#UDCアース
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目が覚めたのは暗いお店の中。
私が勤めていた所とは違うけれど、匂いで分かる。
ここはお肉屋さんだった場所。
それなら私が、私達が再オープンさせないと。
かわいいかわいいお手伝いさん達もいるみたいです。
みんなで素敵なお肉屋さんにしましょうね。
だってみんな、食べたいですよねー。
美味しい美味しい自慢のソーセージ。
特製××で作った、真っ赤なまっかなソーセージ。
香りを嗅げばみんなきっと食べたくなりますよー。
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「集まってくれてありがとう。今回はUDCアースでの事件だよ」
そう言いつつ猟兵達を迎え入れたのはレン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)。レンは緩い笑顔を浮かべつつ、説明を開始していく。
「目覚めかけている邪神が確認されたから、皆にはそれの討伐に行ってきて欲しいんだ。場所はとある県のシャッター街。そこに住んでいた人は殆ど退去しているから、人の目とかは気にしなくていいよ」
現場であるシャッター街の近辺には、僅かながら住民も残ってはいる。
けれど彼らに関してはUDC組織が対応するので気にする必要はなさそうだ。
「このシャッター街のどこか、昔はお肉屋さんだった所で邪神は目覚めかけているみたいだ。だから最初はそのお店を特定して欲しい」
単純な老朽化に加え、その街は邪神の影響を受けている。
そのため外からシャッターを見ただけでは店が特定しづらくなっているようだ。
シャッターをこじ開けたり、事前に街の地図を入手するなりして店の特定を行う必要があるだろう。
「これだけならそんなに難しくないと思うんだけど……邪神の影響は他にも出ているみたいなんだ」
レンの表情が険しいものへと変わり始めた。どうやらその影響とはかなり良くないものらしい。
「……街全体を肉の焼ける香りが覆っているみたい。そしてこの香りを嗅いだ人は狂気に侵されてしまう……人を食べたくなってしまうんだ」
街を包む香りを嗅いだ者は、否応なく『人の肉を味わいたい』という感情を抱いてしまう。
それは自分自身だったり、隣にいる人だったり、或いは別の場所にいる大切な人だったりするかもしれない。
今の所、大きな被害は出ていない。けれどこの狂気が広がれば悲惨な事件が起きる事は想像に難くない。
「皆にはこの狂気に耐えつつ場所の特定を行ってもらうよ。気を強く持てば耐えられるはずだし、別のもので誤魔化したり、香り自体を嗅がないように工夫するのもいいかもしれないね」
そう言いつつレンは再び緩い笑みを浮かべ始めた。
猟兵達なら大丈夫。そんな信頼が籠められた笑みだ。
「邪神のいる店内には既に眷属も呼び出されているみたいだね。眷属もきっちり倒してきて欲しいよ」
召喚されている眷属は『いにゅいにゃい』。なかなか個性的な見た目をしたUDC怪物だが、彼らを退治すれば邪神まではあと少しだ。
「邪神の詳細までは……ごめんね、分からなかった。お肉屋さんと関係があるみたいだけど……」
『人の肉を味わいたい』という狂気の中心にいる邪神だ。それ自身もそんな狂気を呼び起こすような能力を持っているのかもしれない。
改めて気を強く持ちつつ戦う必要があるだろう。
「今回の流れを纏めるよ。
まずは狂気に耐えつつ目的のお店を見つける。
次に眷属として召喚された『いにゅいにゃい』達を退治。
それから邪神本体の討伐、だね。
厄介な仕事になるけれど、今回もよろしくお願いするよ」
そう言いつつレンは転移の準備を進めていくのだった。
ささかまかまだ
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こんにちは、ささかまかまだです。
UDCアースで事件です。
今回のシナリオでは『グロテスクな表現を含む可能性があります』。
現在進行系の被害者はいないので、その点はご安心下さい。
1章ではシャッター街を冒険してもらいます。
目的となるお店の特定自体は難しくありません。
お肉屋さんらしきシャッターを開けていく、事前に地図を入手しておく、とかで大丈夫です。
ですが『人の肉を味わいたくなる肉の焼ける香り』が皆さんの足を止めるでしょう。
食べたくなるのは自分自身でもいいですし、他の誰かでも構いません。
「誰でもいいから食べたい」でもいいですし、「大切な人の肉が食べたくなる」でもいいです。
(シナリオに参加していない猟兵さんの場合はぼかした感じの表現になります)
この狂気に対応しつつ先に進みましょう。
2章は『いにゅいにゃい』との集団戦、3章はボス戦です。
頑張って倒しましょう。
どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
それでは今回もよろしくお願いします。
第1章 冒険
『冒涜的な呼びかけ』
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POW : 気を強くもって感情を押し殺す
SPD : まともに取り合わずいなす
WIZ : 理性的な判断や分析で払拭する
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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猟兵達が訪れたのは寂れたシャッター街。
殆どの建物はシャッターによって封鎖され、人の気配は感じられない。
流れるのは静かで寂しげな空気だが……だからこそ、この街を包む香りは異様だ。
胃と脳を刺激する香ばしい香り。
とっても美味しい、肉を焼く香り。
その香りは思考を乱し、正気を奪う。
……人を食べたくなる。
猟兵達はこの狂気に挑みながら、邪神の居所を探し始めた。
メイスン・ドットハック
【WIZ】
人の肉が食べたくなる臭いのー
嗅覚から脳に作用するということでいいのかのー?
【ハッキング・情報収集】を電脳魔術で行い、町の地図などを入手して肉屋については当たりをつけておく
得た情報は他の猟兵の携帯端末にも送信しておく
臭いを嗅いで自分を食べたくなるが、そもそもクリスタリアンで水晶の身体なので肉ではないと、正気に戻す作戦
それでも狂気にとらわれる場合は、UC「深淵の水、混沌の渦となる」の黒スライムを自身に取りつかせて精神汚染による五感遮断(嗅覚)を行って、臭いを断つ
ま、狂気には狂気、という奴じゃのー。とはいえ精神的にきついがのー
アドリブ絡みOK
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「人の肉が食べたくなる臭いのー。嗅覚から脳に作用するということでいいのかのー?」
電脳魔術を展開しつつ、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)はシャッター街を進んでいた。
事前にネットで情報収集を行い、かつてのこの街の地図は手に入れてある。
地図は他の猟兵達にも配布済みだ。彼らからのフィードバックも合わせて少しずつ地図を完成させていけばいいだろう。
この街には肉屋及び肉を扱っていそうな飲食店はいくつか存在していたようだ。
それらを片っ端から叩いていけば邪神の居所自体は簡単に見つけられそうだが……。
「仕組みはまだ分からんが……なるほど、確かに食べたくなるのー……」
予想はしていたが、狂気がメイスンの身体を襲っていた。
美味しそうな肉の焼ける匂い。それが彼女の嗅覚を擽るたびに、一つの気持ちが膨らんでく。
肉を食べたい。自分の肉を噛みちぎり、たっぷりと味わいたい。
その思いのままに自分の身体に噛みつきたくなるが……メイスンはクリスタリアンだ。
自分の腕を見れば、そこにあるのはきらきら煌めく水晶の身体。
腕を顔に寄せてみても、肉の香りはしない。ひんやりとした固くて冷たい感触が頬に触れた。
「うむ。僕の身体は水晶じゃ。だから食べたくはならんが……」
自分の身体をしっかり観察すれば、肉を食べたいという感情も一時的には消え去る。
けれど狂気に囚われそうになる度に身体を見つめていては時間がかかってしまう。
それにもし食欲の対象が自分以外に向いてしまったら。そのような懸念があるのなら、別の手段も試してみるべきだろう。
メイスンは電脳ゴーグルの電源を起動し、周囲の無機物に魔術をかけていく。
「仕方がないのー。深淵の水、混沌の渦となれ」
メイスンの詠唱に合わせ、無機物はどろりとした黒スライムへと姿を変える。
そしてスライムは彼女の顔へと纏わりついて、マスクのような形状を取った。
このスライムは精神汚染を発症させる能力を持っている。本来は敵に対してぶつけるものだが、今回はその汚染を自分自身に適用するのだ。
精神汚染の内容は『嗅覚の遮断』。これで肉の香りへの対策は万全だろう。
「ま、狂気には狂気、という奴じゃのー」
これで一安心……だけれど、五感を遮断するというのはリスクも伴う。長時間の使用もまた危ないだろう。
精神的にも少々キツい。ささっと邪神を見つけてしまおう。
「それじゃあ、どんどん行くじゃけーのー」
口調は緩く。けれど決意はしっかりと。
メイスンは黒スライムと共に、当たりをつけた店舗を確認していった。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(脳の中の教導虫に呼びかける)
うぅ...せんせー、この匂い...やばいです...
肉、人が食いたい...
落ち着け、俺は猟兵だ
人を傷つけちゃダメだ
でも...自分自身なら...?
(ごくっと生唾を飲んで自分の腕を見、口を開け)
(瞬間、強烈な頭痛でうずくまる)
いてぇ!
...ありがとうございます、せんせー
俺を痛みで正気に戻してくれたんですね?
(くんくんと匂いを嗅ぎ先ほどまでの狂気を誘う匂いが消えているのに気づく)
そして、匂いも特定できたから、その匂いは関知しないように脳も調整していただけた...と
色々ありがとうございます!
さぁ、この悪趣味な匂いの供給元を断ち切りましょう!せんせー!
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美味しそうな香りが自分を包み、抱いてはいけない感情が身体を支配しかけている。
その感触にクラクラとしながら、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)はシャッター街を進んでいた。
「うぅ……せんせー、この匂い……やばいです……」
兵庫の周りに人の影はないけれど、彼は確かに誰かに話しかけている。
その相手は教導虫――彼の脳に宿る特殊な寄生虫の『せんせー』だ。
一人で抱えるよりも誰かと話している方が多少は気も紛れる。せんせーに縋るように声をかけつつ、兵庫は必死に歩き続けている。
この近くにも肉屋はあったはず。まずはそこを目指して……けれど香りが、狂気が兵庫の足を止めてしまう。
「肉、人が食いたい……いや、ダメだ。落ち着け、俺は猟兵だ」
湧き上がる気持ちを抑えようと、兵庫は必死に頭を振った。
俺は猟兵なんだから、人を傷つけるなんてしちゃいけない。
けれど……自分自身なら?
気がつけば兵庫の緑色の瞳は、自分の腕に釘付けになっている。
これを食べるのなら誰にも迷惑はかけないはずだ。思い切り噛みちぎり、頬いっぱい味わってしまっても。
溢れ出そうな涎をごくりと飲み込み、口を開いて自分の腕に食らいつこうとした瞬間……兵庫は別の衝撃で思わず動きを止める事となる。
「いてぇ! ……あ、あれ」
頭を内側から殴られたような衝撃。
その痛みで思わず蹲ってしまったが、それと同時に異様な感情が消え去っている。
そんな事が出来るのは自分の頭に宿る存在だけだろう。
「……ありがとうございます、せんせー。俺を痛みで正気に戻してくれたんですね?」
せんせーが咄嗟に兵庫の脳を弄り、彼を狂気の世界から引き戻してくれたのだ。
彼女が施したのはそれだけではない。
「あ、肉の匂いもしない……あの匂いを感知しないように脳も調整していただけた……と」
この短い時間の間にせんせーは匂いの特定まで済ませ、兵庫の脳からその匂いを追い出してもくれていた。
やっぱりせんせーは頼りになる。兵庫はにっこりと笑みを浮かべ、頭の中に宿る大切な人に心からの感謝を告げた。
「色々ありがとうございます! これでしっかり頑張れます!」
直接顔を合わせてはいないけれど、この気持ちはきっと彼女にも届いているだろう。
「さぁ、この悪趣味な匂いの供給元を断ち切りましょう! せんせー!」
張り切るように腕をあげ、気合を入れ直せば元気も出てくる。
兵庫は先程よりもしっかりした足取りで、邪神の元を目指して歩を進めていった。
成功
🔵🔵🔴
波狼・拓哉
さて、肉屋探すのか。商店街地図は…古いけどあるな。じゃこれを頼りに探しますか。
人が食べたくなる狂気か…三大要求に直結してるから効果も高いのかな。シャッター街じゃなければ恐ろしい頃になってただろうな。
狂気耐性で耐えつつ、演技も含めつつ人肉に対する興味を軽減…けどくそいい匂いしてやがる。おっとダメだ、頑張って耐えないと…
…えっ?ちゃんと食べるように育てられてるやつなんていないだろうし味はお察し?…なんでそんなことしってんだミミックさん。いやまじで何で知ってんだおめー。衝撃すぎて何か全部吹っ飛んだわ。
取り敢えずシャッター破壊は頼むね。その話ついてはまた今度しっかり話し合おう。
(アドリブ絡み歓迎)
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古い商店街地図と携帯端末を手に持って、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)はシャッターの降りた店を見回していた。
端末には他の猟兵が入手したこの街の情報が送られている。元々持っていた地図と併用すれば情報の精査も簡単だ。
足元でひょこひょこ進む箱型生命体のミミックをちらりと眺め、拓哉は地図へと目を落とす。
「さて、肉屋探すのか。そしてこれは……人が食べたくなる狂気、か」
街を包む肉の香りが拓哉の意識を乱していく。
香りというのは人間をダイレクトに刺激するし、それが作用するのは三大要求に直結している感情だ。
このような事態を想定してきた猟兵ですら惑わす香り。
もしここがシャッター街でなかったのならば被害は恐ろしいものになっていただろう。
「意識を逸らす事は出来るけど……くそ、いい匂いしてやがる」
拓哉にとって自分自身ですら欺く事は難しくない。
できるだけ香りを嗅がないように気をつけて、自分自身の心にも働きかけるけれど……街の香りは、狂気は、それすらも上回ろうと彼を苛んだ。
頑張って耐えないと……必死に狂気に抗おうとする拓哉の足元に、ちょいちょいと何かが触れた。
ミミックだ。彼は何かを伝えようとしてくれている。
「どうしたのミミックさん。えっと……?」
言葉は交わせないが、ミミックの思考はゆっくりと拓哉の中に流れてくる。
曰く。人間は家畜と違い、食べられるようには育てられていない。
野生動物だって食べられるものは自然の中で生きてきたものが中心だ。彼らの肉が美味しいのは余計なものを食べていないから。
例えば人里に暮らすカラスは食べられたものではない。それと同じ理由で、人間の肉の味だってお察しだ。だからやめとけ。
その思考の意味は、言葉の意味は理解出来る。
けれど……『ミミックがそれを伝えてきた』という事実はなかなか飲み込めない。
その意味を飲み込む度に拓哉はぷるぷると震え、気がつけば両手で顔を覆っていた。
「何でそんな事知ってんだミミックさん。いやマジで何で知ってんだおめー……」
だってこれじゃあまるで、ミミックさんは『人の味を知っている』としか言えないじゃないか。
あまりの衝撃は狂気もあっさりと吹き飛ばしてくれた。拓哉は大きく息を吐き、ジト目でミミックの方を見つめる。
「あー……取り敢えずシャッター破壊は頼むね。その話ついてはまた今度しっかり話し合おう」
気になることは山程あるけれど、優先順位が高いのは邪神探しだ。
張り切ってシャッター壊しに取り掛かるミミックを眺めつつ、今後の彼との付き合い方を考える拓哉であった。
成功
🔵🔵🔴
ハルア・ガーラント
ここが問題のシャッター街ですね。地図、地図。うぅ……静かで怖い。
【WIZ行動】
あ、いいにおい……?
うくっ、あの人のおにくが、食べたい……身体おっきいし、角もあるし、少し位なら齧っても。
きっと、ご馳走様でしたの後は、アイアンクローが……ひいっ、そんなの嫌です!![狂気耐性]はっ!
そ、そうですよ、食べちゃダメです!あの人のアイアンクロー殺人的に痛いですからね。
UC発動。あひるさん達、一緒にお肉屋さんを探してね。地図によると、こことここ、ここもかな?見つけたら、その場所で鳴いて知らせてね。危ないから中に入ったら駄目だよ。
あだっ!こら、噛みついちゃダメ、わたしは食べられないの!
連携・アドリブ歓迎です!
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「ここが問題のシャッター街ですね。うぅ……静かで怖い」
用意した地図を広げつつ、ハルア・ガーラント(オラトリオのバロックメイカー・f23517)は調査の準備を進めていた。
本来ならば哀愁を感じるであろうこの街も、今は邪神の気配に包まれどこか不気味だ。
そして何より気になるのは。
「あ、いいにおい……?」
どこからか漂う肉の焼ける香り。
それを認識した瞬間、ハルアの脳裏に一人の男の姿が浮かぶ。
あの人のおにくが、食べたい。だってあの人なら身体も大きいし、角もあって頑丈だし。
だからちょっとくらい齧っちゃっても。
けれどあの人と一緒にいるハルアなら、その先の展開も容易に想像がついた。
あの人はちょっと齧られても怖がったりはしないし、怪我だって気にせずに動く。
だとすれば、ご馳走様の後に続くのは怒りのアイアンクローだろう。
それも殺人的に痛いのをギリギリと。きっと一切合切の容赦なくわたしの顔に浴びせてくる。
「ひいっ、そんなの嫌です!!」
本音が思わず声に出た。
その瞬間、ハルアの内側で『あの人を食べたい』より『痛くて怖いのは嫌』という気持ちの方が強くなった。
恐怖は狂気を追い出して、ハルアにやるべき事を思い起こさせてくれる。
「そ、そうですよ、食べちゃダメです! 気を取り直していきましょう……」
また狂気に侵されてしまってはいけない。
ハルアは邪神の居所を探すべく、ユーベルコードの力を高めていく。こういう時は人海戦術だ。
「さあ、出番ですよ! あひるさん達、一緒にお肉屋さんを探してね」
ハルアの声に合わせて呼び出されたのはふわふわ真っ白なアヒル達。
彼らと共に地図を確認し、肉屋に目星をつけたのならば準備は万端。
「お店の場所を見つけたら鳴いて知らせてね。危ないから中に入ったら駄目だよ」
アヒル達は素直にハルアの指示を聞き、ぐあぐあ鳴きながら街へと散らばっていくが……数羽のアヒルはどこか様子がおかしかった。
どうしたのだろう? 心配したハルアが彼らへと歩み寄った瞬間。
アヒルさん達は勢いよく飛び上がり、彼女の足に思い切り噛み付いてきたではないか。
「あだっ! こら、噛みついちゃダメ!」
どうやら街を包む狂気はアヒル達にも多少の効果はあるようだ。
声をかければすぐに落ち着くようだが、彼らもハルラを美味しそうだと認識している様子。
「わたしは食べられないの! ほら、しっかりしてね?」
お姉さんのようにアヒルを宥めつつ、ハルアは街の中を進んでいく事となった。
もしかしたらわたしも、あの人にこんな風にしたくなっちゃってたのかな。それはちょっと……。
そんな事を思いつつ、ハルアは調査を進めていった。
大成功
🔵🔵🔵
神永・衣乃
POW
世界に『ラブ&アイ』―『愛と愛らしい私』を広めるために遥々やってきましたよ!
廃れたシャッター街での事件も髪がかった可愛い私にかかればイチコロです!
まずはお肉屋さんを見つければいいんでしょうか?
お肉のこととなれば私の自慢の髪に宿っている『カミカミドラゴン(神守龍)』ちゃんに捜索のお手伝いをしてもらいましょう!
匂いの元を探してくださいね!
それにしても今日のカミカミドラゴンちゃんはあちこち噛みついて落ち着きがないですね~。
どうどうと宥めて頭を撫でてあげましょう。
お腹が空いてるなら特製オムライスがありますから、これで我慢してくださいね。
ここが怪しいんですか?ではシャッターを噛み千切ってください!
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静かな狂気に包まれるシャッター街を、楽しそうに歩く女性の姿があった。
美しい黒白の長髪を揺らしつつ、その女性……神永・衣乃(かみながいさん・f24145)は周囲をきょろきょろと眺めていた。
彼女の目的は世界に『ラブ&アイ』――『愛と愛らしい私』を広める事。そのために遠路遥々やって来たのだ。
髪に宿った相棒のカミカミドラゴンちゃんは何だか興奮気味だけど、きっと大丈夫だろう。
「この事件も髪がかった可愛い私にかかればイチコロです! まずはお肉屋さんを見つければいいんですよね!」
おー! と拳を高く突き上げ、気合を入れれば準備も万端。
お肉に強いカミカミドラゴンちゃんも一緒なら百人力だ。まずは街を包む肉の香りの発生源を見つけなければ。
「匂いの元を見つけたら教えて欲しいんですけれど……カミカミドラゴンちゃん、落ち着きがないですね~」
衣乃はある程度狂気に対応出来ているが、その分ドラゴンの方はかなりの興奮状態だ。
匂いの元を探すべくそちらに意識を向けているのもあるだろう。
ドラゴンは衣乃を引っ張るように忙しなく動き、近くの柱や道具などにどんどん噛み付いている様子。
それだけでも調査の足止めになってしまうし、何より噛み付く対象がいつ衣乃へと変わってしまうか分からない。
「どうどう。そんなに興奮しなくても大丈夫ですよ~」
ドラゴンの頭を優しく撫でて宥めてみるも、なかなか興奮は収まらない様子。
それなら別の手段を使いましょう。衣乃は持参した荷物を広げ、中から大きな荷物を取り出した。
「興奮しているのはお腹が空いているからでしょうか。それならこれで我慢してくださいね」
荷物の中身は美味しそうなオムライスだ。
メイドたるもの美味しい料理はいつだって用意済み。加熱用の道具も使って温めれば、オムライスからはとても良い香りが漂ってきている。
ドラゴンの興味も肉の香りよりオムライスに向いている様子。空腹でなくなれば狂気だって薄れるはずだ。
ケチャップで可愛くハートを書き上げ、ドラゴンちゃんに手渡せば美味しそうに食べてくれている。
満足したドラゴンは、衣乃を引っ張り近くのシャッターへと導いた。
「ここが怪しいんですか? では……シャッターを噛み千切ってください!」
調子を取り戻したドラゴンと力を合わせ、衣乃は思い切り怪しいシャッターを壊していく。
しかしその奥にあったのは暗闇だけ。肉屋ではあったようだが、邪神の居所ではなかったようだ。
「あらら、残念ですね。ですがシャッターはまだまだありますから、どんどん壊していきましょう!」
髪がかった可愛い私達は簡単にはへこたれない。
衣乃とドラゴンは再び気合を入れて、次の目的地へと向かっていった。
成功
🔵🔵🔴
ガーネット・グレイローズ
ここか。一見普通のシャッター街だが……確かに邪気を感じるな。
正気を失う前に速やかに調査だ。
できるだけ外気に触れないように、愛車『BD.13』で街を流す。
そしてにわとり型ドローン『メカたまこEX』を放ち、空中から
街を<撮影>。作成したマップを車のナビに転送させる。
それでも街に漂う邪悪な気配からは逃れられないだろうから、
妖刀アカツキと躯丸を抜いて【妖剣解放】、刀の<呪詛>を解き放つ! 心身を蝕む『匂いの呪詛』を、『刀の呪詛』で上書きするのだ! 同じ呪詛でも、長年慣れ親しんだものならば<呪詛耐性>で耐えることも容易な筈。引き続き仲間とスマートフォンで連絡を取りつつ、古い精肉店や料理店を調べていこう。
●
寂れたシャッター街に、少々不釣り合いなエンジンの音が鳴り響く。
音の主は優美なフォルムをしたクーペだ。そのハンドルを握るガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は苦々しい顔で街の中を見渡している。
「一見普通のシャッター街だが……確かに邪気を感じるな」
車の中にいるお陰である程度の外気は遮断出来ている。
それでも街を包む狂気と肉の香りは少しずつガーネットを蝕んでいた。
少しでも早く調査を進めるためには、優秀な助手がいてくれる方がいい。
ガーネットは少しだけ窓を開け、傍らで指示を待つ小さなドローンへと声をかけた。
「お前なら邪気には呑まれないはずだ。頼んだよ」
にわとり型ドローンの『メカたまこEX』はこくりと頷き、窓から上空へと飛び立っていく。
その様子を確認したガーネットは急いで窓を閉め、車に搭載したナビを起動し始めた。
ナビにはメカたまこが撮影した街の様子が反映され、他の猟兵の集めた情報も合わせて街の地図を作り出していく。
あとはこれを元に調査と進めるだけだが……狂気は少しずつ強まってきている。
ダンピールとしての欲求とは別の強い食欲と誘惑。これに気を取られてしまっては調査に支障が出てしまうだろう。
そこでガーネットは……二振りの刀を取り出し、ユーベルコードの力を高めていく。
「匂いの呪詛より、こちらの方が馴染みがあるからな。行くぞ、アカツキ、躯丸!」
鞘から妖刀アカツキと躯丸を引き抜き、敢えてその呪詛を自らに纏わせるガーネット。
どちらの呪詛も強力なものだが、これは彼女にとって馴染みのあるもの。
それならどんな風に付き合えばいいのか、どう扱えば自分の利になるかはよく分かる。
長年親しんだ友のようなその力は、ガーネットの身体から街の呪詛を弾き出してくれていた。
もちろん身体に多少の負担はあるけれど……妙な呪詛よりこちらの方が信頼出来る。
「これで一安心だな。それじゃあ……今度はこっちだ」
ガーネットは再びナビへと目を落とし、どんどん集まっていく情報を確認していく。
その横のスタンドにスマートフォンを設置すれば、通話によるリアルタイムの情報交換も可能だ。
他の猟兵達もどんどん街を進み、徐々に候補となる店を確認している様子。
「調査の調子は順調みたいだね。ならば私も頑張っていこう」
大きく深呼吸をし、妖刀達の呪詛と呼吸を合わせたのなら準備は万端。
ガーネットはクーペのアクセルを強く踏み込んで、目星をつけた店へと向かっていった。
成功
🔵🔵🔴
ナギ・ヌドゥー
喰いたい
凶悪な咎人を喰いたい
拷問で恐怖を与えつつ生きたまま喰らいたい
絶望に悶えのたうつ咎人の肉はどんな美味になるのやら……
……中々に心地良い狂気を魅せてくれる香りだ
と言っても元々、己の脳は狂気で溢れている
正気と狂気の境はひどく曖昧だ
このままこの香りに溺れるのも悪くないが一応任務がある
【ドーピング】投与により狂気を遮断し【第六感】を強化
強化した知覚でこの肉の焼ける香りを辿って行こう
この香りを撒き散らしている場所が敵の棲み処と見て間違いないだろう
●
その狂気には、不思議な心地良さがあった。
シャッター街の傍らで、ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)は瞳を閉じてその感覚に身を委ねていた。
喰いたい。
凶悪な咎人を、暴力を厭わない者を、喰いたい。
肉の香りが引き起こす狂気はナギが普段隠している衝動をより強く湧き起こしていた。
殺してもいい相手を殺すのは楽しい。けれど今はそれだけじゃない。
例えば目の前に殺すべき咎人がいるとして。相手は自分に怯え、震えている。
そんな相手の側にそっと近寄り、まずは足や腕の肉を削ぎ落としていこうか。
ゆっくりと、相手を殺さないように、かといって気絶もさせないように気をつけなければ。
生きたまま削がれる痛みの声に耳を傾け、手元では暖かな血肉の感触を感じて。
恐怖で顔を歪める咎人の前で、その肉を思い切り頬張れば……相手はどんな顔をするだろう。
絶望に悶えのたうつ咎人の肉は、きっととても甘くて蕩けるような味がする。
それなら次は腹を割いてみようか。更に強まる悲鳴と絶望は咎人の味をより甘美なものへと変えていくはず。
その次はもっと別の場所を。相手が息絶えるまで、楽しい時間は続くのだ。
そんな極上の食事を思い浮かべつつ……ナギはゆっくりと目を開き、大きく息を吐いた。
確かにこの狂気は心地良い。けれど自分の脳は元々狂気に塗れているのだ。
ならばこの想像だって曖昧なもののはず。果たしてどこまでが邪神によって巻き起こされたものだろう。
もっと深くこの狂気に浸っていたい気持ちもあるが、ナギがこの街を訪れたのは任務のためだ。
それなら酔い続けるのは得策ではないだろう。仲間を『美味しそう』だと思ってしまうのもあまり好ましくない。
「……仕方ないな」
ぽそりと呟きつつ取り出したのは小さなケースだ。
ナギは中に籠められた薬を一気に飲み込み、静かに感覚を研ぎ澄ます。
薬は脳内から狂気を追い出し、代わりに鋭い勘を与えてくれる。
おかげで肉の香りに対しても冷静になる事が出来た。後は香りの発生源を辿っていけばいいだろう。
「敵の棲み処は……こっちでしょうか」
街を進んでいけば他の猟兵と巡り合う可能性もある。
ナギは普段の丁寧で穏やかな様子を取るように心がけ、ゆっくりと歩を進めていく。
けれど、この顔をするのもきっと邪神の元へと辿り着くまで。
果たして狂気の主はどんな相手なのだろう。そしてその相手の肉を裂けば、どんな表情をするのだろう。
緩やかに想像を巡らせつつ、ナギは薄暗い街を進んでいった。
大成功
🔵🔵🔵
エスタシュ・ロックドア
別件で似た狂気に中てられた事はあるが、
そう何度もやられてたまるかよ
俺を支配するのは俺だけだ
【狂気耐性】【呪詛耐性】【環境耐性】で狂気に耐えて、
シャッター街を歩いて調べるぜ
肉屋ってんならまぁ看板探せばいいだろ、多分
耐えるっつーこたぁ、匂いは嗅いでるわけで
肉は元々好きだしな……
脳裏に絶対喰っちゃならねぇ奴の顔が浮かんで、
生唾飲み込み、舌なめずりしたとこで頭を振る
いよいよ耐え難くなったら、煙草のFree soulで口と鼻を誤魔化すか
指先から『群青業火』を出して火をつけ、
深く味わって紫煙を吐く
吸い殻は業火で燃やし尽くしつつ、
ハイペースで本数吸って煙の防護を厚くする
俺ぁ人食い鬼になんざ堕ちねぇからな
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抱いてはいけない感情を、人としての間違いを想起する狂気。
別の依頼で似たようなものに中てられた事を思い出し、エスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)は忌々しげに眉を顰めていた。
そう何度もやられてたまるかよ。俺を支配するのは俺だけだ。
強い意志を狂気への耐性へと変え、エスタシュは大股で街の中を歩いていた。
他の猟兵達も情報を集めているし、何よりシャッター街の規模も然程ではない。歩いていけばいつかは辿り着けるはず。
残っている看板やシャッターに目を向けつつ、エスタシュは次々に街の中を巡っていく。
けれど歩けば歩くほど、どうしても肉の香りは嗅いでしまう事になる訳で。
最初は牛や豚なんかのよく食べている肉の事を思い出した。それは別に構わない。元々好きだし。
けれど……やはり巻き起こされるのは狂気だ。どんどん思い浮かべる内容は歪んできてしまう。
食べたくなるのはヒト。それも絶対に食べてはいけない相手。
でも、だからこそ、その味は何にも代えがたいもののはずだ。
大切な人だから、頭から爪先まで全部食べてしまいたい。他の誰にも渡したくない。
その味を想像すれば自然に喉がごくりと鳴って、唇を舌で濡らしてしまう。
きっと忘れられない味がするはずだ。何よりも甘くて、美味しい味がするはずだ。
「……だからこそ、絶対に喰っちゃならねぇ」
頭をぶんぶんと横に振りつつ、エスタシュは懐から煙草の箱を取り出した。
そして一本取り出しまずは口に咥えて。ライターはないけれど、代わりに指先に灯した群青色の業火で火を付ける。
いつも通りの行動。いつも通りのユーベルコード。そして肺に広がる煙草の味も狂気と肉の香りを誤魔化してくれていた。
スパイシーな風味が頭の中にふわりと広がり、次第に落ち着きを取り戻していくエスタシュ。
紫煙と共に大きく息を吐き出せば、その感覚が身体の中から狂気を追い出してくれるようだった。
一本なくなればまた一本。業火で吸い殻も燃やしつつ、エスタシュは次々に煙草を吸い続けた。
馴染んだ香りと煙は彼の心を守る盾にもなってくれている。
エスタシュはその『いつも通り』で自分を守りつつ、更に歩を進めていく。
大切な相手に会う時だって、狂気を抱いたままではいられない。
こんな騒動を巻き起こす邪神なんてさっさと倒してしまうに限るだろう。
「俺ぁ人食い鬼になんざ堕ちねぇからな」
街のどこかに潜む邪神に対し、宣戦布告のように呟きを零して。
羅刹の青年は勇ましく街を進んでいった。
成功
🔵🔵🔴
深鳥・そと
うぇえ……わたしの好きなお肉は牛だよ~……
確かにかわいい子はおいしそうだけど
そのおいしそうとは違うっていうかでも今は違わないっていうかー
うぅ……わたしもおいしそう……
ダメだ!このままじゃ自分か誰かを食べちゃう!
ひよこさん!お願いします!
無茶ぶり?ひよこさんならなんとかできるってー
難しいことはひよこさんに丸投げ
きっと食べそうになったら
叩いて正気に戻してくれたり代わりに齧られたりするよね
ひよこさんとお話ししながら
スマホに届いた肉屋候補へ向かう
シャッターは【怪力】でこじ開ければいいかな
●
「うぇえ……わたしの好きなお肉は牛だよ~……」
湧き上がる衝動にげんなりとした顔をしつつ、深鳥・そと(わたし界の王様・f03279)は街の中を突き進んでいた。
既に肉の香りは嗅いでしまっている。それ自体から逃れる事は難しいだろう。
お肉は好き。でもそれは調理用のお肉だ。
かわいい子を『おいしそう』と思う事もあるけれど、今湧き上がってくる『おいしそう』と別物な事もちゃんと分かってる。
いや、今はそっちの『おいしそう』だっけ。頭の中がぐるぐるしだす。
「うぅ……わたしもおいしそう……」
自分の白い腕を見つめ、そとは衝動と理性のすれ違いに思い切り息を吐いた。
もしこの状態で他の猟兵と出会ってしまったら。そうでなくてもいつ自分に食らいついてしまうか分からない。
このままじゃダメ。誰でもいいから食べたいけど、食べたくない!
だから早く邪神の居所を突き止めなければ。
「そうだ、ひよこさん! お願いします!」
協力者として呼び出したのはぴよぴよとしたひよこ……の姿をした何か達。
彼らはそとの足元をひょこひょこ歩き、彼女の指示を待っている。
「ひよこさん、邪神のせいでわたし達がピンチなんだ。どうにかしてくれる?」
「いきなりだピヨ」
「無茶ぶりぴよ~」
ちゅんちゅんと跳ねるひよこ達に対し、なんとかできるって、と必死に説得するそと。
「具体的には何をすればいいピヨ?」
「わたしが自分や誰かに噛みつきそうになったら、思いっきり引っ叩いて!」
そう言いつつそとは既に自分の腕に歯を立てようとしている様子。
それに気付いた一羽のひよこが、そとの顔へ目掛けて勢いよく飛び上がる。
「そと、危ないぴよ!」
急にひよこが現れた事でそとは腕から顔を引き離すが、ひよこの勢いは止まらない。
そのふわふわの身体はそとの口元へと近付いていき……腕の代わりに思い切り噛みつかれる事となる。
そとも口に触れた感触にはすぐに気づき、大きく口を開けてひよこを助け出した。その表情はとても申し訳なさそうだ。
「ごめんね、ひよこさん……」
「だ、大丈夫だぴよ……これは危ないぴよ」
ひよこ達も自らの身の危険を感じたためか、調査に対してはとても前向きになってくれたようだ。
落ち着いたところで、そとはひよこ達を引き連れて街の中を進んでいく。
「確かここがお肉屋さん……のはず。それからあっちも!」
スマホに入った地図データを確認し、それらしきシャッターを羅刹の怪力でどんどん開けて壊していく。
身体を動かせば空腹感は増していくが、ひよこさん達がきっと守ってくれるだろう。
こうしてそとは愛くるしくて頼もしい仲間と共に、着実に邪神の元へと近付いていった。
成功
🔵🔵🔴
花霞・かおる
(……ねむ……あと腹減った……)
「あ?……聞いてた、聞いてた
今から焼肉食って朝寝するから、その後な」
(吸血、食肉……いや、正直、何でも良い)
「んじゃ、また後で」
(欲求程度、潮時さえ間違えなければどうとでもなる)
まずは商店街周辺をぶらつく
日没の2時間前まで商店街の中には入らない
(……嗅覚を鈍らせる為に、今一本吸っといた方が良いな……
あー、切れてたか……最後いつ吸ったかすら覚えてねぇ)
見つけ次第、煙草屋で国産の刻み煙草を銘柄指定で注文して会話の糸口に商店街の肉屋の場所を確認
ま、ついでだ、ついで
最近は煙管も吸ってなかったからな
(いや、しかし……本当、紙巻ならそこらのコンビニに入るからな……)
●
他の猟兵達の行動から、少し時間は遡り。
花霞・かおる(あの花のように・f15776)は皆と別行動を取っていた。
グリモアベースで話を聞いていた時は眠気と空腹感を感じていたから。
大丈夫。話は聞いてた。焼肉食べて朝寝してくるから、んじゃ、また後で。
軽く言葉を交わし、ベースを抜けて商店街の近くの街へ。
必要なのは予め欲求に耐えうる手段だ。少しの睡眠と食事。血でも肉でも構わない。
大切なのは潮時の見極めだ。狂気くらい、上手くやれば抑える事は難しくない。
気がつけば太陽は西へと向けて傾きつつある。動き出すならこのタイミングだろう。
いよいよ街に踏み入れようか。そう考えたかおるの脳裏に浮かんだのは、長らく味わっていない煙草の味だ。
(……嗅覚を鈍らせる為に、今一本吸っといた方が良いな……)
懐に手を入れて煙草を取り出そうとしてみるも、そこに箱は入っていない。
久しぶりに吸おうとしたのだから、切らしてしまっているのも仕方のないこと。
(……最後いつ吸ったかすら覚えてねぇ)
幸いな事に今彼がいるのは人里だ。商店街の近くには人も残っているようで、組織もまだ対応は行っていない様子。
そこでかおるはふらりと街を進んでいき……見つけたのは古ぼけた煙草屋だった。
外向きのカウンターには店主と思しき中年の女性が座っていた。
かおるはたまたま通りすがった風を装いつつ、店主の方へと近付いていく。
「こんにちは、ちょうど良かった。この銘柄のやつ、探してるんだ」
「あら、ちょっと待っててね」
かおるが頼んだのは国産の刻み煙草だ。店主は奥へと引っ込んで、すぐに目的のものを持ってきてくれた。
「ここに若い人が来るのも珍しいし、何だか嬉しいね」
「そうなのか。落ち着いた街だと思うが……いや、だからこそか?」
代金を支払い、近くにスタンド灰皿の存在を確認したのなら煙管を取り出して。
慣れた手付きで用意を整え、煙を肺に入れればゆるやかな酩酊感が身体を包んだ。
「煙管を持ち歩いてるお兄さんっていうのも、なかなか珍しいねぇ」
「俺もこれを吸うのは久しぶりだよ」
店主はお喋り好きだった。一体どうしてこの街へ? お兄さんはどこから来たんだい?
誤魔化したい事は上手く誤魔化しつつ、かおりは店主から情報を引き出していく。
彼女も昔は商店街の世話になっていたようだ。肉屋だった場所を聞けば、数軒の店を教えてくれる。
そこらのコンビニで紙巻煙草を購入して済ませようかも迷ったのだが、この店を選んで正解だった。
後は候補となる店を目指していけばいいだろう。
火皿もちょうど空になった。そろそろ出発の時間だ。
「それじゃあ、そろそろ行くよ。ありがとう」
「こちらこそ。気をつけてね」
煙管を懐へとしまい込み、かおるは肉屋を目指していく。
ごくごく普通の夕暮れの街を離れ、目指すのは夜闇に沈みかけた狂気の場所だ。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『いにゅいにゃい』
|
POW : いにゅ
全身を【否、周囲の存在を『いにゅ』】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : いにゃ
肉体の一部もしくは全部を【いにゃ】に変異させ、いにゃの持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
WIZ : ない
【狂気】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【終】から、高命中力の【精神を喰らう『無』】を飛ばす。
イラスト:烏鷺山
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
日はすっかり暮れていき、静かな夜闇がシャッター街を包んでいく。
猟兵達は候補となる店を確認していき、とうとう目的の店を発見する事となる。
シャッターを開けた瞬間強まる香り。心を揺さぶる強い狂気。
それらをぐっと堪えつつ、猟兵達は店の中へと足を踏み入れた。
この店は売り場と調理場をはっきり隔てていたようで、部屋の奥には調理場へと続くドアが見えている。
けれどその手前に……沢山の蠢く影があった。
猫のような、犬のような。
子供のらくがきのような姿をしたそれは、忙しなく動きつつ猟兵達を迎え入れる。
彼らはかわいいお手伝い。
これはいにゅだけどもしかしたらはむすたーでさいあくのばあいは――で。
彼らは過食が知れないおともだち。
認識に訴えかける不思議な存在。
その名は『いにゅいにゃい』。
今は邪神の配下として、狂気の肉屋に蠢いている。
彼らを倒さなければ邪神の元まで辿り着く事は難しいだろう。
猟兵達は各々戦いの準備を進め、かわいいお手伝いさんとの戦いを始めていく。
ガーネット・グレイローズ
(アドリブ歓迎)
潰れた精肉店、ここか……邪悪な気配の源は。
成る程、いかにもUDCアースらしいのが出てきたな。
それにしても奇妙な奴だ。何を模したモノかもわからず、
そこに確かに居るのに居ないような気配を放つ。存在が矛盾。
ただハッキリ言えるのは、コレについて何か考えても、理解しようとしても無駄だということか。
アカツキの鯉口を切り、静かに抜刀する
精神統一は剣の基本。しばし瞑目し、店内に妖刀の<呪詛>を振り撒いて【斬殺領域】を発動
多少大雑把だが、これぐらいがちょうどいいかもしれないな。心を無にして刃を<なぎ払い>、ぶった切ればカタがつく。哀れな妖物よ、血も肉も、アカツキの糧となるがいいさ(生命力吸収)。
●
「ここか……邪悪な気配の源は」
暗い店内をじっと見つめ、ガーネット・グレイローズは眉を顰めていた。
姿を現したのも如何にも邪神の眷属と言わんばかりの奇っ怪な存在。
シルエットこそ動物に似ているけれど、何を模しているのかは分からない。猫なのか、犬なのか、もっと別のものなのか。
更に奇妙なのはいにゅいにゃいが持つ気配だ。
店を漂う空気には明確な狂気があり、何かしらの目的意識は感じる。
けれど……いにゅいにゃいは何なんだ。目の前にいるはずなのに、いない。その存在は明らかな矛盾を抱えつつ、大きな瞳でガーネットを見つめている。
「ハッキリ言えるのは、コレについて何か考えても、理解しようとしても無駄だということか」
口に手をあて、思案するようにいにゅいにゃいを見つめ返すガーネット。
理解出来ない相手でも、邪神の眷属であることに違いはない。
ならばやるべき事は一つだ。ガーネットは妖刀・アカツキの鯉口を切りつつ、静かに目を閉じる。
大きく息を吸い、けれど店に漂う香りには身を任せない。
彼女が身を委ねるのは愛刀が纏う妖気と自分自身の心の深い部分だ。
アカツキを抜刀し、ゆっくりと呼吸を続けて。呼吸の度に刀の呪詛を自分の内側から、少しずつ外へ広げて。
目を閉じていても空間のゆらぎは伝わってくる。いにゅいにゃいが自らを変質させているようだ。
それすらも呪詛で包み込んでしまえばいい。相手が分からないものならば、自分の域まで連れ込んでやればいい。
広がる呪詛と自分の心が室内を覆ったのを確認し、ガーネットは赤灰色の瞳を見開いた。
「……打ち付けろ」
次の瞬間放たれるのは斬撃の雨嵐。
『斬殺領域』はアカツキの呪詛を鋭い刃へと変えて、一気に室内を覆い尽くす。
多少大雑把な攻撃だが、得体の知れない相手を切り刻むにはこのくらいがいいだろう。
その刃は変質していたいにゅいにゃいの姿も捉え、次々にその身を切り裂いていく。
例え相手が何に姿を変えたとしても『そこにある』と認識さえ出来ればそれでいい。瞑想により静まったガーネットの心は確かにいにゅいにゃいを認識したのだ。
相手も生物だ、切り裂かれれば血肉が舞い散る。アカツキの妖気はそれもしっかり捕捉して、次々にその刀身へと取り込みはじめた。
「哀れな妖物よ、血も肉も、アカツキの糧となるがいいさ」
霧散するいにゅいにゃいを吸収し、アカツキの刀身は更に妖しく輝きを増していく。
その赤い光を白い肌に映しつつ、ガーネットは静かに次の敵を見定めていた。
大成功
🔵🔵🔵
ハルア・ガーラント
ひいやあぁあ、怖いっ!
だめ、怖いと思ったら出てきちゃう、我慢です……!
【POW行動】
歌で支援したいのですけど、声が震えてしまい無理そうです。なので距離を取りながら[念動力]で操る[咎人の枷]に[マヒ攻撃]をのせて敵を[なぎ払い]。他の猟兵さんが倒しやすいように。
でもわたしだってやってやります、敵の集まる鼻先へ鎖を釣り針のように垂らし、視線を集めます。鎖を辿ってこちらへ動く視線もあるでしょう。
……う、こわいこわい頭おかしくなりそう!
アイアンクロー想像の余韻と[狂気耐性]で敵の攻撃に抵抗しつつ、UC発動、恐怖も開放。
白鷲さん達、やってしまいなさーい!
(涙目で)はぁ~……。
連携・アドリブ歓迎です!
●
わらわらと蠢くいにゅいにゃい達を前にして、ハルア・ガーラントの胸の内に渦巻いていたのは恐怖心だった。
大きな目玉がじっと彼女の方を見つめ、動物のように動く身体が静かにこちらへと迫ってくる。
「ひいやあぁあ、怖い……! でも、だめ。我慢です……!」
湧き上がる恐怖心はそのままにしておけばバロックとして溢れ出てしまう。
落ち着かなければ彼らの統率も難しいだろう。ハルアはゆっくりと深呼吸をして、敵達から距離を取った。
この場には他の猟兵もいるから、歌による支援を行おうか。いいや、それは駄目だ。恐怖で声が震えてしまう。
そして何より……いにゅいにゃい達に近づくのが怖かった。彼らが自分の足元で動く様を想像すると、バロックと狂気が暴走してしまいそうだ。
なのでハルアが選んだのは遠距離からの攻撃と支援。
翼に巻きつけた鎖を念動力でゆらりと解き、先端に魔力を籠めて一気にいにゅいにゃい達の方へと投げ込んで。
「これで……痺れて下さい!」
鎖に打ち払われたいにゅいにゃいはビクビクと震え、動きをゆっくりと鈍らせていく。
魔力による弱体化には成功しているが……その様子もやっぱり怖い。
「な、なんであんな動きをするんですか! こうなったら、わたしも……わたしだって!」
ここまで恐怖心が膨らんだのなら、それを武器にしてしまおう。
感情が狂気に支配されるより早く、ハルアは再び鎖を振るって敵の方へと投げ込んだ。
いにゅいにゃい達の円な瞳が一気に鎖の方を向く。狙い通りだけど、その光景は予想以上に不気味だった。
「……う、こわいこわい頭おかしくなりそう!」
少々錯乱気味に叫ぶハルア。滲み出た狂気が思い起こさせるのは……さっきまで抱いていた『あの人を食べたくなる狂気』。
けれどそれ以上にハルアの頭を支配したのは『その後に待ち受けているアイアンクローの恐怖』だった。
「これならきっと大丈夫……お願い、白鷲さん達、やってしまいなさーい!」
溢れ出る感情は美しい白鷲の姿をとって、ハルアの身体から弾けだした。
白鷲が狙うのは恐怖の対象――いにゅいにゃい達。彼らの身体を啄むように白鷲は飛んでいき、次々に恐怖の根源を退治していく。
暫くして、ハルアの眼前に残ったのは一仕事終えた鳥達だけだ。
「……はぁ~……」
その様子を確認し、安堵の息を漏らすハルア。緑色の瞳には涙も浮かんでいる。
けれど怖がってばかりもいられない。敵はまだまだ潜んでいるのだ。
ハルアは涙を拭いつつ、邪悪な気配の潜む店の奥を見つめていた。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(調理場への扉の前に蠢く敵を見て)
せんせー、あれは犬でしょうか?猫でしょうか?
(脳内の教導虫に話しかけたが「アタシもよくわからないわ」と返され)
...やっぱりわかりませんよねぇ
なんにせよ、邪神の所へ行く邪魔をするってんなら
力づくでも退いてもらいます!
よくわからないものは、よくわからないところへ!
(UC発動)
引込兵さん!そのよくわからないやつらを
亜空間へ引きずり込んでください!
●
うねうね、もぞもぞと何ともいえない動きを続けるいにゅいにゃい達。
そんな彼らの姿を見つめ、黒影・兵庫は小さく首を傾げていた。
「せんせー、あれは犬でしょうか? 猫でしょうか?」
困った時はまずせんせーだ。脳内に宿る教導虫ならば何か分かるかもしれない。
けれど彼女も困惑しているのは同じなようだ。せんせーは少しだけ唸った後に、諦めたようにぽつりと言葉を零す。
「アタシもよくわからないわ」
「……やっぱりわかりませんよねぇ」
二人でハテナを浮かべている間にもいにゅいにゃい達は動いている。
彼らの身体は更に歪んで認識しづらい不思議な姿に。いや、元々訳が分からないのだから、それは変質しても同じだろうか。
けれど彼らには明確な敵意があり、その身体で何かを為そうとしている事に変わりはない。
いにゅいにゃい達の向こうには調理場に続くドアもあるのだ。その先には復活しかけている邪神だって待っている。急いでここを突破しよう。
「なんにせよ、邪神の所へ行く邪魔をするってんなら……力づくでも退いてもらいます!」
勇ましく声をあげ、兵庫は自らの潜在能力を高めていく。
「引込兵さん、お願いします! よくわからないものは、よくわからないところへ!」
兵庫の呼びかけに応え、床が溶けるように姿を変えた。
床はさらさらと砂のように流れていき、大きな渦を形成していく。そしてその中央では引込兵――巨大なアリジゴクがガチガチと顎を鳴らしていた。
いにゅいにゃいは訳が分からないし、彼らに物理法則がどれほど作用するかは分からない。
けれど兵庫は引込兵の事を強く信頼し、『引込兵さんなら敵がどんな形をとっても吸い込んでくれる』と認識している。
せんせーも脳内から兵庫の意識を刺激して、彼の認識をより強固なものへと変えてくれていた。
「引込兵さん! そのよくわからないやつらを亜空間へ引きずり込んでください!」
兵庫の指示を聞き、アリジゴクは更に激しく顎を打ち鳴らす。
それに合わせて亜空間の流砂の流れも早まったようだ。その渦は生き物のようにいにゅいにゃいを吸収し、どこか知らない場所へと飛ばしてくれる。
彼らがどこにいくかは分からないけれど……きっと引込兵の餌にでもなるのだろう。
「この世界にはまだまだ不思議な存在がいるんですね……。もっと勉強していかないと」
兵庫は流砂の様子を真剣に観察していた。勤勉な彼ならば、今日の経験もきっと次へと活かしていける。
そんな兵庫の脳の信号を感じつつ、教導虫も嬉しそうに感心していた。
成功
🔵🔵🔴
波狼・拓哉
あー…狂気の臭いで変異した犬猫系…?いやまあ背景はどうでもいいんですけどね。ま、倒していいってのは見た通りですね。
じゃあ、化け明かしなミミック。夢か現か…ま、全て虚たる空に還しましょう。正直面倒なことしかしてこなさそうだし…それを封じ込めと行きましょう。あ、他の人は気にしないでね。実害は眩しいくらいだし。
自分は衝撃波込めた弾で頭を…頭…あたま……それっぽいとこ撃っておこう。戦闘知識、視力、第六感で効きそうなとこを見切り、相手の動きはロープで邪魔したりと優位に立てるように行動していこう。
近づかれたら零距離射撃で店の奥に吹っ飛ばして…店から出すわけにいかないしなぁ…
(アドリブ絡み歓迎)
●
目の前の意味不明な存在は、意味不明ながら動物らしき存在だった。
耳と尻尾をひょこひょこ揺らし、身体を『いにゃ』へと変異させてくいにゅいにゃいを見つめ、波狼・拓哉は呆れたような顔をしている。
「あー……狂気の臭いで変異した犬猫系……?」
その存在の背景自体はどうでもいい。けれどついつい気にしてしまうのは探偵としての性だろうか。
とにかくやるべき事はたった一つ。邪神の眷属はさっさと倒してしまうに限る。
「ま、倒していいってのは見た通りですね。ミミックさん、お願いしますよ」
相棒のミミックと今後の事を話し合う必要は出ているが、戦闘面では相変わらず彼の存在は頼もしい。
拓哉の言葉に応じるようにミミックは前に出て、いつものようにユーベルコードの発動を待った。
「じゃあ、化け明かしなミミック。夢か現か……ま、全て虚たる空に還しましょう」
詠唱に合わせ、ミミックの身体が眩い輝きを帯び始めた。
その光は太陽のようでいて、不思議な熱を秘めている。その熱と光は対象の心を焦がし、決して目を逸らさせない。
いにゃへと変質したいにゅいにゃいにも視覚はあるのだろう。彼らは眩しそうに目を細め、じーっとミミックを見つめている。
すると次第に彼らの身体は『いにゅいにゃい』へと戻っていき……本来の姿へと戻ったようだ。
「……あれで戻ってますよね。戻ってなくてもやる事は変わりませんが!」
ミミックが敵たちを引き付けている間に、拓哉は懐から二丁のモデルガンを取り出した。
少々玩具めいたカラフルなその銃は、拓哉が籠める力に呼応して本物さながらの弾を放つ。
「狙いは頭で……頭、あたま……?」
そういえばいにゅいにゃいの頭部ってどこだろう。いや、見るからにぎょろぎょろしている瞳はきっと急所だろうが。
なら狙いもそこでいいだろう。拓哉はいにゅいにゃいの眼球へとしっかり狙いを定め、一気に弾丸を放っていく。
目玉を穿たれた敵は予想通りにそこから血肉を飛び散らせ、びくりと震えて床へと倒れ伏した。
「その辺りの反応は生物っぽいんですね……。死んでくれるなら構いませんけど」
少々げんなりとした顔をしつつ、拓哉はトリガーを引き続ける。
ミミックの光から逃れた個体がいれば優先的に撃ち抜いて。あんな生物、店の外に出す訳にはいかない。
「人里にこんな化け物が出てきてるのが問題ですけどね……」
改めてこの世界の危うさを痛感し、猟兵兼探偵の青年は大きく溜息を吐く。
一方でミミックは、そんな拓哉の気苦労を知らずに店内を照らし続けていた。
大成功
🔵🔵🔵
エスタシュ・ロックドア
かわ……いやこりゃまたけったいな奴らだな
ま、振って斬れりゃぁそれでよし
いくか
たぁ言え、ワラワラしててやりづれぇ
鉄塊剣でひと薙ぎにしても良いが店内狭そうだな
無限湧きするんでなけりゃ、しょーがねぇ何匹かずつやるか
『黒縄荊蔓』発動
何匹かずつ蔓で捕らえちゃ【怪力】でぶん回して壁や床に叩きつける
それでも生きてるようなら鉄塊剣フリントで止めを刺すとしようかぁね
例え可愛い見た目でも、オブリビオンなら容赦する理由はねぇ
敵の攻撃にゃ前章から引き続き吸ってる煙草で少しでも防ぎつつ、
【狂気耐性】で耐える
こちとらテメェらの親分に用があるんだ
邪魔しねぇでくれや
●
わらわら動き、猟兵達をじーっと見つめるいにゅいにゃい。
そんな彼らの姿を見つつ、エスタシュ・ロックドアは困ったように頭をかいた。
「かわ……いやこりゃまたけったいな奴らだな」
よく見ればかわいいような。いや全然かわいくないような。相手のビジュアルはあまりにも不可思議だった。
だけどエスタシュからすれば、彼らの美醜は些細な問題。気にするべきは振って斬れるかどうかだ。
まずは落ち着くために煙草を咥えて少し一服。馴染みの味は狂気を遠ざけるお守りだ。
「……いくか」
更に巨大な鉄塊剣・フリントを肩に担いで、エスタシュは一歩前に出る。
しかしここは狭い店の中だ。鉄塊剣を振り回すには不向きかもしれない。
ここまでの戦闘で敵の数も減っているのだから、相手は無限に湧いて出てくる訳でもないのだろう。それならまずは敵の数を更に減らしにかかるべきか。
「しょーがねぇ。今回はこれで行かせてもらうぜ」
左腕を前に出し、エスタシュは静かに呼吸を整える。
使うべきは宿した宿業。地獄に繋がるその力。背中の羅刹紋が熱を帯び、そこから棘の蔓が姿を現し始めた。
「此処に示すは我が悪業、此の背に蔓延る荊の木、以て縛む咎と罪」
棘の蔓はエスタシュの左腕に巻き付き、どんどん長さを増していく。
『黒縄荊蔓』。地獄で象られたその蔓は、決して敵を逃さない。
「――とっ捕まえるぜ、大人しくしろよ」
その宣言と共に、エスタシュは思い切り腕を振るった。
しゅるりと伸びた蔓は次々にいにゅいにゃいを拘束し、彼らの動きを封じていく。
捕まえたのなら後は簡単。羅刹としての怪力を活かし、エスタシュは更に腕を大きく振り上げる!
「苦しいかもしれねぇが……勘弁しろよ!」
そしてその腕を全力でぶん回し、引き上げたいにゅいにゃい達もどんどん振り回して。
彼らの身体は壁や床に叩きつけられ、どんどん肉塊へと変わっていく。
その最中に向けられた瞳がエスタシュの頭の中を揺らしていくが、それに合わせて再び煙草の煙を吸えば昂ぶる気持ちは抑えられた。
そうして冷静になれば、蔓の中で数体のいにゅいにゃいが微かに息をしている事も分かる。
残った敵を倒すくらいならフリントで十分だろう。エスタシュは彼らの身体を地に横たえ、しっかりとその姿を見据えた。
「こちとらテメェらの親分に用があるんだ。邪魔しねぇでくれや」
相手がどのような容姿でも、オブリビオンなら容赦はしない。
羅刹の青年が放った一閃は地を揺らし、蔓延る邪悪を蹴散らしていった。
成功
🔵🔵🔴
メイスン・ドットハック
【SPD】
さてよくわからん眷属が出てきたの―
狭いところに逃げようが、どんな特性を持っていようが、吹っ飛ばせば邪神も出てくるじゃろー?
二足歩行戦車「KIYOMORI」を呼び出して搭乗
眷属がどんな状態であろうとも、電脳ビームライフルで撃ち尽くし、電脳【誘導弾】榴弾で焼き尽くし、近づく敵は踏みつぶしやブレードで斬り殺す
さらに電脳魔術による空間【ハッキング・情報収集】で熱源探知などで死角から迫ってくる敵に関しても探知をかけて、不意打ちにも対応
狭いところに逃げるなら、UC「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり」で巨大化し電脳兵器による【一斉発射】で周囲の施設ごと破壊する
ま、逃げれるものならのー
●
「さて、よくわからん眷属が出てきたのー」
うにゃうにゃ動くいにゅいにゃいの姿を見て、メイスン・ドットハックはぽつりと呟く。
彼らの身体は実体があるのかないのか。うねうね歪む身体は存在の定義を変えて、揺らめくように室内を移動していく。
あの状態の敵を狙うのは難しいだろう。それなら敢えて大雑把に動くのみ。
「どんな姿になろうが、吹っ飛ばせば邪神も出てくるじゃろー?」
メイスンは電脳ゴーグルを起動して、周囲に魔術を展開していく。
最初に発動したのは転移魔法……二足歩行戦車「KIYOMORI」の召喚だ。
「ド派手に行こうかのー」
素早くKIYOMORIに乗り込んで、起動するのは電脳ビームライフルだ。
的確な制御により、壁や天井といった部分は壊さないように狙いを定め……放たれた光線は、見える範囲の敵を次々に焼き尽くしていく。
逃げ出そうとした個体にはすかさず電脳榴弾で狙い撃ちだ。
「UDCアースの建物は結構頑丈だから、このくらいやっても大丈夫じゃのー」
この店は既に人がいなくなった建物とはいえ、造りはそこそこ頑丈なようだ。思っていたよりも火力をあげて攻撃を放つ事も出来ている。
万が一建物に損傷が発生してしまい、そこからいにゅいにゃいが逃げ出そうとしても、メイスンの戦略ならば逃す心配もないのだけれど。
「万全を期す、という言葉もあるしのー」
近付いてきたいにゅいにゃいを戦車の足で踏み潰しつつ、メイスンは更に魔術を展開していく。
空中に映し出されたビジョンには室内に存在する熱源や異変が表示されている。
敵の熱源もおよそ生物とは思えない不可思議なデータをしていたが……そのお陰で仲間との区別は簡単だった。
「む、あっちの個体はなんだか良くない動きをしておるようじゃのー」
戦車による猛攻を潜り抜けたいにゅいにゃい達は、変質した身体を利用してどんどん隙間を移動している様子。
相手がそのつもりなら、こっちにも手はあるのだ。メイスンはユーベルコードの力を高め、思い切りKIYOMORIの操作盤を叩いた。
「祇園精舎の鐘の音、諸行無常の響きあり。KIYOMORI、全部吹き飛ばせ!」
メイスンが発動したのはKIYOMORIの巨大化プログラムだ。それに呼応するように巨大化した砲台が、隙間を動く敵の方へと静かに向いた。
「さあ、逃げれるものなら逃げてみるんじゃのー」
再びメイスンが操作盤を叩いた瞬間、流星のような砲撃が室内を煌めかせた。
凄まじい威力の攻撃は、妙な動きをしていたいにゅいにゃい達をまとめて吹き飛ばす!
「やっぱりこういう時はこういう手段に限るんじゃのー。一番分かりやすいしのー」
自らの魔術と兵器の威力に感心し、メイスンはうんうんと頷いて。
戦闘は好きではないけれど、事前に用意した作戦が成功するのは安心出来る。
その実感を得ながら、メイスンは更に敵を倒していった。
成功
🔵🔵🔴
深鳥・そと
うわっ、かわいくない!
これ、かわいいの? キモカワイイ……?
う~~~ん? やっぱりかわいくない!
一緒に頭傾けてもかわいくないんだから!
みんな一緒に傾けるから、なんかもっときもちわるい!
石を持ち上げたら裏に蟻さんがたくさんいたときの気持ちだよ……
わたしのかわいいセンサーに引っかからなかったし気にすることなんて一つもない!
このまま放っておくとかわいい子を食べちゃうかもしれない方が駄目!
『まるちゃん』に【属性攻撃】で炎をまとわせて攻撃!(ぶんぶん
全然大丈夫って感じだけど、無敵モードっていつまで続くのかな?
ふふーん、そのモードが終わったときが楽しみ!
ふぁいあー! 焼肉おいしいよね!
●
「うわっ、かわいくない!」
いにゅいにゃいを目視した瞬間、深鳥・そとは思わず声をあげていた。
シルエットは歪な動物、顔らしき部位には大きな目玉。いにゅいにゃいの見た目はあまりにも強烈だ。
けれど……よく見ればかわいい? キモカワイイ、というジャンルもあるし。
「う~~~ん?」
じーっと彼らと見つめ合い、首を大きく傾げるそと。
それに合わせていにゅいにゃい達も同じように首を傾げ、沢山の瞳がじーっとそとを見つめている。
「やっぱりかわいくない! 一緒に頭傾けてもかわいくないんだから!」
犬や猫が同じ動作をすれば可愛いけども、いにゅいにゃいが小首を傾げても可愛いとは思えない。
しかも数が多いのだ。仮に愛らしい動物でも一斉に同じ動作をしたら怖いのだから、いにゅいにゃいなら尚更だ。
石を持ち上げたら裏に蟻さんがいっぱいいた時とか、見たくないものを見ちゃった時とか、それと同じような感覚がする。
つまり、いにゅいにゃいはそと的にかわいくない。倒すべき対象だ。
「このまま放っておくとかわいい子を食べちゃうかもしれない方が駄目!」
可愛いものと世界を守るため、そとは武器を手に取った。
彼女の手元にあるのはゆめかわいい色合いの杖『まるちゃん』。しかしその実体は強力なメイスで鈍器だ。
「わたしのかわいいセンサーに引っかからなかったし気にすることなんて一つもない! いくよ、まるちゃん!」
鈍器に炎の魔力を纏わせ、そとは一気にいにゅいにゃい達の方へと突っ込んでいく。
そして彼らへ向けて鈍器を振るうが……返ってくるのはぐにゃりとした不思議な手応えだけだ。
いにゅいにゃい達は『いにゃ』へと変質してしまっている。それが何なのかまでは分からないけど……とりあえず彼らは無敵らしい。
「むむむ……全然大丈夫って感じだね。でも、無敵モードっていつまで続くのかな? そのモードが終わったときが楽しみ!」
敵に攻撃が通じてはいないけれど、そとは鈍器を振るい続けた。
その度に炎が周囲に広がっていき、いにゅいにゃい達をじわじわと追い込んでいく。
『いにゃ』へと化したいにゅいにゃいには攻撃は通じないけれど、代わりに動くことも出来ないようだ。
これなら最後には彼らは炎に包まれ、待ち受けるのはこんがりお肉になる未来だろう。
「まだまだ行くよ、ふぁいあー!」
そとの体力が尽きるより先に、いにゅいにゃい達の無敵が解けていく。
それと同時に彼らの身体は炎へ沈み、何かが焼け焦げる匂いがそとの鼻を擽った。
仕事が終わったら美味しい焼肉が食べたいなぁ。なんとなく、そんな事を思うそとだった。
成功
🔵🔵🔴
花霞・かおる
さて、……そろそろ頃合いか
商店街内では原則『忍び足』での行動だ
肉屋に踏み入る前にUC【正体不明の怪物】を発動
対象をとらえた瞬間に【血統覚醒】を発動して
妖刀「桜」の『吸血』『生命力吸収』を使い仕留めにかかる
理想は直接刃を当てることだが……それが叶わなければ
必要に応じて【妖剣解放】を用いて射程を伸ばすぞ
(アドリブ歓迎)
●
日はかなり傾いて、空には星も瞬き始めた。
夕焼けと夜闇がシャッター街を覆う中、花霞・かおるは静かに目的地へと向かう。
「さて、……そろそろ頃合いか」
なるべく音を立てないよう、けれど一歩ずつ着実に。
目指す肉屋だった店からは禍々しい気配と戦いの音が響いていた。
入り口の扉は開け放たれている。かおるはその影に身を潜め、意識を自分の内側へと集中させる。
呼び覚ますのは自分自身の吸血鬼としての力。妖刀「桜」を鞘から引き抜きつつ、自らの存在を変えていく。
変身するのは正体不明の怪物だ。今のかおるは誰にも見えない、聞こえない、そして分からない。
そのまま店に入り込めば、いにゅいにゃい達は勿論、他の猟兵も彼の存在を捉える事はなかった。
仲間たちの邪魔にならないように歩を進め、まずは手近ないにゅいにゃいへと刃を向ける。
吸血鬼としての力も妖刀も、自分の命をガリガリと削っていく。だから、その足りない命はお前らから頂こう。
長い前髪の下で、かおるの瞳が微かに紅く輝いた。
「行くぞ」
まずは一閃。袈裟斬りにされたいにゅいにゃいは何が起きたか分からずに、大きな瞳をぱちぱちさせながら地に伏せた。
身体から吹き出た血のような体液は妖刀の刀身へと吸い込まれて、更にそこからかおる自身へも吸収されていく。
……なんだかよく分からない味だ。血と同じく好ましい味とは思えないけれど。
いにゅいにゃい達も仲間が倒れた事には気付いたようで、手当り次第に敵を探し始めたようだ。
とにかく狂気を広げ、敵を炙り出そうとするいにゅいにゃい達。
かおるも少しだけ狂気に飲み込まれそうになるけれど、先程吸った煙管の味を思い出して踏みとどまった。
あの時の酩酊感はまだ残っているけれど、それが逆に地に足をつけさせてくれている。
しかし下手に動いては察知されてしまうだろうか。ならば直接切りつけない手段も選んでみるべきか。
「(あのくらいの距離なら……これで)」
妖刀の怨念を身体に纏わせ、かおるは更にその刃を振るった。
斬撃により生じた衝撃波は離れた場所で戸惑ういにゅいにゃいを切り裂いて、更に血飛沫が宙を舞った。
それらも全部かおる自身が食い尽くす。ここまで削った分には足りないけれど、ないよりはマシだろう。
怪物と化した青年は自分の命を削り、別の怪物の命を奪っていく。
ひたすら斬って奪って、気がつけば残るは奥に潜む邪神本体だけになっていた。
刀についた血を払いつつ、かおるはじっと調理場の扉を見る。
喉の奥で、肉の香りと紫煙の香り、そして血の味が流れていった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『『肉屋と言う名の災厄』二代目ハールマン』
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POW : 自慢のソーセージを味わって下さいねー
【真っ赤な紅茶と手作りソーセージ(意味深)】を給仕している間、戦場にいる真っ赤な紅茶と手作りソーセージ(意味深)を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD : お肉屋さんは何処でもお伺いしますよー
【血糊の染み付いたエプロン姿】に変身し、武器「【非常に使い込まれた肉切り包丁(意味深)】」の威力増強と、【人体構造の限界を無視した身体能力】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
WIZ : 是非お友達にも紹介してくださいねー
【手作りソーセージ(意味深)】を披露した指定の全対象に【知人にも食べさせなければと言う異常な】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:白
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「黒玻璃・ミコ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
全てのいにゅいにゃいを倒し、猟兵達は調理場の扉を開けた。
そこから漂うのはより強い肉の香り。
けれどここまで来れば正体も分かってしまう。
これは、××を焼いている香りだ。
「あれれ、お手伝いさん達はいなくなっちゃいましたかー」
調理場の奥には一人の少女が立っていた。
シルエットだけ見ればどこにでもいるような少女だが、その身体はツギハギだった。
そして彼女から漂う香りと、手にもった巨大な包丁がその正体を示してくれている。
彼女こそがこの地に姿を現した邪神。
『肉屋と言う名の災厄』二代目ハールマン。
殺人鬼だった肉屋に殺され、自らも殺人鬼と化した怪物の少女。
「お客さんが来てくれたのは嬉しいですねー。さあさあ、自慢のソーセージをどうぞー」
少女の側には美味しそうなソーセージと真っ赤な紅茶。
猟兵達にはその正体も分かっているけれど……どうしてだろうか、惹かれてしまう。
このままハールマンを放置しておけば、誰かが美味しいソーセージになるか、三代目の肉屋に変わるだろう。
もちろんそんな事をさせる訳にはいかない。
狂気の伝播を止めるべく、彼女をここで討たなくては。
ガーネット・グレイローズ
人間を調理する肉屋…まさに狂気の沙汰だな。血肉の匂いに脳髄を刺激され、体に流れる吸血鬼の血が騒ぐ…真の姿を解放し、長い爪と牙をもつヴァンパイアとなるぞ。
相手の体格、武器のリーチと形状、部屋の間取りといった情報を<戦闘知識>を元に分析。敵の得意とする攻撃パターンを脳内でシミュレートし、それに対応する戦術を組み立てていこう。そしてお互いのユーベルコードの能力補正を加えたら計算完了、【妖剣解放】を発動して斬り合いだ!<武器受け>で包丁をいなし、ジャンプ攻撃に合わせて<カウンター>で翼刃を繰り出して迎撃。敵の脆い部分を狙うのが勝利の近道、<念動力>で鋼糸を操り、縫い目に沿って斬撃を走らせるぞ。
メイスン・ドットハック
【SPD】
過去はどうあれ、今は殺人鬼には変わりないからのー
ここで肉屋は閉店とさせてもらうのー
電脳魔術で空間【ハッキング】をし、周辺の【情報収集】でデータを瞬時に集めて、ホログラム幻影【迷彩・残像】を創り出し、見ている風景とは別種の空間を作ることにより、目くらましによる攪乱
敵の挙動が戸惑ったら、UC「生者は微睡み、夢は過去に堕ちる」を発動
答えにくい質問をして、ナイトメアを召喚し、過去に斬り刻まれた傷や病気などを発露させて攻撃する
苦しまぎれに突撃してきたら、ナイトメアを突き刺して、ハールマンの過去を断絶することで、その存在意義を攻撃する
災厄振りまくなら、ここで叩くしかない。悪いのー
アドリブ絡みOK
●
目の前に佇む邪神の少女を目で捉え、猟兵達は最後の戦いに挑もうとしていた。
「人間を調理する肉屋……まさに狂気の沙汰だな」
ガーネット・グレイローズは眉を顰めて嫌悪感を示しているが、彼女の内には強い衝動が湧き上がっていた。
人間の血肉の香りは、ダンピールとしての彼女の半分……吸血鬼としての本能を強く呼び覚ましている。
「あの子にも事情はあったみたいじゃが、今は殺人鬼には変わりないからのー」
一方メイスン・ドットハックはマイペースな様子を崩さない。
相手が何者であれ、今は無邪気に狂気を伝播させているのだ。それを止めるために自分達はここにいる。
「ここで肉屋は閉店とさせてもらうのー」
「ああ、狂った店は今日で終わりだ」
猟兵達が自分に立ち向かおうとしているのに気付いた邪神は笑みを浮かべ、手に持った包丁を弄びだした。
「せっかく出来た新しいお店、閉店はさせませんよー」
邪神は血塗れのエプロンを身に纏い、二人へ目掛けて走り出す。
その速度は明らかに人体の限界を超えており、狭い室内なら一瞬で端から端まで辿り着けそうだ。
邪神は包丁を振り上げて、猟兵達を切り刻もうとしたが……その刃を、鋭い何かがしっかりと受け止める。
「その程度の速さなら十分に追いつけるな」
包丁を受け止めたのはガーネットだ。彼女の長く鋭い爪が斬撃を受け止め、あっさりと刃を弾き返した。
獰猛に敵を見据える彼女の口からは険しい牙も覗いている。ガーネットは吸血鬼としての本能を利用して、真の姿を解放していたのだ。
「敵の攻撃を受け止めつつの分析はこちらでやる。残りのデータ収集は任せてもいいだろうか?」
「大丈夫、すぐに終わらせるつもりじゃけー」
邪神の刃を押し留めつつ、ガーネットは後方のメイスンを見た。
気がつけばメイスンはかなり大きな電脳ディスプレイを展開しており、次々に部屋と敵のデータを収集していたようだ。
「部屋の構造もシンプルで助かったのー。データの構築は終わりじゃのー」
「ありがとう、こちらも大体は把握できた」
まずはガーネットが敵に接近し、直接部屋の内部と敵の実力を確認する。
その後ろではメイスンが電脳魔術による素早い演算で周辺情報を集めきる。
二人が最初に行おうとしていた作戦は噛み合って、互いにしっかりとしたデータを入手出来たようだ。
「何だか分かんないですけど……変なことしないで下さいねー」
邪神の少女は二人の作戦を把握してはいない。ただ闇雲に包丁を振るい、とにかく猟兵達を切り刻みたいようだ。
相手は素人とはいえ身体能力は完全に人体を超越している。けれど計算を終えた二人に隙はない。
「変なことをさせたくないのはこちらもだ。まだ被害も出ていない、ここで押し止めさせてもらう」
「お肉屋さんを潰すつもりなら、あなたをお肉に……」
邪神が大きく包丁を振り上げ、まずは目の前にいたガーネットを切り刻もうと迫りくる。
しかしガーネットは防御の姿勢を取らなかった。このままでは肉切り包丁が彼女の身体を両断してしまうが……。
「させはせん」
すぐさまメイスンが電脳魔術を発動させた。周囲の景色が揺らぎ、部屋を新たなホログラムのテクスチャが埋めていく。
咄嗟に二人の姿を見失い、見当違いの方向へと包丁を振り下ろす邪神。
「あれ?」
「さて、それじゃちょっと答えて貰おうかのー」
メイスンは戸惑う邪神の後ろにまわり、ユーベルコードを発動していた。
彼女の手元には鏖殺剣ナイトメアが召喚されて、その妖しい魔力が邪神の姿を照らしている。
「そうじゃなー。その身体に使われている女性一人ひとりの名前や住所。それを全部教えてくれるかのー」
「そんなの知らないですよー」
この邪神はツギハギの少女だ。身体の中心になるのは肉屋だった少女だろうが、他にも何人もの身体が使われている事に違いはない。
けれど邪神本体は使われている女性達の詳細は知らないようだ。つまり……質問に対して満足な答えは行えない。
その答えが得られた瞬間、邪神のツギハギ部分が裂けて鮮血が吹き出した。彼女の過去が彼女自身を攻撃し始めたのだ。
「ひゃあ、何これー……」
「そのような傷を負っている姿は哀れだと思う。けれど、それに他の者まで巻き込むな」
戸惑う邪神へ向けて、ガーネットが険しい声をかける。
彼女は妖刀・アカツキを抜刀し、その怨念を纏いつつ敵へと迫っていた。
焦る邪神は破れかぶれに包丁を振るうが、ガーネットの背に生えた翼刃は素早く凶刃を弾いていく。
「お前の過去は分からないが……お前についてはこの戦いで十分見させてもらった。脆い部分もしっかりとな」
ガーネットは左腕からブレードワイヤーを展開し、素早く手繰る。鋼糸は邪神のツギハギ部分に食い込んで、傷を更に大きく抉っていった。
邪神の凄まじい悲鳴があがるが、猟兵達は止まらない。かつて被害者だった存在でも、今は加害者となるのなら止めるしかない。
「災厄振りまくなら、ここで叩くしかない。悪いのー」
「せめて骸の海で安らかに眠れ」
メイスンがナイトメアを握り、ガーネットがアカツキを振るう。
過去の傷と現在の斬撃が同時に邪神を切り刻み……更に激しい血飛沫が肉屋の中を染め上げた。
厳しい行動かもしれないけれど、それでいい。二人の猟兵は戦いの始まりを制し、続く仲間たちのための第一歩を進めだした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ハルア・ガーラント
こ、この方があのいいにおいを漂わせていたんですね!
【WIZ行動】
[咎人の枷]を[念動力]で動かして[マヒ攻撃]します、彼女の手を重点的に。マヒ後は鎖で締め上げましょう!防御は[第六感]による攻撃予感をし[オーラ防御]。
[狂気耐性]とアイアンクローの恐怖を心に留めておきますが、保険として背の鎖を手近な設備に巻き付けます。間を繋ぐ鎖はたわむように。敵の誘惑に負けたらふらふらと彼女へ向けて歩み寄ってしまうでしょう。その際設備が倒れると思うので、その音で目を醒ますことができれば!
皆さん、その意味深ソーセージを食べるよりわたしの歌を聞いてください!(UC発動)
……今日のごはん、お肉は食べたくないなぁ。
波狼・拓哉
肉屋…肉屋ねぇ。人を解体とかではなく肉屋…はぁ本当に業の深い話ですね。
ミミック、化け喰らえ。正体分かってる後には残せておけない料理たちです。全部美味しく頂いといてください。後は逃げないように守れないように足とか腕とか噛んで動き封じてください。行けそうなら『かみ』殺していいですよ。
自分は衝撃波込めた弾で肉切り包丁を狙って武器落とししたり、動き止まったところに早業で傷口をえぐるように撃ち込んでいきましょうか。
知人?そこにミミックいますし。食え。
…今ふと思ったけどミミックこれもしかして味感じて…そりゃ知ってるはずですね。ちょっと前にUDCですけど殺人鬼ぱっくりいきましたもんねぇ…
(アドリブ絡み歓迎)
●
開いた傷を修復しながら、邪神の少女が立ち上がる。
その表情こそ少女のそれだが、修復時にずれた身体の部位はそのまま。その様子はまるで動く死体だ。
「こ、この方があのいいにおいを漂わせていたんですね! 見るからに邪神です……!」
そんな敵の様子を怖がりつつも、ハルア・ガーラントはしっかりと前を向く。
狂気の源が分かったのだから、全力で止めなくては。
「肉屋……肉屋ねぇ。人を解体とかではなく肉屋……。本当に業の深い話ですね」
一方で波狼・拓哉の顔には明らかな呆れの色が浮かんでいる。
大きくため息を吐き、邪神や彼女が調理している肉を見れば……こんなの後に残しておけない、と深く思う。
「そうですよー、私はお肉屋さんで……邪神かどうかは、きっとどうでもいいですねー」
二人の言葉を適当に流しつつ、邪神は包丁を構えた。赤錆色の包丁は薄暗い店の中でも妙な存在感を放っている。
「させません!」
先に動いたのはハルアだ。
翼に巻きつけた鎖のうち、片翼のものを近くの棚に巻きつけて、もう片方は鞭のようにしならせて。
「包丁は料理をするための道具です、危ない事に使わないで下さい!」
鎖は蛇のように自在に動き、邪神の胴を思い切り打ち付けた。
しかし邪神の方も咄嗟に身体に力を入れて、包丁を取り落とさないように身構えていたようだ。彼女は何ともないような顔をしてハルアを見返す。
「残念でしたねー、包丁は大切な商売道具ですからー」
「そうですか。それなら……ミミック、丸ごと化け喰らえ」
邪神の後ろから響く拓哉の冷たい声と風を切る音。
思わず振り返った邪神が見たのは、狼へと変じたミミックが飛び込んでくる姿だった。
「危ないですけどそのくらい……っ!?」
ミミックの突撃を躱そうとした邪神だが、その足は地に縫い付けられたかのように動かない。
見ればハルアがつけた傷が妙にじくじくと傷んでいる。
「まさか……」
「そのまさかです、好きにはさせません!」
ハルアは鎖の先端に麻痺の魔力を乗せていた。
術の効果はあまり長くないけれど、誰かと連携出来るのならば十分だ。
「逃げない的ってのはいいものですね。正体も分かっていますし……ミミック、美味しく頂いといてください」
呆気に取られる邪神へと、容赦なく影の顎が迫りゆく。
それは敵を『かみ』殺す一撃。いくつもの顎が邪神の腕を、足を、滅茶苦茶にかみ砕く。
「ああああああっ!!」
身体はツギハギとはいえ、痛覚はきちんとあるのだろう。邪神の悲鳴が店の中に響き渡った。
ハルアは思わず耳を塞いだが、拓哉は悲鳴を気にせず更に動いた。
「それから物騒な物も手放して下さいね」
懐からモデルガン『バレッフ』を引き抜いて、淡々と引き金を引けば……放たれた弾丸は邪神の手を撃ち抜いた。
そこからぽろりと溢れた包丁は、がちゃんと大きな音を立てて床へと落ちる。
しかし……邪神は肩で息をしながらも、どこかマイペースな様子は崩さないでいるようだ。
「包丁がなくても……お肉屋さんには自慢の商品があるんですよー?」
再び傷を塞ぎつつ、よろよろと立ち上がる邪神。
彼女の後方には大きな鍋が置かれていて……そこからとても美味しそうな香りが漂っている。
「これを見れば誰でもイチコロです。さあ、お友達にも紹介してくださいねー」
鍋の中から邪神が取り出したのは真っ赤なソーセージだ。
その赤々とした色を見た瞬間、猟兵達の頭ががんがんと響き出す。
あれはとっても美味しいソーセージ。誰かと一緒に食べればもっと幸せ。だから今すぐ紹介しなきゃ。
肉の正体も分かってるのに、咄嗟に湧き上がってきた衝動には抗えない。
しかし、ハルアも拓哉も狂気に対しては事前に対策を講じていた。
「美味しそう……です、けど……!」
ハルアはソーセージを食べさせたくなった相手の姿を脳裏に浮かべ……実際に食べさせにいったらすっごく怒られるだろう、と思い至る。
おかげですぐさまソーセージに飛びつく事はなく、背から伸びた鎖が彼女の身体を押し留めてくれていた。
「そう言われてみれば美味しそうですけど、紹介したい知人ってこいつなんですよね」
拓哉がちらりと横目で見たのはミミックだ。
彼には最初から美味しくソーセージも邪神も食べてもらう予定。それは狂気に呑まれたとしても変わらない。
しかしミミックも狂気にあてられてしまったのか、先程よりも興奮気味だ。
その様子を確認したハルアは、すぐに天使言語の歌を紡いだ。
「(ミミックさん、落ち着いて下さい……!)」
癒やしの歌はミミックの心を鎮め、必要以上の興奮を抑えていく。
「ああ、ありがとうございます。それじゃあ少し落ち着いた所で……残さず平らげて下さいよ」
ハルアに笑顔を向け、ミミックに淡々と指示を告げる拓哉。その声と共に、再びミミックが跳躍する。
巨大な影の狼は鍋ごと邪神へ食らいつき、更に彼女の身体を『かみ』殺していく。
再び悲鳴が鳴り響き、強い血の香りが店を覆った。
「……今日のごはん、お肉は食べたくないなぁ」
歌を終え、目の前の惨状を見つめるハルアの顔はいつもよりも蒼白だ。
今日の晩ごはんはお野菜にしよう。たまにはそんな日があってもいい。
けれど少なくとも狂気のお店は閉店へと近づけている。その事には静かに胸を撫で下ろしていた。
一方拓哉は邪神の肉を咀嚼するミミックをじーっと見つめている。
なんだかミミックの口元が、笑っている気がするのだ。
「これもしかして味感じて……あ」
思い当たるのは別の事件へと赴いた時。あの時もミミックはUDCの殺人鬼をかみ砕いていた。
帰ってから話を聞くのが怖いなぁ。またしてもミミックとの付き合い方を考える拓哉だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エスタシュ・ロックドア
よう嬢ちゃん、追加の鉄板と火種持ってきてやったぜ
楽しくバーベキューといこうや
焼くのはテメェだがな
肉の香りにゃ煙草と【狂気耐性】【呪詛耐性】【空腹耐性】で対抗しつつ、
『群青業火』発動
【範囲攻撃】で調理場全体をオーブンにしたらぁ
もちろん味方とか建物とかが余計に燃えねぇように適宜消火はしておくんだが
これなら給仕どころじゃねぇはず
しようとしたら赤熱するまで良く熱した鉄板(鉄塊剣)を、
【怪力】で斬りつけて邪魔するぜ
あるいは調理場の什器を【なぎ払い】【吹き飛ばし】て行動を阻害
ソーセージは念入りに焼き尽くす
骨は何処にあるんだか
業火ですまねぇが、とりあえず肉だけでも荼毘に付さねぇとな
●
邪神は再び傷を修復しつつ立ち上がる。
けれどいよいよ肉が足りなくなってきたのか、シルエットは歪な人型と化していた。
「よう嬢ちゃん、追加の鉄板と火種持ってきてやったぜ」
そんな邪神へ向けて、エスタシュ・ロックドアは静かに声をかける。
内容自体は友達に声をかけるようでいて、その声はとても冷めていて。
「楽しくバーベキューといこうや。焼くのはテメェだがな」
「そういうの、嫌じゃないですよー」
ゆるく笑みを浮かべた邪神は更に店の奥へ。
エスタシュは煙草の煙を灰に入れつつ、彼女の元へと続いた。
肩にはしっかりと鉄塊剣『フリント』を背負い、全身に怒りを巡らせ……それと同時に、エスタシュの傷跡が大きく開く。
そこから溢れるのは血ではなく、群青色の地獄の業火。
「此処に示すは我が血潮、罪過を焙る地獄の炉、以て振るうは臓腑の火。さーて、理場全体をオーブンにしたらぁ」
エスタシュを中心に広がる炎は勢いよく広がって、調理場を炎の海へと変えていく。
用意された調理器具も、何かが入っている鍋も、全て呑み込みながら群青色が世界を染める。
「わっ、火事になったらどうするんですかー」
「そうならねぇように細心の注意は払ってやるよ」
流石の邪神もここまで広い範囲を攻撃されるとは思っていなかったのか焦り気味だ。
彼女は慌てて近場の鍋へと駆け寄って、備え付けてあったトングでソーセージを取り出した。
「ほら、美味しいものを食べて落ち着きましょー? あなたも食べたくなりますよー」
どうやら彼女が『ソーセージを取り出す』という行動には特別な力があるらしい。
その様子を視認したエスタシュの身体が震え、思わず身体の動きが鈍りだす。
けれど……それがどうした。邪神の取り出した肉の正体は分かっている。それならやるべき事は一つだろう。
「……うるせぇ、そいつを離しな」
気がつけばフリントも業火に包まれ、鉄板のように赤々と熱されていた。
エスタシュは鈍る身体を業火の噴火で誤魔化しながら、一気に加速させていく。
「――焼き払うぜ、灰も残さねぇよ」
邪神の元まで辿り着いたのなら、一閃。
フリントの一撃が邪神の身体に触れた瞬間、彼女と彼女の手元のソーセージも勢いよく業火に燃やされていく。
それと同時に身体の調子も戻り始めた。邪神の悲鳴を聞きながら、エスタシュは更にフリントを振るう。
彼女を燃やし尽くしたいというのは勿論だが、もっとしっかり燃やしてやりたいのはソーセージの方だ。
「(業火ですまねぇが、とりあえず肉だけでも荼毘に付さねぇとな)」
ソーセージに使われた人の骨は恐らくここにはない。けれど、せめて肉だけでも弔いたい。
そんなエスタシュの気持ちに応えるように、群青色は凄まじい勢いで全てを呑み込んでいった。
大成功
🔵🔵🔵
黒影・兵庫
(純粋な善意で肉を差し出すのを見て)
...俺たちとは常識が異なるようですね。せんせー
(脳に潜む教導虫に話しかける)
せっかくのお心遣いですが俺はいただくことはできません
さらにいうと「肉屋」を辞めていただきたいと思っています
(UC発動)
(羽音のしない鈴虫が羽を震わせながら黒影の言葉を言霊に変えて相手にぶつける)
「気づいていないかもしれませんが、もうすでに貴女は亡くなっており
今ここにあなたが居るのは邪な連中が貴女を利用して人々を苦しめようと企んでいるからなのです
貴女の作る肉の香りは生きている人々を死に追いやる危険のものと化しています
貴女に罪はありませんが、どうか安らかに眠っていただけませんか?」
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肉を減らし、身体の一部を炭化させつつも邪神の少女は止まらない。
「うう、私はお肉屋さんがしたいだけなんですけど……」
彼女の行動に悪意はない。ただ純粋に人肉を調理し、美味しく食べてもらいたい。
そんな邪神の様子を、黒影・兵庫は少し寂しそうに見つめていた。
「……俺たちとは常識が異なるようですね。せんせー」
呟いたのは頭の中の教導虫に向けて。彼女も同じような気持ちで邪神の事を見つめていた。
「でも、本当に美味しいんですよー?」
邪神は諦めずに鍋からソーセージを取り出して、兵庫の方へと向けてきた。
調理方法が良いのだろうか。肉の正体さえ知らなければ確かに美味しそうではあるのだが……。
「せっかくのお心遣いですが俺はいただくことはできません」
兵庫はきっぱりと邪神の誘いを断り、しっかりと彼女の方を向く。
この子も元々は被害者なのだ。戦って倒す事も考えたけれど、自分達は自分達のやり方で彼女へと向き合おう。
「さらにいうと『肉屋』を辞めていただきたいと思っています」
「そんな……せっかく新しいお店を作ったのに……」
兵庫の毅然とした態度に、邪神はしょんぼりと肩を竦める。
その様子もまるで年頃の少女のそれだ。だからこそ、彼女には今の自分について自覚してもらわなければ。
「ハールマンさん、俺の言葉を聞いてくれますか」
静かに、優しい声色で邪神へと語りかける兵庫。彼の声を後押しするように、羽音のしない鈴虫達が店の中へと姿を現した。
鈴虫達は羽根を震わせ、兵庫の言葉をむき出しの言霊へと変えていく。
「気づいていないかもしれませんが、もうすでに貴女は亡くなっているんです。過去の存在になってしまっているんです」
「それはなんとなく、分かってますけどー……」
彼女も今の状態にはある程度自覚はあるらしい。けれど兵庫の紡ぐ言葉には何かが揺らいでいるのか、どこかその様子は申し訳なさそうだ。
「今ここにあなたが居るのは邪な連中が貴女を利用して人々を苦しめようと企んでいるからなのです。この世界には大きな悪意が存在してて……貴女もそれに巻き込まれている」
彼女は元々殺された女の子。彼女が邪神になったのもそういう残酷な巡りがあるのだろう。
「貴女の作る肉の香りは生きている人々を死に追いやる危険のものと化しています。貴女に罪はありませんが、どうか安らかに眠っていただけませんか?」
「……つまり、お肉は美味しく食べてもらえない……んですかねー」
邪神の声のトーンは明らかに落ちていた。
まだ迷っている様子ではあるが、先程よりも罪悪感を抱いてはいるようだ。瞳には迷いの色が浮かび上がっている。
「大好きなもので何かを傷つけるのは、ハールマンさんだって望んでいない事だと思います」
「そう言われると確かに……でもお肉を食べてもらいたいですし……ううー……」
兵庫の言葉は確かに彼女の胸を打った。
彼女は完全に諦めてこそいないものの、ここからの戦いではきっと迷いが彼女の胸に渦巻いていくはずだ。
その手応えを感じつつ、兵庫は心の内で彼女の本当の意味での安らぎを望んだ。
大成功
🔵🔵🔵
虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞー
ほほぅ、肉屋さんとな
邪神と違うからしょんぼりかと思ったけど
これはこれで面白いのでありですな
どちらにしろ自爆することには変わりないしね
登場即自爆
とにかく速攻で自爆する習性の文字生物
台詞よりも活躍よりも自爆することに全力を注ぐ
なので速攻で自爆する
それが作戦
自爆と共に現れ、そして散る
それが生き様
技能:捨て身の一撃を用いてのオウサツモードによる広範囲自爆
対象は範囲内の敵
強化は攻撃力重視
射程範囲内に敵が入っていれば速攻で自爆するよ
とにかく自爆までのスピードが大事
なので範囲内に敵がいなくても自爆する始末
捨て身の一撃だからこそ自爆は1回のみ
自爆後は爆発四散して退場さ
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自身のあり方に疑問を浮かべ始めた邪神の前に、ぬらりと不思議な存在が姿を現す。
「ほほぅ、肉屋さんとな」
その存在は……文字だった。より厳密に言うと文字の姿をしたブラックタールだ。
「邪神と違うからしょんぼりかと思ったけど、これはこれで面白いのでありですな」
「あなたは……ええっと、うつろぎ?」
ブラックタールが象っているのは『うつろぎ』の文字。その通り、彼の名前は虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)だ。
「そうです。それじゃあ」
邪神の言葉をさらりと受けて、うつろぎの身体が妖しく輝き始めた。
彼が邪神に対してやる事はたった一つ。
本当は彼は邪神の言葉もきちんと聞いてはいなかった。
胸の高まりを抑えずに、全身に力をみなぎらせて、ただ一度の行動に全力をかける。
虚偽・うつろぎとはそういう存在。
自身のやりたい事に仲間を巻き込まないと分かったのなら、あとはひたすら行動するのみ。
「 鏖殺領域展開 一爆鏖殺執行 」
淡々とうつろぎが言葉を告げる。
その内容は邪神には難しすぎたのか、彼女は首を傾げているが……何が起きるかはすぐにその身で実感するだろう。
うつろぎの身体が黒から赤へと変わっていき、凄まじいエネルギーが巻き起こり……。
次の瞬間、全てが吹き飛んだ。
それは全身全霊をかけた捨て身の一撃。うつろぎの身体は全力で爆ぜて、邪神を巻き込み一気に弾ける。
勿論店の内装もぐっちゃぐちゃだ。しかし邪神はそれを気にする余裕もない。
元々炭化が進んでいた身体は更に焦げ、肉が削がれていく邪神。
彼女が残ったパーツを寄せ集め、現状を確認すれば……。
ボロボロになった店内に、残るのはボロボロになったうつろぎのみ。
自爆したのだから爆発四散するのがうつろぎの流儀だ。彼は暫くそのままだが、邪神に対しては間違いなく有効打を与えられた。
「お店も私もぐちゃぐちゃに……やっぱりお肉屋さんは諦めないと……ですかねー……」
邪神の身体も心もそろそろ諦めに辿り着くだろうか。きっとあと少しだろう。
ちなみにお店は最終的に解体するので、少しUDC組織の手間が省けたとかなんとか。
大成功
🔵🔵🔵
深鳥・そと
かわいい子が作った手作りソーセージってだけならうれしく食べてたんだけど材料がーー!
ぷっくりぷりっと綺麗な形をしておいしそうだけど材料がとっても残念……
網の上で焼いたのみんなで食べるのどうかな? 食べないよ!?
うぅ……ここにみんながいなくてよかった……本当によかった!
ソーセージと紅茶は合わない……ソーセージには麦茶派……
【狂気耐性】とこの場に知人がいないことによる理性をしっかり自分に【言いくるめ】て
ふぅー……やっと落ち着いてきたよ
わたしはお肉にならない
『誰か』もお肉にならない
よぉし、こんな危険なお肉屋さんは閉店させるんだからね!
食べ物屋さんで毒物混入!クレームからの閉店!そんな感じ!!
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店も邪神も黒煙をあげており、いよいよ閉店の時間がやってきた。
かろうじて機能するコンロには、最後のソーセージ入り鍋の姿もある。
そこから漂う香りはとっても美味しそう。芳しい香りは猟兵達の心を未だに揺さぶる。
「ううー、かわいい子が作った手作りソーセージってだけならうれしく食べてたんだけど材料がーー!」
美味しそうな香りに魅了されつつも、深鳥・そとは困ったように両手を振るう。
「そうですよ、とっても美味しいソーセージですよ。せめて一口如何ですかー?」
邪神が最後の力を振り絞り、鍋からソーセージを取り出した。
赤々つやつや、形もぷっくりぷりっと綺麗で、一口噛めば肉汁が溢れ出そうなソーセージ。
正体が分かっていても、その存在は食欲と狂気を湧き起こす。
そとは友達の事を思った。あったかくなったらバーベキューに行きたいな。そこであのソーセージを焼いたらどうだろう。
飲み物には邪神さん特製の真っ赤な紅茶もあるよ。
「いやいや、食べないよ!?」
大声で叫び、そとは自分自身を落ち着かせる。
ここに『みんな』はおらず、あれは『××』を使ったソーセージだから美味しそうでも食べちゃダメ。
冷静に現実を見据え、しっかりと息を整えて。
ここにあるのはボロボロになった邪神にボロボロになった廃墟。そしてわたし達猟兵だけ。
みんなで食べるべきはちゃんとしたお肉屋さんが作ったソーセージだ。それにソーセージに合わせるなら冷たく美味しい麦茶だろう。
「ふぅー……やっと落ち着いてきたよ」
「それは残念ですー……。それなら、せめてあなたをお肉にしますねー?」
邪神はどこからか肉切り包丁を取り出していた。その存在もそとを現実へと引き戻してくれている。
彼女は誰かをお肉にしてしまう存在だ。あのソーセージだって元はきっと『誰か』だった。
だから、わたしはお肉にされない。『誰か』も二度とお肉にならない。させたくない。
「よぉし、こんな危険なお肉屋さんは閉店させるんだからね!」
気合を入れて、そとは鈍器の『まるちゃん』を握りしめた。
「食べ物屋さんで毒物混入! クレームからの閉店! そんな感じできらきらポイズン!!」
そとの叫びと共に、まるちゃんがキラキラの花びらへと姿を変えた。
ゆめかわポップな色合いだけど、その花には毒がある。毒の花は邪神とソーセージを包み込み、彼女達の残った肉を浸し始めた。
「ああ、せっかくのソーセージが……これじゃ売り物にならないですー……」
「最初からならなかったよ! その、次に作るなら豚さんのソーセージにしてね! それなら食べるから!」
ゆっくりと毒花から骸の海へと沈み始めた邪神に、そとがはっきりと声をかけた。
彼女とも、ちゃんとしたお肉屋さんで出会えていたのなら良かったのに。
花びらのきらきらが消え去って、店の中を夜闇が包み込み始めた。
残ったのは、美味しそうな香りと猟兵達だけだ。
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こうして猟兵達は邪神を倒し、狂気の伝播を防ぐ事が出来た。
残りの処理はUDC組織が行ってくれる。
店の外に出れば、空には星が輝いていた。
そういえば夕食はまだだなぁ。帰ったら何を食べようか。
それとも何も食べたくないだろうか。それはそれぞれの猟兵次第だ。
とにもかくにも、かわいい邪神のお肉屋さんは無事に閉店だ。
その成果を感じつつ、猟兵達は各々帰路につくのであった。
大成功
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