アルダワ魔王戦争4-D〜叡智は迷宮の奥にある
「皆お疲れさま! さっそくで悪いんだけど次の依頼に行ってほしいんだ!」
エスクルール・ラカーユ(奇跡の迷子・f12324)はビール箱に乗って……箱の上でちょっとバランスを崩したが……安定すると今度こそ説明を続ける。
「皆に向かってほしいのは『迷宮大図書館』って言う場所だよ。迷宮って言われる位には本がいっぱい納められている図書館なんだ。
ここにはこのファーストダンジョンや大魔王について情報がいっぱいあってね、今後のダンジョン攻略に役立つ情報が出てくるかもしれないんだ!」
とはいえ本に記される文字はかなり古い言葉であり、それを解読するのは猟兵にも難しい。そこで専門家である学生と教師に本を解読、情報を収集してもらう事となったのだ。
「そこで君たちにお願いしたいのは2つ。先生と学生さんの護衛。もう1つは彼らの研究を手伝って欲しいんだよ」
猟兵は首を傾げた。護衛はともかく研究の手伝いを? その意図を読み取ったのかエスクルールは腕を組んで応える。
「実は今回お願いする2人は凄く優秀なんだけどちょっと癖があってね。学生さんの方は一度集中すれば分厚い本も瞬く間に読み終えて本の内容も一言一句覚えちゃう位頭がいいんだけど、周りの環境が落ち着かないと集中ができない。
先生の方は学生さんほど読むスピードは速くないけど周りの環境に左右されない安定さがあるし、あらゆる言葉が分かる人だよ。だけど先生は植物特にお花が大好きでね、気が付くと植物の事ばかり調べちゃう可能性があるんだ……」
二人とも態度に出やすいタイプなので『あっ集中してないな? 花に興味が行ってるな?』となった場合は彼らを導いてほしい。
「それともう一つ大事な事があるよ。彼らが迷宮大図書館で長い事活動できないんだ。活動できるのそうだね……具体的にいえば迷宮大図書館に入って2、3時間くらいだね。これ以上は伸ばせないから、彼らに効率よく調査してもらうにはどうすればいいか考えて欲しいな」
遭去
遭去です。どうぞよろしくおねがいします。
●プレイングボーナス
下記の条件に基づく行動をするとプレイングボーナスが付与されます。
『プレイングボーナス……教師や生徒を気遣かう』
●研究のお手伝い
上記のプレイングボーナスに基づく行動以外にも頼まれた本を持ってきたり返したり、休憩用のお菓子を出したり……そういう雑用もできます。
●ざっくり情報
学生……眼鏡をかけた赤髪の女の子。気弱なタイプ。
先生……好々爺でマイペース。植物が大好き。
第1章 冒険
『迷宮大図書館の大探索』
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POW : 教職員や生徒を護衛したり、重い本を運んだりして手伝う
SPD : 広大な図書館をかけめぐって、必要そうな資料を集めるのを手伝う
WIZ : 専門家では無い視点からの意見を出すなどして、教職員や生徒の調査に協力する
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アレク・アドレーヌ
まぁ…なんだ戦争中の箸休めみたいなもんか
とはいえ戦時中にサポートとはいえ何もこんなところでやらんでもとは思うがね
ま、調べものしてくれるならさっさとやって貰うとして、俺は必要なものをとってくることに専念するかね
幸い足の速さには定評がある。こんだけ広大な場所なら探すの一苦労でもさっさと見つかるだろうよ
とはいえ図書館では静かにだから静かかつすばやくこなそうじゃないの
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
何故迷宮内に図書室を作るのでしょうか……昔は迷宮ではなく研究所の類だったのでしょうか。蔵書への興味は尽きませんが、簡単には読めなさそうなので戦後の楽しみに取っておきましょう。
まず学生さんの方をフォロー。火・氷属性の触手で気温を一定に保ち、風属性の触手で空気を操って雑音を遮断します。学生さんが集中してくれたら教師さんの元へ移動。
「ここはどういった内容で?」
話しかけつつ、植物の挿絵が見えたらさりげなく次のページへ誘導。追加の書籍を求められたらUDCの空中浮遊で取りに行きます。大量に頼まれたら触手を荷造り紐のようにして、触手の怪力でまとめて運搬します。
ヴィクトリカ・ライブラリア
図書館よ!
つまりは司書たる私の独壇場ね!
今日だけは広義の司書よろしく文書の管理整頓に腕を振るいましょう。私も読みたいけど……!
いや我慢できないわ、読む!!
そういえば大魔王の第二形態は自然の化身がどうたら言ってたわね。
迷宮内部も地下とは思えないくらい自然豊かだし……先生は植物がお好きなんでしょ?
ならまず植物関係の蔵書をピックアップ。
それからアルジャーノンエフェクトを発動記憶力を強化し最後まで流し読み。一分寝て次を読み、と繰り返すわ。
そのなかで明らかに普通じゃない、迷宮に関わりあるような植物の記述がある本をピックアップして先生のところに運ぶね。
先生、ここの記述が理解出来ないんですけど……
月宮・ユイ
大図書館とは、こんな場所もあるのですね
活動できる時間に制度…
…負荷がある所は、やはり迷宮は迷宮ですか
私は『先生』のお手伝いをしてみます。
手伝いを申し出つつ《人形劇団》起動
本を扱う事もあり[アバター]基に人そのものの姿で人形召喚
人形達に探索任せ<早業・情報収集>
各人形の視界や得た情報を<光属性>電脳魔術で空中投影
<念動力、怪力、知識:罠使い、破魔>
人型故に本の運搬から戦闘・罠への対処も可能
指示に従い動かし効率的な探索と安全確保を両立させる。
後は見張るとまではいいませんが、
指示貰う時に興味が”お花”に逸れていないか
注意しておきましょう
アドリブ絡み◎
呪<呪詛>操る誘惑呪詛器に宿すヤドリガミ
テニエ・ミスチヴァス
◎アドリブ連携歓迎
あー……確かに厄介な仕掛けとか多いもんね、このダンジョン
役立つ情報とかあれば是非知りたいかも
■行動
私は学生さんの方を護衛しようかな
とは言っても気弱なタイプらしいし、馴染みのない人が
ずっと側にいたら集中できないかな?
あまり離れた場所にいても不安だろうし、ここは【UC】で
猫に姿を変えてから近くで丸くなって待機してるよ
色は目立たない黒猫にしてっと……
この姿ならすぐ傍にいても威圧感とか感じないでしょ?
それじゃあ、何か手伝ってほしい事があったら声を掛けてね
姿を戻して本を持ってきたりとか、何でもするから
あ、あとこれお菓子の国から持ってきたクッキーね
頭脳労働には甘い物が良いって言うしね!
鈴木・志乃
UC発動第三人格『ナナシ』に移行
【情報収集、学習力、見切り】
僕にも必要そうな資料探し、手伝わせてもらえるかな
どんなものを持って来ればいい?
学生さんが気になるな
落ち着いた環境でないと集中できない……
人によっては音楽を聴く人もいるね、音楽プレイヤーを一応持参しておこうか(自然音とクラシックはDL済)
もしくは耳栓やヘッドホンだね
休憩中にはコーヒーはどうだろう? カフェインブーストと言う人もいるみたいだけども
長時間同じ姿勢でいるのもよくないね、軽く体操でもしようか
後は僕が協力して必要そうな本だけ見繕って回収してこよう
少しでも読破の時間が減るといいな
お疲れ様、ありがとう
●
「あわわ、思ったより蔵書量が多いですよ先生……!」
「ふむ、中々の蔵書量じゃ。上の図書館より多いんじゃないかのぉ」
ファーストダンジョン、迷宮大図書館へとやって来た猟兵達。守られる様にやって来た教授と学生は目の前に広がる本の量に目を丸くする。
「この中から調べるのはちと骨が折れるがやってみるわい」
●学生
「まぁ…なんだ戦争中の箸休めみたいなもんか」
ま、俺はできる事をこなすとしますかね。
アレク・アドレーヌ(仮面の英雄・f17347)は独り言を呟くと本棚から身の丈と同じ大きさの本を軽々と引き抜く。そして軽々と飛び降りると難なく着地を成功させるとそのまま音もなく目的の場所へと本を運んでいく。
左、右、直進して2つ目の角で左に――記憶していた通りに道を辿っていくと目的地へと到着した。
「必要な本はこれでいいのか?」
勢いそのままに飛び上がり、机の上に着地。
そうしてアレクは目を白黒させる少女――学生の前に本を差し出す。
「はっ、はい。はいありがとうございます……!」
本を受け取った学生ははっと我に返ると差し出された本を受け取り、緊張の面持ちで表紙を見やる。
(大丈夫かなぁ、私中々集中できなくて怒られちゃうこと多いもの……)
短時間で読んで有益な情報を提供する――それは学生にとってかなりのプレッシャーだ。
「そういえば普段はどんな場所で読書しているのですか?」
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)が緊張した面持ちの学生に優しく問うと、学生はしばし考え――やがて口を開く。
「うーん、そうですね。図書館が多いですかね。あそこは暖房も入ってますし、適度な雑音が心地良いんです」
「なるほど。ではこれで図書館の環境を再現してみましょう」
怜悧はためらいなく学生に銃口を向け、引き金を引く。現れたのは光速の弾丸ではなく触手。
触手はしばしうねうねとしていたがやがて学生の机周りに集まり、うねり――最終的に学生の机周りに部屋の枠組みを作る形で動きを止めた。
「わわっ、これは一体……?」
「大丈夫、危害は加えないですよ」
その言葉に答えるかのように触手から熱が、冷気が、微風が発せられ、空間は快適な条件となっていた。
「雑音はこれで再現できるかな。気に入ってくれればいいんだけど」
そういうと鈴木・志乃(オレンジ・f12101)はスマートフォンを学生に手渡した。
スマートフォンを始めた見た学生はきょとんとしてたが、使い方を志乃から教わった学生は流れ出した音楽に少し驚きつつも嬉しそうな顔をする。
「私も護衛についているから、何も心配しないで思う存分読んでみてよ」
テニエ・ミスチヴァス(変幻自在の虹縞猫・f20445)が緊張をほぐす様に学生の横に歩み寄ると、瞬く間に黒猫へと姿を変えて膝の上へとちょこんと座る。
『ここなら敵が来てもすぐ守れる……』
「ね、ネコちゃん……かわいい……」
猫の姿ならば人見知り気味の少女の傍にいても大丈夫……と思った策だったが意識は本ではなく膝の上に向かっていた。
『……うん、私机の隅にいるよ!』
色々察知したテニエはすぐさま膝の上からするりと抜けて机の隅へと移動。
「あっ……ネコちゃん……」
「ははっ…あの、そろそろお願いしてもいいですか?」
「あっ……すいません。では始めますね……!」
机の隅に歩いていくテニエに学生は名残惜しそうだったが志乃の声にはっと我に返り、そのままパンっと自身の頬を叩く。
そのまま学生は本の世界へと没頭していった。
本を読み進め始めた学生の姿を認めた猟兵たちは安堵の表情を浮かべる。
(とりあえず十冊づつ持って来ればいいかな)
そうして机の隅で黒猫の姿になり身を丸くするテニエに護衛を任せ、他の猟兵たちはダンジョン攻略に必要そうな本を見繕う作業に入った。
30分後。
「えーっと、次に必要そうな本どれだったか」
「あっ……そこですね。その緑の表紙」
本棚の上でアレクが、その前で怜悧が本を探す作業に没頭していた。
1冊の平均ページ数は800。それが数十冊。アレクが先ほど持ってきた本とその後に猟兵達が持ってきた本の山は彼女の読破スピードを受け止めるには至らなかった。
「あれ半分読み終えれればすげーと思ってたけど想像以上だったな」
アレクのがひらりと本棚に降り立ち、本を抜き取るとそのまま下へ落す。それを怜悧の触手が器用にキャッチ。
「凄いとは聞いていたけど……いやいや、アルダワにはいろんな学生さんがいますね」
そういって二人は引き抜いては落とし、それをキャッチしてを繰り返し運搬を行うのだった。
「ねぇねぇ。本の運搬はちょっと時間かかるようだし少し休憩しない?」
本が届く間、学生と共に待機していたテニエと志乃。テニエは学生の腕からするりと出て元の姿に戻ると休憩を提案する。
「えっ、でも……」
「確かにずっと根を詰めていても良くないですからね、休憩は必要ですよ」
それに少しの間だしね。と志乃もテニエの提案に乗る。
「私お菓子の国から持ってきたクッキー持ってきたんだよ。食べてほしいな」
「お菓子の国のクッキー? なんだかお伽噺みたいですね」
「ふふっ、アルダワだと滅多に食べれないお菓子だよ……味は折り紙付き。あっ、勿論食べたら体が大きくなったり小さくなる事は無いから安心してね!」
「それでは私はコーヒーを用意しましょう。きっとクッキーにも合うはずですよ」
「えっとじゃあ私もお手伝いしますね」
「長時間座って疲れたでしょう。軽く体操しててもらえるかな」
「……はい、わかりました!」
そうと決まればと3人はティータイムの準備を始める為に席から腰を上げたのだった。
●
「……ヴィクトリカさん、どうされたのですか!?」
怜悧が本を探すついでにと教授たちの様子を見ようと歩を進めていると、廊下に倒れこむヴィクトリカ・ライブラリア(二等司書・f24575)の姿を見つけた怜悧は慌てて彼女を抱き上げる。
数十秒後、ヴィクトリカが紫色の目を覗かせると怜悧はほっとして息をつく。
「お体が悪いのですか? それなら無理せず……」
「違います、違うんです……!」
ゆっくり体を起こすとヴィクトリカは少し困った顔をしながら落ちていた本を取り、恥ずかしそうに本で顔を隠しながら説明を始めた。
曰く、今回は教授のサポートをするだけで本は読まないつもりだった。だが指定された本を探すうちに、本棚を歩いていく内に何やら声が聞こえてきたのだという。
「『私を読んでー』『面白いよー』『りーどみー』と……本が、そう、囁いて」
「……あー……」
それは幻聴では?というツッコミが喉まで出たがぐっと飲みこむ。
そしてヴィクトリカは声が聞こえた本のうち、植物関係のものをピックアップ。そしてユーベルコードを使い本を一気読み。その反動で昏睡状態になっていたのだという。
「最初は我慢してたんですけど……抑えきれなくて……つい」
えへ。と首を傾げるヴィクトリカに怜悧は肩をすくめたのだった。
教師が本を読み進める中、傍に控えている月宮・ユイ(月城紫音・f02933)はぐるりと辺りを見渡す。
(大図書館とはこんな場所もあるのですね)
教師が使っている机の前に後ろにも本棚が整然と並べられており、あまりの本棚の多さは迷宮を作る役割も担っている。
(負荷がかかる以上、先生も長くは活動できない……負荷があるところはやはり迷宮と言えましょうか……ならば効率の良い時間を提供しなければ)
ユイは教師の背中を見つめているとやがて教師は一つ伸びをした後にぐるりと彼女の方を向いた。
「キミ、すまんがこれらの本を持ってきてくれんかね」
「分かりました」
教師からリスト受け取ると迷宮図書館に散らばる人形に指示を出す。
その本に近い個体が本を引き抜き、近くの個体へと手渡す。その個体がまた近くの個体へとバケツリレー形式で本をユイの元へと送っていく。
「これらで良かったでしょうか」
「おう……うむ、これであっておるぞ。早くて助かるわい」
本を渡す際にユイの視界に教師の前に開かれている本が入った。
そしてユイは見た。現代では使われていない文字で認められているため文章は読めなかったが、本にはセピア色で描かれた花の絵を。
「……先生、それは」
「おおっ、これか!? これはシダ植物なんじゃが珍しい事に胞子で増えるのではなく花を付けて実で増える……」
「趣味に走ってないですか?」
「うっ……」
淡々とした口調で指摘された教師は図星だったらしく言葉に詰まらせる。
「ただいま戻りました」
本を抱えたヴィクトリカと数冊の本を触手に持たせた怜悧が二人の元へと戻ってきた。
「怜悧さんあちらの様子はどうですか?」
「今のところ問題は無いですね。むしろ彼女の読むスピードにこちらの本を供給する時間が負けている位だよ」
「なるほど問題が無いようで安心しました……そして、ヴィクトリカさん、しばらくの間姿が見えませんでしたが、お体の調子がどこか悪いのですか?」
「い、いえいえ大丈夫ですよ!……それで先生、この本についてなんですが」
ヴィクトリカが持っていた本を広げる。図鑑だろうか、一面に色とりどりの植物が描かれている。
「ヴィクトリカさん、そういうのは……あれ、これって」
ユイが諫めようとするが、すぐに気づいた。
「ほう、これは……もしかしてここに来る間に見た植物に関係するかもしれないのぉ」
それはユイが、猟兵達が大魔王第二形態と戦った際の空間に繁茂していた植物の数々と似ていた。
「ここはどういった内容で?」
怜悧もそれに乗る形で教師に質問を重ねる。
「ふむ、これは……なるほど、ファーストダンジョンと何か関係があるかもしれんのぉ」
そう議論を深めながら彼らは本を読み進めるのだった。
●
「ふぅーお疲れさま!」
活動限界時刻間際、テニエは一つ伸びをする。
そこには猟兵達、そして教師と学生が集合していた。
「お疲れ様、ありがとう……疲れてないかい?」
「大丈夫です! お、おかげさまで読み進める事が出来ました……!」
「うむ、見たことない植物の情報を得られて満足じゃわい……いや、ちゃんとダンジョンに関することも調べたぞ?」
志乃の身を案じる声に学生と教師は少し疲れたようだが嬉しそうな声色で答える。
今回協力して集めた情報は上で精査し纏めた物を近いうちに猟兵達に渡すらしい。
「役立つ情報があると助かるなぁ」
「ふふ、期待していてください!」
テニエの声に学生は少し自信ありげに答えてみせる。
「それじゃあ皆戻るぞ。此処もどうだがここ出れば災魔がごまんといるからな」
アレクの声に従い、猟兵達と教師、学生は一度ファーストダンジョンを出るために迷宮の外へと足を向けるのだった。
大成功
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