「マーリー…何処まで行ってしまったんだ…」
砂埃の吹き荒れる崩壊した高速道路を一台のバイクが行く。
運転しているのは白い無精髭を蓄えた老齢の男だ。
ボサボサに伸びた髪を風遊ばせながら、彼はしきりに手元の端末と周囲の様子を見比べている。
マーリー、と言うのは彼の飼っている犬であり、牧羊犬とカウボーイとして長年連れ添った相棒の名前でもある。
ビーコンは付けているので位置が分からないと言う事は有り得ない。
只、端末の捜索範囲の問題なのか、大まかな方向がわかるだけで一向に発信地点が画面上に現れないのだ。
やがて、遠くに巨大な廃虚が見えて来る。
あれは確か……昔郊外にあったホームセンターの成れの果てだったろうか。
未だ拠点(ベース)の奪還者達も踏破はしていない場所だった筈。
相変わらず発信地点は現れないが、近付くに連れ、画面上の矢印が徐々に廃虚の方を向いていく。
男はバイクを止めた。
「まさか……」
廃虚は何も答えない。
朽ち果てるのみの遺物として、只そこにあるのみである。
●老人と犬
「……結論から言いますが、この後彼…グランツさんと言う方ですけど、マーリーの足跡を辿って廃虚に立ち入り、そこで機械化した獣の群れに襲われて、殺されてしまいます」
グリモア・ベースにて。ユノ・ウィステリアは努めて淡々とした様子で説明を開始した。
先頃発見された新世界アポカリプスヘルは、猟兵達が訪れた中でも過去最高レベルに荒廃した世界といって良かった。
オブリビオン・ストームと呼ばれる暗黒の竜巻によって文明は根刮ぎ破壊され、人々は廃虚を漁って物資をかき集め、明日をもしれない生活を送っている。
「ですので、皆さんには先んじてこの廃虚を探索し、巣食っているオブリビオンの殲滅をして頂きたいんです。この世界では皆さんも奪還者と言う立ち位置になりますので、序に物資を運び出して拠点に届ければ完璧でしょう」
そう言うと、ユノは宙に3Dのホログラムマップを浮かべた。
二階建ての広大な建物と駐車場の横を高速道路が通っている。
「さて、では問題の廃墟ですが、高速道路沿いにあるホームセンター跡になります。残念ですが今回は内部に転送ポイントが確保出来なかったので、皆さんには廃虚の数キロ手前から自力で内部へ潜入して頂く事になります」
文字通り、只歩いて向かえば良いだけの話だが、事はそう単純ではない。
付近の道路は辛うじて車両の通行が可能ではあるものの、凸凹が酷く、地割れで断裂し掛かっている場所も多い。今後のこの世界の復興を考えると、可能な限り整備しながら進んだほうが良いだろう。
「それと、何となく想像は付くかも知れませんが……環境は相当悪いと思って下さい。向こうは水気がほぼ無く、昼は灼熱、夜は極寒の死の大地です。たかが天気と侮っていると痛い目に遭うかもしれませんよ」
ユノの天球儀型グリモアが回転を始め、猟兵達の転送が始まる中、一人の猟兵が怪訝な顔をした。
肝心のマーリーとやらの情報は何も無いのか? と。
ユノは、何も答えなかった。
只、僅かに潤んだ彼女の瞳だけが、マーリーの末路を暗示しているかの様だった。
龍眼智
犬映画には漏れなく涙腺がアポカリプス。
はい、意味が解りませんね。
龍眼智です。
さぁ年の瀬ですがやってまいりました新世界!
今回はサクッと簡単に行けるやつをご用意しました。
では以下構成です。
第一章:冒険
第二章:集団戦
第三章:日常
それでは、ご参加をお待ちしております。
第1章 冒険
『崩壊ハイウェイ』
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POW : 瓦礫を撤去したり、崩落した亀裂に橋をかけるなど、土木工事をしながら進む
SPD : 周囲の地形を素早く調査して、探索の為に必要な情報を集める
WIZ : 得られた情報から最適な移動ルートを策定したり、自然の脅威から身を守る方法を考える
👑11
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紫谷・康行
生まれてきただけで奇跡みたいなもの
無数にある世界の
人の住める星の
人の住める時代に生きている
それだけで奇跡的な確率だ
それは喜ぶべき事だ
それとは別に
幸せに生きることを願うのは悪くない
たとえ住む星がなくても
世界が人に優しくなくても
熱や電磁波、毒などから身を守る薄手の宇宙用の防護服と携帯食料を持って行く
野営用の装備を背負い、ミーミトリィを飛ばして周囲の様子を窺いながら手持ちの端末で安全な場所を記した地図を作っていく
目的地との距離や周囲の状況がわかるように仲間に端末を渡しておき共有する
可能なら一緒に行動する
「まずは知ること
そして願うこと
夢のような言葉でも
唱えてるだけで力になるもの
信じるとはそう言うこと」
―――そこには何もなかった。
見渡す限りの青空。快晴である。
しかし、本来ならばその天の恵みを享受するべきものが、ここには何もない。
あるのは瓦礫と、砂塵に塗れた干からびた大地だけだ。
其の中を分断するように伸びる、朽ち掛けた高速道路に人影が一つ。
「全き闇よりも深いナダキの森に住み、不安を見透かし絶望を糧とする黒き羽のミーミトリィよ。契約に従い我がもとに来たれ」
紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)の手元を離れた闇の精霊ミーミトリィが、翼を広げ空へ飛び立つ。
康行は暫くその様子をぼんやりと見送っていたが、やがて思い出したように手にした端末に眼を落とした。
ミーミトリィの眼を通して見えた周囲の様子を、端末に表示した地形図と照らし合わせ、安全地帯を書き込んでいく。
ふと、康行の脳裏にグリモアベースで聞いたこの世界の現状が浮かんだ。
滅びに瀕している世界―――なのだと言う。
しかし人類は逞しく生き抜き、復興を目指して頑張っているのだと言うことも。
(似ているな……)
そう、ここは彼が魔法を手にした世界と何処か似ているような気がした。
人など只生まれてきただけで奇跡みたいなものだ。
無数にある世界の、人の住める星の、人の住める時代に生きている。
それだけで奇跡的な確率だ。
それ自体は、喜ぶべき事の筈だ。
でも―――それだけで良いのだろうか。
それとは別に、幸せに生きることを願うのも悪くないと思う。
たとえ住む星がなくても。
世界が、人に優しくなくても。
風切り音と共に降下してきたミーミトリィが康行の肩に着陸する。
康行は遠くに広がるホームセンター跡を改めて見た。
「だからまずは知ることだ。
そして願うこと。
夢のような言葉でも唱えてるだけで力になるもの」
信じるとは、きっとそう言うことの筈だから。
成功
🔵🔵🔴
無限・虚数
ウチにとってはいつものお仕事の延長戦やねぇ。スコップ片手にえっちらおっちら道路整備に精を出すとしますか。物資を運び出すんにも後続呼ぶんにも何より先ずは道やからなぁ。
フラスコチャイルドやさかい、多少の過酷な環境は耐えられるはずやけど……あとはこのボロで凌ぐしかないよなぁ、貧乏は辛いで、ホンマ。
水だけはしっかり持っておかんとな。どんだけ用意できるか知らんけど…このあたりなら外の世界から持ち込んでも大丈夫、かな。未踏破地域ってことは人もおらんやろうし……
ザリッと硬い音と共に、軽自動車程もある瓦礫にヒビ割れが走る。
「よ……っと」
無限・虚数(無限残機の非人道性少女・f24500)の手にしたスコップが、道路のど真ん中に鎮座していた瓦礫の割れ目に突き刺さり、砕けたのだ。
彼女はテコの原理で砕けた破片を転がし、傍らに大口を開けている直径数メートルはあろうかと言うクレーターに放り込んでいく。
道路は現状、バイクや小型車ならば何とか穴を避けて通ることは出来るかもしれないが、物資輸送に使うような大型車両はとても通行できる状態ではない。
故に虚数がやっているのは、道路上に散らばる様々な瓦礫と、付近の土でクレーターを埋め立てると言う地道な作業だ。
少なくともそれで、最低限、道としての機能は復旧するはずだから。
(物資を運び出すんにも後続呼ぶんにも何より先ずは道やからなぁ。ま、これもウチにとってはいつものお仕事の延長戦やねぇ)
「とは言え……まだ結構あるなぁ」
虚数は腰のボトルに入った水で喉を湿らせると、改めてホームセンターのある方へと目を向けた。
こういう大穴が開いている場所は、ここだけではない。
見える範囲で数えるだけでも大小含め20は下らないだろう。
加えて遮るものの無い強烈な直射日光がコンクリートを熱し、容赦なく虚数の体力を奪っていく。
如何に極限環境への耐性を持つフラスコチャイルドとは言え、長時間の活動は危険なレベルだった。
「ま、何とかするしかないわな。はー、貧乏は辛いで、ホンマ」
虚数はスコップを持ち直すと、新たな破片をスコップですくう。
これが世界の復興に繋がるのなら。
その先に―――あの嵐のない空を、一目でも見れるのなら。
この作業も、決して無駄にはならないのだろう。
成功
🔵🔵🔴
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
「重機を持ち込めないのは辛いところですね。まぁ何とかなりますが」
瓦礫はUC『触手の怪力』で道路脇へ移動。風避けにすれば道路の劣化も遅らせられるでしょう。小さな亀裂は土属性の触手で埋め立て、大きな亀裂は金属属性の触手で橋を生成します。路面は毒属性の触手から速乾性のセメントを出して補修。飛んできた砂は風属性の触手で吹き飛ばし、金属のコップに水属性の触手で水を作って飲み、氷属性の触手で涼をとります。
「UDCの力を借りているとはいえ……随分と人間からは外れてしまいましたね」
理性に影響が出ないよう、1/3の力(100本ほど)の触手を動かしながら、出来上がった道を眺め苦笑します。
―――そういう風に、地道に汗をかく者もいる一方。
豪快な手段で文字通りの『工事』を敢行するものもいる。
最も、これを工事と呼んで良いのかどうかは少し疑問が残るところではあるのだが。
「重機を持ち込めないのは辛いところですね。まぁ何とかなりますが」
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)は、蜃気楼に霞む道路の彼方を眺めながらそう言った。
しかし、直後に彼が取り出したものはスコップでも工作機械でもない。
ハンドガンだ。まさかそれで傍らに転がる彼の身長ほどもある瓦礫を粉砕して見せようとでも言うのだろうか。
「触手ちゃんはこういうことも出来るんですよ」
そうはならなかった。
引き金が引かれ、銃口から放射状に飛び出してきたのは実に330本もの触手の群れ。
その中の数本が瓦礫に巻き付くと、クレーンの様に瓦礫を吊り上げ、道路脇へと移動させる。
「うん、そこにあれば風除けになるでしょう。さて……じゃあやりますか。お願いしますよ触手ちゃん達」
そこから先はもう鵜飼漁の様だった。
怜悧はハンドガン、正確には銃型の魔導兵器を片手に悠々と道路を歩き、その銃から飛び出した触手達が猛烈な勢いで道路を補修していく。
細かな亀裂に土属性の触手が泥を流し込んで埋め立てる。その上を即座に毒属性の触手が速乾性のセメントを塗り重ね、更に風属性の触手が舞い上がった砂埃を吹き飛ばしながら補修箇所に熱風を当て乾燥させていく。
人の足では渡りきれない大きな亀裂が見えてくると、金属性の触手が鉄骨を生成し、力属性の触手が精密な動きで橋を組み上げていく。
勿論彼自身の防護も万全だ。
怜悧が日傘型に変形した触手の下で金属製のコップを掲げると、水属性の触手が伸びてきてコップに冷たい水を並々注いた。
それを飲みながら首の後は氷属性の触手でひんやりと冷やすという至れり尽くせりぶり。
そうしてどれほど歩いただろう。
ふと後ろを振り返ると、そこには整然と舗装された道路が真っ直ぐに伸びていた。
「UDCの力を借りているとはいえ……随分と人間からは外れてしまいましたね」
周囲をうねうねと蠢く触手に囲まれながら怜悧は苦笑するのだった。
成功
🔵🔵🔴
キア・レイス(サポート)
大得意 隠密・潜入・暗殺・遠距離攻撃・籠絡
得意 偵察・探索・支援・制圧・集団戦・時間稼ぎ
不得意 目立つ・コミュニケーション・ボディタッチ・格闘戦
特技(アイテム装備時)ピアノ演奏・歌唱・二輪車操縦
幼い頃から吸血鬼に飼われていた奴隷
吸血鬼の魔力を少量ながら持ち一部UCはそれを元に発動している
現代火器による戦闘と斥候・諜報・盗賊行為が得意な他、色香を使った誘惑が得意技
反面普通の人と関わったことが少なく踏み込んだ会話が苦手、他に不用意に身体を触られると不快感を覚え一瞬身体が動かなくなる
アドリブ歓迎
UCや装備品の説明文は読んで頂くと書きやすいと思います
また一部UC使用時の口調は覚醒時を使用してください
白紙に、フリーハンドで直線を引く。
それは一見簡単な事のようで、いざやってみると意外と難しい物だ。
それは道路工事においても同じで、寸分の狂いもなく真っ直ぐに道を延ばしていくと言うのは意外と難しい。特に、この様な目印になるような物がほぼ無い様な場所では、特に。
(結構遠くまで来たな……)
キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)は乗っていた大型バイクを止めると、今走ってきた道を振り返った。
数百メートル後方でアスファルトの道路が途切れている。
これまで補修してきた場所の様に大穴が開いていると言うわけではない。風化により表面が削られ、道そのものが無くなってしまっているのだ。
キアは背負ったアサルトライフルを下ろすと、スコープからレーザーマーカーを照射して補修済みの地点に方角を合わせた。
こうして少しずつ進むごとに、道が曲がっていないかを測り、進む方角を定める。
地味ではあるが、これも重要な工程だ。
スコープを覗き込むキアの銀髪を、砂塗れの突風がさらっていく。
鬱陶しげに髪を押さえつけながら、ふとスコープから目を離し、肉眼で風景を眺める。
「本当に……遠くまで来てしまった……」
ぼんやりと、そう呟く。
その目に映るのは故郷とすら呼べない暗い檻の中。既に逃げ出してから随分になるが、未だにふとした瞬間思い出すことがある。
(一体何なのだろうな……この感情は)
砂と一緒に、この気持ちもさらっていってくれはしないものか。
そう願わずには、いられなかった。
成功
🔵🔵🔴
ナイ・デス
【Lv2】
既にマーリーさんは、亡い
グランツさんは、まだ。私達は先んじて、安全確保、ですか
時間に余裕はあり、今後。少なくとも安全確保後の物資搬送に役立つから、と
飛んでいけばすぐ、でしょうけど。道をつくりながら行く、ですね
ふーむ……はやく物資を届ける為にも、急ぎましょう、か
『生まれながらの光』で、ウォーマシンなど癒すように、道路を、大地を癒し修復
断裂などはそうして繋ぎ
凸凹は『生命力吸収光』で道路から、大地から【生命力吸収】し、表面を薄く削り取るよう消滅させて均しながら
ヒーローカーを【運転】して進みます
徐々に、目的のホームセンター跡地が見えてきた。
気流の流れが変わったのだろうか。
断続的に吹き荒れる砂混じりの突風が、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の長い髪を煽っていく。
「既にマーリーさんは、亡い。
グランツさんは、まだ。私達は先んじて、安全確保、ですか。」
マーリーは既に死んでいる。
ユノは明確にそう言った訳ではなかったが……あの様子では、恐らくそういうことなのだろう。
『亡い』とは、どういうことなのだろう。
勿論意味は解る。『死』と言うことだ。
では『死』とは?
わからない。わからないし、『死ねない』自分には知りようもない事だ。
しかし、今するべきは死に思いを馳せることではない。
少なくとも一人は、「死」から救う事ができるのだから。
その人が、【いつかは死ぬ者】であったとしても。
「時間に余裕はあり、今後。少なくとも安全確保後の物資搬送に役立つから、と
飛んでいけばすぐ、でしょうけど。道をつくりながら行く、ですね」
赤い瞳に煤けたホームセンターの看板を映しながら、ナイは確認でもする様に呟いた。
最早直線距離で考えれば目と鼻の先なのだが、折角ならばきっちり路面を繋げてから向かいたい所だ。
微動だにしないまま佇んでいた彼は、そこでふと顎に手を当てて小首をかしげる。
「ふーむ……はやく物資を届ける為にも、急ぎましょう、か」
ナイは、傍らに浮遊するヒーローカーに跨ると、ゆっくりと発進させた。
リアクター特有の静かながら甲高い駆動音と共にヒーローカーが動き出す。
「加減が、難しいですが……どうですかね」
彼自身から放たれる聖なる光に照らされ、ヒーローカーが通った軌跡が補修されていく。
まるで大地が彼の通る道を用意しているかの様だ。
道に開いたクレーターも、大口を開けた地割れも、巻き戻し映像の様に土が溢れ埋め立てられていく。
小さな凸凹ですら例外ではない。
光が照らされた場所の表面の凸が、風に吹かれて消えて行き、凹の部分は盛り上がり、寸分違わぬ均一さに舗装されていくのだ。
それは正しく、この荒廃した世界にも、奇跡が存在する事の、証左だったのかもしれない。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『マシンビースト』
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POW : ワイルドビースト
【野生化モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 同型機との経験共有
【頭部に内蔵した高熱の刃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【行動パターン】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 光学迷彩
自身と自身の装備、【自身と同型の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
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<追って第二章の幕間を公開致します。プレイングの受付は公開後からとなります>
画して、廃墟に辿り着いた猟兵達は、瓦礫をかき分けながら廃墟の奥へと踏み込んでいく。
元はホームセンターだったと言うだけ有り、道中では材木から工具、薬品や金物雑貨等様々な物資が見つかった。これを手分けして運び出すだけでも大分人々の生活は楽になるだろう。
そんな話をしていた時、ふと後ろで機械の駆動音がした。
やはりそう簡単には行かないようだ。
錆びた棚の影、バリケードの様に雑多に積み重ねられた物資、崩落した壁の向こう。
様々な場所から湧き出て来たのは全身が機械化した小型の獣の群れだ。
「o]O1R(Yy5c……o]O1R(Yy5c」
「YI!.R<Y3OW?T~q2yGJ]EV7xqgEJ」
「2%7rfH{[OSW \Tyv.p1c</U^sQWzB4」
最早鳴き声とも言えないデジタル音を発しながら、彼らはロボットじみた不気味な動きで猟兵達を包囲していく。
しかし、最後尾にいた一匹だけは、少し様子がおかしい。
音量が小さく聞き取れないが……うわ言のように同じ事を繰り返してながら近付いてくる。
その意味を理解した時、猟兵達の間に衝撃が走った。
「グ…ラン……ツ……gグラ…ンンン……釣…グラ……ンツ……グラ……んつ」
その個体だけ、首に銀色のドックタグが巻き付いている。
【MARLEY―マーリー―】と、刻印されていた。
プレイング受付:1/31 AM9時から
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
使いすぎました…クラクラします。最後尾の子がマーリーさんですね。ストームの影響でしょうか。理性がある…狂っている途中?興味深いですね。電気属性の触手で広範囲にマヒ攻撃。マーリーさんも巻き込みます。風の触手で空中を駆け抜け、触手でマーリーさんを拘束。
「中身見せて下さいね」
周囲に電気柵を作り邪魔が入らないようにし、触手を突き刺しマヒさせながらハッキング。メカニック知識も使用し、脳から侵食箇所を把握。侵食を止められないか実験します
「プログラム人格、お揃いですねぇ、フフ」
侵食が止まったら解放し…逃げられました。まだ実験したいので巻き込まないように周辺の敵に電撃を浴びせます
頭痛が酷い。どうやら少し飛ばしすぎた様だ。
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)は、眉間を押さえながら相対する機械獣達を眺めていた。
「Yhi#Rv8~5TWEqJyKL,1L」
「Mk!TReN;e+CeqjyG」
マシンビースト達はお互いの頭を突き合わせ、何か通信しているようだ。
幾何学的なタイミングで頭部のランプが点灯すると、その体が虚空に溶けるように消えていく。
(最後尾の子がマーリーさんですね。ストームの影響でしょうか。理性がある…狂っている途中?興味深いですね)
溢れる知的好奇心に思わず怜悧――否、ロキの口元がにやける。
こうなっては仕方がない。もう少しだけ頭痛は我慢するとしよう。
彼は再び銃型魔導兵器から触手を召喚すると狙いも付けずに引き金を引く。
電気属性の帯電した触手が鞭の様にしなり、辺り一帯に電気の檻を作り出した。
「Y,!ORfY_5eW;qQy}.}1>7Uqfs'W
}!!!」
透明化からあぶり出された機械獣達が檻の中で火花を散らしのたうち回る。
その隙を付いて、ロキは風属性の触手から空気を噴射。
マシンビーストの群れを飛び越え、一気に最後尾のマーリーに肉迫する。
「さて、まずは中身を見せて下さいね」
銛のように尖った触手が、帯電網の中で痙攣するマーリーの脳天に突き刺さった。
「ぐgグラグッgグラ――ングggグぐ」
触手と通してハッキングプログラムが流し込まれ、火花を散らしながら激しく痙攣するマーリー。
「プログラム人格、お揃いですねぇ、フフ」
あわよくば内部構造を解析する事で機械化を止められないかと考えていたロキであったが、解ったことは、既にマーリーの身体に有機体と言える部位は無いと言うことだけだった。
成功
🔵🔵🔴
ナイ・デス
……オブリビオンストームは、破壊したものをオブリビオンに、変える
ストームが原因ではないかも、ですが
この世界では、これもそう、珍しいことではないのでしょうか、にゃ
瓦礫や材木、工具に薬品、金物雑貨等様々な物資を『守護の光』で吸い込んでいたところで遭遇
マーリーさんは……UDC-Pのような、例外的オブリビオンだったら、と僅かな可能性考え
襲ってきたら、倒します
様子見。攻撃されたら【カウンター】
【覚悟、激痛耐性】で耐えて、身体がどんな酷い状態になっても【念動力】で動かして【鎧無視攻撃】黒剣鎧の刃【串刺し生命力吸収】して倒し
【継戦能力】吸収した力で再生速め倒れない
【零距離射撃】吸い込んでおいた瓦礫撃ったりも
オブリビオンストームは、破壊したものをオブリビオンに変える。
マーリーの姿を見た瞬間、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の脳裏をその一文が過ぎった。
マーリーは元々あの姿だ、と言うことはないだろう。
話を聞いた限りでは、他の世界で見るような、至極普通の、生身の動物の筈だ。
そして、そのマーリーが今、あの様な姿になっているという事は……。
そういうこと
やはり―――【予想は当たっていた】なのだ。
「ストームが原因ではないかも、ですが……この世界では、これもそう、珍しいことではないのでしょうか、にゃ」
知らず、口調に微かな寂寥感が混じる。
一つ確かなことは、此処に来るまでの道すがら、物資の類は粗方回収し終わったと言うことだ。
後はこの包囲網を抜け、拠点まで物資を届ければ依頼は完了である。
ナイは軽く手首を振り、黒剣の刀身を露出させる。
ジッと相手の出方を伺う。
攻撃してこないと踏んだのか、マシンビースト達は顎をかち合わせると一斉に襲いかかってきた。
瞬く間に彼の全身に鋼鉄の牙が突き立てられる。
しかし、それでもナイは顔色一つ変えず、まるで群がってきた蚊でも潰す様に、一匹ずつ黒剣で刺し貫き仕留めていく。
その時である。
背後から肩を不可視の何者かに切り裂かれた。
ガシャンと言う硬質な着地音と共に、透明化が解除され、口元を血糊で真っ赤に染めたマーリーが此方を振り返った。
「グラ……ンツ……グラン……ツ……ウマイ……グラ…ウマ…ンツ……ウ…gググ2U7tf7{p7D_+<`AmMID~XK(cB0%1%,<oPJxE&"p&^H?NJ,-JFLEFl!xK?I_KO< voxjok7qR:o+SU}9pH.g"e|sXye w8@4C]uN_$-V_?C~[|U@<OrtLc"[|XMivUD」
(UDC-Pのような、例外的オブリビオンだったら、と、少し、思いましたが……)
遂に呼びかける声はノイズに紛れて消え、遂に他の個体と同様のデジタル音しか発しなくなってしまった。
最早倒すしか道はないのか。
少なくともナイには……もう、わからなかった。
成功
🔵🔵🔴
バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』
年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?
下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も
アドリブ、連携歓迎
「そう……なら、もう仕方ないわね」
全身から火花を散らしながら鋭い牙をガチガチ鳴らすマーリーに、バジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)は黙祷でもするかの様に目を閉じた。
何方かと言うと、自分は薬学系の研究を主体とする身だ。
しかし、件のマーリーがもし遺跡内で怪我をして動けなくなったりしていたら?
多少なりとも医学を修めた身として、それを見逃すのも少し後味が悪いと言うもの。
だったのだが―――残念な事に、その必要はなくなってしまったようだ。
運動系に異常をきたしたのか、既に足取りが覚束ないマーリーを先頭に、マシンビースト達が殺到してくる。
「ならばせめて、私の新薬の被検体にしてあげる。機械生物にも効くのか試したかったのよね!」
バジルは手にしたヒュギエイアの薬箱から試験管を取り出すと、蓋を開け、中身を振り撒くように横に一閃。
空気に触れ、即座に気化した緑色の液体が毒霧の障壁となりマシンビースト達の突進を受け止める。
「Ma!FRbY'5|!Ma!FRbY'5|!」
「B8!F}q#d5~WDq`erQc1L7YqS!?」
「Yh!&w>Yf1PW+q3y"」
しゅうしゅうと薬臭い泡を立てて、瞬く間にマシンビースト達の関節が腐食していく。
そして一匹バランスを崩せば―――その先は将棋倒しだ。
「毒を盛って毒で制す、たっぷり味わいなさい」
成功
🔵🔵🔴
御堂・茜(サポート)
アドリブ連携歓迎
細かい事は気にしませんわ!
感嘆符過剰で喋らせて下さいませ
!!!!!
・性格
わたくしは御堂茜!
弱きを助け悪を挫く正義の使者にございます!
いついかなる時も御堂の為す事は正義!
どんな状況でもその意思は絶対に曲げず
超絶プラス思考であらゆる行為を正当化致します!
立ち塞がる悪を躊躇なく成敗し
苦しむ民を助ける為に行動しますわ!
(熱血脳筋正義バーサーカーです。繊細なシナリオで気まずくなる場合流して下さい)
・戦闘
指定したUCを使い力と速さで大量の敵を蹴散らしていきます!
『ちゃんばら』『特撮』のようなイメージでかっこよくお願い致しますね!
家臣や味方を【鼓舞】する事も得意です
後は【気合い】任せですわ!
城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルの軌道を考えて防御しづらくしたり、少しは考える。
暗器は隠しすぎたので、本人も何が出てくるかはわかってない。
戦闘は確実性やオーバーキルより迎撃数を優先するので、全力魔法と範囲攻撃で少し広めに撃ってから時間差で仕留める。
もしくは単体攻撃にカウンターや鎧破壊攻撃を乗せつつ、連続して使って、一撃必殺を繰り返す。
「ここから先は行かせないよ、キリッ」
……防御?なんかこう、勘で!(第六感)
耐性……は、なんか色々!(覚えてない)
毒霧の一撃が止めとなったのか。
マーリーは地に伏し、暫くの間痙攣するようにのたうち回ると、やがて動かなくなった。
残った数少ないマシンビースト達も、同様に地に伏し藻掻いている。
―――最早大勢は決したか。
「GIEっっ!!」
猟兵達の間にそんな空気が流れ始めた矢先、突如地に伏したマシンビーストの一匹が頭を踏み潰された。
「M:!qR9YZ5&WPqOyW.x1-<k」
「YR!N}r5{!XW`」
「o]O1}r5|5pWfq`e]s]1x7OqSEO(VBbHQJ=」
「o]O1}r5|5pWfq`e]s]1x7OqSEO(VBbHQJ=」
「o]O1}r5|5pWfq`e]s]1x7OqSEO(VBbHQJ=」
戦闘の騒ぎを察知したのか、新手のマシンビースト達がゾロゾロと姿を現したのだ。
「うげ、またいっぱい出てきたー!」
周りを見回し、面倒くさそうに叫ぶ城田・紗希(人間の探索者・f01927)に御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)は大太刀ジャスティスミドウセイバーを抜き放ち構える。
「簡単ですわ!! 要するに全部斬り捨てて脱出すればよろしいのでしょう!?」
「まぁ、そうするしかない……あ、ちょっと!」
「よろしい! 御用でございます! 起動せよ、ジャスティスミドウカイザー!!」
茜が太刀を掲げると背後に亜空間が出現!
降り立ったロボット愛馬サンセットジャスティスが鋼の蹄を振り上げる!
次いでサンセットジャスティスの背中が開き、超巨大大太刀スーパージャスティスミドウセイバーが射出される!
茜はジャスティスミドウセイバーを放り投げ、自らも宙へ飛ぶ!
蛇腹に分かれたジャスティスミドウセイバーがジャスティス具足として彼女の全身を覆っていく!
そのまま茜は空中でスーパージャスティスミドウセイバーをキャッチ! サンセットジャスティスに飛び乗る!
「超合体大将軍ジャスティスミドウカイザー!!! 見!!!! 参
!!!!!」
「お、おう……?」
嵐のように……と言うのは正しくこんな感じなのだろうか。
取り敢えず出口付近だけ倒して突破すれば良いのでは。
と伝える間もなく、巨大な騎馬将軍ロボへと変形した少女はマシンビーストの群れへと突撃し、大立ち回りを始めてしまった。
「……………はっ! 私も行かなきゃ!」
隣人の余りの勢いに呆気にとられてしまったが、そもそもまだ戦闘は終わっていない。こうなっては自分も付き合う他ないだろう。
「よーし、じゃあ撃ち漏らした奴を狙って」
紗希が腕を振ると、袖口から数本のワイヤー付き投げナイフが飛び出し、数匹のマシンビーストに突き刺さる。
ワイヤーを引き絞り纏めて絡め取った所に手榴弾を投擲!
爆炎と共にマシンビーストだった残骸が撒き散らされる!
「ふふーん、武器はまだまだあるよー? 何せ隠しすぎて私もどれだけあるのか解らないからね!」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アメリア・イアハッター(サポート)
【サポート】
他の猟兵の行動が成功するようにサポートに徹し、下記のような行動をとります。
・機動力が必要であれば宇宙バイク「エアハート」に仲間を乗せる。
・仲間の攻撃が当たるように、敵の行動をUC「風の友」で読んだり、氷系のUCを使って敵の機動力を封じる。
・仲間の攻撃を強化するために支援系UCを使ったり、鼓舞をする。
・敵の注意を逸らすため、宇宙バイク騎乗や空中にて囮となる。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
再び混戦状態に突入した廃墟の中、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)は空気の流れが変わったのを感じていた。
敵の数は減ってきている。だが、包囲を突破するには後もう一手、何かが必要だ。
(出口があっちとして……あの辺り―――あの子と、その子……それが止められれば)
当たり前過ぎて忘れがちな事だが、大気と言うのは物質である。
そこが宇宙空間でも無い限り、自分も含めた全ての存在は大気の海の中に沈んでいるのだ。
そして当然、その中を移動すれば、周囲の大気もかき混ぜられて気流が発生する。
アメリアのユーベルコード・風の友は、その微細な空気の流れを感じ取ることが出来るのだ。
「o]O1}r5|5pWfq`e]sN}r5{!X5|5pWfq`」
「o]O1}r5|5pWfq`e]sN}r5{!X5|5pW」
前方、正に目を付けていた二匹のマシンビーストが手近な猟兵に狙いを定めていた。
「おっと、させないよ!」
アメリアは宇宙バイク「エアハート」を駆り急接近。
「凍てつけ!」
Vanguardから放射された強烈な冷気がマシンビースト達を凍り付かせてしまった。
「よし! みんな今だよ!」
成功
🔵🔵🔴
第3章 日常
『伝統文化を守れ』
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POW : 伝承者の生活を支える為の支援を行う
SPD : 伝承者の技術を体得して文化の継承を行う
WIZ : 伝承者の技術を文献などに残す事で文化の継承を行う
|
「そうか
…………………マーリーがなぁ
…………」
巻藁に腰掛けたカウボーイスタイルの老人、グランツ・オーウェルは、一人の猟兵から渡された銀色のドッグタグに目を落とし、静かに目を閉じた。
ここはホームセンター跡からは数十キロほど離れたとある拠点。
かつての牧場をベースとしている為か、この世界においては珍しく、小さいながらも牧歌的な風景が広がっている。
マシンビーストの包囲を掻い潜り、廃墟から物資を運び出すことに成功した猟兵達。
物資を届けるついでに、廃墟で回収したマーリーの遺品を、グランツにとやってきたのだ。
グランツは自身のネックレスにドッグタグを付けると、意を決した様に巻き藁から立ち上がった。
「ありがとう。私のもとにマーリーを返してくれて……せめてもの礼に、アイツの仕事を見ていってくれ。それがきっと、私からの供養になると思っている」
―――CAUTION―――
・ここでは牧場生活を体験する事が出来ます。
一例ですが、PSWで分けると以下のような感じでしょうか
POW:牧草収穫、動物との触れ合い
SPD:カウボーイ体験、乗馬
WIZ:グランツの話を聞く。
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
「マーリーさんのことは申し訳ありませんでした」
慰めず謝罪して、グランツさんの作業を見学させて頂きます
…牧羊犬であるマーリーさんが居ない状態では、やはり作業が大変そうですね。生物であるマーリーさんの代わりにはなりませんが、グランツさんに許可を頂けるなら牧羊ドローンを作りましょう
UCで強化した学習力でグランツさんの作業に必要な機能を観察、ホームセンターから回収した機材を元にメカニック知識で組み立てます。グランツさんが望むなら、マーリーさんの『部品』も組み込みます
「これは道具です。相棒にはなり得ませんが労働力の代替にはなるでしょう。生きるために必要ならば『使用』してください」
「ハァッ!」
乾いた音が空気を叩き、牛の群れがざわめき立つ。
その外周を馬に乗って駆けるのは巧みに投げ縄を操るグランツだ。
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)は、その様子を柵の外から眺めながら、先程のグランツとの会話を思い出していた。
「マーリーさんのことは申し訳ありませんでした」
機械の異形と化し、最早元通りには出来なかったとしても、マーリーを殺したのは自分だ。
そう頭を下げた怜悧に対し、グランツは静かに目を閉じた。
「そうだな。君がそういうのなら……それは真実なのだろうさ。だが、君は君の仕事をしたまでだ。そうだろう?」
だから、それを自分に謝る必要は無いんだ。そう、彼は言った。
しかし怜悧は思う。
この拠点は、動物の数に対して、明らかに人間が少ない。
グランツの他には、若い夫婦が一組に子供が数人、後は老人だ。
事肉体労働に従事できる働き手となると、極端に数が限られてくる。
(……やはり作業が大変そうですね。マーリーさんが抜けた穴は結構大きい)
「あの……グランツさん」
怜悧は、柵から出てきたグランツに、意を決してある提案をした。
「へぇー、兄ちゃん器用だな!」
「ほら、あまり顔を近づけすぎると危ないですよ」
鉛臭い臭いと共に、基盤に銅線が接着されていく。
鮮やかな手際で配線されていく作業風景を、拠点の子供達が興味深そうに覗き込んでいる。
怜悧が作っているのは、メカマーリーとでも言える牧羊犬ドローンだ。
マーリーの代わりにはならなくても、せめて労働力として使えるものを作ると言う怜悧の提案は、意外にもあっさり承認された。
怜悧はポケットから焼け焦げたアクチュエーターを取り出すと、ドローンに組み込んだ。
「それは?」
「マーリーさんの機体の一部です。何のデータも入ってない電気部品ですけどね」
「……………………そうかい」
機体の組み立てが終わり、無事起動したメカマーリーは今、子供達と草原で戯れている。
「ハハハ、今日からはアイツがマーリーだな」
そう言い葉巻を吹かしたグランツの目は、遠い過去を懐かしむような、微かな哀愁を含んでいた。
「グランツさん」
「ん?」
「あれは『道具』です。相棒にはなり得ませんが労働力の代替にはなるでしょう。生きるために必要ならば『使用』してください」
「…………あぁ、ありがたく『使わせて』もらうよ」
大成功
🔵🔵🔵
フルム・サーブル(サポート)
口調はステシ通り、穏やかな感じが基本です
木々や花、森といった自然を愛しているフェアリーです
ただし技能と能力がだいぶパワー(物理)に寄っている節があり、
何か解決しなければならない任務と並行する場合は怪力などの技能を活用します
花や植物などの自然をモチーフとしたものを好む傾向があり
関係する事柄に積極的に関わりに行きます
悲しみを癒すような内容なら
花を植えて妖精さんのパワー(魔法)で綺麗な花畑を作ったりします
キャラぶれは気にしないので、公序良俗に反しない限りは
好きに動かしちゃってください
「こんな世界にも、まだのどかな場所と言うのはあるものなんだね」
フルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)は牛の群れの中の一頭の背に腰を落ち着け、景色を眺めていた。
こと自然、と言うものとは無縁の様に思えたこの世界にも未だ動植物が残っていたことが、フルムには純粋に嬉しかった。
(とは言え、お世辞にも豊潤な資源があるとは……言えないかもしれないがね)
他の世界で目にしてきた様な動物達に比べると、やはり牛達も痩せ細っているし、食料となるべき牧草も枯れ草が目立つ。土壌に充分な栄養が無い証拠だ。
「消えゆく自然を守る……これも僕達の仕事かもしれないね」
フルムは牛の背を飛び立つと拠点全体を囲むように円を描いて飛び始めた。
「花は野にあるように」
彼の羽からキラキラと舞い散る鱗粉が地に落ちると、そこからたちまち草花が芽吹き、色とりどりの花を咲かせた。
「わぁー! きれーい!」
「すげぇー! いっぱい咲いてるー!」
「こ、こりゃどうした事だ……」
はしゃぐ子供達の声を聞き付けてグランツが顔を出した。
「エディブルフラワーって言ってね。食べられる花なんだ。牛達の餌にもなるし、あなた方の食料にもなる。まぁ、これでお腹一杯には……ならないかもしれないけどね」
申し訳無さそうに頬を掻くフルムに、グランツはとんでもないと返す。
「牛の栄養不足は密かな悩みだったんだ。これで少しでも改善されるなら大助かりだよ」
こうして、荒野に一つの花畑が生まれた。
世界から見れば小指の先にも満たないちっぽけな物。
だが―――きっと此処から、明日の草原は始まるのだろう。
老人の目に、一瞬、緑豊かな牧草地帯を駆ける、愛犬の姿が写った。
成功
🔵🔵🔴