「今回集まってもらったのは、帝都桜學府の手に負えなくなった『逢魔が辻』の対処を依頼したいからよ」
本来であれば、影朧を救済すべく出頭する帝都桜學府が、何らかの事情で対処することが出来ず、影朧が集団化してしまった地域『逢魔が辻』。
その対処を依頼したいと、グリモア猟兵の龍崎・紫苑(人間の剣豪・f03982)は口にした。
そしてその表情には、呆れが浮かんでいる。
「……桜學府の尻拭いかよ、って思った人もいるかもしれないけど、まぁ話を聞いてちょうだい、気持ちは分からんでもないけどね?」
そして話し始めた内容を要約すれば、次の内容だった。
・場所は、かつて富豪が住んでいたという豪邸。個人が持つには大きすぎるようにも思える敷地だったが、富豪は破産し、その後この敷地と建物を購入したものはいないこと。
・広い無人の敷地に影朧が住み着き、いつからか逢魔が辻として認定されていたこと。
・強い精神干渉を行う影朧が存在しているらしく、帝都桜學府単体での対処が不可能であること。
・無数の影朧の中で、一体だけ強力な力を持つ個体が存在すること。
「猟兵じゃない彼らにとって、精神干渉は抗いがたい物なんでしょうね。そこで、私たち猟兵が出張ることになったわけ」
それは仕方の無いことであると言える。
いくら影朧の救済を目的としていたとて、帝都桜學府の戦力と猟兵では比べるまでもない。
それは恐らく、精神的な耐性においても同じことだろう。
「精神干渉がどんな物なのか……私も予知することは出来なかったけど、なんにせよ気をしっかり持つことが大切、うっかり気を許してしまうような事がないように、気をつけてね」
そして、ゲートを開き、猟兵は現場へと向かう。
ゲートを超えた先にあったのは、かつては豪華絢爛な装飾の施されていたであろう建物の成れの果て。不気味さすら感じさせる程に薄暗く、錆びれた様子の巨大建造物。
そして、地面を跳ね回る、可愛らしい毛玉の姿だった。
篠崎涼牙
お久しぶりです、篠崎涼牙です。
ここの所体調不良やらなんやらで書く時間が取れなかったせいで、次作が遅れてしまいました。今回から復活していきます。
今回は初のサクラミラージュ、複数の影朧たちの討伐が目的のシナリオです。
第一章『サクラモフウサギ』
集団戦です。
可愛らしく野菜に吊られやすい、ちょろい姿にご用心、れっきとした影朧であり、討伐対象です。
数多くの帝都桜學府の構成員がその虜となっています。
その甘い誘惑をいかに耐えるかを明確に書いていただけるとありがたいです。
第二章『大文豪『名も無き者たち』』
集団戦です。
ただでさえ数が多いにもかかわらず、自らの物語から登場人物を呼び出し更に増えるため、複数人を巻き込んだユーベルコードの使用を推奨します。
第三章『雷禍』
ボス戦です。
名前の通り強力な雷撃を得意とする影朧であり、防御と攻撃の両立したプレイングが好ましいと思います。
久しぶりの執筆ですので、上手くできるかは心配ですが、プレイングお待ちしております!
第1章 集団戦
『サクラモフウサギ』
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POW : うさぎ(かわいい)
非戦闘行為に没頭している間、自身の【ことをかわいいと思った人は、良心 】が【咎めてしまうため戦いたくなくなる。よって】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD : ムシャムシャ……
レベル×5本の【その辺の草を食べることで、うさぎ 】属性の【モフりたくなるオーラ】を放つ。
WIZ : もふもふ
【自身の姿 】を披露した指定の全対象に【このうさぎをモフりたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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可愛猫・仮面
「むー。どんなにもふもふでも、ネコチャンの方がもふもふだし!」
幼女先輩は魅了されてるのかされてないのか……
ま、よいのである。
ひとまずはUCで「大きいネコチャンを呼ぶ」のである。
大きいネコチャンは大きいのであるからして、もふもふしたらうさちゃんたちもひとたまりもないのである。
というか大きいネコチャン、肉食であるし。
うむ。これぞ相手の攻撃を逆手に取った、良い作戦である。
さあ! 大きいネコチャンよ!
思う存分暴れていいのである!
猫派のお通りであるぞ~!
「ねこちゃんとにゃんちゃんとあたしが通るよ~!」
「……むー」
愛嬌を振り撒くように、小さなお尻を振ってぴょんぴょんと飛び跳ねる毛玉、サクラモフウサギの姿をみて、可愛猫・仮面(我輩は猫ではない・f23412)……を被る少女、幼女先輩は不服そうに口を開く。
「どんなにモフモフでも、ネコチャンの方がモフモフだし!」
あらゆる者を『モフりたい!』という衝動に襲わせる精神干渉を行う、サクラモフウサギ。
幼女先輩は、それをごく単純な理由。『他にもっとモフモフな物がある』という意識で乗り越えてみせた。
「……魅了されてないなら、何よりである。
それじゃあ、早急に来るのである! 大きいネコチャン
!!!!」
仮面が幼女先輩の代わりに叫ぶと、豪邸の塀を飛び越え、一匹の巨大なネコチャン(トラ)が現れる。
肉食獣の中で、ライオンと同じ知名度を誇るトラ。鋭く、研ぎ澄まされた刃のような爪牙、俊敏な肉体。
そして、ウサギたちを遥かに上回る体躯にビッシリと広がる、柔らかく手触りの良い毛並み。
完全なるサクラモフウサギの上位互換の召喚、さしものウサギたちも恐怖からか体が硬直してしまう。
「さぁ、存分に暴れるといいのである! 猫派のお通りであるぞ!」
「ネコチャンとニャンちゃんとあたしが通るよォ!!」
幼女先輩は、ネコチャンことトラに跨ると、うさぎ達の群れに突撃していく。
ウサギの誘惑を振り切り、猫派の二人組プラス一匹はウサギたちを蹴散らして、屋敷の奥へと向かっていった。
大成功
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辻・莉桜
微力ではありますがお力添えを
『逢魔が辻』を見過ごすわけにはいきません
さて
…かわいいですね
モフりたくなりますね!
そんなつぶらな目で見ないで
モフってしまうから、でも
【花散里】を抜き放ち、UC解放
一気に距離を詰め一刀のもと両断せんと
ご存知ないでしょうね、うさぎ
この世には猫という
もっともっともっと可愛らしい存在があるのよ!
あの様々な色の毛 まんまるな瞳
長く揺れるしっぽ しなやかな体躯
どれもが美しく可愛らしくすばらしい存在
猫に比べればうさぎなど物の数ではないの!
速度に乗って斬っていくわ
生まれ変わったらアンゴラになりなさい
そうしたら大事にしてもらえるから
絡み、アドリブ歓迎です
「……さて」
辻・莉桜(花ぐはし・f23327)は、現場へと到着するとひとつ、息を着くよう呟いた。
刀に手をかけ、和装に身を包むその姿は正しく大和撫子といった風貌で、落ち着いた雰囲気を纏っている。
「――――――可愛いですね、モフりたくなりますね!」
数拍、間を空けた後に口からとび出たのは、ウサギに対する自らの願望の吐露だった。
いかに猟兵、いかに大和撫子然としていても、その溢れ出るモフらせオーラは抗いがたいものだ。
今まで何人もの學府の隊員達ですら抗えず、行方をくらませてしまったのだから、それも仕方の無いことだろう。
内心を隠すことなく吐露した莉桜に、ウサギたちはまるで媚びるように、つぶらな瞳を向ける。
「あぁ、やめて、そんな目で見ないで……モフってしまうから……」
効果は、抜群のようだ。
可愛らしい容姿、ペットとして飼われることもある程の愛嬌、どれをとっても高水準なウサギの瞳は、心を大いに揺さぶる。
「――――でもっ」
カチャリ、刀――霊刀・花散里の鍔を押し出し、刃を覗かせる。体を前傾に、刀を握り、抜刀の構え。
直後、桜の花弁が舞い踊る。
抜刀の瞬間、一陣の風のようにウサギたちの元へと疾駆する。
幾度となく振るわれる刃。刀身に光が反射し、舞い踊る花弁を照らして、その一帯は幻想的な空間へと変貌を遂げた。
足を止め、納刀。
ふぅ、と息をつき、ウサギたちが横たわる後方へと、莉桜は振り向いた。
「ご存知ないでしょうね、ウサギ」
なぜ、刀を抜くことが出来たのだろうか。
モフらせオーラを直に受け、つぶらな瞳で直視され、もはやウサギにメロメロであったはずの莉桜が、やぜ刀を抜くことが出来たのか。
それは――――――
「この世には猫という、もっともっと可愛らしい存在があることを
!!!!」
――――――彼女が、猫派だったからだった。
「あの様々な色の毛、真ん丸な瞳。長く揺れる尻尾にしなやかな体躯、どれもが美しく、可愛らしく、素晴らしい存在。
それに比べればウサギなんて、物の数ではないのよ
!!!!」
莉桜は猫にぞっこんだったのだ。それはもう、頭の上がらないほどに。
そして、ウサギたちの(モフモフオーラの)猛攻を凌いだ莉桜は先へと進んでいく。
逢魔が辻を見過ごす訳には行かない、そんな使命感を胸に秘めながら。
大成功
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リュヌ・ミミティック
・心情
ん、おーっ魅惑の、もっふ、もふーっ
・行動
ん、おー?
確かにもっふもふ、だけれど、僕だってお狐様として負けられない戦いだと思ってるので!
【誘惑】しかえしちゃうんだからねっ
「ん、おー! もふ、も、ふ、なら、負け、な、い、から、ねー!」
どうだー僕のふわっふわの耳と尻尾に耐えられるかな?
さて、かわいい子たちをもふっとしたあとは、狐乃雨でえいやってしちゃうね
猫憑き季月、ダフィット、一緒に頑張ろうね
・補足
ん。ん、が最初に必ずつき、変なところで区切ってしゃべるのが癖
(おー、魅惑のもっふ、もふーっ)
ウサギ達のことを、1歩引いたところで眺めていたリュヌ・ミミティック(狐薊の鳴き声・f02038)は、脳裏に浮かんだ言葉を合図に、足を進め始める。
可愛らしく跳ね、フリフリとしっぽを振って振り撒くその愛嬌は、オーラも相まっていっそう強く、見るものの心を大きく打つ。
「んっ、おー! 確かに、も、ふ、もふだ、けど、負けな、い、から、ねー!」
けれど、その誘惑に負けることはない。
リュヌにはお狐様としての矜恃が、同じ『モフモフ』を持つものとしての対抗心があった。
ずんずんと、ウサギたちの群がる場所へと進んでいき、自分の武器を持ち出した。自分自身のモフモフ、耳としっぽを。
誰かにモフられることには慣れていても、モフることはなかったウサギ達は、初めての感覚に動揺して、興味津々にしっぽや耳をまさぐっている。
「んっ、それじゃ、あ、お狐様、が、通る、よ!」
そして、その動揺を突くようにして、空中に現れた無数の透き通るほど綺麗な狐が、雨のようにウサギたちへと降り注ぐ。
「……んっ、じゃあ、みんな、で、いこ、う、かー」
傍らに抱く猫憑き季月と、現れた白竜を従えて、先へと進む。
モフモフ勝負は、リュヌの勝利となったのだった。
大成功
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御剣・刀也
うさぎねぇ。まぁ、うさぎは確かにかわいいが
俺の女のほうが遥かにかわいい
というわけでお前らにはかわいさは感じない
というか、食うこともできないウサギには最初から興味がねぇよ
非戦闘行為に没頭することがないのでウサギを片っ端から捨て身の一撃、二回攻撃でがんがん斬り捨てていく。
こちらを見つめてきても特に何も感じることなく、普通に、何の感慨もなく斬り捨てていく。
戦おうともしないのを切るのは少し気が引けるかもしれないが
「戦おうともしない奴を斬るのはあれだが、お前らは敵。運がなかったと思ってあきらめてくれや」
「うさぎ……ねぇ……」
御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は、ゲートを超えた先の光景を見ると、肩を竦めた。
うさぎたちの放つ、モフらせオーラは非常に強力だ。猟兵達にとっても気を抜けば意識をモフりに持っていかれそうになるほどに。
しかし、そんな中でも刀也は淡々と、反応もなく歩いていく。
「――――――悪いが、俺にとっては女の方が可愛い。お前らには魅力を感じねえよ、食えねえしな」
そして、刀に手をかけ、一閃。
飛び交う剣閃が奇跡を描き、空中にさながら流星群のように浮かび上がる。
そこに罪悪感や、なにか思いを抱くことは無い。
刀也にとって、このウサギは敵だ。
たとえこちらに害を与えなくとも、いずれは世界に大きな悪影響を及ぼす。
その芽を事前に摘むのは、猟兵たちの仕事だ。
周囲のうさぎを一通り両断し、刀を収める。
「戦わない奴を斬るってのは、少しあれだがな。お前らは敵だ、俺たちにとってな。
運が悪かったと、諦めてくれや」
そう一言だけ告げて、その場を歩き去っていく。
ウサギたちの姿は、もうその場にはなかった。
大成功
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第2章 集団戦
『『大文豪』名も無き者たち』
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POW : 何故、お前たちは評価される?
対象への質問と共に、【評価されなかった自身たちの著作】から【有象無象の登場人物たち】を召喚する。満足な答えを得るまで、有象無象の登場人物たちは対象を【周囲のあらゆる武器たりえるもの】で攻撃する。
SPD : 何故、我々は評価されなかった?
対象への質問と共に、【評価されなかった自身たちの著作】から【有象無象の登場人物たち】を召喚する。満足な答えを得るまで、有象無象の登場人物たちは対象を【周囲のあらゆる武器たりえるもの】で攻撃する。
WIZ : 何故、『大文豪』は評価されなかった!?
対象への質問と共に、【評価されなかった自身たちの著作】から【有象無象の登場人物たち】を召喚する。満足な答えを得るまで、有象無象の登場人物たちは対象を【周囲のあらゆる武器たりえるもの】で攻撃する。
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可愛猫・仮面
なるほど次は文豪たちであるか!
相手が数で押すのなら、こちらも数で押すのである!
UC「ネコチャンを呼ぶ」にてねこちゃんロボをたくさん呼ぶのである。
そしてネコチャンの捕まりそうで捕まらないところを強化し……
ネコチャンが攻撃を避けたら他の者に当たる、すなわち「ネコチャンなら仕方ないね」作戦である。
もちろん、ネコチャンは一撃で消滅するのであるからして、決して有利とは言えない作戦であると思う。
しかし、ほどほどに敵を撹乱できるのである!
撹乱できれば他の猟兵が戦いやすくなるのである。
うむ、我ながら完璧であるな!
「にゃんちゃん、かくれよ~」
うむ! 我輩たちは隠れるのである!
何故なら、肉弾戦は苦手だからである!
「なぜ。貴様らは評価される?」
次に現れたのは、人間と姿の変わらない形をした、影朧だった。
その瞳には、嫉妬や憎悪の入り交じった視線が猟兵たちへと向けられる。
そして、手に持つ本にペンを走らせると、そこから無数の『登場人物』が飛び出してくる。
一体一体は有象無象だが、数が増えればそれは驚異となり得る。
可愛猫は、それに気づくとすぐさま詠唱を開始した。
「早急に来るのだ、ネコチャンよ!!」
ガシャンガシャン、金属の駆動する音が響き始める。
そしてそれは、可愛猫の背後からどんどんと現れ、影朧たちに向かって突き進んでいく。
それは、猫型の小型ロボットだった。
登場人物とほぼ同じ数が現れたそのロボットたちは、集団を掻き回すように動いていた。
猫たちの耐久力はさほど高くはない。有象無象の登場人物であれど、攻撃されれば粉砕されるだろう。
しかし、それでも撹乱には充分だった。
『これが、ネコちゃんなら仕方ないよね!作戦である!!』
可愛猫は混乱する登場人物たちを見ると、意気揚々とそう告げた。
「にゃんちゃん! 隠れよう!」
そういう幼女先輩に従うように、その場から身を隠す。
可愛猫たちは、肉弾戦には滅法弱いのだ。
しかし、ロボットたちによって登場人物たちは混乱し、倒すことは容易となっているだろう。
大成功
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御剣・刀也
文豪か
俺にはどうもわからん職業だな。俺は剣豪だ
ただ一つの道で食っていくことの苦労はわかる。それは生半可な覚悟でできることじゃないからな
お前らはその道を誤ったんだ。今度はもっとまっとうに生きるんだな
質問されたらそれに正直に答えつつ出てくる登場人物を斬り捨てながら文豪に迫っていく
登場人物たちの攻撃は第六感、見切り、残像で避けるか、武器受けで防御してカウンターで斬り捨てるかしながら文豪に迫り、捨て身の一撃で文豪を斬り捨てる
「評価されないことなんて山ほどある。けど、大事なのは一度の失敗でめげないことだ。何度でも挑戦する気概。それが大事なのさ」
「文豪か……俺にはどうもわからん職業だな」
刀也は登場人物を刀で斬り捨てると、そう呟くように吐き捨てる。
文豪と剣豪、たった一つの道を極め、それを職とし生きていくことの辛さを理解していないわけではなかった。
古くから伝わる流派の正当な後継者故に、剣以外の選択肢を得ることが出来なかったという前提こそあるが、しかしそれでもこうして生きることが出来るのは、自らの挫折にも向き合い、不調を乗り越えたからにほかならなかった。
何をするか、その選択肢の中から選んだ文豪という道に進み、その中での選択を誤ったのはこの影朧たちだ。
「俺は剣豪だからな、ひとつの道で食ってくことの苦労は分かる。だがな、道を踏み外しちまったら終わりだ」
その言葉に激昴したのか、文豪はさらにペンを走らせる。
その意志に呼応するように、多くの登場人物が刀也へと襲いかかる。
『何故、お前たちは評価される?』
「さてね、俺はやりたいことをやっているだけだ。他人の意見なんか気にしないね」
一人が包丁を持ち、振り下ろすと刀で払い除け、横殴りに蹴り飛ばす。背後からの不意打ちを察知しては、後ろ回し蹴りからの刀の振り下ろし。真正面からの突撃は、その頭に刀を突き立てた。
やがて、数が減ったからか文豪の元へとたどり着く、一条の道が姿を現す。
「……終わりだ」
駆け始めると、もはや周囲の攻撃は気にする事はない。
体のあちこちに傷が出来るが、しかし致命的なものはなく、やがて文豪に肉薄し、一閃。
その首を、遠慮なく跳ね飛ばした。
「評価されないことなんか、いくらでもある。大事なのは、一度の失敗にめげず、臆せず、何度でも挑戦する気概さ。
生まれ変わったら、次は真っ当に生きな」
消えゆく文豪を尻目に、再び刀也は走り出す。
文豪は一人ではない。まだ何人も残っているのだ。しかし、登場人物が減少したことにはほかならず、完全殲滅にも、微かな希望が見え始めた。
大成功
🔵🔵🔵
辻・莉桜
そうね、評価というのはいつの時代もほしいもので
その判断基準は曖昧だと思うのよ
UCを解放、【花散里】を抜き放ち
斬り捨てながら答えを返すわ
では、貴方達は誰に評価されたかったのかしら?
名もなき読者たち?
名だたる批評家?
それとも…文豪自身?
誰にも評価されぬものなどありはしない
どんな作品でも「描かれただけで価値がある」
あなたの耳に入らなかっただけで
評価されていた可能性は十分にあるのよ
それでも納得しないのなら、私が評価してあげるわ
この登場人物たちの個性的なこと
そして凛々しく、生き生きとしていること
こだわっていたのは名声ではなくて?
だとしたら、それを捨てねば真の文豪にはなりえないわ
絡み、アドリブ歓迎です
猟兵たちの活躍で、登場人物の人数は着実に減少している。しかし、本体である名も無き文豪を倒さなければ、登場人物たちの出現が止まることは無い。
そして、そんな大勢の登場人物に囲まれながら、莉桜は佇んでいた。
「……評価を求めた結果、評価を持つものに嫉妬して影朧になった……みたいな流れですかね」
実際の流れはどう言ったものかは知らない。ただ、今の現状を見る限りは、そのように類推する他ない。
「そうね、評価というものはいつだって欲しいもの。他人の目に触れるようなものならば、尚更ね」
彼らの書くものは、必ず誰かの目に留まる。
そして、善し悪しの評価をされる。
誰にも評価されなかったわけじゃない、耳に届いていないだけ。
もしくは。
自分に都合のいいものしか受け入れようとしなかっただけ。
『何故お前たちは評価される?』
問いかけと共に、3人の登場人物が、それぞれの武器を持って、莉桜に襲いかかる。
「評価されようとして、何かをしてるわけじゃない。私は成すべきことをして、結果他人からそれを評価されているだけ」
抜刀。
同時に花弁が舞い踊る。
桃色の軌跡と共に、振るわれる登場人物たちの武装を斬り裂き、そのまま体を回転させ、三人を同時に両断する。
『何故我々は評価されなかった?』
新たに生まれた登場人物が、再び迫る。
「評価されなかったわけじゃない、貴方たちがそれを受け入れようとしなかっただけ」
しかし、それすらも容易く斬り伏せる。
加速と刀の切れ味に、並大抵のオブリビオンは耐えることはできまい。
「…………貴方たちの書く登場人物は、イキイキとしてる。私たちを襲ってくるようにね。
それでも貴方たちが満足しなかった……」
静かに、莉桜は文豪を見据える。
刀を構えて、一歩踏み込む。
「貴方が欲しかったのは、こだわっていたのは、名声じゃなくて?」
私欲に塗れ、作品を書いていては、真の文豪にはなれない。
そう告げながら、文豪との距離を刹那の間に駆け抜け、その体を斬り裂いた。
「真の文豪が何たるかを、考え直してからやり直しなさい」
そう指摘し、刀を収めると、他の文豪の元へと走り去っていった。
大成功
🔵🔵🔵
リュヌ・ミミティック
・心情
ん、おー? 自分、に自信、がない、から?
ん。ん。それとも、他人の、せい、に、する、か、らー?
人に、きか、な、きゃ、いけな、い時点、で、貴方達の、弱さ、なの、か、も、ねー
・行動
ん、おー、猫憑き季月、ダフィット、一緒に頑張る、よー
さっきはもふもふ、今度はつめたーい水、で、攻撃、だーっ
敵を盾にして、かばったりしつつ、ダフィットで近づいてきた敵にはえいやーってさすね
僕は、周りを助けるためにとにかくたくさんの敵を巻き込むよー!
・補足
最初に、ん。ん、がつき、変なところで区切ってしゃべるのが癖
文豪が筆を走らせ、登場人物が乱舞し、猟兵たちが立ち向かう。
そんな様子を上空で、ダフィットに跨りリュヌはそれを俯瞰していた。
「……ん、おー? 自分、に自信、がない、から?」
首をかしげ考えるのは、文豪たちの言葉の理由。
誰かに評価されていなければ、自分はダメなんだと錯覚してしまうような矜恃を胸にしていたのか。
「ん。ん。それとも、他人の、せい、に、する、か、らー?」
はたまた、自分が評価されていないのは、あいつのせいだと。
同じ文豪の、優秀な人間に嫉妬し、自ら向上しようとしなかったからか。
真実は定かではない。全ては既に影朧となった眼下の文豪たちの胸の中にある。
ただ、一つだけ思うのは――
「……ん。人に、きか、な、きゃ、いけな、い時点、で、貴方達の、弱さ、なの、か、も、ねー」
『誰かに認めてもらわねばならない』彼ら自身。それが、彼らの弱さなのではないか。確固たる自分が無く、他人の評価に依存したが故に、現在の成れの果てになってしまったのではないか。
そんな、厳しくも憐れみを感じさせる結論だった。
「ん。それ、じゃ、あ、猫憑き季月、ダフィット、一緒に頑張る、よー」
そして、リュヌはひょいと、ダフィットから飛び降りた。
自由落下。
空中で身を翻し、落ちながら小さく言葉を口ずさみ、それを合図に周囲を雨粒が狐を象ったような、透明の矢が現出する。
そして、眼下の登場人物たち目掛けて一斉掃射。
頭上からの奇襲を完全に度外視していたのか、回避行動を取らせることも無く、一人、また一人と仕留めていく。
人数が少なくなると、地面にはダフィットが既に着地していた。
その巨躯は登場人物や文豪の抵抗も許さず、腕を振るい、尾を揺らすだけで、それは蹂躙となった。
「ん。おー、次は、頑張、って、ねー」
そして、誰もいなくなった場所に小さく、しかし確かな激励の言葉を残し、リュヌは仲間を引き連れて、最後の戦場へと歩みを進めた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『雷禍』
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POW : 雷抛
【怒れるままに電撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 雷珠
【雷球】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 穿雷
【怒り】を向けた対象に、【積乱雲からの雷】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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可愛猫・仮面
雷であるか……うむ、ロボには分が悪いのであるな。
しかも鳥なので飛んでるのである。
地形攻撃も効果はいかほどか……
となればUC「大きいネコチャンを呼ぶ」の出番である。
大きいネコチャンは先述の通り肉食であるから、鳥だって食べるのである。
我輩たちはネコチャンを応援しつつ、石を投げるなどのサポートに回るのである。
雷はちょっと怖いであるが……
「にゃんちゃん、がんばろ?」
……うむ。我輩も頑張るのである、幼女先輩。
辻・莉桜
これは強そうね、さすが逢魔が辻
では、桜のショウタイムと参りましょうか!
UC解放 一気に接敵
放たれる雷球の位置を【第六感】で探りながら回避を実施
【空中戦】だって負けはしない
【衝撃波】を地に放ち、その衝撃で空中へ
そのまま【2回攻撃】も駆使して斬るわ
狙いはその大きな翼
【部位破壊】で届けばいいのだけど
当たる雷球は【オーラ防御】でカバー
多少しびれても落下しても諦めたりしない
さあ、覚悟して
ここは雷が降るよりも桜が降るほうがお似合いだわ!
絡み、アドリブ歓迎です
御剣・刀也
でっけぇ鳥だな。
鷹だか鷲だかはわからんが、空の王と気取ってるなら地上に叩き落して斬り捨てるのみだ
雷抛で雷撃の嵐を放って来たら第六感、見切り、残像を駆使して避けつつ接近し、捨て身の一撃で斬り捨てる
雷撃が金属製の刀を狙って集中してくるのならば、獅子吼を相手の眼前に投げて、ダッシュで近づいて雷撃が集まっているならジャンプしてグラップルで翼をへし折り、ある程度雷が収まっているなら獅子吼を握って捨て身の一撃で斬り捨てる
「空を飛んでるやつとやりあうのは初めてじゃないんだよ。残念だったな。お前はここの王様じゃない」
リュヌ・ミミティック
・心情
ん、おーびりびり、さ、ん?
猫憑き季月、ダフィット、が、んばる、よー
・行動
ダフィットで攻撃するね。
【傷口をえぐる】ようにしてダメージを蓄積させていくよ!
猫憑き季月で味方を【かばえ】たら攻撃をかばうけど、僕はあえて攻撃にあたろう
君ならきっと……この戦況を変えられるだろうから
【戦場乃朋友】を使えるようになるまでは、攻撃メインだよ
できるだけ猫憑き季月で【フェイント】して、攪乱しちゃえーっ
・補足
ん、ん。が最初につき、変な所で区切って喋るのが癖
――――雷鳴が轟く。
猟兵達がウサギ、文豪と、オブリビオン達を突破し、たどり着いた先にいたのは、稲光を纏うようにして空中に佇む一羽の怪鳥。
『雷禍』――――それがこの逢魔が辻の主である影朧の名だ。
「…………これは、強そうね」
抜刀しながら、莉桜は思わず声を漏らす。
空を支配するかのような圧倒的威圧感、それが今までの影朧とはレベルが違うのだと知らせていた。
「……ん、びりび、り、さん? おっ、きい、ね」
リュヌもまた、その威圧感に押されていた。ダフィット、猫憑き季月という、心強い味方に加えて、他の猟兵たちもいるが、それでも不安を感じずにはいられない。
「……やはり、雷は怖いであるな……」
可愛猫に関してもまた、同じだった。
自らのもつ力で出来ることは、空を飛ぶ怪鳥に対して決定打とはなりえない。そんな相手と相対しては、少し弱音が出てしまうのも致し方ない。
「…………だがまぁ、倒せない相手じゃあない」
しかし、刀也は依然として臆する様子なく、刀を構え不敵に笑んでいた。
「空を飛ぶ敵なんてのは、今までで何度も戦ってきてる。そんでこっちは四人だ、負けることなんてそうそうねぇさ」
自分に対して言い聞かせるように、そしてどことなく引け腰になっている仲間たちへの激励を兼ねて、そう言い放つ。
逃げた所で、どうしようもない。相対したのならば、力を持って捩じ伏せるまで。そんな確固たる意思の言葉。
そして、その言葉に励まされたのか、緊張に引き攣り気味だった猟兵たちの態度は、普段のものへと戻ってきていた。
「……そうね、逃げたって仕方ない。私たちが負けることなんてないわ」
「……ん、負けな、いよ。いこう、か、みんな」
「そうであるな、頑張るのである!早急に来るのである! 大きいネコチャン!!」
猟兵たちは覚悟を決め、戦闘準備を済ませると、怪鳥の奇妙な鳴き声が空へと響いた。
自らに歯向かう人間達の存在、それは雷禍の逆鱗に触れるに十分なものであった。
奇声にも思える甲高い咆哮と共に、その体から周囲を焼き払わんとばかりに、無数の雷撃が無差別に放たれる。
地面を砕くほどの雷撃が走る中、猟兵たちの対応は各々冷静なものだった。
前衛を務める、刀也と莉桜は、自らの第六感によって、感覚的に雷撃の位置を把握。落下地点から身を翻して回避を続けていく。
可愛猫は事前に呼び出しておいた大きいネコチャンに指示をするようにして、雷撃の隙を伺っていく。呼び出したネコチャンは、肉食だ。鳥であるならば、食べられないことは無いと考えての事だった。
そしてリュヌは、ダフィットの背に乗り空中を飛翔し、雷撃を回避していく。白竜と雷鳥による空中戦が展開される。
「ん、ダフィット! い、くよー!」
雷撃の間隙、全方位に無差別で放ち続けることは出来ないことに気づくと、空中を大きく旋回。ダフィットの研ぎ澄まされた鋭利な爪が雷鳥の翼に、浅くはあるが確実な一撃を放つ。事実上の先制攻撃を決めたのは、猟兵側だった。
そして、届いた一撃に激昴したように、雷鳥はリュヌたちへとその意識を向ける。
「よし、俺たちも行くぞ!」
「言われなくとも、さぁ、桜のショータイムと参りましょうか!!」
「む、我輩も参加するのである、行くのである! 大きいネコチャン!!」
雷鳥の意識がリュヌとダフィットへ向くと、地上の三人も攻勢に移る。
桜が舞い散る、花弁を纏った莉桜は、勢いの弱まった雷撃が、落ちる前に通り過ぎるという、高速移動による恩恵を最大限に生かし、雷鳥との距離を一気に縮めていき、刀也もそれに続くように、勢いよく地面を蹴りつけ、空中へと飛び出す。
大きいネコチャンも、その巨躯に相応しい速度で地面を駆け巡り、雷鳥を撹乱する。
「喰らいなさい、桜花乱刃!」
「どこ見てやがる、余所見できる立場だと思ってんのか鳥野郎!!」
接敵し、間合いに雷鳥を捉えると、刀也はその刀で翼を根元から切り落とすように振り下ろし、莉桜は纏った桜の花弁を刀へまで延長し、桃色の斬撃を一閃、返しの刃で二閃と放つ。
空中の敵へと意識が向き、地上では大きいネコチャンが撹乱していることもあり、その二人の斬撃は盲点だったのか、雷鳥の肉体を確かに切り裂いた。
「よし、この調子でならいけるのである、この調子で大きいネコチャンも頑張るのである!!」
再び響く悲鳴、それに勝利のビジョンが各々見えてきているようで、猟兵たちの表情には希望が見え始める。
――――しかし、大人しくやられてばかりいる雷鳥ではなかった。この逢魔が辻の主であるのだから。
奇声。
周囲への無差別雷撃が止み、しかしそれは、雷鳥の周辺に新たな脅威を生み出す合図であった。
雷撃は空中に留まるようにして、球体を象ると、全猟兵たちの元へと放たれる。その速度は雷撃と大差なく、万全の状態であれば回避することは可能だろう。
しかし、空中での自由の効かない場合、また地上での戦闘能力が十分でない場合はその限りではない。
跳躍したことで空中にいる刀也、地上で大きいネコチャンへと指示を出していた可愛猫たちにとっては、それは確かな脅威となる。
「ななな! これは危険である
!!??」
「ちっ! 鳥のくせに知恵の回る!!」
悪態をつくが、それだけ。体を動かすよりも先に、攻撃が届いてしまうことだろう。
「……っ! ん、猫憑き季月! ダフィット!」
しかし、それを止めるべく動いたのは、リュヌだった。
猫憑き季月を可愛猫の元へと、ダフィットを刀也の元へと飛ばし、猫憑き季月はその雷球を受け止め、ダフィットは刀也を迫る雷球から遠ざけるように、その背に乗せて飛翔した。
しかし、代わりにリュヌはその雷球を回避するすべを失い、ダイレクトに雷球を受け止めることとなる。
「ぐっ、ぁぁぁぁあ!」
激痛、雷電による痺れ、思わず声を我慢することは出来なかった。
致命傷は免れたが、しかし戦闘続行は不可能、その一撃でリュヌは『瀕死』へと陥る。
そしてそれは、リュヌの計画通りとなっていた。
空中から静かに、地面へと落下していくリュヌ。それを地上で優しく受け止めるものがあった。
可愛猫や刀也はもちろん、莉桜は自らに迫る雷球の対処で対応は間に合わない。
ならば誰か、それはその場にいる中で知り得るのはリュヌただ一人だった。
「ん、おー……君、と、もうい、ちど……一緒に戦い、た、かったん、だ……。よか……った、おねが、い、ね……」
痛みに耐えるよう笑みを浮かべリュヌが瞳を閉じると、リュヌを受け止めた『九尾の狐』は、静かに雷鳥の方へと視線を向ける。
そして、音にならない言葉を紡ぐと、周囲に水滴が生み出される。
そして、それらは槍のような形を象ると、宙を舞う雷鳥目掛けて、一斉に射出される。
回避されないように、放たれ続けるその槍の雨はまさしく対空射撃を彷彿とさせる。
躱すように旋回していく雷鳥だが、その無数の槍は無慈悲にも雷鳥の体を穿ち貫く。
「誰だかわからねぇが助かった。さっさとケリをつけに行くぞ!!」
「わかった、猫ちゃんはリュヌさんの方に行ってあげて!」
「わ、わかったのである!!」
莉桜の指示に可愛猫は頷くと、リュヌの元へと走っていく。その時には既に、あの九尾の狐の姿はなくなっていた。
「この一撃で決める!」
「散々やられたけど、ここでチェックメイトよ!!」
槍で貫かれ、空中を落下していく雷鳥。
そこ目掛けて、桜を纏った莉桜と、全霊の力を込めた刀也二人が跳躍する。
「もう一回、桜花乱刃!!」
再び放たれる、花弁による無数の斬撃が雷鳥の体を切り裂き、そして――――
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」
上段に振り上げた刀に全身全霊の力を込める。文字通りの、渾身の一撃。
「――――雲耀の太刀!!」
空中で宙返りをするように、前転しながらの勢いを乗せた一撃。
それは雷鳥の体へと到達すると、その体へと刃はめり込み、鮮血を散らすようにして、その肉体を両断する。
逢魔が辻を支配する影朧の主は、今ここに討伐されたのだった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年12月08日
宿敵
『雷禍』
を撃破!
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