異界、駅、ゴーレム――なのじゃ。
●
――駅構内。
そこに、老若男女、およそ数十名がひしめき合い、憔悴した状態で座り込んでいた。
構内のあちこちには、血痕や破壊痕が目立ち、その駅の異様さを物語る。
そして、彼らを囲み、逃さないようにしているのは、コンクリートで出来たゴーレムのような、人型の何かたち。
その駅の、線路上。ターミナル駅故に広い空間に、一人の駅員姿の男が立ち、虚ろな目で白いチョークで何かを書き殴っていた。
「――ああ、邪神様……俺のことを馬鹿にした連中に、制裁を。この馬鹿げた世界を、滅ぼす力を……――!!」
――チョークで書かれていたのは、歪な形の魔法陣のような、何か。
そこに捧げられる捧げ物は、首のもげたロボットフィギュアや、壊れた鉄道模型、プラモデルやラジコンなど、おもちゃの数々。
――ゴーレムは、ただただ静かに、その男の諸行を何も言わずに見つめていた。
●
「UDCアース世界のとある地方都市、そこにあるターミナル駅が異界化し、邪神の儀式が行われようとしているようじゃ」
エルナちゃんはグリモアベースに集まった猟兵達を前に、いつも通りの黄色くない声で言う。
「邪神の虜となった信者は、どうやらオタク趣味のある駅員の男性じゃな。27歳独身、彼女はフィギュア」
そんな環境に覚えのある猟兵から――あぁ……――と言う嘆息が漏れる。
逆に意図にもかけない純真な猟兵はクエスチョンマークを浮かべていたが、君がどちらなのかは問わないでおこう。
「先日、先輩の駅員から趣味を馬鹿にされ、自尊心を傷付けられたところに、邪教の勧誘があったのじゃろうな。
ともあれ、その駅員は召喚の儀式を行おうとしている。放置すれば、何らかの強力なUDCが出現してしまうじゃろう。
出現したあとは、異界駅から外に出て、周囲の破壊活動を行う……ようじゃ。全く、そんなことをされたらたまったものではない」
エルナちゃんはその可能性を危惧し、やれやれとばかりに首を振った。
「故に、お前さん達にやって欲しいことは、まず儀式が行われる異界駅へ侵入することじゃ」
――異界駅自体は、現実にあるターミナル駅自身が元となっていることは、予知した映像からわかるという。
だが、現実に存在しているターミナル駅自体は普通に営業しているとのことだった。
「どうやら次元的に"位相の異なる場所にある"という状態らしく、如何せんその侵入方法が分からんのじゃよ」
つまり、その何らかの侵入方法を探さなくてはならない。ということらしい。
「そして、侵入に成功したら、UDCの一種である、コンクリート製のゴーレムを打ち倒し、生贄にされそうな者達を開放する必要がある」
エルナちゃん曰く、生贄にするために異界駅へと引きずり込まれた老若男女がいるらしく、それをロッジ・ゴーレムというUDCが複数体で囲んでいるという。
「彼らを救出できれば、儀式自体は敢行されるかも知れんが、恐らくはその強さはお前さん達で充分対抗できるレベルになるじゃろう」
エルナちゃんは頷きながらそう言って、そしてこう付け加えた。
「良ければ、その邪教に耳を傾けてしまぅた駅員の男も助けてやってくれ。
本来、オタク趣味はあるものの、不器用ながは真面目に働く好青年だったようじゃしな。
お前さんたちなら、良い結果を齎してくらると思っとる! 宜しく頼むぞ!」
守護運命の人
守護運命の人です。落ち着いてくる7本目です。
はじめましての人は、はじめまして。
お久しぶりの方は、お久しぶりです。
「遅すぎだぜぇ?」の方は、「この俺がスロウリィ?! そんな馬鹿な!(謝罪)」です。
今回も宜しくおねがいします。
今回はUDCアース世界にて、ダークな背景の儀式防止シナリオを考えました。
暴走した駅員の男、救助すべき老若男女、異界駅――。
これからの展開が楽しみでなりません。またまた、ガチシナリオです。
異界の驚異を前に猟兵達はどのような物語を紡ぐのか、今から楽しみです。
それでは、皆様の芯に熱のあるプレイング、お待ちしております。
第1章 冒険
『異界駅への誘い』
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POW : 噂になっている路線の電車に直接乗り込み異界駅に行くまで粘る
SPD : 噂になっている路線上の駅や車両等を調査し怪しいところが無いか探る
WIZ : インターネットで更に詳しい情報を集めたり、電車の利用客や駅員に聞き込みを行う
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🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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ナナシ・ナナイ
POW/駅言うなら電車で行けるのが道理やろ。やから普通に電車でGOや!交通費は出るんやろうか?出入口近くの席に座っといて外の風景や中の乗客をほどほどに警戒しながらいくで。駅弁も買っておいて食おう。気張らずにいくわ。
スカル・ソロモン
POWで判定
噂になっている路線の電車に直接乗り込んで、異界駅とやらへの行き方を調べてみるとしよう。
路線の途中に、位相の異なる場所へ侵入できるポイントが何ヶ所かあるかもしれないからねえ。
調べる内容としては、車窓から見える景色が一瞬違って見えたり、妙な感覚がある場所が無いか、と言ったところかな。
何か分かれば他の猟兵達にも情報を共有するとしよう。
他の猟兵から情報が回って来た場合は、それを元に調査地点を絞ってみようか。
おや、お婆さん。良ければこちらの席にどうぞ。
いえいえ、私は大丈夫ですよ。
……ちょっと、面倒な探しものがあるのでね。
●
「駅言うなら電車で行けるのが道理やろ。やから普通に電車でGOや!」
「路線の途中に、位相の異なる場所へ侵入できるポイントが何ヶ所かあるかもしれないからねえ」
同じ考えに至ったナナシ・ナナイ(ナニワのマンハンター・f00913)とスカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)は、ターミナル駅へと向かう路線の電車に乗り合わせていた。
出入口近くの席に座っといて、外の風景や中の乗客をほどほどに警戒しながら乗るナナシ。
その近くの席に座り、車窓から見える景色が一瞬違って見えたり、妙な感覚がある場所が無いかを注視するのは、スカル。
――と、途中の駅で、腰の弱そうな杖つきのお婆さんが、一人乗ってくる――座る席は、なし。
すかさず、スカルは席を譲ることにした。
「おや、お婆さん。良ければこちらの席にどうぞ」
「あら、すまないねえ……」
「いえいえ、私は大丈夫ですよ……ちょっと、面倒な探しものがあるのでね」
ナナシの眼の前にある吊り革に捕まりつつ、スカルはお婆さんに席を譲る。
「へえ、意外に親切なんやなぁ? スカルちゃん」
「紳士であらねば、ね。しかしナナシ君、その呼び方は威厳に欠けるのでやめていただきたいが……」
駅弁を頬張りながら、スカルのその優しさに感心するナナシと、何でもない事のように言ってのけるスカル。
――面白いコンビであった。せっかくなので、二人は外と中を、それぞれの視線が向いている方を警戒することにした。
「次は――駅……次は――駅……」
やがて、電車はターミナル駅に辿り着こうとしていた。二人が、このまま収穫なしか――と思っている時。
「「――!!」」
その、決定的瞬間を、見た。
景色が一瞬、ノイズが走ったように歪み――それが収まったと思ったら。
――彼らの隣の席に座ったはずの、お婆さんが消え失せていた。
その事実に気づいたのは、猟兵であるスカルとナナシのみ。他の乗客は気づいた風もなかった。
「――く、この距離で……前兆も見せずだと
……!?」
「思ったよりは厄介そうやんな。まるでゲートみたいに開くんかぁ、コイツは……?」
とりあえず、この情報を他の猟兵に伝えるため、二人は電車を降りるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アンナ・フランツウェイ
予知で男が言った言葉、世界が憎い身としてはすごく親近感を感じる…。でも私は猟兵。ただ破壊と殺戮をもたらすオブリビオンとは違う。
異界への侵入方法が分からないなら、実際にその異界へ人が入る所を見ればいい。エルナちゃんの予知に似た場所に張り込んで、異界への入り口を見つけよう。
第六感と聞き耳で構内に異変が起きていないか調べつつ、道に迷って歩き回る振りや(食事も兼ねて)駅内の売店で物を買ったりして、張り込み中だということを気付かれないようにしたい。
人が消える及び壁や柱に入り込んで行く人間を見たらその場所を調査、異常が無いかを調べる。あと他の猟兵達にも連絡。
●
「世界が憎い身としては、すごく親近感を感じる……」
アンナ・フランツウェイ(断罪の御手・f03717)は予知で男が言った言葉を思い返しながら、思う。
――でも私は猟兵。ただ破壊と殺戮をもたらすオブリビオンとは違う。
異界への侵入方法が分からないなら、実際にその異界へ人が入る所を見ればいい。
そう考え、エルナちゃんの予知に出てきたターミナル駅のホームに張り込んで、異界への入り口を見つけようとするアンナ。
――だが。
「…………」
「お嬢ちゃん、迷子かい? 親御さんが来るまで、待ってるんだよ?」
道に迷って歩き回る振りをしていたら、駅員に呼び止められて――。
――今、アンナは迷子と間違えられて、何故か駅の事務所に居た。
幼くも見える外見がアダとなったか……――アンナはとりあえず何もすることがないので、売店で買ったお菓子やパンなどをひたすらに食べていた。
(とりあえず、迎えが来るまで待機するしかない……――はぁ)
要請した、親御さん役のエージェントが来るまで、アンナは待機することとなってしまった。
失敗
🔴🔴🔴
ゼルド・シュバイツァー
素顔を見せず、威容を見せるような機械鎧では、話を聞くことも難しいでしょう。
なので、機械鎧は着用せずに私自身の私服(『秘されし陽光』を参照。年相応の服なのです)を纏い、
電子ゴーグルを念のため携帯した上で行動を開始します。
先ず、【コミュ力】を活かしつつ駅員の方々や利用客の皆様に聞き込みを行います。
その情報を元手とし、ネット内の掲示板を検索。幸いにも私には電脳ゴーグルも御座いますので、出先でのネット利用にも困らないかと……。
必要になれば聞き込みに戻ることで更に情報の掘り下げを行います。
もしも襲撃を受けるなどした場合のみ、【エレクトロレギオン】で【時間稼ぎ】を行い、早急にその場から離脱します。
花菱・真紀
おお、異界駅かー都市伝説の中でも有名なやつだなー。俺、都市伝説は大好きだけどさーオブリビオン製のはいらないんだわー。…さてやりますかね。
とりあえず【情報収集】だな異界駅関連はオカルト系のサイトで調べるとして。あとはこの路線の電車関係のスレッドなんかも調べておこうか。気になる記事やスレッドがあったら書いた人にアタックしてみるのもありだな(【コミュ力】使用)
●
「すみません、少々お時間よろしいでしょうか?」
ゼルド・シュバイツァー(陽炎の仇刃・f12297)は、通常着ている光学迷彩マントの付いた機械鎧を着ず、普通の若者が着てそうなファッションの私服を着て、駅構内で聞き込みを行っていた。
「――うーん、ちょっとよく分からないな」
「――えーっと、見たこと無いよ……?」
「――すみません、ご協力できそうにないですね……」
「そうですか、ありがとうございます」
駅員、利用客、様々な人物に聞き込みを行い、出した結論は一つ。
――目撃例が、極端に少ないということ。
(――これだけ隠密裏に事を為せるというのは、ある種異常ですね)
それを踏まえた上で、ホームにあるベンチに座り、ゼルドは電子ゴーグルをつける。
「ん、情報は大体集まったかい、ゼルド」
「ええ、興味深い事実が聞けました。そちらの収穫は?」
「こっちもまあまあだぜ。テキストに纏めたからデータとして送っとく」
ゴーグルから声が聞こえる。花菱・真紀(都市伝説蒐集家・f06119)のものだった。
同じ方向性で調査しようと思い立った二人。協力体制を敷き、SNSの通話機能で情報をリアルタイム共有していた。
――ゼルドが現地で情報を集め、遠隔地でパソコンを前にした真紀がそれをネットで検索する。
「しかし、異界駅かー都市伝説の中でも有名なやつだなー」
パソコンを操作しながら、真紀は一人呟く。開いているのは異界駅関連の書き込みのある、オカルト系のサイト。
「俺、都市伝説は大好きだけどさー。オブリビオン製のはいらないんだわー」
そこで出てきた情報は、やはり異界駅となっているらしいターミナル駅、その電車内で失踪する、という類の話。
――電車が到着する時、本来居たはずの人数より乗客が減ってるらしい。
――ホームに出た瞬間、知り合いを見失って、二度と会えなくなる。
「私の方も面白い情報をヒットさせましたよ」
「お? どんなんどんなん?」
電子ゴーグルでネットに繋ぎ、自分でもネットを検索し始めたゼルドが言う。
――駅の入口で、知り合いとはぐれました。探しています。
――駅ん中に入った瞬間、アイツどっか行っちまったんだけど……どこ行ったんだ? 情報求む。
それは、駅関連で調べた、行方不明者の書き込みのある掲示板。
「これは駅の敷地を――」
「――外から跨いだ瞬間がキーなのか?」
――二人は、同時に同じ結論に達した。
「私は引き続き、この情報を元に聞き込みを再開してみます」
「りょーかい。こっちはまたネットの書き込みを、多面的に見てみるわ。あと、駅構内から下手に出るのはやめといてくれよ」
「違いない。一人で巻き込まれたら大変ですからね」
徐々に見えてきた侵入方法に二人は言葉を交わし、次の行動に移る。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
黒木・摩那
★駅員に聞きこんで、異次元駅を探す
【WIZ】
駅員が邪神の召喚とか、ずいぶんとお手軽に?邪神が呼び出せるようになったものです。
これも教団の布教のせいでしょうか。
そちらも深刻ですね。
でも、まずは目の前の危機を何とかしましょう。
駅員の身元は割れているようなので、
そこから異次元駅の場所を探ります。
異次元駅といっても、
駅員が全く知らない場所に出てくるとも思えないので、
関係ある場所と思います。
駅員に聞きこんでみます。
問題の駅員に落とし物を拾ってもらって、お礼がしたいという口実で、
普段の仕事場とか、よく通っていた場所を教えてもらい、
担当ホームや通勤などを調べます(情報収集/第六感)
●
(駅員が邪神の召喚とか……ずいぶんとお手軽に――お手軽に? うん、お手軽に邪神が呼び出せるようになったものです)
黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は今回の状況を思い、由々しき事態だと悲観する。
――でも、まずは目の前の危機を何とかしましょう。
駅員の身元は割れている。ならば、そこから異次元駅の場所を探れるはずだ。彼女はそう考えた――そこで、駅員に聞きこんでみることにする。
「あの、すみません。ちょっといいですか?」
「ん? はい、質問でしたらなんでもどうぞ」
呼びかけられた男性駅員は、駅員として丁寧に対応する。
「あの、駅員の黒木さんに落とし物を拾ってもらって、お礼がしたいんですが……」
「あー、黒木ですか……ちょっと、用事で仕事を休んでいましてね……」
流石に地方駅のターミナル駅とは言え……流石に、無断欠勤などとは言えないだろう。その辺り、口は堅い。
ちなみに、黒木というのは例の邪神に魅入られた駅員の名前である――フルネームは、黒木・大悟といった。
「え、仕事を休んでるって……病気か、何かですか? 大丈夫ですか?」
「あ、うーん……」
駅員は立て続けに聞いた摩耶の問いかけに、悩む。
――しっかりと数分は悩んでから、口を開いた。
「――……うーん、実は黒木が休んでる理由は分からなくて。俺たちも心配してるんだよ。もし街とかで見かけたら、俺たちが心配してるって言ってやってくれるかな?」
「あ、はい。わかりました。ちなみに、普段の仕事場所とか、どんなとこに行かれるか、とかはわかりますか?」
「んー、アイツは券売機周りが担当だったな。あと、あんまり個人情報だし言いたくないんだけど、あいつはゲームとかアニメとか好きだし、そういうところじゃないかな……?」
答えは、今まで分かった情報を比べて、あまり参考にはなりそうになかった。ありがとうございます、と言って摩耶はその男性駅員と別れた。
――とりあえず、街の方に出てみよう。彼女はそう思い立ち、駅の構内から出ようとしたところで――。
「っ!」
一瞬、景色が歪む。
駅の構内に入ってこようとしていた女性が一人、その歪みに巻き込まれて――消え失せていた。
それを目撃したのは、やはり猟兵である摩耶だけ。
(――……周りの人の意識が、逸れてる……まさか、それが条件?)
ふと、その可能性に摩耶は思い至る。要するに、オートメーション化された転移条件なのではないか、と。
確証はまだない。だが、だとすれば他に調査方法はあるはずだった。
成功
🔵🔵🔴
白金・ジュン
【WIZ】判定
・使用スキル
コミュ力4、追跡2、情報収集1、第六感1
・行動
ネットで路線上の駅から怪しい所をピックアップ
後は実際に駅へ、構内でベンチに座りユーベルコード使用して立ち聞きし
噂に関することを話していたら寄って行って改めて話を聞き出す
・聞き込みセリフ
私、ネットニュースの取材をしてる者なんですが
良ければお話聞かせてもらってもいいでしょうか
いまちょっと聞こえてしまったんですけど
「行方不明になった人たちが異界の駅へ引きずり込まれる」
という噂を聞いたことあるんですか?
・独り言
良し、だいたい絞り込めてきたかな……
好きなものをバカにされるのはつらいけど
だからって人に危害を加えてしまったら戻れなくなる
●
「おいで、頼みが有るんだ」
駅構内のベンチに座った状態で、白金・ジュン(魔法少女使い・f05521)は魔法少女のお供たる、ミニマスコットを召喚していた。
マスコットはすぐに駅構内へと走っていくと、話をしている者達の側へと寄り、その話の内容を拾ってくる。
――その内容はほとんど世間話など、他愛もない話が多かったが――ジュンの放ったマスコットの耳に、こんな話が聞こえてきた。
「――ねえねえ、知ってる? トイレの鏡に、変なものが映ることがあるって!」
「えー、それもしかして、今有名な異界駅のオカルトの話ー!? 引きずり込まれるんだよねー!」
と、言い合うのはどうやら噂話の好きそうな女学生達。
ジュンはビンゴ、とばかりににっこり笑い、ベンチから立つ。そして、その女学生達の居るところへと向かった。
「すみません、良ければお話聞かせてもらってもいいでしょうか?」
「え? えぇ、いいですけど……」
「何、えっと、記者さんか何かですか?」
「はい。私、ネットニュースの取材をしてる者なんですが」
いきなり話しかけられて驚き、警戒する女学生達。
ジュンはそんな女学生たちに、優しく微笑んで話しかける。整った端正な顔立ちで、人の良さそうなイケメンに見える――実際、本当に扱いが不憫に思えるくらいにそうなのだが――彼へのその警戒が少し解れる。
「貴女たちは、『行方不明になった人たちが異界の駅へ引きずり込まれる』という噂を聞いたことあるんですか?」
「え? うん、そうよ。学校で最近話題なの。実際に引きずり込まれたんじゃないかって言われてる生徒も居るわ」
「なんか不気味なんだけどね。駅の構内のトイレの鏡のむこうに、その生徒の姿を見たって噂もあるんです」
「なるほどなるほど……――とても有意義な取材でした。これは、お礼です」
ジュンは女学生達に一封の封筒を渡し、ウィンク。
――中身は、近くにあるデパートの商品券。情報料として配るため、今回UDC組織から猟兵達に渡されていたものだった。
それを確認した女学生達は、互いに顔を見合わせ笑い合う。そして服を買う相談や、ジュンのカッコよさなどを話しながら、去っていった。
「良し、だいたい絞り込めてきたかな……――鏡、か」
女学生達が去ってから、あまりカッコいいカッコいい言われるのは慣れてないジュンは、少し頬を掻き――ここに来ての新情報に思考を傾ける。
――構造は全く同じ駅。鏡というものは、よくそういう"同じであり違う世界"の入り口などに利用される。
引きずり込むのとは別の入口が、開けるかもしれなかった。
(――好きなものをバカにされるのはつらい――けど、だからって人に危害を加えてしまったら戻れなくなる)
駅員黒木の経緯を思い、同情する。
――同情するが故に、取り返しのつかない間違いを犯してはいけない――と、彼を止めるために、少年は動く。
大成功
🔵🔵🔵
響・夜姫
・駅や車両等を調査し怪しいところが無いか探る
「こういうのは。地下への道が繋がってるのが、お約束」
まずは地上から地下を調査。
人通りの使われていない階段や通路、職員用の出入り口。そしてその付近の人の流れそれ自体。
あるいは……
「地下へ潜る線路、それ自体」(キリッ)
……ターミナル駅だし。あると思う。
無い?それなら(しょんぼりしながら)同じ視点で地上構造を調査。
一応。職員用の出入り口を開閉したり、電車の来ないタイミングで線路上に出ても良いか、エージェントに確認しておく。
ダメなら建築物・鉄道好きのふりをして、じっくり観察。
「む。嵐を呼びそうな特急ロボ。買っとこ」
●
「こういうのは。地下への道が繋がってるのが、お約束」
地上から地下を調査――人通りの使われていない階段や通路、職員用の出入り口。そしてその付近の人の流れそれ自体。
あるいは、地下へ潜る線路、それ自体――。
(……ターミナル駅だし。あると思う)
そう、思った。響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)は、そう思ったのだ。
「……あった、けど」
予想とは反した様子ではあるが、しょんぼりとした様子で響は立ち尽くす。
一応、ターミナル駅故に駅ビルが建っており、そこに地下構造はあったのだ。
だがその広さは流石に地方駅であるためか、そこまで広くはない。ファッションで作ってみました、程度なものだ。
――それでも一応。建築物・鉄道好きのふりをして、じっくりと観察を続ける。
職員用の出入り口を開閉したり、電車の来ないタイミングで線路上に出たりというのは、確認したところ"出来る限りあくまで一般人として出来る範囲の調査を"とのことだったので、出来なかった。
「む。嵐を呼びそうな特急ロボ。買っとこ」
地味にこの駅に併設された駅ビルの店舗には、その手の商品は結構取り揃えられていた。
――特急ロボを買いながら、やっぱり物色するような動きと見せかけて、周囲を探索する夜姫。
だが……。
(……ダメ。全然それっぽいものがない)
完全に空振り、というやつだったようだ。肩を落として、夜姫は別の方法を考えることにしたのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
イデアール・モラクス
ふむ、まぁその男の気持ちは分からんでもない。
かつて色々と持て余していた野盗達に何度でも遊べるゾンビ娘をくれてやったら投げ返されてな、思わず皆殺しにしてしまったくらいだ。
自分の趣味が理解されんと悲しいものよ。
・行動
ともあれエルナちゃんの頼みならやらねばな、日々の飯の礼もある。
私は件の駅を歩きながら魔力反応が無いかを探す、更に道行く者を『誘惑』して聞き込みだ…良い情報をくれた者には物陰で少し褒美をやる。
「異界化しているなら必ず魔力反応があるはず、それを突き止めねば…」
侵入ポイントを見つけたら術式に干渉しその穴をこじ開け、行き帰りが出来るように出入り口とする。
愛欲の軍勢を配置して人払いもさせてな。
●
「自分の趣味が理解されんとは……悲しいものよ」
享楽と暴虐の化身ではあるが、悪逆でなく非道ではない魔女、イデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)は、予知に出てきた駅員の事を想う。
(かつて、持て余していた野盗どもに、何度でも遊べるゾンビ娘をくれてやったことを思い出すな……)
――あの時は、投げ返され、思わず皆殺しにしてしまったが――などと昔の事を思い出す。
多分、今回の件とはスケールもベクトルも違いすぎると、地の文は想うわけだが。言わぬが花だろう。
「何やら不満げな魂の言葉も聞こえるようだが――ともあれ、エルナちゃんの頼みならやらねばな。日々の飯の礼もある」
この人、地味に地の文と話すから怖い。ともあれ、イデアールは行動を開始する。
彼女が今いるのは、駅構内へと入る死角となるであろう、場所。
――即ち、駅ビルの物資搬入口。職員用入り口をも兼ねているそこにある、職員用の男子トイレであった。
正確に言うと、その男子トイレにある鏡。UDC組織との連絡をとり、トイレの点検と評して立ち入り禁止にして貰ったのだった。
今はイデアールが呼び出した愛欲の軍勢の男たちが、清掃員姿で見張りに立っている。
「まあ、あちこち歩きまわって調べてみたが――やはり駅全体を覆っている魔力の気配は、丁度ここが境目になっている、か」
イデアールはそう言うと、詠唱を始める。魔法陣が宙空に広がり、鏡の表面が波立つ……――!
「……まあ、こんなものだろう」
――出入り口は出来た。あとは異界駅に乗り込み、制圧するだけだ。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ロッジ・ゴーレム』
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POW : ゴーレムパンチ
単純で重い【コンクリートの拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : サンドブラスター
【体中から大量の砂粒】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ジャイアントロッジ
予め【周囲の無機物を取り込んでおく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
●
――その異界駅の中。凄惨な情景が広がっていた。
儀式の術式的に必要なのだろう、あちこちに白チョークで書かれた歪な魔法陣のようなものが書かれ……死体――いや、死体未満、だ。物言わぬボロ雑巾になってはいるものの、まだ息のある人間達が捧げられている。
酷い――猟兵たちは思いながら、予知のあった駅ホームへと急ぐ。
幸い、鏡対称の配置ではあるものの、その構造は通常のターミナル駅と同じである。あまり迷わずに、駆けつけられた。
――そこでは、今まさにロッジ・ゴーレム達が、生贄になるであろう人々を歪な魔法陣へと追い詰め、八つ裂きにしようとしていたところであった。
「――!? 誰だっ?!」
駅員、黒木・大悟は猟兵達に叫ぶ。彼はオブリビオンではないのだろう、猟兵とは分かっていないらしかった。
――分かっているのは、明確なオブリビオンたる、ロッジ・ゴーレム達の方。
人々に襲いかかる最低限の数を残して、残りが猟兵達の方へと向く。
集合意識でもあるのだろうか――ロッジ・ゴーレムが猟兵たちへと迫ってくる!
――さあ、戦いだ。魔法陣に追い立てられる人々を救い、このロッジ・ゴーレムたちを破壊せねば!!
ナナシ・ナナイ
SPD/わいは生贄の人らを助けるで。ユーベルコードでアサルトウェポンを複製して、向かってくるゴーレムを攻撃(【2回攻撃】)しながら生贄の人らに向かって【ダッシュ】していくわ。立ちはだかって来るなら股下を【スライデイング】していくで。そして今まさに生贄の人らに襲いかかろうとしているゴーレムを華麗なアクションで攻撃して一言『このナナシ・ナナイが助けにきたからにはもう安心やでみなさん!』
白金・ジュン
※協調:可、合同プレ歓迎
【WIZ】判定
・スキル
怪力3、ロープワーク2、スライディング1、援護射撃2、ダッシュ2
・行動
自分で見つけた鏡を使った別ルートで異界駅へ侵入
皆が駆けつけた所と違う方向から不意を打つ
ダッシュで滑り込み包囲の中心部へ飛び込む
そのままユーベルコ-ドを使用してゴーレムたちを光のリボンで拘束
他の猟兵達に生贄の人達の救出を頼む
・セリフ
「だああああっ!」(滑り込み)
「来い!ピュア・ホワイト、マジカルリボンだ!」(ゴースト召喚してUC)
「今だ、オレが動きを止めているうちにこの人たちを頼む!」
アララギ・イチイ
出遅れたわぁ、(面白そうだから)途中参戦よぉ
生存者がいる状況では重火器で殲滅するのは危険よねぇ?(殲滅戦が出来ない苦手な状況
生存者もピンチだから、時間稼ぎするわぁ
羅刹紋で浮遊、大型シールドの推進装置を点火して、生存者に向けて強引(捨て身の一撃)に(ダッシュ)で突撃、ゴーレムと生存者の間に割り込むわぁ(迷彩・残像で敵からの視認性低下を狙う
魔改造ブーツの靴底のドリルを地面に突き刺して急停止、全シールドビットを周囲に展開して(盾受け)よぉ
同時に香名・千古不易の香りを周囲に漂わせて、生存者を無敵の石像に変えて、応援が来るまで防御に徹して時間稼ぎするわぁ(自分は(毒使い)の能力で解毒剤を服用してUC無効
黒木・摩那
★生贄となった人たちの救出を図る
誰だ?と問われれば、
UDCとか、猟兵とか説明しても面倒そうですから、
通りすがりの正義の味方とでも返しましょう。
そちらの方がかっこいいし。
やっと異次元駅にやってきましたが、中は死屍累々……
しかもゴーレムが今にも八つ裂きにするところではないですか。
急ぎ、生贄の救出を図ります。
こちらに向かって来るゴーストたちは相手にせずに受け流して、
生贄を襲おうとしているゴーストを止めに、
ゴーストと生贄たちの間に割り込みます。
UC「トリニティ・エンハンス」【水の魔力】を使って、
防御力を上げて臨みます。
その代わり、攻撃は他の方にお任せします。
●
――迫るゴーレム。
その間隙を縫うように、駆ける猟兵の姿が一つ。
それは、宙に舞う銃器を従えながら、着実に確実に前へ前へと進んでゆく。
――迫るコンクリート塊の腕をスライディングで避け、彼はその股下を潜った。
そして、生贄にされかけていた、未だ健在な老若男女たちの前へと辿り着くとその身を翻し――すかさず宙を舞う銃器に火を吹かせ、銃弾でゴーレムを抉っていく。
「このナナシ・ナナイが助けにきたからにはもう安心やで、みなさん!」
彼――ナナシは振り返りながら親指を立てて、その勇敢な言葉を放った。追い詰められていた生贄候補たちに、安堵と歓喜の表情が浮かぶ。
「なっ……――何なんだ、これからって時に! 話が違うじゃないか! ――何なんだ、お前は!」
駅員・黒木はやや錯乱した状態で、猟兵たるナナシを睨みつける。その感情が伝わったのか、ナナシの方へとゴーレム達は指向される。
瞬間、ゴーレム達が輝いた――否、放射される砂粒の反射で、そう見えただけだった。これは、砂粒による無差別攻撃――ナナシ諸共、生贄たちを貫く腹積もりのようだった。
「チッチッチッ」
だが、それを見る対するナナシは冷静で、余裕の表情であった。舌を鳴らしながら、指を横にゆらりと振る。
そう、彼には分かっていた。ナナシの後方から、とある猟兵が来ることを。
――猟兵達が来たのとは全く逆方向から現れたのは、白金・ジュン。
「だああああっ!」
「なっ、お前! どこから!?」
自分で見つけた鏡を使った別ルートで異界駅へと侵入したジュン。彼は、不意を打つ形で参戦し、ナナシとゴーレムの間に滑り込む形で現れたのだ。
「来い! ピュア・ホワイト、マジカルリボンだ!」
「マジピュア・ウェイクアップ!」
その彼の号令とともに、彼の扱うUDC――魔法少女のような姿をしたゴースト、ピュア・ホワイトが現れた。
彼女は現れると同時に、お決まりのセリフとともに華麗に決めポーズを決めると、ウィンクをしながらマジカルロッドを差し向ける。
「マジカル・リボン、ラッピングプレゼント!」
ピュア・ホワイトのロッドの先から、光のリボンがゴーレム達へと殺到。その身体をラッピングしていき、動きを縛る。
一部のゴーレムはそれで砂粒を放射することもままならなくなり、ほとんどのゴーレムの放射する砂粒の密度が、落ちる。
だが、まだ完璧とは言えない。ジュンにもそれは分かっていた。
「今だ、オレが動きを止めているうちに頼む!」
――そう叫んだ彼の前に、二人の猟兵が躍り出る。
一人は、アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)。
そしてもう一人は、黒木・摩那であった。
彼女らの展開するのは無数のシールドビットと、巨大な水の結界――それらが、砂粒を一粒残らず弾き、吸着し、その攻撃を防ぎ切ったのだった。
「何なんだ、と言われれば――そうですね、通りすがりの正義の味方です」
「うふふ、そういうことねぇ? 悪いけど、彼らは傷つけさせないわぁ」
彼女たちはそう言って、その鉄壁の防御の布陣でナナシ、ジュンに向かってくる攻撃を片っ端から無効化していく。
頼りになる助っ人に、ナナシとジュンは――苦笑した。
「どんな手を使ってでも、ってか……流石にやりすぎとちゃうんか、これは?」
「うん、流石にこれは可哀相かなって、思うね……」
「……まあ、少しだけそう思わなくもないです」
同時に現れた摩那もそういうのだった。それに対し、やった張本人たるアララギは、うふふふ、とただ笑うだけ。
――彼らの背には、安堵の表情のまま無敵の石像と化した、生贄候補たちの姿があった。
それはアララギのユーベルコード、香名・千古不易の効果であった。
「これで気にせず戦えるでしょお?」
「ま、確かにせやけどな! おおきに!」
「うん、まあ凄い効果はあるんだし、助かることは助かるね。それじゃ、やるぞ! ピュア・ホワイト!」
「攻撃は二人に任せます。守りは、私達に任せてください」
ナナシとジュンは、それぞれの戦い方でゴーレムへと向かっていき、アララギと摩耶はその彼らへ向かう攻撃を防御する。
彼らは絶妙なチームプレイで、ロッジ・ゴーレムたちを生贄候補から遠ざけ、退けていったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
イデアール・モラクス
フン、見事な喰い散らかしっぷりだ…邪神召喚の儀式としては雑な部類だが。
兎に角、死にかけ共を救出せねば本気でヤバイのを呼ばれてしまう…ここはヤツを使うか!
・行動
『高速詠唱』『全力魔法』で従者召喚を行使してレイを呼び出し、ゴーレムと戦わせる。
私はその隙に死にかけの生贄共に治癒魔法を施して後退させる、いざとなれば『吸血』して眷属とし我が支配下に置いて儀式の生贄対象から外す荒技を使う。
「生贄よりはマシ、いや、むしろ光栄に思え!」
・レイの戦術
槍に氷属性を纏った『属性攻撃』で『串刺し』にして凍結させ、凍った個体を『踏みつけ』て跳躍しながら翻弄するように戦う。
『ふふん、僕ってフィギュアよりも可愛いでしょ?』
アンナ・フランツウェイ
情報収集で遅れはとったけど間に合った。
真の姿…両翼が黒色に染まった状態へ変化。凄惨な光景を生み出した黒木への憎悪と、脳裏から聞こえる声に従うままゴーレムと駅員に居る方向へ突撃する!
ゴーレムがジャイアントロッジの予備動作をしている内に攻撃を仕掛ける。
攻撃には鎧砕きや鎧無視攻撃の要領で、装甲を砕きコア等の急所へ剣を突き立て、当たったら傷口をえぐるで確実に急所を粉砕していこう。
数が多いなら拒絶式・呪詛黒百合でまとめて倒そう。
「そこを…どけ!」
駅員…黒木の前に来たら、手に持つ剣を振り下ろす…瞬間我に返って黒木を殺さないよう剣を収める。黒木を殺してしまったら、この男の憎悪を肯定する事になってしまう…。
ゼルド・シュバイツァー
さて、侵入方法が分かりましたからいつもどおりに機械鎧を装備して参りましょうか。
周辺地形が破壊されるのならば瓦礫は自然と発生しますよね?
向こうの【ジャイアントロッジ】で活用される前に該当する無機物の制御権を此方の【サイコキネシス】で奪取した上で攻撃を行います。
私自身は【迷彩】を用い、光学迷彩での隠密を心がけ、
隙を見せた相手を【暗殺】していきましょう。
一打で足りぬのであれば【2回攻撃】を用い、二撃目を重ねて行きましょう。
相手は集団です。確実に排除しながらも、利を渡さずに。
花菱・真紀
いきなりエンカウントって感じだな。余裕があったら異界駅に紛れ込んだ人を俺のユーベルコード内に避難させたかったんだが…まぁしかたない。
【SPD】
俺のユーベルコードは砂とはまた別だが…無差別攻撃には無差別攻撃を【匿名の悪意】を使用。
うまい具合に相殺されてくれるといいんだけど…。
響・夜姫
「……最優先は。ゴーレムの全排除」
・SPD
【クイックドロウ】【2回攻撃】【誘導弾】【一斉発射】を活かして二丁拳銃を踊るように撃ちまくる。
的は大きい。撃てば当たる。たぶん。
リロードの隙はアームドフォートでズドン。
ゴーレムがある程度の数固まってきたらフルバーストを撃ちこむ。
味方、そして一般人への【援護射撃】も忘れない。
……まぁ。残りがこっちに来ても。重傷になるだけ、だろうし。
一般人が死ぬよりは。ちょーぐっどな結果。
ついでに。流れ弾で魔法陣も壊せると、ぐっど。
マイペースだけど戦闘は真面目に。
淡々とこなす感じで。
●
「フン、見事な喰い散らかしっぷりだ……邪神召喚の儀式としては雑な部類だが」
その手の召喚術式にも詳しいイデアールは、魔女として考察する。
猟兵達は既に戦闘を開始している。しかし、儀式の完成の邪魔をするのもまた必要なことだった。
「兎に角、死にかけ共を救出せねば本気でヤバイのを呼ばれてしまう……――ここはヤツを使うか!」
イデアールは、戦闘を任せるのに最適な"ヤツ"こと――魔槍士レイを召喚したのだった。
ミニスカメイド服の少女――いや、女装した銀髪の美少年たる彼は、召喚されるとイデアールに傅くのだった。
「おや、マスター。呼んだ? 直接手を下す方が好みな貴女にしては珍しい」
「ふっ、そうせねばならん事情があるということくらいは察している癖に、お前はそういう所は相変わらずだな」
「冗談だってば、マスター。ここは僕にお任せあれ」
己の代わりにレイが戦場へと向かっていったのを見送ってから、イデアールは八つ裂きにされた後の生贄たちに向く。
イデアール自身も思ったが、似合わないことに彼らに治癒魔法を施していく。
あまりに重傷で、治癒魔法では間に合わない相手には吸血も必要かと考えていたが、その必要はないようだった。
(――むしろこの術式、血を流させることが目的か。となると生贄どもは血を継続的に流させるだけに置いているということか)
優れた魔術師たる彼女は、治療の合間にそれだけの事実を見抜く。故に、生贄たちを開放しても、儀式の完遂は防げそうにはなかった。
(まあ、それはエルナちゃんが最初から言っていたことだ。出力は大分落とせることに変わりはないだろうしな)
治癒してやった生贄たちに感謝されながら、彼らに指示を出して、出口へと次々向かわせていくイデアールはそう思い――己の代わりにレイが向かった、戦場の方を見やった。
●
「周辺地形が破壊されるのならば、瓦礫は自然と発生します――か」
ゼルドは機械鎧をきっちり着込んだ姿で、ロッジ・ゴーレムの戦い方を見ていて、独り言つ。
「やれやれ、デカイ図体の割に、なんて効率的な戦い方をしてるのでしょうか、まあそれを逆利用させて頂きますがね」
ロッジ・ゴーレムがコンクリートの拳で破壊した瓦礫を、纏めてサイコキネシスで支配し、それを乱舞させてゴーレム達をなぎ倒していく。
しかし、一部のゴーレムは、その上でそのゼルドの放ってきた瓦礫を無理やり吸収し、ゼルドへと迫ってこようとする――。
「その攻撃は、予測済み」
両翼が黒色に染まった、真の姿を晒したアンナが、その吸収のために硬直したゴーレムに処刑剣・ラストレクイエムを突き立て、コアとなる無機物を取り込むUDCの本体を刺し貫く。
コンクリートが剥がれ、ゴーレムが沈黙する――それを、アンナは音速で進みながら、繰り返していく。
「そこを……どけ!」
そしてアンナは拒絶式・呪詛黒百合を発動させ、ラストレクイエムをクロユリの花びらに変え、舞わせた。
花びらは周囲に居るゴーレムの本体を纏めて貫き、沈黙させる――その、目的は。
「ひぃいいっ!?!」
凄惨な光景を生み出した、駅員・黒木へと、肉薄すること――。
驚いた、駅員・黒木は尻もちをつく。そう、駅員だった彼に、戦闘経験などあろうはずがない。殺そうと思えば、簡単に殺せる。
アンナは瞬足にその駅員へと近づき、見下ろし――手に持つ剣を、振り上げる。
「――……最優先は。ゴーレムの全排除」
「!」
その声を近くで発したのは、夜姫であった。瞬間、我に返って黒木を殺さないよう、アンナは剣を収める。
「その駅員と同じ憎悪で殺してしまったら、駅員の憎悪を肯定する事と同じ。それに、エルナちゃんはできれば助けてやれって言ってた」
「――うん」
アンナにも、それは分かっていた。夜姫はアンナが思いとどまったのを見て、少しだけ安堵する。安堵して、二丁拳銃を構える。
――駅員・黒木を守るために殺到してきたゴーレムに、それを乱射する。
アンナがそうするのを見ていた夜姫は、乱射するように見えて的確にコアたる本体を撃ち抜いていった。
「フル・バースト。ずどん」
アームドフォートも展開し、ゴーレムたちに向けて全砲門を開放した。莫大な火力が、ゴーレムたちを襲う。
しかし、ゴーレムたちの攻撃方法はまだある――キラキラと輝くと、砂粒をショットガンのように放射しようとして――。
「俺のユーベルコードは砂とはまた別だが。無差別攻撃には無差別攻撃を、だ!」
アンナと夜姫の前に姿を現したのは、真紀。
彼のユーベルコード、ネット上の人々の悪意が具現化した無差別攻撃が、ゴーレムたちの砂粒による無差別攻撃とぶつかり、相殺されて行く。
一方、相殺されるもののないアンナと夜姫の前には、いつの間にかゼルドが現れ、テレキネシスにより瓦礫で盾を作り、彼女らを守っていた。
「重ね重ね、助かるぜ」
「いえいえ、これくらいは」
情報収集でも協力しあったゼルドと真紀。完全にアドリブではあるが、息のあったコンビネーションを発揮する。
夜姫も斉射を続け、アンナもまた拒絶式・呪詛黒百合による範囲攻撃を敢行する。
――そして、その範囲攻撃同士の相殺の起こる場を、すり抜けて突撃してくる存在があった。
それは、イデアールの代わりに参戦している、魔槍士レイであった。
レイは掃射をくぐり抜け、冷気を纏わせた槍をゴーレム達に次々に突き立て、凍結させていく。そしてその凍結した個体を盾にし、踏み付けて足場にし、舞うようにして次々に停止させていく。
「ふふん、僕ってフィギュアよりも可愛いでしょ?」
そう余裕を見せて言うレイ――そんな彼に攻撃が当たることは、一切なかった。
――範囲攻撃の応酬の中、的確に停止させられていくゴーレム。
やがて、その軍配は猟兵の側に上がった――最後の一体が、レイの槍の前に、倒れた。
大成功
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第3章 ボス戦
『エンゲージユニヴァース』
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POW : エンド・オブ・ユニヴァース
【全火器の一斉発射 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : ウィングスラッシャー
【背中のカッター状の羽 】が命中した対象を切断する。
WIZ : ホークミサイル
【内蔵されたミサイル 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑17
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●
「な、なんてことだ――」
駅員・黒木は猟兵たちに全滅させられたロッジ・ゴーレムたちを見て、唖然とする。
猟兵達は、強かった。自分の目的――このイカれた世界への復讐――が達せられなくなると、黒木は打ち拉がれ、そして膝をついた。
「こ、こんな……こんなはずじゃ――これじゃ、どうすれば……」
――だが。
その負の想いに、儀式は応えた。
歪な魔法陣が発光し――捧げ物を飲み込み、やがて一つの形を形作る――!
「……あれは……!」
――それを見た駅員・黒木の目に、邪悪な野獣じみた輝きが戻る。
それは、おもちゃを継ぎ接ぎして作ったような、グロテスクな外見のロボットのようなUDC――。
――その名を、エンゲージユニヴァース。
「いいぞ! コイツらを、ぶっ殺してしまえ!!」
黒木の叫びに、産まれたばかりのUDCはロボットの頭部の瞳を怪しく光らせ――猟兵達へと、襲いかかってくる!!
※トミーウォーカーからのお知らせ
ここからはトミーウォーカーの「一本三三七」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
ゼルド・シュバイツァー
アレを倒さねば救えぬならば、
………お見せしましょう。『陽剣の守護者』の真の刃を!!
(仮面を取り、素顔を晒す)
【戒解:暁光の型】を使用。
『陽剣の守護者』としてのフォースセイバーの真の刀身……
陽光の如き輝きを発現させます。
『暁光の型』でしたら弾幕の中にあっても損傷は軽微で済みそうですが、
光学迷彩の【迷彩】と【忍び足】で位置取りを掴ませず、
【オーラ防御】にて更に軽減を重ねましょう。
攻勢は焔放つ光刃を駆使し【2回攻撃】を重ね、【念動力】にて回避や攻勢を妨害。
隙を見せたのならば【暗殺】を仕掛けます。
……強すぎる光に見えますか?闇の淵でも貴方に届く光ならば、それで構いません。
白金・ジュン
WIZ判定
行動
呼び出したゴーストと融合し真の姿に変身
飛んでくる攻撃を虹の翼で避けながら
これ以上の罪を重ねさせないため黒木に声を掛ける
此方の言葉が届いてゴーレム召喚の強度が揺らいだら
ハート形の光弾で拘束し
とどめに光を纏った体当たりで浄化する
セリフ
『好き』って自分の中の大切な場所に
そっとしまっておくものだと思うんです
振りかざしたり
他人を傷付けたりするために使ったら
あなたの『好き』がかわいそうですよ?
だからもうこんなことは止めてください大吾さん!
希望の戦士ピュア・ホワイトがあなたの未来を守ります!
アララギ・イチイ
予想の通りにロボっぽい敵が出て来たわねぇ
それじゃ、目的通りに遊びましょうぉ
UC【愉快召喚・合体~】を使用よぉ(攻撃力重視
装備品のアララギ号を3機をUCで合体させたロボに搭乗(【操縦】の技能)して戦闘するわぁ
【誘導弾】の誘導噴進弾を魚雷やレーザー砲で迎撃したり、大型連装砲や機銃で【援護射撃】、近接戦闘は艦首ドリルパンチって感じで攻撃よぉ
もちろん最後(活動時間の300秒経過)は敵を巻き込む形でロボに必要不可欠の自爆ボタン【捨て身の攻撃・範囲攻撃】を押すわぁ
私は巻き込まれる前に緊急脱出するけどぉ(操縦不能の場合も脱出
存分に目的であるロボバトルを楽しみたいわねぇ(第三者を巻き込まない様に注意はする
フィロメーラ・アステール
「うぇーい、助けに来たぞー!」
なんかツラい事があったみたいだけど!
馬鹿にしてない連中の声がわからないのか?
じゃあ、わからせるか!
【オーラ防御】のバリアを展開して攻撃に対処しつつ!
【はじまりを刻む地の新星】を発動だ!
儀式に捧げられたアイテムは黒木の趣味の物だろ?
そいつらに自我を与えてやる!
魔力生命体に変換する際に【全力魔法】を注ぎ込み、巨大化とか変形合体とかして、敵と戦えるレベルまで強化するぞ!
黒木が趣味を愛していたなら、黒木を全うな道に戻すため、戦ってくれるんじゃないかな?
この展開は、黒木にとって【鼓舞】だか【精神攻撃】だか……まあ、とにかくジンと来ると思う!
ジンと来たら応援してあげてほしい!
霑国・永一
おやおや、こんなロボ染みた邪神まで居るのかな?実に狂気的だ、素晴らしい。それじゃ、俺も破壊に動くとしようかなぁ。
…いや、《俺》に任せようか?
『ハハハハッ!俺様の出番かよ!任せな!!』
狂気の戦鬼を発動。
高速移動をして羽のカッターを回避しつつ、死角から衝撃波を放ちまくる【ダッシュ・見切り・鎧無視攻撃】
衝撃波自体は基本腕や脚の関節部分などの弱そうな箇所を狙い、体勢も崩すよう狙う。
崩れたなら衝撃波で思い切り吹き飛ばす。また羽カッターも余裕があれば撃ち落とし、使えないように盗んでおく【盗み・盗み攻撃】
「いいじゃねぇかよ!破壊のし甲斐があるってもんだ!オラッ!俺様の糧になりやがれ!」
虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞー
おぉ、ロボだロボだ
よし、ならば自爆しよう!
登場即自爆します
戦法は速攻で自爆します
言葉を発する時間があればその時間で自爆します
移動したり回避や防御するまでもなく速攻で自爆します
基本的に自爆しかしません
自爆は1回だけ盛大にやらかします
技能:捨て身の一撃を用いたジバクモードによる自爆
対象はもちろんロッジ・ゴーレム
このユーベルコードの射程範囲が広いのを良いことに
自身の登場後、速攻で自爆を実現させるでござる
自爆後はボロボロになってその辺に転がってます
もし重傷システムがあればネタ重傷狙う感じです
ゼルド・シュバイツァー(陽炎の仇刃・f12297)らが、最後のロッジゴーレムを破壊させた直後、駅員・黒木の執念が、UDCの怪物『エンゲージユニヴァース』を現世へと召喚してしまう。
「いいぞ! コイツらを、ぶっ殺してしまえ!!」
そう叫ぶ駅員・黒木に、白金・ジュン(魔法少女マスター・f05521)は、思いを込めて声を投げかけた。
「『好き』って自分の中の大切な場所に、そっとしまっておくものだと思うんです。
振りかざしたり、他人を傷付けたりするために使ったら、あなたの『好き』がかわいそうですよ?
だからもうこんなことは止めてください大悟さん!」
ジュンの言葉は、確かに正論だった。
だが、
「俺は俺の趣味で誰かを傷つけた事は無かった! それなのに、俺の大切な心を踏みにじり、バカにしたのは奴らじゃないか! だから、俺は復讐する、俺を止められると思うな、ひゃはーー」
UDCに精神を侵された駅員・黒木にその言葉が届く事は無かった。
オタクが趣味を秘しようとするのは、当然の作法。
その上で、追い詰められたのならば、誰かに趣味を暴かれた上で貶められた事は想像に難くない……。
(「考えが少し浅かったでだろうか? いや、でも……」)
ジュンは、言葉とは裏腹に駅員・黒木からの好意の視線ようなものも感じとっていた。
その好意の視線はジュンのフリフリな衣装とリボンに注がれている。
(「まさか、彼は……。鉄道とロボットオタクだけでなく……、魔法少女オタク?」)
ジュンは、その疑いを確認するべく、両手の指でハートをつくり、駅員・黒木にむけて、可愛らしく笑顔でポーズを決めてみせた。
「ユー、すきありであるぞよ?」
ジュンの捨て身のハートアタックに駅員・黒木がズッキューンとなった事で生じた隙を見逃さず『エンゲージユニヴァース』の足元から、名状しがたきものが姿を現した。
影より染み出るモノ、這い寄るブラックタール、出オチで即退場するモノ……。
その黒い姿こそ、虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)その人であった。
「ゴッドうつろぎアタック! 覚悟するのである、ロッジゴーレム!」
その言葉と共に大爆発が『エンゲージユニヴァース』を包み込んだ。
もし、この攻撃をロッジゴーレムが受けていたならば、確実に撃破する事ができただろう。
だが、残念ながら、敵は集団敵のロッジゴーレムでは無く、UDCロボ『エンゲージユニヴァース』であった。
撃破できれば反撃を受ける事は無い。
だが、倒せなければ?
「我、残りHP1しかないであるぞよ~!!」
うつろぎは、爆風に耐えた『エンゲージユニヴァース』のおみ足にプチっと潰され……、
「あとは任せたであるぞ」
ウツロギはそう遺言を残しグリモアベースへと退場したのだった。
「「…………」」
突然のウツロギの自爆特攻に、ハートマークを作ったままのポーズで固まってしまったジュンを尻目に、ゼルドとアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は、互いに頷いて意思疎通すると、爆風の影響で足元がおぼつかない『エンゲージユニヴァース』へと走り寄る。
「ジュン! 駅員・黒木の事は貴殿に任せる。このロボは俺達に任せろ」
ゼルドは、そういうと仮面を外し、外気に素顔を晒し『陽剣の守護者』の姿を白日の下に晒してみせる。
ゼルドの陽光のような輝きに惧れをいだいたのか、『エンゲージユニヴァース』は、体中の装甲を開くと内蔵されていたホークミサイルを全弾討ち尽くすかのように、ゼルドへと発射した。
内臓ミサイルの乱れうち。
たった一人の猟兵に撃ち尽くすには、明らかに過剰な攻撃はだが、陽剣の守護者となり、防御力を増強したゼルドを撃破するには至らない。
無数のミサイルを回避し、防御し、フォースブレイドで迎撃しつつ、ゼルドは『エンゲージユニヴァース』へと肉迫すると、『陽焔の灯火』の戒めを解き、太陽の如く煌めかせた
「今こそ、見せてあげましょう……。これが『陽剣の守護者』の真なる刃!!」
プロミネンスのフレアのような一撃は、内臓ミサイルを撃ち尽くそうとする『エンゲージユニヴァース』を袈裟懸けに切りつけると、その炎は、ゼルドの命を燃やすかのごとき、鮮烈な輝きと共に、UDCロボの巨体を大きく仰け反らせたのだった。
「ゼルドさん、その技は命を削るモノでしょお。あとは、私に任せてお休みくださいねぇ」
暁光の型の反動で膝をついたゼルドに、イチイはそう声をかけると、天高く腕をあげ、胸を大きく逸らせると、ノリノリな様子で高らかに叫んでみせた。
「世界の未来を守る為、過去を断ち切る不滅の刃ぁ!第六猟隊ロボ、グレート・イェーガーここに参上ぉ! おいでませ、アクア・アララギ号(改)!」
そのイチイの声と共に、異空間の壁がモーゼが海を引き裂いたかのように割れ、水しぶきのようなものを飛ばしながら、潜水攻撃艇アクア・アララギ号(改)が、姿を見せた。
艦首のドリルが、男の子の夢と希望をかきたてる。
「まだまだ、ここから、スペース・アララギ号(改)!」
イチイが更に叫ぶと、空のはるか彼方がキラリと光ると、凄い速度でイチイの元へと飛びこんでくる。
X字翼の戦闘爆撃機から放たれる4門のレーザー砲は、スペース空間のドックファイトを想定しているのだろうか?
そして最後は……、
「アース・アララギ号!」
線路上を無限軌道で疾走し、キャタピラ戦車、アース・アララギ号ここに推参。
そして今、海を宇宙を陸を制する3機のアララギ号が、超合金でも再現不可能な合体変形を展開し、大型ロボとして大地に立ったのだった。
合体シーン終了後、素早くロボットに乗り込んだイチイは、全武装をブッパしながら『エンゲージユニヴァース』に近づくと、近接戦を挑む。
この世紀のロボバトルを、駅員・黒木は、ジュンと一緒に、少年のような瞳で見守っていた。
(「魔法少女も好きだけど、ロボットはもっと好きと言う事かな? でも、これで、大悟さんも夢を取り戻してくれるかも」)
ジュンは、駅員・黒木が流れ弾で死なないように庇いながら、自分もまた、ロボ戦闘の行方を見守るのだった。
「おやおや、これは実に狂気的だ。素晴らしい!」
一方その頃、駅員・黒木とジュンが固唾をのんでロボ戦の行方を見守る中、霑国・永一(盗みの名SAN値・f01542)は、戦いの結末を見据えて動き出していた。
ロボ染みた邪神とロボそのもののユーベルコード。
だが、ユーベルコードで生み出したロボは永遠のものでは無く、それがロボ戦の帰趨を決めるだろうと、永一は予測したのだ。
そして、その予測の通り、稼働限界を超えた、イチイの『合体グレート・イェーガー』は、『エンゲージユニヴァース』の前に力尽きようとしていた。
「ここまでか、それじゃ、俺も破壊に動くとしようかなぁ。……いや、《俺》に任せようか?」
永一は約束された勝利を盗むために、戦場へと舞い降りる。
が、そこで、永一も予期せぬ事象が発生する。
ドッゴーン
!!!!!!!!
という爆音を響かせ『合体グレート・イェーガー』が『エンゲージユニヴァース』を巻き込んで自爆してしまったのだ。
「こいつは、狂気も狂気、大狂気だ! それとも、ただのノリであるのかなぁ?」
永一は、肩を竦めて爆風に逆らわずに距離を取ると、愉快な気分を高ぶらせて、度重なる自爆によってボロボロとなった『エンゲージユニヴァース』に躍りかかった。
「ハハハハッ! 俺様がぶち殺してやるぜ!! 愉しませなァッッッ
!!!!!」
粗暴な戦闘狂の人格をまとい、永一は戦場を高速で駆けぬけつつ、衝撃波を放っていく。
衝撃が具風となり、『エンゲージユニヴァース』の装甲を穿っていく。
生身でロボを撃破しうる衝撃波が、残り少ない『エンゲージユニヴァース』の体力を削ぎ落し、削り取っていった。
「さて、このまま、削り殺してやるぜ!」
栄一が、最後の衝撃波を両手に溜めて打ち出そうとした時、駅員・黒木が悲痛な声をあげた。
「ダメだー! ロボが人に倒されちゃダメなんだー!」
栄一が振り向くと、巨大ロボ戦に魂を高ぶらせていた黒木が、今は、絶望に打ちひしがれて涙ながらに慟哭していたのだ。
「これはこれで狂気だねぇ。だが、断る」
栄一は、その絶望を心地よく感じつつ、止めの一撃を放とうとするが……、
魔法少女姿のジュンに腕を掴まれた。
「この戦いの勝利は決まりました。だから、今は、大吾さんの未来の為に、攻撃を止めてくれませんか?」
駅員・黒木の未来を守る希望の戦士ピュア・ホワイトの真摯な願いに、栄一は、
「オブリビオンを呼び出した奴に、そこまで気を配るのか? フン、これも、狂気か? いいぜ、お前の狂気に免じて退いてやろう」
そう嘯くと、戦場から撤退していった。
残されたのは、スクラップ寸前の『エンゲージユニヴァース』。
しかし、肝心の猟兵のロボは、すでに自爆している。
「なんかすまんねぇ」
自爆して脱出してきたイチイが、駅員・黒木とジュンにすまなそうに頭を下げる。
「飛行戦艦ワンダレイを呼べれば良かったのだが……」
ゼルドも、慟哭する駅員・黒木の姿を悲し気に見下ろすと、嘆息する。
『エンゲージユニヴァース』はオブリビオンなので、放っておくと、回復してしまうかもしれない。
だが、駅員・黒木の夢を取り戻させるならば、ただ倒してしまうわけにはいかないだろう。
「ここは私が、マジピュアの力で倒しましょう。魔法少女ならロボに勝利しても納得が……」
ジュンがそう提案するも、
「ダメだー! 魔法少女はロボを倒さないんだー! ロボを倒すのは魔砲少女なんだー!」
と、駅員・黒木が泣き叫び、実行する事が出来なかった。
途方に暮れる3人。
と、そこへ。
「うぇーい、助けに来たぞー!」
と、第六の戦士、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が駆け付けてきた。
そして、途方に暮れる3人と、慟哭する駅員・黒木に、
「なんかツラい事になってるみたいだけど、あたしに任せてくれれば大丈夫だぜ!」
と、自信満々に言い切った。
「えっ、でも?」
「さすがに、そう簡単には」
「ロボ出せるのか?」
「ここで、どうして、妖精が!!」
四者四様に反応する4人を尻目に、フィロメーラは、駅員・黒木の涙にぬれた手に、小さな手を重ねた。
そして、
「お前をバカにしたのは誰だ? 親か? 恋人か? 同僚か? それとも赤の他人か? だが、本当に大切なのはなんだ? お前が捨た、そこにある、お前の魂じゃなかったのか?」
そう言いながら、邪神召喚の捧げものとされた、おもちゃの数々を指さした。
駅員・黒木は、フィロメーラの言葉に頷き、おいおいと泣き出した。
「あぁ、俺は何という事をしてしまったのだ。どうでもいい他人の為に、お前達を裏切ってしまったのか? どうして、お前達を生贄なんかに……」
更に泣き出した駅員・黒木の様子に、ジュン達は本当に大丈夫かとフィロメーラを見やるが、フィロメーラは任せておけというように薄い胸を張ると、黒木の頬をペチペチと叩くと、言葉をつづけた。
「大丈夫だぜ! お前の愛する者達は、お前を信じて待っているぞ。その証拠に……。目覚めろー! 愉快な仲間たち!」
フィロメーラの呼びかけに答えるように、壊れたロボが、電車模型が、おもちゃが、魔法少女のフィギュアが、動き出して、黒木のまわりをまわりだした。
「ほら、みんなが、お前を好きだってよ。そして、お前と一緒に戦いたいってよ。さぁ、手を伸ばして叫ぶんだ。お前の、気持ちをよぉ!」
フィロメーラの言葉に、駅員・黒木は涙をぬぐって立ち上がる。
「みんな、ありがとう。こんな俺をまだ信じてくれるなら、俺と一緒に戦ってくれると言うのならば……、シャイン合体! スーパークロキロボっーーーーーーーーー!」
駅員・黒木の魂の叫びが響き、それと同時に、フィロメーラが『はじまりを刻む地の新星』の力を操って、おもちゃたちを変換し操作し、巨大ロボへと姿を変化させた。
駅員・黒木は、再び少年の瞳を取り戻し、クロキロボに『エンゲージユニヴァース』の撃破を命じる。
「クロキロボ、今こそ必殺のクロキスパークだ!」
フィロメーラは、駅員・黒木に声援を送るふりをしつつ、『はじまりを刻む地の新星』を操作して、スパークっぽい攻撃を行い、『エンゲージユニヴァース』を撃破させて魅せた。
ここに悪のロボは滅び、正義のロボが、勝利する物語が完成したのだった。
ありがとうクロキロボ。
君の雄姿は、駅員・黒木の心に永遠に残り続け、生きる勇気となっていくだろう。
感涙にむせび、ロボから元に戻ったガラクタ達を大切に拾い集める駅員・黒木を見ながら、フィロメーラは勝利のVサインを決め、ジュンとイチイとゼルドは、勝利と未来への希望とを共に喜んだ。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年07月10日
宿敵
『エンゲージユニヴァース』
を撃破!
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