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海賊達のお茶会(作者 鍵森
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●海賊の噂話
 ハッハッハ、あの島を探してるんだって?
 大海原に突き出した島影を見たらすぐに分かるさ。
 なにしろ山のように大きなティーポットだ。
 見間違いじゃねえのかって?
 いいやしかし、あれはティーポットだ。
 その証拠に注ぎ口からはトポトポと紅茶の滝が流れ落ちて、紅色の泉を作り出しているんだからな。

 見た目も中身も脳天気な島だね。
 島の住民たちは船がやってくりゃ集まってきて、
「ヤァヤァ! お客さんだ! 海賊だ!」
 と、大歓迎だ。そんでもってこう言うのさ。
「お茶会をはじめよう、そうしましょう!」
 戸惑ったって人魚やうさぎは好き勝手はじめやがる。愉快な連中だよ。
 お茶会と言ってもマナーは荒くれた海賊流だ。みんな好きに飲み食いしてらあ。

 机の上に並ぶのは、貝殻のティーカップ。
 樽に座って、紅茶を酌み交わし。
 金貨の形をしたクッキーをかじって、酢漬け魚のサンドイッチを頬張る。
 アコーディオンの音に合わせて舟唄がはじまれば、輪になって陽気に踊りだす奴もいる。

 毎日がお祭り騒ぎのティーパーティ。
 あんな島じゃ争うのも馬鹿らしくなっちまうよ。

●いざ鉄甲船へ
 グリードオーシャン。
 落ちた世界の欠片が島となって残る世界だ。

 次に辿り着くその島が、どの世界から零れ落ちた物なのか、語られた話を聞くうちに察しの良い者ならば見当がついているだろう。
「たぶん、元はアリスラビリンスのティーポットなのだろうな。なぜ巨大なのかは不思議だが」
 代弁するように声にして、広げた海図の一点に記しをつけると、クック・ルウは集まった猟兵達へと頷いた。新たな冒険の始まりに胸騒ぐのか液状の身体は時折波音を立てる。
「この島がもうすぐコンキスタドール(オブリビオン)の一群に襲われるという予知を受けた。――どうか、襲撃を退けてもらえぬだろうか」
 見過ごせば、島は壊滅するだろう。
 その光景は想像に難くない。
 行こう、と貴方が決めたのなら、クックは頼もしげに仲間を見つめる。

 グリードオーシャンはその異常気象によって、グリモア猟兵の予知やテレポートを阻害する。その為猟兵たちは鉄甲船に乗って旅立つことになる。
 故に航海が上手くいっても、到着時間の調整が難しい。
「船が島に着いても敵が現れるまで、しばらく島で過ごすことになるだろう。よかったらお茶会に参加してみてはどうだ?」
 島の様子は先に語られた噂どおり。
 戦いの前に平和な島で船旅の疲れを癒やすのも大事なことだろう。

「そうそう、島の名前は『ティーポッ島』と言うそうだ。……ふふふ。予想通りだったか?」
 ころころと笑い声を立てるクックの手の中でグリモアが輝いた。





第2章 集団戦 『呪われた船首像』

POW ●まとわりつく触腕
【下半身の触腕】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD ●掻き毟る爪
【水かきのついた指先の爪】による素早い一撃を放つ。また、【自らの肉を削ぎ落す】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ ●呪われた舟唄
【恨みのこもった悲し気な歌声】を聞いて共感した対象全てを治療する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 賑やかで平和な時間もやがて終わりが訪れた。
 晴れ渡っていた空に暗雲が立ち込め、波が荒れ始める。
 異常気象が常のこの世界だが、その様子は不吉なものを予感させた。

 光も届かない暗い海の底から、何かが浮かび上がってくる。
 巨大な水しぶきを上げながら姿を現したものを見て、島の人々から悲鳴が上がった。
 それは遠い昔に沈んだ海賊船がコンキスタドールとなったもの。亡者を乗せてさまよう幽霊船だ。
 その船はたわむれに島々を襲い、人々を深海へと連れ帰ろうとするのだという。
 あれを上陸させてはならない。
 猟兵たちは即座に鉄甲船に乗り込み、船を出す。
 あるいは浜辺で迎え撃つものや別の手段で海上へ向かう者もいただろうか。
 しかし、行く手を遮るように海中から幾つもの影が迫る。

 ァア……ア…アアア――!

 悲鳴じみた声と共に海上に現れたのは何体もの魔物達だった。女性の身体に水棲生物の半身を合わせたような姿。
 かつて船と共に沈み、呪いにより魔物へと変じた船首像の成れの果てだ。

 沈め……オマエたちも……暗く冷たい深海へ。

 幽霊船の尖兵として放たれた呪われた船首像は、自分たちと同じ運命を辿らせようと、猟兵たちに冷たく憎悪をにじませた目を向ける。
 まずは彼女たちを倒さなければ、幽霊船と戦うことは出来ないようだ。
リグ・アシュリーズ
もう。楽しいご飯タイムに水を差すのはだあれ?
食事の席の皆さんにちょっと腹ごなししてくるわ!と言い残し、黒剣を手に海へ。
私の分、残しといてね!

幽霊船には別段驚かず、目の前の女性型オブリビオンをそのまま相手取るわ。
襲い来る触腕を身をよじって回避、カウンター気味に剣で斬り飛ばし。
いなしきれないなら動きをよく見て、威力重視のものだけ直撃を避ける。

数が増えてきたら、周辺をざっと見て攻撃に使えるものを探すわ。
陶器の欠片などを打ち上げて剣の回転で振りまき、
砂礫の雨を降らせて敵を撃ち抜く。

恐れないのは海賊だけの特権じゃないわ!
呪い、亡者……見慣れているもの。
私だってダークセイヴァーの住人、甘く見ちゃダメよ!


 姿を現した幽霊船は、一瞬でこの島を恐怖に陥れた。
 楽しい雰囲気だった食事の席も騒然としている。
 ――もう。楽しいご飯タイムに水を差すのはだあれ?
 リグ・アシュリーズ(風舞う道行き・f10093)は剣の柄を握って跳ねるように席を立つ。
「ちょっと腹ごなししてくるわ!」
 まるで軽い運動だとでも言うようにあっけらかんと言い放つものだから。
 恐怖に慄くうさぎも、熱り立つ海賊も、呆気にとられたようにリグを注目する。
「おい、嬢ちゃん。まさか戦うつもりか?」
「海は危ないよ! 行っちゃだめだ!」
 心配する声に大丈夫だというように軽く手を振って、駆け出すその姿は凛として。
 誰も彼女を止めることは出来ない。
「私の分、残しといてね!」
 全部片付けたら、また食べに来るんだから。
 そう、約束するように一度だけ振りかえり、片目をつぶってみせた。


 戦場となった海。
 鉄甲船にいる獲物を狙う魔物と対峙したリグは剣を構えて打って出た。
「私が相手をするわ!」
 触腕をムチのようにしならせて獲物を捕らえようと迫る、恐るべき触腕を叩きつけるような強靭な太刀筋が、――斬り飛ばす!!!
「さあ、次は誰が相手かしら?」
 繰り広げられる激しい攻防。
 次から次へと現れる敵に怯むことなく、くろがねの剣で迎え撃つ。
 戦いが続く内、船上へ辿り着く敵も増えてくれば、それも想定の範囲内。
 これ、使わせてもらうわね。そう言って掴んだのは甲板に置かれていた保存食を入れる陶器の壺。
 高く放り上げ、回転する剣撃を叩き込んだ。
「さあっ! 目も開けられなくしてあげる!」
 粉々に砕け散った陶器の破片は砂礫の雨。
 無数の破片は鋭い刃となって、呪われた船首像の群れを撃ち抜いた。

 ア゙ ア゙ ア゙ ア゙ア゙ア゙ア゙ ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙……!!

 魔物の女が怒りの叫び声を上げる。
 思わず耳を塞ぎたくなるような声であっても、リグが揺らぐことはない。
「恐れないのは海賊だけの特権じゃないわ!」
 生者へ向けられる憎しみ。
 陽の差さぬ場所にある嘆きも理不尽な末路も。
 呪いや、亡者も……それはどれも慣れたものだ。
 故郷の世界に住む人々は誰もが等しくその光景を目にして生きているのだから。
「ダークセイヴァーの住人、甘く見ちゃダメよ!」
 気焔を吐き、剣を振るう姿は勇ましく。
 強き風が暗雲を払うように。
 押し寄せる絶望の化身を、跳ね除けて進む。
大成功 🔵🔵🔵

クリスティアーネ・ツヴァイク(サポート)
愛称:クリス

常に「ママ」と呼ぶからくり人形「クリスティン」と共に行動します。
まだ幼くひらがなで喋ります。
普段は甘えたがりな子供ですが敵を殺すことに罪悪感は感じておらず、特に悪人は死んで当然と容赦はしません。
クリスティンをバカにしたり人形扱いする者を嫌います。
戦いでは大鎌を持ったクリスティンを操りつつ自身もナイフで戦い、味方のサポートよりは戦いの方が得意です。
日常ではクリスティンと楽しく過ごします。

NG:クリスティアーネが泣くこと、クリスティンの修復不可能なまでの破壊


 ねえ、ママ。
 おふねがゆれているの。
 うみにおおきな、なみがたくさん。
 あのボロボロのふねのせいなのね。

 ふいに大きな波が船に当たって大きな水飛沫が上がった。
「わ」
 ぱしゃり、水飛沫が頭にまで跳ねかかり、やわらかな銀色の毛を濡らす。
 猫の耳がぴこん、と跳ねて。
「ぬれるの、やあだ」
 むずかる様に鼻を鳴らした子共を、女性が抱き上げて拭き撫でる。
 その手つきは、優しい。

 ここに、さがしものはなかったけれど。
 おしごとはちゃんとするの。
 ちゃんとできたら……――みんな、よろこんでくれるよね。

 あれは、おさかな? たこさん?
 ふねのうえに、あがってきたよ。
 やっつけなきゃ。

 子供を抱いた女性が、鉄甲船に這い上がった呪われた船首像と対峙している。
 二人を引き離そうとするかのように、掴みかかる白い腕。
 迫る赤い爪は、しかし空を切って。
「クリスにはわかるよ」
 ぜんぶ、わかっているの。
 どうすればいいのか。
 ねえ、ママ。
 ママ――クリスティンはクリスティアーネ・ツヴァイク(復讐を誓う殺人鬼・f19327)を抱えたまま呪われた船首像の攻撃を躱すと、ステップを踏むように回転し。
 振り上げた大鎌で魔物の胴体を貫く。
「ママはつよいもん」
 親の活躍を喜ぶ子供のように誇らしげに。
 クリスティアーネは、ママの腕の中で声をこぼした。
 その手にはナイフが握られている。
 あどけない瞳は、戦場を冷静に見つめていた。
 殺戮のために鍛えられた鋭利な刃物。
 必要ならば少女はためらいなくそれを使うだろう。
「いまは、ママのゼンゼでじゅうぶんね」
 ナイフを振るわない理由はそれだけのこと。
 クリスティンは戦い方をよく心得ている。

 ずりずりと集まってくる呪われた船首像を、黒い鎌が圧倒する。
 お揃いで身にまとったドレスは花弁広げた白花のよう。
 二人は――あるいは、一人と一体は一糸乱れぬ動きで敵を切り裂いていく。
成功 🔵🔵🔴

フェルム・ドゥベー
暗い海の底に取り残されれば寂しいだろう
怨嗟と共に沈んでいるなら、淀み歪んでもおかしくない
これはただ海の魔法を研究している者の感想さ
だが生憎同じ運命を辿ってやるつもりは起こらない
縛られた者たちを解放してやろうと張り切ってしまうんだよ

敵の雰囲気には圧されず動じず己のペースで戦う
囲まれないように立ち回り、場合によっては杖を振り回して敵をけん制、1体ずつ相手しよう
得意な海の魔法での攻撃やけん制は難しそうだから【ジャッジメント・クルセイド】を連射

悲しげな歌声には恨みを持っても仕方がないと共感するのだけれどね(俺も回復するのかな)
歌で敵が回復していることに気付いたらすぐ、歌の妨害を最優先するように作戦変更


 男は船上から海の様子を眺めていた。
 先ほどから紺碧の海面に盛り上がるような大きな波が立ちはじめ、船にいやな揺れが走る。
 暗い海の底からもうすぐ巨大な何かが上がってくる。
 知識からそのことを予期しながら、男は自分へにじり寄る影に目を向けた。

 アァァアアアアァァァァ。

 声にならないような叫びが言う、私たちと一緒に沈んでと。
 異形の女達がすがるように伸ばしてくる白い腕を見、
「暗い海の底に取り残されれば寂しいだろう」
 フェルム・ドゥベー(ベリルの魔法使い・f15664)はそう呟いた。
 かつてこの海を船員たちと共に駆け抜けた船首像。おぞましい化け物と成り果て本来の姿を失ってしまった者たち。
 ――怨嗟と共に沈んでいるなら、淀み歪んでもおかしくない。
 それがどれほどの苦しみか、狂気に満ちたその姿を見れば想像する事も難しくは無かった。
 境遇に、同情する気持ちがない訳でもない。
 だからといって戦いへの意思が揺らぐわけでもなかった。
 これはただ個人の感想にすぎない。
 海の魔法を研究しているフェルムは、彼女たちの船に起こった悲劇は決して珍しいことでは無いと知っている。
 ただ、だからこそ。
「生憎同じ運命を辿ってやるつもりは起こらないが――縛られた者たちを解放してやろうと張り切ってしまうんだよ」
 掴み掛かろうとするその手を杖で打っては躱し、相手の隙を突いては攻撃を重ねる。
 その動きに翻弄されて、船首象たちはやがて傷ついた体を守るようにして歌を歌いはじめた。
 その声は悲しく、寂しく、傷を癒やしているのだと気がついたフェルムは強く杖を握りしめ。
「もう歌わなくていい」
 傷を塞いで立ち上がったとしても、それは果ての無い地獄が続くだけ。
 フェルムは語りかけるように言いながら銃口のように指先を向け、
「そうやって恨みを持っても仕方がない。還るんだ。……君達の海へ」
 白い矢のような光を放った。
 苦しむ間もなかっただろう、天からの光が船首像を貫き怨嗟にまみれた躯を灼く。
 その姿は泡がはじけるように失せて、ここではないどこかへと消えていった。
「今度はもっと明るい海で歌えるといいな」
 独りごちるフェルムの耳に、穏やかな波音にも似た歌が聞こえたような気がした。
大成功 🔵🔵🔵