Op CL 【Emergency Call】
グリモアベースの作戦会議室の戸を開くと、既に開いたゲートと、慌ただしく動くユウキの姿があった。
「すまん、急ぎの依頼だ。面倒な事になった」
そう言いながらこちらへと歩み寄るユウキ。
「現在、故郷への道作戦(オペレーション カントリーロード)というミッションコードを発令し、アポカリプスヘルの奪還者達をその拠点まで送り返す任務の途中なんだが、前回えらく派手な戦闘が起きてな……最悪の化け物と群れを呼び寄せちまった」
そう言うと、ユウキは簡潔な説明を開始する。
「群れの最後列。即ち、最後に戦う奴が面倒なんだ。奪還者の間で【アカメ】と呼ばれる突然変異の巨大ミミズが現在護衛対象が居る拠点へ猛スピードで接近している……今思えば、前回のミッションに"レイダー殲滅"なんて面倒な項目を追加した地盤沈下の犯人……少し考えれば想定出来たはずだ……それを何も考えずに暴れさせて猟兵達を必要以上の危険に晒した……これは私の失態だ」
そう言いながら映像を見せられたが、ほとんど砂埃しか映っていない。
「地中を進んでいるからな。だが、私が一度交戦した際に確認出来た情報として、まずは目測で申し訳ないが頭部の幅が約20mはあった。大元がミミズだという事を考えれば、全長は500mを下らないだろう。まさに規格外の大物ってやつさ」
……地中から襲い掛かってくる巨大ミミズ相手に、どう戦えと言うのだろうか?
「まぁ聞け。もちろんなんの対策も無しに、化け物退治をしろとは言わん。そもそも、たとえ地中をそのまま通り過ぎさせても地上の建物の重みで拠点がめちゃくちゃになるのは想像に難くない。まずは地上に引き摺り出す必要がある」
そう言いながら見せるのは、先頭集団の映像だ。
「このデブゾンビに追従する【ゾンビバルーン】共……コイツがおあつらえ向きだ。これを利用して、やつを地上に引きずり出す」
そう言いながら、地図を開くユウキ。
「作戦を説明する。見ての通り防衛目標周辺は何もない広野。これを四方八方からゾンビバルーン達が取り囲むように襲撃してくる事が予想される。奴等は見た目に違わず、腐敗の過程で内部に可燃性のメタンガスが充満しているため、これにより自爆し外壁を突破する魂胆だろう。少なくとも、ただの人間を殺戮するなら【ゾンビジャイアント】が突破出来れば容易に方がつくからな」
だが、こちらには猟兵が居る。
「その通り。よって、こちらはむしろゾンビジャイアントを内部に引き込み、猟兵戦力による包囲及び短期決着を行う。その間のバルーンは、フィサリス及び他の連中が足止めするから気にしないで良い。武器弾薬はごまんとあるんだ、早急に片付ける事のみに注力してくれ」
そういって、ここからが本番だと告げるユウキ。
「ゾンビジャイアントを片付けた後、バルーン達への対処に加わってもらう訳なんだが、ここからが重要だ……絶対に拠点に近付けるな。拠点に到達する前に全て処分する」
それは分かるが、それとアカメの撃退に何が関わるのだろうか?
「簡単に言えばアカメはデカい音を酷く嫌う…まぁ、基本的に音の発生源を完膚無きまでに叩きのめすぐらいには嫌いらしい。そこで、ゾンビバルーンの爆発を利用する訳だ。最初に言ったように、奴の体内にはメタンガスが充満している。そこで拠点から離れた位置で大量のバルーンを爆発させ、そこにアカメを誘き出すのが狙いだ」
少なくとも、引き摺り出せば対処のしようはあるということか。
「あぁ。だが注意しろ。ブヨブヨとした分厚い脂肪に覆われた表皮へ無闇に攻撃しても有効打足り得ないだろう。それよりも、点在する赤い孔を狙え。奴の体内温度はその巨体と分厚い脂肪のせいで、非常に高温になっている。あの赤い孔は体内の熱を排出するための吸気口の役割を果たしているらしく、分厚い脂肪も無ければ上手く狙えればただの銃撃でもダメージを与えられる程に柔らかい」
こうなれば、無闇に接近戦を仕掛けるよりは、銃や魔法による遠距離攻撃を行ったほうがいいかもしれない。
「バズーカ、ライフルに拳銃。固定銃座や戦車等の兵器類。必要なら拠点にはいくらでも遠距離攻撃手段がある。上手く活用してくれ。これにより、奴が拠点に到達する前に撃破、あるいは撃退するのが作戦の成功条件だ」
そして、ユウキは激励を行う。
「諸君、すまないが私の尻拭いに手を貸してくれ。いずれこの責任は……決着は私が付ける。だが、今はどうにも出来んのだ……頼む」
そして、故郷への道作戦(オペレーションカントリーロード)の、緊急指令(Emergency Call)が開始された。
ユウキ
皆さんはじめましてこんにちわ。
(´・ω・)はじめちわ!
ユウキです。
今回のタイトルの全文は、
(オペレーション カントリーロード 【EmergencyCall】)
となります。
次から次に問題が起きますね……困ったもんですまったく。
本作戦は、オペレーションカントリーロードFO、SOに続く3つめです。
もちろん、今回からの参加者様も大歓迎です。
予告ですが、次回がオペレーション最後になり、このオペレーションの正否は重要なターニングポイントであります。
ですので、重要な注意です。
今回は判定キツめの【危険な任務】です。
失敗すればそのまま作戦終了。フィサリスの面々は全滅してしまうでしょう。
オープニングや各章の開幕、このマスターページを良く見て、戦いに必要な情報を見定めて下さい。
また、各章の始まりに短い情報提供を行うリプレイを書きます。
各章、これらを書いた後に、プレイングを受付開始いたします。
それ以前のプレイングは返却させて頂く旨、ご了承下さい。
最初の章は、月曜日に開幕リプレイの執筆を予定しております。
では、詳しい注意事項などはマスターページ。何か聞きたい事があれば今回のグリモア猟兵の旅団、【狩人の洋館】のスレッド【ユウキの自室】まで!
「それでは皆さん、良い狩りを……」
第1章 ボス戦
『ゾンビジャイアント』
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POW : ライトアーム・チェーンソー
【右腕から生えたチェーンソー】が命中した対象を切断する。
SPD : ジャイアントファング
【無数の牙が生えた口による捕食攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : レフトアーム・キャノン
【左腕の砲口】を向けた対象に、【生体レーザー】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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広野をひた走る青白い巨体。
その咆哮が耳に届いた。
「目標、ゾンビジャイアントが西方より接近!!ゲートを開けッ!!!」
フィサリスのレオンによる指示で、西側ゲートが開放された。
戦いを前に、サラが猟兵達に告げる。
「……僕達の事は気にしないで。バルーン共はなんとか食い止めてみせるさ……その代わり、ゾンビジャイアントはあんた達に任せる。僕達がバルーンを抑えられなくても、あんた達がゾンビジャイアントを片付けられなくても、僕達はここで死ぬ…………だけど、最悪の場合でも、あんた達には生き残って欲しい……あんた達には生きて……僕達を覚えていて欲しい。そして、沢山の人達を救って欲しいんだ。」
覚悟に満ちた瞳で、手にしたライフルに初弾を装填した。
「ははっ、なんか、しんみりしちゃったね。うん。大丈夫、もし死んだって恨んだりはしないって話さ。ま、生きて帰れるに越したことはないけどね!」
そういって笑うと、持ち場へと戻っていくサラ。
「んじゃ!また会おうね、イェーガーっ!」
少女の寂しげな笑顔。
彼女の死への覚悟を無駄にしなくてはならない。
生きて彼女を……奪還者の部隊【フィサリス】の人々を、故郷へと連れて帰るのだ。
それが、猟兵達に課せられた責務である。
アビー・ホワイトウッド
アドリブ及び連携歓迎
フィサリス拠点に居候中。
くそ、まだ修理も装備交換も終わってない。最悪のタイミング。マンマめ、やってくれた。
敵襲に備えて巨大ゾンビの移動経路上、門を入って直ぐの所にC4爆弾を出来るだけ仕掛けておく。
迎撃の常套手段。挽肉にしてやる。
巨大ゾンビがまんまと入って来たのを確認したらC4起爆。状況は?
簡単には死なない。見かけ倒しではなさそう。
やむなく二足歩行戦車を起動、まだ本調子じゃないけどやるしかない。
ありったけの30mm機関砲を集中射撃、前進できないくらい浴びせて蜂の巣にしてやる。
まだ動くならUC発動、歩行戦車の全力体当たりで足を止めたら135mm砲をゼロ距離でお見舞いする。
迫りくる青白い巨体。
咆哮を上げながら開け放たれたゲートへと一目散に突撃する。
それが罠であることなどかの怪物に走る由もない事ではあったが、たとえ罠であると知っていてもこの怪物が動きを止める事は無いだろう。
限り無い食欲のみがそれの意思であり、行動理念だった。
その巨体がゲートを潜り抜け、拠点へと踏み入れた瞬間だった。
「単純にすぎるわね⋯⋯あいにくと、あなたのランチになる訳にはいかないのよ」
アビーが呟きと共に二本の細いケーブルを合わせた。
バチバチと青白い火花が結合部で光る。
ケーブルの先に仕掛けられていた古い軍用のC4爆薬に電気信号が送られ、立て続けに起爆された。
『ガァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアッ
!!!!!』
悲鳴にも似た咆哮。
空気を震わすその大音量の悲鳴が戦場に響き渡る。
「ぐッ⋯⋯」
ありったけのC4の爆風とその咆哮のおかげで、先の防衛線で受けた傷が痛む。
まだ、ラングレーの整備どころか自身の傷さえ癒えていないというのに、次から次へと呪われているかのように問題が起こるものだ。
――それに⋯⋯今の爆発はまずかったかな――
最終目標であるアカメは、音を嫌うと言っていた。
まだ距離があるとはいえ、ありったけの爆薬を同時に起爆したことは悪手だったかもしれない。
また、普通の敵であれば挽肉どころか原型すら残さないだろう爆風を受けて咆哮を上げたことから察するに“あれはまだ生きている”
痛む身体を動かし、ラングレーのコックピットへと潜り込む。
「くそったれ⋯⋯っ!」
まさかこの程度で死ぬとは最初から思ってはいないが、ラングレーのコックピット越しに見える化け物は、あれだけの爆風を受けても平然と立っている。
憎々しげに呟くと、機関砲のトリガーを引いた。
三本の銃身が高速回転を始め、一瞬にして火を噴き始める。
吐き出される銃弾が今度こそ、そのブヨブヨの巨体をミンチに変える⋯⋯⋯⋯はずだった。
吐き出される30㎜徹甲弾の嵐を受けながらも、その巨体はラングレーへと標的を定め突進してきたのだ。
大口を開き、並ぶその牙と、おそらくは舌であろう部位が良く見える。
「バケモノめ⋯⋯ッ!!」
だが、こちらは鋼鉄の戦車の中。
マンマ・ブリガンダのトラックにはかなわなかったが、今目の前のオブリビオンとは比べるべくもない質量があるのだ。
そのまま正面から受けて立つ。
全力の体当たりで、その動きを止める。
だが、オブリビオンはその勝負には乗らなかった。
オブリビオンが狙ったのは、主砲である135㎜滑空砲だ。
砲身の先端に食らいつく大顎。
「新品を壊さないでほしいわねッ!!」
だが、その状況で即座に機転を利かせたアビーは、食らいついた化け物に零距離から砲弾をお見舞いするとその肉の塊を吹き飛ばし、新たに換装した滑空砲は標的を壁へと叩き付ける威力を見せた。
が。
「流石に、整備不良のままじゃ無理はさせられないか⋯⋯ごめんね、ラングレー」
自身の傷も痛むが、滑空砲を放ったラングレーの各所の駆動部にエラーが生じていた。
これ以上ラングレーを酷使すれば、簡単に修理することも出来なくなるだろう。
「⋯⋯撤退する」
至近距離から放った滑空砲を喰らってもまだ蠢くそれを睨みつける。
癪に障るが、これ以上はこちらも危険だった。
エラーを吐くラングレーと共に、一時後退するアビー。
少なくとも、奴には充分なダメージを与えたはずだ。
苦戦
🔵🔴🔴
エメラ・アーヴェスピア
…派手な戦闘になった理由に私も上げられる気がするわ
まぁ起きてしまったのは仕方ない事、今回の仕事もしっかりと果すとしましょう
さて、第一段階は引き込んで包囲からの短時間で撃滅が目標ね
それなら…私の得意とする所よ
『この場は既に我が陣地』、包囲展開
砲台がすべて破壊される前に撃滅を狙うわ
ただ、砲撃音で最終目標を引き付けてしまうと意味がないから…
砲台には砲撃音を減らす静音の魔導術式を刻む改造をしておくわね
あまり時間はかけられないわ、手早く行きましょう
※アドリブ・絡み歓迎
エメラは責任を感じていた。
派手な戦闘になってしまった原因を考えれば⋯⋯少なくとも自分にも責任の一端はある。
あの時武器を配らず、彼らをそのまま撤退させていればあそこまで大規模な戦闘にはならなかったかもしれない。
「⋯⋯でも、今更考えても仕方ない事よね」
起きてしまった事実は悔やんでも嘆いても変わらない。
ならば、今自分にできることはただ目の前の仕事を片付けるのみ。
目の前からアビーが撤退してくるのが見えた。
少なくとも、先程の派手な爆発音からして対象が拠点に入ってきたのは明らかだ。
そして、入り口からこのエメラが陣取っている場所までは、無理矢理壁を破壊しない限りは一直線。
元々の持ち主であるレイダーたち⋯⋯言い換えれば、そのボスであったマンマ・ブリガンダがビル街に壁を築き作り上げたこの通路が、オブリビオンを地獄へと送るための道となるとは皮肉なものだ。
「さぁ⋯⋯来なさい。包囲殲滅は私にとって最も得意とする戦術。あなたに勝ち目なんてないわ」
UC『この場は既に我が陣地(シェリングテリトリー)』を発動し、生み出した砲台たちを各所に配置。
更にすべての砲に消音術式がかけられ、最終目標を引き付けけてしまうリスクも解消済み。
あとは、現れた化け物にありったけの弾を撃ち込むだけだ。
暫く待機していると、先程の爆発と共に響いた咆哮が近づいてくる。
「あれだけ派手にやられてもピンピンしてるのね⋯⋯本当に、どうしようもない」
視界に映るそれは顎と一体化した頭部が砕け、血をまき散らしながらエメラの居る陣地へと進入して来た。
哀れなものだ⋯⋯貪欲な食欲に惹かれ、自ら死地に飛び込もうがそれに気付くことも無し。
「とはいえ、手を抜く気はないわ」
エメラが手をかざすと同時に、一斉に砲台が火を噴いた。
無音に近い四方からの弾幕が、オブリビオンを穿っていく。
爆炎と舞い上がる土煙。
悲鳴すら上げさせる余地は与えないとばかりに、圧倒的な密度の砲撃が降り注いでいた。
暫くの後、エメラが腕を下ろすと同時に砲撃の嵐が止む。
徐々に鮮明となる視界の先に、オブリビオンの姿はない。
「⋯⋯逃がした⋯⋯か」
よくよく見れば、点々と続く血の跡が、おそらくオブリビオンが破壊したのであろう壁の先に点々と続いているのが見える。
「⋯⋯深追いは禁物ね、私はこのままバルーンへの対処に回りましょうか」
少なくとも、あれだけの砲撃を喰らえば無事であるわけがない。
かといって、ここの構造に熟知しているわけでもない自分が追いかけて待ち伏せでもされていた日には目も当てられない。
後のことは仲間に任せるべきだと判断したエメラは、フィサリス達への援護に向かっていった。
大成功
🔵🔵🔵
秋山・軍犬
こういう世界だから
必要なのかもしれんすけど…
年端もいかない女の子の死への覚悟とか
飯がクッソ不味くなるんだよなぁ…
【指定UC】で戦闘力を増強、更に技能を併用する事で
パワー・スピード・防御力を底上げ
(オーラ防御+激痛耐性+怪力+早業+見切り+空中戦)
事前の【情報収集】などで
可能な限り他の猟兵との連携を密にし
基本は【地形の利用】や飛行可能な
アドバンテージを生かしつつ格闘戦による足止め
必要ならヒット&アウェイ戦術によって
他の猟兵の攻撃がより有効に入る様
敵の動きを制限できる様に立ち回る
早いとこフィサリスの人達の所に行く為にも
焦らず確実に、そして迅速に包囲殲滅
袋叩きにさせてもらうっすよ!
※アドリブ連携歓迎
この男、軍犬は自身を悪い奴だと言い張ることがある。
猟兵という立場を利用して様々な世界の美味しそうな食材を手に入れることが目的であり、人助けなどには興味が無いと。だから彼は今回もうそぶくのだ。
「年端もいかない女の子の死への覚悟とか飯がクッソ不味くなるんだよなぁ…」
飯がマズくなるのが嫌だから戦うのだ。
断じて彼らのためではないと⋯⋯
まぁ、ようは照れ屋なのである。
本当に彼の言う通り、ただ食材を手に入れるのが目的ならばこのような危険な橋を渡るような真似はしないだろう。
そもそも、こんな滅びかけた世界に用などないはずだ。
「さて、やるっすか⋯⋯」
ぐっと背伸びをして、目の前の標的を見据える。
相手は既に手負いで、その特徴ともいうべき大顎と頭は砕かれていた。
かといって、そうそう油断ができる相手でもない。
腕のチェーンソウと砲門らしきものは健在だ。
「最初から本気で行くっす!!」
そう言って発動するは【フードスペシャリテ・フルコースゴールデン】
相手の武器を見れば、接近しようが離れようがおそらく危険度は変わらない。
ならば。自身の最も得意な土俵で戦うのが正解だと判断した。
空から飛び込み、地面へと打ち据えるように拳を叩き込む。
腕にぐちゃっとした嫌な感覚がしたが、その程度で怯む軍犬ではない。
突然の襲撃に対応の遅れたオブリビオンの反撃は、腕のチェーンソウだった。
どこに積まれているのだろう、けたたましいエンジンの轟音と共に、その切れ味の悪そうな刃が高速で回転を始める。
その刃で食いつかれれば、無理やり肉を剥ぎ落されるだろう。
ましてやギトギトに汚れたそれは、相対した者に恐怖を与える代物だ。
降りぬかれる刃が軍犬に迫る。
「甘いッ!!」
だが、それには弱点があった。
あくまでも殺傷力を持つのは刃であり、その腕の付け根はブヨブヨとしたただの肉の塊でしかないということだ。
肉薄した状況では、その腕を狙うことは容易い。
振り下ろされたその腕の肉に拳を打ち据えた。
嫌な音を立ててへし折れた腕。
一度回転を始めた刃はそう簡単には止まらず、また降りぬいたことによる反動で、自身に迫りくる刃が自身に迫った。
「グアァァァァァァァアアアアアアアアアッ!?」
自身の武器で肉をそぎ落とされていくオブリビオン。
回転する刃はその体を真っ二つに引き裂くまで止まる事は無かった。
「うわぁ⋯⋯流石に気持ち悪いっすね⋯⋯」
目の前で引き裂かれていく肉片を、全身に浴びた軍犬がげんなりとした声を上げる。
「でも、これで終わりっすね。援護に回るっす!」
そう言って飛び去る軍犬。
だが、甘かった。
真っ二つに叩き割られた体が離れていく軍犬の後ろで蠢いていたことに、彼は気づかなかった。
成功
🔵🔵🔴
ジェイ・ランス
【WIZ】【ジュゲム】
■読み:ベルカん(ベルカ)、かなめん(要)、とものん(ともの)、みれーちん(美麗)、アリスちん(アリス)、ピエピエ(マリア)
しんみりね。それをさせないためにも
「ささっと終わらせちまうかね?」
ベルカにによってゾンビジャイアントを十分に引き入れたら、UCを発動。一区一区で法則の異なる迷路だ。前後不覚に陥りな。ま、こっちはこの迷路を【情報収集】して情報共有、【地形の利用】でなるべく一方的にやらせてもらうけどな。
短期決戦だ、対戦車/対化物用30mmガトリング砲と630mm電送砲(ブリッツカノーネ)の【一斉発射】の【鎧無視攻撃】で仕留めるぜ。
※共闘、アドリブ歓迎
マリア・フォルトゥナーテ
【ジュゲム】
他者呼び捨て。ジャンだけはさん付け。
アドリブ連携歓迎
「やれやれ、できれば武器なんか持ちたくないんだけどね。人々の安らぎのためだ」
UC『業界への依頼』により、呼び寄せた、殺し屋業界の天才狙撃手ジャンに、インカムで指示を飛ばす。
「お久しぶりです、ジャンさん。早速ですが、敵の手足を撃ち抜いて動きを封じて下さい」
ジャンは愛用のL96A1で如何なる距離、状況でも的を外さない手練れ。安心して狙撃を任せられる。
そして、自分は戦場にあったRPG-7を拾い、あの化け物の胸部の口に弾を撃ち込む。
ちなみに、ジャンは誰にでも穏やかな敬語口調で話す、金髪の中肉中背、中年の優男です。
アリス・セカンドカラー
【ジュゲム】
ヒーラー兼デバッファー兼サブアタッカー
まぁ、私の指定UCなら星辰(アストラル)体から肉体再構築して蘇生できるけど、デッドマンはいいヒントになったわ。
さて、まずは範囲攻撃での肉体改造によって味方側の戦力増強。
ゾンビジャイアントが規定の位置にきたら、ジェイさんの事象的スクラップを借りて(団体行動)地形の利用/罠使い/鎧無視攻撃で四方八方から隆起させて串刺しにし、傷口を抉るように体内で枝分かれさせて蹂躙しその場に縫い止める(マヒ攻撃)。
更に反転属性攻撃で効果を反転させた指定UCによる肉体改造で弱体化を狙い、反転した治療は破魔の力となりてその身を灼き毒のように蝕むでしょう(毒使い)。
ベルカ・スノードロップ
【ジュゲム】
アドリブ・絡み◎
フィサリスとは、出会ってからずっと見てきたんです
最後まで、面倒見ますよ
絶対に死なせないために、協力も要請したのですから
【おびき寄せ】ながら《選択UC》を発動
囮として存分に動かせて貰いますよ
UCの効果は、攻撃された際に『受けるはずのダメージを攻撃者に転嫁する』
要するに、敵の攻撃によって生じたダメージを全て敵に押し付けるものです
このUC自体が【だまし討ち】です
それに加えて、不意にダメージが来ることで最大効果を発揮するのですが
……単細胞っぽいですからね
「痛みすらも分からないのでしょうね」
言葉すら解らぬ腐肉の塊でしょうから
緋神・美麗
【ジュゲム】
呼び:名前+さん
アドリブ・絡み歓迎
折角マンマを倒して皆を救ったっていうのにまたオブリビオンが攻めてくるとか本当に慌ただしいわねぇ。これで皆がやられちゃったら目覚めが悪過ぎるわね。全力で撃退するわよ。
「なんというか、劣化マンマみたいなやつねぇ。とにかく速攻で落とすわよ」
出力可変式極光砲を威力重視で使用、気合い・力溜め・捨て身の一撃で威力増幅、誘導弾で命中強化、鎧無視攻撃で確実にダメージを通す
潦・ともの
【ジュゲム】
アドリブや連携大歓迎
命を賭して戦って果てるのであればそれはそれ
けれど悲壮感ってゆーのは苦手ですの
予め爆発系の弾薬やエネルギーパック的な物を詳しそうな仲間に見繕って貰い
ケースに詰めた物を【武器改造】で強化し何セットも準備
UC『フォース』+【念動力】+【時間稼ぎ】を使って味方のサポート
接敵されれば近接で仲間を護りつつ敵を射線上に戻す
仲間に声をかけジェイに協力して貰い
用意していたケース毎敵を『フォース』で一面だけ空いたラビリンス壁面へ吹き飛ばし
そこを仲間に狙撃して爆破して貰う
フォースは空いている一面に蓋をするイメージで張り続け
敵と爆発を密封し【2回攻撃】【鎧無視攻撃】を狙ってみましょうか
イヴ・クロノサージュ
●心情
フィサリスの方々が、無事に帰還できる様
私も、できる事から行う事にしましょう――
そういえばグリモア猟兵さんから情報頂いてましたね
有り難い事です
武装に消音効果を付けておきましょう
(情報収集)
●行動
『宇宙戦艦』から出撃
『機械鎧兵』に搭乗して戦場に向かいます
▷攻撃
攻撃手段はUC。狙いは内部から重力圧縮
口が開いた時/砲口の中を狙います
(属性攻撃=重力、鎧無視攻撃、部位破壊)
▷回避
空中で、立体機動を意識して左腕の砲口の角度を見て攻撃予測
直感による見切りで回避行動を取ります
(空中浮遊、空中戦、見切り、第六感)
▷防御
機体には随時バリアを貼り被弾しても常時戦闘できる状況を作ります
(オーラ防御、継戦能力)
地鉛・要
【ジュゲム】連携アドリブ可
面倒事は続くよ何処までも・・・ってか?
すんなり骸の海に帰って終わらせてくれないものかね・・・
まず、*完全食を数匹取り出し、次に*影業を使用して自傷
代償にする為の血を*完全食に振りかけ封印を解き被食者を捕食者へ変貌させ
食らいつかせる
敵に食らいついた*完全食は#生命力吸収、大食い、継戦能力が付与されており敵を食べ、増え、巨大化する
そのままだと此方の脅威に成るから最後に#呪詛で完全食を封印しなおす
過剰火力な気もするが・・・
真っ二つになったはずの肉体。
その二つに分かれた断面からするすると糸の様な管が伸びる。
やがてそれはお互いの肉を結合するかのように引き寄せ、そして⋯⋯
「ウガァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアッ!!」
自己再生。
空気を震わせるような咆哮と共に立ち上がるゾンビ・ジャイアント。
だが、不完全なのであろうその自己再生は、砕けた体を無理やりつなげているだけらしく、結合部からは止めどなくどす黒い血液を滲ませている。
「うっわ、キモチワル⋯⋯」
その様を見ていた美麗は呟く。
倒されたはずのそれを、念のため確認に来てみればこの様である。
「簡単には行きませんか⋯⋯どうしてこうも頑丈なのでしょうか⋯」
ベルカが呆れたように呟く。
「面倒事は続くよ何処までも⋯⋯ってか? すんなり骸の海に帰って終わらせてくれないものかね⋯⋯」
要も若干呆れ気味だった。
マンマ・ブリガンダを下し、一時でも平和を手にしたと思った矢先の襲撃である。
彼以外の面々も、一様に同じことを考えていたはずだ。
「けれど悲壮感ってゆーのは苦手ですの」
潦・とものの呟き。
サラのあの一言の事だろう。
「まぁ、だったらささっと終わらせちまうかね?」
そう言いながら笑うのはジェイだ。
彼はこんな状況ですらその笑顔を絶やさない。
前向きなのか、はたまた何かが壊れているのか。
それは彼にしかわからないだろう。
「うーん、呼ばれたから来てみたものの⋯⋯趣味じゃないというか⋯⋯ま、仕方ないか⋯⋯」
アリス・セカンドカラーが目の前のオブリビオンを見てから呟く。
彼女が何を期待していたのか。
⋯⋯それも彼女にしかわからない。
「えぇ、はい。お久しぶりです、ジャンさん。早速ですが⋯⋯はい、よろしくお願いします。報酬は例の⋯⋯えぇ」
そういうマリアは、どこか様子がおかしい。
以前とは打って変わって、どこか落ち着いたような印象だ。
ベルカが再び呼んだ新たな仲間達。
彼は、最初の任務からこのフィサリスを見守り続けてきたのだ。
今更バッドエンドを享受するなど、出来るはずがない。
「さて⋯⋯仕掛けますか!!」
ベルカが飛び出していく。
手負いとはいえ、目の前のオブリビオンは強大だ。
しかし、だからこそ仲間を呼んだ。
だからこそ、仲間と共に挑むのだ。
ベルカの突撃を合図に、一斉に飛び出していく。
「はい、ごにゃ-ぽ!」
なんだか良く分からない掛け声と共に、アリスが魔法を唱えた。
「ふふ、デッドマンはいいヒントになったわ」
周囲の味方全体に及ぶ肉体改造。
一時的とはいえ、一気に攻め落とすのが作戦なのだ。
「ありがとうアリスさん! なんというか、劣化マンマみたいなやつねぇ⋯とにかく速攻で落とすわよッ!!」
美麗はありったけの力を一気に使う。
疾風迅雷、怒涛の攻めが必要だというのだ。ならばそれにこたえるまでだ。
UC『ヴァリアブル・ハイメガキャノン』を、最大出力で放つ。
「お。美麗陳がそれで行くなら俺はこいつで行くぜ!」
ジェイが放つのは呼び出したガトリングガンとブリッツカノーネ。
「破ッ!!」
とものが援護するかのようにフォースの一撃を放つ。
三人による波状攻撃は、確実に敵オブリビオンの肉体を穿っていく。
オブリビオンが反撃に構えた左腕が、何者かによって撃ち抜かれる。
「⋯⋯さすがジャンさん、腕がいい⋯⋯⋯⋯」
そう言ってマリアが目を向けるのは、少し離れた位置にある高台。
そこには、いつの間に現れたのか、中年の優男が銃を構えて陣取っていた。
左腕、右腕、右足、左足。
ゾンビジャイアントが動こうとすれば、その位置を正確に撃ち抜いていく。
「こっちですよ!」
背後に回り込んでいたベルカが、単純な氷の魔法を放った。
それを喰らって、ゾンビジャイアントは標的をベルカへと移す。
「さぁ来なさい! すべて、しのぎきってませますッ!!」
⋯⋯⋯⋯
不意に訪れる沈黙。
「ベルカ⋯⋯」
終始無表情な要の視線が痛い。
「⋯⋯いや、これは相手を油断させるためにわざとですね⋯⋯」
「ベルカさん危ないですわッ!!」
とものが叫ぶ。
一瞬の沈黙を好機ととらえたゾンビジャイアントがベルカへと飛び掛かったのだ。
その瞬間、ゾンビジャイアントのその大顎には、確かに何かを噛み砕いた感覚があった。
「グオァア!?」
次の瞬間、その腹の一部が抉り取られる。
「⋯⋯と、このように作戦の一部であった訳です」
ゾンビジャイアントに喰らい付かれたはずのベルカが笑う。
UC『オートカウンター』
敵が攻撃したと思ったその瞬間には、その攻撃は敵自身を傷付けている。
「本当に⋯⋯?」
なおも疑いの目を向ける要が、ふと立ち上がる。
「まぁいいか。過剰火力な気はするが、準備出来たぞ?」
右手首に出来た傷を拭う。
そして、その背後にいたのは⋯⋯巨大な虫。
「ほら、エサだ。行って来い」
そう命令され、背部に巨大な樹木を背負った虫が、ゾンビジャイアントへと駆け出していく。
それをまずいと判断したのだろうか。
ゾンビジャイアントはその身を翻そうとした瞬間。
「おっと、逃がさないぜ?」
ジェイのUC『シュヴァルツシルトケフィク』が発動する。
「前後不覚に陥りな?」
⋯⋯⋯⋯
「⋯⋯⋯⋯それで、どうやって攻撃するのかしら?」
アリスが問う。
「⋯⋯⋯⋯俺の完全食も巻き込まれたわけなんだが⋯?」
完全食とは、おそらく先ほどの巨大な虫だろう。
「⋯⋯いや、ほら、もう食らいつく寸前だったし、同じ部屋に⋯⋯⋯⋯いるんじゃ⋯⋯⋯⋯ないかな⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
どんどんとジェイの声が小さくなっていく。
「はい、ジェイさん。アウトー⋯⋯ですの」
友のが笑いながら言った。
仕方なしにUCを解除するジェイ。
そこにいたのは、完全食ただ一匹。
「お、旨かったか?」
そう言って要が近付こうとした瞬間だった。
プルプルと完全食が震えだす。
「⋯⋯なんかヤバそうじゃないの、あれ⋯⋯⋯⋯」
アリスがそう言った次の瞬間だった。
「グアァァァァァァァァァァァァァッ
!!!!!!!!」
要の完全食を真っ二つに引き裂き、その内部からゾンビジャイアントが現れる。
「あぁ、俺の完全食が⋯⋯⋯⋯」
やはり感情の伴わぬ声で、要が肩を落とした。
「マズい、まだ来ますよ!」
ベルカが身構えた。
その時だった。
大地が黒く染まる。
「今度はなんですの!?」
とものが空を見上げると、何か巨大なものが太陽を遮っていた。
それが何なのかは分からないが、突然現れたその巨大な何かが敵なのか、あるいは味方なのか。
その答えはすぐに分かった。
空中のそれから投下される白い物体。
ゾンビジャイアントよりも二回りほど大きなそれは、大地に足をつける寸前、スラスターを点火し減速する。
静かに大地へと降り立ったそれを憎々しげに睨みつけて唸るゾンビ・ジャイアントとは対照的に、その白き巨人はただ剣を携え目の前のそれを静かに見下ろしていた。
「うお、カッコイイな、これ!」
ジェイが楽しそうに言う。
ゾンビジャイアントと、その白い巨人。
最初に動き出したのはゾンビジャイアントだ。
目の前の巨人へ左腕の砲口を向けたかと思うと、エネルギー砲の様な赤い光線が放たれる。
その携えた剣を警戒したのだろう。
だが、その放たれた光線を白き巨人は容易く避ける。
スラスターが火を噴き、縦横無尽に空を駆けるそれは神々しさすらあった。
「⋯⋯援護しましょう!!」
ベルカの一声で、一斉にゾンビジャイアントに攻撃を仕掛ける猟兵達。
そして、彼らの援護を受け、白き巨人の中で少女はせわしなく操縦桿を操り、目の前のコンピューターにコマンドを打ち込んでいた。
絶え間なく放たれるレーザーを避けながら、目の前のオブリビオンを排除すべくプログラムを組み上げていく。
(攻撃位置、予測……完了!火気管制、オールグリーン!アクティブ!)
勢いよくエンターキーを叩くと、少女は操縦桿に意識を集中し叫ぶ。
「よーしっ!撃ちまくりますよ!フルオープン・アタック!ファイア!」
全砲門の一斉開放。
事前に聞いていた情報から、少女はこの機体の武装をレーザー兵器。つまり、音の出ない兵器へと換装していた。
ひときわ高く飛びあがった機体から放たれるエネルギー弾の弾幕が、ゾンビジャイアントを襲う。
まばゆい光の奔流が鈍重な肉の塊を包み込まんと迫る。
反応して撃ち返そうとした左腕の砲口内に侵入した光は、内側からその肉体を砕く。
恐怖という感情を、この化け物は知らない。
ただ、今この身を砕かんと放たれる光を見て背筋を駆け抜けるその感情が恐怖というのなら、恐れを知らぬ怪物は恐怖していた。
全身を貫く閃光。
なすすべもなくその身を焼かれ、再生すらままならぬ。
⋯⋯そして、怪物は光と共に浄化される。
白き巨人を駆る少女、イヴ・クロノサージュによって。
大成功
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第2章 集団戦
『ゾンビバルーン』
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POW : 腐れた風船
【腐った肉の塊】が命中した対象を爆破し、更に互いを【腐敗しつつも、高い強度を持つ糸状の繊維】で繋ぐ。
SPD : ゾンビ一番搾り
【腐敗した体液】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : クローンデザイアン
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【自分自身として増殖し、身体】から排出する。失敗すると被害は2倍。
👑11
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猟兵達がゾンビジャイアントの相手を行っている最中、サラ達フィサリスの面々も、ゾンビバルーンとの戦闘を行っていた。
「奴ら西ゲートに集まりだしているぞ! 好都合だっ!!」
アビーが炸裂させたC4の爆発音に惹かれたのだろう。
西ゲートへと集結しつつあるゾンビバルーンに、銃弾を撃ち込んでいく。
だが、フィサリス達の放つ一撃で穴が開いても、ピューという音と共にしぼんで、暫くの後に再生するの繰り返し。
古い戦車などを持ち出して、AP弾の質量で何とか撃破している。
そう。その数もあってか、フィサリス達は足止め以上の事が出来ないでいた。
簡単に言ってしまえば、放たれた弾丸というものは空気中で急速に熱を奪われる。
映画の様にトラックを爆発させたりは出来ないものだ。
まして内部にメタンガスが詰め込まれているといってもその肉は分厚く、穴が開いた程度で破裂するほど脆くはない。
このままではジリ貧なのは明確だった。
イヴ・クロノサージュ
●心情
援護、間に合うでしょうか――!
こちらをお使い下さい!
(皆様の保護が優先です!)
●行動
UCを使用して、フィサリスの方々に
『ビームライフル』が搭載された、巨大人型兵器『機械鎧兵』を提供します
機械音声でチュートリアルが流れますので
AIのガイダンスに従い、操縦して下さい
(情報収集、戦闘知識)
▷攻撃
フィサリスの方々が使用する
機械鎧兵のビームライフルで素早く貫き
衝撃による空気の圧縮/熱による内部爆発を狙います
(属性攻撃=熱光線、鎧無視攻撃)
▷防御
機械鎧兵に常にバリアを張り
搭乗して頂いている方の体を保護します
(オーラ防御)
▷イヴ/1章戦闘直後
白い巨人の肩の上で
聖者として皆様の無事を祈っています
(祈り)
未だ空は暗く、何かが上空を覆い続けている。
白き巨人を駆り、哀れな怪物を浄化したのは少女であった。
イヴ・クロノサージュ。
白き巨人は彼女を己が肩へと導く。
白き巨人の肩の上、少女は祈りを捧げるのだ。
祈る神など消えて久しい荒野の果てで、彼女は確かな祈りを捧ぐ。
薄暗い闇の中で、一筋の光が少女を照らす。
――救い給へ。守り給へ。御身の慈悲を彼ら子羊へと与え給へ――
その祈りを聞き届ける神がおらずとも、真摯な祈りは奇跡を持って叶えられるだろう。
⋯⋯⋯⋯即ち、科学によって。
上空から降り注ぐは白き巨人達。
慈悲の刃と鋼鉄の翼を携えた機械の天使たちが、遥か空より子羊の元へと遣わされた。
『おはようございます。オペレーティングシステム起動。システム構築⋯60⋯⋯70⋯⋯90⋯⋯⋯⋯システムオールグリーン。ご搭乗ください。音声ガイダンスに則り操縦を行ってください』
突如として目の前に現れた機械に驚き、攻撃の手が止んだ。
少し抑揚のおかしい女性の声が、目の前の機械から響く。
「⋯⋯二足歩行戦車⋯⋯か⋯⋯⋯⋯?」
少なくとも、登場して操縦する二足歩行の兵器であることは間違いないだろう。
『繰り返します。ご搭乗ください。音声ガイダンスに則り操縦を行ってください』
「あぁ、くそったれ、使えるんだったら何でもいい!!」
最初に乗り込んだのはレオンだ。
自分達の足止めしかできない現状にイラついていた彼は、目の前のバルーン達を撃破するために悪魔と契約しろと言われれば喜んでそうしただろう。
それほどまでの焦りがあったのだ。
『搭乗確認。お名前は?』
「レオンだ! レオン・カテジナ!! どうすればいい!?」
『了解、ミスターレオン。こちら制御用AI識別番号『ST‐67』ロナとお呼びください。複雑な操作はすべてサポートいたします。ミスターレオンには、適正生物への照準と、射撃をお願いします』
彼の目の前に、トリガーのようなものが付いた操縦桿がせり出す。
「これでやればいいのか?」
『イエス、ミスター。装備火器は『M33ビームライフル』標準的な荷電粒子を用いた所謂ビーム兵器ですが、彼らの肉体構造を解析しt⋯⋯』
「あぁ! 武装の説明はいいから!! 早く狙える位置に動いてくれ!!」
機械的に武装の説明を行おうとしたロナの音声を遮る。
少し、乱暴な動きでロナは射撃位置へと移動を始めた。
「おい!!」
『⋯⋯⋯⋯移動完了。良い狩りを、ミスター』
⋯⋯⋯⋯少し拗ねてしまったらしい。
だが、これで狙えるなら問題はない。
操縦桿を操作し、迫りくるバルーンの一体に照準を合わせてトリガーを引く。
一瞬の間の後、目の前のモニターが少し振動したかと思うと、目の前に居たバル-ンが爆発し、周囲のバルーンを巻き込んで派手な大爆発を引き起こす。
「おいマジかよ⋯⋯」
今までてこずっていた相手が一瞬で消し飛んだのだ。
この爽快感と驚きをなんと表現すればいいのか分からない。
『こちらの兵器は、射撃ごとに約5~7秒の充填を必要とします。もっといい攻撃対象が居たのでは?』
少しからかうようにロナが言う。
「五月蠅いな! 使ったことないんだからそんなこと知るか! 文句があるなら最初から説明してくれよ!!」
『ですから説明しようとしたのですが、あなたが武相の説明は必要ないと』
⋯⋯ああ言えばこう言うAIである。
周囲のレオンに続き乗り込んだフィサリスの面々たちが、次々に発砲を開始し、バルーンたちを吹き飛ばしていく。
『射撃スコア。最高撃破数はサラ様のご様子ですね。悔しくないですか?』
⋯⋯本当に一言多い。
「あぁ! わかったから!! 聞くから!! それでいいだろ!!」
『よろしい。では、まずはこのビームライフルの開発経緯から⋯⋯』
⋯⋯AIは少しポンコツかもしれないが、その火力は本物だ。
事実、立て続けに放たれるビームライフルの射撃は、多数のバルーンを撃破し続けている。
このまま続けば、滞りなく本来の作戦を完遂できるだろう。
大成功
🔵🔵🔵
エメラ・アーヴェスピア
次の段階ね…今度は逆に派手にやらないといけない、と
この場面を成功させないと肝心の奴が現れない…気を引き締めていきましょうか
さて、先程も言ったけれど…派手に破裂させないといけないのよね
だけど私の場合…拠点から砲撃するとバルーンではなくこちらに寄せてしまう可能性があるわ
つまり、相手の所だけで大きな音を出す必要があるのだけど…
実はこのOpCLで既に一度、私はその方法を実行しているのよね
つまり…『我が元に響くは咆哮』!相手の頭上より炸裂弾や焼夷弾を使用した空爆で増えても関係ない位に徹底的に撃滅するとしましょう
あの時と違って相手も飛んでいるから、囲まれない様にだけは気を付けさせるわ
※アドリブ・絡み歓迎
秋山・軍犬
フィサリスの皆は大丈夫そうっすね…
さて、作戦では敵を利用して次の作戦を有利に
つまりミミズとの戦闘でフィサリスの皆に
被害の出ない所で撃破しろと
まずは可能な範囲で
フィサリスの皆や他の猟兵と相談、情報共有
ミミズをおびき寄せる場所の洗い出しと確認
(情報収集+見切り)
フィサリスの足止めなどで敵が密集してる所を狙い
指定UCで巨大フードプロセッサーを作成
遠隔操作でゾンビバルーンを可能な限り捕獲して
遠隔操作でミミズをおびき寄せる場所まで移動して
フードプロセッサー起動
これで爆発しないなら
ヒャッハーの精霊『ヒャハ崎 焔』(アイテム)の焼却でダメ押し
(見切り+オーラ防御+空中戦+火炎耐性+メカニック+運転+焼却)
アビー・ホワイトウッド
アドリブ連携歓迎
ラングレー、無理させ過ぎたね。
どの道あのガス玉を一気に爆発させるには誘爆させるしかない。
一気に吹き飛ばすには…。
ラングレーを運んできたトレーラーにラングレーの予備の燃料とトレーラーの燃料を満載した燃料缶を全部搭載しよう。
そこにC4爆弾を仕掛けたら、そのまま拠点を出てトレーラーをガス玉の群れに突っ込ませる。
準備が出来たらUC発動、アクセル全開で群れのやや後方、ゲートから極力遠い位置目掛けて走らせるわ。
進路を定めたらアクセルとハンドルをつっかえ棒で固定してトレーラーから飛び降りる。
腕が折れるくらいで済めばいいけど…。
どうか上手くいって。
車両が群れに突入するのを見届けたらC4を起爆。
フィサリス達の火力が増強される中、エメラは次なる一手を模索していた。
今回の作戦の肝は迅速なゾンビジャイアントへの対応と、何らかの方法で迫りくるゾンビバルーンを拠点に接近させずに全て撃破すること。
それだけを考えれば、現状でも問題はない。
事実、フィサリス達はゾンビバルーンを拠点に近付けることなく爆破していた。
ある意味では、手を出す必要はない。
「とはいえ⋯⋯このままだと⋯⋯⋯⋯」
散発的な爆発では、確実な誘導とはならない。
現状のままでは散発する爆破地点のどこから出現するか分からない最終目標である【アカメ】に対し戦力を分散して警戒することを余儀なくされ、集中した火力を叩き込むことが難しくなる。
「いくらか西ゲート側に集中しているとはいえ、もっと絞り込めれば続くアカメ戦が楽になる⋯⋯何かいい方法はないかしら⋯⋯」
「それなら任せるっす!」
そう言って現れたのは軍犬と⋯⋯
「ヒャッハー!」
⋯⋯妖精の様な世紀末風謎生物。
「⋯⋯また変なものが⋯⋯⋯⋯」
そう言いながら、アビーもそこに合流した。
「アビー、あなた大丈夫なの?」
平静を装ってはいるが、彼女自身が受けているダメージは相当のはずだ。
「問題ないわ⋯⋯これぐらいでへばってたら、この世界じゃ生きていけないもの」
そう言ってアビーが頷く。
あまり無理をしてほしくはないが、本人がそう言うのなら強要は出来まい。
「そう、無理はしないでね⋯⋯それで? 任せろとは言ってたけど、どうするつもりなの?」
一応の注意を行い、軍犬へと顔を移す。
何か奴らを一纏めにできる方法があるのなら、聞いておきたい。
「これを使うっす」
そう言って軍犬が見せたのは、どこかから持ってきたフードプロセッサの残骸だ。
「自分がこれのデカいのを作るっすから、奴らを何とかしてこいつに放り込んでズタズタに引き裂いてやるっす」
⋯⋯
「それで、ズタズタにしてどうするのよ?」
例えズタズタに粉砕しても、今回の作戦は奴らの爆発が肝である。
それだけでは⋯⋯
「⋯なるほど。それで、内部のガスをプロセッサーに充満させ、プロセッサーをガスタンクとして機能させるわけね?」
アビーが頷く。
そうか。別に、あいつらをそのまま爆発させずとも、密閉した空間で内部のガスを吐き出させれば利用できる。
「そして登場したるはこの『ヒャハ崎 焔』!! こいつに内部で火を発生させてもらって⋯⋯」
「ひゃい!?」
⋯⋯勿論、起爆が必要なのは確かなのだが、内部に充満するのはメタンガスである。
言うなれば、非常に激しい腐敗臭がするのだ。
さらに言えば、そこで火を発生させた日にはただでは済まない。
少なくとも、この『ヒャハ崎 焔』の人(?)生はそこで終わる事だろう。
「⋯この外道」
「あなたがそんな人でなしとは思わなかったわ」
女性陣の鋭い視線が痛い。
「別に内部から火を使わなくてもいいでしょう? 外から焼夷弾なりなんなりで起爆するわ。フードプロセッサへの運搬も私の蒸気兵でやってみる」
エメラの提案に軍犬が首を振る。
「⋯馬鹿にするわけじゃないっすけど、その程度の火力じゃそもそもフードプロセッサ自体に傷が付かないっすよ」
そう、本来防御に使うような強度の物が生成されるのだ。
生半可な火力では穴すら開かないだろう。
「⋯⋯火力なら任せて。私が起爆する」
アビーが静かに口にした。
「ちょっと高くつくけど、この際仕方ない⋯⋯⋯⋯残ってるありったけの燃料とC4をトレーラーに積んで突っ込ませる。まさか、それでも傷つかないっていうならお手上げだけれど?」
そう言って挑戦的な目を軍犬へと向けた。
「まぁ、それだけの火力なら流石に耐えれないっすけど⋯⋯流石に高くつき過ぎじゃないっすかね?」
「大丈夫よ、請求先は知ってる。でしょ?」
エメラに少し微笑みながら歩き去るアビー。
軍犬にはその意味は分からなかったが、エメラには分かった。
微笑みを返しながら、エメラは言う。
「到達前に爆発されても無意味になるから、到達までは援護するわ」
エメラも準備を開始し、軍犬だけが取り残された。
「あー⋯⋯なんすかね、この置いてきぼり感⋯⋯まぁ、仕方ないっすか⋯⋯」
「軍犬、私を殺そうとした! この人でなし!!」
隣でぺしぺしと肩を叩く謎生物『ヒャハ崎 焔』をとりあえずしまい込む。
「きゃー! 軍犬のエッチー!! 触るな人でなしっ! 変態っ!!」
女の間に男が割って入るのは難しい。
良い経験だった。
フードプロセッサーの生成の為、バルーンたちの上空を飛び進む軍犬。
「いやぁ⋯⋯気持ち悪っ!!」
群れ。群れ。群れ。
これでもかというほどのバルーンの群れがひしめき合い、辺り一帯を覆っている。
地獄絵図と言ってもまだ足りぬほどの群れは、いったいどれほどの死者を材料に生み出されているのだろうか?
それを考えるだけで悪寒が走る。
この辺でいいかと急停止し、UC『フルコースゴールデン・オーラキッチン』を発動する。
作成するのはフードプロセッサただ一つ。
それのみに全意識を集中し、巨大なそれを作り上げるのだ。
「てやっ!!」
ズドンと大地を響かせ、見ようによっては巨大なビルに見えなくもないフードプロセッサが大地に忽然と現れた。
「エメラさん、出来たっす!」
そう通信を入れると、軍犬はその場から退避する。
出来うる限りこのフードプロセッサから離れなければ、自分も大爆発に巻き込まれる。
それだけは避けねばならない。
「了解、じゃあ行くわよ!!」
蒸気兵たちを召喚し、飛翔ユニットを装着。
空駆ける天使と化した蒸気兵達が一斉にスラスターに点火し飛び去っていく。
後は簡単な話だ。
まるで鳥のように上空からバルーンを引っ掴み、フードプロセッサに投入する。
そして、アビーの移動経路のバルーンへ射撃を行い、その障害を排除していった。
ブルンと快調な音を響かせ、エンジンに火が点る。
「いい音。調子が良いみたい」
そう言ってハンドルを撫でた。
「⋯ごめんね。今までありがとう」
そう労いの言葉を掛ける。
思えば様々な戦場をこのトレーラーと駆けてきた。
どんな時もラングレーとアビーを影で支えてきてくれた“彼”だって立派な相棒だった。
「⋯⋯行くよ、最後の大仕事だ⋯⋯⋯⋯」
踏み込んだアクセルと共に、エンジンが唸りを上げて大地を駆ける。
全速力で駆けるトレーラーを止めようと迫るバルーンたちであったが、エメラの蒸気兵たちがそれを許さない。
上空から放たれる銃弾がその体を萎ませ、それを別の個体が引っ掴んでフードプロセッサへと放り込む。
どんどんと内部にぎゅうぎゅう詰めになっていくゾンビバルーン。
「今っす!!」
軍犬が、フードプロセッサの蓋を閉めると、そのスイッチを起動した。
内部で回転する刃が、バルーンをズタズタに切り刻み、フードプロセッサ内にガスが充満していく。
限界寸前までプロセッサ内に詰め込まれたバルーンとそのガスが混ざり合い、今にもプロセッサの蓋が弾き飛びそうだ。
「ぐぬぬぬ⋯⋯開いちゃったら無駄になるんすよッ!!」
気合でその蓋を開かぬように遠隔地で踏ん張る軍犬。
「あと少し⋯⋯もう少しッ!!」
エメラの蒸気兵の支援を受けながら、目標地点であるフードプロセッサへとひた走る。
距離が離れれば安全だが、近付かなければ大地の凹凸で車体が逸れる可能性がある。
限界まで近付かなければすべてが水泡に帰すだろう。
「今ッ!!」
ハンドルとアクセルをロックし、扉から身を投げた。
――腕の骨折程度で済めばいいけど⋯⋯――
いくらなんでも無傷とはいかないだろう。
思えば、この作戦が始まってから無茶をする頻度が多い気がする。
肋骨だってまだ治ってはいないのだ。
――後は任せろ。
一瞬耳に届いた誰かの声。
それと同時に、地面へと投げ出されるアビーの体を、何者かが掴んで大空へと飛びあがった。
『⋯⋯無理はしないでって言ったでしょ?』
エメラの声が響く。
見れば、蒸気兵の一人がアビーを抱え上げていたのだ。
だが、不可解なのは先程の声。
あれは確かにエメラの声ではなかった。
「⋯⋯ありがとう」
そっと呟く。
エメラと⋯⋯そして相棒に。
フードプロセッサへと駆けるトレーラー。
それはまるで誰かが運転しているかのように真っ直ぐ⋯⋯ひたすら真っ直ぐに、目標へと駆けていく。
「アビー、今よ!!」
「もう限界っす!!」
二人の声が起爆の合図になった。
「⋯⋯本当にありがとう」
――あぁ。いずれまたどこかで。
アビーがスイッチを入れると同時に、トレーラーが大爆発を引き起こす。
その爆発に巻き込まれたフードプロセッサにひびが入り、内部のガスと肉片に引火。
そして⋯⋯
一瞬の静寂の後。
まるで核爆発でも起きたような巨大な爆発音と共に、フードプロセッサが吹き飛んだ。
大地を揺さぶり、地面に巨大なクレーターを生み出すほどの大爆発が起こったのだ。
「うっひゃー、自分で提案しといてなんだけど派手っすね⋯⋯」
遠目からそれを見ていた軍犬にも、爆発により生じた衝撃波が届いていた。
だが、これほどの巨大な爆発音であれば、目標の誘導そのものは完遂したといっていいだろう。
残るは残党の処理だが⋯⋯⋯⋯
軍犬がそう考えていた時。
既に動き出している者たちが居た。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジェイ・ランス
【WIZ】【ジュゲム】
■読み:ベルカん(ベルカ)、とものん(ともの)、みれーちん(美麗)、アリスちん(アリス)、ピエピエ(マリア)
さてさて、苦戦してるようだが、今度こそオレの出番だぜ。いやいや、さっきのはテストだから、うんまじで
戦場全体をUCで囲み、一つしかない入り口を西側、つまり基地の反対側に設置する。そのうえで、敵の位置を"情報収集"して把握し、"罠使い"によって風が出る罠を適所に配置する。
「あとは、みんなが誘導するのを待つばかりってか?いやー楽だねー」
敵の出口への誘導が全部終わったら、「630mm電送砲(ブリッツカノーネ)」のプラズマ弾で"制圧射撃"、引火させるぜ。
※アドリブ、連携歓迎
ベルカ・スノードロップ
【ジュゲム】
アドリブ、連携◎
《選択UC》による気体操作と制御を行っていきます
威力ではなく持続と制御の方向で【全力魔法】の【範囲攻撃】です
まずは、空気の流れを作って、ジェイさんが生み出した迷宮内に閉じ込めた
ゾンビバルーンを出口まで【おびき寄せ】ます
プラズマや雷撃でも引火させられるように
敵を迷宮の出口への誘導が終わったら、敵の周囲・体内の引火性の強いガスの濃度を跳ね上げます
私自身も味方も、爆発に巻き込まれないように、爆風や熱の遮断も
気体を操作・制御することで行いますよ
音は空気の振動によるもの
なので、爆発音の残響も西側に逃がして
アカメの出現位置の範囲も
さらに、拠点からは遠ざけるようにしましょうか
マリア・フォルトゥナーテ
【ジュゲム】
アドリブ連携歓迎
他者呼び捨て。
シルヴィアのみさん付け。
ジェイの作り出した迷宮にバルーンの群れと共に入り込む。
「さてと……餌はここだ!追って来い!!」
連中の知能を鑑みると、ベルカの風だけでは誘導に限界がある。分かりやすい獲物があった方が良いだろう。つかず離れずの距離感でバルーン達を出口まで誘導する。
ベルカの操る気流が出口までの経路を教えてくれるから、迷わず外に出られる。出口が近づいたらインカムで連絡。
「シルヴィアさん!そろそろ出ます!迎えをお願いします!」
そして、外に出たら業界の殺し屋の一人、漆黒のバイクを駆るシルヴィアの手で、素早くバルーンの爆発及びアカメの出現圏内から離脱する。
アリス・セカンドカラー
【ジュゲム】
範囲攻撃での指定UCで時空間を支配・操作することでゾンビバルーンの予期しないタイミングでの誤爆を防ぐ。おっと、直接かけると増殖しちゃうので、収納ボックスなイメージで周囲を囲むイメージでよ。支配・操作した時空間は攻撃のエネルギーを保存するから、解除した瞬間にそのエネルギーが一気にどーんよ。
ん?ジェイさんから、西ゲートのC4爆弾の爆破を帳消しにできるような規模の爆発にしたいからわざと増殖させて欲しいってお願いが来てるわね。なら、適量は養殖しましょ。
潦・ともの
【ジュゲム】として参加
マリアをシスター呼び
アドリブや連携大歓迎
今回は囮役となるシスターのサポート
UC『フォース』+【念動力】でバルーンの誘導を手伝う
近づかれそうになったり攻撃されそうになれば、自分とシスターにフォースを発動し距離をとり
バルーンの方が離れそうになったら此方に手繰り寄せ
つかず離れずの位置を【見切り】ながら出口まで誘導
もし自分や仲間、そして周りに繊維の糸を繋げられて誘導の邪魔になりそうな場合は
爆発しないように気を付けながらフォースセイバーで断ち切る
道案内は任せましたの、ベルカ
爆破地点まで行けばバルーンたちがばらけないようにフォースで固定
緋神・美麗
【ジュゲム】
呼び方:名前+さん
アドリブ・連携歓迎
さて、今回はベルカさんとジェイさんが頑張ってくれるみたいだし私はサポートに回ろうかしらねぇ。
バルーン誘導、風だけだと弱いかも。サイコキネシスで後押しする
出口まで誘導しきったらバルーン増殖の為にプレシジョン・ハイメガキャノンを数発撃ち込む
「今から攻撃するから無効化できるものならしてみなさいな」
より確実に増殖してもらうため攻撃前にあえて口上を上げて注意を引く
「さて、お膳立ては十分に仕上がったわよ。後は派手にやっちゃってね」
先の猟兵が起こした大爆発を見て、動き出す仲間たち。
「いやぁ⋯⋯やることが派手だねぇ⋯⋯⋯⋯」
呆れたような、それでいて感心したような声をジェイは上げた。
「これで十分とは思いますが⋯どうします?」
友野の問いに、ベルカが答える。
「誘導と考えれば十分ですが、まだ残党がいます。それを片づけないことにはアカメ戦で不利になる可能性があります⋯⋯徹底的に片づけましょう」
ただでさえ面倒な相手と戦わなければならないのに、更に残党狩りまでやってはいられない。
「それで? 作戦はあるのかい?」
マリアの問いに、ジェイが答えた。
「はいはい! だったら今度こそいい手があるぞ!」
そう言って勢い良く手を挙げる。
先のゾンビジャイアント戦で、特に何もできなかったことが少し癪に触っているのだろう。
今度こそ見事に作戦を立案し成功に導くことで、汚名を返上したいところであった。
「で、どうするの?」
アリスの問いに、ジェイは堂々と答える。
「今度こそ迷路の出番ってわけさ。さっきの爆心地に出口を作って、誰かが中に入ってそこまで誘導。爆心地に集めたところで一網打尽ってわけさ!」
まぁ、理には適っているが⋯⋯
「まず、数が少なすぎて敵が散発的ね。誘導するにしたって迷路という構造上全部を誘導するには無理がある⋯⋯まぁ、数は増やせばいい話だけれど⋯⋯」
そう言ってアリスは考え始める。
“増やせばいい”という言葉から察するに、数を増やす算段はあるのだろう。
「でしたら、私が何とか気流を操ってみましょう。そうすれば、浮かんでいるような相手です。多少の風でも動かすことは出来るでしょう」
ベルカの提案だが、これにも問題がある。
「気流だけではどこかで引っ掛かるでしょうね。それに、あんまり悠長にやってられる時間も無いんじゃないかしら?」
美麗が一つため息をつく。
「⋯⋯私が中に入って誘導するわ。ベルカさんの風の流れを読めば出口にたどり着けるでしょ」
「でしたら、私も行きます」
「私も行こう。気流を読むのは得意だからね」
マリアととものもその作戦に乗ったらしい。
「じゃあ、私はあれを増やすわね。後悔しないでよ、思いっきり増やすから♪」
そう言ってクスクスと笑うアリス。
こうして、ジェイの立案による作戦が始まった。
「それじゃ、行くわよ?」
アリスが高台からバルーンたちへと手をかざす。
黒い影がアリスの体を包み、その口元だけがかすかに見えた。
「ふふ、私の手の中で踊りなさい?」
その微笑みは暗く、何か背筋を這うような悪寒が走る。
「おぉ、増えてる増えてる」
ジェイが、別の場所からそれを見ていた。
誘導先の出口となるはずの地点。
彼にとって、迷路を作りだせばそれで半分以上の仕事は終了。
⋯⋯楽といえば楽である。
「⋯⋯いや、頭脳労働はなかなか疲れるんだよ、これが」
誰にともなく呟き、増えていくバルーンの元に迷路を作り上げる。
「うっし、後は頼んだぜみんな!!」
ジェイの迷路が構築されると同時に、ベルカが迷路内に風を送り込む。
「では三人とも、出口で待っています、ご武運を!」
ベルカの声と共に、三人は迷路の中へと突入する。
先行して突入するのはマリアだ。
二人を置いていくように走り、目についたバルーンへと石を投げつけてこう叫ぶ。
「さぁ! エサはここだウスノロ!! 食事が欲しければ追ってこい!!」
そう言って駆けだすと、それを追うようにバルーンたちが動き出す。
「さて、一匹たりとて逃がすわけにはいかないね」
美麗ととものがマリアを追う集団の背後に付き、途中の通路に逸れたバルーンをサイコキネシスとフォースで軌道修正する。
「そうですね、一匹残らず追いかけさせてすべて爆破しましょう」
マリアとともの、美麗の三人が連携してバルーンたちを追い込んでいく。
右へ左へ、気流の流れを読み進んでいく。
その数はどんどん増え、群がるバルーンたちはどんどんと増えていく。
「ちょっと⋯⋯これは多すぎないかい!?」
美麗ととものはまだいい。
後ろから逸れた連中をそれとなく軌道修正するだけだ。
対するマリアは、下手に立ち止まったり間違った道に進めば即刻死が待っている。
「はぁ、貧乏くじだったか⋯⋯」
そうため息をつきながらも、出口へと確実に進んでいくマリア。
「見えた⋯⋯っ!!」
ついに出口が見え、叫ぶ。
「シルヴィアさん! そろそろ出ます! 迎えをお願いします!!」
すると、待っていましたとばかりに出口に現れる漆黒のバイク。
マリアがそれに飛び乗ると同時に、エンジンが唸りを上げて急加速。
即座にその場から遠退いていく。
「いやぁ、助かりましたシルヴィアさん」
バイクに乗っていた黒いキャットスーツに身を包んだ女性に礼を言うと、その女性は静かに頷いた。
「よっしゃ行くぜ!!」
マリアが離れていくのを見届けたジェイが、戦場を覆った迷路を解除する。
三人によって追い立てられたバルーンたち以外に、残る影はない。
召喚されていたブリッツカノーネの銃身を、そのバルーンたちの中心へと向けた。
「ベルカん! みれーちんととものん頼んだ!!」
放たれるプラズマ。
そして、出口付近で待機していたベルカが、その着弾の瞬間に二人の前へと躍り出る。
吹き飛ぶ集団。
次々に誘爆するバルーンの肉片と爆炎が、三人を包んだ。
「いやぁ、間に合ってよかったです」
そう言って笑うベルカ。
三人は無傷だった。
「とはいえ、少々危なすぎやしませんか? 下手を撃てば全員黒焦げどころか跡形も残らなかったんじゃ⋯⋯」
作戦とはいえ、危険な賭けだった。
背後を追う美麗やとものはどうやってもバルーンたちの巻き添えを喰らう可能性が高かったのだ。
そこで、ベルカの出番というわけだ。
爆発の寸前。
二人の前へと躍り出たベルカがその爆風を気流を操作して受け流し、二人を守った。
「ま、結果オーライってことで⋯⋯」
美麗が呟くと、ベルカは笑う。
「いえいえ、私の前で女性を気付つけさせるわけには⋯⋯」
だが、言葉は途中で遮られる。
「ん? どうし⋯⋯」
「逃げましょう!! 早くッ!!!」
大地が揺れる。
「うお!?」
ジェイの足元が、何かが通ったように様に揺れた。
大成功
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第3章 ボス戦
『アカメ』
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POW : 【のたうつ災厄(The Berserk)
【怒りに任せ、体内の血流】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
SPD : 拠点喰らい(Base Eater)
【地表付近の地中を潜行し、地中からの強襲】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を破壊し、地盤沈下を引き起こす事で】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ : アカメ(Fake Oblivion Storm)
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【砂塵で確実に殺害し、赤い目のオブリビオン】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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爆心地に突き出た白い塔。
おそらく、地面から突き出ている部分だけで300メーターは超えるだろう。
地面から生えるようにまっすぐと突き出したそれは、ゾンビジャイアントの物とは比べ物にならないほどの重低音の咆哮を響かせる。
オォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ
!!!!!!
白いブヨブヨの肉体。
その体に開いた赤い穴からは、この気温にもかかわらず白い湯気が噴き出していた。
「あれだ!! 撃て!!!」
ダディの号令と共に、一斉にビームが放たれた。
だが、そのぶよぶよの肉体に着弾したビームを気にする様子はない。
当然だ。
自分自身の超高温の体温に耐えられる様に発達した脂肪。
生半可な攻撃など意味をなさぬ肉の鎧。
その巨塔の先端が、攻撃を加えたフィサリス達へと傾いた。
オォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ
!!!!!!
再びの咆哮。
四方に裂けた口の中には、大量の歯がびっしりと並び、咆哮と共に吐きだされた唾液が地面へと付着すれば、ジュウゥ⋯⋯と嫌な音を響かせる。
のたうつ災厄。拠点喰らい。アカメ。
様々な名を持つ悪夢が、ついにその姿を現した。
イヴ・クロノサージュ
●心情
フィサリスの皆さんは、無事でしょうか?
もしもバルーンを沢山撃破していたら褒めてあげましょうか
SSW『解放軍』旗艦クロノトロン=ユニット
『友軍救出作戦』を開始します▼
●行動
『宇宙戦艦』に搭乗して戦闘
副砲《拡散パルスレーザー砲》によるビーム弾幕攻撃を行います
(属性攻撃=重力光線、スナイパー、範囲攻撃)
本来は宇宙戦で戦う兵器なので
目に見えない距離で放つが可能です
大きな音を酷く嫌うので派手にいきましょう
目標は点在する赤い孔
体内の熱を排出する大切な器官のようです
正確に撃ち抜きましょう
(情報収集、部位破壊)
フィサリスを発見次第、部隊を回収
UCを使用し離脱します
搭乗したら休憩してね…。
(鼓舞、優しさ)
秋山・軍犬
クエーサービーストが食えるなら
巨大ミミズだって食える!
見ろ感じろ理解しろ
相手の習性性質行動を
導き出せ最適な狩り方を
作り出せ最高の調理法 調理器具を!
巨大な目打ち針を複数創造
遠距離から赤い孔を狙い鰻の目打ちの如く
大地というまな板に縫い付ける
成功したら目打ち針から更に小さな針を
金砕棒の様に無数に生やし抜けにくくする
特別製だ、大地を破壊しても簡単には抜けん!
【黄金の厨房の食材特効(秘密の設定)+料理+情報収集
+野生の勘+見切り+スナイパー+火炎耐性】
…前回に続き大技連発
今の自分では動きを封じるまで…
だがその工程だけは完璧にして見せる!
【気合い+限界突破】
厄災なんぞ乗り越えて自分は皆と美味い飯を食う!
アカメの出現と共に『ST-67』ロナから、レオンに対し通達が届く。
『ミスターレオン。旗艦クロノトロン=ユニットから通達。皆様を退避させよとの事です』
最初は何のことか分からなかったが、上空を覆っている巨大な影。
おそらくはあれの事を指しているのだろう。
「仲間を置いて逃げろっていうのかッ!?」
レオンの声が荒くなる。
『いいえ、猟兵たちのみを戦場に残し、皆様を撤退させよとのご命令です』
「変わらないだろうがっ!!」
短い期間ではあったが、猟兵たちの中には苦楽を共にしてきた者たちもいる。
まして、自分たちが逃げたところで、この拠点が落とされては何の意味も無い。
彼らが護衛だというのは分かっている。
その任を果たすために一番合理的な方法が、自分たちを戦場から遠ざけることだという事もだ。
「ここで逃げるくらいならお前から降りてあの化け物に突っ込んで自爆してやる!」
暫くの沈黙の後、ロナは再び言葉を紡いだ。
『⋯それは困りますね⋯⋯他機からの信号も⋯⋯撤退拒否ですか⋯⋯』
レオンだけではない。
全員が同じ覚悟を持っていた。
「気高い方々です⋯⋯これでは仕方ありませんね⋯⋯」
クロノトロン=ユニットへと帰還していたイヴが呟く。
彼らが拒否するのなら、収容は不可能だろう。
まして、無理矢理連れていこうものなら、それはそれで後々の軋轢ともなりかねない。
それならば、彼らと共に、目の前のオブリビオンを討ち倒す。
少なくとも、自分達にはそれを行うだけの力があるはずだ。
「⋯⋯」
無線を全ての機体へ繋ぎ、機体のスピーカーからも自身の声が届くよう接続した。
「⋯⋯皆さんの意思は分かりました。撤退指示を撤回します⋯ただし、これよりクロノトロン=ユニットより対象へ集中砲火を行います。ご武運を」
それを聞いたフィサリス達が、一斉に武器を構えた。
あれをここで止める。
全員がそのつもりだ。
オォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ
!!!!!!
耳をつんざく咆哮。
それと同時に、周囲を包み込む砂嵐。
「目くらましのつもりですか⋯⋯っ!」
だが、それは目くらましなどではない。
それは死者を愚弄し、生者を嬲る。
砂塵の奥から無数の赤い光が見えた。
「⋯⋯おい⋯⋯⋯⋯嘘だろ?」
砂塵より現れたのは、殲滅したはずのゾンビバルーン達。
皆一様に眼球が赤く染まり、拠点へ向けて一気に突っ込んでくる。
「⋯⋯撃ってッ!!」
イヴの指示により、敵オブリビオンへとパルスレーザーの集中砲火が放たれた。
同時にフィサリス達も発砲を開始する。
だが、こちらに接近するアカメに対し放つ攻撃は砂塵に逸らされ、そのほとんどが白いブヨブヨの脂肪に当たって無効化される。
まして、潰したはずのゾンビバルーンたちが勢いよく突っ込んでくるのだ。
そいつらを処理しなければ押し切られてしまう。
「任せるっす!!」
軍犬が戦場へと躍り出る。
彼には、クエーサービーストと呼称される巨大なオブリビオンとの戦いの経験があった。
「クエーサービーストが食えるなら、巨大ミミズだって食える!」
クエーサービーストに比べれば、目の前のオブリビオンなど赤子にも等しいサイズでしかない。
まずはその動きを止める。
「この目打ち針でっ!!」
針というにはあまりにも巨大な目打ち針が生成された。
狙うはその赤い吸気口。
複数の針を同時に展開し、アカメへと放つ。
アァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ
!!!!!!!!
突き刺さる巨大な針は吸気口を貫通し脂肪に命中した部位すら、その巨大な針は貫いてして見せた。
地面へと縫い付け、その動きを止める。
彼の作戦は成功したかに見えた。
オォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ
!!!!!!
バキィッ!!!!
「そんな!?」
何度目かもわからぬ咆哮と共に針がへし折られ、大地へと落ちた。
痛みからなのか、それとも怒りか?
周囲のバルーンを巻き込み大暴れを始めたアカメ。
折れた針をよく見てみれば、まるで溶解したかのような痕跡が見える。
血流の増加と共に、更に体温が増加したのだろう。
だが、逆を言えばそれは好機とも言えた。
血流の増加によって、体の傷からは血が溢れ出るはずである。
それは半分は正しく。半分は間違いだった。
確かに、針の命中した吸気口からは止めどなく血が溢れ、暴れまわり周囲にまき散らされている。
だが、脂肪からはあまり血が出ていないのだ。
その分厚すぎる脂肪が収縮し、傷を止血してしまっていた。
「ナメてたっす⋯⋯本当にバケモノっすね⋯」
二人は、その化け物が倒れ昏睡するまで、ただ見ていることしかできなかった。
そして、復活したバルーンの処理に気を取られ、この怪物が再び動き出すまでに有効打を与える事が出来なかった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
エメラ・アーヴェスピア
…あれが今回の目標ね
長引かせるとそれだけで危険な存在…手早く行きたいものね
それに…少し、嫌な予感がするのよね…いえ、この世界ではなさそうなのだけど…
…どうにも私の兵器の威力が侮られているようだし、この辺りで証明しましょうか
『我が砲火は未来の為に』、大型の狙撃砲を呼び出すわ
牽制は先程の『咆哮』に上空から行わせ、トドメに狙撃砲で赤い孔を狙い撃つわよ
撃ってしまうと位置がばれるから、ギリギリまでしっかりと狙うわ
さぁ、喰らいなさい…魔導術式で貫通力と爆発力を強化した特製の徹甲榴弾よ…!
※アドリブ・絡み歓迎
アビー・ホワイトウッド
…とんでもない化け物。撃退できれば御の字。
私に出来ることをやるだけ。
アカメ出現で茫然とする間もなく歩行戦車へ搭乗。機器チェック、まだ行ける。
私が潰されても二次被害を出さないように拠点からなるべく遠ざかった位置へ全力移動。丁度良い位置についたらUC発動、主砲と連装ミサイルで遠距離から攻撃するわ。
IRセンサーで捉えた紅い孔。グリモア猟兵の助言通り狙い撃つ。
奴の反応を見るに正解みたい。
続けて排気孔を集中攻撃、体に穴を空けてやる。
奴が地面に潜ったら振動から位置を予測。無駄かもしれないけど全力で退避する。
崩落に巻き込まれたら岩盤にウィンチを射出して機体を保持。巻き上げて復帰を図ろう。…どこまで保つかな。
先程の傷から高温の血を吹き出しながら暴れる巨大なミミズ。
「…あれが今回の目標ね⋯⋯長引かせるとそれだけで危険な存在…手早く行きたいものね」
あまり長い時間を掛ければ、それだけで被害が拡大することは明白だった。
「…とんでもない化け物。撃退できれば御の字」
アビーもその姿に戦慄を覚える。
もちろん殺せるのならそうするべきだ。
だが、現在の火力で必ず殺せるという保証はない。
相手が大きすぎるのだ。
何発の銃弾を撃ち込めば死ぬのか、それすらも想像できない。
「アビー、ラングレーは出せる?」
隣にいるエメラが不意に聞いた。
「もちろん、何人か人員を割いてもらって整備はしてもらった⋯⋯私の体の方がもてば、ラングレーは動かせる」
肉体はそう簡単には治らないが、機械であるラングレーは何とか決戦に間に合わせる事が出来た。
「そう⋯⋯無理はするなって言ったけど⋯⋯撤回するわ。ちょっと無茶をお願いしたいのよ」
エメラの願いに一瞬驚くも、強く頷いた。
「どうせ、勝たなければ全滅。私たちは生き残れるかもしれないけど、それじゃ、彼に合わせる顔が無い」
バルーンたちを潰すために犠牲になったもう一人の相棒の為にも、ここで諦めるわけにはいかないのだ。
「分かった⋯⋯ありがとう。よく聞いて。一度しか言わないわ⋯⋯」
エメラの作戦に従い、付近の高台へと移動したアビー。
「⋯⋯目標地点到達。奴が良く見える」
未だにそこから動かぬアカメは、ただじっと拠点の方角を見据えていた。
先程の復活したバルーン殲滅から、一度意識を失った奴はずっとこの調子だ。
――⋯⋯おそらく⋯だけどね⋯⋯⋯⋯
先程のエメラの推測を思い出す。
奴には、目と思われる器官が見えない。
そして、こちらは奴が意識を取り戻してからはだれも攻撃を仕掛けていないのだ。
そこから推測される奴の現在の状況。
「⋯奴はどこを攻撃すればいいのかわかっていない⋯⋯」
確かに音には敏感なのかもしれないが、どう見てもあの分厚い脂肪で小さな音を聞き分けられているとは思えない。
おそらく“大きな音”に敏感なのであって“多少の音”には全く反応しないのだ。
『こっちも用意できたわ。派手にお願い』
エメラからの通信が入る。
主砲とミサイルの残弾を確認する。
勿論全弾装填済み。
そして、奴の弱点は高温の蒸気を吹き出しつづけている。
「狙いをつける必要すらないわ⋯⋯ッ」
トリガー上部のスイッチを押し込んだ。
一斉に放たれるミサイルが、目標へと殺到していく。
その発射音に気付いたアカメがこちらへと向き直った瞬間だった。
アカメの吸気口へ、吸い込まれるようにミサイルが着弾していく。
アァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ
!!!!!!!!
簡単な話だった。
IRセンサー搭載型のミサイル。
目標の赤外線を探知し誘導する短距離攻撃用のそれは、簡単に言ってしまえば目標の最も熱い部分を攻撃する。
奴に対して、お誂え向きの装備というわけだ。
「着弾確認⋯⋯これで⋯⋯」
今のは痛かったのだろう。逃げるように地面へと潜り始めるアカメ
『落ち着いて! まだ逃げたとは限らないわッ!!』
⋯⋯逃げてくれたのならどれほど楽だろうか?
グラグラと地面が揺れる。
「目標⋯⋯30m⋯⋯20⋯15⋯⋯」
ソナーを頼りに、目標の位置を推測する。
まだだ⋯⋯もっと引き付けなければ⋯⋯
「10⋯8⋯6⋯⋯」
振動がどんどん大きくなる。
あと少し⋯⋯もう少し⋯⋯⋯⋯
「4⋯3⋯2⋯⋯今だッ!!」
エメラへの通信と同時に、離れた地面へとアンカーを撃ち込み、高速で巻き上げる。
体勢を崩した機体が横転し、地面を引きずられていくが、少なくとも⋯⋯
オォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ
!!!!!!
目の前の大地を突き破り、姿を見せたあいつの胃袋に納まるよりはよほどましだ。
「さぁ、一仕事してきなさい!! トゥランライオットッ!!」
大量の蒸気兵たちが、怪物に向けて特攻を開始する。
巻きあがる砂塵が再びバルーンたちを復活させ⋯⋯
なかった。
そのためにあの場所へとおびき出したのだ。
死体から離してしまえば、あのUCは意味を為さない。
「爆撃開始!!」
エメラの号令で、爆撃機の如く上空を編隊飛行する蒸気兵たちが一斉に砲火を放つ。
それは、正確に目標を狙い撃てる物ではない。
だが、狙いは他にある。
爆撃により地面が崩れ、崖となっていた場所がアカメの重さにどんどんと耐えられなくなっていく。
そして、ついにその体を地面から完全に引きずり出した。
崩れた崖から転落するように倒れるアカメ。
そこに、大量の土砂が崩れ落ちていった。
「さぁ、少なくともしばらくは動けないはず⋯⋯」
エメラの横に控えていたのは長大な砲身を持つ狙撃砲。
「撃てッ!!」
その号令と共に、重低音の発砲音と耳をつんざくキィィンという高音を伴う高速の徹甲弾が放たれた。
正確に撃ち抜かれる赤い孔。
貫通し、背後の壁に大量の肉片と共に突き刺さった徹甲弾は、体内の温度に焼かれて原型を留めていない。
奴の体内で溶けるということは、それはどんな弾丸を使おうがホローポイントなどに代表される高ストッピングパワーの弾薬を撃ち込むのと同じこと。
体内で形を変えた弾丸は、凄まじい衝撃で肉を抉り取ったのだ。
オアァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ
!!!!!!!!
悲痛な咆哮と、暴れようにもその体を押さえつけるように降り注ぐ土砂が自由を奪う。
「これもあげる⋯⋯気に入ってくれるといいけど?」
岩盤に撃ち込まれたアンカーにぶら下がりながら、ラングレーの主砲をその弱点へと調整していたアビー。
重低音と共に、至近距離から放たれた徹甲弾。
その衝撃で振れたウィンチロープが地面から抜け、ラングレーを放り出す。
「⋯⋯これは流石に⋯⋯⋯⋯ぐッ!!」
地面へと着地した瞬間、痛みで意識が飛びそうになるのを必死にこらえた。
『アビー!? 生きてる!?』
エメラからの通信に、かろうじて答えて見せた。
「まだ足は付いてるわ⋯⋯」
精一杯の強がり。
正直言えば、一瞬でも気を抜けば意識が飛びそうだ。
『撤退して!! 深追いは禁物よ!!』
静かに了解と返事をすると、あらかじめ入力していたエメラの元へとラングレーを自動操縦で向かわせる。
揺れる車内で彼女が気を失ったのは、そのすぐ後の事だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリス・セカンドカラー
【ジュゲム】
凍結属性攻撃を載せた選択UCで時さえ凍える絶対零度の檻に閉じ込めるわ。
アカメ自体は凍らずとも周りの時を止めれば結果は同じよ。そして、時から外れたアカメの慣性を操縦して、自転速度のままに凍えた時の壁に叩きつけて鎧砕きよ。
かなめんが騒音を出すらしいので選択UCでの時空間制御で指向性を与えてアカメにのみ効果を向けさせるわ。
散発的な攻撃だと表皮抜けそうにないし、味方の攻撃を時止めで一時保存して力溜め。充分に溜まったとこで封印を解くで一時保存を解除して、限界突破した飽和攻撃で蹂躙する鎧無視攻撃を一斉発射するわね。
ジェイ・ランス
【SPD】【ジュゲム】
■読み:ベルカん(ベルカ)、みれーちん(美麗)、アリスちん(アリス)、マリアちゃん(マリア)、かなめん(要)
※感情演算停止中は呼び捨て。
「おーおーでなすったでなすった!でっけーーーーーーーーなおい!?」
お、ピエからマリアちゃんになったか。策があるらしい。じゃあ囮は任せたぜ。オレにも策はあるが、集中しないとな。
感情演算一時停止。UC起動準備。戦場の再定義を行うまで、各々援護を求む。(感情が消え、双眸に無機質な虹色がともる)
…………アリスによる空間固定、ベルカの気体冷却、確認。UC「事象の檻」を戦場"アカメの肉体内外"へ展開。事象スクラップによる肉体の裁断を開始。
地鉛・要
【ジュゲム】アドリブ連携可
あのミミズって皆で食べても良いのか?・・・あ、そういえばオブリビオンは倒したら消えるんだっけ・・・
仕方ない。食べるのは諦めるか・・・
監視軍蟲を使用■空中戦、存在感、おびき寄せ、衝撃波、傷口をえぐる、呪詛を付与した■アカメの最も嫌う音で出す事に対応した蝉を召喚
拠点からある程度離した場所で空中で一か所に集めさせ■呪詛で最も不快になるに最適化し■衝撃波を出しながら大音量で鳴かせる
普通の蝉一匹でも五月蠅いレベルの音を出すが・・・さて、今のレベルで出せる蟲の数を一度に鳴かせたらどういうレベルになるか・・・気絶とかするのだろうか
音対策はアリスに任せた。適当に頑張ってくれ
ベルカ・スノードロップ
【ジュゲム】
アドリブ・連携歓迎
《選択UC》による空気の流れ操作で
要さんの虫たちによる爆音は、全てアカメにのみ届く様にして
意識をそちらに向けさせます(範囲攻撃)
「ぶよぶよで、攻撃が通りづらいというならば」
その上で、《選択UC》によるアカメ周辺の空気の瞬間冷却
空気を構成する二酸化炭素はもちろん、酸素や窒素さえも
液化を超えて凍り付く温度まで瞬間的に下げて
脂肪や吹き出る湯気も、アカメの体液さえ凍り付かせます(全力魔法)
「凍らせて、砕くまでです」
固めただけでは、攻撃は通りづらいままなので
「アリスさん、任せますよ」
時間凍結が済んだら、あとは自信と味方の防御に注力しましょう
マリア・フォルトゥナーテ
【じゅげむ】
アドリブ連携歓迎
他者呼び捨て
「虫ケラめ。不死の炎で裁かれろ」
腕を上げると同時に、空からアカメと同じくらいのサイズの燃え盛る不死鳥が現れ、腕を振り下ろすと虫を捕食するが如く襲いかからせる。
虫にとって天敵の火と鳥を合わせた召喚獣は、アカメに回避行動を取らせるだろう。
倒しきれるならそれに越した事はないが、最悪無視されなければいい。どうせ不死鳥は地に潜らせるための囮だ。それさえできれば役目は果たせる。
「やはり、心なき虫ケラの悲鳴は腹の足しにもならん。事が済んだら、救ってやる人間共を報酬代わりに嬲るとしようか」
緋神・美麗
【ジュゲム】
呼び方:名前+さん
アドリブ・連携歓迎
やっと本命が出てきたわね。聞いてた通りやたらでかいわねぇ。後、思った以上にグロテスクね…。さっさと終わらせるとしましょうか。
念の為蝉の爆音対策に耳栓を用意しておく
雷天使降臨で飛翔しながら超巨大電磁砲で質量弾を撃ち込む
アカメが地中に潜ったらアカメが起こした地盤沈下に超巨大電磁砲を撃ち込み更に地形を破壊してアカメのバフの解除と地上への誘い出しを試みる
土砂に埋もれていた肉体がその土砂を噴き上げて暴れていた。
オォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ
!!!!!!
今日一番の咆哮だった。
目覚めたミミズは、遠目から見れば龍にも見えたことだろう。
近くで見ればブヨブヨの白い肉塊であることには変わりないが。
「おぉ~。デカいデカい⋯⋯かなめんのムカデとどっちがデカいかね?」
ジェイが少し興奮したように話す。
もちろん、彼とて状況を理解していないわけではないが、その巨躯を前に少し高ぶっているのだろう。
「単純なサイズなら俺のムカデのが上だな⋯⋯却下」
要が淡々と言った。
「え~、まだなんも言ってないんだけど⋯⋯」
だが、そこにいた者たち全員がジェイの言おうとしたことに気付いていた。
「どうせ、ムカデとミミズで怪獣対決させようとか言うんでしょ?」
呆れたように美麗が言う。
「あの分厚い肉の塊をよく見なさいな。いくらムカデに毒があるといっても、あの脂肪が相手じゃ牙が届かないわよ⋯⋯よく見るとほんとにグロテスクね⋯⋯」
冷静にその巨躯を分析する美麗はげんなりとした顔になった。
たしかに、あまり注視したい見た目ではない。
「⋯⋯おそらく、巻き付いて噛みつこうものなら、逆に頭から食いつかれてムカデの負けでしょうね⋯⋯」
ベルカも、今回のジェイの意見には否定的だ。
「ふん、虫ケラめ。図体ばかりデカいだけで話にならん。とっとと片付けるぞ」
そういうマリアはまた何か様子がおかしい。
さっきまでの物静かな雰囲気はどこへやら、ベールを脱いだその顔は、すべてが敵だといわんばかりの挑発的な目をしていた。
「おや、今度は“そちらのマリアさん”なんですね?」
ベルカが相変わらずの笑みで聞く。
「あぁ、面白そうだから出てきてみればこの有様だ。とっとと片付けて生き残り連中でも嬲って楽しんだ方がまだ⋯⋯」
その瞬間、ベルカがぐっとマリアの腕を掴むと、張り付いた微笑みはそのまま、マリアの耳元へと囁く。
「⋯⋯あなたの事は理解しているつもりですが⋯⋯許しませんよ。それだけは」
這い寄るような悪寒にベルカの腕を振り払うマリア。
「五月蠅いッ!!」
普段のベルカですら、少し掴みどころのない雰囲気はあった。
だが、今の悪寒はいったい⋯⋯
「それで、いちゃいちゃしているところ悪いのだけれど、どうするの、あれ。手に負えないレベルで怒ってるみたいだけれど?」
アリスの声にアカメの方を見やれば、のたうち回り血を噴きだし、せっかく崩れて生き埋めの状態だった巨躯が、今まさに自由にならんとしていた。
「⋯⋯逃がしゃしないわ。片付けるわよ、みんな!!」
美麗が号令をかける。
だが、ちまちまとダメージを与えたところで埒が明かないのは明白だ。
「ふふ⋯⋯なら、一気に大ダメージを与えてあげましょうか⋯⋯要⋯とか言ったわよね?」
アリスが要の方を向いた。
「⋯⋯ん? 要は俺だぞ?」
面白そうな笑みを浮かべ、アリスは要へと近づき話す。
「ちょっと手伝ってほしいんだけど⋯⋯いいかしら?」
者によっては、その妖艶なしぐさを前に断るなどという選択肢はないだろう。
「何をすればいいんだ?」
だが、要は一切動じた様子も、何かを感じた様子すらなく、無気力な声を上げる。
――うーん⋯⋯本当につまらないわねぇ⋯⋯――
そんな要の様子に少し呆れたような顔を作ったが、それでも話を続ける。
⋯⋯あれを殺すための作戦を。
「大丈夫か?」
要が聞く。
アリスの作戦を聞いた面々が、皆一様に心配そうだった。
「このさい、多少の寿命は必要経費ってことで諦めるわ。それに、あれを殺さなきゃいけないんでしょ?」
あくまで笑うその顔からは、悲壮感などといった感情は読み取れなかった。
「だけど、もし心配してくれるんだったら、できうる限り短時間で済ませて頂戴?」
そう言って全員を見た。
「⋯⋯アリスさんがそう言うのなら⋯やってみますか」
ベルカはまだ何か考えていたようではあったが、それでも時間を掛けられないことは分かっているつもりだった。
やるなら確実に、素早く行う必要がある。
「よし、んじゃあやってみるとすっかね!」
膝をポンと叩き立ち上がるジェイ。
「⋯⋯準備出来たぞ。いつでもいい」
「はやっ!?」
ジェイが立ち上がる勢いのままにズルっと体勢を崩す。
「じゃあ、お願いね♪」
アカメの周囲で、何かが鳴いていた。
その脂肪が震えるほどの大音響。
音の方向へと全速力で動き出す。
そもそも、アカメは本当に音が嫌いなのか?
否。
この作戦にかかわるすべての人間が誤解している。
生物であるアカメにとって、音とは即ち自身のエサを探すための情報である。
この怪物が時折地上付近を潜行するのは、そうすれば自身の狩場に餌が紛れ込むことを知っているからだ。
地表付近で大きな音がすれば、それはそこに大量の餌があると言う事。
この怪物のちっぽけな脳みそに、好き嫌いなんて物は存在しない。
⋯⋯ただ、空腹のみに突き動かされ、その巨躯を猛進させる。
ここだ。
頭上から喧しい声が響いていた。
「おい、跳んだぞ!?」
要の虫たちが鳴り響かせる大音量の合唱。
アリスの能力で指向性を与えてなお耳に響く程の音に向かい、その巨躯を跳ね上げたのだ。
「おびき寄せは成功したんだ、やるぞッ!!」
マリアが手を上げると同時に現れる不死鳥。
獄炎に身を包むそれが、アカメへと突貫する。
炎と鳥。
普通に考えれば、虫ケラにとってこれ以上の天敵はあるまい。
⋯⋯普通の虫なら。だ。
跳ね上がり、要の虫たちを捕食したアカメは、その巨躯を地面へと潜り込ませるように頭から地面へと潜り込む。
その勢いで振り上げられた尾が不死鳥を返り討ちにしてしまう。
「かかったな!!」
だが、まだ想定の範囲内だ。
⋯⋯少なくとも、地面に潜り込んでくれたのなら。
「いっせーの!!」
美麗の全力を込めた巨大レールガン。
その弾丸が地面を抉る。
「居ないっ!?」
深く抉れた地面に奴はいない。
オォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ
!!!!!!
咆哮と共に、再び地表へと現れたアカメ。
「おい⋯⋯マジかよ⋯⋯⋯⋯」
その狙いは⋯⋯先程の不死鳥だった。
不死鳥が悲鳴を上げてその羽をばたつかせるがもう遅い。
その巨大な大顎が、不死鳥を粉々に粉砕するのは一瞬だった。
「⋯仕方ないわねッ!!」
普段あまり声を荒げないアリスが叫ぶと同時に時を止めた。
「みんな!! 悪いけどもう、こうするしかない!! ありったけの火力をッ!!!」
アリスの言葉に、全員が自身の全力の攻撃を放つ。
「こうなったらやるしかありません!!」
ベルカの全力の魔法が、アカメの周囲を凍らせる。
分厚い脂肪を凍らせて砕く。
そうすれば、内側の肉が現れるはずだった。
「⋯⋯なんで凍らないんですッ!?」
ベルカの全力をもってしても、その肉体に秘めた熱は凍らない。
怒り、そして高まる血流が、その肉体を包んでいたのだ。
「もう⋯⋯もたないっ!」
アリスの限界が訪れた。
「くそったれがッ!!!」
まだだ。
まだあいつを殺しきるには足りない。
「ジェイ! やってッ!!!」
アリスが最期の力を振り絞る。
アカメそのものの肉体を、戦場と定義する。
アカメに一気に降り注ぐ全力の攻撃。
更に、その肉体を迷宮で裁断する。
だが⋯⋯その規模が足りない。
着弾した攻撃は、ブヨブヨの脂肪を吹き飛ばした。
ジェイの迷宮は⋯⋯その表面の脂肪と、尾先を切断するに留まる。
「みんな逃げて!!」
その攻撃は奴の怒りを買ったはずだ。
美麗の声はもう遅い。
地面へと再び潜行したアカメは⋯⋯
現れなかった。
「⋯⋯逃げた?」
ベルカが呟く。
否。
アカメは、もはや戦う理由が無くなったのだ。
その胃袋には大量の肉。
バルーンや、要の虫たち。そして不死鳥。
久方ぶりの大量の獲物に満足したそれは、ただ戦う理由を失い帰っていっただけだ。
「⋯⋯腑に落ちないわね」
たとえ逃げられたのだとしても、パッとしない終幕だった。
「⋯⋯久しぶりだな⋯⋯素直に悔しい」
要のその眼にも、怒りの様な色が映る。
「⋯⋯⋯⋯行きましょう。これでも作戦は成功のはずです⋯⋯⋯この借りは⋯⋯いずれ⋯⋯⋯⋯」
ベルカの声に、皆が立ち上がる。
フィサリスの元へと戻る彼らの心に、勝利の高揚感など存在しない。
⋯⋯ただ、試合に勝っただけだ。
その勝負は⋯⋯敗北だ。
苦戦
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最終結果:成功
完成日:2020年02月10日
宿敵
『アカメ』
を撃破!
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