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嵐を招く幻獣

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「みんなー!オブリビオンよー!」
 今日もグリモアベースでフェアリーのグリモア傭兵、ネミ・ミミーニーズ(f00595)は騒がしくしていた。
 今回オブリビオンによる事件が起きるのは『アックス&ウィザーズ』の世界のとある村。近日中にオブリビオンの攻撃により村は壊滅的な被害を受けるという。
「オブリビオンの襲撃方法がね、巨大な嵐を発生させて村を襲わせるっていうのでね。それはそれは現地の住民でどうにかなるもんじゃないのよ!それはもうきれいさっぱりやられちゃうわけよ!」
 そこで猟兵の出番なのよ!と、小さな妖精がくるくる回ってポーズを決める。
 それはそれとして、ネミがオブリビオンの攻撃について要点を説明する。

 1つ、敵の攻撃は嵐。1つ、敵は自身の縄張りにいるため村までは来ない。
 1つ、嵐が村に到達するまで数日。1つ、嵐は既に発生してしまっているため村を守るにはまず村の防御を固める必要がある。

「つまり今回の作戦は、一旦村の方で嵐をやり過ごした上で、相手のいる沼地までいって戦闘って感じね。」
 ネミは詳しい説明のために数枚の資料を広げた。

●集落と準備
 村は河沿いの村で、50人ほどの住民がいる。何も対策しない場合、河の氾濫に飲まれて全ての家屋が流されてしまう。
「河の氾濫は初めてじゃないらしいから。村の人たちに事情を説明すれば喜んで協力してくれるわよ。」
 暴風雨に備え建物の補強、河の近くの住民の移動などを行う必要があるだろう。
 また、オブリビオンの手による嵐なので魔法的な力で嵐を弱めることも出来るらしい。
「河にお饅頭流すんだっけ?そういうのでもいいみたいね?」
 よくわかってなさそうな顔でネミは言った。

●沼地の探索と幻獣
 嵐を凌いだら次はオブリビオンの討伐となる。
「嵐を起こす儀式には数日かかるみたい。最初の嵐を凌いだら反撃タイムね!」
 オブリビオンである幻獣『ヒューレイオン』。森に縁のある幻獣らしいが、オブリビオンとなったソレは森の内外へ苛烈な攻撃を行う危険な存在だ。
 オブリビオンがいるのは深い森のどこか。森の奥の沼地にいると予知できたが具体的な場所はわからないため猟兵たちの足で探すことになる。
「伝承によると――、7つの沼、苔生した岩、森の主あり、ってことらしいわね。」
 森はそれなりの広さがある。沼か大きな岩を目印に進めばオブリビオンのいる場所に辿り着けるだろう。
「具体的にどうなってるのかわからないけど儀式をやる場所は、そこそこの広さがあって、明らかに自然の風景じゃないはずだからすぐわかるわ。」

 敵を見つければそのまま戦闘となる。その際だが、敵の儀式の影響により、嵐の中での戦闘になると思われる。森と嵐、2つの地の利を得た幻獣との戦闘は十二分に警戒する必要があるだろう。
「見つけちゃえば殴って何とかなる相手よ!気合よ!それじゃーよろしく頼むわね!」

 あ、雨具も忘れずにね。
 そういってネミは猟兵たちを送り出した。


背腹かえる
 背腹かえる(せにはらかえる)です。
 よろしくお願いします。

 村を守るために嵐の備えをしたあと、
 (1章と2章の幕間で嵐が駆け抜けて)
 探索、そして戦闘となります。

 天候について補足。
 1章と2章は晴天、3章は嵐を予定しています。
 プレイングの際のご参考までに。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『嵐の前に』

POW   :    力仕事で建物を補強する

SPD   :    安全な場所へ物資や人々を移動させる

WIZ   :    祈祷や魔法の力などで嵐の規模を抑える

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アルト・カントリック
村の人は河の氾濫に慣れてるらしいから、避難できる安全地帯ぐらいは知っているのかな?

案内して欲しいけど……知らなければ、ドローンで調べて見つけます。

安全地帯・避難場所を確認したら、ユーベルコード【旅は道連れ】で収容した人を運びます。

道が厳しい場合のみ、宇宙バイクかユーベルコード【竜こそは我が友】を使用します。

(他の人と協力したいです。ユーベルコードの演出・効果はお任せします)


ヴィリヤ・カヤラ
【POW】
雨具は用意していくね。
近くで嵐が発生してこの村も危ないから手伝いに来たよ。
…って感じの説明で村の人には大丈夫かな?
説明苦手だから得意な人がいたらお任せするね!

村人の方が詳しそうだから聞きながら、
私は河の対策を手伝おうかな。

河は川辺の土を袋に入れて土嚢を作る感じなのかな?
村から河まで袋や道具を運んだりするなら手伝うね。

作業前に村人に堤防の弱くなってそうな所を聞いて、
行くまでに堤防のチェックしながら移動して
弱くなってる所を重点的に補強と補修していくね。

しっかり作らないとダメだと思うから、
教えてもらいながら基本と注意点は
きっちり抑えて作業しないとね。

アドリブと他の方との連携は歓迎です。


白金・伶奈
安全な場所まで人や物を運ぶなら、宇宙バイクのヤドリガミであるわたくしにお任せいただきましょう。
河の近くに住んでいる方に【騎乗】していただき、ゴッドスピードライドを使用して運びましょう。
猟兵ですから宇宙バイクに違和感は持たれないはずですが、警戒を解くためになるべく礼儀正しく接することにいたしましょう。
死んだ父様も言っておりました。笑顔を浮かべるのはタダだから、相手がクズだとわかるまでは笑っているほうが得だと……。

バイクで一度に運べるのは1人でしょうから、事故に注意しつつなるべく素早く移動するようにします。
また、台車や馬車などで輸送される方がいるようなら、宇宙バイクで引くことを提案してみます。



 アルト・カントリック(どこまでも竜オタク・f01356)、ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)、白金・伶奈(プラチナの先導者・f05249)の3人が小高い丘の上に降り立つ。
 のんびり草を食べる羊たちと、濡れた風を受けて回る風車が猟兵たちを出迎えてくれた。眼下にはこれから向かう村の景色が広がっている。
 村人たちは猟兵、もとい3人の冒険者を温かく迎える。そして村へ来た事情を話すとすんなりと協力を約束してくれた。村人が猟兵たちの言葉を素直に受け入れるほど、遠方に浮かぶ雲は不吉であったのだ。

 アルトは周辺の確認のためにドローンを飛ばす。それと並行して伶奈が村の長である老人から話をきく。
 2人の情報を合わせて作戦を練る。河の氾濫の観点から考えると村の周囲の地形はおおよそ3つに分けられる。
 1つ目は河のすぐ近くの畑。河のすぐ近く、かつ高低差もないこの場を急な作業ではここを守ることは至難であろう。しかし、ここまではよく水が溢れるから住民さえ無事なら平気じゃよ、とのこと。
 2つ目は河から少し離れた住民たちの居住区。いくらか河よりは高いが、予知の限りでは今回はここまで流されてしまうようだ。そのことを伝えたら老人は動揺していた。ここの被害は猟兵たちの作業次第となるだろう。
 3つ目は小高い丘、風車小屋があり羊の放牧地となっている。河から距離もあり高台となっているためまず安全だ。住民や家財道具はここへ運べばよいだろう。

 アルトと伶奈は早速宇宙バイクで村人の家財道具を丘の上の風車小屋まで運ぶことにした。
 猟兵の力ゆえ『アックス&ウィザーズ』の世界であってもバイクに違和感を持たれることはなかったが、見慣れぬ金属の乗り物に積極的に跨るのは冒険者に憧れる小さな子供たちだけ。でも、伶奈のバイクの上で笑顔ではしゃぐ子供たちを見て大人たちとも次第に打ち解けていった。それでも、整地されてない道の上でバイクを使って台車を引くのは危険だったため諦めることとなったが。
 丘の上では急場を凌ぐための追加の小屋が建設中だ。出来上がった小屋へと、猟兵のバイクと村人たちの台車で家財道具が運び込まれていく。全ての荷物を運びこむと窮屈となったが数日程度なら何とかなることだろう。
 そして、輸送が終わったあとも伶奈のバイクが子供たちに開放されることはなかった。これも村人を不安にさせないため、と伶奈は嵐が近づくまで子供たちの相手を務めた。

 あとの問題は羊たちだ。アルトの手には羊たちを収納出来るユーベルコードがあった。のだが、羊たちの警戒心を解いて『快適なゲストハウス』へ連れ込むまで長い長い戦いを繰り広げることとなった。

 ヴィリアは河の様子を見て一息つく。村の堤防を強化するつもりでここまで来てみたのだが――。
 村を出て畑を超えた先にある河は自然のままの姿。堤防などあるわけではなく、少しの増水で簡単に溢れてしまうことだろう。遠方に浮かぶ暗雲と泥の混じる水からさほど時間に猶予がない事が見て取れる。
 村の治水対策は、畑まで水が溢れても村が無事なら大丈夫、という考えだ。通常の大雨程度ならそれで十分であろうが今回は規模が違う。

 ヴィリアは思案する。堤防もない平地では用意した土嚢だけで水を防ぐには不十分。限られた時間の中で堤防を築くには――。
 堤防を造るのは村の近く、居住地の手前の小さな坂を急造の堤防としよう。畑地帯で水の勢いが減じれば堤防へ掛かる負担も少なくて済む。アルトのユーベルコードは物を運ぶ力を持っている。協力を仰いで岩や木を運んで積み上げ、隙間を土嚢で埋める。
 足りない分は――ヴィリアはルーンソードに手をかける――どこまで通じるかわからないけど、やるだけやってみよう。

 ヴィリアは協力を申し出てくれた村人たちに、袋の中に土を詰めるよう指示を出す。そして自身は一旦仲間の元へと向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エメラ・アーヴェスピア
オブリビオンによるものだとしても、災害は怖いわよね
それじゃ、出来る事をしましょうか

既に対策は始まっているようだし、その手伝いをしましょうか
『我が工房に帳は落ちず』、単純に強力な人手の追加よ
機械だから疲れ知らずでもあるしね
足りないような所で好きに使ってちょうだい

さて、私は…一寸本格的に、どんな感じで水が流れるかシミュレートしてみましょうか
ネミさんの予知や村人さんの話や調べた地形…必要ならドローンも飛ばすわ…を考えて 【情報収集】
流れを強めに考慮して、何処に置けば効果的に防げるかを想定
その結果を村人さんに言ってみましょうか

少しでも被害を減らせると良いのだけど…

※アドリブ・複数歓迎



 エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)はドローンを飛ばしながら河沿いを歩いていた。村人からの話とドローンの情報を元に、嵐になった際の水の流れをシュミレートしている最中だ。
 エメラはシュミレートの結果、とある1点を導き出す。そこは緩やかに蛇行しながら流れる河の上流。増水した河は地形に沿った蛇行をやめ、まっすぐ村へと向かうことになる。
「オブリビオンによるものだとしても、災害は怖いわよね。」
 エメラは自らが読み取った水の流れを想像して目を細める。限られた時間の中で作業するとなればこの場所が1番だろう。河を掘って流れを変えれば、村へ流れる水の勢いは減るはずだ。
 エメラは静かにユーベルコードを解き放つ。物言わぬ魔導蒸気工兵が不穏な川辺に並ぶ。
「各員、速やかに作業を開始なさい。」
 エメラの指示を受け、早速河の中で作業を始める。嵐の前の河、危険な状況での作業を黙々とこなす工兵たち。
 少しでも被害を減らせると良いのだけど……。エメラの思いとは裏腹に、河の水は少しづつ危険な領域へと向かっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『沼地』

POW   :    大胆に行動

SPD   :    慎重に行動

WIZ   :    アイテムを活用

👑11
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 村に不気味で重い雲が覆いかぶさる。程なくして猛烈な勢いの雨が降り始めた。
 ぎりぎりまで作業を続けていた猟兵たちが村人の集まる丘の上へと戻る。丘の上からは既に水へと沈んだ畑の様子が伺える。
 水は村の前の堤防まで迫っていた。しかし、その勢いは堤防を乗り越えるほどではなかった。
 猟兵たちからすれば予知より被害を抑えられている形だが、村人たちはただならぬ嵐の様にただただ震えるばかりだ。
 誰かの口から帝竜という言葉が出た。それは既に滅ぼされた存在であった。が、蘇ったという噂がまことしやかに囁かれていた。
 普段なら噂話で済むことも、嵐の最中ともなれば意味が変わってくる。それほど村人たちの不安は大きい物だった。
 そんな追い詰められた村人たちを猟兵は励まし続け――。

 一晩明けると、嵐は静まっていた。昨日のことが嘘のように雲1つない空が広がっている。
 水は村の入り口で押し留められ、被害は畑のみという十分な成果であった。
 遠方には再び生み出されたであろう暗雲が見てとれる。猟兵とオブリビオンの戦いはここからだ。 

 復旧作業を村人たちに任せ、猟兵たちは嵐の元へと向かう。
アルト・カントリック
「帝竜……か」
アルトが大の竜好きのせいもあるが、なにかと竜と縁があるのだった。

しかし、今回の敵は幻獣である。オブリビオンを見つける為、アルトは森の奥を睨みつけて気を引き締めるのだった。


今回は手分けして探した方が効率が良いのではないか?もし、自信満々に指揮をとる者が居たら従って行動をしよう。

僕ができる事はドローンを飛ばして目印を探す事。ユーベルコード【竜こそは我が友】で、竜に騎乗して空から探す事ぐらいだ。

“明らかに自然の風景じゃない”場所。見つけられるだろうか?



「帝竜……か」
 アルト・カントリック(どこまでも竜オタク・f01356)は今、呼び出した竜に跨り1人空を行く。
 その胸の内は竜への憧れで満ちている。今回の相手は幻獣だが、いつかは竜帝と相対す日もくるのだろうか。
 そんなアルトの眼下には霧に包まれた森が広がっている。“明らかに自然の風景じゃない”場所がないか探してはいるものの、これといった場所は見当たらない。
 ならば、と更に森の奥へと竜を進める。

 そして、変化はすぐに訪れた。アルトの竜がまっすぐ飛ぶことを拒んだのだ。
「おいおいどうし――!」
 竜に呼びかけた刹那、アルト自身にもそれは感じ取れた。突き刺さるような視線、肌で感じる明らかな敵意。その主が何者であるかなど考えるまでもないだろう。
 既に戦いは始まっているのだ。森の主は何らかの力をもって侵入者を拒んでいるのだろう。このまま空から近づけばどのような反撃が待っているかもわからない。
 ただ1つ、はっきりしたことがある。それは敵のいる方角。
 アルトは霧に包まれた森の奥を睨み返し、気を引き締める。

 アルトは得られた情報を仲間に伝えるため、不時着できる場所を求め旋回した。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィーナ・ステラガーデン
まったく。ひどい雨だったわねえ。
雨って嫌いなのよねえ。魔法(炎)の火力が弱まりそうなのよね。
後でネミにはステーキでもご馳走してもらわないと割に合わないわね!

アルトの報告によると森の奥の方が怪しいんだったかしら?
そこまで慎重に歩いていってみて
闘う時に突撃しやすい場所を探したいわねえ
竜がいる場所をある程度特定できれば、その周囲を調べてみるわ!

それにしてもお腹すいたわ!昨日は轟音で落ち着いてご飯食べれなかったのよね。
・・・帝竜って食べれるのかしら?興味があるわね!!



「まったく。ひどい雨だったわねえ。雨って嫌いなのよねえ。魔法(炎)の火力が弱まりそうなのよね。」
 フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は森の奥へ向かってずんずん進んでいた。目指すべき方角は判明していた。しかし鬱蒼とした木々の隙間から漏れる日の光は僅か。少しでも気を抜けばすぐにでも方角を失ってしまうことであろう。

「闘う時に突撃しやすい場所を探したいわねえ。」
 ぽつりとささやいたフィーナは視界の先に少し開けた場所を発見した。
「んー?これは――。」
 そこには小さな沼地が広がっていた。一見何の変哲もない風景のようだったが、ウィザードたるフィーナはその異変を見逃さなかった。沼の表面は一定の波紋で揺らめいており、その中からは確かな魔力が感じられる。
「ふふーん。この沼に何かの魔法がかかって奥に進むのを邪魔してるみたいね!」
 フィーナは手にしたウィザードロッドを沼に突っ込むとおもむろにかきまぜ始めた。程なくして、沼から感じた魔力は消えうせる。

「こんなところかしら?それにしてもお腹すいたわ!昨日は轟音で落ち着いてご飯食べれなかったのよね。……帝竜って食べれるのかしら?」
 帝竜は食べられない気がするけれど、あいにくと今はフィーナ一人、ツッコミ役は不在だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルベナ・ラウンドディー
ヒントは沼・岩・苔

…これで解るか!誰だこんな予知した頭キマヒュは!





【情報収集・追跡・念動力・空中戦】
…仕方ねえ。地道にやります
アルトさんのいう方角へ
念動力で空中に浮き、低空で沼地かそれに近い森の植生を探します
視野の確保と敵の視線逃れのため森から頭を出すくらいの高度で
たまに地面に降りて地質や風の湿り具合、足跡、獣道
気枝に体毛が挟まってないか…の確認


不自然な風景というのも気になります
空間を作る習性がある?
或いは人工的な空間を奪い取った…?
目標とは別の工作跡や森の中に人工物が埋もれてないか
ヒントになりそうなものも確認


幻獣激怒は必至ですが後続への目印も残して探索終了
後続の捜索範囲を絞れれば幸いです



「ヒントは沼・岩・苔……これで解るか!誰だこんな予知した頭キマヒュは!」
 ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)は叫んだ。しかし予知したグリモア猟兵はここにはいない。

 ベルベナは何度かの飛行で安全な高さを理解した。森から顔を出す程度の高さなら敵の警戒には引っかからないらしい。
 その高さで次の目標、木々の切れ目に点在する沼を見つけて森の奥地を目指す。
 今のところ不自然な風景も人工物も見当たらない。探索に慣れが生じてきた頃合いで、ベルベナはそれを見つけた。

「木の皮に獣の毛が挟まって、縄張りの主張ですか?」
 ここに来るまでの間も獣の足跡を調べてはいたものの、嵐の直後であることもあり目立った足跡は見つからなかった。しかし、獣の毛が残された木の根元には真新しい蹄の跡が残されている。森の主は先日の嵐の後にここを通ったらしい。

 森の主の目的を探るべくベルベナは慎重に周辺を調べる。そして、見つけたのは苔の生えた岩。苔の様子からは長い時の流れを感じる。一方で、その岩は真新しい草を踏みつけている。それは最近になって岩が移動させられたのであろう痕跡。
「何か目的があって運ばれてきたようですね。」
 沼には侵入者を拒む魔法が込められていた。とすればこちらの岩は嵐を起こす儀式にでも関係しているのだろうか?

「幻獣激怒は必至ですが――」
 ベルベナは手にした直刀で岩を叩き割る。割れた岩から得体の知れぬ魔力が渦巻き、そして消えていった。
 直後、森の奥から何者かの遠吠えが響いた。
「――後続の捜索範囲を絞れたようです。」
 武器を収め、ベルベナは森の奥を見据えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリヤ・カヤラ
上手く探せると良いんだけど。
【幻影】を使って分身には左に10mくらい離れて貰って探索するね。
分身の情報も入ってくるならそのまま探索、
分身の状況が分からなければ、
何か見つけた時点で報告しに来てもらうね。

【情報収集】を使いながら、
今までの情報と合わせて沼から移動してるとして…
うーん、木の葉っぱの減り具合とかで
移動跡があると分かりやすいんだけど。
移動跡が無かったらだいたいの方向は分かってるから
【第六感】と周りに変わった所がないか注意しながら探索するね。

これ以上刺激するのも良くないから、
出来るだけ隠れて居所を見つけられるように頑張るよ!



 森の中に気配が2つ。ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)と、ヴィリヤと同じ姿をした【幻影】。
「上手く探せると良いんだけど。」
 ヴィリヤはユーベルコードを用いて2人分の探索を行っていた。視界の通り切らない森の中では視野が2倍になる恩恵は大きかった。

「うーん、木の葉っぱの減り具合とかで移動跡があると分かりやすいんだけど。」
 歩きながら先に仲間たちが見つけた情報を思い返す。最後の目印となった岩から森の主がいると思われる方向へまっすぐ進んでいる。
 今のところ発見らしい発見はヴィリヤもヴィリヤの幻影にもない。足元にはぬかるんだ泥とぽつぽつと点在する若草が見えるばかりで、獣の足跡などはなかった。

「草が点々としているだけで移動の痕跡はなしね。」
 ――痕跡なし?
 ヴィリヤは振り返り、一定の間隔で生い茂る小さな草地を見やる。通常、草はこのような生え方をするだろうか?
 木の葉の減り具合で移動跡を探していたヴィリヤの中で何かの感覚が弾けた。

 ――逆だ。

 ヴィリヤ本人が歩いていたところは、幻影が歩いているところより明らかに草や苔が多い。
 そんな中にあるこの不自然に点々とする草地。森の主がつけた足跡から草が生えて結果、このような不自然な草地が出来たのであろう。
 足跡から草が生えるなら普通の足跡を探しても見つからないはずだ。

「そうすると、知らないうちにだいぶ相手の懐に近づいちゃったかな?」
 ヴィリヤの視界の先。草地の道は開けた場所から何者かの気配を感じる。
「これ以上刺激するのも良くないから――。」
 既に気配を悟られているヴィリヤはその場でじっと身を隠す。そして代わりにと、幻影を慎重に進ませる。

 幻影はそっと広場の様子を伺う。
 そこは草の茂る沼地。ここだけ先日の嵐の影響を受けていないかのような穏やかな風景が広がっている。
 そして沼の周りには苔生した岩が並んでいる。規則的に並べられたその岩は何らかの儀式場であることは明らかだ。

 そして沼地の奥。
 一際大きい岩の上に、森の主は静かに佇んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 我が森を侵す者は何者か
 我が森は侵す者唯の1人も生かしておかぬ!

 森の主に近づいた猟兵たちの頭の中に森の主の言葉が響き渡る。
 怒りの言葉と共に、森の主はその蹄を足元の岩に激しく打ち付ける。
 その一撃で岩が割れ、割れた岩から放たれた雷が地から天へと昇った。
 閃光が雲間を駆け抜け、重い雲はすぐさま激しい雨をもたらした。

 嵐を招く幻獣との戦いが始まろうとしていた――。
フィーナ・ステラガーデン
また威風堂々と出てきたわね!
ここは負けてらんないわ!威風堂々と私も現れるわよ!
(必ずしも威風堂々とではない)
って報告どおりやっぱり降ってきたわね雨。どうしようかしら。

とりあえず距離を取りながら属性攻撃を打ったり
植物人間が出てきたら範囲攻撃打ったりするけど
この雨だもの、あまり火には期待できないわねえ。
ということでUCを打つわ!「高速詠唱」を使って
空から降り注ぐ巨大な一匹の炎のマグロは大地を穿ち
地割れを起こして植物人間もろとも飲み込ませるのよ!

(アドリブ、アレンジ、連携大歓迎、なんか適当に思うさまに)


ヴィリヤ・カヤラ
雨具はコートタイプで
動くのに邪魔にならない物を用意するね。

強そうだけど、大きい被害が出る前に何とかしないとね!
戦闘中は敵の動きを良く見て攻撃は出来るだけ
避けるように頑張ってみるね。
蹄の攻撃は受けると恐そうだしね。

植物人間が出たら強化される前に
氷晶で倒すようにするね。

連携を取れそうな人がいたら、
協力して頑張るよ!
気を逸らせそうなら血統覚醒と、
武器の黒月の蛇腹剣も使いながら
ボスの意識をこっちに向けるように
視界内に入るようにして動くね。
特にいなければジャッジメント・クルセイドも混ぜながら戦うね。

他の方との連携、アドリブ歓迎。



「また威風堂々と出てきたわね!ここは負けてらんないわ!威風堂々と私も現れるわよ!」
 幻獣と沼を挟んだ反対側。フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は岩に飛び乗り大声で叫ぶ。
 叫んではみたものの、雨に濡れてどうしよう、と顔に出てしまっている。どうにも威風堂々としていない。
 そんなフィーナの後ろで雨用のコートを羽織ったヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)が静かに『黒月』を構える。
「強そうだけど、大きい被害が出る前に何とかしないとね!」

 幻獣は猟兵の姿を認識すると、吠えた。狂える咆哮と共に足元の石片に蹄を叩きつける。
 弾けた魔力が風を呼び、木々を揺らし、木の葉を巻き上げる。風と木の葉と幻獣の魔力は中空で混ざり合い、無数の植物人間となり猟兵たちに向かってくる。

「きたわよ!葉っぱなんて炎で返り討ちよ!でも今は雨だから期待できないわ!」
 岩の上で目立っていたフィーナは威風堂々と言い放つ。
「迎撃出来ないのに目立ったの?」
 ヴィリヤはさらりとつっこむ。
「登場シーンが重要だったのよ!」
 負けず嫌いの相手はひとまずおいておいて。ヴィリヤは敵の攻撃を迎え撃つため、ユーベルコードを放つ。
「氷よ射抜け!」
 冷気を纏う黒月を振るう。現れたのは無数の氷の刃。ヴィリヤが再び黒月を振るうと、『氷晶』は標的に襲い掛かる。
 冷気が雨と風を切り裂き、沼の上で植物人間たちとぶつかり合う。植物人間たちは氷の刃に引き裂かれ、あるいは氷漬けとなり沼の中に沈んでゆく。

「おお、やるじゃない!」
 ヴィリヤの攻撃にフィーナが感嘆の声をあげる。
「終わってないみたいね。本当は強化される前に倒したかったんだけど。」

 沼に落ちてなお、植物人間たちの動きは止まっていなかった。引き裂かれた葉は沼の泥を纏い、1つの巨大な泥人形となり立ち上がった。
「今度こそ私の番よ!」
 フィーナは岩から飛び降りる。フィーナの靴から魔力が溢れ、揺らめく沼の上に降り立つ。

「貫けええぇぇぇえええ!!」
 フィーナの手から全力の魔法、巨大な炎の矢が放たれる。
 その一撃は立ち上がったばかりの泥人形に突き刺さり、爆発する。膨大な熱量を伴い、泥人形は乾いた土と焦げた葉に還元される。

 どうよ?という顔でフィーナはヴィリヤと幻獣を交互に見やる。
 ヴィリヤは軽く微笑み、幻獣が鋭い視線で睨み返す。
「それじゃ畳みかけるわよ!」
 更なる追撃のため、フィーナは素早く詠唱する。そして手元に描いた魔法陣を天へと投げる。

 幻獣は反撃のために吠えた。幻獣の角は伸び、複雑怪奇に絡み合う。肥大化した角と共に幻獣は目の前の岩へ跳ぶ。
「あれは――、最初に雨を降らせたときの動きね。」
 あの角からして最初の時よりも大きな技に違いない。ヴィリヤは敵の狙いを察し、天へと指を向ける。
 幻獣の蹄が岩を砕き、放たれた魔力は角の合間で増幅され空へと打ち上げられる。
 2人のダンピールと1頭の幻獣、3つのユーベルコードが空中で激突する!

 最初に現れたのはフィーナの『回遊魚ノ怒リ』。魔法陣から顔出したのは炎を纏うマグロ。
「……マグロ?」
「マグロ!」
 誇らしげなフィーナ。幻獣は空中のマグロを認識し、一瞬だけ地上のフィーナの顔を見た。何か言いたそうな様子だったが幻獣は無言だった。
 燃え盛るマグロは幻獣めがけてまっすぐ降ってきた。幻獣は後方に跳び、マグロの直撃を避ける。
 躱されても、マグロはそのまままっすぐ地面に激突。爆音と共に地割れが巻き起こり、周囲に配置されていた儀式用の岩を飲み込む。

 マグロの巻き起こした激震から逃れようとする幻獣へ、ヴィリヤは指先を向ける。
 嵐の空を縫って天からの光、『ジャッジメント・クルセイド』が幻獣を追い詰める。
 狙いすました光が地割れから逃れんとする幻獣の背を貫く。沼の反対側からではわからないが、あちらでは肉の焼ける匂いが漂っていることだろう。
 勢いを失った幻獣はそのまま足元の地割れに呑まれていく。

「おお!やったわね!」
「手応えはあまり……、すぐ出てくるんじゃない?」
 ヴィリヤの言葉の通り、体の半ばまで地に呑まれたところで幻獣の角が伸びる。器用に伸びた角が周囲の地面を突き刺し、幻獣の身体を地面から引きずり上げる。
「しぶといわねアイツ!」
「そんなことより、こっちにもくるよ!」

 2人の頭上は雷を伴う重い雲に覆われていた。
 雷、電気、沼の上、感電――!
「もしかして、私逃げ場ないわね!」
「その光景さっきも見たよ?」
 刹那、ヴィリヤは真紅の瞳に覚醒して飛ぶ。落雷の中を縫ってフィーナを抱えて離脱する。
「こーやって助けてもらうのもさっきやったわね!ありがと!」
「どういたしまして。」
 フィーナの礼に答えるヴィリヤ。
 同じダンピールならフィーナにも出来たんじゃ?と、いうのは口にはしなかった。

 敵の領域を破壊したものの、幻獣へのダメージはまだ浅い。
 荒ぶる幻獣と猟兵たちの戦いは続く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベルベナ・ラウンドディー
雨対策:ヘルメット&コート
足場や天候が儘なれば私も動き回れるものを…!
…騎兵戦が無理だと途端にやりづらい


【串刺し・衝撃波・吹き飛ばし・逃げ足・ダッシュ】
植物人間や妖精による被包囲に【逆星語り】で対策します
残るユーベルコードも近接技なら遠間から打てる戦術で臨むべきでしょうし
攻撃で吹き飛ばしては間合いを外し、また押し返す…要は一撃離脱です


【空中戦・念動力・破壊工作】
先の儀式用の岩は余裕があればついでに砕いてみます
ヘルメットの天候表示機能。雨風の強さの変化は?向きは?確認します
工作の結果が期待できなかった場合は
念動力による空中浮遊で地面スレスレの滑空で風の勢いを利用して距離を取る
次善策ですがね



「足場や天候が儘なれば私も動き回れるものを……!」
 ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)はコートとヘルメットで雨を凌ぎつつ歯噛みしていた。
 未整地の森の中で嵐。泥と石と草の混じる足場はいくら猟兵の力をもってしてもバイクの運転は危険であろう。
 いや、ただの悪天候と悪路などユーベルコードの前では関係ない。問題なのは、今回の森がオブリビオンの力に支配された領域ということだ。
 この嵐の中で起こっているのは紛れもなく猟兵とオブリビオンとの戦い。静かに、時に激しくユーベルコードがぶつかり合う戦闘なのだ。

 ならばやることは1つ。ベルベナは自らの前に立ち並ぶ儀式用の岩に手にした直刀を振りかざす。探索の時と同じく、岩は魔力を霧散させながら砕け散る。
 対岸では幻獣が吠えている。しかし距離があるためか、幻獣は何もしてくる気配がない。
 ならば、と並ぶ岩を更に2つ、3つと砕いてゆく。
 ベルベナは状況確認のため、ヘルメットのバイザーを下ろす。バイザーの内部には周囲の状況を示す様々な情報が飛び交う。
 表示の限りでは岩を砕いたことで風雨の強さは更に増している。効果がなかったどころか逆効果だったのだろうか?
 バイザーを上げて今起こっていることを視認する。風雨は強まっている。
 しかし様子が違う。当初は猟兵たちを圧迫するように吹いていた風。今はただ吹き乱れ、森の木々を揺らしている。それは天候が幻獣の制御から外れつつあるということ。

 ふと、ベルベナは違和感を覚え自らの手元に視線を落とす。獲物を構えるその手に、『そいつ』はいた。
 半透明の身体に簡素な手足。頭部を思わせる部分には目とも口とも見える3つの空洞。
「いつの間に!?」
 そいつはベルベナの腕にしがみ付きながらカタカタと頭を揺らす。揺れる頭は徐々に膨らんで――。
「くっ!」
 ベルベナは咄嗟に腕を振り払う。地面にたたきつけられたそいつは泥を巻き上げながら爆発した。

 どうやら、対岸の幻獣は何もしていないわけではなかったらしい。ベルベナは自分が敵のユーベルコード、『チャイルド・オブ・エコーズ』に囲まれていることに気付いた。
「発見されにくい妖精で包囲。でもここまで予想済みです!」
 膨れゆく妖精たちが一斉にベルベナへ飛び掛かる。反撃のために放たれるのは『逆星語り』。直刀の突き技の乱れ打ちが、1匹ずつ正確に妖精たちを貫く。
 貫かれた妖精たちは勢いを失い――その場で爆発した。爆炎に呑まれるベルベナ。その刹那、とっておきのユーベルコードを起動する。

 沼の対岸で幻獣は爆発の様子を確認している。猟兵は守りのユーベルコードを起動していた。姿を確認次第、追撃の必要がある。
 そして、その時が来た。
 爆発の中から飛び出したのは1台の宇宙バイク、それに跨るはドラゴニアンのバイク乗り。
「どうした!嵐が止んでるぜ!」
 風と雨は止み、幻獣までは一直線、泥道だけなら関係ない。満を持しての騎兵戦の時間だ!
 雨を含んだ泥を巻き上げ宇宙バイクが迫る。立ち並ぶ岩と木々は激しいエンジン音と共に撥ねた泥で彩られる。
 完全に不意を打たれた幻獣は反撃を合わせることが出来ない。辛うじて出来たのは防御用に角を差し出すことだけ。
 バイクの突進を乗せた直刀が根こそぎ幻獣の角を叩き折る。
 先ほどより更に派手に泥を撥ねながら、華麗なドリフトを決めて宇宙バイクは止まった。

 幻獣は怒りに任せ泥を蹴る。
 すぐに生え変わるはずの角は生え変わらず――何も答えてはくれなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリヤ・カヤラ
同行:ディー・ジェイ(f01341)
呼び方・DJさん

もう少しで倒せそうな気もするし、
支援をお願いしてた傭兵のDJさんとも合流出来たから頑張るよ!

戦闘時は連携重視。
ボスの動きに注意。

戦闘開始と共に血統覚醒を使用。
チャイルド・オブ・エコーズと
サモン・グリーントループは早めに対処。
エコーズは半透明だから
周囲の気配や音には注意して気付いたら声掛け。

角の再生も心配だけど、
DJさんの支援を信頼して連携を狙って全力で攻撃していくよ!
氷晶とジャッジメント・クルセイドで削っていくね。
近接範囲に入られそうだったら、
宵闇を蛇腹剣にして距離を取りつつ
ユーベルコードをメインに使って攻撃。

アドリブ歓迎。


ディー・ジェイ
「でっけぇ獲物だな!ありゃ鹿?トナカイ?なんでもいい、狩り獲ってその角売り捌いてやるよ」
※ヴィリヤ・カヤラに傭兵として雇われている

・不意打ちにフルバーストをかましながら颯爽と登場。
待たせたな嬢ちゃん!

・言語や意味が理解できてるのかは知らんが、腰撃ち移動しながらこっちに意識が向くようあえて挑発しまくるぜ。

・今回はヴィリヤがメイン、俺はサポート役だ。嬢ちゃんに銃弾が当たらないよう調整しながら前後を囲うように位置取り、敵の攻撃の精度を欠くような嫌がらせを繰り返す。

・敵の怒りが高まり、危険な一発を俺に当てようとしてきたらチャンスだ。それを避けてワイヤーを角な引っ掛け登り、脳天零距離で一撃見舞ってやる。



 猟兵と幻獣との戦いは続いている。
 儀式の岩を失い、雨と風も止まり、角を失った今こそ畳みかけるチャンスである。
「もう少しで倒せそうな気もするし――」
 ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)は『血統覚醒』を解き放ち、戦闘能力を増大させる。
 こうしていられる時間は限られているが、仲間と合流すれば一気に決着まで持っていけるはずだ。問題は1つ、支援をお願いした猟兵はまだここにいない。

 距離を詰めるため、地を蹴るヴィリヤ。覚醒していれば一瞬の間合いではあるが、立ち塞がる者がいる。
 幻獣の呼び出す2種の眷属。葉を纏う植物人間が壁となり、半透明の妖精がヴィリヤに迫る。
 ヴィリヤの剣閃が植物人間をまとめて斬り裂き、返す刃が妖精たちを叩き落す。
 攻撃への対処は容易い。しかし、眷属を呼び出しつつ距離を取る幻獣へと迫るのは至難。いずれ隙が出来れば敵の懐に入ることも出来るであろう。
 しかし覚醒したまま戦うヴィリヤに、その『いずれ』を待つ時間はない。

 そこへ、突然の『フルバースト・マキシマム』が舞い込む。
 死角から放たれた一斉射撃は幻獣を掠め、2種の眷属を的確に撃ち抜く。されどヴィリヤには掠り傷1つつけなかった。
 銃撃と共に現れたのはガスマスクで顔を隠した男、ディー・ジェイ(Mr.Silence・f01341)。ヴィリヤの依頼を受けてこの戦場に参戦した傭兵だ。
「待たせたな嬢ちゃん!」

「DJさん!遅かったじゃない。」
「おっと悪い悪い。交通費をもらってなかったからな。」
 DJはアーミーブーツで軽く泥を蹴る。
「それにしてもでっけぇ獲物だな!ありゃ鹿?トナカイ?なんでもいい!2人で反撃開始だ!」
 剣と銃に挟まれ、幻獣は静かに構える。

 様々なハンデを背負いつつも幻獣は1対2の戦いに後れを取ることはなかった。
 遠距離で扱う嵐も眷属がなくとも、その巨体から放たれる蹄は猟兵の接近を許さない。かと言って距離を取ったまま追い詰めるような余裕は残されていない。
 後方から銃撃によるサポートに徹していたDJは愛銃を構え直し、決戦のため勝負に出る。

「よう?人の言語は理解できるんか?今から狩り獲ってその角売り捌いてやるよ!」
 DJは銃弾と共に敵を誘う言葉を投げつける。幻獣は言葉には答えず、地を蹴り弾丸を回避する。
「――って言ってももう角は生え変わらないかい?」
 DJを睨み返す視線が鋭くなる。ピリリとした空気が戦場に流れる。それは例え話の類ではない、頭上の雲が帯電し始めたのだ。
 そして、その場にいた猟兵たちの頭の中に幻獣の叫びが響き渡る。

 理解できるかだと!
 図に乗るな!
 低俗な貴様らの言語に合わせてやっているのだ!

 角を失った幻獣は蹄に痛烈な怒りを乗せ、地を蹴る。幻獣の怒りに応え、暗雲から一筋の落雷が走る。雷の落ちた先は、幻獣。
 戦場が雷鳴と閃光に包まれる。幻獣は失われた角の代わりに雷をその身に宿し、吠えた。

「挑発はいいけど、すごいことになってない?」
「ああ……、あの角は売れそうにないぜ。」
 DJは銃を握る手袋を締め直す。
「でもチャンスだ。嬢ちゃんがメイン、きっちり決めてくれよ!」
「任せて!」
 ヴィリヤは手にした『宵闇』にユーベルコードを乗せる。黒剣はヴィリヤの意思と共に鞭状の蛇腹剣へのと姿を変える。

 雷を纏い突進してくる幻獣に対し、DJも正面から突進する。
 ぶつかり合う直前――。幻獣は蹄を振り上げ、DJは手袋からワイヤーを放つ。
 DJは幻獣の首に刺さったワイヤーを巻き上げる。振り下ろされる蹄をすり抜け、飛ぶ。
 『AR-MS05』の銃口を幻獣の脳天に突きつけ――、
「これじゃ剥製にしても売れないな!」
 ――放たれた弾丸は敵の脳天を貫き、真下の地面に突き刺さる。

 図に乗るなと言っている!

「おいおい――ッ!」
 その一発受けて普通に動くのかよ!
 脳天を貫かれた幻獣が台詞を言いかけたDJを蹴り飛ばす。
 だが、DJは吹き飛ばされながら、まだ幻獣と繋がっているワイヤーを引く。頭を撃ち抜かれてなお旺盛な身体が、不意の引力に揺らぐ。
 サポートの仕事は確かにこなしたぜ嬢ちゃん。

 一瞬の硬直。それは信頼した仲間から受け取った確かなチャンス。
 ヴィリヤが幻獣の懐に飛び込む。
 『氷晶』、氷の刃を宿した蛇腹剣が幻獣の身体に巻き付く。
「氷よ!宵闇よ!切り裂け!」
 それは全力のユーベルコード。ヴィリヤは常闇の柄を引く。巻き付いた氷の刃が幻獣に食い込み、氷片と火花を散らしその身体を2つに引き裂く。

 おの……レ……!

 オブリビオンは僅かな呻きを残し、雷と共に森の風の中に消えていった。

 オブリビオンの消滅を確認し、猟兵たちが集まる。
「よし!無事終わりだな!」
 蹴り飛ばされて泥だらけになった男がガスマスクの下でヒューと息を吹く。
「何言ってるの?まだ帰って村の人たちの手伝いが残ってるよ。」
「おいおい、アフターケアの話は聞いてないぜ。」

 静まり返った沼地に、雲の合間から光が差し込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月09日


挿絵イラスト