アースクライシス2019⑮〜摩天楼に舞う
「皆様、お集まりいただきありがとうございます」
君達に頭を下げたミュリエル・フォルクエイン(オラトリオのアーチャー・f01452)は、ヒーローズアースの世界で続く戦争の中、ジェネシス・エイトの一人であるダークポイントの居場所が判明したことを明かした。
「マンハッタン島の高層ビル街の片隅、あらゆる存在から死角となる『不可視の領域』にダークポイントは潜んでいたようです」
発見したのは、ジャスティス・ワンの元に集結したヒーロー達だが、このヒーロー達ではダークポイントに太刀打ちできず、君たちの出番となったらしい。
「居場所を突き止められたダークポイントは、マンハッタンの高層ビル街を縦横無尽に駆け巡りながら、皆様を撃退するつもりの様です」
用いるのは、無限の射程距離を持つ先制攻撃。
「視線が命中した対象を燃やす攻撃。浮遊する無数のリボルバーを纏い全方位・超連射・物質透過・弾丸の放射を可能としての高速移動。そして、銃口を向けた対象に、突然の自殺衝動から自身を攻撃させるモノ」
ダークポイントが用いてくるのは、この三種のユーベルコードだ。
「無限の射程距離を持ちつつ、先んじて攻撃してくる。恐ろしい相手ですが、長所は翻れば短所にもなります」
強力であるがゆえに、ダークポイントとて対処されることなど想定していないと思われる。対処法を編みだし、先制攻撃を凌いだり打ち破れたならば、戦いは猟兵達のペースで有利に進むことだろう。
「強力な能力を持つ危険な敵が相手ですが、ヒーローズアースの明日の為にも」
どうか力をお貸し下さい、と少女は豊かな胸を弾ませ君たちに頭を下げるのだった。
聖山 葵
いよいよダークポイントとの戦いですね。
という訳で、今回は強力な先制攻撃を用いてくるジェネシス・エイトの一人と戦っていただくお話となります。
また、このシナリオフレームには下記の特別な「プレイングボーナス」があり、これにのっとった行動をすることで、戦いに有利になります。
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プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
(ダークポイントは必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
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では、ご参加お待ちしておりますね。
第1章 ボス戦
『ダークポイント』
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POW : ダーク・フレイム
【ダークポイントの視線】が命中した対象を燃やす。放たれた【漆黒の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : ダーク・リボルバーズ
自身に【浮遊する無数のリボルバー】をまとい、高速移動と【全方位・超連射・物質透過・弾丸】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : ダーク・アポトーシス
【銃口】を向けた対象に、【突然の自殺衝動から始まる自分への攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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白石・明日香
殺し屋か・・・少しは笑えよ?不愛想な奴が。
まずは自身の間合いに入らないと話にならんからビル街の物陰を使いながら
残像で攪乱しつつダッシュで奴に接近、とはいえ奴の視界に入ったら燃やされてしまう。ならば奴の挙動を見切り物陰から飛び出すように見せかけて手にしたルーンブレイドを奴の視界をふさぐように放り投げる。
奴がそれに攻撃してくれればしめたもの、投げたら少しタイミングをずらして残像で攪乱しながら背後に回り込むようにダッシュで接近、相手の目標がこちらに向く前に激痛耐性で耐えながら怪力、2回攻撃、属性攻撃、鎧無視攻撃で叩き切る!
敵と死合えたんだ。少しは喜べよ?
「殺し屋か……少しは笑えよ? 不愛想な奴が」
ダークポイント当人が耳にしたなら、否定とした上で必要性を疑問とするか不要と結論に繋げたであろうか。ビルの合間を縫うようにして白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)が移動を開始したのは、少し前のこと。
「まだ少し、距離があるな。だが」
自身の間合いに入らないと話にならんとビル街の物陰を使いながら、明日香は徐々に距離を詰めていた。ただ最短距離を突っ込めば、視界に入って燃やされてしまう。
「いけるか」
「否定:己→先制。
仮定:接近→到達前燃焼。
結論:猟兵→撃退」
残像を帯びる程の速さで物陰から飛び出した明日香へ、即座にダークポイントは顔を向けるが、それは接近の合間に挙動を見切っていた明日香が仕掛けた罠であった。
「否定:燃焼したモノ=剣」
「間に合えよっ」
三段論調に二段目に至る前に、ルーンブレイドを敵の視界を塞ぐように投げていた明日香は、タイミングをずらし、ながらも残像を共に飛び出す。まだダークポイントの視線が投げたルーンブレイドへ向いているうちに全速力で背後に回り込み。
「仮定:剣=囮。
結論:要警戒」
敵の姿がないことで、明日香の目論見をある程度察すも、遅かった。
「敵と死合えたんだ。少しは喜べよ?」
振り返った時、燃え始めた明日香の斬撃は届く寸前であり。
「あああああっ!」
肩口から袈裟掛けに一太刀。返して一太刀。焼ける苦痛を耐えながら恐るべき膂力で振り抜いた斬撃はダークポイントの身体へ決して浅くない二筋の傷を刻んだのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
んー、全方位・超連射・物質透過の弾丸ね。
まあ、無敵って程でも無いし、何とかしてみようか。
射程距離が無限なら、まずは超遠距離からの射撃だろうけど、
例え全方位に放射しようと距離が離れてるほど放った弾の密度は薄くなる。
そして物質を透過できても、あたし自身を透過したら当たらない以上、
あたしの体の一部である外骨格には弾が当たる。
距離の離れた密度の薄い弾幕なら、
致命傷にならない程度に弾丸を叩き落すことは出来るはずだよ。
弾丸を受けたら、【倍増変異】で尻尾の発電器官を強化。
放たれた弾丸が金属なら、高速で連射された短い間隔で飛んでる弾丸は、
相手へ直通の電気の通り道になるからね。
そこに全開の電撃を叩きこむよ。
「んー、全方位・超連射・物質透過の弾丸ね」
手傷を負い、その場にとどまるのは愚策と判断したかアスファルトを蹴って駆けだすダークポイントが浮遊する無数のリボルバーを自身へ装着する様をペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は認め、動き出す。
「まあ、無敵って程でも無いし、何とかしてみようか」
「肯定:己=非無敵。
否定:己→何とかしてみよう。
結論:猟兵=撃退」
己を無敵とは驕らずも何とかされる気はないらしく、ダークポイントから発されたのは弾幕と言う言葉が陳腐に聞こえる程に連射される弾丸であった。
「やっぱそう来るよね」
ここまでは、ペトニアロトゥシカの想定通りでもある。
「射程距離が無限なら、まずは超遠距離からの射撃だろうけど――」
そも、つい先ほど肉薄され斬撃を浴びてダークポイントは痛い目を見ている。そう言う意味でも、アウトレンジからの攻撃をとってくることは予想できたことではあるが。
「例え全方位に放射しようと距離が離れてるほど放った弾の密度は薄くなる」
故にばら撒かれ続ける弾丸のうち、ペトニアロトゥシカへ迫るモノは言葉の通り限られていた。
「そして物質を透過できても、あたし自身を透過したら当たらない以上……あたしの体の一部である外骨格には、弾が――当たるッ」
振るうペトニアロトゥシカの右腕が悲鳴を上げる。叩き落そうとした弾丸の後続がほぼ同じ場所へぶち当たってきたからだ。ただ、致命傷にならない程度に凌ぐには充分であり。
「もう少しだけ、力を引き出すよ!」
尻尾の発電器官を強化したペトニアロトゥシカは生じた電流を未だ右腕を壊そうと殺到する弾丸目掛けて全力で放つ。
「放たれた、弾丸が、金属なら――」
高速で連射された短い間隔で飛んでる弾丸は、電気にとってまさに相手へ直通の道。弾丸の連射を続けたままのダークポイントに電流が達するより早く連射を止めることは不可能であり。伝う電流は、弾丸同士の間で幾らか減退しつつもダークポイントの身体を蹂躙したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
フロース・ウェスペルティリオ
高層ビルが沢山だと、弾んだり引っ掛けたり出来る場所が多くて助かるねぇ
視力、第六感、早業、忍び足等の技能を駆使して、追いかけようか
ウチ自身は多少弾丸に当たっても、飛び散った分は後で回収すれば問題ないけど、なるべくは避けて、避けきれないな物は文庫本を盾がわりにしていくよ
この黒花印の目録本は頁を翳した品を収納してくれる便利本なのです。しかも、ずぼらさんの情念らしく細かいことを気にしないようで、動いてようと火がついてようと収納されるそう。という訳で、弾丸も収納していこうかな
UC解除されたら収納分も消えそうなのは残念だけどねぇ
可能ならバウンドボディで体当たりしつつ、リボルバーの収納も狙えると良いのだけど
「さて、追いかけようか」
身体を電流に焼かれながらも、次の猟兵に隙を晒すことを恐れたか、すぐさま駆け出すダークポイントへとフロース・ウェスペルティリオ(蝙蝠花・f00244)は追跡を開始する。ビルの合間に細長く切り取られた空を前方に、視力が捉えるのは、まるで隙間の様な狭い路地に高速で飛び込んでゆくダークポイントの姿だ。
「おやおや」
そう、高速で。ダークポイントは再び浮遊する無数のリボルバーを自身へ装着していたらしい。
「第六感はこれを告げていたのかい?」
目にもとまらぬ早業でフロースがとっさに盾にしたのは、黒花印の目録本。ただの文庫本ではなく、1頁につき1種類の品を収納できるソレの能力はダークポイントも予想外だったのか、最初の数発の弾丸はフロースに届かず。
「この黒花印の目録本は頁を翳した品を収納してくれる便利本なのです。しかも、ずぼらさんの情念らしく細かいことを気にしないようで――」
独り言のような解説はきっとダークポイントには聞こえていない。
「とは言え、全部を収納させてはくれないみたいだねぇ」
絡繰りはわからぬとしても、文庫本が弾丸を防ぐとダークポイントは理解したらしい。文庫本を通過した弾丸が掠め、フロースの一部が僅かに飛び散る。ただ、それだけであった。
「後で回収すればいいけれど、なるべく避けたいかな」
ブラックタールのフロースは飛び散った部分は意に介さず、次の瞬間、大きく変形する。バウンドモードへ移行したことで得た強い伸縮性の賜物である。
「高層ビルが沢山だと、弾んだり引っ掛けたり出来る場所が多くて助かるねぇ」
伸びた腕が建物の出っ張りを掴み、縮むことでフロース自身を引っ張り上げれば、強い弾力が建物にぶつかったところで全身をたわませ、反発力でそれこそ弾丸のごとく跳ね飛ぶ。急速に軌道や速度が変わることで弾丸はフロースを捉え損ね。
「結果:補足失敗。
試行:回」
回避不能と言い終わらせるより早く、まるで黒い水饅頭のような球体となったフロースの体当たりがダークポイントの身体を弾き飛ばし、吹っ飛んだダークポイントはビルの壁面に接触。そのまま壁面にめり込むどころかビルを貫き、粉塵をまき散らしながら更に向こうのビルへとぶち当たる。
大成功
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片桐・公明
【POW】
近くにある室外機やゴミ箱を敵に投げ付けることで視線を逸らす
投擲を攻撃と認識したら視線を向けて燃やすだろうし、そうでなくとも注意は一瞬逸れるだろう
その隙に敵に近付く
そらした視線の逆を意識して、最短距離を詰める
仮に炎を食らったとしても気にしない
「炎が怖くて、火計なんかできるか!」
顔面に一発
一度組付いてしまえば、自信も燃やす恐れのある炎は使えないだろう
(絡み、アドリブ歓迎です。)
彩瑠・理恵
まるで六六六人衆のようなオブリビオンですね
その六六六人衆自体、私はリエから聞いただけでしか知りませんが
リエには悪いですが此処は私にやらさせてもらいます
可能な限り物陰から近寄って、ダークネスカードから朱雀門制服だけ取り出してそれを投げて視界の盾にすると同時に飛び出します
制服が燃える間に指鉄砲で敵の頭上を指差し【模倣再現・殲術再生弾(キリングリヴァイヴァー・コピー)】を放ちます
仮に作戦が失敗して私自身が燃やされようとリヴァイヴァーさえ発動させてしまえばそれでいいです
リヴァイヴァーの回復力が効いてる内に捨て身の突撃で懐に飛び込んでバベルブレイカーで串刺しにします!
慄け咎人、今宵はアナタが串刺しです!
「まるで六六六人衆のようなオブリビオンですね」
物陰を伝うように進みながら、彩瑠・理恵(灼滅者とダークネス・f11313)はポツリ呟く。その「ような」と比喩した元を理恵は別人格から聞いただけらしいのだが、はっきりとしていることはある。
「リエには悪いですが、此処は私にやらさせてもらいます」
人格の交代は行わない。個人的な事柄ではあったが、口の端に登らせ理恵が進めば、ダークポイントが激突したビルが近づいて来る。
「っ」
身体に乗った砕けたビルの欠片を落としながらダークポイントが現れたのは直後のこと。何かを探すように視線をさまよわせたオブリビオンの視線が自身へ向く前に、理恵はこれまで潜みつつ進んできた物陰へ深く隠れなおしながらダークネスカードから一着の制服を取り出す。
(「このままできるだけ隠れて――」)
近くへ、もっと近くへ。
「え」
じりじり近寄るさ中であった。視界の端に放物線を描くゴミ箱を捉えたのは。すくなくとも投じたのは理恵ではない。だが、一秒もせずそれは何かに命中して音を立て、場合によっては中身をぶちまけることであろう。
「陽動」
あるいは、囮。ダークポイント相手にそんなことをする者が居るとすれば味方であり。
「今よ!」
自身の投げたゴミ箱が漆黒の炎に包まれた時、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)は駆け出していた。ゴミ箱が燃えたということは、ダークポイントの視線が一時であれそちらに向いたということでもある。
「つまり――」
距離を詰める好機。公明はアスファルトを蹴り、自分とダークポイントを繋ぐ最短距離を現在進行形で縮めながら走り続ける。自身が燃やしたモノがゴミ箱と気づき、それから視線を切ったダークポイントの視線が自身に向いたとしても。
「炎が怖くて、火計なんかできるか!」
漆黒の炎に包まれても構わず拳を振り上げ。
「え?」
たどり着かれる前に焼き殺すとばかりに公明へ視線を注いでいたダークポイントの顔が別の方を向いたことは想定外だったが、止まるつもりはなかった。微かに公明の視界の端に映ったのは、自信と同じ色の炎で焼かれたどこかの学校の制服。
「キリング、リヴァイヴァーっ!!」
響いたのは、理恵の声。
「これは」
若干の困惑を含んだ声を、走る公明は漏らす。漆黒の炎に焼かれた身体が癒えて行くのだ。
「さっきのモノね」
だが、味方が何らかの手段で回復してくれたのだとすれば、理解の範疇である。漆黒の炎は消えないが、消耗した体力は追いかけるように湧いて来る。火傷も負っては治るを繰り返し。
「強さと美しさの両立。それこそ諸葛流舞闘術の真髄よ。せぇぇぇい!」
「疑問:何」
言葉の途中で握り固めた拳がダークポイントの顔の中央に叩きこまれ。
「更に、こうやって組みついてしまえば、自身も燃やすかもしれない炎なんて使えないアル!」
「否定:自己保身=窮地脱出不能」
「な、ぐっ」
流れるように絡みついた公明の言葉を否定したダークポイントは躊躇わず公明を見つめる。理由があったのだ。今ダークポイントが戦っているのは、公明一人に非ず。何としてでも公明を振りほどかなくてはいけない理由は、公明がダークポイントだけを見ている間も、距離を詰めており。
「その状態なら、避けられないでしょう!」
捨て身すら覚悟で突撃してきた理恵の視界に入るのは、まだ公明を振り払うこと能わず、無防備なダークポイントの背中。
「慄け咎人、今宵はアナタが串刺しです!」
最後の一歩を詰めると同時に繰り出したバベルブレイカーはダークポイントの胴を貫き、杭の先端を反対側から突き出させたのだった。
大成功
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月宮・ユイ
アドリブ◎
*器に<誘惑の呪詛>宿す呪:呪詛操るヤドリガミ
揺るがない戦意…
故にこそ止めなければ被害増加しますね。ここで討ちます
[ステラ]拳銃型
敵に対抗し物質透過の<呪殺・誘導弾:生命力吸収の呪製>装填
自殺に使用しても生命力が連環する様にしダメージ減らす狙いも。
纏う<念動:オーラ>に<破魔の呪>込め、
自己<催眠>による衝動抑制と併せUCの発動時間稼ぐ。
起動する時間が稼げれば良い
《迎撃捕食》起動
▼分身体
影製(物質透過、飛行浮遊)、武装は本体と同じ拳銃、呪殺弾
自殺防止用に感情排除、機械的に敵を襲撃。
対策を突破されたとしても、
銃口向けなければならない性質上数で押す。
尽き果てるまで喰らいつきましょう
ナイ・デス
自殺衝動、ですか……私は、死なないし
死ねない、です……!
自殺衝動から自傷、胸を刺してみるが
【激痛耐性】慣れている。諦観。私は死なない、死ねない
だから【覚悟】『いつか壊れるその日まで』
衝動に打ち勝つ。再生する。駆ける【忍び足ダッシュ、ジャンプ】戦闘力増強は、加速
実弾も【第六感】で射線【見切り】避ける
頭は【かばい】腕で受ける。止まらない。再生、加速、再生、加速!
頭が弱点と、思わせて
頭に命中、弾けても
止まらない。私はそれでも、再生してしまう
【念動力】で自身の背を押し【吹き飛ばし】更に加速!
過去を、今生る私の力に
【鎧無視攻撃で串刺して、零距離で、生命力吸収】する光を流し込む
もう、殺させはしない、です!
「揺るがない戦意……」
貫かれ、風穴をあけられて尚動くダークポイントの様を見て月宮・ユイ(捕喰連星・f02933)の口がそう動いた。故にこそ、止めなければ被害は増加する。
「ここで討ちます」
結論であり宣言はダークポイントの耳にも届いていたのだろう。
「否定:己=勝者。
目標:猟兵撃退。
行動:戦闘開始」
傷ついた身体でアスファルトの上を駆け、ユイとナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)に向き直ったダークポイントは即座に銃口を二人へ向けた。
「自殺衝動、ですか……私は――」
唐突に沸き起こったモノの名を口にしてナイは己の胸を刺し。
「死なないし。死ねない、です……!」
激痛に耐えて、諦念を言葉と共に吐き出すと、全身を瞬時に再生させる聖者の光が包み込んで、逆再生でもするかの様に胸の傷が癒えてゆく。
「う、あ……」
一方でユイの方は自己催眠と自殺衝動のせめぎ合いを見せていた。来るとわかっているからこその備えは、自殺の完遂を防ぎ。
「(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。並列処理、情報収集、捕食吸収能力制御。分体調整、生成待機)自動迎撃システム起動……」
ただ、ユーベルコードの行使へ成功した時点で、ユイは確信する。
「残念、でしたね。銃口を……向けなければ、ならない……性質上、数で押す」
均衡が崩れだし、手にした拳銃が自身へ向くも一向に構わない。六十に迫る自身の分身が召喚され、感情の抜け落ちた表情で一斉にダークポイントへ襲い掛かったことも理由の一つだが。
「くうっ」
直後の発砲で自身を撃ち顔を顰めるもユイの身体に傷はない。手にした拳銃の不具合ではない。物質を透過し生命を吸収する拳銃の効果は正しく発揮され、吸収された生命力が撃った当人に戻ったのだ。
「尽き果てるまで喰らいつきましょう。もっとも、私はあちらには、加われません……が」
本体が自分の生命力を延々奪うループで動けなくとも、分身たちが居る、そして。
「次は、私の、番……、です」
ユイの分身たちとは別にナイもダークポイント向けて走り出していた。衝動は既に自傷したことと覚悟をもって打ち勝った。仮にまた自分を傷つけようとしたところで、全身を包む聖なる光が瞬時に癒す。ダークポイントが銃口を向けるだけでは自滅させられず業を煮やして発砲してきたとしても、同じ。
「止まらない。私はそれでも、再生してしまう」
全身を包む光によって強化され増した速さをもって、念動力で己の背を押して、数の暴力によって追い込まれつつあるダークポイントの元へ、ただ駆ける。ユイの分身たちの発砲で射撃の檻と化した高層ビル街の片隅、その更に端。
「意味はない、です」
味方の流れ弾が当たろうとも光が癒す。構わずナイは突っ込んだ。手にしているのは己の胸を傷つけたのと同じ黒剣だ。
「必要:もう一人の猟兵への」
ダークポイントの言葉の途中で、ナイはダークポイント諸共に撃たれながらも黒剣でオブリビオンの身体を貫き。
「過去を、今生る私の力に――」
直後にダークポイントの胴を串刺しにした黒剣が内から光ってダークポイントの生命力を奪い始める。
「危険:現状。
必要:剣の除」
恐らく除去と言いたかったのであろう。だが、言葉にする余裕すらダークポイントには与えられなかった。剣で貫かれ動けないこの時をユイの分身たちが逃すはずがなかったのだ。
「もう、殺させはしない、です!」
ナイの言葉を知覚した直後、59人分の銃撃がダークポイントを襲ったのだから。
大成功
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水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
見えるとはつまり対象が光を反射し眼球相当のものが受信するという事象です
つまり光を反射しなければ見えません
UC触手式魔導兵器を発動し、自分を光を一切反射しない闇の塊で覆います
周辺一帯を燃やされる可能性はありますが範囲になった分威力は弱まるはず。触手から水を出して消火します
先制攻撃が対応出来たら闇の中でUC侵蝕し融合する狂気を発動
目立たないよう忍び寄り、火属性を取り込むと全身に巻き付いて最大熱量で燃やします
(燃やされることは慣れてませんか?…あぁこの状態では声が出せませんね)
「見えるとはつまり対象が光を反射し眼球相当のものが受信するという事象です」
つまり光を反射しなければ見えません、と水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)は言う。
「いくら視線を向けようと、見えないものには当たらないという訳ですね」
だからこそ、片膝をつき満身創痍のダークポイントを前に怜悧は触手式魔導兵器を放とうとし。
「え?」
突然覚えた自殺衝動によって怜悧は触手ちゃんを自分自身に向けた。
「……あぁ、そうか。先制攻撃、でしたね」
ダークポイントが銃口を向け怜悧に先んじてユーベルコードを使っていたのだ。両者がユーベルコードを行使しようとしたなら、先に発動するのは、ダークポイントの方という訳であり。
「ぐあっ……しかし、これは一考の価値が、ありそうですね」
自らの触手式魔導兵器で傷つきながらも、何とか意識を繋いだ怜悧の視界でダークポイントの身体が、傾ぐ。
「成程、既に限界でしたか、これなら……此はすでに私の一部、ならば侵」
好機と見て、怜悧が肉体を黒く玉虫色に光る液体金属へと変異させようとした瞬間だった。変異するより早く怜悧の前方が漆黒の炎によって燃え上がったのだ。
(「二度目の攻撃? UCを、使うごと……に先制攻撃、してくるというのですか……」)
ただでさえ強力な敵から複数回攻撃されるリスクは、大きい。
「危ない……ところでしたね」
崩れ落ち、骸の海へ還ってゆくダークポイントを視界に入れたまま怜悧は呟く。ここまでの戦いでダークポイントが限界を迎えていなければ、倒れていたのは怜悧の方だったかもしれない。元に戻りながら掠れた声を漏らす怜悧の前で骸は消え去り、吹き抜ける風が粉塵を巻き上げた。
苦戦
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