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Sweetie Hallowe'en!

#アルダワ魔法学園 #夕狩こあら #ひよこーん #マダム・プディング #ダンジョンで肝試し


「皆、緊急事態発生よ! アルダワ魔法学園の迷宮深くに陣取っていたオブリビオンが、配下を率いて上の階層に攻めて来るわ!」
 佳聲は緊迫に満ちているが、ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)の花顔に何処か咲みが挿している様な気がするのは――気の所為ではない。
 理由は間もなく知れる。
「攻めて来るのは、全てが甘~いお菓子で出来た深層部に居座っていたフロアボス、美嗜夫人『マダム・プディング』というスイーツ型オブリビオン。配下にポップコーン型オブリビオン『ひよこーん』を引き連れて、現在、破竹の勢いで上層に向かってるわ」
 じゅるり、垂涎に緩む口を手の甲に拭う。
 聞くだけで甘い香の漂うオブリビオンの大侵攻は、見た目に反して凄まじく、その勢いは災魔と戦う術に優れた魔法学園の学生達でも敵わない。
「全ての階層を突破されたら、非戦闘員も数多くいる学園施設が危ないわ。最悪の事態を阻止する為に、最終防衛ラインの地下二階で敵の侵攻を食い止めて欲しいの」
 何せ迷宮内の災魔は、封印された頃より格段に強くなっている。
 近年、迷宮最下層に出現したという「大魔王」が影響しているのか、災魔は凶暴化し、愈々学生達の手に負えなくなっているらしい。
 地下迷宮は刻一刻と姿を変え、猟兵にしか退治できない災魔が増えた――。
 事態はあまり芳しくないが、猟兵の強さを知るニコリネは、逆に之を好機と見る。
「私、皆が災魔を撃退してくれるって信じてるし、沢山の戦果を持ち帰って来てくれるって期待してもいるの」
 戦果とは。
 其は彼女の笑顔が示そう、
「そろそろハロウィンでしょう? 皆には、暗い迷宮をお菓子に変えながら進撃してくる敵をやっつけて、たっくさん美味しいものを取って来て欲しいなぁって」
 それ故の笑顔。それ故の垂涎。
 猟兵は強大なオブリビオンを討伐した戦果として、戦場を埋め尽くすお菓子と、敵をやっつける事で獲得できるスイーツを、ハロウィン用のお菓子として得られるのだ。
「敵を返り討ちにした後は、ゲットしたお菓子でハロウィンを楽しみましょう!」
 仮装行列を楽しんだり、仲良しの友達を脅かしてお菓子を貰ったり。
 悪戯したり、驚かされたりして楽しめば、友との仲も深まる筈だ。
 ここまで言うと、ニコリネは花型のグリモアを召喚し、
「アルダワ魔法学園にテレポートします。皆、頑張って来てね!」
 と、猟兵らを眩い光に包んだ。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、アルダワ魔法学園で、或る学園迷宮のフロアボス(オブリビオン)が配下を率いて上層へと攻めあがって来るところ、防衛に適した階層で侵攻を食い止める『迷宮逆侵攻』シナリオです。

●戦場の情報
 床はクッキー、壁はマシュマロ、天井はキャンディで造られた地下迷宮。
 チョコレートの柱やキャラメルブロック、小物としてはミートパイの椅子やシュークリームのクッション等が散らばっており、戦闘では自由に使う事が出来ます。食べる事も可能です。
 第一章から取得した🔴の数によって階層が上下し、敵が上層に向かうほどピンチになります。

●第一章(集団戦)『ひよこーん』
 封印されていた種が、迷宮の発する熱によって覚醒し、弾けたオブリビオン。
 「ひよひよー!」と鳴きます。近付くと香ばしい匂いがします。美味しそうです。
 やっつけると「ひよひよー!」と言わないひよこ型ぱちぱちぽんぽんになります。

●第二章(ボス戦)『マダム・プディング』
 アルダワ魔法学園の迷宮に陣取るようになった、非常に美味しそうな魅惑のオブリビオン。
 好戦的な肝っ玉おばちゃん。甘い香がします。美味しそうです。
 やっつけるとプリン・ア・ラ・モードになります。

●第三章(日常)『ダンジョンで肝試し』
 敵から強奪したお菓子や、迷宮で獲得したお菓子を集めてハロウィンを楽しみましょう。
 猟兵同士の悪戯ロワイヤルのはじまりです。
 仮装を楽しむか、素で仮装っぽい方はそのまま参加してしまいましょう。
 お互いに悪戯し合ったら、お菓子を渡してノーサイド。
 必ずしもPOW、SPD、WIZに従う必要はなく、自由な発想でお楽しみ下さい。
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や呼び方をお書き下さい。
 ニコリネを話し相手に指定することも出来ます。目安の400字に描写をプラスし、お客様分の字数を削る事はございません。指定のない場合は登場せず、見守り役となります。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
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第1章 集団戦 『ひよこーん』

POW   :    ひよひよあたっく
【弾けたひよこーん】が命中した対象を燃やす。放たれた【不可視】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    ひよー、ひよひよー!
【鳴き声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    ぱちぱちぽんぽん
【体内の熱】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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 其の侵襲は劈頭、嗅覚に知らされた。
 苦手な者は胸焼けを起こす様な、好む者は恍惚を呼び起こす様な「お菓子の甘い匂い」が鼻腔を掠めるや、忽ち迷宮に満ち広がる。
 甘美の芳香は次いで迷宮をお菓子に変え、殺伐たる煉瓦壁はふわふわのマシュマロに、寒々とした石畳は香ばしいクッキーに、仄昏い天井はカラフルなキャンディに飾られ、キュートでポップ、そして幾許かサイケデリックな空間を作り出した。
 メルヘンなのに、何処か歪で不穏な気配を感じるのは、決して拭い切れぬオブリビオンの邪性であろう。
 嗅覚、視覚に気付きを得た猟兵は、間もなく聴覚に軍勢の侵攻を察して、
『ひよひよー』
『ひよひよ~、ひよひよ~』
 刻下。
 ぽんぽん、ピョンピョンと弾んでやってくる尖兵を捉えた。
 ふわふわヒヨコ型のオブリビオン、『ひよこーん』である。
『ひよひよひよ~』
『ひよっ……ひよっ……』
 生きてるフライパンの上を、芳しい香馨を放ちながら向い来る彼等は、垂涎が隠せぬ程美味しそうで――猟兵の武器を握る手がぎゅっと強くなる。
 湧き上がる情動が果して闘志か食欲かは判然らない。
 蓋し其は強敵に真面した時と全く変わらぬ。
 最終防衛ラインに立った精鋭は、ほよんほよんと躍っては数を増やすヒヨコに正対し、完全なる殲滅、完璧なる収穫を狙うのだった――。
荒谷・つかさ
お菓子食べ放題と聞いたわッ!
(そこだけ聞いて突撃してきた暴食の鬼、参上)
早速だけど美味しそうなのが居るじゃない。
遠慮なく頂くわよっ!

この手の菓子は熱して弾けてからが美味しいって聞いたわ。
だからここは【鬼神爆炎掌】よ。
弾ける前にこっちから種を鷲掴みにして、一気に加熱!
手の中で美味しいポン菓子の出来上がり、って寸法よ。
勿論そのまま食べても良いんでしょうけれど、迷宮の構造体から塩やお砂糖、蜂蜜、生クリームとか砕いたクッキーなんかを拝借して、いい感じに色々味付けして食べるのも良さそうね!
(暴食の鬼が通った跡は食べかすすらも残らぬ惨状に……!)

……あ、勿論持って帰る分は別に取っておくから安心してね?


エル・クーゴー
●WIZ



アルダワ魔法学園、地下迷宮指定座標に現着
躯体番号L-95、これより作戦行動を開始します

電脳世界_展開
当該エリア内の迷宮構造自体に【ハッキング】を敢行、通路の配置及び敵性体進軍経路に関する【情報収集】を実施します

……(壁のマシュマロをちょっと食べる)

逆侵攻に対抗し、ウイングキャット『マネギ』マックス265体を適宜順次召喚、各経路上に配置
敵性体・ひよこーんの熱照射範囲攻撃の展開に対し、小隊編成にて肉弾攻撃をおっかぶせることで、効果範囲の減衰を図ると共に迎撃します

……(柱のチョコをちょっと食べる)
(マネギ達もミートパイの椅子を貪り食う)

カロリーの補給を実施しました
電脳の処理速度が向上しました



 アルダワ魔法学園、魔造兵器庫直下――地下二階。
 絶対座標X=302,Y=-98,Z=66。
 既にクッキーとなった床面に、硬質な跫がコツリと――いやサクリと鳴る。
 稀有しい質感を確めるように爪先を視たエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は、電脳ゴーグルに燐光を疾走らせると、其処に座標の合致を認めた。
「指定座標に現着。躯体番号L-95、これより作戦行動を開始します」
 ――電脳世界_展開。
 我が機構たる電脳魔術を起動し、迷宮の構造自体にハッキングを仕掛けたエルは、其の超高度情報分析能力を以て通路の配置及び敵性体進軍経路に関する情報を集め始めた。
「……。…………。」
 この時、壁のふわっふわマシュマロをちょっと食べる。
 弾性も糖度も申し分ない美味を味わったエルは、丹花の唇を少し開いて、
「取得した地理情報と現況を比較し、データを更新します」
 既にオブビリオンの漸近によって素材を変えた構造物の耐久値を書き換えた。
 中にはチョコクリームで出来たクマのオブジェクトの様に、元が何であったか全く判別らぬ物もあり、エルが細かくスキャンしようとした、その時――。
「お菓子食べ放題と聞いたわッ!」
 不意に、荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)をスキャンした。
 迷宮でデザートやスイーツがザックザク、食べ放題で取り放題! と聞いた暴食の鬼は、直情径行、猛烈な勢いで最終防衛ラインに到る。
 エルは緻密な状況把握によって、つかさは高度な腹ペコアンテナによって、間もなく敵の侵攻を察知し、
「迷宮内の温度上昇を検知しました。敵性接近します」
「早速だけど美味しそうなのが来たじゃない。遠慮なく頂くわよっ!」
 武装解放――ッ!
 ほより、ふわりと跳ねて来るポップコーン型オブリビオン『ひよこーん』を迎撃した。
『ひよひよ~』
『ひよひよひよ~』
 熱によって膨張する空気に、甘く芳しい馨を乗せて襲い掛かるひよこーん達。
 彼等を弾ませるフライパンの中には、未だ覚醒を見ぬ「種」もある。
 つかさは空間を飛び回るひよこーんより、重力に繋げられた種に攻略を見出したか――いや、「より美味しく食べたい」という純然純粋なる食欲が秘鑰を暴く。
 琥珀色の双眸を炯々と耀かせた羅刹女は、一気呵成に拳を振り上げ、
「この手の菓子は熱して弾けてからが美味しいって聞いたわ。だからここは――!」
 発動、【鬼神爆炎掌】(オウガ・バーニングエンド)――ッッ!!
 凄まじい膂力より繰り出されたアイアンクローは、通常、敵の頭を掴んで爆邪滅殺するのだが、此度は火行精霊の加護を得た掌手に種を鷲掴み、一気に過熱する!
『たね~』
『たねたね~』
 然れば如何だろう。
 彼等は自ら覚醒する前に、つかさの手中で大爆発!
 空気を震わせる大音量の後、ポン菓子のような甘い香りを広げた。
 つかさは鼻梁をふうわりと撫でる蠱惑の風に佳聲を添えて、
「……これ、勿論そのまま食べても美味しいんでしょうけど、迷宮の構造体を拝借して、いい感じに色々味付けして食べるのも良さそうね!」
 美し妖し微笑を零すや、吃ッと視線はお菓子で出来た鏡台(ドレッサー)へ。
 其処に並べられた小瓶を純粋なる握力で摺り潰した彼女は、お塩にお砂糖、蜂蜜や生クリームを手に入れた。
「砕いたクッキーなんかも相性が良いかしら?」
 食欲溢るる拳には一縷の迷いも無い。
 床一面を覆うクッキーを剥して重ね、瓦割りの如くして破砕したつかさは、頗る手堅く「現地で食べる用」と「お持ち帰り用」に分けていった。
 斯くして暴食の鬼が通った跡は食べかすすら残らぬ。
「地形状況が変更されました。データを更新します」
 逐次、仲間の侵略によって情報を更新するエルはというと、オブリビオンの迷宮逆侵攻に対抗すべく、【ウイングキャット】『マネギ』(エレクトロレギオン・オルタ)を展開、MAX265体のぽちゃカワ福猫を召喚し、複数ある経路上に配備した。
『ひよひよ~、ひよひよ~』
『ひよひよ~ん』
 時に須臾。
 ひよこーんが「ぱちぱちぽんぽん」と音を立てる。
 体内の熱を放射し、迷宮全体を焦熱に呑まんと音が連鎖していくが、エルは清冽の麗顔を崩さぬ儘、友軍を指示して迎撃に出る。
「敵性体・ひよこーんの熱照射範囲攻撃の展開に対し、小隊編成による肉弾攻撃を開始」
 花唇が告げば、間断なく小肥満体翼猫式機械兵器がネコパンチにひよこーんをはたき、265体から繰り出される左右併せて530発の肉球掌打が大爆発を引き起こした。
『ひよ~ん』
『ひよひよ~』
 爆炎と轟音、そして凄まじい衝撃波に天井のキャンディーが落ち、壁のマシュマロが白粉をはたくが、やや収まった頃合いに見える光景は――。
「……。…………。」
 エルだ。
 電脳ゴーグルに敵性の消滅を認めた彼女は、罅の入ったチョコレート柱を摘み喰いしており、更に視界が晴れれば、マネギ達もミートパイの椅子を貪り喰っている。
 極上の甘味を嚥下したエルは、眼部を往復する燐光を愈々赫るくして、
「カロリーの補給を実施しました」
「電脳の処理速度が向上しました」
 淡然と二言。
 ソナグラフに示される音声波長を凛々しくした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神楽火・夢瑪
双子の姉の神楽火・遥瑠(f02078)と一緒に行動します

「ポップコーンかぁ…遥瑠ちゃんは甘いのが好きだよね」
まあ、それはともかく。今はオブリビオンとの戦いに集中集中。
でも、うう…あの子たちすっごくかわいいんですけど…!

ちゃんとやれって…遥瑠ちゃんに言われるのはなんか納得行かない…!
「わ、わかってます。ちゃんとできるもん…!」

『天星変身』!
光の翼を広げ、【残像】と【オーラ防御】で敵の攻撃を防いで突撃。強化した光の剣の【2回攻撃】から【衝撃波】を放ちます!
「全部やっつけて、お持ち帰りしてあげるんだからっ!」


神楽火・遥瑠
神楽火・夢瑪(f02079)と一緒に行くよっ!

おおおお、ここが、パラダイスか…!?
これだけお菓子があるなら、ちょっとつまみ食いしてもぜんぜんオッケーだよね。
「え?(もぐもぐ)うん、キャラメルたっぷりのやつがいいな!」

よーし。カロリー補給もすんだことだし、いっちょやりますか!
「どんだけかわいくてもオブリビオンだよ。わかってる?」

まあ、妹が頼りないぶんはボクががんばろう!
王道RPG「ドラゴンロード5」のセーブデータを代償に『メモリー・ファイター』を発動、魔王軍四天王(メタルドラゴン&暗黒法皇&ウルトラデーモン&悪の魔神覇者)を召喚!
「ふっふっふ。ボクこそが大魔王だっ!」
超豪華メンバーで一斉攻撃だ!



 迷宮は既にオブリビオンの漸近によって地形を「お菓子」に変えている。
 クッキーが敷き詰められた廊下を歩くという、中々に稀有しい感触を靴底にやってきた二つの影は、真面に広がる圧倒的絶景に跫を止めた。
「おおおお、ここが、パラダイスか……!?」
 或いは神楽火・遥瑠(テンペストナイト・f02078)にとっては楽園で在ったか。
 好奇心旺盛、食欲旺盛な少女は琥珀色の瞳を煌々と、迷宮を埋め尽くすデザートとスイーツを見渡した。
 嬉々と咲めば、元気な八重歯が覗き、
「これだけお菓子があるなら、ちょっとつまみ食いしてもぜんぜんオッケーだよね」
 云うと同時に伸びた食指は、壁のふわふわマシュマロを、チョコレートの柱を、マカロンクッションの美味を次々と味わっていく。
 双子の妹たる神楽火・夢瑪(シャイニングナイト・f02079)は、姉より幾許も慎重に、軈て来るオブリビオンの軍勢を警戒しており、
「ポップコーンかぁ……色々あるけど、遥瑠ちゃんは甘いのが好きだよね」
「え? うん、キャラメルたっぷりのやつがいいな!」
 もぐもぐと間を開けて言を返す遥瑠の能天気を少し心配しながら、間もなくその優れた聴覚に敵性の侵襲を知覚した。
『ひよひよ~』
『ひよ~ひよ~』
 ほんわりと甘い馨を放ち、ふうわりとした声で鳴く『ひよこーん』。
 軽やかな身をぽんぽん、ピョンピョンと弾ませて来る姿が何とも愛らしい。
「うう……あの子たち、すっごくかわいいんですけど……!」
 きゅ、と締められる胸に繊手を宛がう夢瑪。
 美し翡翠の色を揺らす瞳が戸惑いを見せるのは、刻下、フライパンの上で覚醒を待つ「種」ものんびりと寝転がっているからで、
『たね~』
『たねたね~』
 と、鳴いて可憐の心を擽る。
「……いけない、集中集中」
 ふるふる、と艶やかな濡烏のツインテールを振って気合を入れ直す。
 双子なれば、妹の優しさも動揺も手に取る様に理解ろう。凡そ目星いお菓子を味わった遥瑠は、義気凛然とひよこーんに正対すると同時、流眄に夢瑪を見て、
「よーし。カロリー補給もすんだことだし、いっちょやりますか!」
「……うん……」
「どんだけかわいくてもオブリビオンだよ。わかってる?」
「わ、わかってます。ちゃんとできるもん……!」
 大丈夫? 大丈夫! と視線がぶつかるのは御愛敬。
 普段は優等生の姿を見せる夢瑪が、そっと桜唇を尖らせるのが可愛らしく、
(「ちゃんとやれって……遥瑠ちゃんに言われるのはなんか納得行かない……!」)
 ぷくっ。
 普段、遥瑠の面倒を見ているのは夢瑪の方なのに、こんな時に姉らしく心配するのはズルい、と年相応にむくれる花顔も実に可憐。
 妹の愛らしさに靨笑を零した遥瑠は、愈々奮起し、
「まあ、妹が頼りないぶんはボクががんばろう!」
「頼りな――!」
 反駁の聲も置き去りに発動するは、【メモリー・ファイター】――!
 刻下、王道RPG『ドラゴンロード5』のセーブデータを代償に「魔王軍四天王」――メタルドラゴン、暗黒法皇、ウルトラデーモン、悪の魔神覇者を召喚した彼女は、凄惨なる魔のオーラを從えて中央に立つ。
「ふっふっふ。ボクこそが大魔王だっ!」
 超豪華メンバーが囲む己こそ真の王。
 不敵な笑みを湛えた遥瑠は、繊麗の指先に一斉攻撃を命じ、手数で勝る相手を高威力の攻撃力を以て押し返した。
『ひよ~ひよ~』
『たね~たね~』
 時に須臾。
 ひよこーんが放つ炎と熱が大爆発を引き起こし、魔王軍四天王と大魔王の肌膚を烈風に切り裂くが、それ以上の創痍は夢瑪が許さない。
 凛冽を帯びたソプラノ・リリコは力強く耀いて星光を喚び、
「――輝ける星々の力を借りて、世界を護る剣となれ!」
 発動、【天星変身】(テンセイチェンジ)――!
 間もなく光に包まれた少女は、超能力を強化する特殊スーツを纏い、光剣『アカシックブルー』を炯々と白ませるや、サイキックエナジーに編まれた光の翼を力強く羽搏かせ、敵群に突撃した。
『ひよひよひよ~』
『ひよ~ひよ~』
 超光熱と爆風が繊麗の躯を押し戻さんとするも、迸るオーラが光熱を防ぐ。
 この時、夢瑪は威力を増した光の劔を一閃、剣身を翻して更に一閃――弓張月と撓った衝撃波を二撃重ね、凄惨の波動にひよこーんを蹴散らした。
『ひよひよ~ん』
『ひよ~』
 ぱちぱち、ぽんぽん。
 見事にやっつけられたひよこーんは、香ばしいぱちぱちぽんぽんとなって床に転がる。
 蕩けるほど甘い馨に鼻腔を擽られた夢瑪は、然し凛然と語気を強め、
「全部やっつけて、お持ち帰りしてあげるんだからっ!」
「あー、忙しい! これ、やっつけた後の方が忙しいかも」
 ふうわり、ころんと転がったぱちぱちぽんぽんを拾い上げた遥瑠は、ぱくり、絶妙なる美味を咥内に広げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
かわいいし美味そうな匂いもして気が緩みそうだが、ここは迷宮で相手は災魔だ
気を引き締めて食べて、じゃなくて倒すぜ!

ひよこーんが放つ炎に焼かれない様に
アースジャイアントを動かして代わりに戦わせるぞ
しかもただの大地の巨人じゃない、迷宮のお菓子に優しい岩塩製だ
見えない炎でも岩塩が焼かれれば色が変わるから
迷宮の炎がある場所は岩塩で触れれば
丸わかりで見つけやすくて安全のはずだ
「へへ、ソルト味のクッキーも美味しいぜ♪」

もちろん戦闘も油断ならないぜ
ひよこーんがそこらじゅう炎塗れにしないように
なるべく岩塩巨人の腕だけで受け止めるように動いて
逆に燃える拳でリベンジだぜ
「くらえ、ソルトフレイムパーンチ!」


ナミル・タグイール
食べ物いっぱいにゃ!あまあまうまうまデスにゃー。
でっかいミートパイを食べながらシュークリームクッションでだらだら寛ぐにゃ。
快適にゃー。このままでも困ること無さそうだしほっといちゃ駄目デスにゃ?

にゃ。美味しそうなやつがいるにゃ……熱いにゃ!
熱すぎにゃ!いい匂いだけどこっち来るなデスにゃ!
食べてみたいけど近づきたくないにゃ。
離れた場所からUCを使ってペンデュラムを操作
鎖を伸ばしながらいっぱいぶっ刺して確保していくにゃ!
刺すだけで倒せないならペンデュラムの【呪詛】でも攻撃にゃ。
いっぱい貫いて団子みたいにしちゃうにゃ。
食べれる温度まで下がったら齧りつくにゃ!うまうまにゃー!



 未だ大軍勢の影は見えず。
 然し空気を伝って広がる馨だけで、殺伐の迷宮をポップなお菓子の世界に変えてしまう――驚異的進撃は凄腕の猟兵をも搖るがした。
 先ず、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)が陥落する。
「食べ物いっぱいにゃ! あまあまうまうまデスにゃー」
 宝玉の如きオッドアイを耀かせた巨猫が、ふわふわシフォンケーキベッドにダイブ。
 その弾みにポヨ~ンと跳ねたシュークリームクッションを集めて寛ぎ始めたナミルは、傍らのでっかいミートパイをぱくり。
「外はサクサク、中はジューシー、お肉の旨味がいっぱいにゃー」
 お口の周りにパイ生地を付けながら瞳を細める巨猫の隣、グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)は、バームクーヘンソファに武具を並べて装備を整えつつ、メルヘンな周囲を見渡した。
「かわいいし美味そうな匂いもして気が緩みそうだが、ここは迷宮で相手は災魔だ。
 気を引き締めて食べて――じゃなくて、倒すぜ!」
 抱いて良し、食べて旨しパステルカラーのマカロンピローに伸びる手を堪える。
 視界の端には、ナミルが猫本能全開でゴロゴロしており、
「快適にゃー。このままでも困ること無さそうだし、ほっといちゃ駄目デスにゃ?」
「そうだなぁ……でも迷宮に隠れたお宝までお菓子にされるかもしれないぜ?」
「!! 好き勝手は許さないにゃ!」
「――だよな」
 ベッドから跳ね起きる巨猫に艶笑を零したドワーフが、風吹く方向に正対する。
 甘い薫香が戦ぐ先に間もなく敵影を捉えた二人は、聡い聴覚に“或る鳴き声”を拾って戒心を鋭くした。
『ひよひよ~』
『ひよ~ひよ~』
 ほんわりとした表情を浮かべ、ふうわりと宙を躍る『ひよこーん』。
 彼等が弾む下では、覚醒を待つ「種」がのんびりとフライパンに寝転がっており、
『たね~』
『たねたね~』
 と、可愛らしく鳴いている。
 グァーネッツォとナミルは瞠目して佳聲を揃え、
「これは可愛いが、奴等の下にあるフライパンの高熱は可愛くないぜ……!」
「にゃ。美味しそうなやつがいるにゃ……にゃっ、熱いにゃ!」
 肌膚に触れる高温の空気に警戒した矢先である。
 無数のひよこーんと、熱されて目覚めた種が一瞬で爆ぜ、グァーネッツォの小麦色の柔肌と、ナミルの美しい毛並みにポコポコと体当たりした。
「ッッ……見えない炎も厄介だが、そこらじゅうに燃え広がったらまずいな」
「熱すぎにゃ! いい匂いだけどこっち来るなデスにゃ!」
 二人が然う零した瞬間、一瞥を交して戦術を共有する。
 近接は不利と読んだ歴戦の猛者は、左右に分れて「ひよひよあたっく」を躱すと同時、敵と距離を取って反撃に掛かった。
「大地の巨人よ、オレ達の代わりに炎を受け止めてくれ!」
 顕現、【アースジャイアント】――!
 大地に感謝を捧げつつ、グァーネッツォが己の前に喚んだ巨人は迷宮のお菓子に優しい岩塩製。
 天井のキャンディなど、地形が変われば此方の不利になるお菓子もあれば、多くの仲間が戦利品として持ち帰ろうとしているお菓子も多い。
 グァーネッツォは優しさと賢さを以て巨人を操り、
「たとえ炎が見えなくても、岩塩で触れれば焼かれて色が変わるから、炎がある場所は巨人の腕を見れば丸わかり……これなら安全に見つけられるはずだ」
 其は自然に目を注ぎ続けるグァーネッツォならではの智慧。
 炎を可視変換する事で、他の多くの仲間も危険を回避する事が出来たろう。
 怪腕を十字に組んで何撃もの「ひよひよあたっく」を阻止した巨人の腕は、今こそ燃え上がる赫拳となり、
「くらえ、ソルトフレイムパーンチ!」
 炸裂――ッ!
 大地に振り下ろすやフライパンを叩き割って、クッキーの床まで貫通させた。
『ひよひよ~』
『たねたね~』
 ヒヨコはぽんぽん、種はポコポコと弾んで逃げ出すが、迷宮中を(若しか宝箱まで)お菓子にしてしまう連中を、ナミルが逃がす筈が無い。
「離れた所から鎖を伸ばして、いっぱいぶっ刺して団子にしていくにゃ!」
 発露、【呪飾の導き】(カタラ・エクレメス)――。
 呪詛を纏った黄金のペンデュラム『導呪の振り子』は、此度ひよこーんをグッサリ刺すべく鋩を細く尖らせると、術者の意の儘に伸縮して串刺しにしていく。
『ひよ~』
『ひよこ~ん』
 サクサクと軽やかな音を立て、自らも振り子となっていくひよこーん達。
 ペンデュラムが迷宮中を躍り終えた頃には、ひよこーんが数珠繋ぎに並んでおり、
「……いっぱい貫いたらネックレスみたいになっちゃったにゃ」
 つんつん、と爪で触って温度を確めるナミル。
 猫舌な彼女が口にしても大丈夫な程に冷めれば、ナミルは喜色満面に齧り付き、
「……!! うまうまにゃー!」
 あまりの美味に電飾の輪が「てってれー♪」と光りそうな程。
 斯くして巨猫が「ひよこ型ぱちぱちぽんぽん」に惚ける傍ら、グァーネッツォは巨人の地割りによってお手軽サイズになったクッキーを一撮みして――、
「へへ、ソルト味のクッキーも美味しいぜ♪」
 ふうわりと。
 こちらも極上の咲みを浮かべ、戦闘の疲れを少しだけ癒した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エルナ・ミューレン
蛍輝(f17592)と

そうだね、まずは災魔の対応から(きりりとしつつも、お菓子な雰囲気にそわそわ)

美味しそうね、蛍輝……!とってもいい香りがするよ、お腹が空いちゃうね。

攻撃は任せてね。
可愛くて美味しそうだけど、手加減しないよ。
氷を纏わせた花弁で、ひよこーんをまとめて攻撃。
接近してきた子は、アストラで対応するよ。
氷を纏ったアストラを使って受ける。そのままカウンターで串刺しに。

ぱちぱちぽんぽんの熱で溶けたチョコレートを、氷で冷やしてチョコ味のぱちぱちぽんぽんにするね。
冷ましてあげる。……あっ、でも冷めちゃうと美味しくなくなっちゃうかな?


四葉・蛍輝
エルナ(f18527)と

美味しそうな依頼と聞いて
表情は変わらずともうきうきした様子で参加
とはいえ、災魔の進行阻止が重要だものね、頑張ろうか

わぁ、すごいねエルナ!
お菓子の迷宮になっているよ
美味しそうな香りに包まれててここはいいところだね……おっと、敵が……敵もとても美味しそうだね
それじゃ、守りは任せて
敵の攻撃に合わせてUCを発動して相殺
隙をついて『ElementalCylinder』に風の精霊の力を纏わせてチョコレートの柱を撃ち削りながら攻撃【属性攻撃】【地形の利用】【援護射撃】
せっかくだからチョコ味に変えてしまいたいよね



 迷宮深層からオブリビオンの大軍勢が侵攻してくる――。
 慥かに事態は深刻で、まだ敵影が視えぬ裡から馨香のみで迷宮をお菓子に変えてしまう脅威は甚大、なのだが、視界に飛び込む景色は余りに蠱惑的だ。
 近年の災魔の凶暴化に警戒しつつ、地下へとやってきた四葉・蛍輝(蛍火の鍵・f17592)とエルナ・ミューレン(銀雪の騎士・f18527)は、一面に広がる甘美に嘆声を揃えた。
「わぁ、すごいねエルナ! お菓子の迷宮になっているよ」
「どれも美味しそうね、蛍輝……! 甘い香りを嗅ぐだけで、お腹が空いちゃう」
 壁伝いに添えていた手を包み込むマシュマロ壁。
 元の彫刻は其の儘に、荘厳を失わぬチョコレート柱。
 来たばかりなのに全力でダイブしたくなるシフォンケーキベッド。
「……ここはいいところだね」
 その端整に豊かな表情は浮かべられずとも、軽やかな跫に昂揚を滲ませていた蛍輝は、クッキー床の稀有しい感触に佳聲を弾ませ、隣するエルナを見る。
 彼女はと云うと、
(「これ、すごく可愛い……」)
 エルナは透徹の瞳を煌々と耀かせ乍ら、パステルカラーのマカロンピローと、ふわふわシュークリームクッションの愛らしい形に目を留め、思わず足を止めていた。
 魅惑の馨は今も二人の鼻梁を撫で、カラフルなお菓子達が食欲を唆る。
 然し二人は誘惑に耐えて声音を凛々しくし、
「――とはいえ、災魔の進行阻止が重要だものね、頑張ろうか」
「そうだね、まずは災魔の撃退から。確り対応していかないと」
 義気凛然、間もなく侵襲するオブリビオンの気配に五感を研ぎ澄ませた。
 此処で鋭く反応したのは聴覚であったろう。
『ひよひよ~』
『ひよ~ひよ~』
 表情はほんわりと、挙措はふうわり宙を躍る『ひよこーん』が刻下、姿を現す。
 彼等がポコポコと弾む下では、覚醒を待つ「種」がのんびりとフライパンに寝転がっており、
『たね~』
『たねたね~』
 と、ゆる~く鳴いている。
「……おっと、敵が……敵もとても美味しそうだね」
「これがひよこ型オブリビオン……可愛い……」
 一瞬、二人の頬が緩むも、丹花の唇は直ぐに結ばれる。
 清冽なる闘志を纏った蛍輝が精霊銃『ElementalCylinder』を構えると同時、エルナは細劔『アストラ』を抜いて清澄の輝きを暴く。
 感情を結び合った両者は以心伝心、短く聲を交しただけで戦陣を共有し、
「攻撃は任せてね」
「それじゃ、守りは任せて」
 其々に爪先を弾き、動き出す。
『ひよひよ~』
『たねたね~』
 ひよこーん達が「ぱちぱちぽんぽん」と音を立てたのも当にこの時。
 彼等は体内に宿した超光熱を一気に解放するや、凄まじい爆轟に迷宮全体を衝き上げ、その爆風に我が身を運ばせつつ、前衛のエルナに襲い掛かった。
 然し可憐は凛冽の瞳に射て邀撃し、
「可愛くて美味しそうだけど、手加減しないよ」
 発動、【鈴蘭の嵐】――!
 無数に舞うスズランに氷属性の魔法を掛け、氷花と躍らせて角逐した。
『ひよ~』
『ひよこ~ん』
 悲鳴ものんびりとした彼等に肩透しを喰らうも、颶風の隙間を縫って肉薄する個体は、再び輪郭を取り戻した『アストラ』の剣鋩に串刺しにする。
「援護するよ」
 時に差し込むは蛍輝の優艶なるテノーレ・リリコ。
 既にひよこーんの熱放射を視た彼ならば、【ミレナリオ・リフレクション】――全く同じ熱量と質量を生成して相殺できよう。
 そよ風に艶髪を梳らせた蛍輝は、次に風の精霊を喚んで『ElementalCylinder』の魔弾に籠めると、勢い良く銃爪を引く。
「せっかくだからチョコ味に変えてしまいたいよね」
 照準は重厚なるチョコレート柱。
 冴ゆる弾道に柱を剔抉すれば、砕かれたチョコレートは宙空を躍るうち周囲に満つ熱に溶け、エルナが据わる前衛へ――。
 彼女の手元には凍気を帯びた『アストラ』が、ぱちぱちぽんぽんを団子の様に串刺しにしており、丁度そこにチョコレートの雨が降る。
 蛍輝とエルナは距離を隔てた儘、ふうわりと瞳を繋いで、
「うん、チョコレート掛けのポップコーンみたいになったね」
「……あっ、でも冷めちゃうと美味しくなくなっちゃうかな?」
 つんつん、と啄く繊麗の指に視線を集める。
 少し心配そうに疑問符を浮かべたエルナに対し、蛍輝は優しく語尾を持ち上げ、ひょいとひとつ、摘んで見せた。
「でも美味しそうな香りに包まれてて、いい感じだよ?」
 麗人の指に誘われる儘に、可憐もひとつ桜唇に運ぶと、暫しモグモグした後に鈴振る様な聲を転がした。
「チョコ味のぱちぱちぽんぽん、うん――美味しい」
 美し銀雪の騎士の口元が緩む。
 その表情を見た蛍輝にも、僅かに喜色が移った――気がした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カミンスキー・テレサ
【風月華から参加】
なんと! 奇怪な生物でありますな…!
これは非常食に…もとい、きっちり倒さなくてはならないであります!
猟兵の力を旅団の皆様と共に見せつけるでありますよ!

【強制改心刀】で攻撃するであります!
これを上手く使えば、侵攻を止めることができるであります!
改心させた敵は上手いこと確保するであります!
何かの役に立ってもらうでありますよ!


朝沼・狭霧
【風月華から参加】
【呼び方】ベイメリア、テレサちゃん
ひよこかわいいです・・・
あれ、敵なんですよね?
まわりもチョコだったりクッキーだったり
なんて誘惑のの多いダンジョン
これはお土産に持って代えならないと・・・
じゃなくてひよこーんの進行を食い止めないとですね

ベイメリア、ちょっとお腹すいてそうですね、
でもこれは私も・・・
きゅるるー、でも思わずお腹が鳴ってしまいます
聞かれたかしら?


そうですね、見せつけるでありますよ♪
テレサちゃんと声を合わせて戦いに臨みます



【だいかいじゅーねこさんの召喚】で巨大なねこさんを召喚
「ねっこねこ、にゃーん♪」
オブリビオンごと食べてもらいましょう
おなか壊さないようにねー


ベイメリア・ミハイロフ
【風月華から参加】

まあ、ひよひよと、なんておかわいらしい…
それとは別にまた、芳しい香りが…
まわりのお菓子の香りも相まって、なんだかお腹が空いて参りました
…いえ、まずは、ひよこーんさんをお止めしないと、でございますね
テレサさま、見せつけるであります、でございますね!(拳をぐっと

こちらからはRed typhoonにて
範囲内に入ったひよこーんさんたちを攻撃
すみません、おかわいらしいひよこさん…
なんだか罪悪感を感じながら

ひよひよあたっくもぱちぱちぽんぽんもおいし…いえ、お熱そうでございますね
熱でチョコや飴の類が溶けて、それはまたおいしそうな…

ああっそれにしても、やはりおかわいらしい…!


お名前+さま呼び



 迷宮深層からオブリビオンの大軍勢が侵攻してくる――。
 事態は焦眉の急を告ぐ筈が、迷宮はポップでキュートなお菓子の世界に塗り替えられ、其処に影を差す敵もまたほわほわ、ぽんぽんと仇気(あどけ)なく跳ねる――戦場は何処か穏やかな空気に包まれていた。
 鋭気に満ちた猟兵の多くが和んだのは、その鳴き声だろう。
『ひよひよ~』
『ひよ~ひよ~』
 柔かく、間延びした聲で鳴いては宙を躍るポップコーン型オブリビオン。
 彼等がふうわりと甘い馨香を放つ下では、覚醒を待つ「種」がのんびりとフライパンに寝転がっており、
『たね~』
『たねたね~』
 と、眠たそうに瞳を細めている。
 クッキー床の稀有しい感触を踏み締めて地下二階に到った朝沼・狭霧(サギリ先生・f03862)は、優艶の瞳に映る和やかな景に瞠目し、
「かわいいひよこが、いっぱい…………あれ、敵なんですよね?」
「ええ……それにしても……まあ、ひよひよと、なんておかわいらしい……」
 慥かにあれこそが『ひよこーん』に間違いないと首肯を添えるベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)も、彼等の愛らしさに玲瓏なるスフェーンの瞳を輝かせる。
 二人の典雅の跫に続いたカミンスキー・テレサ(厳格なる守護者・f23215)は、表情は乏しくとも元気な佳聲を迷宮に響かせ、
「なんと! 奇怪な生物でありますな……!」
『ひよ~ん?』
 視線を合わせて数秒。
 メープルシロップ味の携行保存食が好物たる少女は、ひよこーんが蜂蜜と相性が良さそうだと内心で垂涎する。
「これは非常食に……もとい、きっちり倒さなくてはならないであります!」
 然う凛然を萌した時、芳醇なる馨が彼女達の鼻腔を掠めた。
 ひよこーん達が放つ香気とは別のものだと気付いたベイメリアは辺りを見渡し、
「これは、まわりのお菓子の香り……?」
「チョコレートの柱に、マシュマロの壁に……なんて誘惑の多いダンジョン」
 メゾを澄み渡らせる狭霧は、奥部にあるふわふわシフォンベッドに驚いている最中。
 足元に無造作に転がるパルテルカラーのマカロンや、柔かなシュークリームクッションも愛らしい色味と形で心を擽り――それ以上に彼女達の食欲を唆った。
「……なんだかお腹が空いて参りました」
「ベイメリア、ちょっとお腹すいてそうですね」
 と、二人の佳聲が重なった瞬間。
 きゅるるー、と狭霧の腹の虫が空腹を訴える。
 聞かれたかしら? と恥ずかしそうに仲間を見た狭霧だったが、彼女の双瞳は間もなく敵群に歩み出すテレサに繋がれた。
 厳格丁寧な軍人口調で退魔の霊刀を構えた少女は、雄渾と聲を張り、
「猟兵の力を旅団の皆様と共に見せつけるでありますよ!」
 その凛然に力を得たベイメリアに続き、狭霧も芙蓉の咲みを零す。
「テレサさま、見せつけるであります、でございますね!」
「そうですね、見せつけるでありますよ♪」
 片やぐっと拳を握り込め、片や月白の幽光をオーラに纏って。
 清冽なる闘志を迸らせた【風月華】のメンバーは、刻下、超光熱を放射するひよこーん達に正対した。
「――先陣を切るであります!」
 時に須臾。
 テレサがクッキーの床を蹴って疾走る。
「これを上手く使えば、きっと侵攻を止めることができるであります!」
 劔閃、【強制改心刀】――ッ!
 渾身の力を振り絞り、真一文字に振うは「邪心」を祓う退魔刀。
『たね~たねたね~』
『たね~たね~』
 破魔の霊力を秘めた冴刀が敵群を薙ぐや、低く地を疾った斬撃はフライパンの上に寝転がる種の「はじけようかな」というわるいこころのみを断ち、その覚醒を阻む。
 既に弾けてヒヨコとなった彼等を掣肘するはベイメリア。
「こちらのひよこーんさんをお止めしないと、でございますね」
 麗しソプラノ・リリコが聴こえる範囲が彼女の「射程」であったろう。
 慈悲の劔『† curtana †』は鋩から解けて深紅の薔薇の花びらと化し、50m半径内に存在するひよこーん達を踊り斬る――其は【Red typhoon】(レッドタイフーン)。
『ひよ~ひよひよ~』
『ひよ~ん』
 悲鳴も穏やかなれば、紅の聖花の洗礼を与えた聖女は、ちくりと胸に針が刺さろう。
「すみません、おかわいらしいひよこさん……」
 彼女は罪悪感に柳葉の眉を顰めつつ、然し決して威を弱めず花嵐を紡いだ。
「討ち漏らした個体は、ねこさんに食べてもらいましょう」
 間隙を容れず次撃を継ぐは狭霧。
 丹花の唇は軽やかに弾んで“無敵”を具現化し、
「ねっこねこ、にゃーん♪」
 【だいかいじゅーねこさんの召喚】(ダイカイジュー・キャット・サンジョー)!
 確固たる意志の下に現れた巨大な猫は、隊列の乱れた敵群に飛び込むや、健啖の向かう儘にひよこーんを喰らい始めた。
「はい、ねこまっしぐら♪」
「にゃーん! にゃにゃー!」
「おなか壊さないようにねー」
 主が繊手を添えて聲を送るが、巨猫の腹はそう簡単には満たされまい。
 大きな肉球に捕まったひよこーんらは、次々に胃袋へと運ばれてしまった。
『ひよひよ~』
『たねたね~』
 斯くして四半刻経たず。
 テレサが種の覚醒を断ち、ベイメリアが広範囲の敵を駆逐した後、狭霧の巨猫が着実に個別撃破する――三人の見事な連携に、ひよこーんは次第に数を減らしていった。
 脅威を齎す数を制した彼女達は、次なる行動に移る。
「改心させた敵は確保するであります! 何かの役に立ってもらうでありますよ!」
『たね~』
 より瞳がピュアになったひよこーんの種を集めて戦場を駆けるテレサ。
 少女が巻き起こす風に艶髪を揺らしながら、狭霧は覚えず瞳を細めており、
「ひよこかわいいです……これは絶対お土産に持って帰らないと――じゃなくて、敵の侵攻を食い止める為に確実に確保しましょう」
『ひよひよ~』
「あっ、待って――」
 ほよよんと繊麗の躯を擦り抜けた個体は、然しベイメリアの胸に飛び込んでしまった。
「ふふ、捕まえましたよ」
『ひよ~』
 両手の上に乗せてみれば、自身の熱で融かしたのか、チョコレートを潜って香ばしさを増しており、何とも甘美な姿で胸を苦しめてくる。
 ベイメリアは思わず蛾眉を寄せ、
「ああっそれにしても、やはりおかわいらしい……!」
 御用となった「ぱちぱちぽんぽん」にふうわりと、塊麗の微笑を注いだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

イア・エエングラ
おやまあ、ぽこぽこ、おいし、いえ、可愛らし
随分良い頃合いに、弾けたことなあ
ひとつ摘んでしまいたくなるかしら
ことんと傾げて見回して、ちいさな咳払い
キャラメルのお化粧にマシュマロでお休み
そうしたらきっと楽しく召し上がれるねえ

……どうにも、お腹の空いてくるかしら
僕らお仕事、しにきたのだもの
きちんと退治を、せねばねえ
すこうし触ってみたいだなんて
ちょっと齧りたい心地だなんて
そんなことは、ないのよう
ね、と可愛らしいお声に尋ねれば
頬の緩むのは見逃しておくれね

そうっと手伸べて弾くのは
僕の手持ちのあかい、星
赫辜でもって収穫しましょ
ひとつとのこらず弾けるならば
きっと甘やかな薫りが届くから
うん、美味しく出来たねえ


都槻・綾
ひよこーん達の弾ける音は
正に破竹の勢いで

――あぁ
なんて美味しそうな香り

口を開けていたら勝手に
飛び込んできて食べ放題に…?

此れだけの甘味があって
食さぬことこそ大罪なのでは?

などと
めくるめく魅惑の妄想に陥りかけつつ
表情崩さぬ呟きも
密やかに鳴く腹の虫も
マシュマロ壁の柔らかさが
消音してくれると信じてる(真顔)

食べ物を踏みつけるのは抵抗があるので
無駄なくらい真剣に第六感を煌かせて
床クッキーの境目など
可能な限り地形を利用できる場所を即座に判断

符を放ちて生じる鳥葬の
数多なる羽搏きで
ぽっぷこーんを啄み食ら――待って
ずるくないですか
私も食べたい

ひよこーんに群がる鳥の幻影は
公園で見る鳩の猛群にも思えるかもしれない



 大軍勢の漸近に先立って侵入する馨香が、殺伐の迷宮を塗り替えていく。
 其処には、御伽噺の絵本を披いたような幻想の世界が在った。
「――あぁ、なんて美味しそうな香り」
 品佳く通った鼻梁を擽る甘美な馨に、紅花の唇が綻ぶ。
 典雅の跫を連れて地下二階に到った都槻・綾(夜宵の森・f01786)は、牛酪(バター)の風味を漂わせるクッキーの床面に青磁色の双眸を落すと、そっと足を止めた。
「元は冷たい甃と理解ってはいても、食べ物を踏みつけるのは憚られます」
 失礼、と断りを入れて隙間を往く。
 僅かな歩武にも戒心を鋭くして進んだ綾は、飴細工の階段から聴こえ始めた鳴き声に、長い睫を持ち上げた。
『ひよひよ~』
『ひよ~ひよ~』
 ぽんぽん、ほよほよ。
 柔かく穏かな表情で宙を舞うは、ポップコーン型オブリビオン『ひよこーん』。
 彼等がふうわりと甘い香気を放つ下では、覚醒を待つ「種」がのんびりとフライパンに寝転がっており、
『たね~』
『たねたね~』
 と、間延びした声で鳴いている。
「おやまあ、ぽこぽこ、おいし、いえ、可愛らし」
 オブリビオンの進撃とは思えぬ穏やかな空気に、あわいテノーレ・リリコを置いたのは、イア・エエングラ(フラクチュア・f01543)。
 美し白磁の繊手をマシュマロの壁に滑らせた彼は、凡そ戦場らしからぬお菓子の世界にことんと首を傾げつつ、あおい星の瞳を巡らせる。
 元の重厚を失わぬチョコレートの柱。
 優しく躰を受け止めてくれそうなシフォンケーキのベッド。
 パルテルカラーのマカロンに、ふわふわシュークリームのクッションも転がって。
「……どうにも、お腹の空いてくるかしら」
 そのどれもがイアの鼻頭を甘く擽るものだから、彼は困った様に瞳を細め、中でも飛び切り心を惑わせる――ひよこーんに優しく囁(つつや)いた。
「僕らお仕事、しにきたのだもの。きちんと退治を、せねばねえ」
 通せんぼするのは意地悪でなし。
 カラフルなキャンディの天井を抜ければ、非戦闘員を含んだ魔法学園の“日常”が在ると視線に示して見せるが、ひよこーんは我知らずと宙空を浮いた儘。
『ひよひよ~ひよひよ~』
「……すこうし触ってみたいだなんて、ちょっと齧りたい心地だなんて」
『ひよ~?』
「――そんなことは、ないのよう」
 ね、と柔かく語尾を持ち上げ、暫し瞶め合う。
 大地に慈雨の染む如く、ほと、と鈴の音を置くイアの頬が覚えず緩む。
 いや、暫し刻(とき)を止めてしまうのは綾も同じか、彼は魅惑の香気に誘われる儘、めくるめく妄想の世界を搖蕩って、
『ひよひよ~ひよ~ん』
(「……口を開けていたら勝手に飛び込んできて、食べ放題に……?」)
『たね~たねたね~』
(「其にしても、此れだけの甘味があって食さぬことこそ大罪なのでは?」)
 ――嗚呼、罪な。
 麗顔ひとつ崩さず呟く彼に代わるは腹の虫か、きゅる、と躊躇いがちに空腹を訴えた音は、然う、きっとマシュマロ壁の深い弾力が受け止めてくれよう。
 凝縮された時間(とき)の中、ひよこーんの愛嬌溢るる誘惑に甘んじた二人の麗人は、然しひとたび時の針を動かせば、清冽を帯びて凛々しく耀く。
 先ずはイア。
「キャラメルのお化粧にマシュマロでお休み。
 ――そうしたらきっと楽しく召し上がれるねえ」
 丹花の唇を擦り抜ける聲は婀娜に優艶に。
 繊麗の躯が熱風を過ぎる様、そうっと手伸べて弾く――【赫辜】(ユーディアライト)。
 赫るく耀る星の剥片は、彼の佳聲が届く範囲、詰り48m半径内を射程に、婚星の如く光を尾と引いて墜ち、ふうわりと漂うひよこーんを悉く床に転がしていく。
『ひよー』
『たねー』
 ひよこも種も、悲鳴すら間延びするゆるい戦場。
 蓋し彼等も負けじと超光熱を放ち、或いは覚醒して超爆発すれば、イアと綾の服の生地をポコポコと叩いて「ひよー!」と勝ち誇る。
「おや、まぁ」
「――ひとつ摘んでしまいたくなるかしら」
 ひこよーんに悟られぬよう目配せを交し、今度は綾が霊符『織』を烈風に踊らせる。
「時の歪みに彷徨いし御魂へ、航り逝く路を標さむ――」
 喚ぶは、【鳥葬】(ヨミシルベ)。
 力強い羽搏きが風を打つや、陰陽五行の霊気に満たされた鳥がひよこーんを啄み、悉く喰らって――。
「――待って。ずるくないですか」
 私も食べたい、と綾が詰るのも稀有(めずら)しかろう。
 僅かに瞠目した彼の瞳には、ひよこーんに群がる鳥の幻影が当に公園で見る鳩の猛群の様に見える。
 之にはイアも靨笑を禁じ得ぬか、現下、透徹の藍瞳に映るは、ひよこーんが「参った」とばかり邪気を手放し、甘くて美味しい「ぱちぱちぽんぽん」へと姿を変える佳景。
 出来立てほわほわの其を繊指に一撮み、口に運んだ二人は一気に華やいで、
「これは、なんと芳醇な……」
「――うん、美味しく出来たねえ」
 と、感歎の聲を揃えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『マダム・プディング』

POW   :    ア・ラ・モード!
【焼きプリンの魅力】【生クリームの魅力】【新鮮フルーツの魅力】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    おやつの時間よ!
【巨大なフルーツやプリンの塊】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    ほぅら、いい香りね?
【勢いよく開いた日傘】から【抗えぬバニラの芳香】を放ち、【香りに陶酔させること】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

『ひよひよ~』
『たねたね~』
 ぷわぷわと宙空を漂っていたひよこが、覚醒を待つ種が次々と収穫……駆逐される。
 メルヘンなお菓子の迷宮を包んでいた熱気が収まった頃には、彼等は猟兵の腹の中か袋の中に収まってしまったが、それでも靜粛は訪れなかった。
 侵攻を阻むべく猟兵が足を進め、地下三階に到った時。
 篦太い年増女の声が聴こえた。
『アドミラーブル(素晴らしスィ)! これが猟兵!!』
 胸を押し上げる様な大音量に迷宮全体が搖れる。
 声の方向に視線を繋げば、太いのは声のみに非ずと合点しよう。
 全体的にボリューミーで視界に迫る恰幅は、馨香も馥郁と、甘いバニラを香らせ、
『わたくしの可愛いヒヨコちゃん達を全部食べちゃったのは、貴方達が初めてよ!』
 マジストラル(お見事)!
 貴婦人とは思えぬごっつい手が、それでも優雅に手を叩く――彼女は美嗜夫人『マダム・プディング』、迷宮深層でお菓子の迷宮のフロアボスと居座っていたオブリビオンだ。
 マダムは猟兵の精悍を賞賛すると、訊かずとも事情を語り始め、
『ずっと深層で勇者を待っておりましたけれども。誰も来ないし、時たま来た勇者もヘナチョコ過ぎて、わたくし、それはもう飽き飽きしておりましたの』
 マダムは典雅の淑女だが、お転婆の心を手放した訳では無い。
 素敵な人が現れないなら、自分から攻めに行けば佳いじゃない! という精神で、このたび逆侵攻を掛けて来たのである。
 マダムは日傘を差すと、一際強いバニラの馨を放ち、
『食べて頂戴とは言わないわ。
 わたくしを無理矢理に! 強引に! 颯爽と! 陥落(おと)してみなさい!』
 と、凄まじい勢いで猟兵達に襲い掛かって来た!!
白斑・物九郎
●SPD



ハロウィンはワイルドハントの『初日』ですわ
嵐の行軍、見せてやりまさァ


・【ダッシュ】で接近開始

・【怪力】でひっぺがしたクレープ生地の絨毯で巨大フルーツを【なぎ払い】、勢いそのまま生クリームの噴水へ突っ込んで巨大クレープを完成させる(地形の利用)

・プリン塊には【ガチキマイラ】で対抗
・体表面に獅子頭を顕し、全身で突っ込む
・プリンをトンネル状に喰らい抜き、疾走の勢いを止めぬ狙い

・ダメージはこれら菓子喰らいでリカバリしつつ接近!


無理矢理が好みなんですかよ、マダム?


・接近完了次第、尖った【野生の勘】に裏打ちされたワイルドさと共に顎クイ&壁ドン(グラップル)で迫り、マダムもガチキマイラでひとかじり



 迷宮深層で勇者を待ち続けて幾星霜、退屈を持て余していた『マダム・プディング』にとって、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)という男は刺激に満ちていた。
『デリッシュゥ(甘美)! おやつの時間よ!』
 華麗なるウォークと共に、瑞々しいカットフルーツと濃厚なプリンを振り撒く。
 あまりの巨きさに跫を止めた勇者が、その場で圧し潰されるのが毎度の景であったが、物九郎は飴細工の階段を強く踏み込むと、光散らす破片を置き去りに疾駆した。
「ハロウィンはワイルドハントの『初日』ですわ」
『ワイルド、ハン――』
「嵐の行軍、見せてやりまさァ」
 蓋し彼は勇者に非ず。
 己が名と、其の言葉のみを記憶に降り立った孤独の王は、マダムの視界に入った刹那、素色に影を隠した。
『ウプスッ(あら)?』
 其がクレープ生地の絨毯だと気付いたのは、すっかり引っ剥がされた後。
 大きく波打った絨毯は翩翻と飜ると、向い来る果実の飛礫を包み込み、勢いはその儘、生クリームの噴水に潜らせ、巨大クレープの出来上がり!!
 大きな生地を斯くも自在に操る四肢の動きも目覚ましかろう、マダムは少女の様に声を転がして感歎を零した。
『シュエットゥ(素敵)! でもまだプリンがありましてよ?』
 答えは須臾に示される。
 巨大クレープをそっとシフォンケーキベッドに置いた物九郎は、【ガチキマイラ】――我が体表に獅子頭を顕し、プルプルの巨塊へ身ごと突貫した。
『オーララ(まあ)! 何という事……!』
 プリンをトンネル状に剔抉するでなく、喰らい抜く――!
 精悍の躯に顕れた獅子がペロリと口周りを嘗め擦るのも小気味佳かろう、極上の甘味を摂取して衝突のダメージをリカバリした物九郎は、更に加速して敵懐へと侵襲した。
『ッ――!』
 接近を拒んで放つ二撃目は――間に合わない。
 刻下、恐ろしく冷たい低音が美嗜夫人の鼓膜に迫った。
「無理矢理が好みなんですかよ、マダム?」
 その男は。
 半ば伏せた長い睫が縁取る瞳の奥、闘争を宿した黄金色の虹彩は霹靂と耀き、獲物と認めた夫人を矢の様に射抜く。
 数多の強敵を屠った王の掌手は精悍に、耳の際を過ぎてマシュマロ壁に叩き付けると、その波動に身を強張らせた夫人の顎をそっと持ち上げた。
 あまりにワイルドな壁ドンと顎クイに、貴婦人は耐えられまい。
『んっまっ……わ、わたくしを如何するおつもり……!?』
 動揺に視線を逸らした瞬間、ぷるるんと震えた首筋に獅子が噛み付き、
「希み通り――陥落(おと)すまでッスよ」
『ギャーッ!!』
 刻下。
 獣の牙が甘美を味わった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セツナ・クラルス
……!
途轍もない美味しそうな香りに、
一瞬わくわくしたが聖者の意地で耐える
ふ、ふふ…救世主たるものこの程度で心を動かしてはいけない、ね…
(一生懸命耐えてる)

無理矢理、というのは私は好みではないのだよね
――だからあなたが自主的に堕ちればいいのではないかな
おいで?
あなたの罪は私が引き受けよう

属性魔法でマダムの足元の地面を隆起させよろけさせよう
とはいえ、美味しそう(?)な彼女の掌を土で汚させる訳にはいかないからね
倒れてしまわないように支えようか
おっと、大丈夫かな
…ふふふ、やはり自ら堕ちにきてくれたのだね
嬉しいよ
そんなことを嘯きながら、灯火で焼きプリンにしてしまおう

ああ…いい匂いだねえ…


グァーネッツォ・リトゥルスムィス
豪快なおばちゃんは親しみを感じるが、
侵攻して人に迷惑を掛けるのは頂けないな
ここで夢から覚めて貰うぜ

各スイーツの魅力には小竜形態になっている竜槍のファンに
ほっぺを抓って貰って狂気や状態異常に耐性を持たせる
「ナイスだファンんん、いつつ」
日傘やスイーツでの攻撃にはマダムの力強さを逆に利用すべく
粉っぽいお菓子の地形にわざと追い込まれた振りをして
マダムの、あるいはオレ自身の攻撃で崩れたお菓子の煙幕に紛れるぜ

目立たない様にファンを槍に変身させて
かすり当てでもいいから槍の一撃を食らわせるぞ
「勇者だけじゃなくてドラゴンも招待してやるぜ!」
召喚するのは甘いの大好き超甘党ドラゴン、
豪快な食べっぷりに期待だぜ



 最終防衛ラインたる地下二階を制圧し、敵を地下三階に押し込んだ猟兵達。
 其処は更にお菓子の侵蝕が激しく、ビスケットにクラッカー、ゼリービーンズやタルトが無造作に転がって、足の踏み場を無くしていた。
 ここに美嗜夫人『マダム・プディング』がオペラ歌手顔負けの大声量を発せば、甘美の楽園は一瞬にして法悦の地獄と堕ちよう。
『召しませ、ア・ラ・モードッ!! 佳い馨が漂うでしょう?』
 甘さも過ぎれば紫毒と變わらぬ。
 瑞々しいフルーツの鮮度を更に際立たせ、状態異常に対する耐性を強化したマダムは、同時に日傘を開いて濃厚なバニラの芳香を放った。
『デリッシュゥ(美味)! 抗えぬ陶酔が勇者の進撃を阻みましてよ!』
「…………!」
 常闇の世界より到ったセツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)は、漆黒の瞳に飛び込む見事な精彩と、品佳く通った鼻梁を擽る馨香に一瞬、極上の甘美を得る。
 くらり、視覚と聴覚を惑わされた彼は、眉間に繊指を宛てて雑念を振り払い、
「ふ、ふふ……救世主たるもの、この程度で心を動かしてはいけない、ね……」
 意地で耐える。
 一生懸命耐える。
 聖者を斯くも動揺させる魅惑の馨香は、単に食欲を刺激するのみならず、周囲の環境も相俟って怠惰を貪りたくなる情動を煽った。
「……この場で眠りこけたくなるぜ……」
 例えば、あのワッフルベッドのふかふかでホカホカな生地に埋もれるとか――。
 グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)も、つい時を奪われてしまうが、『幽冥竜槍ファントムドラゴンランス』は主の気の緩みを許さず、小竜の手がほっぺをきゅ、と抓った。
「ナイスだファンんん、いつつ」
 痛いが有難い。
 有難いが、痛い。
 苦笑を浮かべながら理性を繋ぎ止めたグァーネッツォは、それから目立たない様に小竜ファンを槍に變身させると、改めてマダムに正対した。
 誘惑を振り解き、義気凛然と闘志を燃やす二人に、マダムも頗る悦ぶ。
『オーララ(まあ)! わたくしの美貌の前に正気を保っていられるなんて!!』
 アビルテ・マジストラル(鮮やかなお手並み)!
 夫人は褒美とばかり新鮮なフルーツを次々と放ち、再び時の針を動かし始めた猟兵らを脅かすが、未だ彼等が手の内を見せぬ時に賞賛するのは早かろう。
 何故なら彼等は、夫人がこれまでに相対したどの勇者より賢く、
「マダムの力強さ、逆に利用させて貰ったぜ」
『ウプス(何ですって)――!』
 竟に壁際に追い詰めたと思ったグァーネッツォが小気味佳い咲みを浮かべる。
 彼女は態とスコーンの壁に逃げ込むと、間もなく迫る巨大カットメロンに壁を破壊させ、一気に粉を舞わせて「お菓子の煙幕」に身を隠す。
 賢哲なる竜騎士は、粉煙の中から聲だけを発して敵の意識を引き寄せ、
「豪快なおばちゃんは親しみを感じるが、侵攻して人に迷惑を掛けるのは頂けないな」
『ンマー! 陰口はキライよ!!』
 この時こそ限りなく存在感を薄めた竜槍は不意を衝こう。
 槍鋩は日傘を持つごっつい手を精確精緻に突き、濃厚なバニラの馨を宙に躍らせた。
「ここで夢から覚めて貰うぜ」
『痛――ッッ!!』
 掠り当てでも構わないと、丹花の唇がクッと持ち上がる。
 然う、グァーネッツォの【ドラゴニック・エンド】は命中を得れば竜の召喚に成功し、高威力高命中の爪牙を以て対抗できる。
「勇者だけじゃなくてドラゴンも招待してやるぜ!」
『オーララ!! 何という事……!!』
 より強い竜を喚ぶには、相応の契約と手順が要る。
 此度、少女の小柄な躯の傍らに顕れた「スイーツ大好き超甘党ドラゴン」は健啖にて、垂涎を隠さぬ儘マダムに突貫し、巨竜らしい豪快な食べっぷりを披露した。
『この無理矢理! この強引! 素敵だけど、期待していたのと違うような……!』
 ドレスを飾るフルーツが悉く喰われる中、疑問符を浮かべるマダム。
 もうちょっとドラマティックでロマンティックな展開を期待していたのか、まさか竜に屠られるとは思ってもなかったらしく、典雅の跫が焦って背進する。
 時にセツナは優艶の微笑にマダムを追って、
「無理矢理、というのは私は好みではないのだよね。
 ――だからあなたが自主的に堕ちればいいのではないかな」
『自主的に……? それはどういう……』
 紅唇を擦り抜ける清澄のテノールが夫人の心を擽り、搖さ振る。
 そっと語尾を持ち上げた瞬間、彼の耽美は極まったろう。
「おいで? あなたの罪は私が引き受けよう」
『ンマーッ!!』
 あまりの昂揚に頭部がプルルン、足が浮き立ったのは唯の“感覚”では無い。
 この時セツナは地属性の魔法を掛けて地面を隆起させ、実際にマダムの足下を浮かせて蹣跚めかせたのだ。
『ウプス(まぁっ)――ッ!!』
 蓋し全身に甘味を鏤めた美嗜夫人を顛倒させるのも酷かと、セツナは須臾に床を蹴って躯を支えてやり、
「おっと、大丈夫かな……ふふふ、やはり自ら堕ちにきてくれたのだね。嬉しいよ」
『ヴォア・ドゥース(甘い声)……! 何て罪な男!!』
 夫人、陥落――。
 己を翻弄する勇者の到来にメロメロになった夫人は、熱を上げたのが“感覚”で無く、実際にセツナが紡いだ【原初の灯火】(ハッピーバースデー)と気付くべきだったろう。
「ああ……いい匂いだねえ……」
『ええ、とても良い馨が……んんんギャー!!』
 刻下、合計53個の炎が我が身を取り巻き、絶妙な火加減を以て「焼きプリン」に――マダムのトキメキごとこんがりと焼いてしまっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四葉・蛍輝
エルナ(f18527)と

美味しそうなのに、なぜか近寄り難いというか……圧倒されるのは何故だろうね?
若干マダムに気圧されつつも杖を構えて
そのバニラの香りは良くない、とても食欲を唆る……対抗するには、風と氷の精霊に力を借りよう
《エレメンタルファンタジア》で氷柱の嵐を起こそう
氷柱で攻撃しながらその香りごと吹き飛ばそう

美味しいかもしれないけど、楽しみは最後に取っておく方なんだよね
エルナの掛け声に頷き、【全力魔法】【属性攻撃】で最大火力の氷柱の嵐を
うん、シャーベットも悪くない……けど、冷たくしすぎたかな?


エルナ・ミューレン
蛍輝(f17592)と

多分、威圧感がすごいからだと思う……でも引けないから、頑張りましょう。
とってもいい香りにちょっぴり心が浮つきながらも、きりりと気持ちを引き締めて。
アストラを手に蛍輝の前に出るよ。
焼きプリンも生クリームも新鮮フルーツもどれも魅力的だけど、お楽しみは勝ってからね。
氷属性の剣撃で、プリンシャーベットにしてあげるよ。

ちょこまか動いてマダムを撹乱しながらタゲを集めて、大技には無敵城塞で防御。
作り出した隙に合わせて、攻撃の合図。
蛍輝、今よ!

……削ってしまえば、食べられるかな?



 敵の侵攻を抑え込み、最終防衛ラインたる地下二階から更に地下へと進む。
 虹色に煌く飴細工の螺旋階段を降りた四葉・蛍輝(蛍火の鍵・f17592)とエルナ・ミューレン(銀雪の騎士・f18527)は、大軍勢の首魁たる美嗜夫人『マダム・プディング』の姿影に、覚えず跫を止めた。
『オーララ(まぁ)、今度はお人形さんの様な勇者が二人!』
 オペラ歌手も愕然とする声量と、力士も後退る恰幅。
 大仰な口跡も存在感を際立たせよう、
「美味しそうなのに、なぜか近寄り難いというか……圧倒されるのは何故だろうね?」
「多分、威圧感がすごいからだと思う……」
 優艶の聲を疑問符に持ち上げる蛍輝の隣、エルナがそっと佳聲を添える。
 一方ならぬ「圧」を感じる――夫人に目線を繋いだ儘、こくりと首肯を揃えた二人は、然し次の瞬間には爪先を弾いて戦場に躍り出た。
「ここまで来たら引き返せないし、うん、勝って帰ろう」
「ええ、一緒に頑張りましょう」
 二人なら平気、大丈夫。
 信頼に結ばれた同士なれば、一瞥を交してエルナは先陣へ、蛍輝は後衛へ。
 云わずとも連携し始める二人を見た夫人は、気を佳くして大音量を発し、
『パルトネール・クレディブル(信頼できるパートナー)! 其の力を見せて頂戴ッ!』
 ア・ラ・モード――ッッ!!
 芳醇な焼きプリン、濃厚な生クリーム、瑞々しいカットフルーツ――我が身を飾る甘味の魅力を誇らかに漲らせた夫人は、強靭を得ると同時、華麗に日傘を開いた。
 然れば刻下、迷宮一帯に濃厚なバニラの馨が漂い、得も言われぬ陶酔を齎す。
『デリッシュゥ(甘美)! ほぅら、いい香りね?』
「――!」
「、ッッ!」
 甘さも過ぎれば紫毒と變わらぬ。
 二人の鼻腔を掠めた馨香は甘い誘惑に「時」を奪い、神秘的で幻想的なスイーツの世界に引き込まんとするが、エルナはダンッと力強く、蛍輝はぎゅっと靴底を踏み締めて誘惑を凌いだ。
「焼きプリンも生クリームも新鮮フルーツもどれも魅力的だけど、お楽しみは勝ってからね」
「俺も。慥かに美味しいかもしれないけど、楽しみは最後に取っておく方なんだよね」
 流眄に視線を繋ぎ、互いの無事を確め合う二人。
 今は幻想でなく勝利が欲しいと、片や凛然、片や清冽を研ぎ澄ましていく――阿吽の呼吸が心地佳い。
「とってもいい香りなのは認めるけど、心まで絆されないように――!」
 きりり、気を引き締めて一歩進み出るエルナ。
 清澄なる輝きを放つ『アストラ』を手に真面に対峙した可憐は、その身軽さを活かして迷宮内を颯爽と軽快に動き回り、マダムの視線を釘付けにする。
『ウプス(おおっと)、逃しませんこと!』
 より動く方に目が往くのは言う迄もなく、巨大なカットフルーツがエルナを追う。
 複数の果実が襲い掛かった時には、ここぞと【無敵城塞】――全ての挙措を手放す代わりに絶対防禦を得て、攻略の機を作り出した。
「蛍輝、今よ!」
 是の合図は呼吸に、現象に顕れる。
 刻下、月白の幽光を迸らせた蛍輝は、杖と變じた『ElementalKey』を構え、告げた。
「そのバニラの香りは良くない、とても食欲を唆る……対抗するには、風と氷の精霊に力を借りよう」
 発露、【エレメンタル・ファンタジア】――!
 此度、厖大なる魔力が生成するは「氷柱の嵐」。
 蛍輝の美し白髪を梳る風は氷と結ばれて“凍てる颶風”と成り、其が錬成した氷の楔は鋩を鋭利に犀利に、甘い馨香を切り裂きながら敵影に降り注いだ。
『オーララ、折角のドレスが……ッッ!!』
 裂帛の音に声を荒げるマダム。
 あまりの凄惨に両掌を上に広げて見せた、その時――氷柱の嵐に交じって冷ややかな劔鋩が飛び込んだ。
 エルナだ。
「プリンシャーベットにしてあげるよ」
『――ッ、ッッ!!』
 氷属性を帯びた劔はマダムの頭――濃厚なるプリンの核を貫穿するや一気に氷結させ、邪の塊を「靜黙なる優雅なプリン・ア・ラ・モード」に變える。
 訪れた静寂(しじま)が何より饒舌に勝利を叫ぼう。
 二人は平穏を得た迷宮にそっと言を交し、
「うん、シャーベットも悪くない……けど、冷たくしすぎたかな?」
「……削ってしまえば、食べられるかな?」
 揃って語尾を持ち上げる。
 最後まで呼吸の合った会話が、妙々たる可笑しみを連れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
(※相手を動くお菓子としか認識してないので会話が通じてるようで通じません)
何、おかわりが来たの?
ポン菓子の次は大きなプリンね、悪くないわ!
(襲い掛かる)

あの敵は食べ物。
であれば、剥ぎ取って焼いて喰えば【焼肉担当の本気】が発動するわ。
と、いうわけで。
「烈火包丁」で焼き斬って「料理」しながら美味しく遠慮なく頂くわよ。
プリンは焦がさないように、刃を滑らせるのは一瞬。
フルーツは丁寧に焼いて、甘みを引き出して。
生クリームは焼いて潰したフルーツと混ぜて、プリンにかけるソースにしてあげる。

これぞ、荒谷流焼きプリンフルーツソースかけ!
さあ、生まれ変わった気分はどう?
それじゃ改めて……いただきますッ!


ナミル・タグイール
わーいでっかいプリンにゃ!
じゃないにゃ!お宝をお菓子に変えるのは許さないデスにゃ!
どっかーんしてかじってやるマスにゃー!

作戦はー突撃にゃ!
プリンの攻撃なんて弱そうにゃ(慢心猫)
捨て身で突撃して周りの地形ごとグラウンドクラッシャーして切り分けちゃうにゃ。
狙うは首にゃ!プリンの部分寄越せデスにゃー!
難しそうなら腕とかを狙っちゃおうかにゃ。多分食べれるにゃ!
プリンもクリームも大好きデスにゃ!でもすっぱいミカン系はきらいにゃー!
あまあまだけの存在になってデスにゃー。



 最終防衛ラインを押し込み、地下二階から更に進んで地下三階。
 虹色に煌めく飴細工の螺旋階段を猛然と駆け下りた荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)とナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)は、甘い馨香が漂う方向に視線を揃えた。
 香気に研ぎ澄まされる瞳に映るは、美嗜夫人『マダム・プディング』。
 マダムはオペラ歌手も蒼褪める大音量で勇者の進軍を迎え、
『ホホホ、わたくしはお菓子の迷宮の主。そう簡単には陥落(おち)ませんこと!』
 然し二人にとっては、迷宮深層のフロアボスも「喋るプリン」程度の認識だったろう。
「わーいでっかいプリンにゃ!」
「何、おかわりが来たの? ポン菓子の次は大きなプリンね、悪くないわ!」
 サイズ感に喜ぶナミルの隣、つかさが食欲という殺意を増す。
 間もなく瑞々しいカットフルーツが襲い掛かれば、二人は颯と左右に分れて遣り過し、視界の端に過ぎ去った果実がマシュマロの壁を叩くまでを見届けた。
『ウプス(まあ)! 速い……それなら数を増やせば佳いんだわ!』
 おやつの時間よ――!
 言えば須臾、メロンにバナナ、リンゴにイチゴと巨大果実が鈍器となって放たれるが、無数の甘味は二人を止められるか――否。
「作戦はー突撃にゃ! プリンの攻撃なんて弱そうにゃ!」
「遠慮なく焼き斬って、料理しながら頂くわよ」
 片や黄金の巨斧『カタストロフ』を手にザクザクと、片や高熱を発する『烈火包丁』を手にジュウジュウと、巨大な果実を両断・料理して疾り回る。
『ンマー! なんて連中なの!!』
 華麗と典雅を重んじるマダムには、彼女達はそれこそ奔放に映ったろう。
 一縷と恐怖を抱かず捨て身で突貫するナミル(慢心猫)も、向い来る脅威を好機と見て斬り掛かるつかさ(暴食の鬼)も、これまでに見た勇者とは別格の気骨。
 それ故にマダムは気を佳くして言い放ち、
『シュエット(素敵)! 貴女達に相応しく在りましょうッ!』
 ア・ラ・モード――ッッ!!
 芳醇な焼きプリン、濃厚な生クリーム、瑞々しいカットフルーツ――我が身を飾る甘味の魅力を誇らかに漲らせた夫人が、刻下、強靭を増して巨大化する。
 然れば魅惑の馨香も強く濃くなり、ナミルのジャラジャラ『煌めくコインベルト』や、つかさの艶髪を飾る『天下無敵』までもお菓子にしてしまった。
 これに瞠目したのはナミル。
「にゃっ! 大事なお宝と、他のお宝もお菓子に変えるのは許さないデスにゃ!」
 言って振り被るはお気に入りの大斧撃、【グラウンドクラッシャー】――!
 シンプルだが強烈な一撃を大地に叩き付けるこの技は、直撃地点のクッキー床を破砕するや、海嘯の如き衝撃波を放射状に広げ、マダムの足下を脅かした。
「狙うは首にゃ! プリンの部分、ぜーんぶ寄越せデスにゃー!」
『オーララ(あらまあ)、何という事……!!』
 凄まじい波動に我が身を乗せて、マダムの眼前に肉薄するナミル。
 大きく弓張月を描いて振り被った超斧撃が、吃驚にぷるるんと震えたプリンを捉えるか――!
『ぬぅぅあああいいッッ!!』
「!」
 惜しくも斧は庇い出た腕に止められるが、この音、この感触……間違いなくウエハースだと瞳を輝かせたナミルは、更に力を押し込んでマダムの腕を奪い取る!
「これもイケるにゃ! ミルク感たっぷりでうまうまにゃー!」
『ッッ、ッわたくしの優雅な腕が……!!』
 然し激痛と屈辱を味わっている暇は無い。
 大量のフルーツを次々に焼き斬り、薫香を漂わせた上で美味しく食していたつかさが、既に【焼肉担当の本気】(ヤキニク・パーティー)を発動しており、その量と質に応じて戦闘力を増強している。
「プリンは焦がさないように、刃を滑らせるのは一瞬。
 フルーツは丁寧に焼いて、甘みを引き出して。
 生クリームは焼いて潰したフルーツと混ぜて、プリンにかけるソースにしてあげる。
 これぞ、荒谷流焼きプリンフルーツソースかけ!」
『……ッ、完璧なレシピだわ……!!』
 敵を食べ物と認識してからのつかさは、料理の知恵は頗る明晰。
 暴食の鬼はマダムの感歎も吃驚も聞き流し、美食を求めるバーサーカーと驀進する。
『なんて無理矢理! なんて強引なの!』
 凄まじい鏖殺の気に触れたマダムは堪らず背進して距離を取るが、鬼神の斬撃は部位ごとに精確精緻に閃いて、漸う貴婦人を追い詰める。
 苦し紛れ、且つ闇雲に投擲したフルーツでは、彼女達を止める事は不可能。
 別なる方向からは、巨斧を振り被ったナミルがどっかんどっかん果実を断ち割り、好きなものは齧り、嫌いなものはスルーしながら迫り来る!
「すっぱいミカン系はきらいにゃー! あっちいけにゃー!」
『なんて自由な勇者達……!!』
「大好きなプリンとクリーム、あまあまだけの存在になってデスにゃー」
『ッッ、そんな我儘な注文に従うわたくしでは――!!』
 ぷるるんと抵抗して見せるマダム・プディング。
 然しこの二人を前に立ち続けられる者など居らず、壮絶なる斧撃と斬撃を喰らったマダムは、まるで追い剥ぎに遭ったように美味の装飾を奪取され、遂に陥落した。
「さあ、生まれ変わった気分はどう?」
『ッ、ッッ……――』
 佳聲が染むほどの靜黙が勝利を証しよう。
 現下、二人の前には誠に美味しそうなプリン・ア・ラ・モードが鎮座しており、
「それじゃ改めて……いただきますッ!」
「あまあまいただきますにゃー」
 ぱちん、と合掌の音が揃った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
f01543/イアさん

ふるり揺れる卵菓子は
恥じらう乙女心と匙で触れてみたい誘惑に駆らせる遊び心を、
宝玉めく果実の上品な酸味は
淑女の嗜みを覗かせ

甘い香りに満ちた
ふくよかな魅力

おやおや
誰のこころも奪おうとするなんて
いけないひとですねぇ

傍らの眼差しに
応えの代わり
ふくふく咲かせる笑み

幾ら食べても膨らまぬ腹は
欠けた器の証だけれど

ねぇ、マダム
私を満たしてくれますか

花筐を詠いつつ差し伸べる手は
踊りに誘うようにも
駆け引きを楽しむようにも

甘味に彩り添える花が舞う中
銀閃が炭酸みたいにすっきりと
濃密な香りを流してくれるから

甘さに酔いました
私が欲しいのは、あなたですよ

イアさんへ向け浮かべる笑みは
弾ける泡の如く軽やかに


イア・エエングラ
綾/f01786と
ふわふわの心地に添うショコラな路の先で
果実に着飾る貴婦人は豪奢で、やあ
漂う魅力にくらくらと、眩暈のするようね

軽い口当たりも弾けてとても楽しかったけれど
ね、あなた、
まだデザートをいただく余力はあるかしら
鳥の子が随分召し上がったから足りなかろ
つと見上げたなら次はアラモードのお誘いに
すこし悪戯めく色はらむのは
だってこんなにも贅沢で美味しそうな時間なものだから
銀の匙の代わりにくるりと銀の刃を翻してゆきましょう
レディ、身の裂くよな焦がれる恋はいかがだろ

心惹くバニラに指先掬われてしまう前に
瀲靜の水音に流しましょう
ぱちり弾ける泡の合間に
涼やかな綾の面影辿り
エスコートのお手本を見せてくださる



 我が眼鏡に適う者が顕れぬなら、自ら赴けば佳い――。
 迷宮深層のフロアボスながら冒険に出た美嗜夫人『マダム・プディング』は、地下三階で我が理想を遙かに超える勇者達と邂逅を遂げる。
 彼等は虹色に煌めく飴細工の階段に、白磁の繊指を滑らせ降りて来た。
「ふるり揺れる卵菓子は、恥じらう乙女心と匙で触れてみたい誘惑に駆らせる遊び心を、宝玉めく果実の上品な酸味は、淑女の嗜みを覗かせ――」
 優艶なるテノール・バリトンに紡がれる典雅の詞(ことば)。
 甘美の馨香に袖を搖らしてやってきた都槻・綾(夜宵の森・f01786)は、青磁色の双眸に映るふくよかな夫人に淡く咲んだ。
「おやおや、誰のこころも奪おうとするなんて。
 ――いけないひとですねぇ」
『オーララ(あらまぁ)! いけないだなんて……!!』
 小指を立てた白手袋の手(ごつい)を口に宛て、吃驚を示すマダム。
 美し妖し彼の微笑に、退屈していた身を甘く擽られた夫人は、次いで彼の隣に佇む菫青石の目を瞠る玲瓏に、心臓に劔を突き立てられた様な耽美を覚えた。
 こつり、ショコラ地の柱廊に穏やかなる靴音を置いたイア・エエングラ(フラクチュア・f01543)は、そっと美唇の端を持ち上げて挨拶し、
「――やあ。
 果実に着飾る貴婦人は豪奢で、漂う魅力にくらくらと、眩暈のするようね」
『ンマーッ!! ソンッサシオネルッ(素晴らしい)!!』
 清澄にも妖艶にも映る美男に身悶えするマダム。
 嘗てないトキメキにぷるるんと震えた夫人は、我が含羞を隠すべく日傘を開いた。
『そんな簡単に陥落しませんこと! 今まで通り、勇者を從えるのはわたくしよ!』
 刻下、狂おしい陶酔を呼び起こすバニラの馨が立ち込める。
 ぶわりと吹き荒れた濃密な香気は、綾の濡烏を、イアの透徹の艶髪を梳いて肌膚を撫でるが、二人の人形遣いは其々に凛冽の気を纏うと、操られぬよう正気の糸を手繰った。
 芙蓉の顔(かんばせ)に僅かにも恍惚を滲ませたなら、夫人はそれこそ倒れたろう。
 蓋し綾とイアは小気味佳く言を交して沈着を崩さず、
「軽い口当たりも弾けてとても楽しかったけれど。
 ね、あなた、まだデザートをいただく余力はあるかしら」
 鳥の子が随分召し上がったから足りなかろ、と丹花の唇はそっと口角を持ち上げて。
 水面に波紋を置く様な佳聲が茶利を零すものだから、綾は言を返す代わりにふくふくと笑みを咲かせ、一片の花びらを舞わせた。
 間もなく其は無数の――四季謳う彩りとなって迷宮を躍り出す。
『ウプスッ(おや)、これは……!』
 欠けた器は幾ら食べても腹は膨らまぬ。
 砕ける事さえ叶わなかったと、過る嘲笑を隠した綾は、真面に立つ美嗜夫人に手を差し伸べた。
「ねぇ、マダム。私を満たしてくれますか」
『――!』
 詠うは【花筐】(ハナガタミ)。
 繊手が誘うは、駆け引きを楽しむ様な――天香桂花の舞踏。
『シュエット(素敵)! 敵同士が舞宴を同じくするなんて……!!』
 嘗てこの様に大胆な勇者が居たろうか。
 マダムは心躍らせつつ、優雅に跪礼(カーテシー)をして之を受け取った。
 時にイアは立ち上る銀の泡を模り、
「心惹くバニラに指先掬われてしまう前に、【瀲靜】(アゲート)の水音に流しましょう」
 炭酸の様に解けては水に波紋を広げる――幻想の音にバニラの馨香を掃う。
 ぱちりと弾ける泡の合間に、涼やかな綾の面影を辿れば、彼は軽やかに笑みを浮べて、
「エスコートのお手本を見せてくださる」
「では次は任せましたよ」
 交差する科白は斯くも妙々。
 香気がすっきり掃われれば、綾は塊麗の微笑を見せ、夫人を至極の法悦に堕とす。
「甘さに酔いました。
 私が欲しいのは、あなたですよ」
『んうぁぁああアアアーッッ!! フォンタスティーキッ(素晴らしすぎる)!!』
 ぷるぷると悶絶するマダム。
 綾のエスコートを離れ、フラフラとフロアを巡ったドレスは、あまりの官能に暴発してカットフルーツを次々と放り投げるが、イアはくすり艶笑を浮かべて之を躱し、その身を優しく預った。
『オーララ! わたくしをこんな風に抱いて、どうするおつもり?』
「だってこんなにも贅沢で美味しそうな時間なものだから」
『ふぁぁぁああイヤー!』
 淑女たるマダムが裂帛の悲鳴を挙げるのも無理はない。
 イアの閑雅なる流眄は悪戯に婀娜に、美し藍を揺らめかせるのだから、間近に見たなら呼吸が奪われよう。
 蓋し端整の唇を擦り抜ける科白は冷艶に、残酷すら漂わせて、儚く、果敢無く――。
「銀の匙の代わりに、くるりと銀の刃を翻してゆきましょう」
『それは、如何いう……』
「レディ、身の裂くよな焦がれる恋はいかがだろ」
『――ッッ』
 恋、と云ったか。
 繊指が握る『銀の短剣』は、主が語尾を持ち上げた瞬間に光を放ち、マダムの喉へ――死の中心点へぷるるんと突き立てられる。
『嗚呼……ッッ……!!』
 美しい悲劇を叫ぶ様に今際の声を上げたマダムは、それから沈黙し――。
 勇者と認めた者達の前に、極上のプリン・ア・ラ・モードの姿を差し出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朝沼・狭霧
【風月華から参加】
【心情】
食べ物を粗末にしない!?
っていうか誰ですか人型にしたのは
食べにくいです
とりあえず、オブリビオンなので倒すしかないですね

とりあえず一つだけ拍手を送りたい
「素敵な人がこないなら、自分から攻めに行けば佳いじゃない・・・
その精神はとても素晴らしい!私、とても好きですねそういうの」
相手の前向きな心を白いバラの花で称えながら
「ですが貴方とは死合う運命。
さあ!
真正面から
躊躇うことなく
いざ!」
【鈴蘭の嵐】で周囲に薔薇の吹雪を纏いながら
マダムに全力全身チャージをかけます

「左頬を打たれたのなら右頬も打ち返すといい!」
泥にまみれて輝いてこそ華
マダムとクロスカウンターになりたいです


ベイメリア・ミハイロフ
【風月華から参加】

なんと…なんという、おいしそうな…
確かに抗うことができません…!
しかしながら、オブリビオンであるということは、お倒し申し上げないと
狭霧さま、テレサさま、いざ参りましょう!

お相手の攻撃は第六感を駆使し見切り回避し…回…
プリンやらが飛んできたら、食べてみたい気がいたします
…いいえ!そんなお行儀の悪いことできません!
こちらからの攻撃は早業・高速詠唱からの2回攻撃も狙いつつ
狭霧さまに負けじとRed typhoonにて赤い花びらの援護を

ああっでも、ああでも
プリンやフルーツ等が崩れるさま、とても勿体なく…!

テレサさまのご提案にお鼻と目を塞ぐも
…ちょっと惑わされてみたいと思っていたりします


カミンスキー・テレサ
【風月華から参加】
【呼び方】ベイメリア様、教官殿(浅沼様を呼ぶ時)

おいしそうな敵を倒した次はまたもおいしそうな敵であります。
しかしながら、ここは非情になる必要があるであります。

お二方とも甘味がお好きなようであられますが、自分も好きなのであります
そこでここは一つ提案として、視覚と嗅覚を塞ぎ、認識しなければ惑わされる事はないであります。
これぞ心眼であります!

…ダメであります? そうでありますか。
却下されそうな予感が大であります。
しかし心頭滅却すればと言うように、心を平静に保つであります。
そう思えば、かの敵を倒すのは容易であります

そんな事を思いながら、自分は心を鬼にして敵をぶんぶん振り回すであります



 逆侵攻の急先鋒『ひよこーん』を駆逐し、最終防衛ラインを地下二階から地下三階へと押し込んだ【風月華】のメンバーが、虹色に煌めく飴細工の螺旋階段を駆け下りる。
 チョコレートの柱廊を真っ先に駆け抜けたカミンスキー・テレサ(厳格なる守護者・f23215)は、余程感情に色を變えぬ漆黒の瞳に、ふくよかなる夫人の姿影を捉えた。
「おいしそうな敵を倒した次は、またもおいしそうな敵であります」
 然う、其は美嗜夫人『マダム・プディング』。
 迷宮深層のフロアボスながら、自ら階層を上がって来た冒険心逞しい貴婦人だ。
「なんと……なんという、おいしそうな……」
 ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)が驚愕するのも無理は無い。
 芳醇な焼きプリン、濃厚な生クリーム、瑞々しいカットフルーツ――マダムが持つ質量はその儘、圧倒的存在感となり、誇らかに放たれる馨香はベイメリアの品佳く通った鼻梁を甘く甘く擽った。
「これは、確かに抗うことができません……!」
『オーララ(まあ)、わたくしに見惚れているのね! 苦しゅうございませんこと!』
 篦太い声が唯一、幻想の世界から引き戻そうか。
 小指を立てた白手袋の手(ごつい)を口に宛て、「ホホホ」と嗤ったマダムは、挨拶代わりに巨大なカットフルーツとプリンの塊を放ち、間もなく戦端を開いた。
『デリッシュゥ(美味)! さぁ、おやつの時間よ!』
 刻下、極上の甘味が猟兵に向かって投げられる。
 然れば朝沼・狭霧(サギリ先生・f03862)は、無数のフルーツを肌膚一枚に躱しながら聲を発して、
「食べ物を粗末にしない!? っていうか誰ですか人型にしたのは……食べ難いです」
 食べ物を投擲する行為も。
 抑も食べ物を人型にする行為も。
 白磁の繊指を眉間に宛て、僅かに溜息した凄艶は、然し長い睫毛を持ち上げるや凛然を萌し、吃ッと夫人を睨めた。
「とりあえず、オブリビオンなので倒すしかないですね」
 言えばベイメリアとテレサも佳聲を揃えて、
「はい、現在に干渉する存在であるなら、お倒し申し上げないと」
「いかに美味しそうでも、ここは非情になる必要があるであります」
 畢竟。
 オブリビオンと猟兵の間には、斃すか斃されるか、喰うか喰われるかしか無い。
 甘味の投擲攻撃を左右に分れて遣り過した三者は、月白の闘気を迸らせて義気凛然、
「狭霧さま、テレサさま、いざ参りましょう!」
「ええ、参りましょう!」
「合点、了解したであります!」
 各々に爪先を弾いて戦場の疾風となった。
 先ず、マダムが放つ蠱惑の馨香に攻略を探ったのはテレサ。
 彼女は身丈を優に越す長大な退魔刀を盾に、迫り来る果実を防いで、
「お二方とも甘味がお好きなようであられますが、自分も漏れなく好きなのであります。
 そこでここは一つ提案として、視覚と嗅覚を塞ぎ、認識しなければ惑わされる事はないであります」
 瞳を閉じ、きゅ、と鼻を摘む。
 やや聲が變わったか、然し彼女は構わず大声を発して、
「これぞ心眼であります!」
「では、わたくしも」
 テレサに続いてベイメリアが瞼を伏せ、鼻梁を両手で覆うも、第六感を際涯まで研ぎ澄ませた其の心眼こそが、魅惑の香気を追って惑わせる。
「濃厚なプリンが迫るのが判明っ……見切って、回避し……回、避……っ」
 躱せばプリンは壁にぶち当って崩れるだろう。
 ベイメリアの瞼の裏にはその景が忠実に再現され、だからこそ避けるのが躊躇われる。
「ああっでも、ああでも」
 優艶の聲は戸惑い、悩み、ふと――、
「それなら、スイーツが飛んで来るのに合わせて食べてみたら……お口に美味が広がって……いいえ! そんなお行儀の悪いことできません!」
 悪魔の囁きを退ける様に、ふるふる、と頭を振る。
 苦悩の姿は見て取れたか、テレサは無表情の代わり小首を傾げて語尾を持ち上げ、
「……ダメであります? 余計に惑わされると……そうでありますか。では目と鼻を塞ぐのは却下し、心を平静に保つであります」
 心頭滅却すれば火もまた涼し。
 佳い匂いダナーとか美味しそうダナーという感情を殺し、「喋る何か」と見れば彼の敵も容易に倒せようと思い直したテレサは、好機を探るべく夫人を洞察する。
 目下、夫人は我が教官たる狭霧と睨み合っており、サウンドウェポンに増幅される魂の歌を日傘に遮る最中だった。
「とりあえず一つだけ拍手を送りたい事が」
『あら、どうぞ言って頂戴。是非に聴きたいわ!』
「“素敵な人がこないなら、自分から攻めに行けば佳いじゃない”……その精神はとても素晴らしい! 私、とても好きですねそういうの」
 夫人の前向きな心を、白い薔薇の花で称える。
 之に気を佳くした夫人は、オペラ歌手も蒼褪める声量で声を転がし、
『シュエット(素敵)! 貴女も自由を求める淑女なのね!』
 分かり合えるか――否。
 両者の間に厳然たる疆界が在るとは、狭霧の深い琥珀色の瞳が示していよう。
 丹花の唇は凛々しく言を置いて、
「ですが貴方とは死合う運命。
 ――さあ! 真正面から、躊躇うことなく、いざ!」
 尋常に勝負、と精彩を増す麗人の周囲に風が巻き起こる。
 其は【鈴蘭の嵐】――嫋やかに舞う鈴蘭の花びらに加え、薔薇の吹雪を纏った狭霧は、マダム目掛けて全力全身チャージを仕掛けた!
 元々強引を好む夫人だ。
 武者震いにプルルンとプリンを振わせたマダムは、狭霧の拳を迎え撃ち、
『わたくしは舞踏も乗馬も拳闘も! 貴婦人として嗜んでおりましてよッ!!』
「左頬を打たれたのなら右頬も打ち返すといい!」
『うンおぉぉおお雄雄乎乎ッッ!!』
 泥にまみれて輝いてこそ華。
 渾身の力を籠めた拳は紫電一閃、繋いだ視線上に十字を描き、美しいクロスカウンターとなって波動を衝き上げた。
「ッ、ッッ――!!」
『どぉりゃああ嗚呼!!』
 劇画調で角逐する両者に雄渾を得るはベイメリア。
 放射状に迫る衝撃波に向かってメイスを二回、十字に切ってダメージを逃れた聖女は、狭霧に負けじと【Red typhoon】(レッドタイフーン)――深紅の薔薇の花びらを颶風に乗せて援護した。
「紅の聖花の洗礼を受けなさい……!」
『ウプスッ(まあ)! 颯爽と、華麗な……ぐあぁぁあああ!!!』
 貴婦人らしからぬ悲鳴に痛撃の程が知れよう。
 然し慈悲を見せてはならぬと、追撃の機を見出したテレサは敵懐に侵襲し、遂にマダムの太いウエハースの脚を掴んだ。
「自分は心を鬼にして敵をぶんぶん振り回すであります」
『――ッあああ嗚呼嗚呼!!』
 発動、【びったんびったん】――!
 小柄ながら超怪力を誇る少女は、マダムの踝を支点に振り回すと、びったんびったんと地面に叩き付けて邪気を祓う。
『んあ! んがァ! ふぐゥ!』
 絶叫を喊ぶ度に悪の心を染み出したマダムは、何撃目かの後に沈黙し――。
 得も言われぬスイーツの頂点「プリン・ア・ラ・モード」の姿を差し出していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ダンジョンで肝試し』

POW   :    グロテスクな着ぐるみで怖がらせる/客として参加する

SPD   :    不気味な特殊メイクで怖がらせる/客として参加する

WIZ   :    おどろおどろしい演出で怖がらせる/客として参加する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

『オーララ(まあ)、わたくしとした事が――!!』
 然し自身が希んだ結末でもあった。
 精悍なる勇者――詰り猟兵に無理矢理、強引に、それでいて颯爽と華麗に陥落(おと)された美嗜夫人『マダム・プディング』は、迷宮深層での退屈な日常を棄て、極上のプリン・ア・ラ・モードと姿を變えて美味を差し出した。
 逆侵攻は阻止され、謎めいた迷宮にも靜黙が訪れるか――いや、其はまだ早かろう。
 魅惑の香気によって變えられたお菓子の迷宮は、未だ馥郁たる薫香を漂わせ、美味しそうな彩りに四面を飾っているのだ。
 魔法はいつ解けるのだろうと、皆々が周囲を見渡した時だった。
「……ここをハロウィン会場とする!」
 誰が然う言ったかは判らない。
 だがその提案に乗らぬ者は余程居ない。
 お菓子の迷宮には誰かを驚かせるに恰好の隠れ場所が沢山あるし、交換し合うお菓子もふんだんに用意されている。
 更に強敵をやっつけた猟兵は『ぱちぱちぽんぽん』も得ていよう。
 これだけの甘味を持った彼等が最後に為る事と言えば――ひとつしか無い。
 勝利を讃え合った一同は、直ぐさま仮装衣装に着替えた。
「ハッピーハロウィン! お疲れ様!」
「トリック・オア・トリート! お菓子パーティーをしましょう!」
 お菓子の魔法が解けるまで。
 それは少しの時間だけど、めいっぱい楽しもう。
 戦闘の疲れを笑顔に吹き飛ばした猟兵達は、此度、迷宮のモンスターとなってお菓子の世界を走り出した。
白斑・物九郎
【エル(f04770)と】



「ココをハロウィン会場とする」だァ?
アルダワもハロウィンになんやかんや縁があるとは、まあ話にゃ聞いてたトコですけども

どいつもこいつも祭り好きなモンですわな、ったく――
(とかなんとか言いながら羽根付き帽子を粛々と被る)

ンじゃ俺めは……アレ(魔弾の射手の猟師・マックス)ですわ。アレで。
そしたらおたくはアレな。俺めがアレ(マックス)なワケですからよ。応じてアレ(魔弾の悪魔ザミエル)で。


●仮装内容
2019南瓜SD同様
・互いに一旦別れ仮装して来てから合流、エルとその辺を適当に見て回って食べ歩く


●合流してみたら
ってなんスかその婚礼衣装!?
魔弾の射手っつったらザミエルでしょうわ!


エル・クーゴー
【物九郎(f04631)と】



“ここをハロウィン会場とする”
タスク上位に設定されました

マスターがアレ(魔弾の射手の猟師・マックス)
応じて当機は『アレ』

>オーダーを受領しました
これよりハロウィン仕様スキンの実装を開始します
(着替えに行く)


●仮装内容
2019南瓜SD同様
・互いに一旦別れ仮装して来てから合流、物九郎とその辺を適当に見て回って食べ歩く


●合流してみたら
(白薔薇の冠を手に婚礼衣装姿で来る)

_?

(そっちがマックスならこっちはその恋人アガーテちゃうのん? みたいな顔。素顔)

彼我のオーダー定義に齟齬を確認しました
エラー内容をレポート出力――

――する前に
これより、ハロウィン・パレードを開始します



 迷宮で仮装とお菓子を愉しみましょう!
 或る女がそう提案した時、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は訝しげに柳眉を蹴立てた。
「――『ココをハロウィン会場とする』だァ?」
 ふかふかのシフォンケーキソファに腰を落したばかりの黒猫が、片膝を組む。
 耳の後ろに滑った硬質の指は、くしゃり猫っ毛に櫛を入れて言を継いだ。
「此処もハロウィンになんやかんや縁があるとは、まあ話にゃ聞いてたトコですけども」
 アルダワとハロウィン。
 嘗て人類は、この蒸気機械と魔法で創造された究極の地下迷宮に、災魔に擬態する事で深層への侵入を果し、大規模な奇襲を敢行して数多の災魔を封印したと言うが――。
「どいつもこいつも祭り好きなモンですわな、ったく――」
 気怠げに溜息する。
 スッと差し出された羽根付き帽子を受け取る。
 粛々と被る。
 斯くしてブリムエッジから炯眼を覗かせた物九郎は、我が横手後方に居を収めたエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)の電脳ゴーグルが俄に起動する音を聴く。
 品佳く通った鼻梁の下、丹花の唇は凡そ感情の乗らぬ佳聲を滑らせ、
「“ここをハロウィン会場とする”――タスク上位に設定されました」
 淸けし燐光が往還するに合わせ、物九郎は片膝に頬杖した儘、低音で告げた。
「ンじゃ俺めは……アレですわ。アレで」
「マスターがアレ」
「そしたらおたくはアレな。俺めがアレなワケですからよ。応じてアレで」
「応じて当機は『アレ』」
 全てを語らずとも「アレ」で通じ合う拈華微笑。
 直立不動で物九郎の殺伐たるテノール・バリトンを入力したエルは、呼吸より小さな気送音を漸う収めると、走査線全体に燐光を浮かび上がらせた。
「>オーダーを受領しました。
 これよりハロウィン仕様スキンの実装を開始します」
 物九郎が徐に腰を上げた後、爪先を動かす。
 竟ぞ離れぬ二人が行先を違えるのは、其々「殿」と「姫」と書かれた楽屋に向かう為。
 アルダワ伝統の祭りに参加すべく、物九郎とエルは幾許か時を別けた。

 ――それから暫くして合流した二人は、拈華微笑の「アレ」が惜しくもズレていた事に気付かされる。
「ってなんスかその婚礼衣装!?」
 無愛想で不愛嬌、基本はローテンションの物九郎が勃然と語尾を持ち上げる。
「魔弾の射手っつったらザミエルでしょうわ!」
 いつにない距離で喰い寄られたエルは、變わらぬ無表情に僅かばかり小首を傾げて、
「_?」
 そっちがマックスなら。
 こっちはその恋人アガーテちゃうのん? みたいな顔をして見せた。
「_  」
 重厚な電脳ゴーグルを取り払った冷艶の金瞳が物九郎を見る。
 彼は慥かに歌劇『魔弾の射手』の猟師マックスの仮装をしており、赤いオーストリッチの羽を飾った帽子も、魔鍵に代わって肩に担がれたマスケットも、其は間違いない。
「_  」
 次いで我が仮装を確認する。
 マックスと相思相愛の淑女アガーテと言えば、白薔薇の冠を手にした婚礼衣装姿が最もポピュラーであり、これも間違いない筈だが――。
 時に物九郎が口にした「ザミエル」なる語に漸く「魔弾の悪魔ザミエル」を導き出したエルは、15度ほど傾けていた首を戻し、紅を引いた美唇に言を紡いだ。
「彼我のオーダー定義に齟齬を確認しました。
 エラー内容をレポート出力――」
 言って、無機質なソプラノ・リリコが止む。
 気付いた物九郎が見れば、彼女は優艶の馨を漂わせる純白のドレスを揺らして踏み出し、チョコレートの柱廊を潜り出した。
「――する前に。
 これより、ハロウィン・パレードを開始します」
 仮装行列――ならぬ百鬼夜行を成す仲間達に続くエル。
 その積極的機動性に彼女の「がっつり愉しもう感」を受け取った物九郎は、いつもの散歩の趣向を変えたものとして、乗ってやる事にした。
 それから二人はマックスとアガーテとして迷宮を彩るお菓子を食べ歩き、百味萬味を存分に堪能する。
「戦闘行動で消費したカロリーの補給を実施します」
「どっかのデブ猫みたいにならないよう、せいぜい気を付けなさいや」
 枯山水庭園の如く風流を描くゼリービーンズをぱくぱく。
 様々な動物を模った立体キャラメルブロックをぱくぱく。
「厖大なデータの更新が必要とされる為、電脳処理速度の向上を図ります」
「おたくが食べたいだけでしょうわ。……まぁ、止めませんけども」
 宙に浮かぶ雲形わたあめをぱくぱく。
 宮殿サイズのウェディングケーキをぱくぱく。
 頬に付いたクリームを指に掬って、その指をペロリ嘗めて極上の甘味を味わう。
 歌劇では大団円を迎えたマックスとアガーテだが、彼等の姿を借りた二人はいつも通りの侵略の景を見せた。
「――此度の首魁戦におけるフィニッシュシーンの共有申請を受信しました」
「アァ?」
 くるり振り向く金の炯眼と、疑問符を受け止める金の麗瞳。
 幾千幾万の色彩に溢れるお菓子の迷宮にあって、二人の黄金色が一際冱ゆるほど輝いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グァーネッツォ・リトゥルスムィス
戦闘の次はハロウィンパーティーだー♪
悪戯も負けないぞ♪

ローブを着ておどろおどろしい仮面をつけて幽霊の仮装……と見せかけて
「トリックオアトリート! お菓子をくれない、と!?」
仮面つけた頭(作り物)が落ちるドッキリしちゃうぞ

「なんちゃって、頭はちゃんとあ、うわわ!?」
でも逆に仮面つけてない顔を出してネタ晴らしする時には
相手がどんな仮装でも驚いちまうと思うけど……

オレの悪戯は一発ネタだから後はお菓子を配ったり食べたりするぜ
オレのは塩味と普通のぱちぱちぽんぽんを配るぞ
「もぐもぐ……くぅ、戦闘と悪戯の後のお菓子は格別だぜ~♪」
学園を守れた安心と楽しいパーティーにオレの気持ちも和むぜ♪


ナミル・タグイール
お菓子食べ放題にゃー!ナミルのお菓子はナミルのデスにゃ!(エンジョイ猫
欲しいなら金ぴかもってこいデスにゃー

…なんだか悪戯してもいい感じの空気にゃ?
ナミルも悪戯しにいくにゃー!
近くの隙だらけそうな人(お任せ)にお菓子をあげるフリかこっそりと近づいて爪でチクッとするにゃ。ちょっとだけにゃ。
そこから呪詛でもっふもふなケモ度あっぷ状態に変えちゃうにゃー!
仮装似合ってマスにゃ!悪戯楽しいにゃー!
お菓子を猫じゃらしみたいに振って反応を楽しみ…は意地悪すぎるかにゃ
時間が経てばきっともとに戻るにゃー!(ぱちぱちぽんぽんだけあげて逃げる猫)

みんなくっついてワイワイしてたらニコリネに悪戯にゃ!
・アドリブ絡み大歓迎



 オブリビオンの逆侵攻を防ぎ、脅威を退けた猟兵たち。
 お菓子の魔法が解けるまで――正しく言えば災魔の影響力が消えるまでを見届けるのが猟兵の役儀であったろうが、彼等は羽を伸ばすにも休めるにも全力だ。
 グァーネッツォ・リトゥルスムィス(超極の肉弾戦竜・f05124)もその一人。
「戦闘の次はハロウィンパーティーだー♪ 悪戯も負けないぞ♪」
 遊びだからと手を抜く彼女ではない。
 グァーネッツォが用意したのは、何処かの村で最年長の老婆が話してくれた幽霊の面。
 彼女の話を聴いた時の感情をその儘に表現した仮面はおどろおどろしく、インパクトは強烈だろう。
 踝までローブにすっぽりと身を包んだグァーネッツォは、一際の精彩を放つゼリービーンズの山に影を隠し、その聡い聴覚に誰かの跫を拾った瞬間、ザバッと姿を現した。
「トリック・オア・トリート! お菓子をくれない、と!?」
「んンッ!! いぃぃやぁぁあああ!!」
 ドッキリは出会い頭のみならず。
 おどろおどろしい形相の仮面はズルリ……と首が捥げる様に床を転がったものだから、其処を通りがかったニコリネは裂帛の悲鳴を挙げて尻もちをついた。
 ぼふん、とマシュマロクッションに埋もれたニコリネに、グァーネッツォは極上の咲みを注いで、
「なんちゃってな! 仮面は作り物だし、頭はこの通りちゃんとあ……うわわ!?」
「む……ぐ……ふぁあああ……」
 ネタばらしと同時、手を差し伸べた可憐は、然し化け猫に仮装したニコリネがでんぐり返しをしたまま埋もれる異常な体勢に愕き、こちらもビクッと一歩下がる。
「うわっ、生き物の形をして、いな、い……?」
「んフフ……これでおあいこね……!!」
「そこが顔か……正直、本気でドッキリしたぜ!」
 参った、と『ぱちぱちぽんぽん』を渡すグァーネッツォ。
 その得も言われぬ薫香に恍惚の表情を浮べたニコリネは全くの隙だらけで、お菓子食べ放題、悪戯し放題の無法地帯を闊歩していたエンジョイ猫、ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)の炯眼に捕まる。
「……なんだか悪戯してもいい感じの脇の甘さにゃ。ナミルも悪戯しにいくにゃー!」
 真の猫(キマイラ)は狩りの際に跫を完全に消す。
 気配を消し、死角より飛び掛かったナミルは、強欲の呪い、金欲の呪い、その他色々な呪いを負った呪詛の爪を大きく振り被り――!
「隙だらけにゃ」
「あっ痛い」
 チクッと。
 ほんのちょこっとだけ刺す。
 然れば如何だろう、化け猫に仮装していたニコリネは頬に髭を生やし、もっふもふの耳を生やして――ケモ度MAXのガチ化け猫に変身した。
 其は「呪いの所為で人型を失った」という彼女の噂の真実味を増した瞬間だったろう。
 呪獣化したニコリネは口調も呪われ、
「ホントの猫になっちゃったにゃ! まぁ楽しいからいいにゃ!」
「結構似合ってマスにゃ! 悪戯楽しいにゃー!」
 事態を重く見ないあたりも、何処となくナミルに寄った様な……。
「こーやって……お菓子の猫じゃらしにゃ! チラチラして気になる筈にゃ!」
「あっ意地悪にゃ! 欲しいにゃー! 肉球で攫めないにゃー!」
 猫が猫じゃらしを振り、猫の反応を楽しむ妙景。
 ナミルはニコリネが『ぱちぱちぽんぽん』の馨香に飛び掛かった瞬間に逃げ出し、
「時間が経てばきっともとに戻るにゃー!」
「きっとって適当にゃ酷いにゃ!」
 次なる標的を求め、或いは気の向く儘にスイーツに埋もれ、味わい――トリック(悪戯)もトリート(お菓子)も満喫した。
 蓋しお菓子の迷宮はまだまだ魔法が解けそうにない。
 フロアが広かった所為もあろう、塩味の利いた『ぱちぱちぽんぽん』を配りつつ「調達」もしていたグァーネッツォは、奥部で宮殿サイズのウェディングケーキを発見し、大きな瞳を皿の様に丸くさせる。
「これは……夢の宮殿だな……!」
 まさかケーキの中に入れるとは思ってもなかったろう。
 彼女は舌触りの佳い生クリーム柱を指に掬ってペロリ嘗めると、ふうわり笑みを零し、
「まろやかな甘さ……くぅ、戦闘と悪戯の後のお菓子は格別だぜ~♪」
 魔法学園を無事に守れた安心感と、強敵を下した勝利の余韻。
 そして大いに愉快なハロウィンパーティーに、すっかり心を和ませた。
 ――時にナミルはというと。
「にゃっ! こっちはコインチョコの神殿にゃー! ジャラジャラにゃ!!」
 地下四階に到って漸く我が眼鏡に適う構造物を発見した呪飾獣は、どっかり大神官の座に据わってチョコレートを貪り喰っていた。
「お菓子食べ放題にゃー! ナミルのお菓子はナミルのデスにゃ!」
 強欲の猫はキラキラと輝くコインチョコを背に艶姿を一層輝かせ、すっかり王様気分。
「欲しいなら金ぴかもってこいデスにゃー」
 ナミルは魔法が解けるその時まで、コインチョコのジャラジャラの海で極上の時間を過ごした。

 甘くて、芳しくて、うっとりする様なお菓子の迷宮を遊び倒す。
 災魔の侵襲を阻み、大成功を収めた猟兵らは、勝利の福音にハロウィンを存分に堪能すると、痛快なる笑聲に真の平穏を敷いて迷宮を後にしたという――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朝沼・狭霧
【風月華から参加】
わぁ、歓迎会素敵ですね
ベイメリアかしこい♪(上機嫌でベイメリアなでなで

テレサちゃんは甘いのが好きですか
さっき倒したマダムプリンなんか
美味しそうですね。
私も一緒にいただきます
おっと、なんだかマダムが自慢してただけあって
これはおいしいですね

お菓子はいっぱいあるみたいだから
私は紅茶を入れましょう
暖かい紅茶をいただきながら
友達とおしゃべりするのは楽しいですね

テレサちゃんにクッキーをあげましょう
あーんですよ♪

テレサちゃんいらっしゃいませv
歓迎の意味もかねて歌を歌います
明るい楽しい感じの歌がいいですね
みんなも良かったら一緒に歌いましょう♪


ベイメリア・ミハイロフ
【風月華から参加】
お名前さま呼び


そうでございます、狭霧さま
テレサさまのご入団歓迎会を、この隠れた空間でこっそり行ってはいかがでございましょう?
(撫でられて)ま、まあっ、狭霧さま、わたくし照れてしまいます…!

どなたかが驚かしにいらっしゃらない間、ひっそりこっそりお菓子パーティーを
テレサさまはどのようなお菓子がお好みでいらっしゃいます?
ぱちぱちぽんぽんもマダム・プディングもおいしそうでございますよ
(お味見がてらぱくりと)…マダム、本当においしかったのでございますね…!
紅茶も頂きます

狭霧さまのお歌に合わせ歌いながら
テレサさまは、どのような猟兵を目指されるのでしょう?
よくある歓迎会トークでございますよ


カミンスキー・テレサ
【風月華から参加】
【呼び方】ベイメリア様、教官殿(浅沼様を呼ぶ時)

敵も倒し、一件落着であります。
せっかくでありますので、ここで祝勝会を開くのも良いでありますね。

…はっ! 自分の歓迎会でありますか!?
うう…感激であります…!
猟団の皆様と楽しく歓談したいでありますね!

自分は特に好き嫌いはないのであります
強いて言えば保存食でありますが…
ここにはなさそうでありますので、皆様と同じものを食すであります

自分の得意な歌は軍歌でありますな
…あまり明るい感じの曲ではないであります
歌が得意な方々にお任せするのであります

自分の夢は、一人前の学徒兵になることであります
その為に日々精進するであります!



 眼前にででんと聳立するプリン・ア・ラ・モード、その安けき靜黙が【風月華】のメンバーに完全勝利を告ぐ。
 猟兵としての初陣を白星で飾ったカミンスキー・テレサ(厳格なる守護者・f23215)は、心地よい肅然に安堵の聲を置いた。
「災魔の逆侵攻を阻止し、一件落着であります」
 改めて周囲を見渡せば、お菓子の迷宮はより鮮やかな色彩で瞳に飛び込み、災魔を撃砕して尚も解けぬ魔法が袖を引くよう。
 故に少女は振り返って、
「せっかくでありますので、ここで祝勝会を開くのも良いでありますね」
 と、漸う緊張を解く朝沼・狭霧(サギリ先生・f03862)と、ほうっと愁眉を開くベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)を瞶めた。
 美し二輪の花は、少女の奮闘を讃える様に嫣然を注ぐと、次いで佳聲を弾ませる。
「――そうでございます、狭霧さま。テレサさまのご入団歓迎会を、この密やかな空間でこっそり行ってはいかがでございましょう?」
「わぁ、歓迎会とは素敵ですね」
 ベイメリアが柔かく翠瞳を細めれば、狭霧も優艶の咲みを返して。
 歓迎会――此度の勝利を祝うのみならず、自身の入団を祝って貰えるとは思ってもなかったテレサは、二人の麗笑に幾許か瞠目し、
「……はっ! 自分の歓迎会でありますか!? うう……感激であります……! 猟団の皆様と楽しく歓談したいでありますね!」
 表情筋は死んでいるが、其処に慥かな昂揚を読み取った狭霧は、塊麗の微笑を注ぎつつ発案者たるベイメリアを撫でた。
「ベイメリアかしこい♪」
「ま、まあっ、狭霧さま、わたくし照れてしまいます……!」
 金糸の艶髪に降り落つ心地好い感触に、聖女が擽ったそうに恥かむ。
 楽し気な提案に色めき立った三人は、「然うと決まれば」と早速準備に取り掛かった。

「迷宮を巡られるお化けさま方、モンスターさま方に見つからぬよう、ひっそりこっそりお菓子パーティーを開きましょう」
「ベイメリア様、この滝に隠れた洞窟を秘密基地にするのはどうでありますか?」
 迷宮を散策して四半刻。
 更にお菓子化が進行した地下五階に到った一同は、チョコレートの大瀑布に隠された、ゼリービーンズの洞窟を間借りする事にした。
「お菓子はいっぱいあるみたいだから、私は紅茶を淹れましょう」
 狭霧がキャラメルのテーブルにアンティークなティーセットを置けば、優雅なお茶会のはじまり、はじまり。
「まぁ、なんて佳い馨……心がほっこりと落ち着きます……」
「教官殿が淹れられた一杯、有難く頂戴するであります」
 ベイメリアは白磁の繊指を温めつつ、テレサは鼻梁を掠める茶葉の馨香を嗅ぎながら、此処に到るまでに“収穫”したお菓子を前に会話を弾ませた。
「ところでテレサさまは、どのようなお菓子がお好みでいらっしゃいます?」
 人を知るには好みから。
 ベイメリアがティーカップの湯気を挟んで柔かく問い掛ける。
「自分は特に好き嫌いはないのであります。強いて言えば保存食でありますが……」
 未だ幼さの残る桜唇をカップから離し、思考しながら答えるテレサ。
 携行に便利で、旬を問わず食べられる保存食をオヤツ代わりに食す彼女だが、残念ながら地下五階に到るまで見掛けなかったので、二人と同じ甘味を食す。
 そんな彼女にメープル味のスコーンを差し出した狭霧は、次いで卓の中央に一際豪勢なスイーツを置いて、
「テレサちゃんは甘いのが好きですか。さっき倒したマダムのプリン・ア・ラ・モードなんか、美味しそうですね」
「はっ、これは先程の……プリン夫人でありますか!」
 テーブル狭しと視界に迫るプリン・ア・ラ・モードに続いて、舟形の器の足下に置かれる「ぱちぱちぽんぽん」も、今日の防衛戦の戦利品。
「ぱちぱちぽんぽんもマダムご自慢のプディングもおいしそうでございますよ」
 ベイメリアは彼等と戦った時の事を思い起こしつつ、銀のスプーンに一匙掬って味見をすれば、得も言われぬ美味が咥内を甘美と耽美に満たしていく。
「……マダム、本当においしかったのでございますね……!」
 ほうっと頬を紅潮させ、瞳をキラキラと輝かせる修道女。
 狭霧は彼女の花顔に誘われるように、一口、ぱくり。
「では私もいただきます……おっと、なんだかマダムが自慢してただけあって、これはおいしいですね」
 覚えず零れる笑顔が極上の美味を証しよう。
 テレサも我が手に仕為めたマダムの遺産に与れば、表現に乏しい花顔に代わる饒舌が美味を訴えた。
「プリンの濃厚さも、果実の瑞々しさも天下一品でありますな……!」
 然しこの量、食べ切るにはもう四半刻あっても足るまい。
 加えて三人には、蠱惑のスイーツ群に加えて香佳い紅茶まである。
 飴細工のランプがほんのりと周囲を照らす窟内、甘く芳しい薫りに包まれた彼女達は、紅茶を傍らに尽きぬ歓談を愉しんだ。
「――温かい紅茶をいただきながら、友達とおしゃべりするのは楽しいですね」
 学生寮に居る時と似た、心地よい空気を感じた狭霧は、今回のパーティーの主役たるテレサを労ってクッキーを一撮み、
「テレサちゃんにクッキーをあげましょう。はい、あーんですよ♪」
「あーん、でありますか!」
 生真面目なテレサは教官殿の命令は絶対とばかり、小鳥の様に大口を開ける。
 もっもっと力強く咀嚼するテレサに頬笑んだ狭霧は、改めて歓迎の言葉を述べて、
「テレサちゃん、いらっしゃいませ! 歓迎の意味もかねて歌を歌いますね」
 良ければ皆もご一緒に、と優艶に囁(つつや)いた美唇が、間もなくメロディーを紡ぎ出す。
 明るく楽しげな旋律に誘われたベイメリアも佳聲を添えて、淸澄なるハーモニーにテレサの入団を祝った。
「うう、感無量であります……!」
 普段は冷儼とした軍歌を肅々と歌うテレサも、温かく和やかな音階に強い感動を覚え、ビシリ姿勢を正して淸聴する。
 まるで針金の入った様な姿勢の正しさが彼女らしいと頬笑んだベイメリアは、そっと流眄を注いで尋ねた。
「テレサさまは、どのような猟兵を目指されるのでしょう?」
 然れば少女はきりりとした黒瞳に確固たる意志を宿して答え、
「自分の夢は、一人前の学徒兵になることであります。その為に日々精進するであります!」
 一縷と澱みなき淸冽の聲を聴いた麗し双花は、ふうわりと靨笑を咲かせた。
 少女の夢が叶います様に――。
 歌が終わって満ちる拍手が、直向きなテレサを応援するように窟内に響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧島・千晴
セツナ(f07060)

血糊に塗れた黒いフードの死神に化け
連れている骸骨道化は哀れ犠牲者の装いに。
セツナはハロウィン初めてなのか。
俺んとこは両親が祭り事好きだからガキの頃からやってたな
…はは、とてもいい子だったぞ、俺は。

「元はサウィン祭って言ってな、家族に会いに戻ってくる死者の魂を慰める行事なんだ」
「でも悪い霊も一緒にやってきちまうから、仮装で悪霊を驚かせたり、菓子をやって追い払うんだぜ」

だからご褒美タイムではないのだと笑って。
救い主、悪霊払い…そういやセツナのこと詳しく聞いたことねーな。
エクソシストとか、そういう類の仕事なんだろか?
って、…おお、そのドロドロゾンビ感、結構ホラーで悪くないかも。


セツナ・クラルス
ハルさん(f01295)と

はろうぃんは今回が初体験
ふむ、ハルさんはハロウィンパーティはご家族と経験済、と
子供時代のハルさんは悪戯好きだったのだろうね…なんてね、ふふ

なに!?お菓子は悪霊に渡す為のものだったのか…
好きなだけお菓子を食べていいご褒美タイムなのかと思っていたよ…
ふふふ、問題ない
救い主たるもの悪霊を祓うのが務め
ハルさんもお菓子も守り抜くことを誓おう
(目が本気)

色々勘違いしたり、新しい知識を得て感激しつつ仮装に挑戦
…うむ、これを、こうして…こう…?
(特殊メイクを塗りたくる)(手も顔もドロッドロ)
ははは、見てごらん?
致死量を軽く超えてしまったよ
ふふ、ハルさんの死神はスマートで素敵だよ?



 災魔の逆侵攻を地下三階で撃砕した猟兵たち。
 更に下層へと進めば、大軍勢の進撃が歴々と、お菓子化の深度によって知らされる。
 飴細工の螺旋階段に繊指を滑らせながら階層を降りたセツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)は、視界に迫る燦然に嘆美を零した。
「これは見事な……」
 其は数多の精彩を輝かせるゼリービーンスが塔を成し、幾層にも重なったミルフィーユが壁を創る、夢のような大宮殿。
 漆黒の瞳が秀色神采の景に時を奪われた、その時。
 闇色に沈む手骨を差し伸べた髑髏に肩を叩かれた。
「……やあ、ハルさん」
「――少しは驚いてくれると思ったんだけど」
 艶笑に玲瓏のハイ・バリトンを置くは霧島・千晴(ブラッディ・レイヴ・f01295)。
 朱殷の血が染む黒いフードを被り、紫瞳に翳を差す――不気味な死神に化けた麗人は、連れ歩く絡繰道化を哀れ犠牲者と装って現れる。
 見ればセツナは、漂う死の馨に柔かく瞳を細め、全き好奇心に瞶めている様で――、
「セツナはハロウィン初めてなのか」
「ええ、今回が初体験でして。ハルさんは“はろうぃん”は何度か経験が?」
「ああ、俺んとこは両親が祭り事好きだから、ガキの頃からやってたな」
 興味深げに耳を傾ける彼に、ひらり、骸の手を振って見せる千晴。
 驚かすのも愉しむのも慣れた風の彼を頼もしい先達と仰いだセツナは、その飄然に小気味佳い科白を添えて、
「ふむ、ハルさんはハロウィンパーティはご家族と経験済、と。然して子供時代のハルさんは、嘸かし悪戯好きだったのだろうね……なんてね、ふふ」
「……はは、とてもいい子だったぞ、俺は」
 返る科白も妙々と、二人して微笑を交す。
 時に千晴は、長い睫を持ち上げて迷宮を見渡すと、天井に穹色を敷き詰めるキャンディーと雲形のわた飴を眺めながら言を継いだ。
「元はサウィン祭って言ってな、家族に会いに戻ってくる死者の魂を慰める行事なんだ」
「死者の魂を……?」
「――然う。でも悪い霊も一緒にやってきちまうから、仮装で悪霊を驚かせたり、菓子をやって追い払うんだぜ」
「なに!? お菓子は悪霊に渡す為のものだったのか……。好きなだけお菓子を食べていいご褒美タイムなのかと思っていたよ……」
「ごほうびタイム」
 ふむふむ、と硬質の指を細顎に宛てて聴くセツナ。
 誤想を改め、新しい知識を得る毎に昂揚する彼に、くす、と窃笑を零した千晴は、豪奢な宮殿に向かうがてら、パステルカラーのマシュマロを抓んで美唇に運ぶ。
 蓋しセツナが完全にハロウィンを理解した訳でないとは、直ぐに知れよう。
 千晴が次なる甘味に食指を伸ばした時、彼は凛然を萌して決意して、
「……ふふふ、問題ない」
「? セツナ?」
「救い主たるもの、悪霊を祓うのが務め。ハルさんもお菓子も守り抜くことを誓おう」
 お菓子を与えて追い払う必要は無い。
 必ずや我が聖性の光が悪霊を祓い、千晴のお菓子を護って見せると拳を握れば、本気の瞳を受け取った千晴は「ああ、まだ少し勘違いしているな」と合点する。
 然し彼は其を正すより、セツナの生真面目な部分を見た事にこそ興味を引かれ、甘味を転がした舌でふと、問うてみた。
「救い主とか、悪霊払いとか……そういや俺、セツナのこと余り詳しく聞いたことねーな。エクソシストとか、そういう類の仕事なんだろか?」
「ああ、それは――」
 セツナが語る儘に耳を傾ける。
 優艶の聲に跫を揃えた二人は、それからお菓子の宮殿を巡りつつ歓談を愉しんだ。
 セツナも仮装に挑戦しようという話になったのは、絢爛豪華な貴婦人のドレッサーに目を止めた時だったろうか。
「丁度いいのがあるな。セツナも仮装体験してみたらいい」
「……うむ、これを、こうして……こう……?」
「あぁうん……うん……?」
 勝手も判らぬ儘、真紅のルージュを頬に額に塗りたくる。
 加減も知らねば手まで血のような紅が滲もう。
 余りの惨状に可笑しみを込み上げたセツナは、鏡を前にくつくつと笑った。
「ははは、見てごらん? 致死量を軽く超えてしまったよ」
「……おお、そのドロドロゾンビ感、結構ホラーで悪くないかも」
 同じく鏡越しに咲みを注ぐ千晴。
 血の気の無い唇で語る死神ながら、その青磁の如き肌膚と、冱ゆる紫水晶の瞳は骨董品の様に美しく――。
「ふふ、ハルさんの死神はスマートで素敵だよ?」
 危うい死の馨香に惹かれる程に、と。
 セツナと千晴は、鏡の中で艶麗なる視線を結び合った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
f01543/イアさん
ニコリネさんも

仮装は
注文の多い山猫さん
人間もとい菓子をたっぷり堪能する心意気

其処彼処に美味の景
さぁ
次はどんな菓子との出会いが、なんて
一足ごとに
本の頁を捲るよに胸が弾んで

深みのショコラには芳醇なブランデー
蕩けるシューには微発泡の白か――
あぁ
とろり煌くウィスキーを重ねるのも良い

一口摘まんでは
似合いの酒を思い描く時間も楽しく

やがて
迷宮奥で見つけた宝箱
中には
薄い飴を幾層も重ねた霜柱
さくり、ふわりと融けていく冬の味わい
皆に甘露をお裾分け

間もなく宴の魔法も解ける頃

次なる季節を迎えに参りましょうか
鉄道員さん、汽笛の準備は如何?

車窓に夢を描いて行きましょ
あなたとなら
きっと素敵な風景になる


イア・エエングラ
綾/f01786とニコリネも

扮するのは鉄道員
甘い旅路へいざと
お手を引きましょ
手取り行くなら魔法の夜へと

香りに見目に、一歩の先から天仰ぐまで
全部お菓子で出来てる何でまるで夢のお話のよう
くるりまるめたメレンゲの花、摘んではどちら?

豪奢なオペラにアイスワイン
ビスケットの枝にペールエール
深く薫る、吟醸の杯でも良いかしら
示し満たした盃に迷子になってしまいそで
一口一歩に心も弾めばころりと咲う
ぱちり弾けるボンボンの広がる薫りが迷路を晴らし

とろり半立て帳を潜り
覗き込むのは季節の小箱

舌の先へとのせるなら
瞬くように融け消ゆ甘さ
さあっと広がる景色の魔法
山猫さんは魔法使いだったのねえ

ねえ、次はどんな夢が見られるかしら



 下層へ往くほどお菓子化の深度を増す迷宮。
 それなら災魔の逆侵攻を辿る冒険に出掛けようと氷菓子の曲階段を降りたニコリネは、地下四階でひやうと鳴る笛音に紫瞳を繋いだ。
 見れば絵本の中から抜け出して来た様な鉄道員が、切符を拝見と佳聲を転がしており、
「まぁ、なんて幻想的なぽっぽやさん……」
「いざ、甘い旅路へ。お手を引きましょ」
 硝子細工の様に儚げな音色が、彼の玲瓏をイア・エエングラ(フラクチュア・f01543)だと気付かせよう。
 傍らには都槻・綾(夜宵の森・f01786)が、朦朧(ぼんやり)と照る手提げ晶燈に白皙を浮かび上がらせており、
「あら、山猫さん。貴方ったら今日はどんな注文を重ねて“料理”を?」
「えぇ、今宵は人間を……元い、菓子をたっぷり堪能する心意気でして」
 今から迷宮を漫遊するのだと、二人、麗し流眄を結び合う。
 彼等が創り出すゆかし童話の世界に惹き込まれたニコリネは、間もなく出発するという聲に乗り合い、跫を揃えた。
 故に仮装行列は三輛編成。更なる美味の景を観るべく深層へ向かう。
「手取り行くなら魔法の夜へと、鐵の音を響かせて」
「さぁ次はどんな菓子との出会いが待ち受けるやら」
 道行きは軽やかに、笑聲を連れて賑々しく。
 プリンの摩天楼、ミルフィーユの宮殿、チョコレートの大瀑布――深層に行く程、造りを壮大にさせていく迷宮は、彼等の瞳を好奇に輝かせた。
「一足ごとに本の頁を捲るよな昂揚に胸を擽られ――」
「香りに見目に、一歩の先から天仰ぐまで全部お菓子で出来てる。まるで夢のお話のよう」
 綾が瞳に宿る青磁色を柔かく搖らすと、其の艶麗を受け取ったイアは窈窕と是を置き、藍玉の麗瞳を絶景に巡らせる。
 ふと目に留めた愛らしさに跫を止めた彼は、楚々と屈んで上目遣いに、
「くるりまるめたメレンゲの花、お似合いはどちら?」
 帽子の鍔から注がれる雅致に、マダム(故人)なら眩暈したろうと、ニコリネが咲う。
 彼等は交す会話も娟々として、
「深みのショコラには芳醇なブランデー。蕩けるシューには微発泡の白か――あぁ、とろり煌くウィスキーを重ねるのも貴々しい」
「豪奢なオペラにアイスワイン、ビスケットの枝にペールエール……深く薫る、吟醸の杯でも良いかしら」
 漫ろに歩いては繊指に一掬い、舌に転がしては似合いの酒を思い描く。
 甘味に呼ばれては右に左に、誘われるまま心赴くまま往けば、迷子の仔猫になりそうな――気付けば随分と歩いたと、くつくつと笑い合う時間さえ心地佳い。
 蓋し其の逍遥が奏功したか、軈て彼等は不思議な縁に導かれる。
 ぱちり弾けるボンボンの広がる薫りが迷路を晴らす――その奥へと足を進めた三人は、唯一、お菓子化の影響を受けずに佇む“匣”を発見した。
「ねぇミスター、これは……?」
「宝箱のような……」
 大きな山猫の背からぴょこり視線を寄越したニコリネが小首を傾げる。
 車掌と据わっていた後尾のイアもまじまじと見れば、先頭の綾の真面には、『ぱちぱちぽんぽん』に埋もれた宝箱が佇んでいた。
 果して鑰は掛かっていたろうか。
 綾が繊指を差し伸べるや、迎える様に口を開いた宝箱は、其処に薄い飴を幾層も重ねた霜柱の煌きを暴く。
「まぁ綺麗ねぇ」
「まるで季節の小箱の様な――」
 ニコリネとイアが溜息する中、少し緊張して霜柱を口に運ぶ綾。
 その美味は一瞬の瞠目で知れよう。さくり、ふわりと融けていく冬の味わいは、咥内を極上の法悦に満たし、麗人の頬を幾許か紅潮させた。
「――これは独りではとても。皆さんに甘露のお裾分けを」
 ほう、と咲んだ綾に促される儘、舌の先へ霜柱を乗せたイアは、瞬くように融け消ゆ甘さに、さあっと佳景を広げ、耽美な微笑を浮べる。
 甘露に満たされた丹花の唇は小気味よく端を持ち上げて、
「山猫さんは魔法使いだったのねえ」
「本当、魔法みたい……とっても、とっても美味しい!」
 ニコリネもきゅうっと靨笑を噛み締めるものだから、綾はまた塊麗の微笑を見せた。
 蓋し迷宮に掛かった魔法はそろそろ解けよう。
 チョコレートの滝の音が穏やかになるのを聴いた綾は、長い睫毛をそっと落して、
「次なる季節を迎えに参りましょうか。鉄道員さん、汽笛の準備は如何?」
 返る答えは、仕草して見せる芙蓉の顔(かんばせ)が示そう。
 イアの宝玉と煌めく莞爾を受け取った綾は、まだ馨香の漂う御伽噺の景に踏み出し、
「車窓に夢を描いて行きましょ。あなたとなら、きっと素敵な風景になる」
 きっと。必ず――。
 みどり髪をふうわりと躍らせて往く長躯を麗瞳に追ったイアは、ほろ、と妖し花びらの解ける様な聲を添えて、跫に続き、
「――ねえ、次はどんな夢が見られるかしら」
 と、淡く語尾を持ち上げる。
 その小粋にも瀟洒にも感じられる科白の遣り取りに二人の絆を見たニコリネも、靜穏の咲みを添えて続いたのだった。

 ――今宵は可笑しなお菓子な収穫祭(ハロウィン)。
 ――迷宮に行列を成した全ての者に倖せがありますように。
 彼等に撮まれた色取り取りの甘美が、魔法が解ける間際まで其の制勝を讃えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月06日


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#アルダワ魔法学園
#夕狩こあら
#ひよこーん
#マダム・プディング
#ダンジョンで肝試し


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサヴァー・リェスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト