アースクライシス2019⑩~クローン騎士団を突破せよ
●グリモアベースにて
「ヒーローズアースでの戦いもいよいよ後半戦ですね。休みなく対処に当たっていただいてありがとうございます」
グリモアベースに集まった猟兵たちの活躍を労い、ユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)は深々と頭を下げ感謝の意を伝える。
「皆さんがサーフィン魔法で波を乗りこなし、大海嘯を阻止してくださったので、ハワイ沖のビッグウェーブは収まりました」
次なる侵攻先はアトランティス――太平洋の海底にある高度な海洋文明を持つ海底都市だ。
「アトランティスでは、ドクター・アトランティスが作り出したクローン装置がものすごい勢いで稼働しているようです。ジェネシス・エイトのクローンも多数作られているようで、激戦は必至……なのですが、さらに問題なのはその圧倒的な数です」
猟兵を迎え撃つため超稼働しているクローン装置によって既にかなりの数のクローンが生み出されている。アトランティスは特殊な適応光線を浴びて海中生活をしている人間と同じ肉体構造を持つ海底人が暮らす海水に満たされた都市。海底と言えど、都市中に浮かんだ魔法の泡から出る光によって街が照らされる明るい場所ではあるのだが、クローン装置の超稼働に魔力の全てを使用しているため、今は暗闇に閉ざされた不気味な廃墟都市の様相を呈している。
「クローン装置は巨大な真珠貝のような形状をしています。この真珠貝の中から、次々とクローンが這い出してきます。クローン装置の本体は中心にある真珠の部分のようで、この魔力を秘めた玉の中にはアトランティスの住人の皆さんが多数閉じ込められ、魔力や生命力を搾り取られているようです……」
クローン装置を稼働するために住人までをも犠牲にする悪趣味さにユディトは眉を顰め、顔を曇らせる。
閉じ込められた住人の数は一つの真珠貝につき数百人にも上る。クローン装置を破壊し、彼らを救出できればいいが、まずそこに近づくまでに大量のクローンが立ちはだかる。
「まずはクローン装置にたどり着くまでにこの大量のクローンへの対処が必要です。クローン装置を破壊できれば敵は弱体化します。一気に殲滅することも可能になるでしょう」
目的はクローン装置の破壊だが、まずは圧倒的な数への対処が必要だ。次々とクローンが生み出されている以上、あまり時間をかけてもいられないだろう。
「俺が予知で見たクローン装置が生み出しているのは、デュランダル騎士です」
ただでさえ数が多いのに、仲間との連携攻撃や回復の手段も持っている厄介な敵となると戦い方の工夫が必要だ。
「大変な戦いかと思いますが、この戦争を終わらせるためにも皆さんの力が必要です。どうかよろしくお願いします」
そう言ってユディトはもう一度頭を下げると、海底都市への転送を開始した。
湊ゆうき
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「アースクライシス2019」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
こんにちは。湊ゆうきです。
後半戦も頑張ってまいりましょう。
海底都市で次々生み出されるクローンと戦いながらクローン装置を破壊していただくシナリオになります。閉じ込められた海底人の救出はプレイングに書いても書かなくても大丈夫です。水中での戦いですが、準備はできているという体でいきます。もちろん対策を書いていただいても構いません。
今回のプレイングボーナスは「超・大群」に何らかの方法で立ち向かう、です。是非工夫していろいろな方法を考えてみてください。
それでは、皆様のご参加お待ちしております。
第1章 集団戦
『デュランダル騎士』
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POW : デストロイブレイド
単純で重い【量産型魔剣デュランダル】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : ケイオスランサー
【魔槍】が命中した対象に対し、高威力高命中の【仲間のデュランダル騎士との怒濤の連携攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 不滅の刃
【量産型魔剣から放たれる光】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
👑11
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北・北斗
ヴォウッ!!ヴォオオオゥッ!!
『敵がなんであれ、海で暴れさせない!!』
まぁ、海で暴れる奴は怒る。
バイオミック・オーバーロード発動。
鎧で海の中泳ぐの?
重そうだし、今回は超重力の罠を中央以外の何箇所かに【属性攻撃】で設置、それ以外にも、戦闘時に敵が飛んできたら、重力の【属性攻撃】【マヒ攻撃】。鎧の敵を何体も巻き込ませ、動けなくさせる。
それと同時に、自分に反重力フィールドを展開して、中央のクローン装置に突進、道を作らせる。
その後、装置破壊に乗り出して、ぶっ壊す。
後は、敵を重力の【属性攻撃】で一つに纏めて、圧殺を試みる。
アドリブ・連携歓迎
アララギ・イチイ
秋といえば、この魚よねぇ
【選択UC】発動ぉ
秋の味覚を3万匹以上呼び出して弾丸の様に加速させて正面から敵にぶつけるわぁ
秋の味覚は【ダッシュ】で体当たり、対象を切断した後、一度離脱して再度突撃を仕掛ける一撃離脱戦法、魚群を作り敵の動きを【早業】で【見切り】、一定範囲に【範囲攻撃】よぉ
まぁ、上記の秋の味覚集団は囮の【時間稼ぎ】なのだけどぉ
私自身はシールドシステムの光学【迷彩】で姿を隠蔽、水中での現象を考慮した隠密行動でクローン装置に接近、【武器改造】で改造した迫撃砲弾を爆弾の様に扱い、装置に設置、安全圏まで退避して起爆させて装置を破壊するわぁ(装置内部の海底人の被害を最小限度にする位置に設置
アルフレッド・モトロ
超・大群なのに攻撃がいちいち重いのか…!
こりゃ骨が折れるな!…いや、あの魔剣に当たったら骨折だけじゃあ済まねえか!
ここはかなり暗いが…水中戦は得意だ
【地形を利用】させてもらおうか!
プロトステガを光らせて敵を1か所に集めてUCで一網打尽だ!
真っ暗の中で光るビームシールドはさぞ目立つことだろうよ
集めてから渦潮で攻撃、を繰り返して超・大群を減らしていこう
敵の攻撃は【野生の勘】で感知
大振りの攻撃だし、潮の流れで攻撃は察知できるはず
UCで急な水流を作り出し、自身を【吹き飛ばし】て緊急回避するぜ
装置を壊せば住人は助かるんだよな?
見つけ次第アンカーを【怪力】で叩きつけてぶっ壊そう
(連携アドリブ歓迎です)
●海のなかまたち
ヴォウッ!! ヴォオオオゥッ!!
光を失った海底都市に低いうなり声が響く。そこに現れたのは3メートル近い大きさのトド。ここは故郷の海ではないけれど、海の中で好き勝手にさせるわけにはいかない。
『敵がなんであれ、海で暴れさせない!!』
かつてトドとして北の海で生まれ育ち、その地でとある狂科学者に囚われサイキック実験によって改造され、バイオモンスターと化したのが北・北斗(遠い海から来たトド・f20984)だ。彼の怒りはテレパシーを通じて他の猟兵にも伝わる。
「ああ、海で暴れる奴は俺も気に入らねえな」
北斗の気持ちに同調し頷いたのは、海産物キマイラのアルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)。飛空戦艦ワンダレイの艦長を務めるアルフレッドは、エイを自称するだけあって泳ぎは得意分野だ。
「ここはかなり暗いが……水中戦は得意だ」
帽子のように見えるマンタのような頭で水を切り、地獄の炎の灯る尻尾を水中で躍らせながら泳いでいく。
目の前には鋼鉄の鎧をまとったおびただしい数の騎士たち。超稼働しているというクローン装置から今も続々と生み出されているのだろう。
「超・大群なのに攻撃がいちいち重いのか……!」
『鎧で海の中泳ぐの?』
アルフレッドがデュランダル騎士が携えた魔剣の大きさに舌打ちすると、北斗が不思議そうにつぶらな黒い瞳をぱちくりさせる。
「さすがに泳ぎはしないだろうが……こりゃ骨が折れるな! ……いや、あの魔剣に当たったら骨折だけじゃあ済まねえか!」
窮地こそ最大の好機である。明朗快活がモットーなアルフレッドは、細かいことはあまり考えないようにしている。きっとなるようになるだろうと不敵な笑みを浮かべる。
『その重さを利用させてもらうよ!』
北斗は再び低いうなり声を上げると、怒りの感情を爆発させ、自身の大きさと戦闘能力を増していく。身体をしなやかに動かしては海中を泳いでいき、超重力の罠を設置する。その重さのため避けることもできず罠にかかった騎士たちは、鎧をまとったその身体を海底に沈めて動きを止める。
「なるほど、ならばこっちも」
北斗の作戦の鮮やかさに目を輝かせ、アルフレッドも左手袋からビームシールド【プロトステガ】を展開する。薄暗い海底でプロトステガが光を放つ。この暗闇の中、光るビームシールドは敵にとっての目印となるだろう。案の定集まってきたデュランダル騎士を泳ぎながら誘導し、一箇所に集めると、ユーベルコード【狂騒海域】でいくつもの巨大な渦潮を発生させる。巨大な渦潮は鋼鉄の騎士たちをまとめて呑み込み、海の藻屑と化していく。
「地の利を活かした、おもしろい攻撃ねぇ」
好戦的な笑みをたたえながら、その場に現れたのはドラゴニアンの戦場傭兵アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)だ。赤い髪と白衣を揺らし、倒してもまだまだ現れるクローンたちを興味深そうな瞳で見ている。
「数には数、でしょ? 秋といえば、この魚よねぇ」
そうしてアララギはユーベルコードを発動させる。
現れたのは3万匹を越える秋の味覚――秋刀魚。
「私の養殖場で生まれた新鮮で美味しい秋刀魚の味、存分に満喫させて上げるわぁ♪」
養殖場という名の実験場生まれの秋刀魚は、その数を武器に弾丸のように加速し、敵へと突っ込んでいく。その細長い身体を超スピードでぶつけることにより、鋼鉄の鎧も次々に切断されていく。秋刀魚たちは攻撃後も一度離脱すると再度突撃を仕掛け、一撃離脱を繰り返し、数の暴力でデュランダル騎士を粉砕していく。
『秋刀魚美味しそう……』
魚が大好きな北斗にとって、ある意味夢のような光景ではあったが、気を取り直して、秋刀魚軍団が撃ちもらした敵を重力の属性攻撃で麻痺攻撃を交え動きを止めにかかる。
「おっと、その攻撃は食らわないぜ」
潮の流れで敵の攻撃を察知し、アルフレッドは魔剣の一撃をひらりとかわす。
「いい仕事してるわぁ。でも本命はこっち」
秋刀魚たちの働きを笑顔で見守りつつも、アララギの視線は彼方に向けられていた。
電磁シールドや光学迷彩と複合センサーを搭載した多目的シールドシステムを作動し、光学迷彩でアララギは自身の姿を隠匿する。秋刀魚の群れに紛れ、クローン装置の在処に近づいていく。改造した迫撃砲弾を装置に設置し、起爆させてクローン装置を破壊することが目的だ。もちろん、装置内部に囚われている海底人の被害は最小限度に留めるよう計算もできている。
北斗もまた自身に反重力フィールドを展開し、中央のクローン装置に向け突進する。
「装置を壊せば住人は助かるんだよな?」
数を減らした騎士たちを見て、アルフレッドも装置の探索を始める。見つけ次第アンカーをその怪力で叩きつけて破壊するつもりだ。
海中での戦いにおいてクローン騎士よりもはるかに上手に立ち回った猟兵たちは、この先海底都市に光をもたらすだろう。
大成功
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遠呂智・景明
なるほど、数が相手か。
ならばやることは単純だな、まとめてぶったぎればいい。
水中だろうとどこだろうと、俺の剣戟は鈍らねぇよ。
風林火陰山雷 番外 雷・火
神速の抜刀、一振、んでまとめてその首を斬り飛ばす。
さあ、命が惜しけりゃ道を開けろ。道を開けなきゃその首飛ばす。
敵をぶっ飛ばしたら、さっさとあの増やしてるやつを壊そうか。
どんな強固な守りだろうと、俺にゃ斬れねぇことはねぇ。
これで終いだ。
●その剣戟に迷いなく
「なるほど、数が相手か」
目の前の超大群にひるむどころか、どこか状況を楽しむように呟くのはヤドリガミの剣豪、遠呂智・景明(いつか明けの景色を望むために・f00220)。
「ならばやることは単純だな、まとめてぶったぎればいい」
口元に笑みを刻み、屈託なく言ってのける。景明の本体は妖刀――かつて零落した神である大蛇を斬ったことに由来する『大蛇切 景明』の名を持つ名の知れた刀だ。自身の名を持つ一振りと、かつての主の置き土産であり、苦楽を共にしてきた同僚でもある【黒鉄】と呼ばれる刀身が黒く染まったもう一振りと。水中であろうとどこであろうと、その刀の切れ、景明の剣戟は鈍ることなどないのだから。
「風林火陰山雷番外。最大火力だ、安全圏なんぞ存在しねぇぞ!」
神速の抜刀――デュランダル騎士が景明との距離を詰めれば近づいたそばからその鋼鉄の首が刎ね飛ばされていく。それは目にも止まらぬ速さで近づいてくるものを数多の斬撃で斬り捨てていく。
「さあ、命が惜しけりゃ道を開けろ。道を開けなきゃその首飛ばす」
クローンである騎士たちが命が惜しいはずもなく。いくらその首を飛ばされようとも、数を武器にひるむことなく景明へと迫り、その重量級の魔剣デュランダルの一撃を叩きつけてくる。
「おっと、破壊力は凄いが当たらなきゃ意味がないんでね」
数を武器に、仲間が倒れる間に攻撃に転じたデュランダル騎士だが、景明は水中でも軽やかな身のこなしで一撃を避ける。直撃を受けた海底には大穴があき、その衝撃の重さを物語っていた。
「さて、さっさとあの増やしてるやつを壊したいところだが……」
この大量のクローンを生み出している装置を見つけ出し、破壊しなければこのいたちごっこは終わらない。景明の妖刀は確実に鋼鉄の騎士たちを屠っていった。だが、この圧倒的な数のクローンを処理するにはもう少し時間がかかりそうだった。
「だが、生み出されるクローンは無限じゃない」
猟兵たちが確実にその数を減らしていれば、クローン装置の超稼働もオーバーワークとなるだろう。圧倒的な大群であってもそこに終わりは必ずある。
「どんな強固な守りだろうと、俺にゃ斬れねぇことはねぇ」
このクローンの群れの先にある装置に辿り着きさえすれば。
神速の一閃でまたひとつデュランダル騎士の首が刎ね飛んでいった。
成功
🔵🔵🔴
祇条・結月
物量がこわい、って思う
……だけど。居場所を奪われている人たちを、放っては置けない
できることをする
他の猟兵の支援にもなるだろうし、ともかく敵を引き付けることを考える
物量に圧殺さそうだけど、小回りはこっちが圧倒的に利く
【敵を盾にする】風に動いて、対峙することになる相手は【見切り】で確実に動きを見定めて苦無の【投擲】で鎧の継ぎ目を【スナイパー】していく
この数を捌ききれるような達人じゃないけど、致命打を躱して、傷を受けても【激痛耐性】で足をとめない
止まったら、そこで終わりだもの
……圧されて下がる、この状況が囮
充分装置から引き離したら≪鍵ノ悪魔≫を降ろして
敵兵を一気に透過して、僕も装置を破壊しに走るよ
エミリロット・エカルネージュ
●POW:大群に対する対策
奥義(使用UC)で【水餃子のオーラの乱気流】を纏い水中の機動力を確保してから
海中を『空中戦』する様に『残像』『ダッシュ』で泳ぎつつ
棒餃功筒のビーム餃子気弾に『属性攻撃(デコイ)』と『オーラ防御』と『属性攻撃(機雷)』を付与しボクそっくりのデコイ弾を生成し『範囲攻撃』で『乱れ撃ち』し
『念動力』で遠隔操作して大群に突撃させて攻撃する動作をとり
UCを食らう様に仕向けるよ
敵の攻撃範囲と機雷との誘爆で大群に対し連鎖的に爆撃を
シャオロンも【シャオロン錬成】で偽物を増やして『属性攻撃(機雷)』を付与して放牧かな
『念動力』で遠隔操作し『乱れ撃ち』させつつ
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
●囮
「この数……」
薄暗くも幻想的な海底都市に鋼鉄の鎧をまとった騎士団がいる。その数に思わず圧倒されそうになりながらも、祇条・結月(キーメイカー・f02067)は目をそらすことなくその光景を見つめた。
結月は地方の小さな町で鍵屋の老人に育てられたどちらかといえばごく普通の少年。けれどそんな彼が猟兵になったのは誰かの居場所を守りたかったから。
「正直、物量がこわい……だけど。居場所を奪われている人たちを、放っては置けない」
手の中の銀の鍵をぎゅっと握りしめる。自分にできることをやるまでだ。
「まずはこの大群をどうにかしないとだね」
結月の隣でクローンを前にそう呟くのはドラゴニアンの少女、エミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)。赤色の体毛で覆われたファードラゴンタイプの竜派ドラゴニアンであるエミリロットは、幼い頃神隠しにあったとき拾われた老師のもと、餃子の大地の力を操る拳法を受け継いだ餃心拳の操り手だ。
「水中での機動力を確保するよ」
餃心拳の奥義がひとつ【餃牙練空拳・緋龍咆】――餃子を焼く熱と蒸気をイメージした気の練り方で、エミリロットは全身を緋色の龍の炎と餃子のオーラの乱気流で覆う。餃子を皿に返すときのような間合いと集中力。大好きな餃子作りで培った料理の腕が戦闘力を増大させる。水餃子のオーラの乱気流を纏ったエミリロットはまるで海中を空中のように自由に動き回る。
圧倒的な物量を前に少しも怯まず立ち向かう勇敢なエミリロットを見て、結月も気持ちを奮い立たせる。
「少しでも敵を引きつけるよ」
あくまで狙いはクローン装置の破壊。だが、まずそこに向かうにはこの圧倒的なまでの数のクローンを相手しなくてはいけない。先に進むにしても、敵を引きつけ分散させることも有効な手だ。
相手は重厚な鎧をまとった騎士の大群。だが、その分小回りではこちらに圧倒的な利がある。
「騎士の戦い方、みせてもらおうか」
デュランダル騎士が迫り、禍々しい魔槍が結月めがけて放たれる。仲間の騎士とも連携を図った攻撃だが、仲間が近くにいるからこそできる行動もある。結月はその身軽さを活かし、相手の攻撃を他の騎士を盾にするように動き翻弄する。水の中ということもあってか、相手の動きは思った通り鈍い。相手を引きつけながらもその動きを確実に見定め、鎧の継ぎ目を狙って苦無を投擲し確実にダメージを与えていく。
「この数を捌ききれるような達人じゃないけど……」
自分の実力を知る――それは簡単そうで実は難しい。けれど結月にはそれができる。
素早さを活かした動きで苦無を投げ込み騎士たちの動きを止めるが、さすがの数にこちらも無傷ではいられない。致命傷になる攻撃を避け、痛みをこらえ、その足は止まらない。止まったらそこで終わりだから。
一見圧されているようにも見えるこの状況も、作戦のうち。クローンたちを装置から引き離せば、他の猟兵たちも装置に近づきやすくなる。そして結月もまた。
「……僕を、見るな」
かちゃり、と鍵のかかるような音。ユーベルコードが発動し、結月は自身に鍵をかけ、壁や敵すらをも透過可能な【鍵ノ悪魔】を宿し、装置に向かって走り出す。敵軍を駆け抜けることができる強力な技だが、その分の代償として身体から幾筋もの血が滴る。それでも、足は止まらない。その赤い瞳は前だけをまっすぐ見ていた。
一方、水中を機動力を活かして移動するエミリロットは特大の棒餃子に気を込めて、ビーム餃子気弾を放てる棒餃功筒にデコイや機雷の属性やオーラ防御を付与したエミリロットそっくりのデコイ弾を生成。
「さあ、騎士団のお手並み拝見だね」
広範囲に乱れ撃たれたデコイ弾は念動力で操られ見事に騎士たちを撹乱する。重量級の魔剣の一撃が偽のエミリロット目掛けて振り下ろされてもそこに本物のエミリロットはいない。敵だと思って振り下ろした刃が仲間同士に傷を作る。
「まだまだだよ」
騎士たちの攻撃がデコイ弾に当たれば、機雷として爆発し、それが大群の中連鎖的に広がっていく。麺棒型ドラゴンランス――シャオロンの複製も作り出し、その身体に機雷の属性攻撃を付与し、騎士たちの中に放牧する。棒餃功筒を装備した餃子のようなもっちりとした小竜が騎士団を囲い込む。
「総員『棒餃功筒』構えっ! ……餃子ビーム気弾、一斉発射っ!」
念力で一体一体を操作したエミリロットが声を上げると、シャオロンたちが一斉に餃子ビーム気弾を発射する。
爆発がまた爆発を生み、デュランダル騎士たちは次々とその動きを止める。
「餃心拳の奥義を継承したボクに敵うと思うならかかってくればいいよ」
口には笑みを浮かべながらもその動きに隙はなく。エミリロットは水中を軽やかに駆けながら、クローン装置へと迫るのだった。
大成功
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黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
油断してるわけじゃないが、重そうな鎧フル装備なのだから多少耳は悪いと思いたい。
【暗視】で視界確保しつつ、【存在感】を消し【闇に紛れ】【目立たない】ように【忍び足】で移動。
確実に身を潜ませられる場所でバディペットの伽羅やUC水月の影を先行させて先々の【情報収集】をする。
徹底した隠密行動でクローン装置の元に行き破壊。
戦闘時も基本隠密行動。
隙をついて【マヒ攻撃】を乗せた【暗殺】を行う。
相手の物理攻撃は【第六感】で感知【見切り】で回避。しきれない時は黒鵺で【武器受け】し【カウンター】を叩き込む。
回避しきれず喰らいそうな時は【オーラ防御】【激痛耐性】でしのぐ。
バーン・マーディ
………例え姿を真似
同じ遺伝子を得たとしても
その意思は歪んだままであろう
【戦闘知識】で敵騎士達の陣形を冷徹に把握
【オーラ防御】展開
ユベコ発動
可能な限りの物量の騎士団を召還
即座に敵の陣形に対して薄い部分に対して突破陣形を編成
先陣を切りクローン発生装置へと突撃
敵の攻撃は【カウンター・怪力・二回攻撃・吸血・生命力吸収】で反撃し切り捨てながら
騎士団
基本的にスリーマンセルで相手は一人に対して確実に潰す
優先順位としては回復を役目としている騎士を潰し回復の間を与えぬように猛攻
さらに密集陣形で互いに庇い合い致命を避け倒れないように槍と魔剣で突破の妨害を行う騎士を確実に潰し
基本装置を破壊し可能な限り中の人々を保護
●撃破
海底都市に不釣り合いな鋼鉄の鎧をまとった騎士たち。その姿をバーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)は誰よりもよく知っていた。
「……例え姿を真似、同じ遺伝子を得たとしても」
あの鎧、あの魔剣。今目の前にいるのはクローンでしかない。だが、あの姿は共に正義の名のもと、不条理に弾圧されるヴィランを救うために戦っていた者たちなのだ。騎士団の名は「デュランダル」。古い叙事詩に登場する英雄が持つ聖剣の名だ。
バーンもまた元は神聖騎士であった者。しかし正義とはなんであるのか。絶望した末、正義の名のもとに弾圧されるヴィランを救うために戦い、自らもヴィランと呼ばれるようになった。
「……その意思は歪んだままであろう」
オブリビオンとなった騎士たちは思想を歪められ、ヴィランを救うためではなくただヒーローを虐殺するという狂気に囚われてしまっている。誰よりもかつての彼らを知る者として、バーンは為さねばならない。
「容赦はせんぞ」
相手を知っているからこそ。手加減などしてやるつもりはない。
デュランダル騎士はバーンを前に数を活かして陣形を整える。だが、それすらバーンの頭の中に入っている。彼らがとるべき陣形を冷静に導き出す。
オーラ防御を展開し、守りを固めたところで、バーンは声高に宣言する。
「死して尚共に在りし忠臣たる騎士達よ。我が声に呼応せよ。今が戦いの時だ」
バーンの声に応えるように、次々と騎士たちが召喚される。それはまるで目の前のデュランダル騎士が召喚されたように錯覚するほど、持つ武器までもが似ていた。だが、彼らの心はオブリビオンとは違う。心半ばに倒れた精鋭の騎士たちは、自分たちに姿の似た敵に怯むことはなかった。
「敵陣を突破するぞ!」
召喚された大量の騎士たちは、バーンの指示に的確に応え、陣形の薄い部分を突く突破陣形を編成。脆い箇所に斬りこんでいく。
バーンの騎士たちは三人一組となり、一体一体を確実に潰していく。他の猟兵に傷を負わされた騎士を回復している仲間がいれば、優先して叩き、回復の隙を与えない。
バーンもまた仲間と連携して突破を阻む敵騎士の攻撃を受け止め、カウンターで反撃しながら活路を開いていくのだった。
猟兵たちが超大群と接敵している頃。黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は薄暗い海底の中、暗視で視界を確保しながら、その存在感を消して目立たないように移動していた。
ナイフのヤドリガミである瑞樹は、ナイフの刀身のように鋭くも美しい顔を上げ、彼方を見やる。猟兵たちが超大群をそれぞれの方法で撃破している。だが、あくまで目的はクローン装置の破壊だ。少しでも早く装置に辿り着き、撃破すれば戦況も一気に楽になるだろう。
相手は重そうな鎧を全身に纏った騎士たち。油断しているわけではないが、僅かな物音に反応する繊細さを持ち合わせているとは思えない。闇を味方につけ、瑞樹は敵のいない場所を進んでいく。
騎士たちが別の猟兵に気をとられているのを確認し、身を隠すのに安全な場所でバディペットの伽羅――水神の系譜の龍の仔を偵察に送り込む。またユーベルコードで自身の影を召喚し、クローン装置の場所を探査する。ほどなくして薄暗闇の中、五感を共有した自身の影が巨大な真珠を模したクローン装置を発見する。距離はまだあるが、猟兵たちの活躍のおかげで、装置の周囲の騎士たちの数はずいぶんと減ってきていた。
「よし、突破だ」
右手には月山派の打刀【胡】、左手には瑞樹の本体でもある黒い大振りのナイフ【黒鵺】。ナイフと言えども、巨大な戦槌とも打ち合えるぐらい丈夫にできている。ならば重厚な鎧をまとった騎士にも引けを取らない。
戦闘においても瑞樹は目立つことなく密やかに行動する。胡を振るい、死角から隙をついての麻痺攻撃で動きを止める。相手に気づかれ巨大な剣を振るわれれば黒鵺で受け止め、カウンターを叩き込む。流れるような動作で二刀を振るい、着実に装置へと近づいていく。
「これがクローン装置か……悪趣味な」
騎士団を率い、敵を蹴散らしたバーンが巨大なクローン装置まで辿り着いては吐き捨てた。真珠のように見える部分には海底都市の人たちが捕らわれ、生命力を奪われているというのだ。
「これを破壊すれば……」
瑞樹も頷く。辺りには大群の敵を撃破した猟兵たちが集いつつあった。その間にも、クローン装置はまた新たな騎士を生み出そうとしていた。
「これ以上、その歪んだ意思をこの世に顕現させるわけにはいかん!」
禍々しい覇気と相反する神々しい神気を同時に放つ魔剣をバーンは渾身の力で振り下ろす。真珠の表面に亀裂が入っていく。それを確認し、猟兵たちは次々に本体である真珠に攻撃を叩き込む。
やがて、ひびは大きくなり、真珠は見る間に瓦解していく。魔力によって動かされていたクローン装置はその動きを止め、生み出されたクローンたちも弱体化していく。
「もう大丈夫だ」
真珠の中から現れ、ぐったりとしている海底人に声をかけ、バーンは救出に当たる。
「装置が破壊された今、もうクローンは敵ではない」
瑞樹は胡と黒鵺を振るい、弱体化した騎士たちを次々と海底に沈めていくのだった。
大成功
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中村・裕美
泳げないので、⑨ビームハイウェイ用の一人用UFOを【防具改造】で水中用にして潜る
「……ものすごい……うじゃうじゃと」
とりあえずは目の前の敵を対処としては空間に【ハッキング】を仕掛けて【ステルスボム】で範囲攻撃。敵を直接攻撃する他に、周囲に【罠使い】で嫌いのように展開させて、敵が触れたら爆破するようにする。
敵の攻撃は【早業】でUFOを不規則に操作して狙いづらいようにする。
戦闘と並行してセンサー類で魔力の流れの活発な場所を【情報収集】し、クローン装置の場所を割り出す。もし装置周辺に監視カメラ等のセキュリティがあれば、ハッキングし、セキュリティの視界を借りて、人を傷つけないように装置を爆破する。
ペーナァ・キャットハウス
pow
閉じ込めて街の人たちから、せいめいりょくを搾り取るなんて
そんなんしたらあかんねんから!
さあ、うちが相手になったる!
どっからでも掛かってきたらええやん!
でもうちこのままやとあの剣でやられてまうかもしれへん…
あ、お姉ちゃんにあれ使ってもらお!
人格を一度切り替えてUC発動
【水の魔力】で防御力を強化
詠唱は“水よ、我が許へ集え"
ここは水中やから…その分きっと超強化されるはずやんー。 …多分
メインのでんせつのけん以外の武器は全部「武器受け」に使い捨てる
インパクトの瞬間を確実に「見切り」ダメージを可能な限り抑える
攻撃は鎧の隙間を刺すように狙う
難しいなら剣撃と同時に「衝撃波」を当てて少しでも削っていく
●UFOとゆうしゃ
時間は少し、クローン装置撃破前へと遡る。
「……ものすごい……うじゃうじゃと」
海底人が暮らすという幻想的な街アトランティス。それが今やクローン装置から生み出される鋼鉄の騎士たちがひしめく有様。
各所で既に猟兵たちがクローン撃破に当たっているが、一目見るだけでもその数は尋常ではなく、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)は思わずそう呟かざるを得ない。
今回の戦闘は水中ということで、泳げない裕美はエリア51で入手しビームハイウェイでも活用した一人用UFOを防具改造を活かして水中用に改良。これで泳げなくても水中戦が可能だ。
「……ひとまずは……目の前の敵の対処に当たらないと……」
この海底都市は高度な文明が築かれていて、ドクター・アトランティスが作り上げたクローン装置が稼働し、魔力的なエネルギーで満たされている。裕美はそれらの科学的、魔力的なエネルギーの流れを空間をハッキングすることで把握する。話に聞いていた通り、この海底都市のエネルギーは今、そのほとんどがクローン装置に当てられているようだ。
地形の起伏や空間情報を把握したところで、座標軸を固定し、猟兵たちを排除しようと迫るデュランダル騎士へとステルスボムを投下する。見えない爆弾は多数を巻き込み鋼鉄の鎧を粉砕していく。騎士たちが爆弾で足止めをされている間にも、裕美はUFOを操りステルスボムを海底に罠のように張り巡らせる。歩みを進めた騎士がそれに触れると、機雷のように爆破し、辺りを巻き込み大爆発が起こるのだ。
騎士たちも対抗しようと仲間と結託し、裕美目掛けて魔槍を突き出す。もともと不規則な動きで翻弄してたせいもあり、騎士たちはUFOを捉えることができず、数を武器に闇雲に槍を突き出すばかり。裕美はそんな騎士たちを嘲笑うようにふわりと水中高くに浮上、ステルスボムをお見舞いして騎士たちを亡き者にするのだった。
「わあ、水中やのにUFOやん。うちもこの前、乗って戦ってきたとこ!」
裕美が操るUFOを海中で見上げ、ペーナァ・キャットハウス(お外でゴロゴロ・f05485)は先日のビームハイウェイでの戦いを思い出す。一人乗りUFOに乗ってビームを撃ちまくる戦いは爽快だった。
「でも今日はクローンが相手やんね」
「ゆうしゃ」に憧れを抱くペーナァにとって、クローン装置を稼働させるために、多くの海底人が捕らわれているという現状は許せない。
「閉じ込めて街の人たちから、せいめいりょくを搾り取るなんて、そんなんしたらあかんねんから!」
大量のクローン騎士相手に、【でんせつのけん】を構えて威勢よく叫ぶ。
「さあ、うちが相手になったる! どっからでも掛かってきたらええやん!」
他の猟兵の攻撃でその数は減ったとはいえ、鎧に身を包み、巨大な剣と槍を携えた騎士たちの大群は、ペーナァの身長からすると、圧倒的な威圧感をもって迫ってくるように思える。
「……でもうちこのままやとあの剣でやられてまうかもしれへん……あ、お姉ちゃんにあれ使ってもらお!」
少し弱気になったところで、はたと名案を思い付く。多重人格者のペーナァには、クラという魔術を操る別人格が存在する。
「よーし、オレの出番だな?」
すぐさま人格が切り替わり、現れたクラは好戦的ににやりと笑う。
「水よ、我が許へ集え!」
【トリニティ・エンハンス】により水の魔力で防御力を高め、戦いを有利に導く。
「ここは水中やから……その分きっと超強化されるはずやんー」
集められた魔力を帯びた水たちがペーナァの身体に見えないバリアのごとく展開する。剣で戦うため、すぐさまペーナァに人格を戻すと、改めてデュランダル騎士へと立ち向かう。
小柄なペーナァは素早さでは重厚な騎士に負けるはずもなく。振り下ろされる魔剣の一撃を避けれるものは避け、どうしても避けきれないものは武器で受け流し威力を抑える。水のバリアもまたペーナァを守ってくれた。
「鎧はごっついみたいやけど、これならどうなん?」
小回りをきかせ、デュランダル騎士の死角から鎧の隙間を狙ってでんせつのけんを一突き! 動きが鈍ったのを確認し、前へ前へと進んでいく。
一方、裕美はステルスボムで騎士たちを殲滅させながら魔力の流れをセンサーで探る。猟兵たちがクローンを撃破していくごとに、クローン装置はより超稼働モードとなっているようで、どこに魔力が集まっているのかよくわかるようになってきた。
「……クローン装置は……あっち……」
周りにいる猟兵たちにも情報を伝え、裕美はUFOを操り、やがて巨大な真珠貝のようなものを発見する。
大量のクローン騎士を撃破した猟兵たちがクローン装置に集まりつつあった。裕美は本体である真珠の部分に狙いを定め、また中にいる人に被害が及ばない威力を調整して爆弾を投下する。
「クローン装置、壊れたん?」
水中を伝わる大きな衝撃音にペーナァは振り返る。目の前の騎士たちはまだ健在だが、装置の破壊によりかなり弱体化されたはずだ。
「街の人たち解放されたんやね!」
笑顔を見せるペーナァは残ったクローンの掃討にかかる。でんせつのけんが残るクローン騎士たちを次々と斬り捨てていく。
弱体化したクローンが猟兵たちに殲滅されるのはもはや時間の問題だ。
大成功
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ヴィクトル・サリヴァン
集団戦慣れしたのがクローン複製とかもう厄介だよね。
でもここは水中、地上戦はともかくこっちはどうだろうね?
海の仲間達として負けたくないねー。
移動は基本水泳、そっちのが楽だし。
周囲を観察し高い建物がないか探して、あればその屋上に移動。
そこから一回装置の真上の方へと浮上するように泳いでいき、ある程度まで行ったら急降下!
陸の戦いは平面、でもここ水中は立体的に移動できる。
ある程度は護り固めてるかもだけど水中での連携は少々崩れるだろう、そこを速度とUCによる治療で強引に突破する。
その際高速詠唱で水流操作し寄ろうとする騎士達の動きを妨げたり。
十分装置に近づいたら銛投げ装置を破壊しよう。
※アドリブ絡み等お任せ
●再び光を
時間は少し、クローン装置撃破前へと遡る。
「団戦慣れしたのがクローン複製とかもう厄介だよね」
シャチのキマイラ、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が水中に隊列を組んでひしめくクローン騎士団を見て呟く。シャチにしては少し縦にも横にも幅広いヴィクトルではあるが、もちろん泳ぎは得意だ。しなやかな身のこなしで未知の海底を泳いでいく。光を失った海底都市は夜の海にも似ていて、夜の海で泳ぐのを好むヴィクトルにとっても悪くない。
「でもここは水中、地上戦はともかくこっちはどうだろうね?」
彼らは重い鎧、巨大な武器を装備している。そう簡単に浮かぶこともできないだろう。
海底都市の中は薄ぼんやりとしていて、人々は皆クローン装置に囚われているようで街に人気はない。それでも街を観察しながらひときわ高い建物を見つけ、ヴィクトルはそこに移動し、辺りを見回す。
大勢の猟兵が多方面からクローン騎士たちを相手にし、それぞれの方法でその数を減らすことに成功している。だが、その間もまたクローンが生み出されているのだ。
「装置はきっとあっちの方かな」
薄暗さではっきりとはわからないが、水中から伝わる微かな音や衝撃がヴィクトルには把握できる。仲間たちが向かっている先や、騎士たちがやってくる方向から大体の位置を割り出す。水中の中、高い位置から全体を把握することはおそらくヴィクトルにしかできない。
ひとまず海底にひしめくクローン騎士は他の猟兵に任せ、ヴィクトルはクローン装置へと向かっていく。
近づくにつれ巨大な真珠貝のようなものが視界に入ってくる。人々の生命力と海底都市の魔力を糧にクローンは今この時も続々と生み出されている。
装置を破壊するにしてもそれを守るように配置されているデュランダル騎士が厄介だ。幸い相手は上方にいるヴィクトルの存在に気づいていない。温厚で紳士的に見えるヴィクトルではあるが、実は思考はわりと脳筋主義。力は正義なのだ。
海底都市を見下ろす高さまで浮上していたヴィクトルは、クローン装置近辺に守りを固めるデュランダル騎士めがけて急降下!
重装備の騎士の守りにも負けない頑丈さを誇る三又銛で騎士たちを蹴散らしていく。不意を突かれた騎士たちが慌てて陣形を立て直そうとするが、海中の動きでヴィクトルに敵うはずもなく。スピードに翻弄され、連携もままならないまま海底に倒れていく。
それでも相手も数を力にヴィクトルを攻め、避けきれなかった攻撃が傷を作る。【活力の雷】で時折自分を治療しながら、ヴィクトルもクローン騎士の数を減らしていく。
しばらく戦闘を続けるうち他の猟兵たちの姿も見えるようになった頃、ヴィクトルは高速詠唱を用いて水流を操作し、騎士たちを装置に近づけないようにする。邪魔ものがいなくなった装置の中心――真珠の部分に次々と猟兵たちが攻撃を加えていく。
「海の中でこれ以上好き勝手されるわけにはいかないからね」
ヴィクトルの銛もひびが入り始めた真珠に命中する。嵐のような攻撃に爆弾に――ついにクローン装置は猟兵たちによって破壊された。
「ちょっと痺れるけど……」
クローン装置から解放された海底人は生命力を失いぐったりしている。ヴィクトルが生命活動の速度を操作する電撃を送りこめば、多少は痺れるものの、人々はみるみる元気を取り戻していった。
残ったクローン騎士たちは既に弱体化している。海底人の救出に当たる者。残ったクローン騎士たちの掃討に向かう者。その全てを猟兵たちは手際よく行うと、廃墟のようだった海底都市にようやく光が灯ったのだった。
成功
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