12803)の言葉が途切れた。
彼女の目に映るのはチリ一つない床、ピカピカに磨かれた窓、きちんと分別されそれぞれにまとめられたゴミ、あるべき場所に収まった(散乱していたであろう)小物の数々。
「……あ、あら?」
キャスリーン、残念ながら登場タイミングを間違っ……じゃない、現場到着が少し遅かった。
「お、おーっほっほっほっ! さ、流石は猟兵の皆ですわ!」
動揺を隠し、家探しを始めるキャスリーン。
「それにしても狭い家ですわねぇ。一般家庭とはこのようなものなのかしら?」
そんなことを言いながら部屋という部屋に入り、クローゼットに押し入れ引き出しにタンス、戸棚に物置ベッドの下と、何かを隠せそうな場所を片っ端からチェックしていく。
(「遅れてきた分くらいは働きませんとね!」)
こんなことを考えているあたり、根はいい子なのかもしれない。
「おいでませ、ガジェット!!」
なかなか見つからない探し物に業を煮やし、キャスリーンはガジェットを召喚する。現れたのはよくわからない形状の謎ガジェット。
問題は使い方だが、このガジェット『押せ!』と言わんばかりに大きなボタンがついていた。
躊躇なくボタンを押すキャスリーン。すると、ガジェットはドローンのようにふよふよと浮かび上がり庭の見える広いリビングへ。背もたれ付きの小さなソファまで飛ぶと、座面にポトリと落下した。
ガジェットを信じ、ソファを調べるキャスリーン。ソファの座面に手をかけてみればそれは簡単に持ち上がり、小さな収納スペースが現れた。
「ありましたわ!」
魔法陣が描かれた紙と共に収められているのは、陶器製の精巧な『トマト』の置物。
――女学生は何故にこんなモノに惹かれたんだろう――?
そんな疑問はさておき。
「これを破壊すればいいんですわね」
キャスリーンは魔法陣を破り捨て、置物を取り出す。掃き出し窓を開け、庭へと続くコンクリート製のステップの上に立ち……置物を思い切りコンクリートに叩きつける。
ガシャン! と、派手な音を立てて砕け散るトマトの置物――その瞬間に放たれた閃光が、キャスリーンの視界を奪った。
大成功
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第3章 ボス戦
『正気を奪う赤い果実』
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POW : 硬化する赤い果実
全身を【硬質の物質】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 振動する赤い果実
【高速で振動することで衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 空腹を満たす赤い果実
【空腹】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【無数のトマトの塊】から、高命中力の【トマト弾】を飛ばす。
👑11
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●
突如走った閃光に、庭へと集まる猟兵たち。
彼らの前に鎮座していたのはツヤツヤでヘタがピンと立った、それはそれは新鮮な禁断の赤い果実――巨大なトマト。
リンゴではない、トマトだ。
ついでに立派な邪神である。
――自力で移動できないけど。
完全復活には程遠いが、それでもこのトマト(邪神)を放置しておくわけにはいかない。
幸い庭は広く、高い塀にも囲まれている。この場で戦っても問題はないだろう。
禁断の赤い果実(巨大トマト)と猟兵たちの戦いが、今、始まる――。
池葉・雉乃
どう見ても、トマト……ですね……
嫌いじゃないしむしろ好きですが、邪神だというのでしたら一応倒しましょう
うーん、よく熟れてて絶対美味しいと思うんですけどね……
サウンド・オブ・パワーでトマトに負けない歌を歌いましょう
「スーパーの鮮魚売り場でよくエンドレスで流れている魚の歌」いきます!
アクアパッツァ的な事故が起こるかもしれませんが
あくまで料理の主役は魚介なのでトマトは脇役です、大丈夫です
(※根拠なし)
トマト弾を食らってもこれはそういうお祭りだと思って
投げ返すぐらいの気持ちで挑みますよー
コハル・ファインギフト
「トマトにゃ…」
赤くてつやつや、紙があったら絵に描きたい位にゃ…
…でも、これは邪神だから
完全復活して何かやらかす前に倒すのにゃー!
【2回攻撃】【範囲攻撃】も用いつつ
『猫の手が飛ぶにゃ』で攻撃にゃ
トマトが増えたら
増えた分だけ巻込んで極力沢山攻撃にゃー!
「猫の手が汚れるけど仕方ないのにゃ…しゃきーんな爪でざっくりにゃー!」
邪神がトマト飛ばしてきたら受けるにゃ
他の人が狙われたら【かばう】のにゃ
「痛い…以上にべとべとにゃ、コハルがトマト仕立てになっちゃうにゃぁぁ…!」
可能なら【カウンター】で反撃にゃ
許すまじにゃ邪トマト…ここで倒すから覚悟ーにゃー!
勝利後は
お庭を【掃除】にゃ
これで平穏が戻るといいにゃ!
●
「トマトにゃ……」
「どう見ても、トマト……ですね……」
庭に鎮座する物体をマジマジと眺め、コハル・ファインギフト(目指せ稀代のにゃーてぃすと・f00216)と池葉・雉乃(音楽の裏方さん・f05834)が呟く。
「よく熟れてますね……」
絶対美味しいやつじゃないですか、と雉乃。
「赤くてつやつや、絵に描きたいくらいにゃ……」
完璧な見た目のトマトに『にゃーてぃすと魂』を疼かせるコハル。
「……でも、これは邪神だから」
そう、どんなに美味しそうでも完璧な見た目でも、邪神は邪神。
「トマトは嫌いじゃないしむしろ好きですが、一応倒しましょう」
「完全復活して何かやらかす前に倒すのにゃー!」
「『スーパーの鮮魚売り場でよくエンドレスで流れている魚の歌』いきます!」
雉乃の歌声があたりに響く。
「なんでその歌なのかにゃ?」
「トマトに負けない歌をチョイスしてみました」
コハルの疑問にそう答え、雉乃は再び歌いだす。
「そうにゃ! 負けないのは大事にゃ!」
雉乃の歌声に……というかその心意気に共感し、コハルは巨大トマトに向かって駆け出した。
「猫もよく熟れたトマトの果肉なら食べても平気だって知ってるかにゃ……?」
トマトに近づいたコハルが囁くと、トマトはぶるりとその巨体を震わせた。そのタイミングを見逃すことなく、コハルは「毛並柔らか肉球ぷにぷに伸縮自在の猫の手達」を召喚する。
「コハルより沢山のお手手から……1つのお手手が張り切って、『猫の手が飛ぶにゃ』! 爪は結構痛いのにゃー!」
鋭い爪を光らせた猫の手がトマトの巨体に飛び掛かり、シュババババ! と見る間に数えきれないほどのひっかき傷をつけていく。
コハルのこのユーベルコード、「猫に対して何らかの感情を持った相手に対して有効」なのだが、先ほどのコハルの囁きにトマトは何かしらの感情を持ったらしい。
――怖かったのか? 驚いたのか? ……邪神なのに?
「猫の手が汚れるけど仕方ないのにゃ……しゃきーんな爪でざっくりにゃー!」
しかし、トマトもやられっぱなしではない。トマトはその赤い実をブルブルと高速で振動させ始める。
そこから放たれる衝撃波――猫の手が飛ばされ、コハル自身も後退を余儀なくされる。
攻撃の余波を受け流し、雉乃はしみじみと思う。
(「本当に、美味しそうなんですけどねぇ……」)
その思考に反応したのか、トマトが「無数のトマトの塊」を召喚した。コハルの猫の手が本体のトマトごと叩き落そうとするが間に合わず――よく熟れた赤いトマト弾が発射される。
「あっ」
「させないにゃー!」
雉乃の前に身を挺し、トマトをその体でもって受け止めるコハル。その瞬間、グチャッとなんだか嫌な音がした。
熟れたトマト弾はコハルに着弾すると同時に潰れ、びっくりするぐらいの果肉を飛ばし――。
「痛い以上にべとべとにゃー! コハルがトマト仕立てになっちゃうにゃぁぁ……!」
あっという間にトマトまみれになり悲鳴を上げるコハル。
(「ああ、コハルさんがアクアパッツァみたいに……」)
両頬を手で覆い、ふるふると震える雉乃。まさか、まさかこんな形で懸念が実現してしまうなんて。
しかし大丈夫。アクアパッツァの主役は魚貝、トマトはあくまで脇役だ……何が大丈夫なのかはあえて言わない。
「コハルさん! 私なら庇ってもらわずとも大丈夫です!」
胸の前で両手を組み、祈るように雉乃が叫ぶ。
「そういうお祭りだと思えばいいんですから」
「……そうなのにゃ?」
「はい。なんなら投げ返すくらいの勢いで挑んでますから」
雉乃の言葉にコハルがキランと目を輝かせた。
「そうにゃね! 投げ返すくらいの勢いで行かないとダメにゃ!」
やり取りの合間に、トマト(本体)は再び無数のトマトを召喚する。そして放たれる完熟トマト弾。
残念ながら投げ返すことは叶わなかったが、コハルはすかさずカウンター攻撃を仕掛けた。
「許すまじにゃ邪トマト……ここで倒すから覚悟ーにゃー!」
トマトまみれのコハルがトマトに向かって言い放つ。
――全部終わったらちゃんとお掃除するにゃ! なんて思いながら。
●
雉乃の歌が猟兵たちを鼓舞し、コハルの猫の手がトマトを抉る。
ツルツルツヤツヤだったトマトの表面には、早くも無数の傷が刻まれていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メルフローレ・カノン
遅れての推参となりますが、邪神の退治に助勢します。
……でも、これは、トマト、ですよね……
とにかく、オブリビオンは撃破です。
私の得物は主にメイス、予備が剣で、
相手が果実なので潰すか切るかで使い分けます。
[力溜め]の上で、[2回攻撃][鎧砕き]などで
トマトを攻撃です。
個人的には、思い切り叩いて、なにがどのように飛び出すかは
興味がありますが……(危ない目)
「全力で行きますよ!」
敵の攻撃は、[見切り]でかわすほか
[武器受け][なぎ払い]ではらいのけます。
耐えなければならないときは
[オーラ防御]【無敵城塞】で耐えきります。
「ここは堪えてみせます!」
戦闘後は、部屋の片付けはしますか。
●
「少し遅れましたが助勢します!」
メイスを構え庭に飛び出してきたメルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)の動きが一瞬止まった。
「……これは、トマト、ですよね……」
はい、トマトです。立派な(?)邪神です。
「とにかく、オブリビオンは撃破です!」
気を取り直し、トマトに殴りかかるメルフローレ。
「全力で行きますよ!」
メルフローレが野球のバッティングのようなフォームでメイスを振りかぶる。全身の力を溜め込むように振りかぶった頂点でメイスの動きを一瞬止め、上半身のひねりと手首のスナップを最大限効かせてトマトの側面に一気にメイスを叩きこむ。
ボグッと鈍い音がして、トマトの表面に穴が開いた。
メイスによって空いた穴――その傷口の奥に見えるのは、みずみずしい赤い果肉。
(「このまま叩き潰したら、何がどのように飛び出すか興味がありますね……」)
メルフローレの黒い瞳が怪しく光った。その視線に何かを感じたのか、トマトが激しく振動する。
放たれる衝撃波――周囲の敵全てに対する無差別攻撃に、メルフローレは自らのオーラを燃やすことで対抗した。
「ここは堪えてみせます!」
対抗できたのはほんの僅かの時間。しかしそのわずかな時間にメルフローレは無敵城塞を展開し、トマト(邪神)の攻撃を凌ぎきる。
トマトの攻撃を凌ぎきったメルフローレが、無敵城塞を解いて再びトマトをメイスで殴りつける――が。
メイスがトマトにぶつかると同時に響く、ガギッという硬い音。熟したその見た目に反し、トマトはガッチガチに硬くなっていた。
……潰されたくないトマトの抵抗か。
「硬化の能力ですか」
改めてメイスを構え直し、メルフローレがふわりと笑った。
「確かに今のままでは傷つけるのは大変ですが……それがいつまで続きますか?」
硬化し続けても猟兵たちが攻撃の手を緩めることはない。猟兵たちを倒すには、硬化を解いて反撃に出るしかないのだ。
メルフローレの攻撃により、その実に巨大な穴が開いたトマト。
邪神(トマト)は確実に追い詰められていた。
成功
🔵🔵🔴
キャスリーン・ジョイス
\トマトですわっ!/
またトマトですのね!?
今度は騙されませんわよ!
以前の屈辱を思い出しただけで……お腹すいて来ましたわ。
とりあえずこのトマトを倒したらご飯にしましょう。
まずは【ガジェットショータイム】!お役立ちガジェットおいでませ!
「形状的には掃除機かしら?」
トマト弾を吸い込んでくれるのかしら、それとも汚れを取ってくれるのかしら。
とりあえずスイッチオンですわ!
後は本体を撃ち尽くすだけですわね!
動かないトマトなどただの的ですわ!
【トリガーハッピー】で銃火器を大量に錬成して、それをひたすら【ラピッドファイア】で撃ちまくりますわ!
「おーっほっほっほっ!焼くのと凍るのと穴が開くのどれがお好みかしら!」
五十嵐・達也
よもや野菜が邪神とは、不可思議極まりないものだ
然し、邪神即ち咎である。咎は断つべし。
ダメージも蓄積している様子。ならば一押しすべく、血塗れの鉈を手に接近戦を挑もう
ダッシュ、跳躍で一気に距離を詰める
反撃は躱すかオーラ防御で受け、接近する足を止めぬ様心がける
「次は正しく野菜として生まれるが良い――!」
後は全力で鉈を叩き込むだけだ
久遠・翔
(買い物してきたのかエコバック片手に庭の光景見て)
…怒怒怒怒…
邪神さえ怯えるようなオーラ放ちながら
せっかく片付けたのに…なんっすかこれは?えぇ?
拭きゃあいいってもんじゃないんっすよ…?その辺分かっているっすか?(すらりと十徳包丁抜いて)
振動がUCなのかそれとも単純に震えなのかわからないけれどもひたりひたりと近づいていきます
トマト飛ばされて頬に命中…垂れ下がった果汁がまるで返り血みたいになり
そうっすか…そこまで怒らせたいんっすか…ならば容赦しないっすよ?(前動作なく高速で動きトマトを捌いていく)
お前の、罪はぁ…こんな汚部屋だらけの生活にさせた事だ!
邪神かなんか知らんが捌かれろやぁボケがぁ!?
●
「トマトですわっ!」
至近距離で閃光に見舞われ、そこから立ち直ったキャスリーン・ジョイス(はぐれお嬢様純情派・f12803)の第一声がこれだった。
「今度は騙されませんわよ!」
ビシッとトマトを指さし宣言するキャスリーン。その脳裏に蘇るのは屈辱の記憶。
(「……お腹すいて来ましたわ」)
屈辱の思い出と共に沸き上がる空腹感――それに反応し、トマトの周囲に山盛りのトマトが現れる。
空腹を感じた相手にトマト(弾)を飛ばすトマト(本体)の必殺技。しかし、それに対抗するようにキャスリーンが叫ぶ。
「お役立ちガジェットおいでませ!」
召喚されたのは、長いホースが付いた不思議ガジェット。
「形状的には掃除機かしら?」
トマトにホースを向けてスイッチオン。ゴウゥゥンと低い音を響かせガジェットが作動し、飛来するトマト弾を吸い込んでいく。
「おーっほっほっほっ! この程度のことワタクシには造作もないことですわ!」
高笑いするキャスリーン。と、吸い損ねたトマト弾が一つ、彼女の脇をすり抜けた。
――ベッチャァ。
トマト弾が「何か」に当たって潰れる。
思わず振り返ったキャスリーンが見たのは、何故かエコバッグ片手に立ち尽くす久遠・翔(性別迷子・f00042)の姿だった。
頭部に直撃したらしいトマトの破片や果汁が頬を伝い、あたかも返り血のように――。
「せっかく片付けたのに……なんっすかこれは? えぇ?」
麗しい容姿に見合わぬひくーい声で翔が尋ねる。翔が放つ凄まじい怒気に、キャスリーンが一歩後ずさった。
「拭きゃあいいってもんじゃないんっすよ……? その辺わかっているっすか?」
翔が十徳包丁を引き抜く。
買い物から帰ってみれば庭はトマトまみれ。おまけにその元凶を思い切りぶつけられ、翔は簡単に言ってキレていた。
翔が一歩一歩トマトとの距離を縮めていく。トマトがブルブルと震えだしたが知ったことではない。
襲い来る衝撃波は翔の身体を傷つけるとともに、トマトの汁をまわりにより一層飛び散らせる結果となった。
「そうっすか……そこまで怒らせたいんすか……ならば容赦しないっすよ?」
そう呟くなり、翔は無造作にぶら下げていた十徳包丁を一閃。綺麗な曲線を描くトマトの実の一部がスパン! と綺麗に切り取られる。
「お前の、罪はぁ……こんな汚部屋だらけの生活にさせたことだ!」
マジ切れでトマトを切り刻む翔。
翔が怒りに任せてトマトに猛攻を加える中、新たな猟兵が姿を現した。
「よもや野菜が邪神とは」
血まみれの装束、血まみれの鉈、そこにあるのは濃厚な血の匂い――装束と乾いた血が相まってその姿はどす黒く、だからこそその白いマスクが印象に残るヒーローマスク――五十嵐・達也(血濡れの咎狩人・f00485)である。
「不可思議極まりないものだ……然し」
赤い瞳を僅かに細め、彼はきっぱりと断言する。
「邪神即ち咎である。咎は断つべし」
言い終わると同時に達也の身体が沈み込み、その足が地を蹴った。勢いをつけたスタートダッシュからそのまま跳躍、トマトの頂点目掛けて鉈を容赦なく叩きこむ。
衝撃波もトマト弾もお構いなしに鉈をふるう、血濡れのヒーロー。
「はっ」
翔と達也、二人の対照的ながらも凄まじい雰囲気に飲まれかけたキャスリーンがふと正気に戻る。
(「いけませんわこのままだとワタクシの活躍の場が!」)
その間にも二人はトマトの反撃を躱し、あるいは受け止め……立ち止まることなく動き回り、トマトを賽の目にせんばかりの勢いで切り刻んでいる。
キャスリーンとて二人に負けてはいられない。
「弾幕はパワーですわ! さぁ、蜂の巣におなりなさい!!」
言葉と共に顕現する幾丁もの銃。
「おーっほっほっほっ! 撃って撃って撃ちまくりですわ!!」
沢山の銃口が一斉に火を噴き、銃弾や光線がトマトに殺到する。
「焼くのと凍るのと穴が開くのどれがお好みかしら!」
「邪神かなんか知らんが捌かれろやボケがぁ!?」
銃弾が貫通したり熱線で焼けたり冷凍光線で凍ったりしたトマトに、翔の怒りに任せた渾身の一撃が炸裂する。
その実を真ん中からパッカリと半分に切断されるトマト。そこへトドメとばかりに達也の血塗れの鉈が迫る。
「汝の咎は此処に断たれり。逃れる事能わず」
振り下ろされる鉈。
「次は正しく野菜として生まれるが良い――!」
トマトは更に半分にされ、四分の一の串切りに――ドロリと中の種を零しながらパカッと割れたトマトは、そのまま跡形もなく消滅した。
●
トマト本体は消滅したものの、何故かその攻撃で現れたトマト弾の後はしっかり残っており……猟兵たちはその後始末をすることに。
掃除好きな猟兵や受けた依頼をしっかりこなす猟兵たちの手によって、広い庭も室内同様あっという間に片付いていく。
トマト(邪神)の影響で見る影もなくなっていた一軒家は、往時の清潔さを取り戻した。
この後、正気を取り戻した女学生が綺麗になった自宅を見て泣いて喜ぶのだが――それはもう少し先のお話。
大成功
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