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少女に安息の眠りを(作者 きりん
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●少女の語り
 きっかけは出会いでした。
 私たちを虐げるだけの世界に絶望していた私は、その時初めて、希望というものを知りました。

「助けてあげる。だから、待ってて」

 小さな私の頭を撫でて、彼女は支配者たるオブリビオンに挑み、……敗れました。
 オブリビオンは怒りくるっていました。
 敗れこそはしたものの、彼女はオブリビオンを倒すあと一歩のところまで追いつめていたのです。
 怒りくるったオブリビオンは、ますます残虐に私たちを虐げました。
 人間が、次々に殺されていきました。

「これは、不遜にも我を害そうした輩の罪を汝らの血で贖う儀式である」

 断崖絶壁に立つ薔薇園、その中央に設けられた十字架の祭壇に四肢を張りつけられ杭打たれて、されど死ぬことも許されず、彼女はオブリビオンに囚われていました。
 ですが彼女の心は死んでいませんでした。
 それどころか、オブリビオンが隙を見せればたとえ四肢がもがれようともその首元に喰らいつき討ちはたさんと、闘志を燃やしていたのです。
 ……そして本当に、土壇場で戒めを引きちぎり、彼女はオブリビオンに深手を負わせました。
 共に半死半生、されど意志の力は圧倒的に彼女が強く。
 倒せるはずでした。
 私たちは救われるはずでした。
 彼女の行いは、報われるはずでした。
 でも。
 ……でも。
 彼女の手は、他でもない人間の手に邪魔されて、届きませんでした。

「止めろ! もう俺たちを巻き込むな!」
「服従していれば、一秒でも長く生きられるかもしれないんだ!」
「死にたきゃ一人で勝手に死ね!」

 何という、醜さでしょう。
 何という、愚かさでしょう。
 何という、身勝手さでしょう。
 自分たちが救われる機会を失わせたばかりか、あの人の願いや想いを踏みにじり、心無い言葉を浴びせなじったのです。
 オブリビオンはとても喜びました。

「これはよい! 褒美にお前たちを殺すのは最後にしてやろう」
「ありがとうございます!」
「お慈悲に感謝いたします!」
「私たちはご主人様の下僕です!」

 いっそ気持ち悪いほど愛想良く媚びへつらう人間たちが、私には同じ人間だと思えませんでした。

「ならば命を下そう。そのゴミを始末しろ」

 すでに抵抗することもできないほど弱った彼女を、人間たちは寄ってたかって鍬などの粗末な農具で殴りました。

「止めて……止めて!」

 ようやく、私は声を出せました。
 でも私は無力で、何の力もない子どもでした。
 そんな私を見て、彼女は泣きながら謝りました。

「ごめんね。私に力が無くて、あなたを助けられなかった」

 それが、あの人の遺言でした。
 一際鈍く響いた殴打音と、何かが潰れる音。
 飛び散る液体。
 気がつけば、オブリビオンが私の目の前に立っていました。

「貴様だけが参加しなかった。よって貴様が次の生贄だ」

 オブリビオンの言葉は、私には聞こえていませんでした。
 私の頭は強い怒りに染まっていました。
 神様。彼女はどうして死ななければいけなかったんですか?
 どうして、彼女は助けようとした人たちに、あんな仕打ちを受けなければならなかたのですか?
 無我夢中で飛びかかった私でしたが、当然の如く敵うはずもありません。
 しかしその時、オブリビオンの背後で彼女が立ち上がりました。

「馬鹿な──! この土壇場で、オブリビオンとして蘇っただと!」
「ア──! アアアアアアアアアアアアアア!」

 それはもう、意味のある言葉ではありませんでした。
 オブリビオンに襲いかかった彼女は、いとも簡単にその首を捩じきり、殺しました。
 それは新たな支配者の誕生でもありました。
 こうして一人のオブリビオンが死に、一人のオブリビオンが生まれました。
 でも、オブリビオンとなった彼女は違いました。
 生きている私を見て、心底安心したように微笑んだのです。

「逃げて。私はもう、正義の味方じゃいられない」

 彼女を殺した人間たちは報復を恐れ真っ先に逃げました。
 逃走を促す彼女の言葉に背を押され、私も逃げました。
 最後にふり向いた私が見たのは、ひとりぼっちになってしまった、彼女の姿でした。

 あれから──私が彼女に救われた日から、今日で十年が経ちます。
 逃げだして、彼女を救いたい一心で猟兵になりましたが、私にはこうしてあなたたちをあの世界に送る程度のことしかできません。
 お願いです。あの人を殺してあげてください。
 今もあの薔薇園の中、ひとりぼっちで苦しみ続けるあの人に安息を与えてください。
 どうか、──どうか。

●グリモアベース
 ミフィリト・リウィズ(オラトリオのスピリットヒーロー・f23836)は猟兵たちを前に説明する。

「今回はダークセイヴァーに赴き、とある地域で支配者として君臨しているオブリビオンを討伐していただきます」

 厳粛な表情でミフィリトが語ったのは、他人のためにオブリビオンに挑んだ一人の聖女とでもいうべき者と、彼女に助けられた少女の話。

「オブリビオンは、当時と同じ場所に潜伏しています。断崖絶壁に囲まれた薔薇園に、彼女はいます。過去の残滓と化して悪夢のなかでさまよう彼女を、あなたたちの手で終わらせてあげてください。……それがたとえ、いっときの安息でしかなかったとしても、彼女にとっては救いとなるでしょうから」

 祈りを捧げ、ミフィリトは猟兵たちを送りだした。
 その少女が自分だとは、最後まで告げないままに。





第3章 ボス戦 『未来へ希望を託した少女『マリア』』

POW ●あの時から、私は死なない、死ねない……
【かつて流し込まれた吸血鬼の血による不死】に覚醒して【UCを反射する不死体】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD ●まずは少し話そうよ?
【敵のUCの発動】から【一秒前にUCを封じる掌底】を放ち、【使おうとしたUCの不発】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ ●さよなら、もうこっちに来ちゃダメだよ?
【眠れば元いた世界に強制送還する光】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
👑11

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠大神・狼煙です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。