熱戦開幕! 雪のサムライエンパイア
●雪見村の風景
白。
降り積もった雪の色だ。
しかし、そんな寒々しい景色の中、妙に力強い気配を放つ人影があった。
「今年も雪合戦の季節がやって来たぜぃ……!」
ごごごご……。
背後から、轟音が響いてくるような。全身から熱気が湧きたつような。
はちまきを巻いた、たくましい体つきの男達。彼らは自らをこう呼んだ。『雪合戦サムライ』と……!
●冬の祭り
「バーン! 新たなる年の幕開けでございます」
ヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)が、擬音と共に、新年の到来を祝した。
「サムライエンパイアでは特に、冬という季節にイベントごとが多いようでして。そこで皆さまにはこの季節を存分に楽しんでいただきたいと考えました」
ヴェルタールは、『雪見村』なる村で、毎年開催されるという雪合戦の案内を始めた。
「雪合戦……それは敵味方に分かれ、雪玉を武器として競い合う、冬限定の戦いでございます」
猟兵のエンパイアウォーにおける活躍は、人々に知れ渡っている。そこで雪見村では今年、猟兵を招いた特別試合……いわゆるエキシビションマッチが開催される事になったのである。
「皆さんは、猟兵同士チームとなり、歴戦の村人チーム『雪合戦サムライ』と戦っていただきます」
制限時間は特になく、猟兵チームが村人チームを全滅させたら勝利となる。
「勝利チームには、名誉と、何やら雪にちなんだ賞品が贈呈されるとのこと」
なお会場には、大会を観戦に訪れる見物客のために、屋台が立ち並んでいる。
おしるこや甘酒、焼きまんじゅうなどあたたかメニューが提供されるため、雪合戦に参加しなくても、応援や観戦だけを楽しむ事もできる。
「スノー・バトル。私も何やら回路がたぎりますね。しかし今回は、皆さまの奮闘ぶりを拝見するとしましょう。それでは、今年の幕開けに相応しきよう、ドーン! と勝利を収めてくださいませ」
ヴェルタールが開いた転送ゲートの向こう、白銀の世界が待っている。
七尾マサムネ
新年!
こちらは、儀式魔術【Q】「サムライエンパイアの冬を楽しもう」の結果出現した季節・期間限定シナリオです。
●できることその一
雪合戦です。
皆さんは猟兵チームに所属して、村人チームを倒します。
以下、だいたいのルールです。
・雪玉を一発喰らった時点で退場。
・相手チームを1人残らず倒したチームの方が勝利。
・陣地は特に設定されておらず、フィールド内であればどこにいても構いません。
・雪のフィールドには、幾つもの雪壁が用意されており、誰でも防御に使う事が可能です。
・雪玉は、雪壁の裏に用意されたもののみを使ってください。
・相手は雪合戦好きの一般村人さんなので、ユーベルコードの使用は禁止します。武器も使ってはいけません。技能とプレイングを駆使して、村人さんに雪玉を当ててください。
●できることその二
屋台の食べ物を楽しみながら、雪合戦を観戦します。
和風メニューが中心ですが、(ちょっと間違った)洋風メニューも探せばあったりするかもしれません。
●注意事項
合戦なので、自分以外の猟兵さんを含めたアドリブや連携が発生しがちです。
孤高な戦いを求める方は、プレイングに記載してください。孤高な戦いが繰り広げられます。
それでは、勇敢なる雪合戦ファイター、もしくは、雪合戦観戦者のお越しを、お待ちしております!
第1章 日常
『サムライエンパイアの冬を楽しもう』
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POW : 体力の限りを尽くし、力いっぱい、サムライエンパイアの冬を楽しむ
SPD : 遊びに参加したり、料理や作品を作ったり、クリエイティブに冬を楽しむ
WIZ : 恋人や友達と一緒に、サムライエンパイアの冬を幸せに過ごす
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高邨・伊毬
※アドリブや他の方との絡みも大歓迎です※
最初は成ちゃん(飛雲・風成f17723の愛称呼び)と一緒に、伊毬は動きますぅ。
開会式では、ちゃんと対戦してくれる人達にご挨拶しますねぇ。
雪合戦はあまりした事はないですけどぉ…伊毬が出来ることをして、皆の役に立ちたいと思っているので頑張りますぅ!
雪の壁を沢山使って防御をしてから、雪玉を投げるのですかぁ…?
あんまり伊毬は力が無いので、遠くまでは投げられないかもしれないですけどぉ…頑張って、一つ投げてみるんですぅ!
もし、味方の攻撃の人達に、雪玉が足りなくなっちゃうのなら、ちゃんと雪玉の補給が出来るように「しのび足」で、雪の壁伝いに雪玉を持って移動していきますぅ
飛雲・風成
※他の方との絡み、アドリブ大歓迎※
伊毬さん(高邨・伊毬f17718)が雪玉をぶつけられて怪我をしない様に、俺は伊毬さんを優先的に守ります。
伊毬さんが安全な内はスピードと雪壁を活かし、攻撃手として積極的に攻めていきますよ。
(使用技能:しのび足、暗殺、捨て身の一撃)
しのび足にスピードを乗せて雪壁間を移動。
攻撃は素早く静かに暗殺を行う様に。
伊毬さんが危険な時こそ俺の役目ですね。
伊毬さんを守り、捨て身の一撃で俺に当たる前に雪玉を投げ、敵を一人でも撃破します。
こういった遊びは個人で頑張っても限界がありますからね。
上手く他者とも連携して勝利を引き寄せられる様に貢献出来ればと
正月です
遊びこそ真剣に行きますよ
当日は、絶好の雪合戦日和だった。
天気は上々、寒さも適度に緩んでいるが、雪の戦場の状態はいたって良好。
そして、開催地である雪見村長による、大会開催の挨拶が始まった。
居並ぶ参加村人達に混じって、高邨・伊毬(戦巫女の精霊術士・f17718)と飛雲・風成(化身忍者のグールドライバー・f17723)の姿もあった。
いよいよ試合の始まりだ。審判役を挟んで、猟兵チームと村人選抜……『雪合戦サムライ』チームが挨拶と握手をかわす。
「お手柔らかにお願いしますぅ!」
ぺこり、伊毬も丁寧にお辞儀。
「雪合戦はあまりした事はないですけどぉ……伊毬が出来ることをして、皆の役に立ちたいですぅ。頑張りますぅ!」
「おう、オレ達も負けちゃいないぜ。雪合戦なら猟兵にだって勝てるってところを見せてやろうじゃないか!」
サムライチームの大将……すなわちサムライ大将の目に炎が燃え盛るのを、伊毬は見た。
「望むところ。めでたい正月です。遊びこそ真剣に行きますよ」
いい年をした村人達が闘志を燃やす様子に、風成も決意を固めた。
「ではいざ尋常に……はじめ!」
審判が旗を振り下ろすと同時。
参加者達は、一斉に雪の試合場に散開した。
「喰らえっ!」
「ひゃあ!」
しゅばっ! 早速投じられた雪玉が、伊毬を狙う。
想像以上の速度で飛んでくる雪玉に、伊毬は慌てて雪壁に逃げ込む。固められた壁にぶつかった雪玉が、破片となって砕け散る。
結構バイオレンスですぅ、と伊毬が思うのも無理はない。皆、厚着をしているとはいえ、当たったら痛いのは想像がつく。白球が飛び交うさまは、まさに合戦。
こちらも反撃しなくては。そう思った伊毬が見回すと、雪壁の裏に用意された雪玉の山が目に入った。
「えぇと、これを使うんですね。あんまり遠くまでは投げられないかもしれないですけどぉ……」
伊毬は、敵の攻撃がやんだ隙を見計らって、えいっ、と渾身の一投。か弱い少女とあなどったか、うかつに接近した村人を直撃!
ぽかん、としていた伊毬だったが、審判の声が響く。
「『雪合戦サムライ』、一名脱落!」
「成ちゃん、やりましたぁ!」
風成は、はしゃぐ伊毬に手を振り返しながら、白銀の戦場を跳び回っていた。
「さすが猟兵さんだなっ! それなら、オレの魔球を……受けろっ!」
称賛とともに、禿頭の偉丈夫が、雪玉を全力投球してくる。
猟兵を狙うその一球が……一瞬、消えた。これぞ魔球! 雪合戦サムライの名は伊達ではないと言う事なのか。
だが、再び姿を現した雪玉が、空中で粉砕された。
忍び足でハヤテのごとく転身した風成が、雪玉を投擲。空中で玉同士がぶつかり、相殺したのだ。
「いかに視覚的に消失しようとも、玉の軌道を読んでしまえば、対処は難しくありません」
「や、やるな、流石猟兵さんだぜ!」
村人の追撃が来る。だが風成は、塵ほども雪を巻き上げぬ素早い身のこなしで、それらを全て回避。雪壁の陰に滑り込み、事なきを得た。
伊毬も健在のようだ。ならば今は守勢ではなく、攻勢に回る時。
風成がその名の通り、風に成る。敵味方、そして雪玉入り混じる戦場を駆け回る。
「もらったぜぇ……ぐわっ!」
雪玉を振りかぶった村人の背後から迫ると、雪玉で仕留める。一球一殺。風成による無駄のない戦い方が、村人チームを戦慄させる。
だが、雪成自身、孤軍奮闘しても限界がある事は承知の上だ。集団には集団、数には数。連携には連携で対抗するのだ。
「おっと、うまく隠れたつもりだろうが、可愛いお尻が見えてるぜ!」
雪の壁を渡り歩き、サバイバルを続けていた伊毬の耳を、村人の声が打つ。
振り返れば、村人!
「セクハラですぅ」
「せくは……なんだってぇ?」
図らずも村人を混乱させたが、伊毬が危ない。
風成は、雪玉を投じる相手を直前になって変更した。
そして敵味方、2つの雪玉が交錯し、倒れたのは、伊毬を狙った村人の方だった。
「いい投球術、持ってるじゃないか……」
しかし、伊毬は見た。今度は風成に迫る敵影を……!
しかも、今の投球で、ストックの玉はない。丸腰だ。
「成ちゃん、これを使って欲しいですぅ!」
伊毬は駆けた。雪の壁を渡り歩いて風成に近づくと、自分の雪玉を投げ渡す。
だが、敵ももう投球姿勢に入っている。果たして、早いのはどちらか……!
「もらったぜ……!」
「それはこちらの科白です」
ばすっ。
敵の玉が届くよりも、風成が雪玉をキャッチする方が早かった。受けとったそばから雪玉を投げた風成は、敵を見事返り討ちにしたのである。
「伊毬さん、助かりました。この調子でどんどんいきますよ」
「反撃ですぅ」
数を減らしながらも士気の高い歴戦の猛者(雪合戦限定)に対し、猟兵達も果敢に戦いを続ける……!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
不知火・みかん
猫です。
ただの猫ではありません。
賢いんです!(えへん)
荒ぶる猫です。
猫だからって甘く見たらいけません。
【念動力】で雪玉を投げて攻撃します。
猫の動体視力と運動神経をフルに使って避けます。
人間の顔を狙ってもいいでしょう?
ハンデくらいくださいにゃん。(猫を被る)
当たてたら、よっしゃ!ウチの勝ちやろ!(博多弁)
当てられたら、何するんですか痛いじゃないですか猫いじめですか!と被害猫ぶります
味方になってくれるひとにはニャンニャンゴロゴロします。
でも壁にもします。
途中で雪玉にじゃれつきたくなるけど我慢します(うずうず)
「猟兵さんも面妖な『ゆうべるこぉど』が使えなければ! 自分達にもつけいるスキはあるぞい!」
白髪のベテランサムライ(一般村人)が、味方を鼓舞した。
「さあ、次の猟兵さんは……」
「ここです」
「どこ?」
「ここです」
きょろきょろ。声はすれども姿は見えず。
村人達はしばしの索敵ののち、猟兵を見つけた。
「……猫がしゃべっとる」
「猫です」
不知火・みかん(賢い猫・f24516)です。白くてふわふわマンチカン。
可愛い。可愛い。観客席から黄色い声が飛んでくる。餌付けはおやめください。
サムライ達は、一旦戦闘を止めると、
「ええと、失礼を承知でいいかい?」
「なんでしょう」
「『けっとしぃ』ってのは聞いたことあるけど、アンタは猫そのものでは……」
「ボクはただの猫ではありません。賢いんです! 荒ぶるんです!」
にゃおー。
荒ぶりポーズを披露したみかんだが、可愛さゆえにその強さは伝わらないようで。
「じゃあ猫ちゃんの力を見せてもらおうかいのう」
「ねえ、人間の顔を狙ってもいいでしょう? ハンデくらいくださいにゃん」
「構わんよ。当てられたらの話だけどのう!」
はっは、と笑う壮年の男の顔面に、雪玉が直撃した。
みかんの手に余るサイズの雪玉は、しかし念動力によって操られ、雪合戦サムライに牙を剥いたのである。
「よっしゃ! ウチの勝ちやろ!」
「気を引き締めろ! 敵は猫被ってたぞ!」
「猫です」
一瞬にして猫猟兵の恐ろしさを思い知った村人が、連携してみかんを狙う。
だが、元々小柄な猫は、的にするには難しい。肉体に備わった動体視力、そして運動神経を発揮して、襲来する雪玉を回避していくみかん。
「オイラも猫に生まれたかった……ちやほやされたい」
何だかぼやいている敵に、みかんは、しゅばしゅば雪玉攻撃を続けた。時折、雪玉にじゃれつきたくなる衝動に駆られたけど、もう少し我慢。
「村人さんを全滅させてからぞんぶんにころころしますにゃん」
「今なんか怖いつぶやきが聞こえたぞ!」
村人はおののいた。
「そこまで!」
ばしっ、と審判の旗が上がる。
猟兵達の前に、立つ敵はない。敵軍を全て撃破したのだ。
「勝者……猟兵軍!」
「『ゆうべるこぉど』禁止にすりゃあ、こっちにも付け入るスキはあるって思ってたんだが……さすが、この国を守っただけはあるなあ」
やりきった雪合戦サムライ達に、悔いはないようだった。堅い握手。
勝利をもぎ取った猟兵達には、『雪合戦サムライ・特』の称号が贈られた。
そして、賞品がもう1つ。参加した猟兵の武勇を称え、姿を模した雪像が作られることになったのだ。
この冬の間、猟兵達の雪像が、雪見村を見守り続けるだろう。オブリビオンどもも、近寄ることはあるまい。ご利益である。
成功
🔵🔵🔴