アルダワ魔王戦争1-A〜平坦なのはいい事です?
ザザザシュッ!
「皆様お集まり頂き、ありがとうございます」
何かを斬り捨てた人首・椿(傷と記憶は刻むモノ・f06124)はコロリと電子巻物を広げて、アルダワ学園のとある迷宮の一室をしめす。
「皆さんご存知の通り、既にファーストダンジョンの攻略が始まっています。此度皆様に探索に向かって頂きたいのは、こちらのエリアです」
椿が示したのは一本道の通路。こんなの楽勝だ! 誰が言ったか盛大なフラグ。救いはまだ出撃していない事。
「この一本道を、隙間なく埋め尽くす軍勢のオブリビオンが迫ってきまして、追いつかれると薄っぺらい体に延ばされてしまいます……コレ、私への嫌がらせですかね?」
謎の殺意を抱く椿から目を背けるように、猟兵達が改めて地図を見ると、退路がないどころか、進んだ先が行き止まりになっている。このままでは転移した時点でペラるのが確定なのだが。
「この通路には隠し部屋があるようなのですが、それがどの辺りにあるかすら分からないのです。現場で実際に調べれば分かりそうなのですが……」
隠し部屋があるっつー事は、敵もまた姿を隠して不意打ちしてくる可能性がある。油断して気がついたらぺらぺらり、なんてオチでは笑えない。探索と同時に周囲を警戒する必要があるだろう。
「とにもかくにも、皆さまお気をつけて。もし、うすーくなって帰ってきたりしたら……ふふふ」
いつもの刀に小刀を添えた椿から逃げるように、猟兵達は装備を整えるのだった。
久澄零太
つーわけで逃げ切れるかプチるかのチキンレースですってお!!
あ、久澄です
皆さんをペラりにくる敵から逃げたり戦ったりしながら隠し部屋、通路を探すんですって
隠し部屋や、隠し通路の捜索に関わるプレをしかけるとボーナスが乗っかります、頑張りましょう
とりあえず三日が執筆予定だよッ!!
第1章 集団戦
『エゴコンダラー』
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POW : 展延であれ
【圧し潰されて平たく伸ばされた物や者】を披露した指定の全対象に【コミカルな状況に緊張感を削がれた慢心の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
SPD : 平滑になれ
【全てを平らにするという自身の存在意義】を籠めた【転がって轢く事】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【形状…厚み】のみを攻撃する。
WIZ : 平坦よあれ
【転がり】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【や障害物を圧し潰して平らにし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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アンジェリカ・ヘインズビー
お仕事です、頑張りましょう。
まずは隠し部屋の捜索を行います、[サイバーアイ]による目視で探ります。(視力)
怪しいと感じた場所はとにかくマジックハンマーで殴ります、壁の向こうに部屋があるならそんなに厚い壁ではない筈です。(怪力)(破壊工作)
隠し部屋があったなら退路を確保したという事で一先ず良し、オブリビオン達に攻撃を仕掛けましょう。
とりあえず先頭のオブリビオン達に【ハンマークラッシャー】で攻撃です。
…考え無しという訳ではないですよ、通路ごと破壊して地形を変形させればオブリビオン達も移動し辛くなるんじゃないでしょうか。
一度攻撃したら隠し部屋まで撤退…いえもう一撃だけ入れましょうか。
【アレンジ歓迎】
セット・サンダークラップ
ふ、ふふ・・・いろんなオブリビオンがいるっすがこれはまた違うタイプでヤバいっすね・・・
ともあれ走って逃げながらエレクトロレギオン起動! 走る先の通路の隠し通路や隠し部屋を人海戦術でしらみつぶしに探していくっす。[情報収集]!
あとは一部のレギオンを通路と相手の間に噛ませて転がりづらくして、[時間稼ぎ]して少しでも情報収集の時間を稼ぐっす。
隠し通路が見つかったらまずレギオンを先行させておとりに! 待ち伏せの有無を確認した上で隠し通路の先にいる相手を残存レギオンで集中攻撃っす!
アドリブ・連携歓迎っす!
白石・明日香
オッパイまでペラペラは避けねばならないから何としても隠し通路やら隠し部屋やらを探さねば!
取り敢えずダッシュで逃げながら壁とか天井をよく探す。
壁とか天井の質感、手触りなどの情報を集めながら違和感のある場所を探す。
きっと隠し部屋とかの入り口の仕掛けはそこに隠されているから
見つけたらそこに逃げ込んでやり過ごす。待ち伏せされていたらそいつの攻撃に対してオーラ防御と激痛耐性で耐えまたは玉乗りの要領で騎乗してやり過ごして怪力、2回攻撃、鎧無視攻撃で纏めて叩き切る!
安全確認したらそこに籠りながら上述の手段で攻撃する。
オレは慢心せんよ。きっと周りはオレよりペラペラになっているからそいつらを見たらな。
鳴子・このは
流石アルダワ、戦争でもゲーム感あるねぇ。私、ゲームは結構得意なんだ。任せてよー!
って、逃げる先が無いの!?大変だ!UCで壁か床に穴を空けて脱出しなきゃ!
私?そんなこと出来ないけど……?
じゃあ、オブリビオンを蹴っ飛ばして、隠し部屋を探す時間稼ぎとか出来ないかな?
「時間稼ぎは私に任せて、他の人は先に探しててー」
あっ、でも失敗したら怖いから【自己流・空蝉の術】の準備だけはしとこうかな!
失敗しちゃったら、そうだなぁ。他の人が調べづらい天井に仕掛けが無いか見ておこうかな。
一部を押し込むことが出来たり、叩くと音が違ったりするのがゲームの定番だよね。あちこち苦無で叩いてみようっと。
《アドリブ歓迎》
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
成程、それでは利用してみましょうかぁ。
『空腹感』を補う為の「食べ物」を多めに「鞄」に仕込んだ上で、隠しスペースの捜索を行いますねぇ。
高所や天井の仕掛けを確認する際は『FBS』で飛行しましょうかぁ。
コンダラー出現時は、位置関係次第で「やり過ごす」か「[カウンター]の射撃/斬撃で落とす」のを狙いますが、対処出来ず平面にされましたら、通過後に【時珠】を使用し回復、元に戻りましょう。
「通過後の通路」は「重い物が通った後」且つ「コンダラーの能力で平坦になっている」ので、障害物が均されて調べ易くなっているのではないかとぉ。
後は「平面からの回復」でどの程度の空腹感になるか、ですねぇ。
黒玻璃・ミコ
※スライム形態
◆行動
ふーむ、隠し通路の迷宮とは厄介ですね
こう言う時は【空中戦】の要領で
ほよよんと壁や天井を【念動力】で跳ねながら
【暗視】も可能な素敵な【視力】のお目々では迷宮内の壁の色の違いや
【聞き耳】で音の違いを聞き分けて隠された場所を探して進撃しましょう
厄介な災魔は敢えて【毒使い】で目に付く毒々しい腐食毒を精製し
【範囲攻撃】をするつもりと見せ札にした上で
単調な攻撃の振りをして油断させ
最後は【カウンター】気味に【黒竜の遊戯】による物量で封殺しましょう
とは言えある意味厄介な強敵です
時には【第六感】に素直に従って私自身も緊急回避するとしましょう
◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK
ヘスティア・イクテュス
これ以上薄くされてたまるものですか…
って誰が板か!?
ティターニアで低空飛行!追いつかれないように
マイクロミサイルを発射して破壊、もしくは破壊できなくても爆風で進行を遅らせて距離を詰められないように
アベルで音響と赤外線、あとレーダーを飛ばして隠し部屋、通路の捜索ね
止めはミサイルとミスティルテインの一斉発射でね
次生まれ変わったら凹凸が作れる存在に
こうバイーンって感じの!
黒木・摩那
災魔に追いつかれてペラペラになるとか、遠慮したいですね。
……まな板とか言ったら、コロスから。
今度の相手はいかにも頑丈そうです。剣で叩くと刃こぼれしそう。自分が戦うには分が悪そうですから、ここは逃げと探索に徹します。
隠し部屋はスマートグラスのセンサーで熱や空気の動きを探ることで割り出します【情報収集】。
あと、この辺にあるかな?という経験値と【第六感】も頼りにして探索します。
追いかけてくる災魔たちにはUC【墨花破蕾】で床を黒蟻に変換します。
あとは災魔がその上を通れば勝手に落ちてくれるから、蟻達のエサと時間稼ぎになるでしょう。
ネリー・マティス
逃げつつ探す!がんばる!!
隠し通路は壁に偽装していると見た!!【グラウンドクラッシャー】による【鎧砕き】で壁を叩き、広範囲の偽装隠し通路を探すよ!!壁も不意打ちしてくる敵もまとめて砕く!
(無事見つけた場合)
やったやったー!見つけたよー!……ふぎゅんっ!?
(喜んで居るうちに、後ろから迫っていたコンダラ一体に轢きつぶされる)
ひらひらぁ~ん……(たくましい体がペラペラになり、ふにゃふにゃと風にのって隠し通路の中へ)
(見つからなかった、見つけたが手間取った場合)
わわっ!ちょっとまっ……むぎゅう!みぎゅう!ふぎゃん!……
……
きゅう~~~……
(多数のコンダラに轢きつぶされ通路幅いっぱい四角く延び広がる)
エドゥアルト・ルーデル
ペラペラですって!?(初っ端から薄べったくなりながら)
違うんだこれは潰されたわけじゃないだ、自分の全身を【ドット絵】に変えただけでござるよ
つまり今の拙者は二次元キャラクター!横から見れば限りなく身体が薄いですぞ!
壁際をピッタリ張り付いて横歩きすればこんな横移動もできねぇ奴ら全く怖くないですぞ!
このまま目の前をガンスルーして通り抜けるでござる!
隠し部屋なら当然入り口が何処かにある…そして入り口なら必ず隙間はありますぞ!
今のドット状態なら開けるまでもなく、ただ壁に手を触れながら隙間に沿って入り込めば良いって寸法よ!
ところでこれひょっとして薄くなって帰ってきた判定入る?入っちゃう?
ヤベーイ!
水瀬・美鳥
(アドリブ絡み轢かれ大歓迎)
「どうしてこうなったか明日までに考えてきます
!!!!」
自力で逃げ切ることはまず無理と悟ったわたしは、足の遅そうな人とかに上手く先に行けるように支援魔術をたくさんかけたり、ちょっとでも転がってくるアレの数が減らせるように防壁を貼ったりします
もちろん抑えきれないので轢かれますね
轢かれた後にUC(体質)で膨らんで戻ると、静かになった道を見渡します。
同じく轢かれちゃった猟兵さんの回復をしたりしたら、壁と床に繋がった模様みたいなのが...自然にできるような模様じゃないですが、これは一体なんでしょうか?
もしかしてさっきぺちゃんこにたしの、また来てる?急がなきゃ
彩波・いちご
テティスさんと一緒
彼女に付き合い撮影の体で
想いも守る、依頼もする、両方こなしてこそです
私もアイドルの端くれなので、彼女の想いは大事にしたいですし
気持ちよく仕事してもらいましょう
笑顔は本当にアイドル級ですしね
彼女の考えを依頼に活かすようフォロー
それなりで、ローカルなので、彼女から見れば下の立場でしょうし
私が指示するよりその方がいいはずです
実際音の反響はいい手です
なので彼女と合唱を
彼女の歌も、私の歌で中和され、音痴さは薄れるはず…多分
反響に気を配り隠し等ありそうなら進言
罠は私のツールで解除
敵が現れたら歌声で攻撃
私も音波兵器UCありますし
フォローで疲労困憊かもですが
アイドルとしてそんな姿は見せません
テティス・ウルカヌス
いちごさんと一緒
「ふっふっふー。今回はファンタジーものの撮影ですねっ!」
この天才的美少女アイドルのテティスちゃんと
テティスちゃんには及ばないものの
それなりの美少女のローカルアイドル、いちごさんの
二人の美少女パーティでの迷宮探索を演じてみせましょう!
「最初のシーンは、ダンジョン探索してたら、転がってくる岩(?)に追われる系の王道シチュエーションですねっ!
それでしたら、私の頭脳プレーを披露しましょう!」
マネージャーの椿さんによれば、この通路には隠し部屋があり、そこに逃げ込むシーンの撮影のようです。
ならば通路で歌を披露し、その反響から隠し部屋の位置を調べましょう!
テティスちゃん、あったまいー!
涼風・穹
ダンジョン探索なら探索者の出番だろう
由緒正しい探索法、10フィート棒を使い壁や床を叩き、反響音から裏側が空洞になっている個所を探します
合わせてライターに火を灯して、炎の動きから風の流れを確認して先へ進む通路を探すという古典的手法も併用する
まあそれはそれとして、貧乳まな板もそれはそれで良し!
おっぱい無貴賤!
ぺったんこな二次元的存在にされるといっても、テレビ画面に入ってゲーム世界に行けるような二次元存在以外なら断固拒否する
……本当にどうしようもなければ《贋作者》で爆発物を作り出して床を爆破
人間一人が入れる程度の穴を作って退避
ついでに穴を金属板で塞いでオブリビオンが通り過ぎるのを待ってやり過ごします
佐伯・晶
私への嫌がらせって
人首さん割とそういうの気にしてたんだ
いや僕も分厚い方じゃないからね
嫌味とかじゃないよ
狭い通路で迫る回転物は
お約束と言えばお約束だけど
自分で体験したくは無かったかなぁ
複製創造支援端末で小型の地中レーダーを創り
床や壁の向こうに空洞が無いか調べるよ
自分と使い魔で手分けすれば壁と床を見られるね
データを多機能ゴーグルに映して怪しい場所を探すよ
後はイヤホンの集音機能で怪しい音を警戒
奇襲に気を付けておこう
戦う際はガトリングガンで攻撃
あの形状なら片側を重点的に削るなり
衝撃を与えるなりしたら曲がらないかな
上手く敵同士で潰し合ってくれるといいんだけど
その方が上手くいきそうなら
他の猟兵と協力するよ
「どうしてこうなったか明日までに考えてきます!!」
さぁ始まってしまいましたペラペライェーガーレース!号砲代わりに絶叫した水瀬・美鳥(もちもち魔法少女・f15711)を筆頭に、転移した猟兵達が一斉にスタート!
「いやさすがにおかしいっすよねコレ!?なんで転移したすぐ真後ろに敵がいるんすか!?」
全力ダッシュしながら浮遊機を展開するのはセット・サンダークラップ(青天に光を見る・f05234)。小型浮遊機を迫りくるローラーめいたオブリビオンの下に滑り込ませて、ストッパーにしようとするが。
\チュドーン☆/
「踏み潰されたっすー!?」
そりゃね、数に物を言わせるUCだもの。足止め前に一撃で消されるさ。
「狭い通路で迫る回転物はお約束と言えばお約束だけど、自分で体験したくは無かったかなぁ」
苦笑する佐伯・晶(邪神(仮)・f19507)の傍らで。
「ふっふっふー。今回はファンタジーものの撮影ですねっ!」
絶対方向性が間違ってる笑みを浮かべるテティス・ウルカヌス(天然系自称アイドル・聖なる歌姫・f12406)。
「最初のシーンは、ダンジョン探索してたら、転がってくる岩に追われる系の王道シチュエーションですねっ!」
「そ、そうですね……!」
テティスに合わせる彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)だが、まさか転移直後に既に追われているとか聞いてない。
(想いも守る、依頼もする、両方こなしてこそです。私もアイドルの端くれなので、彼女の想いは大事にしたいですし……気持ちよく仕事してもらいましょう)
追いつかれたら人型の肉片と真っ赤な染みになるのが目に見えてるヤベーのを後ろにして、笑顔を崩さぬままに隣のバk……テティスのフォローに入ろうとするプロ根性。君は絶対こんな依頼に来るべきではなかったよ。
「はうっ、ローカルアイドルにメジャー依頼は早かったのですか
……!?」
いやそうじゃなくてね?むしろ俺の依頼は堕ちる所まで堕ちた奴が来る類でね?
「大丈夫です、この天才的美少女アイドルのテティスちゃんがいる以上、美少女コンビで迷宮探索を演じてみせましょう!」
これこのように、命の危機をピンチと理解できないアh……頭の足りない輩と組まされたりする辺り、分かるやろ?この依頼がどれだけ混沌とするか……キラキラした女の子が来るべき所じゃないんだよ。
「え、あの、その、私は……」
いちごがとある真実を告げるか否か迷っている間にも、敵はすぐ真後ろに。
「災魔に追いつかれてペラペラになるとか、遠慮したいですね」
「これ以上薄くされてたまるものですか……」
既に眼が死んでいる黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)と、二対の推進器を背に搭載し、妖精の薄羽に似たブースターで床上数ミリを滑るヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)。二人はツルペ……。
「……まな板とか言ったら、コロスから」
「って誰が板か!?」
摩那がこっちに向けた殺意で、ヘスティアが若干涙目になるがその辺は置いといて。
「このまま鉄板胸にされるなんて、絶対に嫌……!」
平面具合で言ったら割と手遅れな気がするが、ヘスティアは反転するなり背面の推進器を逆噴射。迫りくるローラーと向き合う形で、後ろ向きに飛行しながら視線をぐりぐり動かしてオブリビオンの群れ、その最前線にロックオン。
「吹き飛びなさい!」
一瞬推進器が停止して、身を捻り再び正面へと向き直りながら火薬の鱗粉をまき散らした妖精は再び低空飛行を開始する。残された小型弾頭は一斉に点火、爆炎を上げて粉塵を挙げるのだが……まぁ、この狭い場所でんなもん使ったら。
「きゃー!?」
まぁ、そうね、爆風が自分に返ってくるよね。
『お嬢様、ミサイルを使う時は時と場合をお考え下さい』
「アベル黙ってて!!」
サポートAIからツッコミを貰いつつ、危うくずっこけそうになったヘスティアは姿勢制御。飛行状態を維持しながら後ろを振り向けば。
「まだ来てるー!?」
「集団敵だから、それこそ敵味方諸共吹き飛ばすくらいのつもりでやらないと厳しそうですね……」
摩那が思案するのは、足場を変換するUCの効果。落とし穴にしてしまえば何とかなる気もするが、射程の問題で脚を止めなければならず、敵が先に落ちたオブリビオンを足場にして突っ込んでくる可能性を考慮すると、もう少し様子を見たい。
「オッパイまでペラペラは避けねばならないから、何としても隠し通路やら隠し部屋やらを探さねば!」
奥歯を噛み締め、決意を新たにする白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)。その宣言に、ヘスティアと摩那が深淵を湛えた瞳を向けるのだが。
――たゆんたゆん。
「揺れてるわね」
「揺れてますね」
同年代でありながら、この差は何だろう?二人はそっと自分の胸に手を当ててみるが、虚しい平面、もしくはなだらかな丘陵と、一抹の寂しさが広がるだけだった。
「人首さんもそういうの気にしてたけど、女の子って皆気にする物なのかな……」
体こそ女性だが諸事情により心は男な晶、苦笑しつつ疑問を口にするが、肉体的には谷間ができる程度には『持っている』ため、若干二名から殺意の眼光を向けられそっと視線を逸らす。
「お前この状況で何言ってんだよ!?」
「いやごめん、つい……」
涼風・穹(人間の探索者・f02404)からのツッコミに、晶は困ったように頬をかくのだが。
「貧乳まな板もそれはそれで良し!おっぱい無貴賤!」
「そっち!?」
「「死ね」」
「どぅっふ!?」
シンプルな殺意と言う名の蹴りをヘスティアと摩那からぶっこまれ、穹が転倒!それに気づいた最後尾の美鳥が急停止。
「ここは私が何とかします!急いで逃げてください!!」
などと、防壁を張るものの、敵の数が多すぎた。
「え、え、えぇ!?」
一瞬受け止めたはずが、続けざまにその背後のオブリビオンぶつかる玉突き事故を起こした事で、瞬く間に防壁がひび割れていき、パリーン☆
「ぷぎゅっ!?」
美鳥はローラーの下敷きと消えた。
「美鳥ー!?」
「あ、行くのはやめた方がぁ……」
旅団の仲間がやられたことで、怒りをあらわにするネリー・マティス(大きな少女・f15923)が反転、装備ユニットにより飛行している夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は美鳥は潰されたくらいでは何ともないため、止めようとするが時既に遅し。
「どっちにしてもこのままじゃ全滅する!ここは私に任せて先に逃げて!!」
「フラグにしか聞こえませんねぇ……」
とはいえ、止まってしまえば(飛んでる自分は無事だけど他の仲間が)美鳥の二の舞。るこるはすたこらぽよぽよびゅーんびゅん逃げていき、ネリーは大斧を斜に構え。
「来い!私が受けとめてやる!」
ガシィ!真正面からぶつかり合い、数センチ後退しながらもオブリビオンを止めて見せたネリー。しかし、安堵したのも束の間。止めたオブリビオンの後続が、ネリーが止めた個体の背中を押し。
「わわっ!ちょっとまっ……むぎゅう!みぎゅう!ふぎゃん!」
何という事でしょう。ネリーは美鳥と同じ轍を踏んでしまいました。
「敵の減速を確認。十分に対処可能な速度と判断しました」
今度は淡々と告げるアンジェリカ・ヘインズビー(寡黙でサイボーグなバーバリアン少女・f11144)が足を止めた。
「半端な足止めでは意味がないのなら、撃破するつもりでいきます」
ポケットから取り出した小さな鎚を振りかぶって。
「捜索の為に、この道を放棄します」
フルスウィング!その瞬間に合わせて鎚が巨大化し、壁を一部抉り抜きながら最前列のオブリビオンを撃ち返し、後続のオブリビオンにぶつけ……。
「ふぎゃん!」
「ぷきゅっ!」
「……途中、何かを巻き込んだ気がしますが、気にせず参りましょう」
柄を逆手に持ち、構え直すアンジェリカ。その視線の先。
スコーン!ゴロゴロゴロ……別のオブリビオンにぶつかって、追手を弾き飛ばした個体が帰って来てるー!?
「ぷひゅっ!?」
「みぎゃん!?」
「今度こそ、お帰りくださいませ」
ゴッ……ガーン!!掬い上げるようにやや浮かせた一撃がオブリビオンを打ち放ち、遥か遠方へと吹き飛ばしてしまった。
「あ、なんだか嫌な予感がしますねぇ……」
パラパラと、粉塵が舞い散る中をるこるがぽてぽてぽて。戻っていくと、ぷくー……ぽてっ。
「び、びっくりしました……」
おめめぐるぐるな美鳥が復活。まぁ、コイツはどうでもいい、自力で復活するから。問題はネリーの方。
「ネリーさん、ご無事ですかぁ?」
「きゅう~……」
完全にダウンしたネリーはもはやネリーカーペット。道一杯に延び切っており、時間もないため脚の方からるこるがクルクル。丸めて回収、美鳥と一緒に猟兵達の所へ戻ってくると、ドゴーン!
「道崩れたー!?」
叫ぶ穹の前で、天井が崩落した。
「これでもう、少なくとも先ほどの敵は追って来れません」
表情筋は一ミリも動いていないが、雰囲気だけドヤァなアンジェリカがハンマーを収納。セットが被害状況を確認して、すぐに戻ることは叶わないのを確かめつつ、るこるの頭の上で、筒状になってる関係で真ん中に顔がある横棒状態のネリーを見やり。
「ふ、ふふ……いろんなオブリビオンがいるっすが、これはまた違うタイプでヤバいっすね……」
突っ込ませたのは小型機械だからよかったものの、シールドデバイスに物を言わせて特攻していれば、自分もああなっていたかもしれない。そう恐怖するセットなのだった。
「あれを見てしまうと、もはや慢心はできんな……」
ネリーカーペット(収納状態)を見て、虚ろ目になる明日香。その傍ら。
「流石アルダワ、戦争でもゲーム感あるねぇ。私、ゲームは結構得意なんだ。任せてよー!」
能天気な鳴子・このは(隼血統の忍者もどき・f21783)はケラケラ。これが飛べる猟兵の余裕と言えるかもしれない。あいつらジャンプできないから飛行してれば安全だからな……まぁ、何らかの形で跳ぶ可能性は否定できないが!
「ふーむ、隠し通路の迷宮とは厄介ですね」
同じく空飛ぶ猟兵、黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は黒い水饅頭姿で壁をほよん、ほよん、登り切ったら天井にぺたぁ。
「こういう時って、どこかに隠しスイッチがあったりするよね。押し込める壁とか、実は空洞が後ろにあるとか」
「そういうものは、決まってしらみつぶしに探すしかないんですよね……」
天井をこのはがコツコツ叩き、ミコが液体故に音で振動する全身を使ってその反応を拾う。少し試しては先に進み、見つからなければまた先の天井を叩く、と地道に捜索が始まった所で。
「一先ず、皆さんご無事で何よりです……」
ネリーに関しては、一応ダメージはないっぽいのでスルーした美鳥が一安心。胸をなでおろして視線を落とせば、黒い染みが。
「あれ、これは……」
染みを辿るとそれは途中から緑色に変わって壁を登っていき……。
「自然にできるような模様じゃないですが、これは一体なんでしょうか?」
いきついた先には、白い人の顔のような模様が……。
「ヘイガール!調子はどうだい!?」
「きゃぁあああ!壁画が喋りましたぁあああ!!」
「敵ですかぁ?」
まともに動けないネリーに変わり、るこるが浮遊砲台を展開、更に。
「これ以上やられるわけにはいかないっす!」
セットからも追加の砲台が参戦し。
「お任せください、今度はちゃんと叩き潰します」
アンジェリカがハンマーを膨らませて。
「そこか!」
明日香が刀を携え肉薄。
「ロックオン……フルバースト!!」
ヘスティアからの弾幕が飛来して。
「ストップ!スタァップ!!拙者は正義の味方イェーガーマン!つまりお主らのオトモダチでござぎゃぁああああああああ!!」
フルボッコにされて壁から剥がれ落ちたドット絵を、いちごがツンツン。
「なんだ、お仲間さんでしたか。驚かせないでくださいよ、もー」
「だから仲間だっていってんでしょーがッ!?」
▼エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)が仲間に加わった!
「それで、どうしてそんな事に……あ、あなたもさっきのオブリビオンに!?」
美鳥が心配そうに震えるが、エドゥアルトは(実際には指を振ってるんだろうけどドット絵だから)手の辺りが左右にユラユラ。
「違うんだこれは潰されたわけじゃないだ、自分の全身をドット絵に変えただけでござるよ。つまり今の拙者は二次元キャラクター!横から見れば限りなく身体が薄いですぞ!壁際をピッタリ張り付いて横歩きすれば、あんな横移動もできねぇ奴ら全く怖くないですぞ!」
その発言に、ネリーがハッとする。
「つまり、全員一回轢かれれば完璧
……!?」
「自分が動けない事を忘れないでくださいねぇ?」
敵によって平坦にされていたらしい道を調べるも、だからこそか、どこにもおかしな点が見当たらない事にため息をついたるこるにツッコまれ、ネリーがシュンとしたところで。
「隠し部屋なら当然入り口が何処かにある……そして入り口なら必ず隙間はありますぞ!今のドット状態なら開けるまでもなく、ただ壁に手を触れながら隙間に沿って入り込めば良いって寸法よ!」
ドヤ顔してるのか、笑ってるっぽいエフェクトが発生するエドゥアルトに穹が言うには。
「で、その部屋をどうやって探すんだ?そのペラい状態で」
「そこはホラ、連携プレーってやつでござるよ」
「お前何も考えずに来たな!?」
「うるせー!拙者はペラみの斥候。真っ先に隠し部屋に飛び込んでリスクをクリアリングするのがマイワーク!つーまーり、そこに至るまでは皆のお仕事。OK?」
性格の悪い一休み系の名前な坊さんめいた事をのたまうエドゥアルトだが、実際問題隠し部屋が通路なのか、敵が潜む小部屋なのかは入ってみるか、敵が飛び出すまで分からない。だったらエドゥアルトのような犠牲し……もとい、スカウトも重要だろう。
「待って今犠牲者って言った?ねぇ!?」
怯えているのか、左右に揺れるエドゥアルトを放置して、穹が取り出したのは長い棒。それを伸ばしてコツコツ叩いては、音と手応えから妙な『軽さ』がないか調べるのだが。
「ふっふっふー、やはり皆さん考える事は同じ……でも、天才アイドルテティスちゃんは一味違うのです!」
おい誰かあいつを止めろ!絶対ロクな事にならないぞ!!
「通路で歌を披露し、その反響から隠し部屋の位置を調べましょう!これなら一気に場所を特定できちゃいます!テティスちゃん、あったまいー!」
やっぱりかぁあああ!!
「安心してください、実際音の反響はいい手です。それに、私も合唱しますから、彼女の歌も、私の歌で中和され、音痴さは薄れるはず……多分」
オイコラ、何で最後にそっと目を逸らした?
「それでは聞いてください、テティスちゃんといちごさんのスペシャルデュエット!」
「本日限りのアルダワエディション、是非楽しんでいってくださいね♪」
※以下の記録の一部はあなたの権限では閲覧できません。
「う……」
よろめくいちごだが、ここで倒れるわけにはいかない。
(例えテティスさんの歌を至近距離で聞いてしまったせいで、五感が一度体から引きずり出されてミキサーにかけた物を強引に押し込まれたような感覚だとしても、アイドルとしてそんな姿は見せられません……!)
耐えた!?こいつ、根性だけでテティスの歌に耐えただと!?
「さぁいちごさん!今のでどこに隠し部屋があるか分かりましたよね!」
「えっ」
詰が甘かった。具体的には根本的問題に気づいていなかった。
(テティスさんの歌が酷過ぎて、反響なんて聞こえなかったですよー!?)
「そ、そうですね……」
背後に半透明二頭身のミニいちごがあたふたするが、まさか「お前の歌が下手過ぎて何もわからない」なんて言えるわけもなく、アイドルスマイルを崩さぬままにいちごが出した答えは。
「この辺りにはないみたいですね」
問題の先送りだった。
「そっかー……じゃあ仕方ありませんね!取りあえず奥まで行ってみましょう!!」
唯一元気なテティスが歩きだす後方で。
「な、何今の……これが噂に聞く呪詛スキルっていうやつなの?」
「アレは呪詛なんて生易しいものじゃありません……もっとおぞましい何かです……」
撃墜されたこのはが、電線に止まったものの電気を受け流し損ねて感電した鳥の如くビクンビクンしながら床に伸び、ミコに至っては水饅頭形態が維持できずただの水溜りと化している。
「竜殺しの時だってあんな酷い目に遭った事ありませんよ……」
「どうしよう……先に進むべきなんだけど、あんまり行きたくないなぁ……」
水溜りを羽扇で扇ぎ、小さな竜巻を起こして形を維持できないミコを助け起こしたこのはは既に遠い目。しかし、ある事実に気づいてしまったセットによって、一行は即座に動く事になる。
「ちょっと待ってほしいっす。あの様子だと、隠し部屋が見つかるまで歌うんすよね?」
「ま、まぁ、そうだろうな……」
プルプルする脚に喝を入れて、どうにか立ち上がった明日香が肯定すると、セットの顔が(元々青いから非常に分かりにくいが)サッと青ざめて。
「ここ、狭い一本道だから多少離れたくらいじゃ反響して、歌から逃げられないっすよ……?」
ピタと、時が止まる。次の瞬間響いたのは悲鳴。
「急げー!何としてもあいつより先に隠し部屋を見つけ出して、絶対に歌わせるな!!」
穹を筆頭に猟兵達が走る走る。出遅れて、最後尾を行く美鳥が、何か足音とは違う音がするなーって振り返れば、ゴロゴロ。
「もしかしてさっきぺちゃんこにしたの、また来てる?急がなきゃ」
「嘘でしょ!?拙者ペラみ故にオブリビオンは怖くねーけど、壁に張りついてる間は捜索なんかできないでござるよ!?」
「このままだと挟み撃ち!?」
「合流される前に終わらせますよ……!」
どこぞの叫びみたいなイラスト状態でグネグネするエドゥアルトがマジダッシュ。その横をブースター最大出力で飛行するヘスティアがすり抜けて、摩那は眼鏡に仕込まれた機構のスイッチオン。
「こういう時は音で調べる方が確実なんですが……」
多くの猟兵が同じ方法で探しても見つからなかった理由。それは至極単純に、探してる途中で奴の歌声に邪魔されたから。
「くっ、まだ耳鳴りが……」
完全に聴覚をやられているらしい摩那は耳から伝わる痛みに顔をしかめながら、周りを見回して。
「サーモは……ダメか」
今回は敵も無機物めいたサムシング。熱源感知は役に立たないらしい。
「こういう時はっと」
壁際に寄って、穹がライターで着火。
「どっかに抜け道があるんなら、空気の通り道があるはずだから、火の揺れ具合を見れば……」
「全く動きませんね」
じー。穹のライターを半眼で見つめる摩那が改めて眼鏡を通してみると、確かに空気の流れそのものはある。ただし、やはりそれがそう簡単には見つからないよう微弱なのだ。
「後はこの辺りのどこかなんですけど……」
空気の流れを見た摩那が見当をつけた辺りで、時間切れ。
「今度はこの辺りで歌ってみましょうか!」
『!』
テティスの提案に、猟兵達は一斉にいちごを見る。『なんとしてもそいつを止めろ』と……!
「ちょっと待ってください、先にスタッフの皆さんが設備点検するみたいですから、今はお休みしましょう?」
空気を読んだいちごが、お弁当と水筒にレジャーシートを広げるという謎の女子力(?)を発揮、ロケ弁の流れに持ち込んでテティスを無力化。
「あ、このサンドイッチ美味しいですね!」
「えぇ、今日の撮影の為に早起きしまして……」
行ってください、そうアイコンタクトを飛ばすいちごに猟兵達が頷き、晶がスマホで連絡。
「僕だ、アレを頼むよ」
スッと掌を上に向ければ、転移してくるのは謎の赤いボタン。
「何それ、自爆装置?」
「違う違う」
ヘスティアがレーダーを展開して電波を放つ横で、晶はスマホにコードでボタンを繋ぎ、ポチッ。
「えーっと、反応なし?」
「いや、この辺りに何かあるはずだよ」
首を傾げるヘスティアに、晶がスマホの画面を示す。
「これはUDC組織作、違和感感知装置でね。周囲との差異を浮き彫りにする機械なんだけど……」
「ここの壁?床?」
横から顔を覗かせたこのはが見るや否や、クナイでコツコツ。
「んー、違うようなそうでもないような……」
「レーダーにも反応ないわよ?」
『お嬢様、周波数を変更してご覧ください』
「え、なんで?」
ヘスティアが疑問符を浮かべる為、アベルが勝手に周波数を変えて飛ばすと。
「あった……この向こう側が部屋になってる!」
「とゆーことは、拙者の出番でござるな!隙間スキマすきま~……」
エドゥアルトが壁に張りつき、横を向いて侵入を試みる背後で音も無く巨大化するアンジェリカのハンマー。
「目標確認、破壊します」
「え、待ってまだ拙者がここに……ってしまった今の拙者は二次元だから横からは見えない!?」
アンジェリカの声に気づいた時には既に彼女の鎚が振るわれており、躱す暇もなく。
「オリョーッ!?」
エドゥアルトは犠牲になったのだ……ガラガラと崩れ落ちる瓦礫の向こうには、やや開けた空間と……オブリビオンの群れが猟兵達を待っていた。
「奥に階段が見えるけど……」
「まずは目の前のこっちを排除しなければ先には進めなさそうですね」
このはがクナイを構え、ミコは浮遊する渦潮から元の水饅頭に戻ると、再び溶けて床に広がっていく。
「来るなら来てください。この毒沼形態でお相手しましょう……!」
「飛んじゃえば私達は関係ないもんね」
このはが風を纏って浮遊するも、美鳥がビクッ!
「後ろからも来た!?」
「は?彼奴等は曲がれないから何も恐れる事なんて……」
振り返ったエドゥアルトが見たのは、さっき壁をぶち壊した事で散らばる瓦礫をあえて潰さずに、角度をつけて曲がって来るオブリビオン。
「嘘でしょ!?思ったよりインテリじゃなーい!?」
「挟まれたっす!?」
ショックで漂白されるエドゥアルトの後ろでセットが浮遊機を展開。
「どっちにしても退路はないんだ、やるしかないぞ!!」
明日香が刀を構えたが、テティスがきょとり。
「あれ、アクションシーンなんてありましたっけ?」
「事前に殺陣のリハーサルをして、ちゃんと動作するか確認してるんですよ」
いちごがこれもまたロケなのだ、とごまかす目の前で戦いの火蓋が落とされる。
「瓦礫を使って曲がるんなら、それを弾き飛ばしたり、端を狙って撃てれば無理やり軌道を変えられるはず!」
晶が指を鳴らせば虚空からエンジンが生成されてその回転動力炉にバレルが接続、弾帯を形成して繋ぎゆっくりと複数の銃口を持つ砲身が回転を始める機関砲に姿を変えて。
「そういう事なら援護するぜ!」
穹が手の中に手榴弾を形成。ピンを弾いてローラーの端っこにサイドスロー。滑り込んだ爆弾が爆ぜて浮いた瞬間、その浮かせた片端へ機関砲による集中砲火を叩きこみ、九十度進行方向を変えてしまう。
「私達もやるよ!」
「ネリーさん、その状態で何をするんですかぁ?」
「私に策がある!名付けてテーブルクロス作戦!!」
コロコロ、勝手に転がって広がるネリーから、何となく彼女の意図を察したるこると美鳥は彼女の両脚をそれぞれ掴み。
「いきますよぉ?」
「いっ、せー、の!」
オブリビオンがネリーを踏んだ瞬間、二人がグイッと彼女の体を引くことで、スリップしたローラー共は部屋中をランダムに転がり回る有様に。
「こっちに来ないのは任せるっす!」
セットが展開した浮遊機を飛ばし、ランダムに動き回るオブリビオンの側面から砲撃。猟兵達に向かう事すらできない敵を掃討していくその一方、奇跡的にスリップしてなお猟兵に向かって来る個体に対して明日香が刀を携えて。
「これだけ数が減れば、後はこっちのもんだ」
明日香をペタペタ(意味深)にしようと迫るローラーに飛び乗ると、回転に合わせて筒乗りしながら得物の切先を真下に向けて。
「上に乗っちまえば何もできないからなぁ!!」
その刃を突き出し、息の根を止めるのだった。
背面からの奇襲組が次々と撃破されていた頃、階段前の待ち伏せ組は。
「来ないのならこちらから参ります」
「ヘイそこのガール、何で拙者を掴んでるの?」
広がったミコによる毒沼を警戒して睨みあいになっていたが、ハンマーを担いだアンジェリカがエドゥアルト(アイテム扱い)を取得。
「あなたの耐久性は先の一斉攻撃で証明されています」
「そりゃね、二次元だもの。大抵の事は何とかなるよ?でも拙者、なんだか嫌な予感がするの」
震えるエドゥアルトを振りかぶったアンジェリカは、そのまま彼を毒沼(ミコ)にシューッ!
「アバーッ!!やっぱりぃ!?」
「私は飛べませんから、足場が必要なもので」
紫色になって点滅するエドゥアルトの背中に飛び乗り、その慣性で毒沼を滑るアンジェリカが武器を引いて。
「一撃離脱のお手伝いをお願いします」
「ヤダーッ!溶けるー!拙者のクールフェイスが溶けて平面顔になっちゃうー!!……あ、平面なのは元からか」
スン、一瞬我に返ったエドゥアルトの頭を掴み、アンジェリカがジャンプ。戸惑うオブリビオンの一体を殴り飛ばせば転がっていき、他の個体とぶつかるビリヤード。ただし、前後にしか動けない為、反動で真っ直ぐミコ沼へ……!
「あ、踏まれたら何か危ない気がします」
ひょいっ、沼が持ち上がって避けた!?そしてその下にはいつの間に作ったのか、落とし穴が広がっており。
「毒沼ならぬ、酸の沼です。思う存分溶けていってください」
摩那が指を鳴らせば、穴の中で待ち構えていた無数の蟻がオブリビオンに纏わりつき、蟻酸を噴きかけその表面をジワジワと腐食させていく……。
「なるほど、あそこに落っことせばいいんだね!」
持ち上がったミコ沼に波乗りする形で帰って来たアンジェリカによって、転がされたオブリビオンが戻って来る前にこのはが飛び込み。
「つまりジャンプして避けて、後ろから蹴っ飛ばせば……あっ」
タイミングしくじって巻き込まれおったー!?ローラーが通った後には、UDCアースでよく見る道路の白い文字のノリで「ハズレ」と書かれて……ん?
「と、見せかけてどーん!!」
身代わりと入れ替わっていたこのはがオブリビオンの頭上に出現。後方から蹴り飛ばす為に斜め上から蹴りつけ、パァン!
▼オブリビオンは平面になった!
「……えっ」
「ち、違うよ!?」
うわぁって顔する摩那に若干赤くなりながら首を振るこのはへ、ミコからの追撃。
「このはさん、実は結構体重が……」
「違うってば!こういうUCなの!信じてよー!!」
「何はともあれ、残るは僅か」
「このまま一気に突破しましょう」
ヘスティアは白い銃身に青いラインが走る長銃を構え、それを中心にリアユニットが展開。表面がスライドして無数の弾頭が顔を覗かせればアベルがターゲットを個々にロック。
ミコ沼はその体積を圧縮し、中心に凝縮すると少女の形を取り、黒い液体から色素が抜けて、色白の肌を黒い服に包んだ人型へと変貌する。両手の指を噛み合わせるようにその手を組み、親指だけを立てたまま交差させ、片目を瞑り狙いを定めれば。
『お嬢様、全弾ロックオン完了でございます』
「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放」
ピーッ、電子音が雷管に信号を走らせた事を示す。その直後。
「いくわよアベル!全弾発射!!」
「黒き混沌より目覚めなさい、第玖の竜よ!」
白煙を引いて迫りくる弾頭の群れを前に、オブリビオンは撤退行動をとるのだが、ピタリ。少し後退した所でその回転運動が止まる。
「残念、あなた達は既に我が竜の前脚の上です」
くすり、微笑むミコにだけ見えているそれは、オブリビオンを拘束する見えない魔力。動けない的に向かって、無数の火薬が飛び込んでいき、その中心を光学兵器が通過。熱によって引火した火薬が爆ぜ、散らばる弾頭が一斉に誘爆。爆炎と轟音立ち込める中、いちごはサンドイッチが汚れないように庇い、テティスは派手な花火だなーなどとハンカチで口元を押さえる。
「……よし、オールクリア!」
朦々と立ち込める粉塵が収まった後、階段以外に何も残っていない事を確かめたヘスティアが拳を握り、ミコはドゥルッと溶けて水饅頭に。
「あー……やはり人型は疲れますね……」
腑抜けたミコの隣で、何故かたぎるヘスティアは。
「次生まれ変わったら凹凸が作れる存在になるわ……こうバイーンって感じの!」
今回の人生について諦めたんですね、分かります。一体何と戦っていたのか分からない雰囲気になってしまったが、猟兵達は無事に隠されたルートを発見するのだった。
大成功
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