アルダワ魔王戦争9-B〜地底火山と殺人鬼
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「最下層で、新たな強敵が見つかったようじゃな」
ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)はそう厳しい表情で、状況の解説を始めた。
「戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』、そう呼ばれる他の世界の殺人鬼のようじゃな。巨大なハンマーを操って戦うようなのじゃが……」
このグラン・ギニョールという強敵はもちろん、戦場も厄介だ。常に噴火する地底火山という地形もあわせ、大魔王の迷宮で最も危険な区画である可能性もある。
「どうやらグラン・ギニョール自身は、大魔王の為に働くつもりは無いようじゃ。だから、無理に戦う必要はないのじゃろうが……」
確かに大魔王が敗れれば、グラン・ギニョールは勝手にどこかに去っていく。しかし、この存在が今までの強敵達のように未来の禍根にならないとも限らないのだ。
「今のグラン・ギニョールは自分が楽しむために猟兵との戦いを望んでおる。いわば、自分自身で戦いの場に出てきてくれておる状況だ。倒すのだとすれば、今こそ千載一遇の好機と言えるじゃろう」
ただ、重ねて言うがグラン・ギニョールが強敵だ。加えて、地形も厳しい環境にある――だが、ガングランはこの海底火山という厳しい地形こそが鍵だ、と語る。
「こちらにとって厳しい地形であるように、向こうにとっても不利に働く事もあるじゃろう。最初から海底火山の地形を利用するつもりで挑めば、上手く倒せるかもしれん」
地底火山の噴火をどう利用するのか? それは戦いに挑む者次第だろう。ガングランは、厳しい表情でこう締めくくった。
「何にせよ、何かしら目的があってあの迷宮におるはずじゃ。それが後にどう面倒事につながるかわからん。この好機に、叩き潰す勢いで頼んだぞ」
波多野志郎
さぁ、強敵との戦いですよ! どうも、波多野志郎です。
今回は噴火する地底火山で、戦略級殺人鬼グラン・ギニョールと戦っていただきます!
今回のプレイングボーナスは、「地底火山の噴火を戦闘に利用する」こととなります。いかに噴火し続ける地底火山を利用するか? 皆様のアイデアを楽しみにお待ち致しております。
それでは灼熱の地の底で、お楽しみくださいませ!
第1章 ボス戦
『戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』』
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POW : 殺しの鉄槌
【巨大ハンマー】が命中した対象に対し、高威力高命中の【必殺の二撃目】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 弾幕オペレッタ
【ハンマーが無数の拳銃に分解し、一斉射撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : グラン・ギニョール劇場
【不愉快さ、嫌悪感といった負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【サンシャイン60】から、高命中力の【亡霊殺人鬼の軍団】を飛ばす。
👑11
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虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞ
あはははははは!
六六六!六六六だ!
ならば!今こそ動く時!
六六六だったこの僕が!
六三の残滓たるこの僕が!
登場即自爆
火山があるのなら火山の近くで自爆して噴火をグレードアップだね
もちろん自爆に巻き込むことを狙いたいけど
自爆の射程範囲内に敵がいなければそれはそれで自爆する
噴火と自爆でこちらに注意を引き付けるくらいは出来るかな
お話は自爆後に少しやっておくよ
自爆後に最初に書いてあること叫んでおくね
異常なまでの執着を見せるさ
技能:捨て身の一撃を用いてのオウサツモードによる広範囲自爆
対象は範囲内の敵全て
強化は攻撃力重視
捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
自爆後は少しお話してから爆発四散
ヴィクトリア・アイニッヒ
戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』。彼女から感じる、この違和感。
…彼女を逃せば、後の大きな禍根となる気がします。何としても、ここで討たねば…!
吹き出す火山、溶岩や噴石などは一切気にせず、距離を詰める。
熱などは、主へ捧げた祈りの力で高めた聖気(オーラ防御)で防げましょう。勇気を以て前へ出て、白兵戦を仕掛けます。
一合、二合、獲物をぶつけ合い、太陽神の戦鎚を発動。
攻撃力を重視し、飛来した噴石を弾き返します。
弾き返した石をそのまま相手の金槌にぶつけ、軌道をズラして攻撃を回避。
懐へ潜り込み、斧槍を突き入れます。
…正面から仕掛けたのは、搦手への意識を無くすため。
力で及ばぬ以上、機転で差を埋めねば、ですね。
アマータ・プリムス
燃える火山の戦場ですか
いいですね、燃えてきました
相手がどんな方法で不愉快さや嫌悪感を与えてくるかわかりませんが
真っ向から受けて立ちましょう
「今回の劇場はグラン・ギニョール。演じるはアマータ・プリムス。どうぞ楽しんでいってくださいませ」
カーテシーと共に曲芸の開始とUCを発動
相手が感情を与えるのならばこちらも感情を与え上書きします
噴火により飛び交う噴石を足場に軽やかなステップで空を駆けます
呼び出したネロに支点となってもらい繋いだフィールムで空中ブランコも
ネロには火山弾でジャグリングでも
当機自身もこれを見てくださる方にも楽しいという感情と夢を与える感情の上書きでUCを無効化
トドメはネロの大鎌で首狙い
メイスン・ドットハック
【WIZ】
厄介なものを持ち出そうとしておるのー
こっちも大忙しじゃけど、それを見逃すほど間抜けではないのでのー
二足歩行戦車KIYOMORIに搭乗して参戦
敵の攻撃はAIでの解析【ハッキング・情報収集】により、敵の初動を感知し分析、それに基づく制御【操作・第六感】を持って回避
亡霊殺人鬼軍団も、電脳魔術で作り出したミサイルや榴弾によって霊体にダメージを与える兵器を持って迎撃
戦いながら火口付近まで誘導し、誘導完了したら全兵装を持って足場を徹底破壊し、火口にミサイルを撃ち込んで噴火誘引
そして自身はUC「隠れ家への小道」の電脳窓に逃げ込んで退避
それじゃ、溶岩温泉を是非とも堪能していってのー
アドリブ絡みOK
ソラスティベル・グラスラン
火事場泥棒と思いきや、正々堂々戦いを望むとは
……ふふふ、実に勇気ある選択です!
最初から空を飛び初撃を迎え撃つ!【空中戦】
敵の射程外、そして敵のジャンプ動作を見てから回避は容易です!【見切り】
ふっ……どうしました?
大量破壊が得意だそうですが、一人を狙うのは苦手です?
ならば地上戦でお相手しますよ!
【オーラ防御・盾受け】で守り、竜の【怪力】で構える
大槌を【見切り】受け流し、思い切り地を叩いて貰いましょう!
今こそ【気合い】の見せ所!これがわたしの【勇者理論】!(防御重視)
何度も地を叩かせ噴火を誘う
周囲を観察し【第六感】で噴火の瞬間を回避!
すぐさま反転、溢れる溶岩を翼で飛び越え【勇気】を籠めた一撃を!!
銀座・みよし
大きなハンマー…そして火山…閃きました!
常に噴火しているなら必ず今以上の大きな振動が起こり得ましょう
故に懐中時計で噴火するタイミングを計りつつ、ホルスさんに迎え撃つに良い場所を探して貰います
セトさんはそこでトンネル掘って落とし穴みたいにして、このメジェドさんぬいぐるみを落とし穴近くに置いて下さい
で、火山振動に合わせてぬいぐるみの威光を放ちます
それを狙って金槌が振り下ろされた隙を見て攻撃をかけます
つまり、掘った穴へ敵を落っことしに行きます
ううっ…マダムが下さったぬいぐるみを囮に、囮に…っ!
後でマダムに謝りに行かねばなりません…
ですがその前に…ホルスさん一緒に参りましょう!
敵に向かって急降下です!
神計・紅牙
目見は良いが性根は邪悪よな
何者か知らぬが討たせて貰うぞ
秩序に属す我としてはあのような混沌とした邪悪は不愉快極まりない。故に亡霊が湧くのは仕方ない
大事なのはどうするか、だ。湧いた亡霊どもは我が霊験あらたかな札を放つ事で牽制するぞ
実体を伴っているならUCにより地に伏す事も可能だろう
なれば龍脈を読み、噴火の時期に合わせて溶岩流に巻き込んで一掃してくれる。
あのトンカチ女も亡霊任せにしてくるなら火山の噴火による飛来物を超重力で引き寄せて頭上に叩きつけてくれる。
近寄ってくるなら容赦はせん。ハンマーを振り上げたなら重力を加えて背中を反らしてくれるわ!
まったく、ジジイも偉いのだぞ
これだから最近の若者は……。
メグレス・ラットマリッジ
【WIZ】アドリブ歓迎
戦いを楽しむなんて獣の所業……私も楽しそうじゃないかって?
顔に出してしまうなんて私もまだまだですね、見なかった事にしてください
UCは死者に対する命令権。呼び出された亡霊の標的を『グランギニョール』に書き換えて乱戦に持ち込みます。血に飢えた餓鬼同士、互いに殺し合ってなさい。
殺人鬼に紛れて攻撃を加えつつ機を伺い(目立たない)
火山弾が降ってきたら接近戦を仕掛け、離脱時に雷杖の電気ショックと閃光で動きを封じて火山弾に巻き込みます(マヒ攻撃・目潰し)
力の差は偶然で埋める、勝機は自身で生み出す物。DIYでしたっけ。
貴方がいると世が乱れるのです。これ以上火傷する前にお帰りなさいな。
ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ連携絡み歓迎)
…こそこそと企みするのは奴等の専売特許だな。
…何を企んでいるかは知らんが、貴様も魔王に与するオブリビオン。
…ならば容赦の文字はない、悪企みごと潰させてもらう。
…本来であれば地底火山は危険な領域、手出しをしたくはない場所だが。
…俺ら精霊術師にとってなら、この地形も武器に使わせてもらう。
…地底火山の噴火・溶岩を媒介にして、『UC』を起動。
貴様の足元に至る範囲にかけて、『火炎属性の大噴火』を引き起こす。
(属性攻撃、全力魔法)
…目に映らぬ程の猛火、耳に入らない程の轟音を響く噴火なれば
貴様の感情植え付けは通じない。
…自身は『火炎耐性』と『激痛耐性』で噴火の余波を耐える。
イヴ・クロノサージュ
【アドリブ・連携歓迎します】
●心情
こんにちは、さようなら(UCをぶっ放す)
あははははははは♪
この兵器凄いよぉ~~!うふふふふふふふふ
▼
この世界に興味なさそうなアナタたちは
あの世界に『持ち帰る』お仕事が好きそうだけど、させません。
なぜなら、私たちイェーガーは染み出る過去から
未来を守る為存在しているのだから
●行動
『機械鎧兵』搭乗
UCを使用し戦艦級ビーム【範囲攻撃、鎧無視攻撃】を放つ
『亡霊殺人鬼の軍団』を巻き込み
兵器は【空中浮遊】しながら、巧みに【操縦】し
攻撃のチャンスを【見切り】、【第六感】で敵を感じ取り
攻撃を正確に当てて、火山の中にぶち込む
楽しそうな表情をしておりますが
この子人々を癒す聖者です…
シリン・カービン
【SPD】
私の猟師の勘が告げている。
あれは狡猾で危険な獣だと。
私は炎や大地の精霊の動きから噴火のポイントを予想出来ます。
そこに誘い込めれば… と考えるのは読まれているでしょう。
なら、その上を行く。
噴火ポイントを発見後、残像でフェイントをかけながら攻撃を見切り、
仕留めるつもりの牽制射撃で誘導します。
到達後、炎の精霊弾で火口を狙撃し噴火を誘発。
ですが恐らく彼女はそれを躱し、噴火で私の逃げ道を塞いだ上、
一斉射撃を浴びせて来るでしょう。
素早く氷の精霊弾を装填し背後の噴火に向けて発射。
水蒸気爆発を引き起こし【シルフィード・ダンス】で爆風を足場にジャンプ。
一気に飛び越し斉射中で動けない彼女を狙います。
ジェイ・バグショット
クソ暑……。
虚弱な身体にはこたえる環境
あんなもん当たったら一瞬で火だるまだろ…。
一対一で相手取るつもりは無い
…ユエント。
一言そう呼べば、白い靄のUDCが魔術師アズーロを顕現させる。
拷問具
『荊棘王ワポゼ』棘の鉄輪を複数空中に召喚。自動で敵を追尾し攻撃
『神化せしクグーミカ』自立思考型拷問具。黒鳥の異形の女は嬉々として敵を襲う
アズーロの白魔法で火炎から身を守りながら黒魔法で追撃
ワポゼと【恐怖を与え傷口を抉る】クグーミカを嗾け、敵を炎の噴き出すポイントへ追い立てる
敢えて逃げ道を用意し、誘い込む
噴火を避ける方向を予想して【早業】によりワポゼで迎撃
…遊びはもうお終いか?
敵の武器はパワータイプと見て最警戒
アルナスル・アミューレンス
火山かぁ。
こんなのが、こんな地下にあるなんて、不思議な所だねぇ。
……で、お嬢さんはそんなに肌出して熱くないの?
あんなでっかいハンマーで叩かれるのは、御免被りたいねぇ。
第六感を働かせ、動きの先を見切りながら動くよ。
クイックドロウでG.R.V5を抜き、弾幕を以て制圧射撃を「程々に」行うよ。
ダッシュやスライディングで逃げ足をフルに生かし、応戦しながら時間稼ぎして焦らすよ。
焦れて、奴さんが一気に近づいてきてくれると、願ったり叶ったりさ。
なんせ、銃しか使えない訳じゃないからねぇ。
――ごめんね、悪いけど「除去(ドイテ)」貰うよ。
お嬢さんのどこでもいいから掴んで振り回し、噴火の中へ叩き込むよ。
●幕開けを告げる
ファーストダンジョン最下層。そこにあったのは、地底火山だった。
流れるマグマ。肺を焼きそうな熱気。時折起きる小噴火で揺れる地面。そこに無造作に立っていた赤毛の女は、ふと頭上を見上げて笑った。
「へぇ?」
『笑ってる場合かねぇ』
その視線の先、『うつろぎ』と書かれた文字が降ってくる。虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)――その猟兵は、呵々大笑しながら火山へと突っ込んだ。
「あはははははは! 鏖殺領域展開 一爆鏖殺執行」
マグマの中へと落ちる文字――その直後、火山が胎動した。ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……という地響きは、やがて迷宮の天井を焦がす大噴火を引き起こす!
それが自爆による影響だと知った戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』と巨大ハンマーは落ちてくる岩を見ながら言った。
『馬鹿さね』
「馬鹿だな――だが、意味のある馬鹿だぜ」
辛辣なやり取りだが、声の響きはまったく違う。ハンマーは苦々しく、グラン・ギニョールはいっそ清々しいと言いたげな笑い声だ。
そして、それに応えるようにその声は響き渡った。
「あはははははは! 六六六! 六六六だ! ならば! 今こそ動く時! 六六六だったこの僕が! 六三の残滓たるこの僕が!」
うつろぎの哄笑が響き渡る。狂ったような、しかし、正気でなければできない本気の宣戦布告を。
「ああ、そうかい」
グラン・ギニョールは獰猛な笑みで、それを受け取る。マグマの中で揺れるブラックタールへと、グラン・ギニョールは迷わずに殺しの鉄槌を振り下ろした。
「あはははははは! あはははははははははははははははははははは!」
「ははっはっ、はははははははははははははははははははははははは!」
『……救いようのない馬鹿どもだね』
命いらずの捨て身の自爆と、戦略級殺人鬼の最大火力――それを受けた地底火山の大噴火が、戦いの始まりを告げる鐘代わりとなった。
●地底火山
地面が揺れ、視界が赤黒く染まる。ヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)はその中を迷わず駆け抜け、赤髪の女の姿を視界に収めた。
「戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』。彼女から感じる、この違和感……彼女を逃せば、後の大きな禍根となる気がします。何としても、ここで討たねば……!」
マグマが足を取り、熱が体を焼こうとする。ヴィクトリアはそれを主へ捧げた祈りの力で高めた聖気によって退け、斧槍【L'orgoglio del sole】を手にグラン・ギニョールへと突撃する。
「ははははははははははは――っと」
笑い声を収め、グラン・ギニョールは巨大ハンマーを蹴り上げ、斧槍の一撃を受け止める。ヴィクトリアは着地と同時、弾かれた斧槍【L'orgoglio del sole】を薙ぎ払った。
「陽光はただ、命を照らすだけに非ず。悪意を砕く力を、此処に!」
薙ぎ払いと同時に放たれたヴィクトリアの陽光の聖気、太陽神の戦鎚(バッターリア・デル・ソーレ)をグラン・ギニョールはかざした左手で受けとめ握り潰す! その間隙に、イヴ・クロノサージュ(《機甲天使》感情と記憶を代償にチカラを得た少女・f02113)が頭上を取った。
「こんにちは、さようなら」
「あ?」
『……馬鹿しかいないのかい、猟兵ってのは』
頭上、そこに現れた機械鎧兵《リィル・ガーランド》に騎乗したイヴの足元に宇宙戦艦《クロノトロン=ユニット》が召喚される。全長275mの空飛ぶ戦艦だ――巨大ハンマーの呆れも、致し方ない。
「あははははははは♪ この兵器凄いよぉ~~! うふふふふふふふふ」
手元のコンソールからの逆光で笑みを照らしながら、イヴがグラン・ギニョールへと照準を合わせる。その直後、宇宙戦艦《クロノトロン=ユニット》から《超電磁砲》エーテリオン・ハイメガ=カノーネの巨大な光線が放たれた。
「ババア!!」
『おう、やりな!』
光線に対して、グラン・ギニョールの足元から巨大な超高層ビルが起立する。サンシャイン60、知識のある者なら一目で判別できただろう。そこから飛び上がった亡霊殺人鬼の軍団が光線に飛び込み、ビルと共に相殺した。
「おいおい、馬鹿だぞ、馬鹿ばっかだぞ!」
『否定しづらい事言うんじゃないよ!』
「うふふふふふ、どこかしら~?」
薙ぎ払われる光線を駆け抜けて掻い潜るグラン・ギニョール。その目の前に、アルナスル・アミューレンス(ナイトシーカー・f24596)が立ち塞がった。
「火山かぁ。こんなのが、こんな地下にあるなんて、不思議な所だねぇ……で、お嬢さんはそんなに肌出して熱くないの?」
「そのゴーグルとガスマスクはどうなんだ? 色男!」
アルナスルがクイックドロウでG.R.V5を抜き、連続で引き金を引く。弾幕による牽制を、まるで小雨の中を駆けるようにグラン・ギニョールは走り抜けた。
「邪魔ァ!」
「それはどうかの?」
振り下ろされる巨大ハンマー、それを歴史を感じさせる赤い物差し――紅牙尺によって横合いから弾いたのは神計・紅牙(天の御柱・f01140)だ。
「目見は良いが性根は邪悪よな。何者か知らぬが討たせて貰うぞ」
「ハッ! 褒めても何もでねぇぞ!?」
『あれが褒め言葉なら、何でも褒め言葉さね……』
ガガガガッ! とマグマの中を滑り、グラン・ギニョールは急停止。熱は我慢できても、足が取られる。本来であればコンマ秒で切り返しが可能な状況で、一秒かかるのは高速での戦闘では致命的なロスと言える。
言えるのだが――グラン・ギニョールは、それさえ楽しむ。
「いいねぇ、きっちり敵をやってんじゃないか」
「戦いを楽しむなんて獣の所業よ」
メグレス・ラットマリッジ(襤褸帽子・f07070)の指摘に、グラン・ギニョールは笑って返す。
「お前だって、笑ってんじゃねぇか」
グラン・ギニョールの言葉に、メグレスは自身の頬に触れる。そこに熱があるのは、この場だからだけではないだろう。
「……顔に出してしまうなんて私もまだまだですね、見なかった事にしてください」
「嫌だね!」
「あら、嫌味な人」
グラン・ギニョールの疾走に、溜め息まじりにメグレスは告げ――その背後から、亡霊殺人鬼達が、グラン・ギニョールへと襲い掛かった。
「悪趣味が!」
メグレスの喚び起こす(テリブル)に操られた亡霊殺人鬼をハンマーの一撃でまとめて粉砕し、グラン・ギニョールは笑う――その時だ。
「来ます」
懐中時計を覗き込んでいた銀座・みよし(あまおう苺を食べた犯人・f00360)の言葉と同時、地面が大きく揺れて再び火山が噴火する。そして、流れ出た溶岩を見てルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)はそのマグマに手をかざす。
「……本来であれば地底火山は危険な領域、手出しをしたくはない場所だが……俺ら精霊術師にとってなら、この地形も武器に使わせてもらう」
直後、トルファスのエレメンタル・ファンタジアによってグラン・ギニョールの足元が割れ、噴火が巻き上がる! その中を「あっつ!?」とグラン・ギニョールは転がりでた。
「……こそこそと企みするのは奴等の専売特許だな……何を企んでいるかは知らんが、貴様も魔王に与するオブリビオン……ならば容赦の文字はない、悪企みごと潰させてもらう」
「はん、もっと面白い事言ってみろ!」
マグマで熱せられた巨大ハンマーをお手玉して、グラン・ギニョールは不意に掴んだハンマーを振り上げる。地面に叩きつける――この噴火によって脆くなった地面でそれをやればどうなるか? 結果は火を見るより明らかだ。
「火事場泥棒と思いきや、正々堂々戦いを望むとは……ふふふ、実に勇気ある選択です!」
そのハンマーが振り下ろされるのを防いだのは、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)のサンダラーの一撃だ。飛び散る火花、すかさずグラン・ギニョールの回し蹴りがソラスティベルを捉える。ソラスティベルはそれをモナークで受けとめ、吹き飛ばされた。
だが、地面に叩きつけられる前にソラスティベルは空中で身を捻ると着地を成功させる。
「ふっ……どうしました? 大量破壊が得意だそうですが、一人を狙うのは苦手です?」
「チマチマやんのは性に合わないってだけだぜ?」
『殺人鬼としてどうなんだい? そいつも』
漫才のようなやり取りだが、シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)の目にはあの漫才がまったく笑えない別の何かに見えた。
(「私の猟師の勘が告げている。あれは狡猾で危険な獣だと」)
いわば、擬態だ。あの会話で油断を誘い、隙が生まれれば一撃で命を絶ちに来る。問題はあれが獣のように、意識して行なっている擬態ではない事だ。獣の擬態はいわば生まれ持って備わった機能だ、意識せずともそうするのが当然――呼吸と同じなのだ。
戦略級殺人鬼とは、殺す事を己の機能とするまで昇華した存在なのだろう。そう、シリンは理解した。
「クソ暑……」
虚弱な身体にはこたえる環境だ、とジェイ・バグショット(幕引き・f01070)はため息をこぼす。猟兵達と交戦するグラン・ギニョールの姿、得物である巨大ハンマーが分解して拳銃になるのを見て、ジェイは吐き捨てた。
「あんなもん当たったら一瞬で火だるまだろ……一対一で相手取るつもりは無いがな」
ジェイは親愛なる幻影(ユエント・ロード)を発動させるため呟いた。
「……ユエント」
ジェイは光溢れる魔術師アズーロの霊を召喚、棘の鉄輪を複数空中に浮かべながら戦いに加わっていく。
「燃える火山の戦場ですか。いいですね、燃えてきました」
銃声轟く火山の舞台を見回し、アマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)は微笑む。
「今回の劇場はグラン・ギニョール。演じるはアマータ・プリムス。どうぞ楽しんでいってくださいませ」
スカートの裾を両手で掴んで片足を斜め後ろの内側へ下げ、もう片方の足の膝を背筋は伸ばした軽く曲げる――カーテシーと共に曲芸の開始。アマータのDisce gaudere(ディスケ・ガウデーレ)にグラン・ギニョールは笑みをこぼす。
「夢と希望は素晴らしいってか? 否定はしねぇけどさ――」
『そいつを絶望に染めるのが――』
「『――殺人鬼ってもんだろ!』」
闘志を燃やし、グラン・ギニョールが吼える。放たれる弾幕オペレッタ――ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダン! と銃声の咆哮が夢を撃ち抜かんばかりにばら撒かれた。
「厄介なものを持ち出そうとしておるのー、こっちも大忙しじゃけど、それを見逃すほど間抜けではないのでのー」
メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は、O-Ⅶ型機動強襲用二足歩行戦車「KIYOMORI」で蛇行しながら、その銃弾の弾幕を抜けていく。完全に回避するのは、この厚さでは不可能だ。だからこそ、致命的なものを電脳魔術で見抜きながら、選択して受け流していく。
ドン! ト再び、噴火が巻き起こる。そのマグマに背後から照らされ、グラン・ギニョールは大量の拳銃をジャグリングした後、巨大ハンマーに戻して言った。
「さぁ、存分に踊ろうぜ。猟兵!」
●所詮、この世は荒唐無稽、血生臭き舞台なれば――
十人を超える猟兵を前に、グラン・ギニョールは一歩たりとも退かず、むしろ蹂躙さえしていた。その戦闘能力の高さは、確かに驚異だ。
「フッ――!!」
それでも、かろうじて食らいついているのはヴィクトリアのように真っ向勝負に意識を向けさせる者がいたからだ。
『馬鹿しかいないねぇ、ったく』
「年寄りの小言はいらねぇぞっと!」
ヴィクトリアの短鎚【La protezione solare】が太陽神の戦鎚(バッターリア・デル・ソーレ)と共に振り下ろされ、グラン・ギニョールは巨大ハンマーで受けとめて後退する。
(「力で及ばぬ以上、機転で差を埋めねば、です」)
もしも搦手を使われていれば、グラン・ギニョールは既に大勢を決していたかもしれない。殺人鬼の殺人技巧とは、本来それほどのものなのだ。
この状況を作っている理由はそれが半分――もう半分は、好奇心だ。
「何か、奇策がありやがるぜ? 連中」
『……それに付き合う意味があるのかね?』
「意味はねぇが、理由はあるぜ。楽しいだろ、そっちの方が」
そう、猟兵達が策を練っている――それを見たい。その傲慢な好奇心、慢心こそがこの状況を生んでいた。
「力の差は偶然で埋める、勝機は自身で生み出す物。DIYでしたっけ。貴方がいると世が乱れるのです。これ以上火傷する前にお帰りなさいな」
「はははっ! 追い返してみろよ!」
降ってきた火山弾、それと同時にメグレスが間合いを詰める。ヴィクトリアの一撃の誘導は、火山弾が集中する斜面となっていた。だが、この程度なら対応は簡単――。
「これでどう?」
バチン! とメグレスの雷杖が眩い光を放った。奪われた視界は一瞬、メグレスは素早く横へと跳んだ――そこに降り注ぐ火山弾を、グラン・ギニョールは巨大ハンマーで薙ぎ払おうとした。
『いかんさね! かわしな!』
その巨大ハンマーからの静止は、間に合わない。アマータの操るネロ・フラーテルが火山弾でジャグリング、タイミングをずらしたのだ。
「チィ!?」
火山弾を当てやすくするための目くらまし、そこまでは読めた。しかし、それがアマータへのフォローになったのは、連携があったからこそだ。
ハンマーの切り返しが間に合わないタイミングで、ネロ・フラーテルが火山弾を叩き込む!
「おや、今の芸はお気に召しませんでしたか?」
「テ、メェ!」
グラン・ギニョールの動きが止まる。その瞬間だ。
「――ッ!?」
足元が揺れた瞬間、地面から光があふれる――みよしが仕掛けていたメジェドさんぬいぐるみの威光だ。
「ううっ……マダムが下さったぬいぐるみを囮に、囮に……っ! 後でマダムに謝りに行かねばなりません……ですが、その前に……ホルスさん一緒に参りましょう!」
そこへ、みよしとホルスさんが突撃する。ホルスさんによる加速で、みよしはグラン・ギニョールを押す――そう、落とし穴へと、だ。
「ぐ、お!? こいつを狙って――」
「あう!」
即座にグラン・ギニョールは、みよしを蹴り飛ばした。宙に浮かぶ感覚、壁に手を伸ばそうとしたその腕を一発の精霊の力が宿る銃弾が撃ち抜いた――シリンの精霊猟銃だ。
「く――ッ!」
「ええ、必ず隙は生まれると思っていました」
これ以上ないタイミングでのシリンの狙撃に、グラン・ギニョールが落とし穴に落下する。その上空に、イヴが操る宇宙戦艦《クロノトロン=ユニット》が移動した。
「この世界に興味なさそうなアナタたちは、あの世界に『持ち帰る』お仕事が好きそうだけど、させません。なぜなら、私たちイェーガーは染み出る過去から未来を守る為存在しているのだから――!!!」
ドォ! と《超電磁砲》エーテリオン・ハイメガ=カノーネが、放たれた。それにグラン・ギニョールは空中でハンマーを分解、無数の拳銃を展開する。
「弾幕、オペレッタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァッ!!」
巨大な光線を銃弾の弾幕が、受け止める! その衝撃と同時、崖に足を置いてガリガリガリガリ! と急制動をかけようとした殺人鬼へ、紅牙が紅牙尺をかざした。
「頭が高い、控えおれ!」
計りの陣・天罰覿面――紅牙が中心とした超重力が、グラン・ギニョールを襲う。それに踏ん張りながら、グラン・ギニョールは叫んだ。
「こ、んの、年寄りは、ろくな、こと、しねえなあ!!」
「まったく、ジジイも偉いのだぞ。これだから最近の若者は……」
『そうそう』
「どっちの味方だ、ババァ!!」
怒りと共に、何とか止まろうとしたグラン・ギニョールに、アルナルスが落下してくる。その崖にめり込み始めた足を掴み、言い捨てる。
「――ごめんね、悪いけど「除去(ドイテ)」貰うよ」
バコン! と崖が砕け、アルナルスはグラン・ギニョールを豪快に下へと投げつげる! マグマの中へと叩きつけられたグラン・ギニョールは、それでもなお立ち上がった。
「ざっけんなァ、上等だああああああああ!!」
立ち上がり、上へ這い上がろうとしたその刹那――。
「……目に映らぬ程の猛火、耳に入らない程の轟音を響く噴火なれば、貴様の感情植え付けは通じない」
「それじゃ、溶岩温泉を是非とも堪能していってのー」
ルトファルスのエレメンタル・ファンタジアが大噴火がグラン・ギニョールを飲み込み、メンカルが撃ち込んだミサイル郡がその溶岩を更に吹き上がらせる! 完全に溶岩の中に飲まれたグラン・ギニョールが、不意に姿を消した。
「ガ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
刹那、猟兵達の死角へとグラン・ギニョールが回り込んでいた。空間跳躍、そう思わせるほどの高速移動――戦略級殺人鬼が誇る、殺人技巧がなせる技だ。
しかし、それにアズーロの雷魔法が反応する。落ちた雷に合わせ、ジェイの元から飛んだ神化せしクグーミカが、グラン・ギニョールを捉えた。
「が、は!」
「……遊びはもうお終いか?」
それに答えが返るより速く、ソラスティベルが跳んだ。
「これで、終わりです!」
渾身の勇気を込めた一撃、ソラスティベルのサンダラーの一閃がグラン・ギニョールを断ち切った。
「あー、くそ……ま、少しは楽しめたからいっか……」
苦笑し、戦略級殺人鬼はゆっくりと再び火口へと落ちていった……。
大成功
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