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アースクライシス2019⑪~蟹と鋼鉄〜

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #ダストブロンクス



「くっ……なんと強い!」
 一体のオブリビオンに立ち向かう5体のヒーロー!
 だがその体は既にボロボロであった。
「この私に出会ったのが運の尽きよ…」
 彼らの目の前に立ちはだかるは鋼鉄の巨人。
「目的成就の為、貴様らにはここで死んで貰う」
 刺激臭漂う汚染区域の中、必殺の一撃が彼らに見舞われた。


「お願い、彼らを助けてあげて!」
 まるでゲームの中に出て来る女神の様に、祈りのポーズをしながら宙に浮くポーラリア・ベル(f06947)が、集めた猟兵達に懇願した。
「ヒーローズアースの地下迷宮でね、おっかないスカムキングさんの仕掛けた爆弾を解除しにヒーロー達が飛び込んでいったの」
 壁のモニターに映像を映す。
 そこにはいかにも臭いにおいでいっぱいな、下水道「ダストブロンクス」の一角。
 奥には汚染水で満たされた巨大な水槽があり、爆弾が仕掛けられていた。
「この爆弾を爆発させて、ダストブロンクスをとっても汚くしてみんな住めないようにしちゃうんだって!こわーい!……この爆弾を解除しにヒーローがやってきたんだけど、オブリビオンが立ちふさがったの。」

 その名は「鋼神ウルカヌス」
 クローンだがそれでも恐ろしい鋼の巨体が見て取れる、有力敵の1体だ。
「このオブリビオンをヒーローさんと一緒にやっつけて欲しいの!やっつけたら、あとはヒーローさんが爆弾を解除してくれるって!」
 そう言いながらポーラリアはグリモアを展開する。
「戦場はとっても臭いけど……あっ言い忘れてた!」
 猟兵達が光に包まれる直前、ポーラリアは慌てて映像を切り替える。

「ここで戦うヒーローさんの名前はね!『甲殻戦隊カニウェーブ』!頑張ってねー!」

 首を傾げる猟兵や、聞き返そうとした猟兵達をよそに、戦場へと転送されるグリモアの光が満たされた。


古塔
 古塔と申します。おっかない巨神さんと戦う「アースクライシス」の戦いの一幕です。
 このシナリオはボス戦のみの1章構成となります。

●目的
 『鋼神ウルカヌスのクローン』 を倒す。
 とっても臭い下水道迷宮『ダストブロンクス』の一角で戦います。
 オープニングで述べたスカムキングの爆弾は、オブリビオンさえ倒せばその場にいるヒーローが時間までに頑張って解除してくれます。
 解除方法はこの場にいるヒーロー達が知っていますが、今解除しようとするとオブリビオンに邪魔されます。

●ボーナス
 【戦場にいるヒーローを守りながら一緒に戦う】と、プレイングボーナスがもらえます。
 協力しなくてもいいですが、ヒーローとの共闘ってかっこいいですよね。

●ヒーロー
 『甲殻戦隊カニウェーブ』
 上半身と腕がカニ(キマイラフューチャーの怪人に近い姿)の、かっこいいバイオモンスター達による5体1組の戦隊ヒーローです。
 カニの力と手のハサミから出るツナミウェーブで攻撃しますが、オブリビオン相手にはいかんせん火力不足でした。
 メンバーは【ズワイレッド】【タラバレッド】【セイコレッド】【ハナサキレッド】【ヘアピンク(毛ガニ)(女性)】となります。
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第1章 ボス戦 『鋼神ウルカヌスのクローン』

POW   :    超鋼神オーバードウルカヌス
【金属を集めてさらに巨大な姿】に変形し、自身の【感情】を代償に、自身の【金属を操る力】を強化する。
SPD   :    巨大剣ウルカヌス
【叫びと共に全身の装甲を解除する】事で【星をも切り裂く巨大剣ウルカヌス】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    鋼神領域
自身からレベルm半径内の無機物を【高い戦闘力を持つ鋼の巨人】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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●ピンチ!カニウェーブ!
 下水道迷宮『ダストブロンクス』の一角にて、鋼鉄の巨人が佇んでいた。
 その背後には彼の巨体を3倍は超える巨大水槽。中にはなみなみと汚染水がたまっていた。
 この水槽には爆弾が仕掛けられている。時間で爆発し、汚染水の洪水で、ダストブロンクスを最大に汚す為の爆弾が。
「……」
 巨人の正体、鋼神ウルカヌスは腕を組み、ただ侵入者を待つ。
「我が目的の為……スカムキングの命によって、この地一帯は破滅させてもらおう。」

「「「「「そんな事はさせないぞ!」」」」」
「ふむ。……来ると思っていたぞ。貴様らは何だ、ヒーロー……否」
「否ではなくヒーローである!皆行くぞ!」

 突如としてウルカヌスの前に現れた5体の影!彼らはヒーローだ。
 が、その頭部はお決まりの覆面の代わりに上半身丸ごと赤くゆで上がった蟹そのものだった。

「リーダーのズワイレッド!」
『ほう』
「タラバレッド!」
『…何?』
「セイコレッド!」
『おい』
「ハナサキレッド!」
『……』
「ヘアピンク!」
『やはり待て統一しないのか貴様ら』

「大いなる海の力でどんな汚れも浄化する!悪しき心も、汚れた水も!」
「波に乗ってノリノリだ!俺達5人揃って!」

「「「「「甲殻戦隊・カニウェーブ!」」」」」

「く、ふ、ぬはははははは!!蟹で、ウェーブと来たか!アトランティスの連中がさぞかし気に入るだろうな。それで貴様らが……貴様ら程度が、私を止めに来たとでも?」
「そうさ、いくぞみんな!」

 カニウェーブの軍勢は素早い横歩きであっという間にウルカヌスを包囲すると、腕の蟹鋏から巨大な水気を蓄える。
「いきなり最大出力だ!合体攻撃・ツナミストリーム!」
 恐るべき蟹由来の海水による大いなる津波が、四方八方からウルカヌスを包み込み、5体の津波が合体して凄まじい波の竜巻を展開する!
「グハハハハ!この津波に飲まれて生き残った奴はいねぇ!」
「塵となり、蟹の餌となるんだな!」
 そのセリフはヒーローとしてどうなのだろうか。―等と言っている場合ではなかった。

 5人合わせた津波の竜巻の中から、巨大な腕がぬうっと現れ、放出中のズワイレッドを掴みこんだのだ。
「なっ…何!?ズワイ!」
「さて」
 ズワイレッドはそのまま勢いよく投げ飛ばされ、壁のパイプに打ち付けられて口から泡を吐く!
「もう一度言うぞ。……貴様ら程度が、私を止めに来たとでも?」
 ウルカヌス津波をものともするどころか、かかったカーテンを振り払うかのような仕草で津波の強力な奔流を強引にかき消してしまう。
 その体は先程より更に大きく、巨大汚染水槽に迫るほどのサイズをしていた。
「そ…そんな…!」
「ひるむな!俺達カニウェーブ、まだウォーターカッターやカニギロチンもある!一斉にかかれば鋼鉄の巨神など!」
「そうだぞ、ハサミの錆にしてくれるわ!」
 カーニカニカニカニ!ヒーローのような台詞と悪役の様なセリフが混じりながら、蟹鋏をカンカンと打ち鳴らして笑うカニ怪人、もといカニウェーブ達。
「その心意気や良し。……では私も更に強化しておこう」
 鋼神ウルカヌスは何をしたのか、先程から更に、更に巨大になる。
 その体躯は最初、自身の3倍はあったはずの巨大汚染水の全長を―抜いた。

 振り払うように打ち出される拳!
 鋼鉄をも斬り壊すはずの水の力が次々と打ち破られる!
「貴様らの蟹身はさぞかし汚染の水と合う事だろうなぁ!」
 力技で叩きつけられ、壁に撃ち飛ばされ、その蟹の体が徐々にヒビを入れていく!


「くっ…なんと、強い……!」
 一体のオブリビオンに立ち向かう5体のヒーロー。だがその体は既にボロボロであった。
「この私に出会ったのが運の尽きよ」
 目の前に立ちはだかる鋼鉄の巨人から、とどめの一撃を見舞うための鋼鉄の拳が握られる。
「目的成就の為……貴様らにはここで死んで貰う!」
 刺激臭漂う汚染区域の中、巨椀の一撃が彼らに見舞われた。


「まだだ。まだ…こんなかっこ悪い中で倒れるわけにはいかない!」
 空間がスローになる。ズワイレッドにこの一撃を躱す余裕はない。
「…研究所で改造されても正義の心を持ち続けた、俺達のような不屈の心を持つヒーローが、まだみんな頑張っているんだ!」
 タラバレッドは覚悟を決めて受け止めようとする。
「どうか、私達にも力を…!オブリビオンに打ち勝つ力を!」
 ごわごわのピンクの毛ガニであるヘアピンクは沢山の腕を合わせるかの様なポーズで祈った。
「誰か」
 セイコレッドが。
「俺達に」
 ハナサキレッドが。
「「「「「力を―!」」」」」

「救援要請、オーダー受諾します。」
 轟音が鳴り響く。それはカニウェーブに到達した鋼鉄の拳の音ではなく、その拳に放たれた砲弾の爆発音。
「ぬうっ……貴様は!」
「ヒーローとの合流を達成。敵影捕捉、これより戦闘行動に入ります。」
 白い肌の顔以外に黒い機械のスーツを纏うサイボーグの男が、砲台を並べてウルカヌスと対峙していた。
クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「救援要請ですか、オーダー受諾します」

【WIZ】

『電脳ゴーグル』を用いて周囲の構造物の【情報収集】。
「CODE:DELIBERATE ATTACK。周辺構造物スキャン完了、掌握開始」

無機物を「拠点攻撃用の砲台群」に変換し、【一斉発射】。
自らも『アームドフォート』を用いて敵の頭部を狙撃(【スナイパー】)します。

●UC対抗&ヒーロー援護
「無機物を操るというのなら、先制してこちらが先に掌握するだけのこと」
同じベースUCでヒーローの周りの「無機物」を砲台に変換。
砲台をヒーローの盾にし、敵の直接攻撃を防ぎつつ鋼の巨人の侵攻を防ぐ狙いです(【武器受け】)。


泉・火華流
5人のヒーローを見て…

ハサミにツナミ…(武装にハサミを持ってます…津波は使えないけど、アンカー(錨:イカリ)を持ってます)←海繋がりw

ちょっと前まで私…(ミュータント(下半身が蛇)だったけど:小声w:『(略)バイオニック・ブロンクス』より)

戦闘
レガリアス・エアシューズに『スチームエンジン』使用
【ダッシュ・逃げ足】でヒット&ウェイ・回避重視の戦闘

基本的に攻撃を回避し、攻撃直後の隙を狙ってナイトメア・シザーズ(二刀形態)やグラビティ・アンカーチェーンによる投擲で攻撃か【ロープワーク】使用で捕縛

【ジャンプ】からの【踏みつけ】で降下式の飛び蹴り

同じ個所を狙う事で【部位破壊】(鎧・鎧の関節部)を狙います


黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

レッドだらけの戦隊か(若干遠い目)

UC写月で分身を生みだし、分身にはヒーローたちのサポート兼徹底した護衛を。俺自身は敵の撃破を狙う。
他に連携可能で組む相手が正面での戦い方する人の場合。囮にするようで悪いが、俺は【存在感】を消し【目立たない】ように移動し、奇襲をかけ【マヒ攻撃】を乗せた【暗殺】攻撃。
単騎の場合は挑発による【おびき寄せ】をし、ヒーローへの攻撃は通さないように【かばい】続ける。
相手の攻撃は【第六感】で感知【見切り】で回避。回避しきれない物は黒鵺で【武器受け】からの【カウンター】。それも出来ない物は【オーラ防御】と【呪詛耐性】でしのぐ。


ティエル・ティエリエル
WIZで判定

ようし、ボクがあいつの動きを止めるから、止まったところに一斉攻撃をお願いだよ!

背中の翅で羽ばたいて「空中浮遊」して、空中から襲い掛かるね!
ウルカヌスと鋼の巨人の間を飛び回りながら風を纏ったレイピアによる「属性攻撃」でヒット&アウェイ!
敵の意識を十分上に向けれたところでウルカヌスの足元に突然【妖精姫の括り罠】を作り出して引っかけちゃうよ♪
ほら、みんな!今のうちに集中攻撃だ!

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



●猟兵出撃
 男の名はクネウス・ウィギンシティ(f02209)。
「援護します。こちらへ退避を」
 既に攻撃を防ぐ巨大な盾のついた、無数の砲台を用意して迎撃の構えを取っている。

「くっ、助かる!」
 蟹達は砲台へと避難、ついで砲台の一斉射撃が行われる。
 だがそこでウルカヌスは鎧をパージした。
 その瞬間、かの鋼神のサイズは瞬く間に3分の1、最初のサイズに戻った。
「猟兵共め嗅ぎつけたか…だがやられるわけにはいかん!」
 パージされた鎧はパイプやダクト…周りの下水道の部品として一旦元に戻った後、むくむくと大きくなって鋼の巨人と化した。
「【鋼神領域】の者共よ!砲台の相手は任せたぞ」

 迫りくる巨人達に砲台の射撃が放たれる。
「俺達も応戦するぞ!」「カニー!」
 カニウェーブ達は怪人のような奇声を放ちながら、ハサミから波を変形させた高圧ウォーターカッターの砲撃を放つ。
 幾度もの巨人達が砲撃で崩壊し、ウォーターカッターで切り裂かれ、迫りくる本体の巨神にも直撃する。
「私を止めるその力……猟兵をもってしてもその程度というのなら」
 だがものともしない。ものともしていない!鋼神ウルカヌス、これほどまでに硬いのか。
「最早私に敵は無し!ここから去るがよい!」
 拳に炎を纏った一撃を、空を割くように前方に放つ。
 まるでロケットパンチの如き炎の拳が砲台を貫通し破壊していく!
「カ、カニー!」

「おっと、大丈夫か」
 裏側にいたセイコレッドがゆで蟹になろうとした瞬間、横から引き飛ばし回避させる存在がいた。
 銀髪で和装をした男、黒鵺・瑞樹(f17491)だ。
「まだ戦える?」
「おおありがたいカニ!カニッフフフ、猟兵さんに遅れは取りませんぜ!」
 感謝しながらも、ハナサキレッドが横っ飛びで援護射撃をしながら応戦する。
「時に猟兵の旦那、こうズバーンと有効打与える策とかありませんカニ?俺達の水圧でも押せないなんてやべぇんですが」
「―ああ、悪いけど俺は今回援護に来ただけだからね。装甲を斬る策みたいなのはないよ」
「カニー!?」
「やろうとするなら関節か… どうにかして隙間を狙うにも、足が止まらないのはちょっと」
「止めるっていった?今止めるって言ったね?」
 そこに現れたのはオレンジの髪が美しい小さな妖精、ティエル・ティエリエル(f01244)
「ようし、ボクがあいつの動きを止めるから、止まったところに一斉攻撃をお願いだよ!」
 そう言って勢いよく飛び出すティエル。
「風の、レイピアだーっ!」
 妖精の鎌鼬を纏った針の一撃は、しかしウルカヌスは蚊を払うように振り払おうとするも、躱されては刺されてしまう。
「ぬぅ…だがこれしき!」
「よーし、今だっ!」
 何度もレイピアで翻弄し、ウルカヌスが上に意識を向けられた時、その姿が消える。
 そして何が起こったか、迫りくるウルカヌスの足元に、一瞬で括り罠が設置された。
「何をしたかは知らんが、もうよい。」
 だがウルカヌス、引っかかる前に足を止め、手を翻すと更に下水の部品を巨人に変形させる!
「―この剣にて切り裂いてやろう!ぬおおおおおお…!」
 体に残っていた全身の装甲までもがパージ、パーツを組み替えるように変形して、巨大な剣となった!
「ちょ、ちょっとまってそれ反則じゃ…」
 巨大剣となったウルカヌスは即座に浮遊し、飛び、近くの巨人へと装備されていく。
「ちょっとー!罠設置しなおしじゃないか!もーっ!」
「…来るぞ!」

「ぬぅぅあぁあぁ!!」
 ダストブロンクスの下水道で作られた鋼鉄の巨人に振り回され、超高速の斬撃を繰り出すウルカヌス!
 その斬撃は壁を切り出し、天井を破壊し、恐ろしき暴虐の嵐を戦場に展開する!
「ちょっと、隙が無いな…」
「な、なんだって……猟兵でもか!そんなでは困る!何とかしてくれ!」
「ああ、ちゃんと見つける。今は我慢してくれ」

 ダストブロンクスが破壊され、破壊され、破壊され尽くす中、しかし打つ手は決めかねる。余りにも速すぎるのだ。
「誰か、誰かいないのか!?この力に対抗できるカニは―」
 そしてズワイレッドを縦に切り落とさんと勢いよく振りかぶった一撃が放たれる、その瞬間!

「―いますよ。ここに」

 巨大剣の横っ腹に、強烈な衝撃が入る。
「お待たせしました泉・火華流(f11305)、ただいま参上!よっ!」
 赤い瞳に赤茶の髪、強力な蒸気エンジンを積んだエアシューズが、その巨大剣に蹴り跡を残していた。

「まだ増えるか。……しかし!」
「いや、怯んだならもう『しかし』は無しだ。」
 真上から。
 黒鵺と呼ばれる短剣を持った瑞樹が、ウルカヌスの剣の腹を貫通するように突き刺した。
「ぬ……ぐっ!?」
 しかし瑞樹はまだヒーローを庇って戦っている!この瑞樹は…!
「…ユーベルコードか!」
「そっちの俺はよくやってくれてるみたいだ。そして嘘をついた。装甲を斬る策は……」
 短剣から切り替え、右手の刀、胡(えびす)の斬撃を―
「ある」
 降り下ろす!
「ぬおおおおっ!?」
 ウルカヌスの巨大剣に大きな傷跡!
「おっと、私も追加攻撃だっ!」
 そう言うと火華流は巨大ばさみナイトメア・シザーズを…ウルカヌスの装甲に突き刺した!
「ぬおおおおっ!」
「巨大剣のへこんだ部分、装甲の隙間なら攻撃通るよね!カニだけに鋏の刺突!そして追加ーっ!」
 更に取り出したのはアンカー(錨:イカリ)だ!蒸気エンジンが搭載され、破壊力を増した一撃が。
「海繋がりの、怒りの錨を喰らえって、ねーっ!」
「ぬおおおおっ!!」
 降り下ろす!3度、4度、5度と立て続けの攻撃に、ウルカヌスはついに耐え切れず変身を解除してしまった!

「ぐっ、だが隙を見せたのは貴様らも同じ、やれ!」
 地に伏したウルカヌスは、それでも抵抗にと周りの巨兵を向かわせ、巨椀で火華流と瑞樹を握りつぶさんとする!
「そこだー!引っかかっちゃえー☆」
 だが…!突如足を崩し、ウルカヌスに折り重なるように倒れていく!
「なっ、ぐああうぉぉ!?」
「やったやった!沢山罠を設置したかいがあったよ!」
 ティエルの括り罠が、いつの間にか戦場に!
 多数の過重が重なった結果、床にヒビが入り…崩れだす!
 そして穴の様になったダストブロンクスの崩れた中に、因果応報ともいわんばかりに下水が流れ始めていく。
「今だよ!カニウェーブ、一斉攻撃をお願い!」
「「「「「おう!!!」」」」」

「しかしツナミウェーブでも大したダメージにならなかった。どうする?」
「…以前やって一度だけ成功したアレ、やるカニ?」
「ゲッゲッゲ!あれ疲れるから嫌でやんすよ!」
「だが猟兵達がとどめの隙を作ってくれた、今がチャンスカニ!」
「何をごちゃごちゃと…言っておるかーっ!」
 最後のセリフはヘアピンクではない!ウルカヌスが下水の中もがきながら這い上がろうとしている声だ!

「巨兵よ這い上がるがいい!数を増やせ、鉄槌を下せ!」
「それはできない相談だ」
 その下水溜まりに向けて、無数の砲台が顔をのぞかせる。
 クネウスは既に周りの無機物を根こそぎ砲台に変えていったのだ。
「CODE:DELIBERATE ATTACK。周辺構造物のスキャンと掌握は既に完了させた。君の操る無機物はもう無い」
 一斉!一斉!一斉射撃が残った巨兵ごと大爆発を起こし、ウルカヌスにダメージを与えていく!
「ぬうううう!こ、これしきいいい!」
「今よ!もうこうなったらイチかバチかでやりましょう!」
 今度こそヘアピンクの声、5体の蟹はそれぞれ決めポーズを取り…頭上に恐ろしき水の塊を作り出す!
 その水塊は次第に蟹の鋏の形を取り…更に回転!ドリル状の水の一撃をウルカヌスの真上に放り投げ…螺旋を描きながら落ちていく!
「「「「「必殺!タイダルクラブクラッシャー!」」」」」
 下水を巻き上げ、何億トンもの水の塊として硬くなった水の鋏が、ウルカヌスの装甲を削り、壊し、壊し、壊し…!
「…それにしても、レッドだらけの戦隊か…」
 遠い目をしながら、カニウェーブによって必殺の一撃を放たれた場面、一息ついて見守る瑞樹の目は遠い目だ。
「ちょっと前まで私下半身蛇だったんだよね。」
 小声でニアミスめいた話をつぶやく火華流。
「しかし!しかしまだ!私はここでやられるわけには―うぐっ!?」
「だから言ったろう。もう『しかし』は無いと」
 ウルカヌスは別の要因で、体が動かなくなっていく。
「やっと効いたみたいだな……麻痺毒を獲物に塗らせてもらった。そのヒーローの攻撃をもうどうすることもできない。終わりだ」
「ぬああああーーーっ!!!」
 ダストブロンクスに大爆発が起き、ウルカヌスのいた床は崩壊、恐ろしき光と水の飛沫が辺りを覆った。

「猟兵さん、ありがとうカニ―」
 静まり帰った下水道の中、何とか爆弾を解除していく蟹達。汚水タンクだけは無事に爆破されずに済んだようだ。
「これで俺達の使命は終わりカニ。他の爆弾は別のヒーロー達が解除しに向かってるはず…」
 爆弾の解除の音が鳴る。だが猟兵達の戦いはまだまだ続く。
 オブリビオンの悪意と侵攻は、終わっていないのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​


 戦いを終え、猟兵達が次々と転送、帰還していく中、オブリビオンの消滅を見届けていないクネウスは念入りに周辺のスキャンを繰り返していた。
「…!」
 クネウスが、崩壊した床の下を見る。
「奴はまだ生きている。そしてここから更に地下に、もう一つ爆弾が―」
「「「「「な、なんだってー!?」」」」」
 ダストブロンクス、更に下層。
 埋もれた瓦礫の中から這い出る鋼鉄の腕があった。
 そしてその先にはもう一つの汚染水槽。誰が仕掛けたのか、無人のままの爆弾が、今か今かと爆発待機状態になっていた。
ギャリソン・ハイオクバーナー
戦隊物なら追加ヒーローが必要だよなぁ?「カニミソブラック」ここに参上!俺様としたことが遅れて悪いなテメェら!(名乗りを上げる『パフォーマンス』で敵の注意を引きつけ、カニウェーブ達を『かばう』ことで守る)
さて、剣に変身して速くなる、か…スピード勝負なら真っ向から受けて立つぜ!【俺様究極超絶爆速モード】発動!更に『ダッシュ』でこちらも加速して、敵の加速した攻撃を避けつつ注意を引きつける!
カニウェーブたちには隙を見てツナミウェーブとやらを使ってもらおう。そこに俺様の地獄の炎をぶち込んで、水蒸気で目くらましを狙う。あとは(剣相手だが)『鎧も砕く』俺様の一撃を喰らわせてやるぜ!



●新たな戦士、カニミソブラック!
「うぬぅ……猟兵め……」
 下水混じりの瓦礫の中から這い上がったウルカヌスは、しかしてもう追ってこないと確信し、爆弾を見やる。
「だがここで負けるわけにはいかぬ。私の目的の為にも、この地は破壊させてもらう!」
「それはできない相談だな!」
「追ってきたか!カニウェー…貴様は誰だ!」
 崩れた天井から降りて来たのは黒い人型生命体。(ブラックタール)
「名前か!俺様はカニミソブラック!(f03629)」
「カニミソブラックだと!?」
「ウルカヌスとか言ったか!お前を倒すカニウェーブの追加戦士!六人目の…カニだぜーっ!」
 するとカニミソブラックことギャリソン・ハイオクバーナー(f03629)は地獄の炎を纏う!
 あたかも炎に包まれた黒きカニの様だ!
「(遅れた気がしたが…むしろ抜いたようだな!カニウェーブよりも早く来ちまった!)」

「ならば相手してやろう。受けてみよ!我が『巨大剣』!!」
 ウルカヌスは対峙せんと巨大剣へと変形をはかる!
「いくぜ俺様!『最速・超速・爆速』!!」
 カニミソブラックから燃え盛る地獄の炎がブラックタールと化合し、凄まじい加速を発揮する!
「うおおお!スピード勝負だぜーっ!!!」
 黒きカニミソのブラックタールはまるでガソリンの如く、地獄の炎のユーベルコードに相乗効果を起こして強化、この現象がモンスター自動四輪車のエンジンの如き馬力を発揮して、凄まじいスピードと破壊力が混ざる!
 音速をも超えるかというほどの炎のカニミソから放たれる突進、突撃、爆速の拳打が、同じく高速で飛び回り、斬撃を起こす巨大剣ウルカヌスとかち合う!
「星をも切り裂く私の剣が破れると思うか!」
「思うぜ!惑星丸ごと相手したって俺様は惑星を超える!」
 剣とカニミソ、異形の二人が戦う場は下水道の特設リングだ!
 そこらじゅうの壁を、天井を!炎、体当たり、斬撃、鋼鉄の体が破壊し、飛び交い、破壊し、せめぎ合う!

 突如カニミソブラックは下水に突っ込む!
「本当はカニウェーブとの連携に取っておきたかったが!いくぜ!」
 下水道の溜まった水の中、カニミソブラックは超速でスピンし始め、地獄の炎を纏った下水の竜巻を作り上げる。
「斯様なもので!」
 ウルカヌスの巨大剣は縦から真二つに竜巻を切り裂く、その瞬間、下水の竜巻に地獄の炎が猛烈に発火!
 辺り一面を覆い尽くす水蒸気爆発が巻き起こる!
「ぬうっ、目くらましか!」
「剣の弱点…それは刃物の側面、横っ腹だ!」
 黒き地獄のカニミソ閃光が空中で曲がり、ホーミングレーザーの如く巨大剣の横腹を…打つ!
「鎧も砕く俺様の一撃、だぜーっ!!」

「その程度か?」
「何ッ!?」
 恐るべし!
 巨大剣ウルカヌス、その剣の側面からにょっきりと腕が生えているではないか!
 こんな事があってたまると言うのか!?超絶にして究極の爆速による一撃は、突如生えたウルカヌスの腕によって防御、そして…地面に叩き落された!
「ぐわぁーっ!?」
「先程同じ様に私の脇腹を突いたものがいてな。対策を講じさせてもらった。」
 変身を解いたウルカヌスがゆっくりとカニミソブラックに歩み寄る。
「くっ…俺様より先に、…先にだと!?畜生!」
 抵抗にとカニミソブラックは蹴りを入れる。
 しかし超速の拳打はもはや見切ったといわんばかりに同じ拳打でいなされ、カウンターの拳がカニミソブラックに叩きつけられる。
「ぐっ…畜生!」
 抵抗にとカニミソブラックは地獄の炎を迸らせ、ウルカヌスを包む。
 しかしウルカヌスも原初の炎を全身から展開すると、瞬く間に地獄の炎を吸収。
 返す手で炎のメイスを作り、カウンターの炎打がカニミソブラックに叩きつけられる。
「っ…畜生…っ!」
「ふ、ははは!ふはははは!一人では斯様なものか!ヒーローも、猟兵さえも!」
 ウルカヌスはそのままカニミソブラックの…次のダッシュ蹴りを力任せの蹴りで、打ち飛ばした!
「があっ!」
 壁に叩きつけられる。

 カニミソブラックよ。
 何が、何が足りなかったというのだ。
「私は止まるわけにはいかぬ」
 経験か。
「この地を破壊し、目的を果たさねばならぬ」
 強さか。
「貴様ら猟兵に、後れを、取るわけには、いかんのだ!」
 カニミソか―


 オブリビオンに立ち向かう黒く、強き1人のヒーロー。
 だがその体は既にボロボロであった。
「この私に出会ったが運の尽きよ」
 彼の目の前に立ちはだかるは鋼鉄の巨人。
「まずは一人、貴様はここで死んで貰う」

「……ふざけるな……俺様は……まだ……!」
 加速しなければ。戦わなければ。燃えなければ。自由を―。
 もう考えを巡らせる余裕もなかった。奴は、目の前まで迫り来た。

 ウルカヌス必殺の一撃がカニミソブラックに迫る。


「「「「「「待たせた!!」」」」」」


 突如背後の下水道の壁が突き破られ、螺旋を描く巨大な水の奔流が放たれる。
 それはウルカヌスの拳とせめぎ合い、ついにはカニミソブラックから軌道を逸らし、明後日の方向に打ち付けられる。
「手こずっているようねカニミソブラック!」
 現れたるは5体の蟹怪人。……否。
「っ……遅ぇんだよ、カニウェーブ。ったく俺が守られる側って……おいちょっと待て、見間違いか?」
 その様子にウルカヌスも狼狽える。
「フン、嗅ぎつけて来たかカニウェー……ん……?」

「そうだ!」
「我らカニウェーブ!現れ渡れば名乗りの時間よ!」
「いくカニよー!さあ張り切って!」

「ズワイレッド!」
「タラバレッド!」
「セイコレッド!」
「ハナサキレッド」
「ヘアピンク!」
「オウギフューシャ!」

「「「「「「我ら揃って、カニウェーブ!」」」」」」

「「一人、増えている…!」」

苦戦 🔵​🔴​🔴​

フィランサ・ロセウス
手こずっているようねカニウェーブ!
私は(勝手に)追加戦士枠のオウギフューシャよ♥️
(その辺で拾った大裁ちバサミで申し訳程度のカニアピール)
ここは私たちに任せて、早く爆弾を!
こっちはこっちで楽しませてもらうわ♥️

UCを発動しつつ、ウルカヌスを攻撃
[毒使い]の知識で刃に猛毒を塗っておいたこのハサミで鎧の隙間や関節を狙って[部位破壊]すれば、鋼の巨人やウルカヌスといえど効果はあるはずよ

知ってる?オウギガニ科はハサミに強い毒を持っている個体が多いのよ!
それじゃあ、いっぱい壊(あい)してあげるね♥️


佐伯・晶
UDCアース日本出身としては
冬の味覚って感じだけど
この匂いではそれどころじゃないね
流石に美味しそうと表情には出さないよ

戦隊ものっぽいのに色が偏ってるのはつっこんでいいのかな
本人達が納得済みなら野暮かもしれないけど
とりあえず僕は色被りしないから
黒一点になるのかなぁ

女神降臨を使ったら
鋼の巨人をガトリングガンの範囲攻撃で薙ぎ払おうか
攻撃してくるのは神気で時間を停めて防御
これは僕なりのオーラ防御だよ

ウルカヌスのクローンだけになったら集中射撃
氷から創った使い魔による凍結で行動阻害を狙うけど
ツナミウェーブで援護してくれれば
氷が厚くなって動きを停めやすくなるかな
動きが停まれば全力で攻撃してダメージを重ねるよ


火土金水・明
「しかし、これだけクローンが出てくるといずれ劣化したクローンが出てきてもおかしくはないのですが。」「甲殻戦隊カニウェーブさん達の邪魔はさせませんよ。」「(ヒーローを見ながら小声で)蟹光線を撃ってほしいかも。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【先制攻撃】で【高速詠唱】し【破魔】を付けた【属性攻撃】の【全力魔法】の【フレイムランス】を、『鋼神ウルカヌスのクローン』に対して【2回攻撃】をします。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「さあ、オブリビオンは『骸の海』へ帰りなさい。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●カニウェーブ・追加戦士戦線

「確かカニウェーブは5人だったはず…まさか!」
「私は追加戦士!オウギフューシャよ♥️」
 一瞬カニ怪人と同じシルエットに見えた彼女はフィランサ・ロセウス(f16445)。危険なダークヒーローである。
 頭と両手にその辺で拾った大裁ちバサミを赤紫色に染めて、なんかチョキチョキしている。
「うふふ…壊(あい)しがいのあるおっきいのだぁ…いっぱいいっぱい壊(あい)してあげるね♥️」

「ピンク色が一人増えた所で所詮はヒーロー…いいだろう、纏めてかかってくるがいい!」
「おっと」
 突如不意打ち気味に飛んできた銃弾に咄嗟で腕を振り防ぐとそこには更に2人の影。
「崩れた天井が瓦礫で埋められ、ここまで来るのに時間がかかりましたが…」
「私達も加勢にきました。オブリビオンよ、『骸の海』に帰る時間です。」
「ぬうっ、貴様ら…」
 現れたのは黒いドレスを着飾る長い金髪美女の佐伯・晶(f19507)。
 そしてややきわどい魔女の衣装を着た黒いポ二―テールのウィザード、火土金水・明(f01561)。
「…黒い…まさか!貴様ら!」

 追加のカニミソブラックか!

「カニ…?」
「ミソ…?」
「! そうだぜ、俺達は追加戦士カニミソブラック!ここがお縄のつけ時だ!ウルカヌス!」
 はっとなり超速で二人の元に駆け寄ると、最初のカニミソブラック…ギャリソンはカッコよくポーズを決める。
「ちょっと、僕達は猟兵…」
「いいから!お前ら含めりゃちょうど3人、戦隊ヒーローの最低人数!キマるじゃねえか!」
 晶の台詞を遮りながらも。カニミソブラックことギャリソンは少し嫉妬していた。
 まさか自身と同じ追加戦士ネタをやってくるオウギフューシャなんてものが現れては、その黒いガソリンのような体に対抗意識を燃やすしかない。
「まあどっちでもいいです。カニウェーブさんの手助けと、オブリビオンの排除。敵さんもそんなに待ってはくれませんよ?」
 明が七色に輝く不思議な杖を構える。しかしウルカヌスは…割とおとなしく、腕を組み待っていた。
 なぜ?
「戯言は終わりか…もう少し準備していたかったものだが」
 ウルカヌスはユーベルコードの準備をしていたからだ!
 周囲の無機物は先に上階で行った戦闘の如く、瓦礫が、パイプが、黒塗りの頑強な鋼鉄に覆われ、体積が増し、巨大な兵士へと作り変えられていく。
「爆発の残り時間は短い。そして私は学習した。もはや二の足は踏まぬ。行くぞ!」

「おっと、蚊帳の外だが俺達も参加するぜ!」
「こっちだって学習したんだから!カニー!」
 蟹達がツナミウェーブをウルカヌスと巨人の足元に放つ!
「今だ!回収!」
 なんと鋏から出した津波の水を鋏に戻しにかかる!
 下手な手品師が瞬時に引くテーブルクロスの様に、引っ張られるツナミに巨人達は足元を掬われる!

「いきなりだけど手負いみたいだからね…もう本気を出すよ。」
 晶はその身のドレスを更に黒く、宵闇のドレスに染め上げると、まるで女神の様な気風を纏う。
「神気…」
 そのドレスから黒い蟹の如き翼を生み出し羽ばたかせると。
「解放」
 襲い来る巨人達の時間が…止まる!
 だが周囲の時間が止まったわけではない。一瞬で飛ばした蛇が如き晶の使い魔が、巨人達の時間を縛り付けているのだ。
「いくよ…」
 止まる時間は僅か。その隙に自身のガトリングガンで即座に乱射!乱射!
 瞬く間に1体、2体と巨人がガトリングガンに崩れ去っていく!

「お次はこいつでどうだ!サイドスライド・イリュージョン!」
 次に飛び出したのはまたしてもカニウェーブ!
 ウルカヌスと巨人の周囲を囲むと、恐ろしく素早い横走りで円を描くように高速移動!
 無数のカニ分身がウルカヌスを取り囲む!
「猪口才な!この程度…」
 こうだ!といわんばかりに、操った巨人達からの容赦ない拳が横走のカニ達に振るわれる!
 だが…揺らぐ。攻撃が全て、幻を見ているかの様に躱されていく。
「残念、それは残像です。」
 明の残像魔法だ!
「おっと、カニウェーブもスピード勝負か!だったら負けてらんねぇな!」
 この残像にギャリソンも参加!
 蟹達の赤き旋風に黒いカニミソが混じる!
「いくぜいくぜいくぜぇ!爆速!カニミソニック…ラッシュだ!」
 残像旋風の中から勢いを乗せて飛び出したギャリソンは、旋風から旋風へ、通り抜けて巨兵達を超速の拳打で殴る!蹴る!
 熱いダッシュのグラップルが更に巨兵とウルカヌスを削っていく!
「…ふん」
 先の戦いでギャリソンの動きは見切った。
 ウルカヌスは一瞥し、飛び交うギャリソンを見切り、素手で掴もうとした…その時!
「させませんよ。そのまま動かないで頂きましょう。」
 明が即座に両手で魔法を展開、片手ずつ320発…合計640発の炎の槍が、瞬時に放たれる!
「ぬぅ!?」
 突如飛んできた炎の弾幕に体勢を崩すと。
「よくやってくれたわね!さぁて、お楽しみタイムよ♥️」
 ウルカヌスの懐に飛び込んだオウギフューシャが、赤紫色の大裁ちバサミで急襲!
「させるものか!」
 咄嗟にウルカヌスの炎の拳が振るわれる!
 オウギフューシャはためらいもなく片手の大裁ちバサミで防ぐ。そこから体をひねり…!
「甘く見たわね。蟹のハサミは…2本あるって事、教えてあげるわ!」
 防いでないもう片方の大裁ちハサミで、ウルカヌスの関節の隙間を…斬る!
「オウギガニ・シザーズ!」
「ぬううぅぅ!!」
 斬撃が決まる!
 その瞬間、オウギフューシャは涎を垂らし、勝負が決まったかの様な顔で余裕を見せる。
「ふ、ふふふ、ふ、ふ…♥️ハサミの肉を断ち切る音を聞いたわ。もうあなたは私の虜…」
「!?なんだと…」
「私はオウギフューシャ。オウギガニ科はね、ハサミに強い毒を持っている個体が多いのよ…!」
 ああ、待ちきれない。
 今しがた放った毒は自身の力ですぐに回り、膝を着かせ、痙攣させて生死の境を彷徨わせる。
 ウルカヌスの壊れる(愛狂しくなる)瞬間を今か、今かと待ち望んでいた。

「なるほど、毒か。」
 その瞬間は来なかった。
「…あら?」
 ウルカヌスは炎を纏う。
 そして先に傷つけられた関節の傷が炎でふさがれ、鋼で覆われ、歩む巨大な脚は何事もなかったかの様にゆっくりとオウギフューシャを捉えている。
「先の戦闘でも麻痺毒を使う者がいてな」
 歩む。近づく。
「何、簡単な事だ。私の体から出る炎で、貴様の毒を…消毒させてもらっただけの事。」
「っ!」
 オウギフューシャの笑みが強張った!咄嗟に大裁ちバサミを構え
「遅い!」
 即座に鋼の剣を作り出したウルカヌスの剣閃がハサミごとオウギフューシャを断ち切ろうとする!
「っおい!待ちやがれ!」
 飛んできたのはギャリソンだ!
「待たぬ!ついでだ!」
「何ッぐおぁ!?」
 即座に剣閃をギャリソンに振るい、剣の横腹がギャリソンを捉え吹き飛ばす!
「貴様も所詮はカニウェーブと同類!ならば!」
「カニウェーブを舐めたわね!いいわ!そんな壊(あい)しがいがある人もっともっと好きに―」
 言い終わる前に恐ろしく威圧的な鋼鉄のチョップがオウギフューシャを叩き潰そうとする!
「ちっ…あっ、あああーっ!?私のハサミー!!」
 両手のハサミでチョップを受ける!何とか防御に成功するが、大裁ちバサミが2つとも…壊れてしまう!

●敗因
「さて」
 にやり、とウルカヌスが微笑んだ。
「貴様らの敗因を教えてやろう。」
 周囲の瓦礫を吸収し、巨大になった拳をオウギフューシャにかざす。
「敗因?もう勝った気でいるとでも」
 それを割り込むように晶のガトリングがウルカヌスに浴びせられる。
 まるで虫にたかられたかの様に顔をしかめたウルカヌスは、指をくい、と向けると、地面から生み出された巨兵が晶に襲い掛かる。
「まずは貴様だ。金髪の」
 巨兵から振るわれる腕を避け、氷の使い魔を飛ばし凍結。ガトリングで撃ち抜く。
「!?」
 その瞬間背にしていた壁から巨大な腕が迫りくる!
 飛び交う腕を前進して避け、更に地面から現れる巨兵に立ち向かう。
「我が力、【鋼神領域】を…正面から来ると思って戦っている事だ。」
 更に地面から巨兵が沸き立つ!だがその位置は晶の真下!足元から挟み込む鋼鉄の腕が迫る!
「そんな事…!」
 翼を広げ、下水道の中を飛び立つ!だが今度は天井から腕が…!
「―そして我が巨兵の力を、十二分に把握していない事だ!」
「ぐっ!?」
 作り出されたのは巨人の腕だけ!ミサイルの如く天井から、壁から、地面から飛んできた腕が、晶を捉える!
 即座に使い魔を撃ち込み、撃ち込み、縫う様に避けようとするも、全部は間に合わない!
「あっ!」
 晶は鋼鉄の拳の一撃をもらい、下水道の一角に吹き飛ばされてしまう…!

「晶さん!…援護します!」
 次に飛んできたのは明の炎の槍だ!
「次は貴様か」
 この攻撃をウルカヌスは、手をかざすだけに留めた。
 飛んでくる無数の炎の槍がウルカヌスに全弾命中する!
 しかし…!
「…!?」
 無傷!無傷である!
 合計640本の炎の槍は、ウルカヌスのかざした手によってすべて吸収されてしまった。
「私は鋼神ウルカヌス。原初の鋼と炎の神なり。」
 そしてそのままかざした手から、先程の倍、1280本もの炎の槍が作り出されていく…!
「ただの魔法の炎如きで、神の炎に逆らった浅はかさ!それが貴様の敗因である!」
 ウルカヌスの槍が、一斉に明に放たれる!
「っ… これだけクローンが出て来るなら、劣化クローンくらいいてもいいはずなのですが」
 ありったけの残像を展開し、迫りくる全ての前方からの炎の槍をかき消し、回避する。
 それでも残って飛んでくる槍を、魔法のオーラを展開してバリアを張っていく!
「(持ちます。でしょうか。もってくれないと困りますが)」
「フ、ハハハ、…そうさな。クローンか。誰も望んで劣化体の烙印を押されたくはあるまい?」
 削られていく。削られていく。自身の倍の炎の槍を軽々と作られたとあっては、数が多い。力が強い!
「アトランティスが半端なクローンをよこしてくるのであれば、早々に手を切っていたであろう!くたばれ!」
 炎の弾幕がついに途切れる。そこには焼け焦げたローブを手で抑えながら、膝を着く明の姿があった。

「さていよいよ貴様だな」
「あは、あはははは!そんなに気張って、時間かけて。よかったの?」
 オウギフューシャの手には再び大裁ちバサミが握られている。
「私も学習したわ。今度は炎でも効く毒を―」
「―そもそも、そのハサミは」
 炎で加速したウルカヌスのキックがオウギフューシャに入る!
「っあっ…!」
「その場で拾った、ただのハサミであろうが!」
 落ちているパイプを拾い、化合して巨椀になった右手でオウギフューシャを握りしめる!
「ああんっ!」
「たとえ骸の海に堕ちようと、鋼の神に対して拾ったハサミ2本で、ハサミ如きで立ち向かうだと?実に!愚かで!不敬!」
 この握りしめはオウギフューシャを壊す為ではない!オウギフューシャの持っているハサミに、力が集約されている。
「…そして不愉快だ…!」
「や…やってあげる…わ…次は…あなたを…これ…で…壊し…壊壊壊壊壊」
 凄まじい破砕音と共に、ついに新たなハサミまで潰されるオウギフューシャ!
「ぬぅん!」
 そして投げ飛ばされる!川に投げる石の如く、地面に叩きつけられながら飛んでいく。2回、3回…それを全速力でウルカヌスが追う!
「鋼神ウルカヌスの名の下に、諸共に砕け散るがよい!」
 轟音!
 周囲の鋼鉄を巻き込みながら巨大化する、ウルカヌス必殺の拳の一撃が…オウギフューシャに叩きつけられた…!

●策略/そして、それでも立ち上がる者達
「猟兵よ。貴様らはよくやってくれた。」
 静寂響く戦場の中、ウルカヌスは焼け焦げた下水道空間を歩き、汚染水タンクへと向かう。…ゆっくりと。
「だが叶わなかった。鋼を、炎を、原初の生命を司る私に、勝てる道理等無かったのだ!」
 ゆっくりと、汚染水タンクの爆弾を見物にかかる。
 この戦闘からどれくらい経った?
 ウルカヌスの見積もりでは、爆発予定時間は戦闘開始から数分…予測では、後数秒で。
「そこで無様に見物するがいい!そして無様に流されるがいい!スカムキングの暴威に!下水道にて全ての生命が枯れる絶望に!」

 はっと、目を見開いた。
「同じオブリビオンが管理しているなら…」
「やっぱり!さっきの爆弾と解除方法は同じカニ!」
「げっへっへ、ここにカニバサミを入れる瞬間がたまんねぇぜ!こうして回して…」
「コードを斬るカニ。それで…」

「!!!!!」
 そうだ!
 猟兵に気を配り過ぎていたが!途中から…奴らはどこに行っていた!
 なぜ気付かなかった!爆弾の解除方法は…私にとっての勝利条件は!
 猟兵と共にいた!ヒーローと名乗る!
 …爆弾の解除方法を唯一知っている、あのカニ共の排除だったというのに!

「ほらね」
 瓦礫が崩れる。オウギフューシャの居た瓦礫が。
「私達って守るよりぃ、攻める方が向いていたからぁ、ウルカヌスさんを独り占めにする為にもぉ、『隙ができたら、爆弾を解除しに行って』って、おねだりしていたのよぉ。」
「…何だ、その貴様の、その、姿は」
 オウギフューシャの体は真っ黒になっていた。
 ギャリソンのような、ドロドロとした黒い液体に包まれていたのだ。
「…貴様もブラックカニミソだったのか…!?」
「カニミソ…?ああ、これ?これね。これ………あは、あはははは!気を取られてていいのかしら!爆弾、…解除されちゃったわよ」

「終わったわ!何とか爆弾、解除成功よ!あとはそこのオブリビオンだけ!」
「ぬうっ!貴様、貴様!貴様ら!貴様…共…ぉ!!」
「皆でやってしまいましょう!」



「……っ…… ……?……」
 ギャリソンは吹き飛ばされていた。
 飛ばされた衝撃で壁を破壊し、破壊し続け、かなり遠方まで…飛んだような気がした。
「やっべぇ意識ワープしてたわ俺様。戦場…どうなってやがる?もう終わってないよな?」
「………」
「うおっ!?」
 ギャリソンの着弾地点は壁ではなかった。
 べしょべしょのブラックタールまみれになりながらも、その身に纏った強化スーツでしっかりと受け止めていた者が、ギャリソンの後ろに立っていた。
 クネウス・ウィギンシティ(f02209)だ。
「サーチ完了。敵オブリビオン未だ健在。だが同時にその戦場にある汚染水爆弾の反応沈黙を確認。最主要目的は完了したようだ。」
 彼だけは、戦闘後の転送を取りやめ、追加で登場した猟兵達のバックにいたのだ。
「データ検索。…ギャリソン・ハイオクバーナー、立てますか?」
「…まあな。」
 クネウスは今駆け付けるまで、自身が何をしていたのかを説明する。
「オブリビオン『鋼神ウルカヌスのクローン』…約20分程前、我々猟兵は彼と交戦。爆弾の解除に成功するも、下水道が崩落。別の爆弾を見つけて立てこもっていた」
「…くっそー!やっぱり遅かったのかよ俺様!」
「守っている爆弾は1つと情報にあったため、このようなイレギュラーが発生。再発を防ぐ為、残っている爆弾はどこにどれだけ存在するかの探索を行っていた。」
 クネウスは自身の装備している機械系電脳ゴーグルを操作すると、ギャリソンの目の前に3次元的な電子空間ヴィジョンを映し出す。
「うおっ!?」
「…『それで最後』です。今ギャリソンさん達が戦っている、その戦場の爆弾が最後の一つであると確認しました。」
「ま、マジか。」
「あとはまだ生存している、あのオブリビオンを骸の海に帰すだけ。…これより私も戦闘行動に入ります。」
「おっ、追加戦士か!お前…そうかお前黒いな!」
「?」
「あと一人いれば戦隊になるんだけどよぉ!…だがそれだけで勝てるか、ちょっと不安だぜ。」

 何だこの感覚は。と、もやっとするギャリソン。
 ふがいねぇ 俺様の究極の速さが、あの鋼の神とやらにはまるで歯が立ってねぇ…気がする。

 俺に足りないのは、何だ?
 カニか?…さっき協力した。だが駄目だった。
 強さか?…ふざけるな!強い弱いで怖気づいたらどこに自由があるってんだ!
「クネウス、っつったな」
「如何しましたか」
「究極の俺様に足りないものを分けてくれ」
「…? サポートやバックアップは万全に致します。」
「いやそうじゃねぇんだ。こう、なんだ」
「強化補助装置の要請」
「かもしれねぇ」
「承りました。どうやら戦場の猟兵も先程とは違う様子。」
 そう言うとクネウスの周囲から、様々な武器や弾薬が転送されていく。
「私の改修の妨げにならない程度、連携として使う為の兵器をお貸ししましょう」
「…! これだ、こいつだ!そうだ!…なんで思いつかなかった、俺様!」
「良い物がありましたか」
「ああ!あったぜ!出せるだけの弾薬!予備でいいからブースター!あとメンテナンス用のオイルはないか!とにかく火薬だ!燃料も!」

 ―俺様に、火をくれ!
 光も超えるようなエネルギーの出る燃料と!
 それを発破するありったけの弾薬だ!



「やったのですね。カニウェーブさん達」
 よろけながらも、何とか体勢を立て直した明が立ち上がる。
「あの汚水タンクと爆弾が一番の懸念だったからね。これでもう心配は無い…けど、どう立ち向かおうか」
 鋼神の拳で気絶していた晶も立ち上がる。
「決まってんだろ!俺様達でもヒーローでも勝てなかった相手なら!ヒーローと俺様達、力を合わせて倒す!」
 二人の間にギャリソンが割り込んできた。
「無事だったのですねギャリソンさん。…?少し変わりましたか?」
「へっへへ…下水道の水で、知らねぇ内に体がぬるくなってたみてぇだ。」
 その体はより色濃く黒に染まり、ブラックタールの体のから何か…金属の固形物めいた物が浮き沈みしている。
「エネルギーは限界を超えて全快!今度こそやるぞ!あの神だか何だかいうのをやっつける!」
「…僕も一応邪神…いや言うまいか。世界も違うし」
 一人呟きながら、晶はドレスと翼を広げ、明は魔法を展開し、ギャリソンは…その黒き体が赤熱を始めた。

 戦場に駆け付けた猟兵達は、黒い粘液に包まれたオウギフューシャ…フィランサを目にした。
「本当はあなたを壊(あい)した後のお楽しみにとっておきたかったんだけどね!あなたが悪いのよ!」
 その姿はまるで黒いカニミソだった!
「…黒い…カニミソ…!」
「ああ!ブラックカニミソシスターって所だろうか!黒が増えたみたいだな!」
「俺達も強力するカニ!くらえツナミウェーブ!」
 再び放たれるようになったツナミの奔流はフィランサを助けるように放たれる!
 それらは再構築された巨人と、ウルカヌスの拳を止め、フィランサの攻撃の手助けをしていた。
「さぁて、お返しよ♥️」
 フィランサの黒いカニミ…粘液は巨大な手となってウルカヌスを握りしめる!
 この粘液はフィランサの受けたダメージによって強化される。
 そのサイズ、最早軽々とウルカヌスを包み込める程となっていた!
 そして握りつぶされかけているウルカヌスは…突如笑い出した。
「ふ、ふは、ふはははは!…いいだろうカニミソの娘よ!目的を潰されたとあっては、ここからは私もヤケになってくれよう。」
 ウルカヌスは全身の鎧を勢いよくパージ、その爆発的衝撃で、フィランサの粘液を爆散し脱出!
「全身全霊を以て叩き潰してくれる!ぬぅおおぉ!」
 そして撃ち放った全身の鎧が、ウルカヌスの手に集約、合体していき…
「…巨大剣ウルカヌス」
 ウルカヌスは巨大な剣を両手で構え、フィランサと対峙した。
「その真価は私自身が巨大な剣になるのではない。…この巨大な剣を私が使う事により、星をも切り裂く刃となるのだ!」
「きゃー!壊れちゃいそう!でもお星さま程度で私の愛が…止まるかしら!」
「いいや止まらせるものか!全員!」
「「「「カニー!」」」」
 カニウェーブ達のツナミがフィランサの粘液と混ざり、巨大な黒カニミソのツナミとなる!
「………ぬぅん!」
 上段から降り下ろす、必殺の一撃。
 ウルカヌスの巨大剣、星をも切り裂く斬撃が…拮抗し…
「や、やだ」
「カ、カニニ、カニニニニ…」
 カニミソのツナミを押し返し…
「私、私が、壊れちゃ―」
 フィランサとカニウェーブを切り裂くその瞬間、一筋の閃光が入る。

 黒き水の大瀑布が戦場に巻き起こる!
「ぬ!?…躱しおったのか!?……貴様ら生きて―」
「おおっと、ちょっと待ちな!折角『5人』揃ったのに、早速一人と…ライバルが居なくなるのは居たたまれねぇぜ!」
 無事に助けたその男の名はギャリソン・ハイオクバーナー…否!
「…おいちょっと!集合だ!ごにょごにょごにょ…」

「…え?それを名乗るのはちょっと…」
「―オウギよりオウギ―の方が…」
「え?じゃあ俺様もちょっと変えねぇとダメ?まあチーム名変わるしな…」

「何をしておるか…」
 ウルカヌスの巨大剣による横薙ぎが放たれる!
「目的を失った以上!最早容赦はせぬぞ!」
 だがその場で起こった、ギャリソンから起こった爆発が斬撃を逸らした。逸らしたのだ!
 煙の中から、ヒーロー達が名乗りを上げる!

「リーダーの!ブラックカニミソ!」
「…ガッデスカニミソ」
「エレメンタルカニミソ」
「サイバーカニミソ」
「オウギカニミソ♥️」

「カ、カニ!?」

「赤があるなら黒もある!カニがあるならカニミソもある!漆黒5人で彩りし、俺達の、名前は!」
「「「「「漆黒戦隊・カニミソイェーガー!!」」」」」

「カ…カニ…」
「カニミソウェーブ…だと…!?」
「か、かっこいい…ハッ!?」
「ダメカニ飲まれちゃダメカニよ。」
「でも5人と5人!戦隊が力を合わせるチャンスでゲス!」


●クライマックス・赤と黒の争乱
「追加戦士でもなく…貴様ら、戦隊、戦隊だったのか!」
「まあその場にあわさって偶然黒だったからって話だけど」
「猟兵が…戦隊が…増えた所で、神に、叶うかああー!」

「叶うさ。先程までの戦況とは違う。」
 先制したのはクネウス…否、サイバーカニミソだ。
「CODE:DELIBERATE ATTACK。周辺構造物、掌握開始―」
 ウルカヌスが何かする前に、周囲の無機物を全て砲台に変えてしまう。
「ぬうっ、貴様は…!だが対策はあるぞ」
 ウルカヌスは手を翻すと、自身を狙っていた砲台全てが巨兵へと生まれ変わる。砲台を装備した鋼鉄の巨兵へと!
「無機物を砲台に変えてくれて感謝する。砲台も無機物。我が領域に相違無し!」
「ならば掌握し返すまでのこと」
 サイバーカニミソが機械を操作すると、なんと巨兵が無数の砲台へと姿を変え、バラバラに落ちていく!
「なんの!」
「また掌握する」
「なんの!」
「掌握」
 戦場周囲が砲台に変わっては巨兵に変わり、変換合戦が起こる!
「(まずこれで奴のコードを封じる)」
「くっ…キリが無いわ!他はどうなって…!」
「「「「「カーニニニニ!」」」」」
 孤立したウルカヌスにカニウェーブの超速横走り分身が取り囲む!
「よし!アレをやるぞ!」
「ツナミ…ストリーム!」
 カニウェーブ達の5つのツナミが合体!竜巻となり、ウルカヌスを削っていく!
「まだだ」
 続けて晶…ガッデスカニミソの女神の力が、氷の使い魔を呼び出すと。
「僕の手助けを受けるといい。…『凍れ』」
「ぬ!?ぐ…がっ…!」
 ツナミウェーブの竜巻が一瞬で凍り付き、ウルカヌスは巨大な氷の柱に閉じ込められる。
「………」
「今カニ!動きを止めている間に…」
「そう。止めている間に…君達に力を与える。『火傷』って、あんまり柄じゃないんだけどね。」
「カニ?」
「火の使い魔よ…」
 ガッデスカニミソの翼から放たれる光の帯がカニウェーブ達を包むと、蟹達の目に光がたまる!
「カ、カニニ…!これは!」
「今なら俺達、『アレ』ができるんじゃないか!?」
「よ、よしやるわよ…!水属性だからちょっとできなかった…でもやってみたかった『アレ』を!」

「「「「「カニビーム!!!!!」」」」」
 ウルカヌスに向けて、カニウェーブ達は目からビーム光線を放った!
「ぬ…ぬうぅぅぅぅ!!!?」
「あ、見たかったんすよね蟹光線。そっか…なければ作ればいいんだ…」
 明…エレメンタルカニミソがキラキラしてる目を見せる。
「と、私達もいこっか。いいんだねリーダー」
「おう!いつでもいいぜ!」
 エレメンタルカニミソは呪文を詠唱すると、残像魔法を展開。
 ブラックカニミソがものすごい分身を遂げ、ウルカヌスの周囲を跳び回る!
 その身に包んだ弾薬が、壁や天井を蹴る度に爆発!スペースシップワールドの燃料と化合したガソリン・ブラックタールの放つ地獄の炎は、これにより爆発的に強化されている!
「ここからの!究極!最速!超速!爆速!ブラックカニミソ!ラーッシュ!」
 氷の上から赤と黒の閃光を伴うラッシュが、ウルカヌスの全身を蹴る!殴る!
「猪口才なあああ!!」
 ウルカヌスは鎧をパージして氷を破砕!
「纏めて星の塵にしてくれる!」
 そして装備した巨大剣ウルカヌスを振り回し、周囲を滅多切りにする!
「カ、カニー!」
「させません!」
「私達の後ろに隠れて!」
 エレメンタルカニミソ、ガッデスカニミソ、サイバーカニミソの防壁がカニウェーブを守る中、超速の斬撃を放つウルカヌスの攻撃を回避し続けるブラックカニミソ!
「う、ぬぬぬぬぬぅ!まるで蚊を剣で落とそうとしているかの様だ!…その火薬、いつまで持つ!」
「それを心配する必要はないわ」
「!?どこから―」
 ウルカヌスは目を見開いた!
 跳び回るブラックカニミソの残像の中に、別の影が存在する―
 それは性懲りもなく黒い大裁ちバサミを装備して、突如ウルカヌスに飛び出し、肉薄する!
「舐めるな!そして貴様の毒は喰らわん!」
 ウルカヌスはとっさに鎧を戻し防御態勢、そこから握りつぶさんと迫る巨椀!
「あはぁ♥️『そっち』じゃなくってよ?」
 ひらりと空中で身を躱すオウギカニミソは、そのまま足元に潜り込み、ウルカヌスの足を装甲の上から切り裂いた!
「あえて私の鎧を…?なんだ、何がしたかっ―」
 ぐらりと体制を崩し、ウルカヌスは膝を着いた!
「【毒使い】を舐めないで欲しいわ。腐食毒…『金属を溶かす毒』をね、さっきちょーっと作ってみたの♥️」
「なっ、バカな、…っ…立てん!?」
 立ち上がろうとするも溶け続ける足!
 そうこうしている内にウルカヌスの胸元に銃弾が撃ち込まれる!
「ぐうっ…!こ、これは!?」
「…まだ、硬いか。」
 サイバーカニミソのアームドフォートの一撃だ!
「目印は作った。後は頼む」
「まかせて…カニ達、いくよ。」
 カニウェーブ達、再びのツナミウェーブがウルカヌスの下半身を飲み込んでいく。
「道を作る…もう一度、氷の使い魔よ」
 ガッデスカニミソの冷気の力が瞬く間にツナミを分厚く凍らせ、ウルカヌスの動きを再び止めると!
「今だ!ここで必殺の!」
「「「「「スーパークラブ・サイドキック!!!!!」」」」」
 カニウェーブは跳んだ、駆けた、滑った!
 氷のツナミを滑走路として、一撃、二撃、三撃、四撃、五撃のキックがウルカヌスの胸に響き当たる!
「おのれ!おのれ貴様ら!なぜこんな!先程まで容易くやられていた分際で―!」
「そりゃあ協力したからだ」
「!!」

 ウルカヌスが目を見やるその先には、エレメンタルカニミソの、魔法陣が展開される手に乗り、空中でねじるような動きをしているブラックカニミソがいた。
「貴様…何を…」
「カニだけでは駄目だった!カニミソだけでも駄目だった!そして力を合わせれば!俺達は限界を突破できる!そういう奴だ!」
「貴様は何をしているかと聞いている!」
「決まってるだろ」
「ですね」

「「合体技」」

 エレメンタルカニミソの槍として放つ炎の力がブラックカニミソに纏いつく。
 それをスキル【二回攻撃】によって二重の炎螺旋が敷かれ、今か今かと力を溜め続けるエンジンの様にブラックカニミソの体に熱が溜め込まれる。
 ブラックカニミソの体は…纏う炎は…黒を超え、赤熱を超え、まさにカニミソを体現するような、黄金の色に染まり上がった!
「魔法とブラックタール」
「そこにスペースシップの未来の力、更に回転を加えて3乗…」
「この一撃、この熱、3つの世界を合わせた力は」
「そうさ!神をも超える究極の一撃!」
「必!」「殺!」

「ゴールデンカニミソ・シュート!」
「だーーーーーーーーーーっ!!!」

 放たれる黄金の槍!
 体内の全弾薬、発破!黄金の螺旋が、光となった最高究極超熱の一撃が!防御するウルカヌスの胸元にぶち当たる!
「ぬ、ぬぬぬぬぬ…ぬぬぬぬぬぅ……!」
「うおおおおおおおーーーーーっ!!!」

 その個所は―先の戦闘で、カニミソウェーブ達の必殺技が当たった場所だった。
 超質量の水バサミのドリルに負荷の掛かった鎧に、超高熱の黄金槍のドリルが刺さる。
「おのれ」
 ヒビが入る。
「おのれ!」
 鎧が赤熱する。
「おのれぇーっ!なぜだ!なぜ神の力が!原初の炎がこの程度でー!」
「お前が…オブリビオンだからだ!」
「な…に…!」
「0から始まった最初の炎よりなぁ!そこから先に進んだ現在(今)輝く炎の方がよぉ!よっぽどプラスで!限界がねぇ!」
 鎧が…遂に、爆ぜる。
「そ…そんな…馬鹿な…!」
「いっけえぇぇぇーーーー!!!」



 鋼の巨神を、カニミソが貫いた。



●勝利!カニウェーブ&カニミソイェーガー!
「…私の…目的が…野望…が…」
 胸に風穴を開けられたウルカヌスは、次の瞬間、大爆発を起こした。
 ブラックカニミソの体内のガソリンが空いた風穴に入り、周囲に起こった火花と着火。それによる大爆発を。
 木っ端微塵にはじけ飛び、遂にウルカヌスのクローンは消滅した。
「…や…やったぜ…今の俺、かっこいい?」
 後には決めポーズをして着地したブラックカニミソの姿があるばかりだった。


「ありがとうカニ!」
「爆弾、全て解除されたんだな…ありがとう猟兵。ありがとうカニミソイェーガー」
「一時はどうなる事かと思いましたけどね。あと蟹光線、かっこよかったですよ」
 と明が言えば。
「げっへっへ、ゆで蟹になって後で食べられちゃうかと思いましたぜ。」
「…下水道で汚れたカニはちょっと…」
 まあUDCの日本で美味しいカニとかあるし、食べる蟹はそっちで想像しておくよ。と晶がごちる。

「…上ももうじき終戦の時、か…」
「あぁん、結局私で壊(あい)せなかったわ。…まあいっか。また愛する人を探しましょう♥️」
 クネウスとフィランサが、先にと帰還を開始する。
 猟兵達の戦いはまだ続く。たとえこの戦争が終わったとしても。
 だが平和が守られた、今この時だけは安堵をしてもいいだろう。

「カニウェーブ」
 ブラックカニミソこと、ギャリソンがサムズアップをする。
「カッコよかったぜ。俺様も、お前達も。」
「イ、イェーガーさんに言われると照れるカニー」
「即席とはいえカニミソイェーガー、ヒーローとして共闘するってとってもいいカニね」
「これからもヒーロー続けるんだよな」
「そりゃあそうですぜ!どんな姿になっても、どんな力があっても、おれたちゃ相手が悪なら神だって抗ってやる」
「そうか!」
 ギャリソンはそれぞれの蟹ハサミにサムズアップを合わせ、熱い思いを胸に秘めながら、下水道から帰還する。
「俺様も究極の速さを…自由を、これからも突破し続けるぜ。」

 また現れるであろうウルカヌス。今度はオリジナルかもしれない。
 いいさ。誰だって俺様は追い抜く。いつか誰にも追いつけないところまで行く。行ってやる。
 下水道のカニ達が、俺達と、ツナミに乗って、オブリビオンをぶち破ったみたいにな―

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年12月01日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト