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偶像教会破壊計画

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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「猟兵のみんな、よく集まってくれたな! ダークセイヴァー世界で、オブリビオンの遺した建造物が人々に害を与えようとしているぜ!」
 グリモアベースに集まる猟兵達へ『人間のガジェッティア』ロロック・ハーウェイが、事件の発生を告げる。
「その建造物は、異端の神を崇める信徒達が作った邪悪な教会だ。そこに街の人々を拉致して生贄にしたり、様々な恐ろしい実験を繰り返していたみたいなんだ」
 だが現在は何らかの理由あってか、信徒達は教会を放棄して揃って街を立ち去り、どこかへ姿を消している。
「だから一見、人々に及ぶ危険はなくなったはずなんだけども……」
 放置されたその教会には信徒を集めるための魔法がかかったままで、ふらりと立ち寄った住民が魅入られ、やがて教会を崇め奉り、引き離そうとしても側を離れなくなってしまっているのだという。
「放っておけば、暴走する魅了魔法によって被害は増える一方だ……だから猟兵のみんなには、思い切ってこの教会をぶっ壊して欲しいんだぜ!」
 教会そのものが街にとっての新たな信仰の対象になりかねない今、もはや建物ごと破壊する以外、人々の魅了を解く方法はないだろう。
「それも二度と修復がかなわないくらい徹底的にやっちまってくれ! もう瓦礫の山にしてくれていい。そんくらいしないと、住民のみんなも目を覚まさないだろうからな……!」
 だが、問題の教会を破壊するにも、一筋縄ではいかない。
 まず教会そのものに、外的干渉に対する魔術的な防御結界が施されているのである。
 打撃、斬撃、刺突、魔法……とにかくあらゆる外からの攻撃が通じにくい。
 教会自体の大きさもあいまり、正面から破壊するには相応の時間がかかる事だろう。
「けど、この防御結界は触媒があって、そいつを壊せれば、普通の建物みたいにあっさり崩せるようになるはずだ。その触媒は教会内部にあると思うから、中に侵入して探せば見つかるだろうぜ」
 入り込む方法は別の出入り口を見つけ出したり、壁の一点を集中攻撃して穴を開けたりするなど、一工夫が必要だ。
 防御結界の阻害や解除技術に自信があるなら、もちろんそっちで試してくれてもいい。
「それと、教会は街のど真ん中にあるんだ。そんな場所で無許可で派手な解体作業をするわけだから、当然現地の人達の反対も起きるはずだぜ。しかも魅了魔法と集団心理の相乗効果で、相当な大騒ぎになっちまうと思う」
 下手を打てばデモ活動では済まない、暴動になりかねないだろう。破壊さえ終われば正気に戻るものの、それまで彼らを近づけないよう何らかの対策は必要になりそうだ。
 【POW】小細工無用。力ずくで教会をぶっ壊す!
 【SPD】なんとかして教会内部に侵入し、内側から破壊工作を敢行する。
 【WIZ】魔法や道具で教会を攻撃したり、街の住民が現場へ近づかないよう色々頑張って止めたりする。
「それから最近になって毎晩、街の住民が変死体で見つかる事件が頻発してるらしい。中には夜空を飛び去る異形を見たとも、身の毛もよだつような叫びを聞いたとも、不気味な噂が広がってる」
 教会と関係があるのかは不明だが、嫌な感じだ。一応注意した方がいいかも知れない。
「時間が経過するごとに住民が集まって来て、抗議も過激になっていくだろうけど、心を奪われているだけで悪気はないんだ。街の安寧のためにも猟兵のみんなには一肌脱いでもらって、教会を盛大な花火にしちまってくれ! 頼んだぜ!」


霧柄頼道
 霧柄頼道です。よろしくお願いします。

●周囲の状況
 教会はそこそこ広い敷地を持ち、街では知らない者のいない有名な建物です。
 入り口は正面に巨大な門が一つきりで、ぐるりと四方を錆びた鉄柵が囲んでいます。
 柵は結構高いですが、伸び放題絡み放題の蔓や草を伝えば、登れてしまいそうです。
 教会の左方には枯れた薔薇の花畑があり、右側は墓地となっています。
 墓の一つは掘り返され、人一人入れそうな底の見えない深い穴が開き、折れた梯子がかかっています。

 教会の建物全体には触媒を通して小規模な防御結界が張り巡らされ、正面扉、鐘楼、屋根、壁、窓といった各箇所に至るまで、まあまあの耐久力を誇っています。
 扉や窓は施錠されていませんが、結界のせいで入る事はできません。
 教会内部の礼拝堂はそれなりに荒れており、奥には祭壇と、何やら妖しい邪悪な魔力を放つ邪神像が飾られているようです。

 街の住民の二割くらいは程度の差こそあれ、すでに教会の魔力に取り憑かれています。
 放っておくと教会を守ろうとしたり、猟兵を妨害したり、教会と運命を共にしようとしてしまいます。

 直接の事件解決とは全然無関係ですが、教会内部を調査してみれば、信徒達が去った理由も分かるかもしれません。
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第1章 冒険 『創造のための破壊』

POW   :    心を鬼にしてパワフルに破壊だ!

SPD   :    気持ちを切り替えてスピーディーに破壊だ!

WIZ   :    いろいろ考えたけどマジックで破壊だ!

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

栖夜・鞠亜
調査や潜入はきっと専門が来てくれるだろうし
まりあは人払いの方法、考える。

天気が悪かったら外に出たがらなくなるかも。 ユーベルコードで街全体を吹雪で覆う。 制御が難しいから魔法に集中するのにまりあはこれしか出来なくなると思う、けど。

魅了されてるくらいだし、常識は通用しないかも知れない。 そうなったら効果があるかわからないけど、天候を吹雪から大雨、強風とかいろいろ切り替えてみる。
それでもダメなら炎の雨でも降らせてみる? 冗談だけど。

くしゅん・・・さむい。


アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

魅了された村人が邪魔をしてくる前に急ぎましょう。
結界を私の『属性攻撃』で凍らせたりできないでしょうか?
ホワイトブレス、ホワイトファングの魔力にて結界に干渉する価値は十分ありそうです。
もし上手く凍らせて脆くなった部分がありましたら槍や、他の猟兵に協力を仰いでみましょうか。
効果が無い場合でも、協力して一点突破を目指します。

また魅了された村人が邪魔をする場合、足元へホワイトブレスを放ち、そこから進むようでしたら攻撃を加えると威嚇します。
もしあまり効果がないようでしたら、したくはありませんが手加減したホワイトファングで無理矢理足止めをさせていただきます。

突破時には焦らず調査に移りましょう。



 高くそびえる教会は一見荘厳な雰囲気を纏っていながらも、街の中心から見下ろすような佇まいはどこかしら傲慢にも思える。
 アリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)はその教会を見上げ、それからちらりと肩越しに視線を投げた。
 まだ門の外側ではあるが、教会の魅了に囚われた人々が、少しずつ集まり始めているようだ。
 彼らが大挙して乗り込んで来ようものなら、いかに猟兵とて教会の破壊どころではなくなってしまうだろう。
 そうなる前に、とアリウムは教会の壁へと向かい、目には見えない結界と相対する。
 ――もしもこの防御結界が魔力で構成された代物なら、あるいは自分の魔力をぶつけ、干渉する事はできないものか?
(「試してみる価値は、充分ありそうです……」)
 アリウムは壁を見据え、にわかに魔力を集中させると、一気に解き放った!
 周囲を寒々しい冷気が流れ出し、その流れが目標一点へ収束していく。
 するとどうだろう、まるで急速に冷凍されていくかのように、石壁をうっすらと霜が張り始めたのである。
「効いていますね……この調子で続けましょう」
 極低温攻撃が効力を発揮している間に、アリウムはまっすぐに腕を突き出し、指先で慎重に照準を定める。
 武器を握らないのは迂闊に住民達を刺激しないためと、氷華の剣先よりも指の方が細かな狙いをつけやすい、と考えての事だ。
 指先で冷えた空気が凝縮され、一発の氷弾が作り出される。
 そして凍てついた壁めがけ、勢いよく射出された。
 氷による連続攻撃に、壁面はいよいよ大小のつららを生やし、氷壁と化し始めた。
 アリウムの魔力が、防御結界を駆逐しつつある証左でもあるのだろう。
 アリウムは続けざまに白い短槍を構えると、腰を落としながらまっしぐらに駆け出し、力を込めた一槍を氷部分へ繰り出す。
 槍の穂先は予想よりもたやすく食い込んだ。氷の表面が二つに割れるのを待たずに素早く引き抜くと、一発目と同じ箇所を狙ってさらなる刺突をぶち込み、それをひたすら繰り返して凍った壁を掘削していく――。

「潜入や調査はあの人がしてくれるだろうし、まりあは人払い、しようかな」
 その作業を横目で眺めつつ、栖夜・鞠亜(ダンピールのマスケティア・f04402)は門の方へと振り返った。
「おい……見ろよ」
「ああ……誰だか知らないが、教会を攻撃してるぞ……!」
 そこには先ほどよりも人だかりの増えた群衆が、破壊されていく教会を狼狽しながら見つめている。
 今の所はただ浮き足立っているだけだが、このまま放置しておけば、こちらを妨害しに押し寄せて来るのは時間の問題のはずだ。
「……天気が悪かったら家に帰りたくなったり、外に出たがらなくなるかも」
 そこで鞠亜が考えたのは、彼らの殺到をただ阻止するのみならず、そもそも新たに人を集めさせない方法であった。
「精霊よ」
 エレメンタル・ファンタズム。詠唱し、発動するは『氷』と『風』の合成魔法――吹雪である。
「おい……なんか、寒くないか?」
「寒いってか……雪、降ってるぞ、おい」
「そんなの知るか! 俺達の神がやばいんだぞ、氷づけにされてるんだぞ!」
 教会前に集まっていた人々が、異変に気づく。
 空からはしんしんと雪が降り始め、ほどなくして吹き始めた冷風が、容赦なく周辺を包み込んだのである……!
「氷づけにされるのは、教会だけじゃない。……街ごと、雪で覆い込む」
 見る間に地面を雪や氷が張り始め、木や家の屋根を白が染め上げて、視界も悪くなっていく。
「ぎゃあ、寒いぞ! なんでこんないきなり……っ」
「カッチーン……」
「おいここに凍ってる奴いるぞ! 誰かお湯!」
 もはや街中大騒ぎだが、鞠亜はそれらも耳に入らないかのように、ただ一心にユーベルコードへ集中している。
 何しろ街一つを対象とした魔法なのだ。加減を一つ間違えれば大惨事だし、鞠亜自身も危険である。
 あくまで人々の行動を封じるだけの小規模な寒波を巻き起こし、暴走しないよう微調整しつつ、一定の間隔で持続させる――。
「っ、くしゅん……」
 そのため、今の鞠亜は完全に無防備。自分をこの寒さから守る事だってできないのだ。
「さむい」
「え、ええ、さ、寒いですね……」
 鞠亜が制御にかかりきりな以上、同じように雪まみれになっているアリウムには、まあ重労働だが破壊工作を頑張ってもらおう。
「ええい、弱虫どもめ、俺はまだいけるぞ!」
 と、見ればまだ根性があるというか、深い魅了にかかっているせいなのか、この状況に及んでもなお、一人の若者が門を通ろうと突き進んでくる。
「魅了されてるくらいだし、常識は通用しないのかな……」
 それならと鞠亜は操作中の魔法にいくらかの変更を加える。
 するとどうだろう、呼び起こされた高温の熱が舞い散る粉雪をあれよあれよと溶かし、そしてどしゃぶりの大雨を降らせた!
「冷たい! 寒い! 身体を釘で打たれてるみたいだ、俺はもうダメだ……」
「まったくだらしのない若造じゃわい! 見ておれ、このワシが教会様をお救いたもう!」
 ぶっ倒れる若者を踏み越え、今度は血気盛んなおじいさんが突破を図ろうとする。
「……悪いけど、通せない」
 鞠亜は大雨を止めて、降り積もった雪や水溜まりを全て薙ぎ払うが如くの強風を呼び出す!
「ひょ、ひょえぇぇ~……!」
 おじいさんは真後ろにある自分の家へ押し戻され、ぽてんとソファーへ座った……が、それでも骨のある群衆は止まらない。
「まだだ! 俺はまだ……やれる! 雨にも負けず、風にも負けず……ッ!」
「火の中水の中雪の中!」
「あ……そこは危ないですよ」
「へっ……?」
 思い出したみたいにアリウムが振り向いた先で、何人かの住民が揃ってつるりと転倒する。
「なんじゃこりゃあ! 地面が鏡みたいに凍ってるぞ!」
「た、立てねぇ! しかも冷たい!」
 ちょうど門手前の地面には、アリウムがホワイトブレスで作り出した氷が張られていた。
 哀れ人々は次から次へともつれあっては巻き込み合い、なんだか良く分からない塊となってくるくる水平回転し始める。
「これでもダメなら炎の雨でも降らせてみる? ……冗談だけど」
 北風と太陽……はちょっと違うし、盛大すぎるだろうか。
 ともあれ鞠亜はようやく、一息つけたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミルフィ・リンドブラッド
【朧月】
 『怪力』を込めた【ただの右ストレート】で壁を殴って穴をあければ中に入るのは簡単だぞ、です。防御が硬いならそれを超える力でぶち破ればいいだけです。
……イヴ、屋根や窓から入るとか本気でいってやがるです?フィーの方が分かりやすくてシンプルです
だいたいイヴは…(不毛な言い争いを続け)

「月乃…どのあたりが偉大です???(無表情)」

「瑞姫が言うならしかたねぇ、です…。イヴ一先ず休戦です」
仕方ねぇのでジャンケンで順番を決めて壁をぶち抜き中へ入るです
フィーは宣言どおり壁をぶち破って壊してやるぞ、です
心のこもった賛辞?上等です

中に入ったら内側で「天竜砕き」を片手に暴れつつ触媒を探し破壊してやるです


麗明・月乃
【朧月】
壊せれば良いのに何でお主らは喧嘩しておるのじゃ。
仕方がない、偉大なる私がフォローしてやるからさっさとするのじゃぞ。
…な、なんじゃ二人して!(涙目)
みぃは良い子じゃのぅ…(頭を撫でる)

教会にいる者には『全力魔法』で魅了『属性攻撃』の【妖誘恋慕】を使用。
「そこの者。話相手が欲しくての、そこの店に行かぬか?」
と流し目で『誘惑』。先に店に入るように言う。

で、【鶏の頂点に立つ少女】を使う。適当に地面に投げて分裂させる。
もう少し数が欲しいのう。ぽいぽいっと。
鶏の上に立って周辺住民が来たら一斉にこけこっこー!
なぬ?まだ来る?もっと大きな声で、はい、こけこっこー!!
ふはは、数には数で威嚇するのじゃ!


イヴ・イルシオン
【朧月】

ただの右ストレート? 脳筋も程々にしやがるです
侵入するのなら窓か屋根からの奇襲がセオリーなのです!
(不毛な言い争いを続け)

「何言ってやがるですかフィー、月乃は偉大なチキンファーマーじゃねぇですか」

「チッ……みぃが怯えてやがったのですか。仕方無ぇのです、さっさとブツを破壊なのです」

ジャンケンで順番を決めて同じ箇所の壁をぶち抜く事に
先に結界を破った方が相手に丁寧で心の籠った賛辞を送るという約束をするです
自分の番が来たら眼帯を外し【消滅の魔眼】で結界ごと壁をぶち破るです

中に入ったら『黒鈴』の居合いで触媒を斬るです

・他絡み

「月乃……住民に食料をくれてやるとは見上げた心意気なのです」(感心


神月・瑞姫
【朧月】

イヴちゃん、フィーおねーちゃん
喧嘩はだめだよ(おろおろ
ひっ、神さまぁっ(仮面かぽっ
…主ら、我が巫女とその師を脅かすとは…
もろとも吹き飛ぶのが望みなら
いくらでも月を落としてやるが?
主らの頭上にの(ごごごご

(仮面ぽろり
…喧嘩、終わって良かったの
お師匠さま大丈夫?はい、手ぬぐいなの

みぃも人が近づいてこないようがんばるの
月乃お師匠さまが【誘惑】した人に
【みぃの手作りおむすび】をごちそうするの
みぃはお【料理】の勉強もがんばってるの
食べると湧き出す【勇気】で悪い魔力に打ち勝つの

周辺住民さんは
お師匠さまのニワトリさんで怯んだ隙に
【神月封縛符】でピタっと止めるの

結界解けたら教会に【秘術月落とし】なの


ヴィネ・ルサルカ
邪神なぞUDCアースの名物かと思うたが、此の世界でも垣間見れるとはのぅ

柵は触手を使用して昇るとしてじゃ、はて、教会内部にはどう侵入したものか…

ぬ?墓が掘り返されておるか…どうにも怪しいが、ブラフやもしれぬなぁ

薔薇の畑や教会の周囲を巡り手掛かりが見つからぬなら、墓穴に飛び込んでみるかのぅ

内部に侵入したら……何じゃ、あの不愉快な偶像は。
真っ先にぶち壊してやるわい。
(■■■■■・■■■使用)

眷族共が偶像を破壊しておる間に司祭の部屋や書庫、地下室なぞを漁ってみるかの。何かしら面白いものでも見つかるとええのぅ。

住民?漁るもの漁ったら【七星七縛符】で縛り付けて眷族共をけしかけて脅すかのぅ。


彼岸花・司狼
解体作業の手が足りているようであれば暴かれた墓の確認に。
【追跡】で直近の出入りのあとがないかを調べる。
直近か、梯子以外の出入りのあとがあれば警戒のため他の猟兵にも周知しておく。
確認中は一人では中にまで入らず、
入るにしても一旦火種や石を落として深さを見て、
単独でも即座に脱出できることが確認できてから
いくつかの武装を壁に突き刺して足場にして侵入する。
【暗殺】技能で待ち伏せなどに警戒

解体作業:正面扉に集中して攻撃を加える。
【鎧砕き+二回攻撃+範囲攻撃+生命力吸収】でガッツリ扉を叩き割りに行く



「邪神なぞUDCアースの名物かと思うたが、此の世界でも垣間見れるとはのぅ」
 柵に触手を引っかけてひょいひょいと乗り越えたヴィネ・ルサルカ(暗黒世界の悪魔・f08694)は、暗雲の下にそびえる教会をしげしげと眺める。
「さてはて、教会内部にはどう侵入したものか……」
 どこぞに都合良く抜け穴でもないかと教会の周囲を回ってみれば、ほどなくしてやって来た場所は墓地。
「ぬ? 墓が掘り返されておるか……」
 そして一つだけ暴かれた墓の前には、彼岸花・司狼(無音と残響・f02815)がかがみ込み、足下の地面や引っ張り上げた梯子の残骸を調べ、直近の人の出入り、罠の細工の形跡などがないか探っていた。
「ひとまず、敵の待ち構えている気配はない。ここから地下へ潜り込めそうだ……どこに通じているかまでは分からないが」
「ふむ……どうにも怪しいが、ブラフやもしれぬしなぁ」
 顎に手を当てて思案するヴィネの呟きを受け、司狼は穴へ小さな火種や小石を落とし、深さを測ってみる。
「……一応、俺達猟兵の身体能力や技能さえあれば、単独での探索や脱出は可能みたいだ――穴が閉じられない限りはな。……どうする?」
「他に手がかりは見つからんかったしのぅ、どれ、ものは試しじゃ……!」
 と、いたずらっ子のような笑みを浮かべたヴィネが前へ踏み出し、そのまま穴の淵へ手を引っかけると、軽やかに内部へ身を投じていく。
「どうだ?」
「読み通り、奥に進めそうな通路が見えるのぅ。せっかくじゃ、お主も付き合え」
 司狼は頷き、手持ちの武装を次々と穴の壁へ突き刺して、足場を増やしながら伝って降りて行く。
 確かに、冷えた空気の漂う穴の底は石造りの一本道となっており、少し先には錆びた扉が見える。
 ヴィネは探検でもするかのように、そして司狼は待ち伏せに警戒しつつ扉まで辿り着いて、慎重に開いた。
 目の前にあったのは上階へ続く鉄製の梯子である。それを登っていくと、どうやら教会内部の倉庫の一つへ出られたようだ。
「何がいるか分からない……奇襲や不意打ちに気をつけて進もう」
 曲がり角や物陰、天井といった死角に注意しつつ、二人は礼拝堂へ到着した。
 壁と結界を隔てた外部からは群衆の声や、他の猟兵が教会を破壊する物音が響いてくる。
「何じゃ、あの不愉快な偶像は。気色の悪い……ぶち壊してやるわい」
 礼拝堂の段差の奥には祭壇と、人の言語では何とも形容しがたい古びた邪神像が祀られており、それを一瞥したヴィネは不快そうに眉をひそめ。
「我が眷属よ、顕現せよ」
 自身の両脇にそれぞれ、四足で三角頭の生物と不定形の何かを召喚する。双方とも彼女と同じ戦闘力を備えるが、彼らが顕現している限り、ヴィネは戦えないのだ。
 ヴィネが指示を出すと二体の眷属達が一斉に邪神像へ躍りかかり、噛んだり殴ったり蹴ったり、体当たりしたりと気ままに攻撃を加えていく。
「俺も加勢しよう……跡形もなくなるまで、ガッツリ叩き割ってやる」
 司狼も破壊に特化した鉄塊のような刀を担ぐ形で構えると、そのまま邪神像へ加速をつけて踏み込み、大上段から振り下ろす!
 その猛撃は邪神の頭部を大きく削り、さらに返す刀の二撃目が邪神の片腕を粉末状の粉みじんにぶち砕く。
 像の放つオーラを得物越しに吸収しつつ、司狼と眷属達は一心不乱に破壊活動に精を出していくのだった。
「さて、暇じゃの……この教会も長くは保たんじゃろうし、今のうちに色々と漁ってみるか」
 手の空いているヴィネは勝手知ったる他人の家、とばかりに家捜しに勤しみ、荒れた司祭の部屋や崩れかかった書庫を物色していく。
「おっと、それっぽい日記が……何々、『空より恐ろしい異形がやって来た。この街はもう駄目だ。教会は惜しいが、我らは新天地を求め旅立つ。さがさないでください』……ふぅむ?」
 街を支配していた信徒達を何か別の、より強力な脅威が襲い、そのために全てを放り捨てて逃げる羽目になったのであろうか。なるほど気になる記述である。

 一方外では、教会へ挑もうとする小さな四人の猟兵の姿があった。
「教会だか何だか知らないですが、『怪力』を込めた【ただの右ストレート】で壁を殴って穴をあければ中に入るのは簡単だぞ、です。防御が硬いならそれを超える力でぶち破ればいいだけです」
「ふっ、ただの右ストレート? 脳筋も程々にしやがるです。侵入するのなら窓か屋根からの奇襲がセオリーなのです!」
「……イヴ、屋根や窓から入るとか本気でいってやがるです? フィーの方が分かりやすくてシンプルです! だいたいイヴはいちいち回りくどいというか……」
 ……そのはずなのだが、何だか不毛な言い争いを続けるミルフィ・リンドブラッド(ちみっこい力持ち・f07740)とイヴ・イルシオン(狂気の殺戮人形・f01033)。
 延々と小競り合いを続ける二人を見下ろす教会も心なしか、待ちくたびれたみたいに水玉の汗をかいている風に見える。
 さらにその場にはもう一人、神月・瑞姫(神月の狐巫女・f06739)が身をすくめつつも、おろおろ手を振りながら喧嘩を止めようとしていた。
「イヴちゃん、フィーおねーちゃん、け、喧嘩はだめだよ……うう」
「まったくさっきから聞いておれば、最終的に壊せれば良いのに何でお主らは喧嘩しておるのじゃ」
 その時見かねたみたいにやれやれとため息をつきながら、いかにも大物っぽく進み出たのは麗明・月乃(夜明けを告げる金狐・f10306)だ。
「仕方がない、ここは偉大なる私がフォローしてやるからさっさとするのじゃぞ!」
 が、ミルフィとイヴは無表情のままじろっと月乃へ横目を送り。
「月乃……どのあたりが偉大です???」
「何言ってやがるですかフィー、月乃は偉大なチキンファーマーじゃねぇですか」
「冗談は鶏だけにしろ、です」
 これまた息を合わせて浴びせられる辛辣なお言葉。思わず涙目で両腕を振り下ろす月乃。
「……な、なんじゃ二人して! 私はこんなに真剣なのにそこまで言わんでもぉ……!」
 瑞姫も同じように半泣き状態だ。けれども喧嘩を止めたい切なる思いも重なり、目をつむりながらもとっさに仮面をかぽっとかぶる。
「ひっ、神さまぁっ」
 かと思うとそれまであたふたしていたのが嘘のように静まり、雰囲気が神妙なものへと様変わりした……!
「――主ら、我が巫女とその師を脅かすとは……もろとも吹き飛ぶのが望みなら、いくらでも月を落としてやるが?」
 ゴゴゴゴ、と凄まじいまでの威圧感が空間を埋め尽くし、鋭い迫力を伴いながら厳かに警告が告げられる。
「主らの頭上に、の」
 直後、瑞姫の仮面がぽろり、と取れ落ち、はわわ、と目を丸くしてしまう。
「……瑞姫が言うならしかたねぇ、です……。イヴ、一先ず休戦です」
「チッ……みぃが怯えてやがったのですか。仕方無ぇのです、決着は後でつけるとして、さっさとブツを破壊なのです」
 なんだかんだで二人とも一旦矛を収め、目前の作戦に集中してくれるようである。
「……喧嘩、終わって良かったの」
「助かったわい。みぃは愛いだけでなく、とっても良い子じゃのぅ」
「お師匠さま大丈夫? はい、手ぬぐいなの。お顔ふきふきするといいの……」
「う、うむ……別に泣いておらんが、ちょっぴり冷や汗は出たからの……一つ借りるとするのじゃ」
 瑞姫に見えないようこっそり目元を拭う月乃であった。

「ジャーンケーン……!」
「……チョキですか。まあお手並み拝見です」
「一発で決めちまうのでよく見てやがれ、です」
 二人が標的としたのは、教会の壁。
 それも氷が削られたような脆くなっている箇所である。
「先に結界を破った方が、相手に丁寧で心の籠った賛辞を送るという約束をするです」
「心のこもった賛辞? 上等です。フィーは宣言どおり壁をぶち破って壊してやるぞ、です」
 二人は視線を合わせて火花を散らし、まずはミルフィが挑戦する事に。
「もうだいぶ穴が開いて来ているですね、これならこんなもの……えい、です」
 息を整えて腕を引き、その小さな拳をしっかりと固めて。
 ――一呼吸後に繰り出されたのは、超絶パワーを含んだとてつもない右ストレート。
 ゴッドォォォォンッ! と街中に反響する程の轟音が鳴り響き、空の暗雲が一瞬縦に弾け、常識外の衝撃を受けた教会がぐらっとゼリーみたいに揺れた。
「くっ……大きなヒビと深いクレーターは入りましたが、まだ入れそうにはない、です」
「まったくフィーは口だけなのです。とっととそこを交代しやがれです」
 というわけで選手交代。不敵な表情で壁の前へ立ったイヴ。
「これが真の切り札って奴なのですよ、結界ごと消し飛びやがれなのです」
 そうして外されたのは、イヴの左目を覆っていた赤黒い眼帯。
 そこから発された深緑の魔眼が恐るべき視線でもって壁を穿ち抜き、空間を引き裂く程の存在抹消の波動を放つ――!
 ぴし、ぴしぴしぴしっ。
 がらがら……どっしゃーん!
「見なさい、ついに壁がぶっ壊れたのですよ! 私にかかればこんなもんです!」
「ま、待ちやがれですイヴ! イヴが破ったのは結界だけで、そのせいで壁部分は本来の重量に耐えきれず自壊した……つまり半分は先に風穴を開けたフィーの功績だぞ、です!」
「約束は約束です、フィー。ここでごねるのはみっともねぇですよ」
 またしても喧嘩が始まりそうだったので、本日二回目の仮面瑞姫がお叱りの言葉を授け、二人はとりあえず先に仕事を済ませる事にした。
「こうなったらもう一勝負です。先にあの像を粉々にした方が今度こそ惜しみない賛辞と敬意を送るです」
「この教会もろとも木っ端微塵にしてやるです」
 破壊に飢えた二人の少女が突貫し、目につく端から礼拝堂を破砕しながら邪神像へと辿り着く。
 ヴィネの眷属達、司狼、ミルフィ、イヴと波状攻撃で畳みかけられ、もはや邪神像はほぼ下半身しか残っていない有様だ。
「よし、とどめを刺そう」
 ここで司狼が轟刀を大きく振りかぶり、勢いを乗せた袈裟懸けの一撃で像の片足を叩き砕く!
 続けざまにミルフィの巨大ハンマーが、もう片方の足を粉砕し。
 そしてイヴが黒鈴を構えると、ちりんと涼やかな鈴の音を残して、漆黒の軌跡を走らせながら居合い斬りを放つ。
 哀れ真っ二つになった像の残骸には眷属達が食らいつき、いよいよ欠片もなくなってしまった。
「なんだ……? 結界が解けた途端、教会が崩れ始めたぞ」
「待つのです。今のは誰が最後にトドメを刺したのですか?」
「そんな事より潰される前にみんなさっさと逃げやがれです!」
 建物そのものへのダメージが積み重なっていたせいか、崩れ始める天井。猟兵達は大急ぎで外を目指して駆け出した……!

 その頃教会の外では、月乃が悩ましげな魅了の視線を、住民の一人へ注いでいた。
「そこの者。話相手が欲しくての、そこの店に行かぬか?」
「いくぅ……」
 魅了魔法をより甘い魅了で上書きされ、何をされてしまうのだろうと夢うつつのゆるんだ顔で、一人、また一人と恍惚のまま連れて行かれる住民……。
 しかし。
「貴様が話すのはこの不思議な鶏じゃー!!」
「ぎゃああああああ!」
 突然月乃が召喚した分裂増殖暴れまくりの大量鶏に取り囲まれ、彼はじたばたもがきながら羽毛布団の中へ藻屑となって埋もれてしまった。
「ふむ、もう少し数が欲しいのう。ぽいぽいっと」
 鶏を地面へ投げれば投げる程、その群れは名状しがたくも指数関数的に増えていく。
 ある程度の数に満足した月乃はおもむろに鶏の上へ立つと、なんだなんだと集まって来た周辺住民達へ向けて。
「それ一斉に……こけこっこー!」
 ものすごい鶏たちの鳴き声が、街中を輪唱めいて駆け巡った……!
「あ、頭ががんがんする……」
「こけ……こっこ……こけこっ、こけ……」
「おいしっかりしろ! 正気!」
 たちまち大混乱に陥る教会近辺。けれども月乃はまだまだ手を――声を緩めない。
「なぬ? まだ来る? ならばそう、もっと大きな声で……はい、こけこっこー!!」
「ぎょええええええええ!」
「こけぇ……こけぇ……」
「ふはは、数には数で威嚇するのじゃ!」
 とはいえ運良く鶏被害に遭わなかった、誘惑されたままの住民も中にはいた。
「ひぃ……なんだよあの鶏少女……やべぇよ、あの狐耳が魅力的なとさかに見えて来やがった……!」
 その住民へつぶらな瞳を向けたのは、なんとも美味しそうなおにぎりを持った瑞姫である。
「みぃが作ったお手製のおむすび……食べてみて欲しいの……」
「まさか中身、鶏肉じゃないだろうな……うっ、うまい! 昆布やオカカが絶妙に効いて、塩の加減もばっちりだ! 愛情一杯胸一杯、いくらでも食えるぜーッ!」
 地道なお料理勉強の成果もあってか、瑞姫のおむすびはダークセイヴァーでも好評を得ているようだ。
「よかった……これで勇気をつけて、悪い魔力に打ち勝ってね……!」
「うおお鶏が(こけこっこー!)なんだと(こけこっこー!)いうんだ! 俺は絶対(こけこっこー!)鶏なんかに負けたりしない! あとこけこけうるせぇ!」
 だがまだ教会の虜となったままの住民もいる。そんな仕方のない人達には、と瑞姫が霊符を取り出し。
「悪しき者に月の静謐を……」
 素早く投げつけて貼り付け、その場にピタリと縛り付けて見せたのだ。
 刹那、教会がぐらりと傾き、屋根がぼろぼろと崩れていく。
 どうやらやっと、突入した仲間達が結界を破壊してくれたらしい。
「それなら、神の裁きを……秘術月落とし」
 瑞姫が仕上げとばかりにえいやと発動すると、はるか天高い上空から火の線を描き、巨大な隕石が雲を散らして飛来してくる。
 大気圏突入の際に表面を焼き焦がして崩れつつも、隕石は一直線に教会へと突っ込む。
 そして地響きを立てて、一瞬いびつに膨張した風に見えた教会は、次の瞬間派手に玉砕した!
「あ、あれ……何か、中で悲鳴が聞こえた気がするの……」
 はて何か忘れていなかったかと、ぱちくりと目を白黒させる瑞姫。
 その一秒後、ぎりぎりで煙の中から吹っ飛んで来た司狼達猟兵が揃ってずざざと地面に倒れ込んだ。
「間一髪だったな……」
「フィー達は、アクション映画並みの大脱出劇だったですよ……」
「ご、ごめんなさいなの~っ!」
 ともあれ、これで諸悪の根源である教会は、ここが教会だと言われてもまったく信じられないくらい、パーツ一つ残さず地上から消え失せた。
「そ、そんな……俺達の神が……ちくしょう、よくも!」
「そろそろお主らも正気に戻ってはどうじゃ?」
 魅了の名残からかなおも暴れようとする住民には、墓の抜け道からひょっこり現れたヴィネが眷属をけしかけて脅かし、落ち着かせる。
「月乃……住民に食料をくれてやるとは見上げた心意気なのです」
「こけこっこー!!!」
「……もう終わってるのですよ」
 月乃の活躍に少しは感心した表情を見せるイヴだったが、いまだに完全になりきっているその姿を眺め、小さくため息をついたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『残影』

POW   :    怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ   :    潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 とうとう崩れ去った悪の象徴。住民達に混乱は数あれど、これで元のような平穏が戻るはず……。
 だった。
「な、なんだ……地面から、何かが出てくるぞ!」
 地の底から呪うようなうめきが聞こえて来た矢先、なんと瓦礫の下から這い出るように、おぞましい死霊の大群が現れたのである。
 彼らはかつて邪教の信徒達による生贄や、残酷な実験によって死亡した犠牲者達。
 教会が破壊された事によって封印が解かれ、生者の魂を求めて湧き出して来たのだ……!
「お、襲って来るぞ、やばいっ、逃げろー!」
 正気に立ち返ったものの、今は恐怖に怯えて逃げ惑う住民達。
 この教会跡から死霊を逃がせば、取り返しの付かない被害が出てしまうだろう。
 これもまた信徒達の生み出した悪夢、すなわち教会の一部と呼んで過言ではない。
 今度こそ教会を完全に滅ぼすべく、猟兵達は立ち向かって行くのだった――。
彼岸花・司狼
犠牲になったことは哀れとは思うが、
敵であるなら容赦なく。
数には数を、少々派手にやらせてもらおう

UCに【範囲攻撃+2回攻撃+残像+フェイント】で周囲に散らばらせないように死霊の群れを狼の群れで阻んで妨害する。
一般人の側へ通さないことに重きを置くが、
一応隙あらば、また無理矢理突破しようとするのであれば【生命力吸収+鎧砕き+暗殺】を重ねて倒しに行く。

こんなモノを封じ込め続けられる存在が裸足で逃げ出すとは…新しくここに何が来たんだろうな。
封印されていたならこの死霊は…異形の目撃情報にも、変死体の原因にもなりえないだろう?


栖夜・鞠亜
早くお家に帰ってれば怖い思いなんてしなくて済んだのに。
住民を放置する訳にもいかない、まりあはそっちを何とかする。

狙撃銃で住民を襲ってそうな奴から、狙い撃つ。 残影って・・・幽霊みたいなもの? 物理攻撃はすり抜けそうだし、弾丸に属性攻撃の光属性を付与すれば、当たる? あと、ユーベルコードで光属性を更に重ね掛けする、属性付与が必要な人は承諾して。 まりあが強化してあげる。

潰えた希望の果ての対処は、基本的にまりあは銃だし立ち位置は遠距離だけど、敵との距離には気をつけておく。


アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

まずは『祈り』を。
あの敵が人の憐憫の感情を利用して攻撃を仕掛けてくる事は重々承知の上です。
それでも、あの憐れな魂に平穏な未来があることを祈らずにいられません。

私一人が攻撃を受ける事は、私の愚かしさが招いた事。
しかし村人は違います。何も非もない彼らに危害を加える事は私が許しません。
必要であれば『かばう』事もしましょう。『激痛耐性』があれば数撃程度なら動ける事を信じて戦います。
村人へ害を為そうとする敵を優先的に攻撃し、極力後方に位置して戦場を広く見て戦っていきましょう。
もちろん他の猟兵とも協力をし、村人の避難に余裕が出てきましたら、そちらへの援護に移ります。


ヴィネ・ルサルカ
おうおう、悪趣味な偶像の次は亡霊と来たか。つくづく勘に障る教会じゃのぅ。

引き続きワシの眷族で攻勢に出るわい。猟犬には噛み付きと爪での引き裂き、奴隷には酸を飛ばしての攻撃を指示。

ワシ自身は七星七縛符による敵の足止めに徹するとしよう。

住民には【恐怖を与える】スキルを用いて「早う逃げよ、さもなくば…ワシが丸呑みにしてしまうぞ」と脅かしておくかのぅ(【暴食螺鈿怪口】の変化のみ使用)



 悲しみ、怒り、苦しみ、嫉妬……。
 彼らの味わった責め苦、苦悶は想像に絶する。死してなお生者の温かみを求めてさまようその姿は、戦いに慣れた者ならば恐怖よりも先に憐れに感じてしまうものだろう。
 そして敵は、その感情を利用して攻撃を行うのだ。
(「それでも、あの憐れな魂に平穏な未来があることを祈らずにいられません……」)
 にも関わらずアリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)は、その事実に対して何らの後悔も、迷いも抱いてはいなかった。
 元より、重々承知の上。それで彼らの苦しみが少しでも晴れるというのなら、あえて付き合う事も選択の一つに入れたかも知れない。
 けれども、とアリウムは氷華を決然と構え、凛として死霊の群れを見据える。
「私一人が攻撃を受ける事は、私の愚かしさが招いた事。……しかしこの街の人々は違います。何の非もない彼らに危害を加える真似は、私が許しません」
 死霊達のいくらかは猟兵を狙っているようだが、いまだ教会跡付近には逃げ惑う住民も残っている。
 その背中めがけて呪われた手を突き出す死霊へ、アリウムはホワイトファングを撃ち込んで弾き飛ばした!
「私の後ろへ……!」
 住民のグループを背へかばいながら、浮遊するように襲い来る死霊達にホワイトブレスを浴びせ、前列を凍り付かせる事で後続の侵攻を阻んでいく。
 教会が根こそぎ吹っ飛んだおかげで風通しと見晴らしはいいが、その分住民が隠れる場所がなく、また敵からこちらの位置は丸見えになってしまっている。
 よって全員を救うためには、寄り集う敵を押しとどめるための壁が必要となるのだ。
 それも堅固で、素早く必要な場所へ移動できるだけの、生きた壁が。
(「ならば、私がその役目を果たしましょう……!」)
 アリウムは戦場の後方に位置取りをしながら、視野を広く取って戦況を確認しつつ、隙の少なく小回りの利くホワイトファングを中心に住民の避難を支援する。
 しかし、どうしても間に合わない場合はためらわずに駆け出して。
「く……! ――この程度、あなた達が受けて来た苦しみや、街の人々が受けてしまうかも知れない痛みに比べれば……!」
 人々をかばい、異形の肉塊から召喚される痛々しくどす黒い手に掴まれ、身体のあちこちをぎちぎちと強く引っ張られながらも、アリウムは怯まない。激痛にも屈しない。
「うわぁ、化け物だぁ!」
「逃げろ逃げろぉ!」
 相変わらず周囲は騒がしい。魅了魔法こそ解けているものの、お次は死霊の襲撃のせいで狂乱の渦中と化している。
「……早くお家に帰ってれば怖い思いなんてしなくて済んだのに」
 といって住民を放置する訳にもいかない、と栖夜・鞠亜(ダンピールのマスケティア・f04402)は黒塗りのガンケースから、一丁の銃器を取り出す。
 アンティークな雰囲気の狙撃銃だ。古めかしい作りではあるが、それだけに備える性能は堅実で、信頼のおけるものである。
「残影って……幽霊みたいなもの? 物理攻撃はすり抜けそうだし、弾丸に属性攻撃の光属性を付与すれば、当たる?」
 鞠亜はその無骨な狙撃銃『Kar98k』に弾丸を装填し、更に光属性をエンチャント。
 そうして顔の横に構え、離れた位置で住民を追いかける死霊の群れの先頭を、スコープ内の照準に収めて。
「……ばん」
 死霊の頭部が花火みたいに弾けた。光の粒が名残のように拡散し、周囲の死霊達もたじろいだ風に見える。
「効果あり。……封印されてたって言ってたし、今回の敵は実体と霊体の複合みたいなものなのかな」
 敵に対しての分析と所感を呟きつつも鞠亜は狙撃を繰り返し、手早くボルトを操作しながら次弾を込め直していく。
 引き金が引かれる度に死霊の急所が光をばらまいて消し飛び、その数は順調に減退しつつある。
 そしてアリウムを取り囲んでいた死霊の包囲を打ち崩し、二人は一旦合流した。
「氷だけじゃ辛い? まりあが強化してあげようか」
 リロードしながら背中越しに尋ねる鞠亜に、アリウムはお願いします、と頷きを返す。
 だがその短い会話がわずかな隙となったのか、地面を這いながら近づいて来ていた一体の死霊が唐突に起き上がり、その口を悲観に満ちた絶叫の形にする……!
「させません……!」
 刹那、光を纏ったアリウムの、差し詰めライトホワイトブレスが吹きかけられ、死霊は絶望しきった表情のまま氷像と化し――光に融けていく。
「こちらの方向は住民のみなさん、あらかた退避されたみたいです。ここからは私も援護しましょう」
「……いいけど。あんまりまりあに話しかけないでね」
「え、あ、はい……」
 二人の活躍により人々の避難、教会跡近辺のカバーはなされていたが、死霊達が果てる事なく湧き出す中心部は、さらなる激戦区の様相を呈していた。
「おうおう、悪趣味な偶像の次は亡霊と来たか。つくづく勘に障る教会じゃのぅ」
 つかず離れずの中距離を保ちつつ、ヴィネ・ルサルカ(暗黒世界の悪魔・f08694)は引き続き眷属達を差し向け、手当たり次第に死霊を蹴散らし続けていた。
 猟犬はジグザグに動き回る事で死霊が住民を狙わないよう引きつけ、前へ出すぎた敵には鼻先に爪を浴びせて出足をくじき、隙ができたと見れば容赦なく食らいついて息の根を止めていく。
 方や、不定形の奴隷はもぞもぞと瓦礫に身体を這わせ、その上を通りかかった死霊に噴火の如く酸を浴びせる。
 隕石の落ちたこのあたり一帯がクレーターとか穴ぼこだらけになっているおかげで潜伏する場所には困らず、猟犬が倒し損なった敵にも確実にトドメを刺せていた。
 二体のコンビネーションに次々倒される死霊へ、彼岸花・司狼(無音と残響・f02815)はちらりと目をやって。
(「――教会の闇の犠牲となったことは哀れとは思うし、弔いの一つくらいあってもいいだろう」)
 しかし今この瞬間、立ちふさがる敵であるなら容赦なく。
「実際、敵が多すぎて同情している余裕がないからな……。それに攻撃手は多い方がいい。数には数を、少々派手にやらせてもらおう」
 司狼は群れ寄る死霊達と対峙しながら自身の記憶を呼び起こし、そしてこの大立ち回りで流れた死霊達の血を代償に、『封狼刀』の封印を解放する――!
「狩りは終わらない、ヒトが『ワレラ』を必要とする限り……」
 そうして現れたのは、愛刀の変化した狼の群れ。八十を数えるその大群は、教会跡に跋扈する死霊を軽く取り囲める程であった。
 死霊を睨む司狼の脇を群狼が続々と駆け抜け、瓦礫を蹴って跳ね上がりながら死霊へと躍りかかり、哀願にも耳を貸さず喉元を食いちぎっていく。
「おお、援軍とはありがたい。この数の亡霊を一掃するにはちと時間がかかるからのぅ」
 困ったような口調とは裏腹に、縦横に暴れ回る眷属達を眺めるヴィネは高みの見物といった態度である。
 主な敵の殲滅は眷属二体に任せ、司狼は一般人に敵を近づけないよう、狼達へは敵の足を止める事に専念させる。
 何よりここが最前線。万一にも敵を路地などに見失おうものなら、再度捕捉するのは難しい。
 その場合は多少狼を犠牲にしてでも、強引に敵を倒しに向かわせねばならないだろう。
「阻み、囲み、追い詰めろ……!」
 狼達は扇状に陣形を変えながら、左右から挟み込むように死霊達を包囲していく。
 怒れる死霊から発される炎塊はすかさず残像を残して回避し、フェイントをかけながら翻弄しつつ間合いを詰め、それでも突破する敵がいれば司狼自身が刀を力強く振るってトドメを刺した。
「これが狩り場というやつよ。……む、お主ら、まだこんな場所におったのか」
 押し倒した死霊を猟犬が八つ裂きにし、奴隷が覆い被さって追撃の酸で溶かしまくっているのを尻目に、ふとヴィネは近くの瓦礫の中で頭を抱えて尻を向けている何人かの住民を見つけた。
 恐らく混乱の最中に逃げ損ない、そのまま恐怖に負けて動けなくなってしまったのだろう。
「ひいぃ……もう何が何だか分からない、誰か助けてくれッ……!」
 いちいち励ましていてはらちがあかない。
 それでいて、恐怖に堕した者を手っ取り早く追い立てるには、より大きな恐怖を与えるのが一番である。
「やれやれ……早う逃げよ、さもなくば……」
 にぃ、とギザギザの歯をむき出しにしたヴィネが、そのしなやかな腕を持ち上げ――。
 美しい二の腕がみるみる、バッカルコーンめいて無数の触手へほどけていくではないか!
「……ワシが丸呑みにしてしまうぞ?」
「あ……あひぃい……!」
「あの美女の触手に囚われたらどれだけの……ごくり」
「むしろ食べられたいハァハァ」
 などと漏らしながら、こけつまろびつ逃げ出す人々。
「……まだ何人か、教会の魅了が尾を引いておるのではあるまいな」
 ジト目でぼやきつつ腕を戻したヴィネだが、戦いはまだ続いている。
「それにしても、こんなモノを封じ込め続けられる存在が裸足で逃げ出すとは……新しくここに何が来たんだろうな」
 狼達を指揮しながら、司狼が思い浮かんだ疑問を呟く。
「うぅむ……確かに、あの日記の文面からして、ただならぬ事態が彼奴らを襲った事は間違いなさそうじゃが」
「封印されていたならこの死霊は……異形の目撃情報にも、変死体の原因にもなりえないだろう? 一体どんな奴が……」
 まだこの事件の裏には、隠された黒幕――もしくは、脅威が潜んでいるのかも知れない。
 そしてそいつはきっと、この戦いも、猟兵達の存在にも気がつき、どこかで見張っているはずなのだ。
 教会の信徒達を超える、恐るべき悪意をたたえた目で――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

イヴ・イルシオン
【朧月】

高い位置等の狙いやすい位置に移動し兵器『ナイトメアカノン』を設置

「来たのですかステラ。上手に楽してこそ猟兵なのですよ? 覚えておくのです」

ステラの頭を優しく撫でてやるです

「今回ステラは猟兵としての初仕事なのですね、折角なので我ら殺戮人形の生き様を見せつけるですよ。メンバーを紹介しとくです」

指を刺しながら紹介です

「隕石落としの『みぃ』、熟練養鶏家『月乃』、脳筋馬鹿の『フィー』」

【武器改造】で大砲を自動識別発射させるです
そしてステラと【殺戮のアリス】を歌いながら戦場を駆け廻り、纏まった敵は【無明刻命斬】で斬り捨てるです

ステラに挨拶されるフィーの面を想像するだけで吹き出しそうなのです!


神月・瑞姫
【朧月】
イヴちゃん、この子だれなの?
初めて見るの

隕石落し…間違ってないけど
なんだか怒られてる気分なの
あ、お腹は痛くないの
みぃは妖狐の巫女さんなの
ステラちゃん、よろしくなの

う?お師匠さまはぽかぽか太陽の匂いなの(ぎゅー

エレガント?脳筋?
フィーおねーちゃんそれどういう意味なの?

おぉ、お師匠さまアレなの
分かったの

【月下彼岸花】+【妖花演舞】→妖花演舞重奏「狐花」
薙刀を地に刺し
【破魔】の【手作りのお札】を周囲に撒く
【祈り】念じる
さすればたちまち霊符は炎【属性攻撃】の彼岸花と化す

薙ぎ払え!

薙刀を抜き放ち号令
師の扇と瑞姫の薙刀が演じる炎花の舞
死出の餞としてご覧あれ

そうなのみぃのお師匠さまはすごいの!


ステラ・イルシオン
【朧月】

「御機嫌よう イヴ姉様 ……サボり?」
姉様 前より優しくなった?
「分かった ステラみんなの事 覚えた」
挨拶しに行く

「初めまして 隕石落としの みぃ」
「巫女 初めて見た よろしく」

「初めまして 熟練養鶏家の月乃」
「でも 鶏の匂い する」

「初めまして 脳筋馬鹿のフィー」
「脳筋馬鹿の 優雅でエレガントな フィー」

間違ってない はず? 皆の反応 おかしい
「みんな ぽんぽん 痛いの?」(首傾げ

◇戦闘
【殺戮のアリス】で皆の力を上げつつ巨大『ヴァイスエッジ』をブーメランにして【念動力】操作して戦う
・感想
「鶏さん 強い 偉い」(抱き

「みぃ 自分の力に 盲目」(困り

「フィーさん 格好良い 認める」(頷き


ミルフィ・リンドブラッド
【朧月】
…イヴ、人を紹介するときは敬意をもって丁寧に紹介しやがるのが普通です。ステラ、フィーはエレガントなダンピールです。フィーは脳筋じゃねぇのです(くどくど

月乃あとでちょっと裏にこいです
瑞姫、優雅は優雅です。ずががーじゃなくてしゅぱぱです

・戦闘
「血の弾丸」を片手に持ち先陣をきるです
『怪力』で脚力を高め、ステップを踏むように素早く移動。近くの敵を貫き『串刺し』に相手の攻撃は『武器受け』で受け切り返すように弾き受け流し舞うように戦うです。敵に囲まれたら傷口から滴る血液を利用して【血滴る悪夢の槍】を使用。地面から生える無数の槍で串刺しにするです

どうです?のーきんにはできねぇ優雅な戦い方です(ふんす


麗明・月乃
【朧月】
お、知らない者がおるのう。
ここはビシッと名乗らねばの。私は偉大なる妖狐の…。
誰が養鶏家じゃ!?
みぃ、私からそんな匂いするかの…?
フィーは全く間違っておらぬな。
むぅ、鶏だけではない所をみせてやるのじゃ!

…とはいえ鶏を遊ばせるのも勿体ないし、適当に敵の前をうろちょろさせて囮にしておくかの。
てってこ走らせて一ヶ所に敵が纏まるように仕向けよう。
「みぃ、あれをやるぞえ。私が合わせよう」
武器の扇を頭上に放り投げ扇子を取り出し、『全力魔法』で炎『属性攻撃』かつ『範囲攻撃』である【妖花演舞】を舞う。
「華麗なる私の舞……これを見れば養鶏家などとは呼べんじゃろう?」

…なんで鶏を認めておるんじゃああ!?



「お、知らない者がおるのう」
「イヴちゃん、この子だれなの? 初めて見るの」
 麗明・月乃(夜明けを告げる金狐・f10306)と神月・瑞姫(神月の狐巫女・f06739)が怪訝そうに目を瞬かせる中、無表情にぽつんと佇んでいるのは、ステラ・イルシオン(純粋な殺戮人形・f12267)である。
「来たのですかステラ。上手に楽してこそ猟兵なのですよ? 覚えておくのです」
 と、巨大長距離砲撃兵器『ナイトメアカノン』を空き家の屋根へ設置してきたイヴ・イルシオン(狂気の殺戮人形・f01033)が、仲間達の元へ合流する。
「御機嫌よう イヴ姉様 ……サボり?」
「ち、違うのです。まったく開口一番何を言ってやがるのですか。……この子はステラ。私と同じ殺戮人形で、まあ妹みたいなもんです」
 イヴが心持ち柔らかい眼差しで、ステラの頭を優しく撫でて。
「……姉様 前より優しくなった?」
 されるがままに撫でられた本人はそんな姉をきょとんとした風に見返している。
「今回ステラは猟兵としての初仕事なのですね、折角なので我ら殺戮人形の生き様を見せつけるですよ。メンバーを紹介しとくです」
 ステラを中心に輪を作る面々を、イヴは順番に指差していく。
「左から、隕石落としの『みぃ』」
「隕石落し……間違ってないけど、なんだか怒られてる気分なの……」
「まあ気にせずとも良いぞ、みぃ。さてここは後輩相手に、ビシッと名乗らねばの。私は偉大なる妖狐の……」
「熟練養鶏家『月乃』」
「そうそう、熟練の――誰が養鶏家じゃ!?」
「最後は脳筋馬鹿の『フィー』」
「……イヴ、人を紹介するときは敬意をもって丁寧に紹介しやがるのが普通です。というかだんだんめんどくさくなってきてないです?」
 ミルフィ・リンドブラッド(ちみっこい力持ち・f07740)が憮然としてもの申すが、隣の月乃は訳知り顔で大きく頷き。
「うむ、フィーの場合は全く間違っておらぬな!」
「月乃あとでちょっと裏にこいです」
「ふぉわっ!?」
「分かった ステラみんなの事 覚えた」
 ともかく全員の紹介が一段落し、ステラはとてとてと一人ずつ挨拶に向かう。
「初めまして 隕石落としの みぃ」
「ステラちゃん、よろしくなの! みぃは妖狐の巫女さんなの~」
「巫女 初めて見た よろしく」
 続いて尊大に胸を張っている月乃へ、ぺこり。
「初めまして 熟練養鶏家の月乃」
「今後ともよろしくなのじゃ。ただし養鶏はしておらぬぞ」
「でも 鶏の匂い する」
 途端にがくりとうなだれた月乃は、ぼそぼそと瑞姫に囁きかける。
「みぃ、私からそんな匂いするかの……?」
「う? お師匠さまはぽかぽか太陽の匂いなのー」
 ぎゅーっ、と抱きしめられて、ちょっとほっとしたように胸をなで下ろす月乃であった。
「初めまして 脳筋馬鹿のフィー」
「ステラ、まず訂正するです。フィーは優雅でエレガントなダンピールです」
「分かった 脳筋馬鹿の 優雅でエレガントな フィー」
「そこじゃないです、フィーは脳筋じゃねぇのです」
「ぶふっ、馬鹿なのは認めてるですね」
「揚げ足取りがやかましいぞ、です。イヴ」
 口を三角にしてくどくど続けるミルフィに、瑞姫が素朴な表情で問いかける。
「……エレガント? 脳筋? フィーおねーちゃんそれどういう意味なの?」
「瑞姫、優雅は優雅です。荒っぽいずががーじゃなくて綺麗なしゅぱぱです」
 身振り手振りで伝えるミルフィへ、イヴが笑い混じりに再び口を挟む。
「脳筋についてはフィーを見てればそのうち分かるですよ」
「うん。みぃ、頑張ってフィーおねーちゃんの事見てるの」
 一方でステラは火花を散らす(主にフィーとイヴ)を交互に見つめ、数秒の沈黙の後に小首を傾げて。
「間違ってない はず? 皆の反応 おかしい」
「安心せい。おかしいのはイヴの紹介の仕方じゃ……」
「よく 分からない みんな ぽんぽん 痛いの?」
「あ、お腹は痛くないの」
「むしろ胸が痛ぇです」
「というか、こんな所で集まってくっちゃべってる暇はねぇですよ。敵はもうすぐ側まで来てるですから」
「お主がそれを言うか!? むぅ、こうなれば鶏だけではない所をみせてやるのじゃ!」
 とはいえその鶏を遊ばせておくのも勿体ないため、ここは適度に敵の前をうろちょろさせ、囮として働かせよう。
「こけーこっこっこ。こけこ?」
「こけー」
 月乃が鶏語で指示すると、その鶏はおもむろにてってこ走り出し、死霊の群れへと果敢に近づいて行く。
「やはり月乃の鶏さばきは本物です。ここはフィーも先陣をきっていくです」
 自身の血液で作り出した『血の弾丸』を片手に、ミルフィは『怪力』で高めた脚力を頼りに、荒れた足場を細やかなステップで刻みながら素早い移動を始める。
 鶏が敵を一カ所に集め、フィーはその後方から俊足で肉薄し、間合いに収めるや否や血の弾丸で背中から一突きに貫く。
 そのまま逆手で勢いよく引き抜きざまに、背後に立つもう一体を串刺しにしてのけ、遠心力をつけてまとめて投げ捨てるようにしながら反動で跳躍。
 瓦礫から瓦礫へ渡りながら、撃ち込まれてくる炎弾を回転させた血槍で受け止め、すかさず逆回転する事で弾き返しつつ、駄目押しに槍も投擲していく。
「そんな遅い動きでフィーを捉えられると思ってるです?」
 敵を倒せば倒すほどに新たな血溜まりが増えていき、そこからいくらでも血の弾丸を生成できるため、切り込み役を務めるフィーの手数は何とも多彩である。
 さながら廃墟を舞う蝶の如く、軽やかに鮮血を吹き散らせていくが、そのスピードでも対応しきれない敵勢に取り囲まれた時には。
「血よ、我に迫る敵を貫け」
 敵が流した血液でできた血溜まりから、無数の槍が突き出される!
 一秒前までフィーを囲んでいた死霊どもは、突如として地面から生えた槍の群れに捉えられ、ことごとく串刺しになり骸をさらしたのだった。
「どうです? 敵をおびき寄せての一網打尽。のーきんにはできねぇ優雅な戦い方です」
 すまし顔ながら、ふんす、と鼻息も荒いフィーに、瑞姫と月乃は揃ってぱちぱちと拍手を送る。
「フィーおねーちゃん、とっても格好良かったのー!」
「ふむ。エレガント対決で言うなら、まずフィーに一点といったところかのう」
「フィーさん 格好良い 認める」
 こくこくと頷くステラに、イヴは肩をすくめて。
「エレガント対決って何言ってやがるですか。でもフィーとの勝負なら負けられないですね!」
 イヴがびしっと死霊の群れを指差すと、あらかじめ設置しておいた改造済みナイトメアカノンが、満を持してその火を吹き始める!
「BGMがスタートしたです。さあステラ、共に歌い駆け廻るですよ!」
「はい 姉様 たくさん歌って たくさん戦う」
 激しい砲弾がぶち込まれる戦場のただ中へ、二人の殺戮人形が踊るように飛び込んで。
「──Welcome to Wonderland♪ I hear their screams♪」
 呼吸を合わせ、紡がれる歌声は【殺戮のアリス】。
 不思議の国のパレードを思わせるような可愛らしくもどこか浮かれた旋律が、仲間達の戦闘力を引き上げていく。
 イヴは『黒鈴』を腰溜めに構えて駆け込み、ステラは巨大『ヴァイスエッジ』をブーメランへと変形させ、【念動力】で周囲に浮遊させながら死霊の群れを迎え撃つ。
「死の先へとひた走りやがれです──無明刻命斬!!」
 たっぷりの蒸気圧で力を溜めた黒鈴が、イヴの叫びとともに鞘走らされて一閃を叩き込む!
 横薙ぎとともに発生した黒稲妻が間合い全てを駆け抜け、射線上にいた死霊達は一拍置いてから。
 ずるり、と空間ごと上体を切れ落とさせ、声もなく消滅していった。
 そしてステラもヴァイスエッジを腕の延長めいた精密操作で敵へと叩きつけ、一体たりとも側へ近づけさせない。
 ステラの前だからとはりきって斬りまくるイヴを援護するようにその背を守り、好機と見ればイヴ以上の勢いで死霊の群れをミンチにしていくのである。
「姉として、無様な姿は見せられないですよ!」
 イヴがヴァイスエッジを足場としながらジャンプして、一息に目前の死霊を両断すると、体重を感じさせずに降り立ちながらステラと指を絡めてステップを踏み、ドレスの裾をつまんでお辞儀をした。
「……さすがに姉妹というだけあって、二人ともなかなかやるです」
「これはイヴとステラを合わせて一点……合計で二点じゃな、フィーは遅れを取っておるぞ」
「月乃はあとで覚えておくです」
「なんでじゃ!?」
「お師匠さま、こっちにも敵が来ているの!」
 瑞姫の声に、即座に表情を引き締めた月乃も扇を取り出しながら駆け付けていく。
「みぃ、あれをやるぞえ。私が合わせよう」
「おぉ、お師匠さまアレなの、分かったの!」
 心得たとばかりに瑞姫が薙刀を地面へ突き刺し、清浄な【破魔】の力が込められた【手作りのお札】を周囲に撒く。
「月下に燃ゆる狐花……舞いて開きて咲き誇れ。其は道標……旧きは彼岸へ新しきは此岸へ……神月の名の下に天理を正さん!」
 一心なる【祈り】の念が届き、霊符は熱く燃えさかる炎の彼岸花と化す……!
「舞え。踊れ。其は何処にもない花。其は何処にでもある華。熱き魂は偉大なる我が御身の下に顕現する――」
 空高く放り上げられた月乃の扇が赤々とした焔を纏い、狐の形をした花びらとなって咲き乱れ、彼岸花と混ざり合ってはきらびやかな炎の花吹雪を舞い散らした!
「妖花演舞重奏『狐花』!」
 瑞姫が薙刀を抜き放ち、月乃も懐から抜き出した扇子をぱんと開き、両者の声が重なる。
「薙ぎ払え!」
 号令とともに、数え切れない鮮やかな炎花が死霊達を覆い込む。
 その華やかな坩堝で行われる二人の背中合わせの流麗な演舞が、死霊の魂を憎悪の束縛より解き放っていった。
「師の扇と瑞姫の薙刀が演じる炎花の舞……死出の餞としてご覧あれ!」
「華麗なる私の舞……これを見れば養鶏家などとは呼べんじゃろう?」
 月乃が扇子で口元を隠しつつ、どや顔のカメラ目線を送るが――。
「……ってなんで鶏を認めておるんじゃああ!?」
 激しいノリ突っ込みとともに、炎の花弁達が風に乗って大きく吹き抜けていった。

「このエレガント対決はどうやら、二点を取った私とみぃコンビの勝ちのようじゃのう」
「待ちやがれです月乃。どっちみちフィーは一点止まりですが、それなら私とステラコンビも優勝を狙えるはずなのです」
「とりあえず二人とも聞き捨てならねぇです」
「鶏さん 強い 偉い」
 不毛な争いをよそに、なんとあの乱戦においても見事生き残った鶏を、ステラが労いも込めて抱き上げ、顔の前へ持って来る。
「こけーこっこっこ!」
「……こけこっこ みぃと 月乃も すごかった」
「そうなのそうなの! みぃのお師匠さまはすごいの!」
「みぃ 自分の力に 盲目……」
 どことなく困ったように眉根を寄せて見せるステラに、メンバーからは楽しげな笑い声が上がるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『不服従の賢王』

POW   :    贄の叫び
自身が戦闘で瀕死になると【墓場の亡者 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    闇の嘆き
自身の装備武器を無数の【黒百合 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    葬られる孤独
【死の恐怖 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【有象無象の蛇のかたまり】から、高命中力の【恐れを喰らう蛇】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠揺歌語・なびきです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の奮闘によって住民の安全は守られ、出現した憐れな死霊達も一掃された。
 これでようやく、この街には本当の平和が帰ってくるはず……。
 その瞬間、だしぬけに教会跡の地面が盛り上がり、何か巨大なものが垂直に飛び出した!
「なっ、なんだありゃあ!」
「空を飛んでるぞ! と、鳥……? ――でっかい怪鳥だぁぁぁぁぁ!」
 土煙から現れたのは、大の男よりも一回り大きな体長を備える、白い羽根を持つ怪鳥。
 しかもそいつが不気味な鳴き声を張り上げると、その凄まじい音波は街中に響き渡り、そこかしこから苦しげな悲鳴が上がる。
 教会で調査を行った猟兵ならば、察しはつくはずだ。
 我がもの顔で飛び回るあの存在、『不服従の賢王』こそが、教会の信徒達すら恐れて逃亡を選ぶ程の異形。
 そして近頃、夜な夜な発生する変死事件の、犯人なのだと。
 今までは教会地下をねぐらとしていたようだが、それを潰される形で、たまらず姿を現したのだろう。 
 死霊と違い、奴は空にいる。まずは高所にいる敵への対策を練らねばなるまい。
 信徒達の尻ぬぐいをするようだが、これが真の最終決戦。
 猟兵達が倒れれば、街を支配した奴は好き放題に殺戮を繰り返すに違いない。
 何としても、ここで食い止めねばならないのだ――。
彼岸花・司狼
地下にいたとは…墓穴に潜ったときに動きださなくて何よりだ。

対空手段が手裏剣だけってのはちと厳しいが、
飛行中は手裏剣を一斉に投げて【範囲攻撃】で敵の動きを制限しに行く。
落とすまでは敵の反撃を受けないために【フェイント】も交えながら移動し続け、
落下後、もしくは対亡者には【生命力吸収+暗殺+鎧砕き+2回攻撃】を組合せ、
UCで強化した一撃をお見舞いする。

この王にとっちゃここの神様も餌でしかなかったのかね?
まぁ、魅了の異能が効いていたとはいえ信者と像だけで、
本人、本神?がいなかったのかもしれないがね。
…これがこの場所に来なけりゃどうなってたかを考えると、ちと複雑だが。


アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎

この村の人々のためにも、一刻も早く打ち倒さないといけませんね。
もし逃げ遅れている村人がいましたら、避難誘導を。
敵が村人へ攻撃を加えないように護衛と警戒を行います。
避難が完了次第、他の猟兵と協力し、敵へ攻撃を開始しましょう。

とはいったものの、高所にいる敵に私の攻撃がどこまで通用するか……。
とりあえずホワイトブレス、ホワイトファングの二つを使用し様子を見ます。
当たりさえすれば『属性攻撃』の効果で凍らせて動きを阻害できるかもしれません。
地に堕ちさえすれば、そこからはこちらの領域。これまでの悪事の報いを受けてもらいます。
また『槍投げ』をし、『串刺し』て地に縫い付けるのも良いかもしれませんね


ヴィネ・ルサルカ
成る程、アレが日記に書かれておった脅威か。ううむ、飛翔する敵は苦手じゃ…。

一先ず、奴隷に酸での一点集中の狙撃を指示。狙うは顔と翼じゃ。如何に空を掛ける怪鳥とは言え、平衡を崩せば幾らか殺り様はあるじゃろうな。

怪鳥が平衡を崩したならば、眷族の召喚を解除。七星七縛符を翼の付け根に向けて飛ばし、奴を大地に磔にしてやるわい。

怪鳥の飛翔する能力が機能不全に陥ったならば、再び眷族を召喚。他の猟兵を支援しつつ嬲り尽くしてやろうぞ。

奴が地面を這うだけに成る頃には食べ頃じゃろう。暴食螺鈿怪口で一気に喰らい尽くしてやるかのぅ。

どうじゃ?喰われる立場に墜ちた気分は?ん?(クソドSな笑顔)


栖夜・鞠亜
もぐら?
空飛ぶもぐらだ・・・すごい。

まずは飛んでるもぐらを叩き落す。 飛び回られてると狙撃銃も当てづらい、けど。
降下してきたり、攻撃してきたときの硬直とか、見極めてユーベルコードの狙撃で羽を射貫く。 もぐらは大人しく土の中に帰りなさい。

闇の嘆きに対しては、狙撃である程度距離を置くつもりだからあまり当たらなそうだけど。 接近には気を付ける。

もぐらってこんな姿だった?



「地下にいたとは……墓穴に潜ったときに動きださなくて何よりだ」
 逃げ場のない閉所でもしもうっかり鉢合わせでもしていたら、と彼岸花・司狼(無音と残響・f02815)はぞっとしない想像を吐息混じりに振り払う。
「この王にとっちゃ、ここの神様も餌でしかなかったのかね? まぁ、魅了の異能が効いていたとはいえ信者と像だけで、本人……本神? がいなかったのかもしれないがね」
 その場合、王対神の対決が行われていたのだろうか。それともあの鳥の方が街を避けていたか、考察の余地はいくらでもある。
「……これがこの場所に来なけりゃどうなってたかを考えると、ちと複雑だが」
 どっちにしてもこの街に明るい未来はなかっただろう。けれど、猟兵達が駆け付けて来られたのならば、最悪の結末だけは回避できるものと信じたいところだ。
 ともあれ、街上空を飛び回る巨鳥『不服従の賢王』を叩き落とさない事には、まともに攻撃が当たりそうにない。
「対空手段が手裏剣だけってのはちと厳しいが、数撃ちゃ当たるか」
 こうなると遮蔽物のない教会跡は位置的にも便利だ。司狼は手の中に握った何枚もの手裏剣を構えると、怪鳥へ向けて一斉に投げつけた!
 手裏剣やくないといった飛び道具が斜めにばらまかれ、それを視認したらしい怪鳥は身体を傾けて滑空しながら回避する。
 司狼は敵の進行方向を予測して逆側に手裏剣を投げていくが、これもくるりと方向転換されて避けられた。
「速い……伊達に王を名乗っていないな」
 あるだけの武器をつぎ込んだ、広範囲に渡っての攻撃なのだが、そうやすやすと食らってくれなさそうである。
「逃げ遅れた方はいませんか? 住民のみなさんは家から出ないようにお願いします!」
 司狼が駆け回りながら敵を引きつける事で時間を稼ぎつつ、その間にアリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)が付近の人々に注意を叫んで回っていた。
 しかし、怪鳥の発する音波攻撃やあの巨体による体当たりなどは、とても家屋では防ぎきれないだろう。
「根本的には、やはり一刻も早く敵を打ち倒すほかありませんか……」
(「とはいったものの、高所にいる敵に私の攻撃がどこまで通用するか……」)
 奴は低空のすぐ近くまで来たかと思えば、急上昇して点のようになるまで見えなくなるのだ。
 アリウムは慎重に相手との距離を測りつつ、ホワイトブレスとホワイトファングを交互に撃ち込みながら様子を見る。
 どちらか一方でも命中すれば、奴の身体部位を凍てつかせ、動きを阻害する事も可能なのだが――。
「成る程、アレが日記に書かれておった脅威か……あんなモノが襲って来ては、信徒達もひとたまりもあるまい」
 一方、司狼やアリウムとは反対側の地点では、ヴィネ・ルサルカ(暗黒世界の悪魔・f08694)が口元をへの字に曲げ、眉をひそめて空を仰いでいた。
「――ううむ、飛翔する敵は苦手じゃ……」
 こちらも小手調べがてら、眷属の猟犬に自分を護衛させつつ、不定形の奴隷へ攻撃を指示。
 奴隷はもそもそと怪鳥の周回ルートの真下へと移動し、そこから身体を縦に伸縮させて、噴水みたいに強酸を発射する!
「如何に空を駆ける怪鳥とは言え、平衡を崩せば幾らか殺り様はあるじゃろうが……」
 クジラの潮吹きじみて迸る酸を前に、怪鳥はやや強引に身体を傾がせつつも、これまた紙一重で回避してしまう。ヴィネのこめかみにささやかながら皺が寄った。
 その時、ためつすがめつ獲物を品定めするかのように羽ばたいていた怪鳥が、やおらに滞空すると、耳にする者を震え上がらせるかのような奇怪な鳴き声を放った!
 教会跡へまんべんなく降り注ぐ強烈な音波のみならず、音から変化した【黒百合】の花弁が、指向性を持って猟兵達を襲う……!
 ……その刹那、塊のようになって突っ込んでくる花弁を、一発の銃弾が撃ち貫いた。
「……もぐら?」
 三人よりもさらに遠距離から狙撃銃を構え、神がかったスナイプで敵の攻撃を撃ち落としてのけた栖夜・鞠亜(ダンピールのマスケティア・f04402)は、スコープから目を離すと、ようやくちゃんと肉眼で捉えられるようになった怪鳥をしげしげと眺めた。
「空飛ぶもぐらだ……すごい。――もぐらってこんな姿だった?」
 攻撃力の削がれた花弁の残骸を周囲に降らせつつ、小首を傾げてから再び怪鳥へと狙いをつけて。
「飛び回られてると狙撃銃も当てづらい、けど……」
 先ほどのように、攻撃時の一瞬だけは、怪鳥は直線的な降下をしつつ滞空し、その場にとどまる。
 わずかな時間とはいえ、その間は動きも読みやすく、奴はほとんど無防備になるのだ。
「次は、当てる」
 すなわち、もう一度敵の攻撃を誘発させる必要がある――鞠亜の狙いを悟った三人の猟兵も、己の役割を理解してそれぞれに動き出した!
「要するに撃って撃って撃ちまくれ、って事か。シンプルでいいね」
 司狼は走るのをやめ、両手を使ってありったけの飛び道具を投げ始める。
 次は仲間が決めてくれるのだから、もう回避に気を費やす必要はない。
 ただただ、全力で攻撃に集中すればいいのだ。
「これで少しでも牽制になれば……!」
 同じようにアリウムも、攻撃手段をホワイトファングのみに切替えていた。
 高速で撃ち出される鋭い氷の弾丸は、かすめただけでもその部位を凍てつかせる効果がある。
 結果として怪鳥も大きな動きで躱さねばならず、それだけプレッシャーを与える事につながるのだ。
「アレを射貫いて見せると言うか。良かろう、お主のその作戦、わしも乗ったぞ!」
 ヴィネは離れた場所から怪鳥の動きを見据えつつ、射程に入ると見るや奴隷に指示を飛ばし、酸を吹きかけさせる。
 それは怪鳥の死角となる真下からの攻撃でもあり、しかも飛沫が一旦天まで届けば、今度は風にあおられ拡散し、真上から敵を襲う酸の雨となるのである。
 猟兵達の息を合わせた一斉攻撃に、怪鳥がいらだたしげな咆哮を上げたその矢先、またも黒百合の花弁が飛散し始め――。
「穿つ」
 刹那を見極めた鞠亜が、同時に引き金を引いた。
 音の速度で撃ち放たれた弾丸が焼き付くようなかすかな軌跡を残し、怪鳥の片翼を風船のように弾けさせ、中空に鮮血と、無数の羽根をぶちまけさせた!
「もぐらは大人しく土の中に帰りなさい」
 聞くに堪えない絶叫を発し、身を傾けさせながらきりもみ回転して墜落していく怪鳥。
 片方の翼は半分程から先がもがれ、その機動力は衰えているようだ――。
「落ちたぞ、今だ!」
 司狼、アリウム、ヴィネの三人は落下地点へ向けて、猛然と駆け出す。
 しかし敵もさるもの、傷ついた状態でも飛行能力そのものは失っていないのか、落下しながらも懸命に羽ばたき、体勢を整えようとしている。
「逃がしはしません!」
「大地に磔にしてやるわい……!」
 アリウムが『叫喚者』を、眷属を送還したヴィネが七星七縛符を、じたばたしている怪鳥めがけて同時に投擲した!
 白い短槍が怪鳥の尾羽を、護符がもう片方の翼の付け根を、それぞれ地面に張り付けさせて、敵の脱出を封殺する。
 後は袋叩きを待つばかり。最大のピンチに陥った怪鳥だが、ここで狂ったような喚き声を発する。
 するとその声に反応したかのように、一体の亡者がなおも墓地から這い出て来たではないか。
「出て来た亡者は俺に任せろ、二人は本体を狙え!」
 亡者と相対した司狼が、壁となってアリウムとヴィネを先に進ませる。
 【絶望と反抗】――あえて敵の攻撃を待ち構えて堅刀で受け止めてから、満身に力を込めて押し返しつつ至近距離での斬り合いに持ち込む。
 敵から放たれる黒百合の嵐は鉄塊の如き轟刀で耐えながら重量任せに一息で迫り、そのまま袈裟懸けに一閃。
 そして司狼自身も体勢を崩す程の遠心力を利用して足を踏ん張り、返す刀の薙ぎ払い。
 敵の首と胴体を、数秒で泣き別れさせてのけたのである。
 近づかれたら最後と怪鳥も分かっているらしく、走り寄る二人へ向けて虚空から召喚した大量の【恐れを喰らう蛇】を差し向けて来た!
「こざかしいわ!」
 対して、ヴィネが再び召喚した二体の眷属が蛇達へ飛びかかると、ちぎっては投げちぎっては溶かし、それでも漏れた敵はアリウムのホワイトブレスで一掃して、いよいよ怪鳥を射程圏内に収める……!
「これまでの悪事の報いを、受けてもらいます……!」
 一歩先んじたアリウムが氷華を抜き放ち、怪鳥の顔面向けて矢継ぎ早の刺突を浴びせる!
 目や鼻など急所を狙った正確な連続攻撃に、怪鳥は血泡を吹き出しながら悶え狂う。
 身体をばたつかせて逃れようとするものの、剣に突き刺された先から氷の魔力が注ぎ込まれ、思うように反撃できないでいる。
 亡者を操り弄ぶこいつにかける情けはない。アリウムは冷たい怒りを胸に腕を振るい、怪鳥を滅多刺しにしていく……!
「無駄な事を。お主の命運はとうに尽きた、これより嬲り尽くしてやろうぞ!」
 鞠亜が【恐れを喰らう蛇】を狙って援護射撃を再開したのを確認し、眷属達を解除したヴィネが、艶やかな腕をぬめぬめとした冒涜的な触手の束に変化させる。
 そして悩ましげに目元を細め、ぺろりと舌なめずりすると、敵の腹部を足で踏みつけて鼻先へ甘い息を吹きかけながら、じゅるじゅると背徳的な粘液を滴らせる触腕を振り下ろした!
「どうじゃ? 喰われる立場に墜ちた気分は? ん?」
 優越と嗜虐に満ちた笑みを浮かべながら、触手で咥え込むように蹂躙するヴィネ。敵の知能の高さを見越し、はやし立てるような言葉で責めるのも忘れない。
 触手の一本一本があやしくうねりながらしっかりと怪鳥を捉えて放さず、強烈に食らいついてはずちゅっ、ずちゅっ、と生命力を啜り立てていく。
 くちゅくちゅ咀嚼される度、これはたまらんとばかりに海老ぞりに身をのけぞらせて硬直、痙攣、断続的な声を上げていた怪鳥はだが、果ててしまう寸前にフルパワーでもがくと、なんとこの状態から拘束を抜け出してしまったのだ!
「おうおう、反抗的じゃのぅ。まだまだ仕置きが足らなんだか?」
「追撃も間に合いませんね……また空へ飛ばれてしまいました」
「惜しい。もぐらめ……」
 とめどなく血液やねばつく液を流しながらも、自由を取り戻した怪鳥。
 とはいえ猟兵達の連携と集中攻撃が功を奏し、奴の力は目減りし続けている。
 今一度、あの高みから引きずり下ろす事がかなえば、きっとそれが決着となるだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神月・瑞姫
【朧月】

エレガント対決…エレガントの意味はよく分からないけど
お師匠さまとがんばってあの鳥さんを倒せばいいことは分かったの

みぃは全力でお師匠さまを勝たせるの
神さま、力をかして!
(仮面を被り、真の姿を現す
青白い九尾のオーラを纏い、体が3歳程成長
性格と雰囲気が変化する
【巫覡載霊の舞】
…ふむ、あやつを屠れば良いのじゃな
我が巫女の頼みじゃ
ゆくぞ月乃よ
打ち落としは任せよ
鶏と共に【浮月】で宙を舞い近接戦
【破魔】の霊力を込めた【鎧無視攻撃】の衝撃波放つ薙刀の乱舞
さてはお主、神鳥の類じゃな
流石は我が巫女が認めし師の鶏じゃ

〆は【秘術月落とし】
神パワーで個数増大、本気モードの流星群
「いささか落とし過ぎたかのう?」


ミルフィ・リンドブラッド
【朧月】
ぉー…空飛ぶ鳥がいるです…アレ焼いて食べたら旨ぇです?

しばらくやることねぇ…です。
新顔のステラと交流をするために話しかける、です。
「ステラ、フィーは空は好きだぞ、です。オブリビオンが飛んでるのは気にくわねぇですが」

「…なんだイヴです?フィーの友達作りの邪魔をするな、です(不毛な言い争い)…出番だったです。空を飛ぶ鳥を引きずり降ろしてきてやるです」

イヴに愛槌を預けるのは少し不満があるですが今回ばかりは文句を言ってられねぇので預けて改造してもらい「天竜砕き」に横乗りに空を飛ぶ、です。そのまま突っ込む形で【天穿つ神殺しの拳】を鳥に叩き込み、イヴのいる方向へ当てつけのように吹っ飛ばしてやるです


ステラ・イルシオン
【朧月】

フィーさん 一人で空を見上げてる
冷静に 作戦考えてるの かな?
すごく 真剣に何か 悩んでる

「フィーさん お空 好き? 私は好き 地下だと 見れなかったから」

アルダワの地下ダンジョンに“保管”されてた だから空は新鮮

「二人とも 仲いい」(不毛な言い争いを見て)

「私で良かったら お友達なりたい」
「私もお手伝い する」

念動力で空を飛ぶフィーさんの動きを補助する
いざとなったら私の武器も投げる

「フィーさん凄い 流れ星 みたい」(少し感情が灯り
怪我をしたら【生まれながらの光】で治す

・月乃とみぃの戦ってる姿を見た後

「二人だけの 世界 ……愛? エレガントな関係 だね」(ただならぬ関係と認識)


麗明・月乃
【朧月】
ふん、この私とみぃのエレガントさが伝わらぬとはな。
まあ良い、大物への活躍で目にものを見せてやるのじゃ。

まずは【弱者の力】で鶏を召喚。
視界を奪わせたり翼にまとわりつかせたり、空中戦を仕掛ける者達の援護をさせよう。
「図体はでかく装飾も華美じゃが…可愛らしさとエレガントさは鶏に劣るのう」

その隙に『高速詠唱』で私と指輪の『封印を解く』真の姿、同時に【九破天狐の舞】を使用。
さて、みぃ達に任せれば落とすのは大丈夫じゃろう。
首尾よく敵が地面に落ちたら『全力魔法』で炎『属性攻撃』の爪を叩きつける。
「鳥は鳥らしく狐に狩られるが良い」

…あ、お主達(鶏)には言っておらぬからの。
大丈夫じゃ、大丈夫。うむ。


イヴ・イルシオン
【朧月】

(砲撃中)……後ろの方で妹とフィーがいちゃついてやがりませんかぁ?
純粋な妹をフィーが弄ぶなど……万死に値するのです!
【漆黒の殺戮人形】を発動しながら二人の方へ行き笑顔(怒)でフィーを肩ポン

「……ミルフィ・リンドブラッド。そろそろ出撃の時間なのですよ」(ニコッ

フィーの『天竜砕き』を『イヴちゃん安心猟兵セット』に入ってるパーツで【武器改造】で魔改造してやるです
超出力ジェットエンジンを搭載、コントロール性皆無で推進力重視なのです!

「ステラ、これからフィーは“前回より格好良くエレガントに”この武器で戦うので期待するのです」(笑顔

飛ばされてきた鳥は【漆黒の殺戮人形】の炎の障壁で焼き鳥にするです



「ふん、この私とみぃのエレガントさが伝わらぬとはな。まあ良い、大物への活躍で目にものを見せてやるのじゃ!」
 麗明・月乃(夜明けを告げる金狐・f10306)が旋回している怪鳥を狙い定め、【弱者の力】を発動!
 するとどうだろう。黒雲の狭間からたくさんのもこもこした白い羽根……大量の鶏が、雨あられと降り注いで来るではないか。
 怪鳥とて頭上には警戒していたものの、まさか鶏が落ちてくるとは予想だにしていなかったのか、みるみるやかましい鶏達に巨体が覆い込まれていく。
「エレガント対決……エレガントの意味はよく分からないけど、お師匠さまとがんばってあの鳥さんを倒せばいいことは分かったの!」
 慌てふためく怪鳥を見上げ、神月・瑞姫(神月の狐巫女・f06739)は気合を入れるように両手で仮面を掲げる。
「みぃは全力でお師匠さまを勝たせるの……神さま、力をかして!」
 仮面をかぽっと装着した次の瞬間、神秘的な青白いオーラが瑞姫を包み、幼かった身体も三歳程度の成長を遂げた。
 そしてその身には影のように一瞬、神々しい程の存在感を放つ九尾の姿が重なる。
 これぞ戦巫女の神霊降ろし、瑞姫の真の姿なのだ……!
「……ふむ、あやつを屠れば良いのじゃな。我が巫女の頼みじゃ……ゆくぞ月乃よ、打ち落としは任せよ」
 ぽんぽんと跳ね落ちてくる鶏達を巻き込むように、雰囲気を一変させた月神瑞姫が虚空を優雅に駆け上がっていく。
 瞬きする間に怪鳥の眼前へ辿り着いて見せると、途方もない【破魔】の霊力が込められた、白月のような薙刀を振り下ろした!
 軽く振るっただけに思われるその一撃は、怪鳥の頑強な肉体を透過しながら体内を引き裂き、暴力的な威力の衝撃波が駆け巡って追い打ちの如く背中から飛び出す。
「我の攻撃は装甲をすり抜ける、ゆえに防げぬぞ」
 間髪入れず真横へ払われた薙刀が怪鳥の胴体部を撃ち抜き、津波のような衝撃波が地の果てまで突き抜けていく。
「さてはお主、神鳥の類じゃな。流石は我が巫女が認めし師の鶏じゃ……」
 月神瑞姫が潮流のような乱舞を続けながらそう呟くと、当の評価相手は鶏なのに気持ち神聖っぽく見えて来なくもない。
 そんな鶏がただでさえ邪魔をし、目と耳が阻害されている怪鳥に、舞い踊る月神瑞姫から繰り出される致命の技の数々をしのげる手段はなく。
「図体はでかく装飾も華美じゃが……可愛らしさとエレガントさは鶏に劣るのう」
 瑞姫と鶏の活躍ぶりを見て月乃はご満悦になりつつも、素早く指輪を取り出して己もろとも封印を解きにかかる。
「我は偉大なる守護者。怒りは猛き焔に。悲しみは白き凍気に。嘆きは轟く嵐に。痛みは震える大地に。我が全霊を持って愛し子の敵を滅ぼさん」
 高まる力、解放される封印。
 月乃の全身が地より湧き出でるかのような激しい炎と氷に包まれたかと思うと、そのシルエットが徐々に質量を増していき。
「――この姿となったからには、お遊びは終いとしようぞ」
 そこに傲然と佇んでいたのは、九つの尾を備え、炎氷両方の属性を悠々と身に纏った、見上げんばかりの巨大な狐であった。
 ゆっくりと開いた口からわずかに舌先を覗かせ、獰猛な眼光で上空の獲物を捕捉すると、半身を伏せて後ろ足を持ち上げ、数秒後に訪れる絶好の機会を待ち受ける――。

 ちょっと遡った同時刻。
 ミルフィ・リンドブラッド(ちみっこい力持ち・f07740)は頭上で行われているめまぐるしい空中戦を、のほほんとした表情で見物していた。
「ぉー……空飛ぶ鳥がいるです……アレ焼いて食べたら旨ぇです?」
 ふあぁ、とあくびを噛み殺すみたいに腕を上げ、軽く首を振って息をつく。
「みぃはなんだか楽しそうですが、フィーはしばらくやることねぇ……です」
 そんなミルフィを、ステラ・イルシオン(純粋な殺戮人形・f12267)は怪訝そうな眼差しで見つめていた。
「フィーさん 一人で空を見上げてる ……冷静に 作戦考えてるの かな?」
 良く言えば適度にリラックス、悪く言えば口を半開きにして脱力しきっているだけなのだが、少なくともステラの目には、先輩が強敵を前に悠然と仁王立ちし、一線で戦う仲間の無事を祈りつつ次の一手をどうすべきか、真剣に吟味しているかのように映っていたのである。
 であれば、ステラもまた同じ仲間として、その悩みを解決する一助になりたい……そんなけなげな思いを抱え、ミルフィの元へと近づいて行くのだった。
「フィーさん お空 好き? 私は好き 地下だと 見れなかったから」
 アルダワの地下ダンジョンに“保管”されていたステラにとって空は新鮮、それにあんな風に飛び回る姿だって真新しくて仕方ないのだ。
「ステラ、フィーも空は好きだぞ、です。……オブリビオンが飛んでるのは気にくわねぇですが」
「でも あんな感じに飛べたら 楽しそう」
「……それはちょっと分かるです」
 何だか、いい感じの雰囲気だ。
「私で良かったら お友達になりたい」
「別に……断る理由はねぇです」
 和気藹々としているというか微笑ましいというか、ほっこりと空気の緩んだ、とても暖かく居心地の良い情景が、二人の少女によって作り出されている――。
 ……ドカン! ドッカンドッカン! ドドドドドドッ!
「くっ、中々当たりやがらねぇですね! あの鳥公、観念して夜空の花火になりやがれです! このっ、このっ……」
 一方その頃イヴ・イルシオン(狂気の殺戮人形・f01033)は空き家の屋根へよじ登り、自ら手動で『ナイトメア・カノン』を操作してしゃにむに砲撃を続けていたのだが。
「……何か、後ろの方で妹とフィーがいちゃついてやがりませんかぁ?」
 第六感が告げたのか、はたまた姉としての本能か、イヴはふと砲撃を止め、ゆらぁりと肩越しに振り返る。
 そこにはなんと、ステラが無垢で大人しく可愛らしいのをいい事に、その身体を好き放題にまさぐり歪んだ欲望を満たす汚いダンピールの姿が!(イヴフィルター)
 どごっ、とイヴはナイトメア・カノンを怪鳥めがけて片手で投げつけた。
 そしてフィーから預けられた改造済みの『天竜砕き』をとてつもない速度で再びいじり回し、見るに恐ろしい魔改造を加えていく!
「純粋な妹をフィーが弄ぶなど……万死に値するのです!」
 そのまま全身から黒いオーラを噴き出しながら、民家から飛び降りて二人の元へ。
「――我は個 我は憎悪 只一つの偽りも無く欲望のままに敵を屠る者 狂い、巡り、殺せ 死の炎を纏いて敵を殺せ!!!!」
 ドドドドド、と黒い炎を背負いながら赤い瞳を爛々と光らせ、天使のようなにっこりした微笑みを浮かべてミルフィの肩をぽん、と叩く。
「……ミルフィ・リンドブラッド。そろそろ出撃の時間なのですよ」
「……なんだイヴです? フィーの友達作りの邪魔をするな、です」
 常人なら恐怖のあまり凍り付いたり失禁したり、逆に一部の人間ならば背筋をぞくぞくと被虐的な興奮が駆け巡るような凶悪極まる微笑みだったのだが、ミルフィは大したリアクションもなく鬱陶しそうにため息をつく。
「とっ、友達作り? まさかフィー、そうやってステラを言いくるめて、これは友達がする事だからとよからぬ遊びを吹き込みこれ幸いと歪んだ欲望をぶちまけようとしてやがるですかっ?」
「歪んだ欲望をぶちまけてるのはどう見てもイヴの方だぞ、です。……はぁ、そういえば出番だったです。空を飛ぶ鳥を引きずり降ろしてきてやるです」
「フィーさん ファイト」
「ステラ、こんな変態ダンピールにエールなんぞ不要なのです!」
「世迷い言はそれくらいにして、フィーの愛槌の改造具合はどうなってるです?」
 本来ならばイヴに『天竜砕き』を預けるのは少し不満というか不安もあったのだが、戦況も佳境を迎えているだけに文句を言ってはいられない。
 それに武器を託すという行為は、ミルフィなりのひねくれた信頼の証でもあった。
 だがしかし!
 当のイヴはふっ、と不遜に笑いながら、ずいとミルフィの『天竜砕き』を突き出す。
「『イヴちゃん安心猟兵セット』の万能パーツで一分の隙もなく完璧に仕上げてやったです。超出力ジェットエンジンを搭載、コントロール性皆無で推進力重視なのです!」
「……何してくれやがった、です!?」
「二人とも 仲いい」
「ステラ、これからフィーは“前回より格好良くエレガントに”この武器で戦うので期待するのです」
「おお とっても すごそう」
 仲むつまじげに笑い合う人形姉妹。視界の奥で月乃が封印を解き始めているのが見えたため、やむなくミルフィは『天竜砕き』をひっさげ、怪鳥へと向かって行った。
 それから得物へ横乗りになり、説明書通りにエンジンをかけると。
「……っ!?」
 ミサイルもかくや、という勢いで激烈な振動が発生し、かと思うと心臓を置き去りにするようなスピードで、『天竜砕き』がぶっ飛んでいったのだ!
 あっという間に地上を離れ、怪鳥も通り過ぎて街の周りをぐるぐる旋回し、夜空の星となりつつあるミルフィ。
「私もお手伝い する」
 けれどそこへ進み出たステラが、友達のためにと念動力を発揮。
 上下右左斜め縦横ABABと滅茶苦茶に暴走する『天竜砕き』の軌道を修正し、元々の目的である怪鳥へとルートを変更してあげる。
 そして空中では一旦月神瑞姫が後退した直後、ミルフィは突き出した拳を、突貫する『天竜砕き』ごと怪鳥に叩き込んだのである!
 今夜一番、空間が軋む程の派手な大爆発。鶏や月神瑞姫も巻き添えで黒煙と衝撃波が際限なく吹き荒れ、家々を突風が揺らす。
「や、やめてくれー! 街が! 街そのものがぁぁぁぁぁっ!」
「む……今のはフィーか? な、何が起こったのじゃ……」
 街の住民の悲痛な叫びを背景に、さしもの月神瑞姫も困惑気味に衣装から土煙を払い落とす。その肩にちょこんと鶏が着地した。
「フィーさん凄い 流れ星 みたい」
 少し感情が灯ったみたいに、両手を胸の前で合わせてほのかに双眸を輝かせるステラ。
 そして二つ目の流星となり地表へすっ飛んでくる怪鳥に、姉妹は異口同音に、あ、と漏らした。
「フィーの奴、あてつけのようにこっちへ吹っ飛ばして来やがったです!?」
「燃えてる 綺麗」
 空気抵抗の摩擦熱で、大気圏突入真っ最中とばかりに炎の塊となって飛来して来る怪鳥。
 イヴはそいつを地面から噴出させた炎の障壁でネットのように受け止めると、続けざまにステラが巨大ブーメラン『ヴァイスエッジ』を投げつけて叩き伏せる。
 焼き転がされながらもその場から逃れる怪鳥に、手ぐすね引いて待っていた一体の獣が、その巨躯を覆い被さらせるように飛びかかった!

「鳥は鳥らしく狐に狩られるが良い」
 真の姿を解放した月乃が、壮絶な業火を宿す爪をフックのようにぶち込み、怪鳥を思うさま叩きつける!
 燃え上がりながらバウンドしていく怪鳥を逃がさじと、円運動の要領で先回りした月乃は、間断なく右、左のワンツーパンチを浴びせかけ、大炎上する十字爪痕を刻み込む。
「月乃よ、我も付き合おうぞ」
 ボールのように吹っ飛んでいく怪鳥を、地上へ降り立った月神瑞姫が薙刀を逆袈裟に振り上げる。
 大地を切り裂く縦一閃の衝撃波もろとも三度月乃の元へ帰還していった怪鳥はすでにボロクズのような有様だったが、エレガント対決に勝ちたい月乃の猛攻は止まらない!
「仮面をかぶってまで本気で勝たせようとしてくれるみぃのためにも、私が手を抜くわけにはいかんのじゃ!」
 トドメとばかりに全身のバネを利用して跳躍し、その勢いを乗せた閃光のような凄まじいアッパーを、怪鳥の顎へぶちかまして垂直に打ち上げる。
 そうして、締めとばかりに薙刀を地面に突き立てた月神瑞姫が、神としての力を極大にまで高めていく。
「【秘術月落とし】」
 本当の流星群が、上空で朦朧と漂う怪鳥を襲った。
 次から次へと衝突する隕石が燃えかす同然だった怪鳥をピンボールのように打ち返し合いながら、どんどん雲上へ向けて昇り詰めていき――二度と戻って来る事はなかった。
「神様、助けてくださあぁぁぁぁぁぁいッ!」
「……いささか落とし過ぎたかのう?」
 街には一つとして星を落とさず、途中で燃え尽きるよう調整したのは隕石落としの異名を持つ瑞姫の面目躍如であるが、たまらず再び神に助けを求めてしまう住民は、しばらくとても心穏やかではいられなさそうだった。
「ふう、終わったのう……む、何を怯えておる? 鳥は鳥らしく……? あ、お主達には言っておらぬからの。大丈夫じゃ、大丈夫。うむ」
 狐から少女の姿に戻った月乃が、安心させるように鶏たちを抱きしめるのであった。

「まったく、イヴがアホみたいな改造をしてくれやがったおかげで、身体中にすり傷ができたです」
「フィーさん 治療する」
「本当にステラはいい子だぞ、です。荒んだ身も心も癒されるです」
 アフロっぽくなった髪型を撫でつけ、黒こげになって戻って来たミルフィをすぐにステラが治しにかかる。
 物陰でひそかに腹を抱えて笑っていたイヴだが、ミルフィがこちらをじーっと不吉な半目で見つめている事には良くも悪くもまだ気がついていなかった。
「何にせよ、今度こそ私とみぃのエレガントパワーを見せつけられたのじゃ!」
「お師匠さま、とっても格好良かったの~! ニワトリさん達も、お疲れ様なの!」
 鶏に囲まれてはしゃぎ合う師と弟子。
 そんな二人をステラは眺めて。
「二人だけの 世界 ……愛? エレガントな関係 だね」
 ただならぬ仲に違いない、とキラリと瞳を光らせたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月15日
宿敵 『不服従の賢王』 を撃破!


挿絵イラスト