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アルダワ魔王戦争1-A〜災魔発生1000%

#アルダワ魔法学園 #戦争 #アルダワ魔王戦争


「知っての通りアルダワ魔法学園にて開戦だ。みんな、用意はいいか?」
 集まった猟兵たちを一瞥し、枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)は背後のディスプレイに巨大な地図を映し出した。
「諸君らに攻め入ってもらうのはマップ上で言うところの1-A、隠し通路や隠し部屋がひしめく最初の関門。ここがファーストダンジョンの最深部へと至る足掛かりだ」
 そう言ってマックスは未だ解明できていない部分が多い不完全な地図を指さし眉をひそめた。
 此度の戦争もまた一刻を争う事態。
 猟兵達の対応が遅れてしまえば、ファーストダンジョンより大量の災魔があふれ出し、地上に未曽有の被害をもたらすことだろう。
 アルダワ魔法戦争の第一陣となるこのミッションは、後に続く者たちが迷うことのないよう念入りに順路を探索して、次層への最短経路を割り出すことが重要なのだ。
「しかし、探索に集中しすぎるのも危険だ。無限増殖と呼ばれる大魔王の呪術により、ファーストダンジョンには凄まじい速度で災魔が出現している。その勢いは上層のダンジョンと比較して、およそ1000%」
 なんだその頭の悪そうな数字は、と思う者もいるかもしれないが、当のマックスは大真面目。
 そしてこの桁違いな災魔の供給速度も残念ながら事実である。
「奴らは正面から襲ってくるだけでなく、隠し部屋や隠し通路など至る所に潜んでいるはずだ。油断したら手痛い急襲を喰らうだろうな」
 声色を一段を落とし、噛んで聞かせるようにゆっくりと注意を促すと、マックスは青い仮面(彼の本体である)を顔にあてがい紺碧のワームホールを出現させた。
「以上! このことに留意した上で諸君らには速やかに任務を果たしてもらいたい。……まあ、ここまで脅かしておいてなんだが、君達なら大丈夫さ。さあ行ってこい。無事に戻ったら新作のブレンドコーヒーを飲みながら報告会としゃれこもうぜ」


Naranji
 待ってろよ♪ 生きてろよ♪
 絶対『底』に~辿り着く~♪

 ……はい、1000%が言いたかっただけのNaranjiです。
 初めましての方は初めまして。
 以前も参加して頂いた方は、本当にありがとうございます。

 新システムの戦争シナリオですってよ奥さん。
 🔵を多く稼ぐほど奥の領域に進むためのアプローチが出来るようになりますので、皆さんの創意工夫でダンジョンを効果的に攻略していってください。

 なお、この【1-A】では【隠し部屋や隠し通路を捜索する】行動をとるとプレイングボーナスを得ることができます。
 でも探索に集中しすぎちゃうとこれまた酷い目にあいますので、バランスが大事です。
 難しいですね。

 最後に、多くの方に御参加いただき、🔵がクリア必要数よりも遥かに多くなりそうになった場合は、大変申し訳ありませんがプレイングを私の方で選んで採用させていただきます。
 その場合、よりプレイングボーナスをつけやすい方を優先して採用したいと思っています。予めご了承ください。
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第1章 集団戦 『クローン・ドール』

POW   :    ミスリル・ウェポン
【液体金属の体を変形させて作った武器・兵器】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【苦手な間合いや防御・回避・反撃の癖】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    マインド・コピー
【戦術思考と戦闘経験をコピーすることで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ミレナリオ・リフレクション
対象のユーベルコードに対し【正確に全く同じユーベルコード】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​


 猟兵達が踏み入ったダンジョン1-Aの形状は、一言で言うなら洞窟であった。
 それもUDCアースのトンネルを思わせるような、無機質なアーチを描く筒状の空間。
 壁は白い石造りでその横幅は広くもなく狭くもなく。
「この幅では乗用車がすれ違うのも一苦労だ」
 UDCアースを拠点に活動する一人がだれに語り掛けるでもなく呟く。
 そんな洞窟は途中で幾筋かに分岐しながら緩やかなカーブを描き奥へと続いているようだ。
 猟兵達は曲がり角に達する度に部隊を分けて、最深部へと向かっていく。
片桐・公明
【SPD】
周辺探索を面密に行い迷宮を進んでいく
壁に手をつき、壁面のわずかな凹凸から不自然な点が無いか分析する

UCを使用することで相手が飛び出してきそうな物陰を予測する
その場合飛び出してくる前に先制で銃撃を加える

壁や床を叩く際は刀を使用して、小尻で突くように叩いて解析する
奥に空間があるなら何か差があるだろう


水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
隠されたものを暴くというのはやはり愉しいものですね。許可されているなら気を使う必要もありませんし
「隠し通路にも色々ありますが…幻影壁か壁の薄いところなら私でも見つけられますね」
金属属性の触手で発信機を仕込んだ弾を生成。風属性の触手でマシンガンのように広範囲に打ち出し攻撃します。同時に風属性の触手で音を拾い、電気属性の触手で発信機の位置を把握
「お手伝い頂きありがとうございます」
敵が放った弾は風を起こして弾道を逸らし、それも利用して情報収集。通路が発見出来たらそこの敵を排除することに集中します。火力不足は関節を狙った集中砲火で補い、1体ずつ確実に仕留めます


チトセ・シロガネ
楽しいダンジョンリサーチの始まりネ。

ボクはUC【光輝体系】を発動。
小さな隙間を電気の体でオジャマシマス!
怪しそうなギミックとかは第六感に従って判断。
いかにもショートカットになりそうな扉があったら付近にスイッチとかがないか調べてみる。駄目なら怪力で破壊……オゥ、言い間違えたネ。怪力で解決するヨ。この手に限るネ。

クローン・ドールはちょっと厄介そうだから、隙間から様子を見て奇襲を仕掛けるヨ。金属だから電気は効かなそう……だからグラップルと怪力で狭い通路に引きずり込んで弱そうな関節を破壊、それでも動きそうなら捕食でエネルギー源を根こそぎ頂いちゃおうネ。




 片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)と水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)が進むトンネルは、一見すると何もない一本道であった。
 しかし、二人きりになって暫し歩みを進めたところで、その道はすぐに壁に突き当たる。
「様子見のためにひとまずそのまま歩いてみたけど、あっという間に行き止まりになっちゃったね」
 トンネルの壁に手をつき、その感触に気を配りながら歩いていた公明は目の前の壁を一瞥した。
「となると、この壁に仕掛けがあるのかな?」
 壁を小刀の小尻で軽く叩き、その音を頼りに不審な点がないかを探っていく公明。
「では、そちらはお願いします。私はもう一度通路の方を」
 壁の調査を公明に任せた怜悧は今来たばかりの通路へと振り返り、その背からヌルリと蠢く液体金属性の触手を複数生み出した。
「ふふ、隠されたものを暴くというのはやはり愉しいものですね。許可されているなら気を使う必要もありませんし」
 怜悧はくすりと柔らかな笑みを浮かべると、触手たちに様々な属性を付与していく。
 あるものは風を。またあるものには雷を。
「隠し通路にも色々ありますが……幻影壁か壁の薄いところなら私でも見つけられますね。さあ、よろしくお願いします」
 その言葉と同時に触手たちの先端から機関銃よろしく鉄片が撃ち出され、トンネル内が鉄片が壁に跳ね返る音によって満たされる。
「ふむ……あの灯りの下の壁。あそこの跳弾音だけ不自然でしたね」
 風の属性の触手の助けを借りて音を集め分析していた怜悧は、いち早く隠された空間に気付いたようだ。
 彼が注目したのは洞窟内に点々と配置された壁掛け松明の一つ、その陰になっている箇所だ。
「あら、先を越されちゃったね。でも、ありがとう」
「お礼なら触手ちゃん達に。お手伝い頂きありがとうございます」
 公明と怜悧が律儀に触手に謝辞を述べれば、触手もまた黒光りする体をブルンっとしならせる。
 傍から見ればなんともシュールな光景であった。

 そう、そんな彼らを傍から観測する存在が既にこの時、すぐ傍まで迫っていたのだ。
「……っ!」
 瞬間、公明の脳裏にビジョンが浮かぶ。
 ここに至るまでの道程で幾度もシミュレーションした、敵が潜むであろう場所とそこから襲われた際の対処手段。その一つが急速に脳内で明瞭に形を成していく感覚。
 公明は素早く飛び退いて反射的に『そこ』へと向けて拳銃を抜き、引き金を引いた。
「ギ……ギギ!」
 一拍遅れて視線をその先に向けると、そこにあったのは胸に風穴を開け機能停止した黒いマネキン人形の姿。
 忍び寄っていたマネキン―クローン・ドールは倒れ伏すと同時に、最後の力でけたたましいアラーム音を鳴らす。
 すると次の瞬間、洞窟内の床が複数反転し、中から何体ものクローンドール達が這い出て来たではないか。
「なるほど、床石にまでギミックとは。では、数には手数で対応させてもらいますよ」
 這い出て来たばかりでまだ戦闘態勢を整えていないドールを優先的に狙い、怜悧が再び触手から弾丸を撃ち出した。
 それも今度はばらまくような発射法ではなく、一体一体を打ち崩すような集中砲火で、丁寧に破壊していく。
「近づいてくる方はお願いします」
「まかせて!」
 後衛に立った怜悧が確実に敵の数を減らしていく中で、公明もまた二丁拳銃を両手に前線に立った。
 そしてクローン・ドールの攻撃を紙一重で回避し、空振りし隙を見せたドールには2発の鉛玉による手痛い反撃をお見舞いする。
 かくして2人の張る連携弾幕により戦場は猟兵側有利に進んでいる……かのように見えた。しかし、
「ちょっと、数が多すぎない?」
 とめどなく床下から這い出てくるドール達の氾濫により、2人はすぐに防戦一方に追い込まれてしまう。
 撃っても撃っても敵が減らない。まさか大魔王の繰り出す無限召喚とはこれ程のものなのか、と怜悧もまた内心で冷や汗を流した。
 とその時、
「オジャマシマース!」
 稲妻が地より沸き上がった。
 そう、いうなれば落雷ならぬ昇雷。ドール達を弾き飛ばし床下の供給機構をめくりあげる形で、電撃が地から天へと向けて迸ったのだ。
 そして天井に帯電した電気エネルギーがヒトの形をとって、公明と怜悧の前に舞い降りる。
「Uh huh……入り込めそうな隙間があったから抜けてきてみたんだけど、まさかこんなことになってるとはネ」
 白い体をスパークさせながら、舞い降りたヒト型バーチャルキャラクター―チトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)は楽し気に笑う。
「でも、いいタイミングだったでショ。ボクの勘も捨てたもんじゃないネ!」
「た、助かったよチトセちゃん。おかげであの人形たちが出てくる場所も壊れたみたい」
 公明の言う通りチトセが電気化して隙間を無理やり抜けてきたことで、供給源であった回転床のギミックがショートし、ドールの出現が停止したようだ。
「つまり今がチャンスということですね。ならば触手ちゃん達にももうひと頑張りしてもらいましょう」
「So! まさにピンチはチャンスネ! ユーたちの電力いただいちゃうヨ!」
 声高に宣言し、チトセは素早く電気化してクローン・ドールに向けて吶喊する。
 そしてその体に絡みつくような体勢で実体化すると、力任せに胴体を引きちぎり、ショートし火花とともに飛び散った電気エネルギーを次々と捕食し力を高めていった。
 そこから先はまさに怪力乱神。
 時には鋭い二段蹴りでドールの腰と肘を粉砕し、時には鋼鉄製のボディを持ちあげ地面に叩きつけてはまた粉砕し、高めた力の限りに暴れ回る。
 チトセの突撃により大きく場を乱されたドール達は最早連携をとる余裕もなく、それは即ち2人の銃者の恰好の的となることでもあった。
「ボクの体が電気だからネ。フレンドリーファイアなんか気にせずぶっ放しちゃいなヨ!」
 そうして打ち出された弾幕の雨の中を気持ちよさそうに飛び跳ねながらチトセは舞い踊り、遂に最後のクローン・ドールを殴り飛ばす。
 そして期せずして、吹き飛んだドールが先ほど怜悧が見つけた壁掛け松明の下の壁へ突き刺さると、
「ワオ、ラッキー! うんうん、やっぱりこの手に限るネ!」
「それは……」
「どうかと思います」 
 粉々になった岩壁のその奥から、新たなフロアへと至る隠し通路が姿を現すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

茲乃摘・七曜
心情
隠し通路に惑わされないように進みましょう

指針
Angels Bitsを通した歌唱の反響で空洞等の怪しい箇所を走査する
「壁の厚さに変化や床下や天井に仕掛けがあれば音の響き方が他とは変わる…はずです

行動
自身は闇に紛れ、闇属性の帳で迷彩することで目立たないように行動しAngels Bitsを囮に災魔へと奇襲を掛けれるよう周囲を警戒
※音に反応し災魔が集まってくると予想し利用
攻撃はPride of foolsの属性弾と衝撃波を活用し、集団には残響の福音で対応
「囲まれないように警戒して戦いましょう

対敵UC
曲調を細かく変えて相殺されないように変化を付ける
「これでも歌い手ですからレパートリーは多いんですよ?


テラ・ウィンディア
ダンジョン探索は竜騎士であり冒険者でもあるおれにとっては実に血が滾るな!

【属性攻撃】
炎属性を全身と武器に付与
【戦闘知識】で周囲の空間とギミックから不意打ちに足るポイントを把握して其処から隠し通路や隠し部屋の捕捉に努める

主に怪しいと思った所は控えめにこんこんと剣で軽く叩いて空間の有無を把握

見つけたらあえて開けずに…その前の空間に剣と太刀で斬撃を刻んでおく

常に不意打ちも警戒して【第六感・見切り】を用いて不意打ちを捕捉して
飛び出た瞬間
消えざる過去の痛み発動!
斬斬斬斬斬斬斬斬!

罠にかけたつもりだったか?
そういうのは自分も罠にかけられる事を覚悟しておかないといけないよな?

後は【残像・空中戦】で飛び回り襲


黒玻璃・ミコ
※スライム形態

◆行動
ふーむ、隠し通路の迷宮とは厄介ですね
こう言う時は【空中戦】の要領で
ほよよんと壁や天井を【念動力】で跳ねながら
【暗視】も可能な素敵な【視力】のお目々では迷宮内の壁の色の違いや
【聞き耳】で音の違いを聞き分けて隠された場所を探して進撃しましょう

厄介な災魔は敢えて【毒使い】で目に付く毒々しい腐食毒を精製し
【範囲攻撃】をするつもりと見せ札にした上で
単調な攻撃の振りをして油断させ
最後は【カウンター】気味に【黒竜の遊戯】による物量で封殺しましょう

とは言えある意味厄介な強敵です
時には【第六感】に素直に従って私自身も緊急回避するとしましょう

◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK



 仄暗いトンネルの中に、清らかで、それでいてどこか物悲し気な歌声が響く。
 浮遊する2つの拡声器―Angels Bitsから流れる歌声が、静かだったダンジョンを一時の劇場へと変じていた。
「隠し通路に惑わされないように進みましょう」
 連れ立った者たちにそう語った茲乃摘・七曜(魔導人形の騙り部・f00724)が行った行動。それは自らの歌声を用いたソナー探索だ。
 絶え間なく歌声を紡ぎつつ、研ぎ澄まされた耳で反響する自らの歌声を聴き分ける。
(壁の厚さに変化があったり、床下や天井に仕掛けがあれば音の響き方が他とは変わる……はずです)
 彼女にはこの探索法に確たる自身があるわけではなかった。
 しかし、それを共に歩む者がフォローする。
「ん、今のフレーズをもう一度お願いします。うん、やっぱり」
 天井や壁をぽよんぽよんと跳ね回る暗色のスライム―黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)が持ち前の優れた聴覚で反響音のわずかなブレを察知したようだ。
「少し先の壁に隠し部屋がありそうです。それも複数。でも、中は空っぽというわけではなさそうですね」
 ぺちゃり、と地面に降り立ったミコが臨戦態勢をとるかのようにその身を波立たせた。
「つまりホストが玄関でサプライズ待ちってことだな。ふふん、おれに考えがある。2人は少しここでまっていてくれ」
 テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)はそう言うと2人の前に立ち、星刃剣『グランディア』を引き抜く。
 そしてトンっと軽く歩を踏み出せば、その一歩の間にミコが指示した隠し扉の前に着地した。
「しっ!」
 猫のようなしなやかな動きで着地の足音を殺し、手に持った短剣で隠し扉をなぞるように振るうテラ。
 そして再び別の隠し扉の前へ跳躍し、虚空に刃を振るう。そんな動作を幾度か繰り返したところで、テラは大きく息を吸い込むと、
「さあ、テラ・ウィンディアはここにいるぞ!!」
 高々と名乗りを上げた。
 瞬間、歌声に警戒していたクローン・ドール達が堰を切ったように隠し扉からあふれ出す。
 その瞬間。

 斬斬斬斬斬斬斬斬!!

 先陣切って飛び出したドール達が、突如虚空から出現した斬撃により切り刻まれ、鉄くずとなって崩れ落ちたではないか。
「罠にかけたつもりだったか? そういうのは自分も罠にかけられる事を覚悟しておかないといけないよな?」
 ユーベルコード・悔恨「消えざる過去の痛み」。
 振るった斬撃を蓄積し、罠として配置することで時間差で対象を切り刻むテラの秘剣である。
「ダンジョン探索は竜騎士であり冒険者でもあるおれにとっては実に血が滾る! 楽しませてみろ!」
 そうしてテラは出鼻をくじかれ踏鞴を踏むクローン・ドール達へ向けて駆け出した。

「始まりましたね。では、私も第二幕といきましょう」
 戦いの始まりを見届けると、七曜は漆黒のロングドレスを翻しトンネルの薄闇へと溶け込み、その姿を晦ませる。
「それでは、しばしの間……お楽しみください」
 そしてテラに向かうドール達の背後へ向けて音響弾を斉射した。
 拡声器で歌声を増幅・収束させ敵の内部破壊を引き起こすユーベルコード『残響の福音』。
 そして白く細い指に握られた二丁の精霊銃『Pride of fool』による援護射撃で、七曜は瞬く間にドールを殲滅していく。
 だが敵も一筋縄ではいかない。次々と隠し部屋から現れるドール達の形状が変化。
 ドリル状だった腕を拡声器を模した形に変形させ、七曜の奏でるメロディを模倣し音の壁を作り上げたのだ。
「あら、お上手。でも、これならどうかしら?」
 しかし七曜もすぐさまこれに対応。
 紡ぐ歌声を低く物悲しげな旋律から一息でオクターブを高めたソプラノへと変化させ、ドール達の放つ模倣の歌声を押し流したのだ。
「これでも歌い手ですからレパートリーは多いんですよ?」
 たまらず粉々に砕け散るクローン・ドール達を見やり、口元に笑みを浮かべる七曜。
 この戦場はすでに暗夜の歌姫の独壇場と化していた。

 一方、ミコはというと。
「ほらほらー! そんなに固まってていいんですか? 毒液ぶちまけちゃいますよ!」
 液状の体を覆うように大量の腐食毒を精製しながら跳び回り、新たに出現したドール達を牽制していた。
(……とは言え、相手はこちらの攻撃を予測し、模倣して反撃してくる。厄介な強敵です。今ここで毒液を頭から叩きつけたとしても、そのすきに打ち漏らした敵に返り討ちにされてしまいますね。でしたら……)
 テラと七曜が単一で戦えているのは、それぞれテラには戦闘知識と俊敏さが織りなす優れた危機回避能力があり、七曜には隠密能力と危機を覆すアドリブ力があるからこそだ。
 ならば、自分には何が出来る?
 ミコは頭をフル回転させ、瞬時に答えを導きだした。
「私は龍を喰らう混沌の御者。この程度の数の差などひっくり返してみせましょう」
 トンネルの天井に張り付いたミコの口に当たる部分から、人語ならざる悍ましい呪文が紡がれる。
「いあいあはすたあ……」
 口にした者の精神を、命を、魂をすり減らす冒涜的な詠唱。
 力ある言葉は空間を歪め、ミコの周囲に無色透明の『澱み』を生みだした。
「拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第玖の竜よ!」
 そうして解き放たれた『澱み』―命を弄ぶ無数かつ不可視の竜の大群が、隠し扉の奥へと殺到し、戦場に躍り出ようとしていたドール達を貪り喰らう。
 これにより残ったクローン・ドール達は訳も分からぬままに、姿なき悪意の奔流に飲み込まれていったのであった。

「これで終わり、でしょうか?」
 人形たちの無機質な足音がやんだことに気づき、七曜は歌唱をとめて辺りを見渡した。
 どうやらこの通路に潜んでいた災魔は全て打ち倒したようだ。
「ふん! 入口のギミックにしては楽しめた。やはりダンジョンはこうでなくてはな!」
 テラは自身に満ち溢れた笑みを浮かべ、剣を一振りしてから鞘に納める。
「だが、おれはまだまだ余裕だぞ。なんせ戦いながらこんな物まで見つけてしまったからな」
 そう言うと、テラはドール達が出現していた隠し部屋のその更に奥へと足を踏み入れた。
「奴らはただここに潜んでいたわけじゃない。この部屋からどこかに続くポータルがあって、そこから這い出てきていたんだ。まあ、偶然転送されてくる瞬間が見えただけなんだけどな」
「いや、あの猛攻を捌きながら余所見するなんて普通は無理ですよ?」
 そんなミコのツッコミになぜか照れ笑いを浮かべながら、テラは剣の鞘で隠し部屋の壁を小突く。
 すると壁がにわかに透き通り、その奥に異なる景色を浮かび上がらせたではないか。
「この先が次なる領域なのでしょうか? ふふ、果たして鬼が出るか蛇が出るか、ね」
「血が騒ぐな!」
「もう、一人で突っ走らないでくださいね? 一度戻ってこのことを報告しなきゃいけないんですから」
 あれ、そうだっけ? と笑うテラに七曜とミコも思わず笑みを浮かべ、3人は来た道を引き返す。
 迷宮も大群も今の私たちの敵ではないと言わんばかりに、その足取りは軽やかなものであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月06日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト