ヤツを外に出してはならない
「おいここ入って大丈夫なのかよ?」
「平気だって、夜な夜な電気がつく廃屋って事は、電気が通ってるって事だろ?」
町外れの廃屋に、肝試しに入った少年少女。彼らは誰もいないのに、灯が漏れてくるという噂を確かめるために、腐った扉の奥へ踏み込んだ。
「さすがに汚いな……」
「何あれ、パソコン?」
少女の一人が、ノートパソコンがつけっぱなしになっているのを発見した。廃屋の中はボロボロなのに、真新しいパソコンは妙に生活感を匂わせる。
「あー、これ誰かが勝手にここの電気を使ってるんじゃないか?」
「だから夜になると画面の光が漏れて、灯がついてるように見えるんだな……」
パソコンの画面には、人気の動画投稿サイトが表示されており、今まさに実況動画が流されている。
「ルーばっかカレー? 何がしたかったんだ?」
「動画ってそういうモノだし……」
「具材の件は僕に任せて」
ピタと、子ども達が固まった。パソコンの持ち主に見つかったのかと、聞いた事のない声に振り向けば。
「猫は死んだよ」
成人男性……なのだろう。何故か首から上はダンボール製の機関車ヘッドになっており、顔は真っ白に染められていて、狂気すら覚える。
「箱は元気かい?」
『うわぁああああでたぁああああ!?』
逃げていくその背中を、機関車ヘッドは見送って。
「この件は君達に頼むよ」
「皆さま、お集まりいただきありがとうございます」
人首・椿(傷と記憶は刻むモノ・f06124)はコロリと電子巻物を広げて、UDCアースのとある地域を示す。
「こちらの地域にて、感染型UDCと呼ばれる、増殖するUDCの出現が確認されました。これは自身を目撃した対象、およびそれを噂や『えすえぬえす』?とやらで広まった先の人々に感染、その精神エネルギーを吸収、増殖する力を持っており、迅速な対応が求められます」
既に感染が始まっている事もあってか、椿は転移門を開きながら話を続けて。
「現場は既に混沌としている可能性がありますが、心を強く持ってください。もし、飲み込まれて皆さんが感染源などになったら……フフフ」
根絶待ったなしな顔で刀の柄を撫でる椿から、逃走するように猟兵達は現場へ急行するのだった。
久澄零太
つーわけでネタ依頼だよヒャッハー!!
えぇ、久澄です、『ネタ依頼』です
大事な事だから二回言いました
転移直後は少年少女が猫箱に囲まれていますが、(悪意を持って)意図的に彼らを狙ったり、巻き込んだりしない限りは(あくまでも、命に)危険はありませんから安心してUDCを破砕しましょう
なお、初回の執筆は五日を予定しています
四日の深夜までにプレが来たら嬉しいなー?
第1章 集団戦
『にゃんドラボックス』
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POW : しゅぱっ(スイッチが奥に引っ込む)
非戦闘行為に没頭している間、自身の【箱の中に引き篭もり、トグル式スイッチ】が【OFFになる。スイッチを引っ込めて】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD : しゅぱっ(音速を超えるスイッチOFF)
レベル分の1秒で【スイッチを瞬時にOFFにする神速の行動】を発射できる。
WIZ : しゅぱっ(しかし箱から伸びてきた手でOFFに)
【スイッチON以外絶対に開かない箱】を披露した指定の全対象に【トグル式スイッチをONにしたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
何やら凄いことになっておりますねぇ。
どうしましょうかぁ。
取り敢えず、猫箱さんは暫く攻撃してこないみたいですし、【翳華】を使用して順に吸込みましょうかぁ。
その時点で無敵でも、その状態でブラックホールに入れてしまえば解けた時点で終わりですぅ。
その上で、感染を阻止する為に「よりインパクトの強い場面」で上書きしておくと良さそうでしょうかぁ?
【翳華】の範囲を「口腔内」に指定し、目の前で猫箱さんを「丸吞み」にすれば、インパクトは抜群ですねぇ。
であれば、転移の際に「到底一人では食べきれない量の骨付き肉」等を持参し、到着後に目の前で[大食い]してみせると、流れとして良いかもしれません。
四季乃・瑠璃
緋瑪「この猫可愛いな~♪」(猫派)
瑠璃「私、犬派だけど箱入り猫って可愛いね」
緋瑪「可愛いけど、コレを殺さないといけないのかー…」
瑠璃「ねこー」
緋瑪「どうしようか、瑠璃ー」
瑠璃「ねこです」
緋瑪「瑠璃?」
瑠璃「ねこはいます」
緋瑪「!?」
【チェイン】で分身
とりあえず、ねこを箱の中から引きずり出す為にちゃ○ちゅーるを設置。ねこ達が自主的に箱から出て来たのを見計らって大量のマタタビ投下。
更に人肌に温めたミルクやかつお節を設置し、ねこじゃらしで誘導する等、おもてなしして徹底的に逃がさない様に可愛がってあげるよ!ふふふ…
…うん、どうしようかなーこの子…
一応、ジェノサイドボムで吹き飛ばす…?
瑠璃「ねこでした」
黒木・摩那
ネコに箱と言ったら、箱の中のネコは生きてるか死んでるか、という問題があったような。
でも、あの問題。そもそも箱の中にネコ閉じ込めるとか、その発想からして変なのよね。難しいことを考える人たちの頭の中はやはり変わってるのでしょうか……
だからと言って、頭の形そのものが変わってる人たちは退治の対象ですね。
さて、問題のネコ箱。
箱がガタガタ動く以外には特に害は無いような。
【念動力】で箱を集めて、ワイヤーで箱同士をぐるぐる巻きにして梱包してしまえば、重くて動かなくなるのでは?
箱の中も出てこないしね。
オーガスト・メルト
なるほど…猫だな。
ん?なんで義妹の方じゃなくて俺が来たかって?
そりゃ猫好きに猫を斬らせるのは可哀想だろ?俺は割り切れるが、あいつは無理だ。
【POW】連携・アドリブ歓迎
猫たちが箱に閉じ籠ったのを確認したらUC【赤光断雷】でまとめて遮断能力を斬り散らし無効化。
後は箱ごと【焔迅刀】の斬撃で回転させつつ上へと【吹き飛ばし】てやろう。
デイズ、ナイツ、【竜鱗飛甲】の【シールドバッシュ】で回転を加速させつつお手玉してやれ。
『うきゅー!』『うにゃー!』
はっはっは、にゃんこ共よ、早いとこギブアップして箱から脱出した方がいいぞ。
乗り物(?)酔いで死にたくはないだろ?
ま、箱から出てきたらサクサク斬るんだがな。
一一・一一
「都市伝説でもいるっすねぇ、噂を知った人間のところに現れるやつ」
初手、【狙撃手の誇り】を使って『第六感』と『視力』を強化
『救助活動』と『ロープワーク』で少年少女を「スパイダー」で救出しつつ
「ライトニング」と「イーグレット」を使った【Q・T・S】で箱を狙撃
強化された『第六感』でタイミングを図り「ライトニング」はスイッチを押すのに使い、「イーグレット」は中身を狙撃するのに使います
弾速が違うので同時に当てることはないはず
アドリブ等歓迎です
テティス・ウルカヌス
後輩のいちごちゃんと
「ふっふっふ、この天才的美少女アイドルであり国民的スターのテティスちゃんの今回のお仕事は『猫鍋』ならぬ『猫箱』を使って動画を撮影しろということですねっ!」
人気動画配信者になると億万長者らしいですから、一発大当たりすれば、こんなチマチマしたお仕事なんかに来る必要もなくなりますね!
というわけで、いちごちゃん。
二人のアイドルパワーで、究極の動画を作りましょう!
『猫箱』たちを背景にしてレッツ・ダンシンッ!
【妖精の輪舞】で『猫箱』たちの間を華麗に踊り、いちごちゃんと息のあったダンスを撮影しますね!
『猫鍋』だけでも人気なんですから私達の踊りがあれば完璧ですね!
目指せ、100億PVです!
彩波・いちご
テティスさんと
動画撮影…これは広めてはいけないもののような気がするのですが、でもまぁテティスさんやる気ですし
猫箱相手に踊るのでしたら、まぁ?
「小さな仕事でも見てくれるファンのためにですよ?」(にこっ
少年少女は巻き込まれないよう離れてもらい
…テティスさんには、少年少女が動画に映らないようにと説明
ダンスは私もテティスさんに鍛えられました
息の合ったダンスパフォーマンスと…テティスさんのフォローを
転んだらさりげなく受け止め(ラッキー何とかよりも彼女に殺されないよう気を付けつつ)、ダンスの振り付けのようにフォロー
私自身もダンスの動きからの格闘術で猫箱倒しますっ
PV稼いで広めちゃったらやばいんですけどねー
涼風・穹
……シュレーディンガーの猫か、それとも猫リセットか、或いは他の元ネタなのかもしれないけど、もう色々混ざって訳が分からない事になっているな…
……まあネット上の噂話に整合性や正しさを求めても意味は無い、か…
個々の動機や性格はどうであれ未知なるものへ挑むのは探索者の性分です
閉じた箱は開ける、スイッチがあれば操作してみるというのはもはや性というものです
そんな訳で警戒はしますがスイッチは操作します
閉じた箱があれば《贋作者》でバールを作り出して力づくででも開きます
UDCへの対処?
俺のアーティファクト『風牙』の出番ですな
閉じた箱に刀を刺して、さて中の猫の生死は開けてみるまでは五分五分なのでしょうか…なんてな
アリス・セカンドカラー
おまかせプレイング。
おっと忘れてた。遅れたけど私推参☆
体外離脱(封印を解く)して箱の中に侵入するわ☆攻撃じゃないから遮断されないでしょ。仮に遮断されても全力魔法の鍵開けでトンネル掘り的に攻撃遮断する結界に穴開けて侵入するわよ♪
狭いわねーと念動力で空間を操縦して拡張☆でねこちゃんを限界突破した全力魔法で萌擬人男の娘化させるわ☆
さて、それじゃ非戦闘行動に没頭しましょ♪とフェロモンで誘惑しながら念動力で快楽を操縦して全力御奉仕するわ♡箱の中だから外からはナニも見えないしね☆快楽堕ちさせるわ♡
これを分身(範囲攻撃)でできるだけの多くのねこちゃんに♪
限界突破した継戦能力でどれだけ時間がかかっても、ね☆
「何やら凄いことになっておりますねぇ。どうしましょうかぁ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)があらまぁ、と見やるのは、謎の箱に取り囲まれた少年少女の姿。背中合わせに怯える彼らは、助けを求めて震える手で携帯端末を操作しており。
「取りあえず、あのまま投稿とか呟きとかされるとまずいんじゃないかしら?」
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)は突如胸を抑えると、小さく呻き。
「うっ……」ぱたり
「ひ、人が……!」
「やっぱりこの箱危ないんじゃ……」
「その前に救急車だろ!?」
少年少女が余計混乱して、アリスに意識が向き手が止まった隙に、るこるは背負ってきたリュックから、某白髪白スーツにステッキの好々爺がイメキャラのフライドチキンのパーティー用のバレルを取り出して。
「それではこれよりぃ、チキン大食いチャレンジを始めますぅ。やらせ、合成無しの証明としてぇ、本日は通りすがりのこの方たちに証人になって頂きますぅ!」
『へ?』
るこるが少年少女を示すと、まぁ、うん。そりゃー呆気にとられた顔するよね。
「猫に箱と言ったら、箱の中の猫は生きてるか死んでるか、という問題があったような……」
るこるが明らかに骨ごと食っちゃってる姿に、少年少女がドン引きしながらも視線を釘付けにされている間に黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は集団の背後へ回ると。
「でも、あの問題。そもそも箱の中に猫閉じ込めるとか、その発想からして変なのよね。難しいことを考える人たちの頭の中はやはり変わってるのでしょうか……だからと言って、頭の形そのものが変わってる人たちは退治の対象ですね」
一先ず、ワイヤーで括って開かなくしてしまえばよいのでは?などとヨーヨーを構えた所で、何やらガタガタと騒がしい箱が一つ。
「箱がガタガタ動く以外には特に害は無いような……」
実際、そうなのよね。今回の敵は生存に特化しており、箱が開かなければUCくらいじゃ傷一つつかない。じゃあ負け確定じゃんって思いきや、あちらに攻撃手段は存在しない為、千日手状態。だったら何が危ねーのかって、殺せないからこそ、それを目撃した人が拡散して、増えて、減らそうにも殺せないから増える一方で大本の奴がヒャッハーするという、組み合わせが最悪の敵。
「対処は他の方に任せて、取りあえず封じてしまえば……」
摩那が箱を縛り上げようとした、そこで。
「ふふふ……さぁ、いらっしゃい?」
「やだ……僕は動きたくにゃい……」
「じゃあ、私からイクわよ?」
「や、やだ、こにゃいで、僕は何もしたく……アッ」
ガッタン、箱が大きく跳ねた。
「もう、こんなにしちゃって……元気な男の娘ね?」
「あ、らめ、きもち……んぅっ!?」
カタカタ……箱が小刻みに震えるポルターガイストめいたサムシング。この時点でなんかもう、摩那は嫌な予感がしていたとかなんとか。
「ほら、体は、正直、なんだから、あなたも、素直に、なりなさい?」
「あっ、あっ、あっ、あっ……や、やにゃぁ……」
「もう、強情ね?」
「にゃっ!?」
ガコンッ、箱が急激に跳ね、摩那は肩を回してアップを始める。
「にゃっ、らめっ、しっぽ、らめぇ……!」
ガコンッカタッ、カタッ、カタッ……コトコト……コトコト……。
「ふふっ、こんなにd」
「アウトー!!」
恐らく霊体になって中に潜り込んだんだろうなってアリスの発言が、完全に聞こえる前にワイヤーを射出、グルグル巻きからのグルグルグルグル、ッポーン!ハンマー投げならぬボックス投げでシューッ!
「やはりパーティーバレルでは少し足りませんねぇ……もきゅっ!?」
ごっくん。なんとるこるの口にマウスインワン。明らかに本人の顔より大きい物を丸呑みにするというヤベー事態に。
「箱の中で何をしていたのか知りませんが、見えなければ何をしても許されるわけではないんですよ、全く……」
いやあの摩那さん?るこる、今違うモノも飲み込まなかった?
「大丈夫ですよぉ、口に入れば後は重力で圧潰しますからぁ」
ちげーよ体への影響の話じゃねぇよ。お前が食ったのは変態めいた悪霊的なサムシングでだな?
「悪霊だなんて失礼ね」
アリス!?貴様、生きていたのか……!
「当たり前でしょ?」
起き上がったアリスはロリータドレスの砂埃を払って。
「あ、管理官殿、次回からはアリス・サードカラー(腐敗魔少女は死んでも治らない・f05202)でよろしくね」
助かってなかったー!?
「ふふっ、次のアリスは絶対に上手くヤるわ!」
「そう言う発言が出てくるあたり、中身は同一人物だと思いますけどねぇ……」
もはや消耗品……もとい、ツッコミ枠に収まりつつある摩那はげんなりしたとかそうでもないとか。
「……シュレーディンガーの猫か、それとも猫リセットか、或いは他の元ネタなのかもしれないけど、もう色々混ざって訳が分からない事になっているな……まあネット上の噂話に整合性や正しさを求めても意味は無い、か」
形はどうあれ、アリスによって(少年少女に有害な形ではあったが)干渉そのものは可能と証明された箱を、涼風・穹(人間の探索者・f02404)がコツコツと曲げた人差し指で叩く。
「よし、開けるか」
唐突!?
「個々の動機や性格はどうであれ、未知なるものへ挑むのは探索者の性分だ。閉じた箱は開ける、スイッチがあれば操作してみるというのはもはや性……例え罠だとしても挑むのが探索者だ!」
などと、箱を両手で掴んで引っ張るものの。
「ぬぬぬぬぬ……!」
開かない。もしやスライド式か?と上半分を押してみるが。
「ふんぬぬぬぬ……!」
開かない。まさかのプッシュ型かと両側から押してみるものの。
「んぐぐぐぐぐ……!」
開かない。スイッチを押すしかないようだが、こういう時、馬鹿正直にやろうとすると。
カチッ、カチッ。
「目にも留まらぬ速度でオフにしやがった……!」
スイッチを押せば開く箱の、外側にあるスイッチをそう簡単に押せるなら誰も苦労しない。
「面白ぇ、そっちがその気ならこっちだってとことんやってやるぜ……!」
などと穹がバールめいたサムシングを生成して、蓋の縁に引っ掛けようとするのだが。
「だめだよ、こういう時は無理やり開けようとすると閉じちゃうもん」
「昔話みたいに、優しくしてあげないとねー」
全く同じ顔をした二人組……いや、実際には四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)っていう一個人なんだけども、コイツの場合は緋瑪とかいうもう一つの主人格があり、自我が強いのか他の多重人格者と異なって、緋瑪は半透明の守護霊状態で瑠璃の傍らに寄り添っている。まぁ、見えるのは猟兵かオブリビオンくらいだと思うけども。
「こういう時は向こうから出てきてもらわないと……」
「特に猫は気まぐれってよく言うからね!機嫌を損ねちゃったら大変だゾ!」
そもそも、それはオブリビオンだから猫の常識が通じるのかどうかはさておいて、緋瑪の色彩が強まり、実体を伴って顕現。懐から取り出したるは某有名な液状オヤツ。
「猫さん必殺のオヤツ、その名も、ちゅー……」
「緋瑪、そこでやめとこう?多分、名前を出したら消されちゃうから」
「えー……」
瑠璃と言う名のツッコミ役がいなかったら、危なかった……。
「さぁ、出ておいで~」
小皿に移し、箱の前に置いてみる緋瑪だが、反応はない。
「お腹空いてないのかな……?」
「箱の中だから匂いが届かないのかもっ!?猫さーん!今ならご飯食べ放題だよー!!」
「猫にそんな事言って出てくるわけ……」
声を張る緋瑪に瑠璃が苦笑したその時、パカッ。
「出てきた
……!?」
「あははっ!食べ放題に釣られたのかな?」
「まさか……」
眉間にしわを寄せる瑠璃だが、多分その通りなんじゃないかな……猫の顔が「これで一生働かなくてもご飯にありつけるにゃ」って顔してるもん。
「この猫可愛いな~♪」
「私、犬派だけど箱入り猫って可愛いね」
上半身だけ箱から出した猫は、意地でも箱から出たくないのか、ドライブスルーならぬボックススルー状態でオヤツをてちてち。舐めてる間に頭をモフる緋瑪の傍らで、瑠璃もその様子を引き込まれるような眼差しで見つめて。
「可愛いけど、コレを殺さないといけないのかー…」
「ねこー」
「どうしようか、瑠璃ー」
「ねこです」
瑠璃の様子がおかしい。会話が成り立っていない事に気づいて、緋瑪がバッと振り向くと、瑠璃の目は猫のような細い虹彩になっており。
「瑠璃?」
「ねこはいます」
「!?」
猫堕ちしてますね、コレ。
「猫堕ちって何!?」
「ねこです、よろしくおねがいします」
見てはいけないタイプの猫を見る事で、精神汚染されるアレだよ。放っておくと、段々猫耳と猫尻尾が……。
「瑠璃!?……あれ、何にもない」
「ねこです」
生えるわけではない。
「紛らわしい!!」
「なるほど……猫だな」
他の猟兵達の活躍を眺めていたオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)が頷き……ネタ依頼にお前がいるだとぅ!?
「ん?なんで義妹の方じゃなくて俺が来たかって?そりゃ猫好きに猫を斬らせるのは可哀想だろ?俺は割り切れるが、あいつは無理だ」
妹さんは変な所でメンタル弱いのね……。
「根性はあるぞ?何せとある店のヤバい物を何度ぶっ倒れても飲みにいくからな」
それメンタルを汚染されてない!?大丈夫なの!?
「安心していい、ただの脳筋だから汚染されるほどの精神を持ち合わせていない」
ケラケラと笑うオーガストに、どこからともなく「いくらなんでもその言い方は酷いですわー!?わー……わー……(エコー)」なんて幻聴があったとかそうでもないとか。
「さて、来たからにはしっかり働かないとな」
カチリ、低く構えた小太刀を抜き放ち、すくい上げるような抜刀。鞘走る剣閃に猫は素早く箱に収まるが。
「甘い……!」
オーガストの狙いはその防御。振るう刃はUCを打ち消す特殊な斬撃であり、いわゆるガード不可の一撃。当たれば箱を叩き斬る……はずなのだが。
「む、打ち上げたな……」
とんでもなくややこしい事になっているのだが、敵はUCと同時に、箱そのものが強固な耐性を備えており、UC無しでも実質無敵状態に近い。手応えからその辺を察したオーガストは肩に止まっていた二匹の饅頭……違う、小竜を飛ばし。
「デイズ、ナイツ、お手玉してやれ」
「うきゅー!」
「うにゃー!」
主人の意図を察した竜は陰陽盾に姿を変えて、箱をシューッ、トラップ&シューッ!キャッチボックスで弄びながらグルグルと空中大回転!
「はっはっは、にゃんこ共よ、早いとこギブアップして箱から脱出した方がいいぞ。乗り物(?)酔いで死にたくはないだろ?」
まぁ、出たら斬るがな。言葉の裏にそんな真意を込めて、更に二箱程追加するオーガストなのだった。
「愛護団体に見つかったら怒られそー」
「ねこですおこります」
箱から出てきた猫に鰹節を抱かせて猫じゃらしで顔をテチモフして遊んでいた緋瑪と、怒れる猫のポーズな瑠璃。それを見たテティス・ウルカヌス(天然系自称アイドル・聖なる歌姫・f12406)の第一声がこちら。
「ふっふっふ、この天才的美少女アイドルであり国民的スターのテティスちゃんの今回のお仕事は『猫鍋』ならぬ『猫箱』を使って動画を撮影しろということですねっ!」
ただのバカでしょ!?ていうか椿の話聞いてた!?
「動画撮影……これは広めてはいけないもののような気がするのですが……」
彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)、気づいてたんなら止めろよ。
「でもまぁテティスさんやる気ですし、猫箱相手に踊るのでしたら、まぁ?」
どこにもプラスの要素が見当たらないのだが!?
「人気動画配信者になると億万長者らしいですから、一発大当たりすれば、こんなチマチマしたお仕事なんかに来る必要もなくなりますね!というわけで、いちごちゃん。二人のアイドルパワーで、究極の動画を作りましょう!」
「小さな仕事でも見てくれるファンのためにですよ?」
野心丸出しでアイドル感がダウンしたテティスにいちごが微笑み、彼女らの参戦を目の当たりにした摩那はこの世の終わりを前にして、己が人生の価値を見出し、安らかに終末を受け入れる聖者の顔で耳栓を嵌めた。
「都市伝説でもいるっすねぇ、噂を知った人間のところに現れるやつ」
その様子を、遥か遠方、廃ビルの柱の陰から覗き見ていた一一・一一(都市伝説と歩む者・f12570)が目視。狙撃手はスコープ一つで二キロ先を正確に撃ち抜くという。それが猟兵なら、言わずもがな。
「さて、あの様子からして、あちらが噂の……」
都市伝説に携わる故か、良くも悪くも語られる猟兵には詳しい一一。
「となると、あの子たちが危ない……!」
狙撃銃に装填されていた鉛弾を吐き捨てて、特殊な弾丸を装填。狙うは少年少女、その付近に立つ街灯。
「狙撃手の誇りにかけて、間に合わせて見せるっす……!」
引き金を引き、弾丸の底に込められた火薬がハンマーにぶん殴られ、衝撃で発破。ライフリングに沿って回転をかけられた弾丸が空間を走り抜け、真っ直ぐ街灯へ向かっていくが、当然一一の狙いはそれそのものではない。街灯へ向かう前に、林立するビルから突き出た広告看板に弾丸を掠めさせてアンカーを打ちこみ、射撃の足跡を残すようにワイヤーが伸びる。
やがて弾頭は街灯を支える金属柱と衝突。軟質な弾丸は変形しながらその軌道を変えて、少年少女へ向かっていくが、円錐形を失った事で空気抵抗が強まり、弾丸という『外皮』が吹き飛んでしまう。内部から姿を見せた立方体は、少年少女の中心に撃ち込まれると爆ぜたが、それは爆弾などではなく。
『うわぁああああ!?』
捕獲用のネット。一同を包みこんだネットは途中で撃ち込まれたアンカーに引き戻されていき、一般人を戦場……ていうか、某アイドル擬きの予想被害範囲から引き剥がした。
「あれ、今何か……」
テティスが悲鳴に振り向くが、そこには猫っぽい何かが収まった箱が散らばるばかり。
「さっきの人達がいません!?」
「テティスさん、あの人達はスタッフさんですから、映らないように離れてもらったんですよ」
「なんだ、そうでしたかー、じゃあ準備完了ですね!」
いちごの説明を鵜呑みにしたテティスが軽く爪先で地面を叩き、脚の調子を確認。
「『猫鍋』だけでも人気なんですから私達の踊りがあれば完璧ですね!目指せ、百億PVです!レッツダンシンッ!!」
「PV稼いで広めちゃったらやばいんですけどねー」
テティスに苦笑するいちごだが、結局そこで止めないのねあなた。
※ここから先は一部、音声をカットして記録されています。閲覧者の精神を保護するための処置です、ご了承ください。
音楽が流れだした事で穹は全力で戦場からの離脱を開始、摩那は自らの聴覚を封じている事もあってか、その場で座禅を組み、穏やかな表情で目蓋を降ろした。オーガストは何気に初遭遇(実際には一度会っているが、その際には砲撃の爆音で歌声を聞いていない)と言う事もあり、何が起こっているのか理解が追い付かなかったようだが……妹から話は聞いていた、あいつの歌はヤバいと。危機が迫っている事は分かれど、歌で何が起こるか分からず夫婦盾を自分の前に展開、防御姿勢をとった。
などと周囲がテティスの脅威に備える一方、当の本人はダンス(のつもりなのだろうが傍から見たら傍若無人にしか見えない大暴れ)に夢中。テティスの中では煌びやかなステップを刻んでいるのだろうが、実際には猫箱を蹴り上げて、スナップの効いた裏拳で叩き落とし、思いっきり踏みつけるという、相手が無敵の箱に入っていなければスプラッタ間違いなしな格闘コンボである。
じゃあいちごは無事かっていうと、むしろ死の瀬戸際。荒ぶるテティスのミス(という名の格闘術)をフォローすべく、彼女に手を差し伸べるのだが。
「きゃー!?」
「ひぃっ!?」
テティスの一撃はザコなら即死するレベルの格闘術。猟兵とて、直撃を食らえばただでは済まない。テティスが猫箱を蹴り飛ばして無敵なはずの箱を空の彼方へ吹き飛ばし、お星様へ……で、その反動でスッ転びそうになったテティスの腰に手を回し、グッと身を反らすパフォーマンスに見せかけるが、その際にテティスの裏拳がいちごの鼻先を掠めていく。痛みこそないが、吹き抜けた風がその拳の鋭さを匂わせて。
「うにゃっ!?」
「ひょえっ!?」
猫箱を思いっきり踏みつけてアスファルトの下に埋設したテティスが勢い余っていちごへタックル。当たれば肋骨を持っていかれそうなそれを、受け流しながら手を取りクルリ。
「テティスさんといると(命の危機で)ドキドキしっぱなしです……」
「んもう、テティスっちゃんが魅力的なのは当たり前じゃないですか!」
「うひゃっ!?」
咄嗟に猫箱を盾にしたいちご。盾にされた猫箱は犠牲になったのだ……詳細?知らない方がいいよ。
「だ、大惨事ですぅ……」
チキンを食べたカロリーを防御に全振りして、首の皮一枚で繋がっていたるこるの命の灯火。戦場を見れば、オーガストは倒れ「アイドル」のダイイングメッセージを残し、彼の頭の上にはかろうじて生き残った竜饅頭が二匹鎮座。穹は異次元の修行でもしていたのか、血涙を流しながらも生存。テティスの暴行によって箱がひしゃげた猫を引きずり出して刀で突き刺し、着実に数を減らしていた。摩那は無傷だが、違う意味で無敵モードに入ってしまっており、とてもではないがアテにできる状態ではない。
「や、やるしかありませんねぇ……!」
手近な猫箱をもぐもぐ。るこる何食べてるの!?ペッ、しなさい、ペッ!
「私の口の中はブラックホールですからぁ、全部食べてしまえば、この戦いを終わらせることがぁ……うっ」
とはいえ、摂取したカロリーとて無限ではない。テティスの音響呪詛とでも呼ぶべき歌声に彼女の精神もジワジワと追い詰められて……。
「あれ、歌が止みましたぁ?」
急に聞こえなくなった歌声に振り向けど、テティスは歌って踊って、いちごがフォローしては紙一重で即死の一撃を躱す。
『ま、たまにはこういうのもありかしらね?』
「はわ!?」
半透明になったアリス(オリジナル(こいつの来歴的にオリジナルと呼んでいいのか怪しいけど、この依頼においてはセカンドカラーをオリジナルとする))がるこるの耳を塞いでいる!貴様生きていたのか!!
『この程度で死ぬ私じゃないわ……消化吸収された今、私はこの子の守護霊のようなモノ……』
「え、私、人を食べちゃったんですかぁ……?」
アリス、るこるはその手の冗談に慣れてないっぽいからやめてやれよ。
『あら残念。じゃあネタバラシしちゃうと、全てはギャグ補正の結果よ♪』
「……つまり、気にしたら負けということですねぇ」
るこるも俺の扱う依頼に侵食されてきた気がするな、この話を受け入れるまでが速い。
『とはいえ、私も完全に防げるわけじゃないわ。むしろ私のメンタルが持たないから早めに片付けてくれると嬉しいの』
などと語るアリス(セカンドカラー)だが、肉体の方ことアリス・サードカラーが既に撃沈してる辺り、彼女もテティスの歌のダメージは受け続けるという事なのだろう。
「ふぬぬぅ……少しずつ歌が耳の奥にぃ……」
ぷるぷる、完全防御ではないとあって、じわじわるこるにも歌が響いて来た模様。一刻も早く全ての猫箱を食わねばならないのだが。
「取りあえず、そいつに箱を食わせればいいんだな!?」
状況を察した穹が両手に猫箱を抱えてるこるの下へ。
「さぁ食えさっさと食え今すぐ食え!じゃないと俺たちが持たな……ガハッ!?」
しかし、残り数箱を戦場に残して穹が力尽きた。血溜まりを残して散った彼を後に、るこるがもっくもっく、その目の前で、新手の猫箱がぴょこん。
「猫が増えましたぁ
……!?」
「さっきの子達が投稿してしまったのでしょうか?」
聴覚を封じたままの摩那が、現場を見回し大体は察して。
「私があちらを止めてきましょう。皆さんは現場の制圧を!」
「ちょっと待て、お前はむしろこっちに残るべきだろう……!」
饅頭竜二匹が耳に収まる事でどうにか立ち上がったオーガストが止めようとするが、時既に遅し。声の届かぬ摩那が投網に吊るされた少年少女を止めに去り、オーガストは震える体に鞭打って立ち上がる。
「義妹に歌声のヤバいのがいると聞いて多少は構えていたが……デイズとナイツがいなかったら不味かったな……さっさと終わらせるぞ!」
箱猫を回収し、るこるの口に押し込んでいくが、ポン、猫が増えた。
『なんで!?』
「お腹に収まっただけだと、すぐには消えないからネットへの投稿で認識してしまった人がいる以上、増殖するのでしょうかぁ?」
「だったら今すぐ何とかしてくれ!」
「したいのは山々ですがぁ、お腹の中なんて攻撃できませんぅ……」
実際には口の中がブラックホールになってると言う割とおかしな事になってるるこるだが、ブラックホールに手を突っ込むことができない以上、猫がUCを解くまで猟兵は手出しができない。
「ねこです、ばくはつします」
「もぐっ!?」
なんとここで瑠璃が爆弾を生成、からのるこるの口にダイレクトアタック!口内に取り込まれた瞬間に中でボン!一瞬、るこるの腹部がアドバルーン大に膨れ上がり猟兵達を弾き飛ばした後、内部に衝撃が合った事で事態を脱したと勘違いした猫が蓋を開けたのか、重力に潰されて消えていく。
『これで終わっ……てない!?』
アリスの視線の先には、テティスの歌で力尽き、箱猫を取り逃がした緋瑪。最後の一匹が逃走を図り、一匹でも残っているなら、それは増殖を……。
――パンッ。
「ほぇ……?」
響いたのは乾いた銃声。目の前であっけなく消えていく猫箱が、何が起こったのかを物語っている。
「危ない危ない、危うく取り逃がすところだったっす……」
遠方から二挺の狙撃銃で同時狙撃という芸当をこなして見せた一一が額の汗を拭う。その銃は内部機構が異なっており、同時に引金を引けば弾速の異なる二発の弾が放たれる。猫に認識されない長距離からスイッチを初弾で弾き、箱を閉じられる前に次弾で猫の額を撃ち抜く。文字列にすれば単純だが、両の目で、異なるターゲットを同時に狙い澄まさなければならないそれは、並みの演算能力でできる事ではない。
「さて、これで全部片付いたはずっすけど……」
銃を置いた一一が見た、その視線の先。
「よし、撤退しましょう」
戻って来た摩那が動けない猟兵を担いで撤退を開始。声が届かない為、るこるが歌って踊ってるテティスを示すと。
「……」
摩那は実に爽やかな笑顔で首を振った。知った事ではありませんと言いたいらしい。で、置いていかれた方はっていうと。
「あれ、待って、皆さんどこ行くんですか!?」
「キャッ!?」
「ひぃ!?」
いちごちゃん、頑張って、猟兵達が無事に任務をこなせるかどうかは君にかかっている。
「それ遠回しに見捨ててませんか!?置いていかないでくださいー!!」
大成功
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第2章 冒険
『街の中心で眼鏡(Eye)を叫ぶ』
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POW : 信者の持つ眼鏡をへし折って精神攻撃しつつ情報を集める
SPD : 信者の眼鏡攻撃を回避しつつ情報を集める
WIZ : 眼鏡・伊達眼鏡を装着して歓迎をうけつつ情報を集める
👑11
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箱猫と音響兵器の襲撃を生き延びた猟兵達は、救助した少年少女から、どこで邪神を目撃したのか聞きだすことに成功したのだが。
「なんだこれ……」
「グラサン……でしょうかぁ……?」
教えられた住所に近づくと、町を行き交う眼鏡、グラサン、スポグラサン。誰も彼もが何かしらをかけている。見れば、三種のグラスを配っている人がおり。
「おい、少しいいか?何でこんなものを配っている?」
「そりゃー、グラサンをかけると幸せになれるからさ!とはいえ、視界が悪くなるからね……まずは眼鏡、色付き眼鏡で慣れてもらう事も必要かなって。上級者は目の所にレンズが入った仮面何かもつけてるよ!」
などと言われて見やれば、般若面とかひょっとことか、何か違うのも確かにいる。
「まずは情報収集が必要かしら……」
などと、猟兵達が動き出そうとしたその時だ。
「囲まれていますね……」
迫りくる人々の手には眼鏡、グラサン、般若面……どう見ても狂信者ですね。
「眼鏡をかけた者には祝福を……かけざる者には眼鏡を……お前も眼鏡をイクイップしろよぉおおおおお!!」
「この人達強引に眼鏡を装備させようとしてくるっすー!?」
君たちは眼鏡を受け入れてもいいし、眼鏡装備になる事で信者めいた何かと同化して潜入調査してもいい。
※次回執筆は七日を予定しています。七日早朝までにプレが来たら嬉しいなー?
四季乃・瑠璃
緋瑪「おかしいなー…途中から記憶が無くなってる気がする…」(歌で力尽きた為)
瑠璃「私は記憶が若干曖昧だね…」(猫堕ちの影響)
緋瑪「まぁ、また妙な状況に陥ってるけど…ある依頼では殺眼鏡鬼と呼ばれたわたしが屈するなんてありえない!逆に全て叩き割ってあげる!メガネ狩りだー!」
瑠璃「緋瑪、ホドホドにねー。警察来ちゃうから」
緋瑪が大鎌やK100(拳銃)、加減したボムで眼鏡を狩りまくり、瑠璃が逃げ惑う人達から(半ば脅迫な)【情報収集】を実施したり、倒れてる人から手掛かりを剥ぎ取りしたり
緋瑪「逃げるヤツは眼鏡だ!逃げないヤツは訓練された眼鏡だ!」
瑠璃「壊されたくなかったら、早く知ってる事吐いた方が良いよー」
アリス・セカンドカラー
おまかせプレイング☆
メダカB◯Xの安心◯さんムーヴできるUC用意したからこういい感じに……ダメ?く、おまかせプレイングは公式が用意した正当な遊び方だというのにダメだと申されるか!
え?お前いつも頭おかしことしかしないから難易度高すぎる?……うん、正直すまないとは思っている(目逸らし)。
とりま、グラサンをかっこよく着こなすスタイル『(名称はおまかせします)』を想造してなんやかんやしつつサイコメトリーとテレパシーで情報収集しましょうか。このUCその場で必要な能力生やせて便利だわぁ、もうこれ一つでいいんじゃないかな?と思ったけどPOWしか対応できないからやっぱり別のUCも必要だわ。
オーガスト・メルト
よし、ナイツ変形だ。『うにゃ!』
じゃあ、地上の方は他の皆に任せた。頑張れ。
【POW】連携・アドリブ歓迎
万能バイクで空へと緊急避難して、上空から狂信者たちの動きとどこから来たかを確認しよう。
地上で暴れるような者がいたら空からUC【触糸爆弾】を落として制圧する。
まぁ、狙いはつけるが多少は誤爆があるかもしれないな。
殺傷能力はゼロだから一般人や仲間が巻き込まれても大丈夫だろう。
うん、だからもしセクハラやら歌やらが妨害されても手が滑っただけなんだ。
『…うきゅー(疑いの目)』『…うにゃー(疑いの目)』
…本当だぞ?
夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎
■行動
えぇと、度の入っていない伊達眼鏡で良いのですかねぇ?
それでしたら、確か「和装バッグ」の中に有ったような。
(ごそごそ)
見つかりましたが、この格好のままで着用するのも違和感が有りそうな気がしますので、着替えて参りますねぇ。
ということで、「眼鏡&学生服(ブレザー)」の「女子高生姿」になりますぅ。
本来は「潜入用」の筈なのですが、体型的に違う意味で目立ちますので、あまり使っていないのですよねぇ。
或る意味で定番の格好ですから、何とか話を合わせて進めたいところですが。
一先ず、着替えに行った際に【饒僕】で召喚した『僕』の方々に、狂信者の方の[情報収集]をお願いしますぅ。
黒木・摩那
突然の眼鏡ブーム。
これはやっぱり邪神教団のせいですかね。
基本、眼鏡をしていない人への勧誘がメインのようですが、初めから眼鏡という人も当然いるわけで。
そういう人はどうなるんですかね?
祝福をいただけるならば、はじめから眼鏡の人にはさらなる祝福があるんですよね?
ここは手っ取り早く是非とも教祖様にご挨拶したいといえば、邪神の元まで連れて行ってもらえそうですね。
こちらはにわか眼鏡とは違って、ガチ眼鏡なんですよ。
あがめよー【言いくるめ】。
あんまりやりすぎて教祖に祭り上げられたら元も子もないので、ほどほどにしときます。
テティス・ウルカヌス
後輩のいちごちゃんと
「このグラサンの皆さんは……!
なるほど、次はグラサンのCMの撮影のお仕事ですねっ!」
天才的美少女アイドルにして国民的スターのテティスちゃんは、普段のお出かけでもファンにみつからないようにグラサンとマスクを常備してるくらいのヘビーグラサンユーザー!
ちょっとグラサンにはうるさいですよ?
「いいですか、いちごちゃん?
グラサンに求められる最も重要な機能は、『グラサンがなければ危なかった』と言えるだけの防御力!
すなわち、CMでアピールするべきは、象が踏んでも壊れないくらいのグラサンの頑丈さです!」
というわけで、【渾身の右ストレート】でモブの人たちのグラサンの強度を試していきましょう!
涼風・穹
……成程、眼鏡っ娘萌えを拗らせたんだな…
裸眼族やコンタク党との勢力図とか色々と聞いてみたいような気もするけど、迂闊にSAN値直葬済みな方に接触すると正気度判定を要求されそうだし慎重に対処しないとな…
そんな訳でサングラスを付けて、あぶない猟兵として捜査を開始します
やたらと銃撃戦をしたり走ったりダンディやセクシーにいい感じに捜査を進めていきますが絶体絶命の窮地に…
そしてやたらと鋭角なサングラスを装着した瞬間、慎重さは消し飛びます
数多の世界に悪名轟く風の団!男の魂背中に背負い、不撓不屈の鬼リーダー、涼風穹とは俺の事だ!!
と妙な啖呵を切って情報収集(物理)を始めます
無理?
無理を通して道理を蹴っ飛ばす!
一一・一一
「メガネ姿なら情報収集できるっすかねぇ…」
ブルーライトカットメガネで参戦
ついでにおさげにもしておきますかね
そしてそのまま「コミュ力」で情報収集します
基本的に和やかに喋って情報収集しますが
女性扱いされたら相手のメガネでノータイムで蹴ります
子供扱いされても相手のメガネをノータイムで蹴ります
「どうやらその眼鏡はこわれてるようなので処分しておきました」
僕はどこからどうみても成人男性なのです
子供に見れるor女性に見えるということはメガネが歪んでるのです
壊れたメガネをかけてるのは可愛そうなので事前に処分して差し上げるのです
…あ、味方の方には事前にこういう行動とるって説明しておきますよ?
アドリブなど歓迎です
彩波・いちご
テティスさんと
私みたいなローカルアイドルだと、地元で顔を売らなければいけないからサングラスとかはかけないんですけどね
あ、でもCMに起用されれば、全国区に!
…って、そうじゃないです
いけない、こんな感じでテティスさんに合わせてるから、そろそろ地の文さんからも帰れとか言われなくなってるんですよね
いえ、テティスさんの相方と認めてもらえるのは嬉しいのですけどっ
「えっ、防御力?」
確かに頑丈さは大事でしょうけれど…
って、さすがにそれはまずいですよっ
暴力沙汰になったらスキャンダルがーっ
さすがに止めようとしたら【避けきれない偶然の出来事】がおきて…
えっと、結果オーライ?
代わりに私が酷い目に遭いそうです、がっ
「突然の眼鏡ブーム。これはやっぱり邪神教団のせいですかね」
囲まれた猟兵達の中、元々眼鏡だった摩那が一歩前に出て両手を広げれば、その眼鏡姿を前に迫りくる群衆が沈黙する。
「祝福をいただけるならば、初めから眼鏡の人には更なる祝福があるんですよね?」
「いえ、いえ、貴女様程のジャストグラスィズ……これほどの眼鏡力溢れるお方を前に、我々が祝福など力不足もいい所……」
民衆が平伏しちゃったんですけど!?お前何した!?
「ふふ、実に簡単な事です。暴徒を鎮圧するのは圧倒的な武力でもなければ強力な催涙ガスでもありません」
クイッ、眼鏡を起こして、ドヤッ。
「より強烈な暴論です」
つまりどういう事やねん!?
「こちらはにわか眼鏡とは違って、ガチ眼鏡なんですよ。幸せになれるんだかなんだか知りませんが、そんな軽い気持ちで眼鏡を扱うなぁ!」
摩那の怒声に、目の前の群衆はおろか、道行く人々すら足を止めた。
「いいですか?我々オリジナル眼鏡にとって、眼鏡の有無は死活問題!人の感覚の八割を担うとされている視覚が朧気になるんですよ?分かりますか?日常生活すら困難なんです!」
ぞろぞろ、何の騒ぎかと周りから人が集まって来て、その中心にて摩那は眼鏡を叫ぶ。
「それをサングラスで幸福?慣れる為に眼鏡から?眼鏡への冒涜に他なりません!それでも皆さん眼鏡信者ですか!?」
摩那の言葉についに五体投地する者、涙を流す者まで出始めた所で、彼女は眉間にしわを寄せる。
(そろそろ潮時でしょうかね……あんまりやりすぎて教祖に祭り上げられたら元も子もありませんし)
自分を拝む人々を見回し、穏やかな表情を浮かべて。
「己の内面を、眼鏡に映してみてください、そこに真の眼鏡愛があるのなら、今こそ教祖様の下へと参拝し、更なる眼鏡の教えを説くのです……!」
『はい、司祭様!』
「……あれ?」
そりゃー狂信者相手に信仰対象を利用したら、そうなるな。
「ささ参りましょう司祭様!」
「教祖様もきっとお待ちです!」
「え、ちょっと、私は眼鏡教自体には興味は……助けてー!?」
――メッガーネ!メッガーネ!メッガーネ!
「嵐のような眼鏡だったな……」
「うきゅー」
「うにゃー」
オーガストが空へ黙祷を捧げる。晴れ渡る空の彼方で、摩那が眼鏡に埋もれているような気がした……。
「なんにせよ、包囲網は突破できたんだ、ありがたく動かせてもらおう。ナイツ!」
「うにゃ!」
黒い饅頭が仔竜サイズに膨れ上がったかと思えば、広げた翼を体に張り付けて、前脚と後ろ足の間に魔力が渦を巻く。二つの魔力球を車輪に変え、その身を装甲へと変貌させた竜に跨り、角と言う名のハンドルを握ってオーガストは片手を挙げた。
「じゃあ、地上の方は他の皆に任せた。頑張れ」
「あ、お前一人だけ逃げるつもりだろ!?」
「はっはっは、これは逃走ではない、被害を受けない為の自己防衛だ」
穹にツッコまれつつ、オーガストは上空へ。高所から誘拐……もとい、担ぎ上げられてしまった摩那の足取りを追う。
「野郎……!」
一方、地上は地上で、青空に黒竜のバイクに乗った赤ジャケットという、非常に目立つ物を道標にして行動を開始する。
「……成程、眼鏡っ娘萌えを拗らせたんだな……」
少し進めば曲がり角の向こうで眼鏡っ娘写真集を読みふける怪しい人々。多分きっかけはそっちからじゃなくて、眼鏡好きの方を拗らせて眼鏡っ娘萌に堕ちたんだと思うけど、穹的にはそっちから入ったようにしか見えなかったらしいから、そういう事にしておこう。
「裸眼族やコンタク党との勢力図とか、色々と聞いてみたいような気もするけど、迂闊にSAN値直葬済みな方に接触すると正気度判定を要求されそうだし、慎重に対処しないとな……」
正気度判定だなんてそんな、眼鏡力検定が始まって先に進めなくなるだけだよ?
「どっちにしても詰みじゃねーか!」
下手に見つかると不味いと察した穹は、レンズ部分が微妙に大きいサングラスをスチャッ。
「ここから先は、危ない猟兵の時間だ……」
そのネタ、何人の人が分かるの?あと、その展開って確か死亡フラグになるんじゃ……。
「それ別の作品だろ!?」
「えぇと、雰囲気的にお巡りさんでしょうかぁ……?」
何故かあんパンを齧って牛乳を飲みながら物陰の様子を覗い、通行人がいなくなったタイミングでゴーサインを出す穹を見て、るこるがきょとり。
「度の入っていない伊達眼鏡で良いのですかねぇ?それでしたら、確か和装バッグの中に有ったような」
見た目には和柄の旅行鞄なのだが、るこるが上半身を突っ込んで奥の方から何かを探している辺り、あまり触れない方がよさそうな鞄から取り出したのは。
「見つかりましたが、この格好のままで着用するのも違和感が有りそうな気がしますので、着替えて参りますねぇ」
和装メイドに眼鏡は違和感……なんだろう、和服は眼鏡をかけてはいけないという暗黙の了解でもあるのだろうか……?それはさておき、街中に着替える場所なんかあるわけもないため、るこるは鞄の中へにゅるん。ごそごそ、しゅるり、パチッ、ガタガタ……ぱかっ。
「と言う事で、女子高生姿にしてみましたぁ」
鞄が開くと、中から出てきたるこるはブラウスに赤いネクタイを結び、紺のブレザーにグレーのスカート。胸元のネクタイが緩んで谷間がブラウスから覗いている辺り、これをギャルととるか犯罪の香りととるか……。
「本来は潜入用の筈なのですが、体型的に違う意味で目立ちますので、あまり使っていないのですよねぇ」
よかった、さすがに自覚があったか。
「或る意味で定番の格好ですから、何とか話を合わせて進めたいところですが」
と、るこるが期待を寄せたのは。
「おかしいなー……途中から記憶が無くなってる気がする……」
「私は記憶が若干曖昧だね……」
現役JKコンビ(と言う名のソロ)、緋瑪&瑠璃。まぁ、片割れは初テティスのせいで自己防衛からか脳の一部が記憶を削除してるし、もう片方は猫ってたせいで記憶がすっ飛んでいるというヤバい状態ではあるのだが。折角制服を揃えたのだ、彼女たちと上手く連携が取れれば眼鏡JK三人衆として、怪しまれることなく調査が……。
「まぁ、また妙な状況に陥ってるけど……ある依頼では殺眼鏡鬼と呼ばれたわたしが屈するなんてありえない!逆に全て叩き割ってあげる!メガネ狩りだー!」
「緋瑪、ホドホドにねー。警察来ちゃうから」
できるほど現実は甘くなかった!
「逃げるヤツは眼鏡だ!逃げないヤツは訓練された眼鏡だ!」
「壊されたくなかったら、早く知ってる事吐いた方が良いよー」
「なんだ君達、何故眼鏡をかけてな……うわぁあああ!?」
拳銃で眼鏡のブリッジを吹っ飛ばすという、怪我はしなくてもめちゃくちゃコワイ二人組に遭遇したオッサンが地を這って逃げ乍らスマホの一、一、零。
「もしもし眼鏡警察ですか?私の眼鏡がやられた!眼鏡殺しの女が」
パキッ。
「ぎゃぁあああ!」
目の前で真っ二つにされた眼鏡を踏み砕かれたオッサンが力尽き、丁寧に踏み躙る緋瑪は次の標的目がけてヒャッハー!瑠璃はオッサンをごそごそ。
「財布とケータイと企業秘密が入ったカバンと……ダメだね、ただのおじさんみたい」
「これが噂の、オヤジ狩りっすかね……?」
一一、多分違うから安心してい。ていうか拳銃ぶっ放すオヤジ狩りとか、もはやカツアゲの領域にないと思うの。
「そ、そうっすかね……?」
それをもとに新手の都市伝説を作るつもりだったのか、何やら思案顔の一一。その姿は長い髪を二つに束ねて眼鏡をかけ……いやいや、何故おさげにしたし!?
「いつも一本ですから、気分を変えてみました」
俺知ってる、この手のネタ依頼で、いつもと違うことする奴は大体なにかやらかすんだって……。
「大丈夫っすよ、僕は銃こそ扱いますが、基本は狙撃っす。目の前の相手を撃つような真似はしないっすから」
などと半信半疑なこちらに微笑みを向けて、一一は通りすがりの会社員を捕まえると。
「ちょっとお尋ねしてもよろしいでしょうか?実はこの辺りで眼鏡を頂きまして……お礼を伝え損ねてしまったものですから、御挨拶にお伺いしたいのです。どちらの会社の方でしょうか?」
「お嬢さん、この辺りは初めてかい?アレはどっかの会社ではな」
スパァン!
「私の眼鏡がー!?」
話の途中で眼鏡を蹴り飛ばされた男性が絶叫。一一はにっこり。
「僕は成人男性です。どうやらその眼鏡は不良品のようなので処理しておきました」
崩れ落ちた男性を放置して、一一は今度はランチタイムのOLに声をかけたのだが。
「ボク、あの人達はね」
スコォン!
「きゃー!?私の眼鏡ー!?」
話の途中で眼鏡を蹴り飛ばされた女性が悲鳴を上げた。一一はにっごりと。
「僕はどこからどうみても成人男性なのです。どうやらその眼鏡は壊れてるようなので処分しておきました」
さめざめと泣き崩れる女性をほっぽって、一一が踵を返したところで。
「見つけたぞ!あいつだ!!」
「そこのおさげ髪の少女、止まりなさい」
「君は連続眼鏡損壊の通り魔として指名手配されている!」
どう考えても追われてるのは緋瑪の方なのだが、眼鏡警察が先に見つけたのは男性にしては小柄でおさげ髪の一一。そりゃーこいつが眼鏡損壊犯と勘違いするのも仕方がない。仕方がないのだが。
「大人しく投降するなら、まずは眼鏡の尊さを語るお説教から始まプキュッ!?」
お巡りさんが喋ってるのに、顔面に跳び膝蹴り入れて眼鏡粉砕するのはどうかと思うの。
「き、貴様ぁ!?」
「おっと、銃を向けるのはお門違いっすよ」
拳銃を向けられてなお、一一は笑う。
「僕はれっきとした成人男性っす。それを少女だなんて誤認する眼鏡が悪いんすよ。だから僕は皆さんの為を思って、その歪んだ眼鏡を処理して差し上げてるんす」
「あっれー?何か眼鏡がいっぱい集まってる!」
そしてなんとここで緋瑪が帰って来てしまった。
「ヒャッハー!眼鏡は皆殺しだー!!」
「待って緋瑪、あれ警察だから手を出したら……って、もう遅そうだね」
既に一一が眼鏡を一本破壊している様を確認して、瑠璃がため息。そのまま物陰に引っ込んだ。
「あいつ、銃を持ってるぞ!?」
「総員、発砲許可!目標は眼鏡殺しの少女二人ペキョッ!?」
警官の鼻っ柱にトーキックをぶち込み、眼鏡を真っ二つにした一一はただ、ひたすら穏やかに微笑む。
「だから、僕は、成人男性だと、何度言えば分かるっすかね?」
「ひでぇ、ブリッジから破壊されてやがる……!」
「こいつらに眼鏡の心はないのか!?」
怯え、怒り、震える警官達のど真ん中に、一発の手榴弾。
「はい、眼鏡はドカーン☆」
チュドーン!!
「よし、綺麗になったね!」
緋瑪のウィンクにタイミングを合わせて爆ぜた爆弾が、警官達の眼鏡を吹っ飛ばすが、後続がゾロゾロ。
「我々グラサン特殊部隊が到着したからには、お前達のような殺眼鏡鬼共の好きにはさせん!」
「覚悟しろよ……総員、発砲構え!」
「ヒュウ、楽しくなって来たじゃないか、俺も混ぜろ」
グラサンの特殊部隊VS猟兵チーム……どうしてこうなった?あと穹、お前はまだ疑われてないんだから大人しくしてろよ!?
「いいじゃねぇか、グラサン、警察と来たら後は銃撃戦と猛ダッシュだろ!?」
ちょっと何言ってるのか分からないな。
「はわわ……潜入するはずがぁ、物凄く目立っちゃってますぅ……!」
るこるがプルプル怯える向こう、満を持して動くのがコイツ。
「メダカB Xの安心 さんムーヴできるUC用意したからこういい感じに……」
ゴメン、アリスにまともな行動を期待した俺が間違ってた。
「ダメ?く、おまかせプレイングは公式が用意した正当な遊び方だというのにダメだと申されるか!」
お前いつも頭おかしい事しかしないから、倫理面とか描写面に限らず、そもそも判定にならないからマジで扱いに困るんですけど!?つーか仏教用語とか、もはや空想の領域にある物理学で固められたプレとかぶっこまれてもわけわからんわい!!
「……うん、正直すまないとは思っている」
オウコラ目ェそらすなやワレ?
「むぎゅぎゅほっぺが潰れちゃう……あ、今なんかこの状況を打破できるスタイルが思いついたわ」
ピコン、ハート型に歪んだ電球を浮かべたアリスがいそいそ、着替えて、グラサンかけて、装備をスチャ。
「全員武器を降ろしなさい!」
バララララララ!!
「うわぁあああ!?」
「あっぶな!?」
「ちょ、どこ狙ってんだお前!?」
銃撃戦のど真ん中に出るや否や、ブラックスーツにストール巻いて、グラサンかけたアリスはグラサン特殊部隊と猟兵の両方にハンドガトリングから弾丸をばら撒く暴挙。
「雑魚がチマチマ小競り合いしてもキリがないわ。さっさとボスを出しなさい?」
「ご、ゴッドマザー……!」
グラサンによるそこはかとないボス感を漂わせるアリスに、グラサン特殊部隊が後ずさる。そしてこの睨みあいのど真ん中に遅刻して来たのが。
「このグラサンの皆さんは……!なるほど、次はグラサンのCMの撮影のお仕事ですねっ!」
えぇ、奴です。
「天才的美少女アイドルにして国民的スターのテティスちゃんは、普段のお出かけでもファンにみつからないように、グラサンとマスクを常備してるくらいのヘビーグラサンユーザー!ちょっとグラサンにはうるさいですよ?」
「私みたいなローカルアイドルだと、地元で顔を売らなければいけないからサングラスとかはかけないんですけどね……あ、でもCMに起用されれば、全国区に!」
普段はただの不審者と化しているのであろうテティスのドヤ顔と、常日頃からファンに向けて笑顔を振りまき名を売っているらしいいちごのおめめキラキラ状態が並ぶ。どうしてこうも同じような系統なのに差が出るのだろうか?
「……って、そうじゃないです」
ハッと我に返ったいちごが、そもそもこの状況で名前を売って全国区になろうものなら、全国でUDCが増殖するパンデミックが起こることに気づいて深呼吸。
「いけない、こんな感じでテティスさんに合わせてるから、そろそろ地の文さんからも帰れとか言われなくなってるんですよね」
そりゃー、君はもう手遅れだからね。
「え……?」
俺の所には馬鹿かネタか屑しか来ない、そんな所に君みたいな真人間の美少女が来てしまえば、朱に交わり赤くなるように、ネタ堕ちしていくだろう。だから警告しておいたのに、また来てしまった……お前はもう、ネタの沼に腰まで浸かっているのだよ。
「だから私は……!いえ、テティスさんの相方と認めてもらえるのは嬉しいのですけどっ」
お前今しれっとテティスをネタ呼ばわりしたな!?まぁいい、それもまた、お前もこちら側に来てしまったという事……。
「な、何を……ひゃっ!?あ、脚が黒い泥に……!」
おいで、そして沈め。
「い、嫌です!私は、アイドルに……!」
遅い、貴様はもうネタ枠に収まっている……!
「いちごちゃーん?」
「……あれ?」
いちごが周りを見回せば、グラサンの集団と不思議そうな顔のテティス。足元に視線を降ろせば、アスファルトがスカートから伸びる脚を確かに支えていて。
「今、誰とお話してたんですか?」
「いえ、何でもありません……きっと、私は触れてはならない深淵に関わってしまったんですね……」
恐怖と、それ以上に湧きおこる決意を胸に、いちごは胸に当てた拳を握るのだった。その姿を、撮影に向けてやる気十分と勘違いしたテティスが水平線みたいな胸を張り。
「いいですか、いちごちゃん?グラサンに求められる最も重要な機能は、『グラサンがなければ危なかった』と言えるだけの防御力!すなわち、CMでアピールするべきは、象が踏んでも壊れないくらいのグラサンの頑丈さです!」
「えっ、防御力?確かに頑丈さは大事でしょうけれど……」
目をぱちくりさせるいちごの脳裏をよぎったのは、最近時折見かける女性が尻で踏んでも壊れないアレ……しかし、そもそもアレは眼鏡ですらないし、目の前のテティスは肩を回して暴力の構え。
「というわけで、必殺のテティスちゃんパンチでモブの人たちのグラサンの強度を試していきましょう!」
「って、さすがにそれはまずいですよっ!?暴力沙汰になったらスキャンダルがーっ!」
などと、地上ではいちごが後ろから羽交い絞めにしようとするのだが。
「またあいつらか……」
上空からはオーガストが拘束用のワイヤーを構えており。まぁ、うん。同時にテティスに向かってるから、ね?
「きゃー!?」
「はわー!?」
なんということでしょー(棒)、テティスといちごが謎のワイヤーに絡めとられて、繭っぽい形で拘束されてしまいました。
「なんなんですかコレー!?」
「ひゃっ!?ちょっといちごちゃん、どこ触ってるんですかー!?」
「すみませんわざとじゃないんですー!?」
まぁ、そうよね。捕まえようと接近したところで絡まれたら、そら中で密着してるだろうね。
「……まぁ、結果オーライか」
「うきゅー?」
「うにゃー?」
苦笑するオーガストを、白い大福がジト目で見つめて、騎乗するバイクから疑念の気配が飛んで来る。
「俺だって修行中の身なんだ、最悪の場合を回避しようとして、手が滑って仲間を行動不能にすることだって稀によくあるかもしれない。そう、これはわざとじゃない、事故なんだ」
「……うきゅー?」
「……うにゃー?」
「……本当だぞ?」
上空で尋問してる場合じゃねぇだろお前ら。すぐ側をるこるの眷属が飛んでって摩那を見つけてるぞ?
「……もはや、連携は諦めましたぁ」
悟りを開いてしまったるこるが、単独で発見した摩那の姿は……。
「どうしてこうなったのですか……!」
眼鏡模様の着物に身を包み、眼鏡をかけていた頭の上にスポーツグラサンを乗せて、首からはチェーンを繋いだグラサンを提げ、側頭部にはレンズ入りの般若面。そして巨大な眼鏡を模した山車に乗せられて運ばれていく……。
「……新手の宗教の嫁入りか、生贄みたいですねぇ……」
るこるは全てを放り出して、眼鏡バーガーなるモノが鎮座するファーストフード店に駆け込みたくなったが、我慢。場所が分かれば行くしかあるまい。
「ふふふ、場所さえわかればこっちのものね」
真っ先に山車の前に回り込んだのはアリス、そのグラサンがキラン。
「これが私のスキル『サーチ眼鏡』!」
なんかもう面倒だから経緯を端折ると、グラサンを通して見た相手の心理を見抜くんですって。
「行き先はこの先の廃屋……そこが黒幕のアジトね。あと、そこの端っこのあなた」
「へ?」
山車を引っ張る信者の一人を示し、アリスがにやり。
「本当は眼鏡を普段かけてる娘が眼鏡を外した瞬間に一番萌えるタイプね?」
「なにぃ?お前、裏切ったのか!?」
「ち、違う!!」
異端審問めいたサムシングが始まって山車が止まり、アリスはやり切った顔で。
「このUCその場で必要な能力生やせて便利だわぁ、もうこれ一つでいいんじゃないかな?と思ったけどPOWしか対応できないからやっぱり別のUCも必要だわ」
まぁUCオンリーで何かしようとするなら、ブチコロコロするしな。
「今さらっと明かされるべきではない恐ろしい事実を口にしなかったかしら!?」
「そこの眼鏡、待った!」
大体の事では傷一つつかないアリスが、珍しく恐怖に震える傍らで、穹が腕組みして山車を前に立ち塞がる。
「そこの眼鏡姫を置いていってもらおうか?」
「なんですかその変な呼称!?」
「何者だ貴様!?」
真っ先に摩那からのツッコミが飛んだが、気にせず穹は大柄の丸グラサンから、ブーメランかな?ってサイズの鋭角的なグラサンにかけかえて。
「数多の世界に悪名轟く風の団!男の魂背中に背負い、不撓不屈の鬼リーダー、涼風穹とは俺の事だ!!」
「よく分からんが敵ってことは分かった。司祭様をお守りしろ!!」
「無理を通して道理を蹴っ飛ばす!男なら、拳とグラサンで解決して見せろやぁ!!」
今、眼鏡軍団とソログラサンの熾烈な戦いが……。
「っと、これで全員集合だな」
「眼鏡はー……爆発だっ!」
始まる前に、天から降り注ぐは無数のワイヤー、蜘蛛の巣の如く人々を絡めとったかと思えば、今度は無数の爆弾が雨霰に、ヒューッ。
『あっ』
一同が何かを察した直後、轟音と爆炎の向こう、崩れ落ちる山車と散らばる人々。
「目的地は既に分かっているわ、行きましょうか」
アリスの号令に、猟兵達は歩きだす。彼らを見下ろす青空の向こうで、摩那が笑っている気がした……。
「いや無事ですから!?置いてかないでくださいよー!?」
着物を脱ぎ捨てて追いかけていくくらいには元気。じゃあその辺の一般人も生きとるやろ。
「……なんか大きい音がしたっすね」
「向こうが解決しちゃったってことでしょうかぁ」
ゴロゴロ、一一とるこるが何かを転がす。それはもちろん。
「さぁ、スタッフさん!次のシーンの撮影まで急いでください!」
「なんで私達は拘束されたままなんですかー!?」
問題しか起こさないアイドルコンビでした。
大成功
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第3章 ボス戦
『狂乱暴走機関車『コーマス』』
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POW : この件は彼等に任せて
【グラサン魔神、パーカー星人、ドS般若】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD : この子が卵を産みたいらしいんだけどどこがいい?
対象への質問と共に、【異次元】から【怪獣デッテュー】を召喚する。満足な答えを得るまで、怪獣デッテューは対象を【数分で孵化する卵を産みつける事】で攻撃する。
WIZ : 言語のドッジボール
【狂気を振り撒く白いツラ】から【一方的な会話】を放ち、【理解しようとした思考力の汚染】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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「ここが敵のアジトね……」
いつ崩れてもおかしくない廃屋の中、猟兵達が踏み込んだそこは、不気味なまでに静まり返っている。
「ん?パソコンがついてる……」
ぼんやりと零れる光に釣られて、猟兵が覗きに行くとそこには動画が流れるパソコンが。
「何これ?カレーシリーズ第二弾、野菜ばっかカレー?」
「健康志向……なのかな?」
俗にいう、動画投稿者による物なのか、不思議なことをする動画が流されていた。ふと、そこで一人の猟兵が気づく。
「待ってください、確か目撃者は、不思議な動画を見ていたら変なのが現れたと……」
「彼らの件は僕に任せて」
『!?』
聞いた事のない声に猟兵が振り返れば、そこには長身の青年の体に、首から上だけダンボール機関車の邪神が立っていた。
「なんっすかね?こう、どこかから出してはいけなさそうなこのビジュアル……」
「深く気にしたら負けなのでしょうねぇ……」
「細かい事はどうだっていい、黒幕なら斬るだけだ」
などと、臨戦態勢を取ったり気が抜けたりする一方。
「なるほど、つまり芸人さんが動画を撮影していたんですね!」
「いやこれ絶対芸人とかそういう類じゃないですよ!?近くにいるだけで危ないタイプの相手です!!」
対峙するだけで正気を奪う、狂気の権化。その言の葉ですら精神を侵食する邪神との戦いの火蓋が、切って落とされた……!
※次回執筆は十日を予定しています。九日の深夜までにプレくれると嬉しいなー?
アマニータ・ビロサ
【話聞かない四天王】
おまかせプレイング。大丈夫、公式に許された正当な遊び方だよ☆
白孤独(ドクツルタケ)をベースにしたやべぇキノコの萌擬人化愉快な仲間。なのでキノコ=自分と認識しており、キノコを私と呼びます。
オブリビオンのことは養分の豊富な優秀な苗床として認識しており、なんとかして寄生しようと考えている。
「いーとみぃ♪(私(キノコ)を食べて)」
なお、本性は猛毒寄生キノコなので言葉は通じても話は通じません。
「私はピュアホワイト☆エンジェル。決して、そう、決してデストロイヤー☆エンジェルではないのです。いいね?」
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
何やら妙な方ですが、気にしたら負けなのでしょうねぇ。
更に妙な方々を召喚される様ですし。
『変には変を持って当たれ』
昔、女神様の教典で見た言葉ですぅ。
【遍界招】を使用し『この環境に適応する為の祭具』を召喚しましょう。
もふもふした乳牛の着ぐるみで、強固な防御性能と、動き辛さを補助し強化する為のサポート機能がついているのですが、私の発言する全ての言葉が「もぉ」に変換されてしまうのですよねぇ。
此方は「外部音声」も遮断出来ますから、相手の言葉に惑わされず『刀』や『F●S』で交戦可能ですぅ。
『音響兵器』が発動しそうでしたら、私の方は遮断しつつ『大型スピーカー』を出して拡大する方法も?
アリス・セカンドカラー
【話聞かない四天王】
おまかせプレイング。
一方的な会話をされるならこちらもカウンターの盗み攻撃で相手が言葉を失うようなコーマス総受け腐語り(腐属性攻撃/精神攻撃)をすればいいのよ☆理解する気もされる気もはなからないわ♪(オーラ防御/各種耐性)
折角だしhip hop-kenpowのリリックにのせた呪歌(呪詛)としてデバフ(マヒ攻撃/気絶攻撃)増し増しで♪
で目立たないように近付いて、チェケラの手首の返しで強烈な掌打を放つチェケラッ掌(怪力/早業/先制攻撃)で乱れ撃ちましょ。私これでもパワーファイターもイけるの、ごめんあそばせ♪完全に黙らせるならやっぱり物理よね☆
そう、これが私のノクターンよ♡
黒木・摩那
あやうく司祭にされるところでした。
あぶない、あぶない。
やっと出てきましたね、頭の形が変な邪神!
あなたのせいで眼鏡をかけてる人たちが大迷惑を被っているんです。
もう許しません!
ルーンソード『緋月絢爛』で戦います。
UCで帯電して斬りに行きます【属性攻撃】【破魔】。
問題は一方的に謎会話を投げてきて、思考を乱されることですが……
あれ? それって、いつものこと??
とりあえず耳栓をしておけば、後々にも役に立ちそうですし。
【呪詛耐性】もあるし。何とかなるかも。
しかし。邪神以外も脅威があるとか怖すぎます。
四季乃・瑠璃
緋瑪「わたし、UCのメンツ込みで何か見た事ある気がするなー。主にニ○動とかtubeで」
瑠璃「肉ばっかのカレーとかゲーム実況とか音楽とかやってそうな気がするけど、気のせいだね、きっと」
緋瑪「わたし達も動画投稿やってみる?」
瑠璃「どんな?」
緋瑪「邪神を殺してみた、とか邪神3分クッキングとか」
瑠璃「視聴者発狂しない?」
緋瑪「しかも生で」
瑠璃「生!?」
【チェイン】で分身
相手の質問に対してその煙突の中で温めれば良いよ、とかデッテューのお腹の中が良いんじゃない?とか返しつつ、【範囲攻撃、蹂躙、早業】接触式ボム放り込んだり大鎌振り回したり
緋瑪「あの首落としてゆっくり実況とか…」
瑠璃「放送禁止待ったなしだね」
オーガスト・メルト
斬ればいい。それは分かるんだが…随分とカオスなやつだな。
なぁ、デイズたちを竜化させてこの廃墟ごとぶち壊すってのはアリか?
…ダメ?そうか…どうせ崩れると思うんだがなぁ。
【SPD】連携・アドリブ歓迎
色々と呼びだしてくるのが面倒だな。
俺は本体より召喚された連中を狙って撃破するとしよう。
…おそらく最後はMAP兵器なんだろうし、積極的に前へは出ない。
なに、卵?そんなもん巣に還って勝手に産め。それが普通だろうに。
他の仲間の動きも絡めて【見切り】、隙をみてUC【竜神乱舞】のピンボール攻撃で倒す。
で、MAP兵器発動前に【逃げ足】を駆使して脱出したい。多少建物を壊してでもな。
彩波・いちご
テティスさんと
「いやこれ絶対芸人とかそういう類じゃないですよ!?近くにいるだけで危ないタイプの相手です!!」
と一応言ってはみますが、聞きませんよね、そうですよね?
それに頼もしい相方とか言われたら、ちょっと嬉しくなっちゃうので
ええ、ええ、テティスさんのトークにどこまでも付き合いましょう!
「業界裏話、ローカルな私にとっても気になる話色々聞けるかもですね!
メジャーなトップアイドルにもそんな時代が…って下着姿っ?!
テティスさんの艶姿ならきっと綺麗でしょうけれど、今からしたらそんな安売り考えられませんよね!
私もローカルで立場弱いので水泳大会のモブとかやったことありますけど…色々事故もあったり…」(以下略
テティス・ウルカヌス
後輩のいちごちゃんと
「なるほど、つまり芸人さんが動画を撮影していたんですね!
こんな芸人さんを雇うなんて、所属事務所の社長は眼鏡をかけた怪しい人物に違いありませんね!
さて、この芸人さんはマシンガントークならぬ機関車トークを芸風にしているようですが、マシンガントークならテティスちゃんの一六番!
さらに今は頼もしい相方のいちごちゃんもいます!
さあ、いちごちゃん、二人の機関銃トークで芸人さんより面白い動画を作りますよ!
テーマは業界裏話!
アイドル業界の舞台裏を話すことでPV稼ぎまくりです!
あれはそう、私がまだデビューしたての新人アイドルだった頃のことです。
お笑い番組の撮影で下着姿で川に投げ込まれ」(以下略
一一・一一
「危ない機関者は機関車にしまっちゃいましょうねー」
初手『答える者の助言』を起動
相手の質問をアンサーによる完璧は回答で答えて潰します。
すでに卵が出てるなら『噂話から産まれし物語で全自動卵割り機を作り出して割ります、中身を手榴弾で潰します
それと同時に『噂話から産まれし物語』で地面に大量の線路を設置します
「機関車が通ります、皆々様お気をつけてください」
『噂話から産まれし物語』を追加起動、線路上を機関車が走る…とみせかけて相手の真上から落とします
通るとは言いましたが線路上とは言ってませんからね
一応味方には当たらないように配慮しますよ
アドリブ等歓迎です
涼風・穹
感染型UDC…つまり語られなくなれば存在出来ない、と
それなら対処は簡単
炎上には水ではなくガソリン投入、つまり毒を以て毒を制すまでだ
珍妙なUDCの噂ごとき、もっと勢いのある動画の噂を広めて消し飛ばしてやるぜ
具体的にはテティスが歌う動画を本人が特定されないようにしてそれっぽく編集して、呪いのビデオとかそれらしいタグでも付けて配信するだけだ
視聴するだけで人が倒れたり前後不覚になるような都市伝説も裸足で逃げ出すような動画が存在すればその噂で持ち切りになるだろう
テティス本人もPV作成しようとしているんだし、バズるのだけはほぼ確実だしな
……撮影と編集をする俺の命は危ないけどな…
後始末?
UDC組織に丸投げで
にょきっ。
「いーとみぃ♪」
戦場に新手のUDCが追加されました。
「私はピュアホワイト☆エンジェル。決して、そう、決してUDCでもなければ、デストロイヤー☆エンジェルではないのです。いいね?」
アマニータ・ビロサ(殺戮☆天使・f21109)と名乗るUDCは記録によると、他のUDCにパラサイトし、胞子を振り撒き増殖する危険な存在であるため、どうせ本体は別にあるから一片たりとも残さず焼却処理が好ましいとされている……ところでアリス。
「何かしら?」
おめーあれほど頭のボルトが吹き飛んだプレはやめろって言ったよな?ん?
「フッ……あなたこそ何を言っているのかしら」
冷めた微笑みを浮かべて、アリスとアマニータは背中を合わせて。
「我ら話聞かない四天王!」
「例え管理官からの警告であろうと、全力スルーして食べられちゃうぞ☆」
四天王って言ってんのに二人しかいねぇ!?いやこれ以上追加されても困るけども!!
「大丈夫、おまかせプレイングは公式に許された正当な遊び方だよ☆さぁ、煮るなり焼くなりお刺身なり……食・べ・て?」
「その件は君に任せた」
コーマスが逃げたぁあああ!!邪神が逃げるレベルのカオス!そのキノコが押し込まれた先は……。
「本日はファンの方からキノコの差し入れを頂きました!」
テティスといちごのトーク配信だと!?何故こんなことになったのか、数分前に遡ると。
「なるほど、つまり芸人さんが動画を撮影していたんですね!こんな芸人さんを雇うなんて、所属事務所の社長は眼鏡をかけた怪しい人物に違いありませんね!」
えぇ、いつもの【戦闘を撮影と勘違いする病】です。
「いやこれ絶対芸人とかそういう類じゃないですよ!?近くにいるだけで危ないタイプの相手です!!」
いちごの方は察してくれたし、さすがに今回ばかりは……。
「……いちごちゃん、分かるんですか?」
テティスがついに!?
「そう、あの方はきっと、芸人と動画配信者の二足の草鞋で活躍する、メジャー配信者さんです……!」
駄目だったー!!いやいるけどさ!フレーズネタからキャンプ配信に転向して、めっちゃ活躍してる奴とかいるけどさ!!
「芸人とトップアイドル……どちらも芸能界に輝く星ですが、ネット上となると、やはり配信者さんが圧倒的に有利……並んでいるだけで危険な存在です!!」
「そうですねー」
いやいちご、こっち見るなよ。こいつは命の危機すら撮影と勘違いして、マジで一回死にかけたくらい馬鹿なんだから、俺の手には負えねぇんだよ。
「ですがっ!!」
うわびっくりした!?いきなり大声出して何なんだテティス!?
「この芸人さんはマシンガントークならぬ機関車トークを芸風にしているようですが、マシンガントークならテティスちゃんの一六番!」
十八番に二番足りないんだが……?
「あ、十六番は手ほどきの為の物って意味ですよ」
「さらに今は頼もしい相方のいちごちゃんもいます!さあ、いちごちゃん、二人の機関銃トークで芸人さんより面白い動画を作りますよ!」
なぁいちごよ、コイツ今お前に手ほどきとか特に考えなく、普通に相方っつってたぞ?
「相方……テティスさんの相方……えへへ」
だめだこいつつかいものにならねぇ(ぜつぼー)。
「俺に任せておけ!」
穹!?お前、ついにツッコミに目覚めて……!
「バッチリ撮影してやるからな!!」
アウトー!!こいつらの記録を拡散するんじゃねぇって散々言われてただろうがよ!?
「逆に考えるんだ」
スッと、真顔になった穹はコーマスとテティスを示し。
「情報拡散で増殖、進化するのなら、それを上回る感染力と精神汚染力を持った動画を流して上書きすればいい」
お前、まさか……。
「あぁ、奴に歌わせて、その動画を拡散する。見れば死ぬ動画としてな……!」
しかし、それには多大なリスクが伴う。具体的には、撮影者の穹は至近距離で歌を聞き続けなければならないばかりか、耳栓をすれば撮影が滞る可能性がある為、防御も不可。早い話、確実に死ぬ。
「なに、今日の朝は、前世で上空から地上のコンクリに叩き落とされた夢とか見てたし、何か行ける気がするから大丈夫だ!」
落ち着け穹!絶対恐怖で正しい判断ができなくなってるって!夢と現実は別物だって!!
「よーし、それじゃ撮るぞー……」
で、現在。
「なるほどー、アマニータさんは毒キノコなのですね!」
「ちょっと違うかな?私達(オリジナル)は毒キノコだけど、私達(本体の方のキノコ)は寄生して育つもの。さぁ、れっついーとみぃ♪」
「これ絶対食べちゃいけないやつですよね!?」
穹が撮ってるカメラは編集用だが、いちごが周りに浮遊させているカメラは生中継用。視聴者からコメントが来るのだが、「食ったら死ぬ」の弾幕状態。デストロイエンジェルは悪い意味で有名だった……。
「でもアマニータさんのお肌って綺麗ですよね……そう、綺麗なモノには毒がある!業界裏話のコーナーです!!」
「何か突然始まりました!?」
勝手に進行されてあわあわするいちご、しかしカメラを見て冷静さを取り戻し。
「業界裏話、ローカルな私にとっても気になる話色々聞けるかもですね!」
このお手本のような営業スマイルである。
「あれはそう、私がまだデビューしたての新人アイドルだった頃のことです。お笑い番組の撮影で、下着姿で川に投げ込まれて……」
「メジャーなトップアイドルにもそんな時代が……って下着姿っ!?テティスさんの艶姿ならきっと綺麗でしょうけれど、今からしたらそんな安売り考えられませんよね!」
ねぇ、分かる?いちごの中ではそういうバラエティー番組かビデオ撮影(意味深)程度の認識だけど、テティスが実体験した奴って、人を洗脳したり従わないやつを川に叩き落としたりしてくる、獣系のUDC事件なんだぜ……。
「私もローカルで立場弱いですから、水泳大会のモブとかやったことありますけど……色々事故もあったり……」
などと戦場で生放送を勝手に始めるという割とリスキーな暴挙が進行する傍ら、るこるがぽつり。
「何やら妙な方ですが、気にしたら負けなのでしょうねぇ。更に妙な方々を召喚される様ですし」
彼女はコーマスについてコメントしたのか、それともテティスに対してコメントしたのか、その本心は本人のみぞ知る。
「『変には変を持って当たれ』昔、女神様の教典で見た言葉ですぅ」
おい待て、待つんだるこる。既に現場は混沌としてるんだぞ?これ以上加速させたら……。
「もぉー」
遅かったー!!もふもふした乳牛着ぐるみスタイルになってしまったるこるの言語が破壊された!何言ってるのか訳が分からないが、浮遊砲台が動いてる辺り、多分真面目な事言ってるんだとは思う。
「もぉ!」
「君の件は彼らに任せて」
「ヌポォオオオオオン!!」
これに対抗して、コーマスが怪しげな三人衆を召喚。るこるの砲台からばら撒かれる砲弾の隙間を、全体的にカジュアルなのにグラサンのせいで胡散臭さしかない男がふよふよ、宇宙でも漂うようにすり抜けて進み、それを撃墜すべく火力を集中した隙に般若面がいつの間にか迷彩スーツでアンチマテリアルライフルを構え、射撃。
「もぉ!?」
しかしるこるとて、浮遊させているのは砲台だけではない。盾を重ねて衝撃を緩和し、装甲程度ならぶち抜く弾丸を防ぐが、ノーガードになった逆側にスポグラサンのパーカー星人が猫を構えており。
「いってこーい」
「にゃー」
てちてち、スパァン!!
「もぉ!?」
猫パンチならぬ猫スマッシュでひっくり返されてしまい、ジタジタ。
「私、UCのメンツ込みで何か見た事ある気がするなー。主にニ 動とかt beで」
るこるが搭載された姿勢補助ブースターで起き上がる姿を眺めつつ、緋瑪はコーマスをじー。発言の一部が削除されるくらいには有名な投稿サイトに見覚えがあるとか言ってるが、発生直後のUDCが既に有名なはずがない。
「肉ばっかのカレーとかゲーム実況とか音楽とかやってそうな気がするけど、気のせいだね、きっと」
瑠璃!余計なヒントを出すんじゃない!!分かる人が見たら俺が血祭りにされるから!!
「私達も動画投稿やってみる?」
「どんな?」
グラサン魔神が小型スペースシャトルを召喚、飛び乗りるこるに突撃して、盾諸共吹き飛ばそうとするが、動画がCMに入ったため穹が参戦。テティスといちごの休憩中に横合いから迫りくる般若面に斬りかかるが、アーミーナイフによるクイックカウンター。火花を散らした斬撃がすれ違うが、得物の刃渡りがある分穹が有利。ナイフを捌き切り、斬り捨てようとするがこれを般若面はアクロバットロール。サマーサルトで回避すると入れ代わりにパーカー星人が猫を投げつけてきた。
「邪神を殺してみた、とか邪神三分クッキングとか」
「視聴者発狂しない?」
顔面を傷だらけにされた穹へ、左右からバク転しながら迫りくるパーカー星人と般若面。挟撃の回し蹴りが放たれる寸前に、るこるが盾でシャトルと正面衝突して後退させられながら、こちらを砲撃して牽制……この激戦を目の前にして、普通に会話してる辺り、瑠璃と緋瑪も割と発狂してるのかもしれない。
「しかも生で」
「生!?」
UDC組織が許しませんよー。
「なんでー!?あっちの二人はやってたじゃん!」
あいつらは邪神が映ってないからセーフなの。情報拡散するなって言ってるのに、あのバケモンを記録に残すんじゃない!
「ちぇー。じゃあ、あの首落としてゆ くり実況とか……」
「放送禁止待ったなしだね」
つーかリアル生首で実況とかそれ自体がホラーだわい!!
「斬ればいい。それは分かるんだが……随分とカオスな連中だな」
もう全身から帰りたいオーラがドバドバなオーガストは、ちらと肩の饅頭を見る。
「なぁ、デイズたちを竜化させてこの廃墟ごとぶち壊すってのはアリか?」
「いやダメだろう!?」
まさかの動画編集中の穹からのツッコミに、ため息。
「そうか……どうせ崩れると思うんだがなぁ」
「ところが、そうでもない」
編集を終えた穹が唸る。
「今回、完全にトークショーになってるからな……どう見ても歌う流れじゃない」
「ほう、つまり珍しく安全に戦えると?」
「それが珍しいって事態の方が珍妙不可思議なんですけどね?」
穹が持ち込んだノートパソコンをオーガストと摩那が横から覗くと、カットは既に終わっており、BGMとサムネイルを挿しこんで完成の段階。
「結構速いな」
「さっき生放送してたからな、正直手を加える意味があんまりない」
両手を挙げておどけて見せる穹に、摩那が疑問符。
「あれ、というかさっきまであなた戦ってませんでした?」
無言で穹が示した先、緋瑪&瑠璃と交代したらしい。
「瑠璃!後ろ!!」
「分かってる……!」
「ヤバい!爆弾ヤバい!!」
「今俺に一番必要なものじゃないか」
「そのバーサークは必要ない」
緋瑪と瑠璃が左右から爆弾を生成、挟撃により爆殺を試みるが、爆炎を蹴り砕いて奇妙な生物に騎乗した三人組が飛びかかって来るではないか。緑色の蜥蜴のような何かに踏み倒された二人に向けて、コーマスが首を傾げる。
「この子が卵を産みたいらしいんだけどどこがいい?」
「卵?そんなもん巣に還って勝手に産め。それが普通だろうに」
「危ない機関者は機関車にしまっちゃいましょうねー」
緋瑪を捕えた害獣をオーガストが斬り払い後退させて、瑠璃を踏みつける怪獣デッテューへは一一がスマホを翳せば。
『……』
あれ、返事がない。
「怪人アンサーが答えない
……!?」
一一の持つそれは都市伝説の異能。問われた質問に必ず答える、解答を要するUCに対して必殺の都市伝説。だが、それが答えないという事は。
「そうか、最初から答えなんてないんすね!?」
瑠璃にのしかかろうとした怪獣の眉間へ狙撃銃によるクイックショット。怪獣とあって即死はしないが、それでも後退させられれば十分である。
「瑠璃!」
「大丈夫……!」
緋瑪が片割れを助け起こす傍らで、一一は思案する。
「そもそも、思考からして僕達とはかけ離れているっすから、問答が成立しないっすか……?」
会話が成立しない以上、質問などあってないようなものなのだ。それに返答する事などできるはずがない。
「卵の件は頼むよ」
コーマスの指先が上がり、怪獣デッテューは一一へと標的を変えた。狭い空間内で動き回り、グルグルと取り囲むように走り続ける怪獣へ。
「いーとみぃ♪」
キノコが生えたー!?
「このままじゃこのおうちは壊れちゃう、でもそれって、『勿体ない』でしょう?だって、こんなにも私達に適した木材なんだもの」
クルクルと、傘を広げるように両手を広げて踊るアマニータを基点にして戦場は真っ白フカフカな迷宮へ。
「もぉ……」
のっしのっしばっふばっふ。乳牛状態のるこるが歩く度、胞子が噴き上げられるやべー迷宮。着ぐるみによる自己強化がなければ、大惨事だったかもしれない。じゃあ他の猟兵は全滅かと言うと。
「なーんでこうなるんだよー!?」
「知るか!くそっ、こんな事なら義妹に押し付けるんだった……!」
本来なら宇宙を飛行することを目的としているバイクに騎乗するオーガストと穹。飛行手段を持っていなければ、歩く度に胞子を吹きかけられ、戦闘どころではなかっただろう。つーかあの毒キノコやっぱりやらかしやがった……。
「この道で合ってるのかな?」
「それ以前に、この迷宮ってどれくらい大きいのかな?明らかにさっきの建物より広いんだけど……」
一旦実体化を解いた緋瑪と瑠璃はオーガストの後ろで疑問符を浮かべて。
「私の眼鏡は迷宮の壁を透過するくらいなら余裕ですから……突き当りを右、そこに敵がいます!」
眼鏡で迷宮を探知して、ルートを誘導するのは穹のバンダナを掴んで彼の後ろに立つ摩那。ヨーヨーを構えて戦闘に備えた彼女たちを出迎えたのは。
「 」
「ガートンの件は僕に任せて」
記録に残せないあーるじうはちな物語を延々語り続けるアリスと、わけのわからない事を口にしながら殴り合うコーマス。
「……なぁ、俺たちは何を見せられているんだ?」
「むしろ俺が聞きたい……!」
見た目だけならラップバトルっぽいのだが、至近距離でツラを突き合わせてやってる関係で、お互いの身振り手振りで殴りあうという、ただのフィジカルな喧嘩となってしまっている。よく見るとコーマスはシャボン玉に乗って浮いてるし、アリスは頭から真っ白なキノコが生えてるし、ツッコミどころの塊である。
「えーと……」
ラップにしたって速すぎるリズムで、ビートを刻む手の動きで裏拳を叩きこむアリスと、そのリズムに合わせてギターを弾くように、片手で幾度となく叩き落としては不意打ちにネックを振る要領で逆の手を振り下ろすコーマス。リズムに乗れないと問答無用で弾きだされそうだが、このままだと話が進まない為、摩那が咳払い。
「やっと出てきましたね、頭の形が変な邪神!あなたのせいで眼鏡をかけてる人たちが大迷惑を被っているんです。もう許しません!」
「眼鏡は死んだよ」
「あれだけ眼鏡を広めておいて!?」
「眼鏡は元気かい?」
「今死んだって……うっ」
アリスのチェケラッ掌とコーマスのギターアーツが物理的にバチバチ言ってる傍ら、摩那は自身の思考が振り回されて侵食されている事に気づくが……。
「あれ?これって、いつものこと?」
そこまで至っちゃったかー。前にいちごという『元』真人間相手にも話したが、俺の扱う案件には頭おかしいのしか集まって来ない。そんな所にまとも枠な摩那みたいのが加われば、そりゃーツッコミと言う名の被害者にもなるというもの。
「元ってなんですか元ってー!?」
いちごの声が響いた直後、ドカーン!浮遊砲台による一斉射撃で壁をぶち抜いたるこると、その背に乗ったテティスといちごの姿が!その姿を見た途端、フッと摩那の目から光が失せた。
「戦争の時なんか振り回されっぱなしでしたね……」
思い出したくもないのに、勝手に駆け巡る記憶の数々……。
「しかし。邪神以外も脅威があるとか怖すぎます」
仕方ないよ、猟兵だもの。
「猟兵って味方側の方が脅威になるモノでしたっけ!?」
今日も今日とて掻き乱される摩那なのでした。
「どれもこれも、あなたのせいです!」
全ての責任をコーマスに押し付けようとした、そのとき。ピンポンパンポーン♪
――まもなく、列車が参ります。お待ちのお客様は、足元の黄色いキノコより後ろにおさがりください。
「今の迷宮内放送何!?」
「緋瑪、周りがいつの間にか駅に変わってる……!」
瑠璃と緋瑪が見たのは、真っ白なキノコの迷宮ではなく、どこまでも広がるキノコ畑の中に、ぽつりと取り残された古い駅。駅名はかすれてみえないが、自販機が設置されて稼働している辺り、まだ廃線にはなっていないのだろう。線路に触れれば、遠方から走って来る列車があるのか、微かに振動が伝わって来た。
「このままだと列車の餌食かしら?」
「僕はガートンと一緒だったよ」
線路上で戦っていたアリスは駅のホームへ、コーマスはキノコ畑の上へと跳び……影が落ちる。
「通るとは言いましたが、線路上とは言ってませんからね」
頭上から落下する機関車、その客室からコーマスの足場となるシャボン玉を狙撃する一一。片方だけ割り、すぐさま新しいシャボン玉が作られるがその一瞬の足止めで十分だ。
「それではお客様、良い旅を……まぁ、そっちに線路は繋がってないっすけどね」
一一が列車の窓から飛び出し、その車体を蹴って駅のホームへ転がり込んだ背後、乱雑に積み重なる様に砕けた列車の客車に、火が移る。先頭車両の機関車から、燃え盛る石炭でも零れたのか、ジワジワと火の手が回り、真っ赤な熱の山に変わっていくのだが。
「もー!」
るこるの展開する浮遊砲台からの一斉掃射!これは酷い!!砕け散った列車の破片が舞う中で、加速度的に火が燃え盛っていく!!しかし重なる列車が爆ぜた事で、その中心からゆらり、コーマスが立ち上がり。
「もう眠っておけ。俺も正直帰りたくて仕方がない」
すり抜け様にオーガストの剣閃がその胸に斬痕を残し、背後の瓦礫を蹴って跳ね返りながら肩を斬り裂き、正面を横切りながら腹を突き刺し、反転して肋骨に沿って開腹。はらわたがこぼれ落ちそうになるコーマス目がけて、今度は瑠璃が強襲。
「緋瑪!」
「オッケー!」
大鎌を携えたその姿が二つにぶれて……否、緋瑪と瑠璃の二人に分身して、鎌の柄に搭載された爆薬に点火。小爆発を伴う超加速の一撃が、コーマスの肉体を引き裂いた。それでもなお、倒れないコーマスの前に摩那が立ち塞がり。
「あなたさえ……あなたさえいなければ……」
バチリ、手にした長剣に、稲妻が走る。
「変なもの聞かされたり、変な物着せられたりしなくてよかったんですからー!!」
トドメの台詞がそれー!?
「さらば……ハートメイト……」
傷口に雷撃を纏う得物を突き立てられ、体内から感電し血液が蒸発するために異臭を放つコーマスは、ゆっくりと霧散していった。
「ふう、これで無事に解決っすね」
「あ、待て!」
オーガストの制止虚しく一一がUCを解いた瞬間、辺りはパラサイトマッシュルームダンジョンに。
「クソッ、このUC使ってる奴はどこだ!?」
「それなら大丈夫よ」
すぐさまナイツに飛び乗ったオーガストへ、アリスがニコリ。
「寄生されたって、ちょっと頭がヒャッハーするだけだから……」
おめめグルグル。これアカン奴ですわー。
「何か地響き聞こえない……?」
「瑠璃!あれ!!」
さーて、分身姉妹めいた二人が見たものはー?
「「迷宮が崩れ始めてるー!?」」
「飲み込まれたらあぁなるのか!?急げ、脱出ー!!」
穹がバイクに跨り摩那がその背後に続き、オーガストの背後には瑠璃、及び実体化を解いた緋瑪。
「わー、今度はアクション映画、ピンチからの大脱出シーンの撮影ですか?すごいCGですねー」
「のんびりしてたらキノコになっちゃいますよ!?お願いします!!」
「もぉ!」
いちごがテティスを引っ掴んでるこるの背に乗った。るこるの纏う祭器は本来、高機動型ではないのだが、その持てる力と浮遊砲台の全てを加速装置に、急発進。
「あら、待って、キノコライフだって楽し」
ずちゅっ。
「アリスさんが飲まれたっすー!?」
いつ呼び出したのか、明らかに動けなさそうなのに足だけはやたら速い(推定時速80キロオーバー)老婆の背にしがみつく一一が絶叫。まぁ、あいつはどうせ復活するから大丈夫やろ。
「俺、帰ったら編集した動画を投稿するんだ……」
『死亡フラグやめて!?』
穹の呟きに猟兵全体から一斉ツッコミ。果たして彼らは無事に帰れるのか?彼らの脱出劇は、始まったばかりだ……!
※次回作のネタ依頼にご期待ください。
大成功
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