●海賊の噂話
ハッハッハ、あの島を探してるんだって?
大海原に突き出した島影を見たらすぐに分かるさ。
なにしろ山のように大きなティーポットだ。
見間違いじゃねえのかって?
いいやしかし、あれはティーポットだ。
その証拠に注ぎ口からはトポトポと紅茶の滝が流れ落ちて、紅色の泉を作り出しているんだからな。
見た目も中身も脳天気な島だね。
島の住民たちは船がやってくりゃ集まってきて、
「ヤァヤァ! お客さんだ! 海賊だ!」
と、大歓迎だ。そんでもってこう言うのさ。
「お茶会をはじめよう、そうしましょう!」
戸惑ったって人魚やうさぎは好き勝手はじめやがる。愉快な連中だよ。
お茶会と言ってもマナーは荒くれた海賊流だ。みんな好きに飲み食いしてらあ。
机の上に並ぶのは、貝殻のティーカップ。
樽に座って、紅茶を酌み交わし。
金貨の形をしたクッキーをかじって、酢漬け魚のサンドイッチを頬張る。
アコーディオンの音に合わせて舟唄がはじまれば、輪になって陽気に踊りだす奴もいる。
毎日がお祭り騒ぎのティーパーティ。
あんな島じゃ争うのも馬鹿らしくなっちまうよ。
●いざ鉄甲船へ
グリードオーシャン。
落ちた世界の欠片が島となって残る世界だ。
次に辿り着くその島が、どの世界から零れ落ちた物なのか、語られた話を聞くうちに察しの良い者ならば見当がついているだろう。
「たぶん、元はアリスラビリンスのティーポットなのだろうな。なぜ巨大なのかは不思議だが」
代弁するように声にして、広げた海図の一点に記しをつけると、クック・ルウは集まった猟兵達へと頷いた。新たな冒険の始まりに胸騒ぐのか液状の身体は時折波音を立てる。
「この島がもうすぐコンキスタドール(オブリビオン)の一群に襲われるという予知を受けた。――どうか、襲撃を退けてもらえぬだろうか」
見過ごせば、島は壊滅するだろう。
その光景は想像に難くない。
行こう、と貴方が決めたのなら、クックは頼もしげに仲間を見つめる。
グリードオーシャンはその異常気象によって、グリモア猟兵の予知やテレポートを阻害する。その為猟兵たちは鉄甲船に乗って旅立つことになる。
故に航海が上手くいっても、到着時間の調整が難しい。
「船が島に着いても敵が現れるまで、しばらく島で過ごすことになるだろう。よかったらお茶会に参加してみてはどうだ?」
島の様子は先に語られた噂どおり。
戦いの前に平和な島で船旅の疲れを癒やすのも大事なことだろう。
「そうそう、島の名前は『ティーポッ島』と言うそうだ。……ふふふ。予想通りだったか?」
ころころと笑い声を立てるクックの手の中でグリモアが輝いた。
鍵森
鍵森と申します。ご覧いただき有難うございます。
冒険の舞台はグリードオーシャン、不思議の国風味です。
●シナリオについて
1章:島のお茶会に招待されます。
お茶会は海辺や森や湖のほとり、島のあちこちで開かれています。
遠い昔にこの世界にやってきた不思議の国の住民たちの習慣ですが、海賊達の影響を受けて変化もしているようです。
紅茶の滝を見物したり、島の探検に出かける事もできます。
ご自由にお過ごしください。
2章:集団戦。
3章:ボス戦。
●ティーポッ島
巨大なティーポットが島の基礎となっています。
ポットを囲むように浜辺や小さな森があり、奥に紅茶の滝から注がれる湖があります。
●以上となります。
皆様の素敵なプレイングを楽しみにしています!
第1章 日常
『郷土料理は異世界の味』
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POW : 郷土料理は別腹、全部食う。
SPD : 島のあちこちを歩き回って、面白い郷土料理を探してみたい
WIZ : 食べるだけでなく、レシピを教えて貰ったり、実際に料理もしてみよう
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セレシェイラ・フロレセール
どこか摩訶不思議、それでいて可愛い島だね
いつもの調子で気の向くままにお散歩してみよう
面白そうな勘が働いてそちらに向かえば湖のほとりのお茶会を発見
楽しそうなお茶会にわたしも交ぜてくださいな
貝殻のティーカップがとても可愛いね
素敵なティーカップでいただく紅茶は一段と美味しい
え、紅茶で乾杯とかしちゃうかんじ?
それがこの島流だというならば喜んで倣おう
かんぱーい!
クッキーも遠慮なくいただきます
んークッキーも美味しいね
他にもおすすめの料理やお菓子もいただきたいな
楽しいお話もたくさん聞きたい
陽気な住民達と過ごす時間はとてもあたたかくて、それでいて楽しくて
自然と頬が緩んでしまう
楽しい時間をありがとう
「ここがティーポットの島ね」
島へと上陸したセレシェイラ・フロレセール(桜綴・f25838)は、きょろきょろと辺りを見回した。
そびえ立つティーポットはもちろん、島に咲く花や木々、島の住民たちにはどこか摩訶不思議な雰囲気があり……それでいて、可愛らしい。
セレシェイラは面白いものが見つかりそうな予感に笑みを浮かべると、いつものように散歩に出かけることにした。
足の向くままに島の中心へと進んでいくと、水の落ちる音が聞こえてくる。
「きっと向こうに滝があるのね。紅茶の滝ってどんな感じなのかな」
紅茶の香りが漂ってくる方を目指して森を抜ければ、目の前に現れたのは大きな湖。
「わあっ、これが全部紅茶なの?」
ポットから流れ落ちる紅茶を受け止める湖の壮大な眺めに、セレシェイラは大きく瞳を瞬いた。
水際まで近づいてみると、まるで巨大なカップの淵に立っているような気がしてくる。
そのまま湖の淵にそって進んで行くと、なにやら賑やかな声がしてきた。
どうやら島の住民たちが、湖のほとりでお茶会を開いているようだ。
セレシェイラの姿に気がついた一羽のうさぎが椅子にした樽の上でぴょんっと跳ねる。
「わあ! お客さんだ! ねえねえこっちにおいでよ!」
その陽気な誘いにセレシェイラもにっこり笑って答える。
「こんにちは、海賊うさぎさん。楽しそうなお茶会にわたしも交ぜてくださいな」
「ヨーホー! もちろん歓迎だよ! さあ座って、座って」
招かれるままに空いている席に座ると、すぐさま淡い桜色の貝殻で作られたカップが運ばれてきて紅茶が注がれる。
セレシェイラの色に合わせて用意されたのだろうか、とても可愛いティーカップだと伝えれば、うさぎ達は嬉しそうに「さあ、かんぱいだ」と一斉に紅茶のカップを掲げた。
その光景に、紅茶で乾杯? と少しだけ戸惑ったけれど。
これがこの島流だというならば、喜んで倣おう。
楽しげにティーカップを掲げたセレシェイラを見て、うさぎの海賊達も笑う。
「ヨーソロー! 素敵なお客様に乾杯だー!」
「かんぱーい!」
カチン、カチン、貝殻のカップが軽くぶつかる度に音を立てる。
爽やかな飲みごたえの紅茶は散歩で乾いた喉を潤し。お茶菓子の金貨クッキーを一つ摘んで食べれば、サクッとした歯ごたえとバターの香ばしい味わいが口に広がる。
「んー、このクッキーも美味しいね」
「ねえねえ。こっちのケーキも食べてごらんよ、フルーツたっぷりでおいしいよ」
「ありがとう、いただくわ」
「こっちには魚を使ったパイもあるぞ!」
うさぎ達のおすすめのお菓子や料理に瞳を輝かせるセレシェイラの姿に、今度はこれを食べてもらおうと、次々と料理が出てくる。
さて、住民たちからなにか話を聞けないだろうかと耳を傾ければ、語られるのは陽気な海賊達の冒険譚。
それは童話のような不思議な物語ばかりだったけれど、きっとこの世界のどこかで本当にあった話なのだ。そしてセレシェイラもこれから沢山そんな冒険と出会うのだろう。
陽気な海賊うさぎ達と過ごす時間は楽しく、あたたかな気持ちが胸を巡り。
セレシェイラは花がほころぶような優しい笑みを浮かべるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
リグ・アシュリーズ
年中お茶会の島って、最高じゃない!
しかもおいしい海の幸が間近でとれて。
私、海のそばに住んだ事ないから楽しみだわ!
レシピ、教わっちゃおうかしら。
一応、お仕事は忘れず。
敵がやってくるならって仮定で、海からの攻め込みやすい場所、
逆に迎撃しやすい地点を覚えて共有しておくわ。
山側に潜伏……はさすがにないといいんだけど。
でも、豪快な海賊さんの食べっぷりにすぐさま気をよくして、
私も混ざっちゃうと思う。
私、農家の育ちだから沢山食べる人大好きなのよ。
――それに。
丸のままの新鮮な料理を手でとってかぶりつき。
頬にソースをつけたまま笑って。
おいしい物はおいしく食べなくっちゃ!
上品なのよりこっちのが、断然気楽でいいわ!
島を吹き抜ける風は心地よく。
ふっと鼻を擽る潮の香りにリグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)は亜麻色の瞳を煌めかせる。
あちこちで開かれている楽しげなお茶会の様子も目にすれば、
「年中お茶会の島って、最高じゃない!」
思わずそんな感想を抱いたけれど、今は仕事で来たのだと気を引き締めて。
まずは敵襲に備えて島の中を見て回ろうと、外敵が狙いそうな場所や迎撃しやすそうな地点を確かめていく。
数々の戦いを経験してきたからこそ、そうした場所は見逃さない。
とはいえ白い砂浜を歩きながら、ぐるりと島を一周するのは案外楽しいものだった。
引いては寄せる波、きれいな色をした貝殻、海賊達の舟唄。
農家で育ち、いままで海のそばに住んだことがない。
これまでだって海へ出かけた事はあるけれど、初めて訪れた島には新しい驚きや発見が沢山あった。
そうしてじっくり歩いてみると、孤島の広さは半日ほどで一周できるほどの大きさだった。
「山側に潜伏……はさすがにないといいんだけど」
すでに潜伏している敵がいる可能性もあるだろうか。
眉根を寄せて、島の中心にそびえ立つティーポットの山を見上げる。
ポットは島の何処からでも見え、下にある森もそう広くはない。島の住民や海賊の目から隠れ潜むのは難しそうだ。
しばし考え込んでいると、その姿を見た島の住民たちから声が掛かる。
「ねえねえ、旅人さん。さっきから歩いてばかりだけど、ちょっと休憩したらどう?」
あら。と瞳を瞬いてからリグは明るく笑みを返した。
ずっと歩いていたのだからお腹だって空いてくる頃だ。
「そうね。そうしようかしら」
「おおきな魚が採れたんだ! 食べにおいでよー!」
海賊帽をかぶったうさぎに案内されたのは、大きなテーブルを置いた浜辺。海鮮を使った料理が並び、食欲をそそる香ばしい料理の匂いが漂ってくる。
そこには先客の姿もあった。
猟兵達の他にも島に停泊する海賊もいるようだ。彼らは豪快にもフォークもナイフも使わず短剣に焼いた魚を突き刺して頬張っている。
うめぇうめぇ、これもうめぇ!
しきりに聞こえる言葉に嘘はないようで、テーブルの隅には重ねた空の皿が塔のようになっている。
「わ。いい食べっぷり。私、沢山食べる人大好きなのよ」
あまりにも良い食べっぷりを見れば、気分もほぐれてくる。
「よう、こいつぁ初めて見る顔だ」
「べっぴんさん、あんたは海賊に見えねえなァ」
「ええ、暫くこの島にいるからよろしくね」
リグは海賊達の軽口に物怖じもせずに席につき、ここは島の流儀にのろうとソースが掛かった焼き魚を大胆に手にとってかぶりついた。
新鮮な素材のプリッとした食感と旨味が口の中で弾ければ、顔に広がる満面の笑み。
「うんっ、おいしい!」
「おう。意外といい食べっぷりじゃねえか」
「だって、おいしいものは、おいしく食べなくっちゃ!」
「ハハハッ! ちがいねえその通りだ!」
上品なのよりこっちのが、断然気楽でいいわ。
頬に着いたソースを指で拭い、
「このソース、後でレシピを教わっちゃおうかしら」
そんな事を思いながら、リグは海賊達との豪快な食事を楽しんでゆく。
大成功
🔵🔵🔵
マリア・ルート
私、グリードオーシャンは初めてなのよね。今後のために島のあちこちでも探索してみようかしら。
この島がアリスラビリンスから落ちてきたものだっていうのは頭に置いといて……探検しながら地形や住民、あと使えそうな装備品に武装。知っておくに越したことはないと思うしね。
途中で噂の紅茶の滝でも見に行ってみましょう。
粗方探索したら適当な『お茶会』にでも参加しようかしら。
文化を学べるいい機会かもしれないわ。
さて、どんなものかしらね?あ、アルコールは勘弁ね?
発見されて間もない世界。
初めて訪れた場所をまずはよく知ろうと考えたマリア・ルート(千年の王国から堕ちのびた姫・f15057)は島の探索を始めることにした。
「今後のためにもなるかもしれないし……」
この世界で戦うためにも、それは必要なことだった。
地形を確かめながら歩き、土の状態や植物の成長具合といったところにも目を向ける。
赤いハートの花や、菓子の実がなる木。少し見ただけでも変わったものが生えていた。
ここがアリスラビリンスの影響を色濃く残しているのは間違いないだろう。
それは今後訪れるだろう、一つ一つの島が特殊な環境だということを示している。
更に知っておきたいのは、戦闘に役に立ちそうなものはないかということ。
この島がもうすぐ襲撃されるという事もあるが、この世界で戦うためには必要となる知識だろう。
「知っておくに越したことはないしね」
出会った住民たちに装備品や武装はないか、それとなく尋ねれば投網や釣り竿といった道具から海賊らしい武器の類があると教えられる。
幾つか見せて貰い、実用性があるか確かめるその姿勢は、常に戦いに身を置いている者のそれだろう。
「これが噂の紅茶の滝、ね」
巨大なティーポットの注ぎ口から流れ落ちる紅茶の滝。
住民から滝を一望できる場所を聞いたマリアは、落ちた紅茶が湖となっている不思議な光景を眺めた。
この滝が地面を抉り大きな湖となるまでどれほどの時間が掛かっただろうか。
それがどれほど昔のものかはわからないが、島の風景を注意深く観察し見て回れば長い年月が経っている事は解る。
「さて、粗方探索できたかしら」
船を降りてからずっと歩き通しなのだ。一度休憩した方が良いだろう。
適当なお茶会に参加してみようと賑やかな気配を探せば、すぐにうさぎ達の声がする。
「やあやあ! 紅茶の滝を見に来たのかい? こっちに座って眺めると良いよ」
「お茶もお菓子も沢山あるからね!」
「ええ、ありがとう。お邪魔するわ」
この島の基礎になっているのは、アリスラビリンスものだ。島の住民の多くは、愉快な仲間たちの子孫なのだろう。もしかするとティーポットと共にこの世界に来たのかもしれない。
彼らはお茶会という文化を残し、かつてアリスにしていたように、訪れた人々を歓迎しているのだろう。
そうした文化に触れて学べる良い機会を、マリアは楽しむことにした。
「かんぱいしよう! さあカップを掲げて!」
「かんぱーい!」
「乾杯」
新しい世界に受け継がれたお茶会とは、さて、どんなものだろう――そんな思いを巡らせながらうさぎ達に合わせて貝殻のカップを掲げると、マリアはそっと笑んだ。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『呪われた船首像』
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POW : まとわりつく触腕
【下半身の触腕】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 掻き毟る爪
【水かきのついた指先の爪】による素早い一撃を放つ。また、【自らの肉を削ぎ落す】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 呪われた舟唄
【恨みのこもった悲し気な歌声】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
賑やかで平和な時間もやがて終わりが訪れた。
晴れ渡っていた空に暗雲が立ち込め、波が荒れ始める。
異常気象が常のこの世界だが、その様子は不吉なものを予感させた。
光も届かない暗い海の底から、何かが浮かび上がってくる。
巨大な水しぶきを上げながら姿を現したものを見て、島の人々から悲鳴が上がった。
それは遠い昔に沈んだ海賊船がコンキスタドールとなったもの。亡者を乗せてさまよう幽霊船だ。
その船はたわむれに島々を襲い、人々を深海へと連れ帰ろうとするのだという。
あれを上陸させてはならない。
猟兵たちは即座に鉄甲船に乗り込み、船を出す。
あるいは浜辺で迎え撃つものや別の手段で海上へ向かう者もいただろうか。
しかし、行く手を遮るように海中から幾つもの影が迫る。
ァア……ア…アアア――!
悲鳴じみた声と共に海上に現れたのは何体もの魔物達だった。女性の身体に水棲生物の半身を合わせたような姿。
かつて船と共に沈み、呪いにより魔物へと変じた船首像の成れの果てだ。
沈め……オマエたちも……暗く冷たい深海へ。
幽霊船の尖兵として放たれた呪われた船首像は、自分たちと同じ運命を辿らせようと、猟兵たちに冷たく憎悪をにじませた目を向ける。
まずは彼女たちを倒さなければ、幽霊船と戦うことは出来ないようだ。
リグ・アシュリーズ
もう。楽しいご飯タイムに水を差すのはだあれ?
食事の席の皆さんにちょっと腹ごなししてくるわ!と言い残し、黒剣を手に海へ。
私の分、残しといてね!
幽霊船には別段驚かず、目の前の女性型オブリビオンをそのまま相手取るわ。
襲い来る触腕を身をよじって回避、カウンター気味に剣で斬り飛ばし。
いなしきれないなら動きをよく見て、威力重視のものだけ直撃を避ける。
数が増えてきたら、周辺をざっと見て攻撃に使えるものを探すわ。
陶器の欠片などを打ち上げて剣の回転で振りまき、
砂礫の雨を降らせて敵を撃ち抜く。
恐れないのは海賊だけの特権じゃないわ!
呪い、亡者……見慣れているもの。
私だってダークセイヴァーの住人、甘く見ちゃダメよ!
姿を現した幽霊船は、一瞬でこの島を恐怖に陥れた。
楽しい雰囲気だった食事の席も騒然としている。
――もう。楽しいご飯タイムに水を差すのはだあれ?
リグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)は剣の柄を握って跳ねるように席を立つ。
「ちょっと腹ごなししてくるわ!」
まるで軽い運動だとでも言うようにあっけらかんと言い放つものだから。
恐怖に慄くうさぎも、熱り立つ海賊も、呆気にとられたようにリグを注目する。
「おい、嬢ちゃん。まさか戦うつもりか?」
「海は危ないよ! 行っちゃだめだ!」
心配する声に大丈夫だというように軽く手を振って、駆け出すその姿は凛として。
誰も彼女を止めることは出来ない。
「私の分、残しといてね!」
全部片付けたら、また食べに来るんだから。
そう、約束するように一度だけ振りかえり、片目をつぶってみせた。
●
戦場となった海。
鉄甲船にいる獲物を狙う魔物と対峙したリグは剣を構えて打って出た。
「私が相手をするわ!」
触腕をムチのようにしならせて獲物を捕らえようと迫る、恐るべき触腕を叩きつけるような強靭な太刀筋が、――斬り飛ばす!!!
「さあ、次は誰が相手かしら?」
繰り広げられる激しい攻防。
次から次へと現れる敵に怯むことなく、くろがねの剣で迎え撃つ。
戦いが続く内、船上へ辿り着く敵も増えてくれば、それも想定の範囲内。
これ、使わせてもらうわね。そう言って掴んだのは甲板に置かれていた保存食を入れる陶器の壺。
高く放り上げ、回転する剣撃を叩き込んだ。
「さあっ! 目も開けられなくしてあげる!」
粉々に砕け散った陶器の破片は砂礫の雨。
無数の破片は鋭い刃となって、呪われた船首像の群れを撃ち抜いた。
ア゙ ア゙ ア゙ ア゙ア゙ア゙ア゙ ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……!!
魔物の女が怒りの叫び声を上げる。
思わず耳を塞ぎたくなるような声であっても、リグが揺らぐことはない。
「恐れないのは海賊だけの特権じゃないわ!」
生者へ向けられる憎しみ。
陽の差さぬ場所にある嘆きも理不尽な末路も。
呪いや、亡者も……それはどれも慣れたものだ。
故郷の世界に住む人々は誰もが等しくその光景を目にして生きているのだから。
「ダークセイヴァーの住人、甘く見ちゃダメよ!」
気焔を吐き、剣を振るう姿は勇ましく。
強き風が暗雲を払うように。
押し寄せる絶望の化身を、跳ね除けて進む。
大成功
🔵🔵🔵
クリスティアーネ・ツヴァイク(サポート)
愛称:クリス
常に「ママ」と呼ぶからくり人形「クリスティン」と共に行動します。
まだ幼くひらがなで喋ります。
普段は甘えたがりな子供ですが敵を殺すことに罪悪感は感じておらず、特に悪人は死んで当然と容赦はしません。
クリスティンをバカにしたり人形扱いする者を嫌います。
戦いでは大鎌を持ったクリスティンを操りつつ自身もナイフで戦い、味方のサポートよりは戦いの方が得意です。
日常ではクリスティンと楽しく過ごします。
NG:クリスティアーネが泣くこと、クリスティンの修復不可能なまでの破壊
ねえ、ママ。
おふねがゆれているの。
うみにおおきな、なみがたくさん。
あのボロボロのふねのせいなのね。
ふいに大きな波が船に当たって大きな水飛沫が上がった。
「わ」
ぱしゃり、水飛沫が頭にまで跳ねかかり、やわらかな銀色の毛を濡らす。
猫の耳がぴこん、と跳ねて。
「ぬれるの、やあだ」
むずかる様に鼻を鳴らした子共を、女性が抱き上げて拭き撫でる。
その手つきは、優しい。
ここに、さがしものはなかったけれど。
おしごとはちゃんとするの。
ちゃんとできたら……――みんな、よろこんでくれるよね。
あれは、おさかな? たこさん?
ふねのうえに、あがってきたよ。
やっつけなきゃ。
子供を抱いた女性が、鉄甲船に這い上がった呪われた船首像と対峙している。
二人を引き離そうとするかのように、掴みかかる白い腕。
迫る赤い爪は、しかし空を切って。
「クリスにはわかるよ」
ぜんぶ、わかっているの。
どうすればいいのか。
ねえ、ママ。
ママ――クリスティンはクリスティアーネ・ツヴァイク(復讐を誓う殺人鬼・f19327)を抱えたまま呪われた船首像の攻撃を躱すと、ステップを踏むように回転し。
振り上げた大鎌で魔物の胴体を貫く。
「ママはつよいもん」
親の活躍を喜ぶ子供のように誇らしげに。
クリスティアーネは、ママの腕の中で声をこぼした。
その手にはナイフが握られている。
あどけない瞳は、戦場を冷静に見つめていた。
殺戮のために鍛えられた鋭利な刃物。
必要ならば少女はためらいなくそれを使うだろう。
「いまは、ママのゼンゼでじゅうぶんね」
ナイフを振るわない理由はそれだけのこと。
クリスティンは戦い方をよく心得ている。
ずりずりと集まってくる呪われた船首像を、黒い鎌が圧倒する。
お揃いで身にまとったドレスは花弁広げた白花のよう。
二人は――あるいは、一人と一体は一糸乱れぬ動きで敵を切り裂いていく。
成功
🔵🔵🔴
フェルム・ドゥベー
暗い海の底に取り残されれば寂しいだろう
怨嗟と共に沈んでいるなら、淀み歪んでもおかしくない
これはただ海の魔法を研究している者の感想さ
だが生憎同じ運命を辿ってやるつもりは起こらない
縛られた者たちを解放してやろうと張り切ってしまうんだよ
敵の雰囲気には圧されず動じず己のペースで戦う
囲まれないように立ち回り、場合によっては杖を振り回して敵をけん制、1体ずつ相手しよう
得意な海の魔法での攻撃やけん制は難しそうだから【ジャッジメント・クルセイド】を連射
悲しげな歌声には恨みを持っても仕方がないと共感するのだけれどね(俺も回復するのかな)
歌で敵が回復していることに気付いたらすぐ、歌の妨害を最優先するように作戦変更
男は船上から海の様子を眺めていた。
先ほどから紺碧の海面に盛り上がるような大きな波が立ちはじめ、船にいやな揺れが走る。
暗い海の底からもうすぐ巨大な何かが上がってくる。
知識からそのことを予期しながら、男は自分へにじり寄る影に目を向けた。
アァァアアアアァァァァ。
声にならないような叫びが言う、私たちと一緒に沈んでと。
異形の女達がすがるように伸ばしてくる白い腕を見、
「暗い海の底に取り残されれば寂しいだろう」
フェルム・ドゥベー(ベリルの魔法使い・f15664)はそう呟いた。
かつてこの海を船員たちと共に駆け抜けた船首像。おぞましい化け物と成り果て本来の姿を失ってしまった者たち。
――怨嗟と共に沈んでいるなら、淀み歪んでもおかしくない。
それがどれほどの苦しみか、狂気に満ちたその姿を見れば想像する事も難しくは無かった。
境遇に、同情する気持ちがない訳でもない。
だからといって戦いへの意思が揺らぐわけでもなかった。
これはただ個人の感想にすぎない。
海の魔法を研究しているフェルムは、彼女たちの船に起こった悲劇は決して珍しいことでは無いと知っている。
ただ、だからこそ。
「生憎同じ運命を辿ってやるつもりは起こらないが――縛られた者たちを解放してやろうと張り切ってしまうんだよ」
掴み掛かろうとするその手を杖で打っては躱し、相手の隙を突いては攻撃を重ねる。
その動きに翻弄されて、船首象たちはやがて傷ついた体を守るようにして歌を歌いはじめた。
その声は悲しく、寂しく、傷を癒やしているのだと気がついたフェルムは強く杖を握りしめ。
「もう歌わなくていい」
傷を塞いで立ち上がったとしても、それは果ての無い地獄が続くだけ。
フェルムは語りかけるように言いながら銃口のように指先を向け、
「そうやって恨みを持っても仕方がない。還るんだ。……君達の海へ」
白い矢のような光を放った。
苦しむ間もなかっただろう、天からの光が船首像を貫き怨嗟にまみれた躯を灼く。
その姿は泡がはじけるように失せて、ここではないどこかへと消えていった。
「今度はもっと明るい海で歌えるといいな」
独りごちるフェルムの耳に、穏やかな波音にも似た歌が聞こえたような気がした。
大成功
🔵🔵🔵
ウォーヘッド・ラムダ(サポート)
一人称、二人称、性格等はプロフィールを参照。
■戦闘行動
敵への接近、または敵からの攻撃回避は装備『フライトブースター』『ダッシュブースター』を使用しての回避行動。
防御に関しては装備『アサルトヴェール』>『重厚シールド』>『超重装甲』の優先順位での防御行動。
攻撃に関しては『ASMー7』『LLS-3』をメインにしつつ、他装備も使用。
強襲用ってことで自分への多少の被害が承知済み。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は無し。
また、"本目的に関係ない"NPC民間人への攻撃行動は無し。(やむを得ない牽制・威嚇射撃は有り)
あとはおまかせです。
アドリブ歓迎
佐原・鷹弥(サポート)
もし、場所が閉所なら簡易的なバリケード作成して基本はその後ろから遠距離攻撃を行います。
せっかくのアームドフォートなので、点で一体一体攻撃するのではなく、面で多数を一度に攻撃するようにします。初手でフルバースト・マキシマムを使って数を減らすor全体的に弱らせます。その後後退してバリケードから攻撃を開始します。バリケードが突破された場合、火力が高いプレイヤーの盾となるように動きます。
他プレイヤーが前線を維持のために動く場合はその行動を補助するように命中重視でヴァリアブル・ウェポンを使用します。
あたりに、陰鬱な空気が垂れ込めている。
潮騒に混じり聞こえてくる呪いの船首象が歌う声。
ウォーヘッド・ラムダ(強襲用試作実験機・f18372)は唸るような駆動音を立てて首を巡らせる。
「不気味な歌だな。聞いていると気が滅入りそうだ」
独特の声音はどこか愛想の良さを感じさせる。円滑なコミュニケーションを目的としたAI故……という訳ばかりでもないのだろう。それは彼個人の内面からにじみ出るものだ。
全長およそ2.84m。
鋼鉄の巨人ともいうべきその体は、船の上からでもよく遠くを見通せた。
赤紫の光が宿るレンズ・アイが海中を泳ぎこちらの船へ向かってくる影を捉える。
その数、およそ一〇体。
もっと正確にその動きを解析し、先の行動を何通りも予測しながらウォーヘッドは横にいる女性へ声をかけた。
「海中を移動する敵影を確認。準備はいいか、Ms.鷹弥」
「いつでもどうぞ」
こちらも戦況を確認していた佐原・鷹弥(元公務員サイボーグ・f27503)が頷いて答えた。
互いの情報をすり合わせ、短く作戦を練る。
とはいえ二人とも戦い慣れした実力者であり、言葉は殆ど必要ないようだった。
ふと、ウォーヘッドが指を振ってみせ。
「こういうのをずっと聞かされていると、自分の好きな曲を聴きたくならないか」
"こういうの"が呪いに満ちた歌声を指したものだと気がついた鷹弥も片笑み。
「そうですね。帰ったらラジオを点けて過ごしたい気分です」
「ラジオか、そういうのもいいな」
そんな他愛も無い会話を合図にして、攻撃に移る。
まずはウォーヘッドが仕掛けた。
背中に装備したグレネードカノンの砲台が傾き、計算された角度から弾を発射させる。
白い煙を尾のように引いて、グレネード弾は海中にいる呪いの船首象めがけて着弾。
海の中で爆発が起こり、ドオッと水柱が起こった。
これで敵の半数が減った。
残った呪いの船首象も無傷では無い。
彼女たちはまるでトカゲの尻尾切りのように下半身の触手を切り落とし、動きを加速させて爆撃を回避したのである。
そして爆撃の隙間を突くようにして泳ぎ抜けた。
しかしその先は、鷹弥のキルゾーン。
「行ったぞMs.鷹弥!」
「了解!」
舳先へ駆け上がり待ち構えていた鷹弥は右腕に内蔵されたプラズマ砲を海へと向けながら、エネルギーを一気に集束させる。
1、2、3……。
追い立てられた魚群のごとき標的を一掃できるタイミングを狙い、青白く光るプラズマを撃つ。
稲妻が視界を白く染め、あまりの熱量に着弾した海面には蒸気の煙が立ちのぼり。
着弾したプラズマが海中を駆け巡って、範囲内の敵に電流が浴びかかった。
手負いの体で耐えられる衝撃では無い。それが呪いの船首象へのトドメとなった。
一呼吸おいて、鷹弥は右腕を下ろす。
「全目標の消滅を確認しました」
歌が消え、戦闘の途切れたほんの一時。
海は静まりかえっていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『幽霊船』
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POW : 幽霊船一斉砲撃
【海賊船に搭載された全ての大砲】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 幽霊団の船出
レベル×1体の、【カトラスを装備した右手の甲】に1と刻印された戦闘用【幽霊海賊団員】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 聖エルモの炎
全身を【不気味な紫の光】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃回数】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『せっかくお茶会とやらにやって来たのにずいぶん手荒い歓迎じゃねえか』
どこからともなく聞こえてきた声は、言葉とは裏腹に楽しげな口調だった。
『おぉ~、かわいそうな俺の船首ちゃん達! すっかり壊れて海の藻屑かい?』
海面を持ち上げるようにしてあらわれたのは一艘の船。
紫色の不気味な炎をまとった壊れかけの海賊船だ。
穴だらけで動けるはずもない船体は、しかし恐ろしい躍動に満ちていた。
見た者はすぐに船自体が、海の怪物コンキスタドールなのだと悟るだろう。
『まあいいさ! かわりにそこら辺の連中を舳先に括り付けてやるとしようや』
あなたは不意に舐めるような視線を感じたかもしれない。
幽霊船が笑う。
『それにしても驚いた。あんたらずいぶん強いじゃないか! 強い奴は好きだ! 俺の船に乗せてこき使ってやりてえ! あはっはっはっはー!』
そうやって、どれほどの人がこの船に浚われたのか。
あなたの目に船に乗せられた者達の姿が見えるだろうか。皆、死人だ。幽霊だ。
一度乗れば最後、二度とは降りることは叶わない呪いの船。
『あいつらを殺したらあ! 次はあの間抜けなティーポットも沈めてやろうぜえヤロウ共!』
狂乱の笑い声を響かせて、死人の奴隷を乗せた海賊船が猟兵へ迫る。
ナギ・ヌドゥー(サポート)
普段はなるべく穏やかで優し気な感じで話してます。
……そう意識しておかないと自分を抑えきれなくなりそうなので。
それでも戦闘が激しくなると凶悪な自分が出てしまいますね。
オブリビオン相手なら最初から素で対峙し、手段を選ばず殺しにいきますよ。
探索行動の時は第六感や野生の勘などの知覚に頼る事が多いです。
日常的な行動は、寛ぐ事に慣れてないから浮いた存在になるかもしれません……
武器は遠距離ではサイコパーム、近距離では歪な怨刃、
痛みや恐怖を与える時はソウルトーチャーを使います。
ぼくは所詮、殺戮の為の兵器……
でも人間的な理性を保つ為に良き猟兵を演じなければ、とも思っています。
どうぞ自由に使ってください。
死の匂いがしている。
雑踏の波が近づいてくるような捉えどころの無い騒がしさと共に。
「ああ……」
ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)の口から相づちのような吐息が漏れる。
視線の先には、奴隷を乗せた幽霊船が船に迫ってきていた。
『奪え奪え! 殺せ壊せ!』
暴力的に笑い、幽霊船が叫ぶ。
その姿は略奪者たる者の奢りに満ちていた。
――この殺戮衝動を抑える必要も無い。そう思うに値する相手。
『さあ! 行け! 行け! 俺の為に働いてきな!』
接近した幽霊船から、乗組員がこちらの船に次々と飛び込んでくる。
性別や種族もバラバラの彼らの中にはどう見ても海賊ではなさそうな者も混じっていた。
とはいえ元の原形をとどめている者は少ない、海中に居た船に乗せられていたのだから無理も無いだろう。
亡霊達に己の意思はないのか意味の無い呻き声を発しながら近くにいる生者へ襲いかかってくる。
自分めがけて振り下ろされたカトラスの刃を鉈ではじき飛ばし。
「オレがアンタ達を殺してやる」
ナギはそう宣告した。
そして目の前に迫る亡者の群れに飛び込むようにして武器を振るう。
躊躇の無い一撃は肉をぶち抜き、骨を砕き、相手を破壊する。
それは、人によっては目を覆いたくなるような光景だったかもしれない。
けれど。解放である。祝福である。
囚われてしまった彼らに与えられる唯一の希望はソレだけなのだ。
死ねば救われる。
それがナギの精一杯の慈悲。
だからこそ暴力的な衝動のまま、絶対的な死を与える。
『はっはっはー! いーい殺しっぷりだなあ!』
自分に向けられた声に、ナギは表情を変えずに顔を向けた。
なにもかもが不快な存在だ。
『お前もこっちに来いよお! 俺の船に乗るなら歓迎するぜえ!』
その言葉を聞いた瞬間、銀色の瞳に鋭い光が灯った。
ハッ、と嘲るように吐き捨てる。
返答として銃口である掌を向けて。
殺意を込められた光線が幽霊船をえぐるように打ち抜いた。
「絶望と恐怖の中で死んでいけ」
一撃はおごり高ぶる幽霊船へ、喰らいつかれるような恐怖を与える。
成功
🔵🔵🔴
シャーロット・ゴッドチャイルド(サポート)
ダークセイヴァ―の貧しい農村に生まれた聖なる力を宿した女の子です。暗い過去を背負った子ですが、いつも周りに気を使っていて笑顔を絶やしません。
ホーリー・ボルト~光の精霊の力で、光属性の魔法の矢を放ちます。
エレメンタル・ファンタジア~炎の精霊を呼び出し、炎の竜巻を巻き起こす。予想以上の威力のため、制御するのがやっと。
絶望の福音~10秒後の未来を予測する。
生まれながらの光~左の手のひらにある聖痕から他者を癒す。
「もう泣いているだけの私じゃない・・・私は貴方を倒します!」
エロやグロに巻き込まれなければ大体のことは大丈夫です。
紫野崎・結名(サポート)
音は、こころ。こころは、ちから。
今はたぶん、この音が合ってる…と思うから
音によるサポート、妨害、撹乱が好み
攻撃や運動は苦手、特に腕力はほとんど無いです
なので、キーボードも肩にかけます
ピンチは黒い天使、歩くのはセブンリーグブーツ、Float on soundをふわっと浮かべてキーボードを演奏
キーボードはスマホとつないで音源を自由に設定変更できるよ
動物の鳴き声にしたり、管楽器の音にしたり、弦楽器の音にしたり
食は細くてすぐお腹いっぱい
そして人見知り気味
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません
幽霊船に理不尽に連れ去られた人々が、死んだ後も奴隷として戦わされている。
そのむごたらしい光景に少女は悲痛な表情を浮かべた。
「ひどい……」
彼女は理解してしまう事が出来た。すでに自我も無く物言わぬ亡者達の無念を、痛みを。なぜなら自分自身が経験したからだ。
シャーロット・ゴッドチャイルド(絶望の福音・f23202)の脳裏にかつての記憶が過る。
オブリビオンに襲われて焼かれた村、捕らわれの身となった日々の思い出。
悲鳴が、痛みが、匂いが、まざまざと蘇る。
一瞬、立ち尽くしたシャーロットは、けれど頬にそっと撫でるようなぬくもりがして、我に返った。
それは肩に乗った真っ白なフクロウが、やさしく寄り添う感触だった。
口もとをほころばせて、シャーロットは頷いた。
「ステファニー、ありがとう。大丈夫。私は大丈夫だよ」
そうだ。もう彼女は立ち向かえる。
涙もこぼさず、勇気をもって恐ろしい敵の前に目をそらさずに挑む力を持っている。
「あの人たちを助けるためにも、幽霊船を倒そう」
決意を込めてルーンを紡ぎ、術式を構築する。
しかしそのとき、背中に形容しがたい不快な悪寒が走った。
『おいおい、そっちの船には随分小さいガキがいやがるなあ~?』
幽霊船が術を使おうとするシャーロットをめざとく見つけたのだ。
『迷子のお嬢ちゃん、パパとママはどこでちゅかあ? あはっははは!』
動揺を誘う明らかな挑発に、怒りか悲しみか、言いようのない気持ちが沸き起こる。
詠唱を途切れさせないように、ふるえる唇でルーンを紡ぐ。
海に響き渡る、集中をかき乱すような下品な笑い声。
聞いてはだめだと眉根を寄せて、堪える。
「私も、手伝うよ」
小さな声がして、旋律が聞こえた。
ギターの音だ。力強くて、励ますような響き。
心を解きほぐすような軽やかなメロディが自分の中に流れ込んできて、シャーロットに力を与えてくれている。
演奏しているのは紫野崎・結名(歪な純白・f19420)だった。
「音は、こころ。こころは、ちから。だから」
おずおずとした声。
しかし言葉には相手に伝えようという強い意思が宿っている。
勇気を出すように、すうっと息を吸って。
結名はシャーロットの隣へ立ち、詠唱する彼女へ語りかけた。
「あなたの、こころが思うままに、力をだして」
そうすればきっと勝てる。
悲劇の待つ未来を変えて、恐ろしい過去を倒すことが出来る。
猟兵にある力はそれを可能にするのだから。
それでも尚、この決意を笑うのならば。
『小さいのが二人で頑張っちゃって! ははっ! こわいこわい!』
結名は海に浮かぶ幽霊船へと顔を向けた。
「黙って、邪魔をしないで」
曲調が替わる、仲間を勇気づける曲から敵へ向けた恐怖のカンタータへと。
敵に容赦しない心は演奏に現れて、相手の行動を封じ、そのお喋りな口を一時封じ込めた。
そして詠唱が完了した術式から、光があふれる。
「いっけぇーーー!!!」
ありったけの力を込めて、シャーロットは聖なるエネルギーを解き放った。
どこまでも眩く、純粋な光が、ギターのメロディに乗って船体を焼き焦がしていく。
口を閉ざされた幽霊船から、くぐもった悲鳴が上がった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リグ・アシュリーズ
もう、鈍感さん。お呼びでないってまだ分からないのね?
大体お茶会に呼ばなくたって貴方たち、年中飲み会のバカ騒ぎじゃない!
笑顔で言い放ちつつ、視線は砲台に。
あれが皆の頭上に降り注いだら、全てが台無し。
――ここは、急いだ方がよさそうね?
跳躍して甲板に飛び移り、出てきたばかりの海賊を斬るわ。
幽霊なら遠慮なくと膝を斬り、首を刎ね、力を削いで回る。
カトラスの一撃を身を捩って避け、斜め下から斬り上げて海へと飛ばし。
もっと疾く、もっと強く。
黒い風すら纏って、船員が集結するより早く倒してみせる。
集った魂も気流の刃で、近づく前に両断。
せめて派手に、豪快に弔ってあげるわ!
この明るい海域に辛気臭いのは似合わないもの!
『どいつもこいつも釣れねえなあ! あひゃっははっ! 痛え痛え!』
元より今にも崩れ落ちそうな幽霊船は猟兵達の攻撃により、修復不可能な傷を受けつつあった。
傷を癒す呪いの船首象がいなくなった今、彼らを治す者はいない。
それでも尚、可笑しそうに船は笑っている。
「もう、鈍感さん。お呼びでないってまだ分からないのね?」
叱るようなからかうような、軽やかな声。
リグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)はその顔に笑みさえ浮かべて幽霊船に言葉を投げかける。
『仲間はずれは悲しいねえ! 呼んでくれりゃあ何時でもはせ参じますのに、ってなあ?』
「大体お茶会に呼ばなくたって貴方たち、年中飲み会のバカ騒ぎじゃない!」
『……ヒヒヒ。違いねえ! 違いねえ!』
ゲラゲラと船が笑っている。心なしか、船体も揺れているように見えた。あれが人間の姿なら腹を抱えて笑っているのかもしれない。
とても凶悪で、禍々しい怪物。
しかしこの幽霊船にはどこか、島で会った海賊達を彷彿とさせる陽気さがあった。
――まったく仕方が無いんだから。
呆れて。リグは船の上を走り出した。目指すは幽霊船だ。
幽霊船に備わった砲台が使われれば仲間達へのダメージは計り知れない。あれを使わせないように、船の上の戦力をそぐ必要がある。
――私に、力を。
願いは力を引き出し、リグの身体を変化させる。その姿はまるで一陣の黒い風。
重力から解き放たれたかのような瞬発的なスピードで舳先へ駆け上がると、その勢いのまま飛び上がる。
跳躍は大きく放射線を描いて、甲板に着地したリグの周りを、幽霊船に乗せられた亡者達が取り囲んでいた。
『面白え! 飛び込んで来やがった!』
まさに大胆不敵な行動に幽霊船が喝采を送った。
『このまま俺達と航海しようぜ! なあ! あんたみたいなイイ女は初めてだ!』
「駄目よ。興味ないわ」
『残念だ! なら奪うしかねえ! アンタの一切合切、それが海賊流だものよ!』
「強引なのはお断り!」
幽霊船の手足となって襲いかかってくる亡者を風纏う黒剣で斬り払い、海へ吹き飛ばす。
豪快に剣を振るう。振るう。
華麗な太刀さばきはまるでダンスを踊っているよう。
甲板に足音踏みならし剣戟の響きを鳴らして、暴風が船を駆け巡る。
この海で死んだ名も知らない海賊達。
なにもしてやれることはないのだとしたら。
「せめて派手に海賊らしく散らせてあげる。この明るい海域に辛気臭いのは似合わないもの!」
やっぱりイイ女だなあ。と聞こえた声は嘲るような調子も無く、少し真面目な調子だった。
リグは魂をも両断する気流の刃を船に向かって鋭く突き立てる。
ギィィィッと亀裂が走るような音が響いて、船体が傾いた。
それが致命的な一撃だったことは間違いが無い。
あと一息だと、リグも他の猟兵達も悟ったことだろう。
大成功
🔵🔵🔵
フェルム・ドゥベー
船から海賊らしい豪胆な意志を感じる。
嫌な印象は持たないね。正確には、羨ましいと感じる。自分自身で生きる道を定めて正直に生きていたのだろうなと生前の彼(彼ら?)に思いを馳せてしまうほどさ。
ただ俺はああいうタイプに嫌われやすい(いけ好かない、信用ならない…色々言われるが共通点は嫌いの感情さ)から、ここで何を言われても気にしないし彼への印象は変わらない。
UCを発動、他の猟兵達が負わせている傷を狙い銛を撃ち込む。
基本的に術で攻撃。
接近してくる相手は大海原の杖でいなして距離をとり、海【属性攻撃】をしたり海に落とす。
船が強くなるならそれに見合う力で答えるまで。【魔力溜め】で威力を高めた魔法を見せてやろう。
穴だらけの甲板は踏めば軋み、どこか触れれば崩れる。腐敗した屍なのだこの船は。
かつてあった姿を想像する事は難しいだろう。
幽霊船へと乗り込んだフェルム・ドゥベー(ベリルの魔法使い・f15664)は、ほんの一瞬佇む。
『さあさあさあ! お次はどいつが掛かってくるんだ?』
貪欲で豪快な海賊の声が響き渡る。
『やあ、そこの旦那は、何か言いたいことでもありやがるので?』
緑の双眸をゆるりと瞬いてフェルムは答える。
「少し、思いを馳せていたんだ」
その貌は穏やかに、侮蔑の色も無く。
「生きていた頃の君たちは、どんな風だっただろうかとね」
『ははっは! 生きてた頃? 大昔の話なんざ退屈なだけだろうぜ!』
フェルムの言葉を大きく笑い飛ばし、幽霊船を覆う不気味な紫色の炎が燃え盛る。
それは蝋燭が見せる最後の瞬きのようなものだろうか。
『あんた。どうにも気に入らねえ、叩っ切って魚の餌にしてやるよ!』
「どうも君達のようなタイプには嫌われやすいな」
『ヒヒヒ。そりゃそんな澄まし顔で見つめられちゃあ、むず痒いからな!』
海賊の亡霊がフェルムの首めがけてカトラスを横薙ぎに振るう。
しかし大海原の杖がその刃を受けた。
迫る亡者の一群を巧みに杖を操っていなしながら距離をとりフェルムは自身の魔力を高める。
この船が最後の力を振り絞って向かってくると言うのなら。
「こちらも見合った力で答えよう」
練り上げた力を呪文に込めながら、フェルムは杖を掲げた。
――母なる海の欠片よ、来たれ!
呼び声に、海が応える。
海の力を持つ魔法の5本の銛が、フェルムの頭上に浮かんでいた。銛は狙いを定めるように、一度ぐるりと旋回し一斉に解き放たれる。その光景はあらゆるものを飲み込む、巨大な波を想起させるようだった。
先の攻撃で致命傷を負っていた船のいたる処へ、深々と突き刺さって貫く。
『おお!』
幽霊船から苦悶の叫びまじりの驚嘆の声が上がった。
フェルムは船から感じていた生命力のようなものが失われていくのを感じ。
すぐにほかの猟兵と共に鉄甲船へと帰還するその背へ、
『は……はは……っ!』
切れ切れに笑う声がしていた。
人のことなぞお構いなしに、すべて笑い飛ばして。
そうやってとうとうここまで来てしまった海賊船の、最後だ。
船体を纏っていた紫色の炎が消えて、まるで支えを失ったように船が沈んでいく。
その光景を鉄甲船の上から眺めながらフェルムは独りごちた。
「正直なところ嫌な印象はなかった」
自分の生きる道を定めて正直に生きていたのだろう海賊達の姿を脳裏に過らせながら。
「羨ましいとも、感じたよ」
落ちて消えていく船の最後を見守る、フェルムの口元には笑みが漂っていた。
●
恐ろしい脅威が過ぎ去って。
猟兵達の中には一度ティーポッ島へ戻った者もいたかもしれない。
島の人々はとびきりの紅茶でもてなしただろうし、とても別れを惜しんだだろう。
やがて鉄甲船は次なる島を目ざして出発する。
「ありがとう」「また乾杯しようね」「いつかまた魚料理を食べにおいでよ」
海の中にチョコンと立ったティーポットからは、いつまでもそんな声がしていた。
猟兵達を乗せた船が水平線の彼方に消えるまで。
大成功
🔵🔵🔵