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アースクライシス2019⑩~超・大群レディ

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #アトランティス


●姦しくも、妖しく
 青き水底に沈む古代都市、アトランティス。
 元来、都市に浮かぶ魔法の泡の輝きによって明るく浮かび上がっていたはずの全景は、今や全ての魔力を奪われ、暗闇に閉ざされてしまっている。
 海水に満たされた不気味な廃墟都市のあちこちで、異質な存在感を放つ巨大な真珠貝が次々に口を開けた。
 貝の中心で巨大真珠が不気味に輝いたかと思えば、青白く美しい女性の姿を次々と結んでいく。
 一人や二人ではない。そっくり同じ容貌の美女が、数十、数百と、瞬く間にその数を膨れ上がらせていく……!
「いやですわん、大海嘯を破られてしまったのですね~☆」
「かくなる上はわたしたちで迎え撃たねばなりませんね☆」
「それにしても、わたしたち増えすぎじゃないです?☆」
「いいじゃないですか~、それはそれでとってもおもしろそうですよん☆」
 キャッキャウフフとかまびすしく囀る青白い女たちは、「海を統べる者」レディ・オーシャンの、大量のクローンたち。
 享楽的に輝く幾多もの眼差しが都市の頭上を仰ぎ、猟兵たちの出現を今か今かと待ちわびている……。

●アースクライシス2019・アトランティス方面進攻状況
 オブリビオン軍による侵攻に始まった戦いは、猟兵たちの尽力により徐々に巻き返し、現在ではほぼ攻守をひっくり返すことに成功している。
 中でもアトランティス方面への進攻は、ハワイ沖の大海嘯を阻止したことによって、他に一歩先んじて、敵の本丸であり「失われた文明」の都市であるアトランティスへの直接の侵攻が可能な段階に至った。
 かくて猟兵は、大量の敵が待ち受ける太平洋の海底都市へと向かう。

●グリモアベース:ゲネ
「いよいよアトランティスへの侵攻が可能になった! オブリビオンに奪われた「失われた文明」を取り戻す戦いだ!」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は威勢よく声を上げ、海底の都市をホロモニターに映し出した。
「アトランティスは本来明るく幻想的な古代都市だったようだが、今は全ての魔力をオブリビオンに奪われてこの有様だ」
 ビッグウェーブが鎮まり、平静を取り戻した太平洋の海底。映像の中の暗く青ざめた古代都市は、まるで死者の都のようにさえ見える。
「では、奪われた魔力は、どこに消費されているのか? 答えはこれだ」
 さらに新しく展開されたホロモニターには、異質な巨大真珠貝の姿が映し出される。
 その中心には巨大な真珠が輝き、貝の中から次々と数多のオブリビオンが這い出てくるのがわかった。
「見ての通り、コイツがアトランティスのクローン装置だ。大海嘯の失敗を受けて、現在超稼働中。とんでもない大群を生成し始めている」
 すなわち、猟兵を迎え撃つために、都市の魔力の全てを注いでいるようなのだ。
 通常の集団戦とは比べ物にならない、圧倒的な「超・大群」。これを押し戻すなんらかの策がなければ、アトランティスに平和を取り戻すことは不可能だ。
「クローン装置を壊すことができれば、その装置から生み出されたクローンたちは弱体化する。ただ、すでにかなりの数のクローンが生成されているので、普通に戦うだけではクローン装置にたどり着くのはかなり難しいだろう」
 大群を押し戻すなり、上手く欺くなり、なんらかの対抗策を講じることで、装置にたどり着いて破壊しなければならない。
「装置の本体は、貝の中心にある巨大真珠だ。内部には、一つの真珠につき数百人程度のアトランティスの住人たちが閉じ込められている。たぶん、魔力や生命力を絞り取られているんだろうな……」
 ともあれ、真珠を壊せば装置は破壊できる。破壊後も創り出されたクローンたちは消えないが、弱体化するため、存分に蹂躙することができるだろう。
「諸君に戦ってもらう相手は、大海嘯を引き起こそうとした元凶、『レディ・オーシャン』のクローン体だ」
 クローンとしての性能は他と変わらない。が、頭数が圧倒的に異なるため油断ならない。個々を潰すのではなく、大群をどう制するか、という立ち回りが重要だろう。
「さあ、アトランティス解放の時だ! 大群を蹴散らし、古代の海底都市を復活させるため、力を貸してくれ……!」
 瞬時にして転移術式がホロモニターを席巻し、ヒーローズアースの海底都市への扉を開くのだった。


そらばる
 アースクライシス2019、アトランティス侵攻。
 レディ・オーシャンのクローンの大群を押し戻し、クローン装置を破壊しましょう!

●プレイングボーナス
 このシナリオでは、以下の特別なプレイングボーナスが発生します。
=============================
プレイングボーナス……「超・大群」に何らかの方法で立ち向かう。
=============================
 上記に基づく行動をすると有利になります。

●アトランティス
 海底の古代都市。
 住人は水の中でも生活が可能なので、内部も海水に満たされています。
 現在は魔法の泡の照明がないため、暗く不気味な廃墟都市のように見えます。

●クローン装置
 巨大な真珠貝型。中心の真珠が本体。
 アトランティス中に多数存在します。
 一つの真珠の内部には、アトランティスの住人が数百人ほど囚われています。

●集団戦『量産型レディ・オーシャン』
 神々さえもその発祥を知らぬ、大いなる「海を統べる者」です。
 かつて「大海嘯」で一度世界を滅ぼし、ジャスティス・ウォーでも最大最悪の被害を齎したとされています。
 通常の集団戦とは比べ物にならない「超・大群」との戦いになります。

●リプレイについて
 基本的な流れは、
==========
「超・大群」に何らかの方法で立ち向かいつつ、クローン装置にたどり着く
  ↓
装置を破壊する
  ↓
弱体化したクローンの大群を一気に殲滅する
==========
 となるでしょう。

 『とにかく「超・大群」を撃破しつくす事で、撃破された分を再生産しようとして超稼働を繰り返したクローン装置が爆発する』というような別解もありますが、難易度はそれなりに跳ね上がります。

 設定的には水中戦になりますが、細かいことは気にしない方向で。
 プレイングに特に指定がなくても、海中で戦える&会話も通じる状態として描写します。
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第1章 集団戦 『量産型レディ・オーシャン』

POW   :    昏き海の魔手
【触れた相手の体内の水分を海水に変える手】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    ディープシーメモリー
自身の身体部位ひとつを【太古の昔に滅んだとされる巨大鮫メガロドン】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    オーシャントルーパーズ
レベル×5体の、小型の戦闘用【深海魚ロボット軍団】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
ラモート・レーパー
「クローンなら僕の敵ではない!」
あらかじめワクチンを用意してもらって猟兵に配ってから戦う!
クローンってことはみんな双子みたいなものだ!免疫力は全部同じはずだからそれを突いて一掃する。


アリス・フェアリィハート
アドリブや連携等も歓迎です

レディ・オーシャンさんが
あんなに沢山…!?

『あの装置を…何とかしなきゃ…』

超・大群に対し
こちらもUCで
周辺のありったけの無機物を
『トランプ兵さんの大軍勢』
に変換し操り
対抗させます

『トランプ兵さん達…せいれーつ、とつげきー!』

トランプ兵さん達と共に突撃
戦う振りをし
クローンさん達と
トランプ兵さん達が激突し
戦っている混乱に乗じて
途中で密かに抜け出し
クローン装置へ

辿り着いたら装置を破壊
弱体化した敵さんを殲滅

攻撃は
自身の剣
『ヴォーパルソード』で
【属性攻撃】や【なぎ払い】等の剣戟や
剣の【衝撃波】や【誘導弾】
等の遠距離攻撃

敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】【オーラ防御】で
防御等



●病魔と大軍勢
 海底の闇に不気味に沈むアトランティス。
 ひしめくほどの大群の美女を目にして、アリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)は息を呑む。
「レディ・オーシャンさんがあんなに沢山……!?」
「なあに、クローンなら僕の敵ではない!」
 一方でラモート・レーパー(生きた概念・f03606)は極めて強気だ。
「間引きの厄災! ……の前に。配ったワクチン、ちゃんと打ってくれたよねっ?」
「は、はい」
「ならばよし!」
 頷くアリスにたいへん満足した様子で、ラモートは満を持してレディ・オーシャン達へと立ち向かった。さりげなく海流の上手に回りながら。
「あ、来ましたよん、猟兵さんたちで~す☆」
「ではではさっそく潰しちゃいましょう☆」
 クローン達が一斉に反応し、次々に攻撃態勢へと移行し始めた。
 しかし、注目を浴びると同時に、ラモートは詠唱を終えていた。
「────生命の均衡と調停を行う」
 同時に、膨らませた肺から深々とした吐息を海流に乗せて解き放っていく……
 構わず深海魚ロボット軍団を召喚したレディ・オーシャンの一人が、指揮を振るおうとした手を途中で震わせた。他の個体も次々に異常を訴え始める。
「どうしたことでしょう……身体が痺れますね……☆」
「これは毒……侵食……いいえ、病魔なのでは?☆」
「ハハハ! その通り!」
 ラモートは気持ちよく笑い飛ばした。
「クローンってことはみんな双子みたいなものだ! つまり、免疫力は全員同じ! 病魔覿面ってこと♪」
「あらあら……これは、よろしくありません、ね……☆」
 病魔の影響範囲にいたクローン達が、笑顔を浮かべたまま次々膝をついていく。
 病魔に巻き込まれたクローン達は、すでに戦力にならなくなった個体に巨大鮫メガロドンに変えた腕や髪で噛み付いて回復、戦線を維持。範囲外にまだ夥しく控えている無傷のクローン達が、大量の深海魚ロボット軍団をけしかけラモートを牽制する。
 「ハハハ!ハハハ!」と、深海魚軍団と戯れているようなラモートの声を聞きながら、アリスは崩れた敵陣の後方に巨大な真珠貝を見いだしていた。
「あの装置を……何とかしなきゃ……」
 大群には、大群。アリスはユーベルコードを開放し、周辺の因果事象や法則、概念へと干渉し始めた。都市の建造物、石畳、主のいない貝殻に、無数の砂粒……ありとあらゆるありったけの無機物が、次々にトランプ兵の大軍勢へと変換されていく……!
「トランプ兵さん達……せいれーつ、とつげきー!」
 おー!と上がる鬨の声と共に、トランプ兵の大軍勢が一斉にクローン軍団へと突撃した!
 病魔に侵され薄くなったクローンの戦線は、夥しい量のトランプ兵の奔流に呑み込まれていく。
 大群対大群の大乱戦。トランプ兵に混ざって突撃を仕掛けたアリスは、戦う振りをして機を窺い、周囲の混乱に乗じて密かに戦線から離脱した。トランプ兵たちの陰から陰へ。トランプ兵への対処に忙しいクローン達はまるでこちらに気付かない。
 瞬く間にクローン装置へと迫るアリス。
「これを壊せば……!」
 一閃するヴォーパルソード。空色の光焔が海中を斬り裂き、中心の真珠を砕いた!
 装置は速やかに停止。囚われていた人々の歓声と、クローン達のどよめきが一緒くたに上がる。
「あら~……これは……☆」
「本格的にお寒い状況、ですね~……☆」
 トランプ兵たち相手には優勢に運んでいたクローン達も、弱体化を受けて形成逆転。どんどん戦線を押し込まれていく。
 アリスもすかさず戦線に返り咲き、残像を描いて強烈な攻撃を躱しながら、ヴォーパルソードを力強く握り締めた。
「あとは、殲滅するだけですね……!」
 豪快に薙ぎ払われた横一文字の剣閃が、レディ・オーシャン達をまとめて吹き飛ばす──!
 剣が、衝撃波が、誘導弾が、トランプ兵が、病魔が。寄る辺を失ったクローン達を破竹の勢いで平らげていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルネ・プロスト
人形達は複製分含め死霊憑依&自律行動
道化師団の武器改造で駒盤遊戯達は水中戦仕様に改造
ルネの身体、ミレナリィドール・ボディも反響定位使えるよう感覚器を改造

開幕UC
ポーン達8+456体で前線構築、乱れ撃ち&制圧射撃で敵軍の行動抑制
クイーン達57体の高速詠唱+全力魔法で海流かき乱しも加えて妨害を徹底
他7+399体の駒盤遊戯達は射撃範囲から漏れた敵の迎撃
残る1体のクイーンはルネとクローン装置の捜索と破壊を
クイーンの魔法で制御した海流に乗って敵を躱しつつルネの反響定位で装置探す感じ
見つけたらクイーンの魔法で破壊

他のクローンにも言ったけど物量戦こそルネの十八番
急造の軍勢相手に負けるわけにはいかないんだよ



●進撃の人形軍団
 ルネ・プロスト(人形王国・f21741)は、改造したミレナリィドール・ボディの感触を確かめながら、海底にふわりと着地した。
「常識外れの大群か。じゃあ――本気、だすよ」
 たちまち周囲に鋭い輝きが連続し、16体1組の駒盤遊戯が大量に複製され始めた。総数九百を超える、死霊憑依による自律行動を可能とした人形の大軍勢だ。
 ルネは無愛想に見えるほど淡々と、人形たちへと命じる。
「ポーン、前線構築。制圧射撃用意……撃て」
 一斉に動く、オリジナル・複製合わせて464体のポーン達。軍隊さながらに素早く陣形を構築すると、深海魚ロボットの攻撃が届くより早く、全ての銃口が一斉に火を噴いた。
 戦場を黒々と霞ませるほどの大量の弾丸。無防備だった前線のクローンは次々に斃れていく。
「ありったけの深海魚ロボットお願いしま~す☆」
「固まらないで、いろんな方向から攻めちゃいましょうね☆」
 クローン達はめげることなく大量のロボット軍団を解き放ち、海中を立体的に動き回ることで対抗してくる。
 散らばった射線の隙を縫って、複数のクローン体が自陣へと迫った。ルネはしかし、取り乱すことなく次なる命を下す。
「クイーン、高速詠唱用意。全力魔法──放て」
 たちまち複製クイーン57体による魔法が水中を逆巻き、海流をかき乱した。暴力的な海流に押し戻されていくクローン達。
 残る400体以上の人形たちも、射線から零れた個体を迎撃。クローン達は守りを固めざるを得ない状況だ。
 これを機に、ルネは一体のクイーンオリジナルと共に戦線を脱した。感覚器の反響定位機能で周囲を探りつつ、クイーンの魔法を利用して大胆にも敵陣の横を悠々とすり抜けていく。
「……あった」
 水流制動の緩急でクローン達の攻撃を躱しながら、建造物の裏手に巨大な真珠貝を発見し、ルネはすぐさまクイーンの魔法を発動させた。巻き起こる大渦、のしかかる水圧。巨大真珠はあっけなく砕け、囚われていた人々の姿が露わになる。
「あら~……☆」
「やられちゃいましたね~☆」
 緊張感に欠ける物言いと落胆が敵陣を駆け抜ける。
「他のクローンにも言ったけど物量戦こそルネの十八番」
 ルネは静かに、決然と指揮を執る仕草で、敵大群に向けて片手を翳した。
「急造の軍勢相手に負けるわけにはいかないんだよ」
 人形たちの一斉攻撃が、溢れんばかりの美女たちを蹂躙し、殲滅していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

塩崎・曲人
さて、水中戦な上に超大群
ぶっちゃけ苦手なシチュだが泣き言言ってらんねーか

あの群れを戦って撃破ってのはオレには現実的じゃねぇ
だから出し抜いてクローン装置にたどり着く方を優先するぜ

【逃げ足】【フェイント】を駆使して、場合によっては戦ってる他の猟兵も状況として利用
【手妻使い】で「泳ぐ」という非戦闘行為に没頭
量産型レディ・オーシャンの攻撃をやり過ごしつつ
クローン装置目指して無心で進んでいくぜ


群がってこられてどうしようもなくなったら
【最後の手札】で風魔法を水中でブッパ
海流で周りの敵を引き剥がしつつ加速を狙うぜ
「装置さえ止めちまえばこんな奴ら……まとわり付いてくるんじゃねぇ!」
【アドリブ歓迎】


黒暗九老・有麓落羅区
凄いのう!同じ顔が沢山じゃ〜!
…しかし、泳ぐのが速そうな敵じゃのう。倒すとなると数も多いし、クローン装置まで行こうにも泳ぎ対決では分が悪いじゃろう。

【地形の利用】で潮の流れを読み、出来るだけ流れの先に真珠が来るような位置に陣取り。
攻撃を【見切り】ながら【範囲攻撃】で【なぎ払い】【吹き飛ばし】
自身の攻撃の威力で自分自身も真珠に向けて吹き飛ぶようにしながら自然に真珠に近づき、UCで周りの敵やクローン装置を同時に攻撃。
弱った敵は【範囲攻撃】で一掃

絡みアドリブ歓迎



●二正面進攻
「さて、水中戦な上に超大群。ぶっちゃけ苦手なシチュだが泣き言言ってらんねーか」
 塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)は鋭い目つきで大群を睨み据えた。
 あの群れを戦って撃破、というのは曲人にとっては現実的ではない。
 ならば、出し抜いて装置にたどり着くことを優先すべし。
 腹を決め、曲人は自身の五感を開放した。
「細工は流々、後は仕上げを御覧じろってな!」
 たちまち、曲人の感知する世界が静止した。
 時間が無限に引き延ばされる感覚の中を、曲人は泳ぐという非戦闘行為に没頭する。そうしている間は敵の攻撃は脅威にならない。
「~~~☆」
「────☆」
 緩やかに感じられる時間の中で、クローン達は不気味な唸り声のように引き延ばされた声を上げながら、曲人を止めようと進路を塞ごうと集まり始めた。
 曲人は視線や仕草でフェイクを入れて敵を欺き、あるいは逃げ足の速さを泳ぎに活かして急旋回も取り入れつつ、巧みに敵の包囲をすり抜け、無心にクローン装置を目指し続ける。
 一方、曲人とは正反対の判断を下す者もあった。
「凄いのう! 同じ顔が沢山じゃ〜!」
 大群を前に楽しげにはしゃぐ神、黒暗九老・有麓落羅区(戦闘狂の神・f16406)である。
「……しかし、泳ぐのが速そうな敵じゃのう。倒すとなると数も多いし、クローン装置まで行こうにも泳ぎ対決では分が悪いじゃろう」
 ならば、色々と細工を利かせて得意分野で攻め込むべし。
 有麓落羅区は潮の流れを読み、敵陣の後方に見え隠れしている巨大真珠貝を下流に置く流れを掴んで戦線に身を投じた。
「側面からお客様で~す☆」
「は~い、丁重にお迎えしましょうね~☆」
 即座に反応する敵陣営。見立ての通り、水を味方につけた達者な動きでクローン達が距離を詰めてくる。
 直接接触しようと伸びてくる幾本もの手を見切り、有麓落羅区は巧みに躱していく。何気ないほど柔らかな手つきなのに、紙一重を通り過ぎるたびにぞっとするような不吉を感じた。
「綺麗な見目しておっかないのう。なればこそ、戦い甲斐もあろうというものじゃ!」
 有麓落羅区は一切怯まず刀を振るう。広範囲を薙ぎ払う剣閃。深海魚ロボット軍団もしっかり巻き込みながら、薙ぎ払い、吹き飛ばし、大群へと斬り込んでいく。
「二方向からバラバラに敵ですね~、戦力差的には余裕で~す☆」
「ん~西側の敵はまずいかもしれません、攻撃が効かないのです☆」
「では、西の戦線を厚めに押しとどめましょう☆」
 敵陣中央部に控えていた手隙のクローン達が、曲人へと一気に群がり始めた。攻撃は効かなくとも、数で押しつぶせば少なくともクローン装置への接近は阻むことができる。
「チッ、来たか……」
 敵軍の動きが変わったのを察知し、曲人は時間が急激に常態に戻っていく眩暈に似た感覚を覚えつつ、魔力を練り上げた。
 これは、最後の手札。
「装置さえ止めちまえばこんな奴ら……まとわり付いてくるんじゃねぇ!」
 瞬間的にあらゆる魔法技量レベルが沸騰し、アルダワ仕込みの風魔法が後方へと撃ち出された──!
 激しい風の爆発が海水を勢いよくひっかき回し、群れ集るクローン達を弾き飛ばすと共に、スクリューの如くつむじを描いて曲人の身体を海流に乗せ、すさまじい勢いで運んでいく。
 一直線、クローン装置の元へと。
「あぁ~☆」
「戦線が崩れてしまいました~☆」
 敵陣が乱れ、動揺が走ったその瞬間を捉え、有麓落羅区は刀を握りなおした。
「派手にやっとるのう。おかげで陣がスカスカじゃ」
 刀がたちまち数多の花弁へと姿を変えていく。谷空木の、星型をした桃色の花々へ。
 脅威を感じて振り返るクローン達へ、神は妖しく笑う。
「綺麗じゃろう?」
 花弁は花吹雪の如く辺りに吹き荒れクローン達を焼き尽くしたかと思えば、海流に乗って一気にクローン装置へと殺到していく──!
 その正面には、高速で接近する曲人。
「砕けやがれぇぇえぇえええ──!!」
 速度を乗せた鉄パイプが装置を強打し、一拍ののち、ピシリと音を立てて巨大真珠に亀裂が入った。
 次いで、流れ着いた大量の花弁が真珠の周辺に取りついていく──
 左半分が砕け散り、右半分が焼き尽くされ、装置の中枢である巨大真珠は破壊し尽くされた。
 囚われていた人々の無事な姿を見てご満悦に頷くと、有麓落羅区は弱体化したクローンの大群を見渡した。
「さて、あとは軽く一掃させてもらおうかのう♪」
 鋭い剣閃が疾り、辺りには、どことなく緊張感の薄い女性の悲鳴と破壊音とが連鎖するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陰樹・桧
敵は大海嘯の発生源、そのクローンの大群ですか。
本物と戦う前に、ここで負けるわけにはいきません。

クローン装置を捕捉するまでは隠密行動です。
避けて通れない敵、または遠方の敵を倒して注意をそちらに向けさせて進む場合に【霊木徹甲弾】で撃ちます。
装置は視認でき次第、敵と同様に撃ち抜いて破壊したいです。

その後は敵が弱体化するようですが、大群を相手に突撃は無理ですね。
【霊木徹甲弾】で複数の敵を貫通できる位置を取り、射撃後は次の位置を選定し素早く移動。
援護射撃が可能な状況なら味方と連携し、敵を効率良く確実に仕留めたいです。

※連携アドリブ歓迎


灯火・紅咲
うぇひひひ!
大群に紛れて、奥まで辿り着けばいいんですよねぇ?
そんなのー……ボクの得意分野じゃないですかぁ!

まずぁは大群の中に飛び込みましたならば、【シリンジワイヤー】で誰でもいいから【吸血】ぅ!
そしたら、その血を使って、レディ・オーシャンの姿にへんしーん!
あ、おっぱい大きくて、スタイルいいですねぇ……むむ、大きさなら負けてないんですけどぉ
この姿なら王子様にモテそうですぅ……なんて思いつつ、そのまま超・大群の中に溶け込んで、クローン装置の所へれっつごー!
皆同じ姿してるんですもの、同じ姿になっちゃえば分かりませんよねぇ?
壊した後は【だまし討ち】で仕留めていくですぅ

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】



●輝く弾丸と獅子身中の虫
 廃墟の如き都市の連なる建造物の物陰に身を潜め、陰樹・桧(要撃射手・f21490)は照準器越しに敵陣の様子を窺っていた。
「敵は大海嘯の発生源、そのクローンの大群ですか。本物と戦う前に、ここで負けるわけにはいきません」
 クローンの向こう側に『本物』を意識しながら呟き、桧は移動を開始した。あくまでも隠密に徹しながら。
 陰から陰へ、隘路から隘路へ。気配を殺してできうる限り水流を乱さず、少しずつ敵陣奥へと侵入していく……
「あらら? こんなところに~……☆」
 上から差し込んだお気楽な声に、桧は反射的に顔と銃口を上げて、瞬時にして頭上に迫っていたクローンを撃ち抜いた。正確に心臓を穿たれたクローンは、電源を落とされたようにぱったりと全ての生命活動を停止した。
 どやどやと、異変に気付いた他の個体が連れ立ってやってくる気配。
 桧は即座に場所を移りつつ、視界の隅に映った遠方の標的を無造作に撃ち抜いた。騒然となる敵群。
(「陽動は有効……クローンだからか、さほど敏くはないようですね。とはいえ、射線を割り出される前に移動しなければ……」)
 音もなく繰り返される移動。適度な攪乱を加えつつ、奥へ奥へと、桧は順調に侵攻していった。
 他方、慌ただしくなってきた敵陣を、愛らしい見目に反して色々とアブない眼差しで見つめている少女が一人。
「うぇひひひ! 大群に紛れて、奥まで辿り着けばいいんですよねぇ? そんなのー……ボクの得意分野じゃないですかぁ!」
 隠密もへったくれもなく叫ぶや否や、灯火・紅咲(ガチで恋した5秒前・f16734)は大群の中へと一気に飛び込んだ!
「ええっ☆」
「なになに、何事です?☆」
 まさかの正面からのダイブに、虚をつかれ戸惑うクローン達。
 が、闖入者が飛び込んだ場所を覗き込んだその時には、紅咲の姿はすでになく、代わりに、全身をワイヤーに取り巻かれていたかのような縄跡と首筋に注射痕のあるクローンの死体が横たわっているだけだった。
「……死んじゃってますね~……☆」
「さっきの娘もいなくなってますね、どこに行ったんでしょう……☆」
「間違いなく犯人ですよん、手分けして捜しましょう☆」
 陣営に情報が伝達され、クローン達が流動を開始した。
 行き交う美女の群れの中で、袖口にひょろりとワイヤーを隠したレディ・オーシャンが一体、くひひ……と怪しく笑ったことに、気づいた者はいない。
(「皆同じ姿してるんですもの、同じ姿になっちゃえば分かりませんよねぇ? なんてちょろいんでしょうかねぇ……!」)
 レディ・オーシャンそっくりの姿に化けた紅咲である。特殊なワイヤーでクローンの血を吸血し、得意の能力で瓜二つに変身せしめたのだ。
(「それにしても、おっぱい大きくて、スタイルいいですねぇ……むむ、大きさなら負けてないんですけどぉ。この姿なら王子様にモテそうですぅ……」)
 そんな他愛ない思索を巡らせながら、紅咲は一切労せず装置の元にたどり着いた。
「ちょっと装置の様子見てきま~す☆」
 話し方も完璧にトレースしてみせれば、クローン達はお気楽に「お願いしま~す☆」と返事を返して怪しみもしない。
 その頃、桧もまた敵陣深く、無人の住居地区の建物の隙間からクローン装置の存在を視認していた。
 即座に小型自動拳銃の銃口が真珠を中央に捉え、魔力が集束していく……
「──刹那の不滅を以て、憎悪を撃ち貫く」
 射出される高速弾。緑色に輝く軌跡が斜線上のクローン達を貫きながら巨大真珠を穿つ──!
 着弾と同時に一気に球体の全面へと広がる罅。
 その様子をほんの目前で確認した紅咲は、息を呑むクローン達には見えない角度で、こっそりかつ無造作に駄目押しの一撃を入れた。
 パリンッ!と澄んだ音を立てて、真珠の表面が派手に吹っ飛んだ。
「……壊れてしまいました~☆」
 紅咲のモノマネ声が若干白々しく響く。
 次の瞬間、陣営を貫く緑光の弾丸。複数を貫通するよう計算され尽くされた桧の霊木徹甲弾が、弱体化した超・大群を次々に食い破っていく。
 混乱する陣営の中央で、ひときわ元気に駆けずり回るレディ・オーシャンが一人。
「あっ横からも来ますよ、気を付けてくださいね~☆ まだ他にも敵がいるっぽいですよん☆ 陣の外への警戒は怠らないでくださぁい☆」
 紅咲は適当な嘘を振り撒きながら、仲間には無防備なクローン達を背後から襲ってすぐさま群れに紛れるのを繰り返し、イキイキと騙し討ちに勤しんでいく。
 外からの射撃と内からの崩壊に、クローンの大群は瞬く間に呑み込まれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
海中、ですか……呼吸や会話は普段通りできるとのことですが、銃は普段通り扱えるか……慣れは必要そうですね。

まぁ、この環境だからこそやりようはあります。

【吹雪の支配者】で周囲61mの海水を吹雪へと変換します、これだけ無機物があれば半径61mを吹雪で覆いつくし、その中にいるレディ・オーシャンのクローンを一人残さず凍結させることができるでしょう。

大群が大群を呼ぶ深海魚ロボットも私の周囲に水がなければ襲ってこれないでしょうし、仮に襲ってきたとしてもそちらも無機物。吹雪へと変え、こちらの武器にしましょう。

装置の破壊は改造マスケット「フィンブルヴェト」による射撃で。多少距離があっても撃ち抜いてみせます。


春日・氷華
氷の異能を持つ寡黙な少女。
触れたものを凍らせる冷気と氷を武器に戦う。

身体を氷化できる氷華にとって水中での無呼吸活動が可能であり、即座に【絶対零度】の冷気を敵陣に放つ。
「……凍れ」
敵陣を周りの海水ごと凍結させます。
倒しきれない分は、冷気操作により周囲の海水から作り出した大量の氷柱を無限に撃ち込み続けて一掃します。
「これならどう?……『氷雨』」

敵陣を一掃しつつ、クローン装置に向かって冷気と氷柱を放ち続けます。
「……弾はいくらでもある」

敵が触れようとしたら【カウンター】で逆に相手を凍らせる。
氷の体が海水になっても再凍結させる。
「……あたしの体は氷の異能を宿しているの。その攻撃は効かない」
「さよなら」



●極寒なる蹂躙
「海中、ですか……呼吸や会話は普段通りできるとのことですが、銃は普段通り扱えるか……慣れは必要そうですね」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は淡々と装備や自身を取り巻く現状を確かめる。
「まぁ、この環境だからこそやりようはありそうです」
 改造マスケットの準備を終え、セルマは冷静な眼差しで大群を見渡した。
 ……干渉可能範囲は半径61メートル。超・大群の広がりはその倍以上だが、道を拓くには十分だ。
「あらあら可愛らしいお客様☆」
「念入りで丁重なおもてなしが必要ですね~☆」
 正面から一切の怖気も見せずに歩み寄るセルマに、クローン達は深海魚ロボット軍団をけしかけてくる。大群が大群を呼び、辺りの景色は瞬く間に黒く霞んだ。
 絶望的に見える状況下、しかしセルマの眼差しは微塵たりと敗北を見ていない。
「この領域に足を踏み入れたが最後です……逃しません」
 ふわりと、波動めいた力場がセルマを中心に広がった。周囲を取り巻く海水が瞬く間に白い雪片へと姿を変えていく……
 それは、本来海底にはあり得ざる吹雪。海水をものともせずに吹きすさび、荒れ狂う。突撃を仕掛けてきた深海魚ロボットの群れも瞬く間に材料として呑み込み、さらに吹雪の勢いが増していく。
「きゃっ、冷たっ……☆」
「からだが……凍っ、て……☆」
 巻き込まれたクローン達は急速に体温を奪われ、青黒く変色していく。めげない個体が吹雪の中でセルマへの襲撃を試みるも、ほとんどが失敗に終わり、届きかけた数本の手もセルマを害するに及ぶ前に動かなくなった。
 力場を維持したままに、セルマは静かに装置へと歩み進む。累々とクローンの死体を足元に築きながら。
「困りましたね~、これでは近づけません……☆」
 攻め手を失い、距離を取るしかなく、徐々に押し込まれていく超・大群。
 その後方で、地震にも似た衝撃が走った。
 突如として聳え立ったのは、内部に幾人ものクローンを閉じ込め凍りついた、巨大な氷柱。
 その袂には、触れたもの全てを凍らせる、寡黙な少女の姿があった。
 何気ないほどの仕草で敵陣に向けて手を翳す春日・氷華(氷の女王・f22182)。
「……凍れ」
 放たれる絶対零度。極寒の冷気に囚われたクローン達は、周囲の海水ごと瞬時に凍結され、奇妙なオブジェを海底に連ねていく。
 身体を氷化できる氷華にとって、海中は独壇場に等しい。氷化した肉体は水中での呼吸は不要。絶対零度の前には、凍りにくい海水も容易く凍結する。
「ありゃ~、だいぶまずいっぽいで~す……☆」
「いえいえ、数の優位で押し切るまでですよん☆」
 大技を連発される前に本体である氷華自身を叩こうと、大量の深海魚ロボットと大量のクローン達が迫る。
 氷華は即座に冷気を操作し、今度は自身の周囲の海水を凍てつかせた。
「これならどう? ……『氷雨』」
 先端の尖った杭の如き氷柱が幾つも幾つも、無限に作り出されては撃ち出されていく。横殴りの暴力と冷気が途切れることなく大群を押しとどめ一掃し、ついにはクローン装置へと到達する……
「……弾はいくらでもある」
 極大の氷柱が、中心の巨大真珠へと真横から突き刺さる──!
 涼やかな音と共に真珠の表層を走る、放射状の亀裂。
 その最も脆い部分を狙って、彼方で銃口が煌めいた。
「──撃ち抜いてみせます」
 未だ吹き荒れる吹雪の内側で、セルマの改造マスケット「フィンブルヴェト」が火を噴いた。吐き出された銃弾が、長く伸びる軌跡を描いて海中を一直線に貫き、真珠の表層を撃ち抜いた──!
 きらきらと輝きを散らしながら崩壊していく真珠。囚われていた人々の無事の姿を、二人の少女はしかと視認する。
「──やってくれました、ねぇっ☆」
 一瞬の弛緩を狙い澄ましたように、氷華の間近に女の声がした。
 たおやかな手が横手から氷華の腕を握り締めた。途端、触れられた部分の体内の水分が海水へと変じ、激痛が走る。
 が、氷華は揺るがない。海水に変じた腕も瞬く間に再凍結し、伝播する冷気がクローンの腕を逆侵食していく。
「……あたしの体は氷の異能を宿しているの。その攻撃は効かない」
「あ、あら~……っ☆」
「さよなら」
 極寒が全身に回るまで、ほんの数秒。
 軽快かつ涼やかにして致命的な破砕音と共に、クローンの身体は弾け飛ぶ。
 それは、残された全てのクローン達がほどなく辿る運命の体現だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクトル・サリヴァン
これだけ相手がいると厄介だなあ。
でもさっさとやらないと住民達も危ないだろうし、頑張らないとね。

陽動として行動。
水中用のランプを点灯し、クローン達の注意を惹き易いようにして装置へと近づくように泳ぐ。
その際他の猟兵からは距離をとるように動き、守りの陣を突破しやすいように。
ロボット達召喚したらその数に驚きつつも高速詠唱で全力込めたUC発動。
氷属性と渦潮合成して一気にロボット達を巻き込む形で攻撃する。
威力としてはクローン全てを倒すには足りないかもだけど一撃で消えるロボ達には十分。
そんな風に挑発しつつ、得意な水泳で攪乱続けよう。
装置壊れたら攻勢、UCの氷の渦潮で一気に殲滅しようか。

※アドリブ絡み等お任せ


闇之雲・夜太狼
ライアーヒーロー「クライウルフ」参上!
俺が来たからにはお遊びはここからだよ!

そっちが数なら俺は大きさで勝負!
UCで分身の俺たちを召喚!
そして横一列に並べて……
(疲れるからあんまりやりたくなかったけど)
【全力魔法】でサイズ変更、分身たちの巨大化だ!
本来のサイズ変更は俺と同じ大きさまでだけど、今回は15m級!
分身の俺たちに戦闘力は無いさ
でもこのサイズ……走り回るだけで脅威でしょ?
行くよ、アタック・オン・俺たち!

巨大分身を走り回らせながら、俺は自分を【念動力】で【空中浮遊】させて、
分身の陰で高い位置からクローン装置を探すよ
クローン装置を見つけたらそこまでひとっ飛び!
MAGのグーパンチ射出で攻撃だ!



●駆ける狼、泳ぐシャチ
「ライアーヒーロー「クライウルフ」参上! 俺が来たからにはお遊びはここからだよ!」
 張り切って大群の前に飛び出した闇之雲・夜太狼(クライウルフ・f07230)は、即座にユーベルコードを開放した。
「かわいいかわいい俺の分身たちを紹介するよ」
 弾ける閃光と共に次々現れ横一列に居並んだのは、狼人間姿の夜太狼自身と瓜二つの分身たち、総勢58体。
「あらあらほんとに可愛らしいですね~、数も見た目も☆」
「お姉さんたちで呑み込んであげちゃいま~す☆」
 いかにも侮ってかかってくるクローン達。
 怒涛の如く迫る美女の大群を前に、夜太狼は怖じず怯まず、全力で魔力を練り上げていく。
(「疲れるからあんまりやりたくなかったんだけど」)
 胸中でぼやきつつも、一気に魔法を分身たちへと注ぎ込む……
「そっちが数なら俺は大きさで勝負!」
 次の瞬間、58体の夜太狼たちがむくむくと巨大化し始めた! 驚き唖然と動きを止めたクローン達が見上げるその全長は、およそ15メートル!
「分身の俺たちに戦闘力は無いさ。でもこのサイズ……走り回るだけで脅威でしょ?」
 夜太狼はしてやったりと笑って、声を張り上げる。
「行くよ、アタック・オン・俺たち!」
 たちまち元気いっぱい駆けずり回り始める分身狼たち。どすんどすんと遠慮のない震動と地響きが超・大群を大いにかき乱していく。
 その様子を、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は少々離れた位置から眺めていた。
「派手にやってるなぁ。……おっと、装置のほうに行ってくれたね」
 暴れる分身の陰に隠れつつ海中を浮遊するように飛び出した夜太狼の姿を認めて、ならば自分は陽動に回ろう、とヴィクトルはさっそく水中用ランプを点灯した。夜太狼が侵攻しようとしている逆側から、装置へと近づくように泳いでいく。
「おっきい狼さんですね~、あれも敵なのでしょうか☆」
「みたいですよん、あんまり巻き込まれたくない感じですね~☆」
「じゃ、援護だけ出しておきましょうか……って、あらら、こっちからも敵襲みたいで~す☆」
 まだ分身たちの蹂躙にあっていない区画のクローン達が、ランプの光に気付き、救援に飛ばそうとしていた深海魚ロボット軍団をヴィクトルへとけしかけてきた。
 が、当然それは、ヴィクトルの思惑通り。
「これだけ相手がいると厄介だなあ。でもさっさとやらないと住民達も危ないだろうし、頑張らないとね」
 ぼやきつつも、ヴィクトルは高速詠唱を開始した。瞬間的に強大な魔力が爆発し、辺りに解き放たれる……!
 たちまち凍てつく渦を巻く海水。あたかも巨大竜巻の如き暴力的な渦潮が、殺到する大量の深海魚ロボットを呑み込み、一撃の元に破壊していく──!
 かすめるように通り過ぎる渦潮に、緊張感に欠ける悲鳴を上げるクローン達。
「きゃ~っ、冷たいです~~~っ☆」
「あんまり連発されたらまずいのです、先にあれを倒しちゃいますよん☆」
 狙い通り、かなりの数のクローン達の注意を引くことができた。敵大群が達者な泳ぎで迫りくるが、ヴィクトルとてシャチのキマイラとして、得意の泳ぎで負けるつもりはない。渦潮での牽制を入れつつ、旋回、急加速、急停止、ターン、立体的なジグザグ遊泳と、あらゆるテクニックを駆使してつかず離れずクローン達を攪乱していく。
「……さすがにこの数、キツイかな……っ」
 根比べが、徐々に数で圧倒するクローン達の優勢に傾き始めた、その時。
「──装置発見! MAG、グーパンチ射出、いっけぇぇぇぇ!!」
 夜太狼のワイヤー銃から発射された拳型のパーツが、巨大真珠を派手に叩き割る音が、戦場中に響き渡った!
 真珠の表面に縦に綺麗な罅が走り、まるで卵のように真っ二つに割れた。と同時、何かの力が減退したことを示すように、クローンの頭から足の先へと、青黒い影が駆け抜けた。
「あ、あらららら……☆」
「これは~……ええと……まずいの、では?☆」
 恐る恐るこちらを窺うクローン達に、ヴィクトルはゆるりと穏やかに微笑んだ。
「これでもう、一気に殲滅できるね」
 にっこり。
 一切の罪もてらいもない素直な笑顔と共に特大級の渦潮が逆巻き、どこか気の抜けるクローン達の悲鳴を大量に平らげていくのだった。

●レディ・オーシャンズ撃破
「あぁん、もうダメです~……☆」
「ばたんきゅ~~~☆」
 最後の最後まで緊張感に欠ける声を上げながら、次々に倒れ、泡となって掻き消えていく『量産型レディ・オーシャン』達。
 かくて、戦場となったアトランティスの一角で、一大勢力を築いていたレディ・オーシャンのクローン装置群は、猟兵の活躍により見事破壊し尽くされた。
 他の戦場では未だ戦いは続き、失われた文明の奪還は道半ば。
 しかし、この勝利はその確かな一歩として戦史に刻まれることだろう。
 戦いを重ねた先に、きっと『クライング・ジェネシス』との決戦が待ち受けている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月21日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト