黙示録のシアター
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「ヒャッハー! 根こそぎ奪い尽くしてやるぜー!!」
ごうごうと燃え上がる建物の中に、下衆で耳障りな男達の喚き声が響く。
同時に聞こえてくるのは弱き人々の嘆きの声や悲鳴、そして断末魔の叫び。
ひとつの未来、ひとつの希望。文明崩壊の惨劇から生き延びた人々の集う拠点(ベース)が、この日、悪辣なる襲撃者達の手によって滅びを迎えようとしていた。
「やめて……これだけは、持っていかないで!」
「あん……? なんだァ、そりゃ?」
ボロボロになった制服を着たひとりの女性が、大事そうに何かを抱えている。
破壊の限りを尽くしていた野盗(レイダー)は、怪訝そうな顔をしてそれを見て。
「映画のフィルム? ケッ! こんなもの腹の足しにもなりゃしねぇよ!!」
一瞥するなり興味を失った彼は、右腕に搭載した火炎放射器のトリガーを引く。
女性とフィルムは一瞬で炎に包み込まれ、悲鳴を上げる間もなく炭の塊と化した。
広々としたホール。巨大なスクリーン。そして大事に手入れされた映写機とフィルム。
それは、この拠点(ベース)が崩壊以前から守り抜いてきた、文化という名の遺産。
――その全てはこの日、灰燼に帰し、文明の残滓がまたひとつ、世界から消えた。
●
「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵たちの前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「アポカリプスヘルのとある拠点(ベース)が、オブリビオン化した野盗(レイダー)の襲撃を受け、壊滅する未来を予知しました」
文明の崩壊した荒野に跋扈する無法者集団、レイダー。彼らは各地の拠点で細々と生きている人々を襲っては略奪と虐殺の限りを尽くす、欲望の権化と化した集団である。
そんな外道共によってまたひとつ、人類の未来が摘み取られようとしている。猟兵としてこれを見過ごすことはできないだろう。
「今回レイダーに狙われた拠点は、文明崩壊以前は映画館だった建物のようです」
そこには世界が崩壊してしまう前に上映されていた数々の映画のフィルムやデータが今も遺されている。今となっては無用の長物でしかないが、住人たちはいつか人類が平和と文明を取り戻す日が来ると信じて、これらの遺産を大切に保管し続けている。
「その想いと志は尊いものです。ですがレイダーの襲撃時にはその想いが仇となって、フィルムを持ち出そうとしたために避難が遅れてしまい、犠牲者を増やす結果となります」
自分達の命と映画を天秤にかけた結果、その両方を失ってしまう、最悪の結末。
しかし今ならばまだ間に合う。猟兵達の手助けがあれば、その両方を守り抜くことも不可能ではないはずだ。
「幸いレイダーの襲撃までにはまだ猶予があります。皆様は旅人としてこの拠点を訪れて、住人やフィルム等の物資が戦闘に巻き込まれないように対策を講じてください」
いきなりレイダーが襲ってくると説明しても、住人のパニックを誘発する恐れがある。交流を通じて住人の信頼と理解を得ながら、拠点の防護を高めたり、安全なところまで避難させたりするのが得策だろう。
「住人は映画に強い愛着を持つ方々ばかりなので、これを諦めるように説得するのは難しいでしょう。逆に映画の保管について理解してくれる相手には親近感を抱くようです」
その辺りの心理をうまく突くのも、円滑に避難を進めるためのひとつの方策だろう。
拠点ではまだ動く設備を使って上映会なども行われているようなので、興味があれば観てみるのも良いかもしれない。
「拠点に接近するレイダーの群れは、全身をサイボーグ化したモヒカンの男に統率されています。統率といっても力で従わせているだけで、秩序だってはいないようですが」
敵の思考回路は上から下までそこらのチンピラのそれで、ただ目についたものから奪い、壊し、殺す。弱者を蹂躙し、根こそぎ物資を略奪するイナゴの群れのようなものだ。
とはいえオブリビオン相手に油断は禁物。特にリーダーの『パーフェクト・メタル・モヒカン』の戦闘能力は高く、内蔵した火炎放射器とブレードを駆使して暴れまわる。
「しかし機械化した自分のボディの性能にあぐらをかいて慢心しきっているようなので、そこが付け入る隙になるでしょう」
このような輩にかけがえのない人々の命も、大切な映画も奪わせるわけにはいかない。
どうか未来への遺産を彼らから守ってください――と説明を締めくくったリミティアは、手のひらにグリモアを浮かべて、アポカリプスヘルへの道を開く。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
ヒャッハー! こんにちは、戌です。
今回の依頼はアポカリプスヘルにて、野盗(レイダー)の襲撃から小さな映画館の拠点(ベース)を守るのが目的です。
第一章では映画館で暮らす人々と交流しながら、敵の襲撃に備えます。
かつての文明の「遺産」である映画のフィルムを、この拠点の人々はとても大切にしています。古典的な名作から最新の(と言っても数年前のですが)作品まで、ジャンルもアクションにSFにメロドラマにコメディと、様々なものが保管されています。
猟兵がもし望めば喜んで鑑賞させてもらえるでしょう。その他にもいろいろな手法で住民からの信用を得つつ、迫りくるレイダーへの対策をお願いします。
第二章では襲ってきた『レイダー』の群れとの集団戦です。
改造バイクに乗ったヒャッハーな連中です。下衆です。そして雑魚です。
映画館と住人に被害がでないよう、思い切りぶちのめしてやってください。
第三章では親玉である『パーフェクト・メタル・モヒカン』との決戦です。
全身を機械化したモヒカンのヒャッハーです。下衆です。でも強いです。
しかし自分の力を完全無敵と調子に乗っているので、わりと隙だらけです。
人々の命も、映画という文化も、どちらも大切なもの。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『未来への遺産』
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POW : 「遺産」の保全を手伝ったり、「遺産」を鑑賞したりする
SPD : 「遺産」にまつわる話を聞いたり、「遺産」を鑑賞したりする
WIZ : 「遺産」について調べたり、「遺産」を鑑賞したりする
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善哉・鼓虎
はわぁ…『映画』や…!!猟兵さんになってから他の世界のもんにも触れられるようになったけどやっぱりこの世界で『映画』に触れられるんはめっちゃ嬉しいわぁ…。
コメディとかミュージカル映画とかもあるんかな?あるんやったらうち見てみたい!
うちのソーシャルネットでも後で紹介したいなぁ。
せや…!ここのベースの人やったらうちのネットも気に入ってくれるかもしれん。
映画はまだないけど音楽やったら溢れてんで!
【コミュ力】
こないな貴重なもん価値のわからんやつに壊されるんわ絶対いやや。せやからうちがうちらが守る。
アドリブ歓迎。
「はわぁ……『映画』や
……!!」
今は災厄を生き延びた人々の拠点となった、とある映画館。そこにやって来た善哉・鼓虎(ハッピータイガー🐯・f24813)の口から、思わず感動の声があふれる。
「猟兵さんになってから他の世界のもんにも触れられるようになったけど、やっぱりこの世界で『映画』に触れられるんはめっちゃ嬉しいわぁ……」
ソーシャルディーヴァとしてこの世界のネットワークの一端を担いながら、『音楽』というやはり芸術のひとつを保護している彼女だからこそ、ここにあるものの貴重さと価値はよく分かった。これは、決して世界から失われてはいけないものだ。
「コメディとかミュージカル映画とかもあるんかな? あるんやったらうち見てみたい!」
「もちろんあるよ! いやあ嬉しいなあ、映画好きな旅人さんが来てくれて!」
"旅人"として拠点を訪れた鼓虎たち猟兵を迎えた人々は、大喜びしながら上映室まで彼女を案内する。この世界で外部から人が来るのも珍しいが、その相手が映画に興味を持ってくれるのはさらに珍しいらしい。
「みんな映写機やフィルムを見ても『なんでこんな物を?』って顔をされて。奪還者(レイダー)も食糧とかのほうが大事みたいで、ぜんぜん興味を示してくれなくて」
「そんなん勿体ないわ! こんなご時世やからこそ『映画』みたいな娯楽は大事なんやろ!」
文化や芸術を愛する者として憤慨する鼓虎。確かにこの過酷な世界を生き抜くうえで映画は直接的な役には立たないかもしれないが、それ以上に辛い生活を送る人々の支え、みんなをハッピーにする心の栄養となりうるものなのに。
「ありがとう、君みたいな人がまだ居てくれて嬉しいよ……でもそろそろ始まるよ」
「おっと、せやったな」
上映中はお静かに。暗くなっていくホールで口を閉じた鼓虎は、代わりに明るくなっていく正面スクリーンを食い入るように見つめる。そこに映し出されたのは、文明崩壊以前のヨーロッパで制作された、とあるコメディ・ミュージカル映画だ。
地中海に浮かぶ小さな島のホテルを舞台に、陽気な人々が織りなす笑いあり音楽ありロマンスありの物語。明るくて希望に満ちた光景が、スクリーンの中に広がっていた。
「いやぁ、良かったなぁ……! うちのソーシャルネットでも後で紹介したいなぁ」
鑑賞時間たっぷりと作品にのめり込み、充実した気分でにこにこの鼓虎。
自身のSNSと繋がる小型端末を取り出し、感想を呟こうとしたところで「せや……!」とあることを思いつく。
「ここのベースの人やったらうちのネットも気に入ってくれるかもしれん」
ソーシャルネットで繋がれば、距離に関わりなく色んな話題や情報を共有できる。趣味のことは勿論、有事の避難誘導のための手段としても、それは役立つはずだ。
「映画はまだないけど音楽やったら溢れてんで!」
「そんなSNSがあったなんて……是非登録させて!」
「あたしも! あの映画の名曲はあるのかしら?」
みんなにハッピーを届けるソーシャルディーヴァを標榜する鼓虎のソーシャルネットは、いつだって人々を幸せにする音楽で満ちている。
そんな彼女の誘いに惹かれて、大勢の住民がSNS登録を決意した。小さな拠点のコミュニティだけで生活を営んできた彼らは、外部との交流にも飢えていたのだろう。誰かと感想や意見を語り合うのもまた、娯楽の楽しみのひとつなのだから。
(こないな貴重なもん価値のわからんやつに壊されるんわ絶対いやや。せやからうちが、うちらが守る)
登録希望者に自身の超小型端末を配る、ソーシャルディーヴァの少女の瞳は真剣。
このハッピーな場所を、大切な映画を、レイダーなどに侵させはしないと――彼女の胸の内には、猛虎のような激情と固い決意が宿っていた。
大成功
🔵🔵🔵
伊達・クラウディア
【医者と患者】
「そもそも映画とは何でしょう?」
人生の大半が培養槽の中の我は映画を知りません。興味があります。なので、お世話になったことのある医者の芥子鴉と共に猟兵として参加します。
「遺産」がどんなものなのか、町の方々に聞いて、実際に見せてもらいましょう!
「素晴らしいです!私の見ていたもの(施設に残っていた実験映像)とは全然違います!映画とはこんなにも心を揺さぶるものなのですね!」
映画について教えてくれた方々に、素直な感想と感謝を伝えます。
そして、仲良くなった方々に、近くにレイダーがいたことを伝えます。危険だから避難してほしい、「遺産」もあなた方も失われてはいけないのだから。
芥子鴉・芙蓉
【医者と患者】
文明が破壊され荒廃した世界。
だからこそ、文化の保全は重視されるべきなんじゃよ。水や食料がなければ身体が死に行くが、娯楽がなければ心が死ぬ。そういうもんじゃ。
ともあれ、映画を鑑賞し、その文化の尊さを共有した上で住人達へ避難を促そう。
映画に初めて触れるクラウディアの反応は、さぞ住人達の心を絆すじゃろう、多分。
さて、ではわらわは合法阿片でも吸いながら楽しく映画を──え?ありゃ?て、手持ちの阿片がきれておる!?ま、まさかわらわ、禁断症状と戦いながら映画を鑑賞しなければならんのか……!?ひ、ひぇ……たすけて……
※合法阿片に中毒性はありません。
(映画は最後までしっかり鑑賞します)
「そもそも映画とは何でしょう?」
きょとんとした表情で首をかしげたのは、フラスコチャイルドの伊達・クラウディア(ロンリー・GUN・ドラゴン・f24816)。人生の大半を培養槽の中で生きてきた彼女は、外の世界の知識にまだ乏しく、娯楽文化についてもよく知らなかった。
そんな彼女と一緒に映画館へやって来たのは、以前医師として彼女を世話したことのある、桜の精の芥子鴉・芙蓉(ラリBBA・f24763)だった。
「文明が破壊され荒廃した世界。だからこそ、文化の保全は重視されるべきなんじゃよ」
実年齢はともあれ外見は10代前半の少女にしか見えないクラウディアに、60年間それなりの人生経験を重ねてきた芙蓉は映画をはじめとする文化の意義、それを守り続けることの重要性を説く。
「水や食料がなければ身体が死に行くが、娯楽がなければ心が死ぬ。そういうもんじゃ」
「そういうもんですか。分かるような、分からないような……『遺産』がどんなものなのか、町の方々に聞いて、実際に見せてもらいましょう!」
言葉だけの説明ではピンとこない所もあるようだが、それでも未知なるものへの興味は高まったようで。クラウディアはくいと芙蓉の袖を引っ張りながら映画館に向かった。
「この子は映画を観るのが初めてでな。なんぞお勧めなぞあれば良いのじゃが」
「それなら、明るい作風で上映時間の短いものが良いかもしれませんね」
すぐに上映室まで案内されたふたり。拠点の住人はとても親切で、滅多に訪れない旅人に映画の良さを知ってもらおうと、熱心にオススメの作品をチョイスしてくれた。
そして始まったのは上映時間30分程度の短編映画。短い尺の中に起承転結と見どころがギュッと詰まっており、中だるみのない爽快で臨場感あふれる展開が続く。
俳優たちの軽妙なセリフ回しと熱演、そしてスピーディでドラマチックな展開の連続に、たちまちクラウディアの目はスクリーンに釘付けとなった。
「素晴らしいです! 私の見ていたものとは全然違います! 映画とはこんなにも心を揺さぶるものなのですね!」
映像作品といえば自身の生まれた施設に残っていた実験映像くらいのイメージしかなかったクラウディアにとって、観客を楽しませることを目的とした『映画』は衝撃的で、刺激に満ちあふれた未知の体験だった。
キラキラと瞳を輝かせながら、シーンに合わせて自然に体を動かしたり思わず声を上げたり。彼女の新鮮な反応に、芙蓉や拠点の住人たちは満足そうに頷きあう。
「いたく気に入ったみたいじゃのう」
「あとはコーラとポップコーンもあれば最高だったんですけどね」
初めて映画に触れる人間にその良さを伝えられるのは、映画ファンにとって喜びのひとつである。心から映画を楽しむクラウディアの姿に絆された住人たちの顔には、自然と微笑みが浮かんだ。
(さて、ではわらわは合法阿片でも吸いながら楽しく映画を──え? ありゃ?)
映画に夢中なクラウディアの隣席でそうっと煙管を取り出した芙蓉は、いつも詰めてる幸せになるハッパがないのに気付く。慌てて服のあちこちをまさぐっても、無い。
(て、手持ちの阿片がきれておる!? ま、まさかわらわ、禁断症状と戦いながら映画を鑑賞しなければならんのか
……!?)
合法阿片に中毒性はないはずだが、普段から常用している彼女にとってそれは死活問題。映画のほうはまだ中盤、幸い短編なのでそれほど残り時間は長くないが――。
「もし良ければ、他の映画も見てみたいです!」
「ええ、もちろん! オススメはまだ沢山ありますよ!」
――大ハマリのクラウディアと筋金入り映画マニアな住人によって、上映会は延長される模様。
(ひ、ひぇ……たすけて……)
言葉に出せない悲鳴を上げながら、ガタガタ震える芙蓉に気付く者はいない。
まあ、それでも映画のほうは最後までしっかり鑑賞して、何やかんや楽しんでいたようだが。
「とても素晴らしかったです! ありがとうございました!」
「うむ……良いものを観たのぅ……」
「? 芥子鴉、顔色が悪くないですか?」
「おぬしは気にせんでええことじゃ……」
結局1時間以上に及んだ上映会が終わり、ふたりは住人達に率直な感想と感謝を伝える。
映画の良さを広められた住人達はとても嬉しそう。だが、忘れてはいけない。猟兵達がここに来たのは、そんな彼らに危機が迫っていることを伝えるためなのだ。
上映会を通じて十分に信用も得られただろう。頃合いとみたふたりは表情をふと引き締めると、近い内、ここがレイダーの襲撃を受けるであろうことを告げる。
「近くにレイダーの集団がいた……本当ですか!?」
「残念ですが、事実です。ここが見つかるのも時間の問題かと」
思いもよらぬ凶報に驚き青ざめる住人達に、クラウディアは神妙な表情で頷く。
拠点としては小規模なこの映画館に、レイダーの襲撃に耐えられるような備えは無い。いつかは――と彼らも恐れていたことが、ついに現実のものとなってしまった。
「危険だから避難してほしい、『遺産』もあなた方も失われてはいけないのだから」
「わらわ達が見たところ、まだ連中がここに来るまでは時間がありそうじゃった。慌てずに必要なものを、安全なところに移すのじゃ」
「わ、わかりました!」
必要なもの――守り続けてきたフィルムや映写機を真っ先に確保して、避難準備を始める住人達。それらは嵩張るうえに重量もあり、避難においては足かせとなりうるが、それを置いていけと言っても彼らは受け入れないだろう。
「我もお手伝いいたします」
「ほれ、そっちのやつ、貸してみい」
クラウディアと芙蓉は住人達に手を差し伸べ、共に機材を運んで避難を助ける。
恐るべき文明崩壊を生き延びた、かけがえのない命と遺産を守り抜くために。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紗咲・亜闇
※アドリブ・連携歓迎
●POW
崩壊した世界でも捨てられない想いや矜持があるってのは尊敬に値すると思う。命を最優先にして欲しいっていうのも本音ではあるけど…力になりたいな。
【コミュ力】で住人たちの映画好きに共感を示して映画を見せてもらう。その後、映画の感想について熱く語り合う。うーん、この映画ちょっとパンチ足りなくない?映画は【アート】であるべきだと思うんだよな。みたいなクソ評論家ムーブを時折かましつつ。議論が白熱した方が距離は縮まるだろ、多分。最終的には仲直りして、遺産の扱い方について話し合いたい。せめて避難が必要になった時のために予め運びやすいように一纏めにするぐらいの対策はとっておきたいな。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
映画か…文明が荒廃した場所だからこそ、破壊を免れた文化は大事にしなくてはな
まずは住民達との交流だな
ここの映画を鑑賞して、楽しむことで自分も映画が好きだと言う事と、この場所と彼らを守りたいという事を伝えよう
そうだ、私が以前ヒーローズアースで出演した映画もあるか聞いてみるか
映画に出演した経験もあると分かればさらに彼等から信頼を得ることができるだろう
私も端くれとは言え、映画に携わったことがある
だからこそ、この素晴らしい場所を護りたいのだ
彼らから信頼を得たらレイダーが襲いに来る可能性に言及し
彼らと共にバリケードを作り、防御を固める
資材は怪力やドローンで運べば十分な量が確保できるだろう
「映画か……文明が荒廃した場所だからこそ、破壊を免れた文化は大事にしなくてはな」
「崩壊した世界でも捨てられない想いや矜持があるってのは尊敬に値すると思う」
失われつつある文化を守る人々に共感と敬意を抱きながら、映画館を訪れたのはキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)と紗咲・亜闇(相克のスケバン・f21822)。
生きるだけでも過酷な世界で、映画を保全し続けるのには相当な苦労がいるだろう。それこそ自らの命よりも優先するほどの覚悟や使命感がなければ長続きはすまい。
「命を最優先にして欲しいっていうのも本音ではあるけど……力になりたいな」
「ああ、私もだ」
映画も、そして命も、両方を守り抜くために、ふたりの猟兵は決意を新たにする。
――とはいえ、まずは住人から信用されなければ避難指示を出すのも難しい。
旅人として訪れたふたりは交流の一環として、ここの映画を観てみたいと頼む。
「自分も映画は好きだ。構わなければ是非観せてほしい」
「こんな所がまだ残ってたなんて知らなかったよ。すごいな!」
「ははは。そう言って貰えると、私達もここを維持してきた甲斐があります」
映画好きへの共感を示したことで、住人達の反応はどうやら好印象のようだ。
上映室に案内されたふたりの前で始まったのは、当時社会的にも話題を呼んだヒット作。笑いあり、涙あり、感動ありのアクション超大作だ。
室内の状態はお世辞にもいいとは言えず、座席はボロボロで、空調もあまり効いていない。それでもスクリーンの中の光景に心を踊らせれば、そんな不満はすぐに消えた。
「素晴らしい作品だった」
上映終了後、キリカは口元に満足そうな笑みを浮かべながら穏やかに感想を語る。
事実、名作と呼ぶに相応しい出来だった。しかし一方で亜闇のほうは不満げな顔。
「うーん、この映画ちょっとパンチ足りなくない? 映画はアートであるべきだと思うんだよな」
勿体つけて腕を組み、いかにも"通"ぶった口ぶりで評論家ムーブをかましだす。
そんな事を言われては住人達も黙ってはいられない。映画ファン的な意味で。
「娯楽性を重視した映画も私は悪くないと思いますがね。主人公とヒロインが再会する中盤のシーンはまさに王道の安定感ですし――」
「あのシーンは私も好きだけど、それよりも終盤で黒幕が言い放つセリフが――」
互いの映画についての語り合いは、いつしか白熱した議論へと。どっぷりと映画という名の沼にはまった者同士の会話はえてしてこうなる。誰もが自分なりの"映画論"を持ち、その愛が深いからこそできる、一種のじゃれ合いである。
「興味深い話だが、今はそのくらいにして次の作品を観ないか」
こほん、と咳払いひとつ。議論が煮詰まってきたところでキリカが亜闇と住人達を仲裁する。彼女もべつにケンカしている訳でないのは分かっているが、あんまり白熱しすぎると本当に争いになることもあるので、冷静なストッパーはとても大事だ。
「そうだ、私が以前出演した映画はあるだろうか」
「えっ、貴女、映画に出たことがあるんですか?」
「俳優というわけではないが、少々縁があってな」
話題転換のためにキリカが口にしたことに皆が驚く。彼女が出演したのはヒーローズアースでの猟兵の活躍を描いた作品で、あいにくこの世界では配給されていないが。
しかし実際に体験した撮影の流れや舞台裏の様子などを語れば、映画マニア達はすぐに食いつく。彼らの信頼と好感度をさらに高めるのにはうってつけの話題だった。
「なるほど、そんな苦労があるんですね。経験者の言葉は深いなぁ……」
興味津々といった様子でキリカの話に耳を傾ける映画館の住人達。その傍らでは、亜闇がさっきまで議論を交わしていた相手と肩を組んで意気投合していたりもする。
「やっぱりラストのあのシーンは最高だよな!」
「わかります! 伏線の回収が見事すぎて!」
一度激しく燃え上がったほうが仲直りした後の距離は縮まる。お互いの好きと嫌いや考え方を理解したことで、どうやらすっかり打ち解けられたようだ。
こうして人々の信頼を掴んだふたりは、会話が一段落したところで本題に入る。
この映画館をオブリビオン――凶悪なレイダーの集団が襲う可能性についてだ。
「部外者の私がとやかく言うのも憚られるが……ここの防備はかなり手薄に見える」
「大事な遺産も、今のままじゃすぐに持って避難できないんじゃないか?」
「う……はい。守りを固めるための人手が足りていないのが現状でして」
ここに住んでいるのは大半が映画マニアで、まあ、あまり力仕事が得意なタイプは少ない。瓦礫でバリケードを築いたり、資材や荷物を運ぶだけでも一苦労のようだ。
なるほど、と実情を理解したふたりはひとつ頷くと、そんな彼らのために一肌脱ぐことにする。
「チケット代のかわりというわけではないが、良ければ私も協力しよう」
キリカが招集するのは【シアン・ド・シャッス】。本来は戦闘用にカスタムされたドローン群だが、資材の運搬、輸送用としても活用できるだけの出力がある。
武装を一時的に外させ、空いたキャパシティにバリケード作りに必要なものを積んで運ばせる。キリカ自身も鍛えられた筋力を活かして、瓦礫の撤去や運搬を手伝う。
「おお、なんとありがたい……!」
ドローンと合わせてまさに百人力の働きを見せる彼女に、人々は驚きと感謝を口にして。任せっきりにはできないと、自らも拠点の防御を固めるために働きだす。
「せめて避難が必要になった時のために、予め運びやすいように一纏めにするぐらいの対策はとっておきたいな」
映画館の周りをキリカが固めている間に、亜闇は館内でフィルムや映写機を運ぶ。
一纏めといってもただ適当にごちゃっと積むわけにもいかない。貴重な遺産を傷つけないよう気を遣いながら、いざという時に持ち出しやすい場所に固めて置く。
幸い、館内にはまだここが稼働中だった頃に遺された台車などもある。これらも駆使すれば、かなり効率的に遺産を運び出せるだろう。
「うん、しょ……!」
こちらでも人々は大事な映画を守るために、懸命に運ぶのを手伝っている。
この拠点に遺されたフィルムや機材の数は多いが、これなら何とかなりそうだ。
作業は万事順調。これならレイダーが襲来する前に備えを終えられるだろう。
楽しませてもらった映画と人々を守るために、ふたりは最善を尽くすのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ピウ・アーヌストイト
POW
そんな未来は許せないであります!それらを防ぐ為に、行動あるのみ!であります。
映画館でありますか……?貴重であります!信じることは素晴らしいことであります……。この世界で信じるのは難しいであります……生きることも。人も文明も失うわけにはいかないであります。
アポカリプスヘルで生まれた身として、共感するであります!物資だけではなく、娯楽もあれば、心休まり、人も集まるであります!必要であります!
みんなと一緒に映画を見たいと頼んで、人々を集めるであります。人は集まっている方が避難はしやすいはずであります。また、護衛対象は近い方が守りやすいであります。……というのが建前に近く……。楽しみであります!
「映画館でありますか……? 貴重であります!」
そこにかつての文明の遺産が保存されていると聞いて、ぱぁっと目を輝かせたのはピウ・アーヌストイト(ちんまい大家・f24841)。貴重な『映画』もさることながら、いつか文明が再興されると信じてそれを守る人々の存在が彼女の胸を打った。
「信じることは素晴らしいことであります……。この世界で信じるのは難しいであります……生きることも。人も文明も失うわけにはいかないであります」
明日を信じて生きる人々の未来を守るために、小さな戦士は立ち上がる。
昂ぶる気持ちを表すかのように、ピンクのツインテールがぴこぴこと揺れていた。
「物資だけではなく、娯楽もあれば、心休まり、人も集まるであります! 必要であります!」
「おお、分かってくれるかいお嬢さん。それは嬉しいねえ」
アポカリプスヘルで生まれた身として、全力で共感するピウの態度に、拠点の住人達の印象は良かった。外からやって来た旅人に、自分達の行いを肯定されるのは悪い気はしないだろう。
「ぜひ私も拝見したいであります! みんなと一緒に映画を見たいであります!」
「そうだねえ。なら久しぶりに大きな上映会でもやってみるかねえ?」
大勢で見たほうがきっと楽しい、と「みんな」のところを強調してアピールするピウ。それはもちろん、予知されているレイダーの襲撃に備えてのことだ。
(人は集まっている方が避難はしやすいはずであります。また、護衛対象は近い方が守りやすいであります)
一大事あらばすぐに上映室に集まった人々を守れる体勢にシフト。そのための心構えはいつでも出来ている――が、今の彼女にとってそれは建前に近く。純粋に、みんなで映画を観るのが楽しみだというのも大きい。
「楽しみであります!」
「はは、もうすぐだよ」
スクリーンのよく見える正面の良い席に座って、ピウは足をぱたぱたさせる。
やがて室内の照明が落ち、上映が始まる。それはひとつの家族がひとつの屋根の下で暮らし、何気ない日常やちょっとしたトラブルなどを繰り広げるコメディ作品だった。
くすりとくる微笑ましいものから、思わず吹き出してしまうようなシーンまで。登場人物のコミカルな掛け合いや巧みな演出は、ピウを大いに楽しませた。
――だが。観客の中には映画の音に紛れて、密かにすすり泣く者もいる。
べつにこの作品にお涙頂戴なシーンはない。スクリーンに映っているのは面白おかしい、ごく普通の――今はもう、失われてしまった「普通の」日常のワンシーンだ。
どんなに懐かしんでも、もう手の届かないもの。ここの人々が、もう一度文明が再興されることを信じて映画を守り続けるのは、それが彼らの心の支えでもあるからなのだろう。
ピウにも、ここの人々にとって映画がどれほど大切なものかは分かった。
忘れられない過去の思い出であり、希望の象徴でもある――そんな掛け替えのないものが近い未来、悪辣なオブリビオンの魔の手によって滅ぼされようとしている。
(そんな未来は許せないであります! それらを防ぐ為に、行動あるのみ! であります)
この映画をもう一度、次はみんなで笑って見られるようにするために戦う。
スクリーンと観客の表情を食い入るように見つめながら、少女はぐっと拳を握りしめた。
大成功
🔵🔵🔵
茜谷・ひびき
映画館か
沢山の人が入れる施設だし、何より娯楽ってのは心の支えになるからな
拠点にするには良い場所だと思うが……だからこそレイダー共がやって来ちまう
住人も物資も守れるように頑張らないとな
まずは住人と仲良くなるのが先決か
フィルムって高温多湿を避けて、風通しのいい場所に保管するのがいいんだっけ
その辺の知識を共有していこうか
あとは、映画館なら避難経路もある程度は決まってないかな
経路に問題があれば解決していくか
危険な段差をなくしたり、邪魔になるものがあれば除けていこう
余裕があれば俺も映画が見てみたい
古い作品はあんまり知らなくて……せっかくの機会だしな
皆のオススメも聞いてみたい
ジャンル問わずに挑戦してみるぜ
「映画館か。沢山の人が入れる施設だし、何より娯楽ってのは心の支えになるからな」
各ホールで様々な上映会が開かれている中、茜谷・ひびき(火々喰らい・f08050)は施設の構造を把握するために、ひとり館内を歩いて周りながらそう呟いた。
「拠点にするには良い場所だと思うが……だからこそレイダー共がやって来ちまう。住人も物資も守れるように頑張らないとな」
ただ奪うだけしか能のないような連中に、ここを荒らさせるわけにはいかない。
引き締められた少年の表情には、その気合のほどがありありと浮かんでいた。
「フィルムって高温多湿を避けて、風通しのいい場所に保管するのがいいんだっけ」
「よくご存知ですね。ええ、そうなんです」
ひびきが声をかけたのは、保管されたフィルムの保全作業を行う住人だった。
保管庫らしき部屋には、文明崩壊以前から遺されたたくさんのフィルムが眠っている。適切な環境を維持しておかなければ、これらの遺産は劣化してしまう。
「だから大変なんです。この有様では空調を作動させるだけでも一苦労ですし」
「なるほどな」
施設そのものが文明崩壊でダメージを受け、電力の確保も安定しない今、フィルムの保存には想像以上の手間とコストがかかっている。生活を維持するのも大変だろうに、それでも彼らは決して『映画』を手放そうとしなかった。
「俺にもできることがあったら言ってくれよ」
「ありがとうございます。では運ぶのを手伝ってくれますか?」
万が一のときに素早く避難できるよう、遺産を一箇所に纏めておく案が出ている。
そのために別の保管庫にフィルムを移したい住人の頼みに「もちろん」と応じる。
新たな保管場所や保管方法、それらの情報や知識を共有しあう過程で、ひびきは住人達との親睦を深めていった。
「あとは、映画館なら避難経路もある程度は決まってないかな」
輸送を手伝う傍ら、ひびきは気になったことを住人に尋ねる。通常こういった施設には元から災害時等に来場客を避難するためのルートや手順があるはずだが――。
「はい、あります。ただ元々の避難経路は使えなくなってしまったので、ルートを変更する必要がありましたが……」
そう言った住人に案内された本来の避難路には、建物の一部が崩落した瓦礫が道を塞いでいる。これのせいで現在の避難路は大きく迂回せざるを得なくなったそうだ。
「これなら俺がなんとかできそうだ」
それを見たひびきは瓦礫に手をかけると、得意の怪力を活かして持ち上げる。
猟兵として並外れたパワーを持つ彼にかかれば、この程度の力仕事は軽いものだ。
「なんと
……!!」
道を塞いでいた瓦礫を軽々と除けていくひびきの姿に、目を丸くする住人達。
彼の働きの甲斐あって、映画館の避難経路は大幅に改善されたのであった。
「こんなところかな」
「ありがとうございます!」
ぱんぱんと手を叩いて埃を払うひびきに、住人達は心から感謝を告げる。
大したことじゃないさ、と笑って謙遜しながら、手の空いた彼は次は何をしようかと考え、予知された襲撃まではまだ幾らか余裕があるのを確認する。
「良ければ俺も映画が見てみたい。古い作品はあんまり知らなくて……せっかくの機会だしな」
「おお、喜んで! すぐに上映の準備をしますよ! 何が観たいですか?」
ひびきがそう言うと、映画ファン揃いの住人達は大いに沸き立った。
その反応だけでも、彼らがいかに映画を愛しているのかが分かる。
上映室の確保から映写機の準備まで、実に手慣れたてきぱきしたものである。
「皆のオススメも聞いてみたいな。ジャンル問わずに挑戦してみるぜ」
「でしたら、まずはこの映画から――」
「ちょっと待って、それよりこっちでしょう!」
「入門編としては、この作品こそがうってつけではないかと――」
「いやいや、古典的名作といえばこれ――」
「こっちの監督作品も外せないわよ――!!」
軽い気持ちで尋ねてみると、想像の十倍の勢いで返事がきた。文明が滅んでも映画を守る、筋金入りの映画ファンに「オススメは?」なんて聞けば当然そうなる。
彼らにとって映画を観ること、映画を守ること、そして映画の素晴らしさを伝えることは、この過酷な世界において希望を失わないための生き甲斐なのだろう。
(絶対に守らないとな、この人達も、映画も)
楽しそうに議論を交わす人々を見守りながら、ひびきは笑いながら決意を固める。
彼らがいったいどんな作品をオススメしてくれるのか、楽しみにしながら。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
(偶然立ち寄った奪還者を名乗り、一宿の礼=信頼性の高い利害関係を結んで施設の防護増強を行う予定だったが、映画を愛する人々の姿を見、責任者に協力の理由を尋ねられ思わず)
私は起動…いえ、幼い頃に触れた騎士の御伽噺を胸に育ちました
大人の視点では陳腐で幼稚な内容でしたが、それでもそこには物事の善悪や真理があり、荒事に身を置いても畜生に墜ちぬ芯を得ることが出来ました
映画に限らず「物語」というものは【理想】を人々に伝える崇高な役割を持つことが出来る
この厳しい世界だからこそ、次の世代への美しい物語とそれを護る防備が必要だと…私は思うのです
(…理詰めで交渉する予定が…)
妖精ロボで地形を情報収集し怪力で防備増設
「この辺りの防備は、ひとまずこれで十分ですね」
常人にはとても持ち上げられないような大きな瓦礫を運び、レイダーを食い止めるバリケードを設置するトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。
偶然立ち寄った奪還者を名乗り、この映画館の拠点を訪れた彼は、そこで人々の様子を見てからと言うもの、黙々と防衛設備の増設に勤しんでいた。
「要衝となりそうなのはあと3箇所。1つだけあえて防備を緩くしておけば襲撃ルートを誘導できるでしょうか……」
肩のハードポイントから偵察用の【自律式妖精型ロボ】を発進させ、周辺の地形を把握。その情報を元に防衛プランを立案。トリテレイアの作業行程に無駄はなく、重機さながらのペースで、猟兵が来る前は無防備に等しかった拠点を補強していく。
「なぜ、私どものためにここまでしてくれるのです?」
「貴方は……?」
そんなトリテレイアにふと尋ねたのは、比較的いい身なりをした壮年の男性だった。
聞けば彼は元々、この映画館の館長だったという。文明崩壊からの混乱をどうにか乗り越え、現在はここに集まった人々をまとめる責任者の立場にあるという。
「もちろん、協力には感謝しております。ですが見ての通りここは物好きの集まった貧しい拠点……後からお礼を求められても、お返しできる物も大してありません」
この荒廃した世界の住人として、彼も理想だけで生きていけないことは知っている。一見して無償で与えられる厚意ほど、疑って然るべきものは無いということも。
なんの対価も求めずに協力してくれる不思議な来訪者の真意を、彼は問うていた。
「私は起動……いえ、幼い頃に触れた騎士の御伽噺を胸に育ちました」
まっすぐな眼差しに捉えられて、トリテレイアはぽつりと胸の内を語り始める。
現在の彼にとって、名前と並んで最も古い記憶(メモリー)、それは今にして読み直してみればありふれた騎士道物語。どこにでもある英雄と、冒険と、正義の物語。
「大人の視点では陳腐で幼稚な内容でしたが、それでもそこには物事の善悪や真理があり、荒事に身を置いても畜生に墜ちぬ芯を得ることが出来ました」
この物語がなければ、現在の「トリテレイア・ゼロナイン」は存在しなかった。
おとぎ話を模倣した紛い物の騎士であることを自覚していても――それは確かな行動原理と理想となって、彼を定義する規範のひとつとなっている。
「映画に限らず『物語』というものは【理想】を人々に伝える崇高な役割を持つことが出来る」
そんな考え自体が理想だろうか。否、そうではないとトリテレイアは信じたい。
過去から現在、そして未来へと受け継がれていく『物語』には、きっと『物語』だからこその掛け替えのない役割があり、それは決して失われてはならないものだと。
「この厳しい世界だからこそ、次の世代への美しい物語とそれを護る防備が必要だと……私は思うのです」
それが、自らも『物語』を受け継いだ機械仕掛けの騎士の、偽らざる本心だった。
(……理詰めで交渉する予定が……)
これで相手が納得してくれるかどうか、あまりトリテレイアには自信がない。
協力の理由としては些か合理性に欠けていると、彼自身の冷徹な部分も指摘する。
本来なら「一宿の礼」という信頼性の高い利害関係を結んだうえで協力する筈だったのだが、映画を愛する人々の姿を見ているうちに、思わず答えが出てしまった。
返答を聞いた映画館の責任者は、しばらくじっとトリテレイアを見つめたままでいたが――やがて、穏やかに小さく微笑みを浮かべた。
「貴方はどうやら、私達と同じ理想を抱く方のようだ」
「同じ……ですか?」
「ええ。私達が映画を保管するのも、未来の誰かにこれを観てもらう為ですから」
今はせいぜい心を慰めるくらいの役にしか立たない、無用の長物だとしても。
いつの日か、人類が文明と平和を取り戻した時にこそ、きっと映画は必要となる。
その「いつか」を信じて、この拠点の人々は今日も映画を、物語を守り続けている。
「理想を共にする方を疑うとは大変失礼なことをしました……どうかお許しください」
謝意を込めて深々と頭を下げた男性は、そして、と力強い語調で続ける。
「私共から改めてお願いいたします。どうか貴方がたの力をお貸しください」
「……ええ、もちろんです。必ずや御守りいたします」
守るべき命と、伝えるべき『物語』のために、トリテレイアは誓いを立てる。
そう、それはありふれたおとぎ話、騎士道物語の1ページのように。
大成功
🔵🔵🔵
フェーリ・アイ
(言葉は発せず、霊の声は周囲にも聞こえる
フェーリが行く)
トーンには頼らない
後で好きに遊んでいいと宥めて離脱させる
人々を守るのが役目
命よりも守って欲しい物があると言われても、理解できない…
映画?とはどんなもの?
大切、とはどんなもの?
まずは見守るわ
上映会…は、声がなくとも、字を知らなくても参加できるかしら…
(映画の内容はお任せです)
これは記録なのね。でもそれ以上に、観た人に希望を齎すものなのだわ
人の傍に置いておくべきものね
一緒に守りましょう
持ち出せるものなら手分けして運び出す方が安心よね
機械もなるべく動かさない方がいい
近くにシェルターでもないかしら?地道に探したり、輸送を手伝う位しかできないけど…
『ねえねえアイ、本当について行かなくても大丈夫なの?』
(問題ない。ここはフェーリが行く。トーンには頼らない)
からかうように喧しい、姿なき霊体「トーン」からの問いかけに、フェーリ・アイ(石ノ華・f24660)は心の中で返事をしながら無言で頷く。言葉を解せはするものの話せない彼女は、トーンの助けがなければ他者との意思疎通も苦労するのだが。
(後で好きに遊んでいいから)
『ちぇー。そこまで言うなら仕方ないかー』
不満げな霊をなんとか宥めて離脱させると、アイの中にいる人格のひとつ"フェーリ"は、荒れ果てた大地に立つ寂れた映画館に入っていく。
(私は人々を守るのが役目。命よりも守って欲しい物があると言われても、理解できない……)
人命守護を第一原則とするフェーリにとって、なんの生活の役にも立たない『映画』とやらを懸命に手放そうとしない人間達の行動はまったく不可解なものだった。
理解できないが故に怖いとすら思う。されど人は守るべき対象。だから、理解したいとは思う。
(映画? とはどんなもの? 大切、とはどんなもの?)
その答えを知るために彼女はまず、この映画館の人々の様子を見守ることにした。
(上映会……は、声がなくとも、字を知らなくても参加できるかしら……)
やがて何かを映しているらしいホールの前までやってきたフェーリ。
どうしようかと思案していると、そこにたまたま通りがかった住人が声をかける。
「おや、あんたも旅人さん達の仲間かい? 上映会、もう始まってるよ」
「…………」
「えらく無口だね。ほらほら、せっかくの機会なんだから、観ないと損するよ!」
腕を掴んで、中に引っ張り込まれる。えらく強引だがそうまでして観せたいのか。
幸い映画はまだ始まったばかりのようで、暗い室内の正面にある大きなスクリーンの中では、俳優達が熱演を奮っている真っ最中だった。
(これが映画というものなのね)
空いていた席に腰掛けて、フェーリは無感情な瞳でじっとスクリーンを見つめる。
それは、かつてのアポカリプスヘルではシリーズ化されるほど有名な一作だった。
主人公は多くの苦難に見舞われるが、仲間の助けと、自らの機転を活かして乗り越えていく。そして最大の絶望が襲ってきた時でも決して諦めず、ついに幸福を得る。
筋書きからしてみれば良くあるものだ。けれどそのありふれた物語に、俳優の迫真の縁起と巧みなカメラワーク、音楽と演出が『魂』を吹き込む。そうして完成した『王道』のストーリーに、人々は誰もが見入っていた。
(これは記録なのね。でもそれ以上に、観た人に希望を齎すものなのだわ)
初めて観た映画と、それを観る人々の様子から、フェーリはひとつの理解に至る。
確かにこれでは腹は満たされないし、危険から身を守れるわけでもない。それでも『映画』とは、人が生きるうえで不可欠なものを与えてくれるのだと分かった。
(人の傍に置いておくべきものね。一緒に守りましょう)
頭の中の守るべき対象リストに、新たにひとつ書き加えた彼女は、視聴の邪魔をしないよう、音もなくそっと席を立った。
(持ち出せるものなら手分けして運び出す方が安心よね。機械もなるべく動かさない方がいい)
並行して進められている避難準備の状況を見る限り、遺産をはじめとする必要なものを、いざという時に素早く運び出すための準備は進められているようだ。
問題はそれを「どこに」運ぶのか。単純な話、この辺りの建物で一番安全で設備が整っているのがこの拠点なわけで、目ぼしい避難先の当てがあまりない。
(近くにシェルターでもないかしら?)
フェーリにできるのは地道に探すことくらいだ。人々や物資を安全に収容できそうなところは無いかと、映画館の周辺にある建物をひとつひとつ調査していく。
すると、近くにあった倒壊したビルの地下階層が、まだ無事に残っているのを見つけた。長期間の滞在には向かないがここならば一時的な避難先には使えそうだ。
(貴重品や子供などを優先的にここに隠して。あとはバリケードを張った拠点の奥で保護……こんな感じかしら)
他の猟兵の手によって拠点自体の防備も強化が進められている。多角的な避難・防衛体制を整えられれば、住人と遺産を守れる可能性はさらに向上するはずだ。
(出来ることは何でもしておいたほうが良いわね)
プランを練ったフェーリは、この場所を伝えて荷物の輸送を手伝うために映画館に取って返す。言葉を話せなくともこの程度ならジェスチャーで伝わるだろう。
人を守るために、映画も守る。目的を明確にした彼女の行動は迅速であった。
大成功
🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
ラン達3人を連れて拠点へ…。
そういえば最近、映画に出たばっかりだったね…。
「ご主人の映画のDVD!」
「布教!」
「みんなで見る!」
DVDデッキとかまだ残ってるのかな…。
いや、広めなくて良いよ…
「映画楽しい!」
「文化は大事!」
「メイドも文化!」
…この世界にメイド文化って残ってるのかなぁ…?
それにしても、映画の撮影技術って凄いよね…ホラー映画とか凄くよくできてるし…。
映画や残ってる機器等を興味深げに見せて貰ったりしながら、噂話の体で最近、ここから遠くない辺りにレイダーの集団が出没するみたい、という形で警告を促し、住人達とバリゲードの設置や結界呪術【呪詛、高速詠唱、オーラ防御】で拠点の防御を固めるよ…
「そういえば最近、映画に出たばっかりだったね……」
映画館の拠点を見回しながら、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)はふと思い出す。
それはヒーローズアースにて、猟兵を題材とした映画への出演をオファーされたときのこと。無事に封切りとなったその作品は、同世界で上々の評価を得ていた。
「ご主人の映画のDVD!」
「布教!」
「みんなで見る!」
――と、上映後に販売されたDVDのパッケージを手に主張するのは、一緒にやって来たメイド人形のラン、リン、レン。彼女達としてはこの依頼を機に、アポカリプスヘルの映画好きにも主人の魅力を伝えるつもりで満々のようだが。
「DVDデッキとかまだ残ってるのかな……。いや、広めなくて良いよ……」
当の璃奈は冷静な指摘で待ったをかける。本人も撮影にはかなり真面目に参加していたようだが、それはそれとしてあまり広められるのは恥ずかしいのかもしれない。
しかしご主人の銀幕デビュー当時も大盛り上がりだったメイド人形達はめげない。
どこかに健在のDVDデッキはないものかと探しながら、映画館のあちこちを見て回る。
「映画楽しい!」
「文化は大事!」
「メイドも文化!」
「……この世界にメイド文化って残ってるのかなぁ……?」
ひょっとすればここと同じように、メイド喫茶等を拠点にしてメイド文化を守る人々がいるかもしれないし、いないかもしれない――それはまた別のお話。しかし璃奈も映画の良さと文化の大切さについては彼女らに同意するところだ。
「それにしても、映画の撮影技術って凄いよね……ホラー映画とか凄くよくできてるし……」
「おや、目の付けどころがいいですね! そうなんです、映画の技術は日進月歩!」
そこにひょっこりと、近くにいた住人が話に乗ってきた。映画マニアにもいろいろな人種がいるが、この人はCGや特殊メイク、特撮技術等に注目して観るタイプらしい。
「これから上映会があるのですが、よければ一緒に見ませんか? あ、作品の持ち込みも大歓迎ですよ! DVDデッキ、まだ動くやつ残ってたかな……?」
「ん……ありがとう……」
「映画見る!」
「見せる!」
「楽しい!」
こくりと小さく頷く璃奈に、楽しそうにはしゃぐ3人のメイド達。案内されたホールにて、彼女らはこの世界に遺された数々の映画の遺産を鑑賞させてもらう。
最新技術を駆使したアクション超大作や、本物よりも恐ろしいかもしれないホラー作品。文明崩壊を経ても色褪せない名作に、住人達があれこれと解説もしてくれるため、細かい描写や演出の意図までよく分かるのも皆で視聴する良さのひとつだろう。
撮影や上映に関する機器や記録媒体も見せて貰ったが、残念ながらメイド達の期待したDVDプレーヤーはなかった。もし次があれば、今度はプレーヤーも一緒に持ち込むのも手かもしれない。
「そういえば……これは最近聞いた噂話だけど……」
興味深そうに映画や機器を見たり、映画にまつわる薀蓄に耳を傾けたりと住人との交流を深めると、璃奈はふと思い出したように噂という形で彼らに警告を促す。
「最近、ここから遠くない辺りにレイダーの集団が出没するみたい……」
「ああ、他の旅人達からも似たような話を聞きましたが……本当なんですね」
それまで楽しそうに映画の話をしていた住人の表情に、さっと緊張が走る。
この拠点の防備は薄く、もしも情報もないまま不意に攻められればひとたまりも無かっただろう。しかし猟兵達のおかげで、備えをするだけの猶予が手に入った。
「わたしも、バリケードの設置とか手伝うよ……」
「助かります。本当にレイダーが来るのなら、人手は幾らあっても足りませんから」
協力を申し出れば、映画館の住人はありがたいといった表情で感謝を述べる。
さっそく、資材を持って映画館の外までやってきた璃奈は、住人達と一緒にバリケードを設置しながら、作業に紛れてこっそりと印を組み、呪文を唱える。
それは害意あるものの侵入を阻む結界の呪術。バリケードと合わせてこれを拠点の外周を囲むように施術すれば、防御はより堅固なものとなるだろう。
「もう少しかな……」
予知された襲撃が来るまで、もうそれほど長くの時間はない。
魔剣の巫女はメイド達と共に、着々と出来る限りの備えを進めていった。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
こういう世界だからこそ、数少ない娯楽は貴重よね。
過去の文化の記録になったりもするし、大切にするのも解るわ。
個人的にはロマンス系の映画とかわたしの世界ではあまり馴染みのない推理モノの映画とかが好みかしら♪
軽く【魅了の魔眼・快】や【催眠術】を織り混ぜて好感を得やすくしつつ、拠点の人達と交流して信頼を得ていき、拠点の改造に着手。
【虜の軍勢】で魔城から「オベリスクに縛られし者」の邪悪エルフを召喚。
拠点周辺の瓦礫や廃材等の資材から防衛用のゴーレムを作成できるだけ作成させ、拠点防衛の為に各所に配備させると同時に、怪力を活かして拠点の入口にバリケードを設置したりと使用するわ。
人々も遺産も守らないとね♪
「こういう世界だからこそ、数少ない娯楽は貴重よね。過去の文化の記録になったりもするし、大切にするのも解るわ」
「おお、わかっていただけますか。そう言ってもらえると私達の努力も報われます」
明日をも知れぬ過酷な世界で、明日を夢見て映画を守ろうとする住人達の信念に、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は理解を示す。
これまで外部の人間にはなかなか理解されず、物好きや変人だと思われてきたのだろう。自分達の活動を肯定してもらえた住人達は、とても嬉しそうに何度も頷く。
「個人的にはロマンス系の映画とか、わたしの故郷ではあまり馴染みのない推理モノの映画とかが好みかしら♪」
「いいですね! ロマンスならオススメの作品が……」
「私も推理モノ大好きです! こっちの作品も一緒に見ませんか?」
それぞれのお気に入りを手にフレミアを上映会に誘う住人達。軽めにかけた【魅了の魔眼・快】や催眠術の効果もあり、彼女はちょっとしたアイドルのように扱われていた。
「それじゃあ順番に見せて貰おうかしら♪」
彼女としても悪い気はしないようで、スクリーンのよく見える特等席で上映会に参加する。
甘く切ない男女の恋心を情感たっぷりに描いたロマンスに、思いもよらぬトリックや意表を突く真犯人で観客を驚かせるミステリー。銀幕の向こう側にある数々のドラマは、ここが黙示録の地獄であることを一時忘れさせるほどに観客を魅了するのだった。
「とても素晴らしかったわ。この世界にはいい映画がこんなに沢山あったのね♪」
上映会を終えた感想を伝えながら、住人達の信頼をしっかりと得たフレミア。
その頃には他の猟兵達が広めたのだろう、拠点にレイダーの集団が近付いているという情報は住人の多くに周知されていた。防衛や避難の備えも進みつつあるようだ。
「レイブラッドさんも、今のうちに安全な所に……」
「あら、大丈夫よ。それよりわたしにも手伝わせて?」
軽い魅了状態にある住人達は避難を提案するが、フレミアはにこりと微笑んで協力を申し出る。元より彼女はそのためにここに来たのだから。
「わたしの可愛い僕達……さぁ、いらっしゃい♪」
自らの拠点である「魔城スカーレット」よりフレミアが喚び出すのは、別世界で眷属にした「邪悪エルフ」の一団。元は荒涼とした大地こそを「真なる自然」と尊ぶ過激なオブリビオンだったが、吸血姫に魅了され【虜の軍勢】の一員となったのだ。
「ここなら貴女達の力も活かせるでしょう。拠点の防御を固めなさい」
「はい。お任せ下さい、フレミア様」
主君の命を受けて深々と拝礼したエルフ達は、拠点周辺に散らばる瓦礫や廃材等に向かって杖を振ると、それらを素材としたゴーレムを作りはじめる。敵が集団でやってくると分かっている現状、拠点防衛のための戦力を少しでも増やすためだ。
「この子達を拠点の周りに置けば、敵がどこから来ても足止めになるわ」
「これは一体……ロボットですか? いや、しかしこれは頼もしい!」
魔法に馴染みのない住人達はすこし戸惑ったようだが、それが自分達を守ってくれるものだとフレミアに説明されればすぐに受け入れたようだ。限界まで作成されたゴーレム群は邪悪エルフと共に各所に配備され、防衛網の一翼を担うことになる。
また、フレミアがゴーレムを作らせた目的はそれだけではなく、常人の倍ほどもある巨体とそれに見合った怪力を活かして、力のいる重労働をさせるためでもあった。
「ここを塞いでおけば、敵も簡単には入ってこれないわよね」
レイダーが殺到するであろう入口の前に、資材を運ばせてバリケードを設置。
いざとなれば廃材から作られたゴーレム自体も、敵を阻む巨大な障害物となるだろう。
「人々も遺産も守らないとね♪」
エルフとゴーレムを指揮して防衛体制を整えるフレミアの表情は明るくも真剣だ。
荒廃した世界に遺された、掛け替えのない生命と文化――それを不当に奪い虐げんとする者を、彼女は決して許さないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『レイダー』
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POW : レイダーズウェポン
【手に持ったチェーンソーや銃火器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レイダーバイク
自身の身長の2倍の【全長を持つ大型武装バイク】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : レイダーズデザイア
【危険薬物によって身体機能】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
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映画を通じて住人達との交流を深め、拠点の防衛体制を整えていく猟兵達。
映画館の周囲にはバリケード等の防備を固め、いざという時のための避難先も確保。早期に理解を得られたおかげで、素早く人と物を動かせる用意もできている。
結果として、これ以上ないほどの好条件下で、猟兵達は敵の襲来を迎え撃つことになった。
「ヒャッハァー! メシだ、カネだ、オンナだぁーッ!!」
ブォォォンッと騒々しいバイクのエンジン音と、男達の下衆な喚き声。
威嚇的で凶々しい装いに銃器とチェーンソー。風体だけで「いかにも」な凶暴性。
それが、この荒廃した世界を我が物顔で蹂躙する、レイダーという連中だった。
「ちっぽけなベースだなァ。まあいい、根こそぎ奪い尽くしてやるぜェ!」
オブリビオンであるレイダーには本来、食糧も金銭もまったく不要なものである。
だがこの連中は暴走する欲望のままにそれらを奪い、壊し、潰し、踏みにじる。
彼らの頭の中には、映画に感動するような心も、文化の保護を理解する知性も、ありはしないだろう。
「ほ、ほんとうに来たっ!」
「慌てるな! 落ち着け!」
レイダーを目の当たりにした住人達は怯えているが、予め危機を伝えられていたため動揺は小さい。自分達の生命と大事な映画を守るために、すぐに行動を開始する。
だがそれでも、ただの人間の力でオブリビオンの集団を退けるのは不可能だろう。
果たして彼らは無事に明日を迎えられるのか――その命運はここに集った猟兵達の双肩にかかっている。
人々の生命を、そして未来へと受け継がれるべき文化を守るために。
猟兵達は戦闘態勢を取ると、押し寄せるレイダーの大群を迎え撃った。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
即座に敵の額に銃弾で風穴を開ける
…全く騒がしい奴らだ
映画鑑賞中は静かに見るのがマナーだろう?
シルコン・シジョンとシガールQ1210の2丁から銃弾の雨を降らせ敵を攻撃
ちっぽけなベースと油断してるならば初手を取れるだろう
敵の態勢が整う前にある程度は片付けておきたいな
ほう?なかなか良いバイクじゃないか
貴様らを一気に地獄まで運んでくれそうだ
敵がバイクに騎乗しだしたらUCを発動
近づかれる前にビーム線の一斉射撃で攻撃
バイクを破壊して爆発炎上を狙ってもいいな
銃での攻撃も交え近づいてくる敵がいたら優先的に倒していく
背後にある映画館に被害が出ないように注意しよう
行儀の悪い観客は叩き出すに限るな
芥子鴉・芙蓉
【医者と患者】アドリブ・連携歓迎
さて、奴さんのお出ましじゃの。
鞄に残っておった高濃度マインドアンプルをぶっさした故、一応のヤクチャージは済んでおる。最高にハイってやつじゃ。
クラウディア、安心して背中を任せるがよい。
敵の攻撃は[見切り][武器受け]を総動員して捌く。
多少のダメージは[激痛耐性]で我慢じゃ。
『フィトンチッド』による[マヒ攻撃]で少しでも敵の動きが鈍らせることができれば、仲間も戦いやすいじゃろう。
討ちもらしたレイダーたちがもし住人の方へ向かってしまうようであれば、UC《毒桜》でその動きを封じるぞ。
とまぁこのような感じで、今回わらわは味方をサポートする形での立ち回りを心掛けるんじゃよ。
伊達・クラウディア
【医者と患者】アドリブ・連携歓迎
来ましたか。ならばここからは猟兵として仕事の時間…しかし我は映画で学びました。登場シーンや変身シーンは大事だと。
皆さんの前で【梵天丸】を転送し、装着。
「皆さんご安心を。あの程度の輩、すぐに片づけてまいりますので。祝勝会用のおすすめの映画を見繕っておいてください」
堂々と言えば、皆さんの恐怖を少しは拭えるでしょうか。
レイダー相手には【武器受け】【盾受け】で攻撃を受けつつ接近。【怪力】で捕らえた相手にUC【剣豪パンチ】を馳走しよう。
敵は複数。一人では守り切れぬが、背中には芥子鴉や仲間の猟兵達がいるとなれば些かの不安なし!故に、我は全力で目の前の敵を…斬る!
「さて、奴さんのお出ましじゃの」
映画館の窓から顔を覗かせ、此方に近付いてくるヒャッハーな連中を確認する芙蓉。
その表情が先程より引き締まって見えるのは、カバンに残っていた高濃度マインドアンプルを合法阿片の代わりにぶっさしたのもあるだろう。つまりチャージ済みである。
そして敵接近の報を聞いたクラウディアもまた、真剣な表情でぎゅっと拳を握る。
「来ましたか。ならばここからは猟兵として仕事の時間……しかし我は映画で学びました。登場シーンや変身シーンは大事だと」
出撃する前にひとつ、やっておくことがある。迫りくるレイダーに怯える人々の前に立った彼女は、さながら銀幕の中の主役のように堂々とした態度で声を上げる。
「皆さんご安心を。あの程度の輩、すぐに片づけてまいりますので。祝勝会用のおすすめの映画を見繕っておいてください」
必勝を確信する力強い言葉に、人々の注目が集まる。クラウディアはペンダント型転送装置「出羽国」にそっと手を当てると、芝居がかったふうにポーズを決めて叫ぶ。
「来い、梵天丸!」
カッ! と閃光と共に纏いしは強化外骨格「梵天丸」。可憐な少女が一転して勇壮なる鎧を装着する演出に、人々――映画ファンたちは思わずおぉっと盛り上がる。
「かっこいい……!」
「お嬢ちゃん、あなた一体何者なの?」
その問いにクラウディアは敢えて黙して語らず、キラキラした視線を背に受けながら映画館を飛び出す。口でぺらぺらと説明するよりも、行動で示すのがヒーローというものだ。
「ヒャッハー! 略奪の時間だァ!」
「ヒヒヒ、楽しみだぜェ……!」
ブォンブォンとエンジンを響かせながらやってきたレイダー共は、下卑た欲望で瞳をギラつかせマスクの下で舌なめずりをする。その風貌は絵に描いたような悪漢。
だが、欲をかいたその内のひとりが、バリケードの築かれた映画館に一歩近付いた瞬間――タンッ、と一発の銃弾がソイツの額に風穴を開ける。
「……全く騒がしい奴らだ。映画鑑賞中は静かに見るのがマナーだろう?」
「あんだァッ!?」
ばたりと倒れ伏した仲間を見て、冷水を浴びせられたようにどよめくレイダー達。
その前に現れたのは、硝煙をたなびかせる自動小銃"シルコン・シジョン"を構えた、麗しき戦場傭兵――キリカであった。
「入館料はちゃんと持ってきたか? 無いなら貴様達の命で支払って貰おう」
怜悧な眼差しで敵を一瞥したキリカは、右手にシルコン・シジョン、左手には機関拳銃"シガールQ1210"の2丁を構え、容赦のない銃弾の雨を降らせる。ちっぽけなベースだと侮っていたレイダー共にとって、それはまったく予期せぬ先制攻撃であった。
「ぐげぇっ?!」
「ぎゃぴっ?!」
態勢を整えるヒマもなく、次々と銃弾に撃ち抜かれていく略奪者の群れ。
混乱と狼狽が広がる中、比較的冷静だった者は武器を構え直して仲間を叱咤する。
「落ち着け! 敵は一人だ、囲んで叩いちまえば――」
「一人ではない!」
一陣の疾風のごとく、そこに駆けつけたのは「梵天丸」を纏いしクラウディア。
人々の期待をその背に負った彼女は、降りしきる弾幕の援護を受けて、真っ向から敵陣に吶喊した。
「気合十分じゃのう」
キセルパイプを片手で弄びながら、クラウディアの後より現れたのは芙蓉。
前線を張る気満々の相方に対して、彼女が心掛けるのは味方のサポート。
その体内で毒素を生成し、此方に有利な環境を整えるのが彼女の戦法だ。
「クラウディア、安心して背中を任せるがよい」
「はい!」
クラウディアの踏み込みに迷いはない。それは仲間を信頼しているからこそ。
弾丸の如く突っ込んでくる相手を見て、レイダー達も迎撃しようとするが――。
「う……なんだ、頭がいてえっ」
「身体が痺れて……動かねえッ」
芙蓉の撒いた「フォトンチッド」が大気を漂い、オブリビオンの肉体を一時的に麻痺させる。敵の動きが鈍った隙を見逃さず、クラウディアは右肩にマウントした高周波ブレード「鎬藤四朗吉光」を装着し、一閃。
「我が刃、その身に刻め! 剣豪パァァーンチ!!」
大上段より振り下ろされた赤黒い刀身が、前後不覚に陥ったレイダーを両断する。
その破壊力、まさに致命的。彼女が心に宿した折れぬ刃は、いかなる悪をも討ち破るのだ。
「く、クソッ! こんな奴らがいるなんて聞いてねぇぞッ!」
「うろたえてんじゃねェ! 数ならコッチのほうがまだまだ上だ!」
初手でいきなりの大損害を負ったレイダー共ではあるが、このままやられっぱなしでは彼らのプライドも収まらない。目にもの見せてやるとばかりに【レイダーバイク】に跨ると、無骨な【レイダーズウェポン】を振り回す。
「ズタズタに引き裂いてッ! 風穴開けてッ! 轢き潰してやるぜェッ!」
危険薬物【レイダーズデザイア】をキメた彼らの脳内に理性という二文字はない。あるのはただ、目の前の敵を蹂躙し破壊し殺戮し尽くしたいという欲望と衝動だけだ。
(敵は複数。一人では守り切れぬが、背中には芥子鴉や仲間の猟兵達がいるとなれば些かの不安なし!)
狂奔するレイダー共を前にして、クラウディアは一歩も退かずブレードを構え直す。
ここに居るのは自分一人だけではない。信じて託せる仲間の存在が、迷いや不安を吹き飛ばしてくれる。
「故に、我は全力で目の前の敵を……斬る!」
「サムライごっこはおウチでやれ、クソガキッ!」
汚い罵倒を吐き散らしながら、バイクの上からチェーンソーを振り下ろすレイダー。
クラウディアは巧みな太刀捌きでその鋸刃を斬って払うと、距離が詰まった瞬間に相手の首根っこを捕らえ、バイクから引きずり下ろした。
「ぐげッ!? は、放せッ!」
どんなにジタバタともがいても、外骨格に鎧われた少女の手は万力のように動かない。その態勢から繰り出されるのは腕部に装着されたパイルバンカー「牛王吉光」。
「剣豪パァァーンチ!!」
射程は短く装弾数も少ない、されど当たれば威力絶大なる浪漫の一撃が、レイダーの薄汚れた心臓を跡形もなく破壊した。
「な、なんだアイツ、やべぇぞッ!?」
前線にて大立ち回りを見せるクラウディアの勇姿に、怖気づいたレイダー共は迂回するようにバイクを駆る。だがその程度のことで猟兵の牙から逃れられる筈がない。
「ほう? なかなか良いバイクじゃないか。貴様らを一気に地獄まで運んでくれそうだ」
前衛が敵を足止めしている内に後衛のキリカが発動したのは【オーヴァル・ミストラル】。50を超える複製されたオーヴァル・レイが、空中から一斉射撃を開始する。
戦場に巻き起こる蒼い閃光の暴風雨が、レイダー共を次々と射抜く。無軌道にバイクで暴走するだけの連中なぞ、彼女からすれば射撃練習にもならない。
「げはッ!?」
「ぎえッ!!」
キリカを射程に捉えることすらできぬまま、風穴を開けられて転倒するレイダー達。
横倒しになったバイクをビームが破壊すれば、燃料に引火して爆発炎上。紅蓮の炎と爆風が、さらに多くのレイダーを吹き飛ばしていく。
「く、クソッ、だが中に入っちまえば……!」
「おっと、すまんがここは通行止めじゃぞ」
剣豪と傭兵の猛威を辛くもすり抜け、映画館に接近したレイダー達にも安息は無い。
住人達のほうに危害が及ばぬよう、討ち漏らした敵は芙蓉が目を光らせている。
「アァん? どけよこのアマ!」
傍目には柳のように華奢な着物姿の女を侮ったか、適当に排除しようとするレイダー。しかし彼の振るったチェーンソーは、なんの手応えもなく受け流された。
「なにッ? このッ!」
「何やってんだ、おい!」
他の連中が加わろうとも、何度振り回そうとも結果は同じ。見た目からは想像もつかぬ力と技術を秘めた芙蓉の至高の手(ゴッドハンド)は、これしきの攻撃など容易く捌く。
「花見の時間じゃよ」
飄々と敵をあしらいながら、芙蓉が放つは【毒桜】。虚空から生じた無数の桜の花びらは、悪しきものの肉体を蝕む猛毒。ざあっと吹きすさぶ桜吹雪に巻き込まれたレイダー共は、たちまち全身に毒が巡って動けなくなる。
「ご、げぇ……ッ」
「ぐ、ぐるじ……」
地べたに這いつくばり、青ざめた顔でもがき苦しむ連中にトドメを刺したのは、飛来する卵型の浮遊砲台――キリカのオーヴァル・レイより放たれる蒼き閃光だった。
「行儀の悪い観客は叩き出すに限るな」
「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁッ
!!?!!」」
愚かなる略奪者達の断末魔が、アポカリプスヘルの荒野に響き渡る。
桜と閃光が収まったあとには、レイダーの姿は跡形もなく消滅していた。
「う、ウソだろ……? なんで俺達がこんな……!」
「人々を苦しめ、殺め、虐げるその所業。ここで我々が終わらせる!」
先行した連中がことごとく壊滅した結果に、残ったレイダー共は動揺を隠せない。
対してクラウディアは後ろを振り返ることなく、前だけを見て敵に斬り掛かる。
仲間のことは何も心配いらないと分かっている。背中を任せるがよい、と言ってくれた――だからまっすぐに自分の為すべきことだけに集中できる。
「悪鬼退散!」
赤黒のブレードが悪を斬る。その猛撃は、もはや誰にも止められなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ピウ・アーヌストイト
SPD
ムムッ……無法者どもが……。
すこし緊張してきたであります。私達がいれば、ここは守れるであります。守ってみせるであります!
私が隠れやすいように物を動かします。
私は物陰に隠れてガン待ちするであります。敵が来ないと分かったら、また別の物陰に隠れる事を繰り返すであります。
指定UC、アサルトライフルで攻撃します。
(ムムッ……無法者どもが……)
映画館に迫るヒャッハーと喧しいレイダーを、物陰に隠れながら睨むのはピウ。
純真な彼女の正義感は炎のように燃え盛っているが、さりとて無策のまま突っ込んだりはしない。折角築いた防衛の備え、ここで活かさない手はないだろう。
(すこし緊張してきたであります。私達がいれば、ここは守れるであります。守ってみせるであります!)
隠れやすいように動かしておいた物や、築き上げられたバリケードの陰に潜み、少女は敵の接近を待つ。アサルトライフルの銃把をしっかりと握り締めながら。
「ヒャッハァー!」
魔改造された【レイダーバイク】に跨る略奪者の一団は、拠点の四方八方より攻め寄せる。そこに待っているのが無力な獲物ではなく、牙を研いだ猟犬だとも知らず。
(……今であります!)
敵が射程内に入った瞬間、ピウは照準を合わせてトリガーを引く。単射モードで放たれた銃弾は狙い過たず、先頭にいたレイダーの頭部を撃ち抜いた。
「ぎゃッ!?」
「おい、どうし……ッ!?」
断末魔を上げて絶命した男は、ぐらりとバランスを崩して転落し。乗り手のいなくなったバイクは後に続いていた仲間を巻き込みながら、盛大に横転して爆発した。
「な、なんだ今のは?」
「バカが事故りやがって……ぐぇッ!?」
辛くも事故に巻き込まれなかった連中は、まだ攻撃を受けたのに気付いていない。
ピウは物陰にて息を殺したまま、そんな連中に【ヘッドショット】を決めていく。
タタッ、と短い銃声が響くたび、ひとりのレイダーの眉間に穴が開く。位置を悟られないように、一発撃つたびに潜む場所を移動するのも忘れない。
「クソッ、狙撃か!」
「一体どこから撃ってやが……ギャッ!」
人々の未来を奪う無法者共にかける慈悲はなし。交戦からさほどの時を経ぬうちに、軍人少女の銃撃はやって来たレイダーの一団を全滅させていた。
「こっちからはもう来ないようでありますね」
バリケードからひょこりと顔を出して、あのうるさいエンジン音が聞こえなくなったのを確認したピウは、小銃の弾倉を交換するとすぐに移動を開始する。
まだまだ攻めてくるであろう敵の襲来に備えて、また別の場所に潜むのだ。
彼女のガン待ち戦法は、決して華々しくはないが、着実な戦果をあげていった。
成功
🔵🔵🔴
善哉・鼓虎
『映画』の価値もわからんやつらに負ける訳にはいかんからな!
素敵な映画を見せてもらったお礼やないけど…。
うちの音楽も聞いたって!
UC【サウンドオブパワー】
みんなが頑張って戦えるように応援やー!!【パフォーマンス】
古ぼけたエレキギターをかき鳴らして決して上手ではないけれど情熱的な歌を…!
うちはまだまだ未熟者やからな。あんまり前にでたら迷惑かけてしまうし。
あたらしくSNSで繋がったここのベースの人は無事やろか?
余裕があったらそっちもチェック!
アドリブ連携歓迎。
紗咲・亜闇
※アドリブ・連携歓迎
ようやく来たな。映画を見たり感想を言い合うのは楽しかったけど、私は元々潜入だとか説得だとかはあんまり向いてないんだよ。原因をさっさとぶちのめして安心させてもらおうか!
【クイックドロウ】で敵の武器を【武器落とし】。銃火器のせいで火事にでもなったら目も当てられないしな。そして敵の何人かをヨーヨーの糸の【ロープワーク】で捕獲して、そのままそいつらを武器に敵集団を【なぎ払い】。それでも生きてる連中をまた捕まえて同じ攻撃をする。【2回攻撃】だな。え、まだいる?タフな奴は光【属性攻撃】を込めたヨーヨーによる【鎧砕き】で急所を【部位破壊】する。同情の余地がない敵相手は戦い安くていいな。
「ようやく来たな。映画を見たり感想を言い合うのは楽しかったけど、私は元々潜入だとか説得だとかはあんまり向いてないんだよ」
現れたレイダーの一団を前にして、ぐるりと肩を回しながら笑みを浮かべる亜闇。
悪党を倒してみんなを守る。それくらいシンプルなほうが彼女の性には合っている。
「原因をさっさとぶちのめして安心させてもらおうか!」
右手には闇の木刀、左手には光のヨーヨー。
闇と光の力を宿せし相克のスケバンが、ヒャッハー共と対峙する。
「なんだァこの女? そんなオモチャで俺達とやろうってか?」
「ギャハハハ、こいつは傑作だ! こっちの武器が見えねえのかよ!」
レイダー共は明らかに馬鹿にした態度で【レイダーズウェポン】を振りかざす。確かにチェーンソーや銃器に比べれば、亜闇の武器は一見頼りなさそうにも感じよう。
だがこの連中は知らない。猟兵の武器は必ずしも見た目と性能が一致しないのだと。
「光あれ! このヨーヨーに!」
一瞬の早業で放たれた光のヨーヨーが、馬鹿笑いする連中の手から銃を叩き落とす。目で追うことすらできなかったその速さに、レイダー共の間に戦慄が走る。
「銃火器のせいで火事にでもなったら目も当てられないしな」
「な――ッ」
先手を打って映画館への脅威をひとつ刈り取った亜闇は、そのまま自由自在にヨーヨーを操り、まだ唖然としている数人のレイダーを光の糸で捕らえた。
「ぐえッ! は、放せッ!」
「こ、こんなもの……ッ!」
捕らわれたレイダー達はチェーンソーで脱出を試みるも、光の神の加護から生み出されたヨーヨーの糸はそんなものでは切れない。そのまま亜闇が手元の糸を手繰ると、一塊になった連中の身体はふわりと宙に浮かぶ。
「お、おい待て、なにするつもり……」
「こうするんだよ!」
ぶん、と叩きつける先は他のレイダー共が群れているど真ん中。さながら人間ハンマーといった様相でぶつかりあった両者の間から、鈍い衝突音と悲鳴が上がる。
「「ぐぎゃぁッ
?!!?」」
敵そのものを武器とする容赦なき戦法。しかし相手が無法者のレイダーとあれば憐れとは感じず、むしろ溜飲が下がるというものだ。
「おー、やっとるやっとる! いけ、そこやー!」
そんな亜闇の活躍ぶりを、古ぼけたエレキギターを手に応援するのは鼓虎。
猟兵としてはまだ経験の浅い彼女は、迷惑をかけないようにと後方で戦いを見守りながら、拠点の人々が無事に避難できているかSNSを通じて安否確認を行っている。
『みんな大丈夫か? こっちはこんな感じやで』
『私達は平気です! みんな避難しています!』
『そっちのほうは大丈夫? どうか負けないで!』
生きたネットワークサーバー――ソーシャルディーヴァである彼女に伝わってくるのは、たくさんの人々からの無事を報せる言葉と声援。温かくて希望に満ちたつぶやきは、彼女自身にも勇気を与えてくれる。
「『映画』の価値もわからんやつらに負ける訳にはいかんからな!」
鼓虎は八重歯を見せてにっと笑うと、ピックを手に取りエレキギターをかき鳴らす。
奏でるは【サウンドオブパワー】。共感する者に力を与えるユーベルコード。戦場から映画館にまで高らかに響き渡るそれは、映画と同じかつての文明の遺産――すなわち『音楽』。
「素敵な映画を見せてもらったお礼やないけど……。うちの音楽も聞いたって!」
その歌は技術としては決して上手とは言えない。けれど「みんなが頑張って戦えるように」という想いを込めた情熱的な歌声は、苦難に立ち向かう人々の魂を奮わせる。
「いてててて……あぁ? なんだ、このヘッタクソな歌は……」
「お前らには分からないんだな。映画の魅力も、音楽の良さも」
ふらふらとよろめきながら立ち上がってきたレイダー共を、光のヨーヨーが再び拘束する。共感する心を持たない略奪者達に向けられる亜闇の視線は冷たかった。
「その腐った性根を叩き直してやるよ」
「な、まままま待て―――グギャァッ
!!!?」
叩きつけられたのは先程と同じ人間ハンマー。しかし鼓虎の応援によって増強されたその一撃は、初撃よりもずっと重く激しく、レイダーの群れを薙ぎ払った。
「ち、くしょ……よく、も……」
「え、まだいる? タフな奴だな」
2度の攻撃を食らってなお立っていたのは、ボロボロのレイダーがひとりきり。
亜闇は手元に戻したヨーヨーに光の力を込めなおし、駄目押しとばかりに思い切り投擲する。
「ぐぎょえっ!!!」
狙い通り急所にヒットしたヨーヨーの威力はまるで砲丸の如く。くの字に身体を折り曲げたレイダーはどさりと倒れ伏し、今度こそ二度と起き上がっては来なかった。
「同情の余地がない敵相手は戦い安くていいな」
光のヨーヨーを回収し、制服についた砂埃をさっと払う亜闇。
無法なるレイダー共は、今だ映画館に一歩も踏み込めぬまま屍を晒していく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
茜谷・ひびき
事前の準備は万全だな
後は俺達が皆を守るだけだ
こんな世界になっても映画を残そうとする皆の覚悟に、俺もちゃんと応えたい
戦闘が始まればすぐに【ダッシュ】で敵に近づく
最初に気をつけるのは銃とかの遠距離攻撃だな
【オーラ防御】で身を固めてダメージを抑えつつ行こうか
接敵したら次に気をつけるのはチェーンソーとかだな
凶器攻撃は【野生の勘】で見切りつつ
手近なヤツを【怪力】も乗せた拳で思い切りぶん殴る!
それで相手の体勢が崩れたらUCだ
レイダーの腕や足を掴んで、そのまま思い切り他の敵へと叩きつける!
本当はこの技は地面や壁に叩きつけたりも出来るけど
あんまりこの近辺を汚すのもな
グチャグチャになるのは悪党共だけで十分だ
「事前の準備は万全だな。後は俺達が皆を守るだけだ」
避難していく人々を見届け、築かれたバリケードを越えて戦闘態勢を取るひびき。
その脳裏に浮かぶのは、見せてもらった映画と、それを愛する人々の笑顔。
「こんな世界になっても映画を残そうとする皆の覚悟に、俺もちゃんと応えたい」
気合は十分。彼方より接近するバイクのエンジン音を聞きつけた彼は、即座に地を蹴って駆け出した。
「おい、誰かこっちに近付いてくるぜ」
「ハッ、プレゼントでも欲しいのか? 歓迎してやるよ!」
拠点から出てくる人影に気付いたレイダー共は、舐め腐った様子で銃火器を撃つ。
文明崩壊後の世界を牛耳る暴力の象徴【レイダーズウェポン】――だが、ひびきは全身に血のような赤いオーラを纏うと、銃弾を弾き返しながらなおも近付いていく。
「んなァッ?!」
「嘘だろッ!」
銃で撃たれればオブリビオンでもない人間は死ぬ。それがレイダーの常識だった。
しかし不条理を覆す猟兵の力は、彼らのちっぽけな理解に収まるような存在ではない。
「どんな連中かと思えば、大したことないな」
「こ、こいつぅッ!」
弾幕を突っ切って白兵戦の間合いにまで踏み込んできたひびきに、逆上したレイダー共はチェーンソーを振りかざす。けたたましい発動機の音が響き、回転する鋸刃が唸りを上げる。
「バラバラにしてやらぁッ!」
「おっと」
怒り任せの単調な攻撃だ。野生の勘を研ぎ澄ませたひびきなら、見ないでも躱せる。
ひょいと体を傾けて凶器を避けると、手近なヤツをお返しとばかりに拳を一発。
「ごぶッ!?」
人間離れした膂力で思い切り叩きつけられた拳が、レイダーの鼻っ柱をぐしゃりとへし折る。体勢が崩れたところを見逃さず、今度はソイツの腕をがしりと掴む。
「動くんじゃねえぞ、そうすりゃ苦しまずに済む」
「なッ、なびぼずるづもり……だあぁぁぁぁぁッ!?」
ひびきは捕まえたレイダーの体を、バットか棍棒のように軽々と【握り回し】。
渾身のフルスイングで叩きつけた先は、唖然としている他のレイダー共だった。
「「ごばぁぁぁぁぁぁぁッ
?!!?」」
「ホームラン。いや違うか」
何十トンもの物体を持ち上げる彼のフルパワーとなれば、ぶつけられる方もぶつけられた方もただでは済まず、みんなそろって肉塊となって吹っ飛ばされていく。
本当ならこの技は捕まえた相手を地面や壁に叩きつけることもできるのだが、このほうが大勢の敵を巻き込めるし、なにより周辺を破壊することもない。
「あんまりこの近辺を汚すのもな。グチャグチャになるのは悪党共だけで十分だ」
「ひ、ひぇ……ッ」
ぽきぽきと指を鳴らしながら次の標的を探すひびき。敵に回してはいけない相手と戦ってしまったと、遅まきながら気がついたレイダー共はさあっと青ざめる。
オブリビオンである連中には改心の余地もあるまい。映画館の人々に二度と危害が及ぶことが無いように、ひびきは容赦なくレイダーをなぎ倒していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
…防備増設にかまけて映画を鑑賞していませんでした
ですが既に我が胸中にこの拠点の人々と同じ志がある…それで十分というもの
さあ、無法者にはお引き取り願います
車輪相手にはこれが効果的です
攻撃を●盾受けで凌ぎつつ格納銃器での射撃でUCをバイクの地面やタイヤに浴びせ転倒させます
放り出されたレイダーの軌道をセンサーで計測、●情報収集し軌道を●見切って●スナイパー射撃で止め
三輪タイプではスリップが限界…ワイヤーアンカーを射出
●ロープワークで座席のレイダーを引き寄せ●怪力シールドバッシュ
…映画と言えば
HEの映画には不参加でしたね
緊急性が低いから…いえ、騎士らしい外連味ある戦い方に自信がありませんでしたから…
「……防備増設にかまけて映画を鑑賞していませんでした」
敵接近の報が届くまで念入りに防衛体勢の強化に励んでいたトリテレイアは、迎撃のために持ち場に向かいながら、勿体ないことをしただろうかとふと呟く。ここの人々があれほど深く愛している映画なら、一度見ておくのも良かったかもしれない。
「ですが既に我が胸中にこの拠点の人々と同じ志がある……それで十分というもの」
あの時住人と交わした言葉と意志は今も変わりなく、ゆえに微塵も迷いはない。
今は自分もこの地の一員として、掛け替えのないものを守るために戦うのだ。
「ちっ、あっちこっちにバリケードが……うざってぇ!」
「拠点のやつら、無駄な抵抗しやがって!」
ブォンブォンとエンジン音を響かせながら【レイダーバイク】で疾走するレイダー共。しかし予め設置された防備のせいで、その機動力は大きく制限されている。
苛立つ連中がもう力尽くで突破してやろうかとスピードを上げたのを見計らい、トリテレイアはバリケードから身を乗り出して格納銃器の照準を合わせた。
「車輪相手にはこれが効果的です」
発射されたのは【対襲撃者行動抑制用薬剤】を封入した特殊弾頭。この薬剤には、塗布した対象の摩擦係数を極限まで減らす効果がある。それがバイクのタイヤや進路上の地面に命中すればどうなるか――。
「ん、今なにか当たって……ぬぉぉぉぉっ?!」
「なんだ、急に滑っ……ぎゃぁッ!?」
破裂した弾丸から浴びせられた薬剤により、レイダーバイクは盛大にスリップ。騎乗していたレイダー共は、疾走のスピードそのままに放り出される羽目になる。
トリテレイアは放物線を描く連中の軌道をセンサーで計測すると、弾頭を通常モードに切り替え発砲。空中での姿勢制御法を持たぬ輩に、その狙撃を回避する術はない。
「ぐぎゃっ?!」
「ぎぺっ!?」
眉間や心臓といった急所を的確に撃ち抜かれ、骸の海に還っていくレイダー共。
その散り際の表情は、信じられない、と言わんばかりのものであった。
「く、クソッ、てめぇよくもっ!!」
幸運にも難を逃れられたのは、通常の二輪式ではなく三輪式やサイドカー付きのバイクに乗っていたレイダー共だった。接地点の多いこれらの機体では、薬剤でもスリップさせるのが限界だ。
「死ねやオラァ!」
「蜂の巣にしてやらァ!」
仲間を討たれた怒りのままに、乱射される銃弾がトリテレイアに浴びせられる。
だが、そのしきの弾幕では彼の構える重質量大型シールドは貫けない。せいぜい軽くノックした程度のものだ。
「さあ、無法者にはお引き取り願います」
「うぉっ?! なにを――ッ?!」
機会騎士の機体から射出されたワイヤーアンカーがレイダーに絡みつく。
座席から引きずり降ろされ、引き寄せられていく男を待っているのは大盾を構えたトリテレイア。銃弾をも弾くその質量と強度は、転じれば強力な鈍器ともなり――。
「ぐごぇッ!!!」
引き寄せる力にウォーマシンの怪力を上乗せした、強烈なシールドバッシュ。
それは下っ端風情に耐えられるような衝撃ではなく、弾き飛ばされたレイダーが起き上がって来ることは二度と無かった。
「ひ、ひえっ……」
「や、やべぇぞ逃げ……ぐえっ!!」
怖気づいたレイダーの足元に撃ち込まれるのは、あの薬剤入りの特殊弾。
バイクを乗り捨てて今さら逃げようとしても、そうは問屋がおろさない。
もはや彼らの末路は二つに一つ。撃ち抜かれるか、叩き潰されるかだ。
(……映画と言えば、ヒーローズアースの映画には不参加でしたね)
やってきたレイダーの一団を処理し終えたトリテレイアがふと思い出したのは、別の世界で行われていた映画のオファーのこと。猟兵の活躍を後世に伝えようといった趣旨の企画で、今回の依頼でも何人かの猟兵が経験していたようだったが、彼は。
(緊急性が低いから……いえ、騎士らしい外連味ある戦い方に自信がありませんでしたから……)
仮に今のような戦法を映画で披露したとすれば――これはこれで評価はされそうだが、大衆向けのヒーロー映像作品になるかどうかは議論の余地がありそうである。
おとぎ話のような正統派の騎士への道は、彼にとってはなかなかに難しいようだ。
成功
🔵🔵🔴
フレミア・レイブラッド
思った通り、知性も品性も無さそうな連中ね…。こんな連中に命も文化も踏み躙らせるワケにはいかないわ。
一章で召喚した邪悪エルフ達に作成したゴーレム部隊で迎撃を指示。
更に自身も最前線で指揮を執りながら【ブラッディ・フォール】で「黒竜を駆る者」の「ドラゴンテイマー」の姿(テイマーの黒衣と剣を装備し、翼が生えた姿)へ変化。
破壊されたゴーレムの再利用や敵の乗って来たバイクや武器、石ころや瓦礫等の無機物を【文明侵略】で黒竜へ変化させて敵集団へ突撃。
更に【ギガンティックダイウルゴス】を召喚して全て合体。一気に蹂躙し喰い尽させるわ。
踏み躙ろうとした報いよ。貴方達が蹂躙した文明に食い尽くされると良いわ(冷たい目)
「思った通り、知性も品性も無さそうな連中ね……」
目が腐ると言わんばかりの表情で、迫り来るレイダー共を見やるのはフレミア。
薬物でもキメているのだろうか、既にほうぼうで仲間が撃退されているにも関わらず、連中は拠点を諦めようとしない。理性よりも欲望と本能が勝っているようだ。
「こんな連中に命も文化も踏み躙らせるワケにはいかないわ」
これ以上は一歩たりとも進ませない。眷属達と共に築き上げた防衛線上で、誇り高き吸血姫は迎撃の指揮を執る。
「あぁんッ? なんだコイツら!」
「邪魔だ、どけっての!」
正面入口に殺到したレイダー共を迎え撃ったのは、邪悪エルフ達が作成したゴーレム部隊。瓦礫や廃材で出来た強固なボディを活かし、敵の進撃を足止めする。
「中央は後退して、左右は前進。敵をこちらの陣地で包囲しなさい」
フレミア自身も最前線に立ってエルフ達やゴーレムに檄を飛ばす。その装束は闇のような黒衣に変わり、背には異形の翼を生やし、手には紅い剣を携えている。
これは【ブラッディ・フォール】によって過去に討伐したオブリビオン「ドラゴンテイマー」の力を宿した影響であり、紅剣を振りかざして軍勢を指揮するその姿は、美しくも勇ましかった。
「あともう一歩だってのに邪魔すんじゃねェ……ウォォォォォォォォッ!!!」
ゴーレムに包囲されたレイダー共は、突如獣のような雄叫びを上げながら暴れだす。
危険薬物【レイダーズデザイア】によって身体機能を一時的に増強したのだろう。それまでとは比べ物にならないパワーで、ゴーレム部隊の攻勢を押し返し始めた。
チェーンソーに刻まれバラバラになるゴーレム。大量の銃弾を浴びせられて蜂の巣になるゴーレム。一度は完成した包囲網に穴が空き、レイダーの進撃が再開される。
――しかしこの程度の反撃は、フレミアの想定の範疇を超えるものでは無かった。
「文明侵略(フロンティア・ライン)」
掲げた紅剣から放たれた波動が戦場を包む。直後、破壊されたゴーレムの残骸から周囲に散らばる石ころや瓦礫、さらにはレイダー共のバイクや武器まで、ありとあらゆる無機物が漆黒のドラゴン――「黒竜ダイウルゴス」に変換される。
「「な―――ッ
!!!?」」
勝利を疑っていなかったレイダー共は、目の前で起こったあまりの事態に絶句する。
武器も乗物も奪われ、丸腰となった彼らを取り囲むドラゴンの大軍。さらには通常種を遥かに上回るサイズの【ギガンティックダイウルゴス】までもが召喚される。
「一気に蹂躙しなさい」
吸血姫の無慈悲な宣告が下ると、ダイウルゴスの群れは咆哮を上げて襲い掛かる。
薬物でハイになった精神もこれには耐えられなかったか、真っ青になったレイダー共はろくな抵抗もできぬまま、爪で引き裂かれ、牙で貫かれ、屠り喰らわれていく。
「ひ、ひぃぃぃっ、たすけ、たすけてっ」
「も、もうここに手は出さない、本当だ!」
「見逃してくれ、頼む、許してくれぇッ!」
絶体絶命の窮地に立たされた男達にできたことと言えば、無様に地を這いつくばって命乞いをすることだけ。だが、それを見下すフレミアの目は、真冬のように冷たかった。
「踏み躙ろうとした報いよ。貴方達が蹂躙した文明に食い尽くされると良いわ」
死刑宣告に等しいフレミアの言葉と共に、大型ダイウルゴスが合体していく。一つになることで強大さを増すそれは、レイダー共にとっては絶望の象徴であった。
顕現せし超巨大ダイウルゴスは顎を開き――生き残ったレイダーを纏めて喰らう。
愚かなる襲撃者共が存在した痕跡は何一つ残されず、全ては文明の黒竜によって喰らい尽くされたのであった。
成功
🔵🔵🔴
雛菊・璃奈
…どこの世界にもこういう下卑た輩はいるものだね…(向けられる視線に嫌悪)
「ご主人にえっちな目向けるな!」
「筋肉ダルマ!」
「チンピラ!」
ラン達は3人で【居合】や暗器による【暗殺】で援護をお願い…。
自身は目視範囲内の敵へ【呪詛、高速詠唱、属性攻撃、誘導弾、全力魔法】による雷を付与した呪詛の縛鎖で捕えると共に雷撃。
更に【unlimitedΩ】を発動し【呪詛】で更に強化…。一斉斉射で殲滅するよ…。
他の敵は一体ずつ、バルムンクでバイクごと両断【呪詛、衝撃波、力溜め、鎧砕き、鎧無視】したり、凶太刀による高速化で神太刀との二刀流で斬り裂いたりしつつ、【unlimitedΩ】で引き続き集団を殲滅していくよ…
「ヒヒヒ、おい見ろよ、オンナがいるぜ」
「ヒュ~ゥ、美人じゃねぇか、たまらねぇぜ」
ブォンブォン、と威圧的にエンジンを噴かしながら下卑た言葉を放つレイダー共。
その卑しい視線の先にいるのは、拠点防衛のために立ちはだかった璃奈であった。
「……どこの世界にもこういう下卑た輩はいるものだね……」
舐め回すような欲望丸出しの視線に、見目麗しい少女は嫌悪感も露わに目を細める。
しかしそれ以上に、主人への不躾な態度に憤慨したのは彼女のメイド達であった。
「ご主人にえっちな目向けるな!」
「筋肉ダルマ!」
「チンピラ!」
きっと眉を釣り上げながら、暗器と仕込み箒を構えるラン、リン、レン。
しかしそんな拒絶の態度も、慢心しきっている連中にとってはお構いなしである。
「メイドがなんでこんな所にいやがるんだ?」
「なんでもいいさ、纏めて可愛がってやるぜェ!」
【レイダーズデザイア】を服用したレイダー共は、全身の筋肉と血管を異様に隆起させながら璃奈達に襲い掛かる。銃やチェーンソーを使わなかったのは、手篭めにしようという欲望の現れか。
「近寄らないで……」
だが、璃奈が氷のような眼差しで敵群を睨むと、虚空から無数の鎖が出現する。
それは呪力によって編み上げられた呪詛の縛鎖。彼女の目視範囲内にいたレイダー共は、一瞬のうちに全身を拘束され、身動きが取れなくなった。
「あぁんッ?! なんだこりゃ……ぐぎゃッ!?」
「こんな鎖、すぐに引きちぎって……げべッ!!」
同時に縛鎖に付与されていた雷撃の呪力が発動し、レイダー共を感電させる。
骨の髄まで電流を流し込まれた連中は、拘束されたまま地べたをのたうち回る。
「全ての呪われし剣達……わたしに、力を……立ち塞がる全ての敵に終焉を齎せ……!」
前後不覚となった連中のトドメとなったのは、魔剣の巫女の呪力で強化された無数の魔剣・妖刀の一斉斉射。受けたもの全てに終わりをもたらす「終焉」の刃に貫かれたものは、骸さえも残さずにこの世から滅び去る。
「「ギャァアァァァッ
!!?!」」
降り注ぐ魔剣の嵐と、耳障りな断末魔が止んだとき、そこに残ったのは無塵の荒野だけであった。
「なっ、なんだありゃぁ
……?!」
「このオンナ、ただの小娘じゃねぇぞっ」
幸運にも拘束の範囲外にいたレイダーの間にも動揺が走る。欲望の対象としか見ていなかった相手が自分達を討つ狩人だということに、ようやく彼らは気付いたらしい。
だが、その理解は余りにも遅すぎた。ここで進むべきか退くべきか逡巡している間に、璃奈はもう彼らの間合いの内に飛び込んでいる。
「判断が遅い……」
「ぎゃぺッ!?」
その手にあるのは妖刀・九尾乃凶太刀と九尾乃神太刀による二刀流。凶太刀の呪力によって音速を超える速さを得た彼女の斬撃は、反応する間もなくレイダーを膾切りにする。
「へんたい!」
「ごろつき!」
「脳筋ゴリラ!」
3人のメイド達もまた、主人の戦いを援護するためにレイダー共を攻撃する。
敵が璃奈の動きに目を奪われれば、死角から暗器を投げつけて目潰しを。斬られてなお息のある相手には、仕込み箒による居合い斬りでしっかりとトドメを刺す。
オブリビオンとはいえしょせんゴロツキ止まりの連中、怒りに燃えるメイドの連携には敵わず、次々と荒野に屍を晒していく。
「ち、畜生、覚えてやがれッ!」
もはや勝機はないと悟った連中は、捨てゼリフを吐き散らしながらバイクに跨る。
しかし逃がす気など毛頭ない璃奈は、得物を魔剣バルムンクに持ち替えて接近。今まさに発進しようとしていた敵の頭上から、膂力と呪力を込めた渾身の一撃を見舞う。
「貴方達はここで終わりだよ……」
「ぐが、ぁ……ッ!?」
斬撃とは思えないほどの激しい衝撃が辺りを揺らす。凄まじい切れ味を誇る竜殺しの魔剣は、乗っていたバイクごとレイダーを一刀両断していた。
「一人残らず殲滅する……『unlimited curse blades
』……!!」
「「や、やめッ、やめろ―――グギャァァァァッ
!!!」」
進むも地獄、退くも地獄。絶望を思い知らされたレイダー共に再び放たれたのは終焉の一斉斉射。魔剣の巫女の無情なる宣告と共に、無数の魔剣が悪しき命脈を断つ。
手を出そうとした相手が悪すぎたと、己の愚かさを後悔する暇さえ、彼らに与えられることは無かった。
成功
🔵🔵🔴
フェーリ・アイ
(言葉は発せず、霊の声は制御不能
記憶の共有はOPまで
人格:ネズ)
わぁ~っ!機材がいっぱい!
がらくたもいっぱい!ここは宝の山だねっ
奥も見てきたけど、ここは映画館なんだ!
心の暖まる映画は大好きだよ!
あ!あのおにーさん達、…は味方じゃないね
怖そうだけど、いいバイクだなぁ~
勝手に見せてもらったら怒るよね
でもでも!僕は好奇心を優先する!
そろ~りと近づいてバイクを拝見!
ダイアリー・キーを発動して、中に仕舞ってある工具を取り出し解体開始
エンジンパーツに至るまでバラバラにしちゃおうかな
できないなら、悔しいけど戦闘は苦手
逃げ遅れそうな人や壊れてほしくない装置をキーの中に収納して逃げる!
守りたい気持ち、伝われー!
(わぁ~っ! 機材がいっぱい! がらくたもいっぱい! ここは宝の山だねっ)
目をキラキラと輝かせながら、拠点内とその周辺を見回すのは"ネズ"。"フェーリ"から肉体の主導権を交代した「フェーリ・アイ」に宿る人格のひとつである。
機械弄りが得意で冒険好きな彼にとって、この拠点は興味や好奇心を刺激するもので溢れた魅力的な場所だった。
(奥も見てきたけど、ここは映画館なんだ! 心の暖まる映画は大好きだよ!)
せっかくだし映画を観るついでに映写機や機材も弄らせて貰えないかなあ――といった夢想をしていると、建物の外からふいにけたたましいエンジン音が聞こえてくる。
(あ! あのおにーさん達、……は味方じゃないね)
ひょこっと窓から外を覗き込むと、外にいたのは「悪人です」と言わんばかりの風体をしたごろつき連中。ここに来てからの記憶は"フェーリ"と共有していないが、依頼を受けた時のことは覚えているので、あれが「レイダー」だということは分かる。
(怖そうだけど、いいバイクだなぁ~)
見つからないように首を引っ込めながらも、ネズの視線は彼らが乗ってきた【レイダーバイク】に釘付けである。丁度最近はオフロードバイクにハマっていることもあって、弄り回したい気持ちが抑えきれない。
(勝手に見せてもらったら怒るよね。でもでも! 僕は好奇心を優先する!)
少年は意を決して頷くと、そろ~りそろ~りとレイダーの一団に近付いていく。幸いにも拠点防衛のために設置されたバリケードや障害物が、隠密行動の役に立った。
「クソッ! この辺は邪魔なモンばっかりだぞ」
「仕方ねえ、ここから先は歩くしかねえか」
見つかることなく接近に成功したネズは、レイダー共がバイクから降りて離れていくのを見計らうと、ポケットの中から小さなヴィンテージ鍵を取り出す。
(開けー!)
それは異空間のガレージ付きログハウスへと繋がる【ダイアリー・キー】。そこに仕舞っておいた工具を取り出した彼は、意気揚々とレイダーバイクを弄り始めた。
(ふんふん、ここはこうなってるんだ。へー、面白い!)
言葉には出さずとも喜色をありありと浮かべながら、慣れた様子で工具を操るタロ。
好奇心のままに手を動かした結果、そこにあったレイダーバイクは一台残らず、エンジンパーツに至るまでバラバラに分解されてしまった。
気に入ったパーツを見つければ、ぽいぽいとキーの中に放り込む。後で別の人格から(また勝手に物増やしてる)と文句を言われるかもしれないが、彼は気にしない。
「あっ!? テメェ、何してやがる!」
「俺達のバイクが! ふざけんなよコイツ!」
――と、そこで戻ってきたレイダーの一団が、見るも無残に解体されたバイクだったものを見てブチ切れる。当然その怒りの矛先は、現行犯のネズに向けられた。
(やばっ、逃げないと!)
「コラ待て! クソッ、邪魔だっ!」
"フェーリ"ら他の人格よりも戦闘力で劣る彼は、工具を仕舞って一目散に逃げる。レイダー共も追いかけてくるが、移動手段であるバイクを失った彼らの足は遅く、さらにバリケードに足止めを食らう。そのお陰で、無事に逃げ切ることができた。
(ふぅ、危なかった)
拠点まで戻ってきたネズはほっと胸を撫で下ろすと、これからどうするか考える。
流石にもう、バイクを見に行くのは危険すぎるだろう。敵も二度目は警戒するだろうし、あんな好機が二度訪れるかどうかも分からない。
(悔しいけど戦闘は苦手だしね)
レイダーの相手は仲間の猟兵に任せることにして、彼はまだ拠点内に残っている人や物の避難を手伝うことにする。ダイアリー・キーの収納力を活かせば、動かしづらいものの移動も容易だろう。
(守りたい気持ち、伝われー!)
「……? これに、触れってことですか?」
言葉を話せないネズは、自分の想いを懸命に表情や目で訴えながらキーを差し出す。
機材運搬のために逃げ遅れていた住人がそれに触れると、彼の体はキーの中に吸い込まれていった。
(よし、この調子!)
運搬中だった大事な機材も一緒にキーの中にしまい込み、自らも避難場所へ向かう。
彼の密かな活躍によって、拠点の人々は誰一人欠けることなく避難を終えたのであった。
成功
🔵🔵🔴
リーオ・ヘクスマキナ
アレンジ共闘可
ウワァ、見るからに凶悪そうな……
外見で人を判断しちゃいけないって言うけど、彼等はこっちに襲いかかって来てるし。正当防衛成り立つよねコレ
さて、見た所彼等の銃器は散弾銃……近距離でこそ威力を発揮する銃だ
近づかれる前に狙撃していくのが一番安全かな
近寄らせないことと、人々の命を守ることを優先して行動
赤頭巾さんに撹乱をお願いして、動きが止まったりバイクから落ちた敵からライフルで狙撃
短機関銃の間合いまで寄られたら、そちらに持ち替え迎撃続行
ドーピングされた敵には2人で連携して対処。赤頭巾さんを前衛に、俺が背後からの援護射撃
自分達の欲望を満たすためだけに、他人を虐げる……その無法悪逆、撃/討つ!
「ウワァ、見るからに凶悪そうな……」
荒野からやってくるヒャッハーな連中を視界に捉えて思わずそう呟くのはリーオ・ヘクスマキナ(魅入られた約束履行者・f04190)。剣呑なバイクや凶器で武装し、欲望に瞳をギラつかせる連中の姿は、まさに「絵に描いたような」悪党であった。
「外見で人を判断しちゃいけないって言うけど、彼等はこっちに襲いかかって来てるし。正当防衛成り立つよねコレ」
元よりそれが依頼であるし、人々の命を守るためだ。これ以上の接近を阻止するために、少年はギターケースの中から「SLG-8マークスマンライフル」を取り出し、戦闘体勢を取る。
(さて、見た所彼等の銃器は散弾銃……近距離でこそ威力を発揮する銃だ)
至近距離からバラ撒かれる散弾は容易に人をミンチに変える凶器だが、こちらには射程で優る銃器がある。ならば一番安全な戦法は近付かれる前に狙撃すること。
リーオはバリケードに身を隠しながらライフルのスコープを覗き込み、照準を合わせながら【赤■の魔■の加護・「化身のイチ:赤頭巾」】を発動する。
「赤頭巾さん、ちょっと敵を撹乱してくれるかな?」
呼びかけに応えて現れたのは、外套と一体となった赤い頭巾を被った、幽霊のようなナニカ。寄生型UDCの化身だと思われるが、その正体はリーオ自身も知らない。
分かるのはソレがいつも自分と一緒にいて、力を貸してくれるということ。声なき怪異は頭巾の下で三日月のような笑みを浮かべると、宿主の願いに応えて飛んでいった。
「おい、何か飛んでくるぞ」
「あぁん? 構うな、轢き潰して――おぉうッ?!」
バイクで疾走するレイダー共は、接近する「赤頭巾さん」を最初は侮っていた。しかしソレが予想以上の速度でこちらに飛んできたうえ、鉈を組み合わせた物騒な大鋏を振りかざして襲ってくると、慌ててハンドルを横に切る。
急な方向転換をしようとしてバイクから投げ出される者。前方との衝突を避けるために急ブレーキをかける者。集団の中から脱落するレイダーが出始める。
「赤頭巾さん、ナイス!」
その隙を見逃さずにリーオはトリガーを引く。放たれた中口径ライフル弾は狙い過たずに動きの止まったレイダーの眉間や心臓を撃ち抜き、その命脈を絶った。
「狙撃だ! クソッ、ナメた真似しやがる!」
「とっとと距離詰めて轢き潰して――ぐげッ!?」
レイダー共の脅威となるのはリーオだけではない。撹乱役の赤頭巾さんもまた、ふわりふわりと宙を舞いながら大鋏を振るい、炎を纏った散弾を浴びせて敵を翻弄する。
リーオはバリケード越しに狙撃を続けながら、距離が詰まってくると短機関銃「ACMP-9」に装備を持ち替え、密度の高い弾幕で迎撃を続行。遮蔽物のないレイダー側は一方的に撃たれまくり、じわじわと損害を加速させていくことになる。
「調子に……乗ってンじゃねェぞおぉぉォォォォッ!!!」
業を煮やしたレイダーは【レイダーズデザイア】を発動し、後先考えない破れかぶれの反撃に打って出る。危険薬物の投与によって肉体は筋肉が異常に隆起し、ブォンブォンとチェーンソーを振り回す様はまるで鬼のようだ。
「そんなドーピングで俺達に勝てると思ったら大間違いだ!」
しかしふたりは動じない。赤頭巾さんが大鋏で鋸刃を捌き、背後からはリーオが短機関銃で援護射撃。まるで心が通じ合っているかのように一糸乱れぬ連携は、多少身体機能が上がった程度で崩せるものではない。
「このヒラヒラ野郎、大人しくバラバラにされろって――ぐッ!?」
赤頭巾さんの大鋏が、チェーンソーの鋸刃を挟み込み固定する。武器を封じられたレイダーが無防備になる一瞬、そこに狙いすましたリーオの銃撃が放たれる。
「自分達の欲望を満たすためだけに、他人を虐げる……その無法悪逆、撃/討つ!」
意志を込めた銃弾が、薬物でハイになった脳髄を射抜く。力なくその場に崩れ落ちたレイダーは、血溜まりの中で二度と起き上がってくることは無かった。
かくして猟兵達の活躍により、映画館を襲撃するレイダーの第一陣は退けられた。
だが、戦いはまだ終わらない。この襲撃を企図したすべての元凶が、いよいよ動き出す。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『パーフェクト・メタル・モヒカン』
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POW : ヒャッハー! 根こそぎ奪い尽くしてやるぜー!!
戦闘中に食べた【略奪物資(食料、燃料、種籾など)】の量と質に応じて【調子に乗って】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 焼け死ぬか、切り刻まれて死ぬか、選ばせてやるよ
【腕に内蔵された火炎放射器またはブレード】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : みんな集まれ!さっさと降参した方が身のためだぜ?
戦闘力のない、レベル×1体の【バイクに乗った雑魚モヒカン】を召喚する。応援や助言、技能「【恫喝】」を使った支援をしてくれる。
👑11
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「チッ、なんだ使えねえ奴らめ……やっぱり生身の連中はダメだな」
ガシン、ガシン、と荒野に響く金属質な足音。電子的な合成音声じみた声。
映画館への襲撃を退けた猟兵達の前に現れたのは、全身をくまなく鋼鉄のボディに置き換えたモヒカン――パーフェクト・メタル・モヒカンであった。
「こんなちっぽけなベースの用心棒にしちゃあ、テメェらは案外やるみてえじゃねえか。久しぶりにこの俺様のパーフェクトなボディの性能を試すことができそうだぜ」
右腕には火炎放射器、左腕にはブレード。威圧的な外観を誇示しながらモヒカンは言う。その口ぶりは部下を倒されても自分が負けるとは微塵も思っていない態度だ。
力を得るために肉の体を捨てて手に入れた機械仕掛けの体――確かにそれは高性能なのだろうが、肝心の中身のほうがまったくスペックアップされていないと見える。
「イイ声で泣き喚いてくれよなァ? ヒャッハー! 殺戮ショーの始まりだぜェ!」
こんな下らない輩に、大切な人々の命を、守るべき文化を、奪わせはしない。
映画ならばこれがクライマックス。黙示録のシアターを巡る最終章の幕が上がる。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎
さてさて…とうとうクライマックスだが…
フン、それにしてはなんともまぁ物足りない大根役者だな?
と相手を挑発しつつ2丁の銃から弾丸を浴びせる
相手の火炎放射器の射線に入らないように注意しつつ
スナイパーで的確に敵の急所を狙う
差し当たってはあのモヒカン部分を破壊してみるか
フッ、まさに飛んで火にいるなんとやら…だな
VIP席へようこそ、刺激的な映像が見られるぞ
敵がブレードを使い接近して来たらナガクニで武器受け
敵を止めたら火炎放射を放つ前にUCを発動
敵に確実にUCを当てて、その味を覚えさせ、直後に蹴りを喰らわせつつ離脱し、再度UCを放って銃撃
ほう?
訂正しよう、やられっぷりだけはアカデミー級だな
ピウ・アーヌストイト
連携歓迎
POW
メカ?モヒカン?でありますか?相手を混乱させる作戦かなにかでありますか?⋯⋯とにかく、ここは我々が守り通せば、勝ち。単純明快であります。
あなたが求める物はなさそうでありますよ?お呼びでないであります。
指定UCで無機物と合体して、盾として敵を引きつけて足止めするであります。ここにある物は奪わせない、傷つけさせないであります!
「さてさて……とうとうクライマックスだが……フン、それにしてはなんともまぁ物足りない大根役者だな?」
つまらなさそうに鼻を鳴らし、現れた真打ちに冷たい眼差しを送るのはキリカ。
挑発の意を隠そうともしない言動に、メタルモヒカンが「あぁん?!」といきり立つ。
「メカ? モヒカン? でありますか? 相手を混乱させる作戦かなにかでありますか?」
そのふたつの組み合わせになんの意味が? と、ピウの追い打ちがそこに加わる。もっとも彼女の場合は挑発のつもりはなく、本心からの疑問らしかったが。
「⋯⋯とにかく、ここは我々が守り通せば、勝ち。単純明快であります」
「ああ、その通りだな。実に簡単な話だ」
ピウがバラックスクラップの移動式機関砲を構え、キリカが2丁の銃のトリガーを引く。放たれた無数の弾丸が、雨粒のようにメタルモヒカンの装甲に浴びせられる。
「テメエら、ナメてんじゃねぇぞ! ブッ殺してやらぁ!!」
ダメージはそれほどでも無いようだが、挑発と合わせてあっさりと理性を捨て去った敵は、右腕の火炎放射器から紅蓮の炎を放つ。キリカは素早い身のこなしで射線上から逃れ、ピウは【ビルドロボット】を発動し迎え撃つ構えを取る。
「あなたが求める物はなさそうでありますよ? お呼びでないであります」
無機物と合体し自らを強化するユーベルコード――廃材やスクラップが山程散らばるこの場所なら、素材に困ることはない。またたく間に3m近いロボットへと変形したピウは、火炎を真っ向から受け止めながらメタルモヒカンの前に立ちはだかる。
「ここにある物は奪わせない、傷つけさせないであります!」
「ハッ、しゃらくせぇ! そんな取ってつけたメタルで俺様に敵うかよ!」
自らのボディに絶対の自信を持つモヒカンは、火炎放射器の出力をさらに上昇。勢いを増した炎をなおも耐えるピウであったが、あまりの火力に距離を詰められない。
だが、それでも構わない。彼女の役目は盾として敵を引きつけ足止めすること。スクラップの装甲が融け落ちる前に、反撃の狼煙は仲間が上げてくれる。
「差し当たってはあのモヒカン部分を破壊してみるか」
放たれたのは狙い澄ました銃撃。敵がピウに気を取られている隙に狙撃ポジションを確保したキリカが、正確なフルオート射撃でメタルモヒカンの頭部を撃つ。
呪物や怪物との戦闘を想定して洗礼や秘術により強化を施された弾丸は、標的が全身機械であろうとも容赦なく、シンボルのようにそびえ立つモヒカンパーツを貫いた。
「ぐぉ……っ、俺様のトレードマークが?! テメエ、やってくれたなァッ!!」
モヒカンを壊されたモヒカンは、カメラアイを怒りで真っ赤に光らせながら攻撃の矛先を変える。左腕に搭載されたブレードが振動し、唸りを上げながらキリカに迫る。
対する彼女は銃を収めると、黒革拵えの短刀「ナガクニ」を抜いて接近戦に備える。キンッ、と鋭い金属音が響き、刃と刃が火花を散らした。
「フッ、まさに飛んで火にいるなんとやら……だな。VIP席へようこそ、刺激的な映像が見られるぞ」
「ンだとォ
……!?」
口元を歪め、挑発的な笑みを浮かべるキリカ。メタルモヒカンのブレードを受け止めた直後、彼女の懐から呪われし少女人形が飛び出し、ユーベルコードを発動する。
「泣き叫べ、デゼス・ポア。死者の落涙で錆びた刃を咎人に突き立て、消えぬ罪の報いを与えろ」
放たれしは【咎人の錆】。人形の全身から飛び出した錆び付いた刃が、悪行重ねしモヒカンのボディに突き刺さる。それは咎人の身を蝕む呪詛にして、その罪を喰らう牙。
「ぐがぁッ!? ば、馬鹿な
……!!」
自慢の装甲を貫ける刃があるなど、微塵も思っていなかったのだろう。慢心からモロに直撃を受けたメタルモヒカンは、全身からオイルを吹き出しながらよろめいた。
「どうだ、堪能したか?」
相手に体勢を立て直す間を与えず、直後にキリカは敵のボディを蹴りつけて、反動で離脱しながら吹き飛ばす。たたらを踏んだモヒカンの背後より迫るのは、ビルドロボット形態のピウ。
「マナーを守らない無法者には、お帰りいただくであります!」
取り込んだ無機物の中に、幸運にもスクラップとなった自動車が含まれていたのか。常よりも高い出力を手に入れた彼女は鋼鉄を纏いし拳を振りかぶり、渾身の力で叩きつけた。
「ごぐはぁッ
!?!!」
装甲が砕け金属片が飛び散り、合成音声的な悲鳴が上がる。そのままピウは巨体を活かしてメタルモヒカンを押さえ込みにかかり、逃げられないように足止めする。
「もう一度だ、デゼス・ポア」
動きを封じられたモヒカンを追い打つのは、再度放たれた【咎人の錆】。初撃により標的の"罪の味"を覚えた呪われし刃は、より精度と鋭さを増して獲物を切り刻む。
更には短刀から再び銃器に得物を持ち替えたキリカ自身による一斉射撃までもが加わり、全身機械の急所である関節部やセンサーを的確に破壊していく。
「ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁぁァァァァッ
!?!?!」
逃れようのない刃と銃弾の嵐に、メタルモヒカンは鮮血のようなオイルを迸らせ、荒野をのたうち回りながら悲鳴を上げる。最初の自信はどこへやら、あまりに無様なその姿に、キリカはすうと目を細め。
「ほう? 訂正しよう、やられっぷりだけはアカデミー級だな」
「ぢょ、ぢょうしに乗りやがってぇぇェェェ
……!!」
地を這いながらギリギリと歯ぎしりするメタルモヒカン。映画において、彼のような力だけを手に入れた小悪党が辿る末路がいかなるものか――猟兵達は知っている。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
善哉・鼓虎
お、あれがリーダーかいな?
部下を大事にせえへん奴はいつか痛い目見るで。
多分もうすぐそうなるやろけど。
殺戮ショーはお断りやなー。
猟兵ヒーローショーに変更や!
ほな、いくでー。
UC【ハッピーエンドコール】
うちのSNSのみんな力を貸したってや!
ハッピーエンドへ導く為の力を。
ここはやっぱりヒーローが勝たなあかんやろ!
【パーフォーマンス】も駆使しつつ賛同人数を増やしソーシャルレーザーで攻撃。
アドリブ連携歓迎です。
リーオ・ヘクスマキナ
アレンジ共闘可
わお、随分とハジけた見た目だねぇ。全身装甲とか、ちょっとした男の子のロマンだ
……けど、ご自慢の力もただ人を襲う為だけに使うんじゃあねぇ
兎に角立ち止まらず、走り回りながら短機関銃の銃撃で撹乱。遮蔽物を利用して素早く立ち回りつつ、隙を見つけてザ・デスペラードの榴弾を叩き込む!
けど、本命は別。拳銃弾に混ぜてたビーコン弾。これを榴弾で出来た敵の装甲の隙間とか……兎に角刺さりそうな所に撃ち込んで、と
上手く当たったら、交戦中ずっと赤頭巾さんに魔力を溜め込んでもらったUC弾丸で、空間諸共吹き飛ばす!
……正直、大分痛いし気持ち悪くて吐きそうだったけどさ。誰かが苦しむことに比べれば、まだマシだよ
「お、あれがリーダーかいな?」
前線に駆けつけた鼓虎が目にしたのは、厳つい外観をした総金属のモヒカン。
中身はさっきのレイダーと大差なさそうだが、その戦闘力は油断禁物だ。
「部下を大事にせえへん奴はいつか痛い目見るで。多分もうすぐそうなるやろけど」
「るせぇッ! 部下なんざ幾らでも代えがきくんだよ……出てこいお前ら!」
彼女の挑発に乗ってメタルモヒカンが吠えると、荒野の彼方からバイクの音を響かせ、何人ものモヒカンが現れる。先程のレイダーと比べれば戦闘力は格段に劣りそうだが、まだこれほどの数の部下が残っていたとは驚きだ。
「さっさと降参した方が身のためだぜ? てめえらの殺戮ショーは決定済みだ!」
「殺戮ショーはお断りやなー。猟兵ヒーローショーに変更や!」
見たかとばかりに吼え猛るモヒカンに対し、負けじと鼓虎も笑顔で宣言し。
SNSによる中継を繋いだまま、古びたエレキギターをかき鳴らし、BGMを奏でる。
希望が湧き上がるような勇ましいメロディに合わせて駆け出したのは、手にはACMP-9を構え、傍らには赤頭巾さんを伴った戦場傭兵の少年、リーオだ。
「わお、随分とハジけた見た目だねぇ。全身装甲とか、ちょっとした男の子のロマンだ……けど、ご自慢の力もただ人を襲う為だけに使うんじゃあねぇ」
それでは折角のロマンも力も持ち腐れ。負けるわけにはいかないね、と少年がトリガーを引けば、軽快な発砲音と共に銃弾の雨がメタルモヒカンに浴びせられる。
だが頑強な装甲を誇るモヒカンはうざったいとばかりに弾幕を弾き返すと、雑魚モヒカン共の声援を背に受けながら火炎放射器で反撃を仕掛けてくる。
「やっちまえお頭ァ!」
「おうよ! こんがり焼いてやるぜ!」
襲い掛かる紅蓮の炎。リーオはとにかく立ち止まらずに、銃撃を続けながら戦場を駆け回り、築かれたバリケード等を遮蔽物にして火炎を防ぐ。火力ではモヒカンが上回っているかもしれないが、素早さにおいてはリーオのほうが上だ。
「チッ、ちょこまかと……!」
機動力を活かしたリーオの攪乱戦法に、メタルモヒカンはまんまとハマっていた。
闇雲に火炎放射器やブレードを振り回しても、空を切るか遮蔽物を破壊するばかり。それどころか攻撃一辺倒な姿勢は逆に隙を晒すことになる。
その瞬間を見逃さず、リーオは銃器を収納していた偽装ギターケースを構えると、その中に隠された擲弾発射器「ザ・デスペラード」のトリガーを引く。
「銃弾の効き目は薄くても、これならどうかな?」
「なんだと……ぐごはぁッ!?!」
発射された榴弾はメタルモヒカンの胴体に見事に直撃。通常弾をはるかに上回る爆発の衝撃と威力には流石に堪らず、装甲に覆われたボディに亀裂が入る。
すかさずリーオはまた短機関銃に得物を持ち替えて追撃。ヒビ割れた装甲の隙間に銃弾が突き刺さり、その傷をより深く抉っていく。
「どうや、見えてるか? うちのSNSのみんな力を貸したってや!」
メタルモヒカン相手にまったく引けを取らぬ立ち回りを見せるリーオの勇姿を、歌や演奏のパフォーマンスと一緒に自分のSNSを利用する人々に届けるのは鼓虎。
ソーシャルディーヴァたる彼女の力は、SMSで繋がったみんなの賛同によって支えられる。だからこそ強く、強く、彼女はみんなの心に迫るように訴えかける。
「ハッピーエンドへ導く為の力を。ここはやっぱりヒーローが勝たなあかんやろ!」
鼓虎の【ハッピーエンドコール】に応えて、映画館の住人達から、そして世界中の人々からの賛同が集まってくる。彼らは各々の端末を通じて鼓虎の元に貴重な電力を送り、その全ては鼓虎の持つ荷電粒子砲ソーシャル・レーザーに集束される。
「みんなありがとうな! ほな、いくでー!」
賛同者達の支援によって起動した巨大な砲塔を担ぎ上げ、照準を合わせる鼓虎。
その砲口の狙う先、もうもうと立ち込める榴弾の爆煙の中から、傷ついたメタルモヒカンが姿を見せる。
「く、クソッ、よくもやってくれたなァ……ッ」
常人なら吹っ飛んでもおかしくなかった筈だが、自慢のボディは伊達では無いということか。榴弾と大量の銃弾を浴びせられながらも、それは今だに健在であった。
だがしかし、リーオの本命は別にある。それは銃撃戦の最中に赤頭巾さんに魔力を溜め込んでもらった、一発の特別な弾丸――【赤■の魔■の加護・「化身のサン:魔法の終わる時」】。
「ありがとう、赤頭巾さん」
どこか心配げな素振りを見せる彼女から弾丸を受け取り、装填。そこに籠められた力の質は、一目でこれまでとは比較にならぬと分かる、圧倒的なまでの魔力。
「な、なんかヤベェ……!」
猟兵ふたりの切り札を前に、本能的な危機感を覚えたモヒカンは回避運動を取る。
だが先刻、榴弾の追撃に紛れてリーオが撃ち込んだのはただの銃弾ではなく、次弾誘導補助用の特殊ビーコン弾。どんなに逃げ惑おうと決して狙いは外れない。
ハッピーエンドを望む多くの人々の想いに支えられた鼓虎のレーザーも、賛同者の端末から演算力を借り受けることで、標的の未来位置を完全に予測する。
「これでも喰らいや!!」
「灰すら残さず消え去れェ!!」
放たれた眩いレーザーと重魔術弾が、驚愕するメタルモヒカンを撃ち抜いたのは同時。
人々の想いを束ねた閃光が装甲をハリボテのように貫き、弾丸に籠められた莫大な魔力は空間諸共に標的を粉砕する。その圧倒的な破壊の余波は周囲にいた雑魚モヒカン共にまで波及し、木っ端のごとく彼らを消し飛ばしていく。
「「ぐぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ
!!!?!?!」」
荒野に響き渡るモヒカン共の絶叫と断末魔――破壊の嵐が収まった時、そこに残っていたのは深手を負ったメタルモヒカンただひとり。その胸にはレーザーで貫かれた大穴が開き、片脚は空間の崩壊に巻き込まれたか、ごっそり消えて無くなっていた。
「ふうっ……」
戦果の確認後、リーオは額に脂汗を流しながら膝をつく。尋常ではない破壊をもたらす切り札ともいえる重魔術弾、それを撃つ反動もまた並では無かったのだろう。
その傍らをふわりふわりと漂うのは赤頭巾さん。気遣うような彼女の仕草に、少年は「大丈夫」と言うように笑いかけながら手を振った。
「……正直、大分痛いし気持ち悪くて吐きそうだったけどさ。誰かが苦しむことに比べれば、まだマシだよ」
「さっすが、それでこそヒーローやな。でも無理したらあかんで!」
そこに駆けつけてきた鼓虎がリーオに手を貸して、3人は前線から後退する。
決着は付かなかったが深手は与えた。ならば深追いはせずに後を託すのみ――猟兵も含めて誰も犠牲にならず、完全勝利してこその「ハッピーエンド」なのだから。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
伊達・クラウディア
【医者と患者】アドリブ・連携歓迎
親玉の登場ですか。仲間が倒れても気にも留めず、その傲慢な態度。まさしく悪です。我が胸の刃が貴様を斬れと…芥子鴉?
芥子鴉が前にですか。いえ、不安などありません、芥子鴉の腕前は知っていますから。背中はお任せください。
【出羽国】により近接型から射撃型へ装備変更。
芥子鴉へ当たらないよう弾幕を張りつつ相手の動きを封じるように【制圧射撃】。
芥子鴉は物資を狙っているのか。なら【スナイパー】【援護射撃】で敵の体制を崩すとしよう。
この地の人々が殺戮ショーを見ることはない。彼らが見るは勧善懲悪の物語だ。
さぁ、貴様の悪行もここで終幕。我らが刃に散るがいい。
芥子鴉・芙蓉
【医者と患者】アドリブ・連携歓迎
うぅむ、そろそろチャージした薬もきれそうな頃合じゃが……
まぁ、映画の上映中ずっと耐えたわらわならまだきっと大丈夫。がんばれわらわ!皆の為に!
さて、クラウディアよ。次はわらわが前に出よう。援護射撃を任せる。
サポートに回っていた分、こちらの方が負傷も少ない故な。
わらわの背中、預けたぞ。
基本的には[第六感][見切り][残像]による回避を重視しながらも前へ出る。
炎は可能な限り[火炎耐性][激痛耐性]で耐え、物理攻撃は[武器受け]で捌くように善処。
そして我が妙技《毒功手》を用いて奴の略奪物資を狙う。
上手くそれらを破壊できれば、やつの戦闘能力の強化を妨げることができよう。
「親玉の登場ですか。仲間が倒れても気にも留めず、その傲慢な態度。まさしく悪です」
外道と暴虐を絵に描いたような敵を前にして、義憤を滾らせるのはクラウディア。
その激情に呼応するがごとく、鎬藤四朗吉光の高周波ブレードが唸りを上げる。
「我が胸の刃が貴様を斬れと……芥子鴉?」
しかし、そんな彼女をやんわりとした手付きで制したのは芙蓉。
その表情はいつものように穏やかなれども、静かな気迫に満ちていた。
「さて、クラウディアよ。次はわらわが前に出よう。援護射撃を任せる」
「芥子鴉が前にですか」
「サポートに回っていた分、こちらの方が負傷も少ない故な」
心配かの? と首をかしげる芙蓉に対して、クラウディアはふるふると首を振り。
「いえ、不安などありません、芥子鴉の腕前は知っていますから。背中はお任せください」
「うむ。わらわの背中、預けたぞ」
たん、と軽やかな足取りで駆けていく医者を見送りながら、その患者は「出羽国」を起動し装備を再転送。近接武装にかわって射撃型のガジェットを展開し、後方支援の構えを取った。
「クソッ、あいつらよくもやってくれたな……だが、これで終わりじゃねえぞ!」
対するパーフェクト・メタル・モヒカンは、猟兵との戦闘でダメージを負った身体を引きずりながら、後方に停められている一台のトラックの元へ向かっていた。
その荷台には、彼がこれまでに数多くの拠点から略奪してきた物資が山のように積まれている。これを補給することで損傷を修復し、パワーを回復しようというのだ。
「ククク、見てろよ、こいつさえあれば……」
「おっと、そうはさせんのじゃよ」
「……ッ?!」
モヒカンが物資に手を伸ばそうとした瞬間、横合いより放たれたのは鋭い貫手。
辛くも身を躱すものの、その指先がかすめた装甲がジュウッと音を立てて溶ける。
「戦いの最中に補給なぞ、みすみす見逃すわけがなかろう」
「このアマ……!」
飄々とした態度で拳を構えなおす、その攻撃の主は芙蓉。邪魔をされたモヒカンは怒り心頭といった様子で両目を光らせ、ブレードを振りかざしながら襲い掛かった。
「死に晒せェッ!!」
機械化により強化された運動能力と膂力を以って振るわれる刃。その迫力はさながら断頭台のごとしだが、ただボディの性能に頼っただけの力任せの攻撃でもある。
超常の域に達した武術家、ゴッドハンドである芙蓉は研ぎ澄まされた技量を以って、荒ぶる斬撃を徒手にて捌いていく。
「折角の性能を持て余しておるのう」
「うるせぇ――ッ?!」
躍起になったモヒカンの防御が疎かになった瞬間、頭上より降り注ぐのは刃の雨。
それは芙蓉の後方に陣取ったクラウディアが放った、刀剣射出型ランチャー「燭台切光忠」による支援砲撃であった。
「貴様の相手は芥子鴉だけではない」
射抜くような鋭い視線で敵を睨め付けながら、次々と刃を撃ち出すクラウディア。
【ヘビーアームド・ウェポナイズ】を起動することで火力と射程距離に優る重武装モードに変形した彼女は、アウトレンジからの一方的な弾幕で敵を追い詰める。
「ぐおぉッ?! くそっ、鬱陶しい……!」
じりじりと刃に装甲を削られ、思うように動けないメタルモヒカン。まずは向こうから先に始末してやろうと思っても、その前には芙蓉が立ちはだかる。
「どうした、おぬしの力はこんなものか?」
「うるせえ、焼け死にやがれッ!」
苦し紛れに放射される火炎が焦がしたのは、刹那の見切りで身を躱した芙蓉の残像のみ。僅かに降りかかった火の粉も、熱や痛みに耐えるすべを心得る彼女にはなんの痛痒もない。
――と、かくも余裕で翻弄しているように見えて、実は芙蓉には限界が迫っていた。
(うぅむ、そろそろチャージした薬もきれそうな頃合じゃが……)
戦いの前に補給しておいたマインドアンプルの効果で今は最高にハイな気分になっているが、効果が切れれば反動で一気にダウナーな気分に落ち込むやもしれない。
だが、背中を預けると言った手前、ここで自分が先に音を上げるわけにもいくまい。
(まぁ、映画の上映中ずっと耐えたわらわならまだきっと大丈夫。がんばれわらわ! 皆の為に!)
己を鼓舞し、拳を振るう。彼女にとってこの戦いは自分との戦いでもあるようだ。
「芥子鴉は物資を狙っているのか」
そんな心中を知ってか知らずか、相方の動きを後ろから見ていたクラウディアはその意図を察し、ならばと攻め方を変える。間断なく刃を降らせて敵の動きを封じる制圧射撃から、正確な一射にて決定的な隙を作り出すための狙撃へと。
「――そこだ」
「ぬぉぅッ?!」
静かに放たれた刀剣の矢が、メタルモヒカンの体勢を崩す。その瞬間を見逃さず、芙蓉が駆ける。華奢なその手に、体内で生成した即効性の猛毒を纏わせて。
「こいつを破壊すれば、もう戦闘能力の強化もできんじゃろう」
繰り出されしは妙技【毒功手】。あらゆるものを侵す猛毒の御手が打ち砕いたのは、メタルモヒカンの命綱である略奪物資の山であった。荷台ごと破壊された物資はまたたく間に毒に汚染され、もはや使い物にはなるまい。
「あああぁぁぁっ!? テメェ、俺様のものを、よくも!!」
物資を失ったモヒカンは怒りの雄叫びを上げながら、芙蓉めがけてがむしゃらに得物を振り下ろそうと――しかしそれを、後方より放たれた刃が咎めるように制する。
「もともとそれは貴様の物ではない。盗っ人猛々しいとはこの事か」
その眼光は刃よりも鋭く、言葉に宿るのは冷たい怒り。背中を任された者として、クラウディアの援護射撃は敵に付け入る隙を決して与えない。
「クソッ、クソッ、クソがぁッ! テメェら、ひとり残らずブチ殺してやらあッ!」
「この地の人々が殺戮ショーを見ることはない。彼らが見るは勧善懲悪の物語だ」
怒り狂うモヒカンに対してそう告げて、大倶利伽羅広光を構えるクラウディア。
会話も目配せもなくその意を察した芙蓉も、同時に毒功手を構えなおす。
怒りに我を忘れるあまり無防備な標的へと、渾身の一撃を叩き込むために。
「さぁ、貴様の悪行もここで終幕。我らが刃に散るがいい」
撃ち出された刀剣の矢と、繰り出されし猛毒の手が、メタルモヒカンを打ち抜く。
貫き、切り裂き、砕き、蝕む。刃と拳と毒を同時に食らわされれば、いかに強靭な装甲であろうとひとたまりもない。
「ぐごはあぁぁァッ1
?!!?!」
胸のど真ん中に深い裂傷と打撲傷を刻まれて、悪しきモヒカンは絶叫と共に吹っ飛ばされていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
背には護るべき人々と宝、目の前には悪漢
…自分が正道の騎士と錯覚しそうな状況ですね
久方ぶりにあれこれ悩まず気分良く戦えます!
食物を食べて能力が向上した…?
悠長に物など食べさせません
火炎を●盾受けで防ぎ、●目潰し代わりに●投擲し接近戦を敢行
ブレードを●武器受けで受け止めUCで●だまし討ちし●ロープワークで手足を拘束後に●踏みつけ
拘束解除前にワイヤーアンカーを●操縦し強制有線●ハッキング
口の開閉機能に●破壊工作を施すと同時、●情報収集した燃料タンクの位置を剣で●怪力で●串刺しにし穴を開けて引き抜き、脳が収まる場所に叩きつけ
…おかしい、こんな戦い方をするはずでは
情け無用と判断したのが原因でしょうか…
「背には護るべき人々と宝、目の前には悪漢……自分が正道の騎士と錯覚しそうな状況ですね」
これ以上ないほど明快なシチュエーションに、心なしか高揚を覚えるトリテレイア。
掛け替えのないものを守るために悪を討つ。それはまさしく騎士たるものの正道だ。
「久方ぶりにあれこれ悩まず気分良く戦えます!」
右手には剣を、左手には盾を。機械仕掛けの騎士は高らかに声を上げ、前線に足を踏み入れた。
「グギギ……せっかく溜めた物資が、もうこれっぽっちしか残ってねえ……」
猟兵との戦闘により深手を負ったメタルモヒカンは、体内の収納スペースに隠し持っていた食糧を取り出し、口に放り込む。オブリビオン――まして機械のボディにそのような食事は不要のはずだが、何故か僅かに出力が向上したように見える。
「食物を食べて能力が向上した……?」
ユーベルコード特有の不可思議な現象に首をかしげるトリテレイアであったが、さりとて敵のパワーアップをみすみす見逃すほど彼は甘くはない。
「悠長に物など食べさせません」
「チィッ、しつこい野郎共だ!」
二口目を頬張る間もなくやって来た相手に対し、右腕の火炎放射器を作動させるメタルモヒカン。機械騎士は前方に身の丈ほどもある大盾を構え、紅蓮の炎を防ぐ。
そして火勢が弱まれば、構えていた盾をそのまま投げつける。全長約3mもの巨大な鉄の板が飛んでくれば、さすがのモヒカンも驚愕を隠せない。
「うおぉッ?!」
慌てて飛び退いたモヒカンの隙を突いて、トリテレイアは一気に距離を詰める。
接近戦の距離は騎士の間合い。相手が鋼鉄のモヒカンだろうと優位はこちらにある。
「この鉄クズ野郎が! 俺様のボディの性能が上だってことを証明してやる!」
ウォーマシンを相手に対抗心を燃やしているのか、いきり立ったメタルモヒカンは左腕のブレードを振動させて斬り掛かる。トリテレイアは手元に残った儀礼用長剣にてブレードを受け止め――騎士兜の奥のセンサー光をすうっと揺らめかせる。
「……不意を討たせて頂きます」
「ぬぉッ!? なんだこりゃ!」
【両腰部稼働装甲格納型 ワイヤー制御隠し腕】が作動し、死角より伸びた腕が標的の手足を掴む。身動きの取れなくなったモヒカンが戸惑いを見せた直後、彼の身体は地面に引きずり倒され、胸板を鋼鉄の足に踏みつけられる。
「ぐげッ! こ、この野郎、この俺様を足蹴に
……!!」
メタルモヒカンは怒りにわなわなと震えながら、足を払いのけて拘束を振り解こうともがく。だがそれよりも早く、トリテレイアは彼の機体に電子戦用端子を兼用したワイヤーアンカーを撃ち込み、有線による強制ハッキングを仕掛けていた。
「機械の身体にはメリットもありますが、それ相応のリスクもあるものです」
「なッ、なにを……ガッ! あががががががッ!!?」
ノイズじみた悲鳴を上げて、ガタガタと震えだすメタルモヒカン。どうやら彼の安全意識は極めて低かったとみえ、スペースシップワールド出身のトリテレイアからすれば、そのセキュリティはため息が出るほどのお粗末さであった。
「や、やめろッ! 俺様のボディを勝手にイジるな……あがぁッ?!」
喚き散らす声を無視して、トリテレイアはまずメタルモヒカンの口の開閉機能を破壊。スピーカーが無事なら声は出せるだろうが、これで物を喰うことはできまい。
続けて機体を動かす燃料タンクを突き止めると、その位置に剣の切っ先を当て――。
「お、おい、待て、やめろ――ぐげぇぇぇえッ?!!」
容赦なく串刺しにし、力任せに引きずり出す。血のようなオイルを噴出させながら、穴の空いたタンクがポタポタと燃料を垂らしながら外気に晒された。
「食事が必要なら、他者から奪った物ではなく、己の物を頂くべきでしょう」
「が、ぐ、げごッ……な、なに言ってやがんダ、てめェ……?」
取り出した燃料タンクを片手に、トリテレイアは無慈悲で機械的な声音で告げ。
ゾッと震え上がるメタルモヒカンの、あんぐり開いたままの口蓋へと――正確にはそのさらに奥、彼の唯一の生身である脳が収まる場所に――叩きつける。
「ごがァッ!? ごがががががが――あがぁッ
!?!?」
壊れたような絶叫が戦場に響く。モヒカンの両目は危険信号を示すように明滅し、頭部からはスパークし、散った火花が強引に喰らわされたタンクの燃料に引火。
「グギャーーーーーーッ
?!!?!?!」
ドォンッ! と爆音と爆炎が上がり、汚い花火となったメタルモヒカンは、そのまま彼方へと吹っ飛んでいった。
「……おかしい、こんな戦い方をするはずでは」
制裁じみた戦闘を終え、はたと我に返ったトリテレイアは一連の所業を省みる。
正道の騎士らしいシチュエーションだと思っていたはずが、なぜかいつも通り――あるいはそれ以上に騎士の正道から外れた戦いを繰り広げてしまった気がする。
「情け無用と判断したのが原因でしょうか……」
まさしく情けも容赦もなかったその戦法は兵器としての本能なのか、あるいは。
何にせよ、人々と宝を狙う悪党は撃退できたので、結果としては問題ないだろう。
大成功
🔵🔵🔵
フェーリ・アイ
(言葉は発せず、霊の声は周囲に聞こえる
OPのみ記憶を共有
人格:ノロイ)
ちょっと誰よ!
あんなヒャッハーしたオブリビオンに喧嘩売ったの!!
害虫は駆除よ駆除!悪いけど今、超機嫌が悪いからっ
『アイは今、悲しんでるんだってさ~。近づかない方がキミのためだよー?』
うっさい!トーン!
サバイバルナイフを振り回して正面から突っ込む
何を強化してきたって、攻撃を受けるのが私(囮)なら関係ないわよ
でもどれだけ痛くても辛くても折れてなんてやらない
ほら?女のコが苦しんでるわよ?
さぞ、いい気分なのでしょうね?
攻撃の要はダブルの私。死角へと出現して消えてを繰り返す
ナイフの一撃ごとに、確実に命を削っていくの…
アハハ!大っ嫌いよ
(ちょっと誰よ! あんなヒャッハーしたオブリビオンに喧嘩売ったの!!)
声にできない不満を、心の中で他の人格に対してぶちまけるのは"ノロイ"。
フェーリから交代したネズから、さらにバトンを回された彼女は、あからさまな世紀末感ただよう敵を前にして嫌悪感を隠そうともしない。"フェーリ・アイ"の複数ある人格の中でも、彼女は特に子供っぽく好き嫌いのはっきりした性格のようだ。
(害虫は駆除よ駆除! 悪いけど今、超機嫌が悪いからっ)
『アイは今、悲しんでるんだってさ~。近づかない方がキミのためだよー?』
(うっさい! トーン!)
あることないことを勝手に代弁する霊体を叱りつけながら、ノロイはサバイバルナイフを振り回しながら敵に挑む。敵は既に手負いであり、ここは一気に畳み掛けるべきだと判断したか。
「ぐ、ごげ、ぐ……ぢょ、調子に乗るなよ
……!!!」
正面から突っ込んでくる相手に対し、メタルモヒカンは口からプスプスと煙を吐きながら、左腕のブレードを構える。普通ならとっくに機能停止してもおかしく無さそうなところを、それでも稼働し続けるのはオブリビオンゆえか。
「テメェはばらバラに切り刻んでやルッ!」
威力や精度よりも手数を重視して、高速で繰り出される斬撃。対するノロイは防御の構えを取るが、ナイフ一本でその全てを受け止めきることはできない。捌ききれなかった刃が肌を切り裂き、血飛沫が舞う。
(ヒャッハーなくせに意外と強いじゃない……でも何を強化してきたって、攻撃を受けるのが私なら関係ないわよ)
ノロイはぐっと歯を食いしばり、メタルモヒカンの猛攻を耐え凌ぐ。どれだけ痛くても辛くても折れてなんてやらない。逆転の時が来るまで、せいぜいいい気にさせてやればいいのだ。
(ほら? 女のコが苦しんでるわよ? さぞ、いい気分なのでしょうね?)
「ひ、ヒヒヒ、ほらほら、次はどこを切ってやろうかァ?」
そんなノロイの意志が伝わったわけではないだろうが、敵は明らかに調子に乗った様子で、彼女を痛めつけることを楽しんでいる。これまで猟兵に散々してやられてきた鬱憤が弾けたのだろう。醜悪な暴力性と残虐性が剥き出しになっている。
――まったく滑稽な姿であった。その背後から迫る刺客の気配に、気付いてもいないのだから。
「よぉしィ、次は腕だァ――ぐぎッ?!」
その奇襲は突然に。負傷したモヒカンの装甲の亀裂を抉るようにナイフを突き立てたのは【オルタナティブ・ダブル】によって呼び出されたもうひとりのノロイだった。
ノロイの口元にふっと笑みが浮かぶ。彼女はこの好機を作るために、囮として攻撃を受け続けてきたのだから。
「く、そがぁッ!!」
怒りのままに背後へとブレードを振るうメタルモヒカン。だがそれよりも一瞬早くダブルのノロイは消失し、標的の死角に再出現するとまたナイフを振るう。
「ぎぃッ!」
消えては現れ、現れては消え、その繰り返し。一度そのループに嵌まってしまえばもう逃れられない。ダブルの攻撃は単発ではさほど大きなダメージにはならないが、それも積み重なれば話は別だ。
(ナイフの一撃ごとに、確実に命を削っていくの……アハハ! 大っ嫌いよ)
まんまと翻弄されているメタルモヒカンに、溜飲の下がる想いでノロイは笑う。
死角からのダブルの奇襲に、彼女自身の攻撃も加われば、今度は向こうが手数に圧倒される番だ。
「ちくしょう……ッ、覚えてやがれぇッ!」
わなわなと肩を震わせながら、全身をズタズタにされたモヒカンは後退する。
現れた時はあれだけ盛大にイキリ散らしていた無法者が、今やこのザマ。この戦いの結末は、もはや見えたも同然であった。
大成功
🔵🔵🔵
茜谷・ひびき
つくづく映画館に相応しくない奴らだな……
その機械がどんなものか、試してやるぜ
ブラッド・ガイストで腕を殺戮捕食態へ
そんでまずは【ダッシュ】で相手に接近だ
まずは数発、相手の攻撃を食らってやるか
【激痛耐性】も使いつつ致命傷は避けるぜ
どうした、パーフェクトなんじゃないのか?
生身のガキ一人殺せないのかよ
それで相手が怒るなりすれば僥倖
一気に懐に入り……顔面を【怪力】で思い切りぶん殴る!
略奪物資を食わせたくないのが一番だけど
単純に顔をぶん殴ってやりたいんだ、むかつくし
その勢いのまま鎧の脆そうな部分も【怪力・2回攻撃】で殴っていく
弱ってる部分は【傷口をえぐる】ように追い打ちだ
映画館なんだから静かにしとけよ
「バカな! あり得ねえ! この俺様の無敵のボディが、敗れるわけがねぇ!!」
追い詰められつつある現実を受け入れられず、メタルモヒカンは喚き散らす。
ノイズの混じった耳障りなその声はひどく不快で、上映中なら即座に館内から叩き出されるだろう。
「つくづく映画館に相応しくない奴らだな……その機械がどんなものか、試してやるぜ」
そう言って、ボロボロのモヒカンの前に立ちはだかったのはひびき。
【ブラッド・ガイスト】の発動により、殺戮捕食態と化したその腕は、目の前の敵を屠り尽くすための異形へと変貌していた。
「クソがッ! ならテメェの身で味わえよ、この俺様のボディの力をなァ!」
腕を振りかざしながらダッシュで接近するひびきを襲ったのは、メタルモヒカンの右腕からの火炎放射。だが、地獄の炎を操るブレイズキャリバーでもある彼が、これしきの熱で怯むことはない。
「おいおい、こんなものかよ?」
「んなッ?! ちぃッ、だったらコイツだ!」
猛火をくぐり抜けて飛び込んできた相手に、今度は左腕のブレードを振るう。
機械化された剛腕のパワーを以って叩きつけられる鋭利な刃。しかしそれさえも、ひびきは敢えてその身をもって受け――肉を裂く激痛にぐっと気合いを入れて耐える。
「どうした、パーフェクトなんじゃないのか? 生身のガキ一人殺せないのかよ」
急所は逸らしたとはいえ、けして浅くはない負傷。それでもひびきは笑ってみせた。
なんでも無いように振る舞うことが、何よりの挑発になると分かっているから。
案の定、自慢の武器で敵を殺し損なったメタルモヒカンは怒り心頭だ。眼窩に嵌め込まれたカメラアイの色は真っ赤で、冷静なんて言葉はどこかへ吹き飛んでいった。
「クソがぁッ! だったら、テメェが死ぬまで何度でも切り刻んで――」
その言葉が終わるよりも早く、ひびきは乱雑な斬撃を抜けて隙だらけの懐に入る。
そしてノーガードの顔面めがけ、あらん限りの力を込めて、拳を思い切り叩きつけた。
「ごぐはぁッ!?」
血飛沫のように飛び散るオイルと金属の破片。ひびき渾身のパンチを食らったモヒカンの顔面はひしゃげ、特に顎部は完全に砕けて使い物にならなくなっている。
彼が頭部狙いで攻撃したのは、第一にはまだ持っているかもしれない略奪物資を食わせたくなかったため。だが、心情としては寧ろそれは建前だったのかもしれない。
「単純に顔をぶん殴ってやりたかったんだ、むかつくし」
「ごげ、ぐ、よぐもやっでぐれだなあぁ……ッ」
凹んだ頭部を抑えて悶絶するモヒカンを見られれば、少し気分もすっとする。
ダメージから立ち直る余裕は与えまいと、ひびきは勢いを緩めずに追い打ちをかける。全身を隙間なく覆っていた装甲の鎧も、今は破損してあちこち隙だらけだ。
「ごぐッ、げは、が、ごはぁッ
!?!?」
脆くなった部分を狙って、傷口を抉るように二度、三度。人間離れした膂力で殺戮捕食態が打ち込まれるたびに、サンドバッグのようにモヒカンの身体が揺れる。
「ぐぞぉッ! 許さねえ、テメェら、ぜっだいにゆるざねえぞぉッ!!」
「映画館なんだから静かにしとけよ」
締めの一撃はアッパーカット。すくい上げるように繰り出された拳が、砕けたアゴに突き刺さり――「げぐはぁッ?!」という汚い悲鳴と共に、メタルモヒカンのボディは綺麗な放物線を描いて宙を舞うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
弱いのは貴方だよ…。
人である事を捨て、人の心を失った貴方に他人の弱さを指摘する権利は無い…。
「ポンコツ!」
「髪じゃない!」
「実はツルッパゲ?」
ラン達は拠点の人達をお願い…。大丈夫、拠点の人達には手は出させない…。
【九尾化・魔剣の巫女媛】封印解放…。
無限の魔剣を召喚し、ボス及び雑魚モヒカン達へ一斉斉射を仕掛けて攻撃…。
更に強化した凶太刀による高速化と【見切り、第六感】を活かして敵の攻撃を掻い潜り接近…。
敵の装甲ごと【呪詛】を纏った剣戟で叩き斬ったり関節部を狙って斬り裂いたりしてダメージを与え、【力溜め、呪詛、衝撃波、鎧砕き、鎧無視、早業】バルムンクの一撃で両断する等して仕留めるよ…。
フレミア・レイブラッド
そんなポンコツに身を包んだ臆病者に他者を卑下する資格があるのかしら?
まぁ、貴方には誇りとか解らなさそうだし仕方ないかしらね
【ブラッディ・フォール】で「決行、集団人質解放作戦」の「神鳴りのフランチェスカ」の服装へ変化。
【雷帝の誇り】で戦闘力を強化しつつ空中へ飛び出し、拠点に被害が出ない様に敵を引きつけ移動。
【雷神の見る夢】による無敵のカミナリでの極大雷撃や雷撃の魔術【属性攻撃、誘導弾、高速詠唱、全力魔法】で空中から敵の配下のモヒカン達ごと敵の行動を阻害する様に雷撃の暴雨で圧倒し、叩きのめしていくわ。
最後は【エレクトロニック・インフェルノ】で増強した【雷神の見る夢】でスクラップにしてあげる!
「う、ギギギ、なんでだ……なんでこの俺様が、こんな……」
満身創痍となって地に這いつくばったメタルモヒカンは、忘れたはずの砂の味を噛み締めながら、屈辱と怒りに身体を震わせていた。
「俺は完全な身体を手に入れた! 生身を捨てて、最強のボディを――そのへんの弱っちいレイダー共とは違う! パーフェクト・メタル・モヒカンになったはずだ!」
だが、現実はこのザマだ。猟兵の度重なる攻撃によって機能の大半は停止し、その命は風前の灯火。なぜこうも己が追い詰められているのか、彼には理解できなかった。
「弱いのは貴方だよ……。人である事を捨て、人の心を失った貴方に他人の弱さを指摘する権利は無い……」
璃奈は静かに指摘する。機械の身体と引き換えに掛け替えのないものを無くして、強くなったと錯覚している愚かなオブリビオンに、冷たい眼差しを投げかけて。
「ポンコツ!」「髪じゃない!」「実はツルッパゲ?」
彼女に仕えるメイド達も、ぷんぷんと怒りを露わにしながら、メタルモヒカンを罵倒する。
「そんなポンコツに身を包んだ臆病者に他者を卑下する資格があるのかしら? まぁ、貴方には誇りとか解らなさそうだし仕方ないかしらね」
フレミアの言葉は突き放すようで。かりそめの力で驕り高ぶりながら、弱者から奪い虐げることしかできないプライドの欠片もない輩に、かける情けなど何一つない。
ただ、もう二度と人々に被害が出ないように、完膚なきまでに叩き潰すだけだ。
「俺が……弱い……臆病者……? ふざけんな……ふざけんなぁぁァァァッ!!!」
彼女らの言葉のなにが、ちっぽけな男の傲慢な自尊心に触れたのだろうか。
メタルモヒカンは全身からオイルとスパークを撒き散らし、咆哮と共に立ち上がる。
窮鼠猫を噛む、なる諺の通り。追い詰められたオブリビオンの抵抗が始まる。
「ラン達は拠点の人達をお願い……。大丈夫、拠点の人達には手は出させない……」
「「「りょうかい!」」」
メイド達に指示を出すと、璃奈は【九尾化・魔剣の巫女媛】を発動し真なる力を解き放つ。その身には莫大な呪力を纏い、周囲には無限の魔剣が召喚される。
「骸の海で眠るその異形、その能力…我が肉体にてその力を顕現せよ!」
そしてフレミアは【ブラッディ・フォール】により、UDCアースにして討伐したオブリビオン「神鳴りのフランチェスカ」の装束と雷光をその身に纏う。
「ぶっ殺す……ブっ殺してやるぞォ! 来やがれ野郎共ォ!!」
「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ
!!!!」」
万全の迎撃体制を取るふたりに対しメタルモヒカンが頼ったのは数の暴力。
どこからともなく現れた無数の雑魚モヒカンの群れが、雄叫びを上げながら怒涛のごとく押し寄せる。だが、それらはしょせん虚仮威し。本来ならば大した戦闘力のないものを無理矢理にも動員せざるを得ないところに、彼の限界が見て取れた。
「拠点に被害は出させないわよ」
【雷帝の誇り】で飛翔能力を獲得したフレミアは、あえて敵の目に留まるように雷光を輝かせながら空を飛びまわり、モヒカン共を引きつける。敵に拠点付近で暴れられるのは勿論だが、戦闘の余波で拠点が被害を受けるのも避けなければならない。
「待てやそこの女ァ!」
「降りて来いよ、可愛がってやるぜェ!」
口汚い罵声を浴びせながら、バイクに跨りフレミアを追いかける雑魚モヒカン。ボロボロのメタルモヒカンもまた、その集団に紛れて鬼の形相で彼女を付け狙っている。
「うん……この辺りならいい感じ……」
フレミアの誘導によってまんまとおびき寄せられ一箇所に纏められていく連中に、魔剣の巫女媛となった璃奈が狙いを定める。その周囲に展開された無数の魔剣は彼女の呪力によって強化され、解き放たれる瞬間を今か今かと待っている。
――そして、ほどなくしてその瞬間は来る。
「今よ!」
群雀のごとく集ったモヒカン共の直上で、フレミアの【雷神の見る夢】が発動する。
それは想像から創造される無敵の雷に、彼女自身の魔力と魔術を合わせたもの。
目を向けていられないほどに輝く、極大の雷撃が束になって顕現した瞬間、同時に璃奈も魔剣の一斉斉射を開始する。
「我らに仇成す全ての敵に悉く滅びと終焉を……」
「ひとり残らず叩きのめしてあげるわ」
天より降り注ぐ雷撃の暴雨と、終焉をもたらす魔剣の豪雨。ふたつの力はひとつとなって、天変地異にも匹敵する雷剣の嵐と化す。大地を穿ち、天空を震わせ、雷撃と呪刃で全てを薙ぎ払う圧倒的な猛威に、ただの雑魚モヒカンが耐えられる筈もない。
「「「ギャーーーーーーーッ
!!!!?!?!!」」」
断末魔の悲鳴さえも落雷の音にかき消され、雷剣が貫いた後には骸すら残らない。
それまでの威勢はどこへやら、恐怖に支配された彼らは算を乱して暴雨の中を逃げ惑う。
「クソッ!? お前ら、逃げるなッ!!」
メタルモヒカンだけは今だ戦意を失わず、不甲斐ない配下を叱咤しているが、これほど大規模な上空からの攻撃を、そこいらの雑魚にどうにかしろと言う方が無理だ。
「次は貴方の番だよ……」
混乱の極まった戦場で右往左往する敵勢の中、好機を見切った璃奈は凶太刀を構えて飛び出す。巫女媛の力によって強化されたその呪いは使い手に比類なき速さを与え、雷雨の中を翔けるその姿は彼女自身が一条の稲妻になったかのよう。
「くッ、来るな――ッ?!」
破れかぶれの火炎放射もたやすくかい潜り、一瞬のうちに懐まで接近した璃奈は、その勢いのまま凶太刀を一閃。呪力を纏った剣戟が、装甲を豆腐のように叩き斬る。
「ぐがぁッ?!」
自慢のボディをまたも破られ、ぐらりとよろめくメタルモヒカン。璃奈は間髪入れず追撃を放ち、今度は装甲に覆われていない腕や脚の関節部を切り裂いた。
まるで剣舞のように淀みなく繰り出される連撃に、ダメージが限界に達したモヒカンはついに膝をつく。
「これで最後よ」
その時、上空より雷撃を降らせ続けていたフレミアの瞳が黄金に輝く。それは雷撃による攻撃を飛躍的に増強する【エレクトロニック・インフェルノ】の発動の証。
これを【雷神の見る夢】と合わせれば、無敵の雷の殲滅力は通常の9倍に達する。
「終わらせる……」
同時に璃奈が凶太刀に代わって構えたのは魔剣バルムンク。その刀身に呪力を纏わせ、渾身の一撃を放つための溜め。彼女の祀る剣の中でも特に秀でた切れ味を誇るこの魔剣に巫女媛の呪力が加われば――斬れぬものなどありはしない。
「この一太刀で……」
「スクラップにしてあげる!」
振り下ろされた魔剣と、解き放たれた雷霆。メタルモヒカンに辛うじて捉えられたのは、視界を真っ白に染め上げる雷の輝きと刃の閃きだけだった。
「ぐ、が、あぁぁぁぁぁァァァァァァァッ
!!!!?!?!」
痛覚センサーを振り切るほどの衝撃。胴体を上下に真っ二つに両断され、脳髄に至るまで雷撃に蹂躙し尽くされ――まさしくスクラップ同然の様相となったメタルモヒカンは、力なく荒野にその身を横たえた。
大成功
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紗咲・亜闇
※アドリブ・連携歓迎
強い敵だって話だし、最近変身できるようになった真の姿(※光のスケバン)を試してみようかな、っと。(口調が柔らかくなる)
バイクに乗った手下を呼んでくれるっていうなら好都合。バイクをUCで光速のヨーヨーに変換してメタルなんたらと手下たちに光速の【誘導弾】ヨーヨーによる光【属性攻撃】。このヨーヨーは当たった対象を光に還す【鎧無視攻撃】、ちゃっちゃと掃除しちゃおう。
恫喝については、まあ、【覚悟】が違うっていうかね。同じ小物でもヒーローズアースでの戦争で最強の小物と戦った経験があるお陰で、この程度じゃ怖くないんだな、これが。
さてと、帰る前にもう1本映画見せてもらえないかなー、っと。
「ぁ、ぐ、ぐぞぉ……まだだ……俺様は、まだ……ッ!」
猟兵との激しい攻防のすえ、ついに荒野に倒れ伏したメタルモヒカン。
残っているのは頭部と胴体の一部、そしてほとんど動かない片腕のみ。
もはやどう見てもスクラップとしか思えぬ様相だが――驚くべきことに彼は"まだ"生きていた。無論風前の灯火ではあるが、その執念だけは凄まじいものがある。
「次こそは……パーフェクトな身体を手に入れて、あいつら全員皆殺しに……!」
「うん? 強い敵だって話だったけど、そんなに大したこと無かったかな?」
「げぇッ?!」
撤退を図ろうとしていたモヒカンの前に現れたのは、純白のセーラー服を纏った少女。その髪は煌めくような金髪で、まるで全身が光を帯びているように見える。
それは相克のスケバン、紗咲亜闇の真の姿。その名も光のスケバンである。
「まあ折角だから、最近変身できるようになった真の姿を試してみようかな、っと」
普段とは異なる柔らかな口調で、すっと戦いの構えを取る亜闇。窮鼠猫を噛むの諺にもあるように、たとえ敵が満身創痍であっても彼女は決して油断はしていない。
全力でこちらを倒すつもりの相手に、メタルモヒカンは全身の毛が総毛立つ思いだった。
「くそ、くそくそくそくそがァッ! 誰か来やがれ! 俺様を守れッ!!」
男ががなり立てれば、どこからともなく響くエンジン音。万が一に備えて待機されていた最後の雑魚モヒカン部隊が、いかつい改造バイクに乗って駆けつける。
だが、それなりに数は多いとはいえ、彼らに猟兵と戦えるような戦闘力は無い。むしろそれを見た亜闇の口元には丁度良かったと言わんばかりの笑みが浮かんだ。
「バイクに乗った手下を呼んでくれるっていうなら好都合」
発動するのは光の力に振り切ったこの姿でのみ使えるユーベルコード【天秤崩壊・羅異説裏陰禍亞錬位処ン(エレメントシフト・ライトリインカーネーション)】。
その能力は、周囲にある無機物を彼女の武器に――光速のヨーヨーに変換する。そこらに散らばっている瓦礫も、そしてモヒカン共が乗ってきたバイクも例外ではない。
「ぬぉぁっ!?」
「お、俺のバイクがッ!?」
移動手段を失ったモヒカン共の前に、大量のヨーヨーを周囲に滞空させた亜闇。
いかに一対多とはいえ、彼我の戦力差はもはや火を見るよりも明らかであった。
「それじゃ行くよー、メタルなんとかと手下たち」
踊るような手さばきで亜闇が腕を振ると、無数のヨーヨーが一斉に襲い掛かる。
モヒカン共は慌てて尻尾を巻くが、光速で飛翔するヨーヨーには誘導機能まで付与されており、どこへ行こうと逃げられるはずが無い。
「ぎえッ!!」
「ギャーーーッ!?」
物陰に隠れたりガードしても無駄だ。光のスケバンが操りしヨーヨーは命中したものを光に還す。どんな堅固な鎧も遮蔽物も貫いて、悉く消し去ってしまうのだ。
「ちゃっちゃと掃除しちゃおう」
断末魔と共に消えていく雑魚モヒカン共。彼らを葬る亜闇の手さばきに一切の容赦は無い。
「てっ……テメェ! こんな事をしてタダで済むとでも思ってんのか!」
最後の頼みの綱だった配下を一蹴されたメタルモヒカンは、上ずった声で恫喝する。
「オブリビオンでパーフェクトなこの俺様に、逆らってどうなるか分かってんのか! 生身のテメエらがどんなに足掻こうと、最後に笑うのは俺達なんだよ!」
「そうだそうだ! 次はブっ殺してやる!」
「覚えてろよ、絶対復讐してやるからな!」
まだ息のある雑魚モヒカン共も加わって、やいのやいのという恫喝の大合唱。
数え切れないほどの罵声と怒号と野卑な言葉が、亜闇に浴びせられる。
――だが。それを聞いた光のスケバンは怯むどころか気分を害した様子さえない。
「な……なんだよ。なんでテメエは笑っていやがる?!」
「まあ、覚悟が違うっていうかね。同じ小物でもヒーローズアースでの戦争で最強の小物と戦った経験があるお陰で、この程度じゃ怖くないんだな、これが」
一介の無能力者から上り詰め、世界を骸の海に沈めようとした、とあるオブリビオン・フォーミュラのことを思い出す。アレと比較して見れば、目の前にいるこいつらは小物中の小物。全然パーフェクトでも最強でもない、ただの無法者(レイダー)だ。
「言いたいことはそれで終わり? なら光に還ってね……このヨーヨーで!」
「待っ――――」
ボロボロの機械人間と雑魚モヒカンがなにかを口にしかけるよりも疾く。
空中に眩い軌跡を描き、光速のヨーヨーが彼らをひとり残らず消滅させる。
あまりにもあっけない幕切れ――だがそれが、パーフェクトを自称した愚かな無法者には、相応しい末路であっただろう。
「さてと、帰る前にもう1本映画見せてもらえないかなー、っと」
戦いを終えた亜闇はヨーヨーを消してぱっぱとスカートの砂埃を払うと、うんと伸びをしながら踵を返す。その向かう先には、襲撃前と変わらぬ姿の映画館がある。
拠点にも、住人にも、被害や犠牲者はまったく無い。館内からは避難していた住人達が現れ、自分達を救ってくれたヒーロー達の帰還を笑顔で出迎える。
――かくして猟兵達は、掛け替えのない人々の命と、映画という文化を守り抜いた。
いつの日か、平和になったこの世界で。彼らの活躍もまた一本の映画として、語り継がれていくのかもしれない――。
大成功
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