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ロストスイーツパニック!

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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●お菓子・それは夢に溢れたモノ
 宇宙船の中。
 それは広大な宇宙ほどではないが、様々な闇が覆う場所だ。
 資材の影、連絡通路の下、非常用通路、などなど……。
 そう。
 隠れるにはうってつけの場所が、沢山あるのだ。

「クックックック……」
 宇宙船の影の中を、音もなく駆け抜ける男が居た。
 既に滅び去った銀河帝国のマークをつけた、いかにも怪しげな男だ。
 彼は誰にも気づかれない様に走り、飛び、掻い潜る。
 そして、一つの大きな倉庫の前に辿りついた。
 電子ロックがかかっていたが、手慣れた様子でハッキングし、解除する。
「クックックック……あいつらはこれで終わりだ」
 彼は倉庫の中身を見て、にんまりと笑った。

 宇宙船に住む人には、様々な役職がある。
 オペレーター、操縦士、技術官、などなど……。
 そして今ここを歩いている男は、食糧係だった。
 食糧係なんて! などと侮ってはいけない。
 既に惑星の存在しないスペースシップワールドにおいて、食糧は重要問題なのである。
 宇宙船の動力機械であるコアマシンを使えば食糧は作れる。
 が、しかし!
 コアマシンの量産が出来ない以上、やはり食糧は大事なのである!
 ここにいる男の双肩には、宇宙船全員の命が乗っかっていると言っても過言ではないのだ。
 彼は倉庫の前までやってきて、ピポピポピとパスワードを入力した。
 ガチャリ、と電子ロックが解除され、倉庫の扉がゆっくりと開く……。

「な、なんじゃこりゃあ!?」
 男は目の前の光景を見てぶったまげた。
 今日使うはずの食糧……その中から、お菓子だけが抜き取られていたのだ!
 ああ、恋しきかな糖分。
 お菓子がなければ、士気がガタ落ちである。
 そのままでは、士気が落ちるところまで落ち、宇宙を漂流することになってしまう。
 これは大問題である。

●グリモアベース
「皆さんは、大事な大事な食糧が無くなったとき、どうしますか?」
 グリモアベースの中で、焼き菓子を片手に、一人の女性が呟いた。
 彼女はノルナイン・エストラーシャ(旅する機械人形・f11355)。ミレナリィドールのグリモア猟兵だ。
「おっと。食べなくても平気、という回答はダメですよ。それじゃあ聞いた意味がありませんからね。
 考えてもみてください。
 ご飯というのは、今日を生き、明日を生き……ひいては人生を歩むために必要なものです。それだから、皆大事に大事に扱うのです。
 そんなものが、パッと消えてしまったらどうなるか。
 餓死や暴動、戦争が起きるかもしれません。
 そう、それはとてもとても、大変な事なのです。
 ですから皆さん……お菓子を盗ってはいけません。重罪です。極刑に値します」
 焼き菓子をぱくりと一口に食べてしまい、彼女は顔を上げた。

「では、ブリーフィングを始めます。
 今回皆さんには、スペースシップワールドに向かってもらいます。
 なんでも、食糧庫からお菓子が無くなっているとかなんとか。
 お菓子泥棒は重罪ですよ」
 彼女はそこで一旦言葉を区切った。
「今回皆さんにやって貰う事は以下の三つです。
 まず一つ。食糧庫からの盗みについて、調査してください。ここはとても大事です……なんたって、誰が犯人なのか分からなければ、捕まえようがありませんからね!
 その次。これはいわゆる兵糧攻めなので、弱ったところを帝国の船が襲ってくる……と考えられます。猟兵の皆さんには、それに対処してもらわなければなりません。敵兵をやっつけてください。
 そして最後……この事件の首謀者を叩きのめしてください。手段はお任せします」
 ここまで言うと、彼女はふう、と息を吐いた。

●お菓子を取り戻せ
「お菓子というものは、色んな魅力にあふれています。そうは思いませんか?」
 ノルナインは、ふと微笑んだ。
「そこには糖分だけでなく、夢や希望が詰まっているのです。
 ですから皆さん。お菓子泥棒を叩きのめしてやってください。
 それが、多くの人の命を救うのですから。
 どうぞよろしくお願いします」
 そう言って、彼女は一礼した。


苅間 望
 新人マスターの苅間望です。
 今回は、スペースシップワールドでの冒険となります。

 今回のシナリオは、
 第一章で食糧庫の調査。
 第二章で帝国軍の撃退。
 第三章で事件首謀者の撃退。
 という流れになっています。

 スペースシップワールドを盛り上げて行きたいので、これからどんどん書くと思います。これはその一作目となります。
 というわけで、挑戦する猟兵さんをお待ちしております!
 どうぞよろしくお願いします!
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第1章 冒険 『食料倉庫の疑惑を解明せよ』

POW   :    食料倉庫の見張りに立ち犯人を捕まえる。

SPD   :    罠を仕掛けて犯人を捕まえる。

WIZ   :    仲間が捕まえた犯人から情報を引き出す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

霜降・あやめ
お菓子を盗むなんて重犯罪です。極刑です。許せません。
ひつみを抱える手に力を込めながら、そう呟きます。
いけません。大人の女性のする態度ではありませんでしたね。
お菓子泥棒の調査をすることにしましょう。

ここはずばり!囮捜査をするしかありません。
非常に不本意ではありますが私は小さい女の子に見えると言われたことがあります。
つまり私が弱った体でお菓子を欲しがっていれば、犯人は私にお菓子を分けてくれるでしょう。弱った少女の願いを無下にする人がいるでしょうか?いや、いません(反語)

囮捜査に無下もなく失敗した場合は他の人のお手伝いをしましょう。
大丈夫、こう見えても私はお茶を入れるのが得意です(えっへん



 スペースシップワールドの、とある巨大宇宙船。
 その中で、霜降・あやめは怒っていた。
「お菓子を盗むなんて重犯罪です。極刑です。許せません」
 手に持っているひつじ型のぬいぐるみ、『ひつみ』を抱える手に力がこもる。
 自分自身の呟いた声に気付き、あやめはふるふると頭を振った。
(いけません。大人の女性のする態度ではありませんでしたね。
 お菓子泥棒の調査をすることにしましょう)
 そして彼女は、倉庫などがある貨物区画の方へと向かった。

 この宇宙船の中では、お菓子が盗まれるという事件が起きていた。
 あやめはそれを解決しに来た猟兵の一人だ。
 事件解決の為に、まずお菓子泥棒をどうにかして見つけなければならない。
 そこで、彼女は考えた。
(ここはずばり! 囮捜査をするしかありません!)
 彼女は細身の身体でぬいぐるみを持っており、小さい女の子のようにも見える。
(非常に不本意ではありますが、私は小さい女の子に見えると言われた事があります。
 つまり私が弱った体でお菓子を欲しがっていれば、犯人は私にお菓子を分けてくれるでしょう。
 弱った少女の願いを無下にする人がいるでしょうか?
 いや、いません!)
 心の中で断言し、彼女は貨物区画の人通りの多い場所で、囮捜査を実行することにした。

 ふらふらとした足取り、調子の悪そうな顔、辛そうに瞬く瞳。
 これはどこからどう見ても、弱りきった少女の姿だった。
「おおい、大丈夫かい?」
 そんなあやめに、一人の男が声をかけて来た。
 作業服を着た青年……のようだが、しかしどうにもうさん臭さがつきまとっていた。
 作業員にしては体つきが良すぎるし、髪も丁寧に整っている。
 眼は兵士のように鋭く、警戒を怠らない厳しい光を持っていた。
(来た!)
 あやめは心の中で叫び、男の方をじっと見た。
「大丈夫じゃありません……糖分が足りなくて……」
「糖分?」
「お菓子がないと……とても調子が悪いの」
 あやめがそう言うと、男はふとにやりと笑った……ように見えた。
「成程なあ。お菓子無くなってるんだっけ?」
「ええ……だからとても大変で……お菓子が残ってないかなって思って、ここまで来たの」
 息も絶え絶え、といった様子を装い、あやめは言葉を紡ぐ。
 その様子を見て、男は少しだけ、考えるようにあごに手を当てた。
「僕はたまたま持ってたから、ほら、一つあげるよ」
 男は懐から、ドーナツの入った袋を取り出した。
「スペースシップワールドで大人気、ダークマターから作り出したダークドーナツ。
 全てとろかしてしまうほどの甘さ、小麦では真似できないもちもちふわふわとした触感。
 一度食べると病みつきになって手が止まらない、超美味しいドーナツだよ」
 男は何故か饒舌にドーナツの事を語った。
「という訳ではい、どうぞ」
 男はドーナツの袋を渡そうとする。
 そこで、ぱしっ、とあやめは男の手を取った。
 男はぎょっとして、彼女の顔を覗き込んだ。
「囮捜査成功です!」
「何だと!?」
 あやめはそのまま、男を引っ張っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリスティアナ・アナザーブラッド
甘味に危害を加える者、糾すべし、です。

犯人は現場に帰るもの、と何かの本で読みました。
ですので食料庫に潜んで泥棒が来るのを待ってみます。
乗組員の方にお願いして、物陰に隠れて準備します。
・・・食べ物の匂いでお腹が減るかもですが、そこは我慢。我慢です、私。
入り口の付近に潜んで、泥棒が来たら飛びかかります。具体的には足をガッチリ掴む感じで。
そうしたら伏せていた人形で動けないよう拘束します。
捕まえたら宇宙船の乗組員に引き渡して尋問してもらいましょう。
何か情報が得られると良いのですが・・・。


ナズヴィ・ピャー
ふむ…罠でも張ってみますか

●食糧倉庫扉に張り紙
「菓子類は別所にて保管することになりました」
「理由:甘味等嗜好品は士気に関わる重要物資のため」
「詳細は食料担当居室に提示」

●食料係にはあらかじめ居室(あるいは私室?)に戻らないよう通達

●居室(私室)内に「少々荒事になっても問題無い倉庫の鍵」と「重要物資保管倉庫鍵を変更 確認するように。 と書いたメモ」をこれ見よがしにさりげなーく置いておく

●上記の倉庫の使用許可願い
菓子類っぽいダンボールとか「重要」とか書いた箱をもりもり山積みに

●あとは倉庫に入って内側からロック
ダンボール内に入って「お客様」を待つだけです

…当機が対処出来る程度のお客様なら良いのですが



 ここは巨大な宇宙船。
 そこに住む人は数多く、それを支えるだけの食糧もまた膨大にある。
 そんな訳で、仮にお菓子だけを盗もうと思ったとしても、結構な量になる。
 一人では到底運びきれない量だ。
 だからこそ、何人もの帝国軍兵士が、身分を偽って潜んでいた。

「甘味に危害を加える者、糾すべし、です」
 お菓子泥棒の事件を聞いたアリスティアナ・アナザーブラッドは、そんな風に呟きながら食糧庫の方へと向かった。
 犯人は現場に帰るもの、という知識が、彼女の中にあったからだ。
 それに実際、盗まれたのは一日分であり、これから先のお菓子はまだ残っている。
 盗もうと思えばまだまだ盗めるのだ。
 そんな訳で、アリスティアナの考えは正しかった。
 しかし彼女が食糧庫へ行くと、他の猟兵が張り紙をしていた。

 時系列は少し遡る。
(ふむ……罠でも張ってみますか)
 お菓子泥棒の事件を聞いたナズヴィ・ピャーは、大きな罠をかける事を考えた。
 ナズヴィの考えていたのは、『菓子類は別の倉庫で保管することになった』という事にして、お菓子泥棒を別の倉庫へ誘導し、待ち伏せて捕まえようという計画だった。
 お菓子泥棒が発生したという事実がある以上、保管場所を変える、というのはかなり真実味のある話だ。
 それで彼女は、泥棒を誘導する手段を考え、色々な用意をしていた。
 手始めに、彼女は食糧庫扉に張り紙をした。
 そんなところに、他の猟兵がやってきた。

 ここでアリスティアナとナズヴィは出会った。
 彼女たちがお菓子泥棒に対して取ろうとしていた作戦は、『倉庫の中で待ち伏せする』という点で一致していた。
 それで彼女たちは、協力してお菓子泥棒を待ち伏せする事にした。
(食糧庫だと、食べ物の臭いでお腹が減るかもしれませんから。これはアリですね)
 ナズヴィの計画を手伝いながら、アリスティアナはそう考えた。
(『お客様』を相手するのなら、一人より二人の方が良いでしょう)
 アリスティアナと様々な用意をしながら、ナズヴィもそんな事を考えていた。

 彼女たちの計画はこうだ。
 食糧庫扉に張り紙をし、食糧担当居室へと誘導する。
 その一方で、食糧係には居室には戻らない様に指示をしておく。
 食糧居室には、少々荒事になっても問題ない倉庫の鍵と、『重要物資保管庫を変更。確認するように』というメモを残す。
 その倉庫の中に、きちんとお菓子があるように見せかけるために、ダンボールや『重要』と書いた箱を山積みにしておく。
 あとは倉庫の中に入り、内側からロックする。
 これで、お菓子泥棒は『食糧担当居室へ向かって場所が変更された事を知り、新しい(猟兵たちの待ち構える)倉庫へ行く』事になるはずだ。

 そして計画通り……ロックされた倉庫の中に、誰かが入って来た。
「クックックック……場所をいくら変えようとも無駄だ。鍵も置いてあったし、来るのは簡単だった」
 それはふとっちょな男だった。
 山積みにされたダンボールを見て、彼はニヤリと笑った。
「まだまだたくさんあるじゃないか。これを盗めば奴らも大打撃だ」
 そうして一歩、また一歩とダンボールへと近づいていく。
「そうはさせません!」
「なッ!?」
 アリスティアナが物陰から飛び出し、泥棒の足につかみかかった。
 泥棒は思わず姿勢を崩し、床にビターンと倒れた。
「くっ、何しやがる!?」
「暴れないでください」
 ナズディが素早くダガーを放つ。
 そのダガーは泥棒の服を引っかける形で床に突き刺さり、泥棒を縫い止めた。
「それじゃあ捕まえるよ」
 動けなくなった泥棒を、アリスティアナの人形であるライトが更に拘束する。
 ……泥棒は完全に動けなくなった。
「それでは、乗組員にでも引き渡しましょう」
「そうですね」
 二人は拘束された泥棒を見て、そう呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルフトフェール・ルミナ
甘いものってさ、宇宙船とかの閉鎖空間では、本気の争いになりかねない。
そこを狙うとは……。
ってさ、盗んだ甘味、棄てたとかなら万死に値するからね!

【WIZで!】
犯人に尋問するかぁ。君、甘味好き?
好きなら、アックス&ウィザーズの甘味を見せびらかす。
これはねぇ……アビの実。あらゆるデザートにできる万能の実なのさ。甘味と酸味の程よいバランスが……。
で、これはスイートロール。生地にがっつりかかったアイシングの甘さと来たら……!
好きでないなら……君を皆に引き渡したらどうなるだろうねえ……いけないお手ては無くなっちゃうかなあ……口が開かないと偉い人に報告できないねえ……あ、そもそも足ないと帰れないよねえ……。



(甘いものってさ、宇宙船とかの閉鎖空間では、本気の争いになりかねない。
 そこを狙うとは……)
 宇宙船の貨物区画の一室で、ルフトフェール・ルミナは手に持った実を弄んでいた。
 甘味。それは様々な世界で人を魅了するものだ。
 彼の持っている実は、アビの実。あらゆるデザートにできるという、万能の実だった。
(盗んだ甘味、棄てたとかなら万死に値するからね!
 っと、誰か来たみたいだ)
 ルフトフェールの居る部屋に、二人の男が連行されてきた。
 ふとっちょと、ガタイのいい男だった。
「君たちがお菓子泥棒の犯人なのかい?」
「チッ!」
「そうだよ。俺たちも盗んだ」
 ガタイのいい男は舌打ちしてそっぽを向いたが、ふとっちょは諦めた顔で答えた。
(さて。それじゃあ尋問するかぁ。
 ふとっちょの方がやりやすそうだねぇ)
 ルフトフェールはふとっちょの傍に行き、顔をじっと見た。

「君、甘味好き?」
「……ああ」
 ルフトフェールの言葉に、ふとっちょは曖昧に頷いた。
 恐らく、甘味は好きなのだろう。
 しかし、仲間が居る手前、それを肯定するのは気が引ける……という感じだろうか。
 ルフトフェールはニヤリと笑って、懐から先ほど弄んでいた実を取り出した。
「これ、何か知っているかい?」
「……いや、見たこともねえな」
「これはねぇ、アックス&ウィザーズにある甘味の一つ……アビの実。
 あらゆるデザートにできる万能の実なのさ。甘味と酸味の程よいバランスが、癖になるんだよ」
 ルフトフェールはアビの実をくるくると回し、実に楽しそうに言う。
 ふとっちょの眼は、アビの実にくぎ付けだった。
「そんなモノ、聞いた事ねえ……万能の甘味だと……」
「すごいだろう? これはどうだい?」
「おぉ……!?」
 ルフトフェールは懐から、見るからに甘そうなスイートロールを取り出した。
 ふとっちょは思わず感嘆の声を上げ、その魅惑の菓子に夢中になった。
「これはスイートロール。生地にがっつりかかったアイシングの甘さと来たら……たまらないよ」
「……っぐ……食いてぇ……!」
 ふとっちょは思わず声を漏らした。
 無意識から零れ落ちた、余りにも強いお菓子欲。
 目の前にあるお菓子に魅了され、彼の精神はがたがたと揺さぶられていた。
「そうかい。それじゃあ教えてもらわないといけないよねぇ。
 君が何のために盗んで、どこへ持っていったのか……とか。
 教えてくれたら、これ、食べられるかもしれないよ?」
 ルフトフェールの言葉が、ふとっちょの頭の中に染み込んでいく。
 使命と欲望を天秤にかけ、ぐらぐらと揺れる彼の精神は……やがて、結論を出した。
「銀河帝国の為ッ……この宇宙船の士気を低下させて……襲うのが目的ッ……!」
 欲望に負けた男は、涙を流しながら答えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルフトフェール・ルミナ
ふう……賊が食い意地張ってて良かった。
えげつない脅しはかけたくなかったからね。
ただねぇ……もうちょっと、詳しく教えて欲しいんだよねえ……。

【WIZで!】
ふーん、この船襲うんだ。
襲う人達ってどっこかっら攻っめて来っるのっかなー?
何っ人居てて、どんなすっごい技、使ってくっるのっかなー?
お菓子の追撃だよ。今度はサムライエンパイア編だ。
これ、餡子っていうの。丁寧に豆を炊いて、砂糖と合わせたものでね。
ふっくりした生地で包んだ饅頭や、お汁粉……いいねえ。
豆の形を残した粒あんと綺麗に濾したこしあん。甲乙つけがたい両者の決着は永遠につかないだろうねえ……。
早く言わないと、さっきの分もまとめて僕一人で食べるよ?



 涙を流すふとっちょな賊を見て、ルフトフェールは少し安堵した。
(ふう……賊が食い意地張ってて良かった。
 えげつない脅しはかけたくなかったからね。
 ただねぇ……)
 彼は頭を掻きながら、ふとっちょを見た。
 食欲に負けてしまった哀れな男は、それでもまだ何かを隠していた。
(そう、もうちょっと、詳しく教えて欲しいんだよねえ……)
 その隠している何かを聞き出す為……。
 ルフトフェールは、更にもうひと押しする事にした。

「ふーん、この船襲うんだ」
「あ、ああ……」
 ルフトフェールの言葉に、ふとっちょは曖昧に頷いた。
 そこで、がっとルフトフェールは顔を近づけた。
「襲う人達って、どっこかっら攻っめて来っるのっかなー?
 何っ人居て、どんなすっごい技、使ってくっるのっかなー?」
 歌うように楽しそうに、彼は聞く。
 しかしふとっちょは、俯いて何も答えなかった。
(……よし、それならお菓子の追撃だよ。
 今度はサムライエンパイア編だ……)
 ルフトフェールは懐から、餡子が入ったタッパーを取り出した。

 たんたん、とタッパーを弾いて音を立てると、ふとっちょが顔を上げた。何か気になったようだ。
「ふふ、気になる? 気になるよねぇ。
 これ、餡子っていうの。丁寧に豆を焚いて、砂糖と合わせたものでね」
「ッ!」
 そう、お菓子の追撃なのである。
 しかし既に一度お菓子欲に負けてしまったふとっちょ。彼には最早抗う手段など無かった。
「ふっくらとした生地で包んだ饅頭や、お汁粉……いいねえ。
 口の中で柔らかく甘みが広がって、たまらないよ?
 豆の形を残した粒あんと綺麗に濾したこしあん。
 甲乙つけがたい両者の決着は永遠につかないだろうねえ……」
 彼の言葉は毒のように、ふとっちょの頭の中へと染み込んでいく。
 ふとっちょの頭の中では、めくるめく餡子パラダイスが繰り広げられていた。
「……俺に何をしろって言うんだ!」
「だから、襲う人達が、どこから来て何人居て、どんな技使ってくるのかなあ?
 早く言わないと、さっきの分もまとめて僕一人で食べるよ?
 君の目の前で一つ一つ、とっても美味しそうに食べるよ?」
「……ッ!」
 それは最早拷問だった。
 再びお菓子欲を煽られ、使命と欲望が天秤にかけられる。
 ……しかし。
 一度折れてしまったのだから、もう一度折れたって構わない……そうは思わないだろうか?
 少なくとも、ふとっちょはそう思ったらしい。

「ッ……お菓子を盗んだのは士気低下の為……ッ!
 俺たちがタイミングを見計らって合図を出して……船後方から襲撃をかける予定だったッ……!
 小型シップの集団で襲って、その後俺たちの総大将が出てくる予定だったッ……!」
 ふとっちょは、泣きながら語った。
 食欲の余り震えたあごが、唇を噛んで血を流す。
 男泣きに泣きながら、どんどん情報を語っていく。
「銀河帝国には娯楽なんて、趣味なんて何もねえ……。
 でもお前たちはこうやってお菓子を食べられる……。
 いいよなあ、俺たちだってお菓子を食いたかったんだよ……!」
 ふとっちょの頭の中では、辛く苦しい兵士の訓練が思い起こされていた。
 ルフトフェールは適当に頷きながら、それを聞く。
「それにお菓子ってのは星間物質から出来てる……。
 これを兵器に転用だって出来るんだぜ……!
 食えるし攻撃に使えるし最強だ……!」
「……ん? お菓子を兵器に転用?」
 ふと、聞き逃せない単語を聞いてしまい、ルフトフェールは聞き返した。
「ダークマターから出来たダークドーナツ……ミラーマターから出来たミラービーンズ……。
 フラクタル構造を持つ物質から作ったカオスバウムクーヘン……。
 液体水素から作ったハイドロアイスクリーム……どれもこれも兵器に使えるんだよ。
 使い直せるって言うのが正解か……?」
「何言ってんの、そんなのお菓子を棄ててるも同然じゃん!
 万死に値するよ!」
 ルフトフェールはべしっとふとっちょを叩き、急いで他の猟兵に情報を伝えに行った。

「……あれ? お菓子は……?」
 残されたふとっちょは、しょんぼりと呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『猟兵戦闘機隊、発進せよ!』

POW   :    武器でデブリを破壊する、損害覚悟で最短距離を突っ込む

SPD   :    デブリをかわしながら進む

WIZ   :    デブリの密度の薄い所を探す、航路データを検索する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 宇宙船に、デブリが近づいてきていた。
 いや、デブリにしては動きが速い。船後方から迫ってきている。
 宇宙船の中で情報を見ていたオペレーターは、ふいに叫んだ。
「あれはただのデブリではありません!
 あれは……デブリに見せかけたスイーツです!」
「何だと……!?」
 船の中にざわめきが広がった。
 盗んだお菓子を投棄しているとでも言うのだろうか?
 そうすればますます相手の士気が落ちると?
 ……いや、違う。
 急に船の付近で爆発が起き、振動が伝わった。
「……スイーツが……兵器に……!?」
 オペレーターは、驚きを隠せなかった。
 そう、スイーツデブリはただのデブリでは無かった。

 スペースシップワールドにおいて、お菓子とはどうやって作っていたか。
 船の動力源であるコアマシンが、星間物質を原料にして作り上げるのだ。
 その生成過程を逆戻しにすれば、そのまま星間物質に戻るはず。
 そう、そのお菓子たちは、ろくでもない力を秘めていた。
 スイーツデブリ爆弾。恐るべし。

 スイーツデブリの向こうには、帝国軍の船がいくつもあった。
 それを倒せば、首謀者も倒せて終わり……となるはずなのだが、間にあるスイーツデブリがとても邪魔だ。それにスイーツデブリを無視すれば、こちらの船に被害が及んでしまうだろう。最悪大破する事も考えられる。
「……猟兵の皆さん……助けてくれ……!」
 船の搭乗員は口々に言う。
 彼らにとっての希望は、君たちだけなのだ。
霜降・あやめ
まさかスイーツが兵器になるなんて……なんて罪深いのでしょうか?
宇宙船にスイーツがぶつかるより早くスイーツを食べてしまえば大丈夫なのでは?
宇宙船が進むスピード+スイーツが向かってくるスピード<食べるスピード
になれば理論上は大丈夫なはずです!

腕の中にいるひつみの眼差しが私を見つめます。
ええ、分かってます。馬鹿なことを言っているということは。
仕方ありません。【血統覚醒】でスイーツを破壊しましょう。(モグモグ)
スイーツが!無くなるまで!私は殴るのを止めない!!!(モグモグ)
え?食べてなんかいませんよ?大人の女性ですから私。



「まさかスイーツが兵器になるなんて……なんて罪深いのでしょうか?」
 船の中で、霜降・あやめが思わず呟いた。
 盗んだうえ、兵器として使うなんて、とんでもない。
 彼女はスイーツデブリに対処するため、船の外へと向かった。

(宇宙船にスイーツがぶつかるより早くスイーツを食べてしまえば大丈夫なのでは?
 宇宙船が進むスピード+スイーツが向かってくるスピード<食べるスピードになれば、理論上は大丈夫なはずです!)
 彼女は道すがらそう考える。
 しかし自分の腕の中に居るひつじ型のぬいぐるみ、ひつみの眼差しから逃れる事は出来なかった。
(……ええ、分かっています。馬鹿な事を言っているということは)
 彼女は心の中で呟き、かっと目を開いた。

【血統覚醒】!
 彼女の瞳が真紅に染まり、ヴァンパイアに変身した。
 毎秒寿命を削るという恐ろしい代償があるが、自らの身体能力を爆発的に強化できるのだ!
(仕方ありません。スイーツを破壊しましょう)
 ヴァンパイアと化したあやめは、宇宙空間を移動する用のジェットパックを身につけ、宇宙へと飛び立った。
 そこあったのは……。
 スイートロール、キャンディー、バウムクーヘン、アイスクリーム、ドーナツ、その他色んなお菓子のデブリ群だった!
 めくるめくスイーツパラダイス!
 物凄い量のスイーツを見て、あやめは一瞬くらりとしたが、直ぐ気を取り直した。
「スイーツが! 無くなるまで! 私は殴るのを止めない!!!」
 おお、なんという事だろうか。
 身体能力が増大した彼女は、恐ろしい速度でスイーツを攻撃し始めた!
 丁寧に両手で引きちぎり、尖って凶器と化した歯でえぐり取られていく。
 彼女の周りのスイーツは、どんどんバラバラにされていった!
(大丈夫ですよひつみ。食べてなんかいませんよ。
 大人の女性ですから私)
 口についたクリームを拭いながら、彼女はひつみに語り掛ける。
 そう。これはあくまで破壊行為であり、お食事ではないのだ。
 お口の中に甘い甘い味が広がり、心地よい後味に包まれているが、これは破壊行為なのだ。

 しかし、スイーツは彼女の想像を超え、飛んでくるのだった。
 いくら身体能力が増大したとはいえ、限界というものはある。
(う、量が多すぎます……!)
 それでも彼女はひたすら、スイーツを破壊していくのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アリスティアナ・アナザーブラッド
食べ物を粗末にするとバチが当たりますのに・・・。
そのことを徹底的に教えてあげないと、ですねー。

基本行動:スイーツデブリ爆弾を迎撃

私自身は宇宙空間で無力ですが人形は別です。
宇宙服を貸してもらい、船の外に出て迎撃しましょう。
とは言え余り乱暴にしては船に被害が出るかもです。
地道ですがここはキャッチ&リリースでいきましょう。
スイーツデブリ爆弾同士が衝突しないように気をつけて、飛来したのを掴んでは投げを繰り返します。
可能な限り帝国軍の船団へ向けて投げ返しちゃいましょう。

自分達のしたことを、その身を以て思い知るがいいのですよ、このやろー。



(食べ物を粗末にするとバチが当たりますのに……。
 そのことを徹底的に教えてあげないと、ですねー)
 船の中からスイーツデブリ襲来の様子を見ていたアリスティアナ・アナザーブラッド。
 彼女は内心怒りながら、スイーツデブリ爆弾を迎撃する事にした。

(私自身は宇宙空間で無力ですが、人形は別です)
 アリスティアナは、肌身離さず持っている人形の黒兔のライトを見つめた。
 彼女は人形遣い。そして人形は空気や重力のあるなしに関わらず、問題なく動く事が出来る。
 なので彼女は搭乗員に言って、宇宙服を貸して貰った。
(船の外に出て、スイーツデブリ爆弾を迎撃していきましょう。
 とは言え余り乱暴にしては、船に被害が出るかもです)
 彼女は幾つかの方法を考え、出来るだけ船に被害の出なさそうな方法をとることにした。
(地道ですがここはキャッチ&リリースでいきましょう)

 宇宙空間へふわふわと躍り出たアリスティアナは、ライトを宇宙遊泳させた。
 ふわふわり、重力の軛から逃れたライトは、自由気ままに動き回る。
 その目の先には、無数に飛んでくるスイーツデブリ爆弾の波があった。
 めくるめくスイーツパラダイス!
 ここが戦場でなければ、沢山の乙女のお菓子欲を満足させられることだろう。
(棄てるの、本当にもったいないですねー)
 アリスティアナは少し悲しみを感じたが、直ぐに頭を振って作業にあたった。
 ライトを動かして、飛来したのを掴んでは投げ返していく。
 スイーツデブリ爆弾同士が衝突しないように気をつけて、それでいて帝国軍の船団を狙って。
 ごくわずかな隙間を、針を通すように投げていく。
「自分たちのしたことを、その身を以て思い知るがいいのですよ、このやろー」

「クックック……スイーツデブリ爆弾。なんと完璧な作戦だろうか」
 盗んだスイーツをもしゃもしゃと食べながら、帝国軍のある兵士がにやにやと笑っていた。
 盗んだスイーツをそのまま兵器に転用!
 なんと経済的な作戦であろうか! 費用はスイーツを盗むための人件費位しかかからない!
「これであの船をボコボコにしてしまえば、後は……ん?」
 ふとその兵士は、ふわふわと飛んでくるものに気が付いた。
 虫か? いや然し宇宙空間に虫など……そんな事を考えているとき、ふと彼は気付いてしまった。
「スイーツデブリ爆弾! どうして!?」
 敵に送った爆弾が、反転して向かってきているのだ!
 彼はスイーツを食べていた故に、反応が遅れてしまった!
「まずい……ぐあああああああああああああああ!!!」
 ドォン。
 宇宙に一つの花火が上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルフトフェール・ルミナ
えっ、デブリ?
これを抜けた先には、黒幕がいるんだろうけど、放っておくと船にぶつかって爆発するんだよね?
ならば、ある程度無力化してから進まないと危ない。
どうするかなあ……。
食べちゃう? 食べ過ぎたらデブっちゃうなあ。デブリだけに。デブリだけに(二度言った)。

【POWだよ】
そう、僕は独りじゃない。
かれを召喚して、共に征こう……。
甘いものは身体に悪いって? 僕の故郷のゴールデンハムスターは皆雑食性なんで、甘味は超別腹だよ?
僕? デブリに仕掛けられた爆発機構を魔術で無力化できないかやってみる。
起爆装置自体を眠らせるか、爆薬相当の物を取り去って爆発してもへっぽこにするか。
後で皆で美味しく頂けるようにね。



「えっ、デブリ?」
 オペレーターの発言を聞いて、ルフトフェール・ルミナは呟いた。
 ふとっちょの賊は確かに、スイーツを兵器にすると言っていたが……
 スイーツデブリ爆弾とは。
(これを抜けた先には、黒幕がいるんだろうけど、放っておくと船にぶつかって爆発するんだよね?
 ならば、ある程度無力化してから進まないと危ない)
 船内のモニターから外を見ながら、ルフトフェールは暫し考えた。
(どうするかなあ……。
 食べちゃう? 食べ過ぎたらデブっちゃうなあ。
 デブリだけに……デブリだけに!)
 くくっと笑いながら、彼は宇宙服を借りて外へと飛び出した。

「そう、僕は独りじゃない。共に征こう……。
 艶ある絹毛と長き前歯、結構鋭い爪持つ魔獣よ……顕現し我に随え!」
 ルフトフェールのユーベルコードが、詠唱をトリガーに発動する!
 現れたのは……三メートル強の非常に大きな……艶やかな毛とくりくりした黒い瞳を持つ……。
 そう、ゴールデンハムスターであった!
 おお、なんと愛らしい姿であろうか。そしてなんと雄大な姿であろうか!
「甘いものは身体に悪いって?
 僕の故郷のゴールデンハムスターは皆雑食性なんで、甘味は超別腹だよ?
 さあ、食べておくれ!」
 ルフトフェールが指示すると、巨大なゴールデンハムスターは宇宙遊泳を始めた。
 そして遠方から飛来する、恐るべき量のスイーツデブリ爆弾を……。
 むしゃむしゃと食べ始めた!
「よしよしいい子だ。さて僕は……デブリに仕掛けられた爆発機構を魔術で無力化できないかやってみるかな」
 ルフトフェールは飛来するスイーツデブリ爆弾を幾つか手に取り、調べ始めた。
 様々な知識と経験を持ち、魔術の造詣が深い彼は、様々な角度から調べていく。
(起爆装置自体を眠らせるか、爆薬相当の物を取り去って爆発してもへっぽこにするか。
 後で皆で美味しく頂けるようにね)
 少し調べると、彼にはスイーツデブリ爆弾が爆発する仕組みが把握できた。
(元の星間物質に戻して、衝撃を与えて反応させる起爆装置が入ってるね。
 この起爆装置自体に害はないけれど、反応するとスイーツがドーン、って感じか。
 それならこの装置を眠らせようかな)
 彼は起爆装置を無効化するための術式を編み上げて、高速詠唱する。
 暫くして、彼はとんとん、と手に持ったスイーツを叩いてみた。
(……よし、爆発しない。
 起爆装置も害はないから、あとは美味しく頂けるね)
 彼は目に見えるスイーツたちに、魔法をかけて回った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルフトフェール・ルミナ
スイーツデブリも結構食べたり無力化できてきたかな……? 投げ返した分もあったよね。
そろそろ、黒幕への道を切り開く時! かもしれない?
大丈夫。僕にはもったいないお化けの加護がある! 多分。

【WIZで】
デブリを除去(食べた)した所、帝国軍に投げ返した所、起爆装置を無力した所を航行データに入力すると……?
デブリの手薄なとこ、見つからないかなあ? 見つからなければ、素直にデブリ群の辺縁辺りを探って、食い物を粗末にする罰当たり軍への道を探そう。

手下が帰ってこない時点で僕らにバレてんの知られてると思うけど、手間取ってると思わせときたいし、迎撃されるのも面倒だから、移動はデブリとか野良の隕石とかに隠れつつ。



(スイーツデブリも結構食べたり無力化できてきたかな……? 投げ返した分もあったよね。そろそろ、黒幕への道を切り開く時! かもしれない?)
 ぷかぷかと宇宙を浮かびながら、ルフトフェールは考えた。
 実際、猟兵の活躍によって、スイーツデブリ爆弾は大分減っていた。
 そろそろ攻勢に転じよう、と考えるのもアリだろう。
「大丈夫。僕にはもったいないお化けの加護がある! 多分」
 ルフトフェールはそう言って、データをぽちぽちと入力し始めた。

(デブリを除去 or 食べた所、帝国軍に投げ返した所、起爆装置を無力化した所。
 これを航行データに入力すると……?)
 ピポピポピとデータを入力し、船のコンピューターに計算させる。
 その計算結果は……。
「よーし。デブリの手薄なとこ、見つかったぞ」
 彼の思惑通りに、デブリの手薄な所……そして、帝国軍へと至る為の道筋が現れた。
(手下が帰ってこない時点で僕らにバレてんの知られてると思うけど、手間取ってると思わせときたいし、迎撃されるのも面倒だから……)
 彼はそう考え、ふわり、ふわりとデブリや野良の隕石に隠れながら移動した。

 スイーツデブリ爆弾の首謀者まで、あともう少し……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

セット・サンダークラップ
首謀者まではあと少しっすが、それだけに見つかるのは避けたいっすよね……
というわけで、エレクトロレギオンを使ってデブリや隕石を動かして、それに隠れてできるだけ宇宙船を進めるのに挑戦っす! バレるまでの[時間稼ぎ]っす。
まずは航路データや帝国軍の位置から隠れるのに適したデブリや隕石の位置や動かし方を計算して、次に船外にエレクトロレギオンをありったけ射出!
複数のレギオンで隕石を押したり、スイーツデブリを爆発しないように注意して押して動きを変えるっす!



(首謀者まではあと少しっすが、それだけに見つかるのは避けたいっすよね……)
 セット・サンダークラップはそう考えながら、外を眺めていた。
 デブリの手薄な所を通り、帝国軍へと近付いていく作戦。
 それを遂行するには、少し手が足りていなかった。
「というわけで、出てこいっす!」
 彼の言葉と共に、ポンポンポン、と小さな機械が現れる。
 合計で60体ほどの、小型戦闘用機械兵器だ。
(このエレクトロレギオンを使ってデブリや隕石を動かして、それに隠れてできるだけ宇宙船を進めるのに挑戦っす! バレるまでの時間稼ぎっす)
 彼はそのまま、計算に入った。

 既にあるデブリデータに加え、航路データ、帝国軍の予測座標、隕石の位置データ……それらを丁寧に打ち込み、計算を行わせる。
 そうして帝国軍の位置から隠れるのに適したデブリ、隕石の位置を求める……と、幾つかのデブリ、隕石を動かせば、恐らく帝国軍のレーダーから察知されずに行動できる……という事が分かった。
「よし、じゃあ射出っす!」
 セットはエレクトロレギオンをありったけ射出した。
 この機械たちを用いて隕石を動かしたり、デブリを爆発させないように注意して動きを変えていく……。
 と、見よ。
 確かにスイーツデブリ爆弾の被害を受けず、尚且つ帝国軍のレーダーにも探知されないようなルートが出来上がったではないか。
「これで行けるっすよ!」

 ……スイーツデブリ爆弾の首謀者は、すぐそこだ!

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『帝国エージェント』

POW   :    ゴールドアイ
【金色の瞳】に覚醒して【歴戦の白兵戦型ウォーマシン】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    仕込み帽子
自身が装備する【鋭利な刃を仕込んだ帽子】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    ハッキング
対象のユーベルコードに対し【電脳魔術のハッキング】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グロリア・グルッグです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ロストスイーツパニック作戦
「……おかしい。おかしいぞ」
 帝国軍エージェントは訝しんだ。
 彼の手元にあるのは、『ロストスイーツパニック』と書かれた紙の資料と……スイーツデブリ爆弾を超えてやってきた宇宙船が映るモニターだ。
「この計画は完ぺきだったはずだ……そうだろう、盗んだものをそのまま兵器に使うんだから安上がり、士気も落とせるし食べ物は得られるし、いいことずくめの作戦だったはずだ……!」
 手元のドーナツにむしゃりとかぶりつきながら、エージェントは考えた。

 ロストスイーツパニック作戦。
 それは、宇宙船から多種多様なスイーツを盗み出し、様々な用途に転用するという作戦だった。
 スイーツを盗み出すと、まず第一に宇宙船の士気が低下する。なんといったって娯楽の一つを思い切り削るのだから、士気の下がる勢いはそれはもう物凄いのだ。試算では日に日に士気が半分も低下する事になっていた。
 第二に、スイーツを用いて兵器を作り出す事が出来る。このスペースシップワールドにおいて、スイーツとは星間物質から作り出される凄まじきものである。故にその生成過程を逆戻しすれば、星間物質を生み出しろくでもない反応を起こすことが出来る……それがスイーツデブリ爆弾だ。
 そして第三に……帝国軍では全く支給されない、この魅惑の食べ物、スイーツを味わい尽くす。帝国軍兵士は常々ぼやいていたものだ。解放軍は元気溌剌で色んなモノがあってエネルギッシュだというのに、こっちは管理されつくして規則にがんじがらめ。味のしないレーションに何の感動もできないドキュメンタリー番組……一番の気晴らしが軍での訓練だというのだから救いがない。
「……確かに、盗んだスイーツを兵器に転用するというのは間違っていたかもしれない。超勿体ないとは思った。が、それでも時にはやらねばならぬことがある……そう断腸の思いで決断したこの『ロストスイーツパニック』作戦を、察知して潜り抜けたというのか……!?」
 エージェントは考えた。
 作戦がオシャカになってしまったのなら、作戦なんてポイするしかない。
 昔の偉い人は言った。臨機応変に対応しろと。
「……そうだ。ここで私が奴らに勝てば……私は一人でスイーツパラダイスを味わい尽くす事が出来る」
 ならばやらねばならぬ。勝たねばならぬ。
 お前がせずして誰がするのか。
「私が勝つ、勝ってスイーツを独占するッ……!」
 そしてエージェントは、猟兵たちに対峙した。
ルフトフェール・ルミナ
食い物を粗末にする罰当たり軍めー! もったいないお化けの祟りじゃあー!
……そう言って、エージェントの部屋の扉を蹴破って入場するよ。
甘味奪って士気低下狙ったのはまだわかるけどさ、何でそれに爆破機能つけたし。
ここの品物って大体星間物質に戻せるんじゃないの? 甘味である必要なんて、何一つないじゃん。

【SPDで】
魔術『縛』で、攻撃力を下げる。ユーベルコード封じられればいいけど、上手くいくといいな。
帽子を沢山操るみたいだけど、襲ってきたらフック付きワイヤーで捕まえて盾にしよう【敵を盾にする】。
それでも襲って来る分は、手袋から魔力力場発生させてはじき返すね【カウンター】。
誰か、強い助っ人来ないかなあ……。



「食い物を粗末にする罰当たり軍めー!
 もったいないお化けの祟りじゃあー!」
 バァン! とエージェントの部屋の扉が蹴破られ……ルフトフェール・ルミナが現れた。
「な、何だ!? もう来たというのか!」
「そうだよ、もったいないお化けの加護と共にやってきたよ」
 怒った様子のルフトフェールは、びしっとエージェントに指をつきつけた。
「甘味奪って士気低下狙ったのはまだわかるけどさ、何でそれに爆破機能つけたし。ここの品物って大体星間物質に戻せるんじゃないの?」
「ぐっ……」
「甘味である必要なんて、何一つないじゃん」
「ぐううううううう!」
 エージェントの心に深々と言葉が突き刺さった。
 まさしく図星である。ぐうの音も出ない正論である。そして正論とは時に、人を傷つける。
「ええいうるさいうるさい! ここで貴様らを全滅させれば結果オーライなんだ!」
「ちょっと短絡的すぎない?」
「うるさぁい! どうせ私と貴様は敵同士! ならばやる事は一つ……!」
 エージェントはルフトフェールをぎらりと睨みつけた。
「戦闘のみっ……!」
「我、三種の触媒もて、異形を縛る力を顕わにせん」
 エージェントの言葉に被せるように、ルフトフェールは詠唱を始めた。
「えっ、ちょっと早い……」
「力よ、囲いこみ捕縛せよ。十重二十重に」
 詠唱の終了と共に……縛めの刺草、手枷の小鍵、処刑者の荒縄が飛び出て、エージェントに殺到した。
「早いって言ってるでしょ!?」
 恥も外聞も投げ捨て、威厳も何処かへ飛んでいった様子で、エージェントは叫び……横に飛んで回避した。
 が、間に合わない。
「早いも何もないよね、そっちが戦うって言ったんだし」
「ぐううううううう!」
 帽子の投擲を防ぐように、ルフトフェールの放ったものたちがエージェントを縛り上げた。
【魔術『縛』】。相手を縛り攻撃を下げ……時としてユーベルコードを封じる。
 そしてエージェントは、見事にユーベルコードが封じられてしまった。
(……さて、それは良いんだけど。誰か、強い助っ人来ないかなあ……)
 彼はそんな事を思いながら、エージェントを睨みつけていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリスティアナ・アナザーブラッド
スイーツへの執念、恐るべし、です。

荒事は得意ではないですがそうも言っていられません。
スイーツを兵器転用した罪は贖ってもらわねば。
他の方々も居ますし範囲系の攻撃は控えて人形と召喚したライオンで攻撃です。
エージェントを挟み撃ちするように立ち回れないか試みてみます。
それと、可能なら事前にスイーツデブリ爆弾を一つ回収しておきたいです。
もちろん、隙を見て投げつけてやる為に。
食べ物の恨みは恐ろしい。そのことを徹底的に刻みつけてあげましょう。

もし、それで生き延びたら帝国軍を抜けるように説得してみますか。
作戦は面白かったですし、それが味方になるなら頼もしいです。
スイーツが好きなこと自体は罪ではありませんから。



「スイーツへの執念、恐るべし、です」
 地面に落ちていた作戦指令書にぺらぺらと目を通し、アリスティアナ・アナザーブラッドは呟いた。
 ロストスイーツパニック作戦。その作戦の根源にあるのは、未だ知らぬスイーツへの渇望だった。
(荒事は得意ではないですがそうも言っていられません。
 スイーツを兵器転用した罰は贖ってもらわねば)
 そう考えた彼女は、一つスイーツデブリ爆弾を回収し……エージェントの部屋へ殴り込みに行った。
(食べ物の恨みは恐ろしい。そのことを徹底的に刻みつけてあげましょう)

「ぬうっ! 私は一人なのに敵は何人も来る!」
 拘束をじたばたともがいて解きながら、エージェントは叫んだ。
「アナタの兵は全部こっちでどうにかしたから、今一人なんだよ。ここに一人も兵士を置いていない自分を恨むんだね」
 アリスティアナの持つ黒兔の人形、ライトが言った。
 またしても正論である。どうしようもない過去の自分の恨みとか作戦の不備とか何か色々なモノが混ざってエージェントの胸をかき乱す。
「……くぅ! 世の中正論だけでは動かないという事を教えてやる……!」
 エージェントの言葉と共に、十数個ほどの帽子が宙に現れた。
 その一つ一つに鋭利な刃が仕込まれており、敵を切り裂ける……そんな恐ろしい武器だ。
「なら行きます」
 アリスティアナ自身がそう答える。
 直後、彼女の隣に巨大なライオンが召喚された。
「何ィ!? こんな所でライオンだと!? ええい狩ってやる、狩り倒してやる!」
 エージェントが帽子を全て個別で操作し、ライオンへと飛ばしてくる。
 が、座して待つようなアリスティアナではない。大きさからは考えられない俊敏さで、帽子を回避する。
 そして同時にアリスティアナは人形を操作して、エージェントを挟み込むように立ち回らせた。
「勝負です」
 空間把握能力、反射神経、演算と操作……それが合わさった高度な戦闘が始まった。
 エージェントの帽子は縦横無尽に跳び回り、人形もライオンも、アリスティアナも狙って飛ぶ……が、当然アリスティアナもそれに対応して動き回る。
 暫しの間、アリスティアナとエージェントの双方に決定打が無いように思われた。
 ……しかし。先にほころびが生じたのはエージェントの方だった。
 空間把握と認識に限界を迎えたエージェントは、帽子の操作を失敗した。
「今です」
 瞬間、アリスティアナはぽーんとスイーツを投げた。
「……あれはカオスバームクーヘン……何故スイーツが……?」
 エージェントは思わずスイーツに目が釘付けになった。
 が、直後、彼はそのスイーツの正体に気付いた。
「あっ!? スイーツデブリ爆弾!?」
 ドォン! と、エージェントの至近でスイーツは爆発した。
 エージェントは吹き飛ばされて壁に激突する……が、まだ動けるようだ。
「ぐっ……軍師策に溺れるとはこの事かッ……!? いや飼い犬に手を噛まれるの方が近いな……!」
「……あの、エージェントさん。帝国軍を抜ける気はありませんか?」
 ふと、アリスティアナはそう尋ねた。
「あなたの作戦は面白かったですし、それが味方になるなら頼もしいです。
 スイーツが好きなこと自体は罪ではありませんから」
 そう言って、彼女は微笑んだ。
 ……しかし、エージェントは頭を振った。
「何を言う……私はこれでも帝国軍に忠誠を誓った……今更裏切れるはずもない! みっともなくてアホで間抜けでしょうもない私でも、これくらいの誓いは守り通してみせる……!」
 暴力的な卑屈が混ざった決意で、彼は応えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霜降・あやめ
許さない……許さない……許さない
貴重なスイーツを兵器に使うなんてとても許せないです。
私の全力を持って、その非道な行いに対する罰を与えましょう。

部屋に入るやいなや、他の人の邪魔にならないよう位置を移動し導線を確保します。
「ひつみ少しの間よろしくね」
ひつみに守ってもらいながら詠唱を紡ぎます。
「泣いて謝っても許してやらないですわ!燃え尽きなさい!」
【ウィザード・ミサイル】を連発してエージェントを集中砲火です。
「この私の弾幕を破れるものなら破ってみせなさいな!」
え?人形遣いの力じゃないですって?気のせいですよ?(目逸らし

甘いもの食べたかったなあ(ぼやき



(許さない……許さない……許さない……)
 エージェントの船に乗り込んだ霜降・あやめは、怒りを隠さなかった。
(貴重なスイーツを兵器に使うなんてとても許せないです。
 私の全力を持って、その非道な行いに対する罰を与えましょう……!)
 バン、とあやめは扉を押し開け、部屋へと入った。

「何ィ!? まだ来るというのか!」
 そう呻くエージェントをよそに、あやめは部屋を移動して導線を確保した。
 他の人を巻き込まず、エージェントを狙える位置だ。
「ひつみ、少しの間よろしくね」
 彼女はそう言うと、ひつじ型ぬいぐるみのひつみを操り、自身を守らせた。
 その間に、詠唱を始めた。
「むっ!? 何をしている、やらせはせん!」
 エージェントが妨害を試み、電脳魔術のハッキングを放とうとする……。
 しかし。
「ぬっ、何だこの人形! 私の邪魔をするな!」
 ひつみがエージェントに攻撃を行い、ハッキングを妨害する。
 そしてあやめの詠唱は終わり……無数の魔法の矢が現れた。
「泣いて謝っても許してやらないですわ! 燃え尽きなさい!」
【ウィザード・ミサイル】。
 炎属性の無数の魔法の矢を放つユーベルコードだ。
 あやめの言葉と共に矢は放たれ、エージェントへと殺到する。
「うおおおおおお!? 量が多すぎる!」
「この私の弾幕を破れるものなら破ってみせなさいな!」
 エージェントは必死に回避をしようとするが、しかし魔法の矢は圧倒的物量で彼を攻め立てる。
「ぐぅ……! さしもの私も苦しいぞ……! 耐えることが取り柄だというのに!」
 服は破け帽子も裂け、無数の傷を負ったエージェントは、それでも立った。
 ……あともう少し。それで彼は倒れるだろう。
(……甘いもの、食べたかったなあ)
 エージェントを見てスイーツデブリ爆弾を思い出したあやめは、一人そうぼやいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナズヴィ・ピャー
むむ、倉庫で待ちぼうけしている間に何があったのでしょう…
お礼に貰ったスイーツとか携帯食をムシャつきながら駆けつけましょう
これは美味!

●…帝国?エージェント?
忘れてました
どれもこれもスイーツ爆弾、ひいてはあのエージェントが悪いですね
あのメカメカしいイケメンをバラバラにして研究材料にしましょう

●機動補助管
突然の方向転換や空中機動で回避と攪乱しつつ接近
当機は直接殴ったり蹴ったり叩きつける方がお好みなので、合わせて戴きます

殴殴殴打からの蹴蹴蹴撃
アタッシュケースを奪い取ってぶん回しからのバキー
ガッチリ組み付きからの投げ落とし→踏み付け→エルボードロップ
手足いずれかをもぎもぎする勢いで関節を極めポキーです



(むむ、倉庫で待ちぼうけしている間に何があったのでしょう……)
 ナズヴィ・ピャーはもそもそと倉庫から出た。
 気付けば他の猟兵はいない。オペレーターに聞くと、彼らは帝国軍の船へ向かったということだった。
(……帝国? エージェント?)
 ナズヴィは暫し考え……手をうった。
「忘れてました」
 彼女はパパッと荷物を纏め、オペレーターから帝国軍の船を座標を聞く。
 ついでにお礼ということでスイーツなどを受け取り、その船へと向かった。
 宇宙空間には、無力化されているスイーツデブリ爆弾がぷかぷかと浮いていた。
「どれもこれもスイーツ爆弾、ひいてはあのエージェントが悪いですね。あのメカメカしいイケメンをバラバラにして研究材料にしましょう……ん、これは美味!」
 むしゃむしゃと食べていたスイーツに舌鼓を打ちながら、彼女はエージェントの部屋へと突入した。

「ぬぅ……まだ増援が来るか……さしもの私も苦しいぞ」
 もう既にボロボロのエージェントは、ナズヴィを見て呻いた。
「そちらの都合は知りません……機動補助管を起動」
 ナズヴィの言葉と共に、身体に組み込まれた機動補助管が起動した。
 そして彼女は、宙を飛んだ。
「何ッ、早い! ていうかこっちに来るなッ!」
「当機は直接殴ったり蹴ったり叩きつける方がお好みなので、当機に合わせて戴きます」
 エージェントは仕込み帽子を複製して飛ばすが、ナズヴィに掠りもしない。
 突然の方向転換や空中機動で、帽子を回避しエージェントを攪乱し、近付いていく。
「ここです」
「なっ、私のケースが!?」
 彼女は突如としてダッシュし……エージェントのアタッシュケースを奪った。
 そのまま勢いを乗せてぶん回し、エージェントに叩きつけた。
 バキッ、と中々凄い音がした。
「っ……っぐう!」
「まだですよ」
 呻くエージェントにがっちり組みつき、ナズヴィは言った。
 そのまま投げ落とし、エージェントを床にたたきつける。踏みつける。そしてエルボードロップ!
 流れるような連撃だ。
「がっは……!」
 エージェントはパーツを散らす。もはや無事な箇所など何処にも残っていない。
 そのままナズヴィはエージェントの関節を極める。
 もはやエージェントに抵抗するだけの余力は残っていなかった。
「……最早……これまで……!」
 バキっ。ボキっ。
 機械で出来た彼の体は、どんどん取れていき……やがて動かなくなった。
「……よし。それじゃあ持ち帰って研究材料です」
 ナズヴィはエージェントの残骸を回収し、部屋を去った。


 ……これにて、帝国軍の『ロストスイーツパニック』作戦なるものは失敗に終わった。
 盗まれたスイーツはエージェントの船から幾つか回収され、猟兵の皆に振る舞われたという。
 スイーツを爆弾にする機構……即ち、スペースシップワールドの物質を星間物質に巻き戻すシステムは、何処かに失われた。もうスイーツを爆弾にするような輩は現れないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月29日


挿絵イラスト