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アースクライシス2019⑫~マダムの神殿

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #センターオブジアース


 ヒーローズアースに存在する4つの『知られざる文明』。
 パンゲア大空洞で発見した『鍵の石版』は、地球の中心、神々が住まう『センターオブジアース』への道を切り開いた。
 巨大な世界樹に果実のように連なった『神の神殿』に守護されてきた世界。
 しかし。
「その『神の神殿』ってのの一部が、オブリビオンに奪われてる」
 九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は予知で得たその世界の現状を、猟兵達に語った。
「本来の神殿を破壊してその上に造られた、言うなれば『オブリビオン神殿』は、世界を守護するはずの力をオブリビオンに与えてしまっているらしい」
 それがセンターオブジアースを狂わせている原因。
 つまり、オブリビオン神殿を破壊することで、世界を救うことができるのだ。
 とはいえ、神殿には当然、オブリビオンがいる。
 そして、神殿から巨大なエネルギーを受け取って、超絶パワーアップを果たしている。
 パワー供給源であるオブリビオン神殿を破壊すれば、戦いを有利に進められるが、そうやすやすと壊させてくれるわけもなく。
 戦いながら巨大建造物を破壊することとなるだろう。
 もしくは、オブリビオンによって破壊された、元の神の神殿に祀られていた神の力を呼び起こし、蘇らせることができたなら、オブリビオン神殿の崩壊を導くことになる。
「まあ、手段は問わない。
 とにかく『オブリビオン神殿』をぶっ壊しとくれ」
 そして夏梅は、向かう神殿の情報を付け加える。
「ここは元々、水の神が祀られていたようでね。
 清水がこんこんと湧き出す綺麗な場所だったらしい」
 だがその水源を潰し、西洋の城を思わせる神殿が建てられていて。
「そこに居座るのは、マダム・シャーロット。
 美貌で人々を魅了し、跪かせる、麗しの悪女さ」

 湧水が満ちる静謐な地は。
 今や、豪奢で華美な神殿の下に埋もれていた。
「水なんかよりもワインがいいわ。
 この深い赤色、芳醇な香り、心地よい葡萄の味わい……」
 ゴシック調の紫と黒のドレスを纏ったマダムは、神殿の中でグラスを傾ける。
 つばの広い帽子の下で、真紅のルージュを引いた口元がにやりと微笑み。
 赤い液体が、白い喉を鳴らしながら消えていく。
 甘美なる味わいは、神殿から受けるエネルギーも同様で。
 満ちる力にも酔いしれて、マダムはまた、笑みを深くしていった。
 優雅な午後の一時。
 しかしマダムは、ふと顔を上げ、グラスを置く。
「来たようね、猟兵」
 そして敵を迎え撃つべく、黒い扇子を広げながら立ち上がった。


佐和
 こんにちは。サワです。
 清水の象徴といったら蛍でしょうか。

 巨大な世界樹の上に建てられた神殿の1つが戦場となります。
 今建っているのはオブリビオン神殿。
 ドイツ風の城を思わせる、豪奢な巨大建築物です。
 元々は、湧水を中心とした厳かな神殿だったようです。

 神殿にいるオブリビオンは、マダム・シャーロット。
 全ての人を魅了し惑わす、麗しの黒いマダムです。

 尚、当シナリオには特別なプレイングボーナスが設定されています。
 それに基づく行動をすると判定が有利になります。

 【プレイングボーナス】敵のパワー供給源を断つ。

 それでは、マダムとの優雅な戦いを、どうぞ。
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第1章 ボス戦 『マダム・シャーロット』

POW   :    チャーミングフェルモン
【10秒間の集中】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【矢】で攻撃する。
SPD   :    コールオブマダム
【手枷】【猿轡】【拘束ロープ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    ビューティフルマイワールド
全身を【黄金のオーラ】で覆い、自身の【意志の力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​
ナミル・タグイール
きらきら神殿にゃ!結構綺麗だけどー金ぴかじゃないしにゃー。
ぶっ壊しちゃうにゃー!壊すのは得意デスにゃ!

壊しながら戦うなんて簡単にゃ。いつもやってるにゃー!
【呪詛】を斧に集めてパワーアップして突撃するにゃ!
防御なんて気にせず特攻にゃ!【捨て身】
10秒集中なんてさせないにゃー!
当たればザックリにゃ。外れても呪詛ばらまきながら神殿どっかーんにゃ!
壊し放題って楽しいにゃ!どんどんドッカンするにゃ!【怪力】

もし矢うたれても気にしないにゃー!
毛皮とじゃらじゃら金ぴかが守ってくれるにゃ突撃にゃー!
斧がザックリ当たるまで敵に突撃しまくるデスにゃ!



「きらきら神殿にゃ!」
 西洋の古城を思わせる白亜の巨大建造物を見上げ、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)は、金と紫の瞳をきらきらさせた。
 白い壁に青い屋根が映え、幾つもの尖塔がバランスよく配置され、扉も窓も全てが居住性よりもデザイン性を重視したのではないかと思えるほど美しい神殿。
 ではあったけれども。
「結構綺麗だけどー金ぴかじゃないしにゃー。
 ……ぶっ壊しちゃうにゃー!」
 ちょっとだけ見せた迷いは素振りだけと言わんばかりの切り替えの早さで、ナミルは迷いなく巨大な斧を振り上げた。
 じゃらりと揺れる多数の装飾は、斧自身の黄金と合わせてきらきらと輝き。
 さらにナミルが集めた呪詛に応じてか、妖しく美しく光る。
「壊すのは得意デスにゃ!」
 大きく振りかぶって、どっかーんと叩き付ける。
 そんな単純ゆえに重い一撃が、建物の壁を、床を、そして美術品のような斧の綺麗な印象すらも、えぐるように壊していく。
「何をしているのかしら?」
 そこに、濃紫と漆黒のドレスを纏ったマダム・シャーロットが姿を見せた。
 真紅の爪が鋭く覆う真っ白い指先が広げた黒い扇子の下で、血のように赤い口紅に彩られた口元が不快に歪む。
 細かな装飾が施されていた壁の破損へと、その赤い視線が向けられた。
 そのわずかな動作すら、優雅にして妖艶。
 悪意を魅力に変えたような、抗いがたい美しさ。
 マダム・シャーロット。
 その美貌に、その容姿に、その所作に。
 存在の全てに誰もが目を奪われ、心を捕らわれる。
 だからマダムは、優雅にゆるりと扇子を揺らし。
 じっくりと集中して、周囲に無数の矢を生み出して。
 魅了して動きを止めた相手に放つ。
 それが常だった。
 けれど。
「させないにゃー!」
 その最中、生み出しかけた矢も巻き込むように、ナミルの斧が振るわれる。
 同性であっても魅了するはずのその力が及ばぬことに、黒い仮面に覆われたマダムの瞳に動揺が走る。
「だって金ぴかじゃないにゃー」
 あっさりとその理由を告げて、ナミルはまた斧を振り上げた。
 今度は避けたマダムだけれども、斧は構わず神殿の床をえぐり抜く。
「壊しながら戦うなんて簡単にゃ。いつもやってるにゃー!」
 むしろ周囲を気にしなくていいからいつもより簡単、と言わんばかりにナミルはその怪力でどっかんドッカンしていって。
「壊し放題って楽しいにゃ!」
 むしろマダムより神殿を狙うかのように、ナミルの勢いは止まらない。
 少し距離を取ったマダムがやっと矢を放ち、ナミルを射抜いて応戦するも。
 猫科キマイラのふさふさな毛皮が、身に着けた金ぴかな装飾や金のタトゥーが、矢を絡めとり弾き返してナミルを守る。
 流石に全ては防げず、幾つか傷を負ったけれど。
「当たればザックリにゃー!」
 気にせずナミルは突撃し、斧を振り回し続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アララギ・イチイ
この方法で神殿ごと吹き飛ばしてあげるわぁ

前衛として戦闘人形のフギン・ムニンに戦闘させるわぁ
フギンは振動槍の【串刺し】攻撃、敵の攻撃をシールドで【盾受け】後、【カウンター】の拡散ビーム砲、ムニンはシールドガトリング×2の【2回攻撃】の【乱れ撃ち】、大型ビームキャノン×4の【一斉発射】の【制圧射撃】よぉ

で、戦闘人形が【時間稼ぎ】している間に、私は後方で【武器改造】で砲身+砲機関部+動力炉を合体、大型砲を構築して【選択UC】使用よぉ
ドローンで大電力を発電・蓄電に動力炉の給電システムに一気に放電、動力炉の出力を一時的に莫大な値にして大幅に強化された大口径ビーム砲を敵、及び神殿に叩き込む【範囲攻撃】よぉ



「それじゃぁ……私はこうするわぁ」
 斧を避け下がったマダム・シャーロットを見て、アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)はにやりと笑った。
 その左右に立ち上がるのは、2体の戦闘人形。
 フギンの名を持つ1体が、高周波振動槍を手にマダムの懐へと一気に飛び込み。
 突き出された穂先をくるりと避けたマダムは、その動きから流れるように手枷を放つ。
 だがフギンはシールドでそれを受け、返すように拡散ビーム砲を撃ち込んだ。
 そんな実直な攻防に合わせて、もう1体の戦闘人形・ムニンは、シールドガトリングと大型ビームキャノンを一斉に乱れ撃つ。
 弾幕を避け下がるマダムをフギンがさらに追い、ムニンも併せて射撃戦を続けた。
 人形には魅了は効かないと判断してか、マダムは手枷を、猿轡を、拘束ロープを生み出して、フギンとムニンを狙い放つ。
 攻撃の隙をつかれ、腕を脚を捕らわれた戦闘人形達だが。
「分かってたと思うけどぉ」
 そこに主たるアララギの、のんびりとした声が響く。
「それは囮よぉ」
 ハッとしてマダムが顔を向けると、少し離れた位置に立つアララギの横に、いつの間にか大きな山が聳え立っていた。
 それは戦闘人形達が稼いだ時間にアララギが改造・構築した大型砲。
 大口径の砲身を複雑な機関部と巨大な動力炉と繋ぎ合わせたビーム砲で。
「全ドローン、最大出力で発電開始。大容量蓄電装置に充電開始よぉ」
 そこに、電力発電に特化したドローンがぞろぞろと現れて電力を生み出し始める。
 大容量のはずの蓄電装置が見る間に埋まっていき。
 奥歯を噛み、表情を歪めたマダムが阻止に動こうとするのを、手枷を振り払ったフギンが槍を突き、足枷を解いたムニンが砲撃を撃ち込み、押し留めた。
 時間稼ぎの役割を十分に果たした戦闘人形に、アララギは満足そうに微笑むと。
 ドローン達は、大型砲の動力炉、その給電システムへと一気に放電を開始する。
「さぁ、いくわよぉ」
 膨大な電力を受け取った動力炉を、機関部が精密に制御して、莫大なエネルギーを受けた砲身から、装置の見た目以上となる大出力のビームが撃ち放たれ。
「神殿ごと吹き飛ばしてあげるわぁ」
 間一髪で逃げたマダムは捉えきれなかったものの。
 超強力な一撃は、アララギの言葉通りに神殿を大きく吹き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

月凪・ハルマ
あー……なんというか、いかにも悪女って感じだな

◆SPD
まず【迷彩】で姿を隠し、【忍び足】を使い
遮蔽物に身を隠す
その後も常に敵の死角に移動し続けるようにする

幸いと言うべきか、無駄に豪華な作りだから
隠れる場所には困らなそうだ

―さて、それじゃ見つかる前に神殿の破壊といこう
【ガジェットショータイム】で遠隔操作式の爆弾を召喚
できるだけ【目立たない】様に、そして尚且つ
より効果的に神殿を破壊できる場所を識別して其処に設置

後はその場から離れ、超多目的スマートフォンを操作して
爆弾を起動、及び爆発させる

敵からの攻撃は【見切り】【残像】【第六感】で回避
とにかく神殿が破壊できればいいからな
今回は逃げに徹するとしよう



「あー……なんというか、いかにも悪女って感じだな」
 物影からマダム・シャーロットの姿を覗き見た月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)は、ため息とともに小さくそう呟いた。
 斧を槍を避ける動きで翻るゴシック調のドレスは、袖や裾をゆったりと揺らし、布を織り重ねて柔らかなラインを作り出しているけれども。
 その色は、真っ白な肌と対比するような漆黒と暗紫。
 ピアスやネックレス、そして指先のマニキュアは、血を思わせる真紅に光り。
 つばの広い帽子と黒い仮面の下でにたりと笑う瞳と唇も、赤く歪んでいる。
 目を惹く美しさなのは確かだが。
 それは醜悪とも言える美しさで。
 マダムの動きに合わせ、その死角へと移動しながら、ハルマは苦笑を零す。
 幸いと言うべきか、神殿は無駄に豪華な作りとなっていて。
 不必要な場所にまで、細かな彫刻の施された柱が並び。
 どうしてこんなところにと思うところに、分厚く豪奢なカーテンが引かれ。
 そして何より、巨大と言っても過言ではない、広い広い建造物。
 隠れる場所には全くもって困らない。
 とはいえ、マダムの様子を探りながら、という制限がつけば、行動範囲は狭められ。
 見つかるのは時間の問題ではあったうえに。
 ビーム砲が建物の一角を吹き飛ばしたことで、隠れる場所が減ったから。
「おっと」
「あら?」
 初めてマダムと目が合って、次の物影へと走ろうとしていたハルマは足を止めた。
「可愛いぼうやね。でも、いたずらっ子かしら?」
 にたり、と歪み笑む、血にまみれたようにどす黒く赤い唇。
 ハルマは被っていた帽子のつばを引き下げ、顔を隠して目を反らしながら。
 その手をマダムに向けて差し出す。
 握られているのは、超多目的スマートフォン。
 キマイラフューチャーの謎技術で作られたそれは、電話同士だけではなく、ありとあらゆる機器との通信を可能とする。
 もちろん、通信で行うのは通話やメールだけではなく。
 片手のまま、画面をとんっとタップすると、マダムの背後で大爆発が起こった。
 隠れながらハルマが設置していった、遠隔操作式の爆弾が一斉に起爆したのだ。
「これで大分壊れたかな?」
 スマートフォンを引き寄せ、帽子の下からハルマは笑って見せる。
 マダムの表情が怒りに歪み、その手に手枷やロープが現れたのを見て。
「いたずらっ子は逃げるとするよ」
 ハルマは手にしたスマートフォンを見せつけるように掲げながら、さらなる神殿破壊を目的として踵を返した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜雨・カイ
水の精霊にお願いして水源を探してもらいます。
水源を潰しているものを破壊、そして水の神の力を呼び起こして下さい。
風や地の他の精霊達も力を貸してあげてください、お願いします!

その間の攻撃は【見切り】で直撃を避け、ダメージは【糸編符】【激痛耐性】でしのいでいきます
神の力が蘇り、的の供給源を断つまで倒せなくても時間を稼ぎます
やってくれると信じてますから。

水源を取り戻せれば、水の力も利用して【エレメンタルー】【属性攻撃】で攻撃します。


木元・杏
元は水の神さまの場所…
水は全てを浄化する清水であり、聖水
水源を取り戻さなきゃ

ワイン美味しい?
わたしにはわからない、まだ子供だから
それに、わたしはお水が好き
貴女を倒して、その恵みを守りたい

幅広の大剣を象る灯る陽光を持ち
高速移動と早業で手枷、猿轡、ロープを避けて
大剣振りかぶり、そのままマダムに衝撃波を、床を貫くように叩きつける
水源はマダムの玉座の真下?
第六感で微かな水の波動や音を感じ取り
湧水の溢れる場所を探り、マダムを攻撃するにみせかけ破壊していく

発見したら湧き水の場所へ急ぎ向かい
水に手を繋ぐように浸し、祈る

水の神さま
あなたをたすけたい
この場所を再び水で満たす為に
お願い、わたし達に力を貸して



「元は水の神さまの場所……」
 爆発に揺れる建物を見上げ、木元・杏(たれあん・f16565)は確かめるように呟く。
 水は全てを浄化する、清水であり、聖水。
 それを汚すかのように黒く醜悪なマダム・シャーロットを、その金の瞳でじっと見て。
「水源を取り戻さなきゃ」
 駆け出したその手に灯る陽光は、幅広の大剣を象った。
 その動きに気付いて、マダムは振り向きながら手枷を放ってくるけれども。
 素早くそれを躱した杏は、振りかぶった大剣をマダムに叩きつける。
 しかし、マダムもそれを見切り、横に反れて避けた。
 だが杏は気に留めず、そのまま大剣を振り下ろし。
 衝撃波を纏った一撃で、床を貫くように破壊していく。
「水の神さま……水源は、どこ?」
「教えると思って? 可愛くないお嬢さん」
 マダムは恐ろしい程の笑みを浮かべてロープを放ち、杏を捕えんとする。
 少しむっとした顔で杏はそれも躱し、再び大剣を振るった。
「お願いします。水の精霊」
 その間に、桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は周囲へと呼びかける。
「水源を潰しているものを破壊して。
 そして、水の神の力を呼び起こして下さい」
 水を探すなら水に頼むべきと、巡り扇を開きかざしながら、精霊を集めていった。
「他の精霊達も力を貸してあげてください、お願いします!」
 風の精霊も、地の精霊も、自然界の全ての力に祈るように。
 カイの声に集った精霊達は、神殿内を広く巡りながら、その力を合わせて。
 水の刃となり、竜巻となり、岩の槍となり、神殿を破壊しようとしていく。
 ビーム砲に爆弾に壊されたとはいえ巨大な建造物を相手に、精霊達の力は微々たるもので、神殿への影響は1つ1つは小さいものだったけれども。
 何度も何度も繰り返し重なって大きな跡を残すのが、自然の力。
 ゆっくりと、だが着実に壊れていく神殿に、マダムは表情を歪める。
 けれども、カイへ攻撃をする間は、杏が与えない。
 絶えず振るわれる大剣に、素早い動きに、マダムは翻弄されていた。
「ワイン美味しい?」
 そんな攻防の最中、杏がぽつりと問いかける。
「ええ、甘美で艶麗で最高だわ。
 水なんて、何の味も何の色もないものより、何倍も素晴らしいものよ」
 にやり、と傲慢に微笑んで答えるマダムだけれども。
「わたしにはわからない、まだ子供だから」
 ふるふると杏は首を左右に振り、艶やかな黒髪をさらりと揺らす。
「それに、わたしはお水が好き。
 貴女を倒して、その恵みを守りたい」
「子供は勝手に言ってなさい」
 黙らせるように放たれた猿轡を、杏は油断なく大剣で切り裂いた。
 その時、カイがはっと表情を変え、俯き気味だった顔を上げる。
「ありました」
「……マダムの玉座の真下?」
 水の精霊が指し示す場所に、微かな水の波動があることに杏も気が付いて。
 確かめるように囁けば、カイがしっかりと頷いて見せた。
 傍らの小さなテーブルにワイングラスが置かれた、豪奢な椅子。
 恐らくは、戦いの前にマダムが座っていたであろう場所。
 そこに集う水の精霊達に、カイは和扇子を向けた。
 その意思に応えて、水の精霊は風の精霊と共に水の竜巻を作り上げ、地の精霊の力も借りて椅子ごとその石の床を抉り壊す。
 さらに杏も、マダムへ斬りかかると見せかけて、その横を高速ですり抜けると、再び振り上げた大剣を床へと叩きつけた。
 空いた穴から微かににじみ出る、清らかなる水。
 杏は大剣を手放し、そこにしゃがみ込むと、手を繋ぐようにその水に繊手を浸した。
(「水の神さま」)
 ぎゅっと金瞳を瞑り、呼びかける相手は元の神殿の主。
(「あなたをたすけたい。この場所を再び水で満たす為に」)
 杏の祈りを助けるように、周囲に水の精霊が踊り。
 水の神に力を与えるかのように、雨のような水の粒を舞い上げる。
 そんな杏の無防備な背中をマダムは睨み付け。
 その身体を黄金のオーラで覆うけれども。
「今度は私の番です」
 カイは自身の本体である人形を繰り、マダムへと迫った。
 念糸を操り、薙刀を振るい、糸編符で防ぎながら時間を稼ぐ。
(「やってくれると信じてますから」)
 杏の背中に。
 そして、その手元に湧き出し続ける水に。
 思いを寄せ、祈りを重ねるように。
 金の斧と共に、戦い続ける。
(「お願い、神さま。わたし達に力を貸して」)
 そして。
 杏の目の前に、水の龍が立ち上った。
 足元を浸すように、清らかな水が一気に地面を覆い。
 同時に、ビーム砲や爆弾で半壊以上に壊れていた神殿が、完全に崩れ去る。
 水の神が、蘇った。
 そう確信したカイは、再び巡り扇を開いた。
「お願いします、水の精霊!」
 水の属性を持つ魔法は、今度は逆に神から力を与えられてか、先ほどの比ではない大きな刃を作り上げ。
 鋭くそれを巻き込んだ竜巻を形作っていく。
「行きます!」
 そして竜巻は、呆然と龍を見上げていたマダムを直撃し、その黒い姿を引き裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月24日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はビードット・ワイワイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト