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アースクライシス2019②〜ロサンゼルス大混戦

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019


●ロサンゼルス防衛戦
「大変だよー!みんな、大変だよ。ヒーローズアースですっごい戦いが起こってるよ!」
 ポーラリア・ベル(f06947)は急ぎ翅を羽ばたかせて猟兵達を招集する。
 それは『アースクライシス2019』。ヒーローズアースで戦争が始まったのである。
「あっちこっちで戦いが起きてるけど、皆にはロサンゼルスに行って欲しいの」

 ポーラリアの話す所によれば、オブリビオン軍が『海洋文明アトランティス』の洪水兵器を用意して、ロサンゼルスを襲っているとの事。
 洪水兵器―下手をすれば世界をも滅ぼしかねない、恐るべき兵器だ。
「でもね、でもね、ヒーローとヴィランが結託して、この兵器を操るオブリビオン達を食い止めてるの!」
 その名は『ロサンゼルス防衛軍』
 種族や思想を超えて国連軍・ヒーロー・ヴィラン達が結託した、すごい軍だ。
「防衛軍のみんな、すっごい頑張ってるんだけど……ボスのオブリビオンだけはとっても強くて太刀打ちできないって困ってるみたいなの。お願い、力を貸してくれる?」

 猟兵達の返事を待つも早くに、ポーラリアはグリモアを起動する。
「今からロサンゼルスの戦場に飛ばすよ。とっても激しい戦いの中に放り込まれて、砲弾やユーベルコードがあっちこっちから飛んでくると思うの。気を付けて!」
 戦闘の最中だろうと否が応でも対応せざるを得ない事態は想像に難くない。
「かっこよく避けながら戦ったら、いい感じに上手くいくと思うよー!頑張ってー!」
 手を振りながら、ポーラリアは猟兵達をロサンゼルスへと送り込んでいくのであった。


古塔
 新人マスターの古塔と申します。宜しくお願いします。
 このシナリオは1章のみ、ボス戦のシナリオです。

●場所
 ロサンゼルス市街地。
 OPで述べた防衛軍とオブリビオン軍との大激闘の渦中に転送されます。
 敵味方の放つ激しい攻撃を掻い潜りながらボスと対峙する事になります。

●ボス
『邪神アリューシャ・ディストピア』
 冷気を操る邪神です。
 現在オブリビオン軍の指揮に当たっています。

●特殊ルール
 【飛び交う砲弾やユーベルコード、雑兵の攻撃をかわすプレイングを行う】と、プレイングボーナスが付き、成功しやすくなります。
 あくまでもボーナスなので、かわさずに戦ってもOKですが、良いところで砲撃や雑兵の割り込みが入ってくるかもしれないのでご注意ください。

 それでは激しきロサンゼルスの戦い、突撃する準備は宜しいでしょうか。
 プレイングお待ちしてます!
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第1章 ボス戦 『邪神アリューシャ・ディストピア』

POW   :    レフティ・コールドブレイザーストライク
【左手から熱を奪い燃焼する炎を発し、その炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【冷たい水色の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ライティ・グレイシャールウェイブ
【右手から、無数の氷河の嵐】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ハイパーコールドアーミーズ!GO!
自身からレベルm半径内の無機物を【絶対零度の体温を持つ氷の兵士】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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●ロサンゼルス市内は戦場と化していた

「地球の平和に誰も彼もが駆け付けた。大いなる敵には善も悪も一つになるのだ!」
 ヒーローがビームを放ち、オブリビオンを打ち倒す。
「しゃらくせえが、散々俺達を利用してきたツケって奴だ。払ってもらうぜ!その体でな!」
 ヒーローに手間取るオブリビオンに、後ろからヴィランのバイオ触手が締め付け打ち倒す。
「今だ!対空兵器の後、カウンターミサイル!撃て!」
 ミサイルポッドを豪勢に掲げたオブリビオン達が一斉にミサイルを放つと、国連軍の強化兵達が瞬く間に撃ち落とし、次弾のミサイルを当てて爆発させていく。
 しかし防衛軍達の進撃はオブリビオン達の洪水兵器が押し流し、食い止める。
「全部押し流すつもりかくそったれ!」
「させるかーっ!」
 オブリビオンごと打ち潰す勢いで、洪水兵器を潰さんと、陸空あちこちから防衛軍とオブリビオン達が戦い舞う!

 そんな戦場をゆっくりと歩きながら、オブリビオンの指揮をする者がいた。

「第一部隊はそのまま前へレッツゴー!第二、第三部隊は左右に分かれて……第4部隊、チョーットそこの路地にウォーターを流しナサーイ。ラット共を隠さず暴くのデス!」
 髪もドレスも美しい氷で出来たような、白肌の女性が優雅に歩く。
 その身から絶え間なく放出される冷気が、彼女の周囲だけ美しい雪を降らせ続ける。

「貴様がリーダーと見た!でやあ!」
 一人の勇敢なサムライのヒーローが攻撃を加えに行くと、差し出した右手から凄まじき氷河の嵐が吹き荒れる。
「なっ!だが拙者の刀は嵐をも切り伏せる!」
 荒れ狂う氷河を一閃で切り裂いた瞬間、更なる氷河の嵐が、幾つもの氷河の嵐が、無数の氷河の嵐が。
「ばっばかな!多すぎ……ぐああぁ!!」
 サムライヒーローは押し負け、氷河の嵐は周囲の防衛軍も巻き込んで氷漬けにしながら吹き飛ばす。

「隙ありだぜ!」
 遠方からスナイパーライフルで狙撃するヴィランには、一瞥もくれずにかざした左手から、凄まじい水色の炎が噴き出して弾丸とヴィランを包み込む。
「っ、気づかれて!?ぁ……ぎゃあぁ!服が!手が!足が!凍―」
 言葉を全て放つ前に、凍え盛る炎に包みこまれた形でヴィランが氷像と化してしまう。

「……フフ」
 ボスの女性は笑う。
「マイシスター……ミーを置いて地上に出た後は、グレイトフルなヒーローになったと聞きマシタ。今もどこかで戦ってマスカー?ロサンゼルスを抑えたら、ミー達の洪水はこのままアメリカ全土を飲み込み、やがて世界を水で浸(おか)すデショウ。」

「覚悟ー!」
 その時飛び掛かってきた一人のヒーローの頭をうっかり左手でわしづかみにしてしまう。
「サンガール!」
 防衛軍のヒーローが叫ぶ。
 金の瞳、ばらけて舞う金の髪、自らを太陽のような炎のオーラで纏ったその少女。
 アリューシャはサンガールの面影に何か思わし気な表情を浮かべた。
「翼もない、炎しか使えない……がっかりデース」
 あっという間に水色の炎が少女の炎を侵食する。
「きゃ……うわああぁぁ!?」
 あっという間に熱を奪い、極高熱の橙炎が、極低温の水色炎に染まり満たされたサンガールは、包まれた炎の形に添って美しい氷塊と化していく。
「ちっ!炎も…駄目なのか!」

 水白銀の氷に閉じ込められた金色のサンガールが、抵抗むなしくごとりと地に落ちると、サンガールを覆う氷から極度の冷気が発生し、絶対零度の氷の兵士の形に変化していく。
「なっ!?」
 周囲を凍らせ、氷の世界を作りながら防衛軍に進撃する氷の兵士に呼応するかのように、
周囲のがれきや捨て残された車、サンガールと同じように氷漬けにされた防衛軍の氷……無機物が、同じ様に氷像兵士へと作り替わっていく。
「ヒッサーツ、ハイパーコールドアーミーズ!GO!」
「中のヒーローは気にするな!止まるとやられるぞ!」
 大柄のヴィランが巨大な拳で絶対零度の兵士を食い止める!凍り付く前に拳を放し、何度も当て続けるが……!
「アーンド!フラッドウェポーン!GO!GO!」
「何っ、しまった!」
 防衛軍にアトランティスの洪水兵器が直撃する!
 絶対零度の兵士と共に押し寄せた洪水に驚き、隙を生んで兵士の攻撃を喰らってしまう!
 同じ様に食い止めていた防衛軍達さえも押し返され、氷の塊となり、抵抗できぬまま洪水に押し流されていく。

「く……くそっ、何だこいつ、とんでもなく強いぞ!」
「ハロー、ヒューマン。邪神に勝てると思いましたか?ユー達がどれだけ頑張っても、ミーが全てフリージングしてあげマース!世界を洪水で水浸しにする為にも、ユー達はここで、氷河に浮かぶ氷の一部になって漂っててクダサーイ!」

 邪悪に、冷ややかに、絶対零度の笑みを浮かべる。
 恐るべき『邪神アリューシャ・ディストピア』はそのままゆっくりと前進し、止まることなく防衛軍を押し続ける。
「マイシスター、早く来ないとロスは大洪水。大いなるウォーターに飲み込まれて、モスト・ヒューマンがジェノサイドされちゃいマスよ?」

 防衛軍だけでは勝ち目がなかった。 
 果たして誰か、彼女を止められる者はいるのだろうか―?

 いた。
 彼らは防衛軍達の混戦の最中、突如現れた。

 猟兵部隊、進撃開始である。
レイ・アイオライト
敵は邪神……UDCアースだと日常茶飯事だけど、ヒーローズアースでは結構珍しい部類よね。
……だからといって、油断はしないけど。

【暗器陰蔽】で自分の動体視力と速さを向上させる漆黒の靴を創造するわよ。
砲弾や雑兵の攻撃、ユーベルコードを『第六感』『見切り』『早業』『残像』『地形の利用』で回避する。
炎は影のオーラで『オーラ防御』、その後影のオーラで敵を覆えれば上々ね。

炎を掻き分けるように魔刀を構えながら『闇に紛れる・目立たない・クイックドロウ・暗殺』よ。

過去の存在が、未来の存在に干渉してんじゃないわよ、早々に骸の海に退場願えるかしら。


アレク・アドレーヌ
敵勢力もバラエティに富んでるというか…連合軍を相手にしてるかのようだ
まぁ戦う訳だが。

いくら冷気を放ち全体攻撃できるといっても射程には限界があるはず。
なら相手を後手に回すくらい速さで掻き回すのが得策か

UCを使用しスピードに特化。【ダッシュ】【早業】【逃げ足】【ジャンプ】【見切り】【先制攻撃】でもってして先手必勝のヒット&アウェイの一撃離脱戦法で応対。

そしていくら氷河の嵐とはいえ右手からしか出せない以上人体と構造が同じであれば可動範囲も同じ。ならばたとえ全方位を狙って放ったとしてもどこかに必ず狙う事が出来ない範囲が存在するはず

的確に掻き回してそこを狙う


フェルト・ユメノアール
ヒーローもヴィランも力を合わせて戦ってる!
なら、ボクたちも負けてはいられないね!

まずは敵軍を突破しないとね……
いちいち相手をしていたらキリがない、一撃離脱くらいの感覚で戦うよ

『ワンダースモーク』を使用、煙幕で周囲を包み込み視界を奪い
流れ弾に当たらないよう地面スレスレまで体を低くし
さらに『トリックスターの投擲』で雑兵を牽制して一気にボスへ接近し、UCを発動する!

ボクは手札からスペルカード、【機雷バルーン】を発動!
機雷バルーントークンをバトルエリアに可能な限り召喚する!

召喚された機雷は攻撃に反応して爆発する、つまり…
キミの嵐によって全ての機雷が誘爆、雑兵もボスも纏めて全部吹き飛ばすよ!


シャルボン・フランヴェルジュ
【人形館(単独)】
アドリブ、絡み歓迎
【Wiz】

なるほど隙を縫っての電撃作戦というわけだね。

ボクはあの厄介そうな氷の兵士の対処に当たろう。
あんな冷気が迸るものに捕まったら猟兵でもカチンコチンだろうからね。

さてUC【灰の舞踏装束】の発動に必要な灰を確保しなきゃね。
ちょっと無茶かもしれなけど敵をエレメンタルロッドの【属性攻撃】で燃やして……おっと!
足元に落ちてきたの味方の砲弾だよね。危ない危ない。
まったく迷惑な…いや、これを燃やして灰にしよう。
あとはこの灰で敵の氷の兵士を固めて行くだけだ!
あっ、でももし灰が溶けた氷で洗い流されたら……、そうならないことを祈ろう。



●1/3 ロサンゼルス大混戦
「邪神、か……」
 戦乱の最中、現れた銀髪の猟兵『レイ・アイオライト(f12771)』はごちた。
「UDCアースだと日常茶飯事だけど、ヒーローズアースでは結構珍しい部類よね。」
「敵勢力もバラエティに富んでるというか…連合軍を相手にしてるかのようだ。」
 更に猟兵『アレク・アドレーヌ(f17347)』が現れた。
 彼は緑色の生体外骨格に身を包む、白き仮面のミュータントヒーローだ。

 人も神もミュータントもバイオも、正義も悪も、全て入り乱れての戦い、何がいてもおかしくはない。
 たとえそこに邪神がいたとしても。

 二人は飛び交う激しい攻撃の中、瞬間的に敵の指揮官……ボスオブリビオンの位置を探る。
 それはすぐに見つかった。極低温の薄水色の、宝石の様な氷を伴う風が吹き荒れ、オブリビオンもろとも防衛軍を吹き飛ばしている冷気の奔流の中心。
 美しき冷気の邪神、アリューシャ・ディストピアの舞う姿はこの大混戦の中とても目立っていた。

「じゃ、ちょっと暗殺してくるわ。」
 レイが屈む。足元の影から、レイの足を覆うように漆黒の靴が想像されていく。
「油断はしないし、確実にケリをつけて来るけど、そっちは?」
「まあ戦うだけだ。戦争なのでな、おふざけは無しだ。」
 アレクはポーズを取る。
『スタイルチェンジ・スピードシフト』
 その生体外骨格がよりシャープに、速さに特化した体型へと変化する。

 次の瞬間、二人の影が煙と共に消え、指揮官のいる戦場へと真っ直ぐに飛び込んでいった。

●1/3 ロサンゼルス大混戦
「うわっ!と!」
 追って現れたフェルト・ユメノアール(f04735)は、早速ロサンゼルスの激しい洗礼を受ける事になる。
 爆撃の様に飛んでくる砲弾、伸縮自在の腕が何本ものしなる鞭のように飛来するのを咄嗟にトリックスター(派手な装飾のダガー)で受け止めると、横から飛び出た国連軍の強化人間が伸びる腕のオブリビオン達の足元をエネルギーの刃で斬り倒した。
「大丈夫かいあんた!」
「わっ、ありがとう!」
「気を抜くな!まだ来るぞ!」
 更に追い打って進軍するヒーローやヴィランがオブリビオンの波を、洪水を、砲弾を食い止める。
「ヒーローもヴィランも力を合わせて戦ってる……!」
 フェルトは道化服の懐から煙球を取り出すと、勢い良く地面に叩きつけ。
「なら、ボクも負けていられないね!ショータイムだ!」
 戦場が突如カラフルな煙幕に包まれた。
「サーチせよ!視界に頼るな!鼻の利く奴はいるか!」
 バイザーを付けたオブリビオン軍がすぐさま対応。顔の側面の機械を弄ると煙でなく、固体の輪郭を映し出す映像を視覚に取り付ける。
「おっと!」
「ぐわっ!?」
 そのバイザーに先程のトリックスターが突如突き刺さる!
「そっちはボクを探す分、ワンテンポ遅れるんだもん。隙だらけだよ!」
 とはいえ、1体1体相手していてはキリがない。
 フェルトは必要最低限、指揮官のルートまで邪魔なオブリビオンの眉間を的確にトリックスターで突き刺し、破壊し、倒していく。
 無論、絶えずあのカラフルな煙幕で視界を遮りながらだ。
「奴は!奴はどこだ!空爆隊!」
 まだ距離があるオブリビオンが空や陸の仲間に察知を頼む。
「下にいる!身を低くして這う様に足元を抜けて突破を試みている!地面に向けろ!」
「「了解!!」」
 遠方のオブリビオンのバズーカ隊が一斉に身を低くし、進行するフェルトに砲口を向ける。だが!
「―じゃあ正面ががら空きだって事だな?」
「!?いつの間に!」
 フェルトと共に進撃していたヒーローの数人が高速で懐に入り込むと、オブリビオン達に拳が!蹴りが!上手い具合に突き刺さる!
「ぐわがががっ!!」
「協力ありがとー!……よし、見えてきたぞ。あいつが本命の!」
「くそっ、こんな敵一人の為に戦力を割くか……!」
 オブリビオン軍は地を這う道化師フェルトと、正面を突破する防衛軍達の2重の対策を迫られ、混乱し、かき乱される。
「あれが猟兵って奴の力か……!ちっ、ひがみは無しだ。さっさと頭ぁ叩いてくれよな!」
 防衛軍のヴィランが悪態をつきながらも、事態が事態とこらえながら、戦乱の最中飛び出していく、一人の道化師を見送った。

●1/3 ロサンゼルス大混戦
 カラフルな煙幕に乗じてロサンゼルスを駆け回る、別の影があった。彼の名前は『シャルボン・フランヴェルジュ』(f22312)。黒髪で中性的な、人の姿をしたヤドリガミだ。
「こんな滅茶苦茶な戦場を紹介されて、ひたすら戦えってなるのかと思ったけど……なるほど隙を縫っての電撃作戦というわけだね。」
 それを聞いて転送された彼は、しかし真っ直ぐに飛び込もうとはしなかった。
「ボクのユーベルコードは『灰の舞踏装束(サンドリヨンドレス)』。これを使うには、まず灰を蓄えなくちゃね……っと!」
 オブリビオンの放つユーベルコードのビームに慌てて当たりそうになるが、狙いがそれて近くの信号が燃え上がる。
「よし、こいつももらうとしよう。」
 燃え広がり焼け落ちる信号機に、シャルボンは手から火を放ち、更に燃やして焼き尽くし、灰を作り上げる。
 生まれた灰が彼の手による力で石灰となり、ブラックスライムの如き液体状のボールとなって彼の周囲に漂い始めた。

 すると突如、遠方から轟音がした。
「あれは確か……アトランティスの洪水兵器!」
「そんな処で終わりそうにないわねあれは!よく見て!流されてる物を!」
「えっ誰?それにこの刺すような冷気……わっ」
 気づくと横にいた女性のヒーローがシャルボンを抱きかかえて近くの車の上に跳んだ。
 洪水が流れ、浸水する中で迫りくる者達がいた。
 絶対零度の冷気でサーフボードを作り進軍する、氷の兵士だ!
 何体かの氷兵士は手に防衛軍の人間と思わしき氷像を掴んでおり、それを無作法に流れる洪水に投げ込むと、シャルボン達にその顔を向き合わせた。
「あの兵士には触っちゃだめよ。さっきも見たけどあれは敵指揮官のユーベルコードで、絶対零度の」
「それは事前に聞いてるよ。……そうか戦闘外でも動いて、冷気でカチンコチンにしちゃうんだ……だったら!」
 シャルボンは先程の石灰ボールを手に込め、氷の兵士に狙いを定める。
「『灰の舞踏装束(サンドリヨンドレス)』!君にドレスをプレゼントだよ!」
 撃ち放たれた石灰が兵士に命中すると、爆発し、一瞬で爆ぜた石灰が氷の兵士の全身を塗り固める!
 攻撃準備を済ませてとびかかろうとした氷の兵士達は、バランスを取る事もできず洪水の中に落ちていった。
「この灰で氷の兵士を固めていけば……あっ!」
 目を見開き、驚くシャルボン。落ちた洪水の水で石灰が洗い流され、即座に氷の兵士達が湧き上がり、襲い掛かろうとしたのだ!
「いえ、これでいいわ。先の道に跳ぶから、また出たら今の奴使って!」
 女性のヒーローはシャルボンを抱えたまま洪水の中を飛び出す。
「えっそんなだって!」
 そう言う間にも目の前に洪水兵器を所持したオブリビオンが映る!数は2体!
「左は私!右、を、お願いっ!」
 ヒーローの女性はシャルボンを右のオブリビオンに投げると、左のオブリビオンの鳩尾を蹴って空高く吹き飛ばした!
「無茶苦茶やるなあヒーローのお姉さんー!?」
 だが飛ばされたシャルボンも水龍の如き石灰の奔流を、
ぶつかりざまにオブリビオンに塗りつけ、綺麗にドレスを着飾った様な漆喰のオブジェに作り変えて動けなくした。
 後ろから氷の兵士が―。
 そう心配して振り向いたシャルボンに映ったのは、絶対零度の冷気で洪水の水ごと凍り付き、動きを止めた氷の兵士達だった。
「後ろじゃない、前!」
 続けざまに氷の兵士が追加で1体突撃!
「うわーっ!」
 咄嗟に残った石灰を撃ち放ち、たちまち漆喰の淑女めいた彫像に変える。
 が、絶対零度を失い溶けつつある氷の水が……固めた石灰をドロドロにし、再び動きだし始める!
「そんな!……ボクのコードじゃ、相性が『悪い』のか……!?」
「チェストーッ!!」
 BAGOOON!!女ヒーローの放った跳び蹴りで、氷の兵士だったものは粉々に砕け散った!
「洪水に落とせば凍って固まる、普通に撃っても、冷気が消えて攻撃が通る!あんたのコード、こいつに相性『最高』よ!」
 突如出合った女ヒーローと共に、シャルボンは戦場を駆け抜けて。
「っと、それなら灰を集めるの、協力して欲しい。ボクの力は灰が無いとダメなんだ。」
 灰を集めながら、オブリビオンの兵士を固めて回るのだった。

●2/3 邪神決戦
「ソノ程度でミーを止められると、イマジネイションしてきたのデスか?」
 ロサンゼルス市街地戦場の一角に、交戦の薄い空間があった。
 否、交戦した所から次々と終わらされていったのだ。
 その戦場は薄水色のかかった白銀の氷の世界に覆われ、ヒーローやヴィラン、防衛軍達の氷像があちらこちらに転がっている中、氷のヒールを地面に打ち鳴らす美しい氷の淑女を先頭にして、進軍していた。
「そしテ第一部隊、進みが遅いデスネー。手こずっているなら力を貸してあげマース!」
 たった今、空から急襲した国連軍達のサイボーグ部隊が、氷柱の様に氷漬けにされた後積み重なって、高層ビルをはるかに超え、天をも突き抜けそうな巨大な氷の柱にされていた。
「……フフ」
 邪神アリューシャは氷の様な微笑みを浮かべると、指一本でその氷柱をつつこうとする。
 それだけで国連軍を閉じ込めた氷の巨柱はぐらりとバランスを崩し、正面の戦場を一網打尽にせんと倒れていく。そのはずだった。
 側面をカバーしていたオブリビオン達が吹き飛ばされる音を聞くまでは。
「ワォ!ニューチャレンジャー!」
 咄嗟に氷の盾を作る。左から飛んできた漆黒の靴の一撃、右から飛んできたバトルガントレットの拳。
 それらを防いだ瞬間、一人は影に溶けるように消え、一人は目にも止まらぬ速さで離脱する。
 レイとアレクの二人が、猛攻を掻い潜り邪神アリューシャの戦場に飛び込んできたのだ。
「この感じ、ミー達を滅ぼそうとする、雑兵どもよりも明確な殺気……ユー達、猟兵デスね?」
 邪神は表情を崩さずに、しかし纏う冷気が本気を見せるかの様に戦場を吹き荒れる。
 その周囲はあまりの冷気に雪を生むだけに留まらず、絶氷の冷気を生みだす氷の欠片までもが勝手に作り出され、舞うほどであった。

 邪神アリューシャはそっと両手を左右に掲げる。
「レフティ・コールドブレイザー、オン。」
 左手が周囲を凍てつかせ続ける水色の炎を纏う。
「アーンド……ライティ、グレイシャール、オン!」
 右手が周囲を凍てつかせ続ける氷河の風に包まれる。
「カム、オン!イェーガー!纏めて極地のアイスバーグにインしてあげマース!」

 打ち結ぶ。打ち結び、打ち鳴らす。
 レイとアレク、二人の猟兵の挟撃を冷気の邪神は余裕を浮かべながら対処していく。
「レフティ・コールドブレイザー!」
 戦場を氷点下に下回らせ、吹き荒れる冷気の炎。
 邪神の生み出す極氷の攻撃をそれまで残像が残る程の速さで回避していたレイが、ここぞとばかりに突っ込んだ。
「オゥ!勇敢ネ!」
 そのまま刀を抜き、地面の氷の摩擦も加えて一瞬で間合いに入り、斬撃を喰らわせにかかるが、
斬ったのは冷気の炎でできた邪神アリューシャだった。敵も残像を使ってきたのだ!
「ちっ」
「デンジャラスガール、本命はその刀デース?先程まで使った靴がよっぽどお気に入りに見えましたデスがー」
「……言ってんじゃないわよ。」
 邪神の言葉に漆黒靴の在り方が揺らぐ。
 綻びを感じれば弱体し、今の勢いを維持できなくなる。ただ油断せず、ただ邪神を討つために集中する。
 そして邪神も彼女だけに気は配れない。
一瞬で左手に巻き付いてきたアンカーに引っ張られ、アレクが飛び蹴りをお見舞いしに来る。
「ライティ・グレイシャール…ウェイブ!」
 アンカーを即座に氷結させ、破壊して勢いを殺すと、アレクに向かって吹雪よりも凄まじい氷河の嵐が吹き荒れる。
 だが、それを見切ったアレクは足に力を籠め、力づくで地面に着地すると、
その勢いで嵐が達する前にバックステップ、その場を離脱する。
「ンー、モストクイックリィ!でもミーはまだまだ余裕デース!そのスピード、いつまで維持できマスカー?」
「維持ではない」
 アレクの生体外骨格に力がみなぎり、邪神だけを見据える。
「もっと速くなる」
 戦場に吹き荒れる水白銀の氷河の嵐に、物怖じもせず再び飛び込んだ。

「オット!」
 戦闘の最中、氷の柱に邪神の背が当たる。
 それは先程戦場の一つを潰そうと作り上げた巨大氷柱だ。
「!!」
 遅れて駆け付けた防衛軍達が狼狽えた。
 今の衝撃でぐらりと、戦場に向かって、子供が蟻を踏み潰すかのような一撃が降り注ごうとしていたのだから―!
 その隙を見て、レイとアレクの二人が同時に仕掛ける。
「オゥ!逃げ場がないデスね!デーモ」
 ぱちんと邪神が指を鳴らすと、氷の下からオブリビオン達が伏兵の如く姿を現し、一斉に銃器を討ち放った。

「ちっ」
「これは……」
 当たる。そう思った時には既に邪神から遠ざかっていた。
 そしてそのまま氷の柱は防衛軍達を一網打尽にしようと倒れこみ―。

「手札からスペルカード、【機雷バルーン】を発動!」

 氷の巨柱に大量の風船が纏わりついた。
「機雷バルーントークンをバトルエリアに可能な限り召喚する!」
 風船、否、機雷バルーンは巨柱に触れた傍から爆発、爆発、爆発していき、
恐るべき無数の機雷爆発の連鎖が氷の巨柱にヒビを入れ、ついに爆散。破壊してしまった。

「ホワィ!?ニューチャレンジャー!?」
 中の防衛軍達は無事だ。巨大な氷の欠片に閉じ込められたまま墜落したが、戦場は彼らの氷の欠片が
幾人かのオブリビオンを潰すまでで留まった。
 そんな氷の破壊の塵煙の中、笑顔を絶やさず現れる者がいた。
「こんにちは!次はボクと相手してくれないかな?」
 フェルト・ユメノアールが、邪神の戦場に現れた。

●2/3 邪神決戦
「上等デース!やれるものなら相手シテあげマース!」
「やってやるさ。ワンダースモーク!」
 先程の戦場でも使用した、カラフルな煙幕で視界を遮る。
 それに対して邪神は左手をかざし、ふっと軽く振ると、氷河の嵐を巻き起こして煙を振り払う。
「こんなものデスか?……!!」
 煙が晴れる、どころではなかった。吹き荒れた嵐に2度、3度、いや何度も、凄まじい爆発の嵐が巻き起こる!
 邪神アリューシャは目を見開いた。スモークに紛れて、あの無数の風船機雷がばらまかれていたのだ!
「再び手札からスペルカード、【機雷バルーン】を発動!キミの嵐は、雑兵ごと…こうだ!」

 爆発! 
 氷河旋風!
 破裂と氷結の衝撃が混ざり合い、氷河の嵐が……晴れた!

 邪神アリューシャはピンピンしていたが、風船如きに嵐が敗れた―驚きを隠せない表情で立ち尽くしていた。
 戦場に墜落音。今の攻撃で伏兵していたオブリビオン達が巻き込まれ、半分凍って半分黒焦げのまま動く事無く落下して倒れていった。
「フ、フフ、アハハハハ!」
「おっと、笑いながら向上を垂れるそのシーンは、無しだ!」
 フェルトがトリックスター(派手な装飾のダガー)を眉間に投げるが、あろうことか片手で受け止めた。
「ヒューマン共などミー達邪神の足元にも及ばない、取るに足りない種族だとばかり思ってマシタ!
こうも!こうも!万物の頂点に立つミー達を楽しませてくれるだなんて!」
 掴んでいたトリックスターが凍って、砕け散る。
 その手には先よりも強力な氷河の嵐の風を纏い…その氷河の嵐の周りにも、多数の竜巻の如き氷河の嵐が生み出されていく。
「もっと来てみなサーイ、イェーガー!ミーの嵐は……『無数』に生み出せマース!」
「……っ、だったらこっちも可能な限り召喚するよ!勝負だ!」

「ヒッサーツ!ライティ・グレイシャールウェイブ!!」
「機雷バルーン!召喚!召喚!!召喚!!!」

 戦場は凄まじい事になっていた。
 フェルトの生み出した無数の機雷バルーンが嵐の様に放たれて、邪神アリューシャの放たれた無数の氷河の嵐に反応し、爆発の嵐を以て相殺する。
 無数と、無数。
 半径47メートルの戦場は爆発と氷結の奔流で満たされた。

「なんという戦いだ…入れる隙が…」
「しっかりしろ!指揮官殿の戦いに入れないならば周りを攻めろ!」
「そ、そうだ、さっきの二人はどこに―」
 その瞬間、一人のオブリビオンの首が撥ねられた。
「そこか!撃て!撃てー!」
 携行型キャノン砲の発射も空しく、彼女の残す残像にばかり命中し、気を取られている間にもう一人の緑の影が疾る。
「ぐあっ!」
「くそっそこだ!……なぜだ!なぜ当たらない!」
 凍てつく戦場をかける2つの疾風は、この戦争がどれだけ過酷なものかを理解していた。
 対処できなかったのは、展開についていけなかった周囲の雑兵達だけである。

「……フフフ」
「……っ」
 風船と嵐の戦いは、徐々に嵐が押しつつあった。
「ユーはその風船を腕のディスクにセットして使うアクションがアリマース。
しかしミーは手を振るだけであっという間にグレイシャルがテンカーイ。この動きの差、どれだけ響くか分かりマスネー?」
「まだ…まだだよ!」
「加えテ、ミーひとりならあるいは、何とかなったかもしれませんガ?今ここは戦場。……フフ、ミーにも頼もしいフレーンドがいるのデース!」
 邪神アリューシャは使っていない左手を翻す!
「カム!オン!フラッドウェポーン!GO!」
「……でも、この嵐の中そんな攻撃が入るなんて―」
「ユーから見て後ろの右、ちょっと機雷の沸きがスイーティなの、ミーは【見切って】しまいまシタ!」
「えっ!?」
 動揺。その隙と同時に幾度かの嵐と風船が相殺された瞬間。
「ウェットして、フリージング!GO!GO!GO!」

 ―吹きすさぶ爆炎と氷の嵐の隙間から見えた、洪水兵器を構えるオブリビオン。
 彼らはその兵器を放つ事も無く、音を立てて崩れ落ちた。
「ホワィ…?」
 邪神の後ろに影が現れた。
「ああ。全くだ。」
「ッ!」
 咄嗟に振り向き極低温の炎を振り飛ばす。
「それだけユーベルコードを見せられたのでな、俺もその手の動きは【見切った】。」
「アウチ!」
 緑の影が、アレクが、更に後ろからバトルガントレットの一撃を見舞う。
「なんという事デース!神の力を……【見切った】ナンテ!」
 そう言うと同時に邪神がふわりと浮いた。
「フローティング!ライティ・グレイシャールウェイブ!!」
 邪神は自らの右手の力を、嵐を推進力に吹き飛ばし、コントロールして宙に浮きだした!
「しかしミーの周辺部隊をこの短時間で全滅させた事。賞賛に値しマース。……ここからが真のバトルデース!」

 先程と同じ構え。左手に熱を奪う冷気の炎を。右手に氷河の嵐を。
 だが宙に浮き、きらきらと雪と氷が舞う中でそれを見せた姿はまるで女神の様であった。
「世界総てディストピア……万物の熱を奪い、無機なるアイスワールドに変えてあげマース!イェーガー!ユー達も一緒にネ!」
「言ってなさい。借りるわよあなたの」
「うわっ、それ足場にするの!?」
 レイはまだ力の機能する漆黒の靴で空高く飛び、まだ残っている機雷バルーンを足場に踏み付け、飛ぶ!
 風船機雷が踏まれて爆発する前に足を放し跳ねる姿はまさに早業。暗殺者の成せる御業だった。
 そしてアレクも強烈に、氷の地面にヒビが入る程の跳躍で、一気に邪神アリューシャに距離を詰める!
 空中戦、勃発である―!

●2/3 邪神決戦

 邪神アリューシャは回転するように冷気の炎と氷河の嵐を振り撒く。
 それに対抗し、レイが刀で炎を切り裂き、アレクが四方八方からの飛び掛かりで拳打を打ちながら離脱する。
 上空からは絶えず風船機雷を取り巻くフェルトの姿があった。
 ロサンゼルスの空に舞う3つの影が壮絶な戦いを繰りげる。
 そして、変化があった。邪神アリューシャの炎が突如真っ黒に変わっていったのだ。
「これハ!」
「最初に斬った時から変化なかったからもう気にしてなかったけど、効きが遅かっただけみたいね。あたしの刀は影のオーラで侵食する。」
 冷たい水色の炎が、黒く何も起きない影の炎と化していく。無力化だ!
 間髪入れずにアレクの攻撃もキレが上がっていく。
「背後…いや、手をかざした向きの真後ろ。それがお前の弱点だ。」
「!?」
「いくら氷河の嵐とはいえ、その力は右手からしか出せない。」
「アウッ…!」
 アレクのスピードが上がり、宣言通りかざした手とは逆方向の位置に一瞬で飛び込まれ、邪神の背中に蹴りが入る。
「邪神であろうと人体と同じ構造ならば、可動範囲も人体と同じ。」
 破れかぶれに、しかし戦場全体を覆うように氷の嵐を展開!だが。
「更に背後下部からの掬い上げ。これも反応できないはずだ。」
「ワッツ!?」
「たとえ全方位を狙おうが―」
 的確に、確実に、邪神の死角を見切る!
 再三の飛びあがりによる渾身のサマーソルトキックが!
「ッオオゥッ!!」
「動きは―【見切った】。」
 邪神アリューシャにクリーンヒットし、戦場から吹き飛ばした!
「っと、とどめはさせられなかったか。あたし達の出番は終わり?」
「……いや、まだだ。急行するぞ。近くに落ちたようだ。」
「いいね。……それじゃあ改めて、暗殺を始めましょうか。」
 こんな開けた場所での戦いよりは、影に紛れやすい混戦地帯なら―。
 そう思いながら着地した二人は、次なる戦場へと向かう。

 その時である、轟音が轟いたのは。
 邪神が飛ばされた場所からだ。バキリ、バキリと氷の音がすると
 周辺のビル群が氷に包まれ、そして―

 ―巨大な氷の兵士へと姿を変えた。

●3/3 ロサンゼルス・巨兵神話

「でかい…あれも敵ボスの?」
 灰を集めていたシャルボンが、その姿を見上げる。
「どころじゃないわ!今ここで変化したって事は!ここに指揮官がやってきた……!」
 彼と一緒に灰を集めていた女ヒーローも、驚いてその姿を仰ぎ見る。
「な、なんだあれは…!」
「こんなものまでやってくるのか!オブリビオンってのは!」
 アレクに飛ばされ、ビルの一つに激突したアリューシャは、触れたビルを無機物として変化させていったのだ。
「フフ……イェーガーのみなサーン、まだいるのデショウ?こんなものじゃないのデショウ?なかなか楽しませて頂きまシタ。……こんなのは如何デショウ……!」

 触れたビルが一瞬で氷に覆われ、崩れ、形が整えられると、周辺の地面があっという間に凍り付いた。
 神話に出てくる巨神のような姿を取った、絶対零度の冷気を纏う、どこかアリューシャ・ディストピアを幼くしたような容姿の、氷の巨人。
 アリューシャが触れて、触れて、触れる度、どんどんこの恐ろしき巨人が生成されていく。

「さあ、立ち向かう者は全て潰しなサーイ!ハイパーコールドアーミーズ!GO!」
 氷河の嵐で氷を纏い、美しく空を飛ぶ邪神アリューシャを指揮官に、絶対零度の氷の兵士が防衛軍達に襲い掛かる!
 この場に一番近いのはシャルボンであったが…!
「まいったな。あんな大きいのを動けなくする石灰は、骨が折れるぞ!」

「撃てーっ!」
 国連軍の砲撃が氷の巨兵に直撃する!
 だが爆発する前に一瞬で砲弾が凍り付き、地面に落ちていく。
「これ以上好きにさせるかーっ!」
 ヒーローの数人が巨大化し、氷の巨兵達に組みかかる!
 だが巨兵達の強力な冷気に、手が凍り付き…しかも数まで多い!
「くそっ、殴ればこっちが凍っちまう!だが四の五の言ってられん!」
 1体の巨兵をドロップキックで蹴り飛ばすと、他の巨兵が掴みかかり、優しくも強烈なハグを仕掛けた。
「し、しまっ!あ…助け…」
 絶対零度の冷気を流し込まれ、一瞬で氷漬けになる巨大ヒーローが、絶氷のハグから解放されて地に倒れる。
 凄まじい轟音と地響きが辺りに巻き起こった…!

 スーパー・ジャスティスのオーラで空を飛び出した女ヒーローの背中に乗って、絶対零度の冷気を掻い潜りながらどう攻め経てばいいか思案するシャルボン。
「あきらめちゃだめよ!あんなヤバい奴でも、どこかに攻め手があるはず……!」
「そうだ。ボクはイェーガー。あいつ…を操ってるやつを倒しにきたんだ。でもこのままじゃ灰が足りない…」
 すると目の前に砲弾が飛んできた。
「おっと、危ない!」
「っと!ごめん!…これさっき止められてた砲弾だわ!」
「まったく迷惑な。下にいる人の事も考えて欲しいよね!…………これだ!」
「えっ!?」
「国連軍と連絡は付く?ありったけの砲弾を持ってきて!ボクにちょうだい!」
「ちょっ…まさかアンタ」
「そのまさかだよ!大丈夫。猟兵って丈夫なんだ。」

●3/3 ロサンゼルス・巨兵神話
「……フフ。先程とは違ったバトルフィールド…どう出マスカー?イェーガー!」
「まあ、戦うだけだ。」
 最初に飛び込んできたのはアレクだ。
 超高速のスピードとダッシュで見事飛んできた方角へ素早く引き換えし、
邪神めがけて更なるバトルガントレットのラッシュを叩き込む。
「そうデスねー!ヒットポイントが無くなるまで攻撃を続ける。実にセオリー!デスが…」
 邪神アリューシャが再度右手から氷河の嵐を放ち、吹き飛ばす。
 アレクは飛ばされたビルを足場に更に跳躍、何度もすれ違いざまの拳打を浴びせようとするが……
「ウェルカーム……アブソリュート・ゼロにご招待デース!」
「!!」
 2撃目をすました顔で邪神アリューシャが避ける!その先は!絶対零度の氷の巨兵が手を開いて待ち構えていた!
 避ける?避けるべきだ。だが逃げ場は既にあまりにも巨躯な氷の巨兵の体しかない。
 早業で一撃を与えれば冷気から逃れられるだろうか……?
 地面さえもすでに凍てつき、絶対零度の冷気が漂う。
 方向転換はできない。勢いがつきすぎた。
 どうする?勢いよく砕けばまだどうにかなるだろうか?
 どうする?どうする―。

 その時である。轟音と共にその氷巨兵の足元が爆発した。
 凄まじい爆発だった。まるで平時ならビルがまるごと1つ倒壊しかねない程の。
「ワッツ!?爆発の中に人がいますネ、自爆特攻、カミカゼですカー?」
 この爆発で氷の巨兵は足を砕かれ、バランスを崩し、倒れる!
 アレクは倒れた絶対零度の巨兵のその先のビルに足を着き、難を逃れる。

 ―爆発の際に起こった灰が、一人の男に吸い寄せられる。
「準備完了!この量なら…全身まではいかなくても、足止め程度ならいけるか。」
「!!イェーガーの……ニューチャレンジャー!」
「いくよ!君にもドレスをプレゼントだ!『灰の舞踏装束(サンドリヨンドレス)!』」

 倒れた氷巨兵が、主に間接を石灰で覆われ、漆喰の如く固まっていく。
 邪神アリューシャがいくら手を翻しても、最早立つ事はままならなかった。
「けほっ…もっとだ!もっと砲弾が欲しい!」
「持ってきたわよ!ありったけ!活躍の場はアンタにあげるから、やっちゃいなさい!」
 空を飛ぶ女ヒーローが大量の砲弾を抱え、シャルボンに投下。
 その砲弾を手から放つ火で次々と爆破させては、生まれた灰をユーベルコードの力に変えていく!
「……この手も塞ぐ相手がいましたカ……バット(しかし)!」
 再度飛んできた砲弾が、別の砲弾によって爆破される!
「しまった、自分の仕事に気を取られ過ぎた!」
 気づけばシャルボンはこの場にいたオブリビオン軍達に取り囲まれていた!
 オブリビオン達のユーベルコードが、銃撃が、一斉にシャルボンの方へ向く―。
「おっと、助けが必要かい?」
 突如戦場にカラフルな煙が舞う。これは!
 彼女は地を這う姿勢でシャルボンを抱え込むと、素早くその場から離脱した。フェルトだ!
「力を合わせるならやっちゃうよ!爆発を吸収して力を蓄えるんだよね!」
「正確には燃やした時の灰なんだけど…」
「よーし!手札からスペルカード、【機雷バルーン】を発動!」
「機雷…爆弾か!砲弾より灰が出るかはわからないけど…!」
 召喚された大量の機雷バルーンに、シャルボンの炎がエンチャントされる。
 それは絶対零度の氷巨兵達に、凍る前から爆発を起こし、灰を起こす。
 何度も、何度も、何度も、何度も…!
「この量なら、いけそうだ…いくよ!」
「ノー!やめなサーイ!ハイパーコールドアーミーズ、あのボーイを凍らせるのデース!」
 都市一つ壊滅しそうな爆発量の灰を手に入れたシャルボンは、最早無敵ともいえる力を手にした。
「ここまでの量が手に入ったなら、後はこの灰で…氷の兵士を固めて行くだけだ!」
 飛び掛かるバイオモンスターのオブリビオン!
「えっとキミは」
「ボクはフェルト!」
「フェルトさん、ちょっと離れないでくださいね。巻き込んでしまうかもしれないから」
 手の一振りで放つ石灰の波を浴びせると、オブリビオンは石灰状に固まっていく!
 掬い上げるように地面を凍らせながら氷巨兵の手が迫る!
「好都合だよ」
 手をかざした所から石灰の奔流が迸り、みるみる内に氷巨兵が石灰に塗り覆われ、巨大な石灰像と化していく!

 次も!
『君にもドレスをプレゼントだよ!』
 次も!
『灰の舞踏装束(サンドリヨンドレス)!』
 その次も!
「巨人のねーちゃんがロサンゼルスの観光地になりそうだ…!」
 驚く防衛軍を尻目に、ハイパーコールドアーミーズが石灰に塗りたくられ、自身の冷気で強力に固まっていき、瞬く間に無力化されていったのだった。

「オー!ノー!」
「よそ見をしている暇があるのか」
「ワッツ!?チッー、さっきの作戦は外しちゃいましたからネー!」
 氷河でできた気流に乗せて、飛び込んできたアレクの攻撃を逸らす!
 何度もかき回されるこの超速の攻撃に、邪神アリューシャは移動を困難としていた。
 更なるアレクの一撃が入り、石灰の巨兵に叩きつけられる!
「アーウチ!…なんて。これを待ってたのデース!」
 邪神アリューシャが巨兵に触れると、石灰の上から再び氷に覆われ、絶対零度の冷気を取り戻す…!
「なんてこった。…でも負けないよ。何度だって固めるだけさ!」

「いや、次の1回だけでいい。」
 影を縫うように現れた、白髪の女性がシャルボンに耳打ちした。
「えっ」
「次だ。余り高く飛ばれたら、どうしても足場が必要になってね。」
「…?分かったよ。猟兵さん?」
「ええ。」
 その言葉と共に女性が闇へと、影へと消えていく。

『灰の舞踏装束(サンドリヨンドレス)!』
 再び立ち上がった絶対零度の巨大兵士が、渾身の石灰津波で石灰像へと姿を変えていく!
「今度は灰と氷の勝負ですカ?いいでショウ!受けて立ちまショ―」
「これで終わりよ」
「…!?」
 固まった石灰巨兵の隙間の影を縫う様に漆黒の靴が駆け上がり、飛び上がる。
 空を飛ぶ者への死角―その真上から、闇のオーラを纏った必殺の、レイの刀剣斬撃が放たれる!
「オォォォォォォップス!」
 叫びをあげるも、この暗殺攻撃は……咄嗟に作り上げられた氷の盾によって防がれた!
「過去の存在が、未来の存在に干渉してんじゃないわよ」
 だがその刀……魔刀・篠突ク雨は、氷から放たれる水蒸気の水分によって切れ味を増す。
 徐々に、徐々に、盾に刃が食い込んで―

「―骸の海に、退場願えるかしら。」

「…ッ…そんな事、聞けると思いデスカ!アッー!」
 言葉を紡ぐや否や、ついに氷の盾ごとオブリビオン、邪神アリューシャを切り裂いた!
「アハハ、ハハハハ…!いいデス、すごくいいデース!これが人間!これがイェーガーのパワー!……まだまだミーのソルジャーは沢山いマース!少し痛手を喰らった程度…デース!」

 斬られて尚、幸せそうな、まるで子の成長を幸せに想う母の様に、邪神は笑いながら墜落する。
 それと同時に、けたたましい冷気の爆発が発生し、姿をくらましてしまう。
「…逃げた?致命傷を負わせたと思ったけど、……邪神か……」
 神ゆえに一筋縄ではいかないのだろうか。
「つまり戦いはまだ終わっていない。そうだな?」
 猟兵達は直後に襲い掛かるオブリビオン達を見、再び戦乱の渦中へと突入した。
 邪神が次に向かった戦地はいったい何処なのか―

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アララギ・イチイ
ふむ、周囲も騒々しいからゆっくり出来る場所が欲しいわよねぇ
そんな時は、これ、だわねぇ♪

ボスから少し離れた位置で、【選択UC】発動よぉ
UCの効果で安全圏を構築、外部の攻撃(ボスや雑魚、砲弾やUCに対する防御)を遮断するわぁ
障壁で敵の攻撃に耐えつつ、内部から戦闘人形フギン・ムニンで敵を攻撃、フギンは機関砲の【乱れ撃ち】、ムニンは連装バルカンの【2回攻撃】の【制圧射撃】、【誘導弾】のミサイル攻撃、って感じねぇ
私自身も動けないけど【念動力】操作でチェーンガンと榴弾砲を使用、【一斉発射・範囲攻撃】で敵を攻撃するわぁ
物理攻撃が熱を奪われ無効化されそうなら、高エネルギー照射型ライフルのビーム攻撃かしらぁ?


夜羽々矢・琉漣
こっちも攻め手を緩めるわけにはいかないの、分かってるけど結構怖いねこれ…。(送り込まれて早々反射的に伏せた体勢になった)

絶対零度の体温、か。存在するだけで周囲の気温を零下に下げていくそれは持久戦を難しくさせるものだと思うけど…、諸刃の剣でもあるんじゃない?
召喚するのは莫大な水量を操る水龍。こっちに向かってくる氷の兵士たちに向かって鉄砲水を叩きつけて、相手の体温で水を凍らせることで身動きをとれなくさせるのを狙う。本体の邪神も巻き込めるとベストかな。
その後は、水龍にウォーターカッターの真似事をさせて近くの兵士たちを斬りながら、俺も長銃「Nigredo」で遠距離の相手を狙撃していくよ。


ネメシス・インフィニー
【心境】
「ヒーローの世界…平和な時に来て見たかったうさ~。」
この世界ははじめてうさ~。

【行動】
ここに取り出したるはおいらお気に入りの紅茶とティーポット。
さあ、おいらのお茶会の始まり始まり~
あ、味方の猟兵にもおすすめうさ~。
この紅茶の一時。この一杯に生きているうさ~
UC:紅茶の時間で味方の水分補給という名の給仕をしつつ戦場を進むうさ~。
矢雨槍林生える戦場のお茶も乙うさ。クッキーいかが?

【戦闘】
『存在感』を隠してこそっと兎戦流格闘術の『グラップル』パンチで攻撃うさ。
攻撃をマントで『盾受け』しつつ、『マヒ攻撃』。
おいらもがんばるうさ~

【その他】
他猟兵との絡みアドリブOK


ヴィサラ・ヴァイン
寒いのにゃ…こんな大激闘真っ只中にゃのに…
犯人は…おまえにゃー!!(邪神をびしっと指差し)
だが私達には寒さに対する最強の防具を用意してきたのにゃ…
それは…(ただの)こたつ!!!(ぬくぬく)
これがあれば大激闘の流れ弾も防げる、一石二鳥の防御なのにゃー
そんにゃ訳でレッツ肉薄!! [第六感]でなんとなく攻撃の予兆を感じ取って回避しながら突撃なのにゃー!!
…って攻撃を全然防げてにゃい!? た、助けて欲しいのにゃー!!!
…と、言うと思ってたのかにゃ?
こんな事もあろうかと!!
[目立たない]ように外に出て無音で忍び寄っていたのにゃ!!(肉球って便利)
にゃんこぱんちをくらうのにゃー!!(テシテシ[暗殺])



●ビルドアップ!戦場ティールーム
 荒れ狂う超自然の竜巻、飛び交う重砲火器の弾幕、ヒーローもヴィランも軍隊も何もかもがオブリビオンと戦い狂うロサンゼルスの戦場の中を、ぽてぽてと歩く愛らしい、ぬいぐるみのような、まんまる兎の姿があった。
「おいらはネメシス・インフィニー(f21907)。時計うさぎの猟兵さ~。はじめてになるこの世界、転送されたはいいけれど、平和な時に来て見たかったうさ~。」
 あっちこっちで大混戦の戦場で、のほほんとしながらできる事を試作する。
「みんな忙しいみたいだから、ここらで一杯、お茶会するうさ~」
 ネメシスは突如どこからかテーブルを引き出すと、ばさりとテーブルクロスを引く。
「ここに取り出したるはおいらお気に入りの紅茶とティーポット。矢雨槍林生える戦場に、水分補給の給仕をするうさ~」
 お気に入りの紅茶とティーポット、そしてティーカップを取り出すと、優雅に紅茶で一服する。
「あー…………この紅茶のひと時。おいらはこの一杯に生き」

 KABOOOOOOOOONN!!!

 飛んできた砲弾がネメシスの用意したテーブルを吹き飛ばす!
「…うさ~?」
 優雅な紅茶のひと時を過ごしたネメシスは、時間の流れが5分の1になる。
 そして気づく。この場で茶会を過ごし、一服する余裕は敵も味方もない事を。
 この給仕の隙を見せたネメシスの全方位から、後数秒で直撃する砲弾の雨が飛んできている事を―。
「…せめてクッキー食べる時間も欲しかったうさ~」

 KABOOOOOOOOONN!!!

 大穴が空く程の大爆発が起きる!
 しかしその場にネメシスはいなく、すぐ傍で赤髪の少女に引っ張られて難を逃れていた。
「あらぁ、可愛いうさちゃんのピンチを助けたら、あなた猟兵さんね?」
「うさ~?おいらはネメシス・インフィ」
「おっと、それはさっき聞いちゃったから。私はアララギ(f05751)さんって呼んでくれていいわ。」
「アララギちゃんうさね!」
「アララギさん」
「アララギちゃん~」
「……まあいいわ。それよりあなた、面白い事してたわよね」
「うさ~アララギちゃんも紅茶が欲しいうさ~?」
「欲しい欲しい。ちょっと周りが騒々しいから、ゆっくりできる場所をこしらえる所だったのよぉ」

 ジャン!
 アララギは戦場に範囲防御型ドローンを呼び出した!
「これをちょっとピポパってするとぉ、お家が出来上がるのよぉ。」
 ドローンから半径周囲59メートル、半円状のドームの如き障壁が展開される。

「な、なんだ!?壁か!このっ!」
 オブリビオン部隊が攻撃を仕掛けるもびくともしない。

「うさ~!立派なお家うさ~!……お家うさ~?」
「お家お家。ドーム型のお家よぉ。」
「やったうさ~!早速お茶の準備をするうさ~!」
「あらあら、可愛らしい。じゃ、私も中でゆっくりしましょうねぇ」
 このドローン放出ユーベルコードを使うとアララギはこの場から動けなくなる。
「な、なんだこれ!俺達も使っていいのか!」
 一緒に取り込まれた防衛軍達が驚く。
「いいわよぉ。補足説明ぇだけどぉー、外部の攻撃は遮断、内部からは攻撃出来る便利なドローンよぉ。ドローンちゃんも内部にあるから、とおっても硬いのぉ」
「おお!」
「ここを拠点に反撃だ!」
 ヒーロー達の士気が高揚し、中からの砲撃やユーベルコードのビームが、外のオブリビオン達に放たれる。
「これならまだ、私から攻撃しなくてもいいかしらねぇ。」
「お茶の用意ができたうさ~。」
「あらぁ、ありがとぉ~。」
 苛烈な戦場の中、気の抜けた穏やかな雰囲気に口調もうつりかける。

「後は指揮官が自分からやってくればいいわよねぇ。どうせ進軍してくるんだしぃ」

●にゃんこ大奮闘
 激戦のロサンゼルスは洪水と氷に包まれつつあった。
「寒いのにゃ…こんな大激闘真っ只中にゃのに…」
 ぶるぶると震えながら緑の髪をして着ぐるみのような黒猫の姿を纏う、キマイラのヴィサラ・ヴァイン(f00702)は目の前の敵をにらみつける。
「フフ……素敵でしょう?もうすぐロスは水と氷のディストピアと化すのデース!」
「犯人はお前かにゃー!」
 びしっと邪神に指を差すヴィサラ
「戦う前に聞いておきまショウ、ユーがどのようにこの戦場を潜りぬけてミーの前に来たのかを。」
「にゃっふっふ……聞くのかにゃ?それを聞くのかにゃ?」
 実はその理由は邪神の目の前に既に設置されている。その戦場ににつかない異様さに興味を持ちあえて邪神は問いかけていた。
「寒さに対する最強の防具…これをもってすれば突破は用意だったにゃ…これにゃ!」

 ジャン!

 こ た つ

「テーブルに…布団…アハハ、イェーガーはおかしな物をよく持ってると聞きマース!」
「試してみるかにゃ」
 ヴィサラはこたつの中から顔を出して、謎のスライド移動を行っていた。
「突撃にゃー!」
 突撃した!
「これを以てすれば大激闘の流れ弾も防げる。やばいのは猫的第六感で回避すればいい感じにゃ。おまえもぬくぬくにしてやるにゃー!」
「フラッドウェポーン!GO!」
 ばしゃり。
「…にゃ?」
 なんとこたつに水がかけられた!
「ちょ、ちょっと待つにゃこたつがびしょぬれとか毛皮も濡れて洒落にならないにゃ。というか今のはユーベルコードじゃなくて?洪水兵器?やめて欲しいにゃわけわからないにゃそういうのちょっとちょっと待つにゃ冷やさないで欲しいにゃ」
「コールドブレイザー・オン!」
 邪神は左手に氷の炎を灯しだした!
「ふにゃー!こたつの中の熱に退避にゃー!」
「その熱ごとフリージング!終戦後にうずくまったコールドスタチューとして発見されるがいいデース!」
 放たれた氷の炎がこたつを焼く!水色の熱を奪う力がみるみる内にこたつを絶対零度へと導き、冷気充満の氷漬けこたつへと様変わりさせてしまう。
「…オゥ?もしかして」
 なんとなく気配の無さにこたつを引っぺがすと
「エスケープされましたカ。クイックリィなイェーガーデース。…じゃあ、このまま進撃しまショー!」
 にゃんこに足止めされた邪神は、再び歩みを始める。

●集合!戦場ティールーム
「うわっ!」
 砲撃が飛び交う
「うわわわ!」
 ユーベルコードのビームが自身の隣を通過する。驚いて反射的に伏せ、攻撃が止むのを待ちながら逃げ続ける者がいた。
 彼の名は夜羽々矢・琉漣(f21260)。
「こっちも攻め手を緩めるわけにはいかないの、分かってるけど、結構怖いねこれ…。」
 どこか安全な場所がないとちょっと攻撃もままならない。
「邪魔だ!」
「うわーっ!?」
 地を這って飛び出すブラックスライムのヴィランを飛んで避けると、もう立ち上がってしまう。
 更に反射的に、攻撃のタイミングを見繕いながら、逃げの一手を続ける夜羽々矢。
「痛っ!?」
 前方不注意。謎の障壁にぶつかって転ぶ。
「えっ…えっ、これ、防衛軍のユーベルコード?」
「その声は仲間の人間うさ~?」
 障壁の中から声がした。
「いらっしゃぁい。外は危ないでしょぉ?ここは『安全地帯よぉ』」
「えっ本当!?助かるよ!」
 一瞬だけ障壁が消え、夜羽々矢はその中に飛び込んだ。

「にゃにゃにゃー!がくがくぶるぶる」
 こたつが凍り尽くす直前、身の危機を感じて間一髪脱出したヴィサラ
「無理!無理にゃ!毛皮が濡れて力が出ないにゃちょっと凍ったにゃ…!」
 寒さマジ恐ろしい。頼みの綱のこたつも凍らされた(まだあるけど)
「一旦乾かして態勢を立て直すにゃ…都合のいい火を出すヒーローとか、猟兵とかいないかにゃー!?」
 しゅばばと、猫そのもののように戦場の狭い場所や砲弾をすり抜けながら、とりあえず安全地帯を探すヴィサラ。
「ふにゃ!?」すると障壁にぶつかった。
「その声は仲間の人間…人間?ケットシーうさ~?」
「にゃ。…にゃ?」
「なんとなく猟兵の感じがするわぁ。寒そうに震えてない?中へいらっしゃぁい?」
 一瞬障壁が消える。
「…にゃにゃ」
 この異様な空間に、ちょっと警戒しながらも、寒さがなくなるなら…と、ヴィサラは中へ入っていった。

「ようこそうさ~ マイホーム、ロサンゼルス支部うさ~ 紅茶はいかが?」
 うさぎのネメシスが夜羽々矢とヴィサラを、障壁の中のお茶会に招待する。

「あっ、頂きます。丁度喉が渇いてたんだ。」
 紅茶を頂きほっと一息つく夜羽々矢。後ろのヴィサラはぷるぷると体の水を奮い飛ばした後…にゃんこ座りで見つめるだけにとどまった。
「…にゃ。」
「うさ~?」
「あらぁ、もしかして紅茶いらない?」
「…助けてくれて感謝するにゃ。」
 ヴィサラ・ヴァインは人見知り。
 仲間の猟兵であっても、とりあえず安置だからと居座っただけで。
 それ以上近づくのは警戒していた。
「そういう時はぁ…はい。ここに紅茶置いておくわよぉ」
 ことん。目の前に紅茶が置かれる。
「………」
 ふーふー、何度も息を吹きかけ、ちびちびと飲み始める。
「クッキーもいかが?」
 ネメシスがクッキーを目の前に置いて離れる。
「…にゃ」
 その尻尾が少し揺れつつも、ぽりぽりとクッキーを頂いた。

「それでぇ、外の状況はどうだったのぉ?」
「すっごい激しい…こんな戦場のど真ん中で、一心不乱で逃げてたよ。」
「にゃっにゃっ!」
 障壁の中心、テーブルが置かれた中、ネメシスのお茶会は続く。
「残念だけどぉ、私のユーベルコードだとここから動けないからぁ、進撃は皆に任せるしかないわねぇ。」
「そうですか…いえ、こういう所があるだけでも助かります。」
「にゃっにゃっ!」
「うさ~」
 いつの間にかテーブルの隣に追加されたこたつに、少し猟兵と打ち解けたヴィサラは入ってぬくぬくしていた。その眼には突撃当初の光を取り戻している。
 そしてネメシスから定期的に入る紅茶で、体温管理も完璧。
 にゃんこなので猫舌でフーフーしないといけないけれど。

「にゃ。相手はとっても寒いにゃ~ 氷の兵士とか、氷の炎とか、色々使ってきたにゃ」
「にゃんこ…じゃなかった、ヴィサラ、指揮官までたどり着いたの?」
「にゃ!…にゃうぅ」
 会釈しながらもちょっとおびえる。
「あの氷がいけないのにゃ!熱々の戦場をカチカチに凍らせて何が楽しいのにゃ!」
 てしてしとこたつを叩くヴィサラ。
「まぁ、ここでじっとしてるわけにもいかないしぃ。こっちも動こうかしらぁ?」
「その必要はないデース!」

●決戦!戦場ティールーム
 別の声が聞こえた。
 それは障壁の外からだった。
「さっきから攻め込めない個所があると聞いて来てみたラ…そんなイグルーに籠っていたのデスネー!ミーが直々に、イグルーごとフリージング!してあげマース!」
 ぴしり、障壁の周囲が白銀の氷で覆われた。その向こうからゆっくりと歩いてくる。
「(ああ、目論見通り。)」
 アララギは心の中でそう思いながらも、やってくる相手と対峙する。
 邪神アリューシャ・ディストピア、接敵である。

「にゃにゃっ!この障壁ならもう洪水は効かないにゃ!」
「そうだうさ~ 邪神ちゃんも戦いやめてこっちで紅茶を飲むうさ~」
 すると邪神は近くのビルに手を触れ、そのビルを巨大な氷の兵士へと形作らせる。
「にゃーーー!?」
「うさ~!?」
「叩き潰れるか中が凍り付くか、どっちが早いでショウ!ヒッサーツ!ハイパーコールドアーミーズ!GO!」
 絶対零度を纏った巨大な一撃が障壁を叩く!
「あ、あらあらあら、もしかしたら持たないかもしれないわぁ?」
 しかも攻撃の際の冷気が瞬時に凍てついた障壁を伝わり、中の気温をどんどん下げていく。
「ふにゃにゃにゃにゃ、もっとこたつに潜るにゃ…!」
「お、おいらも~!」
「ふにゃっ!」
 ネメシスとはやや距離を放しながらも2匹一緒にこたつでもぞもぞし始めるヴィサラ。
 障壁の中の者達が焦る中、夜羽々矢だけはその兵士を見据えていた。
「情報では目を通していたけど、絶対零度、か…存在するだけで周囲の気温を零下に下げていくなんて。」
 意識を集中し、その兵士に敵意を向けていく。
「―それは持久戦を難しくさせるけど、諸刃の剣でもあるんじゃない?」
 何度目かの強烈な打撃を障壁から放した瞬間を狙う!
 夜羽々矢は敵意を向けた相手にデバイスから水の龍を召喚していく…!
「この攻撃、障壁の外にも届くんですよね!じゃあ行きますよ!戦闘式・幻影投射(コード・ファンタズマ)……当たれ!」
 氷のドームを突き抜けて、巨大な水のドラゴンが放たれる!
「にゃー!水怖い水怖い」
「あ、あばれないで欲しいうさ~!?」
ちょこまかと動いてこたつから水を遠ざけていく二人をよそに、巨大な水の龍は巨大な氷の兵士に巻き付いていく。
「その絶対零度で瞬時に凍るなら、水を浴びせればそれごと凍るはず…!」
 予想通り、一瞬で凍り付いた氷の龍に、巨兵は身動きが取れなくなっていた。

「やりマスねー、でハ、ラウンド2といきまショー!」
 近くのビルに更に手をかけようとした時である。
「おっと、私も動かなきゃいけないわねぇ。」
 アララギが動いた。否。動いてはいないが、念動力を使い遠隔操作を始めたのだ。
「戦闘人形フギン・起動。ムニン・起動。」
 機関砲を装備した戦闘人形と連装バルカンとミサイルを搭載した戦闘人形が現れる!
「そのユーベルコードはこの戦闘で言えば、無機物の質量に応じた兵士ができるみたいねぇ。そんな時は、これ!」
「オーゥ!?」
 フギンとムニンの兵器一斉掃射が、手をかけたビルを木っ端みじんに破壊する!
 そのがれきからも小さい氷の兵士達が生まれて周囲を凍らせて来るが……。
「それくらいなら…!」
 夜羽々矢が更に放った水流が絶対零度のプチ兵士を飲み込む!
「ついでにそのまま…巻き込め!水龍!」
 巨大な水の龍は凍りながらも邪神に突撃していく!
「そっちもウォーターを使うなんて、とっても楽しいケイオスデース!水には水…フラッドウェポーン、GO!」
 洪水兵器から放たれる激流が、水龍を飲み込まんとぶつかり合う!
「何故氷河があるか分かりますカー?何故この世の水は全て凍ってないかわかりマスカー?温度のせいじゃないデス。悔しいけど、水は巨大なエネルギー!アイスはこれにドッキングして、グレイシャルな力を生むのデース!」
 更に右手から氷河の嵐を乗せて、水龍と拮抗!
「う…ぐぐぐ…」
 氷河対凍てつき続ける水の龍。その敵意に力を籠めるが、徐々に押し寄せられる。
「こ、このままいくと」
「障壁に直撃かしらぁ」
「…後いくら持ちます?」
「…実はそろそろ限界よぉ」
「…嘘だろ…!」

 あれ?拮抗中、ふと夜羽々矢は思った。
 さっきまでこたつで大暴れしていた二人はどこへ行ったのだろう…?

 二人は突如、邪神の後ろから現れた!
 存在感をマントで隠すネメシス、それに勇気を出してくっついたヴィサラ、二人の拳が邪神の主に膝を狙う!

「冬も直々という季節に非道な邪神め!にゃんこぱんちをくらうのにゃー!」
「おいらもがんばるうさ~!」
「オーゥ!?」
 膝と背中、猫パンチとうさパンチが同時にぶち当たり、邪神は態勢を崩す。
「はっ、今この場にいると巻き込まれるにゃ!?退避、退避にゃー!」
「待ってうさ~!」
 ネメシス共々こたつに入り帰還する中、邪神の目の前には突破された水龍が飛び掛かった!
「シマッ―」
 足元から天に突き上がるように飲み込まれた邪神。
「自分の冷気で…凍れっ!」
 ピキパキと、水の龍がついに凍り、飲み込まれた邪神アリューシャは美しい氷龍の柱に閉じ込められ、動きを止めた。
「じゃ、仕上げは私にお任せ。フギン・ムニン、やっておしまぁい」
 氷の中の邪神に向けて銃器がセットされる。
「(…フ、…フ、……フフフフ……)」
 だが次の瞬間、一瞬で氷をぱりんと割って復活する邪神の姿があった!
「アハハハ……!いいデース!素敵デース!こんな世の中になってまで、ミーの美しい姿を見た感想はいかがですか?イェーガー、なかなかオツな事をしてくれマース!」
 氷を纏い、更に冷気が強化されたような邪神アリューシャは、すぐ傍で動きを止めた氷巨兵の上に跳び、体重を乗せる。
「ここはもういいデース。増援も来た事ですシ、ミーは次のウォースポットに移りまーす!」

 ぐらり、巨兵が障壁に向かって倒れこむ。
「あらぁ、…ちょっともう持たないわねぇ。みんな脱出の準備はいい?」
「え」
「うさ?」
「にゃ」

 BAGOOOOOOOOOON!!

 障壁、そして内部のドローンが一気に倒れたビル級氷巨兵によって押しつぶされ、巨兵は粉々に砕け、4人は飛び散り解散する!
「待っていたぞこの時を!」
 そこに待っていたのは、邪神と戦う内に攻撃準備を済ませたオブリビオンの軍勢!
「一斉掃射だ!やれーっ!」

 だが横から防衛軍の横槍が入る!
「助けに来たぞ!」
「休憩地点を潰すとは!大丈夫か!」
「……この隙に!」
 夜羽々矢は召喚した水のカッターと長銃「Nigredo」で、ヴィサラは再びこたつで潜りぬける。
「もうお茶会は終わりうさ?またがんばるうさ~」
 ネメシスはマントで砲弾を逸らしながら相手の鳩尾を兎パンチで的確に貫いていく。
「あぁ、退屈だわぁ。本命が逃げちゃうなんて。後はもう、雑兵ばっかりだものねぇ」
 余裕をもってチェーンガンと榴弾砲でオブリビオンを吹き飛ばしながら、アララギは再びドローンが展開するまで、この戦場で戦い続けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

日野・尚人
ポーラの招集だから急いで来てみれば・・・いきなり戦場のど真ん中かよ。
まあやるしかないか。
避けるのは結構得意な方だしな?

飛び交う砲弾やUCは<見切り>、魔力誘導の<誘導弾>で迎撃。
雑兵が割って入って来るなら<武器受け>で受け流し、<カウンター>で反撃するぜ!

んで、オブリビオン軍の指揮をする邪神・・・
冷気を操る奴を見慣れてるせいかあんまり脅威に感じないんだよなぁ?

とりあえず氷の魔力障壁(<氷結耐性+オーラ防御>)を展開。
邪神の攻撃を<見切り>、<武器受け>で受け流して<ダッシュ>で距離を詰める!
接近したら<2回攻撃><零距離射撃><フェイント><乱れ撃ち>!
攪乱も織り交ぜた近接格闘でぶっ飛ばす!


シエナ・リーレイ
■アドリブ絡み可
わたしも混ぜて!とシエナは駆けだします。

只ならぬ気配の猟兵達に惹かれ後を追ったシエナ
辿り着いた先では皆が楽しく遊んでおり、早速混ざる事にしました

お返しするね!とシエナはボールを打ち返します。

シエナは[怪力]で落ちている物を拾い上げると飛んできたボール(砲弾)を打ち返したり、ユーベルを防ぎはなtt周囲にいる人や物の影に隠れやり過ごします


そんな恰好で寒くないの?とシエナはお姉さんに尋ねます。


急に周囲が吹雪き始めれば周囲にいる人達や薄着のお姉さんを巻き込みながら[怪力]や[暗殺]術を駆使した激しい遊びで暖まろうとします

あなたも一緒に暖まりましょ?とシエナはお姉さんを誘います。



●ロサンゼルスにゴリラの如く
「うおおっ!」
 戦車のような防衛軍のタンクが横切り、爆発が周囲で起き、飛んできたジェット付きオブリビオンにヒーローが突進を決める!
「いきなり戦場のど真ん中かよ!まあやるしかないか。」
 日野・尚人(f01298)はこの惨状に愚痴りながらも、ボスへ向けて進撃を開始する。
「つってもまずは周辺処理だ。」
 ハンドガンと短剣を片手ずつに持ち、砲弾の嵐に特攻する。
「避けるのは結構得意な方だしな?っと!」
 日野は飛び交う砲弾を見切りながら、銃口を向けた敵オブリビオンを的確にハンドガンで撃ち貫いていく。
「ガキが一匹!もらったーっ!」
 巨大な斧を振りかざすバイオモンスター!そのひと振りをナイフで受け流す!
「おらよ。お返しだぜ!」
「うぐぅ!?おのれ……」
 ゼロ距離で魔力を込めた弾丸でそのどてっぱらを撃ち抜き、倒す。

「くっそ、敵多いな……指揮をしてる邪神ってのはどこだ?」
 指揮官は冷気を操るらしいが、そのような相手はこれまで何度も対峙してきたかの様に慣れたそぶりをする。
 だがそれも見つけてからだ。押し寄せる波の如き敵味方に、今はひたすら戦うしかなかった。

 そんな戦場を、目を輝かせてみている1体の人形がいた。
「わぁぁぁ…と、シエナ(f04107)は感激に浸ります。」
 この人形のヤドリガミはそこらかしこで暴れるこの大混戦の惨状を、とても心地よい遊び場と認識したのだ。
「わたしも混ぜて!とシエナは駆けだします。」
 その体からにじみ出た呪詛が光り輝くと、人形とは思えない怪力を発揮する。
 シエナはその辺の電柱をばきん、と引っこ抜いて(!?)バット替わりにすると、四方八方から飛んできた砲弾を…一心不乱に振り回して打ち返す!
「ぎゃあああぁぁ!?」
 そこらかしこで爆発!全方位が野球ゲームだ!
「楽しい!楽しい!凄く楽しくなってきたよ!とシエナは気分の高揚を訴えます。」
 バット(電柱)を振る。オブリビオンがホームラン!
 バット(電柱)を振る。オブリビオンの兵器をホームラン!
 バット(電柱)を振る。その先には―
「え?」
 日野・尚人だ!
「ちょっ、待っ―」
「シエナは間違えて猟兵を打つ事を反省します。」
「言いながら打つなあぁー!?」
 シエナの一撃が誤って日野を明後日の方向へ吹き飛ばす!
「飛んでいったものは落ちる前にキャッチする。シエナは次の遊びを見つけた事を報告します。」
 9回放たれる凶行の内の1回、本当に申し訳無い。偶然そこにいてしまったばかりに。
 しかし、日野が飛ばされた先には更なる偶然が重なっていた。

「ハーイ!この戦場はどうなってマスカー!」
 その先にいたのは…邪神アリューシャ・ディストピア!
「すみません姉御!ここでは砲弾キャッチボールが流行ってます!」
「ホワイ!?」
 この戦場にいたのは筋骨隆々のマッチョな防衛軍達とオブリビオン。
 飛ばされた砲弾を掴んで投げ返していたら更に投げ返され、どちらが先に砲弾にぶつかり爆破されるかのデッドファイトが繰り広げられていた。
「ソンナ戦争をしに来たつもりはアリマセーン!ここは駄目デスネ。皆纏めてフリージングして、グレイシャル・フラッド(氷河と共に洪水)に流してしまいマショー!」
 その時である!
「うわあぁぁぁ~!!」
「ワッツ、あれは―」
「鳥か!?」
「砲弾か!?」
「ノー、ヒューマン…この感覚ハ、イェーガーデスカ!」
「なんだ!?一際いかにもって感じの白い奴がいるぞ。もしかしてあれが指揮官オブリビオンか!」
 飛ばされる日野。接敵……着弾まで後数秒。
 その瞬間、咄嗟に日野は両手を交差すると、前方に冷気で固まったオーラの障壁が生まれる!
 そして邪神アリューシャもまた、飛んでくる日野をアイシクル(氷柱)にしようと、右手に氷河の如き冷気の嵐を込め…放つ!

「ライティ・グレイシャールウェーイブ!!」
「うおっ、冷気が!負けるかぁぁ!!」
 先に飛んできた日野のスピードが嵐を突き抜け、BAGOOOON!邪神の後ろに着弾する!
「今のアタックで少しもフリーズしない…対策を心得てるナンテ、そんなにミーの事勉強してきたのデース?」
「いや、冷気使いには結構縁があってな。っと…待たせたな。お前が指揮官か!ぶっ飛ばす!」
 晴れた煙から現れた日野は即座に戦闘態勢を取った!

 だがその時!
 DOOOOOOOOOOM!!DOOOOOOOOOOM!!
「なっなんだ!」
「止められん!相手は少女一人だぞ!」
「俺様がキャッチボールになるううう!?」
 戦場の中、立ち塞がるオブリビオン(と一部の防衛軍)達を爆発音と共に吹き飛ばしながら、邪神アリューシャに近づく者がいた!
「キャッチに失敗したと思ったら、思わぬ敵を見つけました!とシエナは感嘆します。」
 シエナだ!
 恐るべき怪力が、まるで雑兵をただの障害物の様に投げ飛ばす!
「ワーオ…そんじょそこらのヒーローよりパワフルなガールデース!」
「そんな恰好で寒くないの?とシエナはお姉さんに尋ねます。」
「ノン!冷気を操るイーヴィルゴッドとシテ、無駄な厚着はソーホット!邪魔なだけデース!そしてこの場に立ち塞がるイェーガー、ユー達も進軍を邪魔するナラ……アイシクル・障害物にチェンジしてもらいマース!」

「っ、来るぞっ!」
 日野が邪神の攻撃をさせるまいと飛び掛かり、銃と短剣の乱舞を放つ!
「ワォ!激しいアサルト、中々に熱いデース!」
 だが邪神は空いた左腕一本に氷を纏いながら一撃一撃を丁寧にはじき返す!
「ホットなアタックはクールダウンさせてあげマショー!ライティ・グレイシャール、オン!」
「危ない!とシエナは警告します。」
「え?」
「上なら安全だよ!とシエナは猟兵を放り投げます!」
「ちょっ、待っ―」
 邪神アリューシャから放たれる氷河の嵐!
 それを通過するかの如く、日野はシエナの怪力によって上空に投げ飛ばされた!
「またかよおぉ~!?」
 だが目の前にいるシエナにはこの氷河の奔流を止める事はできない!直撃する!
 極寒の氷河に飲み込まれ、白銀の世界の氷像にならんとする恐るべき冷気の嵐がシエナを襲う!だが!
「大丈夫です。と、凍りながらもシエナは反撃を取ります。」

 シエナの体から再び呪詛の光がにじみ出る!
 凍てつく身体がギギギと音を立て、氷を砕き、動き出し……氷河の嵐に混ざって飛ぶ氷塊を掴んで、投げる!
「ホワイ!?」
「もっともっと体を動かす、激しい遊びで暖まるよ!とシエナは宣言します。」
 シエナは氷塊を掴む。投げる。氷河を相殺する!
 シエナは氷塊を掴む。投げる。氷河を相殺する!
 シエナは氷塊を掴む。投げる。氷河を相殺する!
 何度も、何度も、何度も、何度も……。
 壊れたピッチャーマシン様な嵐の如き連続投擲が、シエナに決定打を負わせずに氷河の嵐をせき止める。
「そんなベースボール・ムーブだけでミーの嵐が止まると思わないでくだサーイ!」
 邪神は作戦を変えた。竜巻の如き形を取る氷河の嵐を無数に展開し、シエナを周囲から押し込んで巻き込もうとする!
「数が増えたら、もっと暖かいものが必要だね。と、シエナは提案します。」
 一旦後ろに跳ぶと、シエナは空中である物をキャッチした。
 砲弾である。
「砲弾キャッチボールに、お姉さんも混ぜて欲しいな!とシエナは遊びに参加します。」
 強力な怪力による砲弾の高速投擲。周囲を飛び交う無数の砲弾を無数に手に取り、投げる!投げる!投げる!
「オーゥ!ミーは今、理解できないものを見てマース…!」
 かつて、流れ渡る氷河を砲弾の投擲でせき止めようとした者がいただろうか。
 どれ程の量の砲弾があればそれが可能なのだろうか。
 巨大な氷塊を伴う氷河の強烈な風が!嵐が!大量の砲弾の高速投擲の衝撃によって次々と破砕されていくではないか!

「こりゃいいや、おい、あの嬢ちゃんに砲弾を投げ続けろ!」
 防衛軍のヴィランが意気揚々と提案を告げる。しかしそれはもう遅かった。
「っ…それが、もう無い。今手元には…あの少女が、全て掴み投げて…!」
「はぁ!?」
「万策尽きましたネー!改めてグレイシャルの餌食となりなサーイ!」
「それはもうご勘弁願おうかな!」
 突如上から聞こえた声。
「ったく、高く飛びすぎだっての!おかげで戻るのに苦労したぜ。」
「ホワイ?さっき投げ飛ばされたイェーガーデスネー。でもどこに…?」
 上空にはひらひらと落下するコートが一枚。
「バット(しかし)ノープロブレム!辺り一帯を巻き込めばアイシクルとなって落ちて来るデショー!ライティ・グレイシャール、オン!」
 大気が凍り、冷気と氷河が再生成される…!
「おっと、もう見えてるんじゃないか?俺は、ここだぜーっ!」
 くるりとコートが空中でひっくり返る。日野は氷河の余波で凍ったコートの上に乗って、落ちてきたのだ!
「このレンジならミーの方が…!」
「いいや。俺の攻撃範囲内だっ!」
 そのままコートを蹴り、邪神の上から急降下で短剣を手に、斬撃を放つ!
「シーブズ・ギャンビット!」
「オォォォォォォォォォウ!!?」
 手をかざし、嵐を放つ、その前に……服を脱いで素早くなった日野の斬撃が、落下すれ違いざまに邪神の体を一瞬で斬り下ろしたのだ!
「どうだっ!」
 手ごたえを感じながら着地し、邪神の様子を見るが……。
「アハ、アハハハハ!中々にグッドな一撃デシタ!」
「な…なんだよその笑い声、効いてないのか!?」
 ダメージはあったはずだ。決定的な攻撃だったはずだ。
 だが邪神は何事もなかったかの如く傷を氷で塞ぐと、ゆっくりと、氷のヒールを鳴らしながら日野へと歩み寄った。
「斬撃、打撃、爆撃、怪力……イーヴィル・ゴッドがその程度のアタックで、膝を着くなんて考えない事デース。」
 ごう、と、一瞬の風が舞うと、日野達の足元が氷河のような氷で固められた。
「っ…!」
「ユー、他に仲間ハ?先の戦場のような、スーパーなスピードを持ったイェーガーみたいな事はできマスカ?ミーをこれ以上楽しませないなら……スペシャルなアイスになって、この場で立ち尽くしてもらいマショー!」
「さ…させるかよ!動け足…氷の障壁を…!」
 ゆっくりと邪神の、冷気の籠った手が日野に迫りくる。いかに氷の障壁であろうと、直に流されてはヤバイのではないか!?

 その時である!
「―アウチ!?」
 ごづり、とても鈍い音が邪神の脇腹をえぐった。
 この衝撃の正体は…オブリビオンだ!
「まだまだ暖まり足りませんと、シエナは遊びを渇望します。」
 力任せに足元の氷を砕いたシエナが、今までの日野の行動で攻め入る隙を見つけたシエナが、次の遊びを見つけ出した。
 更に持ち上げる…それは、先程まで砲弾キャッチボールをしていたオブリビオン!
「ここからは人間キャッチボールだよ!とシエナは暖まる行動を再開します。」
「いやそれさっきもやってたじゃ―」
 日野が言い終わる前に、オブリビオンをボールとした大質量の弾丸が邪神にぶつかる!ぶつかる!
「こノッ!」
「あなたも一緒に暖まりましょ?とシエナはお姉さんを誘います。」
 いつの間に、いつの間に近づいたのだ!?
 シエナは投擲しながら、暗殺を秘めた呪詛が隙を生んだ邪神に一瞬で飛びつき、組み付いていた。
「ナ―」
 シエナはそのまま邪神をジャイアントスイングすると…空の彼方へと…放り投げた!
「オォォォォォウ!?」
「う、うわっ、すごい飛んだー!…って、投げ飛ばしたら意味がないだろ!?」
「?これは遊びだから投げる事に意味はありますよ?とシエナは疑問に答えます。」
「……猟兵って色々いるんだな……」
「……シカシ好都合デース!ここは飽きましたし、ミーはこのままネクスト・バトルフィールドに飛ばされてあげマース!」
 アハハハハ……!と、邪神の嘲笑が聞こえたような気がした。

 邪神が離れた戦場の氷は徐々に溶け出しつつあった。
「っと、呆けてる場合じゃねえ!追うぞ!えっと」
「シエナだよ!と、改めてシエナは自己紹介をします。」
「おう、俺は尚人!ばっちり覚えたぜシエナ!今度は叩き潰す方で頼むぜ!」
「?モグラ叩きがよかったの?と、シエナは次の遊びを思案すます。」
「ま、まあ、それで頼む!」
 氷を振り払うも、未だ寒々しい戦場には大量の倒れたオブリビオン。その中には幾人か防衛軍も混ざっていて。
 まるでゴリラの力を得た少女が、嵐の如くやってきて去ったと、その場にいた者は後に語った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フィラデルフィア・シャイントピア
【アドリブOKデース】
オーマイガー!マイシスター!流石にオイタが過ぎましたネー!
今日は姉の威厳をお見せいたしマース!

【戦闘】
敵のユーベルコードは
こちらに仕掛けてくる攻撃をよーく見て交わしますヨー!
万が一のときにはオーラで防御して喰らわないように気をつけマース
オーラの防御はマイシスターとの戦闘のときにも忘れず着けておきますヨー

そして姉の威厳でいざ勝負デース!
私のパワーはサンエナジー!
サンパワーで必殺のパンチの熱量でシスターのコールドブレイズなんて
クラッシュしてみせるネー!


ユースティ・アストライアー
◇アドリブ、絡みOK

スーパーウィッシュガール只今参上!

私の街でこれ以上好き勝手はさせません!
正義は絶対に負けません

当たりそうな砲弾は【怪力】で握りつぶしたり、殴り返したり
小さな弾丸はマントを用いて弾いたり
地上では瓦礫や構造物などを【怪力】を使用してうまく利用して盾にしたり隠れたりしながら攻撃をかわす
アイテムのアイギスシールドも使用

ボス発見後、接敵
アテネソードやランスで近距離攻撃、アームドフォートで遠距離攻撃

氷の炎とは猪口才な!氷には、熱で対抗です!!
と目に力を込めUC「スーパーウィッシュヒートヴィジョン」を発動
そのまま撃ち抜く




 防衛軍とオブリビオンが混沌と戦う戦場に、一つの光る閃光が飛んだ。
 オブリビオンの兵器から飛んでくる砲弾はそれにあたると握りつぶされたかの様に爆ぜ、弾丸を当てようとも風に撃ったかの如く逸れる。
 轟音を立てながら地に落ちたかと思うと、地面が隆起し巨大な盾となってオブリビオン達の砲撃型ユーベルコードを無力化。
 そのまま螺旋を描き、ボスオブリビオンへと向かう。

「今のは、一体…?」
 防衛軍の一人が驚く。
「鳥か?」
「支援のジェット機か」
「いや……この向上を垂れるなら、今のが何なのか察しがついたぞ。」
「あれは……!」

 遅れてもう一つ、更に強烈に光る閃光が飛んだ。
 それは光と闇を纏い、混沌とした太陽の様な火の玉となり、ボスオブリビオンへと飛んでいく。
 上下左右が爆発する。この戦場を爆破するためにオブリビオンが仕掛けたトラップだ。
 爆発の後、そこに閃光は無い。上空真上からオーラを纏った塊が…落ちる!
「グアアアアッ!?」
 オブリビオンの軍勢が衝撃で派手に飛び散りながら、両手と、その展開する翼に燃える光と漆黒の闇を纏った、金の瞳に金の長髪を揺らめかす、神々しきその少女は、戦場を飛んだ。


 戦場に戻った邪神アリューシャ・ディストピア。
 何度やられても余裕の笑みを浮かべていたその表情が、少しだけ、どこか寂し気になった。
「…これだけロスで大暴れしても、まだカム・オンしてくれませんカ……?それともミーを差し置いて、アザーバトルフィールドでハッスルしてる最中ですカ……?」

 ……マイシスター。

 きらり、宙を舞う冷気の籠った邪神のため息が、それを浴びて一瞬で氷に閉じ込められ、力なく倒れる防衛軍のヴィランの少女を一瞥しながら。
「ノー!ここでネガティブになる必要ナッシング!アトランティスも、軍勢もまだまだ残っていマース!このまま洪水兵器で押し切って…」
「いいえ、これ以上好き勝手はさせません!」
 天空から突撃し、地面を割って一人の閃光が邪神の目の前に着地した。
 晴れた閃光に現れた、彼女の名はユースティ・アストライアー(f16665)。またの名を。

「皆の幸せ護ります!希望の星、スーパーウィッシュガール只今参上!」
「オーウ!スーパーヒーロー!イェーガーサンデスカー?」
 邪神はその容姿に少しだけ目を見開く。
「その金色の髪……マイシスターの様…………マイシスターへの手向けとして、ユーはロスを象徴とする氷像にしてあげまショウ!オブリビオンが見上げて見えるような、目立つビルディングにデコレーションしてネ……!」
「お断りします!」
 微笑みながら放つ邪神の、氷河の如く氷塊を伴う強烈な冷気に、アテネシールドを構えて突撃する!
 スーパーウィッシュガールは攻撃を防ぎ、氷をはじきながら無理矢理突撃する。
「アーミーズ!GO!フラッドウェポーン!ファイアデース!」
 洪水部隊の強烈な水が冷気と合わさって強力な氷河と化す!
 それに対し、盾を捨て……槍を取り、構えるスーパーウィッシュガール。

「スーパーウィッシュ・アテネランス!」
 SMAAAAAASH!!
 怪力に任せた金色の槍の一撃が、衝撃波が、洪水と冷気を跳ね飛ばし、ボスの頬に傷をつける!
 そのまま勢いよく飛び出して、剣を構えて接敵!
「ならばミーも剣で対抗デース!」
 凄まじい冷気で作った絶対零度の剣が、スーパーウィッシュ・アテネソードを迎え撃つ!
 大振りの黄金の大剣を力任せに振るう攻撃は、しかし滑る氷河のような剣閃でいなし続ける邪神。
「隙を見せましたね!心臓に突き付けてやりマース!」
「なんのーっ!」
 大剣をはじいた一瞬で流れるような一突きを、力づくで地を蹴って後ろに跳ぶと、マントから大砲を取り出し、発射する!
「スーパーウィッシュ・アームド・フォート!」
「そんなキャノンはこうデース!レフティ・コールドブレイザー、オン!」
 剣を捨て、左手から氷の如く冷たい炎を纏い、キャノンの一撃を受け止めると!砲弾は一瞬で熱を奪われ氷漬けになり無力化される。
 そしてそのまま迸る炎は砲弾を飲み込み勢いを増してスーパーウィッシュガールに襲い掛かった!
「氷の炎とは猪口才な!氷には、熱で対抗です!!」
 後ろに跳んだままの姿勢から、目に力を籠め、スーパーウィッシュガールは必殺技…!

「スーパーウィッシュ・ヒートヴィジョン!」

 レーザービームの超熱光線を目から放つのだった!

「オゥケーイ!ミーの冷気とユーの熱、どちらが強いか勝負デース!」
 氷と炎の閃光がせめぎ合う!
 熱光線が徐々に押し、間にあったアームドフォートの砲弾が焼かれ、両者の間を爆発する!
「(このまま押せば…!)」
 しかし次の瞬間、邪神アリューシャの炎は形を変える。
 ラウンドシールドの如き形で左手付近に集中し、直撃するはずの熱光線をそのまま防ぎ続けた!
「…あと少し、押し切れば…!正義は、負けない…!」
 だが今度は徐々に邪神アリューシャの氷の炎が熱光線を冷凍光線へと侵食していく!
「!!」
「ミーの炎はただの冷気ではありまセーン!この世総ての熱を奪い、冷気を炎の如く拡大させる…ユー程度の熱光線、アブソリュート・ゼロにチェンジして押し返すデース!」
「せ…正義は…絶対に…負けない…!」
 そして集中している間にも、戦火の砲弾が…防衛軍達が、戦いの邪魔をせんと防いでいたオブリビオンの攻撃がついに突破。
 多方面から、スーパーウィッシュガールを狙っていた…!
「いい表情デース!このままフリージング・ロサンゼルスを称えるアイスオブジェとなりなサーイ!」
 熱光線を侵食する氷の炎がついにスーパーウィッシュガールに届こうとした、その時!

 DOOOOOOOOM!!

 凄まじい光の大玉が地面に激突し、氷の炎を断ち切り、放たれたオブリビオン達の攻撃をオブリビオン諸共吹き飛ばした!

「ワッツ…… !!! この感覚……この光……その翼……そのオーラ……!オゥ!……オゥ……!!」

「オーマイガ、マイシスター。」
 太陽と月、光と闇の翼を羽ばたかせ、光の中から出てきたその姿、少女の名はフィラデルフィア・シャイントピア(f16459)。
「マイシスター…フィラデルフィア…!マイシスター!」
「えっ!?増援…だと思ったけど、この二人、まさか、姉妹…!?」
 氷の水白銀髪の白い少女、邪神アリューシャ・ディストピアは感激のあまり攻撃を捨て、黄金の髪をした褐色の少女、フィラデルフィア…元邪神フィラデルフィアに近づき、ハグをしにかかる。
「マイシスター!ミーはどれほどウェイトしていた事か…!洪水を起こし、アメリカを危機に陥れれば、いなくなったマイシスターと必ず会えると…!」
「ノー!」
「アウチッ!?」
 フィラデルフィアの強烈なビンタがアリューシャに炸裂する!
「オイタが過ぎましたネー、マイシスター。」
 ぞっとする、邪神のような威圧がアリューシャを襲う。
「『私』ハ人間の文化に惚れ、人間の文化が好きだからこそ、この世界の側につきましタ。マイシスター、アナタはそれを潰しに来たのデスネ?」
「……イエス!」
 白い肌に頬が少し潰れても、その氷の微笑みは崩さない。
「オール・ザ・ワールドを飲み込み、ヒューマン…人間を混沌の渦に陥れる。それが我々イーヴィルゴッドの本質…!バット(しかし)、マイシスターがヒーローの側について安心と嬉しさがありまシタ!地上に出てきたカイがありまシタ。マイシスター!このまま私ハ、オブリビオンは世界をデストロイしマース!止められマスか?止めに来て!もっと一緒に遊びまショー!あは、アハハ、アハハハハ!」
「オーケィ」
 フィラデルフィアの纏うオーラが更に威圧的に、巨大になって、自慢げに自らの邪悪を話す妹…邪神アリューシャ・ディストピアに向かう。
「お姉ちゃん、もうパーフェクトに怒りました。ここから先はマイシスターへの、セッカン・タイムデース!」
 そのオーラが爆発的な太陽の光に包まれた!登場時と同じような、強烈な光の存在に!
「フィラデルフィア・シャイントピアとシテ、ヒーロー『ミス・エクリプス』とシテ!ぶっ飛ばしマース!」
 かくして戦闘が始まった!

●最終決戦:ヒーローとなった邪神 ヒーローを追ってきた邪神
「くっ…多少おいてけぼりですが、姉妹喧嘩で戦場をおりるわけにはいきません!」
 スーパーウィッシュガールは二人の戦いに食いつきながらもその様相を見届ける。
 フィラデルフィア……ミスエクリプスは太陽のオーラを纏って空を飛び交い、同じ様に邪神…アリューシャも絶対零度の氷のオーラを纏って空を飛び、何度も、何度も、激突する。
 衝撃で周囲のビルは壊れ、地は砕け、大気が凍り、それが一瞬で溶け燃えて、戦う防衛軍やオブリビオンを邪魔と言わんばかりに跳ね飛ばす。
 否……フィラデルフィアは、防衛軍への突撃だけは、巧みに回避しながらのぶつかり合いだった。
 スーパーウィッシュガールも応戦する。雑兵をその槍と大剣ではり倒しながら、姉妹喧嘩の様子を伺う。
 姉妹の戦いに水を注すわけにはいかない。だが、万一エクリプスが隙を見せた時……。

「私のパワーはサンエナジー!シスターのコールドなんて効きまセーン!」
「ノン!私のパワーは『アンチサンエナジー!』シスターの太陽を飲み込みフリーズする、イーヴィルなパワーデース!」
「口が回りマスネ!アイスがヒートに叶いマスカー!」
「防衛軍は実にグレイトフルなストレング!シスターのようなサンパワーを身に着けたヒーローもヴィランも沢山!そシテ……今はみんなグレイシャル(氷河)の中にオネンネしてマース!」
「オーケィお姉ちゃん限界超えて怒りまシタ。思い上がって名付けたようなアンチサンパワー、真っ向からクラッシュしてみせるネー!」

 何度も何度も、突撃が打ち合う中、狙いをつけたオブリビオンがいた。
「ナウ!フラッドウェポーン、GO!」
「ワッツ!?」
 横から飛んできた洪水兵器にミスエクリプスが巻き込まれる!
 その洪水はなんともなかったが、高熱に反応して水蒸気爆発が起こり、衝撃で一瞬オーラが外れる!
「直接掴んで、マイシスター!永遠に地の中でコールドスリープさせてあげマース!アンチサンパワー!」
 アリューシャは更に勢いを増す氷炎の手でミスエクリプスをつかもうとするが!
「スーパーウィッシュ・ヒートヴィジョン!」
 邪神にもレーザーの横槍が入る!
「オーゥ!?」
 冷気のオーラは焼かれも溶けもせず無傷だが、冷気と高熱で水蒸気爆発が起こる!
 一瞬オーラが外れたアリューシャ!お互いにオーラをかけなおす!
「サンキュー!ウィッシュガール!一気に勝負をつけマース!」
「スーパーを付けてください!これくらいは…いいでしょう?」
「オウイェー!」
 元邪神のヒーローと氷の邪神の凄まじいオーラは、交差螺旋を描きながらそのまま地面まで急降下……!

 KABOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!!

 戦場に大爆発が起きる!

 …………

 煙の中から、光が二つ。
「サンパワー、オン!」
 一つは右手に極大の太陽の光を込める。
「アンチサンパワー、オン!」
 一つは左手に極大の冷気の塊を、太陽の形にして込める。

「「ヒッサーツ!!」」

「ライティ・サンシャイーン!クラァーッシュ!」
「レフティ・コールドブレイザー!ストラァーイク!」
 太陽と氷の太陽が、拳が、激突する!
 赤と青、せめぎ合う必殺の一撃、戦いの場はだれも寄せ付けない程の衝撃波をもって、凄まじい閃光で覆われる!
「イィィィィィィィヤァァァァァァァ!!!!」
「シスタァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

 その力のせめぎ合いは恐るべき力を持った。両者引かず、引かず!
 だが数秒後、氷の太陽が一瞬熱を奪い…太陽の少女を氷に包む!
「勝っタ……!」
 だが氷の中で金色の太陽は笑顔を見せて、奪った熱を上回る程の力を発揮、一瞬で氷が蒸発し!
「!!!」
「コレが……私の……!サンパワーデーーース!!!」
 押し返した太陽の力が氷の太陽を飲み込み、焼き尽くしたのだった!
「オォォォォォォォォォォォォォウ!!!!」

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 氷が溶け、ボロボロになり、ついに消滅寸前となるアリューシャ・ディストピア。
「フ…フフ…」
 それでも微笑みは絶やさずに、よろけながらもフィラデルフィアに向かう。
「シスター……マイシスター……こうしてまた会えて、私本当によかったデース……いい一撃をもらいマシター……」
「……もうこれに懲りたら、次は人間を襲わないと約束シテクダサーイ。」
「ノン……私は……イーヴィルゴッド……エンジョイタイムがここでエンドは、悔しいデス……バット(でも)…………最後に一度、ハグさせて、くれませんカ……?」
 邪神アリューシャ・ディストピアは、静かに目を閉じて、ミス・エクリプス……フィラデルフィアの胸に包まれる。
「人間社会はスーパーにグッドなところデース。滅ぼすなんてもっての他……地の底でゆっくり、反省してナサーイ。マイシスター。」
「…アァ…」

 アリューシャ・ディストピアは、光に包まれて消滅した。

「や、やったのか…!?」
「や、やられたのか!?撤退、撤退ーっ!」
 指揮官が消滅した事でオブリビオン達は狼狽え、指示が来なければ動けない者達は一斉に逃げ出した!
「逃がしません!」
 スーパーウィッシュガールは残党狩りにと追撃を仕掛け、防衛軍達もそれに乗じてけしかける。
 見る見る内に士気の減ったオブリビオン達が打ち倒されていく。
 戦いはもうすぐ終焉を迎える。少なくとも、この大混戦にあった戦場での戦いは。

 白と黒の翼を広げ、太陽のような光を放ち、ヒーローは高らかに勝利を宣言する。
「アイム、ミス・エクリプス!見事アーバン・ロサンゼルスをディフェンスしまシター!ネクストバトルも、このミス・エクリプスにおまかせくだサーイ!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年11月06日
宿敵 『邪神アリューシャ・ディストピア』 を撃破!


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフィラデルフィア・シャイントピアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト