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アルダワ魔王戦争4-D〜わくわく迷宮大図書館

#アルダワ魔法学園 #戦争 #アルダワ魔王戦争


●わくわく迷宮大図書館
「迷宮大図書館に入れるなんて……! 楽しみです、先生」
 ワクワクとした気持ちを隠せずに、ケットシーの少年がズレた丸眼鏡を上げた。
「そうですね。ですが、目的を見誤ってはいけませんよ。
 迅速に必要な文献を探すのです」
 穏やかに微笑むのは初老の紳士。隣を歩く人間の女学生が、真面目な顔で頷く。
「どうやってサボるかな……(有用な発見があるといいですね)」
「ホノカさん、本音と建前が逆になってますよ」
「おっと」
 いっけなーい、と舌を出して悪びれた様子のない女学生に、初老の紳士とケットシーの少年はやれやれとため息を零すのだった。

●迷宮大図書館へ向かおう
「お疲れさまです。アルダワ学園で、生徒さん達の護衛と研究のお手伝いをお願いしたいのです」
 グリモアベース、いつもの場所。
 太宰・寿(パステルペインター・f18704)は猟兵たちに声をかけた。
「皆さんのご活躍で、大魔王の迷宮の知識を集積した迷宮大図書館に至ることができました。そこで、今回アルダワ学園の先生と生徒さん達が迷宮大図書館の調査を行なうことになりました」
 だから、猟兵たちに彼らと共に迷宮大図書館に向かってほしいのだと寿は話す。

「先生はもちろん、向かう生徒さん達も研究などを得意とするとても優秀な生徒さんだそうです。大変個性的な方々だと、伺っています」

 一人目。教師のクリストフ。人間。薬学に詳しい初老の男性。穏やかで、懐が広く生徒たちの信頼も厚い。

 二人目。男子生徒のカノン。14歳のケットシー。ガジェットに詳しい。目が悪く、大きな丸眼鏡が特徴。物静かだが好奇心旺盛で、没頭すると他に意識が向かなくなる。

 三人目。女子生徒のホノカ。17歳の人間。精霊術を得意とする。不真面目を装っているが、根は真面目で学業においては非常に優秀。美しいものが好き。座右の銘は等価交換。

「先生からの情報によれば、カノンさんはほおっておくと没頭してしまうので適度に声をかけてあげると良いそうです。
 ホノカさんは、日頃飽きるとすぐにサボろうとするそうです。こういった事態ですし今回はそんなことはしないだろうとのことですが、やはり気にかけてあげると良いかもしれません」
 手元のスケッチブックをめくりながら、寿は説明を続ける。
「一般の先生方や生徒さん達は大魔王の迷宮で長時間活動できません。
 ですから、短時間で効率的に調査する必要があります。
 でも、根を詰めてばかりでは捗るものも捗りません。
 だから、息抜きもお手伝いのうちになるかもしれませんね」
 そう話しながら、寿はぱたん、とスケッチブックを閉じる。

「今回の調査で、魔王の迷宮の攻略に関わる重要な情報が得られるかもしれません。
 どうか皆さんのお力添え、よろしくお願いします」
 猟兵たちの顔を一度見て、寿は迷宮大図書館への道を開くのだった。


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 図書館が好きです。
 今回もゆるめの空気でお送りできればいいなと思います。

 ※こちらは、一章で完結する『アルダワ魔王戦争』のシナリオです。
  青丸を獲得されたら、ダンジョンアタック! ですよ!

●プレイングボーナス
 教師や生徒を気遣かう。
 ※関わりたい生徒や先生がいれば、プレイングでご指定ください。

●プレイング受付について
 OP公開から受け付けいたします。
 採用は先着順ではありません。送信可能な間は人数を気にせずお送りください。
 今回は、なるべく多くの方を採用できればと考えています。
 ※3名様以上のグループは、採用が厳しいです。力不足、申し訳ありません。

 それでは、よろしくお願いいたします!
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第1章 冒険 『迷宮大図書館の大探索』

POW   :    教職員や生徒を護衛したり、重い本を運んだりして手伝う

SPD   :    広大な図書館をかけめぐって、必要そうな資料を集めるのを手伝う

WIZ   :    専門家では無い視点からの意見を出すなどして、教職員や生徒の調査に協力する

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ヴィクトリカ・ライブラリア
【WIZ】
飽きっぽいということは気分を切り替えて多くの資料から広く浅く知識を得られるということ……
こういう調査の時、ホノカさんのそれは得難い資質よね。
というわけで小刻みに休憩を挟んで意識をリセットしながら調査していきましょう。
座右の銘が等価交換らしいわね。あなたの頑張りに等価かはわからないけれど、アポカリプスヘルでは貴重な甘いお菓子を分けてあげましょう。
お茶でもしながら気持ちを切り替えて、それからまた資料漁りよ。
ていうかアレね。もうわたしが全部読みたいまであるわ。
ホノカさん寝る? わたしが読んどくからこれ。終わったら呼ぶわね。
調査結果のレポート、クリストフ先生に渡しといて頂戴。




 天井に届く高さの本棚が整然と立ち並ぶ。ぎっちりと棚に詰め込まれた蔵書の数々。
 本は知識を与えてくれる。知識は、生き抜くために必要なもの。
 それを差し引いても、ヴィクトリカ・ライブラリア(二等司書・f24575)は図書館が好きだ。マスク越しでも伝わる図書館の空気感に、仕事中だと分かっていながらも僅かに心が弾んでしまう。だって、こんなにたくさんの本がある。
 そんな気持ちに喝を入れて、ヴィクトリカは生徒の一人へと視線を向ける。本棚の前、一冊の本をぱらぱらと捲っているのは女子生徒のホノカだ。
 さらりと目を通し終えると早々に閉じて本棚に戻す。彼女から零れるのは小さなため息だ。

「ホノカさん、お茶でもしない?」
 ヴィクトリカの声に、はっと顔を上げるホノカ。
「座右の銘が等価交換らしいわね。あなたの頑張りに等価かはわからないけれど」
 そう言ってヴィクトリカが取り出したのは、チョコレートのかけられたマシュマロ。アポカリプスヘルでは貴重な甘いお菓子だ。
 ホノカは少しだけ戸惑いがちに、ありがとうと応えてヴィクトリカに差し出されたマシュマロを受け取った。
「これだけ多いと疲れてしまうわね」
「うん。今日くらいはちゃんと頑張らないといけないんだけど」
 貰ったマシュマロををぱくりと頬張りながら、僅かに唇を尖らせているホノカ。
「飽きてしまった?」
 ヴィクトリカの問いに、こくりと頷く。
「同じ分類の本ばかりなんだもの」
 正直な気質の少女だった。

「飽きっぽいということは気分を切り替えて多くの資料から広く浅く知識を得られるということ……。こういう調査の時、ホノカさんのそれは得難い資質よね」
 ヴィクトリカの言葉に、ホノカの目がぱちぱちと瞬く。
「だから、休憩を挟んで気持ちを切り替えて。それからまた資料漁りよ」
「……すごいなぁ」
 ぽろりと零れた言葉には、ヴィクトリカへの尊敬の色が見え隠れしている。それは、ヴィクトリカが猟兵だからというだけではないようだ。
 飽きたと言えば、いつだって散漫だと叱られるばかりだったのかもしれない。どこか嬉しそうに目元を緩めているホノカに、ヴィクトリカもマスクに隠れた口元に小さく笑みを浮かべた。

「ていうかアレね。もうわたしが全部読みたいまであるわ」
「えっ、全部?」
 話題を変えるように本棚を見上げてそんなことを言うヴィクトリカに、ホノカが素頓狂な声を出す。
「ホノカさん寝る? わたしが読んどくからこれ。終わったら呼ぶわね。調査結果のレポート、クリストフ先生に渡しといて頂戴」
 一息に言い切って側に詰まれた用紙の束を指差すヴィクトリカとレポートの間を、ホノカの視線は忙しなく行き来する。
「えぇっ!? わ、分かった。とりあえず先生に渡してくる。でも、戻ったらちゃんと探すよ。“等価交換”だからね」
 レポートを手にクリストフの元へと小走りで向かうホノカを見送って、ヴィクトリカは目の前の本へと手を伸ばすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

勘解由小路・津雲
図書館か、個人的にも興味はあるな。アルダワの魔術体系そのものは専門ではないが、手伝うぐらいのことは出来るだろう。

【行動】
まずは護衛として、ひとりひとりに道具【式神】をつけて、周囲の警戒にあたらせよう。【式神】は強くないが、何かあった際に逃げる時間くらいは作ってくれるだろう。

それから手伝いは……教員より生徒の方を気にかけた方がよさそうだな。カノンとホノカの二人に適宜「今は何の調査を?」「進展はあったかい?」など、声をかけるとしよう。他人に説明することで、自身の頭の整理にもなるだろうから。

あとは、いくつか迷宮を踏破しているので、実地の質問にはある程度応えられるのではないかな。


トリテレイア・ゼロナイン
この蔵書数、古代アルダワ英雄や騎士に纏わる記述を回収できれば新しき御伽噺となるやも…

いけませんね、護衛に集中しなければ

この蔵書、一定の図書分類法に基づかなければ不自然
UCで●情報収集
書棚にどの分野の本が納められているか簡単な地図を作成
学園の方々の調査の一助となるでしょう

UC調査終了まで●怪力の運搬や体躯を活かした高所作業への補助
特に年齢を鑑みてクリストフ様の負担は肩代わりしたいものです

椅子代わりだと思って存分にお使いください

UCを通じ学生の皆様の様子を伺い困っているようであればクリストフ様に伝えて助け船を出す切っ掛け作りも

こうした場面でこそ先達として頼れるお姿を若人は見たいもの
勿論、私もです




 迷宮大図書館。中央から階段が放射線状に延び各層に本棚が立ち並ぶその様は、ウォーマシンとして巨体を有するトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)ですら、小さく感じてしまうほどの規模だ。護衛に集中しなければと思いながらも、見渡す限りの蔵書は圧巻で。
「この蔵書数、古代アルダワ英雄や騎士に纏わる記述を回収できれば新しき御伽噺となるやも……」
 いけませんね、と首を左右に振るトリテレイア。
「見事な蔵書の量ですからね。図書館は馴染みが薄いですが、此処ほど広いところはそうそうないでしょう。興味深い」
 共に本棚へと視線を向ける勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)も、感心したように頷いている。アルダワの魔術体系そのものは専門でないものの、津雲は陰陽師である。手伝うくらいのことは出来るだろう、と馳せ参じたのだ。
「そうですね、時間があればゆっくり見てみたいものです。
 それにしても、この蔵書。一定の図書分類法に基づかなければ不自然ですね」
 調べてみましょう、そう言ってトリテレイアは妖精型偵察ロボを呼び出す。
「書棚にどの分野の本が納められているか簡単な地図を作成しましょう。調べて来てください」
 妖精型偵察ロボたちは、トリテレイアの指示に従って方々に散っていく。

 トリテレイアが妖精型偵察ロボを放つ側で、津雲は周囲に視線を向ける。
「今のところ、敵の姿は見えないが……」
 津雲が狩衣の裾から取り出すのは、鳥のような形をした紙――式神だ。津雲が念を込めると、それらはひらりと宙を舞い生徒や教師の元へと飛んでいく。
「(式神は強くないが、何かあった際に逃げる時間くらいは作ってくれるだろう)」
 生徒たちの意識の妨げにならないよう、視界に入ることを避けながら式神は周囲を警戒
する。

 妖精型偵察ロボに調査を指示したトリテレイアは、次にクリストフへと視線を向けた。クリストフは、三段程度の足場を利用しながらなんとか高所の本を手にしているようだった。
「クリストフ様、私が代わりにお取りしましょう」
「おや……よろしいのですか。猟兵の方々に、そのような雑事をお願いしては」
 気兼ねするクリストフに、トリテレイアは静かに首を振る。
「力仕事には自信があります。椅子代わりだと思って存分にお使いください」
 胸に手を当てそう告げるトリテレイアに、助かります、とクリストフは告げるとトリテレイアへと場を譲った。
「適材適所と申します。さ、どれをお取りしましょう」
 時折、妖精型停辣ロボとリンクして生徒たちの様子も窺いながらトリテレイアは次々と蔵書を棚から降ろしていく。
「ありがとうございます。では、私は調べ事に注力させて頂くとしましょう」
「こうした場面でこそ先達として頼れるお姿を若人は見たいもの。勿論、私もです」
「おや。では、頑張らないといけませんね」
 穏やかに笑い、クリストフは文献へと目を落とす。次々と降ろされる本の速さに負けず劣らず、クリストフが本に目を通すスピードも速い。そして時折、生徒たちへと視線を向けて。
「猟兵の皆さんに協力頂けるから、我々にも出来ることが出来るのだと思います。
 よろしければ、今度私の研究室へいらしてください。古代アルダワ英雄や騎士に纏わる本をいくつかお見せしましょう」
「……こうしてお手伝いをさせて頂いていると、クリストフ様が生徒の方々に慕われる理由が分かる気がします」
 クリストフの言葉に驚きながら、トリテレイアは言葉を紡ぐ。
 そんな二人のやりとりを見守り、津雲は
「手伝いは……教員より生徒の方を気にかけた方がよさそうだな」
 そう判断して、生徒たちへと目を向けた。

 丁度二人揃って一冊の本を開いているようだった。
「今は何の調査を?」
 ホノカとカノンの二人が同時に顔を上げた。
「調査、というか経過報告をしてました。一先ず学園の歴史はざっくり目を通せたと思います」
「ふむ。進展はあったかい?」
 ホノカの答えに頷いて、カノンへも尋ねてみる。
「いえ、大きな進展は……でも、猟兵さんたちのおかげでここからそこまで、めぼしい本はチェックできました」
「それはよかった」
 無邪気に笑うカノンに津雲も優しく頷く。
「文献の内容も参考になるんですけど、実際どうだったのか分かるともっといいのになって」
「そうですよね。迷宮は刻一刻と姿を変えているわけですし、本に載っている情報が古くなっている可能性もあると思うんです!」
 津雲から問いかけられたことで、それぞれが考えを整理するように津雲に告げる。カノンに関しては、今の迷宮の様子に対しても好奇心を隠せていない様子だ。
「ふむ。それならば、いくつか迷宮を踏破している。実地の質問にはある程度応えられるのではないかな」
「本当ですか? うわぁ……是非聞きたいです!」
「私も興味あります」
「では、文献を探しながら話すとしよう」
 次の棚へと二人を促しながら、津雲はこれまでに踏破した迷宮の様子を話して聞かせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

徒梅木・とわ
ケットシーの子、カノン
くふふ、眼鏡がお揃いだ
とわも没頭したらとことんだし、彼とは気がそうだねえ

キミキミ、何の本を読んでいるんだい?
なんて声を掛けようか
その後はお互いの好む本とか、分野とか、情報交換してみよう
とわの方はここずっと機械工学の本ばかり読んでいるよ
友達の所で機械を修理する仕事を手伝っていてね?
だから構造だとか原理についてだとか、そういう本さ

話している間、霊符で呼んだ分身にこっそり周りを整えさせよう
いいかいお前たち、不要だろう本は返して、話の内容や彼の印象から好みそうな本を探し、彼の手の届くところへ置いておいてやりたまえ
息抜きとはいえ手を止めさせるんだ、終ったあとは効率的に進めないとね?




 膨大な図書は、徒梅木・とわ(流るるは梅蕾・f00573)の知識欲を存分に刺激する。戦争の最中でなければ、何日だって入り浸っていられそうだ。
 そんなとわの視線は、図書ではなくひとりの少年の姿を捉えていた。ずるりと落ちる眼鏡も気に掛けず。床に座り込み黙々と本を捲るケットシーの少年の姿を見て、とわはくふふ、と笑い声を零す。
「とわも没頭したらとことんだし、彼とは気が合いそうだねえ」
 眼鏡もお揃いだ、なんて楽しげに笑ってとわはケットシーのカノンへと声をかける。

「キミキミ、何の本を読んでいるんだい?」
 ずるりと落ちる眼鏡はそのまま。くるくるの瞳をとわへと向けるカノン。
「あ、えっと、今は学園の歴史の本を読んでました」
「面白いかい?」
「っ……はい! 学園の図書館では見なかった文献もありました!」
 ぱっと瞳を輝かせるカノンに、狩衣の裾で口元を隠しころころと笑うとわ。
「知らない事を知るのは楽しいものだ。とわの方はここずっと機械工学の本ばかり読んでいるよ」
「機械、好きなんですか?」
「くふふ、中々興味深いと思っているよ。丁度、友達の所で機械を修理する仕事を手伝っていてね? だから構造だとか原理についてだとか、そういう本さ」
 ガジェットに詳しいカノン。機械という単語に、興味津々の様子だ。
「君はガジェットに詳しいんだったね。作ったりもするのかい?」
 カノンが興味を惹きそうな話題を振りながら、とわは密やかに霊符を放つ。現れたのは、五十に及ぶ幼いとわの分身。彼女たちは、よいしょよいしょとカノンが読み終わった本、彼が興味を持ちそうだが目ぼしい情報がなさそうな本を本棚へと仕舞っていく。
 そして、カノンが好みそうなジャンルの本をいくつか見繕っては、カノンの傍へと積んでいった。

「(息抜きとはいえ手を止めさせるんだ、終ったあとは効率的に進めないとね?)」
 夢中で話を続けるカノンに相槌を打ちながら、とわは楽しげな笑みを浮かべる。
「僕、徒梅木さんのお話も聞きたいです!」
「いいよ。じゃあ、まずはここでの調査を片付けてしまおう。ほら、こんな本はどうだろう?」
 とわが差し出すのは、幼い自分の分身に見繕わせた蒸気機械の歴史に関する本だ。表紙を見て、カノンは再び表情を輝かせた。
「くふふ、とわも手伝うから一緒に調べよう」
「はい!」
 楽しそうなカノンにとわもつられて笑みを浮かべる。
 周囲に声をかけられるまで、気付けば二人作業に没頭するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴木・志乃
※UC発動第三人格『ナナシ』で行動



【情報収集、学習力、見切り】
僕にもお手伝いさせてもらえるかな
まだこの世界のことは良く知らないが、調べものは少しだけ得意でね
どういった資料を探せば良いのか伺っても?

カノン君が気になるな
目が悪いこと自体を治してあげたいが、ちょっと難しいね
ほら、ホットアイマスク(蒸気機械)あと目薬
疲れ目で作業するのは良くないだろう?

あまり根を詰めてはいけないよ
視野が狭くなるし、思ったより体は疲れているものだ
うん、少し体操でもしようか
さ、立って
出来れば外の新鮮な空気も欲しいな
【高速詠唱】で用意できないか……

何か関連のある資料は見つかったかな
と問い没頭先がズレていたら修正しようか


春日・ひなの
ケットシーという種族にあまり馴染みがないからな
ここはカノンさんの手伝いに回ろうと思う

はじめまして、カノンさん
研究はそちらのほうが詳しそうだから私は補助に回ろう
必要なものがあれば探してくるから言ってくれ

基本的には言われた本を探したり
高いところの書物を取ってあげたり
カノンさんが夢中になってしまったら
肩をそれとなく叩いたりしよう

本は私も好きだから、図書館というところは居心地がいいな
カノンさんはいつもどんな本を読んでいるんだろうか
そんなことも集中しすぎたら話しかけて

よい本が見つかるとよいな
カノンさん、息をするのは忘れないようにしてくれ

絡み、アドリブ歓迎です




「はじめまして、カノンさん」
「僕たちにもお手伝いさせてもらえるかな」
 本棚と本棚の間。通路に積み上げられた本の隙間で黙々と資料を漁るケットシーのカノンに声をかけたのは、春日・ひなの(花散らし・f10274)と鈴木・志乃(オレンジ・f12101)だ。
「いいんですか?」
 本の隙間から覗き込む形の二人を、丸眼鏡の向こうの真ん丸な瞳が見上げてくる。
「もちろん。研究はそちらのほうが詳しそうだから私は補助に回ろう」
 ひなのの言葉に、嬉しそうにカノンの尻尾がゆらんと揺れる。
 ケットシーという種族にあまり馴染みがないひなの。つい視線で尻尾を追ってしまい、カノンが首を傾げながらその視線を追う。思わずこほんと咳払い。

「必要なものがあれば探してくるから言ってくれ」
「僕もまだこの世界のことは良く知らないが、調べものは少しだけ得意でね。どういった資料を探せば良いのか伺っても?」
 二人の言葉に、心強いですとカノンは笑って床の上の資料をごそごそとひっくり返す。引っ張り出してきたのは、蔵書のリストだ。
「場所がバラバラなんですけど……」
「構わないよ」
「私たちで手分けすればすぐだ」
 リストを受け取り、二人手早く蔵書を集める。高い位置にある本も多く、二人の身長でも踏み台を要した。カノン一人では大変だったことだろう。

 リストにあった本を抱えて戻ると、本に顔を近づけて黙々と読むカノンの姿があった。
「お待たせ。これであってるかな?」
 ひなのは、驚かさないように優しく声をかけながら肩をぽんと叩く。ぱっと顔を上げたカノンが、ひなのから本を受け取り嬉しそうに頷いた。
「(目が悪いこと自体を治してあげたいが、ちょっと難しいね)」
 大概の事をこなせる猟兵でも、出来ないことはある。だけど、少しでも疲れをとる事なら出来るだろう。志乃――『ナナシ』は、自身のショルダーバッグから蒸気機械で出来たホットアイマスクを取り出すと、カノンへと差し出した。
「ほら、ホットアイマスク。あと目薬。疲れ目で作業するのは良くないだろう?」
「そうだな。カノンさん、少し休憩しよう」
「でも、時間が……」
 ホットアイマスクを受け取りながら、ほわりと嬉しそうにしながらもそわそわと時間を気にするカノンに、志乃がそっと手を差し出す。
「あまり根を詰めてはいけないよ。視野が狭くなるし、思ったより体は疲れているものだ」
「カノンさん、息をするのは忘れないようにしてくれ」
 気遣うひなのの言葉。少し体操でもしようか、と志乃が継いでカノンをその場に立たせる。
「出来れば外の新鮮な空気も欲しいな」
 深い迷宮の中、取り込むのは難しいけれど優しい風を起こすくらいなら出来るかもしれない。志乃が静かに詠唱するとふわりと心地よい風が吹いて、そよそよとカノンのひげを揺らした。
 三人で軽く身体を動かして。それからまた文献へと目を通していく。

「本は私も好きだから、図書館というところは居心地がいいな」
「僕も図書館大好きです」
「カノンさんはいつもどんな本を読んでいるんだろうか」
「僕はガジェットが好きなので、それらに関連する本を読むことが多いです。でも、物語も好きです」
「そうか、じゃあ今度おすすめの物語を教えてもらえたら嬉しいな」
 ひなのが時折声をかけると、カノンは楽しそうに応じてくる。
 そうやってカノンの息抜きを手伝いながらひなのも頼まれた記述を探していく。

「何か関連のある資料は見つかったかな」
「ううん……中々。つい他にも目が行ってしまって」
 志乃の言葉に、ひげがへにゃりと下がるカノン。
「じゃあ、一旦その本はおいて、別の本を見てみようか」
「そうします」
「この辺りはどうだろう?」
 いくつかの山から、ひなのが本を見繕う。よい本が見つかるとよいな、というひなのの言葉にカノンは頷いて次の本へと手を伸ばすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月宮・ユイ
”大”図書館で制限時間付とはなかなか厳しいですね

気持ち良く作業出来る様サポート<奉仕>予定
手伝いを申し出《人形劇団》起動
本を扱う事もあり[アバター]基に人そのものの姿で人形召喚
人形達に探索任せ<早業・情報収集>
各人形の視界や得た情報を<光属性>電脳魔術で空中投影
探索や回収の指示貰い本のリスト作り
<念動力、怪力、知識:罠使い、破魔>
人型故に本の運搬から万一の戦闘・罠への対処も可能
数を頼りとした効率的作業に本の回収、安全確保を両立させる

後は必要なら
[倉庫]内物資と[メル]変化させ椅子等用意
<料理>甘い物と飲み物で一息つける様にしておきましょうか

アドリブ絡み◎
呪<呪詛>操る誘惑呪詛器に宿すヤドリガミ


カーバンクル・スカルン
時間制限があるのは普通の図書室と一緒だね。でもオーバーした時に何が起こるか分からない以上、タイムキーパーは必須だね。ぶっ倒れて気絶する程度ならまだいいけど。

そんな状況、高い位置にある本を背伸びして取る時間すら惜しい。というわけで【人身供儀】で本の近くにフックを投擲して引っ掛けたら、ロープワークの要領で私が近くによる。直接フックぶつけたら破れるかもしれないから慎重に。

で、確保したら下で待機してもらってるワニに投げて調査員の面々にデリバリーしてもらいましょう。普段はオブリビオンを噛みまくってるワニですが、今回のためにちゃんと本が傷つかないように改造はしてあるので安心安全です!




「“大”図書館で制限時間付とはなかなか厳しいですね」
 見渡す限り整然と広がる本棚。一体どれほどの蔵書が収められているのか。月宮・ユイ(月城紫音・f02933)は、冷静な声で呟きながら人形劇団(パペット・フォース)を起動する。現れるのは、人そのものの姿をした人形だ。本を扱うなら、繊細な動きが出来た方がよい。それがユイの判断だった。

「時間制限があるのは普通の図書室と一緒だね。でもオーバーした時に何が起こるか分からない以上、タイムキーパーは必須だね」
 ぶっ倒れて気絶する程度ならまだいいけど、と付け足しながらカーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)は人身供儀(クレーン・オブ・クロコダイル)を発動。
「そんな状況、高い位置にある本を背伸びして取る時間すら惜しい。効率よくいこうじゃない」
 言葉通り、高所にある本の近くにフックを投擲するカーバンクル。慎重に放たれたフックは、狙い通りの位置を捉え本棚の隅に引っ掛けることに成功した。後は、ロープワークの要領だ。
 とん、と軽やかに地面を蹴ってカーバンクルが本のもとへと飛び上がる。
 ならばとユイの人形たちは、その身長でカバーできる範囲を手早くチェックしはじめる。その状況をユイが電脳魔術を用いて空中に投影、人形たちの得た情報が次々とユイの視界にアップデートされていく。

「クリストフ先生、よろしいですか」
 近くで書物に目を通すクリストフに、ユイは投影したリストを見せる。
「必要な本がこの中にありますか?」
 いくつかのウィンドウが開く画面を、クリストフの視線が追う。
「では……」
 映し出されるリストの中から、いくつかのタイトルをクリストフがピックアップする。
「すぐに人形たちに収集させます」
 そしてふとクリストフに椅子がないことに気づいたユイ。ミラースライム『メルクリウス』――通称メルを椅子へと擬態させると、クリストフに差し出した。
「よろしければ使ってください」
「ありがとうございます。あぁ、高さも丁度いい」
 淡々とした様子で差し出される椅子に、穏やかに笑いクリストフは腰かけた。

 ユイから受け取ったリストをもとに、カーバンクルも高所にある蔵書を次々に探し出していく。
「あった、これだね。おーい、いくよー」
 足元で待機している機械仕掛けのワニの頭が了解と合図するようにクルクル回って、それからがぱっと口を開く。そこ目掛けて、カーバンクルはそっと本を投げ下ろす。衝撃を吸収するように改造された柔らかな舌がぽふっと本を優しくキャッチした。
「うんうん。改造もバッチリね」
 カーバンクルが満足気に頷く。カーバンクルは、今回のために本と接触するワニの口の中をばっちり改造しておいたのだ。貴重な蔵書をワニはお口の中に大切にしまって、クリストフや生徒のカノン、ホノカたちへと運んでいく。
 ユイの人形たちもまた、数を活かして効率よく本の回収をしながら周囲の警戒を続けていた。

「あなたも少し休憩しませんか」
 クリストフにホットコーヒーとキャラメルを用意しながら、ユイはカーバンクルへと声をかける。ふわっと鼻孔をくすぐる匂いに、
「わ、美味しそうね。いただきます!」
 カーバンクルもひょいと本棚を飛び降りて一息つくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

西条・霧華
「私は私にできる事を…。」

図書館と聞いて改めて施設を見てみると、ここは本当に学校なんだなって感じますね
私もここに通わせて頂いていますけれど、戦技戦術に偏っていますからね
元々住んでいた世界との学問体系の違いもありますけれど、研究分野は専門家には叶いませんね

ただ、こんな私だからこそ、できるお手伝いもある筈です
例えば息抜きとか

お疲れ様です
少し休憩しませんか?
疲れると見落しも出ますし、気分が変わる事で新しい発見があるかもしれません

はい、ココアをどうぞ
魔法瓶に入っていますから暖かいですよ

…私も勉強の合間に、亡き両親からよくココアを淹れて貰いました
だから今度は私が、頑張るあなたにココアを淹れたいと思います


ヘスティア・イクテュス
迷宮大図書館、本当興味深いわね…
戦争が終わったら色々情報収集したいところね…


調査の協力
わたしはホノカのお手伝いをさせてもらおうかしら?
探し物や運搬はプチヘス達に手伝わせて
見た目はアレだけど、まぁ数がいるから便利よ…えぇ…

後は飽きる前に声をかけたりして気分転換ってね?
精霊術は少々興味があるし…その辺りでも

あぁ、気分転換に少し紅茶と手作りのマフィン【料理】いる?
疲れた時は糖分補給ってね?他の猟兵の皆もどうかしら?




「迷宮大図書館、本当興味深いわね……」
 整然と収められた書物は、どれも長い時を経ている事を感じさせる。保存状態も書物によっては、よくないものもありそうだった。慎重に背表紙を指でなぞり、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は周囲の棚にも目を向ける。
「図書館と聞いて改めて施設を見てみると、ここは本当に学校なんだなって感じますね」

「戦争が終わったら色々情報収集したいところね……」
 感心したように零す西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)の言葉に、頷きながらヘスティアは目に留まった一冊を手に取り、ぱらぱらと捲る。
「私も目を通してみたいです。参考になる戦術が見つかるかもしれませんし」
 霧華はアルダワ学園に通う転校生のひとり。だが、学ぶのは専ら戦技戦術。他の知識を得る上でもこの蔵書は有用かもしれないけれど、やはり先に浮かぶのは戦技の方だったようだ。
 霧華の言葉にヘスティアもそうね、と同意する。二人何冊か見繕い、一人の女生徒の元へと向かう。

「ホノカ、本はこれであっているかしら?」
 テーブルの上に何冊もの文献を広げ、カリカリとペンを走らせるホノカにヘスティアは静かに声をかけた。ふと視線を上げて、ヘスティアたちの手元を見るホノカ。こくりと頷く。
「ありがとう」
「残りの本は、プチヘスが探して来るからもう少し待ってて頂戴」
「プチヘス?」
「うん、まぁ……あれよ、このくらいのわたしの形をしたロボットよ……」
 首を傾げるホノカに、両手でサイズを表しながら複雑そうな表情のヘスティア。
「見た目はアレだけど、まぁ数がいるから便利よ……えぇ……」
「それにしても、元々住んでいた世界との学問体系の違いもありますけれど、研究分野は専門家には適いませんね」
 ヘスティアの表情を見て、霧華が話題を変えた。テーブルに広がる文献を覗き込み、眉を下げて笑う。
「そっか。転校生の人達は、いろんな世界の人がいるから」
 そう答えながら思わずあくびが零れるホノカ。

「お疲れ様です。少し休憩しませんか?」
「そうね。気分転換に少し紅茶と手作りのマフィンいる? 疲れた時は糖分補給ってね?」
「わ、いいの? 転校生さんたちって優しいね」
 他の猟兵たちからも、たくさんフォローされているからだろう。どこかホノカの様子は穏やかだ。
「あなたもどう?」
「ありがとうございます。では、私からは……はい、ココアをどうぞ。魔法瓶に入っていますから暖かいですよ」
 ヘスティアから差し出されるマフィンを受け取り、霧華はココアをカップに注ぐ。マフィンとココアの優しく甘い香りが、三人の回りを優しく満たす。
「疲れると見落しも出ますし、気分が変わる事で新しい発見があるかもしれません」
「わぁ、いい香り。二人ともありがとう」
 ふふ、と笑ってホノカはマフィンとココアに口をつける。
「……私も勉強の合間に、亡き両親からよくココアを淹れて貰いました」
 だから今度は私が、頑張るあなたにココアを淹れたい。そんな霧華の言葉に、ホノカは少しだけ目を見開いて、
「そっか。きっとこのココアみたいに優しい味だったんだろうね。私も続き頑張れそう」
 ありがとう、と再び礼を口にした。

「それじゃ、続きを頑張るためにも気分転換にお喋りしましょ。わたしは精霊術は少々興味があるし……その辺りの話が聞けたら嬉しいわ」
 カップを両手で包み、ヘスティアがホノカに告げる。
「精霊術はいいよ、なんたって奥が深い。他の魔術体系も奥は深いんだけどね?」
 ココアとマフィンがなくなるまでのひとときと決めて。ヘスティアの好意を受け取る様に、ホノカは語り始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

氷雫森・レイン
【栗花落】
以前精霊と契約する為学園の図書館に来た時も驚いたけれど…
「こんなの、私にとっては国レベルじゃない」
まぁ個人の感想はさておき
「レインよ。今日一日、お手伝い妖精とでも思っておいて頂戴」
ケットシーの彼と、同じく補助担当の猟兵さんにはご挨拶
可愛らしいメイドさんも居るのねなんて微笑ましく見つつ
「ラル、いらっしゃい」
鳥型精霊のラルと一緒に必要そうな文献は運んできてあげるわ
念動力があればこの矮躯でもお手伝いくらい出来てよ
…って、
「ちょっと、聞いてるの?」
のめり込んだカノンの耳や髭を引っ張って引き戻すわ
乱暴?私自身の力で怪我なんてしないでしょ
「…あら、美味しそうね」
私は果物が大好物なの、有難く頂くわ


梅小路・尚姫
【栗花落】
「メイドの尚姫と申します。どうぞお見知り置きを」
妖精さんとご一緒にカノンさんの付き添いを致します。
ガジェットの話題などふりつつ意識をこちらに向けさせ、滞りなく調査が進むよう取り計らいますわ。
それでもカノンさんが何かに没頭してしまった時は妖精さんにお任せして、私は少し休憩がとれるよう準備を。
ピクニック用バスケットを開いて、カノンさんや妖精さんでも食べやすいサイズのサンドイッチや串に刺したベリーやチーズなどの軽食と紅茶をすすめます。
長居はできないといっても、少しは休憩を挟んだ方が能率も上がりましてよ?
そうそう、重いものをとったり避けたりはお任せ下さい。何しろこの中で一番大きいので。




「レインよ。今日一日、お手伝い妖精とでも思っておいて頂戴」
 背の翅を揺らし、氷雫森・レイン(雨垂れ雫の氷王冠・f10073)は目の前のカノンと梅小路・尚姫(メイドさんは見た!!・f22690)へと告げる。
「はじめまして。私はメイドの尚姫と申します。どうぞお見知り置きを」
 スカートの裾を摘まみ一礼する尚姫。そんな尚姫にレインは、
「(可愛らしいメイドさんも居るのね)」
 と微笑む。そんな二人を交互に見上げて、
「よろしくお願いします。猟兵さんたちにお力添え頂けて、とても心強いです」
 カノンもまた二人にお辞儀する。それからすぐに書物へと向き直った。

 それにしても、とレインは周囲を見渡す。
「以前精霊と契約する為、学園の図書館に来た時も驚いたけれど……」
 レインはフェアリーだ。人のサイズから見ても、途方もなく広く感じるこの大図書館。
「こんなの、私にとっては国レベルじゃない」
 あまりの規模に思わずため息が零れる。
「本当に。このような規模の図書館、世界でもそうそうないことでしょう」
 尚姫もまた感心したように立ち並ぶ本棚を見つめていた。
「私、本を読むことが好きなのです。有事でなければ、入り浸ってしまいようでございます」
 アルダワ学園ならでは冒険小説などあったりしないでしょうか、なんて。くすりと笑みを零す尚姫。

「そうそう、重いものをとったり避けたりはお任せ下さい。何しろこの中で一番大きいので」
「ありがとう。だけど、私も本を運ぶくらいはできるわよ」
 大人びた笑みを尚姫に向けて、レインは中空へと声をかける。
「ラル、いらっしゃい」
 その言葉に応えるように、淡い青緑の光を放ちながら鳥の姿をした小柄な精霊が現れた。
「精霊でございますね。これは頼もしゅうございます」
「念動力があれば、この矮躯でもお手伝いくらい出来てよ」
 褒められて吝かでもない様子でレインが笑う。そのままラルの背にふわりと乗って、レインはカノンに声をかける。
「ラルと一緒に必要そうな文献は運んできてあげるわ」
 振り向いた先のカノンは、カリカリカリカリひたすらにペンを走らせている。
「……って、ちょっと。聞いてるの?」
 ひらっとカノンの側に飛んでいき、ぐいーっとひげを引っ張るレイン。
「あうっ!! 痛いです、乱暴ですっ」
「乱暴? 私自身の力で怪我なんてしないでしょ」
「でも痛いです……」
 あうあう、とひげを引っ張られたままのカノン。早くも没頭してしまっているカノンの様子を見て、尚姫が取り出したのはピクニック用のバスケットだ。
「長居はできないといっても、少しは休憩を挟んだ方が能率も上がりましてよ?」
 丁寧にバスケットの蓋をあける尚姫。中に納まっているのは、小さく切られたサンドイッチ。それに串に刺したベリーやチーズの軽食だ。どちらもカノンやレインが食べやすいサイズで用意されていて、尚姫の心配りが見てとれる品々だった。

「……あら、美味しそうね」
 目を奪われるレインの手が、カノンのひげを解放する。同時にくぅ、とお腹の鳴る音がして、カノンが恥ずかしそうに頬を抑えていた。
「どうぞお召し上がりください。味付けには自信がございます」
 紙ナプキンと共にカノンへとサンドイッチを差し出す。恥ずかしそうにいただきます、とサンドイッチを口にしたカノンの瞳がぱっと輝く。
「おいしいです!」
「私は果物が大好物なの、有難く頂くわ」
「どうぞお召し上がりくださいませ」
 洗練された所作で紅茶をカップへと注ぎながら、尚姫は微笑む。
「よろしければ、ガジェットのお話などお聞かせ頂けませんか?」
 息抜きには研究以外の話もいいと思うのです。カップを差し出しながら、そう告げる尚姫にカノンは嬉しそうにサンドイッチをもうひと口頬張る。ずり落ちた丸眼鏡を上げると、最近お気に入りのガジェットの話を始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雅楽代・真珠
【星鯨】
ケビと猫を気にかけてあげる
名前は…カノンと言ったか
響きが好い名だ
僕は真珠
異なる世界の宝だよ

効率的に進める為に
まず欲している本を尋ねよう
何か運んで欲しいとかあれば如月に言って
『主命』を与えておくからね
僕は如月の腕から降りて
ふわふわ浮かんで図書館を見て回って本探し
書物は好きだからこういった場所は楽しい
カノンが没頭しすぎないように
けれど邪魔をしない程度に声も掛けるよ
きっとそういう気遣いはケビの方が得意な筈

面白そうな本を見つけたらカノンに見せよう
この本は何?
役立てられそう?
ふぅん、そう

ケビもカノンも小さいから
高い本は如月に頼んでいいよ
そうだよ、僕の如月はすごいんだ
如月の手柄は僕の手柄
主だからね


ケビ・ピオシュ
【星鯨】
やあ、迷宮の知識が詰まっている図書館だなんて本当に楽しみだよ
カノン殿もそうなのだろう?
名を名乗るのが遅れたね
私はケビ
蒸気で動くガジェットでは無いよ、キミと同じ妖精さ
他の世界で図書館を預かっているテレビウムだよ
よろしくね

さあさ
高い場所の物を取るのは大変だろう
よく分かるよ、私もそうだからねえ

きっとキミは優秀だろうから
解らない事は少ないだろうけれど
私も教えられる事もあるかも少しはあるかも知れない
なんたって意外と私は長生きなのでね
知識も少しあるのさ

彼の代わりに
背中に収納された大きな掌
片手で手を付き、逆の掌に乗って高い所の物を
取…
取れない

如月殿、頼むよ
助かるねえ
真珠殿の絡繰は本当に頼もしい限りだ




「お前、名前は……カノンと言ったか。響きが好い名だ」
 ケットシーの少年に、遙か頭上から声をかけるのは雅楽代・真珠(水中花・f12752)だ。端正な顔立ちの人形――如月に抱えられた真珠は、凛と澄ました薄紅の瞳を細めカノンを見遣る。
「僕は真珠。異なる世界の宝だよ」
 着物の袖を口元にやり、ゆるりと笑みを浮かべる。その美しさに見惚れるように、ぽかりと口を開くカノンの耳にもうひとつの声が届く。
「やあ、迷宮の知識が詰まっている図書館だなんて本当に楽しみだよ」
 その声は、カノンの耳より更に低い位置から聞こえてくる。声の主はケビ・ピオシュ(テレビウムのUDCメカニック・f00041)だ。ケビは、日頃“鯨の所”なんて呼ばれることもある図書館を住処にしている。本には馴染みも深いけれど、きっと白鯨の図書館にはない物語や資料が沢山あるに違いない。そう思うと、落ち着いた声音は僅かばかりか弾む。
「カノン殿もそうなのだろう?」
 楽しげに問いかけるケビに、カノンははっとしてこくりと頷く。
「は、はい。だから、今日はとっても楽しみで……! えぇと」
「おっと、名を名乗るのが遅れたね。私はケビ。蒸気で動くガジェットでは無いよ、キミと同じ妖精さ。他の世界で図書館を預かっているテレビウムだよ」
 よろしくね、と告げると、カノンははい、と笑って頷く。
「同じ妖精だなんて、びっくりしました。世界は広いですね……」
 じっとケビを見つめる視線は、好奇心に満ち満ちていて。このままではケビの研究が始まってしまうと、真珠はカノンへ声をかける。

「ねぇ、カノン。お前の欲しい本は何?」
「……はっ。そうですね、今は……この辺りの本を探しています」
 そう言って差し出されたメモは、きっちりとした文字でタイトルが書かれていた。
「ふぅん……いいよ、特別に僕が探してあげる」
 ふわりと如月の腕から降りると、そのままふわふわと浮かんでみせる真珠。カノンが没頭しすぎないように、けれど邪魔をしない程度に声をかけるつもりでいるけれど。そういうのはきっとケビの方が得意な筈だと。
「何か運んで欲しいものがあれば、如月に言って。『主命』を与えておくからね」
 だから真珠はそう告げて、紙片を手に一度離れる。
 真珠は書物が好きだ。二人の前では澄ました顔を見せていたけれど、本当はちょっぴり図書館を探索してみたかった。この広大な図書館は、きっと思った通り楽しい。

「さあさ。高い場所の物を取るのは大変だろう」
「そうなんです。本棚の真ん中まで手が届けばいい方で……」
「よく分かるよ、私もそうだからねえ。手近な本は、私が取ろう」
 そう言って、ケビはカノンに椅子を勧める。
「きっとキミは優秀だろうから、解らない事は少ないだろうけれど。
 私も教えられる事もあるかも少しはあるかも知れない。
 なんたって意外と私は長生きなのでね。知識も少しあるのさ」
「意外と……おいくつなんですか? って聞いてもいいんでしょうか」
 カノンにはケビが落ち着いた紳士に見えていた。年齢はデリケートな問題だけど、同性ならば聞きやすい。後は、単純に好奇心が勝っているのだろう。おずおず訪ねてくるカノンにケビはふむ、と頷いて優しく応える。
「では、その質問にはひとつ研究を終えてから答えるとしようか」
「……! 頑張りますっ」
 答えが貰えるという事が嬉しいようで、カノンはすぐに本に目を通し始めた。

「カノン。この本は何?」
 ふわりと着物の裾を躍らせて、戻ってきた真珠がカノンに一冊の本を見せる。黙々と本に目を通していたカノンは、はた、と顔を上げる。そして表紙を見つめるカノンの表情がぱっと驚きに変わる。
「これ、とっても貴重な文献です! 学園にある本に名前だけ載っていて……!」
「役立てられそう?」
「はい!」
「ふぅん、そう」
 返す声は素っ気ないけれど、悪い気はしない。そのままゆらゆら揺蕩って、研究を進めるカノンの手元を見つめる真珠。

 ケビはと言うと、必要な本を取ろうと背中に収納されていた大きな掌を広げて。片手を支えに、一方の掌に乗って高い物を取ろうと手を伸ばして……。
「と……取れない」
「ケビもカノンも小さいから、高い本は如月に頼んでいいよ」
 その様子に気づいた真珠が、ケビの元へ行くよう如月に指示を出す。
「如月殿、頼むよ」
 物言わぬ人形は、指定された書物を取りケビへと手渡す。
「助かるねえ。真珠殿の絡繰は本当に頼もしい限りだ」
「そうだよ、僕の如月はすごいんだ」
 ふふん、と得意げに笑う真珠。如月の主は真珠。つまり、如月の手柄は真珠の手柄なのだ。
「如月さんはガジェットとは違うんですよね?」
「違うよ。ほら、僕が手伝ってあげてるんだから」
 興味が如月に移ろうカノンと、それを阻止するように資料を指し示す真珠。そんな二人をケビは穏やかな眼差しで見守っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シビラ・レーヴェンス
●露(f19223)と。
迷宮が創造された前後の資料があると助けになるかもしれない。
先ずは迷宮創造の歴史が記されている書物を探してみようか。
並行して創造した人物達の日記のような書物も探してみる。
探索方法はゴーグルとスマホの機能をUCで強化して行う。
(全力魔法、広範囲攻撃、野生の勘、第六感、追跡、限界突破)
人海戦術が有効だろうから探索は個人ではなく他の者との連携や協力。
何時ものように露が抱きしめてきたら手伝いがてら護衛を指示しよう。
「君は学園の者の護衛をしていてくれ」
不満のようなら面倒だが一度だけ撫でて「頼むな」くらいは言う。
「わかったわかった。無事終了したら気の済むまで撫でてやる」
…やれやれ…。


神坂・露
レーちゃん(f14377)と一緒。
くっつこうとしたら力一杯に停められて不満だわ~。
準備しててレーちゃん忙しいのはわかってるけど…むう。
でもでも頭をぽふぽふされてお願いされたらしなくっちゃ!
「えへ~v うん。する~♪」
あたしからもお願いするわ。お仕事終わったら沢山撫でてって。
何時もと同じで面倒そうに承諾してくれたけど…頑張るッ!
周囲の厳重警戒とカノンさんのお手伝いするわ。
増えた方が両方やりやすいだろうから【月影】で二人になる。
邪魔しないようにしつつカノンさんの指示に従って行動よ。
「何でも言ってね?」
会った時から思ってたんだけどカノンさんってレーちゃんみたい。
レーちゃん猫になったらこんな感じかも?




「レーちゃん、レーちゃん」
 両手を広げて大好きのポーズ。神坂・露(ヤドリガミ仔犬娘・f19223)は、ハートを振りまきながら親友のシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)へと抱き着こうとして。
「君は学園の者の護衛をしていてくれ」
 大人びた声と共に、ぐいと力いっぱいに止められてしまう。共に幼い身体で成熟にたる年月を生きてきたが、それはそれとして性格は対照的なようだ。
「むう……準備しててレーちゃん忙しいのはわかってるけど……」
 抱き着くことに失敗してぷっくり頬を膨らます露に、シビラはため息をつきながら肩を竦める。
「わかったわかった。無事終了したら気の済むまで撫でてやる」
 だから、頼むな。シビラはそう付け足して、露の頭を一度だけ撫でる。
「えへ~v うん。する~♪」
 そのひと言ひと撫が、露の不満をあっという間に晴らしてしまう。
「お仕事終わったら沢山撫でてね」
 不満は不満だけど、頼まれたなら頑張らなきゃ! ぐぐっと気合を入れて、駆け出す露。
「……やれやれ……」
 元気に駆けだした露を見送り、シビラは再びため息を零す。
 それから気を取り直し、本棚の精査を始める。

「(迷宮が創造された前後の資料があると助けになるかもしれない。先ずは迷宮創造の歴史が記されている書物を探してみようか)」
 装備したゴーグルと手元のスマホがリンクする。情報は他の猟兵たちへも届くように端末を操作して、ずらりと並ぶ書物に目を向ける。
「歴史書はこの辺り、か。この並びなら、創造した人物達の日記のようなものもあるかもしれないな。並行して探してみよう」
 自らの目を通して得た情報をゴーグルを通じてスマホへと送っていく。手早くリストアップして、取捨選択をしていった。

 駆け出した露は、まず月影(ミラージュ・ワルツ)で、もうひとりの自分を呼び出した。
 呼び出した方の露には周囲の護衛を任せて、露自身はケットシーのカノンのもとへと向かう。シビラに頼まれたとおり、カノンの護衛と手伝いをするためだ。
「あたし、お手伝いするよ。何でも言ってね?」
 自身より幼く見える露の申し出に、どこまで頼もうかとカノンは少し悩む素振りを見せる。
「えっと、じゃあ散らかしてしまった本を片付けてもらってもいいですか? ここから向こうの本はもう読み終わってますから」
「うん、任せて」
 ヤドリガミとして大切に扱われてきた露。ここにある本も大切に扱いたいと、広げられた本を一冊ずつ丁寧に閉じて積み上げていく。
「会った時から思ってたんだけどカノンさんってレーちゃんみたい」
「レーちゃん?」
 知らない名前に、カノンが首を傾げる。
「あたしの親友だよ! レーちゃん猫になったらこんな感じかも?」
「誰が猫になったらだって?」
 にぱっと嬉しそうに笑う露の背後から、シビラが顔を出す。
「研究は順調なのか?」
「あっ、レーちゃんv」
 振り向くなり嬉しそうに抱き着いてくる露を、諦めてくっつけたままシビラはカノンの手元を見る。
「あ、はい。いくつか役に立ちそうな文献も見つかりました」
 皆さんのおかげです、そう言って頭を下げるカノンに淡々と頷くシビラ。
「そろそろ刻限だ。私もいくつか資料を見繕っておいた。後は、学園に戻って改めて調べるのがいいだろう」
「さすがレーちゃん」
「分かったから。露は他の皆を探して声をかけてきてくれ」
 うんっ、と元気よく返事をして再び露は駆けていく。


 猟兵たちは生徒たちを護衛して無事学園へと帰還。
 学園と猟兵たちが協力して見つけ出した資料は多岐に渡った。この中から、きっと迷宮踏破に役立つ情報も見つかる事だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月13日


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🔒
#アルダワ魔法学園
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#戦争
🔒
#アルダワ魔王戦争


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト