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アースクライシス2019⑨~超時空鋼鉄巨人

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #ラグランジュポイント


●ビームハイウェイ
 ラグランジュポイント。地球と月の重力安定点であるそこには、宇宙船群の上に築かれた知られざる文明が存在した。エリア51――グルーム・レイク空軍基地を制圧した侵略宇宙人プルトン人たちの拠点である。
 このラグランジュポイントへの反撃のため、米軍は「ビームハイウェイ」という光線を照射し、その進行ルートを照らし出すことに成功した。そして、プルトン人から奪取した一人乗りUFOに猟兵たちが乗り、ラグランジュポイントへ攻勢を仕掛ける作戦が開始されたのだった。

 ――だが、ラグランジュポイントに向かう猟兵たちの前に、巨大な番人が立ちふさがる。


「皆さんっ、今日は天才美少女アイドルのテティスちゃんのコンサートに集まってくれてありがとうございますっ!」
 いきなりボケたことを言っているのは、何かの間違いでグリモア猟兵になってしまったテティス・ウルカヌス(天然系自称アイドル・f12406)であった。
「今回のコンサートは、ラグランジュポイントに侵攻するためのビームハイウェイを守る番人を倒しに向かう皆さんを応援するためのものなのです! その番人は『鋼鉄巨人ゴーワンダー』です! 今回は特撮のお仕事なんですねっ!」
 猟兵の任務を芸能界の仕事だと勘違いしているテティス。鋼鉄巨人との戦いも特撮の撮影だと勘違いしているようだ。テティスの発言は気にしないでほしい。
 猟兵たちには、UFOか自力の飛行手段でビームハイウェイに向かって『鋼鉄巨人ゴーワンダー』を倒してもらいたい。
「それで『華麗な空中戦』をおこなうと、なんかボーナスが出るみたいですよ?」
 敵は全高20メートルにも及ぶ巨体の持ち主だ。攻撃力が高い反面、小回りが効かない。そこで『華麗な空中戦』で敵を翻弄することで、有利に戦いを運ぶことが出来るだろう。
「華麗な空中戦といえば、やっぱりワイヤーアクションですかねー? あとはスタントマンのように磨き抜かれた技術で空中を飛び回ったり、空中サーカスをしたりでしょうか?」
 『華麗な空中戦』は、一人乗りUFOで華麗に戦ってもいいし、飛べる猟兵は自力で飛んでも構わない。また、他の仲間のUFOの上を飛び交うというような戦い方も華麗だろう。そのあたりは各自で工夫して欲しい。
 なお、戦場は高高度の大気圏内だ。空気や重力はあるので心配する必要はない。
「それでは、皆さんのために一曲歌いますねー!」
 皆様、耳栓のご用意を――。
 こうして、数分間、音響兵器として周囲に被害を撒き散らした後、テティスはようやくグリモアを輝かせたのだった。


高天原御雷
 このシナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結し「アースクライシス2019」の戦況に影響を及ぼす特殊なシナリオとなります。

 オープニングをご覧いただきありがとうございます。グリモア猟兵をローテーションさせてたら、ついにこんなネタキャラを出さざるを得なくなった高天原御雷です。シナリオ内容はいつも通りなので、適当な説明でも大丈夫ですよね?
 さて、ビームハイウェイ五本目のシナリオになります。ボスを撃破し、ラグランジュポイントへの進軍ルートを確立しましょう。
 特に、いかに華麗な空中戦を展開するかを意識してプレイングをお送りください。
 以下、詳細です。

●目的
 一人乗りUFOに乗って進軍し、ボスを撃破すること。(戦場は空気や重力がある高高度になりますので空気などの心配は不要です)

●特殊ルール
 華麗な空中戦を展開するとプレイングボーナスが付きます。UFOは使っても使わなくても可です。
 UFOで空中戦をしたり、自力で飛んで華麗に戦ったり、味方のUFOを足場にして戦うなど、工夫して『華麗な空中戦』をおこなってください。

●一人乗りUFOについて
 プルトン人から奪取した一人乗りのUFOです。円盤型やロケット型など様々な形状がありますので、ご指定があればプレイングに記載してください。
 特に形状についての記載がなければ、レバー二本で操縦する円盤型(半球形のキャノピー付き)の形状で描写いたします。

●プレイング採用について
 本シナリオは戦場制圧のため、11/18朝までのシナリオクリアを目的としています。最低限のプレイング採用となる可能性が高くなると思いますが、戦争クリアへ向けてご了承いただければと思います。
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第1章 ボス戦 『鋼鉄巨人ゴーワンダー』

POW   :    剛腕ロケットパンチ
単純で重い【ロケットパンチ】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ワンダービーム
【額の三日月からビーム】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    ワンダーロケットモード
全身を【ワンダーエナジーのオーバーレイ】で覆い、自身の【これまでに受けたダメージ】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
何かよく見かける気がしますが、この方は量産機だったのですかねぇ?

『F●S』3種を展開、【白翼衣】を使用して参加しますねぇ。
最初は出来るだけ死角に入る様移動しつつ回避を優先、『FSS』は相手の攻撃の受け流しを重視しつつ『FRS』と共に[範囲攻撃]&『連射(2回攻撃)』と[援護射撃]に用いましょう。
その上で、隙を見て巨人さんの目前まで迫り、【翳華】を使用、全身を『ブラックホール』に変換して吸収しますねぇ。
『ブラックホール』との質量差を考えれば、全身であっても吸収は容易ですし、逃がれるにしても部位の一つ程度は「食べて」しまえるでしょう。
その後は、皆で確実に仕留めましょうかぁ。


ココロ・シントレイト
カガセオ(f18239)と連携
アドリブ・他連携歓迎

ロボだー!これは間近でデータを取らないと!
ん、この人型UFO…あれ?キミ猟兵?
ゴメンゴメン、まあ時間ないしサポートは任せて!
――なんか妙にしっくりくるシステムだし。変なの

出発前に【防護膜展開スプレー】を味方に使用
カガセオの【支援用コックピット】から支援行動するよ
行動選択は全てカガセオに!

データリンクして【視力】【情報収集】を共有・強化
俯瞰視点で敵の行動を【見切り】複数ルートを【早業】で検出!

同時に【次元錨】の座標を検索、設定
目標は――敵がオーバーレイしたエナジーの間隙!
【拡張コンパスカッター】で空間に穴を開けたら希望者全員【指定UC】で突入だ!


カガセオ・セヴンティーン
ココロ(f22240)と連携
アドリブ歓迎

偵察機として後発になるのは歯がゆい所だが、任務は果たす
ん?誰だ俺に乗るのは。何、勘違いした?
いいか、俺は過酷な宙域を――おい待て
なぜ俺の支援システムを知ってる
なんとなく…ええい時間だ、マシな働きをしてくれよ!

味方のルート策定と攪乱行動が主目的
【マヒトツ】とココロの情報支援から、最も攪乱効果がある高難度ルートを選択
障害物は【モクレン】の【クイックドロウ】で迎撃
【グラビティドライブ】を【指定UC】が発生するまで目一杯稼働し引き付ける
ココロのUCで突入したら【シナツ】と【ヤタ】を攻勢モードで撃つ

よく分からんがこの女にはいい格好をしないといけない気がするのでな!


ミスタリア・ミスタニア
あぁ?なんだ、こいつまた出たのか
ハッ、何度だってデブリに変えてやるよ

今回もUFOじゃなくて自前の鎧装で出撃するぜ
宙間戦闘の主役は鎧装騎兵だと何度でも教えてやるさ!

さぁて、前回の戦訓も取り入れて、より効果的になった対艦戦闘のアレンジマニューバを見せてやるぜ
なんだ死角が多いのは改善されてねぇのか?この前と同じトロいだけのデカブツかよ!
死角から死角に移動して翻弄しながら突っ込むぜ
懐に潜り込んだら対艦攻撃用パイルバンカーで装甲をぶち抜いてやる!
装甲吹っ飛ばしたら、そのままメガビームランチャーの銃口ねじ込んでゼロ距離で対艦ビーム砲をお見舞いしてやる
ハッ、これでいっちまえよやぁぁぁぁぁぁ!


フィーナ・ステラガーデン
また!?またなのアンタア!!
どんだけ躯の海が嫌なのよ!
そこらへんのヒーローでもそろそろ挫折するわよ!?
不屈な精神持ち合わせすぎよバカア!

ふう。で!戦闘ね!
そーねえ。今回はUFOか他の猟兵さんが何か乗っけてくれるならそれに乗りたいわね!
UFOでも何かでもとりあえず運転中にロケットパンチに合わせて飛び【空中戦】を用いて落ちながらUCをぶっ放すわ!
やっぱり狙いたくなるロケットパンチの接合部よ!
今回は誰かが落下を助けてくれるとか思わないわ!策があるのよ!
落ちるなら飛べばいいのよ!UCの爆風で!!(飛ばされるとも言う)
爆風で飛んだ先のこと?
そんな後のこと考えてないわ!!
(アレンジアドリブ連携大歓迎!)



●最後の鋼鉄巨人
 地上からラグランジュポイントへと至る光の道、ビームハイウェイ。その高高度の上空を守るラグランジュポイントの部隊がいた。それが5機の量産型『鋼鉄巨人ゴーワンダー』たちである。
 だが、この防衛部隊もすでに1号機から4号機までが猟兵たちに破壊されていた。
 残るは最後の鋼鉄巨人だけだ。
 空の上に浮かぶ全高20メートルの巨体が、猟兵たちを待ち受ける――。

●鋼鉄巨人との最終決戦
「こちら、特殊宙域用人型偵察機KGS-O-17。ターゲットの鋼鉄巨人の姿を捉えた。これよりデータを各機に送る」
 人型偵察機であるカガセオ・セヴンティーン(特殊宙域用偵察機KGS-O-17・f18239)が、前方の宙域に浮かぶ番人、鋼鉄巨人の姿を認めて、後続の味方機に通信を送る。
「進行ルートの計算は任せたぞ」
「オッケー! サポートは私に任せて!」
 カガセオの機体胸部にある支援用コックピットの中で答えたのは、ココロ・シントレイト(止まらぬイマジネーション・f22240)だ。ブラックタールであるココロは、その身体を少女の姿をした義体に収納している。今、カガセオの支援用コックピットに収まっているのは、この茶色い髪をした少女の姿の義体であった。
 なぜ、カガセオのコックピットにココロが乗っているのか。それは猟兵たちがビームハイウェイへと飛び立つ前に遡る。

 ――猟兵たちが出発する前、地上にて。

「ロボだ―! これは間近でデータを取らないと!」
 自称発明家であるココロは、今回の敵が巨大ロボットだと聞き、ハイテンションに叫んでいた。発明家たるもの、ロボと言ったら浪漫なのである。近づいて色々調べたり、可能なら鹵獲して改造したりしたいのである。
 普段は重力制御システム内蔵の浮遊する座椅子『ザ・イース』に義体を座らせているココロであるが、今回はUFOに乗って上空に向かうということで座椅子は置いてきていた。
「さーて、早速UFOに乗って出発だー! ん、この人型UFO……?」
 駐機してあった人型UFOに乗り込もうとしたココロが首を傾げる。
「誰だ、俺に乗ろうとするのは?」
「UFOが喋った!? ……分解しなきゃ!」
 喋るUFOというレア物に目を輝かせたココロがシャキーンとドライバー類を両手に構えた。
「待て、落ち着け。俺は特殊宙域用偵察機KGS-O-17、カガセオ。猟兵だ」
「へー、キミ、猟兵なんだ。ゴメンゴメン。けど時間もないしサポートなら任せて!」
 カガセオに興味を持ったココロは、カガセオが止める間もなく胸部の支援用コックピットに乗り込んだ。
 その胸中に不思議な感覚を宿しながら。
(「――なんか妙にしっくりくるシステムだし。変なの」)
 ココロは『なんとなく』でカガセオの支援システムを操作していく。
「おい待て、何故俺の支援システムを知っている!?」
「んー? なんとなく、こんな感じかなーって。じゃあ行くよ。KGS-O-17、グラビティドライブOK、各種兵装OK、複合観測システムOK、システムオールグリーン。いつでも飛べるよ」
 ココロが淀みなくカガセオのシステム支援をおこなっていく。
 ――それは果たして、発明家の勘という一言で済ませられるものなのか?
 そんな疑問を抱きながらも、カガセオは離陸シーケンスに入ることにした。
「ええい、作戦開始時間だ。マシな働きをしてくれよ!」
 カガセオの機体フレームに組み込まれたグラビティドライブが重力波を発振し機体に揚力と推進力を与える。重力操作によって急速上昇し、そこから急加速するカガセオ。だが、コックピットに収まったココアはグラビティドライブの応用による慣性制御システムのおかげで加速度を感じることもなく計器のチェックに専念できるのだった。

 ――そして、鋼鉄巨人へと辿り着いた現在。

「カガセオ、複合観測システム『マヒトツ』の観測データを元に味方の進行ルート案の算出完了!」
 カガセオに搭載された各種センサーの情報にデータリンクしたココロが分析。複数の進行ルートが提示された。
「了解した、ココロ。最も撹乱効果の高い高難度ルートで行く」
 カガセオはグラビティドライブをフル稼働させると、鋼鉄巨人へと複雑な機動で切り込んでいく。
 対する鋼鉄巨人は、その両目の光学センサーで人型偵察機を捉えると、全身にワンダーエナジーを張り巡らせた。
 カガセオは巨人に接近しながら、レーザー発射機構のレンズの保護カバーを解放する。人型偵察機の機体に、複数の光学レンズが姿をあらわす。『モクレン』と呼ばれるレーザー発射機構はカガセオの各センサーと連動し、敵を高精度で照準可能なのだ。
「カガセオ、『モクレン』のターゲット、ロックオン完了!」
「『モクレン』一斉発射!」
 カガセオのレーザー発射用レンズから放たれた無数のレーザーは、ワンダーエナジーに覆われた鋼鉄巨人に命中。その精密な射撃によりワンダーエナジーを削り取っていった。
「――ワンダーエナジーの間隙、ロックオン。次元錨の座標設定、完了」
 カガセオが鋼鉄巨人の脇を飛翔し駆け抜ける瞬間、ココロがおこなった細工に、巨人は気づくことはなかった。

「何かよく見かける気がしますが、この方は量産機だったんですかねぇ?」
「ハッ、なるほどな、量産型なら手応えの無さも納得だな!」
 黒髪に和風メイド服姿の夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が呟いた言葉に、緑色の長い髪をポニーテールに結わえたミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)が答えた。
 るこるは【豊乳女神の加護・白翼衣】により高速飛行能力を得ながら、その周囲に浮遊砲台フローティングレイシステム(FRS)、浮遊ビーム戦輪フローティングブレイドシステム(FBS)、浮遊ビームシールドフローティングシールドシステム(FSS)を展開させ、戦闘準備は万端だ。
 一方のミスタリアは、ボディラインがくっきり出るフィルムスーツの上に機動力を追求した軽装の鎧装を身に纏って、鎧装のスラスターを吹かして高速で飛翔していた。左腕にはビームシールド発生器、右腕には対艦ビーム砲を携行可能に改造した超大型のメガビームランチャーを携えている。この個人携行するには非常識なレベルの兵装を持てるのは、ミスタリアの鎧装の高出力と、その極限までの軽量化のおかげであろう。
「カガセオさんからの情報通りですねぇ」
「ああ、送られてきたデータからは、戦闘能力も前と変わらないみてぇだな」
 鋼鉄巨人の同型機との戦闘経験がある二人は、そのときの戦闘経験を元に戦術を組み上げていく。

 鋼鉄巨人は高速で飛翔してきた、るこるとミスタリアをセンサーで捉えると、二人にむかって左右の腕を真っ直ぐに伸ばした。その先端の鋼鉄の両拳が付け根から切り離され、轟という音と共に激しい炎を吹き出して飛翔していく。
 鋼鉄巨人から飛び出した二本のロケットパンチは、それぞれ、るこるとミスタリアをロックオンして高速で迫っていった。
「これはぁ……」
「散開したほうが良さそうだなっ!」
 るこるとミスタリアは、飛翔コースを変えて別々の方向に飛ぶ。
 二人をロックオンしているロケットパンチは、右腕がるこるへ、左腕がミスタリアへと方向を転換した。

 るこるは、迫りくるロケットパンチを前にして空中に静止すると、FSSの浮遊ビームシールドを正面に展開した。4枚の小型ビームシールドがその出力を全開にすると、シールドからプラズマ化した粒子が周囲にスパークを撒き散らす。
「このビームシールドを破れると思わないでくださいねぇ」
 迫りくる鉄拳。それを迎え撃つビームシールド。
 莫大な質量を持つ拳がロケット噴射によって加速したロケットパンチ。それが持つ運動エネルギーは、計り知れない。一方、るこるのビームシールドは本来、ビーム砲などのエネルギー兵器を防ぐためのものだ。ロケットパンチのような質量兵器を防ぐことは想定されていない。
 ――しかし、ロケットパンチは、突如その軌道を変えて、ビームシールドの脇をかすめて飛び去っていった。
 これは、ビームシールドから放出された電磁場により、鋼鉄の塊であるロケットパンチにローレンツ力が働いて、その軌道を横方向に逸したためであった。
「では、反撃ですぅ」
 そのまま鋼鉄巨人に接近したるこるは、FRSの浮遊砲台を連射していく。8台の浮遊砲台と、るこるの両腕に装着された固定砲台から撃ち出された光線は、蒼穹を貫いて巨人に直撃。その全身を守るワンダーエナジーを削り取っていく。

 一方、ミスタリアは迫りくるロケットパンチに正面から突撃していった。
 ロケットを吹かしてまっすぐに飛んでくるロケットパンチと、鎧装のスラスターを全開にして一直線に迎え撃つミスタリア。
 両者が激突するかと思われた瞬間――ミスタリアの鎧装の全方位スラスターが複雑な動きを見せた。
 翠の疾風となったミスタリアの髪がふわりと舞ったかと思うと、彼女の身体が空中で側転するように動き――飛んできた鉄拳の表面に沿うような軌道でその拳を回避した。航空機におけるバレルロールのような曲芸的な戦闘機動だった。
 ロケットパンチさえ回避してしまえば、もはや遮るものは何もない。
「なんだ、死角が多いのはこの前と同じか!」
 ミスタリアは鎧装の高機動力を活かし、まるで稲妻のようなジグザグの軌道を取って鋼鉄巨人を翻弄する。
 鋼鉄巨人の両目の光学センサーがミスタリアの動きを追おうと激しく上下左右に動くが――ミスタリアはそのセンサーの死角を突いて背後や足元へと回り込んでいく。
「これでも食らいなっ!」
 鋼鉄巨人の背後に回り込んだミスタリアは、巨人に向かってメガビームランチャーを構える。
 ミスタリアの身長よりも長大な砲身の先端に、眩いばかりのビームの煌めきが漏れ出し、ビームランチャーが臨界に達したことを知らせる。
「いっけええええっ!」
 ミスタリアがビーム砲のトリガーを引くと、その砲身から帯電した荷電粒子が奔流として放たれる。荷電粒子は空気分子をイオン化させて空中に光の帯を曳きながら巨人へと直撃し――そのワンダーエナジーによる守りを打ち破ったのだった。
 メガビームランチャーは、内蔵した冷却材で砲身を強制冷却すると、ジュワッという音と共に純白の蒸気を吐き出した。

●鋼鉄巨人との決着
「さあ、二人とも! こっちへ!」
 カガセオに乗るココロから、るこるとミスタリアに通信がはいる。
「わかりましたぁ」
「了解だぜっ!」
 二人はグラビティドライブで飛翔するカガセオの元へと集まった。
「これから私が鋼鉄巨人の至近距離まで通じる穴をあけるから、突撃をお願い!」
「俺を先頭にして突撃するぞ!」
 ココロとカガセオの言葉に頷く、るこるとミスタリア。
 それを確認すると、カガセオは人型偵察機のグラビティドライブをフル稼働させ【極光一条(アメイジング・グレイス)】を発動させる。それはオーロラウェーブを発しながら飛翔する自分を見る相手に勇気を与えるものだ。
 るこるとミスタリアは、自分たちの中に沸き上がる不思議な力を感じていた。
「それでは行くよ! 座標セーット! ゲートオープン!!」
 ココロが『拡張コンパスカッター』によって空間に穴を開ける。その穴は先程、鋼鉄巨人の付近に次元錨で指定した出口へと繋がる亜空間の穴だ。
 カガセオが空間の穴に飛び込むのに続いて、ルコルとミスタリアも中にはいっていく。
 ――そして、猟兵たちは鋼鉄巨人の至近距離に飛び出していた。

「多目的機動バインダー『シナツ』、重量制御フィンブレード『ヤタ』、起動!」
 カガセオは、背部起動ユニットから伸びるロングスラスターを砲身とし、そこから重力波を砲弾として撃ち出す。重力波の砲弾が命中した鋼鉄巨人は、装甲がひしゃげ、悶え苦しむ。
 さらに腕と腰に装着されたブレードが重力波振動を帯びて巨人の身体を切り刻んでいく。

「次はオレの番だなっ!」
 対艦ビーム砲を構えるミスタリア。そのビーム砲の砲身の下部には、巨大なパイルバンカーが装着されている。
「ぶち抜けっ、バンカー! いっちまえよやぁぁぁぁぁぁ!」
 ビーム砲の砲身――パイルバンカーを鋼鉄巨人のボディに押し当てると、砲身から長大なパイルが撃ち込まれ、巨人の装甲を打ち砕く。
「こいつはオマケだっ!」
 そして、鋼鉄巨人の装甲を貫き、その内部に差し込まれたメガビームランチャーの砲身に荷電粒子の光がきらめく。
「メガビームランチャー、エネルギーチャージ120%! いっけええええっ!」
 ゼロ距離から放たれた極光が、鋼鉄巨人の身体を貫き、その半身を蒸発させた。

「残りは私が食べさせてもらいますねぇ」
 るこるが半壊した鋼鉄巨人に近づくと、【豊乳女神の加護・翳華】を発動した。これは、るこるの肉体をブラックホールに変異させる能力だ。
 ブラックホールとなったるこるの漆黒の球体は、鋼鉄巨人を飲み込んでいき――「食べて」いく。
 るこるによって「食べ」られ、鋼鉄巨人は消滅した。

「いえ、まだ終わってないっ!?」
 カガセオのコックピットでモニタリングしていたココロが声を上げた。
 鋼鉄巨人の頭部が分離し、るこるのブラックホールから逃れていたのだ。
 ジェットを吹かし逃げようとする鋼鉄巨人の頭部。
 一方、猟兵たちは全力を出し切っていて、それを追いかけることができない。
「くそっ、メガビームランチャーの強制冷却が追いつかねぇっ!」
「俺もグラビティドライブがオーバーヒートしていて、追跡は困難だ」
「もうたべられませぇん」
「そんな、貴重な実験体を逃がすなんてっ!」

 鋼鉄巨人が逃げ切るかと思われたその時。
 一台のUFOがフラフラと飛んできた。
「もう、UFOってなんでこんなに操縦が難しいのよ! 全然真っすぐ飛ばないじゃない!」
 飛んできたUFOのコックピットで二本のレバーをガチャガチャしながら文句を言うのは、黒いとんがり帽子に金色の長髪をした魔女、フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)だった。
「杖で飛ぶのは大変だから誰かのUFOに乗せてもらおうと思ったのに、UFOで出撃する人いないし……。仕方ないから自分で操縦してみたら、全っ然、思い通りにうごかないしっ!」
 がるる、と牙……もとい、八重歯をみせながら唸るダンピールのフィーナである。
 そんなフィーナのUFOと、逃げ出す途中の鋼鉄巨人の頭部がこんにちは。
「ふっふっふ、どうやら天は私に味方したようねっ! もう戦闘は終わったかと思ってたけど、まだ美味しいところが残ってたみたいねっ!」
 フィーナはUFOのコックピットハッチを開けて立ち上がりながら、鋼鉄巨人の頭部を見て吠えた。
 吹きすさぶ風に夜色の外套をはためかせ、先端に宝石が付いた杖を相手に突きつけて仁王立ちする。
「さあ、今度こそ、この私がアンタを完璧に叩き潰してあげるわっ! 私の全力魔法、受けなさいっ!」
 フィーナの杖の先端に、膨大な魔力が集まっていく。それはフィーナが得意とする炎の魔術として形を成して、灼熱の火球と化した。まるで地上に出現した太陽のごとき灼光は、周囲に熱を撒き散らしながら臨界点を迎える。
「消し飛べええええええ!!」
 UFOの上に立ったフィーナは、至近距離に浮いている鋼鉄巨人の頭部に向かって【圧縮セシ焔ノ解放(バクレツマホウテキナヤツ)】を放ち――鋼鉄巨人の頭部を中心として、激しい爆発を生じさせた。
 その圧倒的な破壊力に、頭部だけとなった鋼鉄巨人が耐えられるはずもなく、大爆発の中で完全に消滅したのだった――。

 そして、超至近距離で爆発を受けたフィーナはというと。
「ええ、爆発に巻き込まれてUFOが木っ端微塵になるのは想定の範囲内よ! けど、今回は誰かが落下を助けてくれるとか思わないわ! 落ちるなら飛べばいいのよ! この爆風でっ!」
 ――爆発に巻き込まれて空を飛びながら(吹き飛ばされながらともいう)、ドヤ顔で胸を張っていた。
「え、爆風で飛んだ先のこと? そんな後のこと考えてないわ!」
 こうして、勢いよく飛んだフィーナはキラーンとお星さまになったのだった。

 ――その後、ラグランジュポイントに一番乗りで殴り込んできた魔女が食料を強奪していったというまことしやかな噂が流れたが、真偽の程は不明である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月18日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エルシー・ナインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト