アルダワ魔王戦争4-C〜映画でよく見るアレ
●――迫り来る脅威
「やーやー、お集まりいただきましてどうもどうも♪」
にこやかに現れたのは望月・鼎。
今日も無駄にテンションが高い。
「皆さんのお陰で迷宮もだいぶ奥まで進んできた感がありますね! 今回皆さんに進んでいただきたいのは此方です!」
持ってきたホワイトボードには無駄にアニメ調な崖と、その上に掛けられた巨大な吊橋が描かれている。
今回の主戦場はこの吊橋なのだろう。
「お、流石皆さん鋭いのです! 今回はこの吊橋を通り抜けて向こう側へ渡れる様にしていただきたいのです!」
向こう側へ渡れる様に、とは如何言う事だろうか。
そんな疑問を胸に首を捻っている猟兵達に、鼎は説明を始める。
「この吊橋ですが、何か不思議なパゥワァーと言うか特殊な呪いが掛かっていまして、上空を飛んだり跳び越えたりが出来ない様になっています。向こう側へ行くには吊橋に足を付けてぺたぺた渡らないとダメみたいですね。更に更に、この吊橋から落ちたら猟兵でも死にます。なので万一に備えて此方で落ちた方はグリモアベースに転移させますけど……まぁ、戦場には戻れません。ゲームオーバーってやつですね」
鼎はペンで落下する棒人形にバッテンを付け髑髏マークを描き足していく。
「なので吊橋から落ちないように、上手く戦う為の工夫が必要です。幸いちょっとやそっとじゃ吊橋は壊れたりしないので、兎に角落ちない様に、追い込まれない様に立ち回るのが良いです。その辺の戦術は皆さんにお任せですが、どうかお気を付けて。それと今回の相手なんですが」
そう言うと、鼎は何処から取り出したのか、掃除に使うコロコロを構えた。
そのまま吊橋の絵の上を走らせる様に動かす。
嫌な予感がしてきたらしい猟兵達の気配を察知して、鼎は苦笑いを浮かべる。
「えー、今回のオブリビオンは整地用ローラーみたいなやつです。考古学アクションな映画屋ゲームではよく見るシーンが有りますよね、主人公が坂に差し掛かったら大岩や大玉やローラーなんかが転がってきて『やべやべやべぇ!!?』って言いながら逃げていくやつです。あんな感じに迫ってきますので、如何にかこのオブリビオンの軍勢を蹴散らしてください」
鼎の軍勢、と言う台詞に何人かが顔を顰めた。
「お、気付いちゃいましたね? そうです、こいつらはいっぱい転がってきます。落ちてはいけない吊橋の上と言う限定された戦場でどう立ち回るのか……皆さん、頑張ってくださいな♪」
一ノ瀬崇
ああ言う大岩って何が切欠で転がる様に仕掛けられたんですかね。
こんにちは、一ノ瀬崇です。
今回は吊橋の上での戦いですね。
吊橋の上から落ちない様に如何戦うか、その工夫次第では戦闘を有利に進められるでしょう。
皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『エゴコンダラー』
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POW : 展延であれ
【圧し潰されて平たく伸ばされた物や者】を披露した指定の全対象に【コミカルな状況に緊張感を削がれた慢心の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD : 平滑になれ
【全てを平らにするという自身の存在意義】を籠めた【転がって轢く事】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【形状…厚み】のみを攻撃する。
WIZ : 平坦よあれ
【転がり】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【や障害物を圧し潰して平らにし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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ミア・ミュラー
また、橋がある。ここはあんまりぐらぐらしてないみたいだけど、落ちないように気をつけないと、ね。
吊り橋が丈夫なら、わたしは【ガラスのラビリンス】で作った迷路を橋の上に乗せて、コロコロが来ないようにしよう、かな。橋の幅と迷路の入口を同じにして、もちろん出口は奈落の、底。迷路の幅は広めにして、コロコロが詰まらないようにした方が、いいかな。あとは、曲がりやすいようにコーナーは直角じゃなくて丸くしておく、ね。
ダンジョンと言えば、迷路。普通に突破してもゲームオーバーの、難しいモードだけど、頑張って、ね?
迷路を潰されて突破されちゃっても、転がってくるコロコロの横からプリンセスハートをぶつけて、橋から落とす。
鈴木・志乃
あああああ
いじめか何かかこの状態はあああああ!!!(絶叫)
【高速詠唱】で出来た魔法の縄を【ロープワーク】の要領で橋に縛り付けるよ!!!
これしか思い付かねぇ!!こっちくんなコンダラ!!!
UC発動
こっちに向かってくるだけなら魔法のトランプでぶったぎってしまうのみ!
【念動力】でカードの束全部操り速度を殺すように、転がれないように切断! ついでに【鎧砕き】できる魔改造ピコハンもびゅんびゅん飛ばして粉砕するよ! あぶねーんだもんだって!!
はい念の為【オーラ防御】展開
こっちにコンダラ来ちゃったら【全力魔法】の【衝撃波】で吹っ飛ばす!!
こういう危険なのは勘弁していただきたい!!
神宮寺・絵里香
●心情
・ああ、成程。飛べない上に戦場が吊り橋限定か。理解した。ならば、戦い方を変えるとするか。地形を生かせるのは敵だけではないことを分からせてやろう。
・ま、呪いだなんだは義娘で慣れている。問題はない
●戦闘
・高速詠唱からUCを発動。敵が転がって来るという事はこの橋は敵の横幅よりは少し広いという事だ。ならば、橋を吊っている部分を除いた場所は底なし沼にしても問題ないわけだ。
・水のブレスを広範囲に、吊り橋に向けて放つ。すると、その部分が底なし沼になる。飛んだり跳ねて避けられないんだろ。じゃあ、沈め。
・落ちちゃいけないのはお前たちも一緒だったな。
・敵の軍勢が大人しくなったらUCを解除して元に戻す
ワズラ・ウルスラグナ
狭い通路と転がる大岩か。
抜け穴横道で回避が定番だが、正面突破を挑めるのが猟兵の好い所だ。
先ずは吊り橋の広さと強度を確認し、戦闘時の手加減の目安にする
その後は橋の端を渡る
『戦獄龍障鱗』で創り出した黒龍の幾らかを俺の落下防止に当て、残りは前方に固めて盾とする
俺自身は尾でバランスを取り、飛べん翼で橋を掴んで安定感を増しつつ進む
敵のユーベルコードだが、残念ながら慢心はしない
むしろ滾る
轢き潰されるかどうか、手に汗握ると言う奴だ
盾の黒龍共は敵を止めるだけでなく、左右片側だけ押し止めて敵の進行方向を変えさせる
上手く行けば向こうが橋から落下するだろう
必要なら俺も戦う
押し返して後続とぶつけ合わせるのも面白そうだ
ネリー・マティス
つりばしの上で!いっぱいのローラー!ここは……逃げない!!【がっぷりよつ】で正面から受けるよ!!ローラーを次々に受け止め【怪力】で穴に【投擲】!どりゃーーー!ぽいぽいぽい!【地形の利用】をした戦術だ!
(落として数を減らしていくが、一体ずつの投げ飛ばしでは限界があり数に押されていく)
うぐぐ……
……
あっだめかもっふぎゅう!むぎゅ……!
(大量のローラーに伸ばされ巨大な四角型のペラペラになる)
ふにゅう……ま、まだまだ……どっせーーーい!
(【気合い】で体をひらりと持ち上げ体の上のローラーをまとめて落とす!)
おっ!これはいけるね!ペラペラになっても、どんどん落としていくからね!かくごしろー!
卜一・アンリ
あら、銃を抜く必要すらないわ。
要は道を譲って頂ければよろしいのでしょう?
(フィンガースナップ一つ鳴らして)
UC【ガラスのラビリンス】を敵だけを巻き込むように展開。
構造は単純、『出口が橋の外へ続く』ように一本道。
後は敵が迷路を進んで奈落に落ちるのをガラス越しに見てるだけ。
必要に応じてスナップ鳴らしてUCの解除・再展開をしながら優雅に歩を進めるといたしましょうか。
万一突破されたら【ジャンプ】で飛び越すわ。
オウガの腕の下を潜るより簡単でしょう。
【アドリブ歓迎】
地下迷宮アルダワ。
順調に進んでいく猟兵達の行く手を遮ったのは断崖絶壁に架かる大きな吊橋。
「また、橋がある。ここはあんまりぐらぐらしてないみたいだけど、落ちないように気をつけないと、ね」
軽く床板を靴底で蹴って強度を確かめるミア・ミュラー。
不安定と言えば不安定であるが、覚束ない程の揺れに悩まされる事は無さそうだ。
「ああ、成程。飛べない上に戦場が吊り橋限定か。理解した。ならば、戦い方を変えるとするか。地形を生かせるのは敵だけではないことを分からせてやろう」
顎に手を当ててふむ、と一つ頷く神宮寺・絵里香。
普段は八艘跳びも斯くやと言う様子で戦場を駆け抜けている彼女だが、今回は罠を仕掛ける方向で攻めるらしい。
「狭い通路と転がる大岩か。抜け穴横道で回避が定番だが、正面突破を挑めるのが猟兵の好い所だ」
愉しげに口の端を吊り上げているのはワズラ・ウルスナグナだ。
誤魔化しの利かない正面からの圧し合いを挑んで勝つ、と言う豪快な楽しみを見出しているらしい。
「つりばしの上で! いっぱいのローラー! ここは……逃げない!! 【がっぷりよつ】で正面から受けるよ!!」
テンション高く鼻息荒く、気合十分なのはネリー・マティス。
力勝負ならばそんじょそこらのオブリビオンには負けない自信が有るようだ。
「あら、銃を抜く必要すらないわ。要は道を譲って頂ければよろしいのでしょう?」
ホルスターに銃を納めたまま、卜一・アンリは吊橋の先を見遣る。
暗がりの向こうから、徐々に大きくなる影。
「あああああいじめか何かかこの状態はあああああ!!!」
猟兵達の最前列で一人絶叫するのは鈴木・志乃だ。
オブリビオンを迎え撃つ為に最も動き易いのが一番槍のポジションだったので、彼女は吊橋の中程まで進んでいた。
ごろごろと転がりながら迫ってくるオブリビオンのプレッシャーに早くも押し潰されそうになりながら、彼女は何処からともなくトランプを取り出す。
「こっちくんなコンダラ!!!」
自身の身長を易々と越える大きさのものが転がってくると言う恐怖を抑え付けながら、ユーベルコード【魔法のトランプ】を発動。
トランプを一列に並べ、念動力で操りオブリビオンへと放つ。
転がってくるものを一番効果的に止める切断方法は、やはり中心を捉えて断ち斬る事だろう。
横一文字に割断され、先頭を転がってきていたオブリビオンは上半分を橋の上に滑らせ、下半分を明後日の方向へ飛ばして落ちる。
橋の上に残った上半分は後続のエゴコンダラーに圧し潰されてのっぺりと平たく伸ばされるが、流石に両断されては身体も持たないのか直ぐに灰になっていった。
トランプを巧みに操り次々と撃破していく志乃だったが、徐々に押し上げられていく。
七体程倒し終えた辺りで潮時だと、魔法の縄を作り出し片方を自身の腰、もう片方を仲間側の橋の支柱へ投げて括り付ける。
「手伝おう」
「引っ張るよー!!」
ワズラとネリーが、伸びてきた縄を掴み離脱の手助けをする。
怪力自慢の二人と有って、志乃はエゴコンダラーに轢き潰される事も無く無事に此方側へと戻ってくる。
「ああああああああ!!?」
「はい、キャッチ!!」
物凄い勢いで引き寄せられジェットコースターよりも刺激的な低空の旅を満喫した志乃をネリーがしっかりと受け止める。
橋の上に降ろされた志乃だったが、予想以上に強烈な体験だったのか膝はぷるぷると震えていた。
「こういう危険なのは勘弁していただきたい!!」
「あっはっは、大丈夫だよ!」
「うむ、心配は要らん」
呵々と笑う二人へちょっぴり恨めしげな目を向ける志乃。
救出の手助けをしてくれたのは有難いがもう少し大人しい方がお好みだったようだ。
ともあれ志乃が退き空いた所へ絵里香が仕掛ける。
「いと深き深き湖沼の主、大いなる水を司りし白蛇の神よ! 汝が住処をここに顕現させよ!」
ユーベルコード【白蛇神域】で呼び出されたのは神々しさを放つ白い蛇。
首を擡げた白蛇は大きく口を開き、水球を吐き出す。
飛ぶ先は橋の上。
弾ける水が橋の床板を濡らしたかと思えば、その部分が彩度を失っていく。
その上をエゴコンダラーが踏んだ瞬間、巨体がずぶりと沈み込んだ。
「おぉぉ?」
突如橋の中へ沈んでいくオブリビオンを見て、ネリーは困惑した声を上げる。
頭の上にはハテナが三つくらい浮かんでいそうな様子だ。
「敵が転がって来るという事はこの橋は敵の横幅よりは少し広いという事だ。ならば、橋を吊っている部分を除いた場所は底なし沼にしても問題ないわけだ」
「うん」
「水のブレスを広範囲に、吊り橋に向けて放つ。すると、その部分が底なし沼になる」
「なるほど! 即席の落とし穴の罠だ!」
「下手に足を踏み入れるとこっちも沈むからな、気を付けておけ」
事も無げに説明しつつ、絵里香は沈んでいくオブリビオンを見遣る。
先頭の個体から順調に沈んでいくが、次から次へと押し寄せてくるエゴゴンダラー達は沈んでいく仲間を踏み台にしながら徐々に前へ前へと進んでくる。
個々の集まりと言うよりは軍勢に近い気がしてくる。
例えるなら兵隊蟻に似た無機質さと統制。
「ま、乗り越えてくるなら次の手だ。出番だぞ」
絵里香の声に頷き、ミアとアンリが前に出る。
「ダンジョンと言えば、迷路。普通に突破してもゲームオーバーの、難しいモードだけど、頑張って、ね?」
「それじゃ楽しんでもらいましょうか」
ミアが『スートロッド』を構え、アンリがフィンガースナップを一つ鳴らす。
二人が選択したのはユーベルコード【ガラスのラビリンス】だ。
橋の上に透明なガラスで出来た迷路が出現し、オブリビオンの行く手を阻む。
構うものかと勇んで迷路に挑戦する彼等だが長い通路をごろごろと転がされてひたすらに回り道。
途中で詰まってしまわぬようにと曲がり角は丸くカーブを描いているのも心憎いポイントだ。
おまけに通路の一部は白蛇のブレスで飛び散った水で底なし沼が形成されており、少なくない数のエゴコンダラーが飲み込まれていく。
やっとの思いで迷路を抜けても、出口は吊橋の左右に繋がっている。
見事迷路を突破しても行き付く先は奈落の底だ。
「こう言うの何て言ったかしら……レミング?」
「あ、それ迷信らしい、よ?」
「あら、そうなの」
談笑しつつオブリビオン達が次々に落下していく様を眺めていると、遂に数体が迷路を乗り越えてやってきた。
数は少ないとは言え直進だけで数々の障害を突破してきたその心意気には拍手を贈っても良いだろう。
「ほう、越えてきたか。善き哉善き哉」
「わたしの出番だね!! よっしゃー!!」
それを見て前に出るのはワズラとネリー。
共に好戦的な笑みを浮かべている。
「障害の名を持つ悪龍共よ、守るべきを守り、万事万物を阻め」
ワズラはユーベルコード【戦獄龍障鱗】を発動。
想像を具現化し幾体もの黒龍を呼び寄せ、自在に操っていく。
数体は自身の支え万一の際の落下防止に。
大半は前方に陣を組ませそれらを一つの盾とする。
「個にして全。其れ一個で軍団を成す黒龍との力比べだ」
実に滾る、と巨躯を揺らして前進するワズラ。
その隣ではネリーが四股を踏んで気合を入れている。
「正面からの力押しなら負けないよ! はっけよーい!!」
両足の裏に力を入れ、床板を踏み抜く心算で蹴り進みながらユーベルコード【がっぷりよつ】を発動。
全真に闘気を纏いながらエゴコンダラーへと突進していく。
「のこった! のこった!」
転がってくるオブリビオンの身体をがっしりと受け止め勢いを削ぐ。
ぶつかり合い互いに動きが止まった瞬間を狙ってネリーは岩石の様に硬く重いオブリビオンを、自慢の怪力で持ち上げていく。
「どぉりゃーーーー!!」
勢い良く崖下へと投げ捨てられたオブリビオン。
彼女はその姿を見送る事無く視線を前方へと戻す。
相手はまだまだいっぱいいるのだ。
「せいやーーー!!」
圧し潰そうと迫って来るオブリビオン達を次から次へとぽいぽいぽい。
正に怪力無双だ。
「うむ、実に頼もしいな」
彼女の活躍を視界の端に映しながら、ワズラはゆっくりと前進していく。
手始めにと向かって来たエゴコンダラーの側面近くに黒龍を伸ばして抑えに掛かる。
スキーのストックの様に抑えられた箇所を支点にして転がる巨体は徐々に曲がり始め、角度が十分に得られた所で黒龍の支えが失われる。
後は導かれる様に吊橋から落ちていく。
橋の真ん中近くから転がってきた相手はそのまま盾で押し返し、後続へと弾き返す。
「ぬん!」
かなりの衝撃が返って来るが、僅かに身体が揺れるだけで彼の姿勢は崩れない。
それもその筈。
彼は尾を伸ばしてバランスを取り、翼を広げて支柱を掴み、踵を床板に沈み込ませる様に体重を掛けている。
飛んだり跳ねたりと言った素早い動きは出来ないが、今回の様な不動を主眼に置いた戦場ならこの不動の構えを抜く事は先ず叶わないだろう。
弾き返された相手はと言うと、後続と正面衝突をして互いに弾き飛ばされ仲良く左右の崖下へと落下して行った。
善し、と思うも束の間。
何の偶然かネリーの側へオブリビオンが殺到していた。
「ちょっと数が多いかなーー!?」
負けじと豪快な投げを繰り出して相対している彼女だったが、数に押されて遂に圧し潰されてしまう。
「あっだめかもっふぎゅう! むぎゅ……!」
「む、いかん」
「援護を!」
透かさずワズラがフォローに回り、殺到するエゴコンダラーを弾いていく。
志乃もトランプを操り後続の足止めを行う。
序とばかりに魔改造を施し玩具とは呼べない破壊力を身に付けたピコハンも投げ付けてネリーの様子を窺う。
「うわぁ……」
「ふにゅう……」
ダメージでは然程では無さそうだが、その外見は非常にコミカルになっていた。
ペラペラに伸ばされて身長はちょっと大きくなったかもしれないが、横から見ると誰も居なさそうに思える薄さ。
「わわ、大丈夫?」
「昔のカートゥーンで見た事有る姿ね」
迷路を張り直しつつ心配そうな目を向けるミアと、何処か興味深そうに眺めるアンリ。
ギャグ漫画の様な姿と軽傷な雰囲気についつい『これなら別に大丈夫なのではないか』と慢心の感情が芽生えてくる。
その心の誘導もこのオブリビオンの攻撃の一部だ。
場合によってはとても厄介な効果となるだろう。
「痛打を与えられない様じゃお前等も終わりだな」
「ふっ、面白い。俺を真正面から轢き潰せるのか試してもらおう」
オブリビオン達にとって不幸なのはこの戦場に二人、修羅が居た事だろう。
多少の慢心なら飲み込み闘志と変え戦意を高揚させると言う、或る種のマインドコントロールを自身に行える人種だ。
寄って来る相手はワズラが力で弾き倒し、奥からやって来る相手は絵里香が底なし沼で沈めていく。
「ま、まだまだ……どっせーーーい!」
その時、潰されていた筈のネリーが気合で起き上がり自身を踏み行こうとしていたエゴコンダラーを持ち上げて放り投げた。
綺麗な放物線を描いて崖の暗闇へ消えていくエゴコンダラー。
手をぐーぱーと動かして身体の調子を確認するネリー。
「おっ! これはいけるね! ペラペラになっても、どんどん落としていくからね! かくごしろー!」
怪力無双、復活である。
迫り来るオブリビオンを千切っては投げ千切っては投げ。
放り投げられた身体に呪いが重く圧し掛かり、抵抗する暇も無く崖の底へと押し遣られる。
絵里香、ミア、アンリが防ぎ志乃、ワズラ、ネリーが攻める。
無尽蔵に思われたオブリビオンの群れも徐々に勢いを無くし、やがて最後の一体も崖下へと消えて行った。
「……如何やら打ち止めみたいね」
「お疲れ様、ね」
途中からは抜けてきた相手を『プリンセスハート』で狙い撃ちにしていたミアと、最後まで優雅な姿勢を崩さず迷路で篩に掛けていたアンリ。
目立った動きは無くとも、彼女達二人が仕掛けた迷路は相当数のオブリビオンを奈落へ突き落としていた。
ゴール即ゲームオーバーなアレを迷路と呼んで良いかは別にして。
「偶には絡め手も良いか。楽だしな」
汗一つ掻かずに吊橋に広がった底なし沼を解除していく絵里香。
果たして底なし沼は何処へ繋がっているのか。
その疑問はオブリビオンと一緒に沈めて置いた方が良いのかもしれない。
「あー、疲れた……」
「まぁまぁ楽しめたな。次はどんな敵が待ち構えているのやら」
「どんな敵が相手でもわたしは負けないよー! あ、戻った」
出だしから色々とハイマックスだった志乃は疲れを顔に滲ませて座り込んでいる。
その左右で暴れ足りないとばかりに笑っているワズラとネリー。
まだまだ余力は有りそうな辺りは流石と言うべきか。
ともあれ見事オブリビオンの群れを蹴散らした猟兵達。
愈々近付いてきた決戦の気配に、改めて気を引き締めるのであった。
大成功
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