アルダワ魔王戦争3-D〜ワイルドキング・オブ・ビースト
アルダワ地下迷宮『ファーストダンジョン』の一区画、巨大な大樹を中心とした森林地帯に獰猛な獣の大魔王が君臨していた。
その獣は知恵をつけ、言葉を用いて感情を吐露する。
「来るがよい、知性体共よ……! 貴様らは蒸気と魔法でこの世界を侵略し、獣や草木を蹂躙した! 俺は物言わぬ者達の代弁者として、汝らを喰らい、引き裂いてやろう!」
と、ここでふと大魔王は考え込んだ。
「……ん? なんだ俺の今の言葉は? 知恵の赴くままに喋ってはみたが、人間に負けた獣や草木が悪いのでは? どうやって物言わぬ奴らの代弁をするのだ?」
首を傾げるも、その答えは出ず。
やがて大魔王は大きく頭を振った。
「いかんな、無駄な知恵は白痴と変わらん。 使い慣れぬ武器は程々にして、俺は只々、暴力に勤しむとしよう……!」
その爪が、牙が、己の存在理由だと誇示するために。
「またまた大魔王との決戦だよっ! 今度は第二形態っ! 獣人型だよっ!」
蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)は頭上に浮かぶグリモアから、大魔王第二形態『レオ・レガリス』の姿を投影しながら、集まってくれた猟兵たちへ任務内容を伝達する。
「前回の第一形態同様、最終形態との決戦には、それ以前の形態の大魔王の打破が避けて通れないんだよっ! 最終形態の大魔王はバリアで守られてて、その解除フラグが今回の戦いの一端を担っているよっ! だから今回も厳しい戦いになると思うけど、しっかり大魔王の先制攻撃への対策を講じて、絶対に勝ってほしいなっ!」
今回の大魔王は獣人型らしいが、ユーベルコードはどのようなものなのだろうか?
その問いにレモンは険しい表情のまま語った。
「前回の第一形態は三者三様って感じだったけど、今回はわかりやすく暴力に特化したユーベルコードのようだねっ! 知性体を喰らいたいと渇望することで巨大化したり、からあの身体部位のひとつに魔獣の頭部を生やして此方のエネルギーを喰らいついてきたり、一瞬で繰り出される爪の連続攻撃によるダメージで恐怖心を煽って戦意喪失させてくるよっ!」
なるほど。シンプルな力押しだが、その分、生半可な対策では突破されやすいだろう。
「大魔王が先んじてユーベルコードを使うってことは、此方の攻撃を繰り出すためには妨害や技術、そして知略を駆使して隙を作る必要があるってことだよっ! それは充分に留意してねっ?」
レモンは猟兵たちに注意を促すと、グリモアによる転送準備に入った。
「知性を捨てた魔獣の王に鉄槌を与えられるのは、猟兵であるみんなだけっ! だから、なんとしてでもこの戦い、負けないでね……っ!」
七転 十五起
なぎてんはねおきです。
本シナリオはアルダワ魔王戦争シナリオです。
敵は大魔王第ニ形態『レオ・レガリス』、つまり強敵です。
難易度も『やや難』に設定されており、それ相応の判定とプレイング精度が求められます。予め、その点を御理解の上でご参加下さいますようお願い致します。
戦場はオープニングの通り、深い森林地帯。
地の利は大魔王にありますので、ご注意下さいませ。
このシナリオのプレイングボーナス:『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
敵のユーベルコードは、猟兵側の使用するユーベルコードの種類に対応して使用されます。
猟兵側のユーベルコードの複数回使用は、敵のユーベルコードの使用回数をそれだけ増やすことになりますので非推奨です。
また、状況的に不可能な先制攻撃への対処法や、公序良俗に反するプレイング内容と判断した内容は、却下対象とさせていただきますので、此方もご了承願います。
コンビ、チームなど複数名様でのご参加を検討される場合は、必ずお相手の呼称とID若しくは【チーム名】を明記していただきますよう、お願い致します。
(大人数での場合は、チームの総勢が何名様かをプレイング内に添えていただければ、全員のプレイングが出揃うまで待つことも可能です)
よろしければ、御一考下さいませ。
それでは、皆様の挑戦をお待ちしております!
第1章 ボス戦
『大魔王第二形態『レオ・レガリス』』
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POW : 巨大なるもの
【知性体を喰らいたいという渇望】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : オールイーター
自身の身体部位ひとつを【あらゆるエネルギーを喰らう魔獣】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : 王たる脅威
【一瞬のうちに繰り出される爪の連続攻撃】を披露した指定の全対象に【攻撃のダメージに応じた大魔王への恐怖の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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ソラスティベル・グラスラン
姿こそ大きく変わりましたが、感じる力は間違いなく大魔王
退くことは許されません…我々は、勇者なのだから!!
知性を持つ者に対する食欲
ならばわたしも知性を捨て!『勇気の獣』となります!
【盾受け・オーラ防御】で守り、【怪力】で受け【見切り】受け流す
受け流した瞬間、その獣の如き巨大な胴体の下へ飛び込む
捨てた知性を補う【第六感】で敵の動きを読みとって
目的を極限に絞る、大斧を叩き込むことのみに
頭で考える言葉は三つだけ
【勇気】、【気合い】、根性!!
思考を単純化し、鋭化
知性を落とし魔王の渇望を弱くする
前へ、只管に前へ、この大斧が届くまで
応えて、蒼雷の竜よ
我が【勇気】は、奇跡を呼び寄せるーーーッ!!!
アーロン・フェニックス
アレが魔王……ワイルドだね。実に暴力的で悪くない。
●P
《不退転》を噴かし『ダッシュ』《福音》で木々を蹴り軌道を変えて『空中戦』
足を止めないで側面を取る。正面は言わずもがな背面は尻尾や後ろ蹴りが怖いもの。
なんて巨大なんだ……どこに撃ち込んでも当たる嬉しい的じゃないか!
《光明》《天照》での砲撃は脚部関節へ集中、障害となる木もついでになぎ払う。
はは、君の友達も一緒に吹き飛ばしてあげるよ!
(UC発動、火力を引き上げてゆく。
物言わぬモノの代弁って言ってたけど、動く度に蹴飛ばして踏み潰してないかな。それ、すっごく好いよ! 俺と君とどちらがこの森を壊せるか、試してみようか? 壊し合いながらさあ!
アドリブ歓迎
ルード・シリウス
喰らいたい…か、奇遇だな。俺もお前を喰らいにきたんだ
ただ、一つ言うなら…
獲物を喰らう為、力を最大限に活かす為に、知恵が必要だぜ
外套と靴の能力で気配と音を消し、残像を要所要所で囮に置きながら、大樹方面へと移動。どの程度効果が有るかは分からねぇが、血晶飴を残像の側に置いていく。固まってるとはいえ、こいつは血の塊だ。
それに、こっちの匂いも気付く可能性があるだろうが、それも加味してだ。餓えは理性を失わせる…だから、そいつを利用する
奴を上手く大樹方面へ誘き寄せれたら、神喰と無愧を携えて【真名】発動。
向こうの攻撃を見切りと残像で凌ぎ、二刀で受け流しながら死角を取って上へと飛び乗り、二刀を突き立て斬りつける
鬱蒼と生い茂る森林の中、猟兵たちは周囲を探索し始めた。
ここが迷宮の中だとは忘れるくらい、この区画は自然豊かで生命力に溢れていた。
だが、その探索もあっけなく目的が果たされてしまう。
「GAAAAAAAAAAAAAAA!」
森全体が震えるほどの大咆哮!
間違いない、大魔王第二形態『レオ・レガリス』が猟兵の侵入に気が付いたのだ!
途端、猟兵の目の前の巨木が何者かになぎ倒されて吹き飛んでゆく!
「見付けたぞ、猟兵共! 早速だが、まとめて汝らを喰い殺してやる!」
大魔王の身体がみるみるうちに巨大化!
「知性体を喰らって、俺は知恵を付ける! ん? いや、今は知恵をつけるために知性を捨てるべきだったか!?」
自分の発言の意味が判っていないのか、矛盾するような発言を口にする大魔王。
巨大な暴君を前にして、猟兵達は各々の手に武器を持って構えた。
「姿こそ大きく変わりましたが、感じる力は間違いなく大魔王! 退くことは許されません……。我々は、勇者なのだから!!」
夕焼けのように橙に燃えるような髪を振り乱しながらソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は、全身に気合を漲らせる。
一方、デッドマンのアーロン・フェニックス(アーロン・ザ・テンペスト・f24438)は、険しい表情を変えずに大魔王を見据える。
「アレが魔王……ワイルドだね。実に暴力的で悪くない」
その背に背負うのは超兵器と言う名の罪か、それとも罰なのか。
「僕は勇者を名乗るなんておこがましいだろうけど……この『衝動』が役に立つというなら、僕は誰よりも暴力的になろう」
彼は《テンペスト》と呼ばれた兵団の最後の一人。ここに姿を見せたのも、戦闘の気配に引き寄せられたからだ。己の『衝動』をぶちまけるために。
そんなアーロンへ、ある種の親近感の眼差しを向けるのはルード・シリウス(暴食せし黒の凶戦士・f12362)。
彼は『世界』を食らう呪われた狂剣士だ。
「ハッ、なんか似たような気配を感じると思えば、なるほどなァ……さしずめ『破壊者』ってところか?」
ルードはニタリと口元を歪ませ、白と黒の呪剣を両手に携える。
「よォ、糞獣。俺を喰らいたい……か、奇遇だな。俺もお前を喰らいにきたんだ。ただ、一つ言うなら……」
たんっ、と地面を蹴ると、ルードは森の木々の間を高速で駆け抜けてゆく!
「獲物を喰らう為、力を最大限に活かす為に、知恵が必要だぜ?」
「WRYYYYYYY!」
巨大化した大魔王の4本の脚が、森を蹴り飛ばしながらルードを踏み潰そうと地団駄を踏む!
だがルードは身につけた幻影の外套と音無しの靴の効果で、森の中へ溶け込み、足踏みから難を逃れる。
加えて、デコイとして自身の残像を至るところへ『置く』ことで、知性を失くした大魔王の無駄な攻撃を誘発させていた。
この隙に、ソラスティベルとアーロンもすぐさま用意していた先制攻撃の対策を講ずる。
「知性を持つ者に対する食欲、凄まじいですね! ならばわたしも知性を捨て! 『勇気の獣』となります!」
ソラスティベルはスチームシールドを真上に構え、更に盾を中心としたオーラ障壁を展開。
そのまま、天空から降り注ぐ流星がごとき大魔王の獣脚の踏み潰しを真上から受け止める!
「こ、の……っ!」
彼女の持てる全身の筋肉が悲鳴を上げるも、筋力を凌駕するほどの精神力……つまり勇気で踏み止まり、真横へ圧力を逃して受け流した!
対して、アーロンは背部推進器《不退転》から推進力エネルギーを噴射すると、虚空跳靴《福音》で木々を蹴り、大魔王の巨体へジグザグに上り詰めてゆく。
そのまま側面へ回り込むアーロン。
正面と背後は、四脚による蹴りの恐れがあると予測したからだ。
それでもなお、アーロンは大魔王の顔まで手を届かすことすら敵わない。
「なんて巨大なんだ……どこに撃ち込んでも当たる嬉しい的(まと)じゃないか!」
背中から熱線砲〈天照〉と電磁投射砲《光明》の砲口を、上り詰めた木の上から大魔王の足元へロックオン!
「はは、その脚が邪魔だね。関節を撃ち抜くよ。ついでに君の友達も一緒に吹き飛ばしてあげるよ!」
両兵器から熱と雷が大魔王の前脚の関節に命中、するかと思われたその時だった。
アーロンの目の前に迫る大魔王の左腕!
「喰って、喰ってやる! 汝らを、掴んで! 喰ってやる!」
「何だって……っ!?」
確かに動きを止めるのに、脚部柄の攻撃は有効だ。
しかし、上半身への警戒も同時にするべきだったと言えよう。
爪の攻撃ではないにしろ、大魔王はその手で獲物を掴んで口元に運ぼうとするのは当然の所作!
「間に合え! ぜんぶ、な く なって しま え」
だが、アーロンにとってはこの状況は好都合であった。
自身の危険、周囲への被害を厭わぬ事を代償に、自身の背負う両兵器の封印を解除するユーベルコード『哭いて歓べディザスター(アーロン・ザ・ディザスター)』が発動する。
その効果は、超兵器をアーロン自身の『願望(さつい)』を現実化する『願望兵器』へと改造すること!
迫る大魔王の左手へ向けて、アーロンの禍々しき『願望』が閃光となって今、放たれた!
大魔王は自身の左腕を貫く光に、何が起きたのか理解できなかった。
気が付いたときには、その左腕は跡形もなく消滅していたのだ!
「GAAAAAAAAAAAAAAA!?」
激痛のあまりに暴れ、森の木々を踏み荒らしてゆく大魔王!
その光景に、アーロンは愉悦の声を漏らす。
「物言わぬモノの代弁って言ってたけど、動く度に蹴飛ばして踏み潰してないかな。それ、すっごく好いよ! 俺と君とどちらがこの森を壊せるか、試してみようか? 壊し合いながらさあ!」
アーロンは狂喜しながらトリガーハッピーめいて大魔王へ砲撃を再開!
そのやり取りに、地表で大魔王の脚を掻い潜り続けているソラスティベルが焦燥する。
「巻き添えになるのはごめんですね。って、いけません。今はこの巨体に大斧を叩き込むことのみを考えなければ!」
ソラスティベルの脳内ニューロンがアドレナリン大量分泌によって活発化!
「勇気、気合、根性……大魔王を、叩き斬る!」
砲撃で精細さを欠いた何度目かの足蹴を、第六感と竜人に残された獣性の勘をもって盾で弾き返す。
その時、彼女の全身に蒼雷が迸る!
そのまま大魔王の足元へ潜り、腹の下へ猛然と駆けてゆく。
(前へ、只管に前へ、この大斧が届くまで! 応えて、蒼雷の竜よ!)
ソラスティベルの両手に蒼雷の大斧が顕現し、大魔王の腹へ向けてカチ上げた!
「我が勇気は、奇跡を呼び寄せる―――ッ!!!」
「WOOOOOOOOOOOOOO!?」
ユーベルコード『我が名は神鳴るが如く(サンダラー)』!
豪雷一閃、腹を割かれた大魔王は、その身を翻して退いてゆく。
向かった先は、この区画の中心部である大樹の元。
その方角から、なにやら血の匂いを感じる大魔王。
「血の匂い……知性体の肉、喰い物の匂いだ!」
大魔王は傷を癒やすべく、その匂いに誘われて方向転換。
木々を押し退け、辿り着いた先には、ルビーのように赤く輝く血で出来た一口大の紅い飴がばら撒かれていた。
「肉、じゃない!? だが、これでも食べれば少しは……!」
大魔王が這いつくばって血晶飴をかき集めていると、茂みに潜んでいたルードが飛び出してきた!
「やはりな。飢餓は知性だけでなく理性すら喪わせる……。おかげで随分と喰らいやすい体勢になってくれたぜ」
ルードは両手に握るそれぞれの魔剣に語り掛けた。
「我が渇望と血の下に真なる姿を示せ、暴食と呪詛の剣。神も魔王も等しく喰らい尽くし、奴等の世界を果てまで蹂躙するぞ」
すると、暴食剣『神喰』と呪詛剣『無愧』の形状が、更に禍々しく変貌を遂げてゆき、無敵の上位存在すら食い殺す魔剣の真の力を解放!
「真名・神喰無愧(プリミティブ・グラトニーエッジ)! さあ、神殺し……いや、大魔王殺しだ! 俺に喰われて糧となれ!」
大魔王の背中に飛び乗ったルードは、二振りの魔剣を、その身に何度も突き付け斬り付け、野性味溢れる大魔王の生命力を喰らい続ける!
「GYAAAAAAAAAA!」
意識の外から急襲された大魔王は、恐慌状態のままルードを振り落とすと、手負いのまま大樹の方向へと逃げてゆくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
クリューラ・センティファ
地の利は敵にある……ならそれを逆用します。
「シルバースノー」展開。「レーダーシステム」と併用して敵の動きと周囲の森林の地形を三次元的に「サイバーアイ」に投影。木々の間を縫って攻撃の間合いに入らない様に円周移動。
噛み付きは近接攻撃。木を遮蔽にして凌ぎます。
油断はしません。樹を薙ぎ倒す等、遮蔽無視して攻撃されたら「ハードジャケット」のスラスター全開で緊急離脱。攻撃の予備動作を見逃さない様に。
凌げたら【アカシックブラスト】。予知で敵の動きを読み「多弾頭ミサイル」を【一斉発射】。遮蔽を迂回させ、敵の避ける位置へ【誘導弾】で確実に全弾叩き込み、着弾後【2回攻撃】、「マテリアルランチャー」で追撃です。
シズホ・トヒソズマ
転移前にスペースを作っておいたユングフラウの中に着用者を隠し
リキッドメタルを人型にした物を◆変装で着用者に見せかけ上に被さる
メタルの中には◆マヒ毒を全体の内部に蓄えておきます
デザイアキメラを◆早業でのリキッドメタルの操作で◆操縦し
攻撃を◆オーラ防御バリアで◆盾受けします
敵に防御を抜かれて身体に噛み付かれたなら
マスク状態で浮遊し着脱
噛み付かれた瞬間メタルのエネルギーが吸われ形を保てなくなり液体に戻る
すると中の毒が口内に溢れだし多少の効果はあるはず
その間にユングフラウ内に入り着用者に着用して出ます
UCで白騎士ディアブロの力を使用
敵の未来位置を予測し
その位置をバルの機動変化銃で撃ち抜きます
月宮・ユイ
獲得した知性と本質にずれがある様ですが、
野獣の王の如き姿ですね
<第六感>殺気感知や
剥き出しの肉体(筋肉等)の動作見切り<知識>基に分析
知覚全てで<情報収集>行動予測。
<念動力>で後押し<怪力>と併せ運動性能増強
変形の予兆掴み回避しつつ<限界突破>の<早業:高速詠唱>
<地属性攻撃>地面を隆起
相手持ち上げ吹き飛ばし距離開け時間稼ぎ《終末捕食》起動
距離取りつつ杭を2斉射分成形
第一射
物理的防御可能にし観察
相手に対処可能と誤認させつつ防御行動等から弱点推察
第二射
本命<呪詛製呪殺弾:生命力吸収>混ぜ必中概念付与
物理法則超え弱点撃ち抜き<捕食>喰い尽す
アドリブ絡み◎
呪<呪詛>操る誘惑呪詛器に宿すヤドリガミ
手負いの大魔王は、迷宮中心部の大樹の元へ避難してきた。
「あ、あれが猟兵の実力……! この俺が、ここまで傷を負うとは……!」
吹き飛んだ左腕は元には戻らない。
だが、大魔王にとっては、左腕の欠損など些末なことだった。
「……来たな、新手の猟兵共!? 今度こそ汝らを喰らい貪り、俺の傷を癒やす糧にしてくれる!」
GRRRRR……と唸りを上げる大魔王。
「獲得した知性と本質にずれがある様ですが、野獣の王の如き姿ですね」
ヤドリガミの月宮・ユイ(月城紫音・f02933)は、金と銀の眼で大魔王を見上げる。
「さあ、どこからでも掛かって来て下さい! 私は逃げもなくれもしませんよ!?」
人形遣いのシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は、お気に入りのアイアンメイデン型の戦闘人形『ユングフラウ』を操作しながら待ち構える。
その頭上に飛来するには、背中の布翼で飛行する防御・移動型人形こと『デザイア・キメラ(三欲の獣)』だ。
そして、もうひとり、人間の少女の姿から漆黒のブラックタールの戦闘淑女へと豹変するクリューラ・センティファ(ミメシス・f12129)は、周囲を見渡して思案に暮れていた。
(地の利は敵にある……ならそれを逆用します)
クリューラの周囲には、直径数㎝の銀色の球体型探査機『シルバースノー』が浮かんでいた。
「小賢しい猟兵共……知性体は脆弱が故に策を弄するようだが、俺のように純粋な暴力の前では、全て蹂躙されるまでだ!」
大魔王が力を込め始めると、なんと、吹き飛んだ左腕が再生し始めたではないか!
しかも、手が生えるべき箇所には、魔獣の頭部が据えられていた!
「オールイーター! この左手の魔獣は、あらゆるエネルギーを喰らい尽くす! 今度こそ俺が全て平らげてやろう!」
まず狙われたのは、クリューラだ。
恐らく、大魔王には本能的に3人の猟兵の中で一番、戦闘経験が少ないと野生の勘で理解した結果だろう。
「その行動は既に解析済みです。逃げますね」
クリューラは防護服『ハードジャケット』に備わったスラスターに火を噴かせると、後方へ急速後退を開始!
森の木々の合間へ身を隠し、大樹を中心にぐるぐると周回し始めた。
「その攻撃は接近しなければ当たりません。さて、私を捉えられますか、大魔王?」
戦場に浮かべた探査機『シルバースノー』と『レーダーシステム』を駆使し、森の中のどこにいても大魔王と仲間の存在情報を義眼(サイバーアイ)に投影し続けるクリューラ。これで逃げ回りつつ、仲間の連携も可能にした。
「GRRRRRRRRRR……!」
クリューラへは手が届かないと判断した大魔王は、標的を月宮へ変更する。
左腕に備わった魔獣の顎が、裂かれんばかりに大きく開かれた!
そのまま魔獣の頭が地面に叩き付けられた!
「はははは! まずはひとり……ん?」
土煙が晴れたその場所には、月宮の姿形はどこにも見当たらなかった。
「いない、だと? どこへ消えた、俺の獲物!?」
「ここ、ですよ」
聞こえてきたのは、大魔王の背後。
大魔王は振り返る。
と、同時に、突然、地面が隆起して岩盤の槍がその腹の傷を抉り、巨体を宙に浮かしたではないか!
「大魔王の筋力動作により、攻撃の着地点を高速演算で予測。私に保管されている戦闘データと照合し、次の行動を予測。最適解を検出し、私の肉体へフィードバック。念動力を補助に全身の筋肉の出力を底上げしたことにより、素早く死角へ回り込んでから超高速詠唱による地殻変動で動きを封殺。全て成功、です」
月宮は呪<呪詛>操る誘惑呪詛器に宿すヤドリガミにして電脳魔術士。
戦闘中のリアルタイム演算予測は、過去の戦闘経験から手慣れたものだ。
岩盤の槍に押し突かれ、吹き飛んだ先に地面へ墜落する大魔王へ、月宮は反撃の一手を放つ。
(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。無限連環術式起動。捕食吸収能力超過駆動、圧縮成形)
星の如き形状の核こと連星型共鳴コア:星剣『ステラ』を起動させ、圧縮した呪詛とともに全てを喰らう捕食吸収能力を圧縮成形した武装を具現化させる。
「星よ輝き、全てを喰らえ……」
現れたのは星の瞬き等しい輝きを持つ金属杭。
それを戦車榴弾めいて勢いよく大魔王へ発射した!
起き上がった大魔王の目の前に迫る、星喰の杭!
「GRUAAAAAAAAAAAAA!」
大魔王、左腕の魔獣の顎の牙で杭を噛み付く!
左腕が破裂!
「ぐゥッ!? だが、左腕はユーベルコードで魔獣化すれば、いくらでも再生は可能だ!」
その言葉通り、大魔王の左腕が魔獣の頭となって再生した。
それを眺めた月宮は、戦闘データを記録保存し、解析を続ける。
「左腕が邪魔……どうにか出来れば……」
その呟きにシズホが動き出す。
「左腕を潰せばいいんですね? 任せて下さい!」
そのまま大魔王へ向けて人形達と共に突撃を開始するシズホ!
これに大魔王はせせら笑いながら左腕を振り上げた。
「馬鹿め! むざむざと喰われに来たか!」
振り下ろされた魔獣の牙がシズホに肉薄!
「デザイアキメラ! 障壁展開!」
空中を飛ぶ人形からオーラの障壁が張られると、魔獣の牙は空中で受け止められて勢いを失う。
しかし、次第に障壁にヒビが入り、シズホは押し込まれてゆく!
「はははは! そのまま魔獣に食い千切られてしまえ!」
ガラスの破砕するような音と共に、障壁が粉々に砕け散る!
そのまま魔獣の口は、シズホの胴体を貪り、肉を裂き、骨を砕き、その中身までも啜るように喰らってゆく!
荒々しい食事でシズホのマスクが外れ、明後日の方向へすっ飛んでいった。
これに反応したのがクリューラだ。
「友軍1名の死亡を確認。これより報復を行います」
アクティブシールドを展開しスラスターによる高速機動力を活かしながら、木々の間から多弾頭ミサイルランチャーを発射!
大魔王の巨体に幾発も着弾すれば、堪らず大魔王はクリューラへ噛みつかんと左腕を伸ばした!
魔獣の牙は、まるで大木をバターのごとく切り倒してゆき、そのままクリューラへ文字通り喰らいつく!
「無駄です。……accept!」
クリューラはユーベルコード『アカシックブラスト』を連続使用!
何度も振り下ろされる魔獣の顎を、アカシックレコードを解読する能力により、攻撃を予想して回避し続ける!
そして回避した直後に弾頭と身体に装備する携行型の固定砲台『マテリアルランチャー』の弾幕が大魔王へ突き刺さった!
戦況は圧倒的にクリューラの有利だが、彼女には懸念があった。
「くっ、なんて硬いのでしょうか。そろそろ弾薬が心許ないのですが!」
リロード出来る回数は残りわずか。
だが、大魔王は斃れる気配すら感じない。
やむなく撤退か、思ったその時だった。
「楽しそうですね! 私も混ぜて下さい!」
「へ? な、なんでです?」
クリューラに声を掛けたのは、死んだと思われたシズホ本人だった!
シズホはユーベルコード『幻影装身(アームドオブリビオン・ミラージュ)』により、からくり人形の中から、かつて宇宙世界で猟兵たちを苦しめた白騎士の幻影を出現させると、自身に纏わせてその武器を具現化した!
「いや実はですね、あの喰われた肉体はリキッドメタルで作ったダミーなんです! そして、私の種族はヒーローマスク! このマスクが本体です! つまりダミーの肉体を操作してたのですよ! そして予め、あのアイアンメイデン型人形に私の装着者を潜ませていまして、ダミーを大魔王に喰らわせたら、こっそり本来の主と装着して援護に回るつもりだったのです!」
シズホは射撃/狙撃用人形『バル』からナノマシンを散布し、白騎士の能力で未来予知を敢行。
「見えました! 大魔王の心臓、撃ち抜きます!」
人形から撃ち出された銃弾は、空中のナノマシンによって四方八方に弾かれながら軌道を捻れさせ、そのまま逃げる大魔王の胸元へ穿ち貫いた!
「がは……ッ! こ、こんな傷、魔獣で喰らえば、癒え……る?」
大魔王は左腕を見た瞬間、そこに起きた異変に目を見張った。
魔獣が泡を吹いて痙攣しているではないか!
「し、死んでる、だとぉ!?」
「あ、言い忘れてましたけど、ダミーに致死量を余裕で上回る猛毒をありったけ仕込んでおきました! って、うぅ……」
シズホはユーベルコードの反動で呪縛を受け、その場にうずくまってしまう。
だが、これで左腕が使用不能になった。
「これで、決める……!」
月宮はもう一本の星喰の金属杭を、大魔王の胸元の銃創へ狙いを付けて射出!
必中の概念と生命力を食らう権能を付与された杭は、ガードで差し出された魔獣の頭を粉砕し、そのまま心臓を貫き、大魔王に苦痛の悲鳴を上げさせた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
なんとも分かりやすく力強い相手だねえ。
とはいえ、獣の戦い方はやる側も相手する側も心得てるし、
まあ、何とかしてみようか。
さて、場所が森林地帯なら周囲の木を使おうか。
出糸突起から糸を出して木々の間に張り巡らせて、
木の間を通ったら引っかかるように罠を素早く仕掛けよう。
糸に引っかかって動きが鈍ったら、その間に【如意伸躯】を発動。
相手よりも大きく重くなるまで巨大化して、怪力任せにぶん殴るよ。
獣の争いなんてのは結局、体の大きい方が勝つものさ。
知性も何もあったもんじゃない戦い方だけど、
その方がかえって渇望を刺激しなくて済むだろうしね。
龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎
【POW】
「そっちが"知性"を捨てるなら…こっちは"理性"を捨てる!!」
"『巨体なるもの』"より先とはいかないけど『黒焔解放』!!
まずは、【力溜め】して「壱式」の【怪力】【なぎ払い】で態勢を崩して
その後、「参式」で【二回攻撃】で切り刻んたり、相手から反撃をすぐさま「肆式」に形態変化してからの【見切り】で回避してすぐ跳んで【カウンター】を放ったりして、黒焔(炎/闇)【属性攻撃】を中心に応戦するよ
場合によっては、【グラップル】攻撃で【吹き飛ばし】たりするよ
理性が削れているからここまではほとんど本能で動いているけどちゃんと目の前の巨体を敵として認識しているから大丈夫だよ
ナイ・デス
先制連続攻撃
【念動力】で自らを【吹き飛ばし】致命傷を受けながらも逃れ、意識は繋ぐ
そして、致命傷を。恐怖を
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】
この程度、と
時間経てば自然と、傷跡も残らず再生する程度の傷、です
と
だから
『私は、死なない。私は、死ねない』
この程度の傷、恐怖に
私は屈しない
本体が『いつか壊れるその日まで』
聖者の力で瞬時に再生
虚をついて【カウンター】当てにいく
筋肉という【鎧など無視し刺さる攻撃】黒剣鎧の刃刺して
【零距離範囲攻撃生命力吸収】『生命力吸収光』放って、光で飲み込み、消滅させようとする
当然、先に連続攻撃、されるけど
怯まず、再生して
恐怖(負傷)に比例して、より強く、輝く!(戦闘力と吸収能力上昇
深手を負った大魔王。
そこへ、トドメを指すべく、3人の猟兵が新たに姿を現した。
「なんとも分かりやすく力強い相手だねえ。とはいえ、獣の戦い方はやる側も相手する側も心得てるし、まあ、何とかしてみようか」
キマイラのペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は、屈伸運動で体を解しながら独りごちる。
「追い詰めたよ、大魔王!」
龍ヶ崎・紅音(天真爛漫竜娘・f08944)が胸元の黒龍焔の呪印から黒焔を吹き上げると、利き手に出現するのは黒焔竜剣 壱式『禍焔の大剣』……漆黒の呪炎を纏う大剣だ。
「そっちが“知性”を捨てるなら……こっちは“理性”を捨てる!!」
「ハッ! 暴力で俺に敵うとでも思うたか!?」
大魔王は満身創痍とはいえ、その気迫と殺意は未だ衰えず。
猟兵達が油断すれば、身体をたちまち引き裂かれかねない。
「確かに、その獰猛さは脅威、ですが」
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は誰よりも早く大魔王へ駆け出す。
その両手には、世にも美しい一対の短剣『フラガラッハ』が握られている。
「私には何も恐れる理由など、ないです」
ナイは短剣の刃を煌めかせ、大魔王の攻撃を誘う。
知性を捨て、その心も野獣のそれとなった大魔王は、ナイの誘いに乗った。
「では試してみるか? この大魔王の真の恐怖にでさえ、その心が揺れぬかどうかを!」
「……っ!」
ナイは大魔王の高速の爪の連続攻撃の予備動作を感知すると、念動力で自分の身体を後ろへ吹き飛ばして距離を置く。ナイフを交差して気休め程度の防御を。
だがしかし、大魔王の爪の斬撃はナイの想像を遥かに上回る速度と鋭利さを誇っていた。
ガリッ、となにかが削れる音が森の中に響いた。
生暖かい液体が飛び散り、大魔王の振るった爪の先が赤く染まった。
その先端に何かが引っかかっている。
――赤い瞳の眼球が、爪の先に突き刺さっていたのだ。
「え、そんな
……!?」
ペトニアロトゥシカは、顔の左側が抉られて半壊したまま仰向けに斃れるナイに駆け寄った。
そして呼吸を確かめると、異変に気が付き、さっと血の気が引いた。
「……息、してない。嘘、だよね……?」
ナイを手放し、後ずさるペトニアロトゥシカ。
「――よ、よくも……!」
龍ヶ崎の全身から黒焔を噴き上げる!
黒焔竜剣の柄を握る手は握り締められ、秒ごとに憤怒の黒焔の勢いが増す!
「絶対にッ! 許さないんだからッ!!」
「これはちょっと洒落にならないよねぇ? あたしも自制が効かなくなりそうだよ」
ペトニアロトゥシカは今すぐ殴り掛かりたい怒気を必死に抑え、森の木々の中に身を潜ませた。
「1分でいいから、時間を稼いでくれないかなあ?」
「……わかったよ。いくらでも時間は稼いでみせる!」
大剣を片手で持つと、龍ヶ崎は大魔王へ切っ先を突き付けた。
「来い! 仲間の敵だ!!」
「ハハハ! 知性を持つものは感情に振り回される! くだらぬ! 全て喰らってしまえば同じことよ!」
大魔王は再び巨大化!
知性体を喰らいたいという渇望は、未だ窮地に立たされてもなお健在!
「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!」
狂乱しながら、その場で四本の脚でそこら中を踏み潰し、蹴り倒してゆく大魔王!
だが、その足裏に違和感を覚える。
「ぬぅ!?」
「踏み潰させたり……しないよ!!」
龍ヶ崎が大剣で、巨大な足の裏を力溜めした全身に筋力を持ってして押し留めている!
その下には、動かなくなったナイの身体があった。
「くたばった奴の心配をするとは、やはり知性体は愚かだ!」
「その知性を求めた外道に言われたくないよ!」
大剣を持ち上げ、巨脚を浮かせた次の瞬間、龍ヶ崎はユーベルコードを爆発させた!
「ちょっと、暴れちゃうけど、別に構わないよね!?」
禍焔の大剣から、おびただしい量の黒焔が吹き上がれば、バーナーめいた黒焔の刃が、大魔王の足裏を焼き斬ってしまう!
彼女の持つ武器の真の力を引き出し、攻撃力を跳ね上げたのだ!
「グルルルァァァーッ!!」
だが、このユーベルコードには代償が伴う。
それは、龍ヶ崎が最初に宣言した通り、彼女の理性が消失することだ。
目の前の敵を屠るだけの存在と化した龍ヶ崎は、ここから大魔王とのノーガード戦術を敢行!
武器を双剣形態の黒焔竜剣 参式『魔焔双爪』へと変形させると、トルネードめいた黒焔の渦となって大魔王の全身に斬りかかってゆく!
「GAAAAAAAAAAAAAAA!?」
知性を捨て、獣となった大魔王は、黒焔に怯えるように残され右手で払い、四本の脚で蹴り飛ばそうと暴れだす。
だが、それらは彼女に見切られ、その攻撃の倍返しを放ってくる!
そのまま脚の一本を掴んで回転すると、下手投げの要領で大魔王を森の木々へと転がしてしまった!
そして、動かないナイの身体を抱えると、安全な場所まで退避させた。
どうやら、理性を失って本能で戦闘を行っているが、敵味方の区別はついているようだ。
「GRURURUU
……!?」
火炎と斬撃に圧倒され、次第に恐怖に支配され始めた大魔王は、難を逃れるべく再び踵を返して森の奥へと逃げようと試みる。
だが、大魔王は振り向くことが出来なかった。
何事かと思い、足元を除けば、そこには木と木の間に張り巡らされた蔦が、大魔王の脚に絡み付いているではないか!
「思っていた感じとは違うけど、罠に掛かったのは一緒だねえ。これで逃げられないよ」
時が欲しいと言っていたペトニアロトゥシカは、丈夫な蔦を掻き集めて即席のワイヤートラップもどきを作成していたのだ。
「その巨体なら、森の木々をなぎ倒さないと前へ進めないだろうからねえ。てっきり、引っかかってすっ転ぶと思ってたけども、まさか暴れて自分から絡まってくれると思ってなかったけども」
ペトニアロトゥシカはこの時を待っていた。
「動かなくなった今、ようやく思いっきりぶん殴れる。さて、ちょっと大きさを変えようか」
ペトニアロトゥシカはユーベルコード『如意伸躯(ヴァリアブル・フィジーク)』を発動!
自身の肉体の大きさと重さを自在に変化できる状態にすると、みるみるうちに、巨大化した大魔王の頭上を遥かに超える巨体となったではないか!
「知性も何もあったもんじゃない戦い方だけど、獣の争いなんてのは結局、体の大きい方が勝つものさ」
「GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?」
「キミねえ、今更怯えても無駄無駄。今のあたしはかなり頭にきてるから、手加減は出来ないからね?」
ペトニアロトゥシカは大魔王の頭を鷲掴みにすると、振り上げた巨腕で何度も何度も何度も殴り付けた!
「そら! うらぁっ! せい! どりゃァ!」
ボコボコにされ、知性体を食らう渇望が潰えたのか、大魔王は元のサイズ……といっても猟兵たちより遥かに大きい身体を、崩れるように大地へ突っ伏した。
しかし、まだ息があり、立ち上がろうとしている!
「こんな、傷など、肉を喰らえ、ば……癒える、ものだ……」
「まだそんなことを……」
呆れるペトニアロトゥシカ。そして殺意に目を血走らせる龍ヶ崎。
両者がもう一度ぶつかり合うのか、と思われたその時だった。
森の奥から清浄な輝きが放たれる。
その中から、なんと、顔が潰れたナイが立ち上がって此方へ歩いてくる!
「私は、過去に、全身を粉々に轢き潰されたり、ありとあらゆる死因を、あらゆる世界で、経験してきました」
ナイが一歩ずつ進むたびに、おお! 見よ!
顔の肉が、骨が、逆再生映像めいて復元されてゆく!
無から眼球細胞が再生してゆく様は神秘さを通り越して畏怖すら感じる!
「だから、この程度……『目玉を抉られて顔が半壊する』程度、時間経てば自然と、傷跡も残らず再生する程度の傷、です」
全身を覆う聖者の光は一段を輝きを増してゆき、傷の治る速度も上がってゆく。
「だから。『私は、死なない。私は、死ねない』。この程度の傷、恐怖に、私は屈しない。屈するわけがない、です」
「GARURURU
……!?」
大魔王は再び爪を振るう!
ナイの身体が引き裂かれるが、瞬時に跡形もなく再生!
小柄な聖者の少年は首を傾げた。
「まだ、分からない、です? 私はヤドリガミ。でも、私の本体と仮初の肉体は、別の世界で離れ離れ。ここにいる仮初の身体を破壊しても、ユーベルコードがあれば元通り、です」
それはまさに、不死身であるということ!
「だから、私はそんな攻撃に怯えない。本体が『いつか壊れるその日まで』、戦い続け、ます」
ナイの全身に、瞬時に黒剣が変形した鎧で覆われる。
異形の黒騎士となったナイは、全身を輝かせながら拳を、手刀を、蹴りを大魔王に見舞ってゆく!
「GYAAAAAAAAAA!?」
その一撃ひとつひとつが、生命力を食らう必殺のそれ。
強固な筋肉の鎧など、全く意味をなさず、鎧でありながら刃である攻撃に刺し貫かれて血を撒き散らす。
「トドメ、です」
ナイが大魔王の身体を蹴って跳躍!
振り抜かれた右の貫手が、剣先となって大魔王の胸元……心臓を掴んだ!
「身体の内部からの生命力吸収……これで、おしまい、です」
「WAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!」
右手の輝きが増してゆき、大魔王の身体が光の飲まれてゆく!
「怯まず、再生して、恐怖に比例して、より強く、輝く!」
ナイが大魔王の心臓を握り潰すと、その身体が閃光と共に爆発四散!
肉片と臓物を撒き散らした大魔王は絶命し、その残骸も程なくして躯の海へと還ってった。
かくして、大魔王第二形態『レオ・レガリス』は撃破された。
しかし、第三、第四形態と、まだまだ最終形態へ辿り着くための障害は残されている。
戦え、猟兵たち!
アルダワ魔王戦争は、後半戦に突入しようとしていた……!
大成功
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