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黄金の怪物が――おお、おお、おお!

#スペースシップワールド #【Q】 #クエーサービースト #小夜鳴鳥(ナイチンゲール)号 #グレイテスト号の"色男"

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#クエーサービースト
#小夜鳴鳥(ナイチンゲール)号
#グレイテスト号の"色男"


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●グリモアベース:白鐘・耀はこう語る
 スペースシップワールドの"未踏領域"に、新たな脅威が立ちふさがった。
 それこそが〈クエーサービースト〉の新たなる個体の出現である。
「もしかすると、まだ連中のことをほとんど知らない人もいるかもだから、
 一応かいつまんで説明しておくわね。まあ平たく言うと宇宙の怪獣なんだけど」
 銀河帝国ですら手出し出来なかった未知の領域に住まう、謎めいた巨大宇宙種族。
 見張りに等しい個体ですら小惑星級の巨躯を誇る、天文学的スケールの怪物だ。
 失われた居住可能惑星の存在可能性が唯一残る未踏領域を探索するためには、
 この対話不可能な謎めいた天体種族を倒し、少しでも版図を広げねばならない。

「今回発見されたのは、『マインドミナBVA』って呼称されるタイプの相手ね。
 見た目は……うーん実際に見てもらったほうが早いかしらね、説明が難しいわ」
 耀が背後の指し示すと、そこに件のクエーサービーストが立体映像投影された。
 無数のドリル駆動部を持つ、黄金の装甲の球体生物……とでも形容すべきだろうか。
「こいつの特徴は"外殻が無限に変化し続ける"こと。これが盾であり攻撃手段なのよ。
 戦う上でも厄介だけど……その前哨戦でも、この外殻が立ちはだかることになるわ」
 曰く、敵は猟兵に対して、外殻をパージしオブリビオンに変化させるのだという。
 すなわち、まずは分離外殻=無数の雑魚の包囲網を突破しなければならない。
 今回の敵個体が産み出すのは、『宇宙探査機群』と呼ばれるオブリビオン集団だ。
 個々の戦闘力は低いものの、これらの探査機は常に猟兵のデータを受信・分析し、
 本体に送信し続ける。つまり、集団戦が長引けば不利になってしまう。
「てなわけで、全速力で探査機群を突破するAチームと、
 同行してくれる宇宙船……ナイチンゲール号を護衛しつつ敵を殲滅するBチーム。
 あんたたちには、このふたつのチームに分かれてもらうことになるわ。
 それぞれが戦果を上げることができれば、続く本体戦を優位に進められるだろう。
 速度と殲滅力。そのどちらが欠けても、完全な勝利には足りないのだ。
「最初のクエーサービーストもとんでもないデカブツだったけど、こいつはそれ以上。
 もしこれから先も探索を続けていくなら、連中とどう戦うか考える必要があるわね」
 未来の打開策を見出だせるのは、実際に戦場に立つ猟兵だけだ。
 そのためにも、マインドミナBVAを撃滅するのは絶対の必要条件と言える。

「あ、そうそう。無事にこいつをぶっ倒せたら、こいつの外殻を回収してきてくれる?
 うまくすればなにか作れるかもしれないし、みんなで好きに利用してくれていいわよ」
 もちろん、効率的な回収のためには色々工夫が必要になるだろう。
 さらに、同行する〈ナイチンゲール号〉には今回限りのスペシャルスタッフが居り、
 希望すればその場で何かしらの加工も行ってくれるのだという。
「……あー、銀河帝国攻略戦で私の予知に付き合ってくれた人なら覚えてるかしらね。
 レインフォース号っていう船があって、その乗組員のおじいちゃんたちなんだけど」
 やれやれ、と頭を振る耀。どうやら、ノリのいい(よすぎる)ご老人がたらしい。
 それでも、メカニックとしての腕前はたしかなようだ。
 その場の加工となるため限界はあるが、猟兵たちに喜んで手を貸してくれるだろう。
「まずはなんとしてでもクエーサービーストを斃すこと。もちろん全員無事で、ね。
 船の人たちもだけど、あんたたちもやられないよう気をつけなさいよ?」
 いつもの調子で言いつつ、耀はカッカッと火打ち石を鳴らした。
 それが、転移の合図となった。


唐揚げ
 スキャナーです。やってきました未踏宙域シナリオ第二弾!
 続き物のようであんまり続きものじゃない、そんなスタイルです。
 以下はシナリオのまとめ。

●目的
 クエーサービーストの尖兵を倒し、未踏宙域の安全を確保する。
 さらに、クエーサービーストの外殻を回収する。

●各章の概要
 1章:分離外殻が変化した無数の敵群との交戦・突破(集団戦)
 2章:クエーサービーストとの決戦(ボス戦)
 3章:撃破した敵本体から外殻を回収する(冒険)

●敵戦力
『宇宙探査機群』
 1章で登場。銀河帝国が作り出した宇宙探査機の成れの果て。
 個々の戦闘力は低いが、マインドミナBVAにデータ送信を行っている。
『クエーサービースト・マインドミナBVA』
 2章で登場。詳細不明の小宇宙級巨大天体種族『クエーサービースト』の個体。
 意思疎通は完全に不可能。交戦は確実なため、猟兵が排除せねばならない。
 "敵に対して無限に外殻を変化させ対応する"という能力を持つ。

●OPで登場した用語やNPCについて
『ナイチンゲール号』
 とある事件で猟兵によって解放されてから、戦争や宙域探査に携わっている。
 艦長のパトリックをはじめ、乗組員は新世代の若者ばかり。
(関連シナリオ:『星の海に魂の帆を張った男』ほか)
『レインフォース号』
 銀河帝国攻略戦に参戦した民間宇宙船。乗組員はほぼ全員が還暦超えの老人たち。
「どうせ俺たち老人だし、もし死んでも若者の道を切り開けるならオッケー!」
 みたいなノリで動いているため、いろいろな意味で危なっかしい。
 今回は、外殻の回収および加工をサポートするために一部メンバーが招聘された。
(関連シナリオ:『銀河帝国攻略戦⑧~獣、宙より来たる』ほか)

●備考
 過去シナリオのNPCが登場しますが、前提知識は不要です。
 当然、戦闘で役立つこともありません(交流は可能)
 また各章ごとにちょっとした特殊ルール(適用は任意)が存在しますので、
 プレイングに変化をつけてみたい方は各章ごとの断章を要チェック! です。

 では、前置きはこのあたりにして。
 皆さん、宇宙で一狩り行こうぜ!
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第1章 集団戦 『宇宙探査機群』

POW   :    探索ノ妨害ヲ感知、障壁ヲ展開スル
非戦闘行為に没頭している間、自身の【全身を障壁で覆い、超光速通信アンテナ】が【データ送信を続ける。障壁が破壊されるまで】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD   :    探索ノ障害ニ遭遇、対象ヲ排除スル
【超光速通信アンテナで敵データを送信して】から【対抗策を受信。それに基づいてレーザー光線】を放ち、【素早く的確に弱点を狙うこと】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    探索ノ続行ハ困難、宙域ヲ離脱スル
【ピンチだと判断すると、収集したデータ】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●未踏宙域:仮定座標NP2X
「目標を捕捉! メインモニターに拡大出力します!」
 オペレーターの言葉とともに、マインドミナBVAの超巨体が立体映像投影された。
 ナイチンゲール号現在位置からの推定距離は、およそ数十キロ以上。
「それでこの大きさ……あの触手のクエーサービーストよりも巨大だなんて」
 若き艦長パトリック・スチュワートは、その異形を目の当たりにして息を呑んだ。
 なんらかのノイズによって映像は乱れているが、こうしてみればはっきりとわかる。
 その威容。そして無限に変形を続ける奇怪な外殻。……さらに!
「マインドミナBVAから外殻剥離を確認! 異常な速度で変形を始めました!」
「データ照合……銀河帝国保有の宇宙探査機と一致」
「敵群、当機への急速接近を開始。推定機体数、1000、いえ2000……!」
 おぞましい数の探査機群の出現と接近。もはやここは敵の間合いなのだ!
「各員は戦闘配置へ! 猟兵の出撃をサポートした後、当機は戦域を――」
「全速力で突破、だな。小僧!」
「えっ」
 気弱ながらも腹を決めたパトリックが、乗組員に威勢よく檄を飛ばしたところで、
 そばにいた筋肉質な老人が肩を叩き、うんうんとわかったように頷いた。
「どんな時も前のめりじゃ! 本番は奴らを蹴散らしてからなんじゃからな!」
「ほうじゃほうじゃ! 後ろに退いてなどいられんわい!」
 同調する別のおじいちゃん。
「いやあの」
「さあ行くぞ若者たちよ! 全速前進じゃ!」
「ワシらもサポートせんとな!」
「「「「やるぞー!!」」」」
「あのすいませんここ僕らの船なんですけど!?」
 血気盛んな老人たちは、さっぱり話を聴いちゃいなかった。

 ともあれ、そうして敵大群との集団戦は開始される。
 一刻も早くこの"弾幕"を突破し、本体に到達しなければならない!
 敵は、猟兵たちを分析し着々と準備を整えているのだから……!

●特殊ルール:突破or殲滅(防衛)
 第一章では、猟兵のデータを収集・送信する宇宙探査機群に対し、
 一秒でも早い戦域突破を目的とした『Aチーム』と、
 ナイチンゲール号を防衛しつつ探査機群を殲滅する『Bチーム』
 に別れて行動します。
(特に希望がない方はこのへんは読み飛ばしてもらって構いません)
 特殊ルールを適用したい方はプレイングのどこかに、
 参戦:AとかBチーム希望とか【突破】とか適当な形での記入をお願いします。
 それぞれのチームごとに、以下のようにプレイングボーナス基準が異なります。
『Aチーム:いかに疾く敵陣を突破するか(超スピードや先制攻撃など)』
『Bチーム:いかに多くの敵を殲滅し船を防衛するか(広域破壊や超防御力など)』
 といった具合です。
 合同プレイング内でA・Bチームが分かれても特に問題はありません。
(A希望の仲間を送り出すためにB希望の方が大技ぶっ放すとかかっこいい!)
 ここでどの程度のスピードで敵陣を突破(殲滅)出来たかによって、
 2章における特殊ルールやシチュエーションに変化が起きる可能性もあります。

●プレイング関連
『採用率』
 なるべく多くの方を採用できるようがんばります。
 万が一再送のお願いをする必要が出た場合は、都度お手紙にてお知らせします。

『プレイング受付期間』
 【10/27(日)12:59前後】まで受付予定です。ふるってご参加ください。
ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】A

さて、ナイチンゲール号に手を貸す時間だぜ
SSWの仕事じゃあ何かと前の縁が続くな…何の因果かね
なんて言ってる暇もねえな…匡、露払いよろしく
ネグルは俺と一気に突破だ──なーに、向こうにゃ俺達は触れねえよ

セット、『Dilution』
アサルトはこれよりこの世界に"存在しなくなる"
代わりに俺は戦闘行為を一切実行できねえ
情報収集と、そして解析にニューロンを使う
運転は頼むぜネグル?

走ってる間に得た情報と解析結果はニューロリンクで逐一二人に共有
武器は使えない、俺は防御も回避もできないが…"それでいい"
奴らは俺達を知覚することも、干渉することもできない
故に堂々と、一方的に──ぶち抜かせてもらおうぜ


鳴宮・匡
◆アサルト
◆A:突破

そうだな、なにかと縁があるもんだ
そういうの、信じてなかったはずなんだけど
……まあいいか

ああ、それじゃあ行こう
任せときな、お前らの進路は邪魔させないからさ

武器はブラスターに持ち換えておく
ネグルたちの進路上の敵を優先的に排除
……まあ最終的には全て墜とすんだけど
どのみち“存在しない”あいつらには当たらない
反射と直感任せで、殲滅は速度を最重視
よく動きを見切り、出来るだけ少ない射撃で切り抜ける
できれば、一射で自壊を狙える部位を衝くのがいいか

ヴィクティムからの情報を参照しつつ
あいつらと離れすぎないように
こまめにポイントを移動しながら進路を空けていくよ
引き離されすぎても合流が面倒だしな


ネグル・ギュネス
◎【アサルト】
【Aチーム参加】
毎度、この艦には縁があるな
血気盛んな爺さん達に冷や水浴びせるわけにもいくまい
──此方アサルト1、突破を開始する

ヴィクティムのUCにより姿を隠蔽しながら、我が愛機たるファントムで一気に走り抜ける
【幻影疾走・速型】起動、掴まっていろよ!

デブリや敵の位置、攻撃余波を【見切り】ながら、自慢の【騎乗】スタイルで
回避し、最短ルートを走り抜ける
さらには匡の援護を期待しながら、全速前進だ

バイク操作に掛かり切りになるから、二人とも、あとは頼むぞ
その代わり、絶対突き抜けて走り切ってやる!

頼りになる二人に、ナイチンゲール号ときた。
これで切り抜けられぬ問題はない、だろ?パトリックさんよ!



●ファースト・アタック
 復元再生された無数の探査機から、不可視のレーザー光線が放たれる。
 それは遥か彼方のナイチンゲール号、およびそこから発進を始めた猟兵たち……。
 そのすべてをスキャンし、構造・能力・対策を確実に分析していく。
 当然、これらの探査機群に、個を維持し生き延びるという生存本能はない。
 オブリビオンとはただでさえ生死の概念を超越した不滅の存在だが、
 クエーサービーストから複製されたそれらは、まさに"道具"なのである。
 ただ敵の情報を解析し、本体に転送する。あわよくば敵を妨害する。
 そのためだけに駆動するシステム。機械でありながらそれは蟲めいていた。

 ……だがよく見てほしい。探査機群の動きが妙だ。
 猛烈な速度で接近する猟兵たちがいるのに、そちらをさっぱり見ていない。
 では、その最前線を征く猟兵たちとは一体誰なのか?
 かの銀河皇帝をも打ち破った、"強襲"の名を持つスリーマンセルの野郎どもだ!
「こちらアサルト1、交戦領域に到達した。突破を開始するッ!」
「おう、派手に行こうぜネグル! 一方的に、ASAPでなァ!」
 チーム・アサルト! ヴィクティム・ウィンターミュートとネグル・ギュネス!
「任せときな、お前らの進路は邪魔させない。すべて、堕とすさ」
 そしてふたりをやや後方から支援するのは――鳴宮・匡である!
 しかし、やはりおかしい。なぜ探査機群は彼らに注意を払わないのか?
 すさまじい速度で接近するネグルのマシンにも、同乗するヴィクティムにも!
 その理由はただひとつ。ヴィクティムが展開した電脳魔術にある!
「ハッ、仕掛けは上々だな……ま、オレの魔術(コード)がヘマこくはずもない。
 連中にとっちゃ、俺たちは"存在しない"も同然だ。ぶちかませ、ネグルッ!」
 ステルス・コード"Dilution"! それは完全な電脳迷彩プログラムだ!
 肉眼はもとより、赤外線をはじめとする200以上の光線に対応したこの迷彩は、
 ヴィクティムとその仲間を物理的・電子的・魔術的に"消失"させてしまう。
 無論、干渉すらもされない。探知機群はそもそも三人を"知覚していない"のだ。
 どれだけ大それたセンサーやデータ送信機能を持っていようとも、
 そもそも探知する相手がいなければ無用の長物。とどのつまりは有象無象!
「だからって、俺たちの後ろにタダで行かせるつもりはないぜ」
 ZAP! ZAPZAPZAP!! 匡の的確な熱線砲撃が、探査機群の第一波を次々に撃墜。
 そして生まれた空白を、幻影の名を持つマシンが駆け抜け敵を轢殺粉砕!
「どれだけ数を揃えたところで、雑魚は雑魚だ。いちいち相手している暇もない!」
 ギュガガガガガガッ!! 怪物じみたタイヤが探査機をハンマーめいて圧潰!
 バラバラに破壊された残骸を、猛烈なスピンによって散弾代わりに全周囲放射だ!
 存在しないはずの敵によって、探査機群は猛烈な勢いで数を減らしていく。
 必死にセンサーを稼働させて敵を見つけようとする有様は、
 意志を持たないはずの無機物オブリビオンにしては、いやに滑稽で無様である。
 そしてまた、驚異的スピードに強襲(アサルト)され、デブリに変わるのだ。

 猛スピードで全速前進するネグルとヴィクティムを、匡はやや遅れて追跡する。
 必要がないとはいえ、棒立ちで飛翔するのは彼の流儀(スタイル)に不相応だ。
 散乱するデブリや、破壊された敵機の残骸を使ってカバーリングしながら、
 後続の猟兵たちが少しでも楽になるように、確実に敵の数を潰していく。
 意志もなく、そもそも生きているとも言いがたいオブリビオンを相手に、
 凪の海が揺らぐことはない。作業にしてしまえば、こんなものは"簡単"なのだ。
(やってることは同じだ。でも――あのときとは、やっぱり違うな)
 かつて、このスペースシップワールドを舞台とした銀河帝国との総力戦。
 数多の命が懸かった戦い。匡はただ冷淡に、無機質に、敵を殲滅してきた。
 今も、昔も、やることは変わらない。ただ背負うものはずいぶんと増えた。
 相棒と戦友の道を穿ち拓き、あとに続く仲間たちの道行きを魔弾で導く。
『今回もナイチンゲール号が同行するのか。なにかと前の縁が続くな、この世界は』
『ああ。レインフォース号のじいさんたちも相変わらずのようだしな』
 出撃前、ブリーフィング中のヴィクティムとネグルの会話が脳裏に蘇る。
『誰が居ようと、端役(オレ)は道化(オレ)らしく勝利を穫りに行くだけだが。
 つるむでもなく敵対するわけでもなく……不思議だな。まったくなんの因果かね』
『……そうだな。なにかと縁があるもんだ』
 ぽつりと言った匡の顔を、ネグルたちは妙な表情で見つめてきた。
 肩をすくめ、曖昧な言葉で話を打ち切り出撃した。他愛もない世間話だ。
 縁だとか繋がりなど、信じていたわけでもなかったのだが。
 ……本当に、背負うものが増えたものだ。匡は、弾雨のなかでそうひとりごちた。

 そしてネグル。スロットルを全開にしたまま、並み居る敵を文字通りに薙ぎ払う!
 後続部隊へのレーザー攻撃をカットし、ジャックナイフめいた轢殺攻撃で粉砕!
 向かう先、惑星じみた大きさの黄金異形は不気味な変形律動を繰り返している。
 距離感が狂いそうなほどの巨容。向こうに回すには十二分……いいや不足か?
「待っていろクエーサービースト、すぐにそこまで辿り着いてやる!」
 頼りになる仲間たちと、奇妙な縁で結ばれた小夜鳴鳥の船、そして人々。
 その想いと力を背負った今、どんな相手が立ちはだかろうと止まる理由はなし!
「さあ、俺達(アサルト)の時間と行こうじゃねえか!」
 後部座席にタンデムしたヴィクティムが、皮肉めいた笑みを浮かべる。
 この未踏の宙域に君臨する、物言わぬ王を嘲笑うかのように。
 それはまさに、いかなる相手にもひるまず挑む道化師そのものの笑みだった!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ロク・ザイオン
【突破】
(ひとの船を遠く背に。
その行幸の先を斬り拓く。
森に路をつくるように)

(ここには森は無く。
尊い森の姿すら灼き潰した己は
最早その役目すら、相応しくはないのかも知れないけれど)

(選んでいいのなら。)

ひとを守るのは。
導くのは
…………おれの仕事だ。

(【野生の勘】。
この『目』どもと、あの大きな宇宙の獣を繋いでいるのは、アンテナだ)
逃すものか。
(「"LIGHTNING"」で敵から敵へ渡り跳び
【先制攻撃、早業】でアンテナから破壊する。)


ジャガーノート・ジャック
【突破】
援護:ロク・ザイオン

(燃えるような橙を宇宙の中に認めた。誰であるかなど、確認するまでもない。)

(――ザザッ)
一人で気合いすぎるのは君の悪い癖の一つだ。
そして一つ付け足すなら、こんな時こそ助けを呼べば良いだろうに。

援護が必要だろう。
応答は必要ない。
"理解っている"。(学習力)

では、いつも通り行こう。
ミッションを開始する。(ザザッ)

"Thunderbolt"を形状変化させ、雷のレーザーブレードとして顕現。(武器改造)
ロクの一撃のタイミングを見計らい、急接近し敵を両断する雷光の一閃を放つ。(ダッシュ×早業×援護射撃×零距離射撃)

"追牙"。
本機達から逃れられると思わない事だ。(ザザッ)



●ストレイ・ライト
 鏃のように突き進むチーム・アサルトの三名。
 その後に続くいくつもの猟兵たちは、遠くから見れば光のさざ波のようだ。
 ……その中に、ひとつだけランダムにさまよう輝きがあった。
 一直線にクエーサービーストを目指すわけでも、ナイチンゲール号を護るでも、
 ましてや有象無象の探査機群を薙ぎ払うでもなく、迷うように煌めく光。
 その光の名を、ロク・ザイオンと云う。

 以前ならば、自分はもっと無邪気に戦場を駆け回っていたはずだろう。
 立ち向かう鋼の病たちに、烙印の刃を迷わせるような"いのち"は感じられない。
 そして背中には、そこそこ馴染みのある船と人間たち。戦う理由は十分だ。
 ……そう、以前ならば。
 いまは違う。己はどうしようもない大罪を犯してしまったのだから。
 灼いてはならぬものを、灼いてしまった。
 "なぜあんなところでかのお方がいらっしゃったのか"などと考える必要はない。
 赦されざるもの、森を追われたもの、烙印の獣たる、醜く汚れた卑しき己が、
 "ととさま"の御姿を灼いて、潰して、砕き、滅ぼしてしまった。
 それは、ロクにとって、戦う意味と理由を見失うには十分すぎる大罪だった。

 だが、ロクはここにいる。
 馴染みの猟兵の予知を聴き、自分の意志で参加を決め、ここへ転移してきた。
 なぜだ。もはや己には、人の路を切り開くなどあまりにも分不相応な役目だろう。
 わかっていながら、なおも罪を重ね続けるというのか。醜くも卑しき獣として。
 自問自答は晴れぬ懊悩を生み、ロクの剣を迷わせる。そして炎を産み出す。
 無から生まれる火の粉を塵のように纏いながら、ひたすらロクは剣を振るった。
 病を灼く。森なき黒き海に森を生むように、せめてこれだけはと、祈るように。
 鋼の病を斬り裂き、呪わしき焔で灼き、ひとの進むべき道を拓く。
 これだけは、己の仕事だと縋るようにして。

 そして、迷いは得てして隙を生む。
 本来ならばたやすく気づけるはずの、避けるに易い他愛もない攻撃。
 それですら、今のロクにとっては僅かに察知が遅れる有様だ。
 レーザー砲の照準が己を捉えていると感じたとき、ロクが見たのは光の雨だった。
 己を灼き、貫くために放たれた、病どもの意志なき光の矢である。

 しかし。

《――ひとりで気負いすぎるのは、君の悪い癖のひとつだ。ロク》
 応報するような雷鳴が、音なき黒の海に吹き荒れて、それらを吹き飛ばした。
 聞き馴染みのある声。ざりざりと吹くわずかな砂嵐(ノイズ)。
《――そしてもうひとつ付け足すなら》
 相棒がそこにいた。
《――こんなときこそ、救援(たすけ)を呼べばいいだろうに》
「…………ジャック」
 視線が合う。ロクは、くしゃりとその表情を曇らせ、明後日を見た。
《――援護が必要だろう》
 それを咎めるでも根掘り葉掘り問い詰めるでもなく、ジャックは言う。
 ロクが何かを言おうとして、それより先に相棒は続けた。
《――応答(こたえ)は必要ない。そのぐらいは"理解(わか)っている"》
「…………」
 敵がふたりを包囲する。ざわりと、ロクの髪(たてがみ)が風なくしてたなびく。

 ここに森はなく。
 赦されざる己は罪を背負い。
 しるべとすべき星を識らず。
 心の底より手を伸ばすねがいもなく。
 ただ、けれど。
「……ひとを、護るのは」
 それでも、醜く無様で汚れた、卑しき獣(おのれ)が選んでいいのなら。
 選んでいいと、相棒が言ってくれるならば。
「導くのは――おれの、仕事(やりたいこと)だ」
 烙印の刃が焔を孕む。鋼と獣はそれぞれの肩越しに敵を見た。
 まずロクが飛ぶ。ジャガーノートは肩を足場代わりに貸してやる。
 雷撃の如く。アンテナを伸ばした敵めがけロクが往く。
 鋼の豹は、その雷鳴と砂嵐を刃とし、同じように残影を刻んで奔った。
 斬撃。一糸乱れぬ連携のもと、ふたつの刃は同時に敵を斬り裂く。
 爆炎に照らされ、踊るように舞うように、獣と人が稲妻と焔を纏い剣を振るう。
 DNA螺旋めいた橙と黒の光は、もはや迷うことなく一直線に黄金を目指す。
 人々の往く道を照らすように、切り開くように重なり混じり牙を振るう。
 誰に言われたからでもなく、己らがそうすると決めたからこそ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

三咲・織愛
【Magia】
すごい敵の数ですね……腕が鳴ります
未踏領域の探索もばっちりがんばりたいところですし!
こんなところで立ち止まっていられません!

アルジャンテくんとヨハンくんが送り出してくれると信じて
行きましょう、オルハさん!
愛用であり相棒のノクティスを手に、敵陣突破を目指します!

攻撃は最低限に、敵の攻撃を見切っていなし、カウンターを叩き込みながら速度を上げて前に進みます
オルハさんと連携し互いの死角をカバー出来るよう動きますね
道を塞ぐ敵には槍投げ、ノクティスの回収も勿論忘れません
探査機を掴んでちぎっては投げながら進んで行きましょう!

オルハさんの足は引っ張れませんから
がんばってスピードについて行きます!


ヨハン・グレイン
【Magia】

スピード勝負は性に合わないので、敵陣の突破はお二人に任せましょう
代わりではないですけど、船の防衛に尽力します
彼女達が苦心する事無く進めるよう、先ずは道を開きましょうか

【降り注ぐ黒闇】で闇刃を展開、【全力魔法】と【呪詛】で強化し
一方向に攻撃を集中させる
二人が進んで行く姿を見送れば、後は……
互いに背を預けるよう立ちましょうか

そちらはお任せしますね、アルジャンテさん
彼がいれば全方位を気にする必要もなし、範囲が狭まるだけ楽になるだろう
さて、その分は一つ一つ刃の精度をあげられるはずだ
互いに近距離が不得手と知っていればこそ、先手必勝、近付かれる前に穿つ
フォローし合いながら確実に敵数を減らそう


オルハ・オランシュ
【Magia】
この数を相手に突破だなんて、無謀ではあるのかもしれないね
でもいけると思う!
だって織愛が一緒だし、
ヨハンとアルジャンテだってついているんだもの

うん!行こう、織愛!

風を纏って翼を大きくはためかせ
疾さに重きを置いて前に進んでいく
光線は可能な限り見切る
速度を落とさないように物理攻撃も見切りを狙うけれど
間に合わないと判断したら無理せず【武器受け】

織愛と声を掛け合って連携
突破に邪魔な敵は一体だけならダガー投擲で対処、
複数体なら【範囲攻撃】で効率よく

やだなぁ、織愛の足を引っ張れないのは私の方なのに……!
送り出してくれた二人に応えるためにも、
この勢いで進まないとね


アルジャンテ・レラ
【Magia】

前進はお二人に任せ、防衛は私達が。
適材適所ですね。

狙いはヨハンさんと同方向に定めます。
闇刃の隙間を埋められるよう、射る角度を計算し連射を。
数では劣る攻撃手段ですがその分調整は細やかに。
……後は委ねましょうか。御二方ならば大丈夫でしょう。

背を預けて再び矢を番え。
はい。お任せを。
後方には注意せず済みそうですね。貴方がいらっしゃるのですから。
頼りにしています――そう言わせてください。

猟兵のデータ送信は最小限に留めなくては。
敵機は視認次第すぐ射抜きます。
爆発するような機体であれば、他敵機も上手く巻き込んでいけるかもしれません。
ヨハンさんとフォローし合い、得た情報も共有していきます。



●カルテット・ブロウナウト
 星星が照らす宇宙の虚空に、花弁のような色鮮やかな爆炎が咲き誇る。
 ナイチンゲール号から出撃した猟兵たちによる、すさまじい怒涛の攻勢だ。
 探知機群は、為す術もなく撃墜されるのを待つだけか?
 ……否!
 横列をなした探知機群第二波。それらのコクピット部が一斉に赤色に変じた!
 そしてレーザー砲の雨あられ! 敵はデータ収集を中断し本格的な迎撃を開始!
 急速回頭を余儀なくされたナイチンゲール号艦橋が、衝撃に大きく揺れた!
「敵群第二波、なおも数を増大中! 確認できただけでも敵影500以上!」
「まだ増えるのか……!?」
 若き艦長パトリックは、こめかみから流れ落ちる冷や汗を拭う。
 戦端が開かれた以上、もはや船の命は猟兵たちが握っているも同然だ。
 もはやその腕前を疑うはずもないが……それはそれ、これはこれというもの。
 この修羅場に立てるかどうかで、まず戦士としての格が試されているのだ。

 そして、ナイチンゲール号甲板! 屹立するふたりの少年!
「とてつもない量の攻撃ですね。あれだけの巨大さならば納得でしょうか」
「……発艦するには、まずは道を拓かないとどうしようもなさそうだ」
 アルジャンテ・レラとヨハン・グレインは、顔を見合わせて頷いた。
 そして矢を番え、闇の刃を収束させる。正面一点に狙いを定めた全力放射だ!
 飛来する無数のレーザーを、銀色の火矢と無数の闇の刃が相殺し、消し去る。
 間隙が生まれた。頃合いを見計らっていた少女たちが甲板を蹴立てる!
「それじゃあ行ってきます! おふたりとも、ご無事で!」
「ヨハン、アルジャンテ、気をつけてね! 一足先に翔んでくるから!」
 三咲・織愛とオルハ・オランシュが、この隙に敵陣を突破するというわけだ。
 織愛は持ち前の脅威的脚力で、オルハは背中の翼をはためかせて暗黒に飛翔する。
 少年たちがその背中を見送るより先に、レーザー攻撃の雨が視界を覆い隠した。

「まずは離脱は成功。……ここからは、俺たちも俺たちの戦いをしましょう」
「はい。ナイチンゲール号が撃沈されてしまっては元も子もありません」
 すかさずヨハンとアルジャンテは背中合わせになり、周囲を警戒する。
 彼方にはいくつもの光が煌めく。それが星なのか猟兵なのか、確かめる暇はなし。
 ふたりを、そしてナイチンゲール号を狙ったレーザー砲が乱舞するからだ!
「これだけ居るなら、いちいち狙いを定める必要もない」
 ヨハンは次の闇を魔力から生み出し、シャボン玉のように周囲に展開した。
 宇宙の暗黒よりもなお昏き流体魔力が、飛来したレーザー光線を吸収相殺する。
 それらはまるで、風に流れる雲がちぎれるかのようにいくつもの刃に分かれ、
 敵の第二射に先んじて砲口を貫通、以て敵機を爆散せしめる。機械じみた正確さ!
 一方のアルジャンテも、次々に銀の火矢を生み出し無数に分裂させて放つ。
 二人合わせて400を越える遠距離攻撃、その一つ一つが必殺の威力を持つ砲弾だ。
 歪曲するレーザー光線を銀の焔が飲み込み焼き払い、そのまま敵機も貫通する!
(この程度の数なら、私とヨハンさんのふたりで十分に対処可能だ。
 しかし、あちらもそれで済ませてくれるはずはない……増援が来るはず)
 そう沈思黙考したアルジャンテは、狙いを周囲ではなくさらに遠くへ向けた。
 ヨハンが守ってくれる。そう信じて、遠方の敵をスナイプすることにしたのだ。
 そして、アルジャンテの予測は正しかった。さらに母艦へ近づく数百の敵機!
「増援が来たようです。ヨハンさん、もう少しもちこたえられそうですか?」
「やってみますよ。遠くの敵を狙い撃つのは、俺よりあなたのほうが向いている」
 ふたりは慌てることなく連携し、それぞれの魔力で遠近の敵を貫き撃墜する。
 ヨハンの魔力を浴びた闇の刃は、ニードルじみた形状からチャクラム型に変形し、
 ひとつひとつが四方八方をぐるぐると飛び交いレーザー砲を反射迎撃していく。
 その間に、アルジャンテは次の鏃に十分なだけの魔力を注ぎ込み、
 増援がナイチンゲール号の周辺へ到達するより先に、精密なスナイプで射抜いた!
 KRA-TOOOM……無数の銀朱火矢に撃墜された敵機が、爆炎となった宇宙を焦がす。
 ヨハンとアルジャンテの周囲を闇のチャクラムが衛星めいて回遊し、
 あらゆる角度からの攻撃に備える。ふたりの連携に、死角など存在しない!
「…………」
 いつ砲撃が来てもいいように集中しながら、ヨハンは宇宙の彼方を見やった。
 すなわち、オルハと織愛が突っ込んでいった、攻防戦の最前線へと。
(後方ですらこの勢い。最前線はどれだけの砲火が襲ってくるか、考えたくもない)
「気になりますか? おふたりのことが」
 アルジャンテの何気ない言葉に、ヨハンは意識を引き戻された。
「……まあ、多少は。もう考えたところでしょうがないですが」
「無理もありませんよ。敵は、前に出れば出るほど数を増すわけですし」
 白兵戦に不得手なふたりにとって、それは自殺行為に等しい。
 彼らはただふたりを信じて、ひたすら近づく敵を先制攻撃で斃すしかないのだ。
「すみません、集中します。まだまだ始まったばかりですからね」
「ご心配なく。――気がかりなのは、私も同じですからね」
 爆炎とレーザー砲の光が星のように煌めく砲火の嵐を、紫色の瞳が見つめる……。

 ……同時刻、突破のためにナイチンゲール号を離れた織愛とオルハ!
 ふたりもまた同様に、四方からの光線乱舞に苦戦を強いられていた!
「織愛、7時方向から来るよ! 後ろは私がサポートするから!」
「お願いします! ノクティス、お願い!」
 藍色の龍が変じた槍を、織愛はあらん限りの膂力で投擲した!
 レーザー砲の照準を定めた敵機が、銛漁のように串刺しにとなって爆散する。
 オルハと背中合わせになった織愛は、そのまま彼女の背を蹴って跳躍。
 爆風の勢いで戻ってきたノクティスを掴み取り、毬めいて身を縮こませる!
「はぁああっ!」
 バネのように全身を屈伸させることで、その場で反動を得てぐるりと720度回転。
 接近してきた敵四機を撃墜し、直後に飛来したレーザー砲を首を傾げて避けた!
 頬が浅く裂け、血のしずくがこぼれ落ちる。一瞬の油断も赦されない戦場だ。
「こいつら……あのUDCアースの忍者ほどじゃないけど、けっこう疾いね!」
 一方のオルハは牽制のダガーを投擲し、敵の狙いが乱れた瞬間に急速接近。
 ばさりと翼をはためかせて急制動をかけると、三又矛で宇宙に烈風を巻き起こす。
 カミソリじみた真空の刃が砲塔を切断。爆散した焔の中から突き出される矛!
 串刺しにした敵機が爆発するより一瞬早く、それを飛礫めいて敵陣へ投擲する!
 KBAM! KRA-TOOOM!! 連鎖爆発によって敵六機が一網打尽となった!
「わあ、いまのかっこいいですね! まるでボウリングみたいです!」
「ふふっ、ウェイカトリアイナを振るうスピードなら、誰にも負けないよ!」
「なるほど……じゃあ、私はこうしましょう!」
 ノクティスで同じ芸当を真似するのは難しいと察した織愛。
 横合いから放たれたレーザー砲を鋒で斜めに弾き、最寄りの敵機を鷲掴みにした。
 そして、鎖鉄球のように振り回す! なんたる似て非なるパワフルな攻撃か!
「って織愛、すごいことやってるね!?」
「こっちのほうが慣れてますから……そーれっ!」
 SPAWN! ……KRA-TOOOM!!
 砲弾投げめいて投擲された敵機体は、味方の機体を巻き込んで衝突破砕、爆発。
 ストライク! とか言いながらガッツポーズする織愛に、オルハは苦笑した。
 が、すぐに表情を引き締め、先を急ぐ。足を止めていては敵の思うツボだ!
「いちいち相手してたらきりがないね。一気に突っ切ろう!」
「ええ! ……でもどうします? 被弾覚悟で突っ込んじゃいますか?」
「ううん。いまの織愛の戦い方を見て、私、ひらめいたことがあるんだ!」
 そこへ新たな敵機! レーザー砲二門がオルハと織愛を捉えた!
 はたしてどうする? 防御のために足を止めていては接近はままならない。
 その時である。織愛はおもむろに、半壊した敵残骸をおもいきり投擲した!
「いきますよオルハさん、えいっ!!」
 そして、その残骸にしがみつくオルハ! 最大加速に達した瞬間残骸を蹴る!
 さながらスペースシャトルの打ち上げのように、オルハは多段加速を得たのだ!
「邪魔だよ、どいてっ!」
 そしてレーザー砲をかすめさせながら、懐に飛び込みウェイカトリアイナで一閃。
 四散した敵機体の爆風を追い風に、さらに翼をはためかせ敵本体を目指す!
「私も頑張ってついていかないと……! 足を引っ張らないようにしなきゃ!」
 そのややあとを続く織愛。ふたりの連携も中々のものである。
 見据え目指す先、地殻変動のように無限の外殻変形を続けるクエーサービースト。
 その巨体に、愛槍を突き立て滅殺するため……急げ、少女たちよ、急げ!
 君たちの進み、切り拓いた血路が、あとに続く仲間たちの進む道標となるのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
【突破】
最速で敵陣を突破する方法。
それは僕自身が弾となることっぽい!
とは言え、流石に生身はね。
まずは<骸晶>を展開。
前に槍を作った応用で戦艦の装甲端材を加工。
槍とゆーか傘みたいなものを作るです。
これの表面にルーン刻むことで強化。
魔杖長銃とドッキングさせて魔力供給を可能に。
これで出撃するっぽい!
自身を電磁投射で射出。
さらに如意宝珠の演算と魔力で加速術式を多重展開。
敵の砲撃ですか…突っ切るですよ!
魔法障壁を傘に重ねて強化。
回避は加速力場を兼ねた仮想砲身で。
体を保護するために慣性制御術式も追加で起動。
敵船を貫いて進むっぽい!
イケルイケル!
船の構成素材を取り込み、傘を修復・強化。
更に加速するっぽい!


シーザー・ゴールドマン
【A】【POW】
外殻をオブリビオンに変化か。
過去、交戦した存在を再現――あるいは骸の海にアクセスする手段があるのか。クエーサービースト、思ったよりも楽しめそうだね。

さて、まずは突破か殲滅か……そうだね、今回は突破としよう。
『ウルクの黎明』を発動。
オド(オーラ防御)を活性化してその身を弾丸と化して一直線に戦域突破を。進路上の敵は貫き、打ち砕きながら進みます。
(先制攻撃×串刺し×空中戦)


月凪・ハルマ
希望:A

おじいちゃん達ノリいいな……ただこの状況だと
そのノリのまま黄泉路まで逝っちゃいそうなんですが

◆SPD
まぁなんにせよ、まずは道を拓かないとか


戦場に出た瞬間、【瞬身】を発動
同時に【迷彩】で姿を隠す

その後、一度戦場を一帯を確認
敵の少ない個所を【見切り】、【目立たない】様に
その個所を【忍び足】で駆け抜ける

とはいえ、ある程度は敵を倒しておいた方が
ナイチンゲール号の安全度は上がるかな

なので【武器改造】で手裏剣に時限式の爆破機能を付与
敵陣を駆け抜けつつ【メカニック】と【世界知識】で
敵機の弱点を判別して、その個所に【早業】で【投擲】

最悪、倒しきれなくても機能不全くらいには出来るだろう
後は仲間にお任せだ


ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
【突破】

あたし、雑魚散らしは得意な部類だけど。
ただでさえ火力が足りないのに、データ収集からの対処、なんてされたら本格的に詰みかねないのよねぇ…
さっさと突破して決戦に乾坤一擲、のほうがまだ目がありそうかしらぁ?

さぁて、そうと決まったら長居は無用ねぇ。
○逃げ足全開のガン〇ダッシュで突破するわぁ。
使うルーンはラグ・ウル・エイワズ。
「流れに乗」って「スピード」を上げ「高速で前進」。敵陣を一気に突っ切るわよぉ。
どうしても邪魔な敵は○先制攻撃の●封殺で排除。
ついでにスモークとかパルスとかのグレネードもバラ撒いておけば味方の○援護射撃になるかしらねぇ。



●ライク・ア・バレット
 事態は一刻を争う。
 そう……探査機群が今このときも収集し続けている、データの問題だ。
 クエーサービーストがそのデータをどういった形で利用するかは不明だが、
 猟兵に関する情報を収集し続けていることが、戦闘でプラスに働くはずもない。
 それ以前に、探査機群の動きも徐々に厄介なものになりつつある。
(……とはいえ、さすがにこれだけの数を相手にするのは、骨よねえ)
 ナイチンゲール号甲板、ティオレンシア・シーディアは沈思黙考する。
 猟兵であることを除けば、彼女は射撃技術に秀でているだけの常人なのだ。
 魔術で法則を捻じ曲げたり、超テクノロジーのアイテムを扱えるわけでもない。
 このレーザー砲が乱舞する戦場に、身一つで飛び込むのは愚策と言えよう。
 他の猟兵が突っ込んだのに乗じて、弾幕を貼りながら突破すべし。
 派手好きの猟兵のこと、ティオレンシアには不可能な方法を用いる輩がいるはず。
 ……その期待は、ほどなくして現実となった。

 誰であろう、化身忍者であり屠龍の技を鍛え上げた忍、露木・鬼燈である。
 その数々の"化身鎧装"は、はたして忍者とは一体とやや疑問になるほど派手だが、
 それはそれ、これはこれ。ようは目的が果たせれば問題は(あまり)ないのだ!
 さて、此度の戦況を前に、鬼燈が用いたのは化身鎧装"骸晶"である。
「さっそく前回の経験を生かすのです! これをこうして、っと!」
 撃墜された探知機の適当な残骸を、念動力で手元に引き寄せた鬼燈。
 それらはまるで、植物のタイプラプス映像めいてひとりでに身をよじり、
 やがて粘土が混ざり合うようにして、メキメキと音を立ててひとつの形を取る。
 すなわち、槍……いや、どちらかといえば傘と呼称するに相応しいだろうか。
 直径3メートルを越える、敵を引き裂く突撃槍にして防御傘の完成だ!
 明らかに目立つフォルム! ナイチンゲール号周辺の敵部隊が鬼燈の存在を察知!
 レーザー砲数門が鬼燈を捉えた。彼はすかさず出来たての突撃槍を展開する!
 ZAPZAPZAPZAP!! レーザー砲の熱量で赤熱化した表面に、ルーン文字が浮かんだ!
「手厚い歓迎ですねぇ、こうなったらこのままスクランブル出撃っぽい!」
 魔杖長銃と突撃槍をドッキングした鬼燈は、両足から呪焔を魔力とともに噴射。
 それらはバチバチとプラズマ熱に変換され、鬼燈の体を甲板から撃ち出す!
 ドウ――!! さらに加速術式多重展開、一瞬にしてトップスピードに!

「ほう、あれはなかなか。元気があってよろしいね」
 ナイチンゲール号からやや離れた宙域、赤いスーツを着こなす男がひとり。
 シーザー・ゴールドマンは、流星のような鬼燈の軌跡を見てふっと楽しげに笑う。
 ちまちま雑魚を相手にするのは、すべてを楽しむシーザーの流儀にそぐわない。
 シーザーは手近な機体をオーラセイバーで一刀両断し吹き飛ばすと、
 体表を流れる魔力を活性化。魔法陣の如き、真紅の文様がシーザーを包み込む!
 あまりの魔力の濃さに、血のように赤いオーラは、陽炎じみて揺らいでいる。
 一見涼やかな美丈夫に見えるこの男、はたして一体何者だというのか。
 あの超弩級クエーサービーストとの戦いも、シーザーにとっては戯れに過ぎない。
 薄い笑みの下、底知れぬ闇を垣間見せるかのように、金色の双眸が煌めいた。
「では、私も行くとしようか。せっかく用意されたものは楽しまねば、ね」
 シーザーがそう呟いた直後、その体は色つきの風となり、彼方へと消えた。
 濃縮された魔力を、さながら弾丸を撃ち出すかのように爆裂噴射させたのである。
 魔力余波に吹き飛ばされた探査機群が、互いに衝突し連鎖爆発して宇宙に消える。
 シーザーがそれを省みることはない。そもそも意識を払ってすらいない。
 彼が考えるのはただひとつ、この"遊び場"をどう楽しむか、ということだけ。
 並み居る敵の雲霞も、包囲網も、防衛線も……すべておもちゃのようなものだ。
 少なくともそれは、オブリビオンに対する敵意として燃えている――。

 かくして、すさまじいスピードで敵陣のど真ん中を突っ走るふたつの流星。
 無数の探査機群がこれを見逃さない。数百以上の機体が集合し防衛線を形成する!
「おっ、さっそく団体さんのお出ましっぽい? ぶち抜いてやるです!」
 鬼燈は止まらない。いや、敵の展開を見て取って、むしろさらに加速した。
 傘の表面に刻まれたルーン文字が煌き、魔法障壁を複合展開。
 飛来するレーザー砲を弾きながら、超スピードと超質量で無理やり活路を開いた!
「まったく派手派手しいね! 物言わぬ相手にはそのぐらいがちょうどいい!」
 やや遅れて同宙域に到達したシーザー、纏ったオーラを全方位に解き放つ。
 ひとつひとつが超濃厚な魔力で構成されたオーラの残滓は、さながら散弾だ。
 包囲して滅殺しようと展開していた敵機六体が、この一撃で次々と爆発四散!
 シーザーはスピードを殺さず、稲妻じみたジグザグ軌道で敵陣を駆け抜ける!
「どっちも無茶やるわねぇ……あんなのついていけないわよぉ」
 双影が敵陣を蹂躙する、そのやや後方。ティオレンシアは呆れたように言った。
 ふたりが切り拓いた空白――いわば流れに乗ってここまで到達したはいいが、
 もはやあの高速機動は、先程とはまた違った意味で首を突っ込めない鉄火場だ。
「ただの人間はただの人間らしく、雑魚散らしでもしておこうかしらぁ?」
 言いつつも……BLAMN! ティオレンシアの銃撃は、完全なワンホールショット。
 彼女はただの人間だ。魔術も超能力も持たない、ごく普通の一般人である。
 しかし、猟兵である者が本当の意味で凡人であるはずはない。
 ティオレンシアの武器。それはすなわち、神業の域にまで鍛えられた射撃能力!
 スピードを殺さずに、立ちはだかる敵と追いすがる敵をほぼ同時に射撃、封殺!
 レーザー砲の狙撃など、名うての女フィクサーが赦してやるわけもないのだ!

 ところで、実はこの宙域にはもうひとり猟兵がいる。
 ……それを示すかのように、爆散した敵機の真横、何もない場所が揺らめいた。
 はたして姿を表したのは、月凪・ハルマというヤドリガミの少年だ。
 そう、彼はいまこの時まで、風景に溶け込むほどの潜伏力で姿を隠していたのだ!
「あーあー、暴れ回ってるなあ! おじいちゃんたちが見たら狂喜しそうだ!
 まあそのまま高血圧でぽっくり逝っちゃいそうだから、はやく片付けないとな!」
 三人があれだけ派手に動いてくれているいま、敵の目を気にする必要はない。
 精密な探査機群の探知網を、さながら影から影へ飛び渡るようにして欺き、
 敵の死角から時限爆弾機能を付与した手裏剣を投擲――KBAM! BOOOOM!!
「ナイスヒット! っとと、浮かれてるわけにもいかないか!」
 ZAP!! ハルマの存在を見咎めた敵機群が執拗なレーザー砲撃を開始した!
 しかし彼もまた化身忍者。そして、ハルマは鬼燈ほど派手ではない。
 一度見つかったところでなんのその、再び敵のセンサーを誤魔化してしまう。
 敵からすれば、ハルマはまるで瞬間移動しているようにしか見えない!
 そしてなにもないはずの宇宙の暗黒から、爆裂手裏剣が投げ放たれるのだ!
「そっちも露払い担当かしらぁ? お互い、地味だと苦労するわねぇ?」
 BLAMN!! 背後の敵機を撃ち抜いたティオレンシアが、世間話めかして言った。
「地味? 地味ってなんだろうな……や、まあ気持ちはわかるけど、さっ!」
 KBAM!! 苦笑しながらも、ハルマは手裏剣を投げる手を休めない。
 現れては消える様、まさに"瞬身"。これぞ清く正しき忍びの技と言えよう。
 一方、もうひとりの忍者――つまり鬼燈は? 相変わらずの大立ち回り!
 魔術とテクノロジーを惜しみなく使い、超音速で敵陣を駆け抜ける。
 撃墜した敵機を新たな素材に、突撃槍を拡張・強化。もはやそれは衝角並だ!
「イケルイケル! さあさあ、どんどんかかってくるです!」
「あまりはしゃぎすぎないほうがいいのではないかな? 息切れしないかね?」
「そいつは無用の心配っぽい!」
 不敵な鬼燈の言葉に、シーザーはふふん、と鼻を鳴らして笑った。
 嘲ったわけではない。その答えが頼もしいとも、楽しげとも言える笑みだ。
「では――私ももうしばらく楽しませてもらおうか」
 真紅のオーラが、再び外套のようにシーザーの全身を包み込む。
 可視化されたオーラはすなわち絶大なる魔力。それは鎧であり盾であり槌だ。
 たとえ触れずとも、接近しただけで敵機は爆散し燃え上がる。恐るべき瘴気!
「この調子なら、ナイチンゲール号は大丈夫そうだな」
 戦況を見分したハルマが、はるか彼方の母艦をちらりと見やる。
 そもそも、ナイチンゲール号が沈んでしまっては探査の意味がなくなってしまう。
 クエーサービーストの眼前に到達することも大事だが、敵の殲滅も重要だ。
 次なる手裏剣を構え、ハルマは影に沈んだ。一基でも多くの敵を堕とすため!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
【Bチームで参加】

「クエーサービーストねぇ。…血は流れてるのかな?」
その前に、あのうじゃうじゃいる敵さん達か。

うーん、よし。ここなら全力で彼も暴れられるでしょ。

世界喰らいのUCを発動。強化された腐蝕竜さんに戦ってもらう。

デカい分攻撃も当たりやすいだろうし、常に動き回りながら戦おう。進行ルートは【第六感】【見切り】を使ってその都度指示していく。

腐蝕竜さんには爪での引っ掻き、噛み付き、尻尾でのなぎ払い、体当たり、ブレスなんかで攻撃してもらう。

ある程度戦ったら、全力ブレスをぶっ放してもらって敵陣に穴を開けられるか試す。

あ、船が攻撃に巻き込まれないように立ち回るのも忘れずに。


ルンバ・ダイソン
【Bチーム】

危なっかしいご老人達だな......。50年ぐらい前のヒットチャートでも流せば少しは大人しくなるだろうか?
さて、船の防御は俺に任せてもらおう。常に船を庇える位置から離れないようにしながら、ビームキャノンで敵を砲撃していく。
船が被弾しそうになったらユーベルコードで光の盾を展開。いかなる攻撃も弾き返して見せよう。
だが俺のユーベルコードは燃費が悪いので、折を見て船からエネルギーの補給を受けられればありがたい。船に搭載されている武装も何か俺のボディに適合するものが、あれば追加兵装として借り受けたいな。


ユーフィ・バウム
どんな時も前のめり!よい言葉ですね
さて未踏宙域第二幕。張り切ってまいりましょうか!

Bチーム希望

【属性攻撃:雷】を付与した武器を振るい、
【なぎ払い】【衝撃波】を駆使して
多くの敵を巻き込むよう攻撃しましょう
仲間と示し合わせ、【戦闘知識】と合わせ効率よく動き
殲滅していければいいですね

船への攻撃は【かばう】ことで損傷を防ぎますが、
攻撃は最大の防御――敵をとにかく撃破することで
船への攻撃を減らしますよ
自らの【オーラ防御】のオーラを伸ばし、
船を覆い防ぐことができれば尚いいのですが

敵と接敵したなら、ここは私の間合い――
必殺の《トランスバスター》で撃破です!

さぁ、次はクエーサービースト、気合入れなおしますよっ



●エンドレス・ディフェンス
 KA-BOOM!!
 また一機、オブリビオン探査機が猟兵の攻撃によって撃墜された。
 星のように瞬くのは、猟兵とオブリビオンの戦闘で生まれる無数の爆炎だ。
 もうすでに、撃墜された敵機の機体数は1000を超えているだろう。
「これがクエーサービーストの物量か? きりがないな!」
 愛くるしいパンダロボとでもいうべき外見のウォーマシン、ルンバ・ダイソン。
 片腕に備え付けられたビームキャノンで並み居る敵を撃墜しているが、
 その声音にはうんざりとした嫌気がさしている。まあ、無理もない話だ。
 この大攻勢、さっぱり終わる気配がない。そもそも物量が尽きる気配すらない。
 遠く彼方の超巨大クエーサービーストは、未だに外殻変形を繰り返している。
「底なしなのか? いや、やはり本体を叩かねばどうしようもないということか」
 あの外殻の変形が、ユーベルコードによるものであるとすれば、
 それは事実上物理法則から解き放たれたことを意味している。
 つまり、底が知れないという意味でも"無限の変形"なのだ。敵数に上限はない。
「このまま前進を続ければ、必ず本体にたどり着けるはずです!
 諦めずに戦い続けましょう! 大丈夫です、心配ありませんよっ」
 不安にかられそうになったルンバを、幼い少女ユーフィ・バウムが激励した。
 蛮族戦士である彼女は、この宇宙空間の大戦場にあまりにも向かないが、
 装備の不足や機動力を、戦士としての誇りと戦闘経験によって補っている。
 戦いは始まったばかり。この程度の苦境ならいくらでも乗り越えてきた。
 手にした大剣ディアボロスが、戦意の高揚を示すようにバチバチと雷を孕む。
「攻撃は最大の防御です! こうなったらわたしが突っ込んで囮になります!
 一機でも多く敵を落とせばそれだけナイチンゲール号も無事でいられますし!」
「うーん、元気なのはいいけどさぁ、それじゃ本番前に息切れしちゃわない?」
 そこで、甲板の隅っこで丸まっていたひょろ長い優男が、のっそり顔を見せた。
 須藤・莉亜。宇宙であろうと愛用のタバコを銜えた不健康そうな男である。
 ダンピールらしくその血色も悪い。が、戦えないというわけではなさそうだ。
「どーせなら、もっとラクしてド派手に蹴散らしたいとこだよねぇ」
「何か策があるのか?」
「まあね。ただデカブツだから、逆に船に危険があるかもしれなくてさ」
「それならわたしたちがカバーしますよ! 防御だってお手の物です!」
 自信満々な様子のユーフィ。その肉体で文字通りの盾になるつもりだろう。
 ルンバはそんな彼女を感心した様子で一瞥し、莉亜のほうを見て頷いた。
「幸い、俺のユーベルコードなら大抵の攻撃は防ぎきれるはずだ。
 しかしいささか燃費が悪いのでな。やるならこの船の協力も取り付けたい」
 ルンバがコンコンと船体を叩くと、ちょうどそこに立体映像が現れた。
『話は聞いとったぞ! エネルギーを回してやればいいんじゃな?』
『あの、すみません! 一応僕が艦長なので僕の許可を』
『ええい、四の五の言うでない! 若者たちが踏ん張ってるんじゃろうが!』
『僕も若者なんですが!?』
 ……なにやら画面の向こうで艦長と老人たちが言い争いしているがさておこう。
『というわけじゃ、エネルギーの補給ぐらいいくらでもしちゃる!』
「ありがたい! そういうことであれば、おもいっきりやってもらっていいぞ!」
「よーし。じゃあ久々に、全力で暴れてもらうとしようかぁ!」
 ふらりと立ち上がる莉亜。おもむろに、手にした大鎌をぐるりと振るう。
 すると宇宙の暗黒が、ざっくりと抉られたかのように亀裂を刻んだではないか。
 その先……すなわち別の次元から、何か良からぬものの気配が瘴気めいて漂う!
「……わたしが敵を牽制します! その間にお願いしますねっ!」
 ユーフィは船体を蹴り、新たな機影めがけて稲妻のように翔んでいった!
 魔剣ディアボロスに雷の力を纏わせ、衝撃波で敵を薙ぎ払う!
 その間にも莉亜が空間に刻んだ亀裂は広がり、瘴気を撒き散らす……。
 いいや、それはまるで逆だ。瘴気を生み出しているのではない。
 亀裂が広がるごとに、この世界そのものから生(き)の力を吸い上げている!

 一方のルンバは、船体のコネクタ部にエネルギーラインを直結し準備完了。
 コアマシンが回転を増し、ルンバのパンダボディに莫大なエネルギーを送る。
 するとその全身が、バチバチと音を立ててにわかに発光を始めた!
「コアマシンとのバイパス、直結……エネルギータンクフル稼働、回路励起!
 ようし、上々だ! いつでもいいぞ、いかなる攻撃も余波も弾き返そう!」
「おーらい、そいじゃ腐蝕竜さんいらっしゃーい!」
 ごこん――! と、空間の亀裂が一気に広がり、裂け目となった。
 時空のひずみを外側――あるいは内側か――からこじ開け、現れる巨躯!
 然り、竜だ。数十メートルはあろうかという、とてつもなく巨大な竜である!
 すなわち、世界喰らい(ワールドイーター)。おお、なんたる威容か!
 次元の亀裂を一気に引き裂いて出現した竜は、まずその爪を振るった。
 文字通りの薙ぎ払い! 離脱しそびれた探査機群が一気に爆散し炎に消える!
「守護神の盾(イージス)、展開――!! 盛大にやれッ!!」
 そしてルンバのユーベルコードが発動! 全身の光がさらに強まる!
 眩いほどの輝きの正体は、励起したエネルギー……すなわち、プラズマバリア。
 風船めいて膨れ上がったその力場は、ナイチンゲール号をすっぽりと包んだ!
 これなら、世界喰らいの龍がどれほど暴れようと余波が船を脅かすことはない!
「す、すっごい大きさです! でも、わたしも負けてないですからね!」
 ユーフィは気を取り直し、ドラゴンの猛攻から逃れる敵機をフォーカスした。
 回避機動が乱れた隙を狙い、残骸やデブリを足場として一気にジャンプ接近!
 片腕をオーラで覆い、毬めいて丸まった姿勢からのハンパーパンチを繰り出す!
 KRAAAAAASH!! 哀れな探査機は、豆腐のようにひしゃげて爆散した!
「さあ、まだまだいきますよ! もはや逃しません!」
 爆風に吹き飛ばされた勢いに乗って、ユーフィは次の獲物に拳を叩きつける!
 その頭上をかすめる尾、そしてブレス! 敵にとっては阿鼻叫喚だ!
「おー、まだまだおかわりが来るね。こりゃ暴れがいがありそうだなぁ」
 ダウナーそうに言いながら、莉亜は龍の背に飛び乗り、にたりと笑った。
 血も通わぬオブリビオンども。ならば思う存分鉄くずに変えてやろう。
 その暴風のごとき暴れっぷりを、ルンバはエネルギー全開でバリアを展開しながら見守る。
「まったく、敵の攻撃じゃなく味方の攻撃を防ぐハメになるとはな……!」
 頼もしき仲間たちのパワフルぶりに、心なしか声音も弾んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
【Aチーム希望】

なんだよ、分かってるんじゃねぇか爺さん共はさ!
ナイチンゲール号も大船だろうがよ、
どっしり構えて吉報を待っててくれや!
相棒の年季も下手すりゃあの爺さんたち以上だからな、
奴ら……というかその先にいるデカブツにも反応するかもな?
……いや、冗談だよ冗談。
それじゃカタパルト開いてくれ、出るよッ!

カブに乗ってカタパルト射出を受けたら、
すぐに【人機一体】を発動!
更にバイクモードに変形して『ダッシュ』!
誰か『騎乗』したい奴がいたら乗っとくれ!
あ?宇宙でバイクを使うな?
そりゃ宇宙バイクへの冒涜だね!

全速力で戦域を駆け抜けつつ、
『ハッキング』の妨害通信波をばら撒くよ!


シズホ・トヒソズマ
※連携アドリブ可

【突破】

スピード勝負となれば久しぶりにこの宇宙をかっ飛ばすとしましょうかね!

UCでクロスリベルを宇宙バイクに変形
他からくり人形2体を同乗させ
UC効果とリベルによる速度強化の2乗強化◆ダッシュで突破を狙います
攻撃は◆操縦テクを◆早業でこなす事で回避したり
コースで◆フェイントをしたりしてかわします

対抗策を取り攻撃を変えて来たら
UCでシュヴァルツヴィアイスを宇宙バイクに変えて乗り換え
ここまで◆情報収集したデータから敵の動きを未来予測した◆見切りで回避

更に対策してきたならばデザイアキメラに乗り換え
バイクに◆オーラ防御をほどこしての強引スピード突破狙い

ふふ、こちらも対抗策は豊富なのです


アンコ・パッフェルベル
そういうことならば、私も突破すると致しましょうです。
え?航宙武装も無いのにどうするつもりだって?こうするのですよ。

黄金色の秘薬とのノンアルコール混合液を飲み石笛を吹く。
赤光刃で空間へ古き印を刻むです。いあ・いあ・はすたあ―

突然ごめんなさいです貴婦人さん。お力が必要でして。
バイアクヘーを喚び出し以前猟兵が得た特殊宇宙服を纏い…
無ければ備蓄の宇宙服でごーです。

貴婦人さんに乗って猟兵の肉体が耐えうるギリギリの速度で飛行。
情報通り弱点狙い。分かりやすくていいです、ね!
学習力。盾と黎明剣で私の身体と貴婦人さんのフーン器官を盾・武器受け!
光属性を得た黎明剣と貴婦人さんの鉤爪で敵を最低限斬り捨てて突破です!



●フル・アクセル
 ゴウンゴウンゴウン……。
 ナイチンゲール号の後部カタパルトハッチが展開し、ガイド・ビーコンが点灯。
 愛用の宇宙カブに跨る数宮・多喜は、ヘルメットの下で不敵に笑った。
『か、数宮さん、敵の増援が接近中ですよ? 本当にいま出撃するんですか!?』
「なんだい艦長! いまさらあたしらの心配かい? 呑気なもんだねぇ!」
 艦長パトリックからの通信を受けて、多喜はけらけらと一笑に付した。
 いかにも、船の外は激化する戦闘によって無数の爆炎が乱舞している!
「爺さんたちだって言ってたろう? どんなときも前のめりが一番さね!
 この船だって大船だろうがよ、どっしり構え吉報を待っててくれや!」
『それは……わかりました。発艦を許可します、ご武運を!』
 ガイドランプが緑色に点灯する。多喜はカメラの方へハンドサインした。
「あいよ。それじゃあ行こうか、相棒! 多喜、出るよッ!」
 宇宙カブのロケットエンジンが点火、ギャリギャリとカタパルトを疾走!
 そして宇宙に飛び出したシルエットは、一瞬にして人機一体となる!

 と、猛スピードで敵陣の中央突破を目指す多喜に、並走するシルエット。
「この戦況でロケットスタートとは、なかなかタフですね!」
 宇宙バイクモードの強襲人形を駆るのは、人形遣いのシズホ・トヒソズマだ。
 スピードスターで鳴らす多喜のマシンに、勝るとも劣らぬ猛加速である!
 キュイイイッ、と、周囲の探査機群がふたりに狙いを定めようとする……が、
 そのスピードと加速力、そして華麗なドライニングテクに追いつけない!
「さすがに即座に対抗してくるほど、おつむの出来がいいわけではありませんか」
「けどそれも時間の問題だろうさ。飛ばしたほうがいいんじゃないかい?」
 並走する多喜が挑発的な目線を送ってきた。一方のシズホは涼やかな顔だ。
 ……いや、前言撤回しよう。ものすごい勢いでフルスロットルだ!
「言いましたね? 置いていかれても待ってはあげませんよ!」
 ガォオオオオオン!! と、怪物の雄叫びのようなエンジン音が鳴り響く!
 エーテルを揺らすバイクの咆哮! シズホが頭二つ抜きん出てリードを得た!
 かくして始まる丁々発止のスピード勝負。探査機? そんなものは蚊帳の外だ!
「久方ぶりのこの宇宙、かっ飛ばすにはいい日です!」
「いいねぇ、ならどっちが先に多く敵を潰せるか競争といこうか!」
「望むところですよ!」
 ライダーが競い合うのは、同じライダーだと相場が決まっている!

 ……そんな流星のような二台の宇宙バイクを、ぼんやり見上げる少女。
 アンコ・パッフェルベルは、しばし顎に手を置いて考え込んでみせた。
「多喜さんにタンデムをお願いしてもいいのですが、ここは後追いといきますです」
 言いながら取り出したるは、あきらかに霊験あらたかな謎の黄金色の秘薬。
 それを真鍮フラスコ入りの蜂蜜色の液体(ノンアルコール)に注ぎ込み、
 ぐびりと一杯。黄金色の蜂蜜酒(ノンアルコール)……まさかこれは!
「いあ! いあ! はすたあー!」
 空間に刻み込まれる古き印。そしてどこからか響く異界めいた音叉!
 おお、見よ。これなるはアンコのユーベルコードが起こした一つの奇跡。
 神話生物を喚ばう、共に乗り越える仲間達(サモン・トラバースパートナー)!
 光めいた速度でアンコの前に現れたのは、異界生物バイアクヘーだ!
「突然ごめんなさいです貴婦人さん。あなたのお力が必要でして」
 アンコはうやうやしく礼を尽くし、バイアクヘーに助力の必要性を問いた。
 星間宇宙を光の数百倍の速度で駆け抜けるとされるこの神話生物は、
 人間などいとも簡単に異界へと連れ去ってしまう……と、言われている。
 敬意を払い、偉ぶることなく、しかし己を卑下することなく礼節を重んじる。
 それが、人知を超えた存在に対して人間が出来る、唯一の処世術なのだ。
 そしてアンコの願いを受けたバイアクヘーは、羽の音で彼女に応えた。
「本当ですか? ありがとうです! では早速失礼して……」
 少女が背に乗ると、バイアクヘーは体内のフーン器官を励起し、超加速!
 特殊宇宙服を纏ったアンコが耐えられる、ギリギリの速度で宇宙を駆け抜ける!
「噂に違わぬ……韋駄天です、ね……っ!」
 それでも、只人であるアンコにとっては耐えるのが精一杯だ……!

 ……そして、戦乱宙域最前線!
 蛇行し交錯しながら戦地を駆ける多喜、そしてシズホ!
 そのど真ん中を、光の矢のように駆け抜けたのは宇宙生物バイアクヘーである!
「なんだぁ!? どうしてここにあんなのが翔んでるんだい!?」
「どうやら味方のようですね、ならばこのまま駆け抜けましょう!」
 然り。シズホの言葉通り、データ集積を終えた敵は彼女らの動きに対応している!
 そこへ未知の宇宙生物が現れたことで、統率されかけた敵の足並みが乱れた!
「多喜さん、お先失礼しますですよ!」
「あ、こら! ったく、追いかけっこじゃないってのに……!」
 ついさきほど、同じバイカーだからってシズホを挑発した女の台詞ではない。
 言葉と裏腹に、多喜は不敵に笑みながら一気にスロットルを開いた!
 三つのスピードスターが、文字通り星のように煌めく三条の光芒に変じる!
 ZZZZZTTTTTTT……!! 宇宙カブ機体から放射される強烈なジャミング波!
 バチバチとショートした探査機群を、シズホのマシンが轢殺粉砕!
 それを逃れた残存兵力は、アンコの黎明剣が風のように斬り裂くのだ!
 レーザー砲撃など、三人の超スピードの前にはかすりもしない!
「データを集めてからどうにかしようだなんて、スロウリィすぎるのです」
「ははっ、言い得て妙だねぇ! 後の先取ろうったってノロマすぎんのさ!」
「対抗策のひとつやふたつなくして猟兵はやっていられませんとも。さあ、次です!」
 無限変形する黄金の異形をめがけ、三条の流星はさらにスピードを増す。
 追従する探査機群も、ついに耐えきれず機体が爆散するほどの猛加速!
 戦場を駆け抜ける乙女たちには、オブリビオンでは絶対に追いつけない――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゼイル・パックルード
あんま広範囲の攻撃とかできねぇけど、まぁ殲滅するほうが楽しいよな……ってことで【Bチーム】に混じるかな。

ユーベルコードで身体を強化して高速移動しつつ、鉄塊剣でなぎ払っていく。デブリを蹴ったり、炎で方向を修正したりして、単純な動きにはならないようにする。
動きが読まれ始めたら、ユーベルコードの炎の竜巻で巻き込んだりして攻め方を変える。
また読まれたら、武器を竜巻に混じらせて投げたり……まぁ、やり方なんて色々あるわな。最悪周りと動きを合わせれば攻め方なんざいくらでも増える。炎を誰かが攻めるための目眩ましにしてもいいしな。
前哨戦はさっさと終わらせてもらうぜ。


アルトリウス・セレスタイト
アレは図体の割に慎重派らしい
だが自分で来ねば情報は手に入らんぞ

天楼で捕獲
対象は宙域の探査機群とその攻撃、及びそれらの収集した猟兵のデータ
論理の牢獄に捕らえ、封じ、消去する
迷宮ゆえ、脱さねば外へは逃れられん

出口は自身に設定
突破を試みれば自然集まってくるだろうが、それならそれで良い的だ
集った猟兵が遠慮なく叩くだろう

転移での離脱も阻むつもりだが、仮に離脱されても味方と同じ場で囚われるだけ
本体の元へ向かったとしても、データは何の役にも立つまい


交戦、索敵、逃亡
何をするにせよ急ぐが良い
それほど時間はやらんぞ

※アドリブ歓迎


斬崎・霞架
【POW】
【B】

なるほど。以前のアレがただの尖兵であったと言うのは間違いではなかったようですね。
良いではないですか。ふふふ。
…しかし、元気なご老人たちですね。
無理をすると腰を痛めますよ。

では僕は、わらわらと湧いて出たヤツらを散らすとしましょう。
突破する方たちの為に、道を作る必要はありますしね。
(『ネクロシス』を構え限界まで【力溜め】、【オーラ防御】で反動を軽減、【激痛耐性】で耐えつつ【極光】の【範囲攻撃】を放つ)

さて、残りも潰しておかなければなりませんが…
障壁を張るモノもいるようですね。
壊れるまで撃つのもいいのですが、あの障壁を呪い殺せるかどうか、試すのも一興ですね。
(【呪詛】【呪殺弾】)



●ペネトレイト・クロウ
 徐々に敵の包囲網を突破した猟兵が、数を増してきた頃。
 それまで徹底的な攻勢を続けていた敵の動きが、微妙に変化を見せた。
 攻めるのではなく、護る。迎撃するのではなく、猟兵を妨害するように。
 つまり、クエーサービーストに決して接近させないため、敵が動き出したのだ。
 裏を返せばそれは、敵が猟兵の脅威レベルを引き上げたということ。
 この防衛網を突破すれば、さらなる脅威を与えられるはずだ!
『……一気に戦線に穴を開けます! 面舵一杯、最大戦速で最前線へ!
 猟兵の皆さん、防衛のサポートをお願いします! ここが潮目と見ました!」
 若き艦長・パトリックの音声が戦域に拡散される。彼らも戦っているのだ。
 防衛網に穴を開け、敵の防衛ラインを引きつけるため、ナイチンゲール号前へ!

 当然それは、探査機群による猛攻の始まりを意味する!
 さながら誘蛾灯に群がる蛾のような有象無象。機体数は数え切れない!
「かかってくるのを消し飛ばすだけでいいなんざ、他愛もねえな!」
 防衛線の最前線に立つのは、ゼイル・パックルードだ。得物は鉄塊剣!
 地獄の炎を纏わせた巨大刀身を振り回せば、一拍遅れて爆炎が吹き荒れる。
 ようはもぐらたたきのようなものだ。集まったのとを殲滅すればいい。
 戦いの質として見れば高いとは言い難い。が、これはこれで血が滾るのも事実。
 それを示すように、ゼイルの双眸は内なる業火に爛々と燃えていた。
 意志無き鋼のオブリビオンにすら、本質的な恐怖を抱かせるほどに!
「なるほど、これは闇雲に撃って斬るだけでは突破口は開けませんね。
 質量で風穴をこじ開ける……と。であれば、やれることをやりましょう」
 漆黒の手甲を纏う少年、斬崎・霞架の口元にはあるかなしかの薄い笑み。
 それは戦闘の高揚のようであり、哀れなる無垢機械への憐憫めいてもいる。
 しかして、霞架がオーラのように纏い放つのは高濃縮の呪詛の輝きである。
 生き物ならば――否、生物ですらなくとも――汚染崩壊不可避の極大の呪い。
 それを弾丸のように放つのは、まるで疫病をばらまく死神のようだ。
 ならば、その呪いの雨に自ら身を投じる敵の群れは、さながらレミングスか。

 ふたりを中心とした即席の防衛網は、津波じみた敵の猛攻をたやすく押し返す。
 レーザー砲撃の雨あられを、地獄の炎を嵐となして飲み込み吹き払う。
 死角を取ろうとする敵がいれば、霞架の呪詛砲撃がこれを黒化滅殺する。
 それは拮抗……いや、今では猟兵側のほうが敵の防衛線に食らいついていた。
 然り。さながら、毒蛇が身の丈よりも巨大な獣を喰らい殺すかのように。
 巨体に絡みつき喉笛を噛みちぎるかのような、獰猛にして狡猾なカウンター!
「さっきまでの勢いはどうした? こっちは数で劣ってるんだぜ?」
 くくっ、と喉を鳴らして笑い、ゼイルがさらに敵陣を蹂躙する。
 その裡から溢れた炎は、宇宙の虚空を駆ける追い風であり指向性のある野火だ。
 敵が退けば同じだけ詰め、逃げ遅れた敵は炎の牙によって一撃焼滅していく。
 戦争に生きた若者だからこその、容赦も慈悲もないヒットアンドアウェイ……!
 加えてゼイルの一挙一動は、似ているように見えて同じことはまったくない。
 探査機群によるデータの集積とその対策に、勘と機転で対応しているのだ!
(闇雲に飛び込んでいるように見えながら、的確に逃走経路を潰している……。
 こうして横から見てみるとわかる――見事なものです。まるで陽炎のようだ)
 呪詛砲撃によって敵を牽制しながら、霞架はゼイルの戦いぶりに感嘆した。
 常に強者たらんとする少年にとって、他者の戦いは学ぶところ多き教科書だ。
 修羅場を潜り抜けた者だけが、真に生かすべき兵法を見せてくれるのだから。
 だが、手を叩いて称賛だけしているほど、霞架は大人しくはない。
 魔力をオーラとして収束させ前面に展開し、瞬間的加速で敵に間合いを詰める。
 握りしめた拳ごと漆黒手甲を叩きつけ、呪詛砲弾をゼロ距離射撃で放った!
 KBAM!! 極光呪詛を体内に叩き込まれた探査機はビリヤードめいて吹き飛ぶ!
 爆散したその残骸は、いわばそれ自体が呪詛をばらまく病原体である!
 連鎖爆発の発生に乗じ、霞架はさらなる追討砲撃で獲物を狩っていくのだ!

 さて、ここでひとつ疑問が浮かぶ。"敵はなぜ逃走しないのか"ということだ。
 クエーサービーストへの接近を妨害するなら、必然的に防衛網は後退し続ける。
 にもかかわらず、これだけの反撃を受けながら敵は攻撃を繰り返している。
 彼我の戦力差は圧倒的。猟兵の防衛線を探査機が突破することは絶対にありえない。
 それはあちらもわかっているはずだ。なにせデータを集積しているのだから。
 "この戦法では敵わない"という、冷たい方程式の証明結果が出ているはず。
 なのに、なぜ? 敵の演算能力はそこまで落ちぶれていると?
 否。答えは単純だ。"探査機群は撤退したくても出来ない"のである。
 その理由は――淡い蒼の燐光を纏い佇む、アルトリウス・セレスタイトにある!
 彼の生み出した"端末"は、不可視の領域をこの宙域そのものに展開している。
 すなわち、物理的でも魔術的でも突破困難な、存在そのものを捉える迷宮。
 "天楼"の檻は、まんまとナイチンゲール号におびき出された周辺の敵機全てを、
 その機体はおろか本体へ送られるはずのデータもろとも閉じ込めているのだ!
 目に見えぬ論理の牢獄。近づいたときには敵の退路は断たれている!
 なんたる二段構えのカウンターであろうか。恐るべきはその規模である!
 世界原理の規矩に触れ、それを理解したアルトリウスだからこそ出来る御業。
 迷宮の出口はアルトリウス自身だ。ゆえに探査機は前に出ざるを得ない。
 そして迂闊に出過ぎれば――そこを、傭兵と少年が炎と呪詛で刈り取るのだ。
 追い詰めているはずの敵は、その時すでに追い詰められている……!
「クエーサービーストよ。図体の割に慎重派なのは、戦術しては悪くはない」
 燐光を揺らめかせる双眸が、遥か彼方の黄金巨体をじっと見つめる。
 心なしか、無限変形する外殻の鳴動は、口惜しげにも見えた。
 当然だろう。放った手勢はまんまと檻に閉じ込められ、無為に数を減らす。
 猟兵の突破を妨害するという試みも、ろくに果たせないのだから!
「だが――虎穴に入らずんば虎子を得ず、という言葉もある。
 俺たちを識ろうとするのならば、自ら来るがいい。その情報、安くはないぞ」
 来ないならば、こちらから向かうまで、この雲霞の如き敵を薙ぎ払って!

 そう、頼まれなくともこちらから挑みに行ってくれよう。
 そのための戦いであり、その先にこそゼイルの求めるものはある。
 純粋な闘争。相手が無機物であろうが、意志不明な惑星級生物であろうが、
 何も変わらない。戦う力を持つ敵は――オブリビオンは、叩き潰すべき相手だ。
 それが歯ごたえのある敵ならばなおよし。ゼイルは揺らめくように笑う。
「前哨戦はさっさと終わらさせてもらうぜ。俺は飽きっぽいんでな」
 四肢から生まれた地獄の炎が、体を伝い鉄塊剣の刀身に収束する。渦巻く。
 さながらそれは紅蓮の竜巻。ねじれた業火が、刺突とともに放たれた!
「障壁を張ろうが、有象無象を寄せ集めて盾としようが結果は同じですよ。
 すべて呪い殺します。命があろうと無かろうと――それが仕事ですからね」
 穏やかに笑み、霞架もまた致命的なレベルに臨界した呪詛を放つ。
 毒々しき極光の弾丸。否、放射状にぶちまけられたそれはまるで大波だ。
 足並みの乱れた敵陣を、紅蓮の竜巻と混ざりあって飲み込み、貫き、貪り尽くす。
 そして間隙が生まれる。新たな猟兵たちが突破するための風穴が。
 こじ開けられた間口のむこう、黄金の怪物は静かに変形を続ける――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と
B

おお…でかいのがたくさん
まだ見ぬ外殻も、ちょっと気になる。まるの分も一緒に取ろう。

あの不思議なかたち(アンテナ)…UDCアースやヒーローズアースで、似たようなのが
厚い壁に阻まれていると、てれびが映りにくいとか、電話が通じにくい、とか…なるほど、壁

まる、あの障壁を破れるか
カガリはできるだけ多く、あれを囲ってしまおうと思う
こちらの心配はいらないが、そちらも本命への力は残しておけよ?

――【泉門変生】
群の一部、難しければ1体をまる諸共囲って、出口の門を【隔絶の錠前】で施錠
【内なる大神<オオカミ>】の神力で以て、その隔絶を強固に
『世界』が違ってしまえば、外へは何も届くまい


マレーク・グランシャール
【壁槍】カガリ(f04556)と

宇宙には様々な生命体がいるな
どうだカガリ、スクラップビルダーとして興味をそそられるのではないか?
ならばこの世界の民のみならず、お前のために外殻を砕いてやるさ、この槍で

しかし……俺達の攻撃であれ防御であれ、データを蓄積されて本体に送られているということか
つまり本体に同じ手は通用しまい

ならばカガリが【泉門変生】で敵を囲いデータ送信を妨害するまで待ってから【汗血千里】を発動
通信が遮断されれば送信に集中出来ずに障壁も解かれるかもしれない
機を狙って槍に風竜の力を宿し、射程距離を伸ばして槍を高速投擲
障壁が残っていようが構わずデータを送るアンテナに狙いを定めてへし折って回るぞ



●スクラップ・アンド・クラッシュ
 なおも最前線を進み、猟兵たちの突破口を開こうと奮戦するナイチンゲール号。
 行かせまいとする探査機群の抵抗は、いよいよ執拗なものとなっていた。
 彼奴らは数百機の編隊を使って三次元的な"壁"を作り出したのである!
 幾何学的に規則正しく編列した探査機群が、無敵の障壁を展開していく……!
 生半な攻撃では突破不可能。しかして雑兵にかかずらっていては後手も後手。
 この状況に対し、最前線に躍り出たのは、恐るべき"壁と龍"であった。

 すなわち、出水宮・カガリとマレーク・グランシャールのふたりである!
「まる。あの障壁を破れるか?」
 カガリの問いかけに対し、マレークは相変わらずの仏頂面でこう答えた。
「お前が望むならば、どんな分厚く堅い壁であろうとこの槍で貫いてみせよう。
 俺は、お前よりも堅き壁を知らない。であれば、いかなる壁だろうと貫ける」
 そこには信頼、親愛、尊敬……あまりにも多くの感情が込められていた。
 じっと槍のように真っ直ぐなその眼差しに、カガリは照れくさそうに微笑んだ。
「ならば、お前が褒めてくれたこのカガリの門を以て、あれらを閉じ込めよう。
 これ以上、要らぬ情報をあの大きな黄金に送られてしまう前に――な」
 風なき宇宙の暗黒に、絹糸のように細やかなカガリの金髪が揺らめく。
 人外めいた紫色の瞳が輝き、やがてその身をヴェールめいて薄く包み込んだ。
 するとどうだ。金色の光のシルエットとなったカガリの体が、
 物理法則を超越するような速度と規模で、一気に膨れ上がり変形していく!
 それはまるで――否、彼は"そのものだ――聳え立つ城砦のように、壁のように!
 きらびやかな黄金によって築き上げられた、何者をも通さぬ鉄壁の門へと!
 伸びていく、伸びていく。さながら万里の長城もかくやとばかりに伸びていく。
 障壁を展開し、身動きが取れなくなった探査機群をもすべて包み込むほどに!
 そして、がしゃんと音を立てて、分厚く堅牢な鉄の門扉が閉ざされた。
 これこそは、彼方と此方、彼岸と現世を分かつ黄泉戸の塞。世を分かつ磐戸。
 もはや探査機群が障壁を解除したところで、ナイチンゲール号は攻撃できぬ。
 逃れることも、そのデータの残滓をアンテナから送り込むことも不可能だ。
 "こちら"と"あちら"では、文字通りに『世界』が違うのだから。
『このカガリを前にして、壁を気取ったことの意味を教えてやろう。
 妨げ閉ざすのは、お前たちではなくカガリの仕事だ。そして――』

 そして。
 ばちり、ばちりと、剣呑な雷鳴の、稲妻の音が裡なる世界に響き渡る。
 はたしてそれは解けていき、命なき宇宙に命の緑風を吹かす槍へと変じた。
 "汗血千里(ドラゴニック・ワイルドウィンド)"。
 それは邪竜たる男の、血と寿命を以て顕現する風の相。
 風、すなわち五行陰陽における木気とは、すなわちいのちの行である。
 太古の人々は、稲穂を揺らす稲妻を木に根ざす元素の御業であると捉えたのだ。
 風が花木の種を運び、いのちを育む。ゆえに雷とは木気なのであろうと。
 その実、それは間違っていない。現にこうして稲妻は緑の疾風へと変じた。
 マレークが握りしめる槍を中心に、世界を睥睨するかの如き嵐が顕現している!
 いまさら障壁を解除し、レーザー砲の照準を狙い定めたところでもう遅い。
「我が血、我が命を以て育まれし風龍の槍よ。その暴威をいまここに示すがいい。
 冷たき鋼であろうとへし折り砕く、これこそが俺の血の力、風の龍の力だ」
『――お前たちは、たいへんなものを敵に回ってしまったのだぞ?』
 城壁そのものに変じたカガリの声は、心なしか愉快げのように聞こえた。
 マレークは風の刃を片手に、稲妻じみた速度で宇宙の真空を蹴る!
 並み居るレーザー光を風圧でそらし、そして暴風じみた矛で全てを薙ぎ払う!
 あっけなくひしゃげ、探査機群はあっというまに爆裂四散! それは花のよう。
 まさしく木生火、火剋金。五行相剋相生の理、ここに成れり。
 荒ぶる龍の風は鋼を喰らい、滅びの炎を生み出したというわけだ!
(だが、さしものカガリとて、あの巨大な怪物を閉じ込めることはできまい)
 一方で、マレークは達成の高揚感もなく淡々と沈思黙考していた。
 この戦いを見ていた別の敵部隊は、その情報を本体に送ったはずである。
 無限に変形する外殻の塊に対し、半身たる壁とともに如何にして挑むか?
 敗北はありえまいが、少しでも無事に勝つ活路があるとすれば、それは――。

『まる、まる。みんな壊れてしまったぞ。不思議なかたちの突起もすべてだ』
 そんな思考を、カガリの無垢な子供めいた声が現実に引き戻す。
「……ああ、スクラップビルダーとしては、あの外殻も興味をそそられるだろう?」
『そうだな! 早くあいつをやっつけて、殻をいただいてしまおう!』
「……ああ。この世界の民のため、お前のため。どんな敵をも砕こうさ」
 相棒が傍らにいてくれるならば、如何なる敵であろうとも負ける気はしない。
 それはおそらく、命を厭わぬ龍にとって、善性の寄す処であり絆だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

蒼焔・赫煌
A

うおー!
なんだかすごいことになってるね! すごいすごい!
可愛いボクも気合が入るってもんさ、頑張っちゃうよ!
何故なら正義の味方だからさ!

そしてボクのやれることは全速、全力、超特急で!
敵の行動は、敵データを獲得! 敵データを送信! 敵データを受信! レーザー光線の発射!
つまりつまり! これよりも速く攻撃すれば問題なし!
限界を超えて加速、加速! 敵の行動が次の段階に移るよりも速く!
ボクの炎で特大超速の蹴りをお見舞いだー!【属性攻撃】
攻撃しにくいようにぴたっと張り付いて、距離を離れさせないのも忘れずに!

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】


リンタロウ・ホネハミ
Aチーム希望

おーおー、前にも増して厄介そうな敵が出てきたっすね
つっても、オレっちがやることは変わんねぇっす
傭兵だろうと騎士だろうと、戦場の先駆けは何よりの名誉
全力で敵陣を突破してやりまさぁ!

つーわけで、ナイチンゲール号の砲でオレっちを撃ち出しくれっす
そう、一番でっかい砲で
まーダメなら誰か猟兵捕まえてでもやるっすけどね!

普通に撃てばオレっちが砲撃の衝撃でバラバラになるだけっすけど
カメの骨を食って【一〇九番之重甲兵】を使えば話は別っす
自力で動けねぇってデメリットも、ただの弾丸になっちまえばクリアできるんすから

さぁ、絶対的な硬度で雑兵の壁をブチ破って、敵陣一番乗りを目指すっすよ……!


トルメンタ・アンゲルス
【A】
なるほど、あれが新しいクエーサービーストですか……。
やはり、尖兵とは規模が違いますね。

ともあれ、立ち塞がるなら蹴り穿つのみ!
行くぞ相棒!
変身!アクセルユニゾン!
『MaximumEngine――Mode:Formula』

相棒を攻撃力重視の装甲と化し、宇宙空間へと飛び出します!
さぁ、全速力で行きますよ!

数があるなら、それに構ってはいられませんねぇ!
データを集める暇も与えず、一気に突破する!
『Full Throttle──』
――HyperDrive!

超光速のダッシュで、敵弾幕群を翔け抜けます!
俺の路の先に立つならば、勢い其のままに蹴り穿ち、突き進む!



●トップ・スピード
 生まれ故郷(スペースシップワールド)は、やはり何かが違うと感じる。
 懐旧をくすぐられるというか、一番"好き勝手に翔べる"とでもいうべきか。
 たとえどれだけ世界を渡るようになっても、変わらないものがあるのだろう。
 それは厭わしい枷のようなものでも、命綱めいてありがたく感じられもする。
 少なくともこの世界は、自分にとって『帰るべき場所』なのだから。

 ……ともあれ、そんなノスタルジィにほだされて戦意が揺らいでしまうほど、
 トルメンタ・アンゲルスはウェットな女ではない。
 サングラスの下の瞳は、無限に変形を続ける黄金異形を不敵に見つめていた。
 猟兵たちの奮戦によって、敵陣のど真ん中に大きな"風穴"が開けられたのだ。
「敵の群れの突破と言わず、いっそクエーサービースト本体に一撃くれてやりますよ!」
 などと強気に豪語する。それが冗談に聞こえぬステイタスを彼女は有している。
 すなわち、速度。ただそれだけを追い求め、彼女は次元すらも揺らがせる。
 マシンベルトに科学の灯火をくれてやり、甲板に仁王立ちした。
「行くぞ相棒! ……変身、アクセルユニゾンッ!!」
《MaximumEngine――Mode:Formula》
 マシンベルトの電子音声とともに、相棒Nochacerが一瞬にして装甲に変形!
 攻撃力重視の青ざめた装甲を着装し、トルメンタは深く腰を落とした。
『データを集める暇なんて与えず、一気に突破する! ひとっ走りでねッ!』
 たんっ、と軽やかに甲板を蹴った直後、KA-BOOM!! すさまじいブースト噴射!
 その蒼き装甲のシルエットは、一瞬にして風穴の彼方へと消えていった――。

 ところで。
 そんな颯爽たる出撃を、一拍遅れて見送ったふたりの男女がいた。
「うおー! ねえ見た今の見た!? まさに正義の味方って感じだよね、ね!?」
「あーそうっすねぇ、まあオレっちにゃ色んな意味で無理な芸当っすけど!」
 なにやらテンションMAXではしゃぐ蒼焔・赫煌と、リンタロウ・ホネハミだ。
 正義の味方を標榜する少女のこと、トルメンタの出撃プロセスは、
 ロマンというかスタイリッシュというか、そこらへんが刺激されるらしい。
 しかもこの混戦模様である。どうせ飛び立つならあのぐらいの勢いで行きたい!
 7歳年下の顔見知りな少女のはしゃぎぶりに、リンタロウはやや呆れ気味。
 あるいはそれは、騎士として戦場の先駆けを上回られたがゆえの拗ねだろうか。
 しかしその真意を悟らせぬように、リンタロウはにかっと爽やかに笑った。
「けど、あんな早駆け見せられて、おっとり刀であとに続くのも癪っすねぇ!」
「おおーっ、もしかしてリンタロウくんも変身とか出来たり!?」
「出来はするっすけど、あんたが期待してるようなモンじゃないっすよ?」
 なにやら妙な骨を一本取り出しつつ、リンタロウは肩をすくめて言った。
 動物の骨を喰らうことによってその力を引き出すリンタロウの"骨喰"は、
 たしかにトルメンタのようなテクノロジーの力とはまた別……ようは呪いだ。
 たとえ隼の骨だろうがチーターの骨だろうが、あの速度は真似出来まい。
「てーなわけで! あー、ナイチンゲール号のクルーさん、聞こえるっすかー?
 あそこの主砲で、オレっちをどかんと撃ち出してくれないっすかね!」
「なんとぉ!? まさかの人間大砲!?」
 その手があったか! と言わんばかりに指を鳴らす赫煌。ツッコミが居ない。
『……って、そんなの許可できるわけないじゃないですか!?』
 なので、通信越しに若き艦長パトリックが極めて常識的なツッコミを入れた。
「何言ってんすか、オレら猟兵っすよ。常識なんて破ってこその傭兵てなもんで!
 普通に撃ちゃそらバラバラになるだけっすけど、"やり方"があるんすよ」
 赫煌は、リンタロウの不敵な笑みを見て首を傾げ、そして手に持つ骨を見た。
 そして何かに納得したように、ぽん! と手を叩いてこくこく頷くのだ。
「ボクも骨食べてカルシウム補給したら同じことやれるかな!?」
「『出来るわけないじゃないっす(です)か!!』」
 リンタロウとパトリックの声が、見事にハモったという。

 ……一方、"風穴"の先、すなわち敵編隊の中央最前線!
 流星と化したトルメンタは、光をも越えるほどの速度でこれを貫く!
『邪魔だ邪魔だァッ! 俺のスピードに、お前らごときが追いつけるかッ!』
 レーザー砲すらも後に置くほどのスピードで翻弄し、強烈なキックで踏み砕く。
 稲妻じみたジグザグ軌道で、めぼしい敵機を破壊しながら前へ、前へ!
 スピードはすなわちトルメンタを護る風の鎧であり、いわば槍の穂先だ。
 踵に収束したエネルギーは、コアマシンとの共鳴でにわかに緑に輝く!
 前へ、前へ。すなわちそれはさらなる敵の猛攻をも意味する。レーザーの雨!
『俺を止めたいなら――ブラックホールでも引っ張ってくることだなあ!』
 光そのものをエネルギー波で歪曲させ、真正面から敵機を貫通撃墜した!
 このまま、あの無限変形する異形へ一気に辿り着く。後退の二文字などない。
 そう決めたトルメンタが、さらなるスピードを発揮しようとした、その時。
『――これは?』
 網膜ディスプレイに表示されたのは、高速接近する二つの熱源反応。
 オブリビオンではない。猟兵だ。だとしてもなんたる速度か、はたして!?
「――……っっっとぉおおおおおおお、失礼するっすよぉおおお!!」
 念波でドップラー効果を起こしながら、まず到達したのはリンタロウである!
 その体はあちこちが焼け焦げて煤け、まるで大砲から撃ち出されたかのよう。
 ……いや、比喩ではない。この男、マジで主砲からぶっ放されてきたのだ!
「早駆け勝負ときたら、せめてレースには参加しとかないと名折れっしょ!
 ま、あんたほどスピードは出せないっすけどねぇ、"硬さ"は据え置きっすよ!」
 にやりと笑うリンタロウ。彼が食らったのは、すなわちカメの骨。
 万年を閲した霊亀の甲羅の如き、呪いによる超・超硬度、ただそれだけだ。
 その馬鹿げた硬度で、主砲発射によるすさまじい熱的ダメージを"耐えきり"、
 そしてエネルギーに押し出されて文字通り砲弾のようにここまで飛んできた!
 あまりにも力技! だがパワフルさの度合いで言えば並走する赫煌も大概だ!
「さあ、じっとしている暇はないよ! 全速! 全力! 超特急さ!」
 そう語る赫煌の両足には、神話の仙具めいた燃える車輪がふたつ!
 己の命を削って燃え上がる、火足九道カシャの加護。これが推進剤なのだ。
 空間そのものを蹴りに蹴り、多段ロケットブースターめいた超加速で飛来!
 目の前に敵機を蹴り砕き、マグマじみた熱量でドロドロと溶解させる!
 瞬きよりも素早い奇襲の前には、データ送信など出来るはずもない!
『……はっははは! まったく派手にやりますねぇ、どいつもこいつも!
 そう対抗されると、"流星ライダー"としてはもっと飛ばしたくなりますよ!』
《Full Throttle――》
『――HyperDrive!! こちらも全力でいきましょうか!』
 ごしゅう! 装甲のあちこちからスーパーブラディオン粒子が噴き出した!
 直後、トルメンタは時間をも置き去りにする。超光速の煌きとなって!
「ああっちょっと! ここまで来たらよーいどんでスタートじゃないっすか!?」
「それはスロウリィすぎるでしょ? てなわけで、ボクもひと足お先ー!」
「くそっ、これだから変身系のユーベルコードは色んな意味で厄介だよなぁ!」
 言葉と裏腹に不敵に笑いつつ、リンタロウも速度を殺さず敵機を蹴撃爆砕。
 爆炎を直接浴びて、その反動でさらに加速。ふたつの炎と光を追う!
 人知を超えたスピードレース、あとに生まれるのは哀れな敵の徒花めいた爆炎。
 混迷の戦場を、三条のスピードスターがまっすぐに駆け抜けていく――!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リル・ルリ
🐟櫻と人魚
アドリブ歓迎
B

……
もう
なんていいかわからないけど櫻らしいや
でもね
からくりは食べない方がいいと思う
舟を守るほうに向いてくれるならいいや
ほら頑張るよ!櫻
前にえすて、しただろ

え?!僕が?!
櫻宵がそういうなら
君みたいにできるかわからないけどがんばるよ

水泡のオーラ防御は舟の方へ飛ばし漂わせ守らせて
力込めて歌唱する
広範囲に、どこまでも響かせられるように
凍てつけ咲いて砕けて散ってくれ「氷楔の歌」
僕の歌はただ守るためにある
櫻が桜吹雪で防御も破ってくれる
だからどこまでも響かせられるんだ
踊るように泳いで歌う
君のその桜は肌艶悪くなるって厭ってた
そうたくさんは使わせない

ふふ
君のおかげさ!
大丈夫、まだ歌える


誘名・櫻宵
🌸櫻と人魚
アドリブ歓迎
B

あたし、絡繰は好かぬのよう
強いのはいいけど
せっかく斬って殺しても、愛を唄って(悲鳴を上げて)くれないし
熱い血潮も吹いてくれないのよ?
しかも不味い!
酷いわよね
ぷんぷんよ!

たまにはリルも壊してみるといいわ
どこまでもその歌声を響かせて、沢山壊したら爽快よ!
リルオンステージin宇宙、行くわよ!
あたしも全力であなたを守るわ!あと舟も
舞わせる桜花はオーラ防御
歌うリルを包んで守り
彼を狙う敵や歌の邪魔になる奴を中心に思い切り衝撃波でなぎ払って斬り壊す
逃がさないわ邪魔させないわ!「酔華」散らして駆けては斬って
絡繰が酔うのかわからないけど
狂わせることは出来るはず

きゃあリル素敵!もっとよ!



●ダンス・マカブル
 転移する前の、ちょっとしたひとときのこと。誘名・櫻宵曰く。
『あたし、絡繰は好きじゃないのよう』
『ふうん、どうして?』
 リル・ルリは頬杖を突きながら、大して興味なさそうに相槌を打った。
 どうでもいいわけではない。答えはわかりきっているというか、まあそういう。
 問われて櫻宵、答えるところによれば。
『強いのはいいのよ? けどなんていうか……大したことじゃないんだけどね?
 せっかく斬って殺しても悲鳴(あい)を"唄って"くれないし。
 熱い血潮も噴いてくれないし。肉を斬るときの手触りも感じられないし』
『…………』
『しかも不味い! ひどいわよね。せっかく斬ってあげてるのに。ぷんぷんよ!』
『ああ、うん。なんていうか――……櫻らしいね』
 だいぶ、言葉を選ぶというか呆れるというか、そういう間があった。
 そもそも無機物を食うなと言いたい。水生生物としてそのへん強く言いたい。
 異食とかけっこう深刻な問題なのである。ストップ、水質汚染!
『ねえリィ、ひょっとして呆れてる? ひょっとしなくても呆れてるわね???』
『櫻はいつもどおりだなあって思ってるだけだよ』
 それはそれでいとおしいと感じてしまう、嗚呼我が身のちょろいこと。
 まあ、そこもそれ。この船を護るほうに向いてくれるなら仔細は問わない。
『でも少しは頑張らないとよね。えすて堪能したんだし』
『そうそう。だから櫻、いつもどおり』
『あ、そうだぁ!』
 いいことを思いついた、と手を叩く櫻宵。どう考えても嫌な予感がするリル。
 にこにこと生娘めいて微笑んで、櫻宵が口にした案の定素っ頓狂な台詞は――。

 宇宙は命なき暗黒の海。空気の一縷も存在しない、真空の虚無だ。
 しかし猟兵がかつて手に入れた特殊宇宙服は、そんな常識を気にしない。
 ましてや彼らが操る奇跡の力・ユーベルコードにとっては大したことでもない。
 ことに、歌唱という技術を魔術の域、いやさ現象にまで引き上げたリルならば。
 その声は空気がなくとも伝搬し、意志なき鋼であろうがその本質を震わせる。
 護るという意志を込めて唄えば、その声音は柔らかくしなやかな泡を産み出す。
 ナイチンゲール号を包み込む、あの優しいうたかたがいい例だ。
 続いてリルは転調し、普段はあまり見せないタイプの歌唱を披露した。
 ……言わずもがな、愛しの櫻宵のリクエスト……もといちょっとした提案。
『凍てつく吐息に君を重ねて、氷の指先で爪弾いて――』
 踊(くだけち)れ、躍(きえさ)れ。氷華絢爛、その熱をすべて喰らい尽くす。
 昏き深海のような暗黒を踊り、凛と響く奪熱の玲瓏を歌う。唄う。滅びの詩を。
 放たれたそれは凍りついた楔のように獲物を捉え、穿ち、そして砕け散らす。
 暗黒物質すらも聞き惚れて、あられのように凍りついて渦を巻く。
 噫、砕けて爆ぜた残骸が咲かすは氷華の月下美人。種も実も生さぬ死の徒花。
 それを包み込んで無へと帰すのは、艶やかなる木龍の桜花剣である。

 ……桜花剣? 両手に持ってるの、自作の推し応援用特製うちわなのだが。
「きゃーっ、最高よリル! あたしの熱も奪って凍りつかせてぇーっ!」
 ノッていた。櫻宵24歳男性、完全にライブステージを楽しんでいた。
 叙情的に記そうがやってることはライブだ。そしてこれがリルの限界オタク。
 聞かせたいんだか邪魔だと薙ぎ払って斬り殺したいのかだいぶわからない。
 まあおかげでリルはのびのび歌えているし、敵はたっぷり滅ぼせている。
 一応、咲き誇る桜花には泥酔状態に浸らせる呪詛がありはした。
 どちらかというと、この中で一番悪酔いしてるのは櫻宵当人なのだが。
「……櫻。前も思ったんだけど、そのうちわいつ作ってるの……?」
 しかもあれ、撮られた覚えがない角度だぞ。もしかして隠し撮りじゃね?
 いや考えるのはやめよう。歌がブレる。万が一敵が近づいてきたらコトである。
「あと、櫻のことは凍りつかせたりしないから! ていうか、出来ないよ!」
「ま! 嬉しいこと言ってくれるじゃないの、ふふふっ!」
(君、絶対零度に放り込んだって融かして戻ってくるだろって意味なんだけど)
 言わないことにした。言わぬが花というやつである。桜だけに。
 気を取り直し、人魚は暗黒の海を泳ぐ。ここに世界を分かつ戯夜曼はない。
 傍らには愛しいひとがいる。乱痴気騒ぎも惚れた弱みで思わず許してしまう。
 噫。それもこれも、たしかに己を守ってくれる刃と桜花があらばこそ。
「――君のおかげだよ。僕はまだまだ、いくらでも、どこまでも歌えるんだ!」
「きゃああ!! 最高よリル、たまらないわ! ああーっ!!」
 ……かなり荒ぶっている恋人のことは、見ないことにしよう!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルエリラ・ルエラ
【Bチーム】【アドリブ改変・連携歓迎】
私はこういうお爺ちゃん達好きだよ。やっぱり突っ込んでこそだよね
大丈夫、私が護衛するからどんどんやっちゃおう

さて、私は船に張り付いて、皆の『援護射撃』しながら【フィーア】を敵が密集している場所にどんどん撃ち込むよ。【スナイパー】としての本領発揮だね
敵の攻撃は『第六感』で『見切り』ながら避けつつ、難しそうなのは防具の効果で全力防御しよう。
できるだけそうなる事のないように、味方と協力して早めに撃墜していきたいね
ま、私がいるんだからどんな敵も余裕余裕


塔佐・弌
【Bチーム】
すごい元気なおじいちゃんだ……これは負けていられないし一人も欠けさせちゃダメだね!
さぁ行こう!宇宙は初めてだけどなんとかなる!火の神が臆してなんとする!

敵は沢山。ちまちまやってられないね。【竜胆】を使って【範囲攻撃】【なぎ払い】で一気に切り裂く!【鎧無視攻撃】で障壁ごと切り裂くよ。

でも流石に敵が多いかな。他の猟兵と連携して【援護射撃】や【空中戦】、【団体行動】で協力しないとね。ボクはひとりじゃないんだから。

……宇宙は広いね。宇宙から来る神様もいるって話だ。
ならコレくらいの事。突破できないとね!行くよ!君達を倒して先に進ましてもらう!

【連携・アドリブ・絡み歓迎】



●アロゥ・アンド・フレイム
 塔佐・弌(とうさ・はじめ)、という名の少女がいる。
 そのアルビノめいた風貌はいかにも幼げだが、彼女とていっぱしの猟兵である。
 地獄の炎で構成された左腕には、少女の姿をした神が戦うための理由があった。
 しかして弌は新米猟兵、スペースシップワールドにおける戦いは初めてのこと。
 生まれて初めての宇宙。想像を絶する数のオブリビオン。
 そして――遠く彼方にて不気味に胎動する、あの無限変形する外殻の異形。
 すなわち、星の獣クエーサービースト!
 この前人未到の領域を、我が物顔で支配する意志・知能不明の天体生物。
 それがなぜ人類の敵足り得るかを、戦場に立った今、弌ははっきりと理解した。
 感じるのだ。今これほどの距離が離れていても、恐ろしくはっきりと。
 かの者が、そしてかの者が生み出した、命なき躯体が放つ波動を。
 ……殺意を。猟兵という、絶対天敵に対するおぞましいまでの害意を。
 それは、このナイチンゲール号に乗る人々にすら向けられている。
 何故?
 問うまでもない。彼奴らはオブリビオン。過去を以て未来を破壊する残骸。
 ただ存在しているだけで、世界そのものを破滅へと導くパブリック・エネミー。
(……いや! こんなことで怖気づいてたらダメだ!)
 手甲で覆われた左手を強く握りしめ、弌はきっと眦を決して宙(そら)を見る。
 斃すべき敵を。前を! 火の神が臆してなんとする。己はなんのために来た!
 思い出せ。あの前のめりで意気揚々とした老人たちの快哉を。
(負けていられない。ひとりも欠けさせちゃダメだ。ボクが戦わなきゃ!)
 その戦意に呼応するかのように、左腕を覆う漆黒の篭手がにわかに赤熱した。
 裡に隠された地獄の炎、つまりは弌の心が、戦いに燃えている証である……!

 ところで、敵の一斉攻撃に対し、甲板に出た猟兵は弌だけではない。
 青髪のエルフ――ルエリラ・ルエラもまた、迎撃のため腰を据えた少女だ。
 彼女は、あの老人たちを好ましく思う。端的に言えば、"好き"というやつだ。
 奇をてらい、あれこれ細かいことを考えても物事はままならない。
 彼らは心のままに、いっそ危険なぐらいに突っ込んでしまえばいいのだ。
 その無茶を無理で押し通すために、猟兵(わたしたち)はいるのだから。
 ユーベルコード――奇跡の力もまた、そのために存在している。
 ……などと、ごちゃごちゃ難しいことを考えていたかは、定かではない。
 なにせルエリラは、ある意味で竹を割ったようなシンプルな性格である。
 オブリビオンがいる。目指す場所がある。であればとことん倒せばいい。
 愛用の弓を引く。収束させた魔力が、青く輝く一本の矢として形を得た。
「さあ、どんどんいこう。これだけ数がいるなら狙いをつける必要もないしね」
 ヒュパッ――ルエリラは言葉通りに、あっさりと魔力の矢を放った。
 たかが矢一本で何が出来る? 相手は骸の海から蘇った鋼の残骸なのに!
 その数は数十、いや百を越える! 無限生まれ続けるイナゴじみた群れなのだ!
 ……だが見よ。その魔力の矢が、迫りくる敵群の眼前に到達した、その時!
 音もなく矢は破裂した。シャボン玉のようにあっけなく、おとなしいくらいに。
 しかし! 破裂したその残滓が、おお……一つ一つ矢に変じたではないか!
 出方を伺っていた敵機の群れは、この散弾めいた矢の雨を完全に食らった!
 次々に鋼の残骸が爆裂し、宇宙の暗黒に徒花めいた爆炎を咲かせる!
「データを集めているという話だけど、はたして送り届ける暇はあるかな?」
 二の矢をつがえ、放つ。破裂する魔力矢の雨。レーザー砲が迎え撃つ!
 かくして、多対少、一見すれば絶望的な防衛戦が幕を開けた!

「すごい量の矢だね! 一体どんな魔法であんな攻撃を?」
「そこまで大それたことじゃないんだけどなぁ。まあ適材適所だよ」
 快哉めいた弌の言葉に対し、ルエリラは驕るでもなくあっさり答えた。
 その気っ風が逆に涼やかだ。弌は負けじと胸を張り、甲板を蹴った!
 それを妨害するはずの敵機は、ルエリラの援護射撃が牽制し片付けてくれる!
「たしかに、ちまちまやってられないね! ボクも派手にやろう!」
 赤熱した篭手をかぎ爪めいてこわばらせ、宇宙の暗黒をひっかくように振るう。
 焼け焦げた爪痕は、はたして無数の熱線となって遠くの敵機を切り裂いた!
 "竜胆(ジェンシャン)"! 地獄の炎が産み出す、残骸をも滅ぼす破滅の熱だ!
「我が放つ勝利の熱線! さあ、来るならどんどん集まってくれるかな!
 こっちはそちらの本体に用があるからね。一刻も早く突破したいのさ!」
 引き裂き、爆裂した残骸を足場に蹴り、さらに前へ。前へ!
 果敢に突撃するナイチンゲール号の道行きを切り拓くように、炎爪を振るう!
「よっと」
 後方に座したルエリラは、全神経を敵の一挙一動に集中させて援護する。
 弌を攻撃しようとした敵機を優先して撃墜し、反撃の機会を牽制するのだ。
 当然彼女自身を狙おうとする敵機もいるが、今度は弌が援護する番である!
「わざわざ狙わせると思う? 頭が足りないよ!」
 ZANK!! 燃え上がる爪が障壁もろとも敵機を一撃で斬撃破壊した!
 爆炎を貫き、二の矢が敵陣をかき乱す。弌はルエリラの方を振り仰ぎ、笑う。
(ボクはひとりじゃない。仲間がいるなら、どこまでだって行けそうだ!)
 果敢に前衛に挑む弌の姿は、ルエリラにはどこか頼もしく映った。
 同じ艇に集った猟兵だからこそ、即席の連携は完全に噛み合ったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四葉原・栞
◼️狭筵さん/f15055
◼️Bチーム

あの探査機群は…!うわ何するんですか私はインドア派なんで宇宙はちょっと!

え、弱点?
「すみません、よくわかりません。」

ギャーやめて揺すらないで!
…【物の本によると】、あれは銀河帝国の量産探査機の特徴がありますね。
戦闘向け機種じゃなかったみたいなので、ちょっとアンテナ型センサー部分をつついてやれば防御的な行動をとるはず。
突破の支援ならそれで充分だと思います。これでいいですか!?
今なら【錬成カミヤドリ】の支援も付けます。攪乱と弾除けぐらいにはなるはずですよ!

ヒエっ前!前!レーザー来てますよ!逃げてー!


狭筵・桜人
◼️四葉原さん/f15311
◼️Bチーム

役に立つかと思って訳知り顔してた
ヤドリガミを船から連れてきました。
同乗してる猟兵はもれなく出勤でーす。

エレクトロレギオンを展開。
四葉原さんを小脇に抱えたまま船の防衛ラインで探査機群へ【制圧射撃】。

撃っても撃っても数が多すぎて埒が明きませんねえ。
Hey Siori、敵の弱点。
……。
た、ただの荷物!!
吐け!なんらかのうんちくとか解説を吐け!!

お、ちゃんとあるじゃないですか。
叩けば直るってよくわかりませんでしたけど、こういうことですね。
ではそこを銃撃で【部位破壊】していきます。

サポート機能も充実していますし
いざとなれば抱えたまま得意の【逃げ足】で撤退しますよ。



●ワンボーイ、ワンガール
 転移に応じたからといって、猟兵が全員戦意高揚しているわけではない。
 中には、『なぜあなたはここに来たんですか?』と電話機片手に問いたくなる、
 不真面目……いや違う、少々牧歌的な猟兵も居る。居るったら居る。
 狭筵・桜人と四葉原・栞。このズッコケ……名コンビはその好例であろう。
 いや悪例というべきか……他に類を見ないという意味では間違いない。
 この光線飛び交う戦場でも、ふたりのマイペースぶりは相変わらずだった!

 てなわけで、二百と五十体のエレクトロレギオンが近衛兵めいて展開される。
 正面戦闘はお気に召さない桜人のこと、敵陣突破など頼まれても御免被る。
 滅多に戦闘に参加することのない栞はといえば、頭を抱えて悲鳴をあげていた。
「ちょっと四葉原さん、何か弱い虫も殺せない女の子みたいな声出してんですか!
 ほら、攻撃してくださいよ攻撃! 実は私こう見えてけっこう必死ですよ!?」
「いやいやいや! 私こういうキャラじゃないんで! 非戦闘系美少女なので!
 もっとこう、したり顔で説明とかするのがキャラなんですよぉ! きゃあ!!」
「何が"きゃあ!!"ですか、何が。"ぎゃあ!"とか"ぎょろっぺぇ!"とかでしょ」
「あ、戦闘していいですか!? ここにオブリビオン以上の巨悪がですねぇ!」
「冗談言ってる場合じゃないでしょうが! 振った私も大概ですけどね!!」
 ……本当になぜあなたたちはここに来てしまったんですか?
 グリモア猟兵も頭を抱えたことだろう。だが猟兵の自由意志は絶対である。
 ぎゃあぎゃあ言い合う両名、エレクトロレギオンは必死に仕事をしていた。
 両者が顔を突き合わせていがみ合う、その足元をレーザー砲がかすめる。ZAP!
「はいこれこのノリ続けてると死にますね! あのコンビニのときみたいに!」
「あれも狭筵さんのせいでだいぶひどい目に遭いましたよねー!」
「この流れで煽る? 煽ります!? 説明役ならそっち方面で働きましょうよ!
 ヘイ、Siori! 敵の弱点! もしくは効率的な倒し方を検索! プリーズ!!」
「…………」
 なんか、読み込み中ですみたいなもったいぶった間があった。
「すみません、よくわかりません(機械音声っぽい抑揚」
「た、ただのお荷物……!!!!」
 桜人をして愕然とするほどの役立たずっぷりであった。さもありなん。
 実はなんかかっこいいユーベルコードないかなーとか、ちょっと期待してた。
 あるわけがない! 桜人は自分の浅はかさを割と呪いたくなった!
「あ、ご満足いただけました? 私船内に籠もってていいです?」
「いいわけないでしょお~~~このダメヤドリガミが~~~~!!!」
「ギャー揺らさないで! 宇宙酔いしてるんですよ私! うっぷ」
「美少女キャラの体裁少しは守ってくださいよもう! 吐くな! いや吐け!」
「(口を抑えている手をどかそうとする)」
「そっちじゃなくて!! なんらかのうんちくとか解説とかですよこのおバカ!」
 もう一度言おう、あなたたちはなぜここへ来てしまったんですか?
 残念ながら相手はマシーンである。つまり容赦なくレーザーが乱舞する!
「「ぎゃあああああああ!!」」
 あげた悲鳴は、イケメンとか美少女らしさがこれっぽっちもありゃしなかった。

 と、普段ならすっとこどっこいで話が終わるところ。
 今回ばかりは冗談では済まない。猟兵だって死ぬときは死ぬのである。
「も、物の本によるとぉ!」
 雨のように降ってくるレーザーを複製した本体でかろうじて防ぎながら、
 栞はぱらぱら本をめくる。たまにはヤドリガミたる面目躍如もよかろうと。
「あれは銀河帝国の量産探査機! えーと型番から言ったほうがいいです?」
「省略!」
「はい! もともとは非戦闘系の機体だったみたいです! あれ改造されてます!」
「つまり!?」
「弱点はアンテナ型のセンサー部! 多分レーザーも当てられなくなるかと!」
「それ、堕とせます?」
「…………突破の支援ならそれで十分です!」
 ちらり。栞は目元から下を本で隠し、恐る恐る桜人の様子を伺った。
「いいですねぇ! あるじゃないですかちょうどいい感じのが!
 生かさず殺さずあくまでサポート、それこそ"いい加減"ですからね!」
 ブルズアイだったらしい。ほっと胸をなでおろ……したのも束の間第二波!
「はい失礼」
「ヒエッ!」
 腐ってもUDCエージェント、荒事慣れしているのは桜人のほうだ。
 腰の抜けかけた栞を抱え、エレクトロレギオンを隠れ蓑に跳躍、銃撃!
 BLAMN! 狙いすました弾丸が、接近してきた敵機のアンテナを破壊した!
 途端、探査機は狂った虫のように螺旋飛行し友軍機に激突、KBAM!!
「うーん、さすが私ナイススナイプ。アーチャーの才能ありますね?」
「って前前! レーザー来てますよ! 避けてー!!」
「ここは褒め称えるところ……あーあ、ままなりませんねぇ!」
 BLAMN! 得意の逃げ足で丁々発止に攻撃をかわし、土産代わりの弾をくれてやる。
 いかな少年とて、猟兵として生き残ってきただけのことはあるのだ。
 わずかに生まれた敵陣の間隙が、ふたりの働きぶりを示していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
担当はどちらでも。てーか、はは、デカブツすぎて。
あれさあ、表面のドリルっぽいあれ、ああいう甘味あったよな。
いやおれは食ったことないんだけど。
あれ、あったかな。はは、覚えてねえや。でも覚えてないことならどうでもいいことなのかね。ぜんぶ忘れたら最後に残るのはなんだろう? そこにあんたはいるのか?
いてもいなくても全部でまかせだよ。

おれひとりじゃどうにもならねえ、うまく利用してくれたらいいな?
戦ってる他の人に意識向けて、迫る死因とか不幸とか予知して教えてくよ。
そうすりゃ避けられる、そうだろ?
避けられないならおれが盾になるからそのすきに避けてくれ。
挽肉になっても再生するからさ、おれは。はははー。


矢来・夕立
《突破》
守るってガラじゃないんで。
『前線の猟兵の労力を軽減する』ジャマーをやります。

…道を拓くにも障壁展開、データ送信、テレポート。面倒の塊でしょう。
そこはオレが潰す。
【紙技・影止針】。
《闇に紛れて》《忍び足》で気取られないように当てていきますが、探査機相手にどこまで通じるでしょうね。
三枚当たったら次の個体へ向かいます。

あちらの手が早い、光線を避けられないと判断したら『夜来』を身代わりに空蝉。

避けられても避けられなくてもやられっぱなしでいるのはムカつくんですよね。
いつも羽織の裏に仕込んであるんですよ。手裏剣は。
回避行動中に抜き取って《だまし討ち》。
しっかり三枚、お返しします。


鷲生・嵯泉
参戦:A
成る程、情報の収集は戦に於いては重要なもの
理に叶ってはいるが此方に其れを放置してやる謂れは無い
此れ以上情報を盗まれ余計な動きを始められる前に
早々に止めてくれよう

終葬烈実で能力の底上げをして対処
攻撃は戦闘知識にて軌道を先読みして見切り躱す
時に人の勘は機械の演算速度を上回る
其れを証明してやろう
カウンターで怪力重ねた範囲攻撃にて障壁諸共叩き切ってくれる
数を頼りにするならば、其れに応じて変えるだけの事だ
多少の傷は激痛耐性にて無視し、先に進む事を優先する

……中々に元気な御老体達が同行している様だ
こんな所で人生を終いとするのは楽しく無かろう
必ずや目的を果たして帰る事が出来る様にせねばな



●ダイ・ハード
 男には相応しい死に場所がある、などと、名前も知らぬやつの云う。
 最前線に躍り出た三人の男たちは、そのナメた言葉に対してそれぞれこう思う。

(満足して死ぬとか、死んでも御免ですよね)
 根っからの悪党、"紙業"を以て獲物の裏をかく忍《カゲ》、矢来・夕立。
 口にする言葉は空言(うそ)ばかり、心で呟いたそれも本音か建前か。
 ただ少なくとも、夕立が『死んでもいい』と考えるようなことはない。
 絶対に、ありえない。たとえ、己の命に紙くずほどの執着もしていなくとも。
 賭けた命(チップ)をイカサマ仕掛けで取り返す。彼は、そういう男である。

(どうして生きてるの? 死ねないから生きてるの。それだけさ、それだけ)
 言うことなすこと千変万化、死という現象(すくい)に嫌われた茜崎・トヲル。
 体が爆ぜても元通り、聖痕(のろい)は男を決して真の意味で癒やしはしない。
 おかげで言葉は秋の空よりあっさり変わり、真意などきっと彼にもわからない。
 だから男は笑いながら死地に立つ。酩酊するようにそぞろ歩いて死地に舞う。
 執着せんでも命はなくならない。それは多分、あまりよくないことなのだろう。

(……"終い時"などとうに過ぎ去った。二度も見逃したものは、もう還らない)
 隻眼の剣豪、鷲生・嵯泉は淡々と想う。一度目は亡国の折、二度目は復讐の折。
 抱えた遺志も慚愧も果たして、さりとて焦げた生には情けなくしがみつき。
 すっぱり終わらせることも出来ぬまま、だらだらと戦い生きている。
 だからこそ、御老体がぽっくり逝くような終幕(すじがき)はお断りだ。
 男は優しかった。裏を返せば、中途半端で墜ちきれなかったということなのだ。

 光線火砲が乱舞する、人間なんぞちっぽけに思えるあの異形、この戦場。
 向こうに回した敵は惑星(ほし)のように巨大で、己はまあなんと小さきこと。
 男たちはみな戦士だった。あるいは尋常の価値観はとっくにハネていた。
 ゆえに鋼の残骸のなかへとあっさり散歩めいて身を投じ、刃を武器を振るう。
 丁々発止で攻め手を躱し、寄せ手を踏んで潰して前へまた前へ。
 レミングスに冒されて、あてどもなく翔んでやがて落ち行く渡り鳥のよう。
 小夜啼鳥(ナイチンゲール)の名を持つ船の先触れとして舞い踊るには、
 そいつはいかにも無謀で向こう見ず。ついでに言えば無鉄砲に過ぎた。

 では、三人は死ぬ気でやっていたのか。無論、それは否。
 たとえば夕立は、突破を試みる猟兵たちを影に隠れて手伝うために居たし、
 事実、忍としての彼の紙技は、影なき宇宙の暗黒で影すらも縫い止めてしまう。
 三枚。見てくれは手裏剣めいた。けれどただの折り紙。ぺらっぺらの紙である。
 だのに不思議なもので、そいつが振るうとそれは刃のように鋭くなった。
 肉を削いで骨を割ることも出来たし、こうして影を射抜いて封印も出来る。
 "影止針(かげしばり)"。奇跡(ユーベルコード)とはこういう技を云う。
 一体、また一体。着実に確実に、鋼の残骸を縛って止めて無力化する。
 網の目よりも細かく敷かれた目を盗んで掻い潜り、前へ、ひたすら前へ。
 スピード・スターのような高揚はなく、
 バーサーカーのような狂乱もなく。
 どちらかといえばそれはジャマー。お膳立てをしてやる裏方仕事。
 《突破(ブレイクスルー)》しているのは、敵の目論見だったというわけだ。

 一方で、その乱れた足並みを一番有効活用していたのは嵯泉である。
 一切の恐れも躊躇もなく敵陣に飛び込んで、怪力夢想の剛刃一閃。
 致命的斬撃を察知して展開された障壁など、ないかのように叩き斬る。
 多少の切り傷裂傷焼灼は、覚悟をしての無謀であった。だが嵯泉は無傷だ。
(誰かが連中の動きを止めているな。助かるのはたしかだが――)
 武芸際涯に達する"終葬烈実"の御業をして、その気配はいかにもおぼろである。
 さながら影法師。いやさ、あるかなしかの気配は式神(シキガミ)めくか。
 事実、夕立が用いる紙技は式のそれなのだが――まあ、それはさておこう。
 細かいことは気にせずに、木偶の坊めいて孤立無援の敵を無造作に薙ぎ払う。
 ここが大気の下ならば、剣風はたちまちつむじを呼んで木枯らしを吹かせたか。
 ただ一念を以て鍛え上げた絶無の刃、魔王すらも討ったそれは伊達でなし。
 前へ、ただ前へ。狂気に等しくすり減り鍛え上げられた技は電子をも越える。
 遠目に見れば死の舞踏。一振りのカタナめいた無双である。

 そんな二人の華麗美技に比べれば、トヲルのそれはなんとも無様である。
 戦場にいるというより、飲んで騒いで明けた朝の街をさまようような、
 笑ってるんだか思案してるんだかわからない、そういう無防備ぶりだ。
 なので、その頭はあっさりレーザー砲で穿たれる。スイカみたいに吹っ飛んだ。
 恐ろしいのは、脳を破壊されたにも拘らず再生が始まったことである。
 彼は"そういうもの"なのだ。これもまた呪詛(ユーベルコード)ということか。
「あれ、おれ死んだのか? いや、生きてるな。はは、まあ同じか」
 大したこともなさそうに――実際彼にとってはそうなのだが――呟いて、
 ちらりと射手のほうを見る。淀んだ銀の瞳は、ぞっとするほど不穏である。
「可哀想に、同時討ちなんて浮かばれないよな」
 ZAP。後方にいた友軍機の狙いが"偶然"それて、その機体は焼滅された。
 予言? 予知? 示せば後者に近い。しかもトヲルのそれは不運を読む。
 星でも運命でもなんでもなく、"そうなるな"と思ったら、そうなるのだ。
 あまりに理不尽。もっぱらそれは敵にとっての仇となり、味方の命を救う。
 ちらりと。屍人じみた瞳が、爆炎の向こうから現れた嵯泉を見た。
「なあ、あんた。先へ進むのやめといたら? 囲まれて死んじまうぜ」
 隻眼が胡乱な男を見た。一笑に付すには、背筋が寒くなる何かがあった。
「覚えておこう」
「ついてこうか? もしものときは盾になるぜ。おれは。それぐらいは出来る」
「無用だ。機械如きに、他の輩を挽肉めかせて斬る必要もあるまい」
「ははは」
 この男は倦んでいる――嵯泉は、一目でぼんやりとそれを看破した、
 死者の遺志に突き動かされ、修羅じみて突き進んだ己がゆえだろうか。
 ただ、言い当てられた不運のことは心に留めておく。そうすることにした。

 さて。
 その間にも影から影へと渡る男がひとり。しかしかくれんぼは終わるもの。
 ただしレーザー砲に灼かれて貫かれたのは、月の意匠の羽織だけ。
 空蝉。当の本人――つまり夕立、その姿は敵機体の真後ろ。手には式紙。
「やられっぱなしはムカつくんですよ。だから格ゲーもCPU専門なんですよね」
 ウソですけど。取ってつけたような口癖混じりに、影を針で止めて縫う。
 逆手抜刀、銘は雷花。稲妻じみた斬撃痕、爆炎の徒花が咲き誇る。
 うっそりとした眼差しが、先へ進む隻眼の男を見た。
 そして、こちらをにたにた見やる、不吉で不穏な男のほうを。
 眼差しが、言葉もなくして、己の呪われた未来を示しているように思えた。
「……もう少し、裏方仕事を頑張るとしましょうか」
 不吉不運は友のようなもの。むしろそれを纏ってこそのアウトロウ。
 影のように消えた忍の残滓を、死にたくても死ねない男は静かに見送る。
「おっかねえなあ、どっちもさ。はは、怖い怖い」
 はたして、不運の総量が勝るのは、敵か猟兵か。答えはじきにわかるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
◆WIZ◆ダビのえ◆突破◆なんでもOK◆
無限に変化し続ける外殻…ね
聞いているだけで涎が出てきたわ
是非とも手に入れたいものね

ワダツミで行くわよ
私は突破チームを援護してあげる
こういう時に物を言うのはまずスピードね
突入時の初速は速いほど良いわ
という訳でダビングを虚ろな雷の弩で発射しちゃいましょうか
他にも希望者が居ればまとめて射出してあげるわよ
安全の保証はしないけどね
さあワダツミから発進どうぞ

目標は敵陣中央
細かい位置は私の知識と情報をフル動員して割出してあげるから安心なさいな
その後は全砲一斉発射の援護射撃で突破口を開いてあげる
こちらの守りはお気になさらず
プロテクトフィールドとDプラスがあるもの


ダビング・レコーズ
凄まじい敵の数ですね
しかもこれで全てとは限らないのでしょう
時間を掛けるほどこちらが不利になるのは明白です
速やかに作戦行動を開始します

【POW・ダビのえ・突破・全歓迎】

当機は敵前衛を突破します
水之江博士のワダツミにて待機
博士より指示があればそれに従います

虚ろな雷の弩で射出されるのと同時にSSDを発動
援護射撃の弾幕に紛れつつ目標へと最大速度で直進
射出時に得た加速を伴い当機自身を徹甲弾とします
この超高速突撃を以って宇宙探査機群の障壁を破壊
再展開される前にルナティクスで切り刻み完全撃破します


ビードット・ワイワイ
A
アドリブアレンジ連携歓迎
見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
群れて集めて送信し、己の脅威を丸裸
その為の犠牲が汝らなり。勝利のための
布石であれどその行いは無意味なり
行う奇跡は千差万別。同じ戦法一つとして無し
ここが汝の破滅なり

UCにて呼ぶはフライングトライヘッドメタル
アンデッドシャーク。鮫である
足となり武器となり竪となり、立ち塞がりし
敵を喰らえ。喰らいて育て火力を上げて
声を上げよ、高らかに。ハイヨーハイヨー
フライングトライヘッドメタルアンデッドシャーク
進みて乗り越え突破せよ、餌はそこらに飛んでおる

此度の巨影は触手よりも強大なるか
あれが如何なる種族なのか、大元の脅威は
どれほど強大なるか、はてさて



●ライトニング・バレット
 ……趨勢が、少しずつではあるが、変わり始めている。
 無論(猟兵にとっては)善き方向に。心なしか敵の総量が減りつつある。
 といっても相変わらず雲霞の如き敵群であるし、やはり相変わらず本体は遠い。
 それでもナイチンゲール号は、猟兵たちは、しっかりと前に進んでいた。
 ただやはり、牛歩である。突破するには一点集中の速度と威力が要る。
 すると見よ。転移とともに現れたのは、一隻の強襲揚陸艦ではないか!
 奇跡の力ユーベルコードを操る猟兵ならば、スペースシップも使ってみせるか!
「ダビング、このまま敵陣を中央突破するわよ! そのあとあなたを撃ち出す!」
 数多の電脳立体投影ウィンドウに囲まれて、桐嶋・水之江が相棒に言った。
 ダビング・レコーズ。白亜のボディを持つウォーマシンの鎧装騎兵に。
『了解しました。しかしそれにしても、すさまじい敵の数ですね』
 ワダツミ級強襲揚陸艦の甲板上、待機中のダビングは感嘆めいて言った。
 戦慄というべきが正しいか。この数、およそ滅多に味わえるものではない。
 先の銀河帝国攻略戦でも、ここまでの対多数の戦場はあったかどうか。
 なるほど、かのオブリビオンフォーミュラが、手をこまねいて無視するわけだ。
「つまりこれだけの数を生み出せるぐらい、あの外殻にはポテンシャルがある。
 ……考えただけでよだれが出てきそうね。けど、今は取らぬ狸の皮算用だわ」
 狸の皮の代わりに、オブリビオンの外殻で骨折り損など笑い話にもならない。
 確実に本体の下へ到達するためには、多少無茶をする必要があるだろう。
 そこで水之江が提案したのが、この強襲揚陸艦を使ったかなり強引な"射出"だ。
 ダビングの強靭なボディを活かし、彼を弾丸として撃ち出すという無謀!
 出来るという確信がある。相応のリスクを背負ってでも意味があると考えた。
 BRATATATATATA! BRRRRRTTTTT!!
 船体のあちこちから小型ビーム砲がせり出し、敵を牽制して活路を拓く!
 だが圧倒的な数の利! 電磁リニアカタパルト生成には時間が足りない……!

 突如として強襲揚陸艦の軌道上に現れた謎の動体反応! よもや敵の新手か!?
 水之江がわずかに険を帯びたとき、甲板からダビングの声が届いた!
『博士、あれは……すみません、どう形容したらいいものか……』
 無理もない。なにせ船の眼前を"泳いでいた"のは、超巨大な鮫なのだから。
 しかもただの鮫ではない。三つ首の、おまけに全身が金属製の鮫である!
 ふたりは知る由もないが、この危険怪奇な生物はユーベルコードの産物なのだ。
 その名も、フライングトライヘッドメタルアンデッドシャーク!
 空を飛ぶ、三つ首の、そして金属製かつ不死の鮫である。盛りすぎだ。
 おまけにこフライングトライヘッドメタルアンデッドシャーク、なんでも喰う。
 そして育つ。自己進化というレベルではすまない勢いで増幅増殖する。
 放し飼いにすると大変なことになるタイプの、クリーチャーであった。
「宇宙に鮫!? オブリビオン……でもないわよね、これは……」
 なにせ猟兵に襲いかかってくる様子もない。予知にも現れていない個体だ。
 信じがたい話だが、どうやらあれは友軍が召喚した怪物であるらしい。
『見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり。所詮は無意味な犠牲なり。
 さあ喰らえ宇宙の鮫よ、喰って育ってさらに喰らうべし。これぞ破滅なり』
 その術者こそが、読経のような呪詛のような異言を吐く異形の巨体。
 奇妙奇天烈、正体も目的も知れぬウォーマシン。ビードット・ワイワイだ!
 その願いに応え、フライング……F.T.H.M.U.Sは目についた敵をとにかく喰らう。
 育つ! ここはやつの狩場だ! 蜘蛛の子を散らすように敵群が逃げ惑う!

「……とにかく、ここは支援に感謝ね。あれも色々興味をそそられるけど」
 気を取り直した水之江は、本来の目的のことだけを考えることにした。
 バチバチと音を立て、電脳魔術が甲板上にリニアカタパルトを生成する!
「安全の保証はしないわよ。急ごしらえなの」
『十分です。博士、あとは自分にお任せください』
 ダビングの言葉に、水之江はくすりと苦笑めいて微笑んだ。
 わがままな自分に応えてくれる、まったくかわいいウォーマシンである。
「時間がないわ、撃ち出すわよ! 3、2、1――テイクオフ!」
 バシュウ――!! カタパルトに電磁が走り、そして射出された!
 ダビングは腰を落とし、"虚ろな雷の弩"の強烈な負荷に耐えて機動する!
 なおも暴れ狂うF.T.H.M.U.Sの頭上を飛び越え、前へ。異形の本体へ!
『S.S.S(ソリッド・ステート・ドライバー)起動。最大速度で突破します』
 バチバチバチ……白亜の機体を包み込む、ショックアブソーバーバリア。
 そしてさらなる加速! 電磁の軌跡を曳きながら翔ぶさまはまるで流星!
 立ちはだかろうとした敵群が、障壁もろとも爆散して宇宙を照らす!
「少しは私も危ない橋を渡るべきかしらね!」
 後を追って揚陸艦も翔ぶ。全砲一斉掃射によって風穴をこじ開けるのだ!
 後続の猟兵たちが、少しでも楽に、そして迅速に突破できるように!
『来たり来たり来たり。またひとつ、破滅をもたらす弾丸が来たり』
 そのさまを見守るビードットの複眼が、遥か彼方の異形を見やる。
 無限変形する黄金の異形は、威圧するように新たな形態を得る。
 正面衝突のときは近い。猟兵は確実に戦線を押し上げているのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーナ・ユーディコット
攻撃というより
どうも探られているような嫌な感じ
まあ一人での素振りより余程鍛錬になるし
新しい刀の具合も確かめよう

目指すは敵の一番多い所
大太刀の取り回しを確かめるように切り込み
敵中に血路を見出し、敵を蹴り踏み躍り出よう
幾度も捨身の特攻をしたお陰で
そういう敵陣真ん中への道筋を見出し進む事は出来るつもりだから
金桂の刃を煌めかせ――いざ
斬って断つはじめの一歩を踏み出そう

四方八方敵だらけで行くも戻るも出来ない囲みについたのなら
そこからが本番
前後左右上下攻撃範囲の探索機を星屑に
とはいえ壁に阻まれては一重では足りないかな
なら2回攻撃の要領で二重に放てば

……無機質な敵に若干の物足りなさを感じるのは
なんでだろうね



●ソード・ダンサー
 戦いに対するスタンスが違うと、こうも変わるものか。
 ルーナ・ユーディコットは、己の全てが新品に変わったように錯覚した。
 パラダイムシフト。いや、もっと俗に言えば体中の部品を取り替えたような、
 同じであるはずなのにまったく別の手応え、心構え、知覚する世界がある。
 鋼の残骸どもから感じられる、猟兵と人類に対する圧倒的敵意。
 そして"視られている"という確かな実感。かつては捉えられなかった残滓。
 それを手繰るように追って、剣を振るう。琥珀に煌めく大太刀"金桂"。
 噫。数多の敵が取り囲む鉄火場を、かつて少女は死ぬように生き急いだ。
 死んでもいい。戦いの果てに倒れるなら本望とばかりに命を燃やして。
 強がりだ。死にたくなどなかった。だがそうするしかなかった。
 今はどうだ。逆である。生の実感は、死線のスリルが確かめさせてくれる。
 縫うように血路を開き、一閃また一閃。喰らいつくというよりは"待つ"ように。
 つまり、敵が来るであろう場所に斬撃を置く。するとその通りに敵が来る。
 バターをスライスするように、あっさりとした手応えで敵が両断された。
 爆炎が燃え盛り、焔が視界を隠す。否、その先にこそ見るべきものがある。
 なにせいのちの焔を燃やし、ただただまっすぐ駆け抜けた生涯である。
(不思議だ。やってることも技法も、ほとんどは前と同じなのに)
 初めて実践で振るうはずの刃は、恐ろしいほどに手に馴染んだ。
 はじめから、これこそが己の失われたカラダであるかのような。
 最初の一歩は、なんてことのないぐらいに自然なものだった。

 こうして軽やかに戦場を舞うと、驚くほど多くのことがわかってくる。
 敵の狙い。位置。取りうる行動。どうすれば斬れるか、殺せるか。
 ともすればそれは、獣じみた飢えをじっとりと腹に産む。
(これが、獣(わたし)の呪いか)
 生まれ変わったように思えても、短命の病は消えてはくれない。
 ならば見て見ぬ振りをして前に進むか。否。
 自暴自棄に受け入れて、しょうがないと乾いた笑いを浮かべるか。否。
 そういうこともあると隣に置いて、呪いとともに駆ければいい。
 血の海のなかで艶やかに笑う、あの羅刹(あね)のように。
(私には私の戦い方がある。人狼病(これ)も私なんだ)
 斬る。斬る、斬る! ものとせよ。この感覚を、手応えを!
 たなびく赤いマフラーの下、口元には貪欲なる笑みが浮かんでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨宮・いつき
Bチーム

新天地を求めて往く星の海…いいですよね、まるで物語の冒険譚。ワクワクを感じちゃいます
…けれど、遊び気分で居るのはここまで
さあ、御勤めの時間です

迫りくる敵の集団は正面より迎え撃ちましょう
ただ向かってくる者を倒すだけでなく、情報の収集も妨害しなければならない…
ならば雷撃符による雷を【範囲攻撃】で広域に放ち、
行動と思考を鈍らせる【マヒ攻撃】で情報収集と攻撃の手を止まらせます
加えて放つのは木行の術
妖狐の【誘惑】と幻惑は機械にも通じるという事をお見せしましょう
安全だと誤認させて仲間を集めさせた所を纏めて仕留めたり、
幻惑で植え付けた誤った情報を送信させる事で敵の情報網を混乱させます!


蔵座・国臣
ナイチンゲールに搭乗しよう。Bチーム、ということになる。

主に、ユーベルコードの転移を用いて兵員の輸送を務める。

ナイチンゲールの乗組員と協力。モニターからの情報をこちらに渡して貰う、もしくは指示をして貰えるように頼もう。敵の少ないところから、多いところへ、などの猟兵の移動をやりたい。誰も担当がいない場所には転移できんが、一帯殲滅の終わった猟兵を艦に戻す程度の速度は上がるし、危なくなれば救援も届けられる。
護衛を艦から引き離す程度の事はやってくるかもしれんし、それ対策にもなるだろう。

あとは、最低限の自衛と。ナイチンゲールの医務室、当然いるだろう医療スタッフを座標に負傷した味方の回収や治療もできるな。


清川・シャル
おおーでっかーい。
一瞬小難しい事考えたけどやめました、シャルはこれが一番です

Amanecerのスピーカーから熱光線、ぐーちゃん零からのグレラン12連とアサルト30発の全弾ランダム発射なUCです
宇宙空間での重力って、効くかな…
通信電波障害起こしてやりましょう、物理的に

ぐーちゃん零撃ち終わったら、スピーカーはそのまま続行で
そーちゃん握りしめ、チェーンソーモードで突撃です
防御に氷の盾展開しますね
周りの猟兵の人達もですがノリのいい方々が心配ですしね

敵攻撃には見切り、武器受け、カウンター、第六感で臨機応変に対応


神元・眞白
【SPD/割と自由に/Bチーム】
少し不安な気がしたけど、やっぱりお爺ちゃん達はいつもの事でした。
止めても止まらないからそのまま乗らせてしっかり先に進もう。
裏で色々やるのは飛威と符雨に任せて、私はお爺ちゃん達の話し相手に。

この間オペレートしたらマークされてるから、今回はどうしましょう?
工作してくれるみたいだし、この船の調度品を作ってもらう方向性?
長期間滞在することだし快適な船旅にしないと。

飛威と符雨にはツーマンセルの指示。
符雨には武器を数種持って行ってもらって、途中で換装を。
他にも担当の人が何人かいると思うし、サポートへの対応も。
魅医は保険に同行しておいて。かくれんぼは得意でしょう?


ヌル・リリファ
B
アドリブ等歓迎です

マスターがそばにいないわたしはもう人形であるだけではないみたいで。わたしのまもりたいとおもったものをまもっていいみたいだから。

……わたしは、多分このふねのひとたち結構すき。
だから。無事に、とどける。とどけたいって。そうかんじてるんだとおもう。(少女は一度共闘した青年たちを好ましく思っている。またメカニックという存在はマスターを想起させるから、新しく出会った老人たちのことも守りたいと思っているのだ。)

ふねにむかってくる、緊急性のたかい敵にしぼって武器を生成したひかりの武器で迎撃する。
一応シールドは展開するけど、おおきなふねをまもりきれるか不安だから。攻撃されるまえに妨害する。



●マイルストーン・イン・ジャーニー
 ZAPZAPZAP!! 編隊を組んだ探査機群十五機によるレーザー砲一斉掃射!
 狙いはナイチンゲール号! 敵は母艦を確実に撃墜するつもりだ!
「そうはさせませんっ!」
 そこに対応したのが羅刹の少女、清川・シャル。巨大な氷の盾を展開し防御!
 レーザー砲は鏡面めいた氷盾に弾かれる……が、敵は出力を上げてきた!
 一点集中による熱量が、徐々に分厚い氷の盾を溶解させる……まずい。
「雷撃符よ、あれなる鋼を絡め取れ。勅ッ!」
 バチバチバチ! 蜘蛛の巣めいた雷撃が敵機群を鞭のように打ち据えた!
 少年陰陽師、雨宮・いつきが放った"雷撃符"による牽制の稲妻だ!
 敵はぶすぶすと黒焦げをあげながら退く。入れ替わりに前進する第二波。
 ZAAAAAAP!! 矢継ぎ早のレーザー砲斉射が、ついに氷の盾を崩壊させた!
「うへぇ、やっぱり数が多すぎて長時間は保たないですね……!」
「あちらもレーザーは連続で撃てないようですが、いま来られたらまずいですね。
 攻撃の瞬間にもう一度雷撃符を放って、僕があれらの動きを止めます」
「なら私が攻撃ですね! 全部吹き飛ばしちゃえばノープロブレムですよ!」
 向けられたままの砲門に、徐々に剣呑なレーザーエネルギーが収束する。
 いつきは符を、シャルは愛用の榴弾砲とアンプつきスピーカーを構え&展開!
 数秒後のカタストロフに向け、両者の間に緊張が走る――!

 ナイチンゲール号の人々(特にそこに乗り込んだレインフォース号の面々)は、
 猟兵だけに前線を任せることをよしとしなかった。
 果敢に母艦を前に出すことで、敵陣に風穴を開けようとしたのだ。
 危険ではある。だがどのみち、後方で待っていたところで結果は同じだ。
 あれほどの数の寄せ手では、いくら猟兵でも完全に堰き止めるのは不可能。
 ならば迎撃しながら、少しずつ敵陣突破のチャンスを伺うべきである。
 ……それが、誰が言い出すでもなく、流動的に決定した作戦であった。
 いまのところそれは功を奏している。激化する敵の攻撃がその証拠だ。
 それだけ、クエーサービーストは猟兵と人類を警戒しているということだから。

『ポイントP-3、展開していた敵機の掃討は完了した模様です!』
『第四陣、敵包囲網を突破! クエーサービーストとの相対距離20000!』
 いくつものARウィンドウから、オペレーターたちの声が届く。
 さながら野戦病院だ。それらの連絡を受け持つのが医者なら冗談でもない。
 彼……蔵座・国臣が選んだのは、船内に残っての後方支援であったのだ。
 もともと辻医者でもある彼は、同時に優れたサイボーグでもある。
 並の猟兵なら処理落ちしそうな戦況をつぶさに観察し、あちこちへ指示を出し、
 ときには転移ユーベルコードによって兵員の回収・輸送も担当する。
「やはり、あちらもいよいよ本格的にこの船を狙ってきているか……。
 今の戦力では、撃墜とはいかないでも船体に大きなダメージが出かねないな」
 幸い、いまのところは船体へのダイレクトダメージは防げている。
 だがこの先はどうだろう。試算するまでもなく、答えは明白だ。
 守勢に回るわけにはいかない。さりとて、無理やりな突破は犠牲を出す。
 それが猟兵であれ一般人であれ、医者として看過できることではない。
『国臣さん、そちらの人員は足りていますか?』
 若き青年艦長、パトリックが言った。国臣は頭を振る。
「一番忙殺されているブリッジから人を寄越してもらうほどじゃない。
 ……猟兵たちはみんなよくやっている。想定よりもずっといい状況だ」
 ナイチンゲール号の医療ブロックは、血みどろになるのを避けられていた。
 それがこのまま続くとは思えないが、怪我人で溢れるよりはよほどいい。
「……手伝い、いらなそう? じゃあ他のところに行ったほうがいいかな」
「ん?」
 と、そこで、国臣の後ろから何やら声をかけてきた少女がいる。
 神元・眞白。メイド姿のからくり人形を伴う、淑女めいた装いの人形使いだ。
 彼女自身もミレナリィドールであり、様々な非戦闘行動を得意とする。
 やややんちゃなところもあるが、この状況での落ち着きようは好ましい。
 国臣はちらりと、通信画面越しにパトリックを見やった。
 なにやら困った顔をしている。ブリッジにはいてほしくないらしい。
「前にこの船に乗ったとき、探検をしていたらこっぴどく怒られて」
「……医務室のものにはあまり触らないでくれ。手は足りている」
「じゃあ、お爺ちゃんたちの話相手になってあげたほうがいいかな」
「…………」
 前線に出したらなんか不味い気がする。国臣は直感的にそう思った。

 そんな一幕はさておき、眞白が船内にいたのは結果的に正解だった。
 彼女とお付きの戦術器(からくり人形のことだ)は非常によく働いたし、
 相次ぐ戦乱に不安がるクルーたちにとって、よき話相手になりもした。
「長期間の旅になるし、快適な船旅にしないと」
 とか言っているのは聞かなかったことにするべきだろう。

 そして居住ブロック。未だ以前の戦闘の痕跡が残る痛ましい場所。
 そこにもうひとり、ミレナリィドールの少女がいた。名をヌル・リリファ。
 空色の瞳をぱちくりと瞬かせて、彼女はしばし船の人々を眺めていた。
 戦いたくないわけではない。むしろ彼女はいま、戦意に燃えている。
 そこをあえてここへ来たのは、何かを確かめるためだった。
「おいあんた、猟兵だろ? どうしてこんなところにいるんだよ」
 そこへ、少年というべき年頃のクルーがひとり、声をかける。
 ヌルはそちらを向いて、少年の風体を見た。ツナギ姿。メカニックか。
「……わたしは、このふねのひとたちをどう思ってるのかしりたくて」
「ふうん?」
 ナイチンゲール号の面々は、みな若い。新世代のスペースノイドたちだ。
 先の銀河帝国攻略戦、そしてそれ以前の銀河帝国の影なる跋扈によって、
 少なからぬ心身の傷や負担を背負った者も、決して少なくはない。
「わたしは――」
 きっとこの感情は、"すき"というものなのだろう。
 未来を目指す人々を無事に送り届けたい。障害があれば取り除きたい。
 戦闘兵器として使命を果たさんとするヌルにとって、それは異な感情だ。
 ただそれでも、この気持ちは、捨て置いてはいけない気がした。
「……たたかうのに理由があるのも、わるくないなっておもったから」
「あんたたちみたいな力がある連中でも、そういうものなんだな。
 ……俺が知ってる猟兵は、なんか甘い物好きでめちゃくちゃ乱暴だったけど」
 少年クルー、レヴァンは、かつての航海で遭遇した輩のことを思い出す。
「けどまあその人も俺たちのこと助けてくれたし、猟兵ってみんないい人だよな」
「いいひと」
「うん。だから俺たちも、頑張らなきゃって思えるんだよ」
 不思議なものだ。己が、己らがオブリビオンを斃すのは義務めいているのに。
 それが、守ろうとした相手からの発奮を生む。他の猟兵にとっての力となる。
「……なら、きちんと無事にとどけないとね。あなたも、この船も」
 ヌルはそうひとりごちて、踵を返した。向かうべきは船の外、すなわち戦場。
 そうするための力が、彼女にはあるのだから。

 ……そして、ナイチンゲール号甲板上!
 ZAAAAAAAP!! ZZZZZZZZTTTTTTT!!
「くぅ……っ、よし、今です! お願いしますっ!」
 飛来したレーザー砲を押しのけるほどの、強烈な雷撃が虚空を灼いた。
 バックファイアをこらえながらいつきが叫ぶと、シャルが力強くうなずく。
「戦場に響きし我が声を聴け! そして――全部ぶっとべー!!」
 BOOOOOM!! ガーリッシュな色合いのスピーカーが爆発的音楽を放った!
 否、それは実際に熱を持った光線だ! サウンドソルジャーの力!
 さらに愛用のグレネードランチャーが火を噴く! KBAM! BRATATATATA!!
 さながら戦艦の全門発射じみた、敵を総なめにするフルファイア!
 併せて30体の敵群、撃滅! 爆炎が残骸を燃やしすべてを吹き飛ばす!
「よし、これで――」
「ううん、まだ! 次が来てます!」
 シャルの言葉に、安堵しかけたいつきは再び表情を引き締め符を構える。
 おお……第三波はさらなる数! おまけにレーザー砲を準備済みだ!
 前衛が障壁を展開して盾となり、中・後衛が敵を狙い撃つ二段構えの布陣!
 猟兵の戦いを解析し得たデータから導き出した、彼奴らなりの対策か……!
 絶え間なく爆音を轟かすスピーカーがおびただしい通信電波障害を起こすが、
 狭域通信によって敵の連携は保たれている。次弾装填までの僅かな間隙!

「救援だ、倒させはせんよ」
 その時である! ふたりの背後、虚空が揺らぎ猟兵たちが現れた。
 宇宙バイクに跨る国臣、そして彼とともに転移した戦闘人形の少女ふたり!
「――初撃はふせぐよ。にかいめの砲撃はよろしく」
 ヌルのサイキックエネルギーが無数の光によって作られた武器を産み出す。
 それらは攻撃するのではなく、降り注ぐレーザーの前に盾めいて展開した!
 そのひとつひとつをエネルギーフィールドがつなぎ、即席のバリアとする。
 ZAAAAAAAAP……初弾防御! 続いて眞白の戦術器たちが武器を構える!
「飛威、符雨、お願い。あいつらに二回目を撃たせないで」
 メイド姿の戦術器たちが、障壁の前に出た探査機をスナイプ撃墜。KRASH!!
 敵のすべてを吹き飛ばすには足らない。だが今度は逆に猟兵が間隙を得た!
「……妖狐の幻術、機械にも通じるところをお見せしましょう!」
 いつきの禁術が彼岸花の幻を生む。暗黒の海に鮮烈な赤が乱舞した。
 "木行・抱心艶狐(ヴィクセン・テンプテーション)"。
 意志無き鋼をもとろかせ魅了する幻の嵐。その術式が間一髪間に合ったのだ!
 敵の砲口は互いを狙い、レーザーは同士討ちを引き起こす。連鎖爆発!
「おー、一発逆転とはまさにこのこと! ヒヤヒヤしましたが爽快ですね!」
「転移が遅れて申し訳ない。船内の被害確認などに追われていてね」
 国臣はそう言って、シャルやいつき、その他の猟兵たちの程度を観察した。
「私はこのまま近隣宙域の援護に向かおう。同行する者は?」
「あ、じゃあ私、ついていきます!」
「僕は一度退却します……情報網は混乱させられたはずですからね」
 手を挙げるシャル、そしてやや消耗した様子でいつきはため息をついた。
 いくら猟兵とはいえ、この長丁場を緊張しながら連戦するのは極めて難しい。
 本命はこの先にいるのだ。適度なインターバルが重要となる。
「なら、私と戦術器のみんなで襲撃に備えておくね」
「わたしもできるだけまわりを注意しておくよ。たいていの敵は探知できるから」
 そして猟兵たちは、休むことなく目まぐるしく入れ替わり立ち代わり戦う。
 この旅を成功させるため。そして、恐るべき敵を斃すため。
 だれひとりとして、欠けてはならない戦いなのだ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

フランチェスカ・ヴァレンタイン
【殲滅】

まあ、偵察機の類は当然あるでしょうけれども… 鹵獲品?の活用とは、随分と節操がありませんわねえ

残光を曳きながらのマニューバで探査機群の合間を翔け、動力部へのピンポイント砲撃や通信アンテナへの斧槍の一撃などで適宜排除を
墜とすまでの間に情報を集められるのも癪ですし、迷彩でジャミングなどもしておきましょう

敵群全体を捕捉できましたら、鎧装各部にマウントした重雷装ユニットから光子マイクロミサイルの一斉発射で乱れ撃ちなども

生き残りは… あら、ちょうどいい具合に直線上に
では――

「圧し砕きませ…! グラビトン――ブラスタァァァッッ!!」
仮想砲身を展開してのUCの超重力砲でトドメと、参りましょうか?



●ダンシング・ヴァルキュリア
 横列をなした探査機群のセンサー網に、"何か"が引っかかった。
 敵の探知網は、たとえるなら針の穴に等しい。滅多なことでは見逃さない。
 にもかかわらず――奴らは、"何かが近づいている"としか感知できなかった。
 なぜか。シンプルな理屈である。
 "それ"は、探査機群のセンサーをも凌駕するほどのスピードを持っている!

 KA-BOOM!!
 "何か"の正体を探ろうとした機体が、一瞬にして爆炎へと変じた。
 それを消し去り流星めいて残光を曳くのは、フランチェスカ・ヴァレンタイン。
 一流の鎧装騎兵である彼女にとって、針の穴を通り抜けるなどたやすいこと。
 動力部への一切無駄なきピンポイントな一撃は、さながらスナイパーだ。
 前方の敵機五体がフランチェスカの気配を察知する。アンテナを展開――遅い。
「あいにくですけれど、わたしの情報は安くありませんわ!」
 SLASH!! 愛槍の斧部が一閃! 障壁展開よりも早く五体同時に敵機両断!
 連鎖爆発したその輝きを隠れ蓑に、光の帯は天頂を目指して飛翔する。
 無限に変形しながら遠くに鎮座する黄金の異形は、さながら見守る太陽めく。
 であれば、翼を広げてそれに挑まんとするフランチェスカは、何とするべきか。
 その輝きを目指して飛び、蝋の翼を奪われて落下していくさだめの愚か者か?
 あるいは――太陽すらも射殺す、神話の如き戦乙女か。
 今はどちらとも言えない。立ちはだかる雑魚どもがあまりにも多いからだ。
 敵がいよいよ最終兵力を投入してきたことで、宙域の混迷は度合いを増した。
 一機でも多くの敵を、一瞬でも速く! 殲滅こそが彼女の使命だ!
「鹵獲品ごときで、こちらの足を停められると思っているのでしょうか?」
 挑発的に、そして蠱惑的に微笑み、一回転しながらマイクロミサイルを斉射。
 きらきらと散る雪のように放たれた光子の矢が、360度展開した敵部隊を襲う!
 KKKA-BOOOM!! そこらじゅうで吹き上がる破滅の焔。いっそ壮観ですらある。
 そして体勢を整えたフランチェスカの手には、仮想投影された巨大砲身!
 重力子増大によって、物理法則を無視して極大化する超・超距離対艦砲だ!
「ちょうどいい具合に直線上におりますし、少々派手な号砲と参りましょう。
 さあ、そのまま圧し砕きませ……! グラビトン――ブラスタァァァッッ!!」
 KRA-TOOOOOM!! 虚空を劈く黒星の一撃が、かつて滅びた鋼の群れを呑む!
 星の獣への階のように、宇宙の暗黒に重力の槍が突き立てられた瞬間だ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
SPD
アドリブ共闘歓迎

(外殻を利用できると聞いて)
いいの? やったー!
構造解析して、ティル・ナ・ノーグのパワーアップだ!

長引けばこちらが不利か
それじゃあ、データ収集される前に
範囲外からアウトレンジで

量子ステルスの迷彩レイヤーを自身に
『ライブラリデッキ』から
ウイルス、大量の猟兵ダミーデータの入った
ハッキング弾を精製、光子変換

UC【独創・術式刻印弾・脆弱】で狙い撃つ

ダミーのデータを送信展開させて、今後の備えに
更に付与した脆弱性を突いて
識別コードの書き換えや武器管制の乗っ取り
アクセスリストの変更による通信遮断で電脳側を寸断

(ハッキング、暗視、援護射撃、視力、迷彩、早業、スナイパー)


ナミル・タグイール
でっかい金ぴかにゃ!?ナミルが全部いただきに行くにゃー!
もちろんAチームにゃ!突撃にゃ!

敵が全然金ぴかじゃないにゃ!詐欺にゃー!
早く金ぴかボスに一直線…したいのにバリア邪魔にゃ。むかつくにゃ!
ナミルのお宝パワーで靄になってバリア無視して内部入っちゃうにゃ。
…実は中に金ぴか隠してたりしないにゃ?このまま探索デスにゃ!
(呪詛そのものになって周りをバグらせる猫)
光るものや金ぴかを見つけたら中で実体化して略奪にゃー!

特に無さそうなら敵無視してそのまま通過にゃ。
ナミルが金ぴか一番乗りして独り占めするデスにゃー。


無明・緤
【Aチーム】で突破を目指す
とびきりでかいネズミと、雑魚どもの匂いだ
うずうずする

宇宙服纏い【猫をこころに、ニャンと唱えよ】!
レーザー光線やデータ送受信よりも早く
無数の敵群、その只中で交戦する猟兵の元を飛び移って
【操縦】の技術でからくり人形を戦わせ
【鎧無視攻撃】の【早業】で敵を潰していこう

猫一匹捕まえるのに上司にお伺いを立てるのか?
狩りってものを見せてやる

データ取られっぱなしは癪だな
殺した変形外殻残骸の送受信部を【ハッキング】で無力化し
咥えて船の老人たちの所へ戻ろう
獲物を仕留めて主人に自慢しに行く猫のように

本体を攻略する糸口となるデータが拾えれば良いが…
駄目ならちび猫(バディペット)の玩具にするさ


荒谷・ひかる
B希望

……なんかすっごいのきたー!?
でも、やるしかないんだよね……が、がんばるんだよっ!

【幻想精霊舞】発動
大地の精霊さんの力でデブリから金属を蒐集
その金属へ雷の精霊さんの力で通電してもらい磁場を発生
それに風の精霊さんの「竜巻」の概念を組み合わせて
「磁気嵐」を生み出して敵群を呑み込むんだよっ
狙いはEMP攻撃による通信妨害とセンサー破壊、あとストレージのデータ破壊
もし他の仲間の元に逃げるならそれはそれで好都合
一ヵ所に纏まってくれるなら纏めて巻き込みやすいんだよっ!

精霊さんたち、大丈夫?
無理はしないでねっ。
(※光と闇の精霊以外は惑星環境外なので出力低下、船からリソースを補助して貰ってる状態)



●ストレイ・キャット
 バチ、バチバチバチ……縦横に規則正しく整列した探査機群が電光に包まれる。
 遠くから見れば、直列接続された膨大な数の回路のようにも見えるはずだ。
 つまり探査機群は自機をパーツに見立て、巨大なエネルギーラインを構築し、
 それによって非常に強化された巨大障壁を展開し、猟兵の行く手を阻むのだ!
「うーん、これは面倒だね! 誰も通り抜けられなさそうだ!」
「ち、力技で突破するにしても、骨が折れそうですね……!」
 いち早くこの異変に気づいたのは、リア・ファルと荒谷・ひかるのふたりだ。
 ふたりはそれぞれ、得意な方法で敵のデータ送信を妨害しようとしていたが、
 ある意味ではその手間が省けた形と言えよう。だが状況としてはよくない。
 このままあの巨大障壁を放っておけば、防衛線の突破が遅れてしまう。
 すでに敵陣を抜けた先遣隊との間に齟齬が生じ、連携が乱れかねない。
 なによりも、このままではナイチンゲール号が前線に到達できないのだ!
「でっかい金ぴかいただきにゃ……ってぇ! なにこれ邪魔デスにゃー!!」
 しかし、そんなこともお構いなしに、障壁に突っ込む猟兵がいた。
 強欲に目を輝かせる猫のキマイラ、ナミル・タグイールである。
 彼女は金ぴかに目がない。いつでもどこでもお宝を探すアh……楽天家である。
 なので真正面から障壁に食って掛かり、バチバチバチ! そのまま弾かれた!
「にゃーっ!? ぱりぱりにゃ! 金ぴか取りにいけないし毛が逆立つにゃ!!」
「……もしかして金ぴかって、あのクエーサービーストのこと!?」
「金ぴかっていうよりぎんぎらって感じなんだよ……っ」
 思わずツッコミを入れてしまうリアとひかるであった。

 ともあれ、この数の探査機が協力して展開した障壁は非常に強力だ。
 しかもべらぼうに広大。迂回して進むにしても時間の浪費は必至である。
「はっ! ここは靄になって通り抜ければいいにゃ! ナミル頭いいデスにゃ!」
 などと思いついたナミル、さっそくユーベルコードを発動しようとするが、
「っと待て待て! それではお前が通り抜けられても、他の猟兵がダメだろう!」
 光の瞬きとともに転移してきた黒猫のケットシー、無明・緤が制止した。
 彼の操るからくり人形、法性がすかさず障壁を攻撃する。KRAAAASH!!
 やはり拳は通用しない。緤は頭を振り、そして思案するリアとひかるを見た。
「ここは協力して、あのバリアそのものをなんとかすべきだ。そうだろう?」
(こっちの猫さんはものすごく常識的だ……)
「……何か?」
「あ、いえ! わ、わたしも同意見ですっ」
 何かごまかすように慌てるひかるの内心など、緤は露知らず。
「そうだね、このまま作戦会議してると痺れを切らす人……猫? がいそうだし、
 出たとこ勝負でやってみよう! "金ぴか"が欲しいのはボクも同じだしねっ!」
「金ぴかはナミルのものですにゃ! 誰にもあげないにゃー!!」
「うんうん、わかったからまた突っ込もうとするのはやめようね!?」
 さっそく痺れを切らしそうなナミルをどうどうとなだめて落ち着かせるリア。
 そこでリアは、ナミルの体が持つ強力な呪詛の存在に気がついたようだ。
「このデータをコピーすれば……よし、ハッキング用の偽造データの完成だ!
 こいつを打ち込めば、あの障壁をバグらせて無効化できるかもしれない!」
「精霊さんたちの力を借りられれば、一瞬だけ障壁を解除できるかもですが……」
 言い淀むひかる。ここは宇宙であるために、精霊の力はやや低下状態なのだ。
 せめて、ナイチンゲール号からリソースを補助してもらえれば話が別だが……。
「そういうことなら、おれに任せておけ。老人たちに掛け合ってこよう」
 そう言った緤の姿が再び光となって消える。直接船までテレポートしたのだ。
 直後ひかるは、船から照射される見えないエネルギーの波を感じた!
「! これならいけるんだよっ。精霊さんたち、お願い! 力を貸してっ」
 ひかるの声と願いが、自然にあまねく精霊たちのもとへと届けられた。
 コアマシンから出力されるエネルギーが、少女と精霊の間に繋がりを生む。
 そして、あちこちに浮かぶ無数のデブリが、一同の周囲に集まってきた!
 金属群はバチバチと通電し、磁場を発生。ようは敵と同じことをやるのだ。
「仕上げは……風の精霊さん! みんな巻き込んじゃってほしいんだよっ!」
 ズゴゴゴゴゴ……! 発生した磁場が、渦を巻いて巨大な嵐となる!
 すなわち、磁気嵐だ! 鎌首をもたげた竜巻はそのまま探知機群を呑み込む!
 ジジ、ジジジと、壊れかけのネインサインめいて明滅する探知機群の光。
 やがて可視化されるほどの障壁が、苦しげに点滅し……完全に消え去った!

「にゃにゃにゃーっ! 今度こそ突撃突破にゃ、金ぴかが待ってるにゃー!!」
「ああっ!? さっそく行っちゃった!?」
 ぴゅーん、と弾丸めいて飛び出すナミル。リアは仕方なく送り出す。
 障壁を強制解除させられた敵は、こちらを狙うはず。
 そこで彼女は一足早く、量子技術を用いたステルス迷彩を自身の周囲に展開。
 磁気嵐の制御に集中するひかると、自分自身をセンサー群の目から覆い隠す。
 ナミルの無謀な突撃は、この状況においては敵の目を引く囮として役立った!
「精霊さんたち、もう少しだから頑張るんだよっ!」
「今度はボクの番だね。来い! フォトンスナイパーライフル!」
 狙撃銃を召喚、生成した呪詛入り術式封印弾で、要となる敵機をスナイプ!
 BLAMN! 磁気嵐の"目"をワンホールショットした弾丸が――見事命中だ!
 バチバチバチバチ!! 接続された敵機群すべてに刻印が伝搬する!
「よし、無事成功したようだな! おれも猫らしく突撃するとしよう。
 おれたちのことは気にせず、ありったけの竜巻で連中を狂わせてくれ!」
「は、はい! 精霊さんたち、お願いするねっ!」
 転移してきた緤の言葉に頷き、ひかるはもう一度精霊たちに呼びかけた。
 障壁機能が完全に破壊するため、磁気嵐がさらに強まる。すさまじい圧力だ!
 しかし突撃したナミルは、その体を呪詛の靄としているため無効!
 リアの撃ち込んだ刻印と偽装データが、敵側の彼女に対する探知を妨害する!
「さんざん邪魔してくれたお返しにゃー! むかつくのは吹っ飛べデスにゃ!」
 KRAAAAAASH!! 嵐の勢いを借りたナミルの斧が敵機体を薙ぎ払った!
「……実はこいつらも金ぴか隠したりしてないですかにゃ?」
「そんなわけないだろう! さあ急げ急げ、目的はあっちだろう?」
「はっ! そうデスにゃ! ナミルが金ぴか一番乗りして独り占めですにゃー!」
(やれやれ、同じ(?)猫としてどうかと思うぞあれは……)
 なんだかメッセンジャーめいた役割に回っているような気がしてきた緤だった。
 ともあれ、彼の言葉で狙いを思い出したナミルは探査機を薙ぎ払い突破。
 緤はバラバラになった残骸を適宜船へと持ち帰りながら戦場を飛び回る。
 こうしてまた、猟兵たちの活躍により新たな活路が拓かれたのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千桜・エリシャ
B
宇宙って広いのですわね
この間遭遇したものより更に大きなものがいるなんて…
またしても首はないのが残念ですが
嗚呼…今から対峙するのが楽しみですわ!

攻撃は最大の防御とはよく言ったもの
根こそぎ殲滅して差し上げましょう
敵軍の真っ只中に踊り出れば優雅に一礼
あら、あなた達も首はありませんのね
残念…ならばやることは決まりましたわ
飛んでくるビームは見切り花時雨を開きオーラ防御でいなして
もし動けなくなっても
この瞳で見えていれば私の虜よ
枯れ木に花を咲かせましょう
宇宙でだってどこでだって
私がいればそこは常春
見えている範囲すべて
私が春に変えてあげる

心がなくとも関係ない
乱れ狂い咲け恋の桜
最期の一時まで私に溺れて
左様なら


パーム・アンテルシオ
守るか、攻めるか。どっちを取るかと聞かれたら…
…やっぱり、守る方、だよね。
そう。私は、こういう方が得意…なんだから。

それにしても…
新しい驚異と、ただ戦ったり、逃げたりするんじゃなくて…
その驚異から、新しいものを見つけよう、っていう考え方。
生きて、強くなって、守ろう、っていう考え方。
強いよね。人間って。

それじゃあ…うん。
「無を蝕み、翔ける呪い」。
この子たちは…宙を奔る。今日は、そういう、呪い。

ユーベルコード…金竜禍。
機械っていうのは…生命がないっていうのは。
怖くもないし、痛くもないし。良い事に聞こえるけど…
肉のない体は。こういう呪いには、弱いよね。
あなた達の体も、紛れもなく、無機物なんだから。



●ファム・ファタル
 宇宙は広い。未知の宙域には、あれほど巨大な星の獣が座しているのだ。
 ではその先には? きっと、あの黄金の異形を越えるモノがいるのだろう。
 ……善き哉。首がないことを除けば、それは実に楽しみなことである。
 千桜・エリシャは心からそう思う。なにせ彼女は生粋の羅刹ゆえに。
 薄く笑みさえしながら敵群の只中で踊るさまは、いっそ美しくすらある。
 優雅に一礼。応じたのは無粋なレーザー砲の嵐である。
「あら、残念――斬る首があれば、やることも違ったのですけれど」
 花時雨を開いて舞い、乱舞する光条を反らしていなして無力化してしまう。
 たとえ光の速度で来る攻撃だろうが、その"起こり"さえわかっていればよい。
 ようは、見切りだ。尋常ならざる剣士だからこそ可能な絶技である。
 だが此度この時、エリシャは剣を振らない。首を斬るための刃ゆえに。
 代わりに鋼の残骸どもを射抜いたのは、蠱惑的に歪んだその双眸であった。
 つまり、魅了の呪詛である。悪女めいた微笑の裏には毒がある。
 咲き誇る桜吹雪は薔薇の棘より恐ろしくおぞましい邪気を孕み、
 以て意志なき鋼ですら絡め取る。対象が魅入られるかどうかは関係ない。
 極論、相手がエリシャを見ている必要すらない。"視れば"よいのである。
 呪いとはそういうものだ。ただそれだけで悪女は何もかもを手玉に取る。
 男も、同じ女も、老いも若きも――果ては国ですら。
 ならば、オブリビオンであろうが残骸であろうが、逃れられようものか。

 敵にとってはなお悪いことに、悪女はただひとりではなかった。
 然り。レーザー砲の雨の中で踊るエリシャは、もうひとりの少女に気づいた。
 その髪は、エリシャがヴェールのように纏う桜のそれと同じ色。
 パーム・アンテルシオ。風なき宇宙の暗黒に、ふわりと九尾が揺らめく。
「陰の下、火の下、死の欠片を喚び出そう――」
 囁くような呪(しゅ)が、蕩かされた鋼の群れを創り変えてしまう。
 生まれたのは九尾の狐。正確には、そういうカタチをした呪詛の塊だ。
 "金竜禍"――それは死そのもの。触れたものを溶け落とす、形ある呪い。
 ひとつが変じれば、その尾が唇が新たなものを触れて融かし、堕とす。
 まるで毒のように。滲み込むように、呑み込むように、群れを冒していく。
 あとはもはや野火である。なにせ護るべき糧はエリシャが魅入らせてしまった。
 溶けて崩れたそれらは桜の花弁に変わり、はらりはらはらと虚空に舞う。
「ふふ……相性、いいね。私たちの術」
「残念。魅了勝負といこうにも、あちらに甲斐性がありませんのね」
 悪女(ファム・ファタル)たちは微笑み合う。それはまるで妖精めいていた。
 呪いの九尾があちらこちらを跳ね回り、桜の花弁をひとつ、またひとつ。
 枯れ木も山の賑わいとはよく言ったもの、生命なき鋼の末路としては上等か。
 たちまち、桜色の瞳の女と、桜色の髪の少女の周りは、常春と化した。

 遠くナイチンゲール号に乗る人々は、その異界めいた風景を見て畏怖した。
 美しい。美しいが――何か本質的に、とてつもなく恐ろしいのだと思ったから。
 遠く宇宙を征く船をちらりとみやり、パームはエリシャに言った。
「人間って、強いよね」
「パームさんは、あの船の方々がお気に入りなんですの?」
 否定か肯定か、どちらともつかぬ笑みを浮かべて小首を傾げ、少女は続ける。
「だって、あんな新しい脅威が現れても、ただ戦うのでも逃げるのでもなくて。
 挑戦して、新しい何かを見つけよう、って……そう、考えられるんだから」
 生きて、強くなって、守ろうとする。実際に出来るかどうかではない。
 その考え方が出来ること自体を、パームは"強さ"として捉えている。
 エリシャは唇に指を当て黙考した。なるほど、さもありなん。
 己のような羅刹は、どうしてもまず斬ることを考えてしまうもの。
 ついさっきもそうだった。今も同じ。それもまた強さではある、が。
「――けれど」
 そして笑んだ。
「そういう方を魅入らせて、恋の桜を乱れ狂い咲かせて。
 最期の一時まで、自分(わたし)に溺れさせてしまうのも、楽しいですわ?」
 パームは、そんなエリシャの言葉に視線を返し、目を細めた。
 言葉はない。ただ、周囲を舞い踊る呪詛の狐たちが、その答えと言えよう。

 ふたりは悪女である。男も女も、老いも若いも魅了してしまう悪の華だ。
 つまりはひとでなし。毒を孕んだ甘い蜜。触れれば火傷するあやしの灯火。
 桜の根元には屍体が埋まるという。呪いの花弁はm音もなく舞い続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン
また邪魔をするつもりなのね、アナタ達は。ええ、これ以上好きにはさせない。皆の希望は、誰にも阻ませはしないわ。


Bチーム希望】

わたしの騎士よ。……いえ、わたしの操る絡繰の騎士よ。わたしの力となりなさい。

敵陣の真っ只中に突入しUCを使って殲滅するわ。

突入する間は騎士人形の【盾で受け】て守り【援護射撃】で牽制して【敵を盾にして】相打ちさせましょう。

出来るだけ広範囲の敵を引きつけ一網打尽にするわ。
特に船の近くには近づけさせはしない。その為なら痛みにも耐えてみせる。【激痛耐性】


わたしは決めたの。全ての世界を、人々を救うと。
その暴威を、その悪意を無辜の民に向けるというのなら、わたしは絶対に、許しはしない!



●ノブリス・オブリージュ
 新たな惑星(ほし)を追い求める――それはこの世界の人々の希望であり夢だ。
 立ちはだかる困難は多い。銀河帝国を倒したら、次は星の獣と来た。
 人々は強い。だが脆く儚くもある。その夢が、希望が美しく見えるほどに。
 では、誰が彼らを護る?
 誰が、彼らの希望を叶える?
 そのための力があるならば、そのために戦うことこそが義務ではないか。
 フェルト・フィルファーデンにとって、かつてそれは呪いであった。
 今はどうか。すべてが完全に変わったとは言いがたいかもしれない。
 けれども、彼女にもまた――新たな希望は、生まれつつあった。

 もとより命を惜しまぬ少女は、ある意味でより苛烈に振る舞う。
 手繰るのは電子の糸。繋がれた先にあるのは愛すべき騎士たち――否。
「わたしの操る絡繰の騎士たちよ、わたしの力となりなさいッ!」
 然り。かつて彼女は、それを喪った配下たちそのものだと認識していた。
 今は違う。電子の糸であやつる絡繰の騎士、すなわち人形たちだと呼ばう。
 ならば、敵の只中で戦う彼女は孤独な少女なのだろうか。
 違う。たとえ絡繰であろうと、その身その形はフェルトが生み出したもの。
 込められた思い、そして失われたはずの忠義はそこにあると彼女は知っている。
 ゆえに戦えるのだ。光の嵐を避け、盾を翳し、弓矢を放ち剣と槍を振るう!
 けしてかの船には近づけさせまいと、命を惜しまずに勇敢に戦う。
 生き延びてしまったこの生命、もとより価値はないと嘯くのではなく、
 心の底から守りたいと願ったもののため、前のめりに戦うのだ!
「相手はわたしよ。わたしたとを狙いなさい!」
 探査機群の目がフェルトに集中する。レーザー砲がその顕現だ。
 頬をかすめる光条を恐れることなく、フェルトは人形たちを鏃めいて組ませ、
 怒涛の勢いで応報の猛打を浴びせる。爆炎。爆炎、爆炎!
(全ての世界を。全ての人々を。その希望を、夢を、わたしは救う。護る!)
 オブリビオンよ、知るがいい。お前たちの悪意に抗う者がここにいる。
 高貴なる者の使命をせおいて戦う幼き姫がここにいる。
「アナタたちを――わたしとは、絶対に許しはしないわ!」
 勇ましく、少女は宇宙を駆ける。曇りなき眼に意志の力をみなぎらせ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジョン・ブラウン
【チーム悪巧み】B

僕、大規模戦闘は僕苦手なんだよね

ということで、得意な奴に任せよう
行くよ、コール・オブ・グレムリン……!

『われらを呼んだのはお前かぐれむー』
『お腹すいたぐれむー』
『のどが渇いたぐれむー』

……えっ

『どうしたぐれむー』
『悪魔を前にした恐ろしさで口もきけなくなったかぐれむー』

……君たち、悪魔だったの?

『何の話だぐれむー』
『我々は初対面だぐれむー』
『だから月々の課金上限とは無関係だぐれむー』

……今月5000円追加していいよ

『『『まかせろむー!』』』

……あっ、大量に分裂して相手のデータ内に入り込んでバグらせてる……
うわっ、ワープして逃げた先の仲間にも感染して……完全にパンデミックじゃん


リチャード・チェイス
【チーム悪巧み】B
直掩・殲滅、どちらにも数は必要であろう。
であるならば私達だけでは足りないことは自明の理。
しかし、この真空の海には無機物が無数に漂っている。
即ち、それらは全て鹿である。それは矛にして盾。
見たまえ、エド・ゲイン君に座るジョンよ。
ペドロ・ロペス君でデブリ帯を流星になるだけで
生まれ行く鹿、鹿、鹿、鹿の群れ。
引き連れる姿はまさにワイルドハント……魚群ではないか。いや鹿だ。

あー、あー、マイクテス、マイクテス。
ナイチンゲール号のティアーへメッセージ。
主砲の準備はできているであるか?
リク……砲弾は発射の時を今か今かと待ち望んでいる。


詩蒲・リクロウ
【チーム悪巧み】 A
突破、殲滅……。
どちらも僕には向いていないですね……。
どうにか工夫して_ん?ボールになれ?
……はいはい乱暴にしないでくださいよ。

さて、どうしたものか……。

ガシャコン
デッデンッ、デッデン、デンデーン
ガコン
         装填ヨーシッ
ターゲットロックオン
         照準完了
エネルギーチャージ
        イツデモウテマス!

やはり殲滅の方に参加したほうが役立てそ……
あれ、なんか暗いですね?
おーい、ジョンさーん?ティアーさーん?リチャードさん?

ちょ、なんか嫌な予感が!?

うわ、なんか来た!?
え、暗くて見え……

……鹿!?

てことは、……

リチャアアア____


ティアー・ロード
【チーム悪巧み】A

「見ての通り小柄でね
宇宙空間は広いから苦労するんだ
だから暫しここでゆっくりするよ」
艦橋から参戦といこう

「ナイチンゲール
いい名だ
かの乙女のモノかい?」

私が狙うは【超長距離射撃による先制攻撃】

使用UCは刻印「刀光剣影」
武器を作る刻印だ
本来は装着者の愛用品を作るんだけど
今回は私の記憶から持ってこよう
バスターライフルがいいかな

作りは荒いが、50立方メートルの奴をね!

「こいつは効くよ、何と言っても

かの帝国が誇った殺戮機械の武装だ」

「クリムゾン、バースト!」

「ん、今砲身に何かか……気のせいか
よし、次弾装填、ENチャージいくよー」

「命中?数打てばいいさ
弾も燃料も幾らでもある、偽物だからね」



●イントリーグ・イェーガーズ
 DOOOOM……! 連鎖爆発の余波が宇宙をたわませ、ナイチンゲール号を揺らす。
 ここは戦火の最前線。黄金の異形、クエーサービーストへの最終経路。
 ナイチンゲール号は、いよいよ決戦のためその駒を進めつつあった。
 が、その代価として襲ってきたのは、言わずもがな敵の猛攻である!
「あと一歩なのに、これじゃあ前に進めない……!」
 若き艦長パトリックは歯噛みした。それは船のクルーとて同じことだ。
「いいや行ける! こうなったらワシらで道を切り拓くんじゃ!」
「艦載機があるじゃろ、ようし突っ込んでやろうではないか!」
「老いぼれの意地の見せどころじゃの、ガハハハ!」
 案の定、血気盛んなレインフォース号のご老人たちはテンションアップ!
 若者たちがいいからおとなしくしてろ、と言うより先に艦橋を飛び出そうと!
『おっとご老人がた、どうかもう少しだけ席に座って見ていてくれないかな?
 なあに、ピンチは逆転劇の演出のようなもの。すぐに変えてみせるからね』
 と、そこへやってきたのは、ひとりのヒーローマスクであった。
「あ、あなたは……?」
 パトリックが問いかけると、そのヒーローマスクはこう答える。
『私はティアー・ロード、ようはヒーローさ。見ての通り小柄なものでね。
 宇宙空間は広いから少し苦労するんだ。だからしばし、ここでゆっくりするよ』
 いいかな? と問われれば、彼らとしては頷かざるを得ない。
 その優雅ですらあるおおらかなノリに、クルーたちは毒気を抜かれた。
『それにしてもナイチンゲール号、か。いい名だね。由来はなんなのかな?』
「ええと、以前の艦長がつけたもので……って、それどころじゃないですよ!?」
 ようやく我に返ったパトリックに対し、ティアーは言う。
『だから心配ないさ。――外には、私の仲間たちがいるからね!』

 同時刻、ナイチンゲール号甲板上!
 レーザー砲が飛び交いいくつもの爆炎が生まれる空を見上げる三つの影!
「うーん、こりゃ僕の出る幕じゃないなあ。大規模戦闘は苦手なんだよ」
「然様。直掩、殲滅、どちらにも数は必要。私たちだけでは足りぬな」
「たしかに僕にも向いてないですね……でも一体どうするんです?」
 詩蒲・リクロウが問うと、ジョン・ブラウンとリチャード・チェイスは、
 顔を見合わせてからリクロウをじっと見つめる。じーっと。
「あっ、これ僕がまたなんか無茶言われるパターンですね! わかりますよ!?
 いくら僕だって毎回好き放題されませんからね! いいですか! 僕はもっと」
「うむうむ。わかったから乗るのである。発進であるぞ」
「あ、はい」
(こうやって乗せられるから毎回ひどい目に遭うのになあ)
 おとなしくペドロ・ロペス君(チョッパーカスタム型のトナカイだ)
 にタンデムするリクロウを見て、ジョンは思った。
 でも言わない。だってそれを見てて面白いのはジョンもだからね!
 そんなわけでエド・ゲイン君(サイドカー型のインパラだ)に乗り込む。
 シュゴウッ! 甲板上を滑走路に見立て、トナカイは宙(そら)へ……!
 ZZZZAAAAAPPPPP!!! 空気を読まない敵のレーザー砲火が出迎える!
「さっそく迎撃されてるじゃないですかぁああああ!?」
「この程度、ペドロ・ロペス君の足(ばりき)の前ではすなわちスローである」
「避けるのはいいんだけどもうちょっと安全運転いや無理だこれ!!」
 ぐいーん。無駄にアクロバティックな機動でレーザー砲を連続バレル回避!
 悲鳴を上げるリクロウ! だんだん面白くなってきたジョン!
 だいたいいつものチーム・悪巧みの風景であった。
「よし、さっさと得意なやつを召喚して任せよう。コール・オブ・グレムリン!」
 腕部装着型デバイス『ワンダラー』に内蔵された、悪魔召喚式を起動!
 この世界とは異なる相(レイヤ)から、電子の術を持つ恐るべき悪魔が……!

『われらを喚んだのはお前かぐれむー』
 ん? この饅頭みたいな生物(物体?)見たことあるぞ?
『お腹すいたぐれむー』
 この一行AAで簡単に表せそうな見た目もだいぶ見たことあるぞ?
『喉が渇いたぐれむー』
「……えっ?」
 懐からだむぐるみを取り出すジョン。グレムリンと見比べる。
 よく見るとこれだむぐるみ本体じゃなくてずさんな偽物にすり替わってる!
『どうしたぐれむー』
『悪魔を前にした恐ろしさで口をきけなくなったかぐれむー』
「……いや君たちだm」
『悪魔グレムリンだぐれむー』
「いやそもそも悪魔だったの???」
『何の話だぐれむー』
『我々は初対面だぐれむー』
『だから月々の課金上限とは無関係だぐれむー』
 欺瞞! どこからどう見てもだむぐるみ(悪魔めいた角尻尾が雑に外付けされている)の電子悪魔グレムリンだ!
 さりげなく課金上限も引き上げようとしている! 姑息!
「…………今月5000円追加していいよ」
『『『まかせろむー!』』』
「今のもしかして悪魔との交渉だったんですか!?」
 思わずリクロウがツッコミを入れた。リチャードはコーヒーを飲んでいた。
「まあそういうこともあるかなって」
「そういうことで済ませていいやつですこれ!?
 あとリチャードさん! 前も言いましたけど! ハンドル!!!!」
「安心してほしいのである。自動運転機能など働いていない」
「だからハンドル握れって言ってるんですけどぉおおおおお!?!?!?」
 螺旋飛行するトナカイ! ひゅんひゅんと翔んでいくだむぐ……グレムリン!
 追跡してくる探査機群めがけ、分裂しながらとんでいく。えっ分裂!?
『悪さしてやるぐれむー』
『課金上限のために死ねぐれむー』
『この喋り方疲れてきたむー』
 ついにロールプレイすらかなぐり捨てた。データ内部に侵入、破壊!
 探査機群はコントロールを失いあちこちの小惑星に激突爆発四散!

 しかも見よ! 周囲のデブリ帯を!
 トナカイ(ハーレー)が通り過ぎるたび、それらは鹿に変じていく!
 いやシャーマンズゴーストだこれ。だからどこが鹿なんだ。
 うようよ生まれる鹿(スペースシップワールドのすがた)! 行列!
 狂ったように飛行する探査機群がこの悪夢めいた行列に飲まれて爆散!
「時は満ち、鹿の国は近づいた。かくして嵐の軍団はここに生まれるのである」
 かっこいいこと言ってやったぜ、みたいな顔をするリチャード。
 後ろを見る。ついてくる大量の鹿(シャーマンズゴーストのすがた)
「いやこれ魚群ではないか」
「魚じゃないよね!」
「鹿であるな」
「そういう問題じゃないんですけど!?」
 コーヒーを呑むリチャード。話を聞いちゃいねえ!
「それよりもリクロウよ、ひとつ提案があるのだが」
「え? なんですか僕どうやって殲滅するか工夫の仕方を考えてて」
「ボールになってほしいのである。いや、なれ!」
「はいはい乱暴にしないでくださいよ……ん???」
 なんかおかしくね? 疑問に思いつつもおとなしくボールになるリクロウ。
 ……ボールになるってなんだ? ユーベルコードは奇跡を起こす力!
「CQCQ、ティアーよ聞こえるか」
『やあみんな! 出番がないかとそわそわしていたよ!』
 通信越しのティアーの声はだいぶうきうきしていた。
『早速始めるとしようか。何を投影すればいい?』
「バスターライフル一丁、である」
『了解だよ。作りは荒いが我慢してくれ!』
 ゴンゴンゴンゴン……見よ、ナイチンゲール号の甲板に現れた砲身を!
 トナカイ(ハーレー)は大きくUターンし、電子悪魔(だむぐるみ)をばらまきながらそちらへ!
 考え込むリクロウ(ボール)をむんずと掴み、砲身へ投擲するリチャード!
『こいつで派手に超・長距離砲撃を食らわせてやるとしようか。
 まあ見ていたまえ、かの帝国が誇った殺戮機械の武装の力をね!』
「あ、あのそれはいいんですけどティアーさん」
『ん?』
「……砲身に異物が入り込んだっていう表示、出てないですか?」
『たしかに。……よし、では初撃、発射だ!』
「撃つんですか!??」
 KA-BOOOOOM!! パトリックのツッコミを無視して主砲発射!
 ところで異物って何かって? 誰かひとり消えているとおもいません?
「ちょっとジョンさんティアーさんリチャードさぎゃあああああああ!?!?」
 そう、リチャードが砲身にホールインワンしたリクロウである!
 ボール状の形になったリクロウは、人間大砲めいてぶっ飛ばされた!
 出迎える鹿! バグらされた探査機群! まだピンピンしてる敵の群れ!
「謀りましたねえええええリチャァアアアアアドさぁあああ(KA-BOOOM!!」
 着弾、爆炎! 宇宙に浮かび上がるサムズアップしたリクロウの笑顔……!
「「無茶しやがって……」」
 熱い涙を拭いながら敬礼するジョンとリチャードであった。
『よし、では次弾装填! まだまだエネルギーはあるからね、どんどんいこう!」
 そこへ降り注ぐティアーの砲撃! リクロウの悲鳴! お構いなし!
 乱痴気騒ぎめいた混沌と、哀れな少年の悲鳴が木霊する戦場。
 だいたいいつもどおりの流れである。悪巧みって誰に対するものだろうねこれ!?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒川・闇慈
「探査機に我々のデータを集めさせる、ということはクエーサービーストにも知能があるということなのでしょうかねえ。興味深いことです。クックック」

【行動】【A】
wizで対抗です。
いちいちデータを送信されて対策を取られては厄介ですし、迅速に突破するといたしましょう。
呪詛、高速詠唱の技能で呪力高励起体に変身し、全速力で飛行して突破を狙います。
行きがけの駄賃として飛行針路に存在している探査機を全力魔法の技能を活用した呪力砲撃で撃墜しましょう。

「データだけではなく、私の呪力も贈って差し上げますよ。どうぞ遠慮なさらずに。クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】


レティス・シェパード
(Bチーム希望、アドリブ・連携可)

ひゅいっ…あ、あれらが…あれで外殻に過ぎないんですか…!?
…怖じ気づいてばかりはいられませんね、宇宙船の方々はもっと不安でしょうし…
お、思ったより元気いっぱいだべ…!

数が数です、押しきられる前に殲滅したいところですね、
【刀身憑依・風刃】の風の刃を攻撃の都度飛ばすのではなく『アストロラーベ』に固定し、なぎ払うことで複数攻撃を狙えるようにします!
障壁を風の刃で破壊したら情報を収集する目の<目潰し>…この場合はアンテナですかね、
通信妨害ととどめを兼ねた落雷、<全力魔法>で一帯に落とさせてもらいます!

船の方々のためにも、突破に向かった仲間のためにも敵は通させません…!


非在・究子
【Bチーム】
さ、最初は、データ収集、ドローン群が、相手、か。
こ、こっちのデータを、取られるのは、なるべく、避けたい、ところだ……ま、まあ、そういうの、妨害するのは、得意な、方だ。
ゆ、UCで、武装外骨格を、呼び出して、砲撃モードに、移行して、船上から、弾幕を、張りつつ、電子戦用、機能を使って、【ハッキング】で相手の、データ送信に、干渉する。
あ、相手は、相手で、セキュリティは、持ってそう、だから、で、データ送信、事態を、妨害、するんじゃ、なくて……そこに、間違って、いたり、矛盾したり、する、データを、混ぜ込んで、データベースを、機能不全に、するように、仕向ける。
ぐちゃぐちゃに、かき混ぜて、やろう。


切崎・舞姫
Aチーム
ふふ…元気なお爺さんたち…だね
でも……少し無謀が過ぎる…かな?
私たちが…しっかり進路を確保して…あげないとね

行くよ紫電一閃
この子たちが…命を持ってるかは…分からないけど……全て斬ってしまおうか

紫電一閃・起動して身体能力向上
宇宙探査機群を切りつけると共に足場として次の機体へ
それを繰り返してどんどん切り刻んでいこう
可能ならテレポートしそうな機体優先にして、なるべく取りこぼしの無いように……


絡み、アドリブ歓迎


ナトゥーア・クラールハイト
【B】

へぇ……。
宇宙ってのは初めて来るけど、こいつはまた綺麗な所だねぇ。
それに、障害物が少ないってのもいいねぇ!
好きなだけ撃てるじゃないか!

さぁ、始めましょう。
先を往く者達の路を開くために。
未来への灯火を消さないために。

術式展開(セット)――
さぁ、遠慮はしないわ。

魔力装填(チャージ)――
存分に味わわせてあげる。

あたしの、魔法の大嵐を!
――臨界突破(ファイア)!
『Galaksias!』


全力魔法による範囲攻撃を浴びせるわ。
更に、高速詠唱で次から次へと連射し、絶え間なく弾幕を張るわよ。
逃げようとも、誘導弾で追いかけて撃ち落としてあげるわ。

さぁ、頑張ってらっしゃい。
先駆けの皆。


ヴァーミリア・ランベリー
 なに? レーザー?
 弱点どーこーの前に、そーゆー飛び道具を使われると、フツーに大変っていうか!
 ステージにモノを投げるのってどうかと思うの!

 なら、相手を倒すのは、他のみんなに任せましょ。
 飛んできた攻撃を捌く方に重点を置く。分担ができるのは、ユニットの強みよね。

 ――あ、よく見たらレーザー光線って、ステージライトみたいじゃない?

意図:B寄り,相手の攻撃に対する防御
UC用途:攻撃を打撃で弾くなど
技能:敵のレーザー等を舞台演出の一環と定義することで〈パフォーマンス〉の文脈に組み込んで、UCのリズムを戦況にアジャスト



●インフレクション・ポイント
 クエーサービースト。それは惑星に等しい規模を有する星の獣。
 無限に変形を続けながら君臨する黄金の躯体は、さながら太陽めいていた。
 マインドミナBVA。意志の存在すら不明の恐るべき星の獣の番人。
 だがわかる。こうして近づいたからこそ猟兵たちははっきりと感じる。
 自分たちオブリビオンの天敵と、人類すべてに対する並々ならぬ憎悪を。
 決して到達させぬという、妄執に等しい敵意を。抹殺の敵意を!
 そして本体のそれを叶えるため、最後の大部隊がナイチンゲール号を襲う。
 宇宙を埋め尽くすかの如き探査機の大群! 砲口が船体を捉えた!
 ZZZZAAAAPPP!!! 光の雨のような、レーザー砲の嵐が降り注ぐ――!

「ちょっと! そーゆー飛び道具ってあり!? フツーに大変なんだけど!?
 ていうかやめなさいよ! ステージにモノを投げるのはマナー違反じゃない!」
 ナイチンゲール号甲板上、ヴァーミリア・ランベリーが悲鳴混じりに叫んだ。
 戦場(ステージ)で歌い踊るのは自分の仕事。邪魔されては敵わない。
 もちろんオブリビオンが、それも無慈悲な鋼の残骸どもが、
 そんな戯言に耳を貸すはずもなく、レーザー砲の雨嵐は増すばかりである!
 それに対抗するかのように、空中にいくつもの魔法陣が生まれる。
 そして魔力の爆裂! レーザーをも呑み込む強烈な光線が相殺していく!
「あっはっは、こりゃ爽快だねぇ! なるほど宇宙ってのはいいもんだ!
 好きなだけ撃てるし景色もいい! 初めてきたけど気に入ったよ!」
 魔法陣から光弾を放ったのは、この呵々大笑する金髪の女である。
 名をナトゥーア・クラールハイト。豪放磊落な人柄に相応しい大規模反撃だ。
 しかし探査機群の攻撃は激しさを増す。ナトゥーアだけでは相殺しきれない!
「オ、オブリビオン必死だな。け、けど、このぐらいの弾幕なら、
 ぼ、ボムを使うまでもない、ぞ。全部、ふ、吹き飛ばしてやろう」
 バーチャルキャラクター、非在・究子がユーベルコードを発動する。
 ゲームの世界からやってきた彼女の力は、ようはゲームデータの具現化だ。
 廃課金で手に入れたSSR衣装――と云う創造物――である強化外骨格を召喚し、
 装着。華奢で小柄な少女は、一瞬で二倍近いサイズの武装少女となった!
 ガシャコン! 戦車の主砲じみた砲身が一気に火を噴く! KA-BOOOM!!

「ひゅいっ!? ちょ、ちょっと荒っぽすぎないですか!?」
 出撃しようとこそこそ船外に出たレティス・シェパードは、
 想像していたよりも凄まじい砲撃戦の勢いに思わず身をすくめた。
 だが、猟兵である自分が怖気づいていては、船の人々を恐怖させてしまう。
 健気なミレなリィドールは己を奮い立たせ臆さず立ち上がった!
『ワッハッハ! ええぞええぞ、船の主砲もぶっ放してしまうんじゃ!』
『無茶言わないでくださいよ! エネルギーが足りませんって!』
『なぁに、足りないぶんは気合でカバーすればええじゃろ!』
『そうじゃそうじゃ! 若いのに無理無理言ってたらいかんぞ? ワハハ!』
(お、思ったより元気いっぱいだべ……!!)
 混線したブリッジの会話(元気な老人どもと困った若艦長)に、面食らった。
 しかし、はたしてどう攻め込んだものか。レーザー砲はまったく止まない。
 レティスには、これほどの砲撃戦を行うような装備はないのである。
「ふふ……お爺さんたちも猟兵のみんなも、とっても元気だね?
 でも、少し無謀が過ぎるし……ここは私が……進路を確保してあげようか」
 そんなレティスの真横でしゃんと背筋を伸ばして立つ少女がひとり。
 かきん、かきんと火花を散らして金属質な足音を鳴らす。
 さもありなん、彼女……切崎・舞姫の両足は生身ではない、刀なのだ。
 無数の妖機刀と一体化したサイボーグ。それが舞姫の本質なのである!
「――行くよ、紫電一閃」
 刃が、拘束具をまとうその体が紫色の光を帯びた、直後!
 舞姫はその名の通り、踊るように飛翔! すさまじい速度で宙(そら)へ!
 相殺されたレーザー砲の間隙を縫うかのごとく飛び、最前線の機体を斬殺!
「ひ、ひえええ……! って、ウ、ウチ、いや私も行かないとっ!」
 美しくすらあるその舞闘に魅入られかけたレティスは、再度気合を入れ、
 杖剣『アストロラーペ』を手に甲板を蹴る。魔力の流れが彼女を後押しした。
 大気なき真空の宇宙に生まれるのは、少女が産み出す風の刃である!
 ケインソードを振るい、舞姫のあとに続くようにして探査機を切断撃墜!
 徐々にだが、敵のレーザー砲攻勢がその勢いを減じていく……!

 そして生まれた僅かな空白を、黒い色つきの風が矢のように貫いた。
 否、それは矢ではない。黒い髪を長く伸ばし、黒衣を纏う不吉な装いの術士。
 陰気な笑みを浮かべ、絶大なる魔力を振るう黒川・闇慈の呪力高励起体である!
 アストラル体に変じたことで、物理法則から解き放たれた闇慈は、
 自ら先陣を切って敵の注意を引きつける。探査機群の砲口が闇慈を狙う!
「クックック、いいんですかねぇ? 私のほうを見ていて」
 DOOOM!! 狙いすましたように甲板上からの砲撃支援! 即席の連携だ!
 迂闊な敵機体群の爆炎を後ろに、闇慈はさらにスピードを上げていく!
 砲撃の届かぬ第二波第三波は、闇慈自身の怨念火砲によって撃墜される!
 KRA-TOOOM……呪詛そのものを魔力でコーティングして球状に固めた砲撃だ。
 いくら敵が強固な障壁を持とうが、データを集積して対策しようが、
 恐るべき魔術師の高速砲撃はそれを凌駕する。さらなる加速!
「我々のデータがほしいのでしょう? であれば見せてあげますよ。
 せっかくですから呪力も贈ってさしあげます。どうぞ遠慮なさらずに」
 クックック、と陰気な笑みを漏らし、駄賃代わりに飛行進路上の敵機を滅殺。
 バラバラとデブリが散り、その破片が連鎖爆発を引き起こす……!

「いい感じだねぇ! こっちもそろそろ派手な一発をかまそうか!」
「な、なら、あ、アタシがあいつらをハッキングして、ば、バグらせる、か」
 砲撃支援を継続しながら、究子は高速ハッキングで敵データに干渉。
 あちらの集めたデータが本体に送られるよりも速く、その論理体を掌握。
 偽装データをノイズめいてばらまき、敵のセンサーを"かき混ぜて"しまう。
 人間で言えば、いきなり頭の中に手を突っ込まれたようなもの。
 狂った機械どもは、ハチドリめいて乱舞しながらレーザーをばらまく!
「あ! ちょっとまって、よく見たらレーザー光線ってステージライトみたいじゃない!?」
「へえ、その考え方はなかったね! ド派手な演出もあったもんだ!」
 からからと笑うナトゥーア、名案とばかりに指を鳴らすヴァーミリア。
 そんなヴァーミリアは、詩のリズムに乗せて猛烈な攻撃を可能とする。
 サウンドソルジャーとしての力と、"これは舞台演出である"という認識定義が噛み合わさった時、ステージ=ナイチンゲール号はその庇護下に置かれた!
 つまりどういうことか? ステージライトが舞台を損なうことはない。
 降り注ぐレーザー砲は、ナイチンゲール号の船体を歪曲して避けてしまうのだ!
 恐るべき"血飛沫の狂詩曲(ブラッディ・ラプソディ)"も、
 この混迷の戦場においては人々を護る希望の歌となるのである!
 ナトゥーアはふっ、と笑みの質を変えた。新たな魔法陣がいくつも花開く。
 術式展開(セット)、魔力装填(チャージ)、完了。
「なら始めましょう。先に征く者たちの路を拓き、未来への灯火を消させぬため。 遠慮はしないわ――存分に味わわせてあげる。あたしの、魔法の大嵐を!」
 すべての魔法陣が、一斉に強く光り輝いた!
「臨界突破(ファイア)――!」
 "Galaksias(ガラクスィアス)"! 30個近い魔法陣が全力砲火をばらまく!
 レーザー砲を飲み込み、敵機群を無数の爆炎に変えて呑み込むのだ!
「あっは! 派手なステージ演出は大歓迎よ! 役割分担がユニットの強みよね!
 そのぶん私が歌って輝いてあげる! 敵も味方も、聞き惚れなさい!」
 甲板を蹴ったヴァーミリアが、砲火を逃れた敵機をリズムに合わせ撃墜!
 それだけではない、敵陣の只中に飛び込んだ舞姫とレティスも同様!
「す、すっげえべ、これが猟兵の全力……! って、ううん、私も!
 吹きすさぶ嵐の力よ、我が刃に宿れ! 負けて……いられないからっ!」
 振り抜いた杖剣に応じるように、雷を孕んだ嵐が宇宙に生まれ荒れ狂う!
 究子のハッキングによりセンサーを狂わされた敵機では、対処不可能!
 その爆炎と嵐を追い風として、残骸を蹴立てて進む舞姫!
「逃さない……命があろうと、なかろうと……すべて、斬ってあげる。
 紫電一閃。あなたの力をもっと頂戴。もっと速く……もっと鋭く……!」
 命を糧にさらなる輝きが躯体を包み、非現実的速度で加速させる。
 はるか先を行っていた魔術師に追いつき、競うように二つの影は前へ。
 前へ。黄金の異形へ。クエーサービーストの下へ!
「このまま、あそこまで駆け抜けてしまいましょう……クックック」
「立ちふさがる物は……何もかも……斬り捨ててしまおうか……」
 斬撃と砲撃が、活路を拓く。無数にいた敵機は一体また一体と数を減らす。
 雷の嵐の目を抜けて、ナイチンゲール号もまた決戦の舞台へと。
「――さあ、頑張りましょうか。皆とともに」
 ナトゥーアは静かに呟いて、ひときわ強力な魔力の爆裂を生み出した。
 かくして猟兵たちの連携により、最後の探査機群もまた完全に撃滅される。
 残る敵はただひとつ――無限変形するクエーサービーストのみ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『クエーサービースト・マインドミナBVA』

POW   :    BVAジェノビック
【無限に変化する外殻が超殺戮形態 】に変形し、自身の【防御力】を代償に、自身の【攻撃力と攻撃速度】を強化する。
SPD   :    BVAエクスタリ
いま戦っている対象に有効な【無限に変化する外殻が変形した殺戮兵器 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    BVAリモーフ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【無限に変化する外殻によって再現し 】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●星の獣
 質量はあらゆる物理法則を捻じ曲げてしまう。
 天体がその巨大さゆえに引力を生み出すように。
 クエーサービーストは、小惑星級のサイズを有する天体生物である。
 そして、敵はオブリビオン。そもそもがこの世の法則の埒外の存在なのだ。
 交戦領域に到達した今、それは遠目に見る以上の威容を以て猟兵たちを睥睨した。

 睥睨、という表現は正しくないかもしれない。
 それに頭部というべき器官は存在せず、言語はおろか意志すらも感じられず、
 ゆえに交渉や意思疎通は完全に不可能なのだから。
 それでも、そこにいた誰もが感じた。
 猟兵はもとより、ナイチンゲール号の人々も、乗り合わせた老人たちも。
「なんじゃ、あいつは……!」
「ワシらを嫌っておるのか?」
「すさまじいプレッシャーじゃ!!」
 艦橋にいてなお、冷や汗を隠しきれないほどの威圧感、そして敵意!
 燃え上がるような殺意と憎悪。天敵と人類に対する和合不可能なまでの害意……!

 ググ、ゴコン……と音を立て、黄金の装甲が変形と生成を始めた。
 さながらそれは、狂気的な執念で汲み上げられた巨大なジグソーパズルめいて、
 ドリルや大砲、果ては電気兵器や破城槌、爆弾、新たなオブリビオンそのものと、
 無数・多種の殺戮兵器を生み出す。これがクエーサービースト!
 この先へ進み、その謎を解き明かすには、異形を打ち砕くことは必定。
 無限変化する黄金の怪物に対し、今ある全ての力を以て挑むべし!

●第一章の結果
 参加者皆様の的確な分担により、敵のデータ集積率は極めて低くなりました。
 これにより、皆さんはかなりの有利を得た状態で戦いに挑むことができます。
 参加者様全員に一定のプレイングボーナスが付与されます。

 また、第一章に参加された方が引き続き第二章にご参加くださる場合、
 第一章にて選択したチーム種別に応じて、以下のような特典が得られます。

『Aチーム』
 クエーサービーストに対する確実な先制攻撃。
『Bチーム』
 クエーサービーストの攻撃をある程度予測し、対応することができる。

 という具合です。プレイングの参考にしていただければと思います。

 さらに、上の断章でちらっと描写したとおり、
 敵の攻撃方法をある程度ご指定頂くことも可能です。
(敵は巨大なドリルを生成するのでこれをもぎ取って逆に利用する、とか。
 第一章のように、他のオブリビオンを外殻が模倣するのでこれを倒す、など)
 場合によっては多少マスタリングを行うかもしれませんが、
 どの属性のUCであってもプレイング上で攻撃方法の指定や希望があれば、
 出来る範囲で拾った上でリプレイにいたします。こちらもご参考まで。
●プレイング受付期間
 【11/1 08:30】から、
 【11/3 12:59】まで。
出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と

異物の混入。カガリの盾は…あの大きさでは、粉砕されて終わりだろう。
前の時は…まるが、槍として
ならば、今回はカガリ自身が壁として、止めてみよう
…ちょっとだけ怖くはあるが

…まるが、中へ。共に、いてくれるのか。
ああ、ああ。それなら、怖くない。
まるがいるのに、壊れられない

敵が変形を始めたら、要となる部品の噛み合わせか隙間部分に【しろ】で急行(ダッシュ)
変形を押し戻し、場を維持するため真の姿へ(怪力、拠点防御、オーラ防御)
【籠絡の鉄柵】でまるが侵入する空間を確保したら【駕砲城壁】
それが、脅威である限り。カガリの意志が、砕けぬ限り。
カガリは、ここに『建つ』!(【不落の傷跡】)


マレーク・グランシャール
【壁槍】カガリ(f04556)と

敵はこちらに合わせて外殻を無限に変化させてくる
だが外側を強化しても中はどうだろうな
外殻を変化させている途中に異物を投入して中で爆破させたらどうだろう?

……なるほど、俺達自身が異物になる訳か
その賭に乗ろう
埒外の相手には正攻法で挑むより博打を打った方がいい

カガリが駕砲城壁で無敵化したら俺も共に外殻を統合し巨大兵器に変化中の中へ飛び込む
頼んだぞカガリ、ぎりぎりまで堪えてくれ
押し潰される前に【雷槍鉄槌】で内側から外殻兵器を破壊しよう

狙いは外殻を破壊して減らすだけではない
防御力の下がったところを内側から破壊されると学習させることで同じタイプの兵器を作らせないことだ



●嵐の最中へ
 敵は……マインドミナBVAは、その黄金の外殻を無限に変形させる。
 巨大さも相まって、外殻の堅牢さはいかなるオブリビオンをも越えるだろう。
(ならば、その中は――変形中2異物を混入させ、爆破させたらどうだろうか)
 マインドミナBVAとの交戦距離到達までの僅かな間の作戦会議中、
 マレーク・グランシャールはぽつりとそう言った。
(異物の混入、か。だがカガリの盾は、あの大きさでは耐えられないぞ)
 出水宮・カガリは、マレークの言葉に対し頭を振った。
 堅牢さにおいて、カガリはおそらく猟兵の中でもトップクラスに位置する。
 なにせ彼は城壁のヤドリガミ。此方と彼方を分かつ門にして扉たるモノ。
 自負もある――否、だからこそ無理なことは無理だとわかるのだ。
(何を言っている、カガリ)
 マレークは、半身である相棒の瞳をじっと見つめた。
(俺はお前とともにある。どのような場所であろうと、必ずそばにいる)
 あれほどの巨大な怪物に自ら飛び込む。それはまさに嵐に飛び込むようなもの。
 分の悪い駆けにもほどがある。しかし、ならばこそリターンは大きい。
(……まるが、中へ。ともに居てくれるのか)
 カガリは呆然とした様子で呟いてから、ふと微笑んだ。
(ああ――ああ。それなら、怖くない)
 マレークがいてくれるなら、己が砕けて割れることなどありえない。
 ……壊れることなど、あってはならない。そんなふうでは、いられない。
 それを信頼と呼ぶべきか重責と呼ぶべきか、余人にとっては難しいだろう。
 ただ彼らにとっては、間違いなくそれは"絆"と呼ぶべきものだった。

 ……そして、マインドミナBVA近傍宙域!
 その存在と質量ゆえに、重力すらも歪ませるほどの圧迫感を前に、二人は征く。
 ギギ、ゴゴゴン……黄金の外殻は音を立てて切り替わる。巨大歯車めいて。
 他の猟兵たちもまた、この災禍の如き巨大質量へと矢のようにまっすぐと挑む。
 その最前線を務めるのがふたりだ。宇宙白馬が滑らかに暗黒を蹴る!
「行くぞ、まる! 準備はいいな?」
「いつでも問題ない。カガリ、お前がそばにいる」
 ふたりは視線をかわして頷き合い、さらに速度を上げた。変形が加速する!
 目指す先は一点。歯車同士の摩擦点――つまりは変形外殻の"隙間"である。
 あまりにも積層化した外殻は、曼荼羅のように機械で狂気的に噛み合っている。
 立体的迷路とでも言うべき超構造、まず隙間を捉えるだけでも難題だ。
 それ以上に求められるのは、"必ず突き進む"という決意と恐怖を払う意志だ。
 一瞬でも臆すれば、その巨体に押し潰されて粉砕は必至!
「それ以上、姿を変えさせはしないぞ!」
 カガリは決意とともにその真の姿を解き放ち、巨大質量の要へと飛び込んだ。
 ギギギ、ゴゴゴン……頭上からゆっくりと、確実に落ちてくる黄金外殻!
「ぐ、ぬううう……ッ!!」
 ガギンッ!! 城壁がぶつかり合い、めきめきと音を立てて軋む!
 カガリは己の骨が、存在そのものがへし折れ、砕ける姿を幻視した。
 ……幻だ。恐怖がもたらすあり得ぬ未来だ。己はいま、ひとりではないのだ!
「頼んだぞカガリ……ギリギリまで堪えてくれ」
 ひとり"しろ"の馬上に残ったマレークは、白馬の足を加速させた。
 カガリが命懸けで生み出した余剰空間。そこが彼の通るべき針の穴だ!
 全方位から響く異音を無視する。カガリならば必ず耐えられるのだと信じて。
 ユーベルコードの力、ヤドリガミとしての力、真の姿が持つ壁としての力。
 その全てを振り絞り、あまりにも比の大きすぎる巨大質量の圧力を――耐える!
 めき、めきめきめき……! 心なしか、外殻のもたらす圧力が増している。
 まるでそれは、クエーサービーストが異物の抵抗を疎んでいるかのように。
 愚かな小者を押し潰すかのように、カガリを責め苛む。だが!
『それが、脅威である限り』
 しろとマレークが到達。ばちばちと音を立てて雷が解放される。
『カガリの意志が! 砕けぬ限り!!』
 それは龍の暴威。いかなる城も国をも吹き飛ばす悪竜のもたらす吐息。
『カガリは――!』
「……破壊は再生の必然なれば」
 この槍を三位一体と成し、龍・魔・神の相反する三属をここに降ろさん。
 すなわち神なる龍の、魔をも打ち砕く一撃。これこそは星を堕とす剛槍なり。
『――ここに、"建つ"……ッ!!』
 それはクエーサービーストに比すれば、あまりにも矮小で縮こましい。
 されど見よ。黄金外殻を押しのけ、城塞空間はそこに"確定"された!
 そしてまた同時に、マレークが喚び出した雷もまた最高潮を迎える!
「神龍の鉄槌、雷霆をも打ち砕く剛槍よ。今ここに――堕ちろ」
 KRA-TOOOOOOOOOOOM!!!!!
 黄金の外殻よりもなおまばゆく、気高き神の稲妻が星を穿った!
 外殻の守りをくぐり抜けたその一撃は、蜘蛛の巣めいて広がり波濤をもたらす!
 星が、揺らぐ。星の獣が、たしかに痛手を負ってぐらついた。
「カガリ――!」
 限界を超えたカガリが人の姿に戻り、ふらりと宙を舞った。
 戻ってきたしろの手綱を掴み、マレークは彼の手を掴んで体をさらう。
 宇宙をも揺るがす稲妻は、星の獣の体内で撹拌し反響し轟く――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
およ?あれが本命っぽい?
んー、あれはやる気だね。
ますます楽しくなってきたっぽーい!
さて、まずは現状を確認っと。
強化され巨大化した傘を保持。
限界まで加速された状態。
敵の迎撃準備は万全ではない。
ふむ…これはやるしかないじゃない!
このまま、いや、更に加速させて傘を突っ込ませるのです。
<骸晶>の崩壊が始まるまで魔力を増幅。
その魔力を魔杖から傘へ注ぎ、推力へと変換。
同時に<黑鐵>の重力制御器官を部分展開。
ギリギリまで生命力を注いで魔剣を射出するのですよ。
魔剣は魔杖となり、傘と繋がっている。
つまり…この強大な傘が射出されるってことなのです。
秘伝忍法<流>が崩し、ってね。
まぁ、これ以上戦えないわけですが。



●一撃にすべてを賭けて
 それは、遠くから見ればまさに流星のように尾を引いていた。
 露木・鬼燈が作り出した、巨大な傘のような突撃槍のようなフォルム。
 探査機を振り払い、ナイチンゲール号でも追いつけないほどの高みに至る速度。
 それを可能としたのは、ひとえに鬼燈の一意専心に他なるまい。
 彼方に浮かぶ敵――すなわち黄金異形外殻マインドミナBVAは、
 明らかに猟兵たちに対する備えが十分には出来ていなかった。
(あれは本気だね。けど、大きすぎるのが災いしたっぽい、かな?)
 クエーサービーストは星の獣。その巨大さは強さであり彼奴の射程。
 だからこそ――と、評するのはあまりにも不遜だが――彼奴の大攻撃には、
 ある一定の時間とそれだけのコストを要求されるわけだ。
 一言で言えば、敵の迎撃行動は、そのための情報の蓄積も含め、
 猟兵たちを近づかれる前に一網打尽に出来るほどには整っていない。
「ますます楽しくなってきたっぽい! さあ、勝負といこうか!」
 鬼燈は、他の誰かと協調するだとか、どう攻めるかを思案したりはしなかった。
 採った選択肢はただひとつ。すなわち、突破続行――否、さらなる加速!
 ――これは、死ぬかもしれないな。
 一流の化身忍者をして、脳裏にそんな思いをよぎらせる選択肢である。
 如何に対策が不十分であれど、敵はあれほどの威容を誇る異形。
 もしかしたら、自分が知らない恐るべき何かを秘めているかもしれない。
 制御を誤ればそれも死。求めただけの破壊力に達せられなければそれも死。
 だからこそいい。賭けとは、その結果がわからないからこそ意味がある。
 接続した魔杖を通じて、破城槌めいた"傘"に魔力を注ぎ込む。
 己の鎧装が崩壊しかけるほどに魔力を増幅し、さらなる推力を得る。
 音を超え、大気圏上では衰滅焼尽必至の速度へと躊躇なく飛び込む。
 薪となるのはその生命。これもまた、加減を誤れば死、である。
 スピードを落とせば、やはり死ぬ。辿り着けなくても、当然のように死ぬ!
「さあ、クエーサービースト! 僕と勝負するっぽい!
 これぞ秘伝忍法〈流〉が崩し――ここまで運んできた一撃! 喰らうです!」
 KRAAAAAAAAAAAAASH!! そして最高潮に達した瞬間、"傘"が放射された。
 多段加速ロケットめいた切り離し! 槍の穂先が異形めがけ飛んでいく!
 反動で鬼燈の体は全身がばらばらになりそうな衝撃に打たれ、宙に踊る。
 だが、彼は確かに見た。
 流星をも超えた破滅の光が、異形に食い込み黄金よりもまばゆく輝くのを。
「――はは」
 その一撃が、たしかに無敵の黄金の外殻を、砕いて爆ぜさせた瞬間を!

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
ナイチンゲール号に搭乗し【精霊さん応援団】発動
機材を借りて戦場全体へ自身と精霊さんたちの姿と声を投影し、応援して味方を「鼓舞」する
敵は単体かつこれは攻撃ではない故に、再現は無意味かつ不可能なはず



たしかに、あいつはとんでもない大きさだし、強敵だと思うんだよ。
でも、この宇宙っていう大海原の前では、単なる一生命体に過ぎない。
わたしたちと、同じ。
違うのはスケールだけ。

かつて地球の海で、猟兵でもない生身の人が巨大なクジラを狩っていたように。
知恵と勇気があれば、スケールの差なんてひっくり返せるんだよ。

だから、勝てない戦いじゃない……ううん、きっと勝てる!
今こそ人類の底力、見せつけてやる時なんだよっ!


ルンバ・ダイソン
【元Bチーム】
戦艦の甲板の上に立つ。
分かってはいたがなんという巨大さだ......。だがこの戦艦は墜とさせんぞ。どんな攻撃で来ようが、全て撃墜してみせる!
あのクエーサービースト......攻撃形態に変化しているときは防御力が低下するようだな。そこを狙って俺の最強の一撃をぶつけてやる!
パトリック艦長、エネルギーを俺に回せ!ありったけのエネルギーを奴に叩きつける!
食らえ!プラズマクラスターキャノン!


蒼焔・赫煌
可愛いボクは知っています
機械は……電気に、弱いっっ!!
中身まできっちり変形しているのなら弱点だって同じ筈だよね!

狙って、狙ってー……乱れ撃つ!!
機械に変形している外殻に、【怪力】で思いっきり引き絞った弓から雷のオマケ付きの矢をどんどん撃ちこんでいくよ!【属性攻撃】

なんとなくここが特に効きそうな気がする!
【野生の勘】と【第六感】でびびっとキタ場所から狙ってくよー!

変形した外殻が攻撃するよりも先に全部叩き落とすくらいの【気合い】と勢いで先制攻撃!
これが可愛いボクの正義の味方パワーだーーーー!!

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
【Aチーム】

さあ、いよいよ本番だね。
それじゃあいっちょどデカい花火を上げてみますか…ん?
なんだ?カブなのにABS?変なの。
なんか押してほしそうにしているし……ポチっとな。

……は?疑似次元転移機構緊急発動?
AntiBeastSequence承認?
いやアタシそんなの承認した憶え……
さっきのポチッ、かー!?

座標指定!?空間相対座標!?
なんかヤバそうな単語がずらずら並んでるんだけど!?
仕方ねぇ座標は外殻のちょっと内側!
取り付いてる猟兵がいない辺り!
それでもどれだけの威力になるか分からねぇなコレ!?

オープンチャンネルで警告を発する!
『次元崩壊が起きるよ、周囲から離れろっ!!』


アンコ・パッフェルベル
先制の一手…あんまり高火力だと連携し辛いです。
でも折角の機会は活かしたい…となれば。

虚空を裂く黎明剣。喚び出すは…
「御機嫌よう。わたくしの出番となれば」
はい、デカブツです。「まあ❤」
次元の顎に跨るお嬢様口調なUDCアースの魔神、
貪魔ムセイオン。(宿敵のでかい方)
自身のオブリビオン体を用いてまで貪欲に体験を求める彼女の力。
その一つが最大値依存型割合ダメージを与える侵食結晶。
複製し念力で操作するそれで攻撃して頂くです。

何個か喰らった段階で外殻をデコイにしたり探査機で撃ち落としにかかるかもです。だから私が体を張る。
鞘スラスター+宇宙服の推進力でそれらを斬りに行くです。
武器・盾受けを駆使し、粘り強く。


蔵座・国臣
文字通り、一撃離脱

“超殺戮形態”の時。
且つ、他猟兵の攻撃直後のタイミング。
防御の落ちた時に、傷ついた場所に追撃を叩き込む。

ユーベルコード“緊急車両が通ります”を用いて。対象猟兵の元に転移。
即座に“過剰投薬&超過出力&限超駆動”を発動。
クェーサービーストの武器の破片なり何かあれば、それを利用、無ければ、鉄拳。
宇宙バイク鉄彦で以て接近。限界以上の全力で一撃叩き込む。


後、反撃が行われる前に、後衛まで転移し、自身の強化状態を解除。他の猟兵の様子を確認し、負傷の多い者を連れてナイチンゲール号まで転移する。

自身に搭載された治癒機能は反動で使えんが、ナイチンゲール号の設備であれば医務室で十分働けるだろう。


塔佐・弌
【Bチーム】
これは……デカイ!なるほど外殻をなにかに利用しようとするのもわかるね。

それに常に変化し続けている……?(スンと鼻を動かし)……火薬の匂いがするね。……爆弾かな。
切り離される前に引火させて爆破すれば巻き込めるかな?かなりの質量がありそうだしやって見る価値はあるかもね。

……よし!【灯台躑躅】を【誘導弾】【スナイパー】で爆弾部分を狙い撃ちだ!
どんどん生み出せばいいよ!火の神相手に火薬持ち込んだことを後悔させてあげる!

君に火迺要慎は必要ないね。尽く燃やす!此度の炎は産の炎じゃない!終の炎と識れ!

【連携・アドリブ・絡み歓迎】



●小夜啼鳥(ナイチンゲール)号とともに
「分かってはいたが、なんという巨大さだ……!!」
 最前線へと勇ましく飛行するナイチンゲール号の甲板上に屹立する機影。
 パンダロボとでもいうべきファンシーな見た目のウォーマシン、
 ルンバ・ダイソンは敵――クエーサービーストの巨大さに、改めて唸った。
 近づけば近づくほどに、ぼんやりとしていた脅威は実像となってのしかかる。
 そして船が前に進むということは、それだけ敵の攻撃を浴びるも同じこと。
 先行した猟兵たちによる苛烈な先制攻撃が黄金外殻を打ちのめしているものの、
 それだけで陥とせるならば、銀河帝国が手をこまねいていたはずもないのだ!
「だが、この艦は堕とさせんぞ。何が来ようとすべて防いでみせる!」
『命を預けます! こうなった以上は、僕らも後ろで見ているわけには……!』
 艦長パトリックは、ルンバの言葉にせめて通信越しに覚悟を見せた。
 そして彼らとて、けして物見遊山や勇み足でここまで前に出たわけではない。
「ここまで近づけば、あなたのおっしゃっていた条件に合致するでしょうか?」
 艦橋。振り返ったパトリックに対し、ひとりの巫女服姿の少女が頷いた。
「はいっ! 大丈夫です。精霊さんたちと皆さんの力を借りれば、いけます!」
 どうやら荒谷・ひかるには、何か秘策があるらしい。
 そのためには、ナイチンゲール号の一定の機材と設備、
 そして何よりも交戦領域に足を踏み込むという前提が不可欠だった。
 実現すれば、この戦いに参加するすべての猟兵を支援できるのだという。
 ひかるは、パトリックの目をじっと見つめ、こう言った。
「あいつはとんでもない大きさだし、恐ろしい強敵だとも思うんです。
 けど――この宇宙っていう大海原の前では、単なる一生命体に過ぎません」
 ならば、抗う術はある。己らもまた、この宇宙に挑むひとつの生命。
 巨視的に見れば同じいのちだ。スケールの違いは意気で埋めればいい、と!

 一方、ナイチンゲール号から先発した、数多の猟兵たちの中には!
「この先制攻撃の好機――最大限に利用しないともったいないですっ!
 けど、あんまり大火力の攻撃をぶちまけたら、逆に困るですね……」
 神話生物バイアクヘーに乗って飛来したアンコ・パッフェルベルは、
 半ば周囲から切り離された時間の中で、口元に手を当てて高速思考した。
 クエーサービーストを一撃で消滅させられるような術式はさすがにないものの、
 甚大なダメージを与えられる(と思しき)攻撃手段は、ないわけではない。
 しかし、ここでは猟兵同士の連携が物を言う。威力の加算ではなく乗算……。
 それを可能とするためには、あえて威力を落とすことも重要なのだ。
 猟兵は群れで戦う生き物。それが、アンコの持論であり口癖である。
 この速度の中、同じ先発隊といちいちコンタクトを採っている時間はない。
 であれば――アンコの明晰な頭脳が弾き出した結論は、ひとつ。
「出番ですよ、魔神姉妹の片割れよっ!」
 口訣めいて叫ぶとともに、黎明剣・シルバーバレットで虚空を切り裂いた。
 すると次元に生まれた裂け目の外側から、艶やかな肢体を思わせるシルエット。
 それは、本来アンコが意図したモノ――すなわちオブリビオンであり、
 この世界とは異なる場所に降臨・跋扈する貪る魔そのものとは言いがたい。
 喩えるならば、かの魔神が持つ力、形質、概念……それを引っ張り出したモノ。
「あなたの獲物に最適のデカブツです。お願いしますですよ!」
 艶めかしい夢魔のようなシルエットの"ちから"の塊は、異形を見やった。
 パキパキパキ――と音を立てて、無から生成されるのは恐るべき侵食結晶。
 物体そのものを脅かし、いかなるものであれ喰らう恐るべき嵐の先触れだ!
 単純な破壊力ではなく、『物体を侵食し結晶化する』というその特性は、
 まさにクエーサービーストにとって特攻とでもいうべき効果をもたらした。
 いくら外殻を変形させ変化させようが、それは物質という枷に縛られている。
 どれほど強靭な盾であろうと、ドリルのような恐るべき矛であろうが、
 吹きすさぶ嵐の如き念力結晶総攻撃は侵食し変質させ貪ってしまうのだから!

「! これは……また変化を始めたのか? 本当に厄介だね……!」
 そこでクエーサービーストの新たな変形に最初に気づいたのは、塔佐・弌だ。
 エーテルの変化を、旧き炎の神としての特性が感知したのであろう。
 彼女はそれを"におい"と捉えた。鼻の奥につんとくる、火薬めいた匂い。
「外殻を切り離して、ボクらを吹き飛ばすつもり? させないよ!」
 見よ。その左腕を覆う篭手を外す。現れたのは燃え盛る地獄の炎そのもの。
 ブレイズキャリバーの証。欠損された腕を代替する、彼女の裡に燃える炎。
 枷を外されたそれは、たちまち油を飲み込んだ灯火のように熱を吹き上げた。
 遠くから見れば、まるでそれは地面の裂け目から噴き出すマグマめくだろう。
「昼夜に――いや、ここは宇宙だから、さながら銀河に輝く満天星、かな!
 見ていくといいよ! 星の獣をも飲み込み灼き尽くす、神の炎というものを!」
 ゴオオオウ……猛々しき天上の炉のように荒れる炎が、飛礫となった!
 切り離された外殻を、灼熱の火炎弾で撃墜し誘爆させようというわけだ!
 そして方法は違えど、外殻を迎撃――正しくは変形の瞬間に狙撃――することを考えたのは、弌だけではなかった。
 彼女からはるか先、ナイチンゲール号を発っていた蒼焔・赫煌である。
 燃える火輪を足に履き、神話の神仙めいて宇宙を駆ける一筋の煌き。
 蒼い髪をなびかせて、少女が構えるのはすさまじく巨大な黒塗りの強弓だ!
「ふっふっふ、可愛いボクは知ってるよ――クエーサービースト、お前の弱点!」
 ぎりぎりぎりぎり、と大弓の弦を力強く引きながら、赫煌は不敵に笑う。
 一体、彼女は何を看破したというのか? その口ぶりは早速怪しいが、さて。
「機械は――電気に! 弱いっっ!!」
 な、ナムアミダブツ。それは事実だがあっているようであっていない!
 たしかに外殻の一部は、防御強度を上げるために複雑な機械に変形している。
 が、いくらなんでもざっくばらんすぎる! 弱点とは一体!?
「中身までも完全に変形する、その完璧さが仇となったのを悔やみなさいっ!
 正義の味方の力は、そんなモノなんて派手にぶち抜いてやるんだから……!」
 バチバチバチ――強弓が、それを引く赫煌の両手が、そして射掛けられた矢が。
 火花を散らし、雷光を纏い、解放の瞬間を待ちわびて荒れ狂う。
 これなるは"雷夜啼鳥ヌエ"。暗雲をもたらし稲妻を降らせる神威の大弓。
 轟音とともに放たれた雷矢は、無数となりて敵を貫き縛りつける。
 星の獣よ、虎鶫の声を恐れるがいい。燃え盛る炎と雷を恐れるがいい!
「全部! 叩き落としてやる! いっけぇーっ!!」
「――尽く燃やす! 此度の炎は産の焔に非ず、終の炎と識れっ!!」
 雷と、炎! 矢と弾丸! 神と人! 互いに異なれど意志はともに同じ!
 すなわち、敵の意図を、備えを、搦手を貫き撃滅せんとする必殺の決意!
 赫煌の矢が、弌の炎の弾丸が! 火薬生成された巨大な外殻の破片、
 あるいは機構化された敵の防備を貫通し――爆裂させ、稲妻と火燐を散らす!

 そして見よ。爆炎が渦巻く最前線の中を、飛び石を渡るように連続転移する男。
 彼の名は蔵座・国臣。ナイチンゲール号の医務室を飛び出したサイボーグだ。
 国臣はただ前を目指す。少しでも先発隊に追いつけるよう全力で。
「負傷した者はいるか! 無理はするな、この戦いは長期になるぞ!」
 それぞれの攻撃を繰り出す猟兵たちに呼びかけながら、また猟兵を伝手に転移、転移、転移。
 愛機のエンジンが唸りを上げ、心身に負荷をかける連続テレポートを行う。
 狙いはふたつ。ひとつは、負傷した猟兵を確保し後方へと安全に下がらせるため。
 そしてもうひとつは――彼自身が、強烈な多段攻撃を仕掛けるためだ。
(あの強固な外殻は、私ひとりの力では貫けまい。隙を穿つしかない――)
 それはすなわち、この高速・かつ激烈な戦場の中で連携を行うということ。
 並大抵の作業ではない。一瞬でもタイミングを誤れば、ミイラ取りがミイラになる。
 味方の攻撃直後に追撃を仕掛ける、というのは、つまりそういうことだ。
 だが、成功すれば、穿たれた傷は激甚たる"損傷"となるだろう!
『派手にやる気だね!? だったら合わせようか!』
 その時。国臣の特殊宇宙服に、勝ち気そうな女の声が流れ込んできた。
 サイボーグである国臣のサイバネ網膜は、その声の主をスピードの中で捉えた。
 数宮・多喜。愛機である宇宙カブにまたがり、にやりと不敵に笑う。
『ちょいとこれから、ド派手な花火をあげるつもりだからね!
 ……っていうかもうちょっと正確に言うと、"多分そうなる"んだけどさ!』
『多分? どういうことだ?』
『アタシにもよくわかんないんだよ! なんかボタンがあったから押したんだ!
 そしたらこの、これ、ヤバそうな単語がずらずら出てきてどうしようかって!』
 待て、それって花火っていうか、核爆弾かなんかじゃないか?
 国臣はやや不安になったが、あの口ぶりからだと多喜はもう引き金を引いたのだろう。
 そして――その推測は正しい。なにせ彼女は無駄に思い切りがいい。
 宇宙カブに秘められていた謎めいたシステム、"疑似次元転移機構"が起動。
 彼女が睨む液晶には、『Anti-Beast-Sequence』の無機質なアラート文字!
 よもや、クエーサービーストに対する何かしらの機構? 訝しむ間はなし!
「空間相対座標指定……ああそうか、これ次元崩壊を起こすヤツだね!?」
『待て、それは――』
「ごめん、もう押したあとだよ! 次元崩壊が起きるよ、誰か居たら離れろ!!」
 念の為猟兵がいない箇所を狙ったものの、多喜は周囲に叫んだ。
 直後――ZZZZZTTTTT……!! 黒点の如き"歪み"が座標に出現、そして崩壊!
 生成された亜空間そのものが、次元ごと包囲する概念兵器の炸裂だ。
 乱れた重力の渦が、外殻をひしゃげさせ虚空へと呑み込んでいく……!
「――ええい、好機は好機か。リミット解除……行くぞッ!」
 国臣は即座に覚悟を決めた。そして自身のリミッターを瞬時に解除。
 体内に増設された投薬シリンダがスライドし、戦闘用麻薬を打ち込む。
 ドクン、と心臓が脈打った。人工筋肉が爆ぜそうなほど膨れ上がり血管が軋む。
 視界が赤く染まる。主観的時間流が極度にスロー化――極限集中の証左!
 過剰投薬(オーバー)、
 超過出力(オーバー)、
 限超駆動(オーバー)! 狙いは唯一つ、大きく開かれた外殻の"間口"!
 次元崩壊によって引き裂かれたそれは、さながら猛獣の顎の如し。
 接近した猟兵を飲み込まんとする超殺戮形態の証。そこへ! 飛び込む!!
「オオオオオオ……ッ!!」
 KRAAAAAAASH!! 己そのものを鏃と化し、爆ぜた外殻破片を掴み取ると、
 暗黒めいた外殻の奥へそれを突き刺し、スピードを載せて思い切りねじる!
 巨獣が、揺れた。体内に穿たれた巨大質量のダメージと、明らかな怒りに!
(これだけの攻撃を受けて、反撃を仕掛けるつもりか……させんッ!)
 加速! 周囲の小規模次元崩壊にも厭わずさらに質量をねじ込む!
 だが敵の変形は加速……新たな外殻兵器を生まんとしているではないか!

 そして、その時である。
 数多の猟兵たちは見た。宇宙に投影された少女と、それを取り巻く精霊の姿を。
 それを映し出す船――すなわち、ナイチンゲール号の機影を!
『あいつとわたしたちの違いはひとつだけ、それはスケールの違い……!
 クエーサービーストは、巨(おお)きくてとっても強いです、けど!』
 少女は精霊たちとともに呼びかける。それをさせじと星の獣は震えた。
 迎撃する雷の矢と炎の弾丸よりもなお多く、船を落とそうと兵器を産んだ。
 侵食の嵐にも抗い、身を挺してそれを防ごうとするアンコの抵抗をも圧そうと。
 その暴威はナイチンゲール号にも向けられる。その時、ルンバの目が光った。
「パトリック艦長、できるだけのエネルギーを俺に回せ! 迎撃する!」
『了解しました! ――タイミング預けます、いつでもどうぞ!』
 コアマシンから供給されたエネルギーが、その鋼の体に満ちる。
「少女が勇気を振り絞って鼓舞しようというのだ、人々が道を拓こうとしている!
 無粋な真似はやめろ、クエーサービースト――喰らえ! この一撃をッ!!」
 右腕の銃口が、極星の如き輝きを孕む。危険な荷電粒子砲の光だ。
『かつて地球の海で、猟兵でもない生身の人が巨大なクジラを狩っていたように。
 知恵と勇気があれば、そんなスケールの差なんてきっとひっくり返せるはず!』
 ゆえに、とひかると精霊は言う。けして諦めることなく抗い続けよと。
 一撃で敵を仕留めるのは硬く、猛攻を越えるさらなる反撃が来よう。
 それをも越える一撃を。一撃で足りぬなら十の連携を。途切れずに撃てと。
 それは、猟兵だけではない。人類すべてに対する鼓舞でもあった。
『だから、勝てない戦いじゃない――ううん、きっと勝てる!』
 今こそ、人類の底力を見せつけてやる時なのだと呼びかける!
「そのとおりです……! 猟兵は群れで戦う生き物、ですからねっ!」
 アンコは不敵に笑い、生成されるオブリビオン群を薙ぎ払う。
「人類の? ううん、可愛いボクの正義の味方パワーだーーーーっ!!」
 赫煌は、さらなる稲妻を呼ばい矢を放つ!
「獣に火迺要慎――火の神を相手にしたこと、後悔させてあげる!」
 弌の生み出す炎が、さらに神々しく力強く燃え上がる!
「こりゃおかわりいっちまうかい? まだまだいけるからねぇ!」
 多喜は猛攻をかいくぐりながら、鮫のように笑った。
「――ああ、そうだ。人類はこの程度では敗けんぞ、獣よ……!」
 そして全力を振り絞った国臣が、ナイチンゲール号の甲板に転移、着地。
 それを見届けたあと、ルンバは――砲撃のトリガを引いた!
 光芒の弩が、放たれる。獣を滅ぼさんとする一矢が、輝きとともに迸る!
 猛攻をも飲み込み劈くその荷電粒子の輝きは、人類の意地そのもの。
 獣を滅ぼさんとする、人々と猟兵の決意と覚悟の篝火に他ならないのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
おー、でたでた。さいしょに見せてもらったやつ。
はは、肥満の大仏みてえ。
うん、先制できるっぽい? ならしよう。

サイバーアイでよぉく見て、やばそうなとこを【等価交換】で水素に変えて、そこめがけてアサルトウェポンでばぁん。
はーははぁ。とうぜん爆発するよなあ。

本当はぜーんぶ一気に変えてやりたいけど、それはまあむりだからさ。でかいもんな。ちょっとずつ削っていこうか。虫歯治療みたいにさ。
あはははははは。だいじょうぶ、あんたがどれだけえぐれてもおれは痛くないよ。

まあアヘンとかケーケンとかでだいぶなまってんだけど。
だからいざとなったらおれの体を爆発物に等価交換して自爆しよう。
ひとのためなら、いたくないのさ。



●獣を苛む咎
 クエーサービーストに、意志と呼ぶべきモノがあるかはわからない。
 だがもしも、言語化出来る知能と知性があるのだとすれば、
 きっとヤツは――マインドミナBVAは、こんな風に考えていたはずだ。

 "なんだ、この脆弱で矮小で、そのくせ執拗で諦めの悪い連中は"。

 "なぜ、あの雲霞の如き群れを乗り越えて、我に挑んできたのか?"。

 "どうして、まだ死んでいない。なぜ、我が外殻を砕いてこじ開けている"。

 "なぜ。どうして。あり得ぬ。星の獣たる我を、本気で滅ぼすつもりなのか?"。

 ……と。きっとその威容と同じく、精神もまた傲岸不遜であろうから。
 無論、これは比喩だ。クエーサービーストが生物なのかどうかは怪しく、
 ゆえに交歓・交信の可能性は絶無。そもそもが人類撃滅の摂理を持つ獣である。
 和合は不可能。理解は不可能。それは天災に神の意図を見出すが如き愚行。

 だが同様に、今、もしも獣に言葉を表すだけの知性と理性があったならば。
 ヤツは、こう考えていただろう。

 "痛い。苦しい。矮小で脆弱な人間が、我が体を寸刻みで滅ぼそうとしている"。

 "殺せぬ。小さく弱きモノを、なぜだ。なぜ我が苦しめられている。どうして"。

 ……と。

 その答えは、すなわち、茜崎・トヲルの拷問じみた攻撃が原因だ。
「はは、肥満の大仏みてえ。無駄にでかくて、ギリギリやかましくて、邪魔だな」
 サイバネ強化した眼を細めて、半獣の男は微睡むように嗤った。
 その視線を通じ、もたらされるものは"等価交換"の法則である。
 およそ合計38立方メートル。超巨体からすればあまりにか細い規模。
 されどトヲルのユーベルコードは、ただの疑似物質生成ではない。
 同じだけの重さのもの――すなわち同等の質量を、犠牲とすることができる。
 等価交換。それは、対象となるモノの意志に一切依存しない。
 トヲルが"そうする"と決め、見つめ、念じれば、そうなってしまうのだ。
 強固なる殺戮外殻であろうが、恐るべき殺害兵器であろうが、
 それと同じ質量を持つものに、自由自在に"置き換えられて"しまうのだ。
 そしてこの時トヲルが選んだのは、水素である。その燃焼性は説明不要だろう。
「ばぁん」
 アサルトウェポンのトリガを引く――BOOOM!! すさまじい爆発!
「はーははぁ。ま、とうぜん爆発するよなぁ」
 それはまるで、虫の羽をもいでもがくさまを見る子供のよう。
 無邪気、というやつだ。邪悪、残酷と呼ぶにはあまりにも無機質。
 虫歯治療のように作業的で、笑っていながらして楽しんでいる様子はない。
 およそ死というものから見放されて久しい呪いのキマイラにとって、
 星の獣が感じているであろう苦痛など、他山の石どころの話ではない。
 死をかけらも恐れず、嵐渦巻く戦域を進んで星の獣へと近づく。
 殺戮の兵器が鎌首をもたげようと、へらへらと笑ったまま迎え入れる。
「あははははは。なあ、痛いかい? あいにくおれは痛くないんだなあ」
 殺意に先鋭化されたドリルめいた外殻が、トヲルの身を穿とうとした。
 そして、そうなる。その時、トヲルは自らの体に人差し指をぴたりと当てていた。
「ひとのためなら、痛くないのさ」
 そして男は――己の体そのものを、炸薬として爆ぜさせた。
 それはまるで、愚か者の献身のようでもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
【POW】【第一章はA】
ハハハ、良い的だ。

オド(オーラ防御)を活性化して飛行状態。(空中浮遊×念動力×空中戦)

超巨大な魔法陣を虚空に構築。
其処から放たれる魔力の質量弾で超殺戮形態に変化した外殻ごと砕き貫く。
(アララトの流星×範囲攻撃×鎧砕き×串刺し×全力魔法)

敵の攻撃は直感で回避。(第六感×見切り)

ふむ。将来的には資源として乱獲されそうな感じがするね。

アドリブ歓迎


ゼイル・パックルード
クク、猟兵だけじゃなく、普通の人間にも威圧感を与えるとは恐ろしいね

データはあまり集まらなかったらしいが、なるべくやってない動きをするか
蹴りから炎は出したけど、この体術そのものは見てねぇよな?

敵の動きを予測しながら近づいていく、とはいえ手間取ってデータをとられたくないし多少強引に
相手が殺戮形態になり、防御力を犠牲にしたらワイヤー付きナイフを投げ刺し(無理なら引っかけ)、肩の推進機を使って近づく
そして、撃ち抜くつもりで烈破灼光撃を放ち、内部に炎を送りこむ。
ブレイズフレイムほどの威力と延焼力のある炎は期待できないが、こういうでかいヤツはじわじわ削ってかなきゃな
そうてまた移動しながらこの攻撃をしていく



●公爵と戦士
 宇宙の暗闇に、臓物あるいは動脈血めいた赤黒のオーラが軌跡を描く。
 いっそ涼やかな面持ちを笑みに歪め、シーザー・ゴールドマンが虚空を翔ぶ。
 ここは戦乱の中心。災禍の窓口、すなわち鉄火の最前線。
 猟兵の猛攻と、それを払おうとするクエーサービーストがぶつかり合う場所。
「ハハハ――いい的だ」
 睥睨するように両手を広げ、シーザーは言った。
 直後、彼自身を中心に、脅威的なまでの超巨大な魔法陣が構築される。
 立体的に形成されたそれは、さながらひとつの城砦めいてすらいた。
 血で描かれたかのように紅く、そして明滅するそれはあまりに禍々しい。
 メキ、メキ、ゴキゴキゴキゴキ……ゴコン。
 巨大な時計塔の中で駆動する歯車めいて、黄金の外殻が無限駆動する。
 備えている。シーザーが放つであろう殺戮じみた一撃に。
「いじましいな。獣とてその程度の賢しらさはあるか――ふむ」
 言いつつも、シーザーは魔法陣の形成と魔力の収束を止めはしない。
 一方で、その防御形態への移行に対し、猛然と突っ込むひとつの男がいた。
「おいおい、あれだけ殺気をぶちまけておいて、らしくないことをするなよ。
 お前は俺たちを殺すつもりで迎えたんだろ? なら、殺し合おうじゃねえか」
 シーザーはその男――ゼイル・パックルードの姿を認め、目を細めた。
 クエーサービーストの黄金外殻に掴みかかるゼイルの動きは、
 一直線に見えてこまめに軌道を変え、敵にその動きを悟らせようとしない。
 さながら人食いの怪物が開いた大口めいて、無数の穿孔機まみれの亀裂が生まれても、閉じられた時にはするりとそこから抜け出している。
 嘲笑うように、あるいは誘うように。だが進むことはあれど下がることはなし。
「俺みたいなちっぽけな人間に翻弄されて悔しいかい? まあわからねえか。
 そうだよ、もっと殺す気を見せてくれ。こっちはただでさえ長期戦なんだから」
 ズグン!! と外殻からせり出した閻魔めいた圧砕器を、ゼイルはかろうじて回避。外殻に突き刺したワイヤーナイフを掴み身を引き上げたのだ。
 凸凹の外殻を、山の斜面をボルタリングするように手足で這い進む。
 そして冷静に考える。この外殻を砕くような芸当は己にはほぼ不可能だ。
 出来ないことはないが、それはおそらく相打ちを意味する。
 であれば、もたらすべきは内部への一撃。炎を直接送り込むこと。
 ゼイルは見た。魔王めいて傲岸不遜に構え、魔法陣を展開する赤の公爵を。
 時間は十分にくれてやった。囮になってやった甲斐を見せてもらわねば。
 己がこの外殻を砕いてこじ開けられぬなら、やってもらえばいい。
 あの男なら――そしてあの巨大すぎる魔法陣なら、それができよう。
(では、その期待に応えるとしよう)
 言葉をかわすことはない。双方、ともに一流の戦闘者である。
 己が何を望むのかを示し、相手が何を狙っているかを察することなど、
 言葉に頼らずとも簡易に出来る。だから、こうするのだ。

 アララトの流星。
 それは、シーザーが持つ莫大な魔力を、弾丸として収束させ撃ち放つ術式。
 言葉にすれば単純だ。ただし、その一撃は光の速度で飛来する。
 光速。フィクションにおいては使い果たされた事象である。
 だがそれが、いかに強大で脅威的か、人類は早々実感出来まい。
 瞬きよりも疾く、時間をも飛び越えるほどの一撃である。
 それは単純な理由と結果を示す。
 ――避けられないし、防げないのだ。如何なる備えがあろうとも。
 光芒が闇を劈いた。するとあっけなく、黄金の外殻はひしゃげて砕けた。
 まさに流星(ルークス)。蜘蛛の巣じみた亀裂が獣の外殻を斬り裂く。
 轟音なき衝撃が、宇宙の暗黒大気をたわませて波濤めいて雪崩れる。
 衝撃の瞬間、ゼイルは一瞬だけ外殻から離れた。
 そして突き刺したままのワイヤーナイフを起点に、推力を得る。
 狙う先はひとつ。流星によって穿たれた穴――その先、敵の体内である!
「地道な作業ってのも嫌いじゃあない。ただし、効果があればこそ、だ。
 俺を飽きさせないでくれよ。お前は、人類が嫌いな星の獣なんだろうが……!」
 KRAAAASH!! パイルバンカーじみた炸裂を孕み、地獄の炎を纏う拳が激突!
 体内に穿たれた衝撃は、文字通りの波となって獣の巨体を揺らす!
「ふむ。将来的には、資源として乱獲されそうな感じがするね」
 獣の身じろぎ――おそらくそれは苦痛――をみやり、シーザーは言った。
 黄金の外殻など、戦闘巧者たるふたりにとっては、なんの脅威にもならない。
 この先にはどんな敵が待つのか。その期待を掻き立てる芳醇な甘露に過ぎぬのだ。
 なぜなら――男たちはそれぞれ、口元に笑みを浮かべていたのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナミル・タグイール
超どでか金ぴかにゃあああ!!
すごいにゃ!すごすぎるにゃ!あれに住むですにゃー!

金ぴか部分に突撃にゃ!うごめいてるにゃー!
コレ全部ナミルのにゃ!皆には渡さないにゃ!
トゲトゲしたりドリルになっても知らないにゃ。抱きつくにゃー!【捨て身】
すりすりごろごろ金ぴかを愛でるにゃ!でっかいにゃー!
絶対ナミルのものにするにゃ!って気持ちに反応して勝手にピアスが光ってUC発動
周りの金ぴかを全て呪いの金ぴかに変えちゃうにゃ。お宝オーラまっくすにゃ!
生体機能バグらせて機能停止したらいいにゃ。勝手に装飾の形とかになってくれないかにゃー!(呪の種類はランダム)
きらきら金ぴかはいいものデスにゃー!



●黄金好きの猫が――おお、おお、おお!
 あるものは人類の意地と決意を叫び、
 あるものは正義の味方の誇りを叫び、
 あるものは戦闘の高揚に酔いしれる。
 ここは鉄火の最前線。クエーサービーストと鎬を削る死闘の舞台。
 なの、だ、が……そこで多分、一番ぶっ飛んでいる猟兵がいる。
「超どでか金ぴかにゃあああああ!!」
 きらっきら輝いていた。まるで子供のようにきらっきらと。両目が。
 ナミル・タグイール。20歳独身、好きなものは? 金ぴか!
 そんなわけで、この作戦に参加してからこっちテンションバリ高だった猫は、
 いよいよ目当ての"超どでか金ぴか"を前に超絶ハイテンションだった。
「すごいな! すごすぎるにゃ! あれに住むですにゃー!!」
 えっ、何をお云いで!?
 恐ろしいことにこの女、おそらく心の底から本気で言っている。
 強欲、というにはもはや呆れ果てるまでのポジティブシンキングだ。
 ……というか、単に細かいこと考えてないだけなんだろうか?
「これ全部ナミルのにゃ! あげないにゃ! しっしっにゃ!!」
 ふしゃーっ、と周りの猟兵の皆さんを威嚇しながら、弾丸めいて接敵。
 応じるようにメキメキとドリルが生えてくる……が、ナミルよ、正気か!?
「にゃふふふ、かわいいやつデスにゃ! はぁ~金ぴか最高にゃー!!」
 だ、抱きついた! 殺戮兵器に、外殻にひっしと抱きついた!
 捨て身技能の濫用ここに極まれり。捨て身っていうか自殺だこれ!
 だが見よ! ドリルがその体をズタズタに斬り裂くより先に、
 頬ずりするナミルのピアスがきらんと輝いた。するとどうだ!
 まるで霜を張るようにして、可視化された呪いが外殻を覆っていく。
 おお、おお! 黄金の獣が、その外殻が、ホンモノの黄金に変わっていく!
「ぴっかぴかにゃー!! 金ぴかが金ぴかになったデスにゃ!?」
 興奮のあまり、ナミルももはやよくわかっていなかった。
 これはお宝だ。だれがどう言おうとお宝の塊なんだ……!
 まあクエーサービーストとしてはたまったもんではないので、
 黄金化された呪いの被食部分を切り離し、爆裂させようとするのだが。
「にゃっ!? 金ぴか離されるにゃ!? そうはいかんにゃー!!」
 じゃらじゃらとグレイプニールを投げ縄めいて振り回し、別の外殻に引っ掛ける!
 ご、強欲! 呪いを受けた黄金部分がさらに軋み形を変えていく!
 ネックレス、頭飾り、あるいはけばけばしい黄金の足輪……。
「にゃっはー!! きらきら金ぴかはいいものデスにゃー! サイコーにゃー!!」
 もっともっと! 猫まっしぐらって感じで外殻に飛びつくナミル!
 クエーサービーストも、よもや呪いで自分が侵食されるとは思うまい。
 無自覚な悪がもっとも恐ろしい。見た目は可愛らしいのがなおアレげだ!
 敵を黄金に変えるため行けナミル、いや行くな! 少しは周りを気にかけよう!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネグル・ギュネス
【アサルト】
おいおい、随分とまあ御立派なもんお持ちなこった
だったらその代物、ブッ壊してやるか!

──ハ、誰に言ってやがんだよ
お前たちがやれってんなら、信じるってんなら、やれねぇことは無い!
二人こそ、後詰め頼んだからな?

機械にしろ、人体にしろ、嫌でも繋ぎ目や関節はある
其処に向かって、刀を強引に突き刺し、強引に【電撃の属性攻撃】を流しながら、抉り込むように斬り、もぎ取っちまうぞ!

そして、【ヴァリアブル・ウェポン】で鎖を義手から出してドリルをキャッチし、ぶん回してドタマカチ割ってやる!

隙は作った、後は二人に任せながら、ドリル一部は頂いて、退避する

強襲部隊の前では、どんなデカブツも強敵も関係ないってな!


鳴宮・匡
◆アサルト


電撃作戦……文字通りの“強襲”かな
異論ないぜ、折角のアドバンテージを活かさない理由はない

じゃ、先陣は任せたぜネグル
安心しな――お前の道は誰にも阻めない

ネグルが外殻に取り付くまでの道を開きつつ
ヴィクティムの方へ向かう敵もカバーするよ
砲撃は勿論、爆弾だろうが戦闘機だろうが
……別に人型兵器だって構わないぜ
好きなだけつぎ込んでくれていい――全部落とすからな

外殻に大穴が空いたら、あとはこっちの仕事だ
よく狙え、なんて言われなくたって
あれだけ的がでかいなら外しようがない

……何より、あいつらの作った好機を無駄にするほど
腑抜けちゃいないつもりなんでね

お前の死はもう視えてる
遠慮なく――この宙域に沈みなよ


ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】

さて、今回のターゲットは大物だぜ
電撃作戦で、素早くいく
あのデカブツを相手にするには、生半可な攻撃は通じねえ
外殻をブチ破り、内部に強烈な攻撃をぶち込む
ネグル、ロケット推進式の巨大ドリルがあるだろ?
そいつを捥ぎ取ってくれ
手段は問わない
やれるだろ?

よし、よくやった──ロケット部分に【ハッキング】
クェーサービーストに向けて発射、ドリルで外殻を削る
穴をあけて内部が露出したら、『Weakness』をそこにぶち込む
大量のデバフが加わり、防御能力が著しく低下!

そして副次効果である攻撃力倍化を匡に付与
よく狙え──そのウィークポイントに当たれば、ポイント倍点だ

これが"強襲"ってやつだ
覚えとけ、デカブツ



●"強襲"という名の意味
 電撃作戦(ブリッツクリーグ)……それはめったに得られないアドバンテージ。
 なにせ強敵との戦いは、往々にして絶対先制の誓約に縛られがちである。
 彼らは――チーム・アサルトの面々は、その手強さと厄介さをよく知っている。
『ネグル、オーダーはわかってるな? お前の迅速さが頼りだぜ!』
 疾走するネグル・ギュネスに、ヴィクティム・ウィンターミュートの声が届く。
『ハ、誰に言ってやがんだよ。あのご立派なもんをブッ壊してやりゃいいんだろ?
 お前たちがやれってんなら――信じるってんなら、やれねぇことはないさ!』
 相棒の不敵な通信音声に、また一方に展開した鳴宮・匡はこう返す。
「ああ、任せたぜ。安心しな、お前の道は誰にも阻めない」
 三人の採った作戦。それは、敵が変形・生成した外殻を利用するというもの。
 敵が強力な殺戮兵器を生み出すというなら、それを使ってしまえばいい。
 シンプルな作戦だが、そのためには三つの条件をクリアしなければならない。
 ひとつ――敵の外殻兵器を極めて疾く破壊し、引き剥がす突撃役。
 それを担うのがネグルだ。彼はSRファントムのアクセルを全力で開く。
 他の猟兵たちの攻撃により、クエーサービーストは大きく被弾しているが、
 その巨体は些かも損なわれてはいない。なにせ惑星級の敵である。
 いかにネグルとその愛機が、スピードにおいて他の追随を許さないとしても、
 比してみれば巨人に子供が挑むようなもの……否、山に挑みかかるも同然か。
「デカい図体しやがって、あいにくだがここはお前の縄張りじゃあない。
 ここに俺たちが来たからには! その巨体、まとめて滅ぼし尽くすッ!」
 そのサイズ差を前にして、瞳は強く燃えるように輝き口元には不敵な笑み!
 ググ、ゴゴゴン――巨大歯車が軋むかのような轟音が宇宙を揺らす。
 敵が迎撃態勢を整えようとしているのだ。おお、見よ、さっそく殺戮兵器が!

 作戦要因の二つ目。それは、突撃役を外殻に送り届けるための後方支援だ。
 それを担当するのは、匡。ことアウトレンジの援護射撃において彼は超一流。
 たかが拳銃で、銀河帝国の艦隊をも相手にしてみせた戦場傭兵である。
 ただ狙い澄ませ、銃を構える。ほのかな蒼の瞳は殺戮兵器の動きを見逃さない。
 敵が無数の砲口を生み出そうとすれば、ワンホールショットでこれを破壊。
 ならばと爆弾を形成して切り離せば、切り離した瞬間に爆砕せしめる。
 新たなオブリビオンを生成したなら、その構造と弱点を瞬時に理解し、
 人型であろうが機械であろうが、いっそ生き物の姿をしていようが関係なく、
 逆鱗に当たる部位を精密に狙撃して爆散させ、一切の反撃を許さないのだ。
 云うには易きこと。されど、実現するにはあまりにもスケールが違いすぎる。
 そう、スケールが違う――敵の巨大さはイコール物量の証明でもある。
 一度に生成される殺戮兵器の量は、それだけで銀河帝国の一艦隊に匹敵。
 バリエーションにおいてはその部隊編成を凌駕し、性能もまた同様である。
 撃てば殺せる。弱点を狙えばどんな機械だろうが止められる。
 だからといって、人間がド級戦艦を銃器だけで撃墜するなど出来るだろうか?
 子供の絵空事であろうが、もう少し現実的な空想を思い描くだろう。
 ――だが、出来る。現実に彼らは、匡は、その荒唐無稽を成し遂げてきた。
 ゆえに人類はここにたどり着き、そして彼らもまたここにいる。
「悪いな、お前が生み出すモノは、全部もう殺して壊したあとなんだ。
 だから、好きなだけつぎ込んでくれていい――全部、陥とすからな」
 それはまさに、寿命を宣告する無慈悲な死神めいていた。
 その事実は、死という救済を振り払った匡に、いかなる感慨をもたらすか。

 そして、この作戦を現実とするためにもっとも重要な、最後の要因。
 それは、敵の外殻を支配し逆用するためのハッカーの論理攻撃だ!
「もらったッ! そのデカブツ――いいじゃねえか。よこしなッ!」
 外殻に取り付いたネグルが、黒刀"咲雷"を振り上げ、蛮刀めいて突き刺す。
 メキ、メリメリメリ……! 構造上の駆動部分に抉り込む刃。
 だが敵は生命そのもの。即座に変形しネグルの侵入を跳ね除けようとする。
「おとなしくしやがれ……ッ!!」
 バチバチバチッ! 刃がその銘のとおりに雷を纏い、切れ味を増す!
 触れた部分が赤熱するほどの高温プラズマを以て外殻を融解し、穿孔!
 ギュ、ガガガガガッ!! SRファントムがタイヤで黄金外殻を切り裂いた。
 そのスピードと膂力に任せ――外殻の一部を、刀で"裁断"してしまったのだ!
『よし、よくやったぜチューマ! さすがはウチの切り込み役だ!』
 遠く後方、ヴィクティムの快哉が届き、ネグルはにやりと笑った。
 そして彼のサイバネ部分を経由して、ハッカーの電脳魔術が迸る。
 電子よりも疾く、されど冬よりも冷たく静かに、這い寄る氷のナイフ。
 一瞬にして殺戮兵器は内部を侵食され、トカゲの尾めいた自力再生を停止。
 グ、ゴゴゴン――ネグルのもぎ取ったトリルが理性的な駆動を開始する。
『そいつは俺たちの管理下だ! 思い切りぶちのめして大穴開けちまえッ!』
「おおォッ!!」
 ネグルは義手部分から鎖を生成し、それをトリルの底部に接続、補強する。
 巨大質量の遠心力に振り回されないようSRファントムを荒馬めいて乗りこなし、
 ぐるんと半回転――ギャリギャリと回転するドリルの矛先を敵の外殻へ!
「行くぜ相棒、タイミング合わせろォッ!」
 ゴウ――ガ、ガリガリガリガガガガガガガッ!!
 瞬間的なフルスロットルでドリルがブーストされ、さらに加速した。
 ヴィクティムのハッキングによる多段ロケットブースターも合わさって、
 一瞬にして亜音速に達した大型ドリルが、黄金外殻を穿孔し大穴をこじ開ける!
(あの大きさだ。外しようがない、あいつの突っ込むタイミングもわかってる)
 匡。TNN-LF88C"Disintegration"をスナイプモードで構え、その時を待つ。
 狙うべきはただひとつ。大型ドリルが穿った、敵体内への通り道である。
 星の獣は、そのスケールゆえに射撃において精密性を考慮する必要がない。
 であれば、匡が考えるべきはたったひとつ。仲間たちが生み出す好機を、
 どれだけ最大限に、かつ効率的に利用し、己の死をもたらすか……それだけだ。
 死――然り。相手がオブリビオンであろうが、やることは変わらない。
 匡の瞳は死を見通す。放たれる魔弾は、相手の如何に拠らず死をもたらす。
 たとえそれが、小惑星級の恐るべき黄金の怪物であろうとも。
「お前の死は、もう視えてる」
 レイガンが闇を劈いた。放たれた光は、瞬きよりも疾き矢となって飛来。
 そしてそこに、ヴィクティムもまた瞬時に"飾り立て"を行った。
 ディヴィアント・コード:Weekness。
 匡のレイガンの出力を増強は既に済んでいる。弾殻には弱体魔術を付与。
 支配したドリルそのものも、敵の内外を減衰させる銀の銃弾に変えたあとだ。
「驚いたかい? クエーサービースト。ま、お前も知らなかっただろう」
 着弾――星の獣の巨体が、鳴動した。おそらくそれは苦痛の証左。
「それが、痛み。それが、苦しみ。それが、してやられたって悔しさだ。
 ――苦痛に溺れて死にやがれ。覚えときな、これが"強襲(アサルト)"だぜ」
 黄金の外殻のあちこちから、なにか異様な体液が噴き出す。おそらくは流血!
 三人の叩き込んだ魔弾は、その超巨体を内部から病ませ破壊していく……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オルハ・オランシュ
【Magia】
すごい威圧感……
でも退くわけにはいかないよ
大丈夫、絶対なんとかなる
ヨハンに織愛、アルジャンテ
みんながついているもの!

先手を活かして【鎧砕き】の【2回攻撃】
外殻が変化しても、中身までは変わらないよね
みんなも今突いたところに狙いを定めてくれる?
巨大な敵だからこそ、あちこちに浅い傷をつけてもきっと駄目
一点集中攻撃で確実に傷口を広げていこうよ

生成された無数の銃から銃弾の雨
私はUCで数多の氷刃を放って相殺を試みよう
もちろん、巻き込まないようにみんなからはしっかり距離をとる
呑まれないように、必死に集中して
口訣はあの時と同じ
――『穿て』!

私にできるのは、これで精一杯……
……あとは託したよ


ヨハン・グレイン
【Magia】

規格外の敵と相対すると己の非力さを実感出来ますね
……一人の力は微々たるものであっても、多少の傷くらいは負わせてやりたい
今は一人ではありませんしね

アルジャンテさんと協力しましょう
外殻の変化に対応し攻撃を塞ぐ、前に出る二人に有効な道を示す
この二つに焦点をあて<全力魔法>で闇を繰る
攻撃は二人に合わせて行いましょう 防御が最優先ではありますが

機を見て畳みかけましょうか
【降り注ぐ黒闇】で黒刃を
氷の相殺のフォローをしながら、そのまま攻撃まで繋げる

一人の手では回らない立ち回りというのも悪くない……
と、考えるのは後にしておきましょうか


アルジャンテ・レラ
【Magia】

四人だけでは撃破など到底不可能でしょう。
ですが、どれ程の傷を負わせる事が出来るのかは私達次第。
皆さんとならば"多少"に留まらぬ傷も、或いは。

ヨハンさんと協力します。
塞ぎきれない攻撃は軌道を予測し、前衛のお二人に伝えます。
少しでも外殻変形の起りにくい箇所がないか確りと確認を。
彼と情報を共有。より安全な道を探していきましょう。

相殺時は弓を構えるのみで手を出さず、相殺後に織愛さんの援護射撃を目的とした矢を放ちます。
彼女の攻撃に被せるように。
未だ原理不明のユーベルコードですが、火の威力を上げられないか試してみます。

一本の矢はいとも簡単に折れる。
四本の矢は、そうはいきません。


三咲・織愛
【Magia】
敵が大きいということは、的も大きいということですよね
ええ、大丈夫!
一人ではありませんから

こういう時こそ【怪力】籠めた一撃をお見舞いしてやりましょう
オルハさんに続くように、同じところへ【槍投げ】しノクティスを突き立てます
ノクティス、がんばって! そのままノクティスを殴りつけてより深くに!
変化する外殻はよく見極めて薙ぎ払ってやりましょう

前に出て戦うからには捨て身になってでも、より強く重い一撃を
想いを籠めて入れてみせましょう
誰も傷付けさせはしません!

敵の攻撃の相殺を確認したら、前へ
【打ち砕く拳】で敵外殻を砕き、生成された武器をそのままお返ししてやります
さあ、覚悟してください!



●一点にすべてを賭けて
 すでに、猟兵の1/3ほどの攻撃がクエーサービーストに炸裂していた。
 では、マインドミナBVAはもはや死に体か――残念ながら、それは否、
 甚大なダメージは通っている。それは確実な手応えとして猟兵にわかる。
 だが、足らない。それはけして、先遣の猟兵たちの力不足を意味しない。
 それだけ、クエーサービースト――星の獣は強大かつ堅固な存在なのである。
「行くよ、織愛!」
「はい、オルハさんっ!」
 先んじて戦線を突破したオルハ・オランシュと三咲・織愛は、
 タイミングを合わせて外殻を破壊するための同時攻撃を叩き込んだ。
 ウェイカトリアイナの切っ先と、織愛の怪力で擲たれた龍槍ノクティスが、
 まったく同じポイントに突き刺さる。……KRAAAAASH!!
「まだ足りない……! もう一撃っ!」
「ノクティス、頑張って!!」
 SMASH!! オルハの二段突きに合わせ、織愛は龍槍の石突を殴りつけた!
 ビシビシと音を立てて、黄金外殻の一部がひび割れる。だが貫通には足りない。
 そして応報するかのように、ググ、ゴコン……と、外殻が鳴動した。
「一度下がって、もう一度やろう。織愛、捕まって!」
「ありがとうございます……っ」
 片手にノクティス、もう片方の手で差し出されたオルハの腕を掴む織愛。
 オルハはばさりと力強く翼をはためかせ、素早く敵の攻撃ラインから退く。
 直後――ガギンッ!! と、ドリルの牙が空間を噛み砕いた。
「まるで人食いのバケモノだね……!」
「! オルハさん、まだ来ますっ!」
 メキメキメキメキ! 閉じた"口"は、そのままねじれた尖塔に変じた。
 あちこちから即死確定のドリル棘を生やし、急速にいびつに成長するのだ。
 織愛は、間近まで迫ったこのドリルを、強烈な蹴りで横からへし折った。
 その反動を利用し、オルハは致命的攻撃ラインからかろうじて撤退する。

 その時である。ビシビシとひび割れた外殻が、出し抜けに砕け散った。
 織愛とオルハは攻撃が通ったことを確信して安堵した――しかし。
「「!!」」
 その表情がこわばる。これは、ダメージによる破壊ではない!
 ひび割れたそれは、外殻が内側から爆ぜようとしている予兆だ。
 さらに先鋭化したその切っ先は……ふたりの槍の穂先めいている!
((ユーベルコードをコピーされた!?))
 然り。そして槍の弾丸と化した外殻が、散弾めいて爆裂し、ふたりを襲う!
 だがふたりめがけて飛来した槍弾は、闇の刃と炎の矢に相殺され撃墜!
「ヨハン!」
「アルジャンテさん!」
 ヨハン・グレインとアルジャンテ・レラが、間一髪で間に合ったのだ。
「ふたりともご無事でなによりです。どうやら一筋縄ではいかないようだ」
「あの巨大さに、めまぐるし変形とユーベルコードの模倣。強敵ですね……」
 ふたりはオルハ・織愛と並び立ち、変形を続けるマインドミナBVAを睨んだ。
 すでに敵は槍弾による攻撃を諦め――正しくは一度しか模倣できない――、
 新たな外殻兵器を変形・錬成して猟兵の攻撃に備えようとしている。
「……これは、私たちだけで完全に撃破するのはとうてい不可能でしょうか」
「それでも退くわけにはいかないよ。大丈夫、絶対なんとかなる」
 アルジャンテの言葉に、オルハはまっすぐな瞳でそう答えた。
「独りの力は微々たるものでも……多少の傷ぐらいは負わせてやりたいものです」
「私もです! たとえ相手がどれだけ大きくても、独りではありませんよ」
 織愛の強い物言いに、ヨハンはうっそりとした瞳を返し、しかして頷いた。
 そう、四人の意志は同じだ。ここで撤退するような選択肢は最初からない。
 ここに集いし仲間と力を合わせ、必ずや一矢報いる覚悟であった!

 一方で、クエーサービーストが取った新たな形態。
 それは、アウトレンジ砲撃に特化した無数の砲口であった。
 どことなく、銀河帝国の艦隊が誇る主砲のようにも見える――やはり模倣か。
「来るよ、三人とも! 準備はいい!?」
「もちろんです。オルハさん、織愛さん。攻撃はおまかせします」
「では、私とヨハンさんで後方支援ですね。やることは同じ、いけますよ」
「なら、今度こそ有効打を入れてみせます! 行きましょう!」
 オルハと織愛は再び推力を得て、敵の弾幕へと身を飛び込ませる。
 ヨハンとアルジャンテはそれぞれ指輪と弓矢を構え、魔力を高めた。
 BRRRRRTTTTT!! 無数の砲口が、生成された外殻弾頭を射出する!
「オルハさん、2時方向へ回避を。その軌道ならば弾幕が薄いはずです」
「織愛さんは5秒後に直上へ跳び上がってください。射軸をブレさせましょう」
「「はい(うん)っ!!」」
 特殊宇宙服は、視界内に留めていれば声を届け合うことができる。
 後方から弾幕を観察し、時には闇の刃と矢によって活路を開くヨハンたち。
 その指示とアドバイスをもとに、オルハと織愛は立体機動で弾丸を避ける。
 もしもひとつでも浴びれば、たちまち蜂の巣にされてお陀仏だ。
 そしてヨハンとアルジャンテも、攻撃の瞬間に向け魔力を引き絞る。
「後少し……もう少しだけ近づければ……!」
「……わかった。織愛、突っ込むのは任せるよ」
「オルハさん!?」
 オルハは覚悟を決めた様子で言い、自らもまた魔力を練り上げた。
 後方からその予兆を察知したヨハンは、わずかに険を帯びる。
(――やるつもりですね。あなたがそのつもりならば、俺は任せます)
 オルハにとって、魔術を使うことはトラウマ、禁忌だった。
 だが数多の戦いと出会い、そして大切な人とのふれあいが彼女を変えた。
 あの戦いで新たな技をひらめいた今ならば、そして仲間がともにいるならば。
(やれる――ううん、やるんだ。力を貸して、ヨハン!)
「……穿てッ!!」
 織愛に先んじて飛び込んだオルハは、その魔力を解き放った。
 暴走しかかる魔力、ともすれば怯えそうになる心を叱咤して掴み続ける。
 手綱を握るのは己自身――そして見よ、氷の奔流が弾幕と相殺された!
「やった! ――織愛、あとは託したよ……っ!」
「はいっ! ヨハンさん、アルジャンテさん、お願いしますっ!」
 織愛は虚空を蹴り、ロケットのように瞬時に加速した。
 僅かな間隙。ヨハンは闇の刃を生み出し、半分をオルハのもとへ。
 残る半分を織愛に追従させる。一方のアルジャンテは。
(この謎の多いユーベルコード……あるいは、工夫も可能かもしれない)
 きりきりと引き絞られる矢に、銀の炎が灯る。それは強く強く燃え上がった。
 だがアルジャンテが意識を集中するにつれ、炎は沈静化していく。
 消えたのか? 否。より細く、そして熱く一点に熱がこもっているのだ。
 あまりの高まりに、銀を超え鏃は白熱し陽炎を揺らめかせる!
「想いを籠めたこの一撃! 誰も傷つけさせないために、叩きつけます!
 クエーサービースト! あなたに意志というものがあるなら、覚悟しなさい!」
 敵は織愛の接近を拒むように、黄金外殻を盾めいて積層展開する。
 そこへ突き刺さる闇の刃――KRASH!! 先の二段攻撃の余波でついに破砕!
「はぁあああああっ!!」
「――行きます。この矢なら……!」
 織愛が拳を叩きつけた瞬間、アルジャンテは矢を放った。
 それを見たヨハンは瞠目した。矢はたしかに分身した――にもかかわらず。
(分身した矢が、もとの一本に戻った……いや、"再収束"したのか)
 然り! 二百以上の銀朱火矢の威力を載せた、たった一本の一撃!
 それは加算ではなく乗算された威力。拳で穿たれた穴に矢が飛び込む!

 ……KRA-TOOOOOOOM!!
 まるで爆弾を投げ込まれたかのように、体内から炎が噴き出した!
 亀裂を伝って体内を駆け巡った炎は、血のようにあちこちから噴出する!
 四人の決意と連携、そして絆が、新たな一撃となって叩き込まれたのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒川・闇慈
「ふうむ、キエリビウムとはまた違った威容ですねえ。クックック」

【行動】
さて、相手がデータを集め切っていない今が好機です。
属性攻撃、高速詠唱、全力魔法の技能を活用し岩獄破軍を使用します。
ここは宇宙空間ですので、隕石として召喚するための小惑星はいくらでもあります。マインドミナに相応しいサイズの大型隕石を召喚し、先制攻撃として叩きつけましょう。
あまりうかうかしていると反撃が来るでしょうから、攻撃後は素早く離脱です。

「いくら無限に変化する外殻とはいえ、どういう形態に装甲を変化させればよいか、というデータが欠けていてはさぞ苦労するでしょうねえ。クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】


月凪・ハルマ
明確な敵意を感じる……
あのデカブツにも感情があるのか?

……試してみるか

◆POW

他猟兵に先んじて、【早業】で【雷光手榴弾】を
クエーサービーストに【投擲】してみる
向こうに感情、特に敵意のようなものがあるなら、
完全には無理でもある程度は動きを抑制できるんじゃないかな

その後はいつも通り、【迷彩】で姿を隠し
【目立たない】様に立ち回る

しかし、俺自身はそこまで攻撃力高い訳じゃないからなぁ
ここは手裏剣の【投擲】で敵の気を逸らしたり、
敵の動きを【見切り】、攻撃を予測して他の人に伝える等の
サポートに回ろう

……あの外殻、変幻自在って事は修復も可能なのかな
もしそうだったらそれ以外の部分を攻めないと

※アドリブ・連携歓迎


雨宮・いつき
星のよう、と言われても規模が大きすぎてピンと来ませんでしたが
実際に目の当たりにしてみると…これは圧巻ですね
然らばここは彼の出番
鋼の巨神、天津丸!
肩に乗っていざ出陣です

こちらの似姿を放ってくるようですが、再現されているのは天津丸だけ
ならば本体からの砲撃を避けながら斬り結び、互いの炎を相殺し、
力が拮抗した所で雷撃符を用意
天津丸を介して術を起動させる事で巨大な雷の槍を作り出します
【マヒ攻撃】で似姿の動きを止め、砲撃の盾にして一気に接近
発射直前の砲身に叩き込んで砲台ごと破壊し、余波で本体から吹き飛んだ兵器を使って本体を攻撃です
これなるは鍛冶神、ひいては武器の神の代行者
どんな得物でも使いこなしましょう!


ユーフィ・バウム
この殺意と憎悪……
相容れない巨大生命体ですね

攻撃は、おそらく電気兵器を使ってくるのではと判断
【勇気】と【覚悟】を旨に、致命打を【見切り】避けたますが
あのサイズでは完全に避けることは難しいでしょうか

めいっぱい【オーラ防御】のオーラを
【電撃耐性】となるよう変換、身に纏いて
避けられない攻撃耐えつつ進みます

迫ったなら蛮人の戦い方を見せましょう!
【力溜め】つつの【グラップル】にて装甲を穿つ!
武器を【鎧砕き】の一撃としてねじ込み、
仲間と連携し黄金の怪物を弱らせていきます

好機とみれば溢れんばかりのオーラを纏い、
《トランスクラッシュ》
体を浴びせ、いざ砕きにいきます!

他、【野生の勘】にて閃いたことあれば従い行動


神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
大きい。でもこれだけこっちの数もいるし、きっとなんとか。
お爺ちゃん達に頑張ってもらうにも動きは止めて剥ぎ取り、ね。

相手が大きいし、皆で採掘。そういうものを装備して出発。
気づかれるまでは接敵した後、目立たない様に少しずつ剥ぎ取り。
ばれたら一旦離れよう。攻撃されたら痛そうだから。

……?…うん、そう。こっちと同じように群体を作ってくるのね。
数と数ならきりがないし……うーん。自爆させるのももったいないし。
乱戦を装って、相手の生み出す時に合わせて少しずつ撃墜……そうしよう。
符雨、追従。前は皆に任せておけばいいから、狙撃に集中を。


ティオレンシア・シーディア
さぁて、首尾よく近づけたまではいいけれど。
…うん、やっぱりどう考えても絶望的に火力が足りないわねぇ。知ってた。
そうかといってちまちま湧いてくるのを潰す程度じゃ焼け石に水だし。
…ちょっと、博打に出ようかしらぁ?

これだけ大きいんだもの、狙いをつける必要もないわよねぇ?
弾丸の続く限り●射殺を○乱れ撃つわぁ。
刻むルーンはアンサズ・ラド・ソーン。
どういう理屈で変形してるかなんて知らないけど。
あいつの意思で変形させてる以上、何らかの情報の伝達はあるはず。
なら…その「情報」の「伝達」を「阻害」すれば。多少の○足止めや〇援護射撃くらいには、なるんじゃないかしらねぇ?
クラッキングなんて上等なものじゃないけれど。



●星の獣の意志
 それを『敵意』と呼ぶのは、厳密に言えば正しくない。
 たとえるなら、植物が外敵に対して毒を生成するようなものだ。
 およそ自動的な、それゆえに容赦も慈悲も存在しない徹底的な反抗。
 だが――人々が交戦時に感じたそれは、敵意・殺意と呼ぶほかなかった。
 なぜならば、クエーサービーストはそこらの動植物の域にとどまらない。
 その質量も、根源的な存在力も、何もかもが規格外の"星の獣"なのだから。
(効いた様子はない……いや、手応えが奇妙すぎる)
 誰よりも先んじて、ユーベルコード"雷光手榴弾"――邪心のみを穿つ爆弾を投擲した月凪・ハルマは、その形容しがたい違和感に眉根を顰めた。
 オブリビオンというものは、例外なく世界と猟兵に対して敵意を向ける。
 生前いかに善人であろうが、聖人であろうが、高潔な騎士や戦士であろうが、
 例外はない。あるとすればサクラミラージュの影朧だとか、
 最近発見されつつあるUDCアースの友好的UDCぐらいのものだろう。
 ゆえに、クエーサービーストも同じだ。敵はこちらを"嫌って"いる。
 害意とは邪念である。ならばこそ、闇を払う稲妻はその動きを抑制するはず。
 だが現状、ハルマが見る限り、敵の無限変形に変化は起きていない。
(……かといって、まったく効いていないわけじゃあない)
 超自然的な第六感として、有効打を与えられたかどうかは直感できる。
 それが告げている。クエーサービーストはたしかに"影響を受けている"。
(見定めるしかないな。まずはみんなを手助けだ)
 怜悧な忍びの姿が、宇宙の暗黒に溶け込むようにして消えた。

 一方、クエーサービーストとの交戦最前線!
 鋼の巨神と、そのシルエットをそっくり模倣した黄金の異形とが、
 巨大な拳を撃ち合わせる! KKKKRAAAAAASH!!
 ZZZZMMMMM……強烈な衝撃波が宇宙の真空をたわませ、音なき鳴動を起こす。
 巨神・天津丸の操縦者、雨宮・いつきは、衝撃をこらえながら次の手を模索。
(再現されたのはこの天津丸だけ、そして性能はほぼ互角!)
 となれば、その差を埋めるのは乗り手であるいつきの技量だろう。
 天津丸の肩にしがみつく姿は、マインドミナBVAの巨躯に対してあまりに矮小。
 拮抗の瞬間を狙い、彼自身の符術によって外殻異形を破壊するほかあるまい。
 だが侮るなかれ。敵は外殻異形だけではない、クエーサービースト本体も同様。
 BOOM!! BOOM!! 砲台を生成し、天津丸といつきを撃ち落とそうと狙うのだ!
「あの弾幕、しんどそうねぇ。ここはひとつ射撃勝負といこうかしらぁ?」
 回避を強いられる天津丸といつきの苦境をみかね、割って入る女がいた。
 ティオレンシア・シーディア。絶無の射撃技術を持つ女フィクサーだ。
 彼女は、はなから外殻そのものを突破することを断念していた。
 今の彼女の装備では、あの巨大な質量に一撃を穿つための火力が足りないのだ。 となれば、出来ることは援護射撃。僥倖にも砲台は無数、かつ巨大だ。
「いちいち狙いをつけなくていいのは楽よねぇ――さあ、行くわよぉ!」
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
 アンサズ(幸運)・ラド(停滞)・ソーン(雷霆)の三つのルーンを刻印した特殊な弾丸を、すさまじい速度のファニング射撃によって叩き込む。
 KRA-TOOM!! 砲台にワンホールショット! 盛大な爆炎が外殻を焦がす!
 だがやはり足りないか。破壊された外殻が切り離され再び生成を開始!
 さながらそれは、脅威的速度で萌え出る植物のタイプラプス映像めいている!
「なるほど、弾幕には弾幕ですか。クックック、そういうことであれば」
 そこへ新たな猟兵! 全身黒ずくめの陰気な魔術師、黒川・闇慈だ!
 絶大な魔力を以て浮遊する彼の周囲には、大小様々なデブリや岩石!
 周辺宙域からありったけ集めてきた、彼にとっての"弾丸"である!
「ここは宇宙、私の"岩獄破軍(ハデス・トループ)"にとっては最適な場です。
 彼方より来たれ、冥獄の流星よ――星の獣に降り注ぎ、黄金を打ち砕けッ!」
 KKKBBBAAAAMMM!! 赤熱した流星雨が再生しようとする外殻に飛来!
 再砲撃に先んじて、破損した外殻を質量で破壊しその再生を阻害する!
 闇慈はにんまりと笑いながら、目を細めた。やはり敵は対応策に欠けている。
 もしもあの探査機群から十分な猟兵のデータを得られていたならば、
 おそらく相手はユーベルコードを相殺するための外殻兵器を用意していたはず。
 連携による一点突破が、結果的に猟兵たちに情報アドバンテージを与えたのだ!
「! これなら……おふたりとも、感謝します!」
 弾幕が途切れた瞬間、いつきは快哉をあげて雷撃符に霊力を籠めた。
 ただし、通常のようにこれを擲って放つのではなく、天津丸に術を込める。
 いわばその鋼の巨神そのものを媒介として、雷撃をさらに強化するのだ。
 バチ、バチバチバチ……! 刀身が稲妻を纏い、巨大な雷の槍を生み出した!
 黄金の偽物が迫る。鍛冶神の炎を吹き上げ、いつきもろとも巨神を襲う!
「天津丸!」
 ゴオオウッ!! 猛々しき炎が、偽りの存在のそれを相殺した!
 ちりちりと肌を灼くほどの熱波を厭わず、いつきはさらに前へ。
 そして雷の槍を突き刺す……ZZZZZTTTTT!! 雷鳴が異形を麻痺させた!
 そのまま黄金の異形を再生途中の砲台群に叩きつけ、ありったけの焔を噴射!
 KA-BOOOM!! 砕けかけた砲台群もろとも、黄金の異形は破砕爆裂!
「ここが攻めどきですね! 一気にいきますよぉ!」
 状況を静観していた蛮族の少女、ユーフィ・バウムがいつきに続いた。
 だが迂闊! 敵は外殻を高速変形させ、吸収した雷撃を障壁めいて展開!
 ……いや、迂闊ではない。ユーフィはこの攻撃的防御を読んでいたのだ!
「くううう……ッ!!」
 ZZZZZZZTTTTT……!! ユーフィは闘気をオーラの鎧として収束させ、
 この電撃の障壁を無理矢理に破りにかかる。なんたる蛮勇!
「無茶するわねぇ! けど嫌いじゃないわ、そういうのぉ!」
「ここは飽和攻撃でひたすらに押しましょう。内部に攻撃を通さねば」
 BLAMBLAMBLAMBLAM!! ヒュルルルル……KRAAAAAASH!!
 ティオレンシアと闇慈による、援護射撃&隕石の雨! 雷撃障壁が乱れる!
「やっぱりねぇ。あいつ、意志がなくても"情報"は伝達してるのよぉ。
 人間だって、神経ってのはようは電気信号の集まりでしょお?」
 ティオレンシアがにたりと笑みを浮かべる。彼女の狙いはこれだったのだ。
 弾丸を楔とし、クエーサービーストの外殻変形指令を阻害するという試み!
 さながら駆動部に枷を噛まされたギアめいて、黄金の異形がギギギと軋む!
(ここだな)
 その状況をひそかに静観していたのは、もうひとりいた。
 そう、ハルマである。彼はクエーサービーストの意識をそらしに掛かった。
 敵は自動的な防御で、援護役のティオレンシアと闇慈を狙うはず。
 それに先んじ、まだ無事な外殻部分に手裏剣を曲射投擲、注意を惹いたのだ。
 ググ、ゴゴン……ドリルめいた殺戮鎧装が、ハルマの方を向く!
「そうだ、こっちだ! ようやくわかったよ、さっきの違和感がな。
 たしかに邪心はない――お前自身が、人類を邪魔する悪徳の塊ってことだ!」
 然り! クエーサービーストとは、いわば形を持った悪意そのもの!
 ハルマの擲った稲妻は、たしかにその邪悪=巨体そのものに亀裂を穿ち、
 外殻の変形と再生をわずかにだが送らせていたのだ。亀裂が……開く!
「いきます! とっておきの一撃――存分に、味わってくださいっ!!」
 ユーフィは防御に回していたオーラを己の得物に収束させ、体内に叩き込む!
 KRAAAAAAASH!! 激甚たる衝撃が、外殻を越えて内部に炸裂し爆発した……!

 ……ところで、激闘が繰り広げられていた一方、その裏側では。
 クエーサービーストの注意が、前面から迫る猟兵に惹かれている間に、
 さりげなーくその後ろに回り込んでいる神元・眞白がいた。
 強烈な衝撃は巨大質量そのものを揺らし、外殻に取り付いていた彼女も揺らす。
「すごい一撃……みんな、頑張ってるんだね。私も頑張らないと」
 そんな彼女が何をしているか? ……外殻の剥ぎ取りである。
 これもまた、ハルマが叩き込んだ手榴弾による効果と言えるだろう。
 いわば外殻変形機構そのものが局所的に麻痺してしまったことで、
 眞白と彼女の率いる戦術器たちを振り払うための反撃が出来ないのだ。
 BLAMN! 射撃役の戦術器たちが、外殻の亀裂部分に銃撃を打ち込む。
 ビシリと破損したそこを、眞白はミレナリィドールの怪力で引き剥がす。
 ベキ、メリメリメリ……! 剥ごうと剥ごうと先は見えない。
 これだけの分厚い外殻を貫くには、相当の連携と苦労があるだろう。
「でも、いつかは中心部に辿り着くはず……できるだけ、やらないと」
 ガキン、ギャリギャリギャリ……! 携帯ドリルでさらに穴をうがつ。
「ってちょっと、こっちにも猟兵がいたのぉ? 無茶するわねぇ」
「じきに変形機能も再生するでしょう。もう一波、星を落とすとしましょうか」
 眞白は、自らのもとへと駆けつけた猟兵たちを振り仰いだ。
 彼らの石を穿つような飽和攻撃は、たしかに星の獣を追い詰めている!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

狭筵・桜人
【B】
口からなにか出しそうなヤドリガミは船にしまってきました。
この戦いにはついてこれそうにない。

ていうか。私もついていけないんですけど!ナニコレでっか!

人間には人間の殺し方があるように
機械には機械の壊し方があるわけですが。
アレは一体なんなのでしょうねえ。

まいいや。こちらで隙を作りますので利用してください。
一回切りなので重要なのはタイミング。合図を出します。

――『名もなき異形』。
殲滅対象として認識されるために攻撃力をフルに【捨て身の一撃】でぶつけます。
敵の外殻が変型した瞬間が隙です。
装甲が脆くなったところへ一撃どうぞ。

持って一秒?それとも刹那ってやつですかねえ。
消耗品らしい使い道でしょう?


矢来・夕立
※前回A
状況を確認しました。先制攻撃の成功率、10割と。

見たところ…あれ、爆弾も生えてきてますよね。
切り取るなり剥ぎ取るなりで拝借したいんですよ。
剥ぎ取れた分は【紙技・真奇廊】にしまっておく。
無論起爆寸前ですから、ここからはスピード勝負です。

お前の大砲に集めてきた爆弾を詰めます。
ジャムれ。自爆しろ。巨大メカって自壊してなんぼみたいなところないですか?
そりゃもうヤバいんで成否を問わず全力で離脱しますけど。
いや遊んでいるワケではないんですよ。
これくらいハデな火力でないと通用しない。
式紙と脇差だけで殺れるのは、大型の獣が精々で…

…あ。爆発しますって注意喚起したっけ?



●2秒よりも疾い一瞬に
「口から何か出しそうなヤドリガミは船にしまってきました。
 美少女性が壊れるとかなんとか言ってたんで多分酸素欠乏症ですねあれ」
「ご苦労さまです。ついでに戻ってればよかったんじゃないですか」
「せっかく決戦に駆けつけた仲間にそれはセメントすぎないですかねえ?」
「邪魔者の間違いでは(その心意気は高く買いますよ)」
「さすが忍者、本音と建前同時に伝えるとはやりますね」
「どっちもウソですよ。割とどうでもいいです」
 鉄火場の最中とは思えないような、ゆるくてふてぶてしい会話をするふたり。
 つまり、狭筵・桜人と矢来・夕立である。彼らはいつもどおりのペースだった。
「……いやでも、戻っていいなら真面目な話、船に戻りますよ?
 ていうかなんですかあれ、でっか! ナニコレでっか!! ……でっか!!」
「三回も言わないでもらえますかね鬱陶しいんで。まあ船も前来てますけどね」
 桜人は、夕立が指差すほうを2度見した。ほんとにナイチンゲール号前出てる。
 彼らは勇敢なのだ。猟兵だけに戦わせるなど道義にも取る!
「……まあ、守ってくれてる人がいるんでしょうけど。困りましたね」
「さっさと片付ければ同じですよ。そのつもりで来たんでしょう?」
「えっ?」
「え?」
 なにそれ恐い。

 とまあ、冗談はさておき。
 前に出た以上、存在を知覚された以上、もはや桜人も逃げ場はない。
 敵は、自分以外の他者がここに存在することを絶対に許さないのだから。
「で? 一体どう殺《ト》るんです? あるんでしょ、ああいうのの殺し方」
 桜人は、何気ない調子で夕立に言った。
 夕立は忍である。それも、ことさらに"ヤバい"タイプの悪党だ。
 桜人はそれを知っている。知っていて、こんな減らず口を叩きあうのだ。
 ある意味では彼も、どこかのネジが飛んでいるのかもしれない。
「人間には人間の、機械には機械の壊(ころ)し方があるって言いますけど」
「……アレは、どっちに見えます?」
 夕立は問い返した。桜人は肩をすくめた。
「強いて言うならバケモノ、ですかね。まあ、そういうのなら慣れてるので」
 バイト感覚でUDCで働くような少年ならば、その言も強がりではあるまい。
「――2秒あれば、まあなんとか」
「1秒でなんとかなりませんかね?」
 夕立は口元に手を当て、考えるような仕草をした。
「出来ますよ」
 ――ウソですけど。
 その口癖をあえて呑み込んだ意味を、桜人は察した。
 己はやる。だから、お前も"やれることをやれ"というわけだ。
「じゃあこちらで隙を作ります。どうぞ利用してください」
「わかりました」
 ギギ、ゴゴゴン……黄金外殻が変形を始める。桜人はそこへ何かを投げた。
「起きろ化物――餌の時間だ」
 "名もなき異形(ディスポーザブル・クリーチャー)"。
 彼が鹵獲したUDC。うごめく名状しがたきものを、あえて近づき投げ込む。
 名状しがたき怪物……そんなものは、敵にとってもおぞましかろう。
 狙い通り、クエーサービーストは"それ"を迎撃するために変形を始めた!
 巨大な機雷を生成し、桜人もろとも怪物を焼き払おうと――した。

 した、はずだ。
 だが生成されたはずのそれは、1秒しないうちに消えていた。
 誰が? 一体誰が、こんな不可知(インセンサブル)なことをしでかした。
 無論、独りしか居まい。
「巨大メカって自壊してなんぼみたいなとこ、ありますよね」
 夕立。一瞬にして"切り離した"巨大機雷を、敵の砲台部分に投擲。
 まさにカマイタチ。そして――ワンホールショット! ここまでで2秒!
「爆発しますよ」
「えっ」
「ウソじゃないです」
「……そういうのは早く言うべきで」
 KRA-TOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!
 砲台ごと、相手の生み出した超火力が宇宙に爆炎の花を咲かせた。
 一瞬のうちの爆破工作。斬り裂き、それを異次元にしまい、
 "こんなこともあろうかと"と放り込む。まさに、紙技だ。
 ……まあ、桜人と夕立が、その爆発から逃れられたかは定かではないが。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

切崎・舞姫
Aチーム
あぁ…なんて巨大なのかしら
あれだけ…大きければ、さぞ大きな命を…持ってるよね?
それこそ…私が命をかけても……お釣りが来るくらいの……
紫電一閃、もっと…もっと私を使って頂戴…そして、私をもっと永く生きさせて…

戦闘
なかなか……刃が通り難い見た目だけど、どうだろう…?
刃が通らなければ……雷を落としてあげようか
紫電一閃・雷墜
生命力吸収で命を奪い、それで更に雷を落とす

大砲や電磁兵器を狙えば……効果覿面…かな?
なにより…ナイチンゲール号の皆も…危ないからね
優先的に壊していこう

アドリブ、絡み歓迎


非在・究子
き、聞いては、いたけど、本当に、でかい、な。そ、その上、硬くて、学習型とは、面倒な、やつだ。
……ぐひひっ。ちゃんと学習、出来てれば、な。
あ、アタシは、砲台モードで、ほとんど、動かず、攻撃は装甲で、耐えてた。そ、そう言う、特性の、キャラだと、誤認、させるように、【ハッキング】も、した。
だ、だけど、ここからは……シューティングゲームの、始まり、だ。
で、伝説のコマンドで、フルパワーアップ、して、敵の威力はあるけど、遅い弾幕を、慎重に、回避しつつ、自機と、オプションからのレーザー、ミサイルで、一点集中、攻撃、だ。ざ、ざっと、256発、くらい、当てれば、壊せる、だろ?
……えっ、それはデマ?


アルトリウス・セレスタイト
お前に心があるかどうかは知らないが
思い残すこと無く全てを賭けて挑め
その尽く踏み砕く

『超克』で汲み上げる魔力を『解放』で最大限高めた出力で注ぎ込み、真世により己を独立した世界と為す
目標はサイズだけで埒外の存在
存在規模も当然巨大
そして自身が注ぎうる魔力に果てはない

骸の海と、其処に揺蕩う世界たち全て合わせたものと同じだけの重みだ
試してみろ。お前の無限はどこまで行き着く

最大限上昇した個体能力で目標の手札を一つずつ全て打破
単純に打撃と魔力量で押し潰し、今の状態なら世界法則と言える顕理輝光も適度に運用

全て潰したら『超克』の創世の原理を励起
真世の解除――「世界の終わり」に巻き込んで終わらせる

※アドリブ歓迎


フェルト・フィルファーデン
この前のもそうだったけれど……ええ、相変わらず大きいわね。でもね、そう簡単に臆すると思ったら大間違いよ?

まずは確実に攻撃を決めるため出来るだけ敵に接近しましょう。
守りを固めてもこの質量差ではほぼ無意味、ならば【早業と先制攻撃に第六感と野生の勘】も合わせ攻撃を確実に躱して掻い潜り突き進むの。ええ、アナタの行動はずっと見ていたわ?だから、避けるのも容易い……!

充分に距離を詰めたらUCを使うわ。ふふっ……無策で突っ込んで来たとでも思った?残念、対策は万全よ。
とはいえ、ここまで大きな物に使うのは初めてだからどの程度効くかはわからないのだけれど……
それでも、わたしは絶対に負けはしない。さあ、潰れなさい!



●斬影、電影、卷きて堕ちるは黒の星
 クエーサービースト・マインドミナBVAの超巨体の周囲を、
 ふたつの衛星が超高速で回遊していた。
 ……いや、違う。それは衛星でもなければ、流れ星でもない。
 猟兵だ。目で追うのも難しいほどの超速度で敵を翻弄するふたつの影。
 片割れは切崎・舞姫。その身を妖刀とする、命を燃やして命を喰らう少女。
 いまや両足の代わりに置換された二振りの妖刀は煌星めいて強く輝き、
 舞姫自身の生命力を代償として、稲妻じみた飛行速度をもたらしている。
 ZANK! ZANK!!
 舞姫の描く光の軌道は、すなわち回避であり攻撃の軌跡だ。
 光は刃に纏うようにして収束された紫電一閃の呪詛と稲妻めいた魔力であり、
 その根源は、舞姫の命への渇望を以て燃え上がる、くろぐろとした焔。
 クエーサービーストは人でも機械でもないいびつなる星の獣。
 されどこの世界に在る以上は、"いのち"と呼ぶべきモノを確かに持つ。
 であれば、斬れる。そして斬れるということは、殺せるのだ。
「ああ、なんて巨大……なんて悠然としていて、そして恐ろしい存在なの。
 感じるわ。あなたの裡に蓄積された、歪んで捻じ曲がった命の鼓動を……」
 超音速の世界のなかで、舞姫は陶然とした様子で呟く。
 斬り裂くたびに、刃を通じて己の胎が満ちていくのを感じる。
 まだだ。もっと。足りない。もっとその"いのち"を食らわせろ。
 外殻を斬り裂き、獣の肉たる殺戮武装を穿ち、なおも少女は飢えて飢える。
 よこせ。命を。そのためならばこの生命をくれてやる。
 それは矛盾だ。命を喰らうために命を燃やすなど本末転倒にもほどがある。
 だが、舞姫は――いっそ嬉しげに、妖刀・紫電一閃に呼びかけるのだ。
「紫電一閃――もっと、もっと私を使ってちょうだい……」
 そしてもっと、私を……永く、生きさせて。
 妖刀と一体化させられたこの身は、妖刀に命を差し出さねば生きられぬ。
 矛盾によって成り立つ体。ともすれば、それは摂理に反した禁じられた生命か。
 それでも、生きたいのだ。だから妖刀よ、か弱き我が生命をくれてやる。
「もっと、紫電一閃……もっと、持っていきなさい……!」
 見開かれた金色の両目が、妖しに魅入られたかのように輝き燃えた。

 そしてもう一方の輝く軌跡――電影の少女、非在・究子はその逆だった。
 なにせ彼女はバーチャルキャラクター、本来電脳世界の存在である。
 ことに究子は、ゲームの世界からやってきた、という背景を持っている。
 その特性ゆえに、究子は通常ならば死亡するほどのダメージですら、
 "残機"を消費して復活し、攻略=オブリビオン抹殺に役立ててしまう。
 ゆえに、究子は己の命をあまり重視しない。……というよりそもそも、
 現実をゲームと認識する彼女にとって、命という概念があるかどうかも怪しい。
 だから、必要であれば究子はいともたやすく"残機"を消費する。
 しかしそんな彼女をして、この超巨体が厄介な存在であるのは変わらない。
 いくら通常の人間とは事情が違うとしても、"残機"には限りがある。
 そこで究子が採った手段――それはあえて己の奥の手を隠しておき、
 クエーサービースト本体との交戦でそれを用いる、というものだった。
 鈍重な砲撃戦に従事したのは、今のこの機動力を覆い隠すためだったのだ!
「ぐ、ぐひひっ。ぴ、PvPじゃ、手の内を隠すのだって、だ、大事なんだぞ?
 あ、アタシの戦い方を、知らないんじゃ、追いつけるわけがないから、な」
 どこか見覚えのあるオプションが、飛翔する究子のあとに続く。
 そしてレーザー、ミサイル、スピードアップ……はて、強い既視感が。
 なんだか世界の摂理に触れそうなので、このへんは置いとこう。
 みんな知ってる伝説のコマンド。それがあれば究子はいつでもフル装備だ。
 ガギョン、ガギン――! クエーサービーストは外殻を無数の砲台に変形させ、
 究子を撃墜しようとする。いまの彼女にとって一番相性が最適な攻撃だ!
「そ、そんな弾幕、ボムを使うまでもない、ぞ? ヌ、ヌルゲー、だな」
 数多のシューティングゲームを制覇してきたバトルゲーマーにとって、
 ただ数だけに頼った弾幕など、スコア稼ぎのいい狩場だ!
 クエーサービーストの攻撃をあざ笑うように回避し、レーザー照射!
 KBAM!! 黄金の外殻が爆ぜて砕ける。ナイスショット!
「……け、けど、体力がバカみたいに多いな、こいつ……ウ、ウザい、ぞ。
 に、256発弾当てたりしたら、こ、壊せたりしないか、な……ゆ、有名だし……」
 残念ながらそれはデマである。いや、そういう話ではない。
 究子ひとりの火力では、やはりクエーサービーストの防御を貫けない……!

 斬撃と、射撃。
 究子と舞姫は決して示し合わせて連携したわけではないが、
 スピードによって敵を翻弄し、少しずつ傷を穿つ点では一致していた。
 足りないのは一撃の威力だ。そして運良く、それを補える猟兵が現れた!
「星の獣、クエーサービーストか……いいだろう、その外殻の生み出す全て、
 その尽くを踏み砕く。お前が絶対の存在でないことを、俺たちが教えよう」
 異常なまでの魔力を全身に――正しくはその根源的存在に充満させ、
 蒼い燐光を放つ男、アルトリウス・セレスタイト。
 余人には理解も制御もできぬ、世界の根源たる"原理"を操る異形の術師。
 概念魔術によって、物理的にはそのままに存在級位を増大したアルトリウスは、
 無限めいて続く外殻変形のパターンとその結果を見切っている。
 敵が巨大であればあるほど、その身に注ぎ込んだ魔力が多ければ多いほど、
 アルトリウスという人間が持つ根源的な力は高まるのだ。
「俺が外殻に亀裂をもたらす。そこを狙って一撃を叩き込め」
 視界内の猟兵たちに声を届かせたアルトリウスは、思考の速度で宇宙を翔んだ。
 クエーサービーストは外殻を防御的に変形させてこれを防ごうとする――遅い。
「させないよ。紫電一閃――切り裂け!」
 そこへ舞姫のインタラプト! 積層外殻を稲妻めいた速度で斬り裂く!
 さらに駆動部を究子のレーザービームが焦熱、防御をコンマ秒遅れさせる!
「骸の海の残骸を模倣し、己こそが宇宙の支配者たらんとふんぞり返る。
 なるほど、怪物には相応しい悪辣さだ。だがそういうものは必ず打ち砕かれる」
 ――このようにな。アルトリウスはそう呟き、魔力の弾丸を指先から放った。
 KBAM!! 空間をも歪ませるほどに凝縮された魔力の塊はさらに外殻を崩壊させ、
 いかなる防御も、反撃も許さない。徹底的にその守りを打ち砕くのだ。
 無限の変形? 片腹痛い。お前に無限など似合わない。嘯いてはならない。
 アルトリウスの冷たい双眸には、怒りにも似た感情が燃えていた。
 彼もまた、人類の覇道を阻む獣に対して義憤を抱く戦士のひとりなのだ。

 クエーサービーストは、破滅的な攻撃を予感したのか、一気に急速変形。
 ドリル、砲台、爆弾、さらには先の探査機群の再生成……。
 己が取りうるありとあらゆる外殻変形を用いて、三人を振り放そうとする。
 しかし、三人だけではないのだ。この時この瞬間に獣へ挑むのは!
「無駄よ! アナタの行動はずっと見ていたわ――ええ、ずっと。
 小癪な方法で手の内を探ろうとしていたのが、アナタだけと思わないで!」
 絡繰の人形騎士たちを連れ、フェルト・フィルファーデンは殺戮の嵐を舞う!
 触れれば必殺確実の猛威を踊るようにかいくぐり、敵の間合いへ肉薄。
 敵はたしかに巨大だ。だからこそ、小さき者は時としてそれを凌駕しうる。
 比すれば豆粒にも満たないフェアリーであろうと、彼女もまた猟兵!
 世界を――そこに住まう人々を、高貴なる者の義務として救うと決めた少女は、
 いかなる猛威が迫ろうと、恐れることなく嵐へと飛び込む!
「アナタはきっと、油断していたのでしょうね。この誰も居ない宇宙で。
 どんなモノが来ようと決して負けはしない、自分こそが勝者なのだと」
 見よ。フェルトの翅から電子の光が延び、幾何学的模様を描いた。
 それは電脳魔術の魔法陣。編み上げるのは万物を呑み込む黒き星。
 ――すなわち、超重力の波。敵が巨大であればあるほど星は昏く輝く!
「そういうものを、わたしたちは倒してきたわ。そしてこれからもそうする。
 この世界の人々も、同じ、アナタたちを乗り越えて、世界は前に進むのよ!」
 生み出された漆黒の重力波は、さながら黒い太陽のようにすら見えた!
 KBAM、KBAM!! フェルトを迎撃しようとした殺戮外殻が破損、崩壊!
 アルトリウスが生み出す魔力とその飽和攻撃は、敵の防御を決して許さない。
「わたしは絶対に負けはしない――さあ、潰れなさいッ!」
 ズオ――ベキ、メキメキベキベキベキ……!!
 超重力の一撃が外殻をひしゃげさせ、そこに青の魔弾が後押しされる。
 破城槌の如き超威力。外殻が完全に砕け散り、敵の体内を露出させた!
「紫電一閃、今一度鳴きなさい――その雷鳴とともに命を焼き尽くせッ!」
「こ、コアが露出したら、フルファイアしないと、な!」
 ZANK!! 妖刀の輝く稲妻が、がら空きの獣の胴体に槌の如く叩き込まれた!
 そして吸い込まれるようにして、無数のレーザーがなだれ込む。
 一瞬の静寂――そして、KRA-TOOOOOOOOOOM!!
 立て続けの必殺攻撃の連打が、宇宙をも揺るがす大爆発を引き起こした!
 星の獣がまた一歩、滅びへ近づいていく。人々と、猟兵の覚悟によって……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
A
随分と芸達者な様だな……
とは言えそんな物を楽しむ心算は無い
今を生きる者達に不必要な其の存在、早々に退場するがいい

先制――変形する隙間を叩く
無数の大砲が此方を向く、其の根元
ガトリング砲の如き状態で充填されている弾諸共に
怪力に鎧砕きをも乗せ、其の装甲ごと叩き斬り誘爆させてくれる
終葬烈実……涯の刃を止められる等と思わん事だ
攻撃は戦闘知識と第六感での先読みにて見切り躱し
傷も痛みも激痛耐性と覚悟で捻じ伏せ、前へ進む足を止めはしない

如何な巨躯であろうともオブリビオンを放置など出来ん
未来に対し存在其の物が罪となるものであり
ビースト――獣と名が付くならば、罪を犯せば狩られるが定め
此処で始末してくれよう



●涯の刃、宙に煌めく
 並のオブリビオンであれば消し炭すらも霧散するような、猟兵たちの超火力。
 立て続けの波状攻撃を体内に受け、クエーサービーストが一際大きく鳴動した。
 ――苦悶だ。ヤツは、追い込まれている。与えられた痛みに呻いているのだ。
 たとえ植物あるいは機械めいた知性無き獣であろうとも、苦痛はある。
 そして追い込まれた獣ほど、恐ろしいものはない!

 ギュグン! 突如として開かれた外殻から現れた、無数の大砲!
 もはや砲身のハリネズミとでもいうべき有様は、彼奴の狂乱を示す。
 そして――BRRRRRTTTT!! DOOMDOOMDOOOOOM!! すさまじい勢いで放たれる弾雨!
 猟兵たちのほとんどが、この弾幕を避けるためにやむを得ず退避するなか、
 隙間など存在しないように見える爆炎の海を、斬り裂くように進む男がいた。
 鷲生・嵯泉。隻眼が見据えるのは、砲撃の奥にある黄金の怪物ただひとつ。
 辿り着くと決めたならば、いかなる傷を負おうと必ず到達してみせる。
 遺志を背負い生きてきたこの命、散り時などとうに見失って久しいのだ。
 いまさら星の獣が暴れたところで、魔王すら奪えなかった命をとれようか!
「解るぞ、獣よ。お前の怒り、憎しみ、そして苛立ちと我らへの恐れが」
 語りかけるようにも、ひとりごちるようにも聞こえる調子で、嵯泉が言う。
 すぐそばで砲弾が炸裂し、破片が頬を斬り裂く。嵯泉は推力を止めない。
 目の前に飛来する弾丸は神速の斬撃で両断し、文字通り活路を"切り拓く"。
「だがあいにくと、死線の類は飽き果てるほどに見、乗り越えてきた。
 お前では私は止められない――いわんや、我ら全てを止めるなど……!」
 不要だ。この力、その存在、何もかもがこの世界にとって不要だ。
 あってはならぬモノを、あるべき場所へ還す。それが猟兵の義務であり力だ。
 友も部下も国すらも失い生き延びた己に、出来ることとやれることがあるなら、
 終葬烈実の剣を以て義を為すべし。然り、終わりをもたらし葬るためにこそ。
「涯の刃を――止められるなどと思わんことだ……ッ!」
 曰く、武芸の道は極めれば究めるほど終わりなき大海の如しと云う。
 されど人の命には終りがある。どれほど渇望しようと探求には終わりが来る。
 これこそは際の涯てへと至りし一刀。されど我が身、我が生命尽きることなく。
 いかなる痛みも私を止めることは出来ぬ。
 いかなる執着も私を戒めることは出来ぬ。
 あちこちに傷を帯びながら、それでもなお涯の刃はまっすぐに進む。
 未来への道を阻むものを、ただその剣によって斬るために。
「――ぬんッ!!」
 剛剣一閃! ひときわ巨大な大砲が、装填された弾丸ごと叩き斬られた!
 爆裂するその残骸を蹴り、嵯泉は次の大砲の根元へと迫る。そして一閃。
 おお、星をも斬る刃ここにあり。弾幕などでこの男を止められるはずがない!
「お前は罪を犯したのだ。人々の行く末を阻み君臨するという、贖いがたい罪を」
 その男は、人の身でありながら鬼神に等しき位階に到達していたのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴァーミリア・ランベリー
 話に聞いていたよりも、随分と元気のいい相手じゃないの。
 でも、攻めを強化する代わりに、守りが薄くなるってなら――どんなカタチに変化できたとしても、それぞれのカタチは完璧なんかじゃない、ってコト。
 それに、自分からウィークポイントを作ってくれたんだもの、乗らないのは失礼よね。

 転調が多いのだとしても、デタラメなランダムじゃなくて、意味のある変化。なら、ある程度は読めなくもないわ。
 向こうの攻撃を最小のロスで捌きつつ接近。隙があるうちにお見舞いしましょ。

UC:攻撃目的のほか、実体がある攻撃に対しては打ち払い等にも使用
備考:あまり防御・回避に比重を置いていないため、必要に応じて連携など◎



●ダンシング・オン・ザ・クエーサービースト
 星の獣クエーサービースト――なるほど、話の通りの規格外の巨体。
 さながら超巨大な時計塔の機構めいて、無限の外殻変形はとめどなく続く。
 そして今、マインドミナBVAが取った殺戮形態とは、すなわち無数の砲口。
 外殻のあちこちから数え切れないほどの砲身が出現し、砲声をがなり立てる。
 あまりにも耳障りなノイズ。だが戦争交響曲とはそういうものである。
 命を奪う無慈悲なる砲火にこそ、この世の美が潜んでいると信じる者もいる。

 だが、ヴァーミリア・ランベリーは、そんなものを音楽とは認めない。
「ミュージックとしてはマイナス100点ね! リズムがなってないわ!
 本当の音楽とは、芸術とは! もっと優雅で美しいものを指すのよ!」
 超巨大なクエーサービーストにさえそう言ってのけるさまは、いっそ心地良い。
 傲岸不遜を通り越して、もはや天上天下唯我独尊というレベルだ。
 ヴァーミリアの学んだノブレス・オブリージュは、本来の高潔なそれと異なる。
 それでも邪悪なモノに対して決然と挑むならば、それは相対的に善のはずだ。
 砲撃の雨の中を、体の裡から生まれるリズムに乗るようにして踊り進む少女!
 宇宙の星空をバックにステップを踏むたび、その旋律が刃めいて真空を裂く。
 少女を打ち砕くであろう砲撃ですら、切り裂かれて微塵と消えるのだ!
 すべてはリズムだ。攻撃を回避するのも、相殺するのも、此方が攻撃するのも。
 無限の変形と云うと恐ろしく聞こえるが、そこには必ず意味がある。
 猟兵を――天敵を抹殺するという、あのプレッシャーの顕現たる意味が。
 であれば、読める……いや、厳密に言えば"読む"というのは正しくない。
 ヴァーミリアは、それを感じるのだ。五感で、全身で、そして魂の震えで。
 避けることなど不可能なはずの砲撃を踊りながらかいくぐるヤドリガミ。
 その双眸がぎらりと輝いた。接近に対して再変形した外殻の裂け目が急所!
「この世にあるカタチに、完全完璧なモノなんて決して存在しないものなの。
 残念ね、クエーサービースト。アンタ、ダンスパートナーとしては最低よ!」
 見切った。ヴァーミリアは背後で炸裂した砲弾の勢いを追い風にステップし、
 くるくると流麗に舞いながら敵の懐へと飛び込み、鋭い蹴りを放った!
 真空をまとったそれは、さながら鍛え上げられた魔剣のように外殻を一閃!
 攻撃特化の形態の弱点は、防御力が著しく低下すること。
 見えず触れられない旋律の刃が外殻を斬り裂き――ついに体内へと到達!
 バガンッ!! と、黄金の外殻が内爆して吹き飛んでいく……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

清川・シャル
真の姿は鬼神也〜…って見えてるのかな、豆粒くらいにしか見えないのでは?
ちまちま動いてる粒みたいな私達にやられてるなんてさぞかし……おこだよね?

増悪などはこのUCで対処出来るでしょうか
全ては流石にキャパ的に無理ですが、エネルギー源として活用させてもらいます
攻撃力アップしますね
怪力も使って外殻をちぎっては投げを繰り返しましょう
どんな物質が効くかわからない以上、クエーサービースト自身の身体の一部の方が硬そうです
敵を盾にする、も使用してガードも行います
敵攻撃には大凡の予測も立てつつ、先程同様氷の盾を展開しての防御もはかります
自分1人で後ろに誰も居ない場合は、見切り、カウンター、第六感で対応


ルエリラ・ルエラ
【Bチーム】【アドリブ改変・連携歓迎】
皆攻撃が派手だね。おかげで楽ができるかも。なんて虫のいい話はないんだろうね
それにしても今回もでっかいね。でもプレッシャーみたいなのは慣れてきたし平気平気
さ、私は私のお仕事頑張ろう

私はこのまま皆の援護にまわるね
なんだかごちゃごちゃ変化するみたいだけど、【フュンフ】で全部相殺しちゃうね
ドリルだろうが大砲だろうが誰かのユーベルコードだろうが私には通じないよ
そんなわけで、この『援護射撃』で皆が戦いやすい戦場にして、攻撃に専念できるよう立ち回ろう
みんなファイトだよ


レティス・シェパード
(アドリブ・連携可)
予想…覚悟はしてましたが…けっ…桁違いすぎます…!性能も大きさも…!
でも…ほんの一部、外殻とはいえクエーサービーストとは戦ってる、なら…やり方や出方の予測もつくはず!

防御と外殻の変形の兆しを<第六感>と『シンパセティック・ホーン』で察知したら<学習力>で攻撃を予測、
こちらに攻撃が届く前に【ミレナリオ・リフレクション】で相殺する…この繰り返しで味方への攻撃を防ぎます!

攻めるなら…あの探査機を再現してきた時!
レーザー砲なら存分に見てきたばかりです、初見の攻撃の予測に回してた力を振り絞り<全力魔法>で打ち砕きます!

たとえ相手が無限に変化するとしても追い付いて…追い越してみせます!



●たとえその身が小さくとも
 ミレナリィドールの少女、レティス・シェパードは圧倒されていた。
 無理もない。彼女はまだ猟兵として戦い始めて日が浅く、
 経験した戦場はせいぜい2つか3つ。絶対的な経験の差というものがある。
 そこで邂逅したのが、小惑星級の巨体を持つ星の獣とあれば……。
 たしかに見ていた。遠巻きに、その規格外の巨体を目の当たりにしてはいた。
 だが、それこそ惑星がどれだけ大きくとも、そこに住む者に巨大さがわからないように……あるいは、空に浮かぶ太陽の大きさが肌で感じられないように、
 実際にその脅威を感じることの出来る距離で目撃するのとではわけが違う。
「けっ……桁違いすぎます! 性能も、大きさも……こ、こんなのって!」
 あの探査機群は、正真正銘クエーサービーストの一部でしかなかったのだ。
 その事実が、余計にレティスの戦意を揺るがし、彼女の意志を砕きかけた。
「大丈夫だよ。相手がどれだけ大きくても、私たちがやることは変わらない」
 そんなレティスの肩を叩き宥めたのは、ルエリラ・ルエラだった。
 青い髪のエルフは、真剣な面持ちのまま、その瞳をじっと見つめた。
「あのデカブツにそれだけの力があるように、私たちにはユーベルコードがある。
 まあそれ以外にも仲間とか色々……だからひとりで気負うことはないと思うよ」
「け、けんども……」
 思わず故郷の訛りが出かけたレティスを見て、ルエリラは肩をすくめた。
「なら実際に、あれに挑む誰かの背中を見たほうが早いのかもしれないね」
 そう言ってルエリラが視線を向けた先、レティスよりも小さな少女がひとり。
 羅刹の角を露わにし、金色の髪をざわめかす姿は、猟兵と思えぬほど恐ろしい。

 ……そしてその少女……すなわち真の姿を露わにした清川・シャルですら、
 クエーサービーストと相対してみれば、その比率は豆粒にも届かない。
 ググ、ゴゴゴン……と、黄金の外殻が無限めいて変形し、大きく鳴動する。
 それはさながら、己の縄張りを主張する恐るべきドラゴンの咆哮のようだ。
 だがそれを受けたシャルの笑顔は――にんまりとした笑顔である。
「おーおー、そりゃそうだよねー。こんな豆粒みたいな私たちに、
 いいようにしてやられてるなんて……そりゃ、おこだよねー?」
 然り。シャルはその鳴動と攻撃的な外殻変形から、一つの意志を読んでいた。
 ……といっても、クエーサービーストに人間と同じ意志と呼ぶべきものが、
 はたして本当にあるのかどうか。それは如何ともし難い命題である。
 だが、それを言語化するならば、怒りとしか言いようがなかった。
 苛立ち。憎悪。憤懣。とにかくそういうものに類する"何か"だ。
 クエーサービーストは、苛立っている。猟兵たちの存在そのものに。
 己が追い詰められつつあるという事実に、焦りすら感じているかもしれない!
「いいですよぉ。そういうの、私の好物ですからね~」
 見よ。ざわめく金色の髪に、恐ろしき羅刹の膂力を満ち満ちる。
 見るものが見れば、今のシャルの姿は淡く輝いてすら見えるかもしれない。
 "幻想喰ゐ(イマジンイーター)"。
 敵対した相手の殺気や魔力、狂気、はたまた五欲や悪徳、苦痛、すなわち負念。
 それを喰らい、吸収し、己の力とするという恐るべきユーベルコード!
「これだけ頂けたなら――あとはもう、やるっきゃないですねぇ!」
 ドウンッ! 虚空をたわませ、シャルがすさまじい速度で加速した!
 殺戮兵器……ドリルや砲台、あるいは爆弾といった兵器が変形生成され、
 シャルを阻もうと振るわれる。ZZZZZTTTTT!! DOOM!!
 だが! 目の前で爆ぜる砲撃を回避し、シャルは流星のように飛ぶ!
「さあ~、さあさあさあ! 私の真の姿は鬼神なり! 見えぬなら見せましょう!
 偉そうにふんぞり返ったクエーサービーストさん、勝負の時間ですよぉ!」
 ただ星の獣を壊し、殺す。それだけを求めて鬼が翔ぶ!

 それを追いかけて、レティスとルエリラも敵交戦領域へと突入した。
 眼前の脅威は、シャルが真っ直ぐに飛行することで全て粉砕している。
 それでもふたりを襲おうとするものがあれば、ルエリラが弓を引いた。
「――フュンフ!」
 シュパッ、と放たれた魔力の矢が、巨大な砲弾めがけて飛翔する。
 サイズ比はあまりに圧倒的。籠められた魔力量もあまりに足りない。
 威力で相殺するというのか? 否、この矢"それ自体が相殺の矢"なのだ!
 あらゆるものを無効化せしめる静謐の矢。砲弾だろうがドリルだろうが同じだ。
 雲散霧消した"弾丸のあった場所"を、ふたりは涼やかに通り抜ける。
「というわけで、援護射撃は任せてくれるかな。これが私の仕事だからね」
「……そ、それなら、ウチ……私にも出来ます! やれる……やりますっ!」
 さっきとは打って変わった力強い言葉に、ルエリラは頷いた。
「なら、ふたりでだ。彼女の攻撃を、確実にあの怪物に届かせよう」
 必要なのは、強固なる外殻をも打ち砕き星の獣を穿つ一撃。
 ふたりは速度を増し、外殻との格闘に入ったシャルのもとへと急ぐ!
 ゴゴ、ゴキキギン……! 次に生成されたのは――巨大な"口"だ!
「あれで周りの猟兵ごと皆を呑み込むつもりですか……!?」
 レティスは驚愕に呑まれかけ、己の頬を張ると表情を引き締めた。
 そしてシャル。ドリルを牙として開かれたその"口"を前に、ごきりと手を鳴らす。
「これはひきちぎりがいがありそうですねぇ……!」
「突然後ろから失礼、余計なお世話かもしれないけどサポートするよ!」
「!!」
 ルエリラの声に振り返るシャル。その顔の真横を矢が通り抜けた。
 パシュンッ、と魔力が作用し、ギュルギュルと作動するドリルを霧消!
 さらに大きな口そのものの縫合がほぐれかけ、全体から軋み音が響く!
「たとえ、無限に変化するとしても!」
 そしてレティス。魔力をありったけかき集め、それを形とする。
 生み出されたのは鋼の巨神。その巨体が閉じかけた敵の大口を全身で阻む!
 ギギ、ギギギギ……!! かりそめの巨神が、ひしゃげていく。だが!
「それでも私たちは追いついて、追いついて……必ず、追い越してみせます!
 そして前に進むんです! ――だから、あなたには、負けられないっ!!」
 レティスは眼を見開いた。大きな口の奥、深淵めいた闇に光の煌き!
 杖剣アストロラーペにすべての魔力を注ぎ込み、光に向け掲げた!
「――その攻撃は、通しませんっ!!」
 ZAAAAAAAAAAAP!! レーザー砲と、レティスの魔力砲撃がぶつかり合う!
 盛大な輝き。それを横顔に浴びながら、シャルははにかむように笑った。
「いいね、ありがとうございますっ! そのぶんたっぷり、やらせてもらいますね!」
 レティス、そしてルエリラは頷いた。ここからは彼女の仕事だ。
 シャルは霧散したレーザー砲の残滓――光の粒の最中を飛翔し、口蓋の奥へ。
 行く手を阻むように積層する外殻に手をかけ……膂力て引きちぎる!
「いちまぁーい!」
 メキメキメキ! 乱暴に引き剥がしたそれを、そのまま叩きつけた!
「にぃーまぁーい!!」
 ベキベキベキ……KRAAAAAASH!!
「さん、まぁーい!!」
 そしてひしゃげて尖った破片を、全身の膂力で遠心力を上乗せし投擲!
 錐揉み回転する外殻の破片は、そのまま鋼を巻き込み獣の中枢へ抉り込む!
 再度の鳴動――これは、苦痛だ。獣が悶え苦しんでいる!
 クエーサービースト自身の外殻を利用した攻撃。シャルの判断は大正解だった。
 彼奴はその無限の変形をもたらす黄金によって、因果応報の一撃を受けたのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジョン・ブラウン
【我ら”チーム悪巧み”】
ひとまず先行して敵へ駆けつけたリクロウの元へ集結

「今こそ僕らの奥義を使う時だ、行くよ皆!
 我ら”チーム悪巧、……えっ今殴ったの誰?」

「宣言終わってからって言ったじゃん」
「えっ、もういいの?もうやっていいの?じゃあ僕グレムリン(仮)増やすよ?いいんだね?」

「……うおぉぉぉ行けぇぇ!!敵もあいつらも纏めてボコボコにしてやれぇええ!!」

それはチーム悪巧みの攻撃回数を9倍にするUCを4回重ね掛けする連携必殺技――

『『『やれやれだぐれむー』』』×6561

『あ、報酬は人数分でおねがいするぐれむー』

「えっ」

全てが終わった後、そこにはボコボコにされパンイチで宇宙空間に浮かぶ少年の姿が―


リチャード・チェイス
【我ら”チーム悪巧み”】
一番槍、見事であったぞ、若きシャーマンズゴースト。
褒めるられることに喜びを示すと朝の占い上位になること受け合い。

ついに奥義を世に表す時がきたであるか。
括目せよ、我らが悪戯心の輝きを。増幅される絆の力を。
所詮貴様1体では……無限とかいう雑な強さでは及ばぬ力を。
君に出せるかね、この不思議なものへの有効手段が。
よしんば出せたとして使い方がわかるかね?
なお、私は別に鹿せんべいは好物ではない。
(ステッキを振ればシャーマンズゴースト鹿が整列)
では(仲間も含めた)蹂躙を始めよう。

悪巧みは、良いであるな……
(全てが終わった後、デブリに腰かけ呟く。その体は崩れ去って行くのだった)


詩蒲・リクロウ
そう、例えボールにとして砲弾にされても、それで敵の表面に砲撃され、その後遠慮なく砲弾の嵐に見舞われても僕たちの絆は崩れない……

訳ないんですよねぇ(ぶちぶちぶちぃ)

どうせこの奥義は味方を一発ぶたないと行けないんです。それが2、3発になった所で誤差ですよねぇ(ビキィ)

所で気のせいでしょうか
僕がなんか6561倍くらいに増えてる気がします
え、これさっきの砲撃で僕自体が攻撃扱いされたりしたんです?

……あの人たち殴ってもバレなくなりそうだしいっか(思考放棄)
遠慮なく暴れてやりますよ!!うぉおお死ねぇいリチャジョィアー!!

(全てが終わり無数のリクロウが姿を消すと、リクロウの姿はどこにもなかった)

キラーン


ティアー・ロード
【我ら”チーム悪巧み”】

「ん、アレを使うのかい?
やれやれ、結局か……艦長、カタパルト借りるよ」
先行している詩蒲くんたちの元へ集結

「ってい」
(その辺のスペースデブリをジョンに念動力でぶつける)
「さっさと始めるよ
先制の利が潰れるじゃないか!」

格闘で攻めたい所だが今回はデカブツ
そしてボディもない
という訳で念動力で質量攻撃といこう!

それはチーム悪巧みの攻撃回数を9倍にするUCを4回重ね掛けする連携必殺技――

『探査機残骸&むしったドリル&悪巧み』×6561

ん、ああ、味方にも攻撃しないといけないからね
たまに弾に使うよ

隙あらば味方の攻撃は回避

え、ダメ?
「ちょっと
私の柔肌とキミたちの寿命どっちが大事だと?!」



●抜け駆け、背信、裏切り、寝返り
 チーム・悪巧み。
 それはわんぱく少年&レディの四人組が名乗る、とんでもなくはた迷惑……違う、
 とても勇敢で人々のために戦う、希望と決意溢れる若き猟兵たちだ!
 ……これでいい感じにシリアス感でましたかね? よしOK!
 閑話休題。ともかく、彼らはどんな時どんな場所、どんな相手だろうが、
 とにかく悪巧みをする。ただしそれはあくまで愉快な悪巧み、だ。
 ……砲弾代わりにぶっ飛ばされた詩蒲・リクロウは完全にブチギレてる?
 それは置いとこう。彼はそういう役回りだ。なので問題はない、いいね?
 閑話休題(二回目)。とにかく、彼らのその姿はある意味で希望をもたらす。
 相手が星のごとき超巨大の怪物であろうと、マイペースを崩さないのだから。
「いまこそ……僕らの奥義を使うときだ!」
 くわわっ。ジョン・ブラウンがリーダーな感じで目を見開いた。
 台詞自体は実に必殺技っぽい感じがあり、カメラワークも意識している。
 完璧だ。戦隊モノとかヒーロー系の映画とかなら、主役を晴れるに違いない。
 こんなときのために練習しておいたかいがある。そして仲間たちが……KRASH!!
「いったい!? え、今殴ったの誰!?」
『私だよ。結局カタパルトで飛んでくるハメになったじゃないか、まったく』
 ふわりとスペースデブリを操りながら現れたティアー・ロードが呆れ声で言う。
 艦長パトリックの、『えっこのタイミングでですか!?』という顔が面白……いや違う、なんとも忘れられない。自分としてもいい迷惑である。
「致し方ないことである。これもすべて、散っていった仲間のためなれば。
 若きシャーマンズゴーストの命を無駄にせぬためにも、今こそ奥義の時である」
「そう、半ば騙し討ちでぶっ放されたボールはその勇敢な命を散らし、
 クエーサービーストを斃すための尊い犠牲に……なってませんよ!!!!!!」
「バカな、生きていたのであるか貴様!」
「死に損なった悪役みたいな驚き方するのやめてくれませんかねぇ!?」
 リチャード・チェイスに対し、ブチギレ状態のリクロウはやかましく叫ぶ。
 が、リチャードのほうはさっぱり聞いちゃいない。彼は鹿だから。
 理由になってない? そもそも鹿じゃねえんだからどうしようもねえよ!
『いいから、さっさと始めるよ。せっかくの利が潰れるじゃないか!』
「よくないですよ!? ていうかティアーさんも止めてくれてよかったのでは!」
『いやぁ、まさかキミが装填されてたなんて気付かなくてね。ごめんごめん』
 いやー若干申し訳ない、みたいなかるーいテンションで詫びるティアー。
「まあ、わかってても止めないよね。別に」
 そこにすかさずジョンが相槌を入れた。
『それはまあ、ね』
 あっさり肯定するティアー。
「ね! じゃないですよ!!!!! 止めてくださいよ!!!!!!」
 あっリクロウからブチって音がした! すごいですねほんとに血管切れるんだ!
「こらこら、諸君。ここでいがみあっていても何の問題解決にもならぬのである。
 時は金なり……タイムイズマネー。強敵を倒すためには協力不可欠であろう?」
「うわっこのタイミングでまとめにかかるとかズルいでしょ!」
「っていうかどの面下げて言うんですかね悪巧みの張本人が!?」
『しかもそれさっき私が言った台詞じゃないか! パクリだよパクリ!」
 ぎゃあぎゃあわーわー。リチャードに食って掛かる三人であった。
 だが案ずるなかれ、チーム悪巧みの絆は強い。何があろうと切れることはない!
「お? なんであるか? やるのであるか? 相手になるであるぞ、鹿ファイト」
「鹿ファイトってなんです!? そこは素手ゴロとかじゃないんですか!?」
「いやいや、そんな野蛮なのはよくないって。ゲームで決めようゲームで」
『急に雑にバトルゲーマー要素推してきたね。イメージ補強かい?』
 ダメだこいつらいがみ合いまくってる上に話がまったく落ち着かねえ!
 これにはクエーサービーストも(意思があるのかないのかわからんけども)ブチギレ寸前! グゴゴングゴゴンと外殻を変形させて自己主張する!
「「「『あ、忘れてた』」」」
 こ、こんな巨大な怪物を!? これがチーム悪巧み……!

「わかった!」
 と、そこでジョンが声を張り上げた。一同が彼を見やる。
 そしてジョンは仲間たちをじっと見つめた後、深呼吸してこう言った。
「いまこそ……僕らの奥義を使うときだ!」
「えっテイク2の合図だったんですか今の!?」
「うむ。一番槍、見事であったぞ若きシャーマンズゴーストよ。
 褒められることに悦びを示すと朝の占い上位になること請け合いである」
(私、これまたデブリぶつけたほうがいいのかな。話こじれそうだからやめておこうか)
 キリッ。何事もなかったみたいな顔でシリアスにカッコつけるジョン!
「しかし、ついにこの奥義を世に現すときが来たであるか……」
 リチャードは、何やら感慨深そうに頷いた。胡散臭さしかない。
「よかろう。刮目せよクエーサービースト、我らが悪戯心の輝きを。
 増幅される絆の力……所詮貴様一体の、無限とかいう雑さでは及ばぬ力を!」
 ピカアアアーッ! 四人の体が、まばゆく輝く!
「9倍の友情!」
 ババッ。なにやらかっこいいポーズを取るジョン!
「9倍の信頼!」
 ササッ。どこからか取り出した紅茶を手に優雅にポーズを決めるリチャード!
「………………9倍の絆」
 めちゃめちゃやる気なさそうなリクロウ。
『そして9倍の思いやり。それこそ、我らの武器!』
 言ってからちらっと三人を見るティアー。せーの。
「「「『我らチーム悪巧み! 合わせて6561倍パワーを受けてみろッ!!』」」」
 さらに輝きが強まる! 目も開けていられないほど……そして、おお、これは!

 ……これは、なんだ?
『今回はデカブツ相手だからね、質量攻撃といこうか!』
 まず現れたのは、ティアーの念動力によって操られる無数のスペースデブリ。
 その数、よーーーーーく数えると6561個である!
「最初に言っておくのである。私はべつに、鹿せんべいは好物ではない」
 さらに現れたのは、これまた6561匹のシャーマンズゴースト(鹿)の列!
 それらはリチャードがステッキを振るのに合わせて一糸乱れぬ統率を見せる!
「「「……え、これ僕が増えてます!? 僕が6561人いるーーー!?!?」」」
 そしてリクロウ……うわっ気持ち悪い! 6561人分のハモリはもはやノイズ!
 多分ボールになってぶっ飛んでいったせいですね。こんなチートありかよ!
「そして僕が呼び出すのは」
「「「うおおおおお死ねぇえええリチャジョィアアアァアアア!!!!!」」」
 SMAAAASH!!! 6561体のリクロウがフライングして暴れだした!
 ユーベルコード的に味方を殴らないといけないから、仕方ないね!
「ちょっと! 宣言してからって言ったじゃん! ずるくない!?
 もうやっていいんだね? じゃあ僕グレムリン増やすよ? いいんだね?」
『『『やれやれだぐれむー』』』
 こちらもこちらでもはや塊のよう、6561匹のグレムリンの群れ!
『ちなみに私は全力で攻撃は避けさせてもらうよ!』
「それは協定違反ではないのかね? ティアーよ」
『私の柔肌とキミたちの寿命、どっちが大事だと!?』
「「「私(僕)の寿命」」」
『キミらね!!!!』
 SMAAAASH!! KRAAAAASH!! 乱舞するデブリ! 鹿! リクロウ! だむぐるみ!
 これがチーム悪巧みの奥義! 味方も敵もまとめてぶちのめす9*9*9*9の輝き!
 もうしっちゃかめっちゃかだ! 敵の攻撃がどこから来るのかわかんねえ!
「うぉおおお行けぇえええ!! 敵もあいつらもまとめてボコボコにしてや」
『『『あ、報酬は人数分でお願いするぐれむー』』』
「えっ」
「「「死ぃいいいねぇぇえええああああティチャョンンンンン!!」」」
「はっはっは! 悪巧みはいいものであるな! はっはっはっは!」
『よし! できるだけ私の代わりに殴られてくれみんな! よろしく!!』
 乱舞、乱舞、乱舞……! 悪巧みの悪戯心、心極まれ利。
 全てが覆い隠されていく。敵も味方も何もかも……!

 ただしまあ、被害を喰らうのは四人だけであるという話。
「…………さ、寒っ!?」
 服まで引っ剥がされてパンイチで浮かぶジョン。
「ふっ、悔いなし、である……」
 デブリに腰掛け、体が崩れるリチャ……えっ体が崩れる!?
『………無茶しやがって……!』
 ボロボロのティアーは、星空に浮かぶリクロウの幻影に敬礼した。
 ああ、さらばチーム悪巧み、君たちの悪巧みの心は忘れない。
 忘れられるはずがない、こんなユーベルコードの悪巧みありかよ……!

 え? 敵? まだ生きてます。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロク・ザイオン
【A・外殻模倣】
ジャックと

(その姿に目を瞠る
また、ひどく喉が。胸が。痛む気がした)

……うん。
やろう。

(伏して。【野生の勘】で、その時を待つ。
拮抗の末に、全ての剣が同時にキミを狙い
その姿しか、あの病の目に映らなくなる瞬間を。
……必ずそれは来る。
キミは、『そうするだろうと思った』。)
――ああァアアア!!!
(真の姿のよる「燼呀」を全て、キミに殺到する剣へ
爪で。牙で。
尽くを灼き潰し踏みつけ【かばう】)

今度こそ。
……キミに声なんて。あげさせない。


ジャガーノート・ジャック
◆Aチーム/【外殻模倣】/ロクと

(ザザッ)
成る程。
宇宙の世界。
そしてオブリビオンの模倣。

ともすればこの様な事も起こり得るか。
――リベンジマッチと行こうか、ロク。

今一度【黒騎士】に挑む。

(ザザッ)

"経験予知"。
一度身を以て味わった。
異界にて似た白と黒の剣を見た。
――故にこう言おう。
『そうするだろうと思った』。

三剣を躱し、或いは熱線で撃ち落とし、"砂嵐"から生じた虚像で撹乱し、全てを回避。
(学習力×戦闘知識×見切り/援護射撃/フェイント×残像)

――決め手に欠ける。
解っている。
だが、あの時になかったものもある。

則ち
頼れる相棒がいる。

隙をついての狙撃一射。

今度こそ"二度目"は本機達の勝利だ。
(ザザッ)



●敵は残骸、A級の敵
 かつて、このスペースシップワールドには銀河帝国という巨悪があった。
 かの者らですら、この未踏宙域は手出しすることなく見逃していたのだ。
 もしやすれば、あの強大な世界最強のサイキッカー銀河皇帝ならば、
 総力を挙げればこの宙域をすら支配できていた……の、かもしれない。
 だが、そうはならなかった。結果としてクエーサービーストはここに存在する。
 であれば、先の探査機群のように、残骸が残骸を模倣することすらある。
 たとえばいま、ロク・ザイオンとジャガーノート・ジャックが相対すように。

 ……黒騎士アンヘル。
 銀河帝国において(かの皇帝を除けば)最強の存在、その双翼。
 あの謎めいたドクター・オロチですら、多世界において至極と謳った戦士。
『噫』
 "再現"されたそれは、あのときと同じ姿、同じ声で産声めいて言った。
 それは、厳密にはかの戦士そのものではない。あくまで似姿である。
 なぜならばかの残骸は、猟兵の苛烈な攻撃によって完全無欠に滅んだのだ。
 だが、その残滓はある――そう、猟兵の脳裏そのものに。
 ことにロクとジャガーノートのふたりは、それを強く強く記憶していた。
 勝利に寄与したと言えば聞こえはいい、だがそれは実質的な敗北。
 鎧とともにその身を貫かれ、
 ありえぬはずの傷と病に蝕まれ、
 ふたりは斃れた。単独としての戦いで見れば、それは敗北と言ってよかった。
 ゆえに。ふたりはそれと相対した時、こう言い表したのだ。
《――リベンジマッチと行こうか、ロク》
「……うん。やろう」
 無骨なマスクによって顔の六割を覆った美剣士が、ふたりを見やる。
『なるほど。今一度、手痛い敗北を味わいたいと見える』
 それは識っている。己が敗北したこと。己が完全無欠に滅び去ったことを。
 ……だから? それがどうした。我はオブリビオン。
 この身は残骸ですらなく、ただこの場に模倣された存在であるならば、
 そのように振る舞うべきモノ。そして何も成せずにまた滅びるモノ。
 浮かび上がるは三種の剣。白・黒・灰の魔剣。恐るべき過去を操る三神器。
 ロクの髪がざわつく。喉を、あの焼け付くような血の味が蘇った。
 ジャガーノートもまた同様。肚を深く深く貫かれた忘れがたい痛みが。
 あれから多くの傷を負った。それは此度の戦いにおいては不利と働く。
 じくりと全身がうずく。すでに傷と病の再生が始まっている!
『いじましきかな――死にたまえ』
 ヒュカカカッ! 迅雷のごとき速度で飛来する三種の剣、それは色つきの風!
 ジャガーノートとロクは弾かれたように左右に跳び、これを避けた。
 ZAP!! 熱線が曲芸的軌道で襲いかかる魔剣を撃墜。だが黒騎士は笑む。
 それはユーベルコードの産物。であれば、即時の再生など容易。
『あの時とは違う。君たちはふたりきり。そして私は君たちを識っている』
 それは模倣であるがゆえに、ロクとジャガーノートの手の内を識っている。
 "知っているだろう"とふたりが思っているからには、そうなるのだ。
 砂嵐のもたらす虚像をあの時と同じように見切り、斬り裂き、貫き、穿つ。
 だが見よ。ジャガーノート本体は、その尽くを避けていた。
《――識っているとも》
『ほう』
《――お前はそうすると。そう来ると。そう云うだろうと、"思った"》
 然り。敵の手の内を識り、その限界を識り、滅びたことを識るのは二人も同じ。
 そして――積み重ねてきた"経験"は、何にも勝る武器となる。
 過去を操り、想起し、封じ、ついには操る絶対の魔剣士!
 それを討ち滅ぼすのは、過去を認め乗り越える覚悟があらばこそ!
『であれば、君にはあの時よりも凄惨な末路をもたらそう』
 魔剣が。殖えた。八方向から同時に狙い撃つ矢の如き剣閃。だがしかし!
「――ああァ」
 剣士よ、畏れよ。それこそは神なる獣の咆哮(こえ)である。
 灼けた鉄に、人の骨をこすりつけるが如き煩わしき声。されどそれは咆哮。
 獲物を怯えすくませ、これより狩ると決めたけだものの叫び。
 されど人たらんと決めた、あのときとは違う女の怒りだ!
「アァアアアアアアアアアアッッッ!!!」
 たてがみが燃える。アンヘルは瞠目した。二段構えの死角不意打ち!
『猪口才なッ!!』
 ジャガーノートを剣衾にせんとする一方で、己の両手に魔剣を生成、迎撃!
 爪を牙を剣を焔を尽く弾きいなし防ぎ切り払い反らし曲げ振り払う。が!
『……なんだと』
 退けられぬ。圧されている。己が? バカな!
「今度こそ――」
《――今度こそ》
 あのときとは違う。ふたりきりの戦い。ふたりだけの戦い。
 ふたりでいいのだ。超えた過去を再び踏み越えるためには、相棒がいれば。
「もう、悲鳴(こえ)なんてあげさせない!!」
《――二度目は、本機たちの勝利だ》
 黒騎士は視た。己の喉元を狙う刃を。
 黒騎士は視た。己の剣を躱し引かれたトリガを。
『…………』
 そして浮かんだ言葉を理解し、黒騎士は諦めともつかぬ笑みを目元に浮かべた。
 完敗とばかりに目を閉じ、そして安らかですらある声音で言う。
『――馬鹿な』

 あのときと同じ断末魔は、雷のごとき矢と焔の中に消えた。
 もはや残骸はどこにもない。勝利の余韻も達成感もありはしない。
 ただ。ふたりにとってはたしかに、それはひとつの禊だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻龍人魚
アドリブ歓迎

外殻がまた変わったね
簡単に変化できるなんて、羨ましいと言うべきかな?

やっとやる気になってくれた?
ふふ
君らしい
本当にできる気が―いや、やってもらわなきゃな
だけど
僕の櫻を傷つけなんてさせないから
櫻がしっかり斬れるように僕も尽くすよ
水泡のオーラは大きめに櫻を包むよう漂わせ守るんだ
歌声には鼓舞を添え櫻の背を押す
…ねぇこんなの誘惑しないでよ

心無くても意思がなくても逃がさない
歌唱を活かし響かせ変化するタイミングに合わせて歌うよ
『薇の歌』を
どれ程変化しようとも捉えて蕩けて――そう
そんな変化は《なかった》んだ

否定する、拒絶する
その変化を、進化を、存在を
君の存在は、僕らの歩む道には不要だ


誘名・櫻宵
🌸櫻龍人魚
アドリブ歓迎

リィのライブも満喫したし、あたしも頑張らなきゃ!
大きいわね
ゴツゴツして斬りごたえもありそうだわ
首がないのが残念ねえ

外殻が変化するなんて面白いわ!
斬れないようになるってことかしら
うふふ!関係ないわ
斬れなかろうと、斬るのよ
攻撃を予測してどんな兵器も全部斬る
オーラの桜花に蕩ける誘惑のせて撒き散らし守りの一つに添え
刀持つ手に怪力込めて思い切りなぎ斬って
兵器は衝撃波で跳ね飛ばし逆に叩き込むカウンター
傷を抉るように何度も斬り壊してやるわ
呪詛這わせ変化するエネルギーを吸収し…噫、不味い!
リィの歌を合図に踏み込んで至近距離から放つ「絶華」

リィが懸命に守ってくれる
だから私は
斬らねばならぬ



●斬りて堕とすは黄金(きん)の星
 ぽつ、ぽつ――宇宙に生まれる、優しげでかそけき水のうたかた。
 それらは桜花とじゃれあうように浮かび、降り注ぐ弾雨を相殺する。
 然り、弾雨である。リル・ルリと誘名・櫻宵のふたりの攻撃に対し、
 クエーサービーストが選択したのは、もっともシンプルで効果的な対策。
 すなわち、数による圧殺。超大量の砲撃による飽和攻撃であった。
 もはや砲台を数えることすら馬鹿らしくなるほどの外殻変形。
 いくらリルのオーラがうたかたを喚ばうとはいえ、その範囲には限界がある。
 弾丸は無限であり、以て砲火も無限であり、つまり守りは無意味であった。
 ――そう、リルひとりであれば、この砲火を防ぎ切ることはできなかった。
 だが彼が生み出すのは水泡だけでなく、その魔的な歌声も同じ。
 そして歌声は、微笑みながら星の獣へ挑む櫻宵の背を押す鼓舞となる。
 愛すべき水の王子、妖しく美しき人魚が、己のために唄ってくれるのだ。
 ああ、これ以上の悦びはあるまい。いかなる斬り応えすらもこれには劣る。
 ――であれば、詩を聴きながら斬れるなら、それはなんと幸せなことだろう。
「やる気になってくれたのだから、櫻――本当に、やってしまっておくれよ」
 彼は言った。いかなる守りを固めようが、己の剣は星をも斬ると。
 いかにも。櫻宵はそれを可能とする。空間をも断ち切る斬撃がそれを叶える。
 無限の砲火に対し、有限の護りでは愛すべきひとを護り切ることは出来ぬ。
 ならば、攻めればよい。
 無限の砲火を絶華の不可視剣戟にて裁ち切り、そのあわいを抜ければよい。
 うたかたを連れ、桜花を巻き、微笑みながら唄に載せて剣を振るう。
 噫。幽玄なるその姿、まさに黄泉路参りのように恐ろしく。
「うふふ――うふふ! すごいのね、本当にかちこち変わっているわ!
 目まぐるしくてとっても楽しい。けれど、ダメよ。斬らないは"ない"の」
 しゃこん、と。見えぬ剣が砲火を払う。足りぬぶんは水泡が彼を護る。
 少しずつ。少しずつ。小さき者が、巨大なるモノを黄泉路へと送るため、
 宇宙を泳ぐ。人魚はそれを見送り、謳う。因果律すら蕩かす歌を。
 絶対無敵、あらゆるモノを退け殺戮する最強の変形。
 そんなものは"なかった"。歌声は運命(せかい)をそう制定する。
 外殻は次の変化を行う。リルはそれを否定する。なかったことにしてしまう。
 うたかたがぱちんと割れて消えてしまうように、あっけなくも美しく。
 そしてまた外殻は変化する。次の殺戮を産もうと、唄に抗い変化する。
 つまりはいたちごっこ。殺せず、縛れず、されどそこに隙がある。
「不要だ。邪魔だ。君は、君の存在は、僕らの歩む道には不要だよ」
 歌声は否定する――外殻の変形を? 殺戮を? 否、それもあるが、違う。
 クエーサービーストそのものを。我らを阻む星の獣そのものを。
 人類の未来を踏みにじり、引き裂き、潰して砕こうとするモノを否定する。
 その否定を拒もうとすれば、無敵であるはずの外殻にも間隙が生まれるわけだ。
 櫻宵はそこを狙う。否――それがなくとも、究極的に言えば構わない。
「巨(おお)きくても、首がなくても、立ちはだかるなら私は斬るわ」
 背中を押してくれる声がする。
 愛する王子が、人魚が、どうかやってくれと鼓舞をしてくれる。
 ならば、斬らねばならぬ。
 前へ進むために。
 未来を掴むために。
 恨みはない。憎悪もない。憐憫もなければ慚愧も愛情もない。
 斬らぬという選択肢がないならば、あるのは斬る前と後の過程と結果だ。
「邪魔をしないで」
 降り注ぐ砲火を衝撃波で弾き、外殻を砕く。そして剣を構える。
「――そんなに巨きいなら、散ればきっと桜のように綺麗でしょうに」
 斬撃。絶華の太刀筋が、宇宙の闇もろとも、黄金の獣をばっさりと裂いた。
 轟音を立てて、外殻が爆裂四散する。リルはその後姿に思わず見惚れた。
 けれど。
「……あのさ、櫻」
「なぁに? リィ」
「……そんなやつ、誘惑しないでよ」
「あら! 妬いちゃったかしら!」
「それもあるけど、そうじゃなくて……まあ、いいや」
 巻いて散るは桃の桜花、それは魅惑し蠱惑する妖しの櫻。
 それと重なり踊るうたかたに、じゃれるふたりの相貌(かお)が映った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

斬崎・霞架
僕らとのサイズ比で考えると、まさに規格外ですね。
…ですが、生きているなら。
星であれ神であれ、斃してみせますよ。

【SPD】

あの外殻は脅威ですね。
数に限りがないと見られ、その変化も多彩だ。
…それはつまりそれだけの得物の使い手と殺り合える、
それだけの獲物を殺れる、と言う事ですね。

様々な形に外殻が変わりますが、ある程度の予想はつく。
それらを【見切り】、【カウンター】を叩き込み破壊します。
こちらも使える武装は使って行きましょう。

UCを発動し更にスピードを上げる。
【早業】【怪力】【範囲攻撃】で【部位破壊】してしまいましょう。

貴方に雷は効きますか?【呪詛】はどうでしょうか。
…貴方は、恐怖を感じますか?



●生きているならば、星でも神でも
 ZZZZZTTTT……轟音を立てて、クエーサービーストの体がひび割れていく。
 立て続けの攻撃は、いよいよその超巨体に致命的亀裂を生みつつあった。
 外殻の一枚二枚が剥がれて落ちるだとか、そういうレベルの話ではない。
 クエーサービースト・マインドミナBVA。それそのものの、存在の終焉。
 不滅無敵に見えた星の獣が、ついに死という終わりに向かいつつある証左だ。
「あなたは恐怖を感じますか?」
 出し抜けに、斬崎・霞架は問うた。BOOM……爆音だけが彼に応える。
「あなたは、痛みを感じますか」
 ZZZZZTTTTT……氷山が砕けるような鳴動だけが応えた。
「あなたに、意志と呼べるものはありますか」
 ……怪物は、震えた。それは恐怖か、苦痛か、あるいは肯定なのか。
 はたまた猟兵たちの波状攻撃が、体の核に届き始めたことで起きた鳴動か。
 霞架は目を細めた。バチリ、バチバチバチ……と、手甲が赤い雷を纏う。
 溢れんばかりにのたうつそれは、拘束を逃れようとする魔物のようだ。
 あるいは、獲物を求めて暴れ狂う、よだれを垂らした餓狼の如しか。
 ゴキ、ゴゴベキベキベキ……外殻の一部がねじれながら伸びて身を捩る。
 それはさながら、黄金の蛇だ。霞架ひとりをたやすく呑み込むほどの大きさの。
 霞架は表情を変えぬまま、神速のカウンターを放ち、これを破壊する。
 KRAAAAASH……口に当たる部分から一撃を受けた黄金の蛇=外殻兵器は、
 全身がひび割れ血のような体液を撒き散らしながら、苦悶めいてのたうち霧散。
「僕らは小さい。あなたに比べればあまりに脆く、愚かで、そして弱い」
 それは自責のようでも、自罰のようでも、諦観のようでもあった。
「だが」
 KRASH。次いで生成された、黄金の鉤爪とでもいうべき外殻兵器を破壊。
 赤い雷がのたうつ。獲物のさらなる苦悶と絶望を求めるように。
「僕らは前に進む。あなたという敵を倒し、踏みにじり、利用し、越えていく。
 ――だから僕らは強い。少なくとも、あなたよりも。それがわかりますか?」
 ベキベキベキ――応答とばかりに生み出された砲塔、赤雷が蹂躙した。
「獣とて所詮は生物。ならば、僕はそれを殺す。たとえばこのように」
 バチバチバチッ!! 極太のレーザーめいて収束した赤雷が外殻を灼く!
 爆ぜたそこから敵の体内に入り込み、かき混ぜて撹拌し焼灼する!
「哀れですね、クエーサービースト。あなたに、強者の所以は存在しない」
 誰よりも強くあろうとする男の、その言葉は誰よりも重い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダビング・レコーズ
目標への接近に成功
これより攻撃を開始します

【POW・ダビのえ・全歓迎】

コール、アイガイオン
パワーローダーフォームで転送しドッキング
変異し襲来してくるであろう外殻を迎撃しながら目標へ急速突入
マインドミナBVAに直接取り付きます
目標の外殻は変異した際強度が低下する性質を持つようです
ならばそれを利用します
アイガイオンをブレードフォーム化させ「ブレードコネクト」
表面外殻に突き刺しフルブーストで滑走
ランダムな機動で斬り裂き続け可能な限り多くの外殻を破壊します
外殻下の皮膚の露出を確認した場合は水之江博士の対艦ミサイルを誘導します


桐嶋・水之江
◆WIZ◆ダビのえ◆なんでもOK◆
引き続きワダツミで行くわよ
いよいよ本番ね
相手がこうも大きいと距離感がおかしくなるわね
感覚じゃなくて計器を頼りに思いっきり距離を開けておきましょうか
先手必勝…手痛い一撃をお見舞いしたいところなのだけれど…
適当に攻撃してもあの素敵な外殻に邪魔されてしまいそうね
ここはダビングを当てに露払いをしてもらいましょうか
ワダツミのビームやミサイルで援護してあげるから頑張って突撃なさい
さて…攻撃の狙い目は…外殻が剥がれた後の皮膚かしらね
じっくり経過観察してチャンスが来たら対艦ミサイルを発射
って撃ち返して来た?
だったらCIWSとVLSをフル稼働して撃ち落すわよ


無明・緤
全長一億五千万km位はあるか?
大物に舌なめずり、食いでがある

UC【かえらぬキズナのバラッド】!
嘗ての相棒「法性」のデータログから
対超巨大生物戦闘用プログラムを組み
人形「法性」へインストール、仮の操り手に仕立てる

クエーサービーストの懐へ飛び込み
あらゆるものに緤(くびわ)をかけるおれの牙を以て
変形生成中の装甲へ先制【ハッキング】
「いま戦っている対象」の部分を改竄し、
マインドミナBVA自身のデータを参照させよう
つまり、己に対する特効殺戮兵器を作らせるのさ
このことは他の猟兵にも伝えよう

あとは無明の鋼糸を以て【鎧無視攻撃】で切り離し
逆に利用して攻撃を仕掛けよう
兵器をあやつる【操縦】の腕なら、負けはしない


ナトゥーア・クラールハイト
はあぁ~~~……
これはまた、でっかいねぇー……。
こんなのがごまんといるのかい?
宇宙って凄いんだねぇ……。

まぁ、それはさておいて。
とりあえずは、あれを突破しなきゃ後も先もないんだろう?
なら、全力を叩きつけるまで、だね!


対象認識(サーチ)――
これだけでかいなら、存分に撃ち込んであげるわ。

目標補足(ロック)――
どれだけ無限に守りを固めようと、あたしには関係ないわ。

その外殻、全て崩してあげるわ!
――一斉追跡(ファイア)!
『Analabi』!!

防御したら真似されるなら、防御させなければいいのよ。
全力魔法で最大火力を叩き込むわ。
遠慮なく油断なく絶え間なく、高速詠唱で次々と連射していくわ。


フランチェスカ・ヴァレンタイン
外殻が分離・変形したチェーンソーめいた殺戮装甲のビットが周回していそうな

あれは… まあ、多少は厄介ですが、艦載機の類と思えばいいでしょう
推して参ります…!

高速の推力偏向機動で複雑な軌道を描き、幻惑機動(残像+フェイント+迷彩)も駆使して周囲を覆うビット群を翻弄しつつ、斧槍と砲撃で斬り込むと致しましょう
ビット群の内側に抜けられましたら、重雷装ユニットの一斉発射の乱れ撃ちで本体ごと爆散を

マインドミナ本体からの反撃をUCを発動しながら躱し、旋条の光を曳きながら複雑な変則機動と大きな旋回機動で追い縋るビット群の残りを引き剥がし――
ランスチャージでの吶喊で、一条の流星となって貫いて差し上げましょう…!



●破壊(クラッシュ)、撃滅(クラッシュ)、昇華(クラッシュ)!
 バキ、メキメキメキ……!!
 宇宙空間を揺るがすほどの超轟音とともに、クエーサービーストが"割れた"。
「さすがにこれだけの連撃を喰らえば、あれだけ硬くともひとたまりもないな!」
 無明・緤は快哉を叫んだ。しかり、あれは猟兵によるダメージの証左だ。
 いよいよ亀裂は致命的となり、クエーサービーストの巨体を両断した。
 ――が、これほど巨大な天体的存在となると、"割れた程度で壊れはしない"。
 近年発表されたとある科学者たちのコンピュータ計算によれば、
 もしも隕石を爆薬か何かで完全に粉砕したとしても、引力と重力によって、
 隕石の破片は即座に収束し、またひとつの小惑星に戻ってしまうのだという。
 巨大であるがゆえに。その質量は互いを磁石めいて引っ張ってしまうのだ。
 ゆえに、穿たれた傷は引力によって縫合され、再び外殻が変形し鳴動を始めた。
 されどそれは、極悪非道なる虐殺をもたらすための張子の虎ではなく、
 いまだ無限に外殻を変形させ猟兵を人類を抹殺せしめんとする、星の獣だ。
 油断大敵。されど、緤は野良猫めいて舌なめずりをした。食いでがある、と。
「おれがやつにハッキングを仕掛けて、殺戮兵器に仕掛けを施す!
 懐へ飛び込むために支援をくれないか! 成果はあると約束しよう!」
 黒猫のケットシーの言葉に、まず最初に応じたのは金髪の女だった。
「猫ちゃんがやってくれるって? へぇ、そりゃまた派手で面白いねぇ。
 宇宙にあんなモンがごまんといるなら、対抗手段もあるってことか。よしきた」
 ナトゥーア・クラールハイトは勝ち気に笑い、髪を結い上げる。
 そして大きく深呼吸。肉感的なその体に、有り余る魔力が流動した。
 対象認識(サーチ)。
「これだけでかいなら、存分に撃ち込んであげるわ」
 目標補足(ロック)。
「どれだけ無限に守りを固めようと、あたしには関係ない。
 ――その外殻、すべて崩してあげるわ! ……一斉追跡(ファイア)ッ!!」
 ナトゥーアの周囲に無数の小規模魔法陣が展開し、そして収束した。
 ライフル弾めいて回転しながら錐状に変形し、やがて破壊の光線へと達する。
 "Analabi"。それは百五十を超える、加速し追跡する無の破壊の光線。
 一度狙いを定めた以上、放たれた魔弾が敵を逃すことはありえない。
 KKKKRA-TOOOM!! 雨のような魔弾が外殻に降り注ぎ、殺戮兵器生成を妨害!
 一方で別箇所の外殻が、宇宙戦闘機めいたオブリビオンを模倣複製!
 それらが外殻から切り離され、先の探査機群のように襲いかかる!
「ここはわたしの出番ですわね? ドッグファイトは得意ですので――!」
 ゴウッ! と、疾風のような速度でフランチェスカ・ヴァレンタインが舞う。
 熟練の鎧装騎兵である戦乙女が描き出す推力偏向機動は、さながら絵画のよう。
 精鋭コンピュータすらも幻惑する舞踏じみた立体鋭角でレーザー攻撃を回避し、
 ステップを踏みながら斧槍一閃――KA-BOOOM!! 爆炎の華が咲き誇る!
「まだ迎えてくださるのかしら? 重畳ですわ――推して参ります!」
 さらなる外殻模倣! 次なる敵はチェーンソーめいた殺戮ビットの群れだ。
 死角から襲いかかる斬撃機動を斧槍で弾く。ギャギギギギギッ!! 火花!
 応報の斬撃でこれを撃墜し、爆風を反動として加速。敵を惹きつける!
 フランチェスカの生み出す流星めいた軌跡にビットの群れが集うさまは、
 さながら誘蛾灯に群れる虫を思わせる。だが敵はあきらかな殺意の顕現だ。
 ときにそれを弾き、あるいはいなし、機動で幻惑し翻弄して撃墜する。
 ドウ、ドドウドウドウドウ――!! 変形中の外殻への重雷装砲撃が命中!

「あと一手、押しが必要そうね。ダビング、いけるかしら?」
『それが指示とあらば、喜んで。――コール、アイガイオン』
 一方、強襲揚陸艦"ワダツミ"に搭乗する桐嶋・水之江の言葉に、
 ウォーマシンのダビング・レコーズは怜悧な声で応じ、ユーベルコードを発動。
 およそ5メートルを超える大型強化外骨格を転送、ドッキングし、
 ワダツミおよび自身に襲いかかる外殻模倣戦闘機群を一薙ぎで撃滅。
 そして多段ブーストによって、さらにクエーサービーストへと肉薄する!
 KRAAASH!! 白亜の機体が黄金の外殻に突き刺さり、星の獣は小さく鳴動した。
 わずらわしい小虫のじゃれあいに苛立つ、巨象のようにして!
 であれば即座に外殻が変形し、ダビングを串刺しにしようとしたのは、
 小虫をすり潰そうとする巨獣の悶絶に近いか!
 だが―――KBAM!! 後方、ワダツミ艦から放射されたビーム砲が、
 ダビングを両断しようと生成された大型チェーンソーおよびドリルを破壊!
『援護は十分かしら?』
『感謝します、水之江博士。ブレードコネクト、全システム完全同期開始――』
 ガギュンッ、と音を立て、ダビングから大型強化外骨格が剥離した。
 それは瞬時にして、馬鹿げた大きさのプラズマブレードに変形したではないか!
『敵表面外殻、破壊します』
 ゴウッ!! 瞬時のブーストで外殻から飛び退いたダビング。
 直後、黄金の外殻表面はスパイク状の殺戮兵器を生成した。間一髪だ。
 そして十分な助走距離を得たところで背部バーニアを噴き、急速接近!
 プラズマブレードは外殻を焼灼溶解し、肉を貫くフォークめいて突き刺さった!
 さらにダビングはアイガイオンを固定し、ジグザグ機動でフルバースト滑走。
 再び星の獣が大きく鳴動――それはおそらく苦痛の証左である!
「よし、ここだ……! 行くぞ、法性!」
 対超巨大生物戦闘用プログラムを与えられたからくり人形が、
 緤自身を操るマイスターとなる。遣い手と傀儡、変則的な主従逆転だ。
「かましてあげな! 火力なら存分に出してあげるからね!」
「合わせますわよ、流星のように貫いてさしあげますわ……!」
 ナトゥーア、そしてフランチェスカの言葉を背に、緤は飛翔する。
 ああ、還らぬひとよ。亡き相棒、もはや戻らぬ時の輝きよ。今一度ここに。
 緤は、かつての相棒の創りしプログラムをよく識っている。
 だがそれは、なによりも彼自身が相棒そのものになれはしないからだった。
 この世に永遠はない。あらゆる秘密を得られる赤毛の女さえも帰らぬように、
 もはや片割れは亡い。ならば、このバラッドを以て失われた物語を補完しよう。
『――対艦ミサイル(ハープーン)、発射するわよ。受けなさい!』
 ワダツミ艦からミサイル発射、そして……命中!
 ダビングの誘導を受けたハープーンミサイルは黄金外殻を破壊し、
 そこへ緤が取り付く。穿たれた牙より流し込まれるのは自滅の緤(くびわ)。
 すなわち、マインドミナBVAが、自分自身を殺戮する兵器を創造するという、
 アポトーシスめいた改竄ハッキングである!
 超大型ドリルが生成され、星の獣自身へ切っ先が向けられる一方、
 旋回機動でビットを引き剥がしたフランチェスカは、光焔の刃を己に纏う。
「翔け穿ち――貫きますわ!」
 ググ、ゴゴゴン……ギャリ、ギャリギャリギャリギャリ――KRAAAAASH!!
 一条の流星となった戦乙女の一撃と、自らを殺戮せしめる兵器の吶喊が、
 クエーサービーストの巨体に新たな致命的亀裂を生み出す……!
『こちらの攻撃を"防御"した場合は、それを模倣して反撃してくる。
 ……けれど"防御"自体が出来ないならば、模倣すら発生しない、というわけね』
 ワダツミ艦の艦橋、状況を静観していた水之江はぽつりと呟いた。
 己とダビングもそうだが、恐るべきはなによりも、猟兵たちの攻撃の苛烈さ。
 それはまさに、星の如き獣を引き裂き、今一度破滅させるに足るもの。
 女博士は、その頼もしさにふっと微笑みめいた表情を浮かべた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーナ・ユーディコット
思った以上の成果だった
前との違いは……明らか
やっと暖気運転が終わった心地かな

以前よりも強い何かに挑まなきゃいけないというのに
叫ばなくても腰が引けない
敵が怖い位強大だから昂る

まだ内に敵への憎悪や獣の狂気は燻るけど
それらに支配されずに戦う事がこうも面白いなんて
それらに捕らわれずに観る世界がこうも色づくなんて
もっと強くなりたい
呪いが付き纏うのは構わない
それに飲まれることは避けれるようになりたい
もっと生きていたい

且つて死に急いだ自分と比較するかの様に真っ向勝負を挑む
高速攻撃は剣狼の移動速度で回避を
あんなデカブツの攻撃、外殻打ち返す以外で
まともに受けようとする必要はない
懐に入って叩き斬り……全力で離脱


千桜・エリシャ
嗚呼…嗚呼…嗚呼…!
全身でこのような圧を感じたのは初めてかもしれませんわ
きっとあちらから見た私達なんて
砂糖に群がる蟻みたいなものなのでしょうね
…だからこそ挑みたい
だって蟻が象に勝ったら面白いでしょう?

さあ、私にはどんな武器を向けてくださるの?
自分の弱みを突きつけられる気分はどんなものかしら
それが楽しみで…
嗚呼、けれど
どんなものを出してこようと無駄よ
私の刃の前では

攻撃を予測しては見切り回避
胡蝶を引き連れ加速して
何を向けられようと全てを斬り捨てる
それはパズルをばらすように
絡繰を解体するように
すべてばらばらにしてあげる

何かを魅了し堕とすのも愉しいけれども
やはりこの斬るという感触は何ものにも替えがたい



●戦火の中で
 千桜・エリシャは、戦いの中に悦びと高揚を見出す人でなしだ。
 自他ともに認める修羅。己が"そうである"ことを恥ずかしいとは思わない。
 だって、愉しいのだ。敵が強ければ強いほど、この心は浮足立つ。
 謳いながら踊りたくなるほどに楽しくて、そして殺したくなってしまう。
 首を、斬りたくなる。殺したいというよりはただそれだけなのだ。
 殺すというのは結果でしかなくて――まあ、命を奪うのも愉しいけれど。
 だからクエーサービーストを視た時、エリシャはまず微笑んだ。
 ああ。嗚呼! 噫――……。
 はたして、全身でこれほどの圧を感じることは、これまでにあっただろうか。
 数多の強敵と戦い、その首を斬り、死闘に耽溺してきた己ですら、
 このような超巨体――首がないことが本当に残念だ――は初めてのことだ。
 昂る。どうしようもないほどに高揚してしまう己をはしたなく思う。
 はたしてあの獣は、己らのことをどう見ているのだろう。
 矮小で、愚かで、弱々しく、数だけを頼みにするだけの虫のようなもの。
 それがこれほどの苛烈な攻撃を仕掛け、以て獣を滅ぼうとしているのだ。
 砂糖に群がる蟻? はたまた、巨象に挑むノミだろうか。
 なんでもいい――だからこそ、ならばこそ挑みたい。
 それを滅ぼしてこそ、この戦いは"面白いもの"になるのだから。

「――……楽しそうだね、エリ姉」
「あら……ルーナさん」
 その鉄火の最前線。ルーナ・ユーディコットの声に、エリシャは剽げた。
 ルーナの相貌とかすかな声音を聞いただけで、エリシャにはわかったのだ。
 今ここで、この場に立つ彼女が、どう感じて何を思っているのか。
「当然ですわ。だって、蟻が象に勝つだなんて――とっても愉快だもの」
「…………」
「あなたもそう思うのでしょう? ルーナさん」
 ルーナは……わずかな逡巡を感じさせる間を挟んでから、こくりと頷いた。
「わかるよ。もう叫びがなくても、腰が引けない。恐いのは同じなのに……」
 ううん、と首を振る。
「恐いくらい強大だからこそ。――心が、胸が昂る」
 すっ、と目を細めたルーナの双眸に、束の間憎悪と狂気が浮かんだ。
 それは虐げられた少女の持つ、正しき怒り。獣が永劫孕む当然の本能。
 おそらくこれは、きっとずっと、己の中に在り続けるのだろう。
 だがそれを認め受け入れてみれば、なんてことはない。
 もはや心を憎悪や狂気に支配されることはなく、以て色を失うこともなく。
 囚われることもなく。然らば、見える景色は理性の輝きを見せてくれた。
 強くなりたい。
 もっと。獣の呪いが己を縛るというのならそれも構わない。
 ただ、それに呑まれ、けだものに堕することだけは厭だった。
「変な話だね。生きていたいのに、死ぬかもしれない戦いに身を投じるなんて」
「ええ、本当に。けれど、だからこそ楽しいのですわ、人生(たたかい)は」
 ふたりは頷き合い、そして星の獣を見据えた。黄金の外殻が軋み、うごめく。
 生み出されたものを見て、エリシャは瞠目した後、思わず噴き出した。
「私に対して、"それ"を向けるんですのね、あなたは」
「釈迦に説法……って言うんだっけ、こういうときって」
「そこまで大層なものではありませんわ。けれど――本当に、面白い」
 黄金の外殻からせり出したのは、刃。多種多様、大小様々な刃である。
 スパイクめいて星の獣を覆うさまは、さながら朽ち果てた戦場の刀剣を思わせる。
 そして直後それらが、蛇めいた機械触手、あるいは謎めいた念動力、
 あるいはそれそのものが自律し、またあるときは変幻自在に変化しながら、
 わっ……と、一斉にふたりめがけて襲いかかった。

 ふたりは、真っ向から挑んだ。
 かたや剣狼。太陽めいて輝く紅い焔を纏い、明日を求める鋭く気高き戦士。
 かたや鬼神。月下に踊り、万物を――然り、空間すらも断ち切る刃の羅刹。
 迅雷のごとき速度で駆け抜け、降り注ぐ刃をかいくぐりあるいは弾く。
 三日月を描き、胡蝶を伴にしながらすべてを見切って切り裂いてみせる。
 何もかもを。殺戮の刃を。獣がもたらす殺意害意の尽くを受け、そして、砕く。
「斬りますわ」
「うん。斬ろう」
 刃とは本来どうあるべきか、斬るとはどういうことかを教えてやろう。
 無限めいた剣の群れを越え、狼と鬼は黄金の地表に立つ。
 ――双閃。刻まれた十字の軌跡は、ともすれば煌々と輝く星のよう。
 獣が鳴動する……それは、致命的終末を恐れるけだものの雄叫びだった。
「ああ――」
 エリシャは陶然とため息をつく。これが、これこそが、やはりいい。
 斬るというのは、たまらない。何よりも、誰よりも、愛すべきもの。
「…………私は、生きる。あなたを糧にして」
 狼の血を引く少女もまた、決然たる面持ちでそう言った。
 燃え上がる紅い炎は、気高き狼の牙を濡らす鮮血めいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
SPD
アドリブ共闘歓迎

その害意、小夜啼鳥には届けさせはしない!

外側からハッキング弾を撃つが、これは囮さ
(時間稼ぎ)

センサーを起動し、対象をスキャン
事前に送ったダミーデータがいるはず
これをトロイの木馬(罠使い、物を隠す)として利用、
外殻から生み出される兵器を、「こちらの都合の良い物にする」!
頃合いを見て、ダミーデータを起こす!

生み出されたのは衛生レーザー砲
こいつの制御を奪う!
(ハッキング)

「コントロール掌握……クリア
レーザー発振システム書き換え……クリア
ティル・ナ・ノーグとの次元接続……クリア
攻撃目標、マインドミナBVA!」

UC【今を生きる誰かの明日のために】、発射!
(全力魔法、範囲攻撃)


トルメンタ・アンゲルス
さぁ、食らいついたぜ黄金野郎!
ここでお前を打ち砕き、その先へ行かせてもらう!

第一リミッター解除!
真の力の一部を解放!
コアマシン臨界、同調率上昇!

如何に火力が高かろうとも、
如何に巨大な質量で押そうとも――

――全て、捻じ伏せる!
『――Code:Rage』
黄金の攻撃特化装甲を創造し、追加展開!

さぁ、行くぞ――
『Power Line,Full Open. Maximum Drive――』

全エネルギー、収束!
コアマシンと相棒と俺を、一つに!

おおおおおおおおおお!!!
バスタアアアアアアア!! ノヴァ――――ッ!!

スパアアアアアアアアク!!!

路を、開けろォオオオオオオオ!!


ヌル・リリファ
ある程度は学習したからいけるとおもう。ソピアー、クエーサービーストの攻撃予測を最優先で。

すこし危険だけど通常時の外殻の防御力をつらぬくほうが大変そうだから。できるだけうごきを予測してうごくことで被害をおさえつつ、攻撃する。

攻撃力を強化しつつ、相手が爆弾を生成したら撃って爆破させる。なにで感知してるのかはしらないけど音と視界をごまかせば多少はよくなるとおもうし。

それと同時に接近して、【属性攻撃】で強化したルーンソードで攻撃。

こちらも強化してるとはいえ、ちかづけば防御はむずかしくなるし、無傷ではいかないかもしれないけど。
いたくはないし、なおるから。
それよりは、このふねをまもりたいっておもう。多分。


リンタロウ・ホネハミ
よしよし、クッソアチい思いをしてまで突っ込んできた甲斐があったっすね
機先を制した方が勝つ、戦の基本を見せてやるっすよ

ゴリラの骨を食って【〇二〇番之剛力士】を発動!
こんだけデカいなら、こいつを地形とみなすことも出来るっしょ?
なら地形を破壊するほどの威力を持つゴリラの力でなら、効果的にこいつを破壊できるっつーわけっすよ!
狙うはこいつが生み出した兵器、その動きの核となる部分!
せっかく生み出した兵器も、動かなきゃただのガラクタっす
多少狙いがズレても構わないっす、そんぐらい広範囲をぶっ壊すんすからね!!(破壊工作)

さぁて、千の兵器破壊も一の兵器破壊から
生み出したもん片っ端からぶっ壊してやりまさぁ!


パーム・アンテルシオ
これだけ沢山の武器…
よく集めたね、って。感心すればいいの?
それとも…それだけ奪ったんだ、って。怒ればいいのかな。

誰も居ない所で、人知れず暮らしてた獣たち。
でも…その身に宿したのは、武器ばかり。
…あなた達の本質は、破壊を求めてる。
そう思っても…いいのかな。

奪い、喰らう者は…喰らった者に、恨まれる。
特に。生きる糧以上に喰らい、意志ある者から奪った者は。
跳梁跋狐。
ねえ、聞こえる?ここに「いる」皆。
聞こえないなら…
聞こえるようにしてあげる。
戦えるようにしてあげる。
ここに集う魂に、仮初の体をあげる。
人の形がいい?動物がいい?元のままがいい?

さぁ、あなた達のものを奪ったのは、あいつ。
奪い返そう。その手で。



●黄金の怪物が――おお、おお、おお!
 ぴしり、びし、びしびし――と、地割れを思わせる亀裂が幾重にも走る。
 一度は砕けかけて引力によって縫合されたクエーサービーストの、巨大な傷。
 それが再び……否、さらなる数と深さで、その巨体に刻まれていく。
 鳴動。星の獣、黄金の怪物、マインドミナBVAが超巨体を震わせていた。
 クエーサービーストに意志はない。知性と呼ぶべきものはおそらく存在しない。
 だが生物であるならば、本能であろうが必ず見せるものがある。
 恐れだ。
 生物にとって究極的な恐怖とはなんだろう――それは、死だ。
 つまりは、死。消滅、終末、まったき虚無への恐れ。根源的、本能的恐怖。
 裏返せば、今こそついにこの巨体は……黄金の獣は、死にかけていた。
 己がもはや滅びると、誰であろうクエーサービースト自身が認めかけている。
 意志がないからこそ、その判断は無慈悲である。ともすれば彼奴自身にとって。

 厭だ。それは拒む。そんなものを、終わりを、残骸(われ)は認めない。
 ……と、もしもクエーサービーストに物言う口があるならば云っただろう。
 鳴動のあとに起きた外殻の最終変化は、それほどまでに見苦しい。
 なんとしてでもこの人類を、それに付き添う天敵どもを滅ぼし尽くす。
 ここに来てついに、星の獣はその本性を露わにした。
 世界の仇敵、人類を阻むもの。未踏領域に君臨す慈悲無きクエーサービースト!
 第二の獣の終わりはいよいよここに来たれり。猟兵たちは発奮する!

 ベキ、ベキベキベキベキ――!!
 耳障りな駆動音と破砕音を立てて、半ば自壊するように黄金外殻は変形する。
 剣。銃。大砲。ドリル。チェーンソー。爆薬。あるいはもっと凶悪なるもの。
 人類が人類を殺すために生み出された武器(もの)を次々に生み出す。
 殺戮兵器! それは無限変形であるがゆえにレパートリーもまた無限である!
 対して、桜色の九尾狐――パーム・アンテルシオは、憐れむような顔をした。
「誰も居ないところで暮らしていた獣なのに、その身に宿したのは武器ばかり。
 あなたたちの本質は――破壊(それ)を求めてる。そう、思っても、いいの?」
 問いかけにクエーサービーストが、明確な意志を以て応えることはない。
 返ってくるのは、ただただ根源的な敵意。植物が外敵を払うような無機質な。
 パームはそれを哀れんだ。物言わず、考えることなく、思わぬモノを憐れむ。
 奪い喰らおうとするならば、相応の方法を以て"そうし返さねば"ならぬ。
 そこに憎悪はない。怒りはない。ただ、自然の摂理というべきものだ。
 なるほど、彼方に意志はないのだろう。敵はそうあるゆえに破壊するのだろう。
 だが――それで、はいそうですかと納得して終わらせられはしない。
 人々は、ここに未来を求めてやってきた。明日を掴むためにやってきた。
 阻むのであれば、滅ぼすしかない。パームは、その事実を悲しんだ。
 怒りは湧いてこない。湧くための憎悪すら、彼方には在りはしないのだから。
「ねえ、聞こえる?」
 パームは言った。ただしその視線は、マインドミナBVAを捉えてはいない。
 ならば、味方である猟兵たちに向けられたものか? ――否。
 パームが呼びかけたのは、おそらくはかつてここに在りてもう亡きもの。
 銀河帝国の、あるいはその以前に存在した"やもしれぬ"ものたち。
 おそらくは星の獣に奪われ、殺され、貪られ、滅ぼされたであろう者たち。
 広大無辺なる宇宙に漂う死者の念。傷つけられ奪われた世界そのものの慚愧。
 謳うような声音は、ついに世界そのものをすら魅了させるに至った。
「ここに"いる"みんな。聞こえないなら、聞こえるようにしてあげる。
 戦えるようにしてあげる。あなたたちの意志を、叶えさせてあげる」
 ぽつり、ぽつりと、パームの周囲に桜色の鬼火が灯り、揺らめく。
 されど見よ、刮目せよ。それはパーム自身が生み出した狐火ではない。
 ユーベルコードという奇跡の力によって、かたちを与えられた仮初のもの。
 人がいた。
 動物がいた。
 あるいは兵器そのものがいた。
 無機物があり、有機物があり、あるいはもっと名状しがたい何かが。
「さぁ」
 少女が手を上げる。指を差し向け――示したのは、鳴動する巨大な星の獣。
「奪い返そう。その手で。……奪われたものを、あいつから奪おう」
 跳梁跋狐。かくしてかつて在りしものらは突き動かされ星の獣にまとわりつく。
 それはまるで、獣を黄泉路へと引きずり込まんとする亡者の群れめいていた。

 KRA-TOOOM!!
 亡者を振り払うように生成された外殻爆弾が、先んじて破壊された。
 敵が起爆したわけではない。この変形と攻撃を見越した予測射撃によるものだ。
 それをもたらしたのはふたり。ヌル・リリファ、そしてリア・ファル。
「うん――やっぱり、予測できる。ソピアーが、全部おしえてくれる」
 ヌルはひとりごちるように言い、サークレットが応えるように煌めいた。
 戦闘人形が持つ演算能力と、これまで蓄積されたデータは、
 以てクエーサービーストの無限変形を予測し、これに対処可能とした。
 そしてそのデータは、戦友であるリアにも当然転送されている。
「リアさん、きこえる? ハッキング、できそうかな」
『うん、ダミーデータもうまく効果発揮してるみたいだからね、いけるよ!』
 ゴキン――黄金外殻が新たな殺戮兵器を創造した。
 ヌルはこれを引き出すために、爆薬を始め様々な武装を先読み破壊したのだ。
 リアが先んじてばらまいていたダミーデータに引き寄せられ生まれたのは、
 バカでかい大きさの大砲――然り、衛星レーザー砲である。
 それはマインドミナBVAが生み出したものだが、厳密にはそうではない。
 ヌルが"それ以外の選択肢"を排除させ、強要し、ルートを整えた。
 そしてリアが術式に介入し、その論理式を改竄し、構築しハッキングして、
 彼女らにとってもっとも都合のよい兵器を生み出されたのだ。
 なるほどこれは殺戮兵器であろう。ただし殺戮するのは猟兵でも人類でもない。
『この小夜啼鳥(ナイチンゲール)号に、あの害意を届かせたりはしないさ!』
「――うん。このふねを、あのひとたちをまもりたいって、わたしもおもうから」
 たぶん、と、ヌルは通信に乗せることなく、唇の動きだけで呟いた。
 己の心はわからない。そもそも、人形は心というものを理解しきれていない。
 ただ、ここに湧いたものが、この獣の持てない――持たないものであるなら。
 それはきっと、守りたいという気持ちと呼んで間違いないはずなのだ。
 ハッキングを検知したマインドミナBVAが、自己の生成したレーザー砲を、
 別箇所から生やした殺戮兵器――巨大メスじみた刃物――で切断しようとする。
「させないよ」
 ヌルが先んじた。ルーンソードに三種の魔力を纏い、嵐となす。
 振るえばそれは波濤と化す。軋んだ黄金外殻をも斬り裂く破滅の刃!
 だが今、黄金外殻を次々に破壊していくのは彼女だけではない!

「いまさら小細工してんじゃねーっすよ、このガラクタ野郎がァ!!」
 KRAAAAAASH!! 無謀にも外殻表面にひっついたリンタロウ・ホネハミの鉄拳!
 だが見よ! 素拳の一撃が、あろうことか黄金外殻を殴り砕いたのだ!
 となれば、骨魔剣を持てばその威力はもはや災害! これは一体!?
 猛り立つリンタロウがぼりぼりと咀嚼しているのは、ゴリラの骨である。
 咀嚼するたびに、筋骨たくましい傭兵騎士の体は一回りはパンプアップし、
 あふれかえるほどの熱き血潮は、さながら湯気のように陽炎をゆらめかせた。
 〇二〇番之剛力士(ナンバートゥウェンティ・ゴリラボーン)。
 骨を喰らうことで超能力を得るリンタロウの呪詛(ちから)のひとつ。
 地形をも砕くその拳は、剣は、ついに星の獣にすら通用したのだ。
「おォらッ!!」
 KRAAASH!! 見境なく拳を叩きつける! ひび割れた箇所には剣を突き刺す!
 もはや防御を固めることも難しいのか、獣の反抗は弱々しい。
 穿たれ殴られるたび、悲鳴を上げるように鳴動する程度だ。
「どうしたどうした! あぁ!? 無限に変形出来んだろあんたはよ!
 だったら生み出してみろよ! 千の兵器も万の兵器も、ぶっ壊すっすけどねぇ!」
 KRAAAASH!! KRAAAAASH――ZZZZZZTTTTTT……!!
 巨体に走る亀裂。地割れのような裂け目を、リンタロウは膂力でこじ開ける。
 中は闇だ。あるいは本来、マインドミナBVAはがらんどうのモノなのか。
 なんでもいい。この奥、すなわち獣の核に一撃を届かせてやればいい。
「いい加減、その図体! 邪魔! なんっす! よ!!!」
 ギギ、ゴゴゴゴ……! 裂け目が開かれていく……おお、おお、おお!
「さあ、どでかいのぶちこんでもらえますかねぇ!? 誰でもいいんで!
 そろそろこいつも仕留めとかないと、飽きてきちまうんすよ……!!」
『オーケー、レーザー砲をぶちこむからタイミングを見て離れて! あ、あと』
「へ? あと?」
 特殊宇宙服に聞こえてきたリアの声に、リンタロウは素っ頓狂な声で返した。
『――レーザー砲と同じぐらいの威力の人が突っ込むから、そっちも注意ね!』
 リンタロウは頭上を仰いだ。そこに、超新星が生まれていた。

 切り離された衛星レーザー砲が、リアのコントロール下に置かれる。
 レーザー発振機能を展開し、破滅の光を生み出すなか、超新星が輝く。
 それは星ではない。トルメンタ・アンゲルスという名のひとりの猟兵だ。
 かつて悪夢に残るほどの惨事に見舞われ、全てを奪われた女。
 その身を鋼に変え、コアマシンすらも心臓代わりに埋め込んで、
 もはや何者にも追いつかれまいと誓い、ただ最速で在り続けた女。
 トルメンタは見据える。鎧の下、その双眸で未来を阻むものを見据える。
 星の獣、クエーサービースト。黄金の外殻を持つマインドミナBVA!
「……いかに、火力が高かろうとも」
 ゴウン、ゴウンゴウンゴウン――! 体内コアマシン、臨界。
 同調率急速上昇。緑色の光が蒼い装甲を包み、さらに輝かせる。
 感じる。この戦いを見守る人類の、ともに戦う猟兵たちの意志を。
 リアの電脳魔術によって無線的に接続されたレーザー砲とトルメンタは、
 ともにシンクロしそれぞれの出力を相乗して高めていく。
「いかに、巨大な質量で押そうとも!」
 星の獣は畏れた。その意志を。決意を。覚悟を。飽くなき執念を。
 なぜだ。なぜ己は滅ぼうとしている? 斯様な矮小なるものどもに。なぜ!
「わからないだろうね――可哀想に」
 亡者の群れから、憐れむ少女の声が伝わった。
「あなたには、わからないよ」
 心なきはずの人形は、しかして心ある者の声で言った。
「――すべて、捻じ伏せる。お前も、お前の仲間も、すべて……ッ!!」
『攻撃目標、マインドミナBVA! タイミング、そっちに合わせるよ!』
『マジかよ、これ避けられんのか……? 最後の一発、いくっすよぉ!!』
 KRAAAAAAAASH!! リアの声が聞こえた直後、リンタロウの声と破砕音!
 ひときわ強烈な殴打により、亀裂がいよいよ致命的なまでに開かれる!
『この一撃よ、明日に――届け!』
 レーザー砲が、破滅の光を解き放つ。星の獣を貫く光芒! そして同時に!
「おおおおおおおおおおッッ!!! 路を、開けろ……!!」
 そのエネルギーを相乗し受け止めたトルメンタが、太陽となる!
「バァアアアアスタァアアアアアアアアア、ノヴァ――ッ!!」
 ふたつの光が螺旋めいて混ざり合い、星の獣の中核をめざしてまっすぐ走る。
 人々は見た。明日を切り拓く刃の如きその光柱を。
 猟兵たちは見届けた。皆の戦いが生み出したその輝きを。
「――スパァアアアアアアアッック!!!!」
 光芒到達――そして、星の獣の亀裂から、まばゆいほどの輝き!
 黄金をも呑み込むほどの輝きは、ついには……おお、おお、おお!
「……すごい、きれい」
 ヌルはぽつりと呟いた。そう、それは美しいぐらいに輝いていた。
 クエーサービースト、マインドミナBVA。
 その破滅の輝きは、まさに星のように瞬き――そしてやがて、衰滅して、消えたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『マインドミナBVAの外殻を剥ぎ取ろう!』

POW   :    腕力と体力を活かして大量の外殻を剥ぎ取り、運搬する

SPD   :    巨大な外殻を器用に解体し、運搬効率を高める

WIZ   :    思念によって形を変える外殻の特性を利用し、変形させた外殻を運搬する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●業務連絡
 断章の投下、およびプレイング受付期間の告知はもう少々お待ち下さい。
●災い去りて
 その心核を砕かれたクエーサービーストは、しかし完全には滅しなかった。
 あまりにも巨大すぎるがゆえ、外殻と体の破片がデブリめいてあちこちに浮かぶ。
 否、それぞれが小規模な隕石めいているがゆえに、小惑星帯とでもいうべきか。
 これらはどう利用するも猟兵たちの自由だが、人類の力にもなるはずだ。
 とはいえ――そのためには、戦いとはまた違った方向の重労働になるが。

「皆さん。クエーサービーストとの戦い、まずはお疲れ様でした」
 ありがとうございます、と、艦の面々を代表しパトリックが頭を下げる。
「ですが、もうしばらく力を貸してください。あの外殻のことです。
 あれらを回収すれば、これからの探査に役立つものになるかもしれませんし……」
「なにより、お前さんたちの役に立つかもしれんからのう!」
 若き艦長の肩を叩き、レインフォース号の老人らが割り込んできた。
「この艦には、ワシらの船の工房もドッキングしてきたからの!
 お前さんたちが使うような超一流の銘品をそのまま鍛えられんはせんが……」
「ま、そのための素材やら、雛形ぐらいは作れるじゃろう!」
 どうやら老人たちは、ほとんどが技術畑上がりの面々らしい。
「お、俺らだって手伝うよ! じいさんだけに任せてられっかって」
 などと、ナイチンゲール号の若い船員らも割り込んできた。
「レヴァン、あまりレインフォース号の方々に失礼を言わないように。
 ……話がそれてしまいましたね。ともあれ、まずは回収作業をお願いします」
 若い船員をたしなめたあと、パトリックは改めて猟兵一同を見渡した。
 もちろん望むなら、この艦の工房を猟兵が一時的に借り受けることも出来るだろう。
 ユーベルコードを伝達するこの外殻は、何か思いもよらぬ力になるかもしれない。
 とはいえ、それも取らぬ狸の皮算用。回収に励む猟兵が居らばこそ。
 どの作業に注力するかは、猟兵の得手と準備と指向によるだろうが……。
 戦いが終わったあとのこの平穏を、今しばらく楽しむ自由はあってもいいはずだ。
 それは、この艦に乗った人々誰もが心のなかで考えていた。

●3章におけるルール
 冒険フラグメントとしては、主に外殻の回収作業がテーマとなっていますが、
 そのへんはそこそこに『外殻をどう利用するか』をプレイングしてくださってもOKです。
(まあサボってしまう方がいてもいいかもしれませんが! が!)
 レインフォース号の老人ら、あるいはナイチンゲール号の若きメカニックらといったNPCに加工を任せてもいいですが、
 彼らは猟兵ではない一般人ですので、なんかこうすごい武器とか防具は作れません。
 もしも今回の冒険を踏まえて、なんらかのアイテムなどを作成したい方は、
 そのへんを踏まえてプレイングしてくだされば、うまく落とし込むつもりです。
(もちろん、彼らの腕を信じて任せてみる、なんてのもOKです!)

 万が一NPCと交流したいという方がいらっしゃった場合のため、
 あらためて現時点でナイチンゲール号に乗り込んでいる主要人物を列記しておきます。
 別にこの辺スルーしても構いませんので、ご希望の方はご参考まで。
『艦長・パトリック』
 ナイチンゲール号の艦長。猟兵の無茶振りにややタジタジ。
 人柄と辣腕で艦長をやっているようなタイプで、技術力はほぼ皆無。

『レインフォース号の老人たち』
 技術上がりの血気盛ん(すぎる)おじいちゃんたち。いろいろなご老人がいる。
 銀河帝国にはバイク型戦艦がなかったので、生き残れた。
(アイテムを作ってもらいたい場合は、自由に「こんな技術を持つ老人がいるのでは?」とかプレイングしてもらってもOKです。
 スペース刀鍛冶のおじいちゃんとか、スペースガンスミスのおじいちゃんとかいるかもしれません)

『ナイチンゲール号のメカニック・レヴァン』
 やや鼻持ちならない少年メカニック。技術者としては半人前だが才能はあるらしい。
 とある猟兵にタカられたせいで、やや猟兵に対する見方が雑。

●プレイング受付期間
 【11/08 08:31】
 から、
 【11/10 12:59前後】
 まで。

 他シナリオの運営状況によっては、再送をお願いする場合があります。
 その場合は、改めてお手紙と断章にてご連絡いたします。
●書こうと思ってたらマジで忘れてたNPC追記
【"色男"あるいは"ろくでなしの"ジャック】
 前シナリオ『星の海に魂の帆をかけた男』にも登場したうだつのあがらぬ38歳。
 実は今回も乗り合わせていたが、腹を壊してずっとトイレに籠っていた。
 多分、断章のシーンでも、後方理解者顔でNPCに紛れていた。
ルーナ・ユーディコット
エリ姉(f02565)と

集めた外殻でレヴァンさんに制作を依頼しよう
煽れば多少の無茶も意地で形にしてくれそう
じゃない、その才能を借りたい

頼みたいのは鍛錬用の絡繰
敵や猟兵の攻撃を再現したり、攻撃に反撃をしてくるような
より負荷の大きい鍛錬の為に
普通の素材では出来ない機能が欲しい
必要な手伝いはするから
その尖った言動に実力が伴ってる所、見せてよ
ところでエリ姉のからかいに気を取られてるようだけど…大丈夫?
※疲れからか自身の着流しが着崩れ肌が露わな事には無頓着
どうかした?

うん、疲れたし
お風呂入りたい
別にレヴァンさんも誘うのはいいけど
彼にばかり構われては
流石に私も少し寂しいよ?エリ姉
…耳の辺りは優しくしてね


千桜・エリシャ
ルーナさん(f01373)

回収した外殻を持ってレヴァンさんの元へ
作ってもらいたいものがありまして
あなたに頼む理由?
歳が近いほうが頼みやすいでしょう?
…なんて
からかったら面白そうだからというのは伏せて

裏山に置く鍛錬用の絡繰を作って欲しくて
岩を斬ったり壊したりにも飽きてきましたし
ドリルで攻撃してきたりとか
光速の弾丸を発射してくるだとか
とにかく凄い物にして欲しいですわ!
お手伝いならしますし
ね?お願いっ
胸を押し付けるように腕に抱きつきおねだり

完成したら
一汗かきましたし
お風呂でも入りませんこと?
…あら
レヴァンさんも一緒に入りたいのかしら?…なんて
ふふふ
まあ!ではルーナさんの髪は私が洗って差し上げますわ!



●青少年のなんかによろしくないアレ
 レヴァン少年は、ナイチンゲール号の船員でもひときわ若きメカニックだ。
 ここ最近は口調もつっけんどんになってきたらしい。
 なお、本人曰く「ナメられたくないから」とのことだが、
 大体の船員は反抗期だと思い込んでいる。ともあれ、閑話休題。
「……なんだよ」
 レヴァン少年は、自分のところへやってきたふたりの少女をじろりと睨んだ。
「あなたに作ってもらいたいものがありますのよ」
「俺に?」
 千桜・エリシャの申し出に、レヴァン少年は訝しむような顔をした。
「じいさんたちがいるのに。どうして」
「ちょっと煽ったら意地でも形にしてくれそ……むぐっ」
 いらんことを言いかけたルーナ・ユーディコットの口を、エリシャが塞ぐ。
 そして女将らしいニコニコ営業スマイルで、こうのたまうのだ。
「歳が近いほうが頼みやすいでしょう? 私こう見えてもまだ17ですのよ?」
 ちなみにルーナさんは16歳、と口を抑えたまま紹介するエリシャ。
 レヴァンは―『えっ嘘だろどう見ても成人の貫禄じゃん』って感じの顔だが、
 そこはそれ、さすがは女将。ニコニコ笑顔で完全スルーである。
(からかったら面白そう、って言ってたよねエリ姉……)
(それを正直に言ってしまったら意味がないじゃないですの。ふふふ)
 こっちのほうがよっぽど性が悪い、とは口に出さないルーナであった。
「まあ……その才能を借りたいんだ。あんなこと言ってたし。
 それとももしかして……やっぱり、不安なのかな。それなら」
「やるよ。てか、やらせてくれ。やる!」
 ルーナの挑発(?)にあっさり乗っかるレヴァン少年であった。

 そんなわけで、ナイチンゲール号に増設された工房へやってきた一同。
 あちこちから作業の音と熱が立ち込め、さながら中世の鍛冶場のようだ。
「それにしても……鍛錬用のマシーン、ねぇ。あんたたち武闘家かなんか?」
 ふたりの注文……実戦形式の訓練に足る絡繰=マシーンというオーダーに、
 作業用の端末を操作しながら、レヴァンはぶっきらぼうに言った。
「まあ、ウォーマシンの整備とか、この船の戦闘用装備はいじったことがあるし、
 これだけ強固な外殻なら、少なくとも耐久力はマシなのが出来ると思うよ」
「本当ですの? じゃあ、ドリルで攻撃とか光速の弾丸を撃つとか」
「いや、さすがにそれは猟兵でもそうそう作れないんじゃないかな……」
 目をキラキラさせながら無理難題を言うエリシャに、ツッコミを入れるルーナ。
 だがレヴァン曰く、自分たちでは無理でも猟兵ならば可能かもしれないらしい。
「ほら、あの戦いでこいつ……クエーサービーストは、
 あんたたちの力をコピーしてただろ? その特性は半ば残ってるみたいだ」
「……なるほど! つまりドリル使いや光速の弾丸使いの方を呼んで、
 一発ぶちこんでもらえば自動的にラーニングしてくれるということかしら!」
「そこで嬉しそうな顔になるのはどうかと思うよエリ姉」
 俺もそう思う、とルーナの言葉に同調するレヴァン少年。
「だからとりあえず、マシーンとしての基礎設計と加工はこっちがやるよ。
 出来るだけ頑丈になるように。外が硬くても中が脆くちゃ意味ないからな」
 そう言って作業を始めるレヴァン少年の背後で、ひそひそ話す乙女たち。
(思ったより素直に作業に応じてくれて、よかったね)
(なによりですわ。でも素直すぎて面白みがないというか……)
(エリ姉、目的だいぶ変わってるよね???)
(それはそれ、これはこれですわ! ほら、発奮させるというか)
 明らかに悪巧みをしている義姉の表情に、肩をすくめるルーナ。
 ともあれエリシャは、ちょいちょいとレヴァン少年の肩を突く。
「何……うおわっ!?」
 振り返ろうとした瞬間、少年の細い腕にエリシャの両腕が絡まった。
 しかもあろうことか、性悪羅刹はその豊満な胸をぎゅうぎゅう押し付けるのだ!
「頼もしいですわ。うんと頑丈で、長く使えそうな絡繰にしてくださいましね?
 もちろんそのためにお手伝いが必要なら、なんでもいたしますから……ねっ?」
「わ、わかった! わかったから!! ちょ、あんたからもなんとか言ってよ!」
 しどろもどろのレヴァンの言葉に、エリシャは首を傾げた。
「何が?」
「いや何がじゃなくて」
「だって、エリ姉はお願いしてるだけだし。もしかしてやっぱり不服?」
「どこをどう見たらそうなるんだよ!?」
「まあ、手伝いなら私もするよ。出来るだけ気合を入れてくれると嬉しいな。
 ……でも手伝いって、何をすればいいんだろう。実戦テストするとか?」
 それならまだ戦う余力はあるし、と身振り手振りをするルーナ。
 本人はさっぱり気づいていないが、戦闘後なのでだいぶ服が着崩れしている。
 いちいち垣間見える肌色に、レヴァン少年は顔が赤と青を行き来していた。
「わ、わ、わ、わかったから!! 必要になったら呼ぶから!!
 もう、あんたたち、どっか行っててくれよ! なんか、風呂とかさあ……!」
 思わず顔をそむけ、目を思いっきり瞑った状態でレヴァンは言う。
 エリシャとルーナは顔を見合わせ、言った。
「いい提案ですわね! ルーナさん、さっそく行きましょうっ?」
「うん。汗も流したいしね。リラクゼーション施設があるんだっけ、ここ」
「そうですわ。……ああ、なんならレヴァンさんも一緒に」
「は・い・ら・ね・え・よ!! いーから、行けって!!!!!」
 くすくす笑うエリシャに連れられ、その場をあとにするルーナであった。

 長旅に備え、ナイチンゲール号にはいろいろとリラックス出来る施設がある。
 一部のスタッフが悪ノリしたとかで、エステとかもあるとかなんとか。
「……ところでさ、エリ姉」
「あら、どうしましたのルーナさん?」
 湯気の向こうにうっすらと浮かぶ二人の肢体。そして聞こえてくる会話。
「別にレヴァンさんをからかうのはいいけど……あんまり構ってばっかりは」
「……別に普通だと思うのですけれどね? あのくらい」
「いや、そうじゃなくて、いやそれもあるけど……その」
 ルーナがふいっと顔をそむける。
「……さすがに私も、少し寂しいっていうか」
 そんな少女の言葉に、エリシャはぱああっと目を輝かせた。
 まるで、可愛い人形をプレゼントされた子供のように。
「まあ、まあまあまあ! ふふっ、そうですわね、ルーナさんもいますもの!
 なら、今日はルーナさんの髪は私が洗って差し上げますわ。それでいかが?」
「……ん。耳のあたりは、優しくしてね」
「もちろんですわ。うふふ、さあこちらへ」
 湯気の中、しばし乙女たちのかしましい声が響き渡るのであった。

 ……同じ頃、工房で作業中のレヴァン少年。
「やっぱ猟兵って変な連中ばっかだ……はあああ……」
 色々気の毒な彼だが、作業そのものはしっかりとこなしているようだ。
 あれこれとリラックスしたふたりが、レヴァン少年に呼び出された時には、
 ユーベルコードの直撃にも耐え、かつ打ち込まれたユーベルコードを記憶し、
 経験次第でそれを用いたある程度の自立戦闘すら可能なマシーンが提供された。
 正確には、その基礎部分である。レヴァンが手掛けられるのはそこまでだ。
 黄金外殻によってコーティングされた、この鍛錬用の絡繰が、
 どれほど有用なモノとなり得るかは、ふたり次第と言ったところだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻と人魚
アドリブ歓迎

えすて、は後!

櫻、欠片を集めるんだ――え?
その姿どうしたの?(ぽっ
格好良い…
初めてじゃないけどいつも暗がりだし…
照れてない!
とにかくお掃除だ

「ヨルの歌」でヨルをたくさんにしてあちこちの破片を集めるよ
桜の精霊も綺麗だけど、1番は…櫻
なんでもない!

もう変化しないのかな
加工?鍋とか…お酒はダメだと言って―(手が触れる)(ぼぼぼっと赤面)
な、なんでもないったら!
もう、ばか!離し…はしなくてもいいけど
う動けない
ヨルがみてる

おかし!
むぅ…
お姉さん達を誘惑したんじゃないだろうな!ダメだぞ

…そう
僕を食べたんだから
さいごまで責任とって
続く言葉にはただ赤面することしかできなくて

君は、ずるい


誘名・櫻宵
🌸櫻と人魚
アドリブ歓迎

エステは?!
化粧落として髪を縮めたのに!

わかったわよう
お掃除するわ
え?男の格好するの初めてじゃないわよね?
リィ、可愛い

操華の精霊よんでヨル達と一緒に残骸集めを手伝うわ
沢山あるわねえ
残骸で杯を作るのはどう?
冷え冷えにしてお酒を飲むの!美味しいわよ
ダメ?
じゃあ盾や鎧ね、硬かったもの
…あ、(触れる
ねえ
いつもより照れ照れしてない?
可愛い!抱きしめちゃう

休憩よ
船のお姉さん達にお菓子もらったの
一緒に食べましょ
勝手にくれたのよ
姿は変わっても中身は変わらない
人魚の肉を食べたから姿も変わらないかも

勿論
あら綺麗な欠片だわ
無限に変化する可能性の物質で
決して変じぬ愛の指輪を作ってもらおうかしら



●エステは一働きのあとに
「エステは!?!?!?!?」
 章題を見ろ働いたあとだ。
 ……さておき、そう叫んだ誘名・櫻宵はがっくりと肩を落とした。
「せっかく化粧落として髪も縮めたのに、まだ作業が必要だなんて……」
「えすて、はあと! ……ん? え?」
 いつものようにお説教モードに入ろうとしたリル・ルリは、
 しょんぼりする櫻宵の姿を見て、電流が走ったかのようにぽかんとした。
「その姿、どうしたの……?」
「えっ? 男(こ)の格好するの、初めてじゃないわよね?」
 きょとんとする櫻宵に対し……リルの白い頬が、ぽっと朱に染まる。
「…………格好いい」
「あら、やだ! ふふっ。褒めてくれてありがと。リィも可愛いわ」
 隙あらばイチャイチャである。これがラブラブカップルのパワーか。
 くすくす笑いながら櫻宵に言われると、リルは我に返ってぷいっとする。
「まあ、照れちゃったのかしら? そういうところも可愛いわ」
「て、照れてないし! もう、行くよっ!」
 そうして宇宙へと出るふたり。戦いが終わって一段落と言ったところか。

 クエーサービーストが去ったあとの宙域には、静寂が広がっていた。
 真空に包まれた宇宙に"静寂"という表現はやや不適切かもしれないが、
 もっと超自然的な殺気や緊張……そういったものが霧消しているのである。
 あちこちで作業する猟兵やナイチンゲール号のスタッフらも、
 だいぶリラックスして作業に励んでいるようだ。
 櫻宵とリルもそこは同じ。まず、櫻宵が桜の精霊たちを招来する。
 続けてリルがテンポのいい歌を口ずさむと、懐からヨルがぴょんと飛び出し、
 ぽぽぽんっ! とファンシーな煙とともに――ふ、増えた!
 なお、ヨルも当然宇宙服を着用している。ペンギンサイズのお手製だ。
「それにしてもたくさんあるわねえ。あれだけデカかったから当たり前だけど」
「うん。……本体はもう死んでるんだし、変化したりしないよね……?」
 リルはヨルたちが運んできた手のひら大の残骸を受け取り、つんと触れる。
 黄金の外殻は変形しない。だが、妙な手触りが返ってきた。
 硬いような、柔らかいような、ふたつの手応えが同居した感覚。
 おそらくそれは、この奇妙な外殻が持つ可塑性による違和感なのだろう。
「これ、たしかもらっていってもいいのよね? どう加工しようかしら?」
「うーん、僕は鎧とか武器とかは使わないし……」
「じゃあ杯とかどう? 冷え冷えにしてお酒を呑むのよ!」
 きっと美味しいわよ、とうっとりする櫻宵の様子に、リルはむくれた。
「お酒はダメ! それならもっと、お鍋とかそういうのにしようよ」
「あら、そう? んー、それか盾とか鎧とかかしらねぇ……」
「そうそう。きちんと役に立つ真面目なものを作らないとダメなんだから」
 したり顔で言いつつ、近くに浮かんでいた残骸へ手をのばすリル。
「「あっ」」
 ちょうどそこには、櫻宵も手を伸ばしていた。ふたりの指先が触れ合う。
 ここが宇宙だからか、普段よりもその感触はずっと強く感じられて、
 思わずさっと手を引いてしまうふたり。……静寂が、いやに心音を掻き立てる。
「ねえ、リル」
「な、何……」
 にんまりとした櫻宵の顔に、むっと口元を結んでみるリル。
 だがよく見なくても、その白い肌は頬どころか首元まで真っ赤だ。
「なんだかいつもより照れ照れしてない? あたしの格好のせいかしら?」
「な、」
「それとも、ここが宇宙だからかしらねぇ? ふふふ!」
「て、照れてなんてないったら……!」
 ぷいっと拗ねたように顔を背けるリルの反応が、またいじらしい。
 櫻宵は「可愛いっ!」と声にして、ニコニコしながら彼を抱きしめた。
「もう、ばか! 離し……さ、なくていいけど……」
 もごもごと目を泳がせるリル。すると周囲のヨルたちの目線が視界に入る。
 あらあらまあまあ的な微笑ましさ半分、作業しろやという呆れ半分。
 色んな意味で、動けなくなってしまうリルであった。

 ともあれそんな作業は一段落し、休憩を取ることになった。
 どうしてもエステに行きたいという櫻宵と少しだけ別行動を取り、
 先に食堂で待っていたリルのもとへ、ぱたぱたと櫻宵がやってきた。
「あ、櫻。えすて、満足した?」
「そりゃもう、完璧よぉ。ほら見て、お姉さんたちにお菓子もらったの!」
 差し出された(スペースシップワールドとしては)洒落た菓子の数々を見て、
 リルは子供めいた無邪気な笑顔になる……が、またしかめっ面だ。
「むう」
「どうしたの、リィ?」
「まさか……お姉さんたちを籠絡したんじゃないだろうな。ダメだぞ!」
 ぷんすかと怒っているリルの顔を見て、櫻宵は思わず噴き出した。
「大丈夫よぅ。『お連れの恋人さんに』ってあっちからくれたんだから」
「えっ。そ、そっか。……恋人さんかぁ、そっか、なら……えへへ」
 にまにましつつお菓子に手を付けるリルの顔を、櫻宵は頬杖をして見つめる。
「ねえリル。あたしね、姿は変わったって中身は変わりはしないわよ?」
「??? ……どうしたのさ、櫻。そんなこと、言わなくったって」
「いいえ」
 櫻宵は目を細めた。
「"人魚の肉"を食べたんだから、姿だって変わらないかも、ね」
「…………」
 リルはふん、とこれみよがしに鼻を鳴らし、胸をそらしてみせる。
「……そうだよ。だから櫻は、ちゃんとさいごまで責任取らないとダメだよ」
「言われなくたってそのつもりよ?」
「……っ」
 あっさりと返ってきた言葉に、リルはまたしても顔を真っ赤にする。
「君は、ずるい」
 へそを曲げてしまったリルの横顔を幸せそうに見つめて、櫻宵は思う。
 そうだ、あの黄金色の欠片は、無限に変化する可能性を秘めたもの。
 ならば逆に――決して変わらぬ愛の指輪を仕立ててもらおうか。
 それを贈ってあげれば、きっと彼も機嫌を直すに違いない、と。
「……なにさ」
「いいえ、なぁんでも。ふふふ!」
「その顔、悪いこと思いついたときの顔だぞ。お酒は、ダメ!」
「お酒じゃないわよぅ!?」
 かしましいふたりの声を背景に、やれやれとジェスチャーするヨルだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オルハ・オランシュ
【Magia】
さすがにあの激戦の後で、もうくたくた……
どこかで昼寝できないかなぁ
でもその前にもう一仕事頑張らなきゃね
外殻の回収頑張ろう!

奇遇だね、ヨハン
私も休みたいと思ってたんだ
後で一緒に休もうよ!
もちろん先に何か作ってもらってからね
ほら、織愛の後に続いた続いたっ
アルジャンテもぼーっとしてないで!

魔力の制御か……
私はそれ以前の問題だし、と首を振って
それに、お守りはもう大切なものがあるもの
ちりんと鈴の鳴るそれを握って

槍は特注品でも、
ダガーはその辺で手に入れたごく普通のものなんだよね
スペース刀鍛冶のおじいちゃんに
いい具合に手を加えてもらえないかな?
細かい注文はしないよ
素敵なのができるって信じてる!


アルジャンテ・レラ
【Magia】

疲れを知らない身体ではあるのですが、開放感のようなものは感じます。
外殻の回収作業は転送前の時点で依頼されていた事です。
厄介だったからこそこちらの物となれば大いに役立つでしょうね。
兎に角、口を動かす前に手を動かしましょうか。

ユーベルコードを伝達……。
何かのパーツの代わりに体内に埋め込められれば、火矢の更なる強化か。
或いは他の力を生み出す依代にすらなり得るのでは。
……すみません。私も行きます。

お守りにダガーの加工ですか。
皆さん、ご自身の特性を考えた上での選択ですね。
私も機械の身である事を打ち明けた上でレヴァンさんに依頼しましょう。
外殻を何らかの形で持ち歩ければと。詳細はお任せします。


三咲・織愛
【Magia】
回収作業がんばりましょー!えいえいおー!
という訳で一生懸命外殻の回収をしてきます!
えいやっ、とお!っとやっちゃえばすぐに出来ちゃいますよね!

ふぅ。たくさん良い物が手に入りました
私、船の方々に加工をお任せして何か作ってもらいたいです
皆さんも一緒に行きましょー!

乗り気じゃない人がいてもぐぐいと引っ張って行っちゃいます

ユーベルコードを伝達するのですよね
お守りのようなものにしてもらおうかしら
いざという時に身を護ってくれるような、魔力の籠もった物がいいですね
ネックレスやブレスレットみたいな……出来るでしょうか?

ダガーにピアス、それぞれらしいですね
アルくんのものは何になるかしら
楽しみですね!


ヨハン・グレイン
【Magia】

外殻の回収はさっと終わらせましょうか
何やらやる気に溢れている人もいますし、早く終わるでしょう

俺は特に何か必要なものもありませんし、
作業が終わったら休みます
ちょうど一息吐きたかったですし……やすみ……たいんですけど……

一人だけ別行動するのもなんですからね……付き合います

お守りか……魔力の制御を助ける物が作れれば、欲しいものですけど
あまり期待してないですけど、何か見繕ってもらえませんかね
ピアスあたりに加工してもらえたら

俺には必要ないんですけど、まぁあの感じだと何も分かって無さそうだな……
作るのに時間がかかるようでしたら後日渡す事にします
気休め程度でも、持っててもらう方が安心なので



●若者たちの一時
 戦い終わったあとに言い渡された外殻回収作業。
 それに対する四人の反応は、それぞれバラバラであった。
「さあ、みんなで張り切ってがんばりましょー! えいえいおー!」
 と、満面の笑顔で拳を振り上げる三咲・織愛は、一番元気のいい子だ。
 あれだけの激戦のあとにも関わらず、これっぽっちも疲労していないらしい。
 恐るべきスタミナの賜物か、はたまた疲れを吹き飛ばすほどのやる気なのか。
 いずれにしても、オルハ・オランシュとヨハン・グレインはぐったりしていた。
「さすがにあれだけ働いたあとだと、もうくたくただよ……」
「俺もです。やる気が溢れているのはいいことですが……」
 猟兵使いが荒いのではないのか、だの、どこかで昼寝したい、だの、
 ふたり仲良くあれこれ不平不満を述べる。気が合っているんだかいないんだか。
「そうは言いますが、この仕事はもともと転送前の時点で依頼されていた事です。
 織愛さんを見習って、おふたりもきちんと働きましょう。大事な後詰めですよ」
 一方で、平気の平左といった無表情で、アルジャンテ・レラが云う。
 彼に対しては礼儀をわきまえているヨハンだったが、
 さすがにじと~っと非難がましい目で見つめた。
「……アルジャンテさんは、そりゃあミレナリィドールなんですから、
 疲労は感じないんでしょう。それをどうこうのたまうわけではないですが」
「それは確かです。しかしこれでも、私も開放感のようなものは感じていますよ」
「う~ん……たしかに織愛とアルジャンテだけに任せるわけにはいかないね」
 もう一仕事頑張るかぁ! と、オルハは大きく背と羽を伸ばした。
「そうです、みんなでえいやっ、とお! とやっちゃえばすぐ出来ますよ!」
「なんの具体性もない擬音と身振りですね……」
「口より先に手を動かす、ということでしょう。さ、ヨハンさんも」
「……わかりましたよ。ただ、作業量は差をつけてもいいでしょう」
「ヨハンったらだらしない。でもま、適材適所って言葉もあるよね」
 そんな会話をしつつ、さっそく働く一同であった。

 爆発四散したクエーサービーストの外殻は、あちこちに散らばっている。
 回収作業の主な大部分は、これらをナイチンゲール号に運搬することだ。
 もちろん中には、いわばクエーサービーストの"肉"に付着したままの物もあり、
 これを引っ剥がしたり、解体してより運びやすくするのも重要である。
「……なるほど。こちらの思念を与えると、ある程度形を変えられますね」
 テストがてら持ってきた、手のひらサイズの外殻を見て、ヨハンは言った。
 彼の手のひらの上で、最初は板状だった外殻は、様々に形を変えている。
 幾何学的な三角錐や円柱を始め、身をよじるようなモニュメントめいた形にも。
 しかしそれを長時間維持するには、魔術行使に似た集中が必要らしい。
「クエーサービーストが死亡したことで、維持性が失われたせいでしょうか。
 あるいは、我々の思念にノイズがあるせいで、形がままならないのか……」
 ヨハンの手の上で絶え間なく形を変える外殻を見て、アルジャンテは推測する。
「ってふたりとも! そういうのはあとにして、あと!」
「そうですよー! そっちに大きいの、運びますからね! えいっ!!」
「「えっ」」
 ぶーん。遠くにいた織愛が、大岩並の残骸を思いっきり投擲した。
「ふたりとも、一緒に受け止めてね! 失敗したら大変なことになるよ!」
「「いやいやいや」」
「もうひとつ行きますねー!」
「「いやいやいや!!」」
「ほら構えて! 来るよ、3、2、1!」
 慌ててオルハと肩を並べ、大岩めいた残骸を受け止めるふたり。
 衝撃の反動で体が宇宙の彼方に吹っ飛びそうになる。推力調整が重要だ。
 しかしそこに、追いオリーブならぬ追い外殻! KRAAAAAASH!!
 地獄の千本ノックめいた"運搬作業"は、織愛が戻ってくるまで続いたとか。

 ……ややあって、ナイチンゲール号船内。
 相変わらずピンピンしている織愛、
 そこそこ疲労しつつもまだ大丈夫そうなオルハ、
 そして完全にグロッキー状態で、背中合わせにへたり込む男衆。
 性差とはなんなのか、みたいな感じで対照的な若者たち四人である。
「……………………もう無理です」
「……………………疲労は疲労でも物理耐久性的な意味での疲労が……」
 口からエクトプラズムが出そうな男たちに、オルハは肩をすくめる。
「まあ、あれだけ働いたんじゃ仕方ないよね。って織愛、どうしたの?」
 それをよそに、織愛は外殻の一部を積み上げたコンテナを、
 どこぞのスーパーヒーローみたいに両手でよっこいせと持ち上げていた。
「あ、船の方々に加工をおまかせして、何か作ってもらおうと思いまして」
「こ……この足で? さすがにすごいタフネスだね、織愛……」
 ふふん、と嬉しそうに胸を張る織愛。そしてとんでもないことを云う。
「あ、そうだ! せっかくだし、皆さんも一緒に行きましょー!」
「「は?」」
 声を揃えた男たち、うんざりした様子でヨハンが云う。
「……俺は特になにか必要なものもありませんし、もう休みます」
「そうですね、私も……ってあの、織愛さん?」
 ぐるぐる。なにやら腰に牽引用のワイヤーをくくりつけられている。
 思わずアルジャンテが織愛に問いただすと、彼女は笑顔でこう答えた。
「お疲れのようなら運んであげようかと思いまして!」
「なるほど、話を聞いていらっしゃいませんね」
「…………オルハさん、同じ女子として何かこう、説得を」
 え? みたいなきょとん顔で、ヨハンに首をかしげるオルハ。
「ああ、私も休みたいと思ってたよ。あとで一緒に休もうよ!」
「いやあの」
「ほら、立って立って。すり潰されたくなかったらちゃんと歩く!」
 ぞっとして織愛を見る男たち。織愛は肩をグルングルンと回していた。
 たしかにへたり込んだままだと、力任せにぐいぐい引っ張られるのは確実だ。
 下は冷たい床。当然ズリズリと摩擦熱で……ふたりは考えるのをやめた。
「さー行きましょー! しゅっぱーつ!」
「しんこー! だね!」
「「アッハイ」」
 半ば強制的に歩かされる少年たちの様子は、市中引き回しめいていたという。

 などという一幕がありつつ、実際に工房についてみれば話は別。
 四人は猟兵。そして若者だ。これからの戦いに必要な物資は数多い。
「で? お前さんたち、一体どんなもんをこさえてほしいんじゃ」
 作業服姿の老人の言葉に、四人は一様に考え込んだ。
「ユーベルコードを伝達する……それに、思念の力で形を変えるんですよね」
 織愛の問いかけに、老人はこくりと頷いた。
「うむ。まあワシらにそんな芸当は無理じゃから、やることは鍛造じゃがの。
 大雑把なもの……たとえば機械の一部だとか兵器のようならまだしも、
 小細工だの装飾品になると、実際に立ち会って手伝ってもらう必要がある」
 作業工程としては、猟兵たちがそれぞれ頭の中にイメージを思い描き、
 その変形を永続的なものにするため、作業員が手を入れる、という具合だ。
 デジタルなたとえをすれば、プログラムのコードを書き上げるのが猟兵、
 ハードウェアを組み立てて加工するのが作業員の仕事、といったところである。
「なら、私はパーツとして利用できるものをお願いできるでしょうか」
「そんなら、あそこにいるレヴァンの坊主に掛け合うといい。
 やっこさんはメカニックとしちゃなかなかのもんじゃ。いい経験になる」
「わかりました。ありがとうございます」
 頷き、レヴァン少年のもとへ向かうアルジャンテ。
「……なら俺は、魔力の制御を助けられる触媒のようなものがほしいですね。
 アミュレット……いえ、もっと簡素なピアスだとか……そういうものが」
「いいですね! オルハさんはどうするんですか? 同じようなものを?」
 ヨハンと織愛の視線を受けたオルハは、ううん、と首を横に振った。
「私は、魔力の制御とかそれ以前の問題だから。それに、お守りなら……」
 鈴のついた和風のお守りを振ってみせ、オルハははにかむ。
「もう十分、大事なものがあるから。ふふ」
「わあ、これってなんのお守りなんですか? 無病息災とか?」
「えーっと……まあ、そんなようなものかな」
 照れたように笑うオルハ。ふいっと目線をそらすヨハン。首を傾げる織愛。
 それが縁結びのためのお守りであることを、当然彼女は知らないのだった。
「ああ、けど……ダガーを仕立ててもらうことは出来るかな?」
「刃物か。そんなら、あそこにいる……ほら、あの顔に傷の入った。
 奴さんが刀鍛冶をやっとる。種類にもよるがだいたい問題ないじゃろう」
「ありがとう、おじいさん!」
 微笑むオルハ。そこで織愛も、結論がついたようだ。
「じゃあ……私もアクセサリがいいです。ネックレスとかブレスレットとか!」
「よし、そういう細々した装飾品はワシの仕事じゃな」
 といった具合に、四者四様の品物を用立ててもらうことに。

「……なんだよ?」
 アルジャンテがやってくると、レヴァン少年はわざとらしく睨みつけた。
 やや反抗期に入りつつある少年は、猟兵相手でも物怖じせず接する。
 とある猟兵にタカられたことで、ナメられないようにと心がけているらしい。
「突然すみません。実は私は……こう見えて、機械の身でして」
「ウォーマシンってことか? いや……うーん、まあ似たようなもんか」
 猟兵は外見によって違和感を与えることがない。ましてやこの世界では、
 機械の体を持つ人々は十分に受け入れられている場所だ。
 たいして驚いたふうもなく、レヴァンはアルジャンテの話に耳を貸した。
「こいつを体に組み込む? うーん、出来なくはないだろうけど……」
「何か、データを集めたりする必要があれば請け負います」
「まあ、そいつは当然やってもらうよ。拒否反応がないかチェックも必要だし。
 ……ただ、魔力とかサイキックとか、そういうのは俺には門外漢だからさ」
 適当にパーツに加工して、体に組み込めばいいというものでもないらしい。
「もし装着するなら、かなりコアな部分に組み込むことになるかもしれないぜ?」
「……というと。たとえば、心臓であるとか……」
「そこまではいかないけどな。その近くにペースメーカーみたいにするとか」
 アルジャンテは考える。彼は、ひび割れた感情回路を持つものだ。
 そのそばに、思念によって作用するパーツを組み込む……。
 ともすれば何か、単なる増強とは別の変化を生み出しかねないだろう。
 だが。彼はそのリスクを受け入れた。コクリと頷き、こう云う。
「構いません。もしかするとそれが、戦う力を手に入れるための……。
 いえ、それよりももっとずっと、大事な何かを私にもたらすかもしれません」
「……ふーん。まあ、そういうことなら、やるだけやってみるよ」
 メディカルチェックのため、アルジャンテはウォーマシン用の診察台へ。
 補助心臓とでもいうべき黄金の欠片を加工する、長い作業の始まりとなった。

 一方、オルハは来訪すると、顔に刀傷の入った強面の老人が振り返る。
「……加工の依頼か?」
「えっと……はい。短刀っていうか、投擲用のダガーを……」
 差し出された外殻を受け取り、職人めいた雰囲気の老人はそれを検分する。
 なにやら小さなハンマーでかちかちと叩いたり、光具合を見ているようだ。
「具体的な仕様については、こちらに任せてもらいたいが構わぬな?」
「それはもちろん! 職人さんの仕事に、口は挟めないからね」
 殊勝なオルハの言葉に、刀鍛冶はふむ、と顎をさする。
「なかなか礼儀を心得ている。さては儂のような人間に慣れているか」
「まあ、色々を巡ってきたから。刀って、特別な道具なんでしょ?」
 オルハは、かつてサムライエンパイアで経験した戦いを思い返していた。
 名工たちの隠れ里を護る、熾烈な戦い。その記憶はいまも鮮やかだ。
 オブリビオンたちをあれほど執着させる名作と、それを鍛えた職人の業前。
 それは、実際に戦い、これを討ち果たしたオルハだからこそわかるのだ。
「いいだろう。断る理由もない。であれば、請け負った」
「ありがとう! それで、何を手伝えばいいかな?」
「……お前が見てきた戦いや、光景を儂に話してくれ」
 どっかりと腰掛けた刀鍛冶が、古めかしい鍛冶道具を取り出す。
「刀であれ他の剣であれ、命を奪う刃物はすなわち使い手の心を写す鏡だ。
 お前がどのような戦いを経て、これから何を求めて戦っていくのか。
 それを少しでも理解できればできるほど、刃も応えてくれるのだからな」
 炉に炎が灯る。オルハは、その橙色の光に目を奪われた。
「……わかった。長くなるけど、どうか耳を傾けてね――」
 金槌の音を旋律に、オルハは語る。己が経てきた旅路を。
 そして――これからの戦いをともに乗り越えていく、大切なひとへの想いを。
 鍛え上げられる刃の色合いは、その想いに応えて変化することだろう。

「……ところで、ヨハンさん」
「なんですか」
「ピアスって、ひょっとしなくてもオルハさんのためですよね?」
 織愛の言葉に、ヨハンは片眉をぴくりと震わせた。
「……なんで本人が気付かずに、織愛さんのような方が察するんでしょうかね」
「え? 今なにかものすごく聞き捨てならないこと言いました?」
「言ってませんよ。……まあそうです。俺自身は色々足りてますから」
 ちらりとヨハンが視線を巡らせると、職人の老人はうむ、と頷いた。
「なんでも構わん。こいつの形を固定するには、思いは強ければ強いほどいい。
 ワシらはその手助けをするだけだ。そこんとこは、そっちの嬢ちゃんも同じだ」
「むむむ、なるほど。どんな思いを込めるか、ですか……」
 織愛は胸に手を当てて、目を閉じて考える。
 戦うため、誰かのため、あるいは護るため、救うため――。
 それを思索することは、己がなぜ力を振るうかを自問することである。
 ……誰かのためになりたいから? それは、ある。それはとてもいいことだ。
 では、どうして誰かのために戦いたいと考えるのだろう。
 正義だとか道徳だとか、そんな話ではない。
 ……"そうしなければならない"という戒めが、己にはある。
 けれどそれだけではならないと、いつかどうかで"彼"が言っていた。
 自分が戦う理由。"そうしたいから"と心から感じるエゴ。それは――。
「……はっきりしたようじゃな?」
「はいっ! 言葉にするのは難しいですけど、こう……」
「構わんよ。少年の方はどうだね?」
「思念を込めるのは、術士として慣れてますのでご心配なく」
 老人はうなずき、受け取った外殻を作業台に乗せて、道具を手にとった。
 時間はかかるだろう。当然それに付き添う猟兵にも、休みはない。
「……まあ、いいでしょう。気休め程度でも、持っててもらうほうが安心ですから」
「ふふふ」
「……こっちを見て笑わないでくださいよ」
「すみませんっ。……ふふっ」
「だから……」
 ふたりのやりとりは、作業の間しばらく続いたという。
 それぞれの、戦いや大事なひとに対して籠めた思念が、黄金を変える。
 その中から削り出されたアイテムには、相応の魔力が宿っていることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

清川・シャル
この外殻を使って何かを作る。ううーん…そうですね……
とりあえず、怪力でべりばり剥がしながら考えましょうか
あ、何処に運べばいいです?
ええとね、今持ってる武器が、金棒、刀2本、メリケンサック、パイルバンカー、下駄の仕込み刃、スピーカーから熱光線!
色々使ってるわけですよ。
おじいちゃんたち、いい案ないですか?
魔力とかこもってないのかな、抽出とか出来ないかな……そんなおじいちゃんを探してみましょう
素材としてはとても強そう。
未知数ですよね〜
何だかんだで宇宙はロマンですよ、シャル知ってる。



●怪力乱神なる少女
 べきべき、めりめりめりめり……!
 マインドミナBVAの"肉体"に付着したままの外殻が、音を立てて剥がされる。
 パワーアームを使っても困難な作業を、平気な顔でやってのける少女の姿に、
 運搬のため同行したスタッフたちが感嘆と驚愕の声を漏らした。
「ふーむ、大したもんじゃ。さすがは猟兵じゃのう」
「えへへー、これでも力自慢なので!」
 清川・シャルは素直にはにかみ、細い腕で力こぶを作る仕草をした。
 羅刹であることを抜きにしても、鬼神としてのシャルの力はすさまじい。
 あっという間に作業は進行し、彼女の担当分は片がついてしまう。
「若いのに見上げたもんじゃのう。お嬢ちゃん、歳はいくつだね?」
「12歳ですよ! ……もしかしてもっとちっちゃく見えました?」
「まさか! ワシらがそのぐらいの歳の頃は、もっとはなたれ小僧でな……」
 などと昔話を始める老人たちに、シャルは苦笑を漏らした。
 共同作業は和やかに進み、外殻はそのまま工房へと運び込まれる。
 大部分は解析などに回されることになるが、これだけあれば私用も十分可能だ。
 船に戻る道中、シャルは老人の質問……使用武装についてを明らかにした。
 金棒、双刀、メリケンサックにパイルバンカー……エトセトラエトセトラ。
「おっかないもんばっかじゃな!?」
「かわいいでしょ! おじいちゃんたち、何かいいアイデアありますかねー?」
 老人たちは問われて腕組するが、そこでひとりの男がこう言った。
「いや待てよ。お嬢ちゃんのセンスに合いそうなのだと……ロブはどうじゃ?」
「「「あいつかあ……」」」
 何やら微妙そうな様子に、首を傾げるシャル。
 会ったほうが速い、ということで、工房のスペースに案内されるのだが……。

 ギャアアアアーンッ!!
「ひうっ!」
 ドアが開くなり耳をつんざいた強烈なディストーションサウンドに、
 さしものシャルも思わず肩をすくめ、ぶわっと髪を逆立たせた。
 年代物のアンプやらギターやら、この世界では骨董品に等しいだろう機器。
 秘密基地めいたその部屋に君臨しているのは、サイケなグラサン姿の老人だ。
「アーン? なんだァ、ノックぐらいしてほしいのお!」
「しましたよぉ! なんですかここ、UDCアースに来たみたい……」
「はっは、珍しいじゃろ。ワシはこのロックっちゅーのが大好きでの!」
 ギャアアアーンッ!! ひりつくようなギターサウンドが木霊する。
「へえぇ! あ、じゃあ私、このレコード聴いてみたいです!」
「ほっほぉ、見上げたところのある子じゃ! さては楽器を使いよるな?」
「そーなんですよー! こんな感じのなんですけど……」
 よいしょっと、と運ばれてきたアンプ群を前に、老人は目を輝かせた。
「なんじゃこりゃあ!!」
「……あれ、もしかしてダメでした?」
「イカしとるのぉ!! 特にこの色、それに形がよい! 桜ときたか!」
 シャルはぱああっと目を輝かせ、笑顔になった!
「ですよね!? わかりますー!? じゃあじゃあこっちは!?」
 ずしん! "そーちゃん"を取り出すシャル。
「おっほー! なんじゃこりゃ、見た目からしてサイコーじゃわい!
 ははあ、金棒をどピンクに……いや恐れ入った! 素晴らしいセンスじゃ!」
 褒められて悪い気がする者はそうそう居ない。相手が同好の士ならなおさらだ。
 シャルはニコニコ笑顔でテンションアップし、一気に盛り上がる。
「実はこのスピーカー……なんと、熱光線が出ちゃいまーす!」
「ンンンン、グレイト! ならいっそミサイルとかどうじゃ!?」
「おー、爆発! って感じでいいですね!」
「となるとそいつにこの外殻を組み込んで音圧をアップ……。
 いやいや、あるいは桜と金のカラーリングのギター型殴打武器という手も……」
「じゃあじゃあ、こういうのはどうです!?」
 "ロマン"を共有したふたりは、様々な外殻の利用アイデア会議で意気投合した。
 ぶん殴ると相手が爆発してついでにいい感じの音も鳴る殴打用マイク、
 つまびくとその音に応じて切れ味が増す文字通りの"スラッシュ"ギター、
 シャルの感情の高まりに応じて硬度を増し、防御にも拘束にも使えるチェーン、
 はたまた、弾丸の代わりにビートをぶっ放す不思議なマシンガンなどなど……。
 摩訶不思議なアイデアの数々。どれが採用されたかはシャルのみぞ識る、といったところだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷲生・嵯泉
流石にあの図体では完全に消えん様だな
まあ、後に使える材となるのなら、残った所で問題は無いか

先ずは回収作業を済ませるとしよう
ワイヤーが有れば借り受け
其れを使って出来るだけ大きく引きはがした外殻を纏め
怪力を使って一気に運び入れる

此の外殻ならば、かなり丈夫な保管用品が作れるやもしれんな
……鍛冶の手も在る、か
では1つ頼みたい事がある……受けて貰えるか、御老体
武器ではなく、箱を1つ
此の煙草とライターを入れられる程度の大きさの物が望みだ
気密性は高い方が良い……出来るか?
以前に水に落ちて総て駄目にしてしまった事があってな……
訳あってとても大事な煙草だ、早々同じ轍は踏めん
そうなる前の予防手段が欲しいという所だ



●覚悟の灯
 ワイヤーで牽引された巨大な外殻が、ナイチンゲール号に接舷する。
 比喩ではない。巨大な塊であるそれは、小規模なスペースシップ並だ。
「ご苦労さん! あれだけのデカブツ、持ってくるのは苦労したじゃろう?」
「いや……コツがある。身の丈以上の敵相手など日常茶飯事だ」
 出迎えた老人に対し、鷲生・嵯泉は驕るふうもなく短く応えた。
 尋常ならざる怪力を有する嵯泉にとっては、実際朝飯前の作業である。
「それに……その大元を相手に戦っていたのだ。欠片ごときで音は上げられん」
「はぁっはっは、違いない! とにかく、助かったぞい」
 人懐っこい笑みを浮かべる老人に、嵯泉はちらりと目を向けた。
「……ところで、希望があれば外殻の一部を加工してもらえるそうだが?」
「うむ? ああ、そうじゃのう。どうせ一番あれを使えるのはお前さんたちじゃ。
 必要があれば、ここで出来る範囲の加工はするとも。何か注文はあるかの?」
 工房へと続く長い廊下を歩きつつ、嵯泉はしばし黙考した。
 ……武器は足りている。彼の命を預けるに足る銘刀は十分。
 ならば防具か。否――身を鎧う大仰な鋼など、嵯泉には必要ない。
 背負った遺志と決意、そして究めた武こそが彼の守りであり、矛ならば。
 思索を巡らせていた嵯泉は、無意識にごそごそと胸元を探っていた。
 そして煙草を一本取り出しかけ……はた、と我に返る。
「む。……ここは禁煙か?」
「そうじゃの。吸いたいならあっちのほうに喫煙スペースが――」
「……いや。ちょうどいい」
「?」
 きょとんとした老人に対し、嵯泉は指に挟んだ煙草を示してみせる。
「武器ではなく、箱を一つ。この煙草と……ライダーを入れたい」
 はたから見れば何の変哲もない煙草である。だが老人は顎をさすった。
「なるほど。おまえさんにとってはだいぶ、大事なようじゃな」
「……分かるかね?」
「ワシはもう健康のためにやめたんじゃがの。昔はだいぶ、な」
 孫がうるさいんじゃ、と好々爺の笑みを浮かべる老人に、嵯泉は頷いた。
「ならば、話が早い。水に落としてダメにしてしまったことがあってな……」
「そりゃあもったいない。なら、気密性を高めたもんをこしらえるとしよう」
「感謝する。必要であれば礼はするが――」
 言いかけた嵯泉に対し、老人は言った。
「いらんわい。どうしてもというなら、そうさな。あとで付き合え」
「何に?」
「決まっとるじゃろう。これじゃよ、これ」
 煙草を吸うような仕草。
「……孫のことはいいのか?」
「よくないとも。しかし、"よくないほど美味い"もんじゃろ? こいつは」
 したり顔の老人に、嵯泉は笑みめいた表情を浮かべる。
 ……紫煙立ち込める工房に籠もり、男たちは何を交わしたか。
 いずれにせよこしらえられたのは、黒と金をたたえたシックなシガーケース。
 祈りを籠めた燈を護る、男にとっての小さな礼拝堂である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
んー、作りたいものはあるんだけどね。
簡単にはできそうにないっぽい。
となると、素材は多ければ多いほどいい。
試行錯誤は必要だからね。
<紋章之秘術>で回収するですよ。
これならサイズも量も気にしなくて大丈夫。
魔力で描いた紋章を飛ばして回収するのですよ。
で、回収が終わったら…本番なのです。
目標は外殻をナノマシンに融合させること。
まずはこの外殻の性質を知らないとね。
今回は実験と分析だけで終わりそう。
まぁ、仕方ないね。
科学的な手段だけだとダメっぽいからなー。
魔法、いや錬金術なら可能性があるかも。
せめて素材として扱いやすいようにしておこう。
この場合は小さい方が扱いやすい。
粉末へと加工…いけるっぽい?



●実験と分析
 露木・鬼燈は虚空に指を走らせると、魔力が光の線となって浮かび上がる。
 鬼灯の花を描いた光の紋章。それは指を離すと、宙に残り続けた。
「ほいっと」
 鬼燈がその紋章をちょい、と指で押してやると、紋章はなめらかに滑り、
 巨大な外殻の塊にぴったり触れる。そして光が外殻に伝搬した。
 やがて光そのものとなった外殻の塊は、はじめから何もなかったかのように、
 光の粒となって分解され、やがてそれらの粒子も衰滅する……。
 "紋章之秘術(アイテムボックス)"の、極めて平和的な利用である。
「戦い続けるには、こーゆー術も必要っぽい、ってね」
 ユーベルコードを活用したことで、鬼燈の作業は手早く完了した。

 そうしてナイチンゲール号へ帰還した鬼燈だが、
 彼は老人たちにこうお願いしたのだ。
「空いてるスペースを貸してほしいのです。実験できるとこがいいなー」
 猟兵の申し出を、あれこれ理由をつけて断る意味などありはしない。
 船の人々は鬼燈の頼みを快諾し、無菌室めいた部屋があてがわれた。
 鬼燈は備え付けられた白衣を羽織り、よし、と気合を入れる。
「ユーベルコードに反応して、思念の力で形を変える不思議な外殻。
 それなら、もっともっと小さく……ナノマシンとの融合も出来るかも?」
 机上の空論ではあるが、そのためには外殻の特性をよく知る必要がある。
 他の金属サンプルと比較検証し、どういった元素で構成されているのか、
 思念による変形はどこまで可能なのか、融点や展性はどの程度なのか、
 硬度、耐酸性、人体への影響、マシンとの適合性……。
 鬼燈が解き明かしたデータは、今後の旅路の大きな糧となるだろう。
「……うーん」
 しかし、鬼燈は浮かぬ顔だ。どうも、科学的手段では限界があるらしい。
 思念を受けて変形する、という特性に、明らかな魔術的な要因があるのだ。
 予測されていた結果ではある。金属学や物理学だけで、
 奇跡の力の産物を解析できるなら苦労はしない、という話であるゆえに。
「魔法、いや錬金術なら可能性があるかも……?」
 一応の結論を出した鬼燈は、部屋を出て再び工房へ。
「おう、具合はどうじゃ?」
「んー、まあまあです。けどこの船じゃ限界があるかなー」
「そうかぁ。ならお前さんが持って帰って調べてみるかね?」
「そうするつもりっぽい! 粉末加工とか出来るです?」
「協力は必要じゃが、やってみるとしよう。手を貸してくれんか」
「もちろんっぽい!」
 うきうきと老人のあとに続く鬼燈。それはどこか実験を楽しむ子供めいていた。
 神秘の広がる宇宙、その深奥に隠れていたクエーサービースト。
 その謎を解くことこそ――人類が進歩するための、大きな一歩となるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

斬崎・霞架
大きさや重量は確かに力に成りえますが、それだけでは。
…いえ、アレの場合はそれだけではありませんでしたが。
あの外殻は非常に興味深いですね。
ともあれ、まずは集めなければなりませんね。
(思念によって外殻の形を変え、纏めやすくしたところで【怪力】で引っ張って運ぶ)

【WIZに見せかけたPOW】

さて。“無限に変化し続ける”外殻。
この力は是非とも欲しいですね。
…例えばですが、外殻を呪う事で手甲の性質に近づけ、
それを吸収…融合、でしょうか、
それが出来れば、手甲自体が“様々な武装に変化する能力”を得られるかも知れません。
元々その様な機能はありませんが、この外殻なら或いは…。
…試してみる価値は、ありますね。



●勝つために――敗北けないために
 斬崎・霞架は瞑目し、目の前のビルめいた大型の外殻破片に思念を投射した。
 彼はサイキッカーではないが、こと呪詛を操ることに関しては一流だ。
 実際に戦ったことで、クエーサービーストの"変形"についても、
 戦士ならではの皮膚感覚として一定の理解を得ている。
 形を、思い描く。より運搬に適した、そのためのイメージを"押し付ける"。
 ベキベキ、メキ、バキバキ……と音を立て、黄金の外殻がひしゃげる。
 思い描いたのは矢の鏃のような形だ。推力を伝えやすい鋭角的なカタチ。
 最終的に出来上がったそれは、宇宙船の衝角としても通用しそうである。
「……なるほど。たしかにこれは興味深い……」
 だが、霞架はそのカタチそのもに価値を見出してはいない。
 単なる大きさや質量では、超常の戦いを生き残るには不十分なのだ。
 数多の強敵と相対し、これを克服してきた霞架だからこそ――それは、わかる。

 ナイチンゲール号の周辺に"停泊"した外殻をスタッフに任せ、霞架は工房へ。
 あちこちからは金槌の音や溶断による熱気、火花などが響いてくる。
 さながらそれは、ファンタジー世界のドワーフの鍛冶場めいてすらいる。
「おう? お前さんも加工目当てかね」
 案内役らしい老人が誰何すると、霞架は苦笑めいた表情で首を振った。
「いえ、皆さんのお手をわずらわせることはありませんよ。
 ……私なりに、あれの変化を見て考えついたことがありまして」
 霞架の言葉に、職人気質な老人は、片眉を吊り上げて顎をさすった。
「なんだか面白そうじゃの。よければワシらにも見物させてはくれんか?」
「……いいですよ。あまり見世物になるようなものではありませんが」
 ほどなくして、興味を老人やメカニックたちが霞架の周りに集まった。
 いま彼が目の前にしているのは、作業台の上に置かれた外殻の破片だ。
 大の男が両手で抱えられそうなサイズの、ごつごつとした岩めいた残骸である。
「私のこの手甲――エングレイヴは、呪いを凝縮した一種の魔具です。
 通常であれば、他の武装と接続し、私の呪詛を通す触媒とするのですが」
 言いながら、霞架は黒い手甲を纏った指先で、外殻に触れた。
 するとどうだ。鈍い黄金は病的な黒によって侵食され、どろりと歪む。
 どよめく老人たちのほうをちらりと見て、霞架は言葉を続ける。
「……これはまぎれもなく、あのクエーサービーストの一部。ある意味では、
 まだ"生きている"と言ってもいいでしょう。であれば――呪いをかけられる」
 黒の侵食は、透き通った海を汚染するようにさらに進む。
 やがて外殻そのものが黒ずむと、霞架は目を細め呪詛を強めた。
「形あるモノには、いずれ必ず"終焉"という別離が訪れます。例外はない。
 ……ですがただ腐らせ壊すのではなく、それを取り込めるとすれば――」
「! 見ろ、外殻が!」
 老人のひとりが声を上げた。
 然り……黒に染まった外殻は、エングレイヴそのものと癒着している。
 やがて手甲からいくつもの触手が生えて、外殻を包み込んだ。
 じわじわと黒の塊を吸い上げるそれは、まるで生物的な捕食である。
 ……そしてついには、外殻は綺麗サッパリ姿を消してしまった。
(もともとのエングレイヴに、こんな機能は存在しない……)
 具合を確かめるように手を開いては閉じながら、霞架は心のなかで呟く。
(こうしてクエーサービーストの一部を取り込んだことが吉と出るか凶と出るか。
 もしも奴の思念が残留しているなら、僕に弓引く可能性すらあるだろう)
 事実、いまのエングレイヴには何か異質なエネルギーを感じる。
 それが融合した外殻のものなのか、ノイズというべきなのか、
 あるいは融合によって化学変化を起こし生まれた"新たなモノ"なのか。
 たしかなのはひとつ。その特性の一部は、手甲に引き継がれたということだ。
「……モノにしてみせますよ。僕は、負けられませんからね」
 どよめく老人たちに聞こえぬ声音で、霞架は言った。
 その双眸には、勝利への執念――あるいは飢えが、じとりと燃えている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パーム・アンテルシオ
ふーん…私たちも、何か作ってもらっていいんだ?
もちろん、回収の手伝いだって、きちんとするけど…
せっかくだから…何か、作ってもらおうかな?

戦うためのものは、作ってもらっても持て余しちゃうから…
記念品、かな?ふふふ。こんなところまで来た、皆と一緒に戦った、その証。

思念で形を変えられるもの。それを生かした何か…
例えば…万華鏡、とか?
武器とか機械とか、作れる人。たくさん来てくれてるみたいだけど…
そういうものを作れる人も、いるのかな?

ちょっとぐらい不格好でも、慣れてなくても。私は構わないよ?
それはそれで…作ってくれた人を、強く思い出せる、って。そう思うし。
そういうのも、味がある…とも言うんだよね?ふふ。



●今日という日の記念に
「記念品が、欲しいんだ」
 回収作業を終えて戻ってきたパーム・アンテルシオの言葉は、意外なものだ。
「記念品……ですか? 武器だとか防具といったものでなく?」
「うん。私の戦い方だと、作ってもらっても持て余しちゃうから」
 工房の様子を見に来たパトリック艦長の言葉に、パームはそう返す。
 青年はなるほど、と頷きつつも、苦笑を浮かべた。
「あれだけ危険な戦いだったのに……いえ、記念とはだからこその物ですが。
 正直、感服します。けど言われてみると、たしかに大事なものですね、それは」
「戦ったのは、私だけじゃない。……猟兵も、この船の人たちも。
 皆と一緒に戦った、その証だから……ね。それに、ほら」
 パームは、強化ガラスの向こうに広がる無限の宇宙をみやった。
「こんなところまで来たなら、何か一つぐらい記念にしてもいいでしょ?」
「……マイルストーン、か。そうだ、僕らはここへ旅しに来たんだ……」
 危険な未踏宙域の旅路では、これまでとはまた別の形で過酷な戦いを要する。
 一度は平和で取り戻しかけた、戦い以外のことを考える穏やかな気持ち。
 それを刺激されたかのように、パトリックはしばし考え込んでいた。
「でも……どういうものがいいのか、いいアイデアがないんだよね。
 たとえば、私の故郷の文化なら、万華鏡とかどうかな……って思うんだけど」
「そういう繊細な工芸品なら、レインフォース号にちょうどいい方が」
 と言って、パトリックはパームの代わりにその人物を呼びに行こうとする。
 が、そこでパームは、何かを思いついたようにこう言った。
「……なら、艦長さんも一緒にやってみない?」
「えっ?」
「艦長さんだけじゃなくて、この船の人たち……そう、皆で一緒に」
 パームは微笑んで、静かに続けた。
「だって、この旅は私たち皆で続けてきた、そして続けていくものだから。
 ひとりひとり違ったものを作るっていうのも、記念品にはぴったり、だよ」
「困りましたね、技術面はからっきしなんですが……そう言われると」
 頭をかきつつ、パトリックは頷く。
「けど、とても素晴らしいアイデアだと思います。さっそく皆に伝えましょう。
 もちろんパームさんも、ご一緒に作業をしてはいただけませんか?」
「うん。……それがあれば、この旅のことは忘れなさそう、だね」
 何かを記録に残すという行為は、いわば思い出を切り離すものだ。
 記念に手に入れた品は、それを見ることでその時の思いを強く想起させる。
 きっと、パームや船の人々の思いを受けた品は、いい出来になるだろう。
 たとえ不格好でも、慣れていなくとも、この旅への思いを籠めたなら。
「……私もうまく出来るかわからないし、ね。ふふふ」
 そう言って、少女ははにかむのだった。

 そうして有志が共同して作り上げたのは、小さな筒型のネックレス。
 中を覗き込んでみれば、万華鏡めいた不思議な光景がそこに映る。
 星のようにきらきらと散らされた黄金、あるいは猟兵たちの放つ輝き。
 内に小さな宇宙を秘めたかのような、旅の記念品である。
 小夜啼鳥の翼を模したそのアイテムは、誰一人として同じものはない。
 参加したスタッフたちにとって、大事なお守りとなったことだろう……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴァーミリア・ランベリー
 力仕事って慣れてないんだけど!
 でもま、ソコまで込みのミッションなんだろうし……自分で使いたくもあるし、なんとかしましょ。

 けど、ちょっと大きくない? 重くない? え、みんなコレ運んでるの??


 回収が終わったあとは……ええと、繊維状に変化した(する)外殻を探して、見つけたら工房のほうに行くわ。

 個人用の装備を取り扱ってたなら、衣類の専門家もきっといると思うの。
 そういう人に、換えのコスチュームの設計とか、頼めないかしら?
 最終的には私の能力で形状と構造を再現するとしても、元になるデザイン自体はプロに頼んだ方がいいと思うし。
 フツーの素材ならできないコトができたりすると、ちょっぴりお得よね!



●なんてったって貴族(アイドル)だもの
 ナイチンゲール号に戻るなり、ヴァーミリア・ランベリーはへたり込んだ。
「ぜー、ぜー、ぜー……な、なによあれ、ありえないでしょ……」
 青色吐息である。まあ無理もない、彼女は力仕事が苦手なのだ。
 平気な顔で作業に戻る者、彼女と同じようにグロッキーな者、猟兵も様々。
 特に前者を恨みがましい目で見送りつつ、ヴァーミリアは頭を振った。
「ありえないわ……あんな大きくて重たいもんよく運べるわね……」
 だいたい高貴なる者に、こういう仕事は似合わないのよ!
 とかなんとかぶちぶち文句を垂れつつ、廊下を歩くヴァーミリア。
 彼女は"あるもの"を一足先に船に送っており、いまは工房にあるはずだ。
 疲れは全身を包んでいるが、"それ"のことを思うとへたりこんでもいられない。
「ハァーイ! 私が頼んだ"アレ"、仕上がって……うわぷっ」
 ルンルン気分で顔を覗かせたヴァーミリア、むわっと襲い来る熱気。
 工房内ではあちこちで融解や鍛冶仕事が行われており、気温がすさまじい。
 無理。高貴な美少女にこういうヒートな感じの環境は絶対無理。
 うんざりした顔で熱気を逃しつつ、慣れてきた頃に改めて顔を出す。
「あら、あなたが噂の猟兵ちゃんね? 待ってたわ!」
「……? あれ? あのなんとかいう船ってお爺ちゃんばっかりなのよね?」
 ニコニコ笑顔で接してきたのは、ファッショナブルな格好の美女である。
 おかしい。作業に従事しているのはレインフォース号の老人が中心と聞いた。
 ナイチンゲール号の若者たちもいるようだが、明らかに雰囲気が違う。
「ああ~、アタシもおじいちゃんよ? "元"だけどネ!」
「…………えっ」
 ヴァーミリアは女の頭からつま先までを三度見する。たしかに妙な違和感。
 ……サイバネティクスか何かの技術で、体をまるごと作り変えたのか……?
「まあまあ、アタシのことは気にしないで、こっち来て頂戴!」
「そ、そうね。腕がよければいいのよ、腕がよければ!」
 色々浮かんだ細かい疑問を心の奥底に押し込み、ヴァーミリアは同行する。
 そこには、彼女と同じぐらいのサイズのマネキンが鎮座している。
 それが纏っているのは、あの外殻を思わせるきらびやかなコスチュームだ。
「送ってもらった金属繊維を編み込んで、仮のコスチューム作ってみたの。
 どう? 可愛いのがいいっていうから、フリルマシマシにしてみたんだけど」
「へえ……いいわね! ちょっと色が派手すぎるのが気になるけど……」
「あ~、そこはあなたの思い通りに変えられるよう、調整しておいたわ」
 いかにもアイドルめかした、それでいて動きやすそうなフリルドレスである。
 ヴァーミリアが裾に触れてみると、色が鮮やかな赤へと変じた。
「……なるほどね」
「もちろん変形も可能よ。とりあえずブローチ型に収納出来るようにしたけど、
 アナタが気に入らないなら他のアクセサリにも変えられるわ」
 平時はアクセサリとして身につけ、必要な時に念じれば衣装に戻るようだ。
 もちろんこれは思念による変化の延長であり、ヴァーミリアにしか出来ない。
「あと、これはアタシたちのほうで完璧に出来たわけじゃないんだけど」
 と前置きした上で、女は云う。
「あの怪物がやってた……ほら、コピー能力っていうのかしらね?
 あれ、もしかしたら部分的に再現できるかもしれないわ。少しだけど」
「攻撃を受けた時、それを吸収したり出来るってことかしら?」
 確約は出来ないけどね、と彼女は云う。なにせユーベルコードは奇跡の力だ。
 実現できたとして、それはヴァーミリアが着用した時にだけ現れる特性だろう。
「……いいわね! ちょっとそれ、試してみたいわ! 着てみていい?」
「もちろんよ~! サイズの調整もしたいし? 張り切っていきましょう!」
 といった具合に、外殻を利用した金属繊維で縫製された新たなコスチューム。
 はたしてそれは、ヴァーミリアの高貴なる役目を果たす一助となるのか……。
 それは、今後の戦いにおける彼女の働きを確かめる他ないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【アサルト】

よーし、そんじゃあ回収作業してすっぞ!各自採取用の装備に変えたか?
何かと入り用な素材だからな!余すところなく剥ぎ取れよ!
俺の見た目じゃ、先の戦闘で空けた穴あたりが採取しやすいと思うぜ!
はいムーブムーブ!キリキリ働きな!
はいそこ!そこに差し込めばガッツリ採れるぜ!!
外殻も喜んでるよ!それほどの外殻になるには眠れない夜もあっただろう!
よしそこだ!!2人でやって大きく剥ぎ取れ!!フィジカルを滾らせろ!

なんて現場監督ムーブして俺楽するから
いやー適材適所適材適所
やっぱこういうのは体が強い奴がやるべきだよな!
…ん?何を見てんだ?
いやいや、やらんよやらんよ
ほら俺そういうの向いてないし!
やらんぞ!


鳴宮・匡
◆アサルト


あんまり肉体労働派じゃないんだけどな
ま、大人しく仕事しておくか
ヴィクティム、破片の採取できそうな位置を教えてくれ
出来るだけ大きな破片が残っている場所の方がいい

粗方回収したら素材を峻別するよ
と言っても大層な審美眼はないから
……まあ、重さだとか密度だとか
あとはユーベルコードを伝達するっていうなら
特有の波長というか――“感覚的”に捉えられるものがあるかもしれない
純度が高いほうが有効に活用できるかもしれないし
まあ、区別できて損はないだろ

……いや、煽るだけじゃなくてお前も働けよ
向いてないって言うなら俺だってそうだし
ほら、“超一流はどんな仕事でもこなす”んだろ?


ネグル・ギュネス
【アサルト】
問題無く
防護服にゴーグル、工具は義手で出来る
派手に破壊したが、使える部品あるかね

資材になる部品を引っぺがしては、余分なバリは削正し、積み上げては運ぶ
何せ、オーダーに従うのは得意だ
何故なら──。

うん?これは知能部分に伝えるコアか?赤黒いし、何か脈打ってるが。
…だがこれなら、或いは。懐に忍ばせておく


ヴィクティム、働かねんばパトリックが飯抜きと言っていたぞ?
そら、パワーアシスト使って運べ運べ!

少し人に会うので離れるぞ
誰に?ああ、ジャックのオッサン



──ジャック、経歴はどうあれ、あんたは長く宇宙にいた
そして猟兵や、そうでない人の戦いを見た

聞きたい
どんな力があれば、オレは皆みたいに強くなれる?



●戦い終わって、戦士たちは
 ひときわ巨大なクエーサービーストの"残骸"に、若者たちが取り付く。
 これほど大きなものとなると、船の周辺に運ぶだけでも危険である。
 運搬可能なサイズにまで分解し、使えるものを選定する作業が必要だ。
「ムーブムーブ! キリキリ働きな野郎ども、これも大事な仕事だぜ!」
 電脳メガホンを手に、ヴィクティム・ウィンターミュートが喝を飛ばす。
 戦いでもその他の場面でも、音頭を取らないと気が済まないのが彼の性か。
 実際ヴィクティムが指揮を執ることで、作業効率は大幅に上がったのだが。
「いやー適材適所適材適所。指示してりゃいいポジションは楽だなあ!」
 んなわけがなかった。邪念2000%の姑息なサボり戦術であった。
 これが天才ハッカーのやることか。コーラーは嫌われがちだというのに!
「いや、煽るだけじゃなくてお前も働けよ」
 鳴宮・匡は至極あっさりツッコミを入れた。相変わらずの凪の海節だ。
 相手がヴィクティムだからこそ、気をおかずに軽口を言えるというのもある。
「そうだぞヴィクティム、働かねば飯抜きとの艦長からのお達しだ」
 相棒の言葉に頷くネグル・ギュネス、その装いは作業用に完璧だ。
 特殊宇宙服の下には、レインフォース号から借り受けた防護服とゴーグル。
 工具の代わりに義手を使い、強固な外殻を裁断しては運搬する。
 ギュイイイイイ! と音を立てて、"バリ"を削り取っておくのも忘れない。
 ……ひょっとすると記憶を失う前は、土方かなんかだったのだろうか?
「いやいや、俺そういう力仕事とか向いてないから。やらんし」
「向いてないっていうなら俺だってそうだろ。適当言うな」
「必要ならパワーアシストでも使うか? そもそもお前サイボーグだろうが」
 ぐうの音も出ない正論炸裂! 魔弾と金眼はこういうとこでも炸裂……なのか?
 ともあれふたりの言葉に、ヴィクティムはやらんやらんと拗ねる始末。
「ったく、楽しようとしやがって……"超一流はどんな仕事でもこなす"んだろ」
 ぴくり。匡の言葉に、じたばたしていたヴィクティムが動きを止めた。
「ああまったくだ。"超一流"のヴィクティムならば、どんな作業も出来るな」
 うんうんと頷くネグル。ヴィクティムはぐぬぬ、と唇を噛み締めた。
 焦るなヴィクティム。こいつら明らかに俺を挑発して引っ掛けてやがる。
 だいたい疲れたんだよ、なんだあのサイズ。こっちのこと考えろっつーの。
「でも"超一流"がどうしようもないんじゃ、ま、仕方ないか」
「そうだな。俺たちだけでやろう。"超一流"には劣ってしまうが」
「……あ~~~~も~~~~!! わかったよ、わかったわかったっつーの!」
 根負けしたヴィクティムは、頭を振って降参のポーズをした。
「手伝いやいいんだろ手伝いや! ったく情け容赦ねえチームだぜ」
「お前が言うなっつーの。……ん?」
 呆れた表情を戻した匡は、ネグルの方を見て何か違和感を覚えた。
 相棒の背中に、妙な気配。はて、腹でも壊したか。
「……どうした、ネグル?」
「ん? ああ、いや」
 ネグルは振り返りながら、それとなく手にしたものを懐に忍ばせた。
 相棒ならば見咎めたかもしれない。が、深くは聞いてこないだろう。
 ……大したものじゃない。彼が懐に仕込んだのは赤黒い拳大の金属塊である。
 心臓めいて脈動するそれは、おそらくクエーサービーストの"核"だろう。
「使えそうな部品があったのでな。俺のほうで使おうかと」
「目ざといなお前……まあ、あんまり他の迷惑になることはすんなよ」
「ん」
 思ったとおり、匡はそれ以上何も言わない。ふたりの距離感はそういうものだ。
 ……ネグルは何気ない仕草で、懐に忍ばせた"それ"を軽く撫でた。
 これなら、あるいは。――あるいは、叶えられるかもしれない……。

 外殻の採取作業を終えた三人は、そのまま運搬のためナイチンゲール号へ。
 ワイヤーでくくられた金属塊が、SRファントムの力で牽引される。
「おっいいね! 外殻も喜んでるよ! それにしてもデカく切り取ったもんだ!
 それほどの外殻になるには眠れない夜もあっただろう!!」
「なんだよその合いの手」
「エンジンにちっちゃいコアマシン積んでんのかい!!」
「それネグルとマシンどっちに対する応援だ……?」
 テンションが妙な(多分疲れのせいだろう)ヴィクティムはさておき、
 匡は一足早く船へと戻る。目的は格納庫での素材選別作業だ。
 次々に運び込まれてくる残骸は、すべてが利用可能なわけではない。
 中には戦闘の余波で破損し、完全に特性を喪ってしまったものも存在する。
 あるいは殺戮兵器に変形したまま、戻ることなく固形化したものもある。
 宝石と同じだ。ダイヤモンドだからといってすべてがきれいなわけではない。
 工房に運ばれる前に、これらを"検品"するのも大事な作業である。
「んで? どうだ匡。お前の"眼"なら見分けられるだろ」
「ん……そうだな。言語化するのは難しいんだけど」
 手のひら大の外殻破片を、匡は天井の証明に透かしてみせた。
 一見すると他のものと大差ないが、彼の瞳には明らかに違って見える。
「……"透明"に見える、って言えばいいのかな」
「透明?」
 ヴィクティムが訝しげに片眉を吊り上げた。
「これは思念を受けて形を変える。つまり、"そういうの"を中に貯めるわけだろ。
 こういう"透明"なのは、他の部分よりも影響を受けやすい、っつーか……」
「コンピュータでいや、容量ががら空きってわけか」
「そう。……お前こそ、電脳魔術で解析とか出来ないのか?」
 匡が眼を向けると、ヴィクティムは肩をすくめてみせた。
「やってないわけないだろ? 集めたデータは随時ブリッジに送信してる。
 ……実際こいつは謎だらけだ。金属のくせに、液体みたいな特徴もありやがる」
「"賢者の石"だっけ。錬金術の。あれに似てるな」
「ハ。だとしたらたいした拾い物だ。まさに夢の新物質だぜ」
 冗談めかすヴィクティムに対し、匡の表情は変わらない。
 この物質が、はたしてこれからの戦いにどう影響するかはわからない。
 彼は専門家に比べては門外漢だし、見分けることは出来ても利用性は別だ。
 ……そう、道具が勝手に動くことはない。使うのは、人間だ。
「役に立つといいんだけどな」
「役立てるんだろ? 俺らが」
「……ああ、そうだな」
 ヴィクティムの言葉に、匡は視線を向けないまま頷く。
「…………ところで、ネグルのやつどこいった? サボりか?」
「聞いてないのか? あいつ、別の船長のとこ行くってさ」
「別の……ああ、ジャックのおっさんか」
 なるほど、とヴィクティムは顎をさする。彼は大して重視しなかった。
 作業はまだまだ山積みだ。一休みするにはもうひと頑張りしなければ……。

 ――同時刻、ナイチンゲール号の通路。
「お! よお、どうしたいこんなとこで。まさか俺に用か?」
 気さくに手を上げた"色男"に、ネグルはにこやかに笑って応えた。
「ああ。パトリックでも、爺さんたちでもない。あんたに聴きたいことがあって」
「俺に? ……おい、まさかサボってたとかケチつけにきたんじゃないよな?
 俺は俺で戦ってたんだって! いやまあ場所はトイレだし腹痛だけどそれは」
「そうじゃない」
 ネグルは頭を振る。表情は、真剣な面持ちに引き締められていた。
 おどけていたジャックも、シルクハットを被り直して切り替える。
「なあジャック。経歴はどうあれ、あんたは長く宇宙にいた」
「……まあな」
「そして猟兵や、そうでない人の戦いを見た」
 実際、"色男"と猟兵たちとの因縁は深い。そしてネグルは知っている。
 彼が力なき者――戦争で全てを奪われた人々に、手を差し伸べたことを。
「まあ、そりゃそうだが……どうした、かしこまって」
「聴きたいんだ」
 ネグルはまっすぐと目を見つめて、言った。
「どんな力があれば、オレは皆みたいに強くなれる?」
「……あぁ? それ、俺以外の猟兵に聞いたほうがいいんじゃ」
「…………わかるだろう。オレの言ってる"強さ"の意味が」
 ジャックは言葉を詰まらせた。
 ネグルが彼を識るように、ジャックもまた彼を知っている。
「……"エイ・オー"のときのことか」
 ネグルは頷く。あの"船の墓場"での激烈な戦い、それについて説明は必要ない。
 後ろから見ていただけとはいえ、色男は彼の戦いをも目の当たりにしていた。
 仲間たちに救われ、正気を取り戻したことも。
「あんた……そこまでして強くなりたいのか」
「なりたいさ」
 静かな言葉に、ネグルはしばしうなり、ため息をついた。
「あんたなら知ってると思うが、俺は一番最初に兄弟……ほら、
 "鋼の"ジャックと、ロクの嬢ちゃんたちに助けられたもんでよ」
 ジャックは言った。
「最初は羨ましかったもんさ。俺にもこんな力がありゃあ、ってな。
 ……あんたの気持ち、わからんでもねえよ。だから言わせてもらうぜ」
 物怖じせず、彼もまた瞳を見返す。
「俺はどうしようもねえクズだった。だがあんたたちのおかげで、
 ちょっとはましなクズになれたんだ。あの戦争を……あの戦いを通してな」
「…………」
「夢を持って笑っときゃいいさ。そうすりゃ、あとはどうとでもなる。
 あんたには、俺と同じぐらいに――頼りになる仲間たちがいる。そうだろ?」
 ネグルは何も言わない。色男は困ったように破顔して、肩を叩いた。
「……そうだな」
 ネグルの表情に、彼らしい笑みがうっすらと浮かんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
星獣の外殻、かぁ……
ユーベルコードを伝達するってことは、精霊さんたちの力も馴染みやすいのかな?

回収作業は【闇の精霊さん】に手伝ってもらうね
本体を斃した後の外殻なら、どれだけ大きくても抵抗なく吸い込めるはず
それに時空の狭間に一時保管すれば、帰還時の質量的な問題はまるっと解決なんだよ

それはそれとして、持ち帰った外殻を使っておじいさん達に精霊銃の新造をお願いしてみるね。
この場で新造が無理そうなら、パーツ(組み換え、オプション問わず)だけでも作れないか聞いてみるんだよ。
(※ひかるの扱う精霊銃は弾丸のみ精霊の力を宿した特別製で、機構自体は通常と同じリボルバー式です)
(コンセプト等はお任せします)



●少女と精霊
 猟兵たちが使うユーベルコードは、時として物理法則を超越する。
 異次元空間に物体や人々を収納し運ぶことすらも可能だ。
「精霊さんたち、このへんでばばーっと出しちゃって!」
 荒谷・ひかるが闇の精霊たちに呼びかけると、虚空に黒い渦が生まれた。
 ブラックホールめいたその空間から、にゅっと外殻の先端が顔を出すと、
 やがて明らかに収まるはずのない質量が、次から次に飛び出してくる。
「こりゃたまげた! こんなものがあったらパワーローダーもいらんのう」
「えへへへ。精霊さんたちの力はスゴいんですよ!」
 わたしはそれをお借りしてるだけです、と、頬をかきながらはにかむひかる。
 彼女のその、精霊に対しても礼節を払い"お願い"をする奥ゆかしさが、
 これだけの力を持つ諸精霊たちの協力を得られる秘訣なのだろう。
 ともあれ、彼女が担当するべきぶんについては、あっというまに完了した。

 ……所変わって、船内の工房。
「銃を作ってほしい?」
「はい! えっと、ただの銃じゃなくて……こういうのなんですけど」
 ひかるが取り出したリボルバーを、老人たちは検分する。
「ふーむ。たしかに機構は普通の回転式拳銃ジャが、こりゃあ面白い。
 弾倉(チャンバー)の強度がべらぼうに高いな。特殊弾用か? こいつは」
「そうです! けど特殊なっていうより、魔力を宿した弾丸っていうか」
 銃そのものではなく、撃ち出す弾頭に精霊の力を宿したそれは、
 アーチャーでもないひかるにも扱いやすいようカスタマイズされている。
「で? これをどうしろと」
「できれば、新しい銃を……それがダメなら、パーツの組み換えとか」
 ふむ、とガンスミスの老人が顎をさすった。
「たしかに金属疲労が強いようじゃ。あの外殻をパーツに組み直せば、
 "精霊さん"たちに、お前さんの意志をもっと伝えられるようになるかもしれん」
「! ほんとですかっ!?」
 直接的な戦闘力がほぼないひかるにとって、それは渡りに船だ。
 精霊たちにより強く、はっきりと声を届けられるならば、
 必然的に発揮される弾丸の威力も上昇する……ということになる。
「ただそのためには、お前さんと"精霊さん"とのつながり……ようは絆じゃな、
 どういう精霊がいて、どんな関係で、今までどんなことをしてきたのか。
 それを出来るだけ詳しく知りたい。それが、銃にも籠められるわけじゃ」
「なるほど……じゃあ、どこから話しましょうか」
 作業を始めたガンスミスの後ろで、ひかるは過去を想起した。
 彼女の想いに応えるように、諸精霊がその周囲を舞う。

 精霊さんたちへの感謝、そして畏敬。様々な感情を籠めて、ひかるは語る。
 新造されたリボルバーは、その想いを伝導する力を新たに得た。
 精霊とひかるの霊的なつながりを、さらに高めてくれるようになったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

数宮・多喜
【アドリブ改変・絡み大歓迎】

やーれやれ、無事終わってくれたねぇ。
一時はどうなる事かと思ったけど……ってのは
いつも思う事か、な。
けどねぇ……さっきのカブの機能、
ありゃ何だったんだろうな。
あの爺さん達の中に、なにか知ってるヒトがいてくれりゃア良いんだけどねぇ……
と、いけないいけない。
まずはやる事やらないとね。

宙域を漂う外殻へそんな相棒のカブに乗りながら接近し、
ランデヴーできる距離になったら即【縁手繰る掌】で
ナイチンゲール号のすぐ傍まで転移。
こうすりゃどんなデカい外殻でも、曳航する手間を省けるんでね。
2~3度と言わず、クルーが満足するまで繰り返そうじゃないのさ。

終わったら爺さん達の昔話を聞きたいね。


塔佐・弌
外殻を回収したら加工してくれるんだ……
うぅん……どうしようかな。ボクはそういう知識あまりないし……
【第六感】で良さそうな素材を選り分けることはできるかな。
あ、そう言えば加工するなら火……というか炉がいるよね。なら火入れを任せてよ!伊達に火の神じゃないからね!
【祈り】を行って【狐百合】で火入れしたら何らかのご利益が付くかも?
インゴットを作ったり刀の焼入れをしたり、何でもするよ!【奉仕】だね!

それと……時間があれば籠手の修理と両刃の小刀を作ってもらおうかな。籠手は最近ロクに整備してなかったし刀で試したいことがあるんだ。

ひとまずはお疲れ様。みんな無事で良かった。
さぁてもうひと仕事だ!

アドリブ絡み歓迎



●時には、少しだけ昔の話を
「いやー……すごいね、その宇宙カブ? っていう乗り物」
 数宮・多喜のマシンを、塔佐・弌は興味深げにしげしげと見やる。
 ふたりは外殻の輸送作業を終え、船内の工房にやってきたところだ。
 外殻の運搬は、多喜のテレポーテーション能力がほとんどの問題をクリアさせた。
 実質、弌は見ていただけである。もちろん彼女も、
 残骸から使える外殻を切り出したり、運ぶなどの諸作業は行ったのだが。
「こいつとも長いからね。ただ、色々気になることもあったのさ」
「気になること?」
「……アタシの知らない機能が、戦闘中に発現したんだよ」
 シリアスな表情の多喜の言葉に、弌はいい知れぬ不安を抱かされた。
 神なる身ゆえに、このマシンが秘めた超絶的な力を感じ取ったのだろうか。
「そいつを爺さんたちに調べてもらってるんだが……っと」
 ちょうどそこへ、メカニックに詳しい老人がやってくる。
「ひととおりデータを見させてもらったが、こりゃワシらもお手上げじゃの。
 ただ……いまのところ、そのシステムは特定の状況でだけ機能するようじゃ」
「特定の状況……ね。問題はそれが何か……か」
「……思ったんだけど」
 深刻な面持ちのふたりに対し、弌はおずおずと手を上げた。
「それって、あのクエーサービーストと接触した時、じゃないのかな?」
「!! ……なるほど、そりゃたしかにありえそうだね」
 クエーサービーストには謎が多い。そもそもの発生原因も不明である。
 奴らがオブリビオンなのか。違うとして、一体どんなものであるのか。
 オブリビオンであるというのなら、過去においてあれらは宇宙のどこにいたのか?
 どんな生態で、どんな役割を担い、そして何をしてきたのか。
 わからないことは多い。多喜は、ひとまず思索をやめにすることにした。
「調べてくれた礼だ、爺さんたちの仕事を手伝わせてもらおうかね」
「あ、それならボクも! 外殻のほうじゃあまり働けなかったからね」
 弌はにこやかに言って、胸を張る。
「伊達に火の神じゃないからね。加工するなら炉が必要だろう?
 火入れは任せてよ。あの外殻を溶かせるぐらいの火を起こすよ」
「おお、そりゃ助かる! 出力上どうしても火力が足らなくてのう」
 破顔した老人の表情に、弌もつられて笑顔になった。
「代わりといってはなんだけど、ボクのこの篭手の修理を頼めないかな。
 ……あとは、両刃の小刀をひとつ。もちろん、焼入れとかは手伝うよ?」
「ならアタシは、そいつの雑務を手伝おうかね。色々付き合ってもらったし」
「いいの? 休んでてもいいだろうに」
 弌の言葉に、多喜はにやりと笑った。
「他の猟兵が働いてるのに、アタシだけ休んでるわけにはいかないだろう?
 ……それにね、ひとつ聞いてみたいことがあるのさ」
「聞いてみたいこと……?」
 問われて、多喜は老人たちのほうへと眼を向けた。
「爺さんたちは宇宙に出て長いんだろう? 昔話を聞かせてくれよ。
 そいつを聴きながら鍛冶をするってのも、退屈しないでいいんじゃないかい」
 老人たちは顔を見合わせ、二人の方を見返すと頷く。
「ワシらでよければいくらでも聞かせてやるわい!」
「うっ、なんだか長引きそう……でも、ボクも気になるな!」
 そんな朗らかな会話を挟みつつ、一同は様々な鍛冶作業に従事した。
 規則正しく響く金槌の音を旋律に、老人たちは思い思いに過去を語る。
 それに耳を傾けるふたりの表情は、戦いを終えた戦士の安らぎに満ちていたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

狭筵・桜人
◼️四葉原さん/f15311

抱えた荷物に吐かれそうになったり
爆発に巻き込まれそうになったり……
いやぁ散々ですよ。

割にあわないので素材を横流しして副収入を得ようと思います。
というわけで四葉原さんを再び連れてきました。

お、いいですねレア素材。ちょうどここに
腔発にも負けず本体……だったモノに
取り付いたままの砲台……だった残骸があります。
この砲口から入り込めば……

狭い。私では無理です。
四葉原さん入ってください。
小さい!いける!あなたならいけます!えい!
誰がロリコンだこのちんちくりん!
私にそういう目で見られたければ歳上人妻になって出直してこい!

……。
四葉原さんが詰まって引っこ抜けない……!
誰か!誰かー!


四葉原・栞
◼️狭筵さん/f15055

皆さん戦闘ごくろうさま。それじゃあ私はこっそりガメた機器のマニュアルでもゴロゴロしながら…
うわっ何するんですもう外は嫌だヤメロー!

やれやれまったく… えぇ金目の物?
うーんそうですねぇ、大量に供給された外殻より、一部に使われてるレア素材なんかがいいんじゃないですかね。
例えばあの砲台の中の粒子加速器、火器管制のコンピューターの素材とか。
はいこれで私いいですねサヨナラドーナツたべながら読書しますねガンバッテ

…ギャー!!!狭いとこ無理無理やめて押さないで!!!!
ってどこ触ってるんですか!!!前々から怪しいと思ってたらコレですよ!!!!!
変態!小児性愛者!クソリプ常習犯!



●すっとこどっこいどもの悲喜こもごも
 猟兵がみな、戦闘に秀でていたり覚悟を決めているわけではない。
 中にはか弱く、可憐で、優しい心を持つがゆえに戦えない者もいるのだ。
 いるよ? いるいる。いますとも。まあ四葉原・栞のことではないんですが。
 彼女はただのサボり魔であった。その点では狭筵・桜人とほぼ同じだ。
「いやー外は大変だったみたいですねー、まあ私には関係ないですが」
 なにやら精密機器のマニュアルを手に、空き部屋でごろごろする栞。
 スペースせんべいを喰いながら、スペースワイドショーを見ている。
 ……スペースワイドショーってなんだ? まああるんだろ多分。
「ここにいやがりましたね!!」
 ガララッ。スペースフスマを開けて桜人がエントリーだ!
「ゲッ、狭筵さんなぜここに!」
「なぜってあんたを引っ張り出しに来たからだよ! ですよ! オラッ行くぞ」
「うわっ何するんですかもう外は厭だヤメロー! ヤメロー!!」
 わめく栞の首根っこを掴み、桜人はずるずると外へ向かうのであった。
 ……彼らは本当に猟兵なのだろうか?

「というわけで、割に合わないので素材を横流しして副収入を得ようと思います」
 こいつも大概だった。いきなりスカベンジャーのようなことを言い出した。
 無理やり連れてこられた栞は、常識人みたいな顔で肩をすくめる。
「やれやれまったく。金目の物ですか? 猟兵の風上にも置けませんね」
「おっと、下半期も後半になって今年のおまいうランキング更新とは」
 めげない桜人である。よほどカネに切迫しているらしい。
「というわけで四葉原さん、金目の物がありそうな場所を説明しろください!」
「……仕方ないですねぇ」
 説明しろ、と言われると割とまんざらでもなくなってしまうのが弱いところだ。
「大量に供給された外殻より、一部のレア素材なんかがいいんじゃないですか?」
「レア素材、ですか……」
「ほら、あそこ。あの放題の中の粒子加速器とか、火器管制装置の素材とか。
 はい! これで私いいですね、お役御免! サヨナラドーナツ食べながら読」
「わかりました。さあいきますよ四葉原さん!」
 またしても嫌がる栞の首根っこを引っ掴んで強制連行する桜人。
 なんたる蛮行であろうか。ここまでされる謂れは……まあ、ありますね!
「ほら見てくださいよ。こいつ、砲口から入れるけど中が狭いんですよ」
「まさか私を放り込むつもりですか!?」
「そんなことしませんって。押し込みます。エイッ!」
「ギャーーーーーーーー!!!」
 美少女キャラとして出してはならない悲鳴と顔で、必死で踏ん張る栞。
「狭いとこ無理!! 無理無理やめて押さないで!!!!!」
「いいから入りなさい! 入れオラッ! 私の小遣いのためですよ!」
「なおさらいやですよ! ってこらどこ触ってるんですか!! ちょっと!!」
「えっ何美少女みたいなこと言ってるんですか、宇宙線でやられました???」
「美少女ですよ!! 幼くてか弱くて可愛い美少女じゃないですか!!
 あーケガされた! ケガされましたー! 狭筵さんに汚されたー!!」
「やめてくれませんかね私が可哀想でしょ……」
 ガチめの嫌そうな顔をする桜人である。そこまで?
「うるさいです! 前々から怪しいと思ってたらコレですよ!!」
「は???」
「変態! 幼児性愛者(ペドフィリア)!! クソリプ常習犯!!!!!」
「はあ!? 誰がロリコンだこのちんちくりん!」
「ペドフィリアですよ!!」
「どっちでもねぇよ!! 私の好みはどちらかといえば年上人妻です!!」
「えっキモッ」
 イラッ。桜人はヤクザキックで栞の体をぐいぐい砲台に押し込む。
「ギャーーーーー!!! 体!! 骨が!! 骨!!」
「この穴を通って年上人妻になって出直してこい! このっこのっ!!」
 もはや当初の目的はどこへやら、口汚く罵り合うふたり。
 そして栞の体は、完全に砲台に引っかかってしまった。
「しまった、これじゃ引っこ抜けない……!」
「ちょっとどうしてくれるんですかこれ……!」
「……」
「…………」
「………………じゃあ私、バイトがあるんで」
「えっちょっ」
「頑張ってくださいね四葉原さん! ユーベルコードは奇跡の力ですよ!」
「えっあのっ」
「猟兵は不可能を可能にしますから! では!」
「ちょ、え、誰か? 誰かー!! だーーれーーーーかーーー!!
 美少女が! かわいい美少女が閉じ込められてます! たーすーけーてー!!」
 四葉原・栞なんて人はいなかった。過去を忘れて未来に目を向けよう。
 すべてをスルーして去っていく桜人の姿は、無駄に爽やかであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャガーノート・ジャック
◆ロクと

(ザザッ)
ふむ、確かに。彼のサーカスの一助にもなる可能性もあるだろう。
手土産代わりとして持っていくとしよう。

(自分用にも一部を剥ぎ取り、持ち帰る。
変幻自在の、何にでもなり得る物体。未だ変わり先を探る"本機"にとって、
――或いは、鎧の中身の"僕"にとって。今でなくともこの先、何か一助となるかもしれない。)

(宇宙に広がり駆け、とびゆく獣達。)
まるで此処が森であるかの様だな。
――君の中に森、か。
そうだな。

多くを受け入れ
時にそれに触れる者を癒し
それに連なる者を守る。
例えるなら、君は森そのものの様でもあるかもしれない。

礼には及ばない。

――友達(キミ)を助けられて、良かった。
(ザザッ)


ロク・ザイオン
※ジャックと

(獲物は分け合うものだと思っている)
これも多分「不思議で個性的」だから。
団長にも、あげよう。

●WIZ
(考えたものを映し出す殻は
生き物も完全に模倣するのだろう。
自分たちが再び向き合うことになった、あの黒騎士のように)
(今映し出されたのは、獣。
兎。鹿。熊。鷲。豹。
あらゆる森に生きるものたち。
自らの脚や翼で船まで向かわせよう)

そうだね。
(あの獣たちが己の裡に詰まっていた、ならば)
おれの中には。
……森があるのかな。
(又は。
ひとのこころこそが、森であるのかも。
……そうだといいな、と思う)

ジャック。
ありがとう。
……助けに来てくれて。

ほんとは。
とても、心細かったから。



●手を差し伸べて救う理由
 誰も知らない星星が照らす暗黒の海を、不似合いな生物たちが駆けていく。
 兎。鹿。熊。鷲。豹。狼。鼠……ほかにも様々な獣たちが、連なって。
 森に生きるものたち。いのちの輪廻に包まれるものたち。
 生物が生きられないはずの宇宙を、いのちを持たぬものたちが行進する。
 薄歌の音によって感応した、黄金の外殻の――優しく、刹那の姿だ。
《――……キミの歌が、彼らを生み出したのか》
「うん。森のことをおもってうたったら、出てきた」
 ジャガーノート・ジャックの言葉に、ロク・ザイオンははにかんだ。
 ひそやかに歌を口ずさむ。昼下がりに鼻歌を口ずさむように無意識に。
 また一匹、また一羽。外殻は獣に変じて、小夜啼鳥の船を向かい翔ぶ。
《――まるでここが森であるかのようだな》
「……そうだね」
 ここに樹はない。いのちはない。全てを包み込む母なる父もいない。
 だがいのちを脅かす病は絶えて、人々は喜びと達成感に歌い踊っている。
 それはいかにも、ロクの知る森のそれに――概念的にはよく似ていた。
 そんな"森"を駆けていく獣たちは、ロク自身の唄によって生まれた。
 ――ならば。
「おれの中には……森が、あるのかな」
《――そうだな》
 ジャガーノートは言葉を区切る。それは思索の沈黙だ。
《――多くを受け入れ、時にそれに触れるものを癒やし、それに連なる者を護る》
「…………」
《――たとえるなら、キミは森そのもののようであるのかもしれない》
「……そっか」
 あるいは、ひとの"こころ"こそが、森であるのかもしれない。
 多くの矛盾を抱え、時に病に蝕まれながらも在り続けるもの。
 それは多くのいのちが輪廻し、争いながらも暮らすのと似る。
 そうであればいい。――そうであってほしい。
 ロクのこころにほんのりと灯ったのは、"ねがい"という名の煌きだった。
「なあ、ジャック」
 ジャガーノートは何も言わない。
「……ありがとう。助けに来てくれて」
《――礼には及ばない》
 騎士らしく、ジャガーノートは短く答えた。
 ロクは頭を振って、相棒のほうを見つめて言う。
「ほんとは、とても――心細かったんだ」
 "ととさま"の姿をした病(モノ)を灼いて。
 護るべきものを、己のなんたるかを、その義務の礎を喪って。
 すがるべきものも、無条件に崇められるものも、しがみつけるものもなく。
 泣きじゃくり、怒り狂って、そんな自分に嫌悪して恐怖して転がり続けた。
 炎は肌を灼き心を焼き、涙すらも枯れ果てて、されどいのちは生まれず。
 ……けれども"ねがい"はここにある。そうしたいと思う気持ちがある。
《――礼を言うのは本機の、いや》
 鋼の騎士はまた言葉を切って、改めて言った。
『友達(キミ)を助けられて、よかった』
 少年の言葉に、ロクは少しだけ目を見開いて……こくん、と頷く。

 そうしてふたりは小夜啼鳥の船に戻る。
 格納庫では、突然湧いてきた獣たちの世話でてんやわんやだ。
「よお、兄弟に嬢ちゃん! もしかしてこいつら、お前らの仕業かぁ!?」
《――さすがは目ざといな。おおよそ、そのとおりだ》
「団長のために、連れてきた」
 ふたりの答えに、"色男"はぽかんとする。
「は? 俺のため?」
「不思議で、個性的だから」
《――外殻の力は、キミの船にとっても何かの力となるのではないか?》
「あ~……そうだなあ。そろそろ船にも顔出さなきゃか……」
 どうしたもんかな、とシルクハットを被り直すジャック。
 そんな彼を見ながら、ジャガーノートは掌の中の外殻を弄ぶ。
 無限に変化する、思念を受けてその有り様を変えるモノ。
 未だ変化の先を求める"本機"にとって、あるいはその内の少年にとって。
 いつかは、力強い助けとなってくれるかもしれない。
 いまはただ、あるかもしれない未来を、黄金が照らし出していた。
「ま、なにはともあれ……戦ってくれてありがとよ。おつかれさんmふたりとも!」
《――礼には及ばない。が……団長、キミは何をしていた?」
「さっきまでどこにもいなかった」
「……いやこう、俺も戦いをしていたっていうか……ものすごい激戦をだな!」
《――トイレか》
「たたかいなのか、それ」
「役立たずだなこいつ、みたいな顔で見んなよお!!」
 たじたじの"色男"の姿に、その場に自然と笑みが生まれた。
 そこにはもう、ロクを悩ませた心の影は、嘘のように消えているのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティアー・ロード
【チーム悪巧み】

「私自身は特になかったと思うけど
そうだね……」
(念動力で浮ぶ事もせず、テーブルに鎮座する仮面)

「強いてあげるのなら詩蒲くんはちと暴走しすぎじゃない?
もっとリーダーらしくだね……」
「チェイス、鹿は攻撃力不足じゃないかい?」
「私はそもそも靴下履いてないよ、ジョン
散財は悪だ」

「ん?いや、私に落ち度はなかったろう!?」

「多数決か、いいね。公平に行こう」

「……君たち、覚悟はできてるんだろうね」
(大量の留め紐を上に掲げられる)×6561

「ええい、キリがない!………ぁん?」
「ろくでなしの!いい所に……や、そうだ
ご老人!パトリック!誰でもいい!ちょっと着てくれ!」

「一番活躍したのは私だよね!」


ジョン・ブラウン
【チーム悪巧み】

はいじゃあ反省会って事でね、良かったと思う点と悪かった所を挙げていこうか
(パンイチのままホワイトボードにペンで大きく『反省会』と書いている)

え、何、回収作業?
いやちょっと流石にパンイチで宇宙空間は寒いっていうか……(サボり)

良かった点は僕の身を挺した献身、悪かった点は皆の努力不足だと思う
なに?なんで皆まだ服着てるの? 本気だったらせめて靴下くらいは脱げてるはずだよ?(まぁまぁな言いがかり)

……オーケイ、分かった
ここは多数決で決めよう、名前を挙げていくから
一番正しいと思う人の所で手を挙げてくれ

じゃあ僕から(ババババッ×6561)

……かかって来いよオラァー!(ペンを床に叩きつけた)


リチャード・チェイス
【チーム悪巧み】
では、今作戦での反省会を始めるのである。
忌憚なきご意見こそが今後の発展には肝要である。
(格納庫のど真ん中でホワイトボードを用意、めっちゃ邪魔)

……前回、塵になっていた?
星の海の中、塵と消える者がいてもいい。鹿とは、そういうものである。
(唐揚げの乗った皿に言いくるめで語りかける)

閑話休題。
良かった点は無論、私の鹿度であろう。
悪かった点は、皆の鹿度が及ばない……
いや、私が皆の鹿度に期待を掛け過ぎていた事であろうか?(ドチャクソため息)
多数決なら受けて立つのである(ススススッ×6561)

……どうやら、ここで鹿馬つける必要があるであるな!×6561


詩蒲・リクロウ
【チーム悪巧み】
はいでは、反省会でーす。(紅茶、お茶、コーヒー、コーラを用意して、お茶菓子をそこらで拾ってきた簡易テーブルに置く)

良かった点はやっぱり連携攻撃の成功、悪かった点は連携不足ですね。もっと皆さん息をあわせる努力をですね。

はいはい、僕が悪うございましたー(不貞腐れ)
でも、皆さんにも十分な非があると思うんです、というかソレらに比べたら僕の非なんてもうむしろ相対的にプラス評価だと思うんですよね。

ああ、いつもの多数決ですね。いいですよ。(ズバババッ×6561)

フゥ~。僕にも限度ってものがあるんですよね。
(ミシミシミシィ)
もはや容赦も慈悲も許容も無しです!!!!!死に晒せオラァーッ!



●スピーク・イージー、あるいは経験点配布タイム
(邪魔だ……)
(なんだあれ……邪魔すぎる……)
(どっか行ってくれないかな……)
 そんな感じのイヤそうなスタッフらの視線もなんのその。
 資材搬入で大忙しのナイチンゲール号格納庫、そのど真ん中。
 ででんと鎮座するのはホワイトボード、そして簡易テーブル。
 卓上には紅茶やらお菓子やらコーラやら、気軽にパクつけそうなスナック類。
 完全にサークルか何かの会合であった。そう、チーム悪巧みの仕業だ。
「はいじゃあ反省会ってことでね!」
 ホワイトボードに、どでかく『反省会!』とジョン・ブラウンが書き込む。
 パンイチで。
 ……せめて服を着ろよ! なぜパンイチのままなんだよ!
「然様、今作戦での反省会を始めるのである。忌憚なきご意見を頂きたい」
「いいところと悪かったところをみんなで挙げていこうね!」
「今後の発展には肝要である。あなたのアンケートが作品の明日を決めるのだ」
 なぜかカメラ目線(どこだ?)で、リチャード・チェイスが行った。
 ……ん? 待て、なぜ彼がここに? しかも普通の顔をして?
『私は反省点特になかったと思うんだけど、その前にちょっといいかな』
 だむぐるみ with ティアー・ロード on the テーブル。
 せめて浮くことはしてほしい。が、何か気になることがあるようだ。
「そうですね。僕もそのへんはっきりさせておかないと、ちょっと」
 せっせとスナック類を配置していた詩蒲・リクロウも手を挙げる。
 それにしても、なんだこのくつろぎっぷり。TPOをわきまえよう?
 ここはナイチンゲール号の格納庫だ! おまけにまだ作戦(シナリオ)中だ!
 旅団の雑談スレッドとはわけが違うんですよ! 聞いてますか! ないね!!
「リチャードさんなんで生きてるんです?」
『それそれ。キミバラバラに塵になってただろう……?』
 ふたりの指摘に、リチャードはなにやら唐揚げの載った皿を手に取った。
「星の海の中、塵と消える者が居てもいい……鹿とは、そういうものである」
『理由になってないよ!」
「宇宙のロマンを胡乱にするのやめましょうよ!」
「ねえこれレモンかけていい?」
 もはやグダグダであった。なんかもうそれでいいんじゃね!?
 言いくるめ271もあったらどうしようもないよ! はい話進めよう!

「……あ、あのすいません、皆さん」
 艦長なんだからお前が言いにいけよ、という小学校の学級委員的多数決により、
 若き船長パトリックがおずおずとチームのもとへやってきた。
「ここ格納庫で、しかも他の方々が作業中なので、こういうのはちょっと……。
 っていうかあの、僕から言うのすごい心苦しいんですが、皆さん仕事は!?」
 きょとんとするチーム悪巧み。顔を見合わせる。
『私力仕事とかそういうの苦手なもので……』
「主砲ぶっ放しておいて何言ってるんですか!?」
「いやちょっとさすがにパンイチで作業はちょっと、コンプライアンス的に」
「コンプライアンスの前に上着着てもらえないですかね!?」
「鹿なので」
「???????」
「あ、パトリックさんコーヒー飲みます?」
「あっありがとうございます。やっぱり暖かい飲み物は落ち着きますね……」
 怒涛のツッコミを終えたパトリックは、リクロウからコーヒーを受け取った。
 ほう……カフェインと甘みをたたえた苦味が心地よい……。
「って!!! だから!!!!!」
「よしじゃあまずは僕からよかった点をあげていこうかな! 時計回りね!」
「話を進めないでもらえますかね!?!?!?!」
 パトリックを完全スルーする四人。暴虐ここに極まれり。

 そんなわけで、まずはジョンがいいところ悪いところを挙げていく。
「よかった点は、僕の身を挺したチームへの献身、うんこれは文句なし。
 で、悪かった点はみんなの努力不足ね。もっとやれたでしょ、やる気ある?」
「なんでちょっと性格の悪い職場の上司みたいなんですかジョンさん」
「ていうか何? なんでみんなまだ服着てるの?」
「完全なセクシャルハラスメントである」
「本気だったら靴下ぐらいは脱げてるはずだよ???」
『私はそもそも靴下履いてないよジョン。散財は悪だ(?)』
 そもそも勤務態度がだねぇみたいなぶちぶち言いがかりモードに入ったジョン、

 これをスルーして、その隣に座っていたリチャードの番になる。
「よかった点は無論、私の鹿度であろう。常にシリアス、かつダイハード。
 悪かった点は……(頭を振って)皆の鹿度が及ばない……由々しき事態である」
「え? 鹿度って何???」
「わからぬかジョン。わからぬ時点で駄目なのである」
「こっちはこっちで別の厄介なタイプの上司ムーブですね……」
「リクロウよ。キミならばせめてマシだと思っていたのだが……」
『むしろなんで私たちのほうが期待裏切ったみたいな扱いになってるんだろうね』
「いや、皆まで言わなくともよい。私が買いかぶりすぎたのであろう」
 ドチャクソため息。ため息つきてえのはこっちだよという船員の皆さん。

 これも完全スルーして、次はリクロウの番となった。
「あのですね、いいですか? とりあえず連携攻撃の成功はよかった点ですよ。
 でも残念ながら、肝心の連携不足が露呈してしまいました。これが悪い点です」
「うわっまともだ。学級委員だ学級委員」
「小学生みたいな混ぜっ返し方しないでもらえませんかねぇジョンさん!?
 もっと皆さん息を合わせる努力をしてくださいよ! なんですかあれ!」
「いやむしろリクロウよ、そちらが問題があったのではないのか?」
「ものすごいナチュラルに矛先変えてきましたね! 自省しましょうよ!!」
『うん、でも実際詩蒲くんはちょっと暴走しすぎだったよね。
 もっとリーダーらしくしたほうがいいんじゃないかな?』
「はいはい僕が悪うございましたー!!(不貞腐れてお盆を放り投げる)」

 そしてティアーの番になるのだが。
『私の落ち度は特になかったので、やっぱり君たちに反省を促したいね。
 チェイス、鹿は攻撃力不足だ。ジョン、君は服を着よう。せめてマスクを』
 などと、自分は役割を果たしてましたよみたいな顔で言いよる。マスクだが。
 その言葉に、黙っていたジョンがゆらりと立ち上がった。
「……オーケイ、わかった。ここは多数決で決めよう……」
「いつものやつですね。名前を挙げて誰か決めろと」
「受けて立つのである」
『いいね、公平に行こうか』
 対峙する四人。ザザッ! 駆けつける6561人の仲間たち!
 だむぐるみ!(悪魔)
 鹿!(トナカイ)
 リクロウ!(まだ出せるのかこれ)
 ティアー!(本人まで分身してるぞ)
「「「『…………』」」」
 睨み合うチーム悪巧み。……いや格納庫広くね!?
『君たち、覚悟はできてるんだろうね』
「ここで鹿馬つける必要があるであるな!!」
「僕にも限度ってものがあるんですよね死に晒せオラーッ!!」
「いい度胸だ! かかってこいや!! "戦争"だオラァ!?」
 ドカバキポカボカポコポコ!
 どこぞの国民的漫画風に、なんか煙に包まれて殴り合うチーム悪巧み!
 手とか足とかばつ印の絆創膏とか、そういうのが煙から飛び出すアレだ!
「…………なんだあれ」
「邪魔じゃな……」
「邪魔すぎる……」
 騒ぎを聞きつけて駆けつけたジャック、老人、レヴァンも呆れ返った。
 コーヒーを飲み終えたパトリックが、おもいっきり息を吸い込む。スゥー。
「……出てけーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!」
 グワオッ! エアロック強制解除! 吸い込まれていく悪巧み+α!
「「「『ギャーーーーーーーーー!?!?』」」」
 宇宙の彼方、四人+6561*4は星のように消えていく……キラリと光が瞬いた。
 悪は去った。滅多に見れない艦長の罵声に、ぽかんとする一同であったという。
 さらばチーム悪巧み。出来れば帰ってくるときにはもう少しおとなしくしていてくれ!
 宇宙線を吸収してスペース悪巧みになるとかそういうのは勘弁願いたい!
 ふりじゃないぞ! ふりじゃないからな!! いいな絶対やめろよ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎

んー…回収作業手伝うのはいいんだけど。
相対質量が違いすぎてだいぶ骨ねぇ。
…ってことで。取り出すのはラドのルーンを印刷した紙束。ばんばん張り付けていくわぁ。
一つじゃ大して変わらないでしょうけど、沢山あれば「運搬」も楽になるんじゃないかしらぁ?

…さて、と。
ごめーん、誰か魔力通してくれないかしらぁ?
いやね、量産自体はコピー機使えばいいからすごく楽なんだけど…あたし、魔道の素養ぜんっぜんないのよぉ。
魔力通して起動しないと、見てのとおりただの模様なのよねぇ…
一か所に通せば連鎖して起動するようにはしたから、誰か手伝ってくれない?


無明・緤
猫は死して皮を残し、星は死してゴミを残す
気の遠くなる作業だが…地道にやろう

巨大な外殻に【ハッキング】
変形を促し、単純な機構に変えてバラした所で
からくり人形にコマンドを飛ばして【操縦】で回収

ナイチンゲール号に戻ったら
若手船員の元へ行き人形のメインテナンスを頼む
おれはメカニックではないから、これまで
あまりきちんと見てやれてなかったんだ
頭以外なら好きに触っていい
パーツが必要ならコイツを使ってくれ、と
【運搬】してきた雑多な外殻を転がし

修理はできる範囲で良い、少し遊びを入れたって構わない
「法性」もそういうのは面白がるほうだから

作業の間、外殻の小さいのをボール代わりに
バディペットと宇宙サッカーしながら待つ


アンコ・パッフェルベル
うーん、利用。
外殻を運ぶ間にでも考えるですか。
まず黎明剣の属性吸収機能で船内のトーチから属性を分けて貰って、
シャンタク鳥を呼び出し外殻の運搬をお願いするです。
肉体労働ですからA&W産のお肉を後で提供しましょ。
熱々の黎明剣で切り分け外殻を運ぶです。

さて。宇宙服や防具作れる方、居ます?
アジアン系漫画・アニメの画集やデザイン本を持ち寄ってですね、
…道士服。これの意匠を取り入れた宇宙服を作って欲しいのです。
外殻の装甲を反重力で周囲に浮かべてですね…
胡乱な道具でドンパチやるようなのを!
あっここではガワだけで良いですよ。
後で暇な仙人の方々を募って完成させるので。

終わったらハープの楽器演奏でも披露するです。


フランチェスカ・ヴァレンタイン
手頃なサイズのものはともかく… 元が惑星サイズですから、ええ。
――当然、”こういうの”もありますよねえ

宙域に漂う衛星級に巨大な外殻の残骸を悩ましげに眺めつつ
棄て置く選択肢はありませんが、問題は運搬ですかー…
一先ず選択UCの光刃で斬り刻み、資材として切り出すと致しましょう
バーニアを噴かして外周を廻り、他の方でも運搬しやすい大きさに削ぎ斬り

…量がこれだけありますし、自分用にも少し回収しておきましょうかねー?
【虚空に踊り 繰り爆ぜるもの】の念動アンカーで曳き寄せ、【月華の桃源に潜むもの】の格納庫に放り込んでおきまして、と
それでもたっぷり残った資材は艦橋に連絡を入れて他の方に回収をお任せ、ですかね


レティス・シェパード
(アドリブ・連携可)
お、終わったぁ…勝ててよかったぁ…
っとと、まだ回収作業が残ってたんだった…
<念動力>を用いた<運搬>なら、大きな外殻でも集めて運べます、どんどん運んでいきましょう!

それにしても不可思議な外殻ですよね…こちらの攻撃や行動に対応して無限に変化するなんて…
…この外殻、センサーに使えたりしないでしょうか?
たとえ小さな反応でも感じとり、見つけ出す…
そんなことができれば、惑星探索にも役立ちそうですし…探している人の所にも行けるんじゃないかなって。

よし!可能なら探知や索敵機器に詳しい方々にも助言をいただきながら試作を重ねましょう!
試運転としてUCでさらなる外殻探しと回収も行いたいですね!



●黄金の欠片の使い道
「……うーん、困りましたわね……」
 フランチェスカ・ヴァレンタインは、はぁ、と悩ましげにため息をついた。
 宇宙に浮かぶ彼女の前には、いま、巨大な衛星が鎮座している。
 ……いや正しくは、衛星レベルの大きさの外殻破片だ。
 もともとが小惑星級の怪物、しかもあのマインドミナBVAは"大物"だ。
 どうやら、他の同型個体から見ても相当の大規模であったらしい。
 それが爆発四散したいま、こういう手に余る残骸も出てきて当然である。
「捨て置く選択肢はありませんが……問題は運搬ですわね」
 ともあれ、こうして立ち往生していても話は始まらない。
 フランチェスカはユーベルコードを起動し、ハルバードから光の刃を伸ばす。
 そして一閃、ふたつ、みっつ。バターをカットするように残骸を切り裂く。
 本体が生きていたときならばともかく、今のこれは切断に硬くない。
 ほどなくして残骸はそこそこの大きさの資材にカッとされた。
「ブリッジ、聞こえますかしら? だいぶ大きめの残骸を見つけましたの。
 可能であれば、こちらに何名か運搬用の面子を派遣いただきたいのですけれど」
『こちらナイチンゲール号、了解です。付近の宙域の猟兵さんたちへ連絡します』
 パトリックからの返答ほどなくして、四人の猟兵たちが駆けつけた。
「あら……またデカブツが残ったものねぇ。これでも切り出したほうなのぉ?」
 ティオレンシア・シーディアは、甘ったるい声で頬に手を当てる。
 もともと魔術の素養もない彼女にとって、これらの作業はそれ自体が骨だ。
 が、そのぶん道具を使うのがティオレンシアなりの仕事の流儀である。
「とりあえず、このルーンを印刷した紙束を貼って……と」
「ふむ。これで自動的に転移するのかな?」
 黒猫のケットシー、無明・緤が興味深げにその作業を覗き込む。
「え? まさかぁ。誰かに魔力通してもらわないとどうしようもないわぁ」
「ほほう、魔力。ならばわたしが請け負うです」
 ひょこっと顔を出したアンコ・パッフェルベルが頷いた。
 数多の神話生物や伝説上の怪物たちを招来させ力を借りる彼女にとって、
 この程度のルーンを起動させる魔力・霊力は大した問題ではない。
 愛用の黎明剣でスパッと虚空を切り裂くと、次元の彼方から顕れたのは……。
「うわっ! なんだべ、この馬っ面の鳥みてぇな気持ち悪いのは!?」
「気持ち悪いとは失礼な。外なる神の奉仕者、シャンタク鳥ですよ?」
「そ、そんなありがたいものだったべ……んですか。それは失礼を……」
 方言が出てしまったことに顔を赤らめつつ、レティス・シェパードが謝る。
 ……まあ神といっても外なる神、つまりは外宇宙の邪神なのだが。
 ともあれシャンタク鳥たちは、魔力供給によって運搬が簡単になった外殻を、
 ばさりばさりと力強く羽ばたきナイチンゲール号へと運んでいく。
「しかし、まだだいぶ残っているな……よし、ならばこうしよう」
 緤はおもむろに外殻に近づくと、その表面に触れた。
 するとその部分が淡い青緑の光を放つ。電脳魔術が発動した証だ。
 直後、残った外殻破片は、ワイヤフレーム格子模様めいてサイコロ状に分裂。
「思念で形を変えるならば、魔術でハッキング出来ないかと思ったが……。
 思ったとおりだな。よし、みんなも運ぶのを手伝ってくれないか?」
「もちろんです! 私の念動力を使えばこのぐらい簡単ですよ!」
 気を取り直したレティスがにこりと頷き、サイキックで外殻を操作する。
 それでも足りないぶんは、緤が操るからくり人形が運搬する形だ。
「あら、ちょうどいいサイズですわね。いくらかいただいてもよろしいかしら?」
「おれは構わないが……爺さんたちにカスタマイズしてもらわないのか?」
「まあ、そこはどうとでもなりますわ。一応、専門家ですもの」
 緤の言葉にフランチェスカは意味深に笑い、外殻の一部を次元ポケットへ。
 そして彼女は、別の外殻の裁断作業のために飛び立つ。
「お手伝い感謝いたしますわ、皆さんごきげんよう!」
「あたしはあんまり何もしてないけれどねぇ……ああ、そうねぇ。
 どうせなら、あたしもそっちを手伝おうかしらぁ? 人手は要るでしょお?」
 運搬能力に乏しいティオレンシアは、残る紙束を外殻に貼り付けに行くことに。
 余談だが、このルーンを刻み込んだ紙片、なんとコピー機で複製可能らしい。
 魔術の神秘とは……いや、そういうミスティックなものを恐れないからこそ、
 ティオレンシアはそれらを"道具"として扱えるのかもしれない……。

 そしてナイチンゲール号へ戻った緤・アンコ・レティスの三人は、
 さっそくそれぞれ外殻の一部を流用してもらい、カスタマイズを頼むことに。
「メンテナンス?」
 若手メカニック、レヴァンが言った。彼に声をかけたのは緤だ。
「ああ。おれはメカニックではないから、これまであまりこいつをきちんと診てやれなかったんだ」
 戦闘傀儡"法性"は、何も言わずにそこに佇んでいた。
「……ってことはこれ、あんたが誰かから受け取ったモノ? その人は?」
「…………」
 緤は無言。その反応からレヴァンは事情を推察し、バツの悪い顔をした。
「悪い」
「いや、いいさ。とにかく頼めるか? パーツが必要なら外殻を使ってくれ」
「技術体系が違うかもだからなんとも言えねえけど……ま、やってみるよ」
「頭以外なら好きにしてくれていい。よろしく頼む」
 緤の言葉に、普段はややつっけんどんなレヴァンも素直に頷いた。
「……それにしても、頼んだ身で言うのもなんだが」
「ん?」
「快諾してくれるとは思わなかった。あんな口ぶりだったからな」
「ああ……いや、なんだろうな」
 レヴァンは、メンテナンスルームに入った法性を見ながら言う。
「マシンってのは、ちょっと診れば色々わかるからさ。
 作った人、使う人がどのぐらいの想いを籠めたのか……ってさ」
「…………そうか」
 緤は学帽で目元を隠し、バディペットとともにその場を辞した。
 レヴァンは腕まくりをし、気合を入れる。
「さて、どうすっかな。せっかくだしあの外殻の兵器をちょっと真似して……」
 いまだ半人前の若者だが、レヴァンは腕のいいメカニックだ。
 修理は完璧に行われたことだろう。ちょっとした"お遊び"もあるかもしれない。
 たとえばより戦闘的な武装……しかもパイルバンカーだのなんだの、
 いやにロマンチックで白兵戦特化の、物騒な品々があるかもしれないが。

 一方のアンコはというと。
「というわけで、こちらが資料になるです!」
 集まった老人たちの前に、ばばんと張り出された雑多な書物。
 アジアン系の漫画やら、アニメの画集、はてはデザインワークス。
「ふーむ。このドウシフク、という意匠を使って宇宙服を作ってほしいと」
「です! こう、胡乱な道具でドンパチやるようなのを!」
「面白い。ドリルだのレーザーだの、妙なもんをコピーしとったからなあれは!
 チェーン・マインとかどうじゃ!? あとはグレネードランチャーとか!」
「となると馬鹿でかい衝角とかも欲しいのう!」
「船じゃないんじゃぞ船じゃ! どうせなら鎖つきの鉄球とかじゃな……」
 わいわいと騒ぎ始めたあたり、この老人たちやはりだいぶノリがいい。
 肝心の内部機構については、当然ユーベルコードを使えるアンコの領分だ。
 彼女もそのつもりのようで、だからこそデザインを重視しているのだろう。
「お礼にハープで何か好きな曲演奏するですよ? いっぱい騒ぎましょう!
 戦いが終わったら食べて飲んで騒ぐ。それが、冒険家というものですから!」
「わかっとるのうお嬢ちゃん、そしたらさっそく作業開始じゃ!」
「「「えいえい、おー!!」」」
 ノリノリになった老人たちの、ロマン溢れる技術と熱意が炸裂した宇宙服。
 外殻というエキゾチック素材で実現したそれは、かなり胡乱げであったとか。

「……これが、試作品ですか?」
 そしてレティス。彼女の手には、六分儀めいた不思議なオブジェクト。
 黒と金を基調として作られたそれは、東西南北だけでなく上下にも対応する。
「うむ。お嬢さんのアイデアが面白かったんでな、こさえてみたぞ。
 お前たちが使う力……ユーベルコード、だったか? それに反応するんだ」
「なるほど……」
 レティスはオブジェクトに触れて、目を閉じて意識を集中してみる。
 彼女の知覚力がそれと同期し、カチャカチャと星球儀めいて形を変えた。
「……感じます。まだ未発見の外殻がこっちの方位にあるみたいです」
「上々じゃな! ならば、調整を兼ねてさっそく色々探知してみるとしよう。
 お前が使うもんだから、お嬢さん本人に手伝ってほしい、よいかな?」
「はいっ! せっかく生き残れたんですから、出来ることはなんでもやります!」
 朗らかに頷くレティスに、堅物そうな老人もわずかに笑顔を綻ばせた。
 その星の海をたどるしるべは、彼女の知覚力によって道を示すだろう。
 レティスが進むべき……そしてこの星の人々が進むべき明日への道のりを。
 未来という、勝利の果てにある可能性を、指し示す標となるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンタロウ・ホネハミ
ほほーう、このデカブツだったものを作って装備を作ってくれるんすか……
そいつぁ良いっすねぇ!!
いやー、前からオレっち欲しかったもんがあるんすよ……そう、プレートメイル!!
銃だかなんだかのよく分かんねぇ機械ならともかく
叩いて伸ばしていい感じに形を整えるだけっすからいけるっしょ?

つーわけで爺さん方、おなしゃーっす!
戦場で一目でオレっち!と分かるような独特な装飾で!!
かつ、実戦的な感じに動きやすいプレートメイルを!!

出来たっすか?よっしゃ早速着てみまおっっも!!!
え、重っ!? こ、こんなん着て戦場出たら一方的に袋叩きにされるんすけど!!

……しゃあねぇ、今の革鎧をこう、所々補強する感じでおなしゃっす……



●戦火過ぎ去りて
「たーのもーう!! うわっ熱っ!! 暑いんじゃなくて熱っ!!」
 ウィーン、とドアがスライドした途端、リンタロウ・ホネハミは呻いた。
 工房から漂う熱気はすさまじい。なにせあちこちで鍛冶作業中だ。
 さながら、彼の故郷における鍛冶場そのもの……あるいはそれより上か。
「空調とかないんすかこの部屋……ま、いいか!」
「なんじゃ、元気な兄ちゃんじゃのう。何か品物を所望か?」
 老人に声をかけられると、リンタロウはニカッと明るく笑う。
「もちろんっす! 実は前から欲しいもんがあったんすよ!」
「ふむ? お前さんの身なりからすると剣か盾か……」
 いやいや、とリンタロウは顔の前で手を振った。
「鎧っす。プレートメイル! 剣はあるし盾はオレっち使わないんで!
 やっぱ騎士ったら、鎧っすよねえ? 銃だのなんだのはよくわかんねえし?」
 そこはやはり、没落しかけの遍歴騎士とて思うところあるのだろう。
 やれ一目で自分とわかる派手派手しいのだの、やや注文が多い。
「叩いて伸ばしていい感じに形を整えるだけっすよ、いけるいける!」
「……本当にそれでいいんじゃな?」
「もちろんっすよ! いやー楽しみだなぁ!」
 意味深に頷く老人たちをよそに、ウキウキのリンタロウであった。

 ……の、だが。
 完成の知らせを受けて戻ってきたリンタロウ、目の前には派手派手しい全身鎧。
 黒と金を基調としたヒロイックなカラーリングに、威圧的な装飾。
 戦場に居たら、一瞬で矢衾になること間違い無しの逸品だ。
「ヒュー! かっこいいっすねぇ、ザ・黒騎士って感じじゃないっすか!」
「うむ、だいたい注文通りになったじゃろう。ただし」
「着ていいっすか? いいっすよね!?」
「……好きにせい」
 やったぜ! とガッツポーズを取りつつ、着用。起立!
「おっっっっっっも!!!!!!!!!!!」
 リンタロウは脆弱ではない。むしろ成人男子としてはかなり屈強なほうだ。
 もちろん骨を喰らえばパワフルさは増す。が、それでもすさまじい重さ!
「えっ重!? なんだこれ!? 水の中にいるみたいなんすけど!?」
「外殻をとにかく使えと言ってたじゃろう。なのでほぼ全てをそれで構成した。
 もちろんそのぶん重量は据え置きじゃ。レーザーだって跳ね返す防御力じゃぞ」
「いやいやいやいや! こ、こんなん着て戦場出たら袋叩きっすよ!!」
 思念の力を投射すれば話は別かもしれないが、リンタロウは騎士だ。
 術士ではない。つまりは……付け焼き刃ということになる。
「……しゃあねえ。今使ってる鎧をちょっと補強する感じでおなしゃっす……」
「うむ。叩いて伸ばしてそれで終わりじゃないんじゃよ、甲冑とは」
「はい……鍛冶ナメてたっす……とほほ……」
 しょんぼりと肩を落とすリンタロウに、老人は言った。
「安心せい。補強部分は、この鎧をモチーフにかっこよくしておくから」
「!!!!!!! マジっすか!?!?」
 キラキラ笑顔になるあたり、リンタロウもやっぱり男の子らしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨宮・いつき
鎮めるのも一苦労でしたが、ここから外殻を剥ぎ取る…これまた重労働です
ですがこれもまた御勤め
引き続き天津丸を呼び出してお仕事に従事して頂きましょう

斬城刀の先端の槌で外殻をガンガンと叩いて解体し、
沢山担いでもらって運搬しましょう
何しろ力自慢の絡繰り武者、こういう事は大の得意ですものね!
他の方が運ぶのに苦戦しているようでしたら、それの運搬もお手伝い致しますよー!

それにしても、これだけの金属があれば何でも作れてしまいそうですよね
例えば、星すら薙いでしまう刀だとか
鍛冶神様の遣いだからか、天津丸も何だか昂っているように見えます
…あの、この場で刀を打ったりしないですよね?
何か嫌な予感がするんですけど



●天津丸、大いにやる気になるの巻
 ガン! ガン、ガインッ! ガキン――バキャンッ!!
 鍛冶場か何かを思わせるような轟音が、止むことなく響き渡る。
 雨宮・いつきの召喚した天津丸が、力任せに巨大な外殻を叩いて解体する音だ。
 バラバラになったそれらを運びやすいようにまとめ、天津丸に括りつけ、
 ナイチンゲール号へと運ぶ。さすがは力自慢の絡繰武者である。
「鎮めるのも一苦労でしたが……まさか終わってもまだまだ大作業とは。
 天津丸、大丈夫ですか? 力自慢とは言え、無茶はしないでくださいね」
 いつきの慮るような言葉に対し、天津丸はゴウ――と重々しく唸った。
 おそらくは肯定……言語化するなら『問題ない』といったところだろうか。
 ……はてな。普段よりもなにか、動きがキビキビしている気がする。
「……天津丸。もしかして、かなりノリノリになってます……?」
 ゴウ――!(ややハイトーン)
 鍛冶神みずからが鍛造した鉄攻武神ともなれば、意志ぐらいは有する。
 そして鉄の申し子たるもの、こんな不可思議な金属には高揚するらしい。
 まあ、それはいい。おかげでかなりの量の外殻を運べたのだから。
 しかしいつきは、なんだか妙な胸騒ぎが払えなかった……。

「…………って! 天津丸、ちょっとまってください!!」
 ナイチンゲール号の甲板、いつきは我に返ったようにツッコミを入れた!
 天津丸――片手に巨大な金槌を持つ――が、ゴウ? と首を傾げる。
「えっ天津丸、そんな人間っぽい仕草しましたっけ!? ってそうじゃなくて!
 いきなり工房からあれこれ引っ張り出してきて、何をする気なんですか!?」
 今の甲板上には、金床らしき巨大な鉄板が鎮座していた。
 そして天津丸の横には、運搬してきた外殻の山が積み重なっている。
 当然重量オーバーなため、ナイチンゲール号は必死にバーニアを噴いていた。
「……ま、まさか、この場で刀を打つとか……」
 ゴウ――!!(かなりハイトーン)
「だ、駄目ですよ! 焰噴いたりしたら船が……あっこら! 天津丸!!」
 スゥウウウウーッ、と鍛冶神の炎を噴き出そうと助走(?)をつける絡繰武者。
 万が一でもそんなことをやられたら、ナイチンゲール号がお陀仏だ。
 いつきは慌てて天津丸をなだめる。の、だが。
「ほおー、こりゃ面白い! こんなデカブツが鍛冶作業とはな!」
「どんな刀が出来るか見ものじゃわい! さあ見せてくれ!」
 ゴウ――!!!(期待に応えるヒーローみたいな唸り)
「だから、駄目ですってばぁあ~~~~!!」
 ノリノリの老人たちの煽りの前に、たじたじのいつきであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

非在・究子
せ、戦闘終了後の、剥ぎ取り、タイム、か。
……り、リザルト画面で、素材、回収できれば、いいのに、な。『現実』って、やつは、手間が、かかって、仕方が、ない、な。か、改善要望は、どこに、だせば、良いんだ? や、やれやれ、だ。
あ、ああ、もちろん、仕事は、ちゃんと、やるさ。ち、チートな、ボスキャラも、いないし、な。し、仕様の中で、最大限、やらせて、もらう。
と、というわけで、ゆ、UCを、つかって、外殻を、支配して、外殻、事態を、移動可能な、モンスターとかの姿に、変えて、自分自身を、搬出、させる、ぞ。
……リザルトで、制限されない、分、最大限、採取、させて、もらう、ぞ。



●残念ながらサポートセンターもGMもいない
 ちゃららっちゃらー。
 非在・究子の前に、なにやらゲームチックなリザルト画面が出現した。
 味方撃墜数、0。
 敵破壊率、100%。
 被弾率、0%。
 ……………………最終評価:SSS!
「ま、まあ当然だ、な」
 ふっ、と勝ち誇る究子。あくまで彼女にとってはすべてゲームである。
 しかし待てど暮らせど、ドロップ品の一覧は出てこない。
「き、きちんと運ばないと駄目、なのか……げ、現実って手間がかかる、な。
 か、改善要望は、どこに、出せば、いいんだ? や、やれやれ……だ」
 ぶつぶつとゲーマーらしい文句をいいつつ、ユーベルコードを発動。
 見える限りの外殻を手頃なサイズのコンテナやモンスターなどに変身させ、
 ナイチンゲール号を目指して移動させる。
 自分でも創造したバックパックにコンテナを積み込み、運び屋気分だ。
「に、荷物を運んで、え、NPCを繋げる……こ、これならやったことある、ぞ」
 一体何のゲームを想像しているのだろうか。多分キマフュの作品だろう。
 ゲーマーたるもの、リソースは不要だろうが手に入れるもの。
 使うかどうかの問題ではない。数字は増えたほうが嬉しいんだよ!!
『あの、究子さん! なんか怪物が船に近づいてきたんですが!?』
 するとそこへ、ナイチンゲール号の"NPC"パトリックから通信が。
「あ、安心してくれ。ぜ、全部、あ、アタシのモンスターだ(交渉.100%)」
『な、なるほど。ありがとうございます。究子さんも無理はしないでくださいね』
「あ、ああ。こ、こういうのも愉しいから、だ、大丈夫だ」
 通信を終え、究子は次の資材運搬ルートを頭の中で思い描く。
 こういうのは、3Dダンジョンをマッピングするような楽しみがある。
 ……が、ふつふつ湧いてくるこの喜びは、またそれとは違うような。
「……あ、ありがとう、か」
 "NPC"に言われても、感謝の言葉とはこそばゆいものだ。
 ……本当は少ししたら休憩するつもりだったが、もう少し頑張ろうか。
 次の獲物を求めて宙域をさすらう究子の足取り(?)は、軽やかだ。
 それはゲーマーというより、年頃の女の子らしいというべきか、
 人を喜ばせるために働くことを知った、無邪気な子供そのものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
アドリブ共闘歓迎

いやはや今回も無事になんとかなって良かったよ

と言う訳で持ち帰った外殻の特性を探るべく、
分析に明け暮れていたワケだけど、
ある程度の解析は完了したかな

敵性対象を検知する能力
これまでの対象、攻撃に対して対応する姿をとる能力
ソレを支える、増力力、かな

コード、式に表すと、こんな感じかなあ

これを利用転用するなら…
(おじーちゃん達とアレコレ議論)

そうだな、ボクなら迎撃兵器かな?
…うん、ティル・ナ・ノーグなら運用できそうかも!
実用に向けてもう少し頑張ろうか!
(こうしてUCがまた一つ完成した)


ヌル・リリファ
◆お爺ちゃんに(少年よりマスターに近く思えた)

マスターは加工前の素材だけでも満足するとはおもうんだけれど……。(集めた素材を一部回収しつつ)

それでもわたしたいっておもったから、してみる。てつだってほしい。

……フォトフレームがほしいの。ちいさめで簡単にもちはこべるの。デザインとかはまかせる

マスターはいつももってる写真があったけど、時折ぼろぼろになったのを印刷しなおしてたから。
劣化をふせぐものをあげたいの。

この素材は複雑な刻印にもたえそうだし、それにわたしが劣化防止と守りの刻印をいれる。

……マスターはわたしより品質のよいものをつくれるし、必要ならもうつくってるとはおもうけど。
それでも、わたしたいの


トルメンタ・アンゲルス
流石に、立て続けに動くと、きっついですが……。
もう一仕事、終わらせませんとねぇ。

コアマシン、回転数上昇。
干渉・同調開始……!
『Evolution union――Mode:Crossover』
金色の外殻に干渉し、大型の合体用装甲に変換し、合体!
その巨体と怪力を生かし、他の外殻を運搬します!
大きい方が使い道も多いはず!


――さて。
ある程度運んだら、船倉に俺も入ります。
纏っていた、手を加えた金色の外殻だった装甲を外し、
運んできた、手の加わえてない金色の外殻と、状態を比べます。

構造や強度、どう変化するのか、何でもいい。
兎に角、こいつを解析して、物にしたい!

猟兵でもご老輩でも、詳しい方がいれば、より……!


フェルト・フィルファーデン
これだけ破片があると大変ね……大きいものは運ぶの大変そうだし、わたしは小さな破片を運びましょうか。
UCで人形兵士達を呼び出し、運ぶのを手伝ってもらうわね。

何かいい使い道、あるかしらね?わたしとしては、皆の安全を守るために、船を丈夫に出来たら……なんて思っていたのだけれど……
詳しい理屈はわからないけれど、これだけ特殊で上質な素材ですもの。ただ丈夫にするだけじゃなくて、何かしらの自衛手段……あわよくば、一時的にでもクエーサービーストに対抗できる力が欲しいわね。

歴史ある船に手を加えるのは忍びないけれど……これからの船旅のため、安全に皆で新天地へたどり着くためには必要だと思うの。どうかしら?



●"今日"を"いつまでも"に変えるため
 ナイチンゲール号を目指し、巨大な人型シルエットが宇宙を翔ぶ。
 それは、外殻破片を装甲として纏ったトルメンタ・アンゲルスのものだ。
『Evolution union――Mode:Crossover』
「コアマシンの回転数は上々……いや、もう少し回収できそうか……」
 トルメンタは体内コアマシンの回転率を限界ギリギリまで上昇させ、
 目についた外殻を装甲として取り込んでいく。
 必然、それだけ彼女の"装甲"も厚みを増す。重量は重力を発生させそうなほどだ。
「ぐ、ぬううう……ッ!!」
 さらにその巨体を用いて、同調しきれない外殻をワイヤーで牽引。
 まさに千人力。鋼の体には、相応の使い道というものがある。
「ねえ、大丈夫かしら? わたしの騎士たちにお手伝いさせたほうが……」
 そんなトルメンタに、フェルト・フィルファーデンが心配そうに声をかけた。
 彼女の周囲には、絡繰の騎士人形たちがはべり、命令を待つ。
「ああ……すいません、ではお手をお借りしても?」
「もちろんよ! 大変な作業だもの、助け合うのは当然でしょう?」
 フェルトは高貴なるものとして穏やかに微笑み、運搬を請け負った。
 さらに二百五十体を越える妖精兵士の人形たちがユーベルコードで召喚され、
 えっさほいさと外殻を運ぶさまは、まるでガリバー旅行記だ。
「助け合うのは当然……ええ、そうですね。忘れがちですよ」
「わたしたちは、同じ力を持つ猟兵……だもの。ね?」
 可憐にウィンクしてみるフェルトに、トルメンタは穏やかに笑い、頷いた。

 そうして外殻を運び終えたふたりは、さっそく船の工房へ。
 ちょうどそこには、別の猟兵である少女がふたり、なにやら悩んでいた。
「おや? 取り込み中ですか? であればタイミングを改めますが」
「あ、いや、待って! よければ知恵を貸してほしいんだ」
 うんうんと唸っていたリア・ファルは、トルメンタたちを呼び止めた。
 そんな彼女の分析作業を手伝っていたらしい人形少女、ヌル・リリファも頷く。
「リアさん、外殻の分析をずっとしてたんだって。でも、うまくいかないって」
「ヌルさんの演算能力も借りてたんだけど、外殻(こいつ)はかなり特殊でさ」
「ふむ……俺はあまり、そういった学術的なことはわかりませんからね」
 どちらかといえば実戦派なので、とトルメンタは肩をすくめてみせる。
「そうね……でも、わたしなりに手伝えることはあるかもしれないわ。
 理論的にきちんと理解できているわけではないけれど、電脳魔術士だもの」
 フェルトは献身的な言葉で応えると、従えた騎士たちに雑多な作業を命じる。
 試料として運ばれた外殻の破片をあちこちへ運んだり、機材を調整したり。
「けどそうですね、こいつの解析は俺もしたかったところなんです。
 構造や強度、どう変化するのか……なんでもいい、どんなことでも」
 とにかく、こいつを解析してものにしたい。トルメンタはそう熱く語る。
「じゃあ、みんなでしらべもの、つづけよっか」
「そうだね! あ、じゃあおじーちゃんたちを呼んできてくれるかな?
 ユーベルコードのことはボクらがエキスパートだけど、加工は違うし」
「わかったわ! ふふっ、なんだかワクワクしてしまうわね!」
 ウキウキと微笑むフェルトが、レインフォース号の老人たちを招聘する。
 かくして少女ら(そう、トルメンタも年頃の女の子だ)四人と老人たちが、
 膝を突き合わせて黄金外殻の解析に挑む、長い長い時間が始まった。

 解析はやがて議論に変わり、喧々諤々になることもしばしばだった。
 そもそもクエーサービーストの外殻は、明らかに尋常の金属ではない。
 思念を受けてその組成を変える上に、ただ外見的な形を変えるだけでなく、
 物質的な構造――流体化や気体化、機械などの複雑な機構の自己生成と稼働、
 果ては命を持った自律体(マインドミナBVAが行ったのはオブリビオン体の生成だが、オブリビオンとて"生命"を持つ存在ではある)まで生み出す。
 なぜそんな力を有しているのか? この力はどこまで利用可能なのか?
 加工することでどんな影響が生まれ、より効率的に変化させるにはどうするか。
 中世の錬金術を修めた学者たちも、"賢者の石"という万能物質を巡り、
 こうして議論を重ねたに違いない……それが歴史上は架空のものであれ。
 いくつもの仮説が重ねられ、実験が行われては新たな事実が発覚し、
 数式として証明するためにいくつもの仮説がまだ比べ合わされる。
 参加したメンバー全員が、それを完全に理解して議論できていたわけではない。
 具体的に言えば、フェルトはそもそも機械技術のエキスパートではないし、
 実際にサイバネ技術を運用するトルメンタにも、知識的な限界はあった。
 そのぶん必要な人手を運用し、あるいは実戦めいたテストを行い……。
 一同が考証にかけた時間は、気がつけばとんでもないものになっていた。
「……というわけで、フェルトさん、トルメンタさん、実験協力ありがとう。
 ヌルさんも、演算能力をはじめとして力を貸してくれて助かったよ」
「ううん、だいじょうぶ。リアさんには、たすけてもらったこともあるし」
 ヌルは空色の瞳をぱちぱちと瞬かせ、かすかに微笑んで首を振った。
「自分の目的のためでもありますからね。気にしないでください」
「ほとんどのことは、わたしにはよくわからなかったけれど……。
 わたしの絡繰の騎士たちと兵士たちが役に立ったならなによりよ?」
 トルメンタ、フェルトもまた、リアの言葉に対して鷹揚に返す。
「しかし、猟兵とは色んな人がおるもんじゃ。技術者にウォーマシンめいた人形、
 さらにサイボーグのスターライダーと、まさかお姫様までおるとはのう!」
「おかげで、ワシらもかなり有意義な時間が過ごせたわい。感謝するぞ」
 技術畑の老人たちにとっては、いい頭脳労働となったようだ。
 データをまとめたディスクのバックアップを取りつつ、リアは頷いた。
「うん! ボクのほうはこれでだいたいまとまったかな。
 ボクの本体……ティル・ナ・ノーグの出力を使えば、新しいコードが使えそう」
「よければ、そのユーベルコードのテストデータも俺にいただけますか?
 あるいはそれを応用して、俺の新たな装甲を生成できるかもしれませんし」
 トルメンタの申し出に、リアはもちろん、と元気に頷く。
「ところで、お前さんたちは? 何か作ってほしいものはないのかな?」
 とある老人の問いかけに対し、まずヌルが言った。
「……フォトフレームがほしいの」
「「「フォトフレーム?」」」
 その場にいた一同が、意外な言葉に声を揃える。
 人形少女は無機質な表情のまま、子供めいて素直に頷いた。
「ちいさめで、簡単にもちはこべるの。デザインは、おまかせするよ。
 マスターはいつももってる写真があったけど、時折印刷しなおしてたから」
 だから、少しでも劣化を防げるものをあげたい。
 それは"マスター"を無邪気に慕う、ヌルらしい優しい申し出だった。
「かたちをつくってもらえれば、魔術的な刻印はわたしがいれられるし」
「しかし……お前さんほどの子を作れるマスターとやらなら、その……」
「うん。マスターなら、わたしより品質のよいものをつくれるとおもう。
 必要ならもうつくってるともおもう。けど――それでも、わたしたいの」
 車輪の再発明は無意味な行為だ。しかしそれは合理性で見た話。
「いい思いつきだと思うわ! だって、贈り物は心を込めることが大事だもの。
 必要だとかそういうことじゃなくて……ヌル様が、そうしたいと思ったのでしょう?」
「……うん」
「そうだね。なら、おじーちゃんたちも文句言わないよ。ね?」
「もちろんじゃ。いくらでもこさえてやるわい!」
 自信満々といった様子で、老人が胸を叩く。
「……わたしは、この船をもっと護ることの出来る何かを作ってほしいの」
 そこで、フェルトがおずおずと言った。
「装甲でも、兵器でも、なんでもいいわ。
 これからの旅に役立つような……この船の人たちを守れるものを」
 それは、貴き血の責務として世界を護ることを誓った少女らしい言葉。
 少女たちの優しさに老人たちは微笑み、しかと頷いた。
 彼らの技術力が振るわれる、最適な機械がやってきたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

切崎・舞姫
Aチーム
あぁ…なんて巨大なのかしら
あれだけ…大きければ、さぞ大きな命を…持ってるよね?
それこそ…私が命をかけても……お釣りが来るくらいの……
紫電一閃、もっと…もっと私を使って頂戴…そして、私をもっと永く生きさせて…

戦闘
なかなか……刃が通り難い見た目だけど、どうだろう…?
刃が通らなければ……雷を落としてあげようか
紫電一閃・雷墜
生命力吸収で命を奪い、それで更に雷を落とす

大砲や電磁兵器を狙えば……効果覿面…かな?
なにより…ナイチンゲール号の皆も…危ないからね
優先的に壊していこう

アドリブ、絡み歓迎


蔵座・国臣
ナイチンゲールの強化とかどうだね?
これからもこの艦に猟兵を招く事があるなら、ユーベルコードの伝達能力も、一時的な防衛力、突破力の上昇に使えるかもしれん。


あ、いや、私は一般医療及びメカニックスタッフAにしか過ぎんので、人の治療か艦の修理手伝いをだな…
いや、確かにスターライダー故、合図くれれば転移からの外殻牽引手伝い程度ならできるかもしれんが。


蒼焔・赫煌
うおー! 大・勝・利!!
あとはこれを持って帰るだけってわけだね!

むむむー! でも、あれだけ大きいと運ぶのも一苦労だ!
それならやることはひとつ!
ちっちゃくしちゃえばのー問題!

とゆーわけで!
ファイアー、キーック!
放射する炎をそのまま脚に集中させてキック!
熱で溶かして切断!!
小さくなったら、次は速さを活かして持ち帰る!
あとはそれを繰り返す!
体力には自信ありありだからねー、どんどん運んでっちゃうよー!
可愛いボクにお任せさ!
なにせ、ボクは正義の味方だから、ね!!


【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】


ルエリラ・ルエラ
【アドリブ改変・連携歓迎】
外殻を使っていいなんて夢が膨らむね。思わず回収作業にも力が入っちゃうよ

というわけで、回収作業はメカ・シャーク号で引っ張ぱれそうな外殻をロープで繋げて船に回収するね
戻ったらお世話になった乗組員の皆に芋煮を配って、素材をもらって加工しにいこう
まず欲しいのは芋煮用のお鍋と包丁。このぐらいならここでも作れそうだし、お爺ちゃん方に作れる人がいないか聞いてみよう。美味しい芋煮はお鍋から。だよ
あとはメカニックレヴァンに、この素材でにメカ・シャーク号のパワーアップできそうな箇所を聞いておこう
スピードや装甲強化できそうだし、アドバイス聞いて一緒に作るか、素材の雛形製作をお願いするね



●仕事を終えたあとのごちそうは……
「もちろん、芋煮だよね」
「「「えっ!?」」」
 あらぬほう(おそらく本人的には、存在しないカメラを意識している)
 を見つめてそう言ってのけたルエリラ・ルエラの台詞に、
 その場にいた三人……切崎・舞姫、蔵座・国臣、蒼焔・赫煌……は、
 何を言っているんだこのエルフは……という深刻な表情になった。
「どうして仕事のあとの食事が芋煮になるんだ? わからない……」
「そもそもまだお仕事終わってないよ! むしろこれからだしっ!」
 真面目な顔で悩む国臣、思わずらしくもないツッコミを入れる赫煌。
 そう、彼らはまだ自分たちの受け持った作業を済ませたわけではない。
 現に一同の目の前には、大砲などの殺戮兵器がへばりついたままの巨大残骸。
 うかつに近づけば船にも危険を招きかねないということで、
 どうやって破壊したものか……と、偶然集まった面子で相談していたのだ。
「あれをそのまま持っていくことは……出来ないだろうね……」
 舞姫は口元に手を置くような仕草をして、静かに指摘した。
 となれば、あの大砲などを破壊してうまい具合に分断する必要がある、が。
「そもそも、私は医療スタッフというかメカニックというかだな……。
 本当はすぐにでも治療や修理に回りたいんだ。破壊作業はおまかせしたい」
「それなら正義の味方のボクにおっまかせー!」
 国臣の言葉に、赫煌はニコニコと元気よく手を挙げる。
 その両足に、炎の車輪が生まれ、ぐるぐると真空の中で燃え上がった。
「ちっちゃくしちゃえばのー問題! ふぁいあー、きーっく!!」
 KRAAAAASH!! 高熱を伴う蹴撃により、巨大残骸が溶断される。
 しかし、まだ大砲の自動迎撃機能は生きているのか、砲身が鳴動。
 それを目ざとく見咎めた舞姫が、妖刀である両足を振るい、一瞬で切断!
 少女ふたりがバツ字を描いて背を向けた瞬間、残骸はバラバラに砕け散った。
「おお、お見事。さすがに私も、運搬ぐらいは仕事しないとね」
 ぱちぱちとふたりの手並みを称賛し、ルエリラは愛機メカ・シャーク号を召喚。
 手製のワイヤーロープを残骸に括りつけ、運搬を開始する。
「じゃあボクと舞姫ちゃんでどんどん切り出していくから、ふたりは運んで!」
「命の暖かさが残ったパーツ……切り分けるのも、愉しいね……?」
「了解した。もし万が一怪我をしたりしたら、我慢せずに言ってくれ」
 国臣は赫煌の言葉に頷き、ふたりに……特に舞姫のほうに言い含めると、
 自らの乗騎を用いてナイチンゲール号近傍への転移を繰り返し、運搬する。
 やろうと思えば一度にすべての残骸を運ぶこむことも可能だが、
 それでは逆に船のほうを圧迫してしまい、混乱を招いてしまうからだ。
 そんなこんなで、一同の作業は思ったよりも時間がかかることとなった。

 赫煌と舞姫が、国臣の転移でナイチンゲール号に戻れたのは、しばらくあと。
 そこでは有言実行とでもいうべきか、ルエリラの芋煮配布が始まっていた。
「本当に芋煮してるし!?」
「……準備、いいね……?」
「もちろんさ。疲れたときは芋煮、疲れてないときも芋煮、とにかく芋煮。
 朝も昼も夜も芋煮を食べれば問題なし。芋煮は完全栄養食だからね」
 呆れた様子の赫煌と舞姫に、ルエリラは自信満々に語ってみせる。
「医者の端くれとして、その発言には待ったをかけざるを得ないぞ……」
 いや、むしろこれは別の方面のホスピタル案件なのでは?
 病院が来い。いや自分が病院だ。メンタル的ななんかは門外漢だが……!
「おっと、私をインセインな人みたいな目で見るのはやめてほしいね。
 実際お腹空いてるんじゃないかな? まあとにかく、食べた食べた」
「……たしかに、空腹のままでいるのは一番よくないな」
「うーん、何度も食べ物の話されたらほんとにお腹すいてきちゃったかも!」
 だいぶ煙に巻かれた感はあるが、とりあえず腹が減ったのは事実。
 国臣も赫煌も、おとなしく芋煮のよそわれた椀を受け取ることにした。
 が、口元を襟で隠した舞姫は、なんだか気が進まない様子である。
「……私はサイボーグだから、普通の食べ物はあまり……」
 彼女は全身を妖刀によって構成しており、生命力の多くを刀に捧げている。
 そして妖刀に自分の生命力を奪われないよう、刀で敵の命を奪うのだ。
 それが舞姫の原動力であり、やや矛盾したライフスタイルにもなっている。
 口元を見せたがらないのもあいまって、人前で食事はしたくないらしい。
「まあまあ。まあまあまあまあ」
「……せめて、何か言い訳のひとつもしてくれない、かな……!?」
 まあまあ、で無理やりぐいぐい芋煮を押し付けてくるルエリラの"圧"に、
 物静かでミステリアスなクールキャラのペルソナが若干剥がれかかる舞姫。
「いいから、ね、ちょっとだけだから。体にもいいし省庁に認可されてるんだよ」
「それはエセ科学の常套句じゃないか……無理はよくない」
 マジでやってるのかわざとなのかわからないので、国臣もやや及び腰だ。
 が、そこに赫煌が割って入り、舞姫の顔をニコニコと覗き込んだ。
「でもいいじゃん! どうせならみんなで同じもの食べたほうが美味しいし!」
「…………う」
 根がコミュ障の舞姫、ぐいぐい来るタイプの陽キャには弱いらしい。
 観念したようにこくんと頷くと、おずおずと芋煮入の椀を受け取った。
「よし、ミッションコンプリートだね。わざわざ宇宙まで出たかいがあるよ」
「えっ、キミの目的そこなの!? 外殻とかじゃなくて!?」
 さしもの赫煌も、ルエリラの狂いっぷりには目を点にした。
 そこでようやく、ルエリラは本来の目的を思い出したらしい。
「……しまった、そうだったね。せっかくだし何か作ってもらおうかな」
「私は自前で色々用立てているし、この船の強化にでも使ってもらえればいいさ。
 これからも未踏宙域を旅するなら、戦闘に備えた強化は必須と言える」
「…………(私もそれでいいと思う、とでも言いたげにこくこく頷く舞姫)」
 彼女は首を縦に振るばっかりだが、もぐもぐするので忙しいようだ。
「それだと真面目すぎて面白くな……いや」
「いま面白くないって言ったよね???」
「言ってない言ってない。……うーん、そうだ。お鍋と包丁にしよう。
 もちろん芋煮用の、大きくて切れ味の鋭いやつをお願いしないとね」
(((そこでも結局芋煮なのか……)))
 手のつけようがない芋煮フリークぶりに、舌鼓を打ちつつ呆れる三人だった。
 なおルエリラの料理は、猟兵はおろか船のスタッフにも振る舞われている。
「あとはメカシャーク号のパワーアップかな……それもロマンがあるね……」
「いや、俺には回さないでくれよ、そういうの」
「えっ、ひどくないかな!? せっかくのタイミングなのに!?」
 お椀を手に、先んじてストップをかける若きメカニック、レヴァン。
 ルエリラは彼とぎゃあぎゃあ漫才を始めた。元気なことである。
「……腹ごしらえをしたら、私は船のメンテナンスに戻ろう。うむ」
「うーん、ボクも妙に疲れたというか気苦労がするというか……」
「…………(気持ちはわかる、とでも言いたげにこくこく頷く咀嚼中の舞姫)」
 なんだか、作業とは別の方面で疲れた気がする。まあ芋煮は美味いのだが。
 三人の面持ちは、幸せそうなような呆れているような、妙なものであったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と

ん…あの大きなのは、片付いたのか
少しばかり、疲れてしまったが、もう大丈夫だ
まるは、大丈夫か

まると共に、外殻を回収するぞ
【異装城壁】は…建築物の材料と合体する技だが、この外殻に通用するかな
使えるなら、合体して運搬
使えないなら、怪力でどうにか運ぼう
いくつか纏めたら、【籠絡の鉄柵】で囲って纏めて、【しろ】に運ばせる
宇宙の無重力なら、それほどの重さにはならない…と思うが、どうか

せっかく、なので
この外殻で、篭手とか、作れないかな
カガリの盾は大きいからな、小回りがきいて盾にもなる篭手とか、あると嬉しい
あと…小型の変形メカ?というのも
あると面白いかな、と


マレーク・グランシャール
【壁槍】カガリ(f04556)と

外殻を砕くのなら任せろ
こういう時こそ俺の槍の出番だ

通常の武器では破壊が難しい巨大な固まりは【雷槍鉄槌】の一撃で粉砕
ある程度の大きさになったら【碧血竜槍】の鎧砕きと部位破壊でガンガン突いて壊す
膂力を生かし運搬できる大きさになるまで砕くぞ

運搬は主にカガリの役目だが、カガリ自身が持ち運べない分はカガリの馬イクのしろに荷車を付けて運ばせるのを手伝う

採集した外殻は持ち帰って俺の女神への土産に
俺はロボットに変形する黄金のライターが欲しいので、女神に作って貰ったら命も吹き込んで貰うのだ

カガリは自身の武具が薄いから防具にするといい
お前が砕けてしまわないように
心配したんだからな



●もう砕けることのないように
 真空の宇宙に、彼方まで響き渡るような雷鳴が轟いた。
 エーテルの風をたわませる神の雷、それこそはまさしく龍の咆哮である。
 本体が健在であった頃ならばいざ知らず、所詮は砕け散った外殻だ。
 巨大な残骸は蜘蛛の巣めいたヒビを無数に刻まれ、バラバラとなった。
「……カガリ。あとは頼む」
「ああ、任せろ」
 出水宮・カガリはマレーク・グランシャールのほうを見て力強く頷くと、
 自らのユーベルコードを発動。
 本来は建築物の材料を吸収する"異装城壁"だが、その巨大さと規模ゆえか、
 黄金の外殻の破片は磁石めいてカガリの周囲に集まり、融合した。
 一通り集めたところで、それらを鉄柵で囲い、宇宙白馬・しろに括り付ける。
 美しき白馬は、馬車馬めいた仕事にやや不満げではあるものの、
「その宇宙最速の足並みを、どうか貸してはくれまいか」
 というマレークの台詞を聞いた途端、上機嫌で船の方へと駆けていった。
「戻ってくるまでの間に、次のぶんを砕いておこう。まる」
「ああ……それにしても、しろはなぜ急に上機嫌になったのだろうか」
 マレークは無表情のまま首を傾げる。なかなか罪な龍であった。

 そうしてふたりの受け持った作業は順調に進み、ほどなくして完了した。
 最後は馬(ば)イク……誰が上手いことを……のしろにまたがり、船に帰還だ。
「おお、助かったぞいおふたりさん! お前さんたちはどうする?
 何かこの外殻で、作ってほしいもんがあったら、ワシらが頑張ってみるが」
「……いや、俺の方は結構だ。俺の女神への土産にしようと思う」
「まる、いいのか? せっかくやってくれると言っているのに」
 カガリはキョトンとした顔で、マレークのほうを見やった。
 マレークは、いつもどおりの無表情で「いいんだ」と言って、頷く。
 ……ところで、そんなマレークが女神にどんなリクエストをするかというと。
「俺は……ロボットに変形する黄金のライターが欲しいので、な」
「??????」
 相棒のややトンチキな物言いに、カガリは真剣な表情で首を傾げた。
「ライターがロボットになるのか」
「ああ。ライターがロボットに、変わるんだ」
「……ライターが、ロボットに……」
「風を切って飛び立ち、危なげな世界を護る。そして、大空を舞台に戦うんだ」
「そ、そうか……いろいろあるのだな、ろぼっとにも」
 なぜか力説するやや様子がおかしい相棒に、カガリは深くツッコむのを避けた。
 UDCアースには邪神の本体が鎮座してる超次元とかあるんだし、
 なんかメカの次元とかあったりするんじゃなかろうか。閑話休題。
「まあそれはよかろう。で、お前さんのほうは?」
 老人に水を向けられると、カガリは顎に手をやって考え込む。
「ふむ……じゃあカガリは、小回りがきいて盾にもなる篭手とかが欲しい。
 カガリの城門(たて)は大きいからな……懐に入られると、困ることもある」
「……小型の変形メカとかはいいのか? カガリ」
「えっ。あ、ああ……めか、か。まあそれも悪くないかもしれないな……」
 今日のマレークは様子が妙だ。カガリは若干戸惑い、気圧された。
 でもまあほら、メカとかロボって男のロマンだからね。仕方ないね。
「黄金のメカ……ふむ、たとえばスポーツカーが変形するというのはどうか」
「まる……?」
「そこに黄金のドラゴンが合体し……いや、その場合は俺が……?」
「まる、どうした???」
 なんとなくドキドキする冒険が始まりそうな気がしてきた。
「ふーむ、篭手か。そうなるとお前さんの腕のサイズとかを採寸したいのう。
 それと、普段使っとる盾とやらも、参考のために見せてくれると嬉しいぞい」
「む。もちろん構わないぞ。カガリは優秀な城壁だからな」
 ふふん、と老人に胸を張るカガリ。だがそこで、マレークが言った。
「そうだな。しかしカガリ、あまり無茶はしないほうがいい」
「ん? なんだ、まる。そんなことを言われなくても、カガリは無茶などしない」
「……"出来ることだ"と、お前が自信を持って言っているのはわかるんだがな」
 マインドミナBVAの体内を攻撃するため、カガリが文字通りの楔となった時。
 マレークはどうやら、カガリが砕けてしまわないか心配だったらしい。
「……お前はもっと、お前自身を護るんだ。カガリ」
 そのために俺はいる――と、マレークはカガリの目を見て言った。
 カガリは少しきょとんと目を見開いたあと……「ああ」と、微笑んで頷いた。
 無限に変形するクエーサービーストからもたらされた、黄金の力。
 それによって鍛造された篭手は、ふたりの想いに相応しい堅固となるだろう。
 その身も、その絆も。もう砕けることのないように、という祈りとともに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
【WIZ】
「この外殻、なかなか面白いね」
思念により外殻を無数の巨大なインゴットに変えると『ラガシュの静謐』により、自らの世界に送る。
十分な量を確保したら、残りはレインフォース号の老人たちに贈ります。
「面白いものを作って見て欲しいものだね」

ジャック君、存在感が随分と希薄だが大丈夫かね?
(何の気紛れか、魔法で癒しておきます)



●紳士と偽紳士の会話
「ジャック君、今回の旅では随分と存在感が希薄だが……」
「出会い頭に言う台詞じゃねえだろそれ、シーザーの旦那!!」
 ナイチンゲール号の通路。食ってかかる"色男"に、
 シーザー・ゴールドマンはいかにも愉快そうに肩を揺らしてみせた。
「まあ、そういう星のめぐりもあるんだろうよ。
 もともと俺はこの船の人間じゃねえしな……」
「ああ、そういえばドリー君たちは元気かね? 君なしでは寂しかろうに」
 などと言われると、ジャックは苦笑いを浮かべて肩をすくめる。
「だといいんだがね。座長としての自覚が足りないから旅をしてこい、ってよ。
 ま、借金をこさせて身内を増やしてばっかりの団長じゃ、無理もねえか」
「……ふむ」
 シーザーとジャックの付き合いは、他の猟兵に比べるとずっと深い。
 そもそもの発端は、ジャックの船"グレイテスト号"にまつわる騒動だ。
 シーザーはその事件解決に赴いた猟兵のひとりなのである。
「私としては、お定まりになったような者よりはずっと面白いと思うのだがね。
 あの老人たちも、私が発破をかけたらずいぶん張り切っていたよ」
「おいおい、あの爺さんたちまでちょっかい出したのか? 旦那らしいねえ」
「なにせあの外殻自体、実に興味深いものだからね……」
 意味深に細められる金眼。そこにたたえられた感情は複雑なものだ。
 試すようであり、弄ぶようであり、慰みにするようであり……。
 人外めいた雰囲気をたたえた男だが、ジャックは彼に警戒心を抱いていない。
 それこそがシーザーの恐ろしいところでもある。
 が、そこを差し引いても、"ろくでなし"の男はそういう人柄なのだ。
「いっそのこと、君もあの船でこの未踏宙域を旅してみたらどうだね?」
「おいおい、うちはサーカス団だぜ? 見せる相手が……ああ、いや待てよ」
 シーザーの言葉に、ジャックは顎に手をやって考え込む。
「これから先、未踏宙域には色んな船がやってくるはずだ……。
 探査はともかく、"探査に来た船"相手に商売をするなら……お?」
「こんな危険な宙域で出し物をする、と? まったく、君らしいな」
 今度は、シーザーが肩をすくめる番だ。ジャックは得心の笑みを見せる。
「毎回毎回、化物相手にシリアスになってちゃいずれ体がやられちまう。
 そういうときにリラックスさせるためにこそ、サーカスはあんだからな!」
「私が手ほどきした彼らが、どうなっているのか……それも、実に興味深いね」
「長い目で見てくれよ。得意だろ?」
「興味が続く限りはね」
 男たちはそう語り合い、くくっと笑った。
 ちょうどそこへ、シーザーに焚き付けられた老人がやってくる。
「おうい、そこの! さっそく試作品が出来たんじゃ、見とくれんか!
 ワシらなりに、あのデカブツのミニサイズ版を作ってみたんじゃがな……」
「ほう? なるほど、クエーサービーストの生態を調べるために、か。
 いいね、出来栄えも気になる。さっそく見に行かせてもらうよ」
 そう言ってシーザーはジャックを見やり、治癒の魔法をかけてやった。
「息災でいたまえ、ジャック君。私は、君たち人類に期待している」
「はいよ。……まったく、相変わらず底の知れねえ旦那だこって……」
 味方のようであり、守護者のようであり、天上から睥睨する神のようでもあり。
 千変万化の紳士の背中を、紳士気取りのろくでなしは見送るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
こう……外殻に差し込むようにしてエナジークロークを展開するとさ。
切り取れるんじゃねえかな。そんでそのままクロークに収納できんじゃねえ?

必要なだけとってくるし、運んでもあげるからさ。武器作ってよ。
あーあーややこいもん作れとは言わねーよぅ。斧を作ってほしいのさ。
でかいやつ。バトルアックスって言うんだっけ、ああいうの。
でかくて長い武器ってやっぱり便利じゃん?てこにもなるしさあ。
デザインも……あと命名も任せるよ。おじいちゃんたちでも若いのでもいいからさあ。必要なら、今回の猟兵業でもらえる金も渡すから。
とにかく、頑丈なのをよろしく。

んーじゃあ回収行こっか。疲労がたまったら死んでリセットすればいいしなぁ。



●戦い終わっても、いつもどおりに
 面倒なことが起きたり自分を困らせても、死んでリセットすればいい。
 茜崎・トヲルの死生観は、その体質ゆえに他に類を見ないものだ。
 疲れ果てるまで働き続け、体が動かなくなったら死ぬことで完全再生する。
 おかげで彼は多くの作業を請け負い、回収作業は大変捗りはした……が。
「よう爺さんたち、新しいの運んできたよ」
「おう……お前さん、今日ずっと働いとりゃせんか?」
「ん? あーそうだっけ、そうかもねぇ」
 工房に顔を出したトヲルを、とある老人は訝しむような慮るような、
 そういった面持ちで見やった。だが、トヲル本人はいつも通りへらへらと笑う。
「まあ、猟兵であるお前さんたちには色々常識が通用せんのじゃろうが……」
「そーそー、猟兵だからね。あんたが気に病むことじゃないって、ははは」
 老人はそれ以上言わない。言ったところで意味がないと悟ったからだ。
「それよりさ、作ってほしいって頼んでたあれ。なんとかなった?」
「ああ……バトルアックスだったか? 一応雛型は完成しとる」
 熱気立ち込める工房の鍛冶場、赤熱した斧がトヲルを出迎えた。
 黄金外殻を中心に、特殊な合金で鋳造されたそれは、身の丈を軽く越える。
「……へえ。いいねえ、でかくて長い武器って便利だからなあ」
 トヲツはあまり武器や防具に頓着しない。謂れや由来も求めない。
 どのみち使い手である自分が、何をしても死なないのだから、
 より手軽に……かつ効率よく……敵を殴り殺せればそれでいいのだ。
 そういう点で、斧という原始的な武器は、彼のスタイルに噛み合っている。
「ただし、言うまでもないが一体型にしたせいで重量がひどいことになっとる。
 重装型のウォーマシンでも、持つだけで一苦労じゃろう。そこは構わんか?」
「いいよいいよ、おっけーおっけー。ま、おれ怪力なわけでもないんだけどねえ」
 人間が発揮できる身体能力は、大きくリミットされているという説がある。
 自壊を恐れぬトヲルならば、筋肉を引きちぎりながら人並外れた力を振るえる。
 ゆえに、頓着しない。正直言って銘も形もどうでもよかった。
「決して壊れず、止まらず、獲物を叩き潰すまで一切揺るがぬ鉄の塊。
 ……名前は不屈(インドミタブル)といったところでどうじゃ?」
「いいんじゃない? 頑丈なら、なんでもいいさ」
 トヲルは軽く言って、最終工程に入る巨大な斧を見送った。
「……じゃ、また仕事してくるかなあ」
 戦いが終わろうと、終わるまいと、トヲルはいつだっていつもどおりだ。
 いつもどおりに己を酷使し、すべてを柳に風めいて受け流し、へらへら笑う。
 どう構えたところで、自分はもう死なないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼイル・パックルード
サボりたいはサボりたいが……なまじ報酬があるとそうも言えないのが面倒だな。

まぁ、そこそこに回収はするとして……こういう宇宙用に作ってもらった肩の推進補助機だけど、ガタがきてるな。俺じゃメンテナンスもできないから、仕方ないか。
外殻埋め込んで硬度の強化くらいしたいもんだけど……
いくら技術者とはいえ、腕もわからねぇおっさんに預けたくねぇんだよな。
半端な仕事とかされて、不良とか起きても死ぬのは俺なわけだしねぇ。

……あぁ、わかりやすい職人タイプだわ、このおっさんたち。だいたいのドワーフとかと同じ、ムキになって最高の仕事するタイプだ。
偏屈な刀職人より、面倒が少なくて助かる。
じゃあ俺は俺の仕事をしますか。



●その道に生きる者の矜持
 ワイヤーで括られた黄金外殻を牽引し、ひとりの男がナイチンゲール号に着艦。
 格納庫への運搬を終えると、ゼイル・パックルードがバキバキと首を鳴らした。
「こういう作業は、いくら体動かしても筋肉が固まっちまうな……やれやれ」
 へばるほどなまっちょろい体はしていないが、戦いとは使う筋肉が違うものだ。
 それでも、これだけの長時間重労働を苦もなくこなしきっているあたり、
 さすがは生存能力に長けた砂漠の傭兵と言える。鉄塊剣のおかげもあろうが。
 報告のために工房へと向かいながら、ゼイルは肩部の装置を外した。
 彼が宇宙用にこしらえてもらった、無重力戦闘用の推進補助機である。
 機械の調整には明るくない。実戦派なのだから当然だろう。
 軽くパネルをいじくってみると、エラー表示が出てきてため息をついた。
「いい加減ガタがきてるか……」
 ちょうどそう呟いたところで、ゼイルは工房に辿り着いた。
 入ってきた猟兵が、何やら見慣れないマシンを手にしているものだから、
 ちょうど暇をしていたらしい老人が、ゼイルのほうへやってきてこう言う。
「お前さん、その機械はどうした? メンテが必要ならワシらが」
「ああ、いや。気持ちはありがたいんだがそいつはパスだ」
 若者のぶっきらぼうな物言いに、老人は片眉を吊り上げた。
「喧嘩を売ってるわけじゃないんだがね。俺はあんたらの腕前を知らん。
 万が一半端な仕事をされて、実害を被るのは俺だ。んなことで死にたくはない」
「…………」
「どっか別の伝手を当たるよ。まあそれも望みは」
「待て。待たんか。待てと言うとるぞ、この!」
 踵を返しかけたゼイルの背中に、老人の苛立った言葉がぶつかる。
 ゼイルは肩越しにそちらを見やった。老人は不服気な表情だ。
「まったく、買いかぶられたもんじゃ。腕を知らんから預けられんだと?
 だったらそいつを完璧なまでにチューンナップして、見せつけてやるわい!」
「……頼んだ覚えはないぜ」
「頼まれた覚えもない。いいから貸せと言っとる。ほれ!」
 ゼイルは苦笑めいた表情を浮かべた。おとなしく機械を手渡す。
(……あぁ、こらまたわかりやすいタイプだ。腕前に自負のある職人ってわけ)
 図らずしもゼイルは、老人たちの職人魂に火をつけてしまったわけだ。
 腕前と引き換えに、そういう偏屈な連中……特にドワーフを、彼はよく知る。
 ならば、いいだろう。そこまで吠えるならば腕並拝見と行こうではないか。
「調整には少し時間が……んぉ? どこ行くんじゃお前さんは」
「あんたたちはあんたたちの仕事があんだろ?」
 ゼイルはもう振り仰ぐこともなく、手をひらひらと振って言う。
「だったら俺も俺の仕事をするさ。暇をもてあますよりはよほどいい」
 ゼイルが修羅に生きるように、老人たちも技術に魂を捧げた男たち。
 ともに"道"に生きる者だからこそ――仕事を任せることを、彼は許した。
 それは一種の敬意であり、そして彼らは見事に言葉を証明してみせるのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナミル・タグイール
一面金ぴかにゃ!
ここのでっかい塊はナミルのだからにゃ!しっしっにゃ!(全部自分用にする猫

どんな形にもなるなんて便利な金ぴかにゃ。
このまま持って帰りたいにゃー…でかすぎるにゃー…
ビビらせて変形させれば丁度いいサイズにならないかにゃ?
斧に金ぴか【呪詛】を集めて威圧にゃ!
ぶっ壊されたくなければ丁度いい形になれデスにゃ!
呪いの輝きバラマキながら素振りブンブンして反応をみるにゃ
気に入る形になるまで何度もにゃ
ナミルが乗れるくらいの黄金のでっかい丸か四角にして持って帰りたいにゃ!

いい感じになったらそれに乗って船まで戻るにゃ。
宇宙の金ぴかだから飛べるのは何もおかしくないにゃ?
船でおしゃれ加工してもらうにゃ!


ルンバ・ダイソン
【POWで行動】
やれやれ、なんとか終わったか。......あれだけやってまだ完全に消滅していないとはな。だが、外殻に罪は無い。現地で有効活用できるというのなら回収に協力しよう。
ふむ、せっかくの申し出だ。この外殻を利用して追加装甲と実体剣を作って貰いたい。名付けてフルアーマー・ルンバ(クワッ)!デザインや銘などは職人に一任しよう。匠の業を見せてくれ。


月凪・ハルマ
こういう仕事は手が多いに限る
(【魔導機兵連隊】発動)
(【メカニック】で各種ブースター装備の宇宙戦仕様に改造済み)

他の人たちの邪魔すんなよー

で、外殻の回収はゴーレム達に任せて、俺はパトリック艦長と
ナイチンゲール号のメカニックさん、おじいちゃん達に
『回収した外殻を、宇宙船の強化改修に使えないか』提案
艦長にはそのための許可を貰いたい

先に進むにつれ、敵も確実に強くなってるし

単純に外装として使う、発射後に変形する砲弾に加工、
或いはレーダーと同調させて、同じ素材(=敵)に
反応する様に、とかいくつか案はある

ただそれらが実行可能か分からないし、
その辺はクルーと相談して詰めたい
技術的な面でも協力はできると思うし


矢来・夕立
この金属のためだけに来たと言っても過言ではありません。

というワケで一番気合を入れます。切り離した傍からさっきのハコに詰める。
で、どなたかに加工を依頼します。
コイツをイイ感じの鉄材に加工してください。武器とか防具じゃなくて、フツーの鉄材で構いません。

持って帰って売るんです。どっか他の世界で。
なんならあなた買い取ります?

脅威が去った世界なら、兵器として用いられることはまずない。お上品な方々からの文句も出ないでしょ。

オレはこの…なんとかビーストを倒した先に何があってもどうでもいいんですよね。
ビジネスチャンスを逃さない有能な美少年ってだけ。
またその先に金の匂いがするなら会うこともあるでしょうけど。


黒川・闇慈
「あの巨体の残骸ですから相当な量ですねえ。さて、どうしたものでしょう。クックック」

【行動】
私は魔術師ですし、こういった力仕事は他のものに任せてしまうに限りますねえ。
というわけで、UCを使用しがしゃどくろを召喚して、運搬はがしゃどくろに任せてしまいましょう。
なんでも残骸の外殻はUCを伝達する性質があるとか。もしかしたら魔術の触媒に利用できるかもしれません。ですので回収した残骸は船員の方にインゴットにでも加工していただきましょう。

「早くあの残骸を持ち帰って研究してみたいものです。いやあ、楽しみですねえ。クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】



●黄金にまつわるエトセトラ、あるいは怪物の終わり
「駄目にゃ! 絶対渡さないデスにゃ! あっち行けにゃー!!」
「……どうしたものですかね、あれは」
 外殻の確保・運搬作業も、いよいよ終わりに差し掛かりつつあった時。
 予想だにしないトラブルが発生し、矢来・夕立は思案げに言った。
 そんな彼が見やる先には、後回しにされていた一番巨大な外殻の残骸。
 ……そしてその残骸にしがみつき、ふしゃーっと威嚇するナミル・タグイール。
 猟兵である。猟兵なのだが、ナミルはそらもう恐ろしいほど欲が深い。
 いまの彼女は猫の獣人とでも言うべき姿をしているキマイラだが、
 実は欲深いせいで浴びた呪いが原因でああなったのでは、と言われてるほどだ。
 いわば歩く呪詛のデパート。それでいて、本人はさっぱり懲りていない。
 前述の噂が噂止まりなのも、別に彼女が隠したりしているわけではなく、
 自分がかつてどうだったのか……なんてことをさっぱり忘れているせいなのだ。
 欲深で、それでいてだいぶ頭が軽く、かつ執念深い。一番アレなタチであった。
「どうするも何も、あれをひっぺがして運ばないと作業が終わらないだろう。
 我々が一部を取得できるとは言え、あのサイズをまるまるというわけにはな」
 夕立の言葉に、パンダロボことルンバ・ダイソンが腕組して言った。
 だいぶファンシーな見た目だが、こういうときはごくごく真面目な男である。
 ナミルが「これはナミルのデスにゃ」とごね始めてからはや一時間。
 ほとんどの猟兵は問題をスルーし、さっさと思い思いの時間を過ごしていた。
「まさかこんな形で仕事が滞るとは誰も思ってなかったもんなあ……。
 どうする? いっそ実力行使でこう、気絶とかなんかさせちまうか?」
 召喚した魔導機兵連隊を待機させた月凪・ハルマが、物騒なことを言う。
 無理もない。彼も、面倒な作業はさっさと終わらせたいのである。
「こんなところで猟兵同士の諍いなど、それこそ無益以外の何物でもないですね。
 かといって説得は無理でしょうし……ちなみに、船員の皆さんはなんと?」
 魔術師である黒川・闇慈は、あくまで冷静に状況を俯瞰していた。
「"我々としては出来るだけ回収したいですが、無理は言えません"だそうです。
 まあ、実働しているのもオレたち猟兵ですからね。強権発動されても困ります」
 夕立は闇慈の言葉に応えたあと、喚くナミルのほうにまた眼をやった。
「……一番楽なのは、さっきそちらの方がおっしゃった実力行使なんですが」
「待て待て待て、貴様、"わからせる"程度で終わらせない気配がするぞ!」
 夕立の両目に浮かんだ不穏な気配に、ルンバが慌てて待ったをかけた。
 冗談です、ようはウソですよ、と表情を変えぬままに肩をすくめる夕立。
 ……彼は生粋の忍び、ついでにダーティな仕事も無感情にこなす"悪党"だ。
「ウソですよ」とはそんな彼の口癖であるが、さて今回はどうだったのやら。
「よし、なんとか考え直してもらうしかないな! おーい、そいつは俺たちで」
「しっしっ!! ナミルの金ピカに触るなデスにゃー!!」
「うん取り付く島もねえわこれ! もうどうしようもないんじゃね!?」
 秒で諦めるハルマ。しかし彼のことは責められまい。ナミルの形相は怖い。
 ところでそんなナミルだが、一同をよそに外殻の変形を企図したようであり、
「ぶっ壊されたくなければちょうどいい形になれデスにゃ! 四角とか!!!」
 と、強烈な呪いパワーを籠めた強欲発言をすると、あっさりと外殻は屈し、
 バキバキと音を立てて変形していく。すさまじいエゴのパワーであった。
「ふむ……こうなれば、私のほうで少々知恵を絞ってみましょうか」
 状況を静観していた闇慈が、きゃっきゃと喜ぶナミルに近づいた。
「なんデスにゃ! ナミルの金ぴかは渡さんにゃー!!」
「ええ、問題ありませんよ。それはあなたのものですからねぇ」
「……にゃ?」
 てっきりまたあれこれ説得されると思っていたらしいナミル、目が点になる。
「ですから、今言ったとおりです。それはすべて、欠片まですべてあなたのもの。
 しかし形を変えさせたとはいえ、おひとりで運搬するのは手間では?」
「にゃ……まあ、たしかに運ぶのめんどいデスにゃ」
「そこでこうしましょう」
 闇慈は、ナミルが疑問を挟む余地を与えぬようぺらぺらと弁舌を披露する。
「より運びやすいよう、その外殻の塊を一部だけ分離させてください。
 我々はそれを分担して運搬します。運ぶだけですから問題ないですよね?」
「……ナミルのもの盗ったりしないんデスにゃ?」
「しませんよ。我々は"あなたのものを分割して運搬する"だけです。
 所有権は永遠にあなたのものです。それがあなたのお望みでしょう?」
「??? でも運ばれてったらナミルのものじゃ」
「ですから、あなたのものですとも」
「……??? うーん……? たしかにそれなら……にゃあ……?」
 あれ? なんかおかしい気がするけど全然わかんないぞ? と首を傾げる猫。
 闇慈が言っているのは屁理屈であり、実質一部をもらうのと同義なのだが、
「あなたのものである」というワードがナミルの思考をバグらせていた。
(……昔話とかで、こういう謎かけで煙に巻く話、あったよな)
(しっ。いい感じに進んでるんだから黙っとけって)
(寓話だと、欲深いおじいさんとかが同じことやろうとして破滅するやつですね)
 闇慈の手際を見守る三人。ナミルに聞こえないよう小さな声で語り合う。
 ナミルは頭の周囲にいくつもはてなマークを浮かべていたが、やがて言った。
「これ全部ナミルのデスにゃ! 金ぴかナミルの! 間違いないにゃ!?」
「う、うむ。間違いない。全部貴様のものだ。いやあ羨ましいなあ!」
「あーそうそう、ほんとほんと。欲しいけどなー仕方ないからなー!」
「殺してでも奪い取る、なんて物騒なウソはつきませんよ。争い事嫌いですし」
「…………じゃあいいデスにゃ。ナミルのだから問題はないにゃ!!」
 とまあこんな感じで言いくるめられ、にんまりご満悦のナミルであった。
 もともと思考形態がだいぶシンプルな彼女のこと、
 運ぶ終える頃には"金ぴか"の輝きに記憶を上書きされていることだろう。
(ちょろいな)
(ちょろすぎる……)
(これ、問題になってもオレ責任取らないんで。そこは一応)
 クックック、と陰気に笑う闇慈の口八丁ぶりと、強欲なキマイラの単純ぶりに、
 色んな意味で舌を巻くふたり(と、リスクヘッジする夕立)であった。

 そんなわけで、宇宙に浮かぶ金の延べ棒……もといナミルがガメた巨大外殻と、
 ハルマたち四人が"一旦分割して預かった"外殻は、船に到着した。
「にゃっはー!! 金ぴか、こんなおっきな金ぴか初めてにゃー!!
 どう加工してもらうか悩むデスにゃー、おしゃれ加工楽しみデスにゃ!!」
 案の定、さっきまでの疑問が吹っ飛んでウキウキモードのナミル。
 そんな彼女の様子に胸をなでおろしつつ、三人はこっそりそれぞれの加工へ。
「まず俺のアイデアなんだけど、こいつはナイチンゲール号自体に使ってほしい。
 外装として使ってもいいし、変形する砲弾とかレーダー探知用の試料とか、
 使い道は色々あると思うんだ。実践については俺も知恵を貸すからさ」
 ハルマはあくまで、このナイチンゲール号の明日のためにそう提案した。
 彼の他にも船の強化を提案した猟兵は多いとのことで、
「ありがとうございます。ここから先は間違いなく大変ですからね……」
 と、若き艦長パトリックも感謝に堪えない様子で頭を下げた。
「ふむ、では俺は、戦闘用の追加装甲と実体剣をこさえてもらうとしようか。
 そう……名付けて、プラン・フルアーマー・ルンバだッ!!」
 くわわっ。なにやらカメラアイを見開いて力説するルンバであった。
「どちらかというとそれ、甲冑着込んだパンダになりません?」
「失礼な! きっともっとこう、かっこよくて……なんか、強いのが出来るとも!
 なあそうだろうご老人がた、デザインなどについては一任したいのだが……!」
 夕立の指摘に対し、ルンバは食って掛かってそう反論し、老人たちを見た。
 老人たちは顔を見合わせたあと、ルンバにこう答える。
「笹の葉の形をした剣とかどうかのう?」
「竹でもいいんじゃが」
「まるっきりそのままじゃないかッ!!」
「銘は「リンリン」とか「シャンシャン」とかパターンが有るぞい!」
「まんますぎる! もう少しカッコイイのを頼む、かっこいいのを!」
 ごねる……もとい、大事な戦闘用装備ということでこだわるルンバの一念で、
 その後用意されたのは、刀身をある程度制御可能な巨大実体剣だったとか。
 黒と金を基調とした、勇者めいたデザインのフルアーマーデザイン案に、
 ルンバはご満悦だったという。
 なお、肝心の名前は……フルアーマー・トライダイアモンドと、
 可変巨大実体剣・フォアベルクである。

「……ああ、オレは特に武器とか防具とか、そういうのはいりません。
 出来るだけフツーの、かつイイ感じの鉄材に加工してもらえますか」
「? 一体どうするんじゃ、そんなもんを」
「売ります」
 夕立のあっさりとしたリアクションに、ぽかんとする老人たち。
「え、それとも買い取ってくださいます? それならさっそく商談しますよ」
「いや、買わんが……そ、即物的過ぎんか……!?」
「仕事ですし。というか、オレはこれが目的で今日ここへ来ただけですので」
 夕立は至極ドライに言った。そう、彼はあくまで仕事人である。
 クエーサービーストの先に待つ人類の未来であるとか、外殻の可能性だとか、
 そんなものにはビタイチ興味がない。カネになるか、ならないかの話だ。
「だからもしまた、オレがこの船なり他の船なりに乗り込んだとしても。
 あんまり猟兵だ猟兵だってもてはやさないほうがいいですよ。ビジネスなんで」
 などと露悪的に言ってみせるさまは、彼の口癖である「ウソ」なのだろうか。
 ……あるいは、希望に燃えた人々に対する、彼なりの手向けなのか。
 その真意は知れまい。なにせ彼は、自称"目ざとい有能な美少年"であるからして。
 だがそういうシビアな心の持ち主ほど、戦場では生き延びられる。
 あの黄金の怪物を滅ぼしたように、そしてこの未踏の宙域においてすら。
 おそらく夕立はまたこの世界へ訪れ、そして仕事をするだろう。
 彼が言うところに、"儲かるビジネスチャンス"を逃さぬために。
 結果としてそれが人類の未来に結びついたところで、それは"副次利益"だ。
 ――その当然の報償である名誉や称賛を、彼は決して求めない。
「じゃ、お願いしますね。そしたら"悪党"はここから消えますよ」
 その言葉のあとに、彼は"ウソですよ"とは付けなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月15日


挿絵イラスト