アースクライシス2019⑮〜黒影顕現
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「戦争お疲れ様。まだまだヘバってねェだろうな?」
赤いツノの自称『悪魔』、ジャスパー・ドゥルジー(Ephemera・f20695)はいつものニヤニヤ笑みのまま、グリモアベースに集まった猟兵達の顔を順に見遣っていった。
「ちょっとヘヴィーな仕事だぜ。あんたらの、そしてヒーロー達の活躍によって『ジェネシス・エイト』の一員『ダークポイント』の居場所を突き止める事に成功した」
場がにわかにざわついた。ダークポイントといえば、予知にその姿を見た者もいた事だろう。或いは既にクローンと交戦した者もいるかも知れない。
「ヒーロー達はありとあらゆる手段で奴らの居場所を割り出してくれるが、相手取るとなると厳しいものがある。ここはやっぱり猟兵達の手が必要ってわけでなァ。
――潜伏地はマンハッタン島の高層ビル街の片隅、あらゆる存在から死角となる『不可視の領域』と呼ばれるゾーンだ。今の今まで見つからなかったわけだぜ。
居場所を割り出されたダークポイントはもう隠れる事はしねェ。ただ厄介な相手には違いねェぜ。何より脅威なのは無限の射程距離を誇るという特性だ。これによる先制攻撃は、いかなる手段を用いても阻止する事は出来ねェ。無策で突っ込んだら返り討ちに合うのがオチだぜ。必ず対抗策は用意しておけ」
詳しい事はこれを見て考えるんだな。敵のユーベルコードの詳細を纏めたレポートを手渡して、ジャスパーは説明を続ける。
「これを防ぎきって、ようやく『戦闘』の開始だ。だが最初の一撃を凌いだだけで油断はすんなよ。そんな事じゃ奴の優位は揺らがねェ。ダークポイントは高層ビル街を縦横無尽に駆け巡って戦いを挑んでくる事だろう。
……繰り返すが、今から行くのは奴の『潜伏地』だった場所だ。あんたらは敵のフィールドにみすみす突っ込んで行くようなもんだぜ。クローンとは訳が違う。敵を侮るなよ」
どれだけ離れていたとしても射撃は届く。ならばと距離を詰めようとすれば、今度は敵のスピードがネックとなる。
「繰り返す。油断は命取りだ。――ま、これはタテマエってヤツで。本音を言うなら、あんたらなら問題ねェとも思ってる。頑張れよ」
そう言って、ジャスパーは猟兵を転送させるためのゲートを展開する。
開かれた『扉』は闇で塗りつぶしたようにまっくろで、これから死合う敵を示唆しているようでもあった。
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「仮説:発見=己の拠点」
地上を遥か下に臨む摩天楼の頂点。闇を具現化したようなそのシルエットがゆらりと――『振り向いた』。
「推測:襲来=猟兵」
手にした二丁拳銃が狙いを定めている。何もなかった筈の空間がぐらりと歪む。
『転送』の予兆。
「対策:撃破=全滅」
戦いの幕が静かに開かれようとしていた――。
ion
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お世話になっております。ionです。
ジェネシス・エイトがひとり、ダークポイントとの戦闘シナリオです。
●採用について
恐れ多くも沢山プレイングを頂いた場合、全採用とはならない可能性があります。
ionのキャパシティが10人ほどなので、可能性は低くないと思ってください。
その場合の採用/非採用は成功度などを鑑みて決定します。
(先着順ではありませんが、普段のシナリオよりは早めにプレイング受付自体が締め切りになると思います)
これは非確定ですが、非採用となってしまった方がionの他のシナリオに参加してくださった場合は採用率を上げたいと思います。
また、執筆ペースは速くないので「49ersがあるから〇日までに欲しい!」という方には向きません。ごめんなさい。
●先制攻撃について
皆様の使用ユーベルコードがPOWならPOW、SPDならSPD、WIZならWIZのグラビティを使用してきます。
受けたい技からUCを選ぶも良し、UCを決めてから対抗策を決めても良し。
ionのシナリオにおいては、対抗策はユーベルコードを用いるでも、技能などその他のものを用いるでも良しとします。
ただし「先制攻撃」であることは絶対なので、敵の攻撃が自分に届く前に敵を攻撃するような行動は出来ません。
第1章 ボス戦
『ダークポイント』
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POW : ダーク・フレイム
【ダークポイントの視線】が命中した対象を燃やす。放たれた【漆黒の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : ダーク・リボルバーズ
自身に【浮遊する無数のリボルバー】をまとい、高速移動と【全方位・超連射・物質透過・弾丸】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : ダーク・アポトーシス
【銃口】を向けた対象に、【突然の自殺衝動から始まる自分への攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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アダムルス・アダマンティン
情報の段階でクローンとは比べものにならんな。別物と思った方が良さそうだ
ここなるはマンハッタンの高層ビル街
都市ゲリラ戦となればいかにも難敵だっただろう
だが、正面からの戦いであればまだ勝ち目は見える
激痛耐性で敵の黒炎を受け、ソールの大槌の炎に加えん
刻器、神撃
たった一撃、捨て身にて
ただそれだけ見舞うこと叶えば充分だ
よしんば黒炎に俺が耐えきれずとも、我が手から溢れる大槌は大地を割りビルを倒し、ダークポイントへと地形によるダメージを与えるだろう
戦場にて最も厄介極まりないのは死を恐れぬ者。そして、そもそも死なぬ者だ
……数多のつわものと戦ってきた貴様であれば知れたことであっただろうが
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(「情報の段階で感じていた事ではあるが」)
アダムルス・アダマンティン(Ⅰの“原初”・f16418)の鋭い双眸が、ビルの屋上に佇む黒い影を捉えた。モニュメントバレーで刃を交えたオブリビオンと、姿形は何一つ変わらないように見える。だが――。
(「やはり、比べものにならんな。別物と思った方が良さそうだ」)
技の違いだけではない。この距離からでも感じられる圧倒的な力量が、殺意が、すべてが。
クローンとの戦いは問題なく勝利を収めたものの、それでも奴の『素早さ』は脅威であった。それが更に強化されているというのであれば。
つくづく都市ゲリラ戦でなくて良かった。あの機動力に加え注意せねばならぬ要因が増えるとあらば、到底太刀打ちできなかった事であろう。
自らを選び取ったソールの大槌携え、神は不可避の初撃を待ち構える。
――影が、振り返った。
ダークポイントの貌の刻印がひときわ禍々しく光り、それは漆黒の炎を喚ぶ。
牙剥き襲い掛かる獣のような炎をアダムルスの大槌が受け止めれば、闇の炎纏ったクロノスウェポンはより猛々しく燃え盛る。
無論ジェネシス・エイトたる影の一撃、武器を翳して盾にしたところで全てを受け切れる筈もない。
もし、この影を発見したヒーローが無謀にも戦いを挑んでいたら。途端に燃やされ蒸発され、この地に辿り着いた事さえも『抹消』させられるような炎であった。
だが、アダムルスは神である。信仰を失い、忘れ去られ、在りし日の力には到底敵わぬとしても――彼は神であり、戦士であり、『ナンバーズ』だ。
故に全身を焦がれようともアダムルスはそこに在った。身体中を蝕む疼痛を培った才で遮断して、ただただそこに在った。
それとてアダムルスには些細な幸運であった。仮に自分が力尽きたとて、この大槌さえ滅びなければ影に一矢報いる事は出来るのだから。
だが。幸運が在ったのならば、その幸運をみすみす逃す事も無い。炎の海の中をアダムルスは駆ける。そして。
――大槌を、振りかぶる。時が止まったような、神の一撃。
それが正確に、ダークポイントを穿った。
表情の伺えぬ影に、微かな焦りが浮かぶ。
「戦場にて最も厄介極まりないのは死を恐れぬ者。そして、そもそも死なぬ者だ」
それは神たるアダムルスの事であろうか。それとも鍛冶の神が敬意を払う武器の事であろうか。
いずれにせよ、この影も当然知ってはいたのだろう。漆黒の炎を耐え抜ける存在が稀有だった、ただそれだけの事だ。
成功
🔵🔵🔴
グラナト・ラガルティハ
WIZ
自殺衝動から始まる自分への攻撃か…。
死ぬつもりはないし死ぬわけにはいかないからな…まだアレと過ごす時間が俺には大事だからな。
何とか自身への攻撃は次動ける程度に済ませたいな。なに…命があれば大体動ける。
弾が発射されたはけではないが銃口は向けられた。その銃口を向けらる範囲内には居るはずだ【戦闘知識】で場所を特定したい。
同時にUC【火炎の翼】で空を飛んで距離を詰めて神銃で撃ち抜く。神銃には【属性攻撃】炎【呪殺弾】【呪詛】をのせて放つ。
さっきの不快な攻撃の礼だ受け取れ。
アドリブ連携歓迎。
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アポトーシスとは、その個体をより良い状態に保つために行われる、細胞の管理された『自殺』のことを指す。
ならばこのオブリビオンによって引き起こされる自殺とは、その為に改良される個とは、何だろう?
――己が自殺衝動になど、呑まれる筈がない。
驕りではない。慢心でもない。グラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)の心には、そう信じる為の確固たる礎があるのだ。
だから影の銃口が向けられようと焦りは生まれない。どうせ避けられぬものならば受け入れるしかない。暗い昏い闇を孕んだ銃口がグラナトを捉える。虚無に引きずり込むようなそれが――。
刹那、心臓が早鐘を打つ。
悠久を生きる神。その永き生の中で、一瞬たりとも死を望まなかったといえば、きっと嘘になる。
その感情自体はほんの些細なものだ。どだいグラナトは神なのだ。己が望んで死を果たす事は、あの影をたったひとりで屠るよりも余程不可能に違いない。だからそんな感情はグラナト自身が自覚するよりも早く心の隅に追いやられ、やがて時はそれをより薄めて茫洋なものにしていったのだろう。
そんな些細な、けれど人だろうと神だろうと等しく逃れられぬ感情が、集められ凝り固められて、何百倍にも、何千倍にも、何万倍にも――膨れ上がった。
気がつくと。
グラナトは剣を握っていた。その刃が己を貫く時、蠍の武器飾りが凛と揺れた。
だがグラナトが己を取り戻したのは、己の象徴たるそれを目に留めたからではない。グラナトが己を取り戻したのは――。
耐えがたい衝動に振るった剣。両手で握りしめた柄。その指に宿る――ちいさなアクアブルーのきらめき。
「――!」
死んでも遭いに行くと笑った人がいる。
アレを今独りにすることは、それだけは、絶対にしてはならぬ。
腹部を深々と刺した剣を引き抜いた。夥しい量の血が溢れると同時、甘美でさえあった感覚は一気に耐え難い痛覚へと変化する。だがそれが今更何だという。
「命があるんだ、動けるだろう」
吐き棄て、素早く周囲に目を走らせる。いくら敵が無限の射程を誇るとはいえ、己を捉えたからには物影に隠れてなどはいないだろう。いかに距離が離れていようと、己と直線で交わる箇所に必ずいる筈なのだ。
読みは当たった。ビルを一棟挟んだ向こう、視界の隅に見える人影。距離にして四〇〇メートル弱といったところ。
「五秒とかからないな」
嘯くグラナトの背に炎の翼が宿る。不死鳥の如き神速でグラナトは空を翔けた。
「疑問:対抗手段
推測:――」
影の言葉は最後まで紡がれる事はなかった。
「さっきの不快な攻撃の礼だ。受け取れ」
炎の呪詛込めた神銃の弾丸が、影を撃ち抜いた。
成功
🔵🔵🔴
セゲル・スヴェアボルグ
まずは奴さんの顔面に盾でもぶん投げてやるか。
視線を遮れば俺自身が燃えることはないからな。
名乗り口上?そんなもんは、まっとうな相手に対してするもんだ。
どうせ覚える気もなかろう。
その後は何処かしらの死角になる場所に潜り込みたいところだが……
流石に屋上では物が少ないか。
ならば、一度ビルと飛び降りて、下から攻めるとしよう。
飛び降りる前に一発かましておいて、それを囮にでもしておくか。
その隙に一気に背後に回り込んで、本命の一撃を叩き込む。
あぁ、一撃で足りないのなら、槍はいくらでもあるので、好きなだけ喰らっていいぞ。
ついでに得意の黒い炎とやらも鉄砲水で洗い流してやるとしよう。
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ぶ厚い金属の塊。むしろ壁と断じても齟齬の生じないほどの堅牢な大盾。
並の人物であれば構える事はおろか持ち上げる事さえ叶わないであろうそれを、青い竜人は片手で易々と振るってみせ――どころか。
「ハッ……!」
気合一閃、屋上に佇むその影の、無貌の顔面目掛けて――『投げつけた』。
影の視線そのものは絶対の先制。的確にその竜人、セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)を捉えていた、筈だった。だがその軌道上に真直ぐに投げつけられた盾は、影の放つ漆黒の炎を防ぎきってみせた。
「知覚:猟兵
疑問:正体」
「名乗りを上げろという事か? そんなもんは、まっとうな相手に対してするもんだ」
――どうせ覚える気もなかろう。不敵に告げた。
「何よりお前さんはこれより躯の海に還る。ならば名乗り口上など無意味というもの!」
地響きのような咆哮が鉄砲水を生む。堰を切ったように溢れ出す濁流も内包した槍も、影はよりにもよってセゲルの投擲した盾で防いでみせた。
「横取りとは行儀が悪いな」
返事はあの独特の言語によるものではなく、再なる炎の一撃。
炎が竜人の居た屋上を漆黒に塗りつぶす。みるみるうちに燃え広がる魔的な炎を、しかし影はすぐに消去する。
「……?」
そこには既にセゲルの姿は無かった。炎の壁に隠れるようにしてビルから身を躍らせていたのだ。がらんとしたビルの屋上、身を隠す場所の無い戦場からフィールドを広げるセゲルの作戦。飛び降りる直前、自慢の白髭に炎が延焼してしまったのが腹立たしいといえば腹立たしいが、仕留めそこなった事に気づいた敵がすぐに炎を消したのは僥倖であった。
影もセゲルの思惑に気づいたか、ふわりと地上に身を躍らせる。いかに無限の射程を誇るといえど、視認出来ねば意味はない。身を潜められるところは無数にあるだろうが、大柄なあの男が隠れられる箇所と言えば自ずと限られる――。
「!」
直後、背後からの濁流が影を呑み込んだ。影の貌の紋様が瞬き何かを呟きかけるが、それさえも水流に掻き消される。
セゲルは防御の為に身を潜めたのではない。逆だ。機動力と射程に絶対の自信を持つ敵を引き摺り出す為に、敢えて一歩引いて見せたのだ。
そして初撃を受けた影は、二発三発と槍に串刺しにされてゆく。
「……あぁ、一撃で足りないのなら、好きなだけ喰らってもいいぞ」
槍はいくらでもあるのでな。お得意の黒い炎とやらも洗い流してやろう。
影の落とした重盾を拾いながら、竜人は呵々と哄笑してみせた。
成功
🔵🔵🔴
石守・舞花
アドリブ・連携歓迎
出ましたね、ダークポイント
いしがみさんがお相手します
巫覡載霊の舞使用
敵のUCより早く発動できれば神霊体になって自傷ダメージを軽減しますし、間に合わなければ【激痛耐性】で耐えます
「大丈夫です、まだ動けます」
けっこうなダメージを受けても、死んでなきゃ戦えるくらいの勢いで這ってでも戦います
痛くない、痛くないですから
多少の被弾は神霊体の効果で無視して、弾ごと切るように衝撃波で薙ぎ払います
ちょこまかと逃げるようなら、足元を狙って【部位破壊】で多少でも機動力を奪います
直接斬れるチャンスがあれば、受けた傷のぶんを取り返すように【生命力吸収】します
「その命、神石様に捧げます」
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「出ましたね、ダークポイント」
少女がビルに降り立つ時、緩く結んだ二本の髪が尻尾のようにふわりと舞った。
「いしがみさんがお相手します」
己の背を軽く超える焔薙刀携えて、名乗りを上げるは石守・舞花(神石の巫女・f17791)。古代の神秘を宇宙時代へと受け継ぐ、スペースシップワールドの戦巫女。
ダークポイントが振り向きざまに翳した銃口が、少女のかんばせを正確に捉えて――。
「――!!」
気づいた時には、薙刀の刃先が舞花を向いていた。筋の通った理由など強烈な洗脳の前には存在しない。ただ……己をどうしても、むちゃくちゃに、壊したくなった。その捻じ曲げられた想いが衝撃波となって舞花自身の身体を吹き飛ばした時、彼女の顔に生気が戻る。
衝動を、成し遂げたからではない。逆だ。凌ぎ切ったのだ。いかなる攻撃をも軽減する神霊体への変化。その効果による衝撃波。舞花の術は実を結んでいた。
(「間に、合いましたね」)
ならばやる事はひとつ。受け身を取って立ち上がり、影へと接近する。
「知覚:無効化
代替:殲滅」
影の貌に浮かぶ紋様が点滅する。再び銃口が向けられた。耳を劈く程の音と共に放たれたのは、今度こそ銃弾であった。洗脳の効かぬ事を悟ったゆえの実力行使。
降り注ぐ銃弾の暴風雨の中を舞花は駆ける。今の舞花ならば、掠った程度ならばたいした負傷にはならぬ。それよりも敵とのこの距離がもどかしい。顔面目掛けて飛び込んで来た銃弾を衝撃波で薙ぎ払えば、その僅かな隙をついてダークポイントは後ろへ跳び、舞花との距離を取っている。
(「やっぱり、逃げ足が速いのです」)
負けじと舞花が地を蹴り跳躍。激しさを増す銃撃を、薙刀の衝撃波で受け止めて――。
否。矛先は銃弾からは逸れ、別の個所へと向けられていた。即ち高機動の強敵、ダークポイントのその脚へと。
轟音が爆ぜた。捨て身の一撃に不意をつかれた形の影は脚を負傷し、その場へと留まっていた。護りを棄てた舞花もまた、肩口を撃たれ血を流している。けれどこんなものは。
(「痛くない。痛くないですから」)
己に言い聞かせ、肉薄する。動きを止めた敵へと、生命吸収の念を込めた切っ先を振るった。
「その命、神石様に捧げます」
刃は届き、影の身体から、黒いタールのような血が迸った。
成功
🔵🔵🔴
パウル・ブラフマン
愛機Glanzを【運転】しながら挑むよ!
▼先制攻撃対策
銃口が向く前に高速移動。
自分が高層ビルの上、標的が下になった段階で
敢えて照準を合わさせるね。
自殺対策で敢えて握ったままにしていた
9mm拳銃を自身の顎下から上に向けてぶっ放そう。
▼反撃
そのままGlanzと落下するように見せかけ
のけぞったままKrakeを起動させ
UC発動―テメェの生、オレに寄越せ!!
フルスロットルでビルの壁面を降下したら
標的に覆い被さるようにして全砲門【一斉発射】ァ!
Glanzの全重心を掛けて【踏みつけ】、【零距離射撃】で追撃。
血だらけの咥内から弾丸を吐いて笑おうか。
モンスターに理は通用しないぜ、ベイビー。
※絡み&アドリブ大歓迎
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牙剥く獰猛な獣のような重低音。爆発する時を待ち構える愛機をどうどうと宥めながら――パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が隻眼を細めて笑った。
「コンディションはバッチリ♪ いくよ、Glanz。3、2、1……」
ゴウ、と風が哭いた。宇宙バイクの白銀の胴体と蒼き光線が奔星のような軌道を宙に描き、鉄筋コンクリートの断崖から身を躍らせた。
まるで空飛ぶ二輪。眼下に望むはパウルが先ほどまでいたビルよりもかなり低い地点、佇む影が銃口を構える挙動。
「推測:速さによる攪乱
対策:不要」
どこまでも届く一撃ならば、そんなものは無意味であると。無慈悲な銃口が告げていた。
――ダーク・アポトーシス。
抗い難い自殺衝動がパウルの脳天を貫き、突き動かされるように手にした9mm拳銃を己の顎下へ差し入れて。
乾いた銃声と共に、パウル・ブラフマンという名の触手キマイラは永眠した。運転手の居なくなった宇宙バイクごと、高架から地面に落下する――。
(「ワケ、ないっしょ?」)
銃撃にのけぞった体勢のまま、しゅるしゅると鮮やかなブルーの触手が伸ばされる。そこに固定した砲台を起動させながら、Glanzのハンドルを強く強く握りなおした。
(「UC発動――テメェの生、オレに寄越せ!!」)
フルスロットルだ! 制御を失ったと思われたGlanzが一層高く咆哮し、手ごろなビルの壁面を垂直に疾走。重ねて全砲門からの一斉射撃が放たれる。体勢を崩すシャドウポイントに距離を寄せ一気に『跳んだ』。重力下にあって尚、宇宙世界を駆け巡るように縦横無尽に疾走するパウルのテクニック。
「疑問:生存理由
推測:洗脳の無効化?」
影の貌の紋様が明滅する。思考しながらも銃口を向けてくる影に、パウルはニィと唇の端を吊り上げた。顔の下半分は血に塗れていて、洗脳が及ばなかったとは思えない。ならば何故パウルは生きているのか。
Glanzのボディが影を踏みつけた。その脳天目がけ、距離無しの追撃を浴びせかける。
黒いタールのような血を噴き出した影が、渾身の力を込め銃身でパウルを殴りつけた。
「でっ」
Glanzが揺れる。その隙に這い上がった影が見たものは、殴られたパウルが咥内から銃身を吐き出すところだった。拳銃自殺をしたと見せかけて、銃弾を歯で受け止めていたのだ。
何たる無謀。少しでもタイミングがずれていたら猟兵とて無事ではすむまい。
影を見下ろしたパウルが歯を剥いて嗤った。影が訝しがるのを察知したような、獰猛な笑みだった。
――『モンスター』に理は通用しないぜ、ベイビー。
成功
🔵🔵🔴
鎧坂・灯理
◆鳴宮殿(f01612)と
此度の私は「盾」の役
防衛に置いては、万事お任せあれ
打たれると同時に発動するは【千視卍甲】
全方位・超連射・物質透過の弾丸、なるほど厄介だ
だが「物質ではない守り」は透過出来まい?
見えざる非実体の二重膜で、私と「矛」を守護しよう
もちろん離れて行動しても問題ない
使っている間、私は攻撃できないが――もとより必要ないのさ
貴様の前に立っているのはヒーロー見習いのヴィジランテ
何者も「影」から逃れることは出来ない
ましてや前に進もうとしている者に「過去」が敵う道理はない
さようなら
貴様の敗北は決まっていたのさ
鳴宮・匡
◆鎧坂(f14037)と
攻撃は全て遮断してくれる――と信じて
相手の位置を探る
銃声の方向に【聞き耳】を立て方角を推定
放射される弾丸の角度を【見切り】高度を測る
銃声から弾丸到達までの時間で距離を推測
“観察”は眼だけに依らない
音で捉える動向も全てその助けになる
互いの間に遮蔽がない状況の際のみ撃ち返す
当てる為でなく“こちらが五体満足であることを示す”為だ
銃弾で仕留められないと悟れば“他の方法”に頼ろうとするだろう
視線か銃口
いずれを向けるにしろ開けた路地だ
こちらを視認できる――“こちらからも見える位置”に姿を見せなきゃならない
その一瞬で十分だ
【千篇万禍】の弾は、見定めた死を逃しはしない
――墜ちてもらうぜ
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敵影は、未だ見えず。
「さて、どこにいるんだろうな」
柔らかい声で、男が言った。
「どこだろうと問題は無いのだろう?」
悠々とした声で、女が言った。
男は名前を鳴宮・匡(凪の海・f01612)といい、女は名前を鎧坂・灯理(不死鳥・f14037)という。
とある探偵社の女社長と、そこに出入りする戦場傭兵である。
吹き抜ける風が、二人の外套をはためかせる。
「問題はない、かな。鎧坂が攻撃を全て遮断してくれるなら」
「仰せ仕った。防衛に置いては、万事お任せあれ」
言いながらも灯理は己の持つ紫の眼と、観測鏡帯『霊亀』のカメラアイで油断なく辺りを観察している。
それは匡とて同じであった。じっと耳を澄ませ、敵の初撃を、覆せぬ先制攻撃を――待ち侘びた。
永遠に等しいとさえ思われる時間ののち、影が襲来した。
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視覚が敵影を捉えるよりも先、聴覚が銃声を捉えるよりも先、二人が感じ取ったのは鋭利なまでの『殺気』。
「こちらは任せろ」
静かに前に出た灯理の身体に銃撃が届いた、筈だった。だが灯理の身体は斃れない、どころかぴくりともしない。からん、と音を立てて銃弾が地に落ちた。
暫しの沈黙を置いて、再度、銃撃。今度は二つ。パン、パンとリズミカルに放たれたそれは、灯理と匡を正確無比に捉えて――しかしそれも、やはり無効。
「すごい力だな」
撃たれた筈の胸を撫でて匡が呟いた。そこには痛覚どころか、何かが触れた感覚さえなかった。完全に、『遮断』されていた。
「その代わり、私は戦闘行動を取る事は出来ない」
一切の警戒を解いたような姿勢で、灯理が薄く笑んだ。
千視卍甲。自らが戦闘行動を行わない限り、自らと自らの指定した存在を思念と魔力の二重防壁で覆い、外部からのありとあらゆる攻撃を遮断する鉄壁の『技術』。
「全方位・超連射・物質透過の弾丸――なるほど厄介だ。だが」
灯理の護りは『物質』ではない。ならば透過の技能は及ぶまい。そう推測した灯理の行動は実際正しかった。
正しかったが、それは結果である。実際に試してみるまでは推測に過ぎなかった筈なのに、灯理は最初の銃弾に対して一切の回避行動を取らなかった。もしあの弾丸が不可視の力すら突き抜けるものであれば、いかに猟兵といえど無防備に受けては無事では済まなかっただろう。
恐るべき凪の精神。それがまた、灯理の『盾』をより強固なものとする。そして匡は。
(「二時の方角。距離はさほど離れていない。姿が見えないのは、ビルの影に隠れているからか。地上からでは無いな。まだ上にいる」)
聴覚による方角の推定。銃弾の角度による高度の測定。銃声から弾丸到達迄の時間による距離の推測。
僅か三発の攻撃より、敵の位置を割り出していた。だがまだ攻撃には移らない。
再度、銃声。敵の場所が変わった。今度は匡も撃ち返した。自動式拳銃『BHG-738C"Stranger"』が乾いた銃声を放つ。
銃弾は、ダークポイントに届いてはいないだろう。確かめる術はなく、また確かめる意味もない。今の一撃は相手を仕留める為ではなく、『こちらが五体満足である』事を示す為のもの。
ダーク・リボルバーズが通用しないと敵に知覚させるための手段。
長い時が流れた。
二人に届いた弾丸は十二発。匡が撃ち返したのは四発。
どちらも敵に有効打を与えるには至らず、戦況は平行線。
風穴を開けたのはオブリビオンの方であった。己の特性を活用して人間の視覚及ばぬ距離や位置からの攻撃を繰り返していたダークポイントが、次の攻撃手段に出た。
だが――彼の残る手段は視線か銃口、そのどちらかを相手に向ける必要がある。そしてその為には、今までとは決定的に違う行動に出なければならない。
即ち、敵の前に己をさらけ出す事。相手を視覚で感知出来る、開けた路地に立たねばならぬこと。
「やっと焦れてくれたか」
敵の位置を割り出し続けていた匡だから、『この場所から』出てくることは手に取るようにわかっていた。
そして長き平行線の中でこの一瞬を待ち望んでいた匡が、この一瞬を逃す道理はない。
「――そこだ」
千篇万禍(ゼロ・ミリオン)。全ての感覚を研ぎ澄ませて『視る』事を知った男の、あまりに精確な銃撃。まるで敵の死をも見定めるような、起死回生の一撃。
――堕ちてもらうぜ。
銃弾はダークポイントの眉間を撃ち抜いた。貌の紋様がめまぐるしく明滅する。
「何者も『影』から逃れる事は出来ない」
この時にあっても尚悠々と佇む灯理が、冷たく笑んだ。
「ましてや、前に進もうとしている者に『過去』が敵う道理はない」
貴様が相手取ったのはヒーロー見習いのヴィジランテだ。貴様など、通過点に過ぎぬだろうさ、なあ?
「さようなら。貴様の敗北は決まっていたのさ」
斃れ伏すオブリビオンを横目に、もう聞こえないか、と付け加えて。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天御鏡・百々
無限の射程、圧倒的なスピード
そして地の利は敵にありとは厄介に過ぎるな
だが、負けるわけにはいかぬ
我が全霊にて挑もうぞ!
先制攻撃は防げぬとしても
なるべく接近した状況から戦いたいな
第六感10を働かせつつ、ビルの影に隠れて進むぞ
敵の初撃による自殺衝動は
我が仮の体への自傷として解消させよう
そしてすぐさま本体の鏡から放つ『生まれながらの光』にて
我が身を治療する
初撃を防いだら
神通力(武器)による障壁(オーラ防御81)で防御しつつ接近
本体の鏡から放つ光による目潰し5で敵に隙を作り
破魔78を乗せた薙刀でなぎ払い35だ!
●神鏡のヤドリガミ
●神鏡へのダメージ描写NG
喰らう状況なら不採用にして下さい
●アドリブ連携歓迎
●
ビルの影に身を潜めるようにしながら、天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)が摩天楼のふもとを進んでゆく。
視覚や聴覚といった五感、そして仮初の身体に備わった第六感。すべてを研ぎ澄ませて影に接近する。
無限の射程に圧倒的なスピード。その上地の利まで備えた敵だ。対して百々の獲物といえば朱色の薙刀『真朱神楽』。武具としてはリーチに富む分類ではあるが、この場合は文字通り付け焼刃でしかない。
ならば勝機は可能な限り近づく事。幸い影はすぐに見つかった。他の猟兵と交戦したばかりらしい、頭から漆黒の液体――おそらくあれが血なのだろう――を流し、佇んでいる。その紋様と、百々の赤とが、ぶつかった。視線が交錯した。
瞬間、銃口が向けられる。思考が掻き乱される。百々の決意も決心も揺らがせる、絶対の洗脳。わかっていたから、抗わなかった。真朱神楽の切っ先が奔り、ちいさな身体から夥しい量の血が噴きあがる。
直後、彼女の本体たる神鏡が神々しく光り輝いた。御神体として大切に祀られていた彼女が生まれながらに宿す光。その光が、童女の傷をみるみるうちに塞いでゆく。仮初の身体ならば、いくら傷ついても命を失うことはない。ヤドリガミとして生を受けた百々ならではの捨て身の戦法。
「負ける訳にはいかぬ。我が全霊にて挑もうぞ!」
薙刀を構え直し、百々は高らかに宣言する。
「無効化:自殺衝動
推測 :不死の存在?
否定 :弱点の存在」
影の銃口が、今度こそ火を噴いた。不可視の洗脳ではなく、銃撃による物理攻撃。それを気を練り上げた障壁にて防ぎながら、百々が距離を詰める。
「身体能力に加えて頭も回るとは、恐れ入った」
敵の口調は断片的で捉えどころがないが、立ち直ってみせた百々を一度見ただけでその『特性』に気づいたのだろう。ならば次に狙われるのは本体の方だ。この勝負、『勝たなければ』『只の敗北では済まない』。
だというのに百々は己の本体でも弱点でもある鏡を敵の眼前に掲げてみせた。敵が弾丸を撃ち込むよりも先に、癒しの力を乗せぬ光がダークポイントの『眼』を灼いた。
「……!!」
「我は人を助け、導くために在るのだ。それは、どこの世界であろうと変わらぬ!」
狼狽えるように貌の紋様を明滅させる影へと、百々は真朱神楽を振るった。破魔の神鏡たる彼女の力が、邪悪な闇を切り拓いた。
大成功
🔵🔵🔵
御形・菘
天地を飛ばしつつ、そこそこの高さのビルの屋上の縁に立ち、索敵をしよう
自殺衝動は既に対処済みよ!
はっはっは、実に痛いがそれだけだ!
こんな場所に陣取っていたら、衝動的にやらかすのは当然飛び降りであろう
妾がどれだけ身体を張ってきたと思う?
落下ダメージはあっても、死ぬような高度ではない!
…他の手段を潰すために、結構マジで危ない高さにしたしな
そして、右手を上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! さあ皆の衆よ、妾にありったけの応援を浴びせてくれ!
今の妾は自殺から対極の状態! いくらでも皆の声が引き戻してくれる!
お主の攻撃は効かん、執念深く追い詰めて、左腕で徹底的にボコってくれよう!
●
「はァーーーっははははははは!!」
地を揺るがすような笑い声。なかなかに高いビルの屋上の縁、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)が笑い声を上げたのは。
探し求めていたダークポイントを地上に見つけたからだ。しかしこの距離感では何というか。
「怪人がゴミのようだ、というやつであるかな? いやあ、愉快愉快」
色々と黒いビジュアルに映える真紅の蛇舌をちらつかせ、おそろしいことを言う。高い所から見下ろすというシチュエーションも相俟って、どちらが怪人やらである。
「発見:猟兵」
「実行:排除」
「果たして出来るのかの~? やれるものならやってみるがよいぞ」
この距離でも銃口は菘を捉える。それは菘の精神を侵し、犯す。
気づくと蛇神であり邪神である彼女は、宙へと身を躍らせていた。
衝動に支配された頭では、その翼で飛行する事さえも出来ない。そのまま垂直に地面へと落下した。ぐしゃ、と厭な音がして、菘は動かなくな――
「はっはっは、実に痛い!」
――らなかった。
「痛いが、それだけだ。死ぬような高度ではない!」
ゲフゴフと咳込むたびに、唇の端から血が滲む。よろよろと立ち上がる全身も痛々しい。それはそうだ、猟兵である菘が死ぬような高度ではないにせよ――他の手段を取らない為にも、助かるギリギリまでは高いビルを選んだ。見込みが違っていれば危うい算段だったであろう。それでも菘は高らかに笑ってみせた。
いやあ良かった。お見せ出来ない映像を配信するわけにはいかぬからのう?
「スクリーン! カモォン!!」
ぱちんと鳴らした指が空中にディスプレイを召喚する。そう、菘はキマイラフューチャー育ちのキマイラ。そしてこう見えて、動画配信を日常とする、とってもキマイラらしいキマイラなのである!
「今回ボコる怪人はあの影だ。さあ皆の衆よ、妾にありったけの応援を浴びせてくれ!!」
菘! 敗けるな!
邪神様! 頑張って!!
ディスプレイ越しにも伝わってくる熱狂。
ところでダークポイントの銃口は未だ菘へと向けられていた。しかし、そんなものが今、何になる。
「いくらでも皆の声が引き戻してくれる! 今の妾は最強無敵よ! はーっはっはっは!!」
蛇の身体がうねり、影へと距離を詰める。ファンの応援ある限り、負傷でさえ菘の力となって返ってくる。
「疑問:力の根源/応援?」
「お主にはわかるまい。今ここで、妾にボコられ骸の海へ還るのだからのう!」
――ドゴウッ!! 竜の如き左腕が、『怪人』の頭を地面へと叩きつけた。
成功
🔵🔵🔴
大神・零児
C-BAに騎乗し手足の様に操縦
グレネードユニットはC-BAに搭載
高速移動による残像や煙幕等のグレネードをばら撒く等して狙われにくく
未来位置に飛来する弾や面制圧射撃も考慮し立体的に行動
リロード等の隙の瞬間にUC発動
敵をUCの範囲内に捉え
弾丸にも敵意は籠る
敵意の「向き」も感知
経験による無意識の思考と反応で回避
敵意の向きの逆算
敵の速度と動きの割り出し
範囲内で敵の敵意・思考を感知した瞬間
無意識の思考と反応で対応
油断
足の停止
思考の一瞬の隙等を衝く
技能
戦闘知識
咄嗟の一撃
情報収集
追跡
第六感
見切り
野生の勘
世界知識
地形の利用
学習力
逃げ足
早業
ダッシュ
ジャンプ
カウンター
武器改造
動物使い
クライミング
空中戦
運転
2回攻撃
●
戦場を縦横無尽に駆ける機械はバイクのようでもあり、大型の獣のようでもある。
Cyborg beast arms――通称『C-BA』。その上に乗るは狼の獣人、大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)。否、それは騎乗というよりも、一体化と形容した方がふさわしいのかもしれない。黒い毛並みの人狼は、まるで己の手足のようにそれを駆ってみせた。
C-BAに搭載したマルチグレネードユニットが火を噴けば、煙幕に残像、ありとあらゆる視覚を妨げるものが周囲にばら撒かれてゆく。
――直後、零児のものではない銃声が響いた。影の魔人が行使するダーク・リボルバーズ。初撃は見当違いの方角へ。だが続く銃声がまるでマシンガンのように鳴り響いた。
「チィッ……!」
C-BAが唸り、速度を上げる。銃声の雨を縫うように、戦場を駆け巡る。こちらの位置が判らないのならば、全部撃ち抜くまでとでもいうつもりか。零児のすぐそばを掠めていった銃弾が後方で窓ガラスを割った。そういえばハンドルを握る腕が熱い気がする。撃たれたか。だがそれが何になる。
(「『脚』を止めれば文字通り袋の鼠だ」)
――いや、袋の狼か? とにかくそんなものは御免である。戦場を駆けながら零児は反撃のチャンスを伺った。
視覚の攪乱。速さの攪乱。それだけではない。零児の真の強さは経験。猟兵達が世界転移の力を手にするよりもずっと前から、男は神隠しに見舞われ数多の世界を転々としていた。適応して、喰らいついていかねば、生きてなどはゆけなかった。
その戦場での経験と感覚を全て研ぎ澄ませる。この状況で奴はどう出てくるか。逃げ道を塞ぐのか。防戦に焦れて飛び出してくるのを待っているのか。
弾丸も武器である以上は刀で向かってくる敵と何ら変わらない。そこには明確な敵意が宿る。張り巡らせた『無双の意識』はそれを可視化させ、威力を減らす。いくら銃撃を雨のように集中させたとて、零児を袋叩きにすることなど出来まい。けれど零児もまた、敵のユーベルコードを封じるまでには至っていない。平行線が続く。
「しかし、奴には弾切れという概念がないのか?」
そう錯覚させるほど敵の攻撃は無尽蔵で。だが零児は耐え続けた。そしてほんの刹那、銃声のコーラスが鳴りやんだ。
待ち望んだ機会をみすみす逃してやる零児ではない。再び敵へと向けられた変幻自在のグレネードユニットから射出させるは、今度は煙幕ではなく。威力重視の『爆発物』。
「!」
「くたばんな」
空間が、爆ぜる。微かなリロード音は、轟音に掻き消された。
成功
🔵🔵🔴
ザザ・クライスト
リオン(f02043)と参加
「ったくナニが問題ねェだよ。軽く言ってくれるぜ」
ボヤきながら煙草に火を点けて【ドーピング】
ドローンを飛ばして【情報収集】
更に【スナイパー】の【戦闘知識】で敵の位置を割り出す
仮にドローンが撃破されたら攻撃方向に奴がいるって話になる
「フラウは攻撃に集中しろ。守りは任せとけ」
【鉄血の騎士】を発動
盾が紅く染まり凍りつくような音で哭く
リオンを【かばう】
攻撃は【盾受け】で殺傷力による相殺狙い
リオンの攻撃の【時間稼ぎ】
「シャイセ! なんて威力だ。何度も保たねェぞ! 」
リオンが技の反動で朦朧となれば、
「しっかりしろ、リオン! シエスタにはまだ早ェ!」
【挑発】するように怒鳴る
神羽・リオン
ザザ(f07677)さんと参加
「仲がいいのね?」
ザザさんとドゥルジーさんのやりとりを見て微笑み
Marchocias使用
前回これを使って意識を失ってしまうという失態を
(また失敗したなんて高鳴さんに言えないもの……今度こそ!)
「お願いね。これを使っている時の私は脆いから――」
試験管から取り出した液体が恐怖を与えるような生物の形を成し
「ほら、起きなさい!」
武器に呼びかけ制御機械で意識を同期
威力が増す程意識は遠くなり
……わかってる
……わかってるわよ!!
ザザさんの声に呼び戻され、段々と返事は大きく
いつまでもあなたを盾にするわけには――!
体勢を立て直し意識を保って闇属性攻撃を
●
敵の居場所を割り出す為に飛ばしたドローンは、早々にダークポイントの銃撃の餌食となった。
「ったく、ナニが問題ねェだよ。軽く言ってくれるぜ」
思わずぼやきつつ、ザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)が煙草に点火する。
「仲がいいのね?」
予知を話す男とザザのやり取りを思い出しながら、神羽・リオン(OLIM・f02043)が微笑んだ。
「まァな……」
軽く受け流しながら、ザザが煙を吸い込む。全身を冴え渡らせながら、
「あっちだ。距離も近い」
顎で敵の方角を示して見せた。リオンがほう、と小さく息を漏らす。
「流石ね」
「奴さん、偵察機を壊せば問題ねェとでも思ったのかも知れねェけどよ」
とんとん、と指で『左目』を示して見せた。
「破壊される直前、データはこっちに来てる。射程距離が無限だろォが方角は筒抜けだ」
「話には聞いていたけど、随分使いこなしているわね?」
「モノがイイからな」
「ふふっ、光栄ね」
――Eyes-O。またの名を、【オーディンの片目】。
その名の通りザザは片目を差し出し、知識の代わりに技術を手に入れた。
それを編み出したのがKBN Machinaという名の兵器開発会社であり、リオンはその社長令嬢、というわけだった。
「使いこなして貰っているのもだし――成果を間近で見られるのも、光栄」
「そりゃ良かった」
気軽に言葉を交わしながら、敵の方角へと走る二人の眼前に。
不意をつくように、影が現れた。
●
(「チ、いつの間に」)
先ほどの狙撃はもっと遠距離からであった。サイバーアイの技術とザザの演算に狂いが無いのであれば、敵の移動速度がこちらの予想を上回っていたという結果になる。
なるほど大した機動力だ。先ほど友人に対してぼやいてみせたのと変わらぬ様子で呟き、地を蹴って敵とリオンの間に躍り出る。
直後、けたたましい轟音と共に辺りは漆黒の炎に包まれる。視線のみで周囲を焼き尽くす、影の技。
「ザザさん!」
「フラウは攻撃に集中しろ。守りは任せとけ」
構えた盾で魔炎を受け止めたザザが振り返らずに告げた。その盾は紅く、凍り付くような音で哭き震えていた。
「お願いね。これを使っている時の私は脆いから――」
リオンが試験管を取り出す。中で揺れる液体を見ただけでも、意識が引っ張られる心地がした。
(「また」失敗したなんて、あの人には言えないもの)
理由はまさに、この液体。液状型UDCであるこいつは強力ではあるが、解き放つ代償としてリオンの精神に多大なる影響を及ぼす。前回使った時には意識を失ってしまうという失態を侵した。だが、今回は。
大きく深呼吸をひとつ。試験管の栓を解き放つ。
「ほら、起きなさい!」
外気に触れたMarchociasが大きくうねり、狭い狭い試験管から這い出てくる。鷲の翼と狼の口持つ『悪魔』もまたKBNの技術であり、兵器とリオンを繋ぐ制御機械もまた同じ。悪魔を意のままに操る制御装置は、同時にリオンとそれの意識を同期する楔でもある。
Marchociasが咆哮と共に爪を振るった。手負いの影に届きはしたが、傷はまだ浅い。跳んで距離を取った影がリオンを『視た』。
「させるかよ」
強靭な獣ではなく、その操者が狙われるのも想定済み。ザザが間に割り入った。『鉄血の騎士』の力を纏わせた盾は黒炎を受け止めるが、畳み掛けるように浴びせかけられた銃弾がザザを揺さぶる。
「シャイセ! なんて威力だ」
見た目と威力が釣り合ってねェぞ、砲弾でも受け止めた心地だ。一瞬、腕の感覚を全て持っていかれた。盾の方は強化しているが、それでも――
「何度も保たねェぞ!」
頼む、と肩越しに様子を伺えば、リオンはまだそこに立ってはいたものの。その赤瞳はうつろで。崩れ落ちそうになるのを幾度も奮い立たせた脚は限界が近く。
「大丈夫、大丈夫、大丈夫――」
唇は震えながら、うわごとを繰り返していた。
「リオン!!」
掴みかかってきた獣を跳ね除け、影がトリガーを立て続けに引いた。全て受け止めた鉄血の盾からいやな音がしたのにも構わず、ザザは吼える。
「しっかりしろ! シエスタにはまだ早ェ!」
彼らしい物言いに、リオンの瞳に生気が戻る。油断をすれば飛んでいってしまいそうな、儚いそれが。
「……っ、わかってる。わかってるわよ!!」
けれど一度掴んだそれを離さないとばかり、リオンも叫んでみせた。
そうだ、今日は頼もしい盾が一緒なのだ。ならば自分は矛としての役目を全うせねばならない。それに意識をも喰らいつくすあの怪物は、けれど同時に自社製品でもあるのだ。実戦での使用データをフィードバックする部署を総括する自分が、この程度も使いこなせないとあっては。
――神羽の名が廃る。
「『飼い慣らして』みせるわ」
リオンに同調するように、Marchociasの全身が黒に包まれてゆく。相手取るダークポイントよりも黒く黒く、闇を纏った禍々しい一撃が、今度こそ敵を深く切り裂いた。
「大したモンだぜ」
呟いたザザの視線はUDCへと注がれていたが、同時にそれは、代償を乗り越えて見せたリオンへの言葉でもあるようだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
コトノネ・コルニクス
自殺なぁ…どうしたところで、不死たる我は死なんからな
まぁ良い、術中に嵌ってやるかの
大剣は使い辛いじゃろうし、やるなら爪じゃな
首を裂いて、派手に血をしぶかせるぞ
声は封じんよう声帯は避けてな
人であれば致命傷には充分、仕留めたと思えば、少しくらいは姿を見せるじゃろ
獲物の確認は、ちゃあんとせんとな?
ほれ、次は我の番じゃ
悪であろうと、死者であろうと、戦士である事に変わりはないじゃろ?
ならば我の声は、言葉は、歌は
お前の魂を逃がしはせんぞ
我は戦乱の魔女、戦士を導く古き神
さぁ、お前の為に。【恐怖を与える者】を
僅かでも足を鈍らせたら大剣を【投擲】してやろ
視界の外に逃げとるなら、我が直々に飛んでってやろうかの
●
『自殺』することに何の意味があるというのだろう。
(どうしたところで、不死たる我は死なぬというのに)
ここはヒーローズアース。この世界から浮かび上がった『過去』であるならば、神という存在が実在することなどとうに承知しているだろうに。
それとも忘れてしまうのか? この神が数百年だか数千年、或いはそれ以上に――隠居しているうちに、権能の幾つかを忘れてきたように?
「まぁ、良い」
嵌まってやるかとこともなげに言い、銀髪に赤い瞳を称えた戦乱の魔女、コトノネ・コルニクス(冠鴉のバズヴ・f22112)は猛禽類の如き鋭い鉤爪で自らの首を――裂いた。
ばっくりと開かれたそこから、血が迸る。迸る。迸る。辺りをしとどに染め上げて、紅い雨が降る。女の身体は引き攣るような痙攣を繰り返していたが、やがてふっと脱力し、地面にどうと斃れた。
――微かな足音は、ダークポイントの襲来を告げていた。
仕留めた獲物の様子を確認しにでも来たのか。まず周囲に飛散した血の量を見遣り、ひらかれた首を見遣り、瞳孔の動かぬその貌を――
「案外、律義な男じゃの」
コトノネの貌が、動いた。にいと唇を吊り上げて、笑ってみせた。
弾かれたようにダークポイントは銃を構えた。自殺衝動の波動ではなく実弾での攻撃で仕留めようとしたその動きが――止まる。
「恐れよ、戦士達」
朗々と響くコトノネの歌声。失われた言語で紡がれる歌は不思議な旋律。うつくしくて、おそろしい、戦場を駆ける戦士に等しく恐怖を与える古代の歌。
(「悪であろうと、死者であろうと、戦士である事に変わりはないじゃろ?」)
あれだけ夥しい血を流しておきながら、コトノネは声帯を傷つけていなかった。この時の為に。
彼女は戦乱の魔女。戦士を導く古き神。
奮い立たせるも、委縮させるも、全て彼女の自由自在。
ダークポイントは言葉を紡ぐ事さえ出来なかった。ただ、貌の紋様が目まぐるしくひかっている。おそらく骸の海より浮かび上がって以来、『恐怖』など感じる機会など無かったのだろう。無貌の貌に動揺を隠しきれないほどに。
神という絶対の存在を、ダークポイントはこの時知った事になる。しかしその記憶も長くは持たぬだろう。骸の海から再び戻ってきた時には、それはもう彼であって彼ではないのだから。
ならばこれは鎮魂歌でもあるだろうか。そして実際に彼を『海』へと送るものは。
「――はぁッ!」
裂帛の叫びと共に、大剣「ケネス」が投げつけられる。
深々と影の胸に突き刺さった古き剣は、此度も主の勝利を見届ける事になった。
成功
🔵🔵🔴
ナイ・デス
銃口向けられ、自傷する
【2回攻撃】心臓を抉り、首を裂き
いつかどこかで、化け物だと言われたことを思い出す
私は、死なない
死ねない、怪物
【激痛耐性】諦観、悟り
【覚悟】私は『いつか壊れるその日まで』……
再生する。アポトーシス、より良い状態に?戦闘力増強
【第六感】見つけ【ダッシュ】
【念動力】で背を押して自身【吹き飛ばし】飛翔、加速
撃たれても、止まらない、再生し、増強、加速、再生、加速!
【恐怖を与える】?
黒剣での【鎧無視攻撃】
【2回攻撃】
【串刺し】からの【零距離射撃】光を放つ【生命力吸収】する光
奪い尽くせば、塵も残さず骸の海送りで、消滅させる光
今生る過去を、今生る私の力に変える
死ねない私は、人を、救います
神埜・常盤
無限の射程距離を持つオブリビオンか
偶には狩られる側に周るのも愉しそうだ!
現場に到着後、護符を盾状に展開し武器受けの構えを
まァ、気休めではあるがね
銃口を向けただけで発動する技、回避するのは難しそうだ
自殺衝動か……此の穢れた血から解放されるなら
其れも良いかも知れないなァ
――なァんて、言うと思ったかね
影縫を自身の胸に突き立てる直前
天鼠の群れに姿を変え衝撃を抑えよう
はは、まさか自分の技を避ける為に
この術を使うハメに成るとはなァ
一応、激痛耐性で疵を堪えておこう
天鼠に変化した後は、闇に紛れ其のまま敵を追跡
追い付くことが出来たら、捨て身の一撃で一噛みしてやる
削れた命は吸血で取り返そう
――さァ、其の血を寄越せ
●
ダークポイントの二丁拳銃が、それぞれに猟兵を捉えた。
ひとりは琥珀色の髪持つダンピール、神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)。
ひとりは白い髪のヤドリガミの少年、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)。
ふたりはそれぞれに、それぞれの獲物を構えて――。
●
ナイの二振りの短剣は心臓を抉り、首を裂いた。
白く華奢な身体から夥しい量の血が流れ、流れ、流れ、それでもナイは死ななかった。
(「――いつものこと、です」)
ナイにとっては慣れ親しんだ感覚だった。本体の知れぬヤドリガミは、文字通り、『無敵』。四肢をもがれようがミンチにされようが、その身体は再生した。
いつかどこかで、そんな少年を「化け物」と罵り恐れたひとがいた。あれはいつの事だったか。様々な世界を翻弄し続けた九年間、仔細など忘れてしまった。けれど。
(「私は、死なない。――死ねない、怪物」)
その言葉は、生まれて年浅いナイの心に重くのしかかっていた。それがナイの自意識を模っていた。
――ああ、血が流れている。同じ色の瞳で、静かにそれを見下ろした。
痛みがないわけではない。痛みがない筈がない。なのにその感覚に心が惑わされないのは、「どうせ意味がない」という諦めのような悟り。
『いつか壊れるその日まで』、ナイは再生する。影の技はダーク・アポトーシスといった。アポトーシス。より良い状態に導くための、細胞の自殺。
(「私は、『より良い状態』に――なれます、か?」)
生き続けるナイの身体が、聖者の光に包まれた。
●
「気休め」の護符はあまりにたやすく破られた。
破られた、という表現は適切ではないのかも知れない。盾状に張り巡らせたそれは、銃口を向けるだけで作動するトリガーを防ぐには至らなかった。
だというのに、常盤の口元には緩く笑みが浮かんでいた。防ぐのが困難だというのは判り切っていたし、それになにより――
(「自殺衝動、か」)
妾の血だと蔑まれて生きてきた。表では持て囃し裏では陰口の絶えない人々の蔓延る世界を、父と同じ三白眼で見つめ続けてきた。
道化のような振る舞いを身に着けたのはいつからだったか。何もかも享楽だ、道楽だと嘯いてゆるり生きれば、日々は言葉通り快適だった。
(「それも、死ねば終わる。此の穢れた血から解放されるなら、」)
其れも良いかも知れないなァ。黒き鉄のクロックハンドが、常盤の胸に突き立てられるその直前。
「――なァんて、言うと思ったかね」
ひとのシルエットが崩れたと思うと、それは無数の天鼠の群れになった。胸にほど近い位置の吸血蝙蝠は多少「技」を喰らいはしたものの、それも培った痛みへの耐性で堪えてみせた。
「種も仕掛けもあるまいさ。はは、しかし、まさか自分の技を避ける為にこの術を使うハメに成るとはなァ」
蝙蝠の群れが『笑った』気配。
「承認:ダーク・アポトーシスの無効化
実行:排除」
ダークポイントが再度銃口を向ける。初撃の洗脳を往なされたがゆえの実力行使。鈍い音と共に銃弾が放たれる。天鼠の群れがわっと動いて散ってゆく。
逃走? ――答えは、否。獲物を前にした吸血蝙蝠が逃げるだなどあり得ない。影に紛れて飛び交う蝙蝠がダーク・ポイントへ飛びかかる。
この技は術者の命を削る。ならば削れたものは『獲物』から貰わないと採算が取れまい。
「――さァ、其の血を寄越せ」
天鼠の群れが、まるで輪舞曲を踊るように影へと群がる。追い払うように撃たれた銃撃は天鼠を一匹二匹仕留めはしたものの、群れ全体がひとつの生命である常盤には大した影響は及ばない。
全て、取り返してやればいいだけのこと。
●
己自身を吹き飛ばすようにして飛翔し加速するナイの疵が、みるみるうちに塞がってゆく。
ちいさな吸血鬼たちに生命を吸いつくされたダークポイントが、それでも拳銃をこちらに向けてきた。『今』の己の死期を悟ったこのオブリビオンが、せめてひとりを道連れにでもしようとしたのか。
残弾数も度外視の、起死回生のフルスロットル。蜂の巣にされたナイの身体が瞬時に再生する。生まれ持った聖者の力で自分自身を覆う事により、受けた傷を瞬く間に癒し、そしてナイ自身の力に変換するリジェネレイター。
「今生る過去を、今生る私の力に変える」
肉薄。黒剣が閃いて影の両腕を串刺しにした。拳銃がからんと音を立てて地面に落ちる。
「否定:敗北=オブリビオンの特性」
「また、蘇るということ、ですか? なら、何度でも――斃して見せます」
瞬間、ナイの身体が更に強く光り輝く。今度は癒す為の力ではない。悪しき者の生命力を奪い去る、もうひとつの聖者としての姿。
「死ねない私は、人を、救います」
奪い尽くして、消滅させる。塵も残さず骸の海まで送り返す。ナイの言葉に合わせて光は更に高まり――
その光が収まった頃には、ダークポイントという名の強敵の姿はどこにも無かった。
猟兵達は勝利を収めたのだ。
まだこの地に影の男が復活するのならば、それを阻止するまで屠り続けるまでのこと。
そして彼らを率いるクライング・ジェネシスなる者を討つまで、戦いは終わらない。
世界を、駆け抜けろ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴