●グリモアベース
「やあやあみんな、戦争お疲れ様。二月はバレンタインの時期でもあったわけだけど、戦いの合間に素敵なロマンスはあったのかな?
ところで、君達に頼みたいことがあるんだ。アックス&ウィザーズ世界に行って、恋人達の人気デートスポット、通称『約束の教会』を強襲して欲しい」
修道服姿のグリモア猟兵、リンネ・プラネッタのテロリストのような発言に、猟兵達は困惑した。
「ああ、勘違いはしないでね?僕は別にバレンタインに何もなかったからその腹いせとか、異教徒を撲滅しようとか、そういう意図があって君たちをけしかけようとしているわけじゃない。これはオブリビオン事件であり、やむを得ない事情があってのことなんだ。どうかUターンせずに聞いてほしい」
リンネは猟兵達の白い目もなんのその、詳しい説明に入った。
約束の教会。そこは古代の町の遺跡の中心にある古い教会だが、礼拝堂で将来を誓った二人は必ず結ばれるという伝説があり、若者達に人気のデートスポットになっているという。
だが、その遺跡一帯を「花の魔女」と呼ばれるオブリビオンが率いる一団が占拠してしまい、教会も植物で覆ってしまったそうなのだ。オブリビオン達が見張っているおかげで遺跡に立ち寄れなくなったカップル達は大いに嘆いているという。
「魔女達の目的は不明だが、ともかく犠牲者が出る前に『花の魔女』を倒してもらいたい。こいつは数で押すタイプのオブリビオンみたいなので、範囲攻撃の類が有効だろう。けど、広範囲殲滅系のユーベルコードだと『約束の教会』まで吹き飛んでしまうかもしれないので、できれば教会の保全にも気を配ってもらえると現地の人には喜ばれると思うよ。まあ無理にとは言わないが。どんな手段であれ勝つのが一番大事だからね」
シスターはロザリオをいじりながら、説明を続ける。
「『花の魔女』は、彼女を姫と崇める騎士のオブリビオン達をたくさん従えているみたいだ。だから、現地に着いたら取り巻きの騎士達を突破して魔女の元を目指すことになるかな」
オブリビオンに占拠された古代の遺跡に赴いて手下のオブリビオン騎士達を倒し、続いて「約束の教会」に陣取っているボスの「花の魔女」を撃破する。これが今回の作戦の全容だ。
「オブリビオン達を倒した後は、件の遺跡を見学してみるといいだろう。せっかくロマンチックな教会もあることだしね。戦いの余波で吹き飛んで無ければ、だけど」
リンネも事件解決後は現地で自身の信仰の布教活動に勤しむつもりらしい。
「作戦は以上だ。神に仇為す不敬なオブリビオン達を懲らしめてくれたまえ!頼んだよ!」
説明を終えたリンネは猟兵達にエールを送ると、転移を開始するのだった。
●アックス&ウィザーズ:古代の町の遺跡
遺跡へと転移してきた猟兵達を迎え撃つべく、オブリビオンの騎士達の長は軍旗を天高く掲げ、大声で叫んだ。
「猟兵達よ!我らの姫君には指一本触れさせぬぞ!
我らは姫君を守護する最強の騎士!その名も『絶対不敗・負けナイト』!
皆の者!これは聖戦である!猟兵達を決して教会には近づけさせるな!侵略者達に我らが騎士道を示すのだ!
愛する者を持つ者の強さを見せてやるがいい!」
雄叫びを上げながら猟兵達へと突撃してくる自称最強の騎士達。そして、戦いが始まった。
大熊猫
こんにちは。大熊猫です。数あるシナリオの中から本シナリオをご覧いただきありがとうございます。今回はA&W世界の依頼です。猟兵達は花の魔女を倒し、恋人達の教会を取り戻すことができるでしょうか?
●章構成
一章 ボスを守る「絶対不敗・負けナイト」との集団戦。花の魔女のいる教会を守る為、騎士達は遺跡のあちこちに小隊を展開しています。
二章 約束の教会を守っている『『花鳥風月』花の魔女』とのボス戦です。
三章 平和が戻った遺跡を観光しましょう。オープニングの説明でも触れられておりました通り、「約束の教会」には礼拝堂でカップルが将来を誓うと必ず結ばれるという伝説があります。
また、皆様の一章・二章のプレイングの内容の趨勢により、三章の時点での遺跡の風景及び『約束の教会』の状態が変化します。
グリモア猟兵のリンネも現地で布教活動に勤しんでいますので、お誘いがあった場合はリプレイに登場します。ちなみにシスターなので冠婚葬祭の司式もできます。
※リンネ以外の同MSのグリモア猟兵は呼んでも出てきませんのでご注意下さい。
●合わせプレイングについて
合わせプレイングでのグループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。3名以上の場合はどなたか合計人数をご記載いただけると助かります。
●NG事項は別途ご記載下さい。
文字数を節約したい場合はプレイング冒頭に次の記号をお使い下さいませ。
特に何も書いていない場合はアドリブや連携はケースバイケースになります。
アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎、ソロ描写希望→▲。
可能な限りプレイングそのままで→■。
●プレイング受付優先期間
2月27日(木)8:30~3月2日(月)7時まで。
※スムーズに進行すれば三章はホワイトデーの頃にプレイング受付開始になるかと思います。また、途中の章からのご参加も歓迎です。
以上です。皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『絶対不敗・負けナイト』
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POW : 我が盾は無敵!誰にも破れない!
対象の攻撃を軽減する【盾を構えた防御型の姿】に変身しつつ、【盾による殴打や槍】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 完全に見切った!同じ手は通用しない!
【槍と旗の攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : この戦いが終わったら
【故郷の恋人の話をしながら限界突破モード】に変形し、自身の【生存フラグ】を代償に、自身の【攻撃速度と攻撃力】を強化する。
👑11
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比良坂・逢瀬
【薔薇園の古城】で参加致します。
約束の教会で御座いますか。恋人達の伝説に彩られた素敵な場所ですね。
此の場所を必要とされる方々の為にも尽力させて頂きましょう。
敵集団に対しての先制攻撃は同行するローズさんとネージュさんの御二人に任せしましょうか。
薔薇と氷雪の乱舞。
さぞや美しく見応えのある景色でしょうね。
尤も見惚れてばかりも居られません。
私は愛刀たる三池典太を抜き放ち、御二人の攻撃に曝された敵を新陰流の剣の業を以て確実に仕留めるべく立ち回ります。
唯一歩で間合いを奪う私の神速の歩法。
重く硬い鋼に鎧われた身体で果たして追い付くことが敵うものでしょうか。
クロス・シュバルツ
【薔薇園の古城】で参加
俺は恋愛の伝説云々は余り興味ないですが……オブリビオンは放置できないです
しかし、相手のやる気を見ると此方が悪いように思えなくも……いや、気のせいです。どう考えても、占拠している向こうが悪。しっかり対処しましょう
中距離から拷問具の鎖を使った『範囲攻撃』でローズさん、ネージュさんの攻撃まで敵を牽制
発動前には巻き込まれないように一度退避
2人の攻撃発動後は黒剣での近接戦に切り替え、【死を告げる暗影】も使用
敵の背後に飛び『フェイント』『だまし討ち』も駆使して防御の隙間を縫い、確実に数を減らす
敵からの攻撃は『オーラ防御』『激痛耐性』で耐えつつ『吸血』『生命力吸収』で凌ぐ
ローズ・ベルシュタイン
【薔薇園の古城】メンバーで参加(計4名)
WIZ判定の行動
アドリブ歓迎
■心情
約束の教会ですか、何ともロマンチックな感じの場所ですわね。
ともあれ、オブリビオンが占拠しているなら
放っておくわけには行かないですが。
■行動
負けナイトは纏めて倒していきますわね。
『夕暮れ時に薔薇は踊り咲く』で攻撃しますわ。
仲間と連携を取りつつ、【ダッシュ】で一気に敵へと接近し
【範囲攻撃】で大勢の敵を纏めて狙い、【気絶攻撃】や【マヒ攻撃】を織り交ぜ
敵の動きを止めつつ戦いますわね。
限界突破モードに変形されたら
【見切り】で敵の攻撃を避けつつ、【武器受け】や【盾受け】で
攻撃の直撃を受けない様に注意しますわね。
ネージュ・ローラン
【薔薇園の古城】で参加。
ロマンチックな伝説ですね。
この場所を必要とする方の為にも早く解放しましょう。
敵の話は素直に共感しながら聞いてしまいます。
故郷の恋人ですか、良いですね。
でもオブリビオンを見逃すわけにはいきません、ごめんなさい!
【演舞 -夢想少女-】で変身して戦います。
ローズさんの薔薇に合わせて氷弾を撃ち込み、逢瀬さんやクロスさんが攻撃する隙を作ります。
わたし自身も敵が怯んだところに接近して銀雪の宝杖で順番に殴り倒していきましょう。
●遺跡都市の戦い
「あれが約束の教会……何ともロマンチックな感じの場所ですわね。ともあれ、オブリビオンが占拠しているなら放っておくわけには行かないですが」
丘の上に立つ旧い石造りの教会を町の入口から見渡し、ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)は呟いた。グリモア猟兵の説明によれば、あの教会には「礼拝堂で将来を誓った二人は必ず結ばれる」という伝説があるという。恋に恋する年頃であるローズとしては実に興味深い場所だ。
「約束の教会で御座いますか。恋人達の伝説に彩られた素敵な場所ですね。此の場所を必要とされる方々の為にも尽力させて頂きましょう」
ローズの言葉に、同じく年頃の少女である比良坂・逢瀬(影斬の剣豪・f18129)も頷いた。逢瀬は見た目は大人びた雰囲気の美女だが、実際には16才のローズと1才違いである。彼女にとってもこの地に残る伝説は興味深かった。
「ロマンチックな伝説ですね。この場所を必要とする方の為にも早く解放しましょう」
エルフの特徴である長い耳を持つ美女、ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)もやる気に満ち溢れた様子である。年頃の女性がロマンチックな恋に憧れるのは、人間もエルフもそう変わらないようだ。
「俺は恋愛の伝説云々は余り興味ないですが……オブリビオンは放置できないです」
メンバーで唯一の男性であるクロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)は生真面目な意見を述べた。男女の恋愛以前にまず人との距離感に悩むことも多い彼は、ロマンチックな伝説の地に興味があってここに来たわけではない。ただ、人の世に仇為すオブリビオンを退治しに来ただけである。
「猟兵達よ!我らの姫君には指一本触れさせぬぞ!皆の者!これは聖戦である!猟兵達を決して教会には近づけさせるな!侵略者達に我らが騎士道を示すのだ!」
教会をオブリビオン達の手から奪還すべく転移してきた「薔薇園の古城」の猟兵達に対し、負けナイト達は絶対不敗の旗を掲げ、雄叫びを上げて突撃を開始する。その数、およそ数十。ローズたちが真正面から乗り込んだせいか、突っ込んでくる騎士達はかなりの数だ。しかも、騎士達の士気は非常に高い。彼らは彼らなりの信念に沿って「花の魔女」に従っているのがありありと感じられる。
(しかし、相手のやる気を見ると此方が悪いように思えなくも……いや、気のせいです。どう考えても、占拠している向こうが悪。しっかり対処しましょう)
騎士達の言葉に一瞬自分達の立ち位置に迷ったクロスだったが、すぐに余計な思考を振り切って武器である鎖を構える。
彼らの言い分はもっともらしく聞こえるが、やっていることは不法占拠であり、まぎれもない悪行である。それに、たとえどんな思想を持っていたとしても、彼らはオブリビオン。放っておけばいずれ世界を過去で塗り潰してしまう「世界の敵」なのだ。野放しにすることはできない。
「来ましたね。先制攻撃はローズさんとネージュさんにお任せしましょうか」
逢瀬は妖艶に微笑むと、少し後ろに下がった。彼女の手には朱塗りの鞘に収まった一振りの日本刀が握られているが、まだ抜くには早い。しばらくはこのまま待機するようだ。
「了解ですわ」
ローズは鞘から夕焼け色の刀身の長剣を優雅な仕草で抜くと、魔力を集中し、ユーベルコードの発動準備に入った。
「分かりました。援護はお願いしますね」
ネージュも、ローズと同じく魔力を集中し、ユーベルコードの発動準備に入る。だが二人のユーベルコードが完成する前に、騎士達の一人が槍を構えて突っ込んできた。
「一番槍はもらったぞ!我が正義の刃に倒れるがいい!フハハハハハハハハ!ハッ!?ぬわ―――!?」
だが、一番槍の負けナイトは二人を護衛するべく待機していたクロスが伸ばした鎖、【冥装】罪茨に打ち据えられ、一瞬で後ろへと吹き飛ばされていった。続いて後続の騎士達が次々と雪崩こんで来るが、クルスは鎖を振り回し、騎士達を牽制して二人に近寄らせないように牽制を続けた。
「準備完了ですわ。クロス、ありがとうございます」
ローズは魔力を迸らせながら柔らかく微笑むと、猛ダッシュで騎士達の元まで駆け、長剣を空高く掲げた。彼女も日本刀を携えた逢瀬と同じく、刃を己の武器とする猟兵だ。だが、彼女はマジックナイト。剣と魔法の併用こそがその真骨頂だ。
「さぁ、数多に咲き誇りなさい!『夕暮れ時に薔薇は踊り咲く(ローズ・ワルツ)』!」
ローズの詠唱と共に、長剣の刃がはらはらとほつれ、無数のオレンジ色の薔薇の花びらへと姿を変えていく。ローズが手を翳すと、花びらたちは竜巻のようにうねりながら騎士達の元へと凄まじい勢いで襲い掛かった。
ザシュザシュザシュッ!!
半径70mにも届こうかという巨大な薔薇の結界に晒された騎士達は、鎧を切り裂かれ、ドミノ倒しのように後ろに吹き飛ばされていった。この一撃でそのまま骸の海へと還った者もいるが、たとえ生き残ったとしてもローズの薔薇には毒がある。花びらに仕込まれた痺れ毒は負けナイト達の動きを大きく阻害してくれるはずだ。
「お待たせしました!では私も。『演目開始、其は不思議の国へ迷いし少女。演舞 -夢想少女-(サビイェ・アリス)』」
たーん、たーん、とアクロバティックな動きで空を舞い、すたんとローズの隣に降り立ったネージュは、吹雪に包まれながら一瞬にして不思議の国のアリスを彷彿とさせる可愛らしい衣装へと変身した。強化変身を完了したネージュはふわりと空に舞い上がると、ローズの薔薇から逃れた騎士達に狙いを定めた。ネージュは先ほどまでとは一転してゆったりとした妖精のような動きで宙を自在に舞いながら、手にした銀雪の宝杖から氷弾を放ち、騎士達を次々と凍らせていく。
「薔薇と氷雪の乱舞。美しく見応えのある景色ですね」
逢瀬は二人の優美な戦いぶりを見ながら、思わず溜息を吐いた。オレンジ色の花びらと氷雪が舞う中、騎士達と戦いを繰り広げる二人の美少女達の姿は、思わず見とれてしまう程の幻想的な美しさを湛えていた。
「尤も見惚れてばかりも居られません」
ローズ達の攻撃から逃れた騎士達が槍や旗を振り上げてこちらへと突撃してくる姿を認めた逢瀬は、二尺三寸の長さを持つ太刀を抜いた。彼女の得物は二尺三寸の長さを持つ「太刀」だ。銘は「三池典太」。その作品に退魔や鋭い切れ味についての数々の逸話を残す名工によって鍛えられた一振りである。
「ワハハハ!間合いを制した者が戦いに勝利するのは自明の理。刀や剣では我らが槍や旗には勝てぬ!」
負けナイトの講釈は無視し、ゆらり、と太刀を抜いた逢瀬は突撃してくる敵達の姿を見据える。距離は約20メートル。常識的にはまだ刀の「間合い」の遥か外だが――。
「其処は既に私の間合いの裡です」
「?」
次の瞬間、騎士達は三人ほどまとめて胴を薙がれ、真っ二つになっていた。瞬きすら許されぬほどの刹那の時間。逢瀬は超人的な脚力を以て騎士達との距離を「一歩」で詰め、太刀を振るったのだ。弛まぬ鍛錬によって鍛えられ上げた逢瀬の新陰流の業の冴えは、まさに神速の絶技であった。
あっという間に数十メートルの距離を移動し、ローズ達に追いついた逢瀬は、二人の攻撃に巻き込まれないように慎重に立ち回りながら、毒と氷結で動きの鈍った騎士達を次々と切り裂いていった。重たい鎧を纏った騎士達は、逢瀬の影を見ることさえ叶わずに骸の海へと消えていく。
「くっ!数が多すぎる……!」
ローズとネージュの攻撃に巻き込まれないよう距離を取っていたクロスは、あえて逃げるようなそぶりを見せ、建物同士の隙間へと騎士達の一部を誘導した。
「フハハハ!逃げられると思っているのか!」
自分達が優勢だと思いこんだ騎士達はまんまと釣り出され、クロスを追った。
「ここなら……。死を告げる暗影(デッドリー・グルーム)」
オブリビオン達を路地裏に誘い込んだクロスは、騎士達に向けて影の魔弾を放った。狭い通路であるここならば、騎士達に逃げ場はない。
「うおッ!?」
しかし、騎士達は咄嗟に盾を構え、クロスの攻撃を受け止めた。
「甘い甘い甘い甘い!我が盾は無敵!誰にも破れない!」
指をチッチッと振り、勝ち誇る負けナイト。
「ごふっ!?」
しかしその一秒後、彼の胸から黒い刃が生え、負けナイトは口から血を吐いて倒れた。即死だ。一体何が起こったのか?
(うまく行きましたね)
もちろん、負けナイトを攻撃したのはクロスだ。彼の「死を告げる暗影(デッドリー・グルーム)」は攻撃が命中した相手の背後へと瞬間移動できる追撃効果がある。彼の攻撃を「防御」ではなく「回避」しなければ、二撃目の黒剣の刃から逃れることはできないのだ。
「逃げられない、逃れられない、逃さない。これが、俺が……死です」
「ぬおお!いつの間に!」
突如隊列の真ん中に出現したクロスを見て慌てる騎士達。クロスは冷静に敵の隙を突き、鎖を変化させて作り上げた黒剣で騎士達を一人ずつ仕留めていった。
●お約束の教会
「まだだ!俺はここで終わるわけにはいかない!」
戦いの趨勢が決まりつつあった頃、ローズの毒とネージュの氷弾で戦闘不能となったはずの負けナイト達のうちの一体が、なんと氷を内側から破って氷結状態から回復した。蒸気のような魔力を迸らせながら、負けナイトは叫ぶ。
「俺には故郷で俺の帰りを待っている人がいる!この戦いが終わったら、田舎に帰ってあの子と一緒に宿屋をやるんだ……!」
「故郷に婚約者がいるのですか。夫婦で宿屋。いいお話ですね……」
負けナイトの言葉にほっこりしたネージュはつい攻撃の手を止めてしまった。
「ネージュ、ちょっと!?あれは敵ですわよ!」
「そ、そうでした!」
ローズのツッコミで我に返ったネージュは、慌てて再び杖を構える。よく考えたら彼はオブリビオンだった。彼の言う恋人とやらも、恐らく彼が生きた時代の話なので、今も彼を待っているかどうかはかなり微妙である。だが、負けナイトは止まらない。負けナイトは赤い魔力を滾らせ、己の限界を超えた動きで大きく跳躍すると、ネージュを切り裂かんと剣を振り回しながら飛び掛かった。
「ここが貴様の墓場だあああああ!」
「オブリビオンを見逃すわけにはいきません、ごめんなさい!」
ネージュは短く息を吐き出しながら、手にした杖を大きく振りかぶった。クリーンヒット。負けナイトは天に召された。残念ながら、世の中には気合では埋まらない実力差というものがあるのだ。そして、戦場で幸福な未来を語ると死亡率が激増するのは「お約束」である。
●約束の教会へ
「どうやら、オブリビオンの騎士達はもうこれ以上は出てこないようですね」
周辺にもはや敵がいないことを確認し、クロスはほっと一息ついた。もう騎士達は品切れのようだ。
「ええ、負けナイト達は全滅できたようです」
日本刀を鞘に納め、チンと小気味良い音を立てながら逢瀬も微笑む。
「後は教会を占拠している『花の魔女』だけですわ。植物を操る魔女……どんなオブリビオンなのか見てみたいですわね」
ローズもユーベルコードを解除し、剣を元の形に戻す。教会のロマンチックな伝説にも興味津々のローズだが、薔薇をこよなく愛する彼女としては「花の魔女」にも興味があったようだ。
「あれが約束の教会……。今を生きる人達の為に、この土地は返して貰います」
植物に覆われ、すっかり緑色に変色した教会を見上げ、ふと誰かが呟いた。負けナイト達の軍勢を退け、約束の教会が立つ丘の間近まで迫った「薔薇園の古城」の一向。彼女らは花の魔女を撃退し、約束の教会をこの世界に生きる人々の手に取り戻すべく、決意を新たにしたのであった。
大成功
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第2章 ボス戦
『『花鳥風月』花の魔女』
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POW : フラワー・オブ・ライフ
レベル×5本の【自身(記憶や能力も同一)が発芽する、花】属性の【、接触地点に上記の効果を及ぼす、無数の種】を放つ。
SPD : 世界で一つだけの花々
【接触地点で発芽し、自身になる無数の種】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 花鳥風月・生命開花
【接触した対象を自身に作り変える、無数の種】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
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●花の魔女、登場
ドドドドド!
猟兵達が約束の教会へと近づくと、猟兵達を威嚇するように、突然地面から有毒植物やトゲトゲの花が大量に生い茂り、道を塞いだ。
「負けナイト達はみんなやられてしまったのかしら。まあ、最初からあまり期待はしていなかったけど」
猟兵達が声がした方を見上げると、すっかり蔦に覆われた教会の屋根の上に、ピンク色の服を着た可愛らしい少女が立っている。彼女がオブリビオン達のボス、花鳥風月・花の魔女に違いあるまい。花の魔女は特徴的な花型の杖をくるくると回転させてポーズを取ると、猟兵達に宣戦を布告する。
「この教会は私だけのものよ。ここは私が守る。誰にも渡さないんだから!」
ニコリネ・ユーリカ(サポート)
あらあら、盛り上がってるわねぇ
お忙しい所、お邪魔しまーす!
新しい販路を求めてやってきた花屋です
宜しくお願いしまーす(ぺこりんこ)
~なの、~なのねぇ、~かしら? そっかぁ
時々語尾がユルくなる柔かい口調
花言葉で想いを伝える事も
参考科白
んンッ、あなたって手強いのねぇ
えっあっヤダヤダ圧し潰……ギャー!
私も気合入れて働くわよー!
悪い子にはお仕置きしないとねぇ
さぁお尻出しなさい! 思いっきり叩いてあげる!
乗り物を召喚して切り抜けるサポート派
技能は「運転、操縦、運搬」を駆使します
広域では営業車『Floral Fallal』に乗り込みドリフト系UCを使用
近接では『シャッター棒』を杖術っぽく使います
公共良俗遵守
●出張営業・フラワーショップ『Floral Fallal』
「さあ、どいつからでもかかってきなさい!」
集まってきた猟兵達に対し、啖呵を切る花の魔女。その時、ぶおおおん!と物凄い騒音が辺りに響いた。
「何の音
……!?」
花の魔女が音のした方向を見ると、その音の正体は車のエンジン音だった。なんと一台の白い5MT4WDが教会に向かって猛スピードで突っ込んでくるではないか。無論、これはアックス&ウィザーズの住民の仕業ではない。謎の暴走車輛の正体は通りすがりの可愛い花屋さん、ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)の移動販売車「フロラ・フルル」だ。
「花を操るオブリビオンと聞いては野放しにはできないわね!」
それに、人気デートスポットであるこの「約束の教会」で営業すればカップル相手にお花がたくさん売れるかも!ビジネスチャンスへの期待に胸を膨らませ、ニコリネはゴキゲンなナンバーを口ずさみながら、愛車をフルスロットルで駆る!
「気合入れて働くわよー!」
アクセル全開で舗装されていない道をかっとばし、教会を目指して爆走するニコリネ。だが、花の魔女がいるのは教会の「屋根の上」である。このままではニコリネは教会に突っ込んで事故る!
「新種のチャリオット……!?とにかくこの教会は傷つけさせないわ!」
花の魔女はニコリネを迎撃するべく、魔法の杖を振るう。すると、ガトリングガンのような勢いで花の種が撒き散らされ、ニコリネを襲った。これであの車を止める!
ギャリリリリリリリ!ギャリリリリリリリリ!
しかし、ニコリネは華麗なドライビングテクニックで種の弾丸の雨を全て回避し、スピードを落とさず、そのまま教会へと迫る!
「ふう。ギリギリね。オフロードタイヤにしておいて良かったわ!」
弾丸を回避し、汗をぬぐうニコリネ。
「速い!的が絞り切れない!これならどう!?」
種の射撃ではワゴンは止められないと見た花の魔女は、植物魔法を使ってフロラ・フロルのコース上に無数の低木を生やした!
「これで通行止めよ!」
勝ち誇る花の魔女。しかし、ニコリネは減速することなくそのまま直進する。ワゴンは低木に激突し、あわやクラッシュしてしまうかと思われたが――。激突の寸前、運転席でハンドルの握るニコリネの口元に笑みが浮かぶ。
「エレメンタル・ファンタジア!」
ニコリネの詠唱と共に、竜巻のような猛烈な上昇気流と共に花吹雪が吹き荒れ、風を受けたフロラ・フロルの車体が浮き上がった!
「と、飛んだ、ですって!?」
爆風のような風を受けて飛翔したフロラ・フロルは花吹雪の竜巻を纏い、そのまま教会の屋根にいる花の魔女に向かって突っ込む!
「花の魔女さん、お花をお届けに参りましたー!」
「ちょ、そんなの頼んでない、きゃああ――――!!!」
ドカーン!
花の魔女は猛烈な勢いで撥ね飛ばされ、屋根から落ちていった。
成功
🔵🔵🔴
ネムネ・ロムネ(サポート)
『交渉を始めるのです』
『ん。ネムに任せるのですよ』
『んん。出てくるのがはえーですよ』
『うるせーです。知らねーです』
慈悲深く、困ってる人には手を差し伸べずには居られない性格です
オブリビオンに対しては容赦なく火器を振るいます
“交渉”や“説得”と称した武力制圧で敵を圧倒する事を好み、遠距離からの狙撃や中距離からの制圧射撃を軸に戦います
事前にロケーションを入念にチェックし、地形や建物を利用した戦闘で身体能力以上のパフォーマンスを発揮する戦略を得意としています(舞い上がる花弁を隠れ蓑にした狙撃や城の柱を崩落させて死角を生み出す戦術等)
ギャグ依頼も歓迎
恋人がいる為R18な事や他者との過度なスキンシップ禁止
吾喜内・来世(サポート)
「情けは人の為ならず! 困ったときはお互い様だ!」
女性的な身体に男性的な言動、陰鬱な外見に陽気な性質を持った桜の精です。
善意と正義感に従い、世の不条理や他人の不幸を掃う為に行動します。
心根が素直な為、敵の言葉に迷ってしまうこともありますが、事件解決という目的は忘れずに遂行しようとします。
「祖なる桜が一柱。請いて願いて奉る」
ユーベルコードは状況に応じて使い分け、攻撃と防御はそれ任せです。
本人は援護や救助の役割を主に担当します。装備の薬からその場面で最適なものを選び、自分や味方、敵にすらも服用させます。
アドリブや他者との絡みは大歓迎です。
やりやすいように、自由に動かしてください。
●桜の精VS花の魔女
派手に教会の屋根の上から吹き飛ばされた花の魔女は、そのまま地面に叩きつけられて消滅した。早くも決着が着いたかと思われたが――。
「よくも『私』を殺してくれたわね!」
地面に転がっていたクルミのような大きさの種が光を放つと、倒された花の魔女と全く同じ姿の新たな花の魔女達が姿を現した。魔女達は寸分違わず、全く同じ言葉を口にする。
「分身でも、さっきのが偽物だったわけでもないわよ。これが、私の研究成果。私が撒いた種は私と寸分違わぬ私として発芽する。私は永遠不滅の存在なのよ!」
花の魔女は滅びてはいなかった。しかし、増殖した花の魔女達の前に、新たな猟兵達が立ち塞がる。
「祖なる桜が一柱。請いて願いて奉る。護り給へ」
戦場に朗々たる詠唱が響き、地面から盾を構えた樹木の巨人の軍勢が出現する。桜の精、吾喜内・来世(サクラキメラ・f22572)の『衣通姫(ソトオリヒメ)』の軍勢だ。来世自身は軍勢の維持に集中すべく、少し離れた遺跡の上に立っていた。
「ここは全ての恋人達の為の場所だろう。たった一人で独占することは許されない!」
来世は花の魔女の所業を糾弾する。その言葉に、花の魔女達は怒りを露わにした。
「何よ!たかだか十年二十年生きただけの小娘が生意気な!こんな痩せた木の兵隊なんて、すぐに片付けてやるわ!」
花の魔女達はショットガンのような威力の種を周囲に撒き散らし、樹木の兵達と交戦を開始する。花の魔女の植物魔法による攻撃は同じ植物である兵隊には効果が薄く、兵隊達は花の魔女達をシールドバッシュで叩き伏せていくが、花の魔女が種を撒き散らすたびに新たな花の魔女が生まれ、数は一向に減らない。そのうち、着弾した種の影響を受け、樹木の兵隊達の中からも花の魔女へと変異し、造反するものが出始めた。
「ふふ、これが私の力よ。私の数は増える一方。そっちの兵隊は少しずつ数が減っていく。私と植物で争うなんて百年早かったわね。花の妖精」
けらけらと笑う花の魔女達。しかし、形勢不利のはずの来世の表情には余裕の笑みが浮かんでいた。
「そいつはどうかな。今だ、ロムネさん」
来世は大きく両手を上げ、伏兵に合図を送る。なぜ、彼女の兵隊達は剣ではなく盾を携えていたのか。それに花の魔女が気づいた時にはもう遅かった。
「囮……!」
「隙だらけなのです。魔女」
●交渉(物理)
「隙だらけなのです。魔女」
ネムネ・ロムネ(ホワイトワンダラー・f04456)は呟きと共に、肩に担いだバズーカ砲の引き金を引いた。次の瞬間、敵陣のど真ん中で大爆発が巻き起こり、来世の兵隊もろともに花の魔女達の大半が吹き飛んだ。
ネムネは周辺の地形を事前にチェックし、建物を崩落させたりすることで敵に壊滅的被害を与える戦術を得意としているのだが、今回はその戦術はとれなかった。必須条件ではないとはいえ、奪還目標である「約束の教会」をバズーカやら航空機による爆撃やらで木っ端微塵に粉砕してしまうのは些かまずい。そこで、現地で話しやすそうな猟兵と交渉し(銃火器や刃物で脅したとかいうわけではなく、まっとうな「交渉」である)、教会からターゲットを遠ざけてもらうと同時に、囮になってもらったというわけである。
「む。まだ生き残りがいやがりますね。一匹残らず駆逐するです」
ネムネは余熱が残るバズーカ砲を放り捨てると、今度は狙撃銃を構えた。ネムネは正確な射撃で再び増殖しながら来世と戦っている花の魔女達を一体ずつ撃ち抜いていく。しかし、花の魔女もなかなかしぶとく、なかなか全滅までは追い込めない。
「……しつこいやつなのです。ん?」
その時、自身に迫り来る殺気に気付き、ネムネはスナイパーライフルを放って後ろに飛んだ。一瞬遅れ、ネムネが立っていた位置を種の弾丸が通過する。
「見つけたわ。コソコソと卑怯な奴ね!」
花の魔女の内の一体が、遠距離から一方的に攻撃していたネムネの元まで辿り着いたのだ。
「仕方ねーです。こうなったら直接交渉するです」
ネムネは大きく後ろに飛んで距離を取り、安全ピンを抜いた手榴弾を花の魔女の足元へと放る。地面に触れた瞬間、手榴弾が爆発を起こしたが、花の魔女は召喚した植物を盾にして爆風を凌いだ。ネムネは舌打ちしつつ、爆炎が姿を隠しているうちに体内の機関を励起させ、大急ぎで本命のユーベルコードを発動する。
『ノッティンガムの茶会』(ノッティンガム・ゴースト)
ネムネの言葉と共に、黒衣の貴婦人と白衣の紳士を模った一対の蒸気機械人形が召喚された!二体の人形達は爆炎を切り裂いて花の魔女へと迫り、銃と剣の波状攻撃で種をバラ撒く暇も与えずに花の魔女を瞬殺した。
「デートスポットを不法占拠するようなオブリビオンはくたばるといいのです」
無事に「交渉」を終えたネムネは一人呟くのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
比良坂・逢瀬
【薔薇園の古城】で参加します。
魔女を守護する騎士は倒しました。
次は貴女ですね。可憐な花を手折る趣味は御座いませんが、それが人に仇なす毒花となれば躊躇いはしません。
新陰流剣士、比良坂逢瀬。参ります。
脚をとめずに、<ダッシュ>と<ジャンプ>を駆使した高速の機動で敵の狙いを翻弄します。
そして愛刀たる三池典太の<破魔>の太刀を、花の魔女へと振るいます。
皆様の助力があります。
私は増殖する分体には目もくれずに、ただ敵の本体の命を一息に断つ事を狙いましょう。
最善の好機に、最高の速度で、最大の威力の一太刀を。これこそが剣の業の窮極です。
ローズ・ベルシュタイン
【薔薇園の古城】メンバーで参加(※計4名)
WIZ判定の行動
アドリブ等歓迎
■心情
花々が好きな敵には、親近感を覚えますけど
それが人々に危害を加える存在とあらば、
見過ごすわけには行きませんわね。
■行動
私は、白銀勇霊装(UC)を使用して戦いますわ。
UCの特性の甲冑で身を纏い、敵に【ダッシュ】で一気に接近して
戦闘を行いますわね。
【2回攻撃】で【気絶攻撃】や【マヒ攻撃】を織り交ぜつつ攻撃し
【鎧無視攻撃】で敵の防具も無視して、攻撃を当てますわ。
敵の生命開花に対しては
無数の種を【盾受け】や【オーラ防御】直撃を受けない様にし
余裕があれば【見切り】や【残像】で回避しますわね。
ネージュ・ローラン
【薔薇園の古城】で参加。
随分と可愛らしいオブリビオンですね。
ですがここは貴女の場所ではありません。
皆の場所です!
増え続ける分身が厄介ですね。
クロスさんと共にそちらの対処に当たりましょうか。
まずは【凍える銀氷の矢】を連続で撃ち込み、相手の能力や弱点を見極めます。
それらを【見切って】しまえば、どれだけ増えようとも問題ありません。
一体ずつ確実に、最善の攻撃で仕止めていくだけです。
氷の魔法による【属性攻撃】やスカートの下に隠したシークレットダガーで順番に倒していき、本体への道を切り開きましょう。
クロス・シュバルツ
【薔薇園の古城】で参加
元々がどうあれ、こうも植物だらけでは折角の景観も台無し
何を思って此処を占拠したのか
それに、植物を生やす能力も他のことに使えば……いえ、オブリビオン相手に考えても仕方のない事ですが
種による自身の増殖。無尽蔵に増えられては厄介ですね
遠距離で立ち止まり『限界突破』『ドーピング』で集中力を強化
敵が放つ種に対して【混沌の血矢】を撃って迎撃、種が萌芽する前に片っ端から撃ち落とす
迎撃しきれず、生まれた分の対処は仲間に任せ、種を落とす事に集中
道を阻む植物があれば血矢を撃って侵蝕して道を作る
最後の一体になったら妨害を止め、血矢を本体に撃ち込む
敵からの攻撃は『オーラ防御』『激痛耐性』で耐える
●薔薇園の古城VS花の魔女
(こいつら、強い!このままじゃ魔力が……)
増殖を繰り返し、猟兵達と消耗戦を繰り広げる花の魔女。彼女は猟兵達に対し、無限に増殖できるかのように吹聴していたが、実際にはそうではない。増殖した分身と本体は全く同じだが、植物魔法や分身の力を使うたびに魔女は少しずつ魔力を消耗していく。魔女の増殖には「魔力の枯渇」という弱点があったのだ。魔女が残りの魔力量に焦りを感じ始めた頃、新たに4人の猟兵が教会へと現れた。
「貴女を守護する騎士は倒しました。
次は貴女ですね。可憐な花を手折る趣味は御座いませんが、それが人に仇なす毒花となれば躊躇いはしません」
三池典太の柄に手をかけ、居合の構えを取る妖艶なる刀使い、比良坂逢瀬。
「花々が好きな敵には、親近感を覚えますけど
それが人々に危害を加える存在とあらば、
見過ごすわけには行きませんわね」
夕暮れ色に輝く長剣を携えし、麗しきマジックナイトの少女ローズ・ベルシュタイン。
「元々がどうあれ、こうも植物だらけでは折角の景観も台無し……。
何を思って此処を占拠したのか……。
それに、植物を生やす能力も他のことに使えば……いえ、オブリビオン相手に考えても仕方のない事ですが」
黒く禍々しい呪いの弓を構える、血と昏闇の青年クロス・シュバルツ。
「随分と可愛らしいオブリビオンですね。
ですがここは貴女の場所ではありません。
皆の場所です!」
輝く冷気を身に纏い、銀色の宝杖を掲げる美しきエルフ、ネージュ・ローラン。
猟兵旅団【薔薇園の古城】の4人は約束の教会を悪の魔女から取り戻すべく、戦いを挑んだ。
「新手……!何人来ても同じよ!みんな『私』になってしまえばいいわ!」
花の魔女は「花鳥風月・生命開花」を乱れ撃った。着弾すれば自身の複製へと存在を上書きする恐ろしき種の弾丸が4人を襲う!
「呪われた血より放つ、忌わしき矢。焼き尽くし、蝕み…‥闇へと、沈めろ」
ボボボボボボッ!
「!?」
しかし、花の魔女の放った種はシュバルツの放った赤き「混沌の血矢」(カオス・ブラッディ・アロー)によって撃ち抜かれ、空中で燃え尽き、猟兵達には届かなかった。
「チッ!なら!」
花の魔女は猟兵達に当てるのは諦め、地面に向かって種をばら撒く。すると、光と共に種が発芽し、無数の花の魔女が現れた。
「私は何人にだってなれる。4人なんてものの数ではないわ!」
増殖した花の魔女達は一斉に杖を振りかざし、猟兵達へと種の弾丸を飛ばす。
ポポポポンッ!
射手が増えた分放たれる弾丸の数も増加し、先ほどの数倍の数の弾丸となって猟兵達を襲った。その時、花の魔女達の頭上から凍てつく冷気を纏った銀色の雨が降り注いだ!
「全てを凍てつかせる氷の矢よ、敵の弱点を見抜きなさい。『凍える銀氷の矢』(フローズン・エッジ)!」
スカイダンサーであるネージュは空を踏みしめ、花の魔女の頭上へと駆け上がっていたのだ。ネージュが連続で撃ち込んだ『凍える銀氷の矢』は、発芽したばかりの花の魔女達ごと、辺りの地面を凍結させた。
「冷気……!?まずい!」
(もしかして……!)
ある考えが浮かんだネージュだったが、行動に移すより先に、氷結を免れた花の魔女達がネージュに向かって一斉に種の弾丸を飛ばしてきた。大急ぎでシュバルツが呪いの矢を放ち、種を迎撃するが、人数が増えた分、種も数が多い。流石に全ては迎撃仕切れなかった。ネージュは空を縦横無尽に駆け、種を必死に回避するが、花の魔女達は執拗にネージュを狙い続ける。ついに空中に留まれる限界を超えてしまったネージュは、大地に緊急着陸し、一瞬動きが止まった。花の魔女達はその隙を見逃さない。あわや、触れたものを花の魔女へと変えてしまう呪いの種がネージュに命中してしまうかと思われたが――。
『我は纏う薔薇の気高さに等しき極みの鎧!』
ガガガガガガガ!
その時、アルヌワブランの薔薇で彩られた美しき白銀の甲冑に身を包んだローズが割って入り、薔薇の勲章が刻まれたラウンドシールドで種の弾丸を受け止めた。
「ローズさん、助かりました!」
スカートの下から取り出したシークレットダガーを抜き、取り囲んできた花の魔女達と戦いながらネージュはローズに礼を言う。
「どういたしまして。さあ、今度はこちらの番ですわ。ネージュ、クロス、援護をお願いします!逢瀬、行きますわよ!」
「承知いたしました。新陰流剣士、比良坂逢瀬。参ります」
逢瀬は愛刀の三池典太を握り、花の魔女の群れの中へと飛び込んでいった。ローズは迫り来る種を鎧と盾で弾き返しながら突進した。不思議なことに、ローズの纏った薔薇の聖鎧は魔女の種がその身をかすめるたびに、聖なる輝きを一層増していった。花の魔女達の元へと臆せず踏み込んだローズは、ネージュやクロスの矢で動けなくなった花の魔女を長剣で切り伏せながら、薔薇の嵐を放ち、次々と敵を吹き飛ばしていく。
「フン!何人倒されようが、私は何度でも再誕するのよ!」
花の魔女は辺りの地面に種をばらまき、再び増殖を試みる。
「フローズン・エッジ!」
しかしその時、ネージュが「辺りの大地」に氷の矢を乱れ放った。すると、不思議な現象が起きた。花の魔女の種は魔力を送り込まれても発芽しなくなったのだ。
「くそっ……!よくも!」
歯ぎしりをする花の魔女達。
「やはりそうでしたか。貴女の種は、氷点下の環境では発芽できないのですね!」
これでもう花の魔女達は増殖できない。あとは、今いる魔女達を倒すのみ!
「舐めないで!たとえ発芽が封じられても、この種の弾丸は平気で人体ぐらいは撃ち抜くんだから!」
十八番を封じられてなお、花の魔女達は諦めない。種の弾丸を放ち、毒花粉の風を吹かせ、猟兵達に抗い続けた。しかし最後の一体となった時、ついに花の魔女は逃亡を試みた。
「今日のところは私の負けにしておいてあげるわ!」
植物を爆発的に繁茂させて道を塞ぎ、その隙に伸縮する蔓をロープのように使って花の魔女は逃亡した。
「「逃がしません」」
即座に反応したのはクロスと逢瀬だった。
クロスは呪炎を放ち、植物を焼き払って道を切り開く。逢瀬は目にも止まらぬ速さで大地を駆け、その脚力で重力さえも無視して壁を走り、遺跡の建物を踏み台にして最短距離を駆け抜け、最後の一体の魔女の元へと迫った。
「このっ!しつこいわね!」
最後の魔女は逢瀬に対して種の弾幕を放って牽制する。しかし、逢瀬は速度を決して緩めず、不規則な軌道で跳び跳ねながら全ての種を躱して魔女へと距離を詰める。
あっという間に逢瀬に追いつかれた花の魔女は、最後の手段を試みた。
「くそっ!こうなったら……!死なばもろともよ!この教会は誰にも渡さない!」
やけになった花の魔女は、残る魔力を暴発させ、遺跡ごと逢瀬たちを道連れにしようとするが――。
「させません!」
クロスの放った呪いの矢が花の魔女の胴を穿ち、呪いに蝕まれた花の魔女の動きが一瞬止まった。その刹那、逢瀬の三池典太の研ぎ澄まされた一太刀が閃いた。
逢瀬の鮮やかな一閃は最後の花の魔女を心臓を切り裂き、その命脈を見事に断ち斬っていた。
「最善の好機に、最高の速度で、最大の威力の一太刀を。これこそが剣の業の窮極です」
かくして、ついに花の魔女達は全滅し、約束の教会の解放に成功した猟兵達は喝采を上げたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第3章 日常
『楽しい遺跡観光』
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POW : 心ゆくまで中を探検する。
SPD : 風景を楽しむ。
WIZ : 歴史や伝説に思いを馳せる。
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●平和を取り戻した教会
花の魔女が討たれたことで、教会を覆っていた植物も消え、「約束の教会」は元の姿を取り戻した。遺跡全体も多少地面が抉れた程度で損傷はほとんどない。この土地はすぐに観光地としての賑わいを取り戻すことだろう。
噂の教会で伝説に想いを馳せるもよし、教会のある小高い丘から風景を見下ろすもよし、心ゆくまで遺跡を探検するもよし。現地の人達よりも一足先に、取り戻した平和を満喫しよう。
ローズ・ベルシュタイン
【薔薇園の古城】で参加(計4名)
WIZ判定の行動
アドリブ歓迎
■心情
オブリビオンの脅威も去りましたし、
後は遺跡を皆で観光したいですわ。
「ここは本当にロマンチックな場所ですわね、こういう場所で愛の告白とかしたら
本当にいい思い出になりそうですわ」
【世界知識】や【学習力】で、こちらの遺跡に関しても勉強しておき
歴史や伝説に関しても色々と思いを馳せてみますわね。
「ここは、流石は伝説のデートスポットですわね、さぞかし多くのカップルが結ばれた事でしょう」
仲間からの恋バナとかあったら、まぁあまり真剣には考えず
「んー、私は今のところは気になる方とかはいらっしゃらないですわね。
いずれは恋人も欲しいですが」
クロス・シュバルツ
【薔薇園の古城】で参加
被害もなく無事に教会を取り戻せて一安心です
折角なので、帰る前にこの辺りを見て回る事にしましょうか
普段はもっと賑やかでしょうし、静かに楽しめるのは今くらいでしょう
そういえば、「礼拝堂で将来を誓うと必ず結ばれる」伝承は単に「礼拝堂で将来を誓う程親密だから結ばれる」という……いえ、そんな事を考えるのは余りに無粋、言わないようにします
どんな経緯であれ、人々の心の拠り所であるのですから
恋愛談義は少々気まずいというか、気恥ずかしくもあり
今の俺はそういう事を考える余裕はないですが
皆さんにはきっと、良い縁があると思います
比良坂さんの言葉には苦笑しながら、友達としてありがたく聞く事にします
比良坂・逢瀬
【薔薇園の古城】で参加します。
無事にオブリビオンを討伐することが出来ました。
折角の機会です。皆様と観光を楽しみましょうか。
何でも此方の礼拝堂で将来を誓い合えば必ず結ばれるという伝説があるそうですよ。
皆様は何方か想い人は居られるのでしょうかね。もっとも話を振っておいてなんですが生憎と私には心当てのある方は居ないのですけれども。
それでは各人の理想の恋人像などを聞いてみましょうか。
私は……そうですね。
ローズさんのように凛々しく、ネージュさんのように自立されていて、クロスさんのように真面目な方が好みですね。
ふふ。つまりは皆様のような方がタイプですとお答えしましょう。
ネージュ・ローラン
【薔薇園の古城】で参加。
無事にオブリビオンも退けられました。
この場所を失わずに済んでよかったです。
これが『約束の教会』の本来の姿なのですね。
ロマンチックな場所は好きですよ。
美しい教会を見て回り、礼拝堂では少し調子に乗ってクルリとポーズを決めてみたり。
想い人や恋人と呼べる相手はいませんし、理想というのもまだよくわからないのです……。
ですが、そういったものに憧れはありますね。
いつかわたしも誰かとここへ来ることがあるのでしょうか。
今は仲間の皆さんと一緒にこの場所を楽しみ、伝説に思いを馳せながらお話に花を咲かせましょう。
●ロマンティックなひとときを
戦いを終えた「薔薇園の古城」の面々は、せっかくなので「約束の教会」とこの遺跡の街を観光していくことにした。
「無事にオブリビオンも退けられました。
この場所を失わずに済んでよかったです。
これが『約束の教会』の本来の姿なのですね」
長い歴史と神秘さを感じさせる石造りの教会を見上げながら、感心するネージュ。
「この遺跡はもう数百年も前からあるそうですよ。
戦乱の時代にも運よく戦禍には巻き込まれず、ここに在り続けているそうです。
もしかしたら、神様の加護が働いたのかもしれません。
ここは本当にロマンチックな場所ですわね。
こういう場所で愛の告白とかしたら本当にいい思い出になりそうですわ」
ネージュと同じく遺跡を見上げながら遺跡について語るローズ。アックス&ウィザーズ出身のネージュよりも詳しいあたり、事前に勉強したのだろう。考古学や宗教学的な観念からもこの遺跡は興味深い建物ではあるが、この遺跡の伝説の目玉はなんと言っても……。
「何でも此方の礼拝堂で将来を誓い合えば必ず結ばれるという伝説があるそうですよ」
逢瀬はこの遺跡を彩る最大の伝説について語った。いつ頃からそんな噂が流れたのかは定かではないが、この「約束の教会」ではそんな伝説がまことしやかに囁かれているのだ。
「ここは、流石は伝説のデートスポットですわね、
さぞかし多くのカップルが結ばれた事でしょう」
「素敵なお話です。ロマンチックな場所は好きですよ」
笑みを浮かべながら談笑する三人の少女達。教会の景観も気に入り、三人ともゴキゲンだ。
(「礼拝堂で将来を誓うと必ず結ばれる」伝承は単に「礼拝堂で将来を誓う程親密だから結ばれる」という……いえ、そんな事を考えるのは余りに無粋ですね)
4人組唯一の男性であるクロスは3人の少女達とは異なり、現実的な観念から遺跡の伝説について分析していたが、それを口にすると女性陣から大ひんしゅくを買うのは目に見えていたのであえて口を閉ざした。他人との距離感に悩める青年であるクロスでも、さすがにそれぐらいのことは理解できる。
(それにどんな経緯であれ、ここは人々の心の拠り所であるのですから)
クロスは微笑みを浮かべ、手ごろな岩に腰かけながらはしゃいでいる三人娘を見守っていた。
●礼拝堂で恋バナ
「はい、チーズ。ところで皆様は何方か想い人は居られるのでしょうかね?
まずはネージュさんからお願いします」
「え?」
逢瀬にカメラ(スマートフォン)を向けられ、礼拝堂の中でクルリとポーズを撮っていたネージュはふいにそんな質問を投げかけられ、きょとんとした。
「あ、それは私も気になりますわね。どうなのですか、ネージュ?」
一緒にポーズをとっていたローズも、逢瀬の問いかけに興味津々といった様子でネージュの方を向いた。礼拝堂の隅で壁にもたれかかっていたクロスの視線も、自然とネージュの方を向く。三人の視線が集まり、ネージュはおもむろに口を開いた。
「想い人や恋人と呼べる相手はいませんし、理想というのもまだよくわからないのです……」
頬を掻きながら、ネージュは苦笑した。
「いつかいい人が見つかるといいですわね。恋の相談ならいつでも受け付けますわ」
ローズは微笑みを浮かべた。
「ではローズさんはいかがでしょうか」
続いて、逢瀬は今度はローズに水を向けた。
「んー、私は今のところは気になる方とかはいらっしゃらないですわね。
いずれは恋人も欲しいですが」
「それは残念です。でもローズ様と釣り合うお相手を探すのは大変な気もいたしますね」
最も、それはローズに限った話ではないが。ローズもネージュも、そして逢瀬も一般人から見れば手の届かぬほどの高嶺の花達なのであった。
(恋愛談義、盛り上がっていますね)
隅でチョーカーをいじっていたクロスは少し緊張していた。生真面目なクロスはこの手の話題には疎いのだ。水を向けられたら場を盛り上げる自信は全くなかった。恋愛談義は少々気まずいというか、気恥ずかしい。
「そういう逢瀬はどうなんですの?」
「私は……そうですね。
ローズさんのように凛々しく、ネージュさんのように自立されていて、
クロスさんのように真面目な方が好みですね。
ふふ。つまりは皆様のような方がタイプです」
逢瀬はそう言って、同性でもドキッとしてしまうような妖艶な微笑みを浮かべた。その視線がメンバー唯一の男性クロスの方にも向き、自然とみんなの視線が集まる。
「今の俺はそういう事を考える余裕はないですが、
皆さんにはきっと、良い縁があると思います」
クロスは苦笑し、逢瀬のきわどい発言を受け流した。
そんなやりとりも挟みつつ、平和な時間は穏やかに流れていく。4人は他愛もない話に興じたり写真を撮ったりしながら、遺跡観光を日が暮れるまでたっぷり楽しんだのであった。
大成功
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