「――私のターン!スタートフェイズ。リブート、アンドドロー!手札からリソースへ一枚チャージし、メインフェイズへ。白を含む6コストを支払い、手札から《ヴァルハラマンジオ・ロイヤルグリッター》を出撃!登場時能力を起動し、あなたの場のコスト4以下のユニットを全て山札の下へ戻すよ!」
「出たーッ!クリア・サクラバ選手のフィニッシャー、『ヴァルハラマン』デッキの切札ロイヤルグリッターだ!」
「くッ……!赤の環境を読んで破壊耐性に振ったのが裏目に出たか!俺の《鋼鉄皇帝軍》にバウンス耐性はない。3体をデッキ下へ!だが、《鉄帝竜機ゴジュラドス》はコスト7!その効果を受けない!」
「ならば続けてバトルフェイズ!ロイヤルグリッターでアタックだー!」
「迎え撃てゴジュラドス!カットインタイミング、俺は手札からスペル『徹底抗戦』を使用!」
「その手は読んでた!だから私は……!」
――キマイラフューチャー。特設バトルステージにて。
ここでは現在、キマイラフューチャー市民の一部の間で流行しているトレーディングカードバトルゲーム、『Vanquish!』(ヴァンキッシュ!)の大規模フェスが開催されていた。ステージイベントや大型大会。新カードパックのプロモーションなど多くの企画を人々が楽しんでいる。
「……あの、エモーション。ほしい」
「ジュエジュエジュエ~!ならば我々にお任せジュエ~!」
「あの程度のフェス、制圧するのは容易いボールト!」
「ジャラジャラジャラ!まずはこの資金力で奴らを圧倒してやるカネ!」
だが、それを狙う邪悪な影。そう、会場は今まさにオブリビオンたちの襲撃を受けようとしていたのであった。
「……お、出た出た。SSRカードだ」
テーブル上に山積みにしたカードパックを開封しながら、九条・救助(f17275)は猟兵たちを迎えた。
「おー。よくきたよくきた。仕事の時間だよ、みんな」
ひと箱ぶんを剥き終えてから、救助は猟兵たちへと視線を向ける。
「キマイラフューチャーで事件の予感さ。いま、あっちで『ヴァンキッシュ!』ってカードゲームが流行っててね。そいつのフェスが開催されてるんだけど……」
救助は『ヴァンフェス!』と記載されたチラシを掲げて猟兵たちへと見せる。
「これこれ。このフェスがさ、怪人の残党に狙われてんだって。ってことで、みんなで行ってやっつけてきてよ。ついでに好きだったらカードゲームも遊んどいで」
救助は雑な案内をしながら、テーブルの上にお店が開けるくらい積み上げたカードを示す。
「『ヴァンキッシュ!』はオレも最近ちょっとハマっててさー。こいつはね、『マルチバースの融合から混乱が始まった世界で派遣を争い合う』っていう背景設定があってさ……まずゲーム開始時にライフ5点を……」
曰く。『攻撃的な征服者たちの“赤”』とか『正義を導く聖戦士たちの“白”』とか。さまざまな『色』のテーマが存在し、多彩な戦略と手に汗握る攻防が楽しめる……という触れ込みだという。混色可能。色やテーマによってカードイラストの雰囲気もまるで異なるため、見た目にも華やかだ。『歌とダンスで魅了する“♡(ピンク)”』も人気が高い。
「……ってことで、怪人連中が出てくるまでは時間もあるからね。せっかくだから楽しんできなよ」
というわけである。
「やることはシンプル。カードゲームのフェスで遊んで、怪人が出てきたらやっつける。以上」
救助は雑にざっくりとした説明を終えると、グリモアに光を灯す。
「それじゃ、よろしくねー」
緊張感のない声で、救助は猟兵たちを送り出すのであった。
無限宇宙人 カノー星人
ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
カノー星人はカードゲームがすきです。つよくはありません。
この度の依頼のコンセプトは「カードゲームごっこ」となります。皆様のイメージで好き勝手カードや戦術を捏造していただければこちらで適当にアドリブと捏造を重ねてアレします。「カードゲームわかんないから適当に」でもこっちでアレします。今回はやりたい放題します。
また、日常パートにおいてカードバトルを行うプレイングをいただいた場合、特定のお相手との対戦描写希望がない場合はこちらで適当にマッチングを行いダイスとかで勝敗を決めて勝った負けたのカードバトル描写を行います。ごりょうしょうください。
なお、カノー星人のTCG知識には偏りがあるため、プレイングにご記載いただいたネタの方向性によっては拾えない場合もございます。こちらもあわせてご了承のうえご参加ください。
よろしくお願いいたします。
第1章 日常
『フューチャーステージ!』
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POW : 情熱的に楽しむ
SPD : クールに楽しむ
WIZ : 知的に楽しむ
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ゲットレディ!ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
対戦開始の掛け声があがる。
ここで『ヴァンキッシュ!』の遊び方についてかんたんに説明をしよう。
まず、『ヴァンキッシュ!』はトレーディングカードバトルゲームだ。さまざまな種類のカードを用いて自分の『場』にユニット(他のゲームではモンスターやクリーチャーとも言われる)を出撃させ、攻撃し、相手のライフを0にすることで敵を『ヴァンキッシュ(制圧)』することを目的としている。
カードの種別は『ユニット(モンスターやクリーチャー、キャラクターのこと)』、『スペル(使い捨ての特殊効果カード。魔法、呪文カード)』が基本となっているほか、『アーマメント(装備)』や『フィールド(永続効果)』などが存在する。これらを駆使し、自分の場を整え、相手に攻撃を仕掛けて勝利を目指すのだ。
カードにはそれぞれ色やコストが設定され、後述する『リソース』をタップ(カードを横向きにすることで使用済、行動済の状態をあらわすこと)することで使用できる。
ゲーム開始時、プレイヤーはそれぞれライフを5点もつ。基本的は、ユニットによる攻撃が相手に通ったときに減らせるのは一度の攻撃につき1点だ。(カードの能力により、一度に2点以上ライフを奪えることもある)すなわち、5回攻撃を通せば勝利となる。
ターンの流れについて説明しよう。
各ターン開始時にはスタートフェイズを宣言する。
続けてリブートフェイズ。これは前のターンでタップ(使用済、行動済)になったカードをアンタップ(タップの対義語。横向きのカードを縦向きに戻すことで、未使用、未行動状態をあらわすこと)し、行動に備えるタイミングだ。
次にドローフェイズ。山札からカードを引き、手札を補充する。『ヴァンキッシュ!』においてはドローフェイズでカードを2枚引く。
続けてリソースフェイズ。このタイミングでは、『リソースエリア』と呼ばれる領域に自分の手札から1枚カードを置くことができる。リソースエリアのカードは以後自分のカードを使うときのコストの支払いに使用することができる。
ここまで終えたら、いよいよメインフェイズだ。メインフェイズでは、リソースのカードをタップしてコストを支払うことでユニットカードを場に出撃させたり、カードの能力を使用して自分の場を整えることができる。
そしてお待ちかねのバトルフェイズだ。バトルフェイズでは自分の場のユニットをタップし[行動済]状態にすることで攻撃を宣言できる。ただし、相手の場に[未行動]状態のユニットがいれば、相手はそのユニットを[行動済]にすることでその攻撃をブロックすることができる。この時、攻撃したユニットとブロックしたユニットのパワーを比べ、パワーが低い方は場を離れトラッシュ(墓地)へと置かれることになる。同値の場合は相打ちとなり、お互いに場を離れる。
また、攻撃宣言後は『カットインタイミング』が発生する。この時、お互い手札に《カットイン》の能力をもつカードがあればコストを支払うことでそれを使用できる。例えば、相手の攻撃に対して手札から《カットイン》をもつスペルカードを使うことで、相手の攻撃を防いだり、逆に自分の攻撃時にカットインすることでユニットのパワーを強化することができるのだ。なお、カットインタイミングの優先権は防御側からとなっており、攻撃側は相手のカットインタイミングの処理後、自分のカットインタイミングを宣言することができる。防御側はその後更にカットインすることも可能だ。カットインタイミングはお互いに「もうカットインしない」と宣言するまで交互に使用することができる。こうしてカットインタイミングの処理を全て終えた後、バトルの結果の処理へと移る。
こうした攻防とカットインの応酬が『ヴァンキッシュ!』の持ち味だ。自分の攻撃のためにリソースを使い過ぎると相手の攻撃をブロックするためのユニット(攻撃宣言で[行動済]になったユニットは当然相手ターンにブロックを宣言することはできない)が確保できなかったり、カットインするためのコストを支払えなくなるジレンマに陥るのである。
また、ダメージを受けたプレイヤーは山札の上から受けたダメージの分だけカードを裏向きのままリソースエリアに置く。これによって置かれたリソースは以後全ての色に対応するリソースとして支払うことが可能になるのだ。相手にダメージを与えるのは、同時に相手側のリソースを伸ばし逆転の可能性を与えるリスクも負うことになるのである。
こうして互いに場を整えながら交互にターンを繰り返し、勝利を目指す。これが『ヴァンキッシュ!』の戦いだ。
ここまで長々と解説を行ってきたが、わからなければもう適当にやってしまえばいい。あとはだいたい雰囲気でなんとかなる。
さておき。
「『ヴァンフェス』へようこそ、ヴァンキッシャーの皆様。私はヴァンキッシュガイドの『戦場ヶ原(ばとるがはら)・らる』ともうします」
フェスへと到着した猟兵たちを、バトルコスチュームに身を包んだ女性型バーチャルキャラクターが迎え出る。
「ヴァンフェスははじめてですか?ではご案内いたします。あちらはフリーバトルスペース。皆様で自由にヴァンキッシュを楽しむことができます。反対側は物販コーナー。スリーブやデッキケース、各種サプライの販売や、飲食コーナーもございますよ。それから奥はイベントステージ。ステージイベントや、最新のイマジナリビジョン投影システムを使用し、カードのユニットたちがフィールド上に現れる大迫力のバトルがお楽しみいただけます。それから大会受付は……」
ガイドは矢継ぎ早に猟兵たちへと言葉を浴びせかけ、手短に会場内の案内を行う。同時にパンフレットの配布もしてくれた。君たちはカードバトルに興じて過ごしてもいいし、物販コーナーで会場限定先行発売の最新カードパックを購入するなどしてこれから襲いくるオブリビオンとのカードバトルに備えてもいい。
隣・人
「うおおお! 隣人ちゃんの【2ターン目】ですね!!! 先ずはアンタップ……は何もないですね。普通に二枚引きましょう。続いてリソース【黒】を置きましょう。そうして。ふ。ふふふ……【黒】と【青】のリソースをタップ。手札から【スペル】『暗黒接触』を発動!!! アンタの手札を見ないで一枚『トラッシュ』に置いてやります!!! これが隣人ちゃんの嫌がらせデッキです!!! さあ、アンタの絶望する貌が楽しみですねぇ! は、は、は!!!」
使用するデッキは『黒青』の手札戻し手札破壊
出てきた敵の巨大ユニットを手札に戻し、その手札を枯渇させる嫌がらせの極みです。最後は序盤に並べたユニットをフィールドで強化して一斉攻撃
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
カードゲーム、なぁ。
そこまで詳しくはないんだよなぁ……
なんだっけ、デッキ?とか作って
コンボ?みたいなのを決めて勝つんだろ?
妙な呪文ぽいのもあるけど、大丈夫かねぇ……
何はなくともまずはカードがないとね。
適当にパックを剥いて、っと。
お、このカード強そうだし『コミュ力』で『情報収集』して
組んでみるかねぇ?
【デッキ傾向】
低コスト高パワーながら攻撃できない制限を持つユニット主体の
いわゆる壁デッキ。
序盤を凌ぎつつ「ダメージを受けるが追加ドローする」フィールドと
「毎ターン1ライフ回復する」フィールドを展開しリソース差をつける。
決め手は自軍全体強化と敵軍攻撃強制のカウンターコンボ。
「カードゲーム、なぁ。そこまで詳しくはないんだよなぁ……」
数宮・多喜(f03004)はプレイスペースの端、デッキ構築や調整を行うヴァンキッシャーのために用意されたコーナーにいた。購入したパックを開封し、カードを眺める。
「えーっと……なんだっけ?デッキ?を、つくって……コンボ?を、決める、んだっけ……」
多喜はTCG初心者である。これまでほとんど触れたことはなかったが、せっかくフェスなど開かれている最中である。たまにはいいか、の精神で彼女はデッキ構築を開始した。
「……お。強そうじゃないか、これ」
『鉄輪従騎士 ラタータ』。『銀』のユニットカード。どことなく多喜の愛車に似ている。銀は《鋼鉄皇帝軍》や《フルメタル忍軍》など、機械や金属をイメージしたデザインが多い色だ。そのイメージを反映してか、防御的な能力に秀でる傾向がある。ラタータはコスト2。パワー5000。このパワーは本来ならばコスト3のカードの数値だ。
「……『このユニットはアタックできない』?ああ、なるほど。パワーが高いかわりにこういう制限があるんだ」
ブロッカー専用ユニットということか。多喜は銀を中心にカードを集め、テキストを確認していく。
「《鋼鉄皇帝軍(インペリアルスティールズ)》ですね」
「いんぺ……何?」
ふわ、と多喜のかたわらに現れたのはヴァンキッシュガイドのバーチャルキャラクターだ。彼女は初心者の講習役も兼ねて会場を巡回している。
「はい。そのカードをもちいたデッキタイプのことです。カードのこの下の部分に、《鋼鉄皇帝軍》とあるでしょう?」
「あるね」
それはカードの属性である。そのカードに描かれたキャラクターがどんな所属なのか、というフレーバーであることとあわせて、デッキを構築する際に能力がつながる条件になるのである。
「例えばこの《鉄血宰相の令》というフィールドは……」
「ふんふん……」
「そこでこの《超弩級鋼鉄病棟》を合わせることで……」
「そういうことか……!」
せっかくのタイミング。多喜はガイドからレクチャーを受け、そうして情報を噛み合わせながらデッキを構築してゆく。
デッキ構築とは、パズルを組み上げるような行為でありながら叙事詩を紡ぐのにも似ている。それが完成したときの喜びはひとしおなのだ。多喜のデッキは着々と完成に近づいていた。
一方。
「隣人ちゃんのターン!ふふ。ふふふ……ドロー。そして黒のリソースを置きます……さあ、ここからが本番ですよ!メインフェイズ、隣人ちゃんは手札からフィールドカード『螺湮城』を展開!フィールドの効果によって、隣人ちゃんの《深淵》が相手のライフに与えるダメージは+1されるんですよ!」
「なんだって……あれだけ展開したユニットがぜんぶ2点アタックを!?」
「ふふ。ふふふ……!これで終わりです。バトルフェイズ!!『祭祀代行者クリト=リトリル』でアタック!!!アタック時能力!隣人ちゃんは自分の手札を1枚破棄!することで!相手の手札を1枚捨てさせます!」
「グアーッハンデス!!」
「カットインありますか!!!」
「ありません!ライフで受けます!」
「は、は、は!そちらに受ける手札はありません!!これで隣人ちゃんの勝ちですね!!いいヴァンキッシュでした!!」
「いいヴァンキッシュでした!ありがとうございました!」
隣・人(f13161)は既にのめり込んでいた。彼女は手早く完成させた黒・青混色の《深淵》デッキを用い、このフリーバトルコーナーで既に4連勝を飾っている。『相手に手札を捨てさせる』能力がこのデッキの特徴のひとつだ。手札破壊による嫌がらせの戦術は相対したものにトラウマすら残す場合がある。友達を無くしやすい戦い方のひとつだ。
「さあ、次は誰ですか?」
隣人ちゃんは視線を向けた先。
運が悪いことに、そこを多喜は偶然通りがかってしまった。
「……え。あたし?」
「ではでは、どうぞどうぞ席についてください。さあ、さっそく始めましょう!!」
がし、と多喜を掴んだ隣人ちゃんは多喜をテーブルへと引きずりこむ。そして、フィールドにカードを広げバトルの準備を開始した。
「うーん……あたしも今デッキ作ったばかりだし、お手柔らかに?」
「はい!!ではいきましょう、ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
「うおおお!!隣人ちゃんのターンですね!!!先ずはアンタップ……は何もないですね。普通に二枚引きましょう。続いて黒のリソースを置きましょう。そうして。ふ。ふふふ……」
隣人ちゃんのカード捌きは淀みない。既に何年も経験しているベテランめいた手捌きで彼女はカードを繰る。
「黒と青のリソースをタップ。手札からスペル『暗黒接触』を発動!!! アンタの手札を見ないで一枚トラッシュに置いてやります!!!」
「手札を捨てろってこと!?」
早速の洗礼!多喜は隣人ちゃんの邪悪な手札破壊デッキの恐怖に晒される!
「これが隣人ちゃんの嫌がらせデッキです!!! さあ、アンタの絶望する貌が楽しみですねぇ! は、は、は!!!隣人ちゃんはこれでターンエンドです!!」
「くそ、いい性格してるね……!あたしのターンだ。ええと、リソースにカードを置いて……メインフェイズ!あたしは手札からフィールド『鉄血宰相の令』を使う」
「はじめてみるカードですね……。テキスト確認いいですか?」
「ええと……『相手のターン終了時、そのターンに自分のライフが減っていないなら、自分は1点ダメージを受けてよい。そうしたとき、自分は1枚ドローする』」
「自傷とドローということです……?」
「お楽しみはここからさ。あたしはこれでターンエンドだ」
序盤は互いに大きな動きはない。しかし、どちらも着々と地盤を固めていく。次のターンで隣人ちゃんは再度『暗黒接触』で手札を破棄させ、余ったリソースで小型のユニットを出撃してターンエンド。一方多喜は続くターンで『超弩級鋼鉄病棟』を展開する。
「それもはじめてみるカードですが……」
「『自分のターン開始時、自分のライフが5以下なら、ライフを1点回復してよい』……っていう効果をもつフィールドだね」
「……そういうことですか!!」
フィールドコンボだ!『鉄血宰相の礼』で追加ドローを行うダメージリスクを『超弩級鋼鉄病棟』によるライフ回復で帳消しにし、実質的にノーコストのドローに変えるコンビネーションである。また、ダメージを受けた際のリソース加速も加わり、実質的に得られるアドバンテージは非常に大きい。
「更にあたしは『鉄輪従騎士 ラタータ』を出してエンド」
盤面は傾きつつあった。隣人ちゃんは手札破棄を続けるが、多喜のフィールドコンボによるアドバンテージ獲得速度が速い。
「隣人ちゃんのターン!!こちらは『祭祀代行者クリト=リトリル』を出撃……ですが攻撃に出ても返り討ちに遭いますね……ここはターンエンドです」
「なら、鉄血宰相でドローして1ダメージ受けるよ。ダメージでリソース増やしてあたしのターン……鋼鉄病棟でライフを回復。ドロー。リソースは置かなくてもじゅうぶんだね。メインフェイズにあたしは『迎撃隊長ストライバ』を出撃し、ターンエンド!」
「くっ……場が整っていきますね」
ここで戦いは動き出す。手札破棄の攻勢を受けながらも確実に盤面を整えた多喜がその戦術を起動する。
「メインフェイズに『深淵の妖蟲』を出撃し、バトルフェイズはスルーしてそのままターンを……」
「その終了宣言は待ってもらうよ。迎撃隊長ストライバの能力を発揮!相手のバトルフェイズ開始時、あたしは相手のユニットを1体指定し、強制的にアタックを宣言させる!」
「なんですとー!?」
そう、これこそが多喜のデッキ、《鋼鉄皇帝軍》の戦術である!アタックを強要し、パワーの高いユニットでそれを受けることで相手の盤面を崩す戦い方なのだ。
「『深淵の妖蟲』でアタックします!!!したくありませんけど!!カットインありますか!!」
「カットインはないよ。そのアタックはストライバでブロック!更に効果発動!迎撃隊長ストライバは相手の攻撃をブロックしてそのバトルに勝ったとき、相手に1点ダメージを与える!」
攻防一体!このデッキは『守りこそ攻め』なのである!
「むむ……!ですがそこはカットインさせてもらいますよ!バトル中カットインタイミングで青リソースを払ってスペル『大禍の大渦』を発動!ストライバを手札に返します!」
「そうきたか!」
白熱する攻防!だが、趨勢は傾いた。この戦術の強みは、『相手のターンに行われる』ということである。この攻防を終えた後は、多喜のターンなのだ。多喜は再び盤面を整え、次の攻防に備える。そうして再びアタックの強要!これを繰り返したその結末は――
「ストライバの能力を発揮!最後のライフ、頂くよ!」
「わーっ!!やられました!!」
Vanquish!勝者、数宮・多喜!
「ありがとうございました、いいヴァンキッシュでした……。むう、フィールド対策を積まないといけませんね」
「そうだね、今回は宰相と病棟が最速で揃ってたから勝てたけど、そうでなきゃ辛かったと思うよ」
感想戦はヴァンキッシャーの嗜みだ。2人は互いに今のバトルを振り返り、デッキ構築の再考に繋げる。
「……もう一戦いいですか!」
「いいとも。受けて立つよ!」
かくして、2人は再び席に着いた。
フェスの喧騒の最中、勝負は続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ラモート・レーパー
「陰が現れる気がして来たのですが……」
普段文化的な生活をしていないためこうゆう催しモノには縁がないですが陰が出るなら仕方なしです。
UCで足りない分の知識を補填し、カードショップでカード買いに行ってデッキを作ってきましょう。
作るデッキはアガッド神話のエレキシュガルあたりをモチーフにしたロックデッキ。
七つの門をモチーフのカードで相手カードの効果を対処、ネルガルモチーフのカードでモンスターの攻撃を封じて追い詰めていきましょう。切札のエレキシュガルは召喚条件厳しくてよっぽどのことがないと出せないと思います。
中村・裕美
WIZ
「……ダメージカードの存在がある程度混色しやすくしてるかしら?」
せっかくだしカードゲームにちょっと手を出してみようかと
デッキのメインは『滅びをもたらす暗黒魔導士の“黒”』にサポート系の青を織り交ぜる。
「……倒されても戦場復帰の手段がある……アンデッド系……いいわね。……あとは……フィールドと……他のユニットの相性を……」
耐久力の高いユニットで守っている間にスペルやユニットの特殊効果で相手の行動に制限をかけたりしてゆくスタイル。総合的な攻撃力が足りないならば、デッキ破壊系の戦術も考慮に入れる。
対人戦はコミュ障なので最初は緊張するが、ゲーム用語しか喋らなくていいので、だんだん気が楽になるかも
エドゥアルト・ルーデル
うーむ…色んなTCGがあるもんでござるね
別の依頼で一回やった程度だから未だによくわからん…
ルールも聞いただけではわからん…
なのでじっくり見に回りますぞ!他人の戦いを眺めながら腕組み、「ほう…」とか言いながら後方玄人面
聞かれたら普通にわからんと答えるがね
なんとなくリソース管理が重要とわかったのでリソースを…潰す!方向でデッキを考えますぞ
合わせて盤外戦術の準備もでござるね!
なんか良い感じのカードを仕入れるでござるよ!マネーイズパワー、回転数が命だ!
これはあくまで仕込みであって一般プレイヤー相手に大人げない真似はしないでござるよ(多分)
オブリビオン相手はルール無用だろ
カードゲームわかんないから適当に
「……ダメージカードの存在がある程度混色しやすくしてるかしら?」
中村・裕美(f01705)はルールブックのページをめくりながら、かたわらに置いたカードの束に視線を落とした。
『偽骸繰り シャイナ』。『ドクトリーヌ・フランソワ』。『フランソワの怪物』。トラッシュ利用や相手へのハンデスや制限、妨害といった能力に秀でる“黒”のカードだ。愛用者は多く、現在の大会環境は黒青が3割程度を占めるとされている。
「ふーん……レシピを……参考にすると……こう……?」
裕美はカードを広げ、更にデバイスで大会入賞デッキのレシピを検索。カードテキストと見比べながらデッキ構築のためにカードへと手を伸ばす。
「……倒されても戦場復帰の手段がある……アンデッド系……いいわね。……あとは……フィールドと……他のユニットの相性を……」
「ほほう。黒のカードでござるな?」
エドゥアルト・ルーデル(f10354)は横から首を突っ込んできた。
「ヒッ 誰ですか」
しかしコミュ障陰キャであるところの裕美はビビる。同年代の女子とかならまだしも知らないおじさんである。ビビる。
「えっ いや拙者はただ……同じ陰キャのにおいがしたので……」
だがエドゥアルトも悪気があったわけではないのだ。陰キャ同士の悲しいすれ違いであるとも言えた。TCGプレイヤーの間でも時々見られる光景だ。
「あ……そうですか……すみません……」
「アッ こちらこそ申し訳なかったでござる……」
「ぼくもデッキをつくったんですよ」
「えっ今度は誰」
そこにしれっと混ざってきたのはラモート・レーパー(f03606)である。
「こうゆう催しには縁がないんですが、陰が現れる気がして来ました」
「拙者らが!?」
「あの……陰キャのことじゃ……ないと、思います……」
閑話休題。
そういうわけで、裕美とラモートが対戦することになった。
TCG経験の浅いエドゥアルトは後ろからバトルの様子をじっくりと眺め、戦いへのイメージを高めるのだという。
「げ、ゲットレディ……!ええと、ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ」
「よろしくおねがいしまーす」
先手はラモートが取る。互いにルールブックを確認しながらターンを進める。スタート。リブート。ドロー。リソース。ラモートはリソースに黒のカードを置き、そのまま手番を終了。裕美も同じくリソースを置く。互いに最初のリソースは黒であった。
「ほう……」
よくわからないがわからないなりにエドゥアルトはツラだけ玄人みたいになりながら観戦する。
序盤の数ターンは互いにリソースを置いてゆく展開が続いた。試合は4ターン目から動き始める。
「ぼくは手札から『クルヌギアの七門』をだします」
「……テキスト確認、いいですか……?」
「どうぞ」
『クルヌギアの七門』は《冥府》のカードカテゴリに属するフィールドカードである。『相手がスペルの使用を宣言したとき、効果解決前に黒2コストを支払ってよい。そうしたとき、自分は山札を3枚トラッシュに置き、手札を1枚捨て、そのスペルの効果を無効にする。この効果は各ターンに1回まで使える』。強力な妨害効果だ。
「なるほど……」
裕美はこのカードから相手のデッキの内容を類推する。デッキタイプはどちらも同じ黒。相手に制限をかけながら戦う戦術だ。
「前弾の環境カードですね」
「ほう、環境カードでござるか」
環境ってなんだろう、と首を捻りながらエドゥアルトはヴァンキッシュガイドのバトル解説を聞いた。
「環境とは、『大会などで使用率の高いデッキタイプ』や、『そのデッキのメインカードや採用率が高いカード』のことを言います」
「なるほど?」
「『つよいからみんな使ってるカード』という意味ですね」
「ほう……」
一方、裕美も一手遅れながらもカードの展開を始めた。
「メ、メインフェイズに、入ります……」
黒を含む3コストを支払い『フランソワの姉妹 キューティ・ドゥ』を出撃する。《屍人》カテゴリのカードだ。『このユニットが場からトラッシュに置かれたとき、2コスト払ってよい。そうしたとき、このユニットをトラッシュから場に出撃する。この能力は1ターンに1回だけ使える。』。コストを支払うことで何度でも展開が可能なのだ。
「ほう……イラストがかわいいでござるな……」
なお、『キューティ・ドゥ』は青髪のツギハギ美少女である。フランケンシュタインの怪物の物語を元ネタにしていることは想像に難くない。
「……」
裕美は静かに息を吐いた。
同業の猟兵といえど見知らぬ他人との会話はコミュ障陰キャ気質の彼女にとってハードルの高い挑戦であったが、実際にやってみればゲーム内で行うことは基本的に行動宣言だけなので通常の会話やコミュニケーションよりもだいぶ気が楽だ。ややリラックスした裕美はあらためて手札を確認しながら先の展開を検討する。
「こっちのターンですね。7コスト払って『冥府神ネガ・ルガル』を出します」
互いにライフダメージのないまま迎えた第7ターンで、ラモートは大型ユニットを出撃させた。
「ほう、冥府神」
「ご存知でしたか?」
「いや、ぜんぜんわからん……」
「ぼくの『冥府神ネガ・ルガル』は、『コスト3以下の相手のユニットがアタックしたとき、自分の山札から3枚をトラッシュに置くことで、アタックしているユニットを即座にトラッシュに置く』能力と、『カットイン/相手のユニットがアタックしているバトル中、3コスト支払い、自分の山札を3枚トラッシュに置くことでアタックしているユニットをトラッシュに置く』能力をもちます」
ラモートがカードを見ながらテキストを読み上げる。相手のアタックを制限する強力な妨害効果だ!
「妨害に加えてトラッシュも増やす……!アドバンテージの塊……ですね……」
「ぼくはこれでターンエンドです」
戦いの趨勢はラモートに傾く。だがここで裕美はひとつの勝機を見出した。
「私のターン……リソースを増やして……メインフェイズはなにもせず、そのままバトルに移行します」
ここに至るまでに裕美が展開したユニットは3体。『フランソワの姉妹 キューティ・ドゥ』。『フランソワの姉妹 ビューティ・アン』。そして『ドクトリーヌ・フランソワ』。いずれも《屍人》のユニットだ。
「ビューティ・アンでアタック……!」
「そのユニットはコスト3、ネガ・ルガルの能力でトラッシュに置きます」
ラモートは山札のカードをトラッシュへと送りながら、裕美のユニットを破壊する。ラモートのトラッシュにはここで切札である『冥府の主人 アルラトゥ・イルカルラ』が落ちた。『このユニットは手札から出撃できない』『このユニットは自分のトラッシュが20枚以上なければ出撃できない』という大きな制限を持つが、『このユニットがトラッシュにあるとき、手札にある時と同じようにコストを払ってトラッシュから出撃できる』『このユニットが出撃したとき、自分のトラッシュのコスト4以下の《冥府》のユニットカードを5枚まで選び、コストを支払わず場に出撃させる』などの能力をもつ大型のフィニッシャーカードだ。
「ここからです……!ドクトリーヌ・フランソワの能力を使用……《屍人》が相手の効果でトラッシュに置かれたとき、1枚ドロー……更に、手札を1枚捨てることで、ビューティ・アンをトラッシュから場に再度出します……!」
「『クルヌギアの門』で無効化……は、リソースが足りないですね」
「やっぱりコストの概念が重要なのでござるな」
「そうですね、あるに越したことはありません」
勝負の行く末を見ながらエドゥアルトは思案する。
「ビューティ・アンでもう一度、アタックします」
「それもネガ・ルガルの能力でトラッシュに送ります」
ここで裕美の攻め手は止まり、ターンエンド。返すターンでラモートは切札である『アルラトゥ・イルカルラ』を出撃し、一気に盤面を埋めた。
「これで、攻めきりますよ」
猛攻!展開された《冥府》のユニットが次々に裕美へと攻め立てる。しかし、裕美はキューティ・ドゥで内2回のアタックを止め、更に残しておいたリソースで青のバウンススペルを起動。アルラトゥ・イルカルラを手札に返し、更に攻撃を止めた。結果、裕美のライフは1点を残す。
「……このターンで、決めます!」
再び得たターンで、裕美は手札を繰る!
「スペル、『黒き大疫』を使います。2コスト払い、お互いの山札を3枚ずつトラッシュへ」
「……まさか」
ラモートは山札を見た。
残る枚数は――8枚!ネガ・ルガルの破壊能力を使うためにデッキを削ったのが仇になったのだ。スペルの効果で3枚を落とされ、5枚。裕美は更に同じスペルを起動した。残り2枚!
「更に、青を含むコストを払いスペル『共益の知恵』。私と相手はお互い2枚引きます……!」
これで、ラモートの山札は0枚。デッキアウト!引けるカードがなくなったため、これで試合は決着する!
「……ええと、勝った時はこう言うんですよね。『ヴァンキッシュ』!」
Vanquish!勝者、中村・裕美。
「なるほどー……こういう勝ち方もあるんですね」
ラモートはデッキを片付けながら一礼。
「なんとなくリソース管理が重要ということはわかりましたぞ」
その一方で観戦していたエドゥアルトはデッキの方向性を固めていた。解説をしてくれていたガイド役のバーチャルキャラクターに声をかける。
「リソースを……潰す!方向でデッキを考えますぞ」
「でしたら赤の《暴族》がおすすめです」
「ヒャッハー系っぽい感じのネーミングですな……まあいいでござる!おすすめのパックを買わせてもらいますぞ~。なんか良い感じのカードを仕入れるでござるよ!マネーイズパワー、回転数が命だ!」
合わせて盤外戦術の準備もでござるね!エドゥアルトはグッと拳を握って物販コーナーへと足を運んだ。
「おおっと。これはあくまで“仕込み”であって一般プレイヤー相手に大人げない真似はしないでござるよ」
「……誰に向かって話してるんです?」
しかして、オブリビオン相手はルール無用だろう。エドゥアルトはカメラ目線でにやりと笑った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
鈴木・志乃
※第三人格『ナナシ』で行動
戦略で戦う遊びがあるとは聞いていたが、こんなに盛り上がっているとはね
オブリビオンとの戦闘にもこのゲームが重要らしいし、僕もやってみようかな(わくわく)
【情報収集、学習力、第六感、見切り、罠使い】
攻略サイトで最近の対戦環境と人気構築までさらって、と
僕が好きなのはデッキ破壊やパーミッション、コントロールと呼ばれる部類かなぁ……
カードの大量バウンス……リソースの撤去……
デッキのあちこちに罠をしかけて、相手のキーユニットをゲームから除外する……継戦能力自体の破壊……
考えただけで楽しくなってきたよ
問題はデッキのキーになるカードを手に入れられるかだけど
……有り金使うか
志乃ごめんよ
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
へ―…カード、かぁ。
トランプ系はそこそこ経験あるけど、こういうのも面白そうねぇ。ちょっとやってみようかしら。
あたしのは「補充と妨害の“青”」と「残虐と黄泉還りの“黒”」を混合したいわば「カットイン特化デッキ」。
装備している限り攻撃不能の《激流の檻》やユニット一体を墓地送りにする《荒野の早撃ち・ハリケーン》なんかを満載して行動を制限するコントロールデッキよぉ。
こっちの切り札は「自ターンにカードを使用していないならトークンを場に出す」能力を持つ《七大罪の公主》ねぇ。
…まぁ、スロースターターだから速攻系デッキには相性悪いのよねぇ…
(イメージはMTGのシミック・フラッシュ)
「戦略で戦う遊びがあるとは聞いていたが、こんなに盛り上がっているとはね」
「そうねぇ。あたしもトランプ遊びはそこそこ経験あるけど……こういうのも面白そうねぇ。ちょっとやってみようかしら」
鈴木・志乃(f12101)とティオレンシア・シーディア(f04145)は会場前で行き摩る。2人が向かったのは物販スペースだ。トライアルデッキとカードパックを購入。そしてプレイスペースへ移動し、カードを広げながらデッキ考案に入る。
「対戦環境は黒青が人気みたいだね」
志乃――正確にはその別人格である『ナナシ』は手元の端末でヴァンキッシュの情報交換サイトを見ながらカードデータやデッキタイプを見る。
「あたしもそうするつもりよぉ。このゲーム、カットイン能力が楽しそうじゃない?」
ティオレンシアが手にしたカードは、『荒野の早撃ち ハリケーン』。コスト5のユニットカード。『カットイン/【手札】このカードのコストを払い、パワー6000以下の相手のユニット1体をトラッシュに置くことで、手札にあるこのユニットを自分の場に出撃する。』。『[クイックドロウ!]【手札】相手がスペルの使用を宣言したとき、その効果解決前に青1コストを払ってよい。そうしたとき、手札のこのカードをトラッシュに置き、そのスペルの効果を無効化する。[クイックドロウ!]は1ターンに1回まで使える』。カウンターを意識した能力をもつ除去カードだ。
「いいですね、そういうのも……僕はどうしようかな……。バウンス……リソース撤去……デッキのあちこちに罠をしかけて、相手のキーユニットをゲームから除外する……継戦能力自体の破壊……」
「あらぁ。搦め手が好きなのねぇ?」
「そっちこそ」
ティオレンシアと志乃/ナナシは顔を見合わせてにこにこと、それはもうたのしそうに笑った。ここまで何名かの猟兵たちが別でもこのフェスを訪れているが、黒と青はどういうわけかおそろしく人気がたかい。
「……これ、良さそうかもしれないな」
そんな中、志乃/ナナシが注目したのは緑のカードだ。《風賀忍軍》。『策謀の忍鬼 ヒスイ』。『[隠密]このユニットを手札から場に出すとき、[隠密]を宣言することでカード名を宣言せず、裏向きで場に出してよい。コストの支払いは通常通り行う』。
「隠密?」
「えーと、説明がついてるから読み上げてみるよ」
[隠密]状態のカードは場に1枚まで存在でき、そのカードがアタックまたはブロックするとき、または相手の効果の対象になったときに表向きにする。
「へえ、面白いわねぇ」
「それで、このカードは?」
志乃/ナナシがカードテキストの続きを確認した。
『このユニットがバトルまたは相手の効果で[隠密]状態から表向きになったとき、相手のリソースが自分のリソースより多いなら、相手の表向きのリソースを2枚まで選びトラッシュに置く』。
「リソース破壊!」
「これ、強いんじゃないかしらぁ?」
罠を仕掛けるような戦い方か。志乃/ナナシは内心心踊る思いで[隠密]をもつカードを探し始めた。
なお、場に既に[隠密]状態のユニットがいるときに別の[隠密]ユニットを出したい場合は、場にある方のカードを表向きにして[隠密]を解除することで新たに出すカードを[隠密]で登場させることができる。
「『縛鎖結界 テッサ』……これも強いね、『隠密解除されたとき、相手のユニットを3体まで[行動済]にし、この効果で[行動済]になったユニットは次の相手のリブートフェイズで[未行動]にならない』か」
「[隠密]は待ち伏せの罠って感じなのねぇ」
「そっちはどう?」
「順調よぉ。SSRもきっちり引いたわぁ」
ティオレンシアがパックから引き出したカードは『七大罪の公主』。黒のユニットカードだ。コスト7。『自分が使う《カットイン》のコストは1減る。(コストは1以下にならない)』、『自分のエンドフェイズ開始時、このターンに自分が手札からこのユニット以外のカードをプレイしていないなら、『コスト3/パワー4500/このトークン・ユニットが場を離れたとき、自分は1枚ドローし、このカードをゲームから除外する』を持つ《罪業騎士》トークン・ユニットを生成する』。
「そちらもなかなか趣味はよろしいようで?」
「お互い様よぉ」
2人は笑い合いながら開いたカードの山から、必要と判断したカードを揃えて自分のデッキを構築してゆく。
「ん……これ、出てないな」
「あらぁ。足りないカードがあるのぉ?」
志乃/ナナシは手元のカード束と端末に表示した《風賀忍軍》のキーユニットを見比べて眉根にしわを寄せた。
『第61代目当主 ツムジ』。『このユニットが場にいるなら、自分が場に置ける[隠密]の枚数を+1する』。『自分の場に[隠密]のカードが置かれたとき、1枚ドローする』。《風賀忍軍》の強力なカードだ。
「……うーん」
[隠密]を軸にしたデッキには非常に有用だ。あるとないとでは動きが大きく変わるだろう。
「……有り金使うか」
志乃、ごめん。心の中で本来の人格に謝罪すると、志乃/ナナシはカードパックの追加購入を決めた。席を立ち、再び物販コーナーへと足を向ける。
「付き合うわぁ。あたしももうちょっと欲しいカードがあるし。お互いデッキが完成したら対戦してみましょう?」
ティオレンシアもそれに続いた。
かくして、猟兵たちはそれぞれおもいおもいに『ヴァンキッシュ!』の世界を楽しむ。
「ジャラジャラジャラ……!見ているがいいカネ!このフェスは我々怪人軍団が支配するカネ!」
「ジュエジュエジュエ〜!我々のマネーパワーで作り出した最強SSRデッキは無敵ジュエル!」
だが、明るい活気に満ちたフェスの裏で、怪人たちの邪悪な野望は着々と進行していたのであった。
猟兵たちの本当の戦いは、間も無く始まる!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『マニーギャザラーズ』
|
POW : 金庫怪人・ウェポン
【金庫兵器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : おサイフ怪人・ジェノサイド
【おサイフ攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ジュエリー怪人・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【ジュエリー】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「それでは、これよりステージ特設イベント!『ヴァンキッシュ!』ワールドチャンピオンシップ決勝大会を……きゃあッ!?何するんですか!?」
ステージ上で大会の案内を行なっていたガイドが、突如悲鳴をあげる!ざわつく会場内に雪崩れ込んできたのは、悪趣味な輝きに身を包んだ邪悪な怪人軍団だ!
「ジュエジュエジュエ〜!このヴァンフェスは我々怪人軍団が乗っ取らせてもらうジュエ!」
「お前たちはこれから一生我々のヴァンキッシュ奴隷としてデッキ調整用のサンドバッグになるボールト!」
「そんな身勝手なこと、許せるはずが……」
「うるさいカネ!!おサイフ怪人で相手プレイヤーにアタック!!」
「きゃッ!」
怪人がガイドを突き飛ばす!邪悪なダイレクトアタックだ。プレイヤーの風上にも置けない迷惑行為である!
「悔しかったら我々のマネーパワーで作り上げた最強デッキと勝負してみるカネ〜!」
「このジュエリー怪人の《銀緑リソブ鉄帝軍》!」
「金庫怪人の《赤単獄炎破壊コントロール》!」
「おサイフ怪人の《♡(ピンク)オンステージ》!」
「文句があるならば、我々をヴァンキッシュしてみるがいいジュエ〜!」
怪人たちはステージ上でカードを掲げながら鬨の声をあげる。そのカードはいずれもSP仕様の輝きを放つパラレル版だ。金の力で作り上げたフルSPデッキであった!
「……たのしい。そう。きっと。このきもち。この、エモーション。これがあれば、きっと」
そして、フェスの観客たちに紛れ、それを伺うひとつの影。
かくしてヴァンフェスの舞台は混迷をきわめる。猟兵たちよ、怪人軍団の暴虐に立ち向かうのだ!
隣・人
「隣人ちゃんの真のデッキ。嫌がらせの最悪を見せてやりますよ。オブリビオン相手なら何やっても大丈夫ですねぇ?」
ハンデスよりも友達を失くすデッキとは何か。決まっている。【青黒深淵】ではなく【赤黒深淵】で【コスト破壊】してやりましょう
【ランデス】だ!!!
「隣人ちゃんは赤4コストを支払いスペル【土地喰らう幼虫】を発動。貴様のコストを一枚トラッシュします。その唯一の【色】を!!!」
「ふふん。赤黒6コストを払いユニット【星喰らう蛆・ブホール】を召喚です。こいつが攻撃する時、てめぇのコストを二枚食い散らかしますよ。さあ、無様に這い蹲って死に絶えてください――は、は、は!!!」
「ジュエジュエジュエ~!どうしたジュエ?我々を恐れているジュエ~?」
「そう言っていられるのも今のうちですよ」
隣・人(f13161)はデッキを手にしながら舞台へと上がる。
「隣人ちゃんの真のデッキ。嫌がらせの最悪を見せてやりますよ。オブリビオン相手なら何やっても大丈夫ですねぇ?」
「ジュエジュエジュエ~!自信過剰は身を滅ぼすジュエ?このジュエリー怪人の最強デッキで圧殺してやるジュエ!」
「望むところですよ!」
隣人ちゃんとジュエリー怪人は、ステージ上に設置されたスタンディングヴァンキッシュテーブルで向かい合う。デッキをシャッフルし、そしてお互いに交換して軽くカット。互いにデッキのカットを行うのは紳士協定だ。オブリビオンといえど1人のヴァンキッシャーである以上はそれを破ることはない。
「さァ、準備はいいジュエ?ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
客席が声をあげ、猟兵とオブリビオンによるカードバトルを見守った。
「ジュエリー怪人のターン!ワタシは手札から緑のリソースを置きエンドするジュエ!」
「隣人ちゃんのターン!ドロー!赤のリソースを置いてエンドですよ!」
静かな立ち上がり。互いに速攻にあらず。だが、ここで先に動き出ししたのはジュエリー怪人だ。
「ジュエリー怪人のターン!リブート!ドロー、リソース!ジュエジュエ!緑と銀を含む3コストで『開拓騎兵トンデン』を召喚ジュエ!召喚時能力で山札の上のカードを表向きにしタップ状態でリソースエリアに置くジュエ。これでターンエンド!」
始まった!銀緑リソースブーストの理想的な動きだ。リソースの速度を上げることでコストの支払いを早い段階から高め、重量級のフィニッシャーユニットを相手より先に出撃させるデッキタイプなのだ!
「ふふふ……」
だが、ここで隣人ちゃんは笑んだ。
「隣人ちゃんのターン……。リブートアンドドロー。リソースを置いてメイン!隣人ちゃんは赤4コストを支払い、スペル『土地喰らう幼虫』を発動。貴様のコストを一枚トラッシュします。その唯一の色を!!」
「なにいッ!?」
リソース破壊!隣人ちゃんははじめからこれを考えていたのだ。ジュエリー怪人の銀緑リソブはその名の通りの混色デッキである。その中に採用される混色カードは、そのカードの持つ二色をともにコストで支払わなければプレイできないのである。例えば先に出た『開拓機兵トンデン』は、銀と緑の混色であるが故に銀と緑を両方とも支払わなければ出撃できないのだ。
「いま、そちらのリソースには銀のカードは1枚!それを狙い撃たせてもらいますよ!!」
「や、やめるジュエ~!」
スペル起動!ジュエリー怪人のリソースから銀のカードが外され、トラッシュへ置かれる!
「ターンエンド!ふ、ふふ!楽しくなってきましたね!」
「むむむ……!じゅ、ジュエリー怪人のターン……!り、リソースが足りないジュエ!銀のリソースを置いてターンエンド!」
ジュエリー怪人はリソース加速されていることを前提に7コスト以上を要求する大型のユニットを中心にデッキを組んでいたのである。ジュエリー怪人のデッキは足を引っ張られ、機能不全に陥りつつあった!
「そのリソースでは動けないでしょう。ふふ、もっと苦しめてあげますよ」
隣人ちゃんはサディスティックに口の端を吊り上げカードを繰る。隣人ちゃんのターン。1枚置いてリソースは6枚目。ここで彼女の双眸があやしく光る。
「ふふん。赤黒6コストを払いユニット『星喰らう蛆・ブホール』を召喚です!」
ここで切り札の登場だ!赤と黒の二色をもつ《深淵》ユニット。その能力は――
「『このユニットのアタックで相手のライフが減ったとき、相手のリソースの枚数が自分のリソースより多いか同じなら、相手の表向きのリソースを2枚まで選びトラッシュに置く』!」
「なんだとジュエ~!?」
「てめぇのコストを食い散らかしますよ!」
咆哮!フィールドを支配する深淵の怪物がその身をよじり、黙示録めいて敵のフィールドを食い荒らす!
リソース破壊――ランデスと言われるTCGの戦術のひとつだ。相手がカードを使うためのコストを抹消することで計算を狂わせ、身動きをとれなくし、そうして縊り殺す。これもまた、友達を失いやすい戦い方である。
隣人ちゃんは徹底的にジュエリー怪人のリソースを食い荒らし、リソースの管理をズタズタにした。相手が1枚増やせば1枚削り、2枚増やせば2枚削る。大型ユニットを並べて圧殺するはずだったジュエリー怪人のデッキはもはやサンドバッグ同然に機能不全に陥らされている!
「これでとどめです!!さあ、無様に這い蹲って死に絶えてください――は、は、は!!!」
「グアーッライフで受ける!!!」
「――ヴァンキッシュ!」
Vanquish!勝利宣言は高らかに響き渡る。勝者、隣人ちゃん!バトルに敗北したジュエリー怪人はもんどり打って倒れ、ステージ上で爆発し骸の海へと還る。盛大な歓声がフェス会場を包んだ。
「さあ、次の相手はなに怪人ですか!!」
「おのれ小生意気な猟兵ボールト!!次はこの金庫怪人が相手をしてやるボールト!」
続けて壇上へと金庫怪人が駆け上がり、そしてステージ裏に控えていたジュエリー怪人No.2が補充される。ヴァンキッシャーオブリビオンたちの戦意の炎は未だ消えることなく燃え続けているのだ。ステージ上で猟兵たちの戦いは続く!
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
UCと同時に真の姿に変化
本体(志乃)は配信者で万が一にも騒がれると大変だから『僕』にならないとね
僕は名無しの権兵衛さんだよ
これが初バトル、よろしくね?
破壊コントロール……
ある程度こちらのやりたいことも制限されるかな
僕の隠密デッキとそこまで相性は悪くないと思いたいね
まぁ、隠密って言いながら赤緑の混色だけど
忍が赤の武将達をサポートしながら戦う様子を想像したら燃えちゃってさ。リソースを剥いだ所に一発グサリ、だ
それに隠密は罠だから、目立っちゃいけない
隠密だと思ったら実は違うカードで……というトラップも勿論出来るようにした
カットインは盤面への影響はもちろん、プレイヤーの精神ダメージが多いものをセレクト
「さあ!この金庫怪人とバトルするのはどいつボールト!」
スタンディングヴァンキッシュテーブルの前に進み出た金庫怪人がやる気満々でデッキを構える。
「僕が戦おう」
その前に出てカードをかざすのは、鈴木・志乃(f12101)/ナナシである。白く翼を開くその姿はビジュアル的にも合格点。オーディエンスの熱気も高まる。
「貴様は何者ボールト!」
「僕は名無しの権兵衛さんだよ」
志乃/ナナシは淀みない手つきでデッキをシャッフルし、相手へと差し出す。互いにデッキカット。そして、バトルの準備を整えた。
「これが初バトル、よろしくね?」
「初バトルぅぅ~??侮っているボールト?初心者がこの金庫怪人様の《獄炎破壊コントロール》に勝てるはずがないボールト!手加減はしないボールトよ。ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!先手はもらうよ。僕のターン!」
志乃/ナナシのファーストターンは赤のリソースを置いて終了。だが、一方で金庫怪人は早くから展開する!
「金庫怪人のターン!ドロー!俺は手札から赤リソースを置き、メインフェイズに赤1コスト。『火種竜ボンファイア』を出撃するボールト!」
『火種竜ボンファイア』!《獄炎》のユニットである。『このユニットはアタックできない』『自分が《獄炎》のユニットを手札から出撃するとき、このユニットを墓地に置くことでそのユニットのコストを−2する(1以下にはならない)』!
「展開のサポートユニットか……」
「次のターンからの展開が楽しみボールトね!ターンエンド!」
ここで志乃/ナナシにターンが渡る。
「僕のターン、ドロー。手札から緑のリソースを置いて……2コスト支払い、手札のカードを[隠密]で出撃!」
「[隠密]!?裏向きでカードを出すボールト!?」
「おや、[隠密]を知らないのかい。僕はこれでターンエンドだ」
「むう……!いや、怪人は迷わない!金庫怪人のターン!ドロー・リソース!メイン!さあ、燃え上がるボールト!火種竜ボンファイアの能力を発揮し、コストを軽減!2コスチューム支払い、俺は手札から『獄炎竜騎バーナード』を出撃!」
火種竜が炎を散らして爆ぜ、その中から槍と翼が広がった。獄炎竜騎バーナード。《獄炎》の4コストユニットだ。戦場に降り立つ炎の竜騎士が燃ゆる槍から火を放つ!
「獄炎竜騎バーナードの出撃時能力を発揮ボールト!相手の場のコスト4以下のユニットを破壊する!」
「それを待ってたのさ」
「なにィ!?」
志乃/ナナシは破壊対象に指定された[隠密]ユニットを表向きにする。[隠密]はカードを裏向きに場に出し、そのユニットがバトルする際や能力の対象になったときに表にする。そうして隠密が解除された時に能力を発揮することができるのである。志乃/ナナシがオープンしたカードは、『爆破忍者 ミジンガクレ』!
「ミジンガクレの能力発揮!このユニットが相手によって隠密解除したとき、相手の場のコスト2以下のユニットを2体まで、またはコスト4以下のユニットを1体選び、破壊する!」
「な、なんだとォ!?」
爆発!影より現れた忍者が炎に槍に焼かれながら竜騎士へと襲いかかり、そして爆散!この場合は同時に効果処理を行う。どちらの場のユニットもトラッシュ送りだ。
「ぐ、ぬぬ……!罠を仕掛けるとはなんと卑劣ボールト!」
「心外だなあ。カードに書いてあることをしてるだけなのに」
ここにおいて、志乃/ナナシは心理的優位を得た。場に隠密カードがある限り、金庫怪人は常にその罠を警戒しなくてはならないのだ。
「僕のターン。さあ、そろそろ熱くなっていこうか!赤と緑を含む7コスト!行け、『忍将軍ユキムラ』!」
隠密を警戒した金庫怪人が攻め手を停滞したが故に流れは緩やかになり、ここで7ターン目を迎える。志乃/ナナシはここで大型ユニットを展開した。
「ユキムラの出撃時能力で手札から[隠密]をノーコストで出撃!」
「なにィ!?」
ここから趨勢は一気に傾いた。『忍将軍ユキムラ』は『隠密カードまたは[隠密]をもつユニットが場にいるならば、このユニットが相手に与えるダメージ+1』をもつ。更に志乃/ナナシはここに至るまでに相手のリソースを削り取る『策謀の忍鬼 ヒスイ』や破壊能力をもつ『シノビ十傑 サースケス』を展開していた。
「うんうん。忍はやっぱり武将をサポートしてこそだよね」
「き、貴様……!」
金庫怪人の盤面は隠密の罠によってズタズタにされている。そこにもはや打つ手はないと言えた。
「これで終わりだ!ユキムラでアタック!カットインありますか!」
「ありません!ライフで受けます!」
かくして、戦場を駆ける将は最後のライフを削り取る――Vanquish!
「ヴァンキッシュ!」
「グアーッいいヴァンキッシュでした!!」
勝者、鈴木・志乃/ナナシ!敗北した金庫怪人は胸から火花を散らして倒れ、そのまま爆発する!
「おのれッ!よくも我々の怪人仲間をヴァンキッシュしてくれたカネ!」
激昂して飛び出すおサイフ怪人!その手には輝くデッキを握る。次の対戦相手だ!
「次はこのおサイフ怪人が真のヴァンキッシュを教えてやるカネ……!」
客席は更に熱気を増した。なんかもう面白いから怪人を歓迎する雰囲気まである。舞台の上で、戦いは続く!
成功
🔵🔵🔴
日埜・晴翔
アドリブ・連携可
まず、違法カードじゃないか情報収集。それから手順にパターンが無いか他の試合を見て暗視&ハッキング、違反をしてたら撮影っと。
デッキは…即席でなんとかなるか!/UC
遊び相手になってくれるんだろ?デッキ作ったばっかだから、相手してくれよ。
何気ない参加者を装って間合いに入る。ある程度調子に乗らせておいて、フェイントやカウンターをぶっ放す。
ちょうど良くカードが巡ってこなかったら、物理で良いんじゃ無いか?「何の」相手をしろって言ってないし。
カードの攻撃パターンをマネして動くのも面白そうだな!
もし、金に物を言わせただけじゃなく違法なことがわかったら容赦しねぇ。
「ゲーム」は正々堂々とだぜ?
「さあさあさあ!誰がこのおサイフ怪人様と勝負するカネ!」
「なら、オレが出るぜ」
おサイフ怪人の声に応えてステージに上がるのは日埜・晴翔(f19194)である!
「遊び相手になってくれるんだろ?デッキ作ったばっかだから、相手してくれよ」
「フン……手に馴染んでもいないデッキでこのおサイフ怪人の《♡(ピンク)オンステージ》とやりあおうとは、笑わせるカネ!」
2人はスタンディングヴァンキッシュテーブルを挟み、対峙する。デッキシャッフルを行う紳士協定カットを済ませ、戦いの準備を整えた。
「だが、手加減しないカネ!ゲットレディ!」
「ああ、お手柔らかに頼むよ。ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
「先手はもらうカネ!おサイフ怪人のターン!ドロー!リソースに1枚置いてエンド!」
「……」
「……どうしたカネ?」
「いや、なんでもない。オレのターンだな」
晴翔はスマートグラス越しに敵のカードを視ていた。リソースに置かれたのは『ヴァルハラアイドル☆アノン』。《アイドル♡/ヴァルハラ/キラキラ☆》のカードタイプを持つカードだ。SP仕様のホロ加工。スリーブ越しにもその輝きは眩しい。
晴翔はそのカードを画像保存し、ネットワークに接続して照合。晴翔は怪人のやることを訝しみ、非合法的な手段で入手あるいは偽造した違法カードではないかと疑っていたのである。結果は――シロ。間違いなく本物のカードだ。時価は日本円に換算し一枚あたり二千円。近隣のカードショップの防犯カメラ映像に、怪人がカードを買いにきたときの映像が残っている。迷惑な客ではあったようだが、違法行為はないらしい。晴翔はちょっと拍子抜けした。
「こっちは……ドロー。白のリソースを置いてエンドだ」
晴翔は視線を上げ、ゲームに集中する。
「ジャラジャラジャラ!さあ、ここからがショウタイムカネ!おサイフ怪人のターン!」
戦いが動き出すのは4ターン目からであった。おサイフ怪人はフィールド『グリッターアイドルステージ!』を展開。『自分のコスト3以下の《アイドル♡》は相手の効果でトラッシュに置かれない』『自分の《キラキラ☆》が相手の効果の対象になったとき、このカードをタップしてよい。そうしたとき、自分の《キラキラ☆》はその効果を受けない』。強力な耐性カードである!パラレルイラスト版は♡(ピンク)のアイドルたちを描く!
「展開を邪魔されないためのフィールドか……堅実かつ強力な手を打ってきたな」
「ジャラジャラジャラ!これでターンエンド!さあ。次のターンからが本当の戦いカネ!」
「……」
晴翔はスマートグラスを通した目でおサイフ怪人の動きを見る。その指先に――怪しげな動きはない。ルール違反やイカサマはなさそうだ。念のためとステージに控えているジャッジも動かない。
「オレのターンだ。こっちのリソースを置いて……『ヴァルハラスクワイア・カトック』を出撃。アタックはせずターンエンド」
「白のデッキカネ……だが、このおサイフ怪人の前には通用せんカネ!おサイフ怪人のターン!」
返すターンでおサイフ怪人は盤面にコスト3『アイドル候補生♡ナナ』を出撃しターンエンド。『グリッターアイドルステージ』の保護対象だ。晴翔は攻めあぐね、ドローとリソースを置くにとどめて敵の動向を探る。
「ジャラジャラジャラ!そしてここからがおサイフ怪人のアイドルオンステージカネ!メインフェイズに『アイドル候補生♡ナナ』の能力を起動!3コスト払い、ナナを[行動済]にすることで、ナナを手札に回収!そして入れ替えるかたちで《キラキラ☆》をもつユニットを手札からノーコスト出撃するカネ!主役の登場!輝けアイドル一番星!『スターリーアイドル☆ティア』が出撃するカネ!」
「……盤面の入れ替え、いや、やってることは踏み倒しだな!」
出現したのは8コストの重ユニットだ!『このユニットのバトル終了時、このユニットを手札に戻してよい。戻したら、手札から『スターリーアイドル☆ティア』以外の《アイドル♡/キラキラ☆》をもつユニットを[未行動]で出撃させる』能力を持つ!
「ジャラジャラジャラ!さあ、お前をズタズタにしてやるカネ!この尊さの前に滅び去れカネ!ティアでアタック!」
「……ああ、調子に乗ってやがる。だが、それはこっちも予想済みだ!」
カットインタイミング!晴翔は手札からスペルを発動し、バウンスを試みる!
「予想済みはこっちの台詞カネ!グリッターアイドルステージの効果を起動し無効化!アイドルはおさわり厳禁カネ!」
「だが、そいつで無効にできるのは一回だけだ!同じスペルをもう一発!」
「2枚目のカウンター!?抱えてたのカネ!?」
二度目のカットインで晴翔は大型ユニットをデッキへと戻し、事無きを得る。だが、現状は決め手に欠ける状況だ。急拵えのデッキで、今は少々巡りが悪い。互いに有効手を出せぬまま数ターンが経過する。
――そして。
「ヴァルハラマンゼノでアタック!」
「ジャラジャラジャラ~!そんな攻撃でこのおサイフ怪人のライフは削」
「そしてオレもアタックだッ!」
「ファッ!?」
物理的ダイレクトアタック!!その瞬間、スタンディングヴァンキッシュテーブルの上へとのぼった晴翔は素早く身を捻り跳躍。そしてウェアラブルデバイスによって強化された脚力が見事な蹴り足をおサイフ怪人に叩き込んだッ!
「グアーッリアルファイト!!!」
無防備な状態に一撃を叩き込まれたおサイフ怪人は悲鳴をあげながらステージ上を転がりカードを放り出しながら爆発!盤上の勝負は途中であったが、プレイヤーの死亡により決着がつく。勝者は日埜・晴翔!
「Booooo!!」
「ヴァンキッシュで決着をつけろー!!」
だがオーディエンスから浴びせられるブーイング!熱いカードバトルを期待していた観客がご不満なのだ!
「物理で良いじゃ無いか?オレはあいつに「何の」相手をしろって言ってないし」
晴翔はそれを涼しい顔で受け流し、デッキを回収すると悠然と舞台を降りた。
「おのれ~ッ!リアルファイトで下すとはなんと卑怯な真似をするカネ!」
ステージ奥から補充要員のおサイフ怪人2号が怪人軍団に合流し、怒りに拳を震わせる!
「仇はこのワタシがとるジュエ!」
戦意を高揚させる怪人軍団!舞台上でのヴァンキッシュは更に波乱の展開を呼ぶ!
苦戦
🔵🔴🔴
霧島・カイト
銀系デッキは好みなんだがな、
そういう風に『金に飽かせて』
揃えている『だけ』だと、
愛があるのか疑問に思えるのでな……。
仕方ない、場を凍てつかせる程の氷の戦術を見せよう。
いくらリソースを稼いでも『動けなければ』持ち腐れになる。
此方から『タップさせたまま』に、凍らせる。
お前のカードは凍ったままに、アンタップしない。
どんなに早かろうと、『動けなく』なる。
そうやって、俺の冬は、お前の何もかもを停滞させていく。
……本当はこの手のタップ維持ロック系デッキを使うと、
身内は萎えるので使いたくは無いのだが。
お前達は別だ。分かるな?
(※戦闘あるなら指定UCで物理的に寝かせてシバく)
※アドリブ可(色分けとか雰囲気で)
「ウオオーッ!!次はこのジュエリー怪人2号が相手ジュエ!!」
「……いいだろう。次は俺がやる」
そして、霧島・カイト(f14899)が進み出る。
「フン……気合の入ったバトルフォームを着ているジュエが、着ているコスチュームで勝敗は決まらないジュエ!」
ジュエリー怪人の煽りを静かに受け流し、カイトはデッキを手にスタンディングヴァンキッシュテーブルの前へとついた。
「御託はいい。勝負を始めるぞ。……ゲットレディ」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!このジュエリー怪人のデッキは無敵ジュエ!ジュエリー怪人のターン!」
ジュエリー怪人のデッキは変わらず銀緑リソブ。リソース加速のカードを展開し、大型のユニットを叩きつけていくスタイルだ。一方、カイトは粛々と白のリソースを置いてゆく。序盤は互いに動きはない。戦いが始まったのは第3ターンからだ。
「俺のターン。手札からフィールド『悪を阻む聖域』を展開する」
「なに!?そのフィールドは!」
白のフィールドカード!『相手のスタートフェイズ開始時、白1コストを払ってよい。そうしたとき、相手のタップ状態のリソースを1枚選び、そのカードは次のリブートフェイズでアンタップしない。自分の《聖域》ユニットがいるなら、かわりにリソースを2枚選ぶ』……コスト使用に制限をかけるカードだ!
「だが、それだけでワタシのデッキを止めたことにはならんジュエ!ジュエリー怪人のターン!『開拓騎兵トンデン』!出撃時能力でリソースにカードを追加するジュエ。貴様がロックする分、リソースを増やせば帳消しジュエ~!」
「……」
戦いは続く。カイトは続くターンでユニットを展開。返すターンでジュエリー怪人はスペルを起動し更にリソースを増やした。迎えた第7ターン、戦いは更に動き出す。
「ジュエジュエジュエ~!貴様がリソースロックをしようとも、これだけのリソースがあればもはや勝ったも同然ジュエ!さあ、出撃せよ!『鉄帝竜機ゴジュラドス』ッ!!」
重ユニットが展開する!コスト7、パワー12000!『このユニットは[行動済]でもブロックできる』『このユニットがブロックしたバトルで相手のユニットが場を離れたとき、相手に1ダメージ』『このユニットがアタックしたとき、バトルするかわりに相手のコスト3以下のユニットを2体まで選びデッキの下に置くことができる』!強力な能力をもった銀の切り札だ。当然のようにSP仕様。レリーフ加工の輝きが眩しい!
「ジュエジュエジュエ~!どうだ!どうだ!どうだァ!この圧倒的な資産!これが金持ちのパワージュエ!」
「……『銀』のカードか」
戦場に現れたゴジュラドスを仰ぎ、カイトは口を開く。
「たしかに俺も銀のカードは好きだ。だがな、そういう風に『金に飽かせて』揃えている『だけ』だと、愛があるのか疑問に思える」
「なんだとォ……?」
「……カードのレアリティやかけた金額だけがデッキの強さじゃない。そうだろう?」
カイトのターン。ここで彼もまた必殺のムーヴを開始する。
「戦場を凍て付かす、氷の戦術を見せよう。『永久凍土の聖帝 フィンヴルド』、いざ出撃!」
こちらもキーユニットが場に降り立った!コスト7、パワー10000。《聖域》のユニットだ。『このユニットが手札から出撃したとき、次の相手のターンのリブートフェイズで相手のリソースすべてはアンタップしない』!
「そ、そのユニットは!」
「いくらリソースを稼いでも『動けなければ』持ち腐れになる……そうだろう?」
「くっ……!だが、こちらにはゴジュラドスがいるジュエ!その上、フィンヴルドの能力は登場時に限る!この次のターンで更に攻めてやるジュエ。ジュエリー怪人のターン!」
ジュエリー怪人は返すターンにゴジュラドスでアタック。カイトはこれをライフで受けた。勝ち誇るジュエリー怪人。そして再びカイトにターンが回る。
「俺のターン。リブート、ドロー。リソースにカードを置き……メインフェイズ。アーマメント、『氷帝剣ヨトゥンヘイム』をフィンヴルドに[武装]する」
「な、なにッ!?それはフィンヴルド専用のアーマメントカード!?」
アーマメントとは、装備品カードのことである。ユニットに重ねるようにして置くことで、2枚で1体の[武装]状態ユニットになるのだ。ヨトゥンヘイムは『装備条件:[フィンヴルド]』『[武装]中のこのユニットのパワー+3000』『このユニットの「出撃したとき」の能力は、このユニットがアタックしたときにも発揮する』をもつ。剣を掲げる聖帝が、戦場へと踏み出した!
「これでフィンヴルドのパワーはゴジュラドスを上回る13000。更に、アタック時に起動する能力で此方から『タップさせたまま』に、凍らせる。お前のカードは凍ったままに、アンタップしない」
「ぐ、ぐぬぬ……!」
「どんなに早かろうと、『動けなく』なる。そうやって、俺の冬は、お前の何もかもを停滞させていく。……フィンヴルドでアタック。能力を起動し、次のリブートフェイズでお前のリソースはアンタップしない」
「グアーッ!や、やめるジュエ~!!」
ライフダメージ!聖帝の剣が怪人のライフを打ち据える。ここからは一方的な展開だ。リソースを封じられたジュエリー怪人にもはや打つ手はない!
「……本当はこの手のタップ維持ロック系デッキを使うと、身内は萎えるので使いたくは無いのだが」
そして迎えるラストターン。最後のアタック宣言!
「お前達は別だ。分かるな?」
「グアアアーーーッ!!ライフで受ける!!」
爆散!最後のライフを砕かれたジュエリー怪人は悲鳴をあげて散る!
「……ヴァンキッシュ」
Vanquish!勝者、霧島・カイト!
「そんな馬鹿な……!我々がこうも圧倒されているカネ!?」
「ゆ、許せんボールト!こんなことは許せん!」
怒りに打ち震える怪人軍団!連中はまだやる気に満ち溢れている。尚も戦意を燃やす怪人は懲りもせず次なる刺客をステージ上へと送り込んだ!
「いけー!」
「やれやれー!ヴァンキッシュしろー!」
観客から野次が飛ぶ!キマイラフューチャー民は既にこの戦いをステージイベントとして楽しんでいた。フェスの熱気は更に増し、そして次の試合が始まる!
成功
🔵🔵🔴
楜沢・玉藻
ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!
TCGの大会を邪魔するなんて許せないわ!
あたしのデッキは《法の守護者》青白コントロール
まず青のパーミッションと
白のバウンスと全体除去でテンポアドを取る
「白4コスト、スペル『空砕き』でユニットをすべて破壊するわ」
盤面をリセットしたら青のドローで
打ち消しやフィニッシャーに繋ぐ為のアクセスを増やすわ
「青2白2を含む6コストを支払い《ドリームテイカー》を出撃! 《ドリームテイカー》はドローする度にパワーが増え、攻撃する度にドローが発生し、与えたダメージだけライフを回復する。そして手札を1枚捨てることで能力の対象に選ばれないわ」
カードよりプレイングを光らせるべきだったわね
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
楜沢・玉藻(f04582)のゲーム開始宣言が高らかに響く!
「フーン!1号のようにはいかんボールト!この金庫怪人2号の赤単獄炎の前に滅ぶがいいでボールト!」
対峙するのは金庫怪人。2人のヴァンキッシュは既に始まっている!
「TCGの大会やフェスを邪魔するなんて許せないわ!」
玉藻は趣味のひとつとしてTCGを嗜む猟兵だ。愛する趣味の世界を穢す怪人の悪行、実に許しがたい。玉藻は敵を徹底的に叩きのめしてやると決めていた。
「あたしは白のリソースを置いてエンド!」
「赤のリソースを置き、『火種竜ボンファイア』を出撃!」
「やっぱりそうくるわね……」
敵はユニットを展開。対して玉藻はドロースペルで手札増強を試みる。続くターンで金庫怪人はボンファイアから『業火竜マグマソーン』を繋いで出撃させた。攻撃する度にパワー5000以下を破壊する能力を持つ《獄炎》のユニットだ。
「フン!生半可なことはせんボールト!マグマソーンで叩きのめしてやる!」
「そのアタック、ライフで受ける!」
ギャアーン!玉藻のライフがひとつ砕ける!ダメージリソースが山札から発生し、リソースエリアへと置かれた。玉藻は油断なく使えるリソースの枚数と手札のカードのコストを計算し、最善手を検討する。
「フン……!この金庫怪人のパワーの前にぐうの音も出ないボールト?」
「まだまだよ。勝負はここから……」
玉藻は返すターンで更に手札を整え、そして待ち受ける。対して金庫怪人は押してゆく態勢だ。次のターンで更にユニットを展開し、そしてアタックを仕掛ける!
「さあ、ライフを削られて苦しむがいいボールト!」
「……ええ、そうくると思ってたわ!カットインタイミング!白を含む4コストでスペル『空砕き』を使用!」
「全体除去!?」
『空砕き』は『カットイン/相手バトルフェイズ中なら、お互いの場のコスト4以下のユニットを全てトラッシュに置く』スペルだ。これにより、玉藻は金庫怪人の盤面を全滅させる。速攻のためにユニットを並べようとしたのが怪人の仇となったのである!
「そしてあたしのターン!青と白を含む6コストを支払い、『ドリームテイカー』を出撃!」
「むう、あれは青白のSSRユニット!」
戦場に降り立つドリームテイカーが華麗に舞う。強力なユニットだ。コスト6、パワー8000。『自分がドローしたとき、そのターン中、このユニットのパワー+2000』。『このユニットがアタックしたとき、自分は1枚ドローする』。『このユニットが相手の効果を受けるとき、自分の手札を1枚破棄することでこのユニットはその効果を受けない』!ドロー・パンプ・耐性を併せ持つシンプルながら高いカードパワーをもつユニットである。
「なに……!?焼きが効かないボールト!?」
金庫怪人がおののく。玉藻が序盤からドロースペルで手札を整えていた一方、怪人の手札は序盤の攻勢の結果既に枯渇しつつあり対抗手段は限られている。それも耐性で弾かれるとなれば、場に居座るドリームテイカーを迎え撃つことは困難だろう。
「白青デッキ相手に息切れ……典型的な赤単の負けパターンね。フィニッシャーが出てくるまでに制圧しきれなかった甘さがあなたの敗因よ」
「ぐ、グゴゴゴ……!そんなバカな……!」
「走りきれなかった自分の甘さを後悔しなさい!ドリームテイカー、アタック!」
「か、カットイン!『獄竜超哮破』!これでお前のユニットを……」
「それはドリームテイカーの能力で手札を1枚捨て、効果を受けない!アタック継続よ!」
「グアアーッ!!」
迫る炎を躱しながら、ドリームテイカーは戦場を翔けた!その一撃が、金庫怪人のライフを穿つ!
「カードよりプレイングを光らせるべきだったわね」
――Vanquish!金庫怪人にもはや打つ手なく、玉藻は最後の一撃を叩き込む。金庫怪人は悲鳴をあげながら倒れ、そして爆発四散!オーディエンスの喝采が会場を包む!
「さあ、次は誰があたしの相手をしてくれるの?」
玉藻は怪人軍団へと挑発的な視線を送りながら、煽るように笑んでみせた。
「ゆ、許さん……!」
「あ?負けてないが?」
怪人たちは怒りに燃え上がりながら戦意を見せる!次なる試合に向け、怪人軍団はデッキを構えた!
成功
🔵🔵🔴
数宮・多喜
【アドリブ改変・多人数戦大歓迎】
ふぅん、なるほどこれがコンボ……
これがヴァンキッシュ!
単なるレアリティだけに注目してるようじゃ、
まだまだだねぇ。
カード資産が少ない初心者だからこそ見つける勝ち筋って奴、
見せてやるよ!
さっきのデッキに少しだけ手を加えて挑むよ。
『鉄血宰相』『鋼鉄病棟』コンボはそのまま。
そこにサイズは小さいがコストを払うと何度でも自分をアンタップできる
『即時対応兵ソーティ』と、装備したユニットをタップすると
小型だけど援軍トークンを呼べる『緊急招集アラーム』のコモンコンボを組み込む!
ハマった時の爆発力を侮るなよー?
そうして大群衆で突撃!
敵さんのライブのキャパを超えてパンクさせてやる!
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
個人的には、どうやって手に入れたかとかは割とどうでもいいんだけど。
マナー悪いのはいただけないわねぇ。
それじゃ、あたしははジュエリーの相手しようかしらぁ?
並列展開型かパワーカード型かはともかく、リソブ・ランプ系なら相性はそう悪くないはず。
このデッキ、「相手のしたいことをさせない」のが得意だもの。
●明殺でキーカードを〇見切って潰しちゃいましょ。
「最強のカード」なんてのが存在しないように、「最強のデッキ」もあるわけないのよねぇ。
レアカードで固めたからって強いわけじゃないし…ゴミカードが新段の追加カードとのコンボで大化けする――なんて。よくあることなんでしょ?
「今度こそこのおサイフ怪人2号が貴様らを下してやるカネ~!輝くスーパーレアの光の前に屈するカネ!」
「そうはいかないよ。単なるレアリティだけに注目してるようじゃ、まだまだだねぇ」
「なに……?」
数宮・多喜(f03004)は対峙する。その手にはカードを構え、胸に戦意の炎を灯していた。
「個人的には、どんなカードをどうやって手に入れたかとかは割とどうでもいいんだけど……マナー悪いのはいただけないわねぇ」
ティオレンシア・シーディア(f04145)もまたそこに並び、デッキを準備する。
「勝てばいいジュエ、勝てば!勝者こそがすべてを得る。それがヴァンキッシュジュエ!」
「ここまで負け越してるのによく言えるわねぇ」
「いいから、早く始めようじゃないか。もう準備はできてるよ。ゲットレディ!」
「調子にのるなカネ……!今度こそ我々のパワーを思い知らせてやるカネ!ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
同時進行でふたつのバトルが始まる!まず先手を取ったのは共に怪人側だ。おサイフ怪人とジュエリー怪人が声を揃えてターン開始宣言。序盤の展開をしてゆく。
「あたしのターンだ。カード資産が少ない初心者だからこそ見つける勝ち筋って奴、見せてやるよ!」
「フン!資産も持たない奴がよく吠えるカネ!」
「あらぁ。でも資産だけで勝負は決まらないわよぉ?あたしは青のリソースを置いてエンド」
速攻デッキは少なく、序盤の展開は静かだ。最序盤の動き出しは多喜が始める。フィールドカード、『鉄血宰相の令』を展開し、彼女のデッキは動きだすのだ。
「次はこちらが動きだす番カネ!」
「ジュエジュエジュエ~!我々のフルSPデッキのパワーを思い知るジュエ!」
おサイフ怪人の♡(ピンク)デッキはフィールド『グリッターアイドルステージ!』を展開。ジュエリー怪人はスペル『息吹く緑の世界』でリソースを伸ばした。対し、返すターンでティオレンシアはドロースペルで手札を回す。多喜は続けてフィールド『超弩級鋼鉄病棟』を展開した。理想的なムーヴだ。
「小癪なコンボを!だが、そんなフィールドを展開したところで我々には勝てないカネ!」
「その通りジュエ!怪人のターン!ジュエリー怪人は更にリソースを伸ばすジュエ!次のターンにはキーユニットが出られるリソースに届くジュエよ~?楽しみジュエ!」
「光るカードでずいぶん調子に乗ってるようだけど……!」
「えぇ。こっちこそ教えてあげなくちゃいけないわねぇ」
2人の猟兵は、対峙しながらそのカードバトル魂に火を灯す。
「『最強のカード』なんてのが存在しないように、『最強のデッキ』もあるわけない、ってこと」
「そうさ、見せてやるぜ、あたしのデッキの戦い方を!」
猟兵のターン!ここで多喜はユニットを展開する。『即時対応兵ソーティ』!『カットイン/1コスト支払うことで、[行動済]のこのユニットを[未行動]にする』。コスト3、パワー5000のユニットだ。多喜は更にアーマメント。『緊急招集アラーム』をソーティに[武装]する。『装備条件:銀&コスト3以上』『[武装]中のこのユニットのパワー+2000』『[武装]中のこのユニットを[行動済]にすることで、『コスト2/パワー3000/このトークン・ユニットがブロックするとき、そのバトル中このユニットのパワー+2000』を持つ《鋼鉄皇帝軍》トークン・ユニットを生成する』。ソーティと相性の良いカードだ。彼女の手札とリソースは『鉄血宰相の令』によって潤沢化していたが故にここまでの展開に漕ぎつけたのである。多喜は早速ソーティをタップしトークン・ユニットを生成。その一方でティオレンシアは静かにリソースを置き、待ち受けるように笑う。
「その程度でこのアイドルステージは止められないカネ!怪人のターン!」
「ジュエジュエジュエ~!こちらも準備が整ったジュエ!発進せよ、覇道鉄騎インペリオン!」
覇道鉄騎インペリオン!ジュエリー怪人のもつ最大の切り札だ。コスト8。パワー15000。『このユニットがアタックしたとき、相手のもっともコストの高いユニットを山札の下に置く』『このユニットがブロックされたとき、このユニットを[未行動]にする』『自分の《鋼鉄皇帝軍》がアタックで相手にダメージを与えたとき、相手に1ダメージ与える』をもつ。強力な大型フィニッシャーだ!
「更にこっちも本気で行くカネ!輝けアイドル一番星!『スターリーアイドル☆ティア』を出撃カネ~!」
「どっちも切り札を出してきたか……!」
出現した巨大なユニットのパワーに息を呑む。ここまで展開していないティオレンシアを心配するように多喜は彼女を見遣った。だが、ティオレンシアは未だ余裕を残した表情で微笑むばかりだ。
「さあ、ライフを奪わせてもらうジュエ!叩き潰せ、インペリオン!」
「こちらもいくカネ!《キラキラ☆》のショウタイムカネ!」
声を揃えて怪人たちはアタック宣言!巨大なユニットが襲いかかる!
「……そう、そうくると思っていたのよねぇ」
ティオレンシアは手札から1枚のユニットを引き抜き、放つ!『“下剋上”ハウンド』!コスト4。『カットイン/【手札】このカードのコストを払い、パワー10000以上の相手のユニット1体をトラッシュに置くことで、手札にあるこのユニットを自分の場に出撃する』!
「だから、構えていたのよぉ?」
カウンター!その巨大なパワーが仇となった。手札から飛び出したハウンドがインペリオンを撃ち抜く。
「ヌアーッ!?な、なんだとジュエ~!?」
「フン!そちらは防がれたようだが!このおサイフ怪人のキラキラ☆アイドルデッキはまだ止められていないカネ!」
「そっちは……ライフで受ける!」
バァンッ!弾けるライフ!多喜のリソースへダメージカードが置かれる。だが、ここでおサイフ怪人は更に『スターリーアイドル☆ティア』のテキストを起動する。ティアを手札に戻すことで、手札から《キラキラ☆》をもつユニットを出撃することができるのだ。新たに出撃する『ビビッドハート♡アリア』はコスト9、パワー12000。『このユニットがアタックまたはブロックしたとき、自分の手札からコスト7以下の《キラキラ☆》をもつユニットを出撃させてよい』!攻防ともに優れたユニットだ。おサイフ怪人はここで仕留めきれないと判断してか攻勢を止め、返しのターンに備えた。
「ここが分水領ねぇ。……さ、油断せずいきましょぉ?」
「ああ、ここで一気に決めてやるよ!あたしのターン!」
多喜はここで展開する!緊急招集アラームを起動し、トークン・ユニットを展開。[行動済]にしたソーティはテキストを起動し[未行動]状態へ!更にもう一度緊急招集アラームでトークン・ユニットを生成!繰り返す!
「な、なに……!?」
「コモンカードだって、コンボが決まればすごいのさ。この爆発力を侮るなよー?」
「ええ。レアカードで固めたからって強いわけじゃないし……ゴミだなんだと評価されなかったカードが追加カードとのコンボで大化けする――なんて。よくあることなんでしょ?」
「ぐ、ぐおおお……!」
ずらり盤面に並んだ多喜のユニットは合計で10体にも達する。対し、エース級のカード1体に頼ったおサイフ怪人の盤面は1体のみだ!アリアの展開能力に頼っても、そのライフを守りきることはできない。
「こちらも仕掛けるわよぉ。黒を含むリソースを支払い、七大罪の公主を出撃するわぁ」
かくして、猟兵たちの盤面が整う。一気呵成!ここから彼女たちの攻勢が始まった。
「グアーッ多勢に無勢!!」
「グアーッカットインありません!!」
次々に砕ける怪人たちのライフ!押し寄せるトークン・ユニットに叩きのめされ、キャパシティを超えてジュエリー怪人のライフはゼロになる!
「グエーッ死んだカネ!!」
爆発!おサイフ怪人が爆死し、会場は喝采で満たされる!
「おのれ、よくもおサイフ怪人2号を!」
「あらぁ。そっちももうおしまいよ?ハウンドでアタック。最後のライフ、いただくわぁ」
「カットインありません!!グアーッ死ぬ!!」
1ターン遅れジュエリー怪人もまたライフ0!衝撃に吹き飛んで爆散する!
「これで――」
「ヴァンキッシュ!」
――Vanquish!決着!勝利宣言!勝者、数宮・多喜!ティオレンシア・シーディア!
「おのれ猟兵どもめ~ッ!よくもよくもボールト!」
「で、あちらさんはまだやる気みたいねぇ?」
「いくらでもかかってきなよ。サレンダーするまでぶっ飛ばしてやる!」
怪人軍団は大きく力を削がれながらも、いまだにその戦意を燃やしている!会場の空気もまだまだ熱を帯びたままだ。ステージ上での戦いは、まだ終わらない!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エドゥアルト・ルーデル
カードゲームわかんないから適当に
オススメされるままに赤の《暴族》デッキを使う拙者だ
このリソース潰しヒャッハーデッキでジュエリー怪人を…潰す!
所で金庫怪人氏のデッキ…金かけてるだけあってキラカード揃いですな!欲しいでござるよね?
この影の…【知らない人】だこれ!誰!?誰なの…怖いよおッ!
兎に角この極めて発見されがたいこの知らない人を使ってレアカードをスリ取りですぞ!
いいカードだな、死ぬまで借りるぞ!
後は敵の背後に立って貰ってカードをチラ見させ手持ちのカードを言い当てますぞ
これぞマインドスキャンデース!
オブリビオン相手はルール無用デース!
敵が文句を抜かすようなら仕方あるまい…俺のハンドクラッシャー!
中村・裕美
「マナーの悪さ、見逃せませんわね(スッと髪の色が変わる)」
副人格のシルヴァーナに入れ替わり、優雅にガイドを助け起こす
「そちらがアイドルなら、こちらもアイドルですわ」
ピンクメインで、補助に他色を混ぜたデッキ。人格でデッキが変わるのはよくあること
あらかじめ【情報収集】で高額なカードを集めたデッキなどの情報を集めてメタに対策張って用意したのがシルヴァーナのデッキ
こちらは低コストの私服アイドルで回しつつ、相手の召喚時効果やフィールド効果などを潰すカード出して妨害できればいいかな、と。あちらの見せ場をこちらで奪ってしまいましょう
「いくら強いカードでも、輝かせ方を知らなければ無駄ですわ」
逆上したら返り討ち
「ウオオーーッ!!絶対に叩きのめしてやるジュエ!!」
舞台上に懲りもせずあがるジュエリー怪人!
「それじゃあ拙者が相手でござるぞ~」
エドゥアルト・ルーデル(f10354)がデッキを持ち込み、スタンディングヴァンキッシュテーブルへとつく。怪人に対峙しながら、カードを構えた。
「叩きのめしてやるカネ!」
更に気炎を吐きながら現れるおサイフ怪人3号!
「どくカネ!さっきからステージの上で右往左往して邪魔カネ!」
「きゃあッ!」
怪人はステージ上で健気に舞台の調整をしていたガイド役の女性スタッフを押しのける!悪辣!
「そのマナーの悪さ、見逃せませんわね」
だが、倒れかけたガイドの女性スタッフを抱きとめる姿。中村・裕美(f01705)――その別人格であるシルヴァーナだ。髪色が白く染まり、物腰は本来の裕美とは大きく異なるお嬢様然とした柔らかさとたおやかさを備えている。
「おサイフ怪人……あなたの相手は、わたくしがつとめます」
「フン……!飛んで火に入る夏の猟兵カネ!さあいくカネ、ジュエリー怪人!2号たちのリベンジマッチカネ!」
「ジュエジュエジュエ~!わかったジュエ!我々でこいつらを叩き潰すジュエ!ゲットレディ!」
「よくわからんがやる気満々でござるな……だが潰す!ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
かくして、2人のヴァンキッシュが始まった。
「まずはこの赤のリソースを置くでござるぞ……」
「わたくしは♡(ピンク)のリソースを」
「なに、貴様……このおサイフ怪人と同じアイドルデッキを!?」
「はい。そちらがアイドルなら、こちらもアイドルですわ」
裕美/シルヴァーナは毅然とした態度で怪人に対峙する。一方エドゥアルトは今回がはじめてのヴァンキッシュとなる。少々不安を残しながらであるが、まずは1コストで出撃できる『土地荒らしの暴ゴブリン』を出撃。『このユニットが相手のライフを減らしたとき、相手のリソースが自分より多いなら、相手の表向きのリソースを1枚選びトラッシュに置く』能力をもつ《暴族》のカードである。
「このリソース潰しヒャッハーデッキでジュエリー怪人を……潰す!」
「やれるものならやってみるがいいジュエ!!」
かくして、猟兵たちのヴァンキッシュは繰り広げられる。
その一方。
「うむむむむ……!このままではまずいボールト……!」
唸る金庫怪人。彼は現状のメタメタにやられっぱなしでいる状況に危機感を覚えていたのである。だが、そんな彼の背後に奇怪な影が迫る。
知らないおじさんである。
いや、本当に知らないおじさんなのだ。これはエドゥアルトのユーベルコードによって呼び出された知らないおじさんだ。マジで誰なんだ……?ともかく。しかして現れた知らないおじさんはきわめて発見されづらい影の薄さを利用して金庫怪人にそっと忍び寄り、デッキをスリとった。
犯罪行為であるが、まあ相手はオブリビオンである。どう考えてもヴァンキッシャーの風上にも置けない一発退場出禁確定級の行為であるが、相手はオブリビオンだし誰も気づいていないので不問とされる。
「こちらは『アイドル禁止令!?嫉妬の魔女レヴィリア』を出撃しますわ」
「なに!?そのカードは……!」
一方、まともにヴァンキッシュで怪人とぶつかり合う裕美/シルヴァーナの勝負は新たな展開を見せた。『アイドル禁止令!?嫉妬の魔女レヴィリア』。《アイドル♡/プライべート/魔界爵》をもつユニットだ。『お互いに自分のカードの効果で自分のカードをコストを支払わず出撃することができず、場のカードを手札に戻すことができない』をもつ、デッキの予測をしていたシルヴァーナによる完璧なメタ読みカードであった。
「アイドルミラーを想定して積んできていたカネ……!」
「はい。観客の前では無作法かもしれませんが……そちらの見せ場は、奪わせていただきます」
この一枚で、趨勢が大きく傾く。おサイフ怪人のデッキはコストの踏み倒しやセルフバウンスからの再展開で、ステージ上の演目を入れ替えるように様々なカードを用いて戦うスタイルだ。レヴィリアによるスイッチ封じは完全なメタとして機能する。
「まずいカネ……早くあれに対処するカードを引かねば負けるカネ!」
「そこまで引き伸ばさせませんよ……!アタックに入ります!」
「カットインありません!グアーッ!」
裕美/シルヴァーナはここに至るまでで既にユニットを十分に展開していた。ライフは致死圏内。バトルフェイズへと入り、裕美/シルヴァーナはおサイフ怪人のライフへと攻め入る!
「向こうはもう終わりそうでござるな。こっちもそろそろ決着にしますぞ!」
「何を!」
一方エドゥアルトである。特にリソース焼却や略奪を得意とする《暴族》はリソースを増やして戦う前提のリソブ銀緑に大きく刺さっていた。フィニッシャー級であるゴジュラドスやインペリオンを場に出すことができず、ジュエリー怪人は苦々しく怒りに拳を震わせている。
「拙者は『暴虐大帝ゴーダツ』を出撃ですぞ~!出撃時能力でそちらの手札を1枚破棄し、拙者は1枚ドロー!」
更にエドゥアルトは《暴族》を配し、盤面を整えた。
「ドゥフフ……そちらの手札にカットインがないことはお見通しでござる。その手札はリソースが足りなくて何もできないのは明白ですな!」
その上、エドゥアルトは怪人の手札内容を言い当てる!何故ならば、さっき現れた知らない人が怪人の手札を覗き込んでサインを送っているからだ。あからさまなイカサマ!しかしきわめて発見されにくい影の薄さは明白なアンチマナー行為であるにもかかわらず指摘できる者がその場にいないのだ。
「さあ、これで終わりでござるぞ!」
「バトルフェイズ。アタックを仕掛けます」
かくして、それぞれのテーブルで棋譜は進む。メタ構築によって相手の展開を押さえ込んだ裕美/シルヴァーナが、リソース破却能力で相性的に上回ったエドゥアルトが、それぞれ決着の一撃を叩き込んだ――Vanquish!
「グアーッ死ぬ!!」
おサイフ怪人は爆発四散!
「ちょ、ちょっと待つジュエ!たしかに負けは仕方ないジュエが、このヴァンキッシュ中に不正行為があったような気がするジュエ!!」
しかしここでジュエリー怪人は文句をつけた!なんかさっきから知らないおじさんが舞台上でなんかあやしい動きをしているような気がしてならないのだ!
「うるせえ!!俺のハンドクラッシャー!!!」
「グアーッイカサマ!!」
エドゥアルトの理不尽なパンチがオブリビオンを打ち据え不正行為への言及を黙らせる!プレイヤーへの強烈なダイレクトアタックによりジュエリー怪人は木っ端微塵に砕け散り爆発した!
「Boooooo!」
「声援どうもでござるぞ~」
舞台上での暴力行為に浴びせられるブーイングをエドゥアルトはしれっと躱してステージを降りる。
なんだかへんな空気になってしまったが、ここはビジュアル的に優れる裕美/シルヴァーナが最後に観客席へと手を振るサービスをすることで空気を宥めて上手におさめた。
「……えっ!?もう俺しか残っていないボールト!?」
そして最後に残った金庫怪人がビビる!
「ぐぬぬ……!だが、それでも怪人は挫けぬボールト!諦めの悪さは怪人の強みボールト!」
しかし、気を取り直して戦意を高揚!遂に猟兵たちと怪人軍団のカードバトルは最終戦へと移る!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
霧島・クロト
ユニット展開するビートダウンも好きなんだが、
俺の今回のデッキはそういうんじゃねぇんだよな。
下準備に軽いスペルで適当にあしらいつつ……。
おっけー、間に合った間に合った。俺のデッキは……
銀と赤と青の【多重詠唱機構(マルチスペルドライブ)】だよ。
これが設置されている間、条件を満たした俺のスペルは
『1回唱える度にコピーしたそのスペルを「ただで」唱えられる』。
打ち消しも1枚で2回。バウンスも1枚で2回。除去もハンデスも――
勿論、リソースブーストも、ドロー効果もだ。
どんなに強かろうと、スペルの前では関係ねぇなァ。
コンボ系コントロールの圧殺力ってモンを見せてやるよ。
※アドリブ可(色分けは雰囲気でやってます)
「も、もはや後には退けんボールト……!俺は最後の勝負を挑むボールト!」
「御託並べてないでさっさとかかってきな。相手をしてやるぜ」
霧島・クロト(f02330)はスタンディングヴァンキッシュテーブルの前へと立ち、金庫怪人に向き合う。
「さあ、始めようぜ。ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!先手はもらうボールト!」
金庫怪人が先手を取った!赤のリソースを置き、ターンエンド。かたい面持ちで金庫怪人はクロトに対峙する。
「ハ。どうした。随分ビビってんじゃねえか」
バイザー越しの視線が鋭く金庫怪人の姿を射抜くように見据える。狩猟者めいた笑みを口の端に乗せながら、クロトはカードを引いた。
「ターンエンドだ。赤は攻撃する色なんだろ?仕掛けてこいよ」
「なんだと……!」
対する金庫怪人は激昂しながら握りしめたカードを盤面に叩きつける!『煉獄司祭ジャヨウ』は『手札から《獄炎》を出撃するとき、そのコストをー1する』展開補助ユニットだ。
「その軽口を後悔させてやるボールト……!ジャヨウでアタック!」
「カットインは無ぇ。ライフ1点、くれてやる!」
爆ぜる音とともにライフが砕ける!破れかぶれだろうが気合の乗ったいいアタックだ。クロトはダメージカードをリソースに置きながら笑みを深めた。
「もっとだ。来な」
クロトは更にターンエンド!更に金庫怪人のアタックを誘う。金庫怪人の追撃!ここでクロトは手札からカットイン!『虎穴に入る』!『カットイン/このバトル終了時、このバトルで自分のライフが減っているなら、自分は2枚ドローし、更に、自分のライフが3以下なら、山札から1枚リソースに置く』。ダメージと引き換えに手札とリソースを拡充する!
「間に合った間に合った……きたぜ」
そして迎える返しのターン。満を持して、クロトのデッキは牙を剥く。
「俺のデッキは……銀と赤と青の【多重詠唱機構(マルチスペルドライブ)】だ!」
「さ、3色構成デッキボールト!?」
「そうさ。お前からもらったダメージでリソースの色は揃った!」
アタックを誘っていたのはこのためだ!展開されたフィールド『多重詠唱機構』は、『自分がスペルを使用したとき、その効果発揮後、同じ効果を続けてもう一度発揮してよい』!
「だ、だが!ヴァンキッシュの花形はユニットカード!この正統派ビートダウンの赤単獄炎こそが真のヴァンキッシュ!」
「そうかもしれねェなァ」
「ならば死ねェッ!」
返しのターン!金庫怪人は更にユニットを展開しアタックを仕掛ける!
「……ッ、は」
クロトは手札からカードを引き抜き、構える。
「カットインタイミング――キャスト。『滅びの劫火』」
カウンター!クロトの放つスペルが金庫怪人のユニットを破壊する!
「赤を含む6コスト。『相手のコスト3以下のユニットをすべてトラッシュに置く。その後、お互いの場にユニットがいないなら、相手に1ダメージ』!」
「なにッ!?」
ガァンッ!!金庫怪人のライフに生じるダメージ!慄く怪人!
「同じ効果をもう一度だッ!」
「な……馬鹿なッ!?」
「どんなに攻めてこようと……スペルの前じゃ、かたなしってところだな」
更にダメージ!これで一気に2点を奪う!
「……なァ。お前言ったろ。『ヴァンキッシュの主役はユニットカード』だってよ」
返すターンはクロトの手番。スタート。リブート。ドロー。そしてメインフェイズへと入り、クロトは笑う。
「だがなァ」
手札を引き抜き、そしてクロトはカードを掲げた。
「たまには主役を譲れよ?」
キャスト。赤と青を含む8コストを支払い、放つスペルは『天理崩壊/アポカリプスナウ』。『お互いの手札を全て破棄し、相手に1ダメージ』。多重詠唱機構が駆動する。スペル効果を続けて起動。更に金庫怪人のライフにダメージ!
「グアーッいいヴァンキッシュでした!!」
かくして、怪人の最後のライフが消える!
「……ヴァンキッシュ」
Vanquish!勝者、霧島・クロト!
のけぞりながらステージ上に倒れた怪人はそのまま爆発し、骸の海へと還った。
これで怪人軍団は全滅。ヴァンフェスを襲う脅威はこれで全てが潰えた――かのように、見えた。
「熱い、ね。このきもち」
だが、まだ、この事件は終わらない。
怪人軍団に祭り上げられていた強力なオブリビオンが、密かに会場でこの戦いを見ていたのだ。
それは、ゆっくりと観客たちの間をすり抜けるように進み――ステージへと、のぼる。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『ネームロスト』
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POW : インストール
戦闘中に食べた【物体をデータ化させ、データ】の量と質に応じて【身体に反映】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : キャッシュクリア
【ケーブルを模した触手】による素早い一撃を放つ。また、【所有するデータを廃棄もしくは圧縮】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : フリーズ
【ケーブル状の触手】から【撒き散らすように体内に溜め込んだデータ】を放ち、【それを見たり聞いたりした者は情報過多】により対象の動きを一時的に封じる。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ラモート・レーパー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「あつい。たのしい。くやしい。すごい。つよい。おもしろい。もえる」
身体の何割かをブロックノイズで構成されたバーチャルキャラクターらしき姿がふわりと宙に浮かぶ。
「いろんなきもちが、いろんなエモーションが、わたしの中に満たされる。……そう。わかるよ。これは、ほのおだ。わたしは……いま、もうれつに、燃えている」
ネームロスト。空虚に苛まれ、それを満たすがために喰らい続けるデータ生命体オブリビオンである。だが、この場に現れた彼女は、少々、異なる。
「……わたしを、満たして」
その手の中にカードが現出した。
もはや説明するまでもないだろう。それは紛れもなくヴァンキッシュのデッキだ!
輝くカードは『虚空よりの来訪者 アストラバスター』。『このユニットは相手の効果で場を離れない』『このユニットのアタックがブロックされたか相手のライフを減らしたとき、相手の場のユニットを1体選びゲームから除外する』。“虚(うつろ)”属性……メディアミックス展開をしていたヴァンキッシュのファーストシーズンファイナルエピソードで登場した、最強の暗黒ヴァンキッシャーが用いた強力なデッキタイプであった。
「……やろう。わたしに、このわたしの胸に、もっと。もっと強い炎を」
かくして、オブリビオンは猟兵たちの前に立ちはだかり、カードバトルを仕掛ける!
「やろ。ね、いいでしょ……ゲット、レディ」
隣・人
「では……深淵ではなく【殺人鬼】タイプのデッキで勝負しましょうか。赤黒青の混ざり合いですよ――」
序盤は【墓地肥やし】していきましょうか。黒のスペル【生殺与奪】発動。お互いのデッキ上から二枚を墓地に。
中盤からは二枚ハンデスと先程の【生殺与奪】を回収。繰り返し使いましょうか。
そうしてお互いのデッキが少なくなったら青のユニット【六六六・番外】を出撃させます。このユニットが攻撃する時、自分か相手の墓地のカードを全部デッキの上に置いてシャッフル――あとはわかりますね?
【デッキアウト】狙いですよ。さあ、何も出来ずに沈んでください。場を離れないなら場以外から殺せば良いのですよ。は、は、は――!!!
「……ゲットレディ」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ……では、勝負しましょうか」
隣・人(f13161)はデッキをかざし、オブリビオン、ネームロストに対峙する。
「わたしのターン……ドロー。リソースへ。ターンエンド」
「隣人ちゃんのターン!青のリソースを置きエンド」
高いに初手で動きはなく、戦いは静かに始まる。だが、はやくも2ターン目から戦いは動き始めた。ネームロストがカードを掲げる。
「『虚獣ヴォイガー』……虚の2コストで、出撃」
『虚獣ヴォイガー』は《虚滅/来訪者》のユニットだ。『このユニットが手札から戦場に出たとき、自分は山札の上から4枚までを見て、その中から《虚滅》のユニット1枚を選び、相手に見せてから手札に加える。残ったカードは破棄する』。
「……能力起動。わたしは、確認した4枚の中からアストラバスターを手札にくわえる。これでエンド」
「キーカードを引いてきましたか……隣人ちゃんのターン!ドロー、リソース、メイン!隣人ちゃんは黒を含む2コストでスペル『黒き大疫』!お互いのデッキを上から3枚トラッシュに置きますよ!」
「……デッキ、破棄?」
そんなカードがあるのかと、ネームロストは表情を変えた。返すターンで彼女はフィールドを展開。『虚数領域』。『自分の虚のユニットが相手のライフを減らしたとき、相手の表向きのリソースを1枚選び、トラッシュに置く』
「そして、ヴォイガーでアタック」
「ライフで受けます!」
ぎゅお、ッ!異形の牙が隣人ちゃんのライフを噛み砕いた!ここでダメージカードがリソースに置かれるが、『虚数領域』がリソースを破棄する。ダメージによるリソース増加を抑制する強力な効果だ。
「これが虚の力ですか……!」
「わたしはこれでエンド。……あっは。どうする?」
「こうしますとも!隣人ちゃんのターン!」
渡ったターンで隣人ちゃんはフィールドを展開。『忍び寄る死の影』。黒のフィールド!『お互いのエンドフェイズ開始時、お互いの山札の上から2枚をトラッシュに置く』!
「……おもしろいね、それ」
「余裕でいられるのも今のうちだけですよ……これでターンエンド!」
「わたしのターンだね。『虚空よりの来訪者 アストラバスター』。はじめよう、わたしのヴァンキッシュを」
『虚空よりの来訪者 アストラバスター』。彼女のキーユニットだ。コスト7。パワー11000。《虚滅/来訪者》『このユニットは、自分の場のユニットを1体をゲームから除外することでコスト4として出撃できる』。『このユニットは相手の効果で場を離れない』。『このユニットのアタックがブロックされたか相手のライフを減らしたとき、相手の場のユニットを1体選びゲームから除外する』。3つの強力なテキストを兼ね備えた虚のエースユニットだ。
「さあ、いこう。アストラバスター。アタック」
「もう出てきましたか……!ライフで受けますよ!」
虚の騎士が戦場を駆けた。隣人ちゃんのライフを抉り取るように叩き砕く。
「く……ッ!」
「……あっは。たのしいね」
「そう、ですね……!」
想定していたよりも虚デッキの動きが速い。……間に合うか。否、決着にはまだ時間がある。間に合わせる。隣人ちゃんはカードを繰る。
「隣人ちゃんのターン……!」
だが、既に場に出てしまったアストラバスターは強力だ。除去を受け付けない能力。アタックの度に発動する除外能力。隣人ちゃんのデッキのユニットでは、あれを打倒するパワーを出すことは難しい。
「……ですが、やりようはありますよ」
隣人ちゃんは更にフィールドを展開する。2枚目の『忍び寄る死の影』!破棄枚数の増加!
「更にスペル、『暗黒接触』でアンタの手札をトラッシュに置いてやりますよ!」
「手札を……?そっか。そういうのもあるんだ」
返すターンで返すターンでネームロストはスペル『ヴォイドリアクター』を起動。手札を全て破棄し、相手の手札と同じ枚数になるまでドローする。更に展開。『虚滅兵 ハーメツ』。アストラバスターとともに隣人ちゃんのライフを撃つ。これで残り1点。絶体絶命の瀬戸際だ。
「エンド……?」
ネームロストはここで気づいた。自分のデッキ枚数の少なさに。
「……気づきましたか?」
ここまでの隣人ちゃんの動きによって、お互いのデッキは大きく削られていたのだ。隣人ちゃんの狙いははじめからこれだったのである。
「でも、あなたもすくないよ」
「ええ、だからこうするんですよ――隣人ちゃんのターン!手札から『六六六・番外』を出撃!」
戦場に、ユニットが降りる。
『このユニットが手札から場に出たときとアタックしたとき、お互いの山札を上から5枚破棄する』。『このユニットがアタックしたとき、自分か相手のトラッシュのカード全てを山札の上に置き、シャッフルする』。……デッキアウトによって相手を殺すためのユニットだ!
「……!」
「たしかに、あんたのユニットは強力ですよ。……ですがね!」
アタックフェイズ。隣人ちゃんが視線を上げる!
「場を離れないなら場以外から殺せば良いのですよ。は、は、は――!!!」
アタック時能力を起動!隣人ちゃんはトラッシュのカードを山札にもどし、更に相手のデッキを破棄!かくして、ここに決着がつく――デッキアウト!
「これで、ヴァンキッシュ!」
――Vanquish!
「あは……!」
ばぁんッ!決着の衝撃に吹き飛んだオブリビオンがステージの上に転がり、その身体にブロックノイズが走った。
「……たのしい。たのしいね、たのしいね!」
だが、その姿とは対照的に、オブリビオンの顔には激しい情動の火が灯る。
「もっと。もっとやろう。このあつい気持ち、もっとほしい!」
ネームロストは立ち上がり、そしてデッキを掲げた。
成功
🔵🔵🔴
浮島・いねす
姫ちゃんの怪人とヴァンキしてみた!
姫ちゃんのデッキは《マーメイドアイドル》
姫ちゃんのターン
切札『河の歌姫リヴィア』を出撃
出撃時コスト1と手札1枚を捨てて2ドロー
『カラフルパレット⭐︎キャロル』を出撃
出撃時に盤面のコスト4以上のユニットと同名のカードを山札から1枚公開し手札に加える
リヴィアを公開
リヴィアは攻撃時に1ドロー
攻撃終了時手札を2枚捨てることで『リヴィア』を含むユニットを出撃
『河の歌姫リヴィア』出撃時効果
中略
姫ちゃんのターンは終わってないよ
攻撃終了時効果で『期待の星リヴィア』を出撃して攻撃
なんかコメすごい流れてるな
禁止が決まってるカード使って恥ずかしくないのって?
なんで炎上するの?!
「姫ちゃんのー!怪人とヴァンキしてみた!」
浮島・いねす(f19414)は配信用の動画撮影ドローンに向かって媚び媚びのダブルピースをしながらタイトルコール。動画配信を開始する。
「いいよ。やろ。もっと」
ゆらり揺れるようにオブリビオンはスタンディングヴァンキッシュテーブルに着き、いねすを迎える。
「おっけー。それじゃあ始めていきまーす!ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ」
先手はいねすが取り、対戦は始まった。まずは♡(ピンク)のリソースを置いてエンド。対するネームロストも同じくリソースを置く。続く2ターン目から互いに動きは始まった。
「姫ちゃんは手札から『水底から仰ぐ夢 リヴィア』を出撃っ!出撃時能力でデッキの上5枚をオープンしてー、その中のコスト4以上の『リヴィア』を1枚手札に加えるよ!残ったカードはデッキ下へ。これでエンド!」
ここでいねすは『大河満たす歌声 リヴィア』を手札に加えた。いねすのデッキのフィニッシャーユニットだ!
「わたしのターン……。スペル、キャスト。『ヴォイドジェネレイター』。3枚ドロー……それから、手札を2枚破棄」
序盤は互いに後半戦を見据えて手札を回す。返すターンでいねすはカードを繰り、盤面を整える。
「いい感じに決まってきた!姫ちゃんはー、手札から『水面の独唱 リヴィア』を出撃っ!」
『水面の独唱 リヴィア』。《アイドル☆/マーメイド》。コスト4。『このユニットは場の「水底から仰ぐ夢 リヴィア」をトラッシュに置くことでコストを払わずに出撃できる』。
『リヴィア』は♡(ピンク)のデッキタイプのひとつだ。『水底から仰ぐ夢』『水面の独唱』『希望の飛沫』『大河満たす歌声』の4種の『リヴィア』を搭載し、最終的にフィニッシャーとなる最終態大型ユニットの『大河満たす歌声 リヴィア』で決着をつけるスタイルである。
「ふーん……そういうのも、たのしそうだね」
続くターンでネームロストはユニットを展開。先のバトルでも登場した虚獣ヴォイガーが《虚滅》をサーチする。続けてフィールドを配置。展開された『異形の花園』は、『自分が虚のユニットを出撃するとき、自分の手札を望む枚数破棄してよい。そうしたとき、破棄した枚数分そのユニットのコストを減らす』。
巡ったターンでいねすは更にリヴィアを入れ替え、フィニッシュムーヴへの準備を進めた。
「さあ、これで決めるよー!満を持して登場!『大河満たす歌声 リヴィア』!」
ここでいねすの手札からフィニッシャーユニットが戦場へと降り立つ。登場時能力を起動し、2枚ドロー。更にコストを支払い『カラフルパレット⭐︎キャロル』が出撃する。こちらも出撃時能力を起動!自分の場にいるユニットと同じカード名のユニットカードを山札から手札に加えるのである。
「これで準備完了!それじゃ、ライブはじめるよー!」
アタックフェイズの開始を宣言!いねすは『大河満たす歌声 リヴィア』でアタックする。『このユニットがアタックしたとき、1枚ドローする』。『このユニットのアタックしたバトル終了時、自分の手札を2枚破棄してよい。破棄したら、自分の手札から「リヴィア」を1枚まで選び、コストを支払わず場に出す。その後、このユニットを手札に戻す』。
「リヴィアでアタック!カットインはある?」
「ないよ。ライフでうけるね」
ばぁんッ!オブリビオンのライフが砕けた。その身体をかき乱すブロックノイズ!
「バトル終了時の能力を起動っ!「リヴィア」をてふだから出撃ーっ!さーいけいけ!『大河満たす歌声 リヴィア』!で、場にいる方のリヴィアは手札に回収、と!」
「……ループコンボ、だね」
「そのとーり。条件は十分。そっちのライフが0になるまでアタックさせてもらうからね!」
「……いいよ。ライフで受ける」
先に盤面を完成させたいねすがループコンボを叩き込み、オブリビオンのライフを削り切る!――Vanquish!
「ゔぁんきーっしゅ!いえーい、姫ちゃんの勝ち!さー、コメントどうなってるかな~」
決着早々いねすは手元のデバイスで配信中の動画をチェック。コメント欄を確認して、表情を崩した。
《制限カードじゃねえか!》
《4枚積んでて草》
《ヴァンキッシャーの風上にも置けない屑》
「なんで炎上してるの!?」
「でも、わたしはたのしかった」
コメント炎上に悲鳴をあげるいねすの肩にオブリビオンが手を置いてなぐさめる。それはともかくまだ戦いは続くのだ。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
言葉はいらないね、やろうか
ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!
隠密赤緑デッキで続行
やっぱりお互いのキーユニットで戦いたいだろう?
盤面の状況は厳しいが……
カットインで『休戦協定』を使用
3ターンの間お互いバトルを不可能にする
稼いだ時間で反撃の用意を整えよう
フィールド『忍の里』で隠密カードのパワーを2000アップ
アーマメント『身代わり』をミジンガクレに装備
バトル時負けても身代わりを破棄することで一度だけ帰って来れる!
『忍将軍ユキムラ』頼んだよ
カードの能力で『忍僧ゲンクウ』をノーコストで出撃
ゲンクウは味方バトル時、一度だけ相手のカットインを無効化出来る
さあ、がちんこ勝負しようじゃないか
ユキムラでアタック!
「言葉はいらないね、やろうか」
「うん。やろう。……ゲットレディ」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
鈴木・志乃(f12101)――ナナシはブロックノイズに揺れるネームロストに対峙しながら、デッキをシャッフル。スタンディングヴァンキッシュテーブルで対戦を開始する。
序盤。志乃/ナナシは盤面に[隠密]を置きつつ、フィールド『忍の里』を展開。『お互いのバトルフェイズ中、自分の[隠密]をもつユニットすべてのパワー+2000』。特殊能力のためにパワーが低めに設定された[隠密]ユニットを補強しバトルに備える効果だ。
一方、ネームロストは虚獣ヴォイガーでのサーチから《虚滅》のユニットを手札に加える。『虚空よりの来訪者 アストラバスター』。彼女のキーユニットだ。
「……やっぱり引いたね」
「うん」
おそらく次のターンにアストラバスターがフィールドに降りるだろう。そうなれば、強力な除去能力で盤面の維持が難しくなる。返すターンで志乃/ナナシは思考した。
「なら、これでどうだ!」
メインフェイズに志乃/ナナシはスペルを起動。『休戦協定』!『このスペルを自分の場に置く。このスペルが場にある限り、お互いにバトルフェイズを行うことができない。このスペルは次の相手のエンドフェイズに[行動済]になり、[行動済]のこのカードは相手のエンドフェイズ開始時にトラッシュに置かれる』。すなわち、お互いにバトルを仕掛けられなくなるのだ。
「いいよ。じかん、あげる」
お互いに展開の時間を得たということになる。返すターンでネームロストはヴォイガーを犠牲にアストラバスターを出撃しターンエンド。
「出てきたね、アストラバスター……。だけど、その対策を僕は編み出してある!」
「いいよ。やってみて。……できるのなら」
「僕のターンだ。ドロー、リソース。そしてメイン!疾れ、忍将軍ユキムラ!登場時能力で[隠密]をもつユニットをノーコストで出撃だ。『忍僧ゲンクウ』!」
『忍僧ゲンクウ』。コスト5。『[隠密]/このユニットの[隠密]が解除されたとき、そのターンの間、相手が手札から使うカードのコストを+2する』『自分のユニットがアタックしたバトル中に相手が《カットイン》を使用したとき、その効果解決前にこのユニットを[行動済]にしてよい。そうしたとき、その《カットイン》を無効化する』。
「……ふうん。おもしろいカードだね」
「これが、アストラバスターを倒すための切り札さ。僕は次のターンで挑ませてもらう!」
「いいよ。……おいで」
返すターンで更にネームロストは虚のユニットを展開。『虚空の花 ヴォイドファルター』。6コスト。パワー9000。『自分のカードの効果で相手の場のカードが場を離れたとき、1枚ドローし、そのターン中、このカードのパワー+3000』。次の攻防に備える。そしてこのターンのエンドフェイズに『休戦協定』は破棄された。かくして志乃/ナナシへとターンが回る。
「ここから、仕掛ける!」
「……いいよ。おいで」
メインフェイズ!志乃/ナナシはリソースを支払い、アーマメント『天下五剣 ムネチカ』をユキムラへと[武装]した。これでユキムラのパワーはアストラバスターに届く。
「ユキムラ、アタック!」
バトルフェイズ!忍将軍が戦場を疾る!
「……あっは。せっかくだけど、わたしは『ライフで受ける』よ。ユニットを温存して、次のターンでアストラバスターで……」
「そうはいかないよ!《カットイン》はある?」
「ないです。……何を見せてくれるんですか?」
「僕はここでカットイン!スペルキャスト!『一騎討ち』!」
『一騎討ち』!それは赤のスペルである。『カットイン/自分のアタックしているユニットは相手のユニット1体を指定してバトルする。このバトルで相手のユニットが場を離れたとき、相手に1ダメージ』!即ち、相手の場のユニットに決闘を申し込むスペルだ!
「当然、僕は『アストラバスター』を指定するよ。さあ、がちんこ勝負しようじゃないか……ユキムラ、一騎討ちだ!あいつをやっつけろ!」
「……!」
戦場を駆け抜ける忍将軍!その剣は虚空よりの来訪者へと向かう!
「あっは……!いいよ。いいよ!迎え撃って、アストラバスター!」
交錯!ユキムラとアストラバスターが戦場で刃を交える。アストラバスターのパワーは11000!ムネチカを[武装]したユキムラのパワーもまた11000!
「相打ちだッ!」
「そうは、いかない……!」
ここでネームロストは更にカットイン!『ヴォイドリアクター』のカットイン時能力を宣言。これによってアストラバスターのパワーは+3000!ユキムラを上回――
「そのカットインに割り込んで僕はゲンクウの能力を発揮する!これでそのカットインを無効化だ!」
「……!」
その瞬間。
アストラバスターの爪がユキムラを貫く。それと同時に、ユキムラの剣がアストラバスターの胸を貫いた――相打ち、ッ!しかし、ここに一騎討ちの効果でダメージが通る!
「く、ッ……!」
「まだだッ!疾れ、ミジンガクレッ!」
志乃/ナナシの盤面はここまでの展開でライフを削り切るまでのユニットが展開されている!一気呵成に押し切る算段!隠密ユニットたちが敵のライフへと殺到!そして――
「……ライフで、受ける!」
Vanquish!
オブリビオンのライフカウンターは0になり、その衝撃にその身体が揺れる!
「ヴァンキッシュ!……僕の、勝ちだ!」
勝鬨!志乃/ナナシは拳を掲げる!
「……あは、あっははは……!たのしい。たのしい。すごく、楽しかった……。いいヴァンキッシュでした」
ネームロストはふらふらと揺れながら、しかして未だにその双眸に火を灯す。既に三度のヴァンキッシュを経て大きなダメージを負いながらも、未だその魂に燃える炎は戦いを求め続けていた。
「……もっと。もっと、もっと!」
戦いは、続くのだ!
成功
🔵🔵🔴
数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【敗北OK】
くっ!?
なんてこった……
"虚"属性の相手をするには、
アタシの今のデッキじゃどうやっても間に合わない!
ここは、あの一点突破に賭けるしか……!
最後の最後でこのコモン、『即時対応兵ソーティ』に命運を預ける事になろうとはね……。
どんだけライフが減っても、1だけ残っていりゃかすり傷さ!
リソースから抽出するコストを1増やす緑のフィールド、
ユニットを[行動済]にしてリソースを[未行動]に戻す装備……
そしてソーティ!
この3枚のコンボで、1ターンの内に無限コストを捻出!
それを支払ったコストに比例して相手に直接ダメージを与えるスペルにつぎ込む!
頼む、間に合ってくれ……!
「いって、アストラバスター」
「ぐああああああああっ!!」
ガオンッ!激しい轟音とともに数宮・多喜(f03004)のライフが砕けた!
ヴァンキッシュは既に5ターン目を迎える。ネームロストは先のターンにユニットを犠牲にしてアストラバスターを早出ししており、既に攻勢を始めていた。
対して、多喜の盤面はユニットを消し飛ばされ苦戦を強いられている。
「くっ……なんてこった……!虚属性の相手をするには、アタシの今のデッキじゃどうやっても間に合わない!」
「そう。そのエモーション。たのしいね。たのしいね。わたしはここでターンエンドだよ」
残るライフは2点。多喜へと手番が返る。血を吐くような思いで彼女はカードを引き、対戦相手の姿を見据えた。
引いたカードは、『即時対応兵ソーティ』。最後の最後でこのコモンカードに命運を預ける事になろうとは。多喜は苦々しく笑いながら、手札を見た。
「……一点突破に、賭けるしか手はないか」
多喜は短く息を吐き出し――メインフェイズに入る。
「アタシは手札から『即時対応兵ソーティ』を出撃!更に、フィールド『拡大する樹海』を展開だ!」
『拡大する樹海』は、『自分のリソースが効果で[未使用]になるとき、その枚数を+1する』能力を持つカードだ。
「そしてアーマメント!『緑の礎』をソーティに[武装]する!」
更に『緑の礎』は『メインフェイズ中、[武装]状態のこのユニットを[行動済]にしてよい。そうしたとき、自分のリソースエリアのカードを1枚まで選び、[未使用]にする』。――『拡大する樹海』とのコンボでリソースの枚数を疑似的にブーストすることができるカードだ。
「いくよ、まずは『緑の礎』を[武装]したソーティを行動済にすることで、リソースを2枚アンタップ!」
「……あっは。いいね。おもしろいね。みせて、その先を」
「ああ、これから目にもの見せてやるよ!更に、1コスト支払ってソーティを[未行動]にする!」
アンタップ!ソーティが起き上がる。そして多喜は再び『緑の礎』でリソースをアンタップし、ソーティを起こす。これを繰り返すことで実質的に無限のリソースを得たと言える。
「……」
だが、多喜の表情は硬い。いくらリソースがあっても、彼女のデッキではアストラバスターを打ち砕くだけの能力を持ったユニットを出すことはできない。
「だから、こいつに賭ける!これで終わらせるよ!スペル『怒れる大地の咆哮』ッ!」
スペル『怒れる大地の咆哮』!コスト7の必殺級スペルだ。『このターンに自分が支払ったコスト5につき、相手に1点ダメージを与える。このスペルを使用する際に支払うコストは含めない』!通常であれば最後の1点を詰めるのに使われるカードである。だが、多喜はソーティ・緑の礎・拡大する樹海の3枚のコンボにより膨大なコストを支払っていた。それこそ無限ともいえる数値だ。すなわち、このスペルで相手に与えられるダメージは一撃でライフを奪い取る!
「……あっは」
だが、オブリビオンは愉しむように笑んだ。
「わたしは手札からスペル『クライングイリュージョン』を破棄」
「なに……っ!?」
『クライングイリュージョン』。『カットイン/自分のユニットがアタックしているとき、そのバトル中、そのユニットが場を離れるなら、かわりにそのユニットを[未行動]で場に残す』『相手の効果で自分のライフが減るとき、手札のこのカードを破棄し、コストを払ってよい。払ったら、その効果で減るライフを1にする』!オブリビオンは2つ目の効果を起動し、ライフダメージを1点に抑え込んだ!
「止められたか……!くそ、ソーティじゃ向こうの盤面を突破しきれない!ターンエンドだ!」
「……わたし、とってもどきどきしたよ。すごくエモーショナルだった。……ありがとう。いいバトルでした」
返すターンでネームロストはアストラバスターに『虚の魔剣 ディストルテイン』を[武装]。そしてアタック。ソーティを盤上から除外しながら、多喜に残された最後のライフを叩き砕いた。
「……ヴァンキッシュ。これ、言ってみたかったんだ」
「く、っ……ありがとう、ございました。いいヴァンキッシュでした」
――Vanquish!勝者、ネームロスト。多喜は膝を屈する。オブリビオンはそれにゆっくりと歩み寄り、手を伸ばして多喜を立たせた。
「すごいコンボだったよ。……このゲーム、ほんとうにたのしいね」
「ああ……そうだね。アタシも、いいゲームだと思うよ」
「またあそぼ」
ブロックノイズ交じりの顔でオブリビオンは笑うと、ゆっくりとスタンディングヴァンキッシュテーブルへ戻った。
戦いを続けるつもりなのだ。オブリビオンとのヴァンキッシュは、まだ終わらない。
苦戦
🔵🔴🔴
霧島・カイト
【霧島家】
折角だ。銀のデッキを見せようか。
と言っても弟と『合わせて』作ったデッキだがな。
銀のユニットで以て白のスペルを駆使する銀白の【機装魔術師】だ。
俺は何処までも盤面は静かに見据えるが、この内に沸き上がる物を。確かに感じている。
相手の効果で場を離れないならば、『離れさせないままに無力化』する。
タップしたならばブロックも攻撃も出来ないのは同じようだしな。
ユニットの効果でスペル負担を軽減、再利用。先程の速度とは違う『制圧』を見せようか。
試合の熱情は見せつける物ではなく、
その場一帯で『作り上げる』ものなのだから。
※合わせ風味ですが面倒ならソロで
霧島・クロト
【霧島家】
よし、なら『速度』を高めてやろうじゃねーの。
と言っても兄貴と『合わせて』作ったデッキだけどな。
銀のユニットで以て赤のスペルを連打する銀赤の【機装魔術師】だ!
ま、元より俺はスペル大好きな『魔術師』なんでな。ただのビートダウンじゃねぇぜ?
相手の効果で場を離れない?
じゃあ『外堀を制圧すればいい』。
……楽に出せると思うなよォ?
ユニットの効果でスペル負担を軽減、再利用しながら、赤のスペルで徹底的に『焼いて』『荒らす』ぜ。
まま、折角だ。同じカードでも色が変われば立ち回りもこんなに違うんだっての、知っていけよ。
※合わせ風味ですが面倒ならソロで
「や、ろう。もっと、もっと。満たして。わたしの、こころを」
ネームロストはカードを構える。
「心、か」
「おいおい兄貴、変なシンパシー感じて情にほだされてンじゃねぇだろうな」
そこに対峙するのは、霧島・カイト(f14899)と霧島・クロト(f02330)である。2人はそれぞれにカードを構え、スタンディングヴァンキッシュテーブルへとついた
「まさか。……いくぞ、クロト。準備はできてるな」
「ああ、とっくに。いくぜ兄貴。ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ。……こんどは2人いっぺんになのね。たのしいな」
2対1の変則バトルだ。ノイズ交じりに笑顔を浮かべながら、ネームロストはカードを引く。
「わたしのターン。ドロー。リソース。メイン……このままおしまい。いいよ、おいで」
「よし、なら『速度』を高めてやろうじゃねーの。俺のターンだ。まずは銀のリソースを置いてエンド」
「ああ。見せてやろう。こちらもドロー。銀のリソースを置いてエンド」
「ふうん……おそろいの銀なのね」
カイトとクロトの2人はともに銀のカードから配した。面白がるようにネームロストはそれを見て微笑み、返すターンでユニットを出撃。出撃時能力で手札を整えた。
「ああ、『合わせて』つくったデッキだからな」
「なかよしね」
最初の2ターンは互いに静かだ。小型のユニットを出し、ドロースペルで整える。続く流れでネームロストは『異形の花園』を展開。手札を破棄することでユニットのコストを軽減する能力を持つフィールドである。
「そのフィールドとユニットを生贄にする能力であのユニットを出そうって魂胆なんだろうが……!」
ここでクロトは仕掛けた。赤のリソースを支払い、手札からスペル『フレイムブラスト』をキャスト。ネームロストの場に構えていた《虚滅》のユニットをトラッシュに置く。
「……楽に出せると思うなよォ?」
「続けて俺のターンだ。俺はリソースを置き、コストを支払って『魔導騎兵 ギア・マギア』を出撃する」
『魔導騎兵 ギア・マギア』は《機装/術式回路》のユニットである。『自分の場にこのユニット以外の《機装》がいるなら、自分のターン中、自分の使用するスペルのコスト-1』。スペルを活用する《機装》のユニットだ。
「あっは。……いいね。たのしいね」
そして再びネームロストのターン。ここで彼女は『異形の花園』の効果を用いて手札を3枚破棄。コストを軽減し、『虚空よりの来訪者 アストラバスター』を出撃させる。
「わたしも、たのしませて」
アストラバスターが打って出た。その腕に満ちた虚無の力が撃ち放たれ、カイトの場のユニットを消し去りながらそのライフへと迫る。ガァンッ!ライフの砕ける音!
「ぐ、ッ……!」
ダメージに仰け反りながらも、カイトは息を吐き出しながら踏みとどまる。アストラバスターのパワーは強力だ。
「もう出てきやがったか……だが、随分ムチャをするじゃねェか!」
本来、アストラバスターは自分の場のユニットを犠牲にすることでコストを軽減して出撃することが理想だ。だが、クロトのスペルによって贄となるユニットが破壊されていたが故に『異形の花園』に頼らざるを得なかったのである。手札3枚は重たい。だが、ネームロストはそれだけの代償を支払う価値をアストラバスターに見出していたのである。実際、一度場に出さえしてしまえばアストラバスターは非常に優秀だ。パワーも高水準であり、その能力による制圧力も大きい。
――なにより、アストラバスターは彼女の『相棒』だ。
「キーユニットでこのまま押し切るつもりのようだな……だが、そうはさせない」
「ああ、このまま黙ってやられっぱなしじゃいられねェからな。いくぜ兄貴、反撃開始だ」
クロトはターンを開始し、手札を引いてテーブルの先に対峙する敵の姿を見据える。
「あっは。……いいよ。おいで。たのしいね。あつくなるね」
「いいぜェ、やってやる!俺のターン、『機装魔術師 グレン』!」
ここでクロトはユニットを出撃。『機装魔術師 グレン』は『自分のターンに使用する赤と銀のスペルのコストを-1する』『自分がスペルを使ったとき、そのスペルを手札に回収する。この能力は1ターンに1回まで使える』。スペル起動を中心とした戦術の要となるユニットだ。
「……あっは。いいよ。そのユニットもくだいてあげる。わたしの、アストラバスターで」
「そうはさせない。俺のターン、リソースを置き、手札から『機装魔術師 シロガネ』を出撃する!」
更にカイトがユニットを場に出した。グレンと同様に銀と白のスペルコストを軽減するユニットだ!
「お前からもらったダメージで増えたこのリソース、使わせてもらう。俺は手札から『白銀の檻』をキャスト!」
「そのスペルは……!」
『白銀の檻』!『相手の[行動済]のユニットを1体選び、そのユニットは次の相手のターン中、[未行動]にならない』!
「そうだ。相手の効果で場を離れないならば、『離れさせないままに無力化』する……これが、お前に勝つために見出した俺の戦術だ。アストラバスターは次のターン、[未行動]にならない!」
カイトは静かに盤面を見据えながら、その胸の内に湧き上がる熱をたしかに感じていた。
互いに考え抜いた戦術を打ち合い、時に受け止め、時に躱しながら交錯を繰り返し、そして、勝利を目指す。それがカードゲームだ。ヴァンキッシュにはその人間のすべてが現れるという。カードバトルとは、その人間の魂のすべてをかけたぶつかり合いであり、精神的な決闘なのである。
「あっは……いいね。いいね。たのしい。もえる。もえてくる。わたし、かちたい!」
「いいや、勝つのは俺たちだぜェ!」
「わたしのターン、ドロー……!」
戦いは続く。続くターンでネームロストは更にユニットを展開した。更にアタックでカイトのライフを削る。
「俺のターンだ!キャスト、『フレイムブラスト』ォッ!徹底的に『焼いて』『荒らす』ぜ!お前の盤面!」
「そして俺のターン。再び『白銀の檻』でアストラバスターを封じる。……これで、制圧だ!」
返すターンでクロトが盤面を砕き、そしてアストラバスターを封殺!更に展開するユニットがネームロストのライフを割り砕く――
「あはははは……。すごいなぁ。つよいね、ふたりとも。いいよ。最後のライフ、あげる」
かくして、スペルの攻勢による封殺によって決着は成る。最後のライフを砕かれる衝撃でオブリビオンが吹き飛び、背中から激突した壁にクモの巣状のひびを入れた。Vanquish!勝者、霧島カイト&クロト!
「……ヴァンキッシュ」
「俺たちの、勝ちだぜェッ!」
「はあ……はあ……あは、あはは。は!まだ、まだまだ。もっと、もっと熱くして。わたしを満たして。もっと、満たして」
だが、彼女は未だに滅びない。その胸に激しい熱情を灯しながら、ブロックノイズまみれの姿でゆらゆらと揺れる。這うようにテーブルへと戻ったオブリビオンは、しがみつくようにスタンディングヴァンキッシュテーブルへともう一度つく。
「このエモーションで、わたしを満たして」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エドゥアルト・ルーデル
カードゲームわかんないから適当に
突然の闖入者が!しかし破れていった強敵"トモ"の為にも負けてやる訳にはいかんでござるよ!
(怪人達とのなんかいい感じの戦いと友情を捏造しながら)
託された(パクった)赤単獄炎破壊コントロールと暴族を組み合わせた獄炎ヒャッハーデッキでござる
基本は相手のユニット除外を物量で押し返しつつ徹底的なリソース破壊ですぞ!
相手のフィニッシャーと手持ちのフィニッシャーと潰し合いさせるぐらいの打撃戦を展開、リソースと展開しているモンスターの差で押し切りでござる!
金庫怪人!ジュエリー怪人!…花京院!終わったよ…
特にやる事無い知らない人はその辺でかっこよさげなポーズでもしててくだされ
「敗れていった強敵“トモ”の為にも負けてやる訳にはいかんでござるよ!」
エドゥアルト・ルーデル(f10354)が見上げた空に怪人たちのアバヨスマイルが浮かぶ。彼の脳裏によみがえるのは怪人たちとのあつい友情の記憶だ。激しいヴァンキッシュ修行の日々が思い起こされる。
「そっか」
ネームロストは山札から初期手札の5枚をドローしながら、対戦の準備を終えた。エドゥアルトもそれに向き合い不敵に笑う。
「さあ、始めていきますぞぉ。ゲットレディ!」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ」
「先行は頂いたでござる!まずは赤のリソースを置き、拙者は赤1コストでボンファイアを出すでござるよ」
『火種竜ボンファイア』。――先のヴァンキッシュの最中に知らないおじさんが金庫怪人からスリとった《獄炎》のカードだ!彼のデッキは《獄炎》ともともとの《暴族》を合わせた混成デッキになっていたのである。
「ふうん、そうくるんだ」
「拙者には託された思いがあるでござるからな……」
エドゥアルトは空に浮かぶ金庫怪人とジュエリー怪人の微笑みに涙を流しながら敬礼する。ネームロストはそれをスルーしながら手番を進めた。先の試合と同じように『異形の花園』を展開。後続のユニットに繋ぐ準備をする。
返すターンでエドゥアルトはスペル『ヒャーッハッハッハー!』を使用。コスト3。『自分の山札からコスト2以下の《暴族》を2枚まで選び、場に出す。この能力によって場に出たユニットは場に出たときの能力を使用できない。その後、自分は手札を1枚破棄する』。これによってエドゥアルトは『突撃バイクマン』と『汚物消毒者』を展開する。
「さあ、どんどん盤面を整えていくでござるよ~!」
「うん。いっぱいならんでたのしいね。わたしのターン。『虚滅兵 ハーメツ』、行って」
『虚滅兵ハーメツ』は『このユニットがアタックしたとき、他の自分の虚のユニットがいるなら、自分は1枚ドローする』。だがここは場に出すのみにとどめてターンエンド。
再び巡るターンでエドゥアルトは更にユニットを出した。『焼却者モーヤス』。登場時、自分のリソースのカードを1枚破棄することで相手のリソースを1枚破棄!相手の展開を阻害する!再び返すターン。ネームロストは『宇宙の聖灰』を場に出す。コスト1のユニットだ。『このユニットはアタックできない』『自分が《虚滅》のユニットを手札から出撃するとき、このユニットを墓地に置くことでそのユニットのコストを−2する(1以下にはならない)』。ここでネームロストは能力を起動。異形の花園と聖灰でコストを軽減し手札から『虚空の花 ヴォイドファルター』が出る。
「向こうの場にはユニットが2体……しかし、こちらはもう既に4体出ておりますからな!物量で押させてもらいますぞ!」
エドゥアルトは新たに得たターンでユニットを出撃。『大獄竜騎メギドラグーン』!コスト5。パワー7000。『自分の《獄炎》が相手のライフを減らしたとき、相手の場のユニットを1体選びトラッシュに置く』。
「とはいえ迂闊に仕掛けては返り討ちでござるな……」
一手早く出されたヴォイドファルターはコスト6、パワー9000。現在それを上回るパワーはエドゥアルトにはない。ここでターンを渡す。
「……じゃあ、ここから始めよう」
そして、ネームロストは場のハーメツを除外し、コストを軽減した『虚空よりの来訪者 アストラバスター』を出撃する。
「むう、きたでござるな」
「うん。じゃあ、いくね。アストラバスター。アタック。アタック時能力でメギドラグーンをゲームから除外するよ」
駆ける!エドゥアルトのユニットを消し飛ばしながらアストラバスターがその力を振るった!
「さらに、相手のユニットを除外したのでヴォイドファルターの能力を起動。1枚ドロー……アストラバスターのアタックはどうする?」
「ライフで受けるでござる……ぐああああ!」
砕けるライフ!衝撃に悲鳴をあげるエドゥアルト。ネームロストはここでターンを渡す。
「むう……」
盤面的にはエドゥアルトが数で押している。だが、登場してしまったアストラバスターは危険だ。あれが居座っているだけで非常に大きなプレッシャーになる。
「今の奴のデッキではアストラバスターを叩くことは困難……」
ステージ上で知らないおじさんが固唾を飲んで盤上を見守った。
「更にヴォイドファルターがいる限り、アストラバスターがアタックする度に奴は手札を増やす。つまりカットインのためのカードを揃えられるのだ。長期戦に持ち込むのはまずいぞ」
知らないおじさんはネームロストの動きを見ながら解説した。
「……ふっ!であらば短期決戦でござる!拙者は更に『ヒャーッハッハッハ!』でユニットを出すでござるよ!」
返すターンにエドゥアルトはスペルでユニットを再展開!更に2体目の焼却者モーヤスを盤面に出撃させた。能力によって再び相手のリソースを削り取る!
「これで拙者のユニットは『突撃バイクマン』3体、そして『汚物消毒者』1体にモーヤス2体……ぜんぶで6体!これでアタックしきれば勝ちでござるぞ!」
「ふうん」
ネームロストの盤面に、ブロックが可能なユニットはヴォイドファルターを残すのみだ。1回は止められるとしても、全てを守り切るには足りない!
「むう……!しかし、相手にカウンターの防御スペルがあれば逆に次のターンが無防備になる。それでも攻めるつもりか」
知らないおじさんが手に汗握り、その戦いに熱いまなざしを送る!
「……拙者はわかっているでござるよぉ。ここに来るまで、そちらはユニットを出すためにカードをかーなーり消費しているでござる。つまり、攻め切るには手札が整いきっていないはずの今しかないということでござるな!」
「そう思うなら、おいで」
ブロックノイズの向こうにエドゥアルトはオブリビオンの笑みを見る。
「――ブラフと見たでござるよ!全員でアタック!」
かくして、エドゥアルトは6体のユニットでのアタックを開始する!
突撃バイクマンがライフに激突!続けてもう一発。更に3発目!表情一つ変えぬネームロストの様子にエドゥアルトは内心で焦燥するが、手を止めるにはもう遅い。更に汚物消毒者!モーヤスでアタック!
「……ヴォイドファルターでブロック」
「カットインは!」
「ないよ」
最後の1点。5回目のアタックは止められる。そして、最後のライフ。最後のユニット。ラストアタックだ!エドゥアルトはアタックを宣言する!
「――――あっは」
そして。
「……ライフで受ける」
――Vanquish!
最後のライフを砕かれて、ネームロストが膝をつく。エドゥアルトは拳を掲げ、勝鬨をあげた。
「金庫怪人!ジュエリー怪人!……終わったよ……」
そしてエドゥアルトはまだ消えてなかった空に浮かぶ怪人たちの笑顔に手を振ってその勝利を報告した。
「……もうちょっと、もうちょっとだけ。もうちょっと、だけ、あそびたい」
だが、まだとどめを刺すには至ってはいなかった。オブリビオンは尚も立ち上がり、ヴァンキッシュテーブルにしがみつきながら執念深くカードバトルを求める!
しかしその身体はもはや崩壊寸前だ。最後の決着の時は、刻一刻と近づいている。
成功
🔵🔵🔴
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
バウンス不可にキーカード除外…トークンでアドバンテージ獲るあたしとは相性あんまりよくないわねぇ。
…まぁ、対抗手段はあるけれど。
場から吹っ飛ばせないなら、封じちゃいましょ。アーマメント起動、「屍術師ルストーの秘儀」。効果は「装備したユニットをパワー2000・効果なしのゾンビに変身させる」。
後は「このカード以外の全てのカードの効果を無効にする」効果を持つフィールド「傲慢なるお触れ」も準備しましょ。
…公主の効果も無効化されるからホントに最終手段だけど。
場の効果を封じられても動きやすいのがカットイン型の強みよねぇ。
こういう平和…平和?な依頼ばっかりなら楽なんだけどなぁ…
「たのしい。たのしい。たのしい」
「厄介ねぇ、やっぱり……!」
ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)のライフを砕くアストラバスターの虚の力!衝撃に揺らぐも、ティオレンシアは踏みとどまった。
オブリビオンとのヴァンキッシュは既に5ターンが経過している。ティオレンシアは手札を回し、リソースを置き、場を整えていたが、『場を離れない』能力をもつアストラバスターはカットインタイミングによるカウンター除去を主な対抗手段としている彼女のデッキに対して、対処の困難なユニットであった。アストラバスターのアタックは既に二度目。更にもう一体『虚獣 ヴォイガー』を場に置かれた状態でありながら、ティオレンシアのライフは残り3点である。
「バウンス不可にキーカード除外……シンプルに強いカードじゃない。あたしのデッキとは相性あんまりよくないわねぇ」
こめかみにじわりと汗が滲んだ。――だが、対策を講じていないわけではない。ネームロストのターン終了宣言から、ティオレンシアへと手番が移る。ドローフェイズ。引いた2枚の中に、そのカードはあった。
「だけど、きっちり返させてもらうわよぉ……あたしは手札から黒を含むコストを払い、『屍術師ルストーの秘儀』を使うわぁ」
「……アーマメント?でも、あなたの場にユニットは……」
「えぇ、いないわねぇ。……だから、これはあなたの場のアストラバスターに[武装]するわぁ」
「……相手の、ユニットに!?」
『屍術師ルストーの秘儀』。『装備条件:コスト6以上』『このアーマメントは、相手のユニットにも[武装]できる。[武装]状態のこのカードは[分離]することができず、相手の場にあるこのカードが場を離れるとき、本来の持ち主のトラッシュに置かれる』『[武装]しているこのユニットはすべての能力を失い、パワー2000の《屍人》になる』。
「ええ。――これで、あなたのアストラバスターは単なるゾンビユニットでしかない、ってことよぉ」
「そんなたたかいかたがあったんだ……すごい。やるねえ」
「あたしはこれでターンエンド……さぁ、どうするかしらぁ?」
「……まだ、おわりじゃないよ。わたしのターン」
返すターンでネームロストは札を引き、そしてノイズ交じりに笑う。手札から引き抜いたそのユニットカードは――『虚空よりの来訪者 アストラバスター』!
「わたしの場のカードを1体除外することで、コスト4として出撃……もういちど、たって。アストラバスター」
「2枚目……!」
場のアストラバスター・ゾンビが盤面を離れ、ルストーの秘儀もまたトラッシュへと送られた。そして戦場に再び立つのは新たなアストラバスターだ。
「さらに、わたしは『虚の魔剣 ディストルテイン』をアストラバスターに[武装]する……」
『虚の魔剣 ディストルテイン』は『装備条件:虚滅&コスト5以上』『[武装]しているこのユニットが相手に与えるダメージ+1』『[武装]しているこのユニットは、相手のスペルの効果で選ばれない』!アストラバスターに更なる耐性を持たせた上で殺傷力を上げる必殺のアーマメントだ!
「これでアタック」
「打つ手がないわねぇ……ライフで、ッ!」
砕けるライフ。ティオレンシアは耐える。残るライフは1点。カットインを警戒してか、オブリビオンはそこで攻め手を止めた。ティオレンシアにターンが返る。
「だけど……まだ、ゲームエンドじゃないわよぉ?」
ドロー。リソース。
ダメージによって増加したリソースのカードで、コストの確保は十分だ。
ティオレンシアは手札からフィールドを展開する。『黄昏の聖域』!『お互いの場のこのカード以外の全てのカードの効果を無効にする』、強力なフィールドだ。この効果は場のすべてのカードに適用される。即ち、アストラバスターの『場を離れない』やディストルテインの『選ばれない』能力までも!
「……!」
「さあ、あたしはこれでターンエンドよぉ。……どうする?」
「……でも、やることはかわらない。……とどめを、さすよ。わたしのターン。バトルフェイズ、アストラバスター!」
オブリビオンは最後のライフを狙う!戦場を蹴立て、アストラバスターが飛び立った!
「――カットインタイミング」
だが、ティオレンシアはそれを逃さない。
「『“下剋上”ハウンド』のカットイン能力を起動。あたしの前に立ったんだもの。逃げられるわけないでしょぉ?」
銃弾!アストラバスターが撃ち抜かれ、爆散する。フィールドの能力によって耐性を封じられたアストラバスターはそれに抗うことができない!カットイン能力によって手札から飛び出したハウンドが戦場へと着地した!
「場の効果をとめても、あれは手札のカードだから……!」
「そう――だから、手札からのカットインは影響なく能力を使えるのよぉ」
「やる……。けど、ライフはあと1点……それをもらって、わたしが、かつ!『虚獣 ヴォイガー』!」
「ええ、そうくると思ってたわぁ……そのアタックにも、カットイン!」
更にカットイン!『荒野の早撃ち ハリケーン』だ!ヴォイガーを撃ち抜きながら、ハリケーンもまた戦場へと現れる。
「場の効果を封じられても動きやすいのがこのデッキの強みよねぇ」
「……ターンエンド」
そして迎えるティオレンシアのターン。
既に相手は2体のアストラバスターに加え盤面のユニットを失い、後続の展開もおぼつかぬ状況であった。対し、ティオレンシアはハウンドとハリケーンを場に立たせた上で更に場を整える。
カットインを起動するコストももはや相手のリソースには存在しなかった。ティオレンシアはユニットを展開し、最後の攻勢を仕掛ける。
「これで、お終い」
「ライフで……受ける」
5点のライフを、ティオレンシアの場に展開したユニットたちが削り切る!
Vanquish!――勝者、ティオレンシア・シーディア!
「……すごいカットイン。いいヴァンキッシュでした。ありがとうございました」
「えぇ。……なによりねぇ」
握手を求められたティオレンシアはそれに応じて彼女の手を握る。その中に生気はもはやかけらほどしか残っていない。もはや何もせずともこのオブリビオンは滅びるであろう。
「……たのしい。いま、わたし、とても満たされているの」
「そう」
「もういっかいあそんだら、おしまいにするね」
「えぇ。いってらっしゃい」
全身の半分以上をブロックノイズに覆われながら、ネームロストは身体を引きずるようにスタンディングヴァンキッシュテーブルへと取りついた。
きっとあのオブリビオンは満足して平和的に躯の海へと還るだろう。ティオレンシアは一人、静かに息を吐き出す。
「……こういう平和……平和?な仕事ばっかりなら楽なんだけどなぁ……」
さておき。
まもなく、最後のヴァンキッシュになるだろう。
成功
🔵🔵🔴
中村・裕美
思わずシルヴァーナが出てきちゃったけど、今度は裕美でバトル
「……そちらの望むままできるかわからないけど……というか話すのは苦手だけど」
あとはヴァンキッシュで語ろう
自分の青黒だと屍人の再生も除外効果に無力かもだが、キーカード以外には頑張って食いつこう
「……耐えて……キューティー・ドゥー」←結構気に入った
向こうがキーカードを素早く出すためにデッキを圧縮・廃棄していればデッキ破壊の勝機が見える
場合によってはコスト軽減や能力発動の代償で相手にドロー→手札破壊(互いの手札を少ない方に合わせる)みたいなコンボとかも
「……つらい。……でも……先に期待するワクワクは……楽しいわ」
Vanquish!
「きっと、これが、さいごの」
ほとんど全身を覆い尽くすブロックノイズ。それでも、彼女はそのかりそめの生と空虚を満たす炎のような熱に、命を見出しカードを手にする。
「……そちらの望むままできるかわからないけど……」
かくして、中村・裕美(f01705)は対峙した。
「……あとは、ヴァンキッシュで語ろう」
「うん。……ゲットレディ」
「ビギニング・ザ・ヴァンキッシュ!」
2人はスタンディングヴァンキッシュテーブルを挟んで向かい合う。先手は裕美が取った。リソースを置き、手札を見ながら盤面の行く先を予想する。
「……まずは、展開を」
裕美は手札から『フランソワの姉妹 ラブリー・トロワ』を出撃する。コスト2。《屍人》のユニットだ。『相手によってこのユニットが場を離れるとき、お互いのデッキを3枚破棄し、自分は1枚ドローする』をもつ。
「じゃあ……わたしのターン」
続くターンでオブリビオンは盤面に『宇宙の聖灰』を置く。場のこのユニットをトラッシュに置くことで自分のユニットの出撃コストを軽減する能力を持つ展開補助ユニットだ。序盤は互いに盤面を整える流れが続く。裕美は更に『フランソワの姉妹 ビューティ・アン』。『フランソワの姉妹 キューティ・ドゥ』を盤面に置き、展開を整えてゆく。
「……フィールド、展開。『異形の花園』」
「きた……!」
ここまでのヴァンキッシュの試合運びで、彼女はあのフィールドを用いて強引にキーユニットであるアストラバスターやヴォイドファルターを早い段階で盤面に出し、制圧にかかってくる。だが、あのフィールドの効果は「手札を破棄することでコストを軽減する」ものだ。当然、その後は手札が貧弱になる。
「さらに、聖灰の能力を起動……それから手札を4枚捨てて、1コストでアストラバスターを手札から出撃……。そして」
その手札は1枚きり。ネームロストは更にそのカードまでも使用する。
「『ヴォイドリアクター』」
『手札を全て破棄し、相手の手札と同じ枚数になるまでドローする』!ここまで慎重に手札を残しながらゲームを進めていた裕美の手札は5枚。ネームロストは5枚ドローし、バトルフェイズに入る。
「いこ。アストラバスター」
虚空を蹴って飛び込んだアストラバスターが闇を裂くように戦場を貫き、その虚無を放つ!
「ライフで、受ける……!」
裕美はブロックを放棄!アストラバスターの一撃が裕美のライフをひとつ叩き割った。衝撃!眼鏡にひびが入る。だが、裕美は視線を上げなおし、目の前の相手へと対峙し続ける。
「アストラバスターの能力で、『ビューティー・アン』を除外……
「く……っ!」
裕美の用いる「フランソワーズの姉妹」たちは、基本的に『トラッシュに置かれたとき』が戦場復帰能力の条件だ。デッキへのバウンスやゲームからの除外には対応していない。
「やっぱりこの能力に対しては無力……だけど……!」
返すターンに裕美はカードを引く。
「……ここは……まもって、耐えていくしかないわね。私はスペル『黒き大疫』で互いのデッキを3枚ずつ破棄する……。更に、スペル『フランソワーズ・ティーパーティ』をキャスト」
『フランソワーズ・ティーパーティ』。『自分のトラッシュから、「フランソワ」を1枚まで選び場に出す』スペルだ。『黒き大疫』でトラッシュに落ちた『ドクトリーヌ・フランソワ』を出撃する。
「あっは。……どれだけ、ならべてもだめ。ぜんぶけしとばして、わたしがかつ……!」
「そうは、させないわ……!」
盤面を整え、これで裕美はターンを返す。渡ったターンでネームロストは手札から『虚獣ヴォイガー』を2体出撃させる。出撃時能力で山札の上から4枚を見て、それぞれヴォイドファルターと宇宙の聖灰を手札へ。更に並べていく。
「……アタックフェイズ。アストラバスター」
再び襲い来るアストラバスター!
「カットインはありません!トロワでブロック!」
その前に姉妹が立った。ここでアストラバスターの能力が発揮される。ドクトリーヌ・フランソワを盤上から除外。ヴォイドファルターでネームロストは1枚ドロー。ブロックしているトロワはこのままバトルに負け、トラッシュへと置かれる。この時にトロワは能力を発揮し、互いの山札を3枚落としながら1枚ドローする。次の交錯はヴォイドファルターが打って出た。
「そっちのブロッカーは、ひとりだけ……」
「……でも、負けてない」
キューティ・ドゥが立ち向かう。こちらのバトルもパワーで押し負ける。ドゥはそのままトラッシュへ――だが、その能力は起動条件を満たす。
「……耐えて、キューティ・ドゥ」
そして、キューティ・ドゥは戦場に復帰。ライフを守る役割を果たし、ダメージを最小限へと抑え込む!裕美のライフは残すところ3点となった。一方、相手はまだダメージを負っていない。まだ余裕を残した様子で、盤面を見下ろしていた。
「エンド」
再びターンは巡り、裕美の手番である。裕美は静かに息を吐きだし、カードを引いた。
「……つらい」
「うん」
「……でも……先に期待するワクワクは……楽しいわ」
「うん。……わたしも、たのしい」
裕美はリソースを置き、再びオブリビオンへと向き合った。
「ここからが、私のヴァンキッシュよ」
そして、裕美はカードを引き抜く。
「……『共益の知恵』」
青を含むコストを支払い、2人はともに2枚ドロー。――ここで、ネームロストは気が付いた。自分のデッキの残り枚数に。
そう。『ヴォイドリアクター』でのドロー加速。『虚獣ヴォイガー』でのサーチ。ここまで幾度か裕美が行ったデッキ破棄。――彼女のデッキの残り枚数は、既に底が見えていた。
「これは……!」
「……ライフを0にするだけが、ヴァンキッシュの勝ち方じゃない!」
裕美は残る手札を全てユニット展開に注いだ!そしてバトルフェイズ。裕美の場に並ぶ『フランソワの姉妹』たちがライフめがけて押し寄せる!
「ライフで……受ける!」
ネームロストのライフにダメージが入る。ヴァンキッシュにおいては、ダメージに伴って山札のカードがライフに置かれる!
「残り、3枚!」
「……!」
これで実質的に彼女のライフは1点。あと1点でも受けてしまえば、次のターンのドローフェイズでの2枚を引いた時点でデッキアウトによる敗北となる!
「終わりよ……キューティ・ドゥでアタック!」
攻めに手を割きすぎた――!本来であれば致死ダメージではない。どう展開してもゲームエンドには持ち込めなかった盤面だった。だが、デッキの残存枚数。ここに意識が向かなかったのがネームロストの敗因であり、そこに付け込むことができたのが裕美の勝因である!
「ライフで受ける……!」
――ライフは残り3点。だが、デッキ枚数はこれで2枚。この時点で、オブリビオンの敗北が確定した。
「最後は、自分の手で幕を引きなさい」
ここで、裕美はターンエンドを宣言した。
そして、ファイナルターン。ネームロストへと手番が回る。スタートフェイズ。リブートフェイズ。そして、ドローフェイズ。
「……あっは」
全身を覆うほどのノイズにまみれながら、オブリビオンは猟兵たちと、フェスに集まった観客たちの顔を見た。
「すごく、たのしかった。……とっても熱くなれた」
そして、カードに手をかける。
「ありがとう、ございました。いいヴァンキッシュでした」
デッキアウト――Vanquish!勝者、中村・裕美!
「……Vanquish!」
勝者の権利として、そして、正々堂々と熱く胸に火を灯し戦った礼儀として、裕美は拳を掲げて勝利を宣言する。
それを最後まで見届けると、名前すら持たぬ空虚のオブリビオンはゆっくりと崩れ落ち、テーブル上にデッキを残して消滅した。
かくして、ヴァンフェスにおけるオブリビオンとの熱いカードバトルは幕を閉じる。
しかし、戦いはまだ続いていくのだ。君たちの胸にヴァンキッシャーとしての火が灯っているのなら。この炎を感じているのなら。きっとまた相対し、戦おう!君たちヴァンキッシャーがこの想いを覚えている限り、ヴァンキッシュは終わらない!
――Vanquish!
成功
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