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#UDCアース

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#UDCアース


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 雷を纏った細長い巨躯が、闇の中に浮かび上がる。
 寂れた村の家々を雷撃が襲うと、老朽化の進んだ建物はあっさりと砕け、吹き飛んでいった。
 押し潰された家屋を呆然と見つめへたり込む老婆、怪我をして動けない青年、泣きわめく子供、その子供の手をひいて逃げようとする母親。
 オブリビオンの身体に収束し、そして放たれたプラズマの光は、その全てをあっさりと呑み込んでいく。
 後に残ったのは高熱で燃え上がる、家屋だったものの残骸。黒焦げになり、性別も年齢も判然としなくなった人々の燃え殻。
「こんな、こんなはずじゃ、なかった。俺は、ただ……」
 地上に現れた地獄を、離れた場所から瞬き一つせず見ていた壮年の男性の呟きは、誰に聞こえる事も無く闇に消えて行く。
 ――はずだった。

 グリモア猟兵ティアラ・パリュールの周囲に、UDCアースの光景が現れていた。
「あのあの、村のみなさんを助けてあげてください!」
 珍しくひどく慌てた様子で、詳しい説明もせずそんなことを言う。
 左手に乗っていたガジェットのフクロウが、落ち着けとばかりにその頭をつつくと、ティアラはようやく我に返る。
「あっ……ご、ごめんなさい。えっと、今日は集まって頂いてありがとうございます。UDCアース、日本の上新川村という場所で、強力なクリーチャーが召喚されようとしています!」
 自然に囲まれた山の中腹にある上新川村は、県主導の再開発計画に巻き込まれつつある寂れた村だ。山林を切り開いてのホテル建設及び、山の一部を切り崩しての展望の確保、といった計画が持ち上がっている。
 そこに、オブリビオン『雷穹龍グローレール』が召喚されようとしているという。
「雷穹龍グローレールはとても強力で、召喚されてしまうと広範囲に無差別な破壊を行います。村に住む人たちは数千人ですが、ひょっとしたら村だけでは済まないかもしれません」
 完全な形で召喚が行われた場合、村の数千人に関しては絶望的。それだけではなく被害は数万人、数十万人にも及ぶかもしれない。
「そうなる前に、なんとか召喚を防いでください! そのためには、まずは召喚儀式がどこで行われているのかを突き止める必要があります。雷穹龍グローレール召喚には大がかりな儀式が必要なので、それが可能な場所は小さな村ではあまり多くないはずです。……えとえと、最近になってホームセンター? っていう、大きな商業施設ができたみたいなので、まずはそこを調べてみるのもいいかもしれませんね。人が集まるので、聞き込みもしやすいと思います。閉鎖的な村なので、大変かもしれませんけど」
 説明を終えると、ティアラは集まった猟兵達を見回した。
「わたしは、お手伝いすることしかできません。でも、皆さんならなんとかして下さるって、信じてますから。今回も、よろしくお願いしますね!」
 そういって笑顔を浮かべ、頭を下げる。その顔からは、最初のような焦りの色は消えていた。
 言葉通り、彼女は信じている。同じ猟兵の――『仲間』たちを。


第六封筒
 少し間が空きましたが、三本目のシナリオとなります。
 第六封筒です。
 はじめましての方は、はじめまして。そうでないかたは、またお会いできましたね。

 今回は情報収集からはじまって、妨害を乗り越え、最後にボス戦、という流れになります。
 ホームセンター以外で情報収集を行うことももちろん可能です。
 でも、ホームセンターにいくとわくわくするのは自分だけでしょうか?
 せっかくなので買い物や、フードコートでお好きなものを注文してみるのもいいかもしれません。流れ次第ですが、できるだけ拾いたいと思います。
 ただし、情報収集もお忘れなく……。

 それでは、今回もよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『閉鎖的な村』

POW   :    腕力などの力を誇示する事で情報を引き出す

SPD   :    村の要所に忍び込む等して情報を調査する

WIZ   :    村人との会話で必要な情報を引き出す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

最上・空
潜入調査に美幼女が参上です!

空はホームセンターで情報収集ですよ!

唐突に部外者が色々聞いても、閉鎖的な田舎社会では怪しまれそうなので、フードコートで甘味でも取りつつ、人々を観察します!

口の軽そうな人や世間話が好きそうな人にタ-ゲットを絞り、それと無く近付いて、世間話に混じりつつ情報収集してみますよ!

ちなみに、空は家が謎の雷で破損。修理道具を求め別の村や町から、両親のお供で来た。的な設定で幼気な美幼女を装います、ボロが出そうだったり、必要情報を得たら両親との待ち合わせ時間だからと退散です。

「情報取集には頭を使うので、まずは甘味の補給です!」
「あのね、おうちがカミナリでたいへんだったのよ」


フェイス・レス
【POW】アドリブ大歓迎
儀式の場所を見つけ出しぶっ潰す、シンプルに行こう。
ホームセンターが怪しいなら職員に聞くのが早いか?
犯人は恐らく開発に反対する人間だな。開発で建設されたであろうこのホームセンターで召喚して潰すって所だろうか?
最初は当然、紳士的に聞き込みするが閉鎖的な村特有の面倒臭さを見せるならすぐに猟兵の力をちらつかせてやる事になるかもな。
もし他の猟兵で優しく会話で聞き出す人が居るなら飴と鞭のコンビネーションも出来そうだ。



 ――バリューロード上新川村店。
 何も無いが、土地だけは余っていた上新川村に、県が再開発計画の先駆けとして誘致したホームセンターである。
 広大な敷地には日用品、電化製品に衣料品、食品、書籍、果てにはペットまで、ここに来ればなんでも揃うとばかりの品揃えの平屋の店舗。県外からの客をも見込んだ五千台以上が駐車可能な駐車場と、ガソリンスタンド、ゲームセンターにシアターまでもが併設された、大規模商業施設だ。
 そこにまずやってきた猟兵は、頭部をゴツい機械ですっぽりと覆った厳つい戦場傭兵。そしてブレザーにスカート、ニーソに革靴で身を固めた、金色の瞳の美幼女という対照的な二人だった。

「情報取集には頭を使うので、まずは甘味の補給です!」
 超絶美幼女を自称する最上・空が、緑のツインテを揺らし真っ先に向かったのはフードコートだ。
 空は甘いものに目が無い。むしろ愛しているとすら言える。このなんでも揃う、ホームセンターという非日常の空間で、目新しいスイーツを探してしまうのは必然とも言えた。
「おいおい、真っ先にここか?」
 油断なく周囲を見渡し、手掛かりを探しながら、人波の中でも空を見失わずについていくのはフェイス・レス。
 開発に反対する人間を怪しいと睨んでいるフェイスは、その方面での調査を行うつもりだったのだが、足取りも軽くどんどんと進む空を引き留める間もなく、共にフードコートにやってきたのであった。
「唐突に部外者が、色々聞きまわったら怪しいじゃないですか? まずは、人々を観察してみましょう……甘味でも取りながら!」
 とてもいい笑顔で、空がスカートを揺らし身体ごと振り向く。その腕には『美幼女』と書かれた腕章がついていて、それを見たフェイスは「美幼女ならしかたない」と謎の納得をするのだ。

「それにしても人が多いですね」
 壁際にもたれるようにして、両手にピンクグレープフルーツ味とチョコレートマロン味のソフトクリームを持ち、交互にパクつきながら、空は調査も忘れてはいない。例えその甘さに顔が蕩けていようと、忘れてはいないのである。
 実際、フードコートのおばさんや親子連れに話しかけ、いくらか情報収集は進めていた。雷で自宅が破損したため、その修理用品や壊れた家電の替えを求めて両親とやってきた、という設定である。
「しかしこれは、ほとんど地元の奴らじゃなさそうだな?」
 やれやれとその様子に肩をすくめながらも、フェイスは買い物客達の分析をしていた。おそらく村外からやってきたであろう、家族連れやカップル。もはやアミューズメントパークにも似たこの施設において、彼らの表情は明るい。また服装もそれなりに気を使っているだろうことが分かる。
「ええ、そうですね。見える範囲ですと、あのお姉さんと、あちらの男性が、村の方でしょうか?」
 空は唇についたソフトクリームを可愛らしくちろりと舌で舐めとりつつ、人混みの中に紛れる、いかにも普段着の人混みになれていない人物を目線で示す。
「こうもはっきり温度差があるとはな。俺の見込み通り、村の反対派の仕業か……おい、行くぜ空。仕事だ」
 四十歳前後の男性がふらふらと駐車場の方へと向かったのを見て、フェイスはその後を追う。
「あっ、ちょっと待ってください。アイスがまだ残ってるんです!」
 空も、少し間を空けてそれに続いた。

「なあ、あんた村の人だろ?」
 駐車場近くで人通りが少なくなったところを見計らい、フェイスが村人とおぼしき男性に声をかけた。
「俺? そうだけど、それが……なにか?」
 振り返った男性は、見知らぬ男の姿に警戒感を露わにする。腰を引き気味にして、すぐにでも逃げ出せる姿勢だ。
「一つ訪ねたい。この辺りは、県の再開発計画の対象地域だと聞いている。反対してる奴らを知らないか?」
 フェイスは本題を率直に、しかし男性を威圧しないよう丁寧に話しかける。
「そんなの、聞いた事ないけどな。ここができて、実際俺も助かってるし。急ぐんで、これで」
 一見普通の受け答え、しかしフェイスは、急いで立ち去ろうとする男性になにか違和感のようなものを覚えていた。
「おい。……何か知ってるんだな? 話してくれ」
「ひっ!」
 フェイスがやや力を込めて肩を掴むと、男性は振りほどこうとした。しかしフェイスの力はそれを許さない。
 男性は怯えたように身体を固くし、その場にどしんと尻もちをつく。完全に怖がらせてしまったようだった。
「ちょっと、ごめんなさいお兄さん」
 その時、フェイスの後ろから空が口を挟む。男性の前にしゃがみこむと、首をかしげて困ったような表情で語りかける。
「あのね、おうちがカミナリでたいへんだったのよ」
 空は語る。
 少々設定を変更し、突然の雷で家が壊れたため、現在の土地を売却して地価が安いこちらに引っ越しを考えている。しかし、県の再開発計画が進んでいる今、今後どうなるのか分からず心配で、情報が欲しいのだ、と。
 実はこの行動も、全て二人の予定通りだった。あらかじめフェイスが警戒心を抱かせて、そこに空が話かけることで飴と鞭の効果を狙っての事である。
 男性の態度は軟化した。男性は、推進派が反対派を懐柔するためにその手の工作員を雇ったのではないかと考えていたのだ。

 そうして、二人は幾つかの情報を得た。
 男性自身は積極的に反対する程でも無いが、ホームセンターやホテルはともかく、山を崩すのは反対だ、という者が多いということ。
 そういった反対派も、高齢者が多い為、実力行使を行ってまで阻止しようという程では無いということ。
 ホームセンターの職員は、将来的に現地雇用に切り替える話も出ているが、現在は基本的に本部からの派遣であるということ。
 未だ情報は足りていない。しかし、儀式場の特定には確実に近付いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

久条・逢魔
【WIZ】でできるだけ村人から情報を集めてみる

ホームセンターという事だし買い物客もたくさんだろうけど、お客として商品眺めつつ店員さんにもそれとなく情報収集しようかなぁ?
そんなに人がいるわけじゃないだろうけど、いろんな噂話とか聞こえてそうだしね?

ホームセンターで何か商品…木材とか日曜大工のものを購入し、ついでに技能【コミュ力】を利用して店員に広めの場所とか、最近変な人とか噂がないか確認。
ダメなら日曜大工を買いに来ているお客さんに、買いに来たものについて意気投合できるよう話を振ってから同じように確認をとってみる。



 一方、久条・逢魔は売り場で情報収集を行っていた。
 あまりに広い店内を、ただただ歩き回っては効率が悪い。そこで、逢魔が目を付けたのはDIYコーナーだ。
 言うまでもなく、DIY関連用品はホームセンターのメイン商材の一つ。
 DIYコーナーだけで、そこそこ大きなスーパーが丸ごと入ってしまう程度の売り場面積がある。
 設置されたレンタルスペースと、それに付随する機材も多く、工作に関する質問等にも対応できるように、店員も数多く配置されていた。
 あくまでも情報収集のつもりが、思わず買い物に熱が入ってしまうのは、ボロボロの自宅の手入れが頭に浮かんだからだろうか。しかしそうでなくても、これだけ多種多様な品物が並んでいてはテンションも上がるというもの。
 まずは木材。木材の種類だけでもスギにヒノキ、ラワンにマホガニー、ローズウッドと多岐に渡った。
 のこぎりに、ドリル。用途別に値段もサイズも様々で、選び出すのも一苦労だ。
「ドリルは男のロマンだよな」
 しかし、自宅の修繕にそれほど巨大な物は必要ない。逢魔は手ごろなサイズの物を一つ選びだす。
 ネジや釘……これは何種類かがセットになったお徳用を。
 通路の左右に所狭しと並べられた商品を、周囲の会話に耳を傾けながら買い巡る。
 気が付けば短くない時間が経過し、最低限必要の物だけを買うつもりが、両手を塞ぐ量になっていた。
「お客さま。よろしければ、お車までお運びしましょうか?」
「車じゃないんだけど……外までお願いできますかね?」
 大量の荷物をぶらさげる姿を見た店員が声をかけてきたのをこれ幸いと、離れた出入り口を指定する。情報収集の為に、ある程度の時間は欲しいからだ。
「それにしても広いですよね。この店はどこもこんな感じなんです?」
 台車に乗せた荷物を店員が押していき、その後ろについて歩きながら逢魔は店員に話しかけた。
「ええ、そうですね。どこもすごく広いですよ。私は系列店からヘルプで来てるんですが、そちらはこんなに広くは無かったのでびっくりしました」
「休憩所とかも、広い上に何か所にもあるみたいだし」
「イベントにも力を入れたいみたいで、イベントステージも本格的ですよ~」
 持ち前のコミュ力を駆使し、何気ない会話から、じわりじわりと必要な情報へと迫っていく。
 そうして、たっぷり十分近くも時間をかけて指定した出入り口に到着する頃には、逢魔はすっかりと店員と打ち解けていた。
「それでは、ご利用ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております!」
 定型の挨拶をし、会釈して戻っていく店員に手を振り見送りつつ、逢魔はこれまでに集めた情報を整理した。

 不審者は一定数いるようだが、常識の範囲内のようだった。噂になるような妙な出来事も、特に目立って起こっていない。
 売り場はどこも広いが、開けた空間が多く、どこの売り場でも最低一台の監視カメラが設置されていた。夜間であっても、この店舗内での儀式は難しいように思える。
 地上に一時保管用の比較的小規模な倉庫が複数、地下には大規模な倉庫が設置されている。地下はもちろん、地上の倉庫も小規模といっても通常のコンビニより広く、中の在庫状況によっては儀式は可能だろう。

「……まあ、こんなところかな?」
 逢魔は呟くと、他の猟兵達と合流すべく、大量の荷物をぶら下げて移動を開始するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サツキ・クルーエル
ホームセンター…行ったことないし気になるからすぐにでも行きたいけど。
自然が豊かな場所って居心地もいいし、向かいながらいろいろ見聞きしてみようかな。

村人さんを見かけたら笑顔で挨拶、ホームセンターへの道を聞くついでに村の見所とかあれば聞いてみたいな。
ボクとしては自然いっぱいっていうのも落ち着けて好きなんだけど…
世間話の折、聞けそうならどう思うか聞いてみるのもいいかも。

どこか見所とか聞けたら行って見てみたいな。
目立つ予兆はないかもだけど、候補から外す目安にはなると思うし。
聞けなかったらホームセンターへ。お腹も空いたし甘味を…お腹が空いてはって言うからね。



「ホームセンターって、どんな所なんだろう?」
 ホームセンターからはやや離れた場所。山中の林道を、オラトリオのサツキ・クルーエルはひとり歩く。
 こちらの林道はホームセンターの誘致と共に通された大きな道路と違い、昔からあるルートだ。
 豊かな自然に囲まれたここは居心地が良く、濃密な、木々の香りを孕む空気は美味しかった。
 アスファルトで舗装された路面は、長い年月に風化しかかっていて、道路端は左右に広がる木立の根の浸食を受けて浮き上がっている。それでも通行できない程損傷している箇所は無く、生活道路として使われている事は伺えたが、サツキはここに至るまでにただ一人ともすれ違ってはいなかった。
「わぁ……!」
 上り坂の終わりに現れた風景に、サツキは思わず声を上げた。
 見下ろす正面の風景は一面の木々。その中を、道路が一本蛇行しながらずっと伸びている。
 左方向に目を向けると、そちらは村の中心部だ。それも何か所かに分かれて、古びた家屋が固まって立っているのみで、ほとんど大きな建築物は見当たらない。
 さらに左の方へ目を向けると、もう一段低い開けた土地に、ようやく巨大な建築物……ホームセンターの威容が現れるのだった。

 どっどっどっど。
 引き続き村の様子を観察していると、前方から大きな音をたてながら、一台の原付がこちらへ向かってやってくるのが見えた。
「こんにちは!」
 サツキは原付でやってきた男性に挨拶をして笑顔を向ける。
「あんた、こんなところでなにやってんだ。迷ったのか? バリューロードならこっちの道じゃないぞ」
 男性は足をついて停車し、怪訝な顔でサツキを見た。
「ふふ、違うよ、少しお散歩をしてたんだ。いい所だね、この村。自然が一杯で。ホームセンターにもあとで行ってみるつもりなんだけど」
 サツキはそんな風に男性に語り掛け、村の見どころについて尋ねてみた。
「……見どころ? みての通り、なにもねえ村だよ。なーんにもな」
 それは嘘だと、サツキは思う。これだけの自然、なにも無いとは言わないだろう。しかし、それを言ってもしかたがない。
 それと……なぜだか、なにも無い事をやたらと強調しているように思えて、サツキには少し気になるのだ。

 その後も言葉少なな男性を相手にしばらく雑談を続け、村の話を少しだけ聞きだして、サツキは男性と別れる。
 村の全体を見渡して、おおまかな地理は把握できたし、ある程度村の情報を得る事もできた。
 あとは、ホームセンターでもう少し調査を続ければいいだろう。
 ――そろそろ、お腹も空いたし。
 まだ見ぬ甘味を求めて、サツキはホームセンターへの道を急ぐのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リュー・メトカーフ
【WIZ】
ジゼル(f02633)と共に

ふむ、大きいお店だ
私の足じゃあ一回りするだけで1日はかかりそうだよ
ジゼルはこういった場所には来たことがあるかい?

急がば回れという言葉もある
とりあえずは何か食べにでも
おおジゼル、3段アイスだ、あれは凄いね
注文ついでに店員に、何か変わったことでもなかったか聞いてみよう

それにしても儀式とはどういうものなのかな
召喚といえば魔法陣、というのがアルダワでの定石だけれど
此処の屋上も広いことだし、見に行きたい所だね
何もなかったとしても周囲を見渡すくらいはできるだろう

屋上の鍵とかは……
ジゼル、なんとかならないか

なるほど
武道の基本、心技体、というやつだね
技体は最終手段としよう


ジゼル・スノーデン
【WIZ】
リュー(f01051)と一緒だ

本当だ、大きなお店だな!
町の規模に比べて、ずいぶん大きい
わたしか?わたしは買い出しの時に時々行ったりするけど、フードコートまであるのは初めてだ

わかった、たべよう
あれだ、ハラが減ってはなんとかっていうやつだ
……リュー、あそこにはクレープもあるぞ。すごいな、ときめくな
ん?そうか、情報収集だな

魔法陣。もしくは生贄とか?
犬猫が姿を消したりしていないか聞いてみるか
そうだな、一望できれば何か分かることがあるかもしれないな

……物理と(こじ開ける)、技(針金作戦)と、心(店員にオネダリする)の三つの案が浮かんだ
おすすめは3番目だ
誘惑をがんばってみるぞ



「ふむ、大きいお店だ。私の足じゃあ一回りするだけで一日はかかりそうだよ」
 並べられたアンティーク調の家具を眺めながら、リュー・メトカーフは隣を歩く少女に話しかける。
「本当だ、大きなお店だな! 町の規模に比べて、ずいぶん大きい」
 店内をきょろきょろと見まわしつつ、そう言葉を返したのはジゼル・スノーデンだ。
「ジゼルは、こういった場所には来たことがあるかい?」
「わたしか? わたしは買い出しの時に時々行ったりするけど、フードコートまであるのは初めてだ」
 ゆっくりと、ゆっくりと。ホームセンターの中を歩きながら、一方は無表情に淡々と、一方は明るくマイペースに、喧騒の中にもかかわらずのんびりと会話を交わす。
「急がば回れという言葉もある、とりあえずは何か食べにでも」
 リュ―の言葉に、ジゼルはすぐに頷いた。
「わかった、たべよう。あれだ、ハラが減ってはなんとかってやつだ」
 ミレナリィドールの少女たちの足は、店内のフードコートへと向かう。広い店舗は横切るだけでも結構な時間がかかり、到着するころにはより一層、二人はお腹を空かせているのだった。
「おおジゼル、三段アイスだ、あれはすごいね」
「……リュー、あそこにはクレープもあるぞ。すごいな、ときめくな」
 子供が手にするアイスを見てリュ―が呟けば、ジゼルはカウンターに並べられているクレープのサンプルに目が釘付けだ。
「ああ、それは迷ってしまうね。せっかくだ、両方買ってくるかい? 注文ついでに店員に、何か変わったことでもなかったか聞いてみよう」
 リューは早々に注文を決めると、クレープを選ぶジゼルの様子を眺めている。
「ホイップクリーム、チョコ、ストロベリー、バナナ。すごいな、チーズケーキなんてのまであるぞ。わたしはこの、デラックスクレープにしよう。 ……ん? そうか、情報収集だな」
 ふむ、とジゼルは頷く。
 もちろん、それが本題なのだから、忘れていたわけではない。
 忘れていたわけではないが、一瞬クレープの方が優先順位が上になってしまったあたりが、女子の『さが』というものなのだろう。

「それにしても儀式とはどういうものなのかな」
 設置された丸テーブルの席に座って向かい合い、購入した多数のアイスやクレープ――予定より多く買ってしまった――を前にして、二人は次の調査方針と儀式の内容について話している。
「魔法陣。もしくは生贄とか?」
 それは召喚の際の定番である。さほど大きくは外れていないだろう。
 そして、売り子への聞き込み自体では大した情報を聞くことは出来なかったが、収穫が無かったわけでもない。
「それにしても、映画館の屋上か」
 二人はこの後、ホームセンターの屋上へ上がる事を考えていた。しかし売り子との会話から、併設された映画館の屋上がこの近辺では最も高いという事実を聞いて、行き先を変えたのだった。
 ただし、映画館の屋上が解放されるのは、原則としてなにかイベントが有る時だけ、との事ではあったが。
「開いていなかったら、屋上の鍵とかは……ジゼル、なんとかならないか」
「物理と(こじ開ける)、技(針金作戦)と、心(店員にオネダリする)の三つの案が浮かんだ」
 ジゼルは両手に二つのクレープを持ち、交互にパクついて、幸せそうな笑顔でそんなことを言う。
「なるほど。武道の基本、心技体、というやつだね」
 リューは三段アイスを両手で抱えるように持ち、上から順に少しずつ齧っていく。 
「おすすめは三番目だ。誘惑をがんばってみるぞ」
 どこまで本気なのか、そんな事まで言うジゼルである。
「……技体は最終手段としよう」
 屋上でなにか手がかりが見つかればいい、と考えながら、リューもとりあえずは、目の前の甘味の消費にかかるのだった。

 その後、二人は無事映画館の屋上へと上がって、周囲の景色を楽しみ。
 同時に、関係者向けの駐車場の一角に、商品の搬入口でもないのにワゴンや軽トラックが不自然に数多く停車しているのを見つけたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ロッジ・ゴーレム』

POW   :    ゴーレムパンチ
単純で重い【コンクリートの拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    サンドブラスター
【体中から大量の砂粒】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ジャイアントロッジ
予め【周囲の無機物を取り込んでおく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 各々持ち寄った情報を整理した猟兵達はさらなる調査の結果、最終的にホームセンターの非常用食糧備蓄倉庫に目を付けた。
 そこは食糧や災害グッズを保管するのみに留まらず、大規模災害時の帰宅困難者用に地下に宿泊施設をも備えているのだ。
 その大きさ、気密性、人通りの少なさ。どこをとっても、召喚儀式を行うのに都合が良い。

 夜の帳が下りた頃、地下施設に侵入した猟兵達を待ち受けていたのは、身体に歪な無機物を無数につけた、何体もの『ロッジ・ゴーレム』だった。
星蝕・焉夜
「またロクでも無い事をやらかそうとしていたのだな……
集団戦であるなら俺も手伝えそうだ……
っと、ゴーレム相手か……
これは少々骨が折れそうだ……」

右腕に持った銃ごと自身の血液で纏わせ
右腕全体を大きな鎌の様な形状に変化させて戦う
(ブラッド・ガイスト)

「こうも戦いに重きを置くなら俺よりも適任がいるな……
『ミミック』、交代だ……」
『ーーーーーっ!!!』

戦闘衝動に駆られる人格へ変化し
本能のまま武器化した右腕で斬りかかる
他に人が居るなら死角から攻撃したり
脆そうな関節部分や細い部位を狙って攻撃する

『ミミック』自体は喋れず叫ぶぐらいのバーサーカー


久条・逢魔
倉庫の敵を確認したら、どこまで効果があるかわからないけど技能『目立たない』を利用して物陰とかに隠れられるなら隠れる
相手の数も多いし、できるだけ集団戦にならないようにしないと

できる限り距離をとれたなら、遠距離から『スナイパー』で攻撃しては物陰に移動し、一纏めになったなら【ウィザード・ミサイル】を『二回攻撃』でどんどん打ち込んでいく

「儀式が出来そうな場所は、ここぐらいなんだろうけど……それにしたって、お店の人が協力者じゃないと無理だよな?あいつらを倒せば終わるだろうけど、ついでに証拠も探してみるか」


サツキ・クルーエル
場所が分かったことだし、あとはパリュールさんが視た予知を全力で防ぐだけ。
最後まで頑張らないと…ここも踏ん張りどころ、だね。

【WIZ】
大丈夫だと思うけど、万が一『ロッジ・ゴーレム』が外に出たりしないように入り口付近での戦闘を心掛け。
スピカと名付けた精霊の変身した杖をぎゅっと一握り、大丈夫だよと自分と精霊を鼓舞するように。
ユーベルコードで自分に近い相手を一体ずつ減らしていけるように狙って。

一緒に侵入した方と共闘出来そうであれば、同じ相手を優先するようにしていきたいな。
油断は決してできないけど、まだ先があるんだから早く突破できるに越したことはないよね。



「クッソ、またロクでもない事をやらかそうとしやがって……」
 多重人格者のグールドライバー、星蝕・焉夜が先陣を切り、内部へと躍り込んでいく。
 その途端、コンクリート塊を纏わせた腕を振り上げ、砂糖にアリが群がるようにゴーレム共が集った。
 ぶうんと風音を立て、振り下ろされたコンクリートを、焉夜はその腕の間を、ゴーレム同士の間を、足の間をすり抜けるように躱す、躱す。躱す!
 ガンッ! ガンッ! ガキンッ!
 コンクリート塊その物の重さと、重量物を苦もなく振り回すロッジゴーレムの膂力が合わさった一撃。
 単純なだけに高威力の攻撃が、入り口付近の床や壁面に叩きつけられた。頑丈な磁器質のタイルが砕かれて、破片が飛び散り焉夜の身体に浅い傷を残していく。
「っと、ゴーレム相手か。これは、少々骨が折れそうだな……」
 一言つぶやいた焉夜はふいに、砕かれたタイルにより傷ついた右腕を自ら壁に叩きつける。血液を滲ませていた傷口が開いて血が溢れ、その腕を伝った。
「さて、始めるか……」
 右腕を伝っていた血が、より一層その量と速度を加速させていく。流れた血液は地面には落ちず、その手にした銃ごと右腕を包み込むようにわだかまり、変貌を遂げさせた。
 ユーベルコード『ブラッド・ガイスト』。
 大鎌状になった右腕を隙無く構え、焉夜はゴーレムに相対する。
 焉夜にゴーレムが殺到し入り口が一時的に空白になったタイミングで、サツキと逢魔も内部通路へと降り立った。
「場所が分かったことだし、あとはパリュールさんが視た予知を全力で防ぐだけ。……大丈夫だと思うけど、外に出たりしないよね?」
 サツキの心配に、逢魔が答える。
「あいつら、ここを守ってるんだろうから、大丈夫じゃないかな? でも一応、僕達はしばらく入り口を防衛しようか?」
「うん。念のため、だね」
 二人は入り口を壊されて後続が入れなくなるのも困る、と入り口から離れすぎない程度に奥へと進み、ゴーレムたちの只中で大鎌を振るう焉夜との共闘を開始するのだった。

 焉夜が前線でゴーレムたちを大鎌で薙ぎ払い、サツキは『エレクトロレギオン』……小型の戦闘用機械兵器を召喚した。強さは程々だがなにしろ数が多いため、ゴーレムたちも容易に入り口には近づくことは出来ない。
 一体のロッジ・ゴーレムが入り口に迫る。
 すると、十体近くの機械兵器が殺到して、数体が殴り壊されて損耗するのも構わずにロッジ・ゴーレムを足止めするのだ。
 しかし敵の数はますます増えている。これ以上殺到されてはまずいと、逢魔は曲がり角を利用して姿を隠し、ゴーレムの注意を引かないように狙撃を繰り返していた。
「ここも踏ん張りどころ、だね。スピカ……大丈夫。大丈夫だよ」
 サツキはエレクトロレギオンを維持しながら、スピカと名付けた精霊が変化した杖を胸元でぎゅっと握りしめる。それは自身と共に、精霊を鼓舞するような祈りにも似た呟き。
 入り口を背に、近寄ってくる敵はエレクトロレギオンに任せ、自身は敵の数を一体ずつ減らすべく、焉夜や逢魔が狙うゴーレムに共に狙いを定める。
 危なげない戦いを展開する猟兵達だったが、敵は数が多いだけではなくタフで、なにか決め手が必要にも思えた。
「ちっ、きりがない。この相手を捌くには、あいつが適任か……『ミミック』、交代だ」
 その時、最前線で大鎌を振るっていた焉夜が、入り口方向に大きくバックステップし着地する。その次の一瞬、ぶらりと手から力が抜けた。そこにゴーレムの、散らばったタイルをも取り込んで肥大化したパンチが迫る。
 今にも焉夜にパンチが届きそうになった所を、逢魔がカバーした。姿を現すと矢継ぎ早にウィザードミサイルを一度、二度叩きこむ。ゴーレムの体が揺らいだ。
「おい、大丈夫か!?」
 ザシュッ。
 逢魔の呼びかけに、焉夜は無言で、ゴーレムを屠る事によって返事をする。一体のゴーレムが、胴体を半ばから両断されて冷たい床に転がった。
 明らかに、焉夜の動きが変化していた。無造作に、手近な敵へと本能のまま大鎌の右腕で切りかかっていく。危うさはあるが、先ほどまでよりもパワーも、スピードも、戦闘センスも上がっていた。
 まるで別人のように。
 そう。先ほどの隙は、戦闘衝動にかられる別人格ミミックへと、焉夜が身体を明け渡した時の物だったのである。
『――――――っ!!!』
 焉夜……いや、ミミックが声ではない声で叫ぶ。唸り声といっても良いその声に、精神を持たぬゴーレムたちが一瞬震えたようにも見えた程だ。
 『ミミック』の参戦により、状況は変わった。
 実際に倒した数で言えば、三人共それほど変わらないだろう。だが確実に敵を屠るサイクルは早くなり、ゴーレムは次第にその姿を減らしていく。

「儀式が出来そうな場所は、ここぐらいなんだろうけど。……これ、お店の人が協力者じゃないと無理だよな?」
 ロッジ・ゴーレムが減った今が頃合いと、逢魔は証拠を探すことを提案する。
 ここを突破し、『雷穹龍グローレール』の召喚を妨害する事が目的なのは確かだが、それだけではダメなのだ。
 再開発計画への反対は分かる。しかし、こういった手段に出てしまった者がいる。あるいは、それを利用するため、関係者を唆した者が。それらをなんとか出来なければ、再び同じ事件が起こる可能性がある。
 逢魔の願いは、彼らをも救うことができるのだろうか。

 ――未だ、結末は闇の中。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最上・空
昼寝していたら寝過ごした美幼女が参戦ですよ!

敵の数も減ってるみたいですし、ダメ押しに行こうかと思いましたが、
こういう状況の時って、少し離れた場所で明らかに挙動不審な人物が事の成り行きとかを見守ってそうな気配がするので、念の為にコッソリと周囲とか人が潜んでそうな場所を探索してから戦闘に参戦ですね!

不審者が居たら問答無用で捕縛して尋問です!有益な情報を持ってるかもですし、この時間にこんな所に居る時点で十分怪しいですからね!

ゴ-レムには出来るだけ接近したくないので、入口付近から【ウィザード・ミサイル】を「高速詠唱2」で連射して、手数で圧倒し接近される前に撃破したい所です。

※アドリブ&まとめご自由に



「ふわ……ぁ……ちょっと、寝過ごしちゃいましたか……」
 先行した猟兵達から遅れる事しばし。
 眠たげな目をこすりつつ地下施設へと降り立った空は、やや歪んだリボンと傾いた腕章を直しつつ、破壊されたロッジ・ゴーレムの間をてくてくと歩いていく。
 入り口付近からは敵は一掃されていた。しかし通路の奥からは、まだ破壊音が聞こえてきている。
 戦闘が続いているのだ。
「みんな頑張ってるみたいですね。今、空が行きますよ! ……でも、その前に」
 空はあえて音がする方向ではなく、別方向へと足を向けた。
「こういう時は、その辺で明らかに挙動不審な人物が、事の成り行きを見守ってるものですよね! 不審者は問答無用で捕縛して尋問です!」
 ぴょんぴょんと、跳ねるような足取りで通路を進み、楽し気に扉を開けていく。
 バタン、はずれ。
 バタン、はずれ。
「むむ、おかしいですよ」
 バタン、はずれ。
 バタン、はずれ。
 バタン、……はずれ。
「いませんね。はっ。これは、敵の陰謀に違いありません!」
 その後も、何枚の扉を開けただろうか。
 バタン。
 空が通路の突き当りで見つけた、ちょっと大きめの扉を開けた時。
 その部屋には一体のロッジ・ゴーレムが直立していて、空の姿を見ると腕を振り上げたのである。
「……へ?」
 やあ。
 空にはそんなふうに、ゴーレムが挨拶をしたようにも見えた。だが、そんな筈はない。
「し、失礼しました~!」
 慌てて扉を閉めた瞬間。
 ドガンッ!
 轟音を立て、扉が軽々と吹き飛んだ。
 空は素早く横移動して扉を避ける。吹き飛んだ扉は、反対側の壁にぶつかってひしゃげてしまっていた。
「危ないですね! もし空がケガでもしたらどうするんですか。全宇宙、いえ全次元の損失ですよ!? いえ、でも包帯美幼女というのも……」
 いいかも、とちょっと思ってしまった空に、おかまいなしにゴーレムが迫る。
「はっ、そんな事言ってる場合じゃありませんでした。予定とは違いますが、ここは後顧の憂いを断っておいたほうが良さそうですね!」
 てってって。
 空は踵を返し、廊下を走ってゴーレムから距離を取る。いや、取ろうとしたのだが……身体が大きい事もあり、意外とゴーレムは足が速い。
 振り返り『ウィザード・ミサイル』を打ち込もうとしたときには、その巨体はすでに目の前にまで迫っていた。
 危うし、美幼女。
「ちかっ。でも空は慌てません。こんなこともあろうかと!」
 そう、空は高速詠唱スキルを持っていた。一呼吸の間に百本にも及ぼうかという数の炎の矢が展開し、ロッジ・ゴーレムに殺到していく。
 悪は倒れた。距離が近すぎたせいで、ちょっと熱かったが。
「予定通りですよ!」
 てってって。
 全く予定通りではなかったものの、後顧の憂いを断った美幼女は、こうして仲間たちと合流すべく奥へ向かったのだった。
 ――彼女は知らない。それが実際に、残っていた最後のロッジ・ゴーレムだった事を。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『雷穹龍グローレール』

POW   :    雷霆光輪
【超高熱のプラズマリング】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    撃ち砕く紫電
レベル×5本の【雷】属性の【破壊光線】を放つ。
WIZ   :    ドラゴニック・サンダーボルト
【口から吐き出す電撃のブレス】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・皇士朗です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 地下施設最深部。
 元々は食糧を備蓄していた場所だったのだろう。
 広いその空間に、彼らは居た。
 異様だった。街に居たならば、なんの変哲もない、ただのサラリーマン、主婦、学生に見えただろう。
 しかし、召喚用の巨大な魔法陣を前にしたこの状況、この場所に、ただの一般人が居る筈がない。飛び込んできた猟兵達を見て表情一つ変えないのも、よりいっそう異様さを増幅させていた。
「間に合ったか。そこまでだ!」
 そう叫んだのは誰だったか。猟兵達は秘密結社の構成員と思われる者達を無力化し、魔法陣を破壊した。
 しかし。
「……このタイミングで邪魔が入るとは、予想外だ」
 闇の中に、何者かの声だけが響く。
「だが、もう遅い。もはや、門が開くのは時間の問題。完全な形での召喚とはいかなくなったが、なに、十分だ。さて、依り代は……その男に、もう一度だけ、役立ってもらうとしようか」
 しばしの静寂が訪れて、その後、構成員の中に混じっていた壮年の男が急に苦しみだす。唯一、猟兵達の登場にわずかながらも動揺を見せていた男。
 猟兵達は知らなかったが、この男は上新川村出身の県会議員だった。
 男の姿が変貌していく。メキメキと体躯が伸び、鋼のような筋肉で、鱗で覆われていった。細長く伸びた身体は易々と天井を突き破り、身体から発する雷で内部の電灯は破壊される。
 急いで地下施設を脱出した猟兵達は、現れた異形が倉庫を完全に破壊するのを見た。
 ――――ここに、不完全ながらも『雷穹龍グローレール』が召喚されたのだ。
星蝕・焉夜
【POW】
「間に合わなかったか……
だが不完全ならまだ壊すのはできそうだな……
被害が広がる前にとっとと終わらせるとしよう……」

右腕に鮮血を纏い銃ごと大鎌の形状へと変貌させながら
第六感による見切り、地形を利用して接敵する

「出番だ『ミミック』……潰せ」
『ーーーっ!!』

人格の中で凶暴かつ戦闘狂の人格を浮上させ
炎の属性を付与した大鎌で薙ぎ払いぶった斬る

ジャンプや地形を利用して空中戦も行なったり
死角から狙ったり急所や相手の視覚を奪う様に目を狙ったりする

大鎌で斬り付け血を啜るごとに
大鎌が大きく鋭さを増して潰しにかかる


アドリブなど歓迎です



「結局、間に合わなかったのか……」
 瓦礫と化した地下施設から抜け出した焉夜は、ゆっくりと身を起こす『雷穹龍グローレール』を見上げる。
「だが、不完全だというなら……」
 敵が態勢を整えていない今なら。
 その右腕に再び鮮血を纏わせる。右腕は再び、手にした銃ごと鋭利な大鎌へと。
 雷穹龍グローレールの体表を覆いつつある雷光を反射し、大鎌の刃がギラリと輝いた。
 ロクに足場も確かめず、瓦礫を駆け上がる。今ならば、その頭部にも刃が届くはずだ。
 グラリ。足をかけた瓦礫が傾く。しかし、焉夜はそれを歯牙にもかけず、傾いた足場が崩れるよりも早く次の足場を蹴っていた。
 さらに次の足場。どっちだ。
 焉夜は一瞬右側の瓦礫に出しかけた足を、強引に左へと変更。直後、右側の瓦礫は身じろぎした雷穹龍グローレールの一部に触れ、崩壊していった。
 なぜ分かったのか、それは焉夜自身にも認識できていない。戦闘経験によるものか、それとも焉夜の中の他の人格の警告か。いずれにせよ、焉夜の力には違いない。
 そうして、焉夜は敵頭部横にまで到達する。
 敵は巨大だ。中途半端な斬撃では効果は無い。瓦礫を駆け上がった勢いもそのままに、刃に炎を纏わせて目を狙い大きく鎌を振るう。
 ザクリと大鎌が切り裂いたのは、思っていたのよりもだいぶ手前。雷穹龍グローレールの鼻筋付近。一瞬遅れて鮮血が迸って、焉夜の全身を返り血が染めた。
「被害が広がる前に、倒すことはできる……」
 そう、このような化物相手であろうと、決して倒すことは不可能ではない。
 だがもう一つの事実を、認識してもいた。今の一撃が狙った位置にまで届かなかったのは、自身の心の奥底にある恐怖のせいだと。
 ならば、次の一手は。
「出番だ『ミミック』……潰せ」
 一瞬、焉夜の身体から力が抜ける。再び、自身の中に眠っている最も狂暴、かつ戦闘に特化した人格に身体を明け渡したのだ。
 ギロリ、と声を上げる事もなく雷穹龍グローレールが焉夜を睨む。
 常人であればそれだけで心臓が停止してもおかしくないだろう、呪詛と恐怖を込めた視線。
「――――――っ!!」
 しかしミミックは意に介さない。ザクリザクリと何度も手近な場所を切りつける。
 溢れ出した血を吸い、右手の大鎌はより大きく、そして鋭さを増していく。
 焉夜が狙っていた目を狙わないのは何故か。
 それは直後の雷穹龍グローレールの行動により判明した。雷穹龍グローレールが纏っていた雷が収束し、リングになって放射状に放たれたのだ。【雷霆光輪】。超高熱のプラズマリングは、周囲の物を無差別になぎ倒し、炎上させていく。
 ミミックは雷霆光輪が放たれた瞬間、足場にしていた瓦礫からその身を躍らせ、大きなコンクリート片の影に身を潜ませてやり過ごす。
 敵の些細な動きから、攻撃を予感し無意識に備える。驚くべき戦争センス。
 とはいえ、ミミックも無傷ではない。通り過ぎた高熱により衣服の一部が焦げ、髪の一部が燻っている。
 それでもミミックは憶することなく、再び敵へと躍りかかっていく。
 見る者に恐怖を覚えさせる、返り血に染まったバーサーカー。しかし同時にその姿は、仲間の猟兵達にとっては頼もしく写るのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

サツキ・クルーエル
大きい、ね。
召喚されてしまったのは悔しいけれど、村に被害を広げるわけにはいかないから…退場してもらわないと。

依り代になってしまった人が元に戻る方法ってないのかな…

【WIZ】
立ち位置は後ろに家とかが無いようには気を付けて。
高速詠唱と全力魔法を駆使してユーベルコードで攻撃。
攻撃を避けれそうになければオーラ防御で何とか耐えてみるよ。
あと…万が一騒音とか気になって近づいてきている一般人などが居た場合は避けずに耐えることに専念。

大きいし強敵そうだし怖くないといえば嘘になるけれど…
これ以上の被害を抑えるために、全力で頑張るよ。


最上・空
龍退治に美幼女が参戦です!

敵は巨大で遠距離や範囲攻撃も完備なので、真っ向勝負は遠慮して基本的に逃げ回りながら、チクチクと同じ場所を手数で攻めますかね!

空は「美幼女ブル-ム」に跨り、敵に的を絞らせないよう地面スレスレをジグザグ移動しつつ、敵の地面に面している部分に【ウィザード・ミサイル】を「高速詠唱5」して集中砲火、何とか態勢を崩せないか試みますよ!

基本的に牽制と崩しが優先なので、本格的な攻撃は他の皆さんにお任せですかね。

敵の攻撃は遮蔽物とかに身を隠せるなら利用して、厳しい場合は仕方が無いので美幼女オ-ラ(「封印を解く5」&「オ-ラ防御13」)を全開にして防御ですよ!

※アドリブ&まとめご自由に



「大きい、ね」
「こうなっては仕方ないです。龍退治と行きましょう!」
 サツキと空は地下施設から脱出した後、やや離れた位置に移動して、降臨した雷穹龍グローレールの威容を見上げていた。
 いつのまにか、夜空をぶ厚い雲が覆っている。これも、あの龍の力なのだろうか?
 ギロリと敵の視線が二人に向いて、その身体の周囲に再び雷が収束していく。
「あ、また……来る!」
 直後に放たれた雷霆光輪を、二人は障害物を盾にしてやり過ごす。
 そうして遮蔽物の影にいてさえ高熱は身体にまとわりつき、身を守るオーラと干渉し、身体の周囲でパチパチと爆ぜていた。
 周囲の建物は燻りだし、煙を吐く。一部は崩れて炎を上げていた。
 余りの威力と範囲に周辺被害を警戒し、ぐるりと周囲を見回すサツキ。
 しかし幸い、山の中腹という立地。広大なホームセンターの敷地。閉店後の夜間。といった要素が揃っている。となればここで戦っている限りは、さほど村の被害は気にしなくても大丈夫だろうか。
 人影も、見える範囲にはなさそうだった。もしかすると、儀式の為に事前に根回しがあったのかもしれない。この騒ぎで消防や警察が駆け付けるにしても、この立地ならばそれまでに猶予があるはずだ。
 いずれにしても、これなら全力で戦える。
「あーんな巨大な化物に、真っ向勝負はエンリョしておきましょう! 牽制は美幼女におまかせ! ですよ!」
 敵の攻撃が一時的に収まったタイミングで、空は箒に跨り物陰を飛び出していった。
 サツキは空にこくりと頷きを返す。
 手にした杖を一振りし、身体に未だまとわりつく雷と高熱を振り払って。
「村に被害を広げるわけにはいかないから……」
 ぎゅっと握りしめたスピカが、力強い手ごたえを返してくるのに、頼もしさと、ほんの少しの安堵を覚えつつ、高速で術式を編んでいった。
「しかし本当にでっかいですね! でも、身体の大きさの違いが、戦力の決定的差ではないんですよ!」
 空が箒……美幼女ブルームで、地面スレスレを瓦礫を避けつつ軽快に飛び回り、敵に的を絞らせないようにしつつも注意を引いたのに合わせて、サツキはユーベルコードを解放する。
「ここで退場してもらうよ!」
 サツキが全力を込めた術式は、実に三桁に迫る数の戦闘用機械兵器を召喚した。
 召喚された機械兵器をチラリと横目に見ながら、敵のサイドに回り込むようにしつつ空も【ウィザード・ミサイル】を準備。
 そしてエレクトロレギオンに雷穹龍グローレールの視線が向き、その口内に雷撃のブレス……【ドラゴニック・サンダーボルト】が収束した、その刹那。
「こっちです!」
 空の周囲に展開していた大量の炎の矢が収束して、敵の胴体下部……接地面に叩きつけられた。次々と着弾した炎の矢は、瓦礫の一部を融解させ、巻き起こった爆発でその安定を崩していく。
 直接的なダメージは、ほとんど無かった。だが、崩れた倉庫の上に乗るような形で居たところに、足元の瓦礫がその衝撃で再度崩されたのだ。
 グラリと巨体が揺れ、転倒は免れたものの大きく身体が傾く。
 バリバリバリバリ!!
 ほぼ同時に放たれた雷撃は何体かの機械兵を巻き込むが、大半が地面を叩いただけに終わった。
 機械兵は傾いた敵の身体に取り付いて、一斉に攻撃を開始。その胴に、その巨体からすれば小さな足に、大きな傷跡を穿っていく。
 それでも、雷穹龍グローレールは声を上げない。通常の生き物のような痛覚は無いのかもしれない……それでも、その血は赤かった。
(依り代になってしまった人が、元に戻る方法ってないのかな……)
 サツキの脳裏にそんな想いが過ぎり、わずかにその青い瞳が揺らぐ。
 依り代になってしまった男性も、きっと被害者なのだ。ただ、少しやり方を間違えてしまっただけ。
「まだまだ、続けていきますよ!」
 その想いを知ってか知らずか、声を上げ、再びウィザード・ミサイルで今度は穿たれた傷口を狙う空。
「……そうだね。もし元に戻す方法があるとしても。今は、雷穹龍グローレールを止めないと。もう一度!」
 そして決意を新たに。空の攻撃に呼応するかのように、再びサツキも術式を編んでゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アレクシア・アークライト
 非番で休んでいるときに邪神に出くわすだなんて、私は運がいいわね。
 それとも、よくよく運のない女なのかしら。

 雷はちょっと面倒だけど、私のと違って目に見えるから、防ぐタイミングは分かるわね。
 そうそう当たるもんじゃないわ。

・敵の攻撃は予知し、回避又はフォースフィールドで防御 {超感覚的知覚}
・こちらは、複数方向から攻撃 [2回攻撃、念動力、空中戦]{サイコキネシス}
・遠距離戦で埒が明かない場合は、一気に距離を詰めて身体を駆けあがり、頭部を攻撃 [グラップル]{瞬間移動、全力の一撃}

 邪神の依り代になった人を戻す方法はないわ。気の毒だけど、無駄死にになって貰うわよ。



 アレクシア・アークライトは闇の中、その赤い瞳を、赤い髪を、雷穹龍グローレールの纏う雷に照らされて立っていた。
「私は運がいいわ」
 暴風の様に荒れ狂う雷の中、ゆっくりと一歩を踏み出す。
「それとも、よくよく運の無い女なのかしら? 非番の日に、邪神と戦うことになるなんてね」
 アレクシアが歩を進めると、不思議と雷撃は彼女を避けて通りすぎていった。
 ……いや、本当は逆なのだ。微かな動きから雷撃の位置を予測して、ほんの少し位置をずらすことで回避。あるいは、自身の持つ予知の力で安全であろう位置を選んで進んでいる。
 建物が破壊され、地面が焼かれていく中で、アレクシアの周囲の小さな空間だけが静寂を保っていた。
 散歩でもするかのように気楽に、しかし念動力を駆使して驚くべき身軽さで瓦礫を蹴り、雷撃を、その手を、その尾を避けながら、オブリビオンの周囲を高速に巡る。
 一方でアレクシアがその手をグローレールへと向ける度、邪神の体表では衝撃が弾け、身を削っていく。
 アレクシアのユーベルコード【サイコキネシス】だった。不可視の強烈なサイキックエナジーは、確実に雷穹龍グローレールにダメージを蓄積させていく。
 とはいえ、何しろ敵は巨大である。このまま続けていくと、体力が先に尽きるのは自分かもしれない。
 それに敵は、周囲に破壊を撒き散らしつつも次第に村の中心方向へと移動しつつある。このまま長時間戦い続ければ、被害が村の他の場所へと拡大していく恐れもあった。
「……埒が明かないわね。なら、接近戦で一気に方をつけさせてもらうわ」
 アレクシアが方針を変えようとしていたその時、これまで決して声を上げる事の無かった雷穹龍グローレールが咆哮を上げる。
 人の身では理解の出来よう筈も無い、ガラスをひっかくような、金属同士を叩きつけたかのような不協和音だ。

『コ・ロ・シ・テ・ク・レ』

 だが、戦場に居たケルベロス達に実際に届いたのは、不協和音ではなく苦し気にうめくような男の声だった。
 自らの手で村を破壊し、人々を殺してしまうよりは、殺してくれと。
 それは邪神を利用しようとして逆に利用され、依り代となった男の最後の願いだったか。
 アレクシアはその身に纏うフォースフィールドを圧縮し、身体能力をさらに高めると、直線的に巨大な龍との距離を詰める。
 それにより予測能力はやや落ちたようで、雷がいくらかその身に降り注ぐが、圧縮されたフォースフィールドの表面でことごとく弾かれた。
 途中、ちらり、と共に戦っていた猟兵達へと一瞬だけ目を向け、
「気の毒だけど、邪神の依り代になった人を戻す方法はないわ。だから……」
 再びグローレールへと視線を戻す。
「せめて、その願いは私が叶えてあげるわね」
 動きはさらに加速し、仲間達の攻撃で動きが鈍った邪龍の身体を駆け上がった。
 頭部へと到達した頃には、再び雷霆光輪の輝きが収束していたが、アレクシアは意に介さない。
「さようなら」
 その眉間へと、残像を残しつつ高速で拳が叩き込まれる。
 遅れて、ドン、と巨大な破壊音が周囲に響き渡り。
 雷穹龍グローレールの身体は砕け、粉々の破片になって、夜の闇へと溶けていった。

 かくして、猟兵達の活躍により、ある一人の男の願いを中心に動いていた事件はひとまずの終わりを迎え、邪神の完全なる復活は阻止された。
 だが、今回の事件の真の黒幕は別にいる。
 一夜にして破壊されたホームセンターは閉鎖が決まったが、村の再開発計画は継続。
 さらに、地下施設で無力化したはずの秘密結社の構成員達は、いつのまにかその姿を消しており、その行方は杳として知れない。
 であるならば今後、再び事件が起こる可能性は、決して低くはないだろう。
 ――村を覆う闇は、未だ、深い。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト