村の奥深くに聳え立つ、古びた廃墟のような巨大な時計塔。
闇の中、不気味に佇むその塔に、近付く者は今まで誰もいなかった。
時計の針が刻む時間は壊れて狂っているかの如く、正確に回ったことは一度もない。
突然くるくる激しく回ったり、そうかと思えば今度は逆方向に回り出したりと、人々に時を知らせるはずの時計はその役割を果たしていない。
しかし一日に一回だけ響く鐘の音だけが、正確に『ある』時刻を告げてきた。
昼なお昏いダークセイヴァーの世界にあって、真の闇夜が訪れる時間。
逢魔が時に鳴る鐘の音は、闇の眷属たちの跋扈を報せ、村は夜の恐怖に支配される。
――ある日、1人の少女が病気を患い倒れてしまう。
貧しい村では少女の病気を治す薬も手に入れられず、このままでは病は悪化して、床に伏しながらただ死を待つのみの運命だ。
高熱に魘され続けて苦しみ悶え、それでも心の中で救いを求め、薄れる意識の中で――少女は鐘の響く音を聴きながら、幻想的な彩色を帯びた蝶が、光を描いて羽搏く姿を視るのであった。
「その日から、少女は目覚めることなくずっと眠ったままの状態になっているそうよ」
グリモアベースに集った猟兵たちに、今回起きた事件をノエマ・アーベント(黄昏刻のカーネリア・f00927)が語り出す。
少女の病気は決して治ったわけではない。死が間近に迫ってきた頃、まるでその死を妨げるが如く、醒めない眠りに就いてしまっているようだ。
「更にこういう事例は、彼女だけではなくなっているの。病が村で流行って蔓延し、少女みたいに眠ったまま起きない人が増え続けているわ」
その病に感染すると高熱を発症し、重症化すれば肺炎を引き起こして最悪死にまで至り、そうなると助かる見込みは極めて低い。
だが村人たちが眠ったままになるのは、間違いなくオブリビオンの仕業と断言できる。
「ソイツは死の運命にある人間の許に現れて、救いを求める者に醒めない眠りを齎すそうよ。安らかな眠りを与えることが救いになるとか、何だかちょっと変わっているわよね」
一体どういうつもりで人を生かしておくのか、理由は全く以て定かでない。
しかし半永久的に眠り続けていることは、ある意味生きていないも同然だ。
その元凶であるオブリビオンは、村の外れにある時計塔に住み着いている。
村人たちを眠りの中から救うには、時計塔に乗り込みオブリビオンを撃破するしかないのだが、塔の内部は侵入者を排除すべく様々な仕掛けが施されており、攻略するのは容易でないとノエマは言う。
「仕掛けの内容は、朧気にしか分からないけど。でも次のことには気を付けるといいわ」
そう言って、ノエマは断片的に3つの注意事項を猟兵たちに告げる。
『――塔を司る歯車たちが刻む時の流れに乗って道を進むべし。
歩みを外せば奈落の底が待っている』
『――無数の時計の針が不規則に刻む不協和音に、心狂わされることなかれ』
『――揺れる振り子は迷える者の生を断つ。
その先の真理に辿り着きたくば、生命の鼓動を見極めよ』
「全ての仕掛けを乗り越えたなら、後はオブリビオンたちを打ち倒すだけ。ソイツが消えさえすれば、村人たちに掛かった眠りの魔術も解けるわよ」
そして病気についてもすぐに治療を施せば、全員救えることも可能だろう。
――闇に囚われた世界の中で、希望の光を見出すことが猟兵としての使命である、と。
ノエマの黄昏色を宿した瞳がより濃さを増し、掌の中の小さなグリモアが、一際まばゆく輝きながら放つ光が猟兵たちを包み込む。
人々にとっての真の救い、オブリビオンから村の平和を取り戻す為――。
朱乃天
お世話になっております。朱乃天(あけの・そら)です。
今回挑んで頂きますのは、村を脅かす、オブリビオンの住む時計塔。
まず第一章では塔の内部に侵入し、オブリビオンのいる最上階を目指して登ります。
内部は様々な仕掛けが用意されていますが、技能やアイデアなどを各自で駆使しながら攻略して下さい。
二章からはオブリビオンとの戦闘になります。
三章でボスを倒せば眠らされている村人たちが目を覚まします。
彼らの対応については、特にプレイングに記載して頂かなくても大丈夫です。
また、ご参加される際は、どの章からでも全く問題ありませんので、どうぞお気兼ねなくご参加下さいませ。
それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしています。
第1章 冒険
『時計塔』
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POW : 大胆に進む
SPD : 慎重に進む
WIZ : アイテムを活用
👑11
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時計塔の入り口の扉を開けると、ギィと重い音が鳴る。
中を見渡せば、伽藍堂の広い空間に、最上階まで吹き抜け状態になっている。
そして最上階と地上は、複数本の鉄の丸い柱で繋がれていて。そこには無数の巨大な歯車たちが重なり合い、休むことなく回り続けているようだ。
しかしふと見ると、この塔の内部には最上階に登る為の通路も階段すらもない。壁には大小様々な時計が埋め込まれ、それぞれが不規則に時を刻む針の音だけが、塔の内部に不気味に響く。
この状況で一体どうやって上まで辿り着けば良いのだろうか。
足場になりそうなのは、塔の時計を動かしているであろう、歯車だけしか今のところは見当たらない。となると、それを登って最上階まで行くしかないということか――。
髪塚・鍬丸
色々思うところはあるが、まずはこの時計塔を登る事だけを考えよう。
SPDで慎重に進む。
歯車に乗ったり掴まったりして、その動きに合わせて進んでいく。歯車が噛合う所で、隣接する歯車に乗り換えて行こう。【ジャンプ】【早業】【クライミング】【空中戦】【見切り】で慎重に歯車を乗りこなしていく。
どの歯車に乗れば頂上に辿り着けるか、【視力】【暗視】【第六感】を駆使して先を見極める。不明なら【影分身の術】で分身を先行偵察させてみよう。
不協和音とやらが何か分からないが集中力を乱さないよう【覚悟】を決めておく。
振り子とやらはトラップだろうか。【見切り】【ダッシュ】【早業】【ジャンプ】でタイミングを見切って突破する。
くるくる廻り続ける歯車たちは、村人たちの生命の時を刻んでいるのだろうか。
この時計塔に隠された謎を解き明かすべく、猟兵たちが目指すは塔の最上階。
色々と思うところは多々あれど、全てはそこに辿り着いてから――。
「まずはここを登ることだけを考えよう。歯車の動きを読めば良いのだろうか」
ぼさぼさの髪に着流し姿が、どこか粗野な印象を与える髪塚・鍬丸(人間の化身忍者・f10718)だが。塔の内部を見回す彼の視線は、隙がない程鋭くて。身軽な動作で歯車の上に飛び乗ると、早速塔の攻略を開始する。
歯車同士が噛み合う瞬間を、見極めながら次の歯車へと飛び移る。鍬丸の忍者としての高い身体能力が、複雑に絡む歯車の動きも遊戯の如く扱って。気付けば中層階まで難なく到達するのであった。
壁に埋め込まれた無数の時計の針の音が、ここまで順調に進む鍬丸を焦らせようと時間を早く刻み出す。
カチカチと、早送りでもするかのような針の音が壁中から鳴り響く。そして歯車も、音に合わせて回転が速くなったように思えるが、それはあくまで目の錯覚だ。
「生憎と、この程度なら忍びの里での修行の方が、まだきつかったかもな」
鍬丸は針の音にも集中力を乱すことなく、慎重に塔の仕掛けを乗り越えてゆき。最後に待ち受けていた巨大な振り子の刃も、軌道を見切って突破して――遂に最上階に至る扉に、手を掛けた。
大成功
🔵🔵🔵
エン・アウァールス
随分と高いんだねえ。
(呑気な感想を述べつつも、その目は周りをくまなく観察している。)
…悪戯したら、お咎めがあったりするのかな。
まあ、悩んでいても獲物には辿り着かないしね。その時はその時で、また考えようか。
【SPD】慎重に進む
先端に鉤爪の付いたロープを鉄の柱に巻きつけ、壁を駆け上がり歯車の上へ
【歯車】回転速度が速い場合、苦無を歯車の噛み合う場所に投げ、歯車の動きの一瞬の遅延を狙う
【不協和音】集中を乱されるほどであるなら、自身に最も近い時計に苦無を投げ付け針を止める。不可能であれば、その区間を迅速に抜ける
【振り子】落下時の保険の為、自身の身体を柱、または壁にロープで繋いでおく
▼アドリブ歓迎です
下から見上げる塔の内部は、最上階まで吹き抜け状態になっているからか、そこまではかなりの距離があるようにも感じさせられる。
こうして見ると随分高いんだねと、エン・アウァールス(蟷螂・f04426)は呑気に感想を述べつつも、その二つの眼は歯車の観察を怠らない。
「……悪戯したら、お咎めがあったりするのかな。まあ、悩んでいても獲物には辿り着かないしね。その時はその時で、また考えようか」
やれやれと肩を竦めて、鉤爪の付いたロープを取り出すエン。それを鉄の柱に向かって投げて引っ掛けて、掛かり具合を確認しながら歯車を足場代わりに登り出す。
歯車の回転速度は一定には非ず。時には振り落とされそうにもなりながら、エンは必死にロープを離さず耐え凌ぎ。歯車同士が噛み合う位置に苦無を投擲、回転が一瞬遅延した隙に飛び移り、何とかその場をやり過ごす。
やがて中間地点に差し掛かり、エンは一息入れつつ、ふと下を見る。
床など存在しない足下は、一歩踏み外せばあっという間に奈落の底に落ちてしまうだろう。
ここは歯車の刻む時の流れに従って、登っていくしか最上階に辿り着く術はない。
「ここから先は、またかなり骨が折れそうな仕掛けが待っていそうだね」
この後にどんな苦難が待ち受けようと、決して弱音を吐くわけにはいかない、と。
エンは大きく息を吸い込んで、再び最上階を目指して歩みを進めるのであった。
成功
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栖夜・鞠亜
飛べはいいだけかも知れないけど。
ノエマの注意事項を頼りに登るのも、楽しそう?
落ちても死にはしないと思うけど、念のためメイドさんを召喚して下で待機してもらう。
刻む時の流れに乗る、という事は正しい時間を進む歯車に乗れって事?
針が不規則に動いているのは時の刻み方が異なる歯車があるからだと予想するけど・・・。 取り敢えず乗って進んでみる。 振り子は銃で吹き飛ばしたら・・・ダメ? 当たらないように上手く避けてみる。
落ちてもまた、試せばいい。 メイドさんにキャッチしてもらえるし。
最上階まで吹き抜けになっているなら、飛んで行ったらすぐに登れるのではないかと、栖夜・鞠亜(ダンピールのマスケティア・f04402)は思考する。
ただここは、歯車の道を登っていくのも楽しそうだと興味が湧いて、少し挑戦してみようかと、鞠亜は好奇心の赴くままに歯車の上に足を乗せる。
「来なさい。まりあの侍女、ヘンリエッタ」
鞠亜の呼び掛けに、どこからともなく姿を現すメイドさん。
もしもの時に備えてメイドさんには下で待機してもらい、鞠亜は一人で歯車に登って最上階を目指す。
歯車の動く流れに乗って、順調に道を進んでいく鞠亜。
時計の針が刻む不協和音は、歯車の回転を異なるものに惑わせようとする。もしも足を踏み外して落下してしまっても、メイドさんに助けてもらえるといった気楽さで、また試せばいいと再び挑む。
そうして少し時間は費やしたものの、ここまで無事に乗り越えて、最後に揺れる巨大な振り子を通り抜ければ最上階に到着だ。
「アレ、銃で吹き飛ばせないかな……?」
そう言って、狙撃銃を取り出し構えるのだが、足場が不安定な歯車の上では、なかなか狙いが上手く定まらない。
それなら仕方がないと、鞠亜は諦めて銃を仕舞い、代わりに動体視力を活かして振り子の揺れを見極めながら、跳躍すると少女の小柄な体躯は振り子の刃を掻い潜り、そのまま扉に体当たりして奥の部屋へと飛び込んだ。
成功
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白斑・物九郎
●POW
【野生の勘】ON
まずは歯車機構を見上げてしばらく観察
アレらを足場にして進んでくとして、イケそうなルート&タイミングにアタリを付けるとしまさ
そしたら後はもう考え込むよか体ァ動かすだけですわな(【ジャンプ・クライミング】)
動く歯車を足場にする(【地形の利用】)ワケですし、踏み切りと着地はしくじらないように注意っスね
『不協和音』は音での精神干渉系の仕掛けがあったりするってコトでしょうかや?
ならこうですわ
(猫耳を手でぺったり押さえる耳栓作戦)
『振り子』はギロチン系の物理トラップでしょうかや
回避しようとして空中でよっぽど姿勢崩したら、コードの力で腕でも脚でも伸ばしてどっか捕まって復帰しますでよ
下から塔を見上げた先に見えるのは、塔を構成している歯車の機構と、最上階に通じる扉のみ。
足場がそれしかないのなら、この歯車でできた階段を、ただひたすら駆け上がるだけである。
「そしたら後は、もう考え込むよか体ァ動かすだけですわな」
白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は猫のキマイラとしての野生の勘を頼りに、高く跳躍しながら歯車の上を疾駆する。
正に猫の如くに俊敏で、且つ本能的とも言えるアクロバティックな動作で、歯車の回転に合わせて次から次へと障害を飛び越えていく物九郎。
心を蝕む時計の針の不協和音にも、焦ることなく耳をぺたりと塞いで音を遮って。そこから後は第六感を研ぎ澄ませ、最上階に通じる扉を視界に捉えて突き進む。
そして物九郎の目の前には、巨大な振り子が左右に大きく揺れ動き、行く手を阻むが如く待ち受けている。
「――狩りの悪魔の腕がどんだけ長ェか、教えてやりまさァ」
しかし物九郎は臆することなくニヤリと自信に満ちた笑みを覗かせて、腕を振り被ったその瞬間――彼の左腕の刻印が、光を帯びて全身がモザイク状に変化する。
更には腕が見る見るうちに長く伸び、弾力性を備えた高速パンチが振り子を擦り抜け扉に届き、掴むと同時に腕が縮まると、戻る振り子を間一髪で避け、最上階の部屋に無事に入り込むことに成功するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
皐月・灯
はっ、生かしておくと言や聞こえはいいけどよ。
……そんなもん、生きてるなんて言えるかよ。
さて、 時の流れに「乗って」進むべし…か。
結局、歯車づたいに登っていくしか道はねーらしいな。
オレには羽はねーわけだし。
フック付きのワイヤーを持ち込むぜ。
こいつを上にある歯車に引っかけりゃ、回転運動がオレを引っ張りあげてくれるってわけだ。
これなら、普通に登るより時間短縮できねーか?
おっと、歯車同士の間にフックが噛まれないように、【早業】を発揮して回収するのも忘れねーぞ。
もちろん、コイツに頼る必要がない場面では歯車の上を素直に渡るけどな。
「待ってろよ、今ツラを拝みに行くぜ」
この時計塔の主とも言えるオブリビオンは、死に瀕する者を眠りに就かせて生き永らえさせている。しかし一体どうしてそんなことをするのか、答えは誰にも分からない。
「はっ、生かしておくと言や聞こえはいいけどよ。……そんなもん、生きてるなんて言えるかよ」
皐月・灯(灯牙煌々・f00069)はオブリビオンの不可解極まる行動に、眉を顰めて言葉を吐き捨て、待っていろと言わんばかりに最上階に向けて勢いよくフック付きのワイヤーを投げ飛ばす。
フックは歯車の一つに引っ掛かり、灯が感触を確かめるようにワイヤーを引くと、回転する歯車に巻き上げられて、灯の身体が吸い寄せられるように宙に浮く。
「コイツはいいや。これなら、普通に登るより時間短縮できねーか?」
そしてフックが歯車同士に噛まれて巻き込まれる前に、素早く引き抜き回収しておくのも忘れない。
歯車の遠心力と、身軽な動きを活かした灯の機転を利かせた作戦が、功を奏して時間を費やすことなく登って行って、歯車に導かれるように塔の中層階まで辿り着く。
最後に残す巨大な振り子も、ワイヤーを駆使して躱し切り、灯は不敵な笑みを浮かべて最上階の扉を抉じ開ける。
その奥で待ち受けているモノを、諸悪の元凶たるオブリビオンを、この手で討ち倒しに行く為に――。
「――待ってろよ、今ツラを拝みに行くぜ」
大成功
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第2章 集団戦
『残影』
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POW : 怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD : 同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ : 潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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侵入者の行く手を阻む時計塔の仕掛けを突破して、猟兵たちは最上階への扉を開けて、中の部屋へと雪崩れ込む。
そこで彼らを待ち構えていたのは、この塔に住む亡霊たちの群れだった。
――痛くて、熱くて、苦しいの。
――もう、やめて。どうしてこんな、酷いことするの。
――わたしたちのこと、誰も助けてくれないの? だったらもう……。
――みんな、いなくなっちゃえばいいんだ。
過去に囚われたまま、この世に未練を残し続ける哀れな魂たちの集合体。
そして狂った時間を刻むこの時計塔に亡霊たちが集っているのも、何かの因果か、それとも必然だったのか。
亡霊たちは生ある者に怨みの声を上げ、冷たく昏いその眼差しで、猟兵たちに『救い』を求めて襲い掛かってくる。
今まで滅びることすら赦されなかった哀しき魂に、猟兵たちは真の救いを与えることができるのか――。
白斑・物九郎
トラップの次はモンスターハウスですかよ
救いが欲しいか
なら憐れんでやりますわ
躊躇無く狩り尽くすのがワイルドハントの慈悲っスよ
●WIZ
視界外の敵配置の把握は【野生の勘】で網羅
不意に囲まれないように注意して立ち回りまさ
こんだけ敵が多いとデカい得物の方がよさゲっスね
心を抉る鍵(大)を取り出して【ブラッド・ガイスト】
【封印を解】いたこのメイスを【怪力】でブン回して一撃一殺見込、片ッ端からブチのめしてキッチリ死に直させてやりまさァ
亡霊同士がコード効果で同士討ちまではしなさそうだったなら、死中に活狙いの【捨て身の一撃】
あえて敵陣の中に突っ込んで、無差別攻撃を躊躇させる隙をコジ開ける
その隙に狩ってやりますわ
栖夜・鞠亜
とりあえず先制攻撃。
ユーベルコードで多少数を減らしとく、入り乱れるとコレ系は使いづらいし。
何処から来たのか知らないけど、こんな所で彷徨ってないで逝きなさい。
銃で狙撃しつつ、歩みながら距離を離す。 どの程度の広さか分からないけど、屋内で狙撃銃はめんどくさい。 もし弾丸が通用しないようなら属性攻撃を付与して対処する。
後は光源や影の具合を確認する。 こいつらで終わりって訳じゃないだろうし、得意の影を使える環境か知る必要が、ある。
塔に蔓延る怨嗟の念。
どれだけ救いを求めようとも救われず、現世の苦痛に囚われ続ける死者の霊。
オブリビオンに虐げられた負の感情が、生者に対する憎悪となって、誰彼構わず傷つけようと、見境なく猟兵たちに襲い掛かってくる。
「……救いが欲しいか。なら憐れんでやりますわ。躊躇無く狩り尽くすのが――ワイルドハントの慈悲っスよ」
白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)の敵を見つめる金の眸の瞳孔が、細く攻撃的な狩人としての目となって、異空間から巨大な鍵を取り出すと、下駄を鳴らして亡者の群れの真っ只中に飛び掛かる。
『――ひどいことをするやつ、ゆるさない。もう、こんなことしないでよ』
亡霊たちは物九郎を敵と見なして、怨念を籠めた炎の弾を撃ち放つ。
迫る炎の塊を、物九郎は膂力を活かした怪力で、豪快に魔鍵を振り回して打ち落とす。
「あまり入り乱れて混戦になると厄介そう。ここはさっさと倒すに限るかも」
目の前の亡霊たちに対しても、栖夜・鞠亜(ダンピールのマスケティア・f04402)は特に憐れむことも臆することもなく、抑揚なく淡々とした口調で敵の撃破だけをただ狙う。
前で戦う物九郎を援護するように、鞠亜は狙撃手として、後方から銃を構えて亡霊たちに照準合わせて狙い撃つ。
「――吹き飛べ」
鞠亜が放ったその一発は、特殊な弾薬が搭載された高火力の弾丸だ。
敵に着弾すると同時に大きく爆ぜて、爆破で生じた衝撃が、複数体の亡霊たちを纏めて一網打尽に吹き飛ばす。
「何処から来たのか知らないけど、こんな所で彷徨ってないで逝きなさい」
左右に束ねた金髪を、ふわりと掻き上げながら鞠亜は再び亡霊たちに銃口を向ける。
幼い少女の表情は、決して変わることなく赤い瞳は冷たい色を帯びていた。
『――痛いよ。熱いよ。お願いだから、もうやめて』
亡霊たちは懇願するかのように、救いの言葉を鞠亜や物九郎に投げ掛ける。
しかし嘆きに満ちた叫びは負の力を纏って衝撃波となって、近くにいる者たち全員を、同じ亡霊だろうと無差別で攻撃してしまう。
「こうなったら片ッ端からブチのめして、キッチリ死に直させてやりまさァ」
物九郎は野生の勘で亡霊たちの叫びを躱しつつ、掠めて流れる自身の血を代償に、鍵の封印を解き放って真の力を呼び覚ます。
突き出す鍵は獲物を狙う獣の牙の如くに、死霊の胸を鋭く穿ち。突き立てられた鍵を引き抜くと、死霊は心を抉られ身体は霧のように掻き消えて逝く。
部屋の中にはまだ多くの亡霊たちが残っているものの、二人は元凶までの道を抉じ開けるべく、不屈の闘志で群がる敵を迎え撃つ――。
大成功
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皐月・灯
帰る場所もなく、行く先もない……どこにも行けねー魂の成れの果てか。
……は。笑えねーぜ。
こいつらがどんな理由でここに居るのかは知らねー。
やるべきことはたった一つ……終わらせてやることだ。
「そうだな。誰も助けちゃくれねーぜ。……誰も、もう助けてやれねーんだ」
それだけ告げて、《猛ル一角》を発動する。手加減なしの全開だ。
絶叫の素振りを見せたら、その瞬間に【カウンター】を叩き込む。
……たとえ絶叫されても止まる気はねー。
これは《捨て身の一撃》だからな。
……別に、こいつらのためじゃねー。
オレはただ、とっととこの先に進みてーだけだ。
それだけだから……この一言には、特に意味はねーよ。
「じゃーな。……おやすみ」
フォルク・リア
「生者を怨む亡霊か。
その痛みや苦しみを
わかってやる事は出来ないし。
俺のする事が救いになるかは分らない。
だけど、ここで止まる訳には行かない」
敵を倒して進むという確固たる意志を持ち
敵の事情は倒した後に考えると割り切る。
敵の配置を見切って密集箇所に切り込み
周囲の敵をウィザード・ミサイルで攻撃。
敵の「潰えた希望の果て」を使われた時に
多くの敵を巻き込む様にし
あわよくば敵を盾にして地震の被害を抑える。
亡霊達を倒しながら
「怨みたいなら好きなだけ怨んでくれ。
それで少しでも気が晴れるならな。
お前達の怨念も俺が背負って戦ってやるよ。」
と、この先にいる敵との戦いへの
決意を新たにする。
過去の苦痛に囚われたまま、あの世へ旅立つことすらできない哀しき死者たちの群れ。
「帰る場所もなく、行く先もない……どこにも行けねー魂の成れの果てか。……は。笑えねーぜ」
皐月・灯(灯牙煌々・f00069)は半ば呆れるように溜め息吐きながら、行く手を遮る亡霊たちを、薄青と橙色の二色の瞳に映して身構える。
この者たちがどうしてここに留まり続けているのか、その理由は分からない。けれども自分がやるべきことは、唯一つ――。
「そうだな。誰も助けちゃくれねーぜ。……誰も、もう助けてやれねーんだ」
だからこの手で、全てを終わらせる。灯が拳に術式籠めて、力を高めて拳を繰り出す。
魔力を載せて放った拳は、実体なき霊体を捉えてその衝撃で吹き飛ばす。
「生者を怨む亡霊か。その痛みや苦しみを分かってやることは出来ないし、俺のすることが救いになるかは分からない」
フォルク・リア(黄泉への導・f05375)が亡霊たちに対して憐れみの言葉を呟くが、フードを目深に被って素顔を隠した状態からは、その表情までは読み取れない。
とは言え、ここで足踏みしているわけにはいかないと。心に確たる意志を秘め、今は敵を倒して前に進むのみだと、フォルクが覚悟を決めて群れの中へと切り込んでいく。
『――わたしたちを傷つけようとする、ひどいやつ。みんな、いなくなっちゃえ』
突撃してくるフォルクを排除すべく、亡霊たちが怨嗟の叫びを上げて追い払おうとするのだが。フォルクは素早い動作で他の亡霊の影に隠れるように叫びを回避。
絶叫に敵が巻き込まれている隙に、炎を帯びた八十本の魔法の矢を生成し、一斉に敵集団の中に撃ち込んで、死者の怨嗟の脅威を退ける。
「怨みたいなら好きなだけ怨んでくれ。それで少しでも気が晴れるならな。……お前達の怨念も、俺が背負って戦ってやるよ」
矢を撃つ手を止め、フードの下から僅かに覗くフォルクの口元は、新たな決意を込めるように強く引き締められていた。
猟兵たちの揺るがぬ思いが、亡霊たちの積もり重なる怨みの念をも撥ね退ける。
それでも敵も必死に食い下がり、燃える復讐心が炎と化して、巨大な炎の塊が、灯目掛けて放たれる。
しかし灯は炎の軌道を見切って紙一重の差で身を躱し、直後に地面を蹴って敵の懐に飛び込みながら、大地の魔力を凝縮させた拳を渾身の力で叩き込む。
「アザレア・プロトコル1番――《猛ル一角》!」
捨て身の覚悟で打ち込む拳の一撃が、亡霊の魂を消滅させる。
「じゃーな。……おやすみ」
口から微かに零れた一言に、特に意味など何もなく。
例え炎に身を焦がされようと、立ち止まってなどいられない。
――彼らがその力を振るうのは、元凶が待ち構えるこの先へとただ進む為だけだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
髪塚・鍬丸
もし俺が救世の勇者様か何かなら、彼らへの憐れみと慈悲で苦悩し、涙で刃を鈍らせるのかもしれねぇが…。生憎、俺は勇者じゃなく単なる忍者崩れだ。
御下命如何にしても果たすべし。何の感情も無く亡霊達を払い退けるぜ。
攻撃を【見切り】ながら飛び込み【先制攻撃】【範囲攻撃】【2回攻撃】で両手の刀とクナイで薙ぎ払っていく。
…数が多すぎるか。なら、仕方ない。そう、止むを得ずだ。
【降魔化身法】を使用。封じておいた怒りを開放し、魔を呼び込み鎧として身に纏う。
「…許さねぇ。この塔も黒幕も、全部この手でぶっ壊してやるぜ!」
【暗殺】で亡霊の霊気の中心点を狙い、殺された事も気づかない程の刹那で仕留めていく。効率が良いからな。
コロッサス・ロードス
●戦術
『武器受け』『盾受け』『オーラ防御』等の防御技能を活かす為、また仲間を『かばう』事で被害を抑える為にも、敵に肉薄して『おびき寄せ』攻撃を誘う
●攻撃
初撃は『怪力』『鎧砕き』で防御を崩し、二の太刀で防御の隙を穿つ『2回攻撃』を基本型とする
敵コードに対しては初動を素早く『見切り』、『カウンター』を合わせる為に相討ち『覚悟』で敵の懐に飛び込み、最も損傷の激しい部分に『捨て身の一撃』【黎明の剣】を放つ
●心情
かつて無残に命奪われ、更には憎悪と悔恨に囚われし哀れな魂よ
二度と戻らぬ身ならばせめて魂だけは風の如く自由に飛び往け
そして願わくば、その”風”が全てを越え、嘗てお前達が愛した者達の元に届かんことを
猟兵たちに群がる亡霊たちの攻撃が、より一層激しさを増す。
生ある者に対する妄念故か、その生命の輝きを前にして、死せる亡霊たちが憎しみの心を増幅させて猟兵たちに迫り来る。
「……数が多すぎるか。なら、仕方ない。そう、止むを得ずだ」
敵の数の多さに対抗する為に、髪塚・鍬丸(人間の化身忍者・f10718)が奥の手となる禁断の技を行使する。
その身に纏うは降魔の力。【妖怪】【悪鬼】【幽鬼】を身体に宿し、戦闘力の超強化を図る。が、強力過ぎる力は代償もまた大きくて、鍬丸の全身を、黒き呪いが蝕んでいく。
だがそれにも構わず鍬丸は、死霊の群れに飛び込み、魔と一体化した力を振り翳す。
両手に太刀と苦無を握り締め、縋る亡霊たちを片っ端から斬り伏せる。
しかし憎悪の念に駆られるが侭、殺戮衝動のみで動く亡霊たちも攻撃の手を止めない。
呪いに苦しむ鍬丸に、敵の魔の手が伸びようとする――その時、一つの影が間に割り込み亡霊の攻撃を防ぐのだった。
「――我、金剛不壊の穂先也。鍛え抜かれたこの肉体は、何者だろうと貫けぬ」
そこに立ちはだかるのは、2m近い巨漢の偉丈夫、コロッサス・ロードス(金剛神将・f03956)だ。
コロッサスはそのまま敵の注意を引き付けながら、返す刀で一転攻勢に出る。
「――我、神魂気魄の閃撃を以て獣心を断つ」
破邪の力を纏いし剣に、コロッサスが溢れんばかりの闘気を籠める。すると紅き神火が顕現し、闇を払うが如き暁の輝きが剣に宿る。
剣を大きく振り被り、溜めた力を放出させた超高速の斬撃が亡霊に叩きつけられる。その凄まじいまでの破壊力により、敵は跡形残らず消し飛ばされてしまう。
コロッサスの加勢も手伝って、やがて戦況は猟兵たちに大きく流れが傾いていく。
「……許さねぇ。この塔も黒幕も、全部この手でぶっ壊してやるぜ!」
呪いが我が身を締め付ける、それでも鍬丸は、この事件の元凶を倒すという一心で、鬼の力を亡霊たちにぶつけて討ち払う。
刃が霊気の中心点を突いて裂き、刹那の太刀は痛みを伴う時間も与えぬ程に、亡霊は殺されたことに気付かないまま成仏されていく。
それがせめてもの慈悲であろうか――猟兵たちは残った亡霊たちも力を合わせて全てを倒し、剣を一旦収めると、心の中でその死を静かに悼む。
「かつて無残に命奪われ、更には憎悪と悔恨に囚われし哀れな魂よ。二度と戻らぬ身ならばせめて魂だけは風の如く自由に飛び往け」
そして願わくば、その“風”が全てを越え、嘗て彼らが愛した者達の元に届かんことを。
目を細め、天を仰ぎ見ながらコロッサスが願う。そして彼の隣では、鍬丸が感情を押し殺すように黙祷し、祈りを終えると眼光鋭く最奥の扉を睨め付ける。
「……俺は救世の勇者様でも何でもねぇ、単なる忍者崩れだ。死者を憐れんだり、慈悲を施す資格すらもねぇだろう」
故にこそ、御下命如何にしても果たすべし。
そのことが、忍びの自分に唯一できる、彼らに対する手向けだと――。
大成功
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第3章 ボス戦
『幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』』
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POW : 記録■■番:対象は言語能力を失った。
【夢幻の眠りを齎す蝶の幻影 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 記録■■番:対象の肉体は既に原型を留めていない。
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【数多の幻想が囚われた鳥籠 】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ : 記録〓編集済〓番:〓編集済〓
対象のユーベルコードに対し【幻惑し迷いを齎す蝶の群れ 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑17
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――目の前で、救えることのできなかった生命がまた散っていく。
あんなに苦しそうに助けを求めているのに、どうして僕は何もできないのだろう。
永劫の闇に囚われて、非業の死を遂げる運命でしかない哀れな生命。
怨みを抱いて死した魂は、決して救済されることはなく、今もこの世に未練を残して彷徨っている。
そんな可哀想な魂を、もうこれ以上増やしたくなんてない。だったら死ななくてもいいように、永遠に眠らせてあげたらいいんだね。
そうすれば、きっと苦しむ人は誰もいなくなるんだから。
『それ』が人々にとっての救いの道であるのなら、僕はその為に――。
……どうやら邪魔者が入ってきたようだ。
僕はこんなに彼らを助けようとしているのに、そのことが分からない人もいるんだね。
それならそいつらにも視せてあげようか。
安らかなる夢幻の眠りを、醒めることなき永久の死を――。
栖夜・鞠亜
この世界にオブリビオンが現れなければこんな事にはなってなかったと思う。 オブリビオンが全て消えて無くなればいいのに何でそんな面倒な事をしてるの?
ともかく、早く目覚めさせて手遅れになる前に薬も手に入れなきゃいけないんだからさっさと死んで。 鞠亜は得意の銃を使う、距離はなるべく離す。 見るからにあの手にある鳥かごみたいのが奴の武器っぽいしアレの動きには注意する。 距離を置いていても屋内だし、防御にはユーベルコードを使う。
他の猟兵があの鳥かごの能力に苦戦しているようなら、鳥かご自体を狙撃して破壊するか手から離せるか試してみる。
髪塚・鍬丸
「生きて苦しむくらいならずっと眠ってる方が幸せ、ってかい?そうはいかねぇ。今どれだけ絶望的だろうと、この世界は俺達猟兵が救う。それで皆助かる。それだけの簡単な話さ。」
【求蓋の外法】使用。【先制攻撃】【誘導弾】で手裏剣で攻撃。
無効化されるなら「あの技……空蝉の術の類か。ならば、読める」
脱力状態でないと使えないなら他の仲間と連携する。
敵が誰かを攻撃した瞬間に敵を攻撃すれば脱力は出来ない道理だ。【援護攻撃】【見切り】【暗殺】でタイミングを見計らう。
上手く連携出来そうな相手がいなければ【影分身の術】、分身とお互い敵の死角に回り【2回攻撃】で連携。
「絶望を受け入れるのは救いじゃねぇ。人間をなめるなよ」
猟兵たちが扉を開けたその部屋は、時計塔の巨大な時計の裏側になる。
正面の壁には、真裏から見る巨大時計のシルエット。天井を見上げれば、時を報せる鐘が吊り下げられてる。
そして彼らの前には、元凶たるオブリビオン――単眼の幻想術師がその姿を現した。
猟兵たちの襲撃にも動じることなく、悠然と佇む様子は、どこか得体の知れない威圧感すら感じる程であり。それほどまでにこの異形の存在は、猟兵たちにとっても脅威の敵と言えそうだ。
死の運命にある者を救おうとする、しかし永遠の眠りを与えることが、真に救いを齎すとは限らない。そもそもこの世界にオブリビオンが出現しなければ、人々の生活はもっと豊かなものであっただろう。
「ともかく、村人たちを目覚めさせ、手遅れになる前に薬も飲ませてあげなきゃいけないんだから――さっさと死んで」
開口一番、栖夜・鞠亜(ダンピールのマスケティア・f04402)が幻想術師に銃を向け、問答無用とばかりに引き金を引く。
鳥籠を狙って発射された弾丸は、一直線に向かって、命中するかと思ったその寸前――障壁のような力で弾が跳ね返されてしまい、鞠亜は不機嫌そうにチッと舌打ちしながら、再び弾を詰め直す。
「生きて苦しむくらいならずっと眠ってる方が幸せ、ってかい? そうはいかねぇな」
この世のあらゆる苦痛から、人を救おうなどと思っていても、所詮はオブリビアンだ。
結果的には絶望を上塗りするだけのものだと、髪塚・鍬丸(人間の化身忍者・f10718)は心得て。残影たちの時と同様に、非情の心でオブリビオンに立ち向かう。
「――臨む兵、闘う者、皆 陣列べて前を行く」
鍬丸が呪文を唱えて印を結んで九字を切る、すると彼の背後に、もう一つの朧げな影が召喚されて、心の裡に取り込むように鍬丸の肉体と重なり合う。
それは自身の修行の末に至った未来の可能性。己の身体を委ねることで、相手の先を読み、動きを制することすら不可能ではない。しかも鞠亜の放った銃弾が、相手の脱力状態を解いた結果となって、技を無効化される懸念も消えた。
「今どれだけ絶望的だろうと、この世界は俺達猟兵が救う。それで皆助かる。それだけの簡単な話さ」
外法の力で戦闘力を向上させた鍬丸が、一瞬の隙を狙って手裏剣を投げてオブリビオンを牽制射撃。だが対する敵も、幻想術師の名の如く、幻惑の術を用いて猟兵たちに襲い掛かる。
オブリビオンの閉じた瞳が薄ら開かれる。その目は鍬丸が外法を発動させる瞬間を捉えていたのだ。そして鳥籠から蝶の群れが放たれて、鍬丸に迷いを齎し力を相殺させようと――しかしその時、鞠亜が咄嗟に割り込み、銃を振り回して幻の蝶を払い除ける。
「消えていなくなってもらうのは、むしろそっちの方だから」
淡々とした喋り口調で、鞠亜が冷たく言い放つ。
彼女が守りに徹している隙に、鍬丸が身体を屈めて低い姿勢から、気配を消してオブリビオンに向かって飛び込んでいく。
「絶望を受け入れるのは救いじゃねぇ。人間をなめるなよ」
静かな怒りを声に滲ませながら、熱き正義の心を刃に乗せて――纏った黒装束を翻し、太刀と苦無の二刀で幻想術師の異形の体躯を斬り刻む。
大成功
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エン・アウァールス
閂(f04541)と協力
▼攻撃に専念
予め姿を隠し、様子を伺う。
閂が敵の注意を引いている隙に【暗殺】を試みる。失敗ならば「降魔化身法」を使用。鋸による近接攻撃、手裏剣による遠距離攻撃を合わせ、相手に見切られないよう注意。敵の負傷箇所を狙って【傷口をえぐる】。
▼心情
キミが村人を眠らせていたんだね。どうして殺さずに、そんな悠長なことをしているのかな?
一一 助けてあげたい、と?
へえ。
キミたちも、そんなことを思ったりするんだね。意外だな。
……少し、羨ましいよ。
でも、ごめんね。
キミが何を感じて、何を考えていようとも。エンはキミを殺すだけなんだ。そうお願いされているからね。
▼アドリブ歓迎
閂・綮
エン(f04426)と協力
◆回復・陽動を行う
気配は隠さず堂々と敵の前へ。室内の様子を観察しつつ、戦闘開始後は「生れながらの光」で回復を行う。
襲い来る蝶には、自身の操る鳥人形で対抗。鱗粉一枚も残さず、啄んで【掃除】する。【フェイント】も合わせ、エンが致命傷を与えられるように支援する。
◆心情
夢を見続けることが、救いか。
お前が行なっていることは、生を諦め緩やかな死を受け入れろ、ということだろう。
……笑わせるな。
人の枠外に在るものが。
人の生死の秤を動かすなど。
失せるがいい。
お前の出る幕ではない。
◆アドリブ歓迎
「キミが村人を眠らせていたんだね。どうして殺さずに、そんな悠長なことをしているのかな?」
エン・アウァールス(蟷螂・f04426)が幻想術師に問いかける、その言葉に怒りや悲しみといった感情などはなく、ただ思った疑問が口をついて出ただけのこと。
だがエンが幾ら問いかけようと、幻想術師は何も語らない。
言葉も形も失くしたが、唯一失わなかった心の欠片が、幻想術師の行動理念となって凝縮されて、全てはその為だけに動いているのだ。
――僕はただ、苦しむ人を救ってあげたいだけなんだ。
幻想術師の心の声を現すように、鳥籠から色鮮やかな蝶が放たれる。
空へ羽搏く蝶たちが、描く淡い光は夢幻の眠りを齎して、猟兵たちを醒めぬ夢の世界へ誘おうと飛び回る。
「へえ。キミたちも、助けてあげたいなんてことを思ったりするんだね。意外だな」
穏やかな笑みを浮かべつつ、エンは尚も幻想術師と語ろうとする。
しかし言葉の通じぬ化生のモノが相手とあって、紡ぐその声は、まるで独り言でも言っているかのようでいて。エンはそうすることで、ただ自分を納得させているだけなのかもしれない。
「……少し、羨ましいよ」
感情の一部が欠落しているエンにとって、他人を憐れむ心を持つオブリビオンには自分にない部分があると感じているのだろう。だからこそ、エンは素直に幻想術師に対して、羨望の念を抱くのだった。
「夢を見続けることが、救いか。お前が行なっていることは、生を諦め緩やかな死を受け入れろ、ということだろう」
閂・綮(マヨヒガ・f04541)のオレンジ色の瞳に映るのは、朧げな光を振り撒きながら飛び交う蝶の群れ。
儚い生命を憐れむように、眠りに誘う蝶たちは――幻想術師の歪んだ心そのものだ。
眠り続けることが救済だと謳うなら、それは生を否定していることに他ならない。
「……笑わせるな」
綮が胸に燻る怒りを堪え切れずに吐き捨てる。そして蝶に向かって手を振り翳し、何かが光に照らされ煌いた。
それは十指に結んだ糸であり、その先には鳥の形を成した人形が繋がれている。
「人の枠外に在るものが。人の生死の秤を動かすなど――失せるがいい。ここはお前の出る幕ではない」
綮は糸で結んだ鳥人形を我が身のように巧みに操って、群がる蝶の幻影を、鱗粉一枚残さず啄むように掃除する。
そうして蝶は忽ち二人の目から消え、綮はエンと顔を見合わせ頷いて、仕掛ける合図を送るのだった。
「ごめんね。キミが何を感じて、何を考えていようとも。エンはキミを殺すだけなんだ」
――だって、そうお願いされているからね。
申し訳なさそうに頭を下げて謝るエンだが、それはこれから相手の命を奪うから。
再び顔を上げた時、羅刹の青年は、爛々と金の瞳を光らせながら、呪法を用いて鬼の力をその身に宿す。
強大過ぎる力は彼の身体を蝕むが、綮が聖なる癒しの光で呪詛の痛みを和らげる。
友の力も借りながら、心に鬼を侍らす青年は、無骨な鋸刃の剣を獲物目掛けて振り被り――狩りの時間を開始する。
大成功
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白斑・物九郎
大きな世話なんスよ
人は寝たけりゃスキなように寝るんですっつの
寝る子と書いてネコと読む
こちとら一家言ありますでね
●WIZ
(攻防に際して常時【野生の勘】ON)
――【砂嵐の王】!
中距離からザ・レフトハンドをブン回す
モザイク状の空間をバラ撒き畳み掛け、ひたすら攻撃
相手の相殺技、さては見られる度に率がアガるヤツっスか
なら「見せない」に限りまさ
この通り「見せる」けども「見せない」――
とびきりゴチャゴチャに見えるように仕立てたこのモザイク模様
おたく、ホントに「見え」ますかよ?
地形を塗り潰したモザイクの中を【残像】で伝いながら接近
あの単眼目掛けて魔鍵で【目潰し】を叩き込んで、ますます見らんなくしてやりまさァ!
皐月・灯
可哀想な魂を増やしたくないから、永遠に眠らせる……だと?
はっ、論理の飛躍も甚だしいぜ。
「てめーは可哀想な魂の代わりに、どこにも行けねー魂を増やしてるだけだ」
手前勝手な憐れみで、死に際に喚く最後の自由すら奪って、先のない闇に押し込めた。
挙句の果てに……まだ助かる命すら巻き込んだろ。それも憐れだから、か?
……気に食わねー。
てめーのやってることは絶対に正しいと思い込んで、関係ねーやつに押し付ける。
そいつの人生を捻じ曲げることになろうがな。
その歪んだ憐憫……ブッ飛ばす。
オレは【見切り】で攻撃をかわしつつ、【カウンター】で強烈な一発を叩き込む。
《轟ク雷眼》ならヤツの動きを止められる。後の追撃も容易いぜ。
時計塔に響き渡る剣戟の音は、オブリビオンの生命の時間の終わりを刻む。
例え人の生命を奪わず生かしたままにしておいたといえども、相手はオブリビオンだ。
ソレを狩るのが猟兵たちの使命だと、このまま撃破を目指して一気呵成に攻め立てる。
「大きな世話なんスよ。人は寝たけりゃスキなように寝るんですっつの」
オブリビオンのしていることは、所詮は善意の押し売りだとでも言いたげに。白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は相手がどれだけ理屈を捏ねようと、結局自己中心的な理想論だとぶっきらぼうに切り捨てる。
「ちなみに寝る子と書いてネコと読む。こちとら一家言ありますでね」
猫のキマイラである物九郎にとって、その点だけは決して譲れない。
それはさておき、戦いは佳境に入り、互いに熾烈を極めた攻防戦が繰り広げられる。
「――ワイルドハントの狩り、見せてやりまさァ」
物九郎の左腕に浮かぶ白い虎縞模様の刻印が、光ると同時にモザイク状の空間が作成されて、間合いを取りつつ幻想術師に向かって投げ飛ばす。
「可哀想な魂を増やしたくないから、永遠に眠らせる……だと? はっ、論理の飛躍も甚だしいぜ」
オブリビオンが抱く思想には、皐月・灯(灯牙煌々・f00069)も呆れるように冷笑し、だったらこの手で止めるまでだと闘志を昂らせて立ち向かう。
自分勝手な憐れみで、死に際に喚く最後の自由すらも奪い、先のない闇の中へと押し込めてしまう。更には挙句の果てに、助かる命までもを巻き込んで――。
「それも憐れだから、か? てめーは可哀想な魂の代わりに、どこにも行けねー魂を増やしてるだけだ」
考えれば考えるほど、やり場のない怒りの炎が灯の心の中で燃え盛る。
手の甲に刻まれた魔術回路が灯の心と直結し、思念と外界を繋いで眩い光が溢れ出す。
「……気に食わねー。てめーのやってることは絶対に正しいと思い込んで、関係ねーやつに押し付ける。そいつの人生を捻じ曲げることになろうがな」
灯に集まる魔力に幻想術師も警戒心を抱いたか、鳥籠の蝶を飛ばして相殺しようとするものの、未だ見ぬ技に対してその効果は発揮されることはなく。
対照的に相手の技を見切った灯は、滾る闘気を拳に注いで握り締め、集束させた魔力を雷に変えて迸る轟雷を撃ち放つ。
「その歪んだ憐憫……ブッ飛ばす。アザレア・プロトコル3番――《轟ク雷眼》!!」
拳を突き出し一直線に撃ち込まれた雷撃は、幻想術師に躱す時間を与えず直撃し、敵の念液状の体躯に雷が奔って身体機能を麻痺させる。
「おたくのその技、見ていて率がアガるっつーなら、俺めの技も『見え』ますかよ?」
ここまで物九郎が放ってきた技は、その全てが幻想術師を狙ったわけではない。
地面や壁を輪郭の狂ったモザイクで塗り潰し、モザイク模様に仕立てた空間が、物九郎の戦闘力を増強させる役目を果たす。
モザイクの中を残像で伝いながら距離を詰め、巨大な魔鍵を携え突撃を掛ける物九郎。
「おたくが望んだ夢の世界、二度と見らんなくしてやりまさァ!」
幻想術師の単眼目掛け、渾身の力を込めて鍵を突き刺すと。幻想術師の瞳から、光の粒子が舞って飛び、身体は熔けて蒸発し、最期は儚い夢のように消え散った――。
幻想術師が消滅したと同時に、時計塔の鐘が鳴り響く。
空まで届くようなその荘厳なる音は、猟兵たちの勝利を告げて、オブリビオンの恐怖に支配されていた人々の、解放を祝福するのであった――。
大成功
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