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大海の淑女、欠片を欲す

#サムライエンパイア #【Q】 #レディ・オーシャン


●沈む世界。
「エンパイアのみなさん、こんにちは〜☆」
 その声は突然に響きわたった。視線を向ければそこにいたのは一人の女。
「わたしのなまえはレディ・オーシャン☆ と〜ってもわるいかみさまなんですよ〜☆」
 何者なのか。どこから来たのか。何が目的なのか。
 それは一切わからないが、女は構うことなく言葉を続けた。
「いまからここを「海にする」ので、がまんしてくださいねん☆」
 そして言葉と共に、一瞬にして村は海の底へと沈んだのだった。

●新たなる夜明けの為に。
「諸君! ヒーローズアースでの戦い、見事であった! 諸君らの活躍によってカタストロフは回避された! その熱も冷めやらぬうちであるが、此度も力を貸してもらいたい!」
 ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド(黄金存在・f16449)が猟兵たちを前に叫びをあげる。何らかの事件を予知したのであろう。
「今回ゴッドが予見したのはサムライエンパイア! そしてそこに現れるのは……レディ・オーシャンなのだ!」
 レディ・オーシャン。アースクライシス2019でも様々な場面でその名を耳にした、ジェネシス・エイトの一人。だが、彼女が現れると予知されたのはサムライエンパイアだという。
「ゴッドも何故奴が別の世界に現れたのかはわからん! しかし、その行いを放置すれば大変なことになるのは間違いない!」
 謎は尽きないが、目前に迫る脅威は払わねばならないということだ。

「では、予知した状況を説明する! レディ・オーシャンはオーシャンボールなる巨大な海水の球を落下させ、村を海中に沈める! そしてその上で何らかの儀式を行い、何処かへと姿を消すのだ!」
 しかし、オーシャンボールの落下を止めることはできない。そのため、まずは村人たちに避難をさせてくれ、とゴッドは続ける。
「避難先は山の上の神社! ここならばオーシャンボールの影響も届かない! ちょうど新年の為の準備も進められているところだ! 手伝いをすれば村人たちの信用も得やすいかもしれんな!」
 天下自在符の存在もあり、村人たちは猟兵の言葉を疑いはしないだろう。だが、なにぶん突拍子もない話だ。避難をスムーズに進める為にもできる事はやっておいた方がいいのではないか、とゴッドは告げた。

「避難が完了した後のことを話そう! レディ・オーシャンの出現と共にオーシャンボールは落下し、周辺は海中に没したかのような光景へと変ずる!」
 そして辺りにはレディ・オーシャンが配下にしたエンパイアのオブリビオン達がうごめき、猟兵たちを阻むべく襲い掛かってくるという。
 それは、血肉に飢えた黒き殺戮者・禍鬼。
 彼らを突破しない限り、オーシャンボールの中心で儀式を行うレディ・オーシャンに攻撃を届かせることは不可能だ。
「海中に没する、と言ったが当然水中戦となる! 不慣れな者もいようが、十分に対策を取って臨んでくれたまえ!」
 禍鬼たちを打倒すればついにレディ・オーシャンとの決戦となる。
 儀式を阻止できずに彼女を逃してしまえばどのような影響があるかわからない。
 ここで全力で撃破してくれ、とゴッドは続けた。
 なお、オーシャンボールはレディ・オーシャンを倒す事ができれば霧のように消えてなくなる、との事である。
「気になることは多いが……まずは村人たちの安全と、儀式の阻止! 戦いの中でわかることもあろう! 強敵ではあるが、諸君ならばやり遂げてくれると信じているぞ!」


納斗河 蔵人
 お世話になっております。納斗河蔵人です。
 今回はサムライエンパイアでレディ・オーシャンとの戦いです。

 一章は日常ですが、村人たちの避難が主となります。
 避難先の神社でフラグメントにあるような内容やしめ飾りなどの準備を手伝ってあげると、喜ばれていろいろ捗るのではないでしょうか。
 二章は集団戦、三章はレディ・オーシャンとのボス戦になります。
 水中戦の対策があるとボーナスがつきます。また、ボス戦に先制攻撃などの特殊ルールはありません。

 それでは、プレイングをお待ちしています。よろしくお願いします。
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第1章 日常 『初詣に行こう』

POW   :    お守りを受ける。おみくじを引く

SPD   :    絵馬に願い事や目標を書く

WIZ   :    お賽銭を入れて、拝礼する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

 師走。
 誰もが忙しく走り回る年の瀬に、レディ・オーシャンの脅威が迫る。
 松や竹を集め、縄を締め、新たなる年を祝う準備。
 彼らを守る事ができなければそれらは全て無駄となってしまうだろう。
 よき新年を迎えられるよう、猟兵たちは動き出す。
 
 
 
クトゥルティア・ドラグノフ
※アドリブ共闘大歓迎

もう初詣の時期なんだ。なんだかんだ今年も早かったなぁって言ってる場合じゃないよね。
なんにしても、まずは信頼を得ないと避難は難しいだろうから手伝おうよ!
私こう見えて【怪力】持ちなんだよね!
重いものを運んだり、硬い紐を絞めたりなんておちゃのこさいさいだよ!
遠くのものは【シャーク・フィッシャー】で釣ってきたり、両手がふさがってるならサイコキネシスで運搬するよ。

そうやってある程度信頼を得れたら、【優しさ】と【コミュ力】で事情を説明。避難をするように伝えるよ。

楽しい初詣……といってもまだ先だけど、その邪魔はさせないよ!



「もう初詣の時期なんだ」
 忙しなく動き回る神社の人々を目にクトゥルティア・ドラグノフ(無垢なる月光・f14438)は時の流れの速さを感じていた。
「なんだかんだ今年も早かったなぁ……って言ってる場合じゃないよね」
 うっかり今年の出来事を振り返ってしまいそうになったが、それをするにはまだ早い。目前に迫る危機から村人たちを救わなくてはならない。
 村とは言うが住人の数はかなり多い。スムーズに避難を進める為にも信頼を得ることは重要だろう。
「楽しい初詣……といってもまだ先だけど。その邪魔をさせる訳にはいかないよ!」
 クトゥルティアはそう考え、作業を進める村人たちの下へと近づいていった。
 
「こんにちはー! 大変そうだね、手伝うよ!」
 山の中を村人たちがえっちらおっちら運んでいた長い竹を降ろし、休憩していたところに一声かける。
 しかしその姿を見た彼らはちょっと不安げな顔。
「あー、気持ちは嬉しいが結構重いぞぉ、これは」
 大の男が数人がかりで運んできた大物だ。猟兵とはいえ女性に任せて良いものだろうか?
「大丈夫、私こう見えて怪力持ちなんだよね!」
 が、そんな視線も何のその。クトゥルティアがひょいと担ぎ上げて見せれば村人たちも驚きの顔。
「ひょえー、めんこいのにすっごいなぁ」
「さっすが猟兵さんだぁ」
「ふふ、任せて任せて! さあいこう!」
「おう! あともうひと踏ん張りだ!」
 元気よく荷を運ぶ彼女に続き、村人たちも荷物を担ぎ上げて歩き出すのであった。
 
「よっこいしょ、っと」
「いやー、助かったよ」
「どういたしまして! ……あれ、あっちでは何をやってるのかな?」
 予定より早く運び終え、荷を降ろせば視線の先には女たち。
「これはしめ縄を作ってるんだよ」
「大きなものを作るから力もいるし、大変でね」
「面白そう! 何か手伝えることあるかな?」
「だったらここを……」
「任せて! 固い紐を締めたりなんてのもおちゃのこさいさいだよ!」
 言葉と共に輪の中に飛び込めば、一緒になってしめ縄を締め始めた。
 太い縄を曲げ、二つの縄を組み合わせる。
 数人がかりで行わなければいけないこの作業もシャーク・フィッシャーで釣り上げ、『サイコキネシス』で固定すればいつもよりもずっと簡単に、速く進む。
 作業の中でも彼女の持ち前の明るさにひかれてか、自然と笑い声があふれ言葉が飛び交った。
 そんな中で一人の村人がふと尋ねる。
「そういえば猟兵さんはなんでこの村に?」
「うんうん、実はね……」
「ええっ、そりゃ大変だ! みんなに知らせなきゃ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
まずは村へ行き声をかけます。
「神社で作業されている方々へ差し入れをしたいのですが、良いものはありませんか」
差し入れを入手したら、子供たちに運搬の手伝いを頼みましょう。
「沢山あるので私だけでは運びきれませんね。手伝ってもらえませんか?道案内もお願いします」
いいくるめとコミュ力を活用し、同伴する大人も含めてなるべく大人数で神社へ向かいます。
神社に着いたら差し入れを配りつつ、怪我をした人が居たら医術で治療します。
「大切な準備ですが怪我を押して作業してはいけません。釘打ちは代わります」
屋根部分なら空中浮遊で移動し、メカニック(組み立て)技術を応用して的確な位置へ釘を打ちます。



 その少年は、ふらりと村へと現れた。
「神社で作業されている方々へ差し入れをしたいのですが、良いものはありませんか」
 彼の名は、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)。いわゆる多重人格者として扱われる猟兵であるが、人格は任意で切り替え可能だ。
 「ロキ」と呼ばれる彼は物腰柔らかく、言葉を紡ぐ。
 その穏やかな笑みに村人たちも悪くは思わなかったようで、あれがいい、これがいいと口を開く。
 そんな中、一人の村人が提案する。
「注連縄が予定より早く綯(な)い終わったらしいからそれも一緒に持って行ったらどうだろうか」
「ほう、注連縄が……」
「猟兵さんが来て手伝ってくれたんだとさ。なんか不思議なことも言ってたらしいけどそっちはオラにはわかんねぇ」
 先に訪れたものが既に居たか。どちらにせよ手伝いはしつつも避難は進めなければならない。
 なるべく多くの人を山の上まで導きたい。大きな注連縄ならば人手も必要だろうと判断した。
「うーん、注連縄もですが差し入れも沢山あるので私だけでは運びきれませんね。手伝ってもらえませんか? 道案内もお願いします」
「持っていかなきゃいけないのは変わらないしな。どっちかというと手伝ってもらうのはこっちだろ」
 がはは、と笑うと村人たちとともに怜悧は山を目指すのであった。
 
 どこからきたの、何しに来たの、と子供たちに問われながら山を登る。
 大量の荷物、整備されているとはいえでこぼことした山道。
 加えて大人数、とくればバランスを崩すものも出てくる。
「いってぇ……!」
「大丈夫ですか」
 間髪入れずに怜悧が駆け寄る。彼には医術の心得もあるのだ。
「おいおい、大丈夫か?」
「軽い捻挫ですね。彼は私が診ますので皆さんは先に……転ばないようにお気をつけて」
「あんた、医者だったのか」
 村人たちが心配そうに駆け寄るが大したことはない、と告げると安心したようだ。
 再び歩みを進め、山頂へと向かっていく。
 しかし怪我をした当人はそうでもないようで。どうやら屋根に上って作業をする予定だったようだ。
「ああくそ、流石にこれじゃあ屋根には上れないなぁ……」
「大切な準備ですが怪我を押して作業してはいけません」
「あんた、何でもできるんだなぁ。色々任せちゃって悪いなぁ」
 困った時はお互い様ですから、などと言いながら怜悧はけが人を伴い神社を目指すのであった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ズァイ・コッペ
※絡みやアドリブOKです
※大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)に同行

【海神】
悪いことを海の名前でして
海に迷惑をかける事は海産物として許せないカニー!
相手はなんか凄そうだけどこっちにも生き神様タマエが居るカニィ。
折角だから戦いの前にタマエにお参りもしたいカニねぇ。

…とと、その前にまずはお仕事カニね。
お正月のお仕事は引く手数多。
生き物としての師匠、タマエのお使いとして困ってる人的に
ずばっと猫の手もといカニハサミでお手伝いカニィ。

特にお掃除ならUC「CAP」で、家具さんなどを蟹さん
にして埃やゴミをもぐもぐ。そのまま川で洗濯・虫干し・終われば元に戻せるカニィ。


大崎・玉恵
【海神】
初詣の準備じゃな、ちょうどわしの住む社でも行っておったところじゃ。
わしはさる地で土地神をしておる者。友を連れて手伝いに参った。

【威厳】【存在感】を以て神として対応。
祀られる神によって異なる部分はある故、何の神が祀られているのか聞いてしきたりに則り準備する。
わしが神体となっている社の形式は稲荷神。同じならばより捗ろう。
高所、重量のある物……注連縄等の設置には【石動手力雄】の神通力による【念動力】を以て行い力仕事を担う。
これだけでかなり助かるはずじゃ。
さらに、人手の必要な運搬作業にはずゎいの力による生物の召喚がある。連携して村人と打ち解けるとしよう。



「わしはさる地で土地神をしておる者。友を連れて手伝いに参った」
 山の上の神社。新年の準備で忙しなく動き回る村人たちを前に大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)は言った。
「ここにおわすは生き神様タマエカニィ。そしてズァイはズァイカニィ」
 そして共に現れたのはズァイ・コッペ(かにさん・f08081)である。両手の鋏を振り、玉恵の存在を際立たせる。 
 普通の人間が言ったのであればお前はなにを言っているのか、となったかもしれない。
 しかし威厳溢れる姿と輝かんばかりの存在感。その言葉は強い説得力を以って村人たちに響いた。
「これはこれは、ありがたい事です。我々は今……」
「ほうほう、初詣の準備じゃな、ちょうどわしの住む社でも行っておったところじゃ」
 手伝ってくれるというのならば断わる必要もあるまい。
 そんな村人たちの願いに玉恵とズァイは応え、新年を迎える手伝いと避難の準備を始めていくのであった。
 
 山を下り、村へとやってきたズァイはシャカシャカと動き回っていた。
 お正月の準備は引く手数多。どの家も慌ただしく時を過ごしていく。
「お嬢ちゃんこっちもお願いできるかなー」
「はいはいカニィ!」
 まだ告げてはいないが、オーシャンボールによって一帯が海に変わればその片付けにも時間はとられる。その分、今のうちにできる事を進めておくのは正解なのだ。
 ズァイはあちらこちらに走り回り、猫の手ならぬカニハサミで手伝いを進めていく。
「うーん、タンスを動かすのは流石に難しいかな?」
「そんなことはないカニィ! ズァイに任せるカニィ」
 掃除となれば大型家具も動かしたくなるもの。そんな大変な作業もズァイの手にかかれば……
「ひえーっ! タンスがカニに!」
「ちゃんと戻せるから安心するカニィ。埃やゴミももぐもぐするから楽ちんカニィ!」 
 言葉通りに、『CAP(クリスマスアカガニパニック)』によって変化した家具たちは掃除を進めていく。……元の姿に戻した時にそれらが何処に行ってしまうのかはわからないが。
「すごいなぁ、助かるよ。
「ふっふっふ、生き物としての師匠、タマエのお使いとして困ってる人の力になるのは当然カニィ。ところで、みんなに言わなきゃいけない事があるカニィ」
 言うべき時は今だ。ズァイは村人たちに脅威が迫る事を告げ、変化したカニたちを山の上に連れていくことを提案したのであった。
 
 一方、神社に残った玉恵はこの地に祀られる神たちへの決まり事やしきたりを問うていた。
「ほほう、なるほどな。ここにはそのような神が」
「はい、稲荷神はエンパイアでも様々なところで祀られてますからね」
 どうやら同類、稲荷神が祀られているようで、おおよそ玉恵の知る通りに準備を進めていけばよい様であった。
「うむ、わしもこれならば慣れておるからの。任せておくがよい」
「場所が違うとはいえ神様直々に手伝ってもらえるなんて、これはご利益がありそうだ。来年はいい年になるといいですね」
 エンパイアウォーの記憶も新しいこの世界。今またレディ・オーシャンの脅威も迫っているのだ。今年は厄年であったに違いない。
 だからこそ、新しい年は穏やかに過ごしてほしいものよな、と玉恵は思うのであった。
 そうして煤を掃い、拭き上げ、神社を綺麗にしていく。
 そうするうちに山道をえっちらおっちら何かを担いで登ってくる村人たちの姿。
「ほう、注連縄じゃな」
「ええ、先に訪れた猟兵さんのおかげで予定より早く出来上がりました」
「ならばわしもひとつ、力を見せてやらねばのう」
 注連縄は長く、大きい。重量も見た目通りで人の手で締めるのは容易ではない。
 しかし、玉恵が目を閉じ手を掲げれればふわりと縄は浮かび上がり社へと括られていくではないか。
 これぞ彼女の神通力、その力の発現『石動手力雄(イスルギノタヂカラオ)』である。
「おお、やっぱりタマエはすごいカニィ!」
 大量のカニと村人を引き連れズァイも神社へとやってきた。
「悪いことを海の名前でして、海に迷惑をかける事は海産物として許せないカニー!」
「そうじゃな、ずゎい。わしらがこの村を守るのじゃ」
 かちんと二つの鋏を打ち鳴らし、戦いの前に、と玉恵を拝むズァイ。その姿と村人たちを目に、二人は誓いを新たにするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリスティアー・ツーハンドソード
【海賊連合】の皆と行動

まずは神社のお手伝い……なんだが、僕の身体じゃできることがないな…
とりあえず手が足りない所に【戦乙女モリガン】を出して、僕は『存在感』を出しつつ村人の引いたおみくじの読み上げでもしようか。霊験あらたかな感じがするだろう?
勿論ただ読み上げるだけじゃなくて、アドバイスの中にユーベルコードの力を混ぜ「何があっても冷静でいるように」と、少しだけ村人の精神に干渉する。これで一時的に村が沈んでも村人がパニックを起こすことはないだろう。避難はできたけど集団ヒステリーで壊滅……なんて笑えないからね

後は……うん。ヘスティアもうちょっとこっちに居てくれない?何だか外堀が埋められそうな気がする


シノギ・リンダリンダリンダ
【海賊連合】
海を統べる者…片腹痛い二つ名ですね
グリードオーシャンについて早急に問いただす必要がありますが…まずは村人達の避難が先ですね

とりあえず村人の皆様にドヤ顔で天下自在符を出す

お忙しい所すみません。猟兵です
この村一帯が海に沈む。という噂を聞きつけ来ました
なのでこの神社を避難場所にしたいのですが…
突然の話で怪しいのも承知です。ですが、一刻を争う事態でもあります
というわけで、円滑な避難のためにも我々もお手伝いします!
さぁお前達!!やってしまいなさい!!

『礼儀作法』『コミュ力』全開で村人に語り掛けつつ
【キャプテンコード:ドラコ】で全員を鼓舞します
説得はキャプテンの仕事。ふぅ、いい仕事しましたね私


ヘスティア・イクテュス
【海賊連合】

オーシャンボール…止められないのは残念ね…
まぁ、それでも出来るだけ被害を抑えられるよう頑張ってみようかしら!
シノギ!代表として紋所?ドーン!と出しちゃって!

プチへス部隊を展開し神社でお手伝い
手数が必要、高所の作業は任せて頂戴、精一杯頑張るわ!…プチへス達が…

信用を得て、避難の際にも自力で向かうのが難しい人の手伝い
また、村が沈んじゃうから可能な限りの家財道具の運搬もね…

力が要るなら合体、ビッグヘスに合体して

因みにとものの剣のアリスティアー、わたしの運勢はどうかしら?(おみくじ引き)
後シノギはもう少し働きなさい


九重・玄音
【海賊連合】

村が海に沈むのは回避できない、と。なら私は避難誘導に専念しましょう。

オウガを倒す戦士である以上、他のアリスたち……いえ、他の人たちを励ますくらいの"鼓舞"はできるわ。
いつオーシャンボールが来るかわからないもの。『外界拒絶』で姿を変えて、要警戒しつつ避難誘導を行うわ。いざとなればこれで住民たちの盾になれる。

彼女を倒す倒せないは今は関係ない、出来うる限りのことをするよう呼び掛けるわ。
ここが戦場になってしまうと分かっているのなら、誰一人死なせる理由もないもの。


潦・ともの
【海賊連合】
シノギには名前+船長呼び

まずはシノギ達と神社に向かい信用と協力を得る為に行動
シノギの説明が終わった所で
この神社まで来ることが困難な者はいませんかと尋ねる
そういう者がいるのなら荷台や荷車の様なものを借り
UCフォースを使って運びます
驚かせないようにフォース+念動力で微かに浮かせたそれを引く形にします

アリスティアーの移動やお話をする間などに手を貸します
こうした地道な努力により『剣の所有者』認識を周りへと着実に定着させていく完璧なぷらんにんぐ!
いつかアリスティアーを私の剣として手に入れますの!



「海を統べる者……片腹痛い二つ名ですね」
 サムライエンパイアの地に降り立ち、つぶやいたのはシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)である。
「オーシャンボール……止められないのは残念ね……まぁ、それでも出来るだけ被害を抑えられるよう、頑張ってみようかしら!」
 それに続いたのはヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)で、迫る危機を知りながらも事前に防ぐことができない現実に歯噛みしつつも意気をあげる。
「村が海に沈むのは回避できない、と。まずは避難を優先するしかないかしらね」
「まずは神社の方に、協力を依頼してみてからというのはどうかな?」
 九重・玄音(アルターエリミネーター・f19572)が確かめるように言うと、潦・ともの(Wild Flowers・f04019)が方針について提案する。
「お、いいね。僕は賛成だよ」
 神社ならばまとめ役の様なこともしている場合も多いだろうし、と付け加えると、その手に握られたアリスティアー・ツーハンドソード(王子気取りの両手剣・f19551)がなるほど、と同意する。
「だったら……シノギ! 代表として紋所?ドーン!と出しちゃって!」
 ヘスティアの言葉にシノギが頷く。
 彼女たちはいずれも海賊だ。
 同じ船に乗るものばかりではないが、思うところは一つ。海をレディ・オーシャンの好きにはさせない、という事。
「向かうは山の上の神社。早速行きますよ」
 シノギの言葉に一同は神社へと向かったのであった。
 
 神社では新年の準備が着々と進められていた。既に社には注連縄が飾られ、門松の材料であろうか長い竹も境内に置かれている。
 屋根の上からはカンカン、と木づちを打ち付ける音。
 シノギは行き交う人の中、神主であろう人物のいる集団へと目星をつけた。
「お忙しい所すみません。猟兵です」
 仲間を伴いながらドヤ顔で天下自在符を示し、村人たちの耳目を引き付ける。ジャーン、という効果音が鳴りそうな様相である。
「おお、猟兵さん。いったいどうされましたか」
 神主の問いにシノギは語る。グリモアに予知された未来を。
「この村一帯が海に沈む。という噂を聞きつけ来ました。なのでこの神社を避難場所にしたいのですが……」
 一息で言い切ると、彼女は村人からの返事を待つ。魔王信長を倒した猟兵が天下自在符を示しているのだ。これは絶大な効力を持つであろう。
「ええ、ええ、聞いていますよ。村人の避難を進めてくださるだけじゃなく新年の準備も手伝ってくれるとか」
「突然の話で怪しいのも承知です。ですが、一刻を争う事態でもあります。私たちが……」
「あれ? シノギ、シノギ。ちょっとちょっと」
 と、そこで仲間の声。はたと気づく。
「今、なんと?」
「猟兵さんたちが何人か訪れて教えてくれたんですよ。あなたたちもこの村の為に駆け付けてくれたんですね!」
「…………」
 既に村人たちにその事実は伝えられていたのだ!
 ひゅう、と風が吹いた気がした。師走の風は冷たい。
「シノギ船長、あの……」
「というわけで、円滑な避難のためにも我々もお手伝いします! さぁお前達!! やってしまいなさい!!」
「あ、誤魔化した」
 ともあれ、やる事は変わらない。レディ・オーシャンが現れる前に村人たちの避難を完了させ、新年の準備を進めるのだ!
 
 なんだかんだと村の長達に話を通したことで話はスムーズに進んだ。
 既に猟兵たちが訪れていたとはいえ、避難の進みはさほど早くはない。
 切羽詰まった、というほどに時間がないわけではないが、のんびりしていられるほどにはレディ・オーシャンの現れる時も遠くはない。
 そこで海賊連合の面々は手伝いをしつつも、どちらかと言えば避難を進める事に主眼を置いたようである。
「この神社まで来ることが困難な者はいませんか」
 とものが問いかける。こういった時には子供やお年寄り、体が不自由なものは難儀する。それはどの世界でも同じだ。
 やはり村の中にそう言った人は少なくないようで、とものは聞きだした人々の家を地図に書きつけていく、
「僕の身体じゃできることも少ないし、神社に残る事にするよ」
 手の中のアリスティアーが言葉を発する。彼女は剣だ。道具やなにがしかの力を使う事でしか自力で動けない。ここに来るまでもとものが手に持ってきたのだから。
「あら残念ですの。今日はずっと私の剣だと思っていたのに」
「なんか怖いなそれ……あ、おみくじの辺りに置いていってくれるかな。ちょっと考えがあるんだ」
 とものはなにやら不満げだが、避難の手伝いにアリスティアーは確かに向いていない。望みどおりにぐさりとおみくじのそばに彼女を突き立て、山を下る準備へと移った。
「私も準備はプチヘス軍団の半分に任せて、避難のほうを手伝うわ。家財道具も移動しなければでしょうし」
 ヘスティアは同様に避難が難しい人々を手伝うつもりのようだ。『プチヘス部隊(プチヘスブタイ)』によって呼び出したロボの半分を残し、半数を伴い自分の担当範囲を確認する。
 ちなみにプチヘスとは、彼女に似た二頭身ロボでありなかなかに可愛らしい。戦闘能力もすごい。
「私も避難誘導に専念しましょう。自力で動ける人たちにも案内は必要だもの」
 玄音もやはりそちらに向かうようだが、人数の多い一般村民のほうに注意を向けたようである。
「僕も僕にできる事をやるから頑張ってきてくれよ」
「さあ、お前たち。海賊の時間ですよ」
 シノギはどうやら神社に残るようで。しかしその応援には力がこもる。
「避難誘導って海賊かなぁ」
「まあ、気合は入るわよね」
「海賊だって陸に上がる時間は必要だもの」
 なんだかんだと彼女たちも気合を入れて避難の手伝いへと向かっていくのだった。『キャプテンコード:ドラコ』の力は確かに強力らしい。
 
「さあ、プチヘス部隊。あの人たちを手伝ってあげて」
 おー、と声をあげたかは定かではないがプチヘスたちはわらわらと人々に手を貸し、家具を持ち上げる。……と、小さな体ではやはり重いものは簡単にはいかないようだ。
「家具自身に歩かせるなんて事はできないけど……こっちだって大物を運ぶなら」
 ヘスティアの号令と共に数体のプチヘスが集まり合体する。見た目はそのままに巨大化したその名はビッグヘス!
 お腹に刻んだ数字を増やし彼女自身からもちょっと見上げるくらいの大きさになったビッグヘスは軽々と家具を持ち上げるのであった。
 そうして、小さいものから、大きいものまで。二頭身ヘスティアがわらわらと、避難する人々と共に荷を運ぶ。
 そんな風に山を登る隣をガラガラと荷車が進んでいた。上に乗るのは足の悪いお年寄りや子供たち。
 揺れも少なく、まるで舗装された道を進むかの如く進むのには理由があった。
「もうすぐ神社につきますの。気持ち悪くなっている人はいませんか?」
 荷車を引くのはともの。彼女は『フォース』の力によって荷車を少しだけ浮かべ、道の凹凸に揺らされる事が無いよう安定させているのだ。
「お疲れさま。これで避難が必要な人もあと少しよ」
 坂の中腹で人々を誘導しつつ、二人に声をかけたのは玄音であった。
 彼女は『不動:外界拒絶(コンセントレイト)』の力を発動しつつ避難誘導へと集中していた。
 オーシャンボールの落ちる時間は予知されているが、それまでの間にも何があるかはわからない。
 纏うスーツを金属質な液体が流れ、いざという時はその身を盾に住民を守ろう、とする気概である。
「ここが戦場になってしまうと分かっているのなら、誰一人死なせる理由もないもの」
 そう、玄音は小さくつぶやいた。
 
「いいですか、お前たち。この無敵の海賊たちが……」
 避難を完了し、疲れた表情をみせつつある村民にシノギの声が響く。
 事前に安全な場所へやってきたとはいえ精神的負担はやはり大きい。この後起きるであろう戦いと村を襲う苦難を前に沈んだ気持ちになるのも当然だ。
 それを知ってか知らずかシノギは次々に声をかけ海賊がいかに素晴らしいかを伝えつつ、彼らを鼓舞していく。
「あなたの運勢は~~~小吉! 待ち人、来ず。勉学、よく励め……」
 一方、そんなふうに引かれたおみくじを読み上げるのはアリスティアー。
 突き立てられた剣の存在感は目を惹き、なんだか霊験あらたかな感じがするとおみくじを引くものも多いのだ。
 その言葉には『涙刃勅命詩(ティアーエッジ・プリンススペル)』の力も載せられ、「何があっても冷静でいるように」と暗示を与える。
(避難はできたけど集団ヒステリーで壊滅……なんて笑えないからね)
 誰もが不安で、不安定。混乱を起こさないためにもこういった細工は必要なのだ。
 その視線の先では戦乙女モリガンが、プチヘスが。村人たちに茶を配り、その労をねぎらっていた。 

「避難は勿論だけど、新年の準備もあらかた片付いているようね」
 玄音がその光景に言葉を漏らす。村に取り残されたものはもういない。全員が避難を完了し、この山の上の神社へとたどり着いたのだ。
「どうやら間に合ったようね。時間までは少し余裕があるかしら」
「そういう事ですの……あら、アリスティアーは一体何を」
 ヘスティアととものも猟兵達に合流すべく戻ってきた。予知された時間までは今しばらくの余裕がある。
「考えがある、とはこういう事でしたのね」
「へえ、おみくじ……いいわね、引いてみようかな」
 アリスティアーに手をかけつつとものが言えば、ヘスティアもおみくじに手を伸ばす。
「ああ、お疲れさま。首尾は上々のようだね」
「それで、とものの剣のアリスティアー。わたしの運勢はどうかしら?」
「とものの剣って……えーと、運勢は大吉、争いは……」
 そう読み上げる間もとものは手を離さない。
(地道な努力により『剣の所有者』認識を周りへと着実に定着させていく完璧なぷらんにんぐ!)
 とものの考えを悟ったか。たらり、と汗を流すような雰囲気がアリスティアーを包む。
「……うん。ヘスティアもうちょっとこっちに居てくれない? 何だか外堀が埋められそうな気がする」
 そんなやり取りをするところに、シノギが玄音を伴い現れる。
「お前たち、よくやってくれました。これで準備は万全、レディ・オーシャンが現れるのを待つだけです!」
 そんな姿にヘスティアはため息をつき、言うのだった。
「シノギはもう少し働きなさい……」
「なにを言うのですか。私は海賊の素晴らしさを説く事でですね……」
 
 かくして、猟兵たちの活躍により避難はつつがなく完了した。
 新年を迎える準備も前倒しで進んだことで、村がオーシャンボールの被害を受けても復興は年を越すまでには何とかなるだろう。
 しかしそれもあくまでレディ・オーシャンの企みを阻止すれば、の事だ。
 戦いを前に猟兵たちはその事を再び噛み締めるのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『血肉に飢えた黒き殺戮者・禍鬼』

POW   :    伽日良の鐵
【サソリのようにうねる尻尾(毒属性)】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    欲欲欲
【血肉を求める渇望】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ   :    鳴神一閃
【全身から生じる紫色に光る霆(麻痺属性)】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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「エンパイアのみなさん、こんにちは〜☆」
 その声は突然に響きわたった。が。
「あら、だーれもいませんね~☆ なにかあったのかな~☆」
 意外そうな顔をしつつもレディ・オーシャンは気にしない。村人がいようがいまいがやる事は変わらないのだ。建物も空になっていたが探し物はそこにはない。
 背後に控える禍鬼たちをちらりと見やり、彼女は続けた。
「それじゃ、あたらしいおともだちのみなさん~☆ わたしはここを「海にする」のでさがしものがおわるまで、じゃまされないようにみはっておいてくださいね~☆」
 その言葉と共にオーシャンボールが大地へと叩きつけられる。辺りの景色は海のように変わり、レディ・オーシャンとそれに付き従う禍鬼たちは海中へと沈む。
 中心で始められた儀式を守るように、口を開く事のないオブリビオン達は霆を響かせた。
 
 山の上の神社は海に沈むことなく、その光景を前に静かに佇んでいた。
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
機械仕掛けの妖精(20cmほどの人形)に意識を移します
「慌てずに、神社の中に居ましょう」
他の猟兵のお陰で落ち着いているようですが、怪我をした人がいたら医術で治療します

人格:アノン
「何か固そうだな…まぁ金属でもなきゃ喰えるから良いけどよ」
UDCを纏って黒狼の姿になる。風属性の触手を咥えて呼吸を確保。水属性の触手で水流を操って高速移動するぜ。霆は野生の感で回避、避けきれない分は雷属性の触手で吸収する。
「千切って中身から喰ってやるか」
水を刃のように操り部位破壊。断面に触手を突っ込んで怪力で引裂き喰らう。
「ヒャハハハ…水で薄まっちまうのが難点だなァ…次は地上で喰われろよ?」


クトゥルティア・ドラグノフ
※アドリブ共闘大歓迎

なんか泳ぐのには向いてなさそうな敵さんだけど、話では水中適応してきてるみたいだし、油断無くいくよ!

水中は私大得意だよ!
なんせ水性キマイラだもんね!
エラ呼吸だってできるんだよ!
【野生の勘】で攻撃を【見切り】、高速【水泳】で離脱!
普通の人なら水圧関係でできない急潜航や急浮上もお手のもの。
縦横無尽に泳ぎ回って撹乱するよ!

敵が孤立してきたら月影剣。
【怪力】をのせた剣技と仕掛けるのと同時に発動させて、【戦闘知識】で隙を見つけ次第そこを突くよ!
体が大きいことは地上では強いかもしれないけど、水中では逆に加勢になることもあるということを教えてあげるよ!



「ああ、儂らの村が……」
 オーシャンボールの落下は村人たちに少なくない動揺を与えた。
 知らされてはいても、猟兵たちが勝利すれば元通りになるとわかっていても。村が海に沈む光景を前に落ち着いてはいられない。
 不安が辺りを包む。
 そんな中、ふと声がする。
「皆さん、慌てずに。神社から離れないようにしましょう」
 その主は、小さなからくり人形だった。水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の人格の一つ、ロキは妖精を模したその身体に意識を移し、村人たちのもとに残ったのだ。
「怪我をした人はいませんか? もしいたらこちらに」
 その声を後に、オーシャンボールによって生まれた海へと飛び込む音がした。
 
 広がる海の中にはオブリビオン、禍鬼の群れ。
 その中心ではレディ・オーシャンが「これもおうちにもちかえりましょう〜☆」などと言いながら謎の儀式を続けている。
 儀式に呼応してか、海水は彼女を守るように渦を巻き、敵の攻撃を受けながらそれを突破するのは容易ではない。
「まずは、奴らを蹴散らさなきゃあいつまでは届かない、って事かよ」
「なんか泳ぐのには向いてなさそうな敵さんだけど」
 アノンの人格を表出させた怜悧の言葉に続いて、クトゥルティア・ドラグノフ(無垢なる月光・f14438)は禍鬼たちをぐるりと見渡し、言った。
「水中にしっかり適応してきてるみたいだね」
 その見立て通り、オブリビオン達はレディ・オーシャンの力により海中でも十分にその実力を発揮できるようになっていた。
「何か固そうだな……まぁ金属でもなきゃ喰えるから良いけどよ」
「え、食べる? とにかく、見た目に油断せず行くよ!」
 
 クトゥルティアは水棲キマイラである。エラ呼吸も可能で、泳ぐのはお手の物。「水中は私大得意だよ!」との言葉通りすいすいと海を泳ぎ、敵の間をすり抜ける。
 血に飢えたオブリビオン達は彼女を狙って金棒を振り回すが、その勢いも水の泡。捕らえる事はかなわない。
「そんな動きじゃ当たらないよ!」
 追いかけてくる禍鬼に言葉を残し、クトゥルティアは体をくねらせる。
 ぎゅん、と急潜行した彼女に追いつけるはずもなく、むしろ互いの金棒をぶつけあい邪魔をしあう始末。
 水中に適応したとはいえ、やはり水中戦では一日の長があったか。
「やるじゃねぇか。ぼやぼやしてるとオレが喰う分が無くなっちまう」
 その様子に怜悧も負けじと『触手式魔導兵器-シンフォニア(ショクシュシキマドウヘイキ・シンフォニア)』を発動、生まれた触手を身に纏う。その姿は黒き狼といったところで、様々な属性を宿した触手はそれぞれの特性を活かして動き出す。
「そらそら、お前たちの相手はあいつだけじゃねぇぞ」
 水の力を宿した触手がスクリューのように回転する。
 加速した怜悧は隙を見せた禍鬼に喰らいつき、伸ばした触手が刃となりその身に一閃。禍鬼は声をあげることもなく腹を切られた。
「千切って中身から喰ってやる」
 それで終わりではない。傷口に触手が入り込む。ぎち、といやな音がする。
 怜悧が力をこめれば禍鬼の腹が裂け、二つに分かれる。海中に赤き花が咲いた。
「ヒャハハハ……水で薄まっちまうのが難点だなァ」
 濁った色はしかし広大な海に溶け、その色を薄れさせていた。
「次は地上で喰われろよ?」
 怜悧は紫の目を光らせ、笑うのであった。
 
 血肉に飢えた黒き殺戮者たちはクトゥルティアに翻弄され、その飢えを満たすことはできない。
「それっ! これはどうかな!」
 どうにか喰らいついていた一体も縦横無尽に泳ぎ回る彼女に追いつけず、ついにその距離を引きはがされた。
「……」
 瞬間、鼓動のような音が海中に響き渡る。血肉を求める渇望の感情が限界を超え、禍鬼の体がぐんぐんと巨大化していく。
 海の底から、海上まで届くのではないかと思わせるほどの大きさ。その姿にクトゥルティアは言うのだ。
「体が大きいことは地上では強いかもしれないけど、水中では逆に枷になることもあるという事を教えてあげるよ!」
 言葉と共に掲げるは月明かりに咲く華の剣。
「父さんの愛用技、いくよ!」
 現れた『月影剣(ミラージュ・ソード)』が激流に舞う。
 禍鬼も負けじと霆を放ち、戦場は嵐のごとく。
 剣と霆はぶつかり合い、海中は激しい光に包まれた。
「おっと、そいつも喰らわせてもらう」
 が、そこに声が響く。怜悧だ。黒き体から触手を伸ばし、はしる霆は雷の力を宿したそれに吸い込まれその力を失っていく。
「やるぅ! さあ、この技の真価を見せるときだ!」
 霆より解き放たれた剣は縦横無尽に禍鬼へと降りそそぎ、その身体を余すところなく切り刻んでいく。
 巨大化した故に細かな動きに対応できず、暴れまわるばかり。
 その動きは彼女から見れば隙だらけ。必殺のときは来た。
「これで、とどめだーっ!」
 気合と共に飛び交う剣の中を駆け抜けたクトゥルティアは禍鬼の頭部から縦一文字に大剣を叩きつけ、その身を両断したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ズァイ・コッペ
【海神】
所持技能:「水泳」使用
使用UC:「フナムシレギオン」

前回はみんなやタマエの活躍で避難も無事終わったカニィ。
これで安心して戦えるカニっ!

さて…思ったより敵が海らしく無い…カニ?
ならば海産物要素でもこっちの勝ちカニィねっ!
カニとカミの連携。縁起物コンビを見るが良いカニィっ。

技能の水泳でかさかさ動き回りつつ、フナムシレギオンで
タマエの水を活かした反撃に敵を巻き込むために
距離を詰めようとしてくる敵をブロックカニィ。
フナムシだって地味に泳げる虫だしカニね。
ズァイ自身も、装備の蟹ハサミ砲で中距離からチクチク射撃。
所持してる技能:「先制攻撃」や「目潰し」で敵の強化と移動を
徹底的に邪魔するカニィ!


大崎・玉恵
【海神】
醜悪な鬼じゃのう。
……あれは、霆?
これは、使えるやも知れぬな。
ずゎい、ゆくぞ!

遠距離から【御社・出雲八重垣】を展開。社の結界でわしらの防御を高める。
すぐに多重結界は放たず。【念動力】で水流を操作。こちらから払い出しの流れを作り、ずゎいの攻撃を送り出しながら近づきにくい状況を作る。
痺れをきらし、霆を放った時が好機じゃ。
霆を放つ直前に舞扇を向け多重結界を展開。
……お主等、己が濡れている意識はないのじゃろう?
霆を結界で密封する。己の雷で焼け果てるがよい!
生き残っても、わしの結界の拘束とずゎいの攻撃は残っておる。万に一つはないと知れ。
息継ぎの道具等、ぐりもあ猟兵から借りられると万全じゃな。



「みんなやタマエの活躍で避難も無事終わったカニィ。思ったよりはみんな落ち付いてるカニね」
 ズァイ・コッペ(かにさん・f08081)は辺りをぐるりと見渡しほっとした表情を見せた。
 オーシャンボールの落下を目撃した村人たちの動揺は大きい。
 しかしパニックを起こしたり自棄になるようなものはいないようで、猟兵たちが彼らに与えた影響もまた少なくはなかったようだ。
「うむ、ずゎいや他の猟兵の行いの賜物じゃな」
 ズァイの言葉に大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)も満足げに頷く。
「これで安心して戦えるカニっ!」
「ああ、その通りじゃ。それにしても奴ら、醜悪な鬼じゃのう」
 言いながら海中にうごめく禍鬼の姿を眺めてみれば、紫の光が水面を照らす。
「……あれは、霆?」
「思ったより敵が海らしく無い……カニ? ならば海産物要素でもこっちの勝ちカニィねっ!」
 レディ・オーシャンの力で海に適応はしたものの、元は陸上にて活動していたオブリビオン。先の戦争でもその姿は何度か確認されている。
 海の中で霆とは、本来起こりえない自然現象。無理やり使っているのだとしたら……
「これは、使えるやも知れぬな。ずゎい、ゆくぞ!」
「わかったカニ! カニとカミの連携。縁起物コンビを見るが良いカニィっ」

 オブリビオン達はレディ・オーシャンを守るべく海中に漂う。
 紫に光る眼が何人にも邪魔はさせぬと辺りをにらみつける。
 しかしオーシャンボールの内部に、ほんのわずかな変化が生まれた。
「……」
 かさり、と音がした気がした。
 目をやればそこにいたのは一匹のフナムシ。
 オーシャンボールの中に住み着いていたのだろうか? だがどんな小さなものでも見逃しはしない。禍鬼の一人はサソリのような尾を振り、フナムシを叩き潰した。
 しかし、再び顔をあげれば、フナムシの群れが次々と彼らに向かい漂ってくるではないか。
 再び尾を振るう。振るう。
「フナムシだって地味に泳げる虫だしカニね」
「うむ、よいぞずゎい。このまま続けるのじゃ」
 そして、その姿を遠くから見つめる目があった。
 もちろん、これは自然現象などではない。
 ズァイは海産物らしく海中を漂いながら、玉恵は扇を振り舞いながら。ズァイの『フナムシレギオン(キョウノオヤツ)』によって召喚されたフナムシを、玉恵が念動力で作り出した海流でオブリビオンのところまで送り込んでいるのだ。
「……」
 その姿に禍鬼たちも気付いた。怒りにその身を震わせ、血肉を喰らわんと海底を蹴り沈んだ家の屋根を越え、木々の合間を二人のいる方へ向けて駆け抜ける。
 彼らの周囲では紫の霆が弾け、それに触れて動きを止めたフナムシたちは無抵抗で海流に流されていく。
「距離を詰めようとしてくる敵はブロックカニィ」
 そのまま近づいてくるのを見ているだけではない。ズァイはフナムシたちに命じて禍鬼の行く手を阻み、かさかさと泳ぎ回りながら手のハサミから勢いよく水を撃ち出す。
 敵もじわじわと距離を詰めてこそいるがその歩みは遅い。霆の射程に二人を収めるにはまだ遠い。
 だが、一歩、二歩。攻撃を受けながらもその渇望はとどまらず、ついに紫の光が玉恵の肌にピリピリとした感触を感じさせた。
 にやり、と禍鬼たちの口が大きく歪む。
 眼の、口の。紫の光がより強くなる。
「……お主等、己が濡れている意識はないのじゃろう?」
 電流を放とうとした瞬間。玉恵の舞扇がぴたりと禍鬼へと向けられる。
「……!」
「霆を結界で密封する。己の雷で焼け果てるがよい!」
 それと同時。ばん、と海中に音が響く。
 禍鬼は霆の光に弾け、その身を焦がす。『御社・出雲八重垣(ミヤシロ・イズモヤエガキ)』の作り出した結界が彼らを捕らえ、行き場を失った霆が彼ら自身を焼いたのだ。
「誘われたことに気付かなかったようじゃな。所詮海への適応も付け焼き刃であったという事よ」
「やっぱり海は海産物のものカニィ!」
 ふわりと隣に降り立ったズァイがふふん、と鼻を鳴らす。
 その姿に玉恵も笑い、海底を歩み出す。
「さあ、このままあ奴らを蹴散らし、れでぃ・おーしゃんの企みを暴くのじゃ。ずゎい、ゆくぞ!」
「もちろんカニィ!」

 
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

潦・ともの
【海賊連合】

シノギは名前+船長呼び

私は泳いだことがないから、うん。此処は漁といきましょう
シノギのお船の上からアリスティアーを握りしめ

『了解ですのヘスティア!』

ヘスティアの網とアリスティアーの鏡を
UCフォース+念動力+見切り+第六感などを使って遠隔操作
敵を一網打尽にするべく火力担当の射線上へと追い立て集めます

アリスティアーのバフを感じれば『流石は私の愛剣!』とまるで逃がさないように握り直し

『シノギ船長!玄音!ド派手にお願いしますの!』

もしも避けたものや逃げたものなどいればフォースで釣り上げ
『アリスティアーほーむらん!!』
フルスウィングで再び射線上にぽぽぽーい


ヘスティア・イクテュス
【海賊連合】
わぁ~一面の海~って言ってる場合じゃないわね…
それじゃあ作戦通り。海の敵なら釣り上げましょうか!


シノギの船上、アベルをソナーに敵位置を【情報収集】し、その位置を皆に伝達


追い込むような位置にデブリ掃除用射出型投網を射出!
後は任せたわ、ともの!玄音は気負い過ぎよ!

敵が網の追い込み方向から外れないよう逐一敵位置、進路を伝達
釣り上がったなら皆に合わせてマイクロミサイルの【一斉発射】で!


九重・玄音
【海賊連合】

シノギ船長の船の先頭に立つわ。
狙撃準備。ヘスティアさんの情報を頼りに、『対地爆撃』で水平線の弧を描くように遠くへレーザーを発射。ついでに船の周辺に誘導弾を落とすわ。
狙いは敵をこちらに集めること。いわゆる"追い込み漁"よ。

相手はレーザーの雨を避けるために、雨を降らせていないこちら側へと寄って来るはず。
あとは仲間の力を信じるだけ。……責任重大ね。

美味しいところはあなたが持っていきなさい。今は援護で十分だから。


アリスティアー・ツーハンドソード
【海賊連合】の皆と行動
追い込み漁というヤツか。僕の切れ味を見せられないのは残念だが、まあ次の楽しみにするとしようか

選択UCを発動して担い手であるともののフォースを強化、片腕と融合して基本出力と精密性を底上げしよう。
ついでに相手がヘスティアの網から逃げられないよう【ブレイクミラー・ホッパーション】を逃げ道に設置し、網を避けようとすれば逆に網の方に弾き飛ばされるようにする、範囲攻撃でまとめて砕いても反発力が海流を作って押し流すから問題はないだろう

バット扱いはいいとして、一応皆の王子様なんだけどね僕は


シノギ・リンダリンダリンダ
【海賊連合】
さぁさ。海と言えば海賊。海賊と言えば略奪!
レディ・オーシャン。お前の命と、探している物。全て奪って差し上げましょう!

さぁ海賊の時間です!36の海を駆けましょう、略奪の限りを尽くしましょう!!海賊団しゃにむにー(+α)、出航です!
【幽玄な溟海の蝗害】で海の上にガレオン船を召喚
仲間を乗せて飛び出します

お前も水中特化の性能ではないでしょう?我々もです
でしたら無理に同じ状況になる必要はない。得意な場所で待てばいい
そうです、皆様!いい動きです!!

吊りあがった敵に向け、大砲に詰め込んだ死霊騎士を発射!
制圧射撃+範囲攻撃+乱れ撃ち!
多少の融通は騎士が動いて調整してくれます

グッド!大漁ですね?



 ざばん、とオーシャンボールに波があがる。
「わぁ~一面の海~」
 神社の目前まで迫る海。見渡す限り沈んだ世界。
 その光景にヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は驚きのような、呆れのような声をあげた。
「って言ってる場合じゃないわね……」
 そう漏らすと同時、ぐらりと大地が揺れる。いいや、違う。これは船だ。無敵の海賊船、シャニムニーだ。
「さぁさ。海と言えば海賊。海賊と言えば略奪!」
 舵を握るはシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)。『幽玄な溟海の蝗害(ウェイクアップ・シャニ・ムニー)』によって現れた船に乗り込んだ海賊連合の面々はオーシャンボールの海へと漕ぎ出すのだ。
「どこにでも海を作り出せるなんて便利ね。海水浴にすぐいけるわ」
 その船首に立つは九重・玄音(アルターエリミネーター・f19572)だ。エネルギー銃を手に海中を静かに見つめる。
「海水浴……私は泳いだ事が無いですの」
 潦・ともの(Wild Flowers・f04019)がその言葉に反応し、口を開く。その手にはアリスティアー・ツーハンドソード(王子気取りの両手剣・f19551)が握られていた。
「陸の真ん中にいきなりできた海で泳ぐのは海水浴っていうのかな」
 その辺りの疑問は解明される事はないだろう。レディ・オーシャンを倒せばオーシャンボールの影響は消え去り、この海は残らないのだから。
「さぁ海賊の時間です! 36の海を駆けましょう、略奪の限りを尽くしましょう!! 海賊団しゃにむにー(+α)、出航です!」
 シノギの声とともに海賊船はその中心に向けて動き出した。
 
 オーシャンボールに光が降りそそぐ。海賊船から放たれた光は天に向かい、次に海へと落ちて光の柱が立つ。
《お嬢様、左舷30m地点の海底に敵の群れを確認しております。進路上の危険ポイントは……》
「玄音、次はあっちを狙って」
 船上からそう指示を出しているのはヘスティアだった。『サポートAI端末 ティンク・アベル(サポートエーアイタンマツ・ティンク・アベル)』のサポートにより戦場の流れをコントロールしている。
 海賊は船に乗るもの。そして船は海の上を行くもの。
「でしたら無理に同じ状況になる必要はない。得意な場所で待てばいい」
 とはシノギの弁であった。そんな理屈で海賊連合はこのオーシャンボールにて、オブリビオンの追い込み漁を敢行しているのである。
「角度、63……行くわよ」
 まずは無差別に降りそそぐ光――玄音の『放射:対地爆撃(レイン)』が海底に潜む敵を動かし、海賊船のほうへと誘い込む。
 だが、無差別故に仲間の下へも光は襲い来る。
「シノギは次、取り舵!」
「揺れますよ。皆さん、この程度で音をあげないでくださいね」
 しかし、そこはアベルのサポートによってヘスティアが回避するルートを導き出し、シノギが見事な舵裁きで隙間を抜けていく。
 光がマストをかすめるが一発たりとも船には命中せず、光は海中へと没した。
 敵の存在に気付いた禍鬼はその身を海中に漂わせ、海賊船へと迫りくる。だが、これが海賊たちの狙いなのだ。
「よし、ともの! まずは鏡を展開する。奴らを逃がすんじゃないよ!」
「うん、此度は漁といきましょうアリスティアー」
 片腕をアリスティアーと一体化させたとものはいくつもの鏡を宙へ浮かべ、海中へと投下する。
 これはブレイクミラー・ホッパーションといい、割れると強力な反発力を生み出す鏡だ。これで敵の逃げ場をなくし、一網打尽にできるように追い詰めていこうという作戦だ。
「もう少し左……あとは下側に潜り込ませて……」
「これはあちらに……うん、アリスティアーのおかげで私の力も強まっていますの!」
 アリスティアーの『涙刃連結技(ティアーエッジ・コネクション)』によって強化されたとものが放つ『フォース』はヘスティアの指示の通り正確に禍鬼たちを取り囲む。
「ふふ、流石は私の愛剣!」
 海中で弾けた鏡の感覚を確かめながらとものは片腕の剣に手をやるのであったが、アリスティアーは何かぞわりとするものを感じる。
「私の、って……」
 しかしともあれ、敵は彼女たちの狙ったポイントへと集結しつつあった。
「よし、ヘスティア! そろそろ来るよ!」
「わかってる。それじゃあ作戦通り。海の敵なら釣り上げましょうか! デブリ掃除用射出型投網、射出!」
 その言葉と同時。ばっ、と網が放たれる。一体、二体……数体の敵は絡み合い、その動きを封じられる。
 しかし、それだけではいずれ振り回される尻尾が網を切り裂くだろう。その前に、勝負をつけねばならない。
「後は任せたわ、ともの!」
「了解ですのヘスティア!」
「いくよ、ともの! 存分に受けるといい、これが僕の真髄だ!」
 とものが念じれば、呼応するようにアリスティアーの刀身が輝きだす。
 絡めとられた禍鬼たちは海中よりざばりと浮かび上がり、と空に吊り下げられる。
 その姿にシノギはにっ、と笑い口を開く。
「グッド! 大漁ですね? ……お前も水中特化の性能ではないでしょう? 我々もです」
 海賊は海を行く。だからこうやって戦うのだ、と。
「……!」
 それはシャニムニーの砲台の目の前であった。尾を振り回し拘束から逃れようとするもののもはや遅い。
「シノギ船長! ド派手にお願いしますの!」
「お任せを。大砲、発射!」
 どうん、と大きな音がする。大砲より放たれるは……死霊騎士!
 二発三発と続けて放たれるがいずれも同様。剣を振り回し、ものすごい勢いで禍鬼へと突っ込んでいくその姿は恐れすらも感じさせた。
「多少の融通は騎士が動いて調整してくれます」
 いかにシノギが死霊術師とはいえ、このような扱いをされて彼らは怒らないのだろうか?
 ともあれ、その威力は絶大で捕らえられたオブリビオンは一体二体とこの活動を停止させていく。
「あっ、逃れたものがいますの! 逃がしませんの!」
 網の隙間から抜け出し海中へと逃れようとする者もいるがそうはいかない。フォースで引き寄せ、迫る体にアリスティアーを大きくフルスイング!
「アリスティアーほーむらん!!」
 その衝撃に再び砲弾飛び交う海上へと禍鬼は放り出され、攻撃の渦へとさらされる。
「バット扱いはいいとして、一応皆の王子様なんだけどね僕は」
 はぁ、とため息が聞こえたような気がした。
 
「それでは、次の獲物へと向かいましょう」
 敵の一群を蹴散らし、海賊船は再び動き出した。
 その船上で玄音はふう、と息を漏らす。
「敵を追い込んだ後は仲間の力を信じるだけ。……とはいえ、責任重大ね」
 最初の一撃が狙いを違えれば敵は無傷で船に向かうであろうし、そもそも船にも攻撃が降りそそいでいるのは先の戦いの通りだ。
 今回はうまくいったが、これを幾度か繰り返す必要があるのだ。プレッシャーを感じるのも当然かもしれない。
「玄音は気負い過ぎよ! うまく行ってるんだし、このままレディ・オーシャンまで一直線よ」
 その姿に気付いたか、ヘスティアが声をかける。サポートAIの助力があるとはいえ彼女もまたこの作戦の要だ。
 だが少なくとも、その重圧を表には出さずに気丈にふるまっていた。
「そうね、それくらいの方がいいのかも」
 その姿に玄音もふ、と表情を緩める。
 しかしその時、海賊船が大きく揺れた。
「おっと?」
「何かにぶつかったみたいですの」
 そこには何もないはずだった。しかし、数秒もしないうちにぐんぐんと、船の進路に巨大な影が差した。
「ふむ、水中でも海上でもなく……海底に立ちましたか」
 それは先ほど戦った禍鬼と同じ姿をしていた。しかし、その大きさはこれまでの比ではない。海面から半身を晒すほどの巨大さ。
「やれやれ、僕の切れ味は見せられないかと思ったが……どうやら、そうでもなかったようだ」
「大きくても私たちには関係ありませんの!」
 とものがアリスティアーを掲げ船首へと駆け降り権をふるえば、振り下ろされた禍鬼の尾が大きく宙を舞い海中へ没する。
「あんなに大きいのを見逃すなんてね。まあ、こういうこともあるわよ」
「それはそれで気負わなさすぎじゃない? ……まあいいわ、美味しいところはあなたが持っていきなさい。今は援護で十分だから」
「それじゃあ、遠慮なく。マイクロミサイル一斉発射!」
 玄音の一射が目を焼けば、ヘスティアが浮かび上がり背部から無数のミサイルを発射。禍鬼の全身が爆炎に包まれた。
「そうです、皆様! いい動きです!! このまま突っ込みますよ」
 舵がカラカラと回る。シノギの言葉通り、無敵の海賊船は敵の姿にひるむことなく海を行く。
 どのような敵もこの船を阻むことはできない。目指すは、この海の中心部。
「レディ・オーシャン。お前の命と、探している物。全て奪って差し上げましょう!」
 
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『レディ・オーシャン』

POW   :    ディープシー・ストーム
【激しく渦巻く冷たい海水の奔流】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    「邪魔が入らないようにしちゃいますね〜☆」
非戦闘行為に没頭している間、自身の【周囲を舞う膨大な海水】が【防壁を形成し】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ   :    ウォータージャベリン
レベル×5本の【海】属性の【当たったものを海水に変える水槍】を放つ。
👑11
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 オーシャンボール中心部。
 レディ・オーシャンは辺りの戦いを気にもとめず儀式を続けていた。
「あら、これもおみやげにしちゃいましょう~☆」
 儀式に没頭する彼女を守るように周囲を舞う膨大な海水は防壁を形成し、ここまでの戦いの音さえも阻んでいた。
 だが、それももう終わりだ。
 レディ・オーシャンの企みを阻止すべく猟兵たちが彼女を取り囲む。
「あら~、いつのまにかあたらしいおともだちがみんないなくなっちゃいましたね~☆」
 それでも余裕は崩れない。笑みを浮かべた表情も変わらない。
「でもでも、やっぱりわたしおうちにかえりたいので☆ じゃましないでくださいね~☆」
 猟兵たちはその言葉と共に強大な圧力を感じる。やはりその力は強大。油断できるような相手ではない。
 しかし彼女を逃がせばこの村は海に沈んだまま。それを許すわけにはいかないのだ。
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:アノン
水中対策は前章と同じ。黒狼の姿も継続
「アレがレディ・オーシャンってヤツか。流石に簡単には喰えそうもねェなァ」
重力属性の触手で相手の動きを阻害。敵UCは野生の勘で回避
「何か飛んできたな…家が消えた?っつーか、水になった?」
氷属性の触手で氷塊を作り、水槍に当てて防ぐ。周りの魚ロボも凍らせつつ、数百の水槍と氷塊が消し合い視界の悪い隙に光属性の触手で幻影を作り、本体は光学迷彩をかけて下から相手の後ろに回り込む。
「過重力な上に冷えれば動きも鈍るだろ」
幻影を囮にした騙し討ちで触手を巻き付け怪力で締め上げつつ、雷の属性攻撃でマヒ攻撃を狙う。怯んだら腕に噛みつき部位破壊で喰い千切る


クトゥルティア・ドラグノフ
※アドリブ共闘大歓迎

あなたは絶対に倒す。ヒーローズアースでやったみたいに、何時か大きな事件を起こす前に!

激しい海水の奔流を撃つんだね?なら蒼色月光だ!
当たれば痛いだろうけど、これは回避しやすいようにする為だけじゃない!
同じ海水故に見分けづらくするためのもの!
【戦闘知識】と【野生の勘】をフル活用して攻撃を【見切り】、そのタイミングで蒼色月光!
攻撃に混じりながら接近、油断しきったその顔を変えてあげる!

真の姿になりつつ指定UC、【怪力】でボコボコに殴り飛ばしてあげる!

人様に迷惑をかけておきながら、自分は目当てのもの見つけておさらば?
そんな美味しい話、あるわけないでしょ!
あなたのような人に!!



「アレがレディ・オーシャンってヤツか。流石に簡単には喰えそうもねェなァ」
 黒狼の姿の姿をしたアノン、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)はその力に気圧されることなくにやりと笑った。
 どれほど相手が強大だろうとやる事は変わらない。戦い、勝ち、喰らう。
「あなたもうみのなかまになれば、おいしいおさかながたべられますよ☆」
 だがレディ・オーシャンはその言葉にずれた言葉で返す。
「あなたは絶対に倒す」
 そんな態度にクトゥルティア・ドラグノフ(無垢なる月光・f14438)は静かに言う。その瞳に強い意志を宿して。
「ヒーローズアースでやったみたいに、何時か大きな事件を起こす前に!」
「う~ん、わたしはわたしでりゆうがあるので~☆ あなたたちのつごうはしりませ~ん☆」
 彼女は決して言葉では止まらないだろう。
 世界の未来のために、戦って勝つしかないのだ!
 
 レディ・オーシャンはその名に反せぬ巧みさで海水を操り、いくつもの大渦を作り出す。
「かけらをもってかえるには、もうちょっとじかんがかかるので☆ それまでながれにのってあそんでてくださ~い☆」
 さらには彼女の周囲に数多の水槍が浮かび、少しでも隙を見せればすぐにでも襲い掛かってくるだろう。
 いかな猟兵たちといえどもその激しさは容易に近付けるものでは無い。
 そんな中で最初に動き出したのはクトゥルティアであった。
「どんなに激しい流れだって!」
 水性キマイラである彼女はその身体を海水へと近付け、一体化する。
「操ることはできても、海そのものを作り変えている訳じゃない……」
 クトゥルティアの身体はいつしか溶け合い、海そのものと化していく。
 レディ・オーシャンから遠ざかる流れ、近付く流れ……海を操る彼女であっても片方の流れだけを作り出すことはできない。
 喉元へと届く流れを見極め、クトゥルティアは強大な渦を漂う。
 オーシャンボールに作り出された海であっても、それは冷たくも優しい――
 
 一方、怜悧は先の戦いに引き続き『触手式魔導兵器-シンフォニア(ショクシュシキマドウヘイキ・シンフォニア)』によって得た、水の力を宿した触手によって流れに逆らう。
 体が揺さぶられるがそれでもひるまず、時に押し流されそうになりながらも着実にレディ・オーシャンの下へと近づきつつあった。
「う~ん、しつこいですね☆ ようをすませてかえりたいんですけど☆」
「お前が自分で言ったんだろ。相手の都合なんか知らないってな」
 抵抗を続ける怜悧の姿に彼女もしびれを切らしたか。ちら、と見やると海を撫でるように手を振る。
「そんなあなたは、うみそのものになっちゃってくださ~い☆」
 その細い指に従うように。辺りを漂う水槍が流れに乗り、彼のもとへと襲い来る。
「ちっ、何か飛んできたな……だが当たるかよ!」
 ぐん、と触手を動かし体をひねる。その耳元を水槍がかすめるが当たりはしない。しかし、沈んだ家に槍が突き刺さった後の光景にはさすがの怜悧も驚きを隠せなかった。
「家が消えた? っつーか、水になった?」
 レディ・オーシャンの操る『ウォータージャベリン』は海の力により、当たったものを海水に変える。
「うみはいいですよ、おともだちがたくさんです☆」
「そのお友達をオレは食いたいんだよ!」
 一撃たりとも受けるものかと氷の触手を振るい数多の氷塊を作り出す。槍に触れた氷が海水へと戻る。氷へ、水へ、氷へ、水へ。
 レディ・オーシャンを中心に渦巻く海はやがて互いの姿さえも覆い隠す。
「さてさて、これでしばらくはだいじょうぶ☆ つづきをしないとですね~☆」
 その光景に満足したか。彼女はふたたび海底へと視線を移し儀式を始めんと手をかざす。
 
 しかし、そこでありえないはずの声が響いた。
「隙を見せたね、レディ・オーシャン! 油断しきったその顔を変えてあげる!」
 海流の流れを掴み、既にクトゥルティアはレディ・オーシャンの眼前へと迫っていたのだ。
 海水と化したその身体が実体を持ち、見慣れた彼女の姿へ――いいや、違う。
 この姿は。
「これでノックダウンだ!!」
「あっ、これはいけません~☆」
 その背に背負うは竜。サイキックエナジーは偽りなき心のままに大腕を振るう。
 レディオーシャンが焦りを見せたその瞬間、『月腕滅崩撃(ブレイズ・オン・バスター)』が彼女を捉えた。
 余りの衝撃に海水の操作さえままならない。
 その足が海底から離れ、浮かび上がる。
「う~ん、ざんねんですけど、まださがすところがあるので☆ さきにべつのところにいきましょう~☆」
「そうはいくか! オレがお前を逃がさねぇ!」
 諦めの言葉を漏らしたレディ・オーシャンだが、怜悧がそれを見逃すはずもない。
 彼女を喰らうべく回り込んでいた彼の触手がその足を掴んで離さない。
「雷の触手は痺れるだろォ!」
「あっ、びりびりします~☆ でも、これをたべちゃえばだいじょうぶ☆」
 流れる電流に動きを鈍らせながらもレディ・オーシャンはその手を巨大鮫メガドロンの頭へと変化させる。
 触手を食いちぎり、攻撃から逃れようというのだ。
「人様に迷惑をかけておきながら、自分は目当てのもの見つけておさらば? そんな美味しい話、あるわけないでしょ! あなたのような人に!!」
 しかし、接近していたクトゥルティアの大腕が再びその身体を殴りつけた。
 ぐっ、とレディ・オーシャンの身体がくの字に折れる。
「あっ~……☆」
 伸ばしたサメの顎は彼女を捕らえる触手を断つには至らず、攻撃から逃れることもできない。そればかりか。
「何よりなァ、喰らうのは俺のほうなんだよ!」
 黒狼の牙が、メガロドンへと喰らいついた。みちり、という音と共にその一撃は肉を喰い千切ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シノギ・リンダリンダリンダ
【海賊連合】
船を消し、ヘスティア様のUFOに掴まって移動
相手が見えたら楽しそうに笑う
やっと会えましたねぇレディオーシャン!お前が何を探しているかは知りませんが、グリードオーシャンについて知っている事をキリキリ吐いてもらいますよ!!

UFOから飛び降り、死魂略奪の外套を銛と鎖にして地面に刺し激しい海流に耐えれるようにしておく
『水泳』して移動しつつ、敵の海水の奔流がきたら【殴る】で破壊する
やわな攻撃ですねぇ?それでも海を統べる者ですか?大海賊の私に受け渡すべきでは?

海流を殴りつつ、接近できたら動きを『見切り』して腕を【殴る】
さぁ玄音様。トドメをどうぞ!

最後に「おみやげ」がなんなのか調べれたら調べる


九重・玄音
【海賊連合】

UFOから降りた直後にアーマード・ベルセルクに乗り直し。船長さんが張ってくれた鎖を辿って大海女を視認できる位置まで動く。誘導弾をあちこち散りばめつつ、視線を私以外へ誘う。アリスティアーさんが送ってくれた人形さん二人は両脇に待機させておきましょうか。
エーテルジャベリンを持ってランスチャージ。彼女の影でひっそりと溜め続けるわ。
大海女に大きな隙ができた時に、アーマード・ベルセルクをパージ。同時に人形さん二人と融合。胴体に全エネルギーを込めた『終手:絶滅魔法』を放つ。

骸にお還り。願望のために村を沈めた罪は、一生許されない。


アリスティアー・ツーハンドソード
【海賊連合】の皆と行動
出し惜しみなしで行く、僕を振るうなら使いこなしなよ
真の姿を解放、剣はとものに、二つの人型を玄音に預けて一人二役と行こう。人型の方は玄音の肩辺りにくっ付く感じかな、どちらにせよ自立移動できないからしっかり運んでくれよ?
発動タイミングは二人に任せるがその時が来たら【涙刃紅骸装】を発動、担い手と融合して時間制限付きの超強化を行おう

同時に【アリスランス・クリエイション】を発動して数百の槍でレディ・オーシャンの放つ水槍を迎撃しつつ相手が逃げられないように牽制射撃
【ブレイクミラー・ホッパーション】も併用して海流から鎖を守る盾と緊急時の加速装置としよう

悪いが君は帰れない、恨むなよ


潦・ともの
【海賊連合】
お胸は素敵だけれどその矜持の無さは度し難い

アリスティアーを握りしめ
ヘスティアのUFOに乗せて貰い自分も空中戦+見切り+第六感でタイミングを合わせ
アリスティアーの恩恵を攻撃ぎりぎりで発動して貰ってからの
UC『アブソリュートパワーブレイズ』+念動力で後に続く仲間のためにレディオーシャンの攻撃や防御、態勢を崩すのをメインに初撃を放ち
そのまま力溜めで仲間の攻撃を邪魔させそうになった場合、
または玄音の攻撃で削り切れなかった場合に備えて置き
2回攻撃+力溜め+全力魔法+捨て身の一撃+限界突破なアブソリュート・パワーブレイズを放つ!
『森羅万象、あらゆるものを薙ぎ払えアリスティアー!!』

アドリブ歓迎


ヘスティア・イクテュス
【海賊連合】

帰りたいって気持ちは分からなくはないけど
流石に村を沈めて…ってのは看過できないわね…
っていうかどさくさに紛れて火事場泥棒やってないかしら!?…水場だけど!

船に乗せてたS.F.Oに搭乗【空中戦】
全員、しっかり捕まった?全員が捕まってることを確認して
アクセルフルスロットル!目標、レディ・オーシャン!突撃!!

海水の奔流はタロスでバリア【オーラ防御】を鋭角の様に貼って勢いを受け流す感じで

突撃後はレッドアラートを鳴らしながら
後は皆頼んだわよと親指を立てながら海底へ



「う~ん、わたしはおうちにかえりたいだけなんですけどね~☆」
 さしものレディ・オーシャンもここまでの戦いで受けたダメージは大きく、片腕も不自由な状態だ。
 猟兵たちと戦いながら目的のものを手に入れるのは困難。かといって離脱も許さない。
 ならば。
「しかたありません、ぜんいんかたづけてからつづきですね☆」
 そう言うと深い海の底で嵐が起きる。激しく渦巻く冷たい海水の奔流があらゆるものを拒絶し、遠ざけていく。
 その為だけに振るわれる力は彼女を捕らえていた猟兵たちをも振り払い、渦の中心、海底にただ一人レディ・オーシャンの姿だけを残していた。
「ちかづいたらおしつぶしてばらばらにしてあげま~す☆ はやくあきらめてくださいね☆」
 ならば全力で叩き潰すのみ。目的はその後で果たせばいいのだ。
 その手の操るままに海は、オーシャンボールは猟兵たちに牙をむく。荒れ狂い、海上も激しく波をあげる。

「さあ皆さん、ここからは接近戦ですよ」
 シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)は海賊船を止めると操舵輪から手を離し、甲板へと降り立った。
 視線をあげるとそこにあったのはUFOである。
「ええ、ここから先はこれで行くわよ」
 これはS.F.O。プルトン人より鹵獲したUFOにSSWの技術を合わせたもの。
 その主であるヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)が、コン、とそのボディを叩いてみせるとそれを見た残りのメンバーも準備は万全、と笑ってみせる。
「この先は出し惜しみなしで行く。僕を振るうなら使いこなしなよ、アリスたち」
 アリスティアー・ツーハンドソード(王子気取りの両手剣・f19551)はその真の力を開放し剣としての体だけでなく少年と少女、二つの人型を顕現させていた。
 剣を手にするのは潦・ともの(Wild Flowers・f04019)だ。
「もちろんですの、アリスティアー。私の剣としてその力を示してみせる」
 とものは柄を握りしめるとひょい、とS.F.Oの円盤部分へと飛び乗り、戦いの時を待つ。
「私の相棒はあなたたちというわけね。頼むわよ、アリスティアー」
 振り落とされまいとする二体の人形を首に纏わりつかせた九重・玄音(アルターエリミネーター・f19572)も同様に。
 最後にシノギが鎖へと変化させた死魂略奪の外套を底部のフックに引っ掛けたのを確認する。
「全員、しっかり捕まった? それじゃあ行くわよ」
 声とともにヘスティアが操縦席に飛び乗ると、キャノピーが閉じられた。
 S.F.Oが音もなく浮かび上がり、それと同時。無敵の海賊船はその姿を薄れさせ、霧と波の中へと消えていく。
「アクセルフルスロットル! 目標、レディ・オーシャン! 突撃!!」
 ぐん、とGがかかる。『S.F.O突撃!(スペースフライングオブジェクトトツゲキ)』の合図だ。
 
 あらゆるものを拒む海流にS.F.Oのボディが叫びをあげる。
 機体への防御もそこそこに、防御衛星ガーディアン:タロスは巧みに角度をつけて流れを受け流し、海賊連合の仲間を守っていた。
 S.F.Oの表面はぐん、と音を立ててへこみ、水の圧力がその勢いを阻む。
 小さなUFO、その操縦席の計器は煙を上げ、レッドアラートが鳴り響く。
 それでもヘスティアは止まらない。操縦桿が重い。だが、この機体をレディ・オーシャンの下へと届かせるために。
 分厚く激しい水の壁。S.F.Oが大きく振られるが仲間だけは決して離さない。
 一瞬が永遠にも思えるほどの時間の波を越えて。
「帰りたいって気持ちは分からなくはないけど、だからと言って流石に村を沈めて……ってのは看過できないわよ!」
 気合と共に操縦桿が押し込まれる。
 嘘のような浮遊感と共に。ついにその煌めきはディープシー・ストームを突き抜けた。
「あら、あれはスーパープルトンさんの☆」
 その姿はもはや鉄塊が如く化していたが、確かにヘスティアは嵐を超えた。
「後は皆……頼んだわよ」
 キャノピーの向こうでヘスティアがぐ、と親指を立てる。
 防御をすべて海賊連合の為に回していたが故に、S.F.Oからの脱出はもはや不可能。
 ――あるいは、こうなる事を全員が察していたのか。
「ナイスですよ、ヘスティア様」
 彼女たちに迷いはない。シノギは鎖を切り離し、その先端を錨へと変えた。
 ぐん、と振り回された錨は海底へと向かう。その勢いに乗ってシノギは海底へと降り立った。
「ええ、あとは私たちが」
 その隣でずしん、と音がする。四脚の中型兵装、アーマード・ベルセルクを下半身へと接続させた玄音だ。
 繋がれた鎖を開放する。その先には、もう一人。
「任されましたの」
 アリスティアーを手にしたとものもまた鎖を辿り、海底へと足をつける。
「う~ん、しつこいですね~☆」
 レディ・オーシャンの後ろでS.F.Oが海底に大きくバウンドし、そのまま渦へと飲み込まれて消えた。
 
「やっと会えましたねぇ、レディ・オーシャン!」
 海を統べるものの姿を認め、シノギは指を突き付ける。
「お前が何を探しているかは知りませんが、グリードオーシャンについて知っている事をキリキリ吐いてもらいますよ!!」
「あら~、あなたグリードオーシャンにいきたいのかな☆」
 と、グリードオーシャンとの言葉にレディ・オーシャンも反応する。
「わたし、グリードオーシャンにかえるために『かけら』をあつめてるんですよ☆ てつだってくれたらつれていってあげましょうか☆」
 まさかの誘い。が、シノギはこれを一蹴した。
「生憎ですが施しは受けませんよ。海賊らしく、かけらとやらは略奪させてもらいます」
「あら、ざんね~ん☆」
 まったく残念でもなさそうな顔だ。
「お胸は素敵だけれど、その矜持の無さは度し難い」
 そんな姿にとものはぽつりと言う。アリスティアーを握りしめる手にも力がこもる。
「まったくだね、話し合いで決着がつくとも思えない。……悪いが君は帰れない。恨むなよ」
「シノギ船長がそんな話に乗る訳がないじゃない。言うだけ無駄よね」
 玄音がため息を漏らすとレディ・オーシャンも話に飽きたか。動きを見せる。
「だったら、はやくおわらせてしまいましょう☆ あとがつかえてますので~☆」
 言うが早いか彼女の背後には無数のウォータージャベリンが浮かぶ。当たったものを海水に変える水槍だ。

「そ~れ☆」
 海底の渦の中心で猟兵とレディ・オーシャンの攻防が続く。
 放たれた水槍がアリスティアーのアリスランス・クリエイションとぶつかり合い、海水へと変えていく。
「まったく、数が多い! 守ってばかりじゃじり貧だよ!」
 圧倒的な数ゆえにそれだけですべてを食い止めることはできないが、「アリス」の歩を進ませる助けくらいにはなる。
 ひるむことなく新たな槍を作り出し攻撃を阻んでいた。
「ええ、わかってますのアリスティアー。でも、もう少し……あなたの力を振るうのはギリギリまで……!」
 冷たい海水にその身を傷つけられながらも、とものの目に灯る意志は揺らぐ事はない。
 その力は一番有効な一瞬で爆発させるためのもの。
「フルパワーで撃てるチャンスは長くはないわ。だから……」
 同様に玄音もまたこの状況に焦らされながらも、心乱すことなくエーテルジャベリンに力をため続ける。
 傍らに控える二体の人形が彼女を守るべくブレイクミラー・ホッパーションを操り、迫った水槍をはじいた。
「まとめておともだちにしちゃおうとおもったんですけど……しかたない、ひとりずついきますね~☆」
 ウォータージャベリンでは埒が明かないと判断したか、レディ・オーシャンも動きを変える。
 海流が指先に集った。彼女はそれをまるで銃を撃つかのように猟兵たちへと向ける。
「ばっきゅ~ん☆」
 言葉と共にレーザービームが如き圧倒的速度で海水が猟兵たちへと放たれた。
 猟兵と言えどこれをかわすのは容易ではなく、当たれば一撃で倒されてもおかしくない。
 しかし。
「やわな攻撃ですねぇ?」
 シノギの拳はそれを受け止めるだけでなく、押し返した。いたって単純な『殴る(ナグル)』行為が必殺の一撃をも上回ったというのか。
「それでも海を統べる者ですか? その称号、大海賊の私に受け渡すべきでは?」
「ううん、すごいけど海賊関係あるかなそれ」
 アリスティアーがぼやくがこの結果は大きい。レディ・オーシャンは同様の攻撃をシノギへ向けて放ち続けるが、その全ては拳によって破壊し続けられている。
 これは好機だ。
「アリスティアー、今ですの!」
「ああ、ここが勝負の決め所だ!」
 とものの声にアリスティアーも応える。
「「王者の波動が天を砕く! あまねく力よ、私に集え!」」
 二人の声が重なった。『涙刃紅骸装(ティアーエッジ・ユニゾンベイン)』の輝きと共にとものの剣は竜の魔力と生命力を宿す。
 水中である事を忘れさせるほどの勢いで、彼我の距離は一気にゼロとなる。
「あらっ☆ はや……」
 レディ・オーシャンが口を開くよりも早く。
 アリスティアーが彼女へと一太刀を届かせる。
 ――だが、浅い。一撃で仕留めるには至らない。
「あぶないあぶない☆ あやうくやられちゃうところでした~☆」
 ふわり、とその身体が海中へと浮かび上がる。しかし、まだ終わらない。
「えっ?」
「オレが流されて終わると思ったかァ?」
 意識外からの攻撃。怜悧だ。黒狼から伸びた触手が身を躱したはずのその体を捕らえ、逃がさない。
 シノギが海流を破壊したことで、押し流された猟兵たちも再び戦場へと舞い戻ったのだ。
「言ったでしょ、あなたは絶対に倒すって!」
 クトゥルティアもいる。竜の拳がすさまじいパワーで振り降ろされた。レディ・オーシャンの体を海底へ撃ちつけ、大きな亀裂を作り出す。
「い、いけません~☆」
 この状態でも意識を保っている強靭さはすさまじい。再び海流を操り反撃を試みるが攻勢に出た猟兵たちは止まらない。
「そうですね、いけません。痛いので気をつけてくださいね」
 体勢を崩した彼女にシノギの拳が突き刺さった。
「ああっ……」
 いやな音をたてて残された腕も叩き折られる。これではもう海流を操ることもかなわないだろう。
「森羅万象、あらゆるものを薙ぎ払え、アリスティアー!!」
 逃げ場を失った体はもはや、とものが放つ高純度・高密度の魔力の奔流に抗えない。
 だが、アリスティアーの力ももはや限界が近い。タイムリミットはあと数秒。
「さぁ玄音様。トドメを!」
 シノギの言葉と同時にとものがふらりと倒れる。
「ええ。……骸にお還り。願望のために村を沈めた罪は、一生許されない」
 アリスティアーの残された力は二体の人形へとつぎ込まれ、その力は玄音へと融合する。
「私のために、私たちアリスのために、この力がある」
 エーテルジャベリンがぴたりとレディ・オーシャンを指した。アーマード・ベルセルクをパージ。
 鏡が弾ける音と共に駆けだした切っ先が突き刺さると、光があふれた。
 その輝きは『終手:絶滅魔法(ディストラクション)』。
「やられちゃいました~☆ ほかのてを、かんがえないと、です、かね……☆」
 光が消えた後。
 ふと猟兵たちが辺りを見渡せばそれまでの光景が嘘のように海は消え果て、そこには静かな村とそれを山の上から見守る神社だけがあった。
 
「結局、『おみやげ』ってどんなものだったんでしょうねぇ」
 儀式の中心部には数枚の大判小判に山のような謎のおもちゃ、よくわからない壺などが積み上げられていた。
 シノギはそれを見てつぶやく。中には価値の高いものもあるが大半はがらくたで、統一性がない。
「かけら、だっけ」
「まあ、あんな儀式をしてまで探していたんだからここにはないんだろうね」
 地中深く……いや、海底深くだろうか。その謎が解かれる日は来るのだろうか。
 拾い上げた小判を懐に仕舞い込むと村を見渡す。
 カニに変化した家具も家々へと戻り、水槍によって海水へ変えられてしまった家の修理もどうにか年越しまでには間に合いそうだ。
「ともあれ、人に被害がなくて何よりでしたの」
「……っていうかシノギ? どさくさに紛れて火事場泥棒やってないかしら!? ……水場だけど!」
 無事だったヘスティアが目ざとくその動きに気付き、声をあげた。
 ……何はともあれ。
 オーシャンボールの脅威は去り、この村に訪れた危機は去った。
 信長が、レディ・オーシャンが求めたグリードオーシャン。猟兵たちがその世界に至る日も遠くはないはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月30日


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#サムライエンパイア
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#【Q】
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#レディ・オーシャン


30




種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト