アルダワ魔王戦争3-B〜ダンスでゴブの王となれ!
● ダンス×バトル=ゴブリンキング
洞窟ダンジョンの一角に、舞台があった。
広大な舞台の上には楽団がいて、太鼓や手拍子、笛や打楽器のようなもので音楽を奏でている。
野性味あふれるが、それだけに芯に迫る音楽を背に、一人の少女が踊っていた。
紫色のチュチュが翻り、長い手足が空間を掴む。少女と楽団の舞台に、会場を埋め尽くす野生のゴブリン達は熱狂の渦に包まれていた。
音楽に合わせて舞い踊り歌う少女の前に、一匹のゴブリンが躍り出た。
ビスが打ち込まれたレザージャケットを羽織ったごついゴブリンは、少女の前に立つと手にした棍棒を掲げる。挑戦者の出現に、観客ゴブリン達のボルテージが上がりまくる。
声援を受けた挑戦者ゴブリンは、観客ゴブリンたちの声援に応えるように一声吠えると少女に踊りかかった。
「俺ノ 名ハ ミジク! スンダ族ノ 長ノ座ヲ 俺ニ返セ!」
棍棒を手にした大柄なゴブリンーーミジクは、舞い続ける少女に踊るように躍りかかる。舞台上で踊りだしたミジクの踊りは力強く、ステップもパフォーマンスもなかなか見応えがある。歌声も遠くまでよく通る。
そのまま人間の舞台でも異色のダンサーとしてやっていけそうなミジクは、棍棒を振り上げると少女に殴りかかった。踊りながら振り付けのように殴りかかったミジクに、少女はふと微笑むと軽くステップを踏んで回避する。
次の瞬間、異なる属性の魔法連弾がミジクンに突き刺さる。黒焦げになったミジクが舞台上で倒れると同時に、少女は鼻を鳴らした。
「口ほどにもない。……これで私がこの部族の長。文句はないわね!」
少女の声に、観客たちは大歓声で応える。会場が割れんばかりの大歓声を鎮めた少女は、よく通る声で宣言した。
「みんなよく聞いて! 今この迷宮に、猟兵っていう敵が迫っているわ! 猟兵はあなた達をいいように使った挙げ句皆殺しにする殺戮者よ。だから今こそ立ち上がって倒すの、猟兵を!」
少女の演説に、観客たちは熱狂の渦に包まれる。
敵に回ったゴブリン達は、ゲリラ戦法で猟兵達を撃退するべく動き出した。
● グリモアベースにて
「洞窟ダンジョンにいる大きな部族が、オブリビオンに乗っ取られようとしています」
真剣な目で猟兵たちと向き合ったアカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)は、予知した光景を猟兵達に改めて伝えた。
洞窟ダンジョンには、ダンスと腕っぷしが最も強いゴブリンが長となるスンダ族と呼ばれるゴブリンの部族があった。
この部族の長の座を乗っ取った『歌と踊りの魔術師』ディエトラ・カルロタは、ゴブリン達を指揮して猟兵達にゲリラ戦を仕掛けようとしているのだ。
ゴブリン一匹は非常に弱いが、組織立ってゲリラ戦を仕掛けられたらいくら猟兵でも苦戦に追い込まれるかも知れない。
「スンダ族の長を決めるこの舞台上で、ディエトラを倒していただきたいのです。普通に倒しても良いのですが、その場合族長とは認められず第二、第三のディエトラが出る恐れがあります。ですので皆様には、舞台上で踊りながらディエトラを倒していただきたいのです」
踊りだけではなく歌でも構わない。音楽を使ってオブリビオンを追い詰めることも可能だろう。
とにかく派手に歌って踊って奏でてオブリビオンをしばき倒せば、オブリビオンの作戦を阻止することができる。
「歌って踊って奏でて戦って……。なんて素晴らしい戦場なのでしょう。皆様は思う存分、楽しんでくださいませ」
微笑んだアカネは、グリモアを発動させると猟兵達を導いた。
三ノ木咲紀
アルダワ2本目をお届けに伺いました三ノ木です。
歌って踊って音楽を奏でてオブリビオンをしばき倒すシナリオになります。
ゴブリン達はダンジョンに昔から生息する生きているゴブリンです。オブリビオンではありません。
直接戦闘に参加はしませんが、そのボルテージはディエトラに力を与えています。踊りながら歌いながら戦うことで、ディエトラから気をそらし、力を削いで倒すことができるようになります。
なお、このシナリオは以下のプレイングボーナスがあります。チャレンジしてみてくださいませ。
プレイングボーナス……野生のゴブリンを戦闘から離脱させる。
観客ゴブリン達の気持ちを引き付ければ、「戦闘から離脱させる」とみなします。
皆様が踊れるかとかではありません。気持ちです! 情熱ですパッションです!
舞台は十分広いので、どんな戦い方……もとい踊り方でも基本OKです。
プレイングはオープニング公開後すぐに受付させていただきます。
土日と火曜日に書くと思われます。
それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『『歌と踊りの魔術師』ディエトラ・カルロタ』
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POW : F.C.~フェローチェ・リヴェルベロ~
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【対象の隙を突きぶつけた魔導書の角】から排出する。失敗すると被害は2倍。
SPD : P.M.~プレスティッシモ・ムニツィオーネ~
レベル分の1秒で【高速詠唱による異なる属性の魔法連弾】を発射できる。
WIZ : I.F.~イッルジオーネ・フィーネ~
【攻撃を躱しながら描かれた束縛用魔法陣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【全方位展開させた魔法陣から魔法の集中砲火】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
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宇冠・由
お母様(f00173)と連携
ダンス! 踊りは淑女としての嗜み、いつ社交の場に出てもいいように特訓していましてよ(えへん)
ただ、私にとっての踊りは相手を負かすためのものでなく、相手と一緒に楽しむためのものですの
観る方もいない一人きりのダンスは存在しませんからね
ダンスとは、楽しいものですの
きちんと礼と名乗りをしてから相対します
向こうの名前も聞いて、一緒に踊り明かしましょう
燃える身体と空中戦を駆使して、くるくると優雅に宙を舞いますわ
相手の技を演出として踊り回避しながら【拍手】し、お返しにと火柱を花火演出のように打ち上げます
相手には当てません。だってこれは踊りの勝負
曲が終わるまで舞踏を競い合います
宇冠・龍
由(f01211)と連携
野生のゴブリン、このような部族が現存しているとは興味深いです
私は踊りではなく、音楽で由や皆さんのサポートをします
踊りも無音では味気ないですから
【談天雕竜】で音楽家の霊百人を楽器と共に召喚
オーケストラは百人前後で演奏するときもありますから、これだけいれば申し分はありません
弦楽器に木管金管、打楽器に鍵盤も用意
私は団体指揮に集中し、霊の演奏を全力でこなします
踊る相手や踊るスピードに合わせて曲や楽器、テンポも自由に変えていきます
何だって自由に楽しんでいい、娘を見ていたらそう思えてきました
観客だって踊り手だってより楽しむもの、ダンスとはきっとそういうものなのでしょう
●
まばゆいばかりの照明の下で、ディエトラが踊っていた。
楽団の音楽に合わせて踊る災魔の姿に観客ゴブリン達は酔いしれ、熱気はかなり高まりつつあった。
前族長のミジクが乱入しようとする直前、一人の少女が舞台に上がった。
リスのような仮面から噴出された炎で身体を作り上げた宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)は、踊りをやめたディエトラの前に立つとニコリと微笑み裾つまみ一礼。落ち着いた物腰に、何事かと注目が集まった。
「こんにちは。私の名は宇冠・由。お名前を伺っても?」
「ディエトラ・カルロタよ。二つ名は『歌と踊りの魔術師』。その名に恥じない踊りを見せに来たの。邪魔しないでくれる?」
突き放すディエトラに、由は嬉しそうに手を叩いた。
「なら、私と同じですね。少なくとも私は、あなたを倒しに来たのではありません。あなたと踊り明かしに来ました」
「私と……?」
怪訝そうに首を傾げるディエトラは、警戒するように一歩下がる。その様子に手を差し出した由は、ディエトラに一歩歩み寄った。
「大丈夫ですディエトラさん。踊りは淑女としての嗜み、いつ社交の場に出てもいいように特訓していましてよ。だから、あなたの踊りについていけない、などということはありません」
えへん、と言わんばかりに胸を張った由に、ディエトラは一瞬キョトンとした表情を浮かべる。一瞬後に吹き出したディエトラは、由の申し出に手を差し出した。
「あなたみたいな猟兵、初めて見たわ。その言葉が本当かどうか、見せて御覧なさいな!」
由の申し出を受けるディエトラの背後で、音楽が鳴り響いた。
迷宮洞窟の、野性味あふれる音楽ではない。100余名の楽団から成るオーケストラの音楽に、ディエトラは振り返った。
【談天雕竜】で音楽家の霊百人を楽器と共に召喚した宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は、音楽家の霊に指揮棒で指示しながら由にチラリと視線をやった。
災魔は倒すもの。だが、踊りは楽しむもの。その狭間で悩んでいた由は、彼女なりの答えを見つけてここに立っている。その姿に心強いものを感じた龍は、龍自身にできることで由の背中を押すことに決めたのだ。
奏でられる音楽は、野生のゴブリン達にとっては初めて聞く音楽だ。最初は警戒していた楽隊ゴブリンが、龍の指揮をじっと見つめると打楽器を叩き始めた。
その音に振り返った龍は、にっこり微笑むと楽隊ゴブリン達に指示を出す。やがて龍の指揮を理解した楽隊ゴブリン達は、音楽家の霊達と一緒に音楽を奏で始めた。
リハーサル代わりに一曲奏でる。徐々にコツを掴む楽隊ゴブリン達に、龍は感心したように頷いた。
(「野生のゴブリン、このような部族が現存しているとは興味深いです」)
音楽、という共通言語は文化の全く違う楽隊ゴブリン達の心を掴み、一つの音楽を奏でていく。これならば、由や他の猟兵達の踊りを邪魔するようなことはないし、曲や楽器、テンポも自由に変えても問題ないだろう。
弦楽器に木管金管、打楽器に鍵盤。異種族をも巻き込んだ楽団に、龍は全霊で指揮棒を振るった。
音楽が情熱的なものに変わる。アップテンポな戦闘曲に変わる音楽に、由はくるりと輪舞曲のステップを踏んだ。
それを開戦の合図と見たディエトラが、同じくクルリと回転するとその勢いを活かして由に向けて躍り出た。バレエのような高速回転で弾き飛ばそうと迫る攻撃に、由の身体が宙に浮いた。
燃える身体が、火の粉を振りまきながら宙を飛ぶ。くるくると回転しながら宙を舞う由の姿はまるで火の鳥のようで、明るい舞台をなお明るく照らし出した。
初撃を回避しディエトラの背後を取った由は、その場でステップを踏みながらディエトラに迫った。
回転と共に繰り出される攻撃を回避したディエトラは、由の足元を指差した。
「あなたの動きを封じさせてもらうわ! 【I.F.~イッルジオーネ・フィーネ~】!」
魔法陣から伸びる拘束魔法が、由の動きを封じ込めようと迫る。その攻撃を回避しようと踊りながら距離を置くが、迫る拘束魔法が由の腕を拘束する。
直後に放たれる、全方位展開させた魔法陣から魔法の集中砲火が由に迫る。集中砲火に煙る舞台に、由の姿が舞台から消える。
「やったわ!」
喜びの声を上げるディエトラに、息を飲む観客ゴブリン達。
全員が行く末を見守る中、【拍手(カシワデ)】の音が響いた。直後、ディエトラの足元に描かれた魔法陣から火柱が立ち上る。
ディエトラを囲むように描かれた魔法陣から上がる火柱は、炎色反応を起こし蒼や緑といった美しい色で舞台を彩る。
ゴブリン達の拍手喝采を受けたディエトラは、消える火柱に手を握りしめた。
「何故、私を攻撃しなかったの? 十分当てられたはずよ!」
「あなたには当てません。だってこれは踊りの勝負。曲が終わるまで舞踏を競い合います」
「あなたは私の敵よ! 同時に私はあなたの敵じゃない! どうして!」
「だって、私にとっての踊りは相手を負かすためのものでなく、相手と一緒に楽しむためのものですの。観る方もいない一人きりのダンスは存在しませんからね」
由の答えに、ディエトラは一瞬ぽかんとする。大きな隙を見せたディエトラに攻撃する様子も見せない由は、その場で軽くステップを踏んだ。
「ダンスとは、楽しいものですの」
「……そうね。私も以前はそうだったわ」
何かを思い出し頷いたディエトラは、その場でステップを踏むと踊りだした。
「一曲付き合ってくれる? この曲だけは戦いじゃなくて踊りたいの!」
「喜んで!」
共に踊りだす二人の姿を見つめながら、龍は目を細めた。
(「何だって自由に楽しんでいいのね。観客だって踊り手だってより楽しむもの、ダンスとはきっとそういうものなのでしょう」)
心から踊りを楽しむ由の姿に、龍は最高の音楽で応えた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
片桐・公明
【POW】
ちょっと遠くから助走をつけて、飛びこむように派手に舞台に上がる
「私の名前は片桐公明。スンダ族の長の座……はあまり興味ないけど、ダンス勝負をあなたに申し込むわ」
以降UCを使用し踊りながら戦う
威力より命中率を重視し隙が生まれないよう注意する
相手の大技に合わせて死角に入り一撃を食らわす
踊りに自信はあるが、もし観客ゴブリンが邪魔するようなら拳銃で牽制する
「ダンサーへの妨害はご法度よ。」
天道・あや
長に興味はないけど…歌と躍りと聞いたからにはあたしの出番!地下迷宮っていうダンスホールだろうと全力で歌って踊りきって見せる!…右よし!左よし!あたし…よしっ!いざっ、ライブスタートっ!
という訳で会場に乗り込んでエントリー!【ダッシュ、ジャンプ】
あたしが踊るのは…ストリートダンス!この熱い想いを表現するにはこれしかないっ!
というわけでレッツダンス!先輩(災魔)!ゴブリンさん達!あたしの躍りについてこれますかっ!【挑発】
そして躍りながら先輩の攻撃を【見切って】避け、そして隙を見てUC発動!【ダンス、歌唱、パフォーマンス】これで一気にこの場の注目を集める!【存在感】
●
クライマックスを奏でたオーケストラが長く音を響かせる中、リズムだけがその場に残る。
何かを期待するようなアップテンポの打楽器に、2つの影が同時に駆け出した。
舞台上手から飛び込むように駆け出し舞台に上がった片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は、高鳴る鼓動が急かすままに駆け出し床を強く蹴りつけた。
下手から現れた天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)は、胸の高鳴りがどんどん上がってワクワクが止まらない! と言わんばかりに駆け出した。
公明とアイコンタクト。同時に床を蹴りジャンプして、舞台中央でハイタッチ。くるりと一回転して着地したあやは、突然の乱入に大盛りあがりな客席ゴブリン達を指差した。
「……右よし! 左よし! あたし……よしっ! ついでに先輩(災魔)も……よしっ!」
右へ左へ自分へと指を指す。観客一人ひとりと目を合わせるように指を銃の形にしたあやは、最後にディエトラに指を指した。
BANG! と指鉄砲を放ったあやの向かいで、公明は左右対称のように拳を突き出した。
「私の名前は片桐公明。スンダ族の長の座……はあまり興味ないけど、ダンス勝負をあなたに申し込むわ」
よく通る声で宣言し長い青髪を翻した公明は、長い腕を突き出して舞闘術の構えで挑発する。
二人の出現に、会場のボルテージが急上昇。大声援に応えるように音楽が激しさを増し、ダンスバトルの開幕を今か今かと待ち構える声が響く。
二人の出現にふと微笑んだディエトラは、軽くステップを踏むと二人に両腕を差し出した。
「来たわね猟兵。返り討ちにしてあげるわ!」
叫んだディエトラの声に応えるように、公明は身を翻した。床を蹴り、回し蹴りを一旋。回避したディエトラを追いかけるように、軸足を変えた蹴りが叩き込まれる。
【諸葛流舞闘術】を発動させた公明の舞闘は、圧巻を極めた。
ガードしたディエトラが身体を沈め、公明の軸足に足払いをかける。バランスを崩しながらも勢いに乗せたバク宙でくるりと2回転。着地し距離を置いた公明は、改めて諸葛流の構えを取ると挑発するように指で招く。
「強さと美しさの両立。それこそ諸葛流舞闘術の真髄よ」
「私に一撃入れたくらいで、いい気にならないことね猟兵!」
魔力を込めたステップを踏んだディエトラは、再び公明へと躍りかかる。
受け止めた正拳突きを軸に華麗に一回転。相手の背後に躍り出た直後に繰り出す裏拳を身を屈めて回避したら、その勢いで足払い。
ジャンプで避けて災魔の肩を蹴り、頭上で一回転。勢いに乗せて繰り出された蹴りに、ディエトラは無抵抗に腕を弛緩させた。
目を見開いたが遅い。繰り出された縦宙返りからの蹴りを腹に受けたディエトラは、伸ばした手に持った魔導書に魔力を込めた。
「自分の技で、身を滅ぼしなさいな!」
着地した公明に、魔導書が迫る。観客ゴブリンの声援を受けて強化されたディエトラの命中力を持ってすれば、魔導書の角は確実に公明を捉えるはずだった。
だが、必殺の一撃は宙を切った。
細い毛束を犠牲にして回避した公明は、大きく目を見開くディエトラが見せた隙を突くと再び床を蹴った。
必殺の膝が、ディエトラの顎を蹴り上げる。そのままの勢いで宙返りで着地する公明は、跳ね飛ばされバク転で着地するディエトラに油断なく構えを取った。
反撃を警戒した公明だったが、ディエトラは攻撃を仕掛けなかった。
「なっ……! この歌は……!」
猟兵と楽隊ゴブリン達の奏でる音楽を伴奏に、あやが歌う。
高らかに響く歌が、ディエトラに集中していたボルテージを奪っていたのだ。
「夢は素晴らしい! 未来には無限の可能性が! だから一緒に行こう!! 手を繋いで! 一緒に一歩、二歩、三歩! 夢と未来が私達を待っている!」
あやの歌う【Nicefuture!Sweetdream!(ミンナノステキナミライトユメヲオシエテ)】は、観客ゴブリン達に「未来と夢はとても素晴らしくて楽しい」という感情を与えていく。
未来への希望を歌い上げるあやの歌声が、二人の舞闘を、バックミュージシャンの音楽を、観客ゴブリンの感情を、明るく満たしていく。存在感のある歌声に耳を塞いだディエトラは、憎々しげな目であやを睨みつけると猛然と襲いかかった。
「その歌を、やめなさい!」
「じゃあ、踊っちゃお!」
歌をやめ、明るく宣言したあやは身軽にステップを踏むと繰り出される蹴りを身軽に回避した。
挨拶代わりの蹴りを避け、その場でアップロック。ウオーミングアップのようにリズミカルに踏まれるステップに、観客ゴブリン達は導かれたように手拍子を始める。
1、2、3&4のリズムを刻む手拍子に気を良くしたあやは、会場のボルテージとシンクロするようにアガっていく気持ちに、知らず口元に笑みを浮かべた。
やっぱり、ダンスが好きだ。大好きだ。この熱い想いを表現するにはこれしかないっ!
「こんなのまだまだ小手調べ。先輩(災魔)! ゴブリンさん達! あたしの躍りについてこれますかっ!」
「いい気になるのも今のうちよ!」
挑発に乗ったディエトラの回し蹴りが、あやに叩き込まれる。身を低くして回避したあやは、その場でフットワーク。独特の足さばきでズールスピンを繰り出すあやは、軸腕を変え足を交差させながら全身を回転させる。
ディエトラの軸足に向けて放たれるスピンからの蹴りを回避したディエトラを挑発するようにチェアー。無理なんじゃないのかという態勢でピタリと動きを止めたあやは、にんまり笑うとディエトラを指差した。
見事なダンスに、観客ゴブリン達の視線が釘付けになる。否応なしに上がる注目とボルテージを奪うように、ディエトラは詠唱を開始した。
「これで終わりよ! I.F.~イッルジオーネ・フィーネ~……」
「させないわ」
ユーベルコードを完成させ、魔法の集中砲火を浴びせようとしていたディエトラに、2丁拳銃が牽制の銃弾を放つ。
一瞬気を取られたディエトラの束縛用魔法陣に気づいたあやは、反動をつけると大きくバク宙。宙を舞い、地を這うように放たれた魔法陣を回避したあやは、一瞬の隙を突いて一撃を繰り出す。
大きく距離を置くディエトラと相対した二人は、再びハイタッチで健闘を称え合った。
大成功
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鈴木・志乃
アド連歓迎
さ、やろうか
戦闘向きのUCじゃないけどさ
【オーラ防御】展開
UC発動
【歌唱、ダンス、パフォーマンス】
ポップス歌って躍りは元気良く激しく!
マイクも使って声高らかにシャウトして行きますか
わざと敵の声とは不協和音になったりリズムが崩れるようにして、敵の高速詠唱を妨害
自分は【高速詠唱】で自分の姿が位置ずれ起こして見えるように光を屈折させる。【催眠術】も合わせて判断を鈍らせよう【罠使い】
敵攻撃は【第六感】で【見切り】光の鎖で【早業武器受けカウンターなぎ払い】しながらまたダンス
シャウトシャウトシャウト!!
皆盛り上がってるかー!!
隙が出来たら【全力魔法】の【衝撃波】で【なぎ払い】攻撃!
マックス・アーキボルト
生まれ育った世界を守るためにも負けられない…!
まして〈ダンス〉ならなおのこと!負けられないよね!
ヘッドホンからミュージックスタート!〈雷属性攻撃〉にも似た痺れる音楽をBGMに、ストリートダンススタイルで勝負!
リズム良く行こうか!
一番の仕掛け所はこっちに魔法連弾が発射された瞬間、【加速魔法式】発動!
スローから連弾を見切り、ジャンプで回避、さらにクイックドロウで翻りながらの相手への射撃!
この流れでオーディエンスの注目を掻っ攫うよ!
高砂・オリフィス
SPD判定*アドリブ歓迎!
いやったあああ! まさしく、僕の、僕のための! フロアだああああ!!!
歌、踊り! 盛り上がってまいりましょー! ヒュー! やーるぞぉーっ!!
使用するユーベルコードは《落ちる過去は未来》!
ダンスや歌の技能を組み合わせて踊り明かそう、高らかに歌おう!
魔法連弾? いいねいいね盛り上がるね! こういう時こそテンションあげてこ!
ダンスに没頭すれば攻撃も演出だし!
コールお願い、もっと拍手と喝采を!
このフロア中のみんなを魅力するまで、盛り上げ続けるのが僕の使命さ! サンキュー!!
●
フロアの熱気は最高潮に達し、興奮したゴブリン達のシャウトは音波で会場を破壊してしまうんじゃないかというほどに高まっていた。
最高にホットな会場に、高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)は抑えきれない衝動と共に舞台へと駆け出した。
「いやったあああ! まさしく、僕の、僕のための! フロアだああああ!!! 歌、踊り! 盛り上がってまいりましょー! ヒュー! やーるぞぉーっ!!」
テンション高く響くオリフィスのシャウトに、雷鳴に似たギターの音が響いた。
「リズム良く行こうか!」
アンプに繋がれ、オーケストラとも連携させたマックス・アーキボルト(ブラスハート・マクスウェル・f10252)の多機能ワイヤレスヘッドセット「MAGI-Steam Whistle」から激しい音楽が響く。
まるで雷属性攻撃のような、全身を痺れさせる音が観客ゴブリン達を貫き、音の快楽へと誘っていく。
キレの良い音楽に合わせて、マックスが踊る。舞台袖から無重力かのように床を蹴り跳び、頭を軸に華麗にスピン。おもむろに体を起こして空中を複数キック。着地し華麗に一回転。ピタッとキメたマックスのダンスに、観客ゴブリン達の歓声が本物の雷鳴のように響き渡った。
ドラムのような歓声に、シャウトが重なった。
魂から発せられるシャウトに、会場が一瞬鎮まる。注目を集める中、舞台中央から歩み出た鈴木・志乃(オレンジ・f12101)は、スタンドマイクを掴むとむしろ静かに第一声を発した。
「さ、やろうか」
冷静な声にこれからの盛り上がりを感知した観客ゴブリンが、一斉に叫びだす。
歓喜の声を上げて舞台に詰め寄ろうとするゴブリン達の前に、華麗なステップが立ちはだかった。
猟兵達の演奏にむしろ挑戦者のように現れたディエトラは、猟兵達の熱いダンスに対抗するように情熱的な踊りを踊った。
上がりきったテンションに自分を開放し、舞台中央で舞うディエトラの姿は、災魔だという一点さえ除けばずっと見ていたいと思わせる魅力を秘めている。
熱狂の渦にあった観客ゴブリン達が、手拍子を始める。ディエトラの踊りに合わせるような観客の手拍子に合わせ、BGMもまたテンポやリズムを揃えてくる。
観客ゴブリン達の視線を攫ったディエトラは、三人の猟兵達へ振り返るとくい、と手招きした。
「……いらっしゃい猟兵。私が相手してあげるわ!」
「上等!」
ディエトラの挑発に、会場は再び拍手と歓声に包まれた。自分の得意なリズムに持っていったディエトラに楽しそうに微笑んだ志乃は、そのまま独壇場へと持っていこうとするディエトラの歌声に自分の歌を重ねた。
どちらかというとお行儀の良いディエトラの歌に重ねた志乃の歌は、高速詠唱も兼ねるディエトラの歌とは不協和音に響く。わざと裏拍になるように歌ったりリズムの起点を邪魔したりと高速詠唱を阻害するが、【上演(ジョウエン)】により極限まで高まった志乃の歌唱やダンスパフォーマンスは、それすらも演出として自然に受け止められる。
観客の支持を得ながら妨害してくる志乃の歌に、ディエトラは苛立ったようにステップを踏んだ。
「邪魔なのよあなた!」
繰り出される鋭いサマーソルトキックはしかし、光の鎖によって阻まれた。絶妙に外された不協和音に知らず催眠術に掛かっていたディエトラは、志乃の思ったタイミングで蹴りを繰り出したのだ。
聖者の光を吸い込んだ光の鎖が、金粉のような光を撒きながら必殺の踵を防ぐ。拮抗する力を押し返した志乃は、ディエトラから奪った視線を一身に集めながら歌を歌った。
リズムの良いポップスと、軽やかなステップ。だんだん速度を上げて元気よく激しく踊る志乃のダンスに、会場の手拍子が激しく高鳴る。
そのダンスに負けじと舞台中央に躍り出たマックスは、激しさを増す会場の雰囲気に、かつて熱狂したダンスホールの雰囲気が脳裏に浮かんだ。
いつだっただろう。音楽に合わせて歌い、踊り、熱狂の一夜を過ごしたのは。
音楽や踊りが好き。そんなシンプルで純粋な気持ちを洗いざらい晒して、そんな自分が受け入れられて。
マックスの大切な世界が。大切なダンスが、今危機に瀕しているのだ。
(「生まれ育った世界を守るためにも負けられない
……!」)
ましてやそれがダンスならばなおのこと。決意を新たにするマックスに、ディエトラのダンスが迫った。
「どこ見てるの!」
感動に一瞬動きを止めたマックスに、ディエトラの肘が迫る。回転をつけて繰り出される肘に、勢いをつけて回避すると身を屈めスピン。独楽のように回るマックスの足がディエトラに迫り、バックスピンからのエルボースピンがディエトラを追い詰めていく。
上がるボルテージに、ディエトラはついに詠唱を完成させた。
「あなた達には、【P.M.M.~プレスティッシモ・ムニツィオーネ・マッシモ~】を見せてあげるわ!」
三人の攻撃をしのぎ切ったディエトラは、高速詠唱から繰り出される魔法連弾を放った。三人へほぼ間を置かずに放たれる異なる属性の魔法連弾に、マックスは鋭く動いた。
「加速魔法発動! 避けきってみせる!」
【加速魔法式:防性(アクセルマジック・ドッジ)】を発動させ、三連続魔法連弾を見切ったマックスの動きが加速度を増す。
空間知覚を一段上の状態に引き上げられたかのようなスピードで魔法連弾の軌道を完璧に予測したマックスは、床を蹴ると背面から飛んだ。
イルカのようにしなやかにジャンプしたマックスは、空中で一回転しながら背中の下を通過する魔法連弾を感じ、スチーム・アームキャノンの銃口を向けた。
魔法連弾と交差するように、銃弾がディエトラに突き刺さる。銃弾を受け、一瞬攻撃の手を緩めたディエトラに、着地したマックスは更なる銃弾を放った。
銃声が響く中。自分に向かってくる魔法連弾に、むしろ楽しそうな笑みを浮かべたオリフィスは、【落ちる過去は未来(オチルカコハミライ)】を発動させた。
「魔法連弾? いいねいいね盛り上がるね! こういう時こそテンションあげてこ!」
テンション高く踏んだステップに、魔法連弾が突き刺さる。
炎が。氷が。風が。石が。無心に踊るオリフィスの全身に次々に命中する。水蒸気爆発を起こした炎と氷が爆風を上げる中、ディエトラは勝利の笑みを浮かべた。
「やったわ! 猟兵を倒し……」
「踊り明かそう、高らかに歌おう! ダンスに没頭すれば攻撃も演出、ってね!」
次々に湧き上がってくる独創的なアイディア、フレーズやリズムに身を任せ、斬新な歌や踊りで周囲を巻き込みながら踊るオリフィスは無敵だった。
全身で踊る楽しさ、嬉しさや感動を表現し続けるオリフィスは、収まった爆風をドライアイスの煙のように纏いながら観客ゴブリン達に両手を広げた。
「コールお願い、もっと拍手と喝采を! このフロア中のみんなを魅力するまで、盛り上げ続けるのが僕の使命さ! サンキュー!!」
「シャウトシャウトシャウト!! 皆盛り上がってるかー!!」
オーラ防御でダメージを軽減させた志乃は、受けたダメージをものともせずに観客へ向けてシャウトを繰り返した。
命を顧みず熱狂的に歌い続ける志乃の歌に、観客ゴブリン達も熱狂で応える。その応酬に、ディエトラは一瞬たじろぐ
できた隙を、志乃は見逃さなかった。
肉を斬らせて骨を断つ。高速詠唱で完成させた全力魔法は衝撃波となり、ディエトラを切り裂いていく。
三人の熱狂的なダンスに、観客のボルテージは限界突破したかのように高まっていった。
大成功
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栗花落・澪
音楽は大好きだよ!というわけで魅了してあげちゃおうか♪
【指定UC】発動
高めた【歌唱】と【ダンス】で
無邪気に明るくアクロバティックにゴブリン達を【誘惑】
ディエトラさんに仕掛けるのは植物魔法
花の斬撃による【高速詠唱、属性攻撃】を【パフォーマンス】としても使用し
【空中戦】で蝶のように舞いながら美しく攻撃
複数属性使うっぽいし
念のため【火炎耐性+オーラ防御】は纏っておこうか
【毒】や【呪詛】も耐性があるから効かないよ
光?こっちは聖者だからね!
目眩しされても音を聞き分ける【聞き耳】で平然と
君の音楽も素敵だね
でも、音楽への愛は負けないよ!
足元に生成する【破魔】を風の【全力魔法】で巻き上げ
斬攻撃でフィニッシュ!
ルナ・ステラ
わたしたちが殺戮者!?
そんなことはしませんよ!
歌って踊るのは、あまりやったことがありませんが、楽器を奏でることなら少し自信があります!
ゴブリンさん達に落ち着いてもらえるように、癒しの獣奏器で【楽器演奏】しながら、踊りましょうか。
余裕があれば、ディエトラさんが描こうとしている魔法陣を獣奏器の音波で攻撃&歪ませていき、完成させないようにしましょう。
ゴブリンさん達の気がそれてきたら、UCを発動して、流星で攻撃です!
曲も流星に合わせて演奏し、踊りましょう!
みんなで歌って、踊って、奏でて、音楽を楽しみましょう♪
アドリブ&絡み等歓迎です!
●
猟兵達の情熱的なステージに、観客ゴブリン達のボルテージはついに最高潮を突破した。
口々に叫びながら狂ったように舞台へ上がろうとする観客ゴブリン達の耳に、美しい音色が響いた。
「みんな、静まって!」
呼びかけと同時に響くルナ・ステラ(星と月の魔女っ子・f05304)が手にした鼓舞の獣奏器から溢れ出す美しい音色は、上がりすぎた舞台の熱狂を静かに、なだらかに鎮めていく。
「あら。いいじゃない。一緒に踊りましょう?」
落ち着きを取り戻した観客ゴブリン達に、ディエトラは明るい笑顔を向ける。音楽がアップテンポで情熱的なものに変わり、それに見合う情熱的なステップが踏まれた。見る者を再び熱狂の渦に叩き込むディエトラのダンスに、観客ゴブリン達は再び立ち上がった。
「ウオオオ! 俺タチモ 踊ラセロ!」
「歌ダ! 歌ウゾ!」
集団心理の熱狂からは冷めたものの、まだ興奮冷めやらぬ様子で舞台へ上がろうとする。
それを煽るようなディエトラの舞は、炎に集まる羽虫のように観客ゴブリン達を呼び寄せていった。
このままでは将棋倒しが起き、惨事が起こってしまう。そんなことは気にも止めない観客ゴブリン達の前に、天使が舞い降りた。
「舞台に上がっちゃ、ダメだよー? ここはボク達の舞台なんだから」
無邪気に笑った栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、ルナが奏でる曲に合わせて歌い始めた。
同時に【scena(スケーナ)】を発動。レベル700にまで高まった歌とダンスは観客ゴブリン達を魅了する。ルナの癒やしの曲と、澪の魅了の歌と。音楽で熱すぎる情熱を癒やした観客ゴブリンは、うっとりとした目で澪を見つめた。
「さあ、戻って。ゆっくり、一歩ずつだよ」
澪の声に、観客ゴブリン達はおとなしく従う。美しく静かな楽器の音色が響く中、観客ゴブリン達は元の客席へと戻っていった。
その様子に、踊りをやめたディエトラは憎々しげな視線を二人に投げた。
「歌いたい、踊りたいっていう情熱を、どうして鎮めてしまうの?」
「あのままだと、観客ゴブリンさん達に犠牲が出てしまいます。情熱に身を任せるのは素晴らしいこと。でもそれで死んでしまうだなんて、許されることじゃありませんから」
毅然としたルナの言葉に、観客ゴブリン達はざわついた。確かディエトラは、「猟兵はあなた達をいいように使った挙げ句皆殺しにする殺戮者」と言っていたのではなかったのか?
「オ前達ハ 俺タチヲ 使イ捨テテ 殺ス 殺戮者ジャ ナカッタノカ?」
「わたしたちが殺戮者!? そんなことはしませんよ!」
心底驚いたように首を横に振るルナに、澪も同意する。
「音楽は大好きだよ! だから同じく音楽が好きな君たちのことを、殺すわけないじゃないか!」
二人の猟兵に、他の猟兵も同意する。ざわつく会場に、ルナは鼓舞の獣奏器を奏でた。
「みんなで歌って、踊って、奏でて、音楽を楽しみましょう♪」
「そうそう! 今度は技能抜きで魅了してあげちゃおう♪」
言いながらふわりと空を舞い、空中というフィールドに鮮やかな弧を描く澪の動きを、ルナの鼓舞の獣奏器から溢れる音楽が包み込む。
さっきまでの熱狂的なダンスではない。なんだかワクワクするような、明るい気持ちになる音楽に、観客ゴブリン達はその場で手拍子足拍子で応える。
蝶のように舞う澪を、花のようにルナが迎える。そんな二人の舞台に、ディエトラは駆け出した。
「この、猟兵! あなた達も私から音楽を奪うの? この魔法にすべてを賭けていたのに!」
憎々しげに叫んだディエトラは、高速詠唱を繰り出すと異なる属性の魔法連弾を放った。舞台上を移動しながら放たれる火炎弾はやがて毒を纏い、氷に礫にと次々と属性を変えて澪を打ち付ける。
放たれる魔法連弾を受けきった澪は、まばゆい光が晴れるとほぼ無傷で立っていた。
「なっ……!」
「君の音楽も素敵だね。でも、音楽への愛は負けないよ!」
お返しとばかりに放った澪の魔法は植物となり、ディエトラへと迫った。澪の周囲に現れた無数の花々は鋭い剃刀のような花弁を持ち、鋭くディエトラへと襲いかかる。
空を舞い、華麗に移動しながら花を放つ澪の姿は絵画のように美しく、誰ともなく羨望のため息が溢れた。
澪の攻撃を見守っていたルナは、不自然なディエトラの動きに眉をひそめた。
避けられるはずの攻撃を避けずに、わざわざ当たりに行っているのではないだろうか? そう思い注視したルナは、ディエトラの動きに法則性を見出す。
「させない!」
鼓舞の獣奏器をふいに強くかき鳴らしたルナは、攻撃のために作った音波をディエトラの軌道へと放った。拘束魔法を展開しようとしていたディエトラの魔法陣が、ルナの奏でる音楽に軌道を逸らされ、霧消する。
今正に拘束魔法を放とうとしていたディエトラは、不発に終わった魔法にルナを振り返った。
「この、あと少しだったのに!」
「音楽は音を楽しむもの。人を傷つけるものじゃないわ!」
再び高速詠唱を始めたディエトラに、ルナは更に早い詠唱を繰り出した。
「お星さんたちわたしに力を! 悪しきものに降り注げ! シューティングスター☆」
ルナの背後に現れた星が、魔力を湛えながらきらめきを放つ。鼓舞の獣奏器を高らかに奏でたルナは、一音毎にディエトラに向けて星の光を解き放った。
演奏に合わせて放たれる【ウィザード・ミサイル(シューティングスター)】の流れ星が、ディエトラを穿つ。詠唱を中断させたディエトラの周囲に、風が舞った。
「これでおしまい! 骸の海に帰ってよ!」
全力魔法で巻き上げられた破魔の風が、ディエトラを包み込む。鎌鼬のように切り裂く風の攻撃を受けたディエトラに、澪の清鎌曼珠沙華が振るわれた。
虚空より生み出された無数の赤い花弁が舞い吹雪き、袈裟懸けに斬られたディエトラはその場に膝をついた。力を使い果たしたディエトラの身体が、少しずつ崩れていく。
「そんな……。私の、魔法は……」
呆然と呟くディエトラは、駆け寄る足音に顔を上げた。
大成功
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ペーナァ・キャットハウス
ゴブリン王に、うちはなるんやー
え、踊って歌うん?
ええよ!やったるやん!
…え、ダンスって10回言ってみろ?
お姉ちゃん突然何を言いだすのん?
…ダンスダンスダンス
ダンスダンスダンスダンス
ダンスダンスダンスンダスンダスンダスンダ……
スンダ…スンダ族!スンダ族なんーー!?(ガガーン
…せや、フォークダンスやん!
お姉ちゃん、2人だけやけど無理矢理これ踊ったらええやん!
UCで別人格のお姉ちゃんを呼び出すよ
…お姉ちゃん、何そんな嫌な顔してるん!
さっきうちに変な事吹き込んだお返しやねんから!
戦闘は「でんせつのけん」をメインに使って攻撃していくよ
敵の魔法弾に対しては、他の武器を全部「武器受け」に使い捨てていきます
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時は少し遡る。
猟兵達の見事な歌や踊りや音楽を舞台袖で見守っていたペーナァ・キャットハウス(お外でゴロゴロ・f05485)は、終わりそうな戦闘に口を尖らせた。
アップテンポの曲では一緒になってシャウトし、しっとりとした曲の時には聞き惚れて涙するペーナァは、仕方がないとはいえ終わりそうな戦闘に残念そうな声を上げた。
「えー、もう終わってまうん? もっと見ていたかったやん!」
「お前なぁ。ここには敵を倒しに来たんじゃなかったのかよ!」
ペーナァの隣で盛大に裏拳ツッコミを入れる猫耳フードを被った少女ーーペーナァのもう一つの人格であり姉でもあるクラの声に、ペーナァはハッとしたように顔を上げた。
「そうやんー! 一回出そびれたらそのまんまになったやん!」
ががーん! とほっぺをむにーっとつねるペーナァに、クラはいたずらっ子の笑みを浮かべた。
「そういやさペナ。ダンス、って10回言ってみろよ」
「お姉ちゃん、突然何を言いだすのん?」
「いいから早く」
目を丸くするペーナァを、クラは急かす。困惑しながらも口を開いたペーナァは、指折り数えながらダンスと呟いた。
「……ダンスダンスダンス、ダンスダンスダンスダンス、ダンスダンスダンスンダスンダスンダスンダ……」
そこまで言って、ペーナァはハッと目を見開く。瞳孔を開き目の中を真っ白にしたペーナァは、思わず往年の名作風の絵柄になるとショックを受けたように叫んだ。
「スンダ…スンダ族! スンダ族なんーー!?」
「それを言うならスダン族だっての」
「えーーーー!? そこ引っ掛けるとこなん!?」
ガガーン! と効果音付きでショックを受けるペーナァに、クラは楽しそうに笑い転げる。からかわれたペーナァは、頬をぷう、と膨らませると舞台上へと駆け出した。
「ゴブリン王に、うちはなるんやー!」
高らかな宣言と共に舞台中央で虚空を指差したペーナァは、あっけにとられるディエトラにワクワクしたように手を差し出した。
「踊って歌うんやろ? ええよ! やったるやん! せやけど、何を踊ろう。……せや、フォークダンスやん!」
表情を輝かせたペーナァは舞台袖へ戻ると、舞台袖で笑い転げるクラの腕を掴み強引に舞台上へと引っ張ってきた。
「お姉ちゃん、2人だけやけど無理矢理これ踊ったらええやん!」
「えー? 二人でフォークダンスぅ?」
「……お姉ちゃん、何そんな嫌な顔してるん! さっきうちに変な事吹き込んだお返しやねんから!」
ペーナァが頬をぷう、と膨らませた時、音楽が変わった。誰もが知る、素朴だが心に訴える懐かしいフォークソングに、ペーナァはクラの手を取り踊りだす。ペーナァに振り回されるクラは、半ばやけになったようにディエトラに手を差し出した。
「わ、ちょっと! 分かったから! ええい! ほらディエトラ、お前も踊れ!」
「わ、私も?」
「死なばもろともだ! ほら、お前たちも早く早く!」
猟兵や観客ゴブリン達に手を差し伸べたクラの誘いに、全員が手を取り踊りだす。観客ゴブリン達も隣のゴブリンと一緒に踊り出し、会場はフォークソングホールと化していった。
「ああ、楽しい! 踊りって、こんなに楽しいものだった……の……ね」
心から笑ったディエトラの輪郭が、ぽろりと崩れる。どこか満足したようなディエトラの姿は、風に乗って消えていった。
……その後。
「ゴブリン王に、うちはなるんやー!」と宣言したばかりにスンダ族の族長の座を射止めてしまったペーナァがそれをどうしたのかは、また別の物語である。
大成功
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