アースクライシス2019⑩~茶色の波を乗り越えて
ヒーローズアースに存在する4つの『知られざる文明』。
猟兵達はそのうちの1つ『アトランティス』への侵攻を開始した。
ロサンゼルス防衛戦を勝ち抜き、世界を滅ぼす大海嘯を阻止したことによる侵攻。
進む先は、太平洋の海底。幻想的な海洋文明。
……海底都市『アトランティス』。
特殊な『適応光線』を浴びて海中生活を可能とした人々が住む都市。
都市中に光る魔法の泡が幾つも浮かび、暗い海底に幻想的な光景を作り出している。
……はずだったのだが。
幾つものクローン装置が住人達を閉じ込め、魔力や生命力を搾り取っていて。
さらに都市の魔力もクローン装置に奪われ、魔法の泡が生み出せないゆえに、都市中が暗闇に閉ざされていて。
海底は、アトランティスは、不気味な廃墟都市のようになっていた。
「つまり、そのクローン装置を破壊しなきゃならないわけだ」
九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は猟兵達に結論を告げる。
とはいえ、それは容易いことではない。
なぜならば。
「既にクローン装置は超稼働している。
装置に向かうには、生み出された超・大群を越えていかなきゃならない」
さすがに夏梅は渋い顔を見せた。
クローン装置からは、今も次々とクローンが這い出してきている。
その数は、普段猟兵達が相手にする集団的とは比べ物にならない。
そして、クローン装置が超稼働している理由はもちろん、侵攻してくる猟兵達の迎撃。
装置へと辿り着くどころか、そこへ向かうだけでも難しいだろう。
「何らかの対応が必要だろうね」
とはいえ、クローン装置を破壊すれば、生み出されたクローンは弱体化する。
そう。装置の破壊さえできれば、超・大群は一気に殲滅できるのだ。
猟兵達は顔を見合わせ、やってやろうと頷き合う。
その反応に、夏梅も嬉しそうに頷いて。
しかし、またその表情が、今度は少し複雑に渋った。
「それで、向かってもらうクローン装置が生み出しているクローンは……」
夏梅は何故か少し言いよどみ。
でも意を決して、告げる。
「ちゅんちゅんさま、だ」
あ。これはつまり。
超・ふわもふ、ですね。
佐和
こんにちは。サワです。
海の中でもふわもふとはこれ如何に。
暗い海底都市が戦場となります。
便利な『適応光線』とかあるので、水中や暗闇はマイナス判定には使用しません。
クローン装置は巨大な真珠貝のような形をしています。
貝の中心にある真珠部分がクローン装置の本体であり、この魔力の玉の中にアトランティスの住人達が閉じ込められています。
1つの真珠貝には数百人程度の住人が閉じ込められているようです。
クローン装置が生み出す敵は『ちゅんちゅんさま』。
もふっとまるっこいスズメ型オブリビオンです。
超・大群なので、ものすっごい数がいます。
尚、当シナリオには特別なプレイングボーナスが設定されています。
それに基づく行動をすると判定が有利になります。
【プレイングボーナス】『超・大群』に何らかの方法で立ち向かう。
それでは、海中のふわもふを、どうぞ。
第1章 集団戦
『ちゅんちゅんさま』
|
POW : 頑丈なくちばし
単純で重い【くちばし】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 鋭い翼
【翼】が命中した対象を切断する。
WIZ : 羽根ガトリング
レベル分の1秒で【翼から羽根】を発射できる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
祇条・結月
波の下にも都の候ぞ、なんてね
……うん。波の下にも人が暮らす場所があって
それをオブリビオンが脅かしてる
戦うよ
ヒーローじゃなくても、できることはあるはずだ、って
見た目はかわいいけど十分危険なオブリビオンなのは知ってるから油断せず行く……って言うかこれだけいるとかわいいような、さすがに怖いような
とにかく数でやられないように動き回る
苦無の【スナイパー】【投擲】で翼を撃ち抜いて機動力を奪って、
【敵を盾にする】位置取りを心がけながら包囲の穴を【見切り】装置を目指す
って言っても取りこぼしは絶対出るんだろうけど……
放しておいた影の梟が抜けてくる敵を阻止
雀にはもっと強い梟を、って
ごめん。でも、僕は……負けれない
「波の下にも都の候ぞ、なんてね」
海底へと沈み行きながら、祇条・結月(キーメイカー・f02067)は呟いた。
ゆらり、ゆらりと揺れる水の中。
暗く、暗くなっていく先に、黒く集う建物の群れが見えて来る。
海底都市『アトランティス』。
結月はそっと、水底の街に降り立って。
「……うん。波の下にも人が暮らす場所があって、それをオブリビオンが脅かしてる」
ぐるりと、灯りの消えた街並みを見回した。
「戦うよ。
ヒーローじゃなくても、できることはあるはずだ」
首から下げた古びた銀の鍵を、そっと胸元で握り締めて。
赤い瞳に真っ直ぐな光を灯した結月は、迷いなく顔を上げ、前を向く。
そこに、茶色い群れが押し寄せてきた。
建物と建物の間をびっしり埋め尽くすかのような密度で、互いに身体をぶつけ合いながらも向かってくるのは、ちゅんちゅんさま。
円らな瞳も、身体に比して小さな翼も、どうして飛べるのか不思議な程にまんまるい身体も、全てが可愛らしい相手だけれども。
まかりなりにもオブリビオン。
その危険性を、結月は十分に知っている。
だからこそ、可愛さに惑わされることなく、油断なく苦無を構えてみせた。
「……って言うか、これだけいるとかわいいような、さすがに怖いような」
苦笑を見せながらも、鋭く放った苦無はちゅんちゅんさまの翼を貫き。
動きが鈍ったその個体の影に回り込むようにして盾にすると、結月はさらに苦無の投擲を続けていく。
数にやられないよう、完全に包囲されないよう立ち回りながら。
全てを相手にするのではなく、その群れの穴を見切って駆け抜けていく。
だが、その動きを簡単に許すほど、ちゅんちゅんさまの数は少なくない。
すぐに結月の動きに対応し、前へ回り込み、後ろから追いかけ、その鋭い翼で切り裂こうと狙ってくるけれども。
「雀にはもっと強い梟を、ってね」
そんなちゅんちゅんさまの死角をついて、忍び寄るように近づいていた梟が、逆にそのまんまるい身体を引き裂いていった。
鋭く旋回し、再び襲撃するその翼には、1の模様が描かれ。
同じ梟が10、20とどんどん群れて、ちゅんちゅんさまへ向かい行く。
それは、結月が召喚していた、コタンコロカムイ。
暗い建物と建物の間で、その上で、巻き起こる鳥の大群同士の空中戦。
いや、正確には水中戦か。
飛び交い、切り裂き、ぶつかり合う、鳥達を見上げた結月は。
「ごめん。
でも、僕は……負けれない」
それでもまだ数多く、行く手を阻むちゅんちゅんさまを苦無の一撃で切り裂いて。
クローン装置のある場所を目指して走り出した。
大成功
🔵🔵🔵
鈍・小太刀
※合わせ・アドリブ歓迎
海の中の文明…まるで竜宮城ね(玉手箱を手に思わず笑い
でも鯛や鮃の舞い踊りって訳にはいかないか
住民達の生命力まで搾り取るなんて
そんな暴挙許さないから!
『対流』の属性を込めた黒雨の矢を多数放ち
海流による巨大な渦を3つ形成
向かい来るちゅんちゅんの波を
彼らの羽諸共に押し流す
狙うは超大群の足止め
でもそれだけじゃないからね
3つの渦に囲まれた中間点に収束するのは
外周の流れが合わさった一本の海流
流れに乗って進めば大群のいる海域を一気に抜けて
クローン装置の本体はすぐそこよ!
流れに乗った勢いのまま装置を刀で破壊
住民達を助け出す
クローンも弱体化すればこっちのもの
一気にもふり…倒してやるからね!
海中を進みながら、鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)は小さな黒塗りの箱をそっと握り締めた。
「海の中の文明……まるで竜宮城ね」
そびえ立つ暗い建物を見回して、くすりと微笑む。
手にした箱は、螺鈿細工の桜が舞う玉手箱。
暗い海底でも闇に沈まぬ桜雨に、紫瞳を向けて、細めて。
「でも、鯛や鮃の舞い踊りって訳にはいかないか」
しかしすぐに視線を前へと戻せば、舞い踊るのはちゅんちゅんさまの大群。
桜雨は、玉手箱ではなくつづらだったのかもしれません。
両手で守るように箱を包みながら胸元に引き寄せると、小太刀は細めた紫瞳を今度は鋭く吊り上げた。
普段の戦いで、多数の敵を相手にしたことはある。
けれども、今対峙しているちゅんちゅんさまの数は、その比ではないほど多く。
クローン装置、という超文明を思い、小太刀は奥歯を噛んだ。
「住民達の生命力まで搾り取るなんて、そんな暴挙許さないから!」
如何に高性能な装置であろうとも、動力は必要で。
そして、クローン装置は、それを、捕えた人々から得ている。
伝え聞いたその事実を思い出し、小太刀の紫瞳はさらに鋭く輝いて。
その周囲に、無数の黒い矢が生み出される。
視線をそのまま具現化かのしたように鋭い矢は、ちゅんちゅんさまへと撃ち放たれた。
群れの中へと突き刺さる、黒き矢の雨。
だがそれは、ただの矢ではなく。
その身に『対流』の属性を纏っていたから。
矢は、ちゅんちゅんさまに襲い掛かりながら、さらに周囲の水を巻き込んでいく。
生み出されるのは、3つの巨大な渦。
うねる海流は、矢を逃れたちゅんちゅんさまを押し流し、その進みを押し留めた。
もがくように、黒雨の波に逆らいながら、ちゅんちゅんさまはその茶色の羽をおかえしとばかりに撃ち放ってくるけれども。
渦はその羽すらも飲み込んで、茶羽の波を黒雨の波が押し返していく。
(「これで足止めはできた」)
戦果に頷く小太刀。
だが、小太刀の狙いは足止めだけではない。
対流を分け、渦を3つ作り出した理由。
それは、渦が囲む、その中間点。
外周の流れが合わさり、集束して、生み出された新たな1本の海流。
(「これに乗って進めば、大群を一気に抜けれるはず」)
渦で押し留めたちゅんちゅんさまの間を、渦で生み出した流れに乗って、小太刀はすり抜けるように流れゆく。
仕舞った玉手箱の代わりにしっかりと握り締め、携えるのは、古びているけれどもよく手入れのされた愛用の日本刀。
「クローン装置を破壊して弱体化したら、一気にもふり……倒してやるからね!」
ちょっとそのふわもふに惹かれながらも、しっかりと決意を込めて。
小太刀は、クローン装置へと飛び込んでいった。
大成功
🔵🔵🔵
日向・史奈
…これだけもふもふした鳥さんがたくさんいると壮観ですね
弱体化したら…もふもふしたたけでも倒せたりしないでしょうか
…可愛いので攻撃するのは忍びないというか…やらなければいけない時には、やりますが…!
籠鳥恋雲で迷路を展開、ちゅんちゅんさまを閉じ込める
見た目は何も変わっていないように見えるとは思いますが、見えない壁にぶつかってしまうかもしれませんね
それでちゅんちゅんさまに羽根で攻撃するどころではない程のパニックを起こさせられればしめたものです
迷路の出口をクローン装置の傍にしておき、一気に走り抜け、閉じ込められた住人達を装置を攻撃して助けます
【アドリブ歓迎です】
紫色に輝く黒髪を、煌びやかな扇子に似た腰布を、ふわりと水の流れに揺らして。
金糸の刺繍が踊るマントに、ゆったりした袖や裾、紙垂のようなリボンを広げて。
日向・史奈(ホワイトナイト・f21991)は、暗い海の中でも神々しく、ゆるりと海底都市へ降り立った。
今は酷く無機質にそびえ立つだけの建物の群れは暗く、黒く。
無人なのも相まって、廃墟であるかのように、不気味に並んでいる。
「閉じ込められている住人達を、早く助けてあげなければ」
暗い影のような都市に、本来の姿を思い重ねて。
そこにあったであろう人々の生活を想い重ねて。
史奈は、眼鏡の下の金瞳を決意に輝かせた。
そこに、建物の影から現れたのはちゅんちゅんさま。
1羽、2羽と数えられた時間は一瞬。
すぐに茶色の波のように、大群が押し寄せてくる。
「……これだけもふもふした鳥さんがたくさんいると壮観ですね」
思わず史奈は、ぱちくりと目を瞬かせた。
とっても柔らかそうなまんまるくて茶色い身体は、お腹だけが白く。
飛ぶより転がった方が速そうだと思えるほど小さな翼と、身体を支えきれるとは到底思えない脚、ちょこんとついているだけの尻尾。
こちらを見つめる黒瞳も円らで、可愛い。
とても、可愛い。
攻撃するのが忍びないほどに。
「やらなければいけない時にはやります、が……!」
史奈も苦い顔で呟きつつ、躊躇いを見せる。
でも、すぐにふるふると首を左右に振り、迷いを振り払うと。
真っ白な壁でできた迷路を作り出した。
「自由になりたいのならどうぞ。
……出来るのなら、ですが」
壁は籠のようにちゅんちゅんさまを捕え、閉じ込めて、その行軍を押し留めた。
進もうと羽ばたけば壁にぶつかり、進路を変えてはまた別の壁にぶつかって。
ちゅんちゅんさまは翼を動かしもがく。
けれども、かなりの硬度を持つ迷路は壊れることはなく。
混乱はどんどん広がっていった。
「では、私は出口を目指しましょう」
その様子を眺めた史奈は、ちゅんちゅんさまとは違う細い道を通って。
右へ左へくねくねと、髪をマントをリボンを揺らして、出口を目指し駆け抜ける。
史奈が作り出したゆえに、迷路の道順どころか、その出口がクローン装置の傍になっていることも分かっているから。
史奈は複雑な道を迷うことなく進んでいった。
壁の向こうでは、ちゅんちゅんさまがまだ混乱の中にいるようで。
ひっきりなしの鳴き声とぶつかり合う音とが幾重にも聴こえてくる。
高く高く飛び上がって迷路を俯瞰したり、その鋭い翼や頑丈なくちばしで壊していったり、という力技には思い至っていないようなのを確認して。
「弱体化したら……もふもふしたたけでも倒せたりしないでしょうか」
壁を隔てて、今は触れられないふわもふな身体にそっと思いを馳せながら。
そのためにもクローン装置の破壊をと、史奈は迷路を抜けていった。
大成功
🔵🔵🔵
木槻・莉奈
【Adv】で参加
クローン装置の破壊を最優先
ニナ、本音がぽろりしてるわよ
大丈夫よメイ、ニナがカガリを置いていくわけないもの
まずは『動物使い』『動物と話す』で説得できないか試すわね
私達も別にあなた達に怪我させたくてきたわけじゃないのよ
一時大人しくしててほしいだけなの
聞き入れないようなら【Venez m'aider】で猫科の動物達を呼び出す
狩られるのが嫌なら大人しくしていてちょうだい
うーん…私達だけじゃ力が足りないけど、皆手伝ってくれるわよね?(動物達に声をかけ
並んでくれた子に怪我させないよう気をつけてね
それでも向かってくる子は仕方ないから相手したげる
炎の『属性攻撃』をのせた『範囲攻撃』『2回攻撃』
辰神・明
【Adv】
クローン装置の撃破狙い
ニナおねえちゃん、死んじゃダメ、です
……!?(あわあわ
で、でも、ちょっと気持ち……わかります、です
ちゅん、ちゅん……!(ぴょんぴょん跳ねつつ
メイも、出来るようになった、です!
『やさしい どうぶつずかん』を抱き抱えながら
リナおねえちゃんと、一緒に【動物と話す】を
メイも、痛い痛いするのは、いやです
並んでくれたら、一緒に遊べます、です
他の鳥さんも、呼べるですよ?
【ひとりじゃないよ】で、鳥のぬいぐるみさんを
たーくさん、ぶわーっ!
リナおねえちゃん
みんなで、ちゅんちゅんさまを、囲んだら
離れた所にぎゅっ!できます、か……?
ニナおねえちゃん?
ぬいぐるみさん、もふもふ、するです?
ニナ・グラジオラス
【Adv】で参加
死ぬならこんなふわもこに埋もれて死にた…すまない。ちょっと現実逃避していた
こんなに数がいると、もう間引くしか思いつかないんだが…それは最終手段にしよう
どちらにせよ、『地形の利用』で自分達が通れる幅を確保し
『全力魔法』でクローン装置撃破を狙う
リナ、メイ、言う事を聞いてくれるか試してもらっていいか?
整列させれば少しは通りやすくなる筈だし、できれば無闇に傷つけたくない
2人が説得中の攻撃は私が『かばう』
移動が必要なら細やかだが『運搬』で手伝う
2人の案でダメなら涙を飲んで最終手段
『高速詠唱』『2回攻撃』『範囲攻撃』の【ウィザード・ミサイル】で手数で押す
…色んな意味でツラい仕事だな
海の底にひしめき合う、水の中なのにふわもこな茶色い群れ。
ニナ・グラジオラス(花篝・f04392)は、そんなちゅんちゅんさまの大群を、クールな緑色の瞳でじっと見つめていた。
「死ぬならこんなふわもこに埋もれて死にたい……」
「ニナ、本音がぽろりしてるわよ」
並ぶ苦笑の気配は、木槻・莉奈(シュバルツ カッツェ・f04394)。
同じ緑色の瞳を少し困ったような笑みで満たして、親友へと笑いかける。
「すまない。ちょっと現実逃避していた」
ふっとニナは一度目を伏せてから、莉奈へと微笑を返した。
「ニナおねえちゃん、死んじゃダメ、です
……!?」
そこに辰神・明(双星・f00192)があわあわと飛び込んでくるのに、ニナと莉奈は顔を見合わせて。
「大丈夫よ、メイ。ニナがカガリを置いていくわけないもの」
くすりと笑って答える莉奈に名を呼ばれた焔竜・カガリが、不思議そうにニナを覗き込んでいた顔をあげた。
首を傾げるカガリの様子に、明はぱちくりと目を瞬かせて。
もう一度、すまない、と小さく目を伏せたニナも見て、安堵の息が漏れた。
「で、でも、ちょっと気持ち……わかります、です」
落ち着いたら、今度はフォローするかのように、明はぴょんぴょんと飛び跳ね。
ちゅん、ちゅん、と可愛らしいスズメの真似っこ。
ニナと莉奈の笑みが柔らかくなり、カガリが興味津々、後をついて飛んだ。
しかし、と改めてニナはちゅんちゅんさまの群れを見やる。
「こんなに数がいると、もう間引くしか思いつかないんだが……
それは最終手段にしよう」
できれば無闇に傷つけたくないと、ニナはカガリを引き寄せ一歩下がり。
「リナ、メイ」
「ええ。試してみるわね」
呼びかけられて、まずは莉奈が前へ出た。
両手を差し出すように広げると、ちゅんちゅんさまのつぶらな黒瞳の視線が集まり。
「私達も、別にあなた達に怪我させたくてきたわけじゃないのよ。
一時大人しくしててほしいだけなの」
動物使いとしての、動物と話す技能を使って優しく語りかける莉奈。
「メイも、リナおねえちゃんみたい、出来るようになった、です!」
そこに並んだ明も『やさしい どうぶつずかん』を抱いて話しかける。
「メイも、痛い痛いするのは、いやです。
並んでくれたら、一緒に遊べます、です」
どうぶつさんと仲良くなる為に、手にした子供向けの動物図鑑。
そして、明にはもう1つ、泣き黒子のおにいさんから贈られた術があって。
「他の鳥さんも、呼べるですよ?」
召喚するのは、たーくさんの鳥のぬいぐるみさん。
ぶわーっ! と集まった優しいおともだちは、明を守るように囲みながらも、揃ってちゅんちゅんさまを見上げていた。
「みんなともだち、です」
にっこり笑う明の笑顔も、莉奈の言葉も、動物であるちゅんちゅんさまに伝わっていたけれども。
オブリビオンであるちゅんちゅんさまには聞き入れられなかったようで。
その鋭い翼が広げられ、また、そこに揺れる羽根が逆立っていくのを見て、莉奈は差し出していた手を引き寄せた。
「みんな、力を貸してね」
落とした呟きに、呼び出されるのはネコ科の動物達。
三毛猫、黒猫、白猫に、キジ、トラ、ブチといったイエネコから。
チーター、カラカル、ピューマにベンガル、そしてヒョウやライオンまで。
様々な種類がいるその全てが、ネコ科ゆえに捕食動物だから。
「狩られるのが嫌なら大人しくしていてちょうだい」
莉奈の宣言に、爪や牙を出し、姿勢を低く、狩りの体勢を見せる。
本能的なものか、ちゅんちゅんさまはまんまるの身体をぶるっと震わせた。
しかしそれでも、茶色の波は進み来て、襲い掛かってきたから。
「ちゅんちゅんさまを、みんなで囲んで、離れた所にぎゅっ!できたら、よかったです、けど……」
しゅんとして視線を落とす明の肩に、ニナはそっと手を添えて。
「仕方ないわね」
莉奈は合図としてその繊手を振るう。
「相手したげるわ」
響いた声を待ちきれないというような勢いで、ネコ達が飛び出した。
ニナも、明の肩に置いた手を弾ませ、元気づけるように軽く叩くと、鋭い視線をちゅんちゅんさまへと向ける。
その周囲に生み出されるのは、無数のウィザード・ミサイル。
ネコの爪や牙と共に、ちゅんちゅんさまを炎の矢が襲い。
莉奈もルーンソード・薄花桜に炎を纏わせて、辺り一帯を焼き払うような勢いで振り抜き、斬りかかっていった。
ちゅんちゅんさまは1羽、また1羽と炎に消えていく。
「……色んな意味でツラい仕事だな」
その光景に、ニナの瞳が少しだけ歪むけれども。
「ニナおねえちゃん? ぬいぐるみさん、もふもふ、するです?」
「ああ……いや、大丈夫だ。ありがとう、メイ」
差し出された鳥のぬいぐるみに、明の優しい気遣いに、表情はすぐに和らいで。
ニナは、倒しても尚増えてくるちゅんちゅんさまへ、新たな炎の矢を生み出した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リーキー・オルコル
また面倒だな
装置を壊さないと無限に敵が湧いてきそうだ
いや、湧かなくなるってことは捕まってるヤツが全部死んだことになりそうだからよくないな
数が多いなら多いなりに
誰かは迂闊なヤツがいるもんだ
色々仕掛けておくか
目立てば他の仲間も動きやすいだろ
装置を目指しながら進む
マジックスナップを使い
爆発で街の構造物を壊して敵を巻き込めそうなところ
ある程度狭くて敵が密集しそうなところ
など要所要所に機雷を撒きながら進み
適宜敵を誘い込んで罠に嵌めようとする
装置がある場所に近づいたら物陰を移動しながら装置を壊さないよう気を付けて手榴弾を投げて敵を近づけないようにしながら進む
装置を見つけたらナイフを投げて真珠を割ろうとする
パウル・ブラフマン
海底都市が廃墟みたいに…
ツアー会社のいち社員としても見逃せないなぁ!
行くよGlanz―UC発動!
どもー!エイリアンツアーズでっす☆
大群を展開したKrakeによる
【乱れ撃ち】で蹴散らし、更に引き潰しながら陽気にご挨拶。
停車する際の【スライディング】で
思いっ切り【なぎ払い】をしとこっと。
Glanzのヘッドライトをハイビームにセット。
派手な【運転】&【パフォーマンス】で
囮役も担当したいな。
今のうちに捕まってるヒト達のトコへ!と
先行する仲間を促したい。
おーっと、ココから先にキミ達は行かせないよ☆
ちゅんちゅんさまに冷酷無慈悲な【制圧射撃】。
タコに可愛さは通じねぇぞ、鳥類共。
※絡み&アドリブ&同乗大歓迎!
海底都市を駆け抜けながら、リーキー・オルコル(ファスト・リー・f05342)はちらりと後ろに視線を投げる。
追いかけて来るのは茶色の波。
どんどん数が増えていくと感じるちゅんちゅんさまの群れだった。
「また面倒だな。
装置を壊さないと無限に敵が湧いてきそうだ」
倒しても数が減るどころか、といった感覚に思わず肩を竦めるけれど。
「……ん? いや、待てよ。湧かなくなるってことは捕まってるヤツが全部死んだことになりそうだから、それはそれでよくないな」
クローン装置の動力源として捕らえられている住人達を思い出し、そういう意味では敵が増え続けてるのはいいことなのか、と思い直す。
けれども、やっぱり数の多さは厄介で。
細めの路地に駆け込んだリーキーは、その手を小さく何度も振り抜き。
また広い道に出たところでくるりと振り返る。
路地にひしめくちゅんちゅんさまが、身体を建物に仲間にぶつけながらもこちらへ迫って来るのを見つめていると。
爆発が、起こった。
駆け抜けながらマジックスナップで撒いた機雷の効果に、リーキーは帽子を被り直しながら満足気に頷いて。
だが、崩れた建物や潰れたちゅんちゅんさまのその上から、さらにまた茶色の波が押し寄せてくるのに、慌てて踵を返し、また走り出した。
やっぱり面倒だ、と口の中でぼやいたその時。
「どもー! エイリアンツアーズでっす☆」
陽気な挨拶と共に、白銀の車体が蒼い光線の残像を引き連れて飛び込んできた。
猛スピードから急停車した宇宙バイクGlanzは、スライディングを思わせる勢いで、群れを思いっきり薙ぎ払い。
さらに、騎乗するパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)のタコのような触手に装着された固定砲台Krakeから、景気づけのように四方へと弾が乱れ撃たれた。
登場も含めた攻撃に、さすがにちゅんちゅんさまの進撃が止まる。
その隙に、パウルはちゅんちゅんさまに向けていた視線を都市へと流して。
「海底都市が廃墟みたいに……
ツアー会社のいち社員としても見逃せないなぁ!」
どんな旅行プランが組めるだろうかとわくわく想像を膨らませるけれども。
ちゅんちゅんさまが沢山いては、楽しい旅行などできはしないから。
Glanzのヘッドライトを眩い程に輝かせて、パウルはまた触手を広げる。
「そんじゃ、出発ーっ。乗って乗って」
まずはちゅんちゅんさま撃退ツアーかと、にっと笑って手招きすれば。
では、とリーキーがひらりと地を蹴り、パウルの後ろへその気配が収まった。
再び走りだした宇宙バイクは、その勢いと砲撃とでちゅんちゅんさまの間に道を作り出し、さらに追いかけてくる相手にも、横に後ろにと乱れ撃って進む。
その最中に、そっとリーキーからの指示がきて。
頷いたパウルが示された道へと走り込むと。
Glanzが通った数秒後、巻き起こった爆発で周囲の建物が崩れ、多くのちゅんちゅんさまが崩壊に巻き込まれていった。
もちろん、リーキーの仕込みだ。
「やるねぇ」
楽しそうに笑いながら、パウルは尚もバイクを駆る。
装置への道のりを大分進み、ちゅんちゅんさまの密度を幾らか減らせたかと思ったところで、パウルはGlanzをまた急停車させる。
「今のうちに捕まってるヒト達のトコへ!」
声を上げると、後ろで頷く気配がして。
程なく、リーキーがバイクから飛び降りていった。
すぐに物影に身を潜めたリーキーをちらりと確認して。
パウルは、改めてバイクの機首をちゅんちゅんさまへと向ける。
「おーっと、ココから先にキミ達は行かせないよ☆」
立ちはだかるとタコの触手が広がり、その砲台から一斉に制圧射撃が放たれた。
「タコに可愛さは通じねぇぞ、鳥類共」
言葉通り容赦なく、パウルは次々と、豪快に弾を撃ち出し。
リーキーは手榴弾とナイフとを握り締め。
騒ぎを囮に、一路、クローン装置を目指して走り出した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
闇之雲・夜太狼
ライアーヒーロー「クライウルフ」参上!
俺が来たからにはお遊びはここからだよ!
ふわもふの大群だなんて、気持ちよさそう!
同じもふもふとして、俺だって負けてられないよ!
突撃前に【念動力】で体を【空中浮遊】させて
ちゅんちゅんさまたちの上空を位置取り
攻撃は【オーラ防御】をまとってガードするよ
そして上空で選択UC発動!
【全力魔法】で砂の量と範囲、そして効果を増した強化バージョンさ♪
暗いアトランティスにキラキラと舞う光る砂、綺麗でしょ?
だけどみ~んなみんな、眠っちゃえ!
眠っていないちゅんちゅんさまがまだまだたくさんいるようだったら、
移動→砂撒き→移動を繰り返してクローン装置を目指そう
藤崎・美雪
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎
も、もふもふ…だとっ!?
(首を横に振り)いや、これはもふもふしている余裕はないな
私ができそうなことといえば、ちゅんちゅんさまを無力化するくらいか
呼吸が普通にできるなら歌えるだろうし
一応声を出して確認はするがな
大量のちゅんちゅんさまをじっと見据えて
シンフォニックデバイスを通して声高らかに歌い上げ
幸せであることの素晴らしさに身を浸してもらおう
「歌唱、パフォーマンス、鼓舞」つきの【幸福に包まれしレクイエム】だ
…歌で無力化は、私としては禁断の技なのだが
今はクローン装置を止めるのが先と割り切るぞ
まあ、怒って羽根ガトリングを連射してきたら
おとなしく逃げ惑うしかできないのだが
月凪・ハルマ
いやまぁ、確かにふわもふではある、けど……
こんな嬉しくないふわもふは他に無いだろうな……
◆SPD
さて、気を取り直して……
俺の場合は装置を何とかする方が手っ取り早い
【迷彩】で姿を隠し、【忍び足】も使い、更に物陰に隠れつつ移動
敵に気付かれない様に装置の破壊を目指す
装置を破壊するまでは戦闘は避けたいけど、途中、どうしても
戦闘が避けられそうにない場面があった場合は必要な標的のみ
【目立たない】様に【早業】で【暗殺】する
装置が視認できる場所まで移動できたなら【魔導機狙撃術】発動
【メカニック】としての見識で破壊すべき個所を【見切り】、
そこに向けて弾丸を発射する
上手く装置を破壊できれば、後は敵を殲滅するだけだ
「も、もふもふ……だとっ!?」
茶色の群れを前に、藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)は目を見開き、思わずふらりと1歩前に進み出していた。
「いやまぁ、確かにふわもふではある、けど……」
両サイドにバツ印のような模様を刻んだ黒いキャップを被った月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)も、嬉しそうでありながらもどこか複雑な表情を見せて。
「こんな嬉しくないふわもふは他に無いだろうな……」
片手でそっとつばを引いた下で苦笑を零す。
その声にハッとした美雪も、ぶんぶんと首を横に振った。
「いや、これはもふもふしている余裕はないな」
相手が敵であること、そしてものすっごい数で向かってきている現実を改めて認識し、気を引き締める。
「ふわもふの大群だなんて、気持ちよさそう!
同じもふもふとして、俺だって負けてられないよ!」
そんな美雪とハルマの間に、狼耳と尻尾を揺らしてひょこっと飛び込んできたのは、闇之雲・夜太狼(クライウルフ・f07230)。
「ライアーヒーロー「クライウルフ」参上!
俺が来たからにはお遊びはここからだよ!」
冗談めかした口調で宣言しながら、ちゅんちゅんさまにびしっと指をつきつけると、踏み出した足で地を蹴り、ふわりと宙に浮いた。
そのまま念動力でちゅんちゅんさまの上空に位置取ると、茶色い波を見下ろして。
発動させるのはCODE:SS。
「おやすみなさい、いい夢を見てね」
魔力で生成された砂のような物質は、夜太狼の手から下へと零れ落ちていく。
神秘的に光るそれは、眠りを誘う魔法の砂。
灯りの消えた海底都市に、雪よりもなお美しく踊る眠りの光。
「暗いアトランティスにキラキラと舞う光る砂、綺麗でしょ?」
ふわもふは敵だけれども、やっぱりふわもふは傷つけたくないから。
「み~んなみんな、眠っちゃえ!」
見下ろして確認したちゅんちゅんさまの数に応じて、全力で砂の量を増やし。
そして眠りの効果も増した、強化バージョン。
それでも一度にすべてのちゅんちゅんさまを眠らせることはできないから。
夜太狼は、位置を変えては砂を撒いていく。
(「そうだな。
私ができそうなことといえば、ちゅんちゅんさまを無力化するくらい、か」)
そんな夜太狼の行動を目の当りにした美雪は、そっと自身の胸に手を当てて。
確かめるように声を出してから、意を決して顔を上げる。
見据えるのは、大量のちゅんちゅんさま。
シンフォニックデバイスをしっかりと手に握り締めて。
美雪は、幸福に包まれしレクイエムを歌いだした。
その歌声に心を震わせたちゅんちゅんさまは、幸せそうにつぶらな黒瞳を細め、じっと聞き入るようにその場にもふっと座り込んでいく。
翼や羽で戦うことを忘れたかのように、素晴らしい歌にただただ聞き惚れて。
ちゅんちゅんさまは無力化されていった。
(「私としては禁断の技なのだが」)
その効果を確認しながらも、美雪は心中で苦笑する。
特殊な力を秘めていた、自身の歌声。
平穏な家族の前から姿を消すこととなった原因たる歌声。
それを普通に使えるようには、まだなれていないけれども。
(「今はクローン装置を止めるのが先」)
その葛藤を振り切るように、強引に思考を割り切り。
美雪は、心を揺らす歌声を、広く広く、響かせていった。
そんな無力化したちゅんちゅんさま達の横を、こっそりとハルマは抜けていく。
(「俺の場合は、装置を何とかする方が手っ取り早い」)
超・大群の相手を避け、迷彩で姿を隠し、忍び足で、さらに物影に隠れて。
できる限り目立たないように、でも素早く、先へと進む。
光り煌めく砂が、美しい歌声が、その隠密行動を後押しし。
ハルマは、巨大な真珠貝の前に辿り着いた。
近代的な都市の中に突如現れた海産物。
その違和感に疑いの眼差しを向けていると、貝が抱く大きな真珠が淡く光り、その数を増やしたかと思うと茶色いちゅんちゅんさまになっていく。
間違いなくこれがクローン装置だと確信して。
「……ガジェット変形、スナイプモード」
ハルマはその手のガジェットを狙撃銃へと変形させた。
真珠貝をメカニックの目で見切り、狙うべき場所を定めて、構える。
そこに、生み出されたばかりのクローンが気付いて襲い掛かってくるけれども。
苦無を手にした黒髪の少年が。
古びた日本刀を振るう銀髪ツインテールの少女が。
紙垂のようなリボンとウェーブヘアを揺らす少女が。
それぞれにちゅんちゅんさまの群れを抜けてきたのだろう仲間達が。
援護するように、狙い来るクローンを切り裂き、倒していき。
中折れ帽を被った青年がナイフを放つその狙いと合わせて。
ハルマは弾丸を発射した。
澄んだ音を立てて、淡く輝く真珠が壊れると。
それを覆っていた貝もがらがらと崩れ落ち。
そして、ちゅんちゅんさまの代わりに、閉じ込められていた人々の大群が現れる。
ほっと息を吐き、騒めく住人達を見渡すうちに、都市に少しずつ光が戻ってきた。
ふよふよと漂い始める、魔法の光の泡。
でも、それが照らし出していく街中には、まだまだちゅんちゅんさまの茶色い姿が多く残っていたから。
「さて、後は敵を殲滅するだけだ」
ハルマは改めてガジェットを手にし、弱体化したはずの茶色い群れへと、他の傭兵達と共に向かっていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵