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元旦の吉方参り

#サムライエンパイア #【Q】 #お祭り2019 #冬休み


 年の終わりが近づくグリモアベースにて。
「サムライエンパイアでは『元旦に吉方参りをする』みたいだねぇ」
 言い慣れない言葉を楽しそうに口にして、九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は話し出した。
 夏梅自身馴染みのない言葉だから、と解説を付け加えると。
 元旦、は新年最初の日の朝のことで。
 吉方参り、とはその年の『吉方』の方角にある寺社に参拝すること、だそうだ。
 ちなみに2020年の吉方は、西南西やや西、らしい。
 本来なら、自分の住む家から吉方にある寺社へ出向くものではあり。
「皆それぞれ吉方が違うことになるんだが、まあ、堅いことは言いっこなしだ。
 この世界の文化体験、ってことで1つ、寺に案内するよ」
 まあ、同じサムライエンパイアでも、地域によって風習や作法に差異はありますし。
 吉方に寺社がなければ、一旦別の方向に進んで、寺社が吉方になる位置にまで遠回りすることもあるそうですし。
 とりあえず、と夏梅は江戸にほど近い場所を指し示す。
 そこは、小高い丘程度のちょっとした山の上にあるお寺で。
 常緑の木々に囲まれた200段程の階段を上った先にあるという。
 尚、階段はお寺が吉方になるよう入れる方角にあるので丁度いいですね。
「周囲より少しだが高い場所だからね。見晴らしは悪くない。
 早く行けば初日の出も拝めるんじゃないかね」
 そして、境内にはおしるこを振舞う屋台が出ており。
 本堂の横ではおみくじを引いたり、開運札や御守り等の授与もできる。
「多少ごたついてはいるが、皆が守った平和な世界だ。
 その一端を感じて過ごしてみるのもいいことだろうよ」
 ゆるりと微笑んだ夏梅は、良いお年を、とまた慣れない言葉を口にした。


佐和
 こんにちは。サワです。
 吉方は恵方とも書くそうです。
 恵方巻き、とかでこちらの方がおなじみですね。

 元旦、日の出前から10時頃までのご案内です。
 早起きして行ってもよし、のんびりと日が昇ってから行ってもよし。
 冬なので寒いですが、雪が降る程ではありません。積雪もないです。
 案内先は階段下になりますが、階段を登り切ってからのプレイングも可能です。
 また、一応、吉方参りメインとしていますが、初日の出やおみくじ等、他の事に重点を置いていただいても構いません。
 フラグメントの選択肢も気になさらずに、ご自由にお過ごしください。

 それでは、新年最初の朝を、どうぞ。
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第1章 日常 『サムライエンパイアの冬を楽しもう』

POW   :    体力の限りを尽くし、力いっぱい、サムライエンパイアの冬を楽しむ

SPD   :    遊びに参加したり、料理や作品を作ったり、クリエイティブに冬を楽しむ

WIZ   :    恋人や友達と一緒に、サムライエンパイアの冬を幸せに過ごす

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ラムル・クルトア
アドリブ交流歓迎

吉方参り…へぇ、方角も大事なんだ?
異文化に興味津々

日が昇ってから出発
タマさんとシロ、2匹の猫と一緒に景色を楽しみつつのんびり登る
2匹は駆け登ってはこちらを見て『早く早くっ!』と急かす様に『にゃぁ』と鳴き
追いつけばまた駆け登り…
「二人とも早いなぁ…と、着いたみたいだね」
そうこうする内に到着、参拝
(今年も素敵な1年になりますように…)

「おみくじ…?」
と書かれた箱を見つけて首を傾げ、気になったので引いてみる※結果お任せ
「―…だって」
猫2匹に内容を読んで聞かせる
「…つまり、これは俺へのアドバイスって事だね」
内容の良し悪しに関係なく真摯に受け入れる

新年早々、色んな体験ができて楽しかったよ



「吉方参り……へぇ、方角も大事なんだ?」
 興味津々に聞いた話を思い出すラムル・クルトア(ヤドリガミのウィザード・f10895)は、その吉方へと伸びる階段を見上げて面白そうに微笑んだ。
 もう大分昇った朝陽が照らし出す石段に、それでは、と足を踏み出すと。
 その横を黒猫と白猫が走り抜ける。
 足の先と尻尾の先が白い黒猫が、先導するように駆けあがれば。
 毛並みが綺麗な白猫が、追いかけるように後ろについて。
「2人とも早いなぁ……」
 思わず呟くラムルが少し見上げるくらいの位置で、白猫が立ち止まり振り返ると、黒猫も近くの段に座り込んだ。
「シロ、待っていてくれるの?」
「にゃぁ」
「あはは。タマさん、急かさないで」
 そんなやり取りをしながら、ラムルは猫達のいる段に辿り着き。
 するとすぐさま、黒と白は階段を駆け上っていく。
 そしてまた、少し先の位置で振り返ると。
「にゃぁ」
 再び黒猫の声が降りてきた。
 その様子にくすくすと笑って、ラムルはゆっくりと石段を登る。
 周囲の木々にも視線を向けながら、猫達に追いつくこと何度目か。
 ふと、後ろを振り返ると、眼下にサムライエンパイアの街並みが小さく見えた。
「……うん。途中からでも結構いい景色」
 頂上からの眺めも楽しみだと思いながら、また急かす声に応えて石段を登る。
 辿り着いた先では、それなりの人出で寺は賑わいを見せていて。
 他の人達に倣うように、ラムルも参拝の列に並んでいく。
 近づく本堂を興味深く眺めているうちに、あっという間に順番になり。
 ラムルは見様見真似で手を合わせた。
(「今年も素敵な1年になりますように……」)
 それは、祈りであり願いであり、もしかしたら目標でもあったかもしれない。
 最後に改めて一礼を送ってから、ラムルは本堂を後にして。
 そういえば、と辺りを見回すと、黒猫と白猫は、踏まれるのを避けるように、人混みから少し外れた場所に座って待っていた。
 合流しようと歩き出したところで、ラムルは、参拝とは別の場所に人々が集まっているのに気付く。
 そこにあったのは、上部に丸い穴が開いた木箱。
 その側面には毛筆の文字が書いてあって。
「おみくじ……?」
「おう、兄ちゃんも引いてくかい?」
 不思議そうに読み上げた声が聞こえたのか、木箱の近くにいたおじさんがひょいひょいと手招きして教えてくれる。
 言われた通りに1つ、手に取り上げて。
 おじさんにお礼を言ってから、やっと、猫達の元へと辿り着くと。
 ほら、と見せたおみくじに、ふんふんと白い鼻が近づいて、ちょんちょんと先っぽだけが白い手が伸びてきた。
 その様子に微笑んだラムルは、そっとおみくじを開いて目を通し。
「玉が石の中にかくれているようで、誠の眼を以ってすれば現れる……だって」
 吉、と書かれた横に続く文を読み上げてみせると、白猫がこくんと首を傾げる。
 ラムルも、少し独特な言い回しに、難しそうに苦笑して。
「んー……つまり、これは俺へのアドバイスってことだよね?」
 何事もしっかり見るのが大事、ってことなのかな、と問うような視線を向けると、黒猫は黙ったまま、きゅっと両目を閉じた。
 ラムルは苦笑を深め、おみくじを元通りに折り畳んで。
 顔を上げると、陽の光に照らされた緑が、そして人々の暮らす街並みが、目の前に広がっている。
 それは階段の途中で見たものよりも、さらに小さく、さらに広い、綺麗な景色。
「新年早々、色んな体験ができたね」
 おみくじを握りしめたまま、朝陽に青瞳を細めると。
 足元で猫達の鳴き声が唱和した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニナ・グラジオラス
リナ(f04394)と参加

良い方向を向いて歩くって言うのは言葉としてもいい響きだし、面白い
私は寒いのは得意なんだ。リナこそ大丈夫か?
(カガリも屋台と言う言葉に嬉々としてシッポをパタパタ)

(意図的に置いていきそうな兄とかその親友とか、
忘れそうなリナの父親とかを頭に描いて噴出して)
本当にな、ウチにはお守りを携帯しないのが多そうだ。特にリナのお父さん

それなら各家に置いておいた方が安心、ってサダさん(※父親)達の分もか?
リナは本当にサダさん好きで妬ける…そうだ、それじゃあ私はリナとお揃いの御守り買おうかな

何がいいだろう。この、緑の学業成就とかどうだ?
恋愛成就…はちょっとな。赤で健康祈願とかでもいいかも


木槻・莉奈
ニナ(f04392)と

方角でお参りする場所を決めるって、不思議だけど面白いわよね
ニナ、寒くない、大丈夫?
カガリ、登りきったら屋台も出てるって、頑張りましょうね

おみくじも気になるけど…
開運札っていうのが、個人で持つ奴じゃなくて家に飾るものだって聞いたの
個人で持つ奴だと意図的に置いていきそうな奴とか忘れそうな人とかいるけど、家用なら皆守ってくれそうかなって
だから、Advの分と、師匠達の分と、パパの分とで買おうかなって
そうそう、パパは絶対忘れてく、もしくはどこかで失くすんだわ
※師匠=ニナの父、猟兵としての師匠

師匠達も好きだけどニナも大好きよ

ニナとお揃い…!
ふふ、嬉しい、どっちにしようか迷っちゃうわね



 陽が昇り、周囲が明るくなっても、季節は冬。
 日差しの温かさよりも、空気の冷たさの方が染み入ってくるようで。
「ニナ、寒くない? 大丈夫?」
「私は寒いのは得意なんだ。リナこそ大丈夫か?」
 寺への階段を上る木槻・莉奈(シュバルツ カッツェ・f04394)がちらりと隣を振り向くと、ニナ・グラジオラス(花篝・f04392)は微笑を浮かべて見せる。
 私も大丈夫、と笑顔を返して、莉奈はまた歩を進めて。
 目の前にまだまだ続く階段を見上げた。
「方角でお参りする場所を決めるって、不思議だけど面白いわよね」
 それは、聞いたばかりのこの辺りの風習。
 自分の吉方にある寺社へ参拝する、という元旦の習わしで。
「良い方向を向いて歩くって言うのは言葉としてもいい響きだし、面白い」
 ニナも見上げる階段の頂上は、ちょうど今年の吉方に当たっていた。
 そんなことも思いながら、ニナと莉奈は、1段1段、ゆっくりと登っていく。
「カガリ、登りきったら屋台も出てるって。頑張りましょうね」
 その周囲をふわりと飛んでいた小型の焔竜は、莉奈の声に嬉しそうに尾を振り。
 早く早くと急かすかのように、くるくると周囲を回り始める。
 浮かるその様子に、主であるニナも微笑を浮かべ、変わらぬペースで進んでいった。
「お寺だから、おみくじもあるわよね。
 あと、開運札っていうのもあるかしら?
 個人で持つやつじゃなくて、家に飾るものだって聞いたの」
 階段の先に人影が見えてきて、寺が近いと感じるようになったからか。
 莉奈が、思い出したように参拝後の話を始めて。
「個人の御守りだと、意図的に置いていきそうな奴とか忘れそうな人とかいるけど。
 家に置いておくのなら、皆を守ってくれそうかなって」
 ちょっと怒って見せるように口を尖らせて文句を言う莉奈に、その矛先が向かっている相手の姿を正確に脳裏に描いたニナも、思わず吹き出す。
「本当にな。ウチには御守りを携帯しないのが多そうだ」
 受け取ったその場に置きっぱなしにしそうな愚兄とか。
 ああどこやったっけかな、と悪びれなく言いそうなその親友とか。
 大切に肌身離さず、なんて姿が欠片も想像できない人達ばかりで。
「特にリナのお父さん」
「そうそう、パパは絶対忘れてく。もしくはどこかで失くすんだわ」
 その筆頭だと言うように挙がった存在に、莉奈とニナは顔を見合わせ頷き合うと、すぐに笑みがこぼれていった。
 そんな会話を弾ませるうちに、階段は終わり、寺へと辿り着いて。
 周囲の人の流れに倣いながら、辿り着いた先で早速お札を見てみることに。
 目当ての開運札を見つけた莉奈は、数を確認するように呟きながら手に取ると。
「パパの分と、Art de vivreの分と……あと師匠達の分かな」
「……サダさん達の分もか?」
 愚兄達と共に2人が暮らすシェアハウスの名前に続いて、父の呼び名が挙がり、ニナは緑色の瞳を見開いた。
「リナは本当にサダさん好きで妬ける……」
 苦笑を浮かべて見せると、気付いた莉奈がニナの腕にぎゅっと抱き付いてくる。
「師匠達も好きだけど、ニナも大好きよ」
「ありがとう」
 向けられる真っ直ぐな緑色の瞳には好意が溢れているから。
 ニナの表情も綻んで、また仲良く2人は笑い合った。
 そして、そうだ、とニナは思いついたように視線を巡らせると。
「それじゃあ私は、リナとお揃いの御守りをもらおうかな」
「ニナとお揃い! ふふ、嬉しい」
「ちゃんと持っていてくれるだろう?」
「もちろんよ。パパと一緒にしないで」
 冗談めかした言葉も交わしながら、御守り袋の前へと場所を移していく。
「何がいいだろう。この、緑の学業成就とかどうだ?」
「こっちのピンク色のも可愛い……けど、恋愛成就、なのね……」
「うん……ちょっとな……
 そっちの赤い健康祈願でもいいかも」
「どっちにしようか迷っちゃうわね」
 悩む時間も楽しくて、色で決めようか御利益で決めようかと話していると。
 不意に、くいっと莉奈の袖が引かれ。
 振り向くと、焔竜がぱたぱたと大袈裟に翼を羽ばたかせていた。
 それは主達を急かすようであり、待ちきれないと言うかのようだったから。
 莉奈は一瞬だけ驚いて、すぐに吹き出すように笑顔をこぼす。
「分かってるわよ、カガリ。ちゃんと屋台も行くから」
「おしるこ、のようだな。カガリは食べられるのか?」
 ニナも宥めるように焔竜の頭を撫でて。
 そして2人は、屋台へ向かうために、揃いの御守り袋へ手を伸ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天道・あや
【芋煮艇】

今年の初詣はツムギさんとサムライエンパイアで! というわけで早速初詣にレッツ…おお!?本当に凄い階段…あっ、そうだ!せっかくだしツムギさん競争しましょう!一について、よーい、ドンッ!うおお!ダッシュ…ってツムギさん輝いてる!?
ま、負けられないあたしもあんな風に輝けるように更に全力ダッシューー!(勝敗お任せします)

つ、着いた…よし、息整えてお参り!そしてその後お汁粉貰ってツムギさんとエンパイアの街を見ながら食べる!

うーん、去年頑張って守った世界の綺麗な街並みを見ながらのお汁粉…美味しい! ツムギさん!誘ってくれてありがとっ!今年もよろしく、ねっ!


ツムギ・オーギュスト
【芋煮艇】

あけましておめでとー!
何事も始まりが大切!そして今日は一年の始まり!
という訳であやちゃん!階段上のお寺まで全力ダッシュの競争だ!

迸るは黄金のオーラ!このまま境内までひとっ飛びもできるけど勝負だし今日は封印!
約二百段!息は切れるけど心は軽い!
ひたすら走って登って上を目指したいってあたしの意志と!そして同じ方向へ突き進むあやちゃんがいるから!
意志のオーラをキラキラ輝かせながら一段一段踏みしめ噛みしめかけ上がる!

ついたー!ゴール!
丘から見える景色を眺めつつお汁粉でほっと一息。
全力振り絞った後だから気分も爽やか!
新年最初のいい勢いのまま突き進むつもりですので!
今年もよろしく!あやちゃん!



「あけましておめでとー!」
「おめでとうございます!」
 階段下で元気に新年の挨拶を交わすのは、ツムギ・オーギュスト(dance légèrement・f19463)と天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)。
 ぺこりと会釈も交わした後は、少し照れたように笑いあって。
 そして。
「何事も始まりが大切! そして今日は1年の始まり! という訳で……」
「というわけで、早速初詣にレッツ……」
「階段上のお寺まで全力ダッシュの競争だ!」
「うおお!?」
 急に始まる階段レース。
 走り出したツムギにつられるように、位置についてよーいドン、の掛け声もできないまま、あやもダッシュをかける。
 その行く手にそびえ立つのは、見上げる程長い長い階段。
「本当に凄い階段……って、ツムギさん輝いてる!?」
 そして、全身に黄金のオーラをほとばしらせた赤髪少女の後ろ姿だった。
 スーパー・ジャスティスで飛翔能力も得たツムギは、このまま境内までひとっ飛び、ともできたけれど。
(「勝負だし、今日は封印!」)
 意志のオーラをキラキラ輝かせながらも、自身の足で駆け抜けていく。
「ま、負けられない!
 あたしもあんな風に輝けるように、更に全力ダッシュー!」
 あやも足に力を込めて、ツムギの背中に追いついていった。
 目指すスタァになるために。
 夢を照らせる一番星を目指して。
 そして何より、友達と一緒に歩んでいくために。
 あやは息を切らせて階段を駆ける。
 ツムギの息も上がっていて、半分を過ぎればさすがに足が重くなってくる。
 それでも、心はとても軽くて。
(「ひたすら走って登って上を目指したいってあたしの意志と!
 そして同じ方向へ突き進むあやちゃんがいるから!」)
 まだまだ行ける。前へ進める。
 隣で揺れる黒髪に、口の端に笑みをこぼしながら。
 1段1段、踏みしめ、噛みしめ、駆けあがる。
 それぞれの目指す未来へ突き進む少女達は、今は階段を真っ直ぐに登っていって。
「ついたー! ゴール!」
「つ、着いた……」
 ほぼ同着ながらも僅かに1歩ツムギが先に、頂上へと辿り着いた。
 それはもうスタートの差だけで、後はもう互角の接戦を繰り広げた結果だったから。
 互いの健闘をたたえ合うかのように、ツムギとあやは笑顔を交わす。
「それじゃ、お参りしよう」
「それからお汁粉、ねっ」
 そして仲良く連れ立って、息を整えながら参拝の列に並んだ。
 新年早々、全力を尽くした競争に、気分はとても爽やかで。
 少し感じる疲労さえも、どこか心地よいもの。
 お参りをして、おしるこを貰って、眺めのいい場所に並んで座って。
 甘さと温かさにほっと一息つくと、あやが思い出すのはこの地での戦い。
「うーん、去年頑張って守った世界の綺麗な街並みを見ながらのお汁粉……美味しい!」
 緑の木々の向こうに見えるのは、煌びやかでも豪華でも特別でもない、サムライエンパイアのごくごく普通の生活。
 でも、それこそが大切なもので。
 あや達猟兵が守り抜いたものだったから。
 改めてそれを体感し、実感しながら、甘味に舌鼓を打つ。
 猟兵冥利に尽きる新年の始まりに、そして染み入る温かさに、口元が綻んだ。
「ツムギさん! 誘ってくれてありがとっ!」
 振り返り、隣のツムギに満面の笑みを向けると。
 金色の瞳に笑みをたたえたツムギは、親指から中指までを立てた手をかざして応える。
「新年最初のいい勢いのまま突き進むつもりですので!
 今年もよろしく! あやちゃん!」
「こちらこそ、今年もよろしく、ねっ!」
 そして少女達は、今年も走っていく。
 それぞれが目指す、輝く未来へと向かって。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

暁・紅華
吉方参りねぇ。何すればいいのかよくわかんねーけど、なんか楽しそうだし行ってみるかな。

うげっ。何段あるんだこの階段……。
だが、上りきったらおみくじとか出来るんだったか?

ふぅ……。やっと上りきった……。
へぇー。こんな風になってんだな。
せっかくなら誰かと来たかったが。
(青髪の少女を思い浮かべながら。)

さてと、参拝しておみくじ引いてみるかなー。
(結果はおまかせします。)

お? なんかいい匂いする。せっかくだし、食べようかな。
(おしるこを貰いに行く。)
お餅うまー。

一人でも楽しめるもんだな。機会があればまた来てみるのも悪くないかもな。



「うげっ。何段あるんだこの階段……」
 階段を見上げた暁・紅華(流浪の吸血鬼・f14474)は、思わず顔をしかめていた。
「吉方参りねぇ」
 良い方角にお参りする、という風習に、なんか楽しそうと思って来てみたけれど。
 いきなり立ちはだかった試練を目の前に、早速、後悔が紅華の頭を過ぎる。
 くるりと回れ右をしたい衝動も感じながら。
 それでも、異文化への興味が完全に消えることはなく。
「……上りきったらおみくじとか出来るんだったか?」
 お楽しみをあえて口にして、よし、と紅華は長い長い階段を登り始めた。
 ただの階段なら、途中であきらめていたかもしれないが。
 子供達が元気に遊びながら横を走り抜け。
 疲れてへたり込んだ男をからかいながらも応援する友がいて。
 途中で休んでいた老婆がにこにこと話しかけてくる。
 そんな小さな交流と、そして、ふと振り向いた時に広がる眼下の景色があったから。
(「悪くはない、な」)
 小さく微笑んだ紅華は、1段1段、止まることなく登っていく。
 そして。
「ふぅ……やっと上りきった……」
 流石に大きく息を吐きながら、辿り着いた頂上の様子を見回す。
 古いがよく手入れされたお寺と、それを囲む常緑の木々。
 集まって新年のあいさつを交わしたり、参拝に並んだりする人々。
 こじんまりとしているけれども温かな光景に、紅華は赤い瞳を細め。
(「せっかくなら誰かと来たかったが」)
 思い浮かんだのは、長く艶やかな青髪を揺らす少女の姿。
 自然と零れた微笑を振り払い、誤魔化すように、紅華は声を上げた。
「さてと、参拝しておみくじ引いてみるかなー」
 そして、人々に倣って列に並べば、周囲の男達が参拝の作法を教えてくれて。
 おみくじ、と書かれた箱へ近づき、興味津々覗き込んでみれば、女達が手本のように先に引いて、その結果に一喜一憂していく。
 紅華も1つ、引いた紙束を開いてみると。
『すこしの苦労があっても よき人の助けもあり
 慎み 心正しければ 道は開け幸せ来る』
 少し硬い言い回しで書かれた言葉に、くすりと笑みが零れた。
 そこに、屋台の方から声がかかる。
 顔を上げると、参拝の列で一緒だった男達が、こっちに来いと手招きをしていて。
「お? なんかいい匂いする」
 甘い香りに誘われるままに受け取ったのは、おしるこの椀。
「お餅うまー」
 せっかくだからといただけば、だろ? と男達が楽しそうに笑った。
 子供達も集まってきた屋台は一気に賑やかになって。
 その喧騒を少し離れた場所から眺め、紅華はおしるこをすする。
「……1人で来ても楽しめるもんだ」
 1人だけど独りじゃない、そんな雰囲気を感じつつ。
 機会があればまた来てみたいという思いを抱きながら。
 ふと振り向き、紅華は登ってきた長い階段を見下ろした。
「悪くない、な」

大成功 🔵​🔵​🔵​

花型・朔
よぉっし元旦! やっぱり初日の出は見に行かないとね!
200段の階段? 軽い足取りで登っちゃうよ! と思ったけどはりきって着物を着てきたからあんまり派手な動きはできないね。
大人しく周りの皆のペースに合わせて登って行こう。

たどり着けばまだ辺りはまだ薄暗い。
いい場所とって、おしるこのんびり食べながら日の出を待とうかな、と周りを見渡して目に入った【おみくじ】に近寄る。

折角だし一度は引いておかないと。悪い事が出たら補うようにお守り買っていこうかな。怪我をするなら健康のお守り、とかね(内容おまかせ)
あぁもう日の出!? おしるこ…日の出を拝んでから絶対買うから売り切れないで~!



 様々な人々が参拝するその寺は、日の出前から既に賑わっていた。
「元旦とくれば、やっぱり初日の出から見ないとね!」
 時を戻して、暁の頃。
 まだ薄暗い階段を行くのは、花型・朔(冒険に夢見る學徒兵・f23223)。
「よぉっし! 登っちゃうよ!」
 200段もあってもなんのその。
 軽い足取りでひょいひょいと……と思った朔だけれど、その身に纏うのはいつもの袴ではなく、はりきって着付けてもらった鮮やかな着物。
 オレンジ色の布地には、綺麗なボタンの花が咲き。
 帯は後ろで大きく結ばれ、ボタンの造花を飾った飾り布をひらりと揺らす。
 いつもはリボンで軽く1つに結わいているだけの赤茶の髪も、可愛らしくもしっかりと結わいてもらって、こちらにもボタンの簪が花開いていた。
 そんなきちっとした盛装に、あまり派手な動きは似合わず。
 大人しく周りの皆のペースに合わせてゆっくりと、でもその足どりは軽いまま、どこか陽気に朔は階段を進んでいった。
 思ったよりも時間がかかって、ようやく頂上に辿り着いたけれども。
 まだまだ辺りは薄闇に覆われていたから。
「おしるこのんびり食べながら日の出を待とうかな」
 甘い香りに惹かれつつ、良い場所はどこだろうかと辺りを見回す。
 その途中で、ふと朔の目に留まったのは、おみくじの箱。
「折角だし、一度は引いておかないと」
 青い瞳を楽し気に輝かせて、折りたたまれた紙が幾つも入った箱に、朔は無造作に手を突っ込んだ。
「悪い事が出たら、補うようにお守り買っていこうかな」
 がさがさとかき混ぜるようにしながら1つを握り、引き上げて。
 逸る心のままにわくわくと開いてみれば、授けられる託宣。
『山を掘って 金を得るように はじめは苦労があるが 後に幸せが来る』
「つまり……えぇ? いいのかな? 悪いのかな?」
 どこか独特の言い回しに、判断を迷わされ疑問符が浮かんでいく。
 首を傾げながら読み進めていけば、その後には様々な運勢も書いてあって。
『病気 長引くとも快方にむかう』
『失物 おそくとも出る』
『恋愛 はじめは意に任せないが慎重にすれば後によくなる』
『待人 来るがおそい』
「だからこれ、いいのかな? 悪いのかな?」
 御守りはいるのだろうかと悩みながら、おみくじとにらめっこをしていると。
 辺りが明るくなってきて、周囲が騒めき出した。
「あぁ! もう日の出!?
 おしるこ……日の出を拝んでから絶対買うから売り切れないで~!」
 朔も慌てて、おみくじを握り締めたまま、見晴らしの良い場所を探して走り出す。
 初日の出を目当てに来ていた人達に、階段近くの開けた場所は、真っ先にとられてしまっていたけれども。
 あわあわうろつくそのうちに、木と木の間が窓のように空いている場所を見つけて。
 気付いた者の少ないその特等席で、朔は、新年最初の朝日を出迎えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月07日


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト