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花嫁追跡行

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 馬車が走る。
 濃い霧に包まれた森の中を、霧など意にも介さぬように速度を落とすこと無く、二頭立ての馬車は行く。
 御者はフードを目深に被っており、その容貌は知れないが、生気は感じられない。
 車両の客室には、男女が向かい合って座っている。
 男性の方は、銀に輝く髪、透けるような白い肌、血のように紅い瞳――。世界に君臨する闇の支配者。貴族たるヴァンパイアだ。
 一方女性の方は、蜂蜜色の美しいウェーブ、上等とは言えずとも華やかな花嫁衣装、その瞳は固く閉じられた瞼によって伺えぬが長く艶のある睫毛――。それは、この世界では圧政を受け、何ら依るべきものの無い存在。人間。
「……愛しい御方。少し息苦しゅうございます」
「おお、窓を開けよう。だが、寒くは無いか」
 花嫁を労るように、ヴァンパイアは自ら客室の窓を開ける。
 花嫁は、その目を開き、窓から僅かに身を乗り出す。
「……あぁ、ここはどの辺りでしょうか」
 紅に彩られた唇から、吐息が漏れた。

 馮・志廉(千里独行・f04696)は、グリモアベースに集った猟兵達に、真っ直ぐな眼差しを向けた。
「女性を連れ去ったヴァンパイアを討伐する……と、あえて言おう」
 志廉の語る事件のあらましは、こうだ。

 ダークセイヴァー世界のある村で、この世界の常に漏れず圧政が行われていた。村人は家畜も同然の扱いを受け、明日をも知れぬ暮らしを強いられていた。
 しかし、それが一変する出来事が起きた。支配者たるヴァンパイアが、一人の村娘を見初めたのだ。
 それ以来、村への待遇は明白に良くなった。そして、その娘は『愛しい貴方に嫁ぎます。この村はお守り下さい』と、自らヴァンパイアに懇願したのだと言う。
 それを容れたヴァンパイアは、娘を花嫁として迎え、濃霧に包まれた居所に籠り、婚礼以後は村に害を与えぬと制約したのだ。
「本当に娘がヴァンパイアに魅入られ、自らついていった、というだけならば、あるいは俺達の出る幕では無いのかも知れん」
 志廉の予知で見る限りでは、ヴァンパイアは心底娘を大切に扱っていた。
 だが……と、志廉は拳を握りしめ、怒りに声を震わせた。
「後顧の憂いを恐れたのだろう。ヤツは娘を連れ去った後、従える亡者に命じて村を焼き払い、皆殺しにしたのだ。この仇は、討つ」

 今から向かっても村の蹂躙には間に合わない。よって、ヴァンパイアを追いかけて討伐すると言うわけだ。
 ヴァンパイアの居所の正確な位置は掴めておらず、馬車の痕跡や道などを見つけ、探り当てる必要がある。
 その際障害となるのが、濃霧。この辺りは、殆ど晴れる事の無い霧に包まれており、簡単に見通しの効く環境では無い。

 グリモアベースの景色が、少しずつ霧に包まれる。
 志廉は、険しい顔でその霧の先を見つめていた。


鉄錆
 鐵錆と申します。
 今回は、ヴァンパイアを追って霧に包まれた森を抜け、ヴァンパイアを討つというシナリオになります。
 霧に包まれた森では、様々なプレイングにより、馬車の行く先をつかみ、娘が連れ去られた場所を特定するのが目標となります。

 ひょっとすると、後味の良くない結末になることもあるかも知れません。
 シナリオで達成するべき目標は、ヴァンパイアの討伐のみです。
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第1章 冒険 『五里霧中』

POW   :    大胆に行動する

SPD   :    慎重に行動する

WIZ   :    冷静に行動する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


そこは、深く濃い霧に包まれた森。
 焼け焦げた匂いから、ヴァンパイアに焼かれた村が近い事がわかる。
 猟兵達は、馬車の行方を突き止めるべく、行動を開始した。
カイ・シュリック
判定:SPD

オブリビオンにも人の情があるのかと思ったが、やはりあいつらのやることは悍ましいな。
せめて花嫁だけでも救えないか……。

森に着いたらまずは焼け焦げた匂いの方向を確認する。
そしてそれに近づき、馬車が通れそうな道や通った跡を探そう。
その際に耳をすませて、馬車の音がしないかも確認するぞ。
痕跡あるいは馬車の音を感知したらそちらの方向に向かって進み出す。
紛らわしい足跡は残さないように羽根で飛びながら進むつもりだ。
もし馬車と鉢合わせしそうになったら【逃げ足】で離れすぎないように距離を取る。
全ての行動はなるべく慎重に取るぞ。
かといってのんびりもしすぎず、頑張って特定を目指す。



カイ・シュリック(紫苑の殺戮代行者・f02556)は、この深い霧の中で、嫌でも感じ取れる焼け焦げた匂いに向かい歩いていた。
 そこには、ほどなくたどり着く。建物や草木や肉の焼けた匂いり
 既に火は消えかけ、くすぶった煙が残っていた。
「悍ましいことを……」
 せめて花嫁だけでも救わなければ。カイは村の周辺を探り、馬車の向かった方向を掴むために動き始めた。

 先ずは、この周辺にまだ馬車が居る可能性を考え、カイは耳を澄ます。少なくとも、今聞こえる範囲にはそれらしい音は感じられない。ならば、痕跡を探さなくては。
 幸い、この霧のせいか地面も湿って居たのだろう。馬車の轍らしき跡は見つかった。だが、馬車や荷車といった道具はこのダークセイヴァーでは一般的と言える。果たして、どれがヴァンパイアのものか?
 カイは余計な痕跡を残さぬよう、その翼を使い、飛び回って何度も轍を見比べる。
 すると、比較的新しいと思える轍を見つける事ができた。しかし、轍は森からやって来て、また別の入り口から森へと入る形になっている。ヴァンパイアは、どちらから来て、どちらへ向かったのか?

成功 🔵​🔵​🔴​

飯田・柘榴
私にはオブリビオンの行動基準は測りかねますが……
そこまで大切にしている娘との約束をそう簡単に違えるものでしょうか?
……ダークセイヴァー世界では良くあることですが、あまり良い結果に終わるとは思えませんね。私のような未来の無い存在にはうってつけです。

追跡方法としては、村の跡地や馬車の痕跡などの要所で過去の再現を行ってみるとしましょう。
あまり長い距離は無理ですが、どちらに行ったかぐらいは分かります。
後は馬車の通り抜けられるスペースや、地面の状態を確認していけば自ずと進めるルートは絞られるはずです。
幸いと【視力】は良い方ですので、多少は見落としも少なくなるかと。



大切な相手との約束を簡単に違える。飯田・柘榴(白紙の魔道書・f02221)には、理解しかねる行動だ。
 いずれにしても、あまり明るい未来の見える話では無い。ならば――その決着には、自分のようなものは似合っている。

 柘榴は、森へと伸びる轍の前に立っていた。自らの力で、馬車の向かった方向を特定するためだ。
「あるべき物は、あるべき場所へ」
 その力は、この地の過去を呼び覚ます。
 ぼぅ、と、柘榴の目の前馬車が現れた。二頭立てで、グリモアベースで聞いたものと特徴は一致している。間違いない。
 そして幻の馬車は、森へと向かって行く。これで方向は掴めた。
 柘榴がその影を追おうとしたとき、もう一つの影が、柘榴に先んじて馬車の後を追った。
 他の猟兵――では無い。これも、この地に残る記憶の影。若い村人の姿をしたその陰は馬車と一定の距離を保ちながら、森へと入っていった。

 これは何を意味しているのか?それは、先を見なくては分からない。
 馬車の向かった方向に歩みを進めた柘榴は、その痕跡を注意深く探しながら進む。
 濃い霧に遮られながらも、探りを入れながら進むと、その目は、あるものを発見した。
 馬車の通った跡とは少し離れた所。焼け焦げた遺体が転がっていた。
 先ほどの若者が、途中で襲われた……?

 柘榴は、深い霧の奥へと続いて行く轍を追い続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
・SPD指定 アドリブや絡み歓迎です

どうにも嫌な話だ。
やり口が余りに気に入らない。
懇願を受け入れておきながら、あっさりとそれを反故にする。
娘に気付かせないように行い、種明かしの機会を狙ってるのだろう。
これを弄ぶと言う。
こいつを野放しにしておく訳にはいかない。

人質にされる恐れもあり初手は慎重に。
まずはヴァンパイアに焼かれた村を探り、地面に残された轍がないか。そして連れ去られた女の家で所持品を探す。
ある程度で切り上げると、馬車と女をイメージし【力を溜め】て【失せ物探し】。
刀を抜いて地面に刺せば、青い光が【誘導弾】となってゆっくり進み始める。
「神酒坂風桜子一刀流・鴉矢(からすや)……ってなもんか」



神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は憤っていた。義憤だ。
 娘を弄んでいるとしか思えぬやり口。野放しにしておくわけにはいかない。
 娘を追う。そのためには、情報が欲しかった。恭二郎は、焼き払われた村へと向かう。

 その村の建物はかなりの部分が焼け落ちており、原型をとどめていないものも多い。
 恭二郎は、娘の家を探している。しかし、この状況では、どれがそうだったかも判然とはしない。しかし、他の猟兵が発見した新しい轍がある。それをたどり、恭二郎はその家の前にたどり着いた。
 比較的大きな家だった事が伺える、その家。村長か、何らかの名士だったのだろう。
 だが、既に焼け落ち、殆ど家財の類いは残されていない様に見えた。
「こいつは参ったな……」
 本来の狙いは達成できないかも知れない。が、轍によって既に大まかな方向は判別している。
 恭二郎は、何か残されたものが無いか、捜索を始めた。

 やはり、娘のものと分かるようなものは発見出来なかった。
 切り上げて轍の先に向かおうとしたとき、ふとあるものが目に入った。
 炭化した、長い柄の先に金属の着いた器具。農具……?いや、槍だ。それも、狩猟用等ではない、パルチザンと呼ばれるタイプのもの。
 それも、数本が残されている。焼けてはいるが、この家の住民は、何らかの戦いを想定し、準備をしていたのだろうか……。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

藤塚・枢
SPD

ヴァンパイアを倒したとしても、彼女には帰る場所がないと知ったらどうするかな?
知らぬが仏とはよく言ったものだよ

ユーベルコードで上空へ行き、現在の村の様子をスマホのカメラで収めておこう
花嫁が何をしだすか言い出すか分らないから保険だよ
従える亡者とやらも入るようにしたいところだね
こっちがやったとか言われるのは少々面倒くさい
見せずに済むならそれが一番だけれどね

地形を利用して目立たないように、ユーベルコードで木々を飛び移りながら轍や馬の足跡を追跡
新郎さんは村に足繁く村に通っていたみたいだし、轍は残っているだろう
逆に突然途絶えたら、そこは何かあるってことだよね
他の猟兵と協力し、情報は小まめに共有するよ



カシャッ、とこの世界にそぐわないシャッター音が鳴る。
 藤塚・枢(スノウドロップ・f09096)が、ふわりと空を蹴って舞い上がり、空中から焼けた村を写真に収めているのだ。
 花嫁を助けたとして、残っているのはこれ。
 ヴァンパイアの所業の証拠と、一応の保険のためとはいえ……枢はこれを見せずに済む事を願うばかり。

「犯人も一緒に写ってれば、なお良いんだけどね」
 『颯の歩法』で空を舞う枢は、更なる証拠を探していると、ようやくそれらしき、フードを纏った遺骸を発見した。
 ヴァンパイアの従者たる亡者だろう。村人達の反撃にあったか?枢はその姿をも写真に収め、その回りを改めはじめた。
 見たところ、やはり村人の抵抗にあったらしく、数本の槍をその身に受けたようだ。その槍は、先に見つかったものと同じもの。農具の改造程度ではない、戦闘に適したものだ。
 どうやらこの村は、ある程度計画的にヴァンパイアに対する反抗の準備をしていたものと見える。

 村の状況を一通り確認した枢は、轍の向かう先へ急ぐ。
 既に猟兵達が得た情報。この森の地形。総合的に考えれば、ある程度の予想はつく。
 枢はその歩法で木々の間や宙を蹴り、的確に馬車の行方を追って行く。かなりの時間短縮だ。
 しかし、その轍が途切れる時がやって来た。地面が砂利になり、そして広い川に行き当たったのだ。
 川を渡る先にも、轍は見当たらない。しばらくはこの地形が続くようだ。
 そして、馬車の入れそうな場所はいくつかある。
 距離を考えても、ここからそう遠くない所に、ヴァンパイアは居るのでは無いだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サイラス・レドモンド
【SPD 】
お互い惹かれあってるっつーのに
男がやらかしちまった事で許されねぇもんになるたァ
目も当てられねぇ…
女子供守んなきゃならねぇ男が…しかも女との約束を違えるなんざァ
オレァ情けなくて仕方ねぇなァ
このヴァンパイアには「信頼心」ってーのが足りねぇなァ

オレァ『野生の勘』『第六感』を駆使して慎重に行動するぜ
まぁ森の中だ、『地形の利用』も考えとこーじゃねぇの。
だが馬車を追ってんだし、なるべく目立たないよう『ダッシュ』

馬車が見えたら一層周りに警戒しておこうぜ!
あのヴァンパイアの従える亡者って奴が傍に居るかもしれねぇ
怠慢油断せず突き進むのさ!

もし仲間と合流出来たら協力だ。
オレに出来そうな事は力を貸すぜ!


ヒビキ・イーンヴァル
ちっ……胸糞悪い話だ
そのヴァンパイア野郎をぶちのめす為に、
奴さんの居場所を探さないとってことか
しかしまあ、霧で何も見えねぇな
仕方無い、地道に行こう

他の猟兵もいるみたいだし、
とりあえず目印みたいなもんは用意しておくか
剣に火の魔法をかけて、即席松明だ
この霧の中じゃ、どれだけの役に立つかはわからんが、
無いよりはマシだろう、と思いたい

で、馬車の痕跡探しだな
馬の蹄の跡、車輪の跡……
地面を虱潰しに探していくしかないな
姿勢を低くして、地面と睨めっこか
あ、これあとで腰痛になるやつ……



ヒビキ・イーンヴァル(蒼焔の紡ぎ手・f02482)は、その深い霧の向こうを睨み付けた。
 胸くそ悪いそのヴァンパイア野郎のために、こんなに地道に道を探さなければいけないとは。
 これまでの追跡で、この川を越えた先、そう遠くないのは間違いないだろう。しかし、肝心の所で轍は途切れ、他の痕跡を探すしかない。
 ヒビキはその剣に火の魔力を込め、僅かでも助けになればと灯りにする。あとは……虱潰しに探すしかない。
 腰を屈め、地面とにらめっこしながら、ヒビキははい回る。

 それと全く同じ姿勢ではい回る、もう一つの姿があった。
 サイラス・レドモンド(野生のままに・f09014)だ。
「お互い惹かれあってるっつーのに、男のやらかしでこんなことにやるたァ、目も当てられねェ……」
「惹かれあってるってのも、怪しいもんだぜ」
 なかなか成果の上がらない地道な作業に、焦りもつのる。花嫁の事を考えれば、そうのんびりもしていられない。

「ン……?おい、こっちを探すぜ」
「何かあるのか?」
「イヤ……オレの『野生の勘』ッてヤツよ!」
 呆れながらも、他に何か手がかりがある訳でも無い。
 サイラスの勘が示す辺りを重点的に調べる二人。
「あー、明日腰痛になるやつだ、これ」
 ぐっ、とヒビキが腰を反らした時、ちらりと目に飛び込む光があった。
 剣の炎に照らされたのか。よく見てみれば、ブローチのよう。
 こんな所に普通に落ちている訳は無し、花嫁が落としていったものだろう。ならば、馬車はこの先か。
 それにしても、馬車に乗っている花嫁がこんなものを自然に落とすとは考えにくい。ならば……わざと落としたのか。
 轍が途切れたのを知り、後に続くものに、道を示す為に。

「オイ、有ったぜ、馬車が」
 先を確認していたサイラスが、馬車を発見したらしい。
 だが、その顔は険しい。
「気ィつけろ。アッチには、亡者の匂いがプンプンしやがる」

 馬車の場所を特定し、更に亡者の危険まで察知できた。
 猟兵達は連絡を取り合い、ヒビキがこれまでつけてきた目印に従い、集結する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


集った猟兵達は、改めて互いの情報を共有する。
 馬車の後を追っていた若者。
 戦いの準備をしていた村。
 自ら花嫁となりながら、道しるべを残していたらしい花嫁……。

 いずれにしても、目下の目標は、ヴァンパイアの討伐。
 馬車のある辺りを抜けると、徐々に霧が薄れて行く。ここは、墓地のようだ。

 その時、猟兵達の周りで、ボッ、ボッ、と次々に火が灯る。
 現れたのは、『篝火を持つ亡者』。村を焼いた直接の犯人達だろう。
 ここを突破すれば、ヴァンパイアと花嫁が待っている。
藤塚・枢
ハナからヴァンパイアの根城を攻め込むつもりだった、ってことかな?
それを見破ったのか、単なる慎重さかは分らないけれど、攻め込まれるのは確かだったのかもしれない
まあ反抗の意思もなく、武器も持たない村人を虐殺した訳ではないのであれば、話は単純だ
彼らは騙し合いに負けた
戦略的に負けたんだ
ただそれだけの、どこにでもあるひとつの戦争の、結末だ
けれどこの戦争は私たちが引き継ぐ
真の勝者はいなくなるけれど、村人が命を賭したこの機会を無駄にはしない

戦闘は人形によるナイフ投擲や、鋼糸のブービートラップ等でのサポートメイン
か弱いのでね、接近するのは暗殺できる時だけだよ
手榴弾を使う時はちゃんと味方に声をかけるようにするよ



大方の事情を悟った枢は、この件に対してあくまでも冷静な姿勢を崩さない。
 この世界では……いや何処だろうと、『よくある話』だ。ただ、負けてしまっただけ。
 ただ、この話には、猟兵達が関わった。この続きが、猟兵によって紡がれる。
 どこにも勝者のいないこの戦争を、せめて、無駄にはしない。

 ぞぞぞ、と静かに迫り来る亡者ども。それに立ち向かう枢はあまりにもか弱く見えたが、その背後に、ぬ、と立ち上がる影。
 それは戦闘用からくりぬいぐるみ『フォリーくん』。
 フォリーくんがその腕を一振りするや、仕込まれていたナイフが放たれ亡者を襲う。
 枢は片腕で人形を操作しつつ、自らもその鋼糸を使って、遠間から亡者に攻撃を仕掛ける。しかし、あまりに距離があるか。それは亡者には掠りもしない……?
 否。

 それは枢のユーベルコード『鏖の猟場』。フォリーくんから放たれたナイフから逃れようとする亡者達は、知らず知らずの内に追い込まれていた。枢の張っていた、鋼糸の罠に。
「あ、ちょっと破片とか飛んでくるかも知れないから。気をつけてね」
 身動きのとれぬ亡者達に、無慈悲に手榴弾が投げ込まれる。
 害虫は、須く鏖殺されねばならないのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヒビキ・イーンヴァル
おっと、敵さんのお出ましか
こいつらを倒せば、親玉が待ってるって訳か
ウォーミングアップに丁度いい
とりあえず、手近にいる奴から片付けていくかね

ウィザード・ミサイルでひたすら燃やす
って、向こうも篝火飛ばしてくるのかよ
まあいいか、倒すことに変わりはねぇし
『高速詠唱』で『2回攻撃』、試していこうか
ああ、あと他の猟兵の邪魔にならないように気を付けとくか
乱戦は危険だからな
後ろは取られないように移動しながら攻撃だ

敵からの攻撃? 『第六感』で避ける



「おっと、敵さんのお出ましか」
 ずっと屈んでいい加減腰も痛くなっていた所。親玉の前のウォーミングアップにはちょうど良いというもの。

 ヒビキの周囲に、ポッポッポッと明りが灯る。次々に現れるそれは、ウィザード・ミサイルによって生み出された炎の矢。
「さて、先ずは手近な奴から……」
 その時、ゴゥ、と熱の塊が眼前に迫ってきた。亡者の持つ篝火から放たれた炎だ。それも、一つでは無い。ヒビキが飛び道具たる魔法を持っているためか、多数の亡者達がヒビキ目掛けて炎を投げ掛けてくる。
「って、オイオイオイ。向こうもかよ」

 ヒビキは走り出す。互いの射線上に、味方を巻き込まないためだ。
 相手も同じように炎を飛ばしてくるからといって、自分がやることは変わらない。この炎の矢で、亡者共を貫くのみだ。
 ヒビキが念じれば、炎の矢が勢いよく放たれる。一つ一つの矢は、亡者の放つ炎とほぼ同等か。互いにぶつかり合えば、パッと激しく火花を散らして相殺する。
 だが、相手も数が多い。このペースでは、ウィザード・ミサイルの矢が尽きるのが先か?
「足りないんなら、増やせば良いだけだろ?」
 両者撃ち終えて、亡者達がヒビキを取り囲もうとした時。煌々とした明かりがヒビキを照らし出した。
 弾切れと共に即座に出現させた、二度目のウィザード・ミサイル。
 接近戦で嬲り殺しにする積もりだった亡者共は咄嗟に対応できず、次々とその身を貫かれ、身を焦がす炎にのたうち回るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

飯田・柘榴
なんとなく想像はついていました。花嫁の方は想定外ですが。
オブリビオンが約束を守るとは思わないでしょうから致し方のないことです。我々猟兵の存在がもう少し知られていれば、また別の解決方法もあったのでしょうが。
今言っても詮無きことですね。

さて、掃除と行きましょう。
開けた場所で数だけの敵ならば【範囲攻撃】で何とでもなるはずです。
『アレクサンドリアの魔竜』で【属性攻撃】を中心としたブレスで『新たなる亡者』の元になる死体ごと薙ぎ払います。
道さえ開けば他の方々が何とでもしてくれるでしょう。



状況は、柘榴の想像していたものと、然程の差は無かったと言えるだろう。しかし、それを喜ぶようなものでは無い。
 既にオブリビオンに支配されているダークセイヴァー。猟兵の存在が、この世界を照らす日は来るのか?
 いずれにせよ、今は詮無いこと。

「さて、掃除と行きましょうか」
 柘榴は、周囲の状況を確かめる。
 森は抜け、少なくとも戦闘に支障が無い程度には開けている。これなら、問題無い。
 確信を得た柘榴の姿が、見る間に変化する。柘榴を取り囲もうとしていた亡者達は、いつの間にか柘榴を見上げる事になった。
 その姿は、巨大な竜。紙でできた体表には、呪文の様な文字がビッシリと書き込まれている。

 このようなこと、全く想像の外だった亡者達。たじろぎつつ、戦力を増やそうと、新たなる亡者を目覚めさせようとする。
 だが、そんなことを見逃す柘榴ではない。彼女が変じた『アレクサンドリアの魔竜』の口から、ブレスが吐き出される。それは、千もの呪詛が込められたもの。
 あわせて込められた炎の属性魔法とともに、亡者達を焼き払い、薙ぎ倒す。
 新たな亡者どころでは無い。『生ける』亡者も、その元となるべき屍体も、纏めて消炭だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

神酒坂・恭二郎
この話は一筋縄ではいかないようだ。
見過ごせない裏がある。
こいつはもう少し付き合うしかないな。

戦闘は一度【力を溜めて】。前衛の有無で動きを変えよう。
前衛がいれば後ろから、上空に居合いの【クイックドロウ】でサイコキネシスをフォースとして飛ばし、【誘導弾】で曲射させ【スナイピング】で槍状のフォースで相手を【串刺し】にする。そのまま着弾の【衝撃波】で【範囲攻撃】狙い。繰り返す。
前衛がいないなら、上記を一発叩き込んで自分に【おびき寄せ】て【クイックドロウ】の【カウンター】で切り伏せていこう。



恭二郎は、静かに呼吸を整える。研ぎ澄まされた精神力こそが、彼の力の源だ。
 この一筋縄では行かぬ話。いかなる裏があるのか?気になる所だが、だからこそ深く深く、その力を溜めて――解き放つのだ。
 静かに其処に居る恭二郎を警戒しているのか、亡者達は陣形を組むかの様にジリジリと近づいてくる。
 ……まだだ。
 ……まだだ。
 ……今!

 目にも留まらぬ居合抜きの妙技。だが、その間合いは刀の届くものでは無い。第一、恭二郎の刀は、文字通り空を、天に向けて空を斬った。
 理解のできぬ亡者共。しかし好機と見たか、一斉に飛びかからんとする。
 しかし、亡者の群れのほぼ中央。そこに、まるで見えない隕石でも墜ちたかの様に、激しい衝撃波が走った。
 衝撃波に巻き込まれた亡者はもちろん、無事だったものも既に走り出しており、更に背後から勢いよく飛ばされたのだからたまらぬ。
 これこそ、恭二郎の狙い。
 たたらを踏みつつ迫り来る亡者を、流れ作業でもしているかのように、斬る、斬る、斬る。

 恭二郎が一団の亡者を斬り終えたとき、まだ立っていた亡者がある。
 それは、最初の居合で空を斬った際、槍と化した見えぬサイキックエナジーに串刺しにされていたものだ。
 だがそれも、納刀と同時に倒れ伏した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイ・シュリック
村の人達はヴァンパイアに立ち向かおうとしていたのか……ヴァンパイアが村を焼いたのはそれを察知したから?
それなら……仇討ちをさせてもらわないといけない。
俺は咎人殺し、復讐を代行する者だから。

『鈴蘭の嵐』で敵をまとめて【薙ぎ払い】することを意識する。
仲間に被害が行きそうならば声をかけて注意する。
敵が既に傷付いているならば毒の花で【傷口をえぐる】ことも意識しよう。
とにかく数を減らしていくことを目指していくぞ。

……花嫁もブローチを落としてきたことがバレてしまってはただでは済まないだろう。
出来るだけ早く彼女を助けに行かなければ……。



村人達の顛末は明らかになった。ヴァンパイアが如何に態度を変えようと、積もり積もった怨恨は、一挙に晴れるものでは無い。
 そのための戦いを挑み――そして、死んだのだ。
 それならば、仇討ちをせねばならぬ。何故なら。
「俺は咎人殺し。復讐の代行者だ」

 亡者達は劣勢であり、もはや新たに亡者となりうる様な屍も無い。その篝火で、焼き尽くすのみ。
 カイは迫り来る亡者達に、その手の血錆色に鈍く輝く焼鏝を向ける。
「報いを受けろ」
 パッと輝いたかと思えば、その焼鏝は瞬時に無数の鈴蘭の花弁へと姿を変える。
 それもただの花弁等ではない。一つ一つが、まるで鋭利な刃物の様に鋭く研ぎ澄まされていた。
 その花吹雪は、亡者達の間を吹き荒れ、その身を瞬く間に斬り刻む。
 かろうじてその嵐を抜け出し、なおカイに向かおうとする亡者もいた。
 だが、その傷口にヒタヒタと花弁が貼りつく。
 一歩……二歩。そこまでだった。
 見た目には何も無いが、力尽き倒れる亡者。その花弁には、毒が有る。

 もはや、『篝火を持つ亡者』は残っていない。
 急ぎ、先へ向かわねば。
 もしも、花嫁がヴァンパイアへと向かう痕跡を残していた事が知られていたら?
 猟兵達は、進む。この物語に、決着を付けるために。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


猟兵達がたどり着いたのは、世を支配するヴァンパイアが住むとは思えぬような、質素な家。
 突入の機会を伺う猟兵達の前に、それは姿を現した。
「猟兵……邪魔をしてくれた様だな」
 扉を開き、その牙を向くヴァンパイア。
そしてその奥には、花嫁。椅子に座っていたが、猟兵達の姿を確認したとたん、勢いよく立ち上がる。
 その表情は、猟兵達が何者であるか?という疑問。
 巧く事が運んだのかという希望。
 これまで村を虐げ続けていたヴァンパイアに対する憎しみ。
 そして、あるかなきかの失望――。

「貴様等など来なければ、ここで永遠の時を過ごせたのだ」
 腹の底からの憎しみを向けるヴァンパイア。
 誰が、どのような感情を抱いていたとしても、この戦いは避けられない。
リンネ・ロート
(人格・口調ニノ)
(ヴァンパイアに向かって)自分が生まれ育った村のことを想って、自ら生贄のような形になった乙女の心を弄ぶなんて絶ッ対に許せない!
その罪、万死に値するわ!楽に死ねるなんて思わないことね!

(花嫁に向かって叫ぶ)猟兵はこの世界を救うために来たのよ!
アナタだけでも助けてみせるわ!
ちょっとの間よ、待ってて!諦めちゃダメよ!

敵との距離をある程度取るわ(35~40Mくらい?)
少しの間は相手の出方をうかがう
何されるか分からないので
遠距離から攻撃してくるようなら、見切りとオーラ防御を駆使しつつ確実にUCが当たる距離まで移動
後は高速詠唱からUCを放つ
二回攻撃も狙うが、無理なら再び距離を取る


神酒坂・恭二郎
【POW指定】
さて。何が起きたかは想像するしかないが。
こいつなりに何か考えがあったのは分る。
だが噛み合わなかった。
あの女のヴァンパイアを見る目が全てだ。

「お前さんにも事情はあろうが、間が悪かったのかもな」

・契約書を最大限に避けながら、飛剣を受けて捌く。
 バラバラな剣が恐るべき精度で迫ってくるには種があるはずだ。
 斥候となる目があるから潰さねばならない。
 大きく間合いを取って納刀し、目を閉じて気を練り力溜め。
 迫る飛剣には居合抜きを合せ、地面に突き立てて破魔の衝撃波を放つ。威力ではなく範囲重視で【影の蝙蝠】の一掃を狙い、UC封じを試みる。
「神酒坂風桜子一刀流・龍田(たつた)……ってなもんか」


ヒビキ・イーンヴァル
よし殺そう
てめぇの恨みなんざ知ったことか

『蒼き焔よ謳え、星の如く』で攻撃
『属性攻撃』『全力魔法』で炎盛っていこうか
後ろの花嫁さんに当たらないよう注意だな

敵さんと真正面からぶつかるなんざ、普段はやらないんだが
今回ばかりは体張っていくかね
積極的に攻撃しつつ、敵を引き付ける
その間に他の奴らが何とかしてくれるだろう
とは思いつつ、敵の様子はよく見張って、
変な事はさせないように

てめぇ一人の欲望で、とんでもない事してくれたもんだ
死んで詫びろ、と言いたいがもう死んでるんだよな
本っ当に胸糞悪い
これであの村人たちの怒りも少しは治まるだろうか


藤塚・枢
隙を見て地形の影から煙幕手榴弾を投擲
鋼糸で花嫁を巻き取って人形を盾にしながら引き寄せて奪取

「キミは彼女の身体が欲しいのかい?
それとも気持ちかい?
或いは両方かな?
けれどね、気持ちはもう無理だ
キミはやり方を間違えた
心が欲しかったのなら、「自分が村を、彼女を、外敵からずっと守る」とでも言えばよかったんだよ
そうすればもっと違う結果になっていただろう
ま、そうはならなかった
だからこの話はここまでだ

そして身体が欲しいのなら…単純だね、私たちを殺して奪えばいい
これまでのキミや、他のヴァンパイアがそうしているように
力の差がある者同士は分かり合えないと、愛し合うことはできないのだと、その身をもって立証すればいい」



「その罪、万死に値するわ!楽に死ねるなんて思わないことね!」
 リンネ・ロート(多重人格者のサイキッカー・f00364)は、いや、今はその第二人格たるニノは叫ぶ。
 乙女の心を弄ぶ輩を、決して許してはおけない。
「私達、猟兵はこの世界を救うために来たのよ!アナタだけでも助けてみせるわ!」
「私……だけ……?」
「やめぬか!」
 花嫁の視線に顔を背け、ヴァンパイアが吼える。そしてその手の豪奢な剣を掲げると、全く同じ剣が数十本、宙に現れた。まるで、花嫁の視線を遮るかのように。
 血走った眼でニノを睨み付けた途端、ニノをハリネズミの様にせんと、剣は一斉に動き出す。

 十分な距離を取ってはいたが、その剣は迅い。瞬く間にニノに迫る。
 その時、蒼く輝く焔が、ニノに迫る剣を吹き飛ばした。
 ヒビキのユーベルコード、『アジュア・ブレイザー』だ。
 焔は、ヒビキの頭上から、その怒りを蒼く照らし出す。
「てめぇ一人の欲望で、とんでもない事してくれたもんだ」
 ヴァンパイアの身勝手な恨みになど、付き合ってやる積もりは毛頭無い。
 しかし、今は良いものの、追い詰められれば花嫁を人質に取る可能性も有る。先ずは、ヴァンパイアをこちらに引きつけるのだ。
 そのために、あえて正面からの撃ち合いを選ぶ。
「死んで詫びろよ……っと、もう死んでるんだったな」
 挑発のため、怒りを抑えて嘲るように笑うヒビキ。もとより怒り狂うヴァンパイアは、あっさりとヒビキへと矛先を変える。
 霧が薄れたとはいえ暗い森の中。焔と剣が美しく、激しく舞う。

「絶ッ対に許せないんだから!」
 剣の追跡を逃れて体勢を立て直したニノも、その周囲に炎の矢を展開するや、鋭く打ち出して行く。
 ヒビキの蒼き焔と、ニノの紅蓮の矢が次々にヴァンパイアを襲う。

 ヴァンパイアが二つの炎の対応に私は追われるのを隙と見て、恭二郎が背後から飛びかかった。
 ヴァンパイアは前方を見ており、こちらに気づいておらぬ様子。
「お前さんにも事情はあろうが、間が悪かったのかもな」
 確実な一刀両断を期し、柄手に力を込めんとしたとき、恭二郎の更に背後より、ヴァンパイアの剣が飛来した。
「ばかな!?」
 空中で体を捻り、剣を斬って落とす恭二郎。しかし、見もせずに、しかもこれほど多くの剣を正確に操るとは?
 この離れ業に、恭二郎はむしろ勝機を感じ取った。
「種明かし、させてもらうぜ」
 迫る剣を払いのけて一挙動に飛びすさると、恭二郎はその刀を地面に突き立てて衝撃波を放つ。
「ぐおぉっ!?」
 ヴァンパイアが苦悶の声を上げる。その身には、衝撃波は届いていないはずなのに?
 その訳は、木の影から現れた。恭二郎の破魔の衝撃波によって、猟兵達を見張っていた『影の蝙蝠』が叩き落とされたのだ。
 この蝙蝠は、ヴァンパイアとその五感を共有している。複数の目によって、無数の剣の制御を補助していたと言うわけだ。
「神酒坂風桜子一刀流・龍田……ってなもんか」

「おのれッ!」
 恭二郎の方へ向き直ったヴァンパイアの目の前に、それは現れた。
 幽かな、それでいて力強いその影。『達人の智慧』によって現れた、恭二郎の守護明神だ。
 守護明神がヴァンパイアの手を取り押さえると、力比べの格好となる。すると、ヴァンパイアの周りを浮遊していた剣が地に落ちる。
 守護明神が、抑えている間は、この力は使えない。

 剣の壁が消えた瞬間、周辺の視界は白の世界と化した。再び霧が出たのか?いや、枢が放った煙幕だ。
 その狙いはただ一つ。花嫁の奪還。
 間もなく花嫁に鋼糸が巻きつくと、その柔肌を傷つける事もなく、勢いよく花嫁を巻き取って行く。
 その行く先には、大きくカラフルな、熊?の人形。
 ボフ、と柔らかく受け止めると、人形の背後から枢が姿を見せる。
「キミの、キミ達の戦争は、私達が引き継いだよ」
 素早く花嫁を後ろに隠すと、煙幕が晴れてきた。
 花嫁の姿を見失い、狼狽えるヴァンパイアに向けて枢と『フォリーくん』は歩み寄る。

「キミは彼女の身体が欲しかったのかい?」
 人形の腕から、ナイフが飛ぶ。
「それとも気持ちかい?或いは両方かな?」
 その身を守る、剣の壁は未だ封じられている。
「けれどね、気持ちはもう無理だ……」
 枢が一言言う度に、『フォリーくん』はナイフを飛ばす。
 あれこれと声をかけてはいるが、なにも、分かり合おうなんて思っちゃいない。
 ただ、そのナイフで、思い知らせるのみだ。

 その身を焔に焼かれ、ナイフに貫かれ、苦痛の声を上げるヴァンパイア。
 しかしその目はなお、見失った花嫁を探していた。あるいは、苦痛ではなく悲痛の声か。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リカルド・マスケラス
救いようのない敵っすね。あいつをぶっ倒せばいいんすけど、その前に花嫁さんに語りかけたい
「お姉さん、お名前は何ていうんすか?」
「~~さんっすね。多分事情は何となく察したと思うっす。その…助けになれなくてすまなかったっす」
「で、単刀直入に問うっす。奴を倒したいっすか?」
そう言って返答次第で彼女の肉体を借りる。ダメならそこらの死体を使う

復讐を果たすために花嫁の身を危険に晒すことになるが、不利な状況に陥って身体能力を上げ、ダガーで敵を斬り、刃を突き立てる
「すまないっすね。花嫁との共同作業は先に盗っちゃったっす」

敵の攻撃は仮面で受け、ダメージはこっちで受ける
「約束を破るのは彼女でなく、自分っすからね!」


藤塚・枢
そんなに好きなら、もう少し目線を合わせてあげればよかったんだ
いかなる理由があっても、押し付けた善意は悪意と変わらない
「夫婦になるにはキミはあまりに人を知らなさ過ぎだった、ってことだよ
ソリティアとか得意だろ、キミ
因みに私も得意だ」

ナイフを地形の死角から放ち続け、鋼糸の罠も展開させながら接近戦は避ける
隙を見て咎力封じで無力化させたいところだけれどね

「キミが最期に彼女にしてやれることがひとつだけある
彼女はアレを知ってしまう
だからキミが憎まれたまま、完全な悪のまま死ぬことで、ほんの少しだけ彼女は救われる
分るかな、私の言っている意味が」

せめて近隣の村を探して送ってあげよう
命をどう使うか、それは彼女次第だ



 木の陰から、花嫁は見ていた。
 両親や、皆を虐げていた男が、蒼い焔に焼かれるのを。
 両親の親も苦しめていたと聞く男が、炎の矢に貫かれるのを。
 私に愛を誓った男に、いくつものナイフが突き立つのを。私の偽りの愛に、誓った男に。
 呆然と眺めているしかない。先ほどの話では、既に自分達の計画はばれていて、村は、皆は、もう……。
「お姉さん、お名前は何ていうんすか?」
 幻聴?色々な事がありすぎた……。
「ここっすよ、ここ!もう一度言うっすよ。お姉さん、お名前は何ていうんすか?」
 目の前に、仮面が落ちている。まさか……?
「わ、私は……ベラ。ベラです」
「ベラさんっすね。多分事情は何となく察したと思うっす。その……助けになれなくてすまなかったっす」
 間違い無い。この仮面が話しかけているのだ。気がついてみれば、不思議と何の違和感も感じない。
 仮面――リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)は語りかける。
「で、単刀直入に問うっす。奴を倒したいっすか?」
「私は……私は……」
 そう、全ては、あの男を討つためだったはずだ。今まで皆が受けた苦しみを晴らすためだったはずだ。皆はもういない。でも、やらなくては。
「……あの人を、倒さなくては」

 全身に突きたったナイフを抜き取り、血塗れのヴァンパイアは、なおも立っていた。
 その力で再び剣を舞い上げるも、思うようにコントロールが効かない。
 枢が張り巡らせていた鋼糸が、ヴァンパイアだけでなく、その剣の動きをも阻害する。
「夫婦になるにはキミはあまりに人を知らなさ過ぎだった、ってことだよ」
 鋼糸にヴァンパイアを閉じ込め、枢は常に動きながら、フォリーくんからのナイフを放ち続ける。
「ソリティアとか得意だろ、キミ。因みに私も得意だ」
 常に優位を奪われ続け、ヴァンパイアには、こんなことに答える余裕もない。
「……アアァア!」
 突如、ヴァンパイアは叫んだ。その視線の先に、花嫁の姿を見つけたからだ。
 鋼糸に傷つきながらも囲いを強引に突破すると、花嫁の元へと走る。

 確かに、ベラは立っていた。ただし、その手にはダガー。その顔にはマスク。ヒーローマスクのリカルドが、ベラの体を借りて立っていた。
 本来のベラが持つ身体能力とはかけ離れた速度で、リカルドはヴァンパイアを迎え撃つ。
「すまないっすね。花嫁との共同作業は先に盗っちゃったっす」
 しかし、リカルドは気づいていた。この身体能力は、リカルド自身の動きとしては、ごく普通のものだ。
 ユーベルコード『ジャスティス・ペイン』の力で、その力を増すはずが、何ら変化を感じない。
「貴様ァ!」
 リカルドの存在に気づいたヴァンパイアが、その手の血の契約書で、マスクであるリカルドを打とうとする。
 無論、リカルドもベラに危害を加える訳には行かない。自らの体のみで受けきらねば。
 ……しかし、その攻撃は、リカルドに触れる事は無かった。ヴァンパイアは、その奥にいるベラに危害を加える事を恐れ、途中で止めてしまったのだ。
 リカルドの能力が向上しなかったのは、つまり、花嫁の体を借りる事が不利でも何でも無かったからに他ならない。

 攻撃を止めて隙を突き、枢の『咎力封じ』がヴァンパイアを拘束した。
「キミが最期に彼女にしてやれることがひとつだけある」
 枢が、拘束されたヴァンパイアに語りかける。
「彼女はアレを知ってしまう。だからキミが憎まれたまま、完全な悪のまま死ぬことで、ほんの少しだけ彼女は救われる。分るかな、私の言っている意味が」
 そこに駆け寄るリカルドと、ベラ。その手には、ダガー。
「ベラ!私のベラ!」
 ヴァンパイアは、猿轡で不明瞭ながらも叫ぶ。
 枢の意図が分かるならば、あるいは、それを実行できているくらいならば、端からこんな事にはならなかったのだ。
 リカルドの、そしてベラの手で、ヴァンパイアの心臓にダガーが突き立てられた。

 ベラは、灰のように崩れ去ったヴァンパイアの遺体があった場所で、座り込んでいた。
 復讐は成った。しかし、生き残ったのは自分だけ。
 両親も、村の皆も、もういない。そして――。
「あっちに、村があったよ。アイツに支配されていた村だ」
 猟兵達は、ベラの今後を憂い、近隣の村へと送り届ける事にした。
 同じヴァンパイアの支配を受けていた村だったらしく、事情を話したところ、狂喜し、英雄を進んで受け入れるという。
「その命、どう使うかはキミ次第だ」
 振り向いて猟兵達を見たベラは、素直に猟兵達の提案を受け入れる。少なくとも早まった真似をする事は無さそうだが、この先、彼女はどのように生きるだろうか。

 猟兵達は、最善を尽くし、オブリビオンを討った。この先は、彼女の戦いだ。
 千々に乱れる心を相手にした、ある意味では、どんなオブリビオンよりも強大で、永い戦い――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月12日


挿絵イラスト