ストライク・オア・トリート!
●スイーツがあっても
竜頭の青年はそわそわしていた。
南瓜のモチーフで彩られ、ふわりと甘い香りが漂う。
賑やかなパーティー会場にて、竜派ドラゴニアンの青年がひとり、想い人を待っている。
――ちょっと恥ずかしいけど……着替えてくるから待っててね?
人間の少女が手にしていた衣装入りの袋からは、ぴょこんと猫耳のカチューシャが覗いていた。
猫耳である。
想い人の猫耳である。
破壊力抜群である。
(「俺は……正気でいられるだろうか」)
自信はまるでない。今のうちに顔を隠しておくべきだろうか。
ジャック・オー・ランタンにお化けに狼男、被り物をしている者も多い。
お祭りムードに便乗してしまおう、そうしよう。
よし、適当なお面を調達して――。
そんな青春真っ盛りの楽し気な空間は、突如響いた悲鳴を皮切りに壊される。
●襲撃するぞ
「災魔ってほんと、空気読まないというか……いや、今回はある意味で読んでるのかな」
グリモア猟兵の影守・吾聞(f00374)は、困った様子で狼耳をぺたりと伏せる。
無理もない。
アルダワ魔法学園のハロウィンパーティー会場に、オブリビオン――災魔の群れが雪崩れ込み、パーティーがぶち壊しになる様を予知してしまったのだから。
「アルダワのハロウィンってね、『装魔封災戦』って作戦の成功と勝利を祝って始まったものなんだって」
かつて行われた、人類が災魔の仮装をして敵拠点に侵入・奇襲を試みる大規模作戦。
その決行日たる10月31日は、人類にとっては今日まで続く祭日となったわけであるが。
「災魔にとっては厄日でしかないんだろうね……なりふり構わず、衝動的に襲ってくるんだ」
だが、衝動的に動いているゆえに、付け入る隙も多いにある。
「災魔は仮装してる人を優先して狙うみたい。学生や先生たちにも仮装してる人はいるけど、そこまで凝ったものじゃないから……」
可愛く、格好よく、或いは派手に。
猟兵たち各々の個性を存分に生かした仮装をしていれば、災魔を引きつけ人々を守ることができるだろう。
また、仮装の他にも料理を食べたり、歌って踊ったり。
ハロウィンを祝う素振りを見せれば、災魔は理性を欠いて隙を見せる可能性が高まる。
「要は、ハロウィンパーティを思いっきり楽しんでればOKってこと。災魔を全部倒しきれば、ミッションコンプリートだよ!」
藤影有
お世話になっております。藤影有です。
とりっくおあとりーと。猟兵の皆様の力をお貸しいただけますと幸いです。
「【Q】ハロウィン大乱闘!」の結果を受けたシナリオです。
フラグメントは第一章【集団戦】のみとなります。
(今回、導入文はありません。お好きなタイミングでプレイングを送ってくださいませ)
●補足
災魔の注意を猟兵に向けるため、仮装が必要になります。
お好きな衣装や被り物に身を包んでお楽しみください。
(プレイングに記載された内容を反映致します。ハロウィンイラストの有無も問いません)
また、会場内には数々のお菓子にケーキ、お肉に飲み物などご馳走がたくさん。
パフォーマンスを行うステージも存在します。
仮装に加え、自由にパーティーを楽しんでいれば、戦いをより有利に進めることができるでしょう。
戦いが終われば学生や先生たちも協力して会場を元に戻し、パーティーを再開します。
派手に暴れても大丈夫、格好よく決めましょう!
それでは、皆様のプレイング楽しみにお待ちしております。
第1章 集団戦
『コボルト』
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POW : 爪牙強襲
【鋭い爪牙】による素早い一撃を放つ。また、【四足歩行】等で身軽になれば、更に加速する。
SPD : 爪牙蹂躙
【駆け回ること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【鋭い爪牙】で攻撃する。
WIZ : 猛牙咬撃
【噛みつき】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
👑11
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コイスル・スズリズム
ハッピー
ハロウィン!
大声で両手をあげて
叫ぶすずの両手にはパーティ会場のお肉とお肉!
今すずはお肉を食べたい気分!
今の恰好、南瓜の国のプリンセスなんだけど
プリンセスって肉食だと思うんだぁ!
飲み物はコーラをお願いします!
全力でパーティを楽しんで『おびき寄せ』
敵の姿を確認したら『残像』
最近のプリンセスは一人で何役もするんだよ!
と呟いて範囲内に『おびき寄せ』る
充分に敵を入れたら、ドラゴンランスを中心とした【UC】で攻撃
対象は範囲内全て
攻撃がかかりそうなら『見切り』『武器受け』で防御
戦闘前大事なお肉をテーブルにおいておく
倒したらその後に残したくない!と食べる
こういうとこ、プリンセス向いてないね、すず……。
辻・莉桜
青春の1頁となるお祭りの日に本当に無粋ね
しっかりお仕事しつつ楽しませていただこうかな
仮装はハロウィンの魔女姿
黒と紫とオレンジのワンピースに黒の三角帽子
刀の【花散里】の鞘は箒っぽく仕上げて
ハッピーハロウィン!
美味しいものくれないと、いたずらしちゃうよ?
テーブルの上のチョコレートがあまりに美味しくて
思わず笑顔になっちゃうの
こんな美味しいものをもらえたなら
私もお返しをしないとね
UC使用 ハロウィンに舞う桜の花
そのまま一気に敵へと距離を詰めて
【衝撃波】で切り刻むよ
テーブルの上のものをつまみながら
舞うように一体ずつ倒していくつもり
パーティだもの、華やかにね?
絡み、アドリブ歓迎です
●肉食プリンセスと甘党の魔女
甘い予感のするところに、コイスル・スズリズム(f02317)の姿在り。
今日の彼女の装いは、南瓜の国のプリンセス。
オレンジとライトグリーンを基調とした、ふわりとしたシルエットのドレスを身に纏い。
美しい金髪はリボンに色とりどりの花、王冠で飾り付けて。
その細い指先には。
「今すずは、お肉を食べたい気分!」
肉――丸々としたチキンレッグをしっかと握りしめている!
しかも両の手で。このプリンセス、どうやら肉食系であるらしい。
「飲み物はコーラをお願いします!」
「片方食べ終えてからにしよう、ね?」
健啖なコイスルを微笑まし気に見守るは、辻・莉桜(f23327)である。
莉桜もまた、学生らの青春の一頁たる祭りを守るために馳せ参じた一人だ。
仮装は黒に紫にオレンジ、三色のハロウィンカラーを取り入れたワンピースに黒の三角帽子を合わせた魔女姿。
手にした箒は愛刀・花散里の鞘を飾り付け、工夫して仕上げた拘りの逸品だ。
「美味しいものくれないと、いたずらしちゃうよ?」
学生たちに笑い掛けながら。莉桜がやってきたのは、数々のお菓子が並んだテーブル。
口にチョコレートを運べば、悪戯を企む魔女の顔からみるみるうちにとろける笑顔に。
もう一口、と莉桜が手を伸ばしたところで。
破壊音、響き渡る悲鳴。そして。
『ハロウィン……』
『ユルサヌ!』
『ワンワンオ!!』
わらわらわらと会場に雪崩れ込んでくる犬獣人ども。
品定めをするように会場内の匂いを嗅いでいた一団の鼻先が、視線が。猟兵へ向いたのを見て取って。
「美味しいもののお返しをしないとね」
「だね! ……あ、その前に!」
大事なお肉をテーブルへ置いて。
プリンセスと魔女は共に飛び出して行く。
「「ハッピーハロウィン!」」
『ガゥ!?』
振り下ろされた刀の一撃を、とっさに飛びのいて避ける災魔。
だが、莉桜から逃れることは適わない。
魔女姿を、彼女の本性たる桜の力が包み込む。
深く踏み込んだ軌跡に花びらを残し、まずは一体。
斬った災魔が掻き消える様に一瞥もくれず、テーブルを跳び越えてきた群れを見据え。
「さあ、桜のショウタイムだ」
間合いに入ってきたところを一閃、纏めて消し飛ばしていく。
巻き起こる衝撃波、倒れかけるケーキスタンド。
「ああ、危ない!」
しっかり支えてから、乗っていた南瓜のカップケーキをぱくり。
せっかくのパーティーだ、華やかに美味しく楽しもうと。
悪戯っぽく笑った莉桜に対し、憎々し気に牙を剥いた災魔へ。
「すずのこと、エスコートしてくれる?」
コイスルがスカートを裾を摘まんでご挨拶。
プリンセスからのダンスの誘いへの答えは、鋭い牙を以てして。
『ガアァ!』
がぶりと食らい付いたはずのそこに、コイスルはいなかった。
『グ、グゥ? オニク、ドコ?』
困惑する犬獣人の前に現るは、幾重もの影。
「最近のプリンセスは一人で何役もするんだよ!」
『ヒルムナ!』
『ゼンブ、クラウ!』
本体を見破らんとする冷静さすら欠いて、災魔が四肢の筋肉を唸らせコイスルの影に飛び掛かり、爪牙を振るう。
一、二、三――全ての影が消え去ってなお、血の一滴も流れない。
掛かった。
「ようこそ。それじゃ、踊ろ?」
射程範囲に招かれた群れへと、解き放たれるはコイスルの全力の魔法。
竜の名を持つ魔槍とともに、姫と災魔は束の間、踊る。
Un, deux, trois――数え終えた時に、立っていたのはプリンセスのみ。
「さて、と」
敵一体一体の力は大したことは無い。
猟兵たちならば、相応の時間を掛ければ倒しきれるだろう。
もう少しだけ、お肉はお預け。
「なーんて。こういうとこ、プリンセス向いてないね、すず……」
大成功
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鈴原・瑞樹
コロッサス(f03956)さんと一緒に行動します。
とんがり帽子に黒のワンピースで魔女の仮装して、パーティーに参加です。
「普段とあんまり変わらない気がします……」
全身鎧の騎士の恰好をしているコロッサスさんを見た感想。
パーティー会場には美味しそうなお菓子がいっぱい。
「コロッサスさんトリック・オア・トリートです」
コロッサスさんはお菓子をくれるかな?
災魔の群れが現れたら、ステージにあがって【シンフォニック・キュア】を使い、歌を披露して囮になります。
災魔を引き付けるために明るい歌を楽しく歌います。
「まだまだパーティーは続くみたいです」
戦いの後はコロッサスさんとそのままパーティーを楽しむ。
コロッサス・ロードス
同行者:瑞樹(f03860)
仮装:全身鎧の騎士。普段と変わらない?いやいや、髑髏兜で死霊騎士風だ
瑞樹のトリックオアトリートが可愛すぎる……頬の緩みが止まらん
「瑞樹のお願いならどの世界のどんなお菓子でも取ってくるけど……今はこれでどうかな?」
彼女の好きな苺ショートを取り分ける
災魔が現れたら前面に立ち各技能を駆使して直撃を防ぎ、なにより我が身を呈してでも瑞樹『かばう』
【黎明の剣】で迎え撃ち「我が魔女を害すること能わず。災魔よ、我が黎明……否、地獄の炎を以て冥府への道先案内を務めん」
戦闘後は「じゃあもっと楽しまないとな」瑞樹の手を握ってエスコート
「次はどんなお菓子が欲しい?」と微笑みかける
●死霊の騎士と黒衣の魔女
とんがり帽子に黒のワンピース。
旧き良き魔女装束に身を包むは鈴原・瑞樹(f03860)だ。
長い黒髪も相まってより大人びた雰囲気の少女は、傍らのコロッサス・ロードス(f03956)に語り掛ける。
「その、コロッサスさん。普段とあんまり変わらない気がします……」
「そうか?」
首を傾げた偉丈夫は、全身鎧の騎士姿。
確かにいつも共にいる少女から見れば、見慣れたままに感じてもおかしくはないだろう。
だが、ハロウィン要素もきっちり備えているのがこの男。
「では、これでどうだろう?」
浮かべた少年のような笑みは、髑髏兜の下に隠れていく。
現れた死霊騎士に、愛おし気に笑った黒魔女は。
「コロッサスさん。トリック・オア・トリートです」
いたずらかお菓子かを問うてみる。
彼はどちらをくれるだろう――なんて。
菓子の並べられたテーブルにて、コロッサスは瑞樹のためにとびきりの一品を選ぶ。
「……可愛すぎる」
トリック・オア・トリート。
ハロウィンの決まり文句も特別な人が送ってくれたとなれば、甘く心をくすぐる悪戯と成る。
髑髏兜の下、男の頬が緩んでいたことは彼のみぞ知る。
「瑞樹のお願いなら、どの世界のどんなお菓子でも取ってくるけど……今はこれでどうかな?」
運ばれてきた苺のショートケーキに、瑞樹は瞳を輝かせる。
好物であることも勿論だが、それを彼が選んでくれたのだ。
心が弾まぬ理由は無い。
甘くふわりとした時間をしばし二人で堪能し、ほんの少しだけ一休み――災魔襲撃の報せだ。
騎士は魔女を守るため。
魔女は騎士の背を支えるため。
目と目を合わせてのち、互いの戦場へと赴いていく。
甘い香りを嗅ぎつけて、災魔の群れがやってくる。
奴らが詰めかける最前線に、威風堂々と立つはコロッサス。
髑髏の面の奥からぎろりと睨みを利かせれば、犬獣人どもは束の間怯むが。
『キサマラノ イワイハ』
『ワレワレノ ノロイ!』
爪牙を絶え間なく振るい、男の鎧へ突き立て始める。
四方八方よりの斬撃を浴びようと、コロッサスは微動だにしない。
身に着けた力、技量、気迫、覚悟。武人としての全てを以て、一身に攻撃を集め続ける。
その背を支えるは、世界でたったひとりのかけがえのない人。
「――♪」
ライブステージに上がり、瑞樹は高らかに歌い出す。
弾むようなリズムに乗って、紡ぐは明るく楽しいメロディ。
学園の生徒たちも声を重ね、歌は共鳴し広がっていく。
『ナンダ、コレハ。ミミザワリナ……』
『アイツダ! アノ、ムスメノセイダ!』
合唱の中心たる瑞樹に狙いを変えたことで、災魔の猛攻に隙が生まれる。
当然、コロッサスがそれを見逃すはずもなく。
「我が魔女を害すること能わず」
剣に宿すは紅き神火、払暁の輝き。其はまさに黎明の剣。
「災魔よ、我が黎明……否、地獄の炎を以て冥府への道先案内を務めん」
神魂気魄の閃撃を以て、金剛神将は。
「――獣心を断つ!」
怪我は無いかと駆け寄ってきた瑞樹を受け止め、頷いて無事を伝えるコロッサス。
「まだまだパーティーは続くみたいですね」
「じゃあもっと楽しまないとな」
騎士が手を差し出せば、魔女は微笑んでその手を取る。
「次はどんなお菓子が欲しい?」
優しく手を握り、微笑んで。
コロッサスが送った言葉は、瑞樹にとってはとびきりの悪戯でもあったとか。
*****
猟兵が災魔を祓ってからの学生たちの動きは早かった。
怪我人の確認や治療に当たる者。
破壊箇所の点検に回る者。
備品を運搬してくる者。
新たに飾り付けを始める者。
各々ができることを分担し、あっと言う間に会場は元の華やかさを取り戻す。
さあ、また皆で祝いの日を楽しもう。
歌って、踊って、食べて、笑って。
その一つ一つが、また明日への糧へとなるのだから。
大成功
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