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偶像崇拝アイドルイェーガー

#UDCアース #呪詛型UDC

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●憧れの光
 ――輝く世界。揺れる光。
 ――そうよ、ここがわたしたちのステージ。
 ――この想いを、言葉を、歌にして。あなたに届けたい。

 人形はじっと、画面の中に映るステージに立つ少女達の歌を聴いていた。
 この子達は輝いている。
 個としてもヒトとしても、とても。
 スピーカーから響く歌声も、懸命に踊る姿も、きらめいているように思えた。決して輝きは強くはない。けれども彼女達はそう、まるで星のようだ。
 虚ろな人形はかたりと音を立てて首を回し、近くに控えていた教団員に語りかける。
「……ねえ」
「どうかなされましたか、我らが神よ」
「わたし、この子達みたいな身体がほしい」
「成程、アイドルですか。わかりました……我らが神の仰せのままに」
 自分を崇める教団員が祭壇の部屋から出ていくのを一瞥した後、邪神が宿る人形は再びテレビ画面に目を向けた。
 ああ、嬉しい。もうすぐこの子達のような身体が手に入る。
 こんな硬い人形の身ではなくて、輝き煌めく、素敵な身体が――。
「……楽しみ。ねえ、みんな」
 手に入れたものを捨ててでも手に入れたいものを思い、人形邪神はちいさく笑む。
 そして、それが呼びかけて振り返った先。
 其処には悍ましいほどの数多の邪神人形達が目を光らせ、かたかたと笑っていた。

●偶像と兎
「よお、お前ら。アイドルになってみる気はないか?」
 まるでプロデューサーがスカウトを行うときのように、こういう者だけど、と名刺を差し出したのはUDCエージェントのひとり、ディイ・ディー(Six Sides・f21861)だ。揶揄うように口端をあげた彼は、今回の任務について語っていく。
「いや冗談とか詐欺じゃねーよ。アイドルとして潜入任務を行って欲しいんだ」
 現在、或る邪神教団が暗躍している。
 教団は人形型の邪神を顕現させることに成功し、それを崇め奉っていた。
 かの邪神は形代などではなく本当のヒトの姿を得ることを望んでおり、教団はその願いを叶える為に動きはじめた。それは邪神を現代社会で生きている人間に成り代わらせるという、おそろしい計画だ。
 だが、対象は誰でもいいというわけではないらしい。
「手っ取り早く輝く存在だと判断できる対象となれば――そう、アイドルだ!」
 邪神教団は資金源として企画会社を運営していた。
 そして今回、次世代のアイドルを発掘するという名目で様々なアイドルを集めた合同フェスを開催するようだ。
 スター発掘、アイドルライブ。
 そう名付けられた舞台はもちろん嘘で、実のところは邪神への生贄を選ぶ場らしい。
「フェスへの参加登録はこっちで手配しとく。だからお前らは自分達がどんなスタイルのアイドルになるかや、ステージのパフォーマンスを考えておいてくれ。どうしても難しいなら俺様がプランを捻り出すから任せてくれていいぜ」
 そうして、ライブが成功した場合。
 企画会社よりアイドル達に招待状が出され、潜入任務は第二段階に移る。

「……バニー服着用必須、VIP専用パーティーだってよ」
 そういって肩を竦めたディイは、言葉通りの事が次に待っているのだと話す。
 アイドル達にとっては営業になるという理由で招待される其処は、邪神教団が所有する地下の秘密クラブだという。
 バニー服とか邪すぎねえか、と零しつつディイは語ってゆく。
「お偉いさんの御眼鏡に適えば人気アイドルも夢じゃないとかで、一見は業界の要人が集まってる会場のように見える。だが、その実はまったく違う。生贄を邪神に捧げる儀式が行われるだけだ」
 パーティーでは後半に特別なショーという演目が予定されている。
 それが件の邪神が人間に成り代わる儀式の時間だという。本来、パーティーには猟兵以外のアイドル候補が呼ばれる予定だったが、件の合同ライブフェスを猟兵の参加だけで埋めれば一般人への被害は抑えられる。
「ということで頼む。ちょっくらアイドルになって、バニー服を着てきてくれ!」
 ディイは半分面白がるように、けれどもう半分は真剣に告げた。
 本来、夢を掴むべき者が生贄にされる未来など訪れさせてはいけない。そのためにも猟兵の力が必要な時なのだと告げ、ディイは真っ直ぐに仲間達を見つめて問う。
「――さあ、お前らはどんなアイドルになる?」


犬塚ひなこ
 今回の世界は『UDCアース』
 アイドルとしてライブを行ってからVIP専用クラブに招待客として潜り込み、邪神を倒しに向かうことが目的となります。
 プレイング受付は【2019/10/29 8:31】からとなります。
 それ以前に送っていただいたプレイングはお返しとなります。お誘い合わせでのご参加も大歓迎ですので、それまではご相談期間としてお使いください。

●第一章
 日常『きらめく星の舞台』
 皆様にはアイドルになって頂きます。アイドルパロです。
 リプレイで描写するのは舞台内で行われるライブステージの一幕です。
 ソロかデュオか、グループ人数、男女年齢問わず形式は自由。衣装の雰囲気、歌詞(版権系はマスタリングします)、演奏、ダンス披露など皆様が思うままのパフォーマンスで挑んでください。
 ステージと呼べるものでしたらバンドや弾き語り、トーク、漫才などでもOKです。

 プレイング冒頭に、
 『🎤』を入れてくだされば曲の歌詞またはパフォーマンス内容お任せ。
 『👗』を入れてくださった場合は衣装お任せとして受け取り、此方で見繕います。
 両方同時お任せも歓迎します。

 自分からアイドルになるタイプではないという方も、謎のプロデューサーに無理やりステージに出されたという設定などでぜひお越しください。また、皆様が誰かのプロデューサーになるのは、描写上「舞台を見守る」というだけになりがちなのでお勧め出来ません。
 ※この章ではバニー服は着なくても大丈夫です。

●第二章
 冒険『いいから皆バニーを着るんだ!!!』
 皆様は秘密のVIPクラブに誘われます。この章からの飛び入り参加も歓迎します。
 内容は地下クラブで行われる立食パーティー潜入です。『特別なショー』という名の邪神顕現タイムが訪れるまでは自由に過ごすことが出来ます。
 時間が来ると邪神が現れるので、日常気分でパーティーを楽しんでください。聞き込みや調査なども行えます。教団員を見つけて懲らしめるのもありです。
 ただし全員バニー服、うさみみ着用です!
 女性はセクシー系から可愛い系まで様々。男性は燕尾服やスーツとなります。

●第三章
 集団戦『偽りの自由を手に入れた人形』
 皆様の姿を自分の物にしようとする人形達との戦いとなります。
 存在を奪われぬよう抵抗してください。敵をすべて倒すと崇拝する神を失った教団も壊滅するという扱いになります。
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第1章 日常 『きらめく星の舞台』

POW   :    輝く星を捜す

SPD   :    煌く灯を探す

WIZ   :    瞬く光を示す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミリア・プレスティール
※🎤👗アドリブ、他の方の絡みOK

相棒の手袋型UDC『ミトン』にプロデューサーらしき人物の前まで無理矢理に手を引いて連れて来られたミリア。
「私はただミトンに連れて来られただけなので…」
しかし肝心の『ミトン』は隠れてしまいプロデューサーには不思議ちゃんキャラと思われてしまい、その認識のまま売り出されてしまう。
ミリアは戸惑いながらもステージでは持ち前の歌唱力でなんとか乗り切る。



●流体アイドル☆ミリアとミトン

 ~前回のあらすじ~

 私はミリア・プレスティール。
 この子は小さい頃に出会ってから一緒にいる、手袋型UDCの『ミトン』です。
 私を守ってくれているミトンですが、隙あらば辱めてくる悪戯っこです。いつも困らせてくるミトンですが、今回はなんと私に内緒でアイドルのオーディションに応募して、しかも受かってしまったらしいんです。
 ミトンにプロデューサーらしき人の前まで無理矢理に手を引いて連れて来られたけれど、いきなりアイドルになれだなんて聞いていません!
「私はただミトンに連れて来られただけなので……」
 素直に告げたら肝心のミトンはいつの間にか隠れていて、プロデューサーには不思議ちゃんキャラだと思われてしまって――。
 それにステージの出演まで決まっているなんて、もう大変。
 一体、私はこれからどうなってしまうのでしょう!?
 
 次回、協演のハーモニカルステージ!
 お楽しみに!
 
 ~第二話、オン・ステージ!~
 
 ひらめくリボンに揺れるチェックスカート。
 マイクを手にしたミリアは今、スポットライトに照らされていた。少しだけおずおずと、しかし確りと前に踏み出したミリアは息を吸う。そして――。

『Dilatancy』

 ♪揺れる、揺れる 震えるこのココロとカラダ
  その手を取って ねえ、ぎゅっと握って
  触れたら、ほら 風のリボンが声を届けるから――♪

 内心で戸惑いながらもミリアは歌を紡ぎ続ける。
 これまでミトンと過ごした日々を思いながら、持ち前の歌唱力を活かして、真っ直ぐに歌い上げた曲はやがて終わりを迎えた。
 響く拍手と歓声。
 目映いライトの下、何とか乗り切れたと安堵したミリアは深くお辞儀をした。
「ありがとうございました!」
 頬が上気して、胸が高鳴っていた。
 そこに生まれた感情は恥ずかしさだけではなくて、きっと――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

イアンノ・ェウァニ
🎤👗

アイドル!
…とは?
事前に聞いておきます

偶像…
イアンノの像にお祈りする隣人さんを見たことがあります
病の世界にも、信仰が生まれるなんて
皆を救う手がかりかも…!
それに
もう歌えないけど、歌は大好きでした
どうしても、惹かれてしまいます

でも、何をしたら?
ううん…ディイの言う通りにしますね
わたしが歌い、彼が舞った日々
踊りなら見様見真似でできるかも
樹は変形も、光にして収納もできますから
バニー…?
そっちも、ディイにお任せします!
…ルゥア、はしゃいじゃ駄目ですよ

人に目を向けてほしい
願いは、きっと一緒
でも
そんな悲しい手段じゃ、駄目なんです

*上記は心情、喉が木化し無口
*2章以降おまかせ希望、可なら採用ください



●fantasy
 照明が落とされた、まっくらな舞台。
 観客席の人々はこれから何が始まるのかと、しんと静まり返ったステージを見守る。
 静謐の中、響きはじめたのは小鳥の鳴き声。
 ぴちち。
 ぴぃ、ぴぴぴ。
 最初は一羽の聲だけだったそれが、次第に増えていく。
 そして、ざわめく木々の葉音が混ざっていったかと思うと、舞台を横切るように恵風を運ぶ極楽鳥が尾を引いて飛んでいった。
 わあ、と客席から声があがる最中、舞台の中央にひとすじの光が射す。
 決して強くはなく、けれども印象的に照らすスポットライト。その中央には新緑や翠を思わせる鮮やかな森色のドレスを纏う少女がひとり。
 宿木めいた樹に包まれているかのように見える姿。それは舞台上のオブジェにも見えるが、彼女の身体の一部でもある。
 
 ♪ La la la
 
 宿木の少女――イアンノは花唇をひらき、伴奏もなしに歌いはじめる。
 彼女がゆっくりと両手を広げれば、幽かな声にあわせたメロディが響き始め、次第に音楽となって舞台上に奏でられていく。
 
 ♪ Lu Li la la
 
 其処に歌詞はなく、決して紡ぐ音も多くない。
 演奏の中にときおり口遊むようなハミングが続くだけだが、その声は心地良い。
 やがてスポットライトは淡く、舞台全体に広がった。イアンノの背後にはプロジェクションマッピングで投影された森の景色が映っている。
 イアンノが指先を天に向ければ其処に星がひかり、地面を示せば花が咲く。
 目を奪われた観客達はその光景と彼女の歌に聴き入っていた。
 ああ、ああ。
 これがアイドル。偶像という意味合いを元にした、この世界の輝き。
 もう歌えないけど、歌は大好きだから――。
 イアンノは木化した喉でも何とか歌えるメロディだけの唄を懸命に紡いでいき、昔を思い返していく。いつだったか、イアンノの像に祈る隣人を見たことがある。
 病の世界にも、信仰が生まれるなんて。
 きっとこれは皆を救う手がかりかもしれない。
 映像と演奏、少しの聲。
 それらが織り成すステージに立ちながら、イアンノは嘗てに思いを馳せた。
 ――わたしが歌い、彼が舞った日々。
 それを思えばこの舞台に広がる旋律と共に踊れる気もする。見様見真似で、それでいて確かな足取りは穏やかな舞となっていった。
 身体の樹を光に変え、イアンノは曲の終わりまで心を込めて舞おうと決める。
 人に目を向けてほしい。
 願いは、きっと一緒。
 でもきっと、そんな悲しい手段じゃ駄目だから。
 そうしてもう一度、極楽鳥が舞台上を横切る。鮮やかな翼が閃いたと同時に曲が終演を迎え、ステージの照明が緩やかに落とされていった。
 一瞬の静寂。
 其処から響き始める拍手を聞きながら、イアンノはそっと客席へとお辞儀をした。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリアドール・シュシュ
【螺子猫】
🎤曲調はポップ
👗
グループ命名希望

マルコと一緒にアイドルしたらとっても楽しそうなの
ね?(ぐいぐい
今のマルコにしか出せない声を聴かせて頂戴
響かせましょう、マリア達の嬉遊曲を
ふふ、どんな輝きが見られるかしら
あなたとなら最高のステージに出来るわ!

ハモりと演奏担当
マルコのダンスに見惚れ
楽し気な様子に笑顔
大きなハープで普段より速めに奏で圧倒
マルコの声をより際立たせる様に下の音は外さずしっかり歌う
透き通る美声
途中マルコにウィンクするも出来ずに両目瞑る
緩急つけサビの所で盛り上げる
演出で茉莉花降らし香りも
UC使用で疲れ癒す

まぁ!マルコからそんな言葉が聞けるなんて(嬉々
任務でなくてもまた唄いたいのよ


マルコ・トリガー
🎤👗
【螺子猫】
フーン、アイドルねぇ
存在は知ってるよ。歌って踊るんだろう?
それをやれって?
仕方ないなぁ、今回だけだよ?

ボクがボーカルとパフォーマンス
マリアが演奏しながらハモりを入れてくれるらしい
マリアのハープ演奏なら安心だな
ボクも歌は嫌いじゃないから、二人でなら輝く存在ってやつになれるんじゃない?

ボクは銃のヤドリガミだからね
銃を使ったダンスで魅せようか
銃を回したり、空砲を撃ったりね

マリアとの息はピッタリだと思うよ
まあ、よくこうやって無理矢理猟兵の仕事に連れ出される事が多いからね
アイコンタクトでタイミングを計ろう
そこの君、ボクらのパフォーマンスを見逃さないでよね



●Guns Xtal
「フーン、アイドルねぇ」
「マルコと一緒にアイドルしたらとっても楽しそうなの」
「存在は知ってるよ。歌って踊るんだろう? で、アイドルをやれって?」
「今のマルコにしか出せない声があるでしょ。それを聴かせて頂戴。ね?」
「仕方ないなぁ、今回だけだよ?」

 少し前、そんなやり取りを交わしてから幾日か。
 マリアドールとマルコは今、アイドルユニット『Guns Xtal』としてステージの袖に控えていた。見つめる先にはスポットライトに照らされた舞台がある。
 マリアドールは水晶をイメージした透き通るドレスに身を包み、マルコは詰め襟のジャケット衣装を着用している。
 彼女が少し動けば、スカートに鏤められた輝石がきらきらと光る。
 対するマルコの上着の裾は燕尾服風。金縁の刺繍がさりげなくキラリと煌めく。
 次が自分達の出番だ。
 マリアドールは胸元に手を当て、舞台に置いて貰う予定のハープを撫でる。
「いよいよね、マルコ」
「大丈夫、マリアとなら息はピッタリに合わせられると思うよ」
 よくこうやって無理やり仕事に連れ出される事が多いから、と頷くマルコ。
 アイドルとしての役割はマルコがボーカルとパフォーマンスを、そしてマリアドールが演奏とコーラスを担当する。
 彼女のハープ演奏があるなら安心だ。マルコはマリアドールに視線を向け、いつでも行けるよ、と告げた。
「二人でなら輝く存在ってやつになれるんじゃない?」
「ふふ、そうね。あなたと一緒なら最高のステージに出来るわ! 響かせましょう、マリア達の嬉遊曲を」
 頼もしく思える彼の言葉に微笑み、マリアドールは期待と想いを馳せる。
 どんな輝きが見られるのか。
 それはきっと、この先に巡るステージで分かることになるはず。
 そして、二人の舞台の幕があがった。

『蜜華と銃声』

 ♪ 蝶よ、花よ 空に舞え 自由を掴み取るため
   埃かぶったルールなんて捨てて 飛び立とう――♪

 それはポップながらも心に訴えかける歌声と曲。
 高すぎず低すぎず、少年らしさを内包するマルコの声にマリアドールの透き通る美声が重なり、ステージ上で響きあう。
 見事に歌いあげたサビが終われば、其処からは少年のパフォーマンスタイム。
 銃を構えたマルコは軽快なステップを踏みながら手の中の銃をくるりと回し、舞台上に向けて空砲を撃ち放つ。
 マリアドールはマルコのダンスに見惚れ、楽しげな笑顔を浮かべた。
 合わせて奏でるハープの音色とコーラスは彼のダンスを際立たせている。更に演出として降らせていく茉莉花の香りも舞台を彩るもののひとつだ。
 花が舞い、快い銃声が鳴り渡る。
 途中、マリアドールはマルコにウィンクをしてみようと思い立った。けれども上手く出来ずに思わず両目を瞑ってしまったのはご愛嬌。
 銃と花。
 即ち、戦いと平和の象徴。
 相反するようなものが見事に調和しているのも、この二人が紡ぐからこそ。
 曲の最中にマルコは観客席に手を振った。
「そこの君、ボクらのパフォーマンスを見逃さないでよね」
 きゃあっと黄色い声があがる中でマリアドールも嬉々としてマルコを見つめていた。
(まぁ! マルコからそんな言葉が聞けるなんて)
 任務でなくてもまた唄いたい。
 そんな思いを抱いたマリアドールは淡く笑んだ。
 そして、緩急をつけて歌いあげる曲もいよいよクライマックスが近付いてきた。
 奏でる音。刻むステップ。
 目を合わせなくても相手の動きが分かる気がして、二人は花唇をひらく。
 
 ♪ キミの道はボクが、あなたの道はわたしが
   いっしょにいこう 銃声の向こう、約束の花が咲く場所へ――
 
 そして、音楽が終わった瞬間にマルコが銃爪を引いた。
 同時にふわりと舞う甘やかな花。
 それはこの曲の名が示す通り、蜜華と銃声と呼ぶに相応しい幕引きとなって巡った。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

百鳥・円
🎤👗
いーですね!こーいうの!
煌びやかなステージに魅惑の歌声
宝石みたいに美しく輝いている心!
なんて美味しそーな夢たちなのでしょーか
なあんて!
今日はつまみ喰いしませんよーっと
さてさて、アイドル活動スタートですん

わたしは妖狐と夢魔の混血ですよう
化かして魅せるのはお手のもの!
企業さんを魅了してみせましょう!
さあさあその目でその耳で!
わたしという存在を感じてくださいな!

皆さんのステージもとっても素敵ですん
キラキラキラキラまるで宝石のよーですね
ああ、やっぱり
夢が詰まった心はとても美味しそう
氷砂糖にして喰べてしまいたいくらい
だれけどとっても残念!
味方を喰べることは出来ないので
最奥の敵さんまでお預けですん



●甘くて苦い
 煌びやかなステージに魅惑の歌声。
 響かせる声も、それを聴いている人々も、宝石みたいに美しく輝く心を持つ。
 舞台袖で出番を待つ円は遠目に見える観客席を瞳に映していた。
「なんて素敵な夢でしょーか」
 それからそれから、なんて美味しそうなひとたち。
「なあんて! 今日はつまみ喰いしませんよーっと」
 くすりと笑った円はステージを見つめる。前の曲が終われば次は自分の番。やがてスタンバイの合図が送られ、舞台のスポットライトが落とされる。
「さてさて、アイドル活動スタートですん」
 暗くなったステージの中で配置についた円は胸に手を当てた。
(大丈夫、わたしは妖狐と夢魔の混血。化かして魅せるのはお手のもの!)
 きっと皆を魅了してみせる。
 踏み出した舞台の上、円のステージが始まる。
 
『砂糖漬けの愛』

 ♪ さあ、わたしの聲を聴いて あなただけに魅せてあげる
   角砂糖をひとつ 紅茶に溶かせば とろけるような夢へ
   とびきり甘くて、すこし苦い気持ち 退屈にはもう、さよならを

 スプーンを模した金装飾のマイク。
 そのとろける色聲がスピーカーを伝って会場に広がってゆく。まるで紅茶にミルクがとけてまざっていくように、甘く響き渡る音。
 そして歌と共に円がくるりと回れば、羽が折り重なったようなふんわりとしたスカートがひらひらと可愛らしく揺れた。
 スパンコールが鏤められた衣装は煌めく砂糖の粒をまぶしたかのよう。糸髪の合間、角に飾られたのは紫水晶をあしらった細身の鎖。
 軽やかな翼のブーツで踵を鳴らせば、応えるような歓声が舞台上まで届いた。
「その目で、その耳で、わたしという存在を感じて――」
 円が声を紡げばスポットライトの光がステージに舞う。向けられる眼差し、揺らされるペンライト。キラキラ、キラキラ。まるで宝石のようだ。
 ああ、やっぱり。
 歌と詩を紡ぎあげていく円は歌の最中で花唇を舌先でぺろりと舐める。
 ステージで歌っていた子達も、こうして視線を向けてくれる人々も。夢が詰まった心はとても美味しそう。氷砂糖にして喰べてしまいたいくらい。
 残念だけれど今は我慢。
 この詩を届け終わるまでは、わたしはれっきとしたアイドルなんだから。
 此処から先に巡る出逢いを思い、円はマイクを掲げた。
 そして、曲は終演を迎え――。
「とーっても素敵な時間を、ありがとうございましたん」
 あまく香りたつような眼差しと声を客席に向け、円は無邪気に微笑んだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

クー・フロスト
🎤👗
アドリブ歓迎


●同行
イヴ・クロノサージュ
クー・フロスト

※ただし順番はお任せします。他の方との絡みもOKです。
 一応知人関係という事で同行しています。

●心情
邪神を現代社会で生きている人間に成り代わらせる
良いの心を得れれば、それは願ったり叶ったりなんだけどな?
まぁ、一度そいつを見てみるしかないな。

●アイドル活動
な!? アイドルだぁ!
他に、向いてるヤツが、やっ……やめろォー!

明るい歌を歌う(アドリブ歓迎)
絡み歓迎

●相棒について
彼女の歌はじっくり聞いて
何れ元の世界に帰してやろうと心に決める


イヴ・クロノサージュ
🎤👗
アドリブ歓迎


●同行
イヴ・クロノサージュ
クー・フロスト

※ただし順番はお任せします。他の方との絡みもOKです。
 一応知人関係という事で同行しています。

●歌
架空言語のヒーリングソング

心の篭った歌で、元の世界に戻りたいと思いつつも
この世界の皆に感謝の気持ちを伝えたい気持ちを歌います。

●設定
衣装は着用している白色の和服をアイドル風に
バックコーラスに架空言語(プログラミング言語系)
音楽のメイン(ソプラノリコーダー)サブ(カスタネット、鈴、シンバリン)

※架空言語は、自由に創造して下さい。
 例は、《超越次元想界詩》アース・クロノサージュの台詞と秘密の設定(訳)



●響きあう聲
「な!? アイドルだぁ! 他に、向いてるヤツが、やっ……やめろォー!」
 或る日、クーの悲鳴が響き渡った。
 為す術もなく連行されていく非常な現実。ダンスレッスンに楽曲の練習。少女アイドル化計画が着々と進む中、イヴもまたステージに向けての準備を整えていた。
 アイドルステージは間もなく。
 もう後戻りはできないのだと肩を竦め、クーは着せられた衣装を見下ろす。
「はあ……ついにここまで来てしまったな」
「私……人々を救うためにこの大いなる舞台に挑みます」
 クーが肩を落とす中、イヴはそっと掌を握った。
 二人は今、揃いの衣装を身に纏っている。
 和洋入り交じるデザインのジャケットを羽織り、その下はフリルスカート。ニーソックスとブーツという出で立ちだ。
 クーは昼間をイメージしたブルースカイ。そして黒を織り交ぜた洋風。
 イヴは夕時をイメージしたレッドスカイ。そして白を基調とした和風。
 それぞれに違うカラーで彩られた衣装はよく似合っていた。
「しかし……邪神を現代社会で生きている人間に成り代わらせる、か。良い心を得れれば、それは願ったり叶ったりなんだけどな?」
 クーは髪型をツインテールに結い今回の敵を思う。
 こくりと頷いたイヴもツーサイドアップの髪をブラシで整え、未だ見ぬ邪神について思いを馳せた。
「まぁ、一度そいつを見てみるしかないな」
「その前に、無事に終わらせましょう……」
 頷きあった二人は準備を終え、いよいよ始まるステージへと歩を進めていく。
 そして――。

 舞台を照らすスポットライトはふたつ。
 片方にはイヴが、もう片方にはクーがスタンドマイクを前にして立っている。
 そして、ライトはまずイヴを強く照らしていく。
 
 ♪ Harm>{οnly}=>Melodia>{δear>}=>
   ζaithful>{love will}=>Never>{to hate}=>
    Red sky>{at night}=>Blue sky>{delight}=> morning>{ψarning};

 響き渡るのは穏やかな音楽。
 イヴが歌うのは架空言語で綴る心の篭った歌。
 元の世界に戻りたい。
 そんな思いを込めながらも、この世界の皆に感謝の気持ちを伝える歌だ。
 イヴが一番を歌い終えると、その曲調はアップテンポなものへと変わっていく。
 そして、次はクーをスポットライトが照らした。相棒の歌をじっくりと聞いていたクーは何れ元の世界に帰してやろうと心に決めながら、続けて歌い始める。
 
 ♪ 歌え、謳え、唱え、愛しきものへ
    永久に愛を 憎しみはもう其処にはない
     あの空のように あの日のように あの朝のように

 ソプラノリコーダーとカスタネット、鈴にシンバリン。
 二人が歌う楽曲のメロディと使われている楽器は同じ。
 だが、それぞれに違う曲調が用意されていたのだ。イヴが歌った意味によく似た、それでいて明るく歌いやすくアレンジした歌詞をクーが謳い上げてゆく。
 少女達は視線を交わし、近付いて手を取り合う。
 すると曲調が穏やかさと明るさを兼ね備えたものとなり、重なっていった。
 
 ♪ Harm>{οnly}=>Melodia>{δear>}=>
 ♪ 歌え、謳え、唱え、愛しきものへ
 
 そうして、同時に紡ぐ歌はステージいっぱいに響き渡り――。
 二人の舞台は見事な調和を奏で、拍手と喝采が其処に贈られていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

豊原・フィリス
👗

うーん、アイドルというにはちょっと? わたし歳取ってる気がするのだけれどぉ……
まあ、あれねぇ……逆に崖っぷちグラビアアイドル的な設定で『演技』すればいけるかもしれないわねぇ

衣装の持ち合わせがないからお任せしたけど
『恥ずかしさ耐性』のあるわたしにとっては、どんな衣装でもどうってことないわね
パフォーマンスはグラビアアイドル的にセクシー『ダンス』で周りを『誘惑』みたいな?
『催眠術』も併用してわたしの『存在感』をアピールしていきましょう
まさに健全お色気『属性攻撃』の『精神攻撃』ね



●健全悩殺ステージ
 いよいよ、舞台の手番が近付いていた。
 フィリスは今、緋色のロングドレス姿で舞台袖に立っている。
「うーん、これで本当に平気かしらぁ」
 アイドルというにはちょっとばかり歳を取っている気がした。当初から思っていた気持ちはまだ消えてくれないが、もうすぐそこまでステージの時間が近付いている。
 そう、自分は崖っぷちアイドル。
 自らに言い聞かせるようマイクを握ったフィリスは顔をあげた。
 衣装の最終チェックのために設置された鏡に自分が映っている。
 身に纏う衣装は一見は細身のドレスだが、胸元を強調するようなセクシー路線のスタイルだ。足元は薄手。そして、腿の部分まで深くスリットが入っている。
 確かめるようにフィリスがゆっくりと鏡の前で回った。
 其処に見えたのはしなやかな背中。腰の部分までひらいた衣装はとても官能的だ。
 うん、と頷いたフィリスはヒールを軽く鳴らす。
「やるしかないわねぇ」
 そして、前のステージが終わり、彼女にもスタンバイの合図が送られた。
 
 舞台に照らされたのは紫のスポットライト。
 大人の色気を演出するようなムーディーな音楽が流れ始めたと思うと、其処にフィリスが登場する。
 彼女が披露するのはグラビアアイドル的なセクシーダンス。
 ゆらり、ゆらりと身体の曲線美を強調させ、音に合わせて踊るフィリス。踊りながら観客席に誘惑するような眼差しを向ければ、おおっと歓声があがった。
 ヒールに体重を預け、くるりと身体を回転させればドレスの裾がふわりと舞う。
 スリットのお陰で太腿がちらと見え、僅かに肌が露出した。
 ライトに照らされ、舞い踊る。
 恥ずかしさに耐性のあるフィリスにとっては、どんな衣装でも、どんなダンスであってもどうってことはない。その姿勢が堂々として見えるらしく、セクシーながらも芸術的にも感じられる踊りがステージで披露されていく。
 存在感をアピールするかのようなフィリスの動きはまさに健全なお色気。
 そうして、暫し。
 観客の心に訴えかけるようなフィリスのダンスステージが巡っていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

青葉・まどか
🎤 👗

アイドル!
キラキラ輝くステキな存在!
邪神が注目するのも当然だよね。
でもね、そんなアイドルを生贄にするなんてとんでもない話だよ。
絶対に阻止するよ!

……うん、やる気はあるよ。あるんだけど
その為に、アイドルになるのはハードルが高くない?
勿論、本物のアイドルになるわけじゃないけれど。
アイドルには憧れるけど、自分がアイドルになるなんて考えた事もない。
衣装?楽曲?何をどうすればいいのか解らない。
そんな訳だから申し訳ないけど私のプロデュースお願いするね。

衣装や楽曲のプランを出してもらったら、全力で応じます。
たとえニセモノのアイドルでもステージに立つからには頑張るよ。



●煌めく星の欠片
 アイドル。
 それはキラキラ輝くステキな存在。
 邪神が注目するのも当然だと思い、まどかは自分なりに納得していた。
 でも、そんなアイドルを生贄にすると聞けば放っておけない。絶対に阻止するのだと心に決めたのが数日前。
 まどかは今、そのアイドルになってステージに立っていた。
 眼鏡は掛けたまま。けれども普段は結わえている髪はおろしており、リボンの代わりに小さなシルクハットを斜めにピン留めしている。
 胸元には大きな赤いリボン。
 白のきっちりとしたジャケットの襟元はステンカラー。ふんわりと広がるチェックスカートにはパニエもばっちり仕込んである。
(……うん、大丈夫。ちゃんと練習もしてきたし曲の歌詞だって忘れてない。私はアイドル、アイドル――)
 自分に言い聞かせたまどかはマイクを握る。
 今はステージは真っ暗だが、スポットライトが自分を照らした瞬間に音楽は始まる。
 さあ、いよいよだ。
(そうだよね、もうやるしかないよね!)
 ぎゅっと目を瞑ったまどかが覚悟を決めた瞬間、眩い光が舞台上を照らした。
 
『逆しまラブギミック』

 ♪ ワン、ツー、スリーではじまる恋の予感
   きらめき、ときめき、どきどき トリプルで重なる気持ち
   チェンジハートはスピード勝負 逆しまの恋はどうなるの?

 ポップでキュートな音楽に乗せてまどかは歌っていく。
 まどかはごくごく普通の少女で、歌姫並みに歌唱力があるだとか、ダンサーのような華麗なステップを得意としているわけではない。
 それでも、受け取ったプロデュースプランをしっかりと練習してきたまどかには努力と、そして好奇心という強い力が宿っていた。
 逆さまの気持ちを歌う楽曲はステージに高らかに響いていく。
 決して突出はしていない。それでも懸命な歌声と、少しだけぎこちなくて可愛らしい振り付けが新人アイドルらしさとなっている。
『いいぞー!』
『まどかちゃーん!』
 間奏に入ったところで観客席から声が聞こえてきた。それが応援の思いなのだと気付いたまどかはそちらに大きく手を振り、精一杯の笑顔を向けた。
 たとえニセモノのアイドルでもステージに立つからには最後まで全力で。
 頑張る少女の歌声を喩えるならば、星の欠片。
 きらきら、ぴかぴか。ちいさな星の声は暫し、舞台上に響き続けていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
🎤👗
ヴァーリャちゃん(f01757)と

ちょっくらアイドルになってバニー服着るってどーゆーことなんだ
まあ、ヴァーリャちゃんのかわいー姿みれんのは嬉しいケド
推し?そっか、ヴァーリャちゃんの推しになれんなら、悪くねーな?

フィギュアと扇を使った舞い
新しいジャンルって感じでいーんじゃない

スケート靴を履いて教わったよーに
花舞うステージいっぱい使って滑りつつ
扇を自在に操って繊細に動く

おっとと――あぶねぇ
ちょっとバランスを崩しても手を引かれ、さんきゅと目配せ

慣れないのはお互い様
でもフォローし合えば、きっと大丈夫だ

ん、しっかり決めるぞ

だな
それに、やっぱ滑ってる時のヴァーリャちゃん
すげー綺麗で好き


ヴァーリャ・スネシュコヴァ
🎤👗
綾華(f01194)と

確かに良くわからないけど、面白そうではないか!
綾華だってめっちゃカッコいい…えっと、推し?ってやつだな!

綾華の踊りと俺のスケート
組み合わせたらきっと素晴らしいものになる

綾華から教わった舞踊の動きを意識して
ひらりと手に持った晒し布を翻し
綾華の動きに合わせて舞う

バランスを崩しそうになった綾華の手を取って
くるくる回ると共に態勢を立て直し
目配せされたらにぱっと笑って

歌は慣れないから綾華にフォローしてもらうかも…

最後はツイズルからのリフト!だぞ綾華!
綾華の首に腕を回して、支えてもらいつつの大回転

あー、楽しかった!
す、好き!?
お、俺も綾華の踊り見て、やっぱり好きだなって…



●華氷の舞
 これは千日紅の精と雪の妖精が織り成す舞台。
 花を枯らしてしまう冬と、春から秋に咲き続ける花の化身の恋を描く物語だ。
 
 遥けき空。
 其処から落とされた光明の如く、一筋の照明が舞台上に射す。
 光の下に佇むのは扇を構えた綾華。
 濡羽色の誂え着物。印象的な紅の羽織。黒と金が互い違いに配色された舞扇で目元だけを隠した彼は、静謐な舞台の上で暫しそうしていた。
 ひとつ、琴の音が鳴り響く。
 すると綾華が音に合わせて扇を持つ腕を頭上に掲げた。
 ふたつ、琴弦が再び弾かれる。
 続けて綾華が舞うように両腕を広げてその場で回ってみせた。羽織の裾が優雅に広がり、それと同時にバックスクリーンに赤い花が映し出される。
 みっつ、琴の音と共に花景が揺らぐ。
 紅の花に重ねられるように周囲に氷の霧が広がり、綾華の舞扇が再び天を示す。
 響き渡る和の音。
 天からふわりと姿を現わしたのは雪の妖精に扮するヴァーリャだ。花に誘われるように舞い降りた彼女の爪先が触れた瞬間、舞台の床が氷面に変わっていく。
 少し肩を出した振袖風の純白衣装を身に纏っているヴァーリャは、靴裏に生成したブレードを用いて舞台上を滑る。
 フリルとレースたっぷりな和洋折衷のスカート。それをなびかせて氷上をくるりと舞うヴァーリャは、中央に佇む綾華の周りで円を描いていった。
 対する綾華の履物もスケート靴。氷の上に花を咲かせていくかのように、ヴァーリャに合わせて舞台上を滑っていく彼は扇の舞を披露してゆく。
 響き続ける和琴の音色。
 それに合わせてスケートショーめいたステージが織り成される。
 綾華が舞えば、ヴァーリャが踊る。
 彼がバランスを崩しそうになればその手を取り、ヴァーリャはくるくると回ると共に態勢を立て直す。さんきゅ、と向けられた目配せにはにぱっと笑ってもう一度ターン。
 そのまま手を繋いで中央で共に身体を寄せ合えば、音楽も終幕に近付く。
 スクリーンに映された花と雪。
 手を取り合う二人のように、ふたつの彩りもまた重なった。
 最後はツイズルからのリフト。
 綾華の首に腕を回したヴァーリャは彼に支えて貰い、舞台は大回転で終幕を飾る。
 そして――結ばれなかったはずの季節の物語が繋がった。
 
 ステージ後。
 暫し鳴り止まなかった拍手を思い返し、綾華は楽屋のソファに腰を下ろした。
「いやー、緊張したな」
「でも上手くいってよかったな!」
 転びそうになったときはどうなるかと話す彼の傍ら、ヴァーリャは楽しげな笑みを浮かべていた。
 舞台は無事成功。物語を演じきれたことに安堵した綾華も薄く笑む。
「それにしても、ちょっくらアイドルになってバニー服着るってどーゆーことなんだ」
 まあヴァーリャちゃんのかわいー姿みれんのは嬉しいケド、と零す彼はヴァーリャが着る和風の衣装に目を向けた。
 肩口が少し露出しすぎているとも思えたが、和風の衣装は悪くない。寧ろ素晴らしい。するとヴァーリャは振袖をぱたぱたと揺らしながらはしゃぐ。
「確かによくわからないけど、面白かったではないか! 綾華だってめっちゃカッコいい……えっと、推し? ってやつだな!」
「そっか、ヴァーリャちゃんの推しになれんなら、悪くねーな?」
 綾華は頷き、おいで、とソファに彼女を招く。
 お邪魔するのだ、と告げてその隣に座ったヴァーリャ。その姿から舞台上の彼女を思い出した綾華は浮かんだ思いを言葉にする。
「それに、やっぱ滑ってる時のヴァーリャちゃん。すげー綺麗で好き」
「す、好き!? お、俺も綾華の踊り見て、やっぱり好きだなって……」
 告げられた言葉にどきどきしてしまったヴァーリャは、そっと綾華を見上げた。其処で重なる視線に妙に照れてしまう。
 けれども今は舞台を終えた高揚も重なっている。
 こうして隣同士で微笑みを交わすこのひとときが、とても心地好く感じられた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

砂羽風・きよ
👗🎤

漫談やろうと思ったがスゲー緊張してきた

せめて誰か一緒なら…
…!思えば俺UCあるんだ
他の人格は知らねーが、これなら会えるじゃん
やってみっか

♥あらーきよちゃんやっと私を呼んでくれたのね!

!?え、あ…え!?
や、やべぇもう時間ねぇ行くぞ!
(くそ、こうなったらやってやる
ディイ、みててくれ
お前の腹筋崩壊させてやるからなー!)

は、はい!どーもー!きよと!

♥きよこの~

え、お前きよこっていうのかよっ

♥もうっ、名前も知らないなんて失礼しちゃう

お、おう、ごめんな。き、きよこ

(ごめんなさい漫才お任せ)

♥まぁ、おれ本当はオネェじゃないんだけどね!

マジかよ
ビビったじゃねーか!
もういいわ!

※無理そうなら流して下さい



●軌跡の舞台
 ひとつ前の冬と花の舞台が終わりを迎え、いよいよ次がきよの出番。
 びしっと決めたスーツ姿に明るい橙色のネクタイ。
 胸元にはワンポイントの落ち着いたデザインの花のピンを飾って、準備は万端。
 深呼吸をひとつ。
 だが、ステージを前にして言い表せぬほどの緊張が巡ってきた。漫談をやろうと思っていたのだが、用意してきた台本内容がすべて吹っ飛ぶほどの緊張だ。
「やべ……かなりまずい。せめて誰か一緒なら……」
 焦ったきよは無駄にネクタイを何度も締め直しながら考える。
 そうだ、と思い至ったのは自らの力の存在。土壇場になった今はもうこれしかない。
 ――オルタナティブ・ダブル!
 己に宿る人格を呼び起こせば、きよの隣に同じスーツとネクタイを纏ったもうひとりの自分が現れた。
『あらーきよちゃんやっと私を呼んでくれたのね!』
 気さくに、女性的な口調で笑いかけてくる彼は薄く笑む。
「!? え、あ……え!?」
『それよりも、もう出番だって呼ばれてない?』
「や、やべぇもう時間ねぇ行くぞ! こうなったらやってやるしかない! アイツの腹筋崩壊させてやるからなー!」
 来い、と相棒たる人格を呼んだきよは意気込む。
 その後ろについていく彼は、その意気だと示すように舞台へと向かった。
 
「は、はい! どーもー! きよと!」
『きよこの~』
「え、お前きよこっていうのかよっ」
『もうっ、名前も知らないなんて失礼しちゃう』
「お、おう、ごめんな。き、きよこ……」
 そんなやりとりから始まったのはまるで鏡写しのような見た目の二人の漫才。外見もさながら、片方がオネェ風だということで掴みは順調だ。
 わいわいと二人で喋っているだけでも観客から笑い声が聞こえる。行けると感じたきよは、きよこ(仮)と共に息のあったコントを披露していく。
「ショートコント! たこ焼き地獄!」
『ねぇ、最近流行りの屋台があるって知ってる?』
「知ってる知ってる、あの激辛たこ焼きの店だろ?」
『そこですごいことがあってね!』
 ――尺の都合で残念ながら割愛せざるをえないが、その日、お笑い界に激震が走ったことだけは伝えておかなければならない。きっとアイツも笑っていたはずだ。多分。
『いや~、もうたこ焼きは甘いのに限るわー!』
「って何でだよ!」
 などという爆笑の渦でどっかんどっかん沸いたコントを繰り広げ、きよ達のステージは終わりへと近付いていく。
「さて、名残惜しいけどそろそろお別れの時間だな。きよこ、なんか言うことは?」
『まぁ、おれ本当はオネェじゃないんだけどね!』
 きよこ(仮)から、さらりと告げられるどうやら本気らしい告白。
 一瞬、きよの動きが止まる。
 しかしこれが彼からの終わりのフリなのだと察したきよはびしりと突っ込む。
「マジかよ。ビビったじゃねーか! もういいわ!」
 そうしてきよ達は舞台袖にはけた。
 何やかんや気になることはあるが、楽屋に戻ったきよは強く拳を握っていた。
「俺達、お笑い界の天下を取れるかもな」
『いや無理無理。やめさせてもらうわ! なーんてね』
 突っ込み返されるきよ。笑うきよこ。
 そんなこんなで、最後の最後まで漫才を繰り広げていたきよ達であった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

朝日奈・祈里
ぶはっと吹き出しながら名刺を受け取る
胡散臭いし詐欺っぽいしなんなら趣味っぽい
へい、いってきまーす
あ、写真撮っておこ

アイドルっぽくアレンジしたブレザーに、だぼだぼの白衣を羽織る
高い位置でツインテールにするとウケがいいんだろ?天才は知ってるんだ

さて、パフォーマンスだな
いくぞー、元素記号~!
ちゃんと覚えられたらご褒美あるぞ♪
H!と叫んだあと、客席へマイクを向ける
バックスクリーンには、【水素】の文字
コール&レスポンスで軽快に行こう
He!ヘリウム!

尺の関係で終わり?
みんな~!ちゃんと覚えた?
覚えられた子にはご褒美の投げキッス
是非ぼくさまを推してくれよな!

…インドアなぼくには辛いな
振りつけなくてよかった



●元素偶像いのりちゃん
 楽屋の鏡の前。
 祈里は細身のチェーンベルトがあしらわれたチェックスカートの裾を手で軽く払った後、ブレザータイプの上着を着用する。更にその上にオーバーサイズの白衣を羽織り、衣装の準備はばっちり。
 後は髪を整えるだけだとして祈里はドレッサーの前に座る。
 いつもの髪型は高く結んだツインテールに変え、リボンを飾った。そして、毛先の跳ねを直してからブラシを置く。其処には置きっぱなしだった名刺があった。
 白いシンプルな紙に印刷されたD.D.Laboという社名。その下に並んでいるのは代嶋大稀という名前と各種連絡先。何気なしに名刺を見遣ればそれを受け取ったときのことが思い浮かび、ぶはっと思わず吹き出す。
 アイドルにならないか、という絶対に怪しさしかない誘い文句を思い返しつつ、祈里は暫し自分の携帯端末を弄っていた。
「さて、そろそろ出番か。いってきまーす」
 やがて祈里は自分の番が来たと察して舞台袖に向かっていく。
 そして――踏み出した先で、一度限りのステージが始まった。
 
『H-He-Li-Be ~いのりちゃんといっしょ!~』

 照らされるスポットライト。
 ステージに立つ祈里のバックスクリーンに映し出されるポップな文字。
 マイクを持った片腕を掲げれば、映像に合わせて音楽が響きはじめた。今日はいのりちゃんのために集まってくれてありがとー、なんていう台本にあった台詞と愛嬌たっぷりの笑顔を振り撒けば、大きなお友達から歓声があがった。
「いくぞー、元素記号~!」
 歌の始まりの合図でもある掛け声と一緒に祈里がその場でくるりと回る。ツインテールが可愛く揺れ、引き摺った白衣の裾が翻った。
 次第にリズムはアップテンポになり、祈里はマイクに向けて歌い出す。
「ちゃんと覚えられたらご褒美あるぞ♪ はあい、水素のH!」
『水素のH!』
 軽快に叫んだあとに客席へマイクを向ければ、コール&レスポンスの要領で掛け声が返ってくる。
「He! ヘリウム!」
『He! ヘリウム!』(ヘイヘイ、ハイ!)
「Li! リチウム!」
『Li! リチウム!』(リリリリ、ハイ!)
「Be! ベリリウム!」
『Be! ベリリウム!』(ベリベリ、リウム!)
 祈里が歌えばスクリーンに元素記号の文字が映され、客席からコールが入る。
 本当なら百余番まであるのだが尺の関係で良い感じに曲は終わっていき、アウトロのメロディに乗せて祈里が両手を振る。
「みんな~! ちゃんと覚えた? 是非ぼくさまを推してくれよな!」
 そして、ウインクをしながらご褒美の投げキッスをして曲は終了。
 舞台袖に引いていくいのりちゃん。そのちいさな背中を、大きなお友達がいつまでもいつまでも見送っていた。

「……地獄か?」
 楽屋に帰った祈里は疲弊していた。
 何だかもう色々な理由で。特にインドアなぼくには辛い、と零した祈里はふかふかのソファに倒れ込むように腰を下ろした。
 こうして、アイドルいのりちゃんの舞台はひとまずの終わりを迎えたのでした。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

渦雷・ユキテル
🎤👗
えっ、あたしがアイドルに?
どうしてもって言うならいいですけどー
やっぱ王道の歌って踊れるタイプが理想的かなぁ
なーんて乗り気になっちゃって!

でも可愛いだけじゃつまらない
女にしては少し低く
男にしては高い声
あたしの喉で歌うなら
アップテンポに厭世的な歌詞乗せて
今日は格好良い女の子でいましょうか

軽やかな足取りの【ダンス】も添えて
ステップ踏む度、ステージに紫電の跡を広げます
ユーベルコードだってバレない程度に使うなら
魅力的な仕掛けに映るんじゃありません?

ヒトの姿が欲しいだなんて身の程知らずなお人形
大事な身体だもの、髪の毛の一本だってあげやしません
本当のあたしを知らないまま
さあさどうぞ、罠に掛かって



●燐くシュガーロック
「えっ、あたしがアイドルに?」
 渦雷・ユキテル、十八歳。
 誘われた仕事に困惑しつつも、満更でもなさそうに指先で長い金の髪を弄る。
「どうしてもって言うならいいですけどー」
 やっぱ王道の歌って踊れるタイプが理想的かなぁ、なんて乗り気だったユキテルがアイドルになることを決めてから幾日か。

 ユキテルは今、衣装室の鏡の前に立っていた。
 衣装はミントグリーンにベビーピンクをあわせたゆめかわコーデ。
 襟口はオープンカラー、其処にキャンディをイメージした装飾を並べて。
 袖口はティアードスリーブ。パニエでしっかりふわふわに膨らませたスカートはまるで綿菓子のよう。
 今の姿はどこからどう見ても可愛いアイドルだ。
 でも、ただ可愛いだけじゃつまらない。
「――♪」
 ユキテルは発声練習も兼ねて音を紡ぐ。
 女にしては少し低く、男にしては高い声。この喉で歌うなら、アップテンポに厭世的な歌詞を乗せていけばいい。
 そう、今日は可愛くも格好良いアイドルとして振舞う日。
 ユキテルちゃん、出番でーす。そんなスタッフの声が聞こえ、ユキテルはくるりと踵を返した。アイドルとして、そしてひとりの女の子として。
 一度限りのステージの幕が今、あがる。

『Bitter Better Sugar』

 ♪ つまらない授業 くだらない日常 そんなものはもう飽き飽き
   大人はみんな駄目だというけれど 少しくらい甘い夢をみていたい
   いつでも探してる 『彼』の後ろ姿を この日々から抜け出せることを願って

 スポットライトの下、ユキテルは軽やかな足取りでリズムを取る。
 ポップな曲調の中に日常の退屈さを混ぜ込み、時折クールな雰囲気で歌い上げる歌は可愛くありつつも格好良い仕上がりだ。
 ユキテルがステップを踏む度にステージに紫電の跡が広がっていく。
 それはユーベルコードの力だが、客席には演出として映っているだろう。バレない程度に使うならきっとこれも魅力的な仕掛け。
 くるりとターンしたユキテルが片目を瞑って笑いかけると、観客から歓声があがる。
 心地良い。
 みんながこの歌を、この声を、其処に乗せた思いを聴いてくれている。
 ユキテルはこのステージに全力を注ぐことを決め、握るマイクを持つ手にそっと力を込めた。そして、ユキテルは思う。
 ――ヒトの姿が欲しいだなんて身の程知らずなお人形。
 大事な身体の、髪の毛の一本だってあげやしない。
 ステージに立つユキテルの本当を知らないまま、罠に掛かってしまえばいい。
 さあさどうぞ、存分に。
 歌い続けるユキテルの声は暫し、煌めくステージの上に響き渡っていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルリララ・ウェイバース
アドリブ、絡み可

互いに姉妹と認識する4重人格
主人格で末妹のルリララ以外序列なし

『双子ユニット、ルリ☆ララだ』(ルリララ)
『イエーイ♪』(ララ)
『言い出しっぺがやるのは当然だよな』(リラ)
『やれば良いんでしょ』(ララ)

オルタナティブ・ダブルでルリ姉を出し、本体人格はララ姉メイン
故郷の祭事用の衣装で華やかに(BUにカラフルな布を追加した感じ)
腕にお揃いの巻き布
額に鉢巻きがララ
脚に巻き布なのがルリ
布に隠された刺青が各人格のキーになっている

歌も祭事に歌う祝詞を精霊語から人の葉にした物を完璧なハモりでアップテンポに【優しさ】【鼓舞】【祈り】を込めて歌う

豊穣とか大地の恵みとか自然への感謝的な歌詞



●ふたつの声
 アイドルとなっての潜入捜査。
 そんな任務があると聞き、ルリララ達は作戦会議中。誰が出るか、コンセプトは、そしてどんな役割を演じるか。
 暫し語り合っていた人格達はついに結論を出す。
『決まったな。出演するのは双子ユニット、ルリ☆ララだ』
『イエーイ♪』
『言い出しっぺがやるのは当然だよな』
『やれば良いんでしょ』
 そんなやりとりを交わした後、ルリララ達は本格的にアイドルへの道を進む。とはいってもそれは一度限りのステージ。
 しかしルリララはやるからには全力で成し遂げようと決めていた。
 そして――ステージ当日がやってくる。
 
 今回、出演するのは計画していた通り。
 オルタナティブ・ダブルで出現させたルリ。それから人格を交代したララの二人だ。
 ルリ☆ララとして舞台に立つ彼女達が身に纏う衣装は故郷の祭事用の衣装を華やかに飾ったものだ。
 額に鉢巻きをしているのがララ。
 脚に巻き布を施しているのはルリ。
 そして各自の腕にはお揃いの布が巻かれており、双子らしさが演出されている。
「みんなー! 精一杯歌うからよーく聞いててね!」
「私達の歌よ、届け――」
 ララが元気よく観客席に呼びかければ、双眸をそっと細めたルリがスタンドマイクに手を伸ばした。そうしてスピーカーから流れ出す音楽。
 其処から紡がれていく歌は祭事に歌う祝詞。
 豊穣の願い。
 大地の恵み。
 自分達を包む自然への感謝。
 元の精霊語から人の言葉にした音色と歌詞を、ルリとララは完璧なハモりで、なおかつアップテンポに謳い上げていく。
 其処に宿るのは優しい心地。そして皆への懸命な鼓舞。更には万物への祈りを込めて、ルリとララは声に思いを乗せていった。
 やがて歌と曲は終わり、二人は目配せを交わしあう。
 それから観客席に目を向けた彼女達は深く深くお辞儀をした。鳴り止まぬ拍手は暫し、ステージを包み込むように重ねられていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

古高・花鳥
🎤👗

キラキラ輝く、素敵なお仕事……アイドル
そんな方々の夢を利用するのは、許せない事態です
わたしのできる限りの力で、協力いたします

……もちろん、もちろんそれも本音ですけれど
アイドルとして舞台に上がるというのも……ほら、気になってしまいまして……
少しばかり、素敵な体験だな、なんてふうにも思ってしまいまして……

衣装ですとか、パフォーマンスですとかは、お手数かけてしまって申し訳ないのですが、一任したいと思います
ほら、わたしはただの素人ですし……どんな衣装や曲が似合うのかも分かりませんし

ええと、では、よろしくお願いします!

(アドリブ、連携歓迎です)



●輝きは此処にある
 キラキラ輝く、素敵なお仕事。
 スターの名に相応しいもの。それが、アイドル。
 歌と踊り、其処に宿った夢。そんな素晴らしいものを利用だなんて許せない。
「わたしのできる限りの力で、協力いたします」
 花鳥が決意を抱いたのは幾日か前。
 もちろん、もちろん、それも本音だった。今だって揺るぎない思いがこの胸の奥に宿っている。でも――。
「いよいよ、本番だなんて……」
 ステージの袖にて、花鳥は自分の手を強く握りしめていた。
 真っ白なタイフロントのシャツの下には赤いララスカート。片腕には揃いの赤い腕章を付けてスタイリッシュに。そんなアイドル衣装を身に纏う花鳥の出番は今、すぐ其処まで迫っている。
 花鳥は息を呑み、マイクを握った。
 やがてステージ開始の秒読みが数え上げられ、スポットライトが照らされる。
 そして、舞台が始まった。
 
『花と鳥と雨の歌』

 ♪ 雨が降れば花が咲く そんな風に巡る日々
   この手にできるものは少ないけれど 何も零さずにいきたい
   ほら、雨の雫は教えてくれる 晴れた先には自由の鳥が羽撃くことを

 流れていく音楽と共に花鳥が歌い上げるのはそんな歌。
 自分の名を示す文字が入った歌詞は少しだけ恥ずかしくも感じられた。けれど、どうしてか今は不思議と心地良い。
 観客席から向けられる視線も、応援の声も、振ってくれるペンライトも。
 ああ、なんて素敵な体験。
 決して聞き惚れるほどに歌が上手いだとか、ダンスの技巧が素晴らしいというわけでもない。それでも、客席の人々は楽しんでくれている。
 だから自分もそれに応えられるように頑張りたいと思えた。
 きっと、だからこそアイドルは輝く。
 改めてそう感じながら、花鳥は懸命にステージで歌い続けてゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルネ・プロスト
🎤
人形型の邪神って聞いて来たはいいけど
……ライブ成功させないと招待状貰えないんだね
すごくめんどい
かといって、人形と聞いておきながら弔いに行かないのはルネの矜持に反するし……
……技芸に長けた子(死霊)憑けて、なんとかやり通すしかないかな
アイドルといえば……歌と踊り? その辺上手そうな子を憑けていこう

やる気なさげなとこはダウナー系ということで誤魔化そう
衣装は黒青ベースのクール系のやつでダウナー系(という設定)に合わせて
歌やパフォーマンスは……
……アイドルのこと、よく知らないから全く思いつかない
あれ、これってフェス始まるまでの間にアイドルについて勉強しないとダメなやつ……?



●盤上に踊る
 すごくめんどい。
 ルネは金の瞳にステージを映し、肩を竦めた。
 人形型の邪神がいる。
 そう聞いて来たはいいが、それに逢えるパーティーに潜入するための招待状を貰うにはアイドルになってライブ成功させないといけない。
 だから、本当にめんどう。
 溜息をつくような仕草を見せたルネは今、黒地に青のラインが踊るクールでスタイリッシュなジャケットとスカートを身に纏っている。
 ダウナー系を彷彿とさせる衣装。そして、片手には渡されたマイク。
 そう、間もなくルネのアイドルとしてのステージが始まるのだ。
「……おいで」
 ルネは技芸に長けた死霊を自らに憑依させ、舞台袖にスタンバイしていく。
 本当はできることならやりたくはない。しかし、人形と聞いておきながら弔いに行かないのはルネの矜持に反する。
 そうして、いよいよ舞台の時間が訪れた。
 
『Crazy Dead Dolls』

 ♪ 糸の切れた操り人形 そんなものならもう要らない
   生には滅びの歌を 死に甘い口付けを
   踊る 踊る 壊す 壊す――

 イントロと共に響く歌声。
 舞台用に与えられた楽曲に静かな声を合わせ、ルネは歌ってゆく。
 この歌詞にどんな意味が込められているだとか、観客席から振られるペンライトがどんな意味を持っているかだなんて気にしない。
 ただ死霊に身を預け、歌って、軽い振り付けをしてリズムを取る。
 そうしているうちに曲はサビへ、そしてアウトロへと入っていった。
 ああ、すごくめんどい。
 けれどもきっと今、人形の邪神が何処かから自分を見ている。品定めをして、こっちにおいでと誘っているはず。
 そう思えばまあ、こんなひとときも悪くはない。
 もうすぐ、きっとすぐに壊し、弔いにいけるはずなのだから――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎🎤
※口調:素or演技(アイドルっぽい)

夢を叶えたいっていう人が、巻き込まれる形で生贄になるなんて事は断じて認められない。
取り敢えず、後でバニー衣裳を着る事を考えると、金髪の方が映えるだろうから、金髪ロングヘア―のウィッグをつけていく。
衣裳は黒にワンポイントに赤のレースクイーンっぽい感じ。ま、アレもアイドル衣装っぽい感じはするよね、多分。あと、胸は詰め物。虚乳ですが何か。

――ああ、それと。このウィッグをつけてる時は「赤葉・智(アカバ・トモ)」を名乗る事にしてる。まあ、ホントに気分の問題だけど、この方が、演技しやすい気がする。



●電脳の女王
 赤葉・智――アカバ・トモ。
 それが今、アイドルに扮している智華が名乗る名だ。
 正確にはウィッグを付けている時の名ではあるのだが、此度の潜入任務においても使うに相応しいものだと感じていた。
 今の智華、もとい智が身に纏っているのはアイドル衣装。
「こんなもの、かな」
 ステージを前にした衣装室の鏡の前。
 智は其処に映った自分の姿を確かめていった。
 金髪ロングヘア―のウィッグ。黒の布地に赤いワンポイントが入ったレースクイーンめいた衣装。その胸元は柔らかそうだ。
「……虚乳ですが何か」
 胸元の詰め物に触れて確認した智は誰にともなく呟き、軽く肩を落とす。
 しかし、これで準備は万端。
 そうして智に舞台袖にスタンバイして欲しいという呼び出しが掛かった。
 はい、と礼儀正しく返事をした智は歩き出す。
 スポットライトが照らす先。あの舞台の上で、自らがすべきことを成すために――。
 
「みんなー! 今日は私の歌、いっぱい聴いていってねー!」
 アイドルらしい口調で客席に呼びかけた智は元気よく手を振った。
 そして曲のイントロが流れ始め、智はマイクを掲げる。
 
『恋する電脳メロディ』

 ♪ 恋は魔法、魔法 シグナル響く電子の魔法
   赤い糸は電波 恋する思いは見えないの
   ねえ、ねえ 通話に乗せる想いを聴いて

 智には少しばかり電波系の楽曲が用意されていたのだが、ほんのりセクシーな衣装と相まって不思議に噛み合っている。
 電子音が入り交じる音楽に乗せてステップを踏み、客席に向けてウインク。
 マイクから響かせる声は軽やかで、智はしっかりとアイドルをこなしていた。
 自分に向けられる声援。揺れるペンライトの光。
 それらはきっと、本当ならば真にアイドルを目指す子達が向けられるもので――。
(夢を叶えたいっていう人が、巻き込まれる形で生贄になるなんて……)
 そんなことは断じて認められない。
 智――否、智華は必ず倒すと胸中で誓い、邪神への思いを強めた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

🎤👗(正統派男性アイドル系でお任せします)
ふふふ、前の主人の教育がこんなところで活きてくるとは
音楽教育もそこそこ良い評価をいただいていたんですよとメインボーカルを務めようとステージに

【礼儀作法】で挨拶と礼儀は確りと欠かさずに、それから伸びやかな声を響かせて歌いましょう
ザッフィーロ君の伴奏とコーラスが心地よく、常以上によい声を出せそうです

歌い終えたならばもう一度礼をしつつかれの元へ
僕、ちゃんと歌えていましたかと笑いながら問うて
投げられた言葉には目を瞬かせてから
僕が星ならきみは星が輝くための世界たる深い夜空ですね
きみがいればこそ、僕は輝けるんですよ


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
🎤
👗(格好良い寄り衣装でお任せ致します)

宵だけステージ…に…?
…宵の美しさに血迷う物が増えてしまうやもしれんからな。傍で俺も勿論見守ろう
歌は余り親しんでは居らんが…パイプオルガン…否、キーボードなる物とサブボーカルは出来るだろう

演奏と共に辺りに満ちる宵の歌声を聞けばついぞ目元を緩めつつ至近に居る宵へ視線を向けてしまう
…本当に何を着てもお前は美しいな
宵が近づいて来たならば笑みを向けつつ宵色の瞳を見つめようか
宵の問いにはああ、とても素晴らしかったと顔を寄せつつそう笑みを
アースではあいどるという物の事をすたぁ、と言うのだったな
ああ、本当に…輝ける星の様なお前に似合いの言葉だな



●Heilig Stern
 夜を思わせる深い黒と藍色。
 そして、神聖さを感じさせる白と金色。
 舞台に射すスポットライトが照らすのは、色違いの衣装を身に纏う二人の姿。
 クレリックシャツの上に羽織ったジャケットの裾は燕尾服風。宵は胸に星の勲章を、ザッフィーロの胸には宝石の勲章が其々に飾られている。
 一歩、舞台の中央に進んだ宵。
 彼の前には星が鏤められたようなスタンドマイクがある。
 その後方に控えているザッフィーロの傍には荘厳な装飾が施されたキーボード。
 其処から澄んだ音が鳴らされる。
 それと同時にマイクに手を添えた宵が唇をひらいた。
 
『星が輝くための世界』

 ♪ 僕が星ならきみは世界 きみがいればこそ、僕は輝ける
   並んで歩こうと決めた日から きみの光と共に在る

 ザッフィーロが演奏する旋律に乗せて、宵が穏やかな声で曲を謳いあげてゆく。
 その音色はやさしく、それでいて愛おしげに響き渡っていった。
 演奏と共に辺りに満ちる宵の歌声を聞けば、ザッフィーロの目元も自然に緩められる。歌いながらマイクを手に取り、自分へと近付いてくる宵。
 至近距離にいる宵へ視線を向け、ザッフィーロは胸中で独り言ちる。
(……本当に何を着てもお前は美しいな)
 その宵色の瞳を見つめれば、ザッフィーロが思い浮かべていることが彼にも何となく伝わったらしい。
 淡く笑んだ宵はくるりと踵を返し、ザッフィーロの演奏に更に声を載せていく。
 前の主人の教育がこんなところで活きてくるとは僥倖だ。音楽教育でもそこそこ良い評価を貰っていたことを思い返し、宵は歌い続ける。
 
 ♪ 天に廻る星よ、光よ 照らしておくれ
   罪ある者を赦すように どうか、どうか

 そして、曲はいよいよ終幕に向かっていく。
 よりいっそう強く響いていく鍵盤の音。彼への愛しさを込めて紡がれていく聲。
 舞台の上、二人の心と思いがまるでひとつに溶け合っていくように響き渡り――鳴り止まぬ喝采が彼らを包み込んだ。
 
 すべてを終えた後の楽屋裏。
「僕、ちゃんと歌えていましたか」
「とても素晴らしかったぞ、宵」
 問いかけてくる宵に顔を寄せつつ、そう笑んだザッフィーロはアイドルという存在に思いを馳せた。
 煌めく光。そう、それは輝く星。
「ああ、本当に……輝ける星の様なお前に似合いの言葉だな」
「ふふ。きみがいればこそ、僕は輝ける――そうでしょう?」
 ザッフィーロの言葉に頷いた宵は、ステージで歌った曲と同じ言葉を送る。
 あれはすべて、きみに捧げる詩。
 そう告げて語るようにして穏やかな微笑みが向けられた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリス・ステラ
🎤👗
【逆星】

「芸者というよりは偶像崇拝の象徴です」

サカガミに答えながら、企画には乗り気です
用意された衣装を纏いアイドルをしましょう

「ふふ。可愛いですよ、サカガミ」

【風の通り道】を使用

妖精たちの演奏に合わせて歌います
星の転がるような声音が『存在感』を発揮
サカガミの舞に合わせて教団の目を『おびき寄せ』る

「サカガミ、笑ってください。誰かにとは言いません。私のために笑ってください」

彼の笑顔の『封印を解く』ように
手を伸ばして、彼の小さな掌に重ねて軽やかに踊る
星辰の目がウインクをすれば愛の『属性攻撃』で観客のハートを掴む

くるくるくるくると舞い踊れば逆さ星が降り注ぐ
演出の光が『一斉発射』

貴重な体験でした


無銘・サカガミ
🎤👗

【逆星】
あいどる…いまいちピンと来ないが、要は芸者のようなものなのだろう?

「………で、だ。何故俺まで女子の格好をしなければならない?」
マリスと共に舞台に立つ。華やかな衣装…なのはともかく、女性用の服を何故俺に…
それを聞いてもただはぐらかされる。まあ、今さらどうにもならんが…

とはいえ、芸など今まで見たことも関わったことも……いや、一つだけ。
脳裏に浮かぶはある白妖狐の少年の舞。
見よう見まねだし、そもそも何度も見たこともない。
だが、この場をやり過ごす上で最もマシなのは…それぐらいか。
大体のことはマリスに任せるさ。
後は…まあ、ヘマをしない程度に頑張るだけ、かな。



●逆さ星は歌う
 アイドル勧誘を受け、暫し考える。
 その方面には明るくはないが、サカガミにも何となく分かることは分かる。
「あいどる……いまいちピンと来ないが、要は芸者のようなものなのだろう?」
「芸者というよりは偶像崇拝の象徴です」
 マリスは自分の知っているアイドルについての情報を彼に伝え、この先に控えているというステージのことを思う。
 慣れぬ舞台ではあるが、マリスは企画に対してとても乗り気であった。
 是非一緒に、と誘う彼女に半ば頷かされた形でサカガミもまたアイドル道へと踏み出すことになるのだった。
 
 そして、時は過ぎ――。
 練習やリハーサルを行い終えた当日。
「………で、だ。何故俺まで女子の格好をしなければならない?」
 衣装室から出て控室に立ち尽くすサカガミは今、ひらひらでふりふりな愛らしいアイドル衣装に身を包んでいた。
 パニエで膨らませたスカートの色は瞳の色と同じ緑。
 胸にはふんわりとしたリボンタイ。それに合わせるような形でスカートの背にも大きなリボンが結ばれている。
「ふふ。可愛いですよ、サカガミ」
 マリスは彼の問いには答えず、少年の体つきだからこそ少女にも見えるサカガミの可愛らしさを褒めた。そんなマリスが着用しているのは彼と色違いでお揃いのもの。星空のような藍色で纏められた衣装だ。
 揃いの二人で並べば何だか姉妹ユニットのような良い雰囲気になる。
 聞いてもただはぐらかされるだけだと察したサカガミは俯き、息を吐く。
「まあ、今さらどうにもならんが……」
 やるか、と顔を上げた彼の表情は平坦なままだ。
 間もなく始まる舞台の前、マリスはそっと其処に微笑みかける。
「サカガミ、笑ってください。誰かにとは言いません。私のために笑ってください」
「……わかった」
 頷きと視線が交わされ、そして――ステージの幕があがった。

『風に謳う星』

 ♪ 月が冴え、夜風が渡る世界 たったひとり、空を見上げる
   星が瞬き、僕じゃない誰かに微笑む 寂しかった 触れられなかったから

 静かな夜を思わせるような穏やかな音色と共に、二人の声がステージに響く。
 妖精たちの演奏に合わせてメインボーカルを務めるのはマリス。そして、そのコーラスを担当しながら緩やかに踊るのがサカガミだ。
 芸など今まで見たことも関わったこともないと思っていた。だが、一つだけ脳裏に浮かんだのは、ある白妖狐の少年の舞。
 そもそも何度も見たこともないのだが、それを見様見真似で踊るサカガミの舞は実に様になっていた。
 マリスが紡ぐ星の転がるような声音がそう見せてくれているのだろうか。
 後は身を任せていくだけだと感じ、サカガミは舞台上で穏やかに舞い踊る。
 
 ♪ 教えて欲しい 光の先に何があるのか
   見つけてみたい 星の詩が何処まで届くのか
   いつか、ねえ、いつか――
 
 続けて歌を響かせたマリスは腕を伸ばす。サカガミの小さな掌に自分の手を重ねて軽やかに踊るマリスが星辰の瞳でウインクを投げかける。
 すると、愛の力が観客のハートを掴んでいった。
 流石だと感心するサカガミもコーラスを入れながら、終曲へと向かう歌に声を重ねる。
 くるくる、くるくる。
 舞い踊れば逆さ星が降り注ぐ。光が舞台に満ちていく中でマリスは微笑む。
 これがアイドル。
 星の光にも例えられるもの。
 きっとそうなのだと感じながら、サカガミは彼女に合わせて踊った。
 そうして音が止み、曲が終わる。
 マイクを下ろした二人へと贈られるのは惜しみない拍手。喝采に満ちたステージにはこうして、無事に幕がおろされた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彼者誰・晶硝子
🎤👗
オズ(f01136)と

アイドルって、どんなものなのかしら
実際見たら、出来るかすこし不安だけど、明るいオズといっしょなら、
きっと、いっしょにきらきらできるわ

舞台の上、
いつも夜明けの空にひとり、歌っている
明け星の唄を

オズから差し出された手に、迷ったのは一瞬
はじめてのダンスでも、この手があればきっと大丈夫

動き出せば、ステージライトに宝石の体が煌めいて、明かりの落ちた客席にも光が散る
みんなに星明かりが届きますように、歌い、祈る


合図はされたけれど、持ち上げられたのはやっぱりびっくり
声は上げなかったから大丈夫、かしら
ふふ、でも、くるくる、たのしい

最後も一緒に、一礼
ええ、とてもすてきな時間だったわ


オズ・ケストナー
🎤👗
アケガラス(f02368)と

アケガラスはキラキラのアイドルになれるよっ
とやってきた舞台
アケガラスの歌、たのしみ
わたしもおどってハミングしておてつだいするよ

ダンスはシュネーとよくおどるもの
ステップステップ
ターン
歌うアケガラスに手をさし出して
いっしょにおどろうと声にせず誘い
重なったら笑顔

歌のじゃまにならないように
ふわりくるり
ゆったりとしたダンスで

たのしくて零れてしまった笑い声も
楽器のかわりになればいい
楽しい曲には軽快なステップ
アケガラスは軽いからいけそう
びっくりしないでねと目配せ

えーいリフトっ
そしてターン
もし声が途切れるなら歌の続きを引き継いで
ふふ、たのしいっ

最後は丁寧に一礼
たのしかったね



●白明と雪
 ――アイドルって、どんなものなのかしら。
 興味と好奇心。
 そして、ときめきにも似た思いを抱いた晶硝子。
 実際に見れば見るほど、ちゃんと自分に出来るかすこし不安になる。だけど。
「アケガラスはキラキラのアイドルになれるよっ」
 隣で微笑んでくれるオズの明るい声を聞けば、本当にそうなれる気がした。
「そうね、きっと。いっしょなら、いっしょにきらきらできるわ」
「アケガラスの歌、たのしみ」
 わたしもおどってハミングしておてつだいするよ、と意気込むオズはステージを見つめた。そう、此処は舞台袖。
 今は前の組が歌や踊りを披露しているところ。
 耳に届く音楽を聞きながら、二人は出番を待っているところだ。
 晶硝子が身に纏うのは深い夜色のロングドレス。
 オズが着ているのは王子様風の白いジャケットと細身のパンツだ。
 ドレスには鏤められたスパンコールが、ジャケットには金糸の装飾と肩章が飾られており、互いに星を抱いているような様相になっている。ちなみにオズが連れるシュネーも晶硝子と揃いの衣装にしてもらっているが、今日は舞台袖でちょっとだけお留守番。
 さあ、間もなく出番だ。
 視線を交わしあった二人は頷き、舞台に踏み出した。
 
 舞台の上、スクリーンに暁に染まる景色が映し出される。
 いつも夜明けの空にひとり、歌う。
 一筋のスポットライトが晶硝子を照らす中、明け星の唄が紡がれていく。

 ♪ 遠い、遠い空の向こう 巡る光に手を伸ばす
   届かないと知っていても 其処にあるものに触れたくて

 晶硝子が声に乗せていく音に耳を澄ませながら、オズはくるりと踊った。
 最初のダンスはいつもシュネーとよくおどるもの。
 ステップステップ。
 ターン。
 穏やかな音楽に合わせて、オズは晶硝子に手を差し伸べた。歌にリンクしているように、そっと。君に触れたいと告げるように――。
 いっしょにおどろう。
 声にせずそう誘えば、晶硝子も手を伸ばし返す。重なる笑顔と互いの掌。
 迷ったのは一瞬。
 その手を取ったのは、はじめてのダンスでもオズがいれば大丈夫だと思えたから。
 ふわり、くるり。
 ゆったりとしたダンスを舞台上で音と共に踊るふたり。
 動き出せば、ステージライトに反射した晶硝子の宝石の体が煌めいた。明かりの落ちた客席に光が散っていく様はとても幻想的だ。
 ――みんなに星明かりが届きますように。
 歌い、祈りながら晶硝子は花唇をふたたびひらいた。

 ♪ 暁に滲む 白い雪が あなたに降る
   どうか、しあわせに あなたへと願うように

 優しい歌が響く、響く。
 きらきら輝く晶石と硝子が織り成す声。たのしくて零れてしまった笑い声も楽器のかわりになればいい。オズは彼女の歌を聴き、そんな風に思う。
 そして、軽快なステップを刻んだオズはそっと笑む。
 音楽はもう終幕に入りかけている。
 自分からも終わりに相応しいダンスを送ろうと決め、オズは彼女の手を引いた。
 びっくりしないでね、と目配せをひとつ。
 くるり優雅に回った勢いに乗せ、えーい、とリフト。
 そして、ターン。
「!」
 持ち上げられたことにびっくりはしたが、晶硝子は身を預けた。
 くるくる、たのしい時間。
 そして歌は最後のフレーズへと移っていく。
 
 ♪ あなたと この世界に踏み出そう
 ♪ きみと この世界を歩いて行こう
 
 重なる二人の聲。
 穏やかでも楽しくて素敵で、揺れるライトと終わりゆく音楽も心地よかった。
 拍手が鳴り響くステージの上。
 二人はふたたび手と手を取りあう。
 そして、煌めく星のひとときを見守ってくれた観客へと深く一礼した。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻と人魚
アドリブ歓迎
🎤

櫻宵とヨルと一緒にあいどるになる!
あいどる?よく分からないけど
櫻と一緒なのは嬉しいな
泡沫花魁?という名前なのか
ふふ、櫻はとても綺麗でせくしーだ
でも少し目が泳ぐ
僕もおいらん、の衣装は櫻と同じ
ヨルは、かむろ、らしい
可愛いね

ふふ
似合うかな?
くるり翻してご満悦
僕、頑張って歌うよ!
歌唱の出番がきた
ふりふり踊るヨルの横、櫻宵と舞うように歌う
踊る
艶やかに魅せるように
僕はこういうのは得意だよ
「観賞魚」だからね
ふふ!一緒に歌うのは楽しいし嬉しいな
櫻宵、上手じゃないか

嗚呼でも
皆が君を見るのはやっぱり妬ける


ところで
君は昔は花魁をしていたんだろ?
花魁ってどんな仕事なの?

曖昧な笑顔が怪しい…


誘名・櫻宵
🌸櫻と人魚
アドリブ歓迎
🎤

あたしとリルとヨルでアイドルよ!
泡沫花魁、何てどうかしら?
うふふ、煌びやかに着飾り歌い踊る…天職みたいだわ!
リルは振袖新造
ヨルは禿かしら
うん!ばっちりよく似合ってるわよ!
喜んでもらえて嬉しいわ
あたし前は花魁やってたのよ
懐かしいわ

リルが歌い出せば、ああもう圧倒的
天才ね
視線に仕草
これは本物
聴き惚れそうになるわ
リルを彩る花くらいにはなれてるかしら
ヨルはおしりフリフリ可愛いしあたしも負けられない!
桜を舞わせ誘惑の視線、たおやかに剣舞……を応用したダンスをリルと一緒に
この子の傍にあれることが誇らしいわ


え!!?花魁がどんな仕事かって……
リルにはまだ早いわ…
曖昧に笑って誤魔化すわ



●桜と人魚と夜の詩
 泡沫花魁。
 それが今、ステージに立つリルと櫻宵、ヨルのユニット名。
 リルは振袖新造。ヨルは禿。そして、櫻宵は太夫を思わせる絢爛な様相。
 氷を思わせる薄い青の着物を纏うヨル。
 泡のように儚い、透き通った青の振袖を淡い桜色の帯で纏めたリル。更に櫻宵もまた、同じ儚さを宿す桜彩を紅色の帯で飾る花魁衣装を身に纏っている。
 リルは煌めく銀糸が躍る白。
 櫻宵は煌びやかな金糸が施された黒。
 其々の着物には対称的な色の切り替えが入れられており、見目も鮮やかだ。
 互いの、それからヨルの愛らしさだけでも胸がいっぱいになりそうだが、これから始まる舞台こそが本番。
「いこう、櫻」
「ええ、リル。ヨルもね」
 視線を交わしあった二人がそっと頷きあい、そして――。
 舞台に三つ分のスポットライトが落ち、ステージの幕が上がっていった。
 
『戀ひ綴』

 ♪ 嗚呼、愛しき 咲き誇る夜桜に紡ぐ
   黄泉に哭く、戀い焦がれて燃ゆる焔 其の華は紅く、紅く

 其処に響いたのは圧倒的とも云える聲。
 儚くも力強い。蠱惑的で甘く蕩けるような、それでいて透き通ったリルの声は切々と、粛々と、心の垣根まで軽く飛び越えていくような心地を巡らせながら観客席に響いていった。
 尾鰭をふわりと揺らして、櫻への想いを詠う。
 光の如く清く荘厳に。甘やかに咲き綻ぶように。優しい泡の抱擁の如く。
 視線に仕草。全てが完璧。
 その声に聞き惚れるように櫻宵は双眸を細めた。
 そして自分はリルを飾る華になろうと決めて、舞台上に桜を舞わせてゆく。
 それに合わせてヨルはおしりをふりふり。
 リルはくるりと身体を翻して、ふたりの様子を瞳に映す。舞う桜が自分と共に歌い、謳ってくれるように思えた。
 緩やかで印象的な舞を音に合わせて舞う櫻宵もまた、誘惑の視線を観客に向ける。徐々に情熱的な音になっていく歌に乗せ、踊るのは剣舞。

 ♪ 穿く刃に夢を視る 紅の雫が散る夢を
   其れでも佳い 共に往くと誓う聲 嗚呼、嗚呼、狂おしい程に
 
 刃と歌う声が響く中で、櫻宵が舞わせる紅い血桜の太刀がリルに向けられた。
 喉元を切り裂いてしまいそうな程に近く、それでもリルはそれすら受け入れると云うかのように微笑み、歌を続ける。
 其処に宿るのは揺るぎない信頼。
 ――ああ、この子の傍にあれることが誇らしい。
 櫻宵はリルの喉元から刃を反らして、衣装を翻しながら後方に下がる。妖しくも美しい舞の演出に観客席が息を呑んだ気配がした。
 そして、歌は続く。
 終幕が近いのだと報せるように高く、高く、深く――リルと櫻宵の声が重なる。
 
 ♪ 桜花絢爛に戀ひ綴る 仮令、泡沫に消えようとも
 ♪ 想愛絢爛に戀ひ綴る 仮令、この華が枯れようとも
 
 最後のフレーズが紡がれ終わった瞬間、舞台を彩る桜の花が舞い散った。
 それはこれまで以上に鮮やかに、そして艶やかに。
 終演を迎えた舞台の上。揃ってお辞儀をする二人の間で、ヨルはファンサービスを行うかのようにぱたぱたと両羽を揺らしていた。
 
 ステージを終えた控室にて。
 興奮冷めやらぬ様子でリルの両手を握った櫻宵は笑顔を浮かべた。
「リル、やっぱり天才ね!」
「そうかな。櫻もきれいだったよ」
 てれてれと頬を淡く上気させたリルはそっと彼の手を握り返す。舞台は成功をおさめ、リルの歌と櫻宵の舞に観客席は魅了されていた。
 そんな二人を見上げたヨルはどーんと胸を張っている。
 そして、みてみて! と告げるようにふりふりと先程のダンスを踊ってみせた。
 可愛らしい姿に心も和む。
 けれど、皆が君を見るのはやっぱり妬けるな。そんな呟きを落としたリルだったが、ふと思い立って櫻宵に問う。
 泡沫花魁というユニット名が気にかかっていたからだ。
「ところで、君は昔は花魁をしていたんだろ? 花魁ってどんな仕事なの?」
「え!!?」
 ヨルと一緒に首を傾げて問うリルに対し、櫻宵は思わず視線を逸らす。暫し考えたが上手い説明が見つからない。視線を戻した櫻宵は曖昧に笑って誤魔化す。
「リルとヨルにはまだ早いわ……」
「怪しい……」
 むむっと唇を尖らせるリルだったが、すぐにくすりと笑う。
 それはまた今度、じっくりと聞かせてもらおう。今はただ、共に立ち、游いだあの舞台の心地を抱いていよう。そう決めたリルの傍で、櫻宵もそっと微笑んだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
【ソロ&マシンジョッキー】

潜入捜査でスタアになるなんて、ワクワクするね!
ぼくは歌や踊りで挑まない、ぼくらしくやらせてもらうよ。

【衣装】
オール・ワークス!でハイカラさんファッション&超科学技術電気操作卓で能力を引き出していくよ。
衣装は光条の走るハイカラさんな和メイドドレス、会場の音響や照明をジャックするたびに、光が走るよ。

【パフォーマンス】
機械操縦で光と音の演出を。
レコヲドを回し、光を走らせ、電子のノイズも、光の明滅も味方にして、その中心でぼくは銀幕に映る影になり、舞台を動かす装置たちの王様になるんだ。

音と光のステージで、歌劇の登場人物のように、ハイカラさんらしく、ぼくを表現してみせるよ!



●ジイニアス・ステージ
 潜入捜査でスタアになれる。
 それはなんて不思議で、わくわくすることなのだろう。
 鈴鹿はときめくような思いを抱きながらステージに挑むことを決めていた。
 だが――。
「ぼくは歌や踊りで挑まないよ。そう、ぼくらしくやらせてもらうから!」
 ぐっと拳を握った鈴鹿は舞台を見つめる。
 これから始まるステージは少し違ったものにしてみせる。そう決めた彼女は、間もなく開始する演目への思いを馳せた。
 
 ――オール・ワークス!
 スポットライトが照らされると同時に鈴鹿は其の身にハイカラさんファッションを纏った。その姿は光条の走る和メイドドレス。綺羅びやかな印象を与える衣装に加え、其処に現れたのは超科学技術電気操作卓だ。
 それが会場の音響をジャックすれば、舞台に光が走る。
 鳴り響く軽快な音楽。
 今は照明までもが鈴鹿の思うがまま。
 其処に巡るステージは確かに歌や踊りではない。されど音と光の舞のようだとも感じられ、とても印象的に巡っていった。
「どんどんいくよ!」
 鈴鹿はレコヲドを回して光を走らせる。
 電子のノイズに光の明滅。それすら味方にした舞台は煌めく。
 そして、その中心で鈴鹿は銀幕に映る影となる。それは宛ら、舞台を動かす装置の王様として君臨しているかのよう。
 これがぼくの魅せる世界の在り方。
 誰かに光を届ける為に考えた全力のステージ。
「さあ、まだまだ終わらないよ」
 芝居がかってはいるが、其の言葉は歌劇の登場人物のように心地良く響いた。
 そして、音と光のステージもまた更に盛り上がっていく。ハイカラに生きる様を表現しつくすのだと心に決め、鈴鹿はジャックを続けていった。
  きらきら、ちかちかと明滅し続ける光。
 螺旋を描くような煌めき。
 それはまるで星のように、鈴鹿が操る舞台の上で輝き続けていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

氷室・雪
🎤👗

私がアイドルだと?
一般人への被害を抑えるために人手が必要だというのは分かるのだが…
様々なタイプを用意する下手な鉄砲要員ということで納得はしよう
メンタルトレーニングになると言えなくもないしな

芸能関係には疎いのでアイドルは何をすればいいのかが分からないな
剣には打ち込んできたが未熟だし、刀を振り回すアイドルなんてただの危険人物だ
私が考えても頓珍漢なことになりそうだし用意してくれるのであればその方がいいだろう

愛想が悪い自覚はあるので私に務まるかどうか怪しいものだな
クール系?というのもあるらしいが限度はあるのではなかろうか

人前でのパフォーマンスは感情を殺さないとやれないと思う

アドリブ絡み可



●凍れる心
「――私がアイドルだと?」
 雪が思わず口にしてしまった言葉。
 それはまるで少女漫画のような物語が始まっていくかの如き台詞だった。
 されどこれも魔を祓う為の任務。
 普段から打ち込んでいる剣はアイドル活動には使えないゆえ、雪は新たなことを覚えていかなければならないと決意していた。そして、あれよあれよという内に雪のプロデュースプランが着々と決まっていく。
 衣装合わせに楽曲確認。
 めまぐるしい日々はあっという間に過ぎていったように思える。レッスンも受け、どう振舞うかも教えてもらった。
「アイドルとはこんなことをしているのか……」
 実に過酷だが、これもメンタルトレーニングになると思えば力も入る。
 そうして、いよいよ舞台当日が訪れた。
 
「……本当にこれでいくのか」
 雪は今、舞台裏の衣装室にて鏡を見ていた。
 其処に映る姿は普段から身に纏うセーラー服とは違う、きらびやかな衣装だ。
 服装は青系統で統一されている。
 髪型は普段のままだが、頭にはお洒落なベレー帽。ナポレオンジャケット風のきっちりした上着。花が開いたようなシルエットのブルーミングスカート。足元はニーソックスとブーツ。
 上着には氷の結晶型の勲章が飾られ、スカートのベルトにも結晶が揺れる細身の鎖が提げられており、動く度に煌めく。
 自分では決して選ばない服装だ。
 しかし、いわゆるクール系で纏めて貰えた思えば悪くない。
 衣装の確認を終えれば、雪ちゃん出番でーす、というスタッフからの声が掛かった。雪は覚悟を決めて舞台袖へと向かう。
「やるしかないか」
 そして――たった一度限りの舞台が始まりを迎えた。

『冬彩の静寂』

 ♪ ずっと独り、空を見上げている
   振り続ける雪のひとひら 落ちて解けるだけの儚い欠片
   誰にも聞こえない 届かない それでも、守りたい世界

 ゆっくりとした曲に合わせ、落ち着いた声がステージに響いていく。
 雪の背後で揺れるのはスクリーンに映された雪が降る景色。マイクを片手に、もう片方の腕はそっと広げて、雪は懸命に歌った。
 この舞台が終わるまで、自分はアイドルなのだと言い聞かせながら。
 儚い雪の詩に、静かな音を載せて――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜橋・ゆすら
🎤
👗
お友達の咲耶さん(f02335)と共にアイドルデュオで参ります
デュオ名はどうしましょう……(こちらもお任せ)

あいどる…初めての経験です
なんだか緊張しますね、と咲耶さんへ照れ笑い

ゆすらも咲耶さんも、同じ桜に因む由縁同士
衣装は、春にまつわる可憐なものをお揃いで

紡ぐ歌詞は、思春期の女の子に共感して頂けるような叙情的なフレヱズ
一途に想っていた相手との離別、悲恋
心は凍え、冬に閉ざされるばかり―…

…歌うたび、声も手も震えてしまう
けれど、ゆすらは独りじゃない
共に舞台に立つ咲耶さんへと視線を向けて微笑む

いつかきっと、芽吹きの春が訪れる
そうして花弁と共に舞い込むの、『サクラ咲ク』と


瑞枝・咲耶
🎤
👗

ゆすら様(f13614)と

あいどる…
歌って踊る…つまりは神楽のようなものなのですね
お勤めなのですもの
精一杯を尽くしましょう

想像した舞台とは違い随分と煌びやかな舞台に戸惑いますが
隣にゆすら様がいらっしゃるのならば大丈夫
そうしてゆすら様の歌を彩るように奏でる神楽笛の音は切なげに

紡がれる歌詞に思い浮かべるのは私が人の身を得る前に恋をした持ち主のこと
想えば笛の音は益々と憂愁を帯びていくけれど

――けれど、今はひとりではありません
斯うして隣にはゆすら様がいらっしゃるのですから
ですから、大丈夫
ゆすら様に視線を向ければ、彼女と視線があって優しげに微笑みましょう

春はもうすぐ其処にきているのですから



●冬の世界と春の兆し
 あいどる。
「歌って踊る……つまりは神楽のようなものなのですね」
「初めての経験です。なんだか緊張しますね」
 仄かに拙い可愛らしい発音でその名を呼び、咲耶とゆすらの二人は舞台で輝くという存在に思いを馳せていた。
 成程、と自分なりに納得する咲耶へと照れ笑いを浮かべるゆすら。
 普通ならば選ばぬ道であり、易々とはなれない存在ではあるが、これもまた猟兵としての勤めのひとつ。
 たとえ一夜限りの夢だとしても。
 精一杯を尽くすだけだとして、咲耶達はアイドルへの道を踏み出した。

 此之花擧――コノハナイスラ。
 それが咲耶とゆすらの二人に名付けられたアイドルデュオの名。
 二人共、同じ桜に因む由縁同士。
 衣装も春彩を印象付ける服装となっている。
 緩く結わえた髪に飾られているのは芍薬の髪飾り。シュミゼットの襟元が美しい純白のブラウスの上に羽織ったのは振り袖風の上着。腰元には大きなリボンが結ばれた帯、その下にふわりと広がるのはマーメイドスカート。
 和洋折衷の衣装は色違いのお揃い。
 咲耶は雪融けの春を思わせる白と淡い桜色。
 ゆすらは撫子の花を彷彿とさせる薄い紫色。
 可憐な様相の二人は鏡の前でくるりとまわり、お互いの纏う彩に目を細めた。
「ゆすら様、とても似合っておいでです」
「咲耶さんも本当の花が咲いているようです」
 ふふ、と微笑みあった彼女達が纏う雰囲気はやわらかい。そうして二人は、此之花擧として立つ舞台の時を待つ。
 既に此処は舞台袖。
 前の組が終われば、次はいよいよ此之花擧の出番だ。
 桜の花を纏わせたステージマイクを其々に手に取り、咲耶とゆすらは頷きあう。
 いきましょうと視線で告げあう彼女達は舞台へ向かってゆく。
 この先に巡る、二人で紡ぐ歌と奏のショウに想いを馳せて――。
 
『戀いし花唄』
 
 ♪ 咲くや此之花 揺らめく桜桃
   いとしきみに想う 何故出逢ってしまったのかと
   識らなければ佳かった 懐く心は凍えて 冬の世界に閉ざされる
 
 舞台上、二人が共に紡ぐのは切なく仄かに甘い詩。
 ゆすらは歌声で、咲耶は神楽笛で。謳い、奏でる音は響きあっていった。
 想像した舞台とは違って随分と煌びやかな舞台に戸惑いはしたが、隣にゆすらがいてくれるからきっと大丈夫。
 彼女の歌を彩るように奏で続ける神楽笛は澄んだ音となって巡る。
 一途に想っていた相手との離別、悲恋。
 歌うたびに、声も手も震えてしまうほどに想いを込めて歌いあげるゆすら。
 咲耶も紡がれていく歌詞に、自分が人の身を得る前に恋をした持ち主のことを重ねていた。声に、音に、益々と憂愁が帯びていく。
 けれど――ゆすらも咲耶も、いまは独りきりではない。
 共に舞台に立つゆすらに咲耶がそっと眼差しを向ければ、二人の視線があう。優しげに微笑みあった彼女達は曲の終わりに力を注ぐ。

 ♪ 移ろいゆく季節 雪はまだ心に降り積もったまま
   けれど、いつか いつか必ず、芽吹きの春が訪れる
   強く信じて、『サクラ咲ク』

 花弁と共に舞い込むような聲が響き渡り、舞台に喝采が降り注ぐ。
 穏やかに眸を緩めるゆすらと、淡く花のように笑みを咲かせる咲耶。二人は共に謳いあげた歌に思いを巡らせながら想う。
 きっと春はもうすぐ其処にきている、と――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛
🎤👗
ムーくん(f09868)と

アイドルになりましょう、ムーくん!!!

本来の目的はとりあえずそっちのけでぐぐいのぐいいと引っ張っていきます!
だってこんなこと出来るチャンスはそうそうありませんよ!
アイドルになってステージに立って歌って踊るなんて、楽しそうじゃないですかー!
何か言ってても何も聞きません。無理やり着せ替えて連れていきます

と、いう訳で男女混合デュオです!
元気いっぱい踊っていきましょー! 歌はムーくんにおまかせしますね♪
せっかくですからパフォーマンスも気合を入れたいですよね
歌に合わせて瓦を割っていきましょう!

ほらほらムーくん、こっち向いてください!
パシャっと撮影もしちゃいますね!


ムルヘルベル・アーキロギア
🎤👗
張本人:織愛/f01585

(賢者は思った)
(あやつワガハイのこと人形かなにかと思っておらぬ? と)
(オヌシマジシリアスなときのしおらしさどうした、と思った
(そんなわけで常に通夜のような面持ちor首まで真っ赤です)

殺せ、いっそ殺せ!!!!!!
パフォーマンスなど出来るわけないであろうがーーーーーーーー!!
なまじUDCアースでアイドル知識に触れてあるのが仇である!
ワガハイどうすれば盛り上げられるか割とわかってしまう!!
ひとしきり苦しんで恥ずかしがったあとはヤケである!
歌詞は最新ヒットチャートをうまいこと分析してゴー!!(無茶振り)

って何を撮影してああああやめろ汚点が
殺せ、いっそ殺せ……!!



●止めたくて辞めたくて震える
「アイドルになりましょう、ムーくん!!!」
「は?」
 第一声からして不穏な空気に、ムルヘルベルは怪訝な声をあげた。
 織愛はきらきらと輝く真っ直ぐな瞳を向けてきている。
 宝石賢者は思った。
 まずい。逃げなければ。
 だが、それを察知していたのかそれとも天然なのか、織愛はがっしりとムルヘルベルの腕を掴んでいた。
「だってこんなこと出来るチャンスはそうそうありませんよ!」
「いやいや」
「アイドルになってステージに立って歌って踊るなんて、楽しそうじゃないですかー!」
「いやいやいやいや」
 ムルヘルベルはぶんぶんと首を振る。
 無意識に熱が入っているのか。織愛が握る腕にはぎりぎりと、数値にして大凡90程の怪力が込められていた。
 震えるムルヘルベルの脳裏には様々な思いが駆け巡っている。
(こやつワガハイのこと人形かなにかと思っておらぬ? オヌシのマジシリアスなときのしおらしさどうした。悲劇にも懸命に立ち向かうヒロインめいた雰囲気を纏う可憐な花にも見えたオヌシからは想像できぬ怪力では? アイドルに籠める思いが強いのは分かるがこやつめ、衣装だとか楽曲だとか語る前にワガハイの腕が今まさに折られんとして、ああ、ああ、ああ――!!!)
「あれ? ムーくん?」
 首まで真っ赤になっているムルヘルベルに気付き、織愛がぱっと手を離す。
 危機一髪。
 ぜえぜえと肩で息をするムルヘルベル。彼もきっとやる気になってくれているのだろうと感じた織愛はその手を引く。
「ということで、いきましょうムーくん!!」
 ぐぐいのぐいい。
 本来の目的はとりあえずそっちのけ。待つのである、だとかワガハイは認めておらん、だとかの悲痛な声はもう織愛には聞こえていない。
 結局、諦めたムルヘルベルはずるずると引き摺られていくしかなかった。

 ――と、いう訳で男女混合デュオ『瓦割り武闘会』が結成された。
 別に競技でも大会でもない。そういうユニット名だ。
 なんやかんやでもうステージは開幕寸前。二人は中華風の旗袍ドレスと武闘家めいた長衣に身を包み、舞台袖に控えていた。
「元気いっぱい踊っていきましょー!」
 おー、と腕を大きく掲げる織愛。身に纏うドレスのスリットがさらりと揺れる様はとても愛らしい。
 対するムルヘルベルは大きめの詰め襟の首元に顔を埋めていた。
(殺せ、いっそ殺せ!!!!!! パフォーマンスなど出来るわけないであろうがーーーーーーーー!!)
 叫ぶのは心の中だけ。何故なら今は他のアイドルのステージ中だからだ。燃え滾るほどの感情を抑えて静かにできるムルヘルベルは実に空気が読める賢者だ。
 しかし、なまじアイドル知識に触れてあるのが仇。
 歌もパフォーマンスも任されたが、どうすれば盛り上げられるか割とわかってしまう自分が悔しい。そうしてひとしきり苦しんで恥ずかしがったムルヘルベルだが、もう本番はすぐそこ。
「いきますよ、ムーくん!」
 スタンバイの合図が入り、織愛はムルヘルベルの手を取って駆け出した。
 そして――。
 
『君に会いたくて』

 ♪ 同じ空の下 君の名を呼ぶ
   あの頃に戻りたい 眠れぬ夜に瞳を閉じて願う
   それでも今 何かが変わるような気がした
   さあ翼を広げて 光が射す方へ

 聞き覚えのあるようなないような音楽が流れ、これまた何処かで聴いたことのあるような歌詞を紡いで歌うムルヘルベル。
 そう、その歌詞は最新ヒットチャートをうまいこと分析したあれそれだ。それなので歌詞の整合性はない。
 歌うムルヘルベルの隣では織愛が気合を入れていた。
 そして、合いの手の代わりにどごん、どかっと鈍い音を響かせる。
 瓦割りだ。
 何故?
 この会場にいる誰もがそう思っていただろう。だが、二人のユニット名は瓦割り武闘会だ。それがあるべき形なのだろう。二番のサビに入った頃にはもう誰も何も気にしなくなっていた。大事なので二度記すことになるが、何故ならこのユニット名は瓦割り武闘会だからだ。
 そうして恙無く、おそらく恙無くステージは終わりを迎えた。
「楽しかったです。ありがとうございましたー!」
 元気よく観客に手を振る織愛の隣で、ぷるぷると震えたムルヘルベルがお辞儀をする。何やらこの後は織愛による個人的な記念撮影会も控えているという。つまりは彼にとっての通夜だ。
(殺せ、いっそ殺せ……!!)
 誰にも届かぬ思いを胸に秘め、ムルヘルベルは舞台袖に引っ込んだ。
 しかしまだまだ受難は続く。
 楽しくも悲しき、無情のアイドル道は終わらない――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロエ・アスティン
🎤👗

「じ、自分にアイドルなんて、む、無理であります!」

あんなキラキラして奇麗な人がやるもので自分みたいなお子様体形なんてお呼びじゃないであります。
そ、それに、自分、男の人がちょっと苦手で……

で、でも、これも戦いなのでありますね。戦女神様見ていてください。
やるからには覚悟を決めて頑張るであります!
初めてのステージでも修道院で讃美歌を歌う練習をしていたおかげでなんとかなりそうであります。

※アドリブや他の方との連携も大歓迎



●戦乙女の歌
「じ、自分にアイドルなんて、む、無理であります!」
 クロエの第一声は戸惑いに満ちていた。
 罪のない少年や少女、スターを目指す人々の助けになる任務だと分かっている。けれども、知っているからこそ躊躇してしまう。
 歌と踊り。あんなにキラキラした世界はきっと他にはない。
 つまりは美しくて奇麗な人がやるもので、自分のようなお子様体形なんてお呼びじゃないはず。それに、クロエは男性が少し苦手だった。
「で、でも……」
 自分の苦手と、誰かが犠牲になる未来。
 それらを天秤で計るとなると怖気付いてもいられない。そうして決意を抱いたクロエは困難へと立ち向かい、進むことを決めた。
 そう、アイドル道へ――!

 ステージ当日。
 クロエは今、鏡の前で衣装の最終チェックをしていた。
 ツインテールに結った髪には紫陽花の髪飾りを添えて。ペタルネックの愛らしい首元には小花が飾られたチョーカーを飾っている。
 Aラインのすらりとしたワンピースタイプのドレス。その背には大きなシフォンリボンが結ばれており、ふんわりとした印象も与えてくれる。
 全体的な色はクロエの瞳の色と同じ青。
 どこもおかしくはない。寧ろ可愛く清冽にコーディネイトしてもらった衣装を見て頷き、クロエはぎゅっと掌を握る。
「これも戦いなのでありますね。戦女神様見ていてください」
 やるからには覚悟を決めて頑張るだけ。
 誓いを立てたクロエは歩き出す。用意されたマイクを手にして向かう先は、スポットライトが照らし出す煌めきの舞台だ。
 そして、光の下に立つクロエは流れ出す音楽に耳を澄ませながら瞼を閉じた。
 
『祈りの戦歌』

 ♪ さあ、謳おう 聖なる光はこの先に 導きのままに
   戦乙女は翼を広げて 祈りのもとに刃を振るう
   すべてを救おう この手が届かずとも 必ず届くと信じて

 クロエが音に合わせて歌っていくのは勇猛ながらも神聖さを感じさせるシンフォニックメロディ。ちいさな身体から紡がれていく声はまるで賛美歌を歌っているかのよう。
 響き渡る音色。精一杯の声。
 其処に応援の光を向けてくれる観客がいる。
 自分を見てくれている人々に出来る限りの気持ちを伝えたい。そう感じたクロエは懸命に、ステージの上で謳い続けた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

七那原・望
【N.O.H.A】🎤

アイドル……なんだか楽しそうなのです。
こういう時じゃなけれぱ純粋に楽しめたのですけどね。
でもこれも仕事ですもんね。頑張らないと。

見えないからなんとも……でもでも、きっとヘスティアお姉ちゃんなら似合うと思うのです!

準備OKなのですー。さて、歌いましょうか。

衣装は立ち絵でも着ているゴスロリです。
歌を歌うユーベルコードもよく使ってるので、【歌唱】力には自信があるのです。もしかしたら【高速詠唱】も必要かも?
身体の小ささは【ダンス】や【パフォーマンス】でカバーして、周りに負けない存在感を出していくのです。
静かでカッコいい曲調に合わせて、雰囲気を演出出来るように頑張るのです。


ヘスティア・イクテュス
【N.O.H.A】🎤
アイドル…ねぇ…
まぁ、歌もダンスも苦手ではないし別に良いんだけれど…


衣装はゴスロリね、着るのは初めてね
望どっか変なとこはないかしら?


並びはわたしとオリヴィアで二人を挟む並びで
3人とも準備はいいかしら?


踊りは昔バレエを習ってたからその要領を活かして
歌は特に習ってはないけど…まぁ声を出すのは家の事情でね、何なら戦争中数度歌うハメになったからその経験でいいかしら!


オリヴィア・ローゼンタール
【N.O.H.A】🎤

聖歌や鎮魂歌以外を歌うのはほとんどないので緊張します……!

衣装はゴスロリな感じで統一
身長高めの私とヘスティアさんが両端で、望さんと暁音さんを挟む並びに
パフォーマンスは歌と踊り
静かでカッコいい寄りの曲調
慣れない曲調でも聖歌や鎮魂歌で培った【歌唱】力で頑張る
普段の戦闘は近接メインなので、それで鍛えられた身体能力を発揮して【ダンス】【パフォーマンス】
こういうのも、なかなかいいものですねっ!
(アドリブ歓迎)


天星・暁音
【N.O.H.A】🎤

アイドルねぇ。
まあやるからには全力で行こうか。
歌でも踊りでも任せてよ。
必要なら踊って歌いながら演奏してもいいよ。
大抵のものなら演奏できるしね。
必要なものがあればドリームコンツェルトで用意するから言ってね。
基本的には神楽舞台出すのに使うけど舞台ならライブステージから武舞台まで出せるし。
舞台に必要なものなら本格的なセットから小道具、武器まで何でもござれだよ。

衣装はゴスロリ系でお任せします。
女装してもいいですがその場合は腰下辺りまで長いストレート髪になります。
ウィッグとかじゃないですが。

【歌唱、ダンス、パフォーマンス、楽器演奏】とフル活用します。



●ゴシックに謳う
「三人とも、準備はいいかしら?」
 様々な音楽が響いていくステージの舞台袖。
 いよいよ迎える出番を前に、ヘスティアは皆に問いかけた。こくりと頷いた望はばっちりだと告げ、耳を澄ませる。
 舞台では今も他のアイドルが歌っている。だが、それはすべて潜入している猟兵だ。
「こういう時じゃなけれぱ純粋に楽しめたのですけどね。でもこれも仕事ですもんね。頑張らないと」
 望は自分達も役目を果たすのだとして、ぐっと気合を入れた。
「歌でも踊りでも任せてよ。必要なら踊って歌いながら演奏してもいいよ。大抵のものなら演奏できるしね」
 暁音が何か必要なものはないかと問うと、オリヴィアはもう十分なはずだと答えた。
「後は私達のやる気でしょうか……」
 緊張しているから気持ちが落ち着かないのだと語るオリヴィアはゆっくりと深呼吸する。そんな中でヘスティアは鏡の前で衣装を確かめていた。
「望、どっか変なとこはないかしら?」
「ええと見えないからなんとも……でもでも、きっとヘスティアお姉ちゃんなら似合うと思うのです!」
「うん、似合ってるよ」
「そうですね、お揃いで気が引き締まる気がしますっ!」
 そんな風に語り合う彼女達の衣装は揃いのゴシックロリィタ。
 望が普段から身に纏う服を基調にして、其々のサイズに仕立てた衣装だ。
 中心となる望の首元には普段どおりの赤いリボン。長いストレート髪になった暁音の首元は金、オリヴィアの首には銀色、ヘスティアには青のリボンが結ばれている。
 しっかりと決まっていると感じ、四人は頷きあった。

 そして――。
 薔薇が絡まるマイクを手にした四人ユニット【N.O.H.A】はステージに立った。
 煌めく星が散るようなバックスクリーンの映像。
 その前に射すのは薄蒼のライトと銀を思わせる白いライト。
 蒼の光は中央に立つ望と暁音を。
 銀の光は二人の両端に立つオリヴィアとヘスティアを照らし出している。
 そうして、四人は軽く目配せを交わしあった。客席には多くの人々が集まっている。まずは挨拶だ。
「今日は、私達の為に集まってくれて……」
「ありがとうございます、ってお礼を言えばいいかしら」
 望がそっと客席に呼び掛けると、ヘスティアがその言葉を次いで髪をかきあげた。ふわりと揺れるその髪はライトを反射して美しく煌めく。人懐っこそうな望に対し、ヘスティアの言葉はクールで凛としている。
「緊張していますが、頑張ります……!」
「まあやるからには全力で行くよ」
 清楚なオリヴィアの言葉に続き、暁音もステージへの思いを口にした。
 そして、四人は客席に手を降る。
 其処から音楽が鳴りはじめ、彼女達は歌の準備に入った。
 
『異端ノ姫ト永久ニ咲ク薔薇』

 ♪ 黒薔薇姫は優雅に笑う 花園に舞う蝶へ指先を伸ばす
   誘う舞踏会 華やぐ香りに秘めた蜜をとかして
   異端と踊る夜に貴女の名を重ねる 嗚呼、永遠は此処にある

 静かながらも格好いい音色。
 ステージに響いていくのはゴシックロリィタの衣装に相応しい、退廃的で仄昏く怪しげなメロディの楽曲だ。
 望と暁音が響かせる声に合わせ、オリヴィアとヘスティアがコーラスを入れる。
 しかし、その歌が暗くならないのは少女達の声が甘やかであること。そして、聖歌や鎮魂歌で培ったオリヴィアの歌唱力が旋律を支えているからだ。
 望がひらりとドレスの裾を翻して軽やかにターンする中、ヘスティアとオリヴィアは観客席に横流しの視線を向ける。
 暁音は踊る望の手を取り、二人で輪舞曲を刻むようにステップを踏んだ。
 更にヘスティアが昔に習っていたというバレエの要領を活かしてくるくると舞い、それと一緒にオリヴィアも優雅に回ってみせる。
 誰もが懸命で美しく、可憐に努めながらステージを盛り上げている。
 そうして歌は佳境に入り、徐々に終幕に向かってゆく。
 
 ♪ この腕に抱くのは骸
   この胸に抱くのは祈り
   絢爛な夜の甘い刻は終わりを告げて 時計の針は逆さに廻る
   異端の姫は月と踊る 嗚呼、永久に咲く黒薔薇よ

 四人の甘く奏でる聲が重なり、クライマックスを迎える。
 操り人形を演じるかのように彼女達が黒いドレスをふわりと舞わせれば、アウトロのメロディがその場で終わり、スポットライトが消える。
 あとに残ったのは真っ暗な舞台。
 静けさと共に蝙蝠が羽撃くような音が響き、ステージは終わりを告げる。
 やがて、舞台には惜しみない拍手が送られていった。
 
 ステージを終えた四人は楽屋に戻る。
 無事にやりきれたことを確かめあい、これまでの舞台を思い返した。
「何とか終わったね」
「ヘスティアお姉ちゃん達、とてもすごかったです」
 暁音が皆を見渡して労う中、望は全員で共にアイドルとして歌えたことを喜ぶ。
「これがアイドル……何だか不思議ね」
「こういうのも、なかなかいいものですねっ!」
 言葉通りに不思議な感覚をおぼえているヘスティアの隣で、オリヴィアもまた、満足そうに微笑んでいる。
 こうして、【N.O.H.A】としての演目は大団円を迎えた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

金白・燕
【DRC】🎤👗

アイドルとは人々に輝きを与える人々の事ですよね
大丈夫です、私達も輝けます、仕事ですから
ええ、精神面の問題でしょう
何とかなりますよ

……これは私達のレディからお願いされたお仕事です
それなら完璧にこなさねばならないのです



口角を上げて、眦を下げて
バラの花びら、花輪はいかが?
私達の愛する赤い薔薇を観客へ配りましょう

メトロが歌うなら、歌は任せましょう
良い歌ですね、ブーツ?
それでは貴方は私と踊りましょうか?
ほら貴方も少しくらいお客様にサービスをしないと、
私のほねほねうさぎさんも貴方をかじりたくなっちゃいますよ?


メトロ・トリー
【DRC】👗
ブーツ先輩がなんだか怖〜い顔!
なんだろ〜
わかった!楽しそーなことが始まるんだね!

燕くん!燕くん!ぼくたちあいどるなんだって!
アイドルってなんだい!?!?

❤︎
僕らのレディが突然なのは、
砂糖が甘いぐらい当たり前さ。
お仕事!おしごと?楽しまなくっちゃだよ〜

踊って歌えるのがあいどる!
って、お喋りなバラたちが教えてくれたんだあ、

ぼく!おうたを考えたんだよ、聞いておくれよ!
きっとみんなをめろめろにしちゃうよ!

ぴょんぴょん忙しなく、
ぴょんぴょん愛らしく!

〜♬
踏み潰せ!赤でないから!
くびをちょんぎれ!赤でないなら!
ぜんぶ、ぜんぶ、赤く染めましょう!

レディ・レッドのお気に召すまま!

〜♬


ブーツ・ライル
【DRC】🎤👗

……
………
……………アイドル…だと?
俺たちに、やれと…?


早々に、これも仕事だと腹を括る。
だがな、センターだけは此度は(つっても今後やる予定なんぞ一切無いが)メトロか燕に任せる。
俺のような愛想のカケラもない厳つい男がやるよりも、二人がやった方が華がある。
何よりオブリビオンを殺す任務なのだから、確実な方が良いだろう。

…メトロの歌、そうだな、いいんじゃねえか。
俺たちが踊ることにも異論はない。
メトロの歌に映える様、一丁やってやるさ。

俺が客に振り撒く愛想は生憎品切れ中だが、
放る薔薇に棘はない。

…おい、骨兎、かじるな。
燕、此奴に確りと躾をしておけ。



●Sweet Suit Rabbids
 ――或日、ドレッド・レッド・コーポレーションにて。

 可愛い私のウサギたち。
 一等美しい星の舞台を、私に魅せなさい。
 
 ……。
 ………。
 …………。
「……………あれを俺たちに、やれと……?」
 長い長い沈黙の後、ブーツはやっと声を絞り出した。その仏頂面と声に気付いたメトロの耳がぴくんと跳ねて、その口許に笑みが浮かぶ。
「ブーツ先輩がなんだか怖~い顔!」
 なんだろう、と考えたメトロが導き出した結論はひとつ。
「わかった! 楽しそーなことが始まるんだね!」
「確かにあの職業は人々に輝きを与える人々との事ですから、楽しいのでしょう」
 わくわくした様子のメトロの傍ら、燕は肩を竦める。
 ブーツと燕が先んじてレディ・レッドから承ってきたというオーダー。
 それは――。
「アイドルになれ、とのことだ」
 ブーツが軽く項垂れた様子で告げる。それを聞いたメトロ、わあ、と声をあげた。
「あいどる! 燕くん! 燕くん! ぼくたちあいどるなんだって!」
「ええ、アイドルですね。私達のレディからお願いされたお仕事です」
「レディから司令だ! オーダーだ! ところでそれってなんだい!?!?」
 はしゃぎながらも疑問を浮かべるメトロに対し、燕はアイドルの定義について語っていく。其処にはブーツほどではないが困惑めいた感情が見えた。
 アイドル。
 それにしても、アイドル。
 何度か呟いたブーツの肩を軽く叩き、燕は首を振る。
「大丈夫です、私達も輝けます、仕事ですから。ええ、精神面の問題でしょう」
 何とかなりますよ、と自分にも言い聞かせる燕の傍らで、メトロはぴょんぴょんと跳ね、初めて知ったアイドルというものを思う。
 そして、楽しげに微笑んだ。
「僕らのレディが突然なのは、砂糖が甘いぐらい当たり前さ」
「ああ、これも仕事だ」
 メトロの言葉の前にはもう既に腹を括っていたらしく、ブーツが顔をあげる。
「レディからお願いならば……完璧にこなさねばならないのです」
 燕も気を引き締め、星の舞台への思いを馳せた。
 
 それから幾日後。
 三人の時計ウサギ達は今、舞台の控室にいた。
 身に纏うのはトランプのスート型勲章をその胸に飾った騎士の衣装。
 まるで式典に出るような豪奢で凛とした騎士服と羽のような外套。揃いの衣装ではあるが、三人其々に纏う色とスートが違う。
 ダイヤを宿し、淡い黄と橙の外套を羽織る燕。
 クラブを宿し、新緑色の外套をひらひらと纏うメトロ。
 スペードを宿し、青の外套を肩に掛けるのはブーツだ。
 ハートだけが足りない、と思いきや――三人が手にしている剣を模したマイクに女王たるレディをイメージした赤のハートが施されている。
「いよいよですね。二人共、心の準備は出来ていますか?」
「……ああ」
 燕が問いかけると、ブーツが神妙に頷いた。メトロは勿論だと告げて剣のマイクをくるりと回してみせた。
「お仕事! おしごと? 楽しまなくっちゃだよ~」
 踊って歌えるのがアイドルだとお喋りなバラたちも教えてくれた。
 聞いておくれよ、と最後のリハーサル代わりの歌をメトロが口遊む。ブーツと燕も彼が考えてつくった、みんなをめろめろにする曲(仮題)を聞き、頷いた。
「良い歌ですね、ブーツ?」
「そうだな、いいんじゃねえか」
 三人は視線を交わしあい、メトロは笑みを、残る二人は苦笑いめいた表情を浮かべる。何にせよ、泣いても笑ってもこれが本番だ。
 人々のため、観客のため、そしてレディに捧げるためのステージが幕開けた。
 
 〜♬
 踏み潰せ! 赤でないから!
 くびをちょんぎれ! 赤でないなら!
 
 ぴょんぴょん忙しなく、ぴょんぴょん愛らしく、舞台の中央でクラブの騎士が歌声を響かせる。彼をセンターにして、左右にはダイヤの騎士とスペードの騎士が踊る。
 メトロは輪舞曲のようにくるくると。
 ブーツと燕は円舞曲に誘うように優雅に。
 時計ウサギが女王に捧ぐ歌を紡いでいく中、両端の二人は其々に花をばらまく。
 口角を上げて、眦を下げて、燕は愛する赤い薔薇を観客へ。
 振り撒く愛想は品切れ中だが、棘のない薔薇を放るブーツ。
 ステージから舞う赤い花弁はひらひら、ふわふわと観客席へと華麗に舞った。三人のスートの騎士達が演じる歌と舞の舞台は麗しく巡る。
 そんな中、燕とブーツが互いの位置を変えるように擦れ違ってゆく。その際に燕の傍に添う骨兎がブーツの肩をぱくりと齧った。
(……おい骨兎、かじるな。燕、此奴に確りと躾をしておけ)
(ほら、貴方も少しくらいお客様にサービスをしないとと言っているようですよ?)
 視線だけでそんな意思を交わしあいながら、彼らはメトロの左右へと再び布陣する。左右の二人が薔薇の花や骨と共に踊る様をゆっくりと交互に見遣り、メトロは花ひらくような笑みを見せた。
 そして、メトロが歌いあげる曲も佳境に入っていく。
 
 〜♬
 ぜんぶ、ぜんぶ、赤く染めましょう!
 レディ・レッドのお気に召すまま!

 親愛なるレディに捧ぐ声が響き渡った刹那、薔薇が大きく舞い上がった。
 それを終幕の合図として、三人はハートの剣を頭上に掲げる。重なった剣は天を示し、やがて――音楽が止まると同時に舞台の明かりが落ちた。
 そうして、彼らのステージの幕が下りる。
 鳴り止まぬ拍手と喝采。
 高鳴る胸を押さえたメトロは「やったね!」とブーツと燕に笑いかける。それに視線と笑みで応える二人。彼らもまた遣り遂げたという事実を確かめ、不思議な充足感めいた心地を覚えていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
🎤【花翼の姉弟】

髪の金蓮花を髪飾りに見立て
背中の翼は衣装の一環に
花飾りを随所にあしらったワンピースドレス着用

…いや、僕男なんですけどね(遠い目

【指定UC】で元々の音楽の才を更に強化
【誘惑】で目を惹きながら
義姉さんの奏でるピアノとハモリに合わせた
【歌唱、ダンス】の【パフォーマンス】で
可愛く前向きな青春ソングを

演奏担当であまり演出に注力できない義姉さんの分まで
身振り手振りに笑顔と愛想を振りまき
間奏にはフルートの【楽器演奏】や
サビの手前で風魔法の補佐を加えた華麗なバク宙を見せたり
あ、ちゃんと見せパン履いてますよ

大サビではぴょんぴょこ飛び跳ねながら
あわよくば会場の皆も一緒に盛り上がりやすいように誘導!


栗花落・深香
【花翼の姉弟】

髪のカランコエを髪飾りに見立て
背中の翼は衣装の一環に
花飾りを随所にあしらったワンピースドレス着用

【誘惑】で目を惹きながら
私はピアノを奏でる【パフォーマンス】と
【歌唱】のハモリで参加
メイン歌唱担当の澪を引き立てるわねぇ

元々モデル業をしていた身だもの
どういう演出が効果的かは理解しているつもりよぉ
けれど私が目立ち過ぎちゃいけないの

だって今の主役は澪だもの!
可愛くて大事ないもう…弟
もっと皆に見せ付けてあげたいから
サビの瞬間攻撃力を抑えた【指定UC】で花吹雪のように舞台を彩るわぁ♪

そういえば…男の娘のバニー服はどっちになるのかしら?

等、優雅な仕草の裏で
胸中一人盛り上がってた事は誰も知らない



●花翼
 舞台上に並び立つのは深香と澪。
 二人は淡い色の翼を広げ、ステージを仰ぐ。
 深香の髪にはカランコエ、澪の髪には金蓮花。彼女達は自分達が宿す花を髪飾りに見立て、其々に同じ花を飾ったワンピースドレスを身に纏っている。
 二人が互いの手を重ねれば、ふわりと羽が揺らぐ。
 それもまた衣装の一環となっているようで愛らしい。片方が紛れもない少年であるのはさておき。とても可愛い。
 同時に観客席にお辞儀をしてから、深香は傍らに設置されたピアノに向かう。
 澪は舞台中央にある花をあしらったスタンドマイクへ。
 カランコエと金蓮花。
 その花達が誘惑の香りを放っているかの如く印象的に揺れていた。
 そして、深香がピアノチェアに腰を下ろす。
 その様子を確かめた澪は目を瞑り、彼女の奏でる一音目を待つ。
 ――♪
 次の瞬間、美しい音色がステージ上に響き始めた。
 前奏がはじまっていく中で閉じていた瞼をゆっくりひらいた澪は手を伸ばす。そうして、バックスクリーンには花と星の映像が映し出され――。
「僕らの舞台へようこそ!」
 明るく朗らかな澪の声と共に、花翼の姉弟が紡ぐ歌が響きはじめた。
 
『泡沫の唄』

 ♪ ふわふわ 舞う雪の中に咲く花
   誘幻の楽園は此処にある 君は綺麗に笑った
   白い世界に祝福を ゆらゆら揺らめく美しい世界

 花翼を広げた澪の声はピアノの音色に重ねられ、心を惹き付ける歌となって会場に巡っていく。
 その声にコーラスをあてるのはピアノ演奏を担当する深香。
 彼女の前にスタンドマイクは見えない。しかし、その耳元にある加籃菜のピアスがその声を響かせる機器になっている。
 深香は元々モデル業をしていた身。どういった演出が人の目を惹き、効果的かはよく理解しているつもりだ。
 しかし今の主役は妹、もとい弟の澪。
(私が目立ち過ぎちゃいけないのよねぇ。可愛くて大事なあの子の為に頑張らなきゃ)
 そっと決意を抱く深香。
 彼女が自分を引き立たせてくれていると感じながら、澪は謳ってゆく。
 義姉さんの分まで。
 そう思って身振り手振りに笑顔と愛嬌を振りまき、澪は懸命に舞台に立ち続けた。更に間奏にはフルートを用いて深香と協奏していく。
 サビの手前では風魔法を使っての華麗な舞を披露する。
 勿論、ひらりと翻ったスカートの中は見せても良い衣装のひとつ。そして大サビに入る前、澪はぴょんぴょこと可愛く飛び跳ねた。
 
 ♪ さあ、歌おう
   きみと過ごす日々を、時を 巡るひととせに祈りを!
 
 アップテンポに変わった旋律に乗り、会場の皆に呼び掛けるように声を紡ぐ澪。
 きらきらと輝いている愛しい弟をもっと皆に見せつけてあげたい。そう感じた深香は鈴蘭の嵐を舞わせ、花吹雪のように舞台を彩る。
 そうして二人の舞台は可憐に、そして熱狂に包まれて盛り上がっていった。
 そんな優雅な仕草と旋律の裏。
(そういえば……男の娘のバニー服はどっちになるのかしら?)
 深香がひとり、胸中で密かに盛り上がっていたことはきっと、誰も知らない。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と
🎤👗アドリブOK
謎のPに送り出され、和風系ユニットアイドル『凶ツ神楽』(まがつかぐら)としてカガリと共にステージに立ちますよ
あ、もちろん私は男装でお願いします

さぁ流星の如く、輝きましょうか!
歌唱力は……並程度ですが新人アイドルの必死に頑張る姿を上手く【演技】して誤魔化しつつ、ウィンクなどサービスもしましょうか【誘惑・ダンス・存在感】

カガリは歌や踊りがきちんと出来ているか不安ですね…
フォローをできるだけしに行きましょう

そこの貴女。良かったら私達と一緒に踊りますか? 観客の一人に手を差し伸べて【手をつなぐ】
カガリは今、貴女のために練習中なんですよ
そう間近で囁きましょうか


出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と
🎤👗アドリブ可

んー…どうしよう
謎のPに送り出されたものの、歌も踊りもできないし、語りも舞台で聞かせるようなものは…
(何だかきらきらしているステラを見て)
…ああいうので、いいのかなぁ

和風びじゅある系、というのかな、『凶ツ神楽』(まがつかぐら)というぞ
ステラと舞台に出て、観客に挨拶して
偶然、目に留まった一人を、ちょいちょいと手招きして舞台へ呼ぶ

ん。ステラの言う通りでな、まだ踊りが苦手なのだ
お前が見てくれる、なら、頑張れると思うから
一緒に踊ってくれるか、と。じっと見つめながら(誘惑)
簡単な振りを共に頑張ってみるぞ

今日は、一緒に頑張ってくれた皆への応援だ
一曲やろう、ステラ



●謳う心
 ――凶ツ神楽。
 それが今、此処で舞台に立つカガリとステラが宿す名。
 スポットライトの下、二人は観客席に向けて手を振っていた。そんな彼と彼女が身に纏っているのは和を感じさせる着物。
 カガリは黒の着流しに紫の羽織を肩にかけた姿。
 ステラは青と紺を基調にした男装の麗人めいた羽織袴だ。
 しかし唯の着物ではなく、其処には金刺繍の星や燃える炎めいた鮮やかな柄が織り込まれている。二人が動けば煌めく模様。それは舞台上で印象的に映える。
「カガリ達の舞台、見ていてくれ」
「さぁ流星の如く、輝きましょうか!」
 二人が客席へと挨拶と呼びかけを行えば、舞台上に音楽が響き始めた。其々の瞳の色をイメージした組紐が巻き付くマイクを手に取り、彼らは歌ってゆく。
 
『浮世花火に恋い華憐』

 ♪ 燃ゆる大空 黄昏から宵に移り変わる景色
   果てなき夜空 其処にひらく花の可憐な煌めき

 和の音色に合わせて声を響かせ、ステラは伸びやかな歌を紡ぎあげていく。
 歌唱力は突出するほど高くないと自負するステラだが、それこそが新人アイドルらしさを演出できることも知っている。
 必死に頑張る姿を上手く演技していくステラの姿を確かめながら、カガリも其処に合わせて歌っていった。
(……ああいうので、いいのかなぁ)
 姿ではなく、心が燦めいて見えるのだろうか。
 ステラは何だかきらきらしている。それはきっと、この場に必要な輝きだ。
 彼女が麗しくウインクをすると観客席が沸いた。ああすればいいのだと知ったカガリもステラを真似、客へと眼差しを向ける。
 
 ♪ 極楽鳥は恋を歌い 虹の尾を引き彼方に羽ばたく
   嗚呼、浮世の華 閃き弾ける想いの火

 荘厳さを思わせる和のテイストに乗せて二人は共に歌い続けた。
 しかし、このステージはただ歌だけでは終わらない。
 曲が長い間奏に入っていく中、ステラとカガリは観客席に向けて呼びかけた。
「そこの貴女」
「そう、そこのお前だ」
 ステラが手招き、カガリは偶然に目に留まった一人をちょいちょいと手招きして舞台へと誘う。戸惑いながらも進み出た女性客の手を取り、ステラは微笑む。
「良かったら私達と一緒に踊りますか? カガリは今、貴女のために練習中なんですよ」
 ステラがそう告げると、カガリも頷いてみせた。
「ん。ステラの言う通りでな、まだ踊りが苦手なのだ」
 手を繋がれた客は二人に挟まれてときめきを覚えている様子。そして客が二人を交互に見遣れば、カガリが更に囁くように続ける。
「お前が見てくれる、なら、頑張れると思うから――踊ってくれるか」
 じっと見つめる視線は誘惑そのもの。
 頷いた客に微笑みを向け、ステラとカガリは彼女と共に踊り出す。それは簡単な振りではあったが、二人に導かれるように舞う彼女にもスポットライトが当たっていた。まるでそれは一夜の夢のように、幻想的なひとときとして巡る。
 そんな特別な演出を終えた彼らは再び二人でステージに立ち、音に耳を澄ませた。
 やがて響き渡る音楽は激しく、情熱的な旋律を宿していく。
 そして、二人は曲の終わりに向けて歌い始めた。
 
 ♪ 戀い、希い、恋を咲かせよう
   華憐に謳えや高らかに 神楽の聲を、此処に今――

 重なる声に思いを込めて。ただ、華やかに艶やかに。
 凶ツ神楽。その名に相応しく巡る舞台はこうして、喝采の中で終幕を迎えた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
🎤
【双星】
アドリブ◎
衣装:対の黒マント
王道アイドル系

伸びやかな声で歌いだし
あんま難しく考えなくても
楽しんでやりゃ楽しんでくれるさ
っつって真面目なアレスはそう簡単にはいかねぇか?
…なら、自然体になれる事でも仕掛けて
一番かっこいい、自慢のアレスをみせてやろう
悪戯っ子の笑みでアレスに斬りかかる
どうでても受け止めてくれるって信じてるぜ
そのまま音に合わせて舞うように連続で

同じことの連続じゃ面白くねえ二番には背中合わせで共闘するように
向かいあう相手は観客だ
ウィンクを飛ばしたり煽り立てて
山場は派手にいかねぇとな!
軽く跳んだらアレスのアシストで更に高く
宙返りを連続で

はは!楽しかったなぁ~!
アレスとハイタッチ


アレクシス・ミラ
🎤
【双星】
アドリブ◎
衣装:対の白いマント、王道アイドル系

歌と剣でパフォーマンスを
セリオスと比べれば歌はまだまだだけど
音は正確に…でも、感情は込めて
一緒に歌う時は彼の綺麗な歌声を活かすように合わせる
ふと、彼の表情に気づく
ーーああ、僕ももっと楽しめと言うんだね?
…分かったよ、セリオス
歌も剣も、君に応えてみせよう!
音に合わせて彼の剣を受け止め、舞うような剣戟を演出

2番に入ったら背中合わせに
観客に向かって剣を持っていない手を差し伸べ、笑いかける
ーー僕等と一緒に楽しんでほしい
この瞬間を、舞台を…君達に捧げよう
見せ場に彼のアクロバットをアシスト
息の合った所をお見せするよ

終わったらお疲れ様、とハイタッチ



●双星
 スポットライトが舞台上に射し込む。
 目映い月の光が落ちてきたような耀きの下で佇むのはふたつの影。
 深い夜を思わせる黒のマントを羽織るセリオス。
 白い雪を映したマントを肩に掛けるアレクシス。
 対になるような色を宿した二人は同時に外套を翻す。するとひらりと靡いたマントの中が顕わになる。
 対称的な黒と白の下は揃いの青いジャケット。
 ベリードラペル型の襟元には其々に星と月の勲章が飾られ、印象的に煌めいている。
 静謐な舞台。
 その中で、アレクシスが手にした剣を高く頭上に掲げた時。
 それを合図代わりにして、セリオスが伸びやかな声で歌い出す。
 
 ――黒き鳥は謳う。その信を示せと。
 
 同時にバックスクリーンに星空の光景が映し出された。
 アレクシスも感情を込め、彼の綺麗な歌声を活かすようにコーラスを合わせる。
 そしてセリオスも腰に携えていた剣を抜き、刃を掲げた。
 音に乗せて舞うように剣をアレクシスに差し向ける。それは宛ら、二人の騎士がこれから剣を交え始めるかの如く――そして、本当に刃が振り上げられた。
 向かい合うセリオスが浮かべる悪戯混じりの笑み。
 彼の表情と動きに気付いたアレクシスがはたとした。
 刹那、刃は振るわれる。
 アレクシスがその剣を受け止めれば、剣戟が鳴り響いた。
 
 ――白き月は輝く。この光よ届けと。
 
 更に響いていくのはセリオスの聲。
 詩を紡ぎ、刃を交える。それは自分達にしか出来ないパフォーマンスだ。
(ああ、僕ももっと楽しめと言うんだね?)
 アレクシスは舞台の上で彼がそう告げているのだと感じていた。
 向けられた視線に頷きを見せたセリオスは、自分の思いが剣と歌を通して伝わったのだと察する。
 あまり難しく考えなくても、此方が楽しめば観客も楽しんでくれる。
 しかし、真面目なアレクシスに言葉でそう告げても簡単にはいかないことをセリオスは知っていた。ならば、自然体になれることを仕掛ければいい。
 それは――そう、一番かっこいい自慢のアレス。
 どのように出ても彼は受け止めてくれる。歌で紡いだ詩のように、信じている。
 その思惑通りにアレクシスは剣で以て応えてくれた。
 視線が重なれば、自然に浮かぶ笑み。
(歌も剣も、君に応えてみせよう!)
 アレクシスは音に合わせて彼の剣を受け止め、舞うような剣戟を演出していく。
 そのまま音と共に舞うように連続で重ねられる刃と刃は心地好い音を響かせていった。
 
 ――遥かな星は呼ぶ。共に在ろうと。
 
 そして曲は次なる局面に移る。
 されどただ同じ剣舞を繰り返すだけではつまらない。背中合わせになった二人は対峙するのではなく、背中合わせで共闘するように剣を振るい始めた。
 向かいあう相手は観客。
 観客へと剣を持っていない手を差し伸べ、アレクシス達は笑いかける。
 ウィンクを飛ばし、微笑みを重ねて。
 
 ――双つ星は巡る。この先も、ずっと。
 
 そして迎えた山場。
 二人は声を紡ぎ、重ねながら最後の演出に入ってゆく。
 どうか、僕等と一緒に楽しんで欲しい。この瞬間を、舞台を君達に捧げるから。
 そう願うような眼差しと共にアレクシスがセリオスに腕を伸ばした。軽く跳んだ彼をアシストすれば、その身体が舞台上に高く舞い上がる。
 曲の終幕に合わせ、連続で魅せられる宙返り。
 息の合ったパフォーマンスが華麗に決まり、そして――。
 
 共に歌い、共に刃を交え、輝いたステージ。
 こうして、ふたつの星が煌めく舞台が終わりを迎えた。
 舞台袖、すべてを出し切った二人は視線と笑みを交わして互いに労いあう。
「はは! 楽しかったなぁ~!」
「お疲れ様、セリオス」
 ハイタッチで重ねる手と手。其処に巡る音はとても快い響きを宿していた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アヤカ・ホワイトケープ
🎤👗
ユキちゃん(f18336)と出るわ
邪教の連中もまたロクでもない事を考えたものね…
でも歌にはそれなりの自信もあるし、上手くやってみせるわ
ユキちゃんは楽しそうだからってノリでやりたいようだけど…大丈夫かしら?
何かあったらわたしが守ってあげなきゃ

『魂込めし全力全開ライブメドレー』で歌と演奏、パフォーマンスで勝負よ!
普段はソロライブ用のだけど、ユキちゃんにも出来る感じの物を調整してやってみるわ
時にはわたしが演奏のみに集中して、ユキちゃんのソロパートを演出したり、二人で一緒に歌ったりするなどして、最高のパフォーマンスを見せてあげる!
それにしても相手は悪人なんだけど、ユキちゃんは分かってるかしら?


ユキ・アウローラ
🎤👗
あやかおねーちゃん(f00740)とあいどる、なのです!

あいどる
ゆき、しってるのです!
きらきら、ふわふわ、かわいい女の子
ゆきにもできるでしょーか?

おうたがおじょうずなあやかおねーちゃんにあわせて
おうたをうたったり、おゆうぎをするのです

マイクはいんかむ?でおててにはしゃんしゃんとなる鈴を
えへへ、ゆきがたのしーっておもっていればきっとみなさんもたのしーっておもうのです!
みなさんに手拍子をおねがいしながら、いっしょにたのしむのです

ゆきがひとりでおうたをうたう時はたのしくはずむように
げんきいっぱいうたうのです!

えへへ、おうたたのしかったのですよ
…ん?おしごと
はっ!そういえばおしごとだったのです



●オン・ステージ・メドレー
 きらきら、ふわふわ、可愛い女の子。
 それがアイドル。
 しかし今、煌めく星を狙う邪悪なる者の手が少女達に迫っている。夢を懐く者を救うため――アヤカとユキは今、ステージに立っていた。
 二人を照らすスポットライト。
 其処に煌めく衣装はお揃いで色違いの愛らしい様相だ。
 セーラーカラーのミディジャケットを羽織り、花のようにふわりと揺れるティアードスカートに、綺羅びやかな星の装飾が輝くウェリントンブーツ。
 アヤカは瞳の色に似た紫と黒を。
 ユキは雪を思わせる白に薄青を合わせたスタイルだ。
「こんにちはです!」
「今日はたくさん歌うから、わたし達から目を離さないでね!」
 まだあどけない少女と大人の女性の組み合わせのデュオは、まるで仲の良い姉妹のようにも見えた。二人は声援が飛び交う観客席に手を振り、それぞれに装着したインカムに手を添える。
 そして、それを合図にしてバックスクリーンに色鮮やかな彩が映し出される。
 其処から前奏が流れ始め、二人の舞台が始まりを迎えた。

「みんな、準備はいい? それじゃ、いっくよー! わたしの……ううん、わたし達の歌を……聴けぇぇぇーっ!!」
 そんな声から始まるのは、いつも通りのアヤカ・オン・ステージ。
 魂込めし全力全開ライブメドレーだ。
 しかし今日はソロではなくユキも一緒。彼女に合う曲を選んできたアヤカは、音に合わせて歌いはじめる。
 ――♪
 最初に元気で弾けるような歌を紡げば、ユキが鈴をしゃんしゃんと鳴らす。
 アヤカも自ら演奏をはじめ、手慣れた様子でパフォーマンスを行っていった。
 そして、アヤカが奏でる間奏のあいだ。
「えへへ、ゆきたのしーです! みなさんもいっしょにしゃんしゃん、ぱちぱちしてくださいですー!」
 ユキは手を上げ、客席に呼び掛ける。
 すると愛らしい声に答えた客が音楽に合わせて手拍子を重ねていく。楽しげな少女が歌に乗っていてくれることを微笑ましく感じ、アヤカも演奏に力を入れた。
 そうして、歌は移り変わる。
 次はちょっぴりローテンポなふわふわとした曲。
 其処にアヤカが用意したのはユキのソロパートだ。
「さあ、ユキちゃん!」
「らー、ららーらー、らー♪」
 アヤカが誘うように片手を振り上げ、応えたユキがハミングを奏でる。可愛らしい声が会場に響けば、観客席からも応援が届いた。
 楽しく弾むような声によって会場も沸き、メドレーは続く。
 そうして巡る時間の中、いよいよステージのクライマックスが近付いてきた。
「行くわよ、ユキちゃん。一緒に歌いましょう!」
「はい、あやかおねーちゃん。いっしょ、いっしょです」
 重なる歌声。
 響きあう音楽。
 二人が一緒ならば、きっとこれが最高のパフォーマンスになる。
 そして、最後の曲がアウトロに入り、演奏が止んでいく。無事に舞台を終えた少女達は互いに笑顔を浮かべ、客席から投げかけられる喝采をその身に受けた。

 舞台裏、すべてを終えた後の楽屋にて。
「えへへ、おうたたのしかったのですよ」
 ほわほわと微笑むユキはステージの余韻に浸っていた。これがアイドルなのだと考えて嬉しそうに双眸を細める少女の傍ら、アヤカはくすりと笑む。
「それにしても見ていた相手の中には悪人も何人かいるはずなんだけど、ユキちゃんは分かってるかしら?」
 その言葉にきょとんとしたユキだったが、不意に思い出した。
「はっ! そういえばおしごとだったのです」
「もう、仕方ないわね。けれどとっても素敵なステージだったわ」
 そんなやりとりを交わしつつも、アヤカの中にも快い気持ちが宿っている。そうして二人は舞台を思い返し、穏やかな視線を重ねながら笑みを深めた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
🎤👗
いいね、大掛かりなステージは久々だ!
最高の《パフォーマンス》で魅せてあげるよ☆
衣装は折角だしお任せしようか
でもあんまり過激なカッコは勘弁してね?

早速【選択UC】全開!
皆の心を掴むには《情報収集+ブームの仕掛け人》での前準備も大事だね
本番は装備の金糸雀や《演技》力のフル活用で皆を《鼓舞+誘惑》、心を励まし魅了する《歌唱+ダンス+楽器演奏》を披露するよ♪
出来ればワイヤーアクションやCGって建前で自慢の翼と《空中戦+属性攻撃》技能を活かして飛び回ったりスパークの演出を入れたりしたいな

テーマは華やかに、そして鮮烈に!
観客みんなが未来に希望を持ち、自分も頑張ろうと思えるようなステージを目指すよ!



●果てなき憧憬
 大掛かりなステージは久々。
 それならば最高のパフォーマンスで観客を沸かせてみせよう。
 決意を抱きステージに挑むカタリナ。
 舞台に立つ彼女が身に纏う衣装は、ブレザー型の制服を基調としたアイドル衣装だ。
 首元にきらりと光るのは細身のチェーンがあしらわれたチェックリボン。肩口には羽を思わせる勲章風のワッペンを添えて。スカートもまた、首のリボンと同じ色合いの赤と黒と橙が入り交じる鮮やかなチェックだ。
 袖口には革のベルトをあしらったブレスレットを重ねて少しロックに。
 スポットライトが照らし出す舞台上。
 リボンを巻いたマイクを手にしたカタリナは観客席に手を伸ばす。
「みんな、最高のステージを魅せてあげるよ☆」
 その言葉と共に会場にメロディが響き、ライトがきらきらと揺れはじめ――。
 
『風の舞』

 ♪ Hello Hello
   果てない空に風が翔けたら それがはじまりの合図
   金糸雀の導きが君を呼ぶから 一緒にあの空を目指そう
 
 古代の遺産を改造したカナリア型のスピーカーから響き渡る音楽に合わせ、カタリナは明るく華やかに歌っていく。
 彼女の翼は鮮烈に、歌声と一緒に広がった。
 心を励まし、魅了するような声は高らかに響き渡る。バックスクリーンは青空を映し出して行くなかでカタリナはふわりと飛びあがった。
 それはワイヤーアクションという名目の自前の翼での飛行だ。
 魔力でスパークを散らせながら歌い続けるカタリナの動きは華麗に巡っていく。
 舞台は楽しく、鮮やかに。
 観客みんなが未来に希望を持ち、自分も頑張ろうと思えるように――。
 そんな願いを込め、カタリナはステージで舞い踊る。
 客席から届けられる応援の声と手拍子、そしてアイドルへ向ける煌めく憧憬。目に見えずとも確かに其処にあるものを感じ、カタリナは歌い続けていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

コーディリア・アレキサンダ
🎤👗

アイドルになってみる気はないか?
なんて?

〜人格間脳内会議〜

「王子様系でいこう」
「「「それはない」」」

「やはりふわふわの甘ロリ……」
「それが無難か」
「手首に包帯を」
「盛るな盛るな!!!」

〜この間0.05秒〜


――等という、別人格(強力な悪魔)たちの話はともかく、こう、なんというか、頑張ろう
こういうのは苦手だけど……うん、努力はするよ

魔神領域・毒の王(装備)に封じられた狡猾な詐欺師、悪魔プルソンに人格を交代
彼ならきっと、狙い済ましたように媚び……甘く可愛く演じてくれるはず
歌唱力は……そういうの得意な悪魔にフォローしてもらおう


※人格を交代してもらいますが本人はとてもとても恥ずかしがります



●悪魔っ娘リアちゃんの受難
 ――アイドルになってみる気はないか?
 その言葉にコーディリアの思考が一瞬、理解を拒否した。
 固まったように見えた彼女の脳内では今、人格達による会議が開幕されている。

「王子様系でいこう」
「「「それはない」」」
「それならクールタイプの魔女は……」
「普段と同じではつまらないな」
「パッションに訴えかける元気系は……」
「それも捨て難い」
「やはりふわふわのキュートな甘ロリ……」
「それが無難か」
「衣装はシフォン生地と翼で彩り――」
「では首元と手首に包帯を」
「盛るな盛るな!!!」

 ~この間0.05秒~
 
「……なんて?」
 はっとした時にはもう、コーディリアがアイドルになる未来は確定していた。
 覆せぬ状況に戸惑うも既に何もかもが遅い。
「なんというか、頑張ろう。こういうのは苦手だけど……うん、努力はするよ」
 肩を落としたコーディリアは覚悟を決めた。本当は決めたくないけれど。そうして、彼女はあれよあれよという内に望まぬアイドル業界へ飛び込むことになったのだ。

 頼んだよ、プルソン。
 そう告げてコーディリアは己の身体を別人格たる悪魔に明け渡した。
 多くの観客で沸くステージ。
 その中央に立つ彼女には現在、目映いスポットライトが当たっている。
「みんなー! 今日はリアちゃんのために集まってくれてありがとー!」
 狡猾な詐欺師たる悪魔は甘く媚び媚びな声を紡ぎ、投げキッスを観客席に向けていた。そんな彼女が纏うのは白を基調としたアイドル衣装。
 肩口を出したシュミゼットタイプの上半身に、ふわりと後ろに広がるマーメイドスカートを合わせた形だ。可愛らしい印象とは裏腹に衣装の背には悪魔を思わせる蝙蝠型の翼が装着されている。
 そして、足元は愛らしいレースのガーターベルトに白いブーツという、本人の人格が出ていれば死ぬほど恥ずかしがる格好だ。
 しかし今のコーディリアこと悪魔っ娘リアちゃんはキュートなアイドル。
 音楽に合わせてマイクを握り、与えられた楽曲を歌いはじめる。
 
『悪魔にお願い☆』

 ♪ 契約ひとつでオ~ルオッケ~!
   あなたがそれを望むなら 何でも願いを叶えてあげる
   対価はまだ秘密 もしかしたら命かも でもでも、それくらい軽いでしょ?

 腕で宙に六芒星を描く振り付けと共に歌は響く。
 何だか不謹慎な歌だが、メロディに乗せれば不思議とポップになってしまう。
 ああ、なんで。
 どうしてこんなことになっているんだろう。
 きゅんきゅんなキューティーボイスをステージに響かせながら、悪魔に身を任せるコーディリアは果てしない後悔と羞恥を覚えていたとか、いないとか。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

真幌・縫
🎤👗アドリブ連携歓迎

アイドルさんてみんなキラキラしててすごいよね。みんなに元気をくれるようなそんな存在だなってぬいは思うんだけど。
ぬいもそんな存在になれるかな?

【歌唱・楽器演奏・ダンス】この辺りならぬいも少しできるよ♪
あ、そうだ一つだけお願いがあるんだ。
サジ太も一緒にステージに上がらせて欲しいな。
【コミュ力・鼓舞】でぬいもみんなを元気付けられるアイドルになるよ!



●桜色の歌声
 アイドルは、みんなキラキラしている。
 明るくて眩しくて、夢に向かって進む姿はとても綺麗。その姿はみんなに元気をくれるから、とってもすごい。
 アイドルとはそういった素敵な存在だと縫は感じている。
「ぬいもそんな存在になれるかな?」
 ちいさな希望を抱き、縫はひとときのアイドルロードに踏み出した。
 煌めく星のひとつになるために。
 そして、光を奪おうとしている悪い教団から、本当のアイドル達を救うために――。
 
 ふりふり、ふわふわ。
 ステージのライトに照らされる縫と、翼猫ぬいぐるみのサジ太。
 ひとりと一体、もとい二人はマイクの前に立っていた。その銀の瞳は多くの人々であふれた観客席に向けられている。
 ぎゅっとサジ太を抱き締めた縫が身に纏っているのは薄桜色の衣装。
 淡い彩のドレスは透け感のあるオーガンジー素材で彩られている。さらりと揺れる袖口はエンジェルスリーブ型。スカートはバルーン型で纏められていた。
 そして、背中には綿菓子のような大きなふんわりしたリボンを結んで。膝までのスカートの裾は花弁を思わせるレースがあしらわれている。
 縫が抱くサジ太にもまた、縫も着用しているお揃いのレースで作った尻尾飾りが可愛く結わえられていた。
 どきどきした気分を抱きながら縫はマイクを握る。
 そして、ステージに音楽が鳴り始めた。

『かみさまのおくりもの』

 ♪ きらきら きらめく虹色の世界
   夢みたいな魔法 しろい雲にのって きみとなら描いていける
   大好きなきみに届けるよ この気持ちはきっと かみさまからのおくりもの

 花が咲くような歌声で紡がれるのはスローテンポのふわりとした歌。
 サジ太ともいっしょに歌うようにマイクを揺らす縫は懸命に思いを声に乗せていく。一度限りかもしれないけれど、今日は縫だってアイドルのひとり。
 だから、一生懸命に頑張りたい。
 そんな想いと共に、穏やかで優しい曲がステージに響き渡っていった。
 

 きらめく星の舞台。
 其処に巡るのは喝采と拍手の嵐。
 今日という日に誰もが輝く星のひとつとなった。このステージを見た人々は口々に言うだろう。素晴らしかった、と――。
 こうして総勢三十三組の猟兵アイドル達によるステージは幕を下ろした。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『いいから皆バニーを着るんだ!!!』

POW   :    スタンダードなバニーで強調されるしなやかな肉体美で勝負する!

SPD   :    燕尾のバニーを着て優雅な動きで勝負する!

WIZ   :    変形バニーだ!!たまにはこういうバニーさんもいいだろう?

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●潜入、バニークラブ!
 此処は或る建物内地下にある、秘密クラブ。
 VIPだけが入ることを許される高級感あふれる広いフロアだ。
 時刻は夜。
 ほんのりと暗く落とされた照明。天井に鏤められた星型のライトが揺れる会場では現在、パーティーがひらかれている。
 高級そうなスーツを身に纏う社長の風格を持つ男性。
 同じくお値段が高そうなドレスを身に纏うセレブ女性。
 きっちりとした黒服を着込むボディガード風の男達もいれば、アイドル業界のプロデューサー風の人まで。
 誰もが邪神教団の関係者かと思いきや、中には何も知らぬ一般の者もいるという。
 そして今、このクラブへの招待状を受け取った猟兵達は――。

 バニー服を身に纏っていた。

 売り出し中のアイドルとして出席する以上、これがこの場での正装だと言われて着用させられた服である。何だか不可解ではあるが細かいことは気にしなくても良い。そういうものだからだ。
 バニー服姿のままであれば、この会場では何をしていても構わない。
 招待アイドルという名目ではあるが無理な演技なんてしなくても良い。何故なら、その姿でいるだけで価値があるからだ。
 寿司やステーキをはじめ、彩り鮮やかな高級料理が並ぶケータリングテーブルで食事を楽しむのも一興。
 また、会場内に穏やかに流れるワルツの音楽に合わせて手を取り合い、星型のライトの下で誰かとダンスを踊っても良い。
 楽しい会話に興じるのも、ひとりで静かに過ごすことだって許される。
 勿論、この会場に訪れている人物の中から、裏で手を引く教団の関係者を探し出す捜査をしたって構わない。
 しかし、邪神が現れるという『特別なショー』までは事を荒立ててはいけないので、調査をする場合は気をつけなければいけない。

 結局、何をしていたって敵と対峙する時間は訪れる。
 それならば普段は着ないであろう服装のまま、なかなか訪れることの出来ないであろうひとときを楽しんだ方が良い。
 さあ――バニーだらけのパーティータイムだ!!
 
ルリララ・ウェイバース
アドリブ・絡み可

【WIZ 】
互いに姉妹と認識する4重人格
主人格で末妹のルリララ以外、序列なし
巻き布で隠した刺青を出す事が人格交代のキー
ルリ:スタンダードなスーツ、手足の巻き布、額にヒンディ状の刺青
ララ:ファー多めのかわいい系、手に巻き布、額にリボン、脚に刺青

オルタナティブ・ダブルで分身側をララ、本体にルリメインで3人格

『何でこの格好なんだ?』(リラ)
『ルリ達は生贄の子兎なんでしょ』
『とにかくララ姉を確保しないと後々面倒だぞ』(ルリララ)

ララが興味のままに首を突っ込み、それのフォローの体をとって、参加者や施設の把握に努める
『ねえねえ、これなーに?』
『姉妹が迷惑を新人のルリ☆ララです』みたいな



●バニースタイルタイム
 人々で賑わう秘密クラブのパーティー会場にて。
「何でこの格好なんだ?」
 リラが不思議そうに問うのはルリとララが身に纏うバニー服について。
 ルリはスタンダードなバニースーツ。
 手足の巻き布はいつものままに、胸元を強調した黒兎めいた姿をしている。
 ララはふわふわのファーがついた愛らしいバニー服。
 手には巻き布、額にリボン。そして白い兎耳を付けてルリとは正反対の色と姿だ。
「ルリ達は生贄の子兎なんでしょ」
「とにかくララ姉を確保しないと後々面倒だぞ」
 ルリの中に宿る人格同士で語り合い、見遣る先――其処にはララが興味のままに首を突っ込み、いろんな人々に話しかけている姿があった。
「ねえねえ、これなーに?」
「これかしら。ええと、キャビアだけれど……」
「おいしいの? 食べてみたいなぁ」
「あらまあ、でしたら一緒にあちらのテーブルにいきます?」
 ララが話しているのはセレブな女性だ。物腰穏やかな相手であるゆえに危険はなさそうだが、問題はキャビアを手にした後にララが向かった人物だ。
「わっ」
「おい、ぶつかっておいて謝罪もなしか」
 不意に衝突してしまったのは重役らしき長身の男性だった。じろりと睨みつけられたララはあまりの身長差に思わず一歩引いてしまう。
 しかし、そこにさっとルリが割って入る。
「すみません、姉妹が迷惑を……ええと、新人のルリ☆ララです!」
 可愛らしく挨拶をしたことで男性は毒気を抜かれたのか、気をつけろよ、とだけ告げて別の場所に歩いていった。
 ほっとするのも束の間、ララがいつの間にかプロデューサーらしき人物につかまっていた。どうやら「キミ、いいねぇ」などと話しかけられているようだ。
「はい、ルリ☆ララです!」
 そんな風に明るく答えつつ、ルリララ達は参加者や施設の把握に努めてゆく。
 ざわめく会場は穏やかで、とても邪神が潜んでいるとは思えなかった。だが、きっと此処で待っていればその時が訪れる。
 それまではアイドルとして過ごそう。
 そう心に決めた彼女達は暫し、バニー姿で頑張る決意を固めた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・エスペランサ
WIZ:際どいセクシー系バニー ※《恥ずかしさ耐性》絶無

え、ええ――何これ何これ何これ!?
背中とか開き過ぎてるし胸とか半分見えちゃってるしスカート短すぎるしこんなの着られる訳ないじゃない!? こんなの服じゃないわ、服部分切り取られた後の余り布よ!

……着ちゃった……私もうお嫁に行けない……
普段の服でも割と羞恥心ギリギリなのにこんなはしたない格好……姉様ごめんなさい……

ちょっと泣きそうだけど目立たないように気配を殺して壁際で耐えているわ
迷彩で完全に隠れたいけど今全力魔法使う訳にはいかない、のよね?
もし男の人が来るようならダッシュで全力逃走よ ※失敗可

早く戦いが始まらないかしら……始まって早く……!



●VS羞恥心
 大きく開いた胸元。
 レオタードタイプのシルエットに太腿は網タイツ。更にはガーターベルトを重ねるという背徳的かつ扇情的な衣装を身に纏うカタリナは今、とても後悔していた。
 用意されていたのがこれだった。
 そんな理由で袖を通し、着てみたはいいものの恥ずかしすぎる。
「え、ええ――何これ何これ何これ!?」
 鏡の前でくるりと回ってみると背中まで開いている。
 胸元が半分見えているのは当たり前だし、腰についたスカートもといフリルは横にひらひらと揺れているだけで前が開いていて、黒く艷やかな生地に包まれただけの下腹部は丸見えだ。
「こんなの着て歩ける訳ないじゃない!? こんなの服じゃないわ、服部分切り取られた後の余り布よ!」
 思いのままに鏡の中の自分に告げるカタリナ。
 だが、もうパーティーは始まっている。女性スタッフが「まだ更衣室に誰かいるんですか? もう始まってますよー!」と外で呼んでいる声も聞こえた。
「うう……」
 水着だと思えば何とか、何とかいけるかもしれない。そう思い込むことにしたカタリナは最後まで付けていなかった黒いうさみみカチューシャを着用する。
「……着ちゃった……私もうお嫁に行けない……」
 項垂れたカタリナの頬は真っ赤だ。
 普段の服でも割と羞恥心ギリギリだというのに、こんなはしたない格好をしてしまっては合わせる顔がない。
 だが、今はもうパーティー会場に出ていくしかない状況。
 少しばかり泣きそうになりながらもカタリナは更衣室を出た。しかし目立たないように気配を殺し、壁際でひたすら耐える心算だ。
(姉様ごめんなさい……)
 心の中で謝りながらカタリナは壁の片隅へ。言い換えるなら壁の花となってパーティー会場に溶け込んでいた。
 迷彩でも利用して完全に隠れたい気持ちがあったが、下手に力を使って邪神に察知される可能性も避けなければならない。
(男の人にでも見つかって声を掛けられたらどうしよう……あ、こっちにくる)
 カタリナが戦々恐々としている中、ワイングラスを片手に持った男性が歩み寄ってきた。どうか、どうか話しかけられませんように――。
 願うカタリナの緊張が最高潮になる。
 そして、一瞬後。
(良かった、通り過ぎていったみたい)
 ほっと胸を撫でおろそうとして、自分の胸元に目が行く。
 緊張のあまり忘れそうになっていた露出度に再び気付き、カタリナは更に恥ずかしくなってしまった。
(早く戦いが始まらないかしら……始まって早く……!)
 祈り続けるもまだパーティーは始まったばかり。
 もう暫し、カタリナの羞恥と受難のひとときは続いていくようだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミリア・プレスティール
ミリアはバニー服…というよりは着ぐるみパジャマのような肌を隠した姿でパーティーに出席した。周りの男性陣からの残念そうな視線に疑問を抱きつつ会場に潜入する。
会場に入ると同時にスマホを持たせて情報収集させていた『ミトン』がミリアの元に戻り、スマホのメッセージを見せられる。
『目星を付けたが人の目がありすぎる。周りの注意を引け』
メッセージを見せた『ミトン』は有無を言わせずミリアを転倒させ、着ぐるみのファスナーを開ける。立ち上がったミリアはもう一つのバニー服、ビキニスタイルのバニー姿で周囲の視線を集める。
「恥ずかしいから着ぐるみを着てたのにっ!」

※アドリブ、他の方との絡みOK



●ミトンとハプニング
 ゆれるうさみみ。
 ふわふわのきぐるみ。そして、もこもこの手足。
 ミリアは今、バニー服――と呼ぶには程遠いが、広義で言えばうさぎの服と呼べる格好でパーティーに出ていた。
「…………」
「……はぁ」
 周りの男性陣からの残念そうな視線と溜息が向けられ、ミリアは首を傾げる。
 純粋なミリアは気付いていないが男性陣はもっと際どかったりセクシーだったりする衣装を望んでいたらしい。
 だが、中には「可愛い……」と呟く者も居たのだがそれはさておき。
 ミリアが着替えている間、会場にはミトンが潜入していた。
 彼女が会場に入ると同時にスマートフォンを持ったミトンが傍に訪れる。どうかしたのかとミリアがミトンを見遣ると、その画面に文字が映し出された。
『目星を付けたが人の目がありすぎる。周りの注意を引け』
「わかりました。でも、どうやって……?」
 メッセージを見たミリアがこくりと頷きかけた、そのとき。ミトンが有無を言わせずミリアを転倒させ、着ぐるみのファスナーを開けた
「わわっ」
 驚いたミリアだがすぐに立ち上がろうとする。
 勿論、ファスナーが開けられたことには気付いておらず――。
 きぐるみがするりと脱げた。
「……!」
 立ち上がったミリアは、実はもうひとつ下に服を着込んでいた。そのビキニスタイルのバニー姿があらわになり、ミトンの指示通りに周囲の視線が集まった。
 その間にミトンは再び情報収集に向かっていってしまう。
 あわあわするミリアは一生懸命に床に落ちたきぐるみを着直そうとするが、慌てすぎて上手くいかない。
「恥ずかしいから着ぐるみを着てたのにっ!」
 顔を真っ赤にして胸元を押さえるミリアは今日もまた、自由気ままなミトンに振り回されているのであった。
 その後、スタッフや心優しいセレブ女性に手伝ってもらい、ミリアは元の恥ずかしくない可愛い衣装に戻れたらしい。
 だが、恥ずかしさの甲斐あってかミトンは邪神教団員らしい男を見つけた。
 今はまだ派手には動けないが、男を見張っていれば動きは見えるだろう。確かな手がかりを得たミリア達は暫し、普通のふりをしてパーティーに潜むことにした。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎
※口調:素or演技(アイドルっぽい)

取り敢えず、パフォーマンスはどうにかなったようだし、このまま上手く環境に溶け込む事を優先する。
慣れない格好、無名のアイドル、という事でちょっかいかけてくる人がいるなら【選択UC】でうまく【見切り】、回避する。
何か言いがかりつけられても【礼儀作法】とか(誘惑)で……ダメなら裏でこっそり物理(グラップル)……。

【情報収集】ができれば理想だけど、無関係の人がいるとなるとここまで大規模だと絞り切れないかな……。努力目標という事で。

……本当はあれこれ食べたいケド、アイドル演じてる今は我慢我慢……。
……食べたいケドね!!!


真幌・縫
バニーさんの格好…ぬいは猫耳があるからカチューシャはむりだよね…。
うさ耳フードのパーカーこれなら大丈夫かな?

セクシーなバニーさんから格好いいバニーさんまで色んなバニーさんがいるね。
お料理も美味しいし。
…ただパーティーを楽しむだけってのもなんだから色んな人に声をかけてみようかな【コミュ力】教団関係の人じゃない人はさりげなく遠ざけてみよう。

アドリブ連携歓迎。



●ふたりのバニー
 うさみみフードのパーカー。
 そのファスナーを開けて、胸元がちょっとだけ開いたワンピースを着込んだ縫は今、ぬいぐるみのサジ太を抱いて会場をきょろきょろと見渡していた。
 穏やかな空気とざわめき。
 星のライトが照らす会場は高級感に溢れている。
 今はサジ太も同じうさみみのミニパーカーを着ており、両者ともに背中から可愛い羽をのぞかせているお揃いスタイルだ。
「お料理も美味しいね」
 お花が乗ったマリネのカップを食べ終わり、縫は淡く微笑む。
 邪神教団が開催するパーティーではあるが未だ邪悪な雰囲気はしない。一般人もいるということで手荒な真似を行うつもりはないのだろう。
 縫は特別なこの雰囲気が何だか楽しく感じ、せっかくだから色々と見て回ろうと決めていた。ありがとうございました、とケータリングテーブルにいたシェフに告げてから歩き出した縫は様々な人達を眺める。
「セクシーなバニーさんから格好いいバニーさんまで色んなバニーさんがいるね」
 兎姿になっているのはみんな仲間。
 だから、すぐに頼れる人達がいると思うと心強い。
 ふわふわとした気持ちで歩いていると、不意に誰かにぶつかった。
「……わ」
「きゃ……ええと、大丈夫だった?」
 ぽふ、という軽い衝突音の後、聞こえたのは――今はアイドルとしてウィッグを被り、口調もそれらしく変えている状態の智華の声だった。
「へいきだよ。ごめんね」
「ううん、こっちこそ余所見をしていてごめんなさいね」
 智華はぽんぽんと縫の頭を撫で、うさみみパーカーがよく似合っていると褒める。
 そして、小声でこっそりと縫に告げた。
「実は、ちょっかいを掛けてきた人がいて……あの人、邪神教団の幹部らしいの」
 びっくりしないで、と年下の少女に語る智華は会場のテーブル脇に立っている男をそっと示す。黒いスーツを着込んだ一見は普通の男性だ。
 しかし彼は先程、智華に妙なことを告げた。
『いいか、お前達アイドルは特別なショーまでは絶対に帰らないことだ。他の客は途中で帰すが、お前達にはやってもらうことがあるからな』
 男はそのように威圧的に語ったらしい。
 アイドルだけを残すということはつまり猟兵や教団関係者、或るいは本当のVIPだけが会場に残されるということだ。
 それは好都合でもあるが、やはり妙だ。
「ぬいたちは……このまま過ごしていればいいってことかな……?」
「そうね。それまではおかしなことをしない方がいいのかもしれない」
 智華は縫に頷きを返し、くるりと踵を返した。
 その際に彼女が纏っていたバニー服がふんわりと揺れる。智華が着用しているのはノースリーブとスカートが合わさった服であり、とても愛らしい。
 うさみみカチューシャも実によく似合っていて、縫はとても綺麗だと感じた。
「じゃあ、あっちでお食事をする?」
 縫が誘うと智華が振り向き、ケータリングテーブルを見遣る。
「そ、そうね……本当はあれこれ食べたかったの。アイドル演じてる今は我慢しようと思ったケド……誘われたなら仕方ないものね」
「お花が乗ったの、美味しかったよ。いこ?」
「ええ、行きましょう!」
 ずっと我慢していた食事に誘われたことで智華は大いに反応してしまった。
 何故なら、あんなに豪華で綺羅びやかな食事なのだから気にならないはずがない。うん、と頷いた縫は先程までいたテーブルに導くように、智華をいざなった。
 そうして暫し、嵐の前の静けさにも似た穏やかな時間が流れてゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロエ・アスティン
POWで判定

「あ、あの、流石にこれはもう少し大人の人が……」
きちんとしたバニースーツなので詰め物をしつつ体を締め付けているのでずれる心配はなさそうですが……
うぅぅ、やっぱり恥ずかしいであります。

こそこそと会場の隅っこで隠れて食事を楽しもうと思ったでありますが何か視線を感じるであります?
はっ、も、もしや邪神教団にバレてしまった!?
正体を勘繰られる前になんとかしなくちゃです!

「勇気」を振り絞って怪しい視線を向けてきていたおじさんに話しかけてみますが、どうやらただのロリコンさんだったであります!
って、それはそれで嫌でありますーーー!!?

※アドリブや他の方との連携も大歓迎



●ちいさいは可愛い
 オフショルダータイプの上着。
 其処から大胆に露出した胸元。あらわになった脚には網タイツ。足元を妙に強調した形のバニー服を着たクロエは今、とても困惑していた。
「あ、あの、流石にこれはもう少し大人の人が……」
 バニースーツには詰め物をして、きっちりと体を締め付けているので胸元などがずれる心配はないが、クロエにはやはり難易度が高すぎる。主に心情的な難度だ。
 しかし、あれよという内に着せられていったバニースーツはもう一人では脱げそうにない。脱いでしまっても代わりがあるかどうかも怪しい。
「うぅぅ、やっぱり恥ずかしいであります」
 頬が熱くなっていると感じながら、クロエはこっそりと会場に向かった。
 彼女が暫し過ごしていたのは会場の隅っこ。
 ケータリングテーブルからささっと料理を取り、隠れて食事を楽しみながら何とか時間をやり過ごそうと決めていたからだ。
「これは美味しいであります。何かの高級食材でありますか……?」
 見た目重視で選んできたゆえに何であるかは分からなかったが、エディブルフラワーが散らされた料理は鮮やかで目も楽しませてくれる。
 しかし、そんな中でクロエがはっとした。
(何か視線を感じるであります? も、もしや邪神教団にバレてしまった!?)
 妙に絡みつく視線を察知したクロエは料理を置き、正体を勘繰られる前になんとかしなければと身構えた。だが――。
「キミ、かわいいねえ」
 現れたのはニヤニヤとした笑みを浮かべる男だった。
「な、なんでありますか?」
「いやあ、ボクは小さな子が大好きでね。ああ、大丈夫だよ。じっくり見せては貰うけどノータッチの誓いを立てているからねえ」
「はっ、はいであります!」
 にこにことした笑顔で話しかけてくる彼はどうやら悪人ではないようだ。
 でも、しかし、やっぱり。
(ただのロリコンさんだったであります! それはそれで嫌でありますーーー!!?)
 心の中で叫んだクロエ。
 バニー姿を褒められるのは嬉しいがとても複雑な気持ちだった。
 そうして暫く、やっとロリコンさんから解放されたクロエはどっと疲れたような感覚をおぼえていた。しかしこの先には戦いが待っている。
「うぅ、気を取り直しておいしい食事を取るであります……」
 きっとそれくらいは許されるだろうとして、クロエはテーブルへと駆けていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

朝沼・狭霧
ベイメリア(f01781)と【POW】
【アドリブ歓迎】
なぜ、バニー服
邪神の考えることは分りませんね
まあ、とりあえず楽しんじゃいますかね
黒のバニース―ツで参加
ベイメリアもバニースーツとても魅力的ですよ

ちょっとナンパとかいってみようかしら
「はーい、私たちと遊びませんかぁ?」
流し目をおくったり、軽く煽情的なしぐさをしたり・・・

何人ぐらいつれるかしらね?
まあ、あまり遊ぶと真面目な
ベイメリアが大混乱しそうなので
ほどほどにナンパ相手をあしらいます

そうねワルツを踊るのもすてきね
これがほんとのうさぎのワルツってわけですね
ベイメリアの手を取り優雅にワルツを刻みます
ぴょんこ♪


ベイメリア・ミハイロフ
狭霧さま(f03862)と【POW】
深紅のバニースーツで参加
アドリブ歓迎


バニー姿だなんて照れてしまいそうでしたが
皆さまも着られているからか、そんなに恥ずかしくないですね
狭霧さまもお耳がぴょこんとしておかわいらしいです
めいっぱい楽しみましょう!

トレーやお皿に食べ物や飲み物を持って
皆さま、こちらはいかがでしょう?と
配膳でお偉方にコネ的なものを作るふりを…
って狭霧さま?!これはナンパなのでございますか?!!(どぎまぎ)

折角の機会でございます
この格好でワルツを踊っちゃいましょうか
うさぎのワルツ、わたくしも存じ上げておりますよ
♪たらったらった…といった曲調でございましょうか
手を取り合い足取り軽く踊ります



●黒と紅の兎
 何故、バニー服が正装なのか。
 邪神の考えることは――もとい、このパーティーを主催している邪神教団のお偉方の考えは分からない。
 しかしそれを深く考えてはいけない。
 きっとただの趣味だとか、そういうイベントであるという理由しかないからだ。
「まあ、とりあえず楽しんじゃいますかね」
 ねえベイメリア、と声を掛けた狭霧が見遣った隣には深紅のバニースーツを着込んだ愛らしい姿が見える。
 首元にはリボン付きの付け襟。
 手首には白を基調にした金釦のカフス。そして、頭には兎のカチューシャ。おまけに後ろにはふわふわのラビットファーのしっぽ。
 揃いの黒のバニース―ツを着た狭霧とベイメリアが並ぶと実に印象的で美しい。
「バニー姿だなんて照れてしまいそうでしたが……皆さまも着られているからか、そんなに恥ずかしくないですね」
 ベイメリアはほっとした様子で微笑みを返し、みてください、とバニーだらけのパーティー会場を示した。狭霧も笑みを浮かべながら其方を見遣り、そっと頷く。
「ベイメリアもバニースーツとても魅力的ですよ」
「狭霧さまもお耳がぴょこんとしておかわいらしいです。さあ、今日はめいっぱい楽しみましょう!」
「ええ、行きましょうか」
 並んで歩く二人は賑わうパーティーへと踏み出した。
 人々でざわめく会場。
 フロアは薄暗いが星のライトがあることで歩き辛くはない。狭霧は少しだけ周囲を探る目的で、ちょっとばかりナンパをしてみようと考えた。
「はーい、私たちと遊びませんかぁ?」
 流し目を送り、軽く煽情的な仕草をしてスーツ姿の男に話しかける。すると相手は紳士的に笑み、一緒に踊るかい、と優しく問いかけてきた。
 反応は思っていたのと少し違う。
 まだもうちょっと後にするわ、とやんわりと断った狭霧は、此処が意外とまともな場所なのだと感じ取っていた。少なくともセクシー路線で攻めて何人も釣れるような猥雑なパーティーではない。
 考えてみれば、バニー姿の招待客は後で邪神に捧げられるのだ。手を出して連れ帰るような輩がいては教団も困るのだろう。
 すると其処にトレーを持ったベイメリアがやってきた。
「皆さま、こちらはいかがでしょう?」
 お皿に食べ物や飲み物を持ち、甲斐甲斐しい配膳を行うベイメリア。彼女はお偉方にコネを作る目的で動いていた。
 彼女の姿を見た先程の男も興味を示し、良い娘さんだと微笑んでいる。
「ベイメリア、この方が一緒に踊らないかですって」
「って狭霧さま?! これはナンパなのでございますか?!!」
 くすりと笑んだ狭霧が話しかけると、ベイメリアは驚いてどぎまぎしてしまう。そんな彼女の反応も愛らしく感じ、狭霧はナンパをそこそこで切り上げた。
 そうして暫しの時間が流れる。
 客の相手を終えた二人はふと、会場に音楽が流れ始めたことに気付く。ワルツだと察したベイメリアは隣の狭霧に手を差し伸べた。
「折角の機会でございます。この格好でワルツを踊っちゃいましょうか」
「そうね、一緒に踊るのもすてきね」
 狭霧はその手を取り、フロアの中央へと踏み出す。音に合わせて緩やかに、けれども其処に少しの情熱を込めて――。
「これがほんとのうさぎのワルツってわけですね」
「うさぎのワルツ、わたくしも存じ上げておりますよ。たらったらった♪」
「ぴょんこ♪」
 戯れの言葉を交わしながら、二人は息のあったステップを踏んで踊ってゆく。
 穏やかな音色の中で手を取り合えば、自然に足取りも軽くなり――優雅なひとときは静かに、そして楽しく和やかに流れていく。
 重なるのはステップだけではなく、互いの緑の瞳と黒の瞳が織り成す視線もだ。
 黒と紅。
 其々の彩を纏ってくるくると廻る姿は美しく、暫し兎達のワルツが刻まれていく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イアンノ・ェウァニ
✿手動おまかせ
✿創作・NPC含め絡み歓迎
✿UCどれでも!

160cmほどの半人半樹の神様
喉も木化し歪な声、喋るのは極まれながら表情しぐさが雄弁

怖がり泣き虫、世間しらずで隙だらけ
へっぽこだけど、すなおで心やさしい女の子
策より感情派、人命や支援を優先し敵にも心を傾けがち
銃に宿る精霊ルゥアは迷う彼女のよき牽引者

文明により滅びに瀕した一族を救うため、
人にかつての「おそれ」を思い出させるべく合一した樹と朝の神話
しかし元来一族の中でも人好きで、人のしあわせも奪いたくない感情と板挟み
皆が救われる道を探し、在りし日々への手がかりを求めオブリビオンを追う

「ゥ!」
「……、――?」
「…ァ……ギぁ、ト!」(ありがとう)



●誰かの声
 二段重ねのケーキのようなふわふわとしたフリルスカート。
 その背にちょこんと乗ったクリームめいた白い兎のしっぽ。ロールカラーの襟元にはリボンタイ。そして足元はガーターベルトとショートブーツ。
「――♪」
 可愛く仕立てあげてもらったことに上機嫌な表情を浮かべ、イアンノは秘密のVIPクラブのフロアをとことこと歩く。
 それはまるで森に住む妖精のようでとても愛らしい。同時に神々しくも思えるのは彼女が元より神様として在る者だからかもしれない。
 イアンノは周囲を見渡す。
 会場では様々な人が色んな話をしていた。
 景気がどうだとか。仕事がどうだとか。自慢の息子や娘の話をしている者もいれば、不機嫌そうに他人への愚痴を言っている者まで。
 どの話にも人間らしさがあった。
 綺麗なだけではない。そして、『おそれ』を忘れたように語り、騙る。
 けれどもイアンノは彼らに何にも言わない。言えない。
 今は言うべき時ではないから。
 そして、告げるべき声も今此処にはないから。
 けれどもイアンノは話に耳を傾け続ける。聞き続ける。
 何処かに邪神の使徒がいるから。
 そして、その悪意を捉えようとしているから。
「……、――?」
 或る時、イアンノは誰かが笑うような声を聞いた。それはパーティーに出席している人々の声ではなく、何処か遠くから幽かに響いてきた声だ。
 くすくす。
 ふふ、うふふ。
 そんな声が、幾つも。まるで遠くから此方を見定めて笑っているような――。
 イアンノはもう一度耳を澄ませてみる。
 だが、もうその笑い声は聞こえなくなった。誰の声であるのかは解らず終い。それでもイアンノは何となく、きっとそうなのだろうと察していた。
 声の主は件の邪神だ。
 此処ではない何処かから邪神は自分達を見つめている。しかしまだそれらが出てくる時ではないのか、僅かにあった気配も徐々に薄くなっていった。
 それらはきっと、人のしあわせを奪うもの。
 だから戦うしかないのだと感じながら、イアンノはパーティー会場を再び見渡した。
 けれど、今は戦う時ではない。
 それならばもう少しだけ、この賑やかな時間に身を委ねてみようと思った。
「ゥ!」
 淡く白む朝の彩を映したような双眸を緩めたイアンノは歩き出す。ふわふわした白い兎の付けしっぽはひとときの穏やかさを楽しむように、緩やかに揺れていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリス・ステラ
【逆星】

ウサ耳に黒色主体のバニースーツ姿は金髪がより映えます
普段の祭祀服ではわからないスタイルの良さを惜しげもなく披露

「どうでしょうか、サカガミ。似合っていますか?」

ポーズを取って感想を求める
彼はというと、アイドル衣装も良かったですが、今の姿のほうが似合っていると思います

パーティーでは飲食を楽しみます
しかし戦いの前ですからほどほどに

「サカガミ、洋梨のタルトが素晴らしいです」

食べさせようとして自重、もう彼は子供ではありません
ドリンクはカクテルがあれば手を取り、サカガミにはジュースを差し出す

「もうすぐ誕生日ですね。当日はお祝いをしましょう」

微笑んで結局「はい、あーん」と差し出す
サカガミは可愛いです


無銘・サカガミ
【逆星】

ああ、助かった…。舞台では女装するはめになったから、よもやこちらでもと思ったが…流石に普通の燕尾服を用意してもらえたな。

「…うん。綺麗、かな。」
バニースーツを身に纏った彼女はとても綺麗で、胸がどきっと…これが、色っぽいってやつなのかな。

流石に二度はお立ち台に立たないよ…ゆっくりと一緒に飲み食いしようか。

「また随分と美味しそうなものだ。…場所さえよければな。」

いつもとは違い食べさせようとはしてこないのは…いやいいんだが。少しだけ寂しい…ああいや、何でもない。

「お祝い、か…うん。」

何だかんだでまた食べさせられる。
まったく、もう…



●お祝いに一匙を
 揺れる兎耳、ふわりとした尻尾。
 パーティー会場に姿を現したのはバニー服を着用したマリスとサカガミの二人。
 マリスはスタンダードなバニースタイル。サカガミはシックで落ち着いた燕尾服。少年の漆黒の髪は服にとても馴染んでおり、マリスの金の糸髪は黒の生地に重なりよく映えて見える。
「どうでしょうか、サカガミ。似合っていますか?」
「……うん。綺麗、かな」
 振り向いて問いかけるマリスに、サカガミはこくりと頷いて答えた。
 普段の祭祀服ではわからないスタイルの良さが強調されており、サカガミは少しばかりどきっとしてしまった。これが色っぽいというものなのかと考えたが、彼はただ素直に綺麗だと伝えるだけに留める。
 マリスはそう告げられたことに対して微笑み、軽くポーズを取ってみた。
 胸元が印象的な服は身体のラインまで強調している。
 軽く腕でも上げようものなら胸から腰、下腹部に続く流線がよく見えてしまう。思わず会場の人々から彼女を隠すように佇み直すサカガミ。そんな彼の行動にマリスは首を傾げる。
 そしてマリスは燕尾服姿のサカガミをじっと見つめた。
「アイドル衣装も良かったですが、今の姿のほうが似合っていると思います」
「ああ、助かった……。舞台では女装するはめになったから、よもやこちらでもと思ったが……流石に普通の燕尾服を用意してもらえたな」
 ほっとした様子のサカガミに淡く微笑み、マリスは少しからかいの言葉を向ける。
「今の格好でもステージに立てそうですね」
「流石に二度はお立ち台に立たないよ……」
 彼が肩を竦めると兎の耳もぴょこんと揺れ、微笑ましい光景が巡った。
 そうして二人は会場の奥へ進む。
 件の時間までは自由に過ごして良いらしいので、向かったのは様々な食事が並べられたケータリングテーブルだ。
 色とりどりに飾られた見た目も美しい料理の数々。
 すごいな、と思わず感想を落としつつじっくりとテーブルを眺めるサカガミに対して、マリスは既にスイーツコーナーへと歩を進めていた。
 クリームが花の形になっているミニカップケーキ。艶めくチョコレートでコーティングされたギモーヴ。季節の果実をしようしたタルトなど、品揃えも多い。
「また随分と美味しそうなものだ。……場所さえよければな」
 忘れてはいけない。
 此処は邪神教団が運営する場所なのだと己を律し、サカガミは辺りを見回す。するとマリスが嬉しげに彼を呼んだ。
「サカガミ、洋梨のタルトが素晴らしいです」
 美味しい、とフォークでもう一口分を自分の口に運ぶマリス。その流れで彼にも食べさせようと考えたが、マリスは自重する。
 何故ならもう彼は子供ではないのだからと考えたからだ。
 そしてマリスはカクテルを傾け、サカガミにはジュースを差し出した。
「……?」
「どうしましたか、サカガミ」
 飲み物を受け取った少年はマリスが普段のように自分に何かを食べさせてこないマリスにふと疑問を抱く。少しだけ寂しい気もしたが、しかしすぐに首を振る。
「ああいや、何でもない」
 答えた彼にマリスは良かったと頷いた。
 そして――。
「もうすぐ誕生日ですね。当日はお祝いをしましょう。はい、あーん」
 いつのまにか新しく皿に乗せられていたタルトがそっと彼の口許に運ばれてゆく。
「お祝い、か……うん。まったく、もう……」
 結局はいつもの通りに事が進む。そのことに安堵のような感情を抱き、サカガミは口を開けてそれを受け入れた。
 その仕草と言葉が可愛らしく思え、マリスはふたたび微笑みを浮かべた。
 そうして暫し、穏やかな時間が流れてゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

豊原・フィリス
うーん、アイドルの仕事って感じじゃないけど、これも業界の偉い人に顔を覚えてもらう営業って事なのかしら?

バニースーツはお腹の部分が大きくあいた変形バニースーツ
いつも着ている〔淫魔天使〕に似ているしこれにしーましょ

業界の偉い人っぽい人に主催者について『情報収集』
お酌したり『手をつなぐ』様にしたり胸元を強調して『誘惑』したり
『恥ずかしさ耐性』あるし結構大胆な事もやっちゃうわ

邪神教団の事ちょっとでもわかったらいいのだけど



●潜入調査
 高級感あふれるフロア。
 賑わう会場、人々のざわめき。
 フィリスはVIPとアイドルが呼ばれたというパーティー会場を見渡す。
(うーん、アイドルの仕事って感じじゃないけど、これも業界の偉い人に顔を覚えてもらう営業って事なのかしら?)
 ふと疑問に思ったのはそんなこと。
 無論これは本当にアイドルの仕事などではない。ただ邪神教団の幹部がそうしたいという口実で作り上げた空間でしかないのだろう。
 仕方ないわね、と呟いたフィリスは適度に会場を見て回ることにした。
 そんな彼女が身に纏っているのは腹部が大きくあいたバニースーツだ。普段から着ている淫魔天使に似ているので特に恥ずかしいこともない。
 そうして、フィリスは情報収集を行ってゆく。
 業界の偉い人のようだと感じた人にお酌をして機嫌を取り、笑顔を振りまく。
「さあ、一杯どうぞ」
「おお、こりゃ助かる。君は気が利くねえ」
 恰幅の良い男性と話す中、フィリスは彼の手をそっと握ってみたり、胸元を強調して誘惑したりと様々な方法で取り入ろうと狙った。
 だが、彼は予想とは反して紳士的だった。
「すまないが私には妻と子がいるのでね。アイドル業界も大変なのだろうと思うが、君もそういった営業はやめたほうが良い」
「……はい、ありがとうございます」
 邪神教団の関係者であるから邪だと思ったのだが、どうやら違うらしい。というのもきっと、この後の邪神に関係あるようだ。
 生贄にする為に集めたアイドル達に手を出し、別所に連れて行くような不埒な客はこの場に居てはいけない。生贄の儀式自体が失敗してしまうからだ。
(なるほどね……つまり、このパーティーは本当に主催者の趣味なのね)
 そうしてフィリスが男性に主催者について聞けば、スーツの胸元にこのクラブの名前が記されたピンを付けている人物だという話が聞けた。
(……開場の挨拶はしてたけれど、今は裏に引っ込んでしまったみたいね)
 おそらく特別なショーの準備を進めているのだろう。
 下手に邪魔立てすれば邪神も現れなくなるかもしれない。今は無理に動かぬ方が得策だと感じ、フィリスはもう暫しパーティーの様子を探ることにした。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリアドール・シュシュ
【螺子猫】
アドリブ◎
👗バニー
ツインテ

秘密のクラブなんて
何だかちょっぴり大人になった気分なのよ!(ほわわ
任務って事を忘れてしまいそう

まぁ!可愛いバニーボーイさんなのだわ!(ぱぁ
マリアは少し恥ずかしいのよ…
こんな格好したの初めてで
悪くない?本当?(上目遣い

高級料理もぐもぐ
このメニューは何かしら
美味しいのよ!

踊りは得意ではないけれどマルコと踊ってみたいのだわ
ふふ(手を取り
マルコはお上手ね、ダンス

見様見真似で踊る
時折足を踏んでしまい謝る
楽しく踊るのが大事
ゆるりと二人らしく

…!マリアはね、今とっても楽しいわ
マルコは?
今日は沢山あなたと歌ったり踊れて嬉しいの(ぎゅっと手握り

この時間がずっと続けばいいのに


マルコ・トリガー
【螺子猫】
服装は燕尾服
アドリブ歓迎

次は秘密のクラブに潜入か
クラブというものに行くのは初めてだよ
怪しまれないように予め調べて振る舞い方を学んでおこうか
で、バニーというやつになればいいの?
まあ、やるよ。仕事だからね

マリアもバニーになったのか
いつもと雰囲気が違うけど、まあ悪くないんじゃない?

料理を食べながら軽く談笑
ダンスを踊りたい?
ワルツなら事前に調べておいたから踊り方はわかるよ
周りの様子も見ながら見よう見まねで踊ろう
マリア、お手をどうぞ?

最初は形式どおりに踊ってみるけど、何か足りないな
マリアは楽しそうだね
こうして君と踊るのも悪く無いね
ボクもまあ……楽しいかな
形式なんて気にせず、このまま楽しもうか



●うさぎのワルツ
「次は秘密のクラブに潜入か」
「秘密の、だなんて何だかちょっぴり大人になった気分なのよ!」
「そういった所に行くのは初めてだよ。振る舞いもちゃんとした方が良いかな」
「そうね、高級な場所らしいからきっちりしていきましょう」
「で、バニーというやつになればいいの?」
「そうなの! 可愛いバニーさんらしいわ。任務って事を忘れてしまいそう!」
「まあ、やるよ。仕事だからね」

 ――というのが、マルコとマリアドールが潜入前に交わしていた会話。
 やる気も下準備も十二分。
 そんな二人は今、其々に用意された衣装に着替えてから会場で落ち合おうと決めて、待ち合わせていた。
 会場の隅、賑わうパーティーの様子をぼんやりと眺めているのはマルコだ。
 やはり女性は着替えにも手間取るのだろうか。待つのは構わないけど、と考える彼が着ているのはベストタイプの燕尾服。
 白いシャツの首元には蒼のリボンタイ。
 頭にはしなやかな白い兎耳をピンで止めており、燕尾服の背には丸い尻尾付き。胸元にはタイと同じ色合いの薔薇が飾られている。
 そして、其処にマリアドールが訪れた。
「お待たせしたのだわ……。まぁ! 可愛いバニーボーイさんなのだわ!」
 壁に背を預けていたマルコが顔を上げたことで、頭上の兎耳が微かに揺れる。待ってたよ、と告げる彼の仕草も兎耳があるだけで更に愛らしく見えた。
 ぱぁっと彼女の表情が明るくなっていく中、マルコはその姿を眺める。
「マリアもバニーになったのか」
「そうなの、マリアは少し恥ずかしいのよ……」
 こんな格好したの初めてで、と零した彼女が身に纏っているのはオープンショルダーのトップスにチュールレースのミニスカートを合わせたバニーガール衣装だ。
 足元は薄手のタイツ。片方の腿には細いベルトが巻かれている。
 兎耳に尻尾、ヒールも含めて全体的な色は黒で纏められており、ふんわりとしたスカートだけが白という出で立ちだ。
 するとマルコが大丈夫だというように頷く。
「いつもと雰囲気が違うけど、まあ悪くないんじゃない?」
「悪くない? 本当?」
 マリアドールが上目遣いに問い返せば、マルコはもう一度首肯した。その一言で恥ずかしさなど何処かに行ってしまったようで、マリアドールは微笑んだ。
 そして、二人はパーティーを楽しみに向かう。
 エディブルフラワーで彩られた料理はどれもが美味しく、見た目も美しかった。
 高級食材がふんだんに使われた品々を口にする白兎と黒兎。二人はまるで、遠い不思議の国から訪れた賓客のようだ。
「このメニューは何かしら。美味しいのよ!」
「本当だ。食べられる花……? 不思議だけどすごいな」
 そういった言葉を交わし、楽しい時間を過ごしていると不意に会場のライトが印象的に淡く輝きはじめた。
 流れる音楽も優雅なものになり、マリアドールは光の下に目を向ける。
 其処で始まったのは手を取り合って踊る円舞曲だ。マリアドールは隣に立つマルコに視線を向け、そっと申し出る。
「あの……踊りは得意ではないけれどマルコと踊ってみたいのだわ」
「いいよ、事前に調べておいたから踊り方はわかるから」
「ふふ、お勉強してきたものね」
「仕事だからね。さあマリア、お手をどうぞ?」
「ええ!」
 マルコから差し出された手を取り、マリアドールは淡く笑む。其処からフロアの中央に踏み出した二人は見様見真似ながらも優雅に踊ってゆく。
 時折、足を踏んでしまって謝るマリアドールだが、マルコは緩く首を振る。
「ごめんなさい……」
「いいよ、マリアが楽しそうだから。こうして君と踊るのも悪く無いね」
「……! ええ、そうよ。マリアはね、今とっても楽しいわ」
 大丈夫だと言ってくれる彼の優しさに表情を輝かせたマリアドールは、ぎゅっと手を握り返しながら問いかける。
「マルコは?」
「ボクもまあ……楽しいかな」
 その答えを聞いた彼女は更に笑みを深めた。マルコもまた、形式なんて気にせずに楽しむことが大事だと感じて静かに頷く。
 二人でくるくると踊る今という時間に心地良さを抱きながら、マリアドールは心からの言葉を紡いだ。
「今日は沢山あなたと歌ったり踊れて嬉しいの」
 ――だから、この時間がずっと続けばいいのに。
 言の葉から続く思いは胸に秘めたまま。少女達は緩やかな音楽にあわせて踊る。
 ゆるりと、二人らしく。
 今というひとときだけはこうして、廻る時間に身を委ねていよう。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朝日奈・祈里
バニーガール、およびバニースーツ
これは主に、女性の性的主張が目的である
…故に、幼女であるぼくさまが着用するのは無理がある…
……んだが。
…何故ぴったりサイズのがあるんだ?
幼女趣味が居るの?ペドフィリアと呼ぶぞ…?

あるなら仕方ないし
仕事ならなおさらだ
幼女体系をバニースーツに包み込んで仕事開始

後々動きやすいように情報を集めておくか
流石にアルコールを給仕するわけにもいかないから、空いた皿やグラスを回収しよう
さりげなく回収に回り、聞き耳を立てる

さて、邪神さまに気に入られるように可愛らしく振舞っておこう
手下と思わしき人に話しかけられたら己を売り込み
もちろんアイドル的スマイルを伴って

…つ、疲れる!



●幼女バニーと不吉な声
 バニーガール、およびバニースーツ。
 そう呼ばれるものは主に、女性の性的主張が目的で存在しているもの。
 例えば奇術師の衣装として、カジノのディーラーとして。或いはショーのアシスタントや飲食店の接客係として。
 それらは働く者である。つまり、この世界のルールに則るなら成人女性、或いは労働を許されている年齢の女性が着るべき衣装とされる。
 故に、祈里(八歳)が着用するものではないはず。
 だが――。
「……何故ぴったりサイズのがあるんだ?」
 祈里は現在、クラブに着いた早々渡された衣装を見つめ、鏡の前で溜息をついていた。つまりはそう、祈里にジャストフィットなサイズのバニー服が存在するということがおかしいという話だ。
「幼女趣味が居るの? ペドフィリアと呼ぶぞ……?」
 絶対に主催者の趣味でしかない格好だと感じながら、祈里は衣装に袖を通した。
 兎耳ヘアバンドに兎尻尾付きの肩出しスーツ。
 首元は付け襟にリボン。唯一の救いは腰元に申し訳程度のフリルスカートがついていることだった。
 しかし、幼女専用バニー服があるのならば仕方ないし、そもそも夜のクラブに子供が居ることが黙認されているし、これが二重の意味での仕事なら尚更。
 そして、祈里は或る種の覚悟を決めてパーティーに踏み込んだ。

「こんばんはー! いのりです!」
「おや、あの元素の歌を歌ってた子かね」
 愛嬌を振りまく相手はケータリングテーブルの近くにいた重役らしい男性達。ぺこりと愛らしくお辞儀をすれば頭上の兎耳がふわふわと揺れる。
「これ、もう食べ終わったお皿ですか? いのりがお片付けしますねっ!」
 給仕はせずに空いた皿やグラスを受け取り、甲斐甲斐しくお辞儀をしていく祈里。礼を告げた男性達はその後ろ姿を見送り、ぴこぴこ揺れる尻尾に手を振る。
(最高に可愛い……)
(実に素晴らしい……)
 彼らがそんなことを思っていたのは、さておき。
 祈里は明るく元気で頭の良い幼女アイドルを演じながらさりげない情報収集を行っていった。だが、いくら祈里がハイパー天才少女だとしても気疲れはする。
「……つ、疲れる!」
 隅っこで少しだけ休憩を、と祈里が壁に寄りかかった。
 そのとき――。
「ん?」
 ざわめきの中からくすくすと笑う幼子のような声が聞こえ、祈里は顔をあげた。
『あの子、すてきね』
『だめ、あれはわたしが貰うわ』
 一瞬、ぞわっとした感覚が巡る。すぐに気を取り直した祈里は声の主を探ろうとしたが、周囲には自分以外の幼い子供などおらず、気配も人々の中に紛れてしまった。
 あれは件の邪神の声だ。
 直感ではあったが、確信した祈里はゆっくりと息を吐く。
 狙っているのはおそらく自分か。ならば、来るなら来れば良い。そんな思いを抱いた祈里はもう一度、賑わう会場を見渡した。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

砂羽風・きよ
♥️ぷぷ…きよ似合ってるよ……うぷぷ。

いや、笑うなよ!言っとくがお前俺と一緒の顔だからなっ!?

漫才みたいな会話をしつつ
豪華なご飯の前に辿り着けば、2人してもりもり食べる

♥️きよー!ここのご飯めちゃウマだよ!ほらほら、ステーキ!

確かに旨いな。おい、そこの肉どこにあった?

つーか、俺ら以外に漫才やってる奴いたか……?
い、いや、別にいーんだけどよ。そっちの方が良かったか?ごにょごにょ……

♥️えー、きよ、いーじゃない!私と組めて良かったでしょ?
何ならここでもう一回コントしても良いわよ!

いやいや!やらんやらん!つーか、オネェ口調戻ってるぞ!やめろ!やらねーからな!

ライトの下で騒ぎつつ周りにいる人達とお喋り



●ひとりでふたり
 薄暗くも高級感あふれる雰囲気のある会場内。
 きよ達は今、黒と白の燕尾服スタイルのバニー服に身を包んでいた。
「ぷぷ……きよ似合ってるよ……うぷぷ」
 口許を押さえて必死に笑いをこらえているのは、きよのもうひとりの自分。彼は黒いスーツにピンクのリボンタイを添えた格好だ
 そして、その視線の先には白いスーツに橙色のネクタイを締めた格好をしている。
 しかし彼が笑っているのは服装についてではない。
 きよの頭にはお花付きの可愛らしい白兎耳カチューシャが飾られており、更にはリボンを巻いたふわふわの丸尻尾が背についているからだ。
「いや、笑うなよ! 言っとくがお前も俺と一緒の顔だからなっ!?」
 色違いなだけだろ、ときよが示す彼の姿もまた、全体的な色合いが黒である以外は同じ出で立ちだ。しかし彼は笑うことを止めない。
 周囲の人々も「あら可愛い」だとか「似合ってるぞ」とくすくすと、しかし親しみを込めた様子で笑っていた。
 まるでステージの漫才が続いているかのような雰囲気だ。そして、変わらぬノリのやりとりを続ける二人は会場の奥に歩いていく。
 其処にあったのは立食スタイルで展開される食事の数々だ。
「うわ、豪華……!」
「しかも綺麗!」
 エディブルフラワーで彩られた料理は鮮やかだ。そして、普段からそういったものにあまり触れていないきよでも分かるほどの高級食材がふんだんに使われている。
「きよー! ここのご飯めちゃウマだよ!」
「確かに旨いな」
「ほらほら、ステーキ!」
「おい、そこの肉どこにあった?」
 それまで軽い言い合いをしていた二人はすっかり食事に夢中。健康な成人男性らしく、もりもりと料理にありつき始めた。
「こっちこっち!」
「美味すぎる……」
 料理に対して純粋な感動を覚える中、きよはふと周りを見渡した。思えばバニー服姿の猟兵は皆、先程のステージで歌や踊りで挑んでいたように思う。
「つーか、俺ら以外に漫才やってる奴いたか……?」
「いーじゃない! 私と組めて良かったでしょ?」
「い、いや、別にいーんだけどよ。アイドル路線の方が良かったか?」
 軽く肩を竦めたきよに、彼は軽く笑ってみせる。
「どっちでも変わらないわよ。何ならここでもう一回コントしても良いわよ!」
「いやいや! やらんやらん! つーか、オネェ口調戻ってるぞ!」
「えー、きよってばー」
「やめろ! やらねーからな!」
 そんなやりとりもまた賑々しく、次第に彼らの周りには人々が集まっていた。
 どうやら漫才がまた始まるのかという期待が寄せられているらしい。それに彼らが応えたのかどうかは、また少しだけ別のお話。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
アケガラス(f02368)と
白い耳と燕尾服

ドレスと耳を見て
わあっ
すごくにあってる

会場を見渡して
(アケガラスがたべてるのはみたことないもの
わたしもほんとうは食べなくてもだいじょうぶだから)

ね、アケガラス
おはなししようっ

こうしてふたりでゆっくりと話すことはなかったもの
すきなものとか、すきな色とか
わたしはね、花がすきなんだ
おうちのちかくにたくさんさいてたから

アケガラスもすきなの?
いっしょだねっ

コスモスはたくさんさいてきれいだし
きんもくせいはいいにおい
わたしはね、たんぽぽがすき
ひまわりもっ

今度、アケガラスのおうちのお庭
見てみたいな

星のライトに
やっぱりもういちど、いっしょにおどろうっ
笑顔で手を差し出して


彼者誰・晶硝子
オズ(f01136)と

ええと、ドレスに、うさぎ耳で
ふかふかのかわいい生き物を真似た姿、わたしに似合うのかな…
オズは柔らかな金髪に、ぴょこんとした耳が良く似合うわ

それにしても、これだけのひとがうさぎ耳だと、メルヘンな空間、ね
教団のひと、かわいいのが好きなのかしら?

おはなし?
そうね、ステージ、楽しかったけれど、オズはたくさん動いていたから、つかれたかしら
ゆっくりしましょう
わたしもお花、すきよ
うちの庭も、お花がたくさんあるの
そこで、朝にゆっくりすごすのが、すき
今の時期は、コスモスに、金木犀に…
オズは何の花がすき?

まあ、良いの?
そっと手を取って
さっきはお客さんの為だったけれど
今回は、ふたりのダンスね



●花と星と煌めきと
「――お待たせしたかしら」
 晶硝子の声と共に、仄かな星のライトの下でドレスの裾がふわりと揺れる。
 パーティー会場の片隅、彼女が着替え終わるのを待っていたオズは顔をあげた。
「わあっ、すごくにあってる」
「そう、かしら。ありがとうオズ」
 思わず零れ落ちた感嘆の声。それを聞いた晶硝子は頬に手を当てる。
 彼女の出で立ちは肩を大胆に出したドレスタイプのバニー服だ。首元には白の付け襟と細身のリボンを緩く巻いて、胸元は敢えて主張しないドレープタイプ。代わりに足元が大きくひらいたマーメイドドレスになっており、婀娜やかさがあった。
 晶硝子の頭には衣装と同じ黒の兎耳カチューシャが装着されている。よく見ればドレスの背にもふわふわの尻尾がついていた。
「ええと、これは、わたしに似合うのかな……」
 褒められたとはいえ、晶石たる自分がふかふかのかわいい生き物を真似て似合うのだろうか、という思いが巡る。
 晶硝子がぎゅう、と腿辺りのドレス生地を握る中、オズは明るい笑顔を浮かべた。
「うんっ、とってもきれいだよ」
 彼の笑顔には嘘がなく、晶硝子もつられて微笑む。それから晶硝子はオズが身に纏っている燕尾服にも目を向けた。
「オズはその髪の色に、ぴょこんとした耳が良く似合うわね」
 柔らかな金髪に伸びる白い兎耳。
 きっちりとしたベストタイプの燕尾服を着こなす彼は凛々しくも可愛いらしい。更にオズが首元に巻いているリボンは、晶硝子が襟元に結んでいるものとお揃いだ。
 ちいさくとも同じ部分があることが嬉しくて、オズの心も不思議と浮き立つ。
 そして、二人はパーティー会場を見渡した。
「それにしても、これだけのひとがうさぎ耳だと、メルヘンな空間、ね」
 教団のひとはかわいいのが好きなのかしら、と呟く晶硝子は見事にバニー服一色のフロアを見つめる。
 猟兵達は其々に好きなように過ごしているようだ。
 奥には様々な料理が並ぶテーブルがあり、高級そうな食事や色鮮やかな甘味を楽しむ者が多い。けれども、オズは其方に足を向けない。
 彼女が何かを食べているところを見たことはないし、自分だってほんとうは食べなくてもだいじょうぶだから。
 それなら、とオズは思い立った。
 晶硝子がゆるりと周囲を見渡しているところへ、オズは手招きする。
「ね、アケガラス。むこうでおはなししようっ」
「おはなし?」
 おいでおいでと誘ったのは会場の片隅。
 星のライトがふんわりと照らす穏やかな場所だ。其処にあったビロード張りのソファを示し、オズは晶硝子をエスコートする。
 歩く度にお互いの兎耳と尻尾がゆらゆら揺れるのも楽しい。
 それから二人は豪奢なソファに腰掛け、天井の星光を見上げる。その光は二人で立った舞台を思い起こさせてくれた。
「こうしてふたりでゆっくりと話すことはなかったもの。だから、ね」
「そうね、ステージ、楽しかったけれど、オズはたくさん動いていたから、つかれたかしら。ここでゆっくりしましょう」
「じゃあね、すきなものとか、すきな色をおしえてっ」
「ええ、わかったわ」
 微笑みあう二人は会話に興じていく。
 まずは自分から、と示して語るオズは双眸を細めた。
「わたしはね、花がすきなんだ。おうちのちかくにたくさんさいてたから」
 きれいだったんだよ、と話す彼が両手を広げる様に晶硝子は微笑ましさを覚える。口許を緩めた彼女は自分の居るところも少し似ているのだと話した。
「わたしもお花、すきよ。うちの庭も、お花がたくさんあるの」
「アケガラスもすきなの? いっしょだねっ」
 そして、晶硝子は語る。
 好きなことは、そこで朝にゆっくりすごすこと。
 今の時期にたくさん咲くコスモスに、良い香りの金木犀。アスターにサルビアの色合い、セージの香りなんかも良い。庭の光景を思い出した晶硝子はオズに問い返す。
「オズは何の花がすき?」
「わたしはね、たんぽぽがすき。ひまわりもっ」
「お陽さまのいろね。オズの髪も花に似ていて、すてきよ」
 蒲公英も向日葵も季節が巡れば自分の庭に咲くのだと告げると、オズは瞳を緩やかに輝かせた。
「ふふ。今度、アケガラスのおうちのお庭、見てみたいな」
 互いに好きな物を話す二人の間に流れる時間は穏やかだ。そうやってひとときを過ごす中、ふと優雅な音楽が耳に届いた。
 アケガラス、とオズが呼ぶ声に顔を上げた彼女は首を傾げる。
 そのときにはもう彼は立ち上がっていて、星のライトの下で手を差し伸べていた。
「やっぱりもういちど、いっしょにおどろうっ」
「まあ、良いの?」
 淡く笑んだ晶硝子はそっとその手を取り、ソファから腰をあげる。
 重なる手と手。そして、笑顔。
 舞台のダンスは観客の為のものだったけれど、今は――。
「ふたりのダンスね」
「うんっ いこう、アケガラス」
 繋いだ手を優しく握って、オズは晶硝子を再びエスコートしていく。
 そうして踏み出した先。
 くるくると踊る二人は、優雅に巡る時間の中にそうっと身を委ねた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

百鳥・円
ぴょんぴょんぴょーん!
バニーなまどかちゃん完成ですよっと!
狐耳はしまって、腰翼はそのままで
バニーエンジェル、ポイント高いでしょ!
サービス等はオプションでお願いしまーす

きょろきょろ見渡せばお偉いさんばっかり
ドレスじゃなくてバニーなの誰の趣味なんでしょ
いー趣味されてますね、握手ものですん
なーんて、

誰が敵で、誰が味方か分かんねー空間ですけど
こーいうのは楽しんだもの勝ちってヤツです
と、いうことで!
わたしはお食事をいただきますん
血の滴るよーなレアステーキもいーですね
でもでも勿論甘いものも忘れずに!
舌の上で転がすチョコレートなんか最高ですん
美味しいものなら幾らだって食べられちゃう
なんせ腹ペコ乙女ですから!



●兎天使は甘やかに
 ぴょんぴょんぴょーん!
 明るく華やかに、そして魅力たっぷりにくるりと回った円。
 フリルたっぷりな黒のスカートが揺れる背には真っ白な丸尻尾。そしてミルクティーを思わせる淡い茶の髪には同じく白の兎耳カチューシャが飾られている。
 片耳にはブラックバッカラの薔薇髪飾りを添えて。更には尻尾を際立たせるように腰の翼がゆわりと揺れていた。
「バニーなまどかちゃん完成ですよっと!」
 双眸を細めた円は鏡で自分の姿を確かめた後、パーティー会場に向かう。
 その出で立ちはバニーエンジェル。
 きっとポイントも高いだろうと感じつつ、円は戯れに花唇をひらいた。
「サービス等はオプションでお願いしまーす」
 なーんて、と冗談めかしてくすりと笑んだ彼女は会場をきょろきょろ見渡してみる。見た所お偉いさんばかりなのは、やはりVIPクラブという場所だからだろうか。
 そうして、ふと思う。
 ドレスじゃなくてバニーなのは誰の趣味なのか。
 きっと、多分ではあるがこのクラブを経営しているという邪神教団の幹部の誰かの趣味だ。おそらく邪神本体とこの格好は全く関係がない。ただ、生贄候補が一目でわかりやすい上に可愛いという理由だけで着用を義務付けているだけだろう。
「いー趣味されてますね、握手ものですん」
 ふふ、と薄く笑みを浮かべた円は気儘に会場を歩く。
 誰が味方かは判断できるが、誰が敵か、誰が一般人であるかは判別がつかない。そんな空間だが、こういう場では楽しんだもの勝ちだと円は知っていた。
 ――と、いうことで。
 円は今、豪勢な料理が並ぶケータリングテーブルに訪れていた。
 花や鮮やかな食材で飾られた品々は目も楽しませてくれる。血の滴るようなレアステーキに、とろりとした雫滴るドレッシングで彩られたハーブサラダ。
 美味しそう、とそれらを眺める円はどれから食べようか悩み始める。
「いただきますん」
 そして、円は気になるものを少しずつ頂くことにした。摘み食いのような食べ方が出来るのもこういった立食パーティーで嬉しいことのひとつ。
 勿論、甘いものも忘れずにチェック済み。
 艷やかなチョコレートボンボンを舌の上で転がして、甘さに眸を緩める。最高ですん、と口許を指先で押さえる彼女は、今の格好と相まってとても魅力的に見えた。
 自然と集まる周囲の視線に気付き、円はそっと片目を閉じてみせた。
 けれども今は愛嬌を振りまくよりも乙女として甘いものを楽しむ方が大切。
 美味しいものなら幾らだって食べられちゃう。
 なんせ腹ペコ乙女ですから。
 なんてことを考えながら、円は暫し自由気儘にパーティーを楽しんでいく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

髪の色に合わせた濃藍色の立てウサギ耳に尻尾、濃藍色の燕尾服で参戦しましょう
ふふ、ありがとうございます
きみは猫耳が一番似合うと思っていましたが
ウサギ耳もなかなかに可愛らしいですねと笑って

隣に並ぶ彼からぼそりと呟かれた言葉にはわざとらしく片眉をあげて
僕がきみ以外についていくとでも?
きみこそ下手にアルコールでも摂取して酔っぱらわないでくださいよと言い返しましょう

そして手を握られたならぎゅと強く握り返しつつ
それはそっくりそのまま言葉を返しますよ
ああほら、美味しそうなスイーツが並んでいます
気になるものがあれば食べませんか
せっかくのパーティなのですから、楽しみましょう


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

黒いロップイヤー耳に尻尾、黒の燕尾服で参加
宵の兎耳尾は以前イースターにて見たが矢張り似合っているなと、揶揄う様な声を投げつつ隣へ
色々な者が居るのだなとウエイターから飲み物を一つ受け取り口に運びつつ辺りを見回す…も
お前、変な者にはついて行くなよと小さな声音を漏らしつつ手を繋がんと相手の手に手を伸ばそうか
…ついて行かずとも拐かされては大変だろう?何が有るか解らん故に
後これは酒精が無い筈故大丈夫だと、持って居たグラスを宵の口元に寄せんと試みながらも甘味の言葉を聞けば嬉しそうに口を緩めてしまう
ならば兎らしくキャロットケーキでも頂きに行くか
さて、どんな甘味があるのだろうな?本当に楽しみだ



●二人の兎
 穏やかな空気と高級感溢るる会場。
 其処に立つのは凛々しくも愛らしく着飾った青年二人。
 ザッフィーロの出で立ちは黒いロップイヤー耳に同じ黒の尻尾。そして、艶めく黒の燕尾服を纏った姿だ。
 宵は髪の色に合わせた濃藍色の立て耳にふんわりとした尻尾。同じ色の燕尾服はザッフィーロが着用しているものと揃いの形だ。
「矢張り似合っているな」
 揶揄う様な声を投げたザッフィーロは隣の宵に視線を向けた。宵の兎耳と尾の姿は以前、イースターの時にも見ていた。
「ふふ、ありがとうございます」
 宵は彼からの褒め言葉に笑みを浮かべ、垂れ耳兎の様相を見つめ返す。その眼差しが耳に向けられていると察し、ザッフィーロは軽く問う。
「どうした?」
「いえ、きみは猫耳が一番似合うと思っていましたが、こうしてみるとウサギ耳もなかなかに可愛らしいですね」
「そうか……?」
 宵が楽しげに笑うものだから不思議な気持ちがザッフィーロの中に巡る。だが、彼がそういうのだから素直に受け止めたいとも感じた。
 そうして二人は並び立ち、パーティー会場へと踏み出す。
「色々な者が居るのだな」
「そうですね、教団だけではなく一般の方も……」
 ザッフィーロがウェイターから飲み物を受け取りつつ、辺りを見回す。
 同様に宵もカクテルを手にして賑わう会場を眺めていた。
 特に今は妙な動きや気配はない。会場のVIP達も穏やかに談笑したり、料理に手を出して其々に楽しんでいるようだ。
 中にはバニー姿の猟兵に声を掛けている者もいる。
「お前、変な者にはついて行くなよ」
 不意にザッフィーロからぼそりとした声が落とされた。
 隣に並ぶ彼から聞こえた言葉に、宵はわざとらしく片眉をあげてみせる。
「僕がきみ以外についていくとでも?」
「ついて行かずとも拐かされては大変だろう? 何が有るか解らん故に」
 それでも心配だと感じる思いは消せない。ザッフィーロは手を繋がんとして彼に手を伸ばす。その手を他の客に見えないようにそっと繋いだ宵は薄く笑む。
「それはそっくりそのまま言葉を返しますよ。きみこそ下手にアルコールでも摂取して酔っぱらわないでくださいよ」
 言い返す言葉には親しみを込めて。
 するとザッフィーロは手にしていたグラスを宵の口許に寄せた。
「……これは酒精が無い筈故大丈夫だ」
「それなら良いのですが……ああほら、美味しそうなスイーツが並んでいます」
「甘味もあるのか。見に行くか?」
 宵から告げられた言葉に口元を緩め、ザッフィーロは料理のテーブルに目を向けた。折角こうしてパーティー会場にいるのだから楽しまなければ損だ。
 そう言うように宵も頷く。
「ええ、気になるものがあれば食べませんか」
「ならば兎らしくキャロットケーキでも頂きに行くか」
 意見が一致したことで気持ちも浮き立ち、二人は会場の奥に向かっていく。
 まだパーティーは始まったばかり。
 さて、どんな甘味があるのだろうか。楽しみだと頬を緩ませるザッフィーロの横顔を見つめ、宵は握られたままの手を強く握り返した。
 そうして暫し、二人で過ごすひとときの穏やかな時間が過ぎてゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
⚫︎

【はじめてのバニー】
な に こ れ
うーん、かわいくない!
花柄が全然足りてないし、ぴったりしすぎてて窮屈だし、チュールもないし!
もう!急いでアレンジいれなきゃ!

(メイド風なチュールと花模様のバニーができる)

【パーティ】
UC、オール・ワークス!で、パーラーメイドの本領発揮!
『奉仕』で、楽しい時間をお客さんに提供していこうね。
その中で、今回の主催者サイドの人間を割り出していこっか!
教団の儀式を取り仕切る人物がどこかにいると思うから、お仕事てきぱきやって、目星をつけていこうか!
ここにいるバニーのみんなは仲間だし、情報は共有していってみようね。

……バニーかぁ、こういうの好きなのかな?(耳をいじって)



●はじめてのバニーメイド
 地下の秘密クラブ内、フロア裏の更衣室にて。
 鈴鹿は自分に用意されていた衣装を両手に持ち、鏡の前で広げてみていた。
「な に こ れ」
 それはレオタードを思わせる身体の線が出るスーツと網タイツだった。背にはふりふりの丸い兎の尻尾がついており、それに兎耳のカチューシャをあわせるだけのスタンダードなバニースーツだ。
 だが、鈴鹿にはそのセンスは妙に受け入れられない。
「うーん、かわいくない!」
 これがこの世界の普遍的なバニーガールだとしてもハイカラな彼女にはとても着られるようなものではない。少しだけ袖を通してみても、これっぽっちも機能的ではないのでとても動き辛かった。
「花柄が全然足りてないし、ぴったりしすぎてて窮屈だし、チュールもないし!」
 もう、と衣装を見つめる鈴鹿は決意する。
 猟兵としての任務とはいえど、納得できないものを着るなんて我慢できない。
「急いでアレンジいれなきゃ!」
 鈴鹿は持ち前のセンスでさっとバニースーツを改造していく。
 そして――。
 出来た! と笑みを浮かべた鈴鹿はさっそく新生バニーガール服を身に纏った。
 シンプルなレオタードタイプだった腰元にはふわふわのチュールレースが飾られている。黒一色だった布地は鈴鹿好みの花模様で飾られ、華やかなメイド風の雰囲気へと変えられていた。
 髪に装着したカチューシャにもフリルを付けて可愛らしく。背にあった兎尻尾にはリボンを結んでメリハリをつけることで、更にふわふわ感を付け加えている。
「これでばっちり!」
 そうして鈴鹿は準備万端にパーティー会場へと向かっていった。
 
 其処からは鈴鹿のメイドとしての本領発揮。
 給仕にご奉仕、てきぱきとした料理提供やお酌を駆使して、鈴鹿は楽しい時間をお客様に提供していった。
 そんな中でも鈴鹿は情報収集を忘れない。
『そういえばオーナーは……?』
『ええ、何かご準備があるらしくて店の奥に向かっていらしたわ』
 鈴鹿はセレブ達が話す情報に耳を傾け、クラブの奥に続く扉を見遣った。どうやら主催者は男であり、客との交流も満足にしないまま裏に引っ込んだようだ。
(うーん、ここで奥に探りに行くと例のショーってやつが行われなくなるのかな?)
 鈴鹿は暫し考え、乗り込むのは止めた。
 主催者が先導することで儀式とやらが行われるのなら、下手な手出しは野暮だ。それならばやはり時間まで待つしかないのだと感じ、鈴鹿は兎耳のカチューシャを何気なく弄る。
「……バニーかぁ、こういうの好きなのかな?」
 多分、おそらく主催者の趣味でしかないコスチュームを改めて見遣った。
 このままの姿で戦うことになるのかなあ、なんてことを思いつつ鈴鹿は溜息をつく。けれど、そのときはそのときだ。
 そう覚悟を決め、鈴鹿は賑わう会場を暫し見つめていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルネ・プロスト
あいどるの次はばにー……
あれかな、例の邪神の趣味なのかな
教団の趣味だったらちょっとキツめのお仕置きが必要な気がする

人形達、というか森の友達に死霊憑依&自律行動
UCも使って教団関係者と思しき怪しい動きしてる人達の捜索と無関係な人達を逃がす時の避難経路の確認をさせておこうかな
小さな栗鼠のぬいぐるみ達を目立たないように物影を移動させつつ情報収集させる感じで
教団関係者はともかく、無関係な人達巻き込むのは不本意だし

その間ルネは……
……隅の方で会場見渡しつつ、音楽に耳を傾けてようかな
いろんな人が来てるなら、その様子眺めてるだけでもそれなりに暇は潰せそうだし
誰かに声掛けられたら礼を欠かない程度には応対して



●人間観察の時間
「あいどるの次はばにー……」
 会場の片隅、ルネはスタンダードなバニースーツを着てじっとしていた。
 ただ人形の邪神を倒しに来ただけだというのに、このような不条理めいた気分を味わうのは何だか悔しい気もする。
「あれかな、例の邪神の趣味なのかな。でも、そういった雰囲気じゃないみたいだから……教団員の趣味……?」
 もしそうならちょっとキツめのお仕置きが必要な気がする。そんなことを考えつつ、ルネは会場内を見渡していく。
 実際にルネの考えは当たっていた。
 きらきらと輝く存在になりたいと示してアイドルを求めたのは邪神だが、それがバニーガールである必要はまったくない。つまり、邪神に生贄を捧げる儀式を設定した教団員がバニー姿であれと決めたのだ。
 はあ、と溜息をついたルネは動いていないように見えるが、実はもう既に彼女の策は張り巡らされている。
 栗鼠のぬいぐるみの森の友達に死霊を憑依させ、自律行動を行わせているのだ。
 スカウトドールズの力を使っているルネは、教団関係者と思しき怪しい動きしている人間を探らせている。その際に無関係な人達を逃がす為の避難経路を確認しようと思ったのだが――ふと、気になる情報が入ってきていた。
(あれ、ルネが聞いてたパーティーの終わりの時間が違う……?)
 どうやら一般客とアイドル達が知らされている終了時間が全く違うようだ。
 客は先に帰り、自分達は残らされる。
 そんな時間割になっているらしく、放っておいても一般客は自ら会場を去るらしい。そうなると避難経路は要らない。残るのも純粋な教団関係者だけになるだろう。
 おそらく、今回のパーティーに一般人を呼んだのは顔合わせだ。
 通常ならばアイドルはこのまま人形に乗っ取られ、邪神の支配下に落ちる。その際に多少は他の一般人に知られている方が邪神が今後、社会に潜り込みやすい。きっとこのパーティーが開催されたのもそういった魂胆の元なのだろう。
「それなら下手に動かなくてもいいかな」
 ルネはそのまま隅の椅子に座っていた。
 此処は本当にいろんな人がいる。その様子をぼんやりと眺めるだけでもそれなりに暇は潰せそうだ。
「まだかな。ルネが弔う子達が出てくる時間は……」
 そっと呟いた少女はそうして暫し、賑わいに満ちたパーティーに目を向けていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

氷室・雪
色気の無い私がバニースーツを着たところで誰も喜ばないと思うが…

売り込みに来たアイドルを装って調査でもしてみるか
教団関係者を探すというよりは避難誘導をしやすくするために無関係の一般人を探すのが目的だな
バニー服を着せて喜んでいるようなある意味邪と言える者達は放っておいていい気もするがそうもいくまい

話しかけるときにはですます調で話します
素はこちらなので落ち着きますね
オカルト好きのふりをしておけばそれほど違和感なく邪神の話題を出せるのではないでしょうか
なけなしの[コミュ力]を振り絞って精一杯話しましょう

…こういったパーティの楽しみ方を知らない自分と今の自分の格好で悲しくなってくるな

アドリブ絡み可


青葉・まどか
アイドルとしてステージに立つ
なかなかできない経験だったね、面白かったよ
夢のような時間は終わり。さあ、狩りの下準備を始めよう

アイドル達は生贄として呼ばれているけど、教団と関係のない一般の方はなんだろうね?勧誘かな?
出来る範囲で調査してみるね

アイドルならバニースーツ位で恥ずかしがっていられないよね
オーソドックスなバニースーツを着用してパーティーに参加

パーティーでは適度に会話や食事を楽しみながら周囲を観察
参加者の多くから挨拶されている人物に注目
パーティーの参加者は無軌道には動かない、中心人物の下に人が集まる
中心人物と思われる人物に『影の追跡者の召喚』を使用。会話や動向を確認

さて、何かわかるかな?



●白兎と黒兎
 きらびやかな舞台。スポットライトと歓声。
 アイドルとしてステージに立った記憶を思い返し、まどかは息をつく。
「なかなかできない経験だったね、面白かったよ」
 夢のような時間は終わり。
 今、まどかは用意されたバニースーツに身を包んでいた。オーソドックスなタイプなので身体のラインが強調されている服だ。しかし、ここから先が任務の肝だと思えば恥ずかしがってもいられない。
 さあ、狩りの下準備を始めよう。
 静かな決意を胸に秘めたまどかはパーティー会場に向かっていく。
 その途中、まどかは同じバニースーツを着た雪とすれ違った。自分は黒で彼女は白。色違いの服であったのが何だか微笑ましくて、まどかは雪に声をかける。
「あなたも、アイドル?」
「……ああ、そちらも?」
 アイドルという言葉に込めたのは猟兵であるかという暗喩だ。
 そうだと答えた雪が真っ直ぐな視線を向けると、まどかも静かに頷く。見れば偶然にも二人は同じ年頃のようだ。
「ねえ、よかったら一緒に過ごさない?」
「それは願ってもないが、いいのか?」
 雪は慣れぬバニー服に少しばかりもじもじとしている。実は私も、と恥ずかしい思いを隠していたことを告げたまどかが笑う。
「もちろん。同じアイドルだし……色々探るには丁度いいよね?」
 最後の言葉は声を潜め、彼女は共同戦線を張ろうと申し出る。普段から人を遠ざける傾向のある雪だが、此度の任務では誰かと協力した方が都合は良い。
 頼む、と返した雪にまどかが、よろしくね、と手を差し出す。
 軽く交わされる握手。そうして、二人は歩き出す。
 黒兎のまどか。
 白兎の雪。
 普段はセーラー服を纏う二人が此処で会ったのも、きっと何かの縁だ。
 
 賑わうフロアには猟兵をはじめとして様々な人が訪れていた。なかには教団員もいるのだろうが、その殆どが一般の人のようにみえる。
(アイドル達は生贄として呼ばれているけど、教団と関係のない一般の方はなんだろうね? 勧誘かな?)
 まどかは疑問を抱きながら、出来る範囲で調査をしていく。
 歓談に混じりながら適度に会話を行い、ケータリングテーブル付近では食事を楽しみ、悉に周囲を観察していくまどか。
 そんな彼女の動きを見習い、雪もなけなしのコミュニケーション力を用いて会話に混じった。時には重役らしい男性にお酌をして、適度に料理を取り分けていく。
「これでいいのか……?」
「そうそう、黙って話を聞いてるだけでも好印象だよ」
 戸惑う雪に教えながら、まどかはてきぱきとした様子で客の相手をしていた。同い年であるのに手際の良い彼女は、雪にとって実によく出来た子に思えた。
 しかし、雪も何も役に立っていないわけではない。
「やあやあ、雪ちゃんだったかな? 初々しさが実に良いねえ」
「はい、ありがとうございます。光栄です……」
「おや、照れているのか。ふふふ、年頃の女の子らしさがまた売れそうだな」
 素の口調で話す様子が男性達に気に入られたらしく、雪は其処で様々な話に耳を傾けることが出来ていた。まどかは雪が女性的な意味で危ない目に合わぬよう見張りながら、情報収集を任せることにした。
 そして、ある男に注目する。
 それは様々な人から挨拶をされていた人物。パーティーの参加者は無軌道には動かず、中心人物の下に人が集まるのが筋だからだ。
(オーナーかな? ううん、違う……副支配人って呼ばれてるみたい)
 まどかはその男性に目をつけ、彼を中心として展開される会話に耳を傾ける。
「いやあ、皆様にはいつも援助を頂き――」
「何、君達のところには世話になっているからね」
「ええ、ええ。これからもご支援のほど宜しくお願いします」
 何処にでもある会話だったが、まどかは様々なことを察していった。
 そして、雪を良い頃合いで男性達の輪から連れ出したまどかは、二人で集めた情報を整理していくことにした。
 
「――というわけだよ」
「成程、こちらも色々なことが聞けたぞ」
 そうして彼女達なりに出した結論はこうだ。
 まずひとつ、これは邪神教団の資金源となっている提携会社――おそらくごく普通の一般企業の重役を招いたパーティーだということ。
 ふたつめは一般人はこの後の特別なショーという演目を知らされていないこと。そして、彼らはアイドル達よりも随分と先に帰るという事実が分かった。これはそもそも、自分達に知らされていた終了時間の方が妙に遅いということだ。
 きっと、このパーティーは後々の邪神の為に開かれている。
 本来であればアイドルはこの後に邪神に支配され、成り代わられる。邪神の願いがヒトとして社会に潜むことであるとしたら、アイドルと企業の重役を合わせておけば顔合わせになる。つまり、人間を乗っ取った後の邪神が社会に潜り込みやすい下地を作る目的のパーティーなのだろう。
「そうだとしたら用意周到だな」
「うん、ここに本当のアイドルがいなくてよかったね」
 雪が考え込む中、まどかは思わず溜息を零した。しかし、アイドルがすべて猟兵である以上は邪神に成り代わられることはない。
 そして、まどかは副支配人に影の追跡者を付けることにした。
 やがて男は少し呼び出しがあったといってバックヤードに向かっていく。
「さて、何かわかるかな?」
「奥となると何があるかわからないな」
 気をつけろ、と告げた雪に頷いたまどかは追跡者の視界に意識を向けた。
 そのとき――。
『なにこれ』
『入ってこないで』
『邪魔だわ』
 複数の少女のような声が聞こえたと思った瞬間、影の追跡者が破壊された。それは一瞬だった。気付かれ難いはずの影が何者かに攻撃され、効果を失ったのだ。
「……!」
 衝撃に倒れそうになったまどかを咄嗟に雪が支える。周りには立ち眩みだと説明しつつ、雪はまどかに問う。
「どうした、何かあったのか?」
「何かに攻撃されたみたいだったよ。まさか、あれが邪神?」
「……影を見破る力を持つ者だとしたらそうだろうな」
 言い知れぬ感覚をおぼえながら、まどかは呼吸を整える。雪は冷静に判断を下し、フロアの奥に邪神が潜んでいるのだと確信した。
 姿は見えなかったが、待っていればいずれはそれらと会える。
 今はただパーティーに潜入していればいい。そのように判断した少女達は邪神への思いを強め、会場に溶け込むことでじっと息を潜めることにした。
 特別なショー。即ち、邪神の顕現まで後少し――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コーディリア・アレキサンダ
あ、こっちも代わってはくれないんだ?
そう……。まあ確かに、ボクが一番慣れているだろうけれど
宿屋、切り盛りしているし

活性化しているようなバニーガールで接客……というか接待
いや慣れているとはいえこの格好では流石に初めてなのだけれど……ああ、そういうのは別にいいのかい?
いるだけでいい?

いやそれはそれで収まりがよくないというか……飲み物を運んだり、給仕の手伝いぐらいはするよ


……ああ、さっきの舞台を見てくれた?
(厳密にボクではないけど)ありがとう
この後?お仕事があるけど
ああいやボクは確かに一人だけどそういうのではなくて…………早く終わらないかな

お金持ちの考えることはわからない……



●純粋な疑問
 アイドルステージを恙無く、おそらくは無事に終えた後。
 コーディリアは今、素の自分のままでパーティー会場の奥にある更衣室にいた。目の前には用意されたバニーガール衣装がある。
「あ、こっちも代わってはくれないんだ?」
 コーディリアは悪魔の助けが借りられないことを知り、そう、と軽く肩を竦めた。
「まあ確かに、ボクが一番慣れているだろうけれど……」
 一応は宿屋を切り盛りしている身。
 よし、と静かな決意を固めたコーディリアは身支度を整えていく。そうして、彼女は立派なバニーガールへと姿を変えた。
 髪は下の位置でツーテールの形で緩く結わえ、頭には灰銀色の兎耳カチューシャ。
 首元は黒いリボンタイの付け襟。
 肩と胸元は大きく露出しており、スーツはぴったりとしたサイズで身体のラインを強調している。背には耳と同じ色の丸い尻尾がついており、腰回りには星の装飾が付いた紐が可愛らしく揺れている。
 足元は薄手の黒いニーハイにパンプスというスタンダードかつ、だからこそ印象的に映るスタイルだ。
 そして、コーディリアは会場に立つ。
 接客、もとい接待をすればきっと自然に情報や雰囲気がつかめるはず。するとある時、コーディリアに重役らしい雰囲気を纏う男が話しかけてきた。
「ああ、気が付かなかった。ええと、お酌を……」
「うむうむ、必要ないよ」
「ああ、そういうのは別にいいのかい?」
「そうだ、君はそこにいるだけで構わないよ。うーん、良いねえ……」
「いるだけでいい?」
 男性はじっとコーディリアを見つめている。
 そのまま立っていて、と告げられたので佇んでいることしか出来ず、少し収まりの悪い心地が巡る。
「そうだ。あのステージ、素晴らしかったよ」
「ああ、さっきの舞台を見てくれた?」
「普段の君はあれほどはっちゃけてはいないんだね。それもまたいいなあ」
「……ありがとう」
 厳密にボクではないけど――という言葉は押し込め、コーディリアは礼を告げた。どうやら男性は悪い輩というわけではなく、純粋に自分を気に入ってくれているようだ。暫し彼はコーディリアと会話を楽しんだ後、用事があると言って去っていく。
「応援するから、これからも頑張ってね」
「応援、か……」
 アイドルはこれきりなんだけどな、と考えながらもああして告げてくれるのは悪くない心地がした。
 だが、やはりこのパーティーに満ちる雰囲気は怪しい。
 中には少し不埒な輩もいるらしく、軽薄な調子で声をかけてくる者もいた。
「良い身体してんね、この後どう?」
「この後? お仕事があるけど」
「いいじゃん、一人で暇してんだろ?」
「ああいやボクは確かに一人だけどそういうのではなくて――」
 早く終わらないかな、とぼそりと呟いたコーディリアは彼を軽くあしらい、賑わう会場の輪からそっと抜け出した。
「お金持ちの考えることはわからない……。それにしても、邪神か……」
 もうすぐ戦いの時間が訪れるのだと感じながら、コーディリアは頷く。
 だが――。
「もしかして、この格好で戦うことになる……?」
 思わず浮かんだ最大の疑問。それに答えてくれる者は勿論、いなかった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
ヴァーリャちゃん(f01757)と
白耳バニー、黒シャツ
白ベスト、赤いタイ

ヴァーリャちゃん可愛い
似合ってんネ
言葉には瞬き笑う
そう?じゃあ、誘惑されてくれる?

つか俺の頭にも生えてんだよなぁ
女の子のバニーが見れんのは目の保養だけどネ
ん?――ふふ。大丈夫だよ
でも心配なら捕まえてて?と手を差し出し

踊ったら腹減ったねえ
あ、ほら。甘いのもあるよ
ショコラっぽいすいーつ
なんか金箔がきらきらしてて高級そう
うまい?俺にもひとくちだけちょーだい
あー、と口を開けてぺろり
うまぁ。ふふ、ありがとうな?

…さっきは魅せるためのショーだったじゃん?
星の舞台、きれーだし、今度はふたりで踊んない?
いーよ、エスコートしマスよ、お姫サマ


ヴァーリャ・スネシュコヴァ
綾華(f01194)と

白うさ耳、ノースリーブの青ブラウス、青ループタイ、白ベストにスカート
キラキラ雪モチーフ

そ、そうか?
綾華はかっこいい…い、色気がすごいのだ…!
もう誘惑されてる…とは言えずモニャモニャ

可愛いしいいではないか?
でも…他の娘にあんまり目移りしちゃヤダ…って、なんでもないぞ!
む…と差し出された手を取る

うむ、俺もぺこぺこだ!
まずは肉だ肉!

むぐむぐ……む?食べる食べる!
おお〜!これもきっといいものなのだろうな
生チョコみたいな滑らかさ
んん〜…!うみゃい…!
いいぞ?ええと…
フォークが一つしかないから、あ、あーんで、いいか?

いいのか?
俺、こういう踊りあんまり慣れてないから、お手柔らかにな?



●兎達の舞踏
 雪の華と和の鍵。
 兎姿に身を包んだ二人を表わすのならば、そんな言葉が相応しい。
 パーティー会場内。
 綾華とヴァーリャが身に纏うのは白耳の兎耳。
 彼は黒シャツに白いベストを合わせ、赤いループタイに菊の花紋を。
 彼女はノースリーブの青ブラウスに青いループタイに雪の結晶を。更に煌めく雪を印象付けるラインストーンが美しい白ベストにスカートを合わせたスタイルだ。
「ヴァーリャちゃん可愛い。似合ってんネ」
「そ、そうか? 綾華はかっこいい……い、色気がすごいのだ……!」
 綾華が双眸を細めて服装を褒めると、ヴァーリャは指先でくるくると自分の兎耳をいじりながら照れた。
 返された言葉に幾度か瞬き、笑った綾華は片目を瞑ってみせる。
「そう? じゃあ、誘惑されてくれる?」
「そっ、それは……その――」
 もう誘惑されている、とは言えず俯いてしまったヴァーリャ。そんな彼女の様子も可愛らしくて、綾華は更に笑みを深めた。
 そして、何気なく頭上を見遣る。
 ヴァーリャの兎耳姿は愛らしいが、自分にも同じものが装着されていた。
「女の子のバニーが見れんのは目の保養だけどネ、俺のはどうだろ」
「可愛いしいいではないか? でも……」
 他の娘にあんまり目移りしちゃヤダ、とごにょごにょと呟くヴァーリャだったが、すぐに何でもないと首を振る。
「ん? ――ふふ。大丈夫だよ。でも心配なら捕まえてて?」
 そういって綾華はそっと手を差し出した。
「む……」
 ヴァーリャはその手を取り、ぎゅうと握る。恥ずかしくて言葉は出なかったけれども大丈夫だと告げられた言葉はとても安心できた。
 そうして、二人は会場の奥に向かう。
 良い香りが漂ってきたことでヴァーリャの目が輝き、あれは? と問いかけるような上目遣いの視線が綾華に向けられた。
「あれ、食べても良いんだっけネ。踊ったら腹減ったねえ」
「うむ、俺もぺこぺこだ! まずは肉だ肉!」
 ね、と綾華が問えばこくこくと頷いたヴァーリャが嬉しげな表情を見せる。
 たたっと駆けていった彼女の背を見つめ、綾華は微笑ましさを感じた。むぐむぐと美味しそうに、早速料理を頬張っているヴァーリャはまるで小動物のよう。
 暫し彼女を見守った綾華は、スイーツのコーナーを示す。
「あ、ほら。甘いのもあるよ」
「む? 食べる食べる!」
 綾華が皿に取って手渡したのは金箔が煌めくショコラケーキ。空に星の光が煌めいているようなそれはとても高級そうで、其処に夜空を宿したかのようだ。
 これもきっといいものなのだろうと感じ、ヴァーリャはそっとフォークを刺す。そして、そのままぱくりと食べた。
「おお。生チョコみたいな滑らかさで……んん~……! うみゃい!」
「うまい? 俺にもひとくちだけちょーだい」
「いいぞ? ええと……フォークが一つしかないから、あ、あーんで、いいか?」
 問いかけは彼が口を開けたことで答えられ、ヴァーリャは少し恥ずかしがりながらも綾華に一口を分けてやった。うまぁ、と綻ぶ口許に嬉しくなって、ヴァーリャは暫し彼をじっと見つめる。
「ふふ、ありがとうな?」
「こっちこそ、なのだ」
 視線が重なり、二人の間で穏やかな微笑みが重なった。
 そうしてゆるりと食事を楽しんだ後、会場に優雅なワルツの音楽が流れ始める。そうだ、と思い立った綾華は傍らのヴァーリャを見下ろし、そっと語りかけた。
「……さっきは魅せるためのショーだったじゃん?」
「うむ、お客さんが喜んでくれて良かったな。……どうした?」
 なにか言いたげな彼に首を傾げ、きょとんとするヴァーリャ。綾華は其処に手を差し伸べ、恭しくお辞儀をしてみせた。
「星の舞台、きれーだし、今度はふたりで踊んない?」
「いいのか?」
 まるで兎の王子様に誘われたかのようで、ヴァーリャの胸が高鳴る。おずおずと、それでもしっかりとその手に掌を重ねた彼女に綾華が悪戯っぽく笑った。
「いーよ、エスコートしマスよ、お姫サマ」
「俺、こういう踊りあんまり慣れてないから……」
 お手柔らかにな、と告げる前に綾華はヴァーリャの手を引き、勿論、と頷く。
 流れる音楽は二人を包み込むように緩やかに、淡い星のライトはその姿をそっと照らしていった。くるくる、ふわふわ、夢のような心地。
 兎の耳が揺れる様も何だか楽しくて、可愛らしくて――。
 今はただ、二人だけの時間を。
 星の舞台はくるりと廻り、巡り、ひとときの幸せが胸の裡に宿ってゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【花翼の姉弟】

燕尾ジャケット+スカート+タイツな黒バニー衣装
結局こうだよ…まぁ姉さんと一緒に居る時点で覚悟はしてたし
潔く諦めよう…うん

初めは少し腹ごしらえを
サラダとかあるかな?
一応軽めのものに…えっ、デザートある!?

んー、幸せ♪
(無意識に誘惑のキラキラオーラを放出しながらウサギのようにもひもひ)
姉さん飲み物どうする?お注ぎしますよ
ん、ありがと

にしても…結構人いるね
今の時点じゃ誰も彼も怪しく見える…
うえぇ、こっ、この格好で!?

姉さんの希望で手を取りダンス
花畑で遊ぶ二対の蝶のように優雅に
その中でちらりと客席を見て
こちらへの注視の仕方を【見切る】

ひゃっ!?かっ、抱えるなぁー!(咄嗟にスカート押さえ)


栗花落・深香
【花翼の姉弟】

澪と色違いのピンクバニー衣装
可愛いわ澪〜、流石は私の妹…違った、弟ねぇ!
目立たないように気を使いつつカメラでパシャパシャ

サラダもいいけど、向こうにデザートあるみたいよ?
ふふ、一緒に食べましょうか
取り分けてあげるわねぇ

嬉しそうな澪を見てると、私まで嬉しくなっちゃう
あら、ありがとう素敵なバニーさん
それじゃあ私も注いであげるわねぇ

うーん…じゃあ少し踊りましょうか!
食後の運動も大事よぉ♪

自分より背の低い澪をリードするように優雅にダンス
真面目な澪はこんな時でも周囲を気にするから
いたずら心でひょいっと澪を姫抱き

大丈夫よぉ、タイツで見えないから♪
ところで…怪しい人は見つけられた?(囁き)



●蝶と兎
 ざわめき、賑わうパーティー会場。
 招待客として其処に踏み入った澪と深香。二人が身に纏うのは色違いのバニー服。
 澪は燕尾のジャケットにスカート、タイツを合わせた黒兎スタイル。
 深香はそれと色違いのピンク色で纏めた印象的な出で立ちでいる。
「結局こうだよ……」
 男性用の服を着せてもらえなかったことに澪が肩を落とす。しかし、姉と一緒に居る時点で覚悟はしていたので潔く諦めるのが肝心だとも分かっていた。
「可愛いわ澪~、流石は私の妹……違った、弟ねぇ!」
 深香はそんな澪も愛らしいと感じつつ、目立たないように気を使いながらもカメラのシャッターを切りまくっていた。
 豪奢な会場に立つバニー澪。これはきっと永久保存版だ。
 もう、と深香の撮影に付き合いながらも澪はポーズを取っていた。そんな中でふと目に入ったのは色鮮やかな料理が並ぶテーブルだ。
「姉さん、あっちにいかない?」
「ええ、行きましょうか」
 初めは少し腹ごしらえを、と指差した澪に頷き、深香もその後についてゆく。
 エディブルフラワーが散らされたサラダに目を引かれた澪は小さな皿にそれを取り分けてもらい、少しずつ口にしていく。
 一応軽めのものにしようと決める中、深香がテーブルの向こう側を示した。
「サラダもいいけど、向こうにデザートあるみたいよ?」
「……えっ、デザートある!?」
 小動物、それも兎のようにサラダを食べていた澪の瞳が途端に輝く。行こう行こう、と意気揚々と進んだ澪は嬉しげだ。
「ふふ、一緒に食べましょうか。取り分けてあげるわねぇ」
 深香はショコラケーキやココットのプリンなどを皿に集め、澪に渡してあげた。
「んー、幸せ♪」
 それを頬張る澪からは無意識に誘惑のキラキラなオーラが放出されている。言葉通りの幸せ兎になった彼は、もひもひと愛らしくスイーツを楽しんだ。
 嬉しそうな澪を見ていると自分まで嬉しくなるようで、深香も淡く微笑んだ。
「姉さん飲み物どうする? お注ぎしますよ」
「あら、ありがとう素敵なバニーさん。それじゃあ私も注いであげるわねぇ」
「ん、ありがと」
 互いに穏やかなやりとりをしながら、二人は自由な時間を過ごす。
 しかしそんな中でもちょっとした警戒は忘れない。
「にしても、結構人いるね。今の時点じゃ誰も彼も怪しく見え……」
 澪が小声でひそひそと話していると、深香が不意にまったく別の提案を投げかけた。
「うーん……じゃあ少し踊りましょうか!」
「うえぇ、こっ、この格好で!?」
「食後の運動も大事よぉ♪」
「うぅ……いいけど……」
 驚く澪だが、彼女がこんな調子なのはいつものことだ。差し伸べられた手を取った澪は、会場内に流れる音楽に乗ってリズムを取る。
 深香は自分より背の低い澪をリードするように優雅に踊ってゆく。
 二人はまるで花畑で遊ぶ二対の蝶のようにふわり、ふわりと舞う。澪はその中でちらりと周囲を見て怪しい人がいないかを探っていった。
 真面目なその姿に薄く笑み、深香は悪戯心からひょいっと澪をお姫様抱っこする。
「ひゃっ!? かっ、抱えるなぁー!」
 咄嗟にスカート押さえる澪だが、深香は慌てることなくくるりと回った。
「大丈夫よぉ、タイツで見えないから♪」
 楽しげにくすくすと笑う深香。
 恥ずかしさに頬が赤くなっている澪。
「ところで……怪しい人は見つけられた?」
「みんなスカートの中を見ようとしてるから怪しい人ばっかりだよ……!」
 囁く深香に澪は真っ赤になりながら答え、ぎゅっと姉に掴まった。そうしていつしか音楽は終わり、澪はやっと解放されたことにほっとする。
「ふふ、楽しかったわね」
「楽しかったけど……もう!」
 笑う姉に文字通りに振り回された気がして、澪はちいさな溜息をつく。
 結局は何も探ることは出来なかったけれどもパーティーを満喫することができた。今はきっとそれでいいと感じながら、二人は暫し待つことにした。
 何をしていても、来るべき時は巡る。
 そのときまで楽しみ続けるのもまた、悪くはないことなのだから――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛
ムーくん(f09868)と

わあぁ、バニーさんがいっぱいですよ!
ムーくん、ムーくん! 立食パーティーです。食べ物もおいしそうですよーっ

ムーくんのバニーさんもとってもかわいいですよ!
ふふふ。アイドルお衣装も可愛かったですけれど、こちらも似合いますねぇ
撮影する手が止まりません(パシャー)
っと撮影ばかりしてはいられませんね

特別なショーまでは楽しまなければ!(ぐっ)

という訳で、踊りましょうー♪
ほらほら、あそこを見てください。星型のライトがとってもかわいい!
一緒にあそこで踊りましょ。エスコートしてくださいな
えいっ(どんっ)と前に出させて、それから手を引いてもらっちゃいまーす

えへへ。楽しいですね、ムーくん


ムルヘルベル・アーキロギア
同行:織愛/f01585

……。
…………。
………………いや何もかもおかしくないか!?!?!?!?
あまりに自然のことでスルーしてしまっていたのであるが、
なぜバニー!? ワガハイ普通に着てしまっておるけど!?
って何を撮影しておる! こら!!!! 織愛よ……!!!!!
はあああああ……どうしてワガハイこんなところに……

って、は? 踊る? エスコート???
ワガハイにそんなことできるわけグワーッ!(押し出される)
おかしくない!? 巻き込まれてるワガハイがなぜエスコートしなければ!?
ああもう、やけである! どうにでもなれ……!!(やけっぱちでそれっぽく踊る。踊れるんじゃないかな多分99歳だし)



●君とワルツを
 星のライトが照らすフロア。
 秘密のクラブ、という響きに魅力と蠱惑的なものを感じながら織愛は瞳を輝かせる。
「わあぁ、バニーさんがいっぱいですよ!」
「……」
 はしゃぐ織愛に無言のムルヘルベル。
 二人の装いは現在、普段とは全く違うものだ。
 織愛は胸元を強調したスタンダードなバニースーツ。
 腰元のフリルスカートはふわりと広がっており、その背にちょこんと乗った兎尻尾と、頭の黒兎カチューシャが愛らしい。
 対するムルヘルベルは黒の燕尾服姿。
 彼の背にも白くて丸い兎の尻尾があり、頭には織愛は対になるような白兎の耳が装着されている。
「ムーくん、ムーくん!」
「…………」
 織愛はきらびやかなパーティー会場の装飾や雰囲気を楽しみ、嬉しげにムルヘルベルを呼んでいる。そして彼女は奥にケータリングのテーブルを見つけて手招きをした。
「立食パーティーです。食べ物もおいしそうですよーっ」
「………………いや何もかもおかしくないか!?!?!?!?」
 はっと我に返って叫ぶムルヘルベル。
 あまりに自然のことでスルーしてしまっていたのであるが、なぜバニーなのか。なぜ、自分は普通に着てしまっているのか。
 アイドルステージの衝撃が大きすぎて記憶が飛んでいる気がする。だが、ちゃんと自分でボタンを止めていった記憶も思い起こせばあるのが悔しい。
「ムーくん、しーっ」
 だが、織愛が口許に人差し指を当てて、静かに、と優しく微笑みかけた。
 わかりますよ、と告げた織愛。
 どうやらムルヘルベルが衣装について感激しているのだと思っているらしい。
「ふふふ。ムーくんのバニーさんもとってもかわいいですよ!」
 アイドルお衣装も可愛かったけれど、こちらも似合う。そういって無邪気に笑う織愛はカメラを取り出した。
 パシャー。パシャパシャ。パシャー。
 響くシャッター音。撮影する手が止まらないとして、織愛は述べ数十枚のムルヘルベルバニー写真を保存していく。
「って何を撮影しておる! こら!!!! 織愛よ……!!」
 やめろと止めるも、彼女が聞いてくれるはずがない。しかしはっとした織愛は撮影を止め、パーティー会場を見渡した。
「っと撮影ばかりしてはいられませんね。特別なショーまでは楽しまなければ!」
 織愛はぐっと掌を握る。
 その勢いが止まることはないのだと察しながら、ムルヘルベルは肩を落とした。
「はあああああ……どうしてワガハイこんなところに……」
 後悔しても何にもならない。
 何故ならこの無邪気天然無垢全力猪突猛進ガールは文字通りの存在だからだ。
「という訳で、踊りましょうー♪」
「って、は? 踊る?」
「ほらほら、あそこを見てください。星型のライトがとってもかわいい!」
 織愛はムルヘルベルの手を握り、ダンスフロアへと踏み出そうとしている。綺麗ですよね、と笑顔を浮かべる彼女にムルヘルベルはぶんぶんと首を振った。
 が、通じるわけがない。
「一緒にあそこで踊りましょ。エスコートしてくださいな」
「エスコート??? ワガハイにそんなことできるわけ――」
 どんっ。
 グワーッ!
 それは一瞬のことだった。
 怪力で押し出されたムルヘルベルは、彼女の手を引く形になってフロアの中央に躍り出た。もとい踊りに出された。
「おかしくない!? 巻き込まれてるワガハイがなぜエスコートしなければ……」
「ムーくん?」
 不満を口にしようとしたムルヘルベルだが、じっと見つめる織愛の眼力――言い換えれば、純粋な眼差しに負けた。
「ああもう、やけである!」
 どうにでもなれ、とすべてを諦めた彼は音楽に合わせてステップを刻んだ。
 織愛の手を握り、導くようにターン。それっぽく踊れるのはやはり年の功か。織愛はリードしてくれる彼に変わらぬ微笑みを向け、心からの思いを言葉にした。
「えへへ。楽しいですね」
 揺れる兎耳。音に乗って踊る二人。
 まあ、今だけはこんな時間も悪くはないのかもしれない。そんな心地を覚えたような気がしないでもないような感じで、ムルヘルベルはゆっくりと息をついた。
 そうして暫し、二人の時間が流れてゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻と人魚
アドリブ歓迎

ヨルにばにぃのお耳をつけて…可愛い!
僕も、ばにんぎょだ
ふふ、燕尾服初めて
似合うかな
櫻とお揃い、嬉し――何凹んでるの
え?女物着る気だったの?
それはなんていうか、うん
燕尾服似合うよ!

お肉に…おすし!僕、おすし食べたい!
櫻が給仕、をしてくれるという
こういう……?
甲斐甲斐しく食べさせてもらうおすしは格別だしじゅーすもおいしい
たくさん褒めてくれるしいい気分
扇の遊びはむつかしいけど
楽しいよ、櫻宵
色々教えてくれる君はやっぱり、先生の様だ
ヨルも踊ってくれていて、とっても楽しい気分になってきた

準備、
このばにぃは肉食だ
ピクリと震えて溜息零す

断れないの知ってるくせに
あんまり飲みすぎないでよね


誘名・櫻宵
🌸櫻と人魚
アドリブ歓迎

燕尾服ね
わかる
わかるけど
バニースーツみたいのも着てみたかったのよ…

ああでも
ばにんぎょなリルもペンバニーなヨルも可愛くて堪らないわね!
こういうのも悪くないわ

花魁がどんな仕事か気にしてたでしょ?
すこーしだけ教えてあげる
リルにジュースをお酌したり食べたいものを食べさせてあげるわ
お寿司?いいわよ
ずっと食べたがってたもんね
可愛いわねぇ
もてなして甘やかして、投扇興めいた遊びを少々
どう?楽しい?

踊るヨルを眺めながら人魚の首すじを撫で
邪神が出るならそれなりの準備をしなければいけないと思わない?
あたしお肉が好きだけど一番はやっぱり
あなたよ
誰も見ていなそうね

ねぇ
――あなたの愛(血)を頂戴な



●櫻兎と人魚兎
 仄かな星の照明が揺れるパーティー会場。
 艶めく燕尾服の裾が尾鰭に重なり、ふわりと揺蕩うように揺れる。
「ふふ、似合うかな」
 フロアの片隅、リルは尾をぴるぴると振って背にちょこんと付いた兎の尻尾を示す。普段の様相とは違って、きっちりとしたベストタイプの燕尾服はとても新鮮だ。
「燕尾服ね、とっても似合っているわ。わかる。わかるけど……」
「やった。櫻とお揃い、嬉し――何凹んでるの?」
 櫻宵に褒められたことに気分を良くして、揃いの衣装であることに双眸を細めかけたリル。だが、櫻宵の様子に気付いて首を傾げる。
 すると櫻宵は胸元のタイを指先でくるくると弄りながら、ぽつりと答えた。
「バニースーツみたいのも着てみたかったのよ……」
「え? 女物着る気だったの? それはなんていうか、うん」
 リルは周囲にいる女性陣を見渡す。
 胸元を露出したスーツに足元は網タイツ。ふりふりの愛らしいスカートタイプや、ドレスのバニーもいるが――そういったものを彼が着るとなると注目度が半端なくなるはず。主に綺麗すぎて。
 過ぎった思いを振り払い、リルは櫻宵を見つめる。
「燕尾服似合うよ!」
「そうかしら。そう、そうね」
 力説するリルの言葉に櫻宵が顔をあげると、ヨルの愛らしい兎耳姿が目に入った。ね、と視線を向けてくるリルの頭にも真っ白な兎耳があり、ぴょこりと揺れている。こういうのも悪くないと思い直した櫻宵は淡く笑む。
「ばにんぎょなリルもペンバニーなヨルも可愛くて堪らないわね!」
「僕も、ばにんぎょで楽しむよ」
 彼の気分がもとに戻ったことに安堵して、リルはふわりとフロアの先を示す。
 其処には賑わうパーティーの光景が広がっていた。行きましょう、と手を差し伸べてくれた櫻宵に掌を重ね、リルは泳ぎ出す。

 そして、まず到着したのは食事のテーブル。
 花が散らされた見た目にも美しい料理の数々が並ぶ様は豪華だ。櫻宵はまずグラスを手に取り、リルにそっと差し出す。
「花魁がどんな仕事か気にしてたでしょ? すこーしだけ教えてあげる」
「うん、教えて」
 そわそわ、わくわくとするリルに向けて櫻宵はジュースをお酌していく。グラスに注ぐ量は丁度良く、注ぎ方も優雅だ。
 わあ、と櫻宵の手際に瞳を輝かせたリルはグラスを傾ける。
 櫻宵に入れて貰えたと思うと格別な味に思えた。そして、リルはテーブルを示す。
「お肉に……おすし! 僕、おすし食べたい!」
「お寿司? いいわよ、ずっと食べたがってたもんね」
 はい、と適度な量を取り分けてきた櫻宵がリルの口元にお寿司を運ぶ。はむ、とそれを頬張りながら味を楽しむリルは、これが花魁の仕事なのかと感じてゆく。
「こういう……?」
「そうそう。リル、可愛いわねぇ」
 甲斐甲斐しく食べさせてもらうお寿司もまた絶品。櫻宵は何をするにもたくさん褒めてくれて、リルの気分はふわふわと心地よく巡っていった。
 そして櫻宵は扇を取り出し、投扇興めいた遊びをリルに教えていく。
 宙を滑るように流れ落ちる扇。それと蝶、枕が織り成す遊びは少し難しかったけれど、リルは少しずつ上達していった。
「どう? 楽しい?」
「楽しいよ、櫻宵。君はやっぱり、先生みたいだ」
 櫻宵からの問いかけにリルはこくりと頷く。色々な知らないことを教えてくれる。その姿はとても優しくて、尊敬できる。
 リルからの言葉にくすりと笑み、ありがとう、と告げた櫻宵。
 その横ではヨルが扇を持ってぴょこんと踊っていた。とても楽しい気分で、此処が邪神教団の渦中だと忘れてしまうほど。
 けれども、時間は刻々と迫ってきている。
 もうすぐこの時間も終わってしまうのだと感じていると、不意に櫻宵がリルの手を引いて、こっちへ、と告げて移動した。
 どうかしたのかと不思議そうに彼を見つめるリルが連れてこられたのは、会場の奥。天鵞絨の紗幕が引かれた裏側だ。
 誰も見ていない、ひっそりとした場所で櫻宵はリルの首筋に手を伸ばした。そっと、指先で肌を撫でる感覚はくすぐったい。
「ねえ、リル。邪神が出るならそれなりの準備をしなければいけないと思わない?」
「――準備、」
 リルは櫻宵から向けられる眼差しを真っ直ぐに受け止めた。
 あたしはお肉が好きだけど、と告げた彼は首から頬に指先を滑らせ、耳元で囁く。
「一番はやっぱり、あなたよ」
 語ると同時に彼の頭上で兎の耳が緩く揺れた。
 このばにぃは肉食だ。
 そんなことを感じたリルはピクリと震え、ちいさな溜息を零す。次に続く言葉は分かっていた。だから、じっとその願いが紡がれるのを待つ。
「ねぇ――あなたの愛を頂戴な」
「断れないの、知ってるくせに」
 あんまり飲みすぎないでよね、と囁き返したリルは瞼を閉じた。長い睫毛が下りる様を間近で見つめた櫻宵は花唇を人魚に寄せる。
 愛。それは即ち、血。
 そして二人の距離がぐっと近付き――紗幕の裏で、ふたつの影が重なった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
【双星】
アドリブ◎
🐰細い腰が強調されるギャルソン服の黒バニー

ははっ似合ってんじゃんアレス
耳を引っ張られ
痛ててと楽しげに喉を鳴らす
かっこいいの間違いじゃね~の?
上目遣いでまた笑ってっと…笑いすぎて拗ねちまったかな?

テーブルからお菓子の詰まった篭をひょいっと掴んで
アレス、
手をとって1人がけのソファーの方へ
恭しく椅子へ座ってと促し

ほらアレス、口開けて?
行儀悪く肘掛けに腰掛け
マカロンをアレスの口元へ運び食べさせる
こんな格好のバニーだし
今日は俺が
紳士なウサギをもてなして甘やかしてやろう
甘いもの食えばアレスの機嫌もなおるだろ
次を促すアレスの声に
甘やかす以上に甘えられてる気分になって
ご機嫌でドーナツを口へ


アレクシス・ミラ
【双星】
アドリブ◎
服装:執事のような燕尾服の白バニー

周りもバニーだけど
…やっぱり慣れないな…少し恥ずかしい…
…笑いすぎだろ、セリオス
君こそ、随分と可愛らしい姿じゃないか
笑われた小さな仕返しに彼のうさ耳を軽く引っ張ってやる
はいはい、そうだね
僕だけでも調査に行こうか…とそっぽを向けば
不意に手を引かれる
あ、おい、セリオス!?
はあ…座ればいいのかい、と言われた通りにソファに座れば
口元に差し出されるマカロン
…これは機嫌取りのつもりか、それとも僕を甘やかしたいのか……両方だな
軽く息を吐き、マカロンを食べる
視点的に今度は僕が上目遣いに
…次は何をくれるんだい?
(今日は甘やかされてやろう。…君のお望みのままに)



●君に運ぶ甘さを
 優雅な音楽が流れていくパーティー会場。
 綺羅びやかな、それでいて淡い星のライトに照らされた一角。
「……やっぱり慣れないな……少し恥ずかしい……」
 アレクシスは今、頭上で揺れる兎耳の感覚を確かめながら妙な気分に陥っていた。彼の装いはきっちりとした燕尾服。
 首元にはクロスタイ。ベストは落ち着いた灰色。その上に真白な穢れなき燕尾のジャケットを着込む彼はまるで執事のようだ。
「ははっ似合ってんじゃんアレス」
 そういって笑ったセリオスは、彼とは対称的なギャルソン服の黒バニー姿。
 細い腰が強調されるスタイルではあるが、首元のクロスタイはアレクシスと揃いの形でもあり、色も同じ蒼だ。
 並び立つ二人は宛ら、主と執事。主従関係のようにも見える。
「……笑いすぎだろ、セリオス」
「痛てて」
 じろりと軽く睨みつけたアレクシスに兎耳を引っ張られ、セリオスは楽しげに喉を鳴らす。其処にまだ揶揄いの感情が混じっていると感じ、アレクシスも言い返した。
「君こそ、随分と可愛らしい姿じゃないか」
「かっこいいの間違いじゃね~の?」
 セリオスは不敵に上目遣いでまた笑う。するとアレクシスはそっぽを向いた。
「はいはい、そうだね」
 僕だけでも調査に行こうか、と歩き出すアレクシス。その後ろ姿を見遣ったセリオスは、笑い過ぎて拗ねさせてしまったのだと感じた。しかし、そんな彼もまた悪くないという気持ちも同時に覚えてしまう。
 仕方ないな、と軽く肩を竦めたセリオスは近くのテーブルに目を向け、徐に其方へと歩いていった。
 そうして暫し、アレクシスは周囲の様子を探る。
 しかしバニー姿の恥ずかしさもあって、会場に満ちる怪しさが何処から漂うものなのか察知しきれないでいた。
 誰もが邪神教団に見えるし、騙されている一般人にも思える。
 必要以上に気が散るのは自分から離れていったセリオスの姿が見当たらないからだ。寂しいわけではない、と思いたいがやはり気になる。
(まったく、セリオスは……人の気持ちも知らないで。でも――)
 自分も怒りすぎただろうか。アレクシスがちらりとセリオスが向かった方に目を向けると、不意に腕を引かれた。
「アレス、こっち」
「あ、おい、セリオス!?」
 やっと姿が見えたと思えば少し強引だ。
 引かれるままに連れてこられたのは一人掛けのソファ。座って、と彼から告げられたアレクシスはその言葉に従う。
「いいからいいから」
「はあ……座ればいいのかい」
 そうしてソファに座ればセリオスがお菓子の詰まった篭を手にしているのが分かった。何をするのかと疑問を抱いた時、セリオスは行儀悪く肘掛けに腰を下ろした。
「ほらアレス、口開けて?」
 そして、マカロンを口元へと運ぶ。ん、と思わず口を開けたアレクシスの口の中に甘さが広がる。きっと今まで、彼はその篭を取りに行っていたのだろう。
 これは機嫌取りのつもりか。それとも自分を甘やかしたいのか。
(……両方だな)
 セリオスの行動を理解したアレクシスはマカロンを飲み込み、軽く息を吐いた。
「ほら、こんな格好のバニーだし?」
 傍に腰掛けたまま、セリオスは悪戯っぽく笑ってみせる。
 見た目は主と執事だが、今日の立場や外見に反して逆。もしかすれば主が執事をもてなして甘やかすという意趣返しなのかもしれない。
 アレクシスに軽く体重を預け、セリオスはくすりと笑う。
 甘いものを食べればアレクシスの機嫌がなおることも分かっていた。完全なる計算の上でのセリオスの行動ではあったが、アレクシスも実際に絆されている。
 まぁいいか、と気を取り直した彼はセリオスを見上げた。
 先程まではセリオスが見上げる側だったが、この体勢である以上は次はアレクシスが上目遣いに問いかける番だ。
「……次は何をくれるんだい?」
 次を促すアレクシスの声にセリオスも気分を良くし、篭からドーナツを取り出す。
「はい、あーん」
「……ん」
 伸ばす指先。開かれる口許。
 何だか甘やかす以上に甘えられている気持ちになり、セリオスもご機嫌で甘味を彼の口に運んでいった。
 指先から齎されるからだろうか、口にする菓子がもっと甘く染まった気がして、アレクシスはセリオスを見上げ続ける。
「ほら、アレス」
(今日は甘やかされてやろう。……君のお望みのままに)
 重なる視線に、不思議な穏やかさが巡っていった。
 揺れる兎耳はまだ少しばかり恥ずかしいけれど、二人でいられるならきっと――こんな風に過ごす時間も悪くはない。
 そうして暫し、甘やかな二人のひとときが過ぎてゆく。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と

バニー:
燕尾服に白バニー尻尾と耳
時計ウサギ風だけど時間を守る気はない

また、不思議な服だなぁ
ステラ、ステラ
どうした、そんなに縮こまってしまって
常に比べれば心許ないが、なに、何を着てもステラはステラだ
(燕尾の上着をステラにかけながら)

しかし、この中に教団の関係者がいる、というのか
どう見分けよう…おっとステラに手は出すなよ、だめだ
じっと睨みをきかせてしまったり、するかもだ
ステラも、あまりふわふわ、しないようにな
ぼでぃ、がーど?のような感じで
ステラと一緒にパーティを回りながら、教団関係者を探して情報を集めたいなぁ、と


ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と
渡された衣装はセクシー系のバニーガール
網ニーハイ(絶対領域あり)

カガリは時計うさぎなのか?とても似合ってると思う
とは言うが目線が合わせられないから彼の姿はまともに見れない
髪を解いて仕方なく着用したがこれは……とても恥ずかしい
なぁ変じゃないよな、カガリ?(顔真っ赤にして胸とか足とか気にして縮こまる)
……上着。すまないありがとう

よし、少し落ち着いた
目的を果たしに教団の関係者を探しに行こうか、カガリ
この姿にはまだ慣れないから彼の背に隠れながらそれらしい人を探そう
見つけたらいつも通り笑顔で話しかけてみる(無意識に誘惑しつつ)
うん?ふわふわ?なぜそんなに怖い顔をしているんだ……?



●護る為に、傍へ
 星のライトが揺れ、フロアを淡く仄かに照らす。
 その下に立つカガリとステラは現在、其々に違う衣装に身を包んでいた。
 カガリは燕尾服に白い兎の耳と尾。
 腰に提げているのはアンティーク風の懐中時計。片耳には瞳の色と同じ紫の花が印象的に飾られている。
 対するステラはバニーガールの衣装。
 和風の男装の麗人風だったステージとは違い、今は胸元を強調したスーツだ。腰元で揺れるフリルの背には丸い黒尻尾。解いた髪には黒兎のカチューシャ。
 そして足元は網状のニーハイで絶対領域が作られている。
「また、不思議な服だなぁ」
 カガリは用意されていた服を見下ろす。時計ウサギ風ではあるが何だか時間を守る気はなさそうな雰囲気が彼にはある。
「カガリはとても似合ってると思う。思う、が……」
 彼の服装を褒めたステラは、胸元に両手をあてて視線を逸してしまった。
「ステラ、ステラ。どうした、そんなに縮こまってしまって」
 首を傾げたカガリはなぜ彼女がそんな状態であるかが分からないでいる。だからこそ更に目線が合わせられず、ステラはそれ以上は彼の姿をまともに見れなかった。
 この格好しか用意されていなかったから仕方なく着用したが、やはりこれはとても恥ずかしい。
「なぁ変じゃないよな、カガリ?」
 顔真っ赤にして問うステラに対し、カガリはそっと頷いた。確かに普段と比べると印象は全く違うが似合っていないわけではない。
「常に比べれば心許ないが、なに、何を着てもステラはステラだ」
 そうして自分が着ていた燕尾の上着をステラにかけてやる。ベスト姿になったカガリは身軽そうで更に時計ウサギらしさに磨きがかかったかのように見えた。
 受け取った上着を着込んだことでステラの露出度も幾分か減った。
「……すまない、ありがとう」
 彼への感謝を抱きながら、ステラは気を取り直す。
 恥ずかしさが完全に消えたわけではないが、カガリとならばこの姿でも立派に任務をこなせる。そんな気がした。
 そして、二人はパーティー会場を見渡す。
「よし、少し落ち着いた」
「無理はするなよ、ステラ」
 前を見据える彼女に声を掛け、カガリも周囲に意識を向けた。大丈夫だと答えたステラは賑わう会場の様子を探る。
「目的を果たしに教団の関係者を探しに行こうか、カガリ」
「しかし、この中に教団の関係者がいる、というのか……」
 小声で言葉をかわす中、不意に男性客がこちらを見ていることに気付いた。思わずステラはカガリの背に隠れ、胸元を押さえる。
 怪しまれたかと思ったカガリだったが、どうやら男性は彼女の魅力的な格好に目を引かれただけだったようだ。しかし、それはそれでまた複雑な気分だ。
「……おっとステラに手は出すなよ、だめだ」
 男性に届かないとは分かっていたが思わずそう言葉にしながら、カガリはじっと睨みをきかせてゆく。
 そんな中、ステラは妙な雰囲気を纏う人物を見つけた。
 副支配人と呼ばれていることから、店の関係者だと分かった。彼は他の一般招待客に囲まれており、近付くことが出来なかったが、何だか妙な魔力を纏っているように見えたのだ。
 彼本人の力ではない。
 おそらく、邪神の支配下にある状態なのだろう。するとじっと見つめていたステラに気がついた副支配人が歩み寄ってきた。
「やあ、何か用かい?」
「こんばんは、今回はお招き頂きありがとうございます」
 ステラはいつも通りに笑顔で話しかけ、無意識に誘惑の力を纏う。だが、その傍に立っていたカガリが危険を察知した。
「ええ、少しお礼を言いたくて。では自分達はこれで」
 カガリは二人の間に割り込み、ステラを伴って彼から離れる。直感ではあるがこれ以上近付いてはならないと感じたのだ。
 邪神は待っていればいずれ現れるという。ならば、不必要に踏み込む必要もないと判断してのことだ。
「うん? あのままにしておいて良かったのか、カガリ」
「ああ。危ない感じがする。……ステラも、あまりふわふわ、しないようにな」
「ふわふわ? なぜそんなに怖い顔をしているんだ……?」
 カガリは珍しく鋭い視線をフロアの奥に向けていた。ステラは彼の様子に軽く首を傾げながら、ひとまず情報収取を終えることにする。
 嗅ぎ回り過ぎても危うく、下手をすれば邪神が警戒してこの場に現れないかもしれないということはよくわかる。
 それ故に今は二人で過ごす方が良い。そうして、カガリはステラのボディガードとして傍に付き、暫しパーティーを巡っていった。
「行こうか、カガリ」
「ああ、少しばかり楽しむとしよう」
 穏やかな言葉を交わし、二人は音楽が流れる方に歩を進める。
 白と黒。其々の色を宿す兎の耳は穏やかに、星めいた光の下で揺れていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
【N.O.H.A】

これがばにーふく、とやらですか
私の真の姿の衣装と似ていますね、色は黒いですが
ヘスティアさんはどうされたのでしょう……?

折角なので用意されたご飯を皆さんといただきましょう
こんな豪華な食事が食べられるなんて、あいどるというのはすごいのですね

あいどるとして呼ばれたのですし、リクエストされたら【ダンス】を披露(パフォーマンス)
先のライブで衆目を集めるコツはだいたい掴みました(学習力)
【存在感】を以って目立ちましょう

さり気なく周囲を見渡し、純粋にあいどるを楽しむ以外の邪な意思を持つものがいないか探る(視力・情報収集)


ヘスティア・イクテュス
【N.O.H.A】
バニー、バニーね…(自身の胸部を見て、オリヴィアのを見て歯をギリギリギリ)
まぁいいわ
鬱憤を晴らすためにも豪華な食事をお腹いっぱい頂きましょう

会場の人に話しかけられたのなら、スイッチを切り替え礼儀正しく対応
ご機嫌如何かしら?(スカートはないけどカーテシー)

リクエストを受けたなら一応潜入の身
踊らないわけにはいかないわね
拙い踊りで申し訳ないですが…

周辺状況はアベルに【情報収集】
一般人もいるなら逃がすルート、怪しい動きをする人間などを捜させるわ


七那原・望
【N.O.H.A】
……なんだかあぶない気がするのです。需要があったらいけない気がするのです。……気のせいです?

お肉とお魚は苦手なのでフルーツだけもらうのですー。でもちょっと食べたらお腹いっぱいになっちゃったのですー……

みんなダンス踊ってるのですか。どんなダンスを踊ればいいのかよく分からないですけど、せっかくなので一緒に踊るのですー。

話しかけてくる人には【コミュ力】を駆使して笑顔で、年相応に対応。好意にはしっかり甘えるのです。一緒に踊ってもらうのもありです?

目立たないようにねこさんを召喚しておくのです。
【第六感】と【野生の勘】と【聞き耳】、【動物使い】を駆使して怪しい人を割り出しておきましょう。


天星・暁音
【N.O.H.A】

アイドル…なんだよね?
何でバニー服限定?
もはや何目指してるか訳わかんないね
それはそれとして、前ので女装で出たのだから今回も女装としとこうか…
バニースーツってあれのこと?
着ろって言うなら着ても良いけど…それ誰か得するの?
普通にドレスでも着てるよ
しかしまあ、随分と豪勢だこと…
念のため毒とか薬とか入ってないか調べつつご飯食べて、後はアイドルらしくダンスでもしようか
怪しい人がいないかくらいかはさりげなく探してみようか


話しかけてくる人がいるならアイドルらしく対応します
軽く食事した後はダンスで営業をします
社交ダンス、その他も出来ますのでどういう感じでも大丈夫です。
スキルは自由に
アドリブ可



●みんなでワルツを
「これがばにーふく、とやらですか」
 パーティー会場内にて、オリヴィアは自身が着ている服を改めて見遣る。
 色は違えど真の姿の衣装と似ている。そのように感じていたオリヴィアの傍ら、ヘスティアは歯をギリギリと鳴らしていた。
「バニー、バニーね……」
 自身の胸部を見てから、オリヴィアを見るとどうしても心がざわつく。
 まぁいいわ、と視線を逸すヘスティアの様子に気付いたオリヴィアは首を傾げた。
「ヘスティアさんはどうされたのでしょう……?」
 そんなやりとりが密かに繰り広げられている中で、暁音もまた疑問を抱いていた。
「これってアイドル……なんだよね? 何でバニー服限定? もはや何を目指してるか訳わかんないね」
 訝しげな暁音(女装中)だが、それは気にしてはいけないお約束だ。
 そういった催しであるという以外に何もない。アイドルであるのは邪神が求めたからであり、バニーであるのはおそらく主催者の趣味だ。意味を求めれば求めるほどに虚しくなり、更に意味がなくなってしまう悲しき事柄だ。
「これ誰か得するの?」
 暁音の不満げな声を聞き、望も頷く。
 そもそも自分サイズのバニー服があることに不思議さを覚えてしまっていた。
「……なんだかあぶない気がするのです。需要があったらいけない気がするのです。……気のせいです?」
 少女の一言は実に正鵠を得ていた。
 だが、やはり其処は突っ込んではいけないところ。みんなが可愛いバニー姿でお揃いでいること。それこそが一番大事な部分だ。
 そうして、四人はパーティー会場の奥へと進む。
「こんな豪華な食事が食べられるなんて、あいどるというのはすごいのですね」
 オリヴィアは微笑み、ケータリングテーブルを見回した。
 其処では豪華な料理の数々が彼女達を迎えてくれている。折角なので用意された物を頂くのがパーティーを楽しむ秘訣。
 ヘスティアも先程の屈辱めいた思いを掻き消そうと決め、色鮮やかな品々を見て回った。前菜からスープ、メインにデザートなどそれぞれが食べやすい量で小綺麗に纏められて並んでいる。
「ええ、鬱憤を晴らすためにもお腹いっぱい頂きましょう」
「鬱憤……? しかしまあ、随分と豪勢だこと」
 暁音はまだこの場への訝しみを拭いきれず、皆が食べる前に念のために毒や薬などが混入されていないか調べることにした。
 だが、そのようなものは入っていないようだ。
 それも当然だ。何か体に変調をきたすような怪しいものが入っていれば他に招待されている一般客にも被害が及んでしまう。無意味な事件沙汰になるリスクを犯すようなことを邪神教団がするはずもない。
 調べ終わるまで暫し待つことになったが、望はさっそく料理に手を伸ばした。
「フルーツだけもらうのですー。……でも、ちょっと食べたらお腹いっぱいになっちゃったのですー……」
 望は早々に食事を終え、辺りを見渡してみる。
 周りでは様々な人が談笑していた。それだけを見ると高級なクラブ内で普通のパーティーが行われているだけに思えた。すると或る時、ヘスティア達に気付いた一般客が話しかけてきた。
「やあ、君達は確か四人で舞台に立っていた……」
「はい、N.O.H.Aです。見てくださっていたんですね」
 ありがとうございます、とオリヴィアが穏やかに答えるとヘスティアもスイッチを切り替えて上品に挨拶を交わす。
「ええ、ご機嫌如何かしら?」
 スカートはないが、カーテシーの要領でお辞儀をすれば客が嬉しそうに笑んだ。そうして暫く話した後、じゃあこれからも頑張ってね、と告げた客は四人に手を振って去っていった。
 オリヴィアは先のライブで衆目を集めるコツはだいたい掴んでいた。そしてさりげなく周囲を見渡し、邪な意思を持つ者がいないか探っていった。
 ヘスティアもアベルに情報収集を頼んでいる。
 しかし、どうやらこの場にはごくごく善良な一般客が集っているらしい。その事実に拍子抜けした暁音だが、邪神教団員ばかりでも気が抜けなくなる。
 更にヘスティアは避難経路なども把握しようと努めていたが、ある情報からそれも無意味になってしまうことを悟っていた。
 その情報とは、最終的にアイドルだけがこの場に残されるということ。
 自分達が知らされている閉場時間と、他の客に知らされていた時間がまったく違うのだ。つまり、放っておいても一般人は自ら会場を出ていくことになる。
 それゆえに今は下手に動かないのが正解らしい。
 望は会場が変な空気に包まれなくて良かったと静かに安堵していた。
 何をしていてもいずれは訪れるという邪神との対面の時間。それまでのんびりできるのは不幸中の幸いだろう。
 それから、四人は思い思いにパーティーのひとときを過ごす。
 歌や曲などを披露する場ではないのでアイドルとしてのダンスを求められることはなかったが、会場にはワルツの穏やかな音楽が流れている。
「ねえ、わたし達も踊ってみる?」
「ダンスですか。いいかもしれませんね」
 ふと暇を持て余したヘスティアが三人に呼びかけてみた。オリヴィアは快く頷き、望も踊ってみたいと賛成した。
「せっかくなので一緒に踊るのですー」
「社交ダンスでいいのかな。何でも大体できるからいいよ」
 暁音も時間を潰すには丁度いいと答え、四人はそれぞれ二組に分かれる。背の問題で組み合わせはヘスティアとオリヴィア。望と暁音のペアになった。
 フロアに響くのは緩やかで優雅な音楽。
 その音色に乗り、四人のバニー達がくるくると踊る。その光景はとても穏やかで、楽しげで――そうして暫し、ゆったりとした時間が流れていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユキ・アウローラ
あやかおねーちゃん(f00740)と

うさぎさんのお耳がとってもかわいいのです
ユキのおようふくはまっしろもこもこがついているのです
でも、どうしてみずぎみたいなのでしょーか?
おかぜをひいちゃうのです
あやかおねーちゃん、どうしたのですか?
お顔まっかなのです
おかぜでおねつがでちゃったのです?

はい、わかったのです!ユキ、いいこにするのです!
わからないことやあやしーこという人がいたらえんりょなくなんで?ってきいて、じーとするのです
なんで?どうして?ってききながらじーとするとみんな教えてくれたりするのです
みんなやさしいひとなのです!

もしあやしー人を見つけたら
UCでしろをよんでおいかけてもらうのです


アヤカ・ホワイトケープ
ユキちゃん(f18336)と

ライブは大成功だったわね。これで潜入出来る…のに
なんでわたしのサイズに合うバニー服がこれしか無いのよ!?(露出高めの物)
…仕方ないから着るけど、うぅ…恥ずかしいわ

ともかく出来る事をしなきゃ。関係者に挨拶と接待をしつつ情報収集を行うわ
セクハラされないといいけど…そこは上手く立ち回ってみるわね
コミュ力と礼儀作法も合わせれば、怪しまれないはず…
あとユキちゃん、ここには悪い大人がいっぱいいるかもしれないわ
もしかしたら、捕まってひどい事をされる恐れもあるだろうし…
だから決して、あまりわたしから離れちゃダメよ?いいわね?

え、親子みたい?…歳は大分離れてますけど、違いますからね?



●ふたりのうさぎ
 真っ白な耳に、まんまる尻尾。
 くるりと回ればうさぎの耳がぴょこんと揺れ、ユキは上機嫌に微笑んだ。
「うさぎさんのお耳がとってもかわいいのです」
 もこもこの手袋でぱちぱちと両手を叩けば、もふもふとしたやわらかな音が鳴る。まるで雪うさぎのようなユキの出で立ちはとても愛らしい。
 嬉しげなユキに対してアヤカは現在、頬が紅潮していた。
「なんでわたしのサイズに合うバニー服がこれしか無いのよ!?」
 既に着用しているバニースーツはかなり露出度が高めの、胸元と背中を強調したタイプのものだった。肩出しスタイルである上に足元は網タイツ。
 ライブは大成功で、無事に潜入できたというのにこれは恥ずかしすぎる。
「うぅ……」
 アヤカが羞恥心に耐えている中、ユキはふと首を傾げていた。
「でも、どうしてみずぎみたいなのでしょーか?」
 おかぜをひいちゃうのです、とアヤカと自分を見比べたユキがハッとする。頬が赤い様子のアヤカに駆け寄り、ふわふわ手袋をした腕を伸ばした。
「あやかおねーちゃん、どうしたのですか?」
「ううん、ちょっとね……」
「お顔まっかなのです。おかぜでおねつがでちゃったのです?」
「違うから安心して、ユキちゃん」
 心配してくれる彼女の為にも自分が頑張らなくてはならない。そう感じたアヤカは気を取り直し、ユキの手をそっと握った。
 そうして、行きましょ、と告げたアヤカは意を決して会場へと乗り込む。
 
「ユキちゃん、ここには悪い大人がいっぱいいるかもしれないわ」
「わるいおとな……?」
 会場の片隅、アヤカはユキに小声で告げる。
「もしかしたら、捕まってひどい事をされる恐れもあるだろうし……だから決して、あまりわたしから離れちゃダメよ? いいわね?」
「はい、わかったのです! ユキ、いいこにするのです!」
 真剣に告げるアヤカの言葉に対し、素直に答えたユキはびしりと敬礼のポーズを取ってみせた。いい子ね、と微笑んだアヤカは辺りを見渡す。
 ともかく今は出来ることをすればいい。
 関係者への挨拶まわりと接待をしつつ、情報収集を行えば何かは掴めるだろう。
(セクハラされないといいけど……)
 ユキもいることだ。そこは上手く立ち回ってみせると決めたアヤカ。
 しかし、情報収集においてはユキが一役買ってくれた。
 わからないこと、怪しいこと。
 それらについてユキは「なんで?」と純粋に問いかける。すると大人達はユキにも分かるように優しく話してくれるのだ。
 そのことから分かったのは一般客が殆ど善良だということ。
 怪しい人物はおらず、どうやら彼らは邪神教団が隠れ蓑とする企業との付き合いがある会社の者らしい。
 セクハラもされず、ステージが良かったと話してくれる人ばかりだ。
 それゆえに会話は楽しく巡っていく。
 だが、個人的に気になったのはある時のふとした会話。
「そういえばアヤカちゃんとユキちゃんは姉妹……いや、親子なのかい?」
「あやかおねーちゃんは、おねーちゃんなのです」
 ユキは素直に答えたがアヤカにとってはそれは割と心に来る質問だった。決して悪気はないのだろうが率直すぎる。
「歳は大分離れてますけど、違いますからね?」
 きっちりと否定したアヤカはふと隣のユキを見つめる。
 きょとんとした様子の少女はとても愛らしい。母になるつもりはないけれども、家族のように仲良く見えるのならばそれは嬉しかった。
 だから、もう少し二人でユニットとして過ごすのも良いかな、なんて――そんなことを思いながら、アヤカ達は暫しパーティーの時間を楽しんだ。
 その最中、ユキは気になる怪しい人を発見した。
 それは副支配人と呼ばれる男性だった。白うさぎのしろを呼んで彼を追わせようとしたユキだが、咄嗟にアヤカが制止する。
「待って、ユキちゃん」
「おねーちゃん……どーしてですか?」
「……誰かに見られてるわ。人じゃない、何かにね」
 ユキが問うと、アヤカは声を潜めて告げた。正体はまだ探れていないが下手に動くのは良くない。アヤカがそう話すとユキはこくんと頷いた。きっと後をつけさせてしまっていたら、しろが危険な目に遭っていただろう。
 こうなった以上、今はあまり動かないほうがいい。そうして意思を確かめあった二人は何事もなかったかのようにパーティーに溶け込んでいった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

瑞枝・咲耶
ゆすら様(f13614)と

ばにぃ…
このような格好をすることに何の意味があるのでしょう?
いえ、必要なことであれば着ますが
何だか寒いですし靴も踵が異様に高くて少し動きにくいですね…
ゆすら様と同じ服を着られるのならば嬉しいです

人と話すのはあまり得意ではありません
どうしても物怖じしてしまって…
だからゆすら様やお相手に同調して話を広げながら必要であれば会話の【時間稼ぎ】を

もし飲み物を零されてしまった方がいれば【優しさ】でふいてさしあげたり
細やかな気配りで気に入って頂けたら
周囲で会話している私達に無関係なことでも【聞き耳】を立ててみましょう

「咲耶は笛。貴方様の心に響く音色を届けられたのであれば幸いです」


桜橋・ゆすら
咲耶さん(f02335)と

バニー…こちらもまた初めての体験ですね
大胆な衣装ですけれど、お耳や尻尾が可愛い…
ふふ、咲耶さんもお似合いですよ

ゆすら達は『此之花擧』
花の名に合う薄紅色のバニーで、リボンやフリルも合わせられたらと
此方へ声を掛けて下さった方には
【コミュ力】用いて丁寧な態度で
相手に取り入ろうと試みます

「初めまして、『此之花擧』のゆすらと申します。
 まあ、ゆすら達の出番も観て下さってありがとうございます!」

会話内容を見極め
違和感が無ければ一般人として避難を促し
事前に聞かされていた邪神教団と通ずる情報あれば警戒

咲耶さん、このひとときはまやかしのようですね
大丈夫
あなたはゆすらが必ず護ってみせます



●薄紅兎とまやかしのひととき
「ばにぃ……」
「バニー……」
 咲耶とゆすら、二人の声が不意に重なる。
 パーティー会場の奥にある更衣室にて、彼女達は揃いの服に身を包んでいた。
 大胆に肩を出した襟付きの白いトップスに薄紅色のフリルスカート。足元はニーハイソックで片腿にベルト。足元はパンプスという出で立ちだ。
 咲耶には白い尻尾と白うさぎ耳。ゆすらには黒い尻尾と黒うさぎ耳という色違いのバニーガール服となっている。
「このような格好をすることに何の意味があるのでしょう?」
 咲耶は首を傾げ、鏡に映った自分達を見つめた。ゆすらもまた、アイドルに続いて今まで経験することのなかった服装に不思議そうな表情を浮かべている。
「バニー……こちらもまた初めての体験ですね」
 大胆な衣装ではあるが、うさぎの耳や尻尾が可愛くも思えた。特に首を傾げている咲耶の耳が揺れているところがとても愛らしい。
「必要なことであるらしいのですが……何だか寒いですし靴も踵が異様に高くて少し動きにくいですね」
 咲耶は歩き心地を確かめるようにくるりとその場で回ってみる。
 緩めのポニーテールで纏めた髪もまた尻尾のように揺れるものだから、ゆすらは何だか微笑ましくなってしまう。
 ふふ、と笑むゆすらも同じ結い方で髪を纏めている。真似をしてくるくると回ってみるゆすらに気付いた咲耶は、お揃いの衣装も良いものだと感じた。
「ですが、ゆすら様と同じ服を着られるのならば嬉しいです」
「ふふ、咲耶さんもお似合いですよ」
 咲耶とゆすらは笑みを交わしあい、パーティー会場へと歩き出す。
 この先で巡る特別な時間を思いながら二人はちいさな決意を抱いていった。

 ゆすら達は今、此之花擧としてこの場に立っている。
 たとえアイドルユニットがこの日限りのものだとしても最後まで二人でちゃんと通したいと思った。
 こうして二人で並んでいると華やかさがあるのか、他の招待客が声を掛けてくる。
「やあ、君達は確か……」
「初めまして、『此之花擧』のゆすらと申します」
「咲耶と申します……」
 はきはきとアイドルらしく答えるゆすらに対し、咲耶は少しばかり物怖じしてしまっている様子。しかし、その対比が支え合う二人を演出している。
「いやあ、ステージをみたよ。実に優雅だったね」
「まあ、ゆすら達の出番も観て下さってありがとうございます!」
 ゆすらは客に笑顔を振りまき、咲耶はその隣でお辞儀をしていく。元より人と話すのはあまり得意ではない咲耶だが、余計なことを言わないという態度が物静かな印象を作り出していた。
「咲耶は笛。貴方様の心に響く音色を届けられたのであれば幸いです」
 たったそれだけでも相手の心に響く。
 それは咲耶が嘘をついておらず、心からの言葉を紡いでいるからだ。勿論、ゆすらも丁寧で物腰柔らかく接しているので一般客の受けも上々だった。
 そうして二人は暫しパーティーを巡ってゆく。
 グラスが空になっている人がいればお酌をして、飲み物を零してしまった人がいれば拭き、細かな気配りを忘れない。
 その姿勢は皆に快く映り、好印象を与えていた。
 そんな中でふと、ゆすらは不思議な話を耳にした。それはパーティーの閉場時間についての話。
『そういやもうすぐ終わりの時間か。今回は早いよな』
『ええ、何でも別の催しの準備があるからですって』
 何気ない、そのような会話だ。
 しかし咲耶もゆすらもそんなに早くパーティーが終わるとは聞いていない。寧ろ特別なショーの話を聞いているので閉場など考えられなかった。
「ゆすら様、もしかしてですが……」
「はい、一般の方はご自分で帰って頂けるようですね」
 必要なら避難を促そうと思っていたのだが不要であるようだ。寧ろすぐに避難させようものなら邪神教団の方に怪しまれてしまう。
 警戒は無駄ではないが自分達が積極的な行動に出れば墓穴を掘る。そう感じた咲耶達は、このまま何もせずに過ごすことを決めた。
 アイドルの二人として過ごせる最後の時間。
 何をしていても件のショーの時間が来るというのならば、この時間を満喫しても構わないだろう。咲耶は微笑み、少しでも楽しみたいという旨を告げる。
 けれども、やはり気になるのは邪神の動き。
「咲耶さん、このひとときはまやかしのようですね」
「はい……泡沫のような時間のように思えます」
 少女達は頷きを交わし、来たるべき時に向けて其々に思いを抱く。
「大丈夫。あなたはゆすらが必ず護ってみせます」
「ゆすら様……」
 彼女からの心強い言葉を聞き、咲耶も覚悟を抱いた。
 どのような邪神が出てきたとしても必ず、二人一緒に帰ることを――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

渦雷・ユキテル
次はバニーちゃんですかー?
ちょっと恥ずかしいですけど、
業の深さ感じるドレスコードで嫌いじゃないです

教団関係者を探し出して情報引き出したいです
戦いに備えるっていうよりは単なる好奇心、ゲーム感覚
会う人々と軽ーくお喋りしながら
スキルマスターの観察力で探します
たぶん此処にいる全員を殺す自信はあるんでしょうけど
万一逃した時のことを考えると
印象に残りやすい動きはしないと思うんですよねー
服装・言動ともに目立たず、かといって浮くほど地味でもなく
様子を伺う素振りがある人とかでしょうか

目をつけたら【コミュ力】活かしたお喋りで接近
俗物的なVIPをやんわりディスり
言外にあなたはそうじゃないと持ち上げて口を軽くできたら



●情報と駆け引き
 落ち着いた雰囲気ながらもきらびやかな様相の地下フロア。
 其処に集う人々がそれぞれにパーティーを楽しむ姿をユキテルは眺めていた。
 今の格好はアイドルステージで着用していた服ではなく、このパーティーのドレスコードであるバニー服姿だ。
「次はバニーちゃんだなんて、ちょっと恥ずかしいですけど……」
 胸元のリボンタイを指先で弄るユキテルは改めて自分の服装を確かめる。
 用意されていたのはスタンダードなスーツではなく、マジシャンが着るようなスカートが広がっているタイプ。
 付け襟に巻いたリボンは瞳の色と同じピンク。
 トップスと手首のカフスは白。スカートやタイツ、そして頭上の兎耳と背の尻尾は黒で纏められた衣装だ。
「なかなか、業の深さ感じるドレスコードで嫌いじゃないです」
 リボンに触っていた掌でスカートの裾を直し、ユキテルはくるりと回ってみせる。
 頷いたユキテルは完璧なバニーちゃんとして振舞うことを決め、パーティー会場の中心へと歩き出した。
 
 ユキテルの目的は教団関係者を探し出して情報を引き出すこと。
 既にオーナーが怪しいという情報は他の猟兵から聞いていたが、もうひとりくらいは関係者も居るはずだと考えた。
 しかし、それは戦いに備えるというよりは単なる好奇心だ。真剣すぎるよりもゲーム感覚でやった方が効率もよくなることをユキテルはよく知っている。
 実際に様々なことに興味を持って話すユキテルは一般客の受けも良かった。
「――ということがあってねえ」
「えー、そうなんですかー。知らなかったです。すごーい!」
 他愛もない会話に交じるユキテルは会場によく馴染んでいる。
 そうしながらも、様々な人を観察することは忘れない。きっと邪神は此処にいる全員を殺す自信くらいはあるのだろう。
 力を持たぬ者など容易く捻り潰せる。それが邪神の慢心でもあるはずだ。
 そして、教団員。彼らは万一、逃した時のことを考えると印象に残りやすい動きはしないと考えられた。
 服装、言動ともに目立たず、かといって浮くほど地味でもなく、様子を窺う素振りがある人――となると、やはりあの副支配人だろうか。
 オーナーは奥に引っ込んで何かをしているらしい。しかし副支配人はそこそこに客の相手をしており、表に出ている。
 ユキテルはそっとそちらに耳を傾けてみる。
 彼はどうやら今は別のアイドル、つまり猟兵に何かを告げているらしい。
『いいか、お前達アイドルは特別なショーまでは絶対に帰らないことだ。他の客は途中で帰すが、お前達にはやってもらうことがあるからな』
 高圧的な態度で告げる彼の言葉は怪しい。
 そして、其処から読み取れるのは一般客が先に帰るということ。
(なるほどね。そういう……)
 つまり、特別なショーとは教団員とアイドルしか知らない演目のようだ。
 意外にシンプルな筋書きだったことに肩を竦め、ユキテルは壁に背を預ける。
 その際に兎耳がぴょこりと揺れた。
「まあ、こんな珍しい格好ができたから良いことにしましょう」
 情報を得られた今、あとは件の時間までじっと待っていればいいだけだ。
 愛らしく揺れる兎耳に何気なく触れながら、ユキテルは最初と同じように暫し会場の様子を眺め続けた。


●特別な時間
 パーティーの時間は何事もなく流れていく。
 或る時間を境に次第に客がちらほらと帰っていく姿が見られた。明確なアナウンスは無かったが、一般客にはそろそろ終了の時間だということがスタッフから告げられていたようだ。
 音楽は流れたままだが、ケータリングのテーブルは片付けられていく。
 しかし、猟兵達にはまだ帰っていいという指示は出されていない。寧ろ此処に残っていろという言葉まで掛けられている。
 やがて会場はバニー服姿の者だけとなり、オーナーや副支配人と呼ばれた者がフロア内に現れる。
 そして、事態は大きく動き出す。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『偽りの自由を手に入れた人形』

POW   :    存在を代価に願うもの
自身が戦闘で瀕死になると【邪神と再契約をし、ボロボロになった自身】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    略奪をもってしても得られぬもの
技能名「【盗み攻撃】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    手に入れたものを捨ててでも手に入れたいもの
【自身の動く体の一部】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【邪神の加護をさらに増した形態】に変化させ、殺傷力を増す。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●成り代わる存在
 パーティーの時間は終わった。
 一般客は帰され、会場の入口扉が重い音を立てて閉まっていく。
 此処に居るのは猟兵とクラブの支配人達だけ。優雅な音楽がスピーカーから流れて続けているが、周囲に満ちる雰囲気は次第に重苦しくなっていく。
「さあ、我らが神よ!」
 猟兵達が辺りを警戒する中、支配人が紡ぐ声が聞こえた。
 次の瞬間、フロアの奥のカーテンがゆっくりとひらいていった。其処は奇妙なステージのような場所だった。
「見よ、我らが神の御出ましだ」
「光栄に思え。お前達は神の依代となるのだ」
 支配人と副支配人はそう告げると、奥の部屋へと引っ込んでいってしまった。おそらくモニターか何かでフロアの様子を眺めるようだ。
 彼らを追う暇はなかった。
 なぜなら、ステージの奥からカタカタと奇妙な音が聞こえ始め――愛らしい人形の姿をした邪神が何体も現れたからだ。少女の姿をした人形をはじめとして、少年型や顔のない人形まで、それらの形は様々だ。
『きれいな子たち』
『かわいい……すてきね』
『わたし、あの子になりたい』
『ぼくはあれがいいな』
 人形達は猟兵達を見つめ、それぞれに気に入った者の元へと歩み寄った。
 一人に一体ずつ。もしくは一グループに一体。
 目の前に迫る人形は口々に、同じようなことを猟兵に告げた。

『――アナタの存在が、ほしいの』

 そっと手を伸ばした人形はくすくすと笑っている。
 つまり人形はヒトに成り代わろうとしている。その渇望は強く、己の存在を代価にしてでも人間に成りたいと求めているようだ。
 だが、猟兵たる者達ならばそう易々と存在を――命を奪われることなどない。
 今こそ戦うべきときだ。
 邪神人形を屠り、悪しき邪神教団を壊滅させる。
 それこそがこれまでの潜入捜査から繋がる、本来の目的なのだから。
 
カタリナ・エスペランサ
お父様お母様ごめんなさい……リリー(※本名)は汚れてしまいました……
――はっ、出たわね邪神! 来るのが遅いのよ!
と、とにかく。切り替えていこう、うん

《先制攻撃+高速詠唱+全力魔法》を使い【失楽の呪姫】を全力発動。
励起した魔神の魂で《オーラ防御》を強化、劫火を纏ってバニー姿を隠……バリア代わりにするよ
敵の動きは《第六感+戦闘知識+見切り》で先読みしつつ、《空中戦》で機動力の利を活用。
《早業+怪力+破魔》を発揮して《属性攻撃+鎧無視攻撃》の黒雷を武器に纏わせ、ダガーでの近距離戦と羽弾の《誘導弾+スナイパー》での遠距離戦を使い分けて戦おう

邪神は根絶、教団連中は纏めて御用だ!
さっさと終わらせて帰る!!


ルリララ・ウェイバース
WIZ

互いに姉妹と認識する4重人格
主人格で末妹のルリララ以外序列なし

『やっと現況のお出ましね。そろそろ辛くなって来たからルリララお願いね』(ルリ)
『疲れたから、リラちゃん、たーっち』(ララ)
人格交代
本体ルリ→ルリララ
分身ララ→リラ

『一気に燃やすぞ』
『範囲の調整はルリララに任せて、やってしまえ、リラ姉』

【全力魔法】【属性攻撃】のガイアスプラッシュで攻撃
避けられても、熔岩で床を覆い足場を奪い、次の攻撃に繋げる
他の猟兵の邪魔にならないように注意
隙があれば他の敵の足元に流したりして援護も

戦闘後無事なら自分達だけ写真撮られたのは不公平だと照れるバニー姿のリラを取るべく鬼ごっこは始まる



●少女達の共演
 人形に宿るのは邪神の力。
 偽りの自由を得た人形達は意思を持ち、望みを抱く。
 渇望にも近いその願いは――『ヒト』になること。個性や顔のないヒトガタではない、個としての存在が認められている誰かに成り代わることだ。
 
「やっと元凶のお出ましね。そろそろ辛くなって来たからルリララお願いね」
「疲れたから、リラちゃん、たーっち」
 これまでの人格をルリからルリララへ、ララからリラへと切り替えた四重人格達は敵を見据える。其処から少し離れたところにはカタリナが項垂れていた。
「お父様お母様ごめんなさい……リリーは汚れてしまいました……」
 本名を口にしてバニー姿に羞恥し続けるカタリナ。その様子に気付いたルリララは声を張り上げて呼びかけた。
「気をつけろ、危ないぞ!」
 その視線の先には迫りくる人形の姿がある。ルリララからの声にはっとしたカタリナは床を蹴って後方に跳躍し、手を伸ばしてきた人形から逃れた。
「――はっ、出たわね邪神! 来るのが遅いのよ!」
 ありがとう、とルリララに告げたカタリナは身構える。
 そして、其処から己に宿らせていくのは主神に叛き追放された魔神の魂、あらゆる守護を貫く黒雷、そして終焉を招く劫火の欠片。
 励起した魔神の魂で劫火を纏い、恥ずかしいバニー姿を隠す――もといバリア代わりにして佇む。
 気付いたようで良かったと頷いたルリララは、リラと共に打って出る。
「一気に燃やすぞ」
「範囲の調整はルリララに任せて、やってしまえ、リラ姉」
 同時に魔力を紡いだ彼女達が放ったのはガイアスプラッシュ。大地と炎の精霊が齎す溶岩の力が迸り、人形を貫いた。
『抵抗しても無駄よ』
『ふふ、その強い魂も全部わたしのもの……』
 ルリララ達とカタリナ。彼女達を狙う人形は邪神の加護を更に増幅させ、その姿と力を手に入れようと襲いかかってきた。
 伸ばされた手に触れられれば、魂ごと奪われる。
 そう感じたカタリナは天井近くまで飛び上がることで人形から逃れた。其処から反撃として黒雷をダガーに纏わせたカタリナは一気に敵を穿つ。
 頭上から斬り裂かれた人形はよろめき、体勢を大きく崩した。
 その瞬間、ルリララ達が敵に狙いを定める。
「纏めて溶岩の餌食にするぞ。精霊達よ、私達に力を貸してくれ」
「そうだな、やってしまおう。――破壊と再生の力を今ここに!」
 再び、ガイアスプラッシュによる激しい熱が戦場に広がった。それによってカタリナを狙っていた人形が倒れ伏し、戦う力を失う。
 カタリナはルリララ達に援護の礼を告げ、残る敵を見据えた。
「邪神は根絶、教団連中は纏めて御用だ!」
 こんなバニー姿とはもうさよなら。
 そのために全力を振るうと決め、カタリナは羽弾を解き放ってゆく。
「さっさと終わらせて帰る!!」
 そして、彼女達を付け狙っていた邪神人形はその場に伏した。存在を求めたヒトガタが骸の海に還っていく中、ルリララ達とカタリナは力と武器を収めた。
 まだ会場には多くの人形が居るが、それはきっと相対する者が倒すだろう。
 ひとまずの危機は去ったとしてカタリナは更衣室に走った。たとえオーラで覆っていようとも恥ずかしいものは恥ずかしいからだ。
 そうして、暫し後。
 自分達だけ写真を撮られたのは不公平だと照れるバニー姿のリラを撮るべく、ルリララ達の鬼ごっこが始まったのはまた、別のお話。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルネ・プロスト
やっと会えたね
欲しいのなら力尽くでどうぞ
尤も、この身体も君達のものと大差ないと思うけどね

森の友達に死霊憑依&自律行動、敵の行動を注視
森の友達の集めた情報を元に敵の行動を見切る
ルネは『悪意』でフェイント交えつつ近接戦
避けきれない攻撃は『悪意』で武器受け

敵がUCを使う前に先んじてUC使用
ルネの身体(ミレナリィドール・ボディ)を花びらに変えて範囲内の敵全員に攻撃
仮に花びらに身を変えたルネへの攻撃手段持っていても花びらの生命力吸収能力で敵の命を吸って回復
君達が手に入れたものを君達の手で投げ捨てる様なんて、見たくないからね

君達も君達のまま輝き煌めく余地は十二分にあっただろうに
本当に馬鹿な子達だよ、君らは



●弔いの華
 アイドルステージ。
 そしてバニースタイルパーティー。
 これまで乗り越えてきたことを思い返しながらルネは人形の前に立った。
「やっと会えたね」
 人形を壊し、弔う。
 そのために此処まで来たルネは、愛らしい姿をした少女人形へと語りかけた。すると相手は首を傾げるような仕草を見せる。
『……あなたも人形?』
「そうだよ。存在が欲しいのなら力尽くでどうぞ。尤も、この身体も君達のものと大差ないと思うけどね」
『だったら、あなたはいらない』
 問いかけに答えると、邪神人形はルネを無視して別の人間に向かおうとした。
 だが、ルネがそれを逃すはずがない。
 既に死霊を憑依させて自律行動をおこなわせていた森の友達が敵の行動を注視している。何処に向かおうとも、この人形はもうルネ達の標的だ。
 ルネが手を伸ばせば其処に悪意の鎌が現れる。
 それは妬みや憎しみ、殺意を持つ霊を得物として顕現させたものだ。刃を振りあげたルネは踵を返そうとした人形に斬りかかる。
 だが、体の一部を大きな鋏に変えた邪神人形はそれを受け止めた。
『どいて』
「嫌だよ」
 短い言葉が交わされ、鋏と鎌が鍔迫り合うように拮抗する。しかし人形は鎌を弾き、素早く後方に下がった。
 どうやら人形はルネから完全に興味をなくしているらしく、何とか逃げようと画策しているようだ。弾かれたルネが鎌を構え直す一瞬の隙を突き、邪神人形は駆けていく。
 それでも、ルネは慌てずに次の策に出た。
「彼岸に咲く碧き華。死者の為に咲く弔いの華よ。彼岸より此岸へ、呼び至れ。彼は亡き者。過去に在りて現に非ざる者。どうか――」
 詠唱と同時に彼岸花の花弁が周囲に舞い始め、近くの人形達を覆うように広がっていった。其処には生命力を吸収する力が込められている。
 そうして、瞬く間に敵の命が吸われていく。
「君達が手に入れたものを君達の手で投げ捨てる様なんて、見たくないからね」
 ルネは人形に与えられた命を取り込むべく、力を振るい続ける。
 やがてルネが狙っていた邪神はその場に倒れ伏し、からん、という無機質な音が辺りに小さく響いた。
『あ、ああ……』
「君達も君達のまま輝き煌めく余地は十二分にあっただろうに」
 断末魔もまた短かった。呆気のない終わりに肩を竦め、ルネは人形に手を伸ばす。崩れ落ちていくその頬に触れたルネは目を閉じて呟いた。
「本当に馬鹿な子達だよ、君らは」
 そして――彼岸花の欠片がひとひら、それらを弔うように戦場に散った。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

物が人に成り代わる…だと?…理解出来んな
邪神達が迫りくれば宵を背に『かば』う様に前に出つつ唇から『麻痺』毒性のある【罪告げの黒霧】を漏らし敵に近づかれん様動きを少しでも鈍くせんと試みよう

…物は望めども人にはなれん。諦めろ。…まあ俺も同じだが、な
重い何かが胸に満ちかけるも宵の言葉に笑みに。自然とその暗い何かもなくなるのだろう
ああ、物である事は変わらぬがこれ以上ない幸せを貰っているからな
だからこそ宵をお前にくれてやる訳には行かん故
宵の背を護りつつ近づいてくる敵へ『怪力』を乗せながら『なぎ払う』様振るい『武器受け』にて攻撃を受け止め『カウンター』にて確実に止めを刺して行けたらと思う


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

ヒトから奪えばヒトになれると?
モノはモノにしかなれず、心を得たとてそれは変わらないのです

しかし奪わずとも得られる幸せというものを、僕たちは知っています
それがあなたたちとの違いでしょうと笑って見せて
貴方たちにくれてやるモノはありませんし、ザッフィーロ君の髪の毛一本すらもさしあげる気はありませんので、どうぞお覚悟を

加護を重ねるのならば、それを打ち破るのみです
ザッフィーロ君の背を守り、敵の攻撃を「衝撃波」による「目潰し」をのせた
「吹き飛ばし」でけん制しつつ
「高速詠唱」「全力魔法」「属性攻撃」「一斉発射」をのせた
【サモン・メテオライト】で狙い撃ちを行いましょう



●ヒトとモノ
『あなたの存在がほしい……ねえ、頂戴?』
 宵とザッフィーロの前に現れたのは顔のない人形だった。
 それは性別さえ不明な虚ろなものだ。
 カタカタと人形の身体を揺らして手を伸ばす姿は酷く不気味に思える。だが、ザッフィーロはその姿をしかと見据えたままで得物を構えた。
「物が人に成り代わる……だと? ……理解出来んな」
 宵を背にして、庇うように前に出た彼は心底分からないといった風に告げる。
「ヒトから奪えばヒトになれると?」
 宵もまた、疑問を呈して人形を見つめていた。
『そう、欲しいものは奪う。そうすれば自分のものにできる。そうでしょ?』
 人形は語る。
 しかし、宵とザッフィーロは頭を振り返した。
「モノはモノにしかなれず、心を得たとてそれは変わらないのです」
「……物は望めども人にはなれん。諦めろ。……まあ俺も同じだが、な」
 その言葉は自分達にも向けられる言葉でもある。普段から秘めていた思いを口に出したことでザッフィーロの胸に重い何かが満ちていった。
 だが、人形は違うのだと言う。
『あなた達には確かな姿があるのに、それでもまだモノだっていうの?』
 顔のない人形は問いかけた。
 されど返答は待っていないらしく、ぶつぶつと呟きはじめる。
『ずるい。ずるいよ。おかしいよ。なんにもないぼくの前で、何かを持っているあなた達が、そんなことをいうなんて……』
 わなわなと震える人形は今にも感情を爆発させそうだ。気をつけろ、と告げたザッフィーロは先手を取り、唇から罪告げの黒霧を漏らしていく。
 敵に近付かれぬよう動きを少しでも鈍くする目的だ。すると敵は叫び、その腕を鋭い刃へと変えた。
『ほしい、ほしいよ。たしかな存在が!』
「ザッフィーロ君!」
「ああ、分かっている」
 此方に向けて刃が振るわれんとしたことで宵が呼びかけ、ザッフィーロが頷く。メイスを掲げて一閃を受けたザッフィーロの背後で、宵はメテオライトの力を紡いだ。
「奪わずとも得られる幸せというものを、僕たちは知っています」
 対する邪神に容赦など要らない。
 それがあなたたちとの違いでしょう、と笑ってみせた宵。その言葉を聞いたザッフィーロは、自然に暗い感情が晴れていくことを感じていた。
「ああ、物である事は変わらぬがこれ以上ない幸せを貰っているからな」
 頷き合う二人は邪神を見据える。
「貴方たちにくれてやるモノはありませんし、ザッフィーロ君の髪の毛一本すらもさしあげる気はありませんので、どうぞお覚悟を」
「だからこそ宵をお前にくれてやる訳には行かん故」
 互いを守りあうように立ち回る二人は、次々と人形への攻撃を放ってゆく。
 確かに人形として顕現したそれは不幸だと言えるだろう。本当はただ、ごく普通の個を持った存在としてありたかったのかもしれない。
 それでも、手段が間違っていた。
 そうすることでしか個を得られぬものであるのならば、それは世界の敵だ。
「すまんな。俺達にはこうすることしかできん」
 ザッフィーロは怪力で以てメイスを振るい、迫ってきた人形を薙ぎ払った。刃は変わらず振るわれ続けたが、その得物でしかと受け止める。
 その間に宵が隕石を降らせて人形を穿ち、力を削いでいった。
 宵は邪神人形が弱っていくことを感じ取りながら、そっと葬送の思いを送る。
「あなたに、終わらない夜を」
 今夜、邪神の存在も企みも潰えることになる。この夜が最期になるのだと告げる言の葉と共に更なるメテオライトが落とされ――彼らの前で、人形が崩れ落ちた。
『ずるいよ、なんで……』
 その言葉を最期にして、邪神が伏す。
 ――モノはモノにしかなれない。
 ――物は望めども人にはなれない。
 自ら言葉にした考えを再び思い出しながら、二人は静かに武器を下ろした。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クロエ・アスティン
「正体を現したでありますね!まずはこの神様もどきから相手です!」

とはいえ、素手で相手をするのは流石に無理であります!
襲い掛かってくる人形の攻撃をかいくぐり何とか隙を探そうとするけど……あわわ、流石にこんなに激しく動くと服が……!
逆に隙だらけのところに攻撃を食らって壁際まで吹き飛ばされてしまいます!

けど、「激痛耐性」で我慢して、壁際においてあった消火器を手に取って放射!
相手が見失っている間に【戦女神に捧げる聖なる祈り】をささげて、戦乙女の姿に変身するであります!
さぁ、ここから反撃であります!
戦乙女の槍を構えると人形目掛けて「ランスチャージ」をお見舞いするであります!

※アドリブ/連携も大歓迎



●戦乙女の一閃
 クロエの前には愛らしい姿をした邪神が立っていた。
 ふふ、と笑う姿は少女のようだ。
 しかしよく見ればその手足は球体関節であり、歩く度に軋んだ音を立てている。
「正体を現したでありますね! まずはこの神様もどきから相手です!」
 クロエはぐっと身構え、覚悟を決めた。
 バニー姿で戦うのは抵抗があったが今はそうも言っていられない。対する人形は手にした傘を振り回し、クロエに襲いかかってきた。
『ちょうだい。そのちいさいからだ、とっても可愛い』
「あわわ、可愛いと言われてもあげられないのですよ!」
 襲い掛かってくる人形の攻撃を掻い潜り、クロエは何とか隙を探そうと試みる。だが、流石に激しく動くとなると服が気になった。
「あっ、駄目であります。胸のところがずれて――」
『えいっ』
 クロエが慌てた瞬間、人形が傘を振るう。その衝撃に壁際まで吹き飛ばされてしまったクロエだが、何とか服が脱げるのは阻止できた。
 痛みは激しいが、耐えたクロエは歩み寄ってくる人形を睨みつける。
(そうだ、これを使うであります!)
 そして其処にあった消化器を手に取って一気に安全ピンを抜いた。ホースを人形に向けた刹那、白い粉が一気に噴射される。
『……!?』
 相手にダメージはない。だが、一瞬だけでも目を眩ませるのが目的だ。
 即座に立ち上がったクロエは頭上に腕を掲げる。
「――いと気高き戦女神、戦いの地に立つ我らに加護を……我の生命を光に……!」
 祈りと詠唱と共にクロエは聖鎧を纏った戦乙女の姿となった。掲げていた手には戦乙女の槍が握られており、此処から形成は逆転していく。
「さぁ、ここから反撃であります!」
 クロエが槍を構えた瞬間、消化器の煙が晴れた。まだ此方を見失っている敵目掛け、クロエはひといきに踏み込んだ。
「存在は自分だけのものであります。さあ、一気にお見舞いするでありますよ!」
 床を蹴りあげ、全力を乗せた一撃。
 それが真横から邪神人形を貫き、そして――。
『ふふ……そんなに強いなら、やっぱり欲しかったなあ、あなたのから、だ……』
 そんな断末魔を残して人形は崩れ落ちた。
 力なく倒れたそれはもう二度と動き出すことはないだろう。
「一時はどうなることかと思ったであります……」
 クロエはそれが骸の海に還っていく様を見下ろし、ちいさな胸を撫で下ろした。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリス・ステラ
【逆星】

「主よ、憐れみたまえ」

『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光の『存在感』で敵を『おびき寄せ』る

「遠慮なく力を発揮してください、サカガミ」

静かに告げる私はバニースタイル
『オーラ防御』の星の輝きを纏い迎え撃つ

【光をもたらす者】を使用

蝶の姿をした星霊達が広がっていく

サカガミへの攻撃は『かばう』
纏う星の輝きが煌めくような『カウンター』

「灰は灰に、塵は塵に」

オブリビオンは骸の海に還します

星霊達と共に纏う輝きを光線にして『一斉発射』
星の『属性攻撃』は重力の性質を帯びて敵の動きを鈍らせる

「彼女達には衝動があるだけ。サカガミ、終わらせましょう」

せめて安らかなる眠りを
そして魂の救済を


無銘・サカガミ
【逆星】

散々人を辱しめてくれたんだ、覚悟はできてるんだろうな?

群れる連中ならこれを…だが、上手く目に「納め」なくちゃいけないな。
人形どもだけを視界に入れる様な位置を動き回りながら探す。

「いけるか、マリス?」
探っている内にこちらにくる攻撃をマリスがガードしてくれる。

映すは妄嫉の呪い。人形たちの目に写るは、いち早く人の体を手にし、嘲り笑う同胞の幻覚。

「精々仲良く同士討ちしてろ…!」

マリスの一斉掃射に合わせ、手に込める刃に「呪詛」を込め、混乱する人形たちに一撃を放つ。
反動で目が潰れたかのような激痛が走る。
だが――

「決めるぞ、マリス…!」

人の体か…その程度の呪いでくたばるなら、やるわけにはいかんな。



●渇望と衝動
 存在を求めて手を伸ばす人形が迫りくる。
 昏く妖しい雰囲気が満ちるフロアの中、マリスは祈りを捧げていった。
「主よ、憐れみたまえ」
 言葉と同時に星辰の片目に光が灯り、全身から放たれる光が周囲を照らす。彼女が満ちさせていく眩さに目を細めながら、サカガミはその隣に立つ形で布陣した。
「散々人を辱しめてくれたんだ、覚悟はできてるんだろうな?」
 見据える邪神人形はニ体。
 他の人形はそれぞれに別の猟兵の存在を奪おうとばらばらに動いている。群れる連中ならば上手く目に納めなくてはいけない。だが、其々が上手く一体ずつを引き寄せている現状、無理に動くのは得策ではないだろう。
 そう判断して目前の敵にだけ意識を向けたサカガミはマリスに問う。
「いけるか、マリス?」
「遠慮なく力を発揮してください、サカガミ」
 その声にマリスが頷くと、バニースタイルで強調された胸元がふわりと揺れた。バニー姿のままではやり辛いとふと感じたサカガミだが、それは言葉に出さない。
 いくら普段と様相が違っても戦い方は変わらない。
 防御の力を宿した星の輝きを纏ったマリスは、腕を刃に変化させながら襲い来る敵を迎え撃った。
『きらきら、きれい。アナタの存在をちょうだい』
 人形はマリスを殺してから、その姿を奪って成り代わろうとしているらしい。だが、そう簡単に殺されるようなマリスではない。星の光で刃を弾き、サカガミに向かっていく人形の攻撃をもガードする。
『どいてよ、ぼくはその子がほしいんだ!』
 サカガミを狙う人形は駄々っ子のようにじたばたと暴れた。言葉を紡ぐ意志はあるとはいえ、その精神はひどく未熟に思える。
 しかし、それが狙い目だとしてサカガミは自らの力を発動していった。
「精々仲良く同士討ちしてろ……!」
 妄嫉の呪いが二体の邪神に齎され、幻覚を宿していく。
 人形たちの目に映っているのは逸早く人の体を手にして嘲り笑う同胞の幻覚だ。それを見た人形は呟く。
『いいなあ』
『わたしも、はやくほしいなあ』
 人形はマリスとサカガミに虚ろな瞳を向けた。それらが欲しいと願ったのはそれぞれに違う。ぼくと自分を示す人形はサカガミに。わたしと言う人形はマリスになりたいと思っているのだ。
『ねえ、ちょうだい。はやくそのからだ、ちょうだい!』
『ほしいよ、ねえねえ。ほしいよ!』
 二体は標的を変えぬまま容赦なく襲いかかってくる。だが、その攻撃の軌道は呪いの効果もあってか妙に狂っている。
「く……」
「サカガミ!」
 マリスはふらついていた彼を咄嗟に庇い、人形が振るってくる刃をその身で受けた。防御陣を貫通した刃が肌を裂き、バニー服に血を散らせる。
「灰は灰に、塵は塵に」
 しかしマリスは慌てずに両手を重ね、星霊を周囲に呼び出した。
 蝶の姿をした星霊達が広がり、それらが人形に纏わりつくように巡っていく。
「すまない、マリス」
「いいえ、サカガミこそ平気でしたか?」
「……何とか、な」
 呪詛の反動で激痛が走っている目を押さえ、サカガミは頷いた。痛みは未だ巡っているがマリスがこうして体を張ってくれているゆえに休むわけにはいかない。
 呪の衝撃は確かに人形を穿った。
 ならば後は力尽くで倒すのみ。少年はふたたびマリスの隣に並び立った。
「彼女達には衝動があるだけ。サカガミ、終わらせましょう」
「ああ。決めるぞ、マリス……!」
 マリスの呼びかけに応え、少年も身構える。そして彼女が星霊達と共に纏う輝きを光線に変えていく中、サカガミも呪いの力を解放していった。
 刹那――星蝶の光と呪が重なり、人形達を貫く。
『そんな……こんなことって……』
『ああ、ああ。ひとのからだ、欲しかった、な……』
 邪神人形達は倒れ伏し、その場に崩れ落ちていった。残骸を見下ろしたサカガミは片目を押さえたまま深く息を吐く。
「人の体か……その程度の呪いでくたばるなら、やるわけにはいかんな」
 骸の海に還っていくもの達を見つめたマリスは緩やかに眼を閉じた。
 そうして、祈りを捧げる。
「せめて安らかなる眠りを。そして魂の救済を――」
 人になりたいと願い、なれなかったもの。
 それらを想って紡がれた思いが、揺らめく星のひかりと共にそっと落とされた。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イアンノ・ェウァニ
✿手動おまかせ
✿創作・NPC含め絡み歓迎
✿UCどれでも!

160cmほどの半人半樹の神様
喉も木化し歪な声、喋るのは極まれながら表情しぐさが雄弁

怖がり泣き虫、世間しらずで隙だらけ
へっぽこだけど、すなおで心やさしい女の子
策より感情派、人命や支援を優先し敵にも心を傾けがち
銃に宿る精霊ルゥアは迷う彼女のよき牽引者

文明により滅びに瀕した一族を救うため、
人にかつての「おそれ」を思い出させるべく合一した樹と朝の神話
しかし元来一族の中でも人好きで、人のしあわせも奪いたくない感情と板挟み
皆が救われる道を探し、在りし日々への手がかりを求めオブリビオンを追う

「ゥ!」
「……、――?」
「…ァ……ギぁ、ト!」(ありがとう)



●偶像崇拝
「……!」
 奥のステージから降り立った人形がイアンノの前に現れ、手を伸ばす。
 イアンノは身構え、存在が欲しいと求めるそれを瞳に映した。
『あなた、かみさまなの?』
「――、ゥ……」
 何かを察したらしき人形は問いかけるが、イアンノの喉はその答えになる音を紡ぐことは出来ない。だが、邪神人形は構わずに話しかけ続ける。
『わたしは不完全なの。だから完全になりたい』
 手にしている傘をくるくると回した人形はその切先をイアンノに差し向けた。攻撃が来る、と気付いたイアンノも樹のむくろを変化させてゆく。
『それにあなたのからだ、面白そう。ねえ、頂戴?』
 言葉と同時に突き放たれた傘がイアンノを貫こうと迫った。だが、咄嗟に伸ばした木枝によって傘は弾かれる。
 人形は一瞬だけよろめいたが、すぐに体勢を立て直して襲い来る。
 はっとしたイアンノは操る樹々を姫柑子に変化させた。そして実を解き放つことで連射弾のように扱い、人形を穿っていく。
『ふ、ふふ。欲しい、欲しいわ』
 されどイアンノの体を求める人形は痛みなど感じていないように吶喊し、樹々ごと薙ぎ払おうと狙ってきた。
 人形の渇望が力になっている。そのように感じられた。
 枝葉を伸ばしたイアンノは唇を噛み締め、負けはしないと示すような強い眼差しを向けてゆく。そして、チェッカーベリーの実を更に発射していった。
 攻防が巡る。
 そんな中である時、傘がぱきりと音を立てて折れた。
 しまった、と人形が得物に意識を向けた瞬間。其処に好機を見出したイアンノは一気に勝負を付けにかかる。
(いくら欲しがっても、わたしの身体はあげられません!)
 思いと共に解き放たれる木の実の連弾は容赦なく、邪神人形を穿ってゆく。
 個を得たい。
 人になりたい。
 様々な思いがあると知っているゆえ、その願いを否定したいわけではない。
 それでも、イアンノがこの身を与えることなどできやしないから。
(――さようなら、偽りの自由を手に入れた仔)
 そうして、渇望を抱くものへと最期を与える一閃が解き放たれた。
 地に伏した人形を見つめたイアンノは両手を重ねる。物であるそれに思いが届かないことは知っている。けれども、思い出したのだ。
 人が偶像に願っていた時にこうしていたことを。
 だから今は形だけでも。何にも成れなかったヒトガタに、祈りを――。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

真幌・縫
あなたはぬいになりたいの?
ぬいみたいな存在になりたいの?
でもぬいはぬいだけだからこの存在は譲れない。
他の人だってそうだと思うんだ。
自分は自分だけじゃなきゃダメなんだ。
あなたが成り変わった時点でそれはぬいじゃない。
だから…ぬいは戦うよ。ぬいはまだいろんな人と出会いたいから。

【地形の利用】をしながらポップステップジャンプ軽やかに【野生の感】で危機を察知!
【高速詠唱・全力魔法】でUC【虹色の魔法】を使用。【属性攻撃】虹で威力を強化。

虹。綺麗でしょ?
それじゃあ、バイバイ。

アドリブ連携歓迎。



●虹の葬送
『きみの存在、ほしいな。ねえ、ちょうだい?』
 現れた人形が縫の前で物欲しそうな眼差しを向けてくる。手を伸ばしてくる様はまるでお菓子でも強請るような軽い雰囲気だ。
「あなたはぬいになりたいの? ぬいみたいな存在になりたいの?」
『きみ自身になりたいな』
 縫が問いかけると人形はこくりと頷いた。
 邪神の力を得たそれは縫を殺して身体を奪いたいと願っているようだ。ちょうだい、と再び繰り返した敵は腕を掲げ、その部位を刃のような鋭利な形に変えた。
 対する縫も身構え、今にも襲いかかってきそうな人形を見つめる。
「でもぬいはぬいだけだから、ダメだよ」
 この存在は譲れない。
 それはきっと縫だけではなく他の人だってそうであるはずだ。
『そのぬいぐるみも、ほしいな。もらってあげる』
 人形は縫が抱いていたサジ太にも目を向け、刃の腕を差し伸べる。縫はサジ太をぎゅっと強く抱き締め直しながらふるふると首を横に振った。
「サジ太も、ダメ。自分は自分だけじゃなきゃダメなんだ。あなたが成り変わった時点でそれはぬいじゃないの」
『どうして? 意味がわからないよ』
 人形は一歩ずつ縫に迫ってくる。しかし縫は怯むことなく人形へと視線を向け続け、裡に宿る思いを言葉に変えた。
「だから……ぬいは戦うよ。ぬいはまだいろんな人と出会いたいから」
 その瞬間、縫は跳躍する。
 ホップ、ステップ、ジャンプ。まるでうさぎが跳ねるように軽やかに立ち回った縫は人形が振るう刃を躱した。
 幸いにも敵の力は強くない。
 避けるのも簡単だと感じた縫はくるりと身を翻し、詠唱を紡ぐ。
「虹色の魔法……プリズムファンタジア!」
 縫が放つのは虹色の光の矢。
 煌めく光が人形を貫き、抵抗する間も与えることなく次々と身体を穿っていく。
『あ、ああ……』
「虹。綺麗でしょ?」
 縫が問いかける中で人形はその場に崩れ落ちていく。もう二度と動き出すことはないであろうそれから視線を外し、縫は踵を返す。
「それじゃあ、バイバイ」
 別れの言葉が落とされた刹那、邪神人形は骸の海に還っていった。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

ミリア・プレスティール
「あなた達は人に憧れたのですか?」
ミリアは悲しげに人形に語り掛ける。
「今ここにいる私はいろいろな人に支えてもらった私だから…ごめんなさい。あなた達に存在をあげるわけにはいきません。」
向かってくる人形に対し、拒絶するように『ミトン』が拳のラッシュを放つ。その光景にミリアは悲しみに耐えきれず顔を背けてしまうのだった。

※アドリブ、絡みOK



●相容れないもの
 ミリアの目の前には一体の人形が立っていた。
 くすくすと笑っていても無感情のように思えるその姿は妙に不気味だ。
「あなた達は人に憧れたのですか?」
 悲しげな様子でミリアが人形に語り掛ける。すると相手はこくんと首肯して、ミリアへと手を伸ばした。
『ヒトは羨ましいわ。自分ですきなことができて、自由だもの』
 だから、欲しい。
 人間に成りたいと願った人形は手にしている傘を振り上げた。どうやら人形はミリアを殺してからその肉体を手に入れようとしているようだ。
 地を蹴り、瞬時に肉薄する人形。
 その手がミリアに触れようと迫った瞬間。
『駄目駄目駄目駄目駄目駄目ェー!!』
 恐ろしいほどのミトンのラッシュが人形を穿ち、その手を振り払った。
 ミリアはミトンに礼を告げてから邪神の人形に言い放つ。
「今ここにいる私はいろいろな人に支えてもらった私だから……ごめんなさい。あなた達に存在をあげるわけにはいきません」
 謝りながらも差し向けたのは拒絶の意志。
 決して存在を奪われはしないと決めたミリアは更にミトンに攻撃を願う。激しい拳の連撃が人形を穿ち、横薙ぎに倒した。
 それでも相手は立ち上がり、ミリアに――欲しいと思ったものに手を伸ばす。
『あなたが、欲しいの。周りに愛されているあなたが、ああ、ああ……!』
 最後の方の言葉は悲鳴にも似ていた。
 それでもミトンによるラッシュは止まらない。人形がぼろぼろになり、崩れ落ちるまで続いていくのだろう。
 その光景にミリアは悲しみを覚え、耐えきれずに顔を背けてしまう。
 そして――人形の声と動きが完全に止まる。
 自分の近くに戻ってきたミトンを迎えながら、ミリアは足元に視線を落とした。
 其処には物言わぬ残骸となった邪神の成れの果てが転がっている。
「ごめんなさい……」
 これで戦いは終わった。もう一度、そっと告げたミリアは哀しげに目を閉じた。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

青葉・まどか
ようやく黒幕のお出ましだね

アイドルに憧れたり、自分以外の何者かになりたい、そんな事を思うのは理解できるし共感も出来る
もしも、アイドルになるための努力ならば認める事は出来るよ
だけど、成り代わる。これは駄目だよ
夢を、憧れを現実にする為に努力してきた人達
そんな人達だから輝くアイドルになれるんだ
アイドルの立場だけを奪うなんて許さない

フック付きワイヤーを駆使してワイヤーアクションで立体機動
敵の攻撃を視力で見切り、カウンターを狙う

厄介だね、その能力。奪わせてもらうよ
『三重苦』
一つ。身体の自由を奪う
二つ。五感を奪う
三つ。思考を奪う

人形に戻ってしまったみたいだね
これで詰みだ。サヨウナラ



●邂逅と別れと
「ようやく黒幕のお出ましだね」
 まどかは自分の前に立つ邪神人形を見据え、軽く息を吐く。
 アイドルに憧れる気持ち。自分以外の何者かになりたいと願う思い。それは理解できるし共感もする。でも、目の前の存在はそうではない。
「もしも、アイドルになるための努力ならば認める事は出来るよ。だけどね……」
 まどかは首を横に振る。
 人形はそんなまどかをじっと見つめていた。
「成り代わる。これは駄目だよ」
『どうして? わたしたちは、そうするしかないのに』
 人形はきょとんとした様子で問い返す。
 対するまどかは話が通じない相手だと分かっていながらも言葉を続けた。ただ倒すことしか出来ぬ相手へのささやかな礼儀だと思ったからだ。
「夢を、憧れを現実にする為に努力してきた人達。そんな人達だから輝くアイドルになれるんだ。アイドルの立場だけを奪うなんて許さないよ」
『わたしたちが、このままでそうなれると思ってるの?』
 人形は妙に怒ったような様子で一歩ずつ歩み寄ってくる。アイドルに憧れたのは輝いていたからであり、自分達もそうなりたいと思った。しかし、ただの人形であるそれらはたとえ努力を積み重ねようともなれない。
 ヒトではないからだ。
 だから人間になりたいと彼女達は願った。
「そうだね……なれないし、ならせたりなんてしないよ」
 まどかは敵が襲ってくると察し、フック付きワイヤーを壁に打ち出した。跳躍した瞬間、それまでまどかが立っていた所に傘が振り下ろされる。
 立体的に駆け回るように動き、敵の攻撃を見切ったまどかは反撃の機を狙う。
 しかし、人形はその力すら奪おうとして暴れまわった。
「厄介だね、その能力。奪わせてもらうよ」
 まどかは静かに呟き、跳躍しながら狙いを定める。
 三重苦――トリプル。
 一つ。身体の自由を奪う急所への攻撃。
 二つ。五感を奪う、毒花の花弁。
 三つ。思考を鈍らせる邪眼の視線。
「これで詰みだ」
 次々と放たれる苦痛の力はすべて標的に注がれた。それによって動きを止められた敵が、かくん、と糸の切れた操り人形のように崩れ落ちる。
『…………』
 断末魔すら残さず、それはすべての力を失った。人形がもう二度と起き上がってくることはないと察したまどかは肩を竦める。
「人形に戻ってしまったみたいだね」
 ――サヨウナラ。
 まどかがそう告げた直後、邪神人形は骸の海に還るように消え去っていった。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

砂羽風・きよ
俺になりたいとかなんつー個性のない神だよ。
もちっと自分に自信とか持つもんだろ。

けど、『その人になりたい』欲望は人間臭くて嫌いじゃねぇぜ。
ま、だったら奪うんじゃなくて違う方法で人になろうとしてたら
もっと好感が持てたんだけどな。

♥何、独り言言ってんのー?早く倒さないと!

ちげーよ!敵に話しかけてんだよ!

♥グズグズしてる場合じゃないよっ

俺は改造した掃除機、きよこにはモップを変形させた槍を持たせて

俺が掃除機で吸い込んで時間稼ぎしている間に
あいつは槍で攻撃を仕掛けサイコキャノンで目潰し

敵の吹っ飛んだパーツは掃除機で吸ってやる

♥モップに戻してゴッシッゴシー!


生まれ変わったら、また会えると良いな。
待ってるぜ。



●またいつかの夢を視る
 顔のない人形が佇み、手を伸ばしてくる。
『きみの存在が、ほしいな』
 虚ろさを感じさせる声と仕草で近付いてくる邪神人形に対し、きよは溜息をついた。好意的に取れば自分を気に入ってくれたということなのだろう。
 だが、その欲求は認められるものではない。
「俺になりたいとかなんつー個性のない神だよ。もちっと自分に自信とか持つもんだろ」
 きよは改造掃除機を手にし、距離を詰めてくる人形を見据える。
『ぼくには、なにもないから』
 すると人形はぽつりと語った。されどそれ以上は何も告げず、じっときよ達を見つめるような形で顔を向けているだけだった。
「そっか。けど、『その人になりたい』欲望は人間臭くて嫌いじゃねぇぜ」
 対峙するきよは静かに頷いた。
 人形は黙ったまま、嫌いじゃないと言われたことに耳を傾けている。
「ま、だったら奪うんじゃなくて違う方法で人になろうとしてたら、もっと好感が持てたんだけどな」
「何、独り言いってんのー? 早く倒さないと!」
 そんな中、もうひとりのきよがその背からひょこりと顔を出した。
「ちげーよ! 敵に話しかけてんだよ!」
「グズグズしてる場合じゃないよっ」
 思わず反論するきよだが、示された先では人形が片腕を刃のように変化させている。やべ、と呟いたきよは相方にモップに変形させた槍を投げ渡す。
 敵はすぐにでも襲いかかってくる心算だ。きよ達がしっかりと身構えた瞬間、邪神人形が床を蹴った。
『きみを手に入れたら、ぼくも二人分になれる?』
「なれるかよ!」
「残念だけど、なれないかもね!」
 問いかけに二人同時に答えた彼らはそれぞれの得物を振るう。人形の刃はきよが受け、掃除機で吸い込むことで敵の動きを僅かに鈍らせた。その間にきよこ、もといきのは槍を振るいあげる。
「さあさあ、この一撃でどうかな!」
『……!』
 きよの側面から回り込み、サイコキャノンから放たれる眩い一閃が人形を鋭く貫いた。勢いに吹き飛ばされた人形の腕が落ち、幾つかのパーツがばらばらになる。
「よし、いける!」
 きよはすかさず其処に掃除機を向け、それらを吸い込んで再生できなくしていった。きのは得物をくるりと回して槍をモップへと戻す。
「お掃除、お掃除、ゴッシッゴシー!」
 薙ぎ払われるように清掃されていく人形の残骸。彼らの妙に息のあった連撃によって戦う力をなくした邪神が崩れ落ち、動かなくなる。
『ぼくも、自分ってものが、ほしかった、な……』
 何処か悲しげな言葉を残し、人形は掻き消えるようにして骸の海に還っていった。
 その姿を見下ろしたきよは静かに告げる。
「生まれ変わったら、また会えると良いな。待ってるぜ」
 落とされた言の葉からは人形への否定や非難などは欠片も感じられず――ただ只管に優しい、彼なりの葬送の思いが込められていた。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

彼者誰・晶硝子
オズ(f01136)と

わたしの体に血は流れていない
オズも精巧な人形の体
それでも、輝けていたでしょう?
今のわたしがわたしとしてあるのは、オズたちとお友達になれて、自分を知って来れたから
きらきらしていたのは、体だけじゃ無い
体だけ変えたって、なんにもならないわ

うつくしきものを喚びましょう
オズの助けになるように
夜の猫はしなやかに
暁の烏は舞い上がり
彼らも愛される姿を借りたもの
けれど、彼らの心は彼らのもの

あなた達の、本当の望みは何なのかしら
今の体を変えて
輝くこと?
愛されること?
それはきっと、自分まるごとじゃないと意味が無いわ
でも叶わないなら…そうね、
眠りから覚めた次に、自分を愛せるあなたに、なれますように


オズ・ケストナー
アケガラス(f02368)と

アケガラスはものじゃないよ
ほしいっていったって、だめ

ガジェットショータイム
現れた傘で攻撃

武器受けは透明な傘を開いて
彼女の連れたきれいなともだちがかくれないよう
アケガラスには、ふれさせないよ

武器を盗むなら柄を抜く
仕込み杖
そのかさはきみにあげる

驚き体勢が崩れるようならすかさず剣で攻撃

わたしも人形だもの
こわれたなら直せばいいって思ってたよ
でも、だれかになるために自分をすてるのはわからない

きみがアケガラスになってもそれは別物だよ
わたしはここにいるアケガラスとともだちなんだから

きみはきみのままでいるわけにはいかなかったのかな
アケガラスに頷く
そうあってほしいから
今はもうおやすみ



●輝く世界に憧れて
『――あなたの存在、ちょうだい』
 静かで淡々とした言葉と共に少女人形の腕が晶硝子に向けて伸ばされる。
 人形が彼女に狙いを定めたのだと気付いたオズはとっさに晶硝子の前の立ち塞がり、両手を大きく広げた。
「アケガラスはものじゃないよ。ほしいっていったって、だめ」
『でも、ほしいの』
 オズの言葉にかくりと首をかたげた人形は晶硝子に少しでも近付こうと歩み寄ってくる。対する晶硝子は一度瞳を伏せ、首を横に振った。
 人形はその身体がヒトガタである故に他の存在を求めているようだ。
 けれどそれは違うのだと告げたかった。
「わたしの体に血は流れていないし、オズも精巧な人形の体だわ。それでも、輝けていたでしょう?」
『そう。だから、ほしいと思ったの』
 しかし人形は晶硝子の言葉を真に理解していない。ただ輝く存在として二人を認めているだけだ。
 哀しいけれど邪神人形に話は通じない。オズは胸の前に腕を伸ばし、今此処で有効になるガジェットを召喚していく。
「アケガラス、さがってっ」
 言葉と共に其処に現れたのは一本の傘ガジェット。
 人形が持つ傘に少し似た形のそれを構え、オズは敵を見据えた。オズに目を向けた人形も同じく傘を振り上げて襲いかかってくる。
『じゃま、しないで』
 敵はどうやら晶硝子だけを狙いたいようだ。しかしそれが解っているからこそオズとて引くことは出来ない。
 ありがとう、と自分を庇ってくれるオズに告げた晶硝子。
 彼女もまた自らの力を解放してゆく。
 おいで、と呼んだのは朝焼けを閉じ込めた宝石の烏と星空を閉じ込めた宝石の猫。彼らにオズの援護に回るよう願った晶硝子は邪神に語りかけていく。
「今のわたしがわたしとしてあるのは、オズたちとお友達になれて、自分を知って来れたからなの。きらきらしていたのは、体だけじゃ無いわ」
 だから、体だけ変えたってなんにもならない。
 告げた思いが通じないことは理解していた。それでも、少しでも本質に気付いて欲しいと晶硝子は願う。
 視線の先で夜の猫はしなやかに駆け、暁の烏は鮮やかに舞い上がった。
 そして、オズは透明な傘をひらいて人形からの攻撃を受けた。それは晶硝子が連れたきれいなともだちが隠れないように配慮してのことでもある。
「アケガラスには、ふれさせないよ」
『わたしも、触れたいのに……』
 人形が示し続けるのは晶硝子の姿。
 しかしオズのことも無視し続けられないと感じたのか、敵は彼が持つ武器を奪おうと迫ってきた。伸ばされた手が傘を引っ張らんとして迫る。オズは小さく頷き、敢えて得物を敵に掴ませてやった。
「そのかさはきみにあげる」
『……? ……!?』
 その瞬間、仕込み杖になっていた傘の部分がするりと抜け、其処に刃が現れる。あっけなく盗めた傘部分を握ったまま、人形は驚きを見せた。
「わたしも人形だもの。こわれたなら直せばいいって思ってたよ。でも、だれかになるために自分をすてるのはわからないよ」
 その隙を逃さず、オズは一瞬でその身を切り伏せてゆく。彼に続いた夜の猫と暁の烏が煌めきながら追撃を加えた。
 彼らもまた愛される姿を借りたもの。けれど、彼らの心は彼らのものだ。
 攻防が巡る中、晶硝子は敵に問う。
「あなた達の、本当の望みは何なのかしら。今の体を変えて輝くこと? それとも、愛されること?」
『……ぜんぶ、かしら』
 オズの刃を受けた人形は震える声で答えた。晶硝子は其処に渇望という衝動しかないのだと読み取り、哀しげに瞼を閉じる。
「それはきっと、自分まるごとじゃないと意味が無いわ」
「きみがアケガラスになってもそれは別物だよ。わたしはここにいるアケガラスとともだちなんだから」
 晶硝子の言葉に続き、オズは更なる一閃を与えるために駆けた。晶硝子もうつくしきもの達をオズの傍に添わせて戦いの最後を見据える。
『じゃあ、どうすればよかったの?』
 人形は嘆くように腕を掲げ、その実を代償にして手を刃のように変化させた。振り下ろされたオズの剣を受け止めながら人形はじっと晶硝子を見つめる。
「きみはきみのままでいるわけにはいかなかったのかな」
 オズも悲しい気持ちが胸に巡ることを感じつつ、そっと聞いてみた。けれども答えは返ってこない。きっと人形も、答えられる言葉を持ってはいないから。
 手に入れたのは偽りの自由。
 おそらくこの子達は最初から何にも成り得なかった哀しいもの。
 晶硝子はそのように察し、静かに力を紡いでいく。
「叶わないなら……そうね」
 ――眠りから覚めた次に、自分を愛せるあなたに、なれますように。
 祝福を祈り、願うような晶硝子の言の葉。オズはその声に頷きを返し、ひといきに勝負をつけるべく剣を思いきり振り上げた。
「わたしも、そうあってほしいとおもうから。――今はもう、おやすみ」
 別れを告げる言葉と同時に一閃が振るわれ、うつくしきもの達が人形を貫く。
 かしゃん、と乾いた音が響く。
 それが人形の倒れた音だと気付いたときにはもう、その身体は骸の海に還っていくように薄れていった。
『あなたたちは本当に、きらきらして……きれい……』
 わたしも、そんなふうになりたかった。
 それが本当の自由を求めて戦った人形が遺した、最期の言葉だった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コーディリア・アレキサンダ
さて、さて。ここからは魔女の時間というわけ――――
え、この格好で戦うの? 本気で?


――ともかく。自分のところへ向かってくる個体に集中
そうでない個体に関しては、余裕があれば手を出していこう。一体一体確実に、だね

それにしても……思っていたより、やり辛さを感じる相手だ
だとしても、簡単にやられてあげるわけにはいかない。ボクが倒れたら、次は戦う力のない誰かだ

この格好で動き回りたくないのだけれど……よろしく、破壊の黒鳥
1人に対しては随分過剰火力だけれど……相手は邪神だ。手数で押しきろう

ボクに成り代わりたいなら、キミがあと72体は必要だよ
なにせボク――“ボクら”は一人じゃないからね



●渇望を壊すもの
「さて、さて。ここからは魔女の時間というわけ――」
 目の前に迫ってきた人形を見据えたコーディリアは身構えようとしてはたとする。戦いに意識を向けたゆえ、一瞬だけバニー服姿であることを失念していたのだ。
「え、この格好で戦うの? 本気で?」
 対する人形はどうかしたのかと問うようにかたりと首を傾げる。そして、コーディリアに向けてそっと手を差し伸べた。
『……きれいよ、あなた。だからその身体を頂戴?』
「お断りだよ」
 その手を振り払うように頭を振り、コーディリアは気を取り直す。格好はともかく、今は自分の存在を奪おうとする相手に集中しようと決めた。胸元がやはり心許ないのは気になるが、敵は此方を殺そうとしている。
 おそらくコーディリアを亡き者にした後に身体を乗っ取る心算なのだろう。
『ほしい、ほしいな。あなたの存在が……』
 人形はそんなことを呟きながら手にしている傘を振り回し、コーディリアを穿とうとしてくる。それがただの傘ではなく、触れれば魂を吸われる代物だとも解った。
 思っていたよりやり辛さを感じる相手だ。
 何より、欲しい欲しいと連呼されるのも落ち着かない。
「残念だけどね、もう先約があるんだ」
 特にこの血はね、と呟いたコーディリアは振るわれる傘から逃れながら右腕を掲げた。其処から解き放たれていくのは破壊の黒鳥。
「……よろしく、頼んだよ」
 呪詛の力を宿して弾丸のように翔けるもの。それらが人形を次々と穿っていく。
 コーディリアは邪神人形の動きを見据え、簡単にやられてあげるわけにはいかないのだとして己を律した。
 ――ボクが倒れたら、次は戦う力のない誰かだ。
 それが解っているからこそ手は抜けず、魔力を籠める手にも力が入る。
「随分過剰火力だけれど……相手は邪神だ。手数で押しきるよ」
 その言葉が落とされた次の瞬間、人形の胸が貫かれた。ああ、という空虚な声が相手から零れ落ちたと思うと、その身が崩れ落ちる。
『ほしい、のに……けがれていても、きれいな、あなたの――』
 倒れながらも手を伸ばす人形はコーディリアを見つめ続けていた。肩を竦めたコーディリアは消えゆくそれを一瞥する。
「ボクに成り代わりたいなら、キミがあと七十ニ体は必要だよ」
 もう人形は動かない。
 骸の海に還っていくそれを見下ろしながら、コーディリアは静かに告げた。
「なにせボク――“ボクら”は一人じゃないからね」
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

出水宮・カガリ
ステラ(f04503)と

ようやく、ご対面、というやつだな
いや、はや
楽しかったが、長かったような、短かったような

人間になりたい人形、か
成り代わってどうする、というのだ
まあ、相手は邪神だからな
聞いたところで、およそ理解の及ばない事かも知れないし…理解してやる気も無いが
カガリは、頑固な壁なのでな

体の一部を捨てようとしたら【追想城壁】を
その代償を無意味にしよう
捨てただけで、何も得られぬどころか、五体不満足に陥ってしまうのだろう
邪神の加護はこちらで捨てておく、ので
…そちらは任せたぞ、ステラ


ステラ・アルゲン
カガリ(f04556)と
あの人形を見ていると昔の自分を思い出す
物であるものがヒトに成り代わろうとする
私も亡き主に成り代わろうとしていた
だけど今はそう思わない

私は私だ。けして主には成れない
お前も誰かに成り代わることなんてできない
それでも奪うというなら、私はお前を止めるだけだ

カガリが敵の能力を無効化するまでに【高速詠唱・全力魔法】で魔力を剣に【力溜め】
【破魔】の光【属性攻撃】の力を付与した【流星雨】を人形に落とす
身を滅ぼしてまで欲しいと思うその強い願い、悪いが否定させてもらう



●追想の流星
 凛と並び立つカガリとステラ。
 二人の前に現れたのは髪を二つに結った少女型の人形だった。
「ようやく、ご対面、というやつだな」
 いや、はや、と息を吐いたカガリはこれまでのことを軽く思い返す。アイドルとしての舞台に先程までのバニースタイル潜入。
 楽しかったが、長かったような短かったような感慨が浮かぶ。
 しかし今は最後の役目を果たすべきときだ。カガリはステラを護る形で一歩前に踏み出し、敵を睨み付けた。
 彼の背を頼もしく感じながらステラも人形を見つめる。
 あの人形を見ていると昔の自分を思い出すようだ。その理由は解っている。物であるものがヒトになろうとする、その姿が嘗ての己の思いと重なるのだ。
「私も亡き主に成り代わろうとしていた。だけど、今はそう思わない」
『まあ、わたしとおなじだったのね』
 ステラが思いを言葉にして零すと、人形はふわりと笑った。しかしその笑みには空虚さが感じられた。
 人形がステラを狙っているのだと察したカガリは静かに問いかける。
「人間になりたい人形、か。成り代わってどうする、というのだ」
『決まってるわ。個を手に入れるのよ』
 邪神人形は事も無げにさらりと答えた。ステラを殺して存在を奪えばそれが成し遂げられると、何の疑問もなく彼女を求めている。
 ステラは頭を振り、決して同じなどではないのだと断じた。
「私は私だ。けして主には成れない。お前も誰かに成り代わることなんてできない」
『そうかしら? やってみなくてはわからないわ』
 対する邪神はくすりと笑んだ。
 それは話が通じないのだということがよく分かる、聞き分けのない笑みのように思えた。カガリは相手が相容れぬ邪神でしかないのだと改めて実感する。
「やはり、およそ理解の及ばない考えだな。……理解してやる気も無い。何せカガリは、頑固な壁なのでな」
 そう語ったカガリは力を発動していく。
 城壁の幻影が周囲に広がっていく最中、ステラは流星剣の切っ先を敵に差し向けた。そして、強く宣言する。
「それでも奪うというなら、私はお前を止めるだけだ」
『ふふ、強いのね。それでこそわたしが欲しい存在だわ』
 人形はカガリの力を無視するようにステラにだけ視線を向けた。そして、素早く床を蹴って跳躍する。
 腕を刃に変えた人形は一瞬で此方に迫った。
 だが、そのような一閃をカガリが通すわけがない。
「――その代償を無意味にしよう」
 彼が一声を落とすと、刃がくしゃりと歪んだ。こうなれば相手は腕を捨てただけになり、何も得られぬどころか五体不満足に陥ってしまう。
『……!』
 驚く人形に対し、ステラが天から降り注ぐ流星の雨を解き放ってゆく。その軌跡は夜を飾るひかりの如く敵を鋭く穿っていった。
 しかし人形ももう片腕を代償に鋭利な刃を生み出す。されど、既に見切っているカガリがそれを阻止した。
「邪神の加護はこちらで捨てておく、ので。……そちらは任せたぞ、ステラ」
 カガリから掛けられた声に頷き、ステラは更に力を紡ぐ。
「身を滅ぼしてまで欲しいと思うその強い願い、悪いが否定させてもらう」
 刹那、破魔の流星雨が降った。
 眩い光を放つ一閃はただ真っ直ぐに邪神人形を貫き――そして、光が収束する。腕をもがれ、胸や身体に穴をあけられた人形はその場に伏し、戦う力を失った。
『ずるい、ずるいわ。どうしてわたしには、なにも……』
 崩れ落ちていく身体を何とか動かした人形はステラとカガリを見つめる。
 ――羨ましい。
 信じあえる人がいるあなた達が、とても。
 そんな渇望にも似た断末魔を落とした邪神人形は消え去っていった。カガリは骸の海に還るそれを見下ろし、小さく呟く。
「……哀れな、存在だったな」
「そう、かもな。もしかすれば――」
 私達も、という紡ぎかけた言葉は胸に秘め、ステラは首肯する。
 そうして、ヒトになりたいと願う邪神人形との戦いは此処で幕が下ろされた。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

栗花落・澪
【花翼の姉弟】

可哀想だけど…そういうわけにはいかないんだよ
貴方の気持ちもわからなくはないけど
僕達には僕達の命や心がある
大きすぎる代償は、貴方達の身も滅ぼすよ

姉さんはちょっと黙ってて…!
そして弟だ!

牽制は姉さんに任せ
翼で距離を取る【空中戦】と魔法援護主体

みっ、見えるとか言うな…!!

敵の動きを鈍らせるため
氷の【高速詠唱、属性攻撃】で足>腕の関節狙いで凍結
いけそうなら足自体を氷で地面に貼り付け

姉さんが気を引いてる間に★花園を形成
念のため【呪詛体勢+オーラ防御】を纏い
姉さんのUCに続けて【指定UC】

【催眠歌唱】で操る【破魔】の花弁に
風の【全力魔法】で花園から舞い上げた花弁を合わせ
【範囲攻撃】の浄化狙い


栗花落・深香
【花翼の姉弟】

そうよぉ、澪が可愛すぎて放っておけない気持ちはわかるけど
ぜぇっったいにあげないわ!
私の大事な妹よ!!(きっぱり)

澪を護り【オーラ防御】を身に纏いながら
連射式アサルトライフル形態の★MI/096の
【クイックドロウ、援護射撃】で攻撃

澪そんなに飛んだら見えるわよぉ?

初めは威嚇と翻弄
澪の氷魔法で動きが鈍り始めたら本格的に狙いに行くわ

あら、私との勝負はまだついてないわよぉ?
逃げるのかしら
挑発で【誘惑】し澪に攻撃を向けさせないように

ところで…貴方邪神よね
邪神の弱点といえば…なにかしら?

何も奪われないよう【空中戦】で距離を取り【指定UC】の【範囲攻撃】
逃げ場すら与えない乱れ撃ち

これで終わりよ♪



●自分という存在
 人形としての身体。
 個性のない、それ以上の何にもなれない存在。それが今、澪達の前に立っていた。
『あなたの存在、ちょうだい』
「可哀想だけど……そういうわけにはいかないんだよ」
 人形から告げられた言葉に首を振り、澪は胸元に当てた掌を強く握り締めた。
 憧れるものになりたい。
 その気持ちもわからなくはない。けれど――。
「僕達には僕達の命や心がある。大きすぎる代償は、貴方達の身も滅ぼすよ」
「そうよぉ、澪が可愛すぎて放っておけない気持ちはわかるけど……ぜぇっったいにあげないわ!」
 澪が真剣に告げ返す中、深香がびしりと敵に指先を突きつけた。
 二人が対する人形は一体。
 それはどうやら澪に成り代わりたいと願っているようだ。
「欲しいって言ってもあげないんだから。私の大事な妹よ!!」
「姉さんはちょっと黙ってて……! そして弟だ!」
 きっぱりと断言した深香に思わずツッコミを入れつつ、澪は敵に目を向けた。その瞬間、澪に触れさせまいと動いた深香がオーラで防御の力を張り巡らせる。
 その間に澪は飛び立ち、氷の魔力を紡いだ。
『どいて、じゃまよ』
 対する人形は自らの腕を代償に刃へと変化させ、邪魔な深香を斬り裂こうと迫る。しかし深香は事も無げにそれを受け、天井近くまで舞った澪を振り仰いだ。
「澪、そんなに飛んだら見えるわよぉ?」
「みっ、見えるとか言うな……!!」
 恥ずかしがる声にくすりと笑い、深香は連射式アサルトライフルの形にした銃を敵に差し向けた。同時に澪が氷撃で敵を穿つ。
 動きをわずかに止められた人形だが、すぐに背中の部位を代償にして翼を錬成した。人形は人形なりに、澪に少しでも近付こうとしているようだ。
 されど深香が敵の前に立ち塞がる。
「あら、私との勝負はまだついてないわよぉ?」
 逃げるのかしら、と挑発した深香もまた翼を広げて飛ぶ。其処から巡るのは目にも留まらぬ空中戦だ。
 迸る氷の魔力に弾丸の嵐。振るわれる刃。
 そして、澪の歌声。
 誘幻の楽園――エデン・オブ・ネニア。
 無数の花刃が舞い、敵から外れた花弁は地に落ちて美しい花を一面に咲かせてゆく。
 流石は澪だわ、と称賛を送った深香は人形に問いかけた。
「ところで……貴方邪神よね。邪神の弱点といえば……なにかしら?」
『…………』
 しかし人形は答えない。きっと邪神ゆえの弱点というものに該当がないからだ。
 人形はその間も澪に手を伸ばした。
 その存在を奪いたいと願う一心で偽りの翼で戦場を飛び交う。その姿はやはり可哀想に思えた。それでも、容赦など出来ない。
 澪は祈るように両手を重ね、催眠を込めた歌唱を重ねていく。
「――幸せのままに眠れ」
 花園から舞い上げた花弁を其処に合わせた澪。更に深香の早撃ちによる弾丸が次々と放たれ、邪神を穿っていく。
「これで終わりよ♪」
 逃げ場すら与えない乱れ撃ちで人形を追い詰めた深香が視線で合図を送る。その眼差しを受けて頷いた澪も最後の一閃を解き放っていった。
「誰かになることなんて出来ないんだよ。自分は自分でしかないんだから……!」
 そして――浄化の花が舞い上がる。
 その刃は鋭く鮮烈に、何かに成りたいと願った人形を深く貫いた。
 刹那、邪神人形の腕と背の翼がもがれて地に落ちる。続いて、からん、という空虚な音が響いたかと思うと人形は床に伏していた。
『それでも……あなたみたいに、なりたかった……』
 そんな最後の言葉を遺しながら、偽りの自由を手に入れた人形は骸の海に還っていく。その姿を見下ろした澪は哀しげに目を伏せた。
 対して深香はそっと視線を外し、両腕を組んで勝ち誇る。
「可愛い澪を襲おうとした罰ね」
「もう、姉さんってば……」
 こんなときでも弟本院な姉に目を向け、澪は思わず苦笑した。それでもその笑みは何処か快さを孕んでいる。それは彼女が自分らしく在り続けているからだ。個性があるということはきっと、当たり前でいて尊いことなのだろう。
 そうして、姉妹――もとい姉弟達の戦いに幕が下ろされた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三咲・織愛
ムーくん(f09868)と

……。
…………。
………………はっ。
いよいよお出ましですね!
ええ、大丈夫です。目的を忘れてなんていませんでしたよ! 本当です!

夜星の槍を握って、人形と相対します
人間になりたいと願う事を悪いと断じたりなどはしません
けれど、成り代わろうというのなら話は別です。許すわけにはいきません!

ムーくんが存分に力を揮えるよう、私は前に出て敵の攻撃をいなすことに専念しましょう
見切りと武器受けを駆使し、攻撃の回避を試みます。
後ろには行かせませんよ! 矛先が後ろに向くのなら悉くを打ち落としてみせましょう
【覚悟】を胸に、隙をついて穿ち、足止めを
後は任せましたよ、ムーくん!
どうしましたムーくん?


ムルヘルベル・アーキロギア
同行:織愛/f01585

忘れてたよな?
オヌシいま明らかに忘れてたよな!?
まあよい、とにかくさっさとケリをつけてしまおうか!

さて、前衛には織愛に任せておけば万事問題あるまい
あの人形どもの渇望は警戒に値するが、後ろにはワガハイがいるのだ
得られた時間を使って魔力を練り上げ、【ウィザード・ミサイル】の術式を発動する
少数ではなく多数を一気に焼き尽くす、面制圧を意識した砲撃といこう
……ワガハイが味わわされた羞恥とかそのへんの怒りも込めるのだ!
オヌシらのせいで! オヌシらのせいで!! くそう!!!!
……いや原因は目の前の小娘ではないか……??(賢者は考えるのをやめた)



●賢者の長い長い一日
 ……。
 …………。
 ………………。
 長い沈黙。
 これまでアイドルとして賑やかなパーティーを楽しんでいたというのに。どうして今、邪神が目の前に現れているのか。
 織愛は暫し疑問を浮かべていたが、すぐに我に返った。
「はっ! いよいよお出ましですね!」
「忘れてたよな? オヌシいま明らかに忘れてたよな!?」
 自分達の前に立つ人形をびしっと指差した織愛に、ムルヘルベルが全力で突っ込む。織愛はふるふると首を振り、誤魔化した。
「ええ、大丈夫です。目的を忘れてなんていませんでしたよ!」
「…………」
 本当かと問い返す言葉は無為に思え、ムルヘルベルは黙り込む。すると織愛は彼の心を読んだかのように言葉を続けた。
「本当です!」
「まあよい、とにかくさっさとケリをつけてしまおうか!」
 ムルヘルベルは頷き、自分達を狙っている邪神人形へと視線を向ける。たとえこの娘が無邪気な暴虐の悪夢を引き起こす権化であっても、戦いとなれば頼りになることは知っていた。
『ふふ、仲良しなのね。わたしもあなたになれば、仲良くなれる?』
 人形は織愛達を見比べ、手を伸ばす。
 存在が欲しい。
 そう語る人形はどうやら、織愛を殺してその姿を奪おうと考えているようだ。そうはさせないと身構えた織愛は夜星の槍を握る。
「人間になりたい……それはあなたの願いだから、悪いと断じたりなどはしません。けれど、成り代わろうというのなら話は別です。許すわけにはいきません!」
 宣言と共に床を蹴った織愛は人形に自ら飛び込む。
 対する人形は腕を刃に変えてそれを迎え撃ち、織愛を斬り裂こうと狙った。だが、其処にムルヘルベルが放った炎の魔矢が飛来する。
 邪神人形の腕を貫いた一閃は鋭く、一気に燃え上がってゆく。
「後ろにはワガハイがいるのだ。何も気にせず存分に暴れるとよい」
「はい、ムーくん!」
 前衛は織愛に任せておけば万事問題がないとムルヘルベルが考えているように、織愛もまた彼に信頼を抱いている。
 人形達の渇望は警戒に値するが、二人が揃っているのならば何も心配はいらない。
 敵と相対する織愛の背を見つめながら、ムルヘルベルは更に魔力を練り上げた。発動される術式からは次々と新たな魔力の矢が現れていく。
 存分に、と彼は告げてくれた。
 しかし織愛もまた、ムルヘルベルが力を発揮できるよう立ち回っているつもりだ。
 自分を狙う人形が振るう刃を槍で受け、鍔迫り合うように拮抗する。そして織愛は敵の剣を弾き、身を翻す。
 其処にすかさず打ち込まれたムルヘルベルの魔力が敵を深く穿った。
 すると人形はじろりと彼を見遣り、不機嫌そうな声を向ける。
『……あなた、じゃまよ』
 はっとした織愛は敵の意識がムルヘルベルに向いたことを察した。
「後ろには行かせませんよ! ムーくんは私が守ります!」
 先程なんだかんだでエスコートしてもらったのだから、次は自分の番。矛先が彼に向くのなら悉くを打ち落としてみせると決め、織愛は更に深く斬り込んでゆく。
 その姿をしかと見守り、ムルヘルベルは魔力を紡ぎ続ける。
「オヌシ、こういうときだけ格好良くなりおって……」
 呟きは其処で止め、彼は指先を敵に差し向けた。これまで味わわされた羞恥だとか怒りの感情を込め、ムルヘルベルは一気呵成に攻め立てる。
 それによって人形の体勢が大きく揺らぎ、好機が生まれた。
 織愛は覚悟を胸に抱き、その隙をついて敵を全力で穿った。足止めを担いながら後ろに振り返り、織愛が呼び掛ける。
「後は任せましたよ、ムーくん!」
「相分かった。これで――終わりである!!」
 その声に応えたムルヘルベルはすべての感情を込めた魔矢をひといきに叩き込んだ。
 そして、一瞬後。
『……ああ、わたし……これでおわりなのね……』
 がくん、と糸の切れた操り人形のように邪神が崩れ落ちた。倒れ伏したそれが動き出すことはもう二度となく、二人は戦いの終わりを悟る。
 だが――実は今もバニー姿であるし、アイドルはもはや黒歴史。
 ムルヘルベルは握った拳をわなわなと震わせ、消えていく人形を見送った。
「オヌシらのせいで! オヌシらのせいで!! くそう!!!!」
「どうしましたムーくん?」
 不思議そうな織愛はその怒りの根源が何であるか理解できてないようだ。しかし、それもまた彼女らしい。
 そんなことを感じながらムルヘルベルはふと気付く。
(……いや原因は邪神ではなく、目の前の小娘ではないか……??)
 しかし考えすぎると幸せになれないことも解ったので、賢者は考えるのをやめた。すると織愛は彼をぐっと掴んで歩き出す。
「さあ、ムーくん! あとは教団の方をやっつけにいくだけですよ!」
「えっ、この格好のままであるか!? 待てオヌシ、せめて他の邪神を……って聞いてないな!!!!」
 そんなこんなでまだ暫し、ムルヘルベルの受難は続くようだ。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アヤカ・ホワイトケープ
ユキちゃん(f18336)と

ライブそのものは楽しかったし、パーティーで会った人達もまともで良かったわ
それにしても、何かに見られていた気はしてたけど…まさか人形だったとはね…
けど生憎わたしもユキちゃんも、あなた達に体を差し出すつもりはないわ!
呪われた人形も邪教の連中も…みんなまとめて叩き潰してあげる!
…やるわよ、ユキちゃん!わたしから離れないでね!

もし舞台裏でわたし達の歌を聞いていたのなら、もっと聞きたいと思うかしら?
…なら、思う存分聞かせてあげる!
歌唱と楽器演奏に乗せて、貫きし憤怒の歌を範囲攻撃で叩き込むわ
アンコールが欲しいなら2回攻撃で追撃よ!
せめてもの慈悲よ、この歌と共に消え去りなさい…!


ユキ・アウローラ
あやかおねーちゃん(f00740)と
かみさま?
あなたもかみさまなのです?
……って思ったのですけど、ちがうのです
あなたはかみさまじゃないのです

かみさまはひとのしあわせを願うものなのです
ひとを傷つけて、うばうのはかみさまじゃない

だから、ゆきはあやかおねーちゃんやみんなのことがだいすきで
それがかみさまの『ぷらいど』とゆーやつなのです!
だから、ゆきはゆるせないのです
かみさまのふりをするあなたたち、おこるのです!
だから、おしおきをしちゃうのです!

あやかおねーちゃんにうなずいて
はい!ゆきたちの『あんこーるらいぶ』なのですね!
あやかおねーちゃんのおうたを彩るようにUCを

あなたに春はこないのですよ



●彩るラストステージ
 ライブそのものは楽しかった。
 パーティーで出会った人々もまともで安心した。しかし、最後に残っていたのは悪意のみしか宿さぬ教団と邪神達だった。
「それにしても、ずっと何かに見られていた気はしてたけど……まさか人形だったとはね……」
 アヤカは目の前に佇む人形を見据える。
 数多の人形に宿ったそれらは、教団員から『我らが神』と呼ばれていた。ユキはじっと人形を見つめてぽつりと問う。
「かみさま? あなたもかみさまなのです?」
『わたしは、あなたになるの。あなたのような可愛い子に……』
 すると人形は答えになっていない言葉を落とし、ユキに向けて手を伸ばした。はっとしたユキは首を横に振る。
「……って思ったのですけど、ちがうのです。あなたはかみさまじゃないのです」
「生憎、わたしもユキちゃんも、あなた達に体を差し出すつもりはないわ!」
 敵がユキを乗っ取りたいと狙っているのだと察し、アヤカは一歩前に踏み出した。通さないと示すようにユキの前に立ち塞がったアヤカは強く掌を握る。
「呪われた人形も邪教の連中も……みんなまとめて叩き潰してあげる! ……やるわよ、ユキちゃん! わたしから離れないでね!」
「はい。かみさまはひとのしあわせを願うものなのです」
 ひとを傷つけて、うばうのはかみさまじゃない。
 アヤカの声に頷いたユキは自分なりの思いを抱き、六花の力を放った。それに合わせてアヤカがユキを呼び、エスペランサを構える。
「もし舞台裏かモニターでわたし達の歌の舞台を見て聞いていたのなら、もっと聞きたいと思うかしら? ……なら、思う存分聞かせてあげる!」
 アヤカは楽器演奏に乗せて、貫きし憤怒の歌を紡いでいった。
 ――わたしの怒りよ、歌声と共に敵を撃ち貫け!
 歌唱と共に貫通する音と歌声の魔弾が戦場に舞った。ユキもすべてを凍てつかせるような冬の雪結晶の花を散らせ、目の前の敵を穿ってゆく。
 対する人形も傘を振り上げて此方を穿とうとしたが音の魔弾によって体勢を揺らがされてしまった。
 ユキは自分の裡に宿る思いを胸に抱き、それを言葉に変えていく。
「ゆきはあやかおねーちゃんやみんなのことがだいすきで、それがかみさまの『ぷらいど』とゆーやつなのです! だから、ゆきはゆるせないのです」
『許せない? だったら、どうするの?』
 ユキの懸命な言葉を聞き、邪神人形は首を傾げてみせた。
 衝動だけで動くそれはきっと人の心など理解していないのだろう。だが、それだからこそ人間になりたいと願っているのかもしれない。
 アヤカはそんな風に感じながらも歌うことを止めなかった。
 そして、ユキは続ける。
「かみさまのふりをするあなたたちに、ゆきはおこっているのです! だから、おしおきをしちゃうのです!」
 その声と共に雪結晶の花が激しく周囲に巻き起こった。
 まるでそれはステージを彩る紙吹雪のようだ。アヤカは呼吸を整え、ユキちゃん、と少女を呼んだ。
「さあ、アンコールの時間かしら」
「はい! ゆきたちの『あんこーるらいぶ』なのですね!」
 アヤカの言葉に応えたユキはもう一度、六花の力を舞わせようと決めた。
 彼女の歌を彩るように白き雪がひらひらと戦場に躍る。アヤカはユキが宿してくれる穏やかな心地と、確かな力を感じながら歌を紡ぎあげていった。
「せめてもの慈悲よ、この歌と共に消え去りなさい……!」
 そして――。
 歌が終わった時、邪神人形はその場に伏していた。戦う力を失ったそれは宛ら、雪が溶けていくかのように薄れ、骸の海に還っていく。
「あなたに、春はこないのですよ」
 その姿を見送ったユキがちいさく落とした言葉は静かに響いていった。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヘスティア・イクテュス
【N.O.H.A】
あら、アベル貴方の体が欲しいだって(クスクス笑い)
貴方はあっちの体になってみる?
冗談は置いといて、人形の体なんて紅茶飲めなさそうだしわたしは嫌ね!

わたしは中衛に
ティターニアで上へ飛んで、そこから前衛のオリヴィアが吹き飛ばした人形をミスティルテインで撃ったり、敵の攻撃を撃って行動の阻害を【援護射撃】

望に合わせてマイクロミサイルを【一斉発射】で音を聞こえにくく手伝ったり、ナイス歌よ望!暁音も支援ナイスよ!

自身への攻撃は回避、もしくはタロスのバリア【オーラ防御】で

止めはブラスターモード、呪いの人形は跡形もなくお焚き上げ!でいいのよね?


七那原・望
【N.O.H.A】

お生憎様ですね。わたしはもうわたしの身体も心も誰にも譲るつもりはないのですよ。

【念動力】で遠隔【操縦】する機掌・プレストに銃奏・セプテットを持たせ、敵の近くで【一斉射撃】する事で敵に音が拾われにくくしておきます。

敵の攻撃は【第六感】と【野生の勘】を駆使して【見切り】、プレストや他の武器、魔法を駆使して躱し、躱しきれない分は捌きます。

今なら敵には聴こえませんね?
改めて、【全力魔法】の【愛唱・希望の果実】を【歌って】みんなのユーベルコードを強化しながら、魔法による【援護射撃】や【誘導弾】でみんなのサポートを務めるのです。

お前達のような邪神に、人の肉体を持つ資格はないのですよ。


オリヴィア・ローゼンタール
【N.O.H.A】
いかなる像も造ってはならない
それらに向かってひれ伏したり、仕えたりしてはならない
これを造る者と、これに信頼する者はみな、これと等しい者になる

偶像に魂を囚われた罪深き者たち、その拠り所を砕きます

【属性攻撃】【オーラ防御】で手足に光の魔力を纏う
徒手空拳も心得ていますので、私が前衛を担いましょう

邪神の加護を得た傘による攻撃を【視力】で【見切り】、【拳で受け】流す
【怪力】を以って蹴り飛ばし(吹き飛ばし)、仲間の元へ近付けさせない

【全力魔法】【破魔】で光の魔力を極限まで圧縮し形成した【赫怒の聖煌剣】を振り下ろし叩き斬る
主は自らの栄光を偶像に与えることはない! 消えよ邪神!


天星・暁音
【N.O.H.A】

やっと目的の相手のお出ましって訳だね
残念だけど君たちにあげられるものとかこれくらい(弾丸)か、後はこれ(杖術による打撃)かな?
あ、こんなのもあるね(銀糸の切断)好みのものをあげるよ?
人の体を奪おうなんてことを企む君たちには十分過ぎるものだよ
まあ、いつも通りに俺は皆の支援と行きますか
どんな相手でも油断は禁物、バックアップはしっかりしないとね


遊撃的に行動して全員の行動を支援します
勇気の祝福で戦闘力を上げつつ怪我人がでれば指定UCで回復します
どの位置でも銃と糸による攻撃を基本に前衛ではそれに杖術による接近戦を織り交ぜます

スキルUCアイテムは自由にご使用ください
アドリブ可



●四つの光
『――あなた達の存在、欲しいな』
 四人の前に現れたのは二体の人形達。片方はヘスティアを、もう片方はオリヴィアに狙いを定めたらしきそれらは各々に手を伸ばしてくる。
「やっと目的の相手のお出ましって訳だね」
「お生憎様ですね。わたしはもうわたしの身体も心も誰にも譲るつもりはないのですよ」
 暁音と望は二人を見つめる人形に向けて身構えた。
 しかし人形達は少年と少女には興味がないらしく、彼らの言葉を聞こうともしない。
『どいてよ。わたしはあの子がほしいの』
 対するヘスティアは自分を示す人形に向けてくすくすと笑う。
「あら、アベル。貴方の体が欲しいだって」
 ヘスティアはAIの名を呼び、揶揄うように人形達を見遣った。貴方はあっちの体になってみる? と、冗談めかしてみるもすぐに首を振る。
「でも、人形の体なんて紅茶飲めなさそうだしわたしは嫌ね!」
「ええ……お断りです」
 オリヴィアは邪神人形から向けられる眼差しを受け、教えを胸中で反芻していく。
 いかなる像も造ってはならない。
 それらに向かってひれ伏したり、仕えたりしてはならない。
 これを造る者と、これに信頼する者はみな、これと等しい者になる。
 即ち、目の前の物を崇める教団は異端。
 戦うしかないのだと感じたオリヴィア達は其々に構え、魔力を紡ぐことで二体の人形に敵意を向けた。
 先ず動いたのはヘスティアとオリヴィアだ。
「偶像に魂を囚われた罪深き者たち、その拠り所を砕きます」
 手足に光の魔力を纏ったオリヴィアは前に飛び出し、一気に拳を振り下ろす。同時にヘスティアがティターニアで上へ飛び、オリヴィアが吹き飛ばした人形をミスティルテインで撃ち抜いた。
 前衛に立つオリヴィアを援護するように射撃を続けるヘスティア。
 彼女達が一体の人形を相手取る中、暁音と望はもう一体へと狙いを定めていた。
「残念だけど君たちにあげられるものとかこれくらいか、後はこれかな? あ、こんなのもあるね」
 弾丸に杖術による打撃。銀糸の一閃。
 何でも出来るよと暁音が示す最中、望は念動力で機掌・プレストを遠隔操縦していく。其処に銃奏・セプテットを持たせた望は敵の近くで一斉射撃させた。
 銃撃の音が響いていき、其処に暁音の攻撃が重ねられる。
 四対ニとなれば圧倒的。
 敵は邪神とはいえ、完全な力を持っているわけではない。プレストと銀糸の一撃が確実に敵を穿ち、力を削っていく。
 更にヘスティアが望に合わせてマイクロミサイルを一斉発射していく。
 それは敵に音を聞こえにくくするための布石だ。
 だが、オリヴィアへと迫る人形が彼女の身を激しく殴打した。それに気付いた暁音がすぐに神聖なる祈りの抱擁を発動させていく。
「祈りを此処に、妙なる光よ。命の新星を持ちて、立ち向かう者達に闇祓う祝福の抱擁を……傷ついた翼に再び力を!」
 癒しの神聖なる光で仲間を包み込んだ暁音。
 それ合わせて望が希望の果実の歌を紡いでいった。それはユーベルコードを一時的に進化させる歌声だ。
「La~♪ La la la~♪ La la la la la~♪」
「ナイス歌よ望! 暁音もありがとね!」
「この力で――!」
 望達の援護にヘスティアが礼を告げ、傷を癒やしてもらったオリヴィアも更なる一撃を与えに敵へと駆けた。
 邪神の加護を得た傘による攻撃は視力で見切り、拳で受け流す。
 そして、其処に生まれた隙を見出したオリヴィアは怪力で以ってして敵を蹴り、一気に吹き飛ばした。
 仲間の元へは近付けさせない。そんな思いが彼女の裡にしかと宿っていた。
 暁音も援護を続け、敵を見据え続ける。
「人の体を奪おうなんてことを企む君たちには十分過ぎるものだよ」
 どんな相手でも油断は禁物。バックアップはしっかり行うべきだとして、暁音は星杖シュテルシアを強く握った。
 そして、攻防は激しく巡ってゆく。
「お前達のような邪神に、人の肉体を持つ資格はないのですよ」
 望は相手に慈悲など抱かず、ただ仲間のためだけを思って歌と声を響かせていった。
 暁音は遊撃にまわる者として全員の行動を支援しつつ、銃と糸による攻撃を行いながら、時には杖術による接近戦を織り交ぜて戦った。
 ヘスティアは自身への攻撃を極力回避し、避けきれなかったものはタロスのバリアを張り巡らせることで何とか受け止める。
 そうしているうちに徐々に人形達の動きも鈍くなってきた。
 今が好機だと読んだヘスティアは敵との距離を取り、銃器を長距離モードに変更してゆく。それと同時に望が彼女のユーベルコードを更に強化していった。
「呪いの人形は跡形もなくお焚き上げ! でいいのよね?」
「はい、やってしまいましょう」
 ヘスティアの声に望が頷いた瞬間、ミスティルテインの砲撃が一気に解き放たれた。二体同時に貫いた一閃は片方を地に伏せさせ、戦う力をすべて奪い取る。
 これで残るは一体。
 やってしまおう、と暁音が視線を送るとオリヴィアが頷いた。
 其処から巡るのは、全力魔法と破魔の力で光を極限まで圧縮して形成した赫怒の聖煌剣による最後の一撃。
「主は自らの栄光を偶像に与えることはない! 消えよ邪神!」
 凛々しい声と共に振り下ろされた聖煌剣は激しく迸り、そして――。
 乾いた音が響き、邪神人形がその場に崩れ落ちた。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

紅葉・智華
※アドリブ・連携歓迎

さて、無関係の人間はもういない、となれば遠慮はいらない、かな。
「――さて、やるでありますよ!」(電脳魔術を用いてバニー姿から普段の軍服ワンピース姿に早変わりする)
流石に用意されていた衣装を汚したり壊したりはしたくないしね……。

一応は場所は会場な訳で、料理とかテーブルとかもある事を考えると、此方もあまり粗末にしたくないから、銃火器の使用は最低限度。
【ダッシュ】で間合いを詰めながら、【選択UC】を中心とした【グラップル】で殴り倒す。相手の動きは経験と直感(第六感、戦闘知識)で【見切り】、回避する。

「――赤枝流の拳、見せてやるでありますよ――!」



●人形とヒト
 邪神人形と猟兵。
 両者が対峙する会場は戦場と化した。
「無関係の人間はもういない、となれば遠慮はいらない、かな」
 智として過ごした時間は終わり。
 それに流石に用意されていた衣装を汚したり壊したりはしたくない。
「――さて、やるでありますよ!」
 口調を改めた智華は電脳魔術を発動させ、それまでのバニー姿からその身を普段の軍服ワンピース姿へと変えた。
 身構えた智華は目の前に立っている人形を見据える。
『あなたの存在を、くださいな』
 邪神の力が宿った傘を構えた人形は智華に手を伸ばした。存在を渡せという敵の要求は無茶だが、どうやら相手を殺すことで乗っ取る力を持っているようだ。
 だが、そう易々と倒される智華ではない。
 ダッシュで一気に間合いを詰めた智華は赤枝流拳術で以て敵に迫る。超硬度に改変した四肢で打ち放つのは全力の殴打。
『……!』
 人形が思わず揺らぎ、倒れかける。
 しかし即座に身を翻した敵は智華へと傘を振り下ろした。腕を掲げてその一閃を受けた智華は痺れるような鈍い痛みに耐える。
「まだまだ、であります!」
 されど怯むことはなく、すぐに反撃に入った。
 持てる限りの力を込めて放つ拳は容赦なく人形の腕や腹を貫いてゆく。徐々に押されていく邪神人形はただ耐えるしかない。
 そして、智華は敵を倒す絶好のチャンスを得た。
『く……強すぎる……!』
 人形が呻き、智華から逃げようと背を見せたのだ。されどそれを逃すような智華ではなかった。隙だらけの背に拳を向け、智華は一気に振りかぶる。
「――赤枝流の拳、見せてやるでありますよ――!」
 凛とした声が響いた、刹那。
 背中を大きく穿たれた人形が砕け散り、ばらばらになって崩れ落ちた。
『ああ……そんな……』
「誰かに成り代わろうなんて願いそのものが間違っていたのであります」
 人形が骸の海に還り、消えていく様を見送りながら智華はそっと目を閉じる。
 短い葬送が終わった直後、邪神人形は完全に消え去った。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

渦雷・ユキテル
見る目ありますねえ
可愛いでしょう、素敵な身体でしょうと
くるりと回り自慢げに髪に触れ
微笑み向けて手招きを【演技】【おびき寄せ】

でも残念
与えられたものを躊躇いなく捨てようとする子に
あげる身体なんてありません
電流纏わせ【だまし討ち】の回し蹴り
あは、電流でよければ幾らでもあげますよ

蹴り飛ばして距離が開いたら
どうやって身体を使うか見せてあげる
可愛く楽しく軽やかに だけど軽薄じゃいけません
これ以上傷を増やさないように

ちゃんと理解できてます?
銃の使い方も見てみます?
人形の足に、腕に、脇腹に銃弾打ち込み
頭は最後に残しとかなきゃ

そして一番大事なのは、死んじゃ駄目ってこと
できないようじゃガッカリですね
さようなら!



●自由を求める先に
『――あなた、とてもきれいだった。だからね、あなたがほしい』
 ユキテルの前には今、無表情の人形が佇んでいた。
 ねえ、と呼びかける邪神人形はユキテルに惹かれていたらしく、まるでお菓子や玩具でも強請るかのように手を伸ばす。
「見る目ありますねえ」
 対するユキテルは慌てたり怯んだりすることなく、くるりと回ってみせた。
 可愛いでしょう、素敵な身体でしょう。
 そう示して自慢げに金の髪に触れたユキテルは微笑む。おいで、と手招きをしたのはもちろん演技で、敵を自分の近くまで誘き寄せる為の仕草だ。
『……くれるの?』
 すると人形は何の疑いもなく傍に歩み寄ってきた。
 だが、話はそう簡単ではない。ユキテルは口端を緩め、双眸を鋭く細めた。
「でも残念」
『……!?』
 突然、低く重く紡がれた言葉と共にユキテルの掌から雷光が迸る。そして、人形が身構える隙すら与えずに身を低くして回し蹴りを叩き込んだ。
「与えられたものを躊躇いなく捨てようとする子に、あげる身体なんてありません」
 吹き飛ばされ、転倒する人形。
 だが、人間では有り得ない不自然な動きで跳ね上がるようにすぐに起きあがったそれは手にしていた邪神の傘を構えた。
『……うそつき』
「あは、あげるなんて言いました? けれど電流でよければ幾らでもあげますよ」
 そして、跳躍したユキテルは宙で華麗に回転を入れ、電撃を纏った蹴りで以て邪神人形を鋭く穿つ。
 それはヒトとしての動きを知らぬ人形に、どうやって身体を使うか見せてやる為。
 可愛く、楽しく、軽やかに。
 だけど軽薄じゃいけない。これ以上傷を増やさないようにと告げ、ユキテルは振り回される傘を避けていく。
『ずるい、ずるいわ。わたしはそんなふうに、自由にできない……』
 人形は必死にユキテルに追い縋る。完全に自分のペースに巻き込めたと確信したユキテルは拳銃を敵に向けた。
「ちゃんと理解できてます? 銃の使い方も見てみます?」
 足に、腕に、脇腹に。次々と銃弾を撃ち込んだユキテルは容赦がない。
 次第に人形は満足に動けなくなり、その場に膝をついた。そうしてユキテルは最後に残しておいた頭に銃口を差し向ける。
「そして一番大事なのは、死んじゃ駄目ってこと。できないようじゃガッカリですね」
『…………』
 虚ろな瞳でユキテルを見上げた人形は何も語らなかった。
 そうして、銃爪は引かれ――。
「さようなら!」
 響く銃声と別れの言葉。
 完全に倒れ伏した人形が塵のように消えていく様を見下ろしたユキテルは静かに目を閉じる。人に焦がれ、存在を求める人形。
 それが唯一手に入れていたのは結局、偽りの自由だったのだと感じながら――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

氷室・雪
私になりたいとは酔狂な奴だな
もっとも、アイドルとしての偽りの私に成り代わりたいのだろうが
普段から口調とか演じている部分もあるので偽っていることには変わりないか

シンデレラにかかった魔法は解けたといったところか
アイドルよりは猟兵のほうが落ち着くな

【刹那永劫剣】を使いSPD勝負を挑もう
相手を上回る速度で回避しつつ攻撃できればよし
回避できなくとも差し違え覚悟の[捨て身の一撃]を仕掛ける

自分とは違う誰かへの憧れというのはというのは理解できなくもないな
アイドルを拒否しなかった私にも似たような気持ちがあったのだろう

振り返るとアイドルもバニーも恥ずかしかったがいい経験にはなったと思うことにしよう

アドリブ絡み可



●焦がれるもの
 雪の見つめる先には、一体の人形が立っていた。
 顔のない、表情すら読めない木偶のような人形だ。それはじっと雪を見つめるように佇み、手を伸ばしてきていた。
『きみが、ほしい』
 たった一言、告げられた言葉に雪は頭を振る。
「私になりたいとは酔狂な奴だな」
 自分は存在を欲しがられるような者ではない。それは卑下でも何でもなく極当たり前に思っていることだ。
 しかし、雪は思い直す。
「もっとも、アイドルとしての偽りの私に成り代わりたいのだろうが」
 きっと人形はモニタ越しにでもステージやパーティー会場を見ていたのだろう。そんな偽りの自分を、相手は気に入ったのだろう。
 普段からこの口調であるときは自らを演じている。それも偽っていることには変わりないかと思い立ち、雪は息を吐いた。
「シンデレラにかかった魔法は解けたといったところか」
 されど、アイドルよりは猟兵のほうが落ち着く。静かに残雪を構えた雪に対し、人形はゆっくりと歩み寄ってきた。
『ねえ、ちょうだい』
 人形は雪を殺してから存在を手に入れ、成り代わる心算らしい。しかし雪とて今の自分を奪われるわけにはいかない。
「受けてみるか、我が奥義」
 雪は床を強く蹴り上げ、敵が打って出る前に刹那の一閃を解き放った。
 人形の身が鋭く斬り裂かれたが、相手も手にしていた邪神の傘を振るって対抗してくる。雪はその動きを察し、素早く身を翻すことで避けた。
 相手の動きは読める。
 ならば後は疾さで圧倒して倒すだけだ。雪は刃を切り返し、更なる一撃を叩き込む。氷の如く冷たく美しい刀身が会場のライトを反射して煌めいた。
 その瞬間、人形の腕が斬り落とされる。
『……、きみ、が……ほしい』
「そうか。自分とは違う誰かへの憧れというのはというのは理解できなくもないな」
 人形が呻く言葉に対し、雪は思う。
 アイドルを拒否しなかった自分にもきっと似たような気持ちがあったのだろう。それゆえに人形の渇望も少しだけ分かった気がした。
 すると邪神人形が更に言葉を続けた。
『きみは気高くて、寂しそうで……でも、それがきれい。ほしい、ほしいな……』
 それはアイドルとしてではなく今の雪を示しているように思えた。はっとした雪だが、だからといって手心は加えられない。
 そうか、とだけ返した雪は最期を与える為に刃を振り上げた。
 そして――。
 人形は崩れ落ち、物言わぬ骸と化す。
「綺麗、か……。どうだかな」
 消えゆく邪神を見下ろし、呟いた雪はこれまでを思い返す。アイドルもバニーも恥ずかしかったが悪くない経験にはなったはずだ。そう思うことにした。
 そうして猟兵としての役目は果たしたとして、雪はそっと刀を下ろした。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

朝日奈・祈里
よう、木偶
いや、ヒトガタちゃん、かな?
ぼくさまになりたいとは、なかなか目の付け所がいいんじゃねぇの?

…でも
天才はなかなか厳しいぞ
天からのギフトは1度切り
その称号へ応えるための努力は数え切れないほど
貴様にできるか?
……できるのなら、この体などくれてやる

…なんて、思ってたんだけどな?
繋がっちゃったんだ
ぼくはもう、一人じゃなくなっちゃった
他の人を置いてどっかには、もう行けない
だから、ごめんなさいな?

レム!動きを止めろ!
未来の為に、生きなきゃ
そこに希望がなかったとしても
ルーンソードで斬りながら言う
煌いていてもそれは努力の賜物だ
易々と奪うものじゃない

身体も、心も疲れた…
今何時?
嗚呼、眠いはずだよぉ…



●繋がり
「よう、木偶。いや、ヒトガタちゃん、かな?」
 祈里は両腕を組み、自分の目の前に現れた邪神人形を見つめた。
 その言葉と態度はこれまで演じてきたカワイイ幼女アイドルとは違う、本来の祈里としての振る舞いだ。
『……あなたの存在、ちょうだい』
 対する人形はそんなことなど構わないというようにくすりと笑いながら告げた。
「ぼくさまになりたいとは、なかなか目の付け所がいいんじゃねぇの?」
『そのからだ、わたしが使いたいわ』
 邪神人形は話を聞いているのかいないのか、好き勝手なことを語っている。祈里も相手の言動を意に介することなく言葉を続けていった。
「そうか。……でも、天才はなかなか厳しいぞ」
 零れ落ちた思いは本心めいていた。
 天からのギフトは一度きり。
 天才という称号へ応えるための努力は数え切れないほどになる。これまでもそうあったし、そう在り続ける心算でいる。
「貴様にできるか? ……できるのなら、この体などくれてやる」
『ふふ、それなら貰ってあげる』
 人形は言葉の本質が理解できていないらしく、軽く手を伸ばしてきた。しかし祈里はその手を避けた。
「……なんて、思ってたんだけどな?」
 身を翻してルーンソードを構えた祈里はこれまでのことを思い返す。
 たとえば、秋の宿で猫達と過ごした夜。
 たとえば、彼女の部屋で語りあった時間。
 たとえば、遊戯や会話を楽しむ何気ないひととき。
「繋がっちゃったんだ」
 其処には確かに人との縁があった。
 そんなものはくだらないと思っていた自分はもう何処にもいない。
「……ぼくはもう、一人じゃなくなっちゃった。他の人を置いてどっかには、もう行けない。だから、ごめんなさいな?」
 独り言ちるように言葉を重ねた祈里は人形を見据えた。
 相手にこの思いが伝わるとは思っていない。ただ、己の中で思いを整理しただけだ。
『そう……くれないなら、力尽くで貰うだけよ』
 邪神人形は片腕を掲げ、それを代償にして鋭利な剣をその身に宿した。即座に刃が振り下ろされたが、祈里はルーンソードでしかと受け止める。
 鈍い衝撃が剣越しに伝わってくるも祈里は怯むことなく魔力を紡いだ。
「レム! 動きを止めろ!」
 祈里の言葉と共に白のメッシュが浮かび、光の精霊が其処に顕現する。眩い光が周囲を貫くように迸る中、祈里自身も剣を振り下ろし返した。
 未来の為に、生きなきゃ。
 抱く思いは強い。そこに希望がなかったとしても、祈里は決意していた。
 眩さに動きを止められた人形は次の手に移ることができていない。その隙を突いた祈里はもう一閃を叩き込む。
「煌いていてもそれは努力の賜物だ。易々と奪うものじゃない」
 そして――光が収まったと思った時にはもう、邪神人形はその場に崩れ落ちていた。
 
 動かなくなった人形が消えていく中、祈里は近くの椅子に凭れ掛かる。
「身体も、心も疲れた……今何時?」
 気を抜けばすぐにでも閉じそうになってしまう瞼を何とかひらき、会場の時計を見上げた祈里。その視線の先にはすっかり真夜中の時刻が示されていた。
「嗚呼、眠いはずだよぉ……」
 そして、祈里はそのまま力尽きて眠ってしまった。少し危うくもあるが、きっと後ほど、邪神教団の事後処理に訪れた誰かに無事に回収されることだろう――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴァーリャ・スネシュコヴァ
綾華(f01194)と

ようやくお出ましだな
お前なんかに渡さない
綾華は綾華で俺は俺、だ!

第六感で行動を察知して
先制攻撃で、代償にしようとする部位を先に叩き斬るのを狙う
隙を突いた瞬間に綾華へバトンタッチ
交互に攻撃して隙のない連携攻撃を

綾華だからこうして背中を預けられる
お前なんかが綾華の代わりになんて絶対なれない

氷の上で軽やかに滑って相手を翻弄して
『風神の溜息』で凍らせて動きを止めて
綾華!
大切な人の背中を押して、とどめをと頷いてみせて

俺は俺だなんて言ったけど
本当の俺なんて俺自身にもわからないのに
…えへへ、考え事してたのだ
俺、やっぱり綾華が好きだな!
綾華の言葉には驚いて、幸せそうに恥ずかしそうに笑う


浮世・綾華
ヴァーリャちゃん(f01757)と

ヴァーリャちゃんかっけー
ま、そーゆーわけなんで
お前らの出る幕はないよ

作ってくれた隙に花片の刃を吹雪かせる準備を
タイミングを見計らい範囲攻撃で逃がさないように囲み
継続的にダメージを与える

(元よりスペアとして生まれた
代わりだったんだ、はじめから
なのに――
嗚呼、なんて――幸せで
ケド、勿体ない、なんて)

未だ染みついた劣等感は消えずとも
それを想うのは彼女に失礼だと感じて

任せろと目配せ
鍵刀で傷口を狙い抉るように一撃を

ヴァーリャちゃん…?
怪我でもしただろうかと覗き込み
言葉には笑って
多分。俺の方が、ずっと好きだよ

(君でなくてはだめなのだと
もっと思い知ってほしいと思った)



●唯一の君に
 邪神人形は、くすくすと無機質に笑う。
 ヴァーリャと綾華は自分達の前に姿を現したそれを見つめ、其々に身構えた。
『ねえ、あなたの存在を頂戴?』
 人形が語る言葉を聞き、ヴァーリャは首を横に振る。
「ようやくお出ましだな。だが、お前なんかに渡さない。綾華は綾華で俺は俺、だ!」
「ヴァーリャちゃんかっけー」
 凛とした彼女の勇姿に目を細め、綾華は口端を緩めた。しかしすぐに人形に向けた眼差しは鋭く、綾華も敵に宣言する。
「ま、そーゆーわけなんで。お前らの出る幕はないよ」
『くれないなら、奪うだけだから良いわ』
 対する邪神人形は片腕を大きく掲げた。おそらく腕を代償にして武器にでも作り変える気なのだろう。
 それを察したヴァーリャは即座に駆け、一気に振り被る。
 そして人形の腕が変化する直前に氷の剣を振り下ろし、叩き斬った。途端に落ちる腕。驚く人形。その隙にヴァーリャは身を翻して後方に跳躍した。
「今なのだ!」
「流石はヴァーリャちゃん」
 呼びかける声に頷きながら彼女の早業を称賛した綾華は、周囲に花片の刃を吹雪かせていった。それによって敵が穿たれ、落ちた腕を拾おうとする行動を阻害する。
 ヴァーリャはその間に床に氷を広げ、次の一閃を放つ機を窺った。
 こうして並び立つのが綾華だからこそ背中を、前を預けられる。人形がたとえ何方かの存在を奪ったとしても、自分達のようになれるはずがないと思えた。
「お前なんかが綾華の代わりになんて絶対なれない」
 ヴァーリャは強く言い放つ。
 その言葉を聞き、綾華は胸元を押さえる。彼女は他でもない自分を必要としてくれている。そう思うと胸の裡に感情が溢れた。
(元よりスペアとして生まれた、代わりだったんだ、はじめから。なのに――嗚呼、なんて――幸せで。ケド、勿体ない、なんて)
 未だ染みついた劣等感は消えずとも、それを想うのは彼女に失礼だ。
 言葉にできぬ思いを裡に秘め、綾華は更に花を周囲に散らしていく。
 人形は斬り落とされた腕を刃に変えて斬り掛かってきている。しかし相手が二人の力に圧倒されている様子も見えた。
 それでも敵はヴァーリャの存在を奪うために手を伸ばしてくる。それを察した綾華は咄嗟に彼女の前に立ち塞がり、刃をその身で以て受け止めた。
 一閃目は身体を裂いたが、二閃目はしかと黒鍵刀で弾く。しかし、邪神人形は更に刃を振るってきた。
『どいて、邪魔なの』
「そう言われて俺が退くと思ってんなら、甘いな」
 綾華は身体に走る衝撃に耐えながら敵と間近で鍔迫りあい、ヴァーリャにちらと視線を送る。はっとしたヴァーリャは彼を心配するよりも敵を倒すことに注力すべきだと察した。其処から作り上げた氷上を軽やかに滑り、相手の背後に回り込んだ。
 その瞬間、ふ、と落とされる吐息。同時に絶対零度の風が解き放たれる。一瞬で凍らされた人形の動きは完全に止められ、最期を齎す好機が訪れた。
「綾華!」
 とどめを、とヴァーリャが呼ぶ声に、任せろと目配せを送った綾華は剣を弾く。
 そして、鍵刀による鋭い一撃を放った。
 その瞬間――敵の傷口が深く抉られ、人形の胴体が真二つに斬り裂かれた。崩れ落ちた人形は断末魔すら残すことなく、その場に消えていく。
 
 これで自分達を狙う人形は斃した。
 次第に周囲の戦いも終わっていき、間もなく全ての人形が倒されるだろう。
 ヴァーリャは消えていった邪神を見下ろし、存在についてふと考えた。
(俺は俺だなんて言ったけど、本当の俺なんて俺自身にもわからないのに……)
「ヴァーリャちゃん……?」
 俯く彼女が黙り込んだので、綾華は怪我でもしただろうかと覗き込む。するとヴァーリャはぱっと顔を上げて何でもないと告げ返した。
「……少し、考え事してたのだ」
「そっか」
「それより綾華も俺を庇って……怪我はしてないか?」
「ん、大丈夫。この通りだよ」
 何でもないなら良かったと頷く綾華も首を振り、大事はないと示す。その表情が何だかとても愛おしく思え、ヴァーリャは笑みを深めた。
「俺、やっぱり綾華が好きだな!」
 その笑顔は屈託がなく、とても眩しいもののように思える。例えるならば透き通った氷が朝の光を反射して煌めくような、やさしい光だ。
 綾華は彼女の言葉に笑みを返し、礼を告げると共に言葉を落とした。
「多分。俺の方が、ずっと好きだよ」
「綾華……えへへ」
 同時にそっとヴァーリャに向けて手が伸ばされる。頬に触れた指先はとても優しく感じられる。ヴァーリャは驚きながらも幸せそうに、そして恥ずかしそうに笑った。
 綾華は双眸を緩め、その笑顔を見つめる。
 ――君でなくてはだめなのだと、もっと思い知ってほしい。
 これもまた、君の存在を求めているという意味になるのだろうか。そのように感じた思いは言葉にせず、綾華は暫し愛しげな眼差しを彼女に向けていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻と人魚
アドリブ歓迎

だ、だいぶ飲んだね櫻…満足出来たならよかったよ……
僕もがんばる
人になりたい人形、か……
だって僕の大事な櫻が人形なんかに奪われたら嫌だよ
何も奪わせはしない
思い通りになんてさせないよ!
僕だって!櫻に成り代わらせたりなんてゆるさないから

櫻、気をつけて!
駆ける櫻を鼓舞するように歌唱に力を込めて歌いだす
破魔とかした歌声で歌うのは
「魅惑の歌」で蕩かせて人形の動きを縛ってしまうから
しっかり斬ってくるんだよ
オーラ防御を水泡にして、君の周りに漂わせ攻撃から守るよ

ふふ、なんだか照れるな
僕だって、櫻のものなんだから
他の誰かに渡したりなんてしないでよね
存在は渡せない
代わりにたむけの歌を送ろうか


誘名・櫻宵
🌸櫻と人魚
アドリブ歓迎

美味しかったわぁ……
身体が軽いわ!頭も冴える気がするし、うふふ!あたしがんばっちゃう!
リルのおかげね!(つやつや

あらあら、リルになり変わろうだなんていけないこ
無理よそんなこと
あたしが許さないわ

刀に破魔宿して、邪神すらも斬り裂けるようにね
思い切り衝撃波放ちなぎ払い、リルの歌に背を押されるように距離を縮めて2回攻撃
傷があれば抉るようになぎ斬って
攻撃は第六感で察して見切り、躱してカウンター
呪殺の桜を吹雪かせて思い切り打ち込んでやるわ!

それにあたしはリルのものなの
あなたにあげられるものなど、斬撃以外にありはしないわ!
懐に踏み込んだならば「絶華」咲かして斬り伏せる

邪神様
首を頂戴な



●甘い独占欲
 紗幕の裏側、重なっていた影が不意に離れる。
 花唇を僅かに濡らす赤をそっと舐め取り、櫻宵は嫋やかな微笑みを浮かべた。
「美味しかったわぁ……」
「だ、だいぶ飲んだね櫻……満足出来たならよかったよ……」
 恍惚の交じる言葉を聞きながらリルは力なく笑う。少しばかりふらつく感覚はあったが、彼が満足気なのでリルも穏やかに微笑む。
「身体が軽いわ! 頭も冴える気がするし、うふふ! あたしがんばっちゃう!」
 リルのおかげね、と頬を撫でる櫻宵。
「僕もがんばる」
 対するリルはそう告げ、どこいってたの? と問うようにてちてちと寄ってきたヨルにも頷く。そしてヨルにここに隠れていて欲しいと告げたリルは、邪神が現れはじめたフロアへと目を向けた。
 既に其処には何体もの人形が立っていた。
 紗幕の表に出た二人。
 その姿を察知したらしき邪神人形の一体がリル達に歩み寄ってくる。
『ねえ、その存在、もらってあげる』
 人形は手を伸ばす。
 その狙いがリルなのだと気付いた櫻宵は刀を抜き放って身構えた。
「あらあら、リルになり変わろうだなんていけないこね」
 薄い笑みを浮かべた櫻宵だが、その瞳は笑っていない。リルは空気が張り詰めていくことを感じながら、水泡の防御を張り巡らせてゆく。
 人になりたい人形。
 目の前のそれを見つめたリルはふるりと首を横に振った。
「僕の大事な櫻が人形なんかに奪われたら嫌だよ。何も奪わせはしないし、思い通りになんてさせないよ!」
 邪神は無機質な雰囲気でくすくすと笑っている。それが不気味にも思えたが、怖じ気付きもしなければ甘く見ることもない。
 櫻宵は屠桜に破魔の力を宿し、邪神すらも斬り裂けるように力を巡らせた。
「ええ、無理よそんなこと。だって、あたしが許さないもの」
「僕だって! 櫻に成り代わらせたりなんてゆるさないから」
 そして、二人の言葉が重なった刹那。
 人形が地を蹴り、リルに吶喊する。されど櫻宵が即座にその前に割り込み、思いきり衝撃波を解き放った。振るわれた邪神の傘の一閃は勿論、泡が弾いてくれる。
「櫻、気をつけて!」
「大丈夫よ、リル」
 駆けた櫻を鼓舞するようにリルは歌を紡いでいく。彼と同じように、破魔の力をとかした歌声で奏でていくのは魅惑の歌。
『……なあに、この歌……すごく、きれい』
 その途端、人形の動きが止まった。澄み切った声で敵を蕩かせたリルはその魂を惹き付け続ける。人形の裡に宿るのは恍惚と陶酔。その歌は対象の身も、そして本来は存在しないはずの人形の心まで魅了して虜にしていった。
「流石はあたしのリルね」
 完全に動かなくなった人形を前にして櫻宵は上機嫌に笑む。
 リルの歌は背を押してくれる。やっぱりこうでなくちゃ、と感じた櫻宵はひといきに勝負を終わらせに掛かった。
「今だよ、櫻」
「ええ! リルから貰った愛、咲かせて魅せるわ」
 リルの呼びかけに応えた櫻宵は敵を横薙ぎに斬り裂き、更に呪殺の桜を吹雪かせることで激しく穿った。
 刹那、邪神人形がその場に倒れて崩れ落ちる。
 しかし其処で戦いが終わったわけではなかった。リルの歌声に呼び寄せられてきたのか、別の人形が櫻宵に襲いかかってきたのだ。
「櫻、あっちからもきたよ!」
「あら、新しい御客様かしら」
『あの歌……一番、きらきら輝いていた歌だわ……』
 吸い寄せられるように訪れた人形はどうやらあのアイドルステージのことを言っているようだ。自慢のリルに魅了された子が多いのは櫻宵としても誇らしかったが、易々と敵を通すわけにはいかない。
『あの踊りもすてきだったわ。ねえ、ねえ、その身体、ちょうだい?』
 どうやら次の敵は櫻宵を狙っているらしい。
 しかし櫻宵は真っ向から拒否した。
「残念ね、あたしはもうリルのものなの。あなたにあげられるものなど、斬撃以外にありはしないわ!」
 そして一気に懐に踏み込み、絶華の一閃を咲かせてゆく。
 力強い宣言に頬を押さえたリルはてれてれと尾鰭を揺らした。なんだか照れるな、と零したリルは更に歌の魔力を紡ごうと決める。
「僕だって、櫻のものなんだから。他の誰かに渡したりなんてしないでよね」
「ええ、勿論よ。誰にもあげないわ」
 二人は視線を交わし、互いの想いを確かめあった。
 その相手が仮令、神様であっても――。二人を引き裂く理由になるものなど、今は何も、何処にもない。
 それに相手は邪神だ。遠慮も容赦も要らないことは既に分かっている。
「存在は渡せないよ。でも、代わりにたむけの歌を送ろうか」
 リルは透徹の歌声を響かせていく。
 その聲は戦場に広がり、数多の人形達の動きを大きく縛った。その機を逃さず駆けた櫻宵は邪神を黄泉路へ誘うように刃を振り上げる。
 斬ってしまおう。
 あれもこれもその子も、全部、全部、全部。
「――邪神様、首を頂戴な」
 そして、桜龍の鋭い眼差しが敵を射抜いた瞬間。振り下ろされた刃が人形の身体を裂き、その首が斬り落とされた。
 やがて、倒れ伏した人形は花が散るかのように消え、骸の海へと還される。
 戦いが終わる静かな光景を見下ろした二人。彼らは顔をあげ、お互いの姿を確かめるようにして暫し見つめあっていた。
 きみの、あなたの、存在。
 それは自分だけのものだと、示すように――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
【双星】
アドリブ◎

欲しいだなんだと言われても
欠片だってアレスをやる気も
この場所を代わる気もねぇよ

いくぜ、アレス!
『歌』で身体強化して
まっすぐ敵だけを見て『先制攻撃』
靴に風の魔力をこめ足元で旋風を炸裂
『跳び』あがったところでもう一発で二段跳び
月のうさぎみたいに自由に動いて斬りつける
細かいことはアレスに任しときゃ任しときゃいいだろ
自分への攻撃は最低限を『見切り』避けるだけ
逆に【君との約束】でアレスへの攻撃を相殺する
だから、やらねぇっつってんだろーが!

『全力』の魔力を歌にのせ
強い炎の属性を剣に纏わせる
ああ、任せろよアレス
アレスが作ってくれた道を堂々と
真っ直ぐに一閃
どうだアレスかっこいいだろ?


アレクシス・ミラ
【双星】
アドリブ◎

悪いが、ほしいと言われてもこの身を易々と捧げるつもりはないし
セリオスは絶対に渡さない…守ると誓ったんだ
それでも奪いに来るというのなら、手加減はしない

今度はこの執事の格好(バニーだけど)に相応しい動きを見せよう
援護と防御なら、お任せを
セリオスをカバーするように『衝撃波』を放ち
敵の意識を僕に引きつけたら雷『属性』の斬撃で『マヒ』を狙う
彼への攻撃には『かばう』ように盾で受け止めよう

星に、歌に惹かれる気持ちは分かるが…
言ったはずだよ
セリオスは…渡さないと!
『シールドバッシュ』の如く【聖護の盾】を放ち
隙を作り出そう
ーーそれでは、とどめを
恭しく一礼をし、促す
…うん、かっこいいよ。セリオス



●約束と盾
『ねえ……あなたの存在を、ください』
 まるで何か、物でも強請るように邪神人形は語りかけてきた。
 セリオスとアレクシスは顔のない少年めいた人形を見つめ、妙な不気味さと空虚さを感じる。だが、彼らは怯んでいるわけではない。
「欲しいだなんだと言われてもな」
 呆れた声を落としたセリオスは、なぁ、とアレクシスに視線を向けた。頷きを返した彼もセリオスを見つめてから、人形に眼差しを向け直す。
「悪いが、ほしいと言われてもこの身を易々と捧げるつもりはない。それに……セリオスは絶対に渡さない」
 必ず、守ると誓った。
 そう語ったアレクシスは赤星の名を抱く騎士剣を抜き放った。セリオスも青星の名を冠する純白の剣を敵に差し向け、強く宣言する。
「欠片だってアレスをやる気も、この場所を代わる気もねぇよ」
「ああ。それでも奪いに来るというのなら、手加減はしない」
 互いの存在は唯一の存在。
 彼以外が隣に立つだなんてことは考えられない。セリオスはセリオスであり、アレクシスはアレクシスとして在るからこそ互いに選んだのだ。
 それを理解していない人形になど何ひとつ奪わせはしない。
「いくぜ、アレス!」
「今度はこの執事の格好に相応しい動きを見せよう。見ていると良い」
 呼びかけに応えたアレクシスは構えた。真っ直ぐに前だけを見て吶喊していくセリオスを支えるように、衝撃波を放つ。
 その軌跡が人形を先んじて穿つ中、セリオスは靴に風の魔力を込めた。そして足元で旋風を炸裂させると同時に剣で敵を斬り裂き、更に跳ぶ。
 まるでその姿は月を翔けるうさぎのよう。自由自在に戦場を駆け回るセリオスを援護するように、アレクシスは敵の意識を自分に引きつける。
「星に、歌に惹かれる気持ちは分かるが……」
 アレクシスは迫り来る邪神の傘の一閃を見据えた。敵の攻撃は鋭かったが、聖なる光の守護障壁で以てしかと受け止める。
 細かいことは彼に任せておけばいい。そんな信頼がセリオスの中にはある。だからこそこうして思いのままに駆けることが出来た。
 そしてセリオスは敵の背後にまわり、避けられぬ一撃を見舞った。
『……!』
 人形がよろめいた隙を逃さず、アレクシスは雷撃を纏う剣閃を叩き込む。しかし人形はセリオスの方に狙いを定めたいらしく、其方に振り向こうとした。
 だが、アレクシスがそうはさせない。
「言ったはずだよ。セリオスは……渡さないと!」
『あなたは、じゃまです。どいて!』
 対する人形はアレクシスに向けて滅茶苦茶に傘を振り回してくる。それを盾で受ける彼だが、あまりの勢いに押されそうになってしまう。
 そのことに気付いたセリオスは、何だか彼が人形に取られてしまいそうな気がした。それは決して無いとは理解している。それでも、存在を奪われてしまうなんてことは絶対に許せなかった。
「だから、やらねぇっつってんだろーが!」
 宣言と共にセリオスの刃が更に敵を裂き、その腕を斬り落とす。
 されど人形もアレクシスに向けて残った腕で殴りかかろうとしていた。
 その途端、セリオスの周囲に光の剣が現れる。青星の想いに応えるように、強く願う感情。それを映すかの如く輝いた数多の剣が人形の攻撃を見事に防いだ。
 彼の行動に礼を告げたアレクシスは其処に生まれた隙を感じ取り、聖護の盾を解き放った。それによって人形の身体が大きく揺らぐ。
「――それでは、とどめを」
「ああ、任せろよアレス」
 恭しく一礼して促したアレクシスに視線を返し、セリオスは全魔力を歌にのせた。激しく燃えあがる炎を剣に纏わせたセリオスは一気に勝負を付けにかかる。
 彼が作ってくれた道を堂々と進むように、ただ一閃を――。
 そして、一瞬後。
 邪神人形はそのまま崩れ落ち、戦う力を完全に失った。もう二度と動き出すことのないそれから視線を外したセリオスは明るく笑う。
「どうだアレス、かっこよかっただろ?」
「……うん、かっこいいよ。セリオス」
 アレクシスも穏やかな笑みを返し、二人は眼差しを交わしあった。
 共に戦い、共に生きていくのは彼でないといけない。当たり前になっているけれども大切なことを改めて思い出せた気がする。
 そうして、彼らは勝利の証としてそっと剣を重ねた。
 青と赤。白銀と純白。
 星の照明の下、交差する刃は互いの存在を証明するかのように淡く輝いていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

百鳥・円
いよいよ邪神さんのお出ましですねー
可愛くて自由なまどかちゃんを欲する気持ちは分からなくもねーですが
まだまだやんなきゃいけないことがありますので!

あなたらへの生贄選別の場であったとしても
アイドルにバニー、なかなかに良かったです
久方ぶりに心から興奮をしてしまいましたん

依代を代償にしてまで次を欲するんですー?
痛々しいを通り越して憐れですよ
あなたに贈るのは【獄帰葬】
ここまで摘み喰いをガマンしてきたんです
とびきりの夢、期待してますよ
料理は得意ですので不味くても平気
攻撃は空中を舞ったり野生の勘でどーにかします

楽しい時間の締め括りはあまーい宝石菓子です
ではでは、いただきまーす
あなたの夢は、どんなお味でしょう



●甘さと憧れ
 いよいよ御出ましの邪神たち。
 人形の身体を引き摺るように近付いてくる邪神に意識を向け、円は左右非対称の彩を持つ瞳にそれを映した。
『ねえ、ねえ。あなたの瞳、とってもきれい。身体ごとぜんぶ頂戴?』
 人形も此方を見つめており、円と眼差しが交錯した。褒めてくれるのは嬉しーですけど、と口にした円は首を横に振る。
「可愛くて自由なまどかちゃんを欲する気持ちは分からなくもねーですが、まだまだやんなきゃいけないことがありますので!」
 お断りです、と告げた円は指先を敵に突き付けた。
 しかし人形は話を聞いていないらしく、円に向かって腕を伸ばしてくる。
『欲しい、欲しいな。はやく、頂戴』
「あっは、人の話はちゃんと聞きなさいって教わらなかったんですねー」
 可哀想に、と呟いた円は肩を落とした。
 そして、今身に纏っている衣装を見せつけるようにくるりとその場で回ってみせる。人形から感じられる力は弱い。本気を出せばすぐに戦いは終わってしまうだろう。
 そうなればこの衣装ともお別れ。
 それが少し名残惜しい気がして、円は戯れに微笑んだ。
「あなたらへの生贄選別の場であったとしても、アイドルにバニー、なかなかに良かったです。久方ぶりに心から興奮をしてしまいましたん」
 くすりと口元を緩める円。
 その裡に宿っていたのはこれまで感じてきた快楽と快感の心地。
『その身体、貰ってあげる……!』
 対する人形は腕を代償にして刃へと変え、円を殺して身体を奪おうとしてくる。しかし円はその姿に憐憫を感じ、静かに双眸を細めた。
「依代を代償にしてまで次を欲するんですー?」
 痛々しいを通り越して憐れでしかない。そう告げた彼女は、振り下ろされた刃を事も無げに躱した。そして、お返しとばかりに己の力を発動していく。
 人形に贈るのは獄帰葬の力。
「ここまで摘み喰いをガマンしてきたんです。とびきりの夢、期待してますよ」
 差し伸べた指先から蝶が舞う。
 夢を吸い上げて宝石菓子へと変じさせる蝶々は人形に纏わりついていった。瞬く間に邪神人形は蝶に包まれ、一瞬で消え去る。
 そして、円の掌の上には桜のような色をしたちいさな宝石が零れ落ちた。
「ではでは、いただきまーす」
 指先で摘んだ菓子に口付けるように花唇を近付ける円。そうして人形の成れの果てを口にした彼女はその味を確かめる。
「……なーんだ。ただただ、甘いだけですよう」
 感じたのは濁った甘ったるさが広がる美味とは言えない味。それは人形が朧げに抱いていた人への憧れの味なのだろう。だからきっと、漠然としている。
「ごちそうさまでしたん」
 そんな言葉を落とした円は踵を返し、邪神から興味を失ったように歩き出した。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜橋・ゆすら
咲耶さん(f02335)と

ゆすらは筆、それも人を殺め、血を吸い続けた殺戮劇を紡いだ道具
神だなんて、縁遠い存在
…けれど、分かります
あなた方こそ『傀儡』だと

咲耶さんを、奪わせたりなんてしない――!
筆を無数の桜の花弁へと変え、花燭の爪を吹き荒らします
葬送の音色にのせ、花弁が舞う中
彼女が繋いでくれた手を、握り返しましょう

大丈夫、きっと二人でなら迷子になってしまわないから

人から奪っても、結局はまやかしに過ぎない
人の姿を恋しがって、欲しがった――彼等もまた、哀れな存在だったのかもしれません


瑞枝・咲耶
ゆすら様(f13614)と

現れた邪神人形は少し恐ろしい
咲耶は笛、神楽笛
神に清らかな笛の音を捧げる為に人の手により生み出された存在です
けれど
邪な気配に身が震える
神であって、神ではない存在なのですね

ならば、奏でるのは葬送の音色です

行きましょう、ゆすら様
ゆすら様が攫われてしまわないように
神に隠されてしまわないように
はぐれてしまわないように手を繋いで

そうして魅せるのは花流
道具の身でも美しいものを美しく感じるのは人と同じはずです
それではいけなかったのでしょうか……
誰かからなにかを奪っても誰かになれるわけではないのに
人から奪っても人にはなれない

……いえ、それほどに人に恋をしてしまったということでしょうか



●桜花と葬送
『ねえ。あなたたちの身体が、欲しいの』
 邪神人形は求める。
 ただ無邪気に、屈託のない――それでいて無気質な笑顔を浮かべて手を伸ばす。
 咲耶とゆすらはその存在に畏怖を感じていた。
 人形はヒトになりたいと願って、自分達が欲しいと言っているようだ。しかし二人は厳密に言えば人間ではない。
 咲耶は神楽笛。
 神に清らかな笛の音を捧げる為に人の手により生み出された存在。
 ゆすらは筆。
 人を殺め、血を吸い続けた殺戮劇を紡いだ道具。神だなんて縁遠い存在。
 それだというのに邪神人形は二人を求めた。そのことが意味するのは、今の彼女たちが人形にとって輝いている存在だということ。
 認められたという事実だけを見るならば光栄でもある。
 だが、咲耶は人形が纏う邪な気配を感じ、身が震えるのを感じていた。
「貴方は神であって、神ではない存在なのですね」
「……分かります。あなた方こそ『傀儡』だと」
 咲耶は緩く首を振り、ゆすらも邪神人形達を強く見据える。相手が衝動のままに求めるだけのものであるならば、奏でるのは葬送の音色。
 人形は笑顔で固まったままの表情で語りかけてくる。
『はやく、その存在を私に渡してよ』
 ゆすらは人形の視線が咲耶に向いていると察して、萬年筆を掲げた。
「咲耶さんを、奪わせたりなんてしない――!」
 手にした傘を振り上げて迫る人形。
 対するゆすらの筆が無数の花弁に変化し、花燭の爪となって吹き荒れてゆく。同時に咲耶も桜流の力を其処に重ねることで周囲を桜の花色で染めあげた。
「行きましょう、ゆすら様」
「はい、決して何も奪わせないためにも」
 ゆすらが攫われてしまわないように。神に隠されてしまわないように。そして、はぐれてしまわないように咲耶は手を差し伸べる。
 葬送の音色と共に花弁が舞う中、ゆすらも彼女が繋いでくれた手を強く握り返した。
 大丈夫。
 きっと二人でなら迷子になどなってしまわないから――。
 抱く思いと一緒に吹雪かせる花の彩は美しく、可憐に戦場を彩っていく。
『う、ぅ……私の手は取らなかったくせに……』
 花に穿たれた邪神人形は苦しげに呻いた。
 それでも一歩ずつ、咲耶達に向かって歩いてくる。欲しい、欲しいと此方を見つめる人形にはたったそれだけの衝動しか見えなかった。
 花流と花燭。
 ふたつの力は人形の戦う力を奪い取りながら迸っていく。
「道具の身でも美しいものを美しく感じるのは人と同じはずです。それではいけなかったのでしょうか……」
 咲耶は人形を見つめながら静かに呟いた。
 誰かからなにかを奪っても誰かになれるわけではないのに。人から奪っても人にはなれないということを、人形達は知らない。
 ゆすらは咲耶の落とした言葉に首肯しつつ、人形に呼びかける。
「人から奪っても、結局はまやかしに過ぎないのです。どうか、それを――」
 解って欲しい、とは告げられなかった。
 何故なら邪神人形が唐突に笑いはじめたからだ。
『ふふ、うふふ。そんなのやってみないとわからないじゃない? 私はきらきら輝く貴女みたいに成りたいの。いいえ、成ってみせるわ。だって、このままじゃ私は何にもなれないままだもの……!』
 徐々にその言葉は叫びに変わり、人形は自らの腕を鋭利な刃に変えた。
 そして桜花を斬り裂きながらゆすら達に襲い来る。されど二人は決して怯むことはなかった。繋いだ手を握り締め、懸命に己が力を揮い続けた。
 敵の刃は桜に覆われ、威力を削がれる。
 舞う花弁はいつしか戦場すべてに広がり、他の邪神人形達までも覆いはじめる。
「ゆすら様……」
「はい、咲耶さん」
 互いの名を呼びあった二人は間もなく決着がつくことを感じ取っていた。周囲に点在する人形も自分達の目の前にいる人形も限界が近い。
 そして、二人は更なる桜を解き放った。
 辺りに舞う彩。穿たれていく人形達。やがて邪神は膝をつき、ゆすらと咲耶を恨めしそうに見上げた。
『どう、して……私達は……ただ、普通に生きたかっただけなの、に……』
 最後の力を振り絞った人形がもう一度、腕を伸ばす。
 結局、焦がれたものにその手が届くことはなかった。力なく崩れ落ちた邪神人形は総てを失い、その場に伏す。
 それを最後にして、すべての人形が葬られた。
 ゆすらは咲耶と手を繋いだまま、消えていく人形達を見下ろす。
「人の姿と在り方を恋しがって、欲しがった――彼等もまた、哀れな存在だったのかもしれません」
「……それほどに人に恋をしてしまったということでしょうか」
 咲耶もゆすらと共に最期を見送り、静かに瞼を閉じた。
 偽りの自由を手に入れた人形が求めた本当の自由は何処にも存在しなかった。そう思うと今はただ哀しくて、遣瀬のない気持ちばかりが巡る。
 それでも自分達は役目を果たしたのだ。
 そう思うことにしようと決め、ゆすらと咲耶はそっと頷きを交わしあった。
 
 
●別室にて
「どういうことだ、我らが神がいとも簡単に倒されるだと!?」
「嗚呼、神よ……貴女方がいなくなった我らはどうすれば……」
「彼奴等は何なんだ! ただのアイドルじゃないのか!!??」
「あああ、オーナー! モニターを! モニターを!!」
「何だ、画面がどうかしたか…………え?」

 別室で高みの見物をしていた邪神教団の支配人達は画面に映った光景に驚愕した。
 崇めていた人形の神々がすべて伏したこともだが、モニター越しに猟兵達が部屋に近付いていることが分かったからだ。
 彼は直感的に察した。
 アイドルかつバニーの皮を被った何者かが、所業を咎めに来るのだと――。

●偶像崇拝の終わり
 不徳を行った者、彼らの最後は滅びである。
 なんやかんやで邪神を崇めていた教団は壊滅に追いやられた。
 おそらくあの人形達が邪神として顕現したのも偶然の産物。拠り所を失った教団員達の落胆っぷりはそれはもう大変だったらしい。
 教団の隠れ蓑だった会社も結果的に潰れ、あの教団が活動を再開することは二度とないだろう。それも全力で潜入捜査を行った猟兵達の働きによるものだ。
 
 様々な思い出を残し、記憶に輝きを刻んだ舞台。
 そうして、猟兵達がアイドルとして過ごしたひとときの幕が下ろされた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月17日


挿絵イラスト