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夜鏡の燈と銀月の花

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●満月に咲く花
 ――銀鈴蘭。
 それは日中には咲かず、満月の光でのみ花を開く鈴蘭の花の名。
 深い森の奥、或る地域の湖畔の傍に群生しているという花が咲くのは満月の夜だけ。
 月光に照らされ、淡く銀に輝く花は朝には蕾を閉じてしまう儚いもの。
 だが、だからこそ不思議な言い伝えがある。

 花が咲いている間に強い想いを花に込めると願いが叶う。
 閉じた蕾の中には想いの証が宿り、願いには月の加護が与えられる。
 そして、夜を映す鏡のような湖に花弁を沈めるとその想いは永遠になるという。

●戯れる仔竜と水の大蛇
 その森にはたくさんの仔竜達が棲んでいた。
 彼らは人を襲うことはなく、森で迷った人を出口まで導いたり、訪れた人を遊びに誘ったり、時には木の実を分けてくれたりもする。
 特に銀鈴蘭が咲く時期には、ランタン草という淡く光る植物を手にして湖畔を飛び回り、花を見に来た人々を快く出迎える。
 だが、彼らは少しだけ厄介な性質を持っていた。
 それは――善にも悪にも染まりやすい、ということ。
 森の湖には今、骸の海から蘇ったオブリビオンが巣食っていた。水の大蛇と呼ばれるそれは悪しき意志で以て仔竜達を惑わせてしまった。
 大蛇の支配下に置かれた仔竜達の性質は今や凶暴なものに変わっている。

「そんなわけで、我ら猟兵の出番じゃ!」
 グリモアベースにて、ミレナリィドールのグリモア猟兵である鴛海・エチカ(ユークリッド・f02721)は集った仲間達へと事件について語る。
 災厄が訪れたのは場所はアックス&ウィザーズのとある森の中。
 恵み豊かな森の周辺には幾つも村や街があり、周辺に住む人がよく踏み入る場所だ。其処には満月の光が射す夜にだけ見られる『銀鈴蘭』の花が咲くという。
「しかし、森の中央にある湖畔に水の大蛇が棲み付いてのう。森に住まう仔竜が大蛇の影響を受けて人を襲うようになっておる」
 このままでは森に訪れた人々はおろか、いずれ近隣の村にも被害が及ぶだろう。
 つまり、今回の仕事はこうだ。
 まずは森に入り、次々と襲ってくる仔竜を気絶させていく。
 そして粗方が片付いたら湖畔に向かい、元凶であるオブリビオンを倒す。
 それが終わればお楽しみ。
 夜を待って銀鈴蘭が咲く光景の中、自由な時間を過ごせる。
 水の大蛇さえ斃せば森の仔竜達も正気に戻るだろう。彼らもランタン草を持って、夜に咲く花を見に湖畔に集まってくる。
 竜と戯れるのも良いし、親しい者と共に花を眺めるのも、恋人や家族、またはひとりきりでそっと願いを込めに行くのも悪くない。
 また、『二つの月が顔を合わせる場所』に咲いた銀鈴蘭の花は願いを叶える力が特に強いとされている。ただの言い伝えではあるが、それを信じて探してみるのもいいかもしれない。

 以上じゃ、と簡潔に告げたエチカは薄く笑んでみせた。
「仔竜撃退も水の大蛇退治も骨が折れそうじゃからのう。後にゆっくりする時間も取るべきであるとチカは思うのじゃ!」
 それに銀鈴蘭とやらを一度は見てみたい。
 楽しげな一言を付け加えたエチカの瞳は好奇心と期待に満ちていた。
 そうして、少女はグリモアを掲げる。
「さあて、では行くとするか。テレポートはこのチカに任せておくが良いぞ!」


犬塚ひなこ
 今回の世界は『アックス&ウィザーズ』
 オブリビオンである『水の大蛇』の討伐が目的となります。

●第一章
 昼間。戯れる仔竜とのバトル。森の中にたくさんいます。
 探す必要はなく、森に入ると向こうから襲いかかってきます。倒す=気絶させるなので気軽にぽこぽこしていってください。意外に強いので油断すると苦戦します。

●第二章
 昼間~夕刻。水の大蛇とのボス戦。大方の仔竜を倒すと湖の底から出現します。
 一度戦闘になると湖の中に潜ることはありません。仔竜含め、敵は言葉を喋りません。こっちはわるいやつなのできっちり息の根を止めてください。

●第三章
 時刻は夜。湖畔に咲く銀鈴蘭を見に行くことが出来ます。
 戦闘に参加しなかった、できなかった方も遠慮なくどうぞ!
 こちらの章では全員の描写を目指します。お誘いあわせの上での参加も大歓迎です。その際はお互いにIDやお名前の指定、またはグループ名を明記してご参加ください。

 大体の雰囲気はOPを参照して頂けると幸いです。
 フラグメントの【POW/SPD/WIZ】の指定は『二つの月が顔を合わせる場所』を探す為のものなので、普通に花を楽しむだけの人は気にしなくても大丈夫です。
 ※満月の夜なので人狼病の方にはつらいかもしれません。シナリオの雰囲気を壊さない程度なら凶暴化などの描写も可能です。(無差別に人を傷つけるなど危険を及ぼすものは不採用となります)

 また、呼ばれない限りはリプレイに登場しませんが、鴛海・エチカも月光に咲く花を見に行きたがっているようです。もし良ければお声がけください。
 その他、お好きな形で皆様の思うままに楽しんで頂けると幸いです。
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第1章 集団戦 『戯れる仔竜』

POW   :    じゃれつく
【爪 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    未熟なブレス
自身に【環境に適応した「属性」 】をまとい、高速移動と【その属性を纏わせた速いブレス】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    可能性の竜
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
子供の方が純粋な分、時には危うくなるなのは人も竜も変わらないか
オレも小さい頃は犬の散歩を張り切りすぎて犬をバテさせちゃったなぁ
でも今ならまだ助けられる、少し痛くさせちゃうが仔竜達にはおねんねして貰うぜ

子供と言えども竜は竜、その爪はこっちがおねんねしかねない
アースジャイアントで大地の巨人を召喚し、更にオレの巨大斧をもっとでかくさせた様な斧を持たせ、
二段構えの間合いを取って一匹ずつ確実に対処していくぜ
竜だから頑丈だと思うが、戦闘知識と気絶攻撃でなるべく痛がらせずすぐに気絶させたいな

万が一オレや他の猟兵が危険そうだったら
大地の巨人を身代りにさせて仔竜の攻撃を凌いでみるぞ


アイリ・フラジャイル
狂暴化したドラゴンの子供は気絶させればいいのね
それにしても、狂暴化させるオブリビオンだなんて
アタシ達にも影響が無ければいいけど……

ガジェットの静止した記憶を掲げてコール・リゾルブで対竜囮マシンを召喚
二足歩行でガチャガチャ動くヒトみたいな頑丈なマシンよ。武器は無い
囮に引き付けられた仔竜達は黄金竜の牙で峰打ちして
どんどん気絶させていくわ。仔竜の動きを学習して動くは無駄無くね

じゃれつかれたら剣で受け流して、火は耐える
疲れてきたら皆を鼓舞するわ
これは心を救う戦い、私達の心が折れるわけにはいかない!
放っておいたらこの子達だけじゃない、世界そのものが荒んじゃう
もう少しでボス退治だから頑張ろう! ってね



●共に進む路
 その日は雲ひとつない晴天。
 冬の風は冷たくても、樹々の間から射す木漏れ日は眩くて心地好い。
「なるほど、狂暴化したドラゴンの子供は気絶させればいいのね」
 陽だまりの中でアイリ・フラジャイル(夢見る戦争人形・f08078)は頷き、目の前に広がる森の景色を見渡した。
 一見は普通の穏やかな場所に思えても、森の奥には悪しきものが潜んでいる。
 ときおり不穏な気配が森の中を動いているのもその証だ。
 アイリは森を進む。するとその後を追うようにグァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)が小径を駆けて来た。
「おーい、お前も猟兵だよな?」
「そうよ。アンタも水の大蛇の退治にきたのね」
 オレも一緒に行かせてくれと笑みを向けた彼女の申し出をアイリは快く承諾し、二人は共に森を往く。その道中、彼女達が話すのは仔竜達のこと。
「子供の方が純粋な分、時には危うくなるなのは人も竜も変わらないか」
 自分も小さい頃は犬の散歩を張り切りすぎて犬をバテさせてしまったとグァーネッツォが語ると、アイリはおかしそうに笑んだ。
「無邪気な分だけ大変よね。それにしても……」
 アイリは先程から此方に向けられている敵意のようなものを感じ取っており、辺りの茂みや木陰に注意を向ける。
 そう感じていたのはグァーネッツォも同じ。竜は確実に此方に近付いている。
「今ならまだ助けられる。仔竜達にはおねんねして貰おうぜ」
 少し痛くさせちゃうが、と付け加えたグァーネッツォは竜骨の斧を握り締めた。アイリも倣って気を引き締めた、その瞬間。
「きゅう!」
 数匹の仔竜が可愛い鳴き声、もとい唸り声をあげて茂みから姿を現した。爪を振るいあげて迫る竜の前に踏み込み、グァーネッツォは斧で以て一閃を受け止める。
「気を付けろ、子供と言えども竜は竜だ。こっちがおねんねしかねないぜ!」
「大丈夫よ、任せて」
 アイリはグァーネッツォが攻撃を受けてくれている隙に、静止した記憶という名を冠するガジェットを掲げる。
 ――コール・リゾルブ!
 凛とした声が響き渡った刹那、対竜囮マシンがその場に召喚された。
 二足歩行で歩く頑丈な魔導兵が猟兵達を庇うように布陣すれば、グァーネッツォは口元を緩めながら数歩後ろに下がる。
「アイリ、面白い物を呼べるんだな」
 興味深そうに口にしたグァーネッツォも力を紡ぎ、自身の目の前に大地の巨人を呼び寄せた。二人と二体の構成となった猟兵達の布陣は仔竜達になど負けない強固なものだ。
「グァーネッツォもすごいじゃない!」
 腕を振るって仔竜を押さえつける魔導兵に指示を下しながらアイリは片目を瞑ってみせる。大地の巨人も巨大な斧を持ち、力強く刃を振り下ろしてゆく。
 風圧は仔竜達の身体を揺らがせた。
 だが、それに耐えた一体が巨人や魔導兵を擦り抜けてアイリに接近する。
 じゃれつくような爪の一閃は剣で受け流し、アイリは身を引いた。其処に対竜囮マシンが割り込み、仔竜をがっしりと掴んだ。
 そのまま、ぽいっと竜を放り投げれば樹の幹に頭がぶつかる。
「きゅうう~……」
「なんだ、あんな感じでいいのか」
 それだけで気絶してしまった仔竜を見てグァーネッツォは納得した。それならばこの斧の鋭利ではない部分で思いきり頭を殴ってやれば良い。
「遠慮なくやってやるぜ!」
 元より気絶攻撃を心得ているグァーネッツォには容易いこと。
 ごん、ごつん、と少しばかり可哀想な音が響いていったが、仔竜達は次々とその場に落ちていった。やがて周囲に集まっていた竜はすべて倒れ伏す。
 息を吐き、呼吸を整えた二人は顔を見合わせて微笑みあった。
「それじゃ、この調子で行こうぜ」
「目指すは水の大蛇の元ね」
 グァーネッツォの呼び掛けに頷きたアイリは掌を強く握り締めた。
 これは心を救う戦い。それゆえに自分達の心が折れるわけにはいかない。だって、放っておいたらあの仔竜達だけではなく、世界そのものが荒んでしまうから。
 この先にもきっと多くの仔竜が待ち構えているのだろう。
 それでも歩みは止めないと決め、少女達は歩き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハーモニア・ミルクティー
好き、好きよ!こういうお話!
銀鈴蘭、とても幻想的ね!
おとぎ話のようだわ!
願いが叶う言い伝えも気になるもの。
せめて、彼に想いを伝える後押しに……コホン。な、何でもないわ…!
とにかく、早く水の大蛇を倒して、平和な光景と仔竜たちを取り戻しましょう。

【SPD/スカイステッパー】
素早さなら負けていないわ!
小柄な身体と素早さを生かして戦うわよ。
ジャンプで攻撃を躱して仔竜を翻弄しながら、上空を目指すわ。
重力に逆らって、ブレスの放射は続けられるかしら?
隙を見て滑空をして、仔竜に勢い良く蹴りをお見舞いしましょう。
身体は小さくても、落下の勢いで威力はつくはずよ!



●恋する乙女の冒険譚
 翅をきらきらとはためかせ、甘やかな紅茶色の緩やかな糸髪を風になびかせて、ハーモニア・ミルクティー(太陽に向かって・f12114)は森の中を往く。
「好き、好きよ! こういうお話! 銀鈴蘭、とても幻想的ね!」
 おとぎ話のようだわ、とはしゃぐハーモニアは月光に咲く花の言い伝えを思う。
 はぁ、と溜息にも似た声を落とす彼女が想うのは或る青年。
「せめて、彼に想いを伝える後押しに……コホン。な、何でもないわ……!」
 ハーモニアは想像を巡らせて頬を染める。
 しかしすぐにはっとして、誰かに聞かれてはいなかったかしら、と辺りを見渡す。
 すると樹の陰で何かが動く姿が見えた。もしかして、と身構えたハーモニアは水を纏う仔竜の影を捉える。
「まあ、まあ! あなたが噂の仔竜さんね!」
 言い伝えもとてもとても気にはなるが、今すべきことは早く水の大蛇を倒して平和な光景を取り戻すこと。
 ぐるる、と吼えた仔竜がハーモニアを威嚇する。
 だが、彼女は怯む様子など見せずに近くの枝を蹴り、樹々の間をひらひらと舞う。
「素早さなら負けていないわ!」
 追い縋った仔竜はハーモニアに向けて水のブレスを吐いた。それを細かな跳躍と羽搏きで以て躱した妖精の少女は一気に上空に飛び立つ。
 翼を広げて舞った竜もハーモニアを追い、更なる吐息を放ってきた。
 だが――。
「重力に逆らって、ブレスの放射は続けられるかしら?」
 ハーモニアはくすくすと笑んで仔竜を見下ろす。すると息切れした仔竜の躰が上昇に耐えきれずに落ち、その身は鋭い枝葉の先に引っ掛かった。
 其処に生まれた隙を最大限に利用するべくハーモニアは宙でくるりと回る。
 勢いをつけ、滑空する彼女は大気を圧縮して駆動力へと変えた。身体は小さくても落下の勢いで威力は増す。
「ごめんなさいね! 少しだけ寝ていてくれればいいから!」
 そして、勢いに乗せた蹴撃が放たれた。
「きゅう……」
 樹枝の上に思いきり叩きつけられた仔竜は目を回して倒れる。
 ハーモニアはぺちぺちと竜を撫でた後、葉っぱで作ったおふとんを被せてやった。
「ええ、ええ! 上出来だわ!」
 必要以上に仔竜を傷付けずに済んだと感じて上機嫌に胸を張る。
 この調子ならきっと大丈夫。
 今夜に訪れるおとぎ話のような光景に思いを馳せ、少女は森の奥へ進んでゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

飾磨・霜琳
……こちとら元が簪で、荒事に向くようにできちゃァいねぇんだが……。
銀鈴蘭なァ。そんな綺麗なもん見られるんなら、その前に一仕事するのも悪かねぇだろ。

さしてとめるはお手の物、噛まれる前に
【留刺簪】で仔竜たちを倒していこうかね
近くに猟兵がいるようなら【援護射撃】も併用して助力するぜ
攻撃が飛んでくるようなら【逃げ足】でかわそう
絡みやあどりぶも歓迎だ

染まりやすいって、思春期前の純粋なお子様かィ。
そらそら、おイタしねぇでおねんねしてな!


コノハ・ライゼ
あらあら可愛らしい、ナンて言ってる場合じゃ無さそうネ

【WIZ】
倒すだけ言うても流石に切ったり喰ったりは気が引けるなぁ
沢山の相手にゃこれが一番かね、と【彩雨】呼び出し
森色に染まる氷の針を降らせよう
一体ずつ対するなら針のすべてを撃ち込んで
囲まれたならその全体へとばら撒いていくヨ

何気に反撃も痛そうだネ
防いだり回復したりする術は持たないケド
誰かが危ない時は『かばう』事くらいできるさ
痛みには慣れたもの、ってネ

さあさ、イイ子だからしばらく眠っててちょうだいな



●今は暫しの眠りを
 交差した森の小径で彼らは出会った。
「あらあら可愛らしい、ナンて言ってる場合じゃ無さそうネ」
「……こちとら元が簪で、荒事に向くようにできちゃァいねぇんだが……」
 現在、青年二人は背中合わせの状態。
 コノハ・ライゼ(空々・f03130)と飾磨・霜琳(飾磨屋・f03493)は互いに思いを零した後、周囲を取り囲む者達に視線を向ける。
 彼らは今、十体は居るかという竜の群れに包囲されていた。
「流石に分が悪いから救援でも、と思ったんだよな……」
「それがお互いに同じ状況だったとはネ」
 霜琳が自嘲気味に双眸を細めれば、コノハも肩を竦めてみせる。そう、彼らは森に入って早々に数体の仔竜に追われた。
 元より倒す気概で訪れたのだが一人で一気に相手取るには都合が悪い。
 そうして、近くに同じ猟兵の気配を感じた二人は救援と共闘を求めて駆けて来たのだが――つまり、その結果が現状の事態となる。
 しかし、此処まで来れば覚悟するしかないだろう。それにたった一人で立ち回るよりも随分と遣り易い。
 追い詰めたとばかりに迫り来る仔竜の動きを見切り、コノハは地面を蹴る。
 跳躍と同時に爪を躱した彼は反撃として彩雨を降らせた。
「倒すだけ言うても流石に切ったり喰ったりは気が引けるからなぁ」
 コノハが解き放ったのは水晶の針。森に揺らめく光を反射した氷めいたそれらは仔竜達を一気に貫き、力を削ぐ。
 霜琳も彼に続いて指先を中空に泳がせ、示した方向へ鉄簪を放った。
「染まりやすいって、思春期前の純粋なお子様かィ」
 霜琳はふとした思いを零すが、自分で言って納得してしまう。きっとそうだ。森に住まう仔竜達は純粋過ぎるのだろう。
 それゆえに仔竜達は屠る対象ではなく、あくまで倒して気絶させるだけ。
 霜琳達は必要以上に深い傷を負わせぬよう、加減をしながら立ち回っていった。
「それに、銀鈴蘭なァ。そんな綺麗なもん見られるんなら、その前に一仕事するのも悪かねぇだろ」
「そうだねぇ。そのために集まってるみたいなもの、ってネ」
 続く戦いの中で零れた霜琳の声に同意を示し、コノハも森の奥に咲く花を思う。
 自分達も、近隣の人々も、そしてこの森に住まう竜達だって満月に咲く花を見たいと願っているはずだ。
 その為に森の平穏を取り戻すと決め、二人は其々の力を揮い続けた。
 森色に染まる氷の針が仔竜を穿ち、其処に重なる形で鉄簪が舞う。だが、それらを擦り抜けた竜が霜琳に目掛けて全力のブレスを解き放った。
 されどコノハが即座に割って入り、彼に衝撃が直撃することを防ぐ。
 礼を告げた霜琳にコノハは首を振った。痛みなど慣れたもの。それよりも今はただ攻撃に転じるとき。
 さしてとめるはお手の物。貫き穿つは邪悪な気のみ。
「さあさ、イイ子だからしばらく眠っててちょうだいな」
「そらそら、おイタしねぇでおねんねしてな!」
 彼らはひといきに力を紡ぐ。
 そして暫し後、仔竜を蹴散らした二人の周りに静けさが戻った。
 きゅうー、と鳴いて倒れた仔竜達はすっかり戦う力を失くしていた。気絶と表わすよりも集団昼寝と示す方が良いかもしれない。
「随分と気持ちよさそうだケド、人の気も知らないでなぁ」
「確かに眠れとはいったけどなァ」
 コノハと霜琳は少しだけ呆れ、同時に微笑ましい気持ちを抱いて仔竜達を見下ろした。このような仔達が邪悪に染まったままであるなど赦してはおけない。
 そうして、彼らは共に歩き出した。
 湖畔まで暫しの道中。こんな縁もまた良いかもしれないと考えながら――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェム・ポー
(普通の修道服で現れ)
仔竜ちゃん達はオブリビオンの影響を受けているだけなのねぇ?
ならぁ、あんまり手荒なことをするのは可愛そうねぇ?

そうだわぁ。フェムのお歌にはぁ、共感してくれた子たちをぉ、治療してあげる力があるのぉ。
これで悪いモノをぉ、払ってあげることはできないかしらぁ?

フェムは暴れたい子を引き寄せてしまうからぁ(技能:誘惑)、仔竜ちゃん達を集めてぇ、フェムのお歌を聴かせるわぁ。
元の優しい子たちに戻るようにぃ、精一杯の祈りを込めて歌うわぁ。(技能:祈り、歌唱)

仔竜ちゃんたちのぉ、攻撃はぁ、なるべく避けるように頑張るわぁ。……昂ぶってぇ、はしたないところはぁ、見せられないものねぇ?



●慈愛の歌声
 冬の冷たさを纏う風に修道服の裾が揺れた。
 フェム・ポー(聖者の残骸・f12138)は目の前に現れた仔竜を見つめ、禍々しいオーラを纏った姿に胸を痛める。
「仔竜ちゃん達はオブリビオンの影響を受けているだけなのねぇ?」
 それならばあまり手荒なことはしたくない。
 考えるフェムに向け、水属性の力を纏った吐息が放たれた。翅を羽搏かせることで何とかそれを避けたフェムはふと思い立つ。
「そうだわぁ。フェムのお歌にはぁ、共感してくれた子たちをぉ、治療してあげる力があるのぉ。これで悪いモノをぉ、払ってあげることはできないかしらぁ?」
 うふふ、と微笑んだフェムは歌声を響かせていった。
 だが、悪しき意志に侵された仔竜がその歌に共感を覚えることはない。それだけではなく、歌声を聞きつけた他の竜がフェムを取り囲むように現れたではないか。
「あらぁ、たくさん集まって来たわぁ」
 お歌が聞きたいのかしらぁ、と首を傾げたフェムはちっとも慌ててはいない。
 こうして集まってきたのならば好都合。
 一度駄目でも二度、それでも駄目なら三度。それ以上だって歌ってみせる。そう決めた思いがフェムの裡にある。
「元の優しい子たちに戻るようにぃ、精一杯の祈りを込めて歌うわぁ」
 ――♪
 慈母の子守歌が森に響き渡っていく。
 しかし、それでも仔竜達はフェムを狙って魔力やブレスを放ち、襲いかかって来た。フェムは歌を中断して木々の間を舞い、それらを避けていく。
「仔竜ちゃんたちったらぁ……駄目みたいねぇ」
 どうやら元凶である水の大蛇を倒さねば元の仔竜には戻らないようだ。
 フェムは気を引き締めて標的に視線を向けた。そして、意を決してユーベルコードを発動させる。
「悪いけれどぉ、戯れは終わりねぇ」
 寵愛の鎖――サディスティック・チェーン。
 その瞬間、闇の光を帯びた大量の鎖が仔竜達を縛りあげ、生命力を吸い上げていった。とはいっても加減はしており、相手が気絶する程度の力だ。
「……昂ぶってぇ、はしたないところはぁ、見せられないものねぇ?」
 ふふ、と微笑んだフェムは地面に寝転がる仔竜を見下ろす。
 力を吸い取られて眠るように倒れたその姿はまるで、すやすやとお昼寝をしているかのような穏やかなものだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

朽守・カスカ
ランタン草、か
ふふ、つい興味が湧いてしまう名前だな
銀鈴蘭も気になるし
その景色を眺めるためにも
頑張るとしよう

仔竜……オブリビオンに惑わされているだけならば
殺生を避けるのは元より、ただ倒すだけでもなるべく
傷や痛みが後に残らない方法を考えないとね

【ガジェットショータイム】
そんな思いでガジェットを呼び出せば
出てきたものは…網の射出装置?
しかも、網には麻酔と睡眠の魔法が付与されてるようで
とりあえず、端から狙って撃ってみよう

最近、知性の少ない戦い方になっているけれど
未熟なブレスも、その身には良くない作用を持つようだから
気にせず、手早く倒して行こう

今少しの間はお休み
目が覚めたら
また穏やかに過ごすといいさ


花咲・まい
【POW】むむむ、これは可愛らしい仔竜さんですね。しかし油断は禁物、見てくれの愛らしさに踊らされてはなりませんですよ! ここは心を強くもって、彼らが元の穏やかな気性に戻れるよう、ぽこぽこっとさせていただきますです!

戦闘になりますですから、私は夜叉丸くんで【羅刹旋風】を使いますです。
大振りな技ではありますが、うまく使えば自分の周りの仔竜さんを一掃できるかもしれません。
あっ近くに仲間がいる場合は、当たらないよう気を付けますですね!

*使用技能:範囲攻撃、なぎ払い
*連携とアドリブご自由にどうぞ



●突き進め、乙女達
「ランタン草、か。ふふ、つい興味が湧いてしまう名前だな」
 緑が風に揺らぐ森の中、朽守・カスカ(灯台守・f00170)は思いを馳せる。
 彼女が想うのは言い伝えがある花ではなく、この森に棲む仔竜達がよく手にしているという淡く光る草のこと。
 灯に関するものに興味が向くのは生来故だろうか。
 無論、月光を受けて咲くという銀鈴蘭だってカスカにとっては気になるものだ。
「さて、その景色を眺めるためにも頑張るとしようか」
 ね、とカスカが声を掛けたのは隣を歩く花咲・まい(紅いちご・f00465)だ。
「はい! 水の大蛇なんてばばばーんとやっつけますですよ!」
 元気よく答えたまいは夜叉丸の名を冠する薙刀を握り、気合いを示してみせた。
 まいとカスカ。二人の縁が再び繋がったのは少しぶり。
 雪景色の街で共に獲物を追いかけた記憶は新しいようでいて懐かしくもある。偶然にも森の入口で再会した彼女達は即席のパーティーを組むことを決め、こうして小径を歩いている。
 そして、暫し小路を進んでいると不意にまいが立ち止まった。
「どうしたんだい?」
「むむむ、あの向こうから何か感じませんか?」
 問い掛けたカスカがまいの示す方向を見遣った、そのとき。
 ぷゃー、という鳴き声が響き、二人の前に三体の仔竜が現れた。カスカは即座にガジェットを呼び出し、まいも薙刀の切先を相手に向ける。
「これは可愛らしい仔竜さんですね」
「鳴き声も少し抜けてるのがまた……」
「しかし油断は禁物、見てくれの愛らしさに踊らされてはなりませんですよ!」
 つい気が緩みそうになるが、相手はしっかりと此方を威嚇していた。
 まいの呼び掛けに頷いたカスカは網投射のガジェットをしっかりと敵に向ける。だが、すぐに放ってしまえば仔竜達に警戒されるだろう。
 それに、仔竜がオブリビオンに惑わされているだけならば殺生を避けるのは元より、傷や痛みが後に残らない方法で倒すのが良い。
 初撃は頼んだよ、と告げたカスカの声にまいは行動で以て答える。
「ここは心を強くもって、彼らが元の穏やかな気性に戻れるよう、ぽこぽこっとさせていただきますです!」
 カスカから距離を取り、仔竜達を引き付けたまいは薙刀を大きく振り回した。
 ぶん、と風を切る音が響いた刹那、まいの刃が旋風を巻き起こす。しかし仔竜達は怯むことなく彼女へと突進してきた。
 まいは咄嗟に夜叉丸で竜爪を受け、素早く後退する。
 其処に出来た隙を狙ったカスカが射出装置を起動させた。瞬時に網が広がり、まいを狙った仔竜の躰を包み込む。
 暫しじたばたと暴れた竜は急にぱったりと動かなくなりその場に落ちた。
「良かった、睡眠の魔法が効いたみたいだね」
「それでは私はどーんと向かって仔竜さんを誘き寄せますです!」
 刃に当たらないよう気を付けてくださいね、とカスカに呼び掛けたまいの声には信頼が宿っている。その間にも竜の吐息が此方に放たれたが、まいが刃でそれを叩き斬ることをでいなしてみせた。
 まいが引き付け、カスカが網で仔竜を捕獲する。
 二人の連携は見事に繋がり、やがて戦いは静かに幕を閉じた。網の中に包まって眠る竜を見下ろし、まい達はちいさく微笑む。
「今少しの間はお休み」
「私達が悪いものをやっつけてきますから!」
「目が覚めたら、また穏やかに過ごすといいさ」
 そういってカスカ達は寝息を立てる仔竜達に別れを告げ、先を急いだ。
 まだ戦いは始まったばかり。
 この先に待ち受ける水の大蛇を思い、彼女達は進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

海月・びいどろ
仔竜って、実は遊びたがりの子、多いのかな…?

…おいで、ジェリー。
ボクたちとも遊んでもらおう。
硝子海月はボクの友達。
電子の海から喚び出したら
ふわふわ、ゆらゆら、踊ってみるよ。

ひかりの迷彩でジェリーも隠して
森の中でかくれんぼもしようか。
見つかってしまったら、ぽこっとしてしまおう。
ごめんね、ジェリーのパンチは意外と硬いでしょう?
わるいこになってしまったのなら
そのもとを絶たなくちゃ。
すこしだけ、おやすみ。

銀鈴蘭って、どんな花かな。
永遠を望むほどのねがいが、ここに集う猟兵たちにもあるんだろうな。
………見つけられると、いいよね。



●ふわふわ海月
 森に踏み入れば不意に茂みが揺れた。
 海月・びいどろ(ほしづくよ・f11200)が森を進む度、茂みの中に隠れているものも葉擦れの音を響かせながらついてくる。
 あれは森の動物などではない。仔竜だと感じたびいどろは樹々の合間を抜け、少しひらけた場所で立ち止まった。
「仔竜って、実は遊びたがりの子、多いのかな……?」
 すると茂みの音も止まり、其処から唸り声のような鳴き声が聞こえてくる。
 敵意を感じ取ったびいどろは掌を、すい、と宙に滑らせた。
「……おいで、ジェリー」
 声に呼応する形でふわふわ、ゆらゆらと電子の海から硝子海月が現れる。
 そして、びいどろは地面を蹴った。
「ボクたちとも遊んでもらおう」
 木漏れ日が揺らめく森の中、未だ姿を見せない仔竜も追いかけてくる。まるで気分は森の中でのかくれんぼやおいかけっこ。
 硝子の海月とプリズムめいたびいどろの身体が陽を反射して、影の中に光の揺らめきが映る。
 すこし楽しくなってきた。けれど、相手からの敵意は消えないまま。
 そうしてびいどろ達が大きな樹の陰に差し掛かったとき、反対側から回り込んだらしき仔竜が目の前に飛び出してきた。
 森に宿る属性魔法を放ったのか、緑の竜巻がびいどろの目の前に広がる。
 わ、と思わず声をあげたが遅れは取っていない。
 ジェリー、とその名をびいどろが呼べば硝子細工の海月が腕を振り下ろした。
 ぽこん。
 そんな音がして、仔竜はその場に倒れ込んだ。
「ごめんね、ジェリーのパンチは意外と硬いでしょう?」
 わるいこになってしまったのなら、そのもとを絶たなくちゃ。
 すこしだけ、おやすみ。
 そう告げたびいどろは気絶した竜の頭を撫で、そっとその身体を木の根元に横たわらせる。そうして歩き出す先は森の中央にあるという湖。
「銀鈴蘭って、どんな花かな」
 どう思う? とジェリーに問い掛けても友達はふわふわりと浮かんでいるだけ。
 きっと、永遠を望むほどのねがいが、ここに集う猟兵たちにもあるのだろう。
 それがどんなものなのか。今のびいどろには分からない。
 それでも。
「………見つけられると、いいよね」
 ぽつりと呟いた少年の瞳には暫し、緑の樹々の彩が映り込んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィゴ・ストーム
一般の皆さんの平和が脅かされるなんて由々しいことです。
ひとときの楽しみを守る為にも頑張ります!

森の木々などを傷つけないように留意して戦います。
攻撃する際は長剣で、攻撃された際も長剣で受けてカウンターを狙います。
足場が悪い場所などがあればライオンライドを発動して乗り越えます。
集団に襲われることがあれば無敵城塞を発動して反撃の機を窺います。
人に危害を及ぼすような行いは悪戯の範疇を超えています、
一時の気の迷いで済むうちにおしまいにしましょう。

目が覚めたら一緒に遊ぼうな、と倒した仔竜は安全な場所へ運んでおきます。
きっと美しいだろう銀鈴蘭に想像を馳せながら、水の大蛇に備えて一層気を引き締めましょう。



●守るべき物の為に
 決意を胸に、青年は森を往く。
 穏やかだったはずの森の平和が脅かされるなんて由々しきこと。
「ひとときの楽しみを守る為にも頑張ります!」
 ヴィゴ・ストーム(人間のパラディン・f09453)は長剣の柄を握り、この森に棲む仔竜達について思いを巡らせた。
 ただ此処に居ただけだというのに、オブリビオンによって悪に染められてしまったものたち。その存在を思うと救わなければという思いが強くなる。
 それに此処を住処とする彼ら自身が森を傷付けてしまうかもしれない。
「きっと誰もそんなことは望んでいないはずです」
 ヴィゴは頭を振り、警戒を強めながら森の小路を進んでいく。
 すると、不意に背後から妙な音が聞こえた。
 葉擦れの音ではあるが、それは風の所為などではない。此方を見つけて襲いに来た仔竜が立てた音だと感じ、ヴィゴは剣を抜き放った。
 その瞬間、茂みから仔竜が飛び掛かってくる。
 鋭い爪が振り下ろされると察し、ヴィゴは刃を振りあげた。爪と剣が衝突する甲高い音が辺りに響き渡り、ヴィゴは一歩後退する。
 仔竜の爪を刃から引き剥がした彼は鶯を模した木彫の鳥笛に手を掛けた。仔竜が追い縋って来る前に、奏でられる旋律は低く高く躍る。
 途端に黄金の獅子が馳せ参じ、ヴィゴはその背に跨った。
 一瞬、仔竜は怯んだがヴィゴ達に向けて威嚇の声をあげる。そのまま緑の属性を纏う魔力が解き放たれたが、獅子は素早く地を蹴る。
 命中することのなかった緑の奔流が虚空に消える中、ヴィゴは獅子と共に仔竜の背後にまわった。
 自らは猟兵であり戦う力を持っているゆえにこうして立ち回ることが出来るが、これが一般の人々相手であったら死傷沙汰だ。
「人に危害を及ぼすような行いは悪戯の範疇を超えています、一時の気の迷いで済むうちにおしまいにしましょう」
 言葉と共に刃を差し向け、仔竜へと振り下ろす。
 ちいさな悲鳴めいた声が上がったが容赦はしてはいけない。磨き抜かれた刀身は真っ直ぐな心を映すかのように相手の戦う力を削り取った。
 そして幾許かの攻防が続き、仔竜は力尽きて倒れる。
「目が覚めたら一緒に遊ぼうな」
 倒した仔竜を安全な場所へ運び、ヴィゴはその場を後にした。
 銀鈴蘭の花はきっと美しいだろう。
 そんな想像を馳せながら、ヴィゴはこの先の戦いに向けて気を引き締めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルノルト・ブルーメ
身近なものに影響を受けるのは子供ならでは、の話ではあるけれど
悪に染まって疎まれるよりも
善に染まって慈しまれる方がいいよ、君達……?

仔竜と遭遇したらさっさと眠って貰おう
特にブレスを使う仔は早急に
削らないで良い寿命を削るなんて馬鹿げてる

先制攻撃からの範囲攻撃と2回攻撃で
届く範囲の仔らを弱らせて

基本はViperのフック部分で打ち据える
フックを引っ掛けないように注意しないとね

咎力封じで無効化
近接攻撃は放たれる前にViperを爪に向けて放ち
射線をずらして直撃回避を狙う

補足
仔竜の惑わされやすさに子供らしさを感じている
彼らが疎まれるのは避けたいと思う

それは既に思春期を迎えている娘を持つ父としての本能的な何か



●子を思う心
 緑豊かな常緑の森。
 平穏なはずの其処には不穏な空気が満ちていた。
 身近なものに影響を受けるのは子供ならでは、の話。
 アルノルト・ブルーメ(暁闇の華・f05229)は自分の周囲を取り囲む気配と、悪意に染まった視線を受けながら頬を掻く。
「悪に染まって疎まれるよりも、善に染まって慈しまれる方がいいよ、きみ達……?」
 アルノルトが振り返ると闇色に染まった外套が翻った。
 その瞬間、二体の仔竜が彼目掛けてじゃれつき――もとい、鋭い爪を向けて飛び掛かって来た。
 だが、竜達に先手を取られたように見えてそうではない。
 アルノルトは既に、樹々の間に或る仕掛けを施していた。
「残念、そっちからだと当たらないよ」
 彼が指先をぴんと立てた刹那、樹々の間に張り巡らされた糸が仔竜を絡め取る。それは毒蛇の名を抱く仕掛けワイヤーだ。
 苦しげに鳴いた仔竜の一匹は絡め取られたままブレスを吐こうとした。
 だが、それを逸早く察したアルノルトは枷を放つ。見る間に轡と拘束縄が其処に加わり、仔竜の力を封じてしまった。
「痛いことは程々にして、さっと眠って貰おうか」
 その間にフックを引いたアルノルトはもう一体の仔竜の頭を打ち据え、見る間に気絶させる。ごめん、とちいさく告げた彼はそのまま残りの一体にフックを解き放った。
 ごすん、と少しだけ鈍い音がして仔竜は目を回す。
 これでアルノルトに向かって来た竜達はすべて気を失うこととなった。
「動きが分かりやすいから助かったけれど、秘めた力は相当だね」
 仔竜達と対峙してみてわかったのは油断は禁物だということ。特に放たれようとしていたブレスの直撃は避けたいと感じるほどに禍々しいオーラを纏っていた。
 これも水の大蛇とやらが齎す影響だろうか。
 仔竜の惑わされやすさに子供らしさを感じたアルノルトは、大蛇の所為で彼らが疎まれるのは避けたいと感じていた。
 それは既に思春期を迎えている娘を持つ父としての本能的な何かだ。
 そうしてアルノルトは倒れた仔竜をひょいと抱き上げた。
「この辺りが良いかな」
 暫く寝ていて、と告げた彼は仔竜達をやわらかな草の上に寝かせる。
 そして、アルノルトは歩き出した。
 未だ森をうろつく他の仔達を眠らせる為。そして、元凶を誘き出す為に――。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋翠・華乃音
満月の光で咲く銀鈴蘭か……それは一目見てみたい。
……だがまあ、先ずは花までの道を拓かないとな。

さて……子竜に恨みは無いが、少し大人しくしてて貰おうか。

先ずは森に入り「地形の利用」「迷彩」を行い、樹の枝上に潜伏。
「視力」や「聞き耳」で子竜の接近を把握し「スナイパー」として戦闘に参加。
「第六感」と「見切り」で敵の行動を予測しつつ、余裕が有れば味方への「援護射撃」も行う。
接近を許した場合には臨機応変に、ナイフや拳銃で近接戦を行う。
ユーベルコードは極力使わず、あまり子竜に致命傷を与えないように配慮する。


レイブル・クライツァ
即襲って来るとなると、不意討ちや囲まれない様
第六感と聞き耳を活用し、立ち位置には常に気を配って動くわ。
もし他の方と協力出来そうなら、フォローし合えると助かるのよ。
……可愛らしいけど、油断はしてる場合ではないし
人を襲って欲しくないから、寝かせる(物理)も仕方無い、けれど
感化されただけで、加害竜ではあるけれど被害竜なのよね。
攻撃に対して、ミレナリオ・リフレクションで相殺していくのを中心に
薙刀で峰打ち……脳震盪を狙うわ。
怪我が酷過ぎる個体は、気絶しているのが確認出来るようなら
医術の心得があるから、応急手当を施しておきたい所ね。
後で楽しみに来るのは、私達だけじゃないから、ね?



●援護と手当て
 森の小路を進み、木漏れ日に目を眇める。
「満月の光で咲く銀鈴蘭か……」
 この先にある湖畔で満月の夜にだけ咲くという花を思い、緋翠・華乃音(prelude finale.・f03169)は先を見据えた。
 人々がよく踏み入る森とはいえ湖までの道程は遠い。
 彼の花を一目見てみたいものだと口にした華乃音は周囲への警戒を怠らぬまま、歩みを進めていく。
「……だがまあ、先ずは花までの道を拓かないとな」
 不意に華乃音は立ち止まり、地面を蹴った。
 幹や枝を足場にして彼が着地したのは樹の上。その身を樹々に紛れさせて息を潜めた彼は森内の気配を探る。
 そして、華乃音は仔竜と対峙する猟兵の姿を見つけた。
 樹々がざわめき、風が頬を撫でていく。
 しかしそれは不穏さを孕むものであり、その冷たさは容赦がない。
「……可愛らしいけど、油断はしてる場合ではないわね」
 レイブル・クライツァ(白と黒の螺旋・f04529)は三体の仔竜に囲まれていた。背後から近付いて来ていた気配に気付いて何とか不意を打たれるのは避けたが、問題は相手が纏まって現れたということだ。
 人を襲って欲しくないから物理で寝かせる方法も致し方ない。だが、三方向からの爪撃やブレスが来たとしたら自分だって無傷では済まない。
 そのとき、レイブルは気が付く。
「援護は任せたわ」
 味方が近くに居る。そう感じて呟いたレイブルは地面を蹴りあげた。その瞬間、仔竜が水属性のブレスを解き放ってくる。
 身を低くしてそれを躱したレイブルは掌を掲げ、二撃目を放とうとする仔竜へと魔法陣を描いた。すると其処から同じ威力の水流が現れ、相手を穿つ。
 しかし対応できたのは一体だけ。
 残る二体の爪がレイブルを引き裂かんと迫った、次の瞬間。
 白銀の拳銃が煌めき、樹上の虚空から無音の銃弾が降り注いだ。それはレイブルが先程から存在を察していた、華乃音が放った援護射撃だ。
 咄嗟に仔竜が身を引いたことで爪はレイブルを掠めるだけに止まった。
 姿の見えぬ援護者の存在を強く感じ取り乍ら、レイブルも反撃に移る。
「手荒なことはしないでおくわね」
 薙刀を手にして仔竜との距離を詰めた彼女は峰打ちを行なって相手を気絶させた。
 これで後二体。
 一体はレイブルを狙っているが、もう一体は銃弾を放った華乃音を探している。
 そしてがさがさと樹を揺らしながら近付いて来た仔竜を見遣り、華乃音は枝から素早く飛び降りた。
「来たか……子竜に恨みは無いが、少し大人しくしてて貰おうか」
 地上で戦っている仲間の援護を考えるならば身を隠したままではなく、自ら接近戦に持ち込む方が優位を取れる。
 ナイフを抜き放ち、仔竜が放った緑の属性攻撃を魔力ごと切り払った華乃音は即座に漆黒の拳銃に持ち替えた。
 そして放つのは銃弾――ではなく、銃把での殴打。
 重い音が響いたと思った瞬間には仔竜は地に落ちていた。
 その頃にはレイブルが二体目を見事に気絶させており、地面には三体の仔竜が転がることになる。
「致命傷にはなっていないと思うが……」
「瘤が出来ているようね。少し手当をしておきましょうか」
 華乃音が目を回して倒れた仔竜を覗き込むと、レイブルが手早く応急手当てを施していった。彼らを止めておくのも大事だが、きっと仔竜達も銀鈴蘭が大好きなはず。
「後で楽しみに来るのは、私達だけじゃないから、ね?」
「違いないな」
 レイブルの言葉に華乃音は頷き、湖畔があるという方向を見つめた。
 あの先に森を惑わせる存在――水の大蛇がいる。
 二人は必ず首魁を倒すと決め、森の奥を目指してゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

赫・絲
う……えー……困るなー、可愛い。
もー、キミ達が惑わされなかったらこうやって戦わなくてもよかったんだけどなー。
こればっかりは仕方ないか。

射出した糸を手で繰れば油断の色などありはしない
攻撃は【見切り】を使い最低限の動作で避け、捌きながら
木々の間を縦横無尽に駆け、糸を張り巡らせる
それは相手が逃げる先を狭め、追い詰めるための糸

その上で相手の死角から放つ100本もの糸には【属性付与】と【全力魔法】で増幅させた最大出力の雷を纏わせて
捉えたならば、この糸は逃がさない
その場に縫い止めるように、一撃で気絶させるだけの雷が轟音とともに糸の上を迸る

ごめんね?
恨みはないけど、ちょっとの間お休みしててよ。



●廻り糸風
 緑の葉が風に舞い、ちいさな水溜まりに落ちた。
 水中に波紋が広がっていく最中、赫・絲(赤い糸・f00433)は溜息をつく。
「う……えー……困るなー、可愛い」
 絲が見つめているのは森の小路の先。
 更には其処を通せんぼするかたちでふわふわ浮いている仔竜だ。
 彼らはぴいい、ぴぃ、と鳴き声をあげて威嚇しているのだが、絲にとってはそれが可愛くて仕方がない。竜とて本気なのでそのギャップが反則級だ。
「キミ達が惑わされなかったらこうやって戦わなくてもよかったんだけどなー」
 もー、ともう一度深く息を吐く。
 今にも飛び掛かって来そうな仔竜を見つめ返し、絲は肩を竦めた。
 そして――。
「こればっかりは仕方ないか」
 これまでとは違った声色が落とされた刹那、四方に糸が射出された。驚いた様子を見せる仔竜から目は話さず、絲はそれを手繰る。
 其処に油断や容赦は一切ない。
 仔竜も爪を振りあげて迫るが、彼女は身を軽く逸らしただけで躱してしまう。勢いを削がれた相手と一気に距離を取った絲は縦横無尽に樹々の間を駆けた。
 竜もそれを追おうとするがなかなか捉えきれない。今や絲が仔竜を追い、逃げ場を狭めているような形だ。
 追い詰められているとは知らず、仔竜は咆える。
「可愛い声だね」
 そして、紫彩の双眸が細められた刹那。
 佰本もの雷の属性を纏う鋼糸が仔竜を捉えた。有り丈の魔力を乗せて解き放たれた最大出力の一撃――否、体感では百撃にも至るそれは仔竜を絡め取る。
「でも、ごめんね?」
 捉えたならば、この糸は逃がさない。
 雷が轟音とともに糸の上を迸り、弾けるような音が辺りに響き渡った。
 その場に縫い止めるように一瞬で相手を気絶させた絲はリールを巻き取り、すぐに仔竜を解放してやる。
「恨みはないけど、ちょっとの間お休みしててよ」
 ぽんぽん、と仰向けになった仔竜の腹を撫でた絲。
 その言葉は戦いの最中よりも幾分かやわらかく、森に吹く風に乗ってそっと消えた。だが、緩みかけた双眸を凛とひらいた絲は静かに振り返る。
「さて、次は……キミ?」
 視線の先には音を聞きつけて訪れた新たな仔竜がいた。
 まだまだ手がかかりそう、なんてことを呟きながら、絲はふたたび身構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イア・エエングラ
おとぎばなしのよな、森だこと
あらあら、随分、元気ね。
僕とも遊んで、くださるかしら。

死霊の子らは加減ができないから、僕がお相手、しようねえ
お招きするのは彼岸の火
冷たい炎を一つに二つ、三つと呼んで境をしこうな
さて、こっちへ来ては駄目よう
火傷をなさってもしらないよ
きっと焼きは、しないけど
じゃれつくのも元気で結構だけど、人を襲ってはいけないものね
僕も加減は、得意でないの、痛かったらごめんなさいな

あらあらやっぱりかわいそ、かしら
惑わされないよになったら良いねえ
ちいさな子が落ちるなら、そっと木陰におきましょな
醒めたらきっと、また楽しく遊んでね



●火の粉舞う
 ――おとぎばなしのよな、森だこと。
 小鳥の声が響く緑の景色の中、巡らせた思いは言葉になって零れ落ちた。
 だが、今の森は邪悪な気配に満ちている。
 イア・エエングラ(フラクチュア・f01543)は遠くで聞こえる剣戟の音に耳を澄ませ、誰かが仔竜と戦っているのだと感じた。
 そして今、イアの近くにも敵意を纏った竜が近付いてきている。きゅううと鳴いて威嚇している様子の仔竜を見つめ返し、イアは掌を差し伸べる。
「あらあら、随分、元気ね。僕とも遊んで、くださるかしら」
 幾ら可愛らしくやんちゃそうであっても、その意志は悪いものに侵されていた。
 刹那、イアは一歩身を引いて振るわれた爪を避ける。
「僕がお相手、しようねえ」
 死霊の子らは加減ができないから、と口にした彼は掌に彼岸の火を招いた。
 尚も仔竜は襲い掛かって来ようとしたが、冷たい炎を一つに二つ、三つと呼べば、境界線めいた軌道が描かれる。
「さて、こっちへ来ては駄目よう。火傷をなさってもしらないよ」
 きっと焼きは、しないけれど。
 そういって力を揮うイアの炎を惧れたのか、仔竜はたじろぐ。
 じゃれつくのも元気で結構だが、人を襲う気質のままで放ってはおけなかった。
「僕も加減は、得意でないの、痛かったらごめんなさいな」
 その声を聞き、背を向けて逃げ出そうとする仔竜。
 しかしイアが指先でその背を示せば、奔る焔が一つ、二つと翼を穿った。地に落ちた仔竜がじたばたと暴れたがイアはゆっくりと其処に近付いていく。
 ゆらり、歩み寄る彼に虞をなした仔竜はこてんと転がった。
 先程の火の当たり所が悪かったのか、いつの間にか仔竜は戦う力を失っていたようだ。イアは屈み込み、気を失った仔を撫でる。
「あらあらやっぱりかわいそ、かしら」
 惑わされないよになったら良いねえ、と竜を抱き上げたイアは辺りを見渡した。
 丁度近くに木陰があることに気付いた彼は仔竜をそっと下ろしてやる。この森に満ちる禍々しい気さえなければこの子達も無邪気なままであったというのに。
「醒めたら、楽しく遊んでね」
 きっとまた、夜に。
 昏い帳が落ちる頃にはもうこの森の邪悪は祓われているだろうから。
 湖畔に向けて歩き出したイアの眸は、真っ直ぐに先を見据えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

壥・灰色
このあとのお楽しみを本題にしてるって猟兵も沢山いるだろう
及ばずながらお手伝いと行こうかな

全力魔法。魔術回路『壊鍵』を起動し、「衝撃」を四肢に装填
脚に籠めた衝撃を炸裂、爆発的に踏み込み無数の拳打を放つ
普段ならば出力は致死級に設定して全力で殴るが、今回はダウンが取れれば充分って事だから控えめにしていくよ
……よく見たら愛嬌のある顔をしてることだしね


とはいえナメてはかからない
攻撃を食らいそうなら、脚に溜め直した衝撃を使用してステップ、回避
接近しては拳の弾幕を張り、仔竜たちを確実にKOして回る

悪いことは悪いと、覚えて貰わないとな
仕置きで済むならそれが一番いい。さあ、どんどんいこうか



●砕け壊鍵、屠れ禍災
 遠くから響く小鳥の囀り。樹々の間を吹き抜ける静かな風。
 何処かに小川が流れているのか、せせらぎの音も耳に届いた。緑豊かな森は一見、穏やかに見えた。
 だが、壥・灰色(ゴーストノート・f00067)は知っている。
 この場所には今、邪悪なる存在が潜んでいることを。
 ――起動。魔術回路、『壊鍵』。
 衝撃が森の樹々を揺らし、旋風が巻き起こる。
 舞った木の葉が地に落ちるよりも疾く、灰色はその衝撃を四肢に纏って駆けた。
 雷鳴にも似た音が弾ければ青白いスパークが迸る。そして狙うのは眼前に現れた仔竜達。此方の気配を悟って来たらしく、森の奥から姿を見せた四匹の竜だ。
 それらが身構える前に灰色は攻勢に入っていた。
 爆発的に踏み込み、放った無数の拳打は仔竜の身を吹き飛ばす。
 悲鳴めいた鳴き声が上がっても灰色は其方を気に掛けることもなく、次の一体に狙いを定めた。その姿は暴力という概念が人の皮を被っているかのよう。
 とはいえ致死級に設定された普段に比べて、出力する威力は弱められている。
 それでも相手はオブリビオンの影響を受けているもの。
「油断する気はない」
 静かな言葉を落とした灰色は再び動こうとするが、仔竜からも水を纏う属性魔法が放たれた。左右から迫る水流は普通ならば到底避けられそうもない。
 だが、彼は脚に装填された衝撃を用いて頭上に跳んだ。
 一足で樹の上に跳躍した灰色が地上に視線を向けると、水流が衝突しあって相殺される光景が見える。仔竜達は何が起こったのか理解できずに辺りをきょろきょろと見回しているようだ。
 そのまま灰色は重力に身を任せて落下する。
 彼の姿は宛ら流星の如く、青の一閃となって森の中に煌いた。
 そして一瞬後、勝負は決する。
「こんなものでいいか。……よく見たら愛嬌のある顔をしてることだしね」
 地面に立ち、土埃を払う灰色の足元には四体の仔竜が転がっていた。
 そのどれもがただ目を回して倒れているだけ。相手に多少の傷はみえたものの、致命傷には至らないと判断した灰色は森の奥に目を遣った。
 この森の湖畔に咲く花を楽しみにしている者も沢山いるだろう。
 彼らの為に、森自体の為にも力を揮いたいと思った。
「悪いことは悪いと、覚えて貰わないとな。仕置きで済むならそれが……と、」
 一度言葉を止め、また来たか、と口にした灰色は茂みの向こう側から飛んでくる仔竜の姿を捉えた。起動させたままの力を確かめるように地を踏み締めれば、蒼白い光が小さく弾ける。
「――さあ、どんどんいこうか」
 そうして灰色は表情を変えぬまま、新たな標的を瞳に映した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワン・シャウレン
趣ある言い伝えじゃな。
体験出来る機会とあらば是非もない。
こちらの世界の初仕事じゃ。
オブビリオン退治もきっちりと、悔いのないようにせんとの。

仔竜か。
普段はおとなしいというだけあって、愛らしい姿をしとるの。

少々気は引けるがそこはやはり竜。
なかなか油断できぬ能力のようじゃ。

やり過ぎず気絶させるにはやはり直接叩くのが加減しやすかろう。
加減出来る分、容赦はせんぞ。
仔竜の攻撃はミレナリオリフレクションでの相殺を狙い凌ぎ、
間合いを詰めたら仔竜をぽこぽこしていこうぞ。

すまんのう。後ですっきり落ち着いたら遊んでやろうの。



●言い伝えを求めて
 花に思いを籠めれば願いが叶う。
 それは何処にでもある言い伝えかもしれないが、不思議と信じてみたくなる。
「趣ある言い伝えじゃな」
 ワン・シャウレン(潰夢遺夢・f00710)は初めて感じるこの世界の空気を確かめ、空色の瞳の双眸をゆるりと細めた。
 風は淡金色に艶めく髪を揺らし、森を吹き抜けていく。
「さて、オブビリオン退治もきっちりと、悔いのないようにせんとの」
 顔をあげたワンが見据えた先には邪悪なオーラを纏う仔竜の姿があった。
 仔竜か、と口にした彼女は身構え、相手の出方を窺う。
「きゅー」
「普段はおとなしいというだけあって、愛らしい姿と声をしとるの」
 竜の鳴く声に一瞬だけ気を緩めたワンだが、その瞳に宿るのは敵に向ける意志。幾ら可愛かろうとも今の仔竜はオブリビオンの手先。
 それを救う為にも今、自分は此処にいる。
 刹那、緑の属性を纏った仔竜がワンに魔力を解き放った。咄嗟に避けようと身を引いたワンだったが、その一閃は髪を掠めて迸る。
「少々気は引けるがそこはやはり竜。なかなか油断できぬ能力のようじゃ」
 改めて敵の厄介さを実感したワンはどうすべきか考えた。
 殺してしまうのは簡単だ。しかし、そうなればただ操られているだけである無辜の命を潰えさせることにもなる。
 見れば仔竜は再び属性魔法を放とうとしていた。
 ならば、と腕を胸の前に掲げたワンは魔力が舞った瞬間に全く同じ力を紡ぐ。緑の奔流は真正面から衝突しあって双方の力が消滅した。
「加減出来る分、容赦はせんぞ」
 驚く仔竜に隙が出来たと察し、ワンは一気に間合いを詰めようと駆ける。
 しかし相手も近付かれまいとブレスを吐く。跳躍して何とかそれを躱したワンは着地と同時に腕を伸ばした。その理由は、もう一度竜の吐息が来ると察したからだ。
「効かぬ」
 短く言い放ったワンはブレスを相殺し、間近からの一撃を凌いだ。
 そして――。
 鋭角からの手刀が首元に放たれ、どさりと仔竜が地に落ちる音が響いた。
 これでよかったかの、と気絶した竜を見下ろしたワンはその身を優しく撫でてやる。後は寝かせておけばそのうち目を覚ますだろう。
「すまんのう。後ですっきり落ち着いたら遊んでやろうの」
 仔竜にそっと告げ、ワンは湖畔を目指す。
 夜が巡る頃には森に満ちる邪悪も消えているはず。そう、信じて――。

成功 🔵​🔵​🔴​

セツナ・クラルス
自ら望んで他者に害をなそうとするなら
此方もそれなりの覚悟で挑まねばならないが
それが本意ではないなら
あるべき姿に正してやるのも
私の務めではないかな
さあ、ゼロ
彼らの罪を未然に摘み取ることにしよう

別人格ゼロを召喚し共に戦う
ゼロの一人称はオレ
セツナよりも目付きも口も悪い

ゼロと背中合わせになり
死角を作らないようにする
致命的な一撃を喰らわないように注意しながら、
反撃の機を伺う
此方から打って出るのは苦手でね
あなたたちの力を利用させて貰うよ
反射できそうなら人形に反射させ、
模倣できそうなら別人格に模倣させようか

誰かの傀儡となるのは
誇り高い子竜達には屈辱だったろう
よく頑張ったね
もう大丈夫だよ



●二人の呼吸
 森に満ちる空気には淀みが見えた。
 この気配が善良だったはずの仔竜を悪に染めてしまったのだろう。
 セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)は小径を行き、辺りの気配を探る。何処からか風の音が立てるのではないざわめきが聞こえた。
 きっとあれが仔竜達の気配だろう。
 自ら望んで他者に害をなそうとするなら此方もそれなりの覚悟で挑まねばならない。しかし、今回はそれが本意ではないとセツナは知っている。
「あるべき姿に正してやるのも私の務めではないかな」
 ――さあ、ゼロ。
 おいで、と愛し仔を喚ぶとセツナの傍にもう一人の己であるゼロが現れた。
 背中合わせになる形で彼らが立てば、茂みから二体の仔竜が飛び出してくる。
「彼らの罪を未然に摘み取ることにしよう」
「さっさと終わらせるぞ」
 セツナが呼び掛けると、ゼロは鋭い視線を竜に向けた。自然と左右から囲まれることになるがセツナ達は確りと相手を見据える。
 攻勢に出るのはやや不得手。それゆえに狙うのは反撃。
 だが、片方の仔竜が物凄い勢いで迫って来た。その爪がセツナの身を斬り裂かんと振り下ろされた、瞬刻。
「おい、セツナ!」
 ぶっきらぼうな声が響いたかと思うとセツナの腕がゼロによって強く引かれた。
 そのおかげで爪の軌道から逃れたのだと気付く。何やってるんだと呆れたような眼差しが向けられるが、セツナは双眸を緩く細めた。
 二人は背を守りあいながら解き放たれるブレスや属性魔法を避けてゆく。互いに死角を補っているからこそ致命的な一撃は避けられていた。
 しかしセツナは敢えて水流の魔力を受け止め、痛みに耐え乍ら地を踏み締める。
「無理すんなよ」
「ええ。けれど、これなら――」
 ゼロからの視線を受け、セツナは反撃の機が整ったと告げた。
 仔竜を見据えた彼は防御した力を新たな能力へと転化して、ゼロに分け与える。
「あなたたちの力を利用させて貰うよ」
「結局やるのはオレなんだよな。仕方ねえな」
 舌打ちをしながらも身構えたゼロは一瞬だけ目を閉じた。そして、天高く掲げた腕をひといきに振り下ろす。
 次の瞬間、模倣された水流の魔力が仔竜達を激しく穿った。
「終わりだ」
 これでいいだろ、とセツナの方に振り返ったゼロは肩を竦める。その足元にはぐるぐると目を回して倒れる竜達の姿があった。
 きっと、誰かの傀儡となるのは誇り高い子竜達には屈辱だったろう。
「よく頑張ったね、もう大丈夫だよ」
 セツナは気を失った仔竜を安全な木陰に移動させ、静かに笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジェイクス・ライアー
どんな生物でも子どもというのは無邪気なものだな。善しにしろ悪しにしろ。
彼らに罪はない。
来なさい、遊んであげよう。

●戦闘方法お任せ(イメージは以下の通り)
軽い身のこなしでダンスでも踊るように仔竜の攻撃を回避。
傘型の銃を持っているが、銃としては使用しない。
指輪に仕込んだワイヤーに絡めて動きを封じたり傘の柄に引っ掛けて投げ飛ばしたり。
特殊な能力(魔法や怪力)はあまりなく、自前の武器を駆使して戦う。戦闘知識が豊富で地形利用に長けている。

●以下補足
地球出身紳士。
今回は任務の一環として参加。普段は殺しばかりしているため殺さずという加減が苦手。少々手こずるかもしれません。


泉宮・瑠碧
森の中というのは、やはり落ち着くな…
近くの木をそっと撫で
…出来る限り、
森にも戦いの被害が出無い様に気を付けよう

仔竜達が気絶で済むのは良かったが…
それでも、巻き込まれたばかりに、災難だな
後で改めて謝るが…痛い思いをさせて、すまない

仔竜達側の攻撃にも範囲があるものが多いので
第六感も使い、消去水矢で相殺を狙う
次はどの攻撃か、どの部位に力が集まるか、よく見る
水などの方が多そうではあるが
もし火の属性があれば真っ先に消す

なるべく木々の気配に身を隠して
相殺や援護射撃を
広い場所なら、撃った水の矢を空中で分散させて範囲攻撃

自身が狙われる様なら木には隠れず
動きを見ていた事による見切りか
精霊の守護によるオーラ防御



●元凶への路
 常緑の樹々の間を静かな風が翔けてゆく。
 森の路の途中、立派な幹を持つ樹へと手を伸ばし、泉宮・瑠碧(月白・f04280)は自然から感じる穏やかさに身を委ねる。
「森の中というのは、やはり落ち着くな……」
 淡い青の髪が風に揺れる中、瑠碧は森をゆっくりと見渡した。
 この場所は今、過去から蘇った邪悪な残滓によって侵されかけている。出来る限り森にも戦いの被害が出ないよう戦いたいと願い、瑠碧は歩き始めた。
 そうして暫く先に進んだとき、瑠碧は何処かから響いた鳴き声に気が付く。
 しかもその声は一体だけのものではないようだ。
「もしや既に誰かが仔竜と遭遇したのか」
 加勢としてすぐに参じなければと感じ、駆け付けた彼女が見たのは数体の竜に囲まれたジェイクス・ライアー(素晴らしき哉・f00584)の姿だった。
「来なさい、遊んであげよう」
 ジェイクスは今しがた仔竜に遭遇したばかりらしく、彼らを手招く。
 そして彼も瑠碧が駆け付けたことに気付いたようで静かな視線を送った。その眼差しは、共に戦おう、と告げている。
 瑠碧が頷くと、仔竜達の何匹かが其方に向かった。
 だがそれで良い。これでジェイクスが集中攻撃を受けることは防げるだろう。
 仔竜は先ずジェイクスを狙い、爪を振りあげた。
 されど彼はその軌道を読んで地を蹴り、軽やかなダンスを踊るかのように一閃を躱す。続けて別の竜から放たれた緑の魔力は振り抜いた黒傘で受けていなした。
 瑠碧もまた、解き放たれるブレスを既の処で避ける。
「それなりの力があるようだな」
「何、問題はない」
 警戒を強めた瑠碧の言葉にジェイクスが答え、仔竜達を見据えた。
 確かに厄介だが攻撃は単純だ。それに今は一人で戦っているのではない。瑠碧も負ける気はないとして、竜からの攻撃をオーラで防御してゆく。
 そうして彼女は魔法の水弓を引き絞った。
 ――アクア・イレイズ。
 それは再び解き放たれたブレスに向けて放たれ、衝撃は相殺される。
「後で改めて謝るが……痛い思いをさせて、すまない」
 瑠碧は怯んだ仔竜に向けて更に精霊弓の弦を引く。一瞬で形成された水の矢は対象を貫き、打ち落とした。
 同時にジェイクスも自分に向かってくる仔竜に対して指先を向ける。途端に指輪に仕込まれたワイヤーが放たれ、相手を絡め取った。
 そのまま傘の柄に引っ掛け、仔竜を投げ飛ばしたジェイクスは短く息を吐く。
「どうにも手こずるな」
 仔竜を相手取ることに問題はない。だが、殺さずという加減が彼にとってはどうにも難しい。すると言葉の意味を感じ取った瑠碧がジェイクスに視線を向けた。
「引き付けておいてくれるか。この矢で力を削いでみせよう」
「任せられるかね。頼もしい限りだ」
 ジェイクスは瑠碧からの申し出を受け、仔竜達をふたたび手招く。
 単純な竜達は彼に群がるように飛び掛かっていった。その姿から視線を外すことなく瑠碧は水弓の弦を引き絞る。
 次はどの攻撃か、どの部位に力が集まるか。そして、動きの癖はどうなのか。
 戦いながらも竜の動きを観察していた瑠碧は、竜と踊るように駆けるジェイクスの姿を瞳に映す。そして――。
「今だ、避けてくれ」
 瑠碧の呼び掛けと共にジェイクスが身を引いた。其処に打ち放たれた矢は空中で分散し、降り注ぐ矢の雨となって舞う。
 やがてすべての仔竜が地に伏し、見事に気絶した。
「巻き込まれたばかりに、災難だな」
「どんな生物でも子どもというのは無邪気なものだな。善しにしろ悪しにしろ」
 瑠碧が倒れた竜達を見下ろすと、ジェイクスは彼らに罪はないと首を振る。
 悪とされるのはオブリビオンである水の大蛇。
 二人は視線を交わした後、其々に元凶が巣食う湖に続く道を辿ってゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天星・暁音
【天星零と参加】

先ずは仔竜たちの群れかぁ。
普段から悪い事をしている訳じゃないみたいだから余り手荒な事したくないけどそういう訳にもいかないよね。
可哀想だけど大人しく落ちてもらおう。
こういう状況でなければ一緒に遊んであげたいとこだよね。
弾幕は相手に合わせて属性を切り替えて有効な属性で攻撃していかないとね。


「まあ仔竜たちには悪いけど零達と一緒なら問題なく終わるよ」


高速詠唱・範囲攻撃・全力魔法で相手に有効な属性で弾幕を張り仔竜を迎撃します。
抜けてきた仔は銀糸で絡めて優しく落とします。

同時参加不可なら二人とも流してください。


天星・零
天星暁音と参加

『困り者ですね。仔竜は犠牲者みたいなものですからね。罪はないですし大変心苦しいですが‥‥落ち着いて貰いましょうか。』

・暁音に対して
『僕も竜のオブリビオンとは遊びたいなぁ。終わったら遊べるかな』



万が一に備え【第六感】を働かせる


武器『Ø、グレイヴ・ロウ、マフェッドスレッド』【ウェビル・ジョーカー・オブ・ウィスパー】を使い【フェイントや騙し討ち】を入れながら暁音と連携

ブレスはウェビルで対抗、自身も武器で防御

隙を見て『マフェットスレッド』を【毒使い】の技能でいっても気絶くらいの毒性の毒を塗って放つ。

ウェビルの喋り方‥一人称、二人称、語尾は安定しない設定なのでお任せ

零の喋り方‥ステシ参照



●天と星の導き
 少年達は辺りを見回し、森の景色を瞳に映す。
「先ずは仔竜たちの群れかぁ」
 星杖シュテルシアを抱え、天星・暁音(貫く想い・f02508)は此度の戦いについて考えた。聞いたところによると森の仔竜達は普段から悪いことをしているわけではないらしい。
「あまり手荒な事したくないけどそういう訳にもいかないよね」
 暁音は首を軽く傾げ、一緒に行動する天星・零(多重人格の霊園の管理人・f02413)をそっと見上げた。
「困りものですね。仔竜は犠牲者みたいなものですからね。罪はないですし大変心苦しいですが……落ち着いて貰いましょうか」
 零も竜への思いを抱き、十字架を強く握り締める。
 そして、立ち止まった零は暁音に目配せを送った。
「さっそく来たみたいだね。可哀想だけど大人しく落ちてもらおう」
 暁音も敵の到来に気付いて杖を確りと構える。頷きあった少年達は襲いかかってくる仔竜を強く見据えた。
 零は即座に、喋るピエロ姿のオブリビオン、ウェビルを呼び寄せる。
「呼んだか?」
「はい、あの仔竜を倒してください」
 ピエロがからからと笑って問い掛けると零は仔竜を示した。その間に暁音が詠唱を紡ぎ、全力の魔力弾を解き放つ。
「まあ仔竜たちには悪いけど零達と一緒なら問題なく終わるよ」
 零に信頼を寄せた暁音は、そのまま軽く跳躍した。すると今まで彼が立っていた場所を仔竜が放った水の奔流が襲う。
 間一髪だったと安堵した零はウェビルにブレスに対抗するよう願い、自分も十字架を強く握り締めた。次の瞬間、十字架は槍のような骨へと代わり、もうひとつの人格である夕夜が表に出る。
「一体だけなら丁度いい。速攻で片を付けようぜ!」
 骨槍を敵に差し向けた夕夜はひといきに仔竜との距離を詰めた。
 動きを封じる為に突き放った一閃は見事に標的の腕に命中する。それを見つめていた暁音は少しだけ仔竜の躰が心配になったが、どうやら竜だけあって丈夫らしい。
 それなら後は力を削っていくだけだとして、暁音は杖先で魔法陣を描いた。
 天に描いた陣から星の光の奔流が降り注ぎ、仔竜を包み込む。
 暁音と夕夜は頷きあい、次で終わらせると心に決めた。
「行くぞ、付いて来いよー!」
 ウェビルが勢いよく突撃し、竜が放つブレスを受け止める。その隙を狙って夕夜が背後に回り込み、暁音も再び裂光流星を解き放った。
 途端に眩い光が戦場に満ちる。
「これで終わりだ!」
 好機を感じた夕夜は虚空から刃を引き抜き、そして――ひといきに振り下ろした。
 そして、仔竜は気を失って倒れる。
 大丈夫かなぁ、と竜の背を撫でた暁音は夕夜から零に戻った少年をふたたび見上げる。きっと平気だよ、と笑んだ零もまた、仔竜の頭をそっと撫でてやった。
「こういう状況でなければ一緒に遊んであげたいとこだよね」
「僕も仔竜とは遊びたいなぁ。終わったら遊べるかな」
 少年達は平和が戻ったときのことを思い、森の奥へと歩を進めていく。
 きっとまもなく敵の首魁が現れる。そんな予感を抱き、彼らは気合いを入れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レクシー・ジー
やんちゃなこどもは可愛らしいけれど、おいたは駄目よ
目を醒ます為に少しおやすみ

森の環境を傷めないよう気をつけながら戦うの
敵の攻撃はミレナリオ・リフレクションやステッキで受け流し
精霊銃を撃ち放ち戦意を失うまで凍えていて貰うわ
複数を相手取るときはエレメンタル・ファンタジアを使用
木の葉や蔦の竜巻に巻き込みながら反省を促すの
火や熱を生じる精霊には呼び掛けないよう心得て
倒した仔竜達はひとところへ集めて休ませてあげる
悪い夢を見たと思えばいいの
早く良い子に戻ってね

綺麗でしょうね、銀鈴蘭
人々の安寧と楽しみの為にも精一杯力を尽くすわ



●緑と凍て付く銃弾
 水流が森に散り、陽を反射した飛沫がきらきらと光る。
 その光景は見た目だけなら綺麗で美しいものかもしれない。だが、戦いの真っ只中にいるレクシー・ジー(凍て蝶・f09905)にとっては厄介なものだった。
 迸る水流は悪しき意思に侵された仔竜が放つもの。
 そして、それを反射する鏡映しの水流はレクシーが放ち返したものだ。
「やんちゃなこどもは可愛らしいけれど、おいたは駄目よ」
 繰り出される爪を風精霊の杖で受け、レクシーは仔竜達を見遣る。
 その数は三体。
 群れを成して現れた彼らはレクシーに容赦なく襲い掛かって来ていた。
 威嚇の声をあげてブレスを放とうとする相手の動きを察し、レクシーは咄嗟に身を翻す。だが、このままでは放たれた水流が緑樹を押し倒してしまう。
 そう察したレクシーは地面を蹴り、傍にあった若木から素早く離れる。その為にブレスの直撃を受けてしまったが、森に棲むものの手によって緑が潰えるよりは良い。
 そして、レクシーは痛みに耐えながら回転式拳銃を構えた。
「目を醒ます為に少しおやすみ」
 戦意を失うまで凍えていて、と告げた彼女が放った一閃は仔竜の翼を貫き、その身を地に伏せさせる。
 後二体、と視線を側面に向けたレクシーは意識を森に向けた。
 紡ぐ力に呼応させていくのはこの地に満ちるエレメンタルの意志。
「――お願いね」
 言葉と同時に周囲に風が巻き起こる。木の葉や蔦の竜巻が見る間に仔竜を巻き込み、暴れることへの反省を促すかのように巡っていった。
 それでも抵抗する仔達にレクシーは自ら銃口を向け、氷の嘆きを撃ち放つ。
 やがて、「きゅう……!」と悲鳴めいた声があがり、竜達は地に落ちた。
 激しい戦いだったが何とか彼らを気絶させることが出来たようだ。レクシーは傷の痛みを堪えるようにして僅かに片目を細めた後、倒れた仔竜を一匹ずつ抱きあげる。
 草が生い茂る小川の傍に竜達を集めた彼女は、これでいいわ、と息を吐いた。
「悪い夢を見たと思えばいいの。早く良い子に戻ってね」
 気を失った仔竜にやさしく声を掛けた後、レクシーは立ちあがる。
 歩む先、目指すのは森の湖畔。
「綺麗でしょうね、銀鈴蘭」
 其処に待つ大蛇と言い伝えの花を思い、レクシーは精霊銃をそっと握り締めた。
 人々の安寧と楽しみの為にも精一杯力を尽くすと心に決めて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『水の大蛇』

POW   :    水の身体
【液体の身体により】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    口からの水弾
レベル×5本の【水】属性の【弾丸】を放つ。
WIZ   :    身体の復元
【周囲の水を体内に取り込み】【自身の身体を再生】【肥大化を行うこと】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●対決、水の大蛇
 オブリビオンの影響を受け、悪意に染まっていた仔竜達。
 彼らは森に訪れた猟兵達の手によって残らず、それはもう一匹も逃すことなく、完膚なきまでに倒された。
 その証に、森の至る所では戦い疲れてすやすやと眠る竜達の姿が見られる。
 仔竜達はあれでもドラゴンの一種なのでとても丈夫らしい。きっと夜になる頃にはすっかり元気になっていることだろう。

 だが、まだ終わりではない。
 湖畔に辿り着いた猟兵達は湖の底から何かが昇ってくる姿を捉えていた。
 不意に水面に大きな影が映った。
 そして影は激しい水飛沫をあげながら水上に舞い、地面に着地する。
 それは音もなく吼え、猟兵達を睨み付けた。
 牙を剥き出しにして威嚇するその姿からは禍々しいオーラが溢れている。まるで躰のすべてが水で構成されているかのような大蛇は、どうやら森や湖に人が踏み入ったことに酷く怒っているようだ。
 だが、憤るのは筋違い。この森は元から水の大蛇のものなどではない。
 この世界の人々や此処に生きる者達の大切な場所だ。
 しかし、骸の海から蘇ったオブリビオンはそんなことなどお構いなしに此方を邪魔者と見做し、排除せんとして動き出す。
 さあ、此処からが猟兵としての腕の見せ所となる。
 緑豊かな森と湖畔に平穏を取り戻す為――今こそ、悪を打ち倒すときだ。
壥・灰色
壊鍵、撃殺式
起動

両手にメリケンサック――衝拳を填め直し、そこに壊鍵の威力を増幅する「撃殺式」を宿す
仔竜達には見せなかった完全戦闘態勢だ
前哨戦よりも出力を上げた「衝撃」を四肢に宿し、とん、とん、と軽くステップ

水で出来た大蛇にどの程度攻撃が通用するかは微妙なところに思えるかもだけどね
――おれは知ってる。死ぬまで殴れば、死なないオブリビオンなぞいやしない

可愛い竜達に悪い遊びを教えてくれたね
お前の流儀に付き合ってやる。さあ、遊ぼうか

吶喊
一発一発の打撃に、撃殺式を通って増幅された衝撃が乗る
そのインパクトは、前哨戦とは比べものにならない!
攻撃を食らうのも構わずに、大蛇の顔面を貫くように飛び上がり、一撃!


赫・絲
全ての元凶はお前だね?
お前にお前の道理があろうと構わない。
互いに相容れない命でしょう。ならば、此度の縁はこれまで。
疾く、消え失せろ!

その身体に水を纏い含む以上、雷を通す水の特性からは逃れられないはず
敵の攻撃は【見切り】避けつつ、隙を見てダガーを投擲
エレメンタル・ファンタジアの暴走を防ぐための避雷針代わりだ、どこに命中しようと構わない
当たりさえすればそれで

お出で、茜
名を呼べば雷纏う一角獣の精霊が杖に
【全力魔法】を使い、その全てを顕現させる事象に込める
起こすのは雷の豪雨
その全ての雷粒が、瞬きの間に避雷針へと空を駆け降り注ぐ

降らせて、茜
手向けの雨だよ、朽ちるまで送れ!



●撃殺式と茜の雷豪
 森がざわめき、禍々しい悪意が満ちる。
 水の大蛇が蜷局を巻く様を見据え、灰色は拳を軽く握り締めた。その両手には撃殺の式を宿らせた拳鍔が見える。
 衝撃を纏い直したその姿は、仔竜達には見せなかった完全なる戦闘態勢。
「――おれは知ってる」
 そんな言葉を落とすと同時に、灰色は後方に跳んだ。
 次の瞬間。それまで彼が居た地点に水弾の雨が降り、地面を抉る。牙を剥き出しにした大蛇からは視線を逸らさず、灰色は言葉の続きを紡いだ。
「死ぬまで殴れば、死なないオブリビオンなぞいやしない」
 とん、とん、と軽くステップを踏んで、四肢に宿したのは前哨戦よりも出力を上げた衝撃。身体が水で構成されていようとも、たとえ強大な力を秘めていようと、猟兵の手にかかれば斃れぬものなどない。
「可愛い竜達に悪い遊びを教えてくれたね」
 真正面から駆けた灰色は敵の姿を灰の双眸に映し込む。
「お前の流儀に付き合ってやる。さあ、遊ぼうか」
 吶喊。
 振るった拳は水の体躯を貫き、その身を抉る。すぐさま大蛇の身体は再生されていくが、そんなことなど構いやしない。
 足りぬならもう一撃。散った飛沫を片腕で払い、灰色は再び拳を振り下ろす。
 その一発一発の打撃には撃殺式を通って増幅された衝撃が乗っていた。
 先陣を切った灰色を排除しようとして、大蛇は水の弾丸を次々と吐き出してくる。その腕と足を水弾が穿っていったが灰色の表情が痛みに揺らぐことはなかった。
 次に放たれた弾丸を拳で受ければ、周囲に激しい飛沫が散った。
 そして、灰色は脚に纏った衝撃を用いて高く跳ぶ。
 痛みも、貫くような敵からの視線もものともせずに灰色は一気に大蛇の顔面近くまで跳躍した。喰らえ、と放った衝撃が蒼白く迸る。
 弾けた衝撃。そのインパクトは前哨戦とは比べものにならないほどのもの。
 蛇の体を構成する水流が堰き止まるくらいの衝撃を散らしながら、灰色は視線を後方に向ける。そして僅かに眸を細め、仲間に呼び掛ける。
「――頼んだよ」

 彼の声を聞き、絲は反射的に魔力を紡いだ。
 任せてと声に乗せて告げずともその意志は伝わる。絲が片腕を掲げて指先を敵に向けると、属性が空気中に渦巻いていく。
「全ての元凶はお前だね?」
 水の大蛇を淡紫の眸で睨み付け、絲は言葉を次ぐ。
「お前にお前の道理があろうと構わない。互いに相容れない命でしょう。ならば、此度の縁はこれまで」
 ――疾く、消え失せろ!
 その声と共に属性魔法がひといきに解き放たれ、大蛇の身体を穿つ。しかしそれだけではなく、同時に投擲されたダガーが水の体躯に突き刺さった。
 それは避雷針代わり。
 灰色が敵の攻撃を引き付け、弾丸を受け止めていく。その様を横目に見遣りながら絲は次なる一手に入る。
「お出で」
 茜、とその名を呼べば雷纏う一角獣の精霊が杖に代わり、紫雷が淡く周囲を照らす。其処から紡ぐのは全力を込めた雷撃。その全てを顕現させる事象に込め、起こすのは雷の豪雨。
「降らせて、茜」
 その声に応えるように杖が光り、一気に雷粒が迸った。
 瞬きの間に避雷針へと空を駆け降り注ぐ雨は水の大蛇を激しく打つ。身体に水を纏い含む以上、雷を通す水の特性からは逃れられないはずだ。
 絲の読み通り、大蛇は苦しみ悶える。
 それでもまだ倒すには足りないと絲の直感が告げていた。
 しかしそれならば幾度でも、対象が力を失うまで立ち向かうだけ。自分達は一人ではないのだから勝機は必ず訪れる。
 絲が雷の短杖を強く握れば、その意志に反応するが如く指先に小さな雷が弾けた。
 このままいくよ、と茜にそっと呼び掛けた絲は天高く腕を伸ばし、杖に最大限の魔力を込めてゆく。そして――。
「手向けの雨だよ、朽ちるまで送れ!」
 ふたたび解き放たれた豪雨は湖畔の樹々を揺らし、激しい音を響かせていった。
 絲の双眸が視ているのはただひとつ。
 共に戦う者達と得る、勝利という名の未来だけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルノルト・ブルーメ
僕らを邪魔者と憤るのは筋違いだよ、オブリビオン
過去に還るべき君こそが此処にあるべき存在ではないのだから

先制攻撃からの二回攻撃を使用して戦闘
今回は血統覚醒を使用

摩擦抵抗を極限まで減らした処で
少しでも突起があれば引っ掛かり引き裂くのが僕のViperだよ

水弾は手首の返しで縦横無尽に動くViperで引き裂いて落とそう
復元はまぁ、的の方から大きくなって
当たりやすくなってくれたと思う事にしようじゃないか

自身への攻撃をはじめ、同行者への攻撃も可能な限り
Viperで撹乱して無効化を狙う

補足
子供の寿命を削るのは厭うのに自身の寿命は遠慮なく削る
血統覚醒時は瞳のみ真紅の瞳に変化
真の姿も血統覚醒時の状態と同様



●水すら穿つ毒蛇
 ――邪魔だ、散れ。
 まるでそう告げるかのように体躯を蠢かせる水の大蛇。アルノルトは声なき意思を感じ取り、肩を竦めてみせた。
「僕らを邪魔者と憤るのは筋違いだよ、オブリビオン」
 障礙となっているのは其方だとしてアルノルトは鋭く瞳を細める。
 刹那、やわらかな緑の眸が揺らぎ、その瞳が真紅に染めあげられてゆく。吸血鬼の血に覚醒した彼は舞い飛んでくる水の弾丸を一投足で避けた。
 地面にぶつかって激しく散った水飛沫が背を濡らしたが、アルノルトは構わずに毒蛇の鋼糸を振るう。
 大蛇は液体の身体を震わせ、極限まで衝撃を和らげようとしていた。
 しかしフックの先端は的確に大蛇を捉える。
 残念だね、と口にしたアルノルトは片目を閉じて得物を見遣った。
「少しでも突起があれば引っ掛かり引き裂くのが僕のViperだよ」
 水流の体躯を引き裂くようにワイヤーが迸り、大蛇の躰を絡め取る。その力は鋭く、そして疾く巡っていく。
 相対するのは水の蛇と毒の蛇。その対照的な姿は戦場に映えた。
 しかし、水弾は再び猟兵達に向けて放たれる。
 されどアルノルトは慌てず、引き寄せたワイヤーで以てそれらを振り払おうと狙った。手首を返せば、毒蛇の糸が縦横無尽に動き、水流を裂いて落とす。
 その間に大蛇は己の躰を水で復元していった。
 それによって削ったはずの体力が戻り、大蛇の躰も肥大していく。
 アルノルトは敵の能力が厄介だと感じて頭を振った。だが、それも少し考え方を変えれば良いと気付き、彼は薄く口元を緩める。
「まぁ、的の方から大きくなって当たりやすくなってくれたと思う事にしようじゃないか」
 その言葉通り、大きくなった敵は的としては十分に狙いやすいものだ。
 其処に付け入る隙がある。回復されることはただ不利なだけではない、とアルノルトは仲間達に目配せを送った。
 時を重ねる毎に自らの命の灯火が少しずつ、僅かではあるが短くなっていくことにも構わずにアルノルトは腕を振るう。それに合わせて戦場を舞うワイヤーの乱舞は目で捉えられぬほど。
 狙うのは撹乱。そして、放たれ続ける水弾の無効化。
「早々に骸の海に還って貰おうか」
 アルノルトは幾度も繰り返される攻防の中、真っ直ぐに敵へと言い放つ。
「――過去に還るべき君こそが此処にあるべき存在ではないのだから」
 そして、戦いは巡っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・まい
【POW】
ははーん、なるほどですね!
この蛇みたいなのが元凶というわけですか。この森が大層住みやすく気に入ったのだとお見受けしますですが、残念ながらこの森は君のものではありませんです。
そちらがやる気ならば、こちらもやる気で参りますですよ! いざ、いざ!

大蛇とあらば、武器は加々知丸くんに持ち替えましょう。
体が水で出来ているとは得体がしれませんですが、斬れないものはありませんですよ。【悪鬼礼賛】でその首を頂くとしますです!

*使用技能:野生の勘、なぎ払い、捨て身の一撃
*連携とアドリブご自由にどうぞ



●総ては斬れば解るもの
「ははーん、なるほどですね!」
 薄緑の瞳を無邪気に緩めたまいは今、全てを悟っていた。
 つまりはそう、この蛇みたいなのが元凶。
 それはこの森が大層住みやすく気に入り湖を占拠しているのだ。何となく話に聞いてはいたが実際に目にすればよくわかる。
「残念ながらこの森は君のものではありませんです」
 まいはびしりと指先を突き付け、大蛇に宣言した。しかし返って来たのは、わかりましたなどという素直な返事ではなく、鋭い視線と敵意。
 そして、敵は牙を剥いて力を紡ぐ。
 まいをはじめとした猟兵達に向けて、激しい水の弾丸が吐き出されていった。むむ、と眉を顰めたまいは高く跳躍した。
 あんなもの当たれば痛いに決まっている。
 くるりと宙で回転して敵の攻撃の行く先を見送ったまいは、それまで手にしていた夜叉丸から加々知丸へと武器を持ち替える。
「そちらがやる気ならば、こちらもやる気で参りますですよ! いざ、いざ!」
 元気な声と共に地面に着地したまいは、一気に大刀を振り下ろした。
 加々知丸――それは、かつて旧き大蛇を切ったという説話のある刃。だからこそ、今の戦いに相応しい。
 されど、斬り放った刃から感じた手応えは薄い。
 それは敵の身体が水で構成されているからに違いない。
「体が水で出来ているとは得体がしれません」
 少しだけ頭を振ったまいはどうしたものかと考えた。だが、策を巡らせてみたとしても結局やることはひとつだけ。
「ですが、この加々知丸くんに斬れないものはありませんですよ!」
 切って、斬って、斬り刻む。そして最後は一刀両断。
 参りますよ、と駆けたまいは真剣そのもの。
 そして刃は深く激しく振るわれていく。水の大蛇が倒れるまで、何度も、何度も。

成功 🔵​🔵​🔴​

朽守・カスカ
それにしても水の大蛇か
水面を断つような達人でも無い限り
切り貼りしてどうにかなるようには見えないな

かと言って、このまま放っておくつもりもない
あの仔竜達がまだ穏やかに過ごせるように
そして、銀鈴蘭を楽しむためにも、励むとしようか

【ガジェットショータイム】で取り出すのは冷気を纏う大きな傘
ふふ、水の弾丸は雨ではないけれど傘で防ぎ
巻けば槍のように刺して凍らせて
少しずつ自由を奪っていこう

流石に、湖面全てを凍らせるのは無理だろうけど
蛇は冷たいのが苦手と聞くからね
凍らせていくのは、きっと効くだろう

此処はお前が住まうべきところではない
仔竜の穏やかな日々の為にも
討たせてもらうよ


海月・びいどろ
これが悪い子にした、原因
…そこはキミの棲処じゃないよ
かえるところは、他にあるもの

ボクはたたかいに来ている猟兵たちをサポートするよ
機械海月の兵隊たちを喚び出して、迷彩が纏えるなら
こっそり、ふわふわ、フェイントを仕掛けて時間稼ぎを

水の流れに任せて、ゆらゆら
力を抜いたなら、海月人形のキミにおまかせ
大蛇のこうげきを食べてしまって
マヒ攻撃を乗せてお返し、してみるね

電気を通せば形のない水でも、すこしは動きを止められるかな
誰かが感電しないように、タイミングを見計らっていこう

森や湖は出来るだけ汚さないようにしたいけれど
あまりに花が荒らされてしまうようなら、がばうよ
あの花の咲うところ、見てみたいから



●穿ち刺す氷と海月のひかり
 これがあの仔たちを悪い子にした、原因。
 無邪気だったはずの仔竜が邪悪な意思に染まっていた様を思い返し、びいどろは水の大蛇を見つめていた。睨み付ける、というわけではない。ただ悪意しか視えぬ相手への感情にどんな名前を付けるか迷っていただけ。
「大丈夫かい?」
「うん……平気だよ」
 びいどろの背後から声を掛けたのはカスカだ。問い掛けに答えたびいどろは周囲に機械海月の兵隊を喚び、こくりと首を振った。
 そして、水の大蛇に声を掛ける。
「……そこはキミの棲処じゃないよ。かえるところは、他にあるもの」
 しかし敵はびいどろの声など聞こえていないように牙を剥いていた。その姿に奸悪さを感じ取り、カスカは呟く。
「それにしても水の大蛇か」
 水面を断つような達人でも無い限り、切り貼りしてどうにかなるようには見えない。だが、だからといって放っておくほど臆病でも無情でもない。今、此処に集っているのは森の平和と夜の花を護りにきたもの達ばかりだ。
 カスカはびいどろが援護してくれると察し、自らもガジェットを華麗に構え――もとい、差す。
 それは冷気を纏う大きな傘。模様は冷気を纏うことを示す雪の結晶の柄。カスカが持つことで可愛らしく思え、びいどろは双眸を少しだけ緩めた。
「水避けかな。可愛いね」
「あれは雨ではないけれどね。悪くはないさ」
 カスカは片目を瞑って応え、散る水滴を受ける形で傘を掲げる。
 猟兵達を狙って舞う水の弾丸は他の仲間によって散らされたり、地面にぶつかったりする度に激しい雨めいた水滴を降らせていた。
 それは視界を遮るものでもあったが、カスカもびいどろもものともしていない。
 こっそり、ふわふわ、海月達を水の流れに任せて揺らめかせるびいどろ。傘で水滴を弾き、即座に巻くことで槍めいた一閃として攻撃を打ち込むカスカ。
 フェイントを仕掛けて隙を作り、その間に真正面からの一撃を叩き込む。二人の連携は見事なもの。
 前線ではカスカが戦ってくれる。ならば、と身体の力を抜いたびいどろは攻撃を待つ。それは決して戦いを放棄したわけではない。
「大蛇のこうげきを食べてしまって」
 そっと、そう告げたびいどろに水の弾丸が迫った、そのとき。
 ふたごの海月人形がゆらりと動き、水流を飲み込んだ。ふわ、ふわと浮いた海月達はそのまま敵に向けて反撃を打ち放つ。
 しかしそれはただ水弾を返しただけではない。反撃のおまけはびりびりと痺れる痛みつき。瞬時に物凄い勢いの麻痺攻撃が水の大蛇に巡り、動きが僅かに止まる。
 カスカは其処に好機を見出し、ひといきに踏み込んだ。
 氷の魔力を纏う傘槍は真っ直ぐに蛇の体を穿つ。
 そして――。
「凍らされる気分はどうかな。冷たいだろう?」
 切先が突き刺さった部分から氷の華が広がっていくかのように、大蛇の一部が凍り付いていった。
 すべてを凍らせるのは無理でも、この一手は確かな前進になる。
 カスカは敵が倒れるまで攻撃の手を緩めないことを決め、びいどろも機械海月達と共に皆の援護を続ける気概を持った。
 ひとりでは駄目でも、ふたりなら、そして皆が居るなら――勝てる。
 きっと、ではなく絶対の絶対。
 二人は視線を重ね、皆で勝ち取る未来に思いを馳せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
オブリビオンで尚且つ反省の色皆無
それだったら力の限りぶちのめすだけだ!

たぶん蛇の水の身体で周囲は水浸しになって転びやすくなったり
手に持っている武器を滑って落としやすくされかねないから、
水しぶき激しい滝や海岸での戦闘知識や野生の勘を駆使し
重心を意識して転倒や武器落としも十分気をつけるぞ

ドラゴニック・エンド発動の為に焦らず機会を窺う
蛇の攻撃に真正面から挑む、とフェイントさせて
見切りと動体視力でギリギリにかわして
カウンターで確実に槍の初撃を当ててみせる

「契約は果たされた!来い、アイスドラゴン!」
召喚させるのは氷を司る竜
冷気を纏わせた爪や牙、冷凍ブレスで攻撃して貰って
蛇お得意の水戦術を封じさせてやるぜ



●凍竜と大蛇
 オブリビオンで尚且つ反省の色皆無。それならば――。
「力の限りぶちのめすだけだ!」
 グァーネッツォが宣言したのはただひたすらに真っ直ぐな思い。
 力強い声は仲間の鼓舞代わりにもなり、戦場に快く響き渡っていった。対する水の大蛇は雄叫びをあげるかのように牙を剥き、水流弾を放つ。
 グァーネッツォはそれらを軽く避け、横に跳んだ。だが、弾け散った水が地面を濡らしている。油断すれば足を取られて転ぶだろうと察したグァーネッツォは注意を払った。
「水が武器ってのも厄介だな」
 下手をすれば武器が滑って地面に落とされるかもしれない。
 だが、グァーネッツォには激しい滝や海岸での戦闘知識に加えて、野生の勘もある。重心を意識して立ち回る彼女に抜かりはない。
 このようなフィールドの場合、一撃目を外す可能性は高い。
 焦らず機会を窺うグァーネッツォはそのまま蛇の攻撃に真正面から挑む――と、見せかけてフェイントをかけ、ギリギリで水弾を躱した。
 そして、一気に踏み込んだグァーネッツォは幽冥竜槍を振るう。
 一閃は見事に敵の身を貫き、水を散らした。
 手応えを感じたグァーネッツォは確実に槍の初撃を当てられたことに、よし、と頷く。これで後は今の要領で攻撃を撃ち込んでいくだけ。
「――契約は果たされた! 来い、アイスドラゴン!」
 そして、二撃目。
 グァーネッツォが召喚するのは氷を司る竜。一閃を放つと同時に冷気を纏わせた爪が大蛇を抉り、更には牙が喰い込む。それだけではなく、水を凍り付かせるほどの冷気のブレスが浴びせかけられた。
「蛇お得意の水戦術を封じさせてやるぜ!」
 甲高い音と共に大蛇の身が凍り付いていく。だが、身体を大きく振るった敵は全てが凍る前に凍傷を振り払った。
 水であるがゆえに柔軟な体躯は実に厄介だ。
 しかし、それでもただ立ち向かっていくだけ。グァーネッツォはファントムドラゴンランスを強く握り、この先に巡る戦いへの思いを強めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイクス・ライアー
ようやく姿を現したな。貴様にならば全力を出せる。
さあ、悪役の出番はこの節で終了だ。最期は美しく、華麗にご退場願おうか。

●行動方針
散弾銃を撃ち鳴らしながら敵の注意を引く。足の素早さを活かし、回避行動に専念。その際、ほぼ水で出来ているという敵に物理攻撃が効く核がないか観察する。
核が存在するようなら周知、反撃開始。
もし核が発見できなかった場合は、敵が凍るなど物理攻撃が通じる状態になり次第攻撃に転じる。

積極的に連携

After a storm comes a calm.
波乱の後こそ歓喜の賑わい。
お楽しみの時間はこれからだ。



●核の在処
「ようやく姿を現したな」
 大蛇の出現を深い青の眸に映し、ジェイクスは黒傘をステッキのように振るう。
 その姿は紳士然としているが、双眸の奥に秘められた感情は鋭い。
「貴様にならば全力を出せる」
 何処か冷たさを感じる色を滲ませたジェイクスは傘を――散弾銃でもあるそれの銃口を、敵に差し向けた。
 撃ち放たれるのは仔竜相手には決して使ってこなかった銃閃。
 銃弾を放つと同時に鳴り響く音は水の大蛇の気を引く。それが狙いだというように地を蹴ったジェイクスは攻撃の手を止め、放たれた水の弾丸を避けることに注力した。
 軽やかに、ステップを踏むように駆ける。
 弾丸が足元に着弾して水滴を散らしたが、濡れることも構わずジェイクスは敵を引き付け続けた。
 そしてその際、水流の体躯を持つ敵を注視する。
 敵の身体は殆どの攻撃の威力を弱め、たとえ身を削ったとしてもすぐに再生するような厄介なものだ。
 しかし、その特性はまるでスライム。ならば核のようなものはないかと目を凝らしたジェイクスはふと、妙なものを発見した。
「あれは……」
 見え辛いが、大蛇の目の間。透き通った眉間の奥に蠢く何かが見えた。
 それも水で構成されているようだが明らかに体の水流とは動きが違う。おそれくはあれがコアなのだと察し、ジェイクスは散弾銃を再び撃ち放つ。
 銃弾は頭に向けて放たれた。
 だが、敵が口から放った水流の波が弾丸を絡め取って威力を殺してしまう。
「成程。攻撃は最大の防御というところか」
 攻撃を行うことで核を護ることにも繋がる敵の仕組みにジェイクスは納得する。となれば核だけを狙うことは至難。
 只管に敵を弱らせて隙を作ることが最善なのだと知り、ジェイクスは身構えた。
 ――After a storm comes a calm.
「波乱の後こそ歓喜の賑わい。お楽しみの時間はこれからだ」
 敵は手強く、厄介極まりない。
 それだからこそ斃し甲斐もあるとして、ジェイクスは双眸を鋭く細めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェム・ポー
仔竜ちゃん達から生命エネルギーを頂いてしまったからぁ、頑張ってオブリビオンをぉ、倒さなくちゃいけないわねぇ。

相手は大っきなヘビさんだしぃ、このままだと受け止めてあげられそうに無いからぁ、UCを使って人間大の姿に変身するわねぇ。

この変身状態はぁ、生命吸収能力を持った黒い光に包まれている状態でぇ、攻撃の力を吸収して弱めたりぃ、生命吸収で攻撃したりできるのよぉ?
偽りの命をぉ、一滴残らず吸い出してあげるわねぇ?

変身状態ならぁ、相手の攻撃を軽減することが出来るからぁ、なるべく相手の攻撃を引きつけるようにしてみるわねぇ。(技能:誘惑。反転してなお聖者の光を帯びた身体は何者おも惹きつけてやまない)



●誘惑と吸収
「仔竜ちゃん達から生命エネルギーを頂いてしまったからぁ、頑張らないとねぇ」
 フェムは掌で自分の頬を撫で、身体に満ちる力を確かめる。
 オブリビオンを倒すことがこの森に棲むもの達への報いと礼になるはず。そう考えたフェムは大蛇に立ち向かう仲間達と共に、力を揮うことを決めた。
「相手は大っきなヘビさんだしぃ、このままだと受け止めてあげられそうに無いわぁ」
 それなら、とフェムが発動させたのはユーベルコード。
 反聖母――ネガ・マリア。
 すると、途端に彼女の妖精族としての身体が普通の人間大の大きさに変わる。
 闇の光を帯びたフェムは薄く笑み、魔力を放った。
 戦場には水の弾丸が飛び交っているが、他の仲間達が果敢にそれを受け止めてくれている。その間に力を吸い取るのが自分の役目だとして、フェムは双眸を緩めた。
 その闇は狙い定めた相手の生命力を吸収する。
「偽りの命をぉ、一滴残らず吸い出してあげるわねぇ?」
 同時に誘惑の魔力が辺りに満ちた。
 反転してなお聖者の光を帯びた身体は何者をも惹きつけてやまない。
 だが――。
 刹那、それまで他の者に向けられていた大蛇の水流がフェムに向いた。普通の人相手ならば誘惑の力は惑わせ、魅了するに止まっただろう。
 しかし、水の大蛇はフェムに惹きつけられ、そして殺すべき対象として見定めた。
 誘惑された敵すべてがそのように判断するわけではないだろう。されど、この大蛇はそうであった。
 放たれる衝撃は重く鋭い。
「これはぁ……少し厳しいかしらぁ?」
 それによって水弾の射程外から外れた彼女は深く息を吐いて呼吸を整えた。
 生命力を吸収していなければ倒れていたかもしれない。
「でもぉ、殺したいほど好きになってくれたのねぇ」
 口元に笑みを浮かべたフェムは水の大蛇を見つめた。
 戦いは、未だ続く。

成功 🔵​🔵​🔴​

天星・暁音
【天星零】と参加

さて、さっきの仔竜たちと違って今度は気持ち的に楽だね。
君にここを占拠されてると皆が困るんだよ。
そんな訳で容赦はしないよ。
といっても俺は回復支援に回るんだけど…
何時も通り回復は任せてよ。

『本当にね。乱暴ものには退場願わないと困っちゃうからね。ただ暮らしてるなら文句はないけど…他のものたちに影響が出る以上は放っておけないもの』

味方を鼓舞し敵をおびき寄せて気を引きつつ援護射撃やコードで味方の回復支援をします。


第六感や盾受け、オーラ防御なので自身の防御を行い危ない人が入ればかばいます。


天星・零
天星・暁音と連携


『やれやれ、怒るのは筋違いですよ。勝手に他者の領域に入って荒らして。悪い方にはお仕置きが必要ですね。』


回復は暁音に任せて自身は戦闘に専念


万が一に備え【第六感】、【情報収集】で常に戦況を把握する
大蛇は常に【追跡】し、マーキング。視界から外れないようにする

【フェイント】なども合間合間に入れつつ敵を翻弄させてみようと試みる、夕夜の時に敵との距離が零距離なら【零距離射撃】を用いて遠隔砲撃ユニットを使う

勿論、Punishment Blasterは夕夜の時に攻撃の牽制にも普通に使う

零に戻って、首にかけている十字架のネックレスに霊力を込めUC【死した嘆きの魔女】を召喚し、高密度のレーザー



●二人が描く標
「やれやれ、怒るのは筋違いですよ」
 零は水の大蛇から感じる激しい感情を受け止め、片目を瞑る。
 此方をすべて殺さんとして放たれる水の弾丸は重く、真正面から受けることになればひとたまりもないだろう。
 しかし、零も暁音も少しも怯んではいなかった。
「さて、さっきの仔竜たちと違って今度は気持ち的に楽だね」
 暁音が杖を構えると、零も身構える。
「勝手に他者の領域に入って荒らして。悪い方にはお仕置きが必要ですね」
「君にここを占拠されてると皆が困るんだよ」
 そんな訳で容赦はしないよ、と魔力を紡いだ暁音は仲間の回復支援を努めることを強く決意した。
 直接、攻撃はしないでいても心は零達と一緒。
 零も暁音がいるから攻撃に専念できるのだと感じ、一気に踏み込んだ。
 大蛇が牙を剥いて猟兵達を威嚇する姿から決して目を逸らさず、零はフェイントを仕掛けながら敵の気を引いた。
 大蛇の身体はいかなる攻撃も散らして緩和するが、全くダメージが通っていないわけではない。それゆえに攻め込むだけだと感じた零は瞬時にもうひとつの人格である夕夜へと変わった。
 虚空から骸骨の頭が現れ、その口から砲撃が次々と放たれる。
 だが、大蛇が放ち続ける水弾丸が夕夜の身を掠め、鋭い痛みを与えた。
「……!」
 声なき声をあげた夕夜に気付き、暁音はシュテルシアを高く掲げる。
「――祈りを此処に、妙なる光よ」
 詠唱と共に紡がれていくのは、神聖なる祈りの抱擁。
 神聖なる光は夕夜の傷を見る間に癒して痛みを取り払っていく。それに比例するように暁音の身は疲弊していった。
 それでもまだ大丈夫。強く地面を踏み締めた少年は周囲を注意深く見渡し、他にも傷付いている者がいないか確かめていく。
 呼吸を整えるように息を吐いた暁音は大蛇からも意識を逸らさず、思いを口にした。
「乱暴ものには退場願わないと困っちゃうからね。ただ暮らしてるなら文句はないけど……他のものたちに影響が出る以上は放っておけないもの」
「ああ、その通りだ!」
 暁音の言葉に夕夜が答え、砲撃ユニットによる一閃を解き放つ。
 それらは暁音に向かってくる水の弾丸を空中で相殺し、激しい水飛沫を散らせた。
 彼が守ってくれていると感じながら暁音は味方を鼓舞していく。回復役である自分が敵を引き付けてしまえば戦線が崩れる。だから、と応援と癒しの力を送り続けることを心に決めた少年は、しっかりと戦場を見つめた。
 そして、夕夜もまた決意めいた思いを抱く。
「そう簡単に俺達を倒せると思ってるのなら、大間違いだぜ!」
 どれほど強い痛みが巡ろうとも屈したりはせず、必ず大蛇を倒してみせる。
 そんな思いを胸に、少年達は真剣な眼差しを敵に向けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

コノハ・ライゼ
あら今度はイイ感じじゃナイ
思い切り頂いても、イイよね?

【POW】
正面切って「柘榴」で斬りかかる
気を引き隙を生ませれれば一石二鳥、でなくとも喰らうには近付かにゃデショ
『高速詠唱』からの『2回攻撃』で『傷口をえぐる』
『生命力吸収』し態勢整えながら攻撃
回復されたらそれ以上を頂くまで、と自分もまた隙を狙い仕掛け
柘榴を刺し込む前に自身の肌に滑らせ血を与え【紅牙】発動
鋭く並んだ牙となった柘榴で喰らい付き
そのまま捩じ込むのは右目に仕込んだ刻印「氷泪」
反撃受けようと構わず『捨て身の一撃』で青白い稲妻の牙を見舞う
ホントの口はコッチ、ってね

万一仔竜に被害がいきそうなら『かばう』ネ
この後を心置きなく楽しみたいもの



●喰らう刃
 水飛沫が湖畔に散り、風圧が周囲の樹々を激しく揺らした。
「あら今度はイイ感じじゃナイ」
 頬にかかった水滴を払い、コノハは薄く口元を緩める。先程までの仔竜達との戦いは加減をしたものだった。
 だが、今目の前にいる相手は全力で立ち向かえる存在。
「思い切り頂いても、イイよね?」
 コノハは鉱石の貌を持つ刃、柘榴の切先を差し向ける。正面切って斬りかかった一閃は液体の身体を裂くようにして振り下ろされた。
 其処に感じた手応えは薄い。
 確かに命中したというのに衝撃が与えられていないのは、大蛇の身体が摩擦抵抗を極限まで減らしているからだろう。
 だが、コノハは怯まずに二撃目を入れる為に動く。
 水流の弾丸が真正面から向かってきたが、コノハは避けることなく柘榴の刃を横薙ぎに振るった。途端に飛沫が跳ね、威力を殺された弾丸はただの水滴となって散る。
 弾けた水が地面に落ちるよりも疾く、コノハは大蛇を穿った。
「喰らってあげるネ」
 刃が胴体を斬り裂いた刹那、高速詠唱からの鋭い二連撃が敵を貫く。更に其処から生命力が吸収されていき、敵の力を奪い取った。
 そして、コノハは即座に距離を取る。
 一瞬、大蛇の身が竦んだように見えた。しかしそれは怯んだわけではなく、背後の湖から水を吸収する為の動きだったらしい。
 水流が渦巻いたかと思うと大蛇の身がひとまわり大きくなった。
 今しがた吸収した以上に体力を回復されたと悟り、コノハは頭を振る。
 だが、回復されたならばそれ以上を頂くまで。己もまた隙を狙い、仕掛けていくのみだとしてコノハは駆けた。
 ふたたび狙うのは柘榴での一閃。だが、刃を刺し込む前に自身の肌に滑らせたコノハは其処に血を与える。
 ――イタダキマス。
 紅色が滲んだ刃は鋭く並んだ牙となり、喰らい付いた。
 大蛇の身体に緋色の筋が奔り、その力が削り取られていく。だが、未だ終わらない。反撃として放たれる水流を受け止めながら下がり、コノハは周囲を見遣った。
 今、此処には共に並び立つ仲間がいる。
 これからが勝負だとして身構え直し、コノハは彼の薄氷の瞳を鋭く細めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィゴ・ストーム
罪のない仔竜達を惑わせ、守られるべき平穏を乱した報いはきちんと受けて貰います。

水を斬るのは初めてですが、とにかく出来るだけのことを。
長剣での攻撃に加え、隙があればデュエリスト・ロウを仕掛け
動いてはいけません、と宣告します。
頭から尾の先まで大きな体、動かさないように制御し続けるのは難しいと思います。

また怪我をした人が攻撃されそうな時や、標的にされる人が明らかに判別出来る時は庇い、
無敵城塞を発動して一時的に壁になります。
連携は出来るだけ心掛けて、被害を抑えていけるように努めます。

この正念場を乗り越えれば皆さんの笑顔が見られるんですから、誠心誠意頑張ります!


アイリ・フラジャイル
こんなの……一人でどうにか出来る相手じゃないわ
目的は敵の動きを完全に封じて、一斉攻撃で敵を抑え込む事
アクト・リフレクトで事象を改変、身体の復元を必ず失敗させる
出来ればそれを一度見て学習したい所だけど、
間に合わなければぶっつけ本番で当たるわ

この悪意の塊を退治して、湖畔に平穏を取り戻す為、
己と仲間を鼓舞して突撃、相手にダメージを与えて復元を狙わせる
炎の属性を剣に乗せて、水分を削り取っていくわ

復元しようとしたら、アクト・リフレクト
平行世界の“凍結した湖畔”で水を取り込めなくさせて、
再生せずに肥大化した本体を鎧砕きでブッ叩く!
凍っちゃえば水だって壊せるでしょう?
動きだって鈍くなる筈、一気に畳みかけるわ



●氷と炎と鉄壁の守護
 あれが――あの存在こそが、此度の異変の元凶。
 ヴィゴは凶暴になった仔竜達の姿を思い返し、水の大蛇を睨み付けた。大蛇さえ居なければこの森には変わらぬ平和があったはずだ。
「罪のない仔竜達を惑わせ、平穏を乱した報いはきちんと受けて貰います」
 守られるべきものは此処に在る。
 ヴィゴは長剣を構え、共に戦う猟兵達と共に打って出る。大蛇から放たれる水の弾丸は他の者が引き付けてくれていた。
 その隙を狙って駆けたヴィゴは大蛇の腹へと刃の切先を向ける。
「水を斬るのは初めてですが――!」
 とにかく出来るだけのことを、と己を律したヴィゴは腕を振り下ろし、大蛇を斬り裂いた。手応えは殆ど水を切るようなもの。
 だが、ダメージがないわけではないようだ。
 ヴィゴは片手で器用に手袋を外し、それを華麗に投げ放つ。水の体躯に命中したことを確認した彼はルールを宣告する。
「動いてはいけません」
 すると、満ちた魔力が大蛇を制した。
 戦いの最中において動くなという命令を尊寿することは難しい。大蛇が身動ぎした瞬間、激しい奔流がその身を貫いた。
「頭から尾の先まで大きな体、動かさないように制御し続けるのは難しいはずです」
 これで継続的に強い衝撃を与えていけるはずだ。
 そう察したヴィゴだが、不意にはっとする。

「こんなの……一人でどうにか出来る相手じゃないわ!」
 アイリの声が響く。
 彼女は今、恐ろしい数の水弾の標的にされ、そのひとつずつを魔力の反射で打ち落としている最中だ。しかし、すべてを相殺するには力が足りない。
 後退して避けるも、防ぎきれなかった分の弾丸がアイリに迫った。
 痛みを覚悟したアイリが思わず目を瞑った、刹那。
「させません!」
 彼女の前に立ち塞がったヴィゴが水流の弾丸を受け止め、衝撃を肩代わりした。
 その姿は宛ら無敵城塞の如く。
 超防御を得る代わりに動きを自ら封じたヴィゴはアイリの盾になることを決めた。攻撃をアイリに引き付けて貰い、自らは攻勢に出続けることも選べたはずだ。
 だが、ヴィゴはそうしなかった。
「ありがとう。アンタの気持ちと心意気、受け取ったわ」
 アイリは彼がこのまま盾になり続けてくれると察し、深く頷く。
 それならば、自分は彼の分まで力を揮うべきだ。そう感じたアイリは、自分にしか出来ないことを考える。
 絶え間なく放たれる水弾、攻撃の摩擦を削ぐ特性。湖の水を取り込んで回復してしまう厄介な技。それらをひとつでも封じることが叶えば、大きな隙が出来る。
 ヴィゴがアイリを庇ったように、自分達はひとりきりではない。
 其処からの一斉攻撃で敵を押さえ込むことだって不可能ではないはずだ。
 今、水の大蛇は猟兵達から受けた痛みを水で癒そうとしている。
「次元接続――」
 力を紡いだアイリが繋げるのは平行世界から近似した結末。
 敵が水を取り込むのならばその水を変質させ、氷にすればいい。それゆえに凍結した湖畔を映そうとアイリは狙う。
 だが、一度は顕現しかけた平行世界の景色が歪んで消える。
 大蛇はそのまま現実世界の湖面から水を吸い取り、己を回復した。
「失敗ね。けれどまたチャンスは来るわ」
 一度の失敗では挫けはしないと決め、アイリは更に魔力を紡ぎ続ける。叶わぬのならば隙を見てまた仕掛ければいいだけのこと。
「行くわよ。次は炎で相手してあげる」
 己と仲間を鼓舞し、剣に炎の属性を乗せたアイリは突撃してゆく。燃え盛る焔で身体を削り、水分を蒸発させる。
 そうすればまた敵が復元を狙い、再び相殺を仕掛ける機も訪れるだろう。
「この悪意の塊を退治して、湖畔に平穏を取り戻すわ」
「この正念場を乗り越えれば皆さんの笑顔が見られる……」
 アイリが決意を口にすると、鉄壁の守りとして戦場に立つヴィゴも頷く。
 だから、その為にも――。
「誠心誠意頑張ります!」
「絶対に負けない!」
 二人の声が重なり、其々の意志が強く巡った。
 護りと反射。互いに振るう力は違ってもきっと、心は同じであるはずだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セツナ・クラルス
穏やかな森を荒らしたことは申し訳なく思っているよ
いつもの森を取り戻す為に
騒動の現況を早急に取り払わないといけないね

水に対抗するなら炎が定石だと思うが
森に延焼させてしまうのは避けたい
…そうだ、蛇なら寒さに弱いのではないのかな

大鎌に氷の力を纏わせて周辺をなぎ払う
辺りの水を凍らせてしまえば
大蛇の動きを阻害できるのではないのかな

水弾は可能な限り回避したいが
…数が多すぎるな
凍らせることで相殺できればいいのだが
被弾したとしても、焦らず反撃の機会を窺う
あなたの力、そのまま利用させて貰うよ

あなたの罪を私は赦そう
とはいえ
いとけない子竜たちを惑わせた件については
存分に反省しないといけないよ



●氷と水の一閃
「穏やかな森を荒らしたことは申し訳なく思っているよ」
 セツナは大蛇を見つめ、静かに告げる。
 だが、その思いを向けているのは瞳に映った悪しきオブリビオンではなく、この森に元から住まう者達。
 仔竜をはじめ、小鳥や小動物や湖の魚、樹々だって森の生物だ。
「いつもの森を取り戻す為に、元凶は取り払わせて貰おう」
 少しずつではあるが時刻は移り変わっていく。夜になるまでに騒動を収めておかなければ満月に咲く花を楽しめなくなる。
 それゆえに早急に、とセツナは大鎌を構えた。その間にも水の弾丸が幾度も放たれたが、セツナは刃で水流を斬り裂くことで威力をいなしていく。
「水には炎が定石だが、森の樹々を痛めたくはないな」
 ならば、とセツナは其処に氷の力を纏わせた。
 水の身体であろうとも蛇ならば寒さに弱いだろう。それに、水は凍らせることで別のものへと変質する。
 セツナが狙うのは大蛇――ではなく、周囲の水。
 氷の魔力が解き放たれれば途端に湖の淵が音を立てて凍りはじめた。しかし、水の吸収を完全に封じるのならば湖全体を氷に変えなければならないだろう。そうする為には一人では力が足りない。
「大丈夫、少しでも封じられればこちらのもの」
 セツナとてそれを理解しており、魔力を強めていく。そして、湖畔の片隅が氷に覆われた時、大蛇が水流を巻き上げて自らを癒そうとした。
 その瞬間、吸い上げられて割れた氷の一部が舞い、オブリビオンを貫く。
 それによって衝撃が敵を襲った。
 回復はしたものの、それ以上の痛みを負った敵はセツナを睨み付ける。反撃として水弾が放たれ、セツナは身を翻した。
「……数が多すぎるな」
 鎌に宿した氷結の力で幾つかの弾丸は落とせたが、防ぎきれなかったものがセツナの身を抉っていった。
 されどセツナは焦らず反撃の機会を窺う。そして、受けた弾丸をコピーした彼は指先を標的に差し向けた。
「あなたの力、そのまま利用させて貰うよ」
 その瞬間、反転された水の魔力が弾丸となって戦場に舞った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

飾磨・霜琳
盗人猛々しいってぇか、仮に蛟や龍神だとて、ポッと出てきて綺麗な場所を独り占めたァいただけねぇな。

【援護射撃】と併用で【留刺簪】使用
周囲の猟兵が攻撃しやすいように敵の動きを止めよう
……鉄簪で口でも縫ってやりゃ、妙なもん吐かなくなるかね?
攻撃が来るようなら【逃げ足】で躱したい
あどりぶや絡みは歓迎だ

塩水じゃねぇだけましだが、水を被るんだったら着替え持ってくりゃよかったな。錆びる……じゃねぇな、この体なら風邪ひくのが先か。
(ちなみに簪が水に浮くわけもねぇので俺は泳げない。
間違って湖に落ちねぇように気ィ引き締めてくぜ)


泉宮・瑠碧
水の大蛇…
縄張り意識や、荒らす者が入るのなら分かりもするが
仔竜達は君とは関係なかったろうに…
君にはすまないが、討たせて貰う

水か…
弓を杖に戻し
僕は精霊祈眼で属性攻撃
氷の精霊に願う
悪意に染まりし水は凍らせて、清浄なる水を助けて

純粋な攻撃以外に
凍らせる事で動きを鈍らせたり
物質として物理で叩けたりも踏まえて

水の弾丸が来るなら吹き飛ばせる様に
風の精霊にも助力を

周囲の水を取り込もうとしたら
氷の精霊と、杖の水の精霊にも願い
全力魔法で水の大蛇の表層全てを凍らせる様に
…その湖畔は他の生命にも必要なものだ
水の大蛇だけの好きに使わせる訳にはいかない

相手の攻撃には
第六感も併用した見切りか
水の精霊の守護であるオーラ防御



●封じの氷撃と鉄簪
 森に踏み入った者へと憤りを向ける水の大蛇。
 その姿を見遣り、霜琳は呆れたような溜息を零した。怒りは強く、森を荒らすなと言われているだろうことはひしひしと感じているのでよく分かる。
「盗人猛々しいってのはこの事かね」
 だが、この場所は決してあれの所有物ではない。
 水の体躯を持つ大蛇とて、骸の海に沈む前は何処かで力を持っていた存在だったのかもしれない。
「仮に蛟や龍神だとて、ポッと出てきて綺麗な場所を独り占めたァいただけねぇな」
「間違いないな」
 霜琳の声に応えたのは瑠碧だ。
 縄張り意識や、荒らす者が入るのなら分かりもするが、あの怒りは不当なものだ。まるで子供が駄々をこねているようなもの。
 それに、と瑠碧は首を横に振る。
「仔竜達は君とは関係なかったろうに……君にはすまないが、討たせて貰う」
 その言葉と同時に瑠碧は弓を引き絞る。此方に向けられた大蛇からの水の弾丸を魔力矢で以て打ち落とした瑠碧は弓を杖に戻した。
 そして、反撃として力を紡ぐ。
 ――どうか、力を貸して。
 敵を見据えた瑠碧が心中で願えば、その意思を汲んだ精霊が力を貸してくれる。森の精霊が巻き起こす緑の嵐が大蛇を穿っていく中、霜琳も援護射撃に入った。
「少しは大人しく、と言っても聞かないだろうけどなァ」
 指先で敵を示すとその動きに合わせるようにして鉄簪が舞い、鋭く飛ぶ。
 援護と名のつく通り、この一閃は誰かの――仲間がいてこそ有効打に変えられるもの。霜琳は蠢く水蛇に幾度も力を解き放ち、動きを徐々に縫い止めていく。
「……鉄簪で口でも縫ってやりゃ、妙なもん吐かなくなるかね?」
 そして、ふとそう思い至った霜琳は敵の口許を狙った。されど敵も封じられまいと抵抗して口から水流の弾を吐き出す。
 危ない、と瑠碧の呼び掛けを聞いて霜琳は素早く踵を返した。
 一瞬後、それまで彼が立っていた場所に幾重もの水の弾丸が着弾する。
「ありがとよ。塩水じゃねぇだけましだが、水を被るんだったら錆びる……じゃねぇな、この体なら風邪ひくのが先か」
 着替えでも持ってくりゃよかった、と零した霜琳は瑠碧に礼を告げた。
 そして、霜琳は改めて湖畔を見遣る。
 簪が水に浮くわけもなく泳げるはずもない。それゆえに水は大敵。
(「間違って湖に落ちねぇように気ィ引き締めてくか。良い相棒もいることだしな」)
 声には出さず、霜琳は前方で力を揮う瑠碧の背を見つけた。
 即席ではあるが、援護を行うのに彼女の存在は丁度いい。そして、瑠碧もまた霜琳が敵の動きを封じる狙いを感じ取っていた。
 再び心の中で精霊に呼び掛けた瑠碧が願うのは、氷の手助け。
「悪意に染まりし水は凍らせて、清浄なる水を助けて」
 その声に応じた精霊はひときに周囲に冷気を散らしていく。だが、瑠碧が狙うのはそれだけではない。
 周囲の水を取り込もうとする大蛇に向け、杖の水の精霊にも願った瑠碧は全力の魔法を解き放った。水の大蛇の表層全てを凍らせる一閃は一瞬だけその動きを縛る。
「……その湖畔は他の生命にも必要なものだ」
 水の大蛇だけの好きに使わせる訳にはいかない、と宣言した瑠碧に続き、霜琳も指先を中空に差し向けた。
「良い力だ。それじゃ、ちょいとやっちまうか」
 今一度、狙うのは水の大蛇の鋭い牙と口許。留刺の簪は瞬く間に大蛇の口を縫い止めるようにして突き刺さる。
 そして、対象の動きが一時的に封じられた。
 霜琳と瑠碧は一瞬で視線を交わしあい、同時に告げる。――今だ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ワン・シャウレン
さて、いよいよ本命じゃな。
水の大蛇とは、眺めるだけならば悪くはないんじゃが
その面構えはいかんのう。
険もじゃが、仔竜のためにも我が物顔を叩き出してくれよう。

というても単純に叩いてもあまり効かなそうじゃの。
目には目を、というものでもなかろうが
水霊駆動にて攻めるとしよう。

こちらも水場で戦いやすくなるし、
精霊の力を帯びたこの水をわざわざ取り込もうともすまい。
してくれても良いし、しようとすれば思い切り邪魔するがの。
水を拳や蹴りの延長や槌のようにしてぶつけていき、どんどん飛散させてやろうぞ。
おそらく頭を潰せばなんとかなるじゃろう。
他の者とも協力して行くぞ。



●混じり合う水流
 ワンはしかと視ていた。
 今まで厄介でしかなかった大蛇の口が塞がれ、水流の弾が堰き止まる瞬間を。
 ――今だ。
 耳に届いた仲間の声を受け、ワンは「任せるが良い」と短く答える。
 これまでは如何にして水流の弾を避けるかが問題であったが、一時的とはいえ攻撃が止んだのは好都合。
 目には目を。ならば、水には水を。
 ワンはその身に纏った水霊駆動の力をフルに発動させ、精霊の加護による高速移動で以て敵との距離を詰めた。一瞬後、解き放たれたのはほぼ零距離からの変幻自在の水撃だ。
「水の大蛇とは、眺めるだけならば悪くはないんじゃがその面構えはいかんのう」
 仔竜のためにも我が物顔の蛇を叩き出すのが我らの役目。
 激しい水流で敵を穿ったワンは薄く双眸を細めた。
 狙い通り、攻撃が封じられた大蛇は自らの身を癒すために周囲の水を取り込みはじめる。だが、今この場にはワンの力が籠った水が撒き散らされている。
 そのことに気付かぬまま大蛇は水を吸収した。
 ふ、と笑ったワンは水を取り込んで肥大化した敵の姿を見遣る。
「それを取り込めばどうなるか、考えてみるがよい」
 そして、次の瞬間。
 敵の内部から爆発めいた衝撃が巻き起こり、水の体躯を半分以上散らした。それはワンが操る水が内側からの攻撃として迸った結果だ。
「残念じゃったの。身体も半分以下になってしまったようじゃな」
 すぐに水流の体躯は再生されたが、肥大化し続けていたそれのサイズは元あった形に戻ってしまっている。
 もう仲間が封じた口元は開き、新たな弾丸が形成されようとしていたが構わない。
 此処まで来たのだ、後は徐々に削っていくだけ。
 ワンは水を拳や蹴りの延長として振るい、時には槌のような形へと変化させてぶつけていく。真に狙うは頭だが、敵もそれを分かっているのか防御に入っていた。
「どんどん飛散させてやろうぞ。最期には頭を潰してやるからの」
 今は防がれても、いずれはきっと致命傷を与えられる。
 そう、共に戦う仲間とならば必ず――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レクシー・ジー
我儘が通るのはここまでよ
今宵の月を仰ぐことは叶わないと覚悟なさいな

ミレナリオ・リフレクションの効果に確実性を増す為
敵の攻撃の前動作や特徴を観察しながら戦うの
わたし以外の猟兵へ向けられる攻撃も極力妨害するわ
けれど受け身に回ることのないよう随時精霊銃で牽制を
氷精が着弾したなら樹木が根を張るように広く行き渡らせて
爆ぜ凍える花で大蛇の肢体を飾りましょう
無邪気な仔竜さん達の痛み、その身に刻んであげる

居場所を求める気持ちは解るけれど
他者の犠牲を厭わない姿勢は言語道断
報いは確と受けて貰うの

*アドリブ、絡み歓迎


イア・エエングラ
お目覚めがご機嫌、斜めねぇ
こう騒いでは寝てる子が起きてしまうよ
しぃ、と示してさあさ早く終わらせましょう

あなたも、大きく、なったのなあ
この子も大きく、なるかしら
……冗談よう
さてリザレクト・オブリビオンでお招きしましょうな
僕は少し、下がっておこうな
落っこちたら泳げないからねぇ
なるべく辺りを傷付けないよに
頑張って動いて、くださるかしら
青い火は君に上げるから、良い子だもの、出来るかな

落ちる飛沫を見上げながら
いつかは自由に泳ぐこともあったかしら
それでも荒らして良い理由にはならないけども
星が、揺れるよ、おやすみなさい



●森を守る為
 水飛沫が散り、魔力の奔流が迸り、森がざわめく。
 レクシーは精霊銃から放つ魔力によって水流の弾丸を撃ち落とし、大蛇を見据えた。猟兵を相手に怒りのままの攻撃を続ける敵はまさに悪の権化。
 そして、再びレクシーへと弾丸の一閃が向けられた。
「我儘が通るのはここまでよ」
 だが、瞬時に展開されたユーベルコードの力が水弾を弾いて相殺する。
 それだけではない。幾重もの防護壁めいた魔力が連なり、他の猟兵――イアに向けられた弾丸をも次々と打ち消していった。
 これまで仲間の援護に入りながら、ずっと敵の動きを注視してきたのだ。もう攻撃は見極めた。レクシーは次は此方の番だとして、花唇をひらく。
「今宵の月を仰ぐことは叶わないと覚悟なさいな」
 真っ直ぐに告げられた言葉と共にレクシーは引鉄を引いた。刹那、氷精の力が宿った一閃が水の大蛇を貫く。
 おそらく腹部にあたる部分に着弾したそれは樹木が根を張るように幾筋もの氷を行き渡らせていった。
 その様は爆ぜ凍える花が大蛇の肢体が彩られ、飾り立てられていくかのよう。
「無邪気な仔竜さん達の痛み、その身に刻んであげる」
 オブリビオンの邪悪な気に当てられ、人を襲うものへと変わっていた仔竜を思い、レクシーは次々と霊弾を放った。
 敵は僅かに悶え苦しむ様子を見せて大きく背を仰け反らせた。
 レクシーはその動きに逸早く気付き、再び反射の魔力を紡いだ。そして、傍らで戦う仲間に呼び掛ける。
「――気を付けて、来るわ」

 彼女の呼び掛けに頷き、イアは身構えた。
「お目覚めがご機嫌、斜めねぇ」
 敵の口から解き放たれた水流弾を後方に跳んで躱し、イアはしぃ、と口許に指を当てて目を細めた。
「こう騒いでは寝てる子が起きてしまうよ。さあさ早く終わらせましょう」
 森の其処かしこで倒れて眠る仔竜を思い、イアは左右に視線を遣った。其処には死霊の騎士と蛇竜が控えており、反撃の機を狙っている。
 目線でイアが敵を示せば、騎士が刃を振りあげて斬りかかってゆく。
 続いて蛇竜が牙を剥いて敵に喰らい付いた。その間にも敵は水弾を向けてきたが、レクシーが放ち返す力がそれらを相殺する。
 そして、水の大蛇は周囲の水分を吸収して回復する。
「あなたも、大きく、なったのなあ」
 吸収を繰り返す度に大蛇は巨大に、ひとまわりもふたまわりも大きくなっていった。イアはそれを見上げ、僅かに口元を緩める。
「この子も大きく、なるかしら……冗談よう」
 そんなことを口にしながらイアは死霊達に次なる攻撃を願った。
 自らは湖に近付かぬよう、そして誰かの射線を防がぬように、イアは後方から死霊達に己の力を送り続ける。
「落っこちたら泳げないからねぇ」
 イアは揺らぐ湖面を見遣った後、周囲にも気を配った。
 仔竜や森の動植物を思えばこの戦いで周辺を傷付けてはいけない。それゆえに気を付けて、と死霊達を見つめたイアは再び願う。
「頑張って動いて、くださるかしら」
 青い火は君に上げるから。良い子だもの、出来るかな。
 その声に呼応する形で蛇竜が水の蛇に牙を突き立て、迸る程の魔力を散らせた。
 相手は水の身体を持っており、それは徐々に肥大化いっている。だが、恐れることなど何もない。その理由は共に戦う仲間が傍にいるからだ。
 イアとレクシーは其々に出来ることをやるだけだと感じ、ちいさく頷きあった。
 そして、戦いは佳境に入ってゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイブル・クライツァ
穏やかな水面をも荒れ狂わせて……退散させないとね。
眠れる竜達や、人々が脅かされない様終わらせましょう?
この森には穏やかな静けさの方がやっぱり合うのだもの。
お楽しみの前の大仕事は、気持ちよく終わらせたい所だわ。

水弾で森が荒らされ過ぎない様に、大蛇本体含め巫覡載霊の舞で切って祓ってを中心に
第六感と見切りを駆使しながら、なるべく他の猟兵の方の攻撃の間を埋める形で攻撃するわ。
必要であれば声を掛け、被害軽減に努めるわね。
避けたら木が大量に薙ぎ倒される等の懸念が大きければ、巫覡載霊の舞で迎え撃つ覚悟よ?

本来のあるべき姿へと還りなさい?
これからを生きていく為の世界なのだから、ね。


緋翠・華乃音
水の大蛇……まあ、お前に何か恨みがある訳でも無いんだけどな。
骸の海で大人しく眠りに就いて居れば良いものを……

「地形の利用」を生かして湖畔を見渡せる位置の樹上に「目立たない」の技能を利用して潜伏し、伏兵として戦闘に参加。
狙撃銃を構え、優れた「視力」や「聞き耳」「第六感」を駆使して戦況を知覚。様子を見つつ、敵の行動を「見切り」きってから狙撃開始。
リロード等の動作は全て「早業」を用い、決して隙を見せないように心掛ける。
ユーベルコードで更に感覚を向上させ、敵の行動を先読みして一撃一撃を必中させる。

――随分と無駄にでかい的だな。



●地上と樹上
 轟音が響き、幾重もの攻防が繰り返される。
 本来、其処にある湖面は鏡のように美しく、空や森の景色をやさしく映すだけのものだったのだろう。
「穏やかな水面をも荒れ狂わせて……退散させないとね」
 これ以上、森と湖を穢させはしない。
 そう決めたレイブルは巫覡載霊の舞によって己の身体を神霊体へと変える。途端にその身体は淡く透き通ってゆく。
 大蛇から放たれる水の弾丸を受け止めたレイブルへの衝撃は幾分か軽減されている。そして、レイブルは薙刀を構えた。
「眠れる竜達や、人々が脅かされないよう終わらせましょう?」
 緑豊かなこの森には穏やかな静けさの方がやはり似合う。それに、お楽しみの前の大仕事は気持ちよく終わらせたいところ。
 そうでしょう、とレイブルが呼びかけると華乃音が静かに頷いた。
 彼は今、出会った時のように樹上から敵を見据えている。華乃音が反応した様子を感じたレイブルは「援護はお願い」と告げて再び斬りかかってゆく。
 華乃音は敵に見咎められてはいない。
「骸の海で大人しく眠りに就いて居れば良いものを……」
 自分だけに聞こえる声で呟いた華乃音は狙撃銃を構え、一気に引鉄を引いた。
 そして、素早く身を翻して別の樹へと飛び移る。万が一にでも、着弾した弾丸の元を悟られぬよう身を隠す狙いだ。
 もしこれが一人での戦いあったならばすぐさま気配を悟られていたかもしれない。
 この戦法が取れるのもレイブルをはじめとした他の猟兵達が気を引き、攻撃を仕掛けてくれているからだ。
 幾重も放たれる攻撃に乗せて華乃音は攻撃を続ける。
「水の大蛇……まあ、お前に何か恨みがある訳でも無いんだけどな」
「樹も、仲間も必要以上に傷付けさせないわ」
 レイブルも巫覡の力で切って祓い、水流ごと大蛇を穿っていく華麗に舞う。其処でふと、レイブルの第六感が危険を告げた。
 敵が予備動作すらなしに華乃音のいる樹へと水弾を放ったのだ。
 それはただの偶然。水流が防がれ続けることに痺れを切らした大蛇が怒りのままに無軌道に放ったものだった。
 だが、このままでは仲間ごと樹が薙ぎ倒されてしまう。
「そうはさせないわ」
 水流の先へと駆け、レイブルはそれらを迎え撃った。激しい衝撃がその身を貫いたが彼女はしかと立ち続けている。
 華乃音はレイブルを見下ろし、その果敢さに賞賛交じりの眼差しを送った。
「すまないな。いや、森の為でもあるのか」
 彼女は自分だけを守ったのではない。森も、木も、仲間もすべて含めて守護しようとして動いたのだ。
 その気持ちに負けてはいられない。
 華乃音は瑠璃を思わせる濃藍の眸を敵に向け、銃口を差し向けた。
 リロードは一瞬。
 後はこの弾丸を撃ち込み続け、敵の力を削いでいくだけで良い。敵は強大だが勝機がまるで見えないわけではなかった。
 レイブルは地面を確りと踏み締め、華乃音は葉の陰から敵を見据える。
 地と樹上。立つ場は違っても、勝利への思いは同じ。
 共に戦う仲間達の存在もまた心強いもの。
 後少し。きっと、もうすぐ――。戦いの終焉を思い、二人は其々の力を揮い続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メヤ・トゥスクル
※リア(f04865)と一緒

仔竜を、惑わして。
悪いことを、させる、大蛇なら。
放っては、おけない、よね。
外から来て、好き勝手なことを、してるなら。
退治、しないと、いけない。

リアと、偶然、会ったから。
折角だし、一緒に、戦おう、戦おう。
リアが、戦い、得意じゃない、なら。
ちょっと、前に出て。フォロー。
だいじょうぶ、こわくない。

【无咎瑞花】で、【雷】の、【三叉槍】を。
合計、95本。お届け。水には、雷が、よく、ききそう?

ちょっと、痛そう、な。攻撃には。
リアに【かばう】で、攻撃が、飛んで、いかないように。
いたいけど、ちょっと、がんばろう。

回復は、リアに、おまかせ。お願い、します。
大魔法、がんばれ、がんばれ。


リア・チェルハ
※メヤ・トゥスクル(f09104)と一緒

銀鈴蘭は見てみたいし、近くの村にまで被害が広がっちゃうのは良くないよね。
うーん、戦うのはやっぱり怖いんだけれど頑張りまーす。

一人で動くのは嫌だなぁとか思ってたらメヤの姿を見掛けたので一緒に動くよ。
あんまりお話したことはないけれどきっと良い人…のはず!

まじまじと見ると大蛇って怖っ!でかいしやっぱり戦いなんて…いや、でも一人じゃないし…!

あんまり接近戦とかできる気しないから基本メヤのカバーリングをする感じで
大技より牽制する魔法でちくちくしたり生まれながらの光で回復したり支援するよ!

といいつつも隙を見て入れれそうなら全力の魔法も決めてみたいなぁ。



●少女の決意と少年の後押し
 仔竜や大蛇が待つという場所に入るのは怖かった。
 けれど、と自分を奮い立たせたリア・チェルハ(蒲公英・f04865)は顔をあげた。
 銀鈴蘭。そして森と世界の平和。
 それから、自分のちいさな恐怖。この手に平和を守る力があるというのなら、どうするかを決める心の天秤は戦いに赴く方に傾いた。
「うーん、戦うのはやっぱり怖いんだけれど……」
「心配、しないで。一緒だから」
 それでも未だ不安を隠せないリアの傍らには、元気付けるように双眸を緩めたメヤ・トゥスクル(憑代・f09104)の姿がある。偶然に森で出逢った二人は共に往くことを決め、今はこうして湖畔に前に立っていた。
「……そうだね、頑張りまーす」
 ぐっと掌を握って自分を励ましたリアに頷き、メヤは前へと駆け出す。
 仔竜をぽこぽこ倒して、辿り着いた湖畔では既に他の猟兵達が戦っていた。水の大蛇が放つ水流弾は激しく、地面や樹にぶつかって飛沫を散らしている。
「仔竜を、惑わして。悪いことを、させる、大蛇なら」
 メヤは黄昏と冬空の彩を宿す眸を敵に向け、魔力を差し向けた。
「放っては、おけない、よね」
 言葉が紡がれ終わった刹那、雷を纏う三叉槍が少年の周囲に顕現する。
 その数、九十五本。
 いって、と告げたメヤの声に呼応した槍達は水の大蛇へと真っ直ぐに飛んでゆく。その体躯を鋭い切先が貫いていく様を見つめ、リアは胸を押さえた。
 メヤだけではない、他の猟兵達も様々な攻撃を放っている。
 気圧されているわけではないが、自分もあのひとたちと同じ猟兵なのだとは未だ実感がわかなかった。それでも――。
「うん、放っておいたらいけないことだよね」
 メヤの言葉に頷き、リアは黄色い花の意匠が施された杖を掲げる。
 次の瞬間、其処から微弱な風が巻き起こり、蒲公英の花弁が戦場に舞った。明るい春色の花は水蛇にふわふわと纏わりつき、牽制代わりの攻撃になっていく。
 今までは薄目だったが、標的を見定める為に改めてまじまじと見た大蛇は恐ろしかった。わっ、と思わず声を出してしまったリアはぶんぶんと首を振る。
「大蛇って怖っ! でかいしやっぱり戦いなんて……いや、でも……」
 本当なら今だって村でのんびり過ごしていたい。
 けれど、逃げ出したいわけでもなかった。
「一人じゃないし……!」
 彼女を繋ぎ止めているのは仲間の存在。
 まだよく知らない間柄であってもメヤがいてくれるなら心強い。そんな少女の心の動きを何となく感じ取り、メヤはそっと振り返る。
「外から来て、好き勝手なことを、してるなら。退治、しないと、いけない」
 だから、力を貸して。
 そう告げたメヤは隙を見てもう一度蒲公英を降らせてほしいと願い、そして――リアに迫ろうとしていた水の弾丸を見つけ、一気に跳び込んだ。
 自ら身を挺して少女を庇ったメヤが受けた衝撃は重い。はっとしたリアは慌てて生まれながらの光を施してその身を癒していく。
「大丈夫? 待ってて、今回復するね」
「だいじょうぶ。痛くても、こわくない」
 心配する少女に礼を告げ、メヤは体勢を立て直した。
 儚げな少年だというのにその言葉は何処か力強い。そんな彼の姿を見て、リアは風の精霊杖を強く、強く握り締めた。
 自分達以外に戦う猟兵達の力によって、大蛇の力は削られ続けているようだ。
 きっと終わりはもうすぐ。メヤの眸だってそう告げている。
 ならば、次に放つのは全力の魔法だと決めてリアは真っ直ぐに前を見据えた。

●決着は夕暮れと共に
 幾度も、幾重もの攻防が巡り、水流や魔力が弾けた。
 猟兵達は強大な敵を前にしても怯まず、果敢に戦い続ける。そして今、水の大蛇は戦う力を失いかけていた。
 コノハは最後に向け、更なる攻撃を見舞いに向かう。
 柘榴で喰らい付き、そのままもう一撃を捩じ込む。それは右目に仕込んだ刻印――氷泪。反撃受けようとも構わず、捨て身で敵の頭上まで飛んだコノハが纏うのは青白い稲妻。
「ホントの口はコッチ、ってね」
 そして、放たれた一閃は見事に敵の眉間を抉った。
 その隙を狙い、ジェイクスはひといきに大蛇との距離を詰める。
「さあ、悪役の出番はこの節で終了だ。最期は美しく、華麗にご退場願おうか」
 頭の奥に存在するであろうコアを狙い、ジェイクスが放ったのは不倶戴天の一撃。彼が与えた衝撃は大蛇の身を揺らがせる。
 まいも其処に続き、首を刈り取る勢いで加々知丸を振りあげた。
「その首を頂くとしますです!」
 ざん、と水を切り裂いた斬撃の音が鈍く響く。首は両断したが、水の身体であるその断面同士がすぐにくっついてしまう。
 そうして大蛇は幾度めかの水源吸収を行っていく。
「無駄じゃ」
 すかさずワンが水に己の力を込めて吸収される力を削ぎ取っていった。だが、相手も本気。それすら構わぬとばかりにぐんぐんと湖の水を吸い上げていく。
 されど、その身体は巨大すぎるほどに成長していった。イアが放った死霊騎士の刃が敵を突き刺す最中、華乃音は冷たさを宿す眸で敵を見つめた。
「――随分と無駄にでかい的だな」
 あれほど大きければ外すこともあるまい。
 白夜と極夜。両方の拳銃から華乃音が撃ち放った力は、大蛇の頭を貫く。
 其処に生まれた隙に気付き、メヤはリアに呼び掛けた。幾重もの雷槍を浮遊させ、メヤはタイミングを計る。
「大魔法、がんばれ、がんばれ」
「わかった……! これがわたしの全力……っ!」
 応えたリアが杖を振るえば蒲公英の花が舞い、三叉槍が戦場を翔けた。
 その美しさに微笑みを浮かべ、フェムも自らの力を放つ。
「止めはぁ、皆でさしましょうねぇ」
 その身に纏う闇の光で敵へと攻撃を仕掛けたフェムに合わせてグァーネッツォも竜槍の切先を差し向けた。
「派手に決めてやろうぜ!」
 グァーネッツォは近付く終わりを見据え、全力を込めて槍を振り下ろす。氷竜が放つ冷気は見る間に敵を凍り付かせ、その動きを鈍らせていった。
 だが、水の大蛇もやられてばかりではない。
 咆えるように口を開いたそれは怒りのままに水流の弾丸を四方八方へと放った。もはやそれは狙いなど付けられておらず、無差別な破壊でしかない。
 それでも弾丸は猟兵達に向かった。
 ヴィゴははたとして駆け、まだ攻撃に気付いていなかった仲間の前に立ち塞がる。
「ここまで来たんです。誰も大蛇の餌食にはさせません」
 無敵の城塞と化したヴィゴ。
 彼の意思は強く、そして護りきるという志は確かに果たされた。
 そしてびいどろもまた、あるものを庇っていた。
「きっと、この花は……満月の光を待ってる、から」
 びいどろが身を挺して守ったのはまだ咲いていない一輪の花。それが銀鈴蘭だろうと気付いていた少年は水流を自ら防いでいた。
 ――この花の咲うところ、見てみたいから。
 そういって膝を付いたびいどろの傷は深い。だが、その姿を見つめていた暁音がすぐさま癒しの力を放った。
「命の新星を持ちて、立ち向かう者達に闇祓う祝福の抱擁を……」
 傷ついた翼に再び力を。
 神聖なる光は仲間を包み込み、癒しが巡っていく。
 暁音に援護を任せ、夕夜は零へと戻った。首にかけている十字架のネックレスに霊力を込め、詠唱を紡ぐ。
「魂よ集え――」
 其処に召喚されたのは死した嘆きの魔女。展開された魔法陣から高密度の光の奔流を放ち、零は敵を強く見据えた。
 少年達の頑張りに目を細めた霜琳は今一度、敵の動きを封じることを狙う。
「よっと。さァさ、終わらせちまおうか」
 軽い掛け声の後、鉄簪は牙を貫いて罅を刻む。其処から真っ二つに折れた牙が地面に落ち、ただの水の塊となって崩れ落ちた。
 敵も拙いと感じているのか、また水を吸収しようと動きはじめる。
 だが、アイリはしかと大蛇の動きを読んでいた。
「もう回復なんてさせないわ。覚悟しなさい」
 先程は叶わなかったが今度こそ。アクト・リフレクトの力によって再び、平行世界の“凍結した湖畔”が現れる。
 既に水を取り込んでいた大蛇は再生することもできず、氷の冷たさによって動きを封じられてしまう。そして、星の囁きのような幽かな音が聞こえたかと思うと、水の大蛇の身体が凍りつきはじめた。
「やってしまいましょう! 凍っちゃえば水だって壊せるでしょう?」
「そうだね、ただ壊すのなら得意だ」
 アイリが呼びかけると、灰色が地面を蹴った。
 瞬く間に凍り付く大蛇の眼前にまで跳んだ彼は衝拳を嵌めた拳を振り被る。
 一閃。更にもう一撃。
 衝撃から衝撃を生み出した灰色。彼は拳だけでなく、宙で回転を入れると同時に蹴撃をも喰らわせていた。
 容赦ないなぁ、と彼の連続攻撃に目を細めた絲も追撃に入る。
 絲が再びダガーを投げれば、氷の大蛇と化したそれに刃が突き刺さった。
「茜、最期の雨だよ」
 そして――雷粒が空に迸り、葬送の雨を降らせてゆく。
 セツナは仲間達が織り成す鮮やかな攻撃の彩を見つめ、大蛇に呼び掛けた。
「あなたの罪を私は赦そう。とはいえ……」
 いとけない子竜たちを惑わせた件については存分に反省しないといけない。双眸を少しばかり鋭く細めたセツナは凛と言い放つ。
 レクシーもまた、最早身動ぎすら出来ぬオブリビオンを見据えた。
 居場所を求める気持ちは解る。けれど他者の犠牲を厭わない姿勢は言語道断。
「報いは確と受けて貰うの」
「本来のあるべき姿へと還りなさい?」
 レクシーが精霊銃を撃ち放てば、レイブルも薙刀を振り下ろした。
 ――此処は、これからを生きていく為の世界。
「過去の残滓は在るべき場所に」
 瑠碧は氷で固められた大蛇を見つめ、水の精霊の加護を巡らせた。
 カスカは此処はお前が住まうべきところではないと告げ、構えたガジェットをおおきく振るいあげる。
「仔竜の穏やかな日々の為にも、討たせてもらうよ」
 そして、この先の平和の為にも。
 カスカの一撃によって、水の大蛇は崩れ落ちた。氷が割れて弾け飛んだ水は湖面へと散り、悪しき意思は其処で潰える。
 骸の海へと消えていく大蛇を見送り、猟兵達は空を振り仰いだ。
 既に夕陽は落ちはじめており、夜の帳が訪れる時刻が近付いていた。イアは落ちる飛沫を見上げながら、いつかは自由に泳ぐこともあったかしら、と呟いた。
 そして、最期を迎えたものへとせめてもの弔いの言葉を落とす。
「星が、揺れるよ、おやすみなさい」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『闇に咲く花』

POW   :    言い伝えを信じ、森中を踏破

SPD   :    周囲の町や村から情報収集

WIZ   :    自分の魔法や、夜の動物たちに協力してもらい情報収集

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●満月の夜に
 悪しき存在を屠り、森には平穏が訪れた。
 時刻は夜。
 やさしい夜風に樹々が揺れ、森は満月の光に照らされている。
 そして、穏やかな湖面はまるで鏡のように、丸い月を映し出していた。

 ひらり、ふわり。
 湖の夜鏡に光る何かが舞う姿が映る。それは善良な心を取り戻した仔竜たちが淡く光るランタン草を持って湖畔を飛ぶ様子。
 その光に照らされた地面にはいま、花ひらいた銀鈴蘭が見える。
 真白な花は可憐で、月に照らされた花の色は不思議と銀色に光っているようにも見える。そう、これが満月の夜にだけ咲くという花。

 ――花が咲いている間に強い想いを花に込めると願いが叶う。
 ――閉じた蕾の中には想いの証が宿り、願いには月の加護が与えられる。
 ――そして、夜を映す鏡のような湖に花弁を沈めるとその想いは永遠になる。

 そんな言い伝えがこの土地にはある。
 それを信じて願いを込めて花弁を沈めてみるのも良い。または儚い花の命を大切に思い、摘まずに眺めているだけでも構わない。
 静かで穏やかな満月の夜。仔竜が飛び交う、銀鈴蘭が咲く森の湖の畔。
 さぁ君は今夜、此処で何をして過ごす?
アルノルト・ブルーメ
仔竜達の様子に安堵の息を吐いて
それが君達の本来の姿だね……?

あぁ……これが『銀鈴蘭』
確かに、言い伝えに用いられるだけの綺麗さだ

手折らぬように花に触れて、いつだって胸の内にある願いを籠めよう

今この場には居ないけれど、僕の大切な大切な宝物……
あの娘(こ)が笑顔でありますように
例え、泣きたくなるような困難に出遭い、その行く手を阻まれても
乗り越えていける……自らの手で、幸せを掴みとりに行ける……
そんな強さを持って、周囲の人達に愛されて
笑っていられますように――

永遠に、などとは言わない
だから、儚い君の命を手折るような事はしないけれど
この気持ちを預けてもいいかい?

何時かあの娘とも観たいね、この景色を再び



●想いを託して
 夜の狭間で灯が揺れる。
「それが君達の本来の姿だね……?」
 無邪気な仔竜達の様子に安堵の息を吐き、アルノルトは双眸を細めた。
 仔竜に導かれるよう連れられた先には小さな花が咲いていた。連なり、鈴のように愛らしく咲く花は夜風に吹かれてふんわりと揺れている。
「あぁ……これが銀鈴蘭」
 確かに言い伝えに用いられるだけの綺麗さだと感じてアルノルトは片膝をつく。
 手折らぬように花に触れて願うのは、いつだって胸の内にある思い。今この場には居ないけれど、何より大事に思う子のこと。
「僕の大切な大切な宝物……あの娘が笑顔でありますように」
 例え、泣きたくなるような困難に出遭い、その行く手を阻まれても乗り越えていける。自らの手で、幸せを掴みとりに行ける。
 そんな強さを持って、周囲の人達に愛されて笑っていられますように――。
 花は摘まず水にも沈めない。
 だから永遠に、などとは言わない。
 儚い花の命を手折らずともきっと、この気持ちを預けても良いはずだ。
「何時かあの娘とも観たいね」
 ――この景色を、再び。
 湖畔の景色を見渡したアルノルトの眸はあの娘に贈る大切な思いと、輝かしい未来を思う、やさしい彩が宿っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
他の方との絡み、アドリブ歓迎
エチカさんもご一緒に探検など如何です?

WIZ
賑やかさに身を隠す動物達を
安心させるよう笛音で招いて
目線を合わせ屈んで語りかける

双月の在処を訊ね
未知への逍遥を楽しみましょう

私は強い想いも、願いも持たない
だから
世界の夢や誓いは蕾へ包み籠めずとも
せめて今宵
此の場に集う皆の願いに
温かな灯が、希望が燈りますように
…其れもまた私の願いのうちに入るのならば

然れど
自身の望み無きを他者に託すなど
至極個人的で身勝手な願いでしょうから、と
さやかに笑って
摘まずにそっと触れるのみ

二つの月よ
あなた方の願いは、いつか一つになることでしょうか
地に在る私には分かる術もなく
ただそっと
揺れる花を撫でるのみ



●天と地の双月
 二つの月が顔を合わせる場所。
 それは何を意味するのだろうか。静かな夜の森の探検を行うのは都槻・綾(夜宵の森・f01786)とエチカのふたり。
 賑やかさに身を隠す動物――今の場合は梟を手招き、やさしい笛音で招く。そして綾は木の枝に止まった梟を見上げて問い掛けてみた。
「双月の在処を知っていますか?」
「その梟は何といっておるのじゃ?」
「こっちにおいで、だそうです」
 綾の様子を見守るエチカが問い掛けると、梟が飛び立つ。
 どうやら湖畔ではなく違う場所があるらしい。翼が導く未知への逍遥を楽しみながら、二人は梟の飛んだ先へと歩を進める。
 すると其処には、ちいさな泉があった。その真上には見事な満月が見えており、泉にもうひとつの満月が映っている。
 そして、泉の周囲には湖畔の花よりも更に凛と咲いた銀鈴蘭が見えた。
「空の月と泉の月ということでしょうか」
「なるほどのう。天と地、両方の月光が花を咲かせたという訳か」
 穏やかに微笑みあった綾とエチカは暫し花を眺める。
 綾は強い想いも、願いも持たない。
 だから、と指先で花に触れた綾は言葉を紡いだ。
「世界の夢や誓いは蕾へ包み籠めずとも、せめて今宵……」
 ――此の場に集う皆の願いに温かな灯が、希望が燈りますように。
 其れもまた私の願いのうちに入るのならば、と零した綾にエチカは静かな笑みを向けた。良い願いじゃの、と言葉にした少女は肩に止まった梟と戯れはじめた。
 穏やかな夜の光景を見つめた後、綾は目を閉じる。
 然れど、知っている。自身の望み無きを他者に託すなど至極個人的で身勝手な願いだ。瞼をひらいてさやかに笑った綾は花を摘まず、泉に映る月を瞳に映した。
「二つの月よ。あなた方の願いは、いつか一つになることでしょうか」
 けれど、地に在る己には分かる術もなく。
 誰かの願いもまた裡に秘められ、沈んでいくのだろう。
 そして綾はただ、そっと揺れる花を撫でた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イア・エエングラ
やあ。
――さっきは痛くなかったかな
もうすっかり元気かしら
それなら、良かったけれど
光をもって、お空をゆくの
星が流れるようで、きれいね

そっと手を伸ばすのを許してくださるかしら
花を手折るには勿体なくて
沈めてしまうのも惜しいから
この景色だけで充分よう
永遠を抱くには、あんまり寂しいものだから
月の路に降る星の光ばかりを追っていような

灯る光も柔らかに
うたうよに揺れるものだから
こんな穏やかな夜も珍しくって
さから、覚めたきみのかわりに
鏡の畔に眠ってしまおう
きっと、また夢で、遊んでね



●月路と星光
 やあ。
 そう声を掛ければ、ランタン草を持った仔竜がイアの隣にぽすんと座った。
「――さっきは痛くなかったかな。もうすっかり元気かしら」
 イアの問い掛けに対し、仔竜はきゅーきゅーと鳴いて何かを伝えた。きっともう大丈夫だと伝えているのだろう。もしくは、何のことか忘れたよとでも言ってけろりとしているのかもしれない。
 それなら良かったけれど、とイアが薄く笑む。すると仔竜は翼を広げてイアの周りをくるくると回るように飛んだ。
「光をもって、お空をゆくの、星が流れるようで、きれいね」
 仔竜が手にしたランタン草が淡く光る様を眺め、イアは素直な思いを零す。
 きれいだと褒められているが分かったのか、仔竜は嬉しそうに周囲を飛んでみせた。無邪気で元気な様子を暫し眺めた後、イアは傍らの銀鈴蘭に手を伸ばす。
 花を手折るには勿体なくて、沈めてしまうのも惜しい。
 この景色だけで充分よう、と言葉にしたイアは花と灯を交互に見遣った。
 永遠を抱くにはあんまり寂しいものだから、月の路に降る星の光ばかりを追っていよう。灯る光も柔らかに、うたうよに揺れるものだから。
 こんな穏やかな夜も珍しくって、とイアは穏やかな心地に身を任せる。
 ――だから、覚めたきみのかわりに。
 鏡の畔に眠ってしまおう。
「きっと、また夢で、遊んでね」
 落とした言の葉はただ静かに、夜の彩の中にとけてゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハーモニア・ミルクティー
【wiz】
とても幻想的な光景ね
この世のものとは思えないほど美しいわ
言い伝えは気になるけれど、花は摘まないでおこうかしら
願いは自分で叶えてこそよね?

わたしは仔竜たちと一緒に戯れるわ
幻想的な光景を眺めながら飛べる機会なんて、滅多にないもの!それに、可愛い仔竜も一緒だわ!
「動物と話す」で会話をしたり、ピッコロを「楽器演奏」で奏でたりするわね
さっきはごめんなさいね。皆、大丈夫だったかしら?元気そうだけれど、心配だったの
ここの光景はとても綺麗ね。湖に月が写って、まるで満月が二つあるみたいよ
そういえば、『二つの月が顔を合わせる場所』に咲いた銀鈴蘭の花は願いを叶える力が強いって聞いたのだけれど
…まさかね?



●月が出逢う場所
 満月の光が淡く降り注ぐ中に銀鈴蘭の花が咲く。
「とても幻想的な光景ね!」
 この世のものとは思えないほど美しいと零し、ハーモニアは周囲を舞う。
 願いが永遠になるという言い伝えは気になる。けれど、と暫し考えたハーモニアは花は摘まないでおこうと決めた。
「願いは自分で叶えてこそよね?」
 頷いたハーモニアの傍にはいつの間にか仔竜達が集って来ている。
 どうやら彼らは、遊ぼう、といっているようだ。幻想的な光景を眺めながら飛べる機会なんて滅多にない。
「さっきはごめんなさいね。皆、大丈夫だったかしら?」
 元気そうだけれど心配だったのだと告げると、仔竜達は何でもないと答えた。
 そして、仔竜の誘いを受けたハーモニアは暫し彼らと共に湖畔を飛び、ランタン草の光で辺りを照らした。
 暫く遊んだ後、ハーモニアは仔竜と一緒に木の枝に座る。
「今から何か演奏するけど、どんな曲が良い?」
「きゅ!」
 ピッコロを取り出して問い掛ければ、仔竜は楽しいのがいいと答えた。
「そう、だったらこれね」
 奏でられるのは夜に燈る灯のように可愛らしく明るい曲。
 仔竜達はきゅいきゅいと鳴いて喜んでいる。そして演奏が終われば、仔竜達はハーモニアに自分の背に乗って欲しいと告げてきた。
 お礼に案内したいところがあるらしく、ハーモニアは竜に掴まる。
 そして――辿り着いたのは湖畔の真ん中。
 ちいさな浮島がひとつだけぽつんとあり、少女達は其処に降り立った。
「ここの光景はとても綺麗ね。湖に月が写って、まるで満月が二つ……」
 はっとしたハーモニアは頭上と湖面を交互に見遣る。
 きっと、此処が『二つの月が顔を合わせる場所』なのかもしれない。其処に咲いた銀鈴蘭の花は願いを叶える力が強いという。けれど、花は摘まないと決めていた。
「……まさかね?」
 くすりと笑ったハーモニアは足元に咲く花にそっと触れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

赫・絲
願いが叶う、か
いともお願いしてみようかな
かいちゃん(f00067)は?

彼の返事に頷き
月の色にも見える真白の花に触れ

ごめんね、摘ませてね
願った花を摘み、畔にしゃがむと
花弁を乗せた掌を湖に浸す

誰かの『もっと』を奪い続けてきた血塗れの手は
永遠などありはしないことを識っているけれど

それでも……なんてね!
なんだか素敵だから、ちょっとお願いしてみただけー

……してみただけって言ってるのに
でも、そうかな

元より一人では叶えられない他力本願な願いごと
彼はそれを知らない。けれど、願ってくれた
それなら今は、きっとを信じて

そうなったら、いいな

かいちゃんもお願いすればよかったのにー
ふうん、かいちゃんらしいや
……ありがと


壥・灰色
おれは……
おれは、いいよ

いと(f00433)が花を積むのを、後ろでじっと見つめている
手折る手を、手に溜めた花弁を
まるで忘れないように、記憶に留めておくように

いいんじゃないか
誰かを殺して
誰かから奪って
おれ達は皆そうして生きてる
許されるかどうかなんて知らないけど、生きていくためにそうしてる
いいじゃないか、願ったって
ありはしないって思わなくたって

きみの分も、願っておくよ
叶うといいね、いと

おれはいいんだ
手に入れたいものは、自分で手に入れに行く
それに、おれの分の願いは今使っちゃったばっかりだしさ

どういたしまして、いと
おれに出来る事なら手伝うから
根拠なんてないけど――きっと、大丈夫だよ



●きっと、大丈夫
 湖の畔、満月の光で花咲いた銀鈴蘭を見下ろす。
「願いが叶う、か」
 絲はこの花に纏わる言い伝えを思い返し、そっと屈み込んだ。
「いともお願いしてみようかな。かいちゃんは?」
 指先でちいさな花に触れて顔をあげる。視線の先には湖畔に佇む少年の姿がある。その眼差しは穏やかな湖面に向けられている。
「おれは……おれは、いいよ」
 ほんの少しだけ言い淀んだ彼の返事を聞き、そっか、と絲は頷いた。
 月の色にも見える真白の花に触れ、絲は鈴蘭に囁くように告げる。
「ごめんね、摘ませてね」
 その手折る手を、手に溜めた花弁を。まるで忘れないよう刻み、記憶に留めておくように瞳に映した灰色。その表情はいつも通り変わらないまま。
 願った花を摘み、絲は畔にしゃがみ込んだ。
 花弁を乗せた掌を湖に浸せば冷たい心地と共に花弁が水面に揺蕩う。
 絲は花が湖に沈んでいく様を見つめながら、ゆっくりと花唇をひらいた。
「誰かの『もっと』を奪い続けてきた血塗れの手は永遠などありはしないことを識っているけれど、それでも……」
 その表情も言の葉も真剣だった。
 しかし絲はすぐに表情を緩めて茶化してみせる。
「なんてね! なんだか素敵だからちょっとお願いしてみただけー」
「いいんじゃないか」
 すると灰色が首を横に振った。
 絲の傍らで花弁が沈む光景を見下ろしながら、少年は続けてゆく。
「誰かを殺して、誰かから奪って、おれ達は皆そうして生きてる」
 許されるかどうかなんて知らない。
 けど、生きていくためにそうしてる。
「いいじゃないか、願ったって」
 ありはしないって思わなくたって、願うことは誰にでも公平に与えられた権利だ。
「きみの分も、願っておこう。叶うといいね、いと」
 そう告げた灰色の横顔を見つめた絲は瞼を一瞬だけ伏せ、下ろした掌を握る。水に触れた指先は未だ、冷たい。
「……してみただけって言ってるのに」
 でも、そうかな。もう一度、頷いた絲は思う。
 あれは元より一人では叶えられない他力本願な願いごと。彼はそれを知らない。けれど、願ってくれた。それなら今は、『きっと』を信じてみたい。
「そうなったら、いいな」
 それだけを言葉に落とした絲は湖面を見遣った。
 願いが込められた花弁はもう水底に沈みきったのか、影すらも見えない。
「かいちゃんもお願いすればよかったのにー」
「おれはいいんだ」
 絲の声に対し灰色は今度ははっきりと返した。
 手に入れたいものは自分で手に入れに行く。それに、おれの分の願いは今使っちゃったばっかりだと話す彼に絲はふうん、と答えて「かいちゃんらしいね」と呟いた。
「……ありがと」
「どういたしまして、いと」
 月の光と花の願い、そして淡い灯が舞う中で言葉が交わされる。
 おれに出来る事なら手伝うから。少年は静かに告げて、少女を見つめた。
 根拠なんてないけど――きっと、大丈夫だよ。
 そんな思いを、込めて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セツナ・クラルス
ふふ、月光浴と森林浴が同時に味わえるとはなんという贅沢
最近は少し慌ただしい日が続いていたので
こういう時間は貴重なのかもしれないね

銀鈴蘭には興味はあるが
是が非でも見たいという程の熱量はない
足の向くまま気の向くまま
森の中を探索しよう

ふと見かけるのは
我々と交戦した子竜
先程は失礼したね
どこも痛いところはないかい?
申し訳なさそうに眉を下げて
子竜の身体をチェック
…うん、問題なさそうだね。よかった

…そういえば、前々からゼロが武器を欲しがっていたな
ここで会えたのも何かの縁
今後、私たちと共に戦う…ということは可能だろうか

勿論、無理強いする気はないよ
頼もしい仲間が増えるのは喜ばしいことだから
ねぇ、ゼロ?



●仔竜と共に
 思えば近頃は慌ただしい日々が続いていた。
「ふふ、月光浴と森林浴が同時に味わえるとはなんという贅沢」
 セツナは辺りを見渡し、湖畔の光景を眺める。訪れた人が皆穏やかに過ごす時。こういう時間こそ貴重なのかもしれないのだと感じ、セツナは森の中へと向かう。
 銀鈴蘭には興味はあるが是が非でも見たいという程の熱量はなかった。
 それゆえにセツナは足の向くまま、気の向くままに夜の森を進む。
 そんなときに前方に淡い灯が見えた。
 それはランタン草を持ってふわふわと飛ぶ一匹の仔竜。そして彼はおそらく昼間にセツナ達と交戦した個体だ。
「先程は失礼したね」
 どこも痛いところはないかい? と申し訳なさそうに眉を下げたセツナが問い掛けると仔竜は何ともないというように「きゅう!」と鳴いた。
 自己申告は元気だが、一応は、と竜の身体を調べたセツナは安堵を抱く。
「……うん、問題なさそうだね。よかった」
 そしてふと、思う。
 そういえば、前々からゼロが武器を欲しがっていた。ならばきっとここで仔竜と会えたのも何かの縁。
「どうだろう。今後、私たちと共に戦う……ということは可能だろうか」
 問い掛けたセツナは無理強いする気はないと告げる。
 仔竜は不思議そうに首を傾げた。
 まだ何を言われているか分からないようだが、拒否されているわけではないと感じたセツナは笑む。
「頼もしい仲間が増えるのは喜ばしいことだから。ねぇ、ゼロ?」
 そして、もう一人の自分に呼び掛けた。
 すると仔竜はそっとセツナの傍に寄り、すりすりと身体を擦り付けた。その背を優しく撫でたセツナは穏やかな気持ちを覚える。
 仔竜と共に往くかどうか。それはきっと、自分達の気持ち次第。

大成功 🔵​🔵​🔵​

飾磨・霜琳
ひと仕事した後にこの眺めってのはいいねぇ。
新作考えるのも捗るってもんだ。

まじないに興味がないわけじゃねぇが、今目の前に見える花のほうに目を奪われちまってそれどころじゃねぇな。
懐から矢立と画帳を取り出してその辺に腰を下ろし、銀鈴蘭の花姿を描き留めよう。
帰ったらこの銀鈴蘭の簪を作ってみてぇところだが……まァ、難しいほど腕が鳴るってな。

よォちび竜、さっきはすまなかったな。ちょいと手元に灯りをくれねぇかい。
……このランタン草ってぇのもなかなかきれいなもんじゃねぇか。
ちび竜と一緒に描き留めとくかねぇ。



●花と灯と
 夜の暗さを月の光とランタン草の灯が照らしてくれる。
 霜琳は湖畔に流れる時間の穏やかさを肌で感じ、空を振り仰いだ。
「ひと仕事した後にこの眺めってのはいいねぇ。新作考えるのも捗るってもんだ」
 夜空には雲はなく、満月が美しい。
 そして、地上に咲く銀鈴蘭が夜風に揺れる様は愛らしい。
 気にかかるのは花に纏わる言い伝え。
 まじないに興味がないわけではない。だが、いま目の前に見える花のほうに目を奪われてしまっているのでそれどころではない。
 霜琳は懐から矢立と画帳を取り出し、近くに腰を下ろす。
 銀鈴蘭の花姿を描き留めるべく、霜琳は矢立を動かしてゆく。鈴なりに咲く花の見た目は可愛いだけではなく麗しい。
 きっと飾り物として花を形作ってみるのも悪くはないだろう。
「帰ったらこの銀鈴蘭の簪を作ってみてぇところだが……」
 月の光を受けて銀色に光って見える花を再現するのは難しい。それでも、霜琳はそのときを思って口許を緩めた。
「まァ、難しいほど腕が鳴るってな」
 すると背後から仔竜が近付いてくる。画帳に記されていく花の絵が珍しいのか興味津々に覗き込んできた。
「よォちび竜、さっきはすまなかったな。ちょいと手元に灯りをくれねぇかい」
 その様子に気付いた霜琳は画帳を仔竜に寄せて頼んだ。
 仔竜も近くで絵が見れるならというようにランタン草をちいさな手で掲げる。しかし横では画帳全体が照らせないと思ったのか、仔竜は霜琳の背中に回る。そして、よいしょよいしょと背をよじ登って頭の上にちょこんと乗った。
 こうすれば灯りが手元を照らす。
 どうだ、と霜琳の頭で草をふわふわと振る仔竜は得意気だ。
 その様子が微笑ましく感じ、霜琳は頭上を軽く見上げる。
「……このランタン草ってぇのもなかなかきれいなもんじゃねぇか」
 銀鈴蘭を記し終わったら、頭から降ろしたちび竜と一緒に描き留めておこう。そう決めた霜琳は手を動かし、月の下に咲く花を描いた。
 この後も穏やかな時間が続くと感じ、霜琳は夜のひとときを楽しんでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイブル・クライツァ
仔竜達が愛らしくて、嗚呼無事に終わったのねと安堵したわ。
折角の花の命を摘んでまで、叶えたいと願うようなモノは無いから、ゆったりとこの空間の美しさに浸ろうかと。
……連れて来たかったなって、想う人は浮かんだけれども叶えてはいけない、無理な話だから。
あの頃を思い出しそうなこの夜に、少しは変われているかしら?と物思い。
地上に夜空の星々が集ったみたいで、夜なのに眩しく感じるのは綺麗過ぎるからかしら。
目元から髪全体を隠せるように、髪を纏めてヴェールを被り直して、私の白とは違うのだという境界線を張る。
ちょっと竜と戯れたい気もしているけれども、楽しそうな姿を見ていると、手を伸ばす事を戸惑ってしまうのよね、私。



●白の境界
 湖の上を泳ぐように仔竜達は翔ける。
 昼間は悪い気に当てられてあれほど凶暴だったというのに、今の彼らは無邪気で悪意の欠片もない善良なものに戻っていた。
 はしゃぐ仔竜達が愛らしく思え、レイブルは安堵する。
「嗚呼、無事に終わったのね」
 平和そのものである光景を見てやっと実感できる。これがあるべき森の姿なのだと思えば、守ったものへの誇りも持てる気がした。
 そして、レイブルは湖畔に咲く銀鈴蘭に視線を落とす。
 折角の花の命を摘んでまで、叶えたいと願うようなモノは無い。だから今はゆったりとこの空間の美しさに浸ろう。
 けれど、それでも少しだけ過る思いがあった。
「……連れて来たかったな。でも、無理な話だもの」
 想う人は浮かんだけれども叶えてはいけないと知っている。
 あの頃を思い出しそうな夜の光景を仰ぎ、レイブルは胸中で問い掛けた。
(「少しは変われているかしら?」)
 答える者は居ないとも分かっている。物思いに耽ったレイブルはそっと頭を振る。
 瞳に映る光景はまるで地上に夜空の星々が集ったよう。
 夜なのに眩しく感じるのは、あの景色が今の自分にとって綺麗過ぎるからか。
 レイブルは髪を纏め、ヴェールを被り直す。
 それは境界線。私の白とは違うのだという、ちいさな証。
「……」
 不意に仔竜達へと腕を伸ばしそうになり、すぐに下ろす。
 ほんのちょっとだけ竜と戯れたい気もしたが、あんなに楽しそうな姿を見ていると気が引けた。まだ、今はこの手は伸ばせない。
 戸惑いもまた自分から生まれた感情だと知り、レイブルは夜空を見上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

泉宮・瑠碧
湖や森は好きだが、月も好きだな
…良い夜だ

銀鈴蘭は…
僕は、あまり摘みたくは無いので眺めていよう
なるべく、そのまま咲いていて欲しいからな

あと、飛んでいる仔竜達を探して昼の事を謝ろう
丈夫や無事ではあっても、痛い思いをさせてしまって…すまなかった
まだ身体が痛い者は居るだろうか
もし居れば、近くに寄って欲しい
他の皆の邪魔にならない程度の声量でシンフォニック・キュアを
…共感可能かは分からないが、少しでも痛みや辛さが取れるよう
穏やかな日々の暖かさを唄おう

…時間が時間だし
あまり騒いだりも出来ないが
少し僕と遊んでくれるだろうか
ただ、仔竜達も花を見に来たのだろうから
それは邪魔しない様に、長く引き止めるつもりはないぞ



●唄と竜
「……良い夜だ」
 昼間のざわつくような不穏は消え、夜の森は穏やかさに満ちていた。
 瑠碧は自然があるがままの姿であることに嬉しさを覚え、周囲をゆっくりと見渡す。その際、足元に咲く銀鈴蘭が目に入る。
「綺麗だな……」
 花の可憐さと美しさに目を細め、瑠碧は暫し銀鈴蘭を眺めた。
 願いを込めると叶うという言い伝えもあるが、瑠碧は花を摘むことはしない。少し屈んで花に指先で触れるだけに留め、瑠碧はすぐに立ち上がった。
「なるべく、そのまま咲いていて欲しいからな」
 それがあるべき姿だと感じて瑠碧は歩き出す。
 するとその先にはランタン草を持って楽しそうに飛び交う仔竜達の姿があった。ちょうど君達を探していたのだと告げて手を振ると、仔竜は首を傾げ、翼をぱたぱたと動かして此方に寄ってくる。
「昼間は痛い思いをさせてしまって……すまなかった」
「きゅ?」
 幾ら丈夫で無事であるとはいえ、思い返すと心が痛んだ。だが、仔竜は何のことか分からないというように不思議そうに鳴いた。
 おそらく気にしてはいないのだろう。だが、瑠碧は念のためだとして近くに寄って欲しいと仔竜達に伝える。
 そして、瑠碧は静かな声色で歌を紡ぎはじめた。
 穏やかで、やさしい歌声が森に響く。その思いに共感めいた感覚を抱いたのか、仔竜達は心地良さそうに瑠碧の声に耳を傾けていく。
 穏やかな日々の暖かさを唄う聲は森の中に響いていった。
 そうして暫く後。
 すやすやと気持ちよさげに眠る仔竜達。彼らは周りから離れようとせず、瑠碧はどうにも身動きが取れなくなってしまった。
「長く引き止めるつもりはなかったんだが……そうしたいなら仕方ないな」
 もちろん動くことも出来るのだが、そうすると仔竜達が起きてしまう。
 膝に乗る竜の背をそっと撫で、瑠碧は双眸を細めた。
 たまにはこんな夜も悪くない。これがきっと、守った平和の証なのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィゴ・ストーム
銀鈴蘭を眺めながら、仔竜達と遊びます。

怪我の具合を気遣いながら好きなように戯れさせます。
もしも僕が倒した仔竜を判別出来るなら手厚く労いを。
フクロウやトラツグミなど、夜に鳴く鳥の音を真似て鳥笛を奏したり
お腹を空かせている仔には干し果物やチーズなら分けてあげられます。

動物とは話せるけれど、竜はどうなんでしょう?
意思の疎通が図れるなら、これからもここを守っていってくれるだろう彼らに感謝の気持ちを伝えます。
自然を愛する気持ちは僕達も同じです、ありがとう。

平穏が長く続きますように、と銀鈴蘭に願いをかけて。



●仔竜とのひととき
 夜空の下、仔竜が無邪気に舞う姿は和やかだ。
 ヴィゴはランタン草を持つ仔竜達が元気よく湖面の上を飛ぶ光景を眺め、畔に腰を下ろした。傍らには淡く咲く銀鈴蘭の花がある。
「綺麗ですね」
 思わず口から出た言葉は心からのもの。
 これが自分達が守った森の平和の証だと思うと安堵の気持ちが浮かんだ。
 そうして暫く、ヴィゴの傍には何匹かの仔竜が寄って来ていた。
 遊んで、と言っているのが分かり、ヴィゴは彼らに何が出来るかと考える。中には昼間にヴィゴ自身が戦った個体もいるらしく手厚く労ってやりたいと感じた。
「昼はごめんなさい。お詫びにこういうのはどうでしょうか?」
 そして、ヴィゴは夜に鳴く鳥の音を真似て鳥笛を奏ではじめる。
 梟に虎鶫。ヴィゴから鳴る聲に仔竜達は最初こそ驚いた様子だったが、仕組みを理解すると楽しそうに音に耳を澄ませた。
 いつしか仔竜はヴィゴの膝の上によじのぼり、何か食べたいとねだる。
 随分と慣れてくれたと感じながらヴィゴは干し果物やチーズを分けてやった。美味しそうにチーズを齧る仔竜は実に幸せそうだ。
 こちらからも言葉が通じることを確認したヴィゴは真っ直ぐに仔竜を見つめる。
 伝えたいのは感謝の気持ち。
 きっと彼らはこれまで、善良な心を持ってこの森を守って来てくれたのだろう。
 花がこれほど美しく咲くのがその印。
「自然を愛する気持ちは僕達も同じです、ありがとう」
 ヴィゴがそう告げると仔竜はきゅう、と鳴いた。
 その答えが愛らしく感じて、ヴィゴは傍らの銀鈴蘭に願いをかける。
 ――平穏が長く続きますように、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェム・ポー
終わったみたいねぇ?
(魔力を編んでシスター服姿に替えて)

お花に願いを込めるなんてぇ、とってもロマンチックねぇ。
……だけどぉ、フェムなんかのためにぃ、小さなお花達を手折ってしまうのはぁ、可愛そうかしらねぇ。

そういえばぁ、さっき命を貰ってしまったぁ、仔龍ちゃん達はぁ、元気になったかしらぁ?
他にもぉ、怪我をしてる子もいるかもしれないからぁ、ちょっと様子を見に行ってぇ、改めてぇ、フェムのお歌聞かせてあげるわねぇ?
(優しくも邪悪にもなる無垢な仔龍達を前に祈りを込めて歌う。この無垢な子供達に新たな災いが訪れるののなかれ。……この痛みと、苦しみと、悲しみに満ちた世界に救いあれ)



●祈りの歌
「終わったみたいねぇ?」
 ほっと息を吐き、魔力を編んだフェムは森に入ったときと同じ修道服に身を包む。
 そっと翅をはためかせて近寄ったのは銀鈴蘭の傍。
 夜の最中に咲く花は可憐だ。
「お花に願いを込めるなんてぇ、とってもロマンチックねぇ」
 花に頬を寄せてじっくりと眺めるフェムは思いを零す。
 でも、と首を横に振った彼女は銀鈴蘭から離れた。
「……だけどぉ、フェムなんかのためにぃ、小さなお花達を手折ってしまうのはぁ、可哀想かしらねぇ」
 込めたい願いがあったとしても、一夜限りの命を先に散らすのも気が引ける。
 綺麗に咲いていてねぇ、と告げて飛び立ったフェムは辺りを見渡した。そういえば、と探すのは仔竜の姿。
「さっき命を貰ってしまったぁ、仔竜ちゃん達はぁ、元気になったかしらぁ?」
 ランタン草を持っている彼らが目にとまり、フェムは其方に向かった。
 きゅう、と鳴いた仔竜はフェムの周りをくるりと回る。
 どうやら怪我の類もほとんど見えずとても元気なようだ。生命力が強いのだと感じたが、昼間に行ったことのお詫びはしたい。
 フェムはおいでぇ、と仔竜達を呼んで近くの樹の枝に座る。
「改めてぇ、フェムのお歌聞かせてあげるわねぇ?」
「きゅ!」
 あの時は歌に共感出来ぬほどに邪悪に満ちていた仔竜だが、今は違う。
 そして、フェムは歌ってゆく。
 優しくも邪悪にもなる無垢な仔竜達を前に祈りを込めて。
 この無垢な子供達に新たな災いが訪れることなかれ。
 そして――この痛みと、苦しみと、悲しみに満ちた世界に救いあれ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朽守・カスカ
私の願いか
弔い祈る想いは
願いとは異なるようにも想えるから
悩ましい、な

そんなことを考えながら
飛び交う仔竜達を見ていれば
それほど怪我について気にしなくても良かったのかと胸を撫で下ろし

それでも気になるから
おいでと手招いて怪我が残ってないか
診てあげよう
ふふ、それだけ元気ならもう大丈夫かと一安心
キミ達のランタンも綺麗だけど
私のランタンだって負けないさと【幽かな標】で戯れ
仔竜達とのひとときを楽しもう

そうして、去る前に思い浮かぶ願い事
個々に住まうキミ達に
いいや、善い心を持つ全てのものに
幸多く、平穏な日々が訪れるように
そんな思いをそっと込めて沈めておこう

(過ぎた日々も、これから訪れる日々も、等しく変わらずに)



●続く日々に希う
「私の願いか」
 改めてそのことに思いを巡らせてみると少しばかり悩ましい。
 弔い祈る想いは願いとは異なるようにも想える。そんなことを考えながら、カスカは湖畔を称揚する。
 辺りには飛び交う仔竜達。彼らの姿を見ると安堵の気持ちが浮かんだ。
 どの仔竜もいまはすっかり元気な様子で、カスカは胸を撫で下ろす。
 それでもやはり交戦した者としては気になるもの。
「おいで」
 やさしく手招けば、その手に誘われた仔竜がカスカに近付いて来た。怪我が残ってないか診てあげようとしたのだが、仔竜はランタン草を掲げながらカスカの周りをまわった。
「ふふ、それだけ元気ならもう大丈夫か」
 夜を照らす淡い灯を目で追い、カスカも腕を掲げてみせる。
「キミ達のランタンも綺麗だけど私のランタンだって負けないさ」
 それは幽かな標。
 戯れるようにお互いの灯を揺らし、ひとりと一匹は穏やかなひとときを楽しむ。
 やがて飛び疲れた仔竜はカスカの手にランタン草を渡し、自分は肩へとのぼった。ずしりとした重さが感じられたがカスカは敢えて自由にさせる。
 そして、仔竜は頭の上によじのぼった。
「これをくれるのかな。ありがとう」
 すっかり懐いた様子の仔竜が落ちないよう手で支え、カスカは渡された草を自分のランタンに添える。それからカスカは竜を近くの枝に乗せてやった。
 楽しかったよと告げて踵を返す。
 そうしてふと、湖畔を去る前に願い事が思い浮かんだ。
「この森に住まうキミ達に……いいや、善い心を持つ全てのものに」
 幸多く、平穏な日々が訪れるように。
 そんな思いを銀鈴蘭にそっと込めて、花弁を湖面に浮かべる。花が沈んでいく様を眺めたカスカは言葉にしない思いを其処に宿す。

 ――過ぎた日々も、これから訪れる日々も、等しく変わらずに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
真白な銀鈴蘭、浮かぶランタン草
どちらも月光を分け与えられたかのようで
「ロマンチック、ってヤツだねぇ
ほう、と吐息混じりに一面を見渡す

願い叶えるという言い伝えに心が揺らぐのを自覚するけれど
どんな願いか、どれ程の想いか
そして叶えたいと願う事が許されるのか
ぽかりと穴が開いたように何もわからない

だから今はなかった事にして小さく首を振り
「付き合ってくれる?
仔竜に声掛け、この景色を記憶に刻もうとゆるり歩く
いつか願いを思い出した時に、また訪れる事が出来るように



●いつかの夜に
 真白な銀鈴蘭、浮かぶランタン草。
 コノハは、ほう、と吐息混じりに一面を見渡して夜の景色を瞳に映す。
 どちらも月光を分け与えられたかのようで、浮かんだ思いは言の葉に変わった。
「ロマンチック、ってヤツだねぇ」
 仔竜が持つランタン草の灯は淡く、その光が湖面を照らす様は幻想的だ。
 湖畔に咲く花は凛としている。
 コノハは願いを叶えるという言い伝えに心が揺らぐのを自覚した。
 けれど、それがどんな願いか、どれ程の想いか。そして、叶えたいと願う事が許されるのか。それらは何故か、ぽかりと穴が開いたように何もわからなかった。
 夜風に揺れる銀鈴蘭を見下ろして、手折ってしまわぬように触れる。
 願いが分からないのに思いを込めるのもおかしな話だ。
 だから、と今はなかった事にして小さく首を振る。やがてコノハは銀鈴蘭に触れていた手を放し、周囲を飛んでいた仔竜を手招いた。
「付き合ってくれる?」
「きゅ!」
 立ち上がりながら問い掛けると仔竜は元気よく鳴いてコノハの傍に来る。
 そうしてコノハは歩き出した。
 すぐ前には彼を先導するようにランタン草を掲げる仔竜。
 まるで夜の先に誘ってくれているようだと感じて、コノハは改めて森の景色を眺める。この光景を記憶に刻もうと決め、コノハは足元に咲く花をもう一度見つめた。
 まだ、願いは込められない。
 森が風にざわめく音すら穏やかで平穏に満ちていた。振り仰いだ満月は少し眩しくて、それでいて美しい。
 いつか、願いを思い出した時に、また訪れる事が出来るように。
 何れ巡り来るかもしれない未来への思いを抱き、コノハはゆるりと歩を進めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
すっげえ幻想的だ……
強い奴と戦うのもいいけれど、たまには景色を楽しむのもありだな

今はまだ生きている花を摘むのはやりたくないし、
願いを叶えるのはオレ自身だと信じているから特定の場所の花は探さなくていいので、
オレは仔竜と一緒に銀鈴蘭と月、湖の綺麗な風景を眺めるとするか

「仔竜達が元に戻ってくれて本当によかったぞ」
ランタン草を持って元気に飛んでる仔竜を見て胸を撫で下ろすぜ
竜といえば、ファントムドラゴンランスのファンもお疲れ様
槍から小型竜に戻って貰って仔竜達に紹介するぞ
「どうだろう、友達になれるかな……?」
(ファンは社交的に仔竜達へ挨拶してみる)
今なら犬の飼い主の気持ちがわかる気がするんだぞ(ドキドキ)



●戯れる竜
「すっげえ幻想的だ……」
 強い奴と戦うのもいいけれど、たまには景色を楽しむのもありだ。
 夜の湖畔を歩くグァーネッツォはそんなことを感じながら満月に咲く花と、仔竜が舞う湖の光景を眺めていく。
 噂に聞いた『二つの月が顔を合わせる場所』が少しも気にならないと言えば嘘になる。しかし、願いを叶えるのは自分自身。
 だから特別な場所は探さなくていい。それに――。
「まだ生きている花を摘むのはやりたくないしな」
 朝には蕾が閉じて散ってしまうといっても、凛と咲く花を手折りたくなかった。
 ただこの風景を眺めるだけで十分。
 銀鈴蘭と月、湖をしっかりと双眸に映したグァーネッツォは小さく笑む。
「仔竜達が元に戻ってくれて本当によかったぞ」
 ランタン草を持って元気に飛んでる仔竜を見て胸を撫で下ろし、グァーネッツォはふと携えた武器に意識を向ける。
 幽冥竜槍を槍から小竜へと戻したグァーネッツォはその名を呼んだ。
「ファンもお疲れ様」
 グァーネッツォの傍につき、共に歩き出したファン。すると此方の姿が気になったのか、周囲を飛んでいた仔竜が何匹か集まって来た。
 彼らが興味を持っているのだと感じたグァーネッツォは「こいつはファンだ」と小竜を紹介してみる。ファンも社交的に挨拶すると、きゅいきゅいと仔竜達が鳴いた。
「どうだろう、友達になれるかな……?」
 ファンの匂いを嗅いでいる仔竜の姿を見つめ、グァーネッツォは胸がドキドキする感覚をおぼえた。そう、今なら犬の飼い主の気持ちがわかる気がする。
 そうして暫く、仔竜達とファンは仲良く遊びはじめた。
 まるで子犬がじゃれあうような姿にグァーネッツォは目を細めてほっとする。そして仔竜はグァーネッツォにも遊ぼうよと告げるかのようにくっついてきた。
「待て、そんなに舐めるな。くすぐったいんだぞ」
 楽しげな笑い声が辺りに響く。
 きっとこの気持ちと光景こそが守った平穏の証なのだと感じ、グァーネッツォは心地好い時間に身を委ねた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花咲・まい
どんな土地にも、根付いた言い伝えはありますです。
それがただの言い伝えでしかなかったとしても、今日この日まで伝わったのですから、長らく親しまれてきたものなのでしょうね。
これだけ綺麗な景色なのですから、私もその言い伝えを信じたいと思いますです。

ところで、先ほど捕まえてしまった仔竜さんも、もう元気に飛び回っていますでしょうか。
もし見分けがつくなら、さっきはごめんなさいってお伝えしたかったところですが……。
むむむ、何はともあれ。
願いを込めて、花びらを湖の底に送りましょうです!
さあ、エチカさんもご一緒に。この土地の平穏が長らく続きますように!

*交流とアドリブはご自由にどうぞ



●花咲く夜の願い事
 夜の空気は澄み切っていて、吐く息の白さも今は気にならない。
「どんな土地にも、根付いた言い伝えはありますです」
「うむうむ、それらは土地によって様々じゃ」
 まいは湖畔の景色を眺め、月明かりに照らされた水面を瞳に映した。その傍らにはエチカの姿があり、こくりと頷いている。
 そして、まいは足元に咲き乱れる銀鈴蘭にも視線を向けた。
「それがただの言い伝えでしかなかったとしても、今日この日まで伝わったのですから、長らく親しまれてきたものなのでしょうね」
 月の色を映し込んだかのような白。淡く光る花の姿。
 それらを眺めたまいは、きっと願いは叶うのだと強く感じていた。
「これだけ綺麗な景色なのですから、私もその言い伝えを信じたいと思いますです」
「そうじゃな、その方が浪漫があるのう!」
 エチカも目を細め、信じぬよりも信じる方を選んだまいに笑みを向ける。
 そうしてふたりは暫しの湖畔散歩を楽しんだ。
 きょろきょろと辺りを見渡したまいは昼間に戦った仔竜を探している様子。
「捕まえてしまった仔竜さんも、もう元気に飛び回っていますでしょうか」
「弱ったままの仔はおらぬようじゃが……む?」
 ごめんなさいを伝えたいというまいと一緒に仔竜を探すエチカは不意に首を傾げる。その視線の先にはまいに向かって一直線に飛んでくる竜がいた。
「ぷゃー!」
「いましたです。変な鳴き声の仔竜さんです。さっきはごめんなさ……わあ!」
 あの特徴的な声は間違いない。まいは手を振ろうしたが、仔竜はそのままどーんと彼女の胸に飛び込んできた。
「ふふっ、何故か分からぬが懐かれたようじゃな」
 エチカがおかしそうに笑う中、仔竜はまいの肩にのぼってぷゃぷゃと鳴く。
 不思議ではあるが彼もまたまいを探していたようだ。おそらく元に戻してくれてありがとうとでも言っているのだろう。
 じゃれつかれたまま少し動き辛そうにしていたまいはくすぐったさを覚えていた。
「むむむ、何はともあれ。願いを込めて、花びらを湖の底に送りましょうです!」
 まいは離れない仔竜を抱いたまま水の傍へ向かう。
 仔竜と共に、願いたかったのはひとつの思い。
「さあ、エチカさんもご一緒に」
「それでは願うとするかのう」
 そして、二人は揃って願いを込めていく。

 ――この土地の平穏が長らく続きますように!

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋翠・華乃音
……叶えたい願いも永遠にしたい想いも、俺には何もない。
……だから、眺めるだけにしておこう。それくらいなら許されるだろうから。

樹の枝に腰を掛けて花や湖、子竜を眺めよう。
ユーベルコードで蝶を少し放ってみようか。攻撃する意志が無ければ燃える事は無いから大丈夫。
夜に舞う瑠璃の蝶も、負けずと美しいものだから。



●満月と瑠璃の蝶
 叶えたい願いも永遠にしたい想いも、何もない。
 樹の枝に深く腰掛け、華乃音はただ夜空を見上げていた。
 星光に映える糸髪は満月の光を受けて幽かに煌めく。夜風を受けた髪が揺れ、視界を少しだけ遮った。
 指先で髪を梳き、地上を見遣った華乃音は言葉にしない思いを裡に浮かべる。
 だから、眺めるだけにしておこう。
 それくらいなら許されるだろうから。
 自らの願いや想いを抱くことは誰かから赦しを得られるような事柄ではないと自分でも識っていた。それでも、どうしてかそう思った。
 華乃音は暫し湖面を見つめる。
 其処にはランタン草の光を纏って飛ぶ仔竜の姿が見えた。
 ふわり、ふわりと揺らめく灯。その動きは自由で無邪気だ。あれが彼らのあるべき姿なのだと感じて華乃音は僅かに双眸を細める。
 それから湖畔に目を向けると、月光を受けて花ひらく銀鈴蘭が目に入った。
 風に揺らぐ花の姿は美しい。
 耳をすませば鈴のような音色が聴こえてきそうな、不思議な感覚。
 夜に花。月に風。
 この光景に似合うのは、きっと――。
 華乃音は掌をひらいて、己の力を紡ぐ。瑠璃の蝶よ、と彼が呼びかければ淡い光が掌の上からあふれだした。
 それは蝶の群れへと代わり、夜空に昇ってゆく。
 夜に舞う瑠璃の蝶も、負けずと美しいものだから。
 再び夜空を振り仰いだ華乃音は宙を泳ぐ蝶に眸を向け、夜の静けさに身を委ねた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ワン・シャウレン
あれがランタン草に…仔竜も元気そうじゃ
こちらの世界は空気が澄んでいる気もするし、夜も見応えあるのう
一安心したところでわしも湖畔に

願いが叶うか、言い伝えとしては多いんじゃろが月の加護は良いの
この銀鈴蘭を見ればその思いもよく分かるもの
興じてみたくもあるが、摘む分は他の者に譲るとしよう
わしの願いはあれじゃ、あまり込めん方が良かろ
さっさと溶けて消えて欲しいもので、永遠になってしもうても困るからの
というのも、茶化してしまっているようですまぬが

さ、仔竜達へ遊びにいくかの
ランタン草も手にしてみたい
他の者の迷惑にならぬなら少し水遊びをするのも良いかもしれん
長くはやれぬが水霊駆動の水で仔竜を真似て戯れてみる等な



●願いは遠く
 穏やかな夜の心地を感じて湖畔の景色を見つめる。
 光が舞う光景は幻想的に思え、ワンは双眸を緩やかに細めた。
「あれがランタン草に……仔竜も元気そうじゃ」
 こちらの世界は空気が澄んでいる気がする。普段いる世界との違いを確かめたワンは夜に満ちる雰囲気も違うのだと知って夜空を振り仰いだ。
 頭上にはまあるい月。
 その光が地上に降り注ぐ様は何故だか安心する。ほっとしたところで自分も湖畔に向かおうと決め、ワンは歩き出した。
「願いが叶うか、言い伝えとしては多いんじゃろが月の加護は良いの」
 この銀鈴蘭を見ればその思いもよく分かるもの。
 ワンは月の色を写し取ったかのような花の彩を眺め、指先で白い花弁に触れた。
 かの言い伝えを信じて興じてみたくもあるが摘む分は他の者に任せておけばいい。花を間近で見た今、その命を摘み取るのは憚られた。
 願いを込めて沈める者を厭う訳ではなく、それもまた花にとって良いことなのだろうと感じる。朝には散る花は儚い。そこに永遠にしたいという願いが込められるならば花の命もまた永遠にも似たものになるのだろう。
「わしの願いはあれじゃ、あまり込めん方が良かろ」
 さっさと溶けて消えて欲しいもので、永遠になってしまっても困りもの。
 独り言ちた思いは花しか聞いていない。銀鈴蘭が風に揺れた様が首を傾げているように思え、ワンは花に語り掛けた。
「茶化してしまっているようですまぬ」
 返事は勿論なかったが花はちいさく頷いたような気がする。
 ワンはふたたび歩き出し、仔竜達が戯れている方へと向かってゆく。
「さ、仔竜達と遊びにいくかの」
 掌をくるりと回せば、水霊駆動によって湖の水が竜の形をとった。
 その光景を見ていた仔竜達は、なにそれと言うように目を輝かせてワンの元に集まってくる。まるで幼子のようだと感じ、ワンは口許を緩めた。
 そうして暫し、穏やかで楽しい時間が巡っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイリ・フラジャイル
連携アドリブ歓迎

エチカ、一緒に銀鈴蘭を見に行かない?
折角ここまで来たんだもの、最後まで楽しもう♪
星に祈る願いもいいけど、こういうのはもっと特別感があるわね
咲いている花、閉じた蕾、落ちている花弁を探さなきゃ!

魔法の箒に対抗して、アタシは空飛ぶ古めかしい原付を
これで追いつけるかしら? 仔竜たちと飛び回るのも楽しそう
あまり眩し過ぎない照明をつけて、色んなお花を探すわよ
疲れたら湖畔でちょっと休憩しながらね

色んなお花を見つけたら、どんな願いを掛けようか
アタシは……そうね、これからも沢山冒険したいし、
もっと色々な世界が開かれますように。ちょっとワガママかな?
そっと花弁を湖に沈めて、エチカは何かお願いした?



●世界に望むこと
 誘い誘われ、アイリとエチカは湖畔をゆく。
「こうしてみると銀鈴蘭は美しいのう」
「折角ここまで来たんだもの、最後まで楽しもう♪」
 以前の星空逍遥とは違う森の景色を見渡し、ふたりは夜の散歩を楽しむ。
 星に祈る願いもいいけれど、花に願うのもまたいい。
 アイリは足元に咲く花を見下ろしながら願いを込める花弁への思いを語った。
「こういうのはもっと特別感があるわね。さて、花を摘むのは気が引けるから……咲いている花、閉じた蕾、落ちている花弁を探さなきゃ!」
「うむ、ではどちらがはやく集められるか競争じゃ!」
 その提案を受けたエチカはガジェットの箒に跨り、にやりと挑戦的に笑う。
 受けて立つと告げるように笑みを返したアイリも対抗して周辺を探しに向かった。
「これで追いつけるかしら?」
「ふふん、このチカに追いつこうなど……にゃあああ!?」
 対するエチカは箒のスピードをあげようとする。だが、あの箒はたまに暴走するのだ。そのときが今訪れてしまったらしい。
「きゅう……」
「エチカ、大丈夫?」
 落下した少女の周りにはいつの間にか仔竜が集まってきており、アイリも心配そうに倒れた少女を覗き込んだ。だめかもしれぬ、と情けない声が響いたかと思うとエチカはアイリに泣きついた。
 その様子であれば大丈夫そうではあるが、アイリは泣きついてくる少女の身体を受け止め、よしよしと慰めてやる。そうして、少し後。
「いっぱい集まったのう!」
「これだけ散った花があればお願い事も叶いそうね」
 ふたりは湖の傍に立ち、集めた花弁を互いに見せあう。結局は競争にはならず彼女達が仲良く探して回ったものだ。
 さあ、どんな願いを掛けようか。少し考えたアイリはそっと花弁を水に沈める。
「アタシは……そうね、これからも沢山冒険したいし、もっと色々な世界が開かれますように。ちょっとワガママかな? エチカは何かお願いした?」
「ふふ、良い願いじゃな。チカはもっとたくさんのことが識れるよう願ったぞ」
 少女達は微笑みを交わして互いの願いに頷く。
 水底に沈みゆく花弁は不思議と美しく、ふたりは暫しその姿を見送った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天星・零
【天星暁音】と連携

二人っきりなので素の口調

『確かに、蛍のような仔竜達と夜空を明るく照らす月と星、そして、それを移す鏡の水面。まるで楽園のようだ』
仔竜を救えて良かったと思いながら景色を眺めて。


『お願い事?いいけど‥何を願うの?』


お願い事の内容を聞き

『勿論‥家族なんだから。コレから辛いこともあるだろうけど助け合ってね‥』

『‥。(お願い事か‥なら、『家族が側で何時迄も笑ってくれますように』)
願ったら静かに頷く


『何を願ったか?うーん‥秘密だよ。』

聞かれたら微笑んではぐらかします
家族に面と向かっては照れるので

その後は、暁音と一緒にいます
何をするかはお任せ

もう一つの人格の絡ませはお任せ、口調はステシ参照


天星・暁音
【天星零】と参加

わあ、凄い綺麗だね。
こんなに綺麗なら言い伝えが出来るのも分かるね。
ごめんね。一輪だけ摘ませてね。
零とお願い事して沈めたいんだ。
お願いはこれからもずっと一緒にいられますように…かな。
まあ願わなくても当たり前のことなんだけど…
お願いしたい気分なんだ。

「ね。零、これからもずっと一緒にいようね」

一輪だけ花を摘んで二人で願いをかけて花を湖に沈めます。
その後は二人でゆっくりしながら花や星空を眺めたり仔竜たちと遊んだりとしたいですが。
何をするかはお任せします。

楽器演奏でハープを弾いて静かに歌うのもいいかもしれません。



●ふたつの願い
「わあ、凄い綺麗だね」
 夜の湖畔に咲き乱れる銀鈴蘭の光景を眺め、暁音は無邪気に笑む。
「確かに、蛍のような仔竜達と夜空を明るく照らす月と星、そして、それを映す鏡の水面。まるで楽園のようだ」
 零の口調は素に戻っていた。今は暁音とふたりきり。
 戦いを終え、ゆっくりと過ごす今なら気を遣う必要は何もない。
「こんなに綺麗なら言い伝えが出来るのも分かるね」
 暁音が嬉しそうに語る傍ら、零は湖の上を飛び回る仔竜に目を向けた。
 仔竜を救えて良かったと感じて眺める景色は穏やかだ。
 静かなひとときが流れていく。そんな中で不意に暁音が近くの花に手を伸ばし、そっとそれを手折った。
「ごめんね。一輪だけ摘ませてね。零とお願い事して沈めたいんだ」
 そう語る暁音に零は問う。
「お願い事? いいけど……何を願うの?」
「これからもずっと一緒にいられますように……かな。まあ願わなくても当たり前のことなんだけど……お願いしたい気分なんだ」
 暁音は目を閉じ、今告げたことを花に願って思いを込めた。
 そして、顔をあげた暁音は零を見つめる。
「ね。零、これからもずっと一緒にいようね」
「勿論……家族なんだから。コレから辛いこともあるだろうけど助け合ってね……」
 暁音からの願いめいた言葉に頷き、零は微笑んでみせた。
 そして、零もまた銀鈴蘭に思いを託す。
(「お願い事か……なら、『家族が側で何時迄も笑ってくれますように』かな」)
 静かに頷いた彼が願いを込めたのだと気付き、暁音は問い掛けた。
「零は何をお願いしたの?」
「うーん……秘密だよ」
 少し悪戯っぽく笑った零は口許に指を当てて片目を瞑る。ふたたび微笑んではぐらかした理由は家族に面と向かって告げるのは照れてしまうから。
 そして、ふたりの思いが込められた花弁が水面に浮かぶ。
 ちいさな泡沫を立てて沈んでいく花を眺め、少年達はもう一度目を閉じた。
 これで願いは終わり。
 今から何をしようか。そして、どんなことを話そうか。夜の時間はたっぷりある。
 笑みを見せた暁音はそっとハープを取り出して、指先を弦に乗せた。聞いていてね、と告げた彼に零は双眸を細めて、奏でられる音色に耳を澄ませる。
 白花と月夜、星空。
 今宵の思い出はきっと忘れない。
 そうして暫し、夜の狭間にやさしい音色が響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

海月・びいどろ
ふわふわ、ひかりが踊ってる
目が覚めたんだ、仔竜たち
痛くしてごめんね…
キミたちのランタン草、かわいい

まろやかな灯りに照らされた銀鈴蘭を、そうっと覗き込んでみたら
つぼみの頃とは、また違った顔をしていて
……咲ってる、ね。きれいな子
ボクのねがいごとは、もう叶ったみたい

夜に映えるミルク色した髪の
ちいさな魔女さんを見かけたら
ひらひらと手を振ってご挨拶
エチカ、連れて来てくれてありがとう

銀鈴蘭、とてもきれいだね
満月に、鏡の湖、緑の森も

…ねぇ、キミも何か願い事、した?
中身はひみつ。聞かないままで
ただ、すこし気になって

永遠にしたいほどの願いって
どんなものだろう
みんなには、どんな想いがあるのかな


叶うと、いいな



●水底の願い
 満月の夜は普段よりも少し明るい。
 月光の下、びいどろは淡く光るランタン草を手にして翔ける仔竜を見上げる。
「ふわふわ、ひかりが踊ってる。目が覚めたんだ、仔竜たち」
 痛くしてごめんね、と昼間のことを謝るが、当の彼らは何にも気にしていない様子。裡にひそんでいた罪悪感めいたものをとかしてくれた気がして、びいどろは空に手を伸ばす。
「キミたちのランタン草、かわいい」
 すると仔竜はきゅいきゅいと鳴いて、びいどろの足元に着地した。
 そして、おいでと言うように湖畔に駆け出す。仔竜の後についていくと、その足元には小さな花が咲いていた。
 まろやかな灯りに照らされた銀鈴蘭を、そうっと覗き込んでみる。
 つぼみの頃とはまた違った顔をしている花は微笑んでいるように感じた。
「……咲ってる、ね。きれいな子」
 ――ボクのねがいごとは、もう叶ったみたい。
 裡に巡る思いを確かめるようにびいどろは胸に掌をそっとあてる。
 そんなとき、ひょいと誰かが同じ銀鈴蘭を覗き込んだ。
「おや、びいどろか。奇遇じゃのう」
 花を見た後に顔をあげたのは、夜に映えるミルク色をした髪のちいさな魔女。ひらひらと手を振って挨拶をしたびいどろは彼女の名を呼び、礼を告げる。
「エチカ、連れて来てくれてありがとう」
「なあに、それがチカの役目じゃ。お主達にこそ感謝せねばならぬ」
 口許を綻ばせたエチカは無事に戦いを終えたびいどろに軽く頭を下げた。そして、暫し共にこの夜を過ごそうと誘う。
「銀鈴蘭、とてもきれいだね」
「うむ、月の彩を帯びているようじゃ」
 満月に、鏡の湖、緑の森。
 ふたりはゆっくりと其々の景色を眺め、夜の空気に身を委ねた。そして不意にびいどろは気になったことを問い掛ける。
「……ねぇ、キミも何か願い事、した?」
「ふふ、実はもうしておる」
 そう話したエチカが続きを話そうとすると、びいどろは口許に人差し指を重ねる。中身はひみつ。聞かないままでいい。ただ、願いの有無を知りたかっただけ。
 そうか、と頷いた少女は湖面を見つめた。
 びいどろも同じように満月が映り込む夜鏡に瞳を向け、水底を覗き込む。
「永遠にしたいほどの願いって、どんなものだろう」
 みんなには、どんな想いがあるのかな。
 ――叶うと、いいな。
 囁くように水面に落とした言の葉はやさしく、静かに沈んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メヤ・トゥスクル
※リア(f04865)と一緒

お疲れ様、リア。どう、いたしまして。
でも、リアの、力がなければ、僕も、危なかった、から。
ありがとう、ありがとう。心強かった。

こうやって、銀鈴蘭も見にいけて、うれしい。
僕は、願いが、ないわけじゃない、けど。
花が、かわいそう、だし。
言伝えの場所を、探しにいきたい気持ちのほうが、つよい。

でも、二つの月が顔を合わせる、って、なんだろう、ね。
湖面に映った、月と。空にいる、月で。二つ?
リアの、言う通り。湖の周りを探せば、なにか、みつかる、かも。

わくわくする非日常は、たしかに。たのしい、ね
物語の、世界に、入った、みたい、で
リアに、とって。楽しい一時になったなら
また、遊びに、いこう


リア・チェルハ
※メヤ・トゥスクル(f09104)と一緒

なんとか無事に終われて良かったぁ。
メヤありがとね。一人じゃなかったからすごく安心して戦えたよ!

あとは銀鈴蘭を見て回るだけ!あっ、そういえば言い伝えなんていうのもあるんだっけ?

わたしはあんまりすごい願い事ってないから見るだけだけど、折角なら言い伝えの場所をメヤと一緒に探しちゃおう!

二つの月が顔を会わせる場所かぁ……。
メヤの言う湖面と空で二つの月って話を軸にしながら精霊の力を借りて探してみようかな。
うーん、とりあえず湖の淵あたりを探してみたり?
お花を傷つけないように慎重に探すよ~!

えへへ、こわい非日常は嫌だけどこういうワクワクする非日常は良いよね!



●月と花と約束
 大きく伸びをして、夜の空気を吸い込む。
 胸いっぱいに冬の心地を満たせば冷たい風が吹いてきた。けれど今は寒さよりも無事に戦いを終えた安堵の方が大きい。
「なんとか無事に終われて良かったぁ」
「お疲れ様、リア」
 リアが腕を下ろすと、メヤが黄昏と冬空の眸を緩めて告げた。
 夕刻までの戦いは彼がいなければ怖気付いてしまっていただろう。改めてこれまでのことを思い返したリアは明るく笑う。
「メヤありがとね。一人じゃなかったからすごく安心して戦えたよ!」
「どう、いたしまして。でも、リアの、力がなければ、僕も、危なかった、から」
 自らが疲弊するのも構わず癒しの力を施してくれたリアに礼を返し、メヤはありがとう、ありがとうと付け足して、心強かった思いを伝えた。
 改めて辺りを見れば、月光を受けて可憐に咲く銀鈴蘭の姿が目に入る。
「こうやって、銀鈴蘭も見にこれて、うれしい」
 メヤは少し屈み込み、足元の花に手を伸ばした。
 願いがないわけではない。けれど朝までには散る花がかわいそうだと思ってしまう。だから今はそっと見守るだけ。
 リアもまた、花を摘んでまで叶えたいほどのすごい願いは特になかった。
 それに――。
「あっ、そういえば言い伝えなんていうのもあるんだっけ?」
「その場所を、探しに、いって、みようか」
 リアが思い出したように紡いだ言葉に頷き、メヤは湖畔の周りを示す。
 目指すのは二つの月が顔を合わせるという場所。
「それにしても、どういう意味なのかなぁ」
「なんだろう、ね。湖面に映った、月と。空にいる、月で。二つ?」
「メヤ、それかも! とりあえず湖の淵あたりを探してみたり?」
 少年の推理にぱっと表情を輝かせたリアは、歩きながら探そうといって進む。その際に森や泉の精霊に語り掛けてみた。
 すると、風がざわざわと森の奥を示しはじめる。
「呼ばれてる気がする。メヤ、いってみよう」
「あっち、かな」
 湖畔から少し離れ、ふたりは暗い森の道をゆく。急に聞こえてきた梟の鳴き声には驚いたが、ふたりでいるからちょっとのことは怖くはない。
 どうやら湖畔以外にも銀鈴蘭は咲いているらしい。リアは花を傷付けないように慎重に、風の導きに従って歩いていった。
 そして、ふたりはちいさな森の泉に辿り着いた。
 それは真ん丸で大人が腕を広げた程度の水場。其処には月が映っていて、反射した光が泉の傍の銀鈴蘭を照らしていた。
 湖畔に咲いていたのも綺麗だったが、此方の花は更に美しい。
「わあ……!」
「これが、ふたつの月、だね」
 きっと季節や空の巡りが違えばこの泉に月は映らない。それゆえに誰もよく知らなかったのだと気付いたふたりは顔を見合わせた。
「えへへ、こわい非日常は嫌だけどこういうワクワクする非日常は良いよね!」
「たしかに、たのしい、ね。物語の、世界に、入った、みたい、で」
 喜ぶリアの楽しげな様子を見て、メヤはこくりと頷く。
 彼女にとって楽しいひとときになったなら、それが嬉しい。
「また、遊びに、いこう」
「うん!」
 そして――満月の光がやさしく降り注ぐ中、ちいさな約束が交わされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レクシー・ジー
仔竜さん達、もう心配はいらないみたいね
心置きなく愉しみましょう

【WIZ】
ふたつの月が顔を合わせるってどういうことかしら
夜空の月と湖面の月、それとも他の解釈があるの?
辺りの精霊達に訊ねてみましょ
風に草木に水に月光、たくさんの仲間がいる筈だもの
誰かは知っているかもしれない

銀鈴蘭の傍に跪いて願うの
常世の国にやすむひと達の魂が永劫の安らぎを得るよう
……あちらへも今宵の優しい月灯りが届くと良い

花弁を摘むことはしないの
わたしの願いを抱いて、眠って

ねえ、エチカも一緒に如何?
降り注ぐ月影、煌く銀鈴蘭
光の褥に遊ぶ心地はまたとなく素敵
ひとり占めするのは勿体ないものね

*アドリブ、絡み歓迎



●風に眠る
 夜の鏡のような湖に淡い光が映り、ふわふわと舞う。
「仔竜さん達、もう心配はいらないみたいね」
 映る光の正体は仔竜が持つランタン草の灯。レクシーは元気に飛び回る彼らの様子を眺め、これならば心置きなく愉しめると感じて双眸を細めた。
 そして、レクシーは歩きはじめる。
 ふたつの月が顔を合わせる。その意味は、そしてその言葉が示す場所は何処なのか。疑問をおぼえたレクシーは精霊に呼び掛け、この森について訊ねてみる。
「夜空の月と湖面の月、それとも他の解釈があるの?」
 風に草木、水に月光。此処にはたくさんの自然があり、恵みに満ちている。
 きっと誰かは知っているかもしれないと考えたレクシーの考えは当たっていた。明確な言葉はないが、風が草木をざわめかせて路を示す。
 その先に何かがあるのだと気付いたレクシーは風が導くままにゆく。
 彼女の後ろにはいつの間にかエチカがついてきており、ちょっと待つのじゃ、と楽しげな声が響いた。
「む。レクシー、何か見つけたのか?」
 不意に立ち止まったレクシーの背後から少女がひょいと顔を出す。
「これは……」
 其処は森の中。開けた場所にある小さな泉だった。
 その水面には満月が映り込んでおり、レクシーの予想通りの光景があった。天上から降り注ぐ月光。そして、水に映る月の光の反射。
 そのふたつを受けた銀鈴蘭は湖畔に咲くものよりもひときわ凛と咲いていた。
 森の中や湖の近くにはこういった光が重なるところが幾つかあるのだろう。誰も明確な場所を知らないのは空に浮かぶ月がいつも一定ではないからだ。
 そして、レクシーは銀鈴蘭の傍に跪いて願う。
 ――常世の国にやすむひと達の魂が永劫の安らぎを得るよう。
 あちらへも今宵の優しい月灯りが届くと良い。
 けれど、レクシーは花弁を摘むことはしない。
「わたしの願いを抱いて、眠って」
 沈めずとも叶うと信じて、思いを伝えたレクシーはそっと瞼を閉じた。
 傍のエチカも倣って目を瞑り、暫しの静けさが訪れる。
 降り注ぐ月影、煌く銀鈴蘭。
 光の褥に遊ぶ心地はまたとなく素敵でひとり占めするのは勿体ない。ねえ、とレクシーが顔をあげると少女はちいさく笑った。

 今宵、見つけたのは双月の光が織り成す花の光景。
 込められた願いはきっと、夜が明けると共に穏やかな眠りにつく。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月30日


挿絵イラスト