首里あるき〜君と感じる琉球の風
「ねぇねぇ、沖縄に行かない?」
何冊もの旅行ガイド本を抱え、瞳を輝かせて。彩瑠・翼(希望の翼・f22017)は、グリモアベースに居た猟兵たちにそう声をかけた。
沖縄、と聞いて真っ先に思い浮かべるのは海だったのだろう。海は先日めいっぱい楽しんだという誰かの言葉に、翼はにこにこと頷いて。
「んっとね、それじゃあ、今回は沖縄の歴史と文化に触れるってのはどうかな? 沖縄のお城とか、面白そうって思うんだよね」
沖縄では、かつては琉球王国という、独自の歴史と文化が育まれていた。城は「グスク」と呼ばれ、日本本土とは異なる性質を持っていたとされている。その分布は、小さなものまで含めると奄美・沖縄全体で200以上。うち5つは、世界遺産にも登録されている。
「本当はね、お城の有名どころぜーんぶ見に行きたかったんだけど。 さすがにそれは厳しいから、今回はここに絞ろうかなって」
言いながら、翼は一冊のガイド本を開いて見せる。見開き一面に写るのは、赤瓦屋根に朱色の彩りある鮮やかな建物ーー沖縄の定番観光スポットの一つ、首里城だ。
「観光名所としては定番中の定番だよねっ。 でも、定番ならではの見どころ、けっこーあるんだよっ」
まずは正殿までの道。首里城と同じ赤瓦に朱塗りが美しい守礼門を通り抜ければ、左手に見えるのは王家の拝所として使用されていた園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)だ。そこから歓会門をはじめとした、いくつもの門をくぐっていく。「神をうやまう門」とされる奉神門を抜けてたどり着くのは、敷き瓦からなる朱色のストライプが美しい広場、御庭(うなー)だ。正面に鎮座する正殿は、間近で見るとその外観に圧倒されることだろう。
そして、正殿内部。落ち着いた庭園のある書院を通れば、国王が座る玉座、御差床(うさすか)がある。朱色に金の絢爛豪華な意匠は、何ともきらびやかで一見の価値ありだ。
また、正殿内にある鎖之間(さすのま)では、琉球王国時代の伝統菓子を味わうことができる。往時の賓客気分を体験するのも楽しみの一つになるだろう。
「首里城とその関連施設は首里城公園ってところにあるんだけど。その周りもちょっとした散策ができるよ」
首里城公園周辺には、玉陵(たまうどぅん)や金城町石畳などの歴史文化財をはじめ、昔ながらの菓子店にちょっとしたカフェ、食堂が点在している。
散策に疲れたら、明治時代から戦前まで那覇で飲まれていた伝統のお茶「ぶくぶく茶」を飲みながら、まったりするのもよいだろう。琉装体験ができる古民家茶屋もあるので、休憩しながら琉装を楽しむのもオススメだ。
また、旅の土産に悩むなら、紅型工房に立ち寄るのもよいかもしれない。工房では、展示品を購入する以外に、見学や染め体験もできる。旅の記念に自分だけの作品を作れば、よい思い出になること間違いなしだ。
「ちょっとワクワクしてきた? なら、早速出発しようよ!」
猟兵たちの表情を見て取れば。翼は嬉しそうに微笑んで、グリモアを展開させた。
咲楽むすび
このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。
初めましての方も、お世話になりました方もこんにちは。
沖縄の城跡めぐり大好きっ子、咲楽むすび(さくら・ー)と申します。
オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。
遅ればせですが、UDCアースの旅行のお誘いをさせていただきます。
ご案内させていただくのは、首里の町。咲楽の生まれ育った、大好きな場所です。
時間帯は朝〜昼あたり。
オープニングでは、首里城とその城下町周辺を中心にお伝えしていますが、首里内で行ってみたい場所がありましたら、プレイングにてお知らせください。できる限り反映したいと思います。
また、お店や商品の名前はぼかして描写させていただきますね。
なお、首里には泡盛蔵元もあるのですが、見学や体験は成人の方のみとさせていただきます。ご了承くださいませ。
同行の方がいらっしゃる場合は、お名前やグループ名の記載をお願いいたします。
翼は、首里城周辺を散策しています。お声がけいただけましたときのみ登場します。
それでは、もしご縁いただけましたらよろしくお願いいたします!
第1章 日常
『【Q】旅行とかどうでしょう』
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POW : とにかく気力体力の続く限り、旅行先を満喫する
SPD : 旅行先で目ざとく面白いものを見つけて楽しむ
WIZ : 事前に下調べを行い、綿密に計画を立てて楽しむ
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朝霧・晃矢
UDCアースに移住して結構経つけど、
まだまだ見所があるんだなぁ
建物でこの色遣いは初めて見たかも
(一通り見て歩いた後)
……お?
(背中に声掛け)
翼くん、一緒に食べに行かない?
ん……一人でご飯食べるの寂しくてね(にぱ
地元の名物料理とか、気になるのはある?
(翼くんのガイドブック覗き込み)
この古民家カフェのそば、美味しそうだね
(ぐぅ、と腹が鳴れば恥ずかし気に苦笑して)
フードファイターだから燃費が悪くてね
まぁ、その分だけ美味しく頂けるのはありがたいんだけど
さっきの首里城に似てここも風情あるなぁ
注文はアグーを使ったそばに、あとぜんざいも
え、かき氷?
善財ってほら(目を丸くして
(アドリブ、他PCとの絡み歓迎)
●夏の気配の残る場所
青い空に白い雲。
真夏の頃よりは柔らかくなったという日差しは、それでもどこか力強さがあって。
秋と呼ばれる季節になっているにも関わらず、この場所にはまだ夏の気配が残っている。
首里城をはじめとした観光スポットを見て回りながら、朝霧・晃矢(Dandelion・f01725)はそんなことを思った。
UDCアースへ移住してから、それなりの時間を過ごしてきたけれど。建物でのあの色遣いは、初めて見たかもしれない。
朱塗りの色鮮やかさに極彩色の装飾は、今まで目にしたことのある城とは確かに異なっていたが、この青空と日差しにはよく合っているような気がした。
晃矢が思う以上にまだまだ見所はあるのだと感じられるのが、旅行の楽しさなのだろう。
「(さて、一通り見たかなと思うけど……お?)」
日差しから逃れるようにして。晃矢が木陰を探しながら歩いていると、見知った背中。声を掛けると、翼は振り向いて、人懐っこい笑みとともに走り寄る。
「晃矢さん、首里城見てきた? 目がチカチカするほど赤とか金とか、すごかったよね!」
嬉しそうに同意を求める翼に、晃矢も釣られてにこにこと。
「うん、見てきたよ。翼くんのオススメは一通り見ることができたと思うな」
「よかった! 他に行きたいってトコあったら、オレ、案内できるよ!」
これもあるから大丈夫、と。翼は、ガイドブックを取り出して掲げて見せる。
「なら、翼くん、一緒に食べに行かない?」
「行く! ……って、いいの?」
「ん……一人でご飯食べるの寂しくてね」
誰かと一緒に食べられることは、幸せなこと。それが旅でのおいしいものなら、なおさらだ。そう言わんばかりに、晃矢は、にぱっと笑ってみせる。
「そうなんだ? それじゃあ、オレ、晃矢さんが寂しくないように一緒するね!」
うん、と気合を入れ直した翼が、ガイドブックからお店のページを開けば、晃矢も横からそっと覗き込む。
「地元の名物料理とか、気になるのはある?」
「んーと、沖縄そば、かなぁ」
「それなら、ここはどうかな。 この古民家カフェのそば、美味しそうだね」
言うと同時に、晃矢の腹もぐぅ、と鳴って。
「晃矢さん、お腹ぺっこぺこなの?」
「フードファイターだから燃費が悪くてね。 まぁ、その分だけ美味しく頂けるのはありがたいんだけど」
「そっかー。 それじゃ、晃矢さんのお腹満たすためにも、早速行こう!」
恥ずかしそうに苦笑する晃矢に、翼はにこにこと笑って、晃矢の手を取り歩きだす。
晃矢が翼とともに訪れたのは、首里城と同じ赤瓦屋根や漆の柱を使った古民家を改装して建てられたカフェだ。
外にはバナナや月桃などの南国植物が植えられたオープンテラスがあり、内装は普通の民家が食事処になったようなのんびりとした雰囲気だ。琉装などの沖縄らしい飾り付けもされている。
興味深げに店内を眺めてから、晃矢は店員から受け取ったメニューを開く。
「オレは普通の沖縄そばにしようっと。 晃矢さんは何にするの?」
「ぼくは、この、アグーを使ったそばかな。 あとぜんざいも……」
メニューにある写真を指差す晃矢の手が止まる。
「え、かき氷?」
『沖縄ぜんざい』と書かれたメニューには、晃矢の知る『ぜんざい』とは異なるものがあった。
目を丸くして晃矢が翼を見れば、翼も晃矢と同じように、不思議そうな顔をしている。
そう。一般的には小豆を甘く炊いた温かい食べ物のことを『ぜんざい』と言うが。『沖縄ぜんざい』は、黒糖で甘く炊いた金時豆の上にたっぷりのかき氷をのせた、冷たい食べ物のことを言うのだ。
建物だけではなく、食べ物もまた、独特の文化があるのだろう。
見所も、食べ物も。この世界にはまだまだ楽しめるところはたくさんあるのだと、晃矢は改めて思った。
やがて晃矢の目の前に運ばれた沖縄そばには、よく煮込まれたアグー豚の肉がこれでもかとのっかっていて、結構なボリュームだ。
ウメーシと呼ばれる赤と黄色の箸を手に食べ始める翼を見れば、晃矢も箸をとり、まずは一口。
細めの平麺ながらコシのある、のどごしのよい麺は、食べごたえがあり、あっさりとしながらもコクの深さを感じられるスープも麺とよくあっている。
沖縄そばを食べ終わった頃合いに、メニューで見た沖縄ぜんざいも運ばれてくるのだろう。
温かい沖縄そばに、冷たいかき氷の取り合わせは、何だか不思議な気がしたけれど。
それも何だか合うような気がしてしまうのは、まだ暑さの残るこの場所だからかもしれない。
晃矢と翼は、互いの顔を見合わせて、小さく笑う。
おいしい時間はこれからだ。
大成功
🔵🔵🔵
シビラ・レーヴェンス
字無(f21454)と。
いつもエスコートして貰っているから今度は私がしよう。
と偉そうにいっても全くわからないがな。
調べずに現地で興味をもった名所や店に入ろう。
事前に調べずその場その場で決めた方が面白そうだ。
込み合っていたり休業だった場合はスマホで調べる。
字無に聞くのもいいか。気になる場所もあるだろう。
「…君の興味を惹いた場所はあるか?」
「そうそう。君は酒は好きか?」
小耳に挟んだのだがクラモトという場所があるらしい。
私は飲めないが字無が酒が好きなら行こうと思う。
飲めないなら別の場所だ。店でもいい。
オキナワの感想は何だか変わっている土地だな。
…コウベやカマクラとは全く異なった文化だ。面白い。
字無・時雨
シビラ(f14377)と同行。
なにやら張り切って任せろと言ってるので、今回どこに連れていってくれるんですかね?
いきあたりばったりの可能性もありますが、それもまた旅行の醍醐味、楽しいに決まってます。
個人的には遺跡や首里城にも行きたいがシビラが行き先に困った際は知らぬ振りでついていきましょう。
蔵元にお酒なんてのもいいですけど
「シビラはお酒行けましたっけね? まぁ蔵元さんは飲まなくても作る工程が楽しいから行くなら付き合いますよ?」
沖縄はとても開放感があって良いところです。
「シビラがいる場所なら自分は何処でも素晴らしい場所だけど」
と臭い台詞を吐くが大丈夫、素で吐きますから問題ないです!
●君とあるく首里の町
沖縄は、とても開放感があって良いところだと字無・時雨(凡人の探索者・f21454)は思う。
いまだにどこか夏を感じさせるような気候や、目に映る日本本土とは違う建物の形。日本でありながら外国に来たかのような、いつもと違う感覚が、そうさせるのかもしれない。
そんなことを考えながら、時雨は、自分の前をゆくシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)の背を追いながら歩く。
いつもなら時雨がシビラを先導するところだが、今回は彼女が買って出てくれたのだ。
「いつもエスコートして貰っているから今度は私がしよう」
冷淡とも感じられるようなシビラの物言いはいつもの調子ではあったが、前をゆく背中には、なにやら張り切っている様子も感じられる。いつもと違う彼女の姿を見たような気がして。それも時雨にとっては、とても楽しいことだ。
シビラは、観光案内所から始まり、点在している店を辿るように歩いているようだった。いきあたりばったりのようにも時雨には見える。けれど、それもまた旅の醍醐味だ。
「……字無、あの『ぶくぶく茶』という、のぼりが立てられている店は何だろうな?」
茶、とあるから、お茶を扱っているのだろうか。紅茶をたしなむシビラとしては、興味のあるところだ。
「名前からして面白そうですね。 ちょっと行ってみましょうか」
ついでに少し休みましょう、と時雨はシビラに提案する。
旅行とはいえ、日差しに照らされながらの歩き通しだ。小さな身体のシビラにとっては、こたえるものもあるだろう。
「そうだな。 休みがてら、ぶくぶく茶というものを体験してみるのも悪くない」
ぶくぶく茶は、那覇で古くから飲まれていた振り茶のことだという。350年前の文献にも記されていたというから、その歴史はなかなかのものだ。
シビラと時雨が入ったその店では、ぶくぶく茶を作る体験ができるのだという。煎り米を煮だした湯と茶湯を混ぜて泡立たものを、お茶にのせて。その上にピーナッツの粉を振りかけて飲むのだそうだ。
「茶を泡立てるという発想も面白いな。 ここまで泡立つというのは、水も関係しているのかもしれないな」
実際の泡立てには豪快さとスピードも必要なため、時雨にやってもらい。できあがった泡をのせたお茶を、まずは一口。
「ピーナッツの香りと食感は感じられるな。 泡も香ばしい風味がある」
「一緒に出された菓子とも合っていますね」
そんな会話とともに。お茶を飲みながら、シビラは時雨を見やった。
「………君の興味を惹いた場所はあるか? この茶を飲み終えたら、今度はそこへ行こう」
そんなシビラの言葉に、お茶を飲む手を止めて、時雨はしばし考える。
「そうですね……」
個人的には遺跡や首里城にも行きたいと、時雨は思う。蔵元にお酒なんていうのもいいかもしれない。けれど、シビラの好みからするとどうなのだろうか。
考えを巡らせる時雨の様子を、お茶を飲みながら見つめていたシビラが、口を開いた。
「そうそう。 君は酒は好きか?」
まるで時雨の考えを読んだかのように、シビラは言葉を続ける。
「小耳に挟んだのだがクラモトという場所があるらしい」
耳にした言葉をもとにスマホで調べた情報を時雨に示しながら、どうだろうか、と。シビラは小首を傾げてみせる。
「シビラはお酒行けましたっけね?」
「私は飲めないが字無が酒が好きなら行こうと思う。 飲めないなら別の場所だ。 店でもいい」
君の気になる場所に案内するのも、今回のエスコート役である私の役目でもあるしな。
いつもと変わらない、時に冷たくも思わせる抑揚のない単調なシビラの物言い。けれど、そこに感じられるのは気遣いの温かさ。
時雨は思わず微笑んで、
「まぁ蔵元さんは飲まなくても作る工程が楽しいから、行くなら付き合いますよ?」
「なら決まりだな」
時雨の笑みに、どこか満足気に頷いてから、シビラは残りのお茶を飲み干した。
店を出ると、まだ日は高かった。
夏のような青空に強い日差し。照らされる世界は、極寒の地出身のシビラからすれば何とも不思議で。
「オキナワは何だか変わっている土地だな。 ……コウベやカマクラとは全く異なった文化だ。 面白い」
「そうですね。 良いところだと、自分も思います」
確かにここは面白い。とても開放感があって良いところだと、時雨も思う。
「シビラがいる場所なら自分は何処でも素晴らしい場所だけど」
だからきっと。こんな言葉だって、サラッと吐けてしまうのだろう。
「……クラモトはあっちだ。 いくぞ」
相変わらずの調子で言葉を返し。シビラは時雨の前を行く。
隠れて見えないその表情に浮かぶのはいつもの冷淡か、はたまた。
それを知るのはシビラのみ。
大成功
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アカネ・リアーブル
三兎
翼様もご一緒に
せっかくですから、琉装を体験したいです
皆で写真を撮りましょう
伝統的な髪型に結い上げて、かわいい花笠を持って
首里城を散策いたしましょう
……ユディト様は、着てくださらないのですか?
男性用琉装を手に首を傾げます
ここに王様がいらっしゃったのですね
ペーナァ様はゆうしゃ様ですから
こういう場所で王様から依頼を受けたりしたのでしょうね
その時は魔法使いアカネもご一緒しましょう
鎖之間で琉球王国時代の伝統菓子を
ちいるんこうは初めて聞きました
色も形もかわいらしくて美味しくて
沖縄のおせんべいは
お米のおせんべいとは違うのでしょうか
アカネもお土産に買って帰りたいです
皆様とご一緒できてアカネは本当に幸せです
ユディト・イェシュア
三兎
翼くんは案内よろしくお願いします
琉装、ですか。その土地の文化を知るためにも体験するのはいいですね
翼くんも一緒にしましょう
アカネさんもペーナァさんもとてもよくお似合いですよ
お城と聞けばペーナァさんのゆうしゃの血が騒ぐんですね
あ、玉座もありますよ
魔王はいませんが、かつてここに王様が座っていたのかと思うと感慨深いですね
琉球王国時代の伝統菓子ですか
お菓子の名前がみんなかわいいですね
UDCアースの中でも文化は本当に様々ですね
翼くん、この辺りでお土産を買えるお店はありますか?
ペーナァさんに気にいってもらえるおせんべいがみつかるといいんですが
ペーナァ・キャットハウス
三兎で参加するよ
翼君にはお城を案内して貰えると嬉しいかも
沖縄に来るのはうち初めてやから楽しみやね
海で遊ぶのも面白そうやけど今日はお城やねんね、それも面白そう!
へー、ここが、しゅりじょう、なん?
魔王!魔王とか居たりせえへんやろか?
なんかこういうお城に来ると“ゆうしゃ"の血が疼くやんー
そういう風な事を言いつつ皆と奥へと進み正殿へ
勇者やら魔王やらの設定を秒で忘れ去り皆と伝統菓子を楽しみます
写真
うちも入ってもええのん?
アカネちゃんに合わせてうちも沖縄風な恰好に着替えるやんー
あ、そういえばユディト君がうちにお土産におせんべいくれるって言ってた!
帰ってからも楽しみやね
アドリブや絡み大歓迎です
●皆で感じる琉球の風
「せっかくですから、琉装を体験したいです!」
せっかくの沖縄、せっかくのお城と文化体験。何事も楽しむならば形からだと。アカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)が皆と一緒に向かった先は、着物スタジオだ。
そのスタジオでは、選んだ着物を着て、数時間ほど近隣を散策することができるというプランが用意されていた。
着物も、一般的な黄色の琉装をはじめ、赤、青、ピンクなど、色とりどりで揃えられている。
アカネが選んだのは赤色の琉装だ。
「うちも入ってもええのん?」
隣でわくわくと見ていたペーナァ・キャットハウス(お外でゴロゴロ・f05485)の言葉に、アカネはにっこりと微笑む。
「もちろんです。 ペーナァ様には、青色の琉装が似合うと思うのです」
「青の着物、ええやんー。 アカネちゃんに合わせてうちも沖縄風な恰好に着替えるやんー」
うきうきと琉装を手にしたペーナァを嬉しそうに見て。それからアカネは、ユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)の方へ。
「……ユディト様は、着てくださらないのですか?」
男性用琉装を手に首を傾げる姿は可憐そのもので、断る余地などない。ユディトは笑って、
「琉装、ですか。その土地の文化を知るためにも体験するのはいいですね」
アカネの誘いかけに応じながら、翼の方へと視線を向ける。
「翼くんも一緒にしましょう」
「……え、オレもやるの?」
いきなり振られて、翼はびっくり。いやでも、それって、と恥ずかしそうにもごもごと視線をさまよわせる。
「翼様もご一緒に……着てくださらないのですか?」
子供用の琉装を手に、アカネはにっこり笑顔。
ユディトと、いつの間にかペーナァの笑顔までプラスされれば、もう観念するしかなさそうだ。
ほんの少し顔を赤らめながら、翼はこくりと頷いた。
伝統的な髪型に衣装を身にまとい。気分はすっかり琉球王国の民になった四人は、首里城へ向かう。
「へー、ここが、しゅりじょう、なん?」
空の青色を背景に、鮮やかなコントラストを見せて立つ朱色の建物を前にすれば、ペーナァはキラキラと瞳を輝かせる。
「なんかこういうお城に来ると “ゆうしゃ" の血が疼くやんー」
二重の城郭を抜けて城の内部へ行く道も歩いていてワクワクしたけれど、実際の建物を目の前にするとその気持ちは更に高まる。
飛び跳ねんばかりにテンションアップするペーナァに、ユディトはくすくすと。
「お城と聞けばペーナァさんのゆうしゃの血が騒ぐんですね」
「ペーナァさん、勇者様なんだ!?」
ユディトの言葉に、翼は目を真ん丸にする。なにそれすごいかっこいい。
「はい、ペーナァ様はゆうしゃ様なのです。 ユディト様は僧侶様。 そしてアカネは、ゆうしゃ様とご一緒する魔法使いなのです」
アカネが、誇らしげに胸を張って答えれば、翼はますます目を輝かせた。
「翼くんもうちらの冒険の仲間になるん?」
「なりたい!」
即答する翼に、ペーナァは楽しそうに笑う。
「ええよー。 それじゃ決まりやね!」
「それでは、翼様もご一緒に参りましょう。 皆でお城の中を探検するのですから、案内役が必要なのです」
「そうですね。 翼くんは案内をお願いしてもいいですか?」
にこにことするアカネとユディトの言葉に、翼は嬉しそうに頷く。
「うん、それじゃあ、オレ、ゆうしゃ様ご一行の案内役頑張るねっ」
そんな盛り上がりとともに、四人は首里城正殿内部へと。
書院や黄金御殿を通っていくと、木のぬくもりを感じられる落ち着いた空間から一転し、朱色の世界が広がっていた。
「これは見事ですね。 部屋全体がすべて赤く塗られているんですね」
ユディトが興味深げに見渡して、感嘆の息を漏らす。
「魔王! 魔王とか居たりせえへんやろか?」
ワクワクが止まらない様子であちらこちらに視線を向けるペーナァ。実際には居ないと知ってはいても、この雰囲気だと本当に魔王が居そうな気がしてしまう。
「あ、玉座もありますよ」
ユディトが示す先には、金色に極彩色の装飾で彩られた柱。中央には椅子が、龍の飾りとともに鎮座している。
「本当ですね。 柱に描かれた飾りが色とりどりでとても綺麗です。 ここに王様がいらっしゃったのですね」
「せやね。 龍の飾りは何だか動き出しそうやんね」
アカネは柱に施された装飾をまじまじと。ペーナァもまた、面白そうに玉座の飾りを見つめている。
「ふふ、確かに、じっと見ているとそんな気分になってしまう雰囲気ですよね」
ユディトも同意を示して玉座を見やって、
「魔王はいませんが、かつてここに王様が座っていたのかと思うと感慨深いですね」
「はい。 王様が座っていて……ペーナァ様はゆうしゃ様ですから、こういう場所で王様から依頼を受けたりしたのでしょうね」
アカネは想像を巡らせる。それは、何だかとてもワクワクする光景だ。
「ペーナァ様、その時は魔法使いアカネもご一緒しますね!」
「アカネちゃんがいるなら百人力やね!」
ぐぐっと両手を拳で握って気合十分なアカネに、ペーナァは嬉しそうに笑ってみせた。
正殿内部を一通り見て回ったゆうしゃご一行。歩き回るとひと休みしたくなるものだ。
お城の中でいただくお茶とお菓子はきっと格別のものだろうと、四人が向かった先は鎖之間。落ち着いた空間は、朱色がベースの華やかさのある正殿の装飾とは対象的だ。
「ここから見えるお庭は、琉球庭園っていうんだって」
ガイドブックを開いて説明する翼の視線の先には、ソテツに松の木。庭のいたるところにある岩は琉球石灰岩なのだという。庭園の造りもよく見ると独特な雰囲気を醸し出している。
「お庭もええけど、楽しみなのはお菓子やんね?」
花より団子ならぬ庭園よりお菓子。運ばれてきた琉球菓子とお茶に、先ほどまでわいわいとやっていた魔王の設定はどこへやら。ペーナァは楽しそうにお菓子を眺めている。
「お菓子の名前がみんなかわいいですね」
ユディトが微笑んで手にしたのは、飾りのような切り込みの入った花ぼうる。食べるとクッキーのようなサクッとした食感に卵の優しい味わいがある。
「伝統菓子、ちいるんこうは初めて聞きました」
言いながら、アカネも一口。口に入れるとカステラのようなふんわりとした食感の中に、卵とピーナッツ、柑橘の風味が広がる。他のお菓子も、一緒に出されたさんぴん茶ともよく合っている。
「色も形もかわいらしくて美味しくて」
どれもほんの少しだけ変わっているけれど、それがいいと言うアカネに、ユディトも同意をして。
「UDCアースの中でも文化は本当に様々ですね」
建物もそうだがお菓子やお茶一つとっても違っていて。けれど、その違いもまた、楽しい。
「あ、そういえば、ユディト君がうちにお土産におせんべいくれるって言ってた!」
鎖之間を出たところで。思い出したと言わんばかりに、ペーナァはユディトの着物の袖を引く。
「そうでしたね。 翼くん、この辺りでお土産を買えるお店はありますか? ペーナァさんに気にいってもらえるおせんべいがみつかるといいんですが」
「お土産屋さん、あるよー。 オレ、案内するね!」
ユディトの言葉に翼は頷く。
「沖縄のおせんべいは、お米のおせんべいとは違うのでしょうか。 アカネもお土産に買って帰りたいです……と、その前に、」
もう一つのお土産をと。アカネは、自分の持ってきたカメラをスタッフに渡して撮影をお願いする。
撮してもらった写真には、空の青色と朱色の首里城正殿を背景にした、琉装姿の四人。
その表情は、沖縄の晴れた空に負けないくらいの明るい笑顔にあふれていて。
写真を確認すれば、カメラを大切そうに胸に抱きしめて、アカネは嬉しそうに微笑んだ。
「皆様とご一緒できてアカネは本当に幸せです」
大成功
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