アースクライシス2019⑦~悪に染められて
●汚染された世界。
スカムキングの本拠地、ダストブロンクス。ニューヨークの地下に広がる、広大な下水道迷宮だ。
張り巡らされた下水道に流れる汚染水はびちゃり、びちゃりと漏れ出し、時に勢いよく噴き出す。
常人であれば顔をしかめる色、におい、粘り。
しかし少女は自らその噴出口の前に立ち、うっとりとした表情でそれを浴びるのだ。
「とても素敵ですよね。可愛い子たちが自由を奪われ、染め上げられていく姿って。私、とっても楽しみです」
汚染された水がローブをつたい、滴り落ちた。
●誰にも汚せぬモノ。
「諸君! ニューヨークの動乱を防いだ手腕、見事であった! ダストブロンクスへと突入するぞ!」
ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド(黄金存在・f16449)が声をあげた。
「今回向かってもらうのはダストブロンクス上層部! 複雑に入り組んだ迷宮だ! まずはここを突破しなければならぬ!」
今ここを叩かない限り、ニューヨークの脅威は去ったとは言えない。
だが、それは容易ではないとゴッドは続けた。
待ち受けるは悪堕ち魔法少女・ユカリ。
石化、凍結、麻痺など自由を奪う魔法を得意とする元正義の魔法少女だ。
しかし、その心は悪に堕ち、今はオブリビオンとしてスカムキングに従っている。
「この地には汚れた下水が流れている! 下水管の隙間や穴、あるいはマンホール……あらゆる所より汚染水が噴き出す! そして同時に、諸君を阻まんと立ち塞がるオブリビオンは、汚染水によってダメージを回復する特徴を持っているのだ!」
回復されてしまえば、いかに猟兵であろうと苦戦は必至。
汚染水を浴びさせぬよう、策を練って挑む必要があるだろう。
例えば、回復に向かった瞬間を狙って吹き飛ばすなどして、物理的に距離を離す。
周囲を観察し、汚染水が噴き出さない場所へと敵を誘い込む。
あるいは、噴出口そのものを塞いでしまったっていい。
回復させずにダメージを与えていけば、必ず限界は訪れるはずだ。
「どれだけダメージを与えても、倒す前に回復されては意味がない! 難しい戦場だが、諸君ならば必ずやこれを突破してくれると、ゴッドは信じている! さあ、準備の出来たものから、向かってくれたまえ!」
納斗河 蔵人
お世話になっております。納斗河蔵人です。
アースクライシス2019、ダストブロンクス・アッパーのシナリオです。
ダストブロンクス上層を突破するため、汚染水によって回復するオブリビオンを倒しましょう。
今回、下記のようにプレイングボーナスが存在します。
プレイングボーナス……敵を汚染水から引き離す。
このボーナスを得る事ができれば戦いを有利に運ぶことができます。
それでは、プレイングをお待ちしています。よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『悪堕ち魔法少女・ユカリ』
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POW : 出てきて!私の秘密兵器!
いま戦っている対象に有効な【相手の自由を奪うマジックアイテム】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
SPD : これが私の研究成果ですよ!
【体を痺れさせる「痺れ薬」】【あらゆる物を凍らせる「凍結薬」】【意識を奪う「麻酔薬」】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 私のコレクションにしてあげますね!
【魔法のステッキ】から【生物を石に変える魔法の光】を放ち、【石化】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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ユカリは噴き出す汚染水に包まれながら、猟兵たちの訪れを待っていた。
「さてさて、私のコレクションにふさわしい、可愛い子は来てくれますかね!」
ローブの内側に納められた薬を確かめ、手にした杖を軽く振る。
「どんな相手でも、動けなくして可愛がってあげますからね!」
無邪気な笑顔の裏に、オブリビオンとしての本性が見えた。
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「うえーん、臭くて気持ち悪いよー」
フィオ姉ちゃんと一緒に、魔法少女を汚染水に触れさせないようして倒すよ
【行動】()内は技能
「魔法使いが変な目で見られるから止めてほしいよね」
汚水塗れの魔法少女に呆れながら戦闘開始
「フィオ姉ちゃん、危ないよ」
魔法の光が飛んで来たらグアルディアン・サトゥルノで相殺するよ
吹雪の攻撃で魔法少女が怯んだら一気に反撃
「氷の迷宮に閉じ込めちゃえー」
(高速詠唱)でラビリント・ネプトゥノを発動。
狭い場所だから迷宮効果は薄いけど、汚染水から魔法少女を引き離す作戦だよ。
後は氷の通路でロンギヌスの槍を叩き込んで魔法少女をやっつけるよ
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「悪に堕ちても下水道はないわね」
■作戦
弟と連携して汚染水を凍結し、氷壁でユカリを囲って汚染水から隔離する
■行動
「ちょっと信じられない状況ね」
汚染水を浴びるユカリに顔を顰めながら銀翼杖を突きつける
「速攻で終わらせるわよ」
問答無用で【フィンブルの冬】を発動。[範囲攻撃]にすることで周囲の汚染水を凍らせ
ユカリの回復手段を封じていく
「フォルセティ、今がチャンスよ」
弟に氷の迷宮を作り出してもらい、氷壁でユカリを囲い完全に汚染水から絶つ
後は迷宮内で弟と連携して【ロンギヌスの槍】を[全力魔法]で唱えユカリを追い詰めていく。
「早く片付けて地上に戻るわよ」
「うえーん、臭くて気持ち悪いよー」
じめじめとした空間。漂う悪臭。下水道迷宮の劣悪な環境にフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)は不満を漏らす。
汚染物質そのものなスカムキングとその配下にとってはそうではないのかもしれないが、多くの猟兵にとってこの状況は好ましいとは言えない。
「そうね……たとえ悪に堕ちたとしても、下水道はないわね」
「だよねー」
フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)の言葉にフォルセティも同意する。
それでも、行く手を阻むオブリビオンを倒すため、ひいてはその奥に控えるスカムキングや所在不明のクライング・ジェネシスを倒すためにも。止まるわけにはいかないのだ。
そうして進むうち、少し開けた場所へとたどり着く。走る下水管が上下に複雑に絡み合い、何かが噴き出す音が聞こえる。
その中心、星の飾りをつけた魔法帽をかぶった一人の少女が噴き出す汚染水を浴びながら、視線を二人へと向ける。
フィオリナへ、フォルセティへ。二人の姿を認めると口を開いた。
「あら! 可愛いお姉さんに少年! これはこれは、ようこそ! 私、ユカリです!」
ユカリは汚れた水を浴びながら笑顔で語り掛ける。
「これは……ちょっと信じられない状況ね」
「魔法使いが変な目で見られるから止めてほしいよね」
その有様に二人は顔をしかめた。
確かに、この光景は異様だ。もし彼女が汚染水によって回復するという情報がなかったならば、動揺を誘われたかもしれない。
「ふふ、あなたたちもすぐにそんな風には思わなくなりますよ! さあ、かかってきなさい! そして……」
そこでユカリは杖を振るい、にっこりと笑いながら言った。
「私のコレクションにしてあげますね!」
言葉と共に放たれた光。それは生物を石に変える魔法だ。
「フィオ姉ちゃん、危ないよ!」
が、それを素直に受ける二人ではない。フォルセティが魔法で盾を作り、それを遮る。
帽子に飾られた月がきらりと光った。
「よくやったわ、フォルセティ。さあ、速攻で終わらせるわよ」
その影からフィオリナが銀翼の杖を振るえば、辺りに冷気が走った。
「むむ、これは!」
「氷の檻に閉じ込めてあげる。氷結へ導け、黄昏の吹雪よ!」
呪文を唱えれば、その姿は光り輝く白銀のドレスへと変化していく。
と、同時に辺りに凍てつく雪が吹き付けた。
強力な冷気の魔法、『フィンブルの冬(インビエルノ・デ・フィンベル)』。彼女の力をもってしても負担の大きい魔法はその代償に見合うだけの効果を示す。
すなわち、噴き出す汚染水そのものを凍らせる。それだけの力を持っていた。
「ああ! なんてことをするんですか! お楽しみの時間が短くなってしまいます!」
「そんな時間は、最初っからないよ!」
「ええ、早く片付けて地上に戻るわよ」
凍てつく吹雪の中、自身の有利を奪われ戸惑うユカリ。魔法の光を放ち形勢を逆転しようとするが、彼らのもとへは届かない。
その時すでにフォルセティは次の一手を完成させていたのだ。
「フォルセティ、今がチャンスよ」
「うん、いくよ! 凍結を抱きし冷雪の英霊よ。彼の者に封縛の柩を捧げよ」
光は霧に飲み込まれ、その力を失っていく。『ラビリント・ネプトゥノ』が生み出した霧が戦場を覆う。
「あー! いけません! 可愛いお顔が見えないじゃないですか!」
駆けだそうとするユカリ。しかしその行く手もまた氷の壁に阻まれる。
「いたっ……」
「氷の迷宮に閉じ込められたんだよ! これで汚染水には近付けないね!」
「よくやったわ、フォルセティ。後は……」
ユカリは氷の迷宮をさまよう。
そうするうちに彼女は一点、霧が薄い場所に気付く。その先に見えるのは、光明。
「よし、まずはここを離れて回復を……」
「そうはいかないよ!」
「狙い通り、ね」
だが、そこに待ち受けていたのは、時間をかけて十分に練られた魔力。
フォルセティとフィオリナ、二人の力が混ざり合い、強き光となる。
「しまっ……」
たった一つの出口。敵がそこを目指してくるのは当然だ。
「フォルセティ、行くわよ」
「フィオ姉ちゃん、任せて」
放たれた力はユカリを穿ち、氷の迷宮ごとその身体を吹き飛ばしたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シャルボン・フランヴェルジュ
アドリブ、絡み歓迎。
【WIZ】
まったく人を一旦拘束するためならいざ知らず、人をコレクションにするために固めるとは理解に苦しむよ。
そんなにコレクションが欲しいなら君がコレクションになるといい!
ボクは魔剣の【属性攻撃】で灰を確保してUC"灰の舞踏装束"で、辺りを一面を汚水噴出穴ごと塗り固め、それから彼女を灰で覆って拘束していくよ!
どうだい逆にコレクションにされる気分は?これに懲りたら…あれ、…杖が光って…?
(噴出穴を固めた後、ボスを灰で覆ってる最中にカウンターで石化されてしまう。汚水対策は出来たものの、ボスに石像として可愛がられてしまうのであった)
テフラ・カルデラ
アドリブ・絡み可
SPD
以前に戦ったことある相手です!大体のことは熟知しております!!
それに…試してみたいこともあるのでチャレンジなのです…!
相手に気づかれないようにユーベルコード『対生物固化蝋液津波』を発動させつつも近づいて石化や凍結などについて熱くお話し(して時間稼ぎ)しましょう!
ちなみに蝋ってドロドロで浴びると割と癖になっちゃうのですぅ~♪
え?何か大きな音がするって?ふっふっふ…気付いたってもう遅いのですぅ!たまには動けなくされる側になっtがぼぼぼぼっ…
(蝋の津波がテフラとユカリを巻き込み、引いた後には無様なポーズで全身蝋まみれのまま固まった二人が…ついでに汚染水が噴き出す場所も塞がれる)
「猟兵……さすがです! ダメージは大きいですが、回復すればまだ……!」
先の戦いで大きなダメージを受けたものの、かろうじて追撃を免れたユカリ。
汚染水が噴き出す場所はまだある。だがそれを目前に、二人の猟兵が立ち塞がった。
「あなた、以前にもお会いしましたね!」
その姿に、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)が声をあげる。
「あら、可愛らしい男の子! どうやら別の私はあなたをコレクションにし損ねたようですね……!」
オブリビオンは過去の残滓。元は同じでも、記憶は必ずしも共有されていない。
そのやり取りにシャルボン・フランヴェルジュ(契約魔剣(ただしご主人募集中)・f22312)はため息を漏らした。
「まったく人を一旦拘束するためならいざ知らず、人をコレクションにするために固めるとは理解に苦しむよ」
「あら、こちらも美少年。でも、理解は求めませんよ! 私は私の欲を満たすだけですので!」
辺りには汚染水が噴き出す場所がいくつか存在していた。
ユカリはそれを浴びて回復を図りたい。しかし当然それを許すはずもない。
シャルボンは本体でもある魔剣を振るう。赤熱した先端は辺りのごみやほこりを灰に変え、悪臭が少しだけ和らいだ。
「どうやらあなたたちを倒さなければ回復もできないようですね! でしたら先にあなたをコレクションにしてあげますね!」
魔法のステッキを突き付け、ユカリはポーズをとった。
「そんなにコレクションが欲しいなら、君がコレクションになるといい!」
対するシャルボンも剣を突き付ける。
それと同時。その周囲に漂っていた灰が意思を持ったように動き出す。
「むむ、これは!」
その意図にユカリも気付く。噴き出していたはずの汚染水が徐々にその勢いを弱め、ついには止まる。
シャルボンの『灰の舞踏装束(サンドリヨンドレス)』が灰から石灰を生成し、噴出口をふさいだのだ。
「さあ、これで回復はできなくなった。お次は君にドレスをプレゼントだよ!」
剣を振るえば、灰はユカリを包むように動き、手から足から自由を奪っていく。
「どうだい逆にコレクションにされる気分は?」
「ああ! コレクションにするのはこっちのほうなのにー!」
動きを封じられながらも欲を隠そうともしない。
そんな姿にシャルボンはその剣で止めを刺そうと一歩一歩、彼女へと近づいていく。
「これに懲りたら……」
「なーんて」
しかし、その力は失われてはいなかった。自由を奪われながらもユカリの魔法は発動していたのだ。光が辺りを包む。
(えっ?)
次の瞬間。シャルボンの姿は石へと変わっていたのだった。
「うふふ、いろいろ言っていましたけれどこうしてコレクションになってしまえば可愛いものですね!」
灰はコントロールを失い、ユカリは自由を取り戻した。その手をシャルボンの頬に伸ばす。
「こういう、何があったかわからない、っていう表情、いいですよねぇ」
「わかりますぅ! 自由を奪われる気持ち、表情……だんだんと動かなくなっていく感覚……」
(ええー……)
なんとユカリに同調するテフラ。シャルボンは自由を奪われながらも意識はある。ドン引きだ。
「ええ、ええ! わかってくれますか!」
「石化や麻痺もいいですけれど、蝋もいいですよぉ! ちなみに蝋ってドロドロで浴びると割と癖になっちゃうのですぅ~♪」
「でしたら私の秘密兵器とか……」
(なんで意気投合しちゃってるの?)
石と化したシャルボンを前に二人の会話は止まらない。
しかしその間にもテフラの策は着々と進行していたのだ。
「素晴らしいですね! よもやこんなところで同志に出会えるとは……って、なんです、この音?」
回復も忘れて語り合っていたユカリが何かに気付く。その時にはもう遅かった。
「ふっふっふ……気付いたってもう遅いのですぅ!」
テフラは会話を繰り広げながらも『対生物固化蝋液津波(ペイント・ザ・ワックス)』を発動していたのだ。
唐突に現れた巨大蝋燭に気付く事もなかったユカリを尻目に蝋は溶けだしており、今、洪水となって襲い掛かる!
「しまっ……」
「たまには動けなくされる側になっtがぼぼぼぼっ……」
(えっ、これボクも巻き込まれるんじゃ)
……そこに居た全員に。
蝋はテフラを、シャルボンを、ユカリを包みこむ。
ちょっとここで記すにははばかられる格好の蝋人形となった三人は、身動きも取れぬまま蝋の洪水に押し流されていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
サトー・コゴロー
▼アドリブ・連携大歓迎(SPD判定)
▼心情
いくら回復するとはいえ少女が汚染水を浴びるのはNGダロ。止めさせてモラウ。
▼方針
まずは戦いやすい場所を探して他猟兵と情報共有
相手を誘いこめたら逃がさないことを優先して戦う他猟兵と可能なら連携
▼行動
敵に見つからないように(目立たない)(忍び足)で(情報収集)して(コミュ力)で他猟兵と情報共有。
決戦場所で汚染水が出ないように(罠)や糸で細工をする。
劣勢の(演技)をしながら決戦場所(逃げ足)で誘導。
決戦場所では逃がさないように(時間稼ぎ)を行い敵がucを発動したらこちらもuc《オペラツィオン・マカブル》を発動する。
雨音・玲
頭いてぇ…スカムキングの趣味なのか?
あぁコレが良く聞く「腐女子」ってやつか?
むしろいうなら「汚女子」かな?
お願いされてもコレクションとマジ勘弁だわ
ただ元は良さそうだし、とりあえずシャワー浴びて着替えてから出直してほしいかな?
軽口で挑発、
野生の勘をフルに使い、攻撃を躱しながら
隙を見せたところで「スキルマスター「クイック」」で一気に距離を詰め
汚染水が噴き出る瞬間に合わせ汚染水が触れない方向に向かって
思いっきり属性攻撃で炎を宿した炎拳を鳩尾に突き入れ吹き飛ばします
あぁ~マジ最悪だ
女は殴りたくねぇってのにさ
しかもぬるぬる…
(興奮するその手の趣味はない)
はぁ、ただよ…俺の炎で多少は乾いたんじゃねぇか?
どろり、とユカリの体から蝋が滴り落ちる。
先の戦いで押し流され自由を奪われていたが、もともと彼女は拘束を得意としている。それを抜け出す方法も。
それ故に苦労はしたがどうにか脱出し、失った体力の回復を図っていた。汚染水は目前だ。
「いくら回復するとはいえ、少女が汚染水を浴びるのはNGダロ」
もちろん、それは猟兵たちを突破する事ができれば、であるが。
行く手を阻むサトー・コゴロー(強化人間の人形遣い・f23719)はそんなユカリの姿に言葉を投げかける。
「あら、私結構好きでやってるんですよ。かつて正義と呼ばれたことのある私が悪堕ちした……その時のことを思い出すみたいで」
「頭いてぇ……スカムキングの趣味なのか?」
ユカリの言葉に雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)はかぶりを振った。
「コレが良く聞く「腐女子」ってやつか? むしろいうなら「汚女子」かな?」
「呼び方はどうぞご自由に。私は私のやりたい事をするだけですから。可愛いお人形さんに……」
ユカリはコゴローのに従う人形たちに目をやり、次に玲に視線をやる。
「黒い鳥さん。私のコレクションになってもらいましょう!」
「そうはさせなイ。止めさせてモラウ」
「お願いされてもコレクションとマジ勘弁だわ。なんか匂うし、蝋まみれだし。ただ……」
そこで言葉を切り、玲はにやりとしながら言うのだ。
「元は良さそうだし、とりあえずシャワー浴びて着替えてから出直してほしいかな?」
「ここに在るのは汚染された水のシャワーだけですよ。あなたたちも浴びたらどうですか?」
汚染水の噴出口こそ存在しているが、この場所はコゴローが見つけ出し既に戦う準備を整えたフィールドだ。
「残念、そこから汚染水は出ナイ」
ユカリは回復を図るもののそこは既に細工され、汚染水が噴き出す事はない。
「誘い込まれていたという訳ですか……でしたら!」
そういうとユカリは懐に手をやり、瓶を二人へと投擲する。
これこそが彼女の得意技。相手の動きを封じる薬を用いた戦い方だ。
「おっと、当たりはしない!」
素早い動きではあったが玲はその兆候を見逃さなかった。彼の避けた数瞬後を薬瓶は通り抜け、壁に当たってがしゃりと割れる。
一方。コゴローは投げられたうちの一つ、麻酔薬をその身に受ける。
「アー」
「そのまま寝ていてください! あとでしっかり固めてあげますからね」
ユカリは玲を追うべく駆けだそうとする。しかし、その足は糸に絡めとられた。
「えっ……」
「こういうの、あんまり効かないんダヨ。いろいろサレタカラ」
コゴローの意識は失われる事無く働き続けている。相性が悪かったか。
「だったら、こっち!」
ユカリもひるむことはない。続けざまに凍結薬を放ち動きそのものを封じようとするが……
「アー……ナニカしたカ?」
命中したはずの薬はコゴローに影響を及ぼさない。『オペラツィオン・マカブル』によりその影響はからくり人形へと伝えられ、放出される。
「やりますね! でも、それが何度も続きますか!」
「イツカは届く。そうかもしれナイ」
「ところが、何度もやらせはしないんだな」
玲だ。十分に離れていたはずの彼の姿がいつの間にか目前に迫っていた。『スキルマスター「クイック」(クイック)』によって高められた高速移動の力で一瞬にして距離を詰めたのだ。
「きゃあっ……」
その拳には炎が宿る。勢いを乗せたその拳はユカリの鳩尾に突き刺さり、その身を遥かまで吹き飛ばした。
「あぁ~マジ最悪だ」
「どうしたんデス。戦果としては十分ダロ」
振りぬいた拳を見つめると、玲は突然かがみこんだ。
「女は殴りたくねぇってのにさ。しかもぬるぬる……」
コゴローの言葉に拳を見せつけると玲ははぁ、とため息をつく。
「女がヌルヌルになってるのが好きな男もいるらしいゾ」
「俺にその手の趣味はないんだよ。でもまあ……俺の炎で多少は乾いたんじゃねぇか?」」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
樫倉・巽
なんであろうと斬れば良い
それだけのことだ
手傷を負わなければ治す必要はない
ならば傷を治しに行くときほど好機
弱っていると言うこと
刀で敵の攻撃をいなしつつ
汚染水のある場所、吹き出す場所を確かめながら
動きを鈍らせるために相手の足を狙って攻撃を続ける
相手が弱ってきたら汚染水が出る場所を背するようにし
相手が汚染水のところを目指すのを待つ
しっかりと足の向き、目線、筋肉の動きを観察し
相手が汚染水を目指して移動しようとしたら
一気に踏み込み全ての力を込めた一撃
鉄別ちを放つ
相手の守りごと真っ二つにするべく
鋭く踏み込み上段から一気に刀を振り下ろす
汚染水が噴き出すようなら切り捨てて止める
「こう見えてもきれい好きでな」
楠葉・狐徹
【WIZ】
まずは敵の石化魔法は【怪力】と【グラップル】を組み合わせ、床の一部をぶっこぬいてそれを盾にして防御。反撃にフォックスファイアを敵に放つ
敵が回復に向かったら今度は【怪力】と【グラップル】で床や壁の一部をぶっこぬいて汚染水の噴射口を塞いでしまう。それでも足りない場合は敵をありったけのフォックスファイアで包み込んでしまう
「これだけの炎があれば汚染水も蒸発するんじゃねぇか?」
「見た目は可愛いが…凶悪な奴だな。ならば俺も殺意を増幅させて挑むとしよう!」と上記の行動が上手くいったら浄玻璃刀を抜いて敵に接近し、【2回攻撃】と【なぎ払い】を組み合わせた刀の一撃をくらわせる
※アドリブ・連携OK
汚染水による回復を阻まれ続けたユカリへのダメージの蓄積は大きくなっていた。
荒く息をつき、魔法のステッキを杖になんとか回復を、と複雑な地下迷宮を目的の地点へと急ぐ。
しかし、彼女を追う猟兵は少なくはないのだ。
「おっ、いたいた。あんただな、俺たちの敵は」
軽いノリで話しかけてくるのは楠葉・狐徹(表裏一体の刃・f17109)だ。
「むう……か弱い美少女相手にもうちょっと優しくしてはくれませんかね」
「オブリビオンが何言ってんだか」
「なんであろうと斬れば良い。オブリビオンと猟兵、それだけのことだ」
その隣で淡々と告げたのは樫倉・巽(雪下の志・f04347)。鋭い眼光でユカリの姿をしかと確かめる。
「やはりあなた方を倒さない限りどうにもならないようですね!」
「そういうことだ」
「わかってるじゃねーか。それじゃ、早速始めようぜ」
二人の腰には刀。対するは魔法少女。
「これは距離を詰められたら危ないですね! ならば!」
とユカリは石化の魔法を放つ。
その光の先に居たのは狐徹だった。
「俺をその程度でしのげると思ってもらっちゃ困るな、っと」
軽口をたたきながら彼はぐっ、としゃがみ込み、床へと手をかける。
「よっ、と」
力をこめれば床ははがれ、一枚の大きな板となる。それを掲げれば光は阻まれ、力を失った。
「な、なんと!」
「ほう、やる」
驚きの声をあげるユカリと感嘆の声を漏らす巽。その間も狐徹の動きは止まらない。
影から現れたのは狐火。『フォックスファイア』の炎だ。
「くっ……炎は拘束に向かないから苦手です!」
「ならちょうどいいじゃないか。この炎で汚染水ごと蒸発させてやる!」
噴き出す汚染水も炎に阻まれユカリへは届かない。その隙に剥がした床を放り、噴出口も次々と塞いでいく。
しかし想定外のことはおこるもの。突如頭上の下水管に亀裂が入り、汚染水が漏れ出した。
「やべっ!」
「やったっ! これで回復を……!」
狐徹が床板を放り、炎を向けるが間に合わない。ここまでの戦いが無に帰すか、と思われたその時。
「悪いが、そうはいかない」
視線すら向けていなかったはずの巽の一刀が振るわれる。その閃きにユカリの動きが一瞬遅れた。
「こう見えてもきれい好きでな。俺も汚染された水を浴びたくはないのだ」
「くっ……」
一度光明が見えただけに彼女のショックも大きい。このわずかな時間で起死回生のチャンスは奪われた。狐徹が既に亀裂を封じたからだ、
「回復をしたくて焦っているな。容易く動きを読めるぞ」
「な、ならば仕方ありません! 出てきて! 私の秘密兵器ー!」
そこでユカリはここまで温存してきたマジックアイテムを取り出す。
現れたのは無数の魔法の鎖だ。
「それっ、行きますよ!」
「むっ……これは」
鎖を振り回し、刀をからめとらんとする動きに巽は身を屈める。頭上を風が通り抜けた。
「おっ、これはいけますかね! トカゲさんもかわいいと言えなくはありませんし、拘束させてもらいますよ!」
その光景に狐徹がひゅう、と口を鳴らす。
「見た目は可愛いが……凶悪な奴だな」
ならば、と彼もまた刀を抜き放ち、距離を詰めんと動き出す。
浄玻璃刀の水晶の如き刀身がきらりと光を反射した。
「ならば俺も殺意を増幅させて挑むとしよう!」
狐徹の纏う雰囲気が変わる。凍てつくような気迫。されど狐火の炎は辺りを焼く。
鎖の無軌道な動きと石化の光を二人はよく見極め、紙一重で躱し続ける。
「みえてきた……お前の動きが」
「足の向き、目線、筋肉の動き……分かるぞ、お前の狙いが」
しかし形勢は少しずつ猟兵へと傾き始めた。
剣豪と妖剣士、二人の剣士はユカリの動きを見切りつつあったのだ。
「なんでですか!? こんな短時間で!」
「それが経験と覚悟の差というものだ」
迫りくる鎖の隙間を静かに、少しずつ距離を詰める。
針の糸を通すような精密な動きに鎖は届く事はない。
「見えたぜ……お前の殺し方……!」
最初に届いたのは狐徹の浄玻璃刀。膨れ上がる殺意がユカリをひるませる。
「ひっ……」
がきん、と音がする。ここはかろうじて魔法のステッキの防御が間に合った。
「やるな。だが、この一太刀で終わりじゃない」
続いて踏み込んでくる巽の大上段からの一撃が迫る。
彼の使うただ一振りの刀、砂塵渡りが鉄をも断ち切る鋭さを以って振り下ろされた。その名も、『鉄別ち(クロガネワカチ)』。
「斬れぬもの、無し」
研ぎ澄まされた一撃がユカリの手のステッキを真っ二つに割り、その身へと刃を届かせた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
中村・裕美
「……状態変化萌えとか……そう言うジャンルは……手を出したこと……ないわね」
相手の放ってくる薬品の動きや軌道などを見切って、空間へ【早業】で【ハッキング】して【ステルスボム】を起動させて防御とともに攻撃も行う。あと、ある程度命中しても、薬品であるならば【毒耐性】で耐えられるかもしれない。
「……このくらいの毒……邪竜を体に入れる時に比べれば」
更にエナドリ飲んで【ドーピング】
また、【情報収集】で汚水の場所を把握。予め【罠使い】で指向性をもたせたステルスボムを空間に設置。相手がそれで回復を図るなら、近づいた時を見計らって爆破し、吹き飛ばして汚水から遠ざける。
「……回復の暇なんて……与えないわ」
アイリス・ヴォルフェルト
むぅ、元正義の魔法少女ですか
守護騎士として複雑極まりないですけど、今は悪のオブリビオンなら倒すしかないですね
私に有効な自由を奪うマジックアイテム?
なにが出てくるか分かりませんが真っ向から迎え撃ちます!
盾で防いで剣で叩っ切るのみです!
もし拘束された上で排水場所で一緒に汚水浴びせられそうになったら、全力でどうにかして振り解いて【ノックバック・シールドバッシュ】を叩き付けて吹き飛ばします!
例え私が汚水塗れになっても汚水補充や回復だけは絶対に阻止してみせます!
……いや、私だって騎士だけど女の子だから汗や血、泥で汚れるのは覚悟してても汚水塗れになるのは本当なら嫌なんだけどね?
アドリブ歓迎です
もろくなった床が崩れ落ち、ユカリは一つ下の層へと落下する。
これは幸運だったのか、不幸だったのか。
体力の消耗と、魔法、打撃、斬撃……様々なダメージは彼女を確実に追い詰めていた。
しかしそれでも、汚染水の力があれば挽回できる。だからこそその足が止まることはないのだ。
「……こんなところにまで侵入されてるなんて。流石は猟兵……と言ったところですかね」
まだここは上層部だが、着実に猟兵たちの歩みは進んでいた。
ならばここで少しでも足止めをしなくてはなるまい。
「むぅ、元正義の魔法少女ですか。守護騎士として複雑極まりないですけど……」
そう漏らすのはアイリス・ヴォルフェルト(守護騎士・f15339)だった。鎧に身を包み、剣に盾。いかにも少女騎士、と言った出で立ちだ。
その隣でふらり、と全く違った雰囲気を放っているのは中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。ユカリの手にする薬瓶を目にぼそぼそと、何やら口にし始めた。
「……状態変化萌えとか……そう言うジャンルは……手を出したこと……ないわね」
そんな二人にユカリは言うのだ。
「まぶしいですね。正義って言葉を信じてるんだ。……でもね、心の内から溢れだす欲望に抗うことはできないんです! あなたたちもコレクションにしてあげますよ!」
杖を失ったユカリはローブからいくつもの薬品を取り出し、投擲する。
石化の魔法はあれがなくては使えない。ある程度接近しなければ戦うことはできないだろう。
「……単純な投擲ならば……軌道の推測は容易……」
飛来する薬瓶が、突如空で弾ける。ひとつではない。ふたつ、みっつ。猟兵たちに届く事無く、その中身をぶちまけた。
「なっ……」
「既に……設置は……完了」
裕美は空間そのものに接触し、見えない爆弾『ステルスボム』を張り巡らせていた。三次元座標を瞬時に読み取り座標を指定し、設置。
その神速の解析と判断はユカリの研究成果を彼女たちへと届かせなかった。
「お見事! 彼女が悪のオブリビオンなら倒すしかないですね。あの薬はお任せしました、私が前に出ます!」
アイリスは盾を構え、ユカリへと迫る。薬による拘束への対策は裕美に任せ、接近戦を挑むべく前進する。
「ならばこちらも! 出てきて! 私の秘密兵器!」
言葉と共に放たれたのは粘り気のある液体のようなもの。宙を舞ったそれは突如何かにぶつかり、地面で爆発がおきた。偶然ステルスボムに接触したのだ。できた穴から汚染水が噴き出す。
「おっ、このマジックアイテムは……触れたたものを地面に引き寄せる粘液!」
「説明……乙……」
粘液の存在により軌道が変わった。本来届くはずの無かった場所にまで薬が届く。
距離を取っていた裕美にも薬品が降りかかった。
「……このくらいの毒……邪竜を体に入れる時に比べれば」
しかしそれでも一瞬動きが、判断が鈍る。迎撃のための爆発が間に合わない。
「くっ……」
迫りくる粘液をアイリスは真っ向から迎え撃たんと剣を振るうが、接触と共に絡めとられ地に取り落としてしまう。
「それでも、私は、止まりませんっ!」
その身に薬品の飛沫が、噴き出した汚染水が降りかかる。覚悟しているとは言えど、望んで触れたいものでは無い。
しかし騎士としての信念、強靭な意思で突き進む。
盾にも粘液が張り付き、下方向への力がかかる。だが勢いはおさまらない。
「守護騎士の盾を舐めないでください!」
それは『ノックバック・シールドバッシュ(ダイスヲフッテクリティカルヲダセ)』。
からん、と何かが転がる音がした。
「う、うわあああ」
盾が、ユカリに叩きつけられる。
その衝撃に耐えきれずユカリは吹き飛ばされ、壁へと大きなひび割れを作った。
「はぁ……はぁ……」
アイリスは肩で息をしながらも、盾を支えにまっすぐと敵の姿を見据える。
ユカリはぐらり、と膝から崩れ落ちた。
――しかし、そのかすむ視界の視界には、ぽたりと滴り落ちる汚染水が見えるではないか。
ここにきて何たる幸運か。これさえあれば回復できる。
「これさえ、あれば……!」
アイリスも裕美も動けない。
ならばきっとたどり着く事ができる。
しかし、その向こう側で。裕美がゴクリと喉を鳴らした。
袖で口の周りを拭きながら、言うのだ。
「……そうは……いかない……回復の暇なんて……与えないわ」
伸ばした手が届こうかと思われた瞬間。爆炎があがった。
ドラゴンエナジーを喉に流し込むことで、薬の影響から立ち直った裕美の爆弾。起動が間に合ったのだ。
「あ……」
宙に舞うユカリをアイリスは悲しそうな瞳で見つめていた。
爆発によって噴き出した汚染水は雨のように彼女へと降り注ぐ。
だが、その傷がいえることはもはやなかった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年11月17日
宿敵
『悪堕ち魔法少女・ユカリ』
を撃破!
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