蒸気猟兵譚~教師と生徒~
●平穏の訪れた学園で
大魔王も討伐され、平穏が訪れたアルダワ魔法学園。大魔王を倒すという設立目的は無事達成されたわけだが優秀な人材を育成するという役割は失われていない。
そんな新しい一歩を踏み出そうとした学園に一つの噂が流れていた。
「えぇっ!? ほんとに猟兵さんたちが教えてくれるの!?」
「あくまで噂よ。う、わ、さ。まぁ先生たちの慌ただしさ的に信憑性は高いけど」
かちゃかちゃと何かのガジェットを弄りながら気だるげに答える少女と興奮が収まらない少女。それもそのはず。今のアルダワ魔法学園で猟兵とは大魔王を倒した真の英雄であり皆が猟兵に教えを乞いたがっている。
「実際に来てくれるとなってもどんな人が来るかわからないしね」
「それでもだよ! うわー! 楽しみ!」
教師たちの言葉で噂が真実だと彼女たちが知るのはもう少し後のこと。
●グリモアベースにて
「皆様、戦争お疲れさまでした」
そう言って猟兵たちを出迎えたのはいつものメイド服に身を包んだアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)だった。
「今回、皆様にお願いしたいのはアルダワ魔法学園での臨時教師です」
アマータの説明によると戦争における猟兵たちの活躍を見て、教えを乞いたいという学生が後を絶たないらしい。確かに大魔王は討伐されたが未だ迷宮は残っている。学生たちに戦い方を教えるのも悪くはないだろう。
「流れとしましてはまず自己紹介も兼ねて戦争で荒れた迷宮を学生たちと共に清掃していただきます。そこで皆様の得意なことやユーベルコ―ドを見せて注目を集めると教えるのもスムーズになるかもしれませんね」
つまりは清掃を兼ねたアピールタイムということだ。ここで学生たちのハートを掴めば話を聞いてもらいやすくなる。
「その後は引率として別の迷宮に入っていただき、災魔を倒して授業は終了となります」
座学などではなくただ単純に戦う術を教えればいい。猟兵たちならばそう難しいことではないだろう。
「難しいことは考えずに学生たちと接していただければ問題ないと思います。それでは皆様、臨時教師よろしくお願いします」
こうしてカーテシーと共に猟兵たちの転移が開始された。
灰色幽霊
どうも、灰色幽霊です。
今回はアルダワで先生になろう! という依頼になります。
まずは自己紹介も兼ねて迷宮のお掃除を。その後は学生たちと迷宮へGOです。
今回は学生NPCが何人か登場します。ここで上げるのは一例なのでもっと増えますしどんなNPCなのかプレイングで指定してくださっても構いません。
アーシュラ。委員長気質の女魔法剣士。
ヒルダ。ガジェットメカニック。ツンデレ。
イザベル。無口系ロリ。巨大な大剣を使う。
アラン。ヤンキー系竜言語使いの男。
注意事項などは特にございません。
学生たちと迷宮へ潜り色々と教えてあげてください。
シナリオの状況や注意事項がMSページにございますので一読よろしくお願いします。
それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『集団ダンジョン清掃』
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POW : 溜まったゴミを運んだり片付けたりする
SPD : 部屋や廊下に溜まった塵や埃を掃く
WIZ : 石鹸や洗剤を使って綺麗に磨く
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●初めましてと迷宮清掃
ここに来れば猟兵を見ることができる。
ここにいれば猟兵の教えを乞うことができる。
それを知って清掃を行う迷宮の前には多くの学生たちが集っていた。
「……いっぱい」
「まぁしゃーねぇだろ。オレらも同じ穴の狢だ」
「ワクワクしますね!」
「あんたはいつもでしょ」
学生たちは雑談をしながら猟兵たちを心待ちにする。
「早く来ないですかね、猟兵さん!」
―――さぁ、猟兵の登場を今か今かと待ちわびている学生たちに猟兵の凄さを見せつけるとしよう。
テラ・ウィンディア
えーと…おれみたいながきんちょに学ぶってありなのか?
ぅー…取りあえずやれることをやるか
NPC誰だすかはお任せ
おれはテラ・ウィンディア!竜騎士って奴だ!
取りあえずお掃除をすればいいんだな
苦手なんだよなー
シル(姉)にも割と怒られてるし
とは言えダンジョンなら気を付けないといけないか
学生さんの安全を確保しないといえないよな
【戦闘知識】でダンジョンの構造と罠の把握
清掃業務とは言え生きてる罠が在るから気を付けるんだぞー?
【見切り・第六感】も生かして把握しつつ引っかかりそうな人は庇ったり罠を撃破するぞ
お掃除で溜めたごみは
んーと…おれの技が見たい?
まぁ…こいつは披露してもいいか
紅蓮紅龍波でごみを燃やすぞ?
●竜騎士の教え
「えーと…おれみたいながきんちょに学ぶってありなのか?」
テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は自身の周囲に集まった学生たちへ向けそんなことを言い放つ。もちろんそんなことを言われても学生たちの返答は決まっている。皆無言で頷きテラの言葉を今か今かと待ちわびている。
「……あり」
「ぅー…取りあえずやれることをやるか」
そんな反応をされてしまってはテラとしてもやる気を出すしかない。
大きく息を吸い込むとテラは学生たちの方を向いて。
「おれはテラ・ウィンディア! 竜騎士って奴だ!」
そう大きな声で自己紹介をした。それと同時に湧き上がる学生たちからの歓声。竜騎士はこのアルダワ魔法学園でも多く見受けられる職業であり人気も高い。猟兵の竜騎士から教えを受けられるのであれば皆奮って参加するだろう。
学生たちを伴って意気揚々と迷宮へ潜るテラ。しかしテラ自身掃除の類があまり得意ではなかった。掃除をしようとするといつも姉に怒られる。とはいえ頼まれたのだからやらねばならない。そして迷宮のなかということは学生たちの安全も確保しなければいけない。
「あ、そこ罠あるぞー」
「うわっ!」
道中ではこれまでに培った戦闘知識から罠の場所を導き出し学生たちに忠告する。学生たちとて迷宮探索は素人ではない。しかし学生たちにとって罠の発見は本来それ用の役割を持った者が行うことでありテラの様に片手間にできることではなかった。
「なんであれがわかるんだよ……」
「……すごい」
「よーし、それじゃあこの辺りのごみを集めるぞ!」
危険な罠を破壊し、安全が確保できればあとはごみを集めるだけ。そこそこ人数もいる学生たちと手分けをすればすぐに終わった。
学生たちとテラの働きにより山の様に積みあがったごみの山。いくら人数がいるとはいえこれを迷宮の外へ運び出すのは流石に手間でしかない。どうしたものかとテラが頭を悩ませていると学生の一人が口を開いた。
「……凄いのが見たい」
「んーと……おれの技が見たい?」
テラがそう聞き返すとその少女は首をこくこくと縦に振る。確かに運び出すのは手間だがここで燃やしてしまえばごみも無くなる。
「まぁ……こいつは披露してもいいか」
とはいえここは迷宮の中。テラは周囲に被害が出ないユーベルコ―ド【紅蓮神龍波】を選び、発動する。
「母なる大地よ、闇夜を照らす炎よ…。赤き龍神の怒りに応え、我が前の敵を焼き尽くせっ」
その祝詞と共に迷宮の床を割って噴出する龍の形をした溶岩。それが山の様に積み重なったごみを喰らい尽くし、燃やし尽くす。
「ま、こんなとこだな!」
紅蓮の龍が過ぎた後には塵と灰しか残っていなかった。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
※UC発動第二人格『昨夜』で参加。アド連歓迎
あぁ……やっとゆっくり出来る!
大魔王もいなくなって平和平穏、言うこと無しね
依頼内容もこんなに朗らかで……うぅ、もう服を脱いだり爆弾に吹き飛ばされたり豆乳青汁で戦わなくて済む……(※戦争中色々ありました)
おっといけない、お掃除ね
まぁ私の得意と言ったら【念動力】ね、これで大きな荷物はガンガン運んで行こう
【高速詠唱】で簡易マスクみたいな【オーラ防御】も展開して、と
埃対策、無いよりマシでしょ?
小物は【ロープワーク】で縛り上げて……なんか私引っ越し業者みたい
あ、ちょっとそれ危なそうだから触らないで【第六感】
まさかあの時のキノコじゃないよね……
ユウキ・ダイエイト
※アドリブ絡み歓迎
ドタドタドタドタ……バーンッ!
どうもこんにちわー!りんじこーしに来たユウキだよ!よろしくねー!
……声が小さい!もう一回!
迷宮の掃除は持ち前のパゥワを駆使して重い物や瓦礫を運んだり壊して運びやすくしたりします。唸れ剛腕!環境耐性で埃っぽい所なんかもへっちゃらだ!でも綺麗な場所は勘弁な!
あたしはアルダワの戦争が猟兵初デビューで、それも最後に出てきた宝石……宝石、なんとかをご飯(パワーフード)食べて殴っただけ。つまり新人さん!みんなとそんな変わらないから気軽にね。
え、殴り方?ゲージ貯めてーガーって突っ込んでドコンッって吹っ飛ばした!難しい事は他の人がやるからね。
●力仕事はお任せあれ
「あぁ……やっとゆっくり出来る!」
心底疲れた様子の鈴木・志乃(ブラック・f12101)は学生たちの前にやってくると大きく伸びをする。
志乃がどんなことを教えてくれるのか楽しみで仕方ない学生たち。
「大魔王もいなくなって平和平穏、言うこと無しね」
「……ん?」
志乃の言葉を一言一句聞き逃さないように耳を澄ませていた学生たちの耳になにやらドタバタと走る音が聞こえてくる。それは迷宮の入り口からこのフロアまで一直線に走っているかのような音。
その音が止んだ瞬間。迷宮の扉が大きく開け放たれた。
「どうもこんにちわー! りんじこーしに来たユウキだよ! よろしくねー!」
呆気にとられる学生たちに大きな声で挨拶したのはユウキ・ダイエイト(力こそドカーン!!・f25719)と言う名の一人の少女にしてもう一人の教師役。
「こ、こんにちは~」
「……声が小さい! もう一回!」
「ひえっ」
「「「こんにちは!!!」」」
「よしっ!」
これで掴みはばっちり?なのか学生たちもユウキの顔をすぐに覚えた。
「それじゃ、早速行きましょうか」
戦争中は何か思うことがあったのか、志乃は朗らかな笑みを浮かべていた。実のところ正確には志乃ではなく、【Ms.Yesterday】によりかつての志乃の親友である昨夜が身体を操っているのだが戦争中にいろいろあったのは間違いない。それを学生たちに話すのは憚られるのでその話はまた今度だろう。
志乃の引率についていく形で学生たちは迷宮の奥へと進んでいく。
「とぉー!」
身の丈ほどあった瓦礫がユウキのパンチ一つで砕け散る。その破片を志乃が持ち前の念動力で操作し一か所に集めていく。閉所で瓦礫を砕き続ければ粉塵も舞い散るがユウキはそんなことはお構いなしに手当たり次第に周囲の瓦礫を砕き続ける。
「あのー……大丈夫なんですか? ごほっ、ごほっ」
「へーきへーき! とりゃー!」
学生たちにとって迷宮で粉塵対策は必須の部類である。風が流れない迷宮も多く、閉所で粉塵が舞っていると様々な危険がある。呼吸をしなければいけない以上、粉塵の影響は無視できない……のだが。ユウキは一切気にしていない。
「やっぱり猟兵ってすごい……」
「せっかくだしこの瓦礫を運ぼうか。持てるサイズのでいいよ。ああ、それと」
志乃がその身に纏う光のオーラを操り学生たちの口元に粉塵を遮断するマスクを作り上げる。
「埃対策、ないよりマシでしょ?」
「これほど緻密な制御を……異物だけ限定して弾いているのか……」
猟兵たちが常日頃からやっている些細な事ですら学生たちにとっては驚愕の技術。度重なる戦いと様々な世界を渡り歩き身に付けた技術は猟兵以外からすれば有り得ない領域へと達していた。
ユウキの砕いた瓦礫を志乃と共にせっせと運んでいく学生たち。掃除はもちろん大事だがそれ以上に気になることがあるようで……。
「しかしその力は何処から出てんだか……」
「どこだろうねー。こう、グイっとやってズドーンって感じ?」
感覚的な勇気の説明では何を言っているかわからない。しかし自身が砕いた瓦礫を生身で一番持っているのもユウキ。その量は身体が大きな学生よりも多い。
「そうそう、あたしも最近猟兵になったばっかりだからそんなにかしこまらなくていいよ」
「あァ、そうか?」
「……なんか引っ越し業者みたい」
こうしてせっせと迷宮にあちこちに散らばった瓦礫は片付けられていくがそんな中で志乃の第六感が違和感を察知する。
「キノコだ。これもお掃除―――」
「あ、ちょっとそれ危なそうだから触らないで」
「はひっ!?」
志乃にとってキノコは少々嫌な記憶のある因縁の相手。あの時と同じキノコだとは限らないが触らぬ神に祟りなし。胞子が出てこられても困るので志乃は無詠唱の魔法で呼び出した炎で念入りに焼き払う。
「しっかしどう殴ったらあの威力が出せンだ?」
「え、殴り方? ゲージ貯めてーガーって突っ込んでドコンッって吹っ飛ばした!」
「は? ゲージ?」
相変わらずユウキの説明は感覚的すぎて聞いている学生も理解できていない。
「難しい事は他の人がやるからね。できることを全力でやればいいんだよ」
「なるほどそりゃ真理だな」
こうして志乃とユウキは瓦礫の撤去と言う力仕事を学生たちとやり遂げた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シャルロット・シフファート
はいはい、清掃となるとこのユーベルコードを使用して私の「電脳精霊術」を見せるいい機会になるわね。
このユーベルコードは無機物をエーテル化してあらゆる属性変換の原料とするユーベルコード。それを洗剤などをエーテル化させて浄化属性を召喚。埃やゴミを浄化していくわ。
その他にも重力属性や電磁力属性などで物を念動力のように運んだり機械類のメンテナンスなども行うわ。
で、余った時間に電霊炉心装甲車・グレムリンを見せて電脳精霊術の「ハッキングにより精霊術を重ねて純粋な属性を召喚し、純粋属性魔術を行使する」と言う基礎を教えるわ。
ちゃんと系統化して誰にでも使えるようにチューニングしているから教えがいがあるわね。
エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎
迷宮の潜り方を実践しながら迷宮をお掃除したらよいのじゃな?
まずは周囲の状況確認じゃな。【精霊石】の力を借りて風の精霊を呼び出し風の流れや空気の振動から周辺を索敵してもらうのじゃ。
【巨狼マニトゥ】に【騎乗】し狼の鋭い感覚で罠にも警戒しながら進むとするか。
それにしても激戦の痕か瓦礫が多いのう。【掌の創造】で瓦礫や壁を蔓植物に変えて操り瓦礫を壁内に埋め込んでおくかの。
道を綺麗にしておけば学生達も進みやすいじゃろう。
(ドヤ顔で講釈を垂れつつ)
難しく考える事はないのじゃ、狩りもダンジョンアタックも事前の準備をしっかり行い地形や獲物を把握してしまえば狩る事も退く事も思いのままじゃよ。
メンカル・プルモーサ
……ふむ、集まってるなぁ……
…知ってる人も知らない人も…メンカル・プルモーサ……魔女だよ。よろしく……
…今回は…まずはダンジョン清掃…だっけ…
…復元浄化術式【ハラエド】で清掃…なのだけど術式の効果範囲を絞って…効果範囲内の汚れを予め確認…ん?確認している理由…?
術式ので汚れを落とす場合、術者の認識での『汚れ』を清掃するから…
…うん、ダンジョンの場合…横着して大雑把に使うと何かを封印してる魔法陣を消しちゃったり、罠の発動を誘発する事あるからね…
ガジェットも同じで任せっきりだと未発見の罠に引っかかって余計散らかったりするから…あんな風に…
(生徒の失敗をフォローしつつ質問者に解説をしていく)
●魔法のいろは
「……ふむ、集まってるなぁ……」
「そうじゃなぁ……」
「各自それぞれ自由に、でいいのかしら?」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)、シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス CV釘宮理恵・f23708)の元に集まった学生たちは他よりも一際多かった。
それもそのはず、3人の共通点は魔法やそれに準じる力を行使することができること。ここはアルダワ魔法学園。学生たちが最も関心があるのは魔法に関する技術だった。
「それぞれ得意なことも違うしそれでいいと思うのじゃ」
『巨狼マニトゥ』に跨りながらエウトティアはてくてくと進んでいく。
「……了解」
メンカルもまたエウトティアとは別の道へ。
「私も行きましょう」
シャルロットも別の道へと進んでいき三人はそれぞれの道を進む。
「迷宮で大事ことはなんじゃ?」
「周囲の状況確認でーす!」
「そうじゃな、方法は得意なものでよいが周囲の状況を把握しておくと奇襲の可能性も減らせるしいいことづくめじゃよ」
学生と迷宮についてあれこれと話しながらエウトティアは自らの言葉を実践する。精霊術士であるエウトティアが得意なのは自然界に存在する精霊たちの力を借りて行使する精霊術。『精霊石』を取り出すと風の精霊を呼び出し風の流れや空気の振動で周囲を索敵してもらう。
本来であれば風の流れのない迷宮の中で狼の鼻を活かしきることはできない。しかし自ら風の流れを作り出せば匂いというリソースを使い周囲の索敵も行える。
「わしはこうして皆の力を借りているというわけじゃ」
「なるほどー。一人でなんでもする必要はないんですねー」
自身の力について講釈しながらエウトティアは迷宮に転がる瓦礫にそっと手を触れると【掌の創造】で瓦礫を蔓植物へと変え同じように蔓へと変えた壁と一体化させていく。エウトティアの通った後に迷宮へ転がっていた瓦礫たちはなく、あるのは整備された道だけだった。
「猟兵さんたちは凄いですよねー。あれもこれもできて」
「難しく考える事はないのじゃ、狩りもダンジョンアタックも事前の準備をしっかり行い地形や獲物を把握してしまえば狩る事も退く事も思いのままじゃよ」
なんて自慢気に学生と話しながらエウトティアたちは迷宮の奥へと進む。
「……知ってる人も知らない人も……メンカル・プルモーサ……魔女だよ。よろしく……」
「よろしくお願いします!」
今回はまず迷宮の掃除。それに用いるのは『浄化復元術式【ハラエド】』と言う名の術式。だがただ発動するだけではなくまず効果を適応する範囲の汚れを予め確認しておく必要がある。そのためにメンカルが術式を展開しながらあれこれ調整していると学生の一人が声をかけてきた。
「何を確認しているんです?」
「……ん? 術式で汚れを落とす場合、術者の認識での汚れを清掃するから……」
「ああ! そのまま使うと全部綺麗にしちゃうんですね!」
「……うん、ダンジョンの場合……横着して大雑把に使うと何かを封印してる魔法陣を消しちゃったり、罠の発動を誘発する事あるからね……」
メンカルの術式が効果を及ぼすのは単なる汚れだけだけではなく穢れ、毒、呪詛、侵食も浄化してしまう。つまり対象を指定せず使えば何が起こるかわからない。
「……状況を確認すること、これが大事」
「なるほど!」
「ウギャー!」
「………………」
「……ガジェットも同じで任せっきりだと未発見の罠に引っかかって余計散らかったりするから……あんな風に……」
説明を続けるメンカルの目の前で落とし穴に落ちかける男子学生。メンカルの言葉通り横着して周囲全ての床に転がるモノを回収するようにガジェットに命令したせいでご丁寧に罠のスイッチを起動してしまったらしい。
「……対象はしっかり指定しないと周りの邪魔にもなるからね」
「ですね……気をつけます」
『飛行式箒【リントブルム】』を男子学生の元へと飛ばし、落とし穴から回収。周囲の確認も終わり、メンカルは術式を展開する。
一度術式が行使されれば迷宮から汚れや埃は消え去り、元の姿へと戻っていく。
「……こうやって最適を選べば最高の結果がでる」
「はいっ!」
魔女の手に掛かれば迷宮の清掃もお手の物。この区画が終われば次の区画へ。
「これから見せるのは私オリジナルの術式よ」
「それは他の人も使えるんですか?」
「ええ、もちろん。まずは見てなさい」
シャルロットが指を鳴らすと【無垢であると謳う世界全ての無機】により、周囲に転がっていた瓦礫が姿を変え純粋なエーテルへと変換される。ただの魔力の塊であるエーテルはどんな属性へも姿を変える。今回必要なのは周囲を清掃する術。エーテルは浄化属性を宿し触れた汚れや埃を浄化していく。
周囲のゴミが一度エーテルとなり、そのエーテルが浄化の属性を得ることで洗浄する。
「邪魔なものを原料にすることで無駄をなくしてるのね……一度エーテルに変換する手間はあるけど変換してしまえばあとは指向性を付与してあげればいい……なるほど……」
「あら、中々見込みがありそうね。私の電脳精霊術の基礎を教えてあげましょうか」
そういってシャルロットが呼び出したのは『電霊炉心装甲車・グレムリン』と名付けられた一台の車。そこには電脳精霊術の粋が詰まっている。細部まで理解ができずともその基礎は感じ取ることができる。
「ふふ、教え甲斐がありそうね」
「……お手柔らかにお願いします」
技術とは作るだけではなく使われなければ先はない。シャルロットもそれをわかっているからこそ電脳精霊術を系統化し、チューニングを行い自分以外にも使えるようにした。それを習得できるかは本人次第だが……。
掃除も終わりシャルロットの講義が本格的に開始される。技術とは誰かのために。
デモンストレーションも兼ねた猟兵たちの手による迷宮の清掃は筒なく終了し、戦争で荒れた迷宮は以前の姿を取り戻した。
一限目の講義は終わり、休憩を挟んで二限目が始まる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『消える足場』
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POW : 足場が引っ込まない様破壊して進む。
SPD : 反射神経が全て、その時出ている足場だけを使って駆け抜ける。
WIZ : 足場の出現パターンを覚え、記憶に従って進む。
👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●続きまして迷宮探索
迷宮の清掃も終わり、荒れ果てた迷宮を後にする猟兵と学生たち。
次は実際に稼働している迷宮を用いた実技。今回の迷宮は一定の間隔で足場が現れては消える摩訶不思議なもの。猟兵たちが踏破するだけなら様々な方法があるだろう。
しかし今回はあくまで講義。学生たちもこの迷宮を踏破しなければならない。
そのためには学生たちに消える足場の攻略法を教えるか、消える足場の攻略に手を貸すのか。いづれにしても何らかの方法で学生たちを迷宮の先に導かねばならない。
学生全員を一人の猟兵が、と言うことにはならないがそれでも数人は受け持つ必要がある。
―――猟兵よ、学生と共に消える足場を超え、迷宮の更なる奥を目指せ。
鈴木・志乃
UC発動第二人格『昨夜』で続行
足場が消えるなんて本当に摩訶不思議ね~
攻略方法は色々あると思うけど、まぁ一緒に考えてみましょ!
誰でも出来るのは出現パターンを記録して、それに従って進むこと
……ちゃんと見てね、ABCの繰り返しだと思ったらABCABだった、なんてこともあるから
もしくは足場に細工するやり方ね
氷魔法や時魔法で足場を固定出来るかどうか……
これは試してみないと分からない
でも出来たらこっちのが安心安全よね
足が速い人は現れた瞬間に強行突破も可能かもね
チームで先行して渡ってあげて、皆に情報共有してね
さぁすぐに思い付くのはこんな所かな、皆はどうやって攻略したい?
全部試してみましょうよ!
【高速詠唱】
テラ・ウィンディア
よし、先に行って待ってるぞー!(【空中戦】で物凄い速さで先行していくちびっこ先生)
事前
一応落ちたら大怪我とか死亡の危険性があるかの入念な確認は学生達が来る前に行う
危ない時はUCで飛んでキャッチや救出も考慮
更に【戦闘知識・見切り・第六感】を駆使して足場などのダンジョンの法則性の看破
学生達に
よく来たな
今回の迷宮は結構怖いぞ!(迷宮解説
さて…お前達で行って貰おうか(危ない時は救助
うん、ヒント?
そうだなー…例えばお前!(一人を指して
お前の得意な事はなんだ?
それなら…それを生かして突破するにはどうすればいいと思う?
絶対の正解は無い
自分のやり方があるもんだ
それでも解らない時は皆で相談してみろ
文殊の知恵だ
●消える足場と合わせる力
「足場が消えるなんて本当に摩訶不思議ね~。攻略方法は色々あると思うけど、まぁ一緒に考えてみましょ!」
迷宮を進む第一陣は鈴木・志乃(ブラック・f12101)とテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)率いるのは三人の学生たち。志乃とテラが受け持つのは比較的肉体に秀でた者が多かった。
「よし、先に行って待ってるぞー!」
そんな者たちを尻目にテラはろくに足場の確認もせずに空を翔るがごとく先行して渡り切ってしまった。もちろんそれも【モード・グランディア】を使い自身の身体を超重力フィールドで覆い、重力を操り空を飛んだに過ぎない。とはいえ学生にそれをしろと言うのも酷な話である。
「今みたいに足が速い人は強行突破も可能ね。でも最低限の足場の位置は特定しておかないと大変なことになるわよ?」
「……いや、あの速さで動きながらは無理……」
「消えたり出たりする以外の仕掛けはないみたいだぞー!」
先行しテラが確認したところ、この仕掛けは本当に足場が現れたり消えたりするだけらしい。猟兵にとってはそれだけだが学生たちにとってはそうではない。この仕掛けを潜り抜けるにはそれなりの準備と工夫が必要。
「さて、この足場を超える方法だけど一つは出現パターンを記録してそれに従って進むこと。この場合はちゃんと見ないとABCの順番だと思ったらABCABだった、なんてこともあるから注意ね。あとはどんな方法があるかしら?」
「足場を作る……とかですかね?」
「そうね、氷魔法や時魔法で足場を固定出来たらその方が安心安全よね」
「……そこまでの出力は無理」
方法こそ思いつくがそれを実現させるには学生たちの力量がほんの少しばかり足りなかった。魔法が得意な者がもう少しいれば違ったかもしれないがないものねだりをしても仕方がない。
「今回の迷宮は結構怖いぞ! お前たちはどう攻略する!」
「ふぇー、ヒントくださーい!」
「うん、ヒント? そうだなー……例えばお前!」
「ふぁ、ふぁい!」
涙目になった一人の学生からヒントを求められたテラはその学生を指さし言い放つ。
「お前の得意なことは何だ?」
「えぇーっと……歌?」
「それなら……それを活かして突破するにはどうすればいいと思う?」
「歌で……?」
指をさされた女子学生はシンフォニアと呼ばれ歌で世界の理を操る者。さて、それを活かして消える足場をどう攻略するのか。
「歌でどんなことができるんだい?」
「他の誰かを強化したり……それくらいしかできませーん!」
「それでいいんだ! 絶対の正解なんてない。自分だけのやり方があるんだ」
「そうそう、思いついたことは全部試してみましょうよ!」
「……こういうのはどうだ?」
一人の男子学生が何かを思いついたのか一歩前へ出る。
「俺は身体強化系の魔法が得意だ。だけどこの消える足場に対応できるほどの技量がないしこの距離を一足で飛び越えられるほど強化もできないで、だ」
「……私が強化するの?」
「そう、そうすれば―――」
「……無理でしょ。飛距離が足りない。」
「ふーむ、だめか」
「……でも、方法はなくもない」
三人が相談を続ける様子をテラは消える足場を超えた対岸から笑いながら眺めていた。
できないならできる方法を探せばいい。
わからないなら相談すればいい。三人寄れば文殊の知恵とはよく言ったものだ。
「失敗しても助けてやるから気楽になー!」
「それじゃあ方法は決まったかな?」
「はい!」
「……一応」
「た、たぶん?」
「じゃあやってみようか!」
学生たちが考えた作戦は単純明快。足場が消えてしまうなら足場など気にせず飛び越えてしまえばいいというもの。しかしそれには男子学生の身体強化と女子学生の歌による強化だけでは飛距離が足りない。
だからこそ三人目が必要だった。
女子学生が歌を歌い、男子学生は助走をつけて駆け出した。そしてその背中から吹く追い風。勢いよくジャンプしたその背中を押すことで飛距離がほんの少しだけ伸びる。しかしそれでも飛距離は足らず、男子学生の身体は重力に引かれ足場のない奈落へと導かれていく。
「頼んだ!」
「……凍れ」
学生が足場を凍らせることができればもっと簡単だったのだろうがそこまでの出力は出せなかった。
だが、一度踏めば壊れてしまう程度の氷塊を空中に作り出すことくらいはできる。
足元に出現した氷塊と言う足場を蹴り男子学生はもう一度跳躍する。足りなかった距離もこれで稼げた。
次は奈落に引かれることなくその身体は対岸へと辿り着いた。
「よくやったな!」
「ありがとうございます!」
「うん、おめでとう。でも二人はどうやっていくのかな?」
「「「あ」」」
男子学生は足場を超えることができたが他の二人はそうはいかない。
「ロープでも張って渡れるようにすればよかったな」
「次の課題だね」
結局残りの二人は志乃とテラに運ばれ足場を超えた。評価としてはもう一歩と言うところだろうが三人で力を合わせ足場の攻略には成功した。
一人の力で届かなくとも皆が力を合わせればどんな困難も超えられる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
(アーシュラ達名有りNPC担当希望)
…こう言うのは飛ぶのがセオリーの1つだけど…
私達の班はそれじゃつまらな…飛行対策もされてることあるから、その想定で飛行魔法の類は無しで…それ以外はなんでもあり…
先にお手本を見せるから、それをみてから各自どう攻略するか考えてね…
(魔力の流れを検知、次に出現する足場を予測、移動して消える足場を超えて行く。復路は消える足場を魔術的にハッキング、足場を固定して生徒達へ帰る)
…じゃあ、今のを参考にするか、自分で考えるか…落ちてもそれをトリガーにした【クロノス】で発動する【彼方へ繋ぐ隠れ道】で回収するから色々試してみよう…
(生徒達が悩んでるようなら適宜ヒントを与えるよ)
エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎
さて実演からじゃな
まずは【手製の短弓】に【誘導する】矢をつがえて一定間隔で足場になるよう壁に撃ち込む
【精霊石】の力を借りて風の精霊を呼び出し風の力でふわりと飛び上がり、矢を飛び石伝いに駆けて区間の中央辺りで風の障壁の上に降り立って監督するかの
渡ると言う目的を達成できるなら正解なぞ無いのじゃ
身体能力に物を言わせるか、知恵で工夫するか、術を使うのか、お主らもそれぞれの方法で渡ってくるがよいぞ
(【鼓舞】しつつ各自の判断で足場を渡らせる)
うむ、よい調子じゃぞ。ほれ最後まで頑張るのじゃ
失敗した学生も風の障壁で拾い上げつつ最後まで頑張らせるかの
自分の力やり遂げれば自信につながるじゃろう
●消える足場とそれぞれの攻略法
「さて、まずは実演からじゃな」
そう言ってエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は迷宮の壁に一定間隔で矢を撃ち込んでいく。
「……?」
「多分あれを足場にするんだよ」
アーシュラの言葉通りエウトティアは『精霊石』の力を借りて風の指令を呼び出し巻き起こる風の力で自身の身体を浮かせると壁に刺さった矢を足場に軽やかに駆け抜けていく。そのまま足場の消える区画の中ほどまで到達すると【風の精霊は防ぐ】で生み出した風の障壁の上に降り立った。
「渡ると言う目的を達成できるなら正解なぞ無いのじゃ。身体能力に物を言わせるか、知恵で工夫するか、術を使うのか、お主らもそれぞれの方法で渡ってくるがよいぞ」
「お前、あれできるか?」
「矢を渡るくらいはできるけど風の足場を作るのは無理かな……」
ここにいる4人の中で最も魔法が得意なアーシュラですらエウトティアの真似はできない。つまり他の方法を考えなければいけないのだが……。
「簡単じゃない。わざわざ足場を使う必要なんてないもの。空を飛んじゃえばいいんでしょ?」
「……確かにこう言うのは飛ぶのがセオリーの1つだけど……私達の班はそれじゃつまらな…飛行対策もされてることあるから、その想定で飛行魔法の類は無しで…それ以外はなんでもあり……」
「嘘でしょ!?」
どや顔で自慢気に答えたヒルダへ叩きつけられるメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の言葉。確かに飛んでいいなら学生たちの中でもとりわけ優秀なこの4人なら簡単にクリアできてしまうだろう。だからこそ、それを禁止することで難易度を上げていく。
「……エウトティアも見せたけど先にお手本を見せるから、それを見てから各自どう攻略するか考えてね……」
それだけ言うとメンカルは未だ何もない場所へと足を踏み出す。
「あぶな―――」
「……よく見なさいよ」
何もないはずの場所に踏み出されたはずの足の下に現れる足場。カラクリは単純。メンカルは足場の放つ魔力の流れを検知し、次に出現する足場を予測。現れる場所がわかっているのなら消える足場も関係ない。
そのまま対岸へと辿り着くと今度は消えるはずの足場が消えず、むしろ一本道となってメンカルの前に並ぶ。その一本道を難なく渡り、メンカルは再び学生たちの元へ。
「…じゃあ、今のを参考にするか、自分で考えるか……落ちても助けるから気楽に……」
「まずは実践あるのみじゃ!」
「……???」
「多分最初は魔力の流れを読んで、その後は…………私もわかんないなぁ」
「あれは足場の魔術式を書き換えたんでしょ。消える足場じゃなくて一本道になる様に」
「理屈はわかってもオレたちじゃ無理だな」
お手本を見せて貰ったのはいいが少々レベルが高すぎて参考にしかならない。とはいえヒントがあればどうにかできる学生ももちろんいる。
「ま、あたしから行かせてもらうわ」
「が、頑張ってね!」
学生たちの先陣を切ったのはヒルダ。その足は恐る恐るではあるが一歩ずつ着実に現れる足場を踏みしめ対岸へと進んでいく。
「おー、やるのう。順番を覚えたようじゃ」
「……そのために一回渡って見せたんだしね……」
メンカルの様に魔力を辿れないヒルダはただ単純に足場の消える順番と現れる順番を覚えてその通りに進む。己の記憶力だけが頼りだが自信があるのなら確実な方法。
「あれはアイツしかできねぇな……」
「……こまった」
「どうしようかなー……」
こうして先にお手本を見たということもあり、無事ヒルダは対岸へと辿り着いた。この方法は確実ではあるが本人に依存するところが大きい。他の3人では難しいだろう。
「……! アラン、アラン」
「ん? どうした? イザベル」
何かを閃いたのかイザベルはアランへと耳打ちをする。それを聞いたアランの顔はみるみると笑顔へと変わっていく。
「面白そうだな!」
「……やる」
「え、二人とも思いついたんですか!?」
未だに何も思いつかずあたふたとするアーシュラを尻目にイザベルは背負う大剣を引き抜くとフルスイングしながら剣と持つ手を放す。剣は勢いそのままにエウトティアが矢を撃ち込んだ壁とは逆方向の壁に突き刺さる。
「いくぜぇ!」
「……ごーごー」
アランはイザベルを抱えると大剣へ向け跳躍。そこからさらに跳躍を重ね、対岸を目指すが―――
「チッ!」
「……あー」
対岸はもう目と鼻の先といったところでアランの身体は落下を始める。イザベルを投げればイザベルだけは対岸に辿り着けるかもしれないがこのままだとアランは届かない。
「うむ、よい調子じゃぞ。ほれ最後まで頑張るのじゃ」
だがその落下はエウトティアの生み出した風の障壁で止まる。それを足場に3度目の跳躍をすればアランとイザベルの2人も対岸へ。
「狙いはよかったがあと一歩じゃな」
「……あれだけの勢いで剣を飛ばせるなら剣に引っ張ってもらえばいい」
「……そんな方法が……」
「飛べないっつーのが厳しかったな」
竜言語を操るアランは短時間なら飛翔することができる。今回もそれができれば難なく渡れただろう。しかしそれがなければ渡れなかったということも事実。
「使える札は増やすに越したことはないぞ」
「覚えておきます」
というわけで最後の一人となったアーシュラはまだ頭を悩ませていた。少々頭が固いきらいのあるアーシュラはこの手の仕掛けが大の苦手だったりする。
「うーん……うーーーん……」
「……悩んでるね」
「はい……これ!っていうのが思いつかなくて……」
「……ならできることを全部やってみればいい」
「できることを……全部……はいっ!」
メンカルの助言で吹っ切れたのか、アーシュラは助走をつけて跳躍する。もちろん足場の位置を覚えているわけでも現れる場所を察知したのでもない。ただ現れた足場の方向へ魔法で風を吹かせ自分の身体を押し流す。そうして強引に足場に着地をすると再び跳躍し同じことの繰り返し。消えかかる足場は凍らせることで消滅までの時間を遅延して足場に。どこに現れるかまでは覚えられなかったが消えるまでの時間くらいはここまで観察することで把握できたからこそできる力技。
「なるほどのう」
「……まぁ、これくらいはね」
全員が渡り切ったのを確認するとメンカルとエウトティアも対岸へ。
課題を達成できたものとそうでないもの。それぞれの攻略法と共に猟兵と学生たちは迷宮のさらに奥へ進んでいく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シャルロット・シフファート
これは時属性と幻属性、空属性を組み合わせて足場の出現パターンを演算するというやり方で架空属性の属性魔術を行使する場面にしたらいいかしらね。
時属性で数瞬先の未来予知を行い、幻属性で可能性を読み、空属性で空間そのものへ干渉するのよ。これらを組み合わせて使いこなせればかなり便利なのよ。
無論落ちた場合は重力属性にて浮遊させて落下しないようにするわ。
他にもそうね。四大属性を使って風属性で浮遊したり火属性や水属性で感知能力を発展させたり土属性で足場の形成を行うなど色んなやり方があるわね。それらを課題として迷宮の奥に進むわね。
ユウキ・ダイエイト
※アドリブ絡み歓迎
むむむ、こう来たか……!
何を隠そうこのユウキ、細かい事や頭を使う事が苦手である。パゥワだけが取り柄、そういう目的で生まれてきた。やり過ぎて失敗作と博士に言われたが、「失敗したのは自分なのに作った物に当たるなんて恥ずかしくないんですか」と言って泣かせた。こんな時だけWIZ上がりやがって。
さておき、足場を飛べない生徒もいるだろうから全員抱えて飛びまーす!持つ所がちょっとアレだけどしっかり捕まってね!そして君たちは足場のパターンを覚えてあたしに教えて。君たちが指示する!あたしが飛ぶ!OK?
なんとなれば気合(念動力)もあるから大丈夫!
猟兵も君たちも助け合い、でしょ!
●消える足場と全員一緒に
「むむむ、こう来たか……!」
ユウキ・ダイエイト(力こそドカーン!!・f25719)は消える足場を前に学生たち以上に頭を悩ませていた。正直なところユウキは頭を使うことが得意ではない。製造目的からして力だけが取り柄。つまりはこの手の仕掛けを攻略するのはニガテなのだ。
「さて、今回は実演ね。あなた達には難しいでしょうけどこういうこともできるというお披露目よ」
「心配しなくてもみんなを運ぶからね!」
シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス CV釘宮理恵・f23708)とユウキが受け持つのは自分たちの力で消える足場の仕掛けを超えることができない学生たち。
猟兵たちによる授業はこの後も続く。しかしここを超えなければ迷宮の奥へはいけない。それならここを超えられないが授業の続きを聞きたい学生たちはどうするか。
その答えは猟兵が運ぶ、というものだった。
超えられないのであれば一緒に超えればいい。ここにはこの程度の仕掛けを物ともしない猟兵がいるのだから。
「持つ所がちょっとアレだけどしっかり捕まってね!」
「じゃあ私の指示通りに動いて頂戴」
ユウキががっちりと学生たちをホールドし準備を整える。実際に学生たちを運ぶ肉体労働はユウキの役目。消える足場を把握し進むルートを構築する頭脳労働はシャルロットの役目。
シャルロットはエーテルを呼び出すとそれを時属性と幻属性、そして空属性へと変換する。
時属性は数舜先の未来を予知。
幻属性は起こり得る可能性を読み解く。
空属性はこの迷宮の空間そのものへ干渉する。
「この辺りの属性は組み合わせて使いこなせればかなり便利なのよ」
そう簡単に言い放つシャルロットだがそんな高次元な属性を操るのは学生たちにとって夢のまた夢。今ここでこの属性を初めてみるという学生も少なくはない。
「他にもそうね。四大属性をうまく使ってもいいわ。足場が消えてしまうなら足場を作ったりね」
「はぁ……」
学生たちは改めて先の戦いで活躍した猟兵という存在の凄さを知る。自分たちが時間をかけて身に付けるものを数段飛ばしのスピードでものにしてしまう。そんな存在に尊敬と畏怖を覚える。
「あたしは難しいことはわからないからね。そろそろ行こうか!」
「あ、わざわざありがとうございます……」
「いいのいいの! 猟兵も君たちも助け合い、でしょ!」
4人の学生を背負いながらユウキはそう答える。できる者がやればいい。できない者に無理をさせることもないのだ。
「いっくよー!」
「まずは3時の方向4m先にあと5秒よ」
4人の学生たちを背負おうとユウキのパワーならば問題はない。シャルロットの指示に従いユウキは消える足場を超えていく。
「最後はそのまま思いっきり飛びなさい」
「りょーっかい!」
足場の位置把握できる者と指示を受けそれを実行できる者がいれば猟兵にとってこの程度の仕掛けは障害足り得ない。足場の把握も学生たちがいるから必要なだけであり、自分だけならばユウキはまた別の方法でこの消える足場を攻略しただろう。
「とーちゃっく!」
こうして無事対岸に辿り着いたユウキは背負っていた学生たちをそっと下す。これで消える足場の仕掛けを超え学生たちと共に迷宮の奥へと進むことができる。
「今回は自分たちだけで超えられなかったかもしれないけどいつか超えられるようになればいいわ」
「そうそう、いつかきっとできるよ」
シャルロットもゆっくりと足場を踏みしめ対岸へ。足場の出現位置を把握している以上ルートを指定され歩くのと何も変わらない。そうして涼しい顔で渡りきる。
こうしてシャルロットとユウキは学生たちと合流すると全員一緒に迷宮の更なる奥へと進んでいく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『クローン・ドール』
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POW : ミスリル・ウェポン
【液体金属の体を変形させて作った武器・兵器】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【苦手な間合いや防御・回避・反撃の癖】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD : マインド・コピー
【戦術思考と戦闘経験をコピーすることで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : ミレナリオ・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【正確に全く同じユーベルコード】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●迷宮の奥、対峙する自分
猟兵と学生たちが進んだ先。
そこに並んでいたのはマネキンのような人形たち。対峙した者の思考を読み、同じ動きをするそれは厄介ではあるが迷宮ではポピュラーな敵。
もし、自分自身と戦うことがあれば。
そんな時の対処を教えるにはうってつけの相手。数こそ多いがそれぞれの強さはそれほどでもない。一対一ならば学生たちでも戦えるだろう。これなら学生たちに戦い方を教えながら戦える。
―――さぁ、授業の締めくくり。災魔との戦い方を学生たちに教えよう。三限目の開始を告げるベルが鳴る。
鈴木・志乃
んー……そーね
方法だけなら色々あるから、また試してみましょうか
まぁ私の親友だったら精神をハッキングしたり
同士討ちさせたりとするんでしょうけどね
罠張ってガン待ちする人もいるかな
あと一体だけ釣って皆でぼこぼこにするのもありかも
……何も一人で戦わなきゃならないってわけでもないでしょ?(悪い顔)
あーとはそーね、向こうには絶対使えないものを使うとかね
戦術思考と戦闘経験がコピーされた所で
マジックアイテムを持ってるわけじゃない
完全にコピーした行動を取れるかというと、無理だったりする
カウンターが得意な人は焦っても絶対に自分から攻撃しないこと
必要ならいったん逃げて頭を休めるのも大事
戦略的撤退ってやつよ
●勝てば官軍はいい言葉
学生たちがそれぞれ自分自身の思考をトレースしたクローン・ドールと相対する。本来であれば全く同じ思考をする敵を相手取れば疲労という概念が無い分学生たちが不利になる。
だがその程度のことを超える術を持たない猟兵ではない。
「んー……そーね。方法だけなら色々あるから、また試してみましょうか」
以前として鈴木・志乃(ブラック・f12101)の身体に間借りしている昨夜は学生たちの後ろで戦況を眺めながらそう呟いた。
志乃であればクローン・ドールの精神をハッキングして同士討ちを狙うだろう。
罠を張ってドールがかかるのを待つのもいい。
そしてそもそも一対一で戦わなければいけない道理はない。
だから一体をおびき出し、集団で囲ってしまうというのも作戦としてはありではある。
「あと忘れちゃいけないのが思考や経験がコピーされたとしても武器までコピーしてるわけじゃないの。だから向こうが使えない物で攻めるのも手よ」
液体金属で形だけ似せたとしても効果まではコピーできない。つまりマジックアイテムなどの特殊なアイテムを使えば容易に倒すことができるということだ。完全にコピーをした行動をとることはできず、あくまで模倣することしかできない。
「必要なら一旦逃げて頭を休めるのも大事。戦略的撤退ってやつね」
ここまでつらつらとできうる戦法を列挙した志乃。
「さぁ、あなた達はどれを選ぶ?」
―――学生たちが選択した戦法は。
「あれが僕の動きを模倣した人形だ! 遠距離から攻撃を仕掛けられれば防御しかできない!」
「了解っ!」
学生たちはグループを作り、複数人で一体のドールを相手にする。ドールがこちらの模倣をすることで手の内を読んでいるのならそれは此方も同じこと。自身の苦手とする戦法で攻めればドールを封殺することも難しくはない。
「うんうん、それが一番だね。それじゃ―――」
学生たちが戦う後ろで志乃は歌を紡ぐ。それは【生命賛歌】、生きとし生ける者を守る歌。
その歌声に背中を押され学生たちは戦い続ける。
一体を倒せば次の一体。弱点を突き、各個撃破を繰り返せば遅れをとることはない。ここに来るまでに学んだことを活かし、自分たちの得意を相手の不得意にぶつけ優位に立つ。
「お疲れ様」
歌が終わるころには動き続けているドールは一体もいなかった。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロット・シフファート
さて、この敵は術式系統は事前に「見ている」魔術と全く同じ術式をぶつけて相殺するのよね。
ならば時属性で自身の時間の流れを予測。超加速とそれよりも速度の高い反射神経を上げるによりぶつけるもなにもない高速移動でかつ静止した時の中を知覚するような反射神経で魔術弾を撃ち迎撃するわ。
学生たちにも自己強化術式で術式を打ち消されないよう注意して立ち回るように講義。
それぞれの適正に合わせた強化方を教えることで上手く立ち回らせるわ。
●ファーストステップを踏む前に
「さて、この敵は術式を模倣してくるようだけどそのトリガーは何かしら?」
眼前に広がるクローン・ドールたちを前にシャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス CV釘宮理恵・f23708)は学生たちへ講義を開始する。
「トリガー……?」
「えっと……見ること、ですか?」
「そう、その通り。事前に見ている魔術と全く同じ術式をぶつけて相殺するの」
魔術に限らずすべての事象には引き金となるなにかが存在する。
今回のクローンドールの場合は対象の術式を目視することで解析し、同一の物を再現することで相殺する物である。
「じゃあどうすれば模倣されないと思う?」
「見せない、とか……?」
「ええ、それが一番簡単ね。それを実演してみましょう」
確かに見ることがトリガーなら見せない、というのが最も簡単な対策だろう。しかしそうは言っても災魔相手に発動も行使も見せず、術式をどう使えばいいのかが学生たちにはわからない。周囲の明かりを落とせば確かに見えなくはなるがそれではこちらも攻撃できないはずだが……。
「視界を奪うのはスマートじゃないわ。だからこうするの」
シャルロットが指を鳴らせば【無垢であると謳う世界全ての無機】により変換された周囲のエーテルが属性を変え、時の属性を宿す。それはシャルロットの周囲に流れる時間を操作し、シャルロット自身には先の未来を教え、それ以外には停滞を押し付ける。
その結果巻き起こるのはシャルロットの超加速。そして未来を知るが故の超反射。目にもとまらぬスピードで動き続ければ術式を目視されることもない。シャルロットの視点では逆に周囲の時間はまるで静止しているかの如く緩やかに動く。その時の中を進み、放たれるシャルロットの魔力弾がクローン・ドールを撃ち抜き破壊する。
「す、すごい……」
「でもこれは無理……」
もちろんこれをそのまま学生たちにやれと言うのではない。要は視界から外れればいい。そのための手段も使う魔法も人それぞれ。あくまでシャルロットは最も効果を発揮するものを見せたに過ぎない。
「こんな感じね。強化はそれぞれだけど結局は見られなければいいのよ」
もっと簡単に身体強化を施し視界から逃げてもいい。
炎や風で蜃気楼を発生させ視界から消えてもいい。
方法はいくらでもある。それを選ぶのは学生たち自身。
「さ、得意な属性を自由に操ってごらんなさい」
長所を伸ばす、それはきっととても大事なこと。たった一つでも秀でた物があればできることは広がっていく。
学生たちはシャルロットの教えを胸にクローン・ドールへと立ち向かう。
大成功
🔵🔵🔵
ユウキ・ダイエイト
※アドリブ絡み歓迎
真似っこ人形がたくさん!
でもこっちもたくさんだから負けてないね、ヒアウイゴー!
さて、ここまで見て来た人はあたしの得意な事と苦手な事がわかると思う。
力!パワー!真っ直ぐ行ってドーン!けどそれ以外は勘弁な!
自分の持ち味を活かすのは良い事だけど、相手だって弱い所突いてくるからその辺りはしっかりね!
それと、あたしが皆に知って欲しいのは自分以外の人と一緒という事は頼っても良いし、助けないといけないって事。パーティは協力・連携で大打撃!
たーとーえーば、あたしが今から使うUCは皆の力があればもっと効果的に使えるの。援護よろしくネ!(突撃)
●Here We Go
「真似っこ人形がたくさん!」
学生たちを引き連れクローン・ドールの待ち構える部屋へ侵入したユウキ・ダイエイト(力こそドカーン!!・f25719)だったがクローン・ドールの数が些か想像よりも多かった。
しかし想像より少し多いくらいでは何も変わらない。ユウキはユウキにできることをするだけであり、それはまた学生たちも同じこと。
「でもこっちもたくさんだから負けていないね、ヒアウイゴー!」
ここまで共に迷宮を進んできた学生たちはユウキが何をするか、何を考えているのか手に取るように分かった。おそらくはこのままただ真っ直ぐ、力任せに突っ込んでいき溢れるそのパワーでドールたちをなぎ倒していくのだろう。つまり学生たちはそのアシストをすればドールたちと戦える。例え一人の力で及ばずとも誰かと共に戦えば倒すことができる。
「戦いで自分の持ち味を活かすのは良い事だけど、相手だって弱い所突いてくるからその辺りはしっかりね!」
「「「はいっ!」」」
クローン・ドールもユウキと学生たちの思考を読み取り、苦手とする行動、攻撃をとってくるだろう。それを超えるためには学生たちはユウキと連携し、その力を十全に発揮させなければならない。
「あたしが皆に知って欲しいのは自分以外の人と一緒という事は頼っても良いし、助けないといけないって事。パーティは協力・連携で大打撃!」
もちろん自分だけの力で敵を倒せるのであればそれで問題ない。だが、そうでない場合は周囲と共に協力し、連携することで足りない力を補うこともまた必要になる。そしてもし一人の力が突出しているのならそれを活かすことが最大の武器になる。
「たーとーえーば、あたしが今から使うユーベルコ―ドは皆の力があればもっと効果的に使えるの。援護よろしくネ!」
ユウキがこれから振るおうとしているユーベルコ―ドは【一撃必殺】。その名の通り拳が命中した個所を破壊するユーベルコ―ド。ただ振るうだけでも協力だが動きの止まった相手にならばより致命的な一撃を叩き込むことができる。
「ユウキさんが攻撃しやすいようにまずは動きを止めましょう!」
一人の学生がドールたちの足元の床を凍らせる。
「そんで奴らを一纏めに!」
別の学生が大地を揺らし、壁を作りドールたちの逃げ道を塞ぐ。
「あとはユウキさんの拳を届けるだけです」
武器を持つ学生たちはドールたちの振るう腕がユウキに届かぬ様に受け止める。
「みんなありがと!」
逃げ道を塞がれ、滑る足場で体勢を崩したドールたち。
そこへ無限大の威力を乗せた小さく大きな拳が炸裂する。
共にいる者次第で戦い方は移りゆく。誰かが一際輝くのならそれを周りが照らせばいい。
戦いとは誰かと共にいることなのだと学生たちは胸に刻む。
大成功
🔵🔵🔵
テラ・ウィンディア
さて…お前達の中でも闘いが得意な奴はいるだろう?(今までの探索から一人一人を指し
おれも竜騎士だからな
戦いが本分だとも
今回の試練は最も解りやすい脅威って奴だ
其れにどう対するかはお前達次第だ
実力は同じぐらい
やり方次第で脅威にもなるし楽勝にもなる(一体を相手にして
UC発動
炎の魔力メインで攻撃力増強
【属性攻撃】で炎を全身と槍に付与
【見切り・第六感】を駆使して槍で【串刺し】に
動きが互角でも一時的にも能力を強化すればこうして倒す事もできる
或いは…(【戦闘知識】で戦ってる学生達を見据え戦況を分析し
そこ!そいつを集中攻撃しろ!(そう指示して自分は学生に来る攻撃を迎撃の構え
お前達は一人じゃない
それが強みだ!
●戦いの作法
「さて……お前達の中でも闘いが得意な奴はいるだろう?」
クローン・ドールたちを目の前に、テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は学生たち一人一人に指し声をかける。
「もちろんっすよ!」
「やっと活躍の場が来たな」
今回テラと一緒にいるのは比較的戦闘が得意な学生、とりわけ近接戦闘に秀でた者が多い。やっと訪れた戦闘の機会に学生たちは皆高揚していた。
「うんうん、おれも竜騎士だからな。戦いが本分だとも。今回の試練は最も解りやすい脅威って奴だ。其れにどう対するかはお前達次第だ
。実力は同じぐらい。やり方次第で脅威にもなるし楽勝にもなる」
実力が拮抗していて思考も模倣されるのであれば両者に差をつけるのは戦い方。それ一つで結果は大きく変わる。
テラは【トリニティ・エンハンス】を発動するとその炎を『紅龍槍『廣利王』』と全身に纏わりつかせることで文字通り火力を強化する。
「よし……いくぞ!」
「「「応!!!」」」
テラを先頭に、学生たちはクローン・ドールへと突貫する。
「そこ! こいつを集中攻撃しろ!」
「了解!」
学生たちを狙うクローン・ドールの攻撃を槍で受け止めながらテラは釣りだした一体を狙う様に指示を飛ばす。一人に一体ではなく数人で一体を確実に倒す。クローン・ドールたちも学生たちの思考を模倣してこそいるがあくまで戦闘は個で行う。つまり数の力で押してしまえば何ということはなく危なげなく戦うことができる。
テラが剣状に変形したクローン・ドールたちの手刀を弾くのと同じタイミングで学生たちは一体のクローン・ドールを破壊していた。
「お前たちは一人じゃない。それが強みだ! どんどんいくぞ!」
今回のテラはあくまで指示と防御、そして学生のサポートに回る。炎と槍を操ればこの程度の敵は即座に殲滅するだけの実力はもちろんテラにはある。しかし今回は学生たちに戦い方を教えることが目的。必要以上にでしゃばる必要はない。
「連携を意識しろ。一人で勝てない相手ならみんなで戦え!」
「「「はい!」」」
テラの一振りで動きの乱れたクローン・ドールに学生たちが迫る。
振るわれる攻撃を受ける者、足を狙い動きを止める者、隙をつき最後の一撃を放つ者。
その連携が確実に一体ずつクローン・ドールを破壊していく。
「よーし、次行くぞ!」
誰かと共に在るということ、それがどんな壁をも超える力になる。
大成功
🔵🔵🔵
エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎
最後は『クローン・ドール』じゃな、これは良い修行相手じゃ。
まずは修行の場を整えぬといかぬのう。【秘伝の篠笛】で狼の群れを呼び出し『クローン・ドール』の分断とけん制を行って学生と一対一の状況を作り出すのじゃ。
念の為、【巨狼マニトゥ】を側に侍らせて学生に危険がある時は割って入れるようにしておくかの。
わしも【手製の短弓】を構えて【野生の勘】を研ぎ澄まして警戒しておくのじゃ。危ない時は【誘導】する矢で【援護射撃】じゃな。
彼奴らは対峙した者の獲物と経験を模倣してくるぞい。しかも学習してくるおまけつきじゃ。
ただ戦って倒すだけでなく客観的に見た自己の癖や欠点を確認して上手く戦うのじゃよ。
●鏡写しの自分との戦い
「これはいい修行相手じゃ」
エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)はクローン・ドールたちを一瞥するとそう言い放った。確かに対峙した者の思考や経験、獲物をコピーするクローン・ドールとの戦いは自分の戦い方を客観的に見るいい機会になるだろう。
「じゃがまずは修行の場を整えぬといかぬのう」
しかしそれはあくまで一対一での話。こちらが複数人で当たるのは連携などの確認にはなるが自分の戦い方の確認には向かない。そして一人で複数のクローン・ドールを相手にするほどの力量がある生徒はそう多くない。
故にエウトティアがまずしなければいけないのはクローン・ドールの分断と牽制。『秘伝の篠笛』吹き呼び出すのはいつもの狼の群れ。狼たちはクローン・ドールの元を駆け抜け分散させることで学生たちが戦う場を整える。
「これでよい。彼奴らは対峙した者の獲物と経験を模倣してくるぞい。しかも学習してくるおまけつきじゃ。ただ戦って倒すだけでなく客観的に見た自己の癖や欠点を確認して上手く戦うのじゃよ」
傍らに『巨狼マニトゥ』を侍らせ、自身も『手製の短弓』を構えて援護の構えは十分。これで学生が危なくなれば即座に助けることができる。
エウトティアの言葉に従いクローン・ドールとの戦闘を開始する学生たち。
ここにいるのは比較的直接的な戦闘が得意ではない者たち。そんな学生たちがクローン・ドールを相手に四苦八苦しながら獲物を振るう。
「あっ―――」
もちろんクローン・ドールもただやられるだけではない。学生の振るう小剣を片手で弾くと返す刀でその手を振り下ろそうとするがそれを許さぬ者がここにはいる。クローン・ドールの腕は振り下ろされる前にどこからか飛来した矢に貫かれ砕かれる。
「武器を振るうのが怖いのはわかるがもう少し思い切りをよくせねばだめじゃ」
「はい………」
別の場所では背後から学生に襲い掛かろうとしたクローン・ドールへ体当たりをぶちかますマニトゥの姿が。危なくなれば助けてくれる、その安心感の中で学生たちはクローン・ドールと戦い自らの戦い方を再確認する。
「直すべきところがわかればそこを意識して戦うのじゃ。相手が学習してくるのならこちらは成長すればよい」
「「「はい!」」」
自分自身の戦い方を客観的に観れる機会はそう多くない。そんな得難い経験をよき指導者の元で行うことで実力は飛躍的に向上する。
そんな経験を学生たちは今この瞬間に体験していた。
大成功
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メンカル・プルモーサ
(引き続きアーシュラ達担当)
……ふむ。ある意味丁度良い相手だね。
あいつら、こっちをコピーするから…戦法はほぼ自分自身…つまり、良く知っているものになる…
さあ、考えよう…自分は何をされるのが嫌か…何処が強みで何処が弱みか…
4体程、つまり同数の敵を隔離するから…戦ってみようか…
…生徒達に【再起する不倒の英雄】を使用…リジェネとバフをかけるよ…
…後は生徒達の戦いへ横やりを入れられ無いように【空より降りたる静謐の魔剣】で余計な敵を打ち倒しながら…
…苦戦していそうならそこまでの戦いを見てのアドバイスだね…
例えば…4VS4にした理由…相手がコピーだからといって、正直に「自分」と戦う必要はない、とかね…
●教師と生徒
「……ふむ。ある意味丁度良い相手だね」
「えっ?」
「こっちの思考とかコピーするからちょうどいい相手ってことでしょ」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が担当するのはアーシュラ達4人。学生たちの中でも特に秀でたこの4人にメンカルは何を教えるのか。
「そう、あいつら、こっちをコピーするから…戦法はほぼ自分自身…つまり、良く知っているものになる……。さあ、考えよう…自分は何をされるのが嫌か…何処が強みで何処が弱みか……。4体程、つまり同数の敵を隔離するから…戦ってみようか……」
「……やる」
「あァ、面白そうだ」
そうしてメンカルの手によって分断されたクローン・ドールと相対する4人。そんなに4人にメンカルはこっそりと【再起する不倒の英雄】で予め継続回復をかけておく。
「……ついでに」
アーシュラ達4人と相対するクローン・ドールは4体だけだがこの部屋にいるクローンドールはもちろんそれ以上の数がいる。しかしそのクローンドールたちはメンカルの【空より降りたる静謐の魔剣】により形成された氷剣で貫かれ塵となる。これで学生たちの戦いに余計な邪魔が入ることはない。
「「「「……」」」」
「ま、まぁ私たちは私たちにできることをしよ!」
「……アレは無理」
「だなァ……」
「さくっと倒しちゃいましょ」
「……お手並み拝見」
こうしてアーシュラ達とクローン・ドールの戦いの幕が開く。
「アーシュラをコピーした奴が一番厄介ね」
「……ごめんなさい」
戦闘開始から数分が経つがこちらと同じく連携までしてくるクローン・ドールの相手に4人は手間取っていた。おそらくはこれまでの学生たちの即席チームと違いこの4人は日頃から連携も行っている。そのせいでクローン・ドールたちも連携を行っていた。
「しっかしどうするか……」
「……むぅ」
メンカルのおかげで肉体的にはまだ問題はない。しかしこのままではジリ貧であることも確か。
「……考え方を変えたほうがいい。わざわざ連携させる必要はない」
「それはそうだけど……」
「……こっちにあって向こうにないものをよく考えて……」
「――ああ!」
見かねたメンカルの助言。それがヒルダのひらめきを引き出した。
「なにか思いついたの? ヒルダ」
「ええ、とびっきりのやつを、ね」
そう言って笑いながらヒルダが取り出しのは掌に乗る程度の小さなガジェット。
「アラン、これをアンタをコピーしたドールにぶち当てなさい」
「ん? まぁいいが」
ヒルダの言葉に従いガジェットを投擲するアラン。もちろん投げつけられたドールは難なくそれを振り払うがガジェットの真価はここからだった。ガジェットは二つに割れるとその中に隠されていた網がドールを拘束する。
「今のうちにイザベルをコピーした奴を2人でボコりなさい!」
「……了解」
「そういうことかッ!」
連携させず、数的有利を作り出せば例え自分をコピーした相手であろうと苦戦する相手ではない。アランが動きを止めている間に叩き込まれるイザベルの大剣がドールを真っ二つに叩き割る。
「アーシュラがコピーを抑えている間にもう一体やりなさい!」
連携を行えることまでは確かに一緒だった。しかしコピーできるのは武器の形状と思考と経験まで。つまりコピーした本人も知らないヒルダが発明したガジェットをクローン・ドールは知らない。そして唯一知っているヒルダをコピーしたドールはガジェットまではコピーできない。
そこに気づいてしまえば自分たちのコピーであろうと敵ではなかった。一番厄介なアーシュラをコピーして魔法を使うドールも3人の手で破壊される。
「……よくできました」
「アタシをコピーしたやつ何もしなかったわね……」
「……ガジェットメインだと仕方ない。でも、だからこそヒルダが鍵だった」
戦いとは発想次第。苦戦していた状況も一つの閃きで打開できる。それを4人は今回学んだ。
●放課後とこれから
こうして猟兵たちによる特別授業は幕を下ろす。
日頃の授業では体験できないことを教えてもらった学生たちはこれからもその教えを糧にさらに成長するだろう。そしてその教えを次の世代へとつなげていく。
生徒であった者は教師となり、また新たな生徒へ教えていく。それが教育という名の円環。
―――時代を超える教育のお話。蒸気猟兵譚~教師と生徒~ 終。
大成功
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