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【旅団】滅びし人類の財宝~プレミア価格の謎~

#キマイラフューチャー #【Q】 #旅団


●レトロゲームショップへ
「キマイラフューチャーにね。とても品揃えが豊富なレトロゲームショップがあるの」
 掻巻・褥(家庭内女神・f16422)が楽しそうに説明する。
「店名にレトロゲームとついてはいるけれど、地球でいうところの最新ハードやソフトも揃っているのよ。人類の遺産として大切にされてきたのかもしれないわね」
 その辺りは、流石フューチャーと名のつく世界である。
 ハードは、据え置き機も携帯機も時代やメーカーを問わず取り揃え、最近流行りのレトロハードのミニチュア復刻版まで洩らさず揃っている。
 ソフトも懸賞品や限定品のレアものなど、何でもあるそうな。
「よかったら、みんなでお買い物へ行ってみない? 扱うソフトのジャンルも幅広いから、きっと探しているソフトや思わぬ掘り出し物へ出逢えると思うわ~」
 にこにこと笑顔で誘う褥。
 クソゲーに限らず、お好きなソフトを探して欲しいとの事だ。
「あ、もしゲームに詳しくなくても大丈夫よ。店長さんが重度のゲームマニアで、大抵のハードやソフトについて説明してくれるから」
 褥曰く、大層気さくでフレンドリーな人だとか。
「ソフトにしても、アクションやRPG、格ゲー、歴史や恋愛シミュレーション、レースゲーム、シューティング、ギャンブル……どんなジャンルでもあるわよ。それこそエロゲーや鬱ゲーまで!!」
 ……少々余計な説明も入ったが、マニアックなところでは子ども向けの学習ソフトまであるそうな。
 需要があるかは不明だが。
「それじゃ、みんなとお買い物へ行けるのを、楽しみにしてるわね~」
 ともあれ、屈託なく笑う褥であった。


雨都瑣枝
 ご覧くださりありがとうございます、雨都です。
 このシナリオは旅団シナリオです。
 獲得EXP・WPがありません。ご了承くださいませ。

●お願い
 参加者様にはお手数をおかけいたしますが、皆様でご相談なさった上で、『プレイングの提出を同日に』揃えてください。
 リプレイの執筆期間を最大限に取(って再送のお願いをせずにお返しす)るため、何卒よろしくお願い申し上げます。

●参加条件
 今回、参加者様は固定されております。
 予め参加人数や参加者様をお教えいただいた上で、シナリオをリクエストしていただきました。

●プレイングについて
 お好きにどうぞ。
 お買い物とだけ言われても何書いて良いか……とお悩みの方は、『架空のソフトのタイトル、ゲームジャンル、探しているゲームの簡単な内容』をお書きください。

●グリモア猟兵について
 褥がお供いたします。絡みなどご随意に。

 素敵なプレイング、楽しみにお待ちいたしております。
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第1章 冒険 『ライブ!ライブ!ライブ!』

POW   :    肉体美、パワフルさを駆使したパフォーマンス!

SPD   :    器用さ、テクニカルさを駆使したパフォーマンス!

WIZ   :    知的さ、インテリジェンスを駆使したパフォーマンス!

👑1
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草野・千秋
キマフュでゲーム探しですね
今のUDCでゲーム買うってなると
量販店か通販かってなっちゃいますが
そうそう幸村さん、お店の人と話すのもいいですね
昔は中古チェーン店とかもありました
えっえっこの世界美味しい飲み屋あるんですか
僕も連れてって下さい!
コンコンコンでお肉とか出せるかも?

僕の探すゲームはこれ!
一見乙女ゲーと見せかけて
男主人公を選んで男子キャラと仲良くなる会話を重ねると
男子キャラと結婚エンド選べちゃうシュミレーションRPG

巧さんのゲームはRPG、僕は剣士ですね
身内をイメージしてキャラメイクも楽しいもの

へぇ、ボゴさんは手袋型コントローラーですか
またマニアックな
皆さんの探して来たものを微笑ましく見つめ


ボゴ・ソート
※口調は適当で構いません!
探すのはゲームソフトではなく周辺機器、手袋型のコントローラーです。
「まさかあの時代にこんな先進的なガジェットが存在したとは!」と驚いておきます。
実際に動きを見せたほうがコミカルですから、店頭でテストプレイさせてもらいたいです。
画面右方向に腕を持っていくとゲームのキャラが右に、左方向へ持っていくと左に移動する……といった具合なんですけど、これで格闘ゲーム遊んだら、まともにコマンド入力できる気がしませんし、身長約2.8mの俺がぶんぶん腕を振り回すので大惨事ですね。

他の人のチョイスには「すげえ!」といかにもお調子者っぽくリアクションしておきたいところです。


森園・巧
ゲーム探しね。
そういうことなら、私はRPG探すよ。
多人数で多種の職業でアタックできるやつ。
名前も自分で登録できるの。
最近のアースのゲームは初期設定で名前決まってるの多いからね。あれは感情移入という点で「どうなのかな?」と思うことが多くてね。そう思う人がオッサンなのかもね(笑)。
そんなゲームで冬に遊び倒す予定。
職業多用なら先生は召喚士。アルベルト君が精霊術士 ボコ君がシーフ。城志郎君がクレリック。紅月さんが……イメージがサイバー戦士。千秋は剣持っているから剣士? 私は武闘家かな? ホントは打撃より関節極めたりするほうが好きなんだけど……細かい?
案外バランスあるパーティーになっているのが不思議。


紅月・美亜
 クソゲーとは奥が深い。つまらないだけでは駄作し、バグだらけでは欠陥品。クソゲーとは必ず愛される何か光る所がある筈なのである。
「声優の演技がいいとか、演出はいいとか、デザインだけはいいとか」
 まあ、STGのクソゲーはそんな感じだな。
「所でバカゲーは範疇に入れていいのだろうか。この……特殊性癖に刺さる奴とか……うん、アレは置いておこうか」
 別に私も好きではないし。
「演出に力を入れ過ぎてコケる作品は多いな。逆に、背景が無さ過ぎて内容スカスカにもなるのだが」
 何事もバランスだ。
「オマージュは良いが、やり過ぎてもなぁ。私が言うなと言う話ではあるが」


アルベルト・サーシェス
他のお客様の邪魔にならない様に、ヒレは「泡姫の魔法」で足に変えておきますね。
あわわ、すみませんありがとうございます!ぐっさんに手を繫いでもらえると逸れないですし心強いです…!
ふふ、こうやって皆で買い物も楽しいですね…!

あ、僕が今回探そうと思ったのは「ふぃっしゃーまん」?みたいな名前だったと思うんですが…すみません覚えてなくて…。
お魚を育成するゲームなんですけど、マイクが付いてて話しかけていくうちにお魚が言葉を覚えて会話できるゲームらしいんです。

後は他の皆さんのゲームを一緒に探しますね…!


御宮司・幸村
道中
城志郎君やベル君に気を掛けておくよー
2人とも人が多い所苦手かもだし
はぐれないように手を差し出しとこー

へぇ、ゾノさんのはキャラメイクの自由度高い系か
見知った人との冒険って楽しいよねー
ボゴ君、周辺機器とはこれまた渋いー!
キタコレ、千秋ちゃん…BがLしちゃう系!
レイリスちゃんの定義に相づちを打ちつつ

おじさんは『アヤマチワビル』って言う謝罪RPGだよー

怒りが蔓延した世界でとにかく腰の低い主人公が
行く先々で怒って罵詈雑言を投げかけてくる敵にありとあらゆる手段で謝罪をして世界を救う物語だよー
技のジャンピング土下座は某岩男の敵博士よりこっちの方が先って説もあるんだー

あっ、褥ちゃんはどんなの買うのかなー?


玉井・城志郎
皆と買い物っすけど、初めてのところなんで迷子になりそうっすね(汗)。はぐれないように、先輩(御宮司・幸村)の手をギュッと握ってお店に向かうっす。あ、もちろん、先輩の利き手の方で(照れ)!

クソゲーについては良くわからないっすけど、先輩とじっくり遊べるRPGかAVGとかあるっすかね?

あ、先輩含めて。店内広そうなんで、皆の目的のソフトやハード探すのを手伝うっす!

買い物終わったら、先輩とゲームしたいっすね! 早く二人っきりになりたいとか、そんなコト、ないっすよ! ・・・ちょっとだけ、しか思ってないっす(照れ)




 キマイラフューチャー。
「今日行くお店、褥ちゃんも常連だったんだー」
「ええ。攻略本も充実してるから、何時間でもいられる気がするわ」
「おじさんもよく行くんだ、店長とついつい話しちゃうよねー」
 御宮司・幸村(いいかげんサマナー・f02948)は、道すがら案内役の褥と楽しそうに話している。
「お店の人と話すのもいいですね。昔は中古チェーン店とかもありましたし」
 レゲーマーな腐男子の草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)も、会話に加わった。
「今のUDCでゲーム買うってなると、量販店か通販かってなっちゃいますが、こうやってあてもなく掘り出し物を探しに行くのも楽しいです」
 会話が弾む一方で、仲間の事も気にかけていた幸村。
「2人とも大丈夫? はぐれないように手を繋いであげようかー? 先着2名でー」
 両手をブラブラさせる幸村の茫洋とした口ぶりに、彼の優しい人柄が滲み出ている。
(「城志郎君もベル君も、人が多い所苦手かもだしねー」)
「あ、じゃあお言葉に甘えて遠慮なくお願いします。先輩の利き手の方で!」
 内心、初めて来た土地で不安だったのか、玉井・城志郎(バイオモンスターの聖者・f18544)がホッとした様子で幸村と手を繋ぐ。
(「初めてのところはやっぱり迷子になりそうっすから、先輩のお心遣いのおかげで助かったっす」)
 突然幸村と手を繋げるという降って湧いた幸せへ動揺して照れつつも、自分の気持ちへ正直に彼の手をギュッと握る城志郎。
「あわわ、すみませんありがとうございます!」
 アルベルト・サーシェス(泡夢・f12926)も、控えめな彼らしくやたらと恐縮しながら、もう片方の手を慌てて掴んだ。
「ぐっさんに手を繫いでもらえると逸れないですし心強いです……!」
 そうふにゃっと微笑む様が、見る者の心を和ませるアルベルト。
 ちなみに尾ビレは泡姫の魔法で人間の足へ変化させているそうな。
「キマフューって面白い店多いんだー。今度行こー」
 また、飲み仲間の森園・巧(アースジャパン人間のサンソルの破戒僧・f03705)へ対して近所のバーの話をこそっと振る辺り、幸村は話題の引き出しも多いようだ。
「先生のお薦めなら間違いないだろうし、楽しみにしておくよ」
 巧も乗り気で頷いている。
「えっえっこの世界美味しい飲み屋あるんですか。僕も連れてって下さい!」
 と、耳聡く食いつくのは千秋だ。
「コンコンコンでお肉とか出せるかも?」
 グルメもしくは酒呑みの発想かはたまた商売人としての発想か、おつまみに大きな期待を寄せている。
「それにしても先生、今回は職務質問されなくて、よかったね」
「やだなー。職質って何かなー?」
 巧が忍び笑いしている内に、件のゲーム屋へ到着した。
「おじさんは普通の人ですよー!」
 幸村が楽しそうに先陣切って通路を進んでいく。
「おじさんの探しているゲームは『アヤマチワビル』って言う謝罪RPGだけど、さーてどこかなー」
 彩待ち侘びる、もとい過ち詫びる。
 舞台は怒りの蔓延した世界。
「とにかく腰の低い主人公が、行く先々で遭遇する怒り心頭の敵から、罵詈雑言を投げかけられるんだけど、それをありとあらゆる手段の謝罪で切り抜けながら、世界を救う物語だよー」
 立て板に水の如く説明する幸村。
「ありました! 先輩、これっすか?」
 注意深く陳列棚を眺めていた城志郎が、ひとつの紙箱を抜き取って、幸村へ渡した。
「そうコレコレ。城志郎くん、ありがとねー」
「面白そうだな! ……主人公、ちゃんと初期装備以外にも装備可能な防具はあるのだろうな?」
 紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)が、年中背広の某付き人を思い出しつつ、紅い瞳を輝かせた。
「すげえ! ……まさか、布おむつまであったりして」
 ボゴ・ソート(ウォーマシンのシーフ × 探索者・f11583)も調子を合わせてけらけら笑う。
「あるよー。技のジャンピング土下座は某アクションゲームの博士よりこっちの方が先って説もあるんだー」
 博士とは、ジャンピング土下座の披露タイミングがシリーズ作品によって冒頭だったりエンディングの終盤だったりとまちまちで、余りに幅広過ぎるあの人の事である。
「そうなんですね。本当によくご存じで……!」
 幸村のレトロゲームへの造詣の深さを改めて感じて、アルベルトが尊敬の眼差しを向けた。
 同じ頃。
「まさかあの時代にこんな先進的なガジェットが存在したとは!」
 驚いた声を出すのはボゴ。
「見てくださいコレ、手袋型のコントローラーですって」
「ボゴ君、周辺機器とはこれまた渋いー!」
 周辺機器やコントローラーって昔は色々あったよね、バズーカ型とかマウス型とか——幸村がしみじみと呟く。
「そのおかげで、携帯が普及するより前から、ゲーム機で馬券が買えたらしいわね」
 と褥も笑った。
「 へぇ、手袋型コントローラーですか。これまたマニアックな」
 千秋は微笑ましい心地で手袋型コントローラーを抱えるボゴを見守っている。
「あの、テストプレイさせていただいても良いですか?」
 ボゴが店主へ声をかけると、店主は快く横スクロールアクションゲームを白いハードへ挿して、手袋型コントローラーを繋いでくれた。
「おぉ~っ!!」
 画面の右方向へ腕を振ると、操作キャラも右に進む。
 左方向へ振ると左に移動する——といった具合に、しっかり手の動きとキャラが連動している。
 反面、ジャンプやダッシュは手袋の内圧に逆らいながら力一杯指を曲げることで反映される。
 ……ある意味ピーキーなプレイが可能である。
「これで格闘ゲーム遊んだら、まともにコマンド入力できる気がしませんね」
 とはいえ、手袋型コントローラーの重さを物ともせずに最初からブンブン振り回せる人間は、かなり限られると思われる。
 その点、ボゴは期せずしてウォーマシンの底力を発揮したといえよう。
「ああでも、身長約2.8mの俺がぶんぶん腕を振り回すとなったら、きっと大惨事ですね」
「それはそれで是非見てみたいわ。広い部屋でやりましょうよ」
 褥が心底面白そうに目を細めた。


 さて。
「僕の探すゲームはこれ!」
 ばーーんとスマホの画面を掲げながら宣言するのは千秋。
「一見乙女ゲーと見せかけて、男主人公を選んで男子キャラと仲良くなる会話を重ねると……なんと!」
 画面には、見たところ何の変哲もない女性向けの恋愛シミュレーションゲームが映っている上、すぐに城志郎が探し当てて持ってきたパッケージも、万人受けしそうな雰囲気である。
「その男子キャラと結婚エンドも選べちゃう、シミュレーションRPGなんです!」
 お目当てのゲームの肝を嬉しそうに披露する千秋。
 敢えて、攻略キャラ多数で受け攻めリバ自在のBLやMLゲームへいかず、あくまでも隠しルートとして男性キャラとのグッドエンディングや結婚ルートが搭載されているSRPGを選んだところへ、ゲーム——殊にRPG好きな千秋の拘りが感じられる。
 BL要素やそれにまつわるご褒美CGもゲームを選ぶ理由として大切ではあるものの、RPGを攻略する上で、システムやストーリーに歯応えが欲しかったのかもしれない。
「もちろん、恋愛に特化したゲームも好きですけどね。親友の立ち位置でしかなかった男子キャラを追加ディスクで攻略できるようになったりとか。幅広く楽しめますし」
「キタコレ、千秋ちゃん……BがLしちゃう系!」
 幸村も期待を裏切らない仲間の選択へはしゃいでみせた。
「あ、僕が今回探そうと思ったのは『ふぃっしゃーまん』? みたいな名前だったと思うんですが……」
 こちらはおどおどと不安そうに説明をするアルベルト。
「すみません覚えてなくて……」
 申し訳なさそうに頭を下げる彼の姿は、伊達に自ら『フィッシングゲームの釣られる側』を名乗るだけのことはある弱々しさだ。
「お魚を育成するゲームなんですけど、マイクが付いてて、話しかけていくうちにお魚が言葉を覚えて会話できるゲームらしいんです」
 続くゲーム概要を聞けば、この場にいた誰もが『あのソフトか』と理解した。
「あれかー、一世を風靡したな!」
 うんうんと納得する美亜。
「眺めたり会話ができるから癒されそうだね」
 とアルベルトを見やる巧の目は優しい。
「成体になる方法が独特だから、その、楽しみにしててね」
 褥はそうにこやかに笑いかけた。
「ちゃんと育つように祈ってるねー」
 幸村が無邪気に励ます。
「ありがとうございます皆さん!」
 ぺこりとお辞儀するアルベルト。
 ……繊細そうな彼が、あのゲームの様々な演出にショックを受けないよう祈るばかりである。
 だが、そのショックに耐えてまで成体を拝む価値は大いにある。
 立派に育ったお魚は、霧の中を進むが如き迷いの多い人生において、難解ながらも深いアドバイスをしてくれることだろう。
「クソゲーについては良くわからないっすけど、先輩とじっくり遊べるRPGかAVGとかあるっすかね?」
 城志郎は、素直に幸村へ欲しいソフトの相談をしていた。
「じっくり遊べるRPGか……城志郎くんと遊ぶなら、システムよりもストーリー重視のRPGの方が良いのかな。サクサク進めるけどストーリーがボリューム満点で満足感得られるやつー」
「全部先輩にお任せするっす!」
「ADVは……怪奇ホラー要素の強いミステリーものとかどうかな?」
 幸村が持ってきたのは、有名ADVシリーズの2作目。
 メインシナリオの不気味さもさることながら、サブシナリオのぶっ飛び具合に定評がある。
 中でも、数々のバッドエンドとトゥルーエンドの両方を見てこそ全体像がより深く理解できるサブシナリオは、救いのなさが際立つものの随一の完成度を誇るため、もはや伝説と化している。
「色んな結末を楽しめるからこれにしてみよっか。相性診断みたいなモードもあるよー」
「ありがとうございます! 先輩と早くゲームしたいっすね!」
 支払いを済ませて包装してもらったソフトを受け取り、城志郎が笑顔になる。
「ああいや、早く二人っきりになりたいとか、そんなコト、ないっすよ!」
 勢いあまって本音を吐露したのが恥ずかしくなって、思わず照れる城志郎。
「……ちょっとだけ、しか思ってないっす」


「あっ、褥ちゃんはどんなの買うのかなー?」
「わたしはこれよ。『億ション妻の情事』」
 褥が見せたのは、パソコンがマイコンと呼ばれていた時代のゲームだ。
「ああー、あの3部作の」
 それは、今で言うアダルトゲームのはしり、先駆けとでも言うべきソフトで、現代のアースとは違い、扇情的なご褒美イラストなど1枚たりとも無い。
「無いどころか、肝心のシーンはやたらデカい枠で隠されてるから、そこだけはある意味健全かもね。それが当時の演出だったらしいわ」
 だが、その物足りなさを補って余りある自由度の高いゲーム性、女性キャラクターや妨害キャラクターの多彩さが魅力的なのだと褥は説明した。
「ふふふ、ハードと合わせるとかなりの出費だけど、攻略頑張るわ~」
 その傍ら。
「クソゲーとは奥が深い。つまらないだけでは駄作だし、バグだらけでは欠陥品。クソゲーとは必ず愛される何か光る所がある筈なのである」
 自らもゲーマー旅団の旅団長を務めている美亜は、彼女らしい鋭い視点でクソゲーについて論じ始めた。
 ちなみに美亜は普段からレイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレットを自称し、仲間らも皆レイリスと呼んでいる。
 本人曰く、大いなる始祖の末裔かつスーパーハッカーバトルゲーマーでSTG狂信者なのだそうな。
「声優の演技がいいとか、ムービーとかの演出はいいとか、機体デザインだけはいいとか……まあ、STGのクソゲーはそんな感じだな」
 自機の当たり判定が妙に大きい、敵弾が異様に速い、理不尽な視点変更がある、使い分ける意味が無い武器等のクソ要素を備えつつ非常にカッコいい主役機体。
 それらの要素を有したゲームこそが、ただの駄作ではなくネタに出来るクソゲーだと、美亜は豪語する。
 かように美亜が褒めるSTGは、縦スクロールや横スクロール片方に固定せず、多数のスクロール方式で遊べるという長所がある。
 加えて起伏の激しいストーリー展開も見所はあるのだが、その激しすぎる起伏のせいか、続編では主人公が影も形もない稀有なシリーズでもあったりする。
「ところで、バカゲーは範疇に入れていいのだろうか。この……特殊性癖に刺さる奴とか……うん、アレは置いておこうか」
 別に私も好きではないし——と口を尖らす美亜だが。
「もちろん範疇に入れて良いわよ! STGにお詳しいレイリスさんが仰る、特殊性癖まっしぐらなゲームと言えば」
 案内役の褥が、何故か妙に力強く請け負った。
「あの、略称がちょっと口に出しづらい……ラバースーツ着た女の子が自転車漕ぐアレでしょ!」
 実は公式サイトあるみたいよ。わたし買って帰ろうかしら。
 独りで勝手に盛り上がってソフトを探しにいく褥を見送り、
「何故知っている……」
 溜め息をついてレイリスは続ける。
「まぁともあれ、演出に力を入れ過ぎてコケる作品は多いな。逆に、背景が無さ過ぎて内容スカスカにもなるのだが。やはり何事もバランスだな」
「そうだねー。おじさんも愛されるクソゲーにはバランスが大事だと思うよー」
「オマージュは良いが、やり過ぎてもなぁ。私が言うなと言う話ではあるが」
 ふと苦笑いを浮かべながらも、幸村とクソゲーについていつ尽きぬともしれない論議に花を咲かせる美亜は楽しそうだ。
 同じ頃。
「私もRPGを探すよ。多人数で多種の職業でアタックできるやつ。名前も自分で登録できるのが良いね」
 巧は、レトロゲームから多少時代が進んだ旧世代機ソフトのコーナーへ足を運んでいた。
「最近のアースのゲームは初期設定で名前決まってるの多いからね。あれは感情移入という点で『どうなのかな?』と思うことが多くてね」
 そう思う人がオッサンなのかもね——と自嘲気味に笑う巧。
「そんな事ないですよ巧さん。僕も自由に仲間の名前をつけられるRPG大好きです」
 すかさず千秋が言葉を尽くしてフォローする。
「身近な人々をイメージしてキャラメイクするのも楽しいですしね」
「見知った人との冒険って楽しいよねー」
 幸村も相槌を打つ。
 RPG好きにとってはお説ご尤もな意見だろう。
 仲間のヒーラーに好きな子の名前をつけただの、主人公を男にして擬似ハーレムを楽しんだだのはよく聞く話である。
「千秋と先生はありがとう。ともあれ、冬に遊び倒す予定だから、良いのが見つかると嬉しいんだけど」
 巧は幾つかのパッケージを見比べて迷う。
 同じキャラメイクもののRPGといえども、職業によって見た目が固定されるもの、戦闘時のボイスまで選択可能なもの、武器や防具の見た目が反映されるもの、顔グラまで選べるもの——とそれぞれに特徴があるからだ。
 中でも巧が馴染み深いのは名前や職業に加えて、種族や性格、能力値まで設定できるRPGである。
「これ良いね」
 ひとつのパッケージ裏を眺めて、満足そうに洩らす巧。
 ようやく理想のRPG——主人公だけでなく仲間も名前変更ができて多彩な職業を選択可能、大人数パーティも組めるゲームを見つけたようだ。
 しかも歯応えのある難易度で有名なシリーズである。
「先生は召喚士。アルベルト君が精霊術士。ボゴ君がシーフ。城志郎君がクレリック。紅月さんが機械武装を使う帝国騎士、あるいは人型兵器? 千秋は剣持っているから剣士? 私は拳闘家かな? ホントは打撃より関節極めたりするほうが好きなんだけど……」
 巧は早速ソフトに対応した携帯ゲーム機も購入して、皆から名前を貰ってのキャラメイクに心を躍らせる。
「うん。案外バランスあるパーティーになっているのが不思議」
 巧からバランスの良さを買われたクソゲー友の会の面々は、それぞれ満足いく買い物ができたようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月11日


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト