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#UDCアース

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#UDCアース


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●後悔からくる過ち
「これでもう後戻りはできないな……」
 年のころは二十歳前後だろうか。青年が自分以外誰もいない部屋でつぶやく。電気もつけてない暗い部屋に光る物。それは林檎程度の大きさの卵形の水晶。
 青年は博物館のスタッフ。近く開催される古代文明の展覧会の展示物を盗んできたのだ。
 きっかけは資料にあった『所有者は過去に戻る能力を得られるという言い伝えがある』という一文。
 彼は五年前、恋人を病で亡くしていた。病気が発覚した時にはすでに手遅れだった。
 もし。過去に戻れるなら、彼女を助けられるかもしれない。俺の呼びかけに応えてほしい。過去に戻る力が欲しい。水晶を手に強く願う。

『君は、過去をやり直したいのか?』
 どこからか声がする。声の元は水晶の中であるようであり、耳の側でもあるようだった。
「5……いや6年!昔に戻してください!」
 青年は必死に叫ぶ。額から冷や汗がとめどなく流れる。魂が危険を感じて警告してくる。これは神様なんてものじゃない。むしろ、悪魔に属する存在だと。
『運命は変えられない。望む過去で何をしようと、確定した未来は変えられない。無駄だ』
 無駄だ。冷たく言い放つ何者かの言葉。だが、青年はルビコン川をすでに渡ってしまったのだ。
「たとえそうだとしても!こんな後悔を残したままじゃ生きていけない!」
 青年が答えると。わずかな静寂の後に、はぁ……と嘆息のような音が聞こえた。
『いいだろう。だが、望みを叶える前に私に協力してもらう。取引だ』

●意味のない願い
「あの時、こうしておけばよかった、この時、別の道を選んでおけばよかった。そう思うことってあなたはありますか?」
 スペースノイドのシャーマンであるデナーリスは猟兵たちにそう問いかける。

 わずかの空白の時間のあと。彼女は軽く微笑む。
「では、今回の事件をご説明しますね」
 デナーリスは持っている端末の画面を空中に表示する。
「UDCアース。この世界の多摩、という都市にあるプレハブ貸し倉庫が現場になります」
 現場周辺の地図と、建物の外観が表示される。倉庫は高さは低いが、広さは公立学校の体育館程度はある。
「ここに、UDC関連の呪物を持ち込んだ青年が儀式を行おうとしています。彼はUDC怪物と取引を行い、復活させるのと引き換えに過去に戻ろうとしています」
 実際に過去に戻る方法をUDC怪物が知っているのかどうかは定かではない。予知でわかるのは儀式の結果、UDC怪物が世界に現れてしまうことだけだ。
 画面は切り替わり、卵型の鈍く青く光る水晶が映し出される。続いて倉庫の見取り図も表示された。
「まずは、皆さんにUDC関連の呪物を回収、もしくは破壊するか、それが叶わなければなんらかの手段で儀式を遅延させてください」
 青年が儀式を始める前からUDC怪物は現世に出現しかかっており、最後の一押しがこの儀式だ。呪物を破壊しても出現は止められないだろう。しかし、儀式が完全でなければ現れるUDC怪物の能力も完全ではなくなるだろう。

「私の予知で感じたとき。身震いしました。私が今まで見たり予知で知ったオブリビオンのどれよりも強い力を感じました」
 デナーリスは強調する。ゆえに、儀式の中断や遅延は大きな意味を持つ。
 倉庫には大きな荷物を搬入できる扉と、人間が通る普通の大きさの扉の二つの入り口がある。
 部屋は二つ。荷物を置く倉庫と、管理用の小さな部屋。普通の大きさの扉から入ると小さな部屋に入ることになる。搬入用の扉はもちろん倉庫に直結している。
 窓は倉庫の部屋に五枚。小さな部屋に一枚。すべてガラス製で、工夫もなく割れば即座に気付かれるだろう。
 倉庫内は広々としてあまり荷物はない。外からのぞかれなくないのだろう。空の木箱や段ボールがそれぞれの窓の側に積み上げられている。窓と木箱の間は一人分程度の隙間が空いている。
 青年は倉庫の中央にいる。そこで呪物を目の前に置き、儀式を行っている。

「説得で儀式を止めたり遅らせてもいいのですが、青年はUDCの怪物に騙されているとかではありません。自分の意志で儀式を行っています」
 ここで、デナーリスは一息つき、しっかりと次の言葉に繋げる。
「私からお願いするのはUDC怪物、つまりオブリビオンをUDCアースから消滅させること。それだけです」
 はっきりと言い切った。すなわち目的を達成できれば呪物はおろか青年もどうなってしまっても構わないのだ。

 デナーリスは手にした端末を閉じ、そして深々と頭を下げる。
「来るべき未来を守り、世界に生きる人々に取り戻せるかは皆さま次第です。どうかよろしくお願いいたします。」
 そう言って送り出すのだった。


神田愛里
 こんにちは、神田愛里と申します。

 今回は「UDCアース」でオブリビオンの召喚儀式に関わるシナリオです。
 なんとかしてオブリビオンをUDCアースより消滅させてください。それがクリア条件となります。

 転移先は現場のすぐ近くの道路になります。この世界でバックアップをしてくれるUDC組織が現場に人が近づかないように動いてくれています。

 その他詳細はオープニングにて確認をお願い致します。
 それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 冒険 『呪物回収【並】』

POW   :    正面突破で儀式場へ突入し、呪物の回収を行う。

SPD   :    秘密裏に儀式場へ潜入し、呪物の回収を行う。

WIZ   :    呪物の所在を明確にする。或いは儀式の遅延を行う。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

楠瀬・亜夜
過去をやり直す……か。
過去に戻れば記憶もきっと戻るんでしょうね
とはいえ、過去は過去、今は今
きりきり回収させて頂きますよ

彼が倉庫の中央で既に儀式を始めているのであれば
まずは管理用の部屋から入り込みましょう。
この位置なら施錠がしてあっても解錠に集中できる筈です。
施錠のある扉は技能【鍵開け】で解錠します。

部屋に入ったらそこから彼が儀式している場所を確認し
気が付かれないように注意しながら
水晶の正面となる位置へ移動し、天井にフック付きワイヤーを引っ掛け
それを利用し一気に水晶に近づき奪取を狙います。(【SPD】)

残念ですが、貴方の過去を盗ませて頂きます……なんてね


エルデラント・ズィーマ
過去に囚われて過去の怪物を呼び寄せるとは……哀れな方ですね。人は振り返れても前にしか進めませんから
さぁ仕事です【SPD】の出番ですね。音も無く忍び寄るのは得意ですよ……多分。倉庫の中には全く荷物が無いわけではなさそうなので遮蔽物に隠れて呪物が見える角度まで移動しましょうか
それと呪物につきましては破壊を行使したいと思います。可能であれば木箱の影から狙撃をして破壊したいところ
青年を傷付けるのはいささか心が痛みます。最悪の場合は……手を出しますけど



 カチ……カリ……カチ。
 管理用の部屋の鍵はごく普通のシリンダー錠であった。楠瀬・亜夜の技能をもってすれば三十秒もあれば問題なく鍵は開いた。
 (過去をやり直す……か)
 亜夜は青年に見つからないようにしゃがみながら静かに移動する。そしてブリーフィングの説明を思い返していた。
 (五年前か……。過去に戻れば記憶もきっと戻るんでしょうね)
 亜夜には十五歳、つまり五年前より以前の記憶が失われてた。青年が戻ろうとしていた時期と奇しくも同じ頃になり、彼と同じように過去に戻れたら自分はどうであったか、彼女は考えていた。

 それから数分後。開錠された扉からエルデラント・ズィーマが倉庫内に潜入した。
 (過去に囚われて過去の怪物を呼び寄せるとは……哀れな方ですね。)
 そのまま床に置いてある段ボールを遮蔽物として移動する。
 エルデラントもまた同様に過去を忘れていた。彼女は常人離れした能力を行使する為に過去を消費していたのだった。
 手ごろな木箱を見つけてその裏に潜む。木箱はなんだか黒いベタベタしたものが付着していたが、呪物は見える良い狙撃ポイントなので諦めて我慢した。

 青年がテーブルに置いた水晶を前にして手をかざしながら念じている。
『そうだ、そのまま続けていれば君は過去に戻れる。クリスタライザーの力でな』
 何者かの声に従い儀式を続けていた。声はどうやら青年だけが聞こえるようで、過去を失った女性二人には届いていない。
「この水晶がクリスタライザー?」
『違う。それは種に過ぎない。種はお前の願いという土で芽を出し、そして夢の花を咲かす』
 願い、か。青年は声の言っている内容への理解を諦め、より強く念じていた。その時。

 ビシィ!卵型の水晶に皹が入り、上下真っ二つに分解された。エルデラントは青年を傷つけるのを良しとせず、水晶の方を狙撃したのだ。

 水晶の上半分が宙に跳ね上がる。青年が見上げると、すぐ上の天井にある鉄骨にワイヤーが引っかけられるのが見えた。
 ワイヤーに掴まった亜夜が振り子のように急接近し、水晶の上半分を空中でキャッチする。

 青年は驚きながらも破壊された水晶の下半分を抱え寄せる。ワイヤーから手を離した亜夜が着地する。
「残念ですが、貴方の過去を盗ませて頂きます……なんてね」

 (人は振り返れても前にしか進めませんから)
 (過去は過去、今は今)
 二人は過去を喪失しながらも、前を見ている。過去の後悔を正す思惑しかない青年とは正逆であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エウトティア・ナトゥア
WIZ 儀式の遅延を行う

デナーリス殿の話では、怪物の復活は止められぬようじゃのう
それならば、儀式を妨害して少しでもその力を削ぐとするかの

《群狼の狩猟》【黒曜石のナイフ】「ダッシュ」「忍び足」使用

まずは侵入じゃな、あえて管理用の部屋から行くかのう
鍵が掛かっているなら、ナイフをガラスの切断面側に差し込んでこじってやると…この通り、小さな音で割れるのじゃ
隣の部屋なら小さな音には気づかぬじゃろう

侵入口が出来たら、小型の狼を召喚して建物に流し込むかのう
狼達よ、忍び足であの青年に駆け寄って襲い掛かれ!
じゃれついて全身をくまなくペロペロ攻撃して抱腹絶倒(物理)させてやるのじゃ!


真田・さな
過去に戻りたいね...ふふふ、わたし自身、人間、心が弱った時は、同じ事を考えるのね。でも、そんなに都合の良い魔法が本当に存在するのかしら?
それにしても、卵型の呪物ね...デナーリスさんが言うにはかなり危険な呪物の様だわ。。早々に破壊するなり、海に沈めるなりして、儀式を中断させないと取り返しのつかない事になりそうな予感がする

SPDを使用します
息と足音を殺して、普通の大きさの扉から侵入、小さな部屋に身を隠します。身を隠しながら、青年の動きを観察。
青年が卵型の呪物から注意を離すことがあったら、隙をついてすぐに卵のもとまで走り、卵型の呪物を回収・破壊します
*仲間の行動を阻害しない様に気をつけます



「息と足音を殺して見つからないようにしましょう」
 真田・さなはエウトティア・ナトゥアと共に管理用の部屋の前でしゃがみこんでいた。
 わかっておる、とエウトティアは頷き、黒曜石のナイフを取り出す。
「あれはかなり危険な呪物の様だわ。早々に破壊するなり、海に沈めるなりして、儀式を中断させないと取り返しのつかない事になりそうな予感がする」
 エウトティアはもう一度頷いた。
「さな殿に同感じゃ。それならば、儀式を妨害して少しでもその力を削ぐとするかの」
 黒曜石のナイフをガラスの切断面側に差し込んで少しこじると、ガラスが割れる。チャリチャリとした音は小さく、これなら気が付くほどではないだろう。手を差し込み、鍵を裏から捻る。

 さなはゆっくりと扉を押すと、静かに扉が開く。
「過去に戻りたいね……ふふふ、わたし自身、人間、心が弱った時は、同じ事を考えるのね」
 彼女が想うのは故郷か。それとも、追われた後にたどり着いた土地か。それともまた別の記憶か。
「でも、過去に戻れるなんてそんなに都合の良い魔法が本当に存在するのかしら?」
 さなが聞けば、わからぬ、とエウトティアは首を振る。
 さなに青年を見張ってくれるよう伝え、彼女は小型の狼たちを召喚し、倉庫のそこかしこに配置するよう送り込む。

 自然と祖先を信仰し、精霊の恩恵を受けているエウトティアだが、時間を操るような力は精霊たちにあったかどうか。彼女は考える。
 いや、それはむしろ自然の理に……難題に行きかけたところで肩を叩かれる。
 さなが指さした方を見ると、青年が上を向いて大声をあげていた。エウトティアは素早く狼たちに指示をだす。

 青年は突如現れた狼たちに驚いていた。
「な、なんだ……あははは!」
 狼たちはとびかかると、青年にじゃれついて絡んだり身体を舐めたりしていた。くすぐったさに、つい水晶を取り落とす。
 いまだ。さなは走り込み、半分に割れている水晶を取り上げると倉庫の隅までそのまま駆けていって、床に思いっきりたたきつける。水晶は鮮やかな青い光を放って砕け散った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

七々鐘・茉莉也
過去を変える……実際はそんな夢のようなものでもないと感じるの

私は儀式を遅らせるか、儀式自体を中止させるために搬入用の扉から直接乗り込むわ
いきなりだと焦って儀式を早めるかも。ゆっくり入って害意がない事と事情を聞いて止めに来た事を説明しながら少しずつ近づくわね
【コミュ力】と【優しさ】を常に張りながら彼を説得するわ

痛いほど分かるわ、後悔はずっと追いかけてくるものね
でも、貴方がそれを完了させたら多くの人が今の貴方のようになってしまう
それに彼女との思い出が詰まった場所も……全部消えてしまうかもしれないのよ?
今を大切にできなかったら、その子への想いまで裏切ることになるわ
だから、踏み留まってくれないかしら?


姫鶴・いろは
まずは様子見しましょう
窓から中を見てみます。角度が悪ければハングナイフで屋根に引っ掛けてゆっくり登って視界を確保してもいいですね

侵入は敵から遠く、背後を取れる位置の窓からです
乙女の道具箱からテープを出して鍵の周辺に貼り付け、ハングナイフの柄で静かに割る

青年の身柄は確実に押さえておきたいですね。色々と罪を償って頂きたいので…
なのでハングナイフで足を引っ掛けて引き倒し、簀巻き状態にして拘束しましょう。その後に呪物を回収すれば大丈夫ですね



 倉庫の屋根の上に人影があった。姫鶴・いろはである。
 いろはは上からの潜入を考えていた。屋根の端に座り、逆さに窓をのぞき込む。ぱさり、と長い新緑の髪がたれ下がる。青年が水晶に向かい儀式を行っている。水晶に話しかけているようにも見えた。
 場所が悪いと屋根から倉庫の反対側に向かう。ここから入れば青年からは背後になる。
 いろはは乙女の道具箱からテープを出して窓の鍵の近くに張り付ける。修理や手入れに使う物が入っている道具箱だ。テープも当然入っている。
 テープを貼った上からハングナイフの柄で叩くと、窓は割れた。だが窓枠とテープに破片はくっつき、割れる音は静かだ。

 鍵を開け、そこから倉庫内に入り込もうとする。その時、荷物搬入口の方に黒髪の女性が歩いてくるのが見えた。
 一般人は来ない。なら猟兵か。声を掛けることもできず、そのまま倉庫に入っていった。
 いろは自身としては、青年には罪を償って頂きたいと考えており、青年に危害を与えるつもりはない。殺気を感じさせない彼女は自分の邪魔にならないと判断したから見過ごしたのだ。

 ゆっくりと搬入口の扉が開いて七々鐘・茉莉也が入ってきた。
「痛いほど分かるわ、後悔はずっと追いかけてくるものね」
「あんたに何がわかるってんだ!」
 儀式をすでに邪魔され続けている青年は警戒心をあらわにする。
 茉莉也は手を開いて見せる。害意が無いのを証明するためだ。やさしそうな顔立ち。青年の警戒が緩んだ。その時。
 いろはが青年の背後にすっと降りてくる。逃げ隠れが上手になってしまった彼女なら全く気付かれなくても不思議はない。ハングナイフについているワイヤーで引き倒すと素早く拘束する。

 意表を突かれ、声も出せぬ青年。反対に茉莉也には驚く様子がなかった。
 こっちに気付いたようじゃなかったし、見た目そんな気がしないけど、もしかして強者なのかな。いろはは青年の足首を縛りながらそう思った。
 茉莉也はしゃがむと、青年の目を見つめる。なぜ知ったかわからないが、この人は自分を止めに来た。青年は考えを巡らし、先に言った。
「もう遅いよ!種は蒔かれたんだ。俺は彼女を救ってみせる!」
 何者かの声を額面通りに受け取ると、水晶が必要なのは初期段階だけだ。彼はそう解釈していた。
 青年の例えはわからないが、茉莉也はそうならまだ間に合うと思った。
「貴方がそれを完了させたら多くの人が今の貴方のようになってしまう。それに彼女との思い出が詰まった場所も……全部消えてしまうかもしれないのよ」
「思い出が?」
 青年には自分の良いように考えすぎていたと気づかされる。過去をやり直すのは、記憶を上書きしてしまうかもしれない。
「今を大切にできなかったら、その子への想いまで裏切ることになるわ」
 そうだ。彼女は最期の少し前まで笑ってくれていた。未来を変えれば彼女は死なないかもしれない。でも、”かもしれない”にそんな想いまで引き換えていいものだろうか?
「だから、踏み留まってくれないかしら?」
 俺は軽率だった。後悔が後悔を塗り替える。もう止めるべきだ。青年は土をほじくり返して種を捨てようとした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『泥人』

POW   :    痛いのはやめてくださいぃ…………
見えない【透明な体組織 】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    悪いことはダメです!!
【空回る正義感 】【空回る責任感】【悪人の嘘を真に受けた純粋さ】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    誰か助けて!!
戦闘用の、自身と同じ強さの【お友達 】と【ご近所さん】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 倉庫の木箱から、段ボールから、黒くべとべとした液体が床に流れ出し、そこかしこで集まりだすと人の形を成した。
 ブラックタールの変種である。人間社会との接触で人の見かけを作れるようになったのか。二十体ほどはいるだろうか。すべて同じ容姿だ。
「さっきから聞いていれば勝手です!」
「彼女さんを助けましょう!」
 猟兵たちの一瞬の隙をつき、ロープで簀巻き状態の青年にブラックタールが巻き付き、連れ去られる。
「さあ!私たちが食い止める間にさっきのを続けてください!」
 何か勘違いしている上に思いこみがあるようだが、聞く耳は持っていそうにない。もっとも奴らに耳はないが。
 見た目こそ女の子だが、忘れないでほしい。敵であることを。
エルデラント・ズィーマ
液体状の敵ですか。物理攻撃はあまり効かなさそうですね……
それであれば右腕をキャノン砲に変形させて光子力ビームでも撃ちましょう
囲まれそうであればユーベルコードを使っての範囲攻撃での脱出を試みます
相手のユーベルコードに対しては見えないと思うので義眼で感知して避けてみます。万が一当たるようであれば機械部分から私自身に電流を流して強引に引き剝がしちゃいましょう
電撃耐性もありますし多少なら ヘーキヘーキというやつです



 倉庫に備え付けの工具や木箱の破片が飛んでくるのをエルデラント・ズィーマは柱を盾にしてやり過ごしていた。泥人たちはそこら辺の物を掴んで投げてきているのだ。
 (液体状の敵ですか。物理攻撃はあまり効かなさそうですね……)
 エルデラントが敵に先手を取らせたのは、用意するわずかな時間の猶予を作るため。サイボーグである彼女の右腕が形を変え、砲塔のようになる。
 その時。不意に背中になにかの感触を感じた。埒があかないと泥人の一体が透明な体組織を放ち、エルデラントを直接つかんで捕えようとしてきたのだ。
 しかし、泥人が悲鳴をあげる。エルデラントは自分自身に電流を流し、ショックを与えて剥がさせたのだ。
 悲鳴のおかげで見えなくても位置がわかった。
「対象確認。コードに従い速やかに……」
 柱から飛び出すと光子力ビームの強い光がきらめく。
「排除します!」
 光子力ビームは先に攻撃をしかけてきた泥人を貫通し、倉庫の壁に大穴を開けてまとめて消し飛ばした。
 仲間を失い、非難の声をあげて泥人が反撃してくる。見えない攻撃が再び襲う。
 だが、情報解析に特化している義眼は攻撃の到達ラインを示し、エルデラントはそれに従い難なく避ける。
 さらに反撃。黒い液体が次々はじけ、泥人たちは個体戦闘力の大きな差を知ってしまった。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

エウトティア・ナトゥア
SPD使用。

可能なら他の猟兵と連携

勝手はお互い様じゃと思うのじゃがなぁ…まあ、よいのじゃ。言葉通り勝手に振舞わせて貰おうかのう。
液状生命体か、屋外なら一気に焼き払う所じゃが屋内では厄介じゃな。
1体ずつ丁寧に減らしていくしかないかのう。

「野生の勘」を研ぎ澄まし、マニトゥに「騎乗」して騎射で『泥人』を狙い撃ちじゃ。
マニトゥ、「駆ける(ダッシュ)」のじゃ!敵に追いつかれてはならんぞ!

一定の距離を保ちながら、精霊力を纏わせた矢で彼奴を射抜くのじゃ。
我が一矢受けるがよい!(と言いつつ連射)

ふぅ、この術は疲れるのう。


楠瀬・亜夜
そうです、人は勝手な生き物なんです
これは彼のわがままと私達のわがままの戦い
さぁ、いきますよ

【night vision】発動で空中にナイフを展開し
銃撃と共に敵へナイフを次々と飛ばして攻撃します。
時折、敵へ飛ぶナイフに銃弾を当てその跳弾を利用して
あらぬ方向から攻撃を仕掛けます。

自身に余裕があれば【クイックドロウ】を駆使しつつ
【援護射撃】で味方の支援にまわります。

しかし今回の敵は攻撃が厄介……という事よりも
まるで無力な女の子の姿をしているという事が
ちょっとやりずらいですねぇ……



 スカーレット。
 一筋の線が倉庫の中を突き抜ける。エウトティア・ナトゥアが、巨狼マニトゥに騎乗して駆けてきたのだ。小柄な体躯が広さに制限のある倉庫内での不利をなくす。
『儀式の邪魔はさせません!』
 中途半端に事態を理解している泥人がなにか使命感をもって自らを強化させて殴りかかる。
「敵に追いつかれてはならんぞ!」
 野生の勘は鋭い。動きを察してエウトティアは木箱と木箱の隙間に飛び込む。大きさが違うので泥人はつっかかって通れなかった。
 エウトティアは狼の背にまたがったまま、矢に精霊力を纏わせ、まるでパルティアンショットのように振り返って弓を鳴らす。
 先ほど通ったばかりの隙間を抜け、矢は泥人に突き刺さった。
「我が一矢受けるがよい!」
 立ちふさがった別の泥人の頭にも一射、さらに超強化と引き換えにかかってしまった呪縛で動けなくなっている泥人の背中にも一射。
『ちょっと、勝手じゃないですか!我が一矢とかいって二発も三発も撃ってます!』
「勝手はお互い様じゃと思うのじゃがなぁ…」
 抗議した泥人にもまた一矢。だが、さらにもう一体が抱きとめようと覆いかぶさるようにジャンプしてきた。
 弓矢は次々放っても間がある。知恵をつけた泥人は味方を盾にしてきたのだ。

 しかしながら、その目論見はうまくいかなかった。パパン、と乾いた銃声。タールが弾ける。あとに残るのは低圧の弾薬が空気を響かせる余韻だけだ。
「そうです、人は勝手な生き物なんです。これは彼のわがままと私達のわがままの戦い」
 楠瀬・亜夜が小さなピストルで援護に入った。
『でも、このままでは彼女さんが死んでしまいます!私たちが守らないと!』
 わずかな理解で全部わかった気になり、正義を為していると自分を思い込む。このブラックタールは人間らしい部分が多い。
 しかも見た目は無力な女の子の姿。悪意を持っているならまだ相手をしやすいのだが。亜夜はやりづらくてしかたなかった。泥人の蹴りを躱しながら後ろに退く。
 
「じゃが、わしら猟兵のお勤めは果たさんとのう」
 躊躇のある動きで察したエウトティアが亜夜に声を掛ける。術は負担が大きいのだろう。顔に大きな汗の粒が見える。
 ならば、残りの敵は私が、とばかりにいくつかナイフを上に投げる。すると、ナイフは空中で静止した。
「さぁ、いきますよ」
 音もなく泥人に向かってナイフが急降下する。泥人は良く見てかわそうとするが。
 パァン!小型ピストルの射撃が先に胴に到達し、動きが止まる。そこにナイフが突き刺さる。

 泥人たちは自分自身を一方的な正義感や責任感で強化してしている。だが強化したスピードをもってしてもナイフと銃の一人連携は避けられなかった。
 まずナイフと銃のどちらで先に攻撃するかわからない上に、ナイフを避けても銃弾がなぜか避けたナイフの方から飛んでくる。亜夜がナイフに弾を当てて跳弾させてくるのだ。
 かといって跳弾を警戒すると前方への注意が疎かになり、まっすぐな銃撃をそのまま食らう。
 対策を練られないまま、泥人は数を次々と減らしていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

七々鐘・茉莉也
配下……いえ、狂信者と言うべきかしら。やっぱり出てきたのね

なによりまず、あの青年に声をかけておきましょう
大丈夫、ここは私達に任せて
貴方は思った通りに念じるのよ。「ここでやめたい」って望むなら、きっと終わらせることができるわ

……行くわよ
私のユーベルコードを発動して変身し、氷と炎の薙刀を展開するわ
(詠唱は霊術の陣から音楽と共に発せられる音声によるもの)
氷と炎……相手が液体ならどちらも相性が良いはず
氷で凍結させ、炎で焼き消し、薙刀による攻撃と組み合わせた技で倒していくわ
軽減させれば敵の攻撃も【怪力】を使って振りほどけるはず
囲まれたり、数が多ければ氷と炎を纏った【なぎ払い】で殲滅します
消し飛びなさい!



「あ、あの!俺、間違ってました!こんな怪物まで呼び寄せちゃって、何とかできないですか!」
 簀巻きにされて身動きできない青年が顔だけ向けて七々鐘・茉莉也に訴える。茉莉也が言ってくれたからこそ、考えを改めたのだ。
 後悔と助けが入り交ざった叫び。茉莉也には見過ごすなんてとうていできないのだ。
「貴方は思った通りに念じるのよ。ここでやめたいって望むなら、きっと終わらせることができるわ」
 そうだ、あの何者かの声は願いによって実現させられるとかそんな感じの内容を喋っていた。じゃあ逆の願いをすれば。気が付いた青年が念じようとする。だが。
『ダメです!儀式を成し遂げるのです!』
 泥人が青年の頭を蹴り上げると彼は気を失った。
 そもそも泥人たちは彼に同情して助けに入ったのではないだろうか。完全に目的を見失っている。
 茉莉也は呆れ、ゆっくりと口を開く。

 音。それが音楽か、歌か、音声か。倉庫の中に流れるそれを泥人たちが聞き取った直後。
 両端に刃を持つ一本の薙刀。燃える赤と凍る青が浮かび上がる。
 泥人は二人の仲間を召喚させると左右から襲わせる。だが間合いに入る前に片方は燃え尽き、片方は凍結し、ボロボロに壊れた。
 数で勝負とばかりに次々と泥人たちが飛び掛かってくる。茉莉也は一体を炎の刃で薙ぎ払い、もう一体に氷の刃を胸に突き立てる。
 さらに薙刀を脇に抱え、炎に包まれた泥人に凍りかかった泥人をたたきつけると刃をさらに押し込む。
「消し飛びなさい!」
 二体を串刺しにした薙刀を羅刹の驚くべき腕力で持ち上げると、後ろにいた一群に投げつけた。
 ボウリングのピンのように泥人たちは吹き飛び、転がり、すぐに物言わぬただの液体になっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

楠瀬・亜夜
あと一押し……といった所でしょうか
時間を掛ければ泥人達が彼に何をするか分かったものではないですね
一気に決めてしまいましょう。

【shadow hearts】で影蝙蝠を呼び出します
シャーちゃんやっちゃってください、と影蝙蝠に
泥人達の方へ猛スピードで突っ込んで貰い攪乱を狙います。

その隙を狙い、【クイックドロウ】で銃弾を浴びせ
一気に殲滅を狙います。
背後など虚を付かれた場合はナイフで応戦
リロード中などは投げナイフで対応します。



「来たれ我が眷属 具現せよ我が心」
 楠瀬・亜夜が体が影で構成された影蝙蝠を呼び出す。泥人は数をかなり減らしている。亜夜は追い詰められた泥人が青年に危害を及ぼさないかと危惧していた。
 亜夜が左手の人差し指をたてると、影蝙蝠が指先に止まる。ゆっくりと左腕をあげ、泥人たちの方を向く。
「一気に決めてしまいましょう。シャーちゃんやっちゃってください!」
 命をうけたシャーちゃんが泥人の方にダイブしていく。名前はかわいいが動きは獰猛だ。亜夜は素早くホルスターから小型ピストルを引き抜くと絡まれた仲間を助けようとしている泥人の頭を撃ちぬく。
 そのまま次々と泥人を撃つと、撃った数だけタールとなって弾けていく。

 しかし泥人たちもやられっぱなしではない。銃声が途切れると、一体の泥人が弾が切れているからチャンスだとばかりに飛び込んでくる。
 だいたいこの泥人たちは考えが浅い。亜夜に限ってはリロードの隙なんかあってないようなものである。左手から一本のナイフが放たれると泥人の喉を貫いた。

 シャーちゃんがぐるぐると倉庫の中を飛び回る。もう敵はいなくなってしまったからだ。
 亜夜が青年の側に向かったその時。
『やはり、クリスタライザーを完全なものとはできなかったか』
 背後から声が聞こえる。亜夜が振り返りざまに声の方向にナイフを投げつけると、あやまたず声の主に突き刺さる。だがダメージを意に介しているようではなかった。
 (これは……他のとは違う)

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『クリスタライザーの守護者』夢野・那珂』

POW   :    IN THE DREAM
全身を【非実体 】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    SARIEL EYE's
【クラゲ状の触手 】から【高圧電流と神経毒】を放ち、【毒と感電】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    WELCOME TO DREAM WORLD
小さな【銀の鍵 】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【ドリームワールド】で、いつでも外に出られる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 深く刺さらなかったナイフが床に落ち、金属音をたてて滑っていく。
『過去の思い出話は夢で体験した出来事を話すのによく似ている。記憶は時間と共に不確かさを有し、頭の中で変化して現実とずれていくからだ』
 エネルギーの気配が倉庫の中に満ちてくる。儀式は不完全であった。なのに猟兵たちに強い危機感を抱かせる。エネルギーが人の形を成していく。
『未来は変えられない。夢の中でどう行動しても夢が醒めて記憶から消え失せるのと同様に』
 今度の声は猟兵たち全員に伝わる。濃い緑の瞳は諦めの色が混ざっていた。
『私は君たちの未来を知っている。もう……無駄だ』
 最後のあたりはよく聞き取れなかった。
姫鶴・いろは
「さて、ここが正念場ですね…」
クラゲのような外見から考えて、攻撃無効と触手攻撃が主体でしょうか?
ならば、攻め手を抑える物量で対応します!

妖刀・姫鶴で指を薄く切り、地面に血を捧げて姫鶴の複製を15本召喚…
『私の本気、魅せてあげる!』
そして触手を縫い止めるように突き刺す!でも、攻撃無効にされるかもしれないから、攻撃の手は休めない
無効と同時の攻撃もあるかもしれないから加護の着物での耐性も頼りつつ、滑らかな生地で素早く回避していく
触手を伸ばしてきた時も、無効化に警戒しつつ、妖刀・姫鶴本体で薙ぎ払います 。何か銀の鍵も見えたけど、あれも弾けないでしょうか…?


楠瀬・亜夜
(私が過去の記憶を思い出せないのもこういった事象が原因……?)
(……いや、なんとなくだけど……違う気がする)

ふふ、中々興味深い話ですね
お礼に私からもお話を一つ
どうやら未来とやらは複数存在するらしいですよ?
つまり未来は変えられなくとも選ぶ事はできる、そういう事ですよ

【knife vision】によるナイフ掃射と【クイックドロウ】を駆使した
連続射撃で敵を牽制、触手を打ち落としたり躱しつつ距離を詰め
直接ナイフで切りつけます。

敵が非実体化し攻撃を通らないようであれば
その間にこちらも態勢を整え追撃の準備をします。



 念力で操作された幾つものナイフが楠瀬・亜夜の周りを回っている。亜夜はクリスタライザーの守護者と撃ち合っていた。
 守護者は背後の空間から触手を出現させて突き刺すように攻撃してくる。亜夜は横に飛んでそれをかわす。
「ふふ、中々興味深い話ですね。お礼に私からもお話を一つ」
 巡るナイフの一本が守護者へ向かう。触手は横に薙いでナイフを叩き落す。
「どうやら未来とやらは複数存在するらしいですよ?」
 もう一本のナイフが触手の脇を抜けて飛んでくる。守護者は宙に浮く身体をスライドさせて避けたが、右肩にピストル弾の穴が穿たれる。
「つまり未来は変えられなくとも選ぶ事はできる、そういう事ですよ」
『定められた命を生きる者が考えそうな事だ。だが真実でもある』
 守護者は表情一つ変えず肯定する。
『或る者が過去に行き、行動する。結果は変わらずとも過程は変わる。するとどうなるか』
 触手がしなり、鞭のように打ちつけようとするのを、亜夜の銃弾は触手の中程を撃ち抜き、勢いを止める。
『変わった時点より先の時間にいる者の記憶は失われる』

 触手は亜夜を貫かなかったが、言葉はそうではなかった。
(私が過去の記憶を思い出せないのもこういった事象が原因……?)
 足が止まる。真横からくる触手に反応が遅れ、亜夜は背中を打ちつけられて床に転がる。
『記憶がそのままでは辻褄が合わなくなるのだ。つまり……』
「耳を貸しちゃだめ!」
 光り流れる剣閃。姫鶴・いろはの刀が守護者の背中を斬りつけた。急な接近に守護者は複数の触手を振り回す。そのうちの一つがいろはに当たり、流れる高圧電流に顔をしかめる。
 はっとした亜夜が立ち上がる。守護者の発言は正しいようでいて、どこか違和感があった。なんとなくだが。
 いろはは周りの触手を全て斬り落とす。彼女は機をとらえていた。ここが正念場だと。
「私の本気、魅せてあげる!」
 いろはが自らの本体である姫鶴で指を薄く切り、血を落とすと。たちまち15本の姫鶴が現れた。
 青い瞳は闘志に満ち、表情は勇壮さに包まれていた。
『羨ましいな』
 一人の彼女と15本の姫鶴に合わせるように、守護者は16本の触手を出現させて応戦する。
 胸元に触手が迫る。いろはは右手の姫鶴で触手を斬りはらうと、左手にもう一本の姫鶴を握り、別の触手を縫い止めるように突き刺す。
 一方の守護者も飛んでくる姫鶴を触手で掴むと放り投げる。どちらの攻撃の手も緩むことはなかった。
 そこに入り込む者。亜夜が駆け込み、直に持ったナイフで切りかかる。守護者は触手を丸め、それを防御する。

 だが。これで攻撃の手数は17だ。いろはが強く踏み込み、突き。守護者は防げず、姫鶴は深々と脇腹に突き刺さる。
「たあぁ!」
 いろはが柄を強く握り、姫鶴を回して体ごと飛びあがると、守護者の身体を切り裂いていく。守護者は大きく後方に体をスライドさせて離れる。
『いくつもの表情を持っているのだな。私は君が羨ましい』
 まるで今の攻撃を意に介さない調子で表情を変えずに守護者は羨望を述べる。
 ああ、成程。いろはには理解できた。変えないのではなく、変わらない。そして守護者とはヤドリガミの自分と近しい個体だと。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エルデラント・ズィーマ
いやいや何物知り顔で未来を知ってるとか言い切ってるんですかコイツ。寝言は寝てから仰ってください、非常に不愉快です。
早撃ち選手権です。クイックドロウでバンバン撃ちましょう。電流は横っ飛びで回避です
触手も厄介ですが、金属の腕には電気はともかく神経毒は無意味です。距離を詰められる様であれば右手とアームで触手を強引に引き千切り捨てましょう。
もし他の猟兵がいるなら足止め妨害は私が買って出ましょう


エウトティア・ナトゥア
WIZを使用します。

可能なら他の猟兵と連携。行動のタイミングを合わせて敵を砲撃で吹き飛ばします。

死に抗うのは人の性じゃな。お主の見解も救いの形のひとつであろうよ。
あの青年もお主も否定はせぬよ、あるがままを受け入れるのじゃ。
じゃがわしは頭がよくないのでのう、御託はどうでもいいのじゃよ。
(話しながら可能な限り広範囲の精霊を集める)
わしとお主は敵じゃろう?生存競争に理由はいらぬのじゃ。

小細工はなしじゃ、味方の猟兵とタイミングを合わせて攻撃じゃ。
【巨狼マニトゥ】「全力魔法」「属性攻撃」使用。
マニトゥ!わしの術に合わせて切り込むのじゃ!
天地に満ちる精霊よ。我が敵を討ち滅ぼせ!



「死に抗うのは人の性じゃな。お主の見解も救いの形のひとつであろうよ。」
 エウトティア・ナトゥアは守護者の思想に否定も肯定もしなかった。彼女の信仰はアニミズムにより近いものであり、自然のままを是としていた。
『未来を変えることはできない。過去に戻っても絶望により深き絶望を重ねるだけだ、それは救いといえるのだろうか』
 エウトティアは両腕を横に広げるポーズをとる。お手上げ、わからないというジェスチャーのようだ。
「じゃがわしは頭がよくないのでのう、御託はどうでもいいのじゃよ」
 実際には作戦である。会話に応じている間に周囲にいる精霊を集めているのだ。

 エルデラント・ズィーマはその狙いに気が付いていた。エウトティアの周囲に精霊の力が集まれば企みが露見するのは明らか。ここで援護にでる。
 ブラスターの熱線が守護者に放たれる。速射される熱線を守護者は自らをエネルギー体に変化させ、ダメージを大きく軽減した。
 エルデラントの顔には不快感が露わとなっていた。こちらは明らかに否定の態度だ。
「いやいや何物知り顔で未来を知ってるとか言い切ってるんですかコイツ。寝言は寝てから仰ってください」
 エネルギー体から身体を元に戻した守護者は触手を飛ばし反撃する。エルデラントは触手の突きを左右に避けながら連射する。ノヴァブラスターの光線が幾筋も守護者を掠めた。
「気に入らないんですよ」
 動きのパターンを読んだエルデラントの一射は、守護者の胸を貫通する。少なからず被害はあるようだが、守護者の表情は変わることがない。熱線を食らいながら触手を突き入れる。
 エルデラントの右腕に触手が巻き付く。だが、機械化された右腕は神経毒の類を一切受け付けない。彼女に備わっているサソリの尾のような形状のアームが触手を掴むと、引き合いとなった。
 守護者は地に足をつけていないのに引き負けない力があった。エルデラントは引きちぎれず、ギリ、ギリと軋む音を鳴らして互いに動きを止めた。

「待たせたのぅ!」
 紅く輝く光条がエウトティアの手のそばで収束していく。精霊の力を集めきったのだ。
 守護者は自らの触手を切り離して、上へと回避しようとする。
「マニトゥ!」
 だが、そこにエウトティアが使役する巨狼マニトゥがブロックするように現れ、爪の痛打ではたき落とす。
「天地に満ちる精霊よ。我が敵を討ち滅ぼせ!」
 逃げきれぬところに精霊光を集束させた砲撃が到達する。精霊光が守護者を包む。
 砲撃は直線上のあらゆるものを消滅させ、倉庫を半壊させた。

 焦げた強いにおい。夕焼けの日差しが辺りを染める。
『君は……だと…』
 声は音を成しておらず、聞き取れなかった。
 守護者は宙に浮き、変わらぬ瞳でエルデラントを見つめている。照らす赤い光はまるで流れる血のように見えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エルデラント・ズィーマ
まだ息がありますか。しつこいクラゲ野郎ですね
ワタシ表情が顔には殆ど出ないそうなんですけどブチギレ寸前です。尻尾が暴れてます
なので爆殺しましょう。普通に戦えば相手のユーベルコードで無力化されるのでまずは『咎力封じ』を使います。触手はちぎれてますし抵抗も最初よりはマシでしょうから。
全て当たればユーベルコードを封じられるのでワタシはクラゲが泣くまで殴るのをやめないの気持ちでレッドホットイクスプロージョンを使いましょう
もう一息です


レイチェル・ケイトリン
デナーリスさんにおしえてもらっておてつだいにきたよ。

念動力技能と吹き飛ばし技能でサイコキネシスをつかって
敵を攻撃してふっとばすね。

敵からの攻撃もふっとばしてふせぐよ。
ほかの猟兵さんをおそうならかばう技能もつかってふっとばしてふせぐよ。

毒と電撃でうごけなくなっちゃったとしてもわたしは気にしないの。
わたしは人形。もともとうごけない。
念動力で自分の体もうごかしてるだけだから。

ほかの人がうごけなくなっちゃったら、
はなれたとこにうごかしてあげる。


未来? グリモア猟兵さんたちがおしえてくれてるね。
そして、普通にかえてるよ。

わたしたち猟兵にとって未来って
自分たちでかえてよりよくできる、そういうものだからね。


メルフローレ・カノン
遅れての推参になります。

過去を変えたい方の悔恨の思いも
過ぎ去った時はやり直せないという理屈も
どれも間違いではないですし
私は結論は出せません。
せめてさらなる惨禍を防ぐよう
目前のオブリビオンを撃破しましょう。

私の得物は主にメイスですが
状況で補助武器で剣も使います。
切り落としたほうがいい状況と
殴り倒すほうが有効な状況も見極めましょう。

触手については[見切り]でかわしたり
[武器受け]や[なぎ払い]で払い落としたりしましょう。
耐える必要がある場合は[オーラ防御]や【無敵城塞】で耐えます。
「ここは堪えてみせます!」

攻撃に際しては
[力溜め][2回攻撃][鎧砕き][気絶攻撃]を活用します。
「全力で行きます!」



 大きく振るわれた守護者の触手を、メルフローレ・カノンは上体だけを反らしてスウェーのように避ける。そして、戻っていく触手を直剣で斬り上げ、切断した。
「過去を変えたい方の悔恨の思いも。過ぎ去った時はやり直せないという理屈も。どれも間違いではないですし、私は結論は出せません」
『君は答えを出さぬのか。なら、なぜ私の前に立ち塞がる。私を止める理由が他にあるというのか』
 伸びていく触手。武器で受けようとするも、メルフローレの胴に巻き付く。ギリ、と締め上げると、彼女の顔は赤く、痛みにゆがむ。
「く…あ…ここは堪えてみせます!」
 全身を超防御モードに変えると、流される毒は全く効果を発揮しなくなった。

 だがメルフローレは動けない。さらなる一撃を加えんと別の触手が放たれようとしたその時。メルフローレの身体が一気に後ろに引っ張られる。
 触手が伸びきったのを見てとった彼女は、触手を握ると無理矢理に力で引きちぎる。
「私が戦うのはさらなる惨禍を防ぐため。だから、あなたを討ちます!」
 メイスを手に飛び上がると、守護者の頭に打ちつける。守護者の動きがわずかに止まる。

 その直後、トタンでできた倉庫の屋根がゆがみ、渦を巻くようにねじれると守護者の身体を巻き込んで打ち上げるように吹き飛ばす。
 レイチェル・ケイトリンのサイコキネシスによる攻撃だ。先にメルフローレを動かして反撃の機会を作ったのも彼女の能力によるものである。
 身体をエネルギー体に変え、守護者は次の攻撃をしのごうとするが、レイチェルはお構いなしだ。差し出している手のひらををくるりと返すと、守護者はそのまま落下する。
 それは床板を粉々に破壊し、地面にたたきつけた。
 レイチェルの念動力は並みの猟兵の比ではない。能力そのものも抜きん出ているのはもちろん、人形である自らですら念動力で全て動かし、なおかつ同時に攻撃すら行えるのだ。

 守護者は叩きつけられてもすばやく浮上し、態勢を立て直そうとする。しかし、たたみかけるように手枷が放たれて左腕に絡みついて拘束する。
 土埃を蒔くようにサソリの尾に似たアームを暴れさせ、エルデラント・ズィーマがそこに立っていた。
 その表情に色はなくとも、憤怒の色が右目を染めていた。さらに左目の義眼の裏は、同じ表情のままであり続ける守護者が、もう一息で滅びに落ちるのを見抜いていた。
 それは、両目では量れない本質。未来との間合いであった。

「未来? グリモア猟兵さんたちがおしえてくれてるね。そして、普通にかえてるよ」
 レイチェルが、どこか友好的な調子で話し出すと、守護者はそれに応える。半壊した倉庫から差し込む夕陽がそれぞれの白い肌を照らしていた。
『君たちは本当に未来を変えられるとでもいうのか』
「わたしたち猟兵にとって未来って自分たちでかえてよりよくできる、そういうものだからね」
「そうです。私たちは猟兵、滅びの未来を変える者です!」
 メルフローレがメイスを高く掲げるとエルデラントが続く。
「だから未来のため、おとなしく爆砕されなさい、クラゲ野郎!」
 メルフローレの黒髪がふわりと翻り、肩口からメイスを振り下ろす。そして十字を描くように胴を払う連続攻撃。
 エルデラントが走りこむ。狙うは右ストレートの一撃、レッドホットイクスプロージョン。
 守護者は触手を尖らせ、振り上げる。近接間合いに入ったところでカウンターを狙うつもり。だった。
 ぐん、と触手の先が押し戻され、裏返る。レイチェルの念動力がそうさせているのだ。

 エルデラントの拳が守護者の腹にめり込むと、力点を中心に大爆発が起きる。爆発は倉庫と、その周囲の地面を抉って消し飛ばした。
『そうか……。このように変わるのだな……未来は、人の力で変えられるのだな』
 守護者の最期の言葉は、猟兵たちには聞こえなかった。

 貸し倉庫で起こったガス爆発事件は翌日のニュースで報道された。倉庫は全壊、周辺の民家の塀が倒壊した。その影響で小田急多摩線は30分遅延した。
 件の青年はお咎めなし。UDCはこの世界に居ない事になっているのだから、UDCの呪物もまた最初から存在しない。そして無い物に対する窃盗罪も当然存在しないからだ。
 青年は今日も元気に働いている。未来は自分たちの力でよりよく変えられる。だから亡き彼女の想いを胸に残し、今を大切に生きる。
 すべて、皆から教わったことだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月31日


挿絵イラスト