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アースクライシス2019⑪~オールドスパーキー

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #ダストブロンクス #マーズ・ローマン


●ダストブロンクス・ダウン
「ふむ、どうやら君が最後の難関というわけだな、地球人」
 ダストブロンクスに潜むヒーロー、マーズ・ローマンは抑揚のない口調で問いかける。
「ふしゅるるる……せっかくの登場で悪いが、汚水槽は壊させてもらう。貴様らが叛逆するというなら、これはそれに対する罰だ!」
 電気を纏いしオブリビオンが汚水に満たされた建築物へと帯電した手を触れようとする。
「そうはさせない! 私はこれまでの恩を返す為、ダストブロンクスの人々を守らねばならん。その為なら……この生命、青き星の為に燃やそう」
「そういう奴ほど速く死ぬ」
 ヒーローの言葉にオブリビオン――オールドスパーキーは嘲りの笑みを浮かべた。

●グリモアベース
「ダストブロンクスのヒーロー達が蜂起し、都市内の巨大汚水槽に仕掛けられたスカムキングの爆弾の解除を行おうとしている」
 グリモア猟兵、氏家・禄郎(探偵屋・f22632)はずれた眼鏡を直し、猟兵達を見る。
「でもね、彼は死ぬんだ。無残にも、オブリビオンの手によって。なのでその前に君達はヒーローと合流して彼を助けてほしい」

 猫背気味の姿を更に丸めてグリモア猟兵はタイプライターを模したキーボードをタッチすれば、プロジェクターに画像が上がる。
「まず、ヒーローの名前はマーズ・ローマン。ジャスティス・ウォーでゲートが作られた時に帰りそびれた火星人と自称している。実際は不明だ」
 映し出されるのは切れ長の顔にマントを羽織った男。
「次に汚水槽を守るオブリビオンだが……これが厄介でね、オールドスパーキー――電気椅子で死刑執行されたところ、人間発電機となったオブリビオンだ。爆弾の起爆装置は機械だからうっかり触れたら……ドカンだと」
 映し出されるのは巨大な肉体に電気を纏ったオブリビオンの姿。
「場所はダストブロンクスの汚水槽ブロック。巨大な浄水プールに爆弾が仕掛けられている。爆弾はヒーローが自称火星爆弾解除術で何とかしてくれる。君達は彼を守りつつ戦いに集中してくれ」

 キーボードにつけられたレバーを動かせば、ベルが鳴り、ゲートが開かれる。
「後は任せた。スカムキングの恐怖から人々を解放してくれ」


みなさわ
 異邦人を名乗る男は知らぬ人の為に命を燃やす。
 こんにちは、みなさわです。
 次はダストブロンクスでの戦いを。

●プレイングボーナス
 今回は以下の行動に対してプレイングのボーナスが与えられますのでご参考ください。
『プレイングボーナス……ヒーローを守り共に戦う』

●ヒーロー
 マーズ・ローマン:ダストブロンクスを解放するために戦うヒーローです。火星人を自称していますが詳細は不明です。戦闘も出来ますが爆弾の解除法を知っており、皆さまが戦うのならそちらに力を入れていきます。

●オブリビオン
 オールドスパーキー:電気を操る怪力系オブリビオン。それなりに頭は回るらしく、いざとなったら起爆装置に触れることで爆弾を爆発させるくらいの事はします。

●戦場
 今は機能していない、汚水の溜まっている浄水プール。6つの爆弾により街の水路などに汚水が流れるようにセットしております。

●その他
 マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。

 それでは皆様、よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『オールドスパーキー』

POW   :    ハンマースパーク
【身体】から【発電された高圧電流を纏った一撃】を放ち、【感電】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ボルカニッカー
【全身から火山の噴火のような激しい空中放電】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    イートタイム
戦闘中に食べた【引きちぎった電線から取り込む電気】の量と質に応じて【全身の細胞に電力が充電され】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

●マーシャン・フロム・ダストブロンクス

「君達が猟兵……イエーガー!?」
 抑揚のない声でマーズ・ローマンは呟き、そして考える。
「確かに突然集団で現れるユーベルコードは珍しい。猟兵というなら、話は分かる。ならば、私の考えも分かるな地球人。戦いは任せる、私は――爆弾を解除しよう」
 背中を向けて歩く、ローマンの姿が光を放ち、現れるは透き通った宝石の身体にマントを羽織った奇妙な男。
「……ああ、説明してなかったな。我々は君達の言うクリスタリアンの末裔だ。古き時代に謎の時空震に巻き込まれ、火星に入植した。故に、我々は火星人を名乗っている」
 本来の姿を現した自称火星人が建物を進めば、やがて扉に行きつく。
「この先が汚水の満ちた、浄水プール。もし敵がいるなら、君達にお願いしたい私は……役目を果たす」
 ローマンが扉に手をかけ、そして促した。
「行こう、人々を救うために――それが私のやるべき使命なのだから」
アイシス・リデル
火星人のおじさんはくりすたりゃ……くりすちゃ……宝石の人、なんだ
きれい、だね

ちょっとずるい、けど
最初はなるべく、敵に見つからないようにして
火星人のおじさんと一緒に、汚水槽に近付く、ね
ブラックタールの身体なら、狭いところにも隠れられるし
下水の中に潜るのだって、わたしはへっちゃら、だよ
わたしのにおいだって、ここなら目立たない筈、だから
……目立たない、よね?

汚水の毒を、不浄の器の力でわたしの中に取り込んで……「食べて」
わたしの身体をおっきく、つよくする、よ
これでもし、爆発されちゃっても汚れない、し
そのおっきくなった身体で、敵が近付けないように壁になる、ね
道を塞いじゃえば、動けなくっても大丈夫、だよね



●スニーキング・ミッション・フロム・ブラッククリスタル

「火星人のおじさんはくりすたりゃ……くりすちゃ……」
 御年十歳のアイシス・リデル(下水の国の・f00300)は
「宝石の人、なんだ」
 努力を放棄した。
「そう私はcrystalianのお兄さん、かつて宝石の人とも言われたが今は火星人だ、黒き娘よ」
 マーズ・ローマンはクリスタリアンという所だけ妙にイントネーションを付け、他は抑揚なく話す。
「きれい、だね」
 ブラックタールの聖女が敢えて、区切った言葉をローマンは見逃さなかった。
「みな、そう言う。けれど本当の綺麗とは立ち振る舞いに現れるという、私には君の方が綺麗に見えるよ、黒き娘」
 そっと硬質に見える手でアイシスの頭を撫でると火星人は微笑んだ。

 オールドスパーキーはオブリビオンだ。
 この汚水槽を破壊するためのチャンスを今か、今かと待っている。
 だが、今はその時ではない。
 スカムキング様の命令を実行に移すには反逆者が動いていることが必要なのだ。
 彼は開いているドアに視線を向けながら、今か、今かと獲物を待ち受けていた。

「本当に、見えてないね、すごい」
「これが火星人のユーベルコード……確か、クリスタライズと昔言われていたものだ」
 小声で会話をしながら、ローマンのユーベルコードで透明になった二人がオールドスパーキーの横を通り過ぎる。
「今はなんて、いうの?」
 火星人に肩車されつつアイシスが問うと
「マーズ……クリスタライズ」
「……そういえば、わたしのにおい……目立たない、よね?」
 数々の冒険を経て、少し多感になってきた少女は話題を変更した。
 何か触れちゃいけない気がしたのは気のせいだろうかと思いつつ……。
「大丈夫、周囲の臭いに比べれば問題はない。さあ、ついた。ここからが本番だ」
 ローマンはアイシスを下すと透明化を解除し。
「後は頼んだ!」
 少女に託す。
「うん! おじさん!」
 その言葉に火星人は深く傷つき、そして爆弾解除へと取り掛かった。

「ふしゅるるる……いつの間に、お前ら忍び込んでいた!? ニンジャのユーベルコードの使い手か!」
 オールドスパーキーが突如現れた二人の姿に気づき、そして体内の電気を放電させる。
「火星人のおじさんの、ちから、だよ!」
 アイシスの言葉に火星人はさらに傷ついた。
「おいおい、火星人がこのダストブロンクスに居る訳ないだろ! 悪い子は電気でお仕置きだ!」
 オブリビオンが発電した高圧電流を放とうとすれば、視界が黒いものでふさがっていく。
「な、なんじゃー!」
 オールドスパーキーが見上げれば、そこは毒である汚染物質を取り込むことで大きくなったブラックタールの姿があった。

「ふしゅるるる! 例え、大きくなったって。それは体積だけ、この筋力に――」
 どかーん!
 オブリビオンはアイシスのビンタに大きく吹き飛ばされました。
「ぐおお……だが、こんなことでやられるオールドスパーキー様ではない! 喰らえ!!」
 叫び、叩き込まれるのは高圧電流を帯びた一撃。
「やっ……イタイイタイイタイ、イタイ!」
「ふしゅるるる……そこをどければ、このビリビリを止めてもいいんだぜ」
「どけない、よ!」
 高圧電流の苦しみの中、両手を広げ更に行く手を阻もうとする少女。
「火星人のおじさんが、爆弾、解除するまで、ずっといるんだもん!」
 痛みをこらえて、アイシスが答える。
「そうか、ならこの電流で死ね! その汚染物質を取り込んだ身体なら、通常より電気はより強く、激しく伝わるからなあ!!」
 大きく口を開け、オールドスパーキーは目の前の少女を殺すために電圧を上げようとすれば
「今、終わった。これはおみやげだ」
 傍に透明化を解除した火星人が現れ、オブリビオンの大きく開いた口へ爆弾をねじ込んだ。
 少女の目の前で火柱が立った。

「たおした、かな?」
「爆弾を6つも用意している中にいたってことは無理ということだ。それより」
 巨大化を解除した、アイシスを抱えながらローマンは戦線を離れる。
「頑張ったな、黒き娘よ」
「えへへ……」
 なんだかうれしくなって、つい笑みが出る少女であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メンカル・プルモーサ
……ああ、なるほど……だから火星人か……
…それじゃあ解除は任せる……こっちはそれまで爆弾に触れられないようにするね…本物には印つけておくから…

…まずは【愚者の黄金】で避雷針を周囲に設置……高圧電流や放電をそちらに流して軽減するよ…
そして、【面影映す虚構の宴】を使って本物の爆弾は幻覚での迷彩を被せて目立たないように…そして近くに偽物の爆弾の幻影を多数用意して…
…いざとなったときに、スパーキーを混乱させよう…
……あとはローマンを守るように【顕現せよ黒白の騎士】を発動…二体のガジェットを操ってスパーキーの攻撃から私とローマンを庇って守りつつ戦うよ…幻影で混乱したら砲撃を加えて切り掛かろう…


トリテレイア・ゼロナイン

宇宙出身のヒーロー……星の海の出身である私にとっては少し親近感を覚えます。ダストブロンクスの人々の為、お互い為すべきことを為し共に勝利を掴みましょう!

●防具改造で施した耐電処理
盾は兎も角、装甲のそれには最後まで頼りたくはありませんね…
巨体を活かしマーズ様を●かばうように立ち塞がりつつ、電撃を纏った一撃をセンサーでの熱量などの●情報収集で電撃込みで●見切りつつ回避
●怪力での●シールドバッシュを喰らわせます

相手が爆弾の起爆を優先するように動いたらワイヤーアンカーを射出
●怪力と●ロープワークで引き寄せ●手をつなぎ拘束
UCで攻撃を耐えつつ他の猟兵の攻撃を直撃させる布石となりましょう


フォー・トラン
〈フック付きワイヤー〉を敵の服や体に引っ掛けて、敵の放つ電撃をワイヤー経由で自分へ誘導しようと思う。
雷の精霊の加護を受けたアタシの〈電撃耐性〉とアンタの電撃の威力、どちらが強いか勝負だ!
もっとも敵が暴れたり電撃の威力が高すぎた場合、アタシが倒れるより先にワイヤーが切れそうだな。
そんな時は《偽造魔法》の出番だ。
手持ちのワイヤーのコピーを次々と投げつけて時間を稼ぐので、その間に味方が攻撃してくれると大変に助かる。
もし余裕があれば箱型爆弾〈トリックボックス〉を蹴り飛ばして攻撃に参加したいが、今回はマーズ・マーロンの護衛と爆弾の解除が優先だ。
可能な限り防御に専念しよう。



●ライトニングロッド・オブ・イエーガー・トリック

「……ああ、なるほど……だから火星人か……」
 スペースシップワールドの知識に詳しいメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は状況を理解すれば、即座に行動へと移る。
「…それじゃあ解除は任せる……こっちはそれまで爆弾に触れられないようにするね……本物には印つけておくから」
「ああ、よろしく頼む。できれば印は分かりやすいのにしてくれると助かる」
 少女を担ぐ火星人が応えたのはついさっきの出来事。

「ふしゅるるる……電気椅子に耐えた、このオールドスパーキー様が爆弾一つでやられるわけねえじゃないか! まあ、もっともこの爆弾も汚水槽の一部を破壊する程度だけどな!」
 爆煙の晴れる中、オブリビオンは割れる。
「だが一つ壊せば、そこから汚水は流れる。どっちにしてもおしまいってわけだ」
「なるほど、あと五つ解除すればいいのだな?」
「ぬかせ!」
 火星人――マーズ・ローマンの問いに返ってくるのは迸る電撃。
 けれど、それはいつの間にか周囲に設置された複数の避雷針が受けとめる。
「……避雷針……効果ありね……」
 現れるのはメンカル。
 三世界の技術を統合し操る、三界の魔女の視界に移るのは自らが召喚した避雷針によって放電が逸らされていく状況。
 だが、それも長くは続かない。
「だったらなあ、全部まとめてふきとばしゃあいいんだよ!!」
 オールドスパーキーの眼が輝き、閃光が辺りを覆い散らせば、電力に耐え切れず、次々と吹き飛ぶ避雷針。
「ふしゅるるる! これであとは爆弾を解除するだ……ってふえてるじゃねえか!!」
 次にオブリビオンが見たのはプール一面に広がる爆弾の姿であった。

「これか! ああ、ハズレだ。畜生!」
 オールドスパーキーの電流が爆弾へ流れれば、それは霧となって霧散する。
 ユーベルコードによって紡がれた無数の爆弾にオブリビオンは混乱していた。
 何せ、爆弾を設置したのは良いが区別はつかない。
「そうだ! あの火星人野郎はどこへ行った!」
 ――これが猟兵のユーベルコードであるならば、奴らは本物を知っている。
 それに気づき視線を巡らせた先には、ガジェットを伴ったローマンが爆弾を解除する姿。
「見つけたぜ!」
 威勢よくオールドスパーキーが駆け寄ろうとすれば
「……遅い……」
 メンカルが目の前にあるコンソールに触れ、ガジェットに砲撃を指令した。
 砲弾の直撃を受け、オブリビオンはプールへと吹き飛ばされた。


「ふしゅるるる……してやられたな!」
 プールから這い上がる汚水塗れのオールドスパーキー。
「汚いな、洗濯用に火星イオンクリーナーを貸してやろうか」
 二つ目の爆弾を外し、抑揚のない口調で軽口を叩くローマンをオブリビオンが睨めば、そこへ絡んでいくフック、そしてワイヤー。
「雷の精霊の加護を受けたアタシの電撃耐性とアンタの電撃の威力、どちらが強いか勝負だ!」
 フォー・トラン(精霊術士・f12608)がワイヤーを握り威勢よく宣言すれば、オールドスパーキーも負けじと電流をワイヤーに流し、互いを雷の奔流へと引きずり込む。
「なかなか、やるな!」
「てめえこそ、良い根性している」
 フォーが威勢よく笑えば、オブリビオンも笑みを浮かべ、出力を上げる。
 スパーク音が鳴り、電力に耐え切れなくなったワイヤーが引きちぎれる。
「ワイヤーが無くなったなぁ! これで勝負は――」
 威勢よく右手を握った巨体の手首に引っかかるフック。
「お前もそのパターンかよ!!」
 複数握られたフック付きワイヤーを持つ雷の精霊術士の姿にオールドスパーキーは声を上げた。

「勝負はまだ終わってないぜ!」
「うるせえ! とっととくたばりやがれ!」
 次々とワイヤーが引きちぎれる中、オブリビオンはふと、火星人の姿を見失ったことに気づいた。
 だが、視線を巡らそうとすれば、その首にフックが引っかかる。
「どこ見てんのさ! マーロンの相手をする前にこっちを済ませなよ!」
「ローマンだ」
 威勢よく叫ぶフォー。声は背後から聞こえた。
「……えっ?」
「ローマンだ、L、a、w、m、a、n、ローマン」
「フッ――」
 火星人の言葉に精霊術師は笑みを浮かべ。
「どこ見てんのさ! ローマンの相手をする前にこっちを済ませなよ!」
 訂正した。
「目の前で寸劇見せるんじゃねえ!!」
 それには流石にオールドスパーキーも怒りだした。
「ああ、それとお土産だ」
 そんな中、ローマンは何気なくフォーの足元に重たいものを置く。
 足元にある『それ』を見た精霊術師は笑い、全力を以ってオブリビオンへ蹴っ飛ばした。
 解除された四つ目の爆弾が電撃によって爆発すれば、オールドスパーキーはまたプールへダイブした。


「宇宙出身のヒーロー……星の海の出身である私にとっては少し親近感を覚えます」
 星の海に生まれし、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)にとって、マーズ・ローマンは心動く存在であった。
 だからこそ……
「ダストブロンクスの人々の為、お互い為すべきことを為し共に勝利を掴みましょう!」
 彼は共に戦う決意をし
「ああ、ダストブロンクスの人々は火星人である私を受け入れてくれた、彼らの居場所を守るために手伝ってくれるなら、これに嬉しい事は無い」
 ローマンもそれに応えた。

 再度、プールから這い上がったオブリビオンの眼に映るのは、次の爆弾へ向かう火星人の姿。
 ――あの石っころを何とかしなければ、ならない!
 そう直感したオールドスパーキーの行動は速かった。
 シナプスへの伝達、筋肉への神経指示、電気の関わる全ての力をブーストし、ローマンへと襲い掛かれば……。
「させません!」
 ウォーマシンの騎士が目の前に立ちふさがった。

「邪魔だぁ!」
 オブリビオンが雷を纏った拳を繰り出せば、トリテレイアは体格に似合わないほどの流麗なステップで拳をかわし、側方に回りシールドをぶつけていく。
 巨体が自慢のオールドスパーキーもさすがに三メートルに近いというウォーマシンのプレッシャーには耐え切れず、たたらを踏み、膝を折る。
「ここは通しません!」
 シールドを構えて、万全の態勢で待ち受けるトリテレイア。
 その姿を見たオブリビオンは正面から立ち向かおうとはせず、搦め手を選ぶべく視線を張り巡らせる。
 その先には――爆弾が一つ。まだローマンも手を付けていない残り二つの内の一つ!
 だが、それも手首に絡まるワイヤーが邪魔をした。
「また、ワイヤーか!」
「有効だという証明です!」
 ウォーマシンが自らの怪力でオールドスパーキーを引き寄せれば手四つ。
「……死ぬぜ」
「遠慮なく」
 二人が言葉を交わせば、高圧電流の柱がその場に立った。

「爆弾は解除した。もういい、離れろトリテレイア!」
 四つ目の爆弾を解除したローマンの口調がやけに強い。
「そうは行きません、そろそろここで彼を倒しておかないと……マーズ様、貴方も為すきことを!」
 電流の向こう、光の中から響く硬質な声に星無き海を航海した民の末裔はただ一言。ああ。と頷いた。

  Just now!
「――今です!」

 トリテレイアの叫びに応え、三つの影が動いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜


マーズさんよ。
……皆まで言うな、奴はアタシらが相手する。
そもそもが、電撃使いとしちゃ負けてられないんでね。
真っ向勝負、挑ませてもらうよ!
放たれた電撃の『属性攻撃』を、
避雷針の様にアタシに『おびき寄せ』、
味方が連携を取りやすくする。
アタシへの電撃はモバイルPSYバッテリーに取り込むように誘導して充電。
そのまま逆変換して、アタシのサイキック強化に回すよ。

まぁそれでも無尽蔵の電撃が襲い来るなら、
最終手段だね。
その時点まで溜め込んだエネルギーを、解放する。
……聖句を唱えながらね。
【黄泉送る檻】は大気中の電撃を完全に操る大技、
アンタの電撃まで上乗せさ。
身動きできぬままオーバーロードしちまいな!


セシリア・サヴェージ
状況は理解しました。お互い成すべきことを成しましょう。

暗黒騎士として誰かを護る戦いに負けるわけにはいきません。
ヒーローへの攻撃は【かばう】や【咄嗟の一撃】で防ぎます。
……尤も、私を無視してヒーローや爆弾を狙う余裕は敵に与えはしませんが。

確実に護り抜くために万全を期するとしましょう。
【ハンマースパーク】を受けても防衛が阻害されないよう予めUC【闇の戦士】を発動し暗黒を解放します。
感電を打ち破ることができればよいですが……暗黒の力を信じましょう。


カタリナ・エスペランサ
心得た! 守るべきを守る事こそ騎士の本分…なんてね
ま、アタシはただの旅芸人なんだけどさ

《武器改造》でダガーに魔力を通し威力重視の大太刀に再錬成、【閃風の庇護者】を使って技能を強化。
《情報収集+見切り》で敵の動きを先読み、《早業+カウンター》で後の先を取る事でローマンや爆弾、仲間を《庇う》事を最優先に立ち回るよ

基本は《空中戦》で機動力を活かし《存在感+おびき寄せ》で注意を引きつつ重力を纏わせた《怪力+属性攻撃》の剣技と体術で攻撃。
躱せない電撃は《電撃耐性+オーラ防御+気合い》で耐えつつ、敵がUCを使ってくるなら武器に紅雷を纏わせて《破魔》の一閃で迎え撃とう
雷の扱いだってキミに後れを取る気は無いよ



●ライトニング・アヴェンジ

「心得た! 守るべきを守る事こそ騎士の本分……なんてね」
 カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)が猟兵を飛び越え、オブリビオンとの間に入る。
「ま、アタシはただの旅芸人なんだけどさ」
 ダガーに魔力を通し威力重視の大太刀に再錬成すれば、真向、正面からオールドスパーキーに対して構える。

「状況は理解しました。お互い成すべきことを成しましょう」
 倒れ行くウォーマシンを支えるマーズ・ローマンに対し、セシリア・サヴェージは告げ、自らの周りを暗黒のオーラで覆う。

「マーズさんよ」
「……君達」
「皆まで言うな、奴はアタシらが相手する」
 数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が猟兵を横たえる火星人へと笑えば、視線はオブリビオンへ。
「そもそもが、電撃使いとしちゃ負けてられないんでね。真っ向勝負、挑ませてもらうよ!」

 決着の時が迫ろうとしていた。

「ふしゅるるる……しゃらくせえ!」
 オブリビオンは劣勢を感じたのか、全てを焼き尽くさんばかりに電撃を放つ。
「こっちだよ!」
 だが、それは多喜に全てを引き寄せられ、猟兵に被害は及ばない。
 そして多喜自身も……。
「へえ、結構溜まるじゃん」
 自らが持っているモバイルPSYバッテリーへと電力が充電され、サイキックエナジーとして変換――彼女の力となる。
 だが……。
「えっ!?」
 直後、バッテリーが爆発し、その機能を全うした。
 ユーベルコード級の電撃を受けるには負荷が大きすぎた様だ。
 だが、過剰な放電はオールドスパーキーにとっても、消耗が激しい。
 発電し、電圧を上げるための時間が必要になった
 つまりは――隙が生まれた。

 オブリビオンが膂力を以って、襲い掛かる。
 電圧が回復する間に待っている余裕はない。
 勿論、猟兵もただ防戦には徹しない。逆になだれ込むようにセシリアとカタリナが攻めに動いた。
 主に動くのは旅芸人を自称する人狼、それをフォローし爆弾を外すローマンへと絶えず目を離さないのは暗黒の騎士。
 カタリナがオールドスパーキーの腕を見切って掻い潜り、次の動きに移る前に大太刀でのカウンターの一撃を叩き込み、動きを封じる。
 相手をするのが手ごわいと判断するやオブリビオンはカタリナの動きを無視して火星人へと迫った。
 だが、それを阻むのは咄嗟に振るわれた暗黒剣の一刀。
 腹を薙ごうばかりの一撃を直前でかわし、バックステップで距離を取るオールドスパーキー。
 そのシャツは綺麗にカットされ、鍛えられた筋肉にも刃を残す。
「楽にはさせてくれねえってわけか」
 オブリビオンが汗をぬぐい……そして笑みを浮かべる。
「ふしゅるるる……充電完了って奴だ」
 両手を微量な放電で覆いながら、ゆっくりとオールドスパーキーは距離を詰めていった。

 だが……
 それは猟兵にとっても、総攻撃の準備が完了したことでもあった。

 まず最初に動くのは多喜。
「ashes to ashes,dust to dust,past to past……収束せよ、サイキネティック・プリズン!」
 聖句と共に構築されるサイキックブラストはオブリビオンを直接縛るのではなく、牢獄として彼の前進を食い止める。
 そこへ迷うことなく飛び込むセシリア。
「邪魔だぁ!」
 オールドスパーキーが叩き伏せようと電撃を帯びた拳を振るう。
「――シッ!」
 鋭く息を吐く音がオブリビオンの鼓膜を打てば、次の瞬間に転がるのは未だスパークするオブリビオンの右腕。
「――ヒュッ!」
 暗黒を解放し、挑みかかる騎士の動きは流麗というより、蛮勇。
 鋭さというより力強さが目立った。

          Svage
 彼女の姓を意味する野生の如く。

 危機を感じ、後ろに下がるオールドスパーキー。
 だが、追い打ちの矢は即座に飛んだ――カタリナだ!
 空を舞い、重力属性を付加した大太刀を振り上げれば、並外れた膂力を以ってそれを振り下ろす。
「ふしゅるるる――させるかぁ!!」
 空から来る人狼を撃ち落とさんべくオブリビオンが全力で電撃を放つ。
 だが、振るわれる大太刀は雷すら自らの権能とし、紅雷の刃となって主の元へ叩き込まれた。
「雷の扱いだって……キミに後れを取る気は無いよ」

 最後の爆弾が解除されるのと、オールドスパーキーが倒れるのはほぼ同時であった。


「君達には世話になった」
 マーズ・ローマンが礼を述べ、猟兵へ手を差し出す。
 誰かがそれを握れば、火星人は笑う。
「さて、これからが本番か。君達も我々も……ジェネシス・エイト、クライング・ジェネシス強敵ばかりだ。だが……」
 手を離し、両手を広げつつローマンは言葉を続けた。
「君達のような者なら、大丈夫だ。世界を――任せたぞ」
 異界より迷い込んだ末裔として、ヒーローとして、彼は運命を託した。
 決戦の時は――近い!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月24日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠レイチェル・ノースロップです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト