●
帝都にほど近い均衡にある山は、かつては多くの人で賑わった神社があった。しかし、数十年前に起きた大火が山を燃やし、そこにあった幻朧桜は消失――今では打ち捨てられ、明けない夜の帳に覆われているという。
そして、その山には三つの神社が存在した。一つは黒きカラスを神使とする神社、一つは白きカラスを神使とする神社――そして、もう一つが御神木として桜を祀る神社だ。だが、その神社を参る者はもういない……何故ならばその三つの社こそが、逢魔が辻の中心だからだ。
三つの社、もっとも高き神社の境内には彼岸桜が咲き誇る。誰の目にも触れられずとも鮮やかに、狂おしく――その姿は往年の桜と同じく、皮肉な事に幻朧桜と見間違うほど見事な咲き姿であった……。
「ただの桜が影朧となって……こうなってしまったらしいの」
ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)はため息まじりに呟き、説明を続けた。
「今回、おぬし達に挑んでほしいのはサクラミラージュの世界にある逢魔が辻、影朧の大量発生への対処じゃ」
かつて大火に見舞われ、幻朧桜が消失した山は再び幻朧桜が復活を果たす事には成功した。しかし、それよりも早く逢魔が辻化してしまった場所がある――それが三つの神社だった。
「一つは黒きカラスを神使とする神社、一つは白きカラスを神使とする神社、もう一つが桜を御神木とした神社じゃ。位置関係は……こうなっておったらしい」
ガングランは黒板にチョークで簡単な山の形を描くと、その麓から山頂へと線を引く。そして、麓から僅か上と中腹あたりに、山頂部に一つずつ丸を描いた。
「この麓から伸びる線が石段じゃ。で、この丸がそれぞれの神社じゃな。このように、三つの神社は石段で繋がっておるのじゃが……それぞれ、その神社で祀られておったモノが影朧化しておるのじゃ」
黒きカラスの神使、白きカラスの神使、桜の御神木。この桜の御神木を倒さなければ、逢魔が辻は終わらない。そのためには、石段を使って一つ一つ境内を戦場に神社を攻略していく必要があるのだ。
「何にせよ、放置しておくものでもなかろう。これを機会にしっかりとこの逢魔が辻を打ち払ってくれい」
波多野志郎
黒白桜にもう一色を――どうも、波多野志郎です。
今回はサクラミラージュ世界の逢魔が辻、三つの社に挑んでいただきます。
第一章は黒きカラスの神使くろがらすさまとの集団戦闘。
第二章は白きカラスの神使しろがらすさまとの集団戦闘。
第三章は桜の御神木彼岸桜とのボス戦闘となります。
特に第三章のボス彼岸桜は、各章に参加した猟兵達の分身を再現します。己と戦いたい方、あるいは戦ってみたい友人知人がいる方、これを機会に一戦いかがでしょうか?
それでは、明けない夜、打ち捨てられた社にてお待ちいたしております。
第1章 集団戦
『くろがらすさま』
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POW : 雑霊召喚・陰
レベル×5体の、小型の戦闘用【雑霊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
SPD : おねむりなさい
【ふわふわの羽毛】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
WIZ : みちしるべ
【勾玉】から【光】を放ち、【視界を奪うこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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宮落・ライア
ま、最初はしゅばばっと行きましょかー。
まだまだ入り口なんだしウォーミングアップウォーミングアップ!
軽い気持ちで殺意マックスで斬りまくるぞー?
右へ左へ走りまくって薙ぎ払う!
傍から見れば楽しげに斬りまくる!
実際あっはっはって笑ってる!
オブリも雑兵、出てくるのも程ほどの強さ!
ただの斬り放題だからね!
やっほいフラストレーションの発散に最適だね!
え?相手は一応元神の使い?
でも今はオブリじゃん?
関係ないよねー
月舘・夜彦
【華禱】
神使が影朧になってしまうとは悲しいものですね
彼等も嘗ては人に祀られていたのでしょう
倫太郎殿、石段は鍛練にもなります
一気に上っていきますよ
神使の二体で私達の戦いを観察しているのでしょう
でなければ、わざわざ一体ずつ分ける必要もないですからね
敵を確認したら速やかに戦闘開始
倫太郎殿の拘束術を合図にダッシュして接近
早業の2回攻撃にて仕掛ける
雑霊召喚で敵の数を視力で確認
敵の数が多い所へ向けて早業の抜刀術『陣風』でなぎ払う
数が多いのならば払うまで、分散する前に叩くのみ
攻撃は武器受けにて防御、押し出した後にカウンター
まだまだ序の口ですが……倫太郎殿は敵の他に、石段との戦いになりそうですね
播州・クロリア
昔は盛況な場所だったようで
繁栄を表す黄色がちらほらと
ですが今は暗紅色が一面に
広がってダラキュな雰囲気です。
(ふわふわと舞う羽毛を見ながら)
安息と静寂の心地よいリアなリズムですが
今は止まっている暇はありません。
(『ダンス』で荒れ狂う風を表現する
{烈風の旋律}を舞いながら
『衝撃波』と『念動力』で羽毛を弾き飛ばした後
風のようにするりと敵に接近
UC【オール・ワークス!】を発動し{バイオウェア}に着替え
{錆色の腕}で敵を掴んだ後
『怪力』で他の敵に向かって投げ飛ばす)
この暗紅色を霧散させるためにも貴方達には退いてもらいます。
篝・倫太郎
【華禱】
逢魔が辻なぁ……
今回最大の敵は影朧よりもこの石段な気がしてしかたねぇンだけど
ま、いつも通りに行こうぜ
つーか、やっぱ第三の社の敵はあれか?
第一・第二の社の情報収集して同じ技使ってくるんだろか?
そうならまぁ、打開策考えとかねぇとだよなぁ……
第一の社に到着後、敵に遭遇したら戦闘開始
拘束術使用
射程範囲内の総ての雑霊に鎖で先制攻撃
同時に俺自身も華焔刀でなぎ払い
刃先返して2回攻撃の範囲攻撃
夜彦の死角も拘束術でフォローしつつ立ち回り
いつもは衝撃波とか色々乗せてくんだけど
今回は、ちっと控えとく
衝撃波とか諸々案外厄介だもんよ
敵に情報やる必要ねぇだろ……
つーか、マジで最大の敵は石段な気がしてきたぜ、俺……
御剣・刀也
饅頭みたいな外見のカラスだな
まぁいい。俺の仕事はお前らを倒して、桜を切り倒すこと
邪魔するなら全部まとめて斬り捨てるだけだ
雑霊を召喚されたら、進路上の障害物となる奴だけ二回攻撃で確実に斬り捨てながら、呼んだ本体に突っ込んで捨て身の一撃で斬り捨てる。
霊の攻撃は第六感、見切り、残像を駆使して避けつつ、カウンターで斬り捨てながら、突き進む
「かわいい外見してるが、俺には何の感慨もわかない。一部の女性陣には受けたかもな」
●神使の領域へ
「逢魔が辻なぁ……今回最大の敵は影朧よりもこの石段な気がしてしかたねぇンだけど」
篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が、自分の昇ってきた石段を振り返り、視線を戻した。帝都にほど近い山奥、幻朧桜の間を貫くように石段が走ってきた。どれだけの段数か数えていない、これより先もこれが続くと知っていたからだ。
何とも言えない表情の倫太郎へ、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)が告げた。
「倫太郎殿、石段は鍛練にもなります。一気に上っていきますよ」
「ああ、ま、いつも通りに行こうぜ。つーか、やっぱ第三の社の敵はあれか? 第一・第二の社の情報収集して同じ技使ってくるんだろか? そうならまぁ、打開策考えとかねぇとだよなぁ……」
「神使の二体で私達の戦いを観察しているのでしょう。でなければ、わざわざ一体ずつ分ける必要もないですからね」
足を止めずに答える夜彦に、倫太郎も続く。石段は長いとは言え、無限ではない。いつかは目的地へとたどり着く――道とは、そういうものだ。
「昔は盛況な場所だったようで、繁栄を表す黄色がちらほらと。ですが今は暗紅色が一面に、広がってダラキュな雰囲気です」
播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)は、ようやくたどり着いた社の境内を見回し呟いた。認識した対象を「色」と「リズム」に置き換え同期する、クロリア独特の認識能力だ。
クロリアにとって、良いものを「リア」、悪いものを「ダラキュ」という単語を付けて表現する――彼女が悪いものと評したものの正体は、すぐに知れた。
「カー」
気が抜けそうな鳴き声がした。その声を視線で追って、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が言い捨てた。
「饅頭みたいな外見のカラスだな。まぁいい。俺の仕事はお前らを倒して、桜を切り倒すこと邪魔するなら全部まとめて斬り捨てるだけだ」
カチャリ、と身構える刀也は、カラスの本性を見抜いている。ぬいぐるみのような愛らしい姿、しかし、既にその本質は邪悪と言うべきモノだと。
「神使が影朧になってしまうとは悲しいものですね。彼等も嘗ては人に祀られていたのでしょう」
夜彦は確かに感じた感情を、文字通り押し殺した。目の前の敵を侮れば、怪我ではすまないと肌で理解しているのだ。
「カー」
朽ちた社の屋根から、大量のくろがらすさまが飛び立つ。それが戦いの合図となって、猟兵達も動き出した。
●黒に埋もれて
空が、黒く染まっていく。その光景を見上げて、宮落・ライア(ノゾム者・f05053)はビシリとポーズを決めた。
「ま、最初はしゅばばっと行きましょかー。まだまだ入り口なんだしウォーミングアップウォーミングアップ!」
シュタ! と境内を蹴ってライアが駆ける。雑霊召喚・陰――くろがらすさまの召喚した小型の戦闘用雑霊が縦横無尽に襲いかかってくるのをライアは軽快なステップで左右に回避、骨肉の剣を振るって雑霊を切り落としていった。
「あっはっはー!」
無邪気な笑い声で殺意全開でライアは、くろがらすさま達の中へ飛び込む。コマのように骨肉の剣の遠心力を利用して薙ぎ払い、数羽のくろがらすさま達を断ち切った。
「安息と静寂の心地よいリアなリズムですが、今は止まっている暇はありません」
ただ囲んでは的になると悟ったくろがらすさま達が、その黒い羽を舞わせる――その緩やかに落ちてくる黒い羽の動きを見て、クロリアはその場で踊った。体に染みつかせた基本のリズムの1つ、荒れ狂う風のリズム烈風の旋律を舞って、旋風を巻き起こす!
旋風は、衝撃波と念動力を伴って黒い羽を巻き上げ吹き飛ばしていった。
「嵐は飲み込むリズム、触れた時点でその暗紅色の一端はこの手にあります」
オール・ワークス! によってバイオウェアを身にまとったクロリアが旋風の中心を疾走。その錆色の腕でくろがらすさまを掴むと、怪力によって吹き飛ばした。
「カー!」
くろがらすさま達が、四散する。数に勝る方が、包囲する――それは戦の常道だ。しかし、その判断は半瞬遅い。
「縛めをくれてやる」
ジャラララララララララララ! と倫太郎が展開する災いを縛る見えない鎖が、投網のように広がりくろがらすさま達を囲んだのだ。隙間から逃れるものもいた、しかし、逃れられなかったモノを夜彦が見逃さない。
「全て、斬り捨てるのみ」
夜禱を一息で抜く神速の抜刀術が、放たれた。ザン! と斬撃音は一つ、しかし放たれたのは一つではなく無数の斬撃だ。夜彦の抜刀術『陣風』が、倫太郎の拘束術によって密集していたくろがらすさま達を、雑霊ごと断ち切ったのだ。
「おっと、こっちは通行止めだ」
獅子吼を抜いて、刀也がこぼれたくろがらすさま達の前へ跳び上がる。道を塞がれる形となったくろがらすさまは、勾玉から光を放つが――刀也はそのタイミングを見切って獅子吼の刀身で光を遮った。
「ぬるいぜ」
そして、落下の勢いを利用してカウンター気味に剣刃一閃により雑霊とくろがらすさまを両断した。
「かー」
「かかー!!」
くろがらすさま達が鳴き合う。観察し、把握し、対策する――堕ちたるとはいえ神使、その知能はただのカラスの比ではなかった。
戦いは始まったばかり、双方の激突はより激しさを増していった。
●本当の『敵』
「倫太郎殿」
「おう!」
夜彦と倫太郎は、互いに背中合わせで迫る雑霊を迎え撃つ。夜彦が踏み出した足を滑らせた音を聞くと、倫太郎は即座にその動きを合わせてステップを刻んだ。
ズザン! と横回転しながら放たれた夜彦の抜刀術『陣風』が、三百三十度の敵を切り刻んでいく。同じように背中合わせのまま回転する倫太郎の華焔刀が薙ぎ払うのは三百六十度に足りない死角だ。
「いつもは衝撃波とか色々乗せてくんだけど……今回は、ちっと控えとく。衝撃波とか諸々案外厄介だもんよ。敵に情報やる必要ねぇだろ……」
「そうですね」
倫太郎の懸念を、夜彦も正しく認識している。くろがらすさま達の戦い方は、こちらの手札を切らせる戦い方だ。囲み、あらゆる方向からの対処を求める――まさに、強襲偵察とも言うべき動きだ。
もちろん、そんな事を気にしない者もいる。ライアがそうだ。
「オブリも雑兵、出てくるのも程ほどの強さ! ただの斬り放題だからね! やっほいフラストレーションの発散に最適だね!」
止まらず駆け抜け、ライアは斬撃で薙ぎ払っていく。例え元が何であろうと、敵は敵。そこに遠慮も容赦もなかった。
「え? 相手は一応元神の使い? でも今はオブリじゃん? 関係ないよねー」
残ったくろがらすさま達が、たまらず上空へ逃げようとする。しかし、その上空で待ち構えていた者がいた――クロリアだ。
「この暗紅色を霧散させるためにも貴方達には退いてもらいます」
薙ぎ払われる巨大化した右腕、クロリアの錆色の腕がくろがらすさま達を上から風で押し潰す! その風に煽られ、小さな羽で必死に体勢を立て直そうとするくろがらすさま達へ、風を突っ切り刀也が言い捨てた。
「かわいい外見してるが、俺には何の感慨もわかない。一部の女性陣には受けたかもな」
刀也が繰り出す十文字の獅子吼の斬撃――剣刃一閃が、黒色を斬り飛ばす! 刀也は振り下ろした勢いで、クロリアはゆっくりと風に乗って、それぞれ境内に降り立った。
くろがらすさま達の姿は、もうそこには残っていない。それを見届けてから、倫太郎は唸った。その表情に、夜彦が生真面目にこぼす。
「まだまだ序の口ですが……倫太郎殿は敵の他に、石段との戦いになりそうですね」
「ああ。つーか、マジで最大の敵は石段な気がしてきたぜ、俺……」
再び上へと昇る石段を見上げ、倫太郎は心の底から言う。一つ目の社を攻略した猟兵達は、次の社を目指し、長い石段を再び登り始めた……。
大成功
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第2章 集団戦
『しろがらすさま』
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POW : 雑霊召喚・陽
レベル×5体の、小型の戦闘用【雑霊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
SPD : おみくじをひきなさい
レベル分の1秒で【おみくじ棒】を発射できる。
WIZ : ゆめをみましょう
【ふわふわの羽毛】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
👑11
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●第二の社
――第一の社で、くろがらすさまは己の役目を全うした。
その事を、思考ではなく感情でめでたいと白いカラスは思う。理由は定かではない、あるいは神使の頃の名残かもしれない。
役目を全うする――神使とはそのためにこそ、存在するのだから。
「かー」
第二の社、その朽ちた神社の屋根は、今度は白く埋もれていた。しろがらすさまの群れは待つ、己の役目を同じように全うするために。
ただ、しばらくその役目を果たすのには時間がかかるだろう。何、人がここまでやってくる時間など、彼らがここにあった時間に比べれば短いものだ。
だから、しろからすさま達は苦もなく猟兵達を待ち構えるのだった……。
播州・クロリア
徐々に暗紅色が濃ゆくなってきました
彼岸桜に着実に近づいているということですね
(しろがらすさまを見て)
白い、けど黒い
さっきの敵は黒くて気づきませんでしたが
良くないものが纏わりついているようですね
(襲ってくる雑霊のリズムを『第六感』で『見切り』した後、リズムに合わせて『ダンス』をすることで攻撃を回避する)
リズムが単調になりがちですよ
もっと練習しましょう
(『怪力』と『衝撃波』で地面を叩き砂煙を発生させ『念動力』で雑霊にまとわりつくように操作する)
練習しないと見えなくなったら何もできなくなっちゃいますよ?
(UC【蠱の腕】で鞭にした後、雑霊たちを攻撃する)
御剣・刀也
饅頭の次は大福か?
まぁ、何でもいい。こいつらも下の社の連中と変わらないなんだから、斬って捨てるだけだ
雑霊を召喚されたら、進路上の障害物となる奴だけ二回攻撃で確実に斬り捨てながら、呼んだ本体に突っ込んで捨て身の一撃で斬り捨てる。
霊の攻撃は第六感、見切り、残像を駆使して避けつつ、カウンターで斬り捨てながら、突き進む
石段登りは普段から鍛えてるので大した苦も無く、疲れもなくすいすい登っていく
「あー、なんかこいつら見てたら腹減ってきた。帰ったら饅頭か大福もちをたらふく食いたいぜ」
月舘・夜彦
【華禱】
倫太郎殿、あともう少しです
大丈夫とは言っても、長い階段を上るのは一苦労です
色が違うだけで見た目は先程とほぼ同じですね
……見た目は愛らしいので、倒してしまうのが少し可哀そうですが
心を鬼にして戦いましょう
倫太郎殿の拘束術と共に抜刀術『神風』
なぎ払いと共に2回攻撃で斬撃を放ち、数を減らしていきます
先程戦法を少し変え、拘束術を受けている敵は後回しに
身動きが出来る敵を狙います
敵の攻撃は残像・見切り、ジャンプで距離を取り抜刀術『神風』
戦闘は今の所苦戦はしておりませんが問題は次ですね
先程の二体に比べて強敵ではあるでしょう
倫太郎殿、石段も含めて頑張りましょう
篝・倫太郎
【華禱】
んー……まだ大丈夫だけども
こっから先がしんどいかもな
ま、頑張るけどサ
さって、今度は白いのかー……
まぁ、ちょっとずつ品変えてくのもありじゃねぇの?
なんて言いつつ同じの使うんだけどサ
拘束術使用
射程範囲内の敵……白いのも雑霊も全てに鎖で先制攻撃
同時に俺も華焔刀でなぎ払い
刃先返して2回攻撃の範囲攻撃
基本、さっきの黒い奴の時と同様に通常の攻撃だけで対応
夜彦の死角も俺自身と拘束術でフォローしつつ立ち回り
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避出来ねぇ場合は咄嗟の一撃で相殺を狙う
さって、次が大本命か
石段も傾斜がキツくなってっから
大本命っちゃ大本命だけども……
はは、まぁ、なんとかなるだろ
んじゃ、ま、行きますか
宮落・ライア
……………。飽きた。
という訳で力任せに近づいてきたらグラウンドクラッシャーして吹っ飛ばしてで済ます。
あーきーたー!とか言いながら
技もヘッタクレも無く片手で大剣を振り上げて振り下ろして衝撃波撒き散らす。
近づいてこなかったら?唐突に走って跳んでグラウンドクラッシャー叩きつける!
黒い烏に白い烏かー…。
特に何も思いつかなーい。
(本当に何も考えていない!)
オブリビオンとか関係なかったら下から上まで石段ダッシュとかしたいなー。
●第二の社へ
「徐々に暗紅色が濃ゆくなってきました。彼岸桜に着実に近づいているということですね」
播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)の言葉の通り、第二の社が近づいてきていた。月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、後ろを黙々と歩く篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)を振り返った。
「倫太郎殿、あともう少しです」
「んー……まだ大丈夫だけども。こっから先がしんどいかもな」
ま、頑張るけどサ、と倫太郎は返す。大丈夫と答えたとしても、この階段の長さだ。決して、軽い道のりではなかった。
「饅頭の次は大福か?」
第二の社、その境内へとたどり着いて御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は吐き捨てる。神社の屋根にいるのは、大量の白いカラスの群れだ。ただ、その姿はかなり簡略化されており、刀也の言う通り大福を思わせる愛嬌があった。
「色が違うだけで見た目は先程とほぼ同じですね……見た目は愛らしいので、倒してしまうのが少し可哀そうですが。心を鬼にして戦いましょう」
「さって、今度は白いのかー……まぁ、ちょっとずつ品変えてくのもありじゃねぇの? なんて言いつつ同じの使うんだけどサ」
夜彦と倫太郎が身構えた、その時だ。
「……………。飽きた」
「かー?」
宮落・ライア(ノゾム者・f05053)の言葉は、そのままの意味だ。
「黒い烏に白い烏かー……。特に何も思いつかなーい」
本当に、ライアは何も考えていないのだ。そのまま一気に境内を駆け抜けて跳躍、骨肉の剣を振り上げると力任せにグラウンドクラッシャーを叩き込んだ。
「かー!」
慌てて、しろがらすさま達が屋根から飛び上がる。理屈ではない、ライアの破壊をもたらす一撃を合図に、第二幕の戦いが始まった。
●白く埋め尽くす
「白い、けど黒い。さっきの敵は黒くて気づきませんでしたが、良くないものが纏わりついているようですね」
物事を色で認識するクロリアにとって、しろがらすさま達は白とは言えなかった。しろがらすさま達が解き放つ白い雑霊が、不規則な機動でクロリアに迫る――そのリズムを第六感にとって見切ると、クロリアは左右にステップを刻んでかわしていく。
「リズムが単調になりがちですよ。もっと練習しましょう」
ダン! とクロリアが地面を打った衝撃で、砂煙が巻き上がる。砂煙を念動力で操り、クロリアは雑霊の機動力を削いでいった。
「まぁ、何でもいい。こいつらも下の社の連中と変わらないなんだから、斬って捨てるだけだ」
そこへ、刀也が滑り込む。下段から跳ね上がる獅子吼の一閃が、複数の進路を塞いでいた雑霊をものの見事に断ち切った。
「縛めをくれてやる」
そして、残った雑霊を倫太郎が放った災いを縛る見えない鎖が拘束していく。ジャガガガガガガガガガガ! と鎖の音だけが響く中、夜彦が力強く踏みこんだ。
「是は空さえも斬り裂く刃也」
抜刀術『神風』――夜彦の放った夜禱の居合は、一つの風切り音で無数の斬撃を生み出し、雑霊達を斬り飛ばしていった。
「かー」
「かかー!」
雑霊が途切れた瞬間、しろがらすさま達が襲いかかってくる。射出される大量のおみくじ棒、それをライアが片手で振るった大剣の衝撃波で粉砕した。
「あーきーたー!」
技も何もあったものではない、力任せの斬撃の数々。その撒き散らされる衝撃波に、しろがらすさま達は大きく飛び立った。
「かー!」
「あくまで、手札を使わせる事にこだわるか」
散開するしろがらすさま達の意図を読み、刀也が言い捨てる。くろがらすさま達の時と同じだ。全ては本命の彼岸桜との戦いのため――黒と白の神使は、使い捨ての駒に徹しているのだ。
「まったく、律儀だな」
「そのようですね」
華焔刀を構える倫太郎の言葉に、夜彦も同意する。何にせよ、相手の思惑に乗ってやるつもりはない――猟兵達は、一部を除いてただ自分のするべき事を成すために、白い元神使の群れを迎撃した。
●黒と白の果てに
しろがらすさまとの戦いは、くろがらすさまのそれと大きく変わる事はなかった。あるいは、そう徹底していたと考えるべきか。徹頭徹尾、相手に手札を切らせるために自己犠牲をいとわない戦い方だった。
「はい、どっかーん!」
「かー!?」
ライアが豪快に振り下ろしたグラウンドクラッシャーの一撃が、周囲のしろがらすさま達を吹き飛ばす! ある者はかき消え、ある者は衝撃に薙ぎ払われる――そこに続いたのは、クロリアだった。
「ダラキュな貴方に相応しい腕が決まりました」
錆色の腕を鞭へと変え、クロリアはしろがらすさま達を打ち据える。反撃とばかり雑霊の体当たりが迫るが、それはクロリアに見切られ一体たりとも届かなかった。
「練習しないと見えなくなったら何もできなくなっちゃいますよ?」
ヒュオン! とクロリアの鞭状の錆色の腕が、再び振るわれる。鋭いしなりに雑霊達が消し飛ばされると、大きくしろがらすさま達が飛び立った。
だが、すぐにその飛行は食い止められる――倫太郎の拘束術が蜘蛛の巣のように上空へ展開されていたからだ。
「逃しません」
「だな」
ヒュガ! と繰り出された夜彦の抜刀術『神風』がしろがらすさまを断ち切っていく。そこから漏れたモノを、倫太郎の華焔刀 [ 凪 ]が紅い軌道を残しながら薙いでいった。
「じゃあな」
最後のしろがらすさまへそう言い捨て、刀也の獅子吼が袈裟懸けに斬り伏せた。その斬撃に、満足げにしろがらすさまは鳴く。
「かー……」
役目は果たした、そうやり遂げたカラスの顔で、最後のしろがらすさまはかき消えていった……。
「さって、次が大本命か。石段も傾斜がキツくなってっから大本命っちゃ大本命だけども……」
「戦闘は今の所苦戦はしておりませんが問題は次ですね。先程の二体に比べて強敵ではあるでしょう。倫太郎殿、石段も含めて頑張りましょう」
石段を見上げて唸る倫太郎を、夜彦はそう励ます。その励ましの言葉に、倫太郎は笑って答えた。
「はは、まぁ、なんとかなるだろ。んじゃ、ま、行きますか」
「あー、なんかあいつら見てたら腹減ってきた。帰ったら饅頭か大福もちをたらふく食いたいぜ」
倫太郎の前で、刀也が苦もなく石段を登り始める。そして、ライアが元気よく三段抜かしで石段を駆け上がりだした。
「オブリビオンとか関係なかったら下から上まで石段ダッシュとかしたいなー」
きっと走り応えがあるだろうなー、とライアは駆け上っていく。それをどこか遠い、眩しいような目で見送った倫太郎に、夜彦は小さく微笑んだ。
――こうして、二つの社を越えて戦場はついに最後の神社へと移る。黒と白の神使が犠牲になった事により、この先の彼岸桜の元には今までとは比べ物にならない敵が待ち受けているだろう。
(「暗紅色が――」)
クロリアは、目を細める。黒と白のカラスに絡みついていた黒に近い暗紅色が、濃厚となっていく。クロリア以外にも、空気が変わった事を悟った者もいる――猟兵達は、覚悟を固めて最後の社を目指した……。
大成功
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第3章 ボス戦
『彼岸桜』
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POW : 【フレーム間干渉型UC】サクラメント・モリ
【各章に参加した猟兵達の分身を再現する。こ】【の分身は各章で猟兵達が使用した装備・技能】【・UC・戦法を使用し、複数人で連係する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 【フレーム間干渉型UC】サクラメント・モリ
【各章に参加した猟兵達の分身を再現する。こ】【の分身は各章で猟兵達が使用した装備・技能】【・UC・戦法を使用し、複数人で連係する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : 【フレーム間干渉型UC】サクラメント・モリ
【各章に参加した猟兵達の分身を再現する。こ】【の分身は各章で猟兵達が使用した装備・技能】【・UC・戦法を使用し、複数人で連係する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
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●彼岸の彼方より、此方へ
美しく咲き乱れる彼岸桜は、知っていた。ここにたどり着ける者は何者なのか、そして決して自分を楽しみに眺めに来たのではないのだ、と。
ならば、出迎えよう。彼岸桜は思うのではなく、想う。今ではかつてと、立場が逆なのだ。
かつての人々は、自分を見て楽しんだ。ならば、今度は自分が人々を見て楽しむ番だ……それが良き事にせよ、悪き事にせよ――。
だから、彼岸桜はより鮮やかに咲き乱れる。次の楽しみのために、次の次の楽しみのために――訪れる猟兵達を、打ち倒さなければならないのだから……。
御剣・刀也
へぇ。自分と闘えるのか
こんな経験は滅多に出来ないが、それでも己自身に負ける阿呆はいねぇよ
さっさと片付けて、お前を供養してやる
仲間のコピーが出てきて、自分自身と対峙することになったら、第六感、見切り、残像を駆使して攻撃を避けつつ、カウンターで斬り捨てて、勇気をもってダッシュで踏み込んで次の分身を出される前に桜の木を捨て身の一撃で斬り捨てる
ほかの仲間と闘う場合も、相手の技や連携を思い出し、油断せず闘う
「まさか自分と闘う機会が来るとはね。が、お前の剣には魂がない。それに、自分の剣だぜ?太刀筋なんて百も承知。目を瞑ってても避けられる。が、連携がある以上そうは言ってられないか。ちゃっちゃと終わらせる」
月舘・夜彦
【華禱】
漸く辿り着きましたね
なるほど……此処までの我々の姿を映したと
受けて立ちましょう
如何なる相手であれ、オブリビオンならば斬る
彼は盾、私は刃……その繋がりを、私達の心も映せましょうか
ダッシュして接近
倫太郎殿の薙刀は攻撃範囲が広い為、接近戦に持ち込む
攻撃は残像と見切りにて回避、その後カウンター
見切る際に回避が困難であれば武器受けにて防御
負傷は激痛耐性にて耐える
刃を交えれば分かる
彼ならば、こう動くだろうと
今回だけに限らず、共に長く戦っているからこそ理解出来る
姿を模したとしても、彼の動きには程遠い
見切りにて動きを読んだ後、武器落とし
その隙に2回攻撃併せ早業の火華咲鬼剣舞
……彼は一人で十分です
篝・倫太郎
【華禱】
踏破ー!
っと、喜んでる場合でもねぇか
さって、中々に良い趣味してンじゃねぇか
でも、そう簡単にゃ行かねぇぜ?
参革伍刃使用
こいつはここで初めて使う
予備知識あっても早々楽に対応なんかさせねぇぜ?
例え、再現された夜彦でもな!
詠唱と同時にダッシュで一気に距離を詰めて華焔刀で先制攻撃
なぎ払いと見せ掛けてフェイントを織り交ぜた2回攻撃
刃先の軌道もこれまでの戦いとは変えてく
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避が間に合わない場合はオーラ防御で防いで咄嗟の一撃で相殺
それでも入るダメージは激痛耐性で耐えて凌ぐ
夜彦を模しただけあって確かに強いのかもな?
でもな……夜彦の抜刀のが数段『速い』ぜ
甘く見んてくれるなっての!
播州・クロリア
(彼岸桜の前に立つ人影に気づく)
おや、どこかで会ったことがある方々ですね
特に触覚の生えた貴方とは毎日、鏡の前で会ってます
(『第六感』で分身たちの攻撃を予測し『見切り』ながら回避する)
...つまらない
過去の繰り返しばかり
過去を昇華しないと未来には勝てませんよ
オブリビオンの貴方には分からないでしょうが
具体的にはこうやって、過去に舞ったリズムを、昇華さ、せ、てゆくの、です
({鮫の旋律}を『ダンス』で不規則に舞いながら分身たちをかく乱する)
やっ、ぱり新しいリズムを掴、めて無いですね
過去し、か再現できない貴、方では無理でしょう
(UC【蠱の腕】で大剣に変えて『衝撃波』で一気に接近し分身たちを薙ぎ払う)
宮落・ライア
おっはー。桜斬る馬鹿梅切らぬ馬鹿やりに来たっぞい!
で、黒と白と戦ったボクが出る…と。
【自己証明】で強化!
呪縛を引いたら【止まる事無かれ】で破棄!
はっはっは!お遊び気分と飽き飽き状態のボクとか敵じゃないわ!
ま、それに……自分以外の自分とか見てて気分悪いしね。
さ、とっとと斬り捨てよう。
刀はより速く鋭く、大剣はより重くどちらも片手で同時に振るう。
真正面からぶっ飛ばしてやるぜー!
まぁ派手にやるから見てなよ。
その後に幹ごと圧し折ってやるから。
●最後の社へ
「踏破ー!」
長い長い階段を登り終え、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が喝采を上げる。そんな倫太郎に笑みを浮かべて月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)が言った。
「ええ、漸く辿り着きましたね」
山の麓から始まった石段が何段あったのか? それを正確に数えた者はいない。ただ、四桁にも及ぶ石段が終わった、その事だけは確かだ。
「おや、どこかで会ったことがある方々ですね。特に触覚の生えた貴方とは毎日、鏡の前で会ってます」
境内の中心、彼岸桜の前にいる人影達に播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)が言う。
「なるほど……此処までの我々の姿を映したと」
「っと、喜んでる場合でもねぇか。さって、中々に良い趣味してンじゃねぇか。でも、そう簡単にゃ行かねぇぜ?」
見知った顔ばかりが並ぶ敵に夜彦は納得し、倫太郎が言い捨てる。
「へぇ。自分と闘えるのか。こんな経験は滅多に出来ないが、それでも己自身に負ける阿呆はいねぇよ。さっさと片付けて、お前を供養してやる」
御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は獅子吼の柄に手をかけ、歯を剥くように笑う。相手にとって不足はない――いや、試しには丁度良い、そのぐらいの感覚だ。
「おっはー。桜斬る馬鹿梅切らぬ馬鹿やりに来たっぞい!」
宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は骨肉の剣をぶんぶんとぶん回し、言ってのけた。
彼岸桜の根本から、無数の人影が散開する。示し合わせる必要な、どこにもない。敵として戦うべき相手の元へ猟兵達も駆け出した。
●ヒーローの色とリアの先にあるもの
――クロリアとその分身が、同時に舞う。だが、それは鏡合わせではない。本体であるクロリアの方がコンマ秒だけ、常に先を行っていた。
「……つまらない、過去の繰り返しばかり。過去を昇華しないと未来には勝てませんよ」
自分の元へ伸びてくる分身の錆色の腕を、クロリアは紙一重でかわしていく。自分に似た色に絡まるように混ざる暗紅色が、よく見える――ましてやその軌道は、かつて放った自分のそれなのだ。まさにく、手にとるようにクロリアには読めた。
「オブリビオンの貴方には分からないでしょうが――具体的にはこうやって、過去に舞ったリズムを、昇華さ、せ、てゆくの、です」
烈風の旋律から、クロリアは鮫の旋律へと切り替える。放たれる衝撃波、渦巻く旋風を真っ向から食い千切る空飛ぶ鮫のように、クロリアは己の分身へと間合いを詰めた。
――だが、そこに飛び込んでくる人影がある。ライアの分身だ。豪快な大上段から振り下ろされる大剣が、クロリアを襲う!
「負けられない! 死ぬことも止まることも認められない! 私は託された! 選ばれたんだから!」
侵食加速:自己証明によって自己強化したライアが、そこへ割り込む。小細工など必要ない、己の分身を真っ向から迎え撃った。
「真正面からぶっ飛ばしてやるぜー!」
ライアの大剣が分身の大剣を大きく弾き、もう片手に握っていた鋭い刀の一閃で胴を薙ぐ。そのまま、大きく弾かれ分身はよろめきながら着地した。
「……自分以外の自分とか見てて気分悪いしね。さ、とっとと斬り捨てよう」
「ええ。でしたらこっちも一緒に――!」
クロリアは自分の分身へと、蠱の腕によって変化した大剣を繰り出す。衝撃波によって吹き飛ばされ、クロリアとライアの分身がぶつかり――その瞬間を狙って駆け込んだライアの大剣の豪快な一撃と合わせて放った刀の鋭い連撃が分身達を斬り伏せた。
「はっはっは! お遊び気分と飽き飽き状態のボクとか敵じゃないわ!」
胸を張って、ライアが言ってのける。背負う期待が違う、響き続ける祈りが違う、狂気に近い決意が違う。
「そうですね」
クロリアには色として、それがわかる。ライアのリアと比べれば、分身のダラキュの何と弱々しいものか。
クロリアは確信する。未来とは、そういうリア――良きものの先にこそあるのだ、と……。
●獅子対獅子
――二振りの獅子吼が激突する。火花が散り、剣戟が鳴り響く。踏み込みは互角。身長、体重、技量、経験、センス――そのどれもが、差はないそのはずだ。
しかし、吹き飛ばされるのは分身のみだ。獅子吼を構え、刀也はその結果を当然のように言い捨てる。
「まさか自分と闘う機会が来るとはね。が、お前の剣には魂がない。それに、自分の剣だぜ? 太刀筋なんて百も承知。目を瞑ってても避けられる――」
事実、刀也は次から繰り出される分身の斬撃を第六感の見切りのみでかわしていった。一撃一撃ごとに、回避の動きが小さくなる。それはやがて、紙一重の見切りへと到達した。
「――が、連携がある以上そうは言ってられないか。ちゃっちゃと終わらせる」
分身が、下段から剣刃一閃の斬撃を放つ。剣豪が繰り出す一撃、それを刀也は獅子吼を上段へ構えて迎え撃った。
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」
雲耀の太刀――持てる力を振り絞って上段から振り下ろす単純な一撃は、だからこそ速い。先に繰り出したはずの分身の切っ先が跳ね上がる軌道に到達するよりも早く、刀也の渾身の一刀は過去の己を両断した。
「――――」
崩れ落ちる分身を、刀也は見向きもしない。それはもう、終わった自分だ。未来の自分に追いつくために、歩みは止められない――刀也は既に、次へと走り出していた。
●篝は道へ、月の夜へと――
倫太郎と夜彦もまた、お互いの分身と相対していた。連携という意味ならば、この二人は常に二人一組で戦ってきた――分身の戦法もそうなるのは必然だった。
「こいつはここで初めて使う。予備知識あっても早々楽に対応なんかさせねぇぜ? 例え、再現された夜彦でもな!」
先に前に出たのは、倫太郎だ。
「我は盾、汝は我が刃」
参革伍刃(サンカクゴジン)の詠唱で強化され、倫太郎は華焔刀 [ 凪 ]を手に斬りかかる。しかし、それは夜彦の分身が繰り出す居合、抜刀術『神風』と相殺された。ギギッギギギギギギギギギン! と鳴り響く剣戟――即座に倫太郎の分身が回り込もうとするが、夜彦がその間に滑り込んでいた。
「如何なる相手であれ、オブリビオンならば斬る、彼は盾、私は刃……その繋がりを、私達の心も映せましょうか」
夜彦の一閃が、倫太郎の分身が繰り出した華焔刀の軌道を強引に逸らす。だが、体勢を崩そうとそこには夜彦の分身が回り込み、間隙を埋めていた。
(「倫太郎殿の薙刀は攻撃範囲が広い。接近戦に持ち込む」)
(「さすがに、斬撃が速ぇ――だが」)
声も視線も必要ない。倫太郎と夜彦、分身も含め四つの影が同時に動いた。
夜彦は思う。刃を交えれば分かる……彼ならば、こう動くだろうと。今回だけに限らず、共に長く戦っているからこそ理解出来る。
「姿を模したとしても、彼の動きには程遠い」
倫太郎は思う。夜彦を模しただけあって確かに強いのかもしれない。
「でもな……夜彦の抜刀のが数段『速い』ぜ」
夜彦の分身が放つ抜刀術『神風』の連撃を踏み込んだ倫太郎の華焔刀 [ 凪 ]が軌道を変え、そこに踏み入った倫太郎の分身を夜彦が先回りする――!
「……彼は一人で十分です」
「甘く見んてくれるなっての!」
倫太郎の分身を夜彦の火華咲鬼剣舞による瑠璃色の炎を宿した剣舞が業火の華で包み、夜彦の分身を倫太郎の華焔刀が薙ぎ払う!
二人で一人の戦いは、より強い絆で繋がれた者達が勝利した。
●そして、桜は散る――
「まぁ派手にやるから見てなよ。その後に幹ごと圧し折ってやるから――!」
駆け込んだライアの刀と大剣が鋏のように交差し、彼岸桜の幹を断ち切る。そして、そこへ踏み込んだ刀也が二の太刀いらずの雲耀の太刀で斬りとった。
「じゃあな」
短く別れを告げ、刀也が獅子吼を鞘に納めた時だ。膨大な桜の花びらが風に乗って、桜色の山へとかき消えていった。
「ダキュアが――」
あの禍々しく思えた暗紅色が、鮮やかな桜色に染み渡って拡散していく。文字通り、悪しき色が散ったのだ。
こうして、一つの逢魔が辻が消滅した。この長い石段もまた、人の賑わいを取り戻す日が来るのかもしれない。ただ、その時は来るまでしばし、この美しい山々の光景はここまで石段を越えて来た彼らのためだけの報酬だった……。
大成功
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